JP2022546943A - 密封装置 - Google Patents

Abstract

ハウジング（２００）と、ハウジング内に回転可能に取り付けられたシャフト（３１０）との間の中間空間を封止するための密封装置（１００）であって、ハウジング（２００）は、前側と、後ろ側と、前側から後ろ側に延び、シャフト（３１０）の導出に適した第１の開口部（１２０）とを有する板状の第１の本体（１１０）と、本体（１１０）内を走り、液体または気体の媒体の流通に適したライン（１３０）とを有する。ここで、第１の本体（１１０）は、ハウジング（２００）に回転可能に取り付けられたシャフト（３１０）が第１の開口部（１２０）を通るように、ハウジング（２００）に密封固定されるのに適している。ライン（１３０）は、少なくとも１つの迂回路（１３４）および／または少なくとも１つの分岐（１３６）を介して入口（１３２）に接続され、第１の開口部（１２０）に半径方向に対称につながる出口（１３８）を有する。第１の開口部（１２０）は、第１の封止手段（１４０）が、ライン（１３０）の出口（１３８）を塞ぐことなく、シャフト（３１０）と第１の本体（１１０）との間の中間空間を封止するように、第１の封止手段（１４０）を導入するのに適している。

Description

本発明は、回転可能に取り付けられたシャフトを封止するための密封装置に関する。さらに、本発明は、そのような密封装置を製造する方法に関する。

様々な機械において、回転運動の伝達にはシャフトが使用される。特に、混合装置の回転にドライブシャフトを使用することが知られている。このため、ドライブシャフトは、ギアおよび／またはモーターからハウジングへと導かれ、ハウジング内で混合装置に接続されて、混合装置を動作させる。このような機械の例として、押出システムがあり、ここでは、ハウジング内で回転する押出機のスクリューが、押出材を完全に加工または混合する。このような押出スクリューは、押出システムのハウジングから突出するドライブシャフトに接続される。

このような混合装置では、混合処理（例えば、摩耗）や、混合に使用される材料（例えば、チョーク、タルカム、カラーパウダーなどの粉末状の材料や混合添加剤）によって、大量の粉塵が発生し得る。混合装置のハウジングとハウジングから突き出たシャフトとの間の中間空間が封止されていないと、動作中に大量の汚染が発生する。さらに、漏れ出る粉塵は健康に害を及ぼす可能性があり、また、過度の粉塵の堆積により、モーター、ギア、または駆動列の損傷につながる可能性がある。

一般的に、このような封止には様々なシーリングの概念が用いられる。ひとつには、例えば、ラジアルシャフトシールリング、Ｏリング、スタッフィングボックスパッキンなどの異なる種類のシーリングを使用することができる。一方で、空気、グリース、水などの封止媒体を中間空間に導入することで、埃が漏れ出るのを防ぐことができる。しかし、例えば、２つのラジアルシャフトシールリングに封止水の供給を付加的に組み合わるといった、異なる種類のシーリングや封止媒体を組み合わせて使用することも知られている。

このような封止手段と封止媒体の組み合わせは、特に封止性能を高くする必要がある場合や、シール内の摩耗を低減する必要がある場合に行われる。封止手段と封止媒体の組み合わせでは、通常、封止媒体の供給は、外部から周囲のハウジングに導入される数個のボア孔を介して行われる。

しかし、この方法には様々な不都合がある。例えば、利用可能な設置スペースがあることで、必要なボア孔を外部から周囲のハウジングに形成することができる場合にのみ、封止手段と封止媒体とを組み合わせた使用が可能となる。したがって、封止手段と封止媒体とを組み合わせるには、従来からあるドリルで封止を達成可能なことが要件となる。

さらに、設置スペースを十分に確保できても、封止媒体をハウジング内で迂回させる必要がある場合も頻繁に発生する。そのためには、数本のボア孔をハウジングに形成してハウジング内で合流させる必要がある。この製造には高い技術が要求される。また、穿孔処理によりボア孔内に削り屑が発生するが、アクセスが不可能なために除去できず、封止媒体の流れ方に悪影響を及ぼすことがある。また、封止媒体の不要な流出を防ぐために、製造後には、封止媒体供給用のボア孔を除くすべての穴をストッパーで周囲から閉じなければならない。追加の製造ステップを必要とするため、これにより追加のコストが発生する。

このため、通常、ハウジングには複数のボア孔を設けない。機械加工による製造工数を可能な限り少なくするために、封止媒体の供給は、シャフトの一箇所のみで、つまり１つのチャネルのみを介して行われることになる。しかし、これでは、封止媒体をシャフトの半径方向に対して対称に導入することができず、密封性能が損なわれてしまう。

