JP2022541739A - 心臓治療薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、心房細動(atrial fibrillation:AF)に対して有効な新規の心臓治療薬、それを含む医薬組成物、心疾患を治療するためのその使用、及びそれを使用することを含む心疾患を治療する方法に関する。

Description

本発明は、心房細動(atrial fibrillation:AF)、脳卒中、及び血栓塞栓症に対して有効な新規の心臓治療薬、それを含む医薬組成物、心疾患を治療するためのその使用、及びその使用を含む心疾患を治療する方法に関する。
心房細動(AF)は、高齢化人口により、有病率が世界的に増加している最も一般的な持続性不整脈である。北米では約230万人、欧州では450万人がAFに罹患している。AFは、米国では年間75万件を超える入院と推定13万件の死亡の原因になっている。AFは、結果的に脳卒中及び血栓塞栓症を5倍増加させ、かつ死亡率を2倍増加させる。世界のAF市場は2020年までに160億ドルになると推定されている。今日でも、薬物療法が依然として臨床的に重要である。
AFは、不規則で速い心拍を特徴とするが、それは事前の心臓合併症(孤立AF、3%)がなく起こる場合があり、あるいは、うっ血性心不全、冠動脈疾患、高血圧症、糖尿病、若しくはアテローム性動脈硬化症などの基礎心疾患に関係する場合がある。
アミオダロン(図1A)及びドロネダロン(図1B)は、ベンゾフラン由来の複数の心臓イオンチャネル遮断薬及び食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)承認の抗不整脈薬である。アミオダロンを用いて45%のAF症例が治療されるが、それには甲状腺傷害性、肺炎症、間質性肺炎、及び肺線維症を含む重篤な有害作用がある。ドロネダロンは、アミオダロンに関係する甲状腺傷害性及び肺傷害性を回避するものの、臨床治験では、プラセボと比較してドロネダロンの死亡リスクが高いことが報告されており、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association:NYHA)クラスIVの心不全、最近の代償不全又は持続性AFを伴うNYHAクラスII~IIIの心不全の患者へのその使用に対しては枠組み警告文が出されている。カテーテルアブレーションによる外科的治療は代替の選択肢であるが、成功率が相対的に低く(最初の処置では28%)、費用がかかり、特定の国の患者にはアクセスできないものである。
ヒト心臓のシトクロムP450 2J2(Cytochrome P450 2J2:CYP2J2)は、アラキドン酸(arachidonic acid:AA)を、心臓の調律制御に関与しているエポキシエイコサトリエン酸(epoxyeicosatrienoic acid:EET)に代謝する。
本発明者らは、ドロネダロンなどの反応性代謝産物ベンゾフラン誘導体による心臓CYP2J2の強力な共有結合不活性化と、心筋細胞の拍動間変動(beat-to-beat variability:BBV)との間の重要な相関関係を内密に発見した。本発明者らの観察結果を、ヒト人工多能性幹細胞由来の心筋細胞(human induced pluripotent stem cells-derived cardiomyocytes:hiPSC-CM)において評価した。
この情報を用いて、本発明者らは、本明細書でポイエンダロン(poyendarone)と称する、ドロネダロンの新規な部位指定重水素化類似体を開発した。
重水素化プロセスは、水素(周回電子を有するプロトン)を重水素(周回電子を有するタンパク質及び中性子)と交換する、標的化合物に対する原子スケールの改変を含む。薬理学では、薬物化合物を代謝的に安定化させてその薬物動態を改善するために、重水素化が適用されることが多い。この研究では、重水素化を用いて、ドロネダロンの求電子性中間体の化学反応性を改変してCYP2J2の阻害を回避し、そして重大なオフターゲットの心臓有害作用を緩和することによってその安全性プロファイルを改善した。直感に反して、ドロネダロンの薬物動態は、ランダムな重水素化を回避することによって、ポイエンダロン中に保たれている。
有利には、標的化された重水素化の結果、分子、ポイエンダロンが生成され、ポイエンダロンは、その非重水素化類似体(すなわちドロネダロン)と同じ好ましい薬物動態及び抗心房細動作用を有するが、不整脈誘発のリスクを非常に望ましく低減する分子である。一貫して、この知見により、本発明者らはまた、ヒト細胞モデル、すなわちhiPSC-CMにおいて、ポイエンダロンが組換えCYP2J2酵素を不活性化せず、またCYP2J2も不活性化せず、すなわち、ドロネダロンとは異なり、hiPSC-CMにおいてBBVを生じないことを発見した。さらに、本発明者らは、インビボで試験した場合、ポイエンダロンは、ドロネダロンと同様の薬物動態及び心臓血行動態プロファイルを生じ、抗心房細動能を示すが、ドロネダロンと比較して心室性不整脈誘発は軽微であることを見出した。
要約すると、本発明者らは、ドロネダロンなどのFDA承認のベンゾフラン由来薬物の好ましい薬物動態及び抗不整脈薬理を有するが、有意な心室性不整脈誘発の毒性がない、典型的には心不整脈を治療するための新規小分子治療薬を開発した。さらに、ヒトに用いられる場合、ポイエンダロンは、アミオダロンと比較した場合、臓器傷害性が最小限であると予想され、したがって、少なくとも甲状腺及び肺を保護する。
本発明の第1の態様によれば、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩が提供される。
Figure 2022541739000001
式(I)
式中、
、R、及びRはそれぞれ重水素を表し、
nは2又は3を表し、
各Rは、独立して、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヒドロキシル基、ケトン基、及びアルデヒド基の1つ又は複数で置換されていてもよいC1-6ヒドロカルビル基を表し、
は水素又は
Figure 2022541739000002
を表し、
各Rは、独立して、水素又はハロゲンを表し、
ただし、重水素として規定されていない各原子は、その天然の同位体存在量で存在し、重水素として規定されている各位置は、少なくとも45%の重水素の取込みを有する。
本発明の化合物は、それらの非重水素化類似体(例えばドロネダロン)と同じ好ましい薬物動態及び抗心房細動作用を保持していることを示すだけでなく、心室性不整脈誘発の毒性がより低いことも示す。
本発明の化合物では、具体的に特定の同位体として規定されていない任意の原子が、その天然の同位体存在量で存在する。例えば、特に明記しない限り、位置が具体的に「H」又は「水素」と規定された場合、その位置は、その天然存在量の同位体組成で存在する水素を有すると理解される。また、特に明記しない限り、位置が特に「重水素」として規定された場合、その位置は、0.015%である重水素の天然存在量よりも少なくとも3000倍多い存在量(すなわち、少なくとも45%の重水素の取込みが必要である)で重水素(H)同位体を有すると理解される。
本発明の化合物では、3つの特定部位R、R、及びRのそれぞれに存在する重水素の量は、その天然の同位体存在量より高い。好ましくは、重水素として規定された各位置(すなわちR、R、及びR)は、少なくとも90%(すなわち重水素の天然存在量よりも少なくとも6000倍大きい)、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%の重水素の取込みを有する。
本明細書で用いられる場合、本発明の化合物内の重水素の存在量に関して表される全ての百分率は、モル百分率である。
重水素化は、非重水素化類似体内でプロトンを重水素と交換することによって、又は重水素化された出発物質を用いて化合物を合成することによって達成することができる。
本発明の化合物において、各Rは、独立して、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヒドロキシル基、ケトン基、又はアルデヒド基の1つ又は複数で置換されていてもよいC1-6ヒドロカルビル基を表す。本明細書で用いられる場合、「ヒドロカルビル」という表現は、炭素原子及び水素原子で構成された基を指す。これらには、脂肪族(すなわち、アルキル、アルケニル、又はアルキニル)基、並びにフェニルなどの芳香族基、又はこれらの組合せが含まれる。脂肪族基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、又は非芳香族環構造を形成してもよく、又は含んでもよい。容易に理解されるように、「C1-6ヒドロカルビル」などの用語は、任意のそのような官能基が合計1~6個の炭素原子を含むという追加的要件と同様の意味を有する。
本明細書で用いられる場合、ハロゲンという用語は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、又はヨード基を指す。
好ましい実施形態では、各Rは、独立して、非置換のC1-6ヒドロカルビル基、より好ましくは非置換のC2-4ヒドロカルビル基を表す。特に好ましい実施形態では、前記ヒドロカルビル基はアルキル基である。特に好ましい実施形態では、各RはCアルキル基であり、典型的にはn-ブチルである。
本発明の化合物において、Rは、水素又は
Figure 2022541739000003
を表してもよい。ただし、Rは、好ましくは
Figure 2022541739000004
である。同様に、各Rは、水素又はハロゲン基、典型的にはヨウ素を表してもよい。しかし、好ましい実施形態では、各Rは水素である。ハロゲン原子を(Rで)除外することで、肺及び甲状腺の傷害性がない化合物になり、そのようなメタンスルホンアミド基を(Rに)包含することで、化合物の脂溶性を改変し、組織蓄積及び全身毒性をより低くする。
本発明の化合物において、nは、好ましくは3である。
本発明の特に適切な化合物は式(II)による化合物であり、式中、R、R、及びRは上に定義される通りである。
Figure 2022541739000005
式(II)
上述のように、本発明の化合物は、心不整脈、特に心房細動の治療における使用に適している。さらに、非重水素化類似体とは対照的に、これらの化合物は、心室性不整脈誘発の毒性が軽微である。
したがって、本発明の第2の態様では、医薬に用いるための本発明の第1の態様による化合物が提供される。
また、心疾患の治療に用いるための本発明の第1の態様による化合物も提供される。好ましい実施形態では、心疾患は心不整脈であり、特に好ましい実施形態では心房細動である。
第3の態様では、本発明は、心疾患の治療方法を提供し、この方法は、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の本発明の第1の態様による化合物を投与することを含む。
場合によっては、治療される心疾患は心不整脈であり、好ましくは心房細動である。
本発明の化合物は、通常、医薬組成物で投与され、したがって、本発明のさらなる態様では、本発明の第1の態様の化合物及び医薬的に許容される賦形剤又は担体を含む医薬組成物が提供される。
組成物は、任意の適切な経路、例えば、経口、頬側、鼻腔、経皮、又は非経口、例えば静脈内又は筋肉内の経路によって投与されてもよい。好ましくは、組成物は経口投与用である。
経口投与発明品のための本発明の製剤は、それぞれが所定量の活性薬剤を含有するカプセル剤、サシェ剤、錠剤、トローチ剤、又はロゼンジ剤などの個別の単位として、粉末又は顆粒として、水性液体又は非水性液体の活性薬剤の溶液又は懸濁液として、又は水中油型液体エマルジョン若しくは油中水型液体エマルジョンとして、又はシロップ若しくはエリキシル剤として、又はボーラスなどとして提示されてもよい。
経口投与用の組成物(例えば、錠剤、カプセル剤、粘膜付着剤などを含む製剤)の場合、「許容される担体」という用語は、通常の賦形剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、及びデンプンなどの結合剤;例えばコーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、及びアルギン酸などの充填剤及び担体;ポロクサマー、ポリソルベート、ドクサートナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤/界面活性剤;デンプン又はデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤;並びに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、及び他の金属ステアリン酸塩、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸、シリコーン流体、タルクワックス、油、及びコロイド状シリカなどの潤滑剤などのビヒクルを含む。甘味剤、及びペパーミント、冬緑油、サクランボ香味料などの香味剤も用いることができる。剤形を容易に識別可能にするために、着色剤を添加することが望ましい場合がある。錠剤はまた、当技術分野で周知の方法によってコーティングされてもよい。
錠剤は、任意選択で1つ又は複数の補助成分と共に、圧縮又は成形によって作製されてもよい。圧縮錠剤は、任意選択で、バインダ、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤、又は分散剤と混合された粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性薬剤を、適切な機械において圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適切な機械において成形することによって作製されてもよい。錠剤は、任意選択でコーティング又は刻み目が付けられてもよく、活性薬剤の持続放出性又は徐放性を提供するように製剤化されてもよい。
いくつかの製剤は、粘膜付着剤、例えばヒアルロン酸ナトリウムなどのムコ多糖を含んでもよい。そのような組成物は、例えば、液体、液体シロップ、ソフトゲル、液体ゲル、流動性ゲル、又は水性懸濁液として製剤化されてもよく、活性薬剤及び粘膜付着剤に加えて、上記の1つ又は複数の追加的賦形剤も含有してもよい。液体製剤は、通常、溶媒又は懸濁剤、例えば水又は生理食塩水であってもよい液体担体も含有し、それらの粘度を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランも含有してもよい。
