JP2023003688A - 硬化性樹脂組成物、感光性樹脂組成物、硬化物、及び硬化性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、感光性樹脂組成物、硬化物、及び硬化性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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洋樹 松浦
Hiroki Matsuura
拓真 寺田
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Abstract

【課題】低温硬化条件下でも、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができ、且つ保存安定性が良好でカラーフィルター等の各種用途に、好適に使用することができる硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の第1の形態は、特定の構造式で表されるエポキシ基含有構造単位(A)と酸基含有構造単位とを有しエポキシ当量が10000以下である共重合体、及びpKa4.2以下の酸化合物を必須成分として含む硬化性樹脂組成物である。上記pKa4.2以下の酸化合物はリン酸誘導体であることが好ましい。本発明の第2の形態は上記硬化性樹脂組成物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物である。また、上記硬化性樹脂組成物を製造する方法であって、エポキシ基含有単量体、及び、水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する工程と、該重合工程で得られた重合体と、酸基含有化合物を塩基性化合物存在下に反応させる工程、pKa4.2以下の酸化合物を添加する工程を有する硬化性樹脂組成物の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。より詳しくは、低温硬化条件でも耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる保存安定性が良好な硬化性樹脂組成物、感光性樹脂組成物、硬化物、及び、硬化性樹脂組成物の製造方法に関する。
硬化性樹脂を含む組成物は、例えば、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルター、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、有機絶縁膜、有機保護膜等の、各種の光学部材や電機・電子機器等の各種用途への適用が種々検討され、各用途で要求される特性に優れた樹脂や樹脂組成物の開発がなされている。
近年では、光学部材や電機・電子機器等の小型化・薄型化・省エネルギー化が進みつつあり、それに伴って、使用される各種部材等にはより高品位な性能が要望されている。そのような要望に応えるため、各種部材等の材料となる硬化性樹脂組成物について研究が行われている。
これまでに、様々な要求に応じた硬化性樹脂組成物が開発されている。
例えば、特許文献1には、側鎖にカルボキシル基及び光反応性不飽和基を有し、アルカリ水溶液に可溶性であるオリゴマーと、エポキシ基を有する化合物と、増感剤と、ジシアンジアミド変性物を含む感光性樹脂組成物が記載されている。
また例えば、特許文献2には、エポキシ基またはオキセタニル基を有するラジカル重合性モノマー、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマー等を重合させて得られるアルカリ可溶性重合体を含む感光性組成物が記載されている。
また例えば、特許文献3には、単独重合体としたときにガラス転移温度が10℃以下となる(メタ)アクリレートモノマー、エポキシ基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマー等の付加共重合体に、特定の変性反応を行うことによって得られる側鎖に酸基、ヒドロキシ基及び重合性不飽和結合を有する硬化性ポリマー、上記硬化性ポリマーを含む感光性重合体組成物が記載されている。
また例えば、特許文献4には、酸基含有重合体と、酸基と結合しうる基および重合性二重結合を有する化合物を反応させて得られた硬化性樹脂(A)と、リン酸エステル化合物(B)を含む、保存安定性に優れる硬化性樹脂組成物および感光性樹脂組成物が記載されている。
特開平4-25846号公報 特開2006-251009号公報 特開2014-210892号公報 特開2013-194189号公報
上述のように、硬化性樹脂組成物について、これまでに色々検討されているが、従来の硬化性樹脂組成物を、例えばカラーフィルター等の原料として色材とともに使用すると、カラーフィルターの製造中に原料から洗浄溶媒中に色材が溶出するという問題があった。そのため、硬化性樹脂組成物の耐溶剤性の更なる向上が求められていた。
また、近年、特にカラーフィルター用途において、カラー液晶表示装置等の高品質化や用途の拡大により、表示パネルの高輝度化、高コントラスト化等、より高度な性能が強く求められている。しかしながら、カラーフィルターの製造では、露光して現像した後の焼成処理工程(後硬化工程)を200℃超の高温で行うと、得られた硬化物に黄変等の変色が生じ、所望の色による高着色化を十分に行うことができないといった問題があった。また、焼成処理工程を高温で行うと、不要な反応が進行して副生物が生じ、基材や硬化膜の特性を低下させるという問題もあった。そのような不要な反応を抑制し、所望の特性を有するカラーフィルターを効率良く得るには、200℃以下の比較的低温な加熱条件下でも硬化反応が十分に進行することが望ましい。また、硬化性樹脂組成物を比較的低温で硬化させることができると、カラーフィルターの製造効率も向上させることができる。
特許文献1~4に記載の組成物では、硬化性および保存安定性において改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、低温硬化条件下でも、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができ、且つ保存安定性が良好でカラーフィルター等の各種用途に、好適に使用することができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、一分子中に、エポキシ基含有基と酸基を有し、特定範囲のエポキシ当量を有する共重合体、および特定の酸解離定数を有する酸化合物を含むことにより、160℃以下の低温硬化条件下でも、架橋反応が良好に進行して、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができ、且つ保存安定性を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の形態は、
下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有構造単位(A)と酸基含有構造単位とを有しエポキシ当量が10000以下である共重合体、及びpKa4.2以下の酸化合物を必須成分として含む硬化性樹脂組成物である。
Figure 2023003688000001
(式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、直接結合、又は、2価の有機基を表す。Xは、エポキシ基含有基を表す。)
好ましくは、上記酸基含有構造単位は下記一般式(2)で表される酸基含有構造単位(B)である。
Figure 2023003688000002
(式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、直接結合、又は、有機基を表す。Rは、長さが2原子以上の結合鎖を表す。Yは、酸基を表す。aは、0又は1を表す。)
上記構造単位(A)は、下記一般式(1-1)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2023003688000003
(式(1-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、直接結合、又は、2価の有機基を表す。)
上記構造単位(B)は、下記一般式(2-1)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2023003688000004
(式(2-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、直接結合、又は、有機基を表す。bは、0又は1を表す。)
上記pKa4.2以下の酸化合物の分子量は400以下であることが好ましい。
上記pKa4.2以下の酸化合物はリン酸誘導体であることが好ましい。
すなわち、上記一般式(1)で表されるエポキシ基含有構造単位(A)と酸基含有構造単位とを有しエポキシ当量が10000以下である共重合体、及びリン酸誘導体を必須成分として含む硬化性樹脂組成物も本発明の形態である。
上記硬化性樹脂組成物は、更に、塩基性化合物を含むことが好ましく、その塩基性化合物はアミン系化合物であることが好ましい。
また、上記酸化合物の含有量は、上記塩基性化合物100モル%に対して50~200モル%の範囲であることが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物は、更に、プロトン性極性溶媒を含むことが好ましい。
また、上記硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は主鎖に環構造を有する共重合体であることが好ましい。また、上記共重合体は、更に、最も長い側鎖の原子数が5~20である単量体又は側鎖に環構造を有する単量体由来の構造単位を含むことが好ましい。
さらに、本発明の第2の形態は上記硬化性樹脂組成物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物である。
上記感光性樹脂組成物は、更に、色材を含むことが好ましい。
上記感光性樹脂組成物は、ネガ型用感光性樹脂組成物であることが好ましい。
また、本発明の第3の形態は上記硬化性樹脂組成物、または上記感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物である。
また、本発明の第4の形態は、上記硬化性樹脂組成物を製造する方法であって、
エポキシ基含有単量体、及び、水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する工程と、
該重合工程で得られた重合体と、酸基含有化合物を塩基性化合物存在下に反応させる工程、pKa4.2以下の酸化合物を添加する工程を有する硬化性樹脂組成物の製造方法である。上記硬化性樹脂組成物の製造方法では、更に、プロトン性極性溶媒を添加することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、160℃以下の比較的低温な硬化条件であっても耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができ、且つ保存安定性が良好である。本発明の硬化物は、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられる各種の光学部材や電機・電子機器等の構成部材等の各種用途に好適に使用される。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
また、本明細書において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。さらに、上限値および下限値について、好適な数値を段階的に記載する場合、各々分けて記載した上限値と下限値を、適宜組み合わせた数値範囲も好適な数値範囲である。
本発明の第1の形態である硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について以下に説明する。
[共重合体]
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は、下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有構造単位(A)と、酸基含有構造単位とを有し、エポキシ当量が10000以下であることを特徴とする。
好ましくは下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有構造単位(A)と、下記一般式(2)で表される酸基含有構造単位(B)とを有し、エポキシ当量が10000以下である。
Figure 2023003688000005
(式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、直接結合、又は、2価の有機基を表す。Xは、エポキシ基含有基を表す。)
上記酸基含有構造単位の酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上有していてもよい。中でもカルボキシル基やカルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
上記酸基含有構造単位は酸基含有単量体由来の構造単位であり、酸基及び重合性二重結合を有する単量体が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP-1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。中でも下記一般式(2)で表される酸基含有構造単位(B)が特に好ましい。
Figure 2023003688000006
(式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、直接結合、又は、有機基を表す。Rは、長さが2原子以上の結合鎖を表す。Yは、酸基を表す。aは、0又は1を表す。)
本発明において、特に好ましく使用される上記一般式(2)で表される酸基含有構造単位(B)を有する共重合体が、160℃以下(好ましくは90℃程度)の比較的低温の硬化条件であっても、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができるのは、エポキシ基と酸基を有すること、また、酸基が主鎖から比較的離れた位置にある長鎖酸であるため、酸基がエポキシ基と非常に反応しやすくなり、比較的低温でも架橋反応が進行して、強固な硬化物を形成することができること、酸基含有構造単位の側鎖が長くなるとアクリル酸やメタクリル酸の構造単位よりもガラス転移温度が低くなり、より高分子側鎖が柔軟になって、上記架橋反応が低温で進行しやすくなるためと推測される。