本発明は、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に取り付けられたシャフト（例えば、押出機のスクリューシャフトなど）との間の中間空間を封止するための密封装置であって、上述のような欠点が生じない装置を創出することを目的とする。したがって、利用可能な設置スペースに関係なく、封止手段と封止媒体の組み合わせを可能にする密封装置を作る必要がある。ここで、密封装置の製造方法に起因する残留物によって封止媒体の流れが妨げられることなく、半径方向に対称にシャフトに封止媒体を導入可能にする。

この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利なさらなる発展形は、従属請求項において定義されている。

したがって、このような密封装置は、前側、後ろ側、および前側から後ろ側に延びる第１の開口部を備え、シャフトの貫通に適した、板状の第１の本体を備える。さらに、密封装置は、液体または気体の媒体の流通に適した、本体内を走るラインを備える。ここで、第１の本体は、ハウジングに回転可能に取り付けられるシャフトが第１の開口部を介して導かれるように、ハウジングに密封固定されるのに適している。ラインは、少なくとも１つの迂回路および／または少なくとも１つの分岐を介して入口に接続され、半径方向に対称に第１の開口部につながる複数の出口を有することができる。第１の開口部は、第１の封止手段の導入に適しており、第１の封止手段は、ラインの出口を塞ぐことなく、シャフトと第１の本体との間の中間空間を封止するのに適している。

空気、水、グリースなどの封止に適した気体または液体の媒体をハウジングに直接供給する代わりに、封止板が提供される。当該封止板はシャフトの駆動列につながるハウジングの一部に取り付け可能である。ハウジングと封止板（すなわち、板状の第１の本体）との間は、被封止材料に対して緊密で、かつ、材料が漏れ出さないように、密封かつ面一に結合される。また、有利な場合には、密封特性を損なわない範囲でハウジングと第１の本体との間にさらなる部品を配置することができる。

ハウジングから突出するシャフトは、内側の開口部を介して第１の本体の当該位置に導かれる。よって、ハウジングとシャフトとの間の中間空間を封止するという課題は、ひいては、シャフトと第１の本体(すなわち、封止板)との間を封止するという課題となる。

つまり、ハウジング内で直接封止するのではなく、封止手段や封止媒体などの封止に必要な手段を開口部に導入することが可能となる。したがって、ハウジングとは無関係に、密封装置あるいは、封止板または第１の本体をそれぞれに適した手段で形成することができるため、ハウジングにおける設置スペース不足に関する課題を解決することができる。

特に、ラインの分岐および／または迂回路によって1個の入口から、開口部の側壁において半径方向に対称に開口し、したがって封止媒体を半径方向に対称にシャフトに供給するのに適した複数の出口にラインを導くことができるように、第１の本体を構成することが可能になる。

同時に、例えばテーパー状あるいは段差などの既知の方法で、封止媒体ラインの出口を塞ぐことなく、開口部を、シャフトの密封に従来の方法で使用される封止手段を当該開口部に挿入可能とするのに適したものとすることができる。例えば、プレスシールやスタッフィングボックスパッキンを開口部の段差に形成することで第１の本体とシャフトとの間の封止を実現し、さらに、ラインを介して導入される封止媒体も用いることでシャフトとハウジングとの間の封止を実現することができる。同様に、封止を形成するために、例えば、Ｏリング、ラジアルシャフトシールリングなどの他の封止手段を、開口部内および／または開口部に適切な方法で固定してもよい。

理想的には、封止媒体は、導入された封止手段に対する圧力によって作用することができる。すなわち、通常は、封止手段のみで被封止材料の流出を防ぐのに十分であるが、動作中にシャフトが正常位置からわずかでも変位した場合、封止手段から一時的に漏れが生じてしまうことがある。しかし、この場合に、圧力を受けた封止媒体は、第１の本体と封止手段との間の漏れ領域に流れ込み、その流れの方向と粘性により、被封止材料の流出を防ぐことができる。代替的に、封止媒体は、圧力をかけずに封止手段に当てて配置してもよい。その場合、ハウジングから流出する材料は、通常、流出材料よりも高粘度の封止媒体に捕捉される。この場合、封止媒体を封止手段の手前に配置することもできる。

第１の本体は、ここではいくつかの個別の部品で構成してもよい。例えば、第１の本体は、２枚の板で構成してもよい。第１の板の表面にラインをフライス加工してもよく、第２の板は、例えば、面一に溶接、ねじ留め、または、リベット留めなどにより、第１の板の上に密封されて配置される。このようにして、複数のボア孔を形成する必要なく、第１の本体にラインが形成される。

代わりに、第１の本体は、一体的に形成することができる。すなわち、第１の本体は、従属部品を含まない１つの部品のみで構成される。これは、付加製造(additive manufacture)によって実現可能である。特に、第１の本体は、３Ｄプリンティングによって製造することができる。したがって、第１の本体の製造過程では、ラインと開口部を直接開口したままとする。フライス加工やドリル加工でラインや開口部を製造する必要はない。

