JP2023008540A - メタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物、免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物、抗炎症剤及び抗炎症用組成物、抗老化剤及び抗老化用組成物、美白剤及び美白用組成物、育毛剤及び育毛用組成物、並びに抗酸化剤及び抗酸化用組成物 - Google Patents

メタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物、免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物、抗炎症剤及び抗炎症用組成物、抗老化剤及び抗老化用組成物、美白剤及び美白用組成物、育毛剤及び育毛用組成物、並びに抗酸化剤及び抗酸化用組成物 Download PDF

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まい 金澤
Mai Kanazawa
弘恭 岩橋
Hiroyasu Iwahashi
祥太 林
Shota Hayashi
美幸 小方
Miyuki Ogata
瑞穂 田邊
Mizuho Tanabe
日向子 佐藤
Hinako Sato
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Abstract

【課題】優れたメタボリックシンドローム改善作用を有し、かつ安全性が高いメタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物、優れた肝機能向上作用を有し、かつ安全性が高い肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物、優れた免疫賦活作用を有し、かつ安全性が高い免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性が高い抗炎症剤及び抗炎症用組成物、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性が高い抗老化剤及び抗老化用組成物、優れた美白作用を有し、かつ安全性が高い美白剤及び美白用組成物、優れた育毛作用を有し、かつ安全性が高い育毛剤及び育毛用組成物、並びに優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性が高い抗酸化剤及び抗酸化用組成物の提供。【解決手段】ニンジン抽出物を含有するメタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、メタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物、免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物、抗炎症剤及び抗炎症用組成物、抗老化剤及び抗老化用組成物、美白剤及び美白用組成物、育毛剤及び育毛用組成物、並びに抗酸化剤及び抗酸化用組成物に関する。
日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が、男性では85cm、女性では90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断される。
近年、飽食や運動不足等の生活習慣が原因となって体脂肪が増加し、肥満が増えている。このような肥満の増加は、人間ばかりでなく、ペットや家畜においても見られる。肥満は、高脂血症や動脈硬化等の生活習慣病の原因になるため、美容の面で問題となるばかりでなく、健康の面でも大きな問題となる。
ここで、サイクリックAMP(cAMP)は、生体内の脂肪分解に関与することが知られている。cAMPは生体内に存在するリパーゼを活性化し、活性化されたリパーゼによって脂肪が脂肪酸とグリセロールとに分解される。しかし、cAMP-ホスホジエステラーゼが活性化されるとcAMPの分解が誘発され、リパーゼの活性化が阻害される。そのため、cAMP-ホスホジエステラーゼの活性を阻害することにより細胞内におけるcAMPが増量し、脂肪の分解を促進することができるものと考えられる。
肥満は、脂質代謝に異常をきたし、前述したとおり脂質異常症等の生活習慣病の原因となる。ここで、脂質異常症は、血清脂質すなわちコレステロール、トリグリセリド、リン脂質及び遊離脂肪酸等のうち1種以上の成分が異常に増加して様々な障害を招く疾病である。コレステロールは、動物生体膜の構成成分であるとともにステロイドホルモン等の出発物質であり、動物にとって極めて重要な物質である。しかし、血中コレステロールが過剰であると、血管の内側にコレステロール等が蓄積して動脈硬化の原因となり、虚血性心疾患や脳梗塞などの致命的な疾患に至るおそれがある。一方、遊離脂肪酸は、脂肪細胞から血中に放出され体内のエネルギー源として利用されるが、余剰分は肝臓に取り込まれ中性脂肪に再合成される。血中遊離脂肪酸が過剰であると、慢性的に中性脂肪が過剰の状態となって脂質異常の状態が継続し動脈硬化の危険性を高める。また、血中遊離脂肪酸が過剰であると、インスリン抵抗性が高まって糖尿病の病態が進行するおそれがある。
そのため、肥満に起因した高すぎる血中脂質(例えば、血中コレステロールや血中遊離脂肪酸等)を低減することができれば、肥満症に伴って進行する動脈硬化や糖尿病の症状を予防、緩和または改善することができると考えられる。血中コレステロール低減作用、及び血中遊離脂肪酸低減作用を有する成分として、焙煎した黄杞葉の抽出物(例えば、特許文献1参照)が知られている。
ジペプチジルペプチダーゼIV(以下、「DPP IV」と称することがある。)は、セリンプロテアーゼの1つであって、N末端から2番目のプロリン又はアラニンを認識し、そのC末端側を切断する酵素活性を有する。DPP IVは、腎臓、肝臓、腸管、胎盤等の組織の上皮及び内皮細胞、ならびにT細胞の細胞表面に発現しており、その酵素活性等を介して様々な生理現象に関与すると考えられている。
DPP IVの基質として、インクレチンと呼ばれるホルモンが挙げられる。インクレチンは、栄養素の刺激により腸管から分泌され、血糖依存的に膵β細胞からインスリン分泌を促進するホルモンの総称であり、GLP-1やGIP等が知られている。これらインクレチンは、血糖依存的なインスリン分泌の促進だけでなく、膵α細胞からのグルカゴン分泌の抑制、血圧の低下、胃排出の抑制、さらには視床下部に作用しての摂食抑制等の作用を有している(例えば、非特許文献1参照)。しかし、インクレチンはDPP IVにより分解されるため、例えばGLP-1の生体内における半減期は1.5分程度であることが知られている。そのため、DPP IVの酵素活性を阻害することができれば、インクレチンの生体内における半減期を延長することができ、これにより、前述したインクレチンの作用を通じ2型糖尿病、肥満、高血圧症、インスリン抵抗性等の治療に有用であると期待されている。
肝臓は、腸で吸収された様々な栄養素を代謝、貯蔵する他、胆汁の生成や分泌、及び解毒や排泄など、生命の維持に必要な多くの働きを行っており、ヒトにとって極めて重要な臓器である。しかし、肝臓は、不規則な生活、ストレス、ウイルス、薬物、アルコール、栄養不良、肝循環系障害などの様々な因子により、急性的または慢性的な障害が生じやすく、急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、黄疸、肝硬変などの疾患(肝機能障害)を起こす場合がある。
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン及びグリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、細胞内の主要なシステイン残基を有する化合物である。肝臓においてグルタチオンは、多様な酸化ストレスから肝細胞を保護するほか、薬物や反応性化合物等の有害物質と抱合体を形成してそれらが細胞外に排出されるなど、薬物代謝などの肝機能の発現に直接的に寄与している。しかし、グルタチオンの作用が発揮されることは、同時にグルタチオンが消費されることでもあり、実際にラットにおいてガラクトサミン等により肝障害を誘導すると、肝細胞内のグルタチオン量が減少することが知られている。そのため、肝臓において、グルタチオンの産生を促進することができれば、肝臓の障害が抑えられ、ひいては肝機能の向上につながると考えられる。グルタチオン産生促進作用を有するものとして、琥珀熱水抽出物(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
また、細胞の増殖を促進するためには、細胞分裂に必要なエネルギーを細胞に補給することが重要である。生体のエネルギー物質としては、ATPが挙げられ、このATPの産生量を上げることにより、細胞内のエネルギー代謝が促進され、細胞増殖につながると考えられる。しかし、機能の低下した細胞や老化した細胞では、エネルギー物質であるATP量が正常細胞より減少することが報告されている(例えば、特許文献3参照)。
そのため、細胞におけるATPの産生を促進することができれば、その細胞を活性化して細胞分裂を促し、その細胞の増殖能を回復することができると考えられる。
近年、消費者の健康に対する意識はますます高まりを見せている。一方で、現代社会には、不規則な生活習慣、食事の偏り、精神的ストレス等、免疫機構にダメージを与える要因が氾濫している。このようにして免疫力が低下することにより、癌、感染症、アレルギー症状等の各種疾患を誘発することが知られており、逆に免疫力が賦活されると、発癌抑制、制癌作用、抗感染症、抗アレルギー作用、更には体調リズムの回復・恒常性維持など様々な効果が期待できる。
免疫機構には、多くの種類の細胞が関与しているが、特に白血球の役割は大きく、なかでもマクロファージは全動物に普遍的に存在しており、免疫応答の特に初期段階での働きを含め、あらゆる段階に関与している重要な白血球の一種である。近年、白血球の働きが物質レベルで解明されてきており、白血球の機能や細胞間相互作用は、白血球が分泌する微量タンパク質(サイトカイン)によって担われていることが分かってきている。
サイトカインには多くの種類があり、なかでも腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキン(IL)類が注目されている。それらのなかでも、TNF-αに代表される炎症性サイトカインは、主にマクロファージから放出され、最終的には抗腫瘍作用等を示すことが報告されている。したがって、TNF-αの産生機能を亢進させることにより、悪性腫瘍の増殖を抑制できるものと考えられる。このような考えに基づき、TNF-α産生促進作用を有するものとして、ユキノシタ科スグリ属に属する植物からの抽出物(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。
炎症性疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、アトピー性皮膚炎、その他肌荒れを伴う各種皮膚炎症性疾患、関節リウマチ、変形性関節症、喘息等の原因及び発症機構は、多種多様である。その原因として、一酸化窒素(NO)の産生によるもの、プロスタグランジン(PG)Eの産生の亢進(シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の活性の亢進)によるもの、主にマクロファージから産生される腫瘍壊死因子(TNF-α)によるもの、ヒアルロニダーゼの活性の亢進によるもの、ヒスタミンの遊離によるものなどが知られている。
前記一酸化窒素(NO)は、大気汚染、酸性雨等の要因となる窒素酸化物である。また、近年、一酸化窒素(NO)は、血管内皮由来弛緩因子(EDRF)、神経伝達物質、生体防御における微生物、腫瘍細胞の障害因子等、生体内で多彩な機能を示す生理活性物質であることが報告されている。生理活性物質としては、マクロファージから産生される一酸化窒素が細菌及びウイルスの感染を防御することが知られている。しかし、前記マクロファージから産生される一酸化窒素が大量に生合成されると、生体にとって無毒ではなく、自己組織の破壊を引き起こし、炎症の悪化、リューマチ、糖尿病等の病態の原因となることがある。また、大量に生合成された一酸化窒素が血管平滑筋の弛緩と過剰な透過性の増大をもたらし、著しい血圧の低下によってエンドトキシン・ショックを引き起こすこともある。
したがって炎症性疾患において、一酸化窒素(NO)の過剰な産生を抑制することが重要となる。このような一酸化窒素の産生抑制作用を有する生薬としては、例えば、ローズマリー抽出液、カルノソール、カルノシン酸、コーヒー豆の抽出液、サクラダソウ抽出液、オウレン抽出液、オウバク抽出液、カンゾウ抽出液、イヌノイバラの抽出液、センキュウ抽出液、トウニン抽出液、シャクヤク抽出液、ヨクイニン抽出液、アカブドウ抽出液(例えば、特許文献5参照)、唐独活、タラ根皮、和続断、車前子、遠子、茜草根、半枝連、槐花、花椒(例えば、非特許文献2参照)、などが報告されている。
炎症は、発赤、浮腫、発熱、痛み、機能障害等の症状を示す複雑な反応である。微視的に見ると、炎症は、血漿漏出を起こす血管反応、白血球の浸潤、炎症性細胞による組織破壊等の共通する反応からなり、発熱反応や痛覚過敏等の中枢神経系も関与する、全身反応も引き起こす場合もある。このような炎症の個々の反応には、プロスタグランジンが重要な役割を果たしており、この炎症時におけるプロスタグランジンの産生には、主として誘導型のシクロオキシゲナーゼであるシクロオキシゲナーゼ-2が関与することが明らかとなっている。このため、炎症反応の防止及び予防を図る目的で、アスピリンに代表される多くのシクロオキシゲナーゼ阻害剤が用いられている(例えば、非特許文献3参照)。
皮膚は角層、表皮、基底膜、及び真皮から構成されている。基底膜は、表皮と真皮との境界部に存在し、表皮と真皮とを繋ぎ止めるだけでなく、皮膚機能の維持に重要な役割を果たしている(例えば、非特許文献4参照)。基底膜の主要骨格は、IV型コラーゲンからなる網目構造をしている。基底膜と表皮との境界に存在し、基底膜と表皮とを繋ぎとめているのがラミニン-332(ラミニン-5と称することもある。)を主成分とする各種糖蛋白質で、かかるラミニン-332は、表皮に存在する表皮角化細胞より産生される。若い皮膚においては、基底膜の働きにより表皮、真皮の相互作用が恒常性を保つことで、水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、細胞外マトリックス成分等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより、水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、基底膜の主要構成成分であるラミニン-332は分解・変質を起こし、基底膜構造が破壊される(例えば、非特許文献5参照)。また、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の産生量が減少するとともに、分解や変質を引き起こす。
その結果、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、角質の異常剥離が生じるため、肌は張りや艶を失い、肌荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。このように、皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、基底膜成分の減少、基底膜の構造変化や、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の細胞外マトリックス成分の減少・変性等が関与している。
したがって、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の産生を促進することは、皮膚の老化を予防、治療または改善する上で重要である。
