JP2022551170A - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

薄く、柔軟な吸収性物品（２０）であって、第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を含む第１の構成要素（５２）を含む捕捉／分配システム（５０）を含み、セルロース繊維が、第１の構成要素（５２）の約９０重量％未満であり、吸収性物品（２０）は、改変流体捕捉試験に従って測定した場合に、１００ｇのローディング範囲まで約７秒／ｇ未満の吸収時間を有し、また、吸収性物品（２０）は、キャリパー試験に従って測定した場合に、２ｃｍ２に約４００ｇの圧力下で約２．５ｍｍ未満のキャリパーを有するか、又は３点曲げ力試験に従って測定した場合に、約９５ｇ未満の３点曲げ力を有する。

Description

本発明は、特に薄く、柔軟で、快適であるにもかかわらず、流体を吸収する能力が高く、流体を迅速に吸収するうえで特に効果的である吸収性物品に関する。

おむつ及び成人用失禁製品などの使い捨て吸収性物品は、当業者には周知のものである。かかる使い捨て吸収性物品は、身体排泄物、特に多量の尿を吸収して収容するように設計されている。これらの吸収性物品は、異なる機能を与えるいくつかの層、特に、例えば、トップシート、バックシート、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性コア、及びトップシートと吸収性コアとの間に配設された捕捉／分配システムを備えることができる。

吸収性コアの機能の１つは、身体排泄物を吸収して長時間（例えば、おむつの場合は終夜）にわって保持すること、濡れ戻しを最小限に抑えて着用者を乾いた状態に維持すること、並びに衣類又はベッドシーツの汚れを防止することである。現在市販されている吸収性物品の中には、吸収性ゲル化材料とも呼ばれる、粉砕木材パルプ（すなわち、エアフェルト）と微粒子形態の超吸収性ポリマー（ＳＡＰ）とのブレンドである吸収性材料を含む吸収性コアを含むものがある。吸収性材料として本質的にＳＡＰからなるコア（いわゆる「エアフェルトフリー」コア）を有する吸収性物品も提案されている。

捕捉／分配システム（「ＡＤＳ」）の１つの機能は、流体又は他の身体排泄物を迅速に捕捉し、それらを効率的に吸収性コアに分配することである。ＡＤＳは、単一構造を形成し得る１つ以上の層を備えてもよく、又は別個の層を有してもよい。現在市販されている吸収性物品の中には、不織布層及び／又はセルロース含有層を含むＡＤＳを含むものがある。

薄く、柔軟で快適であるにもかかわらず高い吸収性を有する物品を得るには２つの特定の課題がある。第１には、高い捕捉速度及び低い濡れ戻し性などの十分な流体処理特性を有することであり、第２には、吸収性物品を薄く、柔軟で快適なものとすることである。

従来、失禁又はおむつ製品などの高い吸収性を有する製品は、急速に供給される多量の排泄物を吸収するために比較的大きな厚みを有している。より最近では、エアフェルトを含まないコアを有する吸収性物品が開発されている。これらの吸収性物品は、比較的低いキャリパーでありながらも高い吸収性を有するが、例外なくごわつきがあり、固い。柔軟性が改善された一部のより薄い製品は、所望の流体吸収性及び低い濡れ戻し性を与えることができない。比較的低い捕捉速度を有するこれらのより薄い製品は、低い捕捉速度によって引き起こされる流体の漏れを防止するために高いカフ力を有する傾向があるが、これは着用者によって着用されるときに皮膚に跡が付き、また刺激を生じる場合がある。

上記に基づいて、薄く、柔軟であり、なおかつ吸収速度特性を維持することができる吸収性物品が求められている。

上記に基づいて、薄く、柔軟で快適であり、なおかつ濡れ戻しを低減することができる吸収性物品が求められている。

上記に基づいて、薄く、可撓性であり、なおかつ低カフ力範囲に留まることができる吸収性物品が求められている。

本発明は、吸収性物品であって、液体透過性トップシートと液体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性コアと、トップシートと吸収性コアとの間に配設された捕捉／分配システムであって、第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を含む第１の構成要素を含み、セルロース繊維が、第１の構成要素の約９０重量％未満である、捕捉／分配システムと、長手方向に延在する形で配設されたカフシールを含む内側カフと、カフシールから横断方向外側に延在する外側カフとを備える脚部ガスケットシステムと、を備える、吸収性物品に関する。吸収性物品は、改変流体捕捉試験に従って測定した場合に、１００ｇ、又は９６ｇのローディング範囲まで約７秒／ｇ未満の吸収時間を有し、また、吸収性物品は、キャリパー試験に従って測定した場合に、２ｃｍ^２に約４００ｇの圧力下で約２．５ｍｍ未満のキャリパーを有するか、又は３点曲げ力試験に従って測定した場合に、約９５ｇ未満の３点曲げ力を有する。

物品は、テープ式おむつとして図面に示されている。考察を容易にするために、吸収性物品及び捕捉／分配システムを、これらの図面に示される数字を参照しながら説明する。しかしながら、図面及び詳細な説明は、特に明示的に示されない限り、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、本明細書に開示される発明はまた、様々な吸収性物品の形態においても使用される。

図面中、同様の数字又は他の表記は、図面全体を通じて同様の特徴を示す。
本発明による、例示的な吸収性物品の概略平面図である。 図１の吸収性物品の２－２に沿った横断面図である。 本発明による吸収性物品の例示的な捕捉／分配システムの断面図である。 キャリパー試験用の試料調製の概略図である。 キャリパー試験用の装置の例の概略図である。 キャリパー試験用の装置の例の概略図である。 ３点曲げ力試験用の試料調製の概略図である。 ３点曲げ力試験用の装置の例の概略図である。 ３点曲げ力試験用の装置の例の概略図である。 ３点曲げ力試験用の装置の例の概略図である。 改変流体捕捉試験で使用される装置を示す。 改変流体捕捉試験で使用される湾曲構成要素の側面図である。 図９Ａの湾曲構成要素の端面図である。 図９Ａの湾曲構成要素の底面図である。 図９Ａの湾曲構成要素の底面斜視図である。 図９Ａの湾曲構成要素の上面斜視図である。 改変流体捕捉試験で使用されるトッププレートアセンブリを示す。 改変流体捕捉試験で使用される機器を示す。 球状の形状を有する例示的な突起の概略拡大図を示す。 球状の形状及びその頂部に二次開口部を有する例示的な突起の概略拡大図を示す。

本発明による吸収性物品の構造、機能、製造、及び使用の原理の総合的な理解を与えるため、以下に本開示の様々な非限定的形態を説明する。これらの非限定的な実施形態の１つ以上の実施例が、添付図面に示される。１つの非限定的な形態に関して示される、又は説明される特徴は、他の非限定的な形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本開示の範囲内に含まれるものとする。

用語の定義
本明細書で使用する場合、用語「吸収性物品」とは、身体から排出される尿、糞便、又は経血などの身体排泄物を吸収して収容するため、着用者の身体に当てて、又は近接して配置される、テープ式おむつ、閉じた腰部開口部を有するおむつ（パンツ）、成人失禁用製品、生理用ナプキンなどの使い捨て式の製品を指す。一般的な吸収性物品は、トップシート、バックシート、吸収性コア、捕捉層及び他の構成要素を備える。液体透過性トップシートは、物品の着用者対向面の少なくとも一部を形成し、液体不透過性バックシートは、物品の衣類対向面の少なくとも一部、通常は全体を形成する。物品は、テープなどの締結要素を備えてもよく（テープ式おむつ）、又は下着におけるように１個の腰部開口部と一対の脚部開口部が既に予め形成されてもよい（パンツ型おむつ）。吸収性物品は、乳児、幼児、女性、又は失禁成人に使用するためのものとすることができる。吸収性物品の典型的な特徴について、以下で更に、また、図１及び図２の例示されたテープ式おむつに関連して更に説明するが、この説明はあくまで例示の目的のものであって、特に明記しない限りは本発明の範囲を限定するものではない。

「エアスルーボンド」という用語は、繊維ウェブなどの結合させようとする材料を空気などの加熱されたガス流に通過させることを意味し、加熱されたガスの温度は、エアスルーボンディングにより結合される材料の少なくとも１つのポリマー成分の軟化温度又は溶融温度を上回り、材料を加熱オーブンに通すことを含み得る。

「カードウェブ」又は「カード不織布」という用語は、カーディングプロセスを用いて、主として機械方向に整列及び配向されたステープル繊維を含むウェブ又は不織布を意味する。

「複合材料」という用語は、２つ以上の層を含む構造を意味する。複合材料の２つ以上の層は、それらの共通のＸ－Ｙ平面の相当の部分が接するように互いに接合することができる。

「含む、備える（comprise、comprises、comprising）」は、非限定的な用語であり、それぞれが、続いて記載される特徴（例えば、構成要素）の存在を特定するが、他の特徴（例えば、当該技術分野において既知の、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素）の存在を除外しない。動詞「含む、備える（comprise）」に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を発揮する様式に実質的に影響を及ぼすような、言及されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、より狭義の用語「から本質的になる」、及び指定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する用語「からなる」を包含するものと解釈されるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特に具体的に示さない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。また、「典型的に」、「通常」、「有利には」などの用語も、特に具体的に示さない限り、特許請求の範囲を限定することを意図しない特徴を修飾する。

