JP2023005455A - プレス成形品の製造方法、及びブランク材 - Google Patents

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Abstract

【課題】フランジ部と縦壁部を備えた成形品について、成形品の基本的形状の自由度の制限発生を抑えつつ、縦壁部の成形高さをより高くすることが可能な技術を提供する。【解決手段】鋼板からなるブランク材10を、天板部11Aと上記天板部11Aに連続する縦壁部11B及びフランジ部11Cを有するプレス成形品11に成形するプレス成形品11の製造方法であって、上記天板部11Aと上記縦壁部11Bとの境界部の延在方向を長手方向としたとき、上記ブランク材10に、上記長手方向に沿って延在するビード12を形成する第1の工程50と、上記第1の工程50後のブランク材10を、上記プレス成形品11の形状に成形する第2の工程51と、を備え、上記ビード12は、上記長手方向と直交する方向において、少なくとも一部が上記縦壁部11Bとなる領域10Bに位置される。【選択図】 図9

Description

本発明は、成形性に優れた自動車用構造部品を構成するためのプレス成形品の製造方法、及びその製造方法に使用するブランク材に関する技術である。本発明は、特に、高強度鋼板(例えば、引張強度980MPa以上の鋼板)を用いた自動車用構造部品の製造に有効な技術である。
環境汚染対策、燃費向上等の観点から、自動車部品には軽量化が求められている。そのために、従来よりも強度の高い高強度鋼板を用いることで、自動車用構造部品の板厚を薄くし、且つ軽量化を図るといった取り組みがなされている。しかし強度の高い鋼板は、強度の低い鋼板と比較して、一般に伸びが低く成形性が劣る。そのため、従来使用していた鋼板(強度の低い鋼板)では成形可能な部品形状を、高強度鋼板を用いて従来と同様な成形を施すと、割れやしわの発生等の成形不具合が生じるおそれがあるなど、成形が困難となるといった課題がある。
このような課題に対する、各種のプレス成形工法としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載の技術がある。
特許文献1には、天板部と縦壁部及びフランジ部を備える成形部品を成形する方法が記載されている。特許文献1の成形部品は、縦壁部が、弧状に湾曲している部位を有する屈曲部を介して天板部に連結すると共に、上記屈曲部と反対側にフランジ部を連結し、当該縦壁部は弧の外側が上記天板部になっている部品である。そして、特許文献1には、天板部をパッドで加圧しつつ成形し、天板部の材料をスライドさせながら縦壁部を形成することで、断面L字状形状を有するプレス部品の成形方法が開示されている。
また、特許文献2には、金型をプレス方向と直交する方向にスライドさせて縦壁部を形成することにより、形状凍結性に優れた部品を成形することが記載されている。
特許第5168429号公報 特許第6070913号公報
ここで、特許文献1に記載の方法では、天板部の材料をスライドさせるために、縦壁部の逆側に縦壁部を設けることができず、いわゆるハット断面形状の成形品を成形することができない、という課題がある。
また、特許文献2に記載の方法では、金型の構造が複雑となり、金型の製造コストが増加するという課題がある。また、特許文献2では、天板部からの材料流出がないため、高強度鋼板を用いた場合、天板部に対し縦壁部の傾きを起こし過ぎると割れの原因となり、また当該縦壁部の角度を寝かした場合には、しわが発生するおそれがある。このように、特許文献2は、縦壁部の成形高さをより高くすることを図った技術ではない。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、フランジ部と縦壁部を備えた成形品について、成形品の基本的形状の自由度の制限発生を抑えつつ、縦壁部の成形高さをより高くすることが可能な技術を提供することを目的とする。
発明者は、断面L形状でも断面ハット型形状の成形品であっても、従来よりも、縦壁部の成形高さをより高くすることが可能な技術について、種々検討して、本開示の発明をなした。
