JP2023008173A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】噴射面に残留するインクを低減することができる液体噴射装置を提供する。【解決手段】傾斜姿勢で使用されるラインヘッドであり、媒体Sへ向けて液体を噴射するノズルプレートを含む噴射面100aを備えた液体噴射ヘッド2を備え、前記傾斜姿勢での前記液体噴射ヘッド2の前記噴射面100aと水平面との交線の延在方向が、前記液体噴射ヘッド2の長手方向L方向に交差する。【選択図】図7
Description
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録装置に関する。
インクジェット式プリンターやプロッター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等に貯留されたインクなどの液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドを具備する。
液体噴射ヘッドは、インクを噴射する複数のノズルを有する噴射面が、媒体Sを載置する載置面が曲面となるドラム等の所謂回転ドラムに沿うように重力方向に対して傾斜して配置された構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このような液体噴射装置では、ノズルに連通する流路内の異物や気泡等をインクと共に排出させる加圧クリーニング等のメンテナンス動作で排出されたインクや、ノズルから噴射されたインクによって発生したミストが液体噴射ヘッドの噴射面に付着し、払拭動作や重力などによって、噴射面の下方に流れ落ちる。そして、噴射面の下方に集まったインクによって、媒体や装置内を汚してしまう虞があるという問題がある。
なお、このような問題は、噴射面が重力方向に対して傾斜して配置された液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置だけではなく、噴射面が重力方向に直交する水平面に沿って配置された液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置においても同様に存在する。
上記課題を解決する本発明の態様は、傾斜姿勢で使用されるラインヘッドであり、媒体へ向けて液体を噴射するノズルプレートを含む噴射面を備えた液体噴射ヘッドを備え、前記傾斜姿勢での前記液体噴射ヘッドの前記噴射面と水平面との交線の延在方向が、前記液体噴射ヘッドの長手方向に交差する、ことを特徴とする液体噴射装置にある。
また、本発明の他の態様は、搬送方向へ媒体を搬送する搬送部と、媒体へ向けて液体を噴射するノズルプレートを含む噴射面を備える液体噴射ヘッドと、を備え、前記搬送方向及び重力方向の双方と直交する方向を第1方向としたとき、前記噴射面と水平面との交線の延在方向が前記第1方向に交差する傾斜姿勢で前記液体噴射ヘッドが使用される、ことを特徴とする液体噴射装置にある。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、正方向及び負方向を限定しない3つの空間軸については、X軸、Y軸およびZ軸として説明する。また、Z方向は、重力方向および重力方向とは反対方向を示し、+Z方向は重力方向、-Z方向は重力方向とは反対方向を示す。さらに、X軸およびY軸で規定されるXY平面を水平面と称する。この水平面に平行な方向を水平方向と称し、重力方向である+Z方向に直交する方向である。なお、以降の説明においては、+Z方向を「重力方向の下方」とし、-Z方向を「重力方向の上方」と言い換える場合が有る。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1の概略構成を示す上面図であり、図2は、インクジェット式記録装置1の概略構成を示す側面図である。
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1の概略構成を示す上面図であり、図2は、インクジェット式記録装置1の概略構成を示す側面図である。
図示するように、インクジェット式記録装置1は、液体の一種であるインクをインク滴として印刷用の媒体Sに吐出・着弾させて、当該媒体Sに形成されるドットの配列により画像等の印刷を行う印刷装置である。なお、媒体Sとしては、記録用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質を用いることができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1は、印刷中に「液体噴射ヘッド」の一例であるインクジェット式記録ヘッド2(以下、単に記録ヘッド2とも言う)を固定した状態で、媒体Sを搬送しながら記録ヘッド2からインクを媒体Sに吐出・着弾させて印刷を行う、所謂、ライン式印刷装置である。
インクジェット式記録装置1は、記録ヘッド2と、保持部材3と、液体貯留部4と、媒体Sを搬送する搬送機構5と、払拭部材6と、を具備し、これら記録ヘッド2、保持部材3、液体貯留部4、搬送機構5および払拭部材6が装置本体7内に収容されている。
記録ヘッド2は、保持部材3によって装置本体7に保持されている。記録ヘッド2は、媒体Sの搬送方向であるY軸と交差するX軸において、媒体SのX軸に沿った幅を覆うように延在して設けられた、所謂ラインヘッドである。記録ヘッド2は、詳しくは後述するが、インク滴を噴射する複数のノズル101が形成された噴射面部20aをそれぞれ有する複数のヘッドユニット20と、複数のヘッドユニット20を保持するユニットベース30と、ヘッドユニット20に液体を供給する流路部材40と、を具備する。
このような記録ヘッド2は、印刷姿勢と傾斜姿勢とに切り替え可能となっている。ここで、印刷姿勢とは、記録ヘッド2が印刷動作(別称、記録動作)を行う姿勢である。本実施形態の印刷姿勢は、噴射面部20aを媒体Sの噴射面部20aと対向する第1面S1と水平となるように配置した姿勢であり、噴射面部20aを水平面と平行となるように、すなわち、噴射面部20aを水平面に沿って配置した姿勢である。傾斜姿勢は、詳しくは後述するが、噴射面部20aを水平面に対して傾斜させた姿勢である。このような印刷姿勢と傾斜姿勢とは、保持部材3を移動する切替部35によって切り替えられる。記録ヘッド2の印刷姿勢、傾斜姿勢および切替部35についても詳しくは後述する。
液体貯留部4は、記録ヘッド2にインクを供給するためのインクを貯留するものであり、本実施形態では、装置本体7に固定されている。液体貯留部4は、例えば、インクタンクやインクカートリッジである。装置本体7に固定された液体貯留部4からのインクはチューブ等の供給管4aを介して記録ヘッド2に供給される。なお、供給管4aの途中には第1ポンプ4cが設けられており、液体貯留部4のインクは、第1ポンプ4cによって供給管4aを介して記録ヘッド2に圧送される。なお、第1ポンプ4cは、液体貯留部4からのインクを記録ヘッド2に向かって圧送する圧送機構の一例である。このような第1ポンプ4cは、例えば、チューブポンプやダイアフラムポンプなどが挙げられる。本実施形態では、第1ポンプ4cは、供給管4aの途中に設けられているが、第1ポンプ4cは、液体貯留部4に設けられていてもよい。また、圧送機構は、第1ポンプ4cに限定されず、例えば、液体貯留部4を外部から押圧することで液体貯留部4に貯留されたインクを加圧する押圧手段であってもよい。他にも、記録ヘッド2と液体貯留部4との重力方向の相対位置を調整して発生する水頭圧差を用いる装置を圧送機構として用いてもよい。
また、記録ヘッド2からのインクは、排出管4bを介して液体貯留部4に排出される。なお、排出管4bの途中には、第2ポンプ4dが設けられており、記録ヘッド2のインクは、第2ポンプ4dによって排出管4bを介して液体貯留部4に圧送される。なお、排出管4bは、液体貯留部4に接続されていなくてもよい。排出専用の容器等に接続して記録ヘッド2から排出されたインクを排出専用の容器等に排出するようにしてもよい。また、第2ポンプ4dは、記録ヘッド2からのインクを液体貯留部4に向かって圧送する圧送機構の一例である。このような第2ポンプ4dは、例えば、チューブポンプやダイアフラムポンプなどが挙げられる。本実施形態では、第2ポンプ4dは、排出管4bの途中に設けられているが、第2ポンプ4dは、液体貯留部4に設けられていてもよい。また、圧送機構は、第2ポンプ4dに限定されず、例えば、記録ヘッド2と液体貯留部4との重力方向の相対位置を調整して発生する水頭圧差を用いる装置を圧送機構として用いてもよい。
なお、液体貯留部4は、インクタンクやインクカートリッジ等のメインの液体貯留部と記録ヘッド2との間に配置され、メインの液体貯留部から供給されたインクを一時的に貯留するとともに供給管4aを介して記録ヘッド2へ液体を供給する中間タンク、所謂サブタンクであってもよい。また、このサブタンクは、排出管4bを介して記録ヘッド2から排出された液体を回収する構成であってもよい。
なお、記録ヘッド2が液体貯留部4を具備する態様、例えば、記録ヘッド2の噴射面部20aとは反対側に液体貯留部4を搭載するようにしてもよい。
搬送機構5は、本実施形態では、媒体Sのインク滴が着弾する第1面S1が水平方向となるように、媒体SをY軸に沿って搬送する「搬送部」である。搬送機構5は、第1搬送機構8と第2搬送機構9とを有する。
第1搬送機構8は、記録ヘッド2に対して媒体Sの搬送方向の上流側、本実施形態では、-Y方向に配置されている。第1搬送機構8は、第1搬送ローラー81と、第1搬送ローラー81に従動する第1従動ローラー82と、を具備する。第1搬送ローラー81は、媒体Sのインクが着弾する第1面S1とは反対の第2面S2側に設けられており、第1駆動モーター83の駆動力によって駆動される。また、第1従動ローラー82は、媒体Sのインクが着弾する第1面S1側に設けられており、第1搬送ローラー81との間で媒体Sを挟持する。このような第1従動ローラー82は、図示しないばね等の付勢部材によって媒体Sを第1搬送ローラー81側に向かって押圧している。
第2搬送機構9は、記録ヘッド2に対して媒体Sの搬送方向の下流側、本実施形態では、+Y方向に配置されており、搬送ベルト91、第2駆動モーター92、第2搬送ローラー93、第2従動ローラー94、テンションローラー95、付勢部材96及び押さえローラー97を具備する。
第2搬送機構9の第2搬送ローラー93は、第2駆動モーター92の駆動力によって駆動される。搬送ベルト91は、無端ベルトからなり、第2搬送ローラー93と第2従動ローラー94との外周に掛けられている。このような搬送ベルト91は、媒体Sの第2面S2側に設けられている。テンションローラー95は、第2搬送ローラー93と第2従動ローラー94との間に設けられて、搬送ベルト91の内周面に接触し、ばね等の付勢部材96の付勢力によって搬送ベルト91に張力を付与している。これにより、搬送ベルト91の外周面は、第2搬送ローラー93と第2従動ローラー94との間で記録ヘッド2に対向する部分が平坦となるように配置される。
第2搬送機構9の押さえローラー97は、媒体Sの-Z方向側において記録ヘッド2の+Y方向および-Y方向のそれぞれに1つずつ設けられている。この2つの押さえローラー97と搬送ベルト91との間で媒体Sを挟持することで、媒体Sの姿勢を平坦に保っている。
また、インクジェット式記録装置1には、記録ヘッド2の噴射面部20aを払拭する払拭部材6を有する払拭機構10が設けられている。なお、払拭機構10および払拭動作については詳しくは後述する。
図3は、インクジェット式記録ヘッド2の分解斜視図である。図4は、記録ヘッド2の噴射面部20a側の平面図である。図5は、流路部材40の概略構成を示す断面図である。以下、記録ヘッド2が印刷姿勢である状態で、3つの空間軸X軸、Y軸およびZ軸に基づいて説明する。
本実施形態の記録ヘッド2は、印刷姿勢において媒体Sの搬送方向であるY軸と交差するX軸において、媒体SのX軸に沿った幅を覆うように延在するラインヘッドである。ここで、本実施形態の記録ヘッド2は、長手方向をL方向、短手方向をW方向とする。このL方向とW方向とは、ノズル101から噴射されるインクの噴射方向である+H方向に対して直交する方向であり、互いに直交する方向である。つまり、L方向、W方向、+H方向は、互いに直交した方向である。また、矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。なお、L方向は、+L方向と-L方向とを区別しない場合に使用し、W方向は、+W方向と-W方向とを区別しない場合に使用する。そして、本実施形態の記録ヘッド2は、印刷姿勢において、長手方向である+L方向は、+X方向と一致し、短手方向である+W方向は、+Y方向と一致し、インクの噴射方向である+H方向は、+Z方向と一致する。
記録ヘッド2は、複数のヘッドユニット20と、複数のヘッドユニット20を保持するユニットベース30と、複数のヘッドユニット20に液体を供給する流路部材40と、を具備する。
ヘッドユニット20は、ユニットベース30の+H方向側、すなわち、媒体Sの第1面S1に対向する面側に保持されている。また、複数のヘッドユニット20は、記録ヘッド2の長手方向である+L方向に5個並べて配置されている。つまり、複数のヘッドユニット20が並ぶ方向は、記録ヘッド2の長手方向と一致する。もちろん、1つのユニットベース30に固定されるヘッドユニット20の数は、特にこれに限定されず、1個であってもよく、2個以上の複数個であってもよい。
