JP2023149743A - 紫外光照射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性を確保しつつ、菌やウイルス等をより効率的に不活化できる紫外光照射装置を提供する。【解決手段】波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、光源を収容する筐体と、光源より発せられた紫外光を筐体の外へと取り出す光取出し部と、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を透過する、第一主面が光源側に配置された板状の基材と、基材の第一主面とは反対側の第二主面上に設けられた、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光の透過を抑制する光学フィルタと、光学フィルタから出射された紫外光を拡散透過させる拡散透過部材とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、紫外光照射装置に関する。
従来、紫外光を照射して菌やウイルスを不活化する技術が知られており、DNAが波長260nm付近に最も高い吸収特性を示すことから、多くの場合、低圧水銀ランプ等を光源とする波長が254nm付近の紫外光が利用されている。紫外光によって菌やウイルスを不活化する方法は、薬剤等を散布することなく、対象空間や対象物に紫外光を照射するだけで殺菌処理が行うことができるという特徴がある。
例えば、下記特許文献1には、調理場等に設置される、殺菌処理を行うための波長が254nmの紫外光を出射する、低圧水銀ランプからなる殺菌ランプが組み込まれた照明器具が記載されている。また、下記特許文献2には、室内に浮遊する細菌やウイルスに紫外光を照射して殺菌処理を行うための殺菌装置が記載されている。
なお、下記特許文献1や下記特許文献2に記載の紫外光照射装置は、人体に対して有害な波長帯域の紫外光を使用している。このため、これらの紫外光照射装置は、紫外光が人体に照射されないように、紫外光を出射する方向を制御する等の対策が講じられている。
実開昭63-187221号公報 特開2017-018442号公報
しかしながら、細菌、真菌及びウイルス等は、特に、人体の表面(例えば、皮膚や髪の毛)や、人が頻繁に接触する物体表面(例えば、家具や事務機器)に比較的多く存在する。また、人が往来する空間には、多くの場合、人や動物の呼気、唾、咳又はくしゃみとして飛散する飛沫、又はエアロゾルに付着した菌やウイルス等(以下、省略して「菌等」と称することがある。)が存在している。
上記特許文献1や上記特許文献2に記載されているような従来の紫外光照射装置は、紫外光の照射による人体への影響が懸念されるため、人体の表面や人が頻繁に出入りする空間等、比較的菌やウイルス等が多く存在すると思われる領域や空間に対して紫外光を照射することができない。このため、空間内に人が存在する場合は、常に人を回避しての照射が実行されることになるため、効率的に不活化処理を行うことができなかった。また、人が動きまわる空間内においては、確実に人に照射しないように制御することは困難であるため、人を回避するように制御される装置であっても、安全性に関するリスクが少なからず存在する。
本発明は、上記課題に鑑み、安全性を確保しつつ、菌やウイルス等をより効率的に不活化できる紫外光照射装置を提供することを目的とする。
本発明の紫外光照射装置は、
波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
前記光源より発せられた前記紫外光を前記筐体の外へと取り出す光取出し部と、
波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を透過する、第一主面が前記光源側に配置された板状の基材と、
前記基材の前記第一主面とは反対側の第二主面上に設けられた、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光の透過を抑制する光学フィルタと、
前記光学フィルタから出射された紫外光を拡散透過させる拡散透過部材とを備えることを特徴とする。
本明細書において、紫外光を「拡散透過」させる部材とは、当該部材に対して紫外光を入射させた際に、当該部材から出射する紫外光の出射角を、入射した紫外光の入射角よりも大きくなるように変換するとともに、入射された紫外光を透過させる部材のことをいう。また、本明細書では、このように、紫外光を「拡散透過」させる性質を示す部材を「拡散透過部材」と呼ぶ。この、透過拡散部材には、物体表面に積層された薄膜状の部材や、シート状の部材等も含まれる。
近年、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光に関し、人体への影響が極めて小さく、かつ、菌等の不活化処理に有効であることについて、多くの報告がなされている。そして、最近の新型コロナウイルス(Covid-19)感染症の流行により、当該波長範囲の紫外光による不活化処理は、特に注目を集めている。例えば、波長240nm以上の紫外光は、人の皮膚を透過しやすく、皮膚内部まで浸透しやすい。そのため、人の皮膚内部の細胞がダメージを受けやすい。
これに対して、波長240nm未満の紫外光は、人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収されやすく、波長が短くなるほど皮膚内部にまで浸透し難いため、紫外光による人体への影響が小さい。これは、皮膚を構成するたんぱく質の紫外光吸収スペクトルにおいて、波長240nm未満で吸収率が高くなることによる。つまり、波長が240nm以上の紫外光に比べて、波長が240nm未満の紫外光は、人体に対する安全性がより高く、波長が短いほど安全性が高まると考えられる。