「天然繊維」は、植物及び動物によって生成される細長い物質を指し、これらの分類が本明細書に記載されるように、これには動物性繊維及び植物性繊維が含まれる。天然繊維としては、その用語が本明細書で使用されるときは、採取されていかなる採取後処理工程も受けない繊維、及び、例えば、洗浄、すり磨き、漂白などの後処理工程を有する繊維が挙げられる。

本明細書で使用する場合、用語「不織布ウェブ」は、方向を揃えて、又はランダムに配向した繊維からなるウェブ、シート又はバットを、摩擦、及び／又は粘着、及び／又は接着により結合して製造された材料を指し、紙、並びに、からみ糸若しくはフィラメント糸を含む織物、編物、タフト、ステッチボンド、又は、更なるニードル加工の有無に関わらず湿式縮絨によるフェルトなどの製造物は含まない。繊維は天然由来のものでもよく、又は人工的なものでもよい。繊維は、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されてもよい。不織布の多孔質繊維構造は、所望により、液体透過性又は液体不透過性となるように構成されてもよい。

「ステープル繊維」という用語は、有限の長さを有する繊維を意味する。一般的に、ステープル繊維は、約２～２００ｍｍの長さを有することができる。

吸収性物品
次に吸収性物品について一般的に述べ、図１及び図２に例示的に示されるように、乳児用おむつ２０の形態で更に説明する。図１は、テープ付き端部が開かれ、衣類対向面を上にして平らに広げられた形態の例示的なおむつ２０の平面図である。トレーニングパンツなどの閉じた状態でユーザに示される物品もまた、その側腰部に沿って切断することにより、平らに広げて表すことができる。本発明は様々なおむつ、又は他の吸収性物品に適用可能であるため、このおむつはあくまで例示の目的で示される。吸収性物品２０は、概念上、前縁部１０、後縁部１２、並びに長手方向に延在する第１及び第２の長手方向側縁部１３、１４を含む。前縁部１０は前側腰部の縁部を形成し、後側腰部の後縁部１２は、着用者によって着用されるときに共に着用者の腰部の開口部を形成する。長手方向側縁部１３、１４は、それぞれが脚部開口部のうちの１つを形成することができる。吸収性物品２０は、概念上、物品を左側と右側とに分割する長手方向中心線８０と、長手方向中心線８０上で測定した場合に物品の長さの半分の位置にある垂直横断方向中心線９０と、を備え、両方の中心線は中心点Ｃで交差する。テープ付き後端部４２は、ランディング区域４４などのおむつの前面に取り付けられる。

図１及び図２を参照すると、吸収性物品２０は、上から下に、トップシート２４、捕捉／分配システム５０、吸収性コア２８、及びバックシート２６を含む。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、織布材料、不織布材料、天然繊維（例えば、木材繊維若しくは綿繊維）、合成繊維又はフィラメント（例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは２成分ＰＥ／ＰＰ繊維、又はこれらの混合物）、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせの、織布材料又は不織布材料などの、幅広い範囲の材料から製造されてもよい。

吸収性物品２０は、内側カフ３４及び外側カフ３２を有する脚ガスケットシステム３０を更に備え、好ましくはそれぞれ弾性ストランド３５、３３によって伸縮性が与えられる。テープ端部４２を有する伸縮性の後耳部４０は、物品の前面におけるランディングゾーン４４に取り付けることができる。前耳部４６は通常、このようなテープ式おむつに、封じ込め性及び取り付け性を向上させるために存在している。図には示されていないが、吸収性物品の柔らかい、衣類対向面を形成するため、外側カバーは、バックシート２６の少なくとも一部又は全体を被覆することができる。外側カバーは、１つ以上の多層不織布で形成することができる。不織布は、天然繊維と、天然繊維ではない合成繊維との組み合わせを含むことができる。例えば、不織布は、ポリプロピレン繊維及び綿繊維の両方を含むことができる。例えば、米国特許出願公開第２０１７／０２０３５４２号を参照されたい。外側カバーは、機械的結合、接着剤結合、又は他の適当な取り付け方法によって、バックシート２６の少なくとも一部分に接合することができる。バックシート２６及び／又は外側カバーは、通気性概念を促進することができる孔を有することができる。

吸収性物品はまた、後側弾性腰部機構、前側弾性腰部機構、横方向バリアカフ（複数可）、又はローション塗布部などの図示されていない他の一般的な要素を備えてもよい。

吸収性コア
本明細書で使用する場合、用語「吸収性コア」は、吸収性物品で使用されるか又は使用を意図したものであって、吸収性材料及び場合によりコアラップを含む構成要素を指す。本明細書で使用する場合、用語「吸収性コア」には、トップシート、バックシート、及び吸収性コアの一体部分ではないあらゆる捕捉／分配層又は多層システムは含まれない。吸収性コアは通常、吸収性物品のすべての構成要素のうちで最も高い吸収能力を有する吸収性物品の構成要素である。「吸収性コア」及び「コア」という用語は、本明細書では互換的に用いられる。

図１及び図２を参照すると、吸収性コア２８は、吸収性物品によって受容された液体を吸収して収容することができ、セルロース繊維、超吸収性ポリマーとセルロース繊維とのブレンド、純粋な超吸収性ポリマー、及び／又は高内相エマルジョン発泡体であってよい吸収性材料６０を含む。

吸収性コア２８は、吸収性材料を含まない少なくとも１つのチャネル２９を含んでもよく、又は図１及び図２に示されるように、複数の吸収性材料を含まないチャネル２９を含んでもよい。一実施形態では、コアラップの上面５６は、チャネル２９を介してコアラップの下面５８と結合されてもよい。コアラップ結合部２７は、吸収性コア２８が液体吸収時に膨潤する際に少なくとも維持され、物品の着用者対向面に三次元チャネルを形成する。チャネルに関する更なる詳細は、国際公開第２０１５／１３４３５９Ａ号に開示されている。言うまでもなく、これは完全に任意であり、吸収性コアは、結合されたチャネル、又は更には結合されていないチャネルを有さなくてもよい。

吸収性材料は、図１に示されるような長方形とすることができる吸収性材料領域を画定しているが、横断中心線９０の周りの領域でテーパした形状を有する領域を有することも一般的である。特許文献には、本発明のおむつでの使用に適したそのような構成要素及び他の構成要素の例が豊富に示されており、例えば既に参照した国際公開第２０１７／１５６２００Ａ号及び同第２０１９／０７６２８８Ａ号を参照されたい。これらについては本明細書では詳しく述べない。

吸収性材料は、一般にエアフェルト又は毛羽と呼ばれる粉砕木材パルプなど、使い捨て吸収性物品で広く使用されている液体吸収性材料を含む。その他の適当な液体吸収性材料の例としては、捲縮セルロース塊、コフォームを含むメルトブローンポリマー、化学的に堅固化、改質、若しくは架橋されたセルロース繊維、ティシューラップ及びティシューラミネートを含むティシュー、吸収性発泡材、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー（本明細書では「ＳＡＰ」と略される）、吸収性ゲル化材料、又は他の任意の既知の吸収性材料若しくは材料の組み合わせが挙げられる。

吸収性コア内の吸収性材料は、任意のタイプであってよい。ＳＡＰを比較的高い割合で含む吸収性コアの場合、ＳＡＰ含量は、詳細には吸収性材料の少なくとも８０重量％、８５重量％、９０重量％、９５重量％、及び最大１００重量％の超吸収性ポリマーを示し得る。吸収性材料は、詳細には、セルロース繊維を含まないか、又は例えば、吸収性材料の２０重量％未満、詳細には１０重量％、５重量％未満、又は更には０重量％など、極少量のセルロース繊維を含むことができる。吸収性コアは、吸収性コアの少なくとも８０重量％、少なくとも９０重量％、少なくとも９５重量％、又は少なくとも９９重量％を含む吸収性材料を含むことができる。本明細書で言う「超吸収性ポリマー」という用語は、架橋ポリマーであり得、遠心保持容量（ＣＲＣ）試験（ＥＤＡＮＡ法ＷＳＰ２４１．２－０５Ｅ）を用いて測定した場合に、典型的には、それらの重量の少なくとも１０倍の０．９％生理食塩水溶液を吸収し得る、吸収性材料を指す。ＳＡＰは、具体的には、ＣＲＣ値が２０ｇ／ｇ超、又は２４ｇ／ｇ超、又は２０～５０ｇ／ｇ、又は２０～４０ｇ／ｇ、又は２４～３０ｇ／ｇであってもよい。ＳＡＰは、通常、粒子形態（超吸収性ポリマー粒子）であってもよいが、例えば超吸収性ポリマー発泡体などの他の形態のＳＡＰも使用できることを除外するものではない。

脚部ガスケットシステム
図１及び図２を参照すると、吸収性物品２０は、吸収性物品の着用者対向面から上方向に延在して、着用者の胴体と脚部との接合部近くにおける流体及びその他の排泄物の封じ込めを改善することができるよう、吸収性物品に結合された一片の材料によって形成することができる脚部ガスケットシステム３０を備えている。脚部ガスケットシステム３０は、前縁部１０から後縁部１２まで延在することができる。脚部ガスケットシステム３０は、長手方向に延在する形で配設されたカフシール６４を含む内側カフ３４と、カフシール６４から横断方向外側に延在する外側カフ３２とを含んでいる。内側カフ３４は、糊剤接着、溶融結合、又は他の適当な結合プロセスの組み合わせによってカフシール６４において物品のシャーシと接合することができる。カフシール６４は、吸収性コア２８と長手方向側縁部１３、１４との間に横方向に位置することができる。内側カフ３４は、より良好な封止を与えるように内側カフの自由端縁部６６の近くに１つ、２つ、又はそれ以上の弾性要素３５を有することができる。外側カフ３２は、吸収性物品のシャーシ、詳細にはトップシート２４及び／又はバックシート２６に接合され、内側カフ３４に対して外側に配置され得る。外側カフ３２は、着用者の大腿の周りにより効果的な封止をもたらすことができる。外側カフ３２は、脚部開口部の領域におけるトップシート２４とバックシート２６との間の吸収性物品のシャーシに、１つ以上の弾性要素３３を有することができる。

