JP2023006923A - グロメットインナ及びグロメット - Google Patents

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Abstract

【課題】異音の発生を防止できるグロメットインナ及び、グロメットインナを装着したグロメットを提供すること。【解決手段】グロメット1をグロメット本体10と構成するグロメットインナ20は、電線WHが内側を貫通する筒状のインナー本体21と、インナー本体21の一端側に配置されるとともに径外側に延伸するフランジ部22とで構成され、インナー本体21は、周方向に対して分離する第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41で構成されるとともに、第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41を周方向に対して固定する係止固定部25が設けられ、係止固定部25は、隣接する第1インナー分離部31に設けられた係止部33と、隣接する第2インナー分離部41に設けられ、係止部33が挿入される被係止部43とで構成され、係止部33に、被係止部43への係止部33の挿通により潰れて圧接変形する挿通側変形部34が設けられている。【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、パネルに挿通される電線を保護するグロメットを構成するグロメットインナ、及び、前記グロメットインナを装着したグロメットに関する。
車両本体に設けられた電気機器類と、車両本体に対して開閉自在に取り付けられているドアの内部に設けられた電気機器類とは、ドアパネル及びボディパネル(以下、「パネル」とする。)により隔てて配置されており、それぞれのパネルに設けられた挿通孔に挿通させた電線を介して電気的に接続されている。
この電線は、例えば特許文献1に開示されているような筒状のグロメットに挿通させることにより、挿通孔の周縁部と干渉して損傷することを防止している。 詳述すると、特許文献1に開示されているグロメットは、パネルに対して取り付ける可撓性を有する樹脂製の取付部と、取付部に装着されるとともにパネルに設けた挿通孔に挿通させるグロメットインナとを有する。
そして、取付部から挿通方向の前方に延出する電線固定部に電線をテープなどで固定した状態で電線固定部を挿通孔に挿通させ、取付部とグロメットインナとでパネルを挟み込むことにより、挿通孔の周縁部に電線が干渉して損傷することなく、電線を挿通孔に挿通させることができる。
ところで、特許文献1に開示されているグロメットインナは、分離可能な略同形状の分離体で構成されるとともに、分離体における周方向の一方側の端面に係合凸部を有し、周方向の他方側の端面に係合凸部が係合可能な係合凹部を有している。これにより、電線の所望の位置にグロメットインナを組み付けることができるとされている。しかしながら、特許文献1のように、分離体を嵌合させるグロメットインナでは、係合凸部と係合凹部との間にガタツキが生じ、異音が発生するといった問題があった。
特開2003-180019号公報
本発明は、上述の問題に鑑み、異音の発生を防止できるグロメットインナ、及び、前記グロメットインナを装着したグロメットを提供することを目的とする。
この発明は、パネルに設けられた貫通孔を挿通する電線を保護するグロメットを筒状のグロメット本体とともに構成し、該グロメット本体の端部に装着されるとともに、前記貫通孔に固定されるグロメットインナであって、前記貫通孔に挿通されるとともに、前記電線が内側を貫通する筒状のインナー本体と、該インナー本体の一端側に配置されるとともに径外側方向に延伸するフランジ部とで構成され、前記インナー本体は、周方向に対して分離するインナー分離部で構成されるとともに、分離された前記インナー分離部同士を周方向に対して固定する固定部が設けられ、該固定部は、隣接する前記インナー分離部の一方側に設けられ、周方向に沿って延出する固定片と、隣接する前記インナー分離部の他方側に設けられ、前記固定片が挿入される被挿入部とで構成され、前記固定片と前記被挿入部との対向部分における少なくとも一方に、前記被挿入部への前記固定片の挿通により潰れて圧接変形する変形部が設けられたことを特徴とする。
またこの発明は、上述のグロメットインナと、内部に電線を挿通させる筒状のグロメット本体とで構成され、前記グロメットインナが、前記グロメット本体の端部に装着されたグロメットである。
上述の分離するとは、周方向の少なくとも一部が分離することをさす。すなわち、周方向の両端が分離する場合や、前記固定部が設けられている側のみが分離し、周方向の反対側がヒンジなどを介して連結している場合を含む。
前記インナー分離部は、2部品、又はそれ以上に分離されてもよい。
前記固定部は、隣接する前記インナー分離部同士を固定できれば特に限定はなく、前記固定片を前記被挿入部に挿入することによる係止や嵌合により固定される場合を含む。
前記変形部は、前記固定片及び前記被挿入部の少なくとも一方に設けられていればよい。
この発明によると、被挿入部に対して固定片を挿入することにより、変形部が圧接変形されて、被挿入部と固定片との間の隙間を無くすことができる。このため、インナー分離部同士のがたつきを防止しつつ、インナー分離部同士を固定できる。これにより、電線に対してインナー本体を後付けできるとともに、取り付けられたインナー分離部同士における固定部から異音が生じることを防止できる。
この発明の態様として、前記変形部として、前記電線を挿通する挿通方向に向けて立設された挿通側変形部を備えてもよい。
この発明により、固定片と被挿入部との間で挿通方向に生じる隙間を挿通側変形部で埋めることができるため、挿通方向に対する固定部のがたつきを防止できる。
またこの発明の態様として、前記挿通側変形部は、前記挿通方向の両側に設けられてもよい。
上述の前記挿通方向の両側とは、前記固定片を前記被挿入部に挿入させた挿入状態において、前記固定片の前記挿通方向の両側から前記被挿入部に向けて立設している場合、前記被挿入部の内側から前記固定片側に向けて立設している場合、前記固定片における前記挿通方向の一方側から前記被挿入部に向けて立設するとともに、前記被挿入部における前記挿通方向の他方側から前記固定片側に向けて立設している場合を含む。
