JP2022544660A - 光コヒーレンストモグラフィーによる網膜イメージングのための方法及び装置 - Google Patents

光コヒーレンストモグラフィーによる網膜イメージングのための方法及び装置 Download PDF

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Abstract

一態様によれば、本明細書の主題は、網膜イメージング装置(200)であって、網膜イメージング装置が、トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール(201)であって、第1の照明及び検出サブモジュール(210)と、2方向にスキャンするための第1のスキャンサブモジュール(220)とを含み、網膜の複数の断面画像(B-スキャン(i))を取得するよう構成される、第1のモジュールを備え、網膜イメージング装置(200)が更に、網膜の表面画像を取得するための第2のモジュール(202)であって、第2の照明及び検出サブモジュール(230)を含み、網膜の表面画像を取得するように構成されている、第2のモジュールを備え、網膜イメージング装置(200)が更に、前記第2のモジュール(202)によって取得された表面画像に基づいて、2つの方向のうちの少なくとも1つにおける網膜の運動の角速度を決定し、網膜の複数の断面画像の各断面画像の取得を開始する前に、第1のスキャンサブモジュールによって少なくとも1つの方向に適用されるスキャン速度を決定し、スキャン速度は、網膜の運動の角速度に応じた補正速度によって補正された公称スキャン速度を含む、ように構成された制御ユニット(203)を備える。【選択図】図2

Description

本明細書は、網膜イメージング方法及び当該方法を実施するのに適した装置に関する。より詳細には、網膜イメージング方法は、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)に基づくものである。
OCTは、低コヒーレンス干渉計の使用に基づいている。このイメージング技術により、生体内の組織の断面画像を数ミクロンの軸方向分解能で撮影することが可能となる。眼科学におけるOCTの利点の1つは、生体内で他の散乱組織を通って組織を明らかにする能力から生じる。
図1Aは、従来技術から知られており、例えば、J.F.De Boerらによる総説[Ref.1]に記載されている、OCT網膜イメージング装置100の主要要素を簡略化して示している。このような装置は、例えば、照明及び検出モジュール110と、モジュール110によって放出された光ビーム及び当該光ビームによる照明後に網膜によって再放出されたビームをスキャンする、2次元スキャンのスキャンモジュール120(scanning module)とを備える。モジュール110は、低時間コヒーレンス光源111(例えばSLED)を含み、網膜の点を低コヒーレンス照明ビームで照明するように構成されている照明サブモジュールを備える。モジュール110は更に、反射要素115及びレンズ114を有する光ファイバ参照アームを含む干渉計、例えば光ファイバ干渉計、例えばマイケルソン光ファイバ干渉計から形成された検出サブモジュールを備える。カプラ113は、ソース、参照アーム及び網膜からそれぞれもたらされるファイバ112-1、112-2、112-3によって伝送されるビームを受信し、例えば、ファイバ112-4によってカプラに接続されている検出器116、光電子増倍管、又はアバランシェフォトダイオード上に干渉パターンを形成する。本装置100は更に、信号処理ユニット130を備え、それ自体がユーザ11のためのスクリーン及び/又はインターフェース140に接続されている。
このような光コヒーレンストモグラフィー装置では、網膜上の測定点で軸方向深度画像を得ることが可能であり、この軸方向画像は、一方向で取得され、A-スキャンと呼ばれる。このような軸方向深度画像は、[Ref.1]に記載されているように様々な方法で取得される。例えば、軸方向深度画像は、広いスペクトルを有する光源を用いて、分光器によって波長の関数としてインターフェログラムを記録することによって得ることができる(次に、フーリエ領域OCT又はFD-OCTを参照する)。別の実施例によれば、軸方向深度画像は、掃引源を用いて、掃引源のスペクトルの掃引の間の時間の関数としてインターフェログラム変調を記録することによって得ることができる(後で掃引ソースOCT又はSS-OCTを参照する)。
従って、図1Bの概略図101は、眼球10の網膜12のA-スキャンを示し、軸方向画像は、この例では、眼の軸(Δ)と一致する照明光ビームの伝搬軸(δ)に沿って取得され、ここで(Δ)は、角膜14の中心及び眼窩の中心を通る軸により定義される。
更に、網膜の表面上で光ビームの衝突を移動させるようにして光ビームをスキャンすることにより、ラインに沿った複数の軸方向深さプロファイルを取得し、従って、網膜の2次元断面画像(two-dimensional cross-sectional image)を得ることができ、この断面画像はB-スキャン(B-Scan)と呼ばれる。このように、図1Bの概略図102は、スキャンビームの角度移動θxで、この例では眼の軸(Δ)を含む平面において網膜のB-スキャン又は断面画像を示している。
図1Bの概略図103に示されるように、概略図103においてB-スキャン(i)と呼ばれている複数の断面トモグラフィー画像(cross-sectional tomographic images)を取得することも可能である。Bスキャンは、網膜上の同じ位置で取得されて、取り込まれたトモグラフィー画像を平均化することによって、より良好な信号対雑音比を有するトモグラフィー画像を取得することができる。また、網膜の様々な位置でBスキャンを取得し、網膜のボリューム画像(3D-Scan)を取得することができる。
更に、本出願人名義の公開特許出願WO2018197288[Ref.2]に記載されているように、マルチスケール網膜イメージングシステムが知られており、本システムは、網膜の広視野画像を取得するための「広視野(wide-field)」光学チャネルと、高い横方向分解能、すなわち通常は数ミクロンの狭視野画像を取得するための「狭視野(narrow-field)」光学チャネルとを有し、狭視野チャネルは波面補正デバイスを組み込んでいる。前述の特許出願において、イメージングはOCTによるものとすることができる。
実際には、現在までに知られているOCT装置では、Aスキャン取得周波数がますます高くなり(典型的には100kHzを上回る)、500~1000回のAスキャンを含む、網膜の断面画像(Bスキャン)の最小取得時間は、典型的には3ms~10msの間である。200~500回のBスキャンを含む3Dスキャンの最短取得時間は、通常は0.5秒~4秒である。しかしながら、このような時間の間、眼は画像キャプチャ中に移動し、取得された画像の品質を低下させる可能性がある。
