JP2023008899A - 固形粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐付着性と使用感を満足しつつ、輸送耐性に優れる固形粒子の製造方法。【解決手段】下記工程1~工程3を有する固形粒子の製造方法であって、工程1:油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程、工程2:流動性を付与した前記原料組成物を粒状化して粒状原料を得る工程、工程3:前記粒状原料と粉体とを接触させ、前記粒状原料の表面を前記粉体で被覆する工程、前記接触が、前記粉体が振動を付与された状態で行われる、固形粒子の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は固形粒子の製造方法、及び固形粒子に関する。
これまで知られている固形化粧料などの固形粒子は一般に、ファンデーションのように粉体を圧縮成形して浅底のトレイ内に収容した形態や、口紅のように室温で固体の組成物を所定形状に成形した形態のものであった。このような形態の固形化粧料のほかに、近年では粒状の形態をした固形化粧料(粒状固形化粧料)が提案されている。
例えば特許文献1には、液状化した化粧料を、該化粧料と相溶性がない液状オイル中に滴下して粒状に成形し、粒状に成形された化粧料の温度を下げて固形化した後、該液状オイルから分離する方法で、平均粒径1~5mmの粒状に賦形された粒状固形化粧料を得ることが記載されている。
特許文献1に記載の粒状固形化粧料は、その製造過程において液状オイルを用いているので、液状オイルの分離を十分に行わないと、粒状固形化粧料の表面に液状オイルが残存してしまう。そのことに起因して、粒状固形化粧料が容器に付着したり粒状固形化粧料同士が結合しやすくなり、耐付着性が低下してしまう。更に、口紅のような固形化粧料を単に粒状化しただけでは、輸送等に伴う衝撃に弱く、容易に変形・合一してしまう。また、固形化粧料の硬度を上げると輸送等には耐えうるが、硬いことで使用感は損なわれる。
本発明は、耐付着性と使用感を満足しつつ、輸送耐性に優れる固形粒子の製造方法に関する。なお、耐付着性とは、固形粒子と容器との付着や、固形粒子同士の付着や結合が抑制されることを意味する。
本発明者らは、加熱により流動性を付与した油性成分を含む原料組成物を粒状にし、粒状化した原料組成物と粉体とを接触させ、接触時に粉体に振動を付与しながら粒状原料の表面を粉体で被覆することで、耐付着性と使用感を満足しつつ、輸送耐性に優れる固形粒子が得られることを見出した。
本発明は、以下の〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕下記工程1~工程3を有する固形粒子の製造方法であって、
工程1:油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程、
工程2:流動性を付与した前記原料組成物を粒状化して粒状原料を得る工程、
工程3:前記粒状原料と粉体とを接触させ、前記粒状原料の表面を前記粉体で被覆する工程、
前記接触が、前記粉体が振動を付与された状態で行われる、固形粒子の製造方法。
〔2〕原料組成物からなるコア部と、該コア部の表面の少なくとも一部を被覆するシェル部とを有する固形粒子であって、該シェル部が、粉体を取り込んだ原料組成物からなり、該粉体を取り込んだ原料組成物の厚さが110μm以上である、コアシェル構造を有する固形粒子。
本発明は、以下の〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕下記工程1~工程3を有する固形粒子の製造方法であって、
工程1:油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程、
工程2:流動性を付与した前記原料組成物を粒状化して粒状原料を得る工程、
工程3:前記粒状原料と粉体とを接触させ、前記粒状原料の表面を前記粉体で被覆する工程、
前記接触が、前記粉体が振動を付与された状態で行われる、固形粒子の製造方法。
〔2〕原料組成物からなるコア部と、該コア部の表面の少なくとも一部を被覆するシェル部とを有する固形粒子であって、該シェル部が、粉体を取り込んだ原料組成物からなり、該粉体を取り込んだ原料組成物の厚さが110μm以上である、コアシェル構造を有する固形粒子。
本発明の製造方法によれば、耐付着性と使用感を満足しつつ、輸送耐性に優れる固形粒子を提供することができる。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明は固形粒子の製造方法に関するものである。
[固形粒子]
本発明の固形粒子は、粒状である固形の原料組成物からなるコア部と、該コア部の表面の少なくとも一部を被覆しているシェル部とを有する、コアシェル構造を有する固形粒子である。シェル部は、粉体を取り込んだ原料組成物の層からなる。粉体の性状、製造条件にも依存するが、粉体は、コア部の表面から、例えば100μm程度の厚さで原料組成物に取り込まれている。本発明の固形粒子は、後述する本発明の固形粒子の製造方法により製造されることが好ましい。
本発明の固形粒子は、粉体の付着及び原料組成物への取り込みにより、固形粒子の表面近傍内部の強度が向上しているため、輸送時に粒子同士又は粒子と容器との接触による固形粒子の破砕を抑制できると考えられる。これにより、コア部の露出を抑制し、固形粒子同士の付着を抑制できるため、輸送耐性に優れると考えられる。さらに、表面近傍に粉体が存在するので使用感の低下を抑制できる。
「固形粒子」とは、室温(25℃)において固体であり、室温よりも高い温度、例えば50℃以上に加熱したときに軟化又は溶融し、流動性を得る性質を有する粒子のことである。粉体を圧縮成形してなる粒子は、本発明にいう固形粒子から除外される。このような固形粒子を得るには、後述するように、例えば、融点が50℃以上の原料組成物を用いればよい。
「粒子」とは、球状や略球状のみならず、扁平状、紡錘状、多面体状、繊維状の形状や、不定形の形状を包含し、更に、何らかの文字や記号を象った形状、並びに人物、動物及び物等のキャラクターを象った形状等も包含する。本発明の固形粒子は、これらの形状のうちの1種であり得るか、又は2種以上の組み合わせであり得る。
本発明の固形粒子は、粒状である固形の原料組成物からなるコア部と、該コア部の表面の少なくとも一部を被覆しているシェル部とを有する、コアシェル構造を有する固形粒子である。シェル部は、粉体を取り込んだ原料組成物の層からなる。粉体の性状、製造条件にも依存するが、粉体は、コア部の表面から、例えば100μm程度の厚さで原料組成物に取り込まれている。本発明の固形粒子は、後述する本発明の固形粒子の製造方法により製造されることが好ましい。
本発明の固形粒子は、粉体の付着及び原料組成物への取り込みにより、固形粒子の表面近傍内部の強度が向上しているため、輸送時に粒子同士又は粒子と容器との接触による固形粒子の破砕を抑制できると考えられる。これにより、コア部の露出を抑制し、固形粒子同士の付着を抑制できるため、輸送耐性に優れると考えられる。さらに、表面近傍に粉体が存在するので使用感の低下を抑制できる。
「固形粒子」とは、室温(25℃)において固体であり、室温よりも高い温度、例えば50℃以上に加熱したときに軟化又は溶融し、流動性を得る性質を有する粒子のことである。粉体を圧縮成形してなる粒子は、本発明にいう固形粒子から除外される。このような固形粒子を得るには、後述するように、例えば、融点が50℃以上の原料組成物を用いればよい。
「粒子」とは、球状や略球状のみならず、扁平状、紡錘状、多面体状、繊維状の形状や、不定形の形状を包含し、更に、何らかの文字や記号を象った形状、並びに人物、動物及び物等のキャラクターを象った形状等も包含する。本発明の固形粒子は、これらの形状のうちの1種であり得るか、又は2種以上の組み合わせであり得る。
〔固形粒子の形状〕
固形粒子は、その大きさに特に制限はないが、手に取りやすい等の使用のしやすさ、転がりにくさ、潰しやすさ、意匠性、及び製造のしやすさ等の観点から、平面上に載置したときの平均投影面積が好ましくは0.5mm2以上、より好ましくは1mm2以上、更に好ましくは1.5mm2以上である。また固形粒子は、手に取りやすい等の使用のしやすさ、潰しやすさ、及び意匠性等の点から、前記平均投影面積が好ましくは320mm2以下、より好ましくは80mm2以下、更に好ましくは20mm2以下である。特に、固形粒子は、前記平均投影面積が好ましくは0.5mm2以上320mm2以下、より好ましくは1mm2以上80mm2以下、更に好ましくは1.5mm2以上20mm2以下である。「平均投影面積」とは、無作為に抽出した10個の固形粒子を対象として、該固形粒子が、水平面上において最も安定した状態で載置された状態において真上からの光に対して該水平面に投影される面積の数平均値を意味する。
固形粒子は、その大きさに特に制限はないが、手に取りやすい等の使用のしやすさ、転がりにくさ、潰しやすさ、意匠性、及び製造のしやすさ等の観点から、平面上に載置したときの平均投影面積が好ましくは0.5mm2以上、より好ましくは1mm2以上、更に好ましくは1.5mm2以上である。また固形粒子は、手に取りやすい等の使用のしやすさ、潰しやすさ、及び意匠性等の点から、前記平均投影面積が好ましくは320mm2以下、より好ましくは80mm2以下、更に好ましくは20mm2以下である。特に、固形粒子は、前記平均投影面積が好ましくは0.5mm2以上320mm2以下、より好ましくは1mm2以上80mm2以下、更に好ましくは1.5mm2以上20mm2以下である。「平均投影面積」とは、無作為に抽出した10個の固形粒子を対象として、該固形粒子が、水平面上において最も安定した状態で載置された状態において真上からの光に対して該水平面に投影される面積の数平均値を意味する。
固形粒子が球状又は略球状であるとき、その直径は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上であり、そして、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下である。球状又は略球状の固形粒子の直径は、好ましくは0.5mm以上20mm以下、より好ましくは1mm以上10mm以下、更に好ましくは1.5mm以上5mm以下である。