捕捉－分配システム
図１及び図２を参照すると、本開示の吸収性物品２０は、捕捉／分配システム（「ＡＤＳ」）５０を備えている。ＡＤＳ５０の機能の１つは、尿などの体液を迅速に捕捉し、これを吸収性コア２８に効率的に分配することである。ＡＤＳ５０は分配層５４を含むことができる。分配層は２つ以上の層を有することができ、これらは単一の構造を形成してもよく、又は別個の層のままとしてよく、これらの層を例えば、熱結合、接着剤結合、又はこれらの組み合わせによって互いに付着させることができる。本明細書における単一構造とは、互いに別個の特性及び／又は組成を有するいくつかの副層で形成することができるが、これらの副層は、副層間の明確な境界の代わりに、異なる副層が互いに移行する領域を識別することが可能であるように、副層が境界領域で何らかの形で相互に混じり合っていることを意味するものとする。かかる単一構造は、通常、例えば、エアレイド又は湿式堆積を使用して、異なるサブ層を連続的な形で他の層の上に形成することによって構築される。一般的には、一体型材料の副層間に接着剤は使用されない。しかしながら、場合によっては、接着剤及び／又は結合剤は一般的に、別個の層によって形成される多層材料におけるより少ない量で存在してもよい。

本発明によるＡＤＳは、第１の熱可塑性繊維とセルロース繊維とを含む第１の構成要素を含む。理論に束縛されるものではないが、熱可塑性繊維は、流体分配層の構造的完全性を向上させる一方で、より開放的な構造を与える。セルロース繊維は液体貯蔵能力を与え、また何回も手荒く扱っても大丈夫な流体分配層の迅速な回復を可能とする弾力のある開放構造を与える。

第１の構成要素は、第１の構成要素の約９０重量％以下、又は約５０重量％～約８５重量％、又は約６０重量％～約８０重量％のセルロース繊維を含む。セルロース繊維の量が第１の構成要素の９０重量％よりも大きい場合、ＡＤＳが濡れたときに第１の構成要素が潰れるようになるため、吸収速度が低下するおそれがある。セルロース繊維の量が低すぎる場合、ＡＤＳは、流体を最初に一時的に貯蔵するための十分な空隙容積を有さなくなるため、尿漏れにつながる可能性がある。また、セルロース繊維が低すぎる場合、ＡＤＳがトップシートから流体を排出するのに十分な毛管現象を与えない可能性がある。

セルロース繊維としては、多種多様な異なるセルロース材料を使用することができる。例えば、軟材、針葉樹、又はトーンリンター（toon linter）からの消化セルロース繊維を使用することができる。他のセルロース繊維としては、再生セルロース、多糖類、又は他の吸収性繊維形成組成物用に製造された繊維が含まれる。セルロース繊維の別の例としては、木材パルプ、例えば、硬木、針葉樹、藁、化学パルプ、綿毛パルプ、化学機械パルプ、熱機械パルプ、及びそれらの混合物のパルプなどの処理パルプ及び未処理パルプを含むセルロースパルプがある。セルロース繊維は、一般的に、約０．８～約１０ｍｍ、又は約２～１０ｍｍ、又は約２～５ｍｍの繊維長を有する。

熱可塑性繊維としては多種多様なポリマーを使用することができる。適当な繊維の例としては、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、並びにそれらのコポリマー、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリトリメチレンテレフタレート（ＰＴＴ）、及びポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）などのポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、それらのコポリマー又はブレンド、並びに繊維の調製における従来の他の合成ポリマーが挙げられる。熱可塑性繊維は、ステープル繊維であってよい。

熱可塑性繊維として適当な材料としては、単成分繊維若しくは多成分繊維、又はこれらの混合物が挙げられる。熱可塑性繊維は、シース／コア型二成分繊維を含み得る。シース／コア型二成分繊維は、コアを形成するポリマーの融点よりも低い融点を有するポリマーを含むシースを含むことができる。シースのより低い融点のポリマーが結合を促進することができるのに対して、コアのより高い融点のポリマーは、熱可塑性繊維、ひいては第１の構成要素に強度を与えることができる。熱可塑性繊維は、通常、約３～１５ｍｍ、又は約３～１０ｍｍ、又は約３～６ｍｍの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、シース／コア型二成分繊維は、ＰＥ／ＰＥＴ繊維、ＰＥ／ＰＰ繊維、又はこれらの混合物を含むことができる。第１の構成要素において、熱可塑性繊維は熱結合されてもよく、セルロース繊維を閉じ込めることができる。

いくつかの実施形態では、熱可塑性繊維は、バイオベースの材料に由来するポリマーなどの持続可能なポリマーで作製される。持続可能なポリマーは、ポリ乳酸及びバイオベースポリエチレンを含むことができる。

第１の構成要素は、ラテックスなどの結合剤を更に含み得る。結合剤は、セルロース繊維を固定化又は捕捉するための補助剤として機能し得る。

第１の構成要素は、超吸収性ポリマーを実質的に含まなくてもよい。本明細書の開示において、材料が超吸収性ポリマーを実質的に含まない場合、材料は、超吸収性ポリマーを含有する材料の総重量に対して、約５％未満、又は約２％、又は約１％、又は０％の超吸収性ポリマーを含有することを意味するものとする。第１の構成要素は、超吸収性ポリマーを含んでもよい。第１の構成要素が超吸収性ポリマーを含み得る場合、超吸収性ポリマーは、第１の構成要素の総重量に対して約１０～３５％、又は１０～２０％の量で存在することができる。

第１の構成要素は、約２０ｇｓｍ～１４０ｇｓｍ、又は約３０～１２０ｇｓｍ、又は約４０～８０ｇｓｍの範囲の坪量を有することができる。第１の構成要素の坪量は、捕捉／分配性能と吸収性物品の厚さとのバランスが取られるように決定することができる。

第１の構成要素ウェブは、カードウェブ、エアレイドウェブ、湿式レイドウェブ、及びスパンボンドウェブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、第１の構成要素は、エアレイドウェブを含む。

図３を参照すると、本発明によるＡＤＳ５０は、第１の構成要素５２の一方の表面上に配置される第２の熱可塑性繊維を含む第２の構成要素５４を更に含むことができ、第１の構成要素５２は外側表面１６を有し、第２の構成要素５４は外側表面２２を有し、第１の構成要素５２と第２の構成要素の内側表面は互いに面している。第２の熱可塑性繊維の例としては、第１の構成要素に関して述べた熱可塑性繊維が挙げられる。第２の熱可塑性繊維は、第１の熱可塑性繊維と同じであっても同じでなくてもよい。第２の構成要素は、セルロース繊維を含まなくてよい。

第２の構成要素は、約２０～８０ｇｓｍ、又は約３０～７０ｇｓｍ、又は約４０～６０ｇａｍの範囲の坪量を有し得る。

いくつかの実施形態では、第２の構成要素は、カード不織布を含む。かかる実施形態では、第２の構成要素は、エアスルーボンド不織布を含むことができる。別の実施形態では、第２の構成要素は、スパンボンド不織布又はスパンボンド－メルトブローン－スパンボンド（「ＳＭＳ」）不織布を含むことができる。ＳＭＳは、３層の「ｓｍｓ」不織布材料、５層の「ｓｓｍｍｓ」不織布材料、又はこれらの任意の妥当な変例を意味し得るものであり、小文字は個々の層を示し、大文字は、類似した隣接する層の編成を示す。

本発明のＡＤＳは、超吸収性材料を実質的に含まなくてもよい。

本発明のＡＤＳは、約２０～２２０ｇｓｍ、又は約４０～１６０ｇｓｍ、又は約２０～１４０ｇｓｍ、又は約４０～８０ｇｍｓの範囲の坪量を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明によるＡＤＳは、約４０ｇｓｍ未満のセルロース繊維を含む。第１の構成要素の坪量は、捕捉／分配性能と吸収性物品の厚さとのバランスが取られるように決定することができる。

本発明による吸収性物品に適したＡＤＳは、当業界で知られる様々なプロセスを介して製造することができる。

本発明に適したＡＤＳは、第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を含む第１の構成要素で構成される場合、例えば、第１の熱可塑性繊維とセルロース繊維との混合物をキャリアワイヤ上に直接エアレイドしてウェブを形成し、次にこのウェブを圧縮及び／又は熱処理に供することによって第１の熱可塑性繊維の少なくとも一部を結合させることによって形成することができる。

本発明に適したＡＤＳが、第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を含む第１の構成要素と、第２の熱可塑性繊維を含む第２の構成要素と、を含む場合、一例として、ＡＤＳのウェブは、第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を含む第１の構成要素ウェブを形成する工程と、第２の熱可塑性繊維を含む第２の構成要素を形成する工程と、第１の構成要素ウェブを第２の構成要素ウェブ上に重ねることによって、又はその逆によって複合ウェブを形成する工程と、複合ウェブを圧縮、接着、及び／又は熱処理に供して第１及び第２の熱可塑性繊維の少なくとも一部を結合させる工程と、を含むプロセスによって製造することができる。