付加製造方式による製造では、ラインや開口部の形状や位置を、コースや断面を含めて全く自由に選択できるという利点がある。また、機械加工を伴わないため、削り屑などがラインに詰まるおそれもない。特にラインは、円形、楕円形、角張ったものなど、任意の断面に形成可能であり、要求に応じて変更することができる。また、ライン内で断面積を変えることもできる。同様に、所望の有利なラインの方向を実現することが可能であり、特に所望の任意数の分岐および／または支流、あるいは迂回路を形成することが可能である。これにより、ライン内の圧力損失を最適に設定することができ、封止媒体の消費量を抑制し、および／または、エネルギーも節約される。

第１の本体は、封止板として使用するのに十分な強度を持つ任意の材料から製造することができる。第１の本体は、金属、例えばアルミニウムから作られるのが好ましい。

また、密封装置は、第１の本体に加えて、第１の封止手段を備えてもよく、第１の封止手段は、ラインの出口に対応して、第１の本体がハウジングに接続される側に配置される。これにより、第１の封止手段と、ラインを介して導入される封止媒体との組み合わせにより、被封止材料の流出または漏洩を効果的に防止することができるという利点がある。

密封装置は、さらに、ラインの出口を塞ぐことなく、シャフトと第１の本体との間の中間空間を封止する第２の封止手段を備えてもよく、この場合、出口は、第１の封止手段と第２の封止手段との間に配置される。これにより、２つの封止手段の間に、圧力によって有利に作用する封止媒体を導入することができる。そして、封止媒体は、封止手段の一方が、例えば、シャフトの一次的な不均衡によって緩んで漏洩が可能になった場合にだけ封止手段と第１の本体との間の領域から漏れ出る。これにより、密封装置の気密性が向上するだけでなく、密封媒体の消費量を削減することが可能である。さらに、ラインに接続された圧力センサーなどにより、封止媒体に存在する圧力を監視してもよい。一定の圧力損失がある場合には少なくとも１つの封止手段に漏れ箇所があると仮定されるため、密封装置の気密性を監視することが可能となる。よって、封止手段を再調整または交換することで、密封装置の選択的なメンテナンスを実現することが可能となる。

第１の封止手段および／または第２の封止手段は、スタッフィングボックスとして形成することができる。これにより、回転可能シャフトの密封を簡単に実現することができる。さらに、スタッフィングボックスを用いることで、初期段階の漏れが発生した場合にシールの再調整が可能となる。このようにして、封止手段を交換することなく、可能な限り長く使用することが可能となる。

さらに、密封装置は、第２の開口部を有する板状の第２の本体を備えてもよく、当該第２の開口部は、第１の開口部と第２の開口部とが互いに重なり合い、それらを介してシャフトが導かれるように、第１の本体のうちハウジングに面していない側面で、第１の本体に密封接続されるのに適している。第２の開口部は、第２の封止手段がラインの出口を塞ぐことなくシャフトと第２の本体との間の中間空間を封止するように、第２の封止手段を導入するのに適している。

したがって、第１の開口部が第２の開口部により延伸するように、第２の封止板または第２の本体を第１の本体に設置することができる。第２の本体は、被封止材料が第１の本体と第２の本体との間から漏れ出ないように第１の本体に固定される。第１の本体はシャフトに対して第２の封止手段によって密封されるが、この密封は、第２の本体の領域においても実現させてもよい。この場合、ラインは第１の本体内に配置する。ただし、ラインの出口が第２の封止手段によって塞がれない限り、ラインを第２の本体に配置してもよい。また、第２の本体は、独自のラインシステムを備えてもよい。このようにして、密封装置の構造をより柔軟に構成することができ、封止効率をさらに向上させることができる。

第１の本体は、さらなるシャフトの貫通に適した第３の開口部を備えてもよい。これにより、密封装置は、複数の、特に平行なシャフトを備えた装置にも使用することができる。特に、このような密封装置は、多軸押出機での使用に適している。

このように構成された密封装置は、さらに、第１の本体と同様に構成され、第１の本体の第１の開口部が第３の本体の第３の開口部と重なってシャフトの貫通を可能にし、第１の本体の第３の開口部が第３の本体の第１の開口部と重なってさらなるシャフトの貫通を可能とするように、第１の本体との密封接続に適した第３の本体を有することができる。

したがって、第１の本体と第３の本体は、実質的に同じ構造である。すなわち、同じタイプの開口部とラインを有する。いずれの本体も、封止媒体のライン出口が配置された開口部（第１の開口部）と、さらなる開口部（第３の開口部）を有する。１本のシャフトは両方の開口部を通ることができる。しかし、ライン出口が設けられた開口部は、互いに重なっておらず、それぞれ別のシャフトに割り当てられている。これにより、例えば二軸押出機のように並列に配置された２本のシャフトに対しても、上述の方法で封止を実現することができる。これは特に有利である。なぜなら、このような装置では、混合されるべき媒体と、シャフトに接続された押出機のスクリューとの相互作用によって、シャフトに力が働き押し広げるからである。そのため、二軸押出機では、前述した、封止手段の一時的な漏れが比較的頻繁に発生する。これは、上述した第１および第３の本体を備えた密封装置によって、漏れ出た被封止材料が封止媒体によって捕捉されることで、効率的に改善することができる。

