JP2022545960A - 月経周期性症状の治療 - Google Patents

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Abstract

本発明は、カチノンを用いて月経周期性障害及び症状を治療する方法に関し、特に3-メチルメトカチノン(3-MMC)を用いる方法に関する。本発明は、月経周期性障害及び症状を患っている対象の治療に使用するための3-MMCを含むキットにも関する。特に、PMS、PMDD及び月経周辺期障害等の様々な障害及び/又は病態に対する、3-MMCを用いた月経周期性障害及び症状の治療のための方法及びキットを提供する。

Description

本願は、2019年8月26日出願の米国仮特許出願第62/891,438号の優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
上述の出願の内容は、その全体が本明細書に完全に記載されているものとして、ここに援用する。
多量の月経出血、月経困難症、月経周辺期の著しい気分障害(月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD))等の月経症状は、婦人科系病態の一般的なものである。一般的な身体症状に加え、月経周期に起因する行動/気分の変化としては通常、抑うつ、怒りの爆発、苛立ち、泣き(継続的/めそめそ状態)、不安、混乱、引きこもり、集中力低下、不眠、疲労、性欲の変化(Amer Coll. Obstet. And Gynaecol FAQ-PMS, 2015)が挙げられる。聞き取り調査から、22.5%~35%の女性が月経出血の量が多いと考えており、34~94%の女性が月経時の痛みを経験していることが分かった。月経症状は生活の質に大きな影響を与える。更に月経症状は医療費の負担も大きい。月経出血量が多い患者の年間コストは、主に欠勤と生産性の低下によって、患者1人当たり2000ドルを超えると推定されている。病気休暇に関する国の規則に応じ、欠勤のコストは国によって異なる。若い女性においては、月経症状によって学校を欠席したり、成績が低下したりすることがある。月経困難症のために登校しない思春期の少女の欠席率は7.7%~57.8%であり、21.5%が社会活動の機会を逃したと報告されている。
女性(集団でも個人でも)の生活に大きな影響を与えるにも関わらず、月経困難症の女性の多くが助けを求めていないことが幾つかの研究で示されており、生活の質の低下や高い医療コスト及び社会コスト等、月経に関する問題が公衆衛生に与える影響が浮き彫りになっている。一般的な非選別集団における月経症状の有病率については殆ど知られていないが、最近の研究(Schoep et al, 2019 Am J Obs Gyn 220:569)では、インタビューを行った4万人を超える女性において、月経困難症(85%)、行動や気分の不調(77%)、著しい身体的不調(50%)が高い率で見られることが報告された。回答者の40%近くが月経時の活動性が全体的に低下していることが報告された。
月経前後の病状に対する代表的な治療選択肢は多岐に渡っており、軽度~中程度の症状の場合は食事や生活習慣の改善、より重度の場合は医学的及び非従来型の解決策等である。米国産科婦人科学会では、軽度~中等度の月経周辺期症状に対して、運動と食生活の改善(複合糖質やカルシウム豊富な食品等)、カルシウムの補給、睡眠の改善を推奨している。重度の症状に対する薬理学的解決策(避妊ホルモン薬、利尿薬、NSAIDS)は主に身体的側面に対処する一方、行動/気分的症状に対しては抗うつ薬、ドーパミン作動薬、抗不安薬、その他の向精神薬が処方される。しかし、月経周期性症状の治療に現在使用されている薬理活性剤は、コストが高く、副作用が大きいため、理想的ではない。PMSの治療には、セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、フルオキセチン及びセルトラリン(いずれもPMDDに対してFDA承認))、抗炎症剤、抗不安薬、ホルモン剤、ドーパミン作動薬、利尿剤等の薬剤が提案されることもあるが、このような治療法のコスト、効果及び副作用が大きな懸念事項である。(殆どの抗うつ薬には、動悸、幻覚、協調性の喪失、激しいめまい、激しい吐き気/嘔吐/下痢、筋肉の痙攣等、かなり深刻な副作用がある。)
月経周期性症状に対する他の提案治療薬としては、特に、α-トコフェロールとω-3多価不飽和脂肪酸の組み合わせ、神経成長因子、2C 5-HT受容体アゴニスト、カルシウム及びビタミンDの補給、GABA-A受容体アゴニスト、ピリドキシン、ピンドロール、マグネシウム、オキシトシン放出剤、ホスファチジル-Lセリンとマグネシウムの組み合わせが挙げられる(米国特許出願公開第2014/0356424号、第2016/0058428号、第2013/0171269号、第2008/0262071号、第2008/0160083号、第2007/0255278号、第2007/0203078号、第2007/0098819号、第2006/0241172号、第2006/0241176号、第2004/0127409号、第2004/0048919号、第2019/0099399号、第2016/0367614号明細書を参照)。
精神刺激薬と3-MMC:
行動や気分に関連する、月経周期性症状及び障害を軽減するため、ある種の精神活性薬が提案されている。アンフェタミンやコカイン、メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)等の従来の精神刺激薬は、いずれも主にモノアミン作動系を標的とし、セロトニン(5-HT)、ドーパミン(DA)及び/又はノルアドレナリン(NA)の細胞外レベルを上昇させる。MDMAやシクロセリン、その他の精神活性化合物を経験することによって気分障害や行動障害への効果が示唆されているが、治療的な使用には欠点があることも明らかにされている。一般に、アンフェタミンは、アンフェタミン精神病、うつ病及び認知機能障害のリスクを伴う。特に、MDMA等のセロトニン性薬物は、セロトニンの過剰放出を刺激する(従って、おそらく脳内のセロトニン受容体のダウンレギュレーションも引き起こす)ことによって、使用後に反跳性のセロトニン枯渇と神経伝達物質に対する感受性の低下を引き起こし、使用者はうつ病として経験し、それは数日以上続くことが多い(レビューについては、Danforth et al, Prog Neuro-Psych and Biol Psych, 2016, 64:237-249、またはAmoroso et al, J. Psychopharm 2016, 30:595-600を参照)。
本発明は、月経周期性症状に対する3-メチルメトカチノン(3-MMC)の使用に関する。カチノン類は置換アンフェタミン類であり、中心環の周りの側鎖残基の性質や位置が異なる。2-、3-及び4-メチル-メトカチノン(2-、3-及び4-MMC)はいずれも精神活性薬物であり、注意力の上昇、覚醒状態、多幸感及び食欲抑制をもたらす。4-MMCの精神刺激薬としての治療的使用は、米国特許公開第2011/0207718号、第2010/0172916号、第2016/0000815号明細書に提案されている。3-MMCの治療的使用は、国際公開第2019/026019号に提案されている。
本発明の幾つかの実施形態の一様相によれば、少なくとも1種の月経周期性症状(即ち、月経周期に起因する症状)の治療を必要とする対象においてその症状を治療する方法であって、少なくとも1種の月経周期性症状が発症すると予想される時点又はそれが発症した時点を確認し、治療有効量の3-メチルメトカチノン(3-MMC)を投与して月経周期性症状を治療することを含む方法が提供される。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~15日前に発症すると予想されるか又は発症したものである。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~7日前に発症すると予想されるか又は発症したものである。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~10日後に発症すると予想されるか又は発症したものである。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~7日後に発症すると予想されるか又は発症したものである。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~7日前と1~7日後に発症すると予想されるか又は発症したものである。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経周期性症状が発症すると予想される時点の前に投与を行う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経周期性症状が発症すると予想される時点の1~5日前に投与を行う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経周期性症状が発症すると予想される時点の1~3日前に投与を行う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経周期性症状が発症すると予想される時点又は発症した時点で投与を行う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経周期性症状が緩和された時点で投与を中止する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経開始から1~7日後に投与を中止する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経開始から2~5日後に投与を中止する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経終了から1~7日後に投与を中止する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、月経終了から2~5日後に投与を中止する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経周辺期障害、月経前症候群(PMS)及び月経前不快気分障害(PMDD)から成る群から選択される月経周期に起因する病態の症状である。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は身体症状である。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は気分的及び/又は行動的症状である。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、無気力、摂食障害、物忘れ、睡眠障害、食欲変化、集中力低下、興味低下、引きこもり、苛立ち、気分変動、不安、緊張、うつ、及び制御不能感から成る群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態によれば、少なくとも1種の月経周期性症状は、少なくとも2種以上の症状を含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、3-MMCの投与は、投与1回当たり5~100mgの範囲内の量で行う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、3-MMCの投与は、投与1回当たり10~65mgの範囲内の量で行う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、3-MMCの投与は、投与1回当たり12.5mg、25mg、35mg、40mg又は50mgの量で行う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、3-MMCの投与は、投与1回当たり25mgの量で行う。
本発明の幾つかの実施形態の他の様相によれば、対象における少なくとも1種の月経周期性症状の治療用キットであって、治療有効量の3-メチルメトカチノン(3-MMC)を含む少なくとも1種の投与単位(unit dosage)と、月経周期性症状が発症すると予想される時点又は発症した時点の前に、その時点で、又はその時点の後に、3-MMCを投与するための説明書と、包装材と、を含むキットが提供される。
本発明の幾つかの実施形態によれば、キットは、対象において少なくとも1種の月経周期性症状が発症すると予想される時点又は発症した時点を確認するための装置を更に含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、キットは、少なくとも1種の月経周期性症状の時系列および特徴を記録するためのデジタルコンピュータインターフェースを伴う。
本発明の幾つかの実施形態によれば、インターフェースは携帯電話アプリケーションのインターフェースであり、キットは、アプリケーションをダウンロード又は起動するためのバーコードを更に含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、投与単位は5~100mgの3-MMCを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、投与単位は10~60mgの3-MMCを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、投与単位は12.5mgの3-MMCを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、投与単位は25mgの3-MMCを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、投与単位は50mgの3-MMCを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、キットは、12.5mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位と、25mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位とを含む。
本発明の幾つかの実施形態によれば、キットは、25mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位と、50mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位とを含む。
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術及び/又は科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様の又は等価な方法及び材料を、本発明の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を下に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び実施例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
本発明の幾つかの実施形態について、その例示のみを目的として添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下、特に図面を詳細に参照して示す細部は、例示を目的とし、また本発明の実施形態の詳細な説明を目的とすることを強調する。同様に、図面と共に説明を見ることで、本発明の実施形態をどのように実践し得るかが当業者には明らかとなる。
研究対象の間で3-MMCの使用動機として最も多く挙げられた月経周期に起因する一般的な症状を示すヒストグラムである。 研究対象の間で最もよく報告された3-MMCの効果を示すヒストグラムである。 研究対象の間で最もよく報告された3-MMCの望ましくない作用を示すヒストグラムである。
本発明は、3-メチルメトカチノン(3-MMC)を用いて月経周期性症状及び障害を治療する方法に関する。本発明は、月経周期性症状及び障害の治療に使用するための3-MMCを含むキットにも関する。
月経周期に起因する障害の徴候や症状は、身体的及び心理的又は行動的なものであり、月経周期と時間的関係を示し、新しい周期毎に繰り返される特徴を持つ。PMSに通常伴う身体症状としては、月経困難症、にきび、腹部膨満感、乳房圧痛、めまい、疲労感、頭痛、ほてり、吐き気、下痢、便秘、心臓の動悸、手足の腫れ、及び痙攣が挙げられる。感情的及び認知的な症状としては、気分変動、怒りの爆発、暴力的傾向、不安、神経過敏、緊張、集中力の低下、うつ、泣きやすくなる、うつ、食物渇望、物忘れ、苛立ち、食欲亢進、気分変動、及び感情性の増加が挙げられる。
PMDDはPMSがより重症化したものである。PMSやPMDDの行動や気分に関連する症状は身体症状と同様に衰弱を招き、その結果、労働時間の損失、出費、家庭や社会生活の崩壊を招くことになる。
メチルメトカチノン類の一部、特に2-MMCと4-MMCは強力な精神刺激薬であるが、その精神活性作用の顕著な不安、ストレス及び他の望ましくない特徴のため、月経周期による症状を緩和する上での使用は不適切であると考えられている。
驚くべきことに、本発明者らは、月経周期性症状(例えば、PMS、PMDD)の発症を予想して、或いはその発症時又は発症後に3-MMCを投与した場合に、比較的低用量で限定したレジメンであっても、最も頻繁に挙げられる症状の緩和に有効であり、行動や気分に関連した月経周期性症状の患者(特に従来の治療薬に不応だった女性)の生活の質の持続的改善をももたらし、好ましくない副作用のリスクは最小限であることを示した。特に、本発明者らは、月経周期に起因する身体症状の一部の重症度を軽減するのに3-MMCが有効となり得ることを示した。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、必ずしもその用途が、以下の記載に示す詳細に限定されるものではないことを理解するべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、また、様々な手段で実施又は実行することが可能である。
上述のように、仕事や学校の欠席は、患者、その家族、そして社会全体にとって、月経周期性症状の個人的及び社会的/経済的コストの大部分を占めている。実際、本発明者らは、精神的苦痛、苛立ち、動揺、疲労又は消耗が、サンプル集団の女性の間で月経周期性症状に対して3-MMCを服用する上での最も多い徴候であることを見出した。このような女性の場合、3-MMCは全体的な幸福感を高め、エネルギーレベルを上げ、落ち着きと弛緩を促し、集中力を高めたと報告されている。
驚くべきことに、本発明者らは、3-MMCが女性に累積的なプラス効果をもたらし得ることを観察した。即ち、比較的短い期間(約24時間)に亘って2回以上投与した後、3-MMCのプラス効果は持続し、その後の投与の効果は明らかに増強されたと報告されている。
従って、幾つかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の月経周期性症状の治療を必要とする対象においてその症状を治療する方法であって、少なくとも1種の月経周期性症状が発症すると予想される時点又はそれが発症した時点を確認することと、治療有効量の3-メチルメトカチノン(3-MMC)を投与して月経周期性症状を治療することとを含む方法を提供する。
本明細書で使用される「治療する」という用語は、症状の発症を阻害、予防又は抑止すること、及び/又はその症状の軽減、寛解又は退行を引き起こすことを意味する。当業者であれば、様々な方法やアッセイを用いて症状の発症を評価することができ、同様に、様々な方法やアッセイを用いて、症状の軽減、寛解又は退行を評価できることを理解するであろう。本明細書で使用される、症状の「改善」、「緩和」又は「軽減」という用語は、対象の症状の状態の改善を意味し、症状(例えば、疲労、精神的苦痛)の改善、緩和又は軽減は、症状のマイナス面の相殺である。改善、緩和又は軽減には、月経周期性症状の完全な回復又は完全な予防が含まれるが、その必要はない。本発明の状況においては、改善、緩和又は軽減とは、月経周期性症状について報告又は測定されたレベルの少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%の低下である。
