JP2023007566A - 原子炉燃料棒および該燃料棒を束ねた燃料集合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料被覆管の材料としてSiC材料を用い、事故時の高温状態での燃料被覆管と端栓との接合部における気密性を従来よりも高めた原子炉燃料棒および該燃料棒を束ねた燃料集合体を提供する。【解決手段】本発明に係る原子炉燃料棒は、SiC材料からなる燃料被覆管の両方の端面を端栓が封止しており、前記端栓は、前記燃料被覆管の中に挿入される胴部と、前記燃料被覆管の前記端面に当接する頭部とを有し、前記胴部の外周面と前記燃料被覆管における前記胴部が挿入される領域の内周面とに、互いに嵌合する所定の凹凸構造が形成されており、前記外周面と前記内周面との間隙には、所定のろう付け材料が充填されており、前記端栓は、前記胴部の先端部から前記頭部に向けて、前記頭部を貫通しない受圧孔を有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、原子炉の技術に関し、特に原子炉の炉心に装荷される原子炉燃料棒および該燃料棒を束ねた燃料集合体に関するものである。
一般に、沸騰水型原子炉(BWR)や加圧水型原子炉(PWR)などの軽水炉の炉心内には、原子炉燃料として燃料集合体が装荷されている。燃料集合体は、ウラン燃料が装填された複数本の原子炉燃料棒(単に燃料棒とも言う)が、上部タイプレートおよび下部タイプレートにより整列支持されているものである。
各原子炉燃料棒は、長さ約4 mの燃料被覆管にウラン燃料ペレットが装填されており、その両端が端栓によって封止されている。燃料被覆管および端栓の材料としては、従来から、熱中性子吸収断面積が小さくかつ耐食性に優れたジルコニウム合金材料(ジルカロイ)が使用されている。言い換えると、ジルコニウム(Zr)合金材料からなる燃料被覆管および端栓は、中性子経済に優れると共に通常の原子炉内環境において安全に使用されてきた。
一方、水を冷却材として使用する軽水炉では、冷却水が原子炉内に流入できなくなる事故(いわゆる、冷却材喪失事故)が発生した場合、ウラン燃料の発熱により原子炉内の温度が上昇し、高温の水蒸気が発生する。また、冷却水不足により燃料棒が冷却水から露出すると、燃料棒の温度が上昇して1000℃を優に超え、燃料被覆管のZr合金材料と水蒸気とが化学反応して(Zr合金が酸化して水蒸気が還元され)、水素が生成する。これら水蒸気や水素の大量発生は、爆発事故につながることから厳に避けるべき事象である。
冷却材喪失および爆発のような事故を回避するため、現在の原子炉では、非常用電源、非常用炉心冷却装置など多重の電源装置および冷却装置を設けるといった安全対策を強化したシステム設計が施されており、更なる改良や改修も重ねられている。安全性強化の試みは、システム設計に留まらず、炉心を構成する部材に対しても検討されている。
例えば、燃料被覆管および端栓の材料として、水素発生の要因となるZr合金材料の代わりにセラミックス材料を用いる検討が進められている。中でも、炭化ケイ素(SiC)材料は、耐食性に優れ、熱伝導率も高く、熱中性子吸収断面積も小さいことから、燃料被覆管および端栓の有望な材料として研究開発が進んでいる。
SiCは、常圧での熱分解温度が2545℃と非常に高温まで安定であることから、Zr合金よりも耐熱性に優れる利点がある。1300℃を超えるような高温水蒸気環境におけるSiCの酸化速度は、Zr合金のそれよりも2桁低いことから、万が一冷却材喪失などの過酷事故が発生したとしても水素生成の大幅な低減が期待できる。また、SiCをマトリックスとしSiC繊維を分散させて強化した複合材料(SiC/SiC複合材料)は、セラミックスであるにもかかわらず高い靭性を示す期待の材料である。
一方、燃料被覆管と端栓との接合部には、燃料棒内部の放射性物質(燃料ペレットや核分裂生成物)を漏洩しない気密性および容易に破損しない接合強度が要求される。ただし、SiC材料は金属材料のように溶接できないため、何かしらの接合材料を用いた接合方法により気密性と接合強度とを両立させる必要がある。なお、Zr合金材料からの置き換えを前提とすることから、燃料被覆管および端栓の(すなわち、燃料棒としての)寸法が大きく変更されることは望まれていない。
上記のような要求を満たす技術として、例えば特許文献1(WO 2016/084146 A1)や特許文献2(WO 2017/033276 A1)が開発されている。
特許文献1には、軽水炉用の原子炉燃料棒であって、共に炭化ケイ素材料からなる燃料被覆管および端栓を有し、前記燃料被覆管と前記端栓との接合部は、固相線温度が1200℃以上である所定の金属接合材を介したろう付けおよび/または拡散接合によって形成されており、前記接合部の外表面と該接合部外表面に隣接する前記燃料被覆管および前記端栓の外表面の一部とが、所定の被覆金属からなる接合部被覆で覆われており、前記所定の金属接合材および前記所定の被覆金属は、その平均線膨張係数が10 ppm/K未満であることを特徴とする原子炉燃料棒、が開示されている。
特許文献1によると、燃料被覆管および端栓の材料としてSiC材料を用い、該燃料被覆管と端栓との接合部において気密性と耐熱性と耐食性とを兼ね備える原子炉燃料棒を提供できる、とされている。
また、特許文献2(WO 2017/033276 A1)には、セラミックス材料を基材とする円筒状の被覆管と、前記被覆管と同種の材料で形成される中子と、前記中子を収容し得る連続した曲面形状の凹部を有する端栓とを備え、前記端栓は前記被覆管と同種の材料で形成され、前記被覆管の端部に形成された傾斜面と前記端栓の端部に形成された傾斜面が当接し金属接合材にて接合され、当該接合部を前記中子が支持することを特徴とする軽水炉用燃料棒、が開示されている。
特許文献2によると、セラミックス材料を基材とする燃料被覆管および端栓との接合部に、仮に、亀裂が生じた場合であっても、燃料被覆管または端栓を亀裂が貫通することを防止し得る軽水炉用燃料棒を提供できる、とされている。
国際公開第2016/084146号 国際公開第2017/033276号