具体的には、患者が一点を見据えるよう求められた場合でも、眼球は様々な種類の動きをし続ける。例えば、ドリフト、トレモア、及び不随意なマイクロサッカード(involuntary microsaccades)が知られている。詳細には、ドリフトは、眼球の光軸のゆっくりとした不規則な移動として観察される。ドリフトは、眼球の光軸の角度変化として測定され、健康な被験者では、150フィート/s(1秒間に弧の分)に達することがある。震えは、振幅は非常に小さいが(角度の20~40秒)、周波数が高い(70~90Hz)絶え間ない運動であるので、観察が困難な運動であり、マイクロサッカードはその一部で、極小サッカードである。マイクロサッカードは、最小寸法の角度が2~5分であり、無意識に発生する。
従って、図1Cに示すように、10msで取り込まれたB-スキャンの取得中に、被験者が100フィート/sのドリフトを示した場合に、眼軸(Δ)は、公称位置(概略図104)に対してほぼ1分弧(概略図104、105)だけ回転することができ、これは、網膜上で約5μmの照明ビームの移動に相当する。その結果、特に2μmに達することができる高い横解像度の画像が取得される場合、得られた画像の精度が悪影響を受ける。
米国特許出願2011/0134392[Ref.3]では、B-スキャンの取得の実験条件(特にA-スキャンの数)を眼球運動の統計的測定値に応じて適合させることができる高分解能網膜イメージング方法を記載している。詳細には、記載された方法は、平均化又はオーバーサンプリングに最適化されたパラメータを得ることを可能にし、パラメータは、B-スキャンの取得中の歪みを回避するために、これらの統計的測定値を考慮に入れる。しかしながら、B-スキャンの取得中の眼球運動を補正することを可能にする安定化方法は、記載されていない。
米国特許出願2010/0053553[Ref.4]は、網膜の断面画像(B-スキャン)の取得中に、眼球運動を追跡して補正することができる網膜イメージング方法を記載している。より正確には、上述の文献に記載された方法は、第1の高速取得装置、例えばレーザスキャンシステムによって網膜の表面画像を測定することを含む。断面画像とは対照的に、表面画像は、眼球軸に垂直な平面で取得される。表面画像の取得は高速であるので、眼球運動をリアルタイムで測定することができる。次いで、本方法は、Bスキャンを取得するために、このようにして取得された表面画像において所望の断面画像の位置及び方向を選択し、次いで、高速取得装置によって測定された眼球運動に対してスキャンモジュールがリアルタイムで補正されるOCT装置によって、Bスキャンを取得することを含む。OCT装置のスキャンモジュールの安定化により、表面画像において選択された正確な位置でB-スキャンをキャプチャすることができる。
[Ref.4]に記載されているような表面画像を取得する装置により送出される補正信号を介してOCT装置のスキャンモジュールの安定化は、B-スキャンを優れた精度でキャプチャできるという意味で理想的である。しかしながら、この安定化方法は、B-スキャンの取得中に補正信号を複数回送信する必要があるので、実装が複雑である。
特許出願US2014/0211155[Ref.5]にはまた、網膜の表面画像を高速に取得するための装置によってOCT測定の安定化を実施する網膜イメージング方法が記載されている。より正確には、この方法は、表面画像の取得によって眼球運動を測定することを含む。本方法はまた、2次元スキャン用モジュールを備えたOCT装置によって複数の断面トモグラフィー画像又はB-スキャンを取得することを含む。記載された方法では、各新しいBスキャンが取得される前に、前のBスキャンの取得中に測定された眼球運動が所定の閾値より小さいかどうかが判断される。この場合、新しいB-スキャンが取得される前に、開始位置を補正する眼的で、OCT装置のスキャンモジュールに補正信号を送信することにより、眼球運動の補正が行われる。眼球運動が所定の閾値より大きい場合には、前回のB-スキャンを再度取得する。
[Ref.5]に記載されている方法は、[Ref.4]に記載されている方法よりも実施が遙かに簡単で高速である。しかしながら、B-スキャンの取得中にドリフトの影響が観察され、ドリフトの結果、取得終了時に、イメージングしようとしていた理論上の点と実際にイメージングされた点の間に距離が生じ、この距離は、実際には、健康な被験者で5μm程度、凝視できるが不十分である被験者ではそれよりも多くなる可能性がある。従って、[Ref.5]に記載された方法では、特に横方向の分解能が高いイメージングの場合に十分な安定化を図ることができない。
本明細書の1つの眼的は、[Ref.5]に記載されたものと同等の取得簡便性と速度を有しながら、特に高横方向分解能のイメージングに適合する精度を有する網膜イメージング方法及び装置を提供することである。
国際公開第2018197288号 米国特許出願公開第2011/0134392号明細書 米国特許出願公開第2010/0053553号明細書 米国特許出願公開第2014/0211155号明細書
J.F. De Boer et al. "Twenty-five years of optical coherence tomography: the paradigm shift in sensitivity and speed provided by Fourier domain OCT", Vol. 8, No. 7 | 1 Jul 2017 | BIOMEDICAL OPTICS EXPRESS 3248 R. H. Webb et al. "Confocal scanning laser ophthalmoscope" Appl. Opt. 26, 1492-1499 (1987)
第1の態様によれば、本明細書は、網膜イメージング方法(retinal-imaging method)に関し、上記網膜イメージング方法が、
- トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール(first module)により網膜の複数の断面画像を連続的に取得するステップであって、上記第1のモジュールは、第1の照明及び検出サブモジュールと、2方向にスキャンするための第1のスキャンサブモジュール(first scanning sub-module)とを含む、ステップと、
- 網膜の表面画像を取得するための第2のモジュールにより網膜の表面画像を取得するステップであって、前記第2のモジュールは第2の照明及び検出サブモジュールを含むステップと、
- 第2のモジュールによって取得された表面画像に基づいて、上記方向のうちの少なくとも1つの方向における眼球運動の角速度を決定するステップと、