経口投与に適した他の製剤は、風味付けされた基材、通常スクロース及びアカシア又はトラガントの中に、活性薬剤を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアなどの不活性基材中に活性薬剤を含むパスティル;及び適切な液体担体中に活性薬剤を含む口腔洗浄薬を含む。
非経口製剤は、一般に滅菌されている。
本発明の第4の態様では、式(III)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩が提供される。
Figure 2022541739000006
式(III)
(式中、各Rは重水素を表す。)
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」という用語及びその変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」を意味し、他の部分、添加剤、成分、整数、又は工程を除外しない。本明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、文脈上特に必要としない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が用いられる場合、本明細書は、文脈上特に必要としない限り、複数並びに単数を企図するものとして理解されるべきである。
本明細書で引用されるいかなる特許又は特許出願も含む全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる参考文献も先行技術を構成することを認めるものではない。さらに、いかなる先行技術も、当技術分野における共通の一般知識の一部を構成することを認めるものではない。
本発明の各態様の好ましい特徴は、他の態様のいずれかに関連して記載した通りであってもよい。
本発明の他の特徴は、以下の実施例から明らかになるであろう。一般的に言えば、本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)に開示された特徴のいかなる新規なものにも、又はいかなる新規な組合せにも及ぶ。したがって、本発明の特定の態様、実施形態、又は実施例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、又は化学部分は、それらと非互換性でない限り、本明細書に記載されるいかなる他の態様、実施形態、又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。
さらに、特に明記しない限り、本明細書に開示されるいかなる特徴も、同じ又は同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられてもよい。
ここから、下記の実施例及び以下の図面を参照するのみである例によって、本発明を記載する。
ベンゾフラン由来でFDA承認の抗不整脈薬、(A)アミオダロン及び(B)ドロネダロンの化学構造を示す。ドロネダロンにはヨウ素原子がないが、メタンスルホンアミド基を有する。加えて、ドロネダロンはN-ジブチルアミン部分を含むのに対して、アミオダロンはN-ジエチルアミン部分を含む。さらに、ドロネダロンは、N-ジブチルアミン部分とフェニル基との間にプロポキシ(-O-CH-CH-CH-)リンカーを含むのに対して、アミオダロンは、N-ジエチルアミン部分とフェニル基との間にエトキシ(-O-CH-CH-)リンカーを含む。 シトクロムP450(cytochrome P450:CYP450)媒介AA代謝経路を示す。AAは、CYP2J2によって位置異性体の複数のEETに代謝される。EETは、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(soluble epoxide hydrolase:sEH)によって、ジヒドロキシエイコサトリエン酸(dihydroxyeicosatrienoic acid:DHET)にさらに代謝される。 CYP2J2によるドロネダロンからキノンオキシム反応性代謝産物への代謝を示す。反応性代謝産物の求電子部位をアスタリスクで示す(4位及び6位)。 重水素化ベンゾフラン誘導体、ポイエンダロンの化学構造を示す。「D」は、重水素同位体の存在を表す。 重水素化ベンゾフラン誘導体、ポイエンダロンの塩酸塩(「ポイエンダロンHCl」)の合成を示す。「D」は、重水素同位体の存在を表す。試薬及び条件:(a)濃HSO、48%HBr、35%HCHO、75℃、6時間。D1収率:76.5%;(b)トルエン、PPh、還流、1時間。D2収率:99.0%;(c)CHCl、ピリジン、バレロイルクロリド、還流2時間;トルエン、トリエチルアミン、還流、3時間。D3収率:73.5%;(d)ジクロロメタン、CCOCl(p-OCH)、SnCl、室温、24時間。D4収率:93.5%;(e)ジクロロメタン、AlCl、還流、24時間。D5収率:98.0%;(f)アセトン、無水KCO、1-クロロ-3-ジ-n-ブチルアミノプロパン、還流、一晩。D6収率:77.0%;(g)Fe、EtOH、HO、濃HCl、65℃、3時間。D7収率:80.3%;(h)ジクロロメタン、ピリジン、CHSOCl、35℃、3時間;(i)メタノール、塩酸、0℃、3時間。D8収率:79.0%。 CYP2J2遺伝子発現に対する各CYP2J2 siRNA処理条件の効果についての代表的なプロットを示す。siRNAトランスフェクションの96時間後、それらのカルシウムトランジェントをビデオで捕えた後に、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(quantitative polymerase chain reaction:qPCR)を行った。全てのsiRNA処理にわたって、CYP2J2の40~80%のノックダウンがみられる(***:p<0.001、N=3)。 心筋細胞の個々のクラスタが受けた標準偏差での測定拍動間変動に対する各CYP2J2 siRNA処理条件の効果を、生物学的反復全体で示す。各点は、30秒ウィンドウの間に測定された心筋細胞の個々のクラスタの拍動間変動を表す。平均及び95%信頼区間をプロットする。測定された個々のクラスタの数は、対照:60、siRNA1:48、siRNA2:66、siRNA3:72、siRNA4:86、プール:81である。シャピロ-ウィルク正規性検定(**:p<0.01、***:p<0.001、****:p<0.0001)を用いて決定されたデータの分布が正規性ではないため、ノンパラメトリックのマン・ホイットニーU検定を用いて有意性を評価した。 各処理条件の心筋細胞の個々のクラスタの代表的なラスタープロットを示す。各線は、30秒以内の時間軸に沿った収縮発生を表す。収縮の規則性は、これらのグラフで視覚的に確認でき、収縮発生間の標準偏差を用いて定量化することができる。 心筋細胞の個々のクラスタが受けた標準偏差での測定拍動間変動に対するCYP2J2 siRNA処理の効果を、生物学的反復全体で示す。各点は、30秒ウィンドウの間に測定された心筋細胞の個々のクラスタの拍動間変動を表す。平均及び95%信頼区間をプロットする。測定された個々のクラスタの数は、対照:60、siRNA(4つ全ての個々の処理条件及びプール条件を含む):353である。シャピロ-ウィルク正規性検定(****:p<0.0001)を用いて決定されたデータの分布が正規性ではないため、ノンパラメトリックのマン・ホイットニーU検定を用いて有意性を評価した。 プローブ基質としてアステミゾールを用いたCYP2J2の時間依存的、濃度依存的、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate:NADPH)依存的な不活性化を示す。図は、阻害剤の非存在下(薬物0μM)又はNADPHの非存在下(NADPHなし)では、CYP2J2が不活性化されないことを示す。しかし、阻害剤及びNADPHの存在下では、CYP2J2活性の濃度依存的な減少がみられる。CYP2J2活性百分率の対数を、(A)ドロネダロン及び(B)ポイエンダロンの存在下でのプレインキュベーション時間に対してプロットした。観察された不活性化速度(kobs)の逆数を阻害剤濃度の逆数に対してプロットして、キッツーウィルソン(Kitz-Wilson)プロットを形成し、kinact/KIを計算した。kinact/KI比が高いほど、CYP2J2の機序的不活性化(mechanism-based inactivation:MBI)の能力が大きい。各点は3回の実験の平均値及びS.Dを表す。 プローブ基質としてリバーロキサバンを用いた、(A)ドロネダロン及び(C)ポイエンダロンによるCYP2J2の時間依存的及び濃度依存的な不活性化を示す。非線形回帰を用い、(B)ドロネダロン及び(D)ポイエンダロンについて、観察された不活性化速度(kobs)を用いて不活性化反応速度定数K及びkinactを計算した。 プローブ基質としてリバーロキサバンを用いた、(A)表3の化合物2及び(C)表3の化合物3によるCYP2J2の時間依存的及び濃度依存的な不活性化を示す。非線形回帰を用い、(B)化合物2及び(D)化合物3について、観察された不活性化速度(kobs)を用いて不活性化反応速度定数K及びkinactを計算した。 (A)CYP2J2及びsEHmRNAの相対的発現を示す。全RNAを対照hiPSC-CMから単離し、Superscript II第一鎖合成系を用いてcDNAに転写した。SYBR Green色素を用いたQuantifast PCRマスターミックスを用いて、5ngの相補的DNA(cDNA)を増幅した。試料を、3%アガロースゲル電気泳動で泳動した。HiPSC-CMは、分化の14日後及び30日後に、CYP2J2及びsEHの両方を発現する。(B)HiPSC-CMを、アステミゾール及び阻害剤で24時間共処理し、アステミゾールの代謝産物、O-デスメチルアステミゾール(O-desmethylastemizole)を、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法(liquid chromatography-tandem mass spectrometry:LC/MS/MS)を用いて測定した。CYP2J2活性の百分率を計算し、阻害剤と対照との間で比較した。***p<0.001、*p<0.05 (A)ドロネダロンは心筋細胞に対して細胞傷害性である(死細胞プロテアーゼ活性の増加、細胞内のアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)の低減、テトラメチルローダミンメチルエステル過塩素酸(tetramethylrhodamine methyl ester perchlorate:TMRM)蛍光の低減)が、濃縮された14、15-EETで濃度依存的に傷害性が救われることを示す。(B)ポイエンダロンは、心筋細胞に対して有意に傷害性が低い(ATP減少のIC50が13分の1に低減、かつ細胞傷害性においてEC50が23分の1に低減、ドロネダロンのIC50及びEC50は、それぞれ3.1μM及び1.2μMである)。 活動電位と細胞外フィールド電位との間の違いの概略図である。(A)活動電位は、ホールセル・パッチクランプを用いて、単一細胞において従来法で測定し、単一イオンチャネル(例えば、ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(human ether-a-go-go-related gene:hERG)チャネル)の作用を記録することができる。(B)フィールド電位は、複数の電極(例えば、窒化チタン、直径30μm)を用いて細胞の群(例えば胚様体)で測定され、全てのイオンチャネル(例えば、hERG及びL型カルシウムチャネル)及びイオン交換体(例えば、Na+/Ca2+交換輸送体(Na+/Ca2+exchanger:NCX)に対する累積作用を同時に測定することができる。(C)HiPSC-CMをドロネダロン、アミオダロン、及びポイエンダロン(すなわち重水素化ドロネダロン)で5分間処理し、細胞外フィールド記録をベースラインで180~300ミリ秒間行った。Cardio2Dソフトウェア(Multichannel systems、ドイツ、ロイトリンゲン)を用いて局所活性化マップを生成した。フィールド電位持続時間(field potential duration:FPD)を、バゼット(Bazzet)補正式で収縮領域の拍動数に対して正規化し、薬物濃度に対してプロットした。ドロネダロン、アミオダロン、及びポイエンダロンに対するhiPSC-CMのFPDの用量依存的増加。破線の囲みは、以前に公表されたドロネダロン及びアミオダロンの有効な治療上の非結合血漿濃度(effective therapeutic unbound plasma concentration:ETUPC)を表す。比較のために、本発明者らは、ポイエンダロンのETUPCがドロネダロンと同様であると仮定した。 アミオダロンによるNa1.5ピーク電流の阻害を示す。A.-120mVの保持電位から-20mVで記録されたNa1.5チャネル電流。下:ジメチルスルホキシド(dimethylsufoxide:DMSO)の存在下で記録された例示的なトレース、開始(黒)又は11分後(赤)。スケールバー:Y=1000pA、X=10ms。B.DMSOの存在下(黒)、及びアミオダロン10μM灌流の11分後の、AのようにフォーマットしたNa1.5チャネル電流の例示的なトレース。C.それぞれの条件についての残存Na1.5ピーク電流%の平均ダイアリ(diary)プロット。安定したベースラインピーク電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。D.Na1.5電流に対するアミオダロン阻害についての用量応答曲線。 ドロネダロンによるNa1.5ピーク電流の阻害を示す。A.-120mVの保持電位から-20mVで記録されたNa1.5チャネル電流。下:DMSOの存在下で記録された例示的なトレース、開始(黒)又は11分後(赤)。スケールバー:Y=1000pA、X=10ms。B.DMSOの存在下(黒)、及びドロネダロン5μM灌流の11分後の、AのようにフォーマットしたNa1.5チャネル電流の例示的なトレース。C.