JP2023012154A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基材に塗工した際に、光沢が抑制されており、薬品と接触した際の損傷が極めて小さく、また屈曲性にも優れている光硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 多官能(メタ)アクリレート(A)と、表面処理タルク粒子(B)と、レベリング剤(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有し、多官能(メタ)アクリレート(A)として、多官能(メタ)アクリレートモノマー(a1)及び/又は多官能(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)を用いることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物に関する。
一般に、光硬化性樹脂組成物は、短時間で硬化可能で、非常に扱いやすい材料であることから、電子・電気部品や、印刷、塗装など幅広く用いられている。
過去に、出願人は、硬さと伸張性を備え、更に耐溶剤性を有する光硬化樹脂組成物を発明した。具体的には、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと芳香環を有する単官能アクリレートが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレート或いは単官能アクリルアミドのいずれかが含まれることを特徴とする光硬化樹脂組成物を得た(特許文献1)。当該組成物は、硬さと伸張性とを備えた上で、耐溶剤性に優れていることから、機構部品として、変形が必要な部位等のシール、接着、充填に向くという性質をもつものである。
特開2014-077069号公報
従来から、塩化ビニル樹脂などの基材に、光硬化性樹脂組成物を塗工した床材が一般に提供されている。特に光硬化性樹脂組成物は、溶剤を含まず乾燥工程を必要としないことから、短時間のうちに安価な床材を大量に製造することが可能となっている。
近年では、製造工程・施工過程の簡略化のため、基材に対してライン上にてダイコーターにより光硬化性樹脂組成物を塗工し、即座に硬化させ、ロールに巻き取り保管しておき、必要時に必要量だけカットし現場施工するという手法が採用されている。ここで、特許文献1に記載された光硬化樹脂組成物は、硬度や強度が比較的高いため、巻き取りの際に亀裂や白化が発生する可能性があった。
また、光硬化性樹脂組成物は、床材の表面層を構成するため、太陽光などの反射による光沢の抑制が必要とされていた。さらに、薬品等に対する耐久性の向上も強く求められており、改善の余地があった。
本発明が解決しようとする課題は、基材に塗工した際に、光沢が抑制されており、薬品と接触した際の損傷が極めて小さく、また屈曲性にも優れている光硬化性樹脂組成物を提供することである。
本発明は、多官能(メタ)アクリレート(A)と、表面処理タルク粒子(B)と、レベリング剤(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。
本発明にかかる光硬化性樹脂組成物は、基材に塗工した際に、光沢が抑制されており、薬品と接触した際の損傷が極めて小さく、また屈曲性にも優れているという効果がある。
<多官能(メタ)アクリレート>
本発明では、多官能(メタ)アクリレート(A)を用いる。当該(A)成分としては、多官能(メタ)アクリレートモノマー(a1)や、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)などが挙げられる。当該(a1)成分、及び(a2)成分は、どちらか一方であっても構わないし、併用することも可能である。当該(A)成分は、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物の主成分であり、反応性を高めるために2官能以上のものを用いる必要がある。
当該(a1)成分の具体例は、2官能アクリレートとして、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、4.6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1.10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチル-1.5ペンタンジオールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレートなどが挙げられる。
また、3官能(メタ)アクリレートとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
さらに、4官能(メタ)アクリレートとして、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、5官能(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、6官能(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
当該(a2)成分の具体例として、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーの他、ポリエーテル骨格をもつ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格をもつ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル骨格をもつ(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。
