JP2023011380A - 圧延成形用積層体及びその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面光沢均一性に優れた圧延成形用積層体、及びその成形体を提供すること。【解決手段】 層Sと層Cとを有する圧延成形用積層体であって、層Sを形成する樹脂組成物のMFRは2.5g/10分以下であり、層Cを形成する樹脂組成物のMFRは2.5g/10分以下である、圧延成形用積層体。【選択図】 なし

Description

本発明は、表面光沢均一性に優れた圧延成形用積層体、及びその成形体に関する。
プロピレン重合体を含有する成形体は、非常に安価で、軽量であるため、自動車内外装部品や家電部品などの各種工業部品に利用されている。
プロピレン重合体を含有する成形体の作製方法の一つとして、圧延成形法が知られている。圧延成形法は、成形体の耐衝撃性を改良することができる方法である。近年では、プロピレン重合体を含有する積層体を圧延成形した成形体が開発されている。
例えば、特許文献1には、耐衝撃性が改良された圧延成形用積層体が記載されている。
国際公開第2015/152389号
本発明の目的は、表面光沢均一性に優れた圧延成形用積層体、及びその成形体を提供することである。
本発明は以下に関するが、それに限定されない。
[発明1]
層Sと層Cとを有する圧延成形用積層体であって、
・層Sの厚みと層Cの厚みの合計を100%としたときの、層Sの厚みが0.5~10%であり、
・層Sの厚みと層Cの厚みの合計を100%としたときの、層Cの厚みが90~99.5%であり、
層Sが以下の成分を含有し:
・プロピレン重合体P:100重量部
・熱可塑性エラストマーE:重合体Pの含量を100重量部としたとき、0~24重量部
・板状フィラーF:重合体Pの含量を100重量部としたとき、0~24重量部
層Sを形成する樹脂組成物のMFRは2.5g/10分以下であり、
層Cが以下の成分を含有し:
・プロピレン重合体P:層Cを構成する全成分含量を100重量部としたとき、20~80重量部
・板状フィラーF:層Cを構成する全成分含量を100重量部としたとき、20~80重量部
層Cを形成する樹脂組成物のMFRは2.5g/10分以下である、
圧延成形用積層体。
[発明2]
プロピレン重合体Pが以下の成分を含有する、発明1に記載の圧延成形用積層体であって:
・プロピレン単独重合体PPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、0~99重量部、
・エチレン-プロピレン共重合体CPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、1~100重量部、
プロピレン単独重合体PPSはプロピレン由来の構成単位を99重量%以上含有し、
エチレン-プロピレン共重合体CPSはエチレン由来の構成単位を1重量%以上含有する、
圧延成形用積層体。
[発明3]
プロピレン重合体Pが以下の成分を含有する、発明2に記載の圧延成形用積層体:
・プロピレン単独重合体PPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、30~90重量部、
・エチレン-プロピレン共重合体CPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、10~70重量部。
[発明4]
プロピレン単独重合体PPSのMFRが2.5g/10分以下であり、エチレン-プロピレン共重合体CPSのMFRが2.5g/10分以下である、発明2又は3に記載の圧延成形用積層体。
[発明5]
板状フィラーFの平均粒子径D50[L]が7μm以下である、発明1~4のいずれかに記載の圧延成形用積層体。
[発明6]
プロピレン重合体Pが下記のプロピレン重合体PPCを含有する、発明1~5のいずれかに記載の圧延成形用積層体:
・プロピレン単独重合体PPC:プロピレン由来の構成単位を99重量%以上含有する。
[発明7]
板状フィラーFの平均粒子径D50[L]が8μm以上である、発明1~6のいずれかに記載の圧延成形用積層体。
[発明8]
プロピレン重合体Pがヘテロファジックプロピレン共重合体HPSを含有する、発明1に記載の圧延成形用積層体。
[発明9]
フィラーFがタルクを含有する、発明1~8のいずれかに記載の圧延成形用積層体。
[発明10]
発明1~9のいずれかに記載の圧延成形用積層体が厚み方向に加熱圧縮された、成形体。
本発明によれば、表面光沢均一性に優れた圧延成形用積層体、及びその成形体を得ることができる。
定義
数値範囲を表す「下限~上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限~下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、これらの記載は、下限及び上限を含む数値範囲を表すが、一態様において、上限及び下限の一方又は両方が除外されてもよい、すなわち、「下限~上限」が、「下限より多く、上限以下」、「下限以上、上限未満」、又は「下限より多く、上限未満」を表してもよい。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
圧延成形用積層体
本発明の圧延成形用積層体は、少なくとも1層の層Sと少なくとも1層の層Cを含有する。層S及び層Cについては後述する。
本発明の圧延成形用積層体において、好ましくは、層Sは、該積層体の少なくとも一方の表面に配置される。該積層体は、1つの層Sと1つの層Cからなる二層積層体でもよく、層Cの両側に層Sがそれぞれ配置されている三層積層体であってもよく、少なくとも1層の層Sと複数の層Cからなり、層Sが少なくとも一方の表面に配置される多層積層体であってもよい。該積層体は層S及び層C以外の他層を有してもよい。これらのなかで、層Cの両側に層Sがそれぞれ配置されている三層積層体が好ましい。
本発明の圧延成形用積層体において、層Sの総厚みと層Cの総厚みの合計を100%としたときの、層Sの総厚みの割合は0.5~10%であり、層Cの総厚みの割合は90~99.5%である。好ましくは、層Sの総厚みの割合が0.8~8%であり、層Cの総厚みの割合が92~99.2%である。
層S
本発明の層Sは、プロピレン重合体P100重量部と、熱可塑性エラストマーE0~24重量部と、板状フィラーF0~24重量部を含有する。以下、プロピレン重合体Pを「重合体P」又は「P」と、熱可塑性エラストマーEを「エラストマーE」又は[E]と、及び板状フィラーFを「フィラーF」又は「F」と、それぞれ記すことがある。上記の各含量は、重合体Pの含量を100重量部としたときの含量である。前記の含有量は下限値「0重量部」であってもよく、すなわち、層SはエラストマーE及び/又はフィラーFを含有しなくてもよい。
層Sのメルトマスフローレイト(MFR)は2.5g/10分以下であり、場合により2g/10分以下であってもよく、1.5g/10分以下であってもよく、1g/10分以下であってもよい。前記MFRの下限値は特に限定されないが、0.01g/10分以上であってもよく、0.05g/10分以上であってもよく、0.1g/10分以上であってもよい。前記MFRは、JIS K7210-1999に規定された方法に従って、230℃、2.16kg荷重で測定される。
一態様において、プロピレン重合体Pは、プロピレン単独重合体PPS、エチレン-プロピレ共重合体CPS、又はヘテロファジックプロピレン共重合体HPSを含有する。これらは、単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。一態様において、プロピレン重合体Pは、プロピレン単独重合体PPS、エチレン-プロピレ共重合体CPS、又はヘテロファジックプロピレン共重合体HPSを含有する。
一態様において、重合体Pは、重合体PPS0~99重量部及び共重合体CPS1~100重量部を含有し、好ましくは、重合体PPS30~90重量部及び共重合体CPS10~70重量部を含有する。上記の各含量は、重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたときの含量である。
プロピレン単独重合体PPSとは、プロピレンに由来する構成単位を99重量%以上含有する重合体である。以下、プロピレン重合体PPSを「重合体PPS」又は「PPS」と記すことがある。プロピレン単独重合体PPSとして、例えば、アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体、又はシンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体が挙げられる。プロピレン単独重合体PPSとして、好ましくは、アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体である。
アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体の、13C-NMR法により測定されたアイソタクチック・ペンタッド分率(以下、[mmmm]と表記する)は、好ましくは0.90以上であり、より好ましくは0.95以上である。
ここで、アイソタクチック・ペンタッド分率とは、13C-NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンに由来する構成単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来する構成単位の分率である。具体的には、13C-NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占める[mmmm]ピークの分率として算出される値である。ここで、[mmmm]ピークとは、5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来するピークである。
なお、この[mmmm]は、A.Zambelliらの報告(Macromolecules,1973年,6号)に記載の方法に従って求めることができる。
シンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体の、13C-NMR法により測定されたシンジオタクチック・ペンタッド分率(以下、[rrrr]と表記する)は、好ましくは0.85以上であり、より好ましくは0.90以上である。
ここで、シンジオタクテチック・ペンタッド分率とは、13C-NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのシンジオタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンに由来する構成単位が5個連続してラセモ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来する構成単位の分率である。具体的には、13C-NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占める[rrrr]ピークの分率として算出される値である。ここで、[rrrr]ピークとは、5個連続してラセモ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来するピークである。
なお、[rrrr]は、特開2008-169316号公報に記載の方法で求めることができる。
プロピレン単独重合体PPSのMFRは、好ましくは2.5g/10分以下であり、場合により2g/10分以下であってもよく、1.5g/10分以下であってもよく、1g/10分以下であってもよい。前記MFRの下限値は特に限定されないが、0.01g/10分以上であってもよく、0.05g/10分以上であってもよく、0.1g/10分以上であってもよい。前記MFRは、JIS K7210-1999に規定された方法に従って、230℃、2.16kg荷重で測定される。
エチレン-プロピレン共重合体とは、プロピレンに由来する構成単位とエチレンに由来する構成単位とからなる共重合体、又はプロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、C4~10(炭素原子数4~10)のα-オレフィンに由来する構成単位とからなる共重合体である。重合形式は特に限定されず、ランダム重合体でもよく、ブロック重合体でもよく、それらの組み合わせでもよい。
C4~10のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどが挙げられ、好ましくは1-ブテン、又は1-ヘキセンである。
プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、C4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなる共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン-1-ブテン)共重合体、プロピレン-エチレン-イソブテン共重合体、プロピレン-エチレン-(1-ペンテン)共重合体、プロピレン-エチレン-(2-メチル-1-ブテン)共重合体、プロピレン-エチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体、プロピレン-エチレン-(1-ヘキセン)共重合体、プロピレン-エチレン-(2-メチル-1-ペンテン)共重合体、プロピレン-エチレン-(3-メチル-1-ペンテン)共重合体、プロピレン-エチレン-(4-メチル-1-ペンテン)共重合体、プロピレン-エチレン-(1-オクテン)共重合体、プロピレン-エチレン-(1-ノネン)共重合体、プロピレン-エチレン-(1-デセン)共重合体などが挙げられる。プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、C4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなる共重合体として、好ましくは、プロピレン-エチレン-(1-ブテン)共重合体である。
プロピレンに由来する構成単位とエチレンに由来する構成単位とからなる共重合体における、プロピレンに由来する構成単位の含有量は、1~99.9重量%であることが好ましく、60~99.9重量%であることがより好ましく、70~99.9重量%であることがさらに好ましい。プロピレンに由来する構成単位とエチレンに由来する構成単位とからなる共重合体における、エチレンに由来する構成単位の含有量は、0.1~99重量%であることが好ましく、0.1~50重量%であることがより好ましい。上記において、プロピレンに由来する構成単位とエチレンに由来する構成単位とからなる共重合体の全量を100重量%とする。プロピレンに由来する構成単位の含有量及びエチレンに由来する構成単位の含有量は、13C-NMR法により求められる。
プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、C4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなる共重合体における、プロピレンに由来する構成単位の含有量は、1~99.9重量%であることが好ましく、60~99.9重量%であることがより好ましく、70~99.9重量%であることがさらに好ましい。プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、C4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなる共重合体における、エチレンに由来する構成単位の含有量は、0.1~99重量%であることが好ましく、0.05~20重量%であることがより好ましく、0.05~15重量%であることがさらに好ましい。プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、C4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなる共重合体の、C4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、0.1~99重量%であることが好ましく、0.05~20重量%であることがより好ましく、0.05~15重量%であることがさらに好ましい。上記において、プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、C4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなる共重合体の全量を100重量%とする。プロピレンに由来する構成単位の含有量、エチレンに由来する構成単位の含有量、及びC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、13C-NMR法により求められる。