光源が発する紫外光は、例えば、波長237nm以下の波長帯域に属する紫外光であることが望ましく、波長235nm以下の波長帯域に属する紫外光であることがより望ましい。なお、波長が短い光は、空間中の酸素に吸収されてオゾンを発生させやすい。このため、波長195nm以上の波長帯域に属する紫外光であることが望ましく、波長200nm以上の波長帯域に属する紫外光であることがより望ましい。
しかしながら、波長が190nm以上240nm未満の紫外光は、低圧水銀ランプから発せられる紫外光に比べると人体に対する影響が極めて小さいとはいえ、安全性を考慮して人体に対する積算照射量についての規制値が設けられている。本願出願時において、人体に照射される紫外光の積算照射量は、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:アメリカ合衆国産業衛生専門官会議)で定められている規制値(許容限界値)以内にすることが推奨されている。例えば、波長が222nmの紫外光は、一日(8時間)あたりの積算照射量の許容限界値が22mJ/cm2と定められている。なお、本明細書における許容限界値の数値は、現行の数値であって、今後変更される可能性がある数値である。
上記の事情に鑑みると、上述した許容限界値を超えないように紫外光の積算光量を設定し、局所的に強い光を受ける領域に合わせて照射量の上限を設定することが、照射量の管理において望ましい。しかし、このような管理方法では、不活化処理を行う空間内の照射される紫外光の照度が比較的小さい領域において、紫外光の照射量が必要以上に制限されてしまう。そこで、本発明者らは、光源から発せられる紫外光が広範囲にわたって照射されるように、紫外光を拡散透過させる部材(拡散透過部材)を備えた紫外光照射装置について検討した。
光学フィルタを通過して拡散透過部材に入射した紫外光は、拡散透過部材の内部で屈折、又は反射されて一部が拡散透過され、他の一部が光学フィルタ側に戻される(図6参照)。なお、この拡散透過部材から光学フィルタ側に戻される光は、本明細書において「戻り光」と称される場合がある。
この戻り光には、菌等の不活化処理に有用な波長帯域(波長190nm以上240nm未満)の紫外光が含まれる。そこで、本発明者らは、当該戻り光の少なくとも一部を、再び拡散透過部材側に反射させて不活化処理に利用することで、効率的な不活化処理を実現することを検討した。
光学フィルタは、波長190nm以上240nm未満の範囲内に含まれる紫外光を透過しつつも、当該紫外光の一部を反射する。これは、透過率が100%の光学フィルタは存在せず、かつ、多くの光学フィルタは、入射角に依存して紫外光に対する透過率が変化する特徴を有することによる。例えば、誘電体多層膜からなる光学フィルタは、紫外光の入射角が大きくなるほど、波長190nm以上240nm未満の範囲内に含まれる紫外光に対する透過率が低下し、反射率が増加する(図7参照)。
つまり、紫外光照射装置は、拡散透過部材と光学フィルタとを備えることで、戻り光の一部を不活化処理に利用することができる。
ところが、本発明者らは、単に拡散透過部材と光学フィルタとを搭載するだけでは、これらの配置関係によって、戻り光の強度の減衰が大きくなり、光の利用効率を十分に高めることができないことに気が付いた。以下、図面を参照しながら説明する。
図16は、拡散透過部材100、光学フィルタ101、及び光学フィルタ101を定着させる基材101aの一配置例を示す模式的な図面である。ここで、図16に示すように、図示されない光源から発せられた紫外光L10が、基材101aの第一主面101a1側に設けられた光学フィルタ101に入射した後、第二主面101a2から出射されて、拡散透過部材100に入射する構成について検討する。
拡散透過部材100に入射した紫外光L11は、拡散透過部材100の点P10において等方的に拡散されると仮定する。そうすると、拡散透過部材100内で拡散された紫外光の一部は、基材101aとは反対側の主面から出射され(紫外光L12)、他の一部は、基材101a側に向かって進行する(戻り光L13)。
図16からわかるように、戻り光L13は、基材101aの第二主面101a2から入射した後、基材101a内を進行し、光学フィルタ101に到達する。この戻り光L13の一部は、光学フィルタ101において拡散透過部材100側へと反射される。そして、光学フィルタ101で反射された戻り光L13は、再び基材101a内を進行して、第二主面101a2から出射された後に、拡散透過部材100に入射する。
上述のように、図16に示す構成を採用した場合、拡散透過部材100から光学フィルタ101側に向かって出射した戻り光L13が、光学フィルタ101によって反射されて、再び拡散透過部材100に入射するまでに、基材101aの第一主面101a1と第二主面101a2との間を往復することとなる。
基材101aは、不活化処理に利用される波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光に対して透過性を示す材料で構成されるが、透過率が100%の材料は存在しない。また、一般的には、空気中を進行する場合に比べて、基材内部を進行する場合の方が、紫外光は吸収されやすく、特に上記波長範囲の紫外光については、それぞれの場合における吸収率の差がより顕著となる。
