JP2023007711A - シリカゾルの製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

シリカゾルの製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応において、反応に用いる有機溶媒及びアルカリ触媒並びに反応で生成するアルコールの分離精製量や廃棄量を削減し、分離精製の負荷や環境への負荷を低減する、シリカゾルの製造方法を提供する。【解決手段】以下の工程(1)~(3)を含み、以下の工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を、以下の工程(1)における溶液(A)の少なくとも一部として用いる、シリカゾルの製造方法。工程(1):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液(A)、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)をそれぞれ準備する工程工程(2):前記溶液(A)に、前記溶液(B)及び前記溶液(C)を添加して、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う工程工程(3):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を除去し、水を添加する工程【選択図】なし

Description

本発明は、シリカゾルの製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法に関する。
金属や無機化合物等の材料の表面を研磨する方法として、研磨液を用いた研磨方法が知られている。中でも、半導体用のプライムシリコンウェハやこれらの再生シリコンウェハの最終仕上げ研磨、及び、半導体デバイス製造時の層間絶縁膜の平坦化、金属プラグの形成、埋め込み配線形成等の化学的機械的研磨(CMP)では、その表面状態が半導体特性に大きく影響するため、これらの部品の表面や端面は、極めて高精度に研磨されることが要求されている。
このような精密研磨においては、シリカ粒子を含む研磨組成物が採用されており、その主成分である砥粒として、コロイダルシリカが広く用いられている。コロイダルシリカは、その製造方法の違いにより、四塩化珪素の熱分解によるもの(ヒュームドシリカ等)、水ガラス等の珪酸アルカリの脱イオンによるもの、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応(一般に「ゾルゲル法」と称される)によるもの等が知られている。
シリカ粒子の製造方法に関し、これまで多くの検討がなされてきた。例えば、特許文献1には、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応によりシリカゾルを製造する方法が開示されている。
特開2005-60217号公報
ところで、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応により水分散のシリカゾルを製造する場合、反応に用いる有機溶媒及びアルカリ触媒、反応で生成するアルコール等を除去する必要がある。除去した有機溶媒、アルカリ触媒及びアルコールは、分離精製に増大な設備や高いコストを要する。また、これらを廃棄する場合、環境への負荷が増大する。特に、反応に用いる有機溶媒や反応で生成するアルコールがメタノールの場合、劇物であるメタノールを廃棄することになり、人体への悪影響も懸念される。
特許文献1で開示されているシリカゾルの製造方法は、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の後のメタノールやアンモニアの処理について、何ら言及はされていない。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応において、反応に用いる有機溶媒及びアルカリ触媒並びに反応で生成するアルコールの分離精製量や廃棄量を削減し、分離精製の負荷や環境への負荷を低減する、シリカゾルの製造方法を提供することにある。
上記の通り、従来のアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応では、反応に用いた有機溶媒及びアルカリ触媒並びに反応で生成したアルコールを全量分離精製や廃棄していて、分離精製の負荷や環境への負荷が大きいという課題を有していた。本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応において、反応に用いた有機溶媒及びアルカリ触媒並びに反応で生成したアルコールを利用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]以下の工程(1)~(3)を含み、
以下の工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を、以下の工程(1)における溶液(A)の少なくとも一部として用いる、
シリカゾルの製造方法。
工程(1):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液(A)、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)をそれぞれ準備する工程
工程(2):前記溶液(A)に、前記溶液(B)及び前記溶液(C)を添加して、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う工程
工程(3):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を除去し、水を添加する工程
[2]前記アルカリ触媒が、アンモニアである、[1]に記載のシリカゾルの製造方法。
[3]前記アルコールが、メタノールである、[1]又は[2]に記載のシリカゾルの製造方法。
[4]前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランである、[1]~[3]のいずれか1つに記載のシリカゾルの製造方法。
