JP2022547551A - B型肝炎に対するヒト中和抗体に関連する組成物及び方法 - Google Patents
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Abstract
B型肝炎ウイルス(HBV)によって発現されるエピトープに対して特異的に結合する広範囲中和抗体(bNAb)及びその抗原結合フラグメントを提供する。bNAbは、HBV S抗原(HBsAg)上の非オーバーラップエピトープを標的とする。bNAb又は改変bNAbを含む医薬組成物が提供される。bNAbの組み合わせが含まれ、HBV感染の予防及び治療のために、及び、感染した個体においてHBVエスケープ変異の発生を抑制するために有用である。bNAb及びそれらの抗原性フラグメントをコードする発現ベクター、bNAb及びそれらの抗原性フラグメントを作製する方法が含まれる。ワクチンとして使用するためのHBVペプチドが提供され、HBsAgに由来する少なくとも2つの非オーバーラップエピトープを含む。HBVを検出し、HBV感染を診断する方法と同様に、bNAb又はその抗原性フラグメントを含む診断試薬が提供される。【選択図】図1A
Description
この出願は、2019年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/898,735、及び2020年2月27日に出願された米国仮特許出願第62/982,276に基づく優先権を主張し、それぞれのすべての開示は、その全体を参照することにより、本明細書に包含される。
連邦支援研究又は開発に関する声明
本発明は、国立衛生研究所によって付与された認可番号UL1TR001866の下で、政府支援を受けて発明された。政府は、本発明に所定の権利を有する。
本発明は、国立衛生研究所によって付与された認可番号UL1TR001866の下で、政府支援を受けて発明された。政府は、本発明に所定の権利を有する。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年9月9日に作成された、前記ASCIIコピーは、076091_00092_SL.txtと命名され、サイズは307,317バイトである。
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年9月9日に作成された、前記ASCIIコピーは、076091_00092_SL.txtと命名され、サイズは307,317バイトである。
有効なワクチンが存在しているにもかかわらず、B型肝炎ウイルス(HBV)感染は、主要な世界的な健康問題のままであり、感染を伴って生きている人々が推定2億5700万人存在する。約95%の成人と50~75%の子供(1歳~5歳の年齢)は、自然にHBVを制御し、乳幼児は10%のみが自然に回復する。残りは、肝硬変及び肝細胞癌に至り得る慢性感染を発症する。慢性感染は抗ウイルス薬で抑制することができるが、効果的な根治療法は存在しない(Dienstag, 2008; Revill et al., 2016; Thomas, 2019)。
HBVは、ヘパドナウイルスファミリーのエンベロープ二本鎖DNAウイルスである。そのゲノムは、4つのオープンリーディングフレームのみを有する病原性ヒトDNAウイルスの中で最も小さいゲノムである。感染した肝細胞は、感染性HBVビリオン(Dane粒子)及び非感染性サブウイルス粒子(オーストラリア抗原)の両方を産生する(Dane et al., 1970; Hu and Liu, 2017)。ビリオンは、直径42nmの粒子であり、ウイルスゲノム及びHBVコア抗原(HBcAg)を含んでおり、これはB型肝炎表面抗原(HBsAg)を含む脂質膜によってキャプシド化されている(Blumberg, 1964; Venkatakrishnan and Zlotnick, 2016)。サブウイルス粒子は、ウイルスゲノムを欠く。
HBV株は元々、4つのHBsAg血清型(adr、adw、ayw、ayr)にグループ分けされていた。遺伝子解析は、いくつかの高度に保存されたドメインを明らかにし、8つの遺伝子型A-Hを定義し、これらは、4つの血清型と高度に相関している(Norder et al., 2004)。HBV表面タンパク質であるHBsAgは、4つの推定膜貫通領域を有し、PreSl-、PreS2-、及びS-領域に細分化することができる。Sドメインは、226個のアミノ酸からなるシステインに富むタンパク質であり、膜貫通領域4つすべてを含む(Abou-Jaoude and Sureau, 2007)。また、S-タンパク質は、アスパラギン残基146にてグリコシル化され得る(Julithe et al., 2014)。
HBsAgに対する抗体(抗-HBs)は、成功したワクチン接種及び急性感染からの回復に関連し、一方HBcAgに対する抗体(抗-HBc)は、過去又は現在のHBV感染を示している(Ganem, 1982)。実際に、慢性的に感染した個体と自然に回復した個体との間の最も大きな差異は、HBsAgに対するロバストな抗体応答である(Ganem, 1982)。逆に、急性感染の間にこれらの抗体を産生することができないことが、慢性化と関連している(Trepo et al., 2014)。これらの関連性が、確立された感染からの保護又は確立された感染の除去において、抗-HBs抗体が果たす病因的役割を反映するかどうかは知られていない。しかしながら、抗-CD20療法(例えば、リツキシマブ)による、暴露されたヒトにおける抗体産生Bリンパ球の枯渇は、HBVの再活性化に関連し、これは、B細胞及び/又はそれらの抗体産物が、感染を制御する際に重要な役割を果たすことを示している(Loomba and Liang, 2017)。
HBsAgに対するいくつかのヒト抗体は、ファージディスプレイ(Kim and Park, 2002; Li et al., 2017; Sankhyan et al., 2016; Wang et al., 2016);ヒト化マウス(Eren et al., 1998);エプスタイン・バーウイルス-誘導B細胞形質転換(Heijtink et al., 2002; Heijtink et al., 1995; Sa'adu et al., 1992);ハイブリドーマ技術(Colucci et al., 1986);ヒトB細胞培養(Cerino et al., 2015);及びマイクロウェルアレイチップ(Jin et al., 2009; Tajiri et al., 2010)を含む種々の方法を用いて得られてきた。しかしながら、これらの研究におけるドナーは、血清中和活性のために選択されたわけではない。従って、HBV感染に対抗する改良されたアプローチ及び組成物に関するニーズがある。本開示は、このニーズに関連している。
本開示は、一部分において、免疫化された、及び自然に回復した個体(高レベルの血清中和活性のために選択された個体)中のHBsAgに対するヒト液性免疫応答の説明を提供する。本開示は、これらの個体が、HBsAg中の共有非オーバーラップエピトープを標的とする密接に関連する複数のbNAbを生じることを実証する。そのペプチド標的を伴う抗体の1つの結晶構造は、あるループを明らかにし、これは、特定のアミノ酸残基がエスケープウイルスにおいて頻繁に変異される理由及び感染を制御するためにbNAbの組み合わせが必要とされる理由を説明するのに役立つ。ヒト化マウスにおけるインビボ実験は、bNAbが保護的であり、併用された場合に治癒法となり得ることを実証する。
本明細書に記載される任意の抗体は、その定常領域の少なくとも1つの改変(修飾)を含むことができる。改変は、任意の1つ以上のアミノ酸について行われてもよい。改変は、複数の望ましい効果のいずれかを有し得る。特定のアプローチでは、改変は、抗体のインビボ半減期を増加させるか、又は抗体がFcレセプターに結合する能力を変化させるか、又は抗体が胎盤を通過する、又は血液脳関門を通過する、又は血液精巣関門を通過する能力を変化させるか、又は抗体の凝集を阻害するか、又は前記改変の組み合わせであり、またこの際、前記抗体は標識又は基質に付着されている。複数の実施形態において、改変は、抗体の製造可能性を向上させる。複数の実施形態において、本明細書に記載される任意の抗体又はその組み合わせは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISAアッセイ)、又はELISAアッセイコントロールのような免疫学的アッセイ中に存在し得る。ELISAアッセイは、直接ELISAアッセイ、間接ELISAアッセイ、サンドイッチELISAアッセイ、又は競合ELISAアッセイのいずれであってもよい。
別の態様において、本開示は、有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの抗体又はその抗原結合フラグメントを、それを必要とする個体に投与することを含む、肝炎ウイルス感染を予防又は治療するための方法を提供する。抗体は、定常領域の少なくとも1つの改変を含むことができる。複数の実施形態において、組成物は、B型肝炎ウイルスに感染しているか又は感染しているリスクがある個体に投与される。1つのアプローチでは、少なくとも2つの抗体が投与され、ここで、必要に応じて前記2つの抗体は、別個のHBVエピトープを認識する。一実施形態において、少なくとも2つの別個の抗体を投与することは、前記抗体に対して耐性を示すウイルスの形成を抑制する。
別の態様では、本開示は、ワクチン製剤を提供する。一実施形態において、ワクチン製剤は、単離されたペプチドもしくは組換えペプチド、又は前記ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ここで、前記ペプチドは、HepB免疫抵抗によって頻繁に標的化されるエピトープから誘導され、これは反対に荷電された残基によって固定されたループ内に配置されている(本明細書でさらに記載されるように)。
別の態様では、本開示は、1つ以上の組換え発現ベクター、及び該発現ベクターを含むキットを提供する。発現ベクターは、本明細書に記載のいずれかの抗体の少なくとも重鎖及び軽鎖CDRをコードする。組換え発現ベクターを含む細胞も、抗体を発現する発現ベクターを含む細胞を培養し、細胞から抗体を分離することにより抗体を作製する方法と同様に含まれる。このような細胞及び/又は抗体を含む細胞培養培地も含まれる。
[図1]
HBVワクチン接種済み及び回復個体における抗体応答。
(A)ドナースクリーン。159人のボランティアからの血清を、ELISAにより抗-HBs結合(x軸)について、及びHepG2-NTCP細胞を用いてHBV血清中和能(y軸)について評価した。y軸上の血清中和能は、感染したHepG2-NTCP細胞の相対割合の逆数として算出した。未暴露ナイーブドナーの値は、1にほぼ等しい。最終アッセイ体積中、1:5の血清希釈で中和試験を行った。各ドットは、個々のドナーを表す。緑は、ワクチン接種無し・暴露無しを示し、黒はワクチン接種済みを示し、赤は自然回復を示す。破線は無血清対照を示している。上位中和者(4よりも高い血清中和能)を示す(右上)。四角で囲まれているのは、図2Aに示される代表的なサンプルである。スピアマンの順位相関係数(rs)と有意値(p)。
(B及びC)血清(B)による又は精製IgG(C)による用量依存性HBV中和。2つのアッセイを用いて感染のパーセントを測定した:ELISAにより、培地中のHBsAgタンパク質を測定し(上部パネル)、HepG2-NTCP中のHBcAgの免疫蛍光染色を行った(下部パネル)。破線は、ウイルスのみの対照を示す。
(D)HBV表面タンパク質の3つの形態:L-、M-、及びS-タンパク質を示す概略図。エンベロープタンパク質のこれらの3つの形態は、すべて同じS領域を共有し、PreS1/PreS2、及びPreS2単独はそれぞれ、L-及びM-タンパク質のためのN-末端延長部である。
(E)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生されるS-タンパク質は、血清中和活性を阻害する。グラフは、S-タンパク質の添加量の関数としての感染効率を示す。ポリクローナルIgG抗体(pAb)の濃度を示す。上下のパネルは、(B)及び(C)と同様である。少なくとも2つの実験の代表が示されている。図8及び表S1も参照。
HBVワクチン接種済み及び回復個体における抗体応答。
(A)ドナースクリーン。159人のボランティアからの血清を、ELISAにより抗-HBs結合(x軸)について、及びHepG2-NTCP細胞を用いてHBV血清中和能(y軸)について評価した。y軸上の血清中和能は、感染したHepG2-NTCP細胞の相対割合の逆数として算出した。未暴露ナイーブドナーの値は、1にほぼ等しい。最終アッセイ体積中、1:5の血清希釈で中和試験を行った。各ドットは、個々のドナーを表す。緑は、ワクチン接種無し・暴露無しを示し、黒はワクチン接種済みを示し、赤は自然回復を示す。破線は無血清対照を示している。上位中和者(4よりも高い血清中和能)を示す(右上)。四角で囲まれているのは、図2Aに示される代表的なサンプルである。スピアマンの順位相関係数(rs)と有意値(p)。
(B及びC)血清(B)による又は精製IgG(C)による用量依存性HBV中和。2つのアッセイを用いて感染のパーセントを測定した:ELISAにより、培地中のHBsAgタンパク質を測定し(上部パネル)、HepG2-NTCP中のHBcAgの免疫蛍光染色を行った(下部パネル)。破線は、ウイルスのみの対照を示す。
(D)HBV表面タンパク質の3つの形態:L-、M-、及びS-タンパク質を示す概略図。エンベロープタンパク質のこれらの3つの形態は、すべて同じS領域を共有し、PreS1/PreS2、及びPreS2単独はそれぞれ、L-及びM-タンパク質のためのN-末端延長部である。
(E)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生されるS-タンパク質は、血清中和活性を阻害する。グラフは、S-タンパク質の添加量の関数としての感染効率を示す。ポリクローナルIgG抗体(pAb)の濃度を示す。上下のパネルは、(B)及び(C)と同様である。少なくとも2つの実験の代表が示されている。図8及び表S1も参照。
[図2]S-タンパク質-特異的抗体。
(A)S-タンパク質特異的メモリーB細胞の頻度。代表的なフローサイトメトリープロットは、アロフィコシアニン-及びフィコエリトリンで標識されたS-タンパク質(S-タンパク質-APC及びS-タンパク質-PE)の両方に結合する全IgG+メモリーB細胞のパーセンテージを示す。他の個体からのフローサイトメトリープロットを図9Aに示す。実験は2回繰り返した。
(B)S-タンパク質結合IgG+メモリーB細胞の頻度と血清中和活性との間の相関関係を示すドットプロット。スピアマンの順位相関係数(rs)と有意値(p)。
(C)各円グラフは個々のドナーからの抗体を表し、円の中心に、対をなす重鎖及び軽鎖を有する配列決定された抗体の総数を示す。各個体における、IGH及びIGL可変遺伝子配列の同じ組み合わせ並びに密接に関連するCDR3を有する抗体が示されている。同一色の区域は、個体間でIGHとIGL可変遺伝子の同一又は類似の組み合わせを有する共有抗体を示す(図9B)。灰色の区域は、単一のドナーに特有である、密接に関連する配列を有する抗体を示す。白色はシングレットである。
(D)それぞれ、ドナー#60/#146(H006及びH008)、#146/#13(H014及びH012)、及び、#13/#60/#146(H021、H003及びH004)からの代表的なIGHV3-30/IGLV3-21、IGHV3-33/IGLV3-21、及び、IGHV3-23/IGLV3-21抗体のV(D)Jアラインメント。囲われている灰色の残基は、抗体の間で共有されている。図9及び表S2も参照。図は、それぞれ出現順に配列番号1438~1451を開示している。
(A)S-タンパク質特異的メモリーB細胞の頻度。代表的なフローサイトメトリープロットは、アロフィコシアニン-及びフィコエリトリンで標識されたS-タンパク質(S-タンパク質-APC及びS-タンパク質-PE)の両方に結合する全IgG+メモリーB細胞のパーセンテージを示す。他の個体からのフローサイトメトリープロットを図9Aに示す。実験は2回繰り返した。
(B)S-タンパク質結合IgG+メモリーB細胞の頻度と血清中和活性との間の相関関係を示すドットプロット。スピアマンの順位相関係数(rs)と有意値(p)。
(C)各円グラフは個々のドナーからの抗体を表し、円の中心に、対をなす重鎖及び軽鎖を有する配列決定された抗体の総数を示す。各個体における、IGH及びIGL可変遺伝子配列の同じ組み合わせ並びに密接に関連するCDR3を有する抗体が示されている。同一色の区域は、個体間でIGHとIGL可変遺伝子の同一又は類似の組み合わせを有する共有抗体を示す(図9B)。灰色の区域は、単一のドナーに特有である、密接に関連する配列を有する抗体を示す。白色はシングレットである。
(D)それぞれ、ドナー#60/#146(H006及びH008)、#146/#13(H014及びH012)、及び、#13/#60/#146(H021、H003及びH004)からの代表的なIGHV3-30/IGLV3-21、IGHV3-33/IGLV3-21、及び、IGHV3-23/IGLV3-21抗体のV(D)Jアラインメント。囲われている灰色の残基は、抗体の間で共有されている。図9及び表S2も参照。図は、それぞれ出現順に配列番号1438~1451を開示している。
[図3]幅広い交差反応性
(A)S-タンパク質への結合(adr血清型)。表記のヒトモノクローナル抗体をS-タンパク質に結合させるのに必要な50%有効濃度(EC50(ng/ml))。リビビルマブ(Libivirumab)(Eren et al., 2000; Eren et al., 1998)、及び抗-HIV抗体10-1074(Mouquet et al., 2012)を、それぞれ陽性及び陰性対照として使用した。すべての抗体を試験した。
(B)抗体H006、H019、及びH020の成熟及び未変異共通祖先(UCA)の、S-タンパク質への結合の比較(ELISAによる)。