上記好適に使用される共重合体は、上記のエポキシ基含有構造単位(A)と酸基含有構造単位(B)を有し、エポキシ当量(g/当量)が10000以下である。エポキシ当量が10000を超えると硬化不足になり、耐溶剤性が低下するおそれがある。本発明の共重合体のエポキシ当量は、8000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましく、4000以下であることが更に好ましく、3000以下であることが更により好ましく、2000以下であることが特に好ましい。また、上記エポキシ当量は、保存安定性の点で、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、200以上であることが更に好ましい。
上記エポキシ当量は、共重合体固形分量を共重合体中に含まれるエポキシ基のモル数で除すことで求めることができる。また、上記エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠した方法でも求めることができる。
<構造単位(A)>
上記共重合体は、上記一般式(1)で表されるエポキシ基含有構造単位(A)を有する。
上記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
は、直接結合、又は、2価の有機基を表す。上記有機基としては、鎖状もしくは環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-NH-、-S-、-SO-、-SO-、及び、これらの組み合わせからなる2価の基等が挙げられる。
上記炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状であってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキレン基や、ビニレン基、プロペニレン基、ビニリデン基等が挙げられる。
上記脂環族炭化水素基としては、例えば1,2-シクロペンチレン基、1,2-シクロへキシレン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば1,2-フェニレン基、1,2-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、ベンジリデン基、シンナミリデン基、ビフェニリレン基等が挙げられる。
上記炭化水素基は、炭化水素基を構成する少なくとも1の原子が酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよい。また、上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、水酸基、アルコキシ基、アリル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。上記置換基は、更に置換基を有していてもよい。
上記2価の有機基としては、具体的には、例えば、-R-、-CO-、-CO-R-、-R-CO-R’-、-COO-、-COO-R-、-R-COO-R’-、-O-R-、-R-O-R’-(式中、R及びR’は、同一又は異なって、上記の2価の炭化水素基を表す。)等が挙げられる。
上記2価の有機基の原子数は、0~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、2~4であることが更に好ましい。
なかでも、Rは、-R-、-COO-、-COO-R-であることが好ましく、-COO-、-COO-R-(Rは、置換基を有してもよい炭素数1~4の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1~2のアルキレン基を表す。)であることがより好ましい。
Xは、エポキシ基含有基を表す。本明細書において、上記エポキシ基含有基は、オキシラン環(エポキシ基)を含む基であり、グリシジル基のようにオキシラン環が炭素に結合している基や、グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基のようにエーテル結合又はエステル結合を含む基、エポキシシクロヘキサン環等を含む脂環式エポキシ基等が含まれる。
上記エポキシ基含有基としては、例えば、下記式(x1)~(x4)で表される基が好ましく挙げられる。
Figure 2023003688000007
式中、nは、0~10の整数であり、好ましくは0~4の整数であり、より好ましくは0~2の整数である。
mは、1~10の整数であり、好ましくは2~8の整数であり、より好ましくは3~6の整数である。
なかでも、Xとしては、反応性の点で、(x1)が好ましく、n=1である(x1)がより好ましい。
上記構造単位(A)は、耐溶剤性をより一層向上させることができる点で、下記一般式(1-1)で表される構造単位(A-1)であることが好ましい。
Figure 2023003688000008
(式(1-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、直接結合、又は、2価の有機基を表す。)
上記一般式(1-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。なかでも、Rはメチル基が好ましい。
で表される2価の有機基としては、例えば、上述したRで表される2価の有機基と同様の基を挙げることができる。
で表される2価の有機基の炭素数は、0~10であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、1~2であることが更に好ましい。
なかでも、Rで表される2価の有機基としては、2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、置換基を有していない2価の脂肪族炭化水素基がより好ましく、メチレン基が好ましい。
上記構造単位(A)を有する共重合体は、上記構造単位(A)を導入しうる単量体を含む単量体成分を重合することにより得ることができる。
上記構造単位(A)を導入しうる単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがより好ましく、副反応を抑制でき、保存安定性の向上が期待できる点で、メタクリル酸グリシジルが更に好ましい。
上記共重合体は、1種又は2種以上の上記構造単位(A)を有していてもよい。
また、上記共重合体において、上記構造単位(A)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して0.1~50質量%が好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、また、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。
<構造単位(B)>
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は、更に、上記一般式(2)で表される酸基含有構造単位(B)を有することが好ましい。
上記一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
は、直接結合、又は有機基を表す。Rで表される有機基としては、上述したRで表される有機基と同様の基等が挙げられる。
で表される有機基の原子数は、1~10であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、2~5であることが更に好ましい。
で表される有機基としては、置換基を有してもよい2価の有機基が好ましく、エステル結合を含む2価の有機基が好ましく、-CO-O-R-(Rは、炭素数1~3の2価の脂肪族炭化水素基を表す。)、-CO-O-R(-O-CO-R’)-(Rは、炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状の2価の脂肪族炭化水素基を表す。R’は、炭素数1~3の1価の脂肪族炭化水素基を表す。)がより好ましく、-CO-O-R-(Rは、炭素数1~3の2価の脂肪族炭化水素基を表す。)が更に好ましい。
は、長さが2原子以上の結合鎖を表す。上記結合鎖の長さとは、結合鎖の主鎖上で連なる原子の数であり、上記結合鎖の側鎖を構成する原子の数は含まれない。具体的には、例えば、長さが2原子の結合鎖としては、-CH-CH-、-C(CH)-CH-、-C(CH)-C(CH)-、-CH-O-、-O-CH-、-CO-O-、-CH=CH-等が挙げられ、長さが3原子の結合鎖としては、-CH-CH-CH-、-CH-O-CH-、-CO-O-CH-、-CH-O-CO-、-CH=CH-CH-等が挙げられる。結合鎖の長さが0の場合は、「直接結合」と同義となる。
で表される結合鎖の長さは、架橋性がより優れる点で、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、2が最も好ましい。
上記結合鎖は、2価の有機基であることが好ましい。上記2価の有機基としては、上述した2価の有機基と同様の基を挙げることができる。
なかでも、上記有機基は、-R-、-O-R-、-O-R-O-、-CO-R-、-O-R-O-CO-R’-(R及びR’は、同一又は異なって、置換基を有してもよい2価の炭化水素基を表す。)であることが好ましく、-R-、-O-R-、-O-R-O-CO-R’-(R及びR’は、同一又は異なって、置換基を有してもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。)であることがより好ましく、エチレン基であることが更に好ましい。
Yは、酸基を表す。上記酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上有していてもよい。なかでも、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
aは、0又は1を表す。耐溶剤性がより一層優れる点で、aは1であることが好ましい。
上記構造単位(B)としては、下記一般式(2-1)で表される構造単位(B-1)が好ましく挙げられる。
Figure 2023003688000009
(式(2-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、直接結合、又は、有機基を表す。bは、0又は1を表す。)
上記一般式(2-1)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、重合体の耐熱性や現像性が良好になる点で、メチル基であることが好ましい。
及びRで表される有機基としては、上述した2価の有機基等が好ましく挙げられるが、なかでも、Rとしては、置換基を有してもよい2価の炭化水素基が好ましく、置換基を有してもよい2価の脂肪族炭化水素基がより好ましく、アルキレン基が更に好ましい。
としては、置換基を有してもよい2価の炭化水素基が好ましく、置換基を有してもよい2価の脂肪族炭化水素基がより好ましく、アルキレン基が更に好ましい。
及びRで表される有機基の炭素数は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましい。
bは、0又は1を表すが、耐溶剤性がより一層向上しうる点で、1であることが好ましい。
上記構造単位(B)を有する共重合体は、上記構造単位(B)を導入しうる単量体を含む単量体成分を重合したり、又は、水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合して得られたベースポリマーに、酸基含有化合物を反応させることにより得ることができる。
上記構造単位(B)を導入しうる単量体としては、例えば、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている長鎖不飽和モノカルボン酸類等が挙げられる。
上記水酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリオールのモノ(メタ)アクリレート;N-ヒドロキシエチルアクリルアミド等のヒドロキシアルキルアクリルアミドが挙げられる。
上記酸基含有化合物としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類;無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物、トリメリット酸無水物等のカルボン酸無水物類;等が挙げられる。なかでも、付加反応性がより高い点で、カルボン酸無水物類が好ましく、無水コハク酸が更に好ましい。
上記構造単位(B)を有する共重合体を得るための具体的な方法については、後述する重合体の製造方法において詳細に説明する。
本発明に含まれる共重合体は、1種又は2種以上の構造単位(B)を有していてもよい。
上記共重合体において、上記構造単位(B)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して0.1~50質量%が好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、また、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。
<構造単位(C)>
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は、更に、主鎖に環構造を有する共重合体であることが好ましい。すなわち、上記共重合体は、主鎖に環構造を有する構造単位(C)を更に有することが好ましい。上記共重合体が主鎖に環構造を有する重合体であると、耐熱性にも優れた硬化物を与えることができる。
上記環構造としては、イミド環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環等が挙げられる。
主鎖に環構造を導入しうる単量体を含む単量体成分を重合することにより、上記構造単位(C)を有する共重合体を得ることができる。
上記主鎖に環構造を導入しうる単量体としては、例えば、分子内に二重結合含有環構造を有する単量体や、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する単量体、重合後に環構造を形成する単量体等が挙げられる。良好な耐熱性や硬度、色材分散性等の観点から、具体的には、N置換マレイミド系単量体、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体、及び、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましく挙げられる。なかでも、耐溶剤性がより一層優れる点で、N置換マレイミド系単量体が好ましい。