すなわち、課題解決のために、本発明の一態様は、鋼板からなるブランク材を、天板部と上記天板部に連続する縦壁部及びフランジ部を有するプレス成形品に成形するプレス成形品の製造方法であって、上記天板部と上記縦壁部との境界部の延在方向を長手方向としたとき、上記ブランク材に、上記長手方向に沿って延在するビードを形成する第1の工程と、上記第1の工程後のブランク材を、上記プレス成形品の形状に成形する第2の工程51と、を備え、上記ビードの形成位置は、上記長手方向と直交する方向において、少なくとも一部が上記縦壁部となる領域に位置する、ことを要旨とする。
第2の工程51
本発明の態様によれば、ブランク材に対し、縦壁部となる領域に一部が含まれるようにしてビードを形成しておくことで、断面L形状の成形品でも断面ハット型形状の成形品でも、第2の工程51で、ビード分の材料が縦壁部側に流出可能となる。この結果、本発明の態様によれば、ブランク材として高強度鋼板を使用しても、成形品の基本的形状の自由度の制限発生を抑えつつ、割れやシワの発生を抑え、且つ、従来の成形部品と比較して、より縦壁部の成形高さを高くすることが可能な自動車用構造部品用の成形品を製造することが可能となる。また、縦壁部の傾きの自由度も高くなる。
成形の際に発生する割れについて説明する図であって、(a)は模式的断面図(下死点位置での図)、(b)は、成形品の一例を示す図である。 成形の際に発生する、しわについて説明する図であって、(a)は模式的な成形途中の断面図、(b)は下死点となったときに模式的断面である。 本発明に基づく実施形態に係る成形品の断面図である。 第1の工程を説明する模式的断面図である。 第1の工程後のブランク材の形状の例を示す斜視図である。 第1の工程後のブランク材に形成されたビードを説明する模式的断面図である。 第2の工程51を説明する模式的断面図である。 第2の工程51後のプレス成形品での縦壁部周りの状態を示す模式的断面図である。 本発明に基づく実施形態に係るプレス工程(製造工程)を説明する図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(発明の経緯)
天板部に縦壁部及びフランジ部が連続する断面L字形状やハット型形状などのプレス成形品(単に、成形品若しくは部品とも呼ぶ)を製造する場合、プレス成形の際に、パンチ底側(天板部側)やフランジ部側から、縦壁部側に向けて材料を流入させる必要がある。
このとき、断面がL字形状のように、パンチ底(天板部11A)に対し縦壁部11Bやフランジ部11Cが片側にしかない部品形状の場合は、パンチ底側から材料を縦壁部に流入させることも可能である。しかし、断面がハット型形状のような部品形状の場合には、パンチ底側から縦壁部11B側への材料流入があまり望めないため、縦壁部11Bへの材料流入はほぼフランジ部11C側からのみとなる(図1)。
特に、長手方向に沿って幅方向(縦壁部11B側)に湾曲する湾曲部11Rを有する部品形状の場合には、当該湾曲部11Rで成形条件が厳しくなる。
これに対し、発明者らは、特に高強度鋼板(強度の高い鋼板)を用いた場合、このような部品形状への成形において、縦壁部11Bの成形高さを律則する位置が、湾曲部11RでのダイR部(縦壁部11Bとフランジ部11Cとの境界部)であるとの知見を得た(図1参照)。この知見は、湾曲部11R以外でも同様である。
その理由は、次の通りである。すなわち、縦壁部11Bが形成される際に、縦壁部11Bの高さ方向に沿う方向には、成形に伴い、パンチ底側あるいはフランジ部11C側から順次材料が供給されるため、ひずみは大きくなりにくく、割れは生じにくい。一方で、ダイRに沿う方向(稜線の円弧に沿った方向)には材料の流入がないか、少ない。このために、割れが発生するおそれがある。
