JP2023003736A - マルチパス解析装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】サンプリング周波数やサンプリング周期を柔軟に設定し、遅延時間が短いマルチパスについても解析する。
【解決手段】マルチパス解析装置は、振幅周波数特性取得部と、遅延時間取得部と、パラメータ取得部と、算出部と、誤差検出部と、抽出部と、出力部とを備える。振幅周波数特性取得部は、第1振幅周波数特性を取得する。遅延時間取得部は、電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する。パラメータ取得部は、所定のパラメータを取得する。算出部は、第1遅延時間と、パラメータとに基づき、予測される振幅周波数特性である第2振幅周波数特性を算出する。誤差検出部は、第1振幅周波数特性と、第2振幅周波数特性との誤差を検出する。抽出部は、検出された誤差に基づき、電波に含まれる反射波の遅延時間である第2遅延時間を抽出する。出力部は、抽出された第2遅延時間を出力する。
【選択図】図1
【解決手段】マルチパス解析装置は、振幅周波数特性取得部と、遅延時間取得部と、パラメータ取得部と、算出部と、誤差検出部と、抽出部と、出力部とを備える。振幅周波数特性取得部は、第1振幅周波数特性を取得する。遅延時間取得部は、電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する。パラメータ取得部は、所定のパラメータを取得する。算出部は、第1遅延時間と、パラメータとに基づき、予測される振幅周波数特性である第2振幅周波数特性を算出する。誤差検出部は、第1振幅周波数特性と、第2振幅周波数特性との誤差を検出する。抽出部は、検出された誤差に基づき、電波に含まれる反射波の遅延時間である第2遅延時間を抽出する。出力部は、抽出された第2遅延時間を出力する。
【選択図】図1
Description
本発明は、マルチパス解析装置及びプログラムに関する。
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信された電波には、直接波と反射波が含まれることが知られている。直接波とは、1つの送信アンテナから出力された電波が直接的に到来する電波である。反射波とは、建物や山などにより反射した電波である。特に、伝搬経路が異なるため到来時間に差がある複数の反射波を含む電波は、マルチパス波と呼ばれている。従来、このようなマルチパス波が有する歪みを補償する技術があった(例えば、特許文献1を参照)。
上述したような技術によれば、スキャッタードパイロット信号(SP信号)を使用して、希望波とマルチパスのDU比を解析していた。また、到来電波の強度レベルである遅延プロファイルを測定することにより、マルチパス解析を行っていた。このような従来技術によれば、遅延時間が短いマルチパスがある場合には既存の遅延プロファイルで解析できない場合があるという問題点があった。
また、マルチパス成分を取得するためには、逆高速フーリエ変換(IFFT)により解析することも考えられる。逆高速フーリエ変換によれば、短い遅延時間を解析する場合には周波数帯域を広くする必要がある。SP信号を使用する場合には送信側変調器のIFFTサンプリング周波数の逆数が性能限界であり、OFDM波の振幅周波数特性を使用する場合には地上デジタル放送波の周波数帯域幅の逆数が性能限界であった。また、長い遅延時間まで測定するにはデータ数を多くする必要があり、且つデータ数を2のべき乗個にしなければならないという問題点があった。
そこで、本発明は、サンプリング周波数やサンプリング周期を柔軟に設定でき、遅延時間が短いマルチパスについても解析することのできるマルチパス解析装置およびプログラムを提供しようとするものである。
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるマルチパス解析装置は、周波数ごとの電波の強度を表す振幅周波数特性であって、受信した電波の前記振幅周波数特性である第1振幅周波数特性を取得する振幅周波数特性取得部と、前記電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する遅延時間取得部と、所定のパラメータを取得するパラメータ取得部と、取得された前記第1遅延時間と、取得された前記パラメータとに基づき、予測される前記振幅周波数特性である第2振幅周波数特性を算出する算出部と、取得された前記第1振幅周波数特性と、算出された前記第2振幅周波数特性との誤差を検出する誤差検出部と、検出された前記誤差に基づき、前記電波に含まれる反射波の遅延時間である第2遅延時間を抽出する抽出部と、抽出された前記第2遅延時間を出力する出力部とを備えるものである。
[2]また、本発明の一態様は、上記のマルチパス解析装置において、前記第1遅延時間に所定の時間を加算又は減算することにより第3遅延時間を算出する遅延時間加算部を更に備え、前記遅延時間取得部は、算出された前記第3遅延時間を取得し、前記算出部は、算出された前記第3遅延時間と、前記パラメータとに基づき、複数の前記第2振幅周波数特性を算出し、前記誤差検出部は、取得された前記第1振幅周波数特性と、算出された複数の前記第2振幅周波数特性との誤差を検出し、前記抽出部は、検出された複数の前記誤差に基づいて、前記第2遅延時間を抽出するものである。
[3]また、本発明の一態様は、上記のマルチパス解析装置において、前記抽出部は、前記誤差が小さくなるような前記第1遅延時間又は前記第3遅延時間を、前記第2遅延時間として抽出するものである。
[4]また、本発明の一態様は、上記のマルチパス解析装置において、前記誤差検出部により検出された誤差が小さくなるよう前記パラメータを補正する補正部を更に備えるものである。
[5]また、本発明の一態様は、上記のマルチパス解析装置において、前記補正部により補正が行われる回数を取得する計算回数取得部と、前記計算回数取得部により取得された回数に達したか否かを判定する判定部とを更に備え、前記補正部は、前記判定部により、前記計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで補正を繰り返すものである。
[6]また、本発明の一態様は、上記のマルチパス解析装置において、前記出力部は、前記第1振幅周波数特性と、前記第2振幅周波数特性とを更に出力するものである。
[7]また、本発明の一態様は、上記のマルチパス解析装置において、前記パラメータは、前記電波に含まれる希望波の端子電圧、マルチパスDU比、高周波位相差を含むものである。