この発明により、固定部における挿通方向の両側で変形部が圧接変形するため、挿通方向に対する固定部のがたつきをより確実に防止できるとともに、インナー分離部同士がより適正な位置となるように固定部の位置調整をすることができる。
またこの発明の態様として、前記変形部として、少なくとも前記固定片及び前記被挿入部の一方において、インナー本体における径方向に向けて突設する径側変形部を備えてもよい。
この発明によると、固定片を被挿入部に挿通することで、径側変形部が径方向に沿って圧接変形されるため、固定片と被挿入部との間で径方向に生じる隙間を径側変形部で埋めることができる。したがって、径方向に対するインナー本体のがたつきを防止することができる。
またこの発明の態様として、前記インナー分離部における周方向の一方側に前記固定片又は前記被挿入部が設けられ、前記インナー分離部における周方向の他方側には、他の前記インナー分離部と枢動可能に連結された枢動部が設けられてもよい。
前記枢動部は、インナー分離部同士を一体に連結している場合や、インナー分離部に設けられた部品同士を組み合わせることにより枢動可能に構成される場合を含む。すなわち、インナー分離部は、枢動部を介して一体又は別体で構成されている場合を含む。
インナー分離部が3つ以上の場合には枢動部が一又は複数あってもよい。例えば、インナー本体が3つのインナー分離部で構成されている場合、2つのインナー分離部同士は固定部で固定されており、残り1つのインナー分離部と固定部で固定された2つのインナー分離部とが枢動部で連結されていてもよい。
この発明により、枢動部を介してインナー分離部を枢動させるだけで、他のインナー分離部に設けた被挿入部に固定片を挿入することができる。このため、容易にインナー分離部同士を固定することができるとともに、電線に対してグロメットインナを容易に組み付けることができる。
また、インナー分離部同士を枢動させるだけで、固定片を被挿入部に挿入させることができるため、確実に被挿入部に固定片を挿入させて、変形部を圧接変形させることができる。したがって、容易かつ確実にインナー分離部同士のがたつきを防止させることができる。
またこの発明の態様として、前記インナー本体は、前記枢動部を介して2つの前記インナー分離部が一体で構成され、前記枢動部は、前記電線を挿通する挿通方向から視て円形状又は角丸長方形状に構成された円弧部分に設けられ、前記固定部は、前記枢動部と対向する位置に設けられてもよい。
上述の円形状又は角丸長方形状とは、真円や楕円の他、卵型のオーバル形状、あるいは円弧部分と長辺部分とで構成されたトラック形状などを含む。
この発明によると、枢動部と対向する円弧部分において、固定片がインナー本体の円弧部分の接線方向に向けて突出しているため、枢動部を枢動軸とした枢動により、容易かつ確実に被挿入部に固定片を挿入させることができる。したがって、インナー分離部同士を確実に固定することができるとともに、変形部を圧接変形させることができ、がたつきをより確実に防止できる。また、2つのインナー分離部が一体で構成されているため、部品点数を削減できる。
またこの発明の態様として、互いに固定される前記インナー分離部の一方に、他方の前記インナー分離部に向けて突出する嵌合凸部が設けられ、他方の前記インナー分離部において、前記嵌合凸部が嵌合される凹状の嵌合凹部が設けられてもよい。
この発明によると、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合することにより、インナー分離部同士の位置ずれを防止することができる。すなわち、インナー分離部の一方を挿通方向に対して他方の適正な位置とすることができる。これにより、被挿入部に固定片を正しく挿入させることができ、変形部を確実に圧接変形させることができる。また、嵌合凸部と嵌合凹部が嵌合されることにより、固定部のがたつきをより確実に防止できる。さらには、グロメットインナを適切にグロメット本体に装着させることができるため、グロメットをパネルに確実に固定することができる。
またこの発明の態様として、前記固定部は、前記インナー本体における径外側に配置され、前記嵌合凹部は、前記固定部と対応する位置において、前記インナー本体における径内側を窪ませて形成されもよい。
この発明により、嵌合凸部が電線と干渉することなく、インナー分離部同士の位置ずれを防止できる。また、固定片を被挿入部に挿入した挿入状態において、固定部と対応する位置に嵌合凸部及び嵌合凹部とを配置することで、インナー分離体同士の位置ずれを確実に防止して、被挿入部における所望の位置に固定片を挿入させて、インナー分離体同士を固定できる。
またこの発明の態様として、前記嵌合凸部における、前記電線を挿通する挿通方向に沿った長さが、前記固定片に比べて短くてもよい。
この発明によると、嵌合凹部に対する嵌合凸部の公差を、被挿通部に対する固定片の公差よりも小さくできる。このため、嵌合凹部に対して嵌合凸部を嵌合させることにより、被挿通部におけるより適正な位置に固定片を配置することができる。これにより、より確実に固定片を被挿入部に対して固定することができるとともに、より確実に変形部を圧接変形できる。
またこの発明の態様として、前記フランジ部は、複数の前記インナー分離部のそれぞれと一体に構成されたフランジ分離部で構成され、前記フランジ分離部の一方側に、前記インナー本体の周方向に沿って突出するフランジ凸部が設けられるとともに、隣接する前記フランジ分離部に、前記フランジ凸部が嵌合するフランジ凹部が設けられてもよい。
この発明により、インナー分離部及びフランジ分離部における径方向の位置ずれを防止できるため、固定片を被挿入部における所望の位置に配置できる。また、フランジ分離部の位置ずれを防止することにより、グロメット本体に対してフランジ部を確実に装着することができ、グロメットをパネルに確実に固定できる。
さらにまた、フランジ分離部にフランジ凸部及びフランジ凹部を設けることにより、インナー本体の剛性を低下させることなく、径方向に対するインナー分離部の位置ずれを防止できる。
この発明により、異音の発生を防止できるグロメットインナ及び、前記グロメットインナを装着したグロメットを提供することができる。