本明細書で使用される「月経周期性症状」という語句は、女性が経験する症状の内、月経周期の特定の部分に関連して周期的に発症する(反復する)ものを意味する。特定の実施形態では、この症状は月経周期の特定の部分に関連して発症し、月経周期の別の部分に移行すると寛解する。幾つかの実施形態では、月経周期性症状としては、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)等の月経周辺期の行動及び気分障害の症状、並びに月経困難症や腹部膨満感等の月経周辺期の身体症状が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、PMSとは「女性の健康、人間関係及び/又は職業上の機能に影響を及ぼす、苦痛を伴う身体的、感情的及び行動的な症状が周期的に再発すること」を意味する。月経前不快気分障害(PMDD)はPMSの深刻な障害の延長である。PMS及びPMDDの症状パターンは、症状の重症度が低いことや、周期の月経前段階での症状の頻度と重症度の上昇から、月経開始後の突然の症状の欠如まで様々である。症状の重症度、数及び期間がPMSやPMDDの強さに影響を及ぼす。
PMSとPMDDはいずれも気分と行動の症状を伴う。幾つかの実施形態では、月経周期に起因する気分的及び/又は行動的症状としては、無気力、摂食障害、物忘れ、睡眠障害、食欲変化、集中力低下、興味低下、引きこもり、苛立ち、気分変動、不安、緊張、うつ、及び制御不能感が挙げられるが、これらに限定されない。
PMSとPMDDのいずれにおいても、気分変動の周期的な再発、苛立ち又は怒り、抑うつ気分、不安や緊張、普段の活動への関心の低下、集中力の低下、無気力、食欲の変化、睡眠パターンの乱れ、圧倒された感覚等がある。
幾つかの実施形態では、月経周期性症状はPMDDの症状である。幾つかの実施形態では、PMDDは、月経開始前の最終週に以下の11の症状の内の少なくとも5つ(最初に挙げた4つの症状の内の少なくとも1つを含む)の存在によって診断され、月経開始後数日以内に改善し始め、月経後1週間で最小限になるか又は存在しなくなる。
症状:
1.顕著な不安定性(例えば、気分変動)
2.顕著な苛立ち又は怒り
3.顕著な抑うつ気分
4.顕著な不安と緊張
5.普段の活動に対する関心の低下
6.集中力の低下
7.無気力、顕著なエネルギーの欠如
8.食欲の顕著な変化(例えば、過食又は特定の食物への渇望)
9.過眠症又は不眠症
10.圧倒される感覚、又は制御不能な感覚
11.身体症状(例えば、乳房の圧痛や腫れ、関節や筋肉の痛み、「腹部膨満感」や体重増加の感覚)
幾つかの実施形態では、PMDDは診断及び統計マニュアル(DSM-V)の基準に従って定義される。DSM-Vによると、PMDDの診断には追加的な基準が課されている。即ち、PMDDの診断には、これらの症状の内の少なくとも5つが存在し、その内の1つが1~4番の症状(顕著な不安定性、苛立ち、抑うつ気分、不安と緊張)であることが必要である。これらの症状は月経前の1週間で発症し、月経開始後に寛解するであろう。診断の基準を満たすため、症状の時間的及び周期的な性質を確認するために、連続した2つの排卵周期について前もって症状をチャート化する必要がある。また、その症状は、通常の仕事、学校、社会活動又は他者との関係に影響を及ぼすのに十分なほど深刻でなければならない。
閉経期(卵巣からのエストロゲン産生が減少し、最終的に停止することによる雌性哺乳動物の月経の停止)及び閉経前期及び閉経周辺期(閉経の兆候及び症状が現れ始め、増加する雌性哺乳動物の期間)においては、月経周期性症状の特徴(例えば、気分変動、体重増加、性欲減退、睡眠障害、疲労、頭痛)と同様の身体的及び行動的/感情的な症状を伴うことが多いことに留意されたい。また、閉経前期や閉経周辺期には、PMS、PMDD、月経不快症及び月経困難症の重症度が強くなることも多い。閉経前期、閉経周辺期及び閉経期に一般的な別の症状としては片頭痛がある。閉経期、閉経前期及び閉経周辺期の症状に対して現在利用可能な治療薬も、月経周期性症状に対して一般的に処方されるものと同様である(例えば、ホルモン療法、抗うつ薬、NSAIDS、鎮痛剤、鍼治療、ハーブ系サプリメント)。従って、閉経前期や閉経周辺期の身体的及び行動的/感情的症状を患っている女性の治療に対して、また、閉経自体に対して本発明の方法、組成物及びキットを適用することも想定される。
従って、幾つかの実施形態では、対象は、PMS、PMDD、月経周辺期障害又は他の月経周期に関連する病態を患っている雌性哺乳動物である。特定の実施形態では、対象は女性のヒトである。
本明細書で使用される「月経周期」という語句は、卵巣と子宮内膜の毎月の変化の周期を意味する。月経周期の4段階は、月経、卵胞期、排卵及び黄体期である。
月経とは肥厚した子宮内膜が体外に排出されることである。月経の平均期間は3日~1週間である。幾つかの実施形態では、月経は3日未満の場合もあり、1週間より場合、最長で2週間以上の場合もある。
卵胞期は月経開始と共に始まり、排卵と共に終了し、卵胞の生成を刺激するホルモンの放出と子宮内膜の肥厚が特徴である。排卵とは、黄体形成ホルモン(LH)に刺激されて卵胞が破裂し、卵巣表面から成熟卵子が放出されることである。排卵は通常、月経周期の途中、即ち、28日間の月経周期の14日目に生じるが、これには個人差がある。放出された卵子は受精の準備のために子宮に運ばれる。
黄体期:排卵時には卵胞から卵子が放出されるが、破裂した卵胞はプロゲステロンとエストロゲンを分泌する腺状組織(黄体)に変化し、受精と着床を想定した子宮内膜が維持される。受精が起こらない限り、通常28日周期の22日目頃に黄体が萎縮して月経周期が終了する。その後、プロゲステロンの低下によって子宮内膜の一部が剥がれ落ちるが、これが月経である。本明細書において、月経周期の「1日目」として指定される月経周期の開始を月経の開始日とする。
個人差はあるが、通常のヒト女性の月経周期は28日である。他の実施形態では、月経周期は15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日又は最長で40日である。幾つかの実施形態では、対象の月経周期は不規則であり、ある月は約28日であり、他の月は月経開始から月経開始までが28日未満であり、及び/又は他の月では月経開始から月経開始までが28日を超える。幾つかの実施形態では、対象の月経周期は24日~38日である。
本発明の幾つかの様相によれば、月経周期性症状は、月経周期の4段階の内のいずれか1段階で発症し得る。特定の実施形態では、月経周期性症状は、黄体期及び/又は月経開始時、及び月経開始の数日後(1~3日後、1~5日後、1~7日後)に発症する。
幾つかの実施形態では、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始前に発症すると予想されるか又は発症した。幾つかの実施形態では、月経周期性症状は、月経開始の1~15日前、1~7日前、1~10日前に発症すると予想される。他の実施形態では、月経周期性症状は、月経開始の1日前、2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、7日前、8日前、9日前、10日前、11日前、12日前、13日前、14日前又は15日前に発症すると予想されるか又は発症した。特定の実施形態では、月経周期性症状は、月経開始の3~7日前に発症すると予想されるか又は発症した。
幾つかの実施形態では、少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始後に発症すると予想されるか又は発症した。幾つかの実施形態では、月経周期性症状は、月経開始の1~7日後、1~10日後に発症すると予想される。他の実施形態では、月経周期性症状は、月経開始の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後又は15日後に発症すると予想されるか又は発症した。特定の実施形態では、月経周期性症状は、月経開始の2日後、3日後、4日後、5日後又は6日後に発症すると予想されるか又は発症した。
幾つかの実施形態では、症状は、月経開始の1~7日前及び1~7日後(-7日目~+7日目)に発症すると予想されるか又は発症した。特定の実施形態では、月経周期性症状は、月経周期の-5日目~+5日目、月経周期の-4日目~+5日目、月経周期の-3日目~+4日目、月経周期の-2日目~+3日目、及び月経周期の-1日目~+4日目に発症すると予想されるか又は発症した。
月経周期性症状の反復性によって、このような月経周期性症状を患っている対象がこのような症状の発症を予測し、症状の発症前に3-MMCを投与して緩和をもたらす機会が得られることに留意されたい。本発明者らは、月経周期性症状を予測して3-MMCを投与することにより、多くの月経周期性症状の強度と期間を大幅に低減させ、月経周辺期の女性の生活の質を向上させることができることを確認した。従って、幾つかの実施形態では、月経周期性症状が発症すると予想される時点よりも前に3-MMCの投与を行う。幾つかの実施形態では、月経周期性症状が発症すると予想される時点の1~5日前、1~4日前、1~3日前、1~2日前、5日前、4日前、3日前、2日前又は1日前に3-MMCの投与を行う。他の実施形態では、月経周期性症状が発症すると予想される時点の48時間前、40時間前、36時間前、32時間前、28時間前、24時間前、18時間前、12時間前、10時間前、9時間前、8時間前、7時間前、6時間前、5時間前、4.5時間前、4時間前、3.5時間前、3時間前、2.5時間前、2時間前、1.5時間前、1時間前、45分前、30分前又は15分前に3-MMCの投与を行う。
また、本発明者らは、症状が発症すると予想されるか又は発症した際に投与することで3-MMCの有意なプラス効果についても確認した。更に、一部の対象からは、月経周期性症状の発症後に3-MMCを投与しても有効であるとの報告があった。
従って、幾つかの実施形態では、月経周期性症状の発症から1~5日後、1~4日後、1~3日後、1~2日後、1日後、2日後、3日後、4日後又は5日後に3-MMCの投与を行う。他の実施形態では、月経周期性症状が発症した時点(月経周期性症状の発症)から1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、10時間後、12時間後、16時間後、18時間後、24時間後、28時間後、36時間後又は40時間後に3-MMCの投与を行う。
3-MMCは単回投与で投与することもでき、対象に繰り返し投与するレジメンで投与することもできる。本発明者らは、3-MMCの反復投与による累積効果、場合によっては持続的な効果を確認した。幾つかの実施形態では、1~12時間の間隔、1~2日の間隔、1~4日の間隔、1~6日の間隔で3-MMCを繰り返し投与する。他の実施形態では、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間又は10時間の投与間隔を空けて3-MMCを繰り返し投与する。
幾つかの実施形態では、月経周期性症状が軽減された時点で3-MMCの投与を中断する。他の実施形態では、月経開始から1~7日間、2~5日間、3~6日間又は4日間、3-MMCの投与を中断する。特定の実施形態では、月経の終了から1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間又は7日間又は1~7日間又は2~5日間、3-MMCの投与を中断する。
多くの対象からは、月経周期に起因する気分的及び/又は行動的症状を予測して、又はそれに対応して3-MMCを服用したことが報告されたが、一部の対象からは、月経周期に関して以前に経験した身体症状の緩和が報告された。従って、幾つかの実施形態では、少なくとも1種の月経周期性症状は、気分的及び/又は行動的症状である。特定の実施形態では、気分的又は行動的症状は、無気力、摂食障害、物忘れ、睡眠障害、食欲変化、集中力低下、興味低下、引きこもり、苛立ち、気分変動、不安、緊張、うつ、及び制御不能感から成る群から選択される。
本発明の方法を用いた治療前、治療中又は治療後に、対象の月経周期性症状とその変化を診断、モニター及び評価するための適切な器具の非限定的リストを表1に示す。
Figure 2022545960000001
Figure 2022545960000002
特定の実施形態では、本発明の方法を用いた月経周期性症状に対する治療前、治療中又は治療後の対象の経過は、PMDD(DSM V)に関しては、ベックうつ病尺度、ベック不安尺度、ベック絶望感尺度の内の少なくとも1種を用いて評価する。
他の実施形態では、少なくとも1種の月経周期性症状は身体症状である。このような身体症状としては、乳房の圧痛や腫れ、関節や筋肉の痛み、「腹部膨満感」、頭痛、体重増加、及び腹部痙攣が挙げられるが、これらに限定されない。
多くの対象が、報告された月経周期性症状の内の2種以上が3-MMCによって緩和されたと報告した。従って、幾つかの実施形態では、少なくとも1種の月経周期性症状は、少なくとも2種以上の症状を含む(特徴的な症状のリストの一部については上述を参照)。幾つかの実施形態では、少なくとも1種の月経周期性症状は、うつ、無気力、苛立ち、不安、引きこもり及び気分変動の内の2種以上を含む。
幾つかの実施形態では、対象は複数の月経周期性症状を患っている可能性があることが理解されよう。複数の症状の場合、本発明の治療方法は、セラピスト及び/又は対象が決定した優先順位に従って、複数の症状の内の単一の症状の治療を対象とすることができ、幾つかの実施形態では、複数の症状を同時に治療することが好適な場合もある。
3-MMCは様々な濃度で月経周期性症状を緩和するのに有効である。
幾つかの実施形態では、治療有効量の3-MMCを対象に投与する。幾つかの実施形態では、投与1回当たり5mg~1000mgの範囲内の量で3-MMCを対象に投与する。幾つかの実施形態では、対象への3-MMCの投与は、投与1回当たり約7mg~約950mg、投与1回当たり約7mg~約950mg、投与1回当たり約10mg~約900mg、投与1回当たり約15mg~約850mg、投与1回当たり約20mg~約800mg、投与1回当たり約25mg~約780mg、投与1回当たり約30mg~約750mg、投与1回当たり約35mg~約700mg、投与1回当たり約40mg~約650mg、投与1回当たり約45mg~約600mg、投与1回当たり約50mg~約550mg、投与1回当たり約52mg~約500mg、投与1回当たり約57mg~約480mg、投与1回当たり約60mg~約450mg、投与1回当たり約63mg~約430mg、投与1回当たり約70mg~約400mg、投与1回当たり約75mg~約370mg、投与1回当たり約77mg~約350mg、投与1回当たり約80mg~約330mg、投与1回当たり約85mg~約300mg、投与1回当たり約90mg~約280mg、投与1回当たり約95mg~約250mg、投与1回当たり約100mg~約230mg、投与1回当たり約105mg~約200mg、投与1回当たり約110mg~約190mg、投与1回当たり約115mg~約175mg、投与1回当たり約120mg~約165mg、投与1回当たり約125mg~約160mg、又は投与1回当たり約130mg~約155mgの範囲内の量で行う。幾つかの実施形態では、対象への3-MMCの投与は、投与1回当たり20mg~500mg、22mg~490mg、27mg~470mg、30mg~450mg、33mg~435mg、40mg~410mg、47mg~390mg、50mg~375mg、55mg~360mg、57mg~350mg、60mg~320mg、63mg~300mg、67mg~290mg、70mg~270mg、75mg~260mg、77mg~250mg、80mg~240mg、85mg~220mg、90mg~210mg、又は100mg~200mgの範囲内の量で行う。投与する3-MMCの量の個々の範囲は、単一の別個の実施形態を表すことが理解されよう。
幾つかの実施形態では、対象への3-MMCの投与は、投与1回当たり5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、40mg、42.5mg、45mg、47.5mg、50mg、52.5mg、55mg、57.5mg、60mg、62.5mg、65mg、67.5mg、70mg、73mg、75mg、77mg、80mg、83mg、85mg、87mg、90mg、93mg、95mg、97mg、100mg、103mg、107mg、110mg、113mg、115mg、117mg、120mg、123mg、125mg、127mg、130mg、133mg、137mg、140mg、143mg、145mg、147mg、150mg、153mg、155mg、157mg、160mg、163mg、167mg、170mg、173mg、175mg、177mg、180mg、183mg、185mg、187mg、190mg、193mg、195mg、197mg、200mg、220mg、240mg、250mg、275mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg又は400mgの量で行う。特定の実施形態では、投与1回当たり12.5mg、投与1回当たり25mg、投与1回当たり35mg、投与1回当たり50mg、又は投与1回当たり60mgの量で3-MMCを投与する。特定の実施形態では、投与1回当たり25mgの量で3-MMCを投与する。
幾つかの実施形態では、対象への3-MMCの投与は、体重当たりの質量に応じて計算された用量、例えば、対象の体重1Kg当たりの3-MMCのmgで行う。幾つかの実施形態では、対象への3-MMCの投与は、投与1回当たり約0.1mg/Kg体重~約1mg/Kg体重、投与1回当たり約0.5mg/Kg体重~約7mg/Kg体重、投与1回当たり約0.75mg/Kg体重~約6.5mg/Kg体重、投与1回当たり約1.0mg/Kg体重~約6.0mg/Kg体重、投与1回当たり約1.25mg/Kg体重~約5.5mg/Kg体重、投与1回当たり約1.5mg/Kg体重~約5mg/Kg体重、投与1回当たり約1.75mg/Kg体重~約4.5mg/Kg体重、投与1回当たり約2.0mg/Kg体重~約4.25mg/Kg体重、投与1回当たり約2.25mg/Kg体重~約4.0mg/Kg体重、投与1回当たり約2.5mg/Kg体重~約3.75mg/Kg体重、投与1回当たり約2.75mg/Kg体重~約3.5mg/Kg体重の用量範囲で行う。投与する体重1Kg当たりの3-MMCの個々の範囲は、単一の別個の実施形態を表すことが理解されよう。
幾つかの実施形態では、対象への3-MMCの投与は、投与1回当たり0.1mg/Kg体重、0.2mg/Kg体重、0.3mg/Kg体重、0.4mg/Kg体重、0.5mg/Kg体重、0.75mg/Kg体重、1.0mg/Kg体重、1.25mg/Kg体重、1.5mg/Kg体重、1.75mg/Kg体重、2.0mg/Kg体重、2.25mg/Kg体重、2.5mg/Kg体重、2.75mg/Kg体重、3.0mg/Kg体重、3.25mg/Kg体重、3.5mg/Kg体重、3.75mg/Kg体重、4.0mg/Kg体重、4.25mg/Kg体重、4.5mg/Kg体重、4.75mg/Kg体重、5.0mg/Kg体重、又は5.5mg/Kg体重の用量で行う。特定の実施形態では、対象への3-MMCの投与は、投与1回当たり0.1mg/Kg体重、0.2mg/Kg体重、0.3mg/Kg体重、0.4mg/Kg体重、0.5mg/Kg体重、1mg/Kg体重、1.5mg/Kg体重、2mg/Kg体重、2.5mg/Kg体重、又は3mg/Kg体重の用量で行う。