各ヘッドユニット20は、複数のヘッドチップ100と、ヘッドチップ100に供給されるインクの流路を有する流路ユニット110と、複数のヘッドチップ100を保持するホルダー120と、複数のヘッドチップ100の噴射面部20a側に設けられた固定板130と、を具備する。また、各ヘッドユニット20は、1つの噴射面部20aを有する。
本実施形態では、1つのヘッドユニット20に6個のヘッドチップ100が設けられている。6個のヘッドチップ100は、記録ヘッド2の長手方向である+L方向に沿って並設されている。なお、ヘッドチップ100の数は、特にこれに限定されず、1個であってもよく、2個以上の複数であってもよい。
各ヘッドチップ100には、+H方向側にインク滴を噴射する複数のノズル101が並設されたノズル列102が設けられている。複数のノズル101は、ヘッドチップ100の+H方向側を構成するノズルプレート103に設けられている。本実施形態では、1個のヘッドチップ100には、2個のノズル列102が設けられている。このヘッドチップ100のノズルプレート103のうち+H方向を向く面は、噴射面部20aの一部を構成する。
また、各ヘッドチップ100の図示しない内部には、ノズル101に連通する圧力室を含む流路と、圧力室内のインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、が設けられている。圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの変形によって流路の容積を変化させて流路内のインクに圧力変化を生じさてノズル101からインク滴を噴射させるものを使用することができる。また、その他の圧力発生手段としては、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル101からインク滴を噴射させるものや、振動板と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル101からインク滴を噴射させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
流路ユニット110には、流路が設けられている。流路ユニット110の流路としては、各ヘッドチップ100にインクを供給する供給路111と、流路ユニット110の供給路111から供給されたインクを外部に流出する流出路112と、が設けられている。供給路111の途中には、特に図示していないが、流路を通過するインクに含まれるゴミや気泡などの異物を捕捉するためのフィルターが設けられていてもよい。例えば、流路ユニット110の供給路111の途中にフィルターが配置されたフィルター室を有する場合、流出路112は、フィルター室と外部とを連通するように設けられていればよい。これにより、フィルターによって捕捉されたゴミや気泡などの異物を、流出路112を介して流路ユニット110の外部に排出することができる。もちろん、流出路112は、フィルター室に連通するものに限定されず、ヘッドチップ100に排出口を有する場合、この排出口と連通して流路ユニット110の外部に流出するようにすればよい。
このような供給路111および流出路112は、インクの色の数に応じて複数組設けられている。本実施形態では、4色のインクを用いるため、1つの流路ユニット110には、供給路111および流出路112の組が4組設けられている。
流路ユニット110の供給路111は、一端がヘッドチップ100側である+H方向の面に開口して設けられている。
ホルダー120は、+H方向側に溝状の空間を形成する保持部121を有する。保持部121は、ホルダー120の+H方向側の面に、+L方向に亘って連続して設けられることで、+L方向及び-L方向の両側面に開口して設けられている。ホルダー120の保持部121内に、複数のヘッドチップ100が+L方向に並設されており、接着剤などによって固定されている。上述のように本実施形態では1つのホルダー120に6個のヘッドチップ100が固定されている。
また、ホルダー120の図示しない内部には、流路ユニット110の供給路111に連通する流路が設けられている。本実施形態では、供給路111は4個設けられているため、ホルダー120の内部には、4個の流路が独立して設けられている。また、ホルダー120の内部に設けられた各流路は、途中でヘッドチップ100の個数に対応した数、本実施形態で、6個に分岐されている。そしてホルダー120の内部に設けられた各流路の6個に分岐された他端は、ホルダー120の保持部121の底面、すなわち、+H方向側の面に開口して設けられており、ヘッドチップ100の流路と連通する。
複数のヘッドチップ100は、噴射面部20aの面内方向において、記録ヘッド2の短手方向である+W方向に対してノズル列102が傾斜するように固定されている。すなわち、ノズル列102を構成する複数のノズル101の並設方向、所謂ノズル列方向である+Wa方向は、+W方向に対して傾斜している。つまり、複数のノズル101は、+Wa方向と、+Wa方向に交差する+L方向とで規定されるLWa平面上に+Wa方向に沿って配置されている。また、本実施形態における1つのノズル列102は、+Wa方向において2分割されており、1つのヘッドチップ100から4種類のインクを噴射することができる。
固定板130は、図3および図4に示すように、金属等の板状部材を折り曲げることで形成されたものであり、固定板130には、各ヘッドチップ100のノズル101を露出するための貫通孔である露出開口部131が設けられている。本実施形態では、露出開口部131は、ヘッドチップ100毎に独立して開口するように設けられている。すなわち、本実施形態のヘッドユニット20は、6個のヘッドチップ100を有するため、固定板130には6個の独立した露出開口部131が設けられている。
固定板130は、ホルダー120及び複数のヘッドチップ100に接着剤を介して接合されている。そして、固定板130がホルダー120に接合された状態では、噴射面部20aに向かって平面視した際に、各露出開口部131から各ヘッドチップ100のノズルプレート103が露出している。なお、噴射面部20aに向かって平面視した際に、各露出開口部131から各ヘッドチップ100の複数のノズル101が少なくとも露出されていればよく、各露出開口部131から各ヘッドチップ100のノズルプレート103の一部が露出されていてもよい。また、固定板130の露出開口部131が開口する+H方向側の面は、噴射面部20aの一部を構成する。つまり、本実施形態の噴射面部20aは、ヘッドチップ100のノズル101が開口して露出開口部131によって露出された面と、固定板130の露出開口部131が開口する+H方向を向く面と、を含む。つまり、ヘッドユニット20の噴射面部20aとは、媒体Sに対向してノズル101が開口する面と、この面よりも媒体S側に位置する面と、を含む。また、噴射面部20aは、媒体Sに対向してノズル101が開口する面を含むものであり、ヘッドユニット20の媒体Sに対向する面のうちインク滴の噴射によって、インクが付着する面のことを含む。さらに、噴射面部20aは、払拭部材6によって払拭される面のことを含む。なお、噴射面部20aは、ノズルプレート103のノズル101が開口する面と、固定板130の+H方向を向く面とで構成されたものに限定されず、ノズルプレート103のノズル101が開口する面のみで構成されていてもよい。また、ノズル101とは、圧力発生手段の駆動によって生じる圧力室内の圧力変化によって噴射されるインクのメニスカスを形成する開口を含む流路である。
このようなヘッドユニット20が、ユニットベース30の+H方向側に複数、本実施形態では、5個保持されている。ここで、複数のヘッドユニット20は、互いに+L方向に隙間21を空けた状態でユニットベース30に固定されている。つまり、+L方向で互いに隣り合うヘッドユニット20の間には、隙間21が形成されている。すなわち、記録ヘッド2の噴射面部20aは、+L方向に亘って連続しておらず、+L方向に沿って隙間21を空けて配置されている。このような複数の噴射面部20aの集合体によって「記録ヘッド2の噴射面100a」は構成されている。ここで、「記録ヘッド2の噴射面100a」とは、本実施形態では、噴射面部20aの法線方向である-H方向に見た平面視において、複数の噴射面部20aと隙間21とによって構成された部分である。図4の一点鎖線は、噴射面100aに向かって平面視したときの噴射面100aの外形100Eを示している。つまり、記録ヘッド2の噴射面100aの外形100Eは、本実施形態のように複数のヘッドユニット20の噴射面部20aによって噴射面100aが構成されている場合には、隙間21を含んでいてもよい。もちろん、記録ヘッド2の噴射面100aが1つのヘッドユニット20の噴射面部20aによって構成される場合には、記録ヘッド2の噴射面100aが、1つのヘッドユニットの噴射面部20aに対応する。また、複数の噴射面部20aが隙間21を空けずに配置されている場合には、「記録ヘッド2の噴射面100a」は、複数の噴射面部20aのみで構成される。
本実施形態の記録ヘッド2の噴射面100aの外形100Eは、4つの縁部100A、100B、100C及び100Dによって構成されている。縁部100Aは、-L方向側に位置し、+Wa方向に沿って延在する直線状の辺である。縁部100Bは、+L方向側に位置し、+Wa方向に沿って延在する直線状の辺である。縁部100Cは、+W方向側に位置し、L方向に沿って延在する直線状の辺である。縁部100Dは、-W方向側に位置し、L方向に沿って延在する直線状の辺である。また、縁部100Aと縁部100Bとは、記録ヘッド2の長手方向であるL方向に関して対向しており、縁部100Cと縁部100Dとは、記録ヘッド2の短手方向であるW方向に関して対向している。なお、縁部100A、100Bは、+Wa方向ではなく記録ヘッド2の短手方向であるW方向に沿って延在していてもよい。また、縁部100Cおよび縁部100Dは、L方向に沿って延在する直線上の辺であるため、縁部100Aおよび縁部100Bの方が、縁部100Cおよび縁部100Dに比べて短い。
流路部材40は、ユニットベース30の-H方向の面に固定されたものであり、各ヘッドユニット20に連通する流路が設けられている。
本実施形態の流路部材40は、複数の部材が+H方向に積層されて構成されている。本実施形態では、流路部材40は、第1流路部材41と第2流路部材42と第3流路部材43とが+H方向に向かってこの順に積層されている。
このような流路部材40には、液体貯留部4からのインクが供給される導入路44と、外部に液体を排出する排出路45と、が設けられている。なお、図5では、1つの導入路44と1つの排出路45とを例示しているが、導入路44と排出路45とは、それぞれインクの各色に対応して少なくとも1つずつ設けられている。本実施形態の記録ヘッド2は、4色のインクを使用するため、導入路44と排出路45とはそれぞれ4つずつ設けられている。
導入路44は、流路部材40の内部で分岐されて複数のヘッドユニット20にインクを供給する。導入路44は、第1導入流路部441と第2導入流路部442と第3導入流路部443と、を具備する。
第1導入流路部441は、一端が流路部材40の-H方向の面から-H方向に向けて突出して設けられた導入部46の先端に開口して設けられている。また、第1導入流路部441は、第1流路部材41を+H方向に沿って貫通して設けられている。導入部46には、供給管4aが接続されて、液体貯留部4からのインクが供給管4aを介して第1導入流路部441に供給される。なお、導入部46は、流路部材40の+L方向の端部近傍に設けられている。
なお、導入部46は、供給管4aと接続される接続部であり、上述した筒状のものに限定されない。導入部46は、例えば、先端が先尖された針状、または筒状や針状のものが挿入される凹形状の開口などであってもよい。
第2導入流路部442は、一端が第1導入流路部441に接続されて、第1流路部材41と第2流路部材42との界面に+H方向に直交する方向に沿って設けられている。第2導入流路部442は、複数のヘッドユニット20の並び方向である+L方向に沿って設けられている。
第3導入流路部443は、第2導入流路部442に一端が接続され、他端が流路部材40の+H方向の面に開口するように、第2流路部材42と第3流路部材43とを+H方向に沿って貫通して設けられている。また、第3導入流路部443は、1つの第2導入流路部442に対して複数、本実施形態では、ヘッドユニット20と同じ数である5個設けられている。
排出路45は、複数のヘッドユニット20から排出されたインクを外部に排出する。排出路45は、第1排出流路部451と第2排出流路部452と第3排出流路部453とを具備する。
第1排出流路部451は、一端が流路部材40の-H方向の面から-H方向に向かって突出して設けられた排出部47の先端に開口して設けられている。また、第1排出流路部451は、第1流路部材41および第2流路部材42を+H方向に沿って貫通して設けられている。排出部47には、排出管4bが接続されて、記録ヘッド2からのインクは液体貯留部4に向かって流出される。
なお、排出部47は、記録ヘッド2が傾斜姿勢となった際に、重力方向に関して上端となる部分、つまり最も-Z方向となる部分に設けられている。ここで、記録ヘッド2の傾斜姿勢は、詳しくは後述するが、-L方向の端部2aが+L方向の端部2bよりも-Z方向に位置する姿勢である。そして、「記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して上端となる部分」とは、流路部材40を+L方向に沿って2分割した際の上端を含む部分、つまり、最も-L方向に位置する部分のことを含む。つまり、流路部材40を+L方向に沿って2分割した領域を+L方向に向かって順番にL1/2、L2/2とした場合に、上述の上端となる部分は、L1/2であることを含む。