エチレン-プロピレン共重合体CPSのMFRは、好ましくは2.5g/10分以下であり、場合により2g/10分以下であってもよく、1.5g/10分以下であってもよく、1g/10分以下であってもよい。前記MFRの下限値は特に限定されないが、0.01g/10分以上であってもよく、0.05g/10分以上であってもよく、0.1g/10分以上であってもよい。前記MFRは、JIS K7210-1999に規定された方法に従って、230℃、2.16kg荷重で測定される。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSは、プロピレン樹脂組成物の剛性と耐衝撃性のバランスを良好にするという観点から、好ましくは、重合体(I)55~95重量%と、重合体(II)5~45重量%とを含有するプロピレン-エチレン系のヘテロファジックプロピレン重合材料である(ただし、ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSの全量を100重量%とする。)。より好ましくは、ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSは、重合体(I)65~92重量%と、重合体(II)とを含有するヘテロファジックプロピレン重合材料であり、さらに好ましくは、重合体(I)80~90重量%と、重合体(II)10~20重量%とを含有するヘテロファジックプロピレン重合材料である。ここで、重合体(I)とは、プロピレンに由来する構成単位を80重量%以上含有する重合体を意味し(ただし、該重合体(I)の全重量を100重量%とする)し、エチレン及びC4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位とを含有する重合体を意味する。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSのMFRは、成形性や耐衝撃性を高めるという観点から、好ましくは0.01~2.5g/10分であり、より好ましくは0.1~2.0g/10分である。前記MFRは、JIS K7210-1999に規定された方法に従って、230℃、2.16kg荷重で測定される。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSは、重合触媒を用いて下記の方法により製造することができる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα-オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
上記の触媒系としては、例えば、特開昭61-218606号公報、特開平5-194685号公報、特開平7-216017号公報、特開平9-316147号公報、特開平10-212319号公報、特開2004-182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合または気相重合が挙げられる。ここでバルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいい、溶液重合またはスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
これらの重合方法は、バッチ式、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法またはバルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク-気相重合法による方法が好ましい。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするヘテロファジックプロピレン共重合体HPSの物性等に応じて、適宜決定すればよい。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSの製造において、ヘテロファジックプロピレン共重合体HPS中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じてヘテロファジックプロピレン共重合体HPSをそのヘテロファジックプロピレン共重合体HPSが融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55-75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSに含有されるプロピレンに由来する単量体単位を80重量%以上含有する重合体(I)は、例えば、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。重合体(I)が、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む場合、この含有量は、重合体(I)の全重量を基準として、例えば、0.01~20重量%であってもよい。
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン及び炭素原子数4以上(C4+)のα-オレフィンが挙げられる。中でも、エチレン及びC4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体及びプロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体が挙げられる。
重合体(I)は、成形体の寸法安定性の観点から、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。
重合体(I)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数(以下、[η]で示す。)は、プロピレン樹脂組成物が溶融した時の流動性とそれからなる成形体の靭性とのバランスを良好にするという観点から、好ましくは0.7~3.5dl/gであり、より好ましくは1.5~3.0dl/gである。
また、ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSに含有される重合体(I)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量分布(Q値、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn))として、好ましくは3~7であり、より好ましくは3~5である。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSに含有される、エチレン及びC4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する重合体(II)は、エチレン及びC4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位を20重量%以上含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有することが好ましい。
重合体(II)において、エチレン及びC4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、20~70重量%であってよく、20~60重量%であってもよく、25~50重量%であってもよい。
重合体(II)において、エチレン及びC4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンとしては、エチレン及びC4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
重合体(II)としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-デセン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体及びプロピレン-1-デセン共重合体が挙げられる。中でも、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体及びプロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体が好ましく、プロピレン-エチレン共重合体がより好ましい。