ここで、パンチ底側から縦壁部11Bへの材料流入を無視し、縦壁部11Bへの材料がフランジ部11C側からのみ流入してくると仮定する。この場合、縦壁部11Bの角度(プレス方向(図1の上下方向)に対する縦壁部11Bの外方(フランジ部11C側)への傾き)をθ[度]、平面視での成形後の湾曲部11RでのパンチRをR1[mm]、縦壁部11Bの成形高さをhf[mm]とした場合(図1参照)、ダイRの円弧に沿う方向の伸びεは、おおよそ(1)式で見積もることができる。
ε=(R1-tanθ)/(R1-hf/cosθ)-1 ・・・(1)
この場合、ダイRに沿う方向の変形は、ほぼ平面ひずみ状態となっているため、この伸びεの値と、その材料の平面ひずみ状態での限界ひずみとが等しくなるときの縦壁部11Bの成形高さhfが、成形可能な最大高さとなる。なお、平面ひずみ状態での限界ひずみは、ナカジマ法、マルシニアック法等の公知の手法で得ることができる。
また、(1)式から分かるように、角度θが大きくなるほどεは小さくなる。すわなち、縦壁部11Bの傾きを寝かせるほど、稼げる成形高さhfは高くなる。しかし、部品形状の制約から縦壁部11Bを寝かせられる量には限界がある。また、成形の面からも、縦壁部11Bを寝かせると成形中に縦壁部11Bへの材料流入に伴う材料余りを抑えられず、縦壁部11Bにしわができるおそれがあるという課題がある(図2参照)。
なお、特許文献2に記載の方法では、天板部11Aからの材料流出がないためダイR部のひずみ量は前述の(1)式にあらわされるものと同じとなる。
本開示は、以上のことに鑑みてなされたものであり、断面がL字形状でもハット型形状であっても適用でき、縦壁部11Bにシワや割れの発生を抑制しつつ、縦壁部11Bの成形高さを従来よりも稼ぐことが可能とする技術である。
また、本開示は、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板(ハイテンション材)からなる自動車用構造部品用のプレス成形品11に対し、特に好適な技術である。
(目標とするプレス成形品の構成)
本実施形態の成形品11は、図3及び図1(b)に示すように、天板部11Aの両側にそれぞれ縦壁部11B及びフランジ部11Cが連続した断面ハット型形状の成形品11である。なお、本開示の成形品11は、断面ハット型形状に限定されず、断面L字形状の場合であっても適用可能である。断面L字形状とは、天板部11Aの片側にのみ縦壁部11B及びフランジ部11Cを有する形状である。
更に、本実施形態の成形品11は、図1(b)に示すように、平面視で、長手方向に沿って、一方の縦壁部11B側(天板部11Aの幅方向)に凸若しくは凹に湾曲した湾曲部11Rを有する。なお、本開示は、湾曲部11Rを有しない部品形状であっても適用可能であるが、湾曲部11Rを有する場合に特に好適である。
なお、本開示は、平面視において、長手方向に沿って天板部11Aの幅が一定の場合でない、例えば平面視L字状やT字状などの成形品11であっても適用可能である。
また、長手方向とは、天板部11Aと縦壁部11Bとの境界部の延在方向、つまり天板部11Aの延在方向を指す。
(製造方法)
本実施形態のプレス成形品の製造方法は、鋼板からなるブランク材をプレス成形して、上記のプレス成形品11を製造する方法である。本実施形態は、そのプレス成形品11を製造する工程として、図9に示すように、第1の工程50と、第2の工程51とを備える。
<第1の工程50>
第1の工程50は、ブランク材10に、図5のような、長手方向に沿って延在するビード12を形成する工程である。
[ビード12]
ビード12の形成位置は、図5及び図6に示すように、長手方向と直交する方向において、少なくとも一部が縦壁部11Bとなる領域10Bに設定される。「長手方向と直交する方向において」とは、図7のような「ビード断面において」と同義である。
例えば、図7のようなビード断面において、少なくともビード頂部12Pよりもフランジ部11C側の部分12Fが、縦壁部11Bとなる領域10Bに位置する。
なお、図5及び図6における、縦壁部11Bとなる領域10Bは一例である。また、符号10Cがフランジ部となる領域、符号10Aが天板部となる領域の一例である。
ビード12の断面線長(図7の12F及び12Tの長さの合計)をh0、上記縦壁部11Bの高さ方向の線長htとしたとき、下記式を満足することが好ましい。
