JP2023009514A - 被覆電線の止水構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】一端部が負圧環境に配置され、他端部が被水環境に配置される被覆電線の止水構造であって、止水工程を容易なものにできる構造を提供する。【解決手段】被覆電線2の止水構造1は、一端部が負圧環境に配置され、他端部が被水環境に配置される被覆電線2の止水構造である。被覆電線2の中間部2cには、絶縁被覆22に孔が開けられて成る空気吸入部23が形成されており、この中間部2cがケース5の密閉空間53c内に収容されている。被覆電線2の一端部側で負圧が生じると、密閉空間53c内の空気が空気吸入部23から絶縁被覆22内に吸入される。これにより、被覆電線2の他端部側から空気や水を吸引することを抑制できる。【選択図】図4
Description
本発明は、被覆電線の止水構造に関するものである。
自動車に配索されるワイヤハーネスは、被覆電線、該電線の端末に接続された端子金具をコネクタハウジングに収容したコネクタ、等を有している。ワイヤハーネスの接続には、密閉構造の防水コネクタが用いられることがある。防水コネクタは、コネクタハウジングと被覆電線との間の隙間がゴム栓や充填剤などで塞がれている。
ワイヤハーネスには、車室とエンジンルームとにわたって配索されるものがある。このワイヤハーネスのエンジンルーム側端部に防水コネクタが取り付けられる場合、エンジンの駆動・停止によるエンジンルーム内の温度変化に伴い、防水コネクタ内の空気も膨張・収縮し、収縮時に防水コネクタ内が負圧となる。すると、ワイヤハーネスの車室側端部から絶縁被覆内に空気が吸引され、この空気が芯線の素線間を通ってエンジンルーム側に流れる現象が生じる。この際、乗員が飲料をこぼすなどの何らかの原因でワイヤハーネスの車室側端部が被水すると、絶縁被覆内に水が浸入してしまうという問題が生じる。
この問題に対して、特許文献1には、被覆電線の絶縁被覆を中間皮剥ぎして芯線を露出させ、露出させた部分の芯線の多数の素線同士を溶接した後、溶接部を含む露出した芯線をテープや熱収縮チューブで覆うことで絶縁被覆内に浸入した水を前記溶接部で遮断する電線止水構造が開示されている。
上記特許文献1に開示された電線止水構造は、芯線の素線同士を溶接したり、溶接部をテープ巻きしたり、熱収縮チューブを被せて加熱するなど、煩雑な工程を経る必要があった。
そこで、本発明は、一端部が負圧環境に配置され、他端部が被水環境に配置される被覆電線の止水構造であって、止水工程を容易なものにできる構造を提供することを目的とする。
本発明は、一端部が負圧環境に配置され、他端部が被水環境に配置される被覆電線の止水構造であって、前記被覆電線の中間部に、絶縁被覆の一部が除去されるか又は絶縁被覆に孔が開けられて成る空気吸入部が形成されており、前記中間部がケースの密閉空間内に収容され、前記被覆電線の一端部側で負圧が生じた際、前記密閉空間内の空気を前記空気吸入部から前記絶縁被覆内に吸入させることで、前記被覆電線の他端部側から水を吸引することを抑制することを特徴とする。
本発明によれば、被覆電線の止水工程を容易なものにすることができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる「被覆電線の止水構造」について、図1~5を参照して説明する。
本発明の第1実施形態にかかる「被覆電線の止水構造」について、図1~5を参照して説明する。
図1に示す被覆電線2の止水構造1は、一端部2aが負圧環境に配置され、他端部2bが被水環境に配置される被覆電線2の止水構造である。本明細書において、「負圧環境」とは、負圧が生じることがある環境と定義する。また、「被水環境」とは、水やその他の液体がかかることがある環境と定義する。
被覆電線2は、芯線21が絶縁被覆22で覆われた断面円形の電線である。芯線21は、複数の素線が撚られて構成されている。素線の材質はアルミニウム又はアルミニウム合金である。本例の被覆電線2は、一端部2aに防水コネクタ3が取り付けられ、他端部2bに非防水コネクタ4が取り付けられて、車両用ワイヤハーネスを構成する。
防水コネクタ3は、被覆電線2の一端部2aに接続された端子金具と、この端子金具を収容したコネクタハウジングと、被覆電線2とコネクタハウジングとの間の隙間を塞いだシール部材と、を有している。この防水コネクタ3は、車両のエンジンルームR1に配置される。このため、防水コネクタ3内は、エンジン停止によるエンジンルームR1内の温度降下によって負圧が生じることがある。即ち、防水コネクタ3内は負圧環境である。
