JP2023008493A - 紫外光放射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有害光の漏洩をより適切に抑制できる紫外光放射装置を提供する。【解決手段】紫外光放射装置は、主発光波長が190nm以上240nm未満を示す紫外光を発光可能な発光ガスが封入された放電容器と、放電容器の少なくとも一部を介して発光ガスに電圧を印加可能に配置された一対の電極とを含むエキシマランプと、誘電体多層膜で構成され、波長が240nm以上の紫外光をカットするフィルタと、を備え、放電容器の外表面は、平坦な光放射面を有し、フィルタは、光放射面に接触して配置されている。【選択図】図1A
Description
本発明は、紫外光放射装置に関する。
従来、紫外光を照射することによって、空間中又は物体に存在する細菌やウイルス等の不活化を行う手段が知られている。さらに近年では、波長240nmよりも短い波長帯域の紫外光を用いることで、人や動物への有害性が低減できることが報告されており、注目を集めている。なお、本明細書における「不活化」とは、細菌や真菌、ウイルス等の微生物(又は病原体)を死滅させるか、又は、感染力や毒性を失わせることを指すものである。
紫外光を用いた不活化は、細菌やウイルス等の種類を問わず有効とされており、変異や耐性化に対しても不活化効果が得られる。一方で、波長240nm以上の紫外光は人体に有害であることから、波長240nm以上の紫外光を適切に除去するための光学フィルタが重要となる。
光学フィルタとしては、よりシャープに有害光波長帯をカットするため、誘電体多層膜で構成された光学フィルタが適している。また、ランプから放射される紫外光をより有効利用するため、ランプ封体に密接するよう光学フィルタを付設することも考えられる。
従来、ランプ外壁に誘電体多層膜を形成することが行われている。例えば、下記特許文献1では、ランプ封体の外表面に多層膜フィルタを形成することで、ハロゲンランプから放射される光のうち、波長400~620nmの光をカットし、それより長波長側の赤外光を放射する赤色発光ランプが開示されている。
しかしながら、特許文献1に基づき、波長190nm以上240nm未満の紫外光を透過し、波長240nm以上の有害光をカットしようとすると、下記の問題がある。
第一に、UVC波長帯域において、所定の紫外光を選択的に透過させるためには、誘電体多層膜の膜設計がよりシビアとなる。例えば、特許文献1では各光学薄膜が100nm以上の膜厚で積層させるものであるが、UVC波長帯域となると100nmよりも微小な膜厚で積層させる必要がある。そのため、膜設計が困難となる。
第二に、上記理由により、ランプの外壁形状によっては膜設計が乱れるという問題がある。膜設計の乱れは、有害光を漏洩させてしまうリスクを伴うため、安全性が損なわれる可能性がある。例えば、特許文献1のようにランプ封体の外表面に成膜する場合、ランプ封体が曲面状であることから、膜厚が部分的に不均一になりやすい。
本発明は、上記の課題に鑑み、有害光の漏洩をより適切に抑制できる紫外光放射装置を提供することを目的とする。
本発明に係る紫外光放射装置は、主発光波長が190nm以上240nm未満を示す紫外光を発光可能な発光ガスが封入された放電容器と、前記放電容器の少なくとも一部を介して前記発光ガスに電圧を印加可能に配置された一対の電極とを含むエキシマランプと、
誘電体多層膜で構成され、波長が240nm以上の紫外光をカットするフィルタと、を備え、
前記放電容器の外表面は、平坦な光放射面を有し、
前記フィルタは、前記光放射面に接触して配置されているものである。
誘電体多層膜で構成され、波長が240nm以上の紫外光をカットするフィルタと、を備え、
前記放電容器の外表面は、平坦な光放射面を有し、
前記フィルタは、前記光放射面に接触して配置されているものである。