1.1 × ht ≧ h0 ≧ 0.9 × ht
ビード12は、ビード頂部12Pを境として、天板部11A側の部分12Tの断面線長よりも、上記フランジ部11C側の部分12Fの断面線長の方が長いことが好ましい。また、ビード12を挟んで、フランジ部となる領域の位置に対し、天板部となる領域側の位置が、ビードの張り出し方向(図6の上方側)にオフセットさせた状態とすることが好ましい。
第1の工程50の処理は、例えば、図4に示すように、ブランク材10におけるビード12の形成位置を挟んだ両側をダイ22とクッション23、24(ブランクホルダー)で拘束した状態で、ビード形状のパンチ21を使用してプレス成形することで、実行する。図4には、ダイ2のビード形成位置に対し、ビード形状に倣った凹部22Aを形成した場合を例示している。
この第1の工程50を行うことで、ブランク材10には、図5に示すように、長手方向に沿って延在するビード12が形成される。
ここで、図4では、ビード12を挟んだフランジ部11C側の面と天板部11A側の面の高さが同じ高さとなるように成形する場合の例を示しているが、図6に示すように、高さが異なっていることが好ましい。すなわち、フランジ部側が相対的に下方に位置して、高さが低い縦壁部(ビードの12F部分の下側部分)が形成されていることが好ましい。
図6に示すビード12の断面形状では、ビード頂部12Pに対し、フランジ部側の部分12Fの断面線長の方が、天板部11A側の部分12Tの断面線長よりも長く設定される。
また、ビード頂部12Pをビード幅方向中央よりも天板部11A側にオフセットさせることで、フランジ部側の部分12Fの断面線長の方が、天板部11A側の部分12Tの断面線長よりも長く設定してもよい。
<第2の工程51>
第2の工程51は、第1の工程50後のブランク材10を、図3及び図1(b)に示すような、目標とするプレス成形品11の形状に成形する工程である。
第2の工程51は、例えば、図7に示すように、ブランク材10におけるフランジ部11Cとなる位置をダイ2とクッション3で拘束する。またビード12を非拘束状態としつつ、天板部11Aとなる位置をパンチ1とパッド4で拘束する。この状態で、ダイ2に対し、パンチ1を相対的にプレス方向に移動させることで、目標とするプレス成形品11の形状に成形する。
なお、図7では、パンチ肩部が、プレス方向でビード12の一部と重なるように設定している。
この処理例では、図7に示すように、パンチ1とパッド4で、天板部11Aとなる領域全体を拘束することなく、天板部11Aとなる領域の一部及びビード12の位置を非拘束状態として、プレス成形が実行される。
すなわち、パンチ1を相対的にプレス方向(図7では上方)に移動させるにつれて、ブランク材10におけるビード12の位置がパンチの成形面に沿って高さ方向に引っ張られて、ビード12の一部が縦壁部11Bとなると共に、ビード12の天板部11A側の部分が、縦壁部11Bと天板部11Aとの境界部(稜線部)及び天板部11Aの一部となる。
<作用・効果>
本実施形態では、高強度鋼板を用いて製造される、縦壁部11Bとフランジ部11Cを持ち、湾曲部11Rを備えた自動車用構造部品について、従来の成形方法と比較して、より縦壁部の成形高さが高い成形品を製造することが可能となる。
前述したように、(1)式において、縦壁部11Bの角度θを大きくする、つまり縦壁部11Bを寝かせると成形可能な高さをより高くすることが出来るが、縦壁部11Bを金型で押さえることができずにしわが発生するおそれが高くなる。
そこで発明者らは、縦壁部11Bを寝かせることなく成形高さをより高くする成形手法を検討した。そして、発明者らは、ダイ肩部(縦壁部11Bとフランジ部11Cの境界部(稜線部))に大きなひずみが発生するのは、フランジ部側から縦壁部11Bへの材料流入が、パンチ底側から縦壁部11Bへの材料流出と比較して大きいためであるという知見を得た。
(1)式では、パンチ底側(天板部11A側)からの流出量(hp)が0であることを前提としたが、hpが0でない場合、(1)式は、下記の(2)式のように書き換えることができる。
