JP2023010092A - 包装材、包装体および包装体付き物品 - Google Patents

包装材、包装体および包装体付き物品 Download PDF

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Abstract

【課題】ICタグとしての機能の低下を抑制しながら、広い領域にアンテナを配置することが可能な、包装材、包装体および包装体付き物品を提供する。【解決手段】物品600の少なくとも一部を覆う包装体10であって、基材110と、基材110の少なくとも一方の面側に形成されたアンテナ30と、を備える。アンテナ30は、その第1の領域を形成する第1端部41a、42a及び拡張領域31pの幅がアンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広い。【選択図】図1

Description

本発明は、物品の少なくとも一部を覆うこと、および非接触通信に利用することが可能な包装材、包装体、および包装体付き物品に関する。
近年、電波等を用いた非接触の近距離通信として、RFID技術を利用したICタグが用いられている。例えば、種々の物品や物品の包装部材にICタグが貼付された状態で、当該物品が輸送や販売等の流通に供される。この場合、必要に応じて当該物品を外部機器(リーダライター)にかざすことにより、ICタグのICチップに記録された物品情報を非接触通信により読み出すことや当該ICチップに種々の情報を書き込むことができる。これにより、効率的な物流管理が可能となる。
物品に貼付されるICタグは、主としてICチップおよび当該ICチップと電気的に接続されたアンテナから構成される。ICチップで生成した所定情報は電圧変化のパターンとしてアンテナに送信され、当該パターンはアンテナにて所定周波数の電波や磁界に変換されて外部機器に送信される。また、外部機器から送信された所定周波数の電波や磁界はアンテナで受信され、電圧変化のパターンに変換された上でICチップに所定情報として入力される。これにより、物品に貼付されるICタグは外部機器と直接、非接触通信ができる。
ICタグを物品に貼り付ける方法として、例えば基材の上にアンテナを形成し、さらにアンテナの上にICチップを搭載してラベル状のICタグを形成してから、これを物品や容器に貼り付ける方法がある。あるいは、組み立て前の物品の容器にあらかじめアンテナ部分だけを印刷しておき、組み立てた後の当該アンテナの所定位置にICチップを搭載する方法がある。特許文献1には、ボトル容器の外側面に粘着層を介してICタグが固定され、さらにその外側にシュリンクフィルムが巻かれたものが記載されている。ICタグは、基材と、当該基材上に形成されたアンテナと、当該アンテナに接続されたICチップとからなるインレット部と、当該インレット部の上面および下面に配され、インレット部を保護するための保護材とで構成されるものである。
また、特許文献2には、複数の折り曲げ部を有して組み立てられて、物品を収容するICタグ付きのパッケージが記載されている。すなわち、当該パッケージは、少なくとも2つの層を備えるパッケージ用板紙で構成され、一方の層が印刷されたアンテナパターンを含み、他方の層が接着されたRFIC素子を含み、一方の層と他方の層とが貼り合わされた積層体を有する。この積層体が、一方の層と他方の層との間にRFIC素子およびアンテナパターンが挟み込まれて、RFIC素子とアンテナパターンが電気的に接続されたRFICデバイスを備えているものである。
特開2010-49410号公報 国際公開WO2018/216686号
物品が金属を含有する場合や、電波透過性が低い水分を含む場合、物品に対するアンテナの配置によっては、外部機器との非接触通信が良好にできない可能性がある。このため、物品を覆う包装材自体にアンテナを形成することで、アンテナの配置領域が拡張でき、外部機器との非接触通信をする上で有利となる場合がある。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ICタグとしての機能を果たすことが可能であり、アンテナの配置場所の自由度が高い、包装材、包装体および包装体付き物品を提供することを課題とする。
本実施の形態による、物品の少なくとも一部を覆う包装体は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に形成されたアンテナと、を備え、前記アンテナは、第1の領域を備え、前記第1の領域の幅は、前記第1の領域を除く前記アンテナの幅よりも広い。
また、本実施の別の形態による包装体において、前記第1の領域は、前記第1部分および前記第2部分を含み、前記第1の部分の端部と前記第2の部分の端部とは互いに重畳してもよい。
また、本実施の別の形態による包装体において、前記アンテナは、互いに重畳せずに隙間を隔てて対向配置される第1の対向部および第2の対向部をさらに備えてもよい。
また、本実施の別の形態による包装体は、ICチップをさらに備え、前記ICチップの電気的な接続端子である第1パッドおよび第2パッドが、それぞれ前記第1の対向部および前記第2の対向部と電気的に接続し、前記ICチップおよび前記アンテナが外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成してもよい。
また、本実施の別の形態による包装体は、前記第1の部分の端部と前記第2の部分の端部とが、少なくとも前記基材の厚さ分だけ互いに離間してもよい。
また、本実施の別の形態による包装体において、前記第1の領域は、前記基材が折り曲げられている角部を含む領域を含んでもよい。
また、本実施の別の形態による包装体は、前記角部を含む前記アンテナが樹脂製の保護層で覆われてもよい。
また、本実施の別の形態による包装体において、前記基材は、折り曲げられている角部を境界とし、互いに交差し、かつ前記アンテナが形成されている第1のアンテナ形成面および第2のアンテナ形成面を備えてもよい。
また、本実施の別の形態による包装体において、前記アンテナは、螺旋状に配置されてもよい。
また、本実施の別の形態による包装体において、前記アンテナが、前記物品を挟んで互いに向かい合う前記基材に配置されていてもよい。
また、本実施の別の形態による包装体付き物品においては、前記物品は、無線通信に使用される波長の電磁波を遮蔽または吸収するものでもよい。
また、本実施の別の形態による包装体付き物品は、上述の包装体が物品の少なくとも一部を覆っていてもよい。
本実施の別の形態による、物品の少なくとも一部を覆うアンテナを備えた包装体を組み立てることが可能な包装材は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に形成された、前記アンテナを構成する導電パターンと、を備え、前記導電パターンは、互いに離間する第1の部分と第2の部分とを備え、前記基材の第1の外縁には、前記第1の部分の端部が配置され、前記基材の第2の外縁には、前記第2の部分の端部が配置され、前記第1の部分の端部および前記第2の部分の端部の幅が前記導電パターンの他の部位の幅と比べて広い。
また、本実施の別の形態による包装材は、前記第1の外縁の幅と、前記第2の外縁の幅とが同一であってもよい。
また、本実施の別の形態による包装材は、前記第1の外縁の幅方向における前記第1の部分の端部の配置と、前記第2の外縁の幅方向における前記第2の部分の端部の配置とが対応してもよい。
本実施の形態によれば、ICタグとしての機能を果たすことが可能であり、アンテナの配置場所の自由度が高い、包装材、包装体および包装体付き物品を提供することができる。
第1実施形態の包装材、包装体および包装体付き物品の構造を説明する概略図である。 図1(b)のA-A線についての包装材の断面図および折り曲げに関する説明図である。 第1実施形態のICチップおよびアンテナの接続方法を説明する図である。 第2実施形態の包装材、包装体および包装体付き物品の構造を説明する概略図である。 第2実施形態のICチップおよびアンテナの接続方法を説明する図である。 第1、第2実施形態の変形例を示す保護層に関する説明図である。 第3実施形態の包装材、包装体および包装体付き物品の構造を説明する概略図である。 第4実施形態の包装体および包装体付き物品の構造を説明する概略斜視図である。 第4実施形態の包装材を説明する平面図である。
以下、図面等を参照して、本開示の包装材、包装体および包装体付き物品の一例について説明する。ただし、本開示の包装材等は、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示の包装材、包装体および包装体付き物品の第1実施形態について説明する。図1(a)は、略直方体の形状である包装体10を示す概略斜視図である。また、図1(b)は、図1(a)の包装体を平面上に展開した包装材100を示す展開図である。包装体は、ICタグとして機能するためのアンテナが形成された、物品の少なくとも一部を覆うように組み立てられた、物品の保護または物品の意匠性向上のための部材であり、ICチップを含めない状態とICチップを含めた状態との両方を指す。また、包装材は、包装体を平面的に展開した部材を指す。
なお、本開示では、「組み立てる」とは、包装体10のように包装材100を折り曲げて箱状に組み立てることに限らず、後述するように飲料等のボトルの周囲に帯状のフィルムを巻き付けることをも包含する。また包装体は、内部に物品が入っているものおよび入っていないものの両方を指すものとし、特に包装体が物品を含むことを強調するために、包装体付き物品と称することもある。
ここで、説明の便宜上、包装体10についてXYZ直交座標系を設定する。図1(a)に示すように、包装体10に配置されるアンテナの配列方向に沿って紙面の上下方向にZ軸をとり、手前側と奥側とを結ぶ方向にY軸をとる。また、アンテナの配列方向に直交する左右方向にX軸をとる。Z軸に沿った上方を+Z方向とし、その反対方向を-Z方向とする。Z軸に沿った方向を単に上下方向ともいう。また、Y軸に沿った手前側から奥側に向かう方向を+Y方向とし、その反対方向を-Y方向とする。Y軸に沿った方向を単に奥行き方向ともいう。さらに、X軸に沿った左側から右側に向かう方向を+X方向とし、その反対方向を-X方向とする。X軸に沿った方向を単に左右方向ともいう。以下、図1~図3を参照しながら、第1実施形態に係る包装材100、包装体10および包装体付き物品の構成を説明する。
(a)包装体の構成
まず、包装体10について説明する。本実施形態の包装体10は、固形物である食品等の物品600の全体を包装する略直方体の板紙製の包装箱であり、物品付き包装体が全体として商品を構成する。ここで、図1(b)は、図1(a)の包装体10が図示しない床面と接する第2面12をXY平面上に固定したまま、周囲をXY平面上に展開した包装材100を、床面側から、すなわち-Z方向側から見た展開図である。図2(a)は、図1(b)において包装材100をA-A線で切った面を-X方向側から見た断面図である。図2(b)乃至図2(e)は図2(a)のB部に関する包装材100の折り曲げを説明する図である。また、図3は、ICチップおよびアンテナの接続方法を説明する図である。
図1(a)に示すように、包装体10は、物品600を収納する箱状容器である。包装体10は、直方体の各面に対応する面として、正面となる第1面11を-Y方向側に備え、第1面11と対向する+Y方向側に背面となる第3面13を備える。また、包装体10は、第1面11と-X方向側で隣接する左側面となる第5面15を備え、第5面15と対向する+X方向側に右側面となる第6面16を備える。さらに、包装体10は、第1面11と+Z方向側で隣接する天面となる第4面14を備え、第4面14と対向する-Z方向側に底面となる第2面12を備える。ただし、包装体10の配置は便宜的なものであり、第1面11が背面、左側面、右側面、天面または底面となるように配置されてもよい。
包装体10の第3面13、第4面14および第1面11の外側を向く面には、それぞれICタグ20を構成するアンテナ30が形成されている。アンテナ30は、第3面13のZ軸と、第4面14のY軸に沿って配置された第3部分31、第3部分31に隣接し、第4面14のY軸に沿って配置された第1部分41、および第1部分41に隣接し、第1面11のZ軸に沿って配置された第2部分42、から構成されている。第3部分31は、第4面14のY軸方向に沿った略中央から+Y方向および90度の屈曲を経て第3面13の下方まで延びている。また、第1部分41は、第4面14のY軸方向に沿った略中央から-Y方向の第4面14の端まで延びている。第2部分は、第4面14のZ軸方向に沿った+Z方向の端から略中央から下方まで延びている。
ここで、第1面11と第4面14との隣接部分では、第1面11から延在する糊代11bが第4面14の下方に重畳しており、第4面14に配置された第1部分41の第1端部41aと、第1面11に配置された第2部分42の第1端部42aとが重畳している。また、第4面14において第1部分41と第3部分31の端部同士が、離間して対向している。この点については後述する。
第4面14のY軸方向に沿った略中央から+Y方向および-Y方向のそれぞれに対向して第3部分31および第1部分41が形成されている。また、第3部分31および第1部分41が対向する端部の隙間には両者にまたがるようにICモジュール500が配置されている。これにより、対向配置される第3部分31および第1部分41を含むアンテナ30と、両アンテナと電気的に接続するICチップとがICタグ20を構成し、外部機器との電波や電磁誘導による非接触通信が可能である。
なお、包装体10は商品としての意匠性を備えるため、外表面に印刷層210が施されているが、各図においては一部領域を除いてその記載を省略している。上述したICタグ20を構成するアンテナ30は、印刷層210によって隠蔽され、視認し難くされることで意匠性を向上させている。ただし、印刷層210は必ずしも必要ではなく、アンテナ30が、印刷層210のさらに外表面に形成されていてもよい。また、本実施形態では。アンテナ30が包装体10の外表面側に形成されているが、意匠性等を考慮して、アンテナ30が包装体10の内表面側に形成されてもよく、包装体10の外表面側および内表面側の両方に形成されてもよい。