それぞれの条件についての残存Na1.5ピーク電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインピーク電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。D.Na1.5電流に対するドロネダロン阻害についての用量応答曲線。 ポイエンダロンによるNa1.5ピーク電流の阻害を示す。A.-120mVの保持電位から-20mVで記録されたNa1.5チャネル電流。下:DMSOの存在下で記録された例示的なトレース、開始(黒)又は11分後(赤)。スケールバー:Y=1000pA、X=10ms。B.DMSOの存在下(黒)、及びポイエンダロン6μM灌流の11分後の、AのようにフォーマットしたNa1.5チャネル電流の例示的なトレース。C.それぞれの条件についての残存Na1.5ピーク電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインピーク電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。D.Na1.5電流に対するポイエンダロン阻害についての用量応答曲線。 アミオダロンによるCa1.2ピーク電流の阻害を示す。A.-80mVの保持電位から0mVで記録されたCa1.2チャネル電流。下:DMSOの存在下で記録された例示的なトレース、開始(黒)又は10分後(赤)。スケールバー:Y=100pA、X=100ms。B.DMSOの存在下(黒)、及びアミオダロン5μM灌流後の、AのようにフォーマットしたCa1.2チャネル電流の例示的なトレース。C.それぞれの条件についての残存Ca1.2ピーク電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインピーク電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。D.Ca1.2電流に対するアミオダロン阻害についての用量応答曲線。 ドロネダロンによるCa1.2ピーク電流の阻害を示す。A.-80mVの保持電位から0mVで記録されたCa1.2チャネル電流。下:DMSOの存在下で記録された例示的なトレース、開始(黒)又は10分後(赤)。スケールバー:Y=100pA、X=100ms。B.DMSOの存在下(黒)、及びドロネダロン2μM灌流後の、AのようにフォーマットしたCa1.2チャネル電流の例示的なトレース。C.それぞれの条件についての残存Ca1.2ピーク電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインピーク電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。D.Ca1.2電流に対するドロネダロン阻害についての用量応答曲線。 ポイエンダロンによるCa1.2ピーク電流の阻害を示す。A.-80mVの保持電位から0mVで記録されたCa1.2チャネル電流。下:DMSOの存在下で記録された例示的なトレース、開始(黒)又は10分後(赤)。スケールバー:Y=100pA、X=100ms。B.DMSOの存在下(黒)、及びポイエンダロン0.5μM灌流後の、AのようにフォーマットしたCa1.2チャネル電流の例示的なトレース。C.それぞれの条件についての残存Ca1.2ピーク電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインピーク電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。D.Ca1.2電流に対するポイエンダロン阻害についての用量応答曲線。 アミオダロンによるK11.1テール電流の阻害を示す。A.K11.1電流を-80mVの保持電位から20mVの2.5秒パルスまで誘起した。その後、電圧を-60mVに戻してテール電流を記録した。下:DMSO(黒)又はアミオダロン0.2μM(赤)の存在下で記録された例示的なトレース。スケールバー:Y=200pA、X=500ms。B.それぞれの条件についての残存K11.1テール電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインのピークテール電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。C.K11.1電流に対するアミオダロン阻害についての用量応答曲線。 ドロネダロンによるK11.1テール電流の阻害を示す。A.K11.1電流を-80mVの保持電位から20mVの2.5秒パルスまで誘起した。その後、電圧を-60mVに戻してテール電流を記録した。下:DMSO(黒)又はドロネダロン0.2μM(赤)の存在下で記録された例示的なトレース。スケールバー:Y=200pA、X=500ms。B.それぞれの条件についての残存K11.1テール電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインのピークテール電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。C.K11.1電流に対するドロネダロン阻害についての用量応答曲線。 ポイエンダロンによるK11.1テール電流の阻害を示す。A.K11.1電流を-80mVの保持電位から20mVの2.5秒パルスまで誘起した。その後、電圧を-60mVに戻してテール電流を記録した。下:DMSO(黒)又は0.2μMのポイエンダロン(赤)の存在下で記録された例示的なトレース。スケールバー:Y=200pA、X=500ms。B.それぞれの条件についての残存K11.1テール電流%の平均ダイアリプロット。安定したベースラインのピークテール電流に対して電流を正規化した後に、平均をとった。C.K11.1電流に対するポイエンダロン阻害についての用量応答曲線。 対照、10nMのドロネダロン、10nMのアミオダロン、及び10nMのポイエンダロンについてのポアンカレプロットの代表的な図を示す。各点は、前後の拍動の間の拍動間の間隔(inter-beat interval:IBI)を指す。挿入図:R-R間隔又は拍動間の間隔IBIを示す心電図(electrocardiogram:ECG)。ポイエンダロンに関係する拍動間変動(BBV)がないことを示すために、ドロネダロン及びポイエンダロンのポアンカレプロットのスケールを比較している。 (A)0.3mg/kg及び3.0mg/kgの2つの用量のポイエンダロンで行われたインビボのイヌ実験の簡単な概略図を示す。ポイエンダロンについて、検証済みのLC/MS/MS法を用いて血漿試料を分析した。(B)ポイエンダロンは、ドロネダロンと同様の2コンパートメントモデルを示し、血漿クリアランス(clearance:CL)及び分布容積(V)の両方の値は、それら2つの化合物間で同等である。このことは、ポイエンダロンの主要な脱ブチル化は概念的に重水素化の影響を受けないという本発明者らの推論と一致する。 (A、B)CYP3A4、(C、D)CYP3A5、及び(E、F)ヒト肝臓ミクロソーム(human liver microsome:HLM)によるドロネダロン及びポイエンダロンのインビトロ代謝をそれぞれ示す。 以下の投与について臨床データに対して検証された、それぞれドロネダロン(左の列)及びポイエンダロン(右の列の赤色点線)のシミュレートした薬物動態プロファイルを示す。投与は、(A、B)静脈内投与、(C、D)単回経口投与(絶食)、(E、F)単回経口投与(摂食)、(G、H)複数回経口投与(絶食)、(I、J)複数回経口投与(摂食)である。黒色の線は経時的な予測ドロネダロン濃度を示し、一方、灰色の線は95パーセンタイル及び5パーセンタイルの濃度-時間プロファイルを表す。赤色の三角は臨床データを表す。赤色の点線は、ドロネダロンの場合と同じ臨床治験パラメータを用い、シミュレートしたポイエンダロンの濃度-時間プロファイルを表す。全ての研究は、ドロネダロンのFDAレビューパッケージから得た。 LIN2890臨床治験データ[27]、(A)MBIなし、及び(C)MBIありでの、ドロネダロン生理学的薬物動態(physiologically-based pharmacokinetics:PBPK)モデルについての複数回経口投与の検証を示す。グラフの拡大部分がそれぞれ(B)及び(D)に提示されており、読みやすさのために軸タイトルを除いている。赤色の三角は臨床濃度を示す。 洞房拍動数(sinoatrial rate:SAR)及び平均血圧(mean blood pressure:MBP)の変化の時間推移を示す。データを、平均±平均値の標準誤差(standard error of the mean:S.E.M.)(n=4)として提示する。 400ms(IACT(CL400))、300ms(IACT(CL300))、及び200ms(IACT(CL200))の心房ペーシング周期長での心房間伝導時間(inter-atrial conduction time:IACT、上)と、400ms(AERP(CL400))、300ms(AERP(CL300))、及び200ms(AERP(CL200))の基本心房ペーシング周期長での心房有効不応期(atrial effective refractory period:AERP、中央)と、400ms(VERP(CL400))の基本心室ペーシング周期長での心室有効不応期(ventricular effective refractory period:VERP、下)とにおける変化の時間推移を示す。データを、平均±S.E.M.(n=4)として提示する。黒塗りの記号は、p<0.05による各対照値(control value:C)との統計学的に有意な差を表す。 薬物投与前の基本対照(対照、上)、及び3mg/kgのポイエンダロン塩酸塩の投与の20分後(3mg/kgのポイエンダロン塩酸塩の20分後、下)の、バーストペーシングの間及び後の右心房(right atrium:RA)及び左心房(left atrium:LA)の電位図、心電図(ECG)、及び動脈圧(arterial blood pressure:BP)の典型的なトレーシングを示す。なお、心房細動の持続時間は、ポイエンダロン塩酸塩の投与後に、6.9秒から1.8秒に短縮された。 心房細動の持続時間(Af-持続時間)及び周期長(Af-cycle length:CL)の変化の時間推移を示す。データを、平均±S.E.M.(n=4)として提示する。黒塗りの記号は、p<0.05による各対照値(C)との統計学的に有意な差を表す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製した2-(ブロモメチル)-4-ニトロフェノール(3,5,6-d)(D1)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製した2-((ブロモトリフェニルホスホラニル)メチル)-4-ニトロフェノール(3,5,6-d)(D2)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製した2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン(D3)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製した(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン(D4)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製した(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-ヒドロキシフェニル)メタノン(D5)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製した(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)-フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル)メタノン(D6)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製した(5-アミノ-2-ブチル-1-ベンゾ(4,6,7-d)-フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル)メタノン(D7)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製したメタンスルホンアミド,N-(2-ブチル-3-(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)ベンゾイル)-1-ベンゾ(4,6,7-d)-フラン-5-イル)塩酸塩(D8)のH NMRスペクトルを示す。 図5に概略的に示す合成スキームに従って調製したメタンスルホンアミド,N-(2-ブチル-3-(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)ベンゾイル)-1-ベンゾ(4,6,7-d)-フラン-5-イル)塩酸塩(D8)の13C NMRスペクトルを示す。 重水素化ドロネダロン誘導体「化合物3」の合成を示す。「D」は、重水素同位体の存在を表す。試薬及び条件:(a)濃HSO、48%HBr、35%HCHO、75℃、6時間、DD1:76.0%。(b)トルエン、PPh、還流、1時間、DD2:98.0%。(c)CHCl、ピリジン、バレロイルクロリド、還流2時間;トルエン、トリエチルアミン、還流、3時間、DD3:75.0%。(d)ジクロロメタン、CCOCl(p-OCH)、SnCl、室温、24時間、DD4:95.0%。(e)ジクロロメタン、AlCl、還流、24時間、DD5:98.0%。(f)アセトン、無水KCO、1-クロロ-3-ジ-n-ブチルアミノプロパン、還流、一晩、DD6:79.0%。(g)Fe、EtOH、HO、濃HCl、65℃、3時間、DD7:82.0%。(h)ジクロロメタン、ピリジン、CHSOCl、35℃、3時間。(i)メタノール、塩酸、0℃、3時間、DD-8:80.0%。