パネルに取り付けた状態のグロメットの概略斜視図。 グロメットの概略分解斜視図。 グロメットインナの概略斜視図。 閉じた状態のグロメットインナの概略平面図及び、概略側面図、概略正面図。 開いた状態のグロメットインナの概略平面図及び概略正面図。 グロメットインナにおける係止固定部の概略断面図。 開いた状態のグロメットインナを閉じる工程での係止固定部の概略断面図。 閉じた状態のグロメットインナの概略断面図。 閉じた状態のグロメットインナの概略断面図。 他の実施形態におけるグロメットインナの概略断面図。
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
グロメット1は、図1及び図2に示すように、ボディパネルPに設けられた貫通孔P1を挿通する電線WHを保護する保護部材である。このグロメット1は、筒状のグロメット本体10と、グロメット本体10の端部に装着されるとともに、貫通孔P1に固定されるグロメットインナ20で構成されている。以下、グロメット1及びグロメットインナ20について、図1から図9に基づいて説明する。
図1は、ボディパネルPに取り付けた状態のグロメット1の概略斜視図を示し、図2はグロメット1の概略分解斜視図を示す。なお、図1及び図2では、グロメット1の構造を明確にするために、ボディパネルPは点線で表示し、便宜上透過した状態として図示する。
図3(a)はグロメットインナ20を後方側上方から視た概略斜視図を示し、図3(b)はグロメットインナ20を前方側下方から視た概略斜視図を示す。図4(a)及び図4(b)、図4(c)は閉じた状態のグロメットインナ20の概略平面図及び概略側面図、概略正面図をそれぞれ示す。図5(a)及び図5(b)は開いた状態のグロメットインナ20の概略平面図及び概略正面図を示し、図5(c)は開いた状態のグロメットインナ20における係止部33の拡大概略正面図を示す。
図6は開いた状態のグロメットインナ20における係止固定部25の概略断面図を示す。具体的には、図6(a)は図5(a)におけるA-A矢視断面図を示し、図6(b)は図5(a)におけるB-B矢視断面図を示す。
図7は、開いた状態のグロメットインナ20を閉じて係止固定する工程での係止固定部25の概略断面図を示す。具体的には、図7(a)は図5(b)におけるC-C矢視断面図を示し、図7(b)は係止部33を被係止部43に挿入させた状態におけるC-C矢視断面図に対応する断面図を示す。図8(a)は閉じた状態のグロメットインナ20におけるC-C矢視断面図に対応する断面図を示し、図8(b)は図8(a)における係止固定部25の拡大断面図を示す。
図9(a)は、閉じた状態のグロメットインナ20におけるA-A矢視断面図に対応する断面図を示し、図9(b)は図9(a)における係止固定部25の拡大断面図を示す。なお、図10(a)は、開いた状態の他の実施形態でのグロメットインナ20におけるA-A矢視断面図に対応する拡大断面図を示し、図10(b)は閉じた状態の他の実施形態でのグロメットインナ20における係止固定部25に対応する拡大断面図を示す。
ここで、図1における上下方向を高さ方向Hとし、高さ方向Hと直交するとともにグロメット本体10を構成する円筒部11の延びる方向を長手方向Lとし、高さ方向H及び長手方向Lに直交する方向を幅方向Wとする。また、図1中において、高さ方向Hに沿って上側を上方Huとし、下側を下方Hdとし、長手方向Lに沿って左側を後方Lb、右側を前方Lfとし、幅方向Wに沿って右側を右方Wr、右側を左方Wlとする。
グロメット1は、例えば、車両本体の後部に開口(図示省略する、また、以下において「後部開口」とする)を形成するボディパネルPと、ヒンジを介してボディパネルPに取り付けられることで後部開口を開閉自在に塞ぐバックドアパネル(図示省略)とを有する自動車において、ボディパネルPとバックドアパネルとを橋渡しするように取り付けられている。そして、ボディパネルP及びバックドアパネルにより隔てて配置される電気機器類同士(図示省略)を接続する電線WHが内部に挿通している。
グロメット1は、図1及び図2に示すように、内部に電線WHを挿通させる筒状のグロメット本体10と、グロメット本体10の端部に装着されるとともに、前記貫通孔に固定されるグロメットインナ20とで構成されている。
グロメット本体10は、可撓性の樹脂で形成された中空状の筒状体であり、図1及び図2に示すように、長尺状の円筒で形成された円筒部11と、円筒部11の一端側(前方Lf)に設けられたボディ側取付部12と、円筒部11の他端側(後方Lb)に設けられたバックドア側取付部13とで構成されている。
円筒部11は、断面中空状に形成された円柱体であり、パネルを介して隔てられた電気機器類同士を電気的に接続する電線WHを内部空間に挿通させることができる。なお、円筒部11の中央部分は蛇腹状に構成されており、ボディパネルPに対するバックドアパネルを開閉に合わせて湾曲させることができる。
ボディ側取付部12は、円筒部11の一端側(前方Lf)と連結した中空状の筒状体であり、ボディパネルPに取り付けられる。また、ボディ側取付部12には、電線WHをテープ固定するためのテープ固定部121が高さ方向Hに沿って延出している。なお、ボディ側取付部12は、グロメットインナ20を装着可能に構成されている。
バックドア側取付部13は、円筒部11の他端側(後方Lb)と連結した中空状の筒状体であり、バックドアパネルに取り付けられる。このバックドア側取付部13は、内部にグロメットインナ20とは異なる別のグロメットインナー(図示省略)を装着可能に構成されている。
ボディ側取付部12に装着可能なグロメットインナ20は、図3に示すように、貫通孔P1に挿通されるとともに、電線WHが内側を貫通する筒状のインナー本体21と、インナー本体21の下端側に配置されるとともに径外側方向に延伸するフランジ部22とで構成されている。また、インナー本体21の外周面には、インナー係止部23が所定の位置に設けられている
ここで、径方向とは、平面視において、長円状に構成された筒状のインナー本体21の中心軸から放射状に沿った方向であり、径外側とは、径方向に沿ってインナー本体21の中心軸から外側に向けた方向をさし、径内側とは、径方向に沿ってインナー本体21の中心軸に向けた方向をさす。
インナー本体21は、図3及び図4(a)に示すように、平面視において長円状(トラック状)に構成された略円柱体であり、平面視で直線状に形成された長軸部211,211と、平面視で半円状に形成されるとともに、端部が長軸部211,211の両端を連結する前方円弧部212と後方円弧部213とで構成されている。