[5]前記工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液中のアルカリ触媒の濃度が、0.2質量%~3質量%である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のシリカゾルの製造方法。
[6]前記工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液中のアルコールの濃度が、85質量%~99質量%である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のシリカゾルの製造方法。
[7]更に、以下の工程(4)を含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載のシリカゾルの製造方法。
工程(4):前記工程(3)で得られたシリカゾルを加圧加熱処理する工程
[8]前記シリカゾル中のシリカ粒子の濃度が、3質量%~50質量%である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のシリカゾルの製造方法。
[9]前記シリカゾル中の金属含有率が、1質量ppm以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のシリカゾルの製造方法。
[10][1]~[9]のいずれか1つに記載のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルを含む研磨組成物を用いて研磨する工程を有する、研磨方法。
[11][10]に記載の研磨方法を含む、半導体ウェハの製造方法。
[12][10]に記載の研磨方法を含む、半導体デバイスの製造方法。
本発明のシリカゾルの製造方法によれば、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応において、反応に用いる有機溶媒及びアルカリ触媒並びに反応で生成するアルコールの分離精製量や廃棄量を削減し、分離精製の負荷や環境への負荷を低減することができる。
以下に本発明について詳述するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いる。
(シリカゾルの製造方法)
本発明のシリカゾルの製造方法は、以下の工程(1)~(3)を含み、以下の工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を、工程(1)における溶液(A)の少なくとも一部として用いる。
工程(1):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液(A)、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)をそれぞれ準備する工程
工程(2):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加して、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う工程
工程(3):アルカリ触媒及びアルコールを除去し、水を添加する工程
(工程(1))
工程(1)は、アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液(A)、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)をそれぞれ準備する工程である。
溶液(A)は、アルカリ触媒を含む。
溶液(A)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形状を制御しやすく、金属の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
溶液(A)は、アルコールを含む。
溶液(A)中のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルコールの中でも、テトラアルコキシシランを溶解しやすく、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが更に好ましい。
溶液(A)は、アルコキシシランの加水分解を促進させることができることから、水を含むことが好ましい。
溶液(A)は、アルコール、水以外の溶媒を含んでもよい。
溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度は、溶液(A)100質量%中、0.5質量%~2.0質量%が好ましく、0.6質量%~1.5質量%がより好ましい。溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度が0.5質量%以上であると、シリカ粒子の凝集を抑制し、シリカゾル中のシリカ粒子の分散安定性に優れる。また、溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度が2.0質量%以下であると、反応が過度に速く進行せず、反応制御性に優れる。
溶液(A)中のアルコールの濃度は、溶液(A)100質量%中、69質量%~96質量%が好ましく、74質量%~94質量%がより好ましい。溶液(A)中のアルコールの濃度が69質量%以上であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。また、溶液(A)中のアルコールの濃度が96質量%以下であると、加水分解反応で生成するケイ酸の反応液中での分散性に優れる。
溶液(A)中の水の濃度は、溶液(A)100質量%中、3質量%~30質量%が好ましく、5質量%~25質量%がより好ましい。溶液(A)中の水の濃度が3質量%以上であると、加水分解反応で生成するケイ酸の反応液中での分散性に優れる。また、溶液(A)中の水の濃度が30質量%以下であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。
溶液(A)中のアルコール、水以外の溶媒の濃度は、アルカリ触媒とアルコールと水の残部の濃度とすることが好ましい。
本発明では、分離精製の負荷や環境への負荷を低減することができることから、工程(1)における溶液(A)の少なくとも一部として、後述する工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を用いる。
