JP2023012279A - 磁性粒子粉末及び磁性粒子分散液 - Google Patents

磁性粒子粉末及び磁性粒子分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】高い磁力を発揮することのできる複数の微細な磁性粒子を含む磁性粒子粉末を提供する。【解決手段】BET比表面積が10m2/g~50m2/gであり、メジアン径(D50)が0.5μm~10μmであり、飽和磁化(Ms)が50emu/g以上である磁性粒子粉末。【選択図】なし

Description

本発明は磁性粒子粉末に関する。また、本発明は磁性粒子分散液に関する。
磁性粒子は、外部磁場の操作によって、移動させたり、発熱させたり、周囲の磁場を変化させたりすることができる。これらの特徴を生かして、DNA、RNA等の核酸、抗体、ウイルス及びタンパク質等の生体物質の検出・分離・精製・濃縮等を行う方法に従来利用されている。例えば、磁性粒子に目的の生体物質を吸着させた後、磁場を与えることにより磁性粒子を回収することで、生体物質を検出等することができる。磁性粒子は、薬物輸送、温熱療法、細胞操作、磁気検出等への応用も期待されており、バイオ・医療分野における磁性粒子を利用した技術開発が進展している。更に、磁性粒子は磁気シールド材及び電波吸収体としての応用も期待される。
磁性粒子としてはコア-シェル型のものが従来知られている。
特許文献1(特開2000-256388号公報)では、多磁区からなる金属又は金属酸化物よりなる複数の芯微粒子が、珪素酸化物よりなる被膜又は微粒子によって覆われてなる核酸結合用磁性シリカ粒子が開示されている。
特許文献2(特開2016-105066号公報)では、平均粒子径が1~15nmの超常磁性金属酸化物粒子(A)を60~95重量%含有するシリカ粒子であるコア層(P)と、前記コア層(P)の表面上に形成された平均厚みが3~3000nmのシリカ層であるシェル層(Q)とから構成されるコア-シェル型状の粒子である磁性シリカ粒子(C)が開示されている。
特許文献3(特開2018-104398号公報)には、有機ポリマー等の非磁性体からなる核粒子と、該核粒子の表面に設けられた超常磁性微粒子の2次凝集体層(磁性体層)とを含む母粒子の表面に、ポリマー層を有する磁性粒子が開示されている。
特開2000-256388号公報 特開2016-105066号公報 特開2018-104398号公報
しかしながら、従来のコア-シェル型の磁性粒子はその構造及び磁性材組成により単位体積当たり又は単位質量当たりの磁力が十分ではなかった。そのため、例えば、磁性粒子を用いて生体物質の検出・分離・精製・濃縮等を行う方法を実施する際、生体物質を磁性粒子に結合させた後に試験管に外部磁石を近接させて反応生成物を集めるいわゆる集磁工程を迅速に行うことができなかった。また、磁気シールド及び電波吸収体に使用する場合にも、所望の特性を得るためには使用量を増やして体積を大きくする必要があった。
一方で、磁性粒子の表面積を大きくして生体物質に結合させる際の反応速度を高める観点から、磁性粒子は微細な方が望ましい。磁性粒子を磁気シールド材及び電波吸収体に使用する場合にも、基体表面を隙間なく被覆しやすく、優れたシールド特性を少量の磁性粒子で発現できるという観点から磁性粒子は微細な方が望ましい。加えて、三次元状の基体表面を覆う場合には、板材や箔材よりも微細な粒子を塗布する方が加工時間短縮及び軽量化には望ましく、この観点からも磁性粒子は微細な方が望ましい。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、高い磁力を発揮することのできる複数の微細な磁性粒子を含む磁性粒子粉末を提供することを課題とする。また、本発明は別の一実施形態において、高い磁力を発揮することのできる複数の微細な磁性粒子を含む磁性粒子分散液を提供することを課題とする。
本発明の一側面によれば、以下に規定する所定のBET比表面積、メジアン径(D50)、及び飽和磁化(Ms)を兼備する磁性粒子粉末が提供される。また、本発明の別の一側面によれば、以下に規定する所定のBET比表面積、メジアン径(D50)、及び飽和磁化(Ms)を兼備する複数の磁性粒子が分散している磁性粒子分散液が提供される。
[1]
BET比表面積が10m2/g~50m2/gであり、メジアン径(D50)が0.5μm~10μmであり、飽和磁化(Ms)が50emu/g以上である磁性粒子粉末。
[2]
磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む[1]に記載の磁性粒子粉末。
[3]
磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属に加えてCr、Ti、Pt及びPdから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む[2]に記載の磁性粒子粉末。
[4]
磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の窒化物及び酸化物の少なくとも一種を含有する[1]~[3]の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
[5]
飽和磁化(Ms)が130emu/g以上である[1]~[4]の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
[6]
積算90%径(D90)とメジアン径(D50)の差が10μm以下である[1]~[5]の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
[7]
積算10%径(D10)とメジアン径(D50)の差が5μm以下である[1]~[6]の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
[8]
分散媒中で、BET比表面積が10m2/g~50m2/g、メジアン径(D50)が0.5μm~10μmであり、飽和磁化(Ms)が50emu/g以上である複数の磁性粒子が分散している磁性粒子分散液。
[9]
複数の磁性粒子は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む[8]に記載の磁性粒子分散液。
[10]
複数の磁性粒子は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属に加えてCr、Ti、Pt及びPdから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む[9]に記載の磁性粒子分散液。
[11]
複数の磁性粒子は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の窒化物及び酸化物の少なくとも一種を含有する[8]~[10]の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
[12]
複数の磁性粒子の飽和磁化(Ms)が130emu/g以上である[8]~[11]の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
[13]
複数の磁性粒子を5mg/mL~100mg/mLの濃度で含有する[8]~[12]の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
[14]
複数の磁性粒子の積算90%径(D90)とメジアン径(D50)の差が10μm以下である[8]~[13]の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
[15]
複数の磁性粒子の積算10%径(D10)とメジアン径(D50)の差が5μm以下である[8]~[14]の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
本発明の一実施形態によれば、高い磁力を発揮することのできる複数の微細な磁性粒子を含む磁性粒子粉末を提供することができる。また、本発明の別の一実施形態によれば、高い磁力を発揮することのできる複数の微細な磁性粒子が分散している磁性粒子分散液を提供することもできる。
ナノ粒子製造装置の構成例を示す模式図である。 実施例1の磁性粒子粉末を分散処理した後の粒度分布図である。 実施例2の磁性粒子粉末を分散処理した後の粒度分布図である。 実施例3の磁性粒子粉末を分散処理した後の粒度分布図である。 実施例4の磁性粒子粉末を分散処理した後の粒度分布図である。 実施例5の磁性粒子粉末を分散処理した後の粒度分布図である。 実施例5の磁性粒子粉末のX線回折チャートである。 集磁開始時点の試験管の様子を例示的に示す写真である。 集磁完了時点の試験管の様子を例示的に示す写真である。
<1.磁性粒子粉末>
(BET比表面積)
本発明に係る磁性粒子粉末は一実施形態において、BET比表面積が10m2/g~50m2/gである。磁性粒子粉末のBET比表面積が10m2/g以上であることは、磁性粒子粉末を構成する磁性粒子の表面積が全体的に大きいことを意味する。これにより、例えば、磁性粒子を生体物質に結合させる際の反応速度を高めることができる。また、磁性粒子を磁気シールド材及び電波吸収体に使用する場合に、基体表面を隙間なく被覆しやすく、優れたシールド特性を少量の磁性粒子で発現できる。磁性粒子粉末のBET比表面積は好ましくは12m2/g以上であり、より好ましくは15m2/g以上であり、更により好ましくは20m2/g以上である。磁性粒子粉末のBET比表面積について上限は特に設定されないが、取り扱いの容易性の観点から、通常は50m2/g以下であり、典型的には40m2/g以下であり、より典型的には35m2/g以下である。
本明細書において、磁性粒子粉末のBET比表面積はJIS Z8830:2013に準拠して求める。