[8]また、本発明の一態様は、コンピュータに、周波数ごとの電波の強度を表す振幅周波数特性であって、受信した電波の前記振幅周波数特性である第1振幅周波数特性を取得する振幅周波数特性取得ステップと、前記電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する遅延時間取得ステップと、所定のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、取得された前記第1遅延時間と、取得された前記パラメータとに基づき、予測される前記振幅周波数特性である第2振幅周波数特性を算出する算出ステップと、取得された前記第1振幅周波数特性と、算出された前記第2振幅周波数特性との誤差を検出する誤差検出ステップと、検出された前記誤差に基づき、前記電波に含まれる反射波の遅延時間である第2遅延時間を抽出する抽出ステップと、抽出された前記第2遅延時間を出力する出力ステップとを実行させるプログラムである。
本発明によれば、サンプリング周波数やサンプリング周期を柔軟に設定でき、遅延時間が短いマルチパスについても解析することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るマルチパス解析システム1は、OFDM方式により送信された電波(以下、単に電波と記載する。)を受信する。マルチパス解析システム1は、受信した電波に含まれるマルチパスを解析し、解析した結果を表示する。ここで、マルチパスの解析とは、例えば、電波に含まれる複数の反射波についてDU比、遅延時間、高周波位相差の値を算出することをいう。
本実施形態に係るマルチパス解析システム1が想定する用途の一例は、次の通りである。即ち、マルチパス解析システム1は、電波塔等の送信点から送信された電波を、住宅等の受信点にて受信する。送信点から受信点の間には、通常、ビルや山等の障害物が存在する。受信点にて受信された電波は、直接波の他に、障害物により反射した複数の反射波を含むマルチパス波である。マルチパス解析システム1は、受信した電波に含まれるマルチパスを解析し、解析した結果を表示する。電波塔等の送信点から送信される電波とは、例えば地上デジタル放送等であってもよい。
複数の受信点において良好な受信状態を確保すべく、送信点におけるアンテナパターンの設計等が行われる。アンテナパターンの設計等に際し、複数の受信点においてマルチパス解析が行われる。本実施形態に係るマルチパス解析システム1は、送信点におけるアンテナパターンの設計等のため、受信点において用いられる。
[マルチパス解析システムの構成]
図1は、本発明の実施形態によるマルチパス解析システムの構成と、マルチパス解析装置の概略機能構成とを示すブロック図である。図示するように、マルチパス解析システム1は、マルチパス解析装置10と、アンテナ21と、スペクトラムアナライザ22と、記憶部30と、表示部40と、を含んで構成される。
図1は、本発明の実施形態によるマルチパス解析システムの構成と、マルチパス解析装置の概略機能構成とを示すブロック図である。図示するように、マルチパス解析システム1は、マルチパス解析装置10と、アンテナ21と、スペクトラムアナライザ22と、記憶部30と、表示部40と、を含んで構成される。
アンテナ21は、送信点から送信された電波を受信する。具体的には、アンテナ21は、地上デジタル放送等のテレビ放送のための電波を受信する。テレビ放送は、映像および音声からなるコンテンツによる放送である。アンテナ21は、例えばUHF(Ultra High Frequency)アンテナであってもよい。
スペクトラムアナライザ22は、アンテナ21により受信された電波を計測する。スペクトラムアナライザ22は、ユーザにより周波数帯域幅、サンプリングデータ数等が設定される。スペクトラムアナライザ22は、計測した結果を、横軸を周波数として、縦軸を電力として、二次元グラフに表示する。スペクトラムアナライザ22は、計測した結果をマルチパス解析装置10に出力する。
なお、スペクトラムアナライザ22は、アンテナ21により受信された電波から振幅周波数特性を計測できればよく、スペクトラムアナライザの一例に限定されない。例えば、スペクトラムアナライザ22に代えて、振幅周波数特性が取得可能なレベルチェッカー(アンテナレベルチェッカー)を用いてもよい。
なお、スペクトラムアナライザ22は、アンテナ21により受信された電波から振幅周波数特性を計測できればよく、スペクトラムアナライザの一例に限定されない。例えば、スペクトラムアナライザ22に代えて、振幅周波数特性が取得可能なレベルチェッカー(アンテナレベルチェッカー)を用いてもよい。
記憶部30は、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性のメモリである。記憶部30は、遅延時間やパラメータの初期値等の情報であって、マルチパス解析装置10が演算のために用いる情報を記憶する。
表示部40は、マルチパス解析装置10の制御に応じて、マルチパス解析装置10が解析した結果を表示する。表示部40は、例えば液晶ディスプレイや、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等であってもよい。
マルチパス解析装置10は、振幅周波数特性取得部110と、遅延時間取得部121と、パラメータ取得部122と、算出部130と、誤差検出部140と、遅延時間加算部150と、補正部160と、抽出部170と、出力部180とを備える。
これらの各機能部は、例えば、コンピュータと、プログラムとにより実現することが可能である。また、各機能部は、必要に応じて、記憶手段を有する。記憶手段は、例えば、プログラム上の変数や、プログラムの実行によりアロケーションされるメモリである。また、必要に応じて、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性の記憶手段を用いるようにしてもよい。また、各機能部の少なくとも一部の機能を、プログラムではなく専用の電子回路として実現してもよい。各部の機能は、次の通りである。
これらの各機能部は、例えば、コンピュータと、プログラムとにより実現することが可能である。また、各機能部は、必要に応じて、記憶手段を有する。記憶手段は、例えば、プログラム上の変数や、プログラムの実行によりアロケーションされるメモリである。また、必要に応じて、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性の記憶手段を用いるようにしてもよい。また、各機能部の少なくとも一部の機能を、プログラムではなく専用の電子回路として実現してもよい。各部の機能は、次の通りである。
振幅周波数特性取得部110は、スペクトラムアナライザ22により測定されたデータを取得する。振幅周波数特性取得部110は、スペクトラムアナライザ22とUSB(Universal Serial Bus)接続、又は所定のLAN(Local Area Network)等の所定の通信ネットワークにより接続されることにより、測定データを取得してもよい。また、振幅周波数特性取得部110は、USBメモリ等の記録媒体を介し、測定データを取得してもよい。