(C)HBsAgの5つの異なる血清型への抗-HBs抗体の結合。パネル(A)と同様に、EC50値を色分けした:赤、≦50 ng/ml;オレンジ、50~100 ng/ml;黄、100~200 ng/ml;白、>200ng/ml。略語b.d.は、検出限界未満を示す。すべての抗体を試験した。すべての実験を少なくとも2回行った。図10も参照。
(A)S-タンパク質への結合(adr血清型)。表記のヒトモノクローナル抗体をS-タンパク質に結合させるのに必要な50%有効濃度(EC50(ng/ml))。リビビルマブ(Libivirumab)(Eren et al., 2000; Eren et al., 1998)、及び抗-HIV抗体10-1074(Mouquet et al., 2012)を、それぞれ陽性及び陰性対照として使用した。すべての抗体を試験した。
(B)抗体H006、H019、及びH020の成熟及び未変異共通祖先(UCA)の、S-タンパク質への結合の比較(ELISAによる)。
(C)HBsAgの5つの異なる血清型への抗-HBs抗体の結合。パネル(A)と同様に、EC50値を色分けした:赤、≦50 ng/ml;オレンジ、50~100 ng/ml;黄、100~200 ng/ml;白、>200ng/ml。略語b.d.は、検出限界未満を示す。すべての抗体を試験した。すべての実験を少なくとも2回行った。図10も参照。
[図4]HBsAgエピトープ
(A)競合ELISAは、3つの群の抗体を定義する。競合ELISAの結果は、ビオチン化抗体による結合%として示され、色で説明される:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%;白は>76%。弱い結合剤(H002, H012, H013, H014, H01)は排除した。2つの実験を代表する。
(B)S-タンパク質のアラニンスキャニング変異体に対するELISAの結果。抗体結合に不可欠なアミノ酸のみが示される。野生型S-タンパク質と比べた変異体への結合:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%;白は>75%。さらなる詳細は図11に示される。
(C)S-タンパク質のヒトエスケープ変異に対するELISAの結果。野生型S-タンパク質及び空ベクターは、それぞれ陽性及び陰性対照として役立つ。野生型S-タンパク質と比べた変異体への結合:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%;白は>75%。太字のアミノ酸変異は、ヒトにおいて頻繁に観察される変異を表す(Ma and Wang, 2012)。(B及びC)で試験した抗体は、それらの中和活性に基づいてグループ-I、-II、-IIIから選択された(図5A~5C)。すべての実験を少なくとも2回行った。図11も参照。
(A)競合ELISAは、3つの群の抗体を定義する。競合ELISAの結果は、ビオチン化抗体による結合%として示され、色で説明される:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%;白は>76%。弱い結合剤(H002, H012, H013, H014, H01)は排除した。2つの実験を代表する。
(B)S-タンパク質のアラニンスキャニング変異体に対するELISAの結果。抗体結合に不可欠なアミノ酸のみが示される。野生型S-タンパク質と比べた変異体への結合:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%;白は>75%。さらなる詳細は図11に示される。
(C)S-タンパク質のヒトエスケープ変異に対するELISAの結果。野生型S-タンパク質及び空ベクターは、それぞれ陽性及び陰性対照として役立つ。野生型S-タンパク質と比べた変異体への結合:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%;白は>75%。太字のアミノ酸変異は、ヒトにおいて頻繁に観察される変異を表す(Ma and Wang, 2012)。(B及びC)で試験した抗体は、それらの中和活性に基づいてグループ-I、-II、-IIIから選択された(図5A~5C)。すべての実験を少なくとも2回行った。図11も参照。
[図5]モノクローナル抗体によるインビトロ中和
(A及びB)HepG2-NTCP細胞を用いたインビトロ中和アッセイ。表示濃度のbNAbの存在下での感染率;ELISAにより測定;培地中のHBsAg(A)及び抗-HBcAg免疫蛍光(B)。抗-HIV抗体10-1074(Mouquet et al., 2012)及びリビビルマブ(Eren et al., 2000; Eren et al., 1998)を、それぞれ陰性及び陽性対照として使用した。対応するIC50は、パネルの左と中央のカラムに示されている(C)。すべての実験を最低2回繰り返した。
(C)HBsAg ELISAに基づいて計算されたbNAb 50%最大阻害濃度(IC50)(左カラム)、HepG2-NTCP細胞を用いたインビトロ中和アッセイのためのHBcAg免疫蛍光(中央カラム)、又は初代ヒト肝細胞を用いたインビトロ中和のためのHBeAg ELISA(右カラム)。ここで、略語b.d.(below detection)とn.d.(not done)は、それぞれ検出限界未満と、実験を行わなかったことを示している。
(D)初代ヒト肝細胞を用いたインビトロ中和。培地中のHBeAgのレベルをELISAにより測定した。算出されたIC50値をパネルの右カラムに示す(C)。実験は3回繰り返した。
(E)HepG2-NTCP細胞を用いたインビトロ中和アッセイ。IgG抗体を、対応するFabフラグメントと比較した。Fabフラグメントの濃度は、IgGに対応するように調整した。実験は2回行った。図12も参照。
(A及びB)HepG2-NTCP細胞を用いたインビトロ中和アッセイ。表示濃度のbNAbの存在下での感染率;ELISAにより測定;培地中のHBsAg(A)及び抗-HBcAg免疫蛍光(B)。抗-HIV抗体10-1074(Mouquet et al., 2012)及びリビビルマブ(Eren et al., 2000; Eren et al., 1998)を、それぞれ陰性及び陽性対照として使用した。対応するIC50は、パネルの左と中央のカラムに示されている(C)。すべての実験を最低2回繰り返した。
(C)HBsAg ELISAに基づいて計算されたbNAb 50%最大阻害濃度(IC50)(左カラム)、HepG2-NTCP細胞を用いたインビトロ中和アッセイのためのHBcAg免疫蛍光(中央カラム)、又は初代ヒト肝細胞を用いたインビトロ中和のためのHBeAg ELISA(右カラム)。ここで、略語b.d.(below detection)とn.d.(not done)は、それぞれ検出限界未満と、実験を行わなかったことを示している。
(D)初代ヒト肝細胞を用いたインビトロ中和。培地中のHBeAgのレベルをELISAにより測定した。算出されたIC50値をパネルの右カラムに示す(C)。実験は3回繰り返した。
(E)HepG2-NTCP細胞を用いたインビトロ中和アッセイ。IgG抗体を、対応するFabフラグメントと比較した。Fabフラグメントの濃度は、IgGに対応するように調整した。実験は2回行った。図12も参照。
[図6]認識モチーフに結合したH015の結晶構造。高解像度(1.78Å)構造を得るために単結晶を使用した。
(A)抗原ループ領域にまたがる合成ペプチド(出現の順にそれぞれ配列番号1452~1455)を、抗体結合のためのELISAに供した。試験された抗体の中では、H015のみがペプチド-11及び-12に結合する。実験は3回実施され、詳細は図13に示される。
(B及びC)前記ペプチドは、H015重鎖(緑)のCDR1(R31)、CDR2(W52及びF53)、及びCDR3(E99、P101、L103、及びL104)、並びに、軽鎖(シアン)のCDR3(P95)に結合する(B)。重鎖(緑)の相互作用残基(C)は、R31(主鎖)、W52、F53(主鎖)、E99、P101(主鎖)、L103(主鎖)、L104(疎水性)である。軽鎖(シアン)との接触はP95である。
(D)2Fo-Fcマップに見られるように、結合ペプチドの電子密度マップは、1 RMSDで輪郭を付けられ、高占有率(92%)を示唆する。
(E)認識モチーフであるKPSDGN(配列番号1)は、K141とD144との間の塩橋に起因するシャープなヘアピン構造を採用し、P142及びG145でのねじれによって促進される。グリシン145(G145、丸で囲まれる)は、アルギニンに変異したときに免疫系からエスケープする残基である。図13も参照。
(A)抗原ループ領域にまたがる合成ペプチド(出現の順にそれぞれ配列番号1452~1455)を、抗体結合のためのELISAに供した。試験された抗体の中では、H015のみがペプチド-11及び-12に結合する。実験は3回実施され、詳細は図13に示される。
(B及びC)前記ペプチドは、H015重鎖(緑)のCDR1(R31)、CDR2(W52及びF53)、及びCDR3(E99、P101、L103、及びL104)、並びに、軽鎖(シアン)のCDR3(P95)に結合する(B)。重鎖(緑)の相互作用残基(C)は、R31(主鎖)、W52、F53(主鎖)、E99、P101(主鎖)、L103(主鎖)、L104(疎水性)である。軽鎖(シアン)との接触はP95である。
(D)2Fo-Fcマップに見られるように、結合ペプチドの電子密度マップは、1 RMSDで輪郭を付けられ、高占有率(92%)を示唆する。
(E)認識モチーフであるKPSDGN(配列番号1)は、K141とD144との間の塩橋に起因するシャープなヘアピン構造を採用し、P142及びG145でのねじれによって促進される。グリシン145(G145、丸で囲まれる)は、アルギニンに変異したときに免疫系からエスケープする残基である。図13も参照。
[図7]抗-HBs bNAbは、インビボで保護的及び治療的作用を示す。
(A及びE)それぞれ、予防及び治療プロトコルの図。
(B)アイソタイプ対照抗体10-1074による予防(Mouquet et al., 2012)。
(C及びD)それぞれ、H020及びH007による予防。(B-D)における破線は、検出限界を示す。
(F)対照抗体10-1074を用いたウイルス血症huFNRGマウスの治療。
(G及びH)それぞれ、H020単独又はH007単独を用いたウイルス血症huFNRGマウスの治療。血清中のHBV DNAレベルを週ベースでモニターした。合計で5~8匹のマウスからなる独立した2回の実験を組み合わせて表示した。
(I)(G)、(H)及び(J)において表記されたマウス(赤色矢印)由来のS-タンパク質配列における変異。S-タンパク質配列クロマトグラムは、図14に示される。
(J-L)それぞれ、抗-HBs bNAb H006+H007(J)、又はH017+H019(K)、又はH016+H017+H019(L)の組み合わせによるウイルス血症huFNRGマウスの治療。配列決定は、(K)及び(J)におけるマウスのいずれも、S-タンパク質中にエスケープ変異を有するウイルスを保有していないことを示した。図14も参照。
(A及びE)それぞれ、予防及び治療プロトコルの図。
(B)アイソタイプ対照抗体10-1074による予防(Mouquet et al., 2012)。
(C及びD)それぞれ、H020及びH007による予防。(B-D)における破線は、検出限界を示す。
(F)対照抗体10-1074を用いたウイルス血症huFNRGマウスの治療。
(G及びH)それぞれ、H020単独又はH007単独を用いたウイルス血症huFNRGマウスの治療。血清中のHBV DNAレベルを週ベースでモニターした。合計で5~8匹のマウスからなる独立した2回の実験を組み合わせて表示した。
(I)(G)、(H)及び(J)において表記されたマウス(赤色矢印)由来のS-タンパク質配列における変異。S-タンパク質配列クロマトグラムは、図14に示される。
(J-L)それぞれ、抗-HBs bNAb H006+H007(J)、又はH017+H019(K)、又はH016+H017+H019(L)の組み合わせによるウイルス血症huFNRGマウスの治療。配列決定は、(K)及び(J)におけるマウスのいずれも、S-タンパク質中にエスケープ変異を有するウイルスを保有していないことを示した。図14も参照。
[図8]HBVに対する抗体免疫応答の特性評価(図1に関連)
(A)HBV感染の異なる段階の概略図である。ワクチン接種した個体、あるいは感染したが自然に回復した個体が、この研究のために募集された。
(B)159人のボランティアからの血清(最終アッセイ体積では1:50希釈)をスクリーニングした(図1Aも参照)。
(C-E)異なる個体グループ間での、抗-HBs ELISA力価の比較(上部パネル)と、それらの血清中和能の比較(下部パネル)。ワクチン接種済み又は回復した個体は、未感染・非ワクチン接種個体よりも、統計的により高い抗-HBs力価(上パネル、C)及びより強力な中和活性(下パネル、C)を示す。より若い個体(45歳以下)は、HBsAgに対してわずかに高い抗体免疫応答を示した(D)。性別間では差異が認められなかった(E)。
(A)HBV感染の異なる段階の概略図である。ワクチン接種した個体、あるいは感染したが自然に回復した個体が、この研究のために募集された。
(B)159人のボランティアからの血清(最終アッセイ体積では1:50希釈)をスクリーニングした(図1Aも参照)。
(C-E)異なる個体グループ間での、抗-HBs ELISA力価の比較(上部パネル)と、それらの血清中和能の比較(下部パネル)。ワクチン接種済み又は回復した個体は、未感染・非ワクチン接種個体よりも、統計的により高い抗-HBs力価(上パネル、C)及びより強力な中和活性(下パネル、C)を示す。より若い個体(45歳以下)は、HBsAgに対してわずかに高い抗体免疫応答を示した(D)。性別間では差異が認められなかった(E)。
[図9]抗-HBsの抗体クローニング及び配列解析(図2に関連)
(A)全12人のドナーの末梢血単核細胞におけるS-タンパク質特異的メモリーB細胞の頻度。詳細は、図2Aと同様である。
(B)円グラフは、抗-HBs抗体の分布を示す。図の説明は図2Cと同様である。各区分についてVH及びVL遺伝子が示され、20個の選択された抗-HBs抗体が標識される。
(C)IGH Fab領域に基づくすべてのクローン化された抗-HBs抗体の系統樹。HBsAgで選別された244のメモリーB細胞からのIGH Fab領域を整列させてツリー構造とした。
(A)全12人のドナーの末梢血単核細胞におけるS-タンパク質特異的メモリーB細胞の頻度。詳細は、図2Aと同様である。
(B)円グラフは、抗-HBs抗体の分布を示す。図の説明は図2Cと同様である。各区分についてVH及びVL遺伝子が示され、20個の選択された抗-HBs抗体が標識される。
(C)IGH Fab領域に基づくすべてのクローン化された抗-HBs抗体の系統樹。HBsAgで選別された244のメモリーB細胞からのIGH Fab領域を整列させてツリー構造とした。
[図10]20種の抗-HBs抗体の自己反応性(図3に関連)
(A)モノクローナル抗体の自己反応性。陽性対照抗体は、HEp-2細胞の核を効率的に染色する。20種の抗-HBs抗体、ならびに、抗-HBs抗体リビビルマブ及び抗-HIV抗体10-1074も試験した。
(B)20種の抗-HBs抗体の多反応性プロファイル。ELISAは、以下の抗原に結合する抗体を測定する:二本鎖DNA(dsDNA)、インスリン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、リポ多糖類(LPS)、一本鎖DNA(ssDNA)。赤及び緑の線は、それぞれ、陽性対照抗体ED38及び陰性対照抗体mGO53を表し、破線は陽性反応性のためのカットオフ値を示す(Gitlin et al., 2016)。
(A)モノクローナル抗体の自己反応性。陽性対照抗体は、HEp-2細胞の核を効率的に染色する。20種の抗-HBs抗体、ならびに、抗-HBs抗体リビビルマブ及び抗-HIV抗体10-1074も試験した。
(B)20種の抗-HBs抗体の多反応性プロファイル。ELISAは、以下の抗原に結合する抗体を測定する:二本鎖DNA(dsDNA)、インスリン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、リポ多糖類(LPS)、一本鎖DNA(ssDNA)。赤及び緑の線は、それぞれ、陽性対照抗体ED38及び陰性対照抗体mGO53を表し、破線は陽性反応性のためのカットオフ値を示す(Gitlin et al., 2016)。
[図11]アラニンスキャニング及びペプチドスクリーニング(図4に関連)
(A)HBsAgのアラニンスキャニング変異体に対するELISAの結果。変異体への結合は、野生型S-タンパク質に対して正規化された:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%、白は>76%。実験は3回行った。下線が付された、システイン、アラニン、及び、S-蛋白質産生に重要であることが知られているアミノ酸は、変異していなかった(Salisse and Sureau, 2009)。図は、配列番号1456を開示する。
(B)アラニンスキャニング結果の概略図。図は、一次アミノ酸配列を配列番号1456として、アラニン変異を含む配列を配列番号1457として開示している。
(A)HBsAgのアラニンスキャニング変異体に対するELISAの結果。変異体への結合は、野生型S-タンパク質に対して正規化された:黒は0~25%;暗い灰色は26~50%;明るい灰色は51~75%、白は>76%。実験は3回行った。下線が付された、システイン、アラニン、及び、S-蛋白質産生に重要であることが知られているアミノ酸は、変異していなかった(Salisse and Sureau, 2009)。図は、配列番号1456を開示する。
(B)アラニンスキャニング結果の概略図。図は、一次アミノ酸配列を配列番号1456として、アラニン変異を含む配列を配列番号1457として開示している。