また、「記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して上端となる部分」とは、記録ヘッド2を長手方向である+L方向に3分割した際の最も-L方向に位置する部分であることが好ましい。つまり、流路部材40を+L方向に沿って3分割した領域を+L方向に向かって順番にL1/3、L2/3、L3/3とした場合に、上述の上端となる部分はL1/3であることが好ましい。
また、「記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して上端となる部分」とは、記録ヘッド2を長手方向に4分割した際の最も-L方向に位置する部分であることが好ましい。つまり、流路部材40を+L方向に沿って4分割して+L方向に向かって順番にL1/4、L2/4、L3/4、L4/4とした場合に、上端となる部分はL1/4であることが好ましい。
また、「記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して上端となる部分」とは、記録ヘッド2を長手方向に5分割した際の最も-L方向に位置する部分であることが好ましい。つまり、流路部材40を+L方向に沿って5分割して+L方向に向かって順番にL1/5、L2/5、L3/5、L4/5、L5/5とした場合に、上端となる部分はL1/5であることがより好ましい。
さらに、「記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して上端となる部分」とは、噴射面100aの法線方向、つまり+H方向又は-H方向に見た平面視において、傾斜姿勢で最も上方に位置するヘッドユニット20と重複する部分、または、ヘッドユニット20よりも記録ヘッド2の上端側に配置されている領域のことを含む。つまり、図4に示すように、噴射面100aに向かって見た平面視において、ヘッドユニット20を+L方向に順番にヘッドユニット20A、20B、20C、20D、20Eとした場合、「記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して上端となる部分」とは、噴射面100aに向かって見た平面視において、最も-L方向に位置するヘッドユニット20Aに重複する部分、または、図4中に破線で囲んだハッチングで示す部分2cに重複する部分を含む。ここで、記録ヘッド2の部分2cとは、記録ヘッド2を噴射面100aに向かって見た平面視において、ヘッドユニット20Aよりも-L方向側の部分のことであり、本実施形態では、ユニットベース30の一部である。つまり、部分2cは、記録ヘッド2を噴射面100aに向かって見た平面視において、記録ヘッド2の噴射面100aよりも-L方向側の部分のことである。もちろん、部分2cは、流路部材40の一部であってもよい。
これに対して、導入部46が設けられる位置は、特に限定されず、本実施形態では、記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して下端となる部分に設けられている。つまり、記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して下端となる部分とは、上述した流路部材40のL2/2の部分であることを含み、L3/3の部分であることが好ましく、L4/4の部分であることがさらに好ましく、L5/5の部分であることがより好適である。さらに、記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して下端となる部分とは、噴射面100aの法線方向、つまり+H方向又は-H方向に見た平面視において、傾斜姿勢で最も下方に位置するヘッドユニット20と重複する部分、または、ヘッドユニット20よりも記録ヘッド2の下端側に配置されている領域のことを含む。つまり、図4に示すように、記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して下端となる部分とは、噴射面100aに向かって見た平面視において、最も+L方向に位置するヘッドユニット20Eに重複する部分、または、図4中に破線で囲んだハッチングで示す部分2dに重複する部分を含む。ここで、記録ヘッド2の部分2dとは、記録ヘッド2を噴射面100aに向かって見た平面視において、ヘッドユニット20Eよりも+L方向側の部分のことであり、本実施形態では、ユニットベース30の一部である。つまり、部分2dは、記録ヘッド2を噴射面100aに向かって見た平面視において、記録ヘッド2の噴射面100aよりも+L方向側の部分のことである。なお、部分2dは、流路部材40の一部であってもよい。もちろん、導入部46は、排出部47と同様に、記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して上端となる部分に設けるようにしてもよく、上端および下端以外の中央部に設けるようにしてもよい。ただし、導入部46を下端に設け、排出部47を上端に設けることで、導入部46と排出部47とを離れた位置に配置して、導入路44および排出路45の取り回しを容易に行うことができる。
なお、排出部47は、排出管4bと接続される接続部であり、上述した筒状のものに限定されない。排出部47は、例えば、先端が先尖された針状、または筒状や針状のものが挿入される凹形状の開口などであってもよい。
第2排出流路部452は、一端が第1排出流路部451に接続されて、第2流路部材42と第3流路部材43との界面に+H方向に直交する方向に沿って設けられている。第2排出流路部452は、複数のヘッドユニット20の並び方向である+L方向に沿って設けられている。つまり、第2排出流路部452は、記録ヘッド2の長手方向である+L方向に長尺な流路である。本実施形態では、第2導入流路部442を第1流路部材41と第2流路部材42との界面に設け、第2排出流路部452を第2流路部材42と第3流路部材43との界面に設けることで、第2導入流路部442と第2排出流路部452とが互いに干渉し難いようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第2導入流路部442を第2流路部材42と第3流路部材43との界面に設け、第2排出流路部452を第1流路部材41と第2流路部材42との界面に設けるようにしてもよく、また、第2導入流路部442と第2排出流路部452とは、一部または全部が同じ界面に設けられていてもよい。
第3排出流路部453は、第2排出流路部452に一端が接続され、他端が流路部材40の+H方向の面に開口するように、第3流路部材43を+H方向に沿って貫通して設けられている。また、第3排出流路部453は、1つの第2排出流路部452に対して複数、本実施形態では、ヘッドユニット20と同じ数である5個設けられている。つまり、複数の第3排出流路部453は、複数のヘッドユニット20のそれぞれに連通している。
以上の通り、第2排出流路部452は、複数のヘッドユニット20のそれぞれと連通する複数の第3排出流路部453と連通しており、複数の第3排出流路部453を介して排出されたインクを合流させる流路である。また、第2排出流路部452は、記録ヘッド2の長手方向に長尺な流路である。したがって、第2排出流路部452は、「記録ヘッド2の長手方向に長尺な流路であり複数のヘッドユニット20と連通する共通流路」に相当する。
このような流路部材40では、液体貯留部4からのインクは、供給管4aを介して導入路44に供給されて各ヘッドユニット20に供給される。また、各ヘッドユニット20から排出されたインクは、排出路45を介して排出管4bを経由して液体貯留部4に戻される。つまり、記録ヘッド2と液体貯留部4との間でインクの循環が行われる。
また、流路部材40の導入路44および排出路45は、インクの色の数に応じて複数組設けられている。本実施形態では、特に図示していないが、4色のインクを用いるため、1つの流路部材40には、導入路44および排出路45の組が4組設けられている。
図6は、印刷姿勢の記録ヘッド2、保持部材3および切替部35を示す側面図である。図7は、傾斜姿勢の記録ヘッド2、保持部材3および切替部35を示す側面図である。
図6および図7に示すように、記録ヘッド2を保持する保持部材3は、記録ヘッド2を収容する空間である収容部31が設けられた箱形状を有する。収容部31の-H方向の開口は、記録ヘッド2を+H方向に平面視した外周よりも大きな面積で設けられており、収容部31には-H方向の開口から+H方向に向かって記録ヘッド2が挿入されて収容される。収容部31の+H方向には、記録ヘッド2を+H方向に平面視した外周よりも小さな面積で開口し、噴射面100aを露出する開口である開口部32が設けられている。開口部32は、複数、本実施形態では、5個のヘッドユニット20を露出する大きさで1個設けられている。この開口部32によって記録ヘッド2の噴射面100aは、保持部材3の+H方向の面に露出される。
また、保持部材3は、+L方向の端部に+L方向に向かって突出して設けられた第1庇部33と、-L方向の端部に-L方向に向かって突出して設けられた第2庇部34と、を有する。
第1庇部33は、装置本体7に支持され、第2庇部34は切替部35によって支持されている。ここで切替部35は、装置本体7に回転可能に保持された回転軸36と、回転軸36に固定された偏心カム37と、回転軸36を中心として回転駆動させるモーター等の駆動部38と、を具備する。
偏心カム37は、回転軸36に固定された回転中心が偏心した位置に配置されたカムである。
この偏心カム37に、保持部材3の第2庇部34の+H方向側の面が接触するようになっている。そして、駆動部38が回転軸36を回転させることで、偏心カム37を回転させて、偏心カム37と第2庇部34とが接触する位置をZ軸に沿って移動させる。これにより、保持部材3は、第1庇部33が装置本体7に支持された部分を中心としてZY平面内を回転移動する。
なお、本実施形態では、切替部35として、第2庇部34に当接する偏心カム37等を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1庇部33にも偏心カム等を設けて、2つの偏心カムによって記録ヘッド2の姿勢を切り替えるようにしてもよい。
ここで、このような切替部35によって切り替えられる記録ヘッド2の印刷姿勢と傾斜姿勢とについて、さらに図8および図9を参照して説明する。図8は、傾斜姿勢の噴射面100aと水平面HPとの関係を模式的に示す図である。図9は、比較の姿勢の噴射面100aと水平面HPとの関係を模式的に示す図である。なお、本実施形態の記録ヘッド2の噴射面100aは複数の噴射面部20aと隙間21とで構成されているが、図8および図9では、噴射面100aは模式的に1つの面として示している。また、図8および図9において、水平面HPに対して傾斜した状態の噴射面100aを実線で示し、水平面HPと平行な状態の噴射面100aを破線で示している。
記録ヘッド2の印刷姿勢は、媒体Sにインクを噴射することで記録動作を行う際の記録ヘッド2の姿勢であり、図6に示すように、噴射面100aが媒体Sの第1面S1に対して平行となる姿勢である。本実施形態では、媒体Sの第1面S1は水平面と平行に配置されている。このため、本実施形態の記録ヘッド2の印刷姿勢は、噴射面100aが水平面と平行に配置された姿勢である。
記録ヘッド2の傾斜姿勢は、図7および図8に示すように、傾斜した噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向に交差する姿勢である。ここで基準となる記録ヘッド2の長手方向である+L方向は、破線で示す噴射面100aが水平面HPと平行となる水平姿勢、本実施形態では、印刷姿勢における長手方向である+L方向であってもよく、実線で示す噴射面100aが傾斜した傾斜姿勢における長手方向である+L方向であってもよい。つまり、記録ヘッド2が水平姿勢の場合、記録ヘッド2の長手方向である+L方向は、+X方向と一致する。このため、傾斜姿勢では、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、+X方向と交差していればよい。また、記録ヘッド2が傾斜姿勢の場合、記録ヘッド2の長手方向である+L方向は、+X方向とは異なる方向である。記録ヘッド2の長手方向である+L方向が、何れの姿勢であっても、記録ヘッド2の噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向と交差していればよい。つまり、記録ヘッド2の傾斜姿勢は、噴射面100aの-L方向の縁部100Aが、+L方向の縁部100Bよりも重力方向の上方、つまり-Z方向に位置するような傾斜姿勢となっている。
すなわち、記録ヘッド2の噴射面100aは、噴射面100aを水平面HPに揃えた図8中に破線で示す姿勢から、記録ヘッド2の短手方向である+W方向に沿った仮想的な回転軸を中心に回転した図8中に実線で示す姿勢となっている。つまり、記録ヘッド2の傾斜姿勢は、記録ヘッド2の-L方向の端部2aが、+L方向の端部2bよりも重力方向の上方、つまり、-Z方向に位置するような姿勢となっている。ここで、記録ヘッド2の端部2a、2bとは、記録ヘッド2を噴射面100aに向かって見た平面視において、記録ヘッド2のL方向に沿った両端部のことであり、本実施形態では、ユニットベース30の端部のことである。ユニットベース30の-L方向の端部を端部2aと称し、+L方向の端部を端部2bと称する。