本発明に係る磁性粒子粉末は典型的には、ナノレベルの超微細な一次粒子が適度に凝集した二次粒子(アグロメレート)の形態にあるところ、BET比表面積は一次粒子の大きさを評価する上で有用である。粉末を構成する各粒子が球形であると仮定すると、次式に基づいてBET比表面積から一次粒子の平均径を算出できる。
d=6/(ρS)・・・(1)
式(1)中、dは平均径、ρは密度、SはBET比表面積
式(1)に従えば、BET比表面積が10m2/g~50m2/gであることは、一次粒子径が数nm~数十nmの範囲にあることを意味する。なお、このことは本発明においてすべての一次粒子が凝集して二次粒子を形成することを必須とするものではない。
(粒度分布)
ただし、一次粒子が微細でも凝集度合いが大きくなると二次粒子が粗大化し、上記反応速度が低下したり、シールド特性が低下したりし得る。従って、磁性粒子の特性を評価する上では一次粒子に加えて二次粒子の大きさも考慮するべきである。この点、本発明の一実施形態によれば、有利なことに磁性粒子粉末のメジアン径(D50)を10μm以下とすることができ、好ましくは6μm以下とすることができ、より好ましくは5μm以下とすることができ、更により好ましくは3μm以下とすることができ、更により好ましくは2μm以下とすることができる。磁性粒子粉末のメジアン径(D50)に下限は特に設定されないが、製造容易性の観点から、通常は0.5μm以上であり、典型的には0.7μm以上であり、より典型的には0.9μm以上である。
メジアン径(D50)に類似するパラメータとして平均粒径がある。二次粒子の大きさは平均粒径で評価することも可能である。この点、本発明の一実施形態によれば、磁性粒子粉末の平均粒径を10μm以下とすることができ、好ましくは7μm以下とすることができ、より好ましくは5μm以下とすることができ、更により好ましくは4μm以下とすることができ、更により好ましくは2μm以下とすることができる。磁性粒子粉末の平均粒径に下限は特に設定されないが、製造容易性の観点から、通常は0.8μm以上であり、典型的には1.0μm以上であり、より典型的には1.2μm以上である。
好ましい実施形態において、本発明に係る磁性粒子粉末は狭い粒度分布をもつことができる。粒度分布が狭いということは、換言すれば、粒度の均一性が高いことを意味する。
具体的には、本発明に係る磁性粒子粉末は一実施形態において、積算90%径(D90)とメジアン径(D50)の差を10μm以下とすることができ、好ましくは6μm以下とすることができ、より好ましくは4μm以下とすることができる。積算90%径(D90)とメジアン径(D50)の差は小さければ小さいほどより粒度の均一性は向上するため、下限は特段設定されないが、製造容易性の観点からは、積算90%径(D90)とメジアン径(D50)の差は通常は0.5μm以上であり、典型的には1μm以上である。
また、本発明に係る磁性粒子粉末は一実施形態において、積算10%径(D10)とメジアン径(D50)の差を5μm以下とすることができ、好ましくは3μm以下とすることができ、より好ましくは2μm以下とすることができ、更により好ましくは1μm以下とすることができる。積算10%径(D10)とメジアン径(D50)の差は小さければ小さいほどより粒度の均一性は向上するため、下限は特段設定されないが、製造容易性の観点からは、積算10%径(D10)とメジアン径(D50)の差は通常は0.1μm以上であり、典型的には0.4μm以上である。
本明細書において、磁性粒子粉末のメジアン径(D50)、積算90%径(D90)、積算10%径(D10)、及び平均粒径は、レーザー回折/散乱法によって測定される体積基準の値を指す。当該方法で測定される粒度分布は、二次粒子の大きさが反映された値となる。
(飽和磁化)
また、本発明に係る磁性粒子粉末は一実施形態において、飽和磁化(Ms)が50emu/g以上である。飽和磁化(Ms)は大きい方が、集磁性が向上する。これにより、例えば、磁性粒子を用いて生体物質の検出・分離・精製・濃縮等を行う方法を実施する際、生体物質を磁性粒子に結合させた後に試験管に外部磁石を近接させて反応生成物を集めるいわゆる集磁工程を迅速に行うことができる。磁性粒子粉末の飽和磁化(Ms)は好ましくは100emu/g以上であり、より好ましくは130emu/g以上であり、更により好ましくは150emu/g以上である。
本明細書において、飽和磁化は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて、大気中、20℃で最大印加磁場=+/-25kOeの条件でM(emu/g)-H(Oe)曲線を得ることで測定される値を指す。
飽和磁化は磁性粒子粉末を構成する粒子の組成によって定まる固有値であり、上記の飽和磁化が得られるような適切な組成をもつ磁性粒子を選択することが望まれる。従来のような樹脂やシリカなどの非磁性材料を用いたコア-シェル構造の磁性粒子では、各粒子全体に占める磁性材の体積比率が小さいことにより、体積当たり又は質量当たりの飽和磁化が小さい。これに対して、本発明に係る磁性粒子粉末の一実施形態によれば、粒子全体に占める磁性材の体積比率を高めることで、体積当たり又は質量当たりの飽和磁化を大きくすることができる。具体的には、各粒子全体に占める磁性材の体積比率は、90体積%以上とすることができ、95体積%以上とすることができ、更には99体積%以上とすることができる。このため、コア-シェル構造の磁性粒子に比べ、例えば、同じ磁気シールド効果を得るためのシールド厚を薄くできるという利点が得られる。