インナー本体21は、ボディパネルPに設けられた貫通孔P1よりもわずかに縮径された長円状で構成されており、図4(b)に示すように、後方円弧部213が長軸部211,211及び前方円弧部212よりもわずかに高くなるように構成されている。なお、インナー本体21の上端部分は、上方に向かうに伴い外周面が径内側にわずかに傾いて構成されている。
長軸部211,211、前方円弧部212及び後方円弧部213の中央部分は径内側に向けて窪んでおり、この窪んだ部分には、フランジ部22を組み付けたボディ側取付部12とともにボディパネルPを挟み込んでグロメット1をボディパネルPに固定するインナー係止部23が径外側に向けて突出している。
インナー係止部23は、図3、図4(a)乃至図4(c)に示すように、径内側に窪んだ長軸部211,211又は前方円弧部212、後方円弧部213の中央部分から径外側に延伸している第1支持部231と、第1支持部231の径外側と連結している第1弾性変形部232と、第1弾性変形部232から下方に向けて延出している第1係止爪部233とで一体に構成されている。
第1支持部231は、長軸部211及び前方円弧部212の上端部分から径外側に向けて突出する板状体である。なお、後方円弧部213は前方円弧部212と比べて上方に突出しているため、後方円弧部213に対応する第1支持部231は、後方円弧部213の上端よりやや下方Hdから径外側に向けて突出している。
第1弾性変形部232は、第1支持部231の先端(径外側端部)から下方Hdに向けて延伸されている。
第1係止爪部233は、外面が第1弾性変形部232の先端から下方Hdに向かうに伴い径外側に向けて広がるように形成されるとともに、内面が下方Hdに向かうに伴い緩やかに径外側に向けて広がっている。また、第1係止爪部233の下面は下方Hdに向かうに伴い径内側に向けて傾斜するテーパ形状で形成されている。
このように構成されたインナー係止部23は、第1支持部231が径外側に突出しているとともに、第1支持部231の先端から第1弾性変形部232及び第1係止爪部233が下方Hdに延伸している。また、インナー係止部23(第1係止爪部233)と、長軸部211、211又は前方円弧部212、後方円弧部213との間には第1係止爪部233が径方向の内側に移動できる空間が形成されている。なお、第1係止爪部233の外面は、インナー本体21の外周面からわずかに突出するように構成されている。
フランジ部22は、インナー本体21の下端から径外側に延伸した平面視長円状の平板である。このフランジ部22の一部分には、グロメットインナ20をボディ側取付部12に装着させた状態において、ボディ側取付部12と係止するように径内側に向けて切り欠いた切欠き部221が設けられている。また、インナー係止部23に対応する箇所には高さ方向Hに沿った挿通孔が設けられている。
このように構成されたグロメットインナ20は、周方向に対して一部が分離する第1分離体30と第2分離体40とで構成されている。第1分離体30と第2分離体40は、前方Lfがヒンジ部24を介して連結するとともに、ヒンジ部24の反対側に設けられた係止固定部25で周方向に対して係止固定できるように構成されている。
第1分離体30は、図5に示すように、高さ方向Hに沿って立設する、平面視において半長円状の筒状体である第1インナー分離部31と、第1インナー分離部31の下端から径方向の外側に延伸する第1フランジ分離部32とで構成されている。
平面視において半長円状に形成された第1インナー分離部31は、インナー本体21における左方Wlの長軸部211と、前方円弧部212の左方Wlの一部、後方円弧部213の左方Wlの一部に対応している。詳述すると、第1インナー分離部31の前方Lfの端部に形成される円弧部分は、左方Wlの長軸部211から弧長の約4分の1の長さだけ延出する前方円弧部212に対応する。すなわち、第1インナー分離部31の前方Lfの端部は、前方Lfに設けられたインナー係止部23と左方Wlの長軸部211における前方Lfの端部との中間部分となる。
一方で、第1インナー分離部31の後方Lbの端部に対応する円弧部分は、左方Wlの長軸部211から弧長の約4分の3の長さだけ延出する後方円弧部213に対応する。すなわち、第1インナー分離部31の前方Lfの端部は、後方Lbに設けられたインナー係止部23と右方Wrの長軸部211における後方Lbの端部との中間部分となる。
このように半長円状に形成された第1インナー分離部31の前方Lf端部における径外側には、高さ方向Hに沿ってヒンジ部24が備えられ、第1インナー分離部31の後方Lbの端部には、係止固定部25を構成する係止部33が後方円弧部213の接線方向に沿って延出している。
前方Lfの前方円弧部212における左方Wlに設けられたヒンジ部24は、第1分離体30と、後述する第2分離体40とを一体に連結しており、第1分離体30に対して第2分離体40を枢動自在に構成している。
係止部33は、第1インナー分離部31の右方Wrの端部から突出する平板状の固定片331と、固定片331の先端から径外側に向けて突出する係止凸部332とで構成されている。
固定片331は、第1インナー分離部31の径方向中央部分から第1インナー分離部31の右方Wrの端部における後方円弧部213の接線方向に突出しており、基端側において略長方形状に形成される平板部331aと、平板部331aの先端から突出方向に向かうに伴い先細りする略等脚台形状の先細部331bとで構成されている。なお、平板部331aの下端は第1フランジ分離部32の上端に対応する位置に配置され、平板部331aの上端は第1支持部231よりもやや下方Hdに配置されている。
このように構成された平板部331aには、高さ方向Hの両端から高さ方向Hに向けて立設する挿通側変形部34が備えられている(図6(a)参照)。詳述すると、挿通側変形部34は、固定片331の突出方向から視て、高さ方向Hに向けて突出するに伴い先細りする断面略三角形状に構成されている。
係止凸部332は、先細部331bの高さ方向Hの中央部分において、固定片331の法線方向の外側に向けて突出している。具体的には、係止凸部332は、先細部331bの先端から平板部331aに向かうに伴い、固定片331の法線方向の外側に向けて突出する平面視略直角三角形状で構成されている。なお、係止凸部332の高さ方向Hの長さは、先細部331bの先端における高さ方向Hの長さの約半分程度である。