ラミニンは、α鎖、β鎖、及びγ鎖の種々の組み合わせからなり、現在のところ17種類が知られている。これらのα鎖、β鎖、及びγ鎖が長鎖(long arm)と呼ばれる部位でコイル状3本鎖構造を形成することで、巨大なラミニン分子が構成されている。その中でα3鎖、β3鎖、及びγ2鎖からなるラミニン-332は、皮膚、消化器、腎臓、肺等の上皮組織の基底膜に多量に存在する。ラミニン-332の各鎖をコードする遺伝子の先天的な異常に起因する遺伝子疾患(致死型先天性表皮水疱症,Herlitz junctional epidermolysis bullosa)においては、全身の表皮が剥離する致死性の症状を示すことが知られている。そして、ラミニン-332は、他の細胞外マトリックス分子と比べ、強度に細胞を接着させ(細胞接着活性が高く)、細胞運動を強く促進する(細胞運動活性が高い)ことが知られている(例えば、非特許文献6参照)。
このように、ラミニン-332は、細胞運動活性が高いことから、損傷皮膚中の細胞移動を促進し、損傷治癒を促すことが知られている(例えば、特許文献6参照)。即ち、ラミニン-332の産生を促進することは、基底膜の構造が破壊されるような皮膚損傷の治癒を促す上で重要である。
従来、ラミニン-332を含有する皮膚外用剤(例えば、特許文献7参照)が知られており、また、ラミニン-332産生促進作用を有するものとして、大豆抽出物(例えば、特許文献8参照)、フェニルプロパノイド類(例えば、特許文献9参照)、パントテン酸(例えば、特許文献10参照)、リゾホスファチジルコリン又はリゾホスファチジン酸(例えば、特許文献11参照)、コエンザイムQ10(例えば、特許文献12参照)等が知られている。
近年、真皮マトリックス成分の減少乃至変性を誘導する因子として、マトリックスメタロプロテアーゼ類(以下、「MMPs」と称することもある)と呼ばれるタンパク質分解酵素群の分解及び再構築がある。
前記MMPsは、その一次構造と基質特異性の違いから、(1)コラゲナーゼ群(MMP-1、MMP-8及びMMP-13)、(2)ゼラチナーゼ群(MMP-2及びMMP-9)、(3)ストロメライシン群(MMP-3及びMMP-10)、(4)膜結合型マトリックスメタロプロテアーゼ群(MMP-14、MMP-15、MMP-16、及びMMP-17)、(5)その他(MMP-7、MMP-11、及びMMP-12)の5つのグループに分類されている(例えば、特許文献13参照)。
前記MMPsの中でも、MMP-1は、皮膚の真皮マトリックスの主な構成成分であるI型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲンを分解する酵素として知られている。また、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少乃至変性の一因となり、皮膚のシワ形成等の大きな要因であると考えられる。
したがって、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性の阻害により、皮膚のしわの形成、弾力性低下等の皮膚の老化を予防乃至治療できると考えられる。
前述した細胞外マトリックス成分のうち、ヒアルロン酸は、ムコ多糖の一種であり、細胞間の間隙に充填されることにより細胞を保持する機能を有し、さらに細胞間隙への水分の保持、組織への潤滑性や柔軟性の付与、機械的障害等の外力に対する抵抗等、数多くの機能を有している。ヒアルロン酸の産生を促進することができれば、皮膚の荒れ、しわ、くすみ、きめの変化、弾力性の低下及び保湿機能の低下等といった皮膚の老化症状を予防、治療または改善できると考えられる。また、表皮ヒアルロン酸の合成促進に関与するヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)の発現を促進することで、皮膚の老化を予防、治療または改善することができるものと考えられる。
また、ヒアルロン酸は、皮膚組織の他にも、軟骨、関節液、臍帯、眼硝子体、その他の結合組織に存在する。このうち、関節液に含まれるヒアルロン酸は、関節軟骨の表面を覆い、ヒアルロン酸が有する潤滑機能、軟骨に対する被覆・保護機能等により、関節の円滑な作動に役立っている。一方、慢性関節リウマチ等の関節炎において、関節液におけるヒアルロン酸の濃度が低下していることが知られている。したがって、ヒアルロン酸の産生を促進することで、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、化膿性関節炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、または骨関節炎等の関節炎を予防または治療することができると考えられる。さらに、創傷または熱傷の治癒過程において、肉芽(組織)が形成するが、肉芽中にヒアルロン酸が著しく増加することが知られている。そのため、ヒアルロン酸の産生を促進することで、創傷または熱傷の治癒を促進することができると考えられる。ヒアルロン酸産生促進作用を有するものとしては、クスノハガシワからの抽出物(例えば、特許文献14参照)等が知られている。また、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)mRNA発現促進作用を有するものとして、甘草葉部抽出物(例えば、特許文献15参照)等が知られている。
前述したコラーゲン等の細胞外マトリックス成分は、線維芽細胞により産生される。若い皮膚においては、線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、コラーゲン等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。しかし、紫外線、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、線維芽細胞の増殖が遅くなり皮膚の保湿機能や弾力性が低下する。そして、皮膚は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。そのため、線維芽細胞の増殖を促進することは、皮膚の老化を予防、治療または改善するうえで非常に重要であると考えられる。
また、線維芽細胞は、外傷や火傷等の創傷の治癒過程において重要な役割を果たしているほか、皮膚疾患(例えば,褥瘡,熱傷潰瘍,糖尿病性潰瘍等の皮膚潰瘍)の治癒過程にも重要である。そのため、線維芽細胞の増殖を促進することにより創傷や皮膚疾患を治療することができると考えられる。さらに、再生医療の分野において、自己治癒が困難な創傷(重度の熱傷等)を負った患者の治療法として、患者自身の皮膚断片から皮膚細胞を培養・増殖させ、これを患者に移植する方法が知られているが、細胞増殖促進剤の使用により皮膚細胞の培養期間短縮が期待される。従来、線維芽細胞増殖促進作用を有するものとして、クスノハガシワからの抽出物(前述した特許文献14参照)等が知られている。
表皮は、外部刺激を緩和し、水分等の体内成分の逸失を制御する働きをしており、最下層である基底層から始まって、有棘層、顆粒層、角質層へと連なる4層構造から構成されている。各層に存在する大部分の細胞は、基底層から分化した角化細胞である。基底層で分裂、増殖した角化細胞は、有棘層、顆粒層を通過しながら分化し角質細胞となって、強固な架橋結合をもったケラチン蛋白線維で構成された角質層を構成し、最終的には垢として角質層から脱落する。
表皮を構成する基底層、有棘層、顆粒層、及び角質層のうち、特に、顆粒層においては、細胞膜が肥厚して肥厚細胞膜を形成するとともに、トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1)の作用により、蛋白分子間がグルタミル-リジン架橋され、強靭なケラチン蛋白線維が形成される。さらに、その一部にセラミド等が共有結合し、疎水的な構造をとることで、細胞間脂質のラメラ構造の土台を供給し、角質バリア機能の基礎が形成される。
しかし、加齢とともに表皮におけるトランスグルタミナーゼ-1の産生量が減少すると、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能が低下するため、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状を呈したり、乾燥性皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬等)を発症したりするようになる。そのため、表皮におけるトランスグルタミナーゼ-1の産生を促進することにより、皮膚の老化症状や乾燥性皮膚疾患等を予防、治療または改善することができると考えられる。トランスグルタミナーゼ-1産生促進作用を有するものとして、湖南甜茶からの抽出物(例えば、特許文献16参照)等が知られている。
角質層は皮膚の最外殻に存在しており、外界からの刺激に対する物理的なバリアとしての役割を果たしている。皮膚ではこのバリア機能を持たせるため、角化細胞が基底層で産生されてから垢となって剥がれ落ちるまでのサイクル(角化)を通常4週間の周期で繰り返し、表皮の新陳代謝を行っている。しかしながら、この角質層も加齢によって新陳代謝機能が衰え、こじわ、くすみ、色素沈着、肌荒れ等の皮膚トラブルを発生することになる。そのため、角化細胞の増殖を促進し、肌の新陳代謝機能を回復させることにより、こじわ、くすみ、色素沈着等の皮膚の老化を改善できるものと考えられる。従来、表皮角化細胞増殖促進作用を有するものとして、土貝母抽出物(例えば、特許文献17参照)等が知られている。
また、従来は、皮膚のバリア機能は角層のみが担っていると考えられていたが、表皮顆粒層に存在するタイトジャンクション(以下、TJと略記することがある。)の構成タンパク質を遺伝子レベルで欠損させると皮膚のバリア機能が崩壊することから、近年、TJも皮膚のバリア機能に重要な役割を担うと考えられている(例えば、非特許文献7参照)。TJは、隣接する細胞同士を密着させるだけでなく、細胞と細胞の隙間をシールすることで物質の透過を制御する結合装置である。このTJを構成しているタンパク質には、クローディン(CLDN)、オクルディン(OCLN)、ZO-1及びZO-2などがあり、これらのタンパク質はTJストランドの骨格を構成し、TJのバリア機能を制御すると考えられている(例えば、非特許文献8参照)。以上のことから、クローディン、オクルディン、ZO-1、ZO-2の発現が何らかの原因で減少した場合、TJの構造的な破壊が起こり、物質の透過バリアとして機能しなくなることによって、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状の原因となると予想される。
したがって、表皮においてクローディン、オクルディン、ZO-1、及びZO-2の産生を促進することにより表皮角化細胞のTJ形成を促すことで、皮膚のバリア機能及び水分保持機能を高め、前記皮膚症状を予防又は改善することができると考えられる。このような考えに基づき、TJ形成促進作用を介して皮膚バリア機能を向上させるものとして、天然物由来のオウレン抽出物(例えば、特許文献18参照)、トウヒ抽出物(例えば、特許文献19参照)などが開示されている。
細胞内におけるグルタチオンは、ラジカルの捕捉、酸化還元による細胞機能の調節、異物代謝、各種酵素のSH供与体としての機能を果たすものであり、活性酸素等に対する抗酸化成分としても知られている。その作用発現は、システイン残基に由来すると考えられている。しかしながら、過剰な酸化ストレスや異物の付加、加齢などにより、細胞内のグルタチオン量が欠乏または低下することが報告されており、このことが細胞の酸化ストレスに対する防御能を低下させ、細胞のDNA及びタンパク質等の構成成分にダメージを与える一因であると考えられている。
このような、細胞内のグルタチオン量の低下または欠乏が病態と関連することが知られている疾患として、皮膚のシミ等の色素沈着、皮膚の老化、酸化ストレスが原因となって誘発される前述した疾患群のほか、肝障害(アルコールの多飲、または重金属や化学物質等の異物の摂取が原因となる)等が知られている。すなわち、グルタチオンの産生を促進することは、細胞の酸化ストレスに対する防御能を高め、細胞内のグルタチオン量が低下または欠乏することに起因する上記の疾患群を予防・治療することができると考えられる。グルタチオン産生促進作用を有するものとして、琥珀熱水抽出物(例えば、上述した特許文献2参照)等が知られている。
アミノ酸、ペプチド、タンパク質のアミノ基と、ケトン、アルデヒド、特にグルコースなどの還元糖が反応して褐色色素を生成する反応をメイラード反応という。このメイラード反応の最終産物として生成する物質を最終糖化産物(advanced glycation end products、以下、「AGEs」と称することもある。)という。メイラード反応は、アミノ基とグルコースが非酵素的に反応しシッフ塩基を形成し、ついでアマドリ転位を起こす早期反応、更に3-デオキシグルコソン(3-DG)などのジカルボニル基を有する活性中間体を生成する中期反応、活性中間体が更にアミノ基と非酵素的に反応し、脱水、縮合反応を繰り返してAGEs形成する後期反応からなる。
AGEsとしては、例えば、イミダゾロン(例えば、非特許文献9参照)、Nε-カルボキシメチルリシン(CML)(例えば、非特許文献10参照)、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、Nε-カルボキシエチルリシン、メチルグリオキサールリシンダイマー、グリオキサールリシンダイマーなどが同定されている。イミダゾロンは3-DGがアルギニンと反応して生成することが報告されている(例えば、上述した非特許文献9参照)。
AGEsが発症、進展に関与している病態の1つして、老化症状がある。生体組織におけるメイラード反応の進行により、皮膚組織においては皮膚弾性繊維の架橋などによる老化(弾性低下)を招き、また、血管壁組織や神経原線維へのAGEsの沈着により動脈硬化やアルツハイマー病を招くともいわれている。
AGEs形成抑制作用を有する天然物由来のものとしては、例えば、マメ科ディアリウムインダムの果皮抽出物が開示されている(例えば、特許文献20参照)。
また、AGEs形成抑制作用を有する化合物として、例えば、アミノグアニジン、OPB-9195、ピリドキサミンなどの化合物が知られているが、これら化合物は副作用等の問題を有している(例えば、非特許文献9~11参照)。
また、皮膚においてメラニンは、紫外線から生体を保護する役目も果たしているが、過剰生成や不均一な蓄積は、皮膚の黒化やシミの原因となる。一般にメラニンは、色素細胞の中で生合成される酵素チロシナーゼの働きによって、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンに変化し、ついで5,6-ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経て形成されるものとされている。したがって、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善するためには、メラニンの産生に関与するチロシナーゼの活性を阻害すること、又はメラニンの産生を抑制することが考えられる。
従来、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等の予防、治療又は改善には、ハイドロキノン等の化学合成品を有効成分とする美白剤を外用する処置が行われてきた。しかしながら、ハイドロキノン等の化学合成品は、皮膚刺激、アレルギー等の副作用のおそれがある。
そこで、安全性の高い天然原料を有効成分とする美白剤の開発が望まれており、メラニン産生抑制作用を有するものとしては、例えば、トウゴマ根部からの抽出物(例えば、特許文献21参照)、サウスウレア(Saussurea)属に属する植物からの抽出物(例えば、特許文献22参照)等が知られている。
多くのステロイドホルモンは産生臓器から分泌された分子型で受容体と結合してその作用を発現するが、アンドロゲンと総称される男性ホルモンの場合、例えば、テストステロンは標的臓器の細胞内に入ってテストステロン5α-リダクターゼにより5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)に還元されてから受容体と結合し、アンドロゲンとしての作用を発現する。