別の例として、ＡＤＳの複合ウェブは、連続プロセスで製造することができる。例えば、プロセスは、ａ）第２の熱可塑性繊維を含む第２の構成要素ウェブを供給する工程と、ｂ）第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を含む第１の構成要素ウェブを第２のウェブの一方の表面上に重ねることによって複合ウェブを形成する工程と、ｃ）複合ウェブを圧縮及び／又は熱処理に供して第１及び第２の熱可塑性繊維の少なくとも一部を結合させる工程と、を含むことができる。この例では、工程ａ）において、第２の構成要素ウェブは、予め形成された第２の構成要素ウェブが巻き付けられたスプールから供給することができる。あるいは、第２の構成要素ウェブは、例えばカード又は回転ビームなどのウェブ形成装置を使用して第２の構成要素ウェブを作製することによって供給してもよい。第２の構成要素ウェブは、エアスルーボンド不織布形成装置を使用して供給され得る。工程ｂ）は、少なくとも１つの形成ヘッドを使用してエアレイドプロセスによって行うことができる。例えば、１つ以上の形成ヘッドにおいて、第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維の流れを均一に混合して混合繊維の流れを形成し、各形成ヘッドによって、第２の構成要素ウェブの一方の表面に混合繊維の流れを堆積させる。工程ｃ）において、１つ以上の形成ヘッドの後に配設された圧縮ローラの１つ以上のペアを使用して圧縮を行うことができる。圧縮ローラが存在する場合、例えば約９０～１１０℃の範囲の温度で加熱することができる。工程ｃ）において、熱処理は、任意の従来知られる熱処理方法を使用して行うことができる。好ましい処理プロセスの例としては、ホットエアスルー型熱処理装置、ホットエアブロー型熱処理装置、赤外線熱処理装置などの熱処理装置が挙げられる。これらの熱処理装置には、通常、ウェブを支持及び搬送するための搬送支持要素が設けられる。一実施形態では、熱処理は、エアレイドウェブを、第１及び／又は第２の熱可塑性繊維の少なくとも一部を軟化及び溶融するのに十分な温度に維持された加熱オーブンに輸送することによって行うことができる。例えば、複合ウェブがシース／コア型二成分繊維を含む実施形態では、複合ウェブは、シース成分が十分に溶融及び／又は軟化して繊維の接触点又は交差点で結合するように、シースの融点を上回るがコアの融点は下回る温度に加熱することができる。

本発明に適したＡＤＳは、第１の構成要素及び第２の構成要素を含む場合、第１の構成要素は、第２の構成要素よりも高い繊維密度を有することができる。

本発明のＡＤＳは、第１の構成要素５２の外側表面１６上に堆積された１つ以上の追加の層を更に有することができる。

本発明の吸収性物品は、液体透過性トップシート、液体不透過性バックシート、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収性コア、及びトップシートと吸収性コアとの間に配設された本明細書に開示されるＡＤＳを含む。

本明細書に記載される使い捨て吸収性物品の構成要素は、２００７年９月２０日に公開されたＨｉｒｄらの米国特許出願公開第２００７／０２１９５２１Ａ１号、２０１１年６月１６日に公開されたＨｉｒｄらの同第２０１１／０１３９６５８Ａ１号、２０１１年６月１６日に公開されたＨｉｒｄらの同第２０１１／０１３９６５７Ａ１号、２０１１年６月２３日に公開されたＨｉｒｄらの同第２０１１／０１５２８１２Ａ１号、２０１１年６月１６日に公開されたＨｉｒｄらの同第２０１１／０１３９６６２Ａ１号、及び２０１１年６月１６日に公開されたＨｉｒｄらの同第２０１１／０１３９６５９Ａ１号に記載されているバイオ源含有物から少なくとも部分的に構成され得る。これらの構成要素としては、トップシート不織布、バックシートフィルム、バックシート不織布、サイドパネル不織布、バリアレッグカフ不織布、超吸収体、不織布捕捉層、コアラップ不織布、接着剤、ファスナーフック、及びファスナーランディング領域不織布、並びにフィルムベースが挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも１つの実施形態において、使い捨て吸収性物品の構成要素は、ＡＳＴＭ Ｄ６８６６－１０の試験法Ｂを用いて約１０％～約１００％、別の実施形態では約２５％～約７５％、更に別の実施形態では、ＡＳＴＭ Ｄ６８６６－１０の試験法Ｂを用いて約５０％～約６０％のバイオベース含有量値を有する。ＡＳＴＭ Ｄ６８６６－１０の方法を適用して任意の使い捨て吸収性物品の構成要素のバイオベース含有量を決定するには、使い捨て吸収性物品の構成要素の代表的な試料を試験のために得る必要がある。少なくとも１つの実施形態では、使い捨て吸収性物品の構成要素を、既知の粉砕方法（例えば、Ｗｉｌｅｙ（登録商標）ミル）を用いて、約２０メッシュ未満の微粒子に粉砕し、ランダムに混合された粒子から好適な質量の代表的試料を取り出すことができる。

いくつかの実施形態では、本発明の吸収性物品は、天然繊維を含むトップシート及びバックシートの少なくとも一方を含む。

いくつかの実施形態では、本発明の吸収性物品は、第１の構成要素が第２の構成要素よりも高い繊維密度を有する、本明細書に開示されるＡＤＳを含む。

本発明のＡＤＳが第１の構成要素及び第２の構成要素を有する場合、ＡＤＳは、第２の構成要素がトップシートと第１の構成要素との間に配設されるようにして吸収性物品内に配設される。

一実施形態では、本発明の吸収性物品は、吸収性コアの少なくとも約８０重量％、約８５重量％、約９０重量％、又は約９５重量％の超吸収性ポリマーを含む吸収性コアを含む。

本発明による吸収性物品は、低いキャリパー及び好ましい柔軟性を有しながらも、望ましい流体処理特性を有する。本発明による吸収性物品は、改変流体捕捉試験に従って測定した場合に、最大１００ｇ、又は最大９６ｇの充填量まで約７秒／ｇ未満、又は約６．５秒／ｇ未満、又は６秒／ｇ未満、又は更には５．５秒／ｇ超の吸収時間を有する。本発明による吸収性物品はまた、キャリパー試験に従って測定した場合に、２ｃｍ^２に４００ｇの圧力下で約２．５ｍｍ未満、又は約２．３ｍｍ未満、又は約２．０ｍｍ未満のキャリパーを有し、かつ／又は３点曲げ力試験に従って測定した場合に、約９５ｇ未満、又は約９０ｇ未満、又は約８５ｇ未満、又は約８０ｇ未満、又は７５ｇ未満の３点曲げ力を有する。

おむつなどの吸収性物品の柔軟性は、以下の単純な方法を使用して実証することができる。
１）試料吸収性物品の長さに従って調整可能である、２本の離間したスタンドポールと、両側がそれぞれのスタンドポールによって保持された金属バーと、金属バーに回転可能に接続されたトルクレンチと、を有する金属スタンドを備えた機器を配置する。試験吸収性物品をクリップによって固定することができるように２個のクリップを金属バーに取り付ける。
２）トルクレンチを所定のトルク値に設定する。
３）おむつを開く。パンツおむつの場合、サイドシームを破っておむつを開く。
４）おむつの前端部を一方のクリップに固定し、おむつの後端部を他方のクリップに固定する。
５）トルクレンチを手で回しはじめる。
６）所定のトルクに達するまでトルクレンチを回した回転数を記録する。トルクレンチが所定のトルクに達したときに「カチッ」と音がする。この方法は、以下のように改変することができる。
１）上記の機器を配置する。
２）おむつを開く。パンツおむつの場合、サイドシームを破っておむつを開く。
３）おむつの前端部を一方のクリップに固定し、おむつの後端部を他方のクリップに固定する。
４）所定の回転数にトルクレンチを手で回しはじめる。
５）所定の回転が完了した時点のトルクを記録する。

本発明の吸収性物品は、コラーゲン濡れ戻し試験に従って測定した場合に、約１２０ｍｇ未満、又は約１１０ｍｇ未満、又は約１０５ｍｇ未満、又は更には約１００ｍｇ未満の濡れ戻し量を有し得る。

本発明の吸収性物品は、キャリパー試験に従って測定した場合に、２ｃｍ^２に３ｇの圧力下で約９ｍｍ未満、又は約８ｍｍ未満、又は約７ｍｍ未満のキャリパーを有し得る。

本発明の吸収性物品は、薄くかつ柔軟であり、吸収速度特性及び／又は濡れ戻しなどの流体処理特性を維持することができる。

本発明の吸収性物品は、その薄いキャリパーにもかかわらず、着用中に体形に一致し、かつ着用者により着用されるときに流体漏れのリスクを伴わずに肌に付く跡及び刺激を防止する低いカフ力を有することができる。本発明の吸収性物品は内側カフ及び外側カフを含み、内側カフ及び外側カフのうちの少なくとも一方は、カフ力試験に従って測定した場合に、約０．３Ｎ未満、又は約０．２５Ｎ未満のカフ力を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明の吸収性物品は、カフ力試験に従って測定した場合に、約０．３Ｎ未満、又は約０．２５Ｎ未満のカフ力を有する内側カフを含む。実施形態において、本発明の吸収性物品は、カフ力試験に従って測定した場合に、いずれも約０．３Ｎ未満、又は約０．２５Ｎ未満のカフ力を有する内側カフ及び外側カフを含むことができる。