同様に、上述のように、封止板における封止媒体のラインシステムに複数の開口部を設けることも考えられる。これにより、任意の数のシャフトを持つ多軸システムも効果的に密封することができる。さらに、上述したような複数の封止板を使用して、対応する貫通孔を追加し、互いに固定することで、任意の所望の数のシャフトを持つシステムを密封することが可能である。

押出装置は、上述したような、シャフトによって回転可能にハウジング内に取り付けられた押出スクリューと、ハウジングとシャフトとの間の中間空間を封止する密封装置とを備えてもよい。したがって、このような押出装置は、スクリュー駆動方向に押出成形物および／または特に微粉状の混合添加物が漏れ出るのを効果的に封止する。

多軸押出機は、上述したような、第１のシャフトおよび第２のシャフトによってハウジング内に回転可能に取り付けられた２つの押出スクリューと、複数のシャフトのための密封装置とを備えてもよい。これにより、多軸押出機は、スクリュー駆動方向への押出物および／または特に微粉状の混合添加物が漏れ出るのを、効果的な方法で封止することができる。

上述したような密封装置の製造方法は、付加製造方式、特に、３Ｄプリンティングによって第１の本体を製造するステップを備えてもよい。上述したように、これにより、可能な限り効率的で使用に適したな方法で、密封装置を製造することができる。

コンピュータプログラム製品は、付加製造用の装置上で実行されることにより、付加製造用の装置に上記方法を実行させることができる。

以下、本発明を添付の図を参照して詳細に説明する。この説明が例示に過ぎないことは明らかである。本発明の主題は、特許請求の範囲を通じてのみ定義される。

以下の図面が示される。
密封装置の概略図である。 さらなる密封装置の概略図である。

以下、本発明を、二軸押出機用の密封装置１００を参照して説明する。ただし、本発明はこの態様に限定されるものではない。特に、スクリューを１個のみまたは２を超えるスクリューを有する押出機用の密封装置への以下の説明の一般化、および、ハウジングに対して密封されるべき１または複数のシャフトを有する他の機械用の密封装置への以下の説明の一般化は、特許請求の範囲の主題の範囲にある限り、本発明に含まれるものとする。

図１は、ハウジングと、当該ハウジングに回転可能に取り付けられたシャフトとの間の中間空間を封止するための密封装置１００の概略図である。

密封装置１００は、板状の第１の本体１１０を有する。密封装置１００は、実質的に第１の本体１１０で構成することができる。ただし、図２を参照して例として以下に説明するように、複数の部品から構成することも可能である。

第１の本体１１０は、カバープレートとして形成されている。すなわち、２つの方向における広がりは、第３の方向における広がりよりも大きい。第１の本体１１０は、ここでは、封止されるべきハウジングの表面に、例えば、ねじ接続、リベット留め、溶接などによって、強固にかつ面一に取り付け可能に構成されている。ハウジングから漏れ出る材料がハウジングと第１の本体１１０との間の接続箇所に沿って外部に出ないように、ハウジングと第１の本体１１０との間の接触が緊密であることが保証される限り、ハウジングと接触する第１の本体１１０の表面は、任意の所望の方法で構成してもよい。このようにして、ハウジングとシャフトとの間の所望の密封は、第１の本体１１０とシャフトとの間でも実現される。

ハウジングと第１の本体１１０との間の封止は、所望の方法で行うことができる。例えば、ねじ留め、リベット留めなどの手段によって互いに向き合う構成要素を単にプレス接続してもよいし、例えばゴム製の封止要素などの追加の封止媒体、または、例えばグリースなどの封止媒体によって接続してもよい。あるいは第１の本体１１０とハウジングとを溶接によって接続してもよい。

図１を参照して説明するように、ハウジングと第１の本体１１０（さらなる構成要素も含む）との接続が全体として緊密である限り、ハウジングと第１の本体１１０との間にさらなる構成要素を配置してもよい。

第１の本体１１０は、ここでは、さらに後述する形態での形成に適した、ハウジングに接続可能な、十分な強度を有する任意の材料で構成することができる。特に、第１の本体１１０は、例えば、アルミニウムなどの金属で構成してもよい。ただし、第１の本体１１０は、十分に硬いプラスチックまたはセラミックから構成されてもよい。

第１の本体１１０には、第１の本体１１０の後ろ側と前側との間に延びる（第１の）開口部１２０が設けられている。第１の開口部１２０は、密封装置１００または第１の本体１１０がハウジングに接続されたときに、ハウジングから突出したシャフトが当該開口部を通ることができるように、十分な大きさを有する。例えば、開口部１２０の直径は、１０～１００ｃｍ、またはそれ以上であり、例えば２０ｃｍ、４０ｃｍ、６０ｃｍまたは８０ｃｍである。したがって、第１の開口部１２０は、密封装置１００とシャフトのハウジングとが互いに接続されている場合に、シャフトの回転を可能にする。