重合体(II)におけるプロピレンに由来する構成単位の重量(プロピレン含量)とエチレンに由来する構成単位の重量(エチレン含量)との比(プロピレン含量/エチレン含量(重量/重量))は、良好な剛性と耐衝撃性のバランスを得るという観点から、好ましくは80/20~30/70であり、より好ましくは80/20~40/60であり、特に好ましくは70/30~50/50である。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSに含有される、エチレン及びC4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する重合体(II)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度数(以下、[η]IIで示す。)は、2.0~7.5dl/gであり、好ましくは2.5~6.5dl/gであり、より好ましくは2.7~5.0dl/gである。
また、重合体(I)の極限粘度数([η])に対する重合体(II)の極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η])は、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10であり、さらに好ましくは1~3である。
なお、本発明における極限粘度数(単位:dl/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度数は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
ヘテロファジックプロピレン共重合体HPSが重合体(I)と重合体(II)とを多段重合させて得られる重合体である場合、前段の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーから重合体(I)または重合体(II)の極限粘度数を求め、この極限粘度数の値と各成分の含有量を用いて残りの成分の極限粘度数を算出することができる。
また、重合体(I)と重合体(II)からなるヘテロファジックプロピレン重合材料が、重合体(I)が前段の重合工程で得られ、重合体(II)が後段の工程で得られる方法によって製造される共重合体である場合、重合体(I)および重合体(II)の含有量、極限粘度数([η]Total、[η]、[η]II)の測定および算出の手順は、以下のとおりである。なお、極限粘度数([η]Total)は、重合体(I)および重合体(II)からなるヘテロファジックプロピレン重合材料の全体の極限粘度数を示す。
前段の重合工程で得た重合体(I)の極限粘度数([η])、後段の重合工程後の最終重合体の前記の方法で測定した極限粘度数([η]Total)、最終重合体に含有される重合体(II)の含有量から、重合体(II)の極限粘度数([η]II)を、下記式により計算する。
[η]II=([η]Total-[η]×X)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度数(dl/g)
[η]:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度数(dl/g)
:重合体(I)および重合体(II)らなるヘテロファジックプロピレン重合材料全体に対する重合体(I)の重量比
II:重合体(I)および重合体(II)からなるヘテロファジックプロピレン重合材料全体に対する重合体(II)の重量比
なお、X、XIIは重合時の物質収支から求める。
前記XII:重合体(I)および重合体(II)からなるヘテロファジックプロピレン重合材料全体に対する重合体(II)の重量比は、重合体(I)と最終重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出してもよい。
II=1-(ΔHf)/(ΔHf)
(ΔHf):最終重合体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf):重合体(I)の融解熱量(cal/g)
プロピレン重合体Pの示差走査熱量測定(DSC)により求められる融点は、好ましくは120℃以上であり、より好ましくは125℃以上であり、さらに好ましくは130℃以上である。また、プロピレン重合体PのDSCにより求められる融解熱量は、好ましくは50J/g以上であり、より好ましくは60J/g以上、さらに好ましくは80J/g以上である。
融点とは、プロピレン重合体P中に含まれる結晶相の融解温度である。具体的には、プロピレン重合体Pを昇温したときに得られるDSC曲線において、最も高温側の吸熱ピークにおけるピークトップ温度である。
融解熱量とは、プロピレン重合体P中に含まれる結晶相が、溶融状態へ転移するために必要な熱量であり、具体的には、プロピレン重合体成分を昇温したときに得られるDSC曲線における全吸熱ピークのピーク面積の合計として求められる。
なお、融点と融解熱量は、DSCを用いて、以下の条件で測定する。(i)結晶性プロピレン重合体P約10mgを、窒素雰囲気下、220℃で5分間熱処理した後、降温速度10℃/分で40℃まで冷却する。(ii)次いで、40℃において1分間保温した後、40℃から180℃まで昇温速度10℃/分で加熱する。
プロピレン重合体PのMFRは2.5g/10分以下であることが好ましく、場合により2g/10分以下であってもよく、1.5g/10分以下であってもよく、1g/10分以下であってもよい。前記MFRの下限値は特に限定されないが、0.01g/10分以上であってもよく、0.05g/10分以上であってもよく、0.1g/10分以上であってもよい。MFRは、JIS K7210-1999に規定された方法に従って、230℃、2.16kg荷重で測定される値である。
本発明において、プロピレン重合体Pは、公知の固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物触媒成分と、必要に応じて更に電子供与体とを接触させて形成される触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを接触させて形成される触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物と、有機アルミニウム化合物とを接触させて形成される触媒系などを用いて、公知の重合方法によって製造することができる。
本発明において、熱可塑性エラストマーEとはオレフィン系エラストマー又はスチレン系エラストマーであり、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、オレフィン系エラストマーとは、プロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを有する共重合体である。C4~10のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどが挙げられる。プロピレン又はC4~10のα-オレフィンとして、好ましくはプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、又は1-オクテンであり、より好ましくは、プロピレン、1-ブテン又は1-オクテンである。オレフィン系エラストマーは、プロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位を、2種以上有していてもよい。