ここで、スペクトラムアナライザ22により測定されたデータは、振幅周波数特性を含む。振幅周波数特性は、周波数ごとの電波の強度を表す。振幅周波数特性のうち、特にスペクトラムアナライザ22により取得された振幅周波数特性を、第1振幅周波数特性とも記載する。すなわち、振幅周波数特性取得部110は、周波数ごとの電波の強度を表す振幅周波数特性であって、受信した電波の振幅周波数特性である第1振幅周波数特性を取得する。
ここで、スペクトラムアナライザ22により測定されたデータは、振幅周波数特性を含む。振幅周波数特性は、周波数ごとの電波の強度を表す。振幅周波数特性のうち、特にスペクトラムアナライザ22により取得された振幅周波数特性を、第1振幅周波数特性とも記載する。すなわち、振幅周波数特性取得部110は、周波数ごとの電波の強度を表す振幅周波数特性であって、受信した電波の振幅周波数特性である第1振幅周波数特性を取得する。
遅延時間取得部121は、算出部130が演算を行う際に用いられる遅延時間の値を取得する。ここで、算出部130は、複数回の演算を行う。算出部130は、1回目の演算には記憶部30に記憶された遅延時間の初期値を用い、2回目以降の演算には遅延時間加算部150により加算された遅延時間の値を用いる。すなわち、遅延時間取得部121は、記憶部30又は遅延時間加算部150のいずれか一方から遅延時間の値を取得する。
遅延時間の初期値を第1遅延時間とも記載する。第1遅延時間とは、電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である。すなわち、遅延時間取得部121は、電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する。
遅延時間の初期値とは、算出部130が演算に用いる遅延時間のうち、記憶部30に記憶された遅延時間のことをいう。
遅延時間の初期値を第1遅延時間とも記載する。第1遅延時間とは、電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である。すなわち、遅延時間取得部121は、電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する。
遅延時間の初期値とは、算出部130が演算に用いる遅延時間のうち、記憶部30に記憶された遅延時間のことをいう。
パラメータ取得部122は、マルチパス解析装置10が行う演算に用いられる所定のパラメータを取得する。所定のパラメータとは、具体的には、電波に含まれる希望波の端子電圧、マルチパスDU比、及び高周波位相差である。
なお、パラメータ取得部122は、第1回目の計算においては、記憶部30から所定のパラメータの初期値を取得する。また、パラメータ取得部122は、第2回目以降の計算においては、後述する補正部160により補正された所定のパラメータの値を取得する。所定のパラメータとは、電波に含まれる希望波の端子電圧、マルチパスDU比、及び高周波位相差、の少なくともいずれか1つであればよい。
所定のパラメータの初期値とは、算出部130が演算に用いる所定のパラメータのうち、記憶部30に記憶された所定のパラメータのことをいう。
なお、パラメータ取得部122は、第1回目の計算においては、記憶部30から所定のパラメータの初期値を取得する。また、パラメータ取得部122は、第2回目以降の計算においては、後述する補正部160により補正された所定のパラメータの値を取得する。所定のパラメータとは、電波に含まれる希望波の端子電圧、マルチパスDU比、及び高周波位相差、の少なくともいずれか1つであればよい。
所定のパラメータの初期値とは、算出部130が演算に用いる所定のパラメータのうち、記憶部30に記憶された所定のパラメータのことをいう。
算出部130は、遅延時間取得部121により取得された第1遅延時間と、パラメータ取得部122により取得された所定のパラメータとに基づき、振幅周波数特性を算出する。振幅周波数特性のうち、特に算出部130により算出された振幅周波数特性を、第2振幅周波数特性とも記載する。すなわち、算出部130は、遅延時間取得部121により取得された第1遅延時間と、パラメータ取得部122により取得されたパラメータとに基づき、第2振幅周波数特性を算出する。第2振幅周波数特性は、換言すれば、実測された電波の振幅周波数特性である第1振幅周波数特性に類似すると予測される電波の振幅周波数特性である。
振幅周波数特性は、希望波の端子電圧をD[μV]、マルチパスの端子電圧をU[μV]、遅延時間をτ[μ秒]、高周波位相差をφ[rad:弧度法]、周波数をf[MHz]、振幅周波数特性上のサンプル点番号をs、マルチパス数をn、マルチパスに割り付けた番号をj,kとすると、下の式(1)により示される。
誤差検出部140は、振幅周波数特性取得部110により取得された第1振幅周波数特性と、算出部130により算出された第2振幅周波数特性との誤差を検出する。具体的には、誤差検出部140は、誤差関数ERmに基づき、誤差を検出する。誤差関数ERmは、振幅周波数特性の実測値をT(fs)、計算値を√(Vm(fs))とし、振幅周波数特性上のサンプル点数をS、計算回数をmとすると、下の式(2)により示される。
ここで、Vm(fs)は、下の式(3)により表すことができる。
誤差関数ERmを、希望波の端子電圧D、マルチパスの端子電圧U、高周波位相差φのそれぞれのパラメータで微分すると、下の式(4)から(6)を導き出すことができる。
希望波の端子電圧D、マルチパスの端子電圧をU、高周波位相差φのそれぞれのパラメータは、下の式(7)から(9)となる。ここで、εは補正係数であって、1より小さい数である。mは、それぞれのパラメータが、m+1回目の計算に用いられるパラメータであることを示す。
ここでマルチパス解析装置10は、最急降下法により、第1振幅周波数特性(実測値
と第2振幅周波数特性(計算値)との誤差が小さくなるような遅延時間及びパラメータを算出する。より誤差が小さくなるような遅延時間及びパラメータを見つけ出すため、算出部130は、複数の遅延時間及びパラメータに基づき、第2振幅周波数特性を算出することを繰り返す。具体的には、算出部130により第2振幅周波数特性が算出されると、遅延時間加算部150及び補正部160は、算出部130により算出された振幅周波数特性に基づき、それぞれ次の演算に用いられる遅延時間及びパラメータを算出する。
と第2振幅周波数特性(計算値)との誤差が小さくなるような遅延時間及びパラメータを算出する。より誤差が小さくなるような遅延時間及びパラメータを見つけ出すため、算出部130は、複数の遅延時間及びパラメータに基づき、第2振幅周波数特性を算出することを繰り返す。具体的には、算出部130により第2振幅周波数特性が算出されると、遅延時間加算部150及び補正部160は、算出部130により算出された振幅周波数特性に基づき、それぞれ次の演算に用いられる遅延時間及びパラメータを算出する。
遅延時間加算部150は、算出部130が演算に用いた遅延時間に所定の遅延時間を加算又は減算する。遅延時間加算部150により所定の遅延時間が加算又は減算された遅延時間を第3遅延時間とも記載する。すなわち、遅延時間加算部150は、第1遅延時間に所定の時間を加算又は減算することにより第3遅延時間を算出する。