また、固形粒子が扁球状又は略扁球状であるとき、その直径は上記水平投影から求められる円相当径であり、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上であり、そして、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下である。扁球状又は略扁球状の固形粒子の直径は、好ましくは0.5mm以上20mm以下、より好ましくは1mm以上10mm以下、更に好ましくは1.5mm以上5mm以下である。
更に、固形粒子が扁球状又は略扁球状であるとき、その高さは、固形粒子に接する面であって固形粒子が載置された水平面と水平であり且つ最も離れた場所に位置する面と該水平面との距離であり、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.2mm以上であり、そして、好ましくは16mm以下、より好ましくは8mm以下、更に好ましくは4mm以下である。扁球状又は略扁球状の固形粒子の高さは、好ましくは0.4mm以上16mm以下、より好ましくは0.8mm以上8mm以下、更に好ましくは1.2mm以上4mm以下である。
また、固形粒子が扁球状又は略扁球状であるとき、その直径は上記水平投影から求められる円相当径であり、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上であり、そして、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下である。扁球状又は略扁球状の固形粒子の直径は、好ましくは0.5mm以上20mm以下、より好ましくは1mm以上10mm以下、更に好ましくは1.5mm以上5mm以下である。
更に、固形粒子が扁球状又は略扁球状であるとき、その高さは、固形粒子に接する面であって固形粒子が載置された水平面と水平であり且つ最も離れた場所に位置する面と該水平面との距離であり、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.2mm以上であり、そして、好ましくは16mm以下、より好ましくは8mm以下、更に好ましくは4mm以下である。扁球状又は略扁球状の固形粒子の高さは、好ましくは0.4mm以上16mm以下、より好ましくは0.8mm以上8mm以下、更に好ましくは1.2mm以上4mm以下である。
固形粒子の1粒子あたりの平均質量は、好ましくは1mg以上、より好ましくは5mg以上であり、更に好ましくは10mg以上である。また、固形粒子の1粒子あたりの質量は、好ましくは10000mg以下、より好ましくは5000mg以下であり、更に好ましくは1000mg以下である。固形粒子の質量は、好ましくは1mg以上10000mg以下、より好ましくは5mg以上5000mg以下であり、更に好ましくは10mg以上1000mg以下である。「平均質量」とは、無作為に抽出した10個の固形粒子の質量の数平均値を意味する。
固形粒子の1粒子あたりの平均強度は、輸送耐性の観点から、好ましくは0.14N以上、より好ましくは0.16N以上である。また、固形粒子の1粒子あたりの平均強度は、使用感の観点から、好ましくは3N以下、より好ましくは1N以下である。固形粒子の平均強度は、好ましくは0.14N以上3N以下、より好ましくは0.16N以上1N以下である。「平均強度」とは、無作為に抽出した10個の固形粒子の強度の数平均値を意味する。固形粒子の強度は、実施例に記載の方法により測定される。
[固形粒子製造方法]
本発明の固形粒子の製造方法は、下記工程1~工程3を有し、
工程1:油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程、
工程2:流動性を付与した前記原料組成物を粒状化して粒状原料を得る工程、
工程3:前記粒状原料と粉体とを接触させ、前記粒状原料の表面を前記粉体で被覆する工程、
前記接触が、前記粉体が振動を付与された状態で行われる。
本発明の固形粒子の製造方法は、下記工程1~工程3を有し、
工程1:油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程、
工程2:流動性を付与した前記原料組成物を粒状化して粒状原料を得る工程、
工程3:前記粒状原料と粉体とを接触させ、前記粒状原料の表面を前記粉体で被覆する工程、
前記接触が、前記粉体が振動を付与された状態で行われる。
本発明の固形粒子の製造方法の一例について、図1を参照して以下に説明する。工程1は、原料組成物を加熱して流動性を付与した原料組成物10を得る工程である。また、工程2は、流動性を付与した原料組成物10を粒状化して粒状原料13を得る工程であり、図1では、流動性を付与した原料組成物10をポンプ11を用いて送液し、ノズル12の先端から吐出することで粒状化し、粒状原料13を得ている。さらに、工程3は、粉体14が振動を付与された状態で、粒状原料13と粉体14とを接触させ、粒状原料13に粉体14を付着させることで粒状原料13の表面を粉体14で被覆する工程である。図1では、振動装置15上にトラフ16が設置された振動フィーダー19を用いることにより、トラフ16上の粉体14に振動が付与されている。工程1~3を経て製造される固形粒子1は、トラフ16上を搬送され、篩17により粉体14と分離されることが好ましい。
本発明の製造方法において、粉体14が粒状原料13に付着するとは、粉体14が粒状原料13の表面に付着しているだけではなく、一部の粉体14が粒状原料13の表面近傍の内部に取り込まれていることを意味し、例えば、粉体14は、粒状原料13の表面から100μm程度の深さまで取り込まれる。
また、本発明の製造方法において、粒状原料13の表面を粉体14で被覆するとは、粒状原料13の表面全体を粉体14が被覆しているだけではなく、粒状原料13の表面の少なくとも一部が粉体14で被覆されていることを意味する。耐付着性、輸送耐性を向上させる観点からは、粒状原料13の表面全体を粉体14が被覆していることが好ましい。
本発明の製造方法において、粉体14が粒状原料13に付着するとは、粉体14が粒状原料13の表面に付着しているだけではなく、一部の粉体14が粒状原料13の表面近傍の内部に取り込まれていることを意味し、例えば、粉体14は、粒状原料13の表面から100μm程度の深さまで取り込まれる。
また、本発明の製造方法において、粒状原料13の表面を粉体14で被覆するとは、粒状原料13の表面全体を粉体14が被覆しているだけではなく、粒状原料13の表面の少なくとも一部が粉体14で被覆されていることを意味する。耐付着性、輸送耐性を向上させる観点からは、粒状原料13の表面全体を粉体14が被覆していることが好ましい。
また、図2に示すように粉体14を入れる容器としてトラフ16に代えてボウル18を用いてもよい。振動装置15上にボウル18が設置されたボウルフィーダー20を用いることにより、ボウル18内の粉体14に振動が付与されている。振動が付与された粉体14と接触した粒状原料13は、その表面が粉体14で被覆されつつ、振動によりボウル18の内壁に設けられたスロープを上昇する。粒状原料13と粉体14とを接触させる時間を長くする際に、トラフ16を用いる場合にはトラフを長くする必要があるが、ボウル18を用いる場合には螺旋の巻き数を高さ方向へ延ばせば済むのでスペース効率が良い。
〔工程1〕
工程1は、油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程である。原料組成物が含む少なくとも1つの物質の融点以上に加熱することで流動性を付与した原料組成物10を得ることができる。また、原料組成物の融点以上に加熱することが好ましい。
原料組成物に流動性を付与するための温度としては、工程3において、粒状原料13の固化を遅らせ粉体14の付着を促す観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上である。また、熱による原料組成物の劣化を防ぐ観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは115℃以下である。特に、原料組成物に流動性を付与するための温度は、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上130℃以下、更に好ましくは80℃以上120℃以下、更に好ましくは85℃以上115℃以下である。
工程1は、油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程である。原料組成物が含む少なくとも1つの物質の融点以上に加熱することで流動性を付与した原料組成物10を得ることができる。また、原料組成物の融点以上に加熱することが好ましい。
原料組成物に流動性を付与するための温度としては、工程3において、粒状原料13の固化を遅らせ粉体14の付着を促す観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上である。また、熱による原料組成物の劣化を防ぐ観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは115℃以下である。特に、原料組成物に流動性を付与するための温度は、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上130℃以下、更に好ましくは80℃以上120℃以下、更に好ましくは85℃以上115℃以下である。
また、流動性を付与した原料組成物10は、加熱された原料組成物が完全に融解していないペースト状(半固体)であってもよい。ペースト状の原料組成物はある程度の粘度を有することから、次工程である工程2において粒状原料を得る際に所望の形状とすることができるため好ましい。
〔工程2〕
工程2は、流動性を付与した原料組成物10を粒状化して粒状原料13を得る工程である。図1に示される流動性を付与した原料組成物10が、原料組成物を融点以上に加熱した液体であると、ポンプ11により送液された原料組成物がノズル12の先端から吐出されることにより、粒状原料13を液滴として得ることができる。また、流動性を付与した原料組成物10がペースト状であると、ポンプ11によりノズル12の先端から押し出されることにより、ノズル12の先端の断面形状を有する粒状原料13を得ることができる。また、流動性を付与した原料組成物10を粒状原料13とする装置は、図1に記載される装置に限られず、公知の液滴製造装置、押出造粒機等を用いることができる。