当該(a2)成分の数平均分子量としては、1,000~30,000であることが好ましく、1,200~20,000であることが更に好ましく、1,500~10,000であることが特に好ましい。
当該(a2)成分の市販品としては、SUA-008(商品名、亜細亜工業社製、ポリエーテル骨格、2官能)、SUA-023(商品名、亜細亜工業社製、ポリエーテル骨格、2官能)、RUA-074(商品名、亜細亜工業社製、ポリエステル骨格、2官能)などが挙げられる。
本発明では、表面処理タルク粒子(B)を用いる。当該(B)成分は、例えば、タルク粒子を有機物や無機物などにて表面処理することにより得ることができる。特に本発明においては、タルク粒子をシランカップリング剤により表面処理した、シランカップリング剤処理タルク粒子を用いることが好ましい。
従来は、薬品等に対する耐久性の向上のため、炭酸カルシウム粒子などが用いられていたが、その場合、太陽光などが反射した際の光沢の強さが課題とされていた。そこで、未処理シリカ粒子や表面処理シリカ粒子を用いることにより、光沢を抑制させるという手法がみられたものの、本発明者らの試験によると、薬品等に対する耐久性に欠けてしまう傾向があり、特に高濃度のアルカリ水溶液による損傷が観察されたことから、改善の余地があった。
そのため、本発明にかかる発明者は、当該(B)成分を用いることにより、基材に塗工した際に、光沢が抑制されており、薬品と接触した際の損傷が極めて小さく、また屈曲性にも優れていることを見出し、本発明を完成させた。その詳細な反応機構は不明であるものの、光硬化性樹脂組成物中の当該(B)成分が、一定の作用効果を及ぼしているものと考えられる。
当該(B)成分の平均粒径としては、レーザー法による測定にて、0.1~100μmであることが好ましく、0.3~50μmであることがさらに好ましく、0.5~20μmであることが特に好ましい。
当該(B)成分の配合割合としては、上記(A)成分100重量部に対して、0.1~100重量部配合することが好ましく、0.5~80重量部配合することが更に好ましく、1~50重量部配合することが特に好ましい。
当該(B)成分の市販品としては、タルクFH104S(商品名、富士タルク工業社製、エポキシ系シランカップリング剤処理タルク粒子、平均粒径:4μm)、P-4(商品名、日本タルク社製、エポキシ系シランカップリング剤処理タルク粒子、平均粒径:5μm)などが挙げられる。
<レベリング剤>
本発明では、レベリング剤(C)を用いる。当該(C)成分は、基材に塗工した際の塗膜表面の平滑性を向上させることができる。そのため、当該(C)成分を用いることにより、塗膜表面の凹凸の発生が抑制されることから、汚染物質の付着を抑制することができ、また汚染された場合でも拭き取りが容易であるという効果がある。
当該(C)成分としては、平滑性をより向上させるため、シリコーン系のものを用いることが好ましい。また、その構造中に、不飽和結合をもつ官能基を有することが好ましく、当該官能基としては、アクリル基、ビニル基などが挙げられ、これらの中でも、アクリル基を有することが特に好ましい。
さらに、当該(C)成分は、ポリエーテル変性又はポリエステル変性されていることが好ましい。特に、このような変性物を配合することにより、上記の効果をさらに向上させることができる傾向がある。
当該(C)成分の配合割合としては、上記(A)成分100重量部に対して、0.01~30重量部配合することが好ましく、0.05~20重量部配合することがさらに好ましく、0.1~10重量部配合することが特に好ましい。
当該(C)成分の市販品としては、BYK-UV3500(商品名、ビックケミー社、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、BYK-UV3505(商品名、ビックケミー社、アクリル基を有する変性ポリジメチルシロキサン)、BYK-UV3570(商品名、ビックケミー社製、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)などが挙げられる。
<光重合開始剤>
本発明では、光重合開始剤(D)を用いる。当該(D)成分の具体例としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
当該(D)成分の配合割合としては、上記(A)成分100重量部に対して、0.1~50重量部配合することが好ましく、0.5~30重量部配合することがさらに好ましく、1~20重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物を効率的に重合させることができる傾向がある。
当該(D)成分の市販品としては、Omnirad 127、Omnirad 184、Omnirad 369、Omnirad 500、Omnirad 754、Omnirad 819、Omnirad 907、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad TPO、Omnirad MBF(商品名、いずれもiGM RESINS社製)、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE04(商品名、いずれもBASFジャパン社製)、DAIDO UV-CURE PMB、DAIDO UV-CURE OMB、DAIDO UV-CURE BMS、DAIDO UV-CURE 171、DAIDO UV-CURE D-177F、DAIDO UV-CURE ♯174、PHOTOCURE 550(商品名、いずれも大同化成工業社製)などが挙げられる。
<その他の成分>
本発明では、上記(A)~(D)成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。