オレフィン系エラストマーは、プロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位や、エチレンに由来する構成単位に加えて、他のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。該他のモノマーとしては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンなどのC4~8の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ジシクロオクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンなどのC5~15の非共役ジエン;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチルアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。他のモノマーとして、好ましくは、5-エチリデン-2-ノルボルネン又はジシクロペンタジエンである。オレフィン系エラストマーは、他のモノマーに由来する構成単位を、2種以上有していてもよい。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-(1-オクテン)共重合体、エチレン-プロピレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-プロピレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-プロピレン-(1-オクテン)共重合体、エチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)共重合体、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-(1,4-ヘキサジエン)共重合体、エチレン-プロピレン-(5-ビニル-2-ノルボルネン)共重合体などが挙げられる。オレフィン系エラストマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。オレフィン系エラストマーとして、好ましくは、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-(1-オクテン)共重合体、又はエチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)共重合体であり、より好ましくはエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-(1-ブテン)共重合体、又はエチレン-(1-オクテン)共重合体である。
オレフィン系エラストマーの、エチレンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは30~95重量%であり、より好ましくは、40~80重量%である。オレフィン系エラストマーのプロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは5~70重量%であり、より好ましくは20~60重量%である。上記において、エチレンに由来する構成単位の含有量と、プロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量の全量を、100重量%とする。
オレフィン系エラストマーが、プロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位や、エチレンに由来する構成単位に加えて、他のモノマーに由来する構成単位を有している場合、他のモノマーに由来する構成単位の含有量は、好ましくは1~40重量部であり、より好ましくは5~25重量部である。上記においてし、エチレンに由来する構成単位の含有量と、プロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量の全量を、100重量部とする。
プロピレン又はC4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量、エチレンに由来する構成単位の含有量、及び他のモノマーに由来する構成単位の含有量は、13C-NMR法により求められる。
オレフィン系エラストマーは、公知の触媒を用いて、公知の重合方法により製造することができる。公知の触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系、チーグラーナッタ触媒系、メタロセン触媒系等が挙げられる。公知の重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法等が挙げられる。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位と共役ジエンに由来する構成単位からなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン由来の二重結合が水素添加されたブロック共重合体の水素添加物などが挙げられる。スチレン系エラストマーとして、好ましくは、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位と共役ジエンに由来する構成単位からなるブロック共重合体の、共役ジエンに由来する二重結合が80%以上水素添加されたブロック共重合体であり、より好ましくは共役ジエンに由来する二重結合が85%以上水素添加されたブロック共重合体である。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン-エチレン-ブテン-スチレンゴム(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンゴム(SEPS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンゴム(SIS)などのブロック共重合体、又はその水素添加物などが挙げられる。
熱可塑性エラストマーEのDSCにより求められる融点は、好ましくは150℃未満である。また、熱可塑性エラストマーEのDSCにより求められる融解熱量は、好ましくは120J/g未満であり、より好ましくは70J/g未満であり、さらに好ましくは60J/g未満である。
ここで、熱可塑性エラストマーEの融点とは、熱可塑性エラストマーE中に含まれる結晶相の融解温度であり、具体的には、熱可塑性エラストマーEを昇温したときに得られるDSC曲線において、最も高温側の吸熱ピークにおけるピークトップ温度である。
熱可塑性エラストマーEの融解熱量とは、熱可塑性エラストマーE中に含まれる結晶相が、溶融状態へ転移するために必要な熱量であり、具体的には、熱可塑性エラストマーEを昇温したときに得られるDSC曲線において、全吸熱ピークのピーク面積の合計である。
なお、前記融点と前記融解熱量は、DSCを用いて、以下の条件で測定する。(i)熱可塑性エラストマーE約10mgを、窒素雰囲気下、220℃で5分間熱処理した後、降温速度5℃/分で-80℃まで冷却する。(ii)次いで、-80℃において1分間保温した後、-80℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱する。
本発明の層Sは熱可塑性エラストマーEを含有してもよい。熱可塑性エラストマーEとしては、経済性や耐衝撃性の観点から、オレフィン系エラストマーを使用することが好ましい。
熱可塑性エラストマーEのMFRは、好ましくは0.1~10g/10分であり、より好ましくは0.2~4g/10分である。MFRは、JIS K7210-1999に規定された方法に従って、190℃、2.16kg荷重で測定される。
本発明の層Sに含まれるプロピレン重合体Pの含有量を100重量部としたとき、本発明の層Sに含まれる熱可塑性エラストマーEの含有量は、0~24重量部であり、場合により0~18重量部でもよく、0~15重量部でもよい。
本発明の層Sは板状フィラーFを含有してもよい。板状フィラーFとしては、マイカ、ガラスフレーク、タルクなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。板状フィラーFとしては、タルクが好ましい。
平均粒子径D50[L]
平均(メディアン)粒子径D50[L]は、レーザー法粒度分布測定機を用いて、JIS R1629に従って測定し、得られた粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値から求められる。レーザー法粒度分布測定機としては、例えば、日機装株式会社MT-3300EX-IIなどが挙げられる。板状フィラーFの平均粒子径D50[L]は、7μm以下であることが好ましい。
平均粒子径D50[S]
平均(メディアン)粒子径D50[S]は、遠心沈降法粒度分布測定機を用いて、JIS R1619に従って測定し、得られた粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値より求められる。遠心沈降法粒度分布測定機としては、例えば、株式会社島津製作所製島津製作所SA-CP3などが挙げられる。平均粒子径D50[S]は、1~4μmであることが好ましい。
アスペクト比定数
板状フィラーFのアスペクト比定数は、0.1~2.5であることが好ましい。アスペクト比定数は、上記平均粒子径D50[L]と上記平均粒子径D50[S]の値から下記の式(1)によって求められる。