3-MMCは様々な方法によって対象に投与することができ、例えば、経口投与、静脈内投与、吹送(経鼻投与)、粘膜投与、直腸投与、経皮投与及び吸入(例えば、乾燥粉末又は蒸気吸入)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法の特定の実施形態では、経口投与によって3-MMCを対象に投与する。特定の実施形態では、対象への3-MMCの経口投与は、投与1回当たり10mg、投与1回当たり12.5mg、投与1回当たり25mg、投与1回当たり35mg、投与1回当たり50mg、投与1回当たり100mg、投与1回当たり150mg、投与1回当たり200mg、投与1回当たり250mg、投与1回当たり300mg、投与1回当たり350mg、又は投与1回当たり400mgの量で行う。
幾つかの実施形態では、3-MMCの連続投与は、投与1回当たり等量(例えば、12.5mg又は25mg又は35mgを2回以上投与)によって行うことができる。他の実施形態では、3-MMCの量は、投与間で漸増させる(例えば、最初の用量を12.5mg、続いて25mgとし、最終的には35mg又は50mgの3-MMCとする)か、又は投与間で漸減させる(例えば、最初の用量を35mg又は50mg、続いて25mgとし、最終的に12.5mg又は10mgの3-MMCとする)ことができる。特定の実施形態では、月経周期性症状に対する3-MMCの連続投与では、25mgで1回又は2回投与を行い、続いて12.5mgの投与を行う。
動物モデルを用いた安全性及び薬物動態研究によって、3-MMCのピーク血清中濃度は経口投与後5~10分以内に明らかになり、経口摂取後の見かけの血漿中半減期は約0.8時間であることが示された。本発明者らは、幾つかの実施形態において、ヒト対象が3-MMC効果の認識を開始するのは経口投与の約30~90分後であり、3-MMCを空腹時に投与したか(より早い開始)か、食後に投与したか(より遅い開始)によって異なることを確認した。場合によっては、ヒト対象において3-MMCのピーク効果を認識するのは、3-MMCの効果を最初に認識し始めてから10分~30分後である。本発明者らは更に、一部の対象に関して、ヒト対象が3-MMCの効果を認識する期間は、殆どの場合、経口投与後6~8時間以内であることを確認した。
従って、幾つかの実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを少なくとも2回投与する。幾つかの実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを1~12時間の投与間隔で2回投与する。他の実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを2~8時間の投与間隔で2回又は3回投与する。他の実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを3~6時間の投与間隔で2回又は3回投与する。他の実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを1~4時間の投与間隔で2回又は3回投与する。他の実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを1~3時間の投与間隔で2回又は3回投与する。更に他の実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを1~2時間の投与間隔で2回以上投与する。
幾つかの実施形態では、3-MMCを複数回(例えば、2回以上)投与し、各投与では3-MMCの用量を同じにする(例えば、3×25mg、2×25mg、2×12.5mg等)。他の実施形態では、月経周期性症状に対して3-MMCを複数回(例えば、2回以上)投与し、各投与では3-MMCの用量を変える(例えば、1×12.5mgに続いて1×25mgとする、1×25mgに続いて1×12.5mgとした後、3回目の投与は1×12.5mgとする、1×12.5mgに続いて1×50mgとする等)。最初の高用量とその後の低用量の組み合わせ、最初の低用量とその後の高用量の組み合わせ、更には最初の用量に比べてその後の用量を交互に低くするか高くすることも想定される。
本発明の方法は他の治療方法と組み合わせることができることが理解されよう。月経周期性症状に対する一般的な治療法は薬物療法である。従って、幾つかの実施形態では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、セロトニン-ドーパミン拮抗剤、鎮痛剤、降圧薬、抗アレルギー薬、抗不安薬、抗炎症薬、経口避妊薬、栄養補助食品(例えば、カルシウム、ビタミンB6、ビタミンE、マグネシウム、L-トリプトファン)、チェストベリー(agnus castus)及び/又はチェストベリーエキス、筋弛緩薬及び局所麻酔薬から成る群から選択される少なくとも1種の薬物を使用して対象を治療する。特定の実施形態では、本発明の方法は、上述の群から選択される少なくとも1種の薬物を対象に投与することを更に含む。
更に、非薬理学的アプローチが最近普及しており、本発明の方法に組み込むこともできる。従って、幾つかの実施形態では、本発明の方法は、例えば、音楽、運動、鍼治療、視覚刺激、音声刺激、熱的快適性、「整体」(例えば、マッサージ、カイロプラクティック)内の少なくとも1種から成る群から選択される補助治療、非薬理学的方法を対象に施すことを更に含む。
本発明の幾つかの実施形態の3-MMCはそれ自体を対象に投与することができ、或いは、適切な担体又は賦形剤と混合した医薬組成物として対象に投与することができる。
本明細書において「医薬組成物」とは、本明細書に記載の1種以上の有効成分と、生理学的に適切な担体や賦形剤等の他の化学成分との調製物を意味する。医薬組成物の目的は生物への化合物の投与を容易にすることである。
本明細書における「有効成分」という用語は、生物学的効果に責任を負う3-MMCを意味する。
以下、「生理学的に許容される担体」及び「薬学的に許容される担体」という語句は、互換的に用いることができ、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与した化合物の生物活性や特性を損なわない担体又は希釈剤を意味する。アジュバントもこれらの語句に含まれる。
本明細書における「賦形剤」という用語は、有効成分の投与を更に容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を意味する。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種糖類及び各種デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
薬物の処方及び投与のための技術は「Remington’s Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co., Easton, PAの最新刊に記載されているが、この文献を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
適切な投与経路としては、例えば、経口、直腸、経粘膜、特に経鼻、腸又は非経口送達を挙げることができ、筋肉内、皮下及び髄内注射、並びに髄腔内、直接脳室内、心臓内、例えば、通常の右心室腔内又は左心室腔内、冠動脈内、静脈内、腹腔内、鼻腔内又は眼内注射を挙げることができる。
本発明の幾つかの実施形態の医薬組成物は、当技術分野で周知のプロセス、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、水簸、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。
従って、本発明の幾つかの実施形態において使用する医薬組成物は、賦形剤及び助剤を含む1種以上の生理学的に許容される担体を用いて従来の方法で処方することができ、これによって有効成分を薬学的に使用できる製剤に加工することが容易になる。適切な処方は選択した投与経路によって異なる。
注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液、生理食塩緩衝液等の生理学的に適合する緩衝液に処方することができる。経粘膜投与の場合、透過させるバリアに適した浸透剤を処方に使用する。このような浸透剤は当技術分野で一般に知られている。
経口投与の場合、活性化合物を当該技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって、医薬組成物を容易に処方することができる。そのような担体によって、医薬組成物を錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤等に処方して、患者が経口摂取することができる。経口使用の薬理学的製剤は、固体賦形剤を用いて製造し、得られた混合物を必要に応じて粉砕し、所望によって適切な助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して錠剤又は糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、特に充填剤であり、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトール等の糖類、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボメチルセルロースナトリウム等のセルロース調製物、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)等の生理学的に許容されるポリマーが挙げられる。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)等の崩壊剤を添加することもできる。
糖衣錠コアには適切なコーティングが施される。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を必要に応じて含むことができる濃縮糖溶液を使用することができる。染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠コーティングに添加して、活性化合物の投与の様々な組み合わせを識別又は特徴付けることができる。
経口投与可能な医薬組成物としては、ゼラチン製のプッシュフィットカプセルや、ゼラチンとグリセロールやソルビトール等の可塑剤から成るソフト密封カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、有効成分をラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、タルクやステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、及び必要に応じて安定剤と混合させて含むことができる。ソフトカプセルでは、有効成分を適切な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコールに溶解又は懸濁させることができる。更に安定剤を添加することができる。経口投与用の全ての製剤は、選択した投与経路に適した剤形とする必要がある。
幾つかの実施形態では、有効成分の放出を制御するために組成物を処方することができる。幾つかの実施形態では、3-MMC又はその組成物を「即時放出」用に処方する。本明細書で使用される「即時放出」(IR)という用語は、一旦放出が始まると数秒~約30分以内の期間に亘って活性剤を環境に放出することを意味し、水性環境への曝露後1秒~約15分以内に放出を開始する。薬物放出の実質的な遅延を有しない即時放出組成物は、急速放出組成物のサブセットとみなす必要がある。即時放出組成物は、頬側口腔、食道及び/又は胃において薬物を放出する。
幾つかの実施形態では、3-MMC又はその組成物を「急速放出」用に処方する。本明細書で使用される「急速放出」(RR)という用語は、一旦放出が始まると数秒~約59分以内の期間に亘って活性剤を環境に放出することを意味し、水性環境への曝露後、又は水性環境への曝露後の遅延期間(ラグ時間)の終了後、数秒又は数分以内に放出を開始することができる。一般に、急速放出組成物は、組成物が遅延放出材料又は遅延放出コーティングを含まないという条件で、経口投与後に胃、空腸又は十二指腸で薬物を放出する。このような場合、急速放出組成物は、上部、中部及び/又は下部の腸又は結腸で薬物を放出するであろう。
幾つかの実施形態では、3-MMC又はその組成物を「延長放出」用に処方する。本明細書で使用される「延長放出」(ER)という用語は、延長された期間(例えば、1時間以上)の(全体又はその間)に亘って活性剤を剤形から環境へ制御放出することを意味する。本明細書で使用される「延長放出」プロファイルという用語は、薬学の技術分野で広く認識されている定義を前提とする。延長放出剤形は、長期間に亘って実質的に一定の速度で薬物を放出するか、又は長期間に亘って実質的に一定量の薬物を漸増的に放出する。薬物放出に関する「延長放出」という用語は、薬学の分野で使用される「制御放出」、「持効性放出」、「持続放出」又は「遅延放出」という用語を包含する。
幾つかの実施形態では、3-MMC又はその組成物を「制御放出」用に処方する。本明細書で使用される「制御放出」(CR)という用語は、約8時間から約12時間、16時間、18時間、20時間、1日又は1日超までの期間に亘って活性剤を環境へ放出することを意味する。制御放出の開始は、水性環境への曝露後、又は水性環境への曝露後の遅延期間(ラグ時間)の終了後、数分以内に行うことができる。
幾つかの実施形態では、3-MMC又はその組成物を「持続放出」用に処方する。本明細書で使用される「持続放出」(SR)という用語は、医薬組成物を投与する対象の血液又は標的組織において一定の薬物レベルを維持するための活性剤の制御放出を意味する。
頬側投与の場合、組成物を従来の方法で処方した錠剤又はトローチの形態とすることができる。
幾つかの実施形態によれば、組成物の経腸コーティングは経口投与又は頬側投与に対して更に使用される。本明細書で使用される「経腸コーティング」という用語は、消化器系内での組成物吸収の位置を制御するコーティングを意味する。経腸コーティングに使用される材料の非限定的な例は、脂肪酸、ワックス、植物繊維又はプラスチックである。
経鼻吸入による投与の場合、本発明の幾つかの実施形態において使用する有効成分は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ-テトラフルオロエタン又は二酸化炭素)を用いた加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で簡便に送達される。加圧式エアロゾルの場合、計量された量を送達するバルブを設けて投与単位を決定することができる。ディスペンサーで使用する、例えば、ゼラチンのカプセルやカートリッジは、化合物と適切な粉末基剤(例えば、ラクトースやデンプン)との粉末混合物を含めて処方することができる。
本明細書に記載の医薬組成物は、例えば、ボーラス注射又は持続注入による非経口投与用に処方することができる。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプル又はマルチドーズ容器で提供することができ、必要に応じて保存剤を添加することができる。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又は乳濁液とすることができ、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤等の調合剤を含むことができる。
非経口投与用の医薬組成物は、水溶性形態の活性製剤の水溶液を含む。更に、有効成分の懸濁液は、適切な油性又は水ベースの注射用懸濁液として調製することができる。適切な親油性溶媒又は媒体としては、ゴマ油等の脂肪油、又はオレイン酸エチル等の合成脂肪酸エステル、トリグリセリド又はリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストラン等の懸濁液の粘度を高める物質を含むことができる。必要に応じて、懸濁液は、高濃度溶液の調製を可能にするために、有効成分の溶解度を高める適切な安定剤又は薬剤を含むこともできる。
或いは、有効成分は、使用前に適切な媒体(例えば、無菌でパイロジェンフリーの水ベースの溶液)で構成するための粉末形態とすることができる。
本発明の幾つかの実施形態の医薬組成物は、例えば、カカオバターや他のグリセリド等の従来の坐剤基剤を用いて、坐剤や停留浣腸等の直腸組成物にも処方することができる。
本発明の幾つかの実施形態の状況で使用するのに適した医薬組成物は、有効成分が意図された目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物を包含する。より具体的には、治療有効量とは、対象における月経周期に起因する障害又は病態の症状を治療、予防、緩和又は改善するのに有効な3-MMCの量を意味する。
治療有効量の決定は、特に本明細書に記載の詳細な開示を考慮して当業者の能力の十分範囲内である。
本発明の方法で使用される任意の製剤に関して、治療有効量又は用量は最初に動物モデルから推定することができる。このような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
本明細書に記載の有効成分の毒性及び治療効果は、細胞培養物又は実験動物におけるインビトロでの標準的な医薬手順によって確認することができる。このようなインビトロ及び細胞培養アッセイと動物研究から得たデータは、ヒトで使用する様々な投与量を処方する際に使用することができる。投与量は使用する剤形や投与経路に応じて変化し得る。正確な処方、投与経路及び投与量は、患者の病態を考慮して個々の医師が選択することができる(例えば、Fingl, et al., 1975, in "The Pharmacological Basis of Therapeutics", Ch. 1 p.1を参照)。
投与量と投与間隔は、生物学的効果を誘発又は抑制するのに十分な3-MMCのレベル(最小有効濃度、MEC)が得られるように個別に調整することができる。MECは製剤毎に異なるが、動物モデルから推定することができる。MECを得るのに必要な投与量は個々の特性や投与経路によって異なる。検出アッセイを用いて血漿中濃度を測定することができる。
上で詳述したように、治療する病態の重症度及び応答性に応じて、投与は単回投与又は複数回投与とすることができ、治療過程は数日~数週間、又は治癒がもたらされるか又は障害や病態が減少するまで続く。
投与する組成物の量は、当然のことながら、治療される対象、苦痛の重症度、投与方法、処方する医師の判断等に依存する。
本発明の幾つかの実施形態の組成物は、必要に応じて、有効成分として3-MMCを含む1種以上の単位剤形を含み得るFDA認可キット等のパック又はディスペンサー装置として提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパック等の金属箔やプラスチック箔を含むことができる。パック又はディスペンサー装置には投与に関する説明書を添付することができる。パック又はディスペンサーには、医薬品の製造、使用又は販売を規制する政府機関が規定する形式で容器に関する通知を設けることもできるが、この通知は、組成物の形態又はヒトや動物への投与に関する機関による承認を反映している。このような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局が承認した表示や、承認された製品の添付文書の場合がある。適合性のある医薬担体に処方された本発明の製剤を含む組成物は、更に上で詳述したように、示された病態の治療用に調製し、適切な容器に入れ、表示することもできる。
従って、幾つかの実施形態によれば、対象における少なくとも1種の月経周期性症状の治療に使用のためのキットであって、治療有効量の3-メチルメトカチノン(3-MMC)を含む少なくとも1種の投与単位と、月経周期性症状が発症すると予想される時点又は発症した時点の前、その時点において又はその時点の後に3-MMCを使用するための説明書と、包装材とを含むキットが提供される。本発明の方法による3-MMCの投与と組み合わせるのに適した月経周期性症状の種類は、上で詳述されている。幾つかの実施形態では、月経周期性症状が対象におけるPMSの症状であることが説明書に示されている。他の実施形態では、月経周期性症状がPMDDの症状であることが説明書に示されている。更に他の実施形態では、月経周期性症状が月経周辺期障害又は病態の症状であることが説明書に示されている。