前述したように、燃料被覆管と端栓との接合部には、気密性と接合強度との確保が要求される。また、万が一の過酷事故を想定した場合、燃料棒には、接合部を含めて、1200℃に耐えられる耐熱性が求められる。特許文献1や特許文献2の技術は、これらの要求を満たすと考えられる。
本発明者等は、燃料棒における安全性を更に高めることを目指して、より高温での耐熱性を検討した。すると、燃料棒は、冷却材喪失などの過酷事故において最高温度が局所的に2000℃超まで上がる可能性があることが判った。また、特許文献1~2の燃料棒は、そのような温度レベルに起因する内部圧力上昇に対して燃料被覆管と端栓との気密性確保が不十分になる可能性があることが判った。本発明者等は、内部圧力上昇により気密性確保が不十分になる可能性を解決すべき課題と捉えた。
したがって、本発明の目的は、燃料被覆管の材料としてSiC材料を用い、事故時の高温状態での燃料被覆管と端栓との接合部における気密性を従来よりも高めた原子炉燃料棒および該燃料棒を束ねた燃料集合体を提供することにある。
(I)本発明の一態様は、軽水炉用の原子炉燃料棒であって、
SiC材料からなる燃料被覆管の両方の端面を端栓が封止しており、
前記端栓は、前記燃料被覆管の中に挿入される胴部と、前記燃料被覆管の前記端面に当接する頭部とを有し、
前記胴部の外周面と前記燃料被覆管における前記胴部が挿入される領域の内周面とに、互いに嵌合する所定の凹凸構造が形成されており、
前記外周面と前記内周面との間隙には、所定のろう付け材料が充填されており、
前記端栓は、前記胴部の先端部から前記頭部に向けて、前記頭部を貫通しない受圧孔を有する、ことを特徴とする原子炉燃料棒。
本発明は、上記の発明に係る原子炉燃料棒(I)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記受圧孔は、内径が前記胴部の外径の半分以上であり、深さが前記胴部の軸方向長さの半分以上である。
(ii)前記受圧孔は、深さが前記胴部の軸方向長さ以上である。
(iii)前記受圧孔は、深さが進むにつれて内径が減少し、前記胴部の軸方向長さの半分の位置での内径が該胴部の外径の半分以上である。
(iv)前記所定の凹凸構造が、ねじ構造である。
(v)前記端栓の前記頭部は、前記胴部と一体の中子が該中子を収容する端栓キャップに収容される構造を有している。
(vi)前記端栓の前記胴部の前記外周面に、該端栓の軸方向と平行の溝が更に形成されている。
(vii)前記端栓の前記胴部の軸方向長さ5 mm以上の領域に、前記所定のろう付け材料が充填されている。
(viii)前記端栓の少なくとも前記胴部は、SiC材料、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、およびZrから選ばれる一種からなり、前記所定のろう付け材料は、固相線温度が1300℃超であるSi、Si合金、チタン-クロム(Ti-Cr)合金、および金属酸化物から選ばれる一種である。
(ix)前記先端部に対して、前記原子炉燃料棒の燃料室と前記端栓とを仕切りかつ前記受圧孔と連通する通気孔を有する仕切板が、前記所定のろう付け材料によって接合されている。
(x)前記仕切板は、固相線温度が1300℃超である炭化物、窒化物、酸化物、および金属から選ばれる一種からなる。
(xi)前記燃料被覆管の内径と前記仕切板の外径との差の半分が、前記外周面と前記内周面との前記間隙の平均よりも小さい。
(II)本発明の他の一態様は、複数の原子炉燃料棒を束ねて構成される燃料集合体であって、前記原子炉燃料棒が、上記の本発明に係る原子炉燃料棒であることを特徴とする燃料集合体を提供するものである。
本発明によれば、燃料被覆管の材料としてSiC材料を用い、事故時の高温状態での燃料被覆管と端栓との接合部における気密性を従来よりも高めた原子炉燃料棒および該燃料棒を束ねた燃料集合体を提供することができる。
本発明に係る原子炉燃料棒の一例を示す部分断面模式図である。 燃料被覆管と端栓との接合部の一例を示す拡大縦断面模式図である。 燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大縦断面模式図である。 燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大縦断面模式図である。 燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大横断面模式図である。 燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大縦断面模式図である。 本発明に係る原子炉燃料棒の製造方法の工程例を示すフロー図である。 本発明に係る燃料集合体の一例を示す模式図であり、(a)縦断面図、(b)A-A線の横断面図である。 沸騰水型原子炉のセルの一例を示す横断面模式図である。 本発明に係る燃料集合体の他の一例を示す斜視模式図である。 加圧水型原子炉のセルの一例を示す横断面模式図である。 燃料被覆管の内圧と構成部材の変位(寸法変化)との関係の一例を示すグラフである。 燃料被覆管の内圧と燃料被覆管-端栓胴部の平均間隔の変化量との関係の一例を示すグラフである。 温度上昇による熱膨張を考慮した燃料被覆管の内圧と燃料被覆管-端栓胴部の平均間隔の変化量との関係の一例を示すグラフである。
(本発明の基本思想)
本発明者等は、燃料棒の安全性を更に高めることを目指して、冷却材喪失などの過酷事故における燃料棒の挙動を検討した。すると、SiC材料からなる燃料棒は、SiC材料自体の耐熱性が高いことにより、最高温度が局所的に(例えば、燃料ペレットの充填領域で)2000℃超まで上がる可能性があることが判った。なお、当該検討によると、燃料棒の端栓接合領域の温度は1300℃以下であった。
燃料ペレットの充填領域で2000℃超まで温度上昇すると、燃料被覆管が熱膨張すると共に燃料棒の内部圧力が大きく上昇することに起因して、燃料被覆管自体が拡管する(径が拡大する)。そして、燃料被覆管の内径と端栓の外径(燃料被覆管に挿入される胴部の外径)との差異が大きくなって、燃料被覆管と端栓との気密性確保が不十分になる可能性があることが判った。