上記N置換マレイミド系単量体としては、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-t-ブチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、耐熱性の観点から、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドが好ましく、N-ベンジルマレイミドがより好ましい。
上記N-ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p-メチルベンジルマレイミド、p-ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p-ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o-クロロベンジルマレイミド、o-ジクロロベンジルマレイミド、p-ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド;等が挙げられる。
上記ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体としては、例えば、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-アミル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(ステアリル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(ラウリル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。これらのなかでも、透明性や分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエートがより好ましい。
上記α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体としては、例えば、α-(アリルオキシメチル)アクリレート系単量体が挙げられる。
上記α-(アリルオキシメチル)アクリレート系単量体の具体例としては、例えば、α-アリルオキシメチルアクリル酸;α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等のアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メトキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル等のアルコキシアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシプロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジクロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ビニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メタリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸プロパギル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-メチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタジエニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シンナミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アントラニル;等が挙げられる。なかでも、アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体が好適である。上記アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体としては、透明性や分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル(メチル-(α-アリルオキシメチル)アクリレートとも称する)が特に好適である。
上記α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートは、例えば、国際公開第2010/114077号パンフレットに開示されている製造方法により製造することができる。
上記主鎖に環構造を導入しうる単量体としてはまた、2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸と反応して、主鎖にラクトン環構造を形成することができる。
上記2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルとしては、2-(1-ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステル、2-(2-ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、例えば、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸n-ブチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸t-ブチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。なかでも2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましい。これらは1種単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
上記共重合体は、1種又は2種以上の構造単位(C)を有していてもよい。
上記共重合体において、上記構造単位(C)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して0.1~50質量%が好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、また、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。
<構造単位(D)>
上記共重合体は、上述した構造単位(A)、(B)及び(C)以外に、他の構造単位(D)を更に有していてもよい。上記構造単位(D)としては、例えば、上述した水酸基含有単量体の他、上述した長鎖不飽和モノカルボン酸類以外の酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、酸基を生成する基を有する単量体、他の共重合可能な単量体等に由来する構造単位が挙げられる。
上記酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP-1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸s-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカ-2-イルメタアクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン等が挙げられる。
上記酸基を生成する基を有する単量体としては、熱もしくは酸により酸基を生成する基と重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。上記熱もしくは酸により酸基を生成する基としては、例えば、3級炭素含有基、ビニルエーテル化合物により酸基がブロック化された基、t-ブチル基やアセチル基等の保護基によりフェノール性水酸基が保護された基、等が挙げられる。
上記3級炭素含有基としては、好ましくは、-COO(Rは、一価の有機基を表し、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基で表される基が挙げられる。加熱により、-COOとRとの間のO-C結合が切断され、カルボキシル基が生成される。
上記-COOのRは、一価の有機基を表し、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。第3級炭素原子とは、当該炭素原子に結合している他の炭素原子が3個である、炭素原子を意味する。
上記一価の有機基としては、好ましくは炭素数1~91の一価の鎖状、分岐状若しくは環状の飽和又は不飽和炭化水素基が挙げられる。上記有機基は、置換基を有していてもよい。
aの炭素数は、より好ましくは炭素数1~50であり、更に好ましくは炭素数1~35であり、更により好ましくは炭素数1~20であり、特に好ましくは炭素数1~12であり、最も好ましくは炭素数1~9である。
は、好ましくは、-C(R)(R)(R)で表すことができる。この場合、R、R、及びRは、同一又は異なって、炭素数1~30の炭化水素基であることが好ましい。上記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよいし、環状構造を有していてもよいし、置換基を有していてもよい。また、R、R、及びRは互いに末端部位で連結して環状構造を形成していてもよい。
ここで、上記3級炭素含有基において、第3級炭素原子は、隣接する炭素原子の少なくとも1つが水素原子と結合していることが好ましい。例えば、Rが、-C(R)(R)(R)で表される基である場合、R、R及びRのうち少なくとも1つが、水素原子を1個以上有する炭素原子を含み、かつ当該炭素原子が第3級炭素原子に結合することが好適である。
上記R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1~15の飽和炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~10の飽和炭化水素基、更に好ましくは炭素数1~5の飽和炭化水素基、特に好ましくは炭素数1~3の飽和炭化水素基である。
上記Rは、好ましくはt-ブチル基、t-アミル基である。
上記第3級炭素含有単量体として、好ましくは、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸t-アミル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物により酸基がブロック化された基としては、カルボキシル基等の上述した酸基にビニルエーテル化合物が結合した基が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物や、ジヒドロピラン等の、開環してビニルエーテルを生じうる環状エーテル化合物等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物のなかでも、より低温で保護基が脱離しやすい点で、ジヒドロピランが好ましい。
上記ジヒドロピランにより酸基がブロック化された基としては、好ましくは、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2023003688000010
上記t-ブチル基やアセチル基等の保護基によりフェノール性水酸基が保護された基としては、好ましくは、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2023003688000011
(式中nは、置換基の数を表し、1~5の整数である。)
上記式で表される基は、例えば、溶媒中、塩酸、硫酸等の酸触媒下に温度50~150℃で1~30時間反応を行うことで、保護基が脱離して、酸基が生成される。
上記式で表される基を有する単量体としては、具体的には、例えば、p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシスチレン、p-イソプロペニルフェノール、m-イソプロペニルフェノール、o-イソプロペニルフェノール等のフェノール性水酸基を有する芳香族ビニル化合物の水酸基が、t-ブチル基、アセチル基によって保護された単量体が挙げられる。
なかでも、より低温で酸基を生成することができる点で、上記酸基を生成する基を有する単量体としては、上記ジヒドロピランにより酸基がブロック化された基を有する単量体が好ましい。
上記他の共重合可能な単量体としては、例えば、下記の化合物等の1種又は2種以上が挙げられる。
N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、キシレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン等の芳香族ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。
なかでも、上記構造単位(D)を与える単量体として、例えば、上記(メタ)アクリルアミド類等のアミド基を有するモノマーを共重合することで、アミン等の塩基性触媒を使用することなく付加反応を行うことができ、共重合体の保存安定性を向上させることができる。
また、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル等のアミン基を有するモノマーを使用する場合も、触媒を使用することなく付加反応を行うことができ、共重合体の保存安定性を向上させることができる。
また、上記構造単位(D)を与える単量体として、ゲル化が抑制された保存安定性が良好となる点で、側鎖の長い単量体や、立体障害の大きい単量体を使用することが好ましい。
上記側鎖の長い単量体としては、単量体の最も長い側鎖の原子数が5~20であるものが好ましく、6~20であるものがより好ましく、7~10であるものが更に好ましい。上記側鎖は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上記側鎖の長い単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましく挙げられる。
上記立体障害の大きい単量体としては、環構造を有するものが好ましく挙げられ、例えば、シクロヘキシル、ビシクロ、フェニル、ビフェニル、ジシクロペンタニル、フラン、ピラン、ピペリジン等の構造を有するものが挙げられる。上記立体障害の大きい単量体の具体例としては、例えば、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ペンタメチルピペリジニル等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが好ましい。