本発明に係る紫外光放射装置では、放電容器の光放射面に接触して誘電体多層膜のフィルタが配置されている。光放射面に接触してフィルタを配置することで、放電容器内の放電によって放射される紫外光は、波長が240nm以上である有害光がフィルタで適切にカットされて外空間へ放射される。このとき、フィルタは、平坦な光放射面上に形成されているため、凹凸面や曲面からなる光放射面上に形成した場合に比べ、誘電体多層膜を形成させたときの薄膜の厚みムラが生じ難く、有害光の不所望な漏洩を防ぐことができる。よって、本発明によれば、有害光の漏洩をより適切に抑制できる。
本発明の対象製品は、人や動物の皮膚や目に紅斑や角膜炎を起こすことはなく、紫外光本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を提供することができる。特に、本発明の対象製品は、従来の紫外光源とは異なり、有人環境で使用できるという特徴を有する。この特徴を活用し、屋内又は屋外の有人環境に本発明の対象製品を設置することで、環境全体を照射することができ、空気中又は環境内に設置された部材表面に存在する、ウイルス又は菌を抑制できる。
このことは、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢の全ての人々が健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に対応し、また、ターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶すると共に、肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する」に大きく貢献するものである。
本発明に係る紫外光放射装置において、前記フィルタは、前記光放射面の全域を超えて前記光放射面を覆うように形成されている、という構成でもよい。
この構成によれば、光放射面の全域を覆うようにフィルタが形成されるため、有害光の漏洩をより適切に抑制できる。
本発明に係る紫外光放射装置は、前記放電容器の前記光放射面以外を覆う紫外光遮蔽部を備える、という構成でもよい。
この構成によれば、光放射面以外から放射される紫外光が外空間に漏洩することを防止できる。
本発明に係る紫外光放射装置において、前記一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、前記フィルタを挟んで前記光放射面の反対側に配置される、という構成でもよい。
この構成によれば、電極をフィルタを挟んで光放射面の反対側に配置することで、誘電体多層膜を構成する光学薄膜の厚みムラが生じ難い。
本発明に係る紫外光放射装置は、前記誘電体多層膜を構成する光学薄膜よりも厚い誘電体からなるフィルタ保護層を備え、前記フィルタ保護層は、前記フィルタと前記電極の間に配置されている、という構成でもよい。
この構成によれば、フィルタを構成する誘電体多層膜と電極との直接的な接触を避けることができるため、フィルタの損傷を抑制できる。
本発明に係る紫外光放射装置において、前記フィルタと前記紫外光遮蔽部は、前記放電容器上で一部重なって配置される、という構成でもよい。
フィルタと紫外光遮蔽部とが重なり合う領域を形成することで、フィルタと紫外光遮蔽部の隙間からの有害光の漏洩を防ぐことができる。
本発明に係る紫外光放射装置は、前記エキシマランプから離間して前記エキシマランプを覆う筐体を備え、前記筐体は、前記エキシマランプとの間で、酸素に吸収されてオゾンを発生する波長の紫外光を吸収してオゾンを発生する気体によるオゾン発生層を形成する、という構成でもよい。
この構成によれば、筐体とエキシマランプとの間の空間に、エキシマランプから放射される紫外光に含まれるオゾン生成光によってオゾン層が形成される。このオゾン層は、続けて放射されるオゾン生成光を吸収するため、筐体の外にオゾン生成光によってオゾンが生成されるのを抑制できる。
本発明に係る紫外光放射装置の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比は必ずしも実際の寸法比と一致しておらず、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
[第一実施形態]