工程(1)における溶液(A)は、後述する工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液の一部を用いてもよく、全量を用いてもよいが、溶液(A)の濃度や量を調整しやすいことから、一部を用いることが好ましい。特に、アルカリ触媒及びアルコールとしてアンモニア及びメタノールを用いる場合、アンモニア及びメタノールの濃度が高い初期の除去分を、溶液(A)として用いることが好ましい。
工程(1)における溶液(A)は、後述する工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液に、必要な成分を添加することで、各成分を所望の濃度とすることができる。
溶液(B)は、テトラアルコキシシランを含む。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシランを用いることが好ましい。
溶液(B)は、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れることから、溶媒を含むことが好ましい。
溶液(B)中の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、アルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが更に好ましい。
溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度は、溶液(B)100質量%中、76質量%~89質量%が好ましく、77質量%~88質量%がより好ましい。溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が76質量%以上であると、用いる溶媒の量を低減することができ、シリカ粒子の生産性に優れる。また、溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が89質量%以下であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。
溶液(B)中の溶媒の濃度は、溶液(B)100質量%中、11質量%~24質量%が好ましく、12質量%~23質量%がより好ましい。溶液(B)中の溶媒の濃度が11質量%以上であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。また、溶液(B)中の溶媒の濃度が24質量%以下であると、用いる溶媒の量を低減することができ、シリカ粒子の生産性に優れる。溶液(B)中の溶媒の濃度は、溶液(B)のテトラアルコキシシランの残部の濃度であることが好ましい。
溶液(C)は、水を含む。
溶液(C)は、加水分解反応及び縮合反応を効率よく進行させることができることから、アルカリ触媒を含んでもよい。
溶液(C)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形状を制御しやすく、金属の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
溶液(C)は、水以外の溶媒を含んでもよい。
溶液(C)中の水以外の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶液(C)中の水の濃度は、溶液(C)100質量%中、95質量%~100質量%が好ましく、96質量%~99質量%がより好ましい。溶液(C)中の水の濃度が95質量%以上であると、加水分解反応で生成するケイ酸の反応液中での分散性に優れる。
溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度は、溶液(C)100質量%中、0質量%~5質量%が好ましく、1質量%~4質量%がより好ましい。溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度が5質量%以下であると、反応が過度に速く進行せず、反応制御性に優れる。
溶液(C)中の水以外の溶媒の濃度は、水とアルカリ触媒の残部の濃度とすることが好ましい。
(工程(2))
工程(2)は、アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加して、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う工程である。
加水分解反応及び縮合反応の反応系内の水の濃度は、反応系内の反応液100質量%中、3質量%~30質量%に維持することが好ましく、5質量%~25質量%に維持することがより好ましい。反応系内の水の濃度が3質量%以上であると、中間生成物であるケイ酸の反応液中での分散性に優れる。また、反応系内の水の濃度が30質量%以下であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。
反応系内の水の濃度とは、加水分解反応及び縮合反応における反応系内の液体及び液体に溶解した物質の総量中の水の総量をいう。反応系内の液体及び液体に溶解した物質の総量は、反応開始時は溶液(A)のみとなり、反応中は溶液(A)、溶液(B)、溶液(C)及び反応で生成したアルコールの総量となる。反応系内の液体及び液体に溶解した物質に、液体に分散しているシリカ粒子は含まない。
加水分解反応及び縮合反応の反応系内のアルカリ触媒の濃度は、反応系内の反応液100質量%中、0.5質量%~2.0質量%に維持することが好ましく、0.6質量%~1.5質量%に維持することがより好ましい。反応系内のアルカリ触媒の濃度が上記下限値以上であると、シリカ粒子の凝集を抑制し、シリカゾル中のシリカ粒子の分散安定性に優れる。また、反応系内のアルカリ触媒の濃度が上記上限値以下であると、反応が過度に速く進行せず、反応制御性に優れる。
反応系内のアルカリ触媒の濃度とは、加水分解反応及び縮合反応における反応系内の液体及び液体に溶解した物質の総量中のアルカリ触媒の総量をいう。
テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の反応温度(反応系内の反応液の温度)は、15℃~50℃が好ましく、20℃~45℃がより好ましい。反応温度が15℃以上であると、反応が過度に遅く進行せず、制御性に優れる。また、反応温度が50℃以下であると、加水分解反応速度と縮合反応速度のバランスに優れる。