なかでも、上記共重合体は、保存安定性がより一層向上しうる点で、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、及び、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルからなる群より選択される少なくとも一種の単量体由来の構造単位を有することが好ましい。また、上記共重合体は、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構造単位を有すると、共重合体のガラス転移温度が下がり、現像性を向上させることができる。
上記共重合体は、1種又は2種以上の構造単位(D)を有していてもよい。
上記共重合体において、上記構造単位(D)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して0.1~50質量%が好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、また、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。
上記共重合体の酸価は、10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましく、30mgKOH/g以上であることが更に好ましい。また、300mgKOH/g以下であることが好ましく、250mgKOH/g以下であることがより好ましく、200mgKOH/g以下であることが更に好ましく、100mgKOH/g以下であることが更により好ましい。
上記酸価は、水酸化カリウム(KOH)溶液を用いた中和滴定法により測定して得られる値であり、重合体固形分1gあたりの酸価である。
上記共重合体の重量平均分子量は、2000以上であることが好ましく、3000以上であることがより好ましく、4000以上であることが更に好ましい。また、250000以下であることが好ましく、100000以下であることがより好ましく、50000以下であることが更に好ましく、20000以下が更により好ましい。
上記共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
上記共重合体は、側鎖に重合性二重結合(炭素-炭素二重結合)を有していてもよい。側鎖に重合性二重結合を有することにより、共重合体の光硬化性を向上させることができる。上記重合性二重結合としては、上述したものが挙げられるが、なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記共重合体が側鎖に重合性二重結合を有する場合、上記共重合体の二重結合当量は、200~20000g/当量であることが好ましい。上記二重結合当量は、硬化性が向上しうる点で、250~15000g/当量であることがより好ましく、300~10000g/当量であることが更に好ましく、300~4000g/当量であることが更により好ましい。
上記二重結合当量とは、上記共重合体の二重結合1molあたりの重合体溶液の固形分の質量である。上記重合体溶液の固形分の質量とは、上記共重合体を構成する単量体成分の質量と重合禁止剤の質量とを合計したものである。上記二重結合当量は、重合体溶液の重合体固形分の質量(g)を共重合体の二重結合量(mol)で除することにより、求めることができる。上記共重合体の二重結合量は、重合の際に使用した酸基を含む単量体と、重合性二重結合を有する化合物との量から求めることができる。また、滴定及び元素分析、NMR、IR等の各種分析や示差走査熱量計法を用いて測定することもできる。例えば、JIS K 0070:1992に記載のよう素価の試験方法に準拠して、共重合体1gあたりに含まれるエチレン性二重結合の数を測定することにより算出してもよい。
<共重合体の製造方法>
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体を製造する方法としては、少なくとも上述の構造単位(A)と酸基含有構造単位(好ましくは構造単位(B))とを有し、所定範囲のエポキシ当量を有する共重合体を得ることができる方法であれば、特に制限されず、例えば、上述した各構造単位を導入しうる単量体を含む単量体成分を重合する方法や、単量体成分を重合してベースポリマーを得て、上記ベースポリマーが有する基に他の化合物を付加反応させ、所定の構造単位を有する重合体を得る方法等が挙げられる。
上記単量体成分を重合する方法は特に制限されず、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の通常用いられる手法を用いることができる。なかでも、工業的に有利で、分子量等の構造調整が容易な点で、溶液重合が好ましい。また、上記単量体成分の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、工業的に有利な点で、ラジカル重合機構に基づく重合方法が好ましい。
また上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量を適宜調整することにより制御することができる。
上記重合開始剤としては、通常重合開始剤として使用される過酸化物やアゾ化合物等が挙げられる。上記連鎖移動剤としては、通常連鎖移動剤として使用されるアルキルメルカプタン類、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類等のメルカプト基を有する化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの添加量は、公知の方法から適宜設定することができる。
上記重合に使用する溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;炭酸ジメチル等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記単量体成分を含む単量体組成物(反応液)を重合する際の重合濃度は、好ましくは5~90質量%であり、より好ましくは5~70質量%であり、更に好ましくは10~60質量%である。上記重合濃度とは、反応液100質量%に対する、使用する単量体の質量%である。
上記重合の条件に関し、重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、50~130℃が好ましく、60~120℃がより好ましい。また、重合時間も同様に適宜設定することができ、例えば、1~5時間が好ましく、2~4時間がより好ましい。
上記共重合体を製造する方法としては、エポキシ基含有単量体、及び、酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する方法が挙げられる。特に好ましい上記構造単位(B)の酸基を有する共重合体を製造する方法としては、エポキシ基含有単量体、及び、水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する工程(1)と、上記重合工程(1)で得られた重合体と、酸基含有化合物を反応させる工程(2)を含む方法が好ましい。このような方法で上記共重合体を製造することにより、共重合体の製造時にゲル化が生じるのを抑制することができ、上記構造単位(A)と構造単位(B)を有する共重合体を効率良く得ることができる。
各工程について説明する。
工程(1)
上記共重合体の製造方法において、エポキシ基含有単量体、及び、水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する。
上記エポキシ基含有単量体としては、例えば、上述した共重合体の構造単位(A)を導入しうる単量体として記載した単量体等が挙げられる。上記水酸基含有単量体としては、上述したものが挙げられる。
上記エポキシ基含有単量体と水酸基含有単量体の含有割合としては、特に限定されず、得られる共重合体において、上述した構造単位(A)と構造単位(B)の含有割合となるよう適宜設定すればよい。
上記単量体成分は、後述する工程(2)で使用する酸基含有化合物以外の他の単量体成分を含んでいてもよい。上記他の単量体成分としては、上述した単量体成分を挙げることができる。
上記単量体成分を重合する方法は、特に制限されず、上述した公知の方法で重合すればよい。重合温度や時間についても、上述したとおりである。
また、上記重合は、通常使用される重合開始剤、連鎖移動剤、触媒や溶媒等を使用してもよい。
工程(2)
次いで、上記工程(1)で得られた重合体と、酸基含有化合物を反応させる工程を含む。
上記工程(1)で得られた重合体(ベースポリマー)と、酸基含有化合物を反応させることにより、工程(1)で得られた重合体(ベースポリマー)の水酸基に酸基含有化合物が付加されて長鎖の酸基を形成することができる。
反応方法としては、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
反応温度としては、例えば、25~100℃が好ましく、30~90℃がより好ましい。
反応時間としては、特に限定されないが、例えば、1~20時間が挙げられる。
また、上記酸基含有化合物を反応させる工程は、塩基性化合物の存在下で行うことが好ましい。塩基性化合物の存在下で反応を行うことにより、70℃以下のようなより低い温度条件下で水酸基と酸基との反応を行うことができる。また、上記のような低温条件下で反応を行うため、エポキシ基と酸基との反応を抑制して、水酸基と酸基との反応のみを進行させることができ、上記構造単位(A)と構造単位(B)を有する共重合体をより効率良く製造することができる。
例えば、工程(2)で、工程(1)で得られた重合体(ベースポリマー)と、酸基含有化合物を塩基性化合物の存在下、70℃以下で反応させるとよい。この場合、エポキシ基と酸基の反応をさらに抑制でき、樹脂のゲル化を防止できる。
上記酸基含有化合物としては、上述した酸基含有化合物が挙げられる。
上記塩基性化合物としては、アミン系化合物が好ましい。例えば、アンモニア;メチルアミン等の一級アミン;ジメチルアミン等の二級アミン;トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン等の三級アミン;ジメチルエタノールアミン、n-ブチルアミン、ジエチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の環状脂肪族アミン;ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジン、N-エチルモルホリン、ピリジン等のヘテロ環状アミン;ベンジルアミン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン等の芳香族アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハライド;酢酸テトラメチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩;硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム無機酸塩;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、モノヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の(ヒドロキシ)アルキルアンモニウムヒドロキシド;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ランタン等の遷移金属の水酸化物;[Pt(NH](OH)等の錯塩の遊離塩;トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。なかでも、蒸散のしやすさ、取り扱いやすさの点で、二級アミン、三級アミン、ヘテロ環状アミン、リン化合物であることが好ましく、副反応を抑制でき、付加後の重合体の分子量の上昇を抑制することができる点で、三級アミン、トリフェニルホスフィンであることがより好ましい。
上記塩基性化合物の使用量は、特に制限されないが、反応効率の観点から、上記酸基含有化合物の使用量100モル%に対して、0~5モル%であることが好ましく、0~4モル%であることがより好ましく、0~3モル%であることが更に好ましい。
上記酸基含有化合物の使用量は、得ようとする共重合体の目的、用途に応じて、上記構成単位(B)の含有割合が所望の範囲となるように、又は、上記共重合体の酸価が所望の範囲となるように適宜設定することが好ましい。
上記酸基含有化合物の付加反応時の重合溶液総量における、総単量体成分濃度は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。上記範囲の総単量体成分濃度であると、触媒である上記塩基性化合物を使用せずに、上記ベースポリマーに上記酸基含有化合物を付加させることができ、得られる共重合体の保存安定性を向上させることができる。このように、共重合体の重合溶液総量に対するモノマー濃度が高いと、無触媒で上記酸基含有化合物を付加でき、共重合体の保存安定性を向上させることができる。
上記反応においては、通常使用される触媒、溶媒等を使用してもよい。
また、側鎖に重合性二重結合を有する共重合体を製造するには、上記工程(1)の後、水酸基に、酸基含有単量体やイソシアネート基含有重合性単量体を付加反応させたり、上記工程(1)又は(2)の後に、エポキシ基に、酸基含有単量体を付加反応させることにより、共重合体の側鎖に重合性二重結合を導入することができる。
上記酸基含有単量体としては、上述したものが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸が挙げられる。
上記イソシアネート基含有重合性単量体としては、上述した不飽和イソシアネート類等が挙げられ、低温で付加反応することができ、共重合体の保存安定性が良好となり得る点で、好ましくは(メタ)アクリル酸イソシアナトエチルが挙げられる。
上記付加反応は、特に制限されず、公知の方法で行うことができる。
また上記付加反応では、通常使用される化合物、触媒、溶媒等を使用してもよい。
なかでも、触媒としては、上述した塩基性化合物が好ましく挙げられ、二級アミン、三級アミン、ヘテロ環状アミン、リン化合物であることが好ましく、三級アミン、トリフェニルホスフィンであることがより好ましい。また、イソシアネートモノマーと水酸基の反応触媒として一般に使用される、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫アセテート、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド等の錫系化合物等も好適に用いることができる。