一実施形態では、本発明の吸収性物品は、特にトップシートと吸収性コアとの間にＡＤＳ以外のセルロース繊維を含む層を有さない。

別の実施形態では、本発明の吸収性物品は、トップシート、吸収性コア、ＡＤＳ、及び吸収性物品のバックシートなどの構成要素のうちの少なくとも１つを含み、天然繊維を含む。

本開示の吸収性物品は、いくつかの形態の、特定の望ましくない材料、成分、又は特性を「含まない（devoid of）」又は「ない（free of）」場合がある。「含まない」、「ない」などは、これらの用語が本明細書で使用される場合、吸収性物品は、これらの修飾語に続く、バックグラウンドレベルの材料、成分、又は特性を、極微量を超えて有さないこと、材料又は成分の量が、消費者が材料又は成分に対して典型的に連想する害又は刺激を引き起こさないこと、あるいは材料又は成分が、意図的には吸収性物品に添加されていないことを意味し得る。場合によっては、「含まない」及び「ない」は、測定可能な量の材料又は成分が存在しないことを意味し得る。例えば、いくつかの形態の吸収性物品は、測定可能な量の塩素を含有せず、つまり、物品は塩素を全く含まないと特徴付けられる。

本発明によるＡＤＳは、機械的に変形させることができる。ＡＤＳは、ＡＤＳの少なくとも１つの表面から外向きに延出する複数の突起を備えることができ、外向きに延出する突起は、吸収性物品の吸収性コアに向かって配向される。変形させたＡＤＳは、トレードオフとみなされる柔軟性及びクッション性などのその機械的特性を改善させることができる。

吸収性物品の製造プロセス
本発明の吸収性物品は、当該技術分野で既知の任意の従来の方法によって製造することができる。特に、物品は手作りであってもよく、又は高速で工業的に生産されてもよい。典型的に、隣接した層及び構成要素は、層の表面の全体若しくは一部に対するスロットコーティング若しくは吹き付けを介した接着剤コーティング、又は熱結合、又は圧力結合、あるいはこれらの組み合わせなど、従来の結合方法を使用して互いに接合される。他の糊剤又は付属品は明確化及び可読性のために示されていないが、特に除外されない限り、物品の層間の典型的な結合が存在するものとみなされるべきである。接着剤は、通常、異なる層の接着性、例えば、バックシートとコアラップとの間の接着性を改善するために使用することができる。使用される接着剤は、当該技術分野では周知のいずれの標準的なホットメルト接着剤であってもよい。

一実施形態では、本発明の吸収性物品を製造するためのプロセスは、ａ）着用者対向面と衣類対向面とを有するトップシート材料を供給することと、ｂ）トップシート材料の衣類対向面に、着用者対向面と衣類対向面とを有する吸収性コアを供給することと、ｃ）吸収性コアの衣類対向面に、濡れ度インジケータを有するバックシート材料を供給することと、を含み、吸収性コアは、吸収性材料と、吸収性材料を少なくとも部分的に覆うコアラップとを含み、コアラップは本発明の不織布ウェブを含む。

機械的変形
本明細書に開示されるＡＤＳは、その機械的特性を改善するために従来の機械的変形プロセスによって機械的に変形させることができる。

一般的に、変形させたＡＤＳは、ａ）少なくとも１つのＡＤＳ材料を提供する工程と、ｂ）第１の形成部材（例えば「雄型」形成部材）と第２の形成部材（例えば「雌型」形成部材）とを含む一対の形成部材を含む装置を提供する工程と、ｃ）ＡＤＳ材料をこれらの形成部材の間に配置し、形成部材によってこのＡＤＳ材料を機械的に変形させる工程と、を含む方法によって作製される。形成部材は、機械方向（ＭＤ）の向き及び機械横方向（ＣＤ）の向きを有する。第１及び第２の形成部材は、プレート、ロール、ベルト、又は任意の他の好適な種類の形成部材であってよい。機械的変形は通常、それらの表面上に特定の噛み合いパターンを有する２個のロール間にＡＤＳ材料を通過させることを含む。

図１１を参照すると、機械的変形の結果として、ＡＤＳ５０の第１の表面１６４から外向きに延出する複数の突起６２は、ＡＤＳ材料の繊維を第１の表面１６４から離れる方向に変位させることによって形成される。同時に、突起に対応した開口部６８が、不織布の第２の表面１６６に形成される。このようにして形成された複数の突起６２は、好ましくは別個の突起である。この機械的変形プロセスは、繊維が内向きに圧縮され、外向きに延出する突起を形成しない従来のエンボス加工プロセスとは異なる。

そのような三次元突起を作製するための様々な装置及び方法が当該技術分野において開示されている。米国特許第８，５０２，０１３号（Ｚｈａｏら、Ｐ＆Ｇ）は、例えば図６及びそれ以降の部分において、前駆体不織布を変形させるために使用することができる、一般的にＳＥＬＦプロセスと呼ばれるプロセスの一対の噛み合いロールを示している。この参考文献の図１４及びそれ以降の部分は、突起の先端部に二次開口部を与えることができる、一方のロール上の尖った角錐形状の歯を用いた回転ナイフ装置（ＲＫＡ）及びプロセスを示している。

国際公開第２０１６／０４０１０１Ａ１号（Ｓｔｒｕｂｅら、Ｐ＆Ｇ）は、広い基部開口部を有する別個の三次元球状突起を有する不織布を作製するための不織布変形プロセス（入れ子式ＳＥＬＦプロセスと呼ばれる）を開示している。このプロセスでは、国際公開第２０１６／０４０１０１Ａ１号の図２１の斜視図及びそれ以降の部分に例示的な装置が示されており、第１及び第２の形成部材は、それらの間にニップを形成する、変形しない、噛み合い逆回転ロールの形態である。前駆体不織布は、ロール間のニップに供給される。ロール間の隙間は、本明細書においてニップとして説明されているが、国際公開第２０１６／０４０１０１Ａ１号に詳細に論じられているように、場合によっては、前駆体不織布（複数可）の圧縮を可能な限り避けることが望ましい場合がある。この入れ子式ＳＥＬＦプロセスは、球状の突起を提供するので有利である。これらの突起６２は、ＡＤＳ５０の第１の表面１６４に隣接した基部７０と、基部７０からＺ方向に外側へ延出する反対側の遠位端と、基部と突起６２の遠位端との間の側壁７４と、側壁の少なくとも一部及び突起の遠位端を含む頂部７２と、を含む。側壁７４は内表面を有し、側壁の内表面は突起の基部に基部開口部６８を画定し、当該頂部７２は、最大内部幅Ｗｉを有する部分を有しており、基部開口部６８は幅Ｗｏを有しており、突起の頂部７２の最大内部幅Ｗｉは、基部開口部６８の幅Ｗｏよりも大きい。これらの球状突起は特に弾力性があり、例えば一般的に、それらの形状を少なくとも部分的に回復することができるか、又は吸収性物品のパッケージ内での圧縮下で少なくとも押し潰れない。

プロセスはまた、図１２に示すように、ＡＤＳ材料の繊維が十分に伸長可能ではなく、突起の先端部で破断することによって、１つ以上の二次開口部７６が突起の頂部７２又は遠位端に形成されるように行うこともできる。これは、流体がＡＤＳを通って吸収性コアに向かってより迅速に移動することができることから望ましい場合がある。多層材料を含むＡＤＳが変形されるとき、第２の開口７６は、材料のすべての層を貫通するか、又は１つの層にのみ、例えば、変形されたＡＤＳ５０の外側表面を形成する層にのみ形成され得る。

変形されたＡＤＳを製造させるために使用することができる別の関連する機械的変形プロセスは、国際公開第２０１２／１４８，９４４号（Ｍａｒｉｎｅｌｌｉら、Ｐ＆Ｇ）に開示されており、互いに噛み合う雄型要素を有する２個のロールを使用して不織ウェブを変形させる。このプロセスは、セルフ・オン・セルフ（SELF-on-SELF）（ＳｏＳ）と呼ぶことができ、国際公開第２０１２／１４８，９４４Ａ１号の図１６及びそれ以降の部分に示されている。かかるプロセスによって得られる変形されたＡＤＳは、ＡＤＳの第１の表面上に形成された突起と、ＡＤＳの第２の表面上に形成された、対応する開口部を有する同等の突起と、を有することができる。ＳｏＳプロセスは、単層材料又は二層又は多層材料で使用することができる。

一般的に、突起は、形成部材上、したがって変形されたＡＤＳ上に均一に分布させることができる。突起はまた、所望のパターンに従って、形成要素、特に形成ロール上に雄型及び／又は雌型要素を配置することによって、所定のパターンに従って分布させることもできる。変形されたＡＤＳ上の突起の平均数は一般的に、１平方センチメートル当たり０．５～５個の範囲とすることができる。

測定
特に言及しない限り、すべての試験は、２３±２℃及び５０±５％の相対湿度に維持された室内で行い、試料は、試験に先立って約２３±２℃及び約５０±５％の相対湿度に維持された室内で少なくとも２時間予備調整する。