(工程(3))
工程(3)は、アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を除去し、水を添加する工程である。
工程(3)では、工程(2)で得られたシリカ粒子の分散液を、水を添加しながら加熱することで、アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液の除去と水の添加とを行うことができる。
加熱温度は、シリカ粒子の分散液の分散媒の沸点とすればよく、50℃~100℃が好ましい。
工程(1)における溶液(A)の少なくとも一部として用いる、除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液中のアルカリ触媒の濃度は、溶液(A)に必要な分を確保できることから、0.2質量%~3質量%が好ましく、0.5質量%~2.0質量%がより好ましい。
工程(1)における溶液(A)の少なくとも一部として用いる、除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液中のアルコールの濃度は、溶液(A)に必要な分を確保できることから、85質量%~99質量%が好ましく、86質量%~98質量%がより好ましい。
(工程(4))
本発明のシリカゾルの製造方法は、シリカ粒子の縮合度を高めることができることから、更に、以下の工程(4)を有することが好ましい。
工程(4):工程(3)で得られたシリカゾルを加圧加熱処理する工程
加圧加熱処理の圧力は、0.10MPa~2.3MPaが好ましく、0.14MPa~1.0MPaがより好ましい。加圧加熱処理の圧力が0.10MPa以上であると、シリカ粒子の縮合度を高めることができる。また、加圧加熱処理の圧力が2.3MPa以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、cv値、会合比を大きく変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れる。
加圧する際は、密閉した状態でシリカゾルを分散媒の沸点以上に加熱すればよい。密閉した状態でシリカ粒子の水分散液を100℃以上に加熱した場合、圧力は、その温度の飽和水蒸気圧となる。
加圧加熱処理の温度は、100℃~220℃が好ましく、110℃~180℃がより好ましい。加圧加熱処理の温度が100℃以上であると、シリカ粒子の縮合度を高めることができる。また、加圧加熱処理の温度が220℃以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、cv値、会合比を大きく変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れる。
加圧加熱処理の時間は、0.25時間~10時間が好ましく、0.5時間~8時間がより好ましい。加圧加熱処理の時間が0.25時間以上であると、シリカ粒子の縮合度を高めることができる。また、加圧加熱処理の時間が10時間以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、cv値、会合比を大きく変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れる。
加圧加熱処理の際のシリカゾルのpHは、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.8がより好ましい。加圧加熱処理の際のシリカゾルのpHが6.0以上であると、シリカゾルのゲル化を抑制することができる。また、加圧加熱処理の際のシリカゾルのpHが8.0以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、cv値、会合比を大きく変化させることなくシリカ粒子の縮合度を高めることができる。
シリカゾル中のシリカ粒子の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、3質量%~50質量%が好ましく、4質量%~40質量%がより好ましく、5質量%~30質量%が更に好ましい。シリカゾル中のシリカ粒子の含有率が3質量%以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。また、シリカゾル中のシリカ粒子の含有率が50質量%以下であると、シリカゾルや研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルや研磨組成物の保存安定性に優れる。
シリカゾル中の分散媒の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、50質量%~97質量%が好ましく、60質量%~96質量%がより好ましく、70質量%~95質量%が更に好ましい。シリカゾル中の分散媒の含有率が50質量%以上であると、シリカゾルや研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルや研磨組成物の保存安定性に優れる。また、シリカゾル中の分散媒の含有率が97質量%以下であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
シリカゾル中のシリカ粒子や分散媒の含有率は、工程(3)において、所望の範囲に設定することができる。
シリカゾルは、シリカ粒子及び分散媒以外に、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、酸化剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、pH緩衝剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌殺生物剤等の他の成分を含んでもよい。
特に、シリカゾルの保存安定性に優れることから、シリカゾル中に抗菌殺生物剤を含ませることが好ましい。
抗菌殺生物剤としては、例えば、過酸化水素、アンモニア、第四級アンモニウム水酸化物、第四級アンモニウム塩、エチレンジアミン、グルタルアルデヒド、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。これらの抗菌殺生物剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの抗菌殺生物剤の中でも、シリカゾルとの親和性に優れることから、過酸化水素が好ましい。