また、拡散透過部材100に再度入射した戻り光L13は、一部が拡散透過部材100によって拡散反射されて、再度基材101a側に進行する。このため、戻り光L13は、拡散透過部材100による拡散と、光学フィルタ101による反射を繰り返し、不活化処理対象の領域に向かって出射される前に消失してしまう場合もある。
このため、図16に示す構成では、戻り光の再利用はできるものの、基材101aによる戻り光L13の強度の減衰が大きく、光の利用効率を十分に高められない。
これに対し、本発明に係る紫外光照射装置では、光学フィルタ101が基材101aの第二主面101a2上に設けられた構成である。このため、戻り光は、光学フィルタに到達するまでに基材の内部を通過しないため、基材による戻り光の強度の減衰が抑制される。つまり、上記構成の紫外光照射装置は、戻り光を、高い強度を維持した状態で出射することが可能となる。つまり、高効率な紫外光照射装置が実現される。
上記紫外光照射装置は、
前記拡散透過部材と、前記光学フィルタとが接触していても構わない。
上記構成とすることで、拡散透過部材によって光学フィルタ側に戻された戻り光は、空気中等を進行することなく、光学フィルタに入射する。つまり、上記構成によれば、拡散透過部材と光学フィルタとの間で生じる戻り光の強度の減衰が抑制され、高い強度を維持した状態の戻り光を不活化処理対象の領域や物体に向けて出射させやすくなる。
上記紫外光照射装置において、
前記拡散透過部材は、前記筐体に対して着脱可能であっても構わない。
上記構成とすることで、拡散透過部材の劣化が確認された場合や、所定の時間点灯動作が実行されて拡散透過部材の劣化が予想される場合に、拡散透過部材のみを簡単に交換することができる。つまり、紫外光照射装置のメンテナンスがより簡便となる。特に、光学フィルタを備える構成においては、拡散透過部材を光学フィルタよりも光路上の後段に配置した場合、拡散透過部材に入射される前の状態の紫外光を光学フィルタに導くことができるとともに、拡散透過部材の交換作業が容易化できる。
上記紫外光照射装置は、
前記拡散透過部材の主たる材料が、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂であっても構わない。
また、上記紫外光照射装置は、
前記拡散透過部材の主たる材料が、セラミック類であっても構わない。
さらに、上記紫外光照射装置は、
前記拡散透過部材の主たる材料が、シリカ又はアルミナであっても構わない。
本明細書において、「主たる材料」とは、部材を構成する材料のうちの、最も含有率が高い材料を指す。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4-フッ化エチレン-パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4-フッ化エチレン-6-フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2-エチレン-4-フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3-フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。これらの中では、紫外線耐性、入手時の経済性等の事情に鑑みると、特にPTFEが特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリシクロヘキサンジメタノール-テレフタレート(PCT)等が挙げられる。これらの中では、紫外線耐性、入手時の経済性等の事情に鑑みると、特にPETが特に好ましい。
上記紫外光照射装置は、
前記拡散透過部材を保持する保持部材を備えていても構わない。
上記構成とすることで、微粒子の焼結体や、樹脂材料からなる膜状の部材、更にはシート状の、単体では固定が難しい拡散透過部材を、筐体等に固定することができる。
さらに、上記紫外光照射装置において、
前記保持部材は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過する部材であっても構わない。
なお、本発明の対象製品は、人や動物の皮膚や目に紅斑や角膜炎を起こすことはなく、紫外光本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を提供することができる。特に、従来の紫外光源とは異なり、有人環境で使用できるという特徴を生かし、屋内外の有人環境に設置することで、環境全体を照射することができ、空気と環境内設置部材表面のウイルス抑制・除菌を提供することができる。
このことは、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢の全ての人々が健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に対応し、また、ターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する」に大きく貢献するものである。
本発明によれば、安全性を確保しつつ、菌やウイルス等をより効率的に不活化できる紫外光照射装置が実現される。