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製した2-(ブロモメチル)-4-ニトロフェノール(2,3,5,6-d)(DD1)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製した2-((ブロモトリフェニルホスホラニル)メチル)-4-ニトロフェノール(2,3,5,6-d)(DD2)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製した2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン(DD3)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製した(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-メトキシフェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD4)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製した((2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-ヒドロキシフェニル(2,3,5,6-d4))メタノン(DD5)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製した(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD6)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示される合成スキームに従って調製した(5-アミノ-2-ブチル-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD7)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製したメタンスルホンアミド,N-(2-ブチル-3-(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)ベンゾイル(2,3,5,6-d))-1-ベンゾフラン-5-イル)(DD8)のH NMRスペクトルを示す。 図43に概略的に示す合成スキームに従って調製したメタンスルホンアミド,N-(2-ブチル-3-(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)ベンゾイル(2,3,5,6-d))-1-ベンゾフラン-5-イル)(DD8)の13C NMRスペクトルを示す。
表1.siRNA標的配列及びqPCRプライマーのリスト。
表2.O-デスメチルアステミゾール及びブスピロンの化合物依存的質量分析(mass spectrometry:MS)パラメータ。
表3.リバーロキサバンのCYP2J2媒介代謝のMBI。
表4.ヒトのCYP2J2、EPHX2、及びGAPDHの遺伝子のためのプライマーの順方向配列及び逆方向配列。
表5.イヌ血漿中のドロネダロン、ポイエンダロン、及びN-デスエチルアミオダロン(N-desethylamiodarone:NDEA)(内部標準(internal standard:IS))の定量のための、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)の最適化条件。(A):源依存性パラメータ、(B):化合物依存性パラメータ。Q1:親イオンの質量、Q3:娘イオンの質量、DP:デクラスタリング電位、EP:入口電位、CE:衝突エネルギー、CXP:セル出口電位。
表6.基質枯渇並びに時間依存的及び濃度依存的な不活性化の結果。
表7.PBPKモデリングに用いたパラメータ。
表8.計算されたLog P(cLogP、ChemSketchを用いて計算)、水溶解度(マルチスクリーンHTS PCFフィルタープレート34を用いて汎用の緩衝液(pH7.4)中で測定)、有効透過率(並行人工膜透過率アッセイを用いて測定)、及びポイエンダロンとドロネダロンとを対比したインビトロ代謝半減期(T1/2、組換えCYP2J2とNADPHと1μM薬物とを用いて測定)。
表9.心房有効不応期(ΔAERP)及び心室有効不応期(ΔVERP)に対する抗不整脈薬の作用の比較。心房選択性は、ΔAERP対ΔVERPの比(ΔAERP/ΔVERP)に基づいて測定され、ポイエンダロン=ドロネダロン>アミオダロン>ベプリジル>dl-ソタロールである。
表10.終末再分極期(terminal repolarization period:ΔTRP)、早期再分極期(ΔJ-Tpeakc)、及び後期再分極期(ΔTpeak-Tend)に対する抗不整脈薬の作用の比較。ΔTRPは、リエントリー性心室性不整脈のリスクを示し、ドロネダロン>ベプリジル>dl-ソタロール>アミオダロン>ポイエンダロンである。
材料及び方法
全ての試薬及び溶媒は、特に示さない限り、汎用性又は分析用のものであり、Merck(以前はSigma-Aldrich)から購入した。シリカゲルプレート(プレコート60F254Merckプレート)上の薄層クロマトグラフィー(thin-layer chromatography:TLC)によって、反応を常にモニターした。カラムクロマトグラフィーを、シリカゲル60(Merck、70~230メッシュ)を用いて行った。ABSciex 2000、LC/MS/MS質量分析計(イオン化源:エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization:ESI)プローブ)での質量対電荷m/zを決定するために、化合物を高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography:HPLC)用のメタノールに溶解した。H NMRスペクトルを、Bruker DPX ultrashield NMR(400MHz)分光計で、重水素化クロロホルム(CDCl)重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)及び重水素化メタノール(MeOH-d)の溶液中で決定し、化学シフトは内部標準としてのテトラメチルシラン(tetramethylsilane:TMS)に対する百万分率(δ)ダウンフィールドで表し、J値(カップリング定数)をヘルツで表した。以下の略語を用いた。s:一重線、d:二重線、t:三重線、m:多重線。
ポイエンダロンの塩酸塩(「ポイエンダロンHCl」)の合成の詳細を以下に提供する。
図5に概略的に示すようなポイエンダロンHClの合成のための実験の詳細
2-(ブロモメチル)-4-ニトロフェノール(3,5,6-d)(D1)の合成。4-ニトロ(2,3,5,6-d)フェノール(1.25g、0.00873M)及び48%HBr溶液(15.8ml)の混合物に、濃硫酸(0.121ml)を室温で添加し、続いて35%ホルマリン溶液(0.760g、0.0244M、2.8当量)を添加した。反応混合物を撹拌しながら75℃で6時間加熱した。続いて、反応混合物を氷水混合物にゆっくり注ぎ、1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、冷水で洗浄した後、真空下で乾燥させてベージュ色の固体を得た。トルエン(50ml)をその固体に添加し、撹拌しながら混合物を85℃で1時間加熱した。その混合物を5℃に冷却し、同じ温度で1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、トルエンで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させて白色固体を生成物として得た。収率:76.5%、H NMR(400MHz,DMSO-d):δ4.70(s,2H),11.61(s,1H)。合成した生成物のH NMRスペクトルを図34に示す。
2-((ブロモトリフェニルホスホラニル)メチル)-4-ニトロフェノール(3,5,6-d)(D2)の合成。1.5g(0.00638M)の2-(ブロモメチル)-4-ニトロフェノール(3,5,6-d)(D1)をトルエン(10ml)に溶かした溶液に、1.67gのトリフェニルホスフィン(0.00638M)を添加し、混合物を1時間還流した。反応の完了後、混合物を冷却し、得られた沈殿物を濾過した。濾液を蒸発乾固させ、トルエン(10ml)と共に30分間撹拌し、濾過して固体を得た。両方の固体を合わせ、真空下で乾燥させて白色固体を得た。収率:99.0%、H NMR(400MHz,CDCl):δ4.76-4.80(d,J=14.0Hz,2H),7.57-7.66(m,12H),7.78-7.82(m,3H)。合成した生成物のH NMRスペクトルを図35に示す。
2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン(D3)の合成。1.65g(0.00332M)の2-((ブロモトリフェニルホスホラニル)メチル)-4-ニトロフェノール(3,5,6-d)(D2)を10mlのCHClに溶かした溶液に、0.522g(0.0066M、2当量)のピリジンを添加した。次いで、その混合物に、室温で撹拌しながら、0.500g(0.00405M、1.25当量)のバレロイルクロリドをゆっくり添加した。混合物を2時間還流し、次いで25mlのトルエンを添加し、溶媒の約半分を減圧下で蒸発させた。次いで、1.0g(0.00996M、3当量)のトリエチルアミンを添加し、さらに3時間還流した。得られた反応混合物を冷却し、形成されたトリフェニルホスフィンオキシドを濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。形成された粘性残渣を、石油エーテル:EtOAc(95:5)を用い、カラムクロマトグラフィーにより精製して無色の残渣を得た。収率:73.5%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.85-0.89(t,J=7.20Hz,3H),1.28-1.38(m,2H),1.70-1.78(m,2H),2.87-2.91(t,J=7.60Hz,2H),7.53-7.55(d,J=8.80Hz,1H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図36に示す。
(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン(D4)の合成。2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン(D3)(1.4g、0.00629M)を15mlジクロロメタン(7ml)に溶かした溶液に、4-メトキシベンゾイルクロリド(1.61g、0.00945M、1.5当量)及び塩化スズ(IV)(4.1g、0.0157M、2.5当量)を0~5℃で1時間にわたってゆっくり添加し、撹拌を室温で24時間続けた。反応混合物を0~5℃で冷却した後、水(10ml)をゆっくり添加し、混合物を約30分間撹拌した。水層を分離し、ジクロロメタン(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層を減圧下で蒸発させた。得られた粗化合物を、石油エーテル:EtOAc(85:15)を用い、カラムクロマトグラフィーにより精製して白色固体を生成物として得た。収率:93.5%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.86-0.89(t,J=7.40Hz,3H),1.29-1.38(m,2H),1.71-1.78(m,2H),2.88-2.92(t,J=7.60Hz,2H),3.90(s,3H),6.96-6.99(d,J=8.80Hz,2H),7.80-7.83(d,J=8.80Hz,2H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図37に示す。
(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-ヒドロキシフェニル)メタノン(D5)の合成。1.02g(0.00286M)の(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン(D4)をジクロロメタン(50ml)に溶かした溶液に、AlCl3(2.29g、0.0172M、6当量)を0~5℃で撹拌しながら1時間にわたってゆっくり添加した。混合物を24時間還流し、室温に、次いで0~5℃に冷却した。水(10ml)をゆっくり添加し、混合物を約30分間撹拌した。有機層を分離し、真空下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル:EtOAc(90:10)を用い、カラムクロマトグラフィーにより精製して黄色がかった油状物を得た。収率:98.0%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.87-0.90(t,J=7.20Hz,3H),1.30-1.39(m,2H),1.72-1.80(m,2H),2.90-2.94(t,J=7.60Hz,2H),6.94-6.96(d,J=8.80Hz,2H),7.77-7.80(d,J=8.80Hz,2H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図38に示す。
(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)-フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル)メタノン(D6)の合成。0.800g(0.0023M)の(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-ヒドロキシフェニル)メタノン(D5)を20mlのアセトンに溶かした溶液に、3.23g(0.0023M、1当量)の無水KCO及び4.79g(0.0023M、1当量)の1-クロロ-3-ジ-n-ブチルアミノプロパンを室温で添加した。反応混合物を60℃で一晩還流した。反応混合物を冷却し、減圧下で蒸発させた。得られた固体に水(20ml)を添加し、5分間撹拌し、ジクロロメタン(3×20ml)で抽出した。有機層を減圧下で蒸発させて粗残渣を得、これを石油エーテル:EtOAc(70:30)を用い、カラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、黄色がかった油状残渣を得た。収率:77.0%、1H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 0.80-0.84(m,9H),1.22-1.27(m,6H),1.30-1.37(m,4H),1.64-1.72(m,2H),1.82-1.85(t,J=6.40Hz,2H),2.33-2.36(t,J=7.00Hz,4H),2.51-2.53(m,2H),2.82-2.86(t,J=7.60Hz,2H),4.12-4.15(t,J=6.00Hz,2H),7.08-7.10(d,J=8.80Hz,2H),7.81-7.83(d,J=8.80Hz,2H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図39に示す。
