JP2023012570A - リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド - Google Patents

リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド Download PDF

Info

Publication number
JP2023012570A
JP2023012570A JP2021116058A JP2021116058A JP2023012570A JP 2023012570 A JP2023012570 A JP 2023012570A JP 2021116058 A JP2021116058 A JP 2021116058A JP 2021116058 A JP2021116058 A JP 2021116058A JP 2023012570 A JP2023012570 A JP 2023012570A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
converting
amino
lysine
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021116058A
Other languages
English (en)
Inventor
光二 井阪
Koji Isaka
令 宮武
Rei Miyatake
沙綾香 片山
Sayaka Katayama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2021116058A priority Critical patent/JP2023012570A/ja
Publication of JP2023012570A publication Critical patent/JP2023012570A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】良好なリジンアンモニアリアーゼ活性を有する改変型酵素を提供すること。【解決手段】βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有する、組換えポリペプチド。【選択図】なし

Description

本発明は、リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド、および、当該ポリペプチドを用いた脂肪族化合物の製造方法に関する。
近年の地球温暖化に伴う災害および気候変動をうけ、地球環境との共生および環境保全を目指したサスティナブルなプロセスの開発が強く求められている。中でも、再生可能原料を利用することができ、且つ、生体反応を利用した物質生産工程であるバイオプロセスに大きな期待が寄せられている。これまでに、さまざまな化成品の発酵生産プロセスが開発されており、たとえば、1,5-ジアミノペンタン、6-アミノカプロン酸およびアジピン酸などの化成品のモノマー原料の発酵生産プロセスが開発されている(特許文献1~4、ならびに、非特許文献1および2)。
例えば、6-アミノヘキサン酸およびヘキサメチレンジアミンの代謝合成経路のアイデアは種々記載されているが(特許文献5)、i)中間体であるリジンの発酵生産菌の開発が進み事業化されていること、および、ii)中間体からの反応段数が比較的少ないことから、リジンを経由した代謝合成経路が有利であると考えられる。
リジンを経由した6-アミノカプロン酸の合成経路では、αアミノ基脱離反応を必要とする。天然に存在するαアミノ基脱離酵素(以下「アンモニアリアーゼ」とも称する。)が触媒可能な反応の基質は、反応中に生成するエンジオラート中間体の安定化が可能な構造である(非特許文献3)。しかし、基質がリジンの場合、エンジオラート中間体の安定化に寄与する官能基がないため、化学的に高いエネルギーを必要とし、反応の進行が困難であることが予想される。
リジンからのαアミノ基脱離酵素反応を示唆する例も報告されているが(特許文献6)、当該報告では酵素遺伝子が特定されていない。また、複数の遺伝子配列が含まれている例が報告されており、αリジンからのアミノ基脱離酵素反応が確実に進行したとは言い難い。一方で、αリジンを一旦β-リジンへと変換し、β-リジンにアンモニアリアーゼを作用させる経路が報告されている(特許文献7)。しかし、当該報告は、当該経路の酵素反応に関し既存酵素の利用の可能性を記載しているのみで、反応を触媒する酵素の存在を実証していない。
特開2012-188407号公報 特表2016-538870号公報 特表2016-501031号公報 特表2017-533734号公報 特表2012-525856号公報 国際公開第2011/078667号 国際公開第2012/0301950号
Yu,et.al. Direct biosynthesis of adipic acid from a synthetic pathway in recombinant Escherichia coli, Biotechinology and Bioengineering, Wiley Periodicals, Inc., 2014, vol. 111, pp.2580. Yu Zhou, et. al. Biosynthesis of adipic acid by a highly efficient induction-free system in Escherichia Coli, Journal of Biotechnology, Elsevier, 2020, 8, pp.314-315 Zhang et al. A QM/MM study of the catalytic mechanism of aspartate ammonia lyase、Journal of Molecular Graphics and Modelling、2014、 51、 113-119
本発明の課題は、良好なリジンアンモニアリアーゼ活性を有する改変型酵素(以下、単に「改変型酵素」とも称する。)を提供することにある。また、当該改変型酵素を用いた、脂肪族モノマーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、種々の酵素のスクリーニングを行うことにより、リジンを経由する6-アミノカプロン酸およびヘキサメチレンジアミンの代謝合成経路に基づき、鍵となる反応であるβ-リジンの脱アンモニアを触媒する酵素を見出した。すなわち、βリジンから、αリジンのα位アミノ基脱離化合物である6-アミノ-2-ヘキセン酸を生産することのできる酵素を見出し、本知見に基づき、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、以下を提供する:
[1](a)βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有し、
(b)以下:
(i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる、
(ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
(iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNAによってコードされる、
(iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
(v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNAによってコードされる、および
(vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNAによってコードされる
のいずれかである、組換えポリペプチド;
[2](a)βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有し、
(b)以下:
(xi)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列からなるか、または、
(xiii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列からなるDNAによってコードされる、ポリペプチド;
[3]Cloacibacillus属、Chelativorans属、Micrococcaceae属、Desulfomicrobium属、Aquamicrobium属およびCitrobacter属からなる群より選択される生物に由来する、[1]または[2]に記載のポリペプチド;
[4]Cloacibacillus porcorum、Chelativorans sp.J32、Micrococcaceae bacterium C1-50、Desulfomicrobium baculatum、Aquamicrobium sp. LC103およびCitrobacter amanoliticusからなる群より選択される生物に由来する、[1]~[3]のいずれか1項に記載のポリペプチド;
[5](a’)6-アミノ-2-ヘキセン酸にアミノ基を付加してβリジンへと変換する活性をさらに有する、[1]~[4]のいずれか1項に記載のポリペプチド;
[6][1]~[5]のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNA;
[7][6]に記載のDNAを含む、組換えプラスミド;
[8][6]に記載のDNAが導入された、組換え微生物;
[9][1]~[5]のいずれか1項に記載のポリペプチド、または、[8]に記載の組換え微生物の培養物および/または当該培養物の抽出物の存在下、βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換することを含む、目的化合物の製造方法であって、
前記目的化合物が、6-アミノ-2-ヘキセン酸、6-アミノカプロン酸、6-アミノヘキサナール、1,6-ジアミノヘキサン、6-アミノヘキセナール、1,6-ジアミノ-2-ヘキセン、5-ホルミルペンタン酸、アジポアルデヒド、6-アミノヘキサノール、6-ヒドロキシヘキサン酸、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオ-ルからなる群より選択される、製造方法;
[10]αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させてβリジンを生成する反応を触媒する活性を有するポリペプチドの存在下、αリジンをβリジンに変換することを更に含む、[9]に記載の製造方法;
[11]前記αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させてβリジンを生成する反応を触媒する活性を有するポリペプチドが、Escherichia属およびClostridium属からなる群より選択される生物に由来する、[10]に記載の製造方法;
[12]前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換することを更に含み、
前記目的化合物が、6-アミノカプロン酸である、[9]~[11]のいずれか1項に記載の製造方法;
[13]前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、および
前記5-ホルミルペンタン酸をアジピン酸に変換すること
をさらに含み、
前記目的化合物が、アジピン酸である、[9]~[11]のいずれか1項に記載の製造方法;
[14]前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、および
前記5-ホルミルペンタン酸を6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること
をさらに含み、
前記目的化合物が、6-ヒドロキシヘキサン酸である、[9]~[11]のいずれか1項に記載の製造方法;
[15](1)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、および
前記6-アミノヘキサナールを1,6-ジアミノヘキサンに変換すること
をさらに含むか、又は、
(2)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノ-2-ヘキセナールに変換すること、
前記6-アミノ-2-ヘキセナールを1,6-ジアミノ-2-ヘキセンに変換すること、および
前記1,6-ジアミノ-2-ヘキセンを1,6-ジアミノヘキサンに変換すること
をさらに含み、
前記目的化合物が、1,6-ジアミノヘキサンである、[9]~[11]のいずれか1項に記載の製造方法;
[16]前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、および
前記6-アミノヘキサナールを6-アミノヘキサノ-ルに変換すること
をさらに含み、
前記目的化合物が、6-アミノヘキサノールである、[9]~[11]のいずれか1項に記載の製造方法;
[17]下記(3)~(6):
(3)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
前記5-ホルミルペンタン酸をアジポアルデヒドに変換すること、
前記アジポアルデヒドを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること、
(4)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナ-ルに変換すること、