工程2は、流動性を付与した原料組成物10を粒状化して粒状原料13を得る工程である。図1に示される流動性を付与した原料組成物10が、原料組成物を融点以上に加熱した液体であると、ポンプ11により送液された原料組成物がノズル12の先端から吐出されることにより、粒状原料13を液滴として得ることができる。また、流動性を付与した原料組成物10がペースト状であると、ポンプ11によりノズル12の先端から押し出されることにより、ノズル12の先端の断面形状を有する粒状原料13を得ることができる。また、流動性を付与した原料組成物10を粒状原料13とする装置は、図1に記載される装置に限られず、公知の液滴製造装置、押出造粒機等を用いることができる。
工程2で得られる粒状原料13の大きさは、本発明の製造方法の対象物である固形粒子のコア部とコア部を被覆する粉体を取り込んだ原料組成物の層からなるシェル部とを合わせた大きさとほぼ同じである。つまり粒状原料13は、得られる固形粒子1の大きさが、上記の平面上に載置したときの平均投影面積で表される範囲、直径、及び/又は重さとなるように調整されることが好ましい。
このために、例えば、液体である原料組成物10をノズル12の先端から吐出することにより粒状原料13を液滴として得る場合、目的の固形粒子の粒径に応じてノズル12の内径を変えることができる。ノズル12の内径としては、固形粒子1の1回あたりの使用量に応じた粒径を得る観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上である。また、安定的に粒状原料13の滴下を行う観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下である。特に、ノズル12の内径としては、好ましくは0.5mm以上20mm以下、より好ましくは1mm以上10mm以下、更に好ましくは1.5mm以上5mm以下である。
また、流動性を付与した原料組成物10がペースト状である場合、ノズル12の先端から押し出された原料組成物10が所定の大きさとなるように切断することで、目的の固形粒子の大きさ及び重さに対応した粒状原料13を得ることができる。
このために、例えば、液体である原料組成物10をノズル12の先端から吐出することにより粒状原料13を液滴として得る場合、目的の固形粒子の粒径に応じてノズル12の内径を変えることができる。ノズル12の内径としては、固形粒子1の1回あたりの使用量に応じた粒径を得る観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上である。また、安定的に粒状原料13の滴下を行う観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下である。特に、ノズル12の内径としては、好ましくは0.5mm以上20mm以下、より好ましくは1mm以上10mm以下、更に好ましくは1.5mm以上5mm以下である。
また、流動性を付与した原料組成物10がペースト状である場合、ノズル12の先端から押し出された原料組成物10が所定の大きさとなるように切断することで、目的の固形粒子の大きさ及び重さに対応した粒状原料13を得ることができる。
〔工程3〕
工程3は、粒状原料13と粉体14とを接触させ、粒状原料13の表面を粉体14で被覆する工程である。そして、粒状原料13と粉体14との接触は、粉体14が振動を付与された状態で行われる。粒状原料13と粉体14との接触が、粉体14が振動を付与された状態で行われると、粉体14を粒状原料13の表面から少なくとも80μm程度の深さまで取り込むことができ、耐付着性及び輸送耐性に優れた固形粒子が得られると考えられる。
工程3は、粒状原料13と粉体14とを接触させ、粒状原料13の表面を粉体14で被覆する工程である。そして、粒状原料13と粉体14との接触は、粉体14が振動を付与された状態で行われる。粒状原料13と粉体14との接触が、粉体14が振動を付与された状態で行われると、粉体14を粒状原料13の表面から少なくとも80μm程度の深さまで取り込むことができ、耐付着性及び輸送耐性に優れた固形粒子が得られると考えられる。
図1に示すように、粒状原料13と粉体14との接触は、振動装置15の上に設置されたトラフ16上の粉体14に、粒状原料13を滴下又は落下させることで行われることが好ましい。また、粉体14は、トラフ16の上に、粉体供給装置(不図示)により連続的に供給されることが好ましい。
粒状原料13を滴下又は落下させる距離、すなわちノズル12の先端と粉体14の層の最表面との距離は、滴下又は落下した粒状原料13が粉体14と接触する際の衝撃を緩和し変形を防ぎ、かつ、滴下又は落下中に粒状原料13が冷却されることを抑制する観点から、好ましくは35cm以下、より好ましくは25cm以下、更に好ましくは15cm以下である。
粉体14の層の厚さは、滴下又は落下された粒状原料13の上部への粉体14の付着を促す観点から、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上である。また、過剰な粉体の使用を避ける観点から、粉体14の層の厚さは、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下、更に好ましくは20mm以下、更に好ましくは15mm以下である。
粒状原料13を滴下又は落下させる距離、すなわちノズル12の先端と粉体14の層の最表面との距離は、滴下又は落下した粒状原料13が粉体14と接触する際の衝撃を緩和し変形を防ぎ、かつ、滴下又は落下中に粒状原料13が冷却されることを抑制する観点から、好ましくは35cm以下、より好ましくは25cm以下、更に好ましくは15cm以下である。
粉体14の層の厚さは、滴下又は落下された粒状原料13の上部への粉体14の付着を促す観点から、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上である。また、過剰な粉体の使用を避ける観点から、粉体14の層の厚さは、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下、更に好ましくは20mm以下、更に好ましくは15mm以下である。
粒状原料13の表面に粉体14を接触させる際に粉体14に与えられる振動の振幅は、粒状原料13の表面における粉体14の付着を促す観点から、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.6mm以上、更に好ましくは0.8mm以上である。そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、更に好ましくは3mm以下、より更に好ましくは1.5mm以下、より更に好ましくは1.4mm以下、より更に好ましくは1.3mm以下である。特に、振動の振幅としては、好ましくは0.3mm以上5mm以下、より好ましくは0.4mm以上4mm以下、更に好ましくは0.5mm以上4mm以下、更に好ましくは0.5mm以上3mm以下、より更に好ましくは0.6mm以上3mm以下、より更に好ましくは0.8mm以上3mm以下、より更に好ましくは0.3mm以上1.5mm以下、より更に好ましくは0.4mm以上1.4mm以下、より更に好ましくは0.5mm以上1.3mm以下、より更に好ましくは0.6mm以上1.3mm以下である。
なお、粉体14に与えられる振動の振幅は、振動装置15の直上の位置で測定することが好ましい。
また、粒状原料13の表面への粉体14の付着を促す観点から、振動の周波数は好ましくは30Hz以上、より好ましくは40Hz以上、更に好ましくは50Hz以上である。そして、好ましくは300Hz以下、より好ましくは100Hz以下、更に好ましくは75Hz以下、より更に好ましくは60Hz以下である。特に、振動の周波数としては、好ましくは30Hz以上300Hz以下、より好ましくは40Hz以上100Hz以下、更に好ましくは50Hz以上75Hz以下、より更に好ましくは50Hz以上60Hz以下である。
なお、粉体14に与えられる振動の振幅は、振動装置15の直上の位置で測定することが好ましい。
また、粒状原料13の表面への粉体14の付着を促す観点から、振動の周波数は好ましくは30Hz以上、より好ましくは40Hz以上、更に好ましくは50Hz以上である。そして、好ましくは300Hz以下、より好ましくは100Hz以下、更に好ましくは75Hz以下、より更に好ましくは60Hz以下である。特に、振動の周波数としては、好ましくは30Hz以上300Hz以下、より好ましくは40Hz以上100Hz以下、更に好ましくは50Hz以上75Hz以下、より更に好ましくは50Hz以上60Hz以下である。
粒状原料13の固化を遅らせ粉体14の付着を促す観点から、粉体14の温度は好ましくは5℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上である。また、粉体14の粒状原料13への過剰な付着を抑制する観点から、粉体14の温度は好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下、更に好ましくは50℃以下である。特に、粉体14の温度は、好ましくは5℃以上60℃以下、より好ましくは15℃以上55℃以下、更に好ましくは20℃以上50℃以下である。また、粒状原料13の表面に粉体14を接触させる際の粉体14の温度は、好ましくは常温(20℃~30℃)である。
粒状原料13と粉体14を接触させる時間は、粒状原料13の表面における粉体の付着を促す観点から、好ましくは2秒間以上、より好ましくは3秒間以上、更に好ましくは4秒間以上である。また、生産性の観点から、粒状原料13と粉体14を接触させる時間は、好ましくは30秒間以下、より好ましくは15秒間以下、更に好ましくは10秒間以下である。特に、粒状原料13と粉体14を接触させる時間は、好ましくは2秒間以上30秒間以下、より好ましくは3秒間以上15秒間以下、更に好ましくは4秒間以上10秒間以下である。