ハウジングと第１の本体１１０との間を固定し緊密に接続することにより、被封止材料（例えば、チョーク、タルカム、またはカラーパウダーなどの粉体）が漏洩可能な、ハウジング内に位置する領域が、第１の本体１１０とシャフトとの間の中間空間に移動する。したがって、密封には、開口部１２０のうち、シャフトが占有しない領域を密封すれば十分である。

このため、第１の本体１１０は、ライン１３０、またはライン１３０により形成されるラインシステムを有している。このライン１３０においては、封止媒体、特に例えば空気、水、グリースなどの気体または液体の封止媒体を、開口部１２０に導入することができる。ライン１３０は、所望の封止媒体の導入に適した任意の所望の断面を有することができ、この断面の形状および面積も変えることができる。ライン１３０の直径は、１ｍｍ～２０ｍｍの範囲内にあってもよく、例えば、２ｍｍ、５ｍｍ、１０ｍｍ、または２０ｍｍである。

ライン１３０は、１または複数の入口１３２を有し、この入口を介して封止媒体をライン１３０に導入することができる。図１では、３つの入口１３２が図示されている。ただし、任意の所望の好都合な数を使用してもよく、特に、１つの入口１３２だけでもよいことは明らかである。入口１３２は、第１の本体１１０の前側と後ろ側の両方に位置してもよい。したがって、封止媒体の供給は、外部から、すなわち、第１の本体１１０のうちハウジングに面していない側面を介して行うことができる。ただし、ハウジング内または中間部品内に配置されたラインを介して行うことも可能である。この場合、入口１３２は、第１の本体１１０のうち、ハウジングに面した側面に位置する。ただし、入口(複数)または入口(単数)１３２は、第１の本体１１０の側面に位置することもできる。

ライン１３０は、入口１３２から、迂回路１３４および分岐または支流１３６を介して出口１３８まで延び、この出口を介して、開口部１２０を通るシャフトに封止媒体を導くことができる。迂回路１３４および分岐１３６は、可能な限り半径方向に対称に、封止媒体でシャフトを包囲する機能を有する。したがって、ライン１３０は、複数の出口１３８がシャフトの軸に対して半径方向に対称に配置されるように形成される。したがって、図１では、４つの出口１３８は、それぞれ９０°の角度で互いにオフセットされている。出口１３８の数は、所望の数とすることができる。好ましくは、封止媒体を均一に供給できるように、その数は１よりも大きい。ただし、出口１３８が１つだけの密封装置１００も想定され得る。

板状の第１の本体１１０における、上述した第１の開口部１２０とライン１３０との組み合わせが、密封装置１００の基本原理を構成する。これにより、ハウジング内で回転するシャフトを簡易に封止することができる。以下、図示はしないが、この組み合わせを単独で個々のシャフトに使用することも可能である。同様に、複数のシャフトを封止するために、このような組み合わせを１つの封止板に複数設けることも可能である。

あるいは、図２を参照して後述するように、複数のシャフトを封止するために、第１の本体１１０に合わせて形成された複数の封止板を、互いに重ねて（あるいは背中合わせで）取り付けることも可能である。

この目的のために、図１に示すように、さらなる（第３の）開口部１６０を設けてもよく、この開口部にさらなるシャフトを通してもよい。ただし、このさらなる開口部１６０には、出口１３８が設けられない。すなわち、第１の本体１１０に設けられたライン１３０からさらなる開口部１６０に封止媒体を導入することはできない。

また、上述した構成要素に加えて、シャフトの回転運動により発生した摩擦熱を放散するために、第１の本体１１０に冷却ライン１７０を設けることもできる。

第１の本体１１０は、図に示すように、一体的に形成してもよい。すなわち、第１の本体１１０は、各種の部品から形成されない。特に、第１の本体１１０は、３Ｄプリンティングなどの付加製造方式で製造することができる。この場合、ライン１３０および開口部１２０，１６０を、はるかに柔軟に、ほとんどあらゆる所望の形状に形成できるという利点がある。さらに、ドリルやフライスなどの機械加工製造技術が不要となるため、削り屑がライン１３０を完全にまたは部分的に塞ぐことがない。また、好ましくは、第１の本体１１０は、例えばアルミニウムなどの金属で構成される。

ただし、複数の部品から第１の本体１１０を構成してもよい。その場合、ライン１３０は、機械加工法で製造してもよい。例えば、部品の表面にフライス加工を施し、それを別の部品で覆うことも可能である。