[図12]抗-HBs bNAbの未変異共通祖先抗体又は組み合わせのインビトロ中和アッセイ(図5に関連)
(A-B)抗-HBs bNAb及びそれらの対応する未変異共通祖先(UCA)抗体のインビトロ中和アッセイ。相対感染率は、培地中のHBsAgタンパク質レベル(A)又は細胞内HBcAg染色(B)のどちらかに基づいて算出した。
(C)異なるエピトープを認識する抗-HBs bNAb、及び同じ総量の抗体の組み合わせ(1:1又は1:1:1の比)のインビトロ中和アッセイ。
(A-B)抗-HBs bNAb及びそれらの対応する未変異共通祖先(UCA)抗体のインビトロ中和アッセイ。相対感染率は、培地中のHBsAgタンパク質レベル(A)又は細胞内HBcAg染色(B)のどちらかに基づいて算出した。
(C)異なるエピトープを認識する抗-HBs bNAb、及び同じ総量の抗体の組み合わせ(1:1又は1:1:1の比)のインビトロ中和アッセイ。
[図13]H015及びその線状エピトープの結晶構造の詳細情報(図6に関連)
(A)抗原ループ領域のための合成ペプチド(それぞれ、出現順に配列番号1458~1476)を、抗体結合のためのELISAに供した。試験された抗体のうち、H015のみがペプチド-11及び-12に結合する。
(B)H015 Fabのためのデータ収集及び改良統計が要約される。最高解像度シェルについての統計が、括弧内に示されている。Refinement program PHENIX 1.16
(C)緑/赤の密集は、バイアスされていない省略マップである。赤は、ノイズに等しい負の密集である。
(D)ペプチド内の接触、及びFabフラグメントとペプチドとの間の接触の表。
(A)抗原ループ領域のための合成ペプチド(それぞれ、出現順に配列番号1458~1476)を、抗体結合のためのELISAに供した。試験された抗体のうち、H015のみがペプチド-11及び-12に結合する。
(B)H015 Fabのためのデータ収集及び改良統計が要約される。最高解像度シェルについての統計が、括弧内に示されている。Refinement program PHENIX 1.16
(C)緑/赤の密集は、バイアスされていない省略マップである。赤は、ノイズに等しい負の密集である。
(D)ペプチド内の接触、及びFabフラグメントとペプチドとの間の接触の表。
[図14]抗体-治療huFNRGマウスにおけるHBV DNAレベル及びS-タンパク質配列(図7に関連)
(A)対照抗体10-1074、抗-HBs bNAb H020、抗-HBs bNAb H007、抗-HBs bNAbの組み合わせ(H006+H007)、(H017+H019)、及び(HO16+HO17+HO 19)で治療された代表的な個々のhuFNRGマウスにおけるHBV DNAレベル。マウス血清中のHBV DNAレベルを、週ベースでモニターした。矢印のないマウスは、最終時点でエスケープ変異を有していない。
(B)表示されたマウス(矢印及び数字)由来のS-タンパク質配列の一部を、クロマトグラムとして以下に示す(矢じりで示す変異を有する)。(B)は、S-タンパク質のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列を、配列番号1477及び1478としてそれぞれ開示する。アミノ酸残基及びヌクレオチドを開示する後続のクロマトグラムによって表される配列は、カラムの順にそれぞれ、配列番号1479、1480、1480、1480-1482、1479、1478、1480、1480、1478、1480、及び1483-1488である。
(C-D)抗体注入前後のマウス血清中のHBsAgレベル。マウスを、抗-HBsの組み合わせH017+H019(C)(図7K参照)、及びH016+H017+H019(D)(図7L参照)で治療した。各ラインは、各マウスを、NCU/ml(national clinical units per milliliter)で表された血清HBsAgレベルの濃度と共に表す。
(A)対照抗体10-1074、抗-HBs bNAb H020、抗-HBs bNAb H007、抗-HBs bNAbの組み合わせ(H006+H007)、(H017+H019)、及び(HO16+HO17+HO 19)で治療された代表的な個々のhuFNRGマウスにおけるHBV DNAレベル。マウス血清中のHBV DNAレベルを、週ベースでモニターした。矢印のないマウスは、最終時点でエスケープ変異を有していない。
(B)表示されたマウス(矢印及び数字)由来のS-タンパク質配列の一部を、クロマトグラムとして以下に示す(矢じりで示す変異を有する)。(B)は、S-タンパク質のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列を、配列番号1477及び1478としてそれぞれ開示する。アミノ酸残基及びヌクレオチドを開示する後続のクロマトグラムによって表される配列は、カラムの順にそれぞれ、配列番号1479、1480、1480、1480-1482、1479、1478、1480、1480、1478、1480、及び1483-1488である。
(C-D)抗体注入前後のマウス血清中のHBsAgレベル。マウスを、抗-HBsの組み合わせH017+H019(C)(図7K参照)、及びH016+H017+H019(D)(図7L参照)で治療した。各ラインは、各マウスを、NCU/ml(national clinical units per milliliter)で表された血清HBsAgレベルの濃度と共に表す。
他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
本明細書に記載のすべての数値範囲は、その上限値及び下限値、並びにその範囲に該当するすべてのより狭い数値範囲を、あたかもそのようなより狭い数値範囲が本明細書にすべて明示的に記載されているかのように、含む。
本開示は、本明細書、表及び図面に記載のあらゆるヌクレオチド配列、及びそれらに相補的なすべての配列、DNA配列のRNA等価物、本明細書に記載のすべてのアミノ酸配列、及び前記アミノ酸配列をコードするすべてのポリヌクレオチド配列を含む。すべての抗体配列及びそれらの機能的フラグメントが含まれる。ポリヌクレオチド及びアミノ酸配列は、80%~99%の類似性(包括的であり、それらの間に存在する数字の範囲を含む)を有し、本明細書に提供される配列を有し、本発明に含まれる。本明細書に記載のすべてのアミノ酸配列は、前記アミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチドの機能に悪影響を及ぼさない、アミノ酸置換(保存的置換など)を含むことができる。本明細書で参照される場合、「抗体」は、必ずしも単一の抗体分子を意味するものではないことが認識されるであろう。例えば、「抗体を投与する」ことは、複数の同じ抗体を投与することを含む。同様に、「抗体」を含む組成物は、複数の同じ抗体を含んでもよい。
本開示のアミノ酸配列及びポリヌクレオチド配列には、配列の連続セグメントが含まれ、2つのアミノ酸から全長タンパク質配列までの範囲にわたり得る。このようなセグメントをコードするポリヌクレオチド配列も含まれる。
本開示は、抗体及びその抗原フラグメント、並びに任意のウイルスペプチドをコードするDNA及びRNA配列を含み、これらは、予防及び治療アプローチにおいて、タンパク質又はDNA及び/又はRNAワクチンとして使用するために本明細書に記載されており、本開示の利益の下で、既知のアプローチに従って製剤化及び/又は送達されてもよい。本開示は、本明細書に記載されている、抗体、その抗原結合フラグメント、及び任意のウイルスタンパク質又はペプチドをコードするcDNA配列を含む。cDNAを含む発現ベクターも含まれ、前記抗体、その抗原結合フラグメント、並びにウイルスタンパク質及びペプチドをコードする。
この出願又は特許の図面、テキスト、及び表に記載のすべての配列は、すべてのドナーIDに関連するあらゆるアミノ酸配列、及びすべての相補性決定領域(CDR)に対するアミノ酸配列のすべての可能な組み合わせを含む(例えば、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3配列のすべての組み合わせ、並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3配列のすべての組み合わせ、また、重鎖配列、及びラムダ又はカッパ軽鎖配列のいずれかである軽鎖配列を含む)。本開示は、本明細書に記載の抗体のすべての組み合わせを含む。また、抗体の任意の組み合わせから1種以上の抗体を排除してもよい。
本開示は、1種以上のB型肝炎タンパク質とのインビトロ複合体中に存在する、本明細書に記載の抗体を含む。
複数の実施形態において、本開示は、B型肝炎ウイルスエピトープに特異的に結合する単離された抗体又は組換え抗体を提供し、ここで、抗体は、アミノ酸配列の改変を含んでいてもよく、これには定常領域の改変が含まれるが、それに限定されない。
複数の実施形態において、本明細書に記載の1種以上の抗体は、未変異形又は変異形のHBsAgタンパク質又はS-タンパク質に存在するエピトープに、特異的に結合する。
複数の実施形態において、本明細書に記載の抗体は、1つ以上のHepBエスケープ変異を含むB型肝炎タンパク質に結合する。複数の実施形態において、抗体は、小さな中性残基が、大きく正に荷電した残基で置換された変異を含むB型肝炎ウイルスタンパク質に結合する。複数の実施形態において、この変異は、当該技術分野で既知の、いわゆる"a"決定領域に存在する。複数の実施形態において、エピトープはHBsAgタンパク質の主要な親水性領域に存在する。複数の実施形態において、抗体が結合するエピトープは、S-タンパク質(S-タンパク質の予測又は実際の細胞外ドメインを含むが、必ずしもこれらに限定されない)中に存在する。
複数の実施形態において、記載された抗体が結合するエピトープは、HBsAg L-タンパク質、M-タンパク質、又はS-タンパク質に共通である。複数の実施形態において、抗体は、HBsAgのL-タンパク質バージョンに存在するエピトープに結合し、これは、受入番号AAL66340.1を介してアクセス可能であるアミノ酸配列を含み、そのアミノ酸配列は、この出願又は特許の出願日にデータベースに存在している。一実施形態において、このアミノ酸配列は、次の通りである:
MGGWSSKPRQGMGTNLSVPNPLGFFPDHQLDPAFGANSNNPDWDFNPNKDHWPEANQVGAGAFGPGFTPPHGGLLGWSPQAQGILTTVPVAPPPASTNRQSGRQPTPISPPLRDSHPQAMQWNSTTFHQALLDPRVRGLYFPAGGSSSGTVNPVPTTASPISSIFSRTGDPAPNMESTTSGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGAPTCPGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLLPGTSTTSTGPCKTCTSPAQGTSMFPSCCCTKPSDGNCTCIPIPSSWAFARFLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSVIWMMWYWGPCLYNILSPFLPLLPIFFCLWVYI (配列番号2)
MGGWSSKPRQGMGTNLSVPNPLGFFPDHQLDPAFGANSNNPDWDFNPNKDHWPEANQVGAGAFGPGFTPPHGGLLGWSPQAQGILTTVPVAPPPASTNRQSGRQPTPISPPLRDSHPQAMQWNSTTFHQALLDPRVRGLYFPAGGSSSGTVNPVPTTASPISSIFSRTGDPAPNMESTTSGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGAPTCPGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLLPGTSTTSTGPCKTCTSPAQGTSMFPSCCCTKPSDGNCTCIPIPSSWAFARFLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSVIWMMWYWGPCLYNILSPFLPLLPIFFCLWVYI (配列番号2)
複数の実施形態において、本開示は、2種類のタンパク質のみを使用すること、又は少なくとも2種類のたんぱく質を使用することを含む。複数の実施形態において、S-タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は任意の他の適切な細胞型(ヒト細胞培養物を含むがこれに限定されない)から精製したB細胞を選別するためのベイトとして使用されてもよい。複数の実施形態において、S-タンパク質は、Uniprot ID_P30019の下で利用可能なアミノ酸配列を含むか、又はこのアミノ酸配列のみからなり、このアミノ酸配列は、この出願又は特許の出願日にデータベースに存在しているため、本明細書に包含される。一実施形態において、S-タンパク質は、次の配列を含む;
MENTASGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGAPTCPGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYHGMLPVCPLLPGTSTTSTGPCKTCTIPAQGTSMFPSCCCTKPSDGNCTCIPIPSSWAFARFLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSVIWMMWYWGPSLYNILSPFLPLLPIFFCLWVYI (配列番号3)
MENTASGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGAPTCPGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYHGMLPVCPLLPGTSTTSTGPCKTCTIPAQGTSMFPSCCCTKPSDGNCTCIPIPSSWAFARFLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSVIWMMWYWGPSLYNILSPFLPLLPIFFCLWVYI (配列番号3)
非限定的な実施形態において、アラニンスキャニングのために使用されるSポリヌクレオチド配列は、以下の配列を含む:
ATGGAGAACATCACATCAGGATTCCTAGGACCCCTGCTCGTGTTACAGGCGGGGTTTTTCTTGTTGACAAGAATCCTCACAATACCGCAGAGTCTAGACTCGTGGTGGACTTCTCTCAATTTTCTAGGGGGATCTCCCGTGTGTCTTGGCCAAAATTCGCAGTCCCCAACCTCCAATCACTCACCAACCTCCTGTCCTCCAATTTGTCCTGGTTATCGCTGGATGTGTCTGCGGCGTTTTATCATATTCCTCTTCATCCTGCTGCTATGCCTCATCTTCTTATTGGTTCTTCTGGATTATCAAGGTATGTTGCCCGTTTGTCCTCTAATTCCAGGATCAACAACAACCAGTACGGGACCATGCAAAACCTGCACGACTCCTGCTCAAGGCAACTCTATGTTTCCCTCATGTTGCTGTACAAAACCTACGGATGGAAATTGCACCTGTATTCCCATCCCATCGTCCTGGGCTTTCGCAAAATACCTATGGGAGTGGGCCTCAGTCCGTTTCTCTTGGCTCAGTTTACTAGTGCCATTTGTTCAGTGGTTCGTAGGGCTTTCCCCCACTGTTTGGCTTTCAGCTATATGGATGATGTGGTATTGGGGGCCAAGTCTGTACAGCATCGTGAGTCCCTTTATACCGCTGTTACCAATTTTCTTTTGTCTCTGGGTATACATTTAA (配列番号4)
ATGGAGAACATCACATCAGGATTCCTAGGACCCCTGCTCGTGTTACAGGCGGGGTTTTTCTTGTTGACAAGAATCCTCACAATACCGCAGAGTCTAGACTCGTGGTGGACTTCTCTCAATTTTCTAGGGGGATCTCCCGTGTGTCTTGGCCAAAATTCGCAGTCCCCAACCTCCAATCACTCACCAACCTCCTGTCCTCCAATTTGTCCTGGTTATCGCTGGATGTGTCTGCGGCGTTTTATCATATTCCTCTTCATCCTGCTGCTATGCCTCATCTTCTTATTGGTTCTTCTGGATTATCAAGGTATGTTGCCCGTTTGTCCTCTAATTCCAGGATCAACAACAACCAGTACGGGACCATGCAAAACCTGCACGACTCCTGCTCAAGGCAACTCTATGTTTCCCTCATGTTGCTGTACAAAACCTACGGATGGAAATTGCACCTGTATTCCCATCCCATCGTCCTGGGCTTTCGCAAAATACCTATGGGAGTGGGCCTCAGTCCGTTTCTCTTGGCTCAGTTTACTAGTGCCATTTGTTCAGTGGTTCGTAGGGCTTTCCCCCACTGTTTGGCTTTCAGCTATATGGATGATGTGGTATTGGGGGCCAAGTCTGTACAGCATCGTGAGTCCCTTTATACCGCTGTTACCAATTTTCTTTTGTCTCTGGGTATACATTTAA (配列番号4)
真上のDNA配列によってコードされるアミノ酸配列は、次の通りである:
MENITSGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGSPVCLGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLIPGSTTTSTGPCKTCTTPAQGNSMFPSCCCTKPTDGNCTCIPIPSSWAFAKYLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSAIWMMWYWGPSLYSIVSPFIPLLPIFFCLWVYI (配列番号5)
MENITSGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGSPVCLGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLIPGSTTTSTGPCKTCTTPAQGNSMFPSCCCTKPTDGNCTCIPIPSSWAFAKYLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSAIWMMWYWGPSLYSIVSPFIPLLPIFFCLWVYI (配列番号5)
複数の実施形態において、本開示の抗体は、前記アミノ酸配列のいずれかに存在するエピトープ(前記配列を含む又は前記配列のみからなるタンパク質によって形成され得る、線形及び立体構造エピトープを含む)に結合する。
一実施形態において、単離されたもしくは組換え抗体又はその抗原結合フラグメントは、本明細書にさらに記載されるように、構造的に定義されたペプチドループによって構成されるエピトープに特異的に結合する。複数の実施形態において、このループは、図6に一般的に示されている通り、HepB表面タンパク質の部分構造を含み、ヒトエスケープで見い出される最も頻繁に標的化される残基(G145)を含むループの存在を実証する。いかなる特定の理論に拘束されることも意図しないが、この構造は、この変異体がエスケープできる理由を説明し、また、よく見られるさらなるエスケープ変異体が存在する理由を説明すると考えられる。さらに、この構造及び抗体ペプチド複合体は、薬剤発見のための新規かつ以前には発見されていない標的を表す。したがって、複数の実施形態において、本開示は、この構造の形成を妨害することができ、ゆえに、ウイルスの生存性も妨害し得る薬剤候補をスクリーニングすることを提供する。当業者は、本開示から、薬物候補が複合体を妨害するか否かを決定するためのアッセイをどのように設計するか、及び本明細書に記載される抗体がこのようなアッセイにおいてどのように使用され得るかを認識するであろう。
複数の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、本明細書に記載の任意のペプチド配列に含まれるアミノ酸配列に特異的に結合する。複数の実施形態において、ペプチドは、配列KPSDG(配列番号6)又はその変異体を含む。複数の実施形態において、本明細書に記載の抗体は、配列PSSSSTKPSDGNSTS(配列番号7)を含む又はその変異体を含むアミノ酸配列中のエピトープに特異的に結合する。本開示のペプチドのさらなる及び非限定的な例には、図6に示されるもの、例えば、ペプチド-11及びペプチド-12が含まれる。
複数の実施形態において、本開示は、2つ以上の別個の抗体又はその抗原結合フラグメントの使用に関与する組成物及び方法を含む。複数の実施形態において、本開示の方法は、別個のB型肝炎エピトープに結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの組合せを投与することを含む。複数の実施形態において、別個の抗体は、HBsAg上の2つの優性非オーバーラップ抗原部位に存在するエピトープ、又はS-タンパク質上に存在するエピトープを認識する。複数の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるグループ-I及びグループ-II抗体の組み合わせの使用を提供する。従って、本開示は、抗体の組合せの同時投与又は逐次投与を含む。一実施形態では、別個の抗体の併用投与は、いずれか1つの抗体単独の効果に耐性であるウイルスの形成を抑制する。複数の実施形態において、本開示は、少なくとも1つのグループI抗体及び少なくとも1つのグループII抗体を含む組合せを投与することを含み、抗体の少なくとも1つはG145R変異耐性である。非限定的な実施形態では、本開示によって提供され、それを必要とする個体に投与され得る抗体は、H006、H007、H0017、H0019、又はH020の少なくとも1つを含む。また、H005、H008、及びH009は、H006に類似しているため、H006の代替物として使用することができる。
本明細書に記載されるH鎖及びL鎖のすべての組み合わせが含まれ、これは、すべてのカッパ及びラムダ軽鎖を含む。複数の実施形態において、本開示の単一抗体は、1つの抗体からのH+L鎖と、別の抗体からのH+L鎖とを含むことができる。複数の実施形態において、抗体は、個体から得られたB細胞においてコードされていない改変を含み、及び/又は、抗体は、個体中の免疫細胞によって産生されない(その個体に由来する生物学的サンプルは、本開示の抗体を同定し及び/又は産生し及び/又は特徴づけるために少なくとも部分的に使用される)。複数の実施形態において、本開示によって提供される抗体は、組換え的に作製することができ、及び、選択した定常領域とともに発現されてもよく、この定常領域は、任意のサンプル(このサンプルから抗体のアミノ酸配列が推定される)においてコードされた定常領域とは異なっていてもよい。
上述したように、複数の実施形態において、本開示は、抗体もしくはその抗原結合フラグメントの組み合わせ、又は前記抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含むかあるいはそれらからなる組成物を含む。複数の実施形態において、本開示の抗体の組合せは、変異によるウイルスエスケープを防止するのに有効である。この点に関して、本開示は、すべての抗体の組み合わせが、変異によるエスケープを防止するのに有効とは限らないこと(有効ではない、H006とH007との組み合わせのように)を実証するデータを含む。したがって、複数の実施形態において、抗体又は抗原結合フラグメントの組み合わせは、2つ以上の一般的に発生するエスケープ変異を集合的に標的とし、そのエスケープ変異の例は当技術分野で既知であり、本明細書に記載されている。従って、本開示の抗体及びその抗原結合フラグメントの組み合わせは、共通のエスケープ変異の非オーバーラップグループを標的とし得る。複数の実施形態において、本開示は、ある抗体の組み合わせを除外するという条件を含み、前記抗体の組み合わせは、別個のエピトープを集合的に標的とするだけであって、しかし一般的に発生するエスケープ変異に対して重複した感受性を有する。
複数の実施形態において、本開示に含まれる、並びに本開示の組み合わせ及び方法に含まれる少なくとも1つの抗体又はその抗原結合フラグメントは、対照の中和活性値(例えば、リビビルマブの中和能力)よりも大きなウイルス中和活性を有する。複数の実施形態において、本開示の少なくとも1つの抗体又は抗原結合フラグメントは、128ng/ml未満、又は35ng/ml未満、又は5ng/ml未満のIC50値を伴うウイルス中和活性を示し、前記数値には、128ng/mlと5ng/mlの間のすべての整数及びすべての整数の範囲が含まれる。このような中和活性は、公知のアプローチ、例えばELISA又は免疫蛍光アッセイを用いて決定することができ、さらに本開示の実施例5に記載されているようにして決定することができる。複数の実施形態において、本開示に包含される抗体又はその抗原結合フラグメントは、それらのCDRによって定義されるH016、H017、及びH019抗体から選択される抗体又は抗原結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、本開示は、これらの抗体の組み合わせを含み、及びその抗原結合フラグメントを含むことができる。複数の実施形態において、抗体の組み合わせは、H017及びH019抗体、及び/又はその抗原結合フラグメントを含む。一実施形態では、前記組み合わせは、任意で、H016抗体又はその抗原結合フラグメントをさらに含む。複数の実施形態において、本開示の組み合わせは、H017及びH019抗体又はその抗原結合フラグメントのみからなる組合せを含む。複数の実施形態において、本開示の組み合わせは、HO16、H017、及びH019抗体又はその抗原結合フラグメントのみからなる組合せを含む。記載された抗体の組み合わせ、及び本明細書に記載される他のすべての抗体及びその抗原結合フラグメントの投与方法は、逐次的であれ、同時であれ、本開示の範囲内に含まれる。従って、本開示は、抗体又はその抗原結合フラグメントの組み合わせを、同時に又は逐次的に、必要とする個体に投与することを含み、特定の実施形態では、前記組み合わせは、H017及びH019、又はH016、H017、及びH019(及びその抗原結合フラグメント)を含むか又はそれらのみからなる。さらなる抗体及び抗体の組み合わせ(その抗原結合フラグメントを含む)は、H004、H005、及びH009、及びH020の重鎖及び軽鎖CDRを含む抗体及びその抗原結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。
H016、H017、及びH019抗体について、表S2から分かるように、H016抗体は、アミノ酸配列GFTFPSHT(配列番号8)を有する重鎖CDR1、アミノ酸配列ISTTSEAI(配列番号9)を有する重鎖CDR2、及びアミノ酸配列ARVGLALTISGYWYFDL(配列番号10)有する重鎖CDR3を含む。H016抗体は、アミノ酸配列QSISSN(配列番号11)を有するカッパ軽鎖CDR1、CDR2アミノ酸配列RASを有するカッパ軽鎖、及びCDR3アミノ酸配列QQYDHWPLT(配列番号12)を有するカッパ軽鎖を含む。
表S2から分かるように、H017抗体は、アミノ酸配列GFTFSNYW(配列番号13)を有する重鎖CDR1、アミノ酸配列ISTDGSST(配列番号14)を有する重鎖CDR2、及びアミノ酸配列ARGSTYYFGSGSVDY(配列番号15)を有する重鎖CDR3を含む。H017抗体は、CDR1配列SSDIGVYNY(配列番号16)を有するラムダ軽鎖、CDR2配列DVTを有するラムダ軽鎖、及びCDR3配列SSYRGSSTPYV(配列番号17)を有するラムダ軽鎖を含む。
表S2から分かるように、H019抗体は、アミノ酸配列GGSITTGDYY(配列番号18)を有する重鎖CDR1、アミノ酸配列IYYSGST(配列番号19)を有する重鎖CDR2、及びアミノ酸配列AIYMDEAWAFE(配列番号20)を有する重鎖CDR3含む。H019抗体は、アミノ酸配列QSIGNY(配列番号21)を有するラムダ軽鎖CDR1、CDR2アミノ酸配列AVSを有するラムダ軽鎖、及びCDR3アミノ酸配列QQSYTISLFT(配列番号22)を有するラムダ軽鎖を含む。
特定の実施形態では、抗体は、非自然発生変異のような1つ又は複数の改変を含む。非限定的な例として、あるアプローチでは、抗体のFc領域が変化されていてもよく、及び任意のアイソタイプであってもよく、これには、IgG型、又はIgA型などが含まれるがこれらに限定されない。本開示の抗体は、抗体のある種の生物学的特性を改善するために改変されてもよく、例えば、安定性を改善し、エフェクター機能を改変し、細胞性免疫との相互作用及び組織(胎盤、血液脳関門、血液精巣関門)の通過を改善又は妨げるために、及び、再循環、半減期、及び他の効果(例えば、製造可能性、送達性など)を改善するために改変されてもよい。
複数の実施形態において、本開示の抗体は、当該分野で公知の技術(例えば、Buchanan, et al., Engineering a therapeutic IgG molecule to address cysteinylation, aggregation and enhance thermal stability and expression mAbs 5:2, 255-262; March/April 2013, and in Zalevsky J. et al., (2010) Nature Biotechnology, Vol. 28, No.2, p157-159, and Ko, S-Y, et al., (2014) Nature, Vol. 514, p642-647、及び、Horton, H. et al., Cancer Res 2008; 68: (19), October 1, 2008に記載されている技術など)を用いて改変されてもよく、これらに記載されている事項は、参照により本明細書に包含される。特定の実施形態では、抗体の改変は、抗体のインビボ半減期を増加させる(例えば、LS変異)か、又はFc受容体に結合する抗体の能力を変化させる(例えば、GRLR変異)か、又は胎盤を通過する能力、血液脳関門を通過する能力、あるいは血液精巣関門を通過する能力を変化させる。したがって、ある実施形態では、抗体の改変は、GからRへの変化、LからRへの変化、MからLへの変化、又はNからSへの変化、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
複数の実施形態において、二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗体のセグメントを改変及び/又は組み合わせることによって(例えば、別個の抗体に由来する重鎖及び軽鎖のペアを組み合わせて、単一の抗体とすることによって)提供される。二重特異性抗体を作製するのに適した方法は、当該分野において公知であり(例えば、Kontermann, E. et al., Bispecific antibodies, Drug Discovery Today, Volume 20, Issue 7, July 2015, Pages 838-847)、その記載は参照により本明細書に包含される。
複数の実施形態において、本明細書に記載される任意の抗体は、改変された重鎖、改変された軽鎖、改変された定常領域、又はそれらの組み合わせを含み、それによって、ヒトによって産生される抗体から区別される。複数の実施形態において、改変は、超可変領域及び/又はフレームワーク領域(FR)において行われる。
複数の実施形態において、本明細書に記載の抗体(記載された抗体を含むがこれらに限定されない)に対する変異は、ヒトにおいて元来産生された抗体に対する改変を含む。このような改変には、抗体半減期を増加させるための重鎖の改変が含まれるが、必ずしもこれに限定されない。
複数の実施形態において、本開示の抗体は、本明細書に記載される可変領域を有し、及び、これらの配列のいずれかを含んでもよく、又はこれらの配列のいずれかから構成されてもよく、及び、本明細書に明示的に開示された配列と80~99%(包括的であり、その間の数値の範囲を含む)の類似性を有する配列を含んでもよく、未改変の配列を有する抗体と同一又は類似の結合親和性を保持した異なる配列を有する抗体が提供される。複数の実施形態において、配列は、本明細書に明示的に開示された配列と、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の類似性を有する。
表S2に記載された配列を含む抗体は、単離され、少なくとも結合親和性について特性評価され、及び本明細書に別のことが記載されていなければ、ウイルス中和活性などについて特性評価された。したがって、複数の実施形態において、本開示は中和抗体を提供する。用語「中和抗体」は、ウイルス感染を抑制、低減又は完全に防止する1つの抗体又は複数の抗体を意味する。特定の抗体が中和抗体であるかどうかは、以下の実施例に記載されているインビトロアッセイによって決定することができ、さもなければ当該技術分野で公知である。用語「広域中和」抗体とは、ウイルスの2種以上の株又は血清型を中和することができる抗体を指す。
本開示の抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、又は免疫グロブリンの抗原結合フラグメントとして提供するとができ、これには、抗原結合(Fab)フラグメント、Fab'フラグメント、(Fab')2フラグメント、Fd(重鎖のN末端部分)フラグメント、Fvフラグメント(2つの可変ドメイン)、dAbフラグメント、単一ドメインフラグメント、又は単一の単量体可変抗体ドメイン、単離CDR領域、単鎖可変フラグメント(scFv)、及びウイルス結合能を保持する、好ましくはさらに後述するようにウイルス中和活性を保持する他の抗体フラグメントが含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。複数の実施形態において、可変領域(記載されたCDRを含むが、必ずしもこれに限定されるものではない)は、二重特異性T細胞系合剤(BiTE)、二重特異性キラー細胞系合剤(BiKE)、又はキメラ抗原受容体(CAR)のコンポーネントとして使用され得る(キメラ抗原受容体T細胞(例えば、CAR T細胞)を産生するためなどに)。複数の実施形態において、本開示は、3つの異なるエピトープに特異的に結合することができる三価の抗体を含む。
本開示の抗体及び抗原は、医薬製剤中で提供することができる。本明細書に記載される抗体及び抗原のような、本明細書に記載される任意のタンパク質(ペプチド及びポリペプチドを含む)をコードするDNA又はRNAポリヌクレオチドを投与することも、そのタンパク質が個体において発現される場合、そのようなタンパク質を個体に送達する方法であると考えられる。タンパク質をコードするDNA及びRNAを送達する方法は、当該技術分野で公知であり、本開示の利益の下、タンパク質(特に、記載された抗原)を送達するのに適応できる。同様に、本開示の抗体は、任意の適切な発現ベクターを使用して、そのような抗体をコードするDNA分子として、又は、抗体をコードするRNA分子として投与することができる。