本発明者等は、そのような温度状況・圧力状況においても燃料被覆管と端栓との気密性を確保する手段について鋭意研究した。その結果、燃料被覆管と端栓との接合長さ(厳密に言うと、接合面積)を十分に確保することが重要であり、燃料被覆管と端栓との間隙に接合材料を十分に浸透させることが有効であることを見出した。また、端栓の胴部に先端部から頭部に向けた受圧孔を設ける(言い換えると、端栓の胴部を管状にする)ことによって、燃料棒の内部圧力が上昇した際に端栓の胴部も拡管して、燃料被覆管の内径と端栓の外径との差異増大を抑制できることを見出した。本発明は、当該知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。なお、同義の材料や部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することがある。また、本発明は、ここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能ある。
[第1実施形態]
(原子炉燃料棒)
図1は、本発明に係る原子炉燃料棒の一例を示す部分断面模式図である。図1に示したように、本発明の原子炉燃料棒10は、概略的に、燃料被覆管11と、該燃料被覆管11の両端に接合され燃料被覆管11を封止する端栓12(12a,12b)とを有し、燃料被覆管11と端栓12とによって規定される燃料室13内に複数の燃料ペレット14が装填されている。燃料ペレット14を固定するため、連装された燃料ペレット14の一方の端部は、プレナムスプリング15によって押圧されている。
図2は、燃料被覆管と端栓との接合部の一例を示す拡大縦断面模式図である。なお、図2においては、接合部の代表として燃料被覆管11と端栓12aとの接合部を示したが、燃料被覆管11と端栓12bとの接合部も同様の構造を有している。また、図面の簡略化のため、燃料ペレット14の図示は省略した。
本実施形態において、燃料被覆管11および端栓12は、SiC材料を用い、特にSiC/SiC複合材料を用いることが好ましい。また、SiC/SiC複合材料の表面の一部(例えば、双方の接合面に相当する領域)にSiC層が更に形成された材料を用いることも好ましい。当該SiC層の形成方法に特段の限定はなく、例えば、化学蒸着法(CVD法)や塗布・焼結法を用いることができる。
燃料被覆管11の寸法は、Zr合金材料からなる従来の燃料被覆管と同様であることが好ましく、例えば、長さ約4 m、外径10~11 mm、管の肉厚約1 mmである。端栓12(12a,12b)は、燃料被覆管11内に挿入される胴部12c、および燃料被覆管11の端面に当接する頭部12fを有する。胴部12cの軸方向長さに特段の限定はないが、例えば5~20 mmで設定することが好ましい。胴部12cの先端部12dの周縁は、先端部12dの径が小さくなるようなテーパーが形成されていることが好ましい。頭部12fは、燃料被覆管11と接合したときに接合部近傍の外表面に段差が生じないような形状・寸法になっていることが好ましい。
胴部12cの外周面と燃料被覆管11の内周面との間隙には、端栓12と燃料被覆管11とを気密接合するろう付け材料16が、充填されている。ろう付け材料16による気密接合を確実に行うため、胴部12cの外周面と燃料被覆管11の内周面との間には、ろう付け材料16が浸入し易くなるような隙間があることが好ましく、例えば、平均間隙(半径方向の間隙の平均)で0.03~0.2 mm程度が好ましい。
また、胴部12cの外周面および燃料被覆管11における胴部12cが挿入される領域の内周面には、互いに嵌合する所定の凹凸構造(胴部凹凸構造12e、燃料被覆管凹凸構造11a、例えばねじ構造)が形成されていることが好ましい。凹凸構造の高さ/深さ、ピッチおよび凹凸の数に関しては、上記の平均間隔を保持した上で、胴部凹凸構造12eの凸と燃料被覆管凹凸構造11aの凸とが引っ掛かるように(真っ直ぐ抜けないように)設定されれば特段の限定はない。
なお、胴部凹凸構造12eおよび燃料被覆管凹凸構造11aは、それぞれ胴部12cの外周面の全周および燃料被覆管11の内周面の全周に形成される必然性はなく、燃料被覆管11の端面に端栓12を配設したときに真っ直ぐ抜けなければ、凹凸構造を有しない領域が一部にあってもよい。
接合部分が凹凸構造を有することにより、ろう付け材料16による接合長さ/接合面積を確保し易くなる利点がある。また、凹凸構造によって嵌合・締結することにより、燃料被覆管11と端栓12との接合強度の信頼性をより高めることができる。
ろう付け材料16としては、Si(融点1414℃)および固相線温度が1300℃超となる組成を有するSi合金、Ti-Cr合金、金属酸化物から選ばれる一種を好ましく用いることができる。Si合金としては、例えばSi-Ti合金、Si-Zr合金、Si-Cr合金、ケイ素-ニオブ(Si-Nb)合金、それらの複合合金が好ましい。Ti-Cr合金としては、Ti濃度が44質量%以上99質量%以下の合金が好ましい。金属酸化物としては、例えばアルミニウム-イットリウム複合酸化物(Al2O3-Y2O3)、アルミニウム-イッテルビウム複合酸化物(Al2O3-Yb2O3)、Al-Si複合酸化物(Al2O3-SiO2)、Zr-Si複合酸化物(ZrO2-SiO2)、Ti-Si複合酸化物(TiO2-SiO2)、Al-Y-Zr複合酸化物(Al2O3-Y2O3-ZrO2)、それらの混合酸化物が好ましい。また、これらの合金、金属酸化物に適当なセラミックス粉末をフィラーとして混合してもよい。溶融温度(液相が生じる温度)が1300℃超のろう付け材料16を用いて接合することにより、接合部の温度が1300℃となるような過酷事故に陥ったとしても燃料棒10の気密性を維持することができる。
さらに、図2に示したように端栓12は、胴部12cの先端部12eから頭部12fに向けて、頭部12fを貫通しない有底の受圧孔12hが形成されている。受圧孔12hを有することにより、原子炉燃料棒10の内部圧力が上昇すると胴部12cが拡管して、内部圧力の上昇に起因する燃料被覆管11の内径と胴部12cの外径との差異増大を抑制することができる。