ε=(R1-tanθ)/(R1-(h1-hp)/cosθ)-1 ・・・(2)
(2)式から分かるように、パンチ底側(天板部11A側)からの流出量hpが大きくなるにしたがい、ひずみεは小さくなる。すなわち、パンチ底側からの材料流出によって、縦壁部11Bに対しフランジ部側から引き込まれる材料が減り、ダイ肩で成形される
部分でのひずみ量が小さくなり割れが発生しにくくなる。
しかし、通常の成形方法では、特にハット型断面の場合、パンチ底側(天板部11A側)から縦壁部11Bへの材料流出を促すことは困難である。
このような知見に鑑み、発明者らは検討を重ね、縦壁部11Bに材料を流出しやすくする形状を形成する第1の工程50(中間工程)と、第1の工程50で形成させた、料を流出しやすくする形状の部分を、実際に縦壁部11Bに流出させる工程とを設けることで、上記課題を回避する成形手法を考案した。
すなわち、まず(1)式により導かれる縦壁部11Bの成形限界高さよりも低い高さh0(=h1-h2)の縦壁部11Bを持ち、かつ目標成形高さhfとh0の差分と同等の線長となるビード12を持つ形状にブランク材10を予成形する(第1の工程50)。その後に、パンチ底でビード12を押し上げて、パンチの成形面に沿った形状に成形を行うことで、仮に断面ハット型形状であっても、ビード12から縦壁部11Bに材料が供給される。つまり、パンチ底側(天板部11A側)から縦壁部11Bへの材料流出と同じ現象が発生して、縦壁部11Bに対しフランジ部側から引き込まれる材料が減り、ダイ肩で成形される部分でのひずみ量が小さくなり割れが発生しにくくなる。
ここで、目標の成形高さを持つ部品形状の成形品11に成形する際に、各構成について、下記の要件を満足することが好ましい(図6、図8参照)。
1.1×hf ≧ h1+h2 ≧ 0.9×hf ・・・(3)
Rd ≧ R1 ≧ 5mm ・・・(4)
R2 ≧ 5mm ・・・(5)
R3 ≧ 5mm ・・・(6)
ここで、
h1[mm]:第1の工程50後のブランク材10における、フランジ部11C側の面に対するビード12の高さ
h2[mm]:第1の工程50後のブランク材10における、天板部11A側の面に対するビード12の高さ
hf[mm]:目標とする部品形状での縦壁部11Bの高さ
Rd[mm]:ダイR(縦壁部11Bとフランジ部11Cとの境界部(稜線部)でのR(曲率半径)
Rp[mm]:パンチR(縦壁部11Bと天板部11Aとの境界部(稜線部)でのR(曲率半径)
R2[mm]:ビード12のフランジ部11C側部分のとの連結部でのR(曲率半径)
R3[mm]:ビード12の天板部11A側部分のとの連結部でのR(曲率半径)
である。
上記各式の要件について説明する。
[(3)式について]
第2の工程51において、パンチ底を押し上げることで、ビード12の断面線長分相当が縦壁部11B側に流れる。このため、ビード12の断面線長が縦壁部11Bの線長相当であるように設定すれば、フランジ部側からの材料流入を抑えることができ、よりダイ肩で成形される部分での割れを防止する効果が高まる。
例えば、ビード12の断面線長をhb、縦壁部11Bの高さ方向の線長をhtとしたとき、下記(7)式を満足することが好ましい。
1.1 × ht ≧ hb ≧ 0.9 × ht ・・・(7)
なお、縦壁部11Bの線長は、例えば、縦壁部11Bとフランジ部11Cとの境界部(稜線部)の中央位置から、縦壁部11Bと天板部11Aとの境界部(稜線部)の中央位置までの線長とする。また、ビード12の断面線長は、例えば、フランジ部側の境界部の中央位置から、天板部11A側の境界部の中央位置までの線長とする。
これを、形状の高さを用いて簡便に表現すると、上記(3)式で表される。
すなわち、(3)式を満足することで、第2の工程51の成形工程において、フランジ部側から縦壁部への材料流入を抑えることができ、縦壁部11Bの傾きが立っていても、よりダイ肩で成形される部分での割れを防止する効果が高まる。
次に、R1は、5mm以上かつRd以下である必要がある。