また、平板部331aの基端側には、法線方向の内側に向けて突出する略直方体状のインナー嵌合凸部35が設けられている。このインナー嵌合凸部35における高さ方向Hの長さは、平板部331aの高さ方向Hの長さよりも短くなるように形成されている。より具体的には、インナー嵌合凸部35の高さ方向Hに沿った長さは、先細部331bの先端部分における高さ方向Hに沿った長さのおよそ半分である。なお、インナー嵌合凸部35の係止部33の延出方向に沿った長さは、平板部331aの係止部33の延出方向に沿った長さの半分程度である。
第1フランジ分離部32は、第1インナー分離部31の下端から径外側に向けて延伸しており、ヒンジ部24に対応する箇所には第1分離体30に対して第2分離体40の枢動できるように切込みが設けられている。また、第1フランジ分離部32における係止部33に対応する位置には、第1フランジ分離部32と同じ板厚を有するとともに、第1フランジ分離部32の径内側の端部から係止部33に沿って延出するフランジ凸部36が設けられている。
なお、フランジ凸部36は、径方向に対する第1フランジ分離部32の幅のおよそ半分であるとともに、係止部33の延出方向に対するインナー嵌合凸部35の長さと略等しい長さで構成されている。
第2分離体40は、図5に示すように、高さ方向Hに沿って立設する、平面視において半長円状の筒状体である第2インナー分離部41と、第2インナー分離部41の下端から径方向の外側に延伸する第2フランジ分離部42とで構成されている。
平面視において半長円状に形成された第2インナー分離部41は、インナー本体21における右方Wrの長軸部211と、前方円弧部212の前方Lfの一部、後方円弧部213の後方Lbの一部に対応する。詳述すると、第2インナー分離部41の後方Lbの端部に形成される円弧部分は、右方Wrの長軸部211から弧長の約4分の1の長さだけ延出する後方円弧部213に対応する。すなわち、第2インナー分離部41の後方Lbの端部は、後方Lbに設けられたインナー係止部23と右方Wrの長軸部211における後方Lbの端部との中間部分となる。
一方で、第2インナー分離部41の前方Lfの端部に対応する円弧部分は、右方Wrの長軸部211から弧長の約4分の3の長さだけ延出する前方円弧部212に対応する。すなわち、第2インナー分離部41の前方Lfの端部は、前方Lfに設けられたインナー係止部23と左方Wlの長軸部211における前方Lfの端部との中間部分となる。
このように構成された第2インナー分離部41の前方Lf端部における径外側には、高さ方向Hに沿ってヒンジ部24が備えられている。また、第1インナー分離部31と隣接する第2インナー分離部41の後方Lbの端部には、係止部33が係止される被係止部43が設けられている。なお、被係止部43は係止部33とともに、係止固定部25を構成している。
被係止部43は、図6(b)に示すように、係止部33を挿通可能に構成された中空状の枠体であり、第2インナー分離部41から径外側に向けて立設する軸部431,431と、軸部431,431の径外側端部を連結する外側架橋部432と、軸部431,431の径内側端部を連結する内側架橋部433とで構成され、係止部33を挿通可能な挿通空間Sが形成されている。
軸部431,431は、後方円弧部213の上端及び第2インナー分離部41における下端に対応する位置から、径外側に向けて立設している。この軸部431,431の間隔は、平板部331aの高さ方向Hの長さより長く、上方Huの挿通側変形部34の先端と下方Hdの挿通側変形部34の先端との距離よりも短くなるように構成されている。すなわち、係止部33を被係止部43に挿入させた場合に、挿通側変形部34が軸部431,431と干渉するように構成されている。なお、被係止部43の第2インナー分離部41の接線方向に対する長さは、平板部331aよりもわずかに短くなっている。
また、被係止部43の径内側を構成する内側架橋部433には、軸部431,431の基端側中央部分を後方円弧部213の接線方向に向けて窪ませたインナー嵌合凹部44が設けられている。このインナー嵌合凹部44の高さ方向Hの長さは、挿通側変形部34の高さ方向Hの長さと略同じとなるように構成されており、係止部33を挿通空間Sに挿通させることでインナー嵌合凸部35がインナー嵌合凹部44に嵌合するように構成されている。
なお、インナー嵌合凸部35及びインナー嵌合凹部44の高さ方向Hに対する長さは、係止部33及び被係止部43に対する高さ方向Hの長さよりも短く、インナー嵌合凹部44に対する挿通側変形部34の公差は被係止部43に対する係止部33の公差よりも小さく構成されている。
第2フランジ分離部42は、第2インナー分離部41の下端から径方向の外側に向けて延伸しており、ヒンジ部24に対応する箇所には第1分離体30に対して第2分離体40を枢動できるように切込みが設けられている。また、第2フランジ分離部42における被係止部43に対応する位置には、第2フランジ分離部42の径方向の内側端部から第2フランジ分離部42の接線方向に沿って窪ませたフランジ凹部45が設けられている。
フランジ凹部45は、径方向に対する第2フランジ分離部42の幅のおよそ半分であるとともに、インナー嵌合凸部35の延出方向に対する長さと略等しい長さで構成されている。また、フランジ凹部45における径方向の外側は、一部が切り欠かれている。
次に、このように構成された第2分離体40を、ヒンジ部24を枢動軸として第1分離体30に対して枢動させ、第1分離体30と第2分離体40とを係止固定する方法について簡単に説明する。
はじめに、グロメット本体10に挿通させ、テープ固定部121にテープ固定した電線WHにおける所定の位置に、第1分離体30と第2分離体40とが開いた状態のグロメットインナ20を配置する(図7(a)参照)。
そして、ヒンジ部24を枢動軸として第1分離体30に対して第2分離体40を枢動させることで、係止部33の先端が被係止部43に形成された挿通空間Sに挿入される(図7(b)参照)。このとき、係止部33は後方円弧部213の接線方向に向けて突出しているとともに、先細部331bが先細り形状で構成されているため、第1分離体30に対して第2分離体40を枢動させるだけで、係止部33は挿通空間Sに案内される。