この場合、遅延時間取得部121は、遅延時間加算部150により算出された第3遅延時間を取得し、算出部130は、遅延時間加算部150により加算された第3遅延時間と、パラメータとに基づき、第2振幅周波数を算出する。遅延時間加算部150による遅延時間の加算又は減算、及び算出された遅延時間に基づく算出部130の演算は、所定の回数繰り返される。すなわち、算出部130は、複数回の演算を行うことにより、複数の第2振幅周波数特性を算出する。
この場合、遅延時間取得部121は、遅延時間加算部150により算出された第3遅延時間を取得し、算出部130は、遅延時間加算部150により加算された第3遅延時間と、パラメータとに基づき、第2振幅周波数を算出する。遅延時間加算部150による遅延時間の加算又は減算、及び算出された遅延時間に基づく算出部130の演算は、所定の回数繰り返される。すなわち、算出部130は、複数回の演算を行うことにより、複数の第2振幅周波数特性を算出する。
補正部160は、誤差検出部140により検出された誤差に基づいて、算出部130が振幅周波数特性の算出に用いるパラメータを補正する。算出部130は、複数のパラメータに基づいて、複数の振幅周波数特性を算出することにより、精度の高いパラメータを見つけ出す。すなわち、補正部160は、誤差検出部140により検出された誤差が小さくなるようパラメータを補正する。
抽出部170は、誤差検出部140により検出された誤差に基づき、第2遅延時間を抽出する。第2遅延時間とは、電波に含まれる反射波の遅延時間であって、マルチパス解析装置10によって求められた遅延時間である。抽出部170は、検出された誤差が複数ある場合、複数の誤差に基づいて、第2遅延時間を抽出する。具体的には、抽出部170は、検出された複数の誤差の中から、もっとも誤差が小さくなるような遅延時間を、第2遅延時間として抽出する。すなわち、抽出部170は、振幅周波数特性の実測値と、計算値との誤差が小さくなるような第1遅延時間又は第3遅延時間を、第2遅延時間として抽出する。
出力部180は、抽出部170により抽出された第2遅延時間を出力する。出力部180は、第2遅延時間に加えて、又は第2遅延時間に代えて、第2遅延時間の算出に用いたパラメータ等を出力してもよい。出力部180が出力するパラメータとは、希望波の端子電圧D、DU比、振幅であってもよく、例えば、下の式(10)から(12)により表される。
[スペクトラムアナライザによる電波の測定]
スペクトラムアナライザ22は、ユーザにより設定された周波数帯域及びサンプリングデータ数等に基づいて、アンテナ21により受信された電波の測定を行う。図2から図4を参照しながら、スペクトラムアナライザ22による電波の測定について説明する。
スペクトラムアナライザ22は、ユーザにより設定された周波数帯域及びサンプリングデータ数等に基づいて、アンテナ21により受信された電波の測定を行う。図2から図4を参照しながら、スペクトラムアナライザ22による電波の測定について説明する。
図2は、同実施形態によるスペクトラムアナライザにより測定された電波の波形である。同図を参照しながら、スペクトラムアナライザにより測定された電波の一例について説明する。同図には、測定された電波の周波数(MHz)を横軸として、振幅(dBμV)を縦軸として、測定された電波の振幅周波数特性が示されている。同図に示す一例において、サンプリングデータ数Sは、19である。
図3は、同実施形態によるスペクトラムアナライザにより測定されたサンプリングデータである。同図には、図2に示した波形の離散データが示されている。具体的には、サンプリングデータ数S=19の場合の一例について示されている。振幅周波数特性取得部110は、図3に示すような離散データを、第1振幅周波数特性として取得する。振幅周波数特性には、周波数と振幅とが対応づけられている。
図4は、同実施形態によるスペクトラムアナライザにより電波を測定する手順を示すフローチャートである。同図を参照しながら、スペクトラムアナライザにより電波を測定する手順について説明する。
まず、ステップS110からステップS130において、スペクトラムアナライザ22は、ユーザにより測定条件が設定される。
具体的には、ステップS110において、スペクトラムアナライザ22は、ユーザの操作により測定チャネルが設定される。
次に、ステップS120において、スペクトラムアナライザ22は、ユーザの操作により周波数帯域幅が設定される。
次に、ステップS130において、スペクトラムアナライザ22は、サンプリングデータ数Sが設定される。
具体的には、ステップS110において、スペクトラムアナライザ22は、ユーザの操作により測定チャネルが設定される。
次に、ステップS120において、スペクトラムアナライザ22は、ユーザの操作により周波数帯域幅が設定される。
次に、ステップS130において、スペクトラムアナライザ22は、サンプリングデータ数Sが設定される。
次に、ステップS140において、スペクトラムアナライザ22は、アンテナ21が受信した電波の振幅周波数特性のサンプリングデータを取得する。
次に、ステップS150において、スペクトラムアナライザ22は、取得したサンプリングデータ数が、ステップS130により設定されたサンプリングデータ数Sより大きいか否かを判定する。スペクトラムアナライザ22は、取得したサンプリングデータ数の方が大きい場合(すなわち、ステップS150;YES)、処理をステップS160に進める。スペクトラムアナライザ22は、取得したサンプリングデータ数の方が大きくない場合(すなわち、ステップS150;NO)、処理をステップS140に進める。
次に、ステップS150において、スペクトラムアナライザ22は、取得したサンプリングデータ数が、ステップS130により設定されたサンプリングデータ数Sより大きいか否かを判定する。スペクトラムアナライザ22は、取得したサンプリングデータ数の方が大きい場合(すなわち、ステップS150;YES)、処理をステップS160に進める。スペクトラムアナライザ22は、取得したサンプリングデータ数の方が大きくない場合(すなわち、ステップS150;NO)、処理をステップS140に進める。
次に、ステップS160において、スペクトラムアナライザ22は、測定されたS組のサンプリングデータを出力する。スペクトラムアナライザ22とマルチパス解析装置10とがUSB接続される場合、スペクトラムアナライザ22は、測定されたS組のサンプリングデータを振幅周波数特性取得部110に第1振幅周波数特性として出力する。また、スペクトラムアナライザ22は、USBメモリ等の記憶媒体等を介して、測定されたS組のサンプリングデータを振幅周波数特性取得部110に出力してもよい。また、スペクトラムアナライザ22は、所定の通信ネットワーク等を介して、測定されたS組のサンプリングデータを振幅周波数特性取得部110に出力してもよい。
[マルチパス解析装置による遅延時間の抽出]