R1が5mm未満であると、第2の工程51で、ビード12を平坦にする方向(凹ます方向)に変形(成形)する工程で、割れが生じる可能性が高まる。また、R1がRdよりも大きくなると、第2の工程51で、パンチ底を押し上げる際に、ダイ肩部で張り出し成形が生じ、ダイ肩で成形される部分での割れが発生する危険性が高まるためである。
次に、R2は5mm以上である必要がある。
これもR1と同様に、Rが小さすぎると成形過程で割れが発生する可能性があるからである。R2の上限は特に設けられないが、R2が大きすぎると縦壁部11Bにパンチ底から材料を流出させることがむつかしくなるため、Rpの2倍以下程度とすることが望ましい。
R3についても、R2と同様の理由から5mm以上とする必要がある。また、上限についてもR2と同様の理由からRpの2倍以下程度とすることが望ましい。
本実施形態では、縦壁部11Bとフランジ部11Cを持つ自動車用構造部品を製造する際に、第1の工程50で、目標の部品形状よりも低い縦壁部を形成するためのビード12を有する形状にブランク材を成形し、更に、第2の工程51で、相対的にパンチ底を押し上げる成形を行って、目標とする部品形状に成形する。
なお、第1の工程50で形成される、縦壁部の高さは、ビード12の高さであるh1とh2の差(h1-h2)であるが、この縦壁部の高さ(h1-h2)は0であってもよい。
ただし、この縦壁部の高さ(h1-h2)が0よりも大きい方が、第2の工程51での天板部11A側から縦壁部11Bへの材料の流入量を小さく抑えられる点で、有利である。
そして、本実施形態によれば、仮にハット型形状であっても、従来の製造方法によるよりも縦壁部11Bの成形高さが高い、フランジ部11Cと縦壁部11Bを備えた自動車用構造部品を製造することが可能となる。
(その他)
本開示は次の構成も取り得る。
(1)鋼板からなるブランク材を、天板部と上記天板部に連続する縦壁部及びフランジ部を有するプレス成形品に成形するプレス成形品の製造方法であって、上記天板部と上記縦壁部との境界部の延在方向を長手方向としたとき、上記ブランク材に、上記長手方向に沿って延在するビードを形成する第1の工程と、上記第1の工程後のブランク材を、上記プレス成形品の形状に成形する第2の工程と、を備え、上記ビードの形成位置は、上記長手方向と直交する方向において、少なくとも一部が上記縦壁部となる領域に位置する。
この構成によれば、第1の工程で、確実に縦壁部側に流すことが可能な材料余りをビードで形成しておくことで、第2の工程で、ビードの断面線長分の材料が、天板部側から縦壁部側に流れる結果、フランジ部側からの材料流入を抑えることができ、よりダイ肩で成形される部分での割れを防止する効果が高まる。
この結果、断面L字形状の部品形状であっても、断面ハット型形状の部品形状であっても、また縦壁部の傾きに関係なく、割れ発生を抑えつつ、縦壁部の成形高さを稼ぐことができる。
なお、フランジ部側からの材料の流入に余裕がある場合には、その分、ビードを小さく形成することも可能である。
(2)上記ビードの断面線長をhb、上記縦壁部の高さ方向の線長をhfとしたとき、下記式を満足する。
1.1 × ht ≧ hb ≧ 0.9 × ht
この構成によれば、(1)の効果に加え、第2の工程の際に縦壁部のしわ発生を抑えることができる。
(3)上記第1の工程後のブランク材において、上記ビードを挟んで、上記フランジ部となる領域の位置に対し、上記天板部となる領域の位置が、上記ビードの張り出し方向にオフセットしている。
この構成によれば、第1の工程でも、縦壁部の一部が形成される結果、第2の工程において、天板部側からの材料流入量を抑えることができる。
(4)上記第2の工程では、上記フランジ部となる領域をダイとクッションで拘束し、上記ビードの形成位置を非拘束状態で、上記天板部となる領域をパンチとパッドで拘束し、上記ダイに対し、相対的に上記パンチをプレス方向に移動することで、ブランク材を上記プレス成形品の形状に成形する。
この構成によれば、確実に目標とする部品形状に成形可能となる。