アンドロゲンは重要なホルモンであるが、それが過度に作用すると、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等、さまざまな好ましくない症状を誘発する。そこで、従来から、これらの各種症状を改善するために過剰のアンドロゲンの作用を抑制する方法、具体的には、テストステロンを活性型5α-DHTに還元するテストステロン5α-リダクターゼの作用を阻害することにより、活性な5α-DHTが生じるのを抑制する方法や、テストステロンから生じた5α-DHTが受容体と結合するのを阻害することによりアンドロゲン活性を発現させない方法などが知られている。これまでに、テストステロン5α-リダクターゼの活性阻害作用やアンドロゲン受容体結合阻害作用を有するものとして、例えば、東紫蘇からの抽出物(例えば、特許文献23参照)等が知られている。
生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド〔即ち、酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン(・O )、過酸化水素(H)、一重項酸素()、ヒドロキシラジカル(・OH)〕等がある。このような活性酸素は食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の消去に重要な働きを果たしている。
しかし、活性酸素の過剰な生成は生体内の膜及び組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、通常、細胞内に含まれているスーパーオキシドディスムターゼ(Superoxide dismutase;SOD)の触媒作用により逐次消去されている。
スーパーオキサイドの産生が過剰な場合、あるいはSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分になってスーパーオキサイド濃度が高くなる。このことが、関節リウマチ、ベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性、皮膚の老化などを起こす原因の1つであると考えられている。
以上のように、これまでに様々な研究がなされている。しかしながら、上述した少なくともいずれかの作用を有し、かつ安全性が高く、そのため、飲食品、化粧料、研究用試薬などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は依然として強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
特開平7-274832号公報 特開2010-235551号公報 特開2003-321373号公報 特開2004-107660号公報 特開2002-087975号公報 特開2006-063033号公報 特開平10-147515号公報 特開2004-217618号公報 特開2007-077169号公報 特開2005-179243号公報 特開2000-226308号公報 特開2007-063160号公報 特開2000-344672号公報 特開2003-146837号公報 特開2010-090035号公報 特開2007-099698号公報 特開2006-056854号公報 特開2007-176830号公報 特開2007-176835号公報 特開2010-111615号公報 特開2001-213757号公報 特開2002-201122号公報 特開2010-184915号公報
「日本薬理学雑誌」,2005年,Vol.125,p.379-384 「和漢医薬学雑誌」,Vol.15,p.302-303,1998年発行 「薬理学アトラス」,福原武彦監訳,文光堂,1995年,p.184 Marinkovich MP et al.,「J. Cell. Biol.」,1992年,第199巻,p.695‐703 Lavker et al.,「J. Invest. Dermatol.」,1979年,第73巻,p.59‐66 宮崎 香,「細胞接着分子ラミニン5の機能解析と応用」,[on line],横浜市立大学第3回産学連携セミナー,[平成19年8月1日検索],インターネット<URL:http://www.yokohama‐cu.ac.jp/sangaku/seminar3/summary_miyazaki.pdf> J.Cell Biol.,vol.156,pp.1099-1111(2002) 日本香粧品科学会誌,vol.31,pp.296-301(2007) J.Clin.Invest.,vol.99,pp.1272-1280(1997) Kidney Int.,vol.50,pp.1303-1309(1996) J.Biol.Chem.,vol.275,pp.21177-21184(2000)
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたメタボリックシンドローム改善作用を有し、かつ安全性が高いメタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた肝機能向上作用を有し、かつ安全性が高い肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた免疫賦活作用を有し、かつ安全性が高い免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性が高い抗炎症剤及び抗炎症用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性が高い抗老化剤及び抗老化用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた美白作用を有し、かつ安全性が高い美白剤及び美白用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた育毛作用を有し、かつ安全性が高い育毛剤及び育毛用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性が高い抗酸化剤及び抗酸化用組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ニンジン抽出物が、優れたメタボリックシンドローム改善作用、肝機能向上作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗老化作用、美白作用、育毛作用、及び抗酸化作用を有し、かつ安全性が高く、メタボリックシンドローム改善、肝機能向上、免疫賦活、抗炎症、抗老化、美白、育毛、及び抗酸化に有用であることを知見し、本発明を完成したものである。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ニンジン抽出物を含有することを特徴とするメタボリックシンドローム改善剤である。
<2> 抗肥満作用及び血糖改善作用の少なくともいずれかを有する前記<1>に記載のメタボリックシンドローム改善剤である。
<3> 抗肥満作用が、サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用に基づく前記<2>に記載のメタボリックシンドローム改善剤である。
<4> 血糖改善作用が、ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害作用に基づく前記<2>に記載のメタボリックシンドローム改善剤である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のメタボリックシンドローム改善剤を含有することを特徴とするメタボリックシンドローム改善用組成物である。
<6> ニンジン抽出物を含有することを特徴とする肝機能向上剤である。
<7> グルタチオン産生促進作用及びATP産生促進作用の少なくともいずれかを有する前記<6>に記載の肝機能向上剤である。
<8> 前記<6>から<7>のいずれかに記載の肝機能向上剤を含有することを特徴とする肝機能向上用組成物である。
<9> ニンジン抽出物を含有することを特徴とする免疫賦活剤である。
<10> 腫瘍壊死因子(TNF-α)産生促進作用を有する前記<9>に記載の免疫賦活剤である。
<11> 前記<9>から<10>のいずれかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用組成物である。
<12> ニンジン抽出物を含有することを特徴とする抗炎症剤である。
<13> 一酸化窒素(NO)産生抑制作用及びプロスタグランジン(PG)E産生抑制作用の少なくともいずれかを有する前記<12>に記載の抗炎症剤である。
<14> 前記<12>から<13>のいずれかに記載の抗炎症剤を含有することを特徴とする抗炎症用組成物である。
<15> ニンジン抽出物を含有することを特徴とする抗老化剤である。
<16> マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性阻害作用、ラミニン-332産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1) mRNA発現促進作用、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3) mRNA発現促進作用、オクルディン(OCLN) mRNA発現促進作用、最終糖化産物(AGEs)形成抑制作用、及び最終糖化産物(AGEs)分解促進作用の少なくともいずれかを有する前記<15>に記載の抗老化剤である。
<17> 前記<15>から<16>のいずれかに記載の抗老化剤を含有することを特徴とする抗老化用組成物である。
<18> ニンジン抽出物を含有することを特徴とする美白剤である。
<19> メラニン産生抑制作用を有する前記<18>に記載の美白剤である。
<20> 前記<18>から<19>のいずれかに記載の美白剤を含有することを特徴とする美白用組成物である。
<21> ニンジン抽出物を含有することを特徴とする育毛剤である。
<22> テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用を有する前記<21>に記載の育毛剤である。
<23> 前記<21>から<22>のいずれかに記載の育毛剤を含有することを特徴とする育毛用組成物である。
<24> ニンジン抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤である。
<25> スーパーオキサイド消去作用及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する前記<24>に記載の抗酸化剤である。
<26> 前記<24>から<25>のいずれかに記載の抗酸化剤を含有することを特徴とする抗酸化用組成物である。
本発明のメタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れたメタボリックシンドローム改善作用を有し、安全性の高いメタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物を提供することができる。
本発明の肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた肝機能向上作用を有し、安全性の高い肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物を提供することができる。
本発明の免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた免疫賦活作用を有し、安全性の高い免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物を提供することができる。
本発明の抗炎症剤及び抗炎症用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた抗炎症向上作用を有し、安全性の高い抗炎症剤及び抗炎症用組成物を提供することができる。
本発明の抗老化剤及び抗老化用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた抗老化作用を有し、安全性の高い抗老化剤及び抗老化用組成物を提供することができる。
本発明の美白剤及び美白用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた美白作用を有し、安全性の高い美白剤及び美白用組成物を提供することができる。
本発明の育毛剤及び育毛用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた育毛作用を有し、安全性の高い育毛剤及び育毛用組成物を提供することができる。
本発明の抗酸化剤及び抗酸化用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた抗酸化作用を有し、安全性の高い抗酸化剤及び抗酸化用組成物を提供することができる。
(メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、及び抗酸化剤)
本発明のメタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、及び抗酸化剤は、ニンジン抽出物を有効成分として含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記ニンジン抽出物が含有する、メタボリックシンドローム改善作用、肝機能向上作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗老化作用、美白作用、育毛作用、及び抗酸化作用の少なくともいずれかを発揮する物質の詳細については不明であるが、前記ニンジン抽出物がこのような優れた作用を有し、メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、及び抗酸化剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
<ニンジン抽出物>
ニンジン(学名:Daucus carota subsp.)は、セリ科(Apiaceae)ニンジン属(Daucus)の二年草の植物であり、中央アジア原産の植物で、日本各地で栽培されておりこれらの地域から容易に入手可能である。多肉質の根は食用にされている。
前記ニンジン抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ニンジンの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、地上部、葉部、茎部、花部、根部、種、又はこれらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、地上部が好ましい。
前記ニンジンの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ニンジンの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出部位を乾燥させた後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕する方法などが挙げられる。前記乾燥させたものをそのまま又は粉砕したものを溶媒抽出に供することができる。前記乾燥は、天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。
前記ニンジン抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる方法により容易に得ることができる。前記ニンジン抽出物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出液そのもの、抽出液の希釈液、抽出液の濃縮液、これらの乾燥物、粗精製物、精製物などが挙げられる。
前記抽出の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出する方法などが挙げられ、より具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料である前記ニンジンの前記抽出部位を投入し、必要に応じて適宜撹拌しながら、例えば、30分間~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。前記抽出液は、更に、抽出溶媒を留去し、乾燥してもよい。