以上の工程3によって、粒状原料13の表面に粉体14を付着させ、粉体14により粒状原料13の表面を被覆することで固形粒子1を得ることができる。工程3と同時に、及び/又は工程3の後に付加的な工程として粒状原料13の冷却する工程を有していてもよい。冷却を行うことで粒状原料13への粉体14の付着を一層確実なものとすることができる。冷却は例えば自然冷却であってもよく、あるいは強制冷却であってもよい。
自然冷却する場合、粒状原料13の表面が粉体14で被覆された固形粒子1を室温下に静置すればよい。
強制冷却する場合には、固形粒子1に気体を吹き付けたり、固形粒子1を冷蔵庫内に静置したり、固形粒子1を冷媒に接触させたりすればよい。
自然冷却する場合、粒状原料13の表面が粉体14で被覆された固形粒子1を室温下に静置すればよい。
強制冷却する場合には、固形粒子1に気体を吹き付けたり、固形粒子1を冷蔵庫内に静置したり、固形粒子1を冷媒に接触させたりすればよい。
粒状原料13の表面に粉体14を接触させる時点において、粒状原料13は軟化している。表面が粉体14で被覆された粒状原料13は、その後のいずれかの段階において固化される。「固化」とは、粒状原料13の固さが、冷却により流動性を付与される前の原料組成物の硬度となることをいう。
粒状原料13を固化させた粉体14を含まない部分が、固形粒子1のコア部である。粒状原料13とは、原料組成物を粒状にして得られたものであり、かつ固化する前の状態のものである。また、この粒状原料13の表面近傍の内部で原料組成物が粉体14を取り込んだ部分が、固形粒子1のシェル部である。
工程3の後、固形粒子1の冷却に先立ち、又は冷却後に、又は冷却と同時に、固形粒子1の表面に固着していない粉体14を除去することができる。固形粒子1の表面に固着していない粉体14とは、固形粒子1を例えば搬送するときに加わる振動等の外力によって固形粒子1から脱落する程度に弱く付着しているか、又は原料組成物由来の部分に全く付着していない粉体14のことである。
粉体の除去には、図1に示すように固形粒子1を通過させない程度の目開きを有する篩17を用いることができる。
粉体を除去した後の固形粒子1のシェル部の厚さは、耐付着性、輸送耐性の向上の観点から、80μm以上であることが好ましく、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは110μm以上、より更に好ましくは120μm以上、より更に好ましくは130μm以上、より更に好ましくは150μm以上である。特にシェル部の厚さが110μm以上であると、固形粒子1の耐付着性及び輸送耐性がより向上するため好ましい。また、使用感の低下を抑制する観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下である。
粉体を除去した後の固形粒子1のシェル部の厚さは、耐付着性、輸送耐性の向上の観点から、80μm以上であることが好ましく、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは110μm以上、より更に好ましくは120μm以上、より更に好ましくは130μm以上、より更に好ましくは150μm以上である。特にシェル部の厚さが110μm以上であると、固形粒子1の耐付着性及び輸送耐性がより向上するため好ましい。また、使用感の低下を抑制する観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下である。
粉体を除去した後の固形粒子1中に取り込まれた粉体は、耐付着性、輸送耐性の向上の観点から、固形粒子の質量に対する割合が、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上、より更に好ましくは8.0質量%以上である。また、使用感に影響を与えない観点から好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは13質量%以下、より更に好ましくは12質量%以下である。
本発明の製造方法で製造された固形粒子は、コア部の表面が粉体を含むシェル部で被覆されていることから、耐付着性を有する。そのため、例えばコア部が粘着性を有しているとしても、その粘着性が粉体を含むシェル部によって減殺されるので、固形粒子を搬送する際の、固形粒子の搬送装置への意図しない付着が防止されるという効果を奏する。また、固形粒子を例えば容器へ充填するときに、固形粒子が容器の内壁や蓋に意図せず付着して充填性を低下させることや、容器内に充填された後に固形粒子が容器の内壁や他の固形粒子に意図せず付着して容器からの取り出し性を低下させることが防止されるという効果を奏する。一方、固形粒子の表面への付着だけでなく、固形粒子の表面近傍の内部まで粉体が取り込まれることで固形粒子そのものの強度が向上し、輸送等に伴う衝撃への耐性が向上する。更には、粉体が固形粒子の表面近傍のシェル部に局在化することで、固形粒子中に含まれる実質的な粉体の含有量が抑えられ、良好な使用感を奏する。このため、本発明の製造方法で製造された固形粒子は、耐付着性を有し、輸送耐性と使用感を両立することが可能になる。
[固形粒子の原料]
〔原料組成物〕
原料組成物は室温(25℃)において固体であり、かつ融点が好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上である。原料組成物を粒状化した粒状原料が固形粒子のコア部となるため、原料組成物がこの温度以上の融点を有することで、固形粒子を化粧料として用いられた時の使用感を良好にすることができる。また、原料組成物は、製造の容易性の観点から、その融点が好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。また、原料組成物がこの温度以下の融点を有することでも、固形粒子の使用感を良好にすることができる。特に、原料組成物の融点は、好ましくは50℃以上150℃以下、より好ましくは55℃以上120℃以下、更に好ましくは60℃以上110℃以下である。
〔原料組成物〕
原料組成物は室温(25℃)において固体であり、かつ融点が好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上である。原料組成物を粒状化した粒状原料が固形粒子のコア部となるため、原料組成物がこの温度以上の融点を有することで、固形粒子を化粧料として用いられた時の使用感を良好にすることができる。また、原料組成物は、製造の容易性の観点から、その融点が好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。また、原料組成物がこの温度以下の融点を有することでも、固形粒子の使用感を良好にすることができる。特に、原料組成物の融点は、好ましくは50℃以上150℃以下、より好ましくは55℃以上120℃以下、更に好ましくは60℃以上110℃以下である。
原料組成物は通常複数の物質を含む。この場合、原料組成物の融点は、医薬部外品原料規格一般試験法の第1法、第2法、又は第3法のいずれかにより測定される。いずれの方法を採用するかは、主に原料組成物の融点によって選択され、融点が75℃を超えるような高い場合には第1法を、融点が50℃以上75℃以下の場合には第2法を、更に50℃未満の場合には第3法を用いることができる。
原料組成物は、本発明の固形粒子が好ましくは化粧料として用いられる観点から、化粧料原料組成物であることが好ましい。
原料組成物は好ましくは、1種又は2種以上の油性成分からなる連続相を有する。場合によっては、原料組成物は連続相中に分散した顔料等の粉体成分を含む。
油性成分としては、炭化水素油、エステル油、エーテル油、脂肪酸、アルコール、シリコーン油、フッソ油等が挙げられる。油性成分の炭素数は好ましくは6以上、より好ましくは10以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である。具体的には、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、合成ワックス等の合成炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス、水添ホホバ油、モクロウ等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、合成ミツロウ、合成モクロウ等の合成ワックス等のワックス;パルミチン酸デキストリン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン、12-ヒドロキシステアリン酸、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ポリアミド樹脂等の油性ゲル化剤;ワセリン、ビニルレザーワックス、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、水添パーム油、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、オレイン酸フィトステリル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、硬質ラノリン、還元ラノリン、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等のペースト油;流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ミネラルオイル、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ラウリン酸ヘキシル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸オクチルドデシル、グリセリン脂肪酸エステル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリトリデシル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ダイマー酸ジイソプロピル、炭酸プロピレン等のエステル油;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン、ビスアルキル(C16-18)グリセリンウンデシルジメチコン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン、フッ素変性シリコーン等のフッ素油;トコフェロール、ジプロピレングリコール、フェノキシエタノール等が挙げられる。これらの油性成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