紫外光照射装置の一実施形態の外観を模式的に示す図面である。 紫外光照射装置の一実施形態の外観を模式的に示す図面である。 光源の構成を示す図面である。 図3から発光管を取り除いた状態を示す図面である。 紫外光照射装置の一実施形態をY方向に見たときの断面図である。 図5における領域P1の拡大図である。 光学フィルタの入射角ごとの透過スペクトルの一例を示すグラフである。 検証実験における実施例の構成を模式的に示す図面である。 紫外光照射装置の一実施形態の外観を模式的に示す図面である。 紫外光照射装置の一実施形態をY方向に見たときの断面図である。 紫外光照射装置の一実施形態の外観を模式的に示す図面である。 紫外光照射装置の一実施形態をY方向に見たときの断面図である。 紫外光照射装置の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。 紫外光照射装置の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。 紫外光照射装置の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。 拡散透過部材、光学フィルタ、及び基材の一配置例を示す模式的な図面である。
以下、本発明の紫外光照射装置について、図面を参照して説明する。なお、紫外光照射装置に関する以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
図1及び図2は、紫外光照射装置1の第一実施形態の外観を模式的に示す図面であり、図3は、光源3の構成を示す図面である。図2に示すように、第一実施形態の紫外光照射装置1は、筐体2と、筐体2の内側に収容された光源3とを備える。図3に示す例では、光源3は、複数の発光管30を備えている。
以下の説明においては、図3に示すように、複数の発光管30が配列されている方向をZ方向、当該発光管30が延伸する方向をY方向とし、Y方向とZ方向とに直交する方向をX方向として説明する。
また、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。図1及び図2に示す紫外光照射装置1においては、紫外光が取り出される方向が「+X方向」に対応する。
第一実施形態の紫外光照射装置1は、図1及び図2に示すように、筐体2と、光源3と、一対の給電線(7a,7b)とを備える。
図2に示すように、筐体2は、カバー部材2aと本体2bとを備える。カバー部材2aは、内側に収容される光源3で発生する紫外光を、外側に取り出すための光取出し部4が設けられている。本体2bは、一対の給電端子(8a,8b)が設けられており、それぞれ対応する給電線(7a,7b)を介して外部電源(不図示)に接続される。
筐体2は、カバー部材2aと本体2bとが組み合わせられて、光源3を内側に収容するように構成されているが、例えば、カバー部材2aと本体2bとが回動部材によって連結されて、一体的に構成されていても構わない。
第一実施形態における光取出し部4は、後述される第一主面6a1に紫外光が入射する基材6aと、基材6aの第二主面6a2上に形成された光学フィルタ6と、拡散透過部材5とを重ね合わせて形成されている(図5及び図6参照)。つまり、光源3から発せられた紫外光は、光取出し部4を形成している基材6aと、光学フィルタ6と、拡散透過部材5とを通過して、紫外光L1として筐体2の外側に出射される。なお、基材6aの第二主面6a2上には、光学フィルタ6が形成され、さらには、光学フィルタ6を保護するための保護膜等が形成される場合があるが、それぞれの層や膜は、基材6aより薄く形成される。
第一実施形態における光源3は、図3に示すように、一対の電極(31a,31b)と、発光管30とを備えるエキシマランプである。第一実施形態の紫外光照射装置1に搭載されているエキシマランプは、発光管30内にクリプトン(Kr)ガスと塩素(Cl)ガスとが封入されており、電極(31a,31b)間に電圧を印加することで、発光管30内で主たる発光波長が222nmである紫外光が発生する。
ここで、「主たる発光波長」とは、ある波長λに対して±10nmの波長域Z(λ)を発光スペクトル上で規定した場合において、発光スペクトル内における全積分強度に対して40%以上の積分強度を示す波長域Z(λi)における、波長λiを指す。
なお、光源3は、主たる発光波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源であれば、上述した構成以外のエキシマランプであってもよい。また、ピーク波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源であってもよい。例えば、発光管30内にクリプトン(Kr)ガスと臭素(Br)ガスとが封入されて、主たる発光波長が207nmである紫外光を発するエキシマランプを採用し得る。
一対の電極(31a,31b)は、本体2bに固定されて、それぞれ対応する接続端子(8a,8b)と電気的に接続されている。当該構成により、各接続端子(8a,8b)が給電線(7a,7b)を介して外部電源(不図示)と電気的に接続される。
図4は、図3から発光管30を取り除いた状態を示す図面である。電極(31a,31b)は、図3及び図4に示すように、それぞれがY方向に離間して配置された、発光管30が載置されるように凹部が形成された導電性の材料からなるブロック状の部材である。また、電極(31a,31b)には、発光管30で発生した紫外光を、効率よく光取出し部4へと導くためのテーパ31dが形成されている。
電極(31a,31b)の具体的な材料としては、例えば、Al、Al合金、ステンレス等を採用し得る。なお、第一実施形態における電極(31a,31b)の材料は、Alであって、+X側の面全体が、発光管30内で発生し、光取出し部4とは反対側(-X側)に向かって進行する光を、光取出し部4側(+X側)に向かうように反射する第一反射面31cを構成している。