(5-アミノ-2-ブチル-1-ベンゾ(4,6,7-d)-フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル)メタノン(D7)の合成。0.114g(0.00022M)の(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d3)フラン-3-イル)(4(3(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル)メタノン(D6)、0.106g(0.00133M、6当量)の鉄粉、0.5mlのエタノール、及び0.25mlの水の混合物を、室温で10分間撹拌した。反応混合物を15℃に冷却し、0.5mlの濃HClを添加した。反応混合物を65℃で3時間撹拌し、冷却し、氷水混合物に注ぎ、30分間撹拌した。水層をジクロロメタン(3×5ml)で抽出した。アンモニア水溶液を用いて、有機層のpHを8~9に調整した。有機層と水層の両方を分離した。水層をジクロロメタン(3×5ml)で抽出し、両方の有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、減圧下で除去して無色の油状物を得た。収率80.3%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.87-0.91(m,9H),1.25-1.37(m,6H),1.42-1.49(m,4H),1.71-1.79(m,2H),1.99-2.02(m,2H),2.47-2.50(m,4H),2.65-2.69(m,2H),2.89-2.93(t,J=7.60Hz,2H),4.11-4.14(t,J=6.20Hz,2H),6.96-6.98(d,J=8.80Hz,2H),7.80-7.82(d,J=8.80Hz,2H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図40に示す。
メタンスルホンアミド,N-(2-ブチル-3-(4-(3-(ジブチルアミノ)
プロポキシ)ベンゾイル)-1-ベンゾ(4,6,7-d)-フラン-5-イル)塩酸塩(D8)の合成。0.100g(0.000207M)の(5-アミノ-2-ブチル-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-(3(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル)メタノン(D7)を無水ジクロロメタン(3ml)に溶かした加温溶液に、0.0197g(0.000249M、1.2当量)のピリジン及び0.028g(0.000249M、1.2当量)のメタンスルホニルクロリドを、35℃で5分間にわたってゆっくり添加した。得られた混合物を同じ温度で3時間撹拌し、次いで室温に冷却した。次いで、この混合物を、2×5mlの水、2×5mlの5%NaHCO溶液、そして1×5mlの水で洗浄した。有機相を分離し、濃縮し、これを石油エーテル:EtOAc(10:90)を用い、カラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、褐色油状残渣を収率80%で得た。この残渣に5mlのメタノールを添加し、塩酸(0.100ml)を0.4mlのメタノールに溶かした溶液を20分間にわたって添加した。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、得られた固体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥させて、標記化合物を淡褐色固体として得た。C3141S[M+H]について計算したESI-MS(m/z)559.77。収率:79.0%、H NMR(400MHz,MeOH-d):δ 0.83-0.88(m,3H),0.89-0.93(t,J=7.20Hz,6H),1.27-1.33(m,6H),1.43-1.47(m,4H),1.69-1.77(m,2H),1.94-1.99(m,2H),2.45-2.49(m,4H),2.64-2.68(t,J=7.40Hz,2H),2.86-2.89(t,J=7.60Hz,2H),2.96(s,3H),4.12-4.16(t,J=6.00Hz,2H),7.03-7.06(d,J=8.8Hz,2H),7.78-7.87(d,J=9.2Hz,2H),13C NMR(400MHz,MeOH-d):13.7,19.5,20.7,23.2,24.7,26.7,28.7,31.1,38.8,51.2,54.0,66.3,115.6,117.9,128.9,129.7,132.3,132.7,133.3,135.5,152.7,163.9,165.5,167.5,192.5.合成した生成物のH NMR及び13C NMRのスペクトルを図41及び図42にそれぞれ示す。
図43に概略的に示す重水素化ドロネダロン誘導体「化合物3」の合成の実験の詳細
2-(ブロモメチル)-4-ニトロフェノール(2,3,5,6-d)(DD-1)の合成。4-ニトロフェノール(2,3,5,6-d)(1.25g、0.00873M)及び48%HBr溶液(15.8ml)の混合物に、濃硫酸(0.121ml)を室温で添加し、続いて35%ホルマリン溶液(0.760g、0.0244M、2.8当量)を添加した。反応混合物を撹拌しながら75℃で6時間加熱した。続いて、反応混合物を氷水混合物にゆっくり注ぎ、1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、冷水で洗浄した後、真空下で乾燥させてベージュ色の固体を得た。トルエン(50ml)をその固体に添加し、撹拌しながら混合物を85℃で1時間加熱した。その混合物を5℃に冷却し、同じ温度で1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、トルエンで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させて白色固体を生成物として得た。収率:76.0%、H NMR(400MHz,DMSO-d):δ11.64(s,1H)。合成した生成物のH NMRスペクトルを図44に示す。
2-((ブロモトリフェニルホスホラニル)メチル)-4-ニトロフェノール(2,3,5,6-d)(DD-2)の合成。1.5g(0.00638M)の2-(ブロモメチル)-4-ニトロフェノール(2,3,5,6-d)(DD-1)をトルエン(10ml)に溶かした溶液に、1.67gのトリフェニルホスフィン(0.00638M)を添加し、混合物を1時間還流した。反応の完了後、混合物を冷却し、得られた沈殿物を濾過した。濾液を蒸発乾固させ、トルエン(10ml)と共に30分間撹拌し、濾過して固体を得た。両方の固体を合わせ、真空下で乾燥させて白色固体を得た。収率:98.0%、H NMR(400MHz,CDCl):δ4.70-4.74(d,J=14.0Hz,2H)。合成した生成物のH NMRスペクトルを図45に示す。
2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン(DD-3)の合成。1.65g(0.00334M)の2-((ブロモトリフェニルホスホラニル)メチル)-4-ニトロフェノール2,3,5,6-d)(DD-2)を10mlのCHClに溶かした溶液に、0.522g(0.00663M、2当量)のピリジンを添加した。次いで、その混合物に、室温で撹拌しながら、0.500g(0.00417M、1.25当量)のバレロイルクロリドをゆっくり添加した。混合物を2時間還流し、次いで25mlのトルエンを添加し、溶媒の約半分を減圧下で蒸発させた。次いで、1.0g(0.01002M、3当量)のトリエチルアミンを添加し、さらに3時間還流した。得られた反応混合物を冷却し、形成されたトリフェニルホスフィンオキシドを濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を真空下で濃縮した。形成された粘性残渣を、石油エーテル:EtOAc(95:5)を用い、カラムクロマトグラフィーによって精製して無色の残渣を得た。収率:75.0%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.75-0.95(t,J=7.20Hz,3H),1.15-1.36(m,2H),1.45-1.67(m,2H),2.30-2.80(t,J=7.60Hz,2H),5.82(s,1H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図46に示す。
(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-メトキシフェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD-4)の合成。2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン(DD-3)(1.4g、0.00630M)を15mlジクロロメタン(7ml)に溶かした溶液に、4-メトキシベンゾイル(d)クロリド(1.61g、0.00958M、1.5当量)及び塩化スズ(IV)(4.1g、0.0157M、2.5当量)を0~5℃で1時間にわたってゆっくり添加し、撹拌を室温で24時間続けた。反応混合物を0~5℃で冷却した後、水(10ml)をゆっくり添加し、混合物を約30分間撹拌した。水層を分離し、ジクロロメタン(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層を減圧下で蒸発させた。得られた粗化合物を、石油エーテル:EtOAc(85:15)を用い、カラムクロマトグラフィーにより精製して白色固体を生成物として得た。収率95.0%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.86-0.89(t,J=7.40Hz,3H),1.29-1.38(m,2H),1.71-1.79(m,2H),2.88-2.92(t,J=7.60Hz,2H),3.90(s,3H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図47に示す。
(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-ヒドロキシフェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD-5)の合成。1.02g(0.000283M)の(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-メトキシフェニル(2,3,5,6-d)メタノン(DD-4)をジクロロメタン(50ml)に溶かした溶液に、AlCl(2.29g、0.0169M、6当量)を0~5℃で撹拌しながら1時間にわたってゆっくり添加した。混合物を24時間還流し、室温に、次いで0~5℃に冷却した。水(10ml)をゆっくり添加し、混合物を約30分間撹拌した。有機層を分離し、真空下で濃縮して残渣を得、これを石油エーテル:EtOAc(90:10)を用い、カラムクロマトグラフィーにより精製して黄色がかった油状物を得た。収率:98.0%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.87-0.90(t,J=7.20Hz,3H),1.30-1.39(m,2H),1.72-1.80(m,2H),2.90-2.94(t,J=7.60Hz,2H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図48に示す。
(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD-6)の合成。0.800g(0.00231M)の(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-ヒドロキシフェニル)(2,3,5,6-d))メタノン(DD-5)を20mlのアセトンに溶かした溶液に、3.23g(0.0023M、1当量)の無水KCO及び4.79g(0.00231M、1当量)の1-クロロ-3-ジ-n-ブチルアミノプロパンを、室温で添加した。反応混合物を60℃で一晩還流した。反応混合物を冷却し、減圧下で蒸発させた。得られた固体に水(20ml)を添加し、5分間撹拌し、ジクロロメタン(3×20ml)で抽出した。有機層を減圧下で蒸発させて粗残渣を得、これを石油エーテル:EtOAc(70:30)を用い、カラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、黄色がかった油状残渣を得た。収率::79.0%、H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 0.81-0.84(m,9H),1.22-1.27(m,6H),1.30-1.37(m,4H),1.64-1.70(m,2H),1.83-1.86(t,J=6.40Hz,2H),2.33-2.37(t,J=7.00Hz,4H),2.50-2.53(m,2H),2.82-2.86(t,J=7.60Hz,2H),4.12-4.16(t,J=6.00Hz,2H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図49に示す。