図1Aは、第一実施形態に係る紫外光放射装置1の斜視図である。以下の説明においては、図1Aに示すように、エキシマランプ2が延伸する方向(管軸方向)をX方向、光放射面22(詳しくは後述する)に直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。そして、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。
図1Aは、第一実施形態に係る紫外光放射装置1の斜視図である。以下の説明においては、図1Aに示すように、エキシマランプ2が延伸する方向(管軸方向)をX方向、光放射面22(詳しくは後述する)に直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。そして、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。
紫外光放射装置1は、紫外光を放射するエキシマランプ2と、誘電体多層膜で構成されたフィルタ3と、を備える。
図1Bは、図1Aに示す紫外光放射装置1をYZ平面に平行な面で切断した断面図である。エキシマランプ2は、放電容器21を備える。放電容器21は、紫外光に対して透過性を有する誘電体材料(例えば石英ガラス)で形成されている。
本実施形態において、放電容器21の内部(以下、放電空間S21ともいう)には、KrClを含む発光ガスが封入されている。そのため、エキシマランプ2は、放電空間S21内において主発光波長が190nm~240nmである紫外光を発生する。特に、KrClを含む発光ガスが封入されたエキシマランプ2は、主ピーク波長が222nm又はその近傍の紫外光を発生する。
なお、放電容器21の内部には、KrBrを含む発光ガスが封入されてもよい。KrBrを含む発光ガスが封入されたエキシマランプ2も、放電空間S21内において主発光波長が190nm~240nmである紫外光を発生する。なお、この場合の紫外光の主ピーク波長は207nm又はその近傍である。
本明細書において、「主ピーク波長」とは、発光スペクトル上において光強度が最大値を示す波長を指す。また、本明細書において、「主発光波長」とは、発光スペクトル上において光強度が主ピーク波長における光強度の50%以上を示す波長を指す。
放電容器21は、円の一部が平坦となった断面形状を有する。これにより、放電容器21の外表面は、平坦面を有する。この平坦面は、紫外光が放射される光放射面22となる。このような平坦面を有する放電容器21は、円筒状のガラス管に対して側方から酸水素バーナーなどのバーナーからの熱風を当てて加熱することで形成することができる。
なお、「平坦面」とは、完全な平坦面である必要はなく、平坦面に若干の凹凸形状や湾曲形状が含まれていてもよい。図2は、本明細書における「平坦面」の定義を説明するための模式図である。図2(a)及び(b)に示すように、放電容器21の外表面に接する基準水平面Hに対して、外表面と接する接線Tが40度以下となる範囲を、当該基準水平面H上の平坦面と定義する。より望ましくは、図2(c)及び(d)に示すように、放電容器21の外表面に接する基準水平面Hに対して、外表面21と接する接線Tが40度となる仮想線が、基準水平面Hと交わる交点までの範囲を、当該基準水平面H上の平坦面と定義する。
放電容器21の管軸方向(X方向)の両端には、一対の電極24,25が配置されている。一対の電極24,25は、一方が高電圧側電極であり、他方が低電圧側電極である。これら一対の電極24,25に対して例えば1kHz~5MHz程度の高周波電圧が印加されることで、誘電体である放電容器21を介して発光ガスに対して前記電圧が印加される。このとき、発光ガスが封入されている放電空間S21内において放電プラズマが生じ、発光ガスの原子が励起されてエキシマ状態となり、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。放電空間S21内にKrClやKrBrを含む発光ガスが封入されている場合には、前述したように主発光波長が190nm~240nmの紫外光が放電空間S21内で発生する。この紫外光は、フィルタ3を介して光放射面22から紫外光放射装置1の外部へと放射される。