- 網膜の複数の断面画像の各断面画像の取得の開始中に、第1のスキャンサブモジュールによって少なくとも1つの方向に適用されるスキャン速度(scanning velocity)を決定するステップであって、スキャン速度は、眼球運動の角速度に応じた補正速度(correction velocity)によって補正された公称スキャン速度を含む、ステップと、を含む。
B-スキャンの取得のために採用される初期位置をもはや系統的に補正するのではなく、B-スキャンの取得が開始されるスキャン速度を眼球運動(又は網膜の運動)の角速度に応じて補正することによって、本出願人は、特に高横方向分解能のイメージングの場合に実装が簡単なシステムを維持しながら、網膜のドリフトを良好に考慮することができることを示している。
本明細書では、以下の表現:一方では、横方向分解能及び網膜の移動速度、他方では、眼球の前部を通して見られるような網膜の角分解能と角速度。互換的に用いることにする。具体的には、これらの横方向及び角度の値は、眼の焦点距離を介して関係している。従って、2μmの分解能は、0.007°、すなわち0.4分角の角分解能に相当する(眼の平均焦点距離を17mmとした場合)。
本明細書の意味の範囲内におけるスキャンサブモジュールは、照明及び検出サブモジュールによって放出された光ビームを連続的又は離散的にスキャンするように構成される。
常に同じ方向に行われるラスター又は単方向スキャンと、反対方向に交互に行われる双方向スキャンとは、既知の方法で区別される。どちらの場合も、スキャンは主スキャン方向を有し、本特許出願では従来に従って「水平方向」と呼ばれる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、スキャンサブモジュールは、軸を中心に回転可能なミラーによって光ビームを連続的に偏向するように構成された共振型又はガルバノスキャナを備える。スキャンサブモジュールはまた、網膜への光ビームの衝突点を2方向に変更することを可能にして双方向スキャンを生成するスキャナのペアを備えることができる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、スキャンサブモジュールは、光ビームを直接2方向に偏向させるように構成されたMEMSミラー(MEMSはマイクロエレクトロメカニカルシステムの頭文字である)を備える。
一般に、網膜への光ビームの方向又は衝突点の十分な数を生成することができる何れかの構成要素は、スキャンサブモジュールで使用することができる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、ある方向における眼球運動の角速度は、網膜の2つの表面画像、例えば連続して取得された2つの画像に基づいて測定され、次に角速度は、この方向における角運動を表面画像の取得を分離する時間間隔で除算したものから決定される。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、眼球運動の角速度は、一つの方向、一般的には主スキャン方向においてのみ決定される。次いで、補正速度は、この方向にのみ決定され、スキャンサブモジュールによって他の方向に適用されるスキャン速度が公称速度となる。
実施形態の1又は2以上の例によれば、眼球運動の角速度は、場合によっては2つの方向で決定されることになる。この場合、各方向で補正速度を決定することが可能になる。実施形態の1又は2以上の例によれば、スキャンサブモジュールによって適用されるスキャン速度は、各方向において、補正速度によって補正される公称速度である。
実施形態の1又は2以上の例によれば、補正速度は、取得の開始前に測定された眼球運動の速度であり、例えば、取得の開始前に測定された眼球運動の最終速度である。
実施形態の1又は2以上の例によれば、補正速度は、取得の開始前に測定された眼球運動の速度の履歴に基づいて行われる予測に基づいて取得される。
本明細書において、「公称スキャン速度(nominal scanning velocity)」とは、補正前にBスキャンが取得される所定のスキャン速度のことである。公称スキャン速度は、例えば、当該方向にスキャンされる全視野、Bスキャンに含まれるAスキャンの数、及びAスキャンの持続時間を介して、各方向で決定され、一般に、~100°/s(高横方向分解能の狭視野画像の場合)及び10000°/sを上回る(広視野画像)間(眼の空間において測定される値)で構成される。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、眼球運動の角速度は、表面画像の取得周波数と同一の周波数で決定される。より低い周波数で角速度を決定することも可能であり、実際には、眼球運動の角速度の2~10の値がB-スキャン中に各方向で測定される可能性がある。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜の表面画像は、カメラタイプの2次元検出器によって取得され、取得周波数はカメラの取得周波数である。
実施形態の1又は2以上の例によれば、網膜の表面画像は、網膜上で光ビームをスキャンすることによって取得され、取得周波数は、スキャン周波数及び取得された網膜の表面画像におけるラインの数に依存する。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜イメージング方法は更に、網膜の複数の断面画像の各断面画像が取得される前に、第1のスキャンサブモジュールによって、上記方向の少なくとも1つで公称位置シフトに適用されるシフト補正を決定するステップを含む。
本明細書において、「公称位置シフト(nominal position shift)」は、網膜の運動の何れかの補正とは無関係に、新しいB-スキャンが取得される前に第1のスキャンサブモジュールによって適用されるべき所定のシフト値である。公称位置シフトは、例えば、ユーザによって定められるスキャンパラメータを用いて計算される。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、少なくとも一つの方向に適用されるシフト補正は、補正速度に依存する。従って、特にラスタースキャンの場合、新しいB-スキャンの取得のために、始点に戻るのにかかる時間の間に網膜のドリフトを補正することが可能となる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜イメージング方法は更に、
- 網膜の複数の断面画像の各断面画像の取得中に、眼球運動の速度の変動を表す値を決定するステップと、