出口１３８から出る封止媒体をシャフトわきの開口部１２０内に保持するために、開口部１２０は、内部に（第１の）封止手段１４０を挿入できるように構成されている。封止手段１４０は、出口１３８を覆うことなく、第１の本体１１０とシャフトとの間の領域で開口部１２０を完全に封止する。同様に、例えば、開口部１２０から封止媒体が漏れ出るのを防ぐために、さらなる（第２の）封止手段を、（出口１３８を覆うことなく）開口部１２０に配置してもよい。なお、他のやり方で、漏洩に対して開口部１２０を封止してもよい。例えば、シャフトが突出する第１の本体１１０上に平らに設けられた封止手段によって、あるいは、さらなる部品または封止板によってその位置に保持された封止手段によって封止してもよい。

封止手段１４０は、出口１３８に対応して、好ましくは、密封装置１００のうちハウジングに面する側に配置される。したがって、封止手段１４０は、ハウジングから漏れ出る材料の第１のシーリングとして機能する。ここで、封止手段１４０は、第１の本体１１０と回転シャフトとの間の中間空間を密封するのに適した任意の所望の態様を採用することができる。例えば、封止手段１４０は、Ｏリング、ラジアルシャフトシールリングなど、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、封止手段１４０はスタッフィングボックスとして構成され、これにより、漏れが生じた場合に再調整が可能となる。封止手段１４０は、典型的には、ゴム、天然ゴムなどで構成される。開口部１２０は、例えば、段差状に構成することができ、これにより、封止手段１４０を段差に押し込んで広げることが可能である。その結果、封止手段１４０が回転可能シャフトに押し付けられて密封性が向上するようになっている。

シャフトの動作中に、シャフトが回転軸に対して垂直に変位することが常に起こり得る。これにより、封止手段１４０が圧迫されて、封止手段１４０とシャフトとの間、または封止手段１４０と第１の本体１１０との間に小さな漏れ領域が発生する可能性がある。ハウジング内に位置する被封止材料が、この領域を通って漏れ出る場合がある。しかし、漏れ出た材料はその後開口部１２０の封止媒体によって捕捉される。

さらに、出口１３８の反対側にさらなる封止手段を設けることで、封止手段との中間空間に、圧力により封止媒体を導入することができる。いずれかの封止手段で漏れ領域が発生すると、封止手段がその領域に流れ込み、その結果、被封止材料が漏れ出るのを防ぐことができる。

ラインに接続された圧力センサーにより、それに関連する圧力損失を特定することができる。これにより、シーリングの気密性を監視することが可能となり、密封装置１００の修理または交換を迅速に行うことができる。

なお、密封装置１００のうち、ハウジングに面していない側の開口部１２０に封止手段１４０を挿入し、例えば段差によって封止手段がその場所に保持されるようにしてもよい。この場合も、封止媒体と封止手段１４０との組み合わせにより、密封性を向上することができる。そして、封止媒体は、第１の本体１１０とハウジングとの間に配置された、例えば第１の本体１１０上に設けられた、さらなる封止手段によって、開口部に保持される。

したがって、図１に示す密封装置１００では、前述の課題を解決することが可能である。封止媒体は、機械加工法を用いることなく、かつ、スペース不足もなく、半径方向に対称に封止板に配置されるラインにおいて開口部に導入されて、当該開口部において回転可能シャフトの周囲の領域を封止する。さらに、開口部は封止手段を受け入れ可能であり、あるいは、開口部は、当該開口部との間で封止媒体を保持する封止手段によって封止可能である。これにより、耐久性および信頼性の高いシーリングが実現される。

図２は、さらなる構成要素を補足した図１の密封装置１００を、二軸押出装置などのハウジング２００に配置した様子を模式的に示している。図１の密封装置１００は、ハウジング２００において押出装置の２つの押出スクリューを駆動する第１のシャフト３１０および第２のシャフト３２０の封止に適している。

第１の開口部１２０を備えた上述の第１の本体１１０に加えて、図２に例示の密封装置１００は、２つの第２の開口部４２０を備えた第２の本体４１０と、第１の本体１１０と実質的に同様に構成された第３の本体５１０とを有する。ここで、第１の本体１１０は、ハウジング２００の方向において第３の本体５１０に接続され、反対側で第２の本体４１０に接続される。密封装置１００は、第３の本体５１０を介してハウジング２００に接続されている。図２に示すように、個々の構成要素は、ねじ接続によって互いに固定することができる。なお、例えば溶接など、他の任意の固定方法も可能である。

第１のシャフト３１０は、前述したように、第１の本体１１０の第１の開口部１２０を通る。第１の開口部１２０は、ハウジング２００の方向に段差を有しており、この段差に第１の封止手段１４０がしっかりと着座する。続いて、ライン１３０の出口１３８が配置され、これを介して封止媒体が開口部１３０に供給される。第１のシャフト３１０は、第２の本体４１０に設けられた第２の開口部４２０を通り、そこからギア（不図示）まで延びる。当該第２の開口部４２０は（代替的に第１の開口部１２０が、または両方の開口部が協働して）、第２の封止手段１５０を保持しており、第２の封止手段１５０は、第１の封止手段１４０とともに第１の開口部１２０の領域を画定し、そこに封止媒体を保持する。この並びにより、第１のシャフト３１０に沿ってハウジング２００から漏れ出る被封止材料を確実に封止することが可能になる。