抗体もしくはウイルス抗原又はそれらをコードするポリヌクレオチドを含む医薬製剤は、それらを薬学的に許容される担体と混合することによって調製することができる。薬学的に許容される担体には、溶媒、分散媒体、等張剤などが含まれる。担体は、液体、半固体(例えばペースト)、又は固体の担体であってもよい。担体の例としては、水、生理食塩水又は他の緩衝液(例えば、リン酸塩、クエン酸緩衝液)、オイル、アルコール、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン)、炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、トレハロース、マンノース、マンニトール、ソルビトール又はデキストリンを含む、単糖、二糖、及び他の炭水化物)、ゲル、脂質、リポソーム、樹脂、多孔性マトリクス、バインダー、充填剤、コーティング、安定剤、保存剤、リポソーム、酸化防止剤、キレート剤(例えばEDTA);塩を形成する対イオン(ナトリウムなど);非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN、PLURONICS又はポリエチレングリコール(PEG)、又はそれらの組合せが挙げられる。複数の実施形態において、医薬/ワクチン製剤は、対照(例えば、追加の薬剤を添加することなく送達される抗体)と比較して改善された活性を示し、あるいは、特定の添加薬剤は、抗体の活性を改善する。
製剤は、2種以上の抗体又は抗原を含むことができ、したがって、本明細書に記載される、抗体の混合物、及び抗原の混合物、ならびにそれらの組合せを含むことができる。これらの成分は、任意の適切な方法、例えば、混和、溶解、懸濁、乳化、カプセル化、吸収などによって、担体と組み合わせることができ、注射、経口摂取、注入等に適した、錠剤、カプセル、粉末(凍結乾燥粉末を含む)、シロップ、懸濁液などの製剤として製造することができる。徐放性製剤として調製することも可能である。
本開示の抗体及びワクチン成分は、被験体におけるB型肝炎ウイルス感染の治療及び/又は予防、ならびにある個体から別の個体へのそれらの感染の阻害及び/又は予防のために使用される。
ウイルス感染の「治療」という用語は、ウイルス感染の効果的な抑制を意味し、その結果、発症を遅延させ、進行を遅くし、ウイルス量を減少させ、及び/又は感染によって引き起こされる症状を改善することを意味する。
ウイルス感染の「予防」という用語は、感染の発症を遅延させ、及び/又は感染症に罹患する頻度又は可能性が、低減又は排除されることを意味する。
複数の実施形態において、ウイルス感染を治療及び/又は予防するために、治療量の本明細書に開示される抗体又は抗原ワクチンが、それを必要とする被験体に投与される。「治療的に有効な量」という用語は、感染を抑制して、感染症を治療及び/又は予防するのに必要な用量を意味する。
抗体又は抗原ワクチンの投与量は、疾患状態及び他の臨床学的因子、例えば、被験体の体重及びコンディション、治療に対する被験体の応答、製剤の種類及び投与経路に依存する。治療に効果的で非有害である正確な投与量は、当業者によって決定することができる。通則として、成人のヒトへの投与のための抗体の適切な用量は、非経口的に、1日当たり、1週間に1度、又は1ヶ月に1度、患者体重の約0.1~20mg/kgの範囲であり、使用される典型的な初期範囲は約2~10mg/kgの範囲である。抗体は最終的に血流から除去されるので、再投与が必要となる可能性がある。あるいは、抗体(放出制御マトリクス中に含ませた抗体)のインプラント又は注射を使用することができる。
抗体は、経口、経皮、及び非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮内、皮下又は筋肉内)を含む標準的な経路によって被験体に投与することができる。さらに、抗体及び/又は抗原ワクチンは、有意な量の抗体又はワクチンが、制御された放出様式で血流に入ることができるように、注射によって又は外科的移植又はアタッチメントによって、体内に導入することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、例えば、レシピエントの体の細胞にウイルスが入る前にウイルスを中和するために、1つ又は複数の予防用組成物又はデバイスに組み込まれる。例えば、特定の実施形態では、組成物及び/又はデバイスは、ゲルとして形成され得るポリマーマトリクスを含み、及び、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(乳酸)(PLA)、カラギナン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、キトサン、ポリ(エチルアクリレート)、メチルメタクリレート、クロロトリメチルアンモニウムメチルメタクリレート、ヒドロキシアパタイト、ペクチン、ブタ胃ムチン、ポリ(セバシン酸)(PSA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ステアリン酸マグネシウム(MS)、ポリエチレングリコール、ガムベースポリマー及びそれらの変種、ポリ(D,L)-ラクチド(PDLL)、ポリビニルアセテート及びポビドン、カルボキシポリメチレン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む。特定の態様では、本開示は、任意の適切な生体適合性材料(ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含むが、必ずしもこれに限定されない)から形成されたマイクロ粒子又はナノ粒子中の抗体を含む。リポソーム及びミクロソーム組成物も含まれる。特定の態様では、本開示のゲルは、カルボマー、メチルパラベン、プロピルパラベン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビン酸、ジメチコン、ソルビトール溶液、又はそれらの組み合わせを含む。複数の実施形態において、本開示のゲルは、安息香酸、BHA、鉱油、pegcol 5オレエート、pegoxol 7ステアレート、及び精製水の1つ又はそれらの組み合わせを含み、及び、これらの組成物の任意の組み合わせを含んでもよい。
本開示の抗体は、当業者に利用可能な技術を利用することによって製造することができる。例えば、抗体のH鎖及びL鎖の一方又は両方をコードする1つ又は別個のDNA分子は、標準的な分子クローニング技術を使用してコーディング配列に基づいて構築することができる。得られたDNAは、当技術分野で公知の種々の適切な発現ベクターに配置することができ、これはその後、宿主細胞(好ましくはインビトロで培養されるヒト細胞であるが、大腸菌又は酵母細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及びヒト胎児由来腎臓293細胞などでもよい)にトランスフェクトされる。抗体は、1つ又は別個の発現ベクターから製造することができ、前記ベクターには、重鎖及び軽鎖のための別個のベクターが含まれるがこれに限定されず、必要に応じて、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖のための別個のベクターを含んでもよい。
複数の実施形態において、抗体は、細胞から単離されてもよい。複数の実施形態において、抗体は組換え抗体である。「組換え」抗体は、1つ又は複数の発現ベクターから、細胞内での発現によって産生される抗体を意味する。
あるアプローチでは、本開示は、上述の中和抗体、及びそのような抗体の産生を刺激する方法を含む。
あるアプローチでは、本開示は、本明細書に記載の組成物を使用して個体をワクチン接種し、ワクチン接種に応答して産生された中和抗体の存在、不存在、及び/又は量を判定することを含む。従って、少なくとも中和抗体産生の観点から、ワクチン接種の有効性を判定及びモニターする方法が含まれる。一実施形態では、中和抗体の不存在、及び/又は適切な基準値を下回る中和抗体の量を判定することに続いて、本発明は、本明細書に開示された組成物を個体に投与することを含む。その後の投与及び測定を行って、治療効果を追跡し、それに応じてさらに治療の調整を行うことができる。
本開示の抗体及びタンパク質は、検出可能に標識され及び/又は基質に付着されることができる。免疫学的アッセイ及び/又はデバイスにおいて従来から使用されている任意の基質及び検出可能な標識が含まれる。複数の実施形態において、基質はビオチンを含み、あるいは、抗体及び/又はウイルスタンパク質の固定及び/又は検出及び/又は定量を容易にするために別の結合パートナーと特異的に結合する類似の薬剤を含む。
複数の実施形態において、任意のタイプの酵素結合免疫吸着(ELISA)アッセイを使用することができ、本開示のポリペプチド及び/又は抗体を用いて診断目的のために実施することができ、前記アッセイには、直接、間接、及び競合的ELISAアッセイ、及び本開示の利益の下、当業者には明らかであるそれらの適応が含まれる。
本明細書で記載される診断結果は、任意の適切な対照と比較することができる。さらに、任意の診断結果は、有形的表現媒体に固定され、医療提供者、又は他の任意の受信者に伝達されることができる。一態様では、本開示は、B型肝炎ウイルスに感染した個体を診断し、本発明の組成物を個体に投与することを含む。
特定の実施形態において、本開示は、本開示の抗体又は抗原結合フラグメントの少なくともH及びL鎖をコードする1種又は複数種の組換え発現ベクター、前記発現ベクターを含む細胞及び細胞培養物、このような細胞を培養し、細胞培養物から抗体を分離することを含む方法、抗体を含む細胞培養培地、細胞培養物から分離された抗体、及び本開示の抗体及び/又はポリペプチドをコードする発現ベクターを含むキット、を含む。抗体及び/又はポリペプチドを含有する製品が提供され、ここで、抗体及び/又はポリペプチドは、1つ以上の密封された容器に含まれる医薬製剤として提供され、これは、滅菌され、そしてそのような薬剤をヒト又は非ヒト被験体への投与に適したものとする任意の方法で準備されてもよい。製品/キットは、組成物を投与する際に使用するための1つ以上の物品をさらに含むことができる。
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しているが、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
HBVに対する血清学的応答
HBVに対する血清学的応答
HBsAgに対する優れた抗体応答を有する個体を選択するために、我々は159人のボランティアから得られた血清に対してELISAアッセイを行った。これには、15人の未感染及び非ワクチン接種の対照ボランティア(HBsAg-、抗-HBs-、抗-HBc-)、20人の感染し、自然回復したボランティア(HBsAg-、抗-HBs+/-、抗-HBc+)、及び124人のワクチン接種したボランティア(HBsAg-、抗-HBs+/-、抗-HBc-)が含まれる。これらの個体は、広域性の抗HBs力価(図1A及び図8Bのx軸、表S1)を示した。それらの中和活性を決定するために、我々は、ナトリウム・タウロコール酸共輸送ポリペプチド(NTCP)-過剰発現HepG2細胞においてHBV感染をブロックする能力を試験した(Michailidis et al., 2017; Yan et al., 2012)(図1A並びに図8B及び8Cにおけるy軸;表S1)。次いで、高いレベルの中和活性を有する個体から精製した血清又は抗体を、広範囲の希釈度にわたって比較した(図1B及び1C)。抗-HBs ELISA力価は、中和活性と正に相関しているが(rs=0.492、p<0.001、スピアマンの順位相関)、高い抗HBs ELISA力価にもかかわらず、血清がHBVを中和することができなかったボランティア#99及び#49によって例示されるような明らかな例外が存在した(図1A)。従って、HBsAgに対するELISA力価は、インビトロでの中和活性を完全に予測するものではない。
HBV表面タンパク質であるHBsAgは、PreS1-、PreS2-、及びS-領域に細分することができる(図1D)。これらの領域のどれが、選択された上位中和者における中和応答の優位な標的であるかを決定するために、我々はS-タンパク質を使用して、インビトロで中和活性をブロックした。S-タンパク質からなるHBVワクチンを受けたボランティアにおける中和活性は、S-タンパク質によって完全にブロックされた(図1E中の黒線)。抗-PreS1又は抗-PreS2抗体を産生するこの集団の報告された能力にもかかわらず、我々のコホート内の自然回復個体についても同じことが当てはまった(Coursaget et al., 1988; Li et al., 2017; Sankhyan et al., 2016)(図1E中の赤色ライン)。これらの結果は、選択された個体における中和抗体応答が、免疫又は感染に関係なく、主にS-タンパク質に向けられることを示唆している。
[実施例2]
HBVに対するヒトモノクローナル抗体
HBVに対するヒトモノクローナル抗体
選択された個体において中和活性を担う抗体を特性評価するために、我々は、S-タンパク質結合クラススイッチメモリーB細胞を精製した(Escolano et al., 2019; Scheid et al., 2009a)。未暴露のナイーブ対照、及び、低い抗-HBs ELISA力価を有するワクチン接種された個体は、バックグラウンドレベルのS-タンパク質特異的メモリーB細胞を示した(図2A及び9A)。対照的に、高い中和活性を有する個体は、IgG+メモリーコンパートメントの0.03~0.07%を構成するS-抗原結合B細胞の明確な集団を表示した(CD19-MicroBeads+ CD20-PECy7+ IgG-Bv421+ S-タンパク質-PE+ S-タンパク質-APC+ オボアルブミン-Alexa Fluor 488-)(図2A及び9A)。エリートのHIV-1中和者における知見と一致して(Rouers et al., 2017)、S-タンパク質特異的細胞の画分は、個体の中和力価に直接相関した(rs=0.699, p=0.0145, スピアマンの順位相関)(図2B)。
免疫グロブリン重鎖(IGH)及び軽鎖(IGL又はIGK)鎖遺伝子を、PCRによって単一のメモリーB細胞から増幅した(Robbiani et al., 2017; Scheid et al., 2009b; von Boehmer et al., 2016)。全体として、我々は、高い抗-HBs ELISA力価を有する8人のボランティアのS-タンパク質結合メモリーB細胞から、244対の重鎖及び軽鎖可変領域を得た(図9B及び9C;表S2)。密接に関連したCDR3を有する同じIg可変遺伝子セグメントによってコードされる抗体を産生する細胞からなる拡張クローンが、上位中和者#146、#60及び#13のそれぞれに見出された(図2C)。さらに、IGHV3-30/IGLV3-21は、#146及び#60に存在し;IGHV3-33/IGLV3-21は#146及び#13に存在し;IGHV3-23/IGLV3-21は#146、#60及び#13に存在する。これらの抗体の可変多様性及び結合(V(D)J)領域は、アミノ酸レベルで約80%同一であった(図2D)。関連するIg重鎖及び軽鎖を有する抗体もまた、ボランティア#55(HBVに感染したが回復した)とワクチン接種された個体との間で識別された(図2C及び9B)。我々は、上位HBV中和者が、関連するIg重鎖及び軽鎖を発現する抗原結合B細胞のクローンを産生すると結論付けた。
[実施例3]
反応性の幅
反応性の幅
H001~H020と名付けられた、5人の個体からの20の代表的な抗体が、発現及びさらなるテストのために選択された(図9B)。20の抗体はすべて、ELISAによるB細胞選択に使用されるS-タンパク質抗原(HBsAg adr CHO)に対する反応性を示し、18~350ng/mlの範囲の50%有効濃度(EC50)値を有する(図3A)。これらの抗体は、推測の未変異共通祖先(UCA)への復帰変異によって決定されるように、抗原結合を増強した体細胞変異を保有した(図3B)。従って、親和性成熟は、それらの高い結合活性のために必須であった。
定常性の「1つの」決定因子及び2つの可変で相互排他的な決定因子「d/y」及び「w/y」によって定義されるように(Bancroft et al., 1972; Le Bouvier, 1971)、HBVの4つの主要な血清型が存在し、血清型と遺伝子型との間に高度に統計的に有意な関連性を伴う (Kramvis et al., 2008; Norder et al., 2004)。我々の抗体が、異なるHBsAg血清型に交差反応するかどうかを決定するために、5個の追加のHBsAg抗原:酵母-発現血清型“adr”、“adw”、及び“ayw”抗原、並びに、ヒト血液から精製された“ad”及び“ay”抗原を用いてELISAを実施した(図3C)。試験された抗体の多くは広い交差反応性を示し、EC50値はリビビルマブ(HBV免疫化ヒト化マウスから単離され、その後臨床的に試験されたヒト抗-HBsモノクローナル抗体(Eren et al., 2000; Eren et al., 1998; Galun et al., 2002))よりも低かった。これらの抗体は、多反応性ELISA及びHEp-2免疫蛍光アッセイでそれぞれ試験した場合には、多反応性又は自己反応性ではなかった(図10A及び10B)。我々は、試験した抗体が、異なるHBV血清型と広く交差反応性であると結論付けた。
[実施例4]
S-タンパク質上の抗原性エピトープ
S-タンパク質上の抗原性エピトープ
選択された抗体が、オーバーラップエピトープ又は非オーバーラップエピトープに結合するかどうかを決定するために、競合ELISAアッセイを実施し、このアッセイでは、S-タンパク質を、選択された抗体と、続いて第二ビオチン化抗体とプレインキュベートした。ELISAで弱いレベルの結合を示した抗体(H002、H012、H013、H014、H018)は除外した。予想されるように、試験したすべての抗体は、自己ビオチン化モノクローナルの結合をブロックし(図4Aの黄色のボックス)、他方、対照ヒト抗-HIV抗体10-1074は、抗-HBs抗体のいずれをもブロックしなかった。競合ELISAは、モノクローナル抗体の3つの相互排他的なグループを特定し、これはHBsAg上に少なくとも3つの優性な非オーバーラップ抗原性部位が存在することを示唆している(グループ-Iのための赤色ボックス、グループ-IIのための青色ボックス、及びグループ-IIIのH017、図4A)。競合ELISAで試験した2種以上の抗体を有する個体の各々は、3つの非オーバーラップエピトープのうち2つを標的とするモノクローナル抗体を発現した(図4A及び図9B)。