１．キャリパー試験
ＭＴＳ Ｃｒｉｔｅｒｉｏｎ Ｃ４２ ｒｕｎｎｉｎｇ ＴｅｓｔＷｏｒｋｓ ４ソフトウェア（ＭＴＳ ＳＹＳＴＥＭＳ（中国）ＣＯ．，ＬＴＤより入手可能）などのコンピュータインターフェースを備えた電子引張試験機又は同等の装置を使用して、試料のキャリパーを測定する。試験される試料に対する力が、使用されるロードセルの能力の１０～９０％になるように、ロードセルを選択する。

試料の調製
吸収性物品からカフ材料を取り外す。更に、物品の前後の耳部を取り外すか、又はパンツの場合には、ベルト又はサイドパネルも取り外す。図４を参照し、カフを取り外した吸収性物品２００を、トップシートを上にしてベンチの上に置き、長手方向中心線２８０と横断方向中心線２９０を引き、両方の中心線が互いに交差する中心点Ｃにマークする。Ｌが中心点Ｃと前縁部２１０との間の距離であるとして、中心点Ｃから前縁部２１０に向かってＬ／３だけ離れた点である、長手方向中心線２８０上の試験位置の中心ＴＣを決定する。

測定手順
メーカーの指示書に従って機器を較正する。図５Ａ及び図５Ｂを参照すると、引張試験機は、上部固定具としてのプランジャ（特注の２００ｍｍ^２円形プランジャ３０４）と、下部固定具としてのステージ（１５０ｍｍ×３１０ｍｍステージ３０５）を備えている。機器は、以下の工程を実施するように設定される。

クロスヘッドを、圧縮プランジャ３０４がステージ３０５に近接しているが接触はしない位置にまで引き下げる。定規を用いて試料物品の粗面厚さを測定する。試料の粗面厚さ＋１ｍｍが「プラテン分離」値である。圧縮プランジャが最初に圧縮プレート３０５に達し、次いで圧縮プランジャ３０４と圧縮プレート３０５との間に所定の「プラテン分離」値が与えられるまで上昇するように、圧縮プランジャ３０４の運動を設定する。圧縮プランジャ３０４と圧縮プレート３０５との間に試料を挿入する。クロスヘッドが、荷重が４００ｇｆを超えるまで試料物品を圧縮するように移動し、その後、「プラテン分離」位置に戻るようにクロスヘッドを設定する。

５つの複製物を分析する。４００ｇｆ下でのキャリパーを、複製物の算術平均として０．１ｍｍ単位で計算して報告する。
－４００Ｇｆ下でのキャリパー（最大圧力－２００ｇｆ／ｃｍ^２でのキャリパー）：Ｔｍ（ｍｍ）＝規定の最大負荷＝４００ｇｆでのステージとプランジャとの間の間隔）

２．３点曲げ力試験
３点曲げ力は、例えば、Ｔｅｘｔｕｒｅ Ａｎａｌｙｚｅｒ（Ｓｔａｂｌｅ Ｍｉｃｒｏ Ｓｙｓｔｅｍｓ，ＵＫ）又は同等の機器を使用して、吸収性物品の吸収領域の曲げ剛性を測定するものである。

試料の調製
吸収性物品を開き、カフ材料を取り外す。更に、物品の前後の耳部を取り外すか、又はパンツの場合には、ベルト又はサイドパネルも取り外す。図６を参照し、カフを取り外した吸収性物品２００を、トップシートを上にしてベンチの上に置き、横断方向中心線２９０を引く。横断方向中心線と前端部１０との間の距離をＬとして、横断方向中心線２９０に平行な線で、横断方向中心線９０から前縁部２１０に向かってＬ／２の位置にある試験位置線ＴＬを決定する。次いで、横断方向中心線２９０に沿って、カフを取り外した吸収性物品２００を切断して試験試料を得る。

測定手順
図７Ａ～図７Ｃを参照すると、Ｔｅｘｔｕｒｅ Ａｎａｌｙｚｅｒ７００は、図７Ａ～７Ｃに示されるように、７０ｍｍのブレード長Ｌ_ｂｌ、３ｍｍのブレード幅Ｗ_ｂｌ、及び８０ｍｍのブレード高さＨ_ｂｌを有する３点曲げブレード７１０と、１３０ｍｍの曲げブリッジ長さＬ_ｂｒ、５５ｍｍの曲げブリッジ幅Ｗ_ｂｒ、２５ｍｍの曲げブリッジ高さＨ_ｂｒ、及び２５ｍｍの曲げブリッジ間隔Ｇ_ｂｒを有する曲げブリッジ７２０と、を備えている。メーカーの指示書に従って機器を較正する。
以下の工程を実施するように機器を設定する。

曲げブレード７１０が試料に引かれた試験位置線ＴＬの上に位置するようにして曲げブレード７２０の上に試料を配置することによって、曲げブレード７１０と曲げブリッジ７２０との間に試料を置く。曲げブレード７１０が初期位置から移動し、試料を圧縮した後、初期位置に戻るように、目標距離を１３ｍｍに設定する。

５つの複製物を分析する。３点曲げ力を、複製物の算術平均として０．１ｇ単位で計算して報告する。

３．改変流体捕捉試験
改変流体捕捉（「Modified Fluid Acquisition、ＭＦＡ」）試験は、２．０７ｋＰａで圧縮された吸収性物品に０．９％生理食塩水が吸収される速度を測定するように設計されたものである。既知の体積を４回導入する。毎回、前の用量が吸収されてから５分後に、次の用量を開始する。各用量を吸収するのに必要な時間が記録される。試験流体は０．９％ｗ／ｖ生理食塩水溶液であり、これは、９．０ｇ±０．０５ｇのＮａＣｌを坪量ボート内で計量してから１Ｌの容積測定フラスコに移して、容積まで脱イオン水で希釈することによって調製される。

ＭＦＡ装置は、図８～図１０Ｂに示されている。ＭＦＡ装置はゴム嚢アセンブリ３００１と、堆積アセンブリ３１００を含むトッププレートアセンブリ３２００と、を備える。コントローラ３００５は、１）電極３１０６全体でインピーダンスを監視して、０．９％生理食塩水溶液がシリンダ３１０２内にある時間間隔を記録し、２）液体ポンプ３００４と接続して分注を開始／停止し、３）投与の間隔を測る、ために用いられる。コントローラ３００５は、時間事象を±０．０１秒で記録することができる。住宅用空気源３０１４を、好適な流量／圧力で空気を送達可能な圧力調節器３００６に接続して、ゴム嚢アセンブリ３００１内で２．０７ｋＰａを維持する。流量３～１５ｍｌ／ｓで１０～８０ｍｌの流れを送達可能な液体ポンプ３００４（Ｃｏｌｅ Ｐａｌｍｅｒ（Ｖｅｒｎｏｎ Ｈｉｌｌｓ、ＩＬ）から入手可能なＩｓｍａｔｅｃ ＭＣＰ－Ｚギヤポンプ、又は同等品）を、Ｔｙｇｏｎ管３０１５を介して、堆積アセンブリ３１００のステンレス鋼製チューブ３１０４に取り付ける。

ゴム嚢アセンブリ３００１は、１２．７ｍｍのプレキシグラスで作製され、全体の寸法は、長さ８０ｃｍ、幅３０ｃｍ、高さ１０ｃｍである。アセンブリ内の圧力を測定するマノメータ３００７と、アセンブリへの空気導入を調節する圧力計３００６が、右側を通る２つの穴を通して取り付けられる。ゴム嚢３０１３は、５０ｍｍ×１００ｍｍのシリコーンフィルム片（厚さ０．０２インチ、ショアＡデュロメータ値２０、ＭｃＭａｓｔｅｒ－Ｃａｒｒ（Ｃｌｅｖｅｌａｎｄ，ＯＨ）から部品番号８６４３５Ｋ８５として入手可能）をドレープ状にすることによって箱の上に組み立てられ、これは、フィルムが箱の底部の中心点に触れるように十分なたるみを有する。フランジを備えたアルミニウムフレーム３００３を、フィルム上部に取り付け、機械的クランプ３０１０を使って定位置に固定する。

定位置にあるとき、このアセンブリは圧力３．４５ｋＰａで漏れが生じない状態であるべきである。前側３００８と後側３００９の試料支持具（５ｃｍ×３０ｃｍ×１ｍｍ）を使用して、試料を固定する。接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかによって、吸収性物品を試料支持具の上面に取り付ける。これらの支持具は、単純なピン及び穴のシステムによって、アルミニウムフレーム３００３の長さに沿って調節して、様々なサイズの吸収性物品に対応させ、これらの搭載点を正確に揃えさせることができる。

トッププレートアセンブリ３２００は、剛性を高めるためにアルミニウムフレーム３１０９で補強された１２．７ｍｍのプレキシグラスの８０ｃｍ×３０ｃｍ片から作製される。このプレートは、堆積アセンブリを取り付けるために、プレート３２０１の１７０ｍｍ前方に、プレートの横方向に中心を置いた幅１７０ｍｍ×長さ２０１ｍｍの切り欠きを有する。加えて、トッププレートには直径３．２ｍｍの穴３６個が、図１０Ａに示すように分散してドリルで穴開けされている。この穴により、ゴム嚢が膨張するときに、空気がトッププレートの下にトラップされることが防止される。トッププレートアセンブリ３２００は、２つのヒンジ３０１２によってゴム嚢アセンブリ３００１に接続されている。使用中、トップアセンブリはゴム嚢アセンブリの上に閉じられ、機械的クランプ３０１１を用いて定位置にロックされる。