上記共重合体の製造方法は、上述した反応工程以外の他の工程を含んでいてもよい。例えば、熟成工程、中和工程、重合開始剤や連鎖移動剤の失活工程、希釈工程、乾燥工程、濃縮工程、精製工程等が挙げられる。これらの工程は、公知の方法により行うことができる。本発明の硬化性樹脂組成物において、上記共重合体の含有量は、特に限定されず、用途や他成分の配合等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲にすることで、160℃以下の低温硬化条件下でも、架橋反応が良好に進行して、耐溶剤性により優れた硬化物を与えることができる。
次にpKa4.2以下の酸化合物について説明するが、上述の共重合体の製造方法の工程に加えて、pKa4.2以下の酸化合物を添加する工程を経ることで、本発明の硬化性樹脂組成物を製造することができる。すなわち、上記硬化性樹脂組成物を製造する方法であって、 エポキシ基含有単量体及び水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する工程と、 該重合工程で得られた重合体と、酸基含有化合物を塩基性化合物存在下に反応させる工程、pKa4.2以下の酸化合物を添加する工程を有する硬化性樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記硬化性樹脂組成物の製造方法では、更に、プロトン性極性溶媒を添加する工程を含むことが好ましい。プロトン性極性溶媒については後述する溶媒が好適である。
[pKa4.2以下の酸化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物はpKa4.2以下の酸化合物を含むことを特徴とする。pKa4.2以下に設定した根拠は、構造単位(B)を形成する酸基含有化合物のpKa値を閾値としたからである。具体的には、アクリル酸(pKa4.35)やメタクリル酸(pKa4.26)、コハク酸モノ(2-アクロイルオキシエチル)(pKa4.35)やコハク酸モノ(2-メタクロイロキシエチル)(pKa4.35)などの化合物が挙げられる。共重合体を構成する酸化合物よりも酸強度の強い酸性化合物が樹脂組成物中に存在することで、後述する2点の効果が発現すると考察できる。1つ目は、共重合体中のカルボキシル基のアニオン性が低下することによる当該酸基とエポキシ基の反応性が抑制できること。2つ目は、樹脂中に塩基性化合物が存在する場合は、カルボキシル基と塩を形成していた塩基性化合物をpKa4.2以下の化合物が補足し、共重合体中のカルボキシル基の求核力が低下することによって当該酸基とエポキシ基の反応性を抑制できることが挙げられる。ただし、本発明はこれらの効果が必須として発現されるものに限定されない。また、pKa3以下の酸化合物が好ましく、pKa2以下の酸化合物が特に好ましい。下限は特に限定されないが、-3以上が好ましく、0以上が特に好ましい。このような酸化合物を含むことで共重合体に含まれる酸基とエポキシ基の反応を制御することができる。なお、酸解離定数(pKa)とは、酸から水素イオンが放出される解離反応における平衡定数Kaの負の常用対数(逆数の対数)を意味し、特に水中25℃で測定されるものをいう。pKaの値は、例えば、化学便覧、基礎編II(改訂5版、丸善株式会社)を参照することができ、当該文献に掲載されてない数値は、当該文献に記載の方法で算出することができる。pKa4.2以下の酸化合物の具体的な化合物は、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、硫酸、亜硫酸、チオ硫酸、ジメチル亜硫酸、ジエチル亜硫酸、ジプロピル亜硫酸、ジブチル亜硫酸、ジフェニル亜硫酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸、ジブチル硫酸、ジフェニル硫酸、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸、ナフタレンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジイソブチルナフタレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸類、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、プロピルスルホン酸などのアルキルスルホン酸類、α-オレフィンスルホン酸類、スルホン化ポリスチレン類、アクリル酸メチル-スルホン化スチレン共重合体およびこれらの誘導体が挙げられる。上記酸化合物の分子量は400以下であることが好ましく、350以下がさらに好ましい。下限値としては150以上であることが好ましく、250以上がさらに好ましい。またリン酸誘導体であることが特に好ましい。リン酸誘導体としてはリン酸エステルまたは亜リン酸エステルが好ましい。分子量400以下であると添加した際の樹脂固形分を低くでき、保存安定性がより向上する。また、上述の共重合体に含まれる酸基のアニオン性向上や求核力低下の効果がより大きくなる。そして、分子量150以上であると、樹脂組成物との相溶性がより向上する。
上記リン酸エステルのエステル基としては、メチル、エチル、オクチル、2エチルヘキシル等のアルキルエステル、フェニル、トリル、ナフチル等のアリールエステル、ベンジル等のアラルキルエステル、2-アクリロイロキシエチルエステル、2-メタクリロイロキシエチルエステル等の重合性2重結合を有するエステル等が好ましく用いられる。これらリン酸エステル化合物は1種類を使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
このようなリン酸エステルとしては、具体的に、たとえば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2-エチルフェニルジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェートなどを挙げることができる。
これらの中で、重合性2重結合を有するリン酸エステルを使用した場合、共重合体とともに架橋構造を形成するため、揮発、溶出することがなく、加熱炉の汚染や液晶などの電気絶縁性の低下などの不具合を起こす恐れが格段に小さい。そのため、リン酸エステルとしては、重合性2重結合を有するリン酸エステル化合物が好ましい。
上述したように、上記酸化合物として、分子内にラジカル重合性不飽和結合とリン酸エステル基を有するもの(リン酸エステル基を有するラジカル重合性不飽和単量体)が特に好ましく、上記単量体に含まれる重合性不飽和結合は2個または3個以上有することが最も好ましい。分子内にリン酸エステル基を有するラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
また、例えば2-アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、3-メタクロイロキシプロピルアシッドホスフェート、メタクリロイロキシポリオキシエチレングリコールアシッドホスフェート、メタクリロイロキシポリオキシプロピレングリコールアシッドホスフェート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述した酸化合物は、次のような商品名で市販されている。例えばライトエステルP-1M、ライトエステルP-2M(以上、共栄社化学社製)、ホスマーM(以上、ユニケミカル社製)が挙げられる。その中でもP-2Mが最も好ましい。
上記pKa4.2以下の酸化合物(好ましくはリン酸エステル化合物)の含有量は、特に限定されず、用途や他成分の配合等に応じて適宜設定すればよいが、硬化性樹脂組成物の溶剤を除く固形分総量100質量%に対して、通常0.01質量%~5質量%が好ましく、0.01質量%~3質量%が更に好ましく、0.02質量%~2質量%が最も好ましい。また、上述の共重合体の含有量100質量部に対して、上記pKa4.2以下の酸化合物の含有量は、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部が更に好ましく、0.1~3質量部が最も好ましい。更に、後述する塩基性化合物を含む場合は、上記酸化合物の含有量は、塩基性化合物の使用量100モル%に対して、50モル%以上200モル%以下が好ましく、70モル%以上150モル%以下がさらに好ましく、80モル%以上120モル%以下が特に好ましい。すなわち、上記酸化合物の含有量は、上記塩基性化合物に対して0.5~2.0モル当量の範囲にすることで、保存安定性の向上効果が大きく発現し、着色が一層抑制される。
[塩基性化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に塩基性化合物を含むことが好ましい。塩基性化合物は上記一般式(1)で表されるエポキシ基含有構造単位(A)と、酸基含有構造単位とを有し、エポキシ当量が10000以下である共重合体におけるエポキシ基と酸基の反応をより一層促進することができるので、160℃以下の低温硬化条件下でも、架橋反応が良好に進行して、耐溶剤性により優れた硬化物を与えることができる。
上記塩基性化合物としては、アミン系化合物が好ましい。例えば、アンモニア;メチルアミン等の一級アミン;ジメチルアミン等の二級アミン;トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン等の三級アミン;ジメチルエタノールアミン、n-ブチルアミン、ジエチルアミン等の脂肪族アミン;シクロヘキシルアミン等の環状脂肪族アミン;ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジン、N-エチルモルホリン、ピリジン等のヘテロ環状アミン;ベンジルアミン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン等の芳香族アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハライド;酢酸テトラメチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩;硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム無機酸塩;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、モノヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の(ヒドロキシ)アルキルアンモニウムヒドロキシド;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ランタン等の遷移金属の水酸化物;[Pt(NH](OH)等の錯塩の遊離塩;トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。なかでも、蒸散のしやすさ、取り扱いやすさの点で、二級アミン、三級アミン、ヘテロ環状アミン、リン化合物であることが好ましく、副反応を抑制でき、付加後の重合体の分子量の上昇を抑制することができる点で、三級アミン、トリフェニルホスフィンであることがより好ましい。
上記塩基性化合物(好ましくはアミン系化合物)の含有量は、特に限定されず、用途や他成分の配合等に応じて適宜設定すればよいが、硬化性樹脂組成物の溶剤を除く固形分総量100質量%に対して、通常0.01質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~6質量%が更に好ましく、0.02質量%~4質量%が最も好ましい。また、上述の共重合体の含有量100質量部に対して、上記塩基性化合物の含有量は、0.01~20質量部が好ましく、0.1~10質量部が更に好ましく、0.1~6質量部が最も好ましい。
なお、上述の共重合体の合成時(付加反応時)に触媒として用いた上述の塩基性化合物が共重合体の合成後の共重合体溶液に残存している場合は、その残存量に応じて塩基性化合物を添加することで硬化性樹脂組成物中の含有量を調整すれば良い。
[プロトン性極性溶媒]
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にプロトン性極性溶媒を含むことが好ましい。すなわち、本発明はまた、上述した共重合体、pKa4.2以下の酸化合物、塩基性化合物及び/又はプロトン性極性溶媒を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物(共重合体溶液とも称する)でもある。プロトン性極性溶媒を含むことで保存安定性により優れる共重合体溶液となる。
上記共重合体は、上述のとおり、酸基とエポキシ基を有し、これらの基は反応性が高いため、低温での上記共重合体の硬化が容易となる一方、保存安定性を担保することは難しかった。本発明者は、プロトン性極性溶媒を添加することにより、上記共重合体の保存安定性を向上でき、高い耐溶剤性と保存安定性を両立し得ることを見いだした。
プロトン性極性溶媒の添加により上記共重合体の保存安定性が向上する理由については定かではないが、特に長鎖酸を有する共重合体においては、カルボキシル基等の酸基が主鎖から離間した位置に存在することで、プロトン性極性溶媒が上記酸基と比較的容易に水素結合して、酸基のアニオン性が低下し、当該酸基とエポキシ基との反応性が抑制されるためと推測される。
上記プロトン性極性溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、アミン系溶媒、及び、フェノール系溶媒が挙げられる。なかでも、上記プロトン性極性溶媒は、アルコール系溶媒であることが好ましい。
上記アルコール系溶媒としては、飽和アルコールが好ましく挙げられ、1官能のアルコール(モノアルコール)類、多価アルコール類、グリコールモノエーテル類等が挙げられる。
上記アルコール系溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等の第一級アルコール;
イソプロパノール、2-ブタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ヘキサノール、シクロヘキサノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、又は、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の第二級アルコール;
tert-ブタノール、tert-ペンタノール、tert-ヘキサノール等の第三級アルコール等が挙げられる。
なかでも、上記アルコール系溶媒は、エポキシ基との反応性抑制と、共重合体溶液(硬化性樹脂組成物)を低粘度化できる点で、第二級アルコール、又は、第三級アルコールであることが好ましい。