受圧孔12hは、内径が胴部12cの外径(胴部凹凸構造12eの凸同士の径、雄ねじにおける呼び径に相当)の半分以上であれば、燃料被覆管11の内径と胴部12cの外径との差異増大の抑制に効果がある。受圧孔12hを有する領域の胴部12cの厚さが燃料被覆管11の厚さと同等以下になるように、受圧孔12hの内径を設定することはより好ましい。
また、受圧孔12hは、深さが胴部12cの軸方向長さの半分以上であれば、燃料被覆管11の内径と胴部12cの外径との差異増大の抑制に効果がある。当該深さは、胴部12cの軸方向長さ以上がより好ましい。
[第2実施形態]
(原子炉燃料棒)
図3は、燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大縦断面模式図である。本実施形態の原子炉燃料棒20は、第1実施形態の原子炉燃料棒10と比較して、端栓22の構造が異なり他を同じとするものである。よって、異なる部分についてのみ説明する。
図3に示したように、端栓22は、端栓プラグ221と端栓キャップ222とからなり、端栓プラグ221は、燃料被覆管11内に挿入される胴部22c1と端栓キャップ222内に挿入される中子22c2とが一体になっている。中子22c2と端栓キャップ222とは、ねじ構造によって互いに締結されることが好ましく、ろう付け材料16を介して接合されていてもよい。
端栓22の胴部22c1は、第1実施形態の端栓12の胴部12cに相当し、締結された中子22c2および端栓キャップ222が、第1実施形態の端栓12の頭部12fに相当する。端栓22の頭部を中子22c2および端栓キャップ222の2部品から構成することにより、端栓の頭部に予期せぬ損傷(例えばクラック)が生じた場合でも、当該損傷が端栓全体を貫通することを抑制できる利点がある。
端栓22は、端栓プラグ221と端栓キャップ222とが別体になっていることから、端栓プラグ221と端栓キャップ222とをそれぞれ別材料で構成してもよい。例えば、端栓プラグ221を、熱膨張係数がSiCのそれよりも大きく、かつろう付け材料16と望まない化学反応を生じさせない材料(例えば、W、Mo、Zr)で構成することは、好ましい。
この構造は、原子炉燃料棒20の内部圧力の上昇に起因する胴部22c1の拡管に加えて、温度上昇/熱膨張に起因する胴部22c1の拡管が期待され、燃料被覆管11の内径と胴部22c1の外径との差異増大を更に抑制できる利点がある。
また、図3においては、燃料被覆管11の端面および該端面と当接する端栓22の頭部の座面(端栓キャップ222の座面)とが、原子炉燃料棒20の軸方向に直交する面に対して傾斜角を有している。互いに当接する端面および座面を傾斜面にすることにより、燃料被覆管11と端栓22との間でセンタリング作用が働き、胴部22c1の径方向位置(すなわち、胴部22c1の外周面と燃料被覆管11の内周面との間隙)を安定させることができる。
なお、互いに当接する端面および座面を傾斜面にすることは、本実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態でも適用可能である。傾斜面の方向にも特段の限定はない。
[第3実施形態]
(原子炉燃料棒)
図4は、燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大縦断面模式図である。本実施形態の原子炉燃料棒30は、第1実施形態の原子炉燃料棒10と比較して、端栓32の構造が異なり他を同じとするものである。よって、異なる部分についてのみ説明する。
図4に示したように、端栓32において受圧孔32hは、深さが進むにつれて内径が減少する形状(テーパー形状)となっている。受圧孔32hの内径は、胴部32cの軸方向長さの半分の位置で該胴部32cの外径の半分以上であることが好ましい。
この構造は、胴部32cの軸方向長さの半分の位置よりも先端部12d側の厚さが、第1実施形態の場合よりも薄くなることから、胴部32cの当該領域がより拡管し易くなって、燃料被覆管11の内径と胴部32cの外径との差異増大を更に抑制できる利点がある。
なお、本実施形態で説明した端栓32の構造(受圧孔32hの形状)は、本実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態でも適用可能である。
[第4実施形態]
(原子炉燃料棒)
図5は、燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大横断面模式図である。本実施形態の原子炉燃料棒40は、第1実施形態の原子炉燃料棒10と比較して、端栓の構造が異なり他を同じとするものである。よって、異なる部分についてのみ説明する。
本発明者等の研究により、燃料被覆管と端栓との接合部で十分な気密性および接合強度を確保するためには、ろう付け材料が端栓胴部の軸方向長さで5 mm以上充填されることが好ましいことが判明している。ろう付け材料の充填長さは、6 mm以上がより好ましく、8 mm以上が更に好ましい。
ここで、実機の原子炉燃料棒の製造を考えると、燃料ペレットを装填する前の端栓の封止接合においては、燃料被覆管および端栓の全体加熱が可能な上に、十分な加熱保持時間を確保することができる。一方、燃料ペレットを装填した後の端栓の封止接合においては、燃料ペレットへの過度の加熱を避けるため、局所加熱が必要な上に、加熱保持時間はできるだけ短い方が好ましい。このことから、燃料被覆管の内周面と端栓胴部の外周面との間隙に、溶融したろう付け材料を効率的に充填させる手段は、十分に意義がある。
図5に示したように、本実施形態の端栓は、胴部42cの外表面に縦溝42gが形成されている。この構造は、燃料被覆管11の内周面と胴部42cの外周面との間隙に溶融したろう付け材料16をより効率的に充填させる利点がある。
縦溝42gの本数に特段の限定はなく、胴部42cの外周面と燃料被覆管11の内周面との間隙にろう付け材料16が均等に充填されるように適宜設定すればよい(例えば2~8本)。縦溝42gの横断面形状にも特段の限定はないが、クラック防止の観点からは丸底形状が好ましい。縦溝42gの深さにも特段の限定はなく、例えば、胴部凹凸構造の凹底に合わせた深さを採用すればよい。また、縦溝42gの長さにも特段の限定はなく、胴部42cの全長に亘って形成してもよいし、胴部42cの途中までの形成でもよい。