堆積アセンブリ３１００はトッププレート３２００に嵌め込まれ、１）液体導入シリンダ３１０２と、２）吸収性物品の搭載点における湾曲面３１０１と、３）シリンダ３１０２内の流体を検出するために使用される電極３１０６と、を含む。湾曲構成要素の詳細な寸法を図９Ａ～図９Ｅに示す。図９Ａは湾曲構成要素の側面図である。図９Ｂは湾曲構成要素の端面図である。図９Ｃは湾曲構成要素の底面図である。図９Ｄは湾曲構成要素の底面斜視図である。図９Ｅは湾曲構成要素の上面斜視図である。この湾曲構成要素は圧延又は３Ｄ印刷することができる。導入シリンダの上部は外形５０．８ｍｍである。プレキシグラスシリンダ３１０２は内径３８．１ｍｍである。これを湾曲構成要素に嵌め込み、導入シリンダの全高を１００ｍｍとする。埋め込まれた電極は、湾曲構成要素の上面のコネクタから延び、シリンダの底部から２ｍｍにある、導入シリンダの内壁とぴったり重なって終端する。２つの電極は、１８０度離れて位置付けられる。ナイロン製スクリーン３１０７を切断して、シリンダの底部とぴったり重なるように取り付け、試料が膨潤してシリンダに入り込むことのないようにする。スクリーンの２つの電極に隣接する領域で５ｍｍの半円を切り取る。堆積アセンブリを、図１０Ａに示すようにトッププレートに挿入し、湾曲面がトッププレートアセンブリ３２００の底部と面一となるようにする。導入シリンダ３１０２に緩いナイロン製キャップ３１０３で蓋をする。キャップは、その中心に挿入された外径６．３５ｍｍの鋼製チューブ３１０４を有する。キャップを定位置に嵌めると、チューブの底部はスクリーン３１０７から２０ｍｍ上で終端する。キャップは空気穴３１０５も有し、陰圧によって吸収速度が妨げられないようにする。

最初に、吸収性物品を、物品のコア領域の上にあるトップシートに影響を及ぼさないように気を付けながら、すべての内側若しくは外側レッグカフ、腰部キャップ、弾性耳部、又はサイドパネルを切除することで調製する。吸収性物品を実験台上に平坦に配置し、表１で定義される長手方向中心線とサイズ依存性の搭載点との交点を特定する。

^＊男女兼用おむつには男子の搭載点を使用する。

吸収性物品の前端部を、接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかによって、トップシートを上に向けて、前側試料プレート３００８の上面に取り付ける。この配置により、シャーシだけが（吸収性コアではなく）プレートに重なる。トッププレートアセンブリが閉じられたときに、吸収性物品のサイズ依存性搭載点（表１に定める）がシリンダ３１０２内で長手方向及び横方向の中心に置かれるように、試料プレート３００８をアルミニウムフレーム３００３に取り付ける。吸収性物品の裏端部を、接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかによって裏側試料プレート３００９に固定し、ここでも、吸収性コアではなくシャーシのみがプレートに重なるようにする。次に裏側試料プレート３００９をアルミニウムフレーム３００３に取り付け、物品がピンと張っている（taunt）が延伸していないようにする。トッププレートアセンブリを閉じて締着し、ゴム嚢を２．０７ｋＰａ±０．０７ｋＰａまで膨らませる。試験の搭載シーケンス全体で圧力をこのレベルに維持する。

ポンプ３００４を準備し、続いて較正して、表１から選択されたサイズ依存性の体積及び流量を送達する。体積及び流量は、標的の±２％以内でなければならない。キャップ３１０３をシリンダ３１０２に嵌める。コントローラ３００５を始動させると、０．９％生理食塩水溶液の最初の用量が供給される。この体積が吸収された後、コントローラは５．０分間待ってから、次の用量を追加する。このサイクルは合計４回の用量について繰り返し行われる。流体が物品外又は物品周囲に漏出する（即ち、物品に吸収されない）場合は、試験を中止する。また、捕捉時間が１２００秒を超えた場合も、試験は中止される。捕捉時間は、開始時間（即ち、０．９％生理食塩水が最初にシリンダ内に導入され、導通流体が電極間の回路を完了させたとき）と停止時間（即ち、流体がシリンダから完全に排出され、電極間の回路が破壊されたとき）との間の差として定義される。コントローラにより各用量の捕捉時間が０．０１秒単位で記録される。最後の用量が得られた後、更に１０分間圧力が加えられる。圧力開放弁３０１６を開いてゴム嚢を収縮させた後、捕捉システムから試料を除去する。

同様に、評価する各吸収性物品について合計８回の複製試験を実施する。各用量に対する捕捉時間（秒）を、複製の算術平均として０．０１秒単位で計算して報告する。

４．コラーゲン濡れ戻し試験
ＭＦＡ試験の直後にコラーゲン濡れ戻し試験を実施する。コラーゲン濡れ戻し試験は、ＭＦＡプロトコルによるローディング後の圧力下で吸収性物品から圧出される流体の量を測定することを含む。コラーゲンシートを濡れ戻し基材として使用する。好適なコラーゲンは、Ｎａｔｕｒｉｎ Ｃｏｆｆｉコラーゲンシート（Ｎａｔｕｒｉｎ ＧｍｂＨ＆ＫＧ（Ｇｅｒｍａｎｙ）から入手可能）又は同等品である。コラーゲンシートは、受け取り次第、約２３℃±２℃及び約５０％±２％の相対湿度で試験前の２時間保管する。本試験用の機器は、プレキシグラスディスク（直径７０．０ｍｍ、厚さ２０ｍｍ）、及びその上に乗せられたステンレス鋼製の拘束重りからなる。ディスクと拘束重りとを組み合わせた質量は、２３．２ｋＰａの圧力に対応する９１００ｇ±２ｇである。コラーゲンシートを直径７０．０ｍｍの円形にダイカットし、４枚組み合わせた積層体を濡れ戻し試験中に使用する。乾燥濾紙積層体の質量を測定及び記録して、０．０００１ｇ単位で記録する。

ＭＦＡ試験終了後３０秒以内に、吸収性物品を捕捉装置から取り外し、トップシートを上にしてベンチトップ上に平らに置く。次に、搭載点（ＭＦＡ試験で予め決定された）を中心にして予秤量したコラーゲンの積層体を配置し、積層体上にプレキシガラスディスクを配置し、ディスク上に緩やかに拘束重りを配置する。１５．０秒±０．５秒待機してから重りとディスクを取り外す。直ちに湿潤濾紙の質量を測定し、０．０００１ｇ単位で記録する。積層体の湿潤重量と乾燥重量との差としてコラーゲン濡れ戻し値を計算し、０．１ｍｇ単位で記録する。

同様に、評価する各吸収性物品について合計８回の複製試験を実施する。各用量に対するコラーゲン濡れ戻し量（ｍｇ）を、複製物の算術平均として０．１ｍｇ単位で計算して報告する。

５．カフ力試験
カフ力試験は、吸収性物品の内側及び外側カフ（ある場合）の両方で行われる。測定には、０～１０Ｎの性能及び０．０１Ｎの最小分解能を有するデジタル力ゲージを用いる。適当なゲージは、Ｄｉｌｌｏｎ／Ｑｕａｌｉｔｙ Ｐｌｕｓ Ｉｎｃ（Ｃａｍａｒｉｌｌｏ，ＣＡ）から入手可能なＱｕａｎｔｒｏｌ Ａｄｖａｎｃｅｄ Ｆｏｒｃｅ Ｇａｕｇｅ ＡＦＧ １０Ｎ又はその同等物である。試料は、上側及び下側の２個のばね荷重バーグリップを使用して取り付けられる。上側グリップは、力ゲージから吊り下げられ、下側グリップは、可動トロリーに取り付けられる。力ゲージ及びトロリーは垂直試験台上に載せられ、力ゲージが静止状態に保持され、トロリーが試験台に沿って垂直方向に移動するようになっている。試験台は、拡張された物品を２個のグリップ間に取り付けるのに十分な高さのものでなければならない。

代表的な物品を選び、平らな面の上にトップシートを上にしてこれを開くことによって内側カフの長手方向の長さを測定する。物品がパンツである場合、サイドパネル又はベルトを取り外して、物品を平らに開く。物品の後側腰部に１０００ｇ±５ｇの重りを取り付け、物品を前側腰部から垂直に吊り下げる。内側カフ構造の長さを１ｍｍ単位で測定及び記録する。カフ構造は、弾性体が存在する領域と、シャーシに鋲留めされる連続不織布とを含む。このカフ長さをすべての複製物品に用いる。０．９５×カフ長（ｍｍ）－２５．４（ｍｍ）として最大伸長長さ（ＭＥＬ）を計算し、１ｍｍ単位で記録する。最終伸長長さ（ＦＥＬ）を０．８５×カフ長（ｍｍ）－２５．４（ｍｍ）として計算し、１ｍｍ単位で記録する。試験台上のＭＥＬに対応するトロリー位置（クランプの上バーラインから下バーラインまでのゲージ）、及びＦＥＬに対応するトロリー位置（クランプの上バーラインから下バーラインまでのゲージ）を示す。