- 網膜の後続の断面画像が取得される前に、少なくとも1つの方向において、前の断面画像の取得中の速度の変動を表す値が所定の閾値より大きい場合、公称位置シフトにシフト補正を適用するステップと、
を含む。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、眼球運動の速度の変動を表す値は、眼球運動の角加速度(時間間隔中の速度変動)に相当する。
一般に、網膜の表面画像が、カメラタイプの2次元検出器又はビームスキャンシステムによって取得されるときには、眼球運動の速度の変動を表す上記値は、網膜の像の速度の変動に基づいて決定することができる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、閾値は、網膜イメージングに求められる横方向分解能、眼の焦点距離、Aスキャンを取得するのにかかる時間、及びBスキャン当たりのAスキャンの数に応じて決定される。閾値の例としては、0.1°/sから10°/sの間で構成される。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、前の断面画像の取得中の速度の変動を表す値が、所定の閾値よりも大きい場合、2つの方向の各々において適用すべきシフト補正は、網膜の表面画像に基づいて直接計算される。
他の例では、シフト補正は、網膜の運動の1又は2以上の以前に測定された角速度に基づいて決定することができる。
従って、実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜の運動の速度に有意な変化がない場合、後続のB-スキャンの取得のために網膜の表面画像に基づいて直接計算された補正は、公称位置シフトに適用されない。スキャン速度の補正に伴う位置シフトの補正をこのように行わないことにより、あるBスキャンの終了と次のBスキャンの開始の間の間隔の急激な変動を回避することができる。しかしながら、眼球運動の速度に応じて、公称位置シフトに対する補正を適用することができる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜の平均化された断面画像を取得するために、公称位置シフトは、網膜の断面画像が前回の網膜の断面画像と同じ位置で取得されるように予め設定されている。イメージング方法は、同じ位置で取得された複数の断面画像の平均値に基づいて算出された、網膜の平均化された断面画像を決定するステップを含む。実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜の平均化された断面画像が表示される。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜のいわゆる「血管造影」画像すなわち「OCT-A」画像を取得して、網膜の血管([Ref.1]参照)を強調することを可能にするために、公称位置シフトは、網膜の断面画像が前回の網膜の断面画像と同じ位置で取得されるように予め設定されており、本方法は次に、同じ位置で取得された複数の断面画像の間の内容の修正に基づいて計算された画像を決定するステップを含む。例えば、画像の各画素の情報に関する分散の指標を用いることができる。各画素の情報は、例えば、OCT測定に対応する複素値の係数、又はこの測定の位相に対応することができる。分散の指標は、例えば、分散、標準偏差、平均絶対偏差、次数Nのモーメント、又は各画素の情報の分散の何れかの他の指標である。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜の3次元画像を取得するために、公称位置シフトは、網膜の断面画像が前回の断面画像とは異なる網膜上の位置で取得されるように予め設定される。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、本方法は、網膜の複数の断面画像に基づいて形成された網膜の3次元画像を表示するステップを更に含む。
第1の態様に係る本方法によって得られた網膜の上記3次元画像に基づいて、ユーザは、1又は2以上の実施形態例に従って、イメージングされる関心領域を選択することができる。ユーザは、例えば、限定ではないが、平均化されたB-スキャンを取得すること、狭視野の高横方向分解能で取得される網膜の3次元画像を取得すること、又は網膜の血管造影画像を取得することを要求することができる。これらの用途の各々に対して、本明細書による方法は、特にB-スキャンの取得開始時のスキャン速度の補正、及び必要に応じてシフトの補正を伴って適用することができる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、本方法は、網膜の各断面画像の取得中に、網膜の表面画像に基づいて眼の瞬きを検出するステップを更に含む。眼の瞬きの間、得られた網膜の表面画像はほぼゼロの信号を示す。
瞬きを検出した場合、現在の網膜の断面画像の取得を停止し、瞬きが終了して再び網膜の表面画像を取得する際には、前記第1のスキャンサブモジュールによって各方向に位置シフトが適用され、網膜の断面画像の取得を再開させる。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、本方法は更に、網膜の各断面画像の取得中に、網膜の運動の角速度に基づいてマイクロサッカードを検出するステップを含む。マイクロサッカードが検出された場合、網膜の現在の断面画像の取得が停止され、マイクロサッカードが終了したときに、第1のスキャンサブモジュールによって各方向に位置シフトが適用され、網膜の断面画像の取得を再開する。
具体的には、本出願人は、瞬きの場合、信号がないため測定ができず、マイクロサッカードの場合、取得中の網膜の運動が大きすぎて補正ができないことを示した。その後、B-スキャンの取得を再開することが望ましい。
第2の態様によれば、本明細書は、第1の態様による方法の1又は2以上の実施形態に従って記載された方法を実施するための装置に関する。
従って、本明細書は、網膜イメージング装置(retinal-imaging device)に関し、網膜イメージング装置は、
- トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュールであって、第1の照明及び検出サブモジュールと、2方向にスキャンするための第1のスキャンサブモジュールとを含み、第1のモジュールは、網膜の複数の断面画像を取得するように構成される、第1のモジュールと、
- 網膜の表面画像を取得するための第2のモジュールであって、第2の照明及び検出サブモジュールを含む、第2のモジュールと、
- 制御ユニットと、
を備え、上記制御ユニットは、
○ 第2のモジュールによって取得された表面画像に基づいて、上記方向のうちの少なくとも1つにおける眼球運動の角速度を決定し、