前記6-アミノヘキサナ-ルをアジポアルデヒドに変換すること、
前記アジポアルデヒドを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること
(5)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
前記5-ホルミルペンタン酸を6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること、
前記6-ヒドロキシヘキサン酸を6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること、
(6)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、
前記6-アミノヘキサナールを6-アミノヘキサノ-ルに変換すること、
前記6-アミノヘキサノールを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること
のうちの1又は2をさらに含み、
前記目的化合物が、1,6-ヘキサンジオールである、[9]~[11]のいずれか1項に記載の製造方法;
[18]6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換することが、
・エノイル-CoAレダクターゼ(EC 1.3.1.8、EC 1.3.1.38、およびEC 1.3.1.44)、
・エノイル-[アシル-キャリアタンパク質]レダクターゼ(EC 1.3.1.9、EC 1.3.1.10、およびEC 1.3.1.39)、
・ブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.2)、
・アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)、および
・長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.13)
からなる群より選択される酵素によって触媒される、[9]~[17]のいずれか1項に記載の製造方法;
[19]・前記6-アミノカプロン酸から5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
・前記6-アミノヘキサナールから1,6-ジアミノヘキサンに変換すること、
・前記6-アミノヘキサナールからアジポアルデヒドに変換すること、および
・前記6-アミノヘキサナールから6-ヒドロキシヘキサノールに変換することが、

・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(E.C.2.6.1.113)
からなる群より選択される酵素によって触媒される、[9]~[17]のいずれか1項に記載の製造方法;
[20]前記酵素が、Vibrio属およびEscherichia属からなる群より選択される生物に由来する、[19]に記載の製造方法;
[21]・前記6-アミノカプロン酸から6-アミノヘキサナールに変換すること、
・前記5-ホルミルペンタン酸からアジポアルデヒドに変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸から6-アミノ2-ヘキセナールに変換すること、
・前記6-アミノヘキサナールから6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および、
・前記6-ヒドロキシヘキサン酸から6-ヒドロキシヘキサナールに変換することが、カルボキシレートレダクターゼ(EC 1.2.1.30)に属する酵素によって触媒される、[9]~[17]のいずれか1項に記載の製造方法;
[22]前記カルボキシレートレダクターゼが、Micobacteriumu属およびNocardia属からなる群より選択される生物に由来する、[21]に記載の製造方法;
[23]前記5-ホルミルペンタン酸からアジピン酸に変換することが、アルデヒドオキシダーゼ(EC 1.2.3.1)に属する酵素によって触媒される、[9]~[17]のいずれか1項に記載の製造方法;
[24]・前記5-ホルミルペンタン酸から6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること、
・前記6-アミノヘキサナールから6-アミノヘキサノールに変換すること、
・前記アジポアルデヒドから6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および
・前記6-ヒドロキシヘキサナールから1,6-ヘキサンジオールに変換することが、
・アルコ-ルデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)、および
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.2)
からなる群より選択される酵素によって触媒される、[9]~[17]のいずれか1項に記載の製造方法;
[25]前記アルコールデヒドロゲナーゼが、Escherichia属およびBacillus属からなる群より選択される生物に由来する、[24]に記載の方法;
[26]前記目的化合物を単離および/または精製することをさらに含む、[9]~[25]のいずれか1項に記載の製造方法;
[27]βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有するポリペプチドをコードする外来性遺伝子を含む組換え微生物であって、
前記外来性遺伝子が、
(i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNA、
(iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNA、または
(vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNA
である、組換え微生物。
[28]前記外来性遺伝子が、
(xi)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、または、
(xiii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列からなるDNA
である、[27]に記載の組換え微生物;
[29]6-アミノ-2-ヘキセン酸、6-アミノカプロン酸、6-アミノヘキサナール、1,6-ジアミノヘキサン、6-アミノヘキセナール、1,6-ジアミノ-2-ヘキセン、5-ホルミルペンタン酸、アジポアルデヒド、6-アミノヘキサノール、6-ヒドロキシヘキサン酸、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオ-ルからなる群より選択される少なくとも1つを産生する経路を有する、[27]または[28]に記載の組換え微生物。
良好なリジンアンモニアリアーゼ活性を有する改変型酵素、および、当該改変型酵素を用いた、脂肪族モノマーの製造方法を提供することができる。
図1は、AspAのアミノ酸配列を示す図である。 図2は、AspAの塩基配列を示す図である。 図3は、MAL1のアミノ酸配列を示す図である。 図4は、MAL1の塩基配列を示す図である。 図5は、MAL2のアミノ酸配列を示す図である。 図6は、MAL2の塩基配列を示す図である。 図7は、AspB1のアミノ酸配列を示す図である。 図8は、AspB1の塩基配列を示す図である。 図9は、AspB2のアミノ酸配列を示す図である。 図10は、AspB2の塩基配列を示す図である。 図11は、AspB3のアミノ酸配列を示す図である。 図12は、AspB3の塩基配列を示す図である。 図13は、MAL3のアミノ酸配列を示す図である。 図14は、MAL3の塩基配列を示す図である。 図15は、MAL4のアミノ酸配列を示す図である。 図16は、MAL4の塩基配列を示す図である。 図17は、MAL5のアミノ酸配列を示す図である。 図18は、MAL5の塩基配列を示す図である。 図19は、kamAのアミノ酸配列を示す図である。 図20は、kamAの塩基配列を示す図である。 図21は、pSK000のプラスミドを示す図である。 図22は、本発明に含まれる代謝経路を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。
本明細書に記述されているDNAの取得、ベクターの調製、形質転換等の遺伝子操作は、特に明記しない限り、Molecular Cloning 4th Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2012)、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)、遺伝子工学実験ノート (羊土社 田村隆明)等に記載されている方法により行なうことができる。本明細書において特に断りのない限りヌクレオチド配列は5’から3’方向に向けて記載される。
本明細書において、「ポリペプチド」および「タンパク質」の語は、互換可能に使用される。
本明細書において、「配列同一性」とは、BLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)配列解析ソフトウェアを利用し、基準とするアミノ酸配列と、対比するアミノ酸配列を整列させたとき、“Indentity”として算出される数値のことを指す。
本明細書において、「内因」または「内因性」の用語は、遺伝子組換えによる改変がなされていない宿主微生物が、言及された遺伝子またはそれによりコードされるタンパク質(典型的には酵素)を、当該宿主細胞内で優位な生化学的反応を進行させ得る程度に機能的に発現しているかどうかに関わらず、宿主微生物が有していることを意味するために用いられる。「内因性」および「内在性」の用語は、本明細書において互換可能に用いられる。
本明細書において、「外来」または「外来性」の用語は、遺伝子組換えによる改変がなされていない宿主微生物が、言及された遺伝子を有していない場合、またはその遺伝子によりコードされる酵素を実質的に発現しない場合、または異なる遺伝子により当該酵素のアミノ酸配列をコードしているが、形質転換後に匹敵する内因性酵素活性を発現しない場合において、本発明に基づく遺伝子配列を宿主微生物に導入することを意味するために用いられる。「外来性」および「外因性」の用語は、本明細書において互換可能に用いられる。
本発明者らは、αリジンを一旦β-リジンへと変換し、β-リジンにアンモニアリアーゼを作用させる経路に着目した。種々の酵素のスクリーニングを行った結果、βリジンから、αリジンのα位アミノ基脱離化合物である6-アミノ-2-ヘキセン酸を生産することができることを見出した。
本発明にかかる組換えポリペプチドは、3位アミノ基の脱離による2,3位炭素-炭素不飽和結合形成およびその逆反応を触媒する。具体的には、本発明にかかる組換えポリペプチドは、
・βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性(活性(a))、および、
・6-アミノ-2-ヘキセン酸にアミノ基を付加してβリジンへと変換する活性(活性(a’))
の少なくとも1つを有する。活性(a’)に関し、「6-アミノ-2-ヘキセン酸にアミノ基を付加してβリジンへと変換する反応」は、上記活性(a)に関する、「βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離反応」の逆反応である。
上記活性(a)および活性(a’)の少なくとも1つを有する酵素は、「βリジンアンモニアリアーゼ」とも称される。また、活性(a)および活性(a’)の少なくとも1つの酵素活性は、「βリジンアンモニアリアーゼ活性」または「βリジンアンモニアリアーゼ酵素活性」とも称され、これらの語は互換可能に用いられる。
一態様において、本発明にかかる組換えポリペプチドは、βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性(活性(a))を有する。βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換する反応は、図22のステップBに示される。
好ましい態様において、本発明にかかる組換えポリペプチドは、活性(a)に加え、6-アミノ-2-ヘキセン酸にアミノ基を付加してβリジンへと変換する活性(活性(a’))をさらに有する。すなわち、図22のステップBの反応の逆反応である。
配列に関し、本発明にかかる組換えポリペプチドは、以下のいずれかである:
(i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる、
(ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個、1~7個、1~5個または1~3個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
(iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNAによってコードされる、
(iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個、1~7個、1~5個または1~3個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
(v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNAによってコードされる、および
(vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNAによってコードされる。
本発明にかかる組換えポリペプチドは、好ましくは、以下から選択される:
(i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる、
(ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
(iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNAによってコードされる、
(iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
(v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNAによってコードされる、および
(vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNAによってコードされる。
本発明にかかる組換えポリペプチドは、より好ましくは、以下:
(xi)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列からなるか、または、
(xiii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列からなるDNAによってコードされる、
ポリペプチドである。
本発明にかかる上記ポリペプチドは、クロアシバシルス(Cloacibacillus)属、シェラティヴォランス(Chelativorans)属、マイクロコッカス(Micrococcaceae)属、デスルホミクロビウム(Desulfomicrobium)属、アクアミクロビウム(Aquamicrobium)属およびシトロバクター(Citrobacter)属からなる群より選択される生物に由来する。
本発明において、「由来する」とは、遺伝子またはそれによりコードされるポリペプチド(典型的には酵素)が、言及する特定の生物種が内因的に有しているものであることを意味する。
好ましい態様において、上記ポリペプチドは、Cloacibacillus porcorum、Chelativorans sp.J32、Micrococcaceae bacterium C1-50、Desulfomicrobium baculatum、Aquamicrobium sp. LC103およびCitrobacter amanoliticusからなる群より選択される生物に由来する。
本発明にかかる上記ポリペプチドは、良好なβリジンアンモニアリアーゼ活性を有する。かかるポリペプチドを用いることにより、目的化合物を製造することができる。目的化合物としては、例えばC6化合物が挙げられる。C6化合物については、後述する。
本発明の第2の側面は、上記ポリペプチドをコードするDNAに関する。また本発明の別の側面は、かかるDNAを含む組換えプラスミド、および、かかるDNAが導入された、組換え微生物に関する。
より詳細には、上記のポリペプチドの外来性遺伝子を導入した遺伝子組換え微生物も本発明の範囲に包含される。ここで、「遺伝子組換え微生物」は、単に「組換え微生物」とも称する。
一態様において、組換え微生物は、βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有するポリペプチドをコードする外来性遺伝子を含む組換え微生物であって、当該外来性遺伝子が、以下:
(i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個、1~7個、1~5個または1~3個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNA、
(iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個、1~7個、1~5個または1~3個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNA、または
(vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNA
である。
好ましい態様において、組換え微生物は、βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有するポリペプチドをコードする外来性遺伝子を含む組換え微生物であって、当該外来性遺伝子が、以下:
(i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNA、
(iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNA、または
(vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNA
である。
より好ましい態様において、前記外来性遺伝子は、
(xi)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、または、
(xiii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列からなるDNA
である。
本発明において、目的の外来性遺伝子が導入される宿主微生物は特に限定されず、原核生物および真核生物のいずれであってもよい。既に単離保存されているもの、新たに天然から分離したものおよび遺伝子改変をされたものから任意に選択することができる。
本発明の宿主微生物には、細菌、酵母、真菌などの、発酵プロセスに使用できる様々な微生物が利用可能である。宿主微生物は、例えば、エスケリキア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、クロストリジウム(Clostridium)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クロストリジウム(Clostridium)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シネコシスティス(Synechocystis)属、アルカリハロバチルス(Alkalihalobacillus)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、カンジタ(Candida)属、ピキア(Pichia)属、またはアスペルギルス(Aspergillus)属に属する。宿主微生物は、好ましくは、エスケリキア(Escherichia)属に属し、より好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)である。
したがって、上記宿主微生物に外来性遺伝子を導入した本発明にかかる組換え微生物は、例えば、エスケリキア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、クロストリジウム(Clostridium)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クロストリジウム(Clostridium)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シネコシスティス(Synechocystis)属、アルカリハロバチルス(Alkalihalobacillus)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、カンジタ(Candida)属、ピキア(Pichia)属、またはアスペルギルス(Aspergillus)属に属する。本発明にかかる組換え微生物は、好ましくは、エスケリキア(Escherichia)属に属し、より好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)である。
本発明において、ある化合物に関し、「生産経路を有する」および「産生する経路を有する」とは、本発明にかかる遺伝子組換え微生物が、その化合物の生産経路の各反応段階が進行するために十分な量の酵素を発現し、その化合物を生合成可能であることを意味する。本発明の組換え微生物は、当該化合物を生産する能力を本来有する宿主微生物を用いたものであってもよく、本来は当該化合物を生産する能力を有さない宿主微生物に対して、その化合物の生産能を有するように改変を行ったものであってもよい。
本発明にかかる組換え微生物は、6-アミノ-2-ヘキセン酸、6-アミノカプロン酸、6-アミノヘキサナール、1,6-ジアミノヘキサン、6-アミノヘキセナール、1,6-ジアミノ-2-ヘキセン、5-ホルミルペンタン酸、アジポアルデヒド、6-アミノヘキサノール、6-ヒドロキシヘキサン酸、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオ-ルからなる群より選択される少なくとも1つを産生する経路を有する。
本発明にかかる組換え微生物は、C6化合物生産経路の反応段階を触媒する酵素をさらに発現することで、C6化合物生産経路を有する遺伝子組換え微生物となり得る。なお、本発明の遺伝子組換え微生物が、外来遺伝子の導入によらずとも、C6化合物生産経路の反応段階を触媒する十分な量の酵素を発現する場合は、内因遺伝子にコードされる酵素によって反応が進行してもよい。
本発明の更なる側面は、上記ポリペプチドまたは上記組換え微生物の培養物および/または当該培養物の抽出物の存在下、βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換することを含む、目的化合物の製造方法に関する。ここで、目的化合物は脂肪族モノマーであってよい。脂肪族モノマーは、例えば、C6化合物である。
目的化合物は、例えば、6-アミノ-2-ヘキセン酸、6-アミノカプロン酸、6-アミノヘキサナール、1,6-ジアミノヘキサン、6-アミノヘキセナール、1,6-ジアミノ-2-ヘキセン、5-ホルミルペンタン酸、アジポアルデヒド、6-アミノヘキサノール、6-ヒドロキシヘキサン酸、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオ-ルからなる群より選択される(図22)。一態様において、本発明は、6-アミノ-2-ヘキセン酸の製造方法に関する。
別の一態様において、本発明は6-アミノ-2-ヘキセン酸の前駆体の製造方法を提供する。ここで、6-アミノ-2-ヘキセン酸の前駆体としては、例えば、α-リジンおよびβ-リジンが挙げられる。
更なる態様において、本発明は、前記6-アミノ-2-ヘキセン酸から6-アミノカプロン酸、アジピン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、1,6-ヘキサンジアミン、6-アミノヘキサン-1-オールまたは1,6-ヘキサンジオールを製造する方法を提供する(図22)。
本発明にかかる組換え微生物および製造方法に関連して、C6化合物生産経路の例を図22に示す。以下、各反応段階を触媒する酵素について図22を参照しながら説明する。
本発明にかかる製造方法は、酵素の存在下で、βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換することを含む。βリジンから6-アミノ-2-ヘキセン酸への変換は、βリジンの3位アミノ基を脱離させ、2,3位炭素-炭素不飽和結合を形成する活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる(図22のステップBの反応)。本変換は、例えば:
・デスルホミクロビウム(Desulfomicrobium)属(具体的にはDesulfomicrobium baculatum)、
・アクアミクロビウム(Aquamicrobium)属(具体的にはAquamicrobium sp. LC103)および
・シトロバクター(Citrobacter)属(具体的にはCitrobacter amanoliticus)
・クロアシバシルス(Cloacibacillus)属(具体的にはCloacibacillus porcorum)、
・シェラティヴォランス(Chelativorans)属(具体的にはChelativorans SP.J32)、
・マイクロコッカス(Micrococcaceae)属(具体的にはMicrococcaceae bacterium C1-50)
からなる群から選択される生物由来の酵素を選択することができる。好適な酵素は、配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
αアミノ基の脱離/付加を触媒する天然に存在する酵素は、アンモニアリアーゼ(EC 4.3.1)の群に分類される。アンモニアリアーゼは、正反応のアミノ基脱離および逆反応のアミノ基付加の双方向の反応を触媒することができる。例えば、Li et .al. Computational redesign of enzymes for regio- and enantioselective hydroamination, Nat Chem Biol. 2018, 14, 664-670の文献においては、アスパラギン酸のアミノ基脱離活性を示すポリペプチドを鋳型として改変を行い、所望の基質に対しアミノ基付加を行う酵素を構築している。このことは、本発明にかかるβリジンのアミノ基脱離反応を触媒する酵素が、逆反応である6-アミノヘキセン酸へのアミノ基付加反応をも触媒し得ることを示唆する。
