JP2023002999A - ロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本明細書では、ロータコアの湾曲面で形成されている磁石孔に空部が設けられているロータにおいて、製造効率を向上させ得る技術を提供する。【解決手段】本明細書が開示するロータは、少なくとも一部が湾曲面で形成されている磁石孔を有するロータコアと、磁石孔の内部でバインダによって保持された複数の粒状磁石と、を備える。磁石孔には、粒状磁石が収容されている磁石収容部と、磁石収容部と連通するとともに粒状磁石が存在しない空部と、が設けられる。少なくとも磁石収容部と空部との境界では、バインダで充填された領域の幅が、粒状磁石の粒径よりも小さい。上述した構成によると、磁石孔の湾曲面に沿って複数の粒状磁石が収容されるため、湾曲面に沿って磁石を精密に加工する必要がない。また、磁石収容部と空部の境界では、バインダで充填された領域の幅が粒状磁石の粒径よりも小さいため、粒状磁石が、空部に入り込まない。【選択図】図2
Description
本明細書に開示の技術は、ロータに関する。特に、少なくとも一部が湾曲面で形成されている磁石孔を有するロータコアを備えるロータに関する。
特許文献1に、湾曲面で形成されている磁石孔を有するロータコアと、磁石孔に収容された磁石と、を備えるロータが開示されている。また、特許文献2には、ボンド状のボンド磁石をロータコアの孔に射出成型機で注入する技術が開示される
特許文献1では、湾曲面で形成されている磁石孔に対して、湾曲面を備える磁石が収容される。磁石が大きく製造された場合、磁石が磁石孔に挿入しにくくなる。一方、磁石が小さく製造された場合、磁石が磁石孔の湾曲面から離間してしまう。そのため、特許文献1の技術では、磁石の加工精度を向上させることが要求される。
特許文献2では、ボンド磁石が孔に収容される。特許文献2の技術によれば、磁石を精密に加工することなく、湾曲面で形成されている磁石孔に対しても、磁石を注入することができる。
ロータコアの磁石孔には、磁石が存在しない空部(フラックスバリアと呼ばれることがある)が設けられることがある。磁石孔に空部を設けることで、磁束の流れを制御し、トルクを向上させることができる。
ロータコアの磁石孔が湾曲面で形成されている場合、特許文献1の技術では、磁石に高い加工精度が要求されるため、磁石の製造効率が低下する。また、特許文献2の技術では、磁石孔にフラックスバリアのような空部が設けられている場合、その空部にボンド磁石が入り込むおそれがある。本明細書では、ロータコアの磁石孔が湾曲面で形成されており、かつ、その磁石孔に空部が設けられている場合でも、ロータの製造効率を向上させ得る技術を提供する。
本明細書が開示するロータは、少なくとも一部が湾曲面で形成されている磁石孔を有するロータコアと、前記磁石孔の内部でバインダによって保持された複数の粒状磁石と、を備える。前記磁石孔には、前記粒状磁石が収容されている磁石収容部と、前記磁石収容部と連通するとともに前記粒状磁石が存在しない空部と、が設けられる。少なくとも前記磁石収容部と前記空部との境界では、前記バインダで充填された領域の幅が、前記粒状磁石の粒径よりも小さい。
上述した構成によると、複数の粒状磁石又はそれを含有するバインダを、磁石孔の磁石収容部へ充填することによって、磁石孔が湾曲面で形成されている場合でも、複数の粒状磁石を均一に配置することができる。このため、湾曲面に沿って磁石を精密に加工しなくても、湾曲面で形成された磁石孔の磁石収容部が、その形状に対応する磁石で満たされた構造を実現することができる。また、磁石収容部と空部の境界では、バインダで充填された領域の幅が、粒状磁石の粒径よりも小さく設計されている。このため、磁石孔の内部にバインダを充填したときに、磁石収容部に位置する粒状磁石が、磁石収容部から空部に入り込むことを禁止することができる。このように、本明細書が開示するロータの構造によると、ロータの製造効率を向上させることができる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
図面を参照して実施例のロータについて説明する。まず、図1を参照して、実施例のロータ10が構成するモータ2について説明する。図1は、モータ2を、その軸方向から見た平面図である。モータ2は、電気自動車に搭載される電気モータである。モータ2は、ロータ10と、ステータ4と、シャフト8と、を備える。
ステータ4は、中空の円筒形状を有する。ステータ4は、分布巻コイル6を備える。分布巻コイル6は、U相コイルと、V相コイルと、W相コイルと、で構成される。分布巻コイル6には、3相の交流電流が流される。
ステータ4の内側には、ロータ10が回転可能に配置される。詳細は後述するが、ロータ10は、磁性体で構成される。分布巻コイル6の各相に交流電流が流れると、分布巻コイル6の隣接する相の間で磁束M1が発生する。この磁束M1により、ロータ10がシャフト8を軸として矢印R1の方向に回転する。モータ2は、いわゆる3相のラジアルギャップモータである。