本発明では、例えば、カプロラクトン骨格をもつ単官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。当該成分を用いることにより、基材に塗工した際の密着性が向上する傾向がある。当該成分の配合割合としては、例えば、上記(A)成分100重量部に対して、0.1~20重量部程度配合することができる。当該成分の市販品としては、アロニックス M-5300(商品名、東亞合成社製、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)、プラクセル FA1(商品名、ダイセル社製、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン)などが挙げられる。
本発明では、例えば、アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。当該成分は、希釈剤としてはたらくため、塗布する際の作業性が向上する傾向がある。当該成分の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。当該成分の配合割合としては、例えば、上記(A)成分100重量部に対して、1~1000重量部程度配合することができる。
さらに、本発明にかかる光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、各種の添加剤を配合することができる。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。
表1に示す配合において、混合液を調製し、実施例及び比較例の光硬化性樹脂組成物を得た。ここで、表1における数値は、重量部を表すものとする。以下に、使用した原材料を示す。
Miramer M340(商品名、MIWON社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート)
SUA-023(商品名、亜細亜工業社製、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート、2官能、重量平均分子量:2,700)
タルクFH104S(商品名、富士タルク工業社製、エポキシ系シランカップリング剤処理タルク粒子、平均粒径:4μm)
P-4(商品名、日本タルク社製、エポキシ系シランカップリング剤処理タルク粒子、平均粒径:5μm)
タルクFH104(商品名、富士タルク工業社製、未処理タルク粒子、平均粒径:4μm)
No.30(商品名、水澤化学工業社製、メタクリル系シランカップリング剤処理シリカ粒子、平均粒径:4μm)
MIZUKASIL P-73(商品名、水澤化学工業社製、未処理シリカ粒子、平均粒径:4μm)
ACEMATT OK607(商品名、エボニック社製、ポリエチレン処理シリカ粒子、平均粒径:4μm)
ACEMATT 3600(商品名、エボニック社製、ポリエチレン処理シリカ粒子、平均粒径:5μm)
CERAFLOUR 970(商品名、ビックケミー社製、ポリプロピレンワックス)
スーパーSS(商品名、丸尾カルシウム社製、未処理炭酸カルシウム粒子、平均粒径:4μm)
BYK-UV3570(商品名、ビックケミー社製、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)
DAIDO UV-CURE ♯174(商品名、大同化成工業社製)
アロニックス M-5300(商品名、東亜合成社製、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)
2-EHA(三菱ケミカル社製、2-エチルヘキシルアクリレート)
Figure 2023012154000001
上記の実施例等にて得られた光硬化性樹脂組成物について、以下の要領で試験体を作製し、物性評価を行った。この結果を表2に示す。
<試験体の作製>
塩化ビニル樹脂シート(商品名:スタイルフロア Y110-S、富双合成社製、厚み:1.8mm)を基材として、光硬化性樹脂組成物を膜厚15μmとなるように塗工し、有電極高圧水銀ランプ(商品名:アイグランデージ ECS4011GX/N、アイグラフィックス社製)を用いて、照射強度100mW/cm、積算光量800mJ/cmにて紫外線照射させ、当該組成物を硬化させることで試験体を作製した。
<光沢度>
試験体について、JIS Z 8741に準じて、マイクロトリグロス(ビックガードナー社製)を用いて、60°光沢度を測定した。
<屈曲性>
試験体について、マンドレル棒(6mmφ)に巻き付け、5秒間圧締した後、元に戻して塗膜に亀裂や白化がないか目視にて観察した。
〇:塗膜に亀裂や白化が観察されない。
×:塗膜に亀裂や白化が観察された。
<耐薬品性>
1cm角の布に、各種濃度の水酸化ナトリウム水溶液を8滴染み込ませた後、試験体にのせ、常温にて24時間静置し、塗膜の変化を観察した。
〇:目視ではほとんど損傷が確認できず、表面の美観が損なわれていない。
△:目視により一部に損傷が確認され、表面の美観が一部損なわれている。
×:目視により全体に損傷が確認され、表面の美観が著しく損なわれている。
Figure 2023012154000002


Claims (4)

  1. 多官能(メタ)アクリレート(A)と、表面処理タルク粒子(B)と、レベリング剤(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
  2. 表面処理タルク粒子(B)が、シランカップリング剤処理タルク粒子であることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. レベリング剤(C)が、シリコーン系であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 床材に用いられることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の光硬化性樹脂組成物。

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