言い換えると、媒体Sの搬送方向である+Y方向および重力方向である+Z方向と直交する方向を「第1方向」、本実施形態では、+X方向としたとき、傾斜姿勢は、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、「第1方向」である+X方向と交差する姿勢である。なお、搬送方向とは、媒体Sの第1面S1が噴射面100aに対向する位置での搬送方向である。例えば、ドラム状の支持部材である回転ドラム上を媒体Sが搬送される場合には、噴射面100aと平行となる位置での回転ドラム表面に対する接線の方向であればよい。
なお、記録ヘッド2の噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向と交差しているとは、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が記録ヘッド2の長手方向Lと交差していない、つまり、一致している状態を除く状態であることを言う。ここで、図9は、「傾斜した噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向と交差していない状態」を示している。つまり、図9は、記録ヘッド2の姿勢が、破線で示す噴射面100aを水平面HPに揃えた姿勢から、実線で示す記録ヘッド2の長手方向であるL方向に沿った仮想的な回転軸を中心に噴射面100aを回転させた姿勢である。記録ヘッド2の傾斜姿勢は、このような図9に示す姿勢を除く、水平面HPに対して噴射面100aが傾斜した姿勢のことを言う。なお、「記録ヘッド2の噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向と交差していない」とは、記録ヘッド2の姿勢が、噴射面100aを水平面HPに揃えた姿勢であることも含む。つまり、噴射面100aが水平面HPに平行な姿勢及びこのような図9に示す姿勢以外を記録ヘッド2の傾斜姿勢としている。
このような記録ヘッド2の傾斜姿勢では、噴射面100aのうち、重力方向に関して最も下方となる部分は、縁部100B側となっている。つまり、傾斜姿勢では、噴射面100aは、縁部100A側に比べて縁部100B側が重力方向に関して下方となっている。
また、記録ヘッド2の傾斜姿勢では、重力方向に関して最も下方となる部分は、図4に示す噴射面100aを構成する2つの辺の交点100bとなっている。2つの辺とは、前述した4つの縁部100A~100Dのうち傾斜姿勢において最も重力方向の下方に位置する縁部100Bと、縁部100Dとに相当する。これは、本実施形態の噴射面100aの外形100Eが、+H方向に平面視した際に平行四辺形を有し、この平行四辺形の噴射面100aの外形100Eのうち鋭角となる角部が、記録ヘッド2の傾斜姿勢において重力方向に関して最も下方となっているからである。つまり、交点100bは、噴射面100aの鋭角となる角部の頂点のことである。
また、交点100bは、記録ヘッド2が印刷姿勢であるとき、記録ヘッド2の長手方向であるL方向に関して、噴射面100aに対向する媒体Sよりも外側に位置する。つまり、交点100bは、記録ヘッド2の長手方向であるL方向、本実施形態ではX方向における媒体Sの紙幅Gが存在する領域よりも、外側に位置する。詳述すれば、印刷姿勢での交点100bは、媒体Sの+X方向の端部よりも、+X方向に位置する。そのため、詳しくは後述するが、交点100bに集めたインクが交点100bに残留していたとしても、交点100bに残留してしまったインクが媒体Sに付着してしまうことを低減することができる。
なお、図4では、媒体Sの紙幅Gが、記録ヘッド2の備える複数のノズル101のうち最も+L方向に配置されたノズル101と最も-L方向に配置されたノズル101との距離と一致している構成を例示しているが、これには限られない。例えば、媒体Sの紙幅Gの+X方向側の端部が、X方向に関して、最も+L方向に位置するノズル101よりも外側に位置していてもよい。このような構成であっても、媒体Sの+X方向側の端部が、X方向に関して、交点100bよりも内側、換言すれば印刷姿勢での交点100bよりも-X方向に位置していてもよい。この場合でも、交点100bに残留してしまったインクが媒体Sに付着してしまうことを低減することができる。
このような記録ヘッド2の傾斜姿勢は、例えば、噴射面100aの払拭、加圧クリーニング、循環クリーニングなどのメンテナンス時に用いられる。また、印刷の待機時、つまり、印刷途中のインク滴を噴射しない合間や、印刷を開始するまで待機している状態で、記録ヘッド2は傾斜姿勢をとるようにしてもよい。つまり、「記録ヘッド2が傾斜姿勢で使用される」とは、前述のメンテナンス時および印刷の待機時に加えて、印刷時も含めて、常に記録ヘッド2が傾斜姿勢で使用されていなくてもよいことを意味する。
図10は、払拭部材6および払拭機構10の払拭動作を示す平面図である。図11は、払拭部材6および払拭機構10の払拭動作を示す側面図である。
図示するように、払拭機構10は、払拭部材6と、支持部材11と、軸部12と、を具備する。
払拭部材6は、板状を有するゴムやエラストマー等の弾性材料で形成されている。このような払拭部材6は、噴射面100a側の一端が自由端となるように反対側の他端が支持部材11に支持されている。
また、払拭部材6は、噴射面100aの面内方向、すなわち、LW平面において、ノズル列102の延在方向である+Wa方向に沿って面方向が傾斜して配置されている。つまり、払拭部材6の一端は、ノズル列102の延在方向である+Wa方向に沿って噴射面100aに接するようになっている。
軸部12は、傾斜姿勢の記録ヘッド2の噴射面100aと平行となる方向が軸方向となるように配置されている。本実施形態では、軸部12の延在方向である軸方向は、傾斜姿勢での記録ヘッド2の長手方向であるL方向に一致する。支持部材11は、軸部12の軸方向に沿って移動可能に軸支されている。これにより、記録ヘッド2の傾斜姿勢において、払拭部材6および支持部材11が軸部12に沿って移動することで払拭部材6が噴射面100aと平行移動して噴射面100aを払拭する。
また、払拭部材6による払拭は、傾斜姿勢の記録ヘッド2に対して、噴射面100aの面内方向に沿って重力方向の下側に向けて、すなわち、+Z方向に向けて移動しながら払拭部材6で払拭する。つまり、払拭部材6は、噴射面100aの-Z方向に位置する、すなわち-L方向に位置する縁部100Aから、噴射面100aの+Z方向に位置する、すなわち+L方向に位置する縁部100Bに向かって移動しながら払拭する。
なお、支持部材11を軸部12の軸方向に沿って移動させる移動機構は、特に図示していないが、例えば、駆動モーターの駆動力を複数の歯車およびタイミングベルトを介して支持部材11に伝達させる構成を用いることができる。また、本実施形態では、払拭部材6を噴射面100aと平行に移動させることで、払拭部材6によって噴射面100aを払拭するようにしたが、特にこれに限定されず、記録ヘッド2を払拭部材6に対して噴射面100aの面方向に沿って移動することで、払拭部材6で噴射面100aを払拭するようにしてもよい。もちろん、払拭部材6と記録ヘッド2との両方を移動することで払拭部材6が噴射面100aを払拭してもよい。つまり、払拭部材6と記録ヘッド2とは、相対移動することで、払拭部材6によって噴射面100aを払拭すればよい。
また、払拭機構10は、特に図示していないが、払拭動作を行う際に払拭部材6が噴射面100aを払拭できる位置に移動し、印刷時には印刷の邪魔にならない位置に移動するようになっている。また、払拭動作時に払拭機構10を払拭可能な位置に移動するのではなく、記録ヘッド2を払拭機構10に対して払拭可能な位置に移動するようにしてもよい。
また、本実施形態では、払拭部材6として弾性部材を用いるようにしたが、特にこれに限定されず、不織布等のシート状の払拭部材により払拭する構成のもの等、周知の種々の構成のものを採用することができる。
さらに、本実施形態では、払拭部材6を、傾斜姿勢の記録ヘッド2に対して、噴射面100aの面内方向に沿って重力方向の下側に向けて、すなわち、+L方向に向けて移動することで、噴射面100aを払拭するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、払拭部材6を傾斜姿勢の記録ヘッド2に対して、噴射面100aの面内方向に沿って短手方向である+W方向に向けて移動して噴射面100aを払拭するようにしてもよい。
循環クリーニングは、排出路45からインクを外部に排出させる動作を含むものである。図12は、循環クリーニング時の記録ヘッド2の要部断面図である。本実施形態の循環クリーニングは、図12に示すように、導入路44からインクを導入して、各ヘッドユニット20にインクを供給し、各ヘッドユニット20からのインクを排出路45から外部に排出させる動作である。このような循環クリーニングを行うことで、流路内の気泡aを外部に排出させることができる。そして、本実施形態では、循環クリーニングを記録ヘッド2の傾斜姿勢で行うことで、共通流路である第2排出流路部452内の気泡aを浮力によって排出部47側に移動させて、排出部47からの気泡aを排出し易く、すなわち、気泡排出性を向上することができる。循環クリーニングは、例えば、排出管4bの途中に設けられた第2ポンプ4dを駆動することで、記録ヘッド2から液体貯留部4へ向かうインクの流れを発生させればよい。もちろん、循環クリーニングは、印刷姿勢で行うようにしてもよい。
加圧クリーニングは、前述した不図示の圧力室よりも上流のインクを、前述した圧力室に圧力を発生させる圧力発生手段とは異なる加圧部Vによって加圧することで、ノズル101からインクを排出させる動作を含むものである。本実施形態の加圧部Vは、図1に示すように供給管4aの途中に設けられた第1ポンプ4cである。また、加圧部Vは、供給管4aではなく、液体貯留部4に設けられていてもよいし、圧力室よりも上流であれば記録ヘッド2の内部に設けられていても構わない。また、加圧部Vは、第1ポンプ4cとは別に設けるようにしてもよい。
これらの払拭動作や加圧クリーニングなどのメンテナンスは、記録ヘッド2を傾斜姿勢にした状態で行う。ここで、記録ヘッド2を水平面HPに対して傾斜姿勢とすることで、図7に示すように、インクiが噴射面100aに付着した際に、噴射面100aに付着したインクiをその自重によって重力方向の下方、つまり、+Z方向に位置する縁部100Bに向かって移動させて、噴射面100aに付着したインクiを縁部100Bに集めることができる。このように噴射面100aの全面に比べて縁部100Bという狭い範囲にインクiを集めることによって、縁部100Bに集めたインクiで大きな液滴を形成することができ、液滴の自重によって縁部100Bの重力方向の下方に落下させることができる。これに対して、噴射面100aが水平面HPに平行な状態では、噴射面100aに付着したインクiには、噴射面100aの法線方向に重力が働くため、インクiは噴射面100aに沿って移動し難い。このため噴射面100aが水平面HPに平行な状態では噴射面100aに全面に亘って付着したインクiを集めることができず、噴射面100aの全面に亘ってインクiが散らばった状態で残留し易い。このように噴射面100aの全面に亘って散らばった状態で残留したインクiは液滴が比較的小さく、本実施形態の記録ヘッド2の傾斜姿勢の場合に比べて噴射面100aから落下し難いため、噴射面100aの全面に残留するインクiの総量が増大してしまう。つまり、本実施形態では、記録ヘッド2を傾斜姿勢とすることで、噴射面100aのインクiを縁部100Bに集めて、縁部100Bで大きな液滴を形成して液滴を落下させることで、噴射面100aを水平姿勢にした場合に比べて、噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減することができると共に、噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができる。
なお、噴射面100aへのインクiの付着は、例えば、印刷時にインク滴を噴射する際に発生したミストによるものや、上述した加圧クリーニングによるものなどが挙げられる。また、特に図示していないが、ノズル101を覆うキャップを噴射面100aに当接させて、キャップ内を負圧にすることでノズル101からインクを吸引する、所謂、吸引クリーニングによっても噴射面100aにインクiは付着する。どのような動作によって噴射面100aにインクiが付着しても、記録ヘッド1を傾斜姿勢とすることで、噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減すると共に、噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができる。
このように、メンテナンス時に記録ヘッド2を傾斜姿勢にして、インク滴を落下させることで、予期せぬタイミングや予期せぬ場所にインクiが落下するのを抑制することができ、媒体Sやインクジェット式記録装置1の内部が落下したインクiによって汚れるのを抑制することができる。
そして、記録ヘッド2を傾斜姿勢にして噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減すると共に残留するインクiの総量を低減することで、その後に印刷を行った際に発生したミストが噴射面100aに付着しても、噴射面100a上のインクiの液滴が大きく成長し難い。したがって、インク滴の噴射によって発生したミストによって噴射面100aに付着したインクiのメニスカスが大きく成長するのを抑制して、噴射面100a上のインクiが媒体Sに付着し難くすることができる。また、噴射面100aに付着したインクiの液滴が大きく成長するのを抑制することができるため、噴射面100aからインクiが予期せぬタイミングで予期せぬ位置に落下するのを抑制することができる。