(b)包装材の構成
次に、上述した包装体10の構成の一層の理解を図るため、包装体10を平面上に展開した部材である包装材100の構成について説明する。包装材100は、図1(b)や図2(a)に示すように、基材110の一方の面である-Z方向側の面に導電パターン30が形成され、さらにこれらの導電パターンを含めて当該一方の面の全体を覆う印刷層210が形成されたものである。なお、導電パターン30は、組み立て後の包装体10において、アンテナ30となって、ICチップとともにICタグ20を構成する機能を備えるものである。しかし、後述する別の実施形態でも述べるとおり、本開示は導電パターン30と同様の関係を満たす他の導電パターンがさらに追加で配置されていることを妨げるものではない。
ここで、包装材の説明をする際は、包装体におけるアンテナを構成する部分を導電パターンと称する。包装材の時点では、まだICチップを搭載することによりICタグ20として機能するアンテナが形成されていないからである。ただし、アンテナおよび導電パターンが、実質的に同一のものを指すことは言うまでもない。なお、説明を簡単にするため、包装体10のアンテナ30に対応する包装材100の導電パターンを導電パターン30というように同一の符号を付している。
包装材100は上質紙、コート紙、アート紙等の紙材から構成される板紙もしくはプラスチック材またはこれらが混在もしくは積層された部材である。また、物品によってはガスバリア性の付与のため、上記部材の内側の面に樹脂コーティングしたり、アルミ箔やアルミ蒸着フィルムをさらに積層することができる。
包装材100は、組み立てることで略直方体の包装体10を形成できるよう、第2面12の-Y方向側に第1面11が隣接し、+Y方向側に第3面13が隣接して配置される。また、第2面12の-X方向側に第5面15が隣接し、+X方向側に第6面16が隣接して配置される。さらに、第3面13の+Y方向側に第4面14が隣接して配置される。
第2面12と第1面11との境界には、後工程で山折りされる折曲線12qが存在する。同様に、第2面12と第3面13との境界、第2面12と第5面15との境界、第2面12と第6面16との境界、および第3面13と第4面14との境界、には、それぞれ折曲線12s、12p、12rおよび13rが存在する。また、第1面11の-Y方向側、-X方向側および+X方向側には、それぞれ折曲線11q、11pおよび11rを境界とする略台形状の糊代11b、11aおよび11cが延在して設けられている。
一方、第3面13の-X方向側および+X方向側には、それぞれ折曲線13pおよび13qを境界とする略台形状の糊代13aおよび13bが延在して設けられている。また、第5面15の-X方向側および第6面16の+X方向側には、それぞれ折曲線15pおよび16pを境界とする略台形状の糊代15aおよび16aが延在して設けられている。図1(a)に示すように、糊代11bは図1(b)に示す第4面14の+Y方向側の端部と重畳するように組み立てられる。
また、糊代11a、11c、13aおよび13bは、それぞれ、図1(b)に示す第5面15の-Y方向側の端部、第6面16の-Y方向側の端部、第5面15の+Y方向側の端部、および第6面16の+Y方向側の端部、と重畳するように組み立てられる。さらに、糊代15aおよび16aは、それぞれ、図1(b)に示す第4面14の-X方向側の端部、および第4面14の+X方向側の端部、と重畳するように組み立てられる。
ここで、折線部は、あくまで後工程で折り曲げ加工されることが予定されている線を示すに過ぎず、事前に何らかの目印となる線の印刷や折目加工等が具体的に施されている必要はない。ただし、折り曲げ加工がしやすいように、基材110に断続的な貫通スリットを有するミシン目加工や、一方の面に連続的な途中の深さまでの切れ込みが形成されたハーフカット加工を施してもよい。あるいは、折曲線が視認できるよう、印刷等で目印となる線を表示したり、あらかじめ、折り目を形成しておく等の処置をしてもよい。また、糊代には実際に接着剤等を塗布して重畳する両部分を接着してもよく、糊代には何らの接着剤等を塗布しないものとしてもよい。
包装材100の第1面11、第3面13および第4面14には、それぞれ、Y軸に沿った直線状に導電パターン30が断続的に配置されている。具体的には、第1面11には、導電パターン30のうちの第2部分42が配置され、-Y方向側の端部である第1端部42aと、+Y方向側の端部である第2端部42bとを第2部分42の両端とする。ただし、導電パターン30と同様の関係を満たす他の導電パターンがさらに追加で配置されていてもよい。
同様に、第3面13と第4面14とにまたがるように導電パターン30のうちの第3部分31が配置され、-Y方向側の端部である第1端部31aと、+Y方向側の端部である第2端部31bとをその両端とする。第3面13と第4面14との境界には他の部位よりも導電パターンの幅が大きい拡張領域31pが設けられている。また、第4面14の導電パターン30から離間した+Y方向側には、導電パターン30のうちの第1部分41が配置され、-Y方向側の端部である第2端部41bと、+Y方向側の端部である第1端部41aとを第1部分41の両端とする。なお、上述の他の導電パターンがさらに追加で配置されている場合は、当該他の導電パターンもこれらの要件を満たすことが好ましい。
導電パターン30は、基材110の-Z方向側の面に形成される。ただし、導電パターンは、基材110の+Z方向側の面に形成されてもよく、基材110の-Z方向側および+Z方向側の両面に形成されていてもよい。さらに、上述の他の導電パターンが追加で配置されていてもよい。
導電パターン30は、ICタグ20のアンテナ30として、電波等の送受信を行うための所定パターンが導電部材で形成された部位である。本実施形態では、920MHz等のUHF帯で電波の送受信ができるよう、第3部分31と、第1部分41および第2部分42と、が一対のダイポールアンテナを構成する。ただし、アンテナ形態はダイポールアンテナには限定されず、例えば、モノポールアンテナであってもよく、通信仕様によってはループアンテナ等でもよい。また、ダイポールアンテナやモノポールアンテナの形状は直線状に限らず、螺旋状やメアンダ状等、任意の形状としてよい。上述の他の導電パターンについても同様である。
このようなアンテナを構成する導電パターンは、例えば基材110の一方の面に導電インキまたは導電ペーストを印刷することによって形成できる。導電インキまたは導電ペーストは、例えば銀系の導電粒子をバインダー樹脂や溶剤の中に分散させることで得られる。導電粒子は銀系が好ましいが、これに限らず、ニッケル、金、銅、白金等の金属粉末や導電性カーボンあるいはその複合体、合金等を用いてもよい。また、導電インキまたは導電ペーストの印刷は、メッシュ地の版を用いるスクリーン印刷やフレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等を用いることができ、粘度によってはインクジェット印刷も可能である。なお、印刷方式でアンテナを形成する場合、その膜厚は印刷の種類やインキの粘度、印刷速度等に依存するが、例えばグラビア印刷で形成する場合は、0.1μm以上、20μm以下程度となり、スクリーン印刷で形成する場合は、10μm以上、500μm以下程度となる。
なお、アンテナを構成する導電パターンはこれ以外の方法として、打ち抜いた金属箔を、接着剤を介して基材110に貼る方法や、薄い金属箔に接着剤を塗付してから所定形状のホットスタンプを押し当てて基材110に熱転写する方法も取り得る。しかし、包装材としての基材110はグラビア印刷機等によって高速で印刷されて巻き取られることが多いため、高速かつ低コストで導電パターン形成ができる印刷方式で導電パターンを形成することがより好ましい。
ダイポールアンテナを形成する場合の第3部分31の電気長、または第1部分41および第2部分42を足し合わせた部分の電気長は、最低限、通信対象の電磁波の波長の1/4である約75mm以上であることが望ましい。これにより、アンテナ30の全体として、非接触通信に好適な半波長ダイポールアンテナが形成できるからである。また、アンテナ30は一直線上に配置されてもよいが、この場合は特定方向に関する通信感度は強くなるものの指向性が狭くなる傾向がある。したがって、包装体10に組み立てた際の外部機器との位置関係の影響や収納する物品の電磁波遮蔽性または電磁波吸収性の影響による通信感度の変動を抑制するには、できる限りアンテナが多方向に沿って配置されることが望ましい。
ここで、基材110の一方の面側に形成されたアンテナおよびこれを構成する導電パターンである、第3部分31の第2端部31bおよび第1部分41の第2端部41bには、包装材100を組み立てて包装体10とした後で、ICモジュール500が搭載される。
その結果、ICチップの電気的な接続端子である第1パッドおよび第2パッドが、それぞれ第2端部31bおよび第2端部41bに設けられた互いに対向する対向部と電気的に接続する。これにより、ICタグ20は、外部機器との所定の非接触通信が可能となる。ちなみに、このときのダイポールアンテナの開放端は第3部分31の第2端部31b、および第2部分42の第2端部42bである。
ところで、ICモジュール500を第3部分31および第1部分41にまたがって搭載する方法およびそのときのICモジュール500周辺の構成として、主として以下の4通りが考えられる。図3(a)乃至図3(d)は、これを模式的に説明する概略説明図である。図3(a)に示すICタグ20jは、説明を容易化するために本実施形態のICタグ20の構成を単純化したものであり、アンテナの両端部の構成等の詳細がICタグ20とは異なるものである。図3(b)以降に示すICタグ20m、20kおよび20nも同様である。
ICタグ20jは、基材110に形成されたアンテナ30jおよび当該アンテナ30jの2箇所から分岐し、それぞれの先端がICチップ510と電気的に接続して全体として閉回路を形成するように、ループ回路520が設けられている。これは、当該閉回路が、ICチップ510、アンテナ30jおよびループ回路520から構成されるアンテナ構造のインピーダンスの共役整合を図る整合回路として機能することを企図している。
ICチップ510そのものであるICモジュール500は、ループ回路520の互いに離間して対向する両端にまたがるように搭載されている。この場合、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bは、それぞれループ回路520の互いに離間して対向する両端である対向部520aおよび520bと、直接、電気的に接合される。電気的な接合方法としては、例えば、ICチップ510の第1パッドおよび第2パッドに、あらかじめ金または鉛のバンプを形成しておく。そして、ACF(異方導電性フィルム)やACP(異方導電性ペースト)を介してICチップ510をアンテナに対して熱圧を掛けて接合することが考えられる。
一方、ICタグ20mは、基材110に形成された第1部分30mおよびこれと離間して対向配置される第2部分40mにまたがって、ICチップ510そのものであるICモジュール500を直接搭載したものである。この場合、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bは、それぞれ第1部分30mの端部である対向部30maおよび第2部分40mの端部である対向部40maと、直接、電気的に接合される。ICタグ20mは、ICタグ20jと同様に、第1部分30mおよび第2部分40mのそれぞれから分岐し、閉回路を形成するように、ループ回路520が設けられている。その目的もICタグ20jのループ回路520と同様である。
また、ICタグ20kは、基材110に連続的に形成されたアンテナである第1要素30kと、基材120に形成され、ICチップ510そのものであるICモジュール500が搭載されたループ回路520の一部とが互いに重畳するように配置されたものである。ICチップ510は、ループ回路520の互いに離間して対向する両端である対向部520aおよび520bにまたがるように搭載されている。ループ回路520の一部である直線状の第2要素30lは、第1要素30kと平面視で重畳する。これにより、ICタグ20kは、第1要素30kと第2要素30lとが容量結合し、ICタグ20jと同様に、ICタグとしての動作が可能となる。
なお、図3(c)では、第1要素30kを備える基材110に対して、紙面の手前側に、ICモジュール500が搭載されたループ回路520を備えた基材120が互いに重畳するように配置されているが、基材120は基材110に対して、紙面の奥側に配置されてもよい。また、基材120の表裏を反転させて、ICモジュール500やループ回路520が第1要素30kと対向する向きで、基材110と基材120とが互いに重畳するように両基材が配置されてもよい。
さらに、ICタグ20nは、基材120に形成された第1部分30mの一部である第2要素30oと第2部分40mの一部である第2要素40oとにまたがって、ICチップ510を直接搭載したICモジュール500をあらかじめ準備する。このとき、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bは、それぞれ第1部分30mの第2要素30oの端部および第2部分40mの第2要素40oの端部と直接、電気的に接合される。このようなICモジュール500を、基材110に形成された、互いに一定距離だけ離間した第1部分30mの一部である第1要素30nの端部である対向部30oaと第2部分40mの一部である第1要素40nとにまたがるように搭載する。ループ回路520の役割は他のICタグと同様である。
ここで、ICモジュール500の第1部分30mの第2要素30oおよび第1要素30nの端部同士は重畳し、同じく、ICモジュール500の第2部分40mの第2要素40oおよび第1要素40nの端部同士は重畳する。このため、第2要素30oおよび第1要素30nは容量結合し、第2要素40oおよび第1要素40nも容量結合し、その全体がICタグ20nとして良好に機能する。