アスペクト比定数={D50[L]-D50[S]}/D50[S] 式(1)
本発明の層Sに含まれるプロピレン重合体Pの含有量を100重量部としたとき、本発明の層Sに含まれる板状フィラーFの含有量は、0~24重量部であり、場合により0~18重量部でもよく、0~15重量部でもよい。
層C
本発明の層Cは、プロピレン重合体Pと、板状フィラーFを含有する。
本発明の層Cに含まれるプロピレン重合体Pの含有量は、20~90重量部であり、好ましくは30~85重量部であり、より好ましくは40~80重量部である。本発明の層Cに含まれる板状フィラーFの含有量は、10~80重量部であり、好ましくは15~70重量部であり、より好ましくは20~60重量部である。ただし、Pの含有量とFの含有量の合計を、100重量部とする。
プロピレン重合体Pとしては、層Sに含まれるプロピレン重合体Pと同様のものを用いることができる。Pは、Pとは独立に決定されうる。
一態様において、プロピレン重合体Pは、プロピレン単独重合体PPC、エチレン-プロピレン共重合体CPC、又はヘテロファジックプロピレン共重合体HPCを含有する。これらは単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。プロピレン単独重合体PPCとしては、プロピレン重合体Pに含まれうるプロピレン単独重合体PPSと同様のものを用いることができる。PPCは、PPSとは独立に決定されうる。エチレン-プロピレン共重合体CPCとしては、プロピレン重合体Pに含まれうるエチレン-プロピレン共重合体CPSと同様のものを用いることができる。CPCは、CPSとは独立に決定されうる。ヘテロファジックプロピレン共重合体HPCとしては、プロピレン重合体Pに含まれうるヘテロファジックプロピレン共重合体HPSと同様のものを用いることができる。HPCは、HPSとは独立に決定されうる。
一態様において、重合体Pは、重合体PPC1~100重量部及び共重合体CPC0~99重量部を含有し、好ましくは、重合体PPC30~99重量部及び共重合体CPC1~70重量部を含有する。上記の各含量は、重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたときの含量である。
板状フィラーFとしては、層Sに含まれうる板状フィラーFと同様のものを用いることができる。Fは、Fとは独立に決定されうる。Fの平均粒子径D50[L]は、8μm以上であることが好ましい。Fの平均粒子径D50[S]は、2~8μmであることが好ましい。Fのアスペクト比定数は、2~15μmであることが好ましい。
本発明の層Cに含まれる板状フィラーFの含有量は、10~80重量部であり、好ましくは15~70重量部であり、より好ましくは20~60重量部である。ただし、Pの含有量とFの含有量の合計を、100重量部とする。
本発明の層Cは、熱可塑性エラストマーEを含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーEとしては、層Sに含まれうる熱可塑性エラストマーEと同様のものを用いることができる。Eは、Eとは独立に決定されうる。層Cが熱可塑性エラストマーEを含む場合、熱可塑性エラストマーEの含有量は、層C100重量部に対して、0.1~15重量部であり、好ましくは0.5~5重量部である。
本発明の層S及び層Cを構成する各成分の混合方法としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等の混練機で、各成分を溶融混練する方法や、プロピレン重合体P若しくはP又は熱可塑性エラストマーE若しくはEを製造するための重合反応中に、各成分を混合する方法などが挙げられる。溶融混練の条件により、得られる樹脂組成物のMFRが変化する場合がある。混練の際には、溶融樹脂の温度が高くならないよう、また滞留時間が長くならないように混練条件を調整することが好ましい。例えば二軸押出機では吐出量やスクリュー回転数を低く調整することや、スクリューを構成するニーディングディスクを発熱の少ないタイプの組み合わせとする方法などがある。これにより層S及び層Cを形成する樹脂組成物のMFRが高くなることが抑えられる。
本発明の層S及び層Cを製造する方法としては、例えば、プレス成形法、押出成形法、射出成形法などが挙げられる。
本発明の圧延成形用積層体には、成形体中の板状フィラーの分散性を向上させるために、変性重合体を含有していてもよい。変性重合体として、例えば、マレイン酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
変性重合体は、耐衝撃性を良好なものにするために、圧延成形用積層体の全量100重量部あたり、0.5重量部から15重量部含有されていることが好ましい。
本発明の圧延成形用積層体は、各種添加剤や結晶造核剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などが挙げられる。
結晶造核剤としては、ソルビトール系核剤、有機リン酸エステル金属塩系化合物、有機カルボン酸金属塩系化合物、ロジン系化合物などのα晶核剤や、アミド系化合物、キナナクリドン系化合物などのβ晶核剤が挙げられる。結晶造核剤の含有量は、添加した効果を充分に得るために、圧延成形用積層体を100重量部として、0.001重量部以上であることが好ましく、結晶核剤の分散性の悪化を抑えるために、圧延成形用積層体の全量100重量部あたり、1.5重量部以下であることがより好ましい。
圧延成形用積層体は、共押出法、層Sと層Cを加熱して圧着する方法、層Sと層Cとを接着層を介して接着する方法など、公知の積層方法で製造することができる。圧延成形用積層体は、層Sと層Cを、接着せずに重ね合わせたものでもよい。
本発明の成形体は、本発明の積層体を圧延成形することで得られ、具体的には、積層体の厚み方向に加熱圧縮することで得られる。本発明の成形体は、成形体中に含まれる板状フィラーの厚み方向に垂直な面が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向と平行に配向していることが好ましい。
成形体中における板状フィラーの配向状態は、成形体の広角X線散乱を測定することにより評価することができる。
板状フィラーの配向状態は、板状フィラーの配向度によって定量化できる。板状フィラーの配向度は、二次元広角X線散乱像の板状フィラーの厚み方向に垂直な格子面の方位角強度分布の半値幅を用いて、下記の式(2)により求めることができる。尚、方位角度強度分布を計算するときの散乱角度幅は、前記格子面に由来する回折ピーク位置から±0.5°の範囲とする。
配向度(%)={(180-hwd)/180}×100 式(2)
式(2)中、hwdは、板状フィラーの厚み方向に垂直な格子面の方位角強度分布における半値幅(単位:度)を表す。
上記配向度の値が大きいほど、板状フィラーの面が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向と平行に配向していると言える。
本発明の成形体に含まれる板状フィラーの配向度は、80%以上であり、耐衝撃性を良好なものにするため、好ましくは85%以上である。
プロピレン重合体Pの結晶内の原子は、三次元的な周期性をもって繰り返し配列されているため、その周期性を考慮して、結晶は一定の構造を持った平行六面体が三次元的に積み重なったものと考えられる。このような平行六面体を単位格子いう。この単位格子の三辺をそれぞれ、a軸、b軸、c軸と呼ぶ。α晶ポリプロピレン結晶の単位格子では、分子鎖方向をc軸といい、その他の結晶軸の2辺のうち、短軸をa軸、長軸をb軸という。
本発明における成形体は、プロピレン重合体Pの結晶構造のうち、α晶のc軸又はa軸が、加熱圧縮時の流動方向に平行に配向していることが好ましい。結晶性プロピレン重合体Pのα晶のc軸又はa軸が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向に配向していることによって、成形体の衝撃強度を高くすることができる。
プロピレン重合体Pの結晶の配向状態は、成形体の広角X線散乱を測定することにより評価を行うことができる。
プロピレン重合体Pの結晶の配向状態は、結晶配向度によって定量化できる。結晶配向度は、二次元広角X線散乱像の(040)面の方位角強度分布の半値幅を用いて、下記の式(3)により求めることができる。尚、方位角度強度分布を計算するときの散乱角度幅は、前記(040)面に由来する回折ピーク位置から±0.5°の範囲とする。
結晶配向度(%)={(180-hw040)/180}×100 式(3)