なお、本実施形態で説明した胴部42cの外表面での縦溝42gの形成は、本実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態でも適用可能である。
[第6実施形態]
(原子炉燃料棒)
図6は、燃料被覆管と端栓との接合部の他の一例を示す拡大縦断面模式図である。本実施形態の原子炉燃料棒50は、第1実施形態の原子炉燃料棒10と比較して、原子炉燃料棒50の燃料室13と端栓12とを仕切る仕切板51が、端栓12に対して配設されている点で異なり他を同じとするものである。よって、異なる部分についてのみ説明する。
仕切板51は、先端部12dとろう付け材料16とを覆う押圧部51aと、受圧孔12hに嵌合する位置決め凸部51bと、受圧孔12hと連通する通気孔51cとを有し、ろう付け材料16によって端栓12に接合されている。押圧部51aは、押圧部51aの外径と燃料被覆管11の内径との差の半分が、胴部12cの外周面と燃料被覆管11の内周面との間の平均間隙よりも小さくなるように設定されることが好ましい。それにより、仕切板51の燃料室13側の面にろう付け材料16がはみ出してくるのを抑制することができる。
燃料被覆管11と端栓12とをろう付け接合する際に、仕切板51の押圧部51aを端栓12の方向に押圧することにより、燃料被覆管11の内周面と胴部12cの外周面との間隙に溶融したろう付け材料16をより効率的に圧入充填させられる利点がある。また、受圧孔12hと位置決め凸部51bとの嵌合によって仕切板51と端栓12との位置関係が確定すると、燃料被覆管11と端栓12との間でセンタリング作用が働き、胴部12cの径方向位置(すなわち、胴部12cの外周面と燃料被覆管11の内周面との間隙)を安定させることができる。受圧孔12hと連通する通気孔51cを有するので、受圧孔12hの作用効果を阻害しない。
仕切板51は、1300℃においても燃料ペレット14、プレナムスプリング15およびろう付け材料16と望まない化学反応しない材料からなり、かつ固相線温度が1300℃超である炭化物(例えばSiC)、窒化物(例えばSi3N4)、酸化物(例えばAl2O3)および金属(例えばW、Mo)から選ばれる一種からなることが好ましい。仕切板51を配設することによって、燃料ペレット14とろう付け材料16との望まない化学反応やプレナムスプリング15とろう付け材料16との望まない化学反応を防止することができ、原子炉燃料棒50の安全性をより確保しやすくなる。
また、図6においては、燃料被覆管11の端面と端栓12の頭部の座面との接合部の外表面と、該接合部外表面に隣接する燃料被覆管11および端栓12の外表面の一部とを、高温水に対する耐食性の高い被覆金属からなる接合部被覆層52で覆っている。
原子炉燃料棒の運転環境(例えば、通常運転時で280~330℃の炉水中)は強い酸化腐食環境であるため、従来から材料として耐食性に優れたZr合金が広く利用されてきた。SiやSi合金はZr合金に比して耐食性が劣ることから、SiやSi合金をろう付け材料16として用いる場合は、接合部のろう付け材料16が炉水と直接接触するのを防ぐために、接合部被覆層52で覆うことが好ましい。
接合部被覆層52の材料としては、従来のZr合金と同等以上の耐食性を有する材料であればよく、例えば、Cr、TiおよびZrの一種以上を主成分とする合金材料を好ましく用いることができる。接合部被覆層52の厚さは、0.01 mm以上1 mm以下が好ましい。接合部被覆層52の形成方法に特段の限定はなく、従前の方法(例えば、ペーストの塗布・焼付、無電解めっき、物理蒸着、化学蒸着)を適宜利用できる。
なお、本実施形態で説明した仕切板51の配設および接合部被覆層52の形成は、本実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態でも適用可能である。
[第7実施形態]
(原子炉燃料棒の製造方法)
本発明に係る原子炉燃料棒の製造方法、特に燃料被覆管と端栓との接合は、例えば、次のように行われる。図7は、本発明に係る原子炉燃料棒の製造方法の工程例を示すフロー図である。ここでは、第6実施形態の原子炉燃料棒50を例にして説明する。
図7に示したように、本発明に係る原子炉燃料棒の製造方法は、概略的に、端栓12の先端部12dにろう付け材料16を配置する先端部ろう付け材料配置ステップS1と、燃料被覆管11と端栓12との接合面(例えば、胴部12cの外周面の上や、燃料被覆管11の端面と当接する端栓12の頭部12fの座面の上)にろう付け材料16を配置する接合面ろう付け材料配置ステップS4と、先端部12dに配置されたろう付け材料16を押さえるように仕切板51を配設する仕切板配設ステップS5と、燃料被覆管11の端面に端栓12を配設する端栓配設ステップS2と、接合部を加熱してろう付けするろう付けステップS3と、接合部のろう付け材料16が炉水と直接接触するのを防ぐための接合部被覆層52を形成する接合部被覆層形成ステップS6とを有する。
以下、各工程をより詳細に説明する。
S1:先端部ろう付け材料配置ステップ
本ステップS1では、端栓12の少なくとも先端部12dにろう付け材料16を配置する。ろう付け材料16の配置方法に特段の限定はなく、従前の方法(例えば、ろう付け材料ペーストの塗布・焼付け、溶射法、コールドスプレー法、リングペレット状に成型したろう付け材料の配置)を適宜利用することができる。
また、必須ではないが、燃料被覆管11と端栓12とが接合する面(例えば、胴部12cの外周面(胴部凹凸構造12e)の上や、端栓12の頭部12fの座面の上)にろう付け材料16を更に配置してもよい。言い換えると、接合面ろう付け材料配置ステップS4を先端部ろう付け材料配置ステップS1と同時に行ってもよい。
S6:仕切板配設ステップ
本ステップS6は、ステップS1で先端部12dに配置されたろう付け材料16を押さえるようなかたちで受圧孔12hに位置決め凸部51bを嵌合させて仕切板51を配設するステップである。本ステップS6は、第6実施形態の原子炉燃料棒50の場合に固有のステップであり、仕切板51を有しない他の実施形態では行われない。
S2:端栓配設ステップ