抗菌殺生物剤は、一般に殺菌剤と言われるものも含む。
シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、0.0001質量%~10質量%が好ましく、0.001質量%~1質量%がより好ましい。シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率が0.0001質量%質量%以上であると、シリカゾルの保存安定性に優れる。シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率が10質量%以下であると、シリカゾルの本来の性能を損なわない。
シリカゾルのpHは、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.8がより好ましい。シリカゾルのpHが6.0以上であると、分散安定性に優れて、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。また、シリカゾルのpHが8.0以下であると、シリカ粒子の溶解を防ぎ、長期間の保存安定性に優れる。
シリカゾルのpHは、pH調整剤を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
(シリカ粒子の物性)
本発明のシリカゾルの製造方法により製造されるシリカゾル中のシリカ粒子の好適物性等について、以下に説明する。
シリカ粒子の平均1次粒子径は、5nm~100nmが好ましく、10nm~60nmがより好ましい。シリカ粒子の平均1次粒子径が5nm以上であると、シリカゾルの保存安定性に優れる。また、シリカ粒子の平均1次粒子径が100nm以下であると、シリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、シリカ粒子の沈降を抑制することができる。
シリカ粒子の平均1次粒子径は、BET法により測定する。具体的には、比表面積自動測定装置を用いてシリカ粒子の比表面積を測定し、下記式(1)を用いて平均1次粒子径を算出する。
平均1次粒子径(nm)=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm))・・・(1)
シリカ粒子の平均1次粒子径は、公知の条件及び方法により、所望の範囲に設定することができる。
シリカ粒子の平均2次粒子径は、10nm~200nmが好ましく、20nm~100nmがより好ましい。シリカ粒子の平均2次粒子径が10nm以上であると、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れ、シリカゾルの保存安定性に優れる。また、シリカ粒子の平均2次粒子径が200nm以下であると、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れ、シリカ粒子の沈降を抑制することができる。
シリカ粒子の平均2次粒子径は、DLS法により測定する。具体的には、動的光散乱粒子径測定装置を用いて測定する。
シリカ粒子の平均2次粒子径は、公知の条件及び方法により、所望の範囲に設定することができる。
シリカ粒子のcv値は、10~50が好ましく、15~40がより好ましく、20~35が更に好ましい。シリカ粒子のcv値が10以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、シリコンウェハの生産性に優れる。また、シリカ粒子のcv値が50以下であると、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れる。
シリカ粒子のcv値は、動的光散乱粒子径測定装置を用いてシリカ粒子の平均2次粒子径を測定し、下記式(2)を用いて算出する。
cv値=(標準偏差(nm)/平均2次粒子径(nm))×100・・・(2)
シリカ粒子の会合比は、1.0~4.0が好ましく、1.1~3.0がより好ましい。シリカ粒子の会合比が1.0以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、シリコンウェハの生産性に優れる。また、シリカ粒子の会合比が4.0以下であると、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
シリカ粒子の会合比は、前述の測定方法にて測定した平均1次粒子径と前述の測定方法にて測定した平均2次粒子径とから、下記式(3)を用いて算出する。
会合比=平均2次粒子径/平均1次粒子径・・・(3)
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、0.1個/nm~10個/nmが好ましく、0.5個/nm~7.5個/nmがより好ましく、2.0個/nm~7.0個/nmが更に好ましい。シリカ粒子の表面シラノール基密度が0.1個/nm以上であると、シリカ粒子が適度な表面反発を有し、シリカゾルの分散安定性に優れる。また、シリカ粒子の表面シラノール基密度が10個/nm以下であると、シリカ粒子が適度な表面反発を有し、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、シアーズ法により測定する。具体的には、下記に示す条件で測定し、算出する。
シリカ粒子1.5gに相当するシリカゾルを採取し、純水を加えて液量を90mLにする。25℃の環境下、pHが3.6になるまで0.1mol/Lの塩酸水溶液を加え、塩化ナトリウム30gを加え、純水を徐々に加えながら塩化ナトリウムを完全に溶解させ、最終的に試験液の総量が150mLになるまで純水を加え、試験液を得る。
得られた試験液を自動滴定装置に入れ、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが4.0から9.0になるのに要する0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴定量A(mL)を測定する。
下記式(4)を用いて、シリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の消費量V(mL)を算出し、下記式(5)を用いて、シリカ粒子の表面シラノール基密度ρ(個/nm)を算出する。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C)・・・(4)
A:シリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴定量(mL)
f:用いた0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の力価
C:シリカゾル中のシリカ粒子の濃度(質量%)
W:シリカゾルの採取量(g)
ρ=(B×N)/(1018×M×SBET)・・・(5)
B:Vから算出したシリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した水酸化ナトリウム量(mol)
:アボガドロ数(個/mol)
M:シリカ粒子量(1.5g)
BET:平均1次粒子径の算出の際に測定したシリカ粒子の比表面積(m/g)
前記シリカ粒子の表面シラノール基密度の測定、算出方法は、「G.W.Sears,Jr.,Analytical Chemistry,Vol.28,No.12,pp.1981-1983(1956).」、「羽場真一,半導体集積回路プロセス用研磨剤の開発,高知工科大学博士論文,pp.39-45,2004年3月」、「特許第5967118号公報」、「特許第6047395号公報」を参考にする。
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の条件を調整することで、所望の範囲に設定することができる。
シリカ粒子の形状としては、例えば、球状、鎖状、繭状(こぶ状や落花生状とも称される)、異形状(例えば、疣状、屈曲状、分岐状等)等が挙げられる。これらのシリカ粒子の形状の中でも、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減させたい場合は、球状が好ましく、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートをより高めたい場合は、異形状が好ましい。
(シリカゾルの物性)
シリカゾル中に不純物として混入した金属含有率(金属不純物含有率)は、1質量ppm以下が好ましく、0.2質量ppm以下がより好ましい。
シリコンウェハの研磨において、金属不純物が被研磨体の表面に付着し、被研磨体を汚染することで、被研磨体や最終製品の特性に悪影響を及ぼす。
また、シリカゾルに金属不純物が存在すると、酸性を示す表面シラノール基と金属不純物とが配位的な相互作用が発生し、表面シラノール基の化学的性質(酸性度等)を変化させたり、シリカ粒子表面の立体的な環境(シリカ粒子の凝集のしやすさ等)を変化させたり、研磨レートに影響を及ぼす。
シリカゾルの金属含有率は、高周波誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により測定する。具体的には、シリカ粒子0.4g含むシリカゾルを正確に量り取り、硫酸とフッ酸を加え、加温、溶解、蒸発させ、残存した硫酸滴に総量が正確に10gとなるよう純水を加えて試験液を作製し、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定する。対象の金属は、ナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀、ニッケルとし、これらの金属の含有率の合計を金属含有率とする。
シリカゾルの金属含有率は、アルコキシシランを主原料として加水分解反応及び縮合反応を行ってシリカ粒子を得ることで、1質量ppm以下とすることができる。
水ガラス等の珪酸アルカリの脱イオンによる方法では、原料由来のナトリウム等が残存するため、シリカ粒子の金属含有率を1質量ppm以下とすることが極めて困難である。
(研磨組成物)
本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルは、研磨組成物として好適に用いることができる。
研磨組成物は、本発明のシリカゾルの製造方法により製造されたシリカゾル及び水溶性高分子を含むことが好ましい。
水溶性高分子は、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨組成物の濡れ性を高める。水溶性高分子は、水親和性の高い官能基を保有する高分子であることが好ましく、この水親和性の高い官能基とシリカ粒子の表面シラノール基との親和性が高く、研磨組成物中でより近傍にシリカ粒子と水溶性高分子とが安定して分散する。そのため、シリコンウェハに代表される被研磨体への研磨の際、シリカ粒子と水溶性高分子との効果が相乗的に機能する。
水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン骨格を有する共重合体、ポリオキシアルキレン構造を有する重合体等が挙げられる。
セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、加水分解処理を施したヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
ポリビニルピロリドン骨格を有する共重合体としては、例えば、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとのグラフト共重合体等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン構造を有する重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体等が挙げられる。
これらの水溶性高分子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの水溶性高分子の中でも、シリカ粒子の表面シラノール基との親和性が高く、相乗的に作用して被研磨体の表面に良好な親水性を与えることから、セルロース誘導体が好ましく、ヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。