(5-アミノ-2-ブチル-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD-7)の合成。0.114g(0.00023M)の(2-ブチル-5-ニトロ-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD-6)、0.106g(0.00138M、6当量)の鉄粉、0.5mlのエタノール、及び0.25mlの水の混合物を、室温で10分間撹拌した。反応混合物を15℃に冷却し、0.5mlの濃HClを添加した。反応混合物を65℃で3時間撹拌し、冷却し、氷水混合物に注ぎ、30分間撹拌した。水層をジクロロメタン(3×5ml)で抽出した。アンモニア水溶液を用いて、有機層のpHを8~9に調整した。有機層と水層の両方を分離した。水層をジクロロメタン(3×5ml)で抽出し、両方の有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、減圧下で除去して無色の油状物を得た。収率:82.0%、H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.87-0.91(m,9H),1.26-1.37(m,6H),1.42-1.49(m,4H),1.71-1.79(m,2H),1.99-2.02(m,2H),2.47-2.51(m,4H),2.66-2.69(m,2H),2.89-2.93(t,J=7.60Hz,2H),4.11-4.14(t,J=6.20Hz,2H).合成した生成物のH NMRスペクトルを図50に示す。
メタンスルホンアミド,N-(2-ブチル-3-(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)ベンゾイル(2,3,5,6-d))-1-ベンゾフラン-5-イル)(DD-8)の合成。0.100g(0.000206M)の(5-アミノ-2-ブチル-1-ベンゾ(4,6,7-d)フラン-3-イル)(4-(3-(ジブチルアミノ)プロポキシ)フェニル(2,3,5,6-d))メタノン(DD-7)を無水ジクロロメタン(3ml)に溶かした加温溶液に、0.0197g(0.000247M、1.2当量)のピリジン及び0.028g(0.000247M、1.2当量)のメタンスルホニルクロリドを、35℃で5分間にわたってゆっくり添加した。得られた混合物を同じ温度で3時間撹拌し、次いで室温に冷却した。次いで、この混合物を、2×5mlの水、2×5mlの5%NaHCO溶液、そして1×5mlの水で洗浄した。有機相を分離し、濃縮し、これを石油エーテル:EtOAc(10:90)を用い、カラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、褐色油状残渣を収率80%で得た。この残渣に5mlのメタノールを添加し、塩酸(0.100ml)を0.4mlのメタノールに溶かした溶液を20分間にわたって添加した。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、得られた固体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥させて、標記化合物を淡褐色固体として得た。C3137S[M+H]について計算したESI-MS(m/z)563.8。収率:80.0%、H NMR(400MHz,MeOH-d):δ 0.84-0.88(m,3H),0.89-0.93(t,J=7.20Hz,6H),1.27-1.34(m,6H),1.42-1.49(m,4H),1.69-1.76(m,2H),1.92-1.99(m,2H),2.45-2.49(m,4H),2.64-2.68(t,J=7.40Hz,2H),2.85-2.88(t,J=7.60Hz,2H),2.91(s,3H),4.12-4.15(t,J=6.00Hz,2H).13C NMR(400MHz,MeOH-d):13.9,19.4,20.9,23.2,24.6,26.7,28.7,31.0,38.8,51.1,54.0,66.2,115.6,117.9,128.9,129.8,132.3,132.8,133.2,135.2,152.8,164.4,165.3,167.2,192.2.合成した生成物のH NMR及び13C NMRのスペクトルを図51及び図52にそれぞれ示す。
心拍間隔に対するCYP2J2発現のインビトロ評価
(A)細胞培養。ノックインされ、構成的に発現される遺伝的コード化カルシウム標識(Genetically Encoded Calcium Indicator:GECI)、GCaMP6sを有するヒトES細胞株(H7 ESC)を、StemMACS(商標)iPS-Brew XF(Miltenyi Biotec)においてマトリゲルでコーティングしたプレート上で維持し、コラゲナーゼIV(1mg/mL)酵素処理を用いて凝集塊で継代した。分化のために、Accutase(ナカライテスク)を用いてESCを単一細胞で継代し、以前に確立された小分子ベースのGiWi心筋細胞分化プロトコルに供した。7日目に、成熟のためにインスリン(B27+)(Miltenyi Biotec)を含むB27を補充したRPMI1640(HyClone)で培地を交換し、2日ごとにリフレッシュした。21日目に、培地中のグルコースレベルを28日目までに0%までゆっくりと低減させて、β酸化に依存する、より成熟した心筋細胞の代謝選択を促進した。心筋細胞(H7 CM)を28日目にsiRNAトランスフェクションに用いた。
(B)CYP2J2のsiRNAノックダウン。自己送達修飾された4つのAccell(商標)-siRNAのセット(表1)及び送達培地(カタログ番号B-005000)をDharmacon(商標)から得た。供給業者のプロトコルに従って、接着細胞にトランスフェクションを実施した。簡潔には、28日目のH7 CMの個々のウェルを、Accell siRNA送達培地において、1μMの個々のsiRNA又は0.25μMの4つ全てのsiRNA(プール条件)で72時間処理した。送達培地を低グルコースB27+培地と24時間で交換した後、qPCR解析のために、ビデオ解析及びRNA採取を行った。
(C)RNA単離。各処理について、約5×10個の細胞を採取し、500μLのTRIzol試薬(Invitrogen)に溶解した。試料を室温で5分間静置した後、180μLのクロロホルム(関東化学、日本)を添加し、続いて相分離のために4℃で15分間、12,000×gで遠心した。次に、等量のイソプロパノール及びGlycoBlue共沈剤(Invitrogen、米国)を入れた新しい管に水相を移した。その試料を室温で20分間インキュベートした。その試料を4℃で15分間、12,000×gでの遠心によってペレット化した。RNAペレットを100%エタノールで洗浄し、風乾した後、ヌクレアーゼを含まない水(Ambion、米国)中で再構成した。
(D)定量的PCR。RNA試料(250ng)を、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems、米国)を用い、逆転写してcDNAを得た。5ngのcDNAについて、FAST SYBR Green Mix(Applied Biosystems、米国)を用いてqPCRを行った。ΔΔCに基づく相対定量法を、QuantStudio 5 384-well Block Real-Time PCRシステム(Applied Biosystems、米国)を用いたqPCR解析に採用した。閾値サイクルを≧35に決定した。CT値をβ-ACTINに正規化した倍率変化としてデータを提示する。提示するデータは、特に明記しない限り、標準偏差(standard deviation:SD)を示すエラーバーを有する2つの独立した実験を代表するものである。
結果を図6に示す。
(E)GCaMP6s H7 CMの蛍光Ca2+の画像化及びビデオ解析。処理後のH7 CMのカルシウムトランジェントを、Nikon ECLIPSE Ti-S蛍光顕微鏡を用いて画像化し、Andor Zyla 4.2 sCMOSカメラを用いて15fpsで記録した。ビデオデータをNikonのNIS-Elements ARを用いて解析し、RStudio v1.2.1335を用い加工して、単一の心臓収縮に対応する蛍光ピークを識別し、関連データをコンピュータ計算して拍動間隔データ及び変動データを得た。
結果を図7及び図8に示す。
(F)統計解析。GraphPad Prism 7を用いてデータ点をプロットし、統計解析を実施した。siRNA処理のノックダウン効率を、スチューデントのt検定を用いて評価した。処理群間の拍動間変動の比較を、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定を用いて評価した。統計学的有意性をp<0.05とする。
結果を図9に示す。
ドロネダロン及びポイエンダロンによるCYP2J2のインビトロの時間依存的、濃度依存的、及びNADPH依存的な不活性化
(A)試薬。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のアセトニトリル(acetonitrile:ACN)を、Tedia Company Inc.(オハイオ州フェアフィールド)から購入した。ドロネダロン塩酸塩、アステミゾール、及びブスピロン塩酸塩を、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。ヒト組換えCYP2J2 Supersomes(商標)(rCYP2J2)、並びにNADPH A(NADP+及びグルコース6-リン酸)及びNADPH B(グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)からなるNADPH再生システムを、BD Gentest(マサチューセッツ州ウ-バン)から購入した。ポイエンダロン塩酸塩は、本明細書に詳述する合成に従って、社内で合成した。Milli-Q浄水システム(Millipore、マサチューセッツ州ビレリカ)を用いて水を得た。他の全ての試薬は分析用のものであった。
(B)プローブ基質としてアステミゾールを用いた、ドロネダロン及びポイエンダロンによる時間依存的、濃度依存的、及びNADPH依存的なCYP2J2の不活性化。様々な濃度のドロネダロン(0-1.0μM)又はポイエンダロン(0~10.0μM)、20pmol/mLのrCYP2J2、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、及びNADPH Bを含む一次インキュベーション混合物(100μL)を、37℃で3~5分間加温した。NADPH Aを添加することによって酵素反応を開始した。異なるプレインキュベーション時点(0分、3分、8分、15分、22分、30分、45分)で、一次インキュベーション混合物の10μLアリコートを、緩衝液、アステミゾール(15μM)、及びNADPH再生システムを含む予め加温した90μLの二次インキュベーション混合物に移して、10倍希釈物を得た。次いで、二次インキュベーション混合物を37℃で15分間さらにインキュベートした後、70μLアリコートを取り出し、0.1μMのブスピロン塩酸塩(内部標準)を含有する氷冷ACNを用いて急冷した。その試料を2755g、4℃で30分間遠心し、その上清を、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC/MS/MS)の解析によるO-デスメチルアステミゾールの決定に用いた。陰性対照として、NADPH Aを100mMのリン酸カリウム緩衝液で置き換えた。LC/MS/MSシステムは、AB SCIEX QTRAP(登録商標)5500タンデム質量分析(tandem mass spectrometry:MS/MS)システム(AB SCIEX、マサチューセッツ州フレーミングハム)とインターフェース接続されたAgilent 1290 Infinity超高圧液体クロマトグラフィー(ultra-high pressure liquid chromatography:UHPLC)システム(Agilent Technologies Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)からなった。LC/MS/MSシステムは、全てのクロマトグラフィーのピーク積分を行うAnalyst 1.4.2ソフトウェア(Applied Biosystems)によって制御した。ACQUITY UPLC BEH C18カラム、1.7μM、2.1×50mm(Waters、マサチューセッツ州ミルフォード)を用いて、クロマトグラフィー分離を達成した。カラム及び試料の温度を、それぞれ45℃及び4℃に維持した。用いた移動相は、水に溶かした5mM酢酸アンモニウムの0.2%酢酸(溶媒A)及びACNの0.2%酢酸(溶媒B)であった。それらを0.6mL/minの流速で送達した。溶出条件を以下のように最適化した。すなわち、線形グラジエント30~95%B(0~1.60分)、95%Bでのアイソクラティック(1.61~1.99分)、及び30%Bでのアイソクラティック(2.00~2.50分)。)とした。正のエレクトロスプレーイオン化(ESI)モードで445~121及び386~122への質量対電荷比(m/z)の多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring:MRM)トランジションを実施して、O-デスメチルアステミゾール及びブスピロンをそれぞれ検出した。MS源条件は、カーテンガス:25psi、衝突ガス:中、イオンスプレー電圧:5500V、温度:550℃、イオン源ガス1:50psi、イオン源ガス2:55psiであった。O-デスメチルアステミゾール及びブスピロンの化合物依存的質量分析(mass spectrometry:MS)パラメータを表2にまとめる。
(C)速度論的パラメータの計算。不活性化の速度論的パラメータを計算するために、3組のピーク面積比の平均をプレインキュベーション時間に対して0分に正規化した。プローブ活性の残存百分率を計算し、自然対数活性をプレインキュベーション時間に対してプロットした。データを線形回帰にフィットさせた。グラフの傾きにより、観察された不活性化の速度(Kobs)が決定される。速度論的パラメータK及びkinact、並びに不活性化の能力、kinact/Kを、式1及びGraphPad Prism 6.01(カリフォルニア州サンディエゴ)を用いた非線形最小二乗回帰法を用いて計算した。ここで、kinactは最大不活性化速度定数を表し、Kは不活性化速度定数の最大半値における阻害剤の濃度であり、[I]はインビトロ不活性化剤濃度である。