これらのエピトープをさらに定義するために、我々は、システイン、アラニン、及びS-タンパク質産生に重要なアミノ酸残基を除いて、S-タンパク質の予測される細胞外ドメインの大部分にわたる一連のアラニン変異体を作製した(Salisse and Sureau, 2009)(図ID)。各抗体グループ及び変異タンパク質からの代表的な抗体を用いたELISAアッセイは、競合アッセイにおいて定義された3つのグループに部分的に対応する一連の結合パターンを明らかにした(図4B及び11)。例えば、変異I110A及びT148Aは、H004、H006、H019、及びH020によって例示されるグループ-I抗体による結合を妨害したが、H007、H015、及びH016によって例示されるグループII抗体、又はグループ-III抗体のH017に対して測定可能な影響はほとんどなかった(図4B及び11)。
しかしながら、アラニンスキャニングは、D144及びG145のようないくつかの残基が、天然抗原に結合するために互いに競合することができないにもかかわらず、グループ-I及びグループ-IIの両方における単クローンの結合に重要であることを示唆している(図4B及び11)。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図しないが、D144A及びG145A変異は、HBsAgの全体的な構造を変化させ、それによって、通常はタンパク質上の独立した部位を標的とする抗体の結合を妨害すると考えられる。
アラニンスキャニングに加えて、我々はまた、慢性的に感染した個体に見られる44個の共通自然発生エスケープ変異体を作製した(Hsu et al., 2015; Ijaz et al., 2012; Ma and Wang, 2012; Salpini et al., 2015)。アラニンスキャニングは、グループ-I及び-IIの抗体のいくつかが、G145Aに対して抵抗性であることを示したが、同じ位置で対応する自然発生変異である、G145E及びG145Rは、ほとんどの抗体による結合が減少したことを明らかにした(図4C)。試験された抗体のうち、グループ-I及び-IIIのH017及びH019はそれぞれ、G145変異に対して最も大きな抵抗性及び最も大きな幅と相補性を示した(図4C)。我々は、選択した個体から得られたヒト抗-HBs単クローンは、HBsAg上の別個のエピトープを認識し、そのほとんどは、タンパク質の異なる領域にわたる非線形立体構造エピトープと思われると結論付けた。
[実施例5]
インビトロ中和活性
インビトロ中和活性
新しい単クローンが、インビトロでHBVを中和するかどうかを決定するために、我々は、HepG2-NTCP細胞を用いて中和アッセイを行った(図5A及び5B)。50%阻害濃度(IC50)値を、HBsAg/HBeAg ELISA又はHBcAg発現のための免疫蛍光染色に基づいて計算した(Michailidis et al., 2017)(図5C)。中和活性は、初代ヒト肝細胞を用いたインビトロ中和アッセイによってさらに検証された(Michailidis et al., 2020)(図5C及び5D)。試験した20個の抗体のうち14個は、5ng/mlほどの低いIC50値を有する中和活性を示した(図5C)。比較すると、リビビルマブは、ELISA及び免疫蛍光アッセイに基づく中和アッセイにおいて、それぞれ35及び128ng/mlのIC50を有した(図5C)。体細胞変異は、推測UCAの活性の低下によって示される強力な中和活性のために必須であった(図12A及び12B)。さらに、FabフラグメントのIC50値は、無傷の抗体よりも2桁高かったので、最適な活性は、2価の結合を必要とした(図5E)。最後に、グループ-I、-II、及び-IIIの抗体を組み合わせた場合には、明らかな相乗作用はなかった(図12C)。我々は、新しい単クローンの半分は、リビビルマブよりも有意に強力であったと結論付け、これには、グループ-IのH004、H005、H006、H008、H009、H019、及びH020、並びにグループ-IIのH007、H015、及びH016が含まれる(図5C)。
[実施例6]
H015抗体/ペプチド複合体の構造
H015抗体/ペプチド複合体の構造
H015は、その結合が、線形エピトープの存在を示すK141~G145位に及ぶ5連続アラニン変異によって阻害されたという点で、他の抗体とは異なっていた。このアイデアは、S-タンパク質の予測細胞外ドメインを含む一連の重複ペプチドに対するELISAによって確認された(図6A及び13A)。データは、H015がKPSDGN(配列番号23)に結合することを示し、この配列は、推定細胞外ドメインの中心に近く、自然感染の間に最も頻繁に変異したアミノ酸のいくつかを含む。
H015結合のための分子基盤を調べるために、そのFabフラグメントを標的ペプチドエピトープPSSSSTKPSDGNSTS (配列番号24)で共晶化し、この際、認識配列に隣接するすべてのシステイン残基を、セリンで置換して非生理学的架橋を回避した。1.78Åの構造(図6B及び13B)は、ペプチドが、主に免疫グロブリン重鎖(図6B及び6C)に結合し、IgHのCDR1(R31)、CDR2(W52、F53)、及びCDR3(E99、P101、L103、L104)の残基と相互作用し、IgLとはCDR3(P95)との1つの接触しかないことを明らかにした。K141とG145の間に1つの水素結合のみが見られ(Milner-White and Poet, 1986)、そしてそれらはβシートの一部ではないので、このペプチドは、残基K145からG145を含む、3:5型の三残基βヘアピン(クラス3)を採用する。このペプチドは、K141とD144との間に形成された塩橋によってさらに安定化される(図6D及び13C)。興味深いことに、認識残基に隣接する2つの残基(C139及びC147)のCαs間の距離は6.4Åであり、ネイティブHBsAg構造に見られるC139とC147との間のジスルフィド結合を形成する態勢が整っている(Ito et al., 2010)。H015Fabは、Fab-ペプチド接触を介してペプチドの立体構造を安定化させるように思われ(図13D)、この接触は、大きな結合表面(866Å2;抗体-抗原埋没表面600~900Å2(Braden and Poljak, 1995))を含み、これは主に、1つの塩橋(リジン-アスパラギン酸;0.9±0.3 Kcal/mol)(White et al., 2013)、及び5つの水素結合(1~2 Kcal/mol/結合)(Sheu et al., 2003)からなる。さらに、ペプチドは、ジスルフィドが存在しない場合であっても、ペプチド内接点を通るループをさらに制限する(図13D)。
ヘアピンを形成する残基は、アラニンスキャニングによって決定されるように、抗-HBs抗体認識のために重要である(図4B及び11)。さらに、これらの残基の各々は、自然感染の間の免疫認識のために重要であると認定されている(Ma and Wang, 2012)。G145Rは、最も一般的な自然発生S-タンパク質エスケープ変異であり、小さな中性残基(図6Eの円で囲った残基)を、大きく正に荷電した残基で置換し、抗原結合表面を潜在的に変化させる。G145は、77.9の正のファイ角をとり、そうすることにより、β鎖にねじれを導入し、これはアルギニンへの置換で破壊される構造である。
HBsAgは、N146でグリコシル化することができ、この部位も厳密に保存される。しかしながら、いくつかの研究は、このグリコシル化部位が完全には占有されないことを示唆しており、ウイルスエンベロープの表面上に、グリコシル化及び非グリコシル化アイソフォームのほぼ1:1の比をもたらす(Julithe et al., 2014)。グリコシル化は、NAG-NAG-MAN又はNAG-(FUC)-NAG-MANのいずれかであってもよい(Hyakumura et al., 2015)。我々は、Fabの存在下で、ペプチドのN146に結合した7マー及び11マーのグリカンをグラフトすることによって、フコシル化及び非フコシル化の両方のオプションをモデル化した。我々は、フコシル化された(分枝された)グリカンが、Fabにいくつかの追加のねじれ角変化を要求するにもかかわらず、両方のグリコシル化形態が、Fabとの衝突なしに最小のねじれ適応のみでその位置で許容されることも見出した。
[実施例7]
ヒト化マウスにおける保護及び治療
ヒト化マウスにおける保護及び治療
HBV感染は、ヒト、チンパンジー、ツパイ、及びヒト肝臓キメラマウスに限定される(Sun and Li, 2017)。我々の抗-HBs bNAbが、インビボで感染を予防するかどうかを決定するために、ヒト肝臓キメラFah-/-NODRag1-/-IL2rgnull(huFNRG)マウスを作製し(de Jong et al., 2014)、HBVによる感染前に、対照又はH020(グループ-I)もしくはH007(グループ-II)抗体をそれらに注射した(図7A-7D)。これらの2つの抗体は、それらが重複していない部位に結合するために選択され、広域かつ強力な中和活性を有する。2つの独立した実験において6つの対照動物すべてを感染させたが、H007又はH020のいずれかによる暴露前予防は完全に保護的であった(図7B-7D)。我々は、主要なウイルス表面抗原上の異なるエピトープを標的とする単一の抗-HBs bNAbが、インビボで感染を防ぐことができると結論付けた。
bNAbが、確立された感染を制御することも可能かどうかを決定するために、我々は、対照抗体又はbNAb H020(グループ-I)もしくはH007(グループ-II)を、血清1mL当たり106~108コピーのHBVウイルス負荷を有するhuFNRGマウスに注入した(図7E-7H及び図14A)。Fah-/-NODRag1-/-IL2rgnullマウスは、高度に免疫不全であり、T及びBリンパ球の不在のため、適応免疫応答を開始することができない。さらに、IL2rgnull変異は、複数の受容体を介したサイトカインシグナル伝達を防止し、抗体依存性細胞傷害活性を含む自然免疫機能の欠損をもたらす。従って、抗体療法単独により、huFNRGマウスにおいて、106-108 DNAコピー/mlのウイルス血症を除去することは予期されない。
対照抗体を投与された動物は、ウイルス血症を、~1011のDNAコピー/mlほどの高さまでさらに増加させた(図7F)。対照的に、H020を投与された5匹のマウスは、約30日の間、安定したレベルのウイルス血症を維持し(図7G)、その後、2匹のマウスは、増加したウイルス血症を示した(図7Gの矢印1及び3)。同様の結果が、H007を投与された5匹のマウスで観察されたが(図7H)、1匹のみが、約50日目にわずかに増加したウイルス血症を示した(図7Hの矢印5)。
抗体単独療法の間に、HBV DNAレベルの増加を示した動物が、エスケープ変異を発症したかどうかを決定するために、我々はマウス血液から回収されたウイルスDNAを配列決定した。H020(グループ-I)又はH007(グループ-II)単独治療をエスケープした3匹のマウスはすべて、S-タンパク質にG145R変異を保有するウイルスを発生した(図7Gの矢印1及び3、図7Hの矢印5、図7I及び図14)。この変異は、ヒトにおける主要な免疫エスケープ変異を表す(Zanetti et al., 1988)。さらに、S-タンパク質中の同じ位置での変異も、低レベルの血症を維持したマウスで同定されたが(図7Gの矢印2及び4、図7Hの矢印6及び7、図7I及び図14)、対照動物では同定されなかった(図14)。これらの結果は、抗-HBs bNAb単独治療が、インビトロでのbNAb結合特性と一致するエスケープ変異の出現をもたらすことを示している(図4C)。
2つの別個のエピトープを標的とするbNAbの組合せが、耐性株の出現を妨害するかどうかを決定するために、我々はH006+H007(それぞれ、グループ-I及び-II)を、8匹のHBV感染huFNRGマウスに同時投与した(図7J)。H006(グループ-I)がこの目的のために選択されたのは、D144A及びG145A変異に対するその抵抗性のためである(図4B)。H007単独療法と同様に、H006+H007抗-HBs bNAbの組み合わせで治療された動物では、60日の観察期間中、ウイルス血症のわずかな増加しか観察されなかった(図7J及び14a)。しかしながら、配列分析により、マウスのうち3匹に、K122R/G145R、C137Y、及びC137Y/D144Vを含む耐性突然変異が生じたことが明らかになった(図7Jの矢印8,9,10、図7I及び図14)。これらの変異は、H006(グループ-I)とH007(グループ-II)の両方に対する結合を失わせる(図4C)。従って、別々のエピトープを標的とするが、同じ臨床エスケープ変異体に感受性である2種類の抗-HBs bNAbの組合せは、エスケープ変異の出現を阻害するのに十分ではない。
エスケープ変異の出現を阻止するために、我々は、H017とH019(それぞれ、グループ-III及び-I)bNAbを組み合わせた。これは、それらが、一般的に発生する自然突然変異に対して相補的な感受性を示すからである(図4C)。配列分析によって評価されるように、この組み合わせで治療された7匹のマウスはいずれも、ウイルス血症の増加又はエスケープ変異を示さなかった(図7K及び14A)。また、H016、H017及びH019(それぞれ、グループ-II、-III、-I)の三抗体の組み合わせで治療した9匹の動物でも、同様の効果が観察された(図7L及び14A)。さらに、これらの組合せは両方とも、血清中のHBsAgレベルを劇的に減少させた(図14C及び14D)。まとめると、これらの知見は、bNAbによるHBV感染の制御に、一般的エスケープ変異の重複していないグループを標的とする抗体の組み合わせが必要であることを示唆している。
[実施例8]
この実施例は、前述の結果を得るために使用される材料、方法、及び被験体の説明を提供する。
この実施例は、前述の結果を得るために使用される材料、方法、及び被験体の説明を提供する。
実験モデル及び被験体
ヒト被験体
ボランティア募集及び採血は、施設内審査委員会(IRB QWA-0947)によって承認されたプロトコルの下、ロックフェラー大学病院で実施された。研究参加者は、22~65歳の範囲(平均43歳)であり、女性:男性の比は81:78であった(図8D及び8E;表S1)。
動物
Fah-/-NODRag1-/-IL2rgnull(FNRG)雌マウスを、既報のようにして作製し(de Jong et al., 2014)、ロックフェラー大学のAAALAC-認証施設で維持した。アニマルプロトコルは、NIHガイドラインに準拠しており、ロックフェラー大学機関動物実験委員会によって、プロトコル#18063下で承認された。雌の同腹子は、実験グループに無作為に割り当てられた。
細胞株
HepG2-NTCP細胞(Michailidis et al., 2017)及びHepDE19細胞(Cai et al., 2012)を、10%又は3%ウシ胎児血清(FBS)及び0.1mMの非必須アミノ酸(NEAA)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、コラーゲン被覆フラスコ中にて維持した。Huh7.5-NTCP細胞を、10%FBS及び0.1mMのNEAAを補充したDMEM中で維持した。すべての肝臓細胞株を5%CO2中で37℃にて培養した。ヒト胎児由来腎臓HEK293-6E懸濁細胞を、120rpmで振盪しながら37℃にて8%CO2中で培養した。
ウイルス
既報のようにして(Michailidis et al., 2017)、HepDE19細胞からHBV含有上清を回収し、濃縮した。濃縮したウイルスストックをアリコートし、-80℃で保存した。インビボ実験のために、元は患者血清から生じたマウス継代遺伝子型C HBVウイルス(Billerbeck et al., 2016)の1つのアリコートを-80℃で保存し、マウス感染実験のために解凍した。保護及び治療実験のために、動物を静脈内チャレンジした(マウス当たり1×104のDNAコピーを使用)。
細菌
E.coli DH5-αを、230rpmで振盪しながら37℃で培養した。
方法
ヒトサンプルの採取
末梢血液サンプルを、ロックフェラー大学病院でボランティアから採取した。凝固した全血を遠心分離することによって、血清を単離し、-80℃で保存するためにアリコートした。PBMCを、フリットバリヤーを有する細胞分離管を使用して単離し、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を補充した90%熱不活性化FBS中にて、液体窒素中で凍結保存した。
HBVストック
HepDE19細胞(Cai et al., 2012)をテトラサイクリンの不在下で培養して、HBV複製を誘導した。7日経過後、上清を1日おきに2週間収集し、新鮮な培地を添加した。各収集の後、培地を沈降させて細胞デブリを除去し、0.22μmフィルターを通過させて、4℃で保持した。収集した培地を、Centricon Plus-70遠心フィルターデバイス(Millipore-Sigma, Billerica, MA)を用いて遠心分離して、100倍に濃縮した。マウス継代遺伝子型C HBVウイルス(Billerbeck et al., 2016)を、インビボマウス実験で使用した。
インビトロHBV中和アッセイ