本ステップS2では、燃料被覆管11の端面に端栓12を配設する。端栓12の配設方法に特段の限定はなく、胴部凹凸構造12eと燃料被覆管凹凸構造11aとが嵌合するように挿入配設すればよい。
S3:ろう付けステップ
本ステップS3では、燃料被覆管11と端栓12とを対向する方向に押圧しながら、接合部の領域をろう付け材料16の融点以上に加熱して、燃料被覆管11と端栓12とをろう付け/気密接合する。このとき、仕切板51を端栓12の先端部12dの方向に押圧しながらろう付けすることが好ましい。仕切板51を先端部12dの方向に押圧することにより、溶融したろう付け材料16を胴部12cの外周面と燃料被覆管11の内周面との間隙に効率良く圧入することができる。仕切板51を有しない実施形態では、当然のことながら仕切板51の押圧は行われない。
ろう付け方法をより具体的に説明する。例えば、燃料ペレット14を装填しない状態で端栓12(例えば12a)を燃料被覆管11の一方の端面に接合する場合、燃料被覆管11と端栓12aとを対向する方向に押圧し、かつ燃料被覆管11の開放端から長尺の押圧部材(図示せず)を挿入して仕切板51を押圧しながら加熱して接合する。一方、燃料ペレット14を装填した後に端栓12(例えば12b)を燃料被覆管11の他方の端面に接合する場合、プレナムスプリング15(図1参照)が押圧部材として機能するため、燃料被覆管11と端栓12bとを対向する方向に押圧しながら加熱して接合すればよい。
燃料ペレット14を装填しない状態で接合する場合は、端栓12との接合部を含む燃料被覆管11全体を加熱してもよい。燃料ペレット14を装填した後に接合する場合は、燃料ペレット14を過度に加熱しないように、接合部を局所的に加熱することが好ましい。加熱方法に特段の限定はなく、従前の方法(例えば、長尺加熱炉を用いた全体加熱、レーザや高周波や局所ヒータを用いた局所加熱)を適宜利用することができる。
S6:接合部被覆層形成ステップ
本ステップS6では、接合部のろう付け材料16が炉水と直接接触するのを防ぐための接合部被覆層52を形成する。本ステップS6は、必須のステップではなく、ろう付け材料16の種類や燃料棒の運転環境に応じて適宜行えばよい。前述したように接合部被覆層52の形成方法に特段の限定はなく、従前の方法(例えば、ペーストの塗布・焼付、無電解めっき、物理蒸着、化学蒸着)を適宜利用できる。
[第8実施形態]
(燃料集合体)
図8は、本発明に係る燃料集合体の一例を示す模式図であり、(a)縦断面図、(b)A-A線の横断面図である。図8(a),(b)に示した燃料集合体100は、沸騰水型原子炉(BWR)用の燃料集合体の一例であり、上部タイプレート101と、下部タイプレート102と、これらの上部・下部タイプレート101,102に両端が保持されている複数の燃料棒(例えば、原子炉燃料棒10~50)およびウォータロッド70と、燃料棒およびウォータロッド70を束ねる燃料支持格子(スペーサ)103と、上部タイプレート101に取り付けられ燃料棒束を取り囲むチャンネルボックス104とを備えている。端的に言うと、横断面角筒状のチャンネルボックス104内に、原子炉燃料棒10~50(全長燃料棒とも言う)と部分長燃料棒60とウォータロッド70とが正方格子状に束ねられて収容されている(図7(b)参照)。
なお、部分長燃料棒60とは、原子炉燃料棒の一種であり、全長燃料棒10~50よりも内部の燃料有効長が短く高さが上部タイプレート101まで達しない燃料棒である。また、上部タイプレート101にはハンドル105が締結されており、ハンドル105を吊り上げると、燃料集合体100全体を引き上げることができる。
本発明に係る燃料集合体100において、ウォータロッド70は、従来技術と同じもの(Zr合金製のウォータロッド)を用いてもよいが、本発明の原子炉燃料棒10~50と同様の構成(SiC材料からなる中空管と端栓とを有し、該中空管と端栓とがろう付け材料16を介して接合されている)を有していてもよい。
図9は、沸騰水型原子炉のセルの一例を示す横断面模式図である。図9に示したように、BWRのセル400は、4体の燃料集合体100が正方状に配置され、その中央部に横断面が十字形の制御棒401が配設されている。当該セル400は、本発明に係る原子炉燃料棒10~50および燃料集合体100を利用することにより、通常運転環境下で従来と同等の長期信頼性を維持しつつ、過酷事故時(例えば、冷却材喪失事故)における安全性を向上することができる。
図10は、本発明に係る燃料集合体の他の一例を示す斜視模式図である。図10に示した燃料集合体500は、加圧水型原子炉(PWR)用の燃料集合体の一例であり、複数の燃料棒(例えば、原子炉燃料棒10~50)と、複数の制御棒案内シンブル501と、炉内計装用案内シンブル502と、それらを束ねて支持する複数の支持格子(スペーサ)503と、上部ノズル504と、下部ノズル505とを備えている。上部ノズル504および下部ノズル505は、燃料集合体500の骨格の構成体であると同時に、炉心における燃料集合体500の位置決めや冷却水の流路確保の役割を担う。
図11は、加圧水型原子炉のセルの一例を示す横断面模式図である。図11に示したように、PWRのセル600は、燃料集合体500の中に制御棒が配設されることから、4体の燃料集合体500がそのまま正方状に配置される。当該セル600も、本発明に係る原子炉燃料棒10~50および燃料集合体500を利用することにより、通常運転環境下で従来と同等の長期信頼性を維持しつつ、過酷事故時(例えば、冷却材喪失事故)における安全性を向上することができる。
以下、実験例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
実験1.原子炉燃料棒の内部圧力上昇による影響の解析
第1実施形態(図2参照)の原子炉燃料棒を対象として、内部圧力(内圧)が上昇した際の燃料被覆管および端栓胴部の寸法変化を有限要素法で解析した。
解析に用いた燃料被覆管、端栓胴部およびろう付け材料の機械的・熱的特性を表1に示す。
Figure 2023007566000002