ハウジング２００と第３の本体５１０との相互作用により、封止手段とライン出口の同様の並びが、第２のシャフト３２０に対して設けられる。第３の本体５１０は、第１の本体１１０の第１の開口部１２０に対応する第１の開口部５２０を有し、そこから第２のシャフト３２０が突出する。第３の本体５１０の第１の開口部５２０には、第１の封止手段１４０に対応する第３の封止手段５４０が段差に固定されている。これらの封止手段、および第２の封止手段１５０に対応する第４の封止手段５５０は、第３の本体５１０に形成されたライン５３０の出口（第３の本体５１０の第１の開口部５２０に開口）を囲む。第３の本体５１０のライン５３０は、第１の本体１１０のライン１３０と接続してもよいし、あるいは、（さらなる）封止媒体のための独自の入口を有してもよい。ここで、第４の封止手段５５０は、ハウジング２００の凹部および／または第３の本体５１０の第１の開口部５２０によって保持される。

その後第２のシャフト３２０は、再び密封されることなく、第１の本体１１０の第３の開口部１６０をさらに通り、第２の本体４１０におけるさらなる第２の開口部４２０を通る。そこから、第２のシャフトは、ギア（不図示）まで延びる。

第１のシャフト３１０については、密封されずに第１のシャフト３１０もまた貫通する第３の本体５１０の第３の開口部５６０が、第１の本体１１０の第３の開口部１６０に対応している。

上述した第１、第２および第４の封止手段１４０、１５０、５４０、５５０は、すべて同じタイプのものであり、例えば、Ｏリング、ラジアルシャフトシールリング、プレスシールまたはスタッフィングボックスパッキンとして形成することができる。しかし、封止手段１４０、１５０、５４０、５５０は、製造技術上の理由やコスト上の理由などで必要であれば、異なる構成にすることも可能である。同様に、１つの封止手段に異なる種類のシールを組み合わせることも可能である。

第１の本体１１０と同様に、第３の本体５１０は付加製造によって一体的に製造することができるが、第２の本体４１０は、第１の本体１１０および第３の本体５１０のような分岐ラインシステムを有していないため、好ましくは従来の方法で製造される。第２の本体４１０のギア側に図示されたライン入口１３２への供給は、ここでは穿孔機によって製造することができる。ただし、付加製造によって、第１の本体および第３の本体、あるいは、３つの本体すべてを一体的に製造することも可能である。

図２に示す密封装置により、多軸押出機のハウジングから、ハウジングに固定される封止板にシーリングを移動させることで、多軸押出装置の効果的な封止が実現される。シャフトへの封止媒体の供給を均一かつ良好にするために、３Ｄプリンティングで製作するのが望ましい。

密封装置の上述の構成要素は、原理的に既知の、付加製造に適したコンピュータプログラム製品、例えば、３Ｄプリンティング用のファイルなどによって、これらが付加製造用の装置で実行されることにより、すべて実現することができる。これにより、密封装置を分散して製造することが可能となる。

１００ 密封装置
１１０ 第１の本体
１２０ 第１の本体の第１の開口部
１３０ 第１の本体のライン
１３２ 第１の本体のラインの入口
１３４ 第１の本体におけるラインの迂回路
１３６ 第１の本体におけるラインの分岐
１３８ 第１の本体のラインの出口
１４０ 第１の封止手段
１５０ 第２の封止手段
１６０ 第１の本体の第３の開口部
１７０ 冷却ライン
２００ ハウジング
３１０ （第１の）シャフト
３２０ （第２の）シャフト
４１０ 第２の本体
４２０ 第２の開口部
５１０ 第３の本体
５２０ 第３の本体の第１の開口部
５３０ 第３の本体におけるライン
５４０ 第３の封止手段
５５０ 第４の封止手段
５６０ 第３の本体の第３の開口部

様々な機械において、回転運動の伝達にはシャフトが使用される。特に、混合装置の回転にドライブシャフトを使用することが知られている。このため、ドライブシャフトは、ギアおよび／またはモーターからハウジングへと導かれ、ハウジング内で混合装置に接続されて、混合装置を動作させる。このような機械の例として、押出システムがあり、ここでは、ハウジング内で回転する押出機のスクリューが、押出材を完全に加工または混合する。このような押出スクリューは、押出システムのハウジングから突出するドライブシャフトに接続される。
実開昭５５－１３０７２号公報は、押出成形機のスクリュー軸受部用の密封装置に関する。

Claims (12)