上記アルコール系溶媒の炭素数は、沸点が比較的低く、加熱による除去が容易である点で、1~10であることが好ましく、2~8であることがより好ましく、3~6であることが更に好ましい。
上記アルコール系溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
上記アミン系溶媒としては、例えば、ジエチレンアミン、ジメチルアミン、オレイルアミン等が挙げられる。
上記フェノール系溶媒としては、例えば、フェノール、クレゾール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、キシレノール等が挙げられる。
上記プロトン性極性溶媒は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記プロトン性極性溶媒の沸点は、加熱による除去が容易であり、かつ、ある程度の沸点を有し、平坦膜を形成しやすい点で、70~170℃であることが好ましく、100~160℃であることがより好ましく、120~150℃であることが更に好ましい。
上記共重合体溶液(硬化性樹脂組成物)における上記プロトン性極性溶媒の含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましく、30質量%であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。また、上記プロトン性極性溶媒の含有量は、硬化性樹脂組成物における濃度調整を容易にする点で、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して、1000質量%以下であることが好ましく、300質量%以下であることがより好ましく、200質量%以下であることが更に好ましい。
上記共重合体溶液は、上記プロトン性極性溶媒以外に、水素結合可能な他の溶媒を更に含むことが安定性の点で好ましい。上記他の溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
また、濃度調製する溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;等を含んでいてもよい。
上記共重合体溶液が、上記プロトン性極性溶媒以外の他の溶媒を含む場合、上記プロトン性極性溶媒の含有量は、上記プロトン性極性溶媒と上記他の溶媒の合計量100質量%に対し、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
上記共重合体溶液は、重合時に得られる、上記共重合体を含む重合溶液から精製した共重合体と、上記プロトン性極性溶媒とを混合して調製してもよいし、上記共重合体を含む重合溶液に、上記プロトン性極性溶媒を添加して調製してもよい。上記共重合体を含む重合溶液に上記プロトン性極性溶媒を添加して調製する場合、上記共重合体溶液は、重合溶媒を含んでいてもよい。
[感光性樹脂組成物]
上述の硬化性樹脂組成物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを組み合わせて感光性樹脂組成物とすることができる。ネガ型用の感光性樹脂組成物であることが好ましい。
上記感光性樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物を含むので、保存安定性が良好で、且つ低温硬化条件でも耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。また、上記感光性樹脂組成物が、上記プロトン性極性溶媒を含む場合は、更に保存安定性にも優れるものとなる。このような、感光性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記感光性樹脂組成物において、上記共重合体の含有量は、特に限定されず、用途や他成分の配合等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、「固形分総量」とは、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
上記感光性樹脂組成物は、組成物としての安定性が良好となる点で、上述したプロトン性極性溶媒を含むことが好ましい。
上記感光性樹脂組成物における上記プロトン性極性溶媒の含有量は、感光性樹脂組成物の安定性を担保する点で、上記共重合体の固形分100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、また3000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以下であることがより好ましい。
上記感光性樹脂組成物における上記プロトン性極性溶媒の含有量は、感光性樹脂組成物の安定性を担保する点で、感光性樹脂組成物の固形分100質量%に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、また400質量%以下であることが好ましく、300質量%以下であることがより好ましく、200質量%以下であることが更に好ましい。
上記感光性樹脂組成物は、上述した硬化性樹脂組成物を含むので、保存安定性が良好であり、且つ160℃以下、例えば90℃程度の低温硬化条件下でも耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。また、重合性化合物を更に含むので、硬化性や、基材への密着性、表面硬度、耐熱性等の各種物性にも優れた硬化物を与えることができる。以下に他の成分について説明する。
<重合性化合物>
上記重合性化合物は、フリーラジカル、電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー線の照射等により重合し得る、重合性不飽和結合(重合性不飽和基とも称す)を有する低分子化合物であり、例えば、重合性不飽和基を分子中に1つ有する単官能の化合物と、2個以上有する多官能の化合物が挙げられる。
上記単官能の化合物としては、例えば、N置換マレイミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド類;不飽和モノカルボン酸類;不飽和多価カルボン酸類;不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;不飽和酸無水物類;芳香族ビニル類;共役ジエン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;N-ビニル化合物類;不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。これらとしては、例えば、上記共重合体の単量体成分として挙げた化合物と同様のものが挙げられる。また、活性メチレン基や活性メチン基を有する単量体等を用いることもできる。
上記多官能の化合物としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸変性物、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸変性物、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸変性物、下記式:
Figure 2023003688000012
で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの変性物等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;
(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル等の多官能アリルエーテル類;
(メタ)アクリル酸アリル等のアリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類;トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル基含有イソシアヌレート類;トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類との反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル類;等。これらの重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ただし、ビニルエーテル基を側鎖に有する重合体は、樹脂組成物の硬化性を向上させるが、保存安定性を低下させることがあるので、保存安定性の点では、上記感光性樹脂組成物は、ビニルエーテル基を側鎖に有する重合体を含まないことが好ましい。
上記重合性化合物のなかでも、感光性樹脂組成物の硬化性をより高める観点から、多官能の重合性化合物を用いることが好ましい。上記多官能の重合性化合物の官能数としては、3以上が好ましく、4以上がより好ましい。また、上記官能数は10以下が好ましく、8以下がより好ましい。
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好ましい。
上記多官能の重合性化合物としては、なかでも、反応性、経済性、入手性等の観点から、好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート化合物等の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、より好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことにより、感光性樹脂組成物が感光性及び硬化性により優れたものとなり、より一層高硬度で高透明性の硬化物を得ることができる。上記多官能の重合性化合物としては、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが更に好ましい。
上記重合性化合物は、1種のみ使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物において、上記重合性化合物の含有量は、本発明の効果が発揮される範囲であれば特に制限されず適宜設定すればよいが、感光性樹脂組成物を適切な粘度にできる点から、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して、好ましくは5~60質量%であり、より好ましくは10~50質量%である。
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合性の光重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものである。
上記光重合開始剤の具体例としては、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(「IRGACURE907」、BASF社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(「IRGACURE369」、BASF社製)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(「IRGACURE379」、BASF社製)等のアミノケトン系化合物;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(「IRGACURE651」、BASF社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(「DAROCUR MBF」、BASF社製)等のベンジルケタール系化合物;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(「IRGACURE184」、BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(「DAROCUR1173」、BASF社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(「IRGACURE2959」、BASF社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(「IRGACURE127」、BASF社製)、[1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン+ベンゾフェノン](「IRGACURE500」、BASF社製)等のハイドロケトン系化合物;等の他、特開2013-227485号公報段落[0084]~[0086]に例示された、他のアルキルフェノン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](「OXE01」、BASF社製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(「OXE02」、BASF社製)、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-,(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン(「OXE03」、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(「OXE04」、BASF社製))等のオキシムエステル系化合物;ベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン系化合物;チオキサントン系化合物;ハロメチル化トリアジン系化合物;ハロメチル化オキサジアゾール系化合物;ビイミダゾール系化合物;チタノセン系化合物;安息香酸エステル系化合物;アクリジン系化合物等;ホスフィンオキシド系化合物;等が挙げられる。なかでも、アミノケトン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記光重合開始剤の含有量は、本発明の効果が発揮される範囲であれば、特に制限されず、適宜設定すればよいが、例えば、本発明の感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.3~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、1~8質量%であることが更に好ましい。
<光酸発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、光酸発生剤を含むことが好ましい。光酸発生剤を更に含むことにより、感光性樹脂組成物の硬化性がより一層向上しうる。