原料組成物は好ましくは、1種又は2種以上の油性成分からなる連続相を有する。場合によっては、原料組成物は連続相中に分散した顔料等の粉体成分を含む。
油性成分としては、炭化水素油、エステル油、エーテル油、脂肪酸、アルコール、シリコーン油、フッソ油等が挙げられる。油性成分の炭素数は好ましくは6以上、より好ましくは10以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である。具体的には、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、合成ワックス等の合成炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス、水添ホホバ油、モクロウ等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、合成ミツロウ、合成モクロウ等の合成ワックス等のワックス;パルミチン酸デキストリン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン、12-ヒドロキシステアリン酸、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ポリアミド樹脂等の油性ゲル化剤;ワセリン、ビニルレザーワックス、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、水添パーム油、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、オレイン酸フィトステリル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、硬質ラノリン、還元ラノリン、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等のペースト油;流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ミネラルオイル、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ラウリン酸ヘキシル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸オクチルドデシル、グリセリン脂肪酸エステル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリトリデシル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ダイマー酸ジイソプロピル、炭酸プロピレン等のエステル油;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン、ビスアルキル(C16-18)グリセリンウンデシルジメチコン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン、フッ素変性シリコーン等のフッ素油;トコフェロール、ジプロピレングリコール、フェノキシエタノール等が挙げられる。これらの油性成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
固形粒子の使用感の点から、原料組成物は油性成分を好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含む。同様の観点から、原料組成物は油性成分を好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下、更に好ましくは95質量%以下含む。特に、原料組成物は、油性成分を好ましくは40質量%以上100質量%以下、より好ましくは50質量%以上99質量%以下、更に好ましくは60質量%以上98質量%以下、更に好ましくは70質量%以上97質量%以下、更に好ましくは80質量%以上95質量%以下含む。
原料組成物は20℃で固体状(融点が20℃を超える)である油性成分(例えば、上記ワックス)を含むことが、固形粒子の保形性を高める観点から好ましい。原料組成物は、20℃で固体状である油性成分を、固形粒子の保形性の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上含む。そして、20℃で固体状である油性成分を、固形粒子の使用感の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下含む。特に、原料組成物は、20℃で固体状である油性成分を好ましくは3質量%以上30質量%以下、より好ましくは5質量%以上10質量%以下含む。また、原料組成物は20℃で液状(融点が20℃以下)である油性成分を含むことが、固形粒子の使用感を高める観点から好ましい。この観点から、原料組成物は20℃で液状である油性成分を好ましくは18質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上含む。同様の観点から、原料組成物は20℃で液状である油性成分を好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に層好ましくは93質量%以下含む。特に、原料組成物は、20℃で液状である油性成分を好ましくは18質量%以上97質量%以下、より好ましくは25質量%以上95質量%以下、更に好ましくは35質量%以上93質量%以下含む。
油性成分が20℃で液状であるか否かは、各成分の安全データシート(SDS)・物理的状態に記載されている内容によって判定できる。原料組成物に20℃で液状である油性成分が上述の範囲で含まれていると、製造後の固形粒子のコア部の表面に油性成分が存在することになり、そのことに起因してコア部が他の物と結合しやすくなってしまう。これに対し、本発明の製造方法で製造された固形粒子は、コア部の表面がシェル部により被覆されているため、固形粒子同士又は他の物との意図しない結合が抑制され、耐付着性を有する。
原料組成物に含まれる粉体成分としては、化粧料に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。粉体成分は無機粉体でもよく、あるいは有機粉体でもよい。無機粉体と有機粉体とを併用してもよい。粉体成分を構成する粒子の形状に特に制限はなく、例えば球状、多面体状、フレーク状、紡錘状、繊維状、不定形、又はそれらの組み合わせであり得る。
原料組成物に含まれる粉体成分としては、例えば着色顔料、光輝顔料及び体質顔料等の顔料を用いることができ、好ましくは、無機粉体の顔料である。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられる。
光輝顔料としては、例えば、マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク等の板状粉体等の表面を酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、赤色202号や黄色4号等の有機顔料等の着色剤で被覆したもの、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末等のフィルム原反を任意形状に断裁したもの等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス末、硫酸バリウム、カオリン、ベントナイト、ヘクトライト、ゼオライト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びタルク等の無機粉体が挙げられる。
更には、ナイロン、ポリエチレン、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等のシリコーンエラストマー、ポリメタクリル酸メチル、ラウロイルリシン、シルクパウダー、セルロース末、長鎖脂肪酸の多価金属塩等の分散剤、及び各種ワックスパウダー等の有機粉末等が挙げられる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられる。
光輝顔料としては、例えば、マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク等の板状粉体等の表面を酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、赤色202号や黄色4号等の有機顔料等の着色剤で被覆したもの、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末等のフィルム原反を任意形状に断裁したもの等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス末、硫酸バリウム、カオリン、ベントナイト、ヘクトライト、ゼオライト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びタルク等の無機粉体が挙げられる。
更には、ナイロン、ポリエチレン、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等のシリコーンエラストマー、ポリメタクリル酸メチル、ラウロイルリシン、シルクパウダー、セルロース末、長鎖脂肪酸の多価金属塩等の分散剤、及び各種ワックスパウダー等の有機粉末等が挙げられる。
原料組成物に占める粉体成分の割合は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。また、原料組成物に占める粉体成分の割合は好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。特に、原料組成物に占める粉体成分の割合は好ましくは0.01質量%以上60質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、更に好ましくは1質量%以上45質量%以下、更に好ましくは3質量%以上30質量%以下、更に好ましくは5質量%以上25質量%以下である。