また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
前記ニンジンの抽出における条件(抽出時間及び抽出温度)、抽出溶媒及び抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性溶媒、又は水と親水性溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水などの他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。前記水は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記親水性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記混合溶媒における前記水に対する前記親水性溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低級アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部、低級脂肪族ケトンを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~40容量部、多価アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部添加することが好ましい。
前記抽出溶媒の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
得られた前記ニンジン抽出物は、前記ニンジン抽出物の希釈物、濃縮物、乾燥物、粗精製物、精製物などを得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。
前記ニンジン抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理などの精製方法が挙げられる。前記精製方法により精製することで、有効成分の濃度を高めたり、不要物を除去したりすることができる。
得られた前記ニンジン抽出物は、そのままでも前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤として使用することができるが、利用しやすい点で、前記濃縮液、前記乾燥物が好ましい。前記乾燥物を得るに当たって、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリンなどのキャリアーを加えてもよい。
前記ニンジン抽出物の前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤における含有量としては、特に制限はなく、前記抽出物の生理活性等によって適宜調整することができる。前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤は、前記ニンジン抽出物のみからなるものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<用途>
前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品などが挙げられる。
前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤は、優れたメタボリックシンドローム改善作用、肝機能向上作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗老化作用、美白作用、育毛作用、及び抗酸化作用の少なくともいずれかを有し、安全性が高いので、例えば、メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
本発明のメタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤;化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディーソープ、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス、コンディショナー等の外用剤などが挙げられる。
前記各剤型のメタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の使用量、使用期間等の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、本発明のメタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤は、メタボリックシンドローム改善作用、肝機能向上作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗老化作用、美白作用、育毛作用、又は抗酸化作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
前記ニンジン抽出物が有するメタボリックシンドローム改善作用は、例えば、抗肥満作用及び血糖改善作用の少なくともいずれかによって発揮される。そのため、前記メタボリックシンドローム改善剤は、抗肥満作用及び血糖改善作用の少なくともいずれかを有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有するメタボリックシンドローム改善作用は、抗肥満作用及び血糖改善作用の少なくともいずれかに基づいて発揮されるメタボリックシンドローム改善作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有する抗肥満剤、又は血糖改善剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する抗肥満作用は、例えば、サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用によって発揮される。そのため、前記抗肥満作用は、サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用に基づくものであることが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する抗肥満作用は、サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用に基づいて発揮される抗肥満作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有するサイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する前記血糖改善作用は、例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害作用によって発揮される。そのため、前記血糖改善作用は、ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害作用に基づくものであることが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する血糖改善作用は、ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害作用に基づいて発揮される血糖改善作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有するジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する肝機能向上作用(例えば、二日酔いの予防または改善;有害物質の蓄積に起因する症状(肌荒れ、疲労感等)の予防、治療または改善;代謝亢進など)は、例えば、グルタチオン産生促進作用及びATP産生促進作用の少なくともいずれかによって発揮される。そのため、前記肝機能向上剤は、グルタチオン産生促進作用及びATP産生促進作用の少なくともいずれかを有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する肝機能向上作用は、グルタチオン産生促進作用及びATP産生促進作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される肝機能向上作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有するグルタチオン産生促進剤、又はATP産生促進剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する免疫賦活作用は、例えば、腫瘍壊死因子(TNF-α)産生促進作用によって発揮される。そのため、前記免疫賦活剤は、腫瘍壊死因子(TNF-α)産生促進作用を有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する免疫賦活作用は、腫瘍壊死因子(TNF-α)産生促進作用に基づいて発揮される免疫賦活作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有する腫瘍壊死因子(TNF-α)産生促進剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する抗炎症作用は、例えば、一酸化窒素(NO)産生抑制作用及びプロスタグランジン(PG)E産生抑制作用の少なくともいずれかによって発揮される。そのため、前記抗炎症剤は、一酸化窒素(NO)産生抑制作用及びプロスタグランジン(PG)E産生抑制作用の少なくともいずれかを有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する抗炎症作用は、一酸化窒素(NO)産生抑制作用及びプロスタグランジン(PG)E産生抑制作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される抗炎症作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有する一酸化窒素(NO)産生抑制剤、又はプロスタグランジン(PG)E産生抑制剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する抗老化作用は、例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性阻害作用、ラミニン-332産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1) mRNA発現促進作用、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3) mRNA発現促進作用、オクルディン(OCLN) mRNA発現促進作用、最終糖化産物(AGEs)形成抑制作用、及び最終糖化産物(AGEs)分解促進作用の少なくともいずれかによって発揮される。そのため、前記抗老化剤は、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性阻害作用、ラミニン-332産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1) mRNA発現促進作用、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3) mRNA発現促進作用、オクルディン(OCLN) mRNA発現促進作用、最終糖化産物(AGEs)形成抑制作用、及び最終糖化産物(AGEs)分解促進作用の少なくともいずれかを有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する抗老化作用は、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性阻害作用、ラミニン-332産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1) mRNA発現促進作用、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3) mRNA発現促進作用、オクルディン(OCLN) mRNA発現促進作用、最終糖化産物(AGEs)形成抑制作用、及び最終糖化産物(AGEs)分解促進作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される抗老化作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有するマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性阻害剤、ラミニン-332産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、グルタチオン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1) mRNA発現促進剤、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3) mRNA発現促進剤、オクルディン(OCLN) mRNA発現促進剤、最終糖化産物(AGEs)形成抑制剤、又は最終糖化産物(AGEs)分解促進剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する美白作用は、例えば、メラニン産生抑制作用によって発揮される。そのため、前記美白剤は、メラニン産生抑制作用を有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する美白作用は、メラニン産生抑制作用に基づいて発揮される美白作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有するメラニン産生抑制剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する育毛作用は、例えば、テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用によって発揮される。そのため、前記育毛剤は、テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用を有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する育毛作用は、テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用に基づいて発揮される育毛作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有するテストステロン5α-リダクターゼ活性阻害剤にも関する。
前記ニンジン抽出物が有する抗酸化作用は、例えば、スーパーオキサイド消去作用及びラジカル消去作用の少なくともいずれかによって発揮される。そのため、前記抗酸化剤は、スーパーオキサイド消去作用及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有することが好ましい。なお、前記ニンジン抽出物が有する抗酸化作用は、スーパーオキサイド消去作用及びラジカル消去作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される抗酸化作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ニンジン抽出物を含有するスーパーオキサイド消去剤、又はラジカル消去剤にも関する。
(メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、及び抗酸化用組成物)