これに対して、噴射面100aが水平面と平行な状態では、印刷時に発生したミストや加圧クリーニングによって排出したインクiが噴射面100aの全面に亘って散在すると共に、噴射面100aに残留するインクiの総量が増大する。このため、噴射面100aに付着した液滴のメニスカスが大きくなって媒体Sに付着することや、成長した液滴が予期せぬタイミングで、噴射面100aに重力方向の下方で対向する範囲内の予期せぬ場所に落下するなどして、媒体Sやインクジェット式記録装置1の内部を汚してしまう虞がある。本実施形態では、記録ヘッド1を傾斜姿勢にしたタイミングで、噴射面100aに付着したインクiを縁部100Bに集めて、縁部100Bの重力方向の下方にインクiを落下させることができるため、予期せぬタイミングや予期せぬ場所にインクiが落下するのを抑制することができる。
また、記録ヘッド2を傾斜姿勢にすることで、噴射面100aの全面に亘ってインクiが散在するのを低減することができるため、媒体Sが噴射面100aに接触した際に噴射面100aに残留したインクiが媒体Sに付着し難く、媒体Sを汚し難い。特に縁部100Bが存在する範囲は、媒体Sの紙幅Gに対して狭い範囲であるため、縁部100Bにインクiが残留したとしても、媒体Sにインクiは付着し難い。ちなみに、噴射面100aが水平面HPに平行な状態では、噴射面100aの全面に亘ってインクiが散在してしまうため、媒体Sが噴射面100aに接触した際に噴射面100aに残留したインクiが媒体Sに付着し易く、媒体Sを汚し易い。
また、例えば、図9に示すように、記録ヘッド2を、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向と一致する姿勢に傾斜させた場合、+L方向に沿って延在する縁部100Dが重力方向に関して下方、つまり、+Z方向に位置する。このため、噴射面100aに付着したインクiはその自重によって縁部100Dに向かって移動し、インクiは縁部100Dに集まる。しかしながら、長手方向である+L方向に沿って延在する縁部100Dは、縁部100Aおよび縁部100Bに比べて長い寸法を有するため、インクiを縁部100Dに集めると、本実施形態の傾斜姿勢のようにインクiを縁部100Bに集めた場合に比べて、広い範囲に亘ってインクiが残留することとなる。広い範囲に亘ってインクiが残留すると、そこに形成される液滴の大きさが小さくなり、液滴の自重によって落下し難くなる。このため、図8に示す本実施形態の傾斜姿勢とすることで、縁部100Dよりも狭い範囲である縁部100Bにインクiを集めることで、集めたインクiの液滴を縁部100Dに集めた場合よりも大きく成長させて、液滴の自重によって落下させ易くすることができる。したがって、本実施形態の記録ヘッド2の傾斜姿勢の方が、図9に示す姿勢に比べて、噴射面100aの全面に亘って残留するインクiを低減することができると共に噴射面100aに残留するインクiの総量を減少させることができる。また、図9に示すように記録ヘッド2を傾斜させると、媒体Sの搬送方向である+X方向と直交する+Y方向に沿って延在する縁部100Dにインクiが集まるため、縁部100Dに集まったインクiが媒体Sの紙幅Gに亘って付着し易い。つまり、図9に示す姿勢で縁部100Dにインクiを集めると、媒体Sは紙幅Gの何れかが縁部100Dと部分的に接触することでも媒体Sにインクiが付着してしまう。本実施形態の傾斜姿勢では、縁部100Bにインクiを集めるため、媒体Sの紙幅Gにおいて縁部100B以外の部分が縁部100Dに接触しても媒体Sにインクiが付着し難く、汚れ難い。なお、図9では、記録ヘッド2を、縁部100Dが重力方向に関して下方となるように傾斜させたが、縁部100Cが重力方向に関して下方となるように傾斜させても同様である。
また、本実施形態では、本実施形態の噴射面100aの外形100Eは、平面視において平行四辺形であるため、噴射面100aのうち交点100bが重力方向である+Z方向の最も下方に位置する。このため、縁部100Bに集まったインクiを縁部100Bに沿ってさらに交点100bに向かって移動させて、インクiを交点100bに集めることができる。つまり、縁部100Bよりもより狭い範囲の交点100bにインクiを集めることができる。したがって、交点100bに集めたインクiによってより大きな液滴を形成することができ、より大きな液滴をその自重によって交点100bの重力方向の下方に落下させることができる。このように記録ヘッド2の傾斜姿勢を、交点100bが重力方向の最も下方に配置された姿勢とすることで、交点100bからインクiを落下させ易くして、噴射面100aの全面に亘って残留するインクiの総量をさらに低減することができる。また、交点100bにインクiを集めることで、インクiが噴射面100aから落下する位置をさらに特定することができるため、落下させたインクiの回収を容易に行うことができる。さらに、交点100bにインクiを集めることで、媒体Sが噴射面100aに接触した際にインクが付着する領域を狭くして、媒体Sが噴射面100aのインクiによって汚れるのを抑制することができる。特に、上述したように、交点100bは、記録ヘッド2が印刷姿勢であるとき、印刷姿勢での記録ヘッド2の長手方向であるL方向に関して、噴射面100aに対向する媒体Sよりも外側に位置することで、交点100bに集めたインクiが落下しても媒体Sを汚すことがない。また、交点100bが、L方向に関して媒体Sよりも外側に位置することで、交点100bに集めたインクiが残留したとしても、交点100bに残留したインクが媒体Sに付着してしまうことを低減することができる。
また、記録ヘッド2を傾斜姿勢にすることで、噴射面100aに残留するインクiが隙間21を毛細管力によって這い上がるのを抑制することができる。したがって、ヘッドユニット20の噴射面100aに対してユニットベース30が設けられている側である-H方向、つまり重力方向の上側である-Z方向に配置された不図示の回路基板や配線などの電子部品にインクが付着するのを抑制して、電子部品がインクによって破壊されることや配線が短絡するなどの不具合が生じるのを抑制することができる。ちなみに、図9に示すように、交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向と一致した状態で噴射面100aが水平面HPに対して傾斜していると、噴射面100aの外形100Eの重力方向の下側である+Z方向に位置する縁部100Dにインクiが溜まり、溜まったインクiが隙間21から-Z方向に這い上がってしまう虞がある。これは、隙間21が、毛細管力が作用する程度の間隔であり、また、縁部100Dが、隙間21を含んで構成されているためである。一方、本実施形態では、図8に示すように、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向に交差する姿勢とすることで、長手方向である+L方向の縁部100Bにインクiを溜めることができる。このインクiを溜める縁部100Bは、隙間21を含んで構成されていないため、隙間21からインクが-Z方向に這い上がるのを抑制することができる。
また、記録ヘッド2を傾斜姿勢で払拭動作を行うことで、上述のように噴射面100aに付着したインクiを縁部100Bに向かって移動させて縁部100Bに集めて、噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減することができるため、払拭部材6によって払拭した際に、噴射面100aの拭き漏らしを低減し、払拭動作を行った後に噴射面100aに残留するインクiを低減することができる。つまり、噴射面100aの全面に亘ってインクiが散在した状態で払拭動作を行うと、払拭動作による拭き漏らしによって噴射面100aに残留するインクiの総量が増大してしまう虞がある。また、上述のように記録ヘッド2を傾斜姿勢とすることで、噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができるため、噴射面100aに残留するインクiの総量を低減した状態で払拭動作を行うことによっても、噴射面100aの拭き漏らしを低減して、払拭動作を行った後に噴射面100aに残留するインクiを低減することができる。すなわち、記録ヘッド2を傾斜姿勢にして噴射面100aの全面に散在するインクiを低減すると共に、噴射面100aに残留するインクiの総量を低減して、払拭動作を行うことで、払拭動作後の噴射面100aに散在するインクiをさらに低減すると共に、噴射面100aに残留するインクiの総量をさらに低減することができる。
また、払拭部材6による払拭は、傾斜姿勢の記録ヘッド2に対して、噴射面100aの面内方向に沿って重力方向の下側に向けて、すなわち、+Z方向に向けて移動しながら払拭部材6で払拭する。これにより、噴射面100aに付着したインクiの自重に加えて、払拭部材6によって噴射面100a上のインクiを噴射面100aに沿って重力方向の下側である+Z方向に向けて移動させることで、払拭動作によって噴射面100aに残留するインクをより低減することができる。つまり、記録ヘッド2の傾斜姿勢だけでは、その自重によって移動しきれなかったインクiが噴射面100aに残留していても、払拭動作によってインクiを自重と共に移動させることができるため、払拭動作を行った後に噴射面100aに散在するインクiおよび噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができる。
そして、このように記録ヘッド2を傾斜姿勢にした状態で、払拭動作を行うことで、払拭動作後に噴射面100aに散在するインクiを低減して残留するインクiの総量を低減することができるため、払拭動作後の印刷中に発生したミストが噴射面100aに付着しても、払拭動作後に噴射面100aに残留したインクiと新たに噴射面100aに付着したミストとの合計量を小さくすることができるため、噴射面100a上のインクiのメニスカスが成長することで媒体Sにインクiが付着することや、噴射面100a上のインクiの液滴が大きく成長し、予期せぬタイミングで媒体S上やインクジェット式記録装置1の内部に落下して汚してしまうことを低減することができる。
また、上述のように、記録ヘッド2を傾斜姿勢で加圧クリーニングを行うことで、噴射面100aに排出したインクiを重力方向の下側である+Z方向、換言すれば+L方向に向かって移動させて、噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減することができると共に噴射面100aの全面に亘って残留するインクiの総量を低減することができる。したがって、加圧クリーニングを行う際に、縁部100Bからインクiを落下させて、予期せぬタイミングや予期せぬ位置にインクiが落下するのを抑制することができる。また、加圧クリーニングを行った後、払拭動作を行うようにすれば、さらに噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減することができると共に、噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができる。
また、インクジェット式記録装置1には、傾斜姿勢の記録ヘッド2の噴射面100aからのインクを受容する液体受容部200が設けられていてもよい。
本実施形態の液体受容部200を図13および図14を参照して説明する。なお、図13は、液体受容部200を説明する側面図である。図14は、液体受容部200を説明する平面図である。
図13および図14に示すように、液体受容部200は、-Z方向の面が開口する箱状を有する。この液体受容部200は、重力方向である+Z方向に見て、傾斜姿勢での噴射面100aの重力方向に関して最も下方となる部分と重なる部分と重複する位置および大きさで設けられている。ここで、+Z方向に見て、噴射面100aの重力方向に関して最も下方となる部分とは、本実施形態では、噴射面100aを構成する2つの辺の交点100bである。このため、液体受容部200は、+Z方向に平面視した際に、交点100bに重なる位置および大きさで設けられている。また、液体受容部200は、傾斜姿勢での噴射面100aの重力方向である+Z方向に関して中心と重複しない位置および大きさで設けられている。つまり、液体受容部200は、記録ヘッド2の長手方向である+L方向において、噴射面100aの1/2よりも小さいサイズを有する。
このような液体受容部200を設けることで、加圧クリーニングを行った際に噴射面100aに排出されたインクは、噴射面100aに沿って+L方向に移動し、噴射面100aの+L方向の端部、つまり2つの辺の交点100bから落下したインクを液体受容部200で受けることができる。このように、傾斜姿勢で噴射面100aから落下する液体受容部200を設けることで、噴射面100aの全面に亘った液体受容部を設ける場合に比べて、液体受容部200を小型化することができる。
なお、液体受容部200は、内部にインクを吸収するスポンジや布等の液体吸収体等が設けられていてもよい。また、液体受容部200自体が液体吸収体で構成されていてもよい。