また、解析に用いた燃料被覆管および端栓胴部の寸法は、それぞれ次のように設定した。燃料被覆管は、外径5.1 mm、内径3.9 mm、燃料被覆管凹凸構造の凹半径(雌ねじにおける呼び径の半分に相当)3.975 mmとした。端栓胴部は、軸方向長さ10 mm、胴部凹凸構造の凸半径(雄ねじにおける呼び径の半分に相当)3.925 mm、受圧孔を有する場合の受圧孔深さ10 mmとした。端栓胴部の外周面と燃料被覆管の内周面との間の平均間隔は、0.05 mmとなる。燃料被覆管は両端が端栓で閉じられているとし、燃料被覆管の外部は計算簡単化のため真空とした。
図12は、燃料被覆管の内圧と構成部材の変位(寸法変化)との関係の一例を示すグラフである。この計算では、端栓胴部は、内半径2 mm(内径4 mm)の受圧孔を有するものとした。変位計算の断面は、端栓胴部の先端部から頭部側へ3 mmの位置の断面とした。また、内圧の影響を単純化するために、温度は室温とし、端栓胴部の外周面と燃料被覆管の内周面との間にろう付け材料は充填されていないものとした。
図12に示したように、燃料被覆管の内圧が上昇するにつれて、燃料被覆管凹凸構造の凹半径および胴部凹凸構造の凸半径が共に増加することが分かる。端栓胴部に受圧孔を形成しなかった場合、当然のことながら胴部凹凸構造の凸半径は変化しない。言い換えると、端栓胴部に受圧孔を形成することによって、燃料被覆管凹凸構造の凹半径と胴部凹凸構造の凸半径との差異(端栓胴部の外周面と燃料被覆管の内周面との間の平均間隔)の増大を抑制できることが確認される。
図13は、燃料被覆管の内圧と燃料被覆管-端栓胴部の平均間隔の変化量との関係の一例を示すグラフである。この計算では、受圧孔の内半径を種々変化させた。他の条件は図12の条件と同じにした。
図13に示したように、端栓胴部の内半径を増加させると、燃料被覆管-端栓胴部の平均間隔の変化量(燃料被覆管凹凸構造の凹半径と胴部凹凸構造の凸半径との差異の変化量)が小さくなることが分かる。特に、受圧孔の内半径が2 mm以上になると、受圧孔の内半径0 mm(受圧孔なし)に比して有意に減少していると言える。この計算から、受圧孔の内半径は胴部凹凸構造の凸半径の半分以上が好ましいことが確認される。
詳細な計算は省略するが、過酷事故時における燃料被覆管の局所最高温度、その時の燃料被覆管の内圧、およびその時の端栓接合部の温度を計算すると、燃料被覆管の局所最高温度が上昇するにつれて燃料被覆管の内圧と端栓接合部の温度とが上昇するが、端栓接合部の温度は燃料被覆管の局所最高温度ほど上がらないことが確認された。例えば、燃料被覆管の局所最高温度が約2100℃の場合、燃料被覆管の内圧が約25 MPaで、端栓接合部の温度が約1300℃であった。
過酷事故を想定する場合、図12~13のような計算に加えて、温度上昇による熱膨張(ろう付け材料も含む)を考慮する必要がある。図14は、温度上昇による熱膨張を考慮した燃料被覆管の内圧と燃料被覆管-端栓胴部の平均間隔の変化量との関係の一例を示すグラフである。この計算では、ろう付け材料としてSiを用い、該ろう付け材料の厚さは胴部凹凸構造の凸半径に可算した。すなわち、「燃料被覆管凹凸構造の凹半径」と「胴部凹凸構造の凸半径+ろう付け材料の厚さ」との差異の変化量を計算した。また、第2実施形態(図3参照)を想定して、端栓プラグをWで形成した場合も計算した。
図14に示したように、受圧孔の内半径2 mmの端栓胴部は、受圧孔の内半径0 mm(受圧孔なし)の端栓胴部に比して、平均間隔の変化量を小さくできることが分かる。また、燃料被覆管の材料(ここではSiC/SiC複合材料)よりも熱膨張係数が大きい材料(ここではW)を端栓胴部の材料として用いることにより、平均間隔の変化量を更に小さくできることが分かる。
図14の結果を受けて、燃料被覆管の材料(ここではSiC/SiC複合材料)よりも熱膨張係数が大きいTiやCr(表1参照)をろう付け材料として用いた場合について計算した。図示は省略するが、それぞれ図14の結果よりも更に小さい変化量となることが確認された。
実験2.原子炉燃料棒の模擬試料の作製と評価
(1)模擬試料の作製
第2実施形態(図3参照)と第4実施形態(図5参照)とを組み合わせた模擬試料を作製した。模擬燃料被覆管(外径10 mm、内径8 mm、燃料被覆管凹凸構造の凹径8.15 mm、長さ100 mm)と、SiC焼結体およびWからなる模擬端栓(端栓プラグ全長20 mm、胴部の軸方向長さ10 mm、中子の軸方向長さ10 mm、胴部凹凸構造の凸径8.05 mm、端栓キャップ全長50 mm)とを用意した。
模擬燃料被覆管および端栓キャップは、表面に化学蒸着法によるSiC層(厚さ約0.1 mm)が形成されているSiC/SiC複合材料製とし、端栓プラグは、SiC焼結体製およびW製を用意した。また、端栓プラグには、受圧孔(内径4 mm、深さ10 mm)と縦溝(幅1 mm、深さ0.5 mm、長さ10 mm)とを形成した。
ろう付け材料としてSi粉末および52質量%Ti-48質量%Cr合金粉末を用いたリング形状ペレットを用意して、模擬端栓の端栓プラグの先端部の上に置き(先端部ろう付け材料配置ステップS1)、模擬端栓の端栓キャップの座面が模擬燃料被覆管の端面に当接するまで、模擬端栓を模擬燃料被覆管の一方の端面にねじ込んだ(端栓配設ステップS2)。
つぎに、模擬燃料被覆管と模擬端栓とを対向する方向に20 Nで押圧しながら、不活性ガス中で1460℃に加熱し十分な時間保持してろう付けを行った(ろう付けステップS3)。これにより、端栓プラグの材料とろう付け材料との組み合わせが異なる4種類の試料を作製した。
(2)試験・評価
上記で得られた試料に対して、模擬燃料被覆管の開放端側に気密性を確保できる治具を締結し、模擬燃料被覆管内にアルゴンガスを加圧注入・保持して、接合部の気密性試験を行った。試験条件は、室温、内圧25 MPaとした。その結果、全ての試料で内圧低下は観察されず、気密接合されていることを確認した。
つぎに、各試料に対して、接合部の加熱気密性試験を行った。試験条件は、1350℃、アルゴンガス、内圧10 MPaとした。その結果、全ての試料で内圧低下は観察されず、耐熱性および気密性が確保されていることを確認した。また、加熱気密性試験の後、各試料を切断して接合部の断面観察を行ったところ、ろう付け材料自体やろう付け材料と部材との界面を含め、いずれの箇所にも特段の損傷が生じていないことを確認した。