本発明のメタボリックシンドローム改善用組成物は、本発明のメタボリックシンドローム改善剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の肝機能向上用組成物は、本発明の肝機能向上剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の免疫賦活用組成物は、本発明の免疫賦活剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の抗炎症用組成物は、本発明の抗炎症剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の抗老化用組成物は、本発明の抗老化剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の美白用組成物は、本発明の美白剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の育毛用組成物は、本発明の育毛剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の抗酸化用組成物は、本発明の抗酸化剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、及び抗酸化剤>
前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、及び抗酸化剤は、上述した本発明のメタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、及び抗酸化剤である。
前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物における前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の含有量としては、特に制限はなく、前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の形態や前記ニンジン抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、前記ニンジン抽出物に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物は、前記メタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤のみからなるものであってもよい。
<その他の成分>
前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したメタボリックシンドローム改善剤、肝機能向上剤、免疫賦活剤、抗炎症剤、抗老化剤、美白剤、育毛剤、又は抗酸化剤の項目に記載しその他の成分と同様のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<態様>
前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品などが挙げられる。
本発明のメタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物は、日常的に使用することが可能であり、有効成分であるニンジン抽出物の働きによって、メタボリックシンドローム改善作用、肝機能向上作用、免疫賦活作用、抗炎症作用、抗老化作用、美白作用、育毛作用、又は抗酸化作用をはじめとする様々な生理活性作用を極めて効果的に発揮させることができる。
本発明のメタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
前記本発明のメタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
前記経口用の組成物としては、例えば、上述した経口投与剤や飲食品が挙げられる。ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではない。したがって、前記飲食品は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
前記経口用の組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;サラダ、漬物等の惣菜;種々の形態の健康・美容・栄養補助食品;錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品;口中清涼剤、口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などが挙げられる。
前記経口用以外の組成物としては、例えば、上述した非経口投与剤、外用剤が挙げられる。例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーションなどは皮膚化粧料として、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、シャンプー、ポマード、リンスなどは頭髪化粧料として用いることができる。
前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
前記メタボリックシンドローム改善用組成物、肝機能向上用組成物、免疫賦活用組成物、抗炎症用組成物、抗老化用組成物、美白用組成物、育毛用組成物、又は抗酸化用組成物の使用量、使用期間等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上述したように、本発明のメタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物は優れたメタボリックシンドローム改善作用を有し、肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物は優れた肝機能向上作用を有し、免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物は優れた免疫賦活作用を有し、抗炎症剤及び抗炎症用組成物は優れた抗炎症作用を有し、抗老化剤及び抗老化用組成物は優れた抗老化作用を有し、美白剤及び美白用組成物は優れた美白作用を有し、育毛剤及び育毛用組成物は優れた育毛作用を有し、抗酸化剤及び抗酸化用組成物は優れた抗酸化作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記メタボリックシンドローム改善剤及びメタボリックシンドローム改善用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とするメタボリックシンドローム改善方法、個体に前記肝機能向上剤及び肝機能向上用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする肝機能向上方法、個体に前記免疫賦活剤及び免疫賦活用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする免疫賦活方法、個体に前記抗炎症剤及び抗炎症用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする抗炎症方法、個体に前記抗老化剤及び抗老化用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする抗老化方法、個体に前記美白剤及び美白用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする美白方法、個体に前記育毛剤及び育毛用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする育毛方法、又は個体に前記抗酸化剤及び抗酸化用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする抗酸化方法にも関する。
以下、本発明の製造例、試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの製造例、試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
ニンジンの地上部の30容量%エタノールによる抽出物を以下のようにして製造した。
ニンジンの地上部10gに30容量%エタノール200mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて1時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥を行い、ニンジンの地上部の30容量%エタノール抽出物(粉末)を2.26g得た。
(製造例2)
製造例1において、30容量%エタノールを50容量%エタノールに代えた以外は、製造例1と同様にして、ニンジンの地上部の50容量%エタノール抽出物(粉末)を2.08g得た。
(製造例3)
製造例1において、30容量%エタノールを80容量%エタノールに代えた以外は、製造例1と同様にして、ニンジンの地上部の80容量%エタノール抽出物(粉末)を1.80g得た。
(試験例1:サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用を試験した。
5mmol/Lの塩化マグネシウムを含有する50mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH7.5)0.2mLに、2.5mg/mL ウシ血清アルブミン溶液0.1mL、0.1mg/mL サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ溶液0.1mL、及び被験試料溶液(試料濃度は下記表1を参照)0.05mLを加え、37℃で5分間静置し、予備反応をした。これに、0.5mg/mL サイクリックAMP(cAMP)溶液0.05mLを加え、37℃で60分間反応した。その後、3分間沸騰水浴上で煮沸することにより反応を停止し、これを遠心(2,260×g、10分間、4℃)し、上清中の反応基質であるサイクリックAMPを、下記の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析した。また、コントロールとして、試料無添加の溶媒のみを加えて同様の操作を行った。
<HPLC条件>
・ ポンプ : DP-8020(東ソー株式会社)
・ 紫外検出器 : UV-8020(東ソー株式会社)
・ インテグレータ : クロマトコーダ21(東ソー株式会社)
・ カラムオーブン : CO-8020(東ソー株式会社)
・ デガッサ : SD-8022(東ソー株式会社)
・ カラム : Wakosil C18-ODS 5μm(富士フィルム和光純薬株式会社)
・ 移動相 : 1mmol/L TBAP in 25mmol/L KHPO:CHCN=90:10
・ 流速 : 1.0mL/min
・ 検出 : 260nm
・ Atten : 128
次に、サイクリックAMP標準品のピーク面積(A)、被験試料無添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリックAMP-ホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清ピーク面積(B1)及び被験試料添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリック-AMPホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清のピーク面積(B2)を求めた。得られた結果から、下記式より被験試料無添加時のサイクリックAMP標準品の分解率(C)及び被験試料添加時のサイクリックAMP標準品の分解率(D)を算出した。
被験試料無添加時の標準品の分解率(C)(%)=(1-B1/A)×100
被験試料添加時の標準品の分解率(D)(%)=(1-B2/A)×100
その後、上記式により算出した各分解率(C、D)に基づいて、下記式によりサイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害率(%)を算出した。結果を表1に示す。
サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害率(%)=(1-D/C)×100
Figure 2023008540000001
表1の結果から、ニンジン抽出物は、優れたサイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有することが確認された。
(試験例2:ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)活性阻害作用を試験した。
96ウェルプレートにて、25mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で調製した被験試料(4倍濃い試料、終濃度は下記表2を参照)25μLと、上記緩衝液で調製した0.4μg/mL DPP IV(rhCD26、R&Dシステム社製)溶液25μLとを混合し、37℃にて5分間プレインキュベーションした。その後、上記緩衝液にて調製した0.5mmol/L Gly-Pro-p-NA・Tos溶液(ペプチド研究所社製)50μLを添加して、37℃にて90分間反応させた。反応終了後、波長415nmにおける吸光度を測定した。また、コントロールとして、被験試料無添加の溶媒のみを加えて同様の操作を行った。
得られた結果から、下記式によりDPP IV活性阻害率を算出した。結果を表2に示す。
DPP IV活性阻害率(%)={1-(C-D)/(A-B)}×100
上記式中のA~Dは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料無添加、酵素添加での波長415nmにおける吸光度
B : 被験試料無添加、酵素無添加での波長415nmにおける吸光度
C : 被験試料添加、酵素添加での波長415nmにおける吸光度
D : 被験試料添加、酵素無添加での波長415nmにおける吸光度
Figure 2023008540000002
表2の結果から、ニンジン抽出物は、優れたDPP IV活性阻害作用を有することが確認された。
(試験例3:グルタチオン産生促進作用試験(ヒト正常肝細胞))
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、ヒト正常肝細胞におけるグルタチオン産生促進作用を試験した。
正常ヒト肝細胞を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10細胞/mLの濃度になるように10%FBS含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、48ウェルプレートに1ウェル当たり200μL播種し、一晩培養した。
一晩培養後、1%FBS含有ダルベッコMEM培地に溶解した被験試料(試料濃度は下記表3を参照)を各ウェルに200μL添加し、さらに24時間培養した。なお、対照として、被験試料無添加の1%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて同様に培養した。
培養終了後、各ウェルから培地を除去し、400μLのPBS(-)緩衝液にて洗浄した後、150μLのM-PER(PIERCE社製)を用いて細胞を溶解した。
このうちの100μLを用いて総グルタチオンの定量を行った。すなわち、96ウェルプレートに、溶解した細胞抽出液100μL、0.1mol/Lリン酸緩衝液50μL、2mmol/L NADPH 25μL、及び3.2units/mLのグルタチオンレダクターゼ25μLを加え、37℃で10分間加温した後、10mmol/L 5,5’-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオンを用いて作成した検量線をもとに算出した。
得られた値を総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記式によりグルタチオン産生促進率(%)を算出した。結果を表3に示す。
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料を添加しなかった場合の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量(対照)
B : 被験試料を添加した場合の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量