水溶性高分子の重量平均分子量は、1,000~3,000,000が好ましく、5,000~2,000,000がより好ましく、10,000~1,000,000が更に好ましい。水溶性高分子の重量平均分子量が1,000以上であると、研磨組成物の親水性が向上する。また、水溶性高分子の重量平均分子量が3,000,000以下であると、シリカゾルとの親和性に優れ、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算で、0.1mol/LのNaCl溶液を移動相とする条件で、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定する。
研磨組成物中の水溶性高分子の含有率は、研磨組成物全量100質量%中、0.02質量%~10質量%が好ましく、0.05質量%~5質量%がより好ましい。研磨組成物中の水溶性高分子の含有率が0.02質量%以上であると、研磨組成物の親水性が向上する。また、研磨組成物中の水溶性高分子の含有率が10質量%以下であると、研磨組成物調製時のシリカ粒子の凝集を抑制することができる。
研磨組成物は、シリカゾル及び水溶性高分子以外に、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、塩基性化合物、研磨促進剤、界面活性剤、親水性化合物、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、pH緩衝剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌殺生物剤等の他の成分を含んでもよい。
特に、シリコンウェハに代表される被研磨体の表面に化学的な作用を与えて化学的研磨(ケミカルエッチング)ができ、シリカ粒子の表面シラノール基との相乗効果により、シリコンウェハに代表される被研磨体の研磨速度を向上させることができることから、研磨組成物中に塩基性化合物を含ませることが好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、有機塩基性化合物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの塩基性化合物の中でも、水溶性が高く、シリカ粒子や水溶性高分子との親和性に優れることから、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムが好ましく、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムがより好ましく、アンモニアが更に好ましい。
研磨組成物中の塩基性化合物の含有率は、研磨組成物全量100質量%中、0.001質量%~5質量%が好ましく、0.01質量%~3質量%がより好ましい。研磨組成物中の塩基性化合物の含有率が0.001質量%以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体の研磨速度を向上させることができる。また、研磨組成物中の塩基性化合物の含有率が5質量%以下であると、研磨組成物の安定性に優れる。
研磨組成物のpHは、8.0~12.0が好ましく、9.0~11.0がより好ましい。研磨組成物のpHが8.0以上であると、研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、研磨組成物の分散安定性に優れる。また、研磨組成物のpHが12.0以下であると、シリカ粒子の溶解を抑制することができ、研磨組成物の安定性に優れる。
研磨組成物のpHは、pH調整剤を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
研磨組成物は、本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾル、水溶性高分子、及び、必要に応じて、他の成分を混合することで得られるが、保管、運搬を考慮し、一旦高濃度で調製し、研磨直前に水等で希釈してもよい。
(研磨方法)
本発明の研磨方法は、本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルを含む研磨組成物を用いて研磨する方法である。
研磨組成物は、前述した研磨組成物を用いることが好ましい。
具体的な研磨の方法としては、例えば、シリコンウェハの表面を研磨パッドに押し付け、研磨パッド上に本発明の研磨組成物を滴下し、シリコンウェハの表面を研磨する方法が挙げられる。
(半導体ウェハの製造方法、半導体デバイスの製造方法)
本発明の半導体ウェハの製造方法及び本発明の半導体デバイスの製造方法は、本発明の研磨方法を含む。
(用途)
本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルは、研磨用途に好適に用いることができ、例えば、シリコンウェハ等の半導体材料の研磨、ハードディスク基板等の電子材料の研磨、集積回路を製造する際の平坦化工程における研磨(化学的機械的研磨)、フォトマスクや液晶に用いる合成石英ガラス基板の研磨、磁気ディスク基板の研磨等に用いることができ、中でもシリコンウェハの研磨や化学的機械的研磨に特に好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(平均1次粒子径の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカゾルを150℃で乾燥し、比表面積自動測定装置「BELSORP-MR1」(機種名、マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて、シリカ粒子の比表面積を測定し、下記式(1)を用い、密度を2.2g/cmとし、平均1次粒子径を算出した。
平均1次粒子径(nm)=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm))・・・(1)
(平均2次粒子径の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカゾルを、動的光散乱粒子径測定装置「ゼーターサイザーナノZS」(機種名、マルバーン社製)を用いて、シリカ粒子の平均2次粒子径を測定し、下記式(2)を用いてcv値を算出した。
cv値=(標準偏差(nm)/平均2次粒子径(nm))×100・・・(2)
(会合比の算出)
測定した平均1次粒子径と平均2次粒子径とから、下記式(3)を用いて会合比を算出した。
会合比=平均2次粒子径/平均1次粒子径・・・(3)
(金属含有率の測定)