図22のステップAでは、αリジンの2位アミノ基が3位へ転移し、βリジンが生成する。αリジンからのβリジンへの変換は、αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させる活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。具体的には、アミノムターゼ(EC 5.4.3)の群に含まれる酵素、より具体的にはリジンアミノムターゼ(EC 5.4.3.2)から選択することができる。かかる酵素として、例えば、Clostridium subterminale由来kamA(アクセッションナンバー:Q9XBQ8.1)、および、Escherichia coli由来yjeK(アクセッションナンバー:AP009048.1)が挙げられる。
したがって、好ましい態様において、本発明にかかる製造方法は、αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させてβリジンを生成する反応を触媒する活性を有するポリペプチドの存在下、αリジンをβリジンに変換することを更に含む。
より好ましい態様において、前記αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させてβリジンを生成する反応を触媒する活性を有するポリペプチドは、エシェリヒア(Escherichia)属およびクロストリジウム(Clostridium)属からなる群より選択される生物に由来する。さらにより好ましい態様において、前記αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させてβリジンを生成する反応を触媒する活性を有するポリペプチドは、Escherichia coliおよびClostridium subterminaleからなる群より選択される生物に由来する。
一態様において、本発明にかかる製造方法によれば、αリジンから6-アミノ-2-ヘキセン酸を調製することができる(図22のステップAおよびB)。すなわち、一態様において、本発明にかかる製造方法は、
・αリジンをβリジンに変換すること、および、
・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること
を含む。
図22のステップCでは、6-アミノ-2-ヘキセン酸の二重結合が選択的に還元され、6-アミノカプロン酸を生成する。6-アミノ-2-ヘキセン酸から6-アミノカプロン酸への変換は、二重結合を還元する活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・エノイル-CoAレダクターゼ(EC 1.3.1.8、EC 1.3.1.38、およびEC 1.3.1.44)、
・エノイル-[アシル-キャリアタンパク質]レダクターゼ(EC 1.3.1.9、EC 1.3.1.10、およびEC 1.3.1.39)、
・ブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.2)、
・アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)、および
・長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.13)。
したがって、一態様において、本発明にかかる製造方法は、前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換することを更に含む。ここで、当該製造法における目的化合物は、6-アミノカプロン酸である。
本発明にかかる製造方法によれば、βリジンから6-アミノカプロン酸を合成することができる(図22のステップBの反応およびステップCの反応)。本製造方法は、βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換することと、前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換することとを含む。
図22のステップDでは、6-アミノカプロン酸の-CH-NH部位がホルミル基へと変換され、5-ホルミルペンタン酸を生成する。アミノカプロン酸から5-ホルミルペンタン酸への変換は、アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.113)。
図22のステップEでは、5-ホルミルペンタン酸のホルミル基が酸化され、アジピン酸を生成する。5-ホルミルペンタン酸からアジピン酸への変換は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・アルデヒドオキシダーゼ(EC 1.2.3.1)。
図22のステップFでは、5-ホルミルペンタン酸のホルミル基が還元され、6-ヒドロキシヘキサン酸を生成する。5-ホルミルペンタン酸から6-ヒドロキシヘキサン酸への変換は、アルデヒドオキシダーゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)、および
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.2)。
図22のステップGでは、6-アミノカプロン酸のカルボキシル基が還元され、6-アミノヘキサナールを生成する。6-アミノカプロン酸から6-アミノヘキサナールへの変換は、カルボキシレートレダクターゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・カルボキシレ-トレダクターゼ(EC 1.2.1.30)。
図22のステップHでは、6-アミノヘキサナールのホルミル基がアミノ基転移反応を受け、1,6-ジアミノヘキサンを生成する。6-アミノヘキサナールから1,6-ジアミノヘキサンへの変換は、アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.113)。
図22のステップRでは、6-アミノヘキサナールの-CH-NH部位がホルミル基へと変換され、アジポアルデヒドを生成する。6-アミノヘキサナールからアジポアルデヒドへの変換は、アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.113)。
図22のステップIでは、6-アミノヘキサナールのホルミル基が還元され、6-アミノヘキサノ-ルを生成する。6-アミノヘキサナールから6-アミノヘキサノ-ルへの変換は、アルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)、および
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.2)。
図22のステップJでは、6-アミノヘキサノ-ルの-CH-NH部位がホルミル基へと変換され、6-ヒドロキシヘキサナールを生成する。6-アミノヘキサノールから6-ヒドロキシヘキサナールへの変換は、アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.113)。
図22のステップKでは、6-ヒドロキシヘキサン酸のカルボキシル基が還元され、6-ヒドロキシヘキサナールを生成する。6-ヒドロキシヘキサン酸から6-ヒドロキシヘキサナールへの変換は、カルボキシレートレダクターゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・カルボキシレ-トレダクターゼ(EC 1.2.1.30)。
図22のステップLでは、6-ヒドロキシヘキサナールのホルミル基が還元され、1,6-ヘキサンジオールを生成する。6-ヒドロキシヘキサナールから1,6-ヘキサンジオールへの変換は、アルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)、および
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.2)。
図22のステップMでは、5-ホルミルペンタン酸のカルボキシル基が還元され、アジポアルデヒドを生成する。5-ホルミルペンタン酸からアジポアルデヒドへの変換は、カルボキシレートレダクターゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・カルボキシレ-トレダクターゼ(EC 1.2.1.30)。
図22のステップNでは、アジポアルデヒドのアルデヒド基が還元され、6-ヒドロキシヘキサナールを生成する。アジポアルデヒドから6-ヒドロキシヘキサナールへの変換は、アルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)、および
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.2)。
図22のステップOでは、6-アミノ-2-ヘキセン酸のカルボキシル基が還元され、6-アミノ-2-ヘキセナールを生成する。6-アミノ-2-ヘキセン酸から6-アミノ-2-ヘキセナールへの変換は、カルボキシレートレダクターゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・カルボキシレ-トレダクターゼ(EC 1.2.1.30)。
図22のステップPでは、6-アミノ-2-ヘキセナールのホルミル基がアミノ基転移反応を受け、1,6-ジアミノ-2-ヘキセンを生成する。6-アミノ-2-ヘキセナールから1,6-ジアミノ-2-ヘキセンへの変換は、アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.113)。
図22のステップQでは、1,6-ジアミノ-2-ヘキセンの炭素-炭素二重結合が還元され、1,6-ジアミノヘキサンを生成する。1,6-ジアミノ-2-ヘキセンから1,6-ジアミノヘキサンへの変換は、炭素-炭素二重結合を還元する活性を有する酵素の少なくとも1種類を用いて行うことができる。本酵素の例を以下に示す:
・エノイル-CoAレダクターゼ(EC 1.3.1.8、EC 1.3.1.38、およびEC 1.3.1.44)、
・エノイル-[アシル-キャリアタンパク質]レダクターゼ(EC 1.3.1.9、EC 1.3.1.10、およびEC 1.3.1.39)、
・ブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.2)、
・アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)、および
・長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.13)。
一態様において、本発明にかかる製造方法により、βリジンからアジピン酸を調製することができる(図22のステップB、C、DおよびE)。すなわち、一態様において、本発明にかかる製造方法は、
・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、および、
・前記5-ホルミルペンタン酸をアジピン酸に変換することを含む。
一態様において、本発明にかかる製造方法により、βリジンから6-ヒドロキシヘキサン酸を調製することができる(図22のステップB、C、DおよびF)。すなわち、一態様において、本発明にかかる製造方法は、
・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、および、
・前記5-ホルミルペンタン酸を6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること
を含む。ここで、目的化合物は6-ヒドロキシヘキサン酸である。
一態様において、本発明にかかる製造方法により、βリジンから1,6-ジアミノヘキサンを調製することができる(図22のステップB、C、GおよびH、またはステップB、O、PおよびQ)。すなわち、一態様において、本発明にかかる製造方法は、
(1)・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、および
・前記6-アミノヘキサナ-ルを1,6-ジアミノヘキサンに変換すること
を含むか、又は、
(2)・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノ2-ヘキセナールに変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセナールを1,6-ジアミノ-2-ヘキセンに変換すること、および
・前記1,6-ジアミノ-2-ヘキセンを1,6-ジアミノヘキサンに変換することを含む。ここで、目的化合物は1,6-ジアミノヘキサンである。
一態様において、本発明にかかる製造方法により、βリジンからアジピン酸を調製することができる(図22のステップB、C、GおよびR)。すなわち、一態様において、本発明にかかる製造方法は、
・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、および
・前記5-ホルミルペンタン酸をアジピン酸に変換すること
を含む。ここで、目的化合物はアジピン酸である。
一態様において、本発明にかかる製造方法により、βリジンから6-アミノ-ヘキサン-1-オールを調製することができる(図22のステップB、C、GおよびI)。すなわち、一態様において、本発明にかかる製造方法は、
・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、および
・前記6-アミノヘキサナールを6-アミノヘキサン―1-オールに変換すること