コア部の硬度は、固形粒子の使用感等に影響を与える要素の一つである。この観点から原料組成物の硬度は好ましくは500g以下、より好ましくは350g以下、更に好ましくは250g以下、より更に好ましくは150g以下である。一方、原料組成物の硬度を好ましくは0.5g以上、より好ましくは5g以上、更に好ましくは15g以上とすることで、原料組成物と他の物との意図しない結合を抑制できる。これらの観点から、原料組成物の硬度は好ましくは0.5g以上500g以下、より好ましくは5g以上350g以下、更に好ましくは15g以上250g以下、より更に好ましくは15g以上150g以下である。原料組成物の硬度は、実施例に記載の方法により測定される。
〔粉体〕
工程3で使用する粉体の固形粒子の質量に対する割合(粉体付着率)は、耐付着性、輸送耐性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上、より更に好ましくは8.0質量%以上である。また、使用感に影響を与えない観点から好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは13質量%以下、より更に好ましくは12質量%以下である。
工程3で使用する粉体の固形粒子の質量に対する割合(粉体付着率)は、耐付着性、輸送耐性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上、より更に好ましくは8.0質量%以上である。また、使用感に影響を与えない観点から好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは13質量%以下、より更に好ましくは12質量%以下である。
粉体としては、化粧料に一般的に用いられるものと同様のものを特に制限なく用いることができ、粉体は無機粉体でもよく、あるいは有機粉体でもよい。無機粉体と有機粉体とを併用してもよいが、無機粉体を含むことが好ましく、無機粉体の顔料がより好ましく、シリカが更に好ましい。
具体的には、前述の原料組成物に含まれる粉体成分と同じものを用いることができる。
具体的には、前述の原料組成物に含まれる粉体成分と同じものを用いることができる。
粉体としては、本発明の製造方法の対象物である固形粒子が、その製造過程において他の物に付着することが効果的に防止されるような大きさのものが好適に用いられる。例えば粉体を構成する粒子の大きさを、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表した場合、D50は好ましくは0.01μm以上で、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この大きさの粉体を用いることで、粉体の除去操作を容易に行える。また、D50は好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは160μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは30μm以下である。この大きさの粉体を用いることで、粉体を容易に粒状原料の表面に付着させることができる。特にD50は好ましくは0.01μm以上500μm以下、より好ましくは0.1μm以上300μm以下、更に好ましくは1μm以上160μm以下、更に好ましくは5μm以上100μm以下、更に好ましくは10μm以上30μm以下である。
固形粒子の製造過程における他の物との付着を効果的に防止する観点から、粉体はその吸油量が好ましくは5mL/100g以上、より好ましくは15mL/100g以上、更に好ましくは20mL/100g以上である。また粉体の吸油量は、粒状原料に含まれる油性成分が過度に粉体に吸収されないようにする観点から、好ましくは500mL/100g以下、より好ましくは400mL/100g以下、更に好ましくは350mL/100g以下である。吸油量はJIS K5101-13-1:2004に準拠して測定される。
固形粒子中の粉体の量は、種々の方法により決定及び測定することが可能である。例えば、粉体が無機物である場合、以下に示すように示差熱熱重量同時測定装置を用い、固形粒子中の有機物を燃焼し、その残存率を測定することで定量することができる。無機物である粉体の量は、実施例に記載の方法により測定される。
粉体が有機物である場合、固形粒子のすべての成分を溶媒で溶解したものを試料とし、1H-NMRやレーザー脱離イオン化質量分析法(LDI-MS)等の測定により、コア部に付着した粉体の量を定量することができる。
本発明の製造方法で製造された固形粒子は、好ましくは化粧料として用いられる。例えば、固形粒子を潰して美容の目的でヒトの身体に塗布するという化粧方法に用いることができる。具体的には、固形粒子を化粧料パレット上に載置し、化粧筆を用いて潰した後に、化粧筆を用いて口紅のように口唇に塗布することができる。あるいは、固形粒子を手の甲上で潰してチークやコンシーラーのように頬に指で塗布することができる。あるいは、固形粒子を手の甲上で潰してハンドクリームのように指や手の甲に指で塗布することができる。更に、固形粒子を手で潰してオイルクレンジングのように使用することもできる。更に、固形粒子を手や道具を用いて潰し髪に塗布することで、トリートメントやヘアワックスのように使用することもできる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔原料組成物の調製〕
以下の表1に口紅用原料組成物の組成を、表2にアイシャドウ用原料組成物の組成を示す。いずれの原料組成物も、基剤原料(着色顔料、体質顔料を除く原料組成物)を110℃で30分間加熱溶解し、ディスパーにて均一混合した。次に、着色顔料及び体質顔料を基剤原料に加えて更に15分間均一混合し、脱泡後に自然冷却にて固化させることで原料組成物を調製した。調製した原料組成物の融点を医薬部外品原料規格一般試験法に従い測定したところ、口紅用原料組成物については70℃、アイシャドウ用原料組成物については79℃であった。
以下の表1に口紅用原料組成物の組成を、表2にアイシャドウ用原料組成物の組成を示す。いずれの原料組成物も、基剤原料(着色顔料、体質顔料を除く原料組成物)を110℃で30分間加熱溶解し、ディスパーにて均一混合した。次に、着色顔料及び体質顔料を基剤原料に加えて更に15分間均一混合し、脱泡後に自然冷却にて固化させることで原料組成物を調製した。調製した原料組成物の融点を医薬部外品原料規格一般試験法に従い測定したところ、口紅用原料組成物については70℃、アイシャドウ用原料組成物については79℃であった。
上記で調製した口紅用原料組成物を115℃にて加熱溶解し、樹脂製軟膏壺(直径30mm、高さ14mm)に高さ10mmまで充填した後、20℃で2時間冷却固化し、30℃で6時間以上静置した後でレオテック社製レオメーターを用いて、直径φ2mmの冶具にてtable speedが2mm/sの速さで冶具を深さ2mmまで針入させたときの加重の最大値を読み取ることによって測定したところ、口紅用原料組成物の硬度は35gであった。
上記で調製したアイシャドウ用原料組成物を同様の条件で測定したところ、硬度は41gであった。
上記で調製したアイシャドウ用原料組成物を同様の条件で測定したところ、硬度は41gであった。
表1に示すように、原料組成物中の油性成分量は基材として示される成分の量89.4質量%であり、粉体成分量は着色顔料と体質顔料の合計量10.6質量%であった。また、原料組成物中の融点が20℃を超える(20℃で固体である)油性成分量はパラフィン、ポリエチレンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスの合計量8質量%であり、融点が20℃以下(20℃以下で液体である)油性成分量はその他の成分の合計量81.4%であった。
表2に示すように、アイシャドウ用原料組成物中の油性成分量は基材として示される成分の量79.45質量%であり、粉体成分量は着色顔料と体質顔料及び分散剤の合計量20.55質量%であった。また、アイシャドウ用原料組成物中の融点が20℃を超える(20℃で固体である)油性成分量はパラフィン、合成ワックス、及びマイクロクリスタリンワックスの合計量9.0質量%であり、融点が20℃以下(20℃以下で液体である)油性成分量はその他の成分の合計量70.45質量%であった。
表2に示すように、アイシャドウ用原料組成物中の油性成分量は基材として示される成分の量79.45質量%であり、粉体成分量は着色顔料と体質顔料及び分散剤の合計量20.55質量%であった。また、アイシャドウ用原料組成物中の融点が20℃を超える(20℃で固体である)油性成分量はパラフィン、合成ワックス、及びマイクロクリスタリンワックスの合計量9.0質量%であり、融点が20℃以下(20℃以下で液体である)油性成分量はその他の成分の合計量70.45質量%であった。
[実施例1]
工程1及び2(粒状原料の製造)
図1に示す装置によって、口紅用原料組成物から複数の粒状原料13を得た。すなわち、原料組成物を90℃に加熱して溶融させることで流動性を付与した口紅用原料組成物10を、ポンプ11を用いて送液し、内径2.0mmのノズル12の先端より、表3に記載の滴下温度及び滴下距離で吐出することで、液滴としての粒状原料13を製造した。なお、滴下距離とは、ノズル12の先端と粉体14の層の最表面との距離である。
工程1及び2(粒状原料の製造)
図1に示す装置によって、口紅用原料組成物から複数の粒状原料13を得た。すなわち、原料組成物を90℃に加熱して溶融させることで流動性を付与した口紅用原料組成物10を、ポンプ11を用いて送液し、内径2.0mmのノズル12の先端より、表3に記載の滴下温度及び滴下距離で吐出することで、液滴としての粒状原料13を製造した。なお、滴下距離とは、ノズル12の先端と粉体14の層の最表面との距離である。
工程3(粒状原料と粉体との接触)