非防水コネクタ4は、被覆電線2の他端部2bに接続された端子金具と、この端子金具を収容したコネクタハウジングと、を有している。この非防水コネクタ4は、車室R2に配置される。非防水コネクタ4は、乗員が飲料をこぼすなど、意図せぬ何らかの原因で被水することがある。即ち、非防水コネクタ4内は被水環境である。
防水コネクタ3及び非防水コネクタ4の端子金具の材質は銅又は銅合金である。これら端子金具と芯線21との接続箇所に水が浸入すると電食が生じるので好ましくない。本止水構造1は、この電食を防止することが目的の一つである。
被覆電線2の中間部2cには、図2~5に示すケース5が取り付けられる。このケース5は、互いの間に中間部2cを位置付ける状態で互いに組み付けられる第1ケース51及び第2ケース52で構成されている。第1ケース51及び第2ケース52は合成樹脂で構成されている。
第1ケース51は、平板状に形成されており、被覆電線2の中間部2cを位置付ける溝53aが形成されている。溝53aは、被覆電線2の形状に合わせた断面半円形状であり、第1ケース51の全長にわたって延びている。第1ケース51の幅方向両端部には、一対の凸部54が設けられている。
第2ケース52は、平板状に形成されており、被覆電線2の中間部2cを位置付ける溝53bが形成されている。溝53bは、被覆電線2の形状に合わせた断面半円形状であり、第2ケース52の全長にわたって延びている。第2ケース52の幅方向両端部には、第1ケース51の凸部54と係合する一対の係合部55が設けられている。これら凸部54と係合部55とが係合することにより第1ケース51及び第2ケース52が互いに組み付けられる。
溝53aと溝53bとは、第1ケース51及び第2ケース52が互いに組み付けられることで被覆電線2よりも一回り大きい空間を形成する。被覆電線2の中間部2cは、溝53aと溝53bとで構成される空間に位置付けられる。第1ケース51及び第2ケース52それぞれには、前記空間の電線長手方向中央部を密閉空間53cとするためのパッキン6が取り付けられている。
各パッキン6は、平面視長方形枠状に形成されており、第1ケース51及び第2ケース52の合わせ面に取り付けられている。パッキン6の一部は溝53a,53bの内面に位置して被覆電線2に密着する。これらパッキン6は、第1ケース51と第2ケース52との間、及び、各ケース51,52と被覆電線2との間を水密に保つ。
また、図4に示すように、溝53a,53bの密閉空間53cを構成する部分には、第1ケース51及び第2ケース52が互いに組み付けられる際に中間部2cに突き刺さることで絶縁被覆22に孔を開ける針部56が設けられている。これにより、中間部2cの密閉空間53cに収容される部分には、針部56が突き刺さって絶縁被覆22に孔が開けられることで空気吸入部23が形成される。
また、密閉空間53cにおけるケース内面と被覆電線2との間の空間の容積は、防水コネクタ3内の空間の容積よりも大きい。
本例の止水構造1においては、被覆電線2の一端部2a側、即ち防水コネクタ3内で負圧が生じると、密閉空間53c内の空気が空気吸入部23から絶縁被覆22内に吸入される。これにより、被覆電線2の他端部2b側、即ち非防水コネクタ4側から空気や水を吸引することを抑制できる。本止水構造1の止水工程は、被覆電線2の中間部2cにケース5を取り付けるだけであり、非常に容易に処理することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態にかかる「被覆電線の止水構造」について、図6を参照して説明する。図6において前述した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる「被覆電線の止水構造」について、図6を参照して説明する。図6において前述した第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図6に示す被覆電線2の止水構造101は、被覆電線2の中間部2cに取り付けられるケース105の第1ケース151及び第2ケース152に上記針部56が設けられていない。よって、被覆電線2の中間部2cには、絶縁被覆22の一部が除去されて成る空気吸入部123が予め形成されている。その他の構成は、第1実施形態の止水構造1と同じである。