を含む。ここで、目的化合物は、6-アミノヘキサン―1-オールである。
一態様において、本発明にかかる製造方法により、βリジンから1,6-ヘキサンジオールを調製することができる(図22のステップB、C、D、M、NおよびL、ステップB、C、G、R、NおよびL、ステップB、C、D、F、KおよびK、ならびに、ステップB、C、G、I、JおよびL)。すなわち、一態様において、本発明にかかる製造方法は、以下(3)~(6)のうちの1または2を含む。ここにおいて、目的化合物は1,6-ヘキサンジオールである。
(3)・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
・5-ホルミルペンタン酸をアジポアルデヒドに変換すること、
・アジポアルデヒドを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および、
・前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること、
(4)・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、
・6-アミノヘキサナ-ルをアジポアルデヒドに変換すること、
・アジポアルデヒドを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および、
・前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること、
(5)・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
・5-ホルミルペンタン酸を6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること、
・6-ヒドロキシヘキサン酸を6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および、
・前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること、
(6)・βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換すること、
・6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
・6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、
・6-アミノヘキサナールを6-アミノヘキサノ-ルに変換すること、
・6-アミノヘキサノールを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および、
・前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること。
ここで、6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換する反応(図22のステップC)および1,6-ジアミノ-2-ヘキセンを1,6-ジアミノヘキサンに変換する反応(図22のステップQ)は、酵素の存在下、二重結合の選択的水素化により行うことができる。例えば、2-エノエ-トの炭素-炭素二重結合還元を触媒することができる酵素の少なくとも1種類を用いて、上記反応を行うことができる。具体的には、上記反応は、オキシドレダクターゼ(EC 1.3.1およびEC 1.3.99)の群から選択される酵素によって触媒される。上記反応は、より具体的には下記:
・エノイル-CoAレダクターゼ(EC 1.3.1.8、EC 1.3.1.38およびEC 1.3.1.44)、
・エノイル-[アシル-キャリアタンパク質]レダクターゼ(EC 1.3.1.9、EC 1.3.1.10およびEC 1.3.1.39)、
・ブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.2)、
・アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)、および
・長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.13)
からなる群より選択される酵素の少なくとも1つによって触媒される。
6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸へ変換する反応(図22のステップD)、6-アミノヘキサナールを1,6-ジアミノヘキサンへ変換する反応(図22のステップH)、6-アミノヘキサノールをアジポアルデヒドへ変換する反応(図22のステップR)および6-アミノヘキサノールを6-ヒドロキシヘキサナールへ変換する反応(図22のステップJ)は、酵素の存在下、実施することができる。例えば、アミノ基転移を触媒することができる酵素を用いて行うことができる。上記反応は、具体的にはアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1)の群から選択される酵素によって触媒される。上記反応は、より具体的には:
・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.113)からなる群より選択される酵素の少なくとも1つによって触媒される。また、かかる酵素は、ビブリオ(Vibrio)属およびエシェリヒア(Escherichia)属からなる群より選択される生物に由来する。
6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールへ変換する反応(図22のステップG)、5-ホルミルペンタン酸をアジポアルデヒドへ変換する反応(図22のステップM)、6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノ2-ヘキセナールへ変換する反応(図22のステップO)、6-アミノヘキサナールを6-ヒドロキシヘキサナールへ変換する反応(図22のステップ(I))、および、6-ヒドロキシヘキサン酸から6-ヒドロキシヘキサナールへ変換する反応(図22のステップK)は、酵素の存在下、実施することができる。上記反応は、具体的にはオキシドレダクターゼ(EC 1.2.1)の群から選択される酵素によって触媒される。上記反応は、より具体的には、カルボキシレ-トレダクターゼ(EC 1.2.1.30)の群から選択される酵素の少なくとも1つによって触媒される。また、かかる酵素は、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属およびノカルジア(Nocardia)属からなる群より選択される生物に由来する。
5-ホルミルペンタン酸をアジピン酸へ変換する反応(図22のステップE)は、酵素の存在下、実施することができる。本反応は、具体的にはオキシドレダクターゼ(EC 1.2.3)の群から選択される酵素によって触媒される。本反応は、具体的には、アルデヒドオキシダーゼ(EC 1.2.3.1)の群から選択される酵素の少なくとも1つによって触媒される。
5-ホルミルペンタン酸を6-ヒドロキシヘキサン酸へ変換する反応(図22のステップF)、6-アミノヘキサナールを6-アミノヘキサノールへ変換する反応(図22のステップI)、アジポアルデヒドを6-ヒドロキシヘキサナールへ変換する反応(図22のステップN)、および、6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールへ変換する反応(図22のステップL)は、酵素の存在下、実施することができる。上記反応は、具体的にはオキシドレダクターゼ(EC 1.1.1)の群から選択される酵素によって触媒される。上記反応は、具体的には、
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)、および
・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.2)
からなる群より選択される酵素の少なくとも1つによって触媒される。また、かかる酵素は、エシェリヒア(Escherichia)属およびバチルス(Bacillus)属からなる群より選択される生物に由来する。
本発明に利用することのできる上記の酵素をコードする遺伝子は、例示された生物以外に由来するものであっても、または人工的に合成したものであってもよく、宿主微生物細胞内で実質的な酵素活性を発現できるものであればよい。例えば、本質的に所望の活性または基質特異性を有しない、または、目的反応の推進のために活性が十分でない酵素を、当該技術分野で知られている方法によって、例えば合理的設計または分子進化によって改変し、用いてもよい。
好ましい態様において、本発明にかかる製造方法は、前記目的化合物を単離および/または精製することをさらに含む。
好ましい別の態様において、本発明にかかる製造方法は、先述の組換え微生物を培養し、培養液中に所望の化合物を蓄積させ、単離精製することを含む。
本発明の一態様として、前述の酵素を、微生物体内から、酵素活性を消失しない条件で精製して、水溶液中での反応に供することが可能である。酵素液の調製方法は、本発明にかかる酵素を発現する宿主微生物に対し、例えば、ソニケ-ション破砕、もしくはビ-ズミル破砕、もしくはリゾチームを用いて溶菌を行い、その遠心上清を用いることができる。酵素反応条件については、目的物が生成される条件であればよく、当業者が通常行う方法で、反応液の組成、pH、反応温度、反応時間等を調整し、設定することができる。例えば、βリジンからのアミノ基脱離反応を進行させる、もしくは6-アミノヘキセン酸へのアミノ基付加反応を進行させる条件については、反応液のpHとしてはpH 7-9の緩衝液があげられ、より好適な条件としてpH8~9のHEPES-KOHバッファーがあげられる。アミノ基付加反応においては、基質と同モル以上の塩化アンモニウムを含むことが好ましい。反応温度は、通常20~60℃であり、より好適な温度として30~37℃である。反応時間は、目的物が生成されうる時間であればよく、例えば15分から48時間である。
本発明にかかる遺伝子の取得は、一般的な遺伝子工学的手法によって可能である。すなわち、ゲノムDNAを鋳型として、PCRにより増幅した遺伝子産物が利用できる。また、有機合成的に調製したポリヌクレオチドも利用可能である。また、宿主微生物細胞内で実質的な酵素活性を発現できるものであれば、同一のアミノ酸に最終的に翻訳されることになる代替コドンを利用してよい。その典型例は、宿主のコドン使用頻度を考慮した遺伝子配列に置き換える手法である。すなわち、遺伝子コードは縮重しているので、ある特定のアミノ酸をコードするのに複数のコドンを使用でき、そのためアミノ酸配列は任意の1セットの類似のDNAオリゴヌクレオチドでコードされ得る。なお、ほとんどの生物は特定のコドン(最適コドン)のサブセットを優先的に用いることが知られているので(Gene、Vol.105、pp.61-72、1991等)、宿主微生物に応じて「コドン最適化」を行うことは本発明においても有用であり得る。
本発明にかかる遺伝子組換え微生物は、酵素活性を発現できることを条件に、上記酵素遺伝子の塩基配列と、例えば80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み得る。あるいは、上記酵素のアミノ酸配列と、例えば80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子を含み得る。
なお、本明細書において、参照アミノ酸配列に対する比較アミノ酸配列の「配列同一性」の割合(%)は、これら2つの配列間の同一性が最大となるように配列を整列させ、必要であれば2つの配列の一方または双方にギャップが導入されたときの、参照配列中のアミノ酸残基と同一である、比較配列中のアミノ酸残基の百分率として定義される。このとき、保存的置換は配列同一性の一部として考慮しない。配列同一性は、公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することによって決定することができ、例えば、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)等のアライメントサーチツールを用いて決定することができる。当業者は、アラインメントにおいて、比較配列の最大のアラインメントを得るために適切なパラメーターを決定することができる。ヌクレオチド配列の「配列同一性」についても、同様の方法によって決定することができる。
本発明の一態様として、前述の反応のいずれかを触媒する1種類または複数種類の酵素を生成する微生物と、その微生物用の炭素源との使用を含む、全細胞生体内変換も利用される。具体的には酵素を含む宿主細胞を発酵性炭素源と接触させることを含み、その炭素源が、本明細に記載の化合物もしくはその中間体へと変換されることを含む。
本発明において、上記のC6化合物生合成酵素遺伝子が「発現カセット」として宿主微生物細胞内に導入されてもよい。「発現カセット」として宿主微生物細胞内に導入されることで、より安定的で高レベルの酵素活性を得ることができる。本明細書において、「発現カセット」とは、発現対象の核酸または発現対象の遺伝子に機能的に結合された転写および翻訳をレギュレートする核酸配列を含むヌクレオチドを意味する。典型的に、本発明の発現カセットは、コード配列から5’上流にプロモーター配列、3’下流にターミネーター配列、場合により更なる通常の調節エレメントを機能的に結合された状態で含み、そのような場合に、発現対象の核酸または発現対象の遺伝子が宿主微生物に導入される。