Figure 2023008540000003
表3の結果から、ニンジン抽出物は、肝細胞における優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。
(試験例4:ヒト正常肝細胞を用いたATP産生促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、ATP産生促進作用を試験した。
正常ヒト肝細胞を、10%FBS含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10細胞/mLの濃度に10%FBS含有DMEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μL播種し、一晩培養した。
一晩培養後、培地を除去し、10%FBS含有DMEMに溶解した被験試料(試料濃度は下記表4を参照)を各ウェルに100μL添加し、2時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加の10%FBS含有DMEMを用いて同様に培養した。
ATP産生促進作用は、ホタルルシフェラーゼ発光法を用いて細胞内のATP量を測定した。すなわち、培養終了後、『「細胞の」ATP測定試薬』(東洋ビーネット社製)を各ウェルに100μL添加し、ルシフェラーゼによる化学発光反応を行った。反応後、細胞内ATP量に比例した化学発光量を、化学発光測定装置(ThermoFisher Scientific社製,製品名:Varioskan LUX)を用いて測定した。
得られた結果から、下記式によりATP産生促進率(%)を算出した。結果を表4に示す。
ATP産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料を添加した場合の細胞での化学発光量
B : 被験試料を添加しなかった場合の細胞での化学発光量
Figure 2023008540000004
表4の結果から、ニンジン抽出物は、肝細胞における優れたATP産生促進作用を有することが確認された。
(試験例5:腫瘍壊死因子(TNF-α)産生促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、TNF-α産生促進作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10細胞/mLの濃度になるように10%FBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μL播種し、4時間培養した。
培養終了後、終濃度0.5%のDMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料(濃度は下記表5を参照)を各ウェルに100μL添加し、24時間培養した。なお、被験試料を添加しない以外は同様にして処理したものをコントロールとした。
培養終了後、各ウェルの培養上清中のTNF-α量を、サンドイッチELISA法を用いて測定した。
得られた結果から、下記式によりTNF-α産生促進率を算出した。結果を表5に示す。
TNF-α産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のTNF-α量
B : 被験試料無添加時のTNF-α量
Figure 2023008540000005
表5の結果から、ニンジン抽出物は、優れたTNF-α産生促進作用を有することが確認された。
(試験例6:一酸化窒素(NO)産生抑制作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、NO産生抑制作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10細胞/mLの濃度になるように10%FBS含有フェノールレッド不含有ダルベッコMEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μL播種し、4時間培養した。
培養終了後、培地を除去し、終濃度0.5%のDMSOを含む10%FBS含有フェノールレッド不含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料(濃度は下記表6を参照)を各ウェルに100μL添加し、終濃度1μg/mLで10%FBS含有フェノールレッド不含有ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E. coli 0111;B4、DIFCO社製)を100μL加え、48時間培養した。なお、被験試料を添加しない以外は同様にして処理したものをコントロールとした。
NO産生量は亜硝酸イオン(NO )量を指標に測定した。培養終了後、各ウェルの培養液に、同量のグリス試薬(1質量%スルファニルアミド、0.1質量% N-1-naphthyl ethylendiamine dihydrochlorideを含む5体積%リン酸溶液)を添加し、10分間室温にて反応した。反応後、波長540nmにおける吸光度を測定した。NO を指標として検量線を作成し、培養上清中のNOの産生量を求めた。
得られた結果から、下記式によりNO産生抑制率を算出した。結果を表6に示す。
NO産生抑制率(%)=(B-A)/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のNO量
B : 被験試料無添加時のNO量
Figure 2023008540000006
表6の結果から、ニンジン抽出物は、優れたNO産生抑制作用を有することが確認された。
(試験例7:マウスマクロファージにおけるPGE産生抑制作用試験(COX-2活性阻害作用試験))
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、プロスタグランジンE(PGE)産生抑制作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10細胞/mLの濃度になるように10%FBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μL播種し、18時間培養した。
培養終了後、既に存在するシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)及び少量発現しているシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)をアセチル化し失活させるため、培地を500μmol/Lアスピリン含有培地に交換し4時間培養した。その後、細胞をPBS(-)緩衝液で3回洗浄し、終濃度0.5%のDMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料(濃度は下記表7を参照)を各ウェルに100μL添加した後、終濃度1μg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したリポポリサッカライド(LPS、E. coli 0111;B4、DIFCO社製)を100μL添加し、16時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加の終濃度0.5%のDMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて同様に培養した。
培養終了後、各ウェルの培養上清中のプロスタグランジンE量を、PGE EIA Kit(Cayman Chemical社製)を用いて定量した。
得られた結果から、下記式によりPGE産生抑制率を算出した。結果を表7に示す。
PGE産生抑制率(%)={1-(A-C)/(B-C)}×100
上記式中のA~Cは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加・LPS刺激時のプロスタグランジンE
B : 被験試料無添加・LPS刺激時のプロスタグランジンE
C : 被験試料無添加・LPS無刺激時のプロスタグランジンE
Figure 2023008540000007
表7の結果から、ニンジン抽出物は、優れたPGE産生抑制作用(COX-2活性阻害作用)を有することが確認された。
(試験例8:マトリックスメタロプロテアーゼ-1活性阻害作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性阻害作用を試験した。
この試験方法は、Wunsch and Heidrich法を一部改変したものである。
具体的には、蓋付試験管にて、20mmol/L塩化カルシウム含有0.1mol/L Tris-HCl緩衝液(pH7.1)に溶解した被験試料(終濃度は下記表8を参照)50μLと、MMP-1(COLLAGENASE Type IV from Clostridium histolyticum、Sigma社製)溶液50μLと、Pz-peptide(Pz-Pro-Leu-Gly-Pro-D-Arg-OH、BACHEM Feinchemikalien AG社製)溶液400μLとを混合し、37℃にて30分間反応させた後、25mmol/Lクエン酸溶液1mLを加え反応を停止した。その後、酢酸エチル5mLを加え、激しく振とうした。これを遠心(1,600×g、10分間)し、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。また、コントロールとして、被験試料無添加の溶媒のみを加えて同様の操作を行った。
得られた結果から、下記式によりMMP-1活性阻害率を算出した。結果を表8に示す。
MMP-1活性阻害率(%)={1-(C-D)/(A-B)}×100
上記式中のA~Dは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料無添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
B : 被験試料無添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
C : 被験試料添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
D : 被験試料添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
Figure 2023008540000008
表8の結果から、ニンジン抽出物は、優れたMMP-1活性阻害作用を有することが確認された。
(試験例9:ラミニン-332(ラミニン-5)産生促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、ラミニン-332(ラミニン-5)産生促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10細胞/mLの濃度となるようにBPE無添加KGM(KGM-BPE)で希釈した後、24ウェルプレートに1ウェル当たり500μL播種し、1日間培養した。
培養終了後、培地を抜き、KGM-BPEで溶解した被験試料(濃度は下記表9参照)又は被験試料無添加のKGM-BPE(コントロール)を各ウェルに500μL添加し、48時間培養した。培養終了後、各ウェルの培地中のラミニン-332量をELISA法により測定した。
得られた結果から、下記式によりラミニン-332産生促進率を算出した。結果を表9に示す。
ラミニン-332産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度
B : 被験試料無添加時(コントロール)の波長405nmにおける吸光度
Figure 2023008540000009
表9の結果から、ニンジン抽出物は、優れたラミニン-332(ラミニン-5)産生促進作用を有することが確認された。
(試験例10:ヒアルロン酸産生促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、皮膚線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10細胞/mLの濃度となるように0.25%FBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェル当たり100μL播種し、一晩培養した。
培養終了後、0.25%FBS含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料(濃度は下記表10参照)又は被験試料無添加の0.25%FBS含有ダルベッコMEM(コントロール)を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。培養終了後、各ウェルの培地中のヒアルロン酸量を、ヒアルロン酸結合タンパク(HABP)を用いたサンドイッチ法により測定した。
得られた結果から、下記式によりヒアルロン酸産生促進率を算出した。結果を表10に示す。
ヒアルロン酸産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のヒアルロン酸量
B : 被験試料無添加時のヒアルロン酸量
Figure 2023008540000010
表10の結果から、ニンジン抽出物は、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認された。
(試験例11:皮膚線維芽細胞増殖促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、皮膚線維芽細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α-MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を7.0×10細胞/mLの濃度となるように5%FBS含有α-MEMで希釈した後、96ウェルプレートに1ウェル当たり100μL播種し、一晩培養した。
培養終了後、5%FBS含有α-MEMで溶解した被験試料(濃度は下記表11参照)を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加の5%FBS含有α-MEMを用いて同様に培養した。
皮膚線維芽細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。すなわち、3日間培養後、培地を除去し、終濃度0.4mg/mLでPBS(-)緩衝液に溶解したMTTを各ウェルに100μL添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2-プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。
得られた結果から、下記式により皮膚線維芽細胞増殖促進率を算出した。結果を表11に示す。
皮膚線維芽細胞増殖促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
B : 被験試料無添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
Figure 2023008540000011
表11の結果から、ニンジン抽出物は、優れた皮膚線維芽細胞増殖促進作用を有することが確認された。
(試験例12:表皮角化細胞増殖促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、表皮角化細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10細胞/mLの濃度になるようにKGMで希釈した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートに1ウェル当たり100μL播種し、一晩培養した。
培養終了後、KGMで溶解した被験試料(濃度は下記表12を参照)を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加のKGMを用いて同様に培養した。