また、第一実施形態においては、図4に示すように、電極(31a,31b)間に、-X側に向かって進行する光を、+X側に向かうように反射する第二反射面32aを構成するための反射部材32が設けられている。
以下、筐体2に備えられた光取出し部4の構成の詳細について説明する。図5は、紫外光照射装置1の第一実施形態をY方向に見たときの断面図であり、図6は、図5における領域P1の拡大図である。図5及び図6に示すように、光取出し部4は、基材6aと、基材6aの第二主面6a2上に設けられた光学フィルタ6と、光学フィルタ6と接触するように設けられた拡散透過部材5とを備える。
本実施形態における基材6aは、石英ガラスからなる板状の部材である。なお、光源3から出射される紫外光を透過できれば、基材6aの材料は、石英ガラス以外の材料を採用してもよく、例えば、ホウケイ酸ガラスを採用しても構わない。
光学フィルタ6は、屈折率の異なる層が積層されてなる誘電体多層膜を用いることができる。例えば、屈折率が異なるシリカ(SiO2)とハフニア(HfO2)とが積層された誘電体多層膜である。第一実施形態における誘電体多層膜は、各層の膜厚及び積層数とを調整することによって、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光を実質的に透過しないように構成されている。この点は、図7を参照して後述する。なお、光学フィルタ6を構成する材料としては、シリカやハフニア以外に、アルミナ(Al23)やジルコニア(ZrO2)等を採用しても構わない。
第一実施形態における拡散透過部材5は、光学フィルタ6から出射された紫外光が入射するように配置された、主たる材料がPTFEである厚さが1.0mmの板状の部材である。拡散透過部材5は、図5に示すように、入射した紫外光を、入射角θ1よりも出射角θ2が大きくなるように拡散透過する。なお、図5では、紫外光の主光線の進行の様子が、模式的に二点鎖線で図示されている。
拡散透過部材5に入射した紫外光は、拡散透過部材5内において屈折、反射を繰り返しながら進行し、拡散透過部材5の主面5aに到達したところで外側に向かって出射される。このようにして紫外光は、拡散透過部材5を拡散透過する。なお、図5では、煩雑さを回避する観点から、拡散透過部材5内における紫外光の反射や屈折の態様に関する図示は省略されている。
拡散透過部材5は、190nm以上240nm未満の波長帯域に属する紫外光に関し、光源3で発生した紫外光が筐体2の外側に取り出されるよう、入射した紫外光の光強度に対する出射される紫外光の光強度の積分値の割合(以下、「平均透過率」という。)が1%以上であることが好ましい。また、波長190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光が、十分に筐体2の外側に取り出せるように、平均透過率が10%以上となるように構成されていることがより好ましい。なお、光源3で発生する上記波長範囲の紫外光の強度が十分高いような場合は、拡散透過部材5の平均透過率が10%を下回っていても構わない。
拡散透過部材5は、紫外光が拡散透過する部材であれば、例えば、主たる材料が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、イットリア(Y23)等のセラミック類である部材であってもよく、より具体的には、紫外光に対する拡散透過性を考慮して、シリカ又はアルミナである微粒子の焼結体からなる部材であることが好ましい。また、拡散透過部材5は、主たる材料がPFAやPVDFのようなフッ素系樹脂、又はポリエチレン系樹脂や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる膜状の部材であっても構わない。これらの各樹脂は、紫外光に対して拡散性を示すため、拡散透過部材5の材料として好適である。
第一実施形態における拡散透過部材5の厚さは、0.3mmである。なお、拡散透過部材5の厚さは、1.5mm未満であることが好ましく、1.0mm未満であることがより好ましく、0.5mm未満であることが特に好ましい。なお、本明細書において、部材の「厚さ」とは、部材のX方向に係る長さを意味する。
ここで、図6を参照して、第一実施形態における拡散透過部材5と光学フィルタ6との境界面5bにおける反射特性について説明する。拡散透過部材5内の点P2において紫外光が等方的に拡散すると仮定すると、光学フィルタ6を透過して拡散透過部材5に入射し、点P2に到達した紫外光L2は、図6において一点鎖線で示すように様々な方向に拡散される。
点P2で拡散された紫外光には、点P2で拡散されて+X側に向かって進行する紫外光FL、光学フィルタ6側、すなわち、-X側に進行し、再び光学フィルタ6に入射する紫外光B0、及び拡散透過部材5と光学フィルタ6との境界面5bで反射される紫外光B1が含まれる。
図7は、光学フィルタ6の入射角ごとの透過スペクトルの一例を示すグラフである。光学フィルタ6の多くは、紫外光の入射角に応じて、透過率が不可避的に変化し、入射角が大きい紫外光ほど透過し難く、反射しやすいという特徴がある。当該特徴は、特に屈折率の異なる複数の誘電体多層膜で構成された光学フィルタ6において確認される。誘電体多層膜の、図6に示すような入射角ごとの透過特性により、紫外光B0と紫外光B1とが発生する。
図6に示すように、拡散透過部材5で屈折、又は反射されて光学フィルタ側(-X側)に戻る紫外光B1は、基材6a内に進入することなく、光学フィルタ6によって+X側に進行するように反射される。そして、光学フィルタ6で反射された紫外光B1は、再び-X側へと拡散されない限り、拡散透過部材5の主面5aから出射される。