図2を参照して、ロータ10の構造の詳細について説明する。ロータ10は、8極で構成されるが、8極のそれぞれは、同様の構造を有する。図2は、ロータ10の8極のうちの1極を拡大して示す。ロータ10は、ロータコア10cと磁石20とを備える。ロータコア10cは、複数の鋼板をモータ2の軸方向(すなわち、図2の紙面手前奥方向)に積層することで構成される。ロータコア10cには、一対の第1磁石孔11と、一対の第2磁石孔12と、一対の第3磁石孔13と、が形成されている。各磁石孔11,12,13は、ロータコア10cを軸方向に貫通している。一対の第1磁石孔11のそれぞれは、図2の左右方向に対称に配置されている。同様に、一対の第2磁石孔12のそれぞれは、左右方向に対称に配置されており、一対の第3磁石孔13のそれぞれは、図2の左右方向に対称に配置されている。
各磁石孔11,12,13は、ロータコア10cの径方向内側ほど互いに近づくように湾曲している。これにより、各磁石孔11,12,13は、磁束M1に対して直交しやすい。その結果、磁石孔11及び磁石孔12の間の幅と、磁石孔12及び磁石孔13の間の幅とが、磁束M1の方向に対して一定となりやすい。各磁石孔11,12,13の全部または一部には、永久磁石20が保持されている。磁石孔11及び磁石孔12の間の幅と、磁石孔12及び磁石孔13の間の幅と、を一定にすることで、磁束M1及び永久磁石20により生じる磁束の密度分布に、ムラが生じにくい。
図2に示されるように、一対の第1磁石孔11、一対の第2磁石孔12には、その全域において永久磁石20が収容されている。一方、一対の第3磁石孔13の径方向外側(すなわち、図2の紙面上側)には、永久磁石20が存在していない。
図3を参照して、第3磁石孔13の詳細について説明する。第3磁石孔13は、磁石収容部14と、空部15と、を備える。磁石収容部14と空部15とは境界17を介して連通している。先に述べたように、空部15には、永久磁石20が存在しない。
空部15は、いわゆるフラックスバリアとしての機能を有する。第3磁石孔13の径方向外側に空部15を備えることで、ロータ10は、例えば、磁束の流れを制御し、トルクを向上させることができる。また、空部15には、樹脂製のバインダ18が充填されている。バインダ18は、永久磁石20を各磁石孔11,12,13に保持するための接着剤として機能する。
永久磁石20は、複数の粒状磁石21によって構成される。複数の粒状磁石21は、粒径D1の略球形状を有する。複数の粒状磁石21は、各磁石孔11,12,13の湾曲面に沿って配置される。これにより、複数の粒状磁石21は、各磁石孔11,12,13の湾曲面に沿って均一に配置される。その結果、各磁石孔11,12,13の湾曲面に沿った形状を有する永久磁石20を製造する構成のように永久磁石20の製造精度を向上させることなく、湾曲面に沿って永久磁石20を配置することができる。さらに、粒状磁石21は、その形状を変更することなく、様々な形状を有する磁石孔に対応することができる。このため、ロータ10では、各磁石孔11,12,13の形状に応じて、永久磁石20の形状を変更する必要がない。このように、本実施例のロータ10では、永久磁石20を複数の粒状磁石21で構成することによって、永久磁石20の製造効率を向上させることができる。
ここで、図3を参照して、ロータ10を製造する際、第3磁石孔13に複数の粒状磁石21を固定する方法について説明する。なお、他の磁石孔11,12に複数の粒状磁石21を固定する方法も、以下に示す方法と同様である。最初に、ロータコア10cを台座(図示省略)の上面に配置する。その際、ロータコア10cの下面(すなわち、図3の紙面奥側の面)と台座の上面とが当接する。これにより、第3磁石孔13が下側から封止される。その後、複数の粒状磁石21が、第3磁石孔13の磁石収容部14に配置される。複数の粒状磁石21は、台座の上面と、磁石収容部14の壁面とによって保持される。
図3に示されるように、磁石収容部14と空部15との境界17の幅W1は、第3磁石孔13のその他の部位の幅よりも小さい。さらに、境界17の幅W1は、粒状磁石21の粒径D1よりも小さい。このため、磁石収容部14に収容されている粒状磁石21は、境界17を通過して空部15に移動しない。すなわち、粒状磁石21は、磁石収容部14内に保持される。
次いで、バインダ18が、磁石収容部14に投入される。この時点では、バインダ18は、流動性を有する液状である。バインダ18は、磁石収容部14から、境界17を通過して空部15に入り込む。その結果、空部15及び境界17にバインダ18が充填される。しかしながら、先に述べたように、粒状磁石21は、境界17を通過できないため、粒状磁石21は、バインダ18とともに空部15に入り込まず、磁石収容部14内に保持される。このように、本実施例のロータ10では、磁石収容部14と空部15との境界17におけるバインダ18で充填された領域の幅W1を、粒状磁石21の粒径D1よりも小さく設計することで、粒状磁石21が空部15へ入り込むことを禁止する。このため、バインダ18の硬化前に粒状磁石21が空部15に移動しない。すなわち、本実施例のロータ10によれば、ロータ10の製造効率を向上させることができる。
複数の粒状磁石21は、それぞれ、結晶磁気異方性を有する。このため、複数の粒状磁石21は、それぞれ、磁化されやすい方向(以下では、磁化容易方向と称する)を有している。しかしながら、この時点では、複数の粒状磁石21のそれぞれの磁化容易方向は、様々な方向を向いている。図3の右下に示す拡大図に示されるように、バインダ18が第3磁石孔13に充填された後、バインダ18が硬化する前に、磁束M1をロータコア10cに加える。これにより、複数の粒状磁石21のそれぞれが回転する。この際、複数の粒状磁石21のそれぞれは、その磁化容易方向を磁束M1に揃えるように回転する。このように、バインダ18の硬化前に磁束M1を加えることで、複数の粒状磁石21のそれぞれの磁化容易方向を揃えることができる。