○ 網膜の複数の断面画像の各断面画像の取得の開始中に、第1のスキャンサブモジュールによって少なくとも1つの方向に適用されるスキャン速度を決定し、スキャン速度は、眼球運動の角速度に応じた補正速度によって補正された公称スキャン速度を含む、
ように構成される。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、第1及び第2のモジュールの各々は、広視野光チャネル及び狭視野光チャネルを含む。このようなモジュールは、例えば、[Ref.2]に記載されている。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、網膜の表面画像を取得するための第2のモジュールは、2方向にスキャンするための第2のスキャンサブモジュールを更に含む。これは、例えば、スキャン型レーザ検眼鏡(SLO)の問題である。このようなSLOは、例えば、第1の方向にスキャンするための共振スキャナと、第2の方向にスキャンするためのガルバノスキャナとを備える。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュールは、従来技術から知られているようなFD OCT又はSS OCTモジュールである。
本発明の他の利点及び特徴は、以下の図によって示される説明を読めば明らかになるであろう。
従来技術から公知のOCT網膜イメージング装置を示す概略図である。 従来技術から公知のOCT網膜画像を例示する3つの概略図を示している。 (B-スキャン)OCT網膜画像に対する眼球のドリフトの効果を例示する2つの概略図を示す。 本明細書による光コヒーレンストモグラフィー(OCT)網膜イメージング装置の一例を示す概略図である。 本明細書による光コヒーレンストモグラフィー(OCT)網膜イメージング方法の一例を示す概略ブロック図である。 一実施例による図3Aに図示された網膜イメージング方法の詳細を例示する概略ブロック図である。 本明細書による網膜-イメージング方法の一実施例における網膜のドリフト及び対応する補正信号の一例を時間の関数として一方向でそれぞれ示す2つの曲線を例示した概略図である。 比較のために、[Ref.4]による網膜-イメージング方法の一実施例図4Aと同じ2つの曲線を示す概略図である。 比較のために、[Ref.5]による網膜イメージング方法の図4Aと同じ2つの曲線を示す概略図である。 網膜の3D OCT画像を取得することと、ユーザが3D画像の表示に基づいて取得する他の画像を選択することとを含む、本明細書による光コヒーレンストモグラフィー(OCT)網膜イメージング方法の一例の概略ブロック図である。
図において、視認性をよくするために、要素は縮尺通りに示していない。
図2は、本明細書による網膜イメージング方法の例を実装するように構成された光コヒーレンストモグラフィー(OCT)網膜イメージング装置200の一例を示す概略図である。
装置200は、トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール201と、網膜の表面画像を取得するための第2のモジュール202と、前記第1及び第2のモジュール201、202の要素を制御し且つ本明細書によるイメージング方法ステップを実施するための制御ユニット203と、を備える。ビーム分割要素206は、表面イメージング及びトモグラフィーチャネルを照明眼的のために結合し、上記チャネルを検出眼的のために分割することを可能にする。
一般に、本明細書で言及される制御ユニットは、1又は2以上の物理的実体、例えば1又は2以上のコンピュータを備えることができる。本明細書において、特に方法のステップを実行するために計算又は処理のステップに言及する場合、各計算又は処理ステップは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、マイクロコード、又はこれらの技術の何れかの適切な組み合わせによって実装することができることが理解されるであろう。ソフトウェアが使用される場合、各計算又は処理ステップは、コンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードによって実施することができる。これらの命令は、これらの計算又は処理ステップを実行するために、制御ユニットによって読み取り可能及び/又は制御ユニットによって実行される記憶媒体に記憶又は伝送することができる。
制御ユニット203は、この例では、ユーザ11とインターフェースするために、画面及び/又はインターフェース204に接続されている。
トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール201は、公知の方法で、第1の照明及び検出サブモジュール210と、サブモジュール210によって放射された光ビームと、当該光ビームによって照明された後に網膜によって再放射されたビームとを2方向でスキャンするための第1のスキャンサブモジュール220と、を備える。
照明及び検出サブモジュール210は、網膜上の点を低コヒーレンス照明ビームで照明するように構成された低時間コヒーレンス光源211(例えばSLED)と、検出器216(例えば光電子増倍管又はアバランシェフォトダイオード)上に干渉パターンを形成するよう構成された、基準アーム214を含む干渉計213(例えば光ファイバ干渉計、例えばマイケルソン光ファイバ干渉計)と、を備える。スキャンサブモジュール220は、例えば2つのガルバノスキャナを備える。トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール201の要素は公知であり、例えば[Ref.1]に記載されているようなFD-OCT又はSS-OCTタイプのトモグラフィー画像を生成するように構成されている。図2には、主要な要素のみが概略的に示されている。
網膜の表面画像を取得するための第2のモジュール202は、図2の例では、第2の照明及び検出サブモジュール230と、サブモジュール230によって放出される光ビームと当該光ビームによる照明後に網膜により再放出されるビームとを2方向でスキャンする第2のスキャンサブモジュール240と、を備える。第2のモジュール202は、例えば、R・H・ウェッブ他[Ref.6]に記載されているような、従来技術から公知のスキャン型レーザ検眼鏡(SLO)である。照明及び検出サブモジュール230は、例えば赤外線スーパールミネッセントダイオード(SLED)であるソース231と、例えばアバランシェフォトダイオードである検出器236とを備える。スキャンサブモジュール240は、共振スキャナ及びガルバノスキャナを含む。
このようにして、網膜の表面画像を取得するための第2のモジュール202により、スキャンサブモジュール240のスキャン周波数と取得しようとする網膜の表面画像の1ライン当たりの点数とによって決定される所与の取得周波数で網膜の表面画像を取得することができる。