さらに、第1分離体30に対して第2分離体40を枢動させることで、平板部331aが挿通空間Sに挿入され、挿通側変形部34,34が対向する対向部分である軸部431,431の内面と当接して、圧接変形することとなる。また、インナー嵌合凸部35及びフランジ凸部36がインナー嵌合凹部44及びフランジ凹部45に嵌合されることとなる(図8(a)及び(b)参照)。
ここで、インナー嵌合凹部44に対する挿通側変形部34の公差が、被係止部43に対する係止部33の公差よりも小さいため、インナー嵌合凸部35がインナー嵌合凹部44に嵌合することで、高さ方向Hにおける所定の位置に第1分離体30と第2分離体40とが配置されることとなる。このため、係止部33が被係止部43における中央部分に配置され、上方Huの挿通側変形部34と下方Hdの34とが均一に軸部431,431の内面と当接する。したがって、挿通側変形部34,34が軸部431,431により均一に圧接変形され、係止部33と被係止部43との間の高さ方向Hのガタつきを防止することができる(図9(a)及び図9(b)参照)。さらには、インナー嵌合凸部35がインナー嵌合凹部44に嵌合することで、高さ方向Hに対する第1分離体30と第2分離体40との位置ずれを防止できる。
また、係止部33を被係止部43に挿入する過程において、フランジ凸部36がフランジ凹部45に嵌合されるため、径方向に対する第1分離体30と第2分離体40との位置ずれを防止することができるとともに、フランジ凹部45に嵌合したフランジ凸部36及びインナー嵌合凹部44に嵌合したインナー嵌合凸部35とで、被係止部43に対する所望の位置に係止部33を配置することができる。これにより、第1分離体30及び第2分離体40の高さ方向H及び径方向の位置ずれを防止するのみならず、係止凸部332が外側架橋部432の中央部分に確実に係止され、被係止部43に対して係止部33を確実に係止固定することができる。
また、第1分離体30に対して第2分離体40の高さ方向H及び径方向の位置ずれを防止することで、第1分離体30と第2分離体40とが高さ方向H及び径方向に対して所望の位置に配置されるため、グロメットインナ20の強度が低下することなく、かつグロメットインナ20をボディ側取付部12における所望の位置に装着させることができる。これにより、グロメット1をボディパネルPに確実に固定することができる。
このように、グロメットインナ20は、ボディパネルPに設けられた貫通孔P1を挿通する電線WHを保護するグロメット1を筒状のグロメット本体10とともに構成し、グロメット本体10の端部に装着されるとともに、貫通孔P1に固定される。このグロメットインナ20は、貫通孔P1に挿通されるとともに、電線WHが内側を貫通する筒状のインナー本体21と、インナー本体21の一端側に配置されるとともに径外側方向に延伸するフランジ部22とで構成されている。そして、インナー本体21は、周方向に対して分離する第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41で構成されるとともに、分離された第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41を周方向に対して固定する係止固定部25が設けられている。係止固定部25は、隣接する第1インナー分離部31(第1分離体30)に設けられ、周方向に沿って延出する係止部33と、第1分離体30と隣接する第2インナー分離部41(第2分離体40)に設けられ、係止部33が挿入される被係止部43とで構成され、係止部33に、被係止部43への係止部33の挿通により潰れて圧接変形する挿通側変形部34が設けられている。
このように構成されたグロメットインナ20は、被係止部43に対して係止部33を挿入することにより、挿通側変形部34が圧接変形され、被係止部43と係止部33との間の隙間を無くすことができる。このため、第1分離体30と第2分離体40とのがたつきを防止しつつ、周方向に沿って第1分離体30と第2分離体40を固定できる。これにより、電線WHに対してインナー本体21を後付けできるとともに、取り付けられた第1分離体30と第2分離体40における係止固定部25から異音が生じることを防止できる。
また、挿通側変形部34は、電線WHを挿通する高さ方向Hに向けて立設されている。これにより、係止部33と被係止部43との間で高さ方向Hに生じる隙間を挿通側変形部34で埋めることができ、高さ方向Hに対する係止固定部25のがたつきを防止できる。
さらにまた、挿通側変形部34は、高さ方向Hの両側に設けられている。これにより、係止固定部25における高さ方向Hの両側で挿通側変形部34が圧接変形するため、係止固定部25の高さ方向Hに対するがたつきをより確実に防止できるとともに、第1分離体30と第2分離体40がより適正な位置となるように係止固定部25の位置調整をすることができる。
また、第1分離体30における周方向の一方側に係止部33が設けられ、第1分離体30における周方向の他方側には、第2分離体40と枢動可能に連結されたヒンジ部24が設けられている。これにより、ヒンジ部24を介して第1分離体30に対して第2分離体40を枢動させるだけで、第2分離体40に設けた被係止部43に係止部33を挿入することができる。このため、容易に第1分離体30と第2分離体40を固定することができるとともに、電線WHに対してグロメットインナ20を容易に組み付けることができる。
また、第1分離体30に対して第2分離体40を枢動させることにより、係止部33を被係止部43に挿入させることができるため、確実に被係止部43に係止部33を挿入させて、挿通側変形部34を圧接変形させることができる。したがって、容易かつ確実に第1分離体30と第2分離体40のがたつきを防止させることができる。
また、インナー本体21は、ヒンジ部24を介して2つの第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41が一体で構成され、ヒンジ部24は、電線WHを挿通する高さ方向Hから視て角丸長方形状に構成された円弧部分(後方円弧部213)に設けられ、係止固定部25は、ヒンジ部24と対向する位置に設けられている。