フィルタ3は、光放射面22に接触して配置されている。また、フィルタ3は、光放射面22の全域を覆っている。フィルタ3は、光放射面22から放射される紫外光のうち、波長190nm以上240nm未満の紫外光を透過し、波長240nm以上の有害光をカットすることができる。発光ガスがKrClやKrBrを含む場合であっても、発光スペクトル上ではごく僅かに240nm以上の光強度が示されることがある。フィルタ3が設けられていることで、このような240nm以上の波長域の成分がカットされた状態で、紫外光が光放射面22から紫外光放射装置1の外部へと取り出される。
フィルタ3は、誘電体多層膜で構成されている。誘電体多層膜は、高屈折率誘電体物質の薄膜と、低屈折率誘電体物質の薄膜とが複数層交互に積層されて構成されたものであり、対象となる誘電体物質を成膜することで形成される。成膜方法としては、スパッタリング法や蒸着法等が利用できる。
前述のとおり、所定厚みの膜厚で薄膜を形成するためには、スパッタリングや蒸着等を用いる必要があり、成膜させる対象表面が平坦でない場合は、膜厚ムラが形成されやすい。
特に、本発明に係る紫外光放射装置1は、人や動物が存在する環境下で波長190nm以上240nm未満の紫外光を放射することが想定されるものであり、人への安全性をより厳格に担保することが望まれる。このような利用場面において、フィルタ3を構成する誘電体多層膜の膜厚ムラが形成されると、本来除去すべき有害光を漏洩させてしまう原因となりやすく、人への安全性を損なわせる可能性がある。しかしながら、放電容器21の外表面の一部を平坦な光放射面22とし、この光放射面22上に誘電体多層膜を形成することで、膜厚ムラが生じ難く、より適したフィルタ機能を得ることができる。
エキシマランプ2は、光放射面22以外からも放電容器21内で生成された紫外光が放射される場合がある。この場合、紫外光放射装置1は、放電容器21の光放射面22以外を覆う紫外光遮蔽部4を備えてもよい。紫外光遮蔽部4は、放電容器21の外表面のうち光放射面22以外の領域23に接触して配置されている。
紫外光遮蔽部4は、有害な紫外光を吸収する部材であってもよいし、反射する部材であってもよい。光の利用効率の観点からは、紫外光遮蔽部4は、波長190nm以上240nm未満の紫外光反射率が高い部材が好ましい。紫外光遮蔽部4は、例えばSiO2粒子やAl2O3粒子といった反射膜により構成される。
また、放電容器21の外表面には、光放射面22のみにフィルタ3を形成することに留まらず、光放射面22を覆い、光放射面22以外の領域までフィルタ3を広く形成させても良く、更には、放電容器21の外表面の全域にフィルタ3を形成するものであっても良い。この際、光放射面22以外の領域23は膜厚ムラが形成される可能性があるため、さらに光放射面22以外の領域23を紫外光遮蔽部4で覆う構造を採用できる。
図3は、他の実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。図1Bでは、紫外光遮蔽部4は、放電容器21の外表面に接触して配置される例を示すが、これに限定されない。図3に示すように、紫外光遮蔽部4は、放電容器21の外表面から離間して配置されてもよい。この例では、紫外光遮蔽部4は、金属(例えばステンレス)の板を板金加工して形成される箱状である。紫外光遮蔽部4を金属で構成する場合、フィルタ3に接する部分は、樹脂で構成するか樹脂でコーティングするのが好ましい。
また、紫外光遮蔽部4は、放電容器21の内表面に形成させても良い。例えばSiO2粒子やAl2O3粒子といった反射膜を形成することで、紫外光遮蔽部4となすこともできる。この場合、光放射面22の内表面には紫外光遮蔽部4は形成されないように、光放射面22の内表面をマスキングしてから反射面を形成する。
しかしながら、放電空間S21に反射膜を設ける場合は、放電を阻害する作用の有無を考慮する必要がある。例えば、主発光波長が190nm~240nmであるエキシマランプとして、KrCl(主ピーク波長222nm)やKrBr(主ピーク波長207nm)が存在する。このように希ガスとハロゲンガスの混合ガスからなる発光ガスに対してエキシマ放電を生じさせる場合、放電空間S21に金属体や微粒子等が含まれると、ハロゲンガスが吸収されやすく、当該エキシマ放電を阻害する場合がある。このような観点から、紫外光遮蔽部4は放電空間S21ではない領域、すなわち放電容器21の外側に設けることが望ましい。