インビトロHBV感染を、既報のようにして行った(Michailidis et al., 2017)。簡単に述べると、10%FBS及び0.1mMのNEAAを補充したDMEM中の96-ウェル-コラーゲン被覆プレート中に、HepG2-NTCP細胞を蒔いた。培地を翌日、3%FBS、0.1mMのNEAA、及び2%DMSOを含むDMEMと取り換え、感染前にさらに24時間培養した。3%FBS、0.1mMのNEAA、4%PEG及び2%DMSOを補充したDMEMに播種した。抗体又は血清サンプルを、細胞に添加する前に、37℃にて1時間、播種培地中でウイルスと共にインキュベートした。血清中和能(図1A及び図8Bのy軸)は、ウサギ抗-HBVコア抗体(AUSTRAL Biologicals)によって免疫染色された感染HepG2-NTCP細胞の相対パーセンテージの逆数として計算された。例えば、感染した細胞の相対パーセンテージが100%である場合(血清が添加されていないか、又は未暴露のナイーブ対照ドナーからの血清)、血清中和能は1として計算されるが、感染細胞の相対パーセンテージが50%又は10%である場合、血清中和能は2又は10である。ブロッキング中和アッセイでは、異なる濃度のS-タンパク質抗原を、HBVウイルスとのインキュベーションの前に37℃で1時間、精製ポリクローナル抗体とともにインキュベートした。次いで、37℃・1000gで遠心分離することにより、細胞を1時間スピノキュレートした。24時間のインキュベーション後、上清を除去し、PBS、3%FBS、0.1mMのNEAA及び2%DMSOを補充した100μlの新鮮なDMEMで、細胞を5回洗浄した。上清及び細胞の両方を、分析のために感染の7日後に収集した。初代ヒト肝細胞における中和アッセイは、高度ヒト化マウスの肝臓からの肝細胞を使用して上記のように実施された(これらの肝細胞は回収され、肝細胞合成培地(Corning)中のコラーゲン被覆プレート上に蒔かれた(Michailidis et al., 2020))。
化学発光イムノアッセイ
分泌抗原HBsAg又はHBeAgの定量分析のために、採取した上清の50μlを、製造業者の指示に従って、化学発光イムノアッセイ(CLIA)キット(Autobio Diagnostics Co., Zhengzhou, China)の96ウェルプレートに添加した。FLUOstar Omegaルミノメーター(BMG Labtech)を用いてプレートを読み取った。絶対濃度を測定し、同一レーン内のウイルスのみの対照ウェルに正規化することにより相対値を算出した。例えば、ウイルスのみの対照ウェル(基準と考えられる)における絶対HBsAg/HBeAgレベルは、20NCU/ml(national clinical units per milliliter)であり、一方、1つの中和血清サンプルを添加すると、これを5NCU/mlに減少させることができる。したがって、正規化後、相対HBsAg/HBeAgレベルは、対照で100%、中和血清について25%と算出された。多くの因子(ウイルス濃度、細胞濃度、免疫蛍光リーディング等)は、異なるプレート間で変化するか、又はラウンドの異なる実験間で変化するので、比較のためにデータを組み合わせるのに正規化が必要である。
免疫蛍光
細胞を4%パラホルムアルデヒド中で、室温にて20分間固定し、PBSで洗浄し、PBS中の0.1%Triton X-100で透過処理した。5%ヤギ血清でブロッキングした後、細胞をウサギ抗-HBVコア抗体(AUSTRAL Biologicals)と共に4℃で一晩インキュベートし、ヤギ抗-ウサギAlexa Fluor 594(Thermo Fisher Scientific)で可視化した。核をDAPIで染色した。Nikon Eclipse TE300蛍光顕微鏡を用いて細胞を撮像し、ImageJで処理した。ハイコンテントイメージング解析用ImageXpress Micro XLS(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いた。絶対HBc+パーセンテージを求め、同一のレーンにける、ウイルスのみの対照ウェルで正規化することによって、HBc+細胞の相対パーセンテージを算出した。例えば、ウイルスのみの対照ウェル(基準と考えられる)における絶対的なHBc+細胞のパーセンテージは40%であり、一方、1つの中和血清サンプルを添加すると、これを10%に減少させることができる。従って、正規化後、HBc+細胞の相対パーセンテージは、対照ウェルで100%、この中和血清サンプルについては25%として算出された。多くの因子(ウイルス濃度、細胞濃度、免疫蛍光リーディング等)は、異なるプレート間で変化するか、又はラウンドの異なる実験間で変化するので、比較のためにデータを組み合わせるのに正規化が必要である。
ELISAアッセイ
血液サンプルは、臨床試験のためにMemorial Sloan Kettering癌センターに提出された。HBsAgタンパク質及び抗-HBc抗体の存在、ならびに抗-HBs力価は、製造業者の指示に従って、ELISA(Abbott Laboratories)によって決定された。
HBsAgタンパク質に対する血清又は組換えIgG抗体の結合(重要なリソースの表参照)は、10μg/ml(PBS中)の抗原でELISAプレートをコーティングすることによって測定した。プレートを2%BSA(PBS中)でブロックし、室温で1時間、抗体と共にインキュベートした。HRP-結合ヤギ抗-ヒトIgG(Thermo Fisher Scientific)を用いて可視化した。最大結合に必要な50%有効濃度(EC50)は、ソフトウェアPRISMにおける非線形回帰分析によって決定された。
競合ELISAプレートを、0.12μg/mlのHBsAg(adr CHO)で被覆し、16.7μg/mlの一次抗体と共に2時間インキュベートした後、0.25μg/mlのビオチン化二次抗体を直接添加し、室温で30分間インキュベートした。ストレプトアビジン-HRP(BD Biosciences)を用いて検出した。
自己反応性及び多反応性
自己反応性及び多反応性アッセイは、既報のようにして行われた(Gitlin et al., 2016; Mayer et al., 2017; Robbiani et al., 2017)。自己反応性アッセイのために、抗核抗体(HEp-2)キット(MBL International)を用いてモノクローナル抗体を試験した。抗体を100μg/mlでインキュベートし、Alexa Fluor 488 AffiniPure F(ab')2フラグメントヤギ抗-ヒトIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch)・10μg/mlを用いて検出した。蛍光画像を、広視野蛍光顕微鏡(Axioplan 2, Zeiss)、40x乾燥対物レンズ、及びHamamatsu Orca ER B/Wデジタルカメラで撮影した。画像をImage Jで解析した。抗核抗体(MBL International)を含むヒト血清を、陽性対照として用いた。多反応性ELISAアッセイでは、5つの異なる抗原(二本鎖DNA(dsDNA)、インスリン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、リポ多糖類(LPS)、一本鎖DNA(ssDNA))に結合する抗体を測定した。ED38(Wardemann et al., 2003)及びmG053(Yurasov et al., 2005)抗体を、それぞれ陽性及び陰性対照として使用した。
合成ペプチド
S-タンパク質抗原の抗原ループ領域にまたがる18個のペプチドを、ロックフェラー大学のプロテオミクスリソースセンターで合成した。ペプチドELISAプレートを、PBS中10μg/mlのペプチドで被覆した。
HBsAg-結合メモリーB細胞
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(ProSpec)から発現され、精製されたS-タンパク質(adr血清型)及びオボアルブミン(Sigma-Aldrich)を、EZ-LinkTM Micro NHS-PEG4-ビオチン化キット(Thermo Fisher Scientific)を用いてビオチン化した。S-タンパク質-PE及びS-タンパク質-APCは、2~3μgのビオチン-S-タンパク質と、ストレプトアビジン-PE(eBioscience)又はストレプトアビジン-APC(BD Biosciences)を、PBS中でそれぞれ4℃にて暗所で一晩インキュベートすることによって調製した。ビオチン-オボアルブミンをストレプトアビジン-Alexa Fluor 488(Thermo Fisher Scientific)と共にインキュベートすることによって、オボアルブミン-Alexa Fluor 488を生成した。
B細胞の精製、標識化、及び選別は、既報のようにして行った(Escolano et al., 2019; Robbiani et al., 2017; Tiller et al., 2008; von Boehmer et al., 2016)。手短に説明すると、PBMCを解凍し、37℃にてRPMI培地で洗浄した。Bリンパ球を、CD19 MicroBeads(Miltenyi Biotec)を用いて陽性選択し、続いて、ヒトFcブロック(BD Biosciences)及び抗-CD20-PECy7(BD Biosciences)、抗-IgG-Bv421(BD Biosciences)、10μg/mlのS-タンパク質-PE、10μg/mlのS-タンパク質-APC、10μg/mlのオボアルブミン-Alexa Fluor 488とともに、4℃にて20分間インキュベートした。単一CD20+IgG+S-タンパク質-PE+S-タンパク質-APC+Ova-Alexa Fluor 488-メモリーB細胞を、FACSAriaII(Becton Dickinson)を用いて96ウェルプレートに選別し、-80℃で保存した。
抗体クローニング、配列決定及び産生
抗体クローニング、配列決定及び産生は、既報のようにして行われた(Robbiani et al., 2017; Tiller et al., 2008; von Boehmer et al., 2016)。プライマーを表S3に列挙する。未変異共通祖先(UCA)抗体配列H006、H019、H020を、gBlock IDTによって合成し(表S3)、発現用抗体ベクターに挿入した。V(D)J遺伝子セグメント及びCDR3配列は、IgBlast(Ye et al., 2013)及び/又はIMGT/V-QUEST(Brochet et al., 2008)によって決定した。
S-タンパク質変異誘発
ターゲット点変異を有するオリゴヌクレオチド断片を、gBlock IDTによって合成し(表S3)、SLIC(Sequence and Ligation-Independent Cloning)によって、プラスミドp1.3xHBV-WT中の抗原ループ領域に置換した(Jeong et al., 2012)。X-tremeGENE 9 DNA Transfection Reagent(Sigma-Aldrich)を用いて、Huh-7.5-NTCP細胞に変異プラスミドをトランスフェクトし、24時間後に培養培地を無血清DMEMに換えた。上清を2日後に採取し、-80℃で保存した。無血清培地(50μl)を直接使用してELISAプレートを被覆した。
結晶化、X線データ収集、構造決定、改良
50mMのTris8.0、50mMのNaCl中の抗体Fab(25mg/ml)を、同じ緩衝液中のペプチド(5mg/ml)と、5:1(v/v)で混合した。Fab:ペプチドのモル比は、約1:2であった。ペプチド合成において、すべてのペプチド-11システイン残基をセリンで置換して、結晶を得た(Proteomics Resource Center, RU)。Fab15/ペプチド-11Serの結晶化条件を、室温でのシッティングドロップ蒸気拡散法により、市販のスクリーン(Molecular DimensionsのMorpheus)から同定した。データ収集に用いた結晶は、0.12Mのエチレングリコール(ジ、トリ、テトラ及びペンタ-エチレングリコール)、pH6.5の0.1MのBuffer Mix 1(イミダゾール/MES)、及び30%のPrecipitant Mix 1(20%v/v PEG 500* MME; 10%w/v PEG 20000)からなる沈殿剤溶液における初期セットアップ(位置E1)から直接得た。結晶を液体窒素中でフラッシュ冷却した(抗凍結剤を追加することなく、母液から直接的に)。Advanced Photon Source(APS)ビームライン24-ID-E上の単結晶からX線回折データを収集した(1.78Å分解能)。データは、プログラムXDS(Kabsch, 2010a, b)、及びCCP4スイート(Collaborative Computational Project, 1994)(RAPDを使用)からの他のデータ処理ユーティリティを用いて統合され、スケーリングされた(そのソフトウェアは、ビームラインで利用可能である)。初期フェーズ推定値及び電子密度マップは、Phaser(McCoy et al., 2007)との分子置換によって得られ、Phenixの初期探索モデルとして、(PDB:5GGU)からの単一のFAB分子を使用した(Adams et al., 2010)。反復モデル構築及び構造的改良は、それぞれCOOT(Emsley et al., 2010)及びPhenixを用いて手動で実施された。ペプチド密度は十分に定義され、残基STKPSDGNST(配列番号25)については90%の占有率まで洗練された。他の残基すべてが可視化されるわけではなく、それらが完全に溶媒である領域は、ペプチド原子を含む結晶接触を有しない。最終モデルの品質は良好であった(Ramachandranに記載の通り、観察された残基の96%は許容領域内)。データ収集及び精緻化統計は図13Bに要約される。すべての分子グラフィックは、PyMOL(Version 2.0 Schrodinger, LLC)を用いて作成した。原子座標及び実験構造因子は、受託コード6VJTの下でPDBに寄託されている。
ヒト化マウス及びインビボ研究
6~8週齢のFah-/-NODRag1-/-IL2rgnull(FNRG)雌マウスに、既報のようにして(de Jong et al., 2014)、小児雌ドナーHUM4188(Lonza Bioscience)からの100万個のヒト肝細胞を移植した。簡単に説明すると、イソフルラン麻酔下で、マウスは、皮膚及び腹膜の切開を受け、脾臓を露出された。28ゲージ針を用いて100万個の肝細胞を脾臓に注入した。次いで、腹膜を、4.0 VICRYL縫合(Johnson & Johnson)を使用して接近させ、MikRon Autoclipサージカルクリップ(Becton Dickinson)を用いて皮膚を閉じた。体重減少と全体的な健康とに基づいて、マウスに薬剤ニチシノン(Yecuris)をサイクルオフした。ヒト特異的ELISA(Bethyl Labs)を用いてマウス血清中のヒトアルブミンを定量することにより、ヒト化をモニターした。1mg/mlより大きいヒトアルブミン値を有するヒト化FNRGマウスを、感染実験のために使用した。ヒト肝臓キメラ(huFNRG)マウスは、極度に免疫不全である。Rag1-/-は、マウスB及びT細胞を欠損させ、IL2rgnull変異は、複数の受容体を介したサイトカインのシグナル伝達を防止し、機能性NK細胞の欠乏につながる。さらに、遺伝子バックグラウンドはNODバックグラウンドであり、最適ではない抗原提示、T及びNK細胞機能における欠陥、マクロファージサイトカイン産生の減少、創傷治癒の抑制、C5補体欠乏を伴う。従って、マウスは、抗体依存性エフェクター機能(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性(ADCC)、又は受動的抗体増強適応免疫を含む)を生じることができないであろう。
マウスに、PBS中で希釈した、1×104ゲノム当量(GE)のマウス継代遺伝型C HBVウイルスを静脈内投与した。発症予防実験のために、500μgのモノクローナル抗体を、感染の20時間前に、及び6時間前に再度、腹腔内投与した。治療実験のために、HBV感染を確立させたhuFNRGマウス(血清1mL当たり<108 DNAコピー)に、500μLの各モノクローナル抗体を週3回腹腔内注射した。
週に一度採取したマウス血清中のDNAを、QIAamp DNA Blood Mini Kit(Qiagen)を用いて抽出した。全HBV DNAは、定量的PCRにより決定した(Michailidis et al., 2017)。PCRは、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)、プライマー及びプローブを用いて行った(表S3)。
血清から配列解析用のHBV DNAを得るために、プライマー(表S3)、及びPhusion DNAポリメラーゼ(Thermo Fisher Scientific)を用いてSドメインを増幅した。初期変性は98℃で30秒行い、続いて40回の増幅サイクル(98℃で10秒、60℃で30秒、及び72℃で30秒)を行った後、1サイクル(72℃で5分間)を行った。サンガー配列決定のために、~700bp断片をゲル抽出した。MacVectorを用いて配列アライメントを行った。
定量化及び統計解析
統計分析の詳細な情報は、結果及び図の説明に見い出すことができる。スピアマンの順位相関法(図1A及び図2B)により、相関性を評価した。統計的有意性は、Benjamini-Hochberg手順で修正されたp値を用いる、Dunn's Kruskal-Wallis多重比較により計算された(図8C)。ELISAアッセイによる50%有効濃度(EC50)値(図3A及び3C)と、中和アッセイによる50%阻害濃度(IC50)値(図5C)とを、PRISMソフトウェアにおける非線形回帰分析により算出した。
実験の考察