本発明において発現カセットは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、コスミド、または線状もしくは環状のDNA等から成るベクターに組み入れて、宿主微生物中に挿入される。本発明ではプラスミドおよびファージが好ましい。これらのベクターは、宿主微生物中で自律複製されるものでもよいし、また染色体に挿入され複製されてもよい。好適なプラスミドは、例えば、大腸菌ではpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pHSG298、pHSG398、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223-3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11またはpBdCIなどが挙げられる。バチルス属などの桿菌ではpUB110、pC194またはpBD214などが挙げられる。これらの他にも使用可能なプラスミド等は、”Gene Cloning and DNA nalysis 6th edition”、Wiley-Blackwell 2016に記載されている。ベクターへの発現カセットの導入は、適当な制限酵素による切り出し、クローニング、及びライゲーションを含む慣用の方法によって可能である。各々の発現カセットは、1つのベクター上に配置されてもよく、2つまたはそれ以上のベクターに配置されてもよい。
本発明の組換えベクターは、例えば、遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列の上流にプロモーター(制御領域)を、また下流にターミネーターをそれぞれ作動可能に連結し、場合によっては、遺伝子マーカー及び/又は他の制御配列を作動可能に連結することにより作製することが可能である。
プロモーターとは、構成発現型プロモーターであるか誘導発現型プロモーターであるかに拘わらず、RNAポリメラーゼをDNAに結合させ、RNA合成を開始させるDNA配列と定義される。強いプロモーターとはmRNA合成を高頻度で開始させるプロモーターであり、本発明においても好適に使用される。大腸菌ではlac系、trp系、tacまたはtrc系、λファージの主要オペレーター及びプロモーター領域、fdコ-トタンパク質の制御領域、解糖系酵素(例えば、3-ホスホグリセレートキナーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素)、グルタミン酸デカルボキシラーゼA、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼに対するプロモーター等が利用可能である。ターミネーターとしては、rrnBT1T2ターミネーター、lacターミネーターなどが利用可能である。プロモーターおよびターミネーター配列のほかに、他の調節エレメントの例として挙げられ得るのは、選択マーカー、増幅シグナル、複製起点などである。好適な調節配列については、例えば、”Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185”、Academic Press (1990)に記載されている。
本発明において、微生物は、代謝的改変を受けていてもよい。代謝的改変とは、天然に存在する状態から変化した生化学的反応を指す。反応に関与する酵素をコードする遺伝子を、欠損、変異、複数導入、外来遺伝子に置換することが含まれる。そのような例として、リジンの生産能を増強する変異型酵素の導入が挙げられる。これは、目的物の生産量向上のために導入される代謝改変である。たとえばOhnishi et al. A novel methodology empoying Corynebacterium glutamicum genome inrormation to generate a new L-lysine producing mutant. Appl. Microbiol. Biotechnol. 2002, 58, 217-223で記載された、遺伝子変異が利用可能である
本発明にかかる組換え微生物は、宿主微生物において、適宜、任意の遺伝子が破壊されたものであってもよい。標的遺伝子の破壊は、当該分野で公知の方法により行われる。
また、本発明に利用できる上記の酵素のアミノ酸配列、または酵素をコードする遺伝子の塩基配列には、前記宿主微生物細胞で実質的な酵素活性を発現できるものであれば、自然界で発生し得るすべての変異や、人工的に導入された変異及び修飾を有していてよく、例えば、欠失、置換、挿入、付加といった変異が含有され得る。例えば、上記の酵素のアミノ酸配列に対して1又は複数個、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~7個、さらにより好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個のアミノ酸の欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含んでいてよい。
さらに、本発明で利用できる上記の酵素をコードする遺伝子の塩基配列には、前記宿主微生物細胞で実質的な酵素活性を発現できるものであれば、相補的な塩基配列を有するDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNAも利用可能である。「緊縮条件」とは、例えば、「1xSSC、0.1%SDS、60℃」程度の条件であり、より厳しい条件としては「0.1xSSC、0.1%SDS、60℃」程度の条件であり、さらに厳しい条件としては「0.1xSSC、0.1%SDS、68℃」程度の条件である。
本発明のさらなる側面は、先述の組換え微生物を培養する培養工程を含む、目的化合物の製造方法に関する。培養工程では、組換え微生物を、炭素源および窒素源を含有する培地で培養することによって、菌体を含む培養物が得られる。本発明の遺伝子組換え微生物は、C6化合物生産、及び微生物の生育および/または維持に適した条件下で培養され、好適な培地組成、培養時間、培養条件は当業者により容易に設定できる。
本発明にかかる組換え微生物のための好適な培地組成、培養条件、培養時間は、当業者が通常行う方法により適宜選択できる。培養温度は、通常20-40℃であり、より好適な条件は30~37℃である。反応時間としては、目的物が生成されうる時間であればよく、例えば24時間から7日である。
培地は、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン、及び場合により微量元素ないしビタミン等の微量成分を含む天然、半合成、合成培地であってよい。使用する培地は、培養すべき形質転換体の栄養要求を適切に満たさなければならない。宿主微生物が好気性の場合、発酵中の適切な酸素濃度を確保するために振盪を行う必要がある。それらの培養条件は、当業者にとって容易に設定可能である。
炭素源としては、D-グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、多糖、でんぷん、セルロース、米ぬか、廃糖蜜、油脂(例えば大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、ヤシ油など)、脂肪酸(例えばパルミチン酸、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸など)、アルコール(例えばグリセロール、エタノールなど)、有機酸(例えば酢酸、乳酸、コハク酸など)、トウモロコシ分解液、セルロース分解液が挙げられる。好ましくは、D-グルコース、スクロースまたはグリセロールである。これらの炭素源は、個別にあるいは混合物として使用することができる。
バイオマス由来の原料を用いて製造されたC6化合物は、ISO16620-2またはASTM D6866に規定されるCarbon-14(放射性炭素)分析に基づくバイオベース炭素含有率の測定により、例えば石油、天然ガス、石炭などを由来とする合成原料と明確に区別することができる。
窒素源としては、含窒素有機化合物(例えば、ペプトン、カザミノ酸、トリプトン、酵母抽出物、肉抽出物、麦芽抽出物、コーンスティープリカー、大豆粉、アミノ酸および尿素など)、または無機化合物(例えば、アンモニア水溶液、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウムなど)が挙げられる。これらの窒素源は、個別にあるいは混合物として使用することが出来る。
また、培地は、形質転換体が有用な付加的形質を発現する場合、例えば抗生物質への耐性マーカーを有する場合、対応する抗生物質を含んでいてよい。抗生物質を添加することでプラスミドが安定に保持される。抗生物質としては、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
培養は、バッチ式であっても連続式であってもよい。また、いずれの場合にも、培養の適切な時点で追加の前記炭素源等を補給する形式であってもよい。更に、培養は、好適な温度、酸素濃度、pH等の条件を制御しながら培養されてもよい。一般的な微生物宿主細胞に由来する形質転換体の好適な培養温度は、通常15℃~55℃、好ましくは25℃~40℃の範囲である。宿主微生物が好気性の場合、発酵中の適切な酸素濃度を確保するために振盪(フラスコ培養等)、攪拌/通気(ジャー・ファーメンター培養等)を行ってもよい。それらの培養条件は、当業者にとって容易に設定可能である。
培養工程において、組換え微生物の培養物および/または培養物の抽出物を得ることを含んでもよい。
本発明にかかる化合物の製造方法は、前記培養物および/または前記培養物の抽出物を、基質化合物と混合して混合液を得る混合工程をさらに含んでもよい。基質化合物は、酵素および目的化合物に応じて適宜選択されてよい。
本発明にかかる化合物の製造方法は、前記培養物および/または前記培養物の抽出物を、基質化合物と混合して混合液を得る混合工程をさらに含んでもよい。基質化合物は、酵素および目的化合物に応じて適宜選択されてよい。
本発明にかかる化合物の製造方法は、目的化合物であるC6化合物を分離および/または精製する工程を含んでよい。当該分離および/または精製する工程では、任意の手法、例えば、遠心分離、ろ過、膜分離、晶析、抽出、蒸留、吸着、相分離、イオン交換および各種のクロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらに限定されない。分離および/または精製工程では、一種類の方法を選択しても良く、また複数の方法を組み合わせても良い。
以上説明したとおり、本発明によれば、良好なリジンアンモニアリアーゼ活性を有する酵素、および、当該酵素を用いた、脂肪族モノマーの製造方法を提供することができる。また、宿主微生物に前記リジンアンモニアリアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を導入することにより、リジンアンモニアリアーゼ活性の良好な組換え微生物を得ることができる。更に、本発明にかかる組換えポリペプチド、組換え微生物または製造方法によれば、リジンを経由して、目的化合物である脂肪族化合物(例えばC6化合物)を効率的に製造することができる。また、所望の目的化合物に応じ、追加の酵素を用いて変換を行うことにより、種々の目的化合物を得ることができる。さらに、本発明にかかる組換え微生物および/または製造方法は、良好な目的化合物の生産能を有するので、工業的規模で目的化合物を生産できることが期待される。本発明にかかる組換え微生物および製造方法によって製造される脂肪族化合物は、特に、ポリマー製造のためのモノマー原料として使用することができる。
以上、本発明を実施するための形態を例示したが、上記実施形態はあくまでも例として示されるものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下、更なる説明の目的として実施例を記載するが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
本実施例に示す全てのPCRは、PrimeSTAR Max DNA Polymerase(タカラバイオ)を用いて実施した。大腸菌の形質転換は、塩化カルシウム法(羊土社 遺伝子工学実験ノート 上 田村隆明著、参照)を用いた。プラスミドの構築においては、LB培地を用い、必要な抗生物質を添加して使用した。本実施例で用いた試薬は、特別な記載のない限り、富士フィルム和光純薬社製を使用した。PCRの際は特別な記載のない限り、タカラバイオ社製PrimeSTARMaxを用いた。サーマルサイクラーは、すべてbiorad社製C1000Touchササーマルサイクラーを用いた。
各実施例で用いた培地の組成は以下のとおりである。
(LB培地)
組成は次のとおりである:20g/L LB培地、レノックス(ディフコ社製)。120℃、20分間蒸気滅菌を行った。必要に応じて、終濃度100mg/L アンピシリン、1.5% Bacto agar(ディフコ社製)を加えた。
(SOC培地)
作成方法は次のとおりである。まず、20g/L bacto toryptone(ディフコ社製), 5g/L bacto yeast extract(ディフコ社製), 1M NaCl, 1M KClの溶液を1L作成し、120℃、20分間蒸気滅菌を行って、室温まで冷却した。次に、1M MgSO4, 1M MgCl2, 2M Glucose各10mlを、フィルトレーションにより殺菌し、前述の混合液へ添加した。
[1]プラスミドの構築