[第二実施形態]
図4は、第二実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。図4に示すように、放電容器21の断面は、扁平な略四角形状であってもよい。放電容器21の外表面は、対向する一対の平坦面を有しており、一方の平坦面を光放射面22とすることができる。
図4は、第二実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。図4に示すように、放電容器21の断面は、扁平な略四角形状であってもよい。放電容器21の外表面は、対向する一対の平坦面を有しており、一方の平坦面を光放射面22とすることができる。
フィルタ3は、光放射面22に接触して配置されている。紫外光遮蔽部4は、放電容器21の外表面のうち光放射面22以外の領域23に接触して配置されている。
放電容器21の一対の平坦面の外側には、対向する一対の電極24,25が設けられている。一対の電極24,25のうち少なくとも光放射面22側の電極25は、紫外光の進路を完全には遮らないように構成されている。例えば、本実施形態の電極24,25は、何れも網状の金属ワイヤを用いた網状電極となっており、網目の隙間から光が透過するようになっている。
ただし、電極24,25の形状はこれに限定されず、例えば、電極24は、網状電極(網状の金属ワイヤや、スクリーン印刷により網状パターンを形成するものでもよい)、または板状(膜状)電極であってもよいし、電極25は、網状電極、または一部に開口部(光放射部)を備えた板状(膜状)電極であってもよい。また、電極24,25は、紫外光遮蔽部4の機能を担う構造であっても構わない。例えば、電極24,25をAl、Al合金、ステンレスなどの金属材料で構成することで、190nm~240nmの紫外光に対する反射性が実現されるため、紫外光遮蔽部4の機能を担うことができる。
また、電極24,25は、何れも放電容器21の外表面に接触して配置されてもよいが、電極24,25の配置方法は多様な形態が採用できる。下記にいくつか例示する。
(1a)電極24は、放電容器21の外表面に接触して配置される。
(1b)電極24は、放電容器21の内表面に接触して配置される。
(1c)電極24は、放電容器21と紫外光遮蔽部4の間に配置される。
(1d)電極24は、紫外光遮蔽部4の外表面に接触して配置される(図4に示す形態)。
または
(2a)電極25は、放電容器21の外表面に接触して配置される。
(2b)電極25は、放電容器21の内表面に接触して配置される。
(2c)電極25は、放電容器21とフィルタ3の間に配置される。
(2d)電極25は、フィルタ3の外表面に接触して配置される(図4に示す形態)。
(1a)電極24は、放電容器21の外表面に接触して配置される。
(1b)電極24は、放電容器21の内表面に接触して配置される。
(1c)電極24は、放電容器21と紫外光遮蔽部4の間に配置される。
(1d)電極24は、紫外光遮蔽部4の外表面に接触して配置される(図4に示す形態)。
または
(2a)電極25は、放電容器21の外表面に接触して配置される。
(2b)電極25は、放電容器21の内表面に接触して配置される。
(2c)電極25は、放電容器21とフィルタ3の間に配置される。
(2d)電極25は、フィルタ3の外表面に接触して配置される(図4に示す形態)。
なお、電極24と紫外光遮蔽部4が接する場合、紫外光遮蔽部4は不導体であることが好ましい。
また、フィルタ3は、光放射面22と同等範囲に形成されてもよいが、図4に示すように、光放射面22の全域を超えて光放射面22を覆うように形成されることが好ましい。これは、光放射面22にフィルタ3が形成されない領域が形成されると、そこから有害光の漏洩が起こる可能性があるためである。