上記で吐出された粒状原料13は、振動装置15及びトラフ16を備えた振動フィーダー19(シンフォニアテクノロジー株式会社製の小型電磁フィーダCF-2)で振幅0.663mm、周波数54.0Hzの振動が付与された温度25℃の粉体14が10mmの厚さで供給、載置されたトラフ16に滴下(滴下距離117mm)され、粒状原料13と粉体14とを接触させることで、粒状原料13の表面に粉体14を付着させた。なお、表3に示す接触時間は、粒状原料13の滴下後、粉体14が付着した粒状原料13がトラフ16の出口に達するまでの時間である。粉体14としては、平均粒径D50が15μmであり、吸油量が150mL/100gである球状シリカを用いた。これによって目的とする粒状原料13の表面に粉体14が付着することで、粒状原料13が粉体14で被覆された口紅用の固形粒子1を得た。
表3に記載した振幅の値は、レーザー変位計(キーエンス製LK―G5000)を用いて、トラフ16上面で振動装置15の直上の振幅を測定した値である。測定条件は拡散反射モード、サンプリング周期は200us(5kHz)、移動平均4とした。
なお、振幅は実施例1のみ振幅銘板による目視でも測定をした。トラフ16の側面の中央に振幅銘板を貼り付け、斜線が交差する点における目盛りを目視で読み取ったところ1mmであり、レーザー変位計による測定と異なる値であった。トラフ上の振幅は振動装置の直上では小さく、振動装置から離れたトラフの先端ほど大きく出るが、振動銘板を貼り付けたトラフ中央は振動装置からやや離れた部分であったため、上記レーザー変位計による測定した値よりも大きい値となったと考えられた。
上記で吐出された粒状原料13は、振動装置15及びトラフ16を備えた振動フィーダー19(シンフォニアテクノロジー株式会社製の小型電磁フィーダCF-2)で振幅0.663mm、周波数54.0Hzの振動が付与された温度25℃の粉体14が10mmの厚さで供給、載置されたトラフ16に滴下(滴下距離117mm)され、粒状原料13と粉体14とを接触させることで、粒状原料13の表面に粉体14を付着させた。なお、表3に示す接触時間は、粒状原料13の滴下後、粉体14が付着した粒状原料13がトラフ16の出口に達するまでの時間である。粉体14としては、平均粒径D50が15μmであり、吸油量が150mL/100gである球状シリカを用いた。これによって目的とする粒状原料13の表面に粉体14が付着することで、粒状原料13が粉体14で被覆された口紅用の固形粒子1を得た。
表3に記載した振幅の値は、レーザー変位計(キーエンス製LK―G5000)を用いて、トラフ16上面で振動装置15の直上の振幅を測定した値である。測定条件は拡散反射モード、サンプリング周期は200us(5kHz)、移動平均4とした。
なお、振幅は実施例1のみ振幅銘板による目視でも測定をした。トラフ16の側面の中央に振幅銘板を貼り付け、斜線が交差する点における目盛りを目視で読み取ったところ1mmであり、レーザー変位計による測定と異なる値であった。トラフ上の振幅は振動装置の直上では小さく、振動装置から離れたトラフの先端ほど大きく出るが、振動銘板を貼り付けたトラフ中央は振動装置からやや離れた部分であったため、上記レーザー変位計による測定した値よりも大きい値となったと考えられた。
(粉体の除去及び冷却)
その後、室温(25℃)下で目開き2,000μmの篩17を用いて粉体14と固形粒子1とを分離し、付着していない粉体14を除去した。篩上で1分間以上自然冷却し、固形粒子1を回収した。無作為に抽出した10個の固形粒子1から算出された固形粒子の平均投影面積は11mm2、平均直径は3.7mm、平均高さは2.4mmであった。
その後、室温(25℃)下で目開き2,000μmの篩17を用いて粉体14と固形粒子1とを分離し、付着していない粉体14を除去した。篩上で1分間以上自然冷却し、固形粒子1を回収した。無作為に抽出した10個の固形粒子1から算出された固形粒子の平均投影面積は11mm2、平均直径は3.7mm、平均高さは2.4mmであった。
〔固形粒子1の評価〕
(1)耐付着性の評価
得られた固形粒子1を、容器としてガラス製のスクリュー管No.02(マルエム製、容器の口内径5.5mm、高さ35mm、キャップ後の高さ40mm)に0.5g充填し、固形粒子の容器底部から上面までの高さX(cm)を測定した。その後50℃の環境下に60分間静置し、次いで容器を室温(25℃)に1分放置後、容器を倒立させ、上側になった容器底部に付着し下側になった容器蓋部に落下しなかった固形粒子の高さY(cm)を測定した。その結果を基に、次式1により固形粒子の付着率(%)を算出した。数値が小さいほど耐付着性が高いことを示す。なお、固形粒子が全て容器底部に付着した場合、付着力よりも重力の方が勝った場合は容器を倒立させた際のYの値が当初のXの値を上回り、付着率が100%を超える場合がある。なお、表3における比較例1~3は全ての固形粒子が容器底部に付着していた。
付着率(%)=Y/X×100 (式1)
(2)使用感の評価
得られた固形粒子1を、手の上で潰し粉体14由来のざらつきの有無を確認したところ、ざらつきはなく良好な使用感であった。
(3)輸送耐性の評価
得られた固形粒子1を、容器としてガラス製のスクリュー管No.02(マルエム製、容器の口内径5.5mm、高さ35mm、キャップ後の高さ40mm)に0.5g充填し、固形粒子の容器底部から上面までの高さX(cm)を測定した。内径25mm、高さ116mmの樹脂製の筒を滑り止めマット(材質ポリエチレン、厚さ5mm)に垂直に静置し、室温(25℃)の環境下、前記容器を正立状態で上部から落下させた(落下距離112mm)。各容器とも8回ずつ落下操作を行った後、容器を倒立させ、上側になった容器底部に付着し下側になった容器蓋部に落下しなかった固形粒子の高さY(cm)を測定し、前記(式1)にて「付着率」を算出した。数値が小さいほど輸送耐性が高いことを示す。なお、輸送耐性の評価においては、固形粒子を容器に充填後に落下させる操作を行う結果、その衝撃により粒子が若干つぶれ気味になったり、粒子間の隙間が詰まったりする現象が生じることがあるため、固形粒子が全て容器底部に付着した場合であっても、容器を倒立させた際のYの値が当初のXの値を下回り、付着率が100%未満となる場合がある。なお、表3における比較例1~3は全ての固形粒子が容器底部に付着していた。
(4)粉体付着率の定量
固形粒子1中の粉体14として用いたシリカの量(付着率)を以下のとおり定量した。
得られた固形粒子1を株式会社日立ハイテクサイエンス製の示差熱熱重量同時測定装置TG-DTA EXSTAR 6200を用いて、200mL/minの空気供給下で25℃から600℃まで10℃/minで昇温し、燃焼後の残存物の質量を測定した。固形粒子1の製造に用いた原料組成物と同じ質量の原料組成物のみで同様の処理をした際の残存物の質量から以下の式で算出される値を粉体付着率とした。結果を表3に示す。
(粉体付着率(質量%))=(固形粒子1の残存物の質量%)-〔(原料組成物の残存物の質量%)÷[100-(原料組成物の残存物の質量%)]〕×[100-(固形粒子1の残存物の質量%)]
(5)固形粒子の質量
得られた固形粒子1から無作為に10個抽出し、質量を測定した。10個の数平均質量を表3に示す。
(6)固形粒子の強度
得られた固形粒子1から無作為に10個抽出し、株式会社アントンパール・ジャパン製のモジュラーコンパクトレオメーターMCR-302を用いて、φ25mmのパラレルプレートで下降速度20μm/sで粒子を押しつぶし、荷重と変位の値から崩壊点を読み取ることで粒子の強度を測定した。10個の数平均強度を表3に示す。
(7)断面の観察
得られた固形粒子1から無作為に2個抽出し、それぞれの固形粒子1をナイフで割断して、断面を株式会社キーエンス製の走査型電子顕微鏡VE-7800を用いて観察した。各粒子の断面の上下左右4箇所を撮影し、コア部の表面を被覆する粉体を取り込んだ原料組成物からなるシェル部の厚みをそれぞれの撮影画像について3箇所、1粒子につき合計12箇所を測定し、合計24箇所のシェル部の厚みの平均を求め、表3に示した。また、図3に示すように、粉体は固形粒子1の表面に付着しているだけでなく、コア部の表面から100~200μm程度の厚さで原料組成物に取り込まれていた。
(1)耐付着性の評価
得られた固形粒子1を、容器としてガラス製のスクリュー管No.02(マルエム製、容器の口内径5.5mm、高さ35mm、キャップ後の高さ40mm)に0.5g充填し、固形粒子の容器底部から上面までの高さX(cm)を測定した。その後50℃の環境下に60分間静置し、次いで容器を室温(25℃)に1分放置後、容器を倒立させ、上側になった容器底部に付着し下側になった容器蓋部に落下しなかった固形粒子の高さY(cm)を測定した。その結果を基に、次式1により固形粒子の付着率(%)を算出した。数値が小さいほど耐付着性が高いことを示す。なお、固形粒子が全て容器底部に付着した場合、付着力よりも重力の方が勝った場合は容器を倒立させた際のYの値が当初のXの値を上回り、付着率が100%を超える場合がある。なお、表3における比較例1~3は全ての固形粒子が容器底部に付着していた。
付着率(%)=Y/X×100 (式1)
(2)使用感の評価
得られた固形粒子1を、手の上で潰し粉体14由来のざらつきの有無を確認したところ、ざらつきはなく良好な使用感であった。
(3)輸送耐性の評価
得られた固形粒子1を、容器としてガラス製のスクリュー管No.02(マルエム製、容器の口内径5.5mm、高さ35mm、キャップ後の高さ40mm)に0.5g充填し、固形粒子の容器底部から上面までの高さX(cm)を測定した。内径25mm、高さ116mmの樹脂製の筒を滑り止めマット(材質ポリエチレン、厚さ5mm)に垂直に静置し、室温(25℃)の環境下、前記容器を正立状態で上部から落下させた(落下距離112mm)。各容器とも8回ずつ落下操作を行った後、容器を倒立させ、上側になった容器底部に付着し下側になった容器蓋部に落下しなかった固形粒子の高さY(cm)を測定し、前記(式1)にて「付着率」を算出した。数値が小さいほど輸送耐性が高いことを示す。なお、輸送耐性の評価においては、固形粒子を容器に充填後に落下させる操作を行う結果、その衝撃により粒子が若干つぶれ気味になったり、粒子間の隙間が詰まったりする現象が生じることがあるため、固形粒子が全て容器底部に付着した場合であっても、容器を倒立させた際のYの値が当初のXの値を下回り、付着率が100%未満となる場合がある。なお、表3における比較例1~3は全ての固形粒子が容器底部に付着していた。