遺伝子発現用ベクターを以下のように作製した。まず、プラスミドpNFP-A51(FERM P-22182として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターに2011年10月25日に寄託した。国際寄託番号:FERM BP-11515)のマルチクローニングサイトの、BglIIおよびEcoRVサイトを利用してプロモーター配列を、XbaI及びHindIIIサイトを使用してターミネーター配列を挿入し、pSK000を構築した。このときプロモーター配列末端にEcoRV制限酵素認識配列の上流3塩基対を付加しておくことで、プロモーターおよびターミネーター配列間にEcoRV制限酵素サイトが残存するようにし、後述の酵素遺伝子クローニング時に利用した。プロモーター配列およびターミネーター配列を表1に示す。pSK000プラスミド構造を図21に示す。制限酵素は、タカラ社製を用いた。
Figure 2023012570000001
(酵素発現プラスミドの作成)
表2および表3に記載の酵素をコードする遺伝子、ならびに、表4に記載のクロストリジウムkamA遺伝子は、ユーロフィンジェノミクス株式会社の人工遺伝子合成サービスを利用して合成した。
Figure 2023012570000002
Figure 2023012570000003
Figure 2023012570000004
合成遺伝子配列を鋳型として、各酵素をPCR増幅した。配列の増幅のために使用したプライマー配列を表5に示す。
Figure 2023012570000005
反応条件は98℃(10sec),55℃(5sec),72℃(10sec),30cycleとした。
得られたDNA断片を、Mighty Cloning Reagent Set(Takara社製)にてリン酸化し、クローニングするDNA断片として用いた。別途、pSK000プラスミドをEcoRV制限酵素で処理し、次いでアルカリフォスファターゼ(BAP, タカラ社製)で処理した。前述のDNA断片とベクター断片を、Mighty Cloning Reagent Set(Takara社製)を用いてライゲーションした(16℃、一晩)。ライゲーション反応液1uLで大腸菌JM109株を形質転換した。出現コロニーからプラスミドを抽出して配列解析を行い、酵素タンパク質が発現されるように遺伝子が挿入されたプラスミドを作成した。
[2]リジンアミノ基脱離酵素活性の評価
酵素反応基質のうち、6-アミノ-2-ヘキセン酸は、特表2010-515767記載の方法に従い、1-(TERT-BUTOXYCARBONYL)-2-PYRROLIDINONEを原料として合成した。βリジンは、FCH社製(カタログNo.FCH14704282)を購入した。
表2および3に示す遺伝子を含むプラスミドのうちいずれか、または、空ベクターにより、大腸菌BL21(DE3)株を形質転換し、寒天培地にて37℃、1日間培養を行った。出現コロニーを1mlのLB培地に植菌し、37℃にて3時間振とう培養した。そのうち100μLを、10mLの新しいLB培地に植菌し、37℃で振とう培養した。OD600値=0.4~0.6となったところで、IPTG(終濃度0.5mM)を添加して、さらに一晩振とう培養した(M・BR-1212FPプレートシェーカー、タイテック社製)。
100uLを分取して10倍希釈し、Thermo skanit マイクロプレートリーダーを用いてOD600値を測定した。残りの培養液を2mLチューブに移し、エッペンドルフ社製Centrifuge5424R卓上微量遠心機にて、8,000rpm 3分遠心した。上清を捨て、100 mM Tris-HClバッファー(pH=8.0) にて、OD600=30となるようペレットを懸濁したのち、超音波破砕機で菌体を破砕した。超音波破砕は、氷上にて、メモリ3の出力で、30秒発振、30秒休止、30秒発振のプロトコルを用いた(トミー社製URー21P)。破砕液を13,200 rpm で15分遠心して、その上清を酵素液として使用した。酵素反応液の組成は次のとおりである。
(1)終濃度0.5M HEPES-KOHバッファーpH=8.0, 95mM 6-アミノ-2-ヘキセン酸, 0.4M NHCl, 1mM MgCl
(2)終濃度0.5M HEPESーKOHバッファーpH=8.0, 0.15M βリジン, 1mM MgCl
(1)および(2)の組成に、酵素液50μLを加え、全量500μLとした。サンプルは、37℃、1000rpmで4時間反応させた(M・BR-1212FPシェーカー、タイテック社製)。反応液200μLをサンプリングして、100mMギ酸で4倍希釈し、フィルトレーションした。これを表6-1および表6-2または表7-1および表7-2に示す分析条件で分析した。
Figure 2023012570000006
Figure 2023012570000007
Figure 2023012570000008
Figure 2023012570000009
分析結果を表8および表9に示す。
Figure 2023012570000010
Figure 2023012570000011
酵素遺伝子を持たない空ベクターで形質転換した菌体の破砕上清を添加したサンプルに比べ、酵素を添加したサンプルで、βリジンピークの上昇が認められた。
[3]リジンアミノムターゼの酵素活性評価
kamA発現プラスミドもしくは空ベクターにより、大腸菌BL21(DE3)株を形質転換し、寒天培地にて37℃、1日間培養を行った。出現コロニーを1mlのLB培地に植菌し、37℃にて3時間振とう培養した。そのうち30μLを、3mLのSOC培地(L-α-Lys 終濃度20mM、IPTG終濃度20uMを含む)に植菌し、37℃で一晩振とう培養した(M・BR-40FLシェーカー、タイテック社製)。培養液2mLを2mlチューブに移し、エッペンドルフ社製Centrifuge5424R卓上微量遠心機にて、8,000rpm 3分遠心した。上清をサンプリングして、100mMギ酸で4倍希釈し、フィルトレーションした。これを表4に示す分析方法で分析した。kamA遺伝子を持たない空ベクターで形質転換した菌体の培養上清と比較して、kamA遺伝子を持つ菌体の培養上清で、βリジンを示すピークの増加が観察された。
本発明によれば、リジンを経由した脂肪族モノマーの効率的な製造プロセスを提供することができ、工業的規模での生産への応用が期待される。

Claims (29)

  1. (a)βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有し、
    (b)以下:
    (i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる、
    (ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
    (iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNAによってコードされる、
    (iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなる、
    (v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNAによってコードされる、および
    (vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNAによってコードされる
    のいずれかである、組換えポリペプチド。
  2. (a)βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有し、
    (b)以下:
    (xi)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列からなるか、または、
    (xiii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列からなるDNAによってコードされる、ポリペプチド。
  3. Cloacibacillus属、Chelativorans属、Micrococcaceae属、Desulfomicrobium属、Aquamicrobium属およびCitrobacter属からなる群より選択される生物に由来する、請求項1または2に記載のポリペプチド。
  4. Cloacibacillus porcorum、Chelativorans sp.J32、Micrococcaceae bacterium C1-50、Desulfomicrobium baculatum、Aquamicrobium sp. LC103およびCitrobacter amanoliticusからなる群より選択される生物に由来する、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  5. (a’)6-アミノ-2-ヘキセン酸にアミノ基を付加してβリジンへと変換する活性をさらに有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNA。
  7. 請求項6に記載のDNAを含む、組換えプラスミド。
  8. 請求項6に記載のDNAが導入された、組換え微生物。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリペプチド、または、請求項8に記載の組換え微生物の培養物および/または当該培養物の抽出物の存在下、βリジンを6-アミノ-2-ヘキセン酸に変換することを含む、目的化合物の製造方法であって、
    前記目的化合物が、6-アミノ-2-ヘキセン酸、6-アミノカプロン酸、6-アミノヘキサナール、1,6-ジアミノヘキサン、6-アミノヘキセナール、1,6-ジアミノ-2-ヘキセン、5-ホルミルペンタン酸、アジポアルデヒド、6-アミノヘキサノール、6-ヒドロキシヘキサン酸、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオ-ルからなる群より選択される、製造方法。
  10. αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させてβリジンを生成する反応を触媒する活性を有するポリペプチドの存在下、αリジンをβリジンに変換することを更に含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記αリジンの2位アミノ基を3位へ転移させてβリジンを生成する反応を触媒する活性を有するポリペプチドが、Escherichia属およびClostridium属からなる群より選択される生物に由来する、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換することを更に含み、
    前記目的化合物が、6-アミノカプロン酸である、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、および
    前記5-ホルミルペンタン酸をアジピン酸に変換すること
    をさらに含み、
    前記目的化合物が、アジピン酸である、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、および
    前記5-ホルミルペンタン酸を6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること
    をさらに含み、
    前記目的化合物が、6-ヒドロキシヘキサン酸である、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. (1)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、および
    前記6-アミノヘキサナールを1,6-ジアミノヘキサンに変換すること
    をさらに含むか、又は、
    (2)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノ-2-ヘキセナールに変換すること、
    前記6-アミノ-2-ヘキセナールを1,6-ジアミノ-2-ヘキセンに変換すること、および
    前記1,6-ジアミノ-2-ヘキセンを1,6-ジアミノヘキサンに変換すること
    をさらに含み、
    前記目的化合物が、1,6-ジアミノヘキサンである、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、および
    前記6-アミノヘキサナールを6-アミノヘキサノ-ルに変換すること
    をさらに含み、
    前記目的化合物が、6-アミノヘキサノールである、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 下記(3)~(6):
    (3)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
    前記5-ホルミルペンタン酸をアジポアルデヒドに変換すること、
    前記アジポアルデヒドを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
    前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること、
    (4)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナ-ルに変換すること、
    前記6-アミノヘキサナ-ルをアジポアルデヒドに変換すること、
    前記アジポアルデヒドを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