上記光酸発生剤は、放射線等の活性エネルギー線に暴露されることにより酸を発生する化合物であり、例えば、トルエンスルホン酸または四フッ化ホウ素などの強酸、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩またはセレニウム塩などのオニウム塩類;鉄-アレン錯体類;シラノール-金属キレート錯体類;ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類などのスルホン酸誘導体;有機ハロゲン化合物類;等が挙げられる。
上記光酸発生剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.3~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、1~8質量%であることが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した成分以外に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、溶剤;色材(顔料、染料);分散剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの他の成分は、公知のものから適宜選択して使用するとよく、その使用量も適宜設定することができる。
例えば、上記感光性樹脂組成物をカラーフィルター用途に使用する場合には、上記感光性樹脂組成物は色材を含むことが好ましい。
上記色材としては、顔料や染料が好適に使用される。色材の好ましい形態及び含有割合等は、特開2013-61599号公報〔0077〕~〔0087〕に記載のとおりである。
具体的には、色材の好ましい含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、3~70質量%である。より好ましくは5~60質量%であり、更に好ましくは10~50質量%である。
分散剤、耐熱向上剤、レベリング剤、現像助剤の好ましい形態及び含有割合等も、同公報〔0088〕~〔0097〕に記載のとおりである。
<感光性樹脂組成物の調製>
本発明の感光性樹脂組成物を調製する方法としては、特に制限されず公知の方法を用いればよく、例えば、上述した各含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合・分散する方法が挙げられる。混合・分散工程は特に制限されず、公知の方法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含んでいてもよい。上記感光性樹脂組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程等の公知の工程を経て調製することが好ましい。
[硬化物]
本発明の硬化性樹脂組成物、又は、感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、優れた耐溶剤性を有する。そのような硬化物も本発明の一つである。
上記硬化物が硬化膜である場合、その膜厚は0.1μm以上であることが好ましい。上記膜厚が0.1μm以上であると、より一層優れた耐溶剤性を発揮することができる。上記膜厚は、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが更に好ましい。上記膜厚の上限値は、特に限定されず、硬化膜の目的、用途に応じて適宜設定すればよいが、例えば20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。
上記硬化物を得る方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いればよく、例えば、上述した硬化性樹脂組成物、又は感光性樹脂組成物を、基材上に塗布、又は、成形したものを、乾燥、加熱、又は紫外線等のエネルギー線の照射、あるいはこれらの組み合わせにより硬化させて硬化物を得る方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物、又は感光性樹脂組成物を用いると、低温硬化条件でも耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。そのような硬化物の製造方法としては、例えば、基材上に、上記感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程、形成された塗布膜に光照射する工程、及び、光照射された塗布膜を160℃以下で加熱する工程を含む方法が好ましく挙げられる。
上記基材としては、特に制限されず、目的や用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、ガラス板、プラスチック板等、種々の材料からなる基材が挙げられる。
上記感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する方法としては、特に制限されず、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等の公知の方法で行うことができる。
上記製造方法においては、上記感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後、塗布物を乾燥させて塗布膜を形成することが好ましい。上記乾燥は、公知の方法で行うことができ、具体的には、後述する「<カラーフィルターの製造方法>」の「配置工程」に記載の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。
上記製造方法は、塗布膜を形成した後、上記塗布膜に光照射する工程を含む。
上記形成された塗布膜に光照射する方法としては、特に制限されず、公知の方法で行うことができ、具体的には、後述する「<カラーフィルターの製造方法>」の「光照射工程」に記載の方法と同様の方法で行うことができる。
上記塗布膜に光照射する場合、フォトマスクを介して光照射を行ってもよい。フォトマスクとして、目的とするパターンに応じて遮光部が形成されたマスクを用いるとよい。フォトマスクを介して光照射を行った場合、その後に現像工程を行うことが好ましい。現像工程を行うことで、塗布膜に目的とするパターンを形成することができる。現像方法としては、特に制限されず、公知の方法で行うことができ、具体的には、後述する「<カラーフィルターの製造方法>」の「現像工程」に記載の方法と同様の方法で行うことができる。
上記製造方法はまた、光照射された塗布膜を160℃以下で加熱する工程を含む。上記製造方法は、上述した感光性樹脂組成物を用いるので、光照射後の加熱工程(後硬化工程)を160℃以下のような比較的低温条件下で行うことができる。
加熱温度は、155℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。加熱温度の下限としては、硬化性が維持できる点で、70℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。
温度以外の上記加熱方法については、特に制限されず、公知の方法で行うことができ、例えば、後述する「<カラーフィルターの製造方法>」の「加熱工程」に記載の方法と同様の方法で行うことができる。
<用途>
本発明の硬化性樹脂組成物、または感光性樹脂組成物は、160℃以下、例えば90℃程度の低温硬化条件でも、硬化反応が十分に進行し、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。そのため、低温条件で充分に硬化させる必要がある用途や、耐溶剤性が必要とされる用途に好適に使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物、又は感光性樹脂組成物、及びこれらから得られる硬化物は、具体的には、例えば、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜、フィルム、有機保護膜等の、各種の光学部材や電機・電子機器等の構成部材の用途に好適に使用することができる。なかでも、カラーフィルター用途に好ましく使用される。
本発明の硬化性樹脂組成物、又は感光性樹脂組成物は、光学材料用として好適に使用され、また、ネガ型用として好適に使用される。
[カラーフィルター]
基板上に、上述の感光性樹脂組成物の硬化物を有するカラーフィルターも、本発明の好ましい形態の一つである。
上記カラーフィルターにおいて、上述の感光性樹脂組成物により形成される硬化物は、例えば、ブラックマトリクスや、赤色、緑色、青色、黄色等の各画素のような着色が必要なセグメントとして特に好適であるが、フォトスペーサー、保護層、配向制御用リブ等の着色が必ずしも必要としないセグメントとしても好適である。
上記カラーフィルターに使用される基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、アルカリ強化ガラス、シリカコート青板ガラス等のガラス基板;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等の熱可塑性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;セラミック基板;光電変換素子を有する半導体基板;表面に色材層を備えるガラス基板(例えばLCD用カラーフィルター)等の各種材料から構成される部材;等が挙げられる。なかでも、耐熱性の点から、ガラス基板や、耐熱性樹脂からなるシート、フィルム又は基板が好ましい。また、上記基板は透明基板であることが好適である。
また上記基板には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
<カラーフィルターの製造方法>
上記カラーフィルターを得るには、例えば、画素一色につき(すなわち、一色の画素ごとに)、基板上に、上述の感光性樹脂組成物を配置する工程(配置工程とも称す)と、当該基板上に配置された感光性樹脂組成物に光を照射する工程(光照射工程とも称す)と、現像液により現像処理する工程(現像工程とも称す)と、加熱処理する工程(加熱工程とも称す)とを含む手法を採用し、これと同じ手法を各色で繰り返す製造方法を採用することが好適である。なお、各色の画素の形成順序は、特に限定されるものではない。
(1)配置工程(好ましくは塗布工程)
上記配置工程は、塗布により行うことが好適である。基板上に上記感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記配置工程ではまた、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布した後、塗膜を乾燥することが好適である。塗膜の乾燥は、例えば、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行うことができる。乾燥条件は、含まれる溶媒成分の沸点、硬化成分の種類、膜厚、乾燥機の性能等に応じて適宜選択されるが、通常、50~160℃の温度で10秒~300秒間行うことが好適である。
(2)光照射工程
上記光照射工程において、使用される活性光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
(3)現像工程
上記現像工程は、上述した光照射工程の後、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程である。これにより、パターン化された硬化膜を得ることができる。現像処理は、通常、10~50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。
上記現像工程で使用される現像液は、上記感光性樹脂組成物を溶解するものであれば特に限定されないが、通常、有機溶媒やアルカリ性水溶液が用いられ、これらの混合物を用いてもよい。なお、現像液としてアルカリ性水溶液を用いる場合には、現像後、水で洗浄することが好ましい。有機溶媒やアルカリ性水溶液としては、特開2015-157909号公報に記載のものと同様のものが挙げられる。
(4)加熱工程
上記加熱工程は、上述した現像工程の後、焼成によって露光部(硬化部)を更に硬化させる工程(「後硬化工程」とも称す)である。例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、0.5~5J/cmの光量で後露光する工程や、例えば60~200℃の温度で10秒~120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。
上記加熱工程は、一般的には、200~260℃程度の温度で行われるが、上記感光性樹脂組成物を使用すれば、200℃以下、好ましくは160℃以下の比較的低温な条件下で十分な硬化を行うことができる。そのため、基板や硬化物が保持する特性を損なうことなく、耐溶剤性に優れたものを得ることができる。
上記加熱工程において、加熱温度は、160℃以下が好ましく、155℃以下がより好ましく、150℃以下が更に好ましい。また、加熱温度は、80℃以上がより好ましく、90℃以上が更に好ましい。上記加熱工程における加熱時間は特に限定されないが、例えば、5~60分間とすることが好適である。また、加熱方法も特に限定されないが、例えば、ホットプレート、コンベクションオーブン、高周波加熱機等の加熱機器を用いて行うことができる。
上記加熱工程によって得られる硬化膜(すなわち、上記感光性樹脂組成物を熱硬化して得られる硬化塗膜)の膜厚は、0.1~20μmであることが好適である。上記膜厚は、より好ましくは0.5~15μm、更に好ましくは1~10μmである。
[表示装置]
上述したカラーフィルターを備える表示装置も本発明における好ましい形態の一つである。
上記感光性樹脂組成物の硬化物を有する表示装置用部材及び表示装置もまた、本発明の好適な実施形態に含まれる。上記感光性樹脂組成物により形成される硬化物(硬化膜)は、安定して、基材等に対する密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものであるから、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜としても有用である。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適である。
なお、上記硬化物(硬化膜)を表示装置用部材として用いる場合、当該部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、上記単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