上述のように、月経周期性症状の周期的な特徴によって、症状の発症時点を概算又は予測する機会が得られるため、3-MMCを先制投与して症状を治療及び緩和する。従って、幾つかの実施形態では、キットは、特定の投与単位の3-MMCと共に、対象の月経周期内の指定時点で投与するための説明書を含む。月経周期性症状に対する3-MMCの先制投与又は予防的投与の適切なタイミングについては上で詳述されている。本発明のキットでの使用に適した3-MMCの投与単位の例としては、5~100mg、10~80mg、12.5~75mg、20~60mg、25~50mgの3-MMCが挙げられる。特定の実施形態では、キットの投与単位は12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、40mg、42.5mg、45mg、47.5mg、50mg、52.5mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、90mg又は100mgの3-MMCを含む。特定の実施形態では、キットの投与単位は12.5mg又は25mg又は35mg又は50mgの3-MMCを含む。
非限定的な一例では、キットは、12.5mg、25mg、35mg又は50mgの投与単位の1種、2種又はそれ以上の3-MMCと共に、月経周期性症状の発症が予想される時点の0.5~5日前にその投与を行うための説明書、及び包装材料を含むことができる。本発明の例示的なキットは、月経周期性症状の発症が予想される日に3-MMCの投与単位を投与するための説明書を含むことができ、この予想日は先の月経開始から数えてn日で表され、nは月経開始から少なくとも1種の月経周期性症状が発症するまでの特徴的な間隔である。幾つかの実施形態では、複数の投与単位の3-MMCを逐次投与する際の特定の間隔又は間隔の範囲が説明書に示されている。更なる実施形態では、複数の投与単位の3-MMCを逐次投与する際の投与単位の増加(「漸増」)又は減少(「漸減」)が説明書に示されている。単位投与間の適切な間隔は上に詳述されている。
幾つかの実施形態では、3-MMCの投与のタイミングの精度を向上させるために、キットは、少なくとも1種の月経周期性症状が対象において発症すると予想される時点を確認するための装置を更に含む。従って、月経周期性症状を患っている対象は、月経周期性症状の周期的な再発を記録し、それに応じて3-MMC投与単位の投与のタイミングを調整することができる。更に、そのような対象は、3-MMCの将来の投与のタイミング及び投与量をより良く較正するため、3-MMCの以前の投与に対する応答又は投与のタイミングを記録することができる。
このような装置は、チャート等の従来の手動記録装置、又はデジタル記録装置とすることができる。従って、幾つかの実施形態では、少なくとも1種の月経周期性症状の時系列と特徴とを記録するためのデジタルコンピュータインターフェースを伴う、本発明のキットが提供される。このようなデジタルコンピュータインターフェースは、症状のタイミング、持続時間、及び特徴(例えば、重症度)、並びに3-MMCの投与に対する応答のパラメータを手動で入力可能にすることができる。幾つかの実施形態では、デジタルコンピュータインターフェースは、携帯電話アプリケーション(「アプリ」)のものであり、キットは、アプリケーションをダウンロード及び/又は起動するためのバーコードを更に含む。携帯電話アプリケーションの適切な構成と起動及び/又はダウンロードのために付随するバーコードは、当技術分野では周知である。
本出願から継続する特許の存続期間中に、月経周期性症状を患っている対象を3-MMCによって治療するための多くの関連方法が開発されることが予想されるが、「月経周期性症状を患っている対象に3-MMCを投与する」という用語の範囲は、そのような全ての新技術を先験的に包含することを意図する。
本明細書全体を通して、3-MMC又は3-メチルメトカチノンという用語は次式で表される化合物を包含する。
Figure 2022545960000003
(その重水素化形態を含む。)
本明細書で使用される、化合物の「重水素化形態」という用語は、1個以上の水素原子が重水素同位体で置換されている化合物を表す。
本明細書に記載の実施形態のいずれかによれば、3-MMC又はその重水素化形態は、その薬学的に許容される塩の形態とすることができる。
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、親化合物の荷電種とその対イオンを意味し、これは通常、親化合物の溶解度特性を修正、及び/又は親化合物による生物への著しい刺激を低減、及び/又はその安定性を改善する一方、投与化合物の生物活性及び特性を損なわないために使用する。或いは、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩は、化合物の合成中に、例えば、反応混合物から化合物を単離する過程、又は化合物を再結晶化する過程で形成することができる。
本実施形態の幾つかの状況では、本明細書に記載の3-MMCの薬学的に許容される塩は場合によっては、プロトン化アミンを、選択した酸に由来し、薬学的に許容される塩を形成する少なくとも1種の対イオンと組み合わせて含む酸付加塩とすることができる。
従って、本明細書に記載の化合物の酸付加塩は、化合物のアミン基と1当量以上の酸との間で形成される錯体とすることができる。
3-MMCの酸付加塩は通常、モノ付加塩である。
本明細書で使用される「モノ付加塩」という語句は、対イオンと化合物の荷電形態との化学量論比が1:1である塩を意味し、従って、この付加塩は化合物の1モル当量当たり対イオンの1モル当量を含む。
酸付加塩は様々な有機酸や無機酸に由来する陰イオンを含むことができ、このような酸としては、例えば、塩酸付加塩をもたらす塩酸、臭化水素酸付加塩をもたらす臭化水素酸、酢酸付加塩をもたらす酢酸、アスコルビン酸付加塩をもたらすアスコルビン酸、ベシル酸付加塩をもたらすベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸付加塩をもたらすカンファースルホン酸、クエン酸付加塩をもたらすクエン酸、マレイン酸付加塩をもたらすマレイン酸、リンゴ酸付加塩をもたらすリンゴ酸、メタンスルホン酸(メシル酸)付加塩をもたらすメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸付加塩をもたらすナフタレンスルホン酸、シュウ酸付加塩をもたらすシュウ酸、リン酸付加塩をもたらすリン酸、p-トルエンスルホン酸付加塩をもたらすトルエンスルホン酸、コハク酸付加塩をもたらすコハク酸、硫酸付加塩をもたらす硫酸、酒石酸付加塩をもたらす酒石酸、及びトリフルオロ酢酸付加塩をもたらすトリフルオロ酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。
本実施形態は、3-MMC(又はその重水素化形態)の任意のエナンチオマー、ジアステレオマー、プロドラッグ、溶媒和物、水和物を更に包含する。
本明細書で使用される「エナンチオマー」という用語は、互いの完全な反転/反射(鏡像)によってのみその対応物に重ね合わせることができる化合物の立体異性体を意味する。エナンチオマーは、右手と左手のようにお互いを指すため「掌性」があると言われる。エナンチオマーは、それ自体が掌性を有する環境(例えば、全ての生体系)に存在する場合を除き、同一の化学的及び物理的性質を有する。本実施形態の状況では、3-MMC又はその重水素化形態は1個以上のキラル中心を示すことができ、その各々はR配置又はS配置及び任意の組み合わせを示す。
本明細書で使用される「ジアステレオマー」という用語は、互いにエナンチオマーでない立体異性体を意味する。ジアステレオメリズム(Diastereomerism)は、ある化合物の2種以上の立体異性体が、同等の(関連する)立体中心の1個以上(全てではない)で異なる配置を有し、互いに鏡像ではない場合に生じる。2種のジアステレオ異性体が唯一の立体中心で互いに異なる場合、それらはエピマーである。各立体中心(キラル中心)によって2個の異なる配置が生じるため、2種の異なる立体異性体が生じる。本発明の状況において、本発明の実施形態は、立体配置の任意の組み合わせ、即ち、任意のジアステレオマーで生じる複数のキラル中心を有する化合物を包含する。
「プロドラッグ」という用語は、インビボで活性化合物(活性な親薬物)に変換される薬剤を意味する。プロドラッグは通常、親薬物の投与を容易にするのに有用である。例えば、プロドラッグは経口投与によって生体利用可能であるが、親薬物はそうではない。また、プロドラッグは、医薬組成物において親薬物と比較して溶解性が改善されていることもある。また、プロドラッグを使用してインビボで活性化合物を持続放出させることも多い。
「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明の化合物)と溶媒によって形成され、それによって溶媒が溶質の生物活性を妨げない、可変化学量論(例えば、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-等)の複合体を意味する。適切な溶媒としては、例えば、エタノール、酢酸等が挙げられる。
「水和物」という用語は、溶媒が水である、上で定義された溶媒和物を意味する。
本出願から継続する特許の存続期間中に、3-MMCの関連形態(例えば、精製エナンチオマー、重水素化形態、塩等)が開発されることが予想されるが、「3-MMC」という用語の範囲は、そのような全ての新技術を先験的に包含することを意図する。
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は±10%を意味する。
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びその活用形は、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味する。この用語は「からなる」及び「から実質的になる」という用語を包含する。
「から実質的になる」という語句は、組成物又は方法が追加の成分及び/又は工程を含み得ることを意味する。但しこれは、追加の成分及び/又は工程が、請求項に記載の組成物又は方法の基本的且つ新規な特性を実質的に変更しない場合に限られる。
本明細書において、単数形を表す「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数をも対象とする。例えば、「化合物(a compound)」又は「少なくとも1種の化合物」には、複数の化合物が含まれ、それらの混合物をも含み得る。
本願全体を通して、本発明の様々な実施形態は範囲形式にて示され得る。範囲形式での記載は、単に利便性及び簡潔さのためであり、本発明の範囲の柔軟性を欠く制限ではないことを理解されたい。従って、範囲の記載は、可能な下位の範囲の全部、及びその範囲内の個々の数値を特異的に開示していると考えるべきである。例えば、1~6といった範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5及び6も具体的に開示するものとする。これは、範囲の大きさに関わらず適用される。
本明細書において数値範囲を示す場合、それは常に示す範囲内の任意の引用数(分数又は整数)を含むことを意図する。第1の指示数と第2の指示数「との間の範囲」という表現と、第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という表現は、本明細書で代替可能に使用され、第1の指示数及び第2の指示数と、それらの間の分数及び整数の全部を含むことを意図する。
本明細書で使用する「方法」という用語は、所定の課題を達成するための様式、手段、技術及び手順を意味し、化学、薬理学、生物学、生化学及び医療の各分野の従事者に既知のもの、又は既知の様式、手段、技術及び手順から従事者が容易に開発できるものが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する「治療する」という用語は、病態の進行の抑止、実質的な阻害、遅延又は逆転、病態の臨床的又は審美的な症状の実質的な寛解、或いは病態の臨床的又は審美的な症状の悪化の実質的な予防を含む。
明確さのために別個の実施形態に関連して記載した本発明の所定の特徴はまた、1つの実施形態において、これら特徴を組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔さのために1つの実施形態に関連して記載した本発明の複数の特徴はまた、別々に、又は任意の好適な部分的な組み合わせ、又は適当な他の記載された実施形態に対しても提供され得る。様々な実施形態に関連して記載される所定の特徴は、その要素なしでは特定の実施形態が動作不能でない限り、その実施形態の必須要件であると捉えてはならない。
上述したように、本明細書に記載され、特許請求の範囲に請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例によって実験的に支持されるものである。
以下、上述の説明と共に本発明の幾つかの実施形態を非限定的に示す実施例を説明する。一般に、本明細書で使用される命名法には、医学的、薬理学的及び薬学的の各技術が含まれる。そのような技術については文献で十分に説明されている。例えば、DSM-VとICD10を参照のこと(これらはいずれも本明細書に完全に記載されているものとして、ここに援用する)。他の一般的な参考文献は本明細書全体を通して提供されている。これら文献中の手順は当技術分野で良く知られていると考えられるが、読者の便宜上記載する。これら文献に含まれる全ての情報は、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
以下のケーススタディでは、3-MMCを服用することによって少なくとも1種の月経周期性症状を患っている対象の月経周辺期障害を治療するための本発明の方法の幾つかの実施形態の幾つかの様相を例示する。
月経周期性症状に対する3-MMCのクローズドラベル治験
月経周期性症状に対して表示のない3-MMC(「丸薬」)を用いた11人の女性の体験に関する詳細な報告。
実施例I-「ガーティー(Gertie)」
ガーティーは41歳のオランダ人女性(1.70m、57kg)で、これまで月経に起因する症状(主にPMS)の緩和に関して、構造化された経験ではなかったとはいえ3-MMCを使用した経験があり、前年中に様々な機会で3-MMCを使用した。彼女の説明と有意義な体験に基づき、他の女性の月経に起因する症状に対する3-MMCのプラス効果を確認するために、治験を開始した。
ガーティーは4人の子供と良い関係にある。彼女は母親であるだけでなく、複数の活動や責務で活躍するビジネスウーマンであり、忙しい母親である。過去2年間、特に経口避妊薬の中止後に中程度~重度のPMS症状を患っていること以外、基礎疾患はない。
月経周期性症状
通常認められるPMSの症状:ガーティーは次の症状を患うことが多いか又は非常に多い。
精神的苦痛(過去2年間)
苛立ち/動揺(過去2年間)
緊張(過去2年間)
孤独感/無力感(過去2年間)
過敏(過去2年間)
優柔不断(過去2年間)
集中力の低下(過去2年間)
議論や口論をしたがる(過去2年間)
対人間葛藤(最近)
背景
ガーティーは38歳になるまで経口避妊薬を使用していた。経口避妊薬を中止した後、過去2年間に亘って、月経に起因する症状をますます自覚するようになり、PMSの苦痛の重症度も徐々に高まってきた。月経前の数日間、ガーティーは、恐らくPMSの苦痛を紛らわすために、他の人が周りにいること、および仲間と一緒にいることの必要性が強くなっていると感じる。
ガーティーのPMSの症状は月経の1~2日前に始まり、非常に困難な体験として感じ、仕事や家族、子供に対処するのが困難になる。また、ガーティーはPMSによって週末や自由な日を楽しむのが困難になる。
ガーティーはとても率直で、月経やPMSについて率直に話してくれる。彼女は孤独が問題の一部であると感じているので、他の人と共有することが助けになる。
ガーティーはPMSによって理屈っぽくなって興奮し、自分の状態を過剰に意識する。どういうわけか、月経周期を意識することで観察力が高まり、自分の感情に寄り添える。ガーティーは、月経に起因する緊張が毎月繰り返されることを認識し、イライラが増すことに気づいており、また、いつ不安が和らぐか分かっている。
ガーティーは約2年間、15回の月経期間に対して約20回、PMSに対して様々な用量の3-MMCを用いて試してきた。
用量
ガーティーは過去15回の月経期間中で3-MMCを常時試しているが、通常は月経の数日前に1~2錠しか服用しない。25mgより多い用量と少ない用量で試した結果、ガーティーは20~25mgの用量が最も効果的であると結論付けた。
動機
ガーティーが丸薬を服用することを決めたのは特に悩んでいる時であった。通常、彼女は「理由もなく」イライラを感じ出した日に、議論を始める傾向がある。特に対人関係に不快感を覚え、優柔不断、不安、孤独を感じる。彼女の気持ちについて心から話し合うことは困難な課題としてのしかかってくる。
用量とレジメン
ガーティーは通常、朝、朝食後、昼食前に丸薬を服用するが、これは、その時間帯になると、辛い一日になることが既に予見できるからである。
彼女は様々な用量を試している。10mg~20mgの用量では何の効果も感じなかった。20mg~30mgの用量ではプラス効果を感じた。1回の摂取で40mgを試したが、少し多すぎると考えており、それ以上の用量を試したことはない。
薬力学
ガーティーは30分~1時間後に効果を感じ始め、望ましい効果のピークの瞬間が1時間半~2時間であると認識している。4時間後には効果が薄れ始め、6時間後には消える。
応答
ガーティーは緊張を感じにくくなり、それは呼吸の仕方で分かる。呼吸が楽になり、興奮しているときでも酸素が「体の中に沈んでいかない」ようになり、丸薬の服用によって大きく深呼吸ができる。
心理的効果
ガーティーは(PMSのない日のように)「通常に戻った」と感じ、再び決断できるようになる。それはまるで彼女の心が「晴れた」かのようであり、丸薬を飲む前の感覚は、混乱して決心がつかない状態であるかのようである。丸薬を服用後、彼女は必ずしも通常より集中力が増したわけではないが、彼女自身に対して、より快適に感じている。ガーティーはもう泣きたいとは感じなくなり、良い交流や対人関係を築くことができる。彼女はより安定していると感じている。
副作用
彼女は、望ましくない副作用を認識したことは一度もないと言うが、丸薬の摂取量と体温の間には関係があり、通常よりも少し暑いと感じたり、食欲に変化があったりする場合がある。
実施例II-「アナ(Ana)」
アナはエストニア出身で25歳の健康な女性(68kg、1.78m)である。アナはパートタイムで働いていて、大学生でもある。一人暮らしだが交際中で、経口避妊薬を服用しており、妊娠したことはなく、月経周期は規則的である。
月経周期性症状
アナは月経期間に関連して身体的及び感情的な愁訴を報告している。彼女の月経周期性症状は通常、出血前の2~3日間続くが、通常で最大7日間続く月経の最初の数日間はまだ症状を感じている。
通常認められる月経周期性症状:アナは慢性的に以下の症状を患っている。
・急性過敏症(少なくとも過去8年間)
・摂食障害/渇望(少なくとも過去8年間)
・表出行動(少なくとも過去8年間)
・(理由もなく)泣く(少なくとも過去8年間)
・制御不能な感じ(少なくとも過去8年間)
・気分変動(少なくとも過去5年間)
・精神的苦痛(少なくとも過去5年間)
・落ち込み(少なくとも過去5年間)
・苛立ち/動揺(少なくとも過去5年間)
・疲弊と疲労(少なくとも過去5年間)
・無気力/疲労感(少なくとも過去5年間)
・通常の活動に対する興味の低下(少なくとも過去5年間)
頻度は低いが(時々)、長年に亘って見られる症状