このように、ヒンジ部24と対向する円弧部分(後方円弧部213)に係止部33がインナー本体21の円弧部分(後方円弧部213)の接線方向に向けて突出しているため、ヒンジ部24を介して容易かつ確実に被係止部43に係止部33を挿入させることができる。したがって、第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41を確実に固定することができるとともに、挿通側変形部34を圧接変形させることができ、がたつきをより確実に防止できる。また、第1分離体30と第2分離体40が一体で構成されているため、部品点数を削減できる。
さらにまた、互いに固定される第1インナー分離部31に、第2インナー分離部41に向けて突出するインナー嵌合凸部35が設けられ、第2インナー分離部41にインナー嵌合凸部35が嵌合される凹状のインナー嵌合凹部44が設けられている。
このため、インナー嵌合凸部35がインナー嵌合凹部44に嵌合されることで、第1分離体30と第2分離体40との高さ方向Hに対する位置ずれを防止できる。すなわち、第1インナー分離部31に対して第2インナー分離部41を、高さ方向Hに対して適正な位置とすることができる。これにより、高さ方向Hに対して被係止部43に係止部33を正しく挿入させることができ、挿通側変形部34を確実に圧接変形させることができる。また、インナー嵌合凸部35とインナー嵌合凹部44が嵌合されることにより、係止固定部25のがたつきをより確実に防止できる。さらには、グロメットインナ20を確実にボディ側取付部12に装着させることができるため、グロメット1をボディパネルPに確実に固定することができる。
また、係止固定部25は、インナー本体21における径外側に配置され、インナー嵌合凹部44は、係止固定部25と対応する位置において、インナー本体21における径内側を窪ませて形成されている。これにより、インナー嵌合凸部35が電線WHと干渉することなく、第1分離体30及び第2分離体40の位置ずれを防止することができる。また、係止部33を被係止部43に挿入した挿入状態において、係止固定部25と対応する位置にインナー嵌合凸部35及びインナー嵌合凹部44とを配置することで、第1分離体30及び第2分離体40の位置ずれを確実に防止して、被係止部43における所望の位置に係止部33を挿入させて、第1分離体30及び第2分離体40を確実に固定できる。
また、インナー嵌合凸部35における、電線WHを挿通する高さ方向Hに沿った長さが、係止部33に比べて短いため、インナー嵌合凸部35とインナー嵌合凹部44との間にある公差を、係止部33と被挿通部との間の公差よりも小さくすることができる。したがって、インナー嵌合凹部44に対してインナー嵌合凸部35を嵌合させることにより、被挿通部におけるより適正な位置に係止部33を配置することができ、より確実に係止部33を被係止部43に対して固定することができるとともに、より確実に変形部を圧接変形できる。
また、フランジ部22は、第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41と一体に構成された第1フランジ分離部32及び第2フランジ分離部42で構成され、第1フランジ分離部32に、インナー本体21の周方向に沿って突出するフランジ凸部36が設けられるとともに、第1フランジ分離部32に隣接する第2フランジ分離部42に、フランジ凸部36が嵌合するフランジ凹部45が設けられている。
これにより、第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41、第1フランジ分離部32及び第2フランジ分離部42の径方向の位置ずれを防止することができるため、係止部33を被係止部43における所望の位置に挿入させることができる。また、第1フランジ分離部32と第2フランジ分離部42との位置ずれを防止することで、ボディ側取付部12に対してフランジ部22を確実に装着することができ、グロメット1をボディパネルPに確実に固定することができる。
また、第1フランジ分離部32及び第2フランジ分離部42にフランジ凸部36及びフランジ凹部45を設けることにより、インナー本体21の剛性を低下させることなく、径方向に対するフランジ部22の位置ずれを防止できる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、パネルは、ボディパネルPに対応し、同様に
貫通孔は、貫通孔P1に対応し、
電線は、電線WHに対応し、
グロメットは、グロメット1に対応し、
グロメット本体は、グロメット本体10に対応し、
グロメットインナは、グロメットインナ20に対応し、
インナー本体は、インナー本体21に対応し、
フランジ部は、フランジ部22に対応し、
インナー分離部は、第1インナー分離部31及び第2インナー分離部41に対応し、
固定部は、係止固定部25に対応し、
固定片は、係止部33に対応し、
被挿入部は、被係止部43に対応し、
変形部は、挿通側変形部34に対応し、
挿通方向は、高さ方向Hに対応し、
挿通側変形部は、挿通側変形部34に対応し、
枢動部は、ヒンジ部24に対応し、
嵌合凸部は、インナー嵌合凸部35に対応し、
嵌合凹部は、インナー嵌合凹部44に対応し、
フランジ分離部は、第1フランジ分離部32及び第2フランジ分離部42に対応し、
フランジ凸部は、フランジ凸部36に対応し、
フランジ凹部は、フランジ凹部45対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
例えば、本実施形態において、グロメットインナ20は、ヒンジ部24を介して一体に形成された第1分離体30と第2分離体40とで構成されている。しかしながら、例えば、ヒンジ部24の代わりに係止固定部25などの固定可能な構成を設け、第1分離体30と第2分離体40とを完全に分離できる構成としてもよいし、分離可能な第1分離体30と第2分離体40の端部に、ヒンジ部24の代わりに第1分離体30と第2分離体40とを枢動させることができる組付部材を設けてもよい。
また、本実施形態では、グロメットインナ20を第1分離体30と第2分離体40の2部品に分離しているが、2部品に限定されず、3部品以上に分離してもよい。この場合、ヒンジ部24を複数設けてもよい。
さらにまた、本実施形態では、係止部33を挿通空間Sに挿入させ、係止凸部332を外側架橋部432に係止させることで、係止部33と被係止部43とを係止固定しているが、第1分離体30と第2分離体40とを固定できればこの構成である必要はなく、例えば嵌合させてもよい。