ICタグ20jや20mは、ICチップ510がICモジュール500そのものであることから構成が単純であり、包装材や包装体としての製造負荷を低減でき、歩留まり等を考慮しないのであれば、これらの製造コストを下げることができる。一方、ICタグ20kや20nは、基材、ICチップおよびアンテナの一部から構成されるICモジュール500を別に準備する点で、前者よりも製造は複雑になる。しかしながら、ICチップ510の小さいパッドの位置精度と比較して、アンテナの容量結合に要求されるICモジュール500の位置精度がはるかに緩く設定できるので、ICモジュール500の基材110への搭載に係る歩留まり向上や加工速度の向上が図れる。
一方、基材110の-Y方向側の外縁は糊代11bであり、+Y方向側の外縁は第4面14の端部である。糊代11bには、導電パターン30の第2部分42の第1端部42aが形成され、第4面14の+Y方向側の端部には、第1部分41の第1端部41aが形成されている。また、第1端部42aのX軸方向、すなわち導電パターンの延在方向に直交する方向に沿った幅は、導電パターン30の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。同様に、第1端部41aのX軸方向に沿った幅も、導電パターン30の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。すなわち、第1端部41aや第1端部42aは、導電パターン30の中で、それぞれ第1の領域を形成しており、これら第1の領域の幅は、当該第1の領域を除く導電パターン30の幅よりも広くなっている。以上の導電パターン30の説明は、アンテナ30の説明とも共通する。
ここで、「第1の領域の幅が、当該第1の領域を除くアンテナの幅より広い」とは、アンテナが延びる方向に直交する方向における当該第1の領域の寸法が、アンテナが延びる方向に直交する方向における前記アンテナのうち当該第1の領域を除く部位の寸法よりも大きいことをいう。つまり、第1の領域では、アンテナの延びる方向における単位距離あたりのアンテナの面積が、当該第1の領域を除くアンテナの部位よりも大きくなっていることをいう。例えば、アンテナ30において、第1端部41aや第1端部42aのZ軸方向やY軸方向に直交するX軸方向に沿う方向の寸法が、第1端部41aや第1端部42aと、後述するもうひとつの第1の領域である拡張領域42pや31pとを除いた、同じくX軸方向に沿うアンテナ30の他の部位の寸法よりも大きい。アンテナ30を導電パターン30に置き換えても同様である。
一方、基材110の折曲線11qを挟んで第1面11とこれに延在する糊代11bとにまたがって形成されている、導電パターン30の第2部分42の一部である拡張領域42pのX軸方向に沿った幅は、導電パターン30の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。同様に、基材110の折曲線13rを挟んで第3面13とこれと隣接する第4面14とにまたがって形成されている、導電パターン30一部である拡張領域31pのX軸方向に沿った幅は、導電パターン30の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。すなわち、拡張領域42pや31pは、導電パターン30の中で、それぞれ第1の領域を形成しており、これら第1の領域の幅は、上述した第1端部41aや第1端部42aを含む当該第1の領域を除く導電パターン30の幅よりも広くなっている。
すなわち、導電パターン30の第3部分31は、Y軸方向に沿って、切れ目のない連続した形状を構成している。さらに、折曲線13rを含む拡張領域31pにおいて、局所的に幅が広く形成され、拡張領域31pからY軸方向に沿って延在する導電パターン30の他の部位はこれよりも狭い幅に形成されている。
また、導電パターン30は、Y軸方向に沿って、分断した2箇所の導電パターンである第1部分41および第2部分42を構成している。このうち、第1部分41は第4面14に形成され、第3部分31と対向しない側の端部である第1端部41aにおいて、局所的に幅が広く形成され、第1端部41aからY軸方向に沿って延在する第1部分41の他の部位はこれよりも狭い幅に形成されている。以上の導電パターン30の説明は、アンテナ30の説明とも共通する。
また、第2部分42は第1面11とこれに延在する糊代11bとにまたがって形成され、糊代11b側の端部である第1端部42aと、折曲線11qを含む拡張領域42pとにおいて、局所的に幅が広く形成されている。この反面、第1端部42aおよび拡張領域42pに挟まれた第2部分42と、拡張領域42pからY軸方向に沿って第1端部42aとは反対側に延在する第2部分42の他の部位はこれよりも狭い幅に形成されている。
(c)包装材の包装体への組み立て
上述の包装材100を順次組み立てることにより、略直方体の包装体10を得ることができる。まず、図1(b)の包装材100を折曲線に従って山折りに各々折り曲げる。事前に、当該折曲線について折り曲げ加工が容易となるように前処理を行うことが好ましい。当該前処理は、例えば以下のように行うことができる。
図2(b)乃至図2(e)は図2(a)の包装材100の断面図における、B部に関する折り曲げを説明する図である。B部は第1面11とこれに延在する糊代11bとの境界である折曲線11q付近の包装材100の断面を示すものであるが、他の折曲線についても同様である。図2(b)のように、折り曲げ前の包装材100の下方側、すなわち+Z方向側に所定の曲率を有する半円状断面の凹部310を備えた折曲治具300が配置される。その後、図2(c)に示すように、包装材100の折曲線11qと凹部310の最深部とがZ軸上に並ぶように包装材100を折曲治具300に載置する。
そして、先端が所定の曲率を有するように尖っている突起部材320を、その突起の中心と凹部310の最深部とがZ軸上に並ぶように、上方すなわち-Z方向側から包装材100に向けて下降させる。なお、突起部材320は、XZ平面に略平行な板状部材である。突起部材320を下降させた結果、図2(d)に示すように、折曲治具300の凹部310と突起部材320とに挟まれた包装材100は、その最深部が折曲線11qとなるように、所定の曲率に近似して凹む。これにより、折り曲げ加工を容易とする前処理を完了する。
実際に包装材100を折り曲げる加工は、上述の包装材100への凹みの形成とは別工程で行ってもよく、凹み形成の後工程として連続的に行ってもよい。折り曲げ加工は、図2(e)に示すように、図2(d)の凹みが形成された包装材100の凹みよりも+Y方向側の部位を+Z方向に向けて90度折り曲げることにより実現できる。包装材100に当該凹みが事前に形成されることにより、折り曲げ加工が容易に行える。このときの折り曲げ後の包装材100の断面の角部330は、単純な直角形状ではなく、所定の曲率の凹みを残しながらその両端部分が直角を形成する形状となる。
すなわち、角部330は一部が凹んだ形状となる。また、基材110の一方の面に形成されたアンテナ30の第2部分42には、角部330付近に2箇所の屈曲点42cおよび42dが形成される。ただし、包装材100の折り曲げ加工はこのような方法に限らず、基材110にミシン目加工やハーフカット加工を施す等、他の方法を用いて折り曲げてもよいことは前述したとおりである。
図1(b)に示す包装材100を上述した折り曲げ方法により、各折曲線に折り曲げ加工を施すことで、包装体10を形成できる。例えば、第1面11と、これに延在する糊代11a、11bおよび11cとの境界である折曲線11p、11qおよび11rについて、それぞれ山折り加工を行う。同様に、第5面15および第6面16と、これに延在する糊代15aおよび16aとの境界である折曲線15pおよび16pについて、それぞれ山折り加工を行う。また、第3面13と、これに延在する糊代13aおよび13bとの境界である折曲線13pおよび13qについて、それぞれ山折り加工を行う。
その後、必要に応じて各糊代への接着剤等の塗布を行い、さらに、第2面12と、これに隣接する第1面11、第5面15、第6面16および第3面13との境界である折曲線12q、12p、12rおよび12sについて、それぞれ山折り加工を行う。また、第3面13と、これに隣接する第4面14との境界である折曲線13rについて、山折り加工を行う。その結果、図1(a)に示す略直方体の包装体10が組み立てられる。この包装体10の天面となる第4面14には、第3部分31の端部である第2端部31bおよび第1部分41の第2端部41bが、互いに離間して対向するように配置されている。
ここで、第2端部31bおよび第2端部41bの各対向部をまたぐように、前述した方法によってICモジュール500を所定の位置に搭載して固定することで、ICタグ20の構成を含んだ包装体10が完成する。すなわち、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bが、それぞれ第2端部31bおよび第2端部41bと電気的に接続している。その結果、ICチップ510およびアンテナ30が外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成する。
また、包装体10を構成する基材110同士が互いに重畳する領域として、例えば第4面14と、その-Y方向側の端部の下層側に重畳する糊代11bが挙げられる。このように、特定の面と糊代とが重畳している箇所がある場合、もともとの基材110の当該特定の面の外縁と、当該糊代を含む外縁とが重畳していることを意味する。換言すると、特定の面と糊代とが重畳している場合、包装体10を展開した包装材100の状態では、当該特定の面の当該糊代と重畳する部位と、当該糊代とは、互いに離れた箇所に配置される基材110の外縁を構成している。このようにして包装材100から包装体10が組み立てられることにより、導電パターンであったものが、ICタグとして機能するように配置されたアンテナを構成することとなる。
ここで、基材110の外縁を構成する第4面14の所定箇所にはアンテナ30の第1部分41の第1端部41aが配置され、同じく、基材110の外縁を構成する糊代11bの所定箇所にはアンテナ30の第2部分42の第1端部42aが配置されている。また、前述したように第1端部41aおよび第1端部42aは、それらの幅がアンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広く、かつ、第4面14および糊代11bの重畳方向に沿って見た場合に互いに重畳する。
また、図1(a)において、第1端部41aは、第4面14の表面、すなわち基材110に対して+Z方向側に形成されている。一方、第1端部42aは、第4面14の下層、すなわち-Z方向側に重畳した糊代11bの表面、すなわち基材110に対して+Z方向側に形成されている。これより、第1端部41aと第1端部42aとは、第4面14および糊代11bの重畳方向に沿って見た場合に、少なくとも基材110の厚さ分だけ、互いに離間している。
その一方、同じくICタグ20を構成するアンテナ30は、ICモジュール500側の端部である第2端部41bを含む第1部分41とICモジュール500とは反対側の端部である第2端部42bを含む第2部分42とは、以下のようになる。すなわち、ICタグ20が、例えば図3(d)に示すICタグ20nのような構成の場合には、途中で離間している。このとき、第2端部41bが第1の対向部であり、第2端部42bが第2の対向部となる。また、ICタグ20が、例えば図3(a)乃至図3(c)に示すICタグ20j、20mまたは20kのような構成の場合には、第1部分41と第2部分42とは、離間はしていないものの、互いに重畳せずに隙間を隔てて対向配置される第1の対向部および第2の対向部を備えている。
また、第1部分41の第1端部41aと第2部分42の第1端部42aとが離間して配置されている。しかし、第1端部41aおよび第1端部42aは、それらの幅がアンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広く、かつ互いに重畳しているので、互いに容量結合できる。このため、交流電圧が印加されるアンテナ30は、第1部分41と第2部分42とがあたかも導通しているかのように作用することができる。
このような良好な容量結合をするための第1端部41aおよび第1端部42aの幅、すなわちアンテナ30の線幅に沿う幅は、例えば、拡張領域42pを除くアンテナ30の他の線幅の1.1倍以上、10.0倍以下とすることができる。また、第1端部41aおよび第1端部42aの当該幅が連続する当該幅に直交する長さ、すなわちアンテナ30の延在方向に沿う長さは、当該幅の1.1倍以上、10.0倍以下とすることができる。第1端部41aおよび第1端部42aの幅および長さがこの範囲であることにより、包装材100の形状またはアンテナの位置が多少ずれたとしても、一定以上の第1端部41aおよび第1端部42aの重畳面積を得ることができ、良好な容量結合が得られるからである。
また、第1端部41aおよび第1端部42aの幅は、重畳した際の重畳効率を考えると、同一幅であってもよい。第1端部41aおよび第1端部42aの幅が比較的狭いものであっても、両者が完全に平面視で一致するように重畳すれば、最大の効率で容量結合できるからである。さらに、組み立てたときの無駄な隙間等をなくす観点で、基材110の外縁を構成する第4面14の幅と、同じく基材110の外縁を構成する糊代11bの幅とは、同一であることが好ましい。
ここでいう外縁の幅は、組み立て時に糊代11bを第4面14の下層に差し込む場合の差し込み方向に直交する幅を言う。同一とは完全な同一だけではなく、いずれか一方の幅が他方の幅の95%以上、105%以下であることを含む。なお、平面視で略台形である糊代11bの幅は、その平行な2辺のうちの最大長を指す。