・落ち着きのなさ又は神経質(過去8年間)
・物忘れ(過去8年間)
・混乱(過去8年間)
・優柔不断(過去8年間)
・睡眠障害(過去8年間)
・不安(過去5年間)
・緊張(過去5年間)
・孤独感/無力感(過去5年間)
・うつ(過去5年間)
・焦燥感(過去5年間)
背景
アナは16歳の時に初経を迎えたが、その時もその後も、ストレスや苦痛を経験しなかった。彼女が19歳の時に深刻な症状が始まった。アナにとって、月経周期性症状に対処することは非常に困難であり、同じことがPMSを患っている姉にも当てはまる(しかし、彼女らの母親には何の愁訴もない)。
結局、このような症状によってアナは不安になり、不機嫌になり、食べ物が欲しくなる。このような症状は彼女にジレンマ(一人になりたいけれど、仲間も欲しいというジレンマ)をもたらす。これによって彼女に人間関係のストレスがかかる。即ち、彼女はボーイフレンドに近づきたいのと同時に、そのような日々は自分自身を過小評価している。アナは、醜く、女性らしくなく、太り過ぎていると惨めな気持ちになることがある。アナは、経口避妊薬を中止してもその症状を患うため、経口避妊薬が気分のむらに影響を及ぼし得るとは考えていない。
アナは症状が重いため学校や仕事をサボることもある。彼女は鎮痛剤を服用しており、身体的な不快感を和らげるために他のホメオパシー療法も試したが、実際には効果がないと感じている。彼女は自分の感情的な問題について医師と話し合ったことはない。アナは、月経周期性症状は「個人的な問題」であり、自分だけで対処すべきものであり、他人を巻き込んだり、「通常の生活」(月経前と月経終了後の通常生活)を続けられない言い訳にする理由はないと考えている。
まとめ
アナは健康な25歳の若い女性であり、中程度~重度の月経周期性症状を患っている。アナの症状はPMSと互換性があるが、指標の数とその期間によって、PMDD(不快気分)とも互換性がある。
3-MMCによる治験期間
期間
3回の月経期間を挟んで60日間(2018年下期)
治験回数
3回
治験I
月経期間の治験日:アナの月経期間の初日
丸薬を使用する主な動機:身体的な痛みと全体的な不安/不快感(彼女の日記で以下が最も高いスコアを示したとき:精神的苦痛、気分変動、不安)。
時間帯:夜7時、食事なし(空腹時)。
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:1時間後には既に落ち着きを感じ、この感覚は2時間後にピークに達し、6時間その状態を維持した。丸薬は胃の痛みを和らげるのに役立たなかった。
心理的反応:1時間後、精神的苦痛、気分変動、不安は減少した。
2時間後、アナはより穏やかでリラックスした気分になり、この感覚は24時間続いたとのことであった。
副作用:なし
治験II
月経期間の治験日:月経期間の2日目
丸薬を服用する主な動機:彼女の月経カレンダーで以下が高いスコアを示したとき:精神的苦痛、落ち込み、気分変動、無力感、不安及び吐き気。
時間帯:午後3時に1回目の丸薬摂取、午後8時に2回目の丸薬摂取。
用量:12.5mgを5時間の間隔で2回服用。
身体的反応:1回目の服用後、最初の4時間はまだ痛みと不安を感じていたため、その後、症状を和らげるために2回目の服用を決めた。
心理的反応:2回目の服用後、彼女は「落ち着き」を感じ、精神的苦痛、落ち込み、気分変動、無力感、不安が減少した。落ち着いた感覚は眠りにつくまで続いた。
副作用:なし
治験III
月経期間の治験日:月経最終日(2ヶ月目の治験の出血1日前)
丸薬を服用する主な動機:精神的苦痛と痛み(彼女の日記の最高スコアは過敏性、怒り、睡眠障害であった)。
時間帯:午後6時に1回目の丸薬摂取、午後11時に2回目の丸薬摂取。
用量:2種類の用量:一方は12.5mg、もう一方は25mg。5時間の間隔。
身体的反応:1回目の服用後、アナは痛みが治まるのを感じ、胃の痛みは薄れたようであったが、それでも少し感情的であった。
心理的反応:2回目の服用後、アナの精神的苦痛は軽減され、かなり落ち着いた気分になった。最後の服用から2時間後、彼女は眠りについた。25mgの高用量は、心理的なレベルにおいて有益であることが分かった。
副作用:アナは、最後の服用(25mg)の後、にきびの発症を報告した。その後、アナは更なるにきびの発症を恐れて使用を中止した。
応答:
12.5mgの用量ではこの対象に効果がなかったが、25mgの用量が有益であることが分かった。服用の主な理由は、精神的な症状ではなく、身体的な症状であった(自己申告)。アナは、肉体的及び精神的につらい状況の両方で緩和を感じたと報告した。アナは、身体的な痛みが緩和され、感情的なレベルでは、3-MMCがより落ち着かせてリラックスさせ、気分のむら、不安及び緊張感を和らげたと述べた。
リラックスした感覚は摂取後1時間で始まり、2時間後に最も高くなるが、アナはその効果が1日又はもう少し長く続くかもしれないと報告した。アナは37.5mgを服用した後、原因不明のにきびが発症したことから3-MMCの服用を中止することを決定した。
実施例III:「ベア(Bea)」
ベアは21歳の女性(78キロ、1.73m)でフルタイムの大学生である。ベアは現在、他の海外のルームメイトと一緒にオランダに住んでいる。ベアは一人っ子で、出身国であるイタリアの両親とは遠く離れている。彼女にはオランダ人のボーイフレンドがいて、経口避妊薬を使用しており、妊娠したことはない。ベアは薬物を使用したり、薬剤を乱用したりすることはない。彼女は健康な若い女性で、中程度~重度のPMS症状があり、月経周期の全てではないが、殆どの期間に亘って発症する。
月経周期性症状
ベアは以下の症状を患うことが多い。
・気分のむら(過去3年間)
・苛立ち/動揺(初経以降)
・疲弊又は倦怠感(初経以降)
・過敏症(初経以降)
・無気力(初経以降)
・泣く(初経以降)
頻度の少ない症状:
・精神的苦痛(初経以降)
・落ち込み(過去5年間)
・うつ(過去6年間)
・性欲の変化(過去2年間)
背景
ベアの症状はかなり強く、初経以降、経時的に変動している。月経中には当然のことながら経口避妊薬を中止するが、それでも強い精神的苦痛を感じているため、研究対象の他の女性と同様、経口避妊薬と気分変動との関係に気付かなかったとベアは指摘した。ベアは、同じことが彼女の母親(月経中には非常に感情的になる)にも当てはまることを報告した。
ベアの月経は規則的であり、婦人科医から月経周期に注意を払うように言われて以来、ずっと月経周期を追っている。これは、彼女の感情がホルモンの変化とどのように関連しているのか理解するのに役立つようである。従って、ベアは、月経期間に関する心配が彼女の日常生活に支障をきたすことを非常によく分かっている。彼女は主に、月経の1日前と月経の最初の2日間に、月経周期に関連する症状に悩まされている。ベアは非常に苛立ちを感じており、特に通常の家事に関して何もする気が起きない(無気力)。大学での勉強やその他の責任についても同様である。ベアは、次の月経がいつ来るか分かっているため、勉強や課題の締め切りを月経に対して調整しなければならないという、締め切りに関する問題を経験することも多い。ベアは、PMSが作業能率に支障をきたすと確信しているため、物事を早く終わらせようとする。しかし、ベアは常に外的要因を制御できるとは限らず、心理的及び身体的苦痛を感じながらも、時には責任を持って対処しなければならないことを認識している。例えば、大事な試験の日に、ベアは(心理的に)イライラしたり、(身体的に)膨満感や重さを感じたりすることがある。
従って、彼女の月経の予測は、意識的にも無意識的にも彼女にストレスや不安を与えている。しかし、ベアは、ボーイフレンドと月経周期に関する口論をしばしばすることは報告しているが、月経に起因する苦痛が彼女の友達付き合いに実際には大きな影響を与えていないことも認識している。それにも関わらず、ベアは月経が彼女の感傷的な生活を妨げないように努力している。身体的な痛みに対しては、ベアは鎮痛剤を服用するが、できれば投薬を避けたいと思っている。
まとめ:
明らかな月経周期に起因する病態と正式に診断されたことはないが、ベアはPMSの基準を満たしている。彼女が月経前に経験する全ての症状はPMSと互換性があり、恐らく不快気分(5個以上ある)もあり、定期的に何年もの間それらを経験している(時には症状が中程度~重度である)。更に、ベアは、月経に伴う精神的苦痛が仕事と勉強の両方で能率を低下させることを認めている。
3-MMCによる治験期間
期間
2か月、3回の月経に相当。ベアは1回の月経期間のみで丸薬を服用したが、それはその時だけ極端な症状を経験したからである。
治験回数
2回
治験I
月経期間の治験日:月経の3日目
丸薬を服用する主な動機:理由もなく泣く、過敏症、不安、疲労感、痛み。
時間帯:午前9時、朝食後。
用量:12.5mgを1錠。
身体的反応:服用前には疲労感。丸薬服用後には疲労が減少(1時間半後に好転反応を感じ始めた)。2時間後、ベアは確かにより機敏になっていた。6時間後、身体の痛みは完全に緩和された。
心理的反応:ベアは1時間後に感情的に安定し、過敏さが減り、不安が少なくなり、その日の残りの時間は泣くことがなかった。肯定的な感情は、服用後6時間だけでなく、ほぼ1日中続いた。
副作用:ベアは嫌な身体的反応や副作用を認識しなかった。彼女は痛みに対してパラセタモールも服用したが、3-MMCとの望ましくない相互作用は感じなかった。
治験II
月経期間の治験日:月経の15日目(排卵期)
丸薬を服用する主な動機:怒り、苛立ち、精神的苦痛、混乱。
時間帯:午前10時、朝食後。
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:服用前、ベアは「一種の眠気」を感じたと報告したが、1時間後には消え、再び「通常」な感覚になった。「幸せ」の感覚は一日中続いた。
心理的反応:服用30分後、ベアは怒りや苛立ちが少なくなったと感じた。約1時間半後、彼女は制御できていると感じ、精神的苦痛と混乱の軽減を感じた。2時間後、彼女は本当にリラックスした気分になり始め、その感覚は6時間続いた。その日の残りの時間、彼女は「まさに安定している」感じであると報告した。
副作用:なし
応答:最小用量12.5mgで確かな精神的苦痛の緩和が見られた。この用量でベアは既に「安定した」又は通常に戻ったと感じることができた。25mgの用量で、彼女はより強い制御とリラックス効果を感じた。1回目の治験では、彼女は主に悲しみの感情から解放され、2回目の服用では、苛立ちと怒りから解放された。ベアは一月経期間中にのみ丸薬を試したが、これは、次の月経期間では丸薬を服用する価値があると思えるような症状を経験しなかったためである。彼女自身の説明から推測できるように、月経中に苦痛に悩むことは多いが、常にというわけではない。
実施例IV-「ケイティ(Katy)」
ケイティはウクライナ出身の24歳の女性(58kg、1.70m)で、同居人/友人と一緒に生活しており、交際はしておらず、避妊法も使用しておらず、妊娠したこともない。彼女の月経周期は規則的である。彼女は常に月経に伴う重度の身体的及び心理的症状を経験してきた。
月経周期性症状
慢性的な症状:
・苛立ち(2年間)
・気分のむら(2年間)
・精神的苦痛(2年間)
・焦燥感(2年間)
・過敏症(2年間)
・怒り(2年間)
・一人になりたいという強い願望(2年間)
・沈黙願望(2年間)
・理由もなく泣きたくなる(2年間)
・性欲の変化(月経中に上昇する)
時折の症状:
・神経質(2年間)
・疲労感
・うつ(時々)
・制御不能感
・身体的な問題や痛み(頭痛、腹部膨満感、乳房圧痛等)
背景
ケイティは健康な人間であるが、数年前にうつ病と診断され、半年間抗うつ薬で治療を受けていた。抗うつ薬は、彼女が感じる月経周期に関連する気分のむらに対処することを意図したものでもあった。彼女の場合、抗うつ薬は役に立たなかったので、その使用を中止することにした。しかし、ケイティは、概して投薬に対してあまり敏感ではなく、プラスの効果を得るには、より高い用量を必要とすることが多いことも認めた。
ケイティは11歳の時に初経を迎え、22歳になるまで何の問題もなく過ごしていた。ある日、何の前触れもなく、彼女は月経の頃になると怒ったり動揺したりすることに気がついた。その時以降、ケイティは自分の気分と月経周期を関連付けるようになった。現在、彼女は月経開始の1週間前から気分変動を感じる。また、月経の最初の数日間にかなりの痛みを感じる。通常、初日の夜にケイティは目を覚まし、鎮痛剤を服用する必要があり、2日目には症状が悪化し、仕事の能率に影響を及ぼす。月経の数日前にケイティは非常にイライラし、一人でいることを好み、人との交流を避けるようになる。彼女は、自分の交流の問題は主観的に認識されていることを認めており、彼女の認識は、人々が「遅い」ことであり、イライラしてしまうということである。彼女の精神的苦痛は2年前に始まり、激しい痛みと痙攣は1年前に始まった。
「そのような日」の前後には、ケイティは一人で自分の問題に対処することを好む。しかし、親しい友人に対しては率直で、自分の気分の変化や攻撃的な行動の可能性について事前に警告するが、職場では自分を抑えて「社会的な仮面」をかぶっている。月経の最初の数日間に感じる身体的な痛みは彼女に怒りをもたらす。
彼女は一人っ子であり、母親が月経中に同じような気分のむらに悩んでいる(悩んでいた)かどうかについては、ケイティが母親とこの話題についてあまり率直ではないため、情報がない。
まとめ
ケイティは身体的に健康な若い女性であり、以前はうつ病と診断されていたが、過去2年間は月経周期に起因する深刻な精神的及び身体的苦痛に悩まされている。彼女の主な症状は怒りと苛立ちである。彼女は以前に抗うつ薬を試したが、うつ病や月経周期性症状は緩和されなかった。ケイティは、投薬にあまり敏感ではないと主張している。
3-MMCによる治験期間
期間
3回の月経期間を挟んで60日間(2018年下期)
治験回数
7回
治験I
月経期間の治験日:27日目(次の月経の1日前)
丸薬を服用する主な動機:極度の苛立ち(気分変動や精神的苦痛もある)
時間帯:午前11時、朝食後
用量:12.5mgを1回服用と25mgを1回服用(合計37.5mg)
身体的反応:30分後、ケイティは心拍の加速を感じ、1時間後に僅かなめまい、リラックス、「気分の高揚」となり、それが更に1時間続いた。服用の3時間後、彼女は暑さを感じ、汗をかいた。食欲が減退し、その日の残りの時間はそのままであった。
心理的反応:30分後、ケイティはより自意識が強くなり、集中するようになった。1時間後、彼女はより積極的に物事を行うようになり、最大で4時間エネルギッシュさ続き、その後は通常に戻った。しかし、リラックスした感じとは裏腹に、怒りや苛立ちを感じることもあったが、今ではより制御できている。
副作用:心拍の加速、めまい、暑さ及び発汗。
治験II
月経期間の治験日:月経周期の28日目又は初日
丸薬を服用する主な動機:極度の苛立ちと怒り(気分のむら、緊張及び焦燥感もあり)
時間帯:午前11:30、朝食後
用量:12.5mgを1回服用と25mgを1回服用(合計37.5mg)
身体的反応:30分後、ケイティは心拍の僅かな加速を感じ、1時間後も心拍と発汗(べたつき)を感じることができた。これらの症状は更に2時間続き、その後弱まったが、食欲不振を感じるようになった。
心理的反応:1時間後、ケイティはもっと元気になり、話そうとするようになった。イライラしたり、怒ったりすることが少なくなり、よりリラックスしていると感じた。
副作用:心拍の加速、発汗、食欲不振。
治験III
月経期間の治験日:月経周期の2日目
丸薬を服用する主な動機:苛立ち、怒り、不快感
時間帯:17:30
用量:12.5mgを1回服用+25mgを1回服用(合計37.5mg)
身体的反応:感じられる身体的反応はなかった。
心理的反応:感じられる心理的作用はなかった。
副作用:なし。
治験IV
月経期間の治験日:月経周期の3日目
3-MMCを服用する主な動機:苛立ち(気分変動、精神的苦痛、焦燥感)
時間帯:19:30
用量:25mgを1回服用+12.5mgを1回服用(合計37.5mg)
身体的反応:服用後1時間までにケイティは心拍の僅かな上昇を感じ始め、発汗し始めた。発汗は更に2時間続いた。服用3時間後には食欲がなくなり、その感覚は服用6時間後まで続いた。
心理的反応:1時間後、ケイティは通常よりとても落ち着いて、ずっとリラックスしているように感じた。それほど動揺もせず、イライラもなく、精力的に仕事に取り組みたいと感じていた。
副作用:発汗と食欲不振。
治験V
月経期間の治験日:月経周期の5日前(治験の2ヶ月目)
丸薬を服用する主な動機:苛立ちと怒り(精神的苦痛)
時間帯:15:30
用量:25mgを2回服用(1時間間隔)。合計:50mg。
身体的反応:1回目の服用後の心拍の僅かな上昇と2回目の服用後の心拍の上昇。3時間後の発汗と食欲不振。
心理的反応:「流れに乗っている」心の状態で、集中していて、非常に鋭くて精力的であり、まだイライラしていると感じられたが、怒りはなかった。この活力はその日の残りの間も続いた。
副作用:心拍の上昇、発汗及び食欲不振。
治験VI
月経期間の治験日:月経周期の4日前
丸薬を服用する主な動機:苛立ちと怒り
時間帯:午前11:30
用量:25mgを2回服用(1時間以内に合計50mg)
身体的反応:1回目の服用後に身体的反応はなかったが、2回目の服用後、数時間に亘って心拍が僅かに上昇し、発汗した。服用4時間後、ケイティは食欲不振に気づいた。
心理的反応:2回目の服用後、ケイティは精力的、熱狂的、外向的、おしゃべりであったが、まだ動揺していた。3時間後、彼女はまだ活動亢進であり、4時間後に初めて落ち着いた。苛立ちや怒りは軽減されたが、その後1時間に亘ってうつの感覚や「落ち込み」を感じた。その後、その日の残りの間、彼女は「OK」と感じた。
副作用:心拍の上昇、発汗、食欲不振、及び短時間の「落ち込み」の感覚。
治験VII
月経期間の治験日:月経周期の2日前
丸薬を服用する主な動機:苛立ち、怒り及び焦燥感
時間帯:17:30
用量:1時間の間隔で25mgを2回服用(合計50mg)
身体的反応:目立った身体的反応はなし。
心理的反応:2回目の服用後、ケイティはより精力的になり、イライラが少なくなり、2時間後には非常に落ち着いた。2回目の服用後には、彼女の怒りと焦燥感も減少した。しかし、1時間後には再び苛立ちを感じ、その4時間後にはケイティは再び安定したと感じた。
副作用:目立った副作用はなし。
応答:ケイティは当初から投薬の効果に敏感ではないことを認め、納得していたので、37.5mgの用量から始めることを選んだ。彼女はこの用量で4回試し、月経の前後に少なくとも2日間連続して服用した。主な身体的反応は、心拍の上昇、発汗(最初の数時間)、及びその後とその日の残り時間における食欲不振であった。心理学的に言えば、彼女は「高揚」を感じ、自分自身をより意識し、より集中し、精力的で、大胆で、落ち着きを感じていると言っていたが、それでもまだイライラしたり怒ったりすることがあった。怒りは克服したい主な感覚であったため、彼女は最後の3回の治験で用量を50mgに増やすことに決めた。その主な理由は、3-MMCに対する耐性が自覚され、身体症状(副作用)が減少又は消失してきたことである。50mgの用量の場合、ケイティは再び、最初(最初の2回)で心拍の上昇、発汗、暑さ及び食欲不振を感じたが、3回目と最後では、これらの身体的反応は現れなかった。感情的な面では、ケイティは自分が落ち着いていて、以前ならイライラしていたような状況でも怒りを感じなくなったことを実感したが、その落ち着きも束の間であった。また、彼女は短期間(1時間)うつ状態になったが、3-MMCの効果がなくなると、うつ状態は解消されたと言った(ケイティは1年前にうつの症状があると診断されていたことに留意)。
実施例V-「ダイアナ(Diana)」
ダイアナは、オーストリア出身の21歳の健康な女性(体重43~45kg、身長1.60m)で、パートタイムで働きながら地元の大学で勉強している。彼女は一人暮らしで、交際中である。ダイアナは、気分変動を調整するために使用していた経口避妊薬の使用を中止したが、今は3-MMCを試したいと思っている。ダイアナは妊娠したことがなく、月経周期は規則的である。
月経周期性症状
ダイアナは、月経期間に関連する心理的及び精神的な愁訴があるために治験に参加した。彼女の月経周期性症状は通常、月経開始の約4日前に始まり、月経中も持続する。月経が終わると、彼女は「また自分らしくなるように感じ始める」。月経周期性症状は、初経以降ずっと彼女の周期の一部であった。