    前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること
    (5)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
    前記5-ホルミルペンタン酸を6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること、
    前記6-ヒドロキシヘキサン酸を6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
    前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること、
    (6)前記6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換すること、
    前記6-アミノカプロン酸を6-アミノヘキサナールに変換すること、
    前記6-アミノヘキサナールを6-アミノヘキサノ-ルに変換すること、
    前記6-アミノヘキサノールを6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、及び
    前記6-ヒドロキシヘキサナールを1,6-ヘキサンジオールに変換すること
    のうちの1又は2をさらに含み、
    前記目的化合物が、1,6-ヘキサンジオールである、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 6-アミノ-2-ヘキセン酸を6-アミノカプロン酸に変換することが、
    ・エノイル-CoAレダクターゼ(EC 1.3.1.8、EC 1.3.1.38、およびEC 1.3.1.44)、
    ・エノイル-[アシル-キャリアタンパク質]レダクターゼ(EC 1.3.1.9、EC 1.3.1.10、およびEC 1.3.1.39)、
    ・ブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.2)、
    ・アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.3)、および
    ・長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(EC 1.3.99.13)
    からなる群より選択される酵素によって触媒される、請求項9~17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. ・前記6-アミノカプロン酸から5-ホルミルペンタン酸に変換すること、
    ・前記6-アミノヘキサナールから1,6-ジアミノヘキサンに変換すること、
    ・前記6-アミノヘキサナールからアジポアルデヒドに変換すること、および
    ・前記6-アミノヘキサナールから6-ヒドロキシヘキサノールに変換することが、
    ・4-アミノブタン酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.19)、
    ・プトレシン-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.82)、
    ・4-アミノブタン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(EC 2.6.1.96)、および
    ・プトレシン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(E.C.2.6.1.113)
    からなる群より選択される酵素によって触媒される、請求項9~17のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 前記酵素が、Vibrio属およびEscherichia属からなる群より選択される生物に由来する、請求項19に記載の製造方法。
  21. ・前記6-アミノカプロン酸から6-アミノヘキサナールに変換すること、
    ・前記5-ホルミルペンタン酸からアジポアルデヒドに変換すること、
    ・前記6-アミノ-2-ヘキセン酸から6-アミノ2-ヘキセナールに変換すること、
    ・前記6-アミノヘキサナールから6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および、
    ・前記6-ヒドロキシヘキサン酸から6-ヒドロキシヘキサナールに変換することが、カルボキシレートレダクターゼ(EC 1.2.1.30)に属する酵素によって触媒される、請求項9~17のいずれか1項に記載の製造方法。
  22. 前記カルボキシレートレダクターゼが、Microbacteriumu属およびNocardia属からなる群より選択される生物に由来する、請求項21に記載の製造方法。
  23. 前記5-ホルミルペンタン酸からアジピン酸に変換することが、アルデヒドオキシダーゼ(EC 1.2.3.1)に属する酵素によって触媒される、請求項9~17のいずれか1項に記載の製造方法。
  24. ・前記5-ホルミルペンタン酸から6-ヒドロキシヘキサン酸に変換すること、
    ・前記6-アミノヘキサナールから6-アミノヘキサノールに変換すること、
    ・前記アジポアルデヒドから6-ヒドロキシヘキサナールに変換すること、および
    ・前記6-ヒドロキシヘキサナールから1,6-ヘキサンジオールに変換することが、
    ・アルコ-ルデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)、および
    ・アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.2)
    からなる群より選択される酵素によって触媒される、請求項9~17のいずれか1項に記載の製造方法。
  25. 前記アルコールデヒドロゲナーゼが、Escherichia属およびBacillus属からなる群より選択される生物に由来する、請求項24に記載の方法。
  26. 前記目的化合物を単離および/または精製することをさらに含む、請求項9~25のいずれか1項に記載の製造方法。
  27. βリジンのアミノ基を脱離して6-アミノ-2-ヘキセン酸へと変換するアミノ基脱離活性を有するポリペプチドをコードする外来性遺伝子を含む組換え微生物であって、
    前記外来性遺伝子が、
    (i)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
    (ii)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
    (iii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列と80%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列からなるDNA、
    (iv)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1~10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
    (v)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列からなるDNAと緊縮条件下でハイブリダイズするDNA、または
    (vi)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列の縮重異性体からなるDNA
    である、組換え微生物。
  28. 前記外来性遺伝子が、
    (xi)配列番号1、3、5、13、15または17に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、または、
    (xiii)配列番号2、4、6、14、16または18に示すポリヌクレオチド配列からなるDNA
    である、請求項27に記載の組換え微生物。
  29. 6-アミノ-2-ヘキセン酸、6-アミノカプロン酸、6-アミノヘキサナール、1,6-ジアミノヘキサン、6-アミノヘキセナール、1,6-ジアミノ-2-ヘキセン、5-ホルミルペンタン酸、アジポアルデヒド、6-アミノヘキサノール、6-ヒドロキシヘキサン酸、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオ-ルからなる群より選択される少なくとも1つを産生する経路を有する、請求項27または28に記載の組換え微生物。
JP2021116058A 2021-07-14 2021-07-14 リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド Pending JP2023012570A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021116058A JP2023012570A (ja) 2021-07-14 2021-07-14 リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021116058A JP2023012570A (ja) 2021-07-14 2021-07-14 リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023012570A true JP2023012570A (ja) 2023-01-26

Family

ID=85129282

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021116058A Pending JP2023012570A (ja) 2021-07-14 2021-07-14 リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023012570A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220389433A1 (en) High yield route for the production of compounds from renewable sources
TWI567201B (zh) 己二酸(酯或硫酯)之合成技術
JP6982452B2 (ja) 遺伝的に操作された微生物による1,5−ペンタンジオールの製造方法
SG192706A1 (en) Cells and methods for producing isobutyric acid
US10006064B2 (en) Biosynthetic pathways, recombinant cells, and methods
MX2007000565A (es) Sintesis bioquimica de 1,4- butano-diamina.
JP2023514301A (ja) ホルムアルデヒドのバイオマスへの取り込みのための方法
Labib et al. Toward the sustainable production of the active Pharmaceutical Ingredient Metaraminol
WO2015031504A1 (en) RECOMBINANT PATHWAY AND ORGANISMS FOR MALONYL-CoA SYNTHESIS
US20140296571A1 (en) Microorganisms And Methods For Producing Propionic Acid
JP2023012570A (ja) リジンアンモニアリアーゼ活性を有する組換えポリペプチド
CN111386345B (zh) 1,3-丙二醇的制造方法
CN117441008A (zh) 重组微生物和c6化合物的制造方法
WO2021015242A1 (ja) 遺伝子組換え微生物及びジアミン化合物の製造方法
JP7426200B2 (ja) 組換え微生物を用いるグルタミン酸-5-セミアルデヒドの製造方法
WO2022210708A1 (ja) 組換え微生物及びc6化合物の製造方法
JP7038241B1 (ja) 組換え微生物及びアジピン酸又はその誘導体の製造方法
WO2022244809A1 (ja) ジアミン生産能を有する組換え微生物およびジアミンの製造方法
US20140329275A1 (en) Biocatalysis cells and methods
WO2022209994A1 (ja) アシルCoA化合物還元活性を有する組換えポリペプチド
JP2023127841A (ja) 2,6-キシレノール生合成のための微生物および製造方法
JP2022171292A (ja) 組換え微生物及び化合物の製造方法
JP2023105728A (ja) 改変微生物及び化合物の製造方法
JP2015515866A (ja) 生合成経路、組換え細胞及び方法
US10995322B2 (en) Processes to prepare elongated 2-ketoacids and C5-C10 compounds therefrom via genetic modifications to microbial metabolic pathways

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240326