例えば、光放射面22よりも広い範囲にフィルタ3を形成し、紫外光遮蔽部4を光放射面22の範囲に応じて整えることが望ましいと考えられる。そのため、図4に示すように、フィルタ3と紫外光遮蔽部4が、放電容器21上で一部重なって配置されるのが好ましい。フィルタ3と紫外光遮蔽部4とが重なり合う領域を形成することで、フィルタ3と紫外光遮蔽部4の隙間からの有害光の漏洩を防ぐことができる。
また、光放射面22をできる限り広く形成するため、フィルタ3は、図4に示すように平坦面と隣接する湾曲面にまで拡大された範囲に形成されることが望ましい。そして、湾曲面を覆うように紫外光遮蔽部4を形成することにより、光放射面22の有効範囲をより広く確保するとともに、湾曲面等を紫外光遮蔽部4で保護することで、誘電体多層膜の膜厚ムラによる有害光の漏洩も未然に防ぐ構造とできる。
なお、有害光の漏洩をより確実に防ぐため、紫外光遮蔽部4は湾曲面と隣接する領域の平坦面にまで形成されていることがより望ましい。
なお、有害光の漏洩をより確実に防ぐため、紫外光遮蔽部4は湾曲面と隣接する領域の平坦面にまで形成されていることがより望ましい。
図5は、他の実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。図4に示す例では、紫外光遮蔽部4は、放電容器21の外表面に接触して配置されているが、これに限定されない。図5に示すように、紫外光遮蔽部4は、放電容器21の外表面から離間して配置されてもよい。なお、図5に示す例では、電極24は、板状電極であり、放電容器21の外表面に接触して配置されている。
[第三実施形態]
図6は、第三実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。この例では、エキシマランプ2は、二重管構造の放電容器21を備える。放電容器21は、内管211と外管212で構成され、内管211と外管212の間が放電空間S21となる。外管212の外表面が平坦な光放射面22を有する。フィルタ3は、光放射面22に接触して配置されている。
図6は、第三実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。この例では、エキシマランプ2は、二重管構造の放電容器21を備える。放電容器21は、内管211と外管212で構成され、内管211と外管212の間が放電空間S21となる。外管212の外表面が平坦な光放射面22を有する。フィルタ3は、光放射面22に接触して配置されている。
内管211の内表面に電極24が配置され、外管212の外表面に電極25が配置されている。電極24は、内管211の内表面の全周に亘って配置されている。電極25は、外管212の外表面のうち光放射面22以外の領域に配置されている。これにより、電極25は、放電空間S21からの有害光の透過を阻止する紫外光遮蔽部4としても機能する。なお、本実施形態においても、フィルタ3と紫外光遮蔽部4して機能する電極25とが重なり合う領域を形成することで、フィルタ3と紫外光遮蔽部4の隙間からの有害光の漏洩を防ぐことができる。
[第四実施形態]
図7Aは第四実施形態に係る紫外光放射装置1の斜視図であり、図7Bは、図7Aに示す紫外光放射装置1の断面図である。この例では、電極24,25は、放電容器21の管軸方向に離間して配置される。電極24,25は、放電容器21の外表面の形状に対応する凹部を有する。一例として、電極24,25は、Al、Al合金、ステンレスなどで構成される。
図7Aは第四実施形態に係る紫外光放射装置1の斜視図であり、図7Bは、図7Aに示す紫外光放射装置1の断面図である。この例では、電極24,25は、放電容器21の管軸方向に離間して配置される。電極24,25は、放電容器21の外表面の形状に対応する凹部を有する。一例として、電極24,25は、Al、Al合金、ステンレスなどで構成される。
フィルタ3は、光放射面22に接触して配置されている。紫外光遮蔽部4は、放電容器21の外表面のうち光放射面22以外の領域23に接触して配置されている。電極24,25は、紫外光遮蔽部4を介して、放電容器21の外表面に接触している。