典型的な症状:
(慢性)
・気分変動
・落ち込み
・不安
・苛立ち/動揺
・疲弊又は疲労
・過敏症
・無気力/疲労感
・性欲の変化
・泣きたくなる/理由もなく泣く
時折の症状:
・孤独感/無力感
・うつ
・無力感
・摂食障害/渇望
ダイアナは初経以降、これら全ての症状を経験している。
背景
ダイアナは全体的に健康な人であるが、彼女の月経周期性症状は初経以降一貫している。月経の約4日前からイライラし始め、パートナー/ボーイフレンドと喧嘩するようになる。彼女の症状は月経の最初の数日間続き、なおイライラしており、疲れも感じる。月経の終わりには、再び通常に戻ったと感じる。
彼女は経口ホルモン避妊薬を使用して症状を抑制しようとしたが、片頭痛を引き起こしたため、他の解決策を模索し始めた。月経前と月経中、彼女は煩わしさや不便さを感じており、月経周期をもっと制御したいと思っている。
ダイアナの症状は彼女の社会生活に悪影響を及ぼす。イライラして感情をあらわに出し、疲れを感じたり、パートナーと衝突したりするため、恋愛関係にも影響を及ぼす。一日中寝ていたいのに、無理して外出して社交的になっている。月経周期性症状が日常生活に支障をきたすことを望まず、他人には何も見せないようにしている。彼女が自分の症状を相談するのは、大学のクラスの女性だけである。彼女は、自分の経験が他の女子とそれほど変わらないと感じているので、全ての女性がこれを経験するのは簡単で普通であると感じている。しかし、全ての症状を経験することは「つらい」と感じている。ダイアナの経験は、月経期間中の活動によって違ってくる。例えば、家にいてリラックスする時間が長いと、休めるので気分が良くなる。忙しい日には、その症状が問題、負担になることもある。もっと抑制するため、彼女はホメオパシーのドロップを試して、精神的及び身体的な困難を和らげようとしたことがある。しかし、彼女の経験では、ホメオパシーのドロップは効果がなかった。従って、彼女はこの治験に参加することに興味を持った。
まとめ
中程度から重度のPMSと互換性のある症状を持つ小柄な女性。彼女は若い頃から月経に関連した苦痛に悩んでおり、その後も継続している。全体として、彼女は健康な若者である。
3-MMCによる治験期間
期間
1回の月経期間を含む60日間
治験回数
3回
治験I
月経期間の治験日:ダイアナの月経は遅れたが、治験の21日目にPMS症状を感じた。
丸薬を服用する主な動機:制御不能感、疲労感。
時間帯:夕方19:00頃。空腹時。カプセルのせいで眠れないのではないかと心配していたが、不眠症にはならなかった。
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:30分後、活力の高まりを感じ、もはや疲労感はなかった。心拍数の増加を感じ、より目覚めたように感じ、1時間後にも同様に感じた。1.5時間後、彼女はより多くの活力を感じ、カプセルの効果は徐々に消え始めた。
心理的反応:30分後、彼女はより集中し、気分が高まり、無力感が減り、制御できるようになった(落ち込みから幸せを感じるようになり、再び元気になった)。物事をより積極的に行うようになり、衝動的に行動するようになった(「出かけなくては!」)。1時間半後、彼女は落ち着きと安定感を感じ始め、幸せと落ち着きを感じ続けた。
副作用:胃痛(空腹時)と心拍数の上昇、彼女は「カフェインの興奮作用」のように感じたと説明している。
具体的に緩和された症状:通常よりも気が散ることが少なく、精神的苦痛や落ち込み、緊張を感じなかった。通常、月経周期における月経期間の間、彼女は無力感、疲労感を持ち、理由もなく泣き、一人になりたいという願望を持っている。カプセルを使用した際、彼女はこれらの症状のいずれも感じなかった。
*1回目の治験後の覚書:「丸薬を初めて使用した際は非常に満足した。気分と幸福感に極端な変化があり、服用して間もなく気づいた。しかし、精神的な効果が強すぎたので、小さな丸薬で十分だったと思う。今後、より軽い用量を服用することが考えられる。また、活力が高まったにもかかわらず、眠りにつくのに何の問題もなかった」(ダイアナ)。
治験II
月経期間の治験日:月経の1日目(遅い月経)
丸薬を服用する主な動機:疲労感や憂鬱感があり、一日中落ち込んでいる感じ。月経の初日には活力がゼロになる。
時間帯:夕方。カプセルを服用する前に食事をしなかった。
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:胃痛、彼女は空腹時に丸薬を服用し、最初の30分間は少し胃痛を感じた。1時間後、彼女はより活力を感じが、最初の25mgの摂取ほど強くはなかった。彼女は2時間後に再び通常の自分を感じたが、恐らく通常よりも元気になっていると感じた。4時間後、それ以上の効果はなかった。
心理的反応:30分後、彼女は少し気分が高揚し、1回目の時ほど幸せではなかったが、以前のように落ち込むことはなかった。より安定した気分を感じ、宿題を始めることができた。1時間半後、彼女は集中力が低下したと感じたが、それでも精神的に安定していた。2時間後、彼女は丸薬を服用する前よりも目覚めたように感じた。3時間後、彼女は再び気分が落ち込んだが、それでも以前よりも無気力ではなかった。4時間後、カプセルの効果が薄れた。
副作用:胃痛。
この参加者は間違いなく、うつ状態が軽くなり、無気力ではなく、落ち込みや疲労を感じていなかった。
*2回目の摂取後の覚書:「低用量の効果はかなり軽かった。2時間後には丸薬の効果がほぼ完全に薄れたような気がした。その日、私は月経の症状のために早めに帰宅した。丸薬を服用した後、(丸薬の効果がない)痙攣がなければ、仕事を続けることができたかもしれないと感じた」(ダイアナ)。
治験III
月経期間の治験日:月経の2日目。
丸薬を服用する主な動機:前日と同様に、落ち込んで疲労していた。
時間帯:午後の早い時間、丸薬を服用する前に何かを食べた。
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:目覚めが良くなり、より機敏に感じる。3時間後、彼女は月経中ではないように再び通常に戻ったように感じ、また自分自身に戻ったような感覚を覚えた。
心理的反応:彼女はもはや落ち込みや疲労はなくなった。この参加者は、より生産的で、より制御しやすく、楽観的に感じ、1回目のような(25mgの用量で起こったような)突然の幸福感はなかった。1時間後、彼女はより集中し、生産的で安定したと感じた。3時間後、彼女は再び少し疲労を感じ始めた。
副作用:なし
具体的に緩和された症状:疲労、落ち込み、気分変動、孤独感と無力感、過敏症、無力感、物忘れ、泣きたくなる感覚、集中力の低下、制御不能感。
*3回目の摂取後の覚書:「2日連続で丸薬を服用すると、2日目の効果が長く続いた感じがする。服用してから24時間後、追加の丸薬を服用しなかったにも関わらず、通常の月経中よりもずっと落ち着いて快適に感じた」(ダイアナ)。
結果:この参加者は治験開始前にはかなり懐疑的であった。彼女は自分がプラセボ群に属していると思っており、カプセルによる効果は全く期待していなかった。彼女は、これで物事を乗り越え、うまく制御するのに役立つことを望んでいた。ダイアナは丸薬による効果に驚愕した。彼女は3回の治験で異なる用量を試した(1回目は25mg、その後2回は12.5mg)。初回は、月経周期性症状を通常感じる日の前後に1錠使用したが、彼女の月経は遅れていた。2回目と3回目の摂取は、彼女の(遅い)月経の最初の数日間に行った。主な副作用は心拍の上昇と空腹時の胃痛であった。心理学的に言えば、彼女はより集中して活力を感じ、気分が高揚して衝動的になったことを認めた。彼女はより高い心拍数を感じた。この後、彼女はより少ない用量では劇的な効果が得られないのかどうか試したくなった。12.5mgの低用量で、彼女は活力があり、無気力や疲労が低下したと感じ、心拍も正常になったようであった。感情的な面では、彼女はより集中し、落ち着き、より制御され、より安定した気分でいた。
実施例VI-「エマ(Emma)」
エマは23歳の女性であり、元々はインド出身で、サウジアラビアで育ち(60キロ、1.68m)(平均的な身長と体重)、フルタイムの学生で高学歴である。彼女は一人暮らしで交際中である。彼女は如何なる避妊法も使用していない。彼女の月経は規則的であり、月経周期に関連する幾つかの心理的症状がある。これらの症状はここ数年で悪化している。
月経周期性症状
エマは、月経に伴う精神的苦痛のために治験に参加したが、不快な症状の一部は幼少期から既に存在していたものである。
通常認められる、慢性的な月経周期性症状:(常に又は殆ど常に発症)
・精神的苦痛(初経を迎えた12歳以降)
・気分変動(12歳以降)
・摂食障害/渇望(12歳以降)
・理由もなく泣きたくなる(少なくとも1年間)
・落ち込み(少なくとも最近5年間)
・孤独感/無力感(少なくとも1年間)
・うつ(過去2か月間)
頻度は少ないが(時々)、時間の経過と共に現れる症状
・苛立ち/動揺(12歳以降)
・落ち着きのなさ/神経質(5年間)
・不安(過去5年間)
・一人になりたい(過去5年間)
・活力の爆発(過去5年間)
・制御不能感(過去2ヶ月間)
背景
エマの、自分の症状に対する反応や態度は、時間の経過と共に変化してきた。幼い頃の彼女は、内向的で控えめな性格であった。年齢を重ねるにつれてそれが変化し、月経の頃になるとどれほど感情的になるかということに気づいた。月経の1週間前には既に変化に気づき始め、月経の2~3日前から更に悪化する。
苛立ちが最も一般的な症状である。月経の1週間前はいつも不安で自問自答しているが、月経が終わると全てが「通常」に戻る。月経は定期的に来るが、通常は7~10日間続く。月経が遅すぎたり早すぎたりする場合、彼女はその現象を自分のストレスレベルに関連付ける。彼女は自分の月経をよく知っており、きちんと追跡している。
月経前の不安は、自分だけでなく、周りの人も彼女の性格の変化に気づくことがある。彼女はこのような問題について親しい人、基本的には父親を除く全ての人に相談する。興味深いのは、彼女の姉妹も月経前後に同様の症状を経験し、同様に動揺したり怒ったりすることである。
エマは、自分の性格の変化は月経周期にありがちなことと考える一方で、月経中は、本当はとても社交的で外向的なのに、より「殻の中に」いるので、別の見方をしたいと考えている。月経中は、無理をしてでも友達と一緒にいたり、好きなことをしたりしている。
彼女は身体の痛みや痙攣にも悩まされているため、心の安らぐ食べ物(チョコレート)や鎮痛剤等、様々な対処法を試している。彼女はコーヒーが大好きなのだが、コーヒーを飲むと痙攣が悪化する。また、ウォーキングやランニング、ジム通い等、体を動かすことで不快感を忘れるようにしている。
まとめ
エマは健康な23歳の女性で、中程度~重度の月経周期性症状(恐らくPMS)を患っており、その中には、初経以降の症状もある。彼女は自分の月経周期が自分の性格に与える影響をよく知っているので、それについて非常に率直に話し、前向きな姿勢をとろうとしている。PMSの症状は家族の女性全員に見られるようである。
3-MMCによる治験期間
期間
3回の月経期間を挟んで60日間(2018年下期)
治験回数
7回
治験I
月経期間の治験日:月経期間の5日目
丸薬を服用する主な動機:落ち込み、理由もなく泣きたい、不安
時間帯:午後15:00。
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:体は温かくなり、少し暑く感じた。この反応は非常に早く、30分後には生じた。
心理的反応:エマは落ち着きを感じ、不安が少なくなり、自分の行動をより制御できるようになった。彼女はもはや落ち込んでいなかった。この感覚は1時間後に始まり、4時間後にピークに達し、6時間で消え始めた。
副作用:なし(温かく感じることを除く)。
治験II
月経期間の治験日:月経の6日目
丸薬を服用する主な動機:不安と緊張感
時間帯:13:00に服用。昼食後
用量:12.5mgを1回服用
身体的反応:温かく快適に感じるが、今回は反応が遅く、2時間後に変化を感じ始めた。
心理的反応:不安や緊張感が少なく、落ち着きを感じ、この反応は1時間後に起こったが、その感覚は弱かった。
副作用:なし
治験III
月経期間の治験日:月経期間の1週間前、PMS
丸薬を試す主な動機:落ち込み、悲しみ、不安、強い苦痛。今回、彼女はより強くて望ましい効果を得るために、高用量を服用することに決めた。
時間帯:15:00に摂取。
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:丸薬摂取の30分後、温かく感じ(体温上昇を感じ)、2、3時間続いた。
心理的反応:エマはもはや気分の落ち込みや不安、苦痛を感じなくなった。彼女はそれを「禅のひととき」と呼び、より静かでより穏やかになった。これらの変化は丸薬の服用から30分後に起こり始めた。
副作用:なし
治験IV
月経期間の治験日:月経の5日目
3-MMCを服用する主な動機:エマは、特に苦痛を感じていなかったが、そのような状況で考えられる丸薬の効果に興味があったため、より「通常」の日に丸薬を試してみたかった。
時間帯:13:00に服用。まだ昼食をとっていない状態。
用量:25mgを1回服用
身体的反応:1時間後には暑く(温かく)感じ、2時間後には非常に空腹を感じた。
心理的反応:集中して勉強する意欲を感じ、この反応は2時間後にピークを迎え、更に2時間持続した。
副作用:なし
治験V
月経期間の治験日:月経の10日目
丸薬を服用する主な動機:彼女は自身をより制御し、集中し、勉強する意欲を高めたかった。
時間帯:13:00に服用。昼食なし
用量:25mgを1回服用
身体的反応:2時間後に暑さと空腹を感じ、十分に食べたが、1時間後に再び空腹を感じた。
心理的反応:集中力が高まっていると感じ、約4時間に亘って、活力旺盛に読書や勉強ができると感じた。
副作用:なし
治験VI
月経期間の治験日:月経の11日目
丸薬を服用する主な動機:彼女は前日のように(2日連続)勉強する必要があった。
時間帯:13:00に服用。昼食なし
用量:12.5mgを1回服用
身体的反応:空腹感が少なく(恐らく累積効果:彼女は前日に丸薬を服用)、少し温かく感じたが、以前ほどではなかった。
心理的反応:あまり集中できず、わずかであった(今回は低用量)。
副作用:なし
治験VII
月経期間の治験日:月経予測日の1週間前
丸薬を服用する主な動機:エマは少し感情的になっていて、勉強し、集中する必要があったと報告している。
時間帯:16:00に服用。食事と一緒に
用量:25mgを1回服用
身体的反応:1時間後、彼女は本当に冷えを感じ始め(主に体、手、足)、丸薬摂取前に食事をしていたにも関わらず、空腹を感じた。
心理的反応:エマは望んでいたことを達成し、勉強に集中して取り組めるようになり、やる気も出るようになった。このプラスの効果は2時間でピークに達し、更に2時間続き、6時間後には徐々に消えていった。
副作用:手足の冷え
結果:エマは12.5mgの用量で始めたが、それは彼女を落ち着かせてリラックスさせるという点で既にプラスの効果をもたらした。この効果は、25mgの高用量になるほど高まり、エマはまた、より集中力を高めることができ、物事に取り組む意欲が高まったことも認識した。彼女の最初の3回の治験は月経周期に起因する苦痛に関連していたが、その後、彼女は特に不安はないが、勉強が必要な時期に丸薬を服用してみたいと言った。彼女によると、丸薬のおかげで読書に集中でき、集中力が高まり、勉強への意欲が高まったという発見があって、非常に満足していた。従って、最後の4回の治験で、彼女は1回の低用量服用と3回の高用量服用を行ったが、高用量の場合に集中力レベルに顕著な影響を及ぼした。全ての用量(低用量又は高用量)及び全ての治験で、エマは体温の変化に気づいた。殆ど常に温かく感じたが、これは彼女にとって不快ではなかった。一度だけ、エマは突然、特に手と足が冷たくなったと感じた。丸薬が原因で食欲が変化した可能性はあるが、確信は持てていない。丸薬の効果は、平均して1時間後に現れ、2、3時間持続し、6時間後には完全に消失した。
実施例VII-「ファニー(Fanny)」
ファニーはフィンランド出身の21歳の女子学生であり、ボーイフレンドと交際中で一緒に暮らしている(身長1.60メートル、体重約50キロ)。彼女は健康で、子宮内避妊具を使用している。彼女は規則的に月経があり、常に月経周期に起因する不快な症状が伴っている。
月経周期性症状
ファニーは、月経期間に関連する主に精神的な愁訴のために治験に参加した。彼女の症状は通常月経の1週間前に始まるが、月経前後の苦痛は、最近長くなっている月経期間中にも現れることがある。
典型的な月経周期性症状(慢性):
・落ち込み(何年もの間、何年間かは明言せず)
・気分変動(何年もの間)
・疲弊と疲労(何年もの間)
・過敏症(何年もの間)
・理由もなく泣きたくなる(何年もの間)
あまり見られない症状(時折見られる):
・物忘れ(過去数年間)
・苛立ち/動揺(過去数ヶ月間)
・落ち着きのなさや神経質(過去数ヶ月間)
・焦燥感(数ヶ月間)
・無気力(過去数ヶ月間)
・集中力の低下(過去数ヶ月間)
・表出行動(過去数ヶ月間)
背景
月経が始まる頃、ファニーは落ち込むことが多く、不機嫌になり、疲れ果てて、過敏になって泣きたくなることがある。彼女は既に何年もの間このような症状の多くを患っている。この1年で症状は更に悪化し、ファニーは時々、神経質で落ち着きがなく、動揺し、焦り、忘れっぽく、疲れやすく、注意力が散漫になっているように感じる。これらの感情や状態は全て、通常月経の1週間前、更には月経の数日後に感じられる。ここ数年、彼女の月経期間は以前より長くなり、最長で7日間になった。
ファニーは何年もの間、月経周期性症状に悩まされてきたが、彼女の症状は、学校を卒業して大学に入学してから悪化した。彼女は、自分の症状は、子宮内避妊具を使うことを決めるずっと前から始まっていたので、選択した避妊方法とは関係がないと言っている。
通常、彼女は月経に関連する身体的(体性)問題を殆ど抱えておらず、大抵は市販の鎮痛剤で治まる程度の軽い痛みである。
彼女は月経に対してオープンで率直な態度をとっている。彼女は12歳の時に初経を迎えたが、とても自然な形でそれを受け止めていた。彼女の母親も、姉と同様に月経に関連する症状が深刻であり、彼女は「それは遺伝だ」と言っている。確かに、その頃には彼女のボーイフレンドや友人との関係に影響を及ぼすこともあるが、彼女はインドア派ではないので、自分の人生を歩み続ける。事態が本当に悪化した際には、乗馬がファニーにとって常に良い薬になる。
まとめ
ファニーは健康な21歳の若い女性で、PMSに関連する中程度~重度の症状に悩まされている。家族の他の女性も強いPMS症状を呈している。彼女の精神的苦痛は初経以降ずっと一貫している。
3-MMCによる治験期間
期間
2回の月経期間を挟んで60日間(2018年下期)
治験回数
5回
治験I
月経期間の治験日:月経20日目、月経9日前
3-MMCを試す主な動機:苛立ちと集中力の欠如
時間帯:午前11:30、朝食後
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:ファニーは30分後に筋肉の弛緩を、1時間後に筋肉の疼きと舌/喉の奥のヒリヒリ感を感じた。これらの感覚は最大2時間続いた。彼女は眠気を感じているとも報告しているが、2時間後に眠気はなくなった。
心理的反応:摂取後最初の1時間まではまだイライラしていたが、その後、気分は良くなり、イライラは少なくなったが、大きな違いはなかった。翌日、彼女は再び動揺を感じた。
副作用:舌のヒリヒリ感、軽い傾眠
治験II
月経期間の治験日:月経24日目、月経4日前(PMS)
3-MMCを試す主な動機:一般的な不快感と苛立ち。
時間帯:午前10:50、朝食後
用量:25mg。
身体的反応:30分後、リラックスと眠気、少しの疲労又は眠気、筋肉痛の増加、肩の周りの特定の筋肉の緊張の増加、1時間後に筋肉痛はなくなった。数分間の胃痛(1時間後)。喉のヒリヒリ感があり、2時間程度残った。
心理的反応:ファニーは変化を感じ、リラックスして落ち着きを感じた。服用1時間後、彼女はより幸せで集中できると感じた(最大4時間)。その日の残りの時間は気分が良く、苛立ちや不快感はもうなくなった。以降、彼女はとても気分が良かった。
副作用:眠気、若干の筋肉痛や緊張感