網膜の表面画像を取得するための他のモジュール、例えばカメラタイプの2次元取得装置などを使用することができることは留意されたい。この場合、取得周波数は、カメラの取得周波数によって与えられる。一般に、SLOは、実装がより複雑であるものの、カメラによって提供される画像よりもコントラストが高い画像が得られる。
図2の例では、光学系によって、網膜表面イメージングチャネルとトモグラフィーチャネルの各々で、光ビームを患者の眼に送り、これをスキャンモジュールと連動して成形し、網膜を所望の方法でスキャンすることができる。チャネルの各々の光学系は、少なくとも1つの共通要素205を有する。
実施形態の1又は2以上の実施例によれば、上記第1及び第2のモジュールの各々は、広視野光学チャネル及び狭視野光学チャネル(図2には示されていない)を含むことができる点に留意されたい。このようなモジュールは、例えば、[Ref.2]に記載されている。
図3Aは、本明細書による、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)網膜イメージング方法300の一例の概略ブロック図を示し、本方法は、例えば、図2に例示したような装置によって実施され、図3Bは、図3Aに例示された網膜イメージング方法の詳細を示す概略ブロック図である。
本明細書による方法において、網膜の表面画像は、表面画像を取得するため(ステップ340、図3B)のモジュール(202、図2)により所与の周波数で取得される。実際には、網膜の一連の表面画像を取得して、レジストレーション及び平均化を介して参照画像341を生成し、次いで、取得した画像を比較して、瞬きの有無、マイクロサッカードの有無を識別して、網膜の運動の速度を測定する。
網膜の表面画像に基づいて、制御ユニットは、2つのスキャン方向、又は2つの方向のうちの少なくとも一方、例えば主方向における眼球運動(又は網膜の運動)の角速度を決定する(ステップ311)。網膜の運動の角速度は、表面画像の取得周波数で、例えば、連続して取得された表面画像に基づいて決定することができる。
網膜イメージング方法300は更に、トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール(201、図2)により、網膜の複数の断面画像B-スキャン(i)を連続的に取得する(350、図3B)ことを含む。
図3Aに示されるように、各断面画像B-スキャン(i)の取得301の間、スキャン速度312が制御ユニット203によって計算される。このスキャン速度は、第1のスキャンサブモジュール220によって適用される。B-スキャン(i)の取得開始313前に加えられるスキャン速度は、画像B-スキャン(i)の取得開始前の眼球運動の角速度に応じた補正速度により補正された公称スキャン速度を含む。B-スキャンの取得の開始前に測定された眼球運動の角速度の最後の値が、例として取ることにする。網膜の運動のこれまでに決定された複数の速度値に基づいて行われる予測に基づいて、補正速度を決定することも可能である。
Bスキャンの取得中、網膜の表面画像に基づいて眼の瞬きが発生したかどうかが判断される(ステップ322)。これを行うために、信号の不在が検出される。
また、マイクロサッカードが発生したか否かが判定される(ステップ324)。マイクロサッカードに関する情報は、網膜の運動の速度に基づいて決定される。例えば、場合によっては画像の極めて急速なシフトが観察されることになる。
瞬き(323)又はマイクロサッカード(325)が発生した場合、B-スキャンの取得は、瞬き又はマイクロサッカードの間は中断される(326)。瞬き又はマイクロサッカードの終了後、現在の断面画像の全く新しい取得が実行される。これを行うために、スキャンビーム(327)にシフトが適用され、網膜の運動の速度の新しい測定が考慮される。
マイクロサッカードが発生しない場合は、予め決定された取得ラインの終端に到達するまでB-スキャンの取得を継続する(314)。
OCTスキャンを停止し(315)、必要に応じて新たなB-スキャンを開始する。
新しいB-スキャンを開始するために、公称シフトが適用される(316)。公称位置シフトは、眼球運動の補正とは無関係に、新しいB-スキャンが取得される前に第1のスキャンサブモジュールによって適用される所定のシフト値である。公称位置シフトは、例えば、ユーザによって定められたスキャンパラメータを用いて計算される。例えば、ユーザは、長さが30°で垂直方向に0.2°だけ離間したBスキャンをもたらすラスタースキャン(常に同じ方向にスキャンする)を定める。Bスキャンの終端と次のBスキャンとの間の公称位置シフトは、例えば-30°、-0.2°である。
ラスタースキャンの場合、公称シフトに対して少なくとも1つの方向で、例えば主方向でのシフト補正を適用することが可能となり、シフト補正は、当該方向の眼球運動の角速度及びスキャナが始点に戻るまでの時間に依存する。これにより、新たなB-スキャンの取得のために始点に戻るまでの時間の間の網膜のドリフトを補正することができる。
図3Aに示される例では、B-スキャン(i)の取得中に網膜の運動の速度の変動も決定される(317)。この速度変動の測定は、後続のB-スキャンの取得前に適用される補正シフトを適用するか否かを決定するのに用いられる。
このように、変動幅が所与の所定の閾値よりも小さいか否かが決定される(318)。小さい場合、シフト補正なしで(又は上記で説明した速度関連補正のみで)、次のBスキャン(B-スキャン(i+1))が取得される(302)。小さくない場合、次のBスキャン(B-スキャン(i+1))を取得する(302)前に、シフト補正が適用される(319)。このシフト補正は、網膜の表面画像に基づいて計算され、スキャン方向のうちの少なくとも1つにおいて適用される。
このように、実際には、網膜の複数の断面画像を取得するときには、各断面画像の取得中に、第1のスキャンサブモジュールによって、網膜の運動の速度に対して補正された公称スキャン速度を含むスキャン速度が印加される。更に、網膜の各新規の断面画像の開始前に、上記第1のスキャンサブモジュールによって、少なくとも1つの方向のシフト補正が、公称位置シフトに適用することができる。このシフト補正は、前の断面画像の取得中の網膜の運動の速度の変動を表す上記値が、所定の閾値よりも高い場合、網膜の画像に基づいて直接計算される補正とすることができる。
閾値は、場合によっては、網膜イメージングに求められる横方向分解能、眼の焦点距離、Aスキャンを取得するのにかかる時間、及びBスキャン当たりのAスキャンの数に応じて決定される。閾値の例としては、0.1°/sから10°/sの間で構成される。これらの値は、(最小値)分解能1μm、Aスキャン取得周波数50kHz、Bスキャン当たりのAスキャンの数1000、(最大値)分解能5μm、Aスキャン取得周波数200kHz、Bスキャン当たりのAスキャン数500として計算される。