各複製試料について、弾性腰部機構（存在する場合）をすべて取り外す。更に、物品の前後の耳部を取り外すか、又はパンツの場合には、ベルト又はサイドパネルも取り外す。前側及び後側腰部における鋲留め結合をすべて外し、次いでカフの基部に沿って長手方向に内側を切断することによって、内側カフ構造を取り外す。外側カフを長手方向に切断するには、外側カフ弾性体の約１ｃｍ内側を切る。カフ構造を切除する際、弾性体を長手方向に伸長させないように注意する。カフ試験片は、物品から取り外した１５分後に分析する。

力ゲージは、データを連続的に取得するように設定する。切り取ったカフを、試験片にわたって横方向にカフの端部から１．２７ｍｍ内側でクランプする。力ゲージをゼロにする。トロリークランプを、カフが弛んだ状態にあるようにして試験台に沿って動かす。カフの他方の端部を、試験片にわたって横方向にカフの端部から１．２７ｍｍ内側でクランプする。グリップ内で試験片が捻れないようにする。下側クランプをＭＥＬ位置にまで下げることによって測定を開始する。１秒後にフ試験片が弛緩状態となるまで下側クランプを上げる。１秒後に下側クランプを再びＭＥＬ点まで下げる。１秒後にクランプをＦＥＬ位置にまで上げる。約５秒待機した後、力ゲージからの力を０．０１Ｎ単位で読み取って記録する。内側及び外側カフのそれぞれについて手順を繰り返す。

結果を５つの複製物品から各カフについて収集し、対応する複製物同士を別々に保ちつつ平均を取る。操作者側カフ力（内側カフ）、駆動側内側カフ、操作者側外側カフ、駆動側及びカフ力（外側カフ）として、０．０１Ｎ単位で報告する。

６．尿漏れ試験
吸収性物品の尿漏れを、サイズＳのテープおむつを使用して、乳児の介護者である５０人のパネリストによって試験する。パネルの各人に、各試験試料あたり複数の吸収性物品を提供する。すべての吸収性物品を使用した後、各パネルに「はい」又は「いいえ」形式で吸収性物品の漏れ状態を評価してもらう。尿漏れ率（％）を、漏れ（はい）として報告された吸収性物品の数を、使用されたパッドの総数で割ったものとして計算する。

実施例１－１：おむつの作製
おむつ試料１、２、及び４を、下記表３に従って、表２のＡＤＳと「パンパース、はじめての肌へのいちばん」サイズＳ（プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン、日本）各構成要素を使用して作製した。市販のおむつを、おむつ試料３及び５～８として使用した。

^＊：ＡＤＳは、９０ｍｍの幅及び吸収性コアと同じ長さを有する。

実施例１－２：おむつの特性
本発明の吸収性物品及びいくつかの市販の吸収性物品を含む比較例の吸収性物品の吸収性物品キャリパー、３点曲げ力、捕捉時間、濡れ戻し量、及びカフ張力を含む様々な特性を、上記の測定のセクションに述べられ、表４に示されるキャリパー試験、３点曲げ力試験、改変流体捕捉試験、コラーゲン濡れ戻し試験、及びカフ力試験に従って試験した。尿漏れは、各試料について５０のパネル及び２０個のおむつを用い、上記の測定のセクションに述べられる尿漏れ試験に従って試験した。

^＊捕捉時間、最大１００ｇ（秒／ｇ）は、総流体量を総捕捉時間で割ることによって得た。以下は、本発明の試料１の捕捉時間、最大９６ｇ（秒／ｇ）であり、各試料の捕捉時間（秒／ｇ）を同じ方法で得た。

本発明の吸収性物品は薄くかつ柔軟であり、更に低キャリパーでありながら、本発明の吸収性物品は、薄い吸収性物品の比較例試料４、７、及び８と比較して速やかな捕捉時間を実現している点に留意することも重要である。本発明の吸収性物品は、低キャリパーでありながらも、市販の厚い吸収性物品（比較例試料５及び６）並びに薄い吸収性物品（比較例試料３、７及び８）とほぼ同じ、又はより低いレベルの濡れ戻しを実現している点に留意することも重要である。本発明の吸収性物品は、低キャリパーでありながらも、市販の厚い吸収性物品（比較例試料５及び６）並びに薄い吸収性物品（比較例試料７及び８）と比較して、漏れ防止で妥協することなく、大幅に低いカフ力を有し得る点に留意することも重要である。

実施例２－１：おむつの作製
おむつ試料９（Ｓｉｌｋ８ Ｓｕｐｅｒｆｌｅｘ）を、下記表５に従って、上記表２のＡＤＳ２と「パンパース、いちばん」パンツサイズＬ（プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン社）の構成要素を使用して作製した。市販のおむつを、おむつ試料１０及び１１として使用した。

実施例２－２：おむつの特性
おむつ試料９、１０、及び１１の様々な側面を、サイズ４の高級パンツおむつを使用して、乳児の介護者である９９人のパネリストによって試験した。パネルの各人に、各試験試料あたり複数のおむつを提供した。各おむつの使用後、各パネルにより、試験したおむつ試料について以下の項目を評価してもらい、以下のようにスコア化した。すなわち、「悪い」＝０、「普通」＝２５、「良い」＝５０、「非常に良い」＝７５、及び「優良」＝１００。結果を下記表６に示す。

試料９は、柔軟性及び快適性並びに漏れ防止を反映したほとんどの項目で試料１０及び１１と比較して有意に高いスコアを獲得した。

本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。例えば、「４０ｍｍ」と開示された寸法は、「約４０ｍｍ」を意味することが意図される。

相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用されるすべての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献（単数又は複数）と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。

本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。

Claims (20)

1. 吸収性物品であって、
   １）液体透過性トップシートと、
   ２）液体不透過性バックシートと、
   ３）前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性コアと、
   ４）前記トップシートと前記吸収性コアとの間に配設された捕捉／分配システムであって、第１の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を含む第１の構成要素を含み、前記セルロース繊維が、前記第１の構成要素の約９０重量％未満である、捕捉／分配システムと、
   ５）長手方向に延在する形で配設されたカフシールを含む内側カフと、前記カフシールから横断方向外側に延在する外側カフとを備える脚部ガスケットシステムと、を備え、
   前記吸収性物品は、改変流体捕捉試験に従って測定した場合に、１００ｇのローディング範囲まで約７秒／ｇ未満の吸収時間を有し、
   前記吸収性物品は、キャリパー試験に従って測定した場合に、４００ｇｆ下で約２．５ｍｍ未満のキャリパーを有するか、又は３点曲げ力試験に従って測定した場合に、約９５ｇ未満の３点曲げ力を有する、吸収性物品。
2. 前記吸収性コアが、吸収性材料の少なくとも８０重量％の超吸収性ポリマーを含む前記吸収性材料を含む、請求項１に記載の吸収性物品。
3. 前記吸収性コアが、セルロース繊維を含まない、請求項１又は２に記載の吸収性物品。
4. 前記吸収性コアが、少なくとも１つのチャネルを含む、請求項１～３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
5. 前記捕捉／分配システムが、第２の熱可塑性繊維を含む第２の構成要素を更に含み、前記第２の構成要素が、前記トップシートと前記捕捉／分配システムの前記第１の構成要素との間に位置する、請求項１～４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
6. 前記第２の構成要素が、セルロース繊維を含まない、請求項３に記載の吸収性物品。
7. 前記捕捉／分配システムが、一体構造である、請求項３に記載の吸収性物品。
8. 前記捕捉／分配システムが、別個の層を含む、請求項３に記載の吸収性物品。
9. 前記捕捉／分配システムが、超吸収性材料を含まない、請求項１～８のいずれか一項に記載の吸収性物品。
10. 前記第１の構成要素が、約２０ｇｓｍ～約１４０ｇｓｍの坪量を有する、請求項１に記載の吸収性物品。
11. 前記内側カフ及び前記外側カフの少なくとも一方が、カフ力試験に従って測定した場合に、約０．３Ｎ未満のカフ力を有する、請求項１～１０のいずれか一項に記載の吸収性物品。
12. 前記内側カフ及び前記外側カフのそれぞれが、カフ力試験に従って測定した場合に、約０．３Ｎ未満のカフ力を有する、請求項１～１１のいずれか一項に記載の吸収性物品。
13. 前記吸収性物品が、コラーゲン濡れ戻し試験に従って測定した場合に、約１２０ｍｇ未満の濡れ戻し量を有する、請求項１～１２のいずれか一項に記載の吸収性物品。
14. 前記第１の構成要素が、エアレイド不織布を含む、請求項１～１３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
15. 前記捕捉／分配システムが、約４０ｇｓｍ未満のセルロース繊維を含む、請求項１～１４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
16. 前記第１の構成要素中の前記セルロース繊維が、木材パルプを含む、請求項１～１５のいずれか一項に記載の吸収性物品。
17. 前記吸収性物品が、おむつ又は成人失禁用製品である、請求項１～１６のいずれか一項に記載の吸収性物品。
18. 前記吸収性物品の構成要素のうちの少なくとも１つが、天然繊維を含む、請求項１～１７のいずれか一項に記載の吸収性物品。
19. 前記捕捉／分配システムが、機械的に変形される、請求項１～１８のいずれか一項に記載の吸収性物品。
20. 前記捕捉／分配システムが、外向きに延在する複数の突起を有し、前記外向きに延在する突起が、前記吸収性物品の前記吸収性コアに向かって配向されている、請求項１～１９のいずれか一項に記載の吸収性物品。

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