治験III
月経期間の治験日:月経27日目、月経1日前(PMS)
3-MMCを試す主な動機:ストレスと苛立ち(学部で非常に忙しい時期)
時間帯:午前10:35、朝食後
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:30分後、筋肉が弛緩し、軽い胃痛(月経と関係している可能性がある)があり、食欲に変化はなかった。1時間半後、肩の筋肉の緊張、活力の増加が報告された。2時間後、ファニーは眠気を感じ、まだ筋肉の緊張を感じた。眠気と筋肉の緊張は3時間後に緩和された。服用から24時間後、ファニーはまだ気分が良かった。
心理的反応:服用30分後、ファニーは落ち着きと安定を感じ、1時間後には十分に集中でき、1時間30分後には完全に集中して喜んで勉強し、ストレス、苛立ち、不安を感じなくなり、その日の残りの時間は大丈夫であった。
副作用:ジムに行く気がなく、身体的な挑戦に適していない。一時的な軽い胃痛と筋肉痛。
治験IV
月経期間の治験日:月経の3日目
3-MMCを試す主な動機:極度の不快感と不安(動揺させるニュース)
時間帯:13:45、昼食後
用量:25mgを1回服用
身体的反応:30分後、変化なし、1時間後にしびれとリラックス、1時間半後に鳥肌と寒さを感じ、体温が変化した。2時間後、寒気は消えたが、筋肉の緊張と疼きは残った。
心理的反応:30分後には落ち着いており、非常に動揺させるニュースがあったにも関わらず、ファニーは自分自身が非常に心配していることを認識しながらも、身体的反応はなく、彼女の体は「制御下にある」と感じた。彼女は動揺したが、状況を受け入れて、対処するのは簡単であった。2時間後に気分が良くなり、ファニーは先延ばしにするのをやめて勉強することにした。彼女はあまり集中していなかったが、もはや動揺することはなく、とても落ち着いていた。6時間後、彼女はまだ集中しており「落ち着いている」と感じていた。
副作用:体温の変化を認識、喉のヒリヒリ感。
治験V
月経期間の治験日:月経の3~4日前(PMS)
主な動機:苛立ち、泣きたくなる、感情的に気分が悪い
時間帯:21:50、夕食後
用量:25mgを1回服用
身体的反応:1時間後に反応は認められず、その後頭皮の敏感さが増し、喉の奥がヒリヒリし、午後11時頃に手足が冷たくなった。1時間半後、胃痛と過敏症を感じ、2時間後、ファニーは再び気分が良くなったが、眠りにつくのは困難であった。ファニーが眠りにつくのに1時間かかった。24時間後、彼女は再び「通常」と感じた。
心理的反応:30分後、ファニーはあまり感情的にならなかった。1時間後、彼女はまだ動揺していたが、もう泣きたくはなかった。1時間半後、再び感情的になった。彼女の気分は少しだが一時的に改善した。
副作用:寝つきが悪くなる。
応答:この対象は丸薬を5回服用し、そのうち3回は月経の数日前、2回は月経中に服用した。全ての治験中、ファニーは精神的苦痛を患っていた。初回は12.5mg服用し、他の4回では用量が25mgであった。
12.5mgの丸薬でファニーに軽い影響が出たが、彼女は既に落ち着いていて感情的にリラックスした状態で話をすることができた。他の全ての機会で、彼女が25mgの用量を服用した際、かなり落ち着きを感じ、制御下にあり、より集中して収められた。彼女は、精神的なレベルでより積極的且つ精力的にできることを感じた。ある時、彼女は家族の不幸なニュースに非常に悩まされ、完全に手に負えなくなったと感じたので、丸薬を服用した。ファニーは、丸薬がどれほど自分の反応を制御しているのか気づいた。彼女はまだ状況について非常に心配していたが、泣く代わりに座って働くことができた。これがその後良い気分をもたらした。
身体的反応は「軽度の」副作用と見なすことができ、その一部は少量の服用でも全ての治験で見られた。服用後約2時間に亘って舌や喉の奥によく分からないヒリヒリ感があった。ファニーは全体的にリラックス感を感じたが、肩のあたりに特定の筋肉の緊張があり、時にはごく短時間の胃痛(5~10分間)も経験した。ファニーは、眠気やしびれがひどくて身体的な活動はできないと感じたが、精神的な活動を行うことには非常に生き生きとしていると報告した。ある時、ファニーは体温の変化、手足の冷え、鳥肌を感じた。夜間に丸薬を服用すると、彼女は落ち着きを感じていたにも関わらず、眠りにつくのに苦労した。
実施例VIII-「イネス(Ines)」
イネスは、オランダに住むハンガリー出身の19歳の学生である(身長1.62m、47キロ)。彼女は交際しておらず、如何なる避妊法も使用していない。彼女は一人暮らしで、家主とだけ家を共有している。彼女の月経周期は規則的であり、精神的苦痛以外に問題はない。
月経周期性症状
月経の数日前、イネスは不安を感じ始める、彼女の症状は日常生活に支障をきたすほど深刻ではないが、間もなく月経が始まることを思い出させるほどに強い。
認められた月経周期性症状、慢性:
・過敏症(最初の月経以降)
・精神的苦痛(常に)
・気分変動(常に)
・優柔不断(過去数年間)
時折の月経周期性症状:
・疲弊、倦怠感(最近数年間)
・無力感(最近数年間)
・無気力/疲労感(最近数年間)
・泣きたくなる/泣く(初経以降)
背景
月経の数日前、イネスは通常、精神的な苦痛を感じ、非常に疲れていると感じる。彼女には自分の症状を比較する姉妹はいないが、彼女の母親は月経前後のつらい日々について不平を言うことはなかった。従って、イネスは「この問題は遺伝ではないのかもしれない」と言っている。月経が近づいて不安を感じる時は、通常、昼寝をして気楽に過ごすことにしている。PMSは気分や意欲に影響を及ぼすため、イネスは運動や努力しない傾向がある。
彼女の初経は12歳のときに起こり、自然で単純な経過をたどり、ストレスは全くなかった。しかし、年と共にイネスは過敏性が高まり、感情的になっていることに気づいた。彼女が感じる心理的苦痛は通常、月経が始まろうとしていることを思い出させるものである。彼女の月経期間は28日で規則的であり、通常は約5日間続く。イネスは正式にPMSと診断されたことはない。彼女は、症状の悪化は、例えば、学校から大学への進学等、生活の変化によるものだと考えている。イネスは自分が通常の社会生活をしていると考えており、月経周期性症状を経験している間でさえ、彼女の人間関係や社会的交流に問題はない。イネスは月経について非常に率直に話し合っている。
まとめ
イネスは健康な19歳の若い女性であり、中程度の月経周期性症状に苦しんでいる。彼女の家族の他の女性がこれに罹患しているという記録はない。彼女の精神的苦痛は、時間の経過と共に徐々に悪化している。
3-MMCによる治験期間
期間
2回の月経期間を挟んで60日間(2018年下期)
治験回数
7回
治験I
月経期間の治験日:月経の27日目、月経の1日前
丸薬を服用する主な動機:精神的苦痛と丸薬が彼女にどのような効果を得られるかという好奇心。
時間帯:午後17:00
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:特になし
心理的反応:1時間後にはより安心し、よりリラックスし、精神的な苦痛が少なくなった。この感覚は最大3時間続いた。
副作用:なし
治験II
月経期間の治験日:月経の初日
丸薬を服用する主な動機:少しの緊張感
時間帯:夕方18:00
用量:25mg。
身体的反応:特になし。
心理的反応:服用から最初の30分後、イネスはすでにリラックスし、緊張が緩和され、数時間後には元気になり、4時間後には通常の状態に戻り、いつもの感じ方だが、より穏やかになった。
副作用:副作用はなく、その夜の睡眠時間にも関係はなかった。
治験III
月経期間の治験日:月経の2日目
丸薬を服用する主な動機:少し緊張を感じ、頭痛がする。
時間帯:10:00、朝食後(最後の丸薬服用から24時間未満)
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:1時間後に頭痛が和らいだ。
心理的反応:服用30分後により穏やかでより安定し、1時間後にはより満足し、リラックスした気分になった。肉体的な仕事よりも精神的な仕事に取り組む意欲が高まった。
副作用:なし
治験IV
月経期間の治験日:月経の26日目、月経の2日前
3-MMCを試す主な動機:「落ち込み」を感じ、動揺している、やる気がない
時間帯:午前10:00、朝食後
用量:1回服用、25mg。
身体的反応:なし
心理的反応:服用30分後には反応が殆どなく、1時間後には動揺や悲しみが明らかに少なく感じ、その感覚はその日の残り時間に亘って続いた。より精力的にもなった。3-MMCの効果は最大6時間続いた。
副作用:なし
治験V
月経期間の治験日:月経の27日目、月経の1日前
丸薬を服用する主な動機:精神的苦痛
時間帯:午前10:00、朝食後
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:なし。
心理的反応:服用30分後に気分変動や、動揺、感情的な面、疲労感が少なくなった(累積効果の可能性がある:イネスは月経前の数日間、一貫して服用していた)。
副作用:なし
治験VI
月経期間の治験日:月経の初日
丸薬を服用する主な動機:精神的苦痛と緊張感。
時間帯:午前11:00、朝食後
用量:12.5mgを1回服用
身体的反応:なし、恐らく緊張の低下。
心理的反応:イネスは摂取後には落ち着きがあり、神経質ではなく、感情的ではなかったが、丸薬の効果が弱まると緊張が戻ったが、穏やかであった。
副作用:なし
治験VII
月経期間の治験日:月経の2日目
丸薬を服用する主な動機:精神的苦痛、緊張、無力感。
時間帯:午前10:00、朝食後
用量:12.5mgを1回服用
身体的反応:なし。
心理的反応:イネスはすぐに気分が良くなり、苦痛や緊張が和らいだ。彼女は落ち着いていて満足しており、丸薬は前日までよりも効果があったようで、緊張は急速に薄らいだ。おそらく累積効果であろう。
副作用:なし
応答:この対象は丸薬を7回使用し(12.5mgと25mgを交互に服用)、その全期間中も彼女は通常の多忙な大学生活を送っていたため、「生活リズム」は混乱を生じる出来事によって変化することはなかった。しかし、それでも月経周期性症状の間は、イネスは精神的苦痛を感じていたため、毎回月経前に3回連続で丸薬を使用した。彼女は、取り立てて言うほどの副作用や身体的反応を感じなかった。主な効果は落ち着いてリラックスすることであったが、(他の参加者が言っているように)本当に集中するわけではなかった。彼女の仲間は彼女の変化に気づかなかったかもしれないが、イネスは周囲の人々を受け入れやすいと感じていた。有意な用量反応は観察されていないが、丸薬の服用後24時間以内に、ある種の累積的なプラスの効果があった可能性がある(これは更なる研究によって裏付けられる必要がある)。しかし、イネス自身も丸薬の効果の持続時間は4~6時間以内であることを認めていることに留意する必要がある。
実施例IX-「ジェニー(Jenny)」
ジェニーは24歳の女性で(ドイツとトルコ)の混血である。彼女は身長1.70m、体重65Kgである。彼女は、月経の数日前に中程度~重度の月経周期性症状に悩まされるため、この研究に参加した。彼女はオランダで勉強し、働いている。彼女はフラットメイトと同居しており、ボーイフレンドとは遠距離恋愛中である。彼女は如何なる避妊法も使用しておらず、月経期間は24日程度で規則的であり、3~4日間続く。
月経周期性症状
ジェニーは、(少なくとも数年間は)幾つかの特徴的で慢性的な月経周期性症状に悩まされている。
頻繁な症状:
・精神的苦痛(ここ数年間)
・「落ち込み」と感じる
・摂食障害:渇望
彼女は以下の症状も時折感じる。
・疲弊又は倦怠感(2、3年間)
・うつ
・孤独感や無力感
・一人になりたい
・沈黙したい
・理由もなく泣きたくなる/泣く(数ヶ月間)
背景
ジェニーは月経の4~5日前に重い症状を感じる。彼女は感情的な問題を抱えており、それは体の痛みや消化器系の問題にも関連している。彼女の症状は年々悪化している。殆どの場合、ジェニーは、身体的及び心理的苦痛を経験していることや、月経の前後に他の変化を経験していることに気づいており、これは次に、症状についての意識を高め、自分の月経周期を監視する上で役立つ。彼女は自分の問題を克服するために特別な対策を講じていないが、通常はリラックスするためにランニングをする。これは月経中にやりたいことではあるが、逆に彼女はその時期には運動したくないと感じている。
月経が治まると、ジェニーは再び通常に戻ったように感じ、感情的な負担から解放され、再び「幸せ」を感じる。この感情の流れは毎月定期的にやってくる。
彼女の初経は自然なプロセスであった。全体として前向きな経験であったと回想しており、それについて興奮したことを覚えている。また、月経が止まったり不規則だったりして、気分が悪くなった時期があったことを覚えている。ジェニーは月経開始前の数日間が好きではないが、それは自然で健康的なやり方で必要とされる経験であるとも感じている。
ジェニーは、彼女の社会的及び仕事上の人間関係が月経周期性症状によって影響を受ける可能性があることを認めている。彼女はこのことを近親者に率直に話し、同じ月経周期性症状を経験していると思われる母親と妹にも相談している。
まとめ
ジェニーは健康な24歳の若い女性で、中程度~重度の月経周期性症状に苦しんでいる。これらの症状の幾つかは数年前に始まったが、ここ数ヶ月で徐々に悪化している。彼女の母と妹も月経期間前後の精神的苦痛に苦しんでいる。
3-MMCによる治験期間
期間
2回の月経期間を挟んで60日間(2018年12月/2019年1月)
治験回数
4回
治験I
月経期間の治験日:月経の21日目、月経の4日前(PMS)
丸薬を服用する主な動機:不幸、混乱、精神的苦痛。
時間帯:午前8:30、朝食後
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:なし
心理的反応:30分後、ジェニーは気分が良くなり、不安が少なくなり、不満が少なくなり、再び「通常」(月経周期性症状がない場合等)に感じた。良い気分は2、3時間続き、そのまま消えていった。
副作用:なし
治験II
月経期間の治験日:月経の4日目、月経の最終日
丸薬を服用する主な動機:ジェニーは完全に疲れ果てて、頭痛がし、活力がなく、落ち込んでいた。
時間帯:17:00
用量:12.5mgを2回服用、25mgに相当。
身体的反応:頭痛が奥に残り、3-MMCの効果が薄れた後もジェニーは身体的疲労を感じた。
心理的反応:30分後、彼女は気分が良くなり始め、1時間後、ジェニーはより元気になり、もはや落ち込んだり悲しんだりすることはなくなり、このプラスの効果は約2時間続いた。
副作用:なし。
治験III
月経期間の治験日:月経の12日目(排卵の可能性あり)
3-MMCを試す主な動機:疲弊し、無力で疲労感があり、泣きたくなる
時間帯:18:00、仕事終了後
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:根本的な身体的疲労感が残った。
心理的反応:服用30分後にジェニーは気分が良くなってリラックスし、1時間半後、彼女はとても気分が良く、物事をする意欲が湧いてきたと感じた。無力感はなくなり、もう泣きたくなかった。
副作用:なし
治験IV
月経期間の治験日:月経周期の21日目、月経の7日前
丸薬を服用する主な動機:理由のない極度の悲しみ、意欲と活力の欠如、強い孤立願望、食欲不振、頭痛。
時間帯:午前10:00、朝食後
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:ジェニーの食欲は服用後1時間以内に戻り、心理的に気分が良くなり始めた。1日の終わりには、彼女はもはや悲しみや頭痛を感じなかった。
心理的反応:服用30分後、ジェニーは少し活力を持ち始め、もう落ち込まないようになった。彼女の悲しみは薄れていった。1時間後、彼女はより多くの活力を持ち始め、幾つかの仕事をこなし、人と交流できるようになった(もはや一人になりたいとは思わなかった)。1時間半後、彼女は性質と能力が最良になった。
副作用:なし
応答:この対象は丸薬を4回服用したが、4回とも同じ用量(25mg)であった。彼女は全ての治験で前向きな経験をした。4回の治験全てにおいて、彼女は特に苦痛を伴う状況もなく、通常の仕事と勉強の生活を送ったが、最後の場合には、彼女は特に憂鬱で悲しく、孤立を望んでいた。概して、彼女にとっては驚くほど良い経験であった。最初は丸薬を服用しても効果がないと思っていたのに、どういうわけか彼女は気分が良くなった。彼女は、丸薬の服用前後では気分に明らかな違いがあったと言った。しかし、ジェニーの場合、効果は長くは続かず、僅か数時間であった。しかし、危機が去ったことで、彼女は再び元気になり、本人も言うように「通常」になった。彼女にとって通常であるということは、変なことを考えたり、不安になったりしないことを意味する。全体的に、丸薬のおかげで彼女はより集中し、自分の人生に対して前向きになることができ、特に良い気分が一日の残りの時間に亘って持続するため、非常に心地よかった。
実施例X-「レベッカ(Rebecca)」
レベッカは21歳の健康な女性(50Kg、身長1.60m)であり、オランダ出身で勉強しながらパートタイムで働いている。彼女は交際中で、他の人と家を共有している。彼女は副作用のために経口避妊薬を中止し、子宮内避妊具を試した。現在、彼女はホルモンによる避妊はしていない。彼女は中絶薬を一度使用したことがあり、月経期間は規則的であり、約28日間である。
月経周期性症状
レベッカは、月経周期に関連する心理的及び精神的愁訴のために治験に参加した。彼女の月経周期性症状は通常、月経の約2日前に始まるが、月経中も症状を感じることがある。これらの月経周期性症状は、ここ数ヶ月間、彼女の周期の一部となっている。
典型的な月経周期性症状:(慢性)
・精神的苦痛
・気分変動
・落ち込み
・苛立ち/動揺
・落ち着きのなさ/緊張感
・緊張
・孤独感と無力感
・過敏症
・混乱
・優柔不断
・一人になりたい願望
・沈黙したい又は話したい願望(沈黙したいという願望を強調している)
・集中力の低下又は注意散漫
・性欲の変化
・通常の活動への関心の低下
・その他:精神的な非存在感/不在感
頻度の低い症状:
・うつ
・不安
・疲弊又は疲労
・無気力/疲労感
・表出行動
・理由もなく泣く
背景
レベッカは概して健康な人であるが、15歳の時に卵巣嚢胞を切除した。彼女の月経周期性症状は半年ほど前に始まり、彼女は月経開始の数日前からそれが重くなるのを感じている。症状は、身体的症状(例えば、腰痛)だけでなく、「落ち込み」や社会的交流を嫌う等の心理的/感情的な症状もある。 社会的回避や社会的接触への関心の欠如は、彼女の月経周期に起因する感情的な症状の通常の表出である。
レベッカの周囲の人々は、月経前と月経時に彼女の気分変動に気づく。このような症状は、彼女の日常生活や仕事に影響を及ぼしている。彼女の上司は、彼女が仕事で本当に必要なことしかしないので、彼女の気分が悪いことに気づくことがある。彼女のボーイフレンドは、彼女が生理前後で気分変動することを知っており、時にはそのことで口論になることもあるが、彼女の症状について話し合うこともある。レベッカは時々、自分が経験することは、人に感じられることよりも実際には悪いと考えている。
数年前、レベッカは避妊薬を試したが、それによってうつ状態になり、人生の喜びをあまり感じられなくなった。その後、彼女は子宮内避妊具を試したが、性欲が減退したため取り外した。症状をより制御するために、レベッカはLSDの微量服用を試みたが、依存症と望ましくない副作用を恐れて最終的に中止した。
まとめ
レベッカは健康な21歳の女性であり、中程度~重度の月経周期性症状(例えば、PMS)に苦しんでいる。
3-MMCによる治験期間
期間
2回の月経期間を挟んで60日間(2018年12月/2019年1月)
治験回数
3回
治験I
月経期間の治験日:月経の3日目、月経中
丸薬を服用する主な動機:数日前から既に落ち込み、疲労し、イライラしやすい。
時間帯:13:00、食後
用量:25mgを1回服用+12.5mgを1回服用(計37.5mg)。
身体的反応:1時間後には足が軽く感じられ、3時間後には頭の周りの緊張感は和らいだ。
心理的反応:1時間後、レベッカはよりはっきり目覚め、より精力的で、より生き生きと感じたため、疲労感や苛立ちが少なくなった。彼女はもっと喜んで物事を行った。否定的な感情は前向きに変化し始め、丸薬の効果が治まった後でも、前向きな感覚が持続した。