図5は、同実施形態によるマルチパス解析装置により遅延時間を抽出する手順を示すフローチャートである。同図を参照しながら、マルチパス解析装置10により遅延時間を抽出する手順について説明する。
図5は、同実施形態によるマルチパス解析装置により遅延時間を抽出する手順を示すフローチャートである。同図を参照しながら、マルチパス解析装置10により遅延時間を抽出する手順について説明する。
まず、ステップS310において、ユーザの操作により、計算回数LC1が設定される。ここで、計算回数LC1とは、補正部160によりパラメータが補正される回数である。計算回数LC1が大きい程、演算の精度は良くなる。但し、計算回数LC1を大きくすると、演算時間が長くなる。したがって、計算回数LC1は、演算の精度と、演算時間とのトレードオフを考慮して設定される。
この場合、マルチパス解析装置10は、不図示の計算回数取得部を備えることにより、計算回数LC1を取得する。
この場合、マルチパス解析装置10は、不図示の計算回数取得部を備えることにより、計算回数LC1を取得する。
次に、ステップS320において、ユーザの操作により、検出するマルチパスの最大DU比DUmaxが設定される。最大DU比DUmaxを大きくすると、演算時間が長くなり、遅延時間の抽出精度も低下するため、最大DU比DUmaxは、25dB以下が望ましい。DU比が25dB以上では、受信障害が発生しないため、DU比が25dB以上の遅延波が存在していても、実用上問題ないからである。また、終了条件としての最大DU比DUmaxを設けない場合、実際のマルチパス波には含まれていない遅延波の遅延時間が延々と抽出されてしまうため、振幅周波数特性の凸凹が小さくなり、遅延時間の抽出精度が低下してしまう。したがって、適切なDU比を設定することにより、遅延時間の抽出精度を維持することができる。
次に、ステップS330において、ユーザの操作により、遅延時間の抽出範囲と抽出間隔が設定される。具体的には、遅延時間の抽出範囲として最小遅延時間τmin及び最大遅延時間τmaxが設定され、遅延時間の抽出間隔として抽出間隔τstepが設定される。ただし、最小遅延時間τminが0に設定されている場合は、最小遅延時間τminに抽出間隔τstepが設定される。遅延時間の抽出範囲を広くすれば、より多くの反射波を測定することが可能となる一方、演算時間が長くなる。また、抽出間隔を短くすれば、より演算の精度が良くなる一方、演算時間が長くなる。したがって、最小遅延時間τmin、最大遅延時間τmax及び抽出間隔τstepは、演算の精度と、演算時間とのトレードオフを考慮して設定される。
次に、ステップS340において、遅延時間の初期値に最小遅延時間τminを設定する。具体的には、遅延時間取得部121により、記憶部30に記憶された最小遅延時間τminが取得される。
次に、ステップS350において、算出部130は、設定された最小遅延時間τminと所定のパラメータに基づいて振幅周波数特性を算出する。
次に、ステップS360において、誤差検出部140は、スペクトラムアナライザ22により測定された振幅周波数特性の実測値と、算出部130により算出された振幅周波数特性の計算値の誤差を検出する。
次に、ステップS370において、算出部130が振幅周波数特性を計算した回数が計算回数LC1より大きいか否かを判定する。計算した回数が計算回数LC1より大きい場合(すなわち、ステップS370;YES)、処理をステップS390に進める。計算した回数が計算回数LC1より大きくない場合(すなわち、ステップS370;NO)、処理をステップS380に進める。
この場合、マルチパス解析装置10は、不図示の判定部を備えることにより、計算回数が計算回数LC1より大きいか否かを判定する。すなわち、判定部は算出部130が振幅周波数特性を計算した回数が、計算回数取得部により取得された回数に達したか否かを判定する。補正部160は、判定部により計算回数が計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで補正を繰り返す。また、算出部130は、判定部により計算回数が計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで、補正されたパラメータに基づく演算を繰り返す。また、誤差検出部140は、判定部により計算回数が計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで、誤差の検出を繰り返す。すなわち、誤差検出部140は、スペクトラムアナライザ22により取得された第1振幅周波数特性と、算出部130により算出された複数の第2振幅周波数特性との誤差を検出する。
この場合、マルチパス解析装置10は、不図示の判定部を備えることにより、計算回数が計算回数LC1より大きいか否かを判定する。すなわち、判定部は算出部130が振幅周波数特性を計算した回数が、計算回数取得部により取得された回数に達したか否かを判定する。補正部160は、判定部により計算回数が計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで補正を繰り返す。また、算出部130は、判定部により計算回数が計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで、補正されたパラメータに基づく演算を繰り返す。また、誤差検出部140は、判定部により計算回数が計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで、誤差の検出を繰り返す。すなわち、誤差検出部140は、スペクトラムアナライザ22により取得された第1振幅周波数特性と、算出部130により算出された複数の第2振幅周波数特性との誤差を検出する。
次に、ステップS380において、補正部160は、誤差検出部140により検出された誤差に基づいて、パラメータを補正する。補正部160により補正されるパラメータは、具体的には、希望波の端子電圧D、マルチパスの端子電圧U、高周波位相差φである。
次に、ステップS390において、遅延時間加算部150は、誤差検出部140により検出された誤差の値が、複数回検出された誤差のうち、最も小さい値か否かを判定する。誤差が最も小さい場合(すなわち、ステップS390;YES)、処理をステップS400に進める。誤差が最も小さくない場合(すなわち、ステップS390;NO)、処理をステップS410に進める。
次に、ステップS400において、算出部130が振幅周波数特性の算出に用いた遅延時間を、抽出候補τtに設定する。
次に、ステップS410において、遅延時間加算部150は、遅延時間に抽出間隔τstepを加算する。
次に、ステップS420において、遅延時間加算部150は、抽出間隔τstepを加算した遅延時間が、抽出済みの遅延時間に含まれているか否かを判定する。遅延時間加算部150は、抽出間隔τstepを加算した遅延時間が抽出済みの遅延時間に含まれていない場合(すなわち、ステップS420;YES)、処理をステップS430に進める。抽出済みの遅延時間に含まれている場合(すなわち、ステップS420;NO)、処理をステップS410に進める。