さらに、基材110の外縁を構成する第4面14の幅方向における第1端部41aの配置と、基材110の外縁を構成する糊代11bの幅方向における第1端部42aの配置とが対応している。すなわち、基材110の外縁を構成する第4面14の幅方向の一端と、当該一端とは反対側の他端を定めるとき、当該一端から第1端部41aまでの距離と当該第1端部41aから当該他端までの距離との比率がDa1:Db1であるとする。一方、基材110の外縁を構成する糊代11bの幅方向の一端と、当該一端とは反対側の他端を定めるとき、当該一端から第1端部42aまでの距離と当該第1端部42aから当該他端までの距離との比率がDa2:Db2であるとする。
このとき、両者の比率は対応関係にあり、Da1:Db1=Da2:Db2、あるいはDb1×Da2=Da1×Db2が成り立つ。このような構成であることにより、基材110の外縁同士が互いに重畳する状態において、第1端部41aおよび第1端部42aが対応する同一位置に重畳でき、最大の効率で容量結合できるからである。これらの第1端部41aおよび第1端部42aの幅および幅が同一である要件、並びに第4面14の幅方向における第1端部41aの配置と糊代11bの幅方向における第1端部42aの配置とが対応する要件、は包装材100の構成において満たすべき要件であることは言うまでもない。
このような容量結合の箇所を設けることにより、アンテナ30の配置レイアウトの自由度が増す。このため、図1(a)に示すように、互いに対向する第1面11と第3面13とにまたがってダイポールアンテナを配置できる。このとき、内部に収納する物品600が金属製であったり水分を含むものであっても、すなわち電磁波遮蔽性または電磁波吸収性を有する物質であっても、これの影響を低減して外部機器との良好な非接触通信が行えることとなる。
また、包装体10において、第1面11に対して糊代11bが折曲線11pを介して折り曲げられてできた角部330を含む拡張領域42pの幅が、アンテナ30の第1端部41aおよび第1端部42aを除く他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。角部330を含むアンテナには、図2(e)において説明したように、屈曲点42cや42dが生じる。また、これよりも単純に、アンテナが直角に折れ曲がっていたとしても、その直角部分でアンテナは同様に屈曲する。このとき、アンテナを支持する基材110自身も屈曲するため、基材110に亀裂が生じやすくなり、その結果、アンテナにも亀裂が入ることで抵抗値が増大する可能性が考えられる。
ここで、本実施形態のように、角部330を含む拡張領域42pの幅が比較的広く形成されていれば、アンテナの拡張領域42pの部分の表面積は増加する。このため、仮に角部330で単位面積当たりの抵抗値が増大しても、拡張領域42pの全体としては、抵抗値の増加を抑制できる。よって、ICタグ20としての良好な通信が確保できる。
このような、抵抗値の増加を抑制するための拡張領域42pの幅、すなわちアンテナ30の線幅に沿う幅は、例えば、第1端部41aおよび第1端部42aを除くアンテナ30の他の線幅の1.1倍以上、10.0倍以下とすることができる。また、第1端部41aおよび第1端部42aの当該幅が連続する当該幅に直交する長さ、すなわちアンテナ30の延在方向に沿う長さは、当該幅の1.1倍以上、10.0倍以下とすることができる。拡張領域42pの幅および長さがこの範囲であることにより、包装材100の材料が、屈曲に対して亀裂を生じやすいものであったとしても、アンテナ全体に生じる電気抵抗を一定以下に抑制でき、良好な通信特性が得られるからである。
上述した、角部330を含む拡張領域42pの幅や長さに関する説明は、第3面13に対して第4面14が折曲線13rを介して折り曲げられてできた角部を含む拡張領域31pの幅や長さに関しても共通することは言うまでもない。ただし、本開示は、角部を含むすべてのアンテナ領域に対して拡張領域が設けられていることには限定されず、角部を含むアンテナ領域の一部についてのみ、拡張領域が設けられている場合も含まれる。この場合であっても、当該拡張領域を設けることによって相応の効果が得られるからである。
このような角部を含む幅の大きい拡張領域を設けることによっても、アンテナ30の配置レイアウトの自由度が増す。例えば、包装体10において、基材110は、折り曲げられている角部330を境界とし、互いに交差し、かつ前記アンテナが形成されている第1のアンテナ形成面および第2のアンテナ形成面を備える。ここで、第1のアンテナ形成面および第2のアンテナ形成面は、例えば第4面14および第1面11であり、あるいは第4面14および第3面13であり得る。このため、前述したとおり、互いに対向する第1面11と第3面13とにまたがってダイポールアンテナを配置でき、物品の材質に関わらず、外部機器との良好な非接触通信が行えることとなる。
なお、本実施形態では、包装材100および包装体10の導電パターン30およびアンテナ30の第1端部41aおよび第1端部42aの幅が導電パターン30およびアンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広いという特徴と、角部330を含む拡張領域31pや42pの幅が、他の部位の幅と比べて局所的に広いという特徴と、を両方兼ね備えたものとして説明した。しかし、本開示の包装材および包装体は、これらのいずれか一方の特徴のみを備えているものでもよいことは言うまでもない。この場合であっても、その一方の特徴を備えることにより、上述の効果は得られるからである。
(d)第1実施形態の包装材および包装体
以上をまとめると、第1実施形態の包装材100は、物品600の少なくとも一部を覆う包装体10を組み立てることが可能である。包装体10は、基材110と、基材110の少なくとも一方の面側に形成されたアンテナ30と、を備える。アンテナ30は、その第1の領域の幅がアンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広くなっている。すなわち、第1端部41aや第1端部42aは、導電パターン30の中で、それぞれ第1の領域を形成しており、これら第1の領域の幅は、拡張領域31pや41pを含む当該第1の領域を除く導電パターン30の幅よりも広くなっている。また、拡張領域31pや41pも、導電パターン30の中で、それぞれ第1の領域を形成しており、これら第1の領域の幅は、第1端部41aや第1端部42aを含む当該第1の領域を除く導電パターン30の幅よりも広くなっている。
アンテナ30は、互いに離間する第1の部分と第2の部分とを備える。第1の部分は例えば第1部分41であり、第2の部分は例えば第2部分42であってもよく、その逆の組み合わせとなってもよい。第1の部分の端部である第1端部41aと第2の部分の端部である第1端部42aとは互いに重畳し、かつこれらの端部の幅がアンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広い。また、組み立て前の包装材100についても、第1の部分の端部である第1端部41aと第2の部分の端部である第1端部42aのそれぞれの端部の幅が導電パターン30の他の部位の幅と比べて局所的に広い。すなわち。アンテナ30は、第1の領域として第1端部41aおよび第1端部42aを備え、当該第1の領域の幅は、当該第1の領域を除くアンテナ30の幅よりも広い。
また、アンテナ30は、第1の部分および前記第2の部分のいずれかとともに、互いに対向する対向部を有する第3の部分をさらに備える。例えば、アンテナ30は、対向部を有する第1部分41および第3部分31を備える。これは、ICモジュール500を両者の対向部にまたがって搭載できるようにするためである。ICモジュール500の搭載によって、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bが、それぞれ第2端部31bおよび第2端部41bの各対向部と電気的に接続する。これにより、ICチップ510およびアンテナが外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成する。
アンテナ30は、包装材100において第4面14に配置される第1部分41と、第1面11と、これに延在する糊代11bとにまたがって配置される第2部分42とに分離している。また、基材110の外縁である第4面の端部には、導電パターン30およびアンテナ30の第1部分41の第1端部41aが配置され、基材の同じく外縁である糊代11bには第2部分42の第1端部42aが配置されている。ここで、第1の領域である第1端部41aおよび第1端部42aの幅が、アンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広くなっており、かつ、第1端部41aおよび第1端部42aは互いに重畳している。
また、基材110が折り曲げられている角部330を含むアンテナ30の拡張領域31pや拡張領域42pの幅が、アンテナ30の他の部位の幅と比べて局所的に広くなっている。すなわち。アンテナ30は、第1の領域として拡張領域31pおよび41pを備え、当該第1の領域の幅は、当該第1の領域を除くアンテナ30の幅よりも広い。
そもそも、包装体は、通常1つのシート状の基材を基にして、折り曲げや接着等を通して組み立てられるものである。このため、基材上に形成された導電パターンを、組み立て後にICタグのアンテナを構成するように意図した領域に配置し、ICタグとしての作用を生じさせるためには、折り曲げによる損傷や基材の非連続部分の重畳を想定した導電パターンの形状の工夫が必要であった。
これに対し、包装材100または包装体10の第1端部41aおよび第1端部42aの幅が上述したような構成である。これにより、第1端部41aおよび第1端部42aは互いに良好に容量結合でき、ICタグ20としての機能の低下を抑制しながら、広い領域にアンテナを配置することが可能となる。
また、包装材100または包装体10の拡張領域31pおよび41pの幅がこのような構成であることにより、角部330により屈曲が生じて電気抵抗値の局所的な増加が起きたとしても、当該部位の幅が広いことによってアンテナ全体の抵抗の増加が抑制できる。このため、角部を避けてアンテナを配置する等のレイアウトの制限がなくなり、ICタグ20としての機能の低下を抑制しながら、広い領域にアンテナを配置することが可能となる。すなわち、ICタグとしての機能を果たすことが可能であり、アンテナの配置場所の自由度が高い包装材、包装体および包装体付き物品を提供することができる。なお、前述したとおり、包装材100や包装体10には、導電パターン30やアンテナ30と同様の関係を満たす他の導電パターンやアンテナがさらに追加で配置されていてもよい。
2.第2実施形態
次に、本開示の包装材、包装体および包装体付き物品の第2実施形態について説明する。図4(a)は、略直方体の形状である包装体10aを示す概略斜視図である。また、図4(b)は、図4(a)の包装体10aを平面上に展開した包装材101を示す展開図である。第2実施形態の包装体10aは、アンテナが、包装体10aの外表面の一の方向に沿って延在する一のアンテナと、これとは異なる方向である他の方向に沿って延在する他のアンテナと、を備え、両アンテナが互いに交差する点が、第1実施形態の包装体10とは異なる。
(a)包装体の構成
包装体10aについて説明する。包装体10aは第1実施形態の包装体10と同様に、固形物である食品等の物品600の全体を包装する略直方体状の板紙製の包装箱であり、物品付き包装体が全体として商品を構成する。ここで、図4(b)は、図1(b)と同様の包装材101の展開図である。なお、第1実施形態の包装体10と共通する箇所の説明を適宜省略する。
包装体10aの第1面11、第3面13および第4面14の一方の面である外側を向く面には、それぞれICタグ20aを構成する一のアンテナであるアンテナ30が形成されている。これに加えて、包装体10aの第5面15、第6面16および第4面14の外側を向く面には、それぞれICタグ20aを構成する他のアンテナであるアンテナ50が形成されている。
本実施形態では、便宜的にアンテナ30を一のアンテナと称し、アンテナ50を他のアンテナと称することがあるが、これらの全体がICタグ20aを構成するひとつのアンテナを構成していることは言うまでもない。なお、一のアンテナ30や他のアンテナ50が、包装体10aの各面の外側を向く面ではなく、他方の面である内側を向く面に形成されてもよく、一方および他方の両面に形成されてもよいことは前述したとおりである。
アンテナ30の第3部分31は、第4面14から+Y方向および90度の屈曲を経て第3面13の下方まで延びている。また、第1部分41および第2部分42は、第4面14から-Y方向および90度の屈曲を経て第1面11の下方まで延びている。ここで第1面11と第4面14との隣接部分では、第1面11から延在する糊代11bが第4面14の下方に重畳し、第4面14および第1面11の第1部分41および第2部分42は互いに離間している。
一方、アンテナ50の第1部分51および第2部分52は、第4面14から-X方向および90度の屈曲を経て第5面15の下方まで延びている。また、第3部分61および第4部分62は、第4面14から+X方向および90度の屈曲を経て第6面16の下方まで延びている。ここで、第5面15と第4面14との隣接部分では、第5面15から延在する糊代15aが第4面14の下方に重畳し、第6面16と第4面14との隣接部分では、第6面16から延在する糊代16aが第4面14の下方に重畳している。
第4面14から+Y方向および-Y方向のそれぞれに対向してアンテナ30が形成されている。同様に、第4面14から-X方向および+X方向のそれぞれに対向してアンテナ50が形成されている。すなわち、一のアンテナと他のアンテナとが交差して配置される。また、アンテナ30およびアンテナ50の互いに交差する領域付近にICモジュール500が配置されている。
その結果、対向配置されるアンテナ30、アンテナ50およびこれらのアンテナと電気的に接続するICチップがICタグ20aを構成し、外部機器との電波や電磁誘導による非接触信が可能である。
(b)包装材の構成