1. ハウジング（２００）と、当該ハウジングに回転可能に取り付けられたシャフト（３１０）との間の中間空間を封止するための密封装置（１００）であって、
   前側と、後ろ側と、前記前側から前記後ろ側に延び、前記シャフト（３１０）の貫通に適した第１の開口部（１２０）とを有する板状の第１の本体（１１０）と、
   液体または気体の媒体の流通に適した、前記本体（１１０）内を走るライン（１３０）と、
   を備え、
   前記第１の本体（１１０）は、前記ハウジング（２００）に回転可能に取り付けられた前記シャフト（３１０）が前記第１の開口部（１２０）を通るように、前記ハウジング（２００）に密封固定されるのに適しており、
   前記ライン（１３０）は、少なくとも１つの迂回路（１３４）および／または少なくとも１つの分岐（１３６）を介して入口（１３２）に接続され、前記第１の開口部（１２０）内に向けて半径方向に対称につながる複数の出口（１３８）を有しており、
   前記第１の開口部（１２０）は、第１の封止手段（１４０）が、前記ライン（１３０）の前記複数の出口（１３８）を塞ぐことなく、前記シャフト（３１０）と前記第１の本体（１１０）との間の中間空間を封止するように、第１の封止手段（１４０）を導入するのに適しており、
   前記第１の本体（１１０）は、一体的に形成されている、
   密封装置。
2. 前記第１の本体（１１０）は、付加製造方式で製造される、
   請求項１に記載の密封装置（１００）。
3. 前記第１の封止手段（１４０）をさらに備え、
   前記第１の封止手段（１４０）は、前記第１の本体（１１０）が前記ハウジング（２００）に接続される側の前記ライン（１３０）の前記複数の出口（１３８）に対応して配置される、
   先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置（１００）。
4. 前記ライン（１３０）の前記複数の出口（１３８）を塞ぐことなく、前記シャフト（３１０）と前記第１の本体（１１０）との間の中間空間を封止する第２の封止手段（１５０）をさらに備え、
   前記複数の出口（１３８）は、前記第１の封止手段（１４０）と前記第２の封止手段（１５０）との間に配置される、
   先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置（１００）。
5. 前記第１の封止手段（１４０）および／または前記第２の封止手段（１５０）は、スタッフィングボックスとして構成される、
   請求項４に記載の密封装置（１００）。
6. 第２の開口部（４２０）を有する板状の第２の本体（４１０）であって、前記第１の開口部（１２０）と前記第２の開口部（４２０）とが互いに重なり、前記シャフト（３１０）が前記第１の開口部（１２０）と前記第２の開口部（４２０）とを介して導かれるように、前記第１の本体（１１０）のうち、前記ハウジング（２００）とは反対側で前記第１の本体（１１０）に密封接続されるのに適した第２の本体（４１０）をさらに備え、
   前記第２の開口部（４２０）は、前記第２の封止手段（１５０）が、前記ライン（１３０）の前記複数の出口（１３８）を塞ぐことなく、前記シャフト（３１０）と前記第２の本体（４１０）との間の中間空間を封止するように、前記第２の封止手段（１５０）を導入するのに適している、
   先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置（１００）。
7. 前記第１の本体（１１０）は、さらなるシャフト（３２０）の貫通に適した第３の開口部（１６０）を備える、
   先行する請求項のうちいずれか一項に記載の密封装置（１００）。
8. 前記第１の本体（１１０）と同様に構成される第３の本体（５１０）であって、前記第１の本体（１１０）の前記第１の開口部（１２０）が前記第３の本体（５１０）の第３の開口部（５６０）と重なり、前記シャフト（３１０）を通すことができるように、かつ、前記第１の本体（１１０）の前記第３の開口部（１６０）が前記第３の本体（５１０）の第１の開口部（５２０）と重なり、さらなるシャフト（３２０）を通すことができるように、前記第１の本体（１１０）に密封接続されるのに適した第３の本体（５１０）を
   さらに備える請求項７に記載の密封装置（１００）。
9. シャフト（３１０）によってハウジング（２００）内に回転可能に取り付けられた押出スクリューと、
   前記ハウジング（２００）と前記シャフト（３００）との間の中間空間を封止するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の密封装置（１００）と、
   を備える押出成形機。
10. 第１のシャフト（３１０）および第２のシャフト（３２０）によってハウジング（２００）内に回転可能に取り付けられた２つの押出スクリューと、
    前記ハウジング（２００）と前記第１のシャフト（３１０）および前記第２のシャフト（３２０）との間の中間空間を封止するための請求項７または８に記載の密封装置（１００）と、
    を備える多軸押出成形機。
11. 請求項１から請求項８のいずれか一項に記載の密封装置を製造する方法であって、
    前記第１の本体を、付加製造方式、特に、３Ｄプリンティングによって製造するステップを備える、
    製造方法。
12. 付加製造用の装置で実行されると、当該装置に上記方法を実行させるコンピュータプログラム製品。

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