シリカ粒子0.4gを含むシリカゾルを正確に量り取り、硫酸とフッ酸を加え、加温、溶解及び蒸発させ、残存した硫酸滴に総量が正確に10gとなるよう純水を加えて試験液を作製した。高周波誘導結合プラズマ質量分析装置「ELEMENT2」(機種名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、ナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀、ニッケルの含有率を測定し、その合計を金属含有率とした。
[比較例1]
テトラメトキシシランとメタノールとを2.3:1(体積比)で混合した溶液(B)と3.5質量%アンモニア水溶液の溶液(C)とをそれぞれ調液した。温度計、攪拌機、供給管及び留出ラインを備えた反応槽に、予めメタノール、水及びアンモニアを混合した溶液(A)を仕込んだ。溶液(A)中のメタノールの濃度を85.9質量%、溶液(A)中の水の濃度を13質量%、溶液(A)中のアンモニアの濃度を1.1質量%とした。
反応液の温度を31℃に保持したまま、溶液(A)194体積%に、溶液(B)100体積%及び溶液(C)32体積%を、109分間かけてそれぞれ等速で添加し、シリカ粒子の分散液を得た。
得られたシリカ粒子の分散液を、シリカ粒子の含有率が約20質量%になるように、温度を上げて、シリカ粒子の分散液中のアンモニア及びメタノールを含む溶液(X)を除去した。除去した溶液中のアンモニアの濃度は1質量%、除去した溶液中のメタノールの濃度は93質量%、除去した溶液中の水の濃度は6質量%であった。
その後、温度を上げて、アンモニアとメタノールを除去しながら水を添加し、シリカ粒子の含有率が約20質量%のシリカ粒子の水分散液(シリカゾル)を得た。
得られたシリカゾルの評価結果を、表1に示す。
[実施例1]
比較例1で除去したアンモニア及びメタノールを含む溶液(X)(アンモニアの濃度1質量%、メタノールの濃度93質量%、水の濃度6質量%)に水とアンモニアを添加し、メタノールの濃度85.9質量%、水の濃度13質量%、アンモニアの濃度1.1質量%の溶液(A)を準備した以外は、実施例1と同様に操作を行い、シリカ粒子の含有率が約20質量%のシリカ粒子の水分散液(シリカゾル)を得た。
得られたシリカゾルの評価結果を、表1に示す。
Figure 2023007711000001
表1からも分かるように、工程(1)における溶液(A)として、工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を用いた実施例とそうでない比較例とで、同等の物性のシリカゾルが得られ、工程(1)における溶液(A)として、工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を用いても、問題がないことを確認できた。
本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルは、研磨用途に好適に用いることができ、例えば、シリコンウェハ等の半導体材料の研磨、ハードディスク基板等の電子材料の研磨、集積回路を製造する際の平坦化工程における研磨(化学的機械的研磨)、フォトマスクや液晶に用いる合成石英ガラス基板の研磨、磁気ディスク基板の研磨等に用いることができ、中でもシリコンウェハの研磨や化学的機械的研磨に特に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 以下の工程(1)~(3)を含み、
    以下の工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を、以下の工程(1)における溶液(A)の少なくとも一部として用いる、
    シリカゾルの製造方法。
    工程(1):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液(A)、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)をそれぞれ準備する工程
    工程(2):前記溶液(A)に、前記溶液(B)及び前記溶液(C)を添加して、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う工程
    工程(3):アルカリ触媒及びアルコールを含む溶液を除去し、水を添加する工程
  2. 前記アルカリ触媒が、アンモニアである、請求項1に記載のシリカゾルの製造方法。
  3. 前記アルコールが、メタノールである、請求項1又は2に記載のシリカゾルの製造方法。
  4. 前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランである、請求項1~3のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
  5. 前記工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液中のアルカリ触媒の濃度が、0.2質量%~3質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
  6. 前記工程(3)において除去したアルカリ触媒及びアルコールを含む溶液中のアルコールの濃度が、85質量%~99質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
  7. 更に、以下の工程(4)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
    工程(4):前記工程(3)で得られたシリカゾルを加圧加熱処理する工程
  8. 前記シリカゾル中のシリカ粒子の濃度が、3質量%~50質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
  9. 前記シリカゾル中の金属含有率が、1質量ppm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルを含む研磨組成物を用いて研磨する工程を有する、研磨方法。
  11. 請求項10に記載の研磨方法を含む、半導体ウェハの製造方法。
  12. 請求項10に記載の研磨方法を含む、半導体デバイスの製造方法。
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