以上のとおり、本発明の硬化性樹脂組成物、及び感光性樹脂組成物は、保存安定性が良好で、低温硬化条件下であっても耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。本発明の硬化性樹脂組成物、及び感光性樹脂組成物は、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられる各種の光学部材や構成部材として、電機・電子機器等の各種用途に好適に使用することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
[評価方法]
本実施例において、各種物性等の測定は下記の方法で行った。
(1)重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液として、HLC-8220GPC(東ソー社製)、カラム:TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
(2)固形分
共重合体溶液をアルミカップに約1gはかり取り、アセトン約3gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、熱風乾燥機(商品名:PHH-101、エスペック社製)を用い、真空下140℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
(3)酸価
共重合体溶液を3g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液を滴定液として用いて滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM-555、平沼産業社製)を用いて行い、溶液の酸価と溶液の固形分から固形分1g当たりの酸価(mgKOH/g)を求めた。
(4)エポキシ当量(g/当量)
共重合体固形分の質量(g)を共重合体中に含まれるエポキシ基のモル数(mol)で除することにより求めた。
(5)二重結合当量(g/当量)
共重合体固形分の質量(g)を共重合体の二重結合量(mol)で除することにより求めた。
(6)耐溶剤性
感光性樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、90℃で2分間乾燥後、高圧水銀灯を用いて100mJで露光を行い、90℃で30分間熱処理(後硬化)を行い、膜厚2μmの硬化膜を得た。そして、その硬化膜を表5に記載の浸漬溶剤20gに30℃で5分間浸漬した後取り出し、硬化膜を取り出した後の浸漬溶剤について、分光光度計UV3100(島津製作所社製)で吸光度を測定し、下記の基準にて評価した。吸光度の値が大きいほど、浸漬液中に色材が多く溶出したことを示し、感光性樹脂組成物の耐溶剤性が低いと評価する。
(7)残膜率
上記(6)耐溶剤性の評価前後の膜の重量を測定することで残膜率を計算した。具体的には、ガラス基板を風袋重量とすることで、耐溶剤性評価前の膜重量を算出した。その後に、耐溶剤性評価後の膜重量を、評価前の膜重量で除することで、残膜率を算出した。
(8)粘度
共重合体溶液の粘度を、粘度計(VISCOMETER TV-22、東機産業社製)を用いて、25℃で測定した。
以下の共重合体を製造した。
(製造例1)
共重合体溶液A-1
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート105.3部仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。他方、滴下槽(A)として、ビーカーにN-ベンジルマレイミド10.0部、メタクリル酸シクロヘキシル27.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル30.0部、メタクリル酸グリシジル32.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチル(登録商標)O」)2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-ドデシルメルカプタン2.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート98.0部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下終了後30分間90℃を保った後、115℃まで昇温し、90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却した後、無水コハク酸11.5部、触媒としてトリエチルアミンを0.33部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.0部を加えて60℃で7時間反応させた。その後、固形分が27%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテル42.0部を添加し共重合体溶液A-1を得た。得られた共重合体の各種物性を表1に示す。
(製造例2)
共重合体溶液A-2
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート105.3部仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。他方、滴下槽(A)として、ビーカーにN-ベンジルマレイミド10.0部、メタクリル酸シクロヘキシル27.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル30.0部、メタクリル酸グリシジル32.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチル(登録商標)O」)2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-ドデシルメルカプタン2.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート98.0部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下終了後30分間90℃を保った後、115℃まで昇温し、90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却した後、無水コハク酸11.5部、触媒としてトリエチルアミンを0.33部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.0部を加えて60℃で7時間反応させた。その後、固形分が27%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート42.0部を添加し共重合体溶液A-2を得た。得られた共重合体の各種物性を表1に示す。
Figure 2023003688000013
なお、表1中の記載は、下記のとおりである。
BzMI:N-ベンジルマレイミド
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
HEMA:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル
GMA:メタクリル酸グリシジル
SAH:無水コハク酸
TEA:トリエチルアミン

得られた共重合体溶液について、表2に記載の配合となるように、下記の方法で各成分を混合して感光性樹脂組成物を調製し、上述した方法にて耐溶剤性を評価した。結果を表2に示す。
(顔料分散体1の調製)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを12.9部、分散剤としてディスパロンDA-7301を0.4部、色材としてC.I.ピグメントグリーン58を2.25部、及び、C.I.ピグメントイエロー138を1.5部混合し、ペイントシェーカーにて3時間分散することで顔料分散体1(固形分22質量%)を得た。
(実施例1)
共重合体溶液A-1を35.0部、ラジカル重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを30.0部、ラジカル重合性光重合開始剤としてイルガキュアOXE-02(BASFジャパン社製)を5.0部、顔料分散体1を30.0部、P-2Mを1.0部、更に希釈溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を、固形分濃度20%となるように加え、攪拌することで感光性樹脂組成物1を得た。
(実施例2、比較例1~2)
表2に示す配合としたこと以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物2~4を得た。
得られた感光性樹脂組成物1~4の耐溶剤性について評価した。結果を表2に示す。
Figure 2023003688000014
表2より、エポキシ基含有構造単位と酸基含有構造単位とを有し、エポキシ当量が10000以下である共重合体とpKa4.2以下の酸化合物を含む感光性樹脂組成物は、90℃の低温硬化条件であっても、硬化性が良好で、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることがわかった。なお、P-2M添加品は、未添加品と同等もしくは良好な耐溶剤性を示した。P-2Mが架橋剤として機能し、良好な耐溶剤性が得られていることがこれらのデータからわかる。
実施例3~13、比較例3~8
(保存安定性確認)
酸化合物や希釈溶剤による保存安定性の効果を調べるために下記操作を行った。共重合体溶液A100部(有姿)に対し、希釈溶剤を35部(共重合体固形分100質量%に対して、129.6質量%に相当)添加した共重合体溶液に、更にP-1M、P-2M、MSA、ACAを表3、表4に記載した量添加した共重合体溶液を用いて、40℃で1~2週間の保存前後における、共重合体溶液(硬化性樹脂組成物1~17)の物性変化(粘度)の確認を行った。得られた共重合体溶液の物性の変化を表3及び表4に示す。
粘度の変化量(増粘率)として、保存前の粘度に対する保存前後の粘度の差の割合(%)を表した。
Figure 2023003688000015
Figure 2023003688000016
P-1M:ライトエステルP-1M(共栄社化学社製)2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、pKa1.78 Fw210.12
P-2M:ライトエステルP-2M(共栄社化学社製)2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、pKa1.29 Fw322.25
MSA:メタンスルホン酸、pKa-2.6 Fw96.1
ACA:酢酸、pKa 4.76 Fw 60.05

表3及び表4より、pKa4.2以下の酸化合物を添加した場合は、未添加の場合と比べて、保存後の粘度の変化量が小さく、硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れることがわかった。なお、アルコール(プロトン性極性溶媒)を添加している共重合体溶液の方が優れた効果を発現した。また、酸性化合物の好適な添加量として、塩基性化合物量100モル%に対して、50~200モル%の酸性化合物を添加した際に、粘度の変化量が小さく、保存安定性により優れることを確認できた。一方で、pKa4.2以上の化合物(ACA)を添加しても、保存後の粘度の変化量は未添加のものと比較して少なくならなかった。このことから、pKa4.2以下の酸性化合物を添加することが保存安定性向上に有効であることがわかる。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有構造単位(A)と酸基含有構造単位とを有しエポキシ当量が10000以下である共重合体、及びpKa4.2以下の酸化合物を必須成分として含む硬化性樹脂組成物。
    Figure 2023003688000017
    (式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、直接結合、又は、2価の有機基を表す。Xは、エポキシ基含有基を表す。)
  2. 前記酸化合物の分子量は400以下である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記酸化合物はリン酸誘導体である請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 更に、塩基性化合物を含む請求項1~3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記塩基性化合物はアミン系化合物である請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記酸化合物の含有量は、前記塩基性化合物100モル%に対して50~200モル%の範囲である請求項4または5に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 更に、プロトン性極性溶媒を含む請求項1~6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記共重合体は主鎖に環構造を有する共重合体である請求項1~7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物。
  10. 更に、色材を含む請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
  11. ネガ型用である請求項9又は10に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 請求項1~8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物、または請求項9~11のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の、硬化物。
  13. 請求項1~8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を製造する方法であって、
    エポキシ基含有単量体、及び、水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する工程と、
    該重合工程で得られた重合体と、酸基含有化合物を塩基性化合物存在下に反応させる工程、pKa4.2以下の酸化合物を添加する工程を有する硬化性樹脂組成物の製造方法。
  14. 更に、プロトン性極性溶媒を添加する請求項13に記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
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