図7Cは、複数の放電容器21を備える紫外光放射装置1の一例を示す断面図である。紫外光放射装置1は、Z方向に離間して配置された三つの放電容器21と、それぞれの放電容器21の外表面の一部に接触するように配置された一対の電極24,25(電極24は不図示)と、を備える。すなわち、各電極24,25は、いずれも各放電容器21の外表面に接触しつつ、Z方向に関して各放電容器21に跨るように配置されている。
紫外光放射装置1は、エキシマランプ2を収容するケーシング11を備える。ケーシング11の一方の面には、光取り出し面12が形成されている。光取り出し面12は、フィルタ3と対向して配置される。ケーシング11は、図3に示すような箱状の紫外光遮蔽部4として機能してもよく、後述する筐体5として機能してもよい。
[第五実施形態]
波長190nm以上240nm未満の紫外光は、人や動物に対する安全性が高い波長帯域であるが、波長200nm以下の紫外光、より顕著には波長190nm以下の紫外光成分が含まれていると、大気中にオゾンを発生させてしまうことがある。
波長190nm以上240nm未満の紫外光は、人や動物に対する安全性が高い波長帯域であるが、波長200nm以下の紫外光、より顕著には波長190nm以下の紫外光成分が含まれていると、大気中にオゾンを発生させてしまうことがある。
このようなオゾン生成光が含まれる場合、空間中にオゾンを生成させる可能性があり、人への安全性を低下させる場合がある。そのため、オゾン生成光をより適切に除去するための対策が必要となる。
図8は、第五実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。図8に示す例では、第一実施形態に係るエキシマランプ2の周囲に筐体5を設けている。同様に、第二~第四実施形態に係るエキシマランプ2の周囲に筐体5を設けてもよい。筐体5には、光放射面22に対向する位置に光透過窓51が形成されており、光透過窓51は、波長190nm以上240nm未満の紫外光を透過するものとする。
エキシマランプ2と筐体5との間の空間S5には、オゾン生成光を吸収してオゾンを発生する気体(以下、「オゾン生成ガス」ともいう。)が満たされる。すなわち、筐体5は、エキシマランプ2との間で、オゾン生成ガスによるオゾン発生層を形成する。オゾン生成ガスとしては、酸素を含有するガス、具体的には空気が挙げられる。
このとき、エキシマランプ2から放射される紫外光にオゾン生成光が含まれると、空間S5にオゾンの層が形成される。このオゾン層は、続けて放射されるオゾン生成光(200nm以下、より顕著には190nm以下の紫外光)を吸収するガスフィルタとして機能する。
これにより、オゾン層を介して放射される紫外光は、オゾン生成光が適切に除去された紫外光となり、筐体5の外にオゾンを生成させることを適切に抑制できる。
[第六実施形態]
図9は、第六実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。第五実施形態に示す筐体5を設ける代わりに、空間中へのオゾン生成光を遮蔽するため、オゾン生成光遮蔽フィルタ6を設けてもよい。図9に示す例では、フィルタ3の外表面にオゾン生成光遮蔽フィルタ6を形成している。オゾン生成光遮蔽フィルタ6としては、例えば、Y2O3コートを用いることで、オゾン生成光を効果的に遮蔽させることができる。
図9は、第六実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。第五実施形態に示す筐体5を設ける代わりに、空間中へのオゾン生成光を遮蔽するため、オゾン生成光遮蔽フィルタ6を設けてもよい。図9に示す例では、フィルタ3の外表面にオゾン生成光遮蔽フィルタ6を形成している。オゾン生成光遮蔽フィルタ6としては、例えば、Y2O3コートを用いることで、オゾン生成光を効果的に遮蔽させることができる。
また、オゾン生成光遮蔽フィルタ6は、放電容器21の内表面に形成させることができる。しかし、放電空間S21でのエキシマ放電を阻害させる場合もあるため、オゾン生成光遮蔽フィルタ6は、放電空間S21の外(例えば放電容器21の外側)に設けることがより望ましい。
また、オゾン生成光遮蔽フィルタ6は、放電容器21とフィルタ3の間に形成されてもよいが、図9に示すようにフィルタ3の外側に形成されることがより望ましい。