次に、包装体10aを平面上に展開した部材である包装材101の構成について説明する。包装材100は、図4(b)に示すように、基材110の一方の面である-Z方向側の面に導電パターン30および導電パターン50が形成され、さらにこれらの導電パターンを含めて当該一方の面の全体を覆う印刷層210が形成されたものである。包装材101の材料として、包装材100と同様のものが使用できる。なお、導電パターン50は、組み立て後の包装体10aにおいてアンテナ50と、ICチップとともにICタグ20aを構成する機能を備えるものである。すなわち、導電パターン50は、導電パターン30と同様の関係を満たす他の導電パターンである。
導電パターン30の配置および構成については第1実施形態と共通するため説明を省略する。一方、包装材101の第5面15、第6面16および第4面14には、それぞれ、X軸に沿った直線状に導電パターン50が断続的に配置されている。第5面15には、導電パターン50の第2部分52が配置され、-X方向側の端部である第1端部52aと、+X方向側の端部である第2端部52bとを第2部分52の両端とする。同様に、第6面16には、導電パターン50の第4部分62が配置され、+X方向側の端部である第1端部62aと、-X方向側の端部である第2端部62bとを第4部分62の両端とする。
また、第5面15とこれに延在する糊代15aとの境界には他の部位よりも導電パターンの幅が大きい拡張領域52pが設けられている。同様に、第6面16とこれに延在する糊代16aとの境界には他の部位よりも導電パターンの幅が大きい拡張領域62pが設けられている。
第4面14には対向部を有する導電パターン50の第1部分51と第3部分61とが配置される。-X方向側の端部である第1端部51aと+X方向側の端部である第2端部51bとを第1部分51の両端とし、+X方向側の端部である第1端部61aと-X方向側の端部である第2端部61bとを第3部分61の両端とする。
導電パターン50は、基材110の一方の面に少なくとも形成され、第1実施形態でも説明した導電パターン30と同様の材料、仕様で構成されている。基本的には、第3部分31、第1部分41および第2部分42で構成されるダイポールアンテナに加え、これと略直交する方向に延在する第1部分51、第2部分52、第3部分61および第4部分62で構成されるダイポールアンテナが組み合わされたICタグ20aを構成する。このように、延在方向が互いに異なる2種類のダイポールアンテナが組み合わさることにより、1種類のダイポールアンテナから構成されるICタグと比較して、より通信感度の向上が図れる。
ただし、導電パターン30により形成される一のアンテナであるアンテナ30と、導電パターン50により形成される他のアンテナであるアンテナ50とは、必ずしも直交する必要はない。ただし、交差部分の両アンテナのなす角度の少ない方をとったとき、この角度がおおむね30°以上、90°以下で交差していることが好ましい。一のアンテナと他のアンテナとがこの範囲で交差することにより、ICタグ20aとしてのアンテナの指向性が拡張でき、広範囲の外部機器に対して非接触通信できる。
ところで、ICモジュール500をアンテナ30および50に対して搭載する方法およびそのときのICモジュール500周辺の構成として、主として以下の2通りが考えられる。図5(a)および図5(b)は、これを模式的に説明する概略説明図である。図5(a)に示すICタグ20iも、前述したICタグ20j等と同様に、説明を容易化するために本実施形態のICタグ20aの構成を単純化したものであり、アンテナの両端部の構成等の詳細がICタグ20aとは異なるものである。図5(b)に示すICタグ20hも同様である。
ICタグ20iは、基材110に形成されたアンテナ30iおよびこれと略直交するアンテナ50iの2箇所から分岐し、それぞれの先端がICチップ510と電気的に接続して全体として閉回路を形成するように、ループ回路520が設けられている。これは、当該閉回路が、ICチップ510、アンテナ30i、50iおよびループ回路520から構成されるアンテナ構造のインピーダンスの共役整合を図る整合回路として機能することを企図している。
ICチップ510そのものであるICモジュール500は、ループ回路520の互いに離間して対向する両端にまたがるように搭載されている。この場合、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bは、それぞれループ回路520の互いに離間して対向する両端である対向部520aおよび520bと、直接、電気的に接合される。
一方、ICタグ20hは、基材110に互いに直交するように連続的に形成されたアンテナである第1要素30hおよび第1要素50hと、基材120に形成され、ICチップ510が搭載されたループ回路520の一部とが互いに重畳するように配置されたICモジュール500と、から構成される。ICチップ510は、ループ回路520の互いに離間して対向する両端である対向部520aおよび520bにまたがるように搭載されている。ループ回路520の一部である直線状の第2要素30gは、第1要素30hと平面視で重畳し、同じくループ回路520の一部である直線状の第2要素50gは、第1要素50hと平面視で重畳する。これにより、ICタグ20hは、第1要素30hおよび第2要素30g、並びに第1要素50hおよび第2要素50gが容量結合し、ICタグ20iと同様に、ICタグとしての動作が可能となる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態で説明した図3(b)のICタグ20mのように構成されてもよい。すなわち、アンテナ30iまたは50iのいずれかが互いに対向し離間するように構成され、その両者にICチップ510がまたがるように搭載され、ループ回路520が、アンテナ30iおよび50iを連続的に結ぶものであってもよい。 また、図3(d)のICタグ20nのように構成されてもよい。すなわち、アンテナ30iまたは50iのいずれかが互いに対向し離間するように構成され、その両者と重畳するようにループ回路520の直線部分が配置される。また、当該直線部分が互いに対向し離間するように構成され、その両者にICチップ510がまたがるように搭載される。
その結果、ICチップの電気的な接続端子である第1パッドおよび第2パッドが、それぞれに対応する対向部と電気的に接続することによって、アンテナ30および50と導通する。これにより、ICタグ20aは、異なる2方向に延在する2種類のダイポールアンテナを備えて良好な通信感度を得ることで、外部機器との所定の非接触通信が可能となる。ちなみに、このときの一方のダイポールアンテナの開放端は第3部分31の第1端部31aおよび第2部分42の第2端部42bであり、他方のダイポールアンテナの開放端は第2部分52の第2端部52bおよび第4部分62の第2端部62bである。
一方、基材110の-X方向側の外縁は糊代15aであり、+X方向側の外縁は糊代16aである。糊代15aには、そのY軸方向の略中央付近に導電パターン50の第2部分52の第1端部52aが形成され、糊代16aには、そのY軸方向の略中央付近に導電パターン50の第4部分62の第1端部62aが形成されている。また、基材110の+Y方向側かつ-X方向側の外縁は第4面14の-X方向側の端部であり、基材110の+Y方向側かつ+X方向側の外縁は第4面14の+X方向側の端部である。前者には、そのY軸方向の略中央付近に導電パターン50の第1部分51の第1端部51aが形成され、後者には、そのY軸方向の略中央付近に導電パターン50の第3部分61の第1端部61aが形成されている。
ここで、第1端部52aのY軸方向、すなわち導電パターンの延在方向に直交する方向に沿った幅は、導電パターン50の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。同様に、第1端部62aのY軸方向の幅は、導電パターン50の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。また、第1端部51aのY軸方向の幅は、導電パターン50の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。同様に、第1端部61aのY軸方向の幅は、導電パターン50の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。すなわち、導電パターン50(アンテナ50)は、第1の領域として第1端部51aおよび第1端部61aを備え、当該第1の領域の幅は、当該第1の領域を除くアンテナ50の幅よりも広い。
一方、基材110の折曲線15pを挟んで第5面15とこれに延在する糊代15aとにまたがって形成されている、導電パターン50の第2部分52の一部である拡張領域52pのY軸方向に沿った幅は、導電パターン50の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。同様に、基材110の折曲線16pを挟んで第6面16とこれに延在する糊代16aとにまたがって形成されている、導電パターン50の第4部分62の一部である拡張領域62pのY軸方向に沿った幅は、導電パターン50の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。すなわち、導電パターン50(アンテナ50)は、第1の領域として拡張領域52pおよび62pを備え、当該第1の領域の幅は、当該第1の領域を除くアンテナ50の幅よりも広い。
すなわち、導電パターン50は、X軸方向に沿って、分断した2箇所の導電パターンである第1部分51および第2部分52を構成している。このうち、第1部分51は第4面14に形成され、第3部分61と対向しない側の端部である第1端部51aにおいて、局所的に幅が広く形成され、第1端部51aからX軸方向に沿って延在する第1部分51の他の部位はこれよりも狭い幅に形成されている。
また、第2部分52は第5面15とこれに延在する糊代15aとにまたがって形成され、糊代15a側の端部である第1端部52aと、折曲線15pを含む拡張領域52pとにおいて、局所的に幅が広く形成されている。この反面、第1端部52aおよび拡張領域52pに挟まれた第2部分52と、拡張領域52pからX軸方向に沿って第1端部52aとは反対側に延在する第2部分52の他の部位はこれよりも狭い幅に形成されている。以上の点は、第1部分51や第2部分52に対応する、第3部分61や第4部分62の各端部や各拡張領域にも同様にあてはまる。
(c)包装材の包装体への組み立て
上述の包装材101を順次組み立てることにより、略直方体の包装体10aを得ることができる。組み立て方法は第1実施形態の包装体10と同様に付き、説明は省略する。組み立ての結果、図4(a)に示す略直方体の包装体10aが得られる。この包装体10aの天面となる第4面14において、アンテナ30および50が互いに交差している。
ここで、アンテナ30および50の交差する部分の付近で、前述した方法によってICモジュール500を所定の位置に搭載して固定することで、ICタグ20aの構成を含んだ包装体10が完成する。すなわち、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッドおよび第2パッドが、それぞれアンテナ30および50から分岐したループ回路520、またはアンテナ30および50とは分離しつつ部分的に重畳したループ回路520、が備える対向部と電気的に接続する。これにより、ICチップ510並びにアンテナ30および50の組み合わせが、外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成する。
また、包装体10aを構成する基材110同士が互いに重畳する領域として、第1実施形態で説明したもの以外に、第4面14と、その-X方向側の端部の下層側に重畳する糊代15aや、第4面14と、その+X方向側の端部の下層側に重畳する糊代16aが挙げられる。第4面14の所定箇所には第1部分51の第1端部51aが配置され、同じく、糊代15aの所定箇所には第2部分52の第1端部52aが配置されている。同様に、第4面14の所定箇所には第3部分61の第1端部61aが配置され、同じく、糊代16aの所定箇所には第4部分62の第1端部62aが配置されている。
また、第1端部51aおよび第1端部52aは、それらの幅がアンテナ50の他の部位の幅と比べて局所的に広く、かつ、第4面14および糊代15aの重畳方向に沿って見た場合に互いに重畳する。また、第1端部61aおよび第1端部62aは、それらの幅がアンテナ50の他の部位の幅と比べて局所的に広く、かつ、第4面14および糊代16aの重畳方向に沿って見た場合に互いに重畳する。
また、前述のとおり、第1端部51aと第1端部52aとは、第4面14および糊代15aの重畳方向に沿って見た場合に、少なくとも基材110の厚さ分だけ、互いに離間している。第1端部61aと第1端部62aとの関係も同様である。
ICタグ20aを構成するアンテナ50において、アンテナ30およびアンテナ50は略直交するように交差する。また、ICタグ20aは、アンテナ30およびアンテナ50の2箇所から分岐し、または両アンテナと容量結合し、それぞれの先端がICチップ510と電気的に接続して全体として閉回路を形成するように、ループ回路520が設けられている。例えば、ICチップ510そのものであるICモジュール500は、ループ回路520の互いに離間して対向する両端の対向部にまたがるように搭載されている。あるいは、ICチップ510がループ回路520の互いに離間して対向する両端の対向部にまたがるように搭載されたICモジュール500が、ループ回路520と両アンテナとが容量結合するように互いの一部を重畳させる。
ここで、第1端部51aおよび第1端部52aは、それらの幅がアンテナ50の他の部位の幅と比べて局所的に広く、かつ互いに重畳しているので、互いに容量結合できる。第1端部61aおよび第1端部62aについても同様である。このため、交流電圧が印加されるアンテナ50は、第1部分51および第2部分52、並びに第3部分61および第4部分62があたかも導通しているかのように作用することができる。