次に、ステップS430において、抽出部170は、抽出間隔τstepを加算した遅延時間が最大遅延時間τmaxより大きいか否かを判定する。抽出部170は、抽出間隔τstepを加算した遅延時間が最大遅延時間τmaxより大きい場合(すなわち、ステップS430;YES)、処理をステップS440に進める。最大遅延時間τmaxより大きくない場合(すなわち、ステップS430;NO)、処理をステップS350に進める。ここで、2回目以降にステップS350の処理を行う際、すなわち2波目以降のマルチパスの抽出において、既に抽出済みの遅延時間τcがあれば、既に抽出済みの遅延時間τcを有するマルチパスを確定して演算が行われる。
次に、ステップS440において、抽出部170は、抽出候補τtを、遅延時間τcとする。
次に、ステップS450において、抽出部170は、遅延時間τcのDU比が最大DU比DUmaxをより大きいか否かを判定する。遅延時間τcのDU比が最大DU比DUmaxより大きい場合(すなわち、ステップS450;YES)、処理をステップS460に進める。最大DU比DUmaxより大きくない場合(すなわち、ステップS450;NO)、処理をステップS340に進める。
次に、ステップS460において、抽出部170は、最後に抽出した遅延時間τcを削除する。
[マルチパス解析装置によるマルチパス成分の解析]
図6は、同実施形態によるマルチパス解析装置によりマルチパス成分を解析する手順を示すフローチャートである。同図を参照しながら、マルチパス解析装置10により、抽出した遅延時間に基づいてマルチパス成分を解析する手順について説明する。
図6は、同実施形態によるマルチパス解析装置によりマルチパス成分を解析する手順を示すフローチャートである。同図を参照しながら、マルチパス解析装置10により、抽出した遅延時間に基づいてマルチパス成分を解析する手順について説明する。
まず、ステップS510において、ユーザの操作により、計算回数LC2が設定される。ここで、計算回数LC2とは、マルチパス成分の解析手順においてパラメータを補正する回数であって、計算回数LC1とは異なる回数である。計算回数LC2が大きい程、解析の精度は良くなる。但し、計算回数LC2を大きくすると、解析時間が長くなる。したがって、計算回数LC2は、解析の精度と、解析時間とのトレードオフを考慮して設定される。
なお、計算回数LC1と計算回数LC2とは、同一の値であってもよい。
なお、計算回数LC1と計算回数LC2とは、同一の値であってもよい。
次に、ステップS520において、マルチパスの設定がされる。具体的には、図5を用いて説明した遅延時間の抽出プロセスにおいて抽出された遅延時間τcと、マルチパスの数とが設定される。
次に、ステップS530において、算出部130は、設定された遅延時間τcと、所定のパラメータとに基づいて、振幅周波数特性を計算する。
次に、ステップS540において、誤差検出部140は、スペクトラムアナライザ22により測定された振幅周波数特性の実測値と、算出部130により算出された振幅周波数特性の計算値の誤差を検出する。
次に、ステップS550において、算出部130が振幅周波数特性を計算した回数が計算回数LC2より大きいか否かを判定する。計算した回数が計算回数LC2より大きい場合(すなわち、ステップS550;YES)、処理をステップS570に進める。計算した回数が計算回数LC2より大きくない場合(すなわち、ステップS550;NO)、処理をステップS560に進める。
次に、ステップS560において、補正部160は、誤差検出部140により検出された誤差に基づいて、パラメータを補正する。補正部160により補正されるパラメータは、具体的には、希望波の端子電圧D、マルチパスの端子電圧U、高周波位相差φである。
次に、ステップS570において、出力部180は、表示部40に振幅周波数特性の実測値と計算値とを出力する。具体的には、出力部180は、振幅周波数特性の実測値と計算値とを重ねてグラフに表示させるよう、表示部40に情報を出力する。
次に、ステップS580において、出力部180は、振幅周波数特性の算出に用いた数値情報を出力する。具体的には、出力部180は、希望波の端子電圧Dと、マルチパスDU比と、遅延時間τcと、高周波位相差φとの値を表示させるよう、表示部40に情報を出力する。
[マルチパス解析装置による表示の一例]
表示部40は、マルチパス解析装置10により出力された情報に基づいて、表示画面を表示する。図7から図9を参照しながら、表示部40が表示する表示画面の一例について説明する。
表示部40は、マルチパス解析装置10により出力された情報に基づいて、表示画面を表示する。図7から図9を参照しながら、表示部40が表示する表示画面の一例について説明する。
図7は、同実施形態によるマルチパス解析装置により出力される解析結果の一例を示す図である。表示画面D10は、マルチパス解析装置10により解析された解析結果を、数値データとして表示する場合の表示画面の一例である。表示画面D10は、符号D110から符号D180を表示画面の構成要素として備える。
符号D110は、“実測データ”及び“シミュレーション”の選択肢を有するラジオボタンである。ユーザは、“実測データ”又は“シミュレーション”のいずれか一方を選択することにより、表示画面D10に表示される数値データを切り替える。符号D120から符号D180の各構成要素は、符号D110において選択された情報に基づき、“実測データ”又は“シミュレーション”のいずれか一方を表示する。
符号D120は、希望波の端子電圧D[dBμV]と、マルチパス解析装置10により解析された遅延波の数である遅延波数を表示する。図7に示す一例においては、希望波の端子電圧Dは、“74.9[dBμV]”であり、遅延波数は“7”である。
符号D130は、遅延時間の抽出において算出されたマルチパスの数値情報を表示する。具体的には、マルチパス解析装置10により解析された各遅延波のDU比[dB]、遅延時間τ[μs]、高周波位相差φ[度]、及び路長差[m]を表示する。図7に示す一例においては、遅延波数は“7”であるため、U1からU7に示される7つの遅延波について、それぞれ数値情報が表示される。図7に示す一例においては、一例として、遅延波U1のDU比は“13.823[dB]”であり、遅延時間τは“0.15[μs]”であり、高周波位相差φは、“355.96[度]”であり、路長差は“45[m]”である。
符号D140は、補正係数ε及び、サンプリングデータ数Sを表示する。補正係数εとは、誤差検出部140による演算において用いられた補正係数εである。サンプリングデータ数Sとは、スペクトラムアナライザ22により測定された振幅周波数特性のサンプリング数である。図7に示す一例においては、補正係数εは、“0.1”であり、サンプリングデータ数Sは“111”である。