オゾン生成光遮蔽フィルタ6は、材質に応じて所定の屈折率を持つため、フィルタ3による有害光の遮蔽効果(フィルタ特性)を損なわせる可能性がある。そのため、オゾン生成光遮蔽フィルタ6をフィルタ3の外側に設けることで、フィルタ3で有害光を除去した後、オゾン生成光遮蔽フィルタ6により、波長190nm以下、より望ましくは波長200nm以下の紫外光を遮蔽させることができる。
[第七実施形態]
図10は、第七実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。この例では、フィルタ3と電極25の間にフィルタ保護層7が配置されている。フィルタ保護層7を設けることで、フィルタ3を構成する誘電体多層膜と電極25との直接的な接触を避けることができる。これにより、フィルタ3が電極25からの熱や物理的な衝撃により損傷することを抑制できる。フィルタ保護層7は、誘電体多層膜を構成する光学薄膜よりも厚い誘電体で構成される。フィルタ保護層7の形成方法の一例として、誘電体多層膜の蒸着後、最後にSiO2の厚みが大きい積層物を形成することが考えられる。
図10は、第七実施形態に係る紫外光放射装置1の断面図である。この例では、フィルタ3と電極25の間にフィルタ保護層7が配置されている。フィルタ保護層7を設けることで、フィルタ3を構成する誘電体多層膜と電極25との直接的な接触を避けることができる。これにより、フィルタ3が電極25からの熱や物理的な衝撃により損傷することを抑制できる。フィルタ保護層7は、誘電体多層膜を構成する光学薄膜よりも厚い誘電体で構成される。フィルタ保護層7の形成方法の一例として、誘電体多層膜の蒸着後、最後にSiO2の厚みが大きい積層物を形成することが考えられる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1 :紫外光放射装置
2 :エキシマランプ
3 :フィルタ
4 :紫外光遮蔽部
5 :筐体
6 :オゾン生成光遮蔽フィルタ
7 :フィルタ保護層
21 :放電容器
22 :光放射面
24 :電極
25 :電極
51 :光透過窓
S21 :放電空間
2 :エキシマランプ
3 :フィルタ
4 :紫外光遮蔽部
5 :筐体
6 :オゾン生成光遮蔽フィルタ
7 :フィルタ保護層
21 :放電容器
22 :光放射面
24 :電極
25 :電極
51 :光透過窓
S21 :放電空間
Claims (7)
- 主発光波長が190nm以上240nm未満を示す紫外光を発光可能な発光ガスが封入された放電容器と、前記放電容器の少なくとも一部を介して前記発光ガスに電圧を印加可能に配置された一対の電極とを含むエキシマランプと、
誘電体多層膜で構成され、波長が240nm以上の紫外光をカットするフィルタと、を備え、
前記放電容器の外表面は、平坦な光放射面を有し、
前記フィルタは、前記光放射面に接触して配置されている、紫外光放射装置。 - 前記フィルタは、前記光放射面の全域を超えて前記光放射面を覆うように形成されている、請求項1に記載の紫外光放射装置。
- 前記放電容器の前記光放射面以外を覆う紫外光遮蔽部を備える、請求項1に記載の紫外光放射装置。
- 前記一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、前記フィルタを挟んで前記光放射面の反対側に配置される、請求項1に記載の紫外光放射装置。
- 前記誘電体多層膜を構成する光学薄膜よりも厚い誘電体からなるフィルタ保護層を備え、
前記フィルタ保護層は、前記フィルタと前記電極の間に配置されている、請求項4に記載の紫外光放射装置。 - 前記フィルタと前記紫外光遮蔽部は、前記放電容器上で一部重なって配置される、請求項3に記載の紫外光放射装置。
- 前記エキシマランプから離間して前記エキシマランプを覆う筐体を備え、
前記筐体は、前記エキシマランプとの間で、酸素に吸収されてオゾンを発生する波長の紫外光を吸収してオゾンを発生する気体によるオゾン発生層を形成する、請求項1に記載の紫外光放射装置。
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