例えば、焦点距離17mmの眼球で網膜の横方向分解能が2μmは、角分解能の0.007°に相当する。200kHzの周波数で取得した1000個のAスキャンから構成されるBスキャンの取得時間は5msである。この場合に適用される速度変動閾値は、0.007°/0.005s=1.3°/sである。
このように、図3Bは、第1のB-スキャン(i)の取得(ステップ351)の一例を示している。取得中、制御ユニットは、表面画像342に基づいて、網膜の運動の速度を決定する(ステップ311)。取得の終了時には、新たなB-スキャンが取得される(B-スキャン(i+1)、ステップ352)。図3Bに示すように、B-スキャン(i+1)は、瞬き又はマイクロサッカードの検出に起因して中断される。従って、B-スキャンが再度取得される(353)。次に、新たなB-スキャンが取得される(B-スキャン(i+2)、354)、などである。
図4Aは、トモグラフィー画像を取得するモジュールのスキャンサブモジュール(220、図2)に適用される網膜のドリフト(401)及び対応する補正信号(402)の一例を時間の関数として一方向で示す、2つの曲線401、402をそれぞれ示した概略図である。
網膜の断面画像B-スキャン(i),B-スキャン(i+1),B-スキャン(i+2),B-スキャン(i+3)の取得では、シフト補正は行わず、スキャン速度の補正のみを行い、これは、その傾きの変化で観察できる。対照的に、断面画像B-スキャン(i+4)の取得の際には、制御ユニットは、網膜の運動の角速度の変化が所定の閾値よりも大きいことを検出し、スキャン速度の補正に加えてシフト補正が適用されている。
これらの曲線は、[Ref.4]による網膜イメージング方法の一例において得られた曲線(図4B参照)と比較することができる。この例では、シフト補正は、Bスキャンの取得中に高頻度で適用され、よって2つの曲線は、互いに正確に追従する。
図4Aの曲線はまた、[Ref.5]による網膜イメージング方法の例で得られた曲線(図4C参照)と比較することができる。この例では、スキャン速度の補正はなく、シフトが、網膜の表面画像に応じて系統的に補正される。図4Cで分かるように、結果として得られる補正は、遙かに精度が低い。
図5は、網膜の3D OCT画像を取得することと、ユーザが3D画像の表示に基づいて取得される他の画像を選択することとを含む、本明細書による光コヒーレンストモグラフィー(OCT)網膜イメージング方法の一例の概略ブロック図である。
より正確には、この例では、方法500は、患者に基準点を凝視するよう求めるステップ501を含む。
網膜の3次元OCT画像は、本明細書による方法(例えば図3Aを参照して説明したような方法)によって取得され、ここでは、網膜上の様々な位置で連続したB-スキャンが取得される(502)。
3D OCT 画像が表示され(503)、ユーザは、新しい検査を自由に要求することができる(504)。従って、この実施形態の例では、ユーザは、例えば、以前に取得された3次元画像に基づいてイメージングされるべき網膜の新しい領域を選択することができる。
図5は、ユーザによって選択できる相補的検査510、520、530の複数の例を示し、これらの例は限定ではなく、網膜の同じ3D画像に基づいて連続的に実施することが可能である。
例えば、ユーザは、平均化されたB-スキャン(510)を実施することを選択することができる。
予め決定され表示された3次元網膜画像に基づいて、実施されるBスキャンの位置を選択する(ステップ511)。取得を開始する(513)前にプレビューを表示することができる(512)。本明細書による方法、例えば図3Aを参照して説明したような方法に従って、複数のB-スキャンが取得される(514)。詳細には、網膜の断面画像が網膜の前の断面画像と同じ位置で取得されるように、公称位置シフトが予め決定され、網膜の平均化された断面画像は、同じ位置で取得された複数の断面画像の平均に基づいて計算される。平均化されたBスキャンが表示される(515)。
別の実施例によれば、ユーザは、網膜のいわゆる血管造影的な3次元画像を撮影する(520)ことを選択することができる。
予め決定され表示された3次元網膜像に基づいて、撮影される部位の位置を選択する(ステップ521)。取得を開始する(523)前にプレビューを表示することができる(522)。本明細書による方法、例えば図3Aを参照して説明したような方法に従って、複数のB-スキャンが取得される(524)。この例では、画像は、同じ位置で取得された複数の画像間の内容の修正に基づいて計算される。血管造影画像が表示される(525)。
別の例では、ユーザは、高横方向分解能の狭視野3次元網膜画像を撮影する(530)ことを選択することができる。
予め決定され表示された3次元網膜像に基づいて、イメージングされる部位の位置を選択する(ステップ531)。撮影を開始する(533)前にプレビューを表示することができる(532)。本明細書による方法、例えば図3Aを参照して説明したような方法に従って、網膜イメージング装置の高分解能狭視野チャネルを用いて複数のB-スキャンが取得される(534)。網膜の3次元画像が表示される(535)。
複数の実施例を通じて説明したが、本明細書による網膜イメージング方法及び装置は、当業者には明らかであると思われる様々な変形、修正及び改善を含み、これらの様々な変形、修正及び改善は、添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の範囲の一部を形成することは理解される。
(引用文献)
[Ref.1]:J.F. De Boer et al. “Twenty-five years of optical coherence tomography: the paradigm shift in sensitivity and speed provided by Fourier domain OCT”, Vol. 8, No. 7 | 1 Jul 2017 | BIOMEDICAL OPTICS EXPRESS 3248J
[Ref.2]:WO 2018197288
[Ref.3]: US 2011/0134392
[Ref.4]: US 2010/0053553
[Ref.5]: US 2014/0211155
[Ref.6]: R. H. Webb et al. “Confocal scanning laser ophthalmoscope” Appl. Opt. 26, 1492-1499 (1987)
200 光コヒーレンストモグラフィー(OCT)網膜イメージング装置
201 第1のモジュール
202 第2のモジュール
203 制御ユニット
206 ビーム分割要素

Claims (15)

  1. 網膜イメージング方法であって、
    トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール(201)により網膜の複数の断面画像(B-スキャン(i))を連続的に取得するステップ(350)であって、前記第1のモジュールは、第1の照明及び検出サブモジュール(210)と2方向(x、y)にスキャンするための第1のスキャンサブモジュール(220)とを含む、ステップと、
    前記網膜の表面画像を取得するための第2のモジュール(202)により前記網膜の表面画像を取得するステップ(340)であって、前記第2のモジュールは第2の照明及び検出サブモジュール(230)を含む、ステップと、
    前記第2のモジュール(202)によって取得された表面画像に基づいて、前記方向(x、y)のうちの少なくとも1つにおける前記網膜の運動の角速度を決定するステップ(311)と、
    前記網膜の前記複数の断面画像の各断面画像の取得を開始する前に、前記第1のスキャンサブモジュールによって前記少なくとも1つの方向に適用されるスキャン速度を決定するステップ(312)であって、前記スキャン速度は、前記網膜の運動の前記角速度に応じた補正速度によって補正された公称スキャン速度を含む、ステップと、
    を含む、網膜イメージング方法。
  2. 前記網膜の前記複数の断面画像の各断面画像を取得する前に、前記第1のスキャンサブモジュールによる公称位置シフトに適用されるシフト補正を前記少なくとも1つの方向で決定するステップを更に含む、請求項1に記載の網膜イメージング方法。
  3. 前記少なくとも1つの方向に適用されるシフト補正は、前記少なくとも1つの方向における前記決定された補正速度に依存する、請求項2に記載の網膜イメージング方法。
  4. 前記網膜イメージング方法は、更に、
    前記網膜の前記複数の断面画像の各断面画像(B-スキャン(i))の取得中に、前記方向のうちの少なくとも1つの方向における眼球運動の速度の変動を表す値を決定するステップと、
    前記網膜の後続の断面画像(B-スキャン(i+1))が取得される前に、前回の断面画像(B-スキャン(i))の取得時の速度の変動を表す前記値が所定の閾値よりも大きい場合、前記少なくとも1つの方向で公称位置シフトに適用されるシフト補正を行うステップと、
    を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の網膜イメージング方法。
  5. 前記シフト補正は、前記網膜の表面画像に基づいて直接計算される、請求項4に記載のイメージング方法。
  6. 前記網膜の運動の速度の変動を表す前記値は、前記網膜の運動の加速度の値を含む、請求項4及び5の何れかに記載の網膜イメージング方法。
  7. 同じ位置で取得された複数の断面画像の平均に基づいて計算された、前記網膜の平均断面画像を決定するステップを更に含む、請求項1~6の何れか1項に記載の網膜イメージング方法。
  8. 同じ位置で取得された複数の断面画像の間の内容の変更の推定に基づいて計算された画像を決定するステップを更に含む、請求項1~6の何れか1項に記載の網膜イメージング方法。
  9. 前記網膜の3次元画像を取得するために、前記網膜の複数の断面画像が前記網膜上の様々な位置で取得される、請求項1~6の何れか1項に記載の網膜イメージング方法。
  10. 前記網膜の前記3次元画像を表示するステップと、
    前記網膜の3次元画像に基づいて、イメージングされる前記網膜の新たな領域を、ユーザにより、選択するステップと、
    を更に含む、請求項9に記載の網膜イメージング方法。
  11. 前記網膜の前記複数の断面画像の各断面画像(B-スキャン(i))の取得中に、前記網膜の前記表面画像に基づいて眼の瞬きを検出するステップと、
    眼の瞬きが検出された場合に、前記断面画像(B-スキャン(i))の取得を停止するステップと、
    前記網膜の前記断面画像の取得を再開するために、前記第1のスキャンサブモジュールによって、前記方向の各々への位置シフトを適用するステップと、
    を更に含む、請求項1~10の何れか1項に記載の網膜イメージング方法。
  12. 前記網膜の前記複数の断面画像の各断面画像(B-スキャン(i))の取得中に、前記網膜の運動の前記角速度に基づいて、マイクロサッカードを検出するステップと、
    マイクロサッカードが検出された場合、前記断面画像(B-スキャン(i))の取得を停止するステップと、
    前記網膜の前記断面画像の取得を再開するために、前記第1のスキャンサブモジュールによって、前記方向の各々への位置シフトを適用するステップと、
    を含む、請求項1~11の何れか1項に記載の網膜イメージング方法。
  13. 網膜イメージング装置(200)であって、
    トモグラフィー画像を取得するための第1のモジュール(201)であって、第1の照明及び検出サブモジュール(210)と、2つの方向にスキャンするための第1のスキャンサブモジュール(220)とを含み、前記第1のモジュールは、網膜の複数の断面画像(B-スキャン(i))を取得するように構成される、第1のモジュール(201)と、
    前記網膜の表面画像を取得するための第2のモジュール(202)であって、第2の照明及び検出サブモジュール(230)を含み、前記第2のモジュールは、前記網膜の表面画像を取得するように構成される、第2のモジュール(202)と、
    制御ユニット(203)と、
    を備え、
    前記制御ユニット(203)は、
    前記第2のモジュール(202)によって取得された表面画像に基づいて、前記2つの方向のうちの少なくとも1つにおける前記網膜の運動の角速度を決定し、
    前記網膜の前記複数の断面画像の各断面画像の取得を開始する前に、前記第1のスキャンサブモジュールによって前記少なくとも1つの方向に適用されるスキャン速度を決定する、
    ように構成され、前記スキャン速度は、前記網膜の運動の角速度に応じた補正速度によって補正された公称スキャン速度を含む、
    網膜イメージング装置(200)。
  14. 前記第1及び第2のモジュールの各々は、広視野光学チャネル及び狭視野光学チャネルを含む、請求項13に記載の網膜イメージング装置。
  15. 前記網膜の表面画像を取得するための前記第2のモジュール(202)は、2方向にスキャンするための第2のスキャンサブモジュールを更に含む、請求項13及び14の何れか1項に記載の網膜イメージング装置。
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