式(3)中、hw040は、プロピレン重合体Pのα晶における(040)面の方位角強度分布における半値幅(単位:度)を表す。
結晶配向度の値が大きいほど、プロピレン重合体Pのα晶のc軸又はa軸が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向と平行に配向していると言える。
本発明の成形体に含まれるプロピレン重合体Pの結晶配向度は、75%以上であり、好ましくは、80%以上である。
本発明の成形体は、前述の圧延成形用積層体を、プロピレン重合体Pの融点近傍の温度で加熱圧縮することにより得られる。
圧延成形用積層体を加熱圧縮する際、加熱圧縮に用いられる装置における圧延成形用積層体と接触する加圧部の温度は、プロピレン重合体Pの融点(Tm)近傍の温度であり、好ましくは融点(Tm)-20℃以上、融点(Tm)+10℃以下であり、より好ましくは融点(Tm)-10℃以上、融点(Tm)+5℃以下である。
圧延成形用積層体を加熱圧縮する時間は、成形体の耐衝撃性を良好なものにするためや、積層体に含まれる成分の熱劣化を防止するために、好ましくは1秒~30分であり、より好ましくは5秒~10分であり、更に好ましくは10秒~5分である。
圧延成形用積層体を加熱圧縮する装置としては、例えば、温度調節機能を有するプレス成形機、トラックベルト型の加熱加圧成形機、加圧可能なベルト型のシーラー、圧延ロール成形機などが挙げられる。また、加熱圧縮する方法としては、温度調節機能を有するプレス成形機により、圧延成形用積層体を厚み方向から加熱圧縮する方法が好ましい。
圧延成形用積層体を加熱圧縮する方法として、加熱圧縮する装置の、圧延成形用積層体と接触する加圧部に、潤滑剤を塗ることも可能である。潤滑剤としては、例えば、シリコンオイルなどが挙げられる。潤滑剤を塗ることで、圧延成形用積層体と加圧部の摩擦抵抗が軽減され、より円滑に圧延成形用積層体を加熱圧縮することができるため、成形サイクルの向上及び加熱圧縮する装置の負荷低減に繋がる。
本発明で得られた成形体は、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法などの公知の方法を用いて、更に所要の形状に成形加工することができる。
本発明で得られた成形体は、他の樹脂・金属・紙・皮革と張り合わせを行い、多層構造として用いることが可能である。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、質量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[実施例及び比較例で用いた成分]
実施例及び比較例で用いた成分を、以下に示す。
エチレン-プロピレン共重合体CPS(1)
特開2008-208362号公報の実施例1に記載の触媒の存在下、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、エチレン-プロピレン重合体CPS(1)を製造した。物性は以下のとおりであった。
・MFR(230℃、荷重2.16kgf):1.5g/10分
・エチレン含有量5.7重量%
プロピレン単独重合体PPS(1)
特開2004-182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、液相-気相重合法によって、プロピレン単独重合体PPS(1)を製造した。物性は以下のとおりであった。
・MFR(230℃、荷重2.16kgf):0.5g/10分
プロピレン単独重合体PPS(2)
特開2004-182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、液相-気相重合法によって、プロピレン単独重合体PPS(2)を製造した。物性は以下のとおりであった。
・MFR(230℃、荷重2.16kgf):6.7g/10分
プロピレン単独重合体PPC(1)
特開2004-182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、液相-気相重合法によって、プロピレン単独重合体PPC(1)を製造した。物性は以下のとおりであった。
・MFR(230℃、荷重2.16kgf):0.5g/10分
プロピレン単独重合体PPC(2)
特開2004-182981号公報の実施例1記載の方法によって得られる重合触媒を用いて、液相-気相重合法によって、プロピレン単独重合体PPC(2)を製造した。物性は以下のとおりであった。
・MFR(230℃、荷重2.16kgf):6.7g/10分
熱可塑性エラストマーE(1)
熱可塑性エラストマーE(1)として、ダウ・ケミカル日本社製「エンゲージ(登録商標)7487」(エチレン-1-ブテン共重合体)を用いた。物性は以下のとおりであった。
・MFR(190℃、荷重2.16kgf):0.3g/10分
・密度:0.860g/cm
熱可塑性エラストマーE(2)
熱可塑性エラストマーE(2)として、ダウ・ケミカル日本社製「エンゲージ(登録商標)7447」(エチレン-1-ブテン共重合体)を用いた。物性は以下のとおりであった。
・MFR(190℃、荷重2.16kgf):5g/10分
・密度:0.865g/cm
板状フィラーF(1)
板状フィラーF(1)として、Imerys社製タルク「Jetfine 3CA」を用いた。物性は以下のとおりであった。
・平均粒子径D50[L]:4.39μm
・平均粒子径D50[S]:1.73μm
板状フィラーF(1)
板状フィラーF(1)として、Imerys社製タルク「HAR T84」を用いた。物性は以下のとおりであった。
・平均粒子径D50[L]:12.6μm
・平均粒子径D50[S]:3.47μm
板状フィラーF(2)
板状フィラーF(2)として、Imerys社製タルク「HAR W92」を用いた。物性は以下のとおりであった。
・平均粒子径D50[L]:11.4μm
・平均粒子径D50[S]:2.54μm
顔料
顔料を含む、下記の黒色マスターバッチを用いた。
・住化カラー社製「SPEM 8080G」
添加剤として、以下の成分を用いた。
中和剤
・堺化学工業社製のステアリン酸カルシウム
酸化防止剤
下記の酸化防止剤を用いた。
・酸化防止剤1:住友化学社製「スミライザーGA80」
・酸化防止剤2:ソンウォン社製「SONGNOX6260」
・酸化防止剤3:住化ケムテックス社製「スミソーブ400」
・酸化防止剤4:BASF社製「UVINUL5050H」
・酸化防止剤5:三共ライフテック社製「サノール LS―770」
・酸化防止剤6:住化ケムテックス社製「スミソーブ400」
滑剤
・三井物産社製「PLAMOWAX EBS」
核剤
・ADEKA社製「アデカスタブ NA―25」
[実施例1]
層S:樹脂組成物の製造
本発明に係る層Sの樹脂組成物を次の方法で製造した。
エチレン-プロピレン共重合体CPS(1)100重量部に、黒色マスターバッチとして住化カラー社製「SPEM 8080G」2重量部、添加剤として、「ステアリン酸カルシウム」を0.08重量部、「スミライザーGA80」を0.1重量部、「SONGNOX6260」を0.1重量部、「スミソーブ400」を0.2重量部、「UVINUL5050H」を0.2重量部、「サノール LS―770」を0.2重量部、「PLAMOWAX EBS」を0.05重量部、「アデカスタブ NA―25」を0.1重量部、を全成分混合し、日本製鋼所製二軸混練機TEX44αIIを用いて、バレル温度200℃、スクリュー回転数200rpm、押出量50kg/hrの条件で混練し組成物を得た。
得られた組成物のMFRは、1.4g/10分であった。
層C:樹脂組成物の製造
本発明に係る層Cの樹脂組成物を次の方法で製造した。
プロピレン単独重合体PPC(1)70重量%に、板状フィラーF(1)30重量%、添加剤として、「ステアリン酸カルシウム」を0.08重量部、「スミライザーGA80」を0.15重量部、「SONGNOX6260」を0.15重量部、「PLAMOWAX EBS」を0.05重量部、を全成分混合し、日本製鋼所製二軸混練機TEX44αIIを用いて、バレル温度200℃、スクリュー回転数200rpm、押出量50kg/hrの条件で混練し組成物を得た。
得られた組成物のMFRは、0.6g/10分であった。
圧延成形用積層体の製造
本発明に係る圧延成形用積層体の製造を次の方法で製造した。