本例の止水構造101は、第1実施形態の止水構造1と同じ作用効果を奏し、被覆電線2の一端部2a側、即ち防水コネクタ3内で負圧が生じると、密閉空間53c内の空気が空気吸入部123から絶縁被覆22内に吸入される。これにより、被覆電線2の他端部2b側、即ち非防水コネクタ4側から空気や水を吸引することを抑制できる。本止水構造101の止水工程は、被覆電線2の中間部2cの絶縁被覆22を一部除去して空気吸入部123を形成し、この中間部2cにケース105を取り付けるだけであり、非常に容易に処理することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態にかかる「被覆電線の止水構造」について、図7を参照して説明する。図7において前述した第1,2実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる「被覆電線の止水構造」について、図7を参照して説明する。図7において前述した第1,2実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図7に示す被覆電線2の止水構造201は、第2実施形態のケース105のパッキン6(図6参照)の代わりに止水材206を塗布して第1ケース151と第2ケース152との間、及び、各ケース151,152と被覆電線2との間を水密に保っている。その他の構成は、第2実施形態の止水構造101と同じである。
本例の止水構造201は、第1,2実施形態の止水構造1,101と同じ作用効果を奏する。本止水構造201の止水工程は、被覆電線2の中間部2cの絶縁被覆22を一部除去して空気吸入部123を形成し、この中間部2cに止水材206を塗布したケース105を取り付けるだけであり、非常に容易に処理することができる。
また、上述したパッキン6や止水材206を用いる以外に、熱収縮チューブでケース5,105ごと封止するようにしてもよい。
上述した実施形態では、第1ケース51及び第2ケース52の双方に針部56が設けられていたが、針部56は第1ケース51及び第2ケース52の少なくとも一方に設けられていればよい。また、針部56の代わりに刃部を設けてもよい。
上述した実施形態では、被覆電線2の一端部2aに防水コネクタ3が取り付けられていたが、本発明では防水コネクタに限らず、被覆電線の一端部に電気接続箱やその他の車載機器が取り付けられていてもよい。即ち、被覆電線の一端部が負圧環境に配置される構成であればよい。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
1,101,201 被覆電線の止水構造
2 被覆電線
5,105 ケース
22 絶縁被覆
23,123 空気吸入部
53b 密閉空間
2 被覆電線
5,105 ケース
22 絶縁被覆
23,123 空気吸入部
53b 密閉空間
Claims (2)
- 一端部が負圧環境に配置され、他端部が被水環境に配置される被覆電線の止水構造であって、
前記被覆電線の中間部に、絶縁被覆の一部が除去されるか又は絶縁被覆に孔が開けられて成る空気吸入部が形成されており、
前記中間部がケースの密閉空間内に収容され、
前記被覆電線の一端部側で負圧が生じた際、前記密閉空間内の空気を前記空気吸入部から前記絶縁被覆内に吸入させることで、前記被覆電線の他端部側から水を吸引することを抑制する
ことを特徴とする被覆電線の止水構造。 - 前記ケースが、互いの間に前記中間部を位置付ける状態で互いに組み付けられる第1ケース及び第2ケースで構成されており、
前記第1ケース及び前記第2ケースの少なくとも一方に、前記第1ケース及び前記第2ケースが互いに組み付けられる際に前記中間部に突き刺さることで前記絶縁被覆に孔を開ける針部又は刃部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の被覆電線の止水構造。
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JP2021112872A JP2023009514A (ja) | 2021-07-07 | 2021-07-07 | 被覆電線の止水構造 |
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JP2021112872A Pending JP2023009514A (ja) | 2021-07-07 | 2021-07-07 | 被覆電線の止水構造 |
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- 2021-07-07 JP JP2021112872A patent/JP2023009514A/ja active Pending
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A621 | Written request for application examination |
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