(磁性粒子粉末の組成)
一実施形態において、磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む。この場合、磁性粒子粉末は、例えば、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を合計で80at.%以上含有することができ、90at.%以上含有することができ、更には95at.%以上含有することもでき、不可避的不純物以外は上記合金で構成することもできる。
別の一実施形態において、磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属に加えてCr、Ti、Pt及びPdから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む。この場合、磁性粒子粉末は、例えば、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属に加えてCr、Ti、Pt及びPdから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を合計で80at.%以上含有することができ、90at.%以上含有することができ、更には95at.%以上含有することもでき、不可避的不純物以外は上記合金で構成することもできる。
更に別の一実施形態において、磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の窒化物及び酸化物の少なくとも一種を含有する。この場合、磁性粒子粉末は、例えば、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の窒化物及び酸化物の少なくとも一種を合計で80at.%以上含有することができ、90at.%以上含有することができ、更には95at.%以上含有することもでき、不可避的不純物以外は上記窒化物及び酸化物の少なくとも一種で構成することもできる。
Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金としては、Fe-Co合金、Fe-Ni合金、Co-Ni合金が挙げられる。高い飽和磁化を得られるという理由により、Fe-Co合金であれば、Fe及びCoの原子比は、0.8≦Fe/Co≦1.2が好ましく、0.9≦Fe/Co≦1.1がより好ましい。Fe-Ni合金であれば、Fe及びNiの原子比は、0.85≦Fe/Ni≦1.25が好ましく、0.95≦Fe/Ni≦1.15がより好ましい。Co-Ni合金であれば、Co及びNiの原子比は、1.8≦Co/Ni≦2.9が好ましく、2.1≦Co/Ni≦2.5がより好ましい。
Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属に加えてCr、Ti、Pt及びPdから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金としては、Co-Ni-Cr合金、Fe-Pt合金、Co-Pt合金、Co-Pd合金が挙げられる。Cr、Ti、Pt及びPdは、耐食性向上効果があるため、飽和磁化の経時的な低下を抑制する効果を得ることができる。Ptは飽和磁化を高める効果も得られる。一方、Cr、Ti、及びPdの含有量が多くなりすぎると飽和磁化が低下しやすい。そこで、合金中のFe、Ni、Co及びCrの原子比は、0.001≦Cr/(Fe+Ni+Co+Cr)≦0.05であることが好ましく、0.01≦Cr/(Fe+Ni+Co+Cr)≦0.03であることがより好ましい。合金中のFe、Ni、Co及びTiの原子比は、0.001≦Ti/(Fe+Ni+Co+Ti)≦0.05であることが好ましく、0.01≦Ti/(Fe+Ni+Co+Ti)≦0.03であることがより好ましい。合金中のFe、Ni、Co及びPdの原子比は、0.001≦Pd/(Fe+Ni+Co+Pd)≦0.1であることが好ましく、0.01≦Pd/(Fe+Ni+Co+Pd)≦0.05であることがより好ましい。合金中のFe及びPtの原子比は、0.8≦Fe/Pt≦1.2が好ましく、0.9≦Fe/Pt≦1.1がより好ましい。Co及びPtの原子比は、0.24≦Co/Pt≦0.36が好ましく、0.27≦Co/Pt≦0.33がより好ましい。
Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の窒化物としては、窒化鉄(Fe162、Fe4N、Fe3-2N)、窒化ニッケル(NiN2)、窒化コバルト(CoN、CoN2)が挙げられる。Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の酸化物としては、酸化鉄(Fe23、Fe34)が挙げられる。