(5)上記プレス成形品は、平面視で見て、上記天板部Aと上記縦壁部との境界部の少なくとも一部が長手方向に向かうにつれて上記縦壁部側に変位して凹状又は凸状に湾曲した湾曲部を有する。
本開示を採用することで、成形条件が厳しい湾曲部での割れも抑えることが可能となる。
(6)天板部と上記天板部に連続する縦壁部及びフランジ部を有するプレス成形品を製造する際に使用されるブランク材であって、上記天板部と上記縦壁部との境界部の延在方向を長手方向としたとき、上記長手方向に沿って延在するビードが形成され、上記ビードが形成されている位置は、上記長手方向と直交する方向において、少なくとも一部が上記縦壁部となる領域に位置している。
(7)上記ビードは、ビード頂部を境として、上記天板部側の断面線長よりも、上記フランジ部側の断面線長の方が長い。
1 パンチ
2 ダイ
3 クッション
4 パッド
10 ブランク材
11 プレス成形品
11A 天板部
11C フランジ部
11R 湾曲部
12 ビード
12F フランジ部側の部分
12P ビード頂部
12T 天板部側の部分
50 第1の工程
51 第2の工程

Claims (7)

  1. 鋼板からなるブランク材を、天板部と上記天板部に連続する縦壁部及びフランジ部を有するプレス成形品に成形するプレス成形品の製造方法であって、
    上記天板部と上記縦壁部との境界部の延在方向を長手方向としたとき、
    上記ブランク材に、上記長手方向に沿って延在するビードを形成する第1の工程と、
    上記第1の工程後のブランク材を、上記プレス成形品の形状に成形する第2の工程51と、を備え、
    上記ビードの形成位置は、上記長手方向と直交する方向において、少なくとも一部が上記縦壁部となる領域に位置する、
    ことを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  2. 上記ビードの断面線長をhb、上記縦壁部の高さ方向の線長をhfとしたとき、下記式を満足する、ことを特徴とする請求項1に記載したプレス成形品の製造方法。
    1.1 × ht ≧ hb ≧ 0.9 × ht
  3. 上記第1の工程後のブランク材において、上記ビードを挟んで、上記フランジ部となる領域の位置に対し、上記天板部となる領域の位置が、上記ビードの張り出し方向にオフセットしている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したプレス成形品の製造方法。
  4. 上記第2の工程51では、上記フランジ部となる領域をダイとクッションで拘束し、上記ビードの形成位置を非拘束状態で、上記天板部となる領域をパンチとパッドで拘束し、
    上記ダイに対し、相対的に上記パンチをプレス方向に移動することで、ブランク材を上記プレス成形品の形状に成形する、
    ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載したプレス成形品の製造方法。
  5. 上記プレス成形品は、平面視で見て、上記天板部と上記縦壁部との境界部の少なくとも一部が長手方向に向かうにつれて上記縦壁部側に変位して凹状又は凸状に湾曲した湾曲部を有する、
    ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載したプレス成形品の製造方法。
  6. 天板部と上記天板部に連続する縦壁部及びフランジ部を有するプレス成形品を製造する際に使用されるブランク材であって、
    上記天板部と上記縦壁部との境界部の延在方向を長手方向としたとき、
    上記長手方向に沿って延在するビードが形成され、
    上記ビードが形成されている位置は、上記長手方向と直交する方向において、少なくとも一部が上記縦壁部となる領域に位置している、
    ことを特徴とするブランク材。
  7. 上記ビードは、ビード頂部を境として、上記天板部側の断面線長よりも、上記フランジ部側の断面線長の方が長い、ことを特徴とする請求項6に記載したブランク材。
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