以上説明したように、本発明の原子炉燃料棒は、万が一の過酷事故時においても十分な気密性を確保できることが確認された。
上述した実施形態および実験例は、本発明の理解を助けるために具体的に説明したものであり、本発明は、説明した全ての構成を備えることに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を当業者の技術常識の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に当業者の技術常識の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実験の構成の一部について、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
10…原子炉燃料棒、
11…燃料被覆管、11a…燃料被覆管凹凸構造、12,12a,12b…端栓、
12c…胴部、12d…先端部、12e…胴部凹凸構造、12f…頭部、12h…受圧孔、
13…燃料室、14…燃料ペレット、15…プレナムスプリング、16…ろう付け材料、
20…原子炉燃料棒、
22…端栓、221…端栓プラグ、222…端栓キャップ、22c1…胴部、22c2中子、
30…原子炉燃料棒、32…端栓、32c…胴部、32h…受圧孔、
40…原子炉燃料棒、42c…胴部、42g…縦溝、
50…原子炉燃料棒、
51…仕切板、51a…押圧部、51b…位置決め凸部、51c…通気孔、52…接合部被覆層、
60…部分長燃料棒、70…ウォータロッド、
100…燃料集合体、101…上部タイプレート、102…下部タイプレート、
103…燃料支持格子、104…チャンネルボックス、105…ハンドル、
400…セル、401…制御棒、
500…燃料集合体、501…制御棒案内シンブル、502…炉内計装用案内シンブル、
503…支持格子、504…上部ノズル、505…下部ノズル、
600…セル。

Claims (13)

  1. 軽水炉用の原子炉燃料棒であって、
    炭化ケイ素材料からなる燃料被覆管の両方の端面を端栓が封止しており、
    前記端栓は、前記燃料被覆管の中に挿入される胴部と、前記燃料被覆管の前記端面に当接する頭部とを有し、
    前記胴部の外周面と前記燃料被覆管における前記胴部が挿入される領域の内周面とに、互いに嵌合する所定の凹凸構造が形成されており、
    前記外周面と前記内周面との間隙には、所定のろう付け材料が充填されており、
    前記端栓は、前記胴部の先端部から前記頭部に向けて、前記頭部を貫通しない受圧孔を有する、ことを特徴とする原子炉燃料棒。
  2. 請求項1に記載の原子炉燃料棒において、
    前記受圧孔は、内径が前記胴部の外径の半分以上であり、深さが前記胴部の軸方向長さの半分以上であることを特徴とする原子炉燃料棒。
  3. 請求項2に記載の原子炉燃料棒において、
    前記受圧孔は、深さが前記胴部の軸方向長さ以上であることを特徴とする原子炉燃料棒。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒において、
    前記受圧孔は、深さが進むにつれて内径が減少し、前記胴部の軸方向長さの半分の位置での内径が該胴部の外径の半分以上であることを特徴とする原子炉燃料棒。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒において、
    前記所定の凹凸構造が、ねじ構造であることを特徴とする原子炉燃料棒。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒において、
    前記端栓の前記頭部は、前記胴部と一体の中子が該中子を収容する端栓キャップに収容される構造を有していることを特徴とする原子炉燃料棒。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒において、
    前記端栓の前記胴部の前記外周面に、該端栓の軸方向と平行の溝が更に形成されていることを特徴とする原子炉燃料棒。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒において、
    前記端栓の前記胴部の軸方向長さ5 mm以上の領域に、前記所定のろう付け材料が充填されていることを特徴とする原子炉燃料棒。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒において、
    前記端栓の少なくとも前記胴部は、炭化ケイ素材料、タングステン、モリブデン、およびジルコニウムから選ばれる一種からなり、
    前記所定のろう付け材料は、固相線温度が1300℃超であるケイ素、ケイ素合金、チタン-クロム合金、および金属酸化物から選ばれる一種であることを特徴とする原子炉燃料棒。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒において、
    前記先端部に対して、前記原子炉燃料棒の燃料室と前記端栓とを仕切りかつ前記受圧孔と連通する通気孔を有する仕切板が、前記所定のろう付け材料によって接合されていることを特徴とする原子炉燃料棒。
  11. 請求項10に記載の原子炉燃料棒において、
    前記仕切板は、固相線温度が1300℃超である炭化物、窒化物、酸化物、および金属から選ばれる一種からなることを特徴とする原子炉燃料棒。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の原子炉燃料棒において、
    前記燃料被覆管の内径と前記仕切板の外径との差の半分が、前記外周面と前記内周面との前記間隙の平均よりも小さいことを特徴とする原子炉燃料棒。
  13. 複数の原子炉燃料棒を束ねて構成される燃料集合体であって、
    前記原子炉燃料棒が、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の原子炉燃料棒であることを特徴とする燃料集合体。
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