また、液体受容部200は、記録ヘッド2の長手方向である+L方向において、最も+L方向に位置するノズル101から最も-L方向に位置するノズル101までを覆う寸法よりも小さい寸法で設けられていていることが好ましい。つまり、液体受容部200は、記録ヘッド2の全てのノズル101を覆わない寸法で設けることで、液体受容部200を全てのノズル101を覆う寸法で設ける場合に比べて小型化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、記録ヘッド2の傾斜姿勢では、重力方向に関して最も下方となる部分は、交点100bとなっている。このため、液体受容部200は、交点100bから落下するインクを受け取ることができる大きさで設けられていればよい。つまり、記録ヘッド2の傾斜姿勢は、交点100bを重力方向の下方に位置する姿勢とすることで、さらに液体受容部200の噴射面100aに対向する面積を小さくすることができる。したがって、液体受容部200を小型化することができ、インクジェット式記録装置1の小型化を図ることができる。
また、図14に示す液体受容部200は、噴射面100aに接触しない位置に配置されているが、特にこれに限定されない。ここで、液体受容部200の変形例を図15に示す。
図15に示すように、液体受容部200は、開口縁部には弾性材料で形成された密着部201を有し、密着部201を噴射面100aに当接させるようになっている。この密着部201は、開口縁部のうち、重力方向の上方である-Z方向側、すなわち-L方向側には設けられていない。つまり、密着部201は、4辺の開口縁部のうち、3辺に設けられており、-Z方向に位置する1辺に設けられていない。このため、噴射面100a上のインクiが噴射面100aに密着した密着部201によって+L方向への移動が妨げられるのを抑制することができ、液体受容部200で噴射面100aから落下したインクを収容することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1は、傾斜姿勢で使用されるラインヘッドであり、媒体Sへ向けて液体であるインクを噴射するノズルプレート103を含む噴射面100aを備えた液体噴射ヘッドである記録ヘッド2を備える。また、傾斜姿勢での記録ヘッド2の噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向であるL方向と交差する。
このように記録ヘッド2を長手方向であるL方向と交差する傾斜姿勢で使用することで、噴射面100aに付着したインクiを傾斜姿勢の重力方向下側である+Z方向に向かって移動させて、噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減することができる。また、傾斜姿勢とすることで、噴射面100aのインクiを縁部100Bに集め、縁部100Bで液滴を成長させてその自重により落下させることで、噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができる。このため、噴射面100aに残留したインクiが予期せぬタイミングで落下して、媒体Sやインクジェット式記録装置1の内部を汚してしまったり、傾斜姿勢での噴射面100aの重力方向の下方に集まったインクiの液滴が媒体Sに接触して、媒体Sを汚してしまったりするのを抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、液体噴射ヘッドである記録ヘッド2をメンテナンスする際に、記録ヘッド2を傾斜姿勢にすることが好ましい。メンテナンス時に噴射面100aにインクが付着しても、噴射面100aの全面に散在するインクiを低減することができると共に噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、液体噴射ヘッドである記録ヘッド2が傾斜姿勢とは異なる印刷姿勢で印刷を行うことが好ましい。もちろん、記録ヘッド2は、傾斜姿勢で印刷を行ってもよい。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、印刷姿勢では、交線CLが長手方向である+L方向と平行となる、又は、噴射面100aが水平面と平行となることが好ましい。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、液体噴射ヘッドである記録ヘッド2は、複数のヘッドユニット20が長手方向であるL方向に並べられてラインヘッドを構成していることが好ましい。これによれば、ラインヘッドである記録ヘッド2をL方向に長尺化しながら、L方向で互いに隣り合うヘッドユニット20の隙間21をインクiが毛細管力によって這い上がるのを抑制することができる。したがって、ヘッドユニット20の重力方向の上側である-Z方向に配置された電子部品にインクが付着するのを抑制して、電子部品がインクによって破壊されることや配線が短絡するなどの不具合が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、傾斜姿勢の液体噴射ヘッドである記録ヘッド2の噴射面100aを、噴射面100aの面内方向であるLW平面に沿って重力方向の下側である+Z方向に向けて移動しながら払拭する払拭部材6を備えることが好ましい。これによれば、払拭部材6によって払拭する際に、払拭部材6を噴射面100aに沿って重力方向の下側である+Z方向に向けて移動させることで、噴射面100aに付着したインクiを自重と共に移動させ易くすることができる。したがって、払拭動作によって噴射面100aに残留するインクをより低減することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、液体噴射ヘッドである記録ヘッド2は、傾斜姿勢での記録ヘッド2の重力方向である+Z方向に関して上端となる部分、つまり、最も-Z方向となる部分に記録ヘッド2から液体であるインクを排出するための排出部47を備えることが好ましい。このように排出部47は、傾斜姿勢の記録ヘッド2の最も-Z方向となる部分に設けることで、流路内のインクに含まれる気泡を浮力によって排出部47側に移動させて、排出部47からの気泡の排出性を向上することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、排出部47は、長手方向である+L方向に沿って長尺な流路であり複数のヘッドユニット20と連通する共通流路である第2排出流路部452から液体であるインクを排出させることが好ましい。このように排出部47は、L方向に沿って長尺な第2排出流路部452からインクを排出させることで、インクに含まれる気泡を浮力によって排出部47側に移動させて、排出部47から効率よく気泡を排出させることができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、「液体噴射ヘッド」である記録ヘッド2が傾斜姿勢のときに、排出部47から液体であるインクを排出する動作を含む循環クリーニングを実行することが好ましい。これによれば、インクに含まれる気泡を浮力によって排出部47に向かって移動させることができるため、循環クリーニングを行った際の気泡の排出性を向上することができる。
本発明の実施形態1に係る液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1は、搬送方向である+Y方向へ媒体Sを搬送する搬送部である搬送機構5と、媒体Sへ向けて液体であるインクを噴射するノズルプレート103を含む噴射面100aを備える液体噴射ヘッドである記録ヘッド2とを備える。また、搬送方向である+Y方向及び重力方向である+Z方向の双方と直交する方向を「第1方向」である+X方向としたとき、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が「第1方向」である+X方向に交差する傾斜姿勢で記録ヘッド2が使用される。
このように記録ヘッド2を水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、「第1方向」である+X方向と交差する傾斜姿勢で使用することで、噴射面100aに付着したインクiを傾斜姿勢の重力方向下側である+Z方向に向かって移動させて、噴射面100aの全面に亘って散在するインクiを低減することができる。また、傾斜姿勢とすることで、噴射面100aのインクiを縁部100Bに集め、縁部100Bで液滴を成長させてその自重により落下させることで、噴射面100aに噴射面100aの全面に亘って残留するインクiの総量を低減することができる。このため、噴射面100aに残留したインクiが予期せぬタイミングで落下して、媒体Sやインクジェット式記録装置1の内部を汚してしまったり、傾斜姿勢での噴射面100aの重力方向の下方に集まったインクiの液滴が媒体Sに接触して、媒体Sを汚してしまったりするのを抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、液体噴射ヘッドである記録ヘッド2が傾斜姿勢のときに、ノズルプレート103に設けられたノズル101から液体であるインクを排出する加圧クリーニングを実行することが好ましい。これによれば、加圧クリーニングによって噴射面100aに排出されたインクiは、傾斜姿勢によって重力方向下側である+Z方向に向かって移動させることができるため、噴射面100aの全面に亘って残留するインクiの量を低減することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、重力方向である+Z方向に見て、傾斜姿勢での噴射面100aの+Z方向に関して最も下方となる部分と重複し、傾斜姿勢での噴射面100aの+Z方向に関して中心と重複しない液体受容部200を備えることが好ましい。これによれば、傾斜姿勢で噴射面100aから落下するインクiを液体受容部200で収容することができる。また、液体受容部200を噴射面100aの長手方向であるL方向に亘って設ける必要がなく、液体受容部200を小型化することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、傾斜姿勢での噴射面100aの重力方向である+Z方向に関して最も下方となる部分は、噴射面100aを構成する2つの辺の交点100bであることが好ましい。このように、交点100bを重力方向である+Z方向の下方に配置することで、噴射面100a上のインクiを交点100bに向かって移動させてインクiを交点100bに集めることができる。したがって、さらに噴射面100aに残留するインクiの範囲を狭くして、噴射面100aに散在するインクiを低減すると共に噴射面100aに残留するインクiの総量を低減することができる。
また、インクジェット式記録装置1では、記録ヘッド2は、傾斜姿勢とは異なる印刷姿勢で印刷を行う。そして、印刷姿勢での交点100bは、記録ヘッド2の印刷姿勢での長手方向である+L方向に関して、噴射面100aに対向する媒体Sよりも外側に位置することが好ましい。または、印刷姿勢での交点100bは、「第1方向」である+X方向に関して、噴射面100aに対向する媒体Sよりも外側に位置することが好ましい。これによれば、交点100bに集めたインクが交点100bに残留していたとしても、交点100bに残留してしまったインクが媒体Sに付着してしまうことを低減することができる。
なお、本実施形態では、記録ヘッド2を印刷姿勢と傾斜姿勢とを切り替え可能として、印刷時には印刷姿勢となるようにしたが、特にこれに限定されず、記録ヘッド2は、印刷時にも傾斜姿勢となるようにしてもよい。つまり、媒体Sの搬送時に、媒体Sの第1面S1が傾斜姿勢の噴射面100aと平行となっていれば、噴射面100aと媒体Sの第1面S1との距離を均一にすることができるため、記録ヘッド2が傾斜姿勢のままで印刷を行うことができる。
また、本実施形態の記録ヘッド2の印刷姿勢は、噴射面100aが水平面HPと平行な状態としたが、特にこれに限定されない。例えば、図9に示すように、記録ヘッド2は、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、長手方向である+L方向と平行になった姿勢が印刷姿勢であってもよい。
(実施形態2)
図16は、本実施形態の液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1の概略構成を示す図であり、記録ヘッド2の印刷姿勢の図である。なお、図16は、インクジェット式記録装置1を-X方向に見た図である。 図17は、記録ヘッド2の印刷姿勢を示す図であり、記録ヘッド2を-Y方向に見た図である。なお、印刷姿勢において+Z方向と+H方向とは異なる方向であるが、-Y方向に見た平面視において両者は重なるため、図17では同じ方向を示している。同様に、印刷姿勢において-Z方向と+Ya方向および+W方向とは異なる方向であるが、-Y方向に見た平面視において両者は重なるため、図17では同じ方向で示している。
図16は、本実施形態の液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1の概略構成を示す図であり、記録ヘッド2の印刷姿勢の図である。なお、図16は、インクジェット式記録装置1を-X方向に見た図である。 図17は、記録ヘッド2の印刷姿勢を示す図であり、記録ヘッド2を-Y方向に見た図である。なお、印刷姿勢において+Z方向と+H方向とは異なる方向であるが、-Y方向に見た平面視において両者は重なるため、図17では同じ方向を示している。同様に、印刷姿勢において-Z方向と+Ya方向および+W方向とは異なる方向であるが、-Y方向に見た平面視において両者は重なるため、図17では同じ方向で示している。