包装体10aに組み立てたときに互いに重畳する第1端部52aと第1端部51aとは、重畳した際の重畳効率を考えると、同一幅であってもよい。第1端部62aおよび第1端部61aについても同様のことが言える。また、基材110の外縁を構成する第4面14の幅と、同じく基材110の外縁を構成する糊代15aの幅とは、同一であることが好ましく、第4面14の幅と糊代16aの幅についても同様である。さらには、第4面14の幅方向における第1端部51aの配置と、糊代15aの幅方向における第1端部52aの配置とが対応しており、第1端部61aと第1端部62aとの関係についても同様である。なお、包装体10aへの組み立て後に良好な容量結合をするための、重畳する端部同士の幅とアンテナの他の部位の幅との関係等は、第1実施形態で説明した内容に準ずる。
また、包装体10aにおいて、第5面15に対して糊代15aが折曲線15pを介して折り曲げられてできた角部を含む拡張領域52pの幅が、アンテナ50の第1端部51aおよび第1端部52aを除く他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。同様に、第6面16に対して糊代16aが折曲線16pを介して折り曲げられてできた角部を含む拡張領域62pの幅が、アンテナ50の第1端部61aおよび第1端部62aを除く他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。この特徴や幅の要件についても前述の拡張領域42pと同様である。
(d)第2実施形態の包装材および包装体
以上をまとめると、第2実施形態の包装材101は、第1実施形態の包装材100の構成に加えて、導電パターン30が延在する方向とは異なる方向に延在する導電パターン50をさらに備えている。また、導電パターン50は、導電パターン30が備えている、基材110の外縁に配置される導電パターンの端部の幅の要件や、当該端部同士が重畳する要件を満たしている。また、基材110が折り曲げられている角部を含むアンテナの拡張領域の幅の要件も併せて満たしている。この点は、アンテナ50についても同様である。
包装材101または包装体10aがこのような構成であることにより、第1実施形態の包装材100または包装体10と同様の作用効果を有することに加え、ICタグ20aを構成するダイポールアンテナが、異なる2方向に延在する特徴を有する。これにより、ICタグ20aの電波等の指向範囲が拡張でき、非接触通信が可能となるICタグ20aと外部機器との配置の許容範囲が広げられる。
例えば、図4(a)に示すように、互いに対向する第1面11と第3面13とにまたがった第1のダイポールアンテナであるアンテナ30を配置するとともに、互いに対向する第5面15と第6面16とにまたがった第2のダイポールアンテナであるアンテナ50を配置することができる。このとき、内部に収納する物品600が電磁波遮蔽性または電磁波吸収性の物質であっても、これの影響を一層低減して外部機器との良好な非接触通信が行えることとなる。
3.第1、第2実施形態の変形例
ここで、第1、第2実施形態に関する変形例について説明する。図6(a)は、略直方体の形状である包装体を展開した包装材102を示す、図2(a)に対応する断面図である。また、図6(b)は、図6(a)における、D部に関する折り曲げを説明する図である。さらに、図6(c)は図2(e)に対応する、包装材102を折り曲げ加工したときの断面図である。
包装材102は、平面視した場合に折曲線11q、12q、12sおよび13rをそれぞれ包含する領域が、樹脂製の保護層220で覆われている点が包装材100や101とは異なる。保護層220は、基材110の一方の面に形成された導電パターンや印刷層210のさらに上層側に積層される。ただし、保護層220が基材110や導電パターンの上層側に形成され、さらにその上層側に印刷層210が形成されていてもよい。保護層は、図6(a)に示すように、折曲線を覆う部分のみに離散的に設けられてもよく、包装材102の全域に設けられてもよい。
保護層220としては、特に材料の制限はないが、折り曲げ加工による変形に耐える必要があるため、硬化後もある程度の可撓性や柔軟性を有することが好ましい。また、印刷層210の上層側に設ける場合は、意匠性を損なわないため、透明性のある材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を挙げることができる。
このような包装材102を前述した方法で折り曲げた結果、図6(c)に示す断面が得られる。このとき、アンテナ30の第2部分42には屈曲点42cおよび42dが生じるが、これと重畳する外表面に保護層220があるため、これが基材110を保護し、基材110への亀裂の発生を抑制する。その結果、アンテナ30の角部を含む領域を、幅を広げた拡張領域としなくても、アンテナの電気抵抗の増加を抑制でき、ICタグとしての通信信頼性を向上させることができる。
4.第3実施形態
続いて、本開示の包装材、包装体および包装体付き物品の第3実施形態について説明する。図7(a)は、略円筒形の一方の先端が先細りしている飲料用ボトルであるボトル本体400の外周面に巻き付けられた包装体10bを示す概略斜視図である。また、図7(b)は、図7(a)の包装体10bを平面上に展開した帯状フィルムの包装材430を示す展開図である。図7(b)は、図7(a)の包装体10bをボトル本体400から剥がして、包装体10bの外側面が+Y方向側を向くようにXZ平面上に展開している。図7(c)は、図7(b)をX軸に沿ったE-E線で切断した面を-Z方向側から見た断面図である。
包装体10bは、ICタグとして機能するためのアンテナが形成された、飲料物等の物品である内容物610が入ったボトル本体400の少なくとも一部を覆うように巻き付けられた、すなわち組み立てられた、物品の保護または物品の意匠性向上を目的の一つとする部材である。包装体10bは、ICチップを含めない状態とICチップを含めた状態との両方を指す。また、包装体10bは、内容物610が入ったボトル本体400を含めた包装体付き物品を指す場合もある。
ここでも、説明の便宜上、包装体10bについてXYZ直交座標系を設定する。図7(a)に示すように、ボトル本体400の軸線方向にZ軸をとり、手前側と奥側とを結ぶ方向にY軸をとる。また、Z軸およびY軸と直交する左右方向にX軸をとる。Z軸に沿った上方を+Z方向とし、その反対方向を-Z方向とする。Z軸に沿った方向を単に上下方向ともいう。また、Y軸に沿った手前側から奥側に向かう方向を+Y方向とし、その反対方向を-Y方向とする。Y軸に沿った方向を単に奥行き方向ともいう。さらに、X軸に沿った左側から右側に向かう方向を+X方向とし、その反対方向を-X方向とする。X軸に沿った方向を単に左右方向ともいう。以下、図7を参照しながら、第3実施形態に係る包装材430、包装体10bおよび包装体付き物品の構成を説明する。
(a)包装体の構成
まず、包装体10bについて説明する。図7(a)に示すように、包装体10bは、ボトル本体400の円筒部分の外周に沿ってリング状に巻き付けられている。包装体10bは、図7(b)や図7(c)に示すように、巻き付けたときの外表面となるフィルム基材440の一方の面側である-Y方向側に印刷層211が設けられ、さらにその-Y方向側にアンテナとしてアンテナ80が形成されている。最終的には、アンテナ80の第1部分81の第2端部81bおよび第4部分91の第2端部91bが有する対向部にまたがってICモジュール500が搭載され、これらがICタグ70を構成して外部機器との非接触通信が可能となる。ICモジュール500とアンテナ80との電気的接続の詳細は、前述したとおりである。
包装体10bは包装材430の長手方向の2箇所の端部同士が重なった重畳部450で互いに接着され、ボトル本体400に固定されている。アンテナ80は、重畳部450において離間しているものの、この部分を無視すれば全体として螺旋状のダイポールアンテナを形成している。なお、図7(a)では、包装体10bの外表面であるフィルム基材440と内側のアンテナとの間に印刷層211が設けられるが、理解の容易化のため、一部を除いて印刷層211を省略している。
このように、本実施形態の包装体10bは、ボトル本体400にリング状に巻き付けられるようにして組み立てられて形成され、その外表面がフィルム基材440となるように構成される。これにより、包装体10bに意匠性を付与するための印刷層211や、ICタグ70として外部機器との非接触通信を行うためのアンテナ等がフィルム基材440より内側に配置される。その結果、印刷層が擦られて脱落したり、アンテナやICチップが外力によって損傷を受けることが抑制でき、品質や信頼性の高い包装体10bを得ることができる。ただし、フィルム基材440が紙等の不透明性を有する部材である場合は、包装体10bに意匠性を付与するための印刷層211をフィルム基材440の外表面側に配置し、アンテナ等をフィルム基材440より内側に配置してもよい。
(b)包装材の構成
次に、上述した包装体10bに組み立てられる包装材430の構成について説明する。包装材430は、図7(b)に示すように、左右方向に斜めかつ平行に配置される複数の線状の導電パターンが断続的に配置されている。まず、+Z方向側の上端付近に、左右方向の長さが比較的短く、+X方向に向かって斜めに傾斜する導電パターン80の第3部分83が配置されている。その下方には、左右方向の長さが比較的長く、上記の第3部分83と同様の傾斜を有する第2部分82が配置されている。
さらにその下方には、第2部分82と類似の形状である第1部分81および第4部分91が配置されている。第1部分81および第4部分91は、ICモジュール500が配置可能な対向部を有している。また、さらにその下方には、上記の第2部分82と略同一形状である第5部分92が配置されている。また、その下方には、左右方向の長さが比較的短く、上記の第5部分92と同様の傾斜を有する第6部分93が配置されている。
フィルム基材440は、印刷等で形成される導電パターンを支持する部材であり、適度な可撓性を備え、外力等による変形で導電パターンすなわちアンテナが破損、断線することを抑制できるものであることが好ましい。ボトル本体400の少なくとも一部を覆うために用いられるフィルム基材440には、物品に識別性や意匠性を付与し、これを長期的に維持するための印刷適性や耐久性等が求められる。さらには、物品形状にフィットさせるために、熱収縮するものもある。
フィルム基材440としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル-ポリスチレン共押出しフィルムまたは発泡ポリスチレン系フィルム等を挙げることができる。また、不織布と前記フィルムとの積層フィルムを使用してもよい。さらには、上質紙、コート紙、アート紙等の紙材や合成紙、布材等を挙げることができる。
特に、熱収縮が必要な場合は、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリスチレン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、不織布と収縮フィルムとのラミネートフィルム、延伸ポリエステル-ポリスチレン共押出しフィルムからなる群から選択される1種以上のフィルムが好ましい。
フィルム基材440の厚さには特に制限はないが、耐熱性、剛性、機械特性、外観等を損なわない範囲で適宜選択できる。フィルム基材440の厚さは、例えば10μm以上、500μm以下とすることができ、好ましくは20μm以上、200μm以下とすることができる。この範囲であることにより、適度な剛性、可撓性および耐熱性を確保でき、ボトル本体400に対する密着性が得られるからである。
なお、延伸フィルムは、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、一軸延伸フィルムの場合は縦一軸延伸であっても横一軸延伸であってもよい。縦一軸延伸とは、フィルム基材440を多数個取りする元の部材である長尺フィルムについて、長尺フィルムの流れ方向に延伸させたものを指す。この場合、通常、フィルム基材440の長手方向は長尺フィルムの幅方向、すなわち流れ方向に垂直な方向にあたる。一方、横一軸延伸とは、長尺フィルムの幅方向に延伸させたものを指す。よって、縦一軸延伸のときは、フィルム基材440は短手方向に沿って熱収縮し、横一軸延伸のときは長手方向に沿って熱収縮する。
なお、あらかじめフィルム基材440を筒状にしてボトル本体400に装着し、ついで熱収縮させる場合には、横一軸延伸フィルムを使用することが好ましい。この場合、ボトル本体400の外周方向に沿ってフィルム基材440が収縮することにより、外観が良好な状態でフィルム基材440をボトル本体400に密着させることができるからである。
ここで、包装材430の左右の端部をそれぞれ端部450bおよび450aとするとき、端部450bにおいて、Z軸方向に並ぶ、各導電パターンの断片の端部が4箇所存在する。すなわち、最上段の第3部分83の-X方向側の端部を第2端部83bとし、その下方の第2部分82の-X方向側の端部を第1端部82aとし、その下方の第1部分81の-X方向側の端部を第1端部81aとし、その下方の第5部分92の-X方向側の端部を第2端部92bとする。端部450aや450bは、いずれも包装材430または包装体10bにおける外縁であり、巻き付けることで重畳部を構成する。
一方、端部450aにおいて、Z軸方向に並ぶ、各導電パターンの断片の端部も4箇所存在する。すなわち、最上段の第2部分82の+X方向側の端部を第2端部82bとし、その下方の第4部分91の+X方向側の端部を第1端部91aとし、その下方の第5部分92の+X方向側の端部を第1端部92aとし、その下方の第6部分93の+X方向側の端部を第2端部93bとする。
ここで、端部450bにおいてZ軸方向に並ぶ4箇所の端部と、端部450aにおいてZ軸方向に並ぶ4箇所の端部とは、いずれも導電パターンの延在方向に略直交する方向に沿った幅が、導電パターン80の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。言い換えると、これらの端部は、いずれも、導電パターンの延在方向に略直交する包装体10bの巻き付け方向に対する直交方向、すなわちZ軸方向に沿った幅が、導電パターン80の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。すなわち、導電パターン80(アンテナ80)は、第1の領域として端部450bにおいてZ軸方向に並ぶ4箇所の端部と、端部450aにおいてZ軸方向に並ぶ4箇所の端部とを備え、当該第1の領域の幅は、当該第1の領域を除くアンテナ80の幅よりも広い。