(4)粉体付着率の定量
固形粒子1中の粉体14として用いたシリカの量(付着率)を以下のとおり定量した。
得られた固形粒子1を株式会社日立ハイテクサイエンス製の示差熱熱重量同時測定装置TG-DTA EXSTAR 6200を用いて、200mL/minの空気供給下で25℃から600℃まで10℃/minで昇温し、燃焼後の残存物の質量を測定した。固形粒子1の製造に用いた原料組成物と同じ質量の原料組成物のみで同様の処理をした際の残存物の質量から以下の式で算出される値を粉体付着率とした。結果を表3に示す。
(粉体付着率(質量%))=(固形粒子1の残存物の質量%)-〔(原料組成物の残存物の質量%)÷[100-(原料組成物の残存物の質量%)]〕×[100-(固形粒子1の残存物の質量%)]
(5)固形粒子の質量
得られた固形粒子1から無作為に10個抽出し、質量を測定した。10個の数平均質量を表3に示す。
(6)固形粒子の強度
得られた固形粒子1から無作為に10個抽出し、株式会社アントンパール・ジャパン製のモジュラーコンパクトレオメーターMCR-302を用いて、φ25mmのパラレルプレートで下降速度20μm/sで粒子を押しつぶし、荷重と変位の値から崩壊点を読み取ることで粒子の強度を測定した。10個の数平均強度を表3に示す。
(7)断面の観察
得られた固形粒子1から無作為に2個抽出し、それぞれの固形粒子1をナイフで割断して、断面を株式会社キーエンス製の走査型電子顕微鏡VE-7800を用いて観察した。各粒子の断面の上下左右4箇所を撮影し、コア部の表面を被覆する粉体を取り込んだ原料組成物からなるシェル部の厚みをそれぞれの撮影画像について3箇所、1粒子につき合計12箇所を測定し、合計24箇所のシェル部の厚みの平均を求め、表3に示した。また、図3に示すように、粉体は固形粒子1の表面に付着しているだけでなく、コア部の表面から100~200μm程度の厚さで原料組成物に取り込まれていた。
[実施例2~5]
製造方法の各条件を表3に示すように変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
製造方法の各条件を表3に示すように変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
[実施例6]
実施例1で用いた振動装置15及びトラフ16を、振動装置15及びボウル18を備えたボウルフィーダー20(シンフォニアテクノロジー株式会社製のパーツフィーダER-30BR)に変更し、製造方法の各条件を表3に示すように変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。なお、実施例7における接触時間は、粒状原料13の滴下後、粉体14が付着した粒状原料13がボウル18の出口に達するまでの時間である。
実施例1で用いた振動装置15及びトラフ16を、振動装置15及びボウル18を備えたボウルフィーダー20(シンフォニアテクノロジー株式会社製のパーツフィーダER-30BR)に変更し、製造方法の各条件を表3に示すように変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。なお、実施例7における接触時間は、粒状原料13の滴下後、粉体14が付着した粒状原料13がボウル18の出口に達するまでの時間である。
[実施例7]
粉体14を、平均粒径D50が15μmであり、吸油量が150mL/100gである球状シリカと顔料(日本板硝子株式会社製のメタシャインMT1080TY)の混合物(球状シリカ:顔料=9:1)に変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
粉体14を、平均粒径D50が15μmであり、吸油量が150mL/100gである球状シリカと顔料(日本板硝子株式会社製のメタシャインMT1080TY)の混合物(球状シリカ:顔料=9:1)に変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
[実施例8]
原料組成物をアイシャドウ用原料組成物に変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
原料組成物をアイシャドウ用原料組成物に変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
[比較例1]
粒状原料と粉体との接触を、粒状原料13を静置した粉体14に室温(25℃)下で滴下し、アンカー翼からなる撹拌手段を用いて粉体を流動状態にして、粒状原料13の表面に粉体14を60秒間付着させ、その後、1分間、自然冷却を行うように変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
粒状原料と粉体との接触を、粒状原料13を静置した粉体14に室温(25℃)下で滴下し、アンカー翼からなる撹拌手段を用いて粉体を流動状態にして、粒状原料13の表面に粉体14を60秒間付着させ、その後、1分間、自然冷却を行うように変更した他は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
[比較例2]及び[比較例3]
バランスディッシュ(アズワン株式会社製のBDA-3)に粉体14を厚さ10mmとなるように敷き詰め、室温(25℃)下で粒状原料13を粉体14に滴下し、1分間、自然冷却を行った。比較例2についてはバランスディッシュの中身を全て篩にかけ、比較例3についてはスパチュラを用いて粒子を回収して篩にかけた以外は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
バランスディッシュ(アズワン株式会社製のBDA-3)に粉体14を厚さ10mmとなるように敷き詰め、室温(25℃)下で粒状原料13を粉体14に滴下し、1分間、自然冷却を行った。比較例2についてはバランスディッシュの中身を全て篩にかけ、比較例3についてはスパチュラを用いて粒子を回収して篩にかけた以外は、実施例1と同様に口紅用の固形粒子1を製造した。得られた固形粒子1を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
表3に示すように、油性成分を含む原料組成物からなるコア部が粉体としてのシリカを含むシェル部で被覆されていることで、実施例の固形粒子1及び比較例の固形粒子ともに良好な使用感を有していた。また、実施例の固形粒子1はいずれも良好な耐付着性及び良好な輸送耐性を有していた。一方、比較例の固形粒子は粒子の平均強度が低く、十分な耐付着性及び輸送耐性を有していなかった。これは、実施例の固形粒子1では表面にシリカが付着しただけでなく、表3及び図3に示されるようにコア部の表面から110μm~200μm程度まで高い密度且つ均一な厚さで原料組成物にシリカが取り込まれたためと考えられる。一方、比較例の固形粒子では、図4に示されるように表面に付着したシリカが均一な厚さではなく、ほとんど付着していない部分があることが分かった。
1 固形粒子
10 流動性を付与した原料組成物
11 ポンプ
12 ノズル
13 粒状原料
14 粉体
15 振動装置
16 トラフ
17 篩
18 ボウル
19 振動フィーダー
20 ボウルフィーダー
10 流動性を付与した原料組成物
11 ポンプ
12 ノズル
13 粒状原料
14 粉体
15 振動装置
16 トラフ
17 篩
18 ボウル
19 振動フィーダー
20 ボウルフィーダー
Claims (11)
- 下記工程1~工程3を有する固形粒子の製造方法であって、
工程1:油性成分を含む原料組成物を加熱して流動性を付与する工程、
工程2:流動性を付与した前記原料組成物を粒状化して粒状原料を得る工程、
工程3:前記粒状原料と粉体とを接触させ、前記粒状原料の表面を前記粉体で被覆する工程、
前記接触が、前記粉体が振動を付与された状態で行われる、固形粒子の製造方法。 - 前記粉体が顔料を含む、請求項1に記載の固形粒子の製造方法。
- 前記粉体がシリカを含む、請求項1又は2に記載の固形粒子の製造方法。
- 粒状原料を冷却する工程を更に有する、請求項1~3のいずれかに記載の固形粒子の製造方法。
- 未付着の前記粉体を除去する工程を含む、請求項1~4のいずれかに記載の固形粒子の製造方法。
- 工程2における前記粒状原料が、前記原料組成物の融点以上に加熱することで得られる、請求項1~5のいずれかに記載の固形粒子の製造方法。
- 前記振動の振幅が0.3mm以上であり、かつ周波数が30Hz以上である、請求項1~6のいずれかに記載の固形粒子の製造方法。
- 前記粉体の平均粒径D50が0.01μm以上500μm以下である、請求項1~7のいずれかに記載の固形粒子の製造方法。
- 得られる前記固形粒子の1粒子あたりの平均質量が1mg以上10000mg以下である、請求項1~8のいずれかに記載の固形粒子の製造方法。
- 原料組成物からなるコア部と、該コア部の表面の少なくとも一部を被覆するシェル部とを有する固形粒子であって、
該シェル部が、粉体を取り込んだ原料組成物からなり、該粉体を取り込んだ原料組成物の厚さが110μm以上である、コアシェル構造を有する固形粒子。 - 化粧料用である、請求項10に記載の固形粒子。
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JP2021109547 | 2021-06-30 |
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---|---|---|---|
JP2022103982A Pending JP2023008899A (ja) | 2021-06-30 | 2022-06-28 | 固形粒子の製造方法 |
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2022
- 2022-06-28 JP JP2022103982A patent/JP2023008899A/ja active Pending
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