紫外光B0は、光学フィルタ6を通過した後、基材6aを通過して、筐体2内へと進行する。筐体2内へと進行した紫外光B0は、筐体2内に配置された部材によって反射されて再び基材6aに向かって進行しない限り、筐体2内の部材に吸収されて消失する。
これにより、紫外光B1は、基材6aの内部を行き来することで基材6aによって吸収されて、強度が減衰することがない。したがって、紫外光照射装置1の本実施形態は、光学フィルタ6が基材6aの第一主面6a1上に設けられた場合と比べて、より高い強度の紫外光を光取出し部4から出射することができる。
次に、光学フィルタ6を基材6aの第一主面6a1上に設けた場合(参考例)と、第二主面6a2上に設けた場合(実施例)とで、紫外光照射装置1から出射されて所定の領域に照射される紫外光の照度がどの程度異なるか確認する検証実験について説明する。
図8は、検証実験における実施例の構成を模式的に示す図面である。図8に示すように、実施例は、基材6aの第二主面6a2上に光学フィルタ6が設けられた、本実施形態において採用されている構成である。
参考例は、図16に示すように、基材101aの第一主面101a1上に光学フィルタ101が設けられた点を除き、実施例と同じ構成である。
なお、当該検証実験は、部材調達の都合上、上記実施形態とは異なり、厚さが0.5mmのPTFEからなる拡散透過部材を用いて行った。
参考例と実施例の双方について、光取出し部4からX方向に5cm離間した位置で波長222nmの紫外光の照度を測定して比較した。実施例の照度が、参考例の照度よりも約9%高い結果が得られた。
また、点灯状態を継続した場合における、点灯開始直後の照度に対する照度維持率についても、同様の条件で比較した。実施例の方が、参考例よりも、250時間経過後の点灯開始直後の照度に対する照度維持率が約5%高い結果が得られた。
基材6aを構成する石英ガラスは、波長が200nm近傍の紫外光が照射されると、ケイ素(Si)と酸素(O)との結合が切断されて徐々に劣化し、紫外光に対する透過率が低下する。参考例は、図16に示すように、拡散透過部材5と光学フィルタ6とに挟まれた基材6a内を紫外光が行き来する。これに対し、実施例は、図8に示すように、基材6a内を紫外光が行き来することがない。つまり、実施例に比べて、参考例は、基材6a内を進行する紫外光の量が多く、基材6aの劣化が進行しやすい。このため、実施例の方が、参考例より長時間にわたって高い透過率を維持されるため、上記のような結果になったと推察される。なお、紫外光は、一般的に照射される物質に存在する化学結合の結合エネルギーよりも高いエネルギーを有していた場合、当該化学結合を切断することができる。このため、照射維持率についての検証実験については、基材6aが石英ガラス以外の材料で構成されていた場合であっても、同様の結果となると推察される。
つまり、紫外光照射装置1は、上記構成とすることで、紫外光B1が基材6aに入射することなく、光学フィルタ6によって反射されて、+X側に向かって進行することとなる。つまり、紫外光照射装置1は、戻り光である紫外光B1を、高い強度を維持した状態でより多く出射することが可能となる。つまり、光の利用効率が高められた紫外光照射装置1が実現される。
また、上記構成によれば、より長い時間にわたって高い照度の紫外光による不活化処理を実施することができる。
[第二実施形態]
本発明の紫外光照射装置1の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
図9は、紫外光照射装置1の第二実施形態の外観を模式的に示す図面であり、図10は、紫外光照射装置1の第二実施形態をY方向に見たときの断面図である。紫外光照射装置1の第二実施形態は、図9及び図10に示すように、筐体2を構成するカバー部材2aの所定の位置に嵌め込まれた拡散透過部材5及び光学フィルタ6が、固定部材13によって固定されることで、光取出し部4を構成している。固定部材13は、拡散透過部材5の外縁部に位置することで、光取出し部4から出射される紫外光の光路を阻害することなく、拡散透過部材5と基材6aとを固定できる。
本実施形態における固定部材13は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過するように、石英ガラスからなる部材であって、X方向に見たときに、拡散透過部材5と基材6aの周縁部を覆う形状を呈する。なお、固定部材13の材料としては、石英ガラス以外にも、例えば、ホウケイ酸ガラスを採用してもよい。光取出し部4を覆う領域が光取出し部4全体に対して狭く、紫外光に対する透過性が問題とならない場合には、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を透過しない材料で構成されていても構わない。
上記構成とすることで、拡散透過部材5が薄いシート状であって、単体では固定が難しい場合であっても、基材6a及び固定部材13によって支持し、安定的に固定することができる。また、拡散透過部材5及び光学フィルタ6が設けられた基材6aを、カバー部材2aに対して着脱可能とすることができ、これによって拡散透過部材5及び光学フィルタ6を、個別に交換することができる。なお、例えば、拡散透過部材5が単体で固定が可能な板状の部材である場合等は、基材6aが筐体2に固定されており、拡散透過部材5のみが着脱可能に構成されていても構わない。
図11は、図9とは別の紫外光照射装置1の第二実施形態の外観を模式的に示す図面であり、図12は、図11に示す紫外光照射装置1の第二実施形態をY方向に見たときの断面図である。紫外光照射装置1の第二実施形態は、図11及び図12に示すように、一部が光取出し部4を跨ぐように構成された固定部材13を備えていても構わない。