田辺プラスチック機械社製3層シート加工機(層C押出:40mm単軸押出機、層S押出:20mm単軸押出機)を用い、層C押出をバレル温度220℃、スクリュー回転数100rpmで、層S押出をバレル温度210℃、スクリュー回転数35rpmで行い、Tダイの設定温度220℃、ロール温度90℃で圧延成形用積層体の製造を行った。得られた圧延成形用積層体は厚み0.27cm、幅25cmであった。
圧延成形用積層体の圧延加工
本発明に係る圧延成形用積層体を用い、圧延加工を次の方法で行った。
140℃で予熱した圧延成形用積層体(15cm×15cm)を、川崎油工株式会社製TMP1-500を用いて140℃の温度で0.25cmの平板にプレス圧延を行った。
[実施例2~4及び比較例1~3]
層S:樹脂組成物の製造
本発明に係る層Sの樹脂組成物を次の方法で製造した。
プロピレン系重合体P、熱可塑性エラストマーE、板状フィラーFの種類及び割合を表1の通りとし、黒色マスターバッチ及び添加剤を実施例1と同量混合し、実施例1と同条件で混練し組成物を得た。
得られた組成物のMFRは表1の通りであった。
層C:樹脂組成物の製造
本発明に係る層Cの樹脂組成物を次の方法で製造した。
プロピレン系重合体P及び板状フィラーFの種類及び割合を表1の通りとし、添加剤を実施例1と同量混合し、実施例1と同条件で混練し組成物を得た。
得られた組成物のMFRは表1の通りであった。
圧延成形用積層体の製造
本発明に係る圧延成形用積層体の製造を実施例1と同様に、田辺プラスチック機械社製3層シート加工機(層C押出:40mm単軸押出機、層S押出:20mm単軸押出機)を用い、層C押出をバレル温度220℃、スクリュー回転数100rpmで、層S押出をバレル温度210℃、スクリュー回転数35~52rpmで行い、Tダイの設定温度220℃ロール温度90℃で圧延成形用積層体の製造を行った。
圧延成形用積層体の圧延加工
本発明に係る圧延成形用積層体を用い、実施例1と同様にプレス圧延を行った。
[評価]
メルトマスフローレイト
230℃、荷重2.16kgfの条件で、JIS K7210-1999に従ってメルトマスフローレイト(MFR)を測定した。ただし、成分(B)については、190℃、荷重2.16kgfの条件で測定した。
板状フィラーの平均粒子径:D50[L]
レーザー回折法により測定される、板状フィラーの50%相当粒子径(平均粒子径D50[L])は、日機装社製マイクロトラック粒度分析計MT-3300EXIIを用い、JIS R1629に規定された方法に従って、下記の条件にて板状フィラーを分散させたのち、測定した。
板状フィラーの分散処理
分散媒:エタノール
装置:ホモジナイザー
出力:40W
処理時間:10分
板状フィラーの平均粒子径:D50[S]
遠心分離法により測定される、板状フィラーの50%相当粒子径(平均粒子径D50[S])は、島津製作所社製 遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3を用い、JIS R1619に規定された方法に従って、下記の条件にて板状フィラーを分散させたのち、測定した。
板状フィラーの分散処理
分散媒:エタノール
装置:本多電子社製 W-113MkII
出力:110W 24kHz
処理時間:10分
各層厚みの測定
シートを幅方向に切断し、切断断面をHIROX社製マイクロスコープRH2000で50倍、150倍で観察して各層の厚みを測定して、下記式に従って各層の厚み割合を求めた。
層S厚み(%)=(層S(μm)/(層S(μm)+層C(μm)))×100 式(4)
層C厚み(%)=(層C(μm)/(層S(μm)+層C(μm)))×100 式(5)
シート加工性(表面均一性)
圧延成形用積層体の表面を3人の当業者パネルにより目視で観察し、統一見解を決定した。均一な表面の場合を良好(〇)と判定し、表面に艶ムラやシワが発生している場合を不良(×)と判定した。
面品質(表面光沢の均一性)
圧延成形用積層体の表面光沢をBYK社製micro-TRI-gloss Sを用いて光源角度60°で測定した。測定位置はシートの幅方向の端から中央に向かって2.5cm、7.5cm、12.5cmの3点と、幅方向に対し垂直方向(シートの押出方向)に5cm、10cm移動した点の合計9点を測定し、最大光沢と最小光沢の差で、均一性を評価した。
耐傷性
圧延成形用積層体の表面の耐傷付き性評価として、エリクセン社製ピン引掻き式硬度計318(標準ピン)を用いピン傷が白化する荷重を測定した。荷重3Nを超えた場合に良(〇)と判定し、荷重が3N未満だった場合に不良(×)と判定した。
圧延加工性
圧延成形用積層体の圧延加工性を下記の式を用いて評価した。圧延面圧の数値が小さいほど加工性に優れ、圧延面圧2500kN/m以下を加工性良好(〇)と判定し、圧延面圧が2500kN/mを超えた場合に不良(×)と判定した。
圧延面圧(kN/m)=[0.25cmまで圧延加工したときの油圧(kN)]/[圧延された積層体の面積(m)] 式(6)
Figure 2023011380000001
本発明によれば、表面光沢均一性に優れた圧延成形用積層体が提供され、該積層体を圧延成形することにより、表面光沢均一性に優れた成形体を得ることができる。

Claims (10)

  1. 層Sと層Cとを有する圧延成形用積層体であって、
    ・層Sの厚みと層Cの厚みの合計を100%としたときの、層Sの厚みが0.5~10%であり、
    ・層Sの厚みと層Cの厚みの合計を100%としたときの、層Cの厚みが90~99.5%であり、
    層Sが以下の成分を含有し:
    ・プロピレン重合体P:100重量部
    ・熱可塑性エラストマーE:重合体Pの含量を100重量部としたとき、0~24重量部
    ・板状フィラーF:重合体Pの含量を100重量部としたとき、0~24重量部
    層Sを形成する樹脂組成物のMFRは2.5g/10分以下であり、
    層Cが以下の成分を含有し:
    ・プロピレン重合体P:層Cを構成する全成分含量を100重量部としたとき、20~80重量部
    ・板状フィラーF:層Cを構成する全成分含量を100重量部としたとき、20~80重量部
    層Cを形成する樹脂組成物のMFRは2.5g/10分以下である、
    圧延成形用積層体。
  2. プロピレン重合体Pが以下の成分を含有する、請求項1に記載の圧延成形用積層体であって:
    ・プロピレン単独重合体PPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、0~99重量部、
    ・エチレン-プロピレン共重合体CPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、1~100重量部、
    プロピレン単独重合体PPSはプロピレン由来の構成単位を99重量%以上含有し、
    エチレン-プロピレン共重合体CPSはエチレン由来の構成単位を1重量%以上含有する、
    圧延成形用積層体。
  3. プロピレン重合体Pが以下の成分を含有する、請求項2に記載の圧延成形用積層体:
    ・プロピレン単独重合体PPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、30~90重量部、
    ・エチレン-プロピレン共重合体CPS:プロピレン重合体Pを構成する全成分含量を100重量部としたとき、10~70重量部。
  4. プロピレン単独重合体PPSのMFRが2.5g/10分以下であり、エチレン-プロピレン共重合体CPSのMFRが2.5g/10分以下である、請求項2又は3に記載の圧延成形用積層体。
  5. 板状フィラーFの平均粒子径D50[L]が7μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
  6. プロピレン重合体Pが下記のプロピレン重合体PPCを含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体:
    ・プロピレン単独重合体PPC:プロピレン由来の構成単位を99重量%以上含有する。
  7. 板状フィラーFの平均粒子径D50[L]が8μm以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
  8. プロピレン重合体Pがヘテロファジックプロピレン共重合体HPSを含有する、請求項1に記載の圧延成形用積層体。
  9. フィラーFがタルクを含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体が厚み方向に加熱圧縮された、成形体。

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