図18は、記録ヘッド2の傾斜姿勢を示す図であり、記録ヘッド2を-Y方向に見た図である。なお、傾斜姿勢において-Z方向と+Ya方向とは異なる方向であるが、-Y方向に見た平面視において両者は重なるため、図18では同じ方向で示している。また、図18では、記録ヘッド2の傾斜姿勢を実線で示し、記録ヘッド2の印刷姿勢を破線で示している。
図19は、記録ヘッド2の傾斜姿勢を示す図であり、記録ヘッド2を-X方向に見た図である。なお、傾斜姿勢において+L方向と+H方向とは異なる方向であるが、記録ヘッド2を-X方向に見た平面視において両者は重なるため、図19では同じ方向で示している。また、傾斜姿勢において+W方向と+Ya方向とは同じ方向である。
図20は、傾斜姿勢の噴射面100aと水平面HPとの関係を模式的に示す図である。なお、本実施形態の記録ヘッド2の噴射面100aは複数の噴射面部20aと隙間21とで構成されているが、図20では、噴射面100aは模式的に1つの面として示している。また、図20において、水平面HPに対して傾斜した状態の噴射面100aを実線で示し、水平面HPと平行な状態の噴射面100aを破線で示している。本実施形態において、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図16に示すように、本実施形態の媒体Sは、例えば、連続紙などの記録用紙、布、樹脂フィルム等からなる媒体の一種であり、操出軸51にロール状に巻き付けられた状態で保持されている。この媒体Sは、搬送機構5によって記録ヘッド2のノズル101に形成された噴射面100aに対して間隔を空けて配置されたプラテン等の支持台52上に搬送され、支持台52上で記録ヘッド2によって印刷が行われる。支持台52上で記録ヘッド2によって印刷された媒体Sは、搬送機構5によって巻取軸53に巻き取られるように構成されている。
支持台52の媒体Sが載置される載置面は、+Y方向および+Z方向の双方に対して傾斜して配置されている。すなわち、搬送機構5による媒体Sの搬送方向は、媒体Sの第1面S1を水平面HPに揃えた姿勢から、X方向に沿った仮想的な回転軸を中心に媒体Sを回転した方向である+Ya方向となっている。
なお、搬送機構5は、第1搬送ローラー81および第1従動ローラー82を有する第1搬送機構8と、第2搬送ローラー93および第2従動ローラー94を有する第2搬送機構9とを具備する。
本実施形態の記録ヘッド2の印刷姿勢は、噴射面100aが媒体Sの第1面S1と平行な姿勢である。つまり、本実施形態の印刷姿勢は、上述した図9と同様に、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向であるL方向と平行になる姿勢である。すなわち、印刷姿勢は、記録ヘッド2の噴射面100aを、水平面HPに揃えた姿勢から、記録ヘッド2の長手方向であるL方向、つまりX方向に沿った仮想的な回転軸を中心に回転させた姿勢となっている。
記録ヘッド2の傾斜姿勢は、図18、図19および図20に示すように、記録ヘッド2は、搬送方向である+Ya方向および重力方向である+Z方向の双方と直交する方向を「第1方向」としたとき、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向は、「第1方向」に交差する傾斜姿勢で使用される。なお、本実施形態では、「第1方向」は、X方向に相当する。そして、本実施形態では、さらに、傾斜姿勢での交線CLの延在方向である+CL方向は、「第1方向」であるX方向及び重力方向である+Z方向の双方と直交する「第2方向」であるY方向に交差する。ちなみに、記録ヘッド2の印刷姿勢が、噴射面100aと水平面HPとが平行となる姿勢である場合には、上記「第2方向」は媒体Sの搬送方向と一致する。
言い換えれば、記録ヘッド2の傾斜姿勢は、記録ヘッド2の長手方向であるL方向および短手方向であるW方向の双方が、水平面HPに交差する。つまり、本実施形態の記録ヘッド2の傾斜姿勢は、噴射面100aを水平面HPに揃えた姿勢から、記録ヘッド2の短手方向であるW方向に沿った仮想的な回転軸を中心に回転すると共に、記録ヘッド2の長手方向であるL方向に沿った仮想的な回転軸を中心に回転した、所謂、2つの仮想的な仮想軸を中心として回転した姿勢となっている。言い換えると、印刷姿勢での記録ヘッド2の長手方向であるL方向(3つの空間軸でいうX方向)、および、重力方向である+Z方向と直交する方向を「第3方向」としたとき、傾斜姿勢での交線CLの延在方向である+CL方向は、「第3方向」と交差する。なお、本実施形態では、「第3方向」は、Y方向に相当する。
このように記録ヘッド2の傾斜姿勢を2つの仮想的な仮想軸に対して傾斜させることで、噴射面100aに付着したインクiを、傾斜姿勢において重力方向の最も下側である+Z方向側となる端部に集めることができる。したがって、噴射面100aの全面に亘って残留するインクiを低減することができる。
なお、本実施形態の記録ヘッド2の傾斜姿勢における短手方向であるW方向の水平面HPに対する傾斜方向は、噴射面100aの鋭角となる角部、つまり、交点100bが最も重力方向である下方に位置する方向となっている。これにより、傾斜姿勢で、噴射面100a上のインクiをさらに交点100bに向かって移動させることができる。
また、排出部47は、傾斜姿勢での記録ヘッド2の重力方向に関して上端となる部分、つまり、最も-Z方向となる部分に設けられている。ここで、重力方向に関して上端となる部分は、長手方向であるL方向に関しては、上述した実施形態1と同様に規定すればよい。つまり、排出部47を設ける部分は、記録ヘッド2を噴射面100aに垂直な方向に見て、記録ヘッド2の長手方向であるL方向に2分割、より好ましくは、3分割、4分割、5分割した際の上端を含む領域とすればよい。また、排出部47を設ける部分は、短手方向であるW方向に関しては、記録ヘッド2を、噴射面100aを法線方向に見た平面視において、記録ヘッド2の短手方向であるW方向に2分割、より好ましくは、3分割、4分割、5分割した際の上端を含む領域とすればよい。本実施形態では、排出部47は、短手方向であるW方向に関して記録ヘッド2を2分割にした際の-Z方向の上端を含む領域に設けるようにした。なお、排出部47を設ける部分を規定する長手方向および短手方向のそれぞれの分割数は、同じ数である必要はなく、上記の何れかを組み合わせてもよい。つまり、例えば、排出部47は、記録ヘッド2を長手方向に5分割し、短手方向に2分割した際の最も上端を含む部分に設けてもよい。
また、払拭部材6は、傾斜姿勢の記録ヘッド2の噴射面100aに対して長手方向である+L方向に沿って移動して噴射面100aを払拭する。ここで、図21は、記録ヘッド2の噴射面100aと払拭部材6とを示す平面図である。図21では、傾斜姿勢での記録ヘッド2を、傾斜姿勢における噴射面100aの法線方向である-H方向に見た図である。なお、傾斜姿勢において-Z方向と+Ya方向とは異なる方向であるが、-H方向に見た平面視において両者は重なるため、図21では同じ方向で示している。
図21に示すように、払拭部材6は、噴射面100aの面内方向、すなわち、LW平面において、W方向に沿った面方向となるように配置されている。このため、払拭部材6は、傾斜姿勢の記録ヘッド2の噴射面100aに対し、短手方向であるW方向に関して、重力方向の上方つまり-Z方向側を、重力方向の下方つまり+Z方向側に対して先行して払拭する。図21に示す図では、噴射面100aの短手方向であるW方向において、+W方向側が重力方向の上方、つまり-Z方向側に位置し、-W方向側が重力方向の下方、つまり、+Z方向側に位置する。すなわち、+W方向に沿った仮想線WL上において、噴射面100aの両端をWL1、WL2としたとき、WL1がWL2に対して重力方向の上方、すなわち、-Z方向に位置する。このため、払拭部材6を+W方向に沿った面方向となるように配置するだけで、WL1をWL2に対して先行して払拭することができる。もちろん、WL1がWL2に対して先行して払拭することができれば、払拭部材6の形状および配置は特にこれに限定されない。このように傾斜姿勢で噴射面100aを払拭する際に、短手方向に関して、重力方向の上方、つまり-Z方向側を重力方向の下方つまり+Z方向側に対して先行して払拭することで、噴射面100aのインクiを自重により重力方向の下方に移動させ易くして、払拭した際にインクiをさらに重力方向の下方に移動させることができ、インクiの残留をさらに低減することができる。
また、本実施形態では、記録ヘッド2の印刷姿勢を図9、図16および図17に示すように、水平面HPに対して傾斜した方向としたが、特にこれに限定されず、記録ヘッド2の印刷姿勢は、上述した実施形態1と同様に、噴射面100aが水平面HPと平行となる姿勢であってもよい。この場合、傾斜姿勢の記録ヘッド2の長手方向であるL方向および短手方向であるW方向の双方が、水平面HPに交差する。言い換えると、印刷姿勢での記録ヘッド2の長手方向であるL方向及び重力方向である+Z方向の双方と直交する方向である「第3方向」は、傾斜姿勢での交線CLの延在方向である+CL方向と交差する。この「第3方向」は、印刷姿勢の記録ヘッド2の短手方向であるW方向に相当し、また、3つの空間軸でのY方向に相当する。
なお、媒体Sは、連続紙のようなものに限定されず、記録ヘッド2のノズル101から噴射されたインク滴が着弾可能な種々の被噴射媒体を採用することができる。例えば、立体的な形状を有する被噴射媒体に対してインク滴を噴射させる用途にも本発明を適用することができる。また、支持台52は、媒体Sを載置する載置面が平坦なものに限定されず、媒体Sを載置する載置面が曲面となる回転ドラムであってもよい。また、無端ベルト等の搬送ベルトによって媒体Sの裏面側を支持するようにしてもよい。
ここで、支持台52の載置面が曲面となる回転ドラムの場合について、図22を参照して説明する。図22は、実施形態2の変形例であり、インクジェット式記録装置1を-X方向に見た図である。
図22に示すように、支持台52は回転ドラムの外周面からなり、軸部52aを中心に回転可能に設けられている。軸部52aは、軸方向がX方向となるように配置されている。このような支持台52を有するインクジェット式記録装置1では、支持台52の軸部52aの軸方向が、印刷姿勢での記録ヘッド2の長手方向であるL方向と一致する。また、媒体Sの搬送方向である+Ya方向は、支持台52の記録ヘッド2の噴射面100aに対向する位置での接線方向、つまり、噴射面100aと支持台52の回転中心とを結ぶ線および軸部52aの軸方向であるX方向との双方に直交する方向とすることができる。また、媒体Sの搬送方向は、印刷姿勢での記録ヘッド2の短手方向であるW方向と一致する。また、記録ヘッド2の傾斜姿勢は、X方向に代わって支持台52の中心軸の軸方向によって規定することもできる。なお、上述した実施形態1においても、回転ドラムを用いるようにしてもよく、その場合であっても記録ヘッド2の傾斜姿勢をX方向に代わって回転軸の軸方向によって規定することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態2に係る液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1は、傾斜姿勢で使用されるラインヘッドであり、媒体Sへ向けて液体であるインクを噴射するノズルプレート103を含む噴射面100aを備えた液体噴射ヘッドである記録ヘッド2を備える。また、傾斜姿勢での記録ヘッド2の噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、記録ヘッド2の長手方向である+L方向と交差する。
このように記録ヘッド2を長手方向である+L方向と交差する傾斜姿勢で使用することで、噴射面100aに付着したインクiを傾斜姿勢の重力方向下側である+Z方向に向かって移動させて、噴射面100aの全面に亘って残留するインクiの総量を低減することができる。このため、噴射面100aに残留したインクiが予期せぬタイミングで落下して、媒体Sやインクジェット式記録装置1の内部を汚してしまったり、傾斜姿勢での噴射面100aの重力方向の下方に集まったインクiの液滴が媒体Sに接触して、媒体Sを汚してしまったりするのを抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、傾斜姿勢の液体噴射ヘッドである記録ヘッド2の長手方向であるL方向および短手方向であるW方向の双方が、水平面HPに交差している。このように、記録ヘッド2は、L方向およびW方向の双方を水平面HPに交差するように傾斜した傾斜姿勢とすることで、噴射面100aのインクiを重力方向の下方である+Z方向の一点である交点100bに向かって移動させて、交点100bに集めることができる。したがって、さらに噴射面100aに残留するインクiの範囲を狭くして、噴射面100aに残留するインクiを低減することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、傾斜姿勢の液体噴射ヘッドである記録ヘッド2の長手方向であるL方向および短手方向であるW方向の双方が、水平面HPに交差する。また、払拭部材6は、+L方向に沿って移動し、払拭部材6は、W方向に関して、重力方向の上方を下方に対して先行して噴射面100aを払拭することが好ましい。このように、傾斜姿勢で噴射面100aを払拭する際に、短手方向であるW方向に関して、重力方向の上方を重力方向の下方に対して先行して払拭することで、噴射面100aのインクiを自重により移動させ易くして、払拭によるインクiの残留をさらに低減することができる。