Figure 2022541739000007
結果を図10に示す。
(D)臨床的に関連するプローブ基質リバーロキサバンをプローブ基質として用いた、ドロネダロン、ポイエンダロン、及び追加的重水素化ドロネダロン類似体によるCYP2J2の時間依存的及び濃度依存的な不活性化。ドロネダロン、ポイエンダロン、化合物2、及び化合物3によるヒト組換えCYP2J2の不活性化を、プローブ基質としてリバーロキサバンを用いて調べた。96ウェルプレートにおいて、3組でインキュベーションを行った。様々な濃度の阻害剤(0~20μM)を含む一次インキュベーション混合物を、リン酸カリウム緩衝液(100mM、pH7.4)中で、CYP450酵素(20pmol/mL)及びNADPH Bと共に37℃で3分間プレインキュベートした。酵素反応を開始するために、5μLのNADPH Aを一次インキュベーションに添加した。最終的な一次インキュベーション混合物の体積は100μLであり、含有される有機溶媒は<1%v/vであった。NADPH Aの添加後の異なるプレインキュベーション時点(3分、8分、15分、22分、30分、及び45分)で、一次インキュベーションの5μLアリコートを、50μMのリバーロキサバン、NADPH A及びNADPH B、並びにリン酸カリウム緩衝液(100mM、pH7.4)を含有する95μLの二次インキュベーションに移して、20倍希釈液を得た。二次インキュベーション混合物をCYP2J2と共に37℃で30分間インキュベートした後、80μLアリコートを取り出し、ISとして4μMのデキサメタゾンを含有する等しい体積の氷冷ACNで急冷した。次いで、試料を4℃で30分間、3220gで遠心した後、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)解析のために、上清を96ウェルプレートに移した。主なリバーロキサバン代謝産物、モルホリノンヒドロキシル化代謝産物をLC-MS/MS解析を用いて定量した。
(E)不活性化の速度論的パラメータ(K及びkinact)の計算
各濃度及びプレインキュベーション時間についての3組のピーク面積比の平均を、同じプレインキュベーション時間で0μMのピーク面積比に対して正規化した。二次インキュベーション中に形成されたリバーロキサバン代謝産物の量(残存しているプローブ基質活性の尺度)をコンピュータ計算し、この尺度の自然対数を、各不活性化剤濃度についての不活性化プレインキュベーション時間に対してプロットした。次いで、各濃度について、データを線形回帰モデルにフィットさせることにより、kobs(見かけの不活性化速度定数)を線形回帰の負の勾配として得た。不活性化剤濃度([I])に対するkobsのプロットにより、GraphPad Prism 8を用いて、式1に基づく非線形最小二乗回帰に不活性化速度論的パラメータ(以下に説明するK及びkinact)をフィットさせた。
Figure 2022541739000008
式1において、kinact=無限不活性化剤濃度での最大不活性化速度定数(min-1)、K=不活性化の最大半値の速度定数における不活性化剤の濃度(μM)、[I]=インビトロ不活性化剤濃度(μM)。ヒト組換えCYP2J2に対するMBI能力(kinact/K比、μM-1.min-1)を、各化合物について決定する。kinact/K比が高いほど、MBI能力は大きくなる。
結果を図11及び図12に示し、表3にまとめる。
HiPSC-CMにおけるヒトCYP2J2及びsEH mRNAのインビトロ発現、並びにアミオダロン、ドロネダロン、及びポイエンダロンによるhiPSC-CMにおけるヒトCYP2J2のインビトロ阻害
(A)試薬。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のACN及びジメチルスルホキシド(DMSO)を、Tedia Company Inc.(オハイオ州フェアフィールド)から購入した。ドロネダロン塩酸塩、アミオダロン塩酸塩、アステミゾール、及びブスピロン塩酸塩を、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。Milli-Q浄水システムを、EMD Millipore(マサチューセッツ州ビレリカ)から入手した。ポイエンダロン塩酸塩は、本明細書に詳述する合成に従って、社内で合成した。他の全ての試薬は分析用のものであった。ドロネダロン、ポイエンダロン、アステミゾール、及びブスピロンの原液を、-20℃で保存したDMSO中で調製した。
(B)細胞株及び培養。ヒト包皮線維芽細胞を、ウイルスを含まない方法を用いて、ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)を形成するように再プログラム化した。hiPSC細胞株を、以前に報告されたように心筋細胞(hiPSC-CM)に分化させた。
(C)全RNA抽出及び定量的遺伝子発現。RNeasy Kit(Qiagen GmbH、ドイツ、ヒルデン)を用いて、30日齢のhiPSC-CMから全RNAを単離した。NanoDrop(商標)2000 UV-Vis分光光度計(Thermo Fischer、マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて、単離したRNAを定量した。Superscript III第一鎖合成キット(Invitrogen)によって、1μgの全RNAをcDNAに変換した。cDNA鋳型を、DNA結合剤としてSYBR Green色素を含むQuantifast Kit(Qiagen GmbH、ドイツ、ヒルデン)を用いたPCRに用いた。Biorad(Applied Biosciences)サーモサイクラーを用いて、PCRを以下の条件で行った。すなわち、55℃で2分、95℃で5分、続いて伸長のために95℃で10秒及び60℃で30秒の40サイクルで行った。プライマー二量体を確認するために鋳型対照を実行しなかった。内因性対照としてGAPDHを用いたΔCt法を用いて、相対定量化を実施した。PCR産物を6×ローディング色素(Thermo Fischer、マサチューセッツ州ウォルサム)と混合し、1×GelRed(商標)核酸染色剤(Biotium、カリフォルニア州フリーモント)を含む1×TAE緩衝液(Vivantis、マレーシア、スバン・ジャヤ)中で調製した3%アガロースゲルにローディングした。分子量マーカーとして、GeneRuler Ultra Low Range DNAラダー(Thermo fisher)を用いた。Image Lab(商標)(Bio Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)画像処理ソフトウェアを伴ったGel Doc(商標)EZ(Bio rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用いて、分解されたcDNA試料を解析した。ヒト心筋細胞では、CYP2J2及びsEHは、CYP2J2遺伝子及びEPHX2遺伝子によってコード化されている。GAPDHを内因性対照として用いた。CYP2J2、EPHX2、及びGAPDHの順方向プライマー配列および逆方向プライマー配列を、表4にまとめる。
(D)CYP2J2媒介アステミゾール代謝の阻害。HiPSC-CMを100,000個の細胞/ウェルの密度で12ウェルプレートに播種し、30日間分化させた。分化後、hiPSC-CMを、5%COの加湿雰囲気下、37℃で24時間、EB2培地において、ドロネダロン、アミオダロン、又はポイエンダロン(2μM)、及びアステミゾール(1μM)と共にインキュベートした。次いで、その細胞を1×リン酸緩衝食塩水(phosphate-buffered saline:PBS)で2回洗浄し、Accutase(登録商標)細胞剥離液を用いて除去した。次いで、その細胞を、2000g、4℃で、10分間かけてペレット化した。上清を捨て、内部標準として0.1μMのブスピロンを含む100μLの氷冷ACNに、ペレットを再懸濁した。細胞を氷上で15分間超音波処理して、完全な細胞溶解を生じさせた。溶解物を10,000×gで15分間、4℃で遠心した。上清を回収し、LC/MS/MSを用いて分析した。
(E)LC/MS/MSによる残留CYP2J2酵素活性の測定。LC/MS/MSシステムは、AB SCIEX QTRAP(登録商標)5500タンデム質量分析(MS/MS)システム(AB SCIEX、マサチューセッツ州フレーミングハム)とインターフェース接続されたAgilent 1290 Infinity超高圧液体クロマトグラフィー(UPLC)システム(Agilent Technologies Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)からなった。LC/MS/MSシステムは、全てのクロマトグラフィーのピーク積分を行うAnalyst 1.4.2ソフトウェア(Applied Biosystems)によって制御した。ACQUITY UPLC BEH C18カラム、1.7μM、2.1×50mm(Waters、マサチューセッツ州ミルフォード)を用いて、クロマトグラフィー分離を達成した。カラム及び試料の温度を、それぞれ45℃及び4℃に維持した。移動相は、5mM酢酸アンモニウムの0.2%酢酸(溶媒A)及びACNの0.2%酢酸(溶媒B)であった。それらを0.6mL/minの流速で送達した。溶出条件を以下のように最適化した。すなわち、線形グラジエント30~70%B(0~1.60分)、70%Bでのアイソクラティック(1.61~1.99分)、及び30%Bでのアイソクラティック(2.00~2.50分)とした。m/z比のMRMトランジションを正のESIモードで実施して、O-デスメチルアステミゾール及びブスピロン(内部標準)を検出した。化合物依存性のMSパラメータを表2にまとめる。
(F)データ解析。アミオダロン、ドロネダロン、及びポイエンダロンの間で、二元配置の分散分析(analysis of variance:ANOVA)、続いてテューキーの事後検定を用いて比較を行った。GraphPad Prismを用いて、平均±S.Dとして各値を提示した。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、p<0.0001の場合で、統計学的有意性が確認された。
結果を図13に示す。
ポイエンダロン及びドロネダロンの細胞傷害性測定
(A)試薬。ドロネダロン塩酸塩及び全トランス型レチノイン酸(all-trans retinoic acid:ATRA)を、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。ポイエンダロン塩酸塩を社内で合成した。14,15-EETをCayman Chemical(ミシガン州アナーバー)から購入した。Milli-Q浄水システム(Millipore、マサチューセッツ州ビレリカ)を用いて水を得た。他の全ての試薬は分析用のものであった。
(B)H9c2細胞培養。H9c2細胞株をAmerican Tissue Type Collection(ATCC)(バージニア州マナサス(Manassas))から購入した。1.5g/Lの重炭酸ナトリウム、25mMのヘペス、10%のウシ胎児血清(fetal bovine serum:FBS)(GE Healthcare、シンガポール)、100ユニット/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び250ng/mLのアンホテリシンBを補充した低グルコースのダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle medium:DMEM)の増殖培地(カタログ番号:31600、Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)において、75cm組織培養フラスコ中、37℃、5%COの加湿雰囲気下で細胞を培養した。2~3日ごとに細胞に栄養を与え、70~80%の培養密度に達したところで継代培養して、分化能の喪失を防いだ。分化のために、H9c2細胞を100,000個の細胞/ウェルの密度で12ウェルプレートに播種した。細胞を低グルコース高血清増殖培地中で1日維持して、細胞を付着させた。その後、1μMのATRAを用いて細胞を分化させた。
(C)同時発生の細胞傷害性及び細胞内ATPの低減。H9c2細胞を白色チムニープレートに播種し、分化させた。クラブトリー効果を克服するために、10mMのガラクトース、2mMのグルタミン(最終濃度6mM)、5mMのヘペス、1mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、0.25μg/mLのアンホテリシンB、1%のFBS、1×インスリン-トランスフェリン-セレン、及び1μMのATRAを含むDMEMに、48時間で培地を交換した。無血清ガラクトース培地において、ドロネダロン又はポイエンダロン(0~30μM)で細胞を6時間処理した。Mitochondrial ToxGlo(商標)キット(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、細胞傷害性及び細胞内ATP含有量を、製造者のプロトコルを用い同時に測定した。Mitochondrial ToxGlo(商標)アッセイは、蛍光発生ペプチドのビス-アラニン-アラニン-フェニルアラニン-R110(ビス-AAF-R110)を用いて細胞生存率を測定する。ビス-AAF-R110は、生細胞に対して不透過性であるため、死細胞におけるプロテアーゼ活性を測定する選択的ペプチドである。ここで、代謝されたビス-AAF-R110に由来する蛍光を、異なる濃度の試験化合物で測定し、対照と比較した。細胞傷害性化合物の濃度が増加するにつれて、死細胞の数が増加し、より高い蛍光シグナルをもたらす。ATPは、細胞溶解をもたらして、存在するATPの量に比例した発光シグナルを生成させるATP検出試薬を添加することによって測定される。分化したH9c2細胞を、無血清ガラクトース培地において、様々な濃度(0~1μM)の14,15-EETで2時間、前処理した。培地を吸引し、細胞をドロネダロンで処理し、細胞傷害性及び細胞内ATPを記載のように測定した。