<2.磁性粒子分散液>
本発明の一実施形態によれば、上述した磁性粒子粉末を分散媒中で分散させることで、複数の磁性粒子が分散している磁性粒子分散液が提供される。分散媒としては、磁性粒子を分散可能な分散媒であれば特に制限はなく、水系媒体及び非水系媒体の何れでもよく、水系媒体及び非水系媒体の混合媒体でもよい。分散媒は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。水系媒体とは水を指し、非水系媒体としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等)、グリコールエーテル類(エチレングリコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類等)や油性有機溶剤(芳香族系溶剤、環状炭化水素系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤等)が挙げられる。インクジェット及びスプレー塗装に慣用されている分散媒も好適に使用可能である。
一実施形態において、磁性粒子分散液は複数の磁性粒子を5mg/mL~100mg/mLの濃度で含有する。磁性粒子分散液に含まれる複数の磁性粒子の下限濃度は特に設定されないが、例示的には6mg/mL以上とすることができ、7mg/mL以上とすることもできる。磁性粒子分散液に含まれる複数の磁性粒子の上限濃度は特に設定されないが、例示的には75mg/mL以下とすることができ、50mg/mL以下とすることもできる。
<3.製造方法>
上述した磁性粒子粉末は、例えば、高周波熱プラズマ法により磁性ナノ粒子の粉末を得る工程と、当該粉末を超音波を利用して分散処理する工程とを実施することで製造可能である。
(高周波熱プラズマ法)
高周波熱プラズマ法は、原材料を高周波熱プラズマ中に導入して蒸発させた後、急冷凝縮させることで微粒子を得る方法であり、磁性ナノ粒子の製造にも有用である。図1には、高周波熱プラズマ法を実施するためのナノ粒子製造装置10の概略図が示されている。ナノ粒子製造装置10は、高周波電源16、プラズマトーチ14、水冷チャンバー15、及び回収フィルター18を備える。プラズマトーチ14は、プローブ12、水冷構造の石英管19、及び高周波電流が流れるコイル13を備える。コイル13に高周波電流を流すと、電磁誘導により内部のプラズマガス(典型的にはAr)が放電・加熱され熱プラズマが発生する。キャリアガスとしては例えばArを使用することができる。プラズマガスとしてArに加えて酸素を添加することで、酸化物のナノ粒子を製造することができる。プラズマガスとしてArに加えて窒素を添加することで、窒化物のナノ粒子を製造することができる。熱プラズマの温度は10,000℃以上にも到達する。不純物の混入がないことが高周波熱プラズマ法の利点として挙げられる。
原料供給機11から供給された原料は、キャリアガスと共にプローブ12を通して熱プラズマ内に供給される。原料が完全に蒸発した後に、水冷チャンバー15の低温領域で蒸気を急冷・凝縮させると、ナノ粒子17が得られる。急冷速度は105~107K/sとすることが可能である。原料は例えば粉末の形態とすることができるが、溶液、スラリーの形態とすることもできる。合金製の磁性ナノ粒子を製造する場合には、原料として、合金を構成する各金属の純度の高い粉末を使用することができる。金属酸化物及び金属窒化物の磁性ナノ粒子を製造する場合には、原料として、金属酸化物及び金属窒化物を構成する金属の純度の高い粉末を使用することができる。磁性ナノ粒子の大きさは原料供給機11からの原料の供給速度を変化させることで調整することができる。生成したナノ粒子17は真空ポンプ(図示せず)からの吸引力によって搬送され、回収フィルター18に粉末状で回収される。更に、回収したナノ粒子17の粉末は所望の粒度分布となるように分級してもよい。
回収したナノ粒子が合金製である場合、ナノ粒子の表面が酸化又は窒化している構造であると、その部分の比抵抗が高く、いわゆるフェライトと同様に高周波をよく吸収する特性を有する。しかも内部の酸化又は窒化していない金属部分は、低周波をよく吸収するため、広い範囲の周波数においてシールド効果が実現できる。従って、合金製のナノ粒子をシールド材に利用する場合は、ナノ粒子の表面のみを酸化又は窒化させる程度に空気中、酸素中、又は窒素中で保管することが好ましい。
また、ナノ粒子がFeを含む場合は、酸化を防止して飽和磁化の低下を抑制するという観点から、不活性雰囲気下で保管することが好ましい。不活性雰囲気の中でも特に窒素雰囲気下で保管すると、ナノ粒子の表面が適度に窒化することが期待でき、窒化鉄、とりわけFe162の生成によってナノ粒子の飽和磁化の向上効果が期待できる。
(分散処理)
上記の手順で得られた磁性ナノ粒子は、一次粒子が凝集した二次粒子(アグロメレート)の形態にあるのが通常である。このため、分散処理を行って二次粒子をできるだけ解砕することが望ましい。分散処理を適切に行うことで粒度の均一性も向上する。分散処理の方法としては磁性ナノ粒子の粉末を分散媒中で超音波照射することが挙げられる。超音波照射の好適な条件としては以下が例示される。
・磁性ナノ粒子の分散媒中の濃度:5~50mg/mL、好ましくは7~20mg/mL
・超音波の周波数:20KHz~100KHz、好ましくは30~50KHz
・超音波照射時間:3分以上、好ましくは5分~20分
・電力:分散媒1mL当たり10W~200W、好ましくは100W~150W
<4.用途>
(生体物質との結合)
本発明に係る磁性粒子粉末を生体物質結合用磁性担体として使用する場合、生体物質を物理吸着させることもできるが、より効率良く生体物質を結合させるという観点から有機化合物を、磁性粒子粉末を構成する磁性粒子の表面に結合させることが好ましい。有機化合物としては、グルタルアルデヒド、アルブミン、カルボジイミド、ストレプトアビジン、ビオチン、及び官能基を有する金属アルコキシドから選択される少なくとも一種の有機化合物が挙げられる。金属アルコキシドが有する官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基及びグリシジルオキシ基等が挙げられる。
生体物質とは、生物に由来する物質を意味するが、生体物質そのものに限らず、生体物質と相互作用を有する物質をも含み、例えば、糖質、タンパク質、ペプチド、核酸、細胞、微生物、薬剤若しくは薬剤候補物質、環境ホルモン等の有害物質又はビオチン等の他の生体物質の固定に利用できる物質が挙げられる。
磁性粒子の表面に官能基を有する金属アルコキシドを結合させる方法としては、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基又はグリシジルオキシ基で置換されたアルキル基を有するアルコキシドを使用して磁性粒子を処理する方法が挙げられる。
磁性粒子の表面にグルタルアルデヒド、アルブミン、カルボジイミド、ストレプトアビジン又はビオチンを結合させる方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。アルデヒド基を有するグルタルアルデヒド及びカルボキシル基を有するビオチンは、アミノ基を有する金属アルコキシドが表面に結合した磁性粒子と反応させることで、磁性粒子の表面に結合させることができる。また、アミノ基を有するアルブミン及びストレプトアビジン、並びにカルボジイミド基を有するカルボジイミドは、カルボキシル基を有する金属アルコキシドが表面に結合した磁性粒子と反応させることで、磁性粒子の表面に結合させることができる。
生体物質を磁性粒子に結合させる方法は特に限定されない。例えば、生体物質が抗体又は抗原の場合、アミノ基を有するため、表面にグルタルアルデヒドを結合させた磁性粒子と反応させることで生体物質を磁性粒子の表面に結合させることができる。
(磁気シールド材及び電波吸収体への適用)
本発明の一実施形態によれば、上記の磁性粒子粉末を用いて磁気シールド材及び電波吸収体を製造することができる。例えば、磁気シールド用フィルム又は電波吸収体用フィルムの表面に、磁性粒子粉末を噴射、或いは、当該磁性粒子分散液を塗布又は噴霧することにより、フレキシブルな磁気シールド層又は電波吸収層を形成することができる。また、磁気シールド用成形体又は電波吸収体用成形体などの三次元状の基体表面に、磁性粒子粉末を噴射、或いは、当該磁性粒子分散液を塗布又は噴霧することにより、曲面状の磁気シールド層又は電波吸収層を容易に形成することができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
<1.磁性ナノ粒子の作製>
(実施例1)
ナノ粒子製造装置(日清エンジニアリング株式会社製)を使用して、高周波熱プラズマ法によりFe-Co合金製の磁性ナノ粒子の粉末を製造した。キャリアガスとしてはArを使用し、プラズマガスとしてもArを使用した。磁性ナノ粒子の大きさは原料供給機からの原料の供給速度を変化させることで調整した。磁性ナノ粒子の粉末は、装置から回収後、下記の各種分析及び試験を行うまでは窒素ガスを充填した容器中に保管した。
(実施例2)
ナノ粒子製造装置(日清エンジニアリング株式会社製)を使用して、高周波熱プラズマ法によりFe-Ni合金製の磁性ナノ粒子の粉末を製造した。キャリアガスとしてはArを使用し、プラズマガスとしてもArを使用した。磁性ナノ粒子の大きさは原料供給機からの原料の供給速度を変化させることで調整した。磁性ナノ粒子の粉末は、装置から回収後、下記の各種分析及び試験を行うまでは窒素ガスを充填した容器中に保管した。
(実施例3)
ナノ粒子製造装置(日清エンジニアリング株式会社製)を使用して、高周波熱プラズマ法によりCo-Ni合金製の磁性ナノ粒子の粉末を製造した。キャリアガスとしてはArを使用し、プラズマガスとしてもArを使用した。磁性ナノ粒子の大きさは原料供給機からの原料の供給速度を変化させることで調整した。磁性ナノ粒子の粉末は、装置から回収後、下記の各種分析及び試験を行うまでは窒素ガスを充填した容器中に保管した。
(実施例4)
ナノ粒子製造装置(日清エンジニアリング株式会社製)を使用して、高周波熱プラズマ法によりCo-Ni-Cr合金製の磁性ナノ粒子の粉末を製造した。キャリアガスとしてはArを使用し、プラズマガスとしてもArを使用した。磁性ナノ粒子の大きさは原料供給機からの原料の供給速度を変化させることで調整した。磁性ナノ粒子の粉末は、装置から回収後、下記の各種分析及び試験を行うまでは窒素ガスを充填した容器中に保管した。
(実施例5)
ナノ粒子製造装置(日清エンジニアリング株式会社製)を使用して、高周波熱プラズマ法により酸化鉄製の磁性ナノ粒子の粉末を製造した。キャリアガスとしてはArを使用し、プラズマガスとしてはO2及びArの混合ガスを使用した。磁性ナノ粒子の大きさは原料供給機からの原料の供給速度を変化させることで調整した。磁性ナノ粒子の粉末は、装置から回収後、下記の各種分析及び試験を行うまでは窒素ガスを充填した容器中に保管した。
<2.XRFによる元素分析>
上記の製造方法によって得られた各実施例の磁性ナノ粒子について、走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製ZSX Primus II)を使用して、不純物以外の元素分析を行った。結果を表1に示す。その結果、実施例1~4について所定の組成を有する合金製磁性ナノ粒子が得られたことが分かった。
<3.X線回折>
上記の製造方法によって得られた実施例5の磁性ナノ粒子について、X線回折装置(株式会社リガク製RINT-ULTIMA III)を使用して結晶構造を解析した。解析の結果得られた実施例5のX線回折チャートを図7に示す。その結果、実施例5の磁性ナノ粒子は、Fe23で構成されていることが分かった。
<4.BET比表面積>
上記の製造方法によって得られた各実施例の磁性ナノ粒子について、BET比表面積をJIS Z8830:2013に準拠して、Macsorb(登録商標)HM model-1208を用いて流動法により求めた。結果を表1に示す。
<5.分散処理>
上記の製造方法によって得られた各実施例の磁性ナノ粒子の粉末50mgを1mLの蒸留水中に入れ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA-960V2)に付属の超音波プローブを用いて130W、5分間超音波(40kHz)を照射することにより分散処理し、磁性粒子分散液を得た。分散処理により、分散液中の磁性粒子は磁性ナノ粒子の凝集が適度に解砕された二次粒子の形態となった。
<6.粒度分布測定>
上記の分散処理後、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA-960V2)で磁性粒子分散液の粒子径分布測定をすることにより、磁性粒子分散液中の磁性粒子の体積基準のメジアン径(D50)、積算90%径(D90)、積算10%径(D10)、及び平均粒径を求めた。当該測定結果は磁性粒子の二次粒子のメジアン径(D50)に相当する。結果を表1に示す。また、図2~6には実施例1~5の磁性粒子粉末を分散処理した後の粒度分布図を示す。
<7.飽和磁化の測定>
上記の製造方法によって得られた各実施例の磁性ナノ粒子の粉末について、振動試料型磁力計(VSM)(株式会社玉川製作所製、高感度VSM TM-VSM261483-HGC型)を用いて飽和磁化(Ms:emu/g)を測定した。具体的には、窒素ガスを充填した容器中にて4か月間保管後の当該磁性ナノ粒子の粉末を、窒素ガスパージグローブボックス(酸素濃度800ppm以下)中にて容器から当該磁性ナノ粒子の粉末を取り出して、測定用サンプルホルダーへ充填して蓋を閉めた。測定用サンプルホルダーを振動試料型磁力計(VSM)にセットし、大気中、20℃、最大印加磁場=+/-25kOeの条件でM(emu/g)-H(Oe)曲線を得て、飽和磁化(Ms:emu/g)を測定した(表1中の「Ms1」)。飽和磁化の測定は当該磁性ナノ粒子の粉末を窒素ガスを充填した容器中でMs1の測定時から更に7か月間保管した後にも行った(表1中の「Ms2」)。結果を表1に示す。なお、飽和磁化の測定に際して、磁化量の校正用にNi円盤を使用した。
<8.集磁性評価>
上記の製造方法によって得られた各実施例の磁性ナノ粒子の粉末50mgを1mLの蒸留水中に入れ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA-960V2)に付属の超音波プローブを用いて130W、5分間超音波(40kHz)を照射することにより分散処理し、磁性粒子分散液を得た。分散処理後の磁性粒子分散液に更に蒸留水を加えて10mg/mLの磁性粒子濃度とした後、1mLの磁性粒子分散液を1.5mL試験管に注入した。試験管を集磁用磁石スタンド(Thermo Fisher社製DynaMag2)に設置して集磁時間を測定した。具体的には、試験管を集磁用磁石スタンドに設置してから、集磁が進行して、試験管中の液が完全に透明になるまでの時間を集磁時間とした。集磁時間は、上記一連の操作をビデオ撮影し、スロー再生(再生時間が2~3倍となる)することにより目視で決定した。参考用に、集磁開始時点と集磁完了時点の試験管の様子を撮影した写真を図8、図9にそれぞれ示す。図中、右側は参照用であり、左側が試験対象である。結果を表1に示す。