以前の研究は、少数の任意抽出の自然回復個体又はワクチン接種された個体から、いくつかの抗-HBs中和抗体を特定した(Cerino et al., 2015; Colucci et al., 1986; Eren et al., 1998; Heijtink et al., 2002; Heijtink et al., 1995; Jin et al., 2009; Kim and Park, 2002; Li et al., 2017; Sa'adu et al., 1992; Sankhyan et al., 2016; Tajiri et al., 2007; Tokimitsu et al., 2007; Wang et al., 2016)。対照的に、本開示では、144人の暴露ボランティアからの血清をスクリーニングして、非常に優れた中和者を同定した。血清学的活性は、ドナー間で大きく変化し、高レベルの中和活性を示す少数の個体が存在した。この活性を理解するために、我々は、上位ドナーから得られた単一のB細胞から、244種の抗-HBs抗体を単離した。試験したエリートドナーの各々は、S-タンパク質上の3つの非オーバーラップ部位を標的とするbNAbを発現するメモリーB細胞の拡張クローンを示した。また、いくつかのbNAbのアミノ酸配列は、異なる個体において非常に類似していた。これらの密接に関連する抗体は、同一のエピトープを標的とする。
血縁関係のないエリート個体におけるHBV bNAbのクローンの近似した同一性は、HIV-1(Scheid et al., 2011; West et al., 2012)、インフルエンザ(Laursen and Wilson, 2013; Pappas et al., 2014; Wrammert et al., 2011)、ジカ熱(Robbiani et al., 2017)、及びマラリア(Tan et al., 2018)に対するエリート応答者に関する報告と類似している。しかしながら、エリート抗-HBs bNAbはいずれも、以前に報告されたHBV中和抗体と、IgHおよびIgLの両方を共有しておらず、以前に報告されたHBV中和抗体の最良のものは、臨床において試験されてきたが、本開示のbNAbのいくつかほど強力ではない(リビビルマブ IC50:35ng/ml、ツビルマブ IC50:~100ng/ml)(Galun et al., 2002; Heijtink et al., 2001; van Nunen et al., 2001)。
記載されたアラニンスキャニング及び競合結合分析は、bNAbによって同時に認識されることができる少なくとも3つのドメインの存在と一致する(Gao et al., 2017; Tajiri et al., 2010; Zhang et al., 2016)。しかしながら、前記ドメインは、2種類の以前に定義された環状ペプチドエピトープ123~137及び139~148(Tajiri et al., 2010; Zhang et al., 2016)のいずれかに制限されないように思われる。その代わりに、外部ドメインの大部分にわたる残基は、グループ-I及び-II抗体の両方による結合に寄与することができる。例えば、アラニンスキャニングは、グループ-IのH020結合が、I110、K141、D144、G145及びT148に依存する一方、グループ-IIのH016結合は、T123、D144、及びG145に依存することを示す。それゆえ、非重複結合部位を有するにもかかわらず、必須残基のいくつかがグループ-I及び-IIで共有され、エピトープが立体配座であることを示唆する。さらに、マウス及びヒト抗体を用いて同定されたS-タンパク質上の抗体エピトープは別個であってもよい(Chen et al., 1996; Ijaz et al., 2003; Paulij et al., 1999; Zhang et al., 2019; Zhang et al., 2016)。最後に、感染したヒトにおいて頻繁に変異される残基であるG145(Ma and Wang, 2012; Tong et al., 2013)は、試験したすべてのグループ-II抗体による結合に必須であると考えられる(これに対して、試験したグループ-I又は-III抗体すべてではない)。
グループ-IIのbNAb H015及びその線状エピトープの結晶化は、P142、S/T143、D144、及びG145を含むループを明らかにし、これらはすべて自然感染中に頻繁に変異して、十分に裏付けされた免疫エスケープ変異体を産生する(Hsu et al., 2015; Ijaz et al., 2012; Ma and Wang, 2012; Salpini et al., 2015)。免疫エスケープに加えて、この構造を形成する残基も、感染性に必須である(おそらく細胞表面グリコサミノグリカンとのウイルス相互作用を促進することによって(Sureau and Salisse, 2013))。K141、P142並びにC139及びC147における変異は、いずれも構造の安定性に寄与し、ウイルス感染性を減少させる(Salisse and Sureau, 2009)。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、新たに解明されたH015-ペプチドループ構造を不安定化する薬剤も、感染性を妨害し得ると考えられる。
最も頻繁な免疫エスケープ変異体の1つであるG145R変異は、小さな中性残基を、嵩高い荷電残基で置換し、これはペプチドループを固定するK141とD144との間の塩橋を破壊することによって抗原性を妨害する可能性がある。しかしながら、この急激な構造変化は感染性を変化させず(Salisse and Sureau, 2009)、これはおそらく、追加の電荷が、HBVと細胞表面グリコサミノグリカンとの間の変化した相互作用を補償するためである(Sureau and Salisse, 2013)。従って、追加の電荷は、G145Rが、感染性を維持しながら優性の免疫エスケープ変異体として機能することを可能にし得る。
本開示は、一部でS-タンパク質抗原に向けられた抗体を記載しており、これは、この抗原が現在のFDA-認可ワクチンで使用される抗原であるためであり、及び、精製されたS-タンパク質が、エリート中和者の血清中で中和活性のほとんどすべてをブロックしたためである(彼らがワクチン接種されたかどうか、又は自然回復したかどうかとは無関係に)。それにもかかわらず、感染から回復する個体は、HBsAgのPreS1ドメインに対する抗体を産生する(Li et al., 2017; Sankhyan et al., 2016)。PreS1ドメインは、ウイルスが肝細胞上の侵入因子NCTPと相互作用するために必須であり、PreS1に対する強力な中和抗体が報告されている(Li et al., 2017)。しかしながら、これらは、自然発生した抗体ではなく、むしろ、未暴露の又はワクチン接種された健常ドナーから得られたファージライブラリーから誘導されたIgH及びIgL鎖を無作為に対にしている(Li et al., 2017)。さらに、ファージ抗体は、それらの中和活性を増強するためにさらなる遺伝子操作を必要とした(Li et al., 2017)。このように、ヒト免疫系が、強力な抗-PreS1 bNAbを産生するかどうかは、未だ判明していない。
慢性HBV感染は、有効な治療戦略を必要とする主要でグローバルな公衆衛生上の問題である(Graber-Stiehl, 2018; Lazarus et al., 2018; Revill et al., 2016)。慢性的に感染した個体は、免疫系を不能にすると仮定される圧倒的量のHBsAgを産生する。その結果、通常ウイルスを除去し得る免疫細胞は、抗原と反応することができない(枯渇又はアネルギーと呼ばれる現象)(Ye et al., 2015)。抗-HBs抗体の出現は、疾患からの自然回復と関連しており、これはおそらく、それらが抗原を除去し、増殖性免疫応答の出現を促進することができるためである(Celis and Chang, 1984; Zhang et al., 2016; Zhu et al., 2016)。これらの知見は、受動的に投与される抗体を、抗ウイルス薬と併用してもよく、疾患の長期間の制御を維持する免疫応答を増強しながら、抗原的負荷をさらに減少させるという仮説を導く。HBVに感染したhuFNRGマウスにおける現在記載されている結果は、強力なbNAbによる抗体単独療法が、慢性的に感染した個体において一般的に見い出されるのと全く同じエスケープ変異の出現を導き得ることを示している。さらに、すべてのbNAbの組み合わせが、変異によるエスケープを防止するのに有効であるわけではない。別個のエピトープを標的とするが、一般的に発生するエスケープ変異に対して重複する感受性を有する組合せ(H006及びH007など)は、無効である。これとは対照的に、一般的なエスケープ変異に対する相補的感受性の組み合わせは、HBVに感染したhuFNRGマウスにおけるエスケープ変異の出現を防止する。したがって、上記のように、本開示は、この潜在的な問題を回避するために、相補的な活性を有する抗体の組み合わせによるHBV感染の免疫療法を提供する。
以下の参照リストは、いずれかの特定の参照が、特許性の材料であることを示すものではない。
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補足表S1.ドナーの詳細情報;図1に関連
各ドナーの血清サンプルの抗-HBs ELISA力価(図1A及び8Bにおけるx軸)、及び相対感染率(図1A及び8Bにおけるy軸)を、ELISAアッセイ及びインビトロ中和アッセイによりそれぞれ決定した。
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補足表S2.対となる重鎖及び軽鎖を有するクローン化抗体に関する詳細情報;図2に関連
クローン化免疫グロブリン重鎖、カッパ軽鎖、及びラムダ軽鎖の可変遺伝子(V)、多様性遺伝子(D)、及びジョイニング遺伝子(J)、可変遺伝子上の変異(V MUT)、及びCDR3アミノ酸配列を列記する。これらの抗体は、それらのIGHV遺伝子によってグループ化され、我々が選択したH001~H020抗体とともに示される。図2Dにおける配列アラインメントのために使用されるH021抗体も示される。IGH CDR3のアミノ酸長は、5~27アミノ酸の間であり、16アミノ酸が最も多く、平均は約15アミノ酸である。システインを含むIGH CDR3は16個ある。
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表S3.プライマー及び合成ヌクレオチド配列
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以上のことから、本開示は、ワクチン接種されたか又はHBV感染から自然回復した個体をスクリーニングすることを記載していることが理解されるであろう。メモリーB細胞からの抗体クローニングにより、上位個体の5人すべてが、HBV S抗原(HBsAg)上の3つの非オーバーラップエピトープを標的とする広範囲中和抗体(bNAb)のクローンを産生したことが明らかになった。同じ免疫グロブリン可変性、多様性、及びジョイニング重鎖及び軽鎖遺伝子を有するクローンが、エリート中和者の間で共有されていた。単一のbNAbは、感染からヒト化マウスを保護したが、確立された感染を有するマウスにおける耐性変異のために選択された。これとは対照的に、非オーバーラップエピトープを標的とし、ヒト感染中に一般的に出現する変異に対して相補的感受性を有するbNAbの組み合わせによって、検出可能なエスケープ変異の不存在下で、感染が制御された。ヒト免疫エスケープ変異体において高頻度で変異される残基を含むペプチドエピトープを伴うbNAbの1つの共結晶構造は、反対に荷電した残基によって固定されたループを明らかにした。この構造は、慢性HBV感染に対する免疫療法が、本明細書に記載の相補的なbNAbの組み合わせを必要とし得る理由についての分子的解釈を提供する。
本開示は特定の実施形態を介して説明されたが、日常的な変更が当業者に明らかであり、そのような変更は本開示の範囲内であることが意図される。
Claims (27)
- 単離もしくは組換え抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記単離もしくは組換え抗体又はその抗原結合フラグメントは、相補性決定領域(CDR)を含んでおり、前記CDRは、表S2の抗体重鎖及び軽鎖CDRから選択される重鎖及び軽鎖アミノ酸配列CDR1、CDR2及びCDR3を含んでいる、単離もしくは組換え抗体又はその抗原結合フラグメント。
- 表S2の抗体H017の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、又は表S2の抗体H019の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、表S2の抗体H016の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、請求項1に記載の組換えもしくは単離抗体又はその抗原結合フラグメント。
- 表S2のH004の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、又は表S2のH005の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、又は表S2のH008の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、又は表S2のH009の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、請求項1に記載の組換えもしくは単離抗体又はその抗原結合フラグメント。
- その定常領域に少なくとも1つの改変を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の組換えもしくは単離抗体であって、
前記改変は、抗体のインビボ半減期を増加させるか、又は抗体がFcレセプターに結合する能力を変化させるか、又は抗体の凝集を抑制するか、又はそれらの改変の任意の組み合わせであり、あるいは、
前記抗体が検出可能な標識または基質に付着されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の組換えもしくは単離抗体。 - 抗体のインビボ半減期を増加させる改変を含む、請求項4に記載の組換えもしくは単離抗体。
- 抗体がFcレセプターに結合する能力を変化させる改変を含む、請求項4に記載の組換えもしくは単離抗体。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、あるいは、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの組み合わせを含む、医薬組成物。
- 前記抗体の組み合わせを含む、請求項7に記載の医薬組成物。
- 前記抗体の組み合わせが、H017抗体及びH019抗体を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
- H016抗体をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
- B型肝炎ウイルス感染の予防又は治療のための方法であって、
それを必要とする個体に、請求項1~3のいずれか1項に記載の少なくとも1つの抗体又はその抗原結合フラグメントの有効量を投与することを含み、この際任意で、前記少なくとも1つの抗体は、定常領域に少なくとも1つの改変を含む、方法 。 - 前記投与が、H017抗体及びH019抗体を含む抗体の組合せを投与することを含む、請求項11に記載の方法。
- 前記投与が、H016抗体を投与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
- 少なくとも2つの抗体の組み合わせを投与することを含み、前記少なくとも2つの抗体の組み合わせを投与することが、B型肝炎ウイルスによる感染に対して治療及び/又は予防効果を提供し、ここで、前記B型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスのHBsAg又はS-タンパク質の少なくとも1つに、1つ又は複数のエスケープ変異を含むものである、請求項11に記載の方法。
- 前記少なくとも2つの抗体の組み合わせが、H017抗体及びH019抗体を含む、請求項14に記載の方法。
- 前記少なくとも2つの抗体の組み合わせが、さらにH016抗体を含む、請求項15に記載の方法。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントのいずれか1つの重鎖及び軽鎖をコードする1つ又は複数の組換え発現ベクター。
- 請求項17に記載の1つ又は複数の組換え発現ベクターを含む細胞。
- 請求項18に記載の細胞を培養すること、及び前記細胞から抗体を分離することを含む、方法。
- 請求項17に記載の1つ又は複数の発現ベクターを含むキット。
- B型肝炎ウイルスを検出する方法であって、
個体からの生物学的サンプルを、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体と接触させること、及び、前記抗体とB型肝炎ウイルスタンパク質とを含む複合体の存在を検出することを含む、方法。 - ペプチドと請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体とによって形成される複合体を妨害することによって、B型肝炎ウイルスS-タンパク質の抗原性ループ領域を標的にする能力について、1つ又は複数の候補薬剤を試験することを含む、方法。
- B型肝炎ウイルスS抗原(HBsAg)に由来する少なくとも2つの非オーバーラップエピトープを含むワクチンであって、この際任意で、前記非オーバーラップエピトープの少なくとも1つは、一般に発生するエスケープ変異を含んでいない、ワクチン。
- HBsAgに由来する少なくとも3つの非オーバーラップエピトープを含む、請求項23に記載のワクチン。
- それを必要とする個体に、請求項23に記載のワクチンを投与することを含む、B型肝炎ウイルス感染を予防及び/又は治療する方法。
- 前記投与が、HBsAgに由来する少なくとも3つの非オーバーラップエピトープを含む、請求項25に記載の方法。
- 前記個体におけるB型肝炎ウイルスが、前記ワクチンの投与後、エスケープ変異を含むB型肝炎ウイルスを発生させない、請求項26に記載の方法。
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