また、本実施形態では、幅が広くなっている各端部は、その中心がZ軸方向に沿って並んでいる。この直線を端部450b側についてはz2軸とし、端部450a側についてはz1軸とする。このとき、包装材430をボトル本体400に巻き付けた包装体10bとすると、重畳部450において、z1軸とz2軸とは略一致する。
さらに、端部450b側の第2端部83bと、端部450a側の第2端部82bとは包装体10bの巻き付け方向であるX軸方向に沿って配置されている。同様に、端部450b側の第1端部82a、第1端部81aおよび第2端部92bと、端部450a側の第1端部91a、第1端部92aおよび第2端部93bとが、それぞれX軸方向に沿って配置されている。
これにより、包装材430を組み立てて包装体10bとしたときに、端部450b側のアンテナの各端部と端部450a側のアンテナの各端部とが、第1実施形態の第1端部41aおよび第1端部42aと同様に重畳し、良好な容量結合をすることができる。その結果、第1部分81から第3部分83までの導電パターン80の一部、および第4部分91から第6部分93までの導電パターン80の一部とが、それぞれICチップを挟んで連続的につながった一体のダイポールアンテナと同等の機能を発揮することができる。
包装体10bに組み立てたときに互いに重畳する第2端部83bと第2端部82bとは、重畳した際の重畳効率を考えると、同一幅であってもよい。第1端部82aおよび第1端部91a、第1端部81aおよび第1端部92a、並びに第1端部92aおよび第2端部93bについても同様のことが言える。また、フィルム基材440の外縁を構成する端部450bの幅と、同じくフィルム基材440の外縁を構成する端部450aの幅とは同一であることが好ましい。さらには、上述したように、端部450bのZ軸方向である幅方向における第2端部83bの配置と、端部450aの幅方向における第2端部82bの配置とが対応している。第1端部82aおよび第1端部91a、第1端部81aおよび第1端部92a、並びに第1端部92aおよび第2端部93bについても同様である。なお、包装体10bへの組み立て後に良好な容量結合をするための、重畳する端部同士の幅や長さとアンテナの他の部位の幅との関係等は、第1実施形態で説明した内容に準ずる。
(c)包装材の包装体への組み立て(巻き付け)
上述の包装材430をボトル本体400の円筒状部分の外周に巻き付けて組み立てることにより、ボトル本体400と一体化した包装体10bを得ることができる。まず、図7(b)に示すような横長の略矩形である包装材430を準備する。ここでは他の実施形態とは異なり、組み立てる前にICモジュール500を先に包装材430の所定位置に搭載する。
次に、フィルム基材440が外表面となる向きにして、包装材430をボトル本体400の円筒状部分の外周に水平方向に沿って巻き付ける。その後、包装材430の両端部である端部450aと450bとを重畳させ、両者を熱融着により、あるいは接着剤を適宜塗布して接合する。なお、包装材430をシュリンクする場合は、包装材430の周囲全体を所定温度に加熱し、包装材430をボトル本体400の形状に沿うように収縮させる。
以上により、ICタグ70の構成を含んだ包装体10bが完成する。すなわち、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bが、それぞれ第2端部81bおよび第2端部91bと電気的に接続している。その結果、ICチップ510およびアンテナ80が、外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成する。
(d)第3実施形態の包装材および包装体
以上をまとめると、第3実施形態の包装材430は、飲料等である内容物610を収納するボトル本体400の少なくとも一部を覆う包装材430を巻き付けることにより、包装体10bに組み立てることが可能である。包装材430は、フィルム基材440と、フィルム基材440の少なくとも一方の面側に形成されたアンテナを構成する導電パターンとして導電パターン80と、を備える。
フィルム基材440の外縁である端部450bには、導電パターン80の第3部分83の第2端部83b、第2部分82の第1端部82a、第1部分81の第1端部81aおよび第5部分92の第2端部92bが配置されている。一方、フィルム基材440の外縁である端部450aには、導電パターン80の第2部分82の第2端部82b、第4部分91の第1端部91a、第5部分92の第1端部92aおよび第6部分93の第2端部93bが配置されている。
ここで、第2端部83bおよび第2端部82bの幅が、導電パターン80の他の部位の幅と比べて局所的に広くなっており、かつ、第2端部83bおよび第2端部82bは互いに重畳している。このことは、第1端部82aおよび第1端部91a、第1端部81aおよび第1端部92a、並びに第2端部92bおよび第2端部93bにもあてはまる。また、以上のことは、包装体10bが組み立てられた後のアンテナ80についても同様にあてはまる。
また、包装材430の外縁である端部450aおよび端部450bには、それぞれ上述した複数の端部が配置され、それぞれの対応する端部同士が互いに重畳して、アンテナ80がアンテナ全体として螺旋状に配置されている。
包装材430または包装体10bがこのような構成であることにより、対応する端部同士は互いに良好に容量結合でき、アンテナが螺旋状であることにより、電波等の指向性が拡張でき、ICタグ70としての機能の低下を抑制しながら、広い領域にアンテナを配置することが可能となる。
5.第4実施形態
次に、本開示の包装材、包装体および包装体付き物品の第4実施形態について説明する。図8は、天面および底面が略長方形であり、4側面がそれぞれ略台形である略四角錐台の形状である包装体10cを示す概略斜視図である。また、図9(a)および図9(b)は、図8の包装体10cを平面上に展開した包装材103を示す展開図である。
ここでも、説明の便宜上、包装体10cについてXYZ直交座標系を設定する。図8に示すように、包装体10cの天面である第4面114と底面である第2面112とを結ぶ方向に沿って上下方向にZ軸をとり、手前側と奥側とを結ぶ方向にY軸をとる。また、Z軸およびY軸に直交する左右方向にX軸をとる。Z軸に沿った上方を+Z方向とし、その反対方向を-Z方向とし、Y軸に沿った手前側から奥側に向かう方向を+Y方向とし、その反対方向を-Y方向とする。また、X軸に沿った左側から右側に向かう方向を+X方向とし、その反対方向を-X方向とする。
(a)包装体の構成
包装体10cについて説明する。本実施形態の包装体10cは、固形物である食品等の物品600の全体を包装する略四角錐台の板紙製の包装箱であり、物品付き包装体が全体として商品を構成する。ここで、図9(a)および図9(b)は、図8の包装体10cが図示しない床面と接する第2面112をXY平面上に固定したまま、周囲をXY平面上に展開した包装材103を、床面側から、すなわち-Z方向側から見た展開図である。
図8に示すように、包装体10cは、物品600を収納する箱状容器である。包装体10cは、四角錐台の各面に対応する面として、正面となる第1面111を-Y方向側に備え、第1面111と対向する+Y方向側に背面となる第3面113を備える。また、包装体10cは、第1面111と-X方向側で隣接する左側面となる第5面115を備え、第5面115と対向する+X方向側に右側面となる第6面116を備える。さらに、包装体10cは、第1面111と+Z方向側で隣接する天面となる第4面114を備え、第4面114と対向する-Z方向側に底面となる第2面112を備える。
包装体10cの第1面111、第2面112、第3面113および第4面114の外側を向く面には、それぞれICタグ71を構成するアンテナであるアンテナ85が形成されている。アンテナ85は、第4面114のY軸方向に沿った略中央から+Y方向に延び、その後、第3面113に沿って-Z方向に延び、第2面112に沿って-Y方向に延び、第1面111に沿って+Z方向に延びている。さらに、第4面114に沿って+Y方向に延び、第3面113に沿って-Z方向に延び、さらに第2面112に沿って-Y方向に延びながら途中で終了している。
一方、アンテナ85は、第4面114から-Y方向に延び、その後、第2面112に沿って-Z方向に延び、第2面112に沿って+Y方向に延び、第3面113に沿って+Z方向に延びている。さらに、第4面114に沿って-Y方向に延び、第1面111に沿って-Z方向に延び、さらに第2面112に沿って+Y方向に延びながら途中で終了している。第4面114において、アンテナ85の第2端部86bと第2端部96bとは、ICモジュール500を搭載するための対向部を有する。
アンテナ85は、各面の境界の角部で所定角度の屈曲を経て一方の面から他方の面にまたがって延びている。ここで、アンテナが第1面111と第4面114とをまたがる部分では、第1面111から延在する糊代111bが第4面114の下方に重畳し、第4面114および第1面111のアンテナ同士が離間している。この点については後述する。
第4面14のY軸方向に沿って中央から+Y方向および-Y方向のそれぞれに対向してアンテナ85がそれぞれ、包装体10cの外表面に沿って螺旋状に形成されている。また、アンテナ85の第1部分86および第4部分96が対向する部分に備えられた対向部にICモジュール500が配置され、ICチップの電気的な接続端子である第1パッドおよび第2パッドが、それぞれ第1部分86および第4部分96の端部と電気的に接続している。これにより、対向配置されるアンテナ85と、これと電気的に接続するICチップとがICタグ71を構成し、外部機器との電波や電磁結合による非接触信が可能である。
(b)包装材の構成
次に、上述した包装体10cの構成の一層の理解を図るため、包装体10cを平面上に展開した部材である包装材103の構成について説明する。包装材103は、図9(a)や図9(b)に示すように、基材110の一方の面である-Z方向側の面に導電パターン85が形成され、さらにこれらの導電パターン85を含めて当該一方の面の全体を覆う印刷層212が形成されたものである。
包装材103は、組み立てることで略四角錐台の包装体10cを形成できるよう、第2面112の-Y方向側に第1面111が隣接し、+Y方向側に第3面113が隣接して配置される。また、第2面112の-X方向側に第5面115が隣接し、+X方向側に第6面116が隣接して配置される。さらに、第3面113の+Y方向側に第4面114が隣接して配置される。なお、糊代や折曲線は、第1実施形態において11bや11qと表記している符号を111bや111qと表記している他は第1実施形態と内容的な差異がないため、説明を省略する。
基材110の-Y方向側の外縁は糊代111bであり、+Y方向側の外縁は第4面114の端部である。導電パターン85は、第4面114、第3面113、第2面112および第1面111にまたがる第1部分86と、第1部分86の+X方向側に隣接し、第4面114、第3面113および第2面112にまたがる第2部分87と、に分割配置されている。また、導電パターン85は、第4部分96と、第4部分96の-X方向側に隣接する第5部分97と、第5部分97の-X方向側に隣接する第6部分98と、に分割配置されている。第4部分96は、第4面114に配置される。第5部分97は、第1面111、第2面112、第3面113および第4面114にまたがって配置される。また、第6部分98は、第1面111および第2面112にまたがって配置される。
導電パターン85の第2部分87の+Y方向側の第1端部87aと、第4部分96の+Y方向側の第1端部96aと、第5部分97の+Y方向側の第2端部97bとは、X軸方向に沿って並んで配置される。同様に、導電パターン85の第1部分86の-Y方向側の第1端部86aと、第5部分97の-Y方向側の第1端部97aと、第6部分98の-Y方向側の第1端部98aとは、X軸方向に沿って並んで配置される。
さらに、導電パターン85の第5部分97の+Y方向側の第2端部97bと、第6部分98の-Y方向側の第1端部98aとは、Y軸に沿ったy3軸の直線上に配置される。また、導電パターン85の第4部分96の+Y方向側の第1端部96aと、第5部分97の-Y方向側の第1端部97aとは、Y軸に沿ったy2軸の直線上に配置される。同様に、導電パターン85の第2部分87の+Y方向側の第1端部87aと、第1部分86の-Y方向側の第1端部86aとは、Y軸に沿ったy1軸の直線上に配置される。なお、導電パターン85の第6部分98の先端の第2端部98bは、y3軸よりも-X方向寄りのY軸に沿ったy4軸の直線上に配置される。
ここで、糊代111bにおいてX軸方向に沿って配置される第1端部86a、第1端部97aおよび第1端部98aは、これらのY軸方向、すなわち導電パターンの延在方向に直交する方向に沿った幅は、導電パターン85の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。同様に、第4面114の+Y方向側の端部においてX軸方向に沿って配置される第1端部87a、第1端部96aおよび第2端部97bも、これらのY軸方向に直交する方向に沿った幅は、導電パターン85の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。以上のことは、包装体10cに組み立てられた後のアンテナ85についても同様にあてはまる。すなわち、導電パターン85(アンテナ85)は、第1端部86a、第1端部97aおよび第1端部98aや第1端部87a、第1端部96aおよび第2端部97bを備え、当該第1の領域の幅は、当該第1の領域を除くアンテナ85の幅よりも広い。