また、本実施形態において、挿通側変形部34は、平板部331aの高さ方向Hの両端に設けられているが、例えば平板部331aの上方Hu又は下方Hdの一方のみに設けてもよいし、平板部331aの代わりに軸部431の内壁から挿通空間Sに沿って立設させてもよい。また、平板部331aの上方Hu又は下方Hdの一方のみに設け、軸部431の内壁の他方から挿通空間Sに沿って立設させてもよい。
さらにまた、挿通側変形部34の代わりとして、平板部331aの径外側の面から径外側に向けて立設する径側変形部37を備えてもよい(図10(a)参照)。この径側変形部37は、平板部331aにおける径外側の面から、平板部331aの法線方向に沿って先細りする三角形状で立設しており、係止部33を挿通空間Sに挿入することで、外側架橋部432に対して当接して圧接変形する(図10(b)参照)。これにより、係止部33と被係止部43との間に生じる径方向に対する隙間を径側変形部37で埋めることができ、第1分離体30と第2分離体40とのがたつきを防止できる。
なお、径側変形部37は外側架橋部432の内面から径内側に立設していてもよく、また、挿通側変形部34と径側変形部37の両方を備えた構成としてもよい。
また、本実施形態では、グロメットインナ20は平面視において角丸長方形状に構成されているが、真円や楕円の他、卵型のオーバル形状などの円形状に構成されていてもよい。
さらには、本実施形態における係止部33が第2インナー分離部41に設けられ、被係止部43が第1インナー分離部31に設けられていてもよいし、係止部33及び被係止部43、後方円弧部213の他の箇所や、後方円弧部213以外の箇所に設けられていてもよい。
1 グロメット
10 グロメット本体
20 グロメットインナ
21 インナー本体
22 フランジ部
24 ヒンジ部
25 係止固定部
30 第1分離体
31 第1インナー分離部
32 第1フランジ分離部
33 係止部
34 挿通側変形部
35 インナー嵌合凸部
36 フランジ凸部
40 第2分離体
41 第2インナー分離部
42 第2フランジ分離部
43 被係止部
44 インナー嵌合凹部
45 フランジ凹部
H 高さ方向
P ボディパネル
P1 貫通孔
WH 電線

Claims (11)

  1. パネルに設けられた貫通孔を挿通する電線を保護するグロメットを筒状のグロメット本体とともに構成し、該グロメット本体の端部に装着されるとともに、前記貫通孔に固定されるグロメットインナであって、
    前記貫通孔に挿通されるとともに、前記電線が内側を貫通する筒状のインナー本体と、
    該インナー本体の一端側に配置されるとともに径外側方向に延伸するフランジ部とで構成され、
    前記インナー本体は、
    周方向に対して分離するインナー分離部で構成されるとともに、分離された前記インナー分離部同士を周方向に対して固定する固定部が設けられ、
    該固定部は、
    隣接する前記インナー分離部の一方側に設けられ、周方向に沿って延出する固定片と、
    隣接する前記インナー分離部の他方側に設けられ、前記固定片が挿入される被挿入部とで構成され、
    前記固定片と前記被挿入部との対向部分における少なくとも一方に、前記被挿入部への前記固定片の挿通により潰れて圧接変形する変形部が設けられた
    グロメットインナ。
  2. 前記変形部として、前記電線を挿通する挿通方向に向けて立設された挿通側変形部を備えた
    請求項1に記載のグロメットインナ。
  3. 前記挿通側変形部は、前記挿通方向の両側に設けられた
    請求項2に記載のグロメットインナ。
  4. 前記変形部として、
    少なくとも前記固定片及び前記被挿入部の一方において、インナー本体における径方向に向けて突設する径側変形部を備えた
    請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のグロメットインナ。
  5. 前記インナー分離部における周方向の一方側に前記固定片又は前記被挿入部が設けられ、
    前記インナー分離部における周方向の他方側には、他の前記インナー分離部と枢動可能に連結された枢動部が設けられた
    請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載のグロメットインナ。
  6. 前記インナー本体は、前記枢動部を介して2つの前記インナー分離部が一体で構成され、
    前記枢動部は、前記電線を挿通する挿通方向から視て円形状又は角丸長方形状に構成された円弧部分に設けられ、
    前記固定部は、前記枢動部と対向する位置に設けられた
    請求項5に記載のグロメットインナ。
  7. 互いに固定される前記インナー分離部の一方に、他方の前記インナー分離部に向けて突出する嵌合凸部が設けられ、
    他方の前記インナー分離部において、前記嵌合凸部が嵌合される凹状の嵌合凹部が設けられた
    請求項1乃至請求項6のうちのいずれかに記載のグロメットインナ。
  8. 前記固定部は、前記インナー本体における径外側に配置され、
    前記嵌合凹部は、前記固定部と対応する位置において、前記インナー本体における径内側を窪ませて形成された
    請求項7に記載のグロメットインナ。
  9. 前記嵌合凸部における、前記電線を挿通する挿通方向に沿った長さが、前記固定片に比べて短い
    請求項8に記載のグロメットインナ。
  10. 前記フランジ部は、複数の前記インナー分離部のそれぞれと一体に構成されたフランジ分離部で構成され、
    前記フランジ分離部の一方側に、
    前記インナー本体の周方向に沿って突出するフランジ凸部が設けられるとともに、
    隣接する前記フランジ分離部に、前記フランジ凸部が嵌合するフランジ凹部が設けられた
    請求項1乃至請求項9のうちのいずれかに記載のグロメットインナ。
  11. 請求項1乃至請求項10のうちのいずれかに記載のグロメットインナと、
    内部に電線を挿通させる筒状の前記グロメット本体とで構成され、
    前記グロメットインナが、前記グロメット本体の端部に装着された
    グロメット。
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