その後、ロータコア10cと複数の粒状磁石21とバインダ18とが加熱される。これにより、バインダ18が硬化する。これにより、磁化容易方向が揃った状態で、複数の粒状磁石21が磁石収容部14に保持される。
次いで、図4を参照して第2実施例のロータ10(図1参照)について説明する。第2実施例のロータ10は、上述した第3磁石孔13に代えて、第4磁石孔23を備える。その他の点においては、第2実施例のロータ10は、第1実施例のロータ10と同様の構成を有する。
第4磁石孔23は、磁石収容部24と空部25とを備える。磁石収容部24は、上述した磁石収容部14と同様の形状である。しかしながら、第4磁石孔23は、第3磁石孔13とは異なり、境界27において、その幅が小さく変化していない。第4磁石孔23の空部25には、矩形のスペーサ28が配置されている。スペーサ28は、樹脂で構成される。すなわち、スペーサ28は、非磁性体である。
第2実施例の第4磁石孔23では、スペーサ28を空部25に配置することで、磁石収容部24と空部25との境界27の幅W2を粒径D1よりも小さくする。これにより、ロータ10の製造過程において、粒状磁石21が磁石収容部24から空部25に移動することを防止することができる。また、第2実施例のロータ10によると、第4磁石孔23の形状を、第3磁石孔13よりも単純な形状にすることができる。このため、ロータコア10cの製造工程で、比較的容易に第4磁石孔23を形成することができる。
さらに、図5に示されるように、第3実施例の第5磁石孔33の空部35は、幅W3で一定に径方向に延びてもよい。これにより、ロータ10の製造過程において、粒状磁石21が磁石収容部34から空部35に移動することを防止することができる。
実施例の留意点を以下に述べる。上述した実施例では、各空部15,25,35は、各磁石孔13,23,33,の径方向外側に設けられている。本変形例では、これに代えて、各空部15,25,35は、各磁石孔13,23,33,の径方向内側に設けられていてもよい。
粒状磁石21の形状は、球形状に限定されない。本変形例では、粒状磁石21の形状は、例えば、いわゆるペレット状と呼ばれる円筒形状でもよいし、矩形形状であってもよい。さらなる変形例では、複数の粒状磁石21のそれぞれが一定の形状ではなく、様々な形状の粒状磁石21を含んでもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2 :モータ
4 :ステータ
6 :分布巻コイル
8 :シャフト
10 :ロータ
10c :ロータコア
11 :第1磁石孔
12 :第2磁石孔
13 :第3磁石孔
14、24、34 :磁石収容部
15、25、35 :空部
17、27、37 :境界
18 :バインダ
20 :永久磁石
21 :粒状磁石
23 :第4磁石孔
28 :スペーサ
33 :第5磁石孔
M1 :磁束
D1 :粒径
W1、W2、W3 :幅
4 :ステータ
6 :分布巻コイル
8 :シャフト
10 :ロータ
10c :ロータコア
11 :第1磁石孔
12 :第2磁石孔
13 :第3磁石孔
14、24、34 :磁石収容部
15、25、35 :空部
17、27、37 :境界
18 :バインダ
20 :永久磁石
21 :粒状磁石
23 :第4磁石孔
28 :スペーサ
33 :第5磁石孔
M1 :磁束
D1 :粒径
W1、W2、W3 :幅
Claims (1)
- 少なくとも一部が湾曲面で形成されている磁石孔を有するロータコアと、
前記磁石孔の内部でバインダによって保持された複数の粒状磁石と、
を備え、
前記磁石孔には、前記粒状磁石が収容されている磁石収容部と、前記磁石収容部と連通するとともに前記粒状磁石が存在しない空部と、が設けられ、
少なくとも前記磁石収容部と前記空部との境界では、前記バインダで充填された領域の幅が、前記粒状磁石の粒径よりも小さい、
ロータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021103900A JP2023002999A (ja) | 2021-06-23 | 2021-06-23 | ロータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021103900A JP2023002999A (ja) | 2021-06-23 | 2021-06-23 | ロータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023002999A true JP2023002999A (ja) | 2023-01-11 |
Family
ID=84817202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021103900A Pending JP2023002999A (ja) | 2021-06-23 | 2021-06-23 | ロータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023002999A (ja) |
-
2021
- 2021-06-23 JP JP2021103900A patent/JP2023002999A/ja active Pending
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