本発明の実施形態2に係る液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1は、搬送方向である+Ya方向へ媒体Sを搬送する搬送部である搬送機構5と、媒体Sへ向けて液体であるインクを噴射するノズルプレート103を含む噴射面100aを備える液体噴射ヘッドである記録ヘッド2とを備える。また、搬送方向である+Ya方向及び重力方向である+Z方向の双方と直交する方向を「第1方向」であるX方向としたとき、噴射面100aと水平面HPとの交線CLの延在方向+CLが「第1方向」に交差する傾斜姿勢で記録ヘッド2が使用される。
このように記録ヘッド2を水平面HPとの交線CLの延在方向である+CL方向が、「第1方向」であるX方向と交差する傾斜姿勢で使用することで、噴射面100aに付着したインクiを傾斜姿勢の重力方向下側である+Z方向に向かって移動させて、噴射面100aの全面に亘って残留するインクiの総量を低減することができる。このため、噴射面100aに残留したインクiが予期せぬタイミングで落下して、媒体Sやインクジェット式記録装置1の内部を汚してしまったり、傾斜姿勢での噴射面100aの重力方向の下方に集まったインクiの液滴が媒体Sに接触して、媒体Sを汚してしまったりするのを抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、傾斜姿勢での交線CLの延在方向である+CL方向が、「第1方向」であるX方向及び重力方向である+Z方向の双方と直交する「第2方向」であるY方向に交差する。
このように、傾斜姿勢の交線CLの延在方向である+CL方向は、「第1方向」であるX方向および「第2方向」であるY方向の双方に交差することで、噴射面100aのインクiを重力方向の下方である+Z方向の一点である交点100bに向かって移動させて、交点100bに集めることができる。
なお、本実施形態においても、上述した実施形態1と同様に、記録ヘッド2の傾斜姿勢で、加圧クリーニング、循環クリーニング等のメンテナンスを行えばよい。メンテナンスを傾斜姿勢で行うことで、傾斜姿勢で噴射面100aの重力方向の下方の一点にインクiを集めることができるため、噴射面100aに残留するインクiを低減することができ、また、浮力を利用して気泡aを効率良く記録ヘッド2から排出することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
また、上述した実施形態1では、記録ヘッド2の印刷姿勢を、噴射面100aが水平面HPと平行な姿勢としたが、特にこれに限定されない。ここで、記録ヘッド2の印刷姿勢の変形例について図23を参照して説明する。図23は、記録ヘッド2の印刷姿勢および傾斜姿勢と水平面HPとの関係を模式的に示す図である。なお、本実施形態の記録ヘッド2の噴射面100aは複数の噴射面部20aと隙間21とで構成されているが、図23では、噴射面100aは模式的に1つの面として示している。また、図23において、水平面HPに対して傾斜した状態の噴射面100aを実線で示し、水平面HPと平行な状態の噴射面100aを破線で示している。
図23に示すように、記録ヘッド2の傾斜姿勢は、上述した実施形態1と同様に、記録ヘッド2の長手方向であるL方向が、水平面HPに対してθ度傾斜した姿勢である。これに対して、記録ヘッド2の印刷姿勢は、噴射面100aが水平面HPに対してθ度よりも小さな角度であるθ1度傾斜した姿勢としてもよい。つまり、θ>θ1を満たす。また、θ1>0°である。
つまり、図23に示すインクジェット式記録装置1では、傾斜姿勢での液体噴射ヘッドである記録ヘッド2の長手方向であるL方向と水平面HPとのなす角θは、印刷姿勢での記録ヘッド2の長手方向であるL方向と水平面HPとの成す角θ1よりも大きいことが好ましい。このように印刷姿勢を水平面HPに対して傾斜させても、印刷姿勢の傾斜角度θ1を、傾斜姿勢の傾斜角度θよりも小さくすることで、記録ヘッド2の長手方向であるL方向に関して水頭圧の影響による供給特性およびインク滴の吐出特性の差を小さくすることができる。また、傾斜姿勢の傾斜角度θを印刷姿勢の傾斜角度θ1よりも大きくすることで、メンテナンス時などに傾斜姿勢をとることで、噴射面100aに残留するインクiの量を減少させることができる。
なお、本実施形態のヘッドユニット20は、噴射面100aの法線方向に見た平面視において、平行四辺形としたが、特にこれに限定されず、矩形状や台形状、多角形状等であってもよい。ちなみに、実施形態1のように1つの仮想軸を中心に回転させて傾斜した傾斜姿勢の噴射面100aの場合には、交点100bが重力方向である+Z方向において最も下方に位置するようにするには、記録ヘッド2の噴射面100aの外形100Eを平行四辺形または台形状等にすればよい。また、記録ヘッド2の噴射面100aの外形100Eは、例えば、+Wa方向ではなく記録ヘッド2の短手方向であるW方向に沿って延在する縁部100A、100Bと、長手方向に沿って延在する縁部100C、100Dと、によって構成された矩形であってもよい。実施形態2のように2つの仮想的な仮想軸を中心に噴射面100aを回転させて傾斜した傾斜姿勢の噴射面100aの場合には、噴射面100aの外形100Eが矩形であっても、噴射面100aの外形100Eの辺を成す縁部100A~100Dによって構成される複数の交点の何れかが重力方向である+Z方向においても最も下方に位置するので、実施形態2と同様の効果を奏する。
例えば、上述した実施形態では、固定板130とノズルプレート103によって噴射面100aが構成されていたが、記録ヘッド2が固定板130を備えない場合には、ノズルプレート103のみによって噴射面100aが構成されていてもよい。
例えば、上述した実施形態では、切替部35として偏心カム37等を設けるようにしたが、記録ヘッド2を印刷姿勢と傾斜姿勢とに切り替える切替部はこれに限定されるものではない。例えば、第2庇部34に当接する当接部材を油圧やモーターの駆動によってZ軸に沿って往復移動させるようにしてもよい。
上述した各実施形態では、流路部材40に導入路44と排出路45とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、導入路44の第2導入流路部442に第1排出流路部451が接続されていてもよい。つまり、排出部47からインクを排出する排出路は、第2導入流路部442であってもよい。
1…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、2…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、2a、2b…端部、2c、2d…部分、3…保持部材、4…液体貯留部、4a…供給管、4b…排出管、4c…第1ポンプ、4d…第2ポンプ、5…搬送機構、6…払拭部材、7…装置本体、8…第1搬送機構、9…第2搬送機構、10…払拭機構、11…支持部材、12…軸部、20、20A-20E…ヘッドユニット、20a…噴射面部、21…隙間、30…ユニットベース、31…収容部、32…開口部、33…第1庇部、34…第2庇部、35…切替部、36…回転軸、37…偏心カム、38…駆動部、40…流路部材、41…第1流路部材、42…第2流路部材、43…第3流路部材、44…導入路、441…第1導入流路部、442…第2導入流路部、443…第3導入流路部、45…排出路、451…第1排出流路部、452…第2排出流路部、453…第3排出流路部、46…導入部、47…排出部、51…操出軸、52…支持台、52a…軸部、53…巻取軸、81…第1搬送ローラー、82…第1従動ローラー、83…第1駆動モーター、91…搬送ベルト、92…第2駆動モーター、93…第2搬送ローラー、94…第2従動ローラー、95…テンションローラー、96…付勢部材、97…ローラー、100…ヘッドチップ、100a…噴射面、100b…交点、100A-100D…縁部、100E…外形、101…ノズル、102…ノズル列、103…ノズルプレート、110…流路ユニット、111…供給路、112…流出路、120…ホルダー、121…保持部、130…固定板、131…露出開口部、200…液体受容部、201…密着部、a…気泡、CL…交線、H…噴射方向、HP…水平面、i…インク、L…長手方向、S…媒体、S1…第1面、S2…第2面、W…短手方向、WL…仮想線
Claims (19)
- 傾斜姿勢で使用されるラインヘッドであり、媒体へ向けて液体を噴射するノズルプレートを含む噴射面を備えた液体噴射ヘッドを備え、
前記傾斜姿勢での前記液体噴射ヘッドの前記噴射面と水平面との交線の延在方向が、前記液体噴射ヘッドの長手方向に交差する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドをメンテナンスする際に、前記液体噴射ヘッドを前記傾斜姿勢にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドが前記傾斜姿勢とは異なる印刷姿勢で印刷を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。 - 前記印刷姿勢では、前記交線が前記長手方向と平行となる、又は、前記噴射面が水平面と平行となる、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドは、複数のヘッドユニットが前記長手方向に並べられて前記ラインヘッドを構成している、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記傾斜姿勢の前記液体噴射ヘッドの前記噴射面を、前記噴射面の面内方向に沿って重力方向の下側に向けて移動しながら払拭する払拭部材を備える、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記傾斜姿勢の前記液体噴射ヘッドの前記長手方向および短手方向の双方が、前記水平面に交差し、
前記払拭部材は、前記長手方向に沿って移動し、
前記払拭部材は、前記短手方向に関して、重力方向の上方を下方に対して先行して前記噴射面を払拭する、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。 - 前記傾斜姿勢の前記液体噴射ヘッドの前記長手方向および短手方向の双方が、前記水平面に交差する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドは、前記傾斜姿勢での前記液体噴射ヘッドの重力方向に関して上端となる部分に前記液体噴射ヘッドから液体を排出するための排出部を備える、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記排出部は、前記長手方向に沿って長尺な流路であり複数のヘッドユニットと連通する共通流路から液体を排出させる、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドが前記傾斜姿勢のときに、前記排出部から液体を排出する動作を含む循環クリーニングを実行する、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の液体噴射装置。 - 搬送方向へ媒体を搬送する搬送部と、
媒体へ向けて液体を噴射するノズルプレートを含む噴射面を備える液体噴射ヘッドと、を備え、
前記搬送方向及び重力方向の双方と直交する方向を第1方向としたとき、前記噴射面と水平面との交線の延在方向が前記第1方向に交差する傾斜姿勢で前記液体噴射ヘッドが使用される、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記傾斜姿勢での前記交線の前記延在方向が、前記第1方向及び重力方向の双方と直交する第2方向に交差する、
ことを特徴とする請求項12に記載の液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドが前記傾斜姿勢のときに、前記ノズルプレートに設けられたノズルから液体を排出する加圧クリーニングを実行する、
ことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 重力方向に見て、前記傾斜姿勢での前記噴射面の重力方向に関して最も下方となる部分と重複し、前記傾斜姿勢での前記噴射面の重力方向に関して中心と重複しない液体受容部を備える、
ことを特徴とする請求項14に記載の液体噴射装置。 - 前記傾斜姿勢での前記噴射面の重力方向に関して最も下方となる部分は、前記噴射面を構成する2つの辺の交点である、
ことを特徴とする請求項1~15の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドは、前記傾斜姿勢とは異なる印刷姿勢で印刷を行い、
前記印刷姿勢での前記交点は、前記印刷姿勢での前記長手方向に関して、前記噴射面に対向する媒体よりも外側に位置する、
ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項を引用する請求項16に記載の液体噴射装置。 - 前記液体噴射ヘッドは、前記傾斜姿勢とは異なる印刷姿勢で印刷を行い、
前記印刷姿勢での前記交点は、前記第1方向に関して、前記噴射面に対向する媒体よりも外側に位置する、
ことを特徴とする請求項12~15の何れか一項を引用する請求項16に記載の液体噴射装置。 - 前記傾斜姿勢での前記液体噴射ヘッドの長手方向と水平面との成す角は、前記印刷姿勢での前記液体噴射ヘッドの長手方向と水平面との成す角よりも大きい、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
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