表皮角化細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。すなわち、3日間培養後、培地を除去し、終濃度0.4mg/mLでPBS(-)緩衝液に溶解したMTTを各ウェルに100μL添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2-プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。
得られた結果から、下記式により表皮角化細胞増殖促進率を算出した。結果を表12に示す。
表皮角化細胞増殖促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
B : 被験試料無添加時の細胞でのブルーホルマザン生成量
Figure 2023008540000012
表12の結果から、ニンジン抽出物は、優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有することが確認された。
(試験例13:グルタチオン産生促進作用試験(線維芽細胞))
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、線維芽細胞におけるグルタチオン産生促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α-MEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10細胞/mLの濃度になるように10%FBS含有α-MEMで希釈した後、48ウェルプレートに1ウェル当たり200μL播種し、48時間培養した。
培養後、1%FBS含有DMEMに溶解した被験試料(試料濃度は下記表13を参照)を各ウェルに200μL添加し、さらに24時間培養した。なお、対照として、被験試料無添加の1%FBS含有DMEMを用いて同様に培養した。
培養終了後、各ウェルから培地を除去し、300μLのPBS(-)緩衝液にて洗浄した後、150μLのM-PER(PIERCE社製)を用いて細胞を溶解した。
このうちの100μLを用いて総グルタチオンの定量を行った。すなわち、96ウェルプレートに、溶解した細胞抽出液100μL、0.1mol/Lリン酸緩衝液50μL、2mmol/L NADPH 25μL、及び3.2units/mLのグルタチオンレダクターゼ25μLを加え、37℃で10分間加温した後、10mmol/L 5,5’-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオンを用いて作成した検量線をもとに算出した。
得られた値を総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記式によりグルタチオン産生促進率(%)を算出した。結果を表13に示す。
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料を添加しなかった場合の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量(対照)
B : 被験試料を添加した場合の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量
Figure 2023008540000013
表13の結果から、ニンジン抽出物は、皮膚線維芽細胞における優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。
(試験例14:トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1) mRNA発現促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、TGM-1 mRNA発現促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、KGMを用いて6ウェルプレートに3.0×10細胞/2mLずつ播き、37℃、5%CO下で一晩培養した。
一晩培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)に交換した。24時間後に培養液を捨て、KBMで必要濃度に溶解した被験試料(濃度は下記表14を参照)を各ウェルに2mL添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加のKBMを用いて同様に培養した。
培養後、培地を除去し、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)にてトータルRNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるようにトータルRNAを調製した。
このトータルRNAを鋳型とし、TGM-1及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Times SystemIII(Takara社製)を用いて、PrimeScriptTM RT Master Mix(Perfect Real Time)及びTB Green(登録商標) Fast qPCR Mix(Takara社製)による2ステップリアルタイムRT-PCR反応により行った。TGM-1 mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正し、算出した。
得られた結果から、下記式によりTGM-1 mRNA発現促進率を算出した。結果を表14に示す。
TGM-1 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の補正値
B : 被験試料無添加時の補正値
Figure 2023008540000014
表14の結果から、ニンジン抽出物は、優れたTGM-1 mRNA発現促進作用を有することが確認された。
(試験例15:ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3) mRNA発現促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、HAS3 mRNA発現促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、KGMを用いて6ウェルプレートに3.0×10細胞/2mLずつ播き、37℃、5%CO下で一晩養した。
一晩培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)に交換した。24時間後に培養液を捨て、KBMで必要濃度に溶解した被験試料(濃度は下記表15を参照)を各ウェルに2mL添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加のKBMを用いて同様に培養した。
培養後、培地を除去し、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)にてトータルRNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるようにトータルRNAを調製した。
このトータルRNAを鋳型とし、HAS3及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Times SystemIII(Takara社製)を用いて、PrimeScriptTM RT Master Mix(Perfect Real Time)及びTB Green(登録商標) Fast qPCR Mix(Takara社製)による2ステップリアルタイムRT-PCR反応により行った。HAS3 mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正し、算出した。
得られた結果から、下記式によりHAS3 mRNA発現促進率を算出した。結果を表15に示す。
HAS3 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の補正値
B : 被験試料無添加時の補正値
Figure 2023008540000015
表15の結果から、ニンジン抽出物は、優れたHAS3 mRNA発現促進作用を有することが確認された。
(試験例16:オクルディン(OCLN) mRNA発現促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、OCLN mRNA発現促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、KGMを用いて6ウェルプレートに3.0×10細胞/2mLずつ播き、37℃、5%CO下で一晩養した。
一晩培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)に交換した。24時間後に培養液を捨て、KBMで必要濃度に溶解した被験試料(濃度は下記表16を参照)を各ウェルに2mL添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加のKBMを用いて同様に培養した。
培養後、培地を除去し、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)にてトータルRNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるようにトータルRNAを調製した。
このトータルRNAを鋳型とし、OCLN及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Times SystemIII(Takara社製)を用いて、PrimeScriptTM RT Master Mix(Perfect Real Time)及びTB Green(登録商標) Fast qPCR Mix(Takara社製)による2ステップリアルタイムRT-PCR反応により行った。OCLN mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正し、算出した。
得られた結果から、下記式によりOCLN mRNA発現促進率を算出した。結果を表16に示す。
OCLN mRNA発現促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時の補正値
B : 被験試料無添加時の補正値
Figure 2023008540000016
表16の結果から、ニンジン抽出物は、優れたOCLN mRNA発現促進作用を有することが確認された。
(試験例17:最終糖化産物(AGEs)形成抑制作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、AGEs形成抑制作用を試験した。
96ウェルのI型コラーゲンコートプレートにPBS(-)にて調製した0.2mol/LのD(-)-リボース及び各濃度の被験試料(濃度は下記表17を参照)の混合液を100μL添加し、37℃で20日間静置し、AGEsを形成させた。このとき、陰性対照としてPBS(-)のみを添加したもの、陽性対照としてD(-)-リボースのみを添加したものを同様に静置した。
静置後、抗AGEs抗体(トランスジェニック社製)を用いたELISA法によりAGEs量を測定した。
得られた結果から、下記式によりAGEs形成抑制率を算出した。結果を表17に示す。
AGEs形成抑制率(%)={(B-C)/(B-A)}×100
上記式中のA~Cは、それぞれ以下を表す。
A : 陰性対照の波長405nmにおける吸光度
B : 陽性対照の波長405nmにおける吸光度
C : 被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度
Figure 2023008540000017
表17の結果から、ニンジン抽出物は、優れたAGEs形成抑制作用を有することが確認された。
(試験例18:最終糖化産物(AGEs)分解促進作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、AGEs分解促進作用を試験した。
96ウェルのI型コラーゲンコートプレートにPBS(-)にて調製した0.2mol/LのD(-)-リボースを100μL添加し、37℃で2週間静置し、AGEsを形成させた。このとき、陰性対照としてPBS(-)のみを添加したものを同様に静置した。
2週間静置後、PBS(-)にて調製した被験試料(濃度は下記表18を参照)を100μLずつ添加し、さらに20日間静置した。このとき、陽性対照としてD(-)-リボース処理後、被験試料の代わりにPBS(-)を添加したものを同様に静置した。また、陰性対照は引続きPBS(-)を処理した。
20日間静置後、抗AGEs抗体(トランスジェニック社製)を用いたELISA法によりAGEs量を測定した。
得られた結果から、下記式によりAGEs分解促進率を算出した。結果を表18に示す。
AGEs分解促進率(%)={(B-C)/(B-A)}×100
上記式中のA~Cは、それぞれ以下を表す。
A : 陰性対照の波長405nmにおける吸光度
B : 陽性対照の波長405nmにおける吸光度
C : 被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度
Figure 2023008540000018
表18の結果から、ニンジン抽出物は、優れたAGEs分解促進作用を有することが確認された。
(試験例19:B16メラノーマ細胞に対するメラニン産生抑制作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、メラニン産生抑制作用を試験した。
B16メラノーマ細胞を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を10%FBS及び1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEMで2.4×10細胞/mLの濃度になるように希釈した後、48ウェルプレートに1ウェル当たり300μLずつ播種し、6時間培養した。
培養終了後、10%FBS及び1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料(濃度は下記表19を参照)を各ウェルに300μL添加し、4日間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加の10%FBS及び1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEMを用いて同様の操作を行った。
培養終了後、各ウェルから培地を除去し、2mol/L水酸化ナトリウム溶液200μLを添加して超音波破砕器により細胞を破壊し、波長475nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度の値から、合成メラニンを用いて作成した検量線をもとにメラニン量を算出した。
また、細胞生存率の測定のため、上記方法と同様の方法で培養した後、400μLのPBS(-)緩衝液で洗浄し、終濃度0.05mg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したニュートラルレッドを各ウェルに200μL添加し、2.5時間培養した。培養終了後、ニュートラルレッド溶液を除去し、エタノール・酢酸溶液(エタノール:酢酸:水=50:1:49(容量比))を各ウェルに200μL添加し、色素を抽出した。抽出後、波長540nmにおける吸光度を測定した。また、コントロールとして、被験試料を含まない10%FBS及び1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEMのみで培養した細胞を同様の方法で試験した。
得られた結果から、下記式によりメラニン産生抑制率及び細胞生存率を算出した。結果を表19に示す。
メラニン産生抑制率(%)={1-(B/D)/(A/C)}×100
細胞生存率(%)=D/C×100
上記式中のA~Dは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料無添加でのメラニン量
B : 被験試料添加でのメラニン量
C : 被験試料無添加での波長540nmにおける吸光度
D : 被験試料添加での波長540nmにおける吸光度