(比較例1)
市販の磁性ナノ粒子の粉末(コア-シェル型酸化鉄:Thermo Fisher社製Dynabeads M-280 streptavidin)を用意した。当該磁性ナノ粒子の粉末に対して実施例と同様の方法で分散処理及び粒度分布測定をすることにより、磁性粒子分散液中の磁性粒子の体積基準のメジアン径(D50)を求めた。また、当該磁性ナノ粒子の粉末に対して実施例と同様の方法で飽和磁化の測定及び集磁性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2023012279000001
10 ナノ粒子製造装置
11 原料供給機
12 プローブ
13 コイル
14 プラズマトーチ
15 水冷チャンバー
16 高周波電源
17 ナノ粒子
18 回収フィルター
19 石英管

Claims (15)

  1. BET比表面積が10m2/g~50m2/gであり、メジアン径(D50)が0.5μm~10μmであり、飽和磁化(Ms)が50emu/g以上である磁性粒子粉末。
  2. 磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む請求項1に記載の磁性粒子粉末。
  3. 磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属に加えてCr、Ti、Pt及びPdから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む請求項2に記載の磁性粒子粉末。
  4. 磁性粒子粉末は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の窒化物及び酸化物の少なくとも一種を含有する請求項1~3の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
  5. 飽和磁化(Ms)が130emu/g以上である請求項1~4の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
  6. 積算90%径(D90)とメジアン径(D50)の差が10μm以下である請求項1~5の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
  7. 積算10%径(D10)とメジアン径(D50)の差が5μm以下である請求項1~6の何れか一項に記載の磁性粒子粉末。
  8. 分散媒中で、BET比表面積が10m2/g~50m2/g、メジアン径(D50)が0.5μm~10μmであり、飽和磁化(Ms)が50emu/g以上である複数の磁性粒子が分散している磁性粒子分散液。
  9. 複数の磁性粒子は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む請求項8に記載の磁性粒子分散液。
  10. 複数の磁性粒子は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属に加えてCr、Ti、Pt及びPdから選択される一種又は二種以上の金属を含有する合金製の磁性粒子を含む請求項9に記載の磁性粒子分散液。
  11. 複数の磁性粒子は、Fe、Ni及びCoから選択される一種又は二種以上の金属の窒化物及び酸化物の少なくとも一種を含有する請求項8~10の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
  12. 複数の磁性粒子の飽和磁化(Ms)が130emu/g以上である請求項8~11の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
  13. 複数の磁性粒子を5mg/mL~100mg/mLの濃度で含有する請求項8~12の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
  14. 複数の磁性粒子の積算90%径(D90)とメジアン径(D50)の差が10μm以下である請求項8~13の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
  15. 複数の磁性粒子の積算10%径(D10)とメジアン径(D50)の差が5μm以下である請求項8~14の何れか一項に記載の磁性粒子分散液。
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