符号D150は、遅延時間の抽出において用いられた計算回数LC1、最小遅延時間τmin[μs]、最大遅延時間τmax[μs]、及び抽出間隔τstep[μs]を表示する。図7に示す一例においては、計算回数LC1は、“50”であり、最小遅延時間τminは“0[μs]”であり、最大遅延時間τmaxは、“2[μs]”であり、抽出間隔τstep[μs]は“0.01[μs]”である。
符号D160は、マルチパス成分の解析において算出されたマルチパスの数値情報を表示する。具体的には、マルチパス解析装置10により解析された各遅延波の遅延時間τ[μs]、及びDU比[dB]を表示する。図7に示す一例においては、一例として、遅延波U1の遅延時間τは“0.15[μs]”であり、DU比は“14.7[dB]”である。マルチパス成分の解析においては、遅延時間の抽出において算出された遅延時間τを用いるため、符号D130に示した遅延時間τと同一の値が示されている。マルチパス成分の解析において算出されるDU比は、遅延時間の抽出において算出されたDU比よりも精度が高くなっている。
符号D170は、マルチパス成分の解析において用いられた計算回数LC2を表示する。図7に示す一例においては、計算回数LC2は“1000”である。
符号D180は、マルチパス成分の解析において用いられた誤差関数の値を表示する。図7に示す一例においては、誤差は“0.20063323”である。
図8は、同実施形態によるマルチパス解析装置により出力される実測値と計算値の一例を示す図である。表示画面D210は、マルチパス解析装置10により解析された計算値を、実測値と重ねてグラフ表示する場合の表示画面の一例である。同図には、周波数(MHz)を横軸として、端子電圧(dBμV)を縦軸として、実測値と計算値の振幅周波数特性を表示する。実測値の振幅周波数特性を波形W1により示し、計算値の振幅周波数特性を波形W2により示す。この一例において、実測値とはスペクトラムアナライザ22により測定された第1振幅周波数特性であり、計算値とはマルチパス解析装置10により算出された第2振幅周波数特性である。すなわち、出力部180は、第1振幅周波数特性と、第2振幅周波数特性とを更に出力する。
符号D220は、実測値を計測した際のスペクトラムアナライザ22の設定値を表示する。図8に示す一例においては、帯域幅が“5.57[MHz]”であり、RBW(Resolution Band Width)が“10[kHz]”である。
図9は、同実施形態によるマルチパス解析装置により計算される計算値を、計算回数ごとに表示した場合の一例である。図9(A)から図9(D)を参照しながら、遅延時間の抽出における計算回数LC1の変化に伴う、解析結果の変化について説明する。図9(A)は計算回数LC1を5回に設定した場合の一例、図9(B)は計算回数LC1を100回に設定した場合の一例、図9(C)は計算回数LC1を300回に設定した場合の一例、図9(D)は計算回数LC1を500回に設定した場合の一例をそれぞれ示す。
図9(A)において、実測値の振幅周波数特性を波形W1Aにより示し、計算値の振幅周波数特性を波形W2Aにより示す。図9(B)において、実測値の振幅周波数特性を波形W1Bにより示し、計算値の振幅周波数特性を波形W2Bにより示す。図9(C)において、実測値の振幅周波数特性を波形W1Cにより示し、計算値の振幅周波数特性を波形W2Cにより示す。図9(D)において、実測値の振幅周波数特性を波形W1Dにより示し、計算値の振幅周波数特性を波形W2Dにより示す。
計算回数LC2が5回である場合の図9(A)を参照すると、波形W1A及び波形W2Aは、互いに10から20[dB]程度の差がある。すなわち、実測値と計算値との誤差は大きい。一方、計算回数LC2が500回である場合の図9(D)を参照すると、波形W1D及び波形W2Dは、互いにほぼ一致しており、差がない。すなわち、実測値と計算値との誤差は小さい、よって、これらの図から、計算回数LC2の値を大きくするに従い、実測値と計算値との誤差が小さくなることが分かる。
[実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、マルチパス解析装置10は、振幅周波数特性取得部110を備えることにより、スペクトラムアナライザ22により測定された第1振幅周波数特性を取得する。また、マルチパス解析装置10は、遅延時間取得部121を備えることにより遅延時間の候補である第1遅延時間を取得し、パラメータ取得部122を備えることにより、所定のパラメータを取得する。また、マルチパス解析装置10は、算出部130を備えることにより、取得した第1遅延時間とパラメータに基づいて第2振幅周波数特性を算出する。また、マルチパス解析装置10は、誤差検出部140を備えることにより、取得した第1振幅周波数特性と第2振幅周波数特性との誤差を検出する。また、マルチパス解析装置10は、抽出部170を備えることにより、検出された誤差に基づき、遅延時間である第2遅延時間を抽出する。また、マルチパス解析装置10は、出力部180を備えることにより抽出した第2遅延時間を出力する。
以上説明した実施形態によれば、マルチパス解析装置10は、振幅周波数特性取得部110を備えることにより、スペクトラムアナライザ22により測定された第1振幅周波数特性を取得する。また、マルチパス解析装置10は、遅延時間取得部121を備えることにより遅延時間の候補である第1遅延時間を取得し、パラメータ取得部122を備えることにより、所定のパラメータを取得する。また、マルチパス解析装置10は、算出部130を備えることにより、取得した第1遅延時間とパラメータに基づいて第2振幅周波数特性を算出する。また、マルチパス解析装置10は、誤差検出部140を備えることにより、取得した第1振幅周波数特性と第2振幅周波数特性との誤差を検出する。また、マルチパス解析装置10は、抽出部170を備えることにより、検出された誤差に基づき、遅延時間である第2遅延時間を抽出する。また、マルチパス解析装置10は、出力部180を備えることにより抽出した第2遅延時間を出力する。
すなわち、マルチパス解析装置10は、スペクトラムアナライザ22により測定された第1振幅周波数特性と、算出した第2振幅周波数特性との比較を繰り返すことにより、遅延時間を算出する。したがって、本実施形態によれば、スペクトラムアナライザ22の設定におけるサンプリング周波数やサンプリング周期に制限はない。また、本実施形態によれば、従来のSP信号を使用した解析手法のような既存の遅延プロファイルを用いる手法とは異なり、遅延時間が短いマルチパスについても測定することができる。よって、本実施形態によれば、サンプリング周波数やサンプリング周期を柔軟に設定し、遅延時間が短いマルチパスについても解析することができる。
また、上述した実施形態によれば、マルチパス解析装置10は、第1回目の計算には、記憶部30に記憶された、いわば暫定的に定められた遅延時間に基づき、2回目以降の計算には、計算により求められた遅延時間に基づき、第2振幅周波数特性を算出する。マルチパス解析装置10は、算出された第2振幅周波数特性と、測定された第1周波数特性との誤差に基づいて、遅延時間を抽出する。具体的には、マルチパス解析装置10は、算出された第2振幅周波数特性と、測定された第1周波数特性との誤差が最も小さくなるような遅延時間を抽出する。すなわち、本実施形態によれば、最急降下法により遅延時間を抽出することができる。