上記構成によれば、拡散透過部材5及び光学フィルタ6をより安定的に固定することができる。また、上記構成の紫外光照射装置1は、使用用途や光源3の種類等に応じて、拡散透過部材5及び光学フィルタ6を容易に交換することができる。
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
〈1〉 図13は、紫外光照射装置1の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。紫外光照射装置1は、図13に示すように、カバー部材2aに形成された光学フィルタ6に対して、拡散透過部材5と、紫外光に対して高い透過性を示す、例えば、石英ガラスを主たる材料とする透光板15とが重ね合わせられることで構成されていても構わない。
当該構成によれば、透光板15は、拡散透過部材5を保持する保持部材として機能し、シート状、フィルム状、又は薄膜状等の拡散透過部材5を、より適切に光学フィルタ6の出射面側に固定させることができる。ただし、透光板15は、戻り光の強度の減衰を最小限に抑えるため、拡散透過部材5の光学フィルタ6とは反対側、すなわち、+X側に設けられる。なお、第三実施形態において、光学フィルタ6と拡散透過部材5とは、離間していても構わない。
本実施形態における透光板15は、平板状の部材であって、X方向に見たときに拡散透過部材5と同じ形状となるように形成されている。
拡散透過部材5と透光板15とは、例えば、接着剤を用いて固定してもよいが、光学フィルタ6と拡散透過部材5を通過する紫外光が接着剤に吸収され、出射される紫外光が減衰しやすく、また、接着剤自体が紫外線で劣化する可能性がある。そのため、光学フィルタ6と拡散透過部材5の間には、接着剤を介さずに紫外光が通過できる光路が形成されるよう、接着剤が一部にのみに塗布されることが望ましく、紫外光が強く照射されない領域(例えば、出射光のピーク強度に対して半値以下、更には10%以下の領域)のみに塗布されることがより望ましい。また、接着剤を用いずに固定具等で機械的に固定することが可能であれば、当該方法を採用することが望ましい。
〈2〉 図14は、図13とは別の紫外光照射装置1の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。図14に示すように、紫外光照射装置1は、拡散透過部材5を挟持する二枚の板状の保持部材5cに形成された貫通孔53にネジ52が差し込まれ、カバー部材2aに形成されたネジ穴51にネジ止めされることで、拡散透過部材5がカバー部材2aに固定されるように構成されていても構わない。
上記構成によれば、拡散透過部材5及び光学フィルタ6をより安定的に固定することができる。また、上記構成の紫外光照射装置1は、使用用途や光源3の種類等に応じて、拡散透過部材5及び光学フィルタ6を交換することができる。
保持部材5cは、拡散透過部材5が、樹脂や微粒子の焼結体、又はシート状の部材のような、単体では筐体2に固定することが難しい部材であった場合に、当該拡散透過部材5を挟持して、筐体2に固定するように保持する。
なお、図14において、保持部材5cは、拡散透過部材5の周縁部を保持する構成で図示されているが、例えば、紫外光が通過する複数の穴が形成されたメッシュ状の板材であって、主面上に拡散透過部材5が載置されるような形状であっても構わない。また、本実施形態は、二枚の保持部材5cで拡散透過部材5の周端部を挟持する構成であるが、保持部材5cは、一つの部材で構成されていても構わない。
なお、当該板状の保持部材5cが採用される場合、保持部材5cに向かって進行する紫外光を少しでも不活化処理に利用できるように、保持部材5cが波長190nm以上240nm未満の紫外光を透過する材料で構成されていることが好ましい。保持部材5cを構成する材料としては、石英ガラスやホウケイ酸ガラス等を採用し得る。
〈3〉 紫外光照射装置1の更に別の実施形態として、光源3から発せられる紫外光の指向性を高め、光学フィルタ6に対して入射角が小さい光線成分を増加させる光学要素を備える構成としても構わない。これにより、光学フィルタ6に対して入射角の大きい光線成分を減少させ、入射角の小さい光線成分を増加させることで、光学フィルタ6からの光の透過効率を高めることができる。これは上述した光学フィルタ6の特性に基づく。
光学要素としては、光源3から放射される紫外光の指向性を高め、光学フィルタ6に対して入射角を小さく制御できる、光学レンズ、光学フィルム、反射部材等を用いることができる。例えば、光源3から発せられて光学フィルタ6に入射する紫外光のピーク強度に対して半値となる入射角の範囲が、50度以下、45度以下、更には、40度以下となるように、光学フィルタ6の入射面側において光学要素を設けることが望ましい。更には、35度以下、30度以下となるように、光学要素を設けてもよい。
上記構成とすることで、光源3で発生した紫外光の光学フィルタ6に対する入射角の範囲が縮小されるため、光学フィルタ6における反射率が低下する。この結果、光源3で発生した紫外光が、光取出し部4からより多く取り出される。そうすると、光源に供給する電力を大きくして光源の光出力を高めることなく、紫外光照射装置1から出射される紫外光の強度を高めることができる。したがって、消費電力の抑制や、筐体内部と電源の温度上昇を抑えることができ、紫外光照射装置1、又は紫外光照射装置1が搭載されたシステム全体の小型化や軽量化が実現される。