副作用:なし
治験II
月経期間の治験日:月経の2日目
丸薬を服用する主な動機:気分変動、精神的な苦痛。
時間帯:17:00
用量:12.5mg。
身体的反応:なし
心理的反応:なし(彼女はこの低用量では何の効果も感じなかった)。
副作用:なし
治験III
月経期間の治験日:月経の3日目
丸薬を服用する主な動機:明らかな落ち込みと不幸感
時間帯:14:00
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:なし
心理的反応:1時間後、ストレスが減り、「本当に気楽になった」と感じ、彼女の気分は「向上し」、悲しみが軽減し、落ち込みやストレスを感じなくなった。この前向きな気持ちは3時間続いた。
副作用:なし
結果:
レベッカは3回の異なる治験で丸薬を試した(1回目は37.5mg、2回目は12.5mg、最後は25mg)。レベッカは、月経前数日だけでなく、月経中も症状(例えば、苦痛、「落ち込み」、社会的回避)に苦しんでいるため、月経の最初の数日間(その期間の症状はより重い)に丸薬を試すことにした。最初の治験では、最高用量でレベッカは実際に非常に気分が良く、暗い気分が高揚感と幸福感に取って代わられ、少し不安になったことを思い出すほどであった。彼女はどういうわけか、これは実際には彼女ではないと感じたため、2回目は、可能な限り最小の用量(12.5mg)を試したが、有意な反応はなく、前向きでも後ろ向きでもなかった。25mgを使用した3回目の治験では、心地よく前向きな変化が生じ、自然に落ち着き、気分が良くなった。レベッカにとって25mgは理想的な用量と思われる。彼女は依存症になりやすいと感じており、「好きになりすぎる」ことを恐れて、丸薬を試し続けたくはなかった。
レベッカは、どの用量でも身体的反応や望ましくない副作用はなかった。彼女は、その日に眠りにつくのは(治験の時間が遅いため)それほど簡単ではなかったとだけ言った。
実施例XI-「パメラ(Pamela)」
パメラはスロベニア出身の20歳の女性(81kg、1.80m)で、オランダでボーイフレンドと一緒に暮らす大学生である。彼女は如何なる避妊法も使用しておらず、妊娠したことはない。彼女の月経期間は規則的であることが多いが、28日間より短くなったり長くなったりすることがある。彼女の月経期間は概して非常に痛みを伴い、月経の数日前に苦痛を伴う精神的な症状もある。
月経周期性症状
慢性症状:
・日常活動への関心の低下(3年間)
・不安(2年間)
・食物への渇望(2年間)
・沈黙したい又は話したいという願望(2年間)
・無力感(2年間)
・集中力低下(1年半)
頻繁な症状:
・気分のむら(3年間)
・精神的苦痛(3年間)
・焦燥感(2年間)
・過敏症(2年間)
・苛立ち(1年間)
・身体的な問題や痛み(頭痛、腹部膨満感、乳房圧痛等)(5年間)
時折の症状:
・落ち込み(3年間)
・一人になりたい願望(3年間)
・物忘れ(2年間)
・混乱(2年間)
・性欲の変化(2年間)
・神経質(1年間)
・疲労感(1年間)
背景
パメラは健康な人であり、月経中を除いて通常は投薬を避けている。彼女は、身体的症状には鎮痛剤を服用し、リラックスして制御できるようにホメオパシー物質(例えば、鎮静作用のあるバレリアンの葉)を服用している。
彼女は14歳の時に初経を迎えた。それは正常で自然な経験であったが、ここ数年はストレスや学業で要求される日常活動のために不快になってきた。パメラの症状は、学校を卒業すると悪化した。彼女の心理状態は生理作用に影響を与えているようで、例えば、ストレスの期間によって、感情的なストレス要因よる彼女の心配や影響の程度に応じて、パメラの月経が長くなったり短くなったりする。彼女の睡眠パターンの変化も月経の周期性に影響を及ぼすことがある。
彼女は月経中は非常に無気力であり、可能なら家にいて何もせずに休むことを好んでいる。彼女のボーイフレンドは、月経前後の彼女の行動の変化に常に気づいており、それが二人の関係にどのように影響するか意識している。彼女の姉妹(2人)や母親が月経周期性症状に苦しんでいる可能性についての記録はない。彼女はこの話題について母親や家族、一般の人とも率直に話している。
まとめ
パメラは健康な若い女性であるが、ここ2、3年間は、月経周期に関連する静かなストレス性の精神的症状に苦しんでいる。彼女は身体的な痛みにも苦しんでいる。パメラは薬が苦手であるが、鎮痛剤や時には鎮静剤を服用して症状に対処している。彼女の主な症状は、気分のむら、疲労感、痛み、混乱、苛立ちであり、その数と期間から月経周期性症状と一致する。
3-MMCによる治験期間
期間
3回の月経期間を挟んで60日間(2018年下期)
治験回数
4回
治験I
月経期間の治験日:26日目、次の月経の3日前、症状を経験。
丸薬を服用する主な動機:ストレス、不安、集中力の欠如。
時間帯:午前12時、朝食後
用量:12.5mgを1回服用
身体的反応:なし
心理的反応:なし
副作用:なし
治験II
月経期間の治験日:月経の27日目又は2日前、症状を経験。
丸薬を服用する主な動機:打ちのめされた感覚、絶望的、苦しみ、ストレス、非常につらい日
時間帯:13:00、朝食後
用量:25mgを1回服用。
身体的反応:反応なし
心理的反応:1時間半後、緊張が少し緩和され、2時間後、もう少しリラックスして苦痛が軽減された。パメラはもはや問題に取りつかれていなかった。服用から4時間後、彼女はより安定したが、それでもつらい日のプレッシャーを感じていた。
副作用:なし
治験III
月経期間の治験日:2日目、月経期間中。
丸薬を服用する主な動機:気分が悪い、精神的苦痛、無力感、やる気が出ない、活力不足。
時間帯:午前11:00、朝食後
用量:12.5mgを1回服用。
身体的反応:なし
心理的反応:なし、良くも悪くもない
副作用:なし
治験IV
月経期間の治験日:周期の27日目、月経の2日前、症状を経験
丸薬を服用する主な動機:精神的苦痛、理由もなく泣く。
時間帯:18:00、食後
用量:25mgを1回服用
身体的反応:1時間半後に普段より寒くなり、その後、入浴中は非常に暑く感じ、3時間後には疲労し、4時間後には眠れなくなった。
心理的反応:1時間半後に少し落ち着き、2時間後には非常にリラックスし、泣かなくなった。その後、彼女は少ししびれを感じ、その後は安定したが、6時間後には活力の低下を感じ、再びやる気がなくなった。
副作用:幾分の疲労と体温の変化。
結果
パメラは丸薬を4回服用し、12.5mgを2回、25mgを2回服用した。12.5mgの用量では、身体的にも心理的にも何の効果もなかった。25mg服用の効果も、他の対象ほど関連性がなかった。彼女は少しリラックスして落ち着いた感じがしたが、実際にはプラスの効果は感じなかった。(注:パメラは対象全ての中で最も重くて背が高かったので、体重が反応に影響した可能性がある。)また、パメラは体温の変化等、軽くて望ましくない作用も感じた。
実施例XII-全症例の概要
2018年後半から2019年の最初の数ヶ月間、11人の女性が月経周期性症状を緩和するために服用される3-MMC(「丸薬」)の盲検治験に参加した。各対象は12.5mg~50mgの範囲の様々な用量を試した。
11人中10人が、非常に前向きな経験に対してかなり良いと報告した。即ち、3-MMCは意図した目的に対して有効であり、気分を良くし、場合によっては、遥かに良くすることができた。
3-MMCは、月経周期に関連する身体的苦痛又は痛み(例えば、頭痛、腹部膨満感、痙攣)を軽減することを具体的には目標としていないが、通常の身体的な月経周期性症状の一部(例えば、頭痛)は、緊張又は他の精神的/心理的苦痛の結果によって悪化し得ることは留意されたい。従って、この治験の多くの参加者においては、3-MMCの服用は身体症状(例えば、頭痛)の消失をもたらした。
研究に参加した女性の1人は、3-MMC治療とパラセタモールを併用したが、顕著な物質の相互作用や望ましくない作用はなかった。月経周期性症状へのアプローチは、通常、身体的側面からである。3-MMCと身体的な月経周期性症状の通常の治療薬(例えば、鎮痛剤)を併用すれば、治療の効果の範囲が広がり、例えば、世界中で毎月何百万人もの女性の労働障害の原因を軽減することができよう。
「ガーティー」(実施例I)を除いて、治験に参加した女性は全員、中程度~重度の月経周期性症状(例えば、PMS)を報告した。場合によっては、苦痛に悩んでいる年数、症状の重さや量のため、臨床像はDSM-5マニュアルによれば不快気分(PMDS)と解釈される可能性がある。
各女性は少なくとも2~3回の連続した月経期間、緩和のために3-MMCを使用し、治験回数は女性1人当たり2~7回で、合計45回の治験を行った。対象の1人(「ガーティー」)は、月経周期性症状(例えば、PMS)について3-MMCを試しており、これまでに過去15回の月経に対して3-MMCを服用している(「ガーティー」は根本的に前向きな生活の変化を報告している)。
従って、ここで報告されている月経周期性症状に対する3-MMCの経験は、約60の別々の治験から得たものである。
図3は、本発明に係る3-MMCの服用による治療の適応症、即ち、女性が治験前に言及する最も典型的な愁訴の概要を示す。
結果
注:本研究ではもっぱらケーススタディを提供しており、結果は性格上定性的である。従って、これらのデータの提供に際し統計学を適用していない。不安感、苛立ち及び疲労感の形での精神的苦痛は、3-MMCを服用する動機のリストの最上位にある(図1を参照)。ケーススタディによれば、次の効果が認められた。
殆どの治験で望ましいプラスの効果が得られた。低用量(12.5mg)の3-MMCの場合、一貫性はないが、症状の緩和に有効であることが多かった。少数の例において、高用量(35~50mg)の3-MMCは望ましくない副作用を伴った。概して、20~25mgの用量の3-MMCは有効であることが示され、重大な副作用は報告されなかった。30~35mgの場合、頻脈や体温変化等、幾つかの望ましくない副作用が時折顕著に見られた。
3-MMCの心理的及び感情的効果として最も多く報告されたのは、リラックス感や落ち着きであり、活力や集中力の高まりと組み合わされることが多く、通常は服用後30分~1時間で始まり、最大4時間続き、6時間後には消え、その後は落ち着いた感じが持続する。3-MMCのプラスの効果を説明するのに用いる言葉を頻度の高い順に並べると、図2のようになる。
一部の女性の説明から、気持ちが落ち着くことで、身体症状(例えば、身体の痛み)が軽減されることもあると推測できる。
この応答から、3-MMCは「累積的なプラスの効果」を持つ可能性があることが分かる。2回以上の連続治験(1回目の服用から24時間以内に2回目の服用、更に2回目の服用から24時間以内に3回目の服用)を行った後、3-MMCのプラスの効果は持続するようである。更に、反復服用によって連続投与量を減らすことができ、良好な結果が得られるようである(例えば、25mgの初期用量に続いて12.5mgを2日間服用すると、より永続的な緩和が得られるようであった)。望ましくない作用についても同様の現象が認められ、3-MMCを繰り返し使用すると時間の経過と共に副作用が軽減する傾向にある。
最も多く報告されている副作用としては、頻脈、体温変化の感覚(通常は温かく感じ、時には寒く感じる)、発汗等が挙げられる。食欲の変化(食欲不振は数回の連続服用後に累積的に生じる可能性がある)又は睡眠パターンの変化も考えられる。一部の対象は睡眠が改善されたと報告したが、他の対象は眠るのが困難だったと報告した。また、空腹時に短時間の胃痛があった例や、肌の状態が変化した(発疹や吹き出物)例も報告された(図3を参照)。
本発明をその特定の実施形態との関連で説明したが、多数の代替、修正及び変種が当業者には明らかであろう。従って、そのような代替、修正及び変種の全ては、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に含まれるこafflictionとを意図するものである。
本明細書で言及した全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許及び特許出願のそれぞれについて具体的且つ個別に本明細書に援用する場合と同程度に、それらの全体を本明細書の一部を構成するものとして援用する。加えて、本願における如何なる参考文献の引用又は特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として使用できることの容認として解釈されるべきではない。また、各節の表題が使用される範囲において、必ずしも限定として解釈されるべきではない。更に、本出願の優先権書類は、その全体が本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。

Claims (35)

  1. 少なくとも1種の月経周期性症状の治療を必要とする対象においてその症状を治療する方法であって、前記少なくとも1種の月経周期性症状が発症すると予想される時点又はそれが発症した時点を確認し、治療有効量の3-メチルメトカチノン(3-MMC)を投与して月経周期性症状を治療することを含む方法。
  2. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~15日前に発症すると予想されるか又は発症したものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~7日前に発症すると予想されるか又は発症したものである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~10日後に発症すると予想されるか又は発症したものである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~7日後に発症すると予想されるか又は発症したものである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、月経開始の1~7日前と1~7日後に発症すると予想されるか又は発症したものである、請求項1に記載の方法。
  7. 月経周期性症状が発症すると予想される時点の前に前記投与を行う、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 月経周期性症状が発症すると予想される時点の1~5日前に前記投与を行う、請求項7に記載の方法。
  9. 月経周期性症状が発症すると予想される時点の1~3日前に前記投与を行う、請求項8に記載の方法。
  10. 前記月経周期性症状が発症すると予想される時点又は発症した時点で前記投与を行う、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記月経周期性症状が緩和された時点で前記投与を中止する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 月経開始から1~7日後に前記投与を中止する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  13. 月経開始から2~5日後に前記投与を中止する、請求項12に記載の方法。
  14. 月経終了から1~7日後に前記投与を中止する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  15. 月経終了から2~5日後に前記投与を中止する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、月経周辺期障害、月経前症候群(PMS)及び月経前不快気分障害(PMDD)から成る群から選択される月経周期性病態の症状である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は身体症状である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は気分的及び/又は行動的症状である、請求項16に記載の方法。
  19. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、無気力、摂食障害、物忘れ、睡眠障害、食欲変化、集中力低下、興味低下、引きこもり、苛立ち、気分変動、不安、緊張、うつ、及び制御不能感から成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記少なくとも1種の月経周期性症状は、少なくとも2種以上の症状を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記3-MMCの投与は、投与1回当たり5~100mgの範囲内の量で行う、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記3-MMCの投与は、投与1回当たり10~65mgの範囲内の量で行う、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記3-MMCの投与は、投与1回当たり12.5mg、25mg、35mg、40mg又は50mgの量で行う、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記3-MMCの投与は、投与1回当たり25mgの量で行う、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  25. 対象における少なくとも1種の月経周期性症状の治療用キットであって、治療有効量の3-メチルメトカチノン(3-MMC)を含む少なくとも1種の投与単位と、前記月経周期性症状が発症すると予想される時点又は発症した時点の前に、その時点で、あるいはその時点の後に、前記3-MMCを投与するための説明書と、包装材と、を含む治療用キット。
  26. 前記対象において前記少なくとも1種の月経周期性症状が発症すると予想される時点又は発症した時点を確認するための装置を更に含む、請求項25に記載の治療用キット。
  27. 前記少なくとも1種の月経周期性症状の時系列および特徴を記録するためのデジタルコンピュータインターフェースを伴う、請求項25又は26に記載の治療用キット。
  28. 前記インターフェースは携帯電話アプリケーションのインターフェースであり、キットは、前記アプリケーションをダウンロード又は起動するためのバーコードを更に含む、請求項27に記載の治療用キット。
  29. 前記投与単位は5~100mgの3-MMCを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の治療用キット。
  30. 前記投与単位は10~60mgの3-MMCを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の治療用キット。
  31. 前記投与単位は12.5mgの3-MMCを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の治療用キット。
  32. 前記投与単位は25mgの3-MMCを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の治療用キット。
  33. 前記投与単位は50mgの3-MMCを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の治療用キット。
  34. 12.5mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位と、25mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位とを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の治療用キット。
  35. 25mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位と、50mgの3-MMCからなる少なくとも1種の投与単位とを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の治療用キット。
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