Figure 2023008540000019
表19の結果から、ニンジン抽出物は、優れたメラニン産生抑制作用を有することが確認された。
(試験例20:テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用を試験した。
蓋付V底試験管にて、プロピレングリコールで調製した4.2mg/mLテストステロン溶液20μLと、1mg/mL NADPHを含有する5mmol/L Tris-HCl緩衝液(pH7.13)825μLとを混合した。
これに、50%エタノールで調製した被験試料(試料濃度は下記表20を参照)80μLと、S-9(オリエンタル酵母工業社製,ラット肝臓ホモジネート)75μLとを加えて混合し、37℃にて60分間反応させた。その後、塩化メチレン1mLを加えて反応を停止した。これを遠心分離し(1600×g、10分間)、塩化メチレン層を分取して、分取した塩化メチレン層について、下記の条件にてガスクロマトグラフィー分析に供した。なお、コントロールとして、被験試料の代わりに被験試料溶媒を同量(80μL)用いて同様に処理し、ガスクロマトグラフィー分析に供した。
〔ガスクロマトグラフィー分析〕
テストステロンから3α-アンドロスタンジオール及びジヒドロテストステロンへの変換率を求めるために、予め、3α-アンドロスタンジオール、ジヒドロテストステロン、及びテストステロンの標準品のエタノール溶液をガスクロマトグラフィー分析し、これら3化合物のピーク面積を求めた。
S-9による反応後の3α-アンドロスタンジオール、ジヒドロテストステロン、及びテストステロンそれぞれのピーク面積について、標準品のピーク面積に対する相対比を下記[式1]に従って求めた。次いで、下記[式2]に従い被験試料の変換率を求めた。この変換率をもとに、下記[式3]によりテストステロン5α-リダクターゼ活性阻害率を算出した。結果を表20に示す。
[式1]
相対比=被験試料のピーク面積/標準品のピーク面積
[式2]
変換率(%)=(A+B)/(A+B+C)×100
上記[式2]中のA~Cは、それぞれ以下を表す。
A : 3α-アンドロスタンジオールの相対比
B : ジヒドロテストステロンの相対比
C : テストステロンの相対比
[式3]
テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害率(%)=(1-E/D)×100
上記[式2]中のD~Eは、それぞれ以下を表す。
D : コントロール(空試験)での変換率
E : 被験試料添加での変換率
上記試験におけるガスクロマトグラフィーの条件は下記のとおりである。
<ガスクロマトグラフィー条件>
使用装置 : Shimadzu GC-2010(島津製作所社製)
カラム : DB-1701(内径:0.53mm、長さ:30m、膜厚:1.0μm)(J&W Scientific社製)
カラム温度 : 240℃
注入口温度 : 300℃
検出器 : FID
キャリアガス : 窒素ガス
Figure 2023008540000020
表20の結果から、ニンジン抽出物は、優れたテストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用を有することが確認された。
(試験例21:SOD様作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)様作用を試験した。
試験管に、0.05mol/Lの炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.2)2.4mL、3mmol/Lのキサンチン0.1mL、3mmol/LのEDTA 0.1mL、1.5mg/mLのウシ血清アルブミン0.1mL、及び0.75mmol/Lのニトロブルーテトラゾリウム0.1mLを加え、これに被験試料溶液(終濃度は下記表21を参照)0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。次いで、キサンチンオキシダーゼ溶液0.1mLを加えて素早く攪拌し、25℃で20分間反応した。その後、6mmol/Lの塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させ、波長560nmにおける吸光度を測定した。また、コントロールとして、被験試料無添加の溶媒のみ(コントロール溶液)を添加して同様の操作を行った。
得られた結果から、下記式によりスーパーオキサイド消去率を算出した。結果を表21に示す。
スーパーオキサイド消去率(%)={1-(A-B)/(C-D)}×100
上記式中のA~Dは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加、酵素溶液添加時の波長560nmにおける吸光度
B : 被験試料添加、酵素溶液無添加時の波長560nmにおける吸光度
C : 被験試料無添加(コントロール)、酵素溶液添加時の波長560nmにおける吸光度
D : 被験試料無添加(コントロール)、酵素溶液無添加時の波長560nmにおける吸光度
Figure 2023008540000021
表21の結果から、ニンジン抽出物は、優れたスーパーオキサイド消去作用を有することが確認された。
(試験例22:DPPHラジカル消去作用試験)
前記ニンジン抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、非常に安定なラジカルであるdiphenyl-p-picrylhydrazyl(DPPH)を使用してラジカル消去作用を試験した。
150μmol/LのDPPHエタノール溶液3mLに被験試料溶液3mL(濃度は下記表22を参照)を加え、容器を密栓した後、振り混ぜ、30分間放置した。放置後、波長520nmにおける吸光度を測定した。また、コントロールとして、被験試料無添加の溶媒のみ(コントロール溶液)を加えて同様の操作を行った。
得られた結果から、下記式によりDPPHラジカル消去率(DPPH消去率と称することがある。)を算出した。結果を表22に示す。
DPPH消去率(%)={A-(B-C)}/A×100
上記式中のA~Cは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料無添加(コントロール)、DPPH溶液添加時の波長520nmにおける吸光度
B : 被験試料添加、DPPH溶液添加時の波長520nmにおける吸光度
C : 被験試料添加、DPPH溶液無添加時の波長520nmにおける吸光度
Figure 2023008540000022
表22の結果から、ニンジン抽出物は、優れたラジカル消去作用を有することが確認された。
(配合例1)
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
・ ニンジン抽出物 5.0mg
(製造例1で製造した抽出物)
・ ドロマイト 83.4mg
(カルシウム20%、マグネシウム10%含有)
・ カゼインホスホペプチド 16.7mg
・ ビタミンC 33.4mg
・ マルチトール 136.8mg
・ コラーゲン 12.7mg
・ ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
(配合例2)
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
・ ニンジン抽出物 0.3質量%
(製造例2で製造した抽出物)
・ ソルビット 12.0質量%
・ 安息香酸ナトリウム 0.1質量%
・ 香料 1.0質量%
・ 硫酸カルシウム 0.5質量%
・ 精製水 残部
(配合例3)
常法により、以下の組成を有する乳液を製造した。
・ ニンジン抽出物(製造例3で製造した抽出物) 0.01g
・ ホホバオイル 4.00g
・ 1,3-ブチレングリコール 3.00g
・ アルブチン 3.00g
・ ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
・ オリーブオイル 2.00g
・ スクワラン 2.00g
・ セタノール 2.00g
・ モノステアリン酸グリセリル 2.00g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
・ パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
・ グリチルリチン酸ステアリル 0.10g
・ 黄杞エキス 0.10g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
・ イチョウ葉エキス 0.10g
・ コンキオリン 0.10g
・ オウバクエキス 0.10g
・ カミツレエキス 0.10g
・ 香料 0.05g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例4)
常法により、以下の組成を有するクリームを製造した。
・ ニンジン抽出物(製造例1で製造した抽出物) 0.05g
・ クジンエキス 0.1g
・ オウゴンエキス 0.1g
・ 流動パラフィン 5.0g
・ サラシミツロウ 4.0g
・ スクワラン 10.0g
・ セタノール 3.0g
・ ラノリン 2.0g
・ ステアリン酸 1.0g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
・ モノステアリン酸グリセリル 3.0g
・ 油溶性甘草エキス 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 6.0g
・ パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
・ 香料 0.1g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例5)
常法により、以下の組成を有する美容液を製造した。
・ ニンジン抽出物(製造例2で製造した抽出物) 0.01g
・ カミツレエキス 0.1g
・ キサンタンガム 0.3g
・ ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
・ カルボキシビニルポリマー 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 4.0g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
・ グリセリン 2.0g
・ 水酸化カリウム 0.25g
・ 香料 0.01g
・ 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
・ エタノール 2.0g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例6)
常法により、以下の組成を有するヘアトニックを製造した。
・ ニンジン抽出物(製造例3で製造した抽出物) 0.4g
・ 酢酸トコフェロール 適量
・ セファラチン 0.002g
・ イソプロピルメチルフェノール 0.1g
・ ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
・ グリセリン 15.0g
・ エタノール 15.0g
・ 香料 適量
・ キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
・ 防腐剤(ヒノキチオール) 適量
・ 可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
(配合例7)
常法により、以下の組成を有するシャンプーを製造した。
・ ニンジン抽出物(製造例1で製造した抽出物) 0.5g
・ マジョラム抽出物 1.0g
・ ウメ果実部抽出物 0.2g
・ ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
・ ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
・ ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
・ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
・ プロピレングリコール 2.0g
・ 香料 適量
・ 精製水 残部(全量を100gとする)

Claims (26)

  1. ニンジン抽出物を含有することを特徴とするメタボリックシンドローム改善剤。
  2. 抗肥満作用及び血糖改善作用の少なくともいずれかを有する請求項1に記載のメタボリックシンドローム改善剤。
  3. 抗肥満作用が、サイクリックAMP-ホスホジエステラーゼ活性阻害作用に基づく請求項2に記載のメタボリックシンドローム改善剤。
  4. 血糖改善作用が、ジペプチジルペプチダーゼIV活性阻害作用に基づく請求項2に記載のメタボリックシンドローム改善剤。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のメタボリックシンドローム改善剤を含有することを特徴とするメタボリックシンドローム改善用組成物。
  6. ニンジン抽出物を含有することを特徴とする肝機能向上剤。
  7. グルタチオン産生促進作用及びATP産生促進作用の少なくともいずれかを有する請求項6に記載の肝機能向上剤。
  8. 請求項6から7のいずれかに記載の肝機能向上剤を含有することを特徴とする肝機能向上用組成物。
  9. ニンジン抽出物を含有することを特徴とする免疫賦活剤。
  10. 腫瘍壊死因子(TNF-α)産生促進作用を有する請求項9に記載の免疫賦活剤。
  11. 請求項9から10のいずれかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用組成物。
  12. ニンジン抽出物を含有することを特徴とする抗炎症剤。
  13. 一酸化窒素(NO)産生抑制作用及びプロスタグランジン(PG)E産生抑制作用の少なくともいずれかを有する請求項12に記載の抗炎症剤。
  14. 請求項12から13のいずれかに記載の抗炎症剤を含有することを特徴とする抗炎症用組成物。
  15. ニンジン抽出物を含有することを特徴とする抗老化剤。
  16. マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)活性阻害作用、ラミニン-332産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ-1(TGM-1) mRNA発現促進作用、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3) mRNA発現促進作用、オクルディン(OCLN) mRNA発現促進作用、最終糖化産物(AGEs)形成抑制作用、及び最終糖化産物(AGEs)分解促進作用の少なくともいずれかを有する請求項15に記載の抗老化剤。
  17. 請求項15から16のいずれかに記載の抗老化剤を含有することを特徴とする抗老化用組成物。
  18. ニンジン抽出物を含有することを特徴とする美白剤。
  19. メラニン産生抑制作用を有する請求項18に記載の美白剤。
  20. 請求項18から19のいずれかに記載の美白剤を含有することを特徴とする美白用組成物。
  21. ニンジン抽出物を含有することを特徴とする育毛剤。
  22. テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害作用を有する請求項21に記載の育毛剤。
  23. 請求項21から22のいずれかに記載の育毛剤を含有することを特徴とする育毛用組成物。
  24. ニンジン抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤。
  25. スーパーオキサイド消去作用及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有する請求項24に記載の抗酸化剤。
  26. 請求項24から25のいずれかに記載の抗酸化剤を含有することを特徴とする抗酸化用組成物。
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