包装体10cに組み立てたときに互いに重畳する第1端部86aと第1端部87aとは、重畳した際の重畳効率を考えると、同一幅であってもよい。第1端部97aおよび第1端部96a、第1端部98aおよび第2端部97bについても同様のことが言える。また、基材110の外縁を構成する第4面114の幅と、同じく基材110の外縁を構成する糊代111bの幅とは、同一であることが好ましい。さらには、第4面14の幅方向における第1端部87aの配置と、糊代111bの幅方向における第1端部86aの配置とが対応しており、第1端部96aおよび第1端部97a、第2端部97bおよび第1端部98aについても同様の関係が成り立つ。なお、包装体10cへの組み立て後に良好な容量結合をするための、重畳する端部同士の幅や長さとアンテナや導電パターンの他の部位の幅との関係等は、第1実施形態で説明した内容に準ずる。
一方、基材110の折曲線111qを挟んで第1面111とこれに延在する糊代111bとにまたがって、導電パターン85の第1部分86の一部である拡張領域86sが形成されている。また、同様の位置に導電パターン85の第5部分97の一部である拡張領域97pや第6部分98の一部である拡張領域98pが形成されている。ここで、拡張領域86s、97pおよび98pのX軸方向に沿った幅は、上述の外縁に形成された端部を除く導電パターン85の他の部位の幅と比べて局所的に広く形成されている。すなわち、導電パターン85(アンテナ85)は、拡張領域86s、97pおよび98pを備え、当該第1の領域の幅は、当該第1の領域を除くアンテナ85の幅よりも広い。
また、基材110の折曲線112qを挟んで第1面111と第2面112とにまたがって、導電パターン85の第1部分86の一部である拡張領域86rが形成されている。また、同様の位置に第5部分97の一部である拡張領域97qや第6部分98の一部である拡張領域98qが形成されている。さらに、折曲線112sを挟んで第2面112と第3面113とにまたがって、導電パターン85の第2部分87の一部である拡張領域87qが形成されている。また、同様の位置に第1部分86の一部である拡張領域86qや第5部分97の一部である拡張領域97rが形成されている。
さらに、折曲線113rを挟んで第3面113と第4面114とにまたがって、導電パターン85の第2部分87の一部である拡張領域87pが形成されている。また、同様の位置に第1部分86の一部である拡張領域86pや第5部分97の一部である拡張領域97sが形成されている。これらの拡張領域についても上記と同様のことがあてはまる。なお、包装体10cへの組み立て後に良好な容量結合をするための、拡張領域の幅や長さとアンテナや導電パターンの他の部位の幅との関係等は、第1実施形態で説明した内容に準ずる。
(c)包装材の包装体への組み立て
上述の包装材103を順次組み立てることにより、略四角錐台の包装体10cを得ることができる。折り曲げ加工の方法は第1実施形態と共通するため、詳細の説明を省略する。
第1実施形態と同様の加工により得られた包装体10cには、第4面114に配置される、アンテナ85の第1部分86の第2端部86bと、第4部分96の第2端部96bとが有する対向部にICモジュール500を搭載することができる。これにより、ICタグ71の構成を含んだ包装体10cが完成する。すなわち、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッド510aおよび第2パッド510bが、それぞれ対応する対向部と電気的に接続している。その結果、ICチップ510およびアンテナ85が、外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成する。
また、アンテナ85は、包装体10cの外表面を覆うような螺旋状に形成される。このように、ダイポールアンテナが螺旋状に形成できることにより、包装体10cが小型の容器であっても、十分なアンテナの電気長を確保できる。一方、アンテナの指向性が拡張でき、様々な角度、位置の外部機器との非接触通信が良好にできる。さらには、内部に収納する物品が電磁波遮蔽性または電磁波吸収性を有するものであっても、アンテナがこれを取り巻くように配置できるため、通信感度の低下が抑制できる。
(d)第4実施形態の包装材および包装体
以上をまとめると、第4実施形態の包装材103は、物品600の少なくとも一部を覆う包装体10cを組み立てることが可能である。包装材103は、基材110と、基材110の少なくとも一方の面側に形成されたアンテナを構成する導電パターンとして導電パターン85と、を備える。導電パターンの第2端部86bおよび第2端部96bが、ICモジュール500を搭載するための対向部を有する。
ICモジュール500の搭載によって、ICチップ510の電気的な接続端子である第1パッドおよび第2パッドが、それぞれ第2端部86bおよび第2端部96bと電気的に接続する。これにより、ICチップ510およびアンテナが外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成する。また、基材110の外縁である第4面の端部には、アンテナ85の第2部分87の第1端部87a、第4部分96の第1端部96a、および第5部分97の第2端部97b、が配置される。一方、基材110の外縁である糊代111bには、アンテナ85の第1部分86の第1端部86a、第5部分97の第1端部97a、および第6部分98の第1端部98a、が配置される。
ここで、上記の各端部の幅が、導電パターン85およびアンテナ85の他の部位の幅と比べて局所的に広くなっており、かつ、包装体10cに組み立てたときに、第1端部87aおよび第1端部86aは互いに重畳している。第1端部96aおよび第1端部97a、並びに第2端部97bおよび第1端部98aも同様である。
包装材103または包装体10cがこのような構成であることにより、上記の対応する各端部は互いに良好に容量結合でき、ICタグ71としての機能の低下を抑制しながら、広い領域にアンテナを配置することが可能となる。
また、基材110が折り曲げられている角部を含むアンテナ85の拡張領域86s、97p、98p、86r、97q、98q、87q、86q、97r、87p、86pおよび97sの幅が、アンテナ85の他の部位の幅と比べて局所的に広くなっている。
包装材100または包装体10がこのような構成であることにより、角部により屈曲が生じて電気抵抗値の局所的な増加が起きたとしても、当該部位の幅が広いことによってアンテナ全体の抵抗の増加が抑制できる。このため、角部を避けてアンテナを配置する等のレイアウトの制限がなくなり、ICタグ71としての機能の低下を抑制しながら、広い領域にアンテナを配置することが可能となる。
また、包装体10cにおいて、アンテナ85は、包装体10cの外表面に沿って螺旋状に配置される。これにより、小型の包装体10cであっても、十分なアンテナの電気長が確保でき、また内部の物品の電磁波遮蔽性または電磁波吸収性に関わらず、外部機器との良好な非接触通信が行える。このことから、ICタグ71としてのより一層の機能の低下を抑制しながら、より広い領域にアンテナを配置することが可能となる。
なお、上述した実施形態や変形例については、それらが互いに矛盾しない範囲で、その全部または一部を組み合わせて実施することが可能であり、その内容も当然に本開示に含まれる。
10、10a、10b、10c 包装体
11 第1面
11a、11b、11c 糊代
11p、11q、11r 折曲線
12 第2面
12p、12q、12r、12s 折曲線
13 第3面
13a、13b 糊代
13p、13q 折曲線
14 第4面
15 第5面
15a 糊代
15p 折曲線
16 第6面
16a 糊代
16p 折曲線
20、20a、20h、20i、20j、20k、20m、20n、70、71 ICタグ
30、80、85 アンテナ(導電パターン)
30g、30l、30o、40o、50g 第2要素
30h、30k、30n、40n、50h 第1要素
30i、30j、50i、 アンテナ
30m 第1部分
30ma、30oa、40ma、40oa 対向部
31 第3部分
31a 第1端部
31b 第2端部
31p 拡張領域
40m 第2部分
41 第1部分
41a 第1端部
41b 第2端部
42 第2部分
42a 第1端部
42b 第2端部
42c、42d 屈曲点
42p 拡張領域
50 アンテナ(導電パターン)
51 第1部分
51a 第1端部
51b 第2端部
52 第2部分
52a 第1端部
52b 第2端部
52p 拡張領域
61 第3部分
61a 第1端部
61b 第2端部
62 第4部分
62a 第1端部
62b 第2端部
62p 拡張領域
81 第1部分
81a 第1端部
81b 第2端部
82 第2部分
82a 第1端部
82b 第2端部
83 第3部分
83a 第1端部
83b 第2端部
86 第1部分
86a 第1端部
86b 第2端部
86p、86q、86r、86s 拡張領域
87 第2部分
87a 第1端部
87b 第2端部
87p、87q 拡張領域
91 第4部分
91a 第1端部
91b 第2端部
92 第5部分
92a 第1端部
92b 第2端部
93 第6部分
93a 第1端部
93b 第2端部
96 第4部分
96a 第1端部
96b 第2端部
97 第5部分
97a 第1端部
97b 第2端部
97p、97q、97r、97s 拡張領域
98 第6部分
98a 第1端部
98b 第2端部
98p、98q 拡張領域
100、101、102、103 包装材
110 基材
111 第1面
111a、111b、111c 糊代
111p、111q、111r 折曲線
112 第2面
112p、112q、112r、112s 折曲線
113 第3面
113a、113b 糊代
113p、113q 折曲線
114 第4面
115 第5面
115a 糊代
115p 折曲線
116 第6面
116a 糊代
116p 折曲線
120 基材
210、211、212 印刷層
220 保護層
300 折曲治具
310 凹部
320 突起部材
330、331、332、333、340 角部
400 ボトル本体
410 胴部
420 蓋部
430 包装材
440 フィルム基材
450 重畳部
450a、450b 端部
500 ICモジュール
510 ICチップ
510a 第1パッド
510b 第2パッド
520 ループ回路
520a、520b 対向部
600 物品
610 内容物

Claims (15)

  1. 物品の少なくとも一部を覆う包装体であって、
    基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に形成されたアンテナと、を備え、
    前記アンテナは、第1の領域を備え、前記第1の領域の幅は、前記第1の領域を除く前記アンテナの幅よりも広い、包装体。
  2. 前記アンテナは、互いに離間する第1の部分と第2の部分とを備え、
    前記第1の領域は、前記第1の部分および前記第2の部分を含み、
    前記第1の部分の端部と前記第2の部分の端部とは互いに重畳する、請求項1に記載の包装体。
  3. 前記アンテナは、互いに重畳せずに隙間を隔てて対向配置される第1の対向部および第2の対向部をさらに備える、請求項2に記載の包装体。
  4. ICチップをさらに備え、
    前記ICチップの電気的な接続端子である第1パッドおよび第2パッドが、それぞれ前記第1の対向部および前記第2の対向部と電気的に接続し、
    前記ICチップおよび前記アンテナが外部機器との無線通信を可能とする通信回路を構成する、請求項3に記載の包装体。
  5. 前記第1の部分の端部と前記第2の部分の端部とが、少なくとも前記基材の厚さ分だけ互いに離間している、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の包装体。
  6. 前記第1の領域は、前記基材が折り曲げられている角部を含む領域をさらに含む、請求項1に記載の包装体。
  7. 前記角部を含む前記アンテナが樹脂製の保護層で覆われている、請求項6に記載の包装体。
  8. 前記基材は、折り曲げられている角部を境界とし、互いに交差し、かつ前記アンテナが形成されている第1のアンテナ形成面および第2のアンテナ形成面を備える、請求項6または請求項7に記載の包装体。
  9. 前記アンテナは、螺旋状に配置される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の包装体。
  10. 前記アンテナが、前記物品を挟んで互いに向かい合う前記基材に配置されている、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の包装体。
  11. 前記物品は、無線通信に使用される波長の電磁波を遮蔽または吸収する、請求項10に記載の包装体。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一項の包装体が物品の少なくとも一部を覆う、包装体付き物品。
  13. 物品の少なくとも一部を覆うアンテナを備えた包装体を組み立てることが可能な包装材であって、
    基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に形成された、前記アンテナを構成する導電パターンと、を備え、
    前記導電パターンは、互いに離間する第1の部分と第2の部分とを備え、
    前記基材の第1の外縁には、前記第1の部分の端部が配置され、
    前記基材の第2の外縁には、前記第2の部分の端部が配置され、
    前記第1の部分の端部および前記第2の部分の端部の幅が前記導電パターンの他の部位の幅と比べて広い、包装材。
  14. 前記第1の外縁の幅と、前記第2の外縁の幅とが同一である、請求項13に記載の包装材。
  15. 前記第1の外縁の幅方向における前記第1の部分の端部の配置と、前記第2の外縁の幅方向における前記第2の部分の端部の配置とが対応する、請求項14に記載の包装材。
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