また、上述した実施形態によれば、マルチパス解析装置10は、補正部160を更に備えることにより、算出部130が演算に用いるパラメータの値を補正する。具体的には、補正部160は、算出された第2振幅周波数特性と、取得された第1振幅周波数特性との誤差が小さくなるようにパラメータを補正する。したがって、本実施形態によれば、精度よく遅延時間を抽出することができる。すなわち、精度よくマルチパス解析を行うことができる。
また、上述した実施形態によれば、マルチパス解析装置10は、計算回数取得部と、判定部とを更に備えることにより、補正部が補正を行う回数を任意に設定することができる。ここで、精度と演算時間との間にはトレードオフの関係がある。したがって、本実施形態によれば、計算回数すなわち、補正部160による補正を行う回数を任意に設定することができるため、精度又は演算時間のうち、いずれを重視するか設定することができる。
また、上述した実施形態によれば、実測値である第1振幅周波数特性と、計算値である第2振幅周波数特性とを重ねて同一のグラフ上に表示する。したがって、本実施形態によれば、演算の精度を容易に提示することができる。
また、上述した実施形態によれば、パラメータとして、少なくとも端子電圧、マルチパスDU比、高周波位相差とを用いる。したがって、本実施形態によれば、精度よくマルチパス解析を行うことができる。
なお、上述した実施形態におけるマルチパス解析システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。また、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
1 マルチパス解析システム
10 マルチパス解析装置
21 アンテナ
22 スペクトラムアナライザ
30 記憶部
40 表示部
110 振幅周波数特性取得部
121 遅延時間取得部
122 パラメータ取得部
130 算出部
140 誤差検出部
150 遅延時間加算部
160 補正部
170 抽出部
180 出力部
10 マルチパス解析装置
21 アンテナ
22 スペクトラムアナライザ
30 記憶部
40 表示部
110 振幅周波数特性取得部
121 遅延時間取得部
122 パラメータ取得部
130 算出部
140 誤差検出部
150 遅延時間加算部
160 補正部
170 抽出部
180 出力部
Claims (8)
- 周波数ごとの電波の強度を表す振幅周波数特性であって、受信した電波の前記振幅周波数特性である第1振幅周波数特性を取得する振幅周波数特性取得部と、
前記電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する遅延時間取得部と、
所定のパラメータを取得するパラメータ取得部と、
取得された前記第1遅延時間と、取得された前記パラメータとに基づき、予測される前記振幅周波数特性である第2振幅周波数特性を算出する算出部と、
取得された前記第1振幅周波数特性と、算出された前記第2振幅周波数特性との誤差を検出する誤差検出部と、
検出された前記誤差に基づき、前記電波に含まれる反射波の遅延時間である第2遅延時間を抽出する抽出部と、
抽出された前記第2遅延時間を出力する出力部と
を備えるマルチパス解析装置。 - 前記第1遅延時間に所定の時間を加算又は減算することにより第3遅延時間を算出する遅延時間加算部を更に備え、
前記遅延時間取得部は、算出された前記第3遅延時間を取得し、
前記算出部は、算出された前記第3遅延時間と、前記パラメータとに基づき、複数の前記第2振幅周波数特性を算出し、
前記誤差検出部は、取得された前記第1振幅周波数特性と、算出された複数の前記第2振幅周波数特性との誤差を検出し、
前記抽出部は、検出された複数の前記誤差に基づいて、前記第2遅延時間を抽出する
請求項1に記載のマルチパス解析装置。 - 前記抽出部は、前記誤差が小さくなるような前記第1遅延時間又は前記第3遅延時間を、前記第2遅延時間として抽出する
請求項2に記載のマルチパス解析装置。 - 前記誤差検出部により検出された誤差が小さくなるよう前記パラメータを補正する補正部を更に備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマルチパス解析装置。 - 前記補正部により補正が行われる回数を取得する計算回数取得部と、
前記計算回数取得部により取得された回数に達したか否かを判定する判定部とを更に備え、
前記補正部は、前記判定部により、前記計算回数取得部により取得された回数に達したと判定されるまで補正を繰り返す
請求項4に記載のマルチパス解析装置。 - 前記出力部は、前記第1振幅周波数特性と、前記第2振幅周波数特性とを更に出力する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のマルチパス解析装置。 - 前記パラメータは、前記電波に含まれる希望波の端子電圧、マルチパスDU比、高周波位相差を含む
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のマルチパス解析装置。 - コンピュータに、
周波数ごとの電波の強度を表す振幅周波数特性であって、受信した電波の前記振幅周波数特性である第1振幅周波数特性を取得する振幅周波数特性取得ステップと、
前記電波に含まれる反射波の遅延時間の候補である第1遅延時間を取得する遅延時間取得ステップと、
所定のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、
取得された前記第1遅延時間と、取得された前記パラメータとに基づき、予測される前記振幅周波数特性である第2振幅周波数特性を算出する算出ステップと、
取得された前記第1振幅周波数特性と、算出された前記第2振幅周波数特性との誤差を検出する誤差検出ステップと、
検出された前記誤差に基づき、前記電波に含まれる反射波の遅延時間である第2遅延時間を抽出する抽出ステップと、
抽出された前記第2遅延時間を出力する出力ステップと
を実行させるプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021104995A JP2023003736A (ja) | 2021-06-24 | 2021-06-24 | マルチパス解析装置及びプログラム |
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- 2021-06-24 JP JP2021104995A patent/JP2023003736A/ja active Pending
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