〈4〉 図15は、紫外光照射装置1の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。上記の各実施形態において、光取出し部4は、筐体2の側面において、光学フィルタ6が設けられた基材6aと、拡散透過部材5とで構成された窓として説明したが、光取出し部4は、図15に示すように、紫外光を通過させるための単なる開口であってもよく、この場合は、+X側から光取出し部4を見たときに基材6aと拡散透過部材5とが、光取出し部4を覆うように配置されていればよい。なお、基材6aと拡散透過部材5は、筐体2の内側に配置されていても構わない。
なお、拡散透過部材5から反射される戻り光を、より多く光学フィルタ6で+X側に反射させる観点と、光学フィルタ6を通過しない紫外光の漏洩を抑制する観点から、光学フィルタ6と拡散透過部材5とは、できる限り近いことが好ましい。具体的には、光学フィルタ6と拡散透過部材5との離間距離は、10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましく、1cm以下であることが特に好ましい。
〈5〉 本実施形態においては、光源3としてエキシマランプが搭載されているが、光源3は、エキシマランプに限られず、LED等を採用しても構わない。例えば、240nm未満に主たる発光波長を有するAlGaN系LEDやMgZnO系LEDが採用できる。
また、光源3として、コヒーレント光源を用いる場合は、ガスレーザや固体レーザ素子からコヒーレントな紫外光を放射するものであってもよく、又は、ガスレーザや固体レーザ素子から放射される光を利用して波長の異なるコヒーレント光を新たに発生させる波長変換素子を用いるものであってもよい。波長変換素子としては、例えば、レーザ素子から放射される光の周波数を逓倍化させて、第二次高調波発生(SHG)や第三次高周波発生(THG)等の高次高周波を発生させる非線形光学結晶を用いることができる。
〈6〉 上述のとおり、本発明は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の利用について検討されたものであり、拡散透過部材5による減衰や比率変化が大きい波長帯域であることを突き止め、考察したものである。これは、従来から積極的に検討された比較的長波長帯域の紫外光や可視光を扱うものとは一線を画し、当該波長帯域におけるより有効かつ安全な利用/活用に資するものである。
また、上述した紫外光照射装置1が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。
1 : 紫外光照射装置
2 : 筐体
2a : カバー部材
2b : 本体
3 : 光源
4 : 光取出し部
5 : 拡散透過部材
5a : 主面
5b : 境界面
5c : 保持部材
6 : 光学フィルタ
6a : 基材
6a1 : 第一主面
6a2 : 第二主面
7a,7b : 給電線
8a,8b : 給電端子
13 : 固定部材
15 : 透光版
30 : 発光管
31a,31b : 電極
31c : 第一反射面
31d : テーパ
32 : 反射部材
32a : 第二反射面
51 : ネジ穴
52 : ネジ
53 : 貫通孔
100 : 拡散透過部材
101 : 光学フィルタ
101a : 基材
101a1 : 第一主面
101a2 : 第二主面
L1 : 紫外光
θ : 入射角
θ1 : 入射角
θ2 : 出射角

Claims (8)

  1. 波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、
    前記光源を収容する筐体と、
    前記光源より発せられた前記紫外光を前記筐体の外へと取り出す光取出し部と、
    波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を透過する、第一主面が前記光源側に配置された板状の基材と、
    前記基材の前記第一主面とは反対側の第二主面上に設けられた、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光の透過を抑制する光学フィルタと、
    前記光学フィルタから出射された紫外光を拡散透過させる拡散透過部材とを備えることを特徴とする紫外光照射装置。
  2. 前記拡散透過部材と、前記光学フィルタとが接触していることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
  3. 前記拡散透過部材は、前記筐体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
  4. 前記拡散透過部材の主たる材料が、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
  5. 前記拡散透過部材の主たる材料が、セラミック類であることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
  6. 前記拡散透過部材の主たる材料が、シリカ又はアルミナであることを特徴とする請求項5に記載の紫外光照射装置。
  7. 前記拡散透過部材を保持する保持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
  8. 前記保持部材は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過することを特徴とする請求項7に記載の紫外光照射装置。
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