(D)ミトコンドリア膜電位(Δψ)の測定。ミトコンドリア透過性色素、テトラメチルローダミンメチルエステル過塩素酸塩(TMRM)(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて、各試験化合物によるΔψの散逸を測定した。H9c2細胞を、1ウェルあたり20,000個の細胞の密度で96ウェルプレートに播種した。無血清低グルコース培地において、いずれかのドロネダロンで細胞を1時間処理した。培地を捨て、細胞を1×PBSで2回洗浄した。TMRM色素(200nM)を無血清培地に溶解し、プレートを37℃で30分間インキュベートした。培地を吸引し、細胞をPBSで洗浄し、557nmの励起波長及び570nmの発光波長で蛍光を測定した。TMRM濃度及び細胞密度を最適化した。分化したH9c2細胞を、様々な濃度(0~1μM)の14,15-EETで2時間、前処理した。培地を吸引し、次いで細胞をドロネダロンで処理し、AADによるΔψの散逸を記載のように測定した。
結果を図14に示す。
アミオダロン、ドロネダロン、及びポイエンダロンによって誘発されたHiPSC-CMの細胞外フィールド電位持続時間(Field Potential Duration:FPD)の測定
(A)電気生理学的測定。hiPSC-CMの電気生理学的摂動を、多電極アレイ(multi electrode array:MEA)記録システムMultichannel Systems、ドイツ、ロイトリンゲン)を用いて測定した。2mLの培地に投与したアミオダロン、ドロネダロン、又はアミオダロン(0~10μM)でHiPSC-CMを処理し、細胞外フィールド電位持続時間(FPD)を既述のように測定した。既述のように、バゼット(Bazzet)補正式:cFPD=FPD/√(RR間隔)で、収縮領域の拍動数に対してFPD測定値を正規化した(補正FPD[cFPD])。一相減衰アルゴリズムを用いて、補正されたFPD曲線をプロットした。
結果を図15に示す。
(B)細胞培養及びトランスフェクション(Na1.5電流)。10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したDMEM培地においてHEK293FT細胞を培養し、37℃の5%COインキュベーター中で維持した。トランスフェクションのために、カバーガラスを備えたペトリ皿に細胞を播種し、一晩増殖させる。続いて、3.0μgの野生株又は変異株のhNa1.5チャネルのプラスミド及び1.5μgのβ1プラスミドを、リポフェクタミン2000(Invitrogen)によって細胞に同時にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、パッチクランプ解析の前に、37℃の5%COインキュベーター中で24時間増殖させ、パッチクランプ解析の24時間前に、ポリDコートのカバーガラス上に分割して播種した。
(C)ホールセル・パッチクランプ記録及びデータ解析。Na1.5電流を記録するために、内部溶液(ピペット溶液)は、mM単位で、130のCsF、5のNaCl、5のエチレングリコールビス2アミノエチルエーテル四酢酸(ethyleneglycol bis(2-aminoethylether)tetraacetic acid:EGTA)、10のヘペス、2のMgCl、2のテトラエチルアンモニウムクロリド(tetraethylammonium-chloride:TEA-Cl)、pH7.2(CsOHで調整)を含有した。外部溶液は、mM単位で、135のNaCl、4.2のCsCl、1.2のMgCl、1.8のCaCl、10のヘペス、及びグルコースを含有し、NaOHでpH7.4に調整した。Axopatch200B又はMulticlamp 200B増幅器(Molecular Device)を用いて電圧固定下でホールセル電流を得、ローパスフィルタリングを5~6kHzで行い、典型的には、>70%補償後に直列抵抗は<5MΩであった。P/4プロトコルを用いて、リークトランジェント及び容量性トランジェントをオンラインで差し引いた。用量応答曲線を、log(阻害剤)対応答変数勾配方程式、Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)*HillSlope))でフィットした。
結果を図16、図17、及び図18に示す。
(D)細胞培養及びトランスフェクション(Ca1.2電流)。10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したDMEM培地においてHEK293FT細胞を培養し、37℃の5%COインキュベーター中で維持した。トランスフェクションのために、カバーガラスを備えたペトリ皿に細胞を播種し、一晩増殖させる。その後、リポフェクタミン2000(Invitrogen)によって、1.7μgのヒトCa1.2_1a8a心臓変異体及び1.25μgのヒトβ2及びα2δ1サブユニットを得た。トランスフェクトした細胞を、パッチクランプ解析の前に、37℃の5%COインキュベーター中で24時間増殖させ、パッチクランプ解析の24時間前に、ポリDコートのカバーガラス上に分割して播種した。
(E)ホールセル・パッチクランプ記録及びデータ解析。Ca1.2電流を記録するために、内部溶液(パッチピペット溶液)は、以下を含有した。すなわち、mM単位で、138のCs-MeSO、5のCsCl、5.0のEGTA、10のヘペス、1のMgCl、2mg/mlのMg-ATPを含有し、pH7.3(CsOHで調整)、グルコースで290mOsmであった。外部溶液は以下を含有した。すなわち、mM単位で、10のヘペス、140のテトラエチルアンモニウムメタンスルホナート、5のCaCl(CsOHでpHを7.4に調整、グルコースで浸透圧を290~310に調整)を含有した。抵抗1.5~2MΩのピペットを用いた。Axopatch200B又はMulticlamp 200B増幅器(Molecular Device)を用いて電圧固定下でホールセル電流を得、ローパスフィルタリングを1kHzで行い、典型的には、>70%補償後に直列抵抗は<5MΩであった。P/4プロトコルを用いて、リークトランジェント及び容量性トランジェントをオンラインで差し引いた。用量応答曲線を、log(阻害剤)対応答変数勾配方程式、Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)*HillSlope))でフィットした。
結果を図19、図20、及び図21に示す。
(F)細胞培養及びトランスフェクション(K11.1電流)。10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したDMEM培地においてHEK293FT細胞を培養し、37℃の5%COインキュベーター中で維持した。トランスフェクションのために、細胞をペトリ皿に播種し、一晩増殖させる。続いて、2μgの野生株又は変異株のK11.1チャネルのプラスミド及び1μgのKCNE1プラスミドを、リポフェクタミン2000によって細胞に同時にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、37℃の5%COインキュベーター中で24時間インキュベートした。トランスフェクションの48時間後、細胞を分割し、記録の1日前にポリ-Dリジンのカバーガラス上に播種した。
(G)ホールセル・パッチクランプ記録及びデータ解析。K11.1電流を記録するために、内部溶液(ピペット溶液)は、mM単位で、130のK-グルコン酸、10のKCl、5のEGTA、10のヘペス、1のMgCl、0.5のNaGTP、4のMg-ATP、Na-ホスホクレアチン pH7.4(KOHで調整)を含有した。外部溶液は、mM単位で、125のNaCl、2.5のKCl、25のNa-グルコン酸、1.0のMgCl、1.8のCaCl、10のヘペス、及び11.1のグルコースを含有し、NaOHでpH7.4に調整した。Axopatch200B又はmulticlamp 200B増幅器(Molecular Device)を用いて電圧固定下でホールセル電流を得、ローパスフィルタリングを1kHzで行い、典型的には、>70%補償後に直列抵抗は<5MΩであった。P/4プロトコルを用いて、リークトランジェント及び容量性トランジェントをオンラインで差し引いた。K11.1電流を、-80mVの保持電位から2.5sパルスの20mVまで誘起した。その後、電圧を-60mVに戻してテール電流を記録した。用量応答曲線を、log(阻害剤)対応答変数勾配方程式、Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)*HillSlope))でフィットした。
結果を図22、図23、及び図24に示す。
アミオダロン、ドロネダロン、及びポイエンダロンによって誘発されたHiPSC-CMにおける拍動間変動(BBV)のインビトロ測定
(A)BBVの測定。BBVの計算は、Kubios HRV 2.2(Department of Applied Physics、University of Eastern Finland、クオピオ、フィンランド)を用いて行った。BBVは、ポアンカレプロットとして知られる散布図として視覚化される。これらのプロットでは、2つの連続する拍動間の各時間間隔[拍動間の間隔(RR)]が、後続の間隔(RRn+1)に対してプロットされる。ポアンカレプロット記述子、SD1及びSD2は、変動の程度を定義する。SD1は短期変動の尺度を表すのに対して、SD2は長期変動を表す
結果を図25に示す。
イヌにおけるドロネダロン及びポイエンダロンのインビボ薬物動態研究
(A)試薬。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のアセトニトリル(ACN)を、Tedia Company Inc.(オハイオ州フェアフィールド)から購入した。ドロネダロン塩酸塩をSigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。N-デスエチルアミオダロン(NDEA)塩酸塩をCayman Chemical(ミシガン州アナーバー)から購入した。ポイエンダロン塩酸塩は、本明細書に詳述する合成に従って、社内で合成した。Milli-Q浄水システム(Millipore、マサチューセッツ州ビレリカ)を用いて水を得た。ジメチルスルホキシド(DMSO)をVWR Life science(米国、ペンシルベニア州)から購入した。
(B)血漿試料。各化合物(ドロネダロン又はポイエンダロン)について、北山ラベス株式会社(日本、長野県)からの体重およそ10kgの雄イヌ4匹より血漿試料を得た。全ての実験は、東邦大学の動物実験委員会(第12-52-151号)によって承認され、東邦大学の動物実験取扱規程に従って行われた。3.0mg/kgのドロネダロン又はポイエンダロンの静脈内(intravenous:IV)ボーラス投与について、5分、10分、15分、20分、30分、45分、及び60分で、血漿試料を得た。血漿試料を-80℃で保存し、使用前に氷中で解凍した。
(C)試料調製。血漿:IS比が1:3でのタンパク質沈殿のために、氷冷NDEA内部標準(IS)溶液を用いた。混合物を1分間ボルテックス混合した後、4℃、14,000gで15分間遠心した。次いで、上清をLC/MS/MS分析のためにバイアルに移した。
(D)機器。LC/MS/MSシステムは、AB SCIEX QTRAP(登録商標)5500タンデム質量分析(MS/MS)システム(AB SCIEX、マサチューセッツ州フレーミングハム)を備えたInfinity超高圧液体クロマトグラフィー(UHPLC)システム(Agilent Technologies Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)からなった。MultiQuantソフトウェアバージョン1.4.0.18067(Applied Biosystems)を用いて、全てのクロマトグラフィーピーク積分を行った。
(E)LC/MS/MS条件。クロマトグラフィー分離は、グラジエント溶出プログラムで、ACQUITY UPLC BEH C18カラム、1.7μm、2.1×50mm(Waters、マサチューセッツ州ミルフォード)を用いて行った。移動相は、水に溶かした5mM酢酸アンモニウムの0.2%酢酸(A)及びACNの0.2%酢酸(B)であった。溶出条件は、線形グラジエント30~95%B(0~1.60分)、95%Bでのアイソクラティック(1.61~1.99分)、30%Bでのアイソクラティック(2.00~2.50分)であった[21]。多重反応モニタリング(MRM)トランジションを、NDEA(内部標準、IS)、ドロネダロン、及びポイエンダロンについて最適化した。他のMS条件を表5に列挙する。
(F)非コンパートメント解析(non-compartmental analysis:NCA)を用いた薬物動態パラメータの導出。WinNonlin(登録商標)(Pharsight、米国)を用いて、IVボーラスデータ(モデル201)についてNCAを用い、個々の薬物動態パラメータを推定した。時間0分から最後の観察時間までの曲線下面積(area under curve:AUC)及び無限大に外挿したAUC(AUCinf)を、対数台形則を用いて計算した。ラムダZ(λz)の計算に含まれるデータ点は、最初にWinNonlin(登録商標)によって決定され、次いでそれに応じて視覚的に評価及び修正された。計算される他のパラメータには、見かけの全血漿クリアランス(clearance:CL)、終末相に基づく見かけの分布容積(V)、見かけの排出半減期(T1/2)、定常状態での見かけの容積(Vss)、平均滞留時間(mean residence time:MRT)、及び無限大に外挿したMRT(MRTinf)が含まれる。Vssは、全てのコンパートメントにわたる血漿濃度が定常状態の条件に達したときの見かけの分布容積である。次いで、WinNonlin(登録商標)を用いて各薬物をコンパートメントモデルにフィットさせて、個々の消失モデル(disposition model)を可視化した。
(G)統計解析。薬物動態パラメータを対数変換し、対数変換データの分布は正規分布であると仮定した。一元配置ANOVAの場合、帰無仮説は、ドロネダロンとポイエンダロンとの間で平均薬物動態パラメータ推定値(CL及びV)の各々に差がないということであった。全ての統計的検定を、IBM SPSS Statistics for Windows、バージョン25.0(IBM Corp、ニューヨーク州アーモンク)を用いて行った。
結果を図26に示す。
ポイエンダロンとドロネダロンのインビボ薬物動態の比較
(A)化学物質。高速液体クロマトグラフィー用のアセトニトリル(ACN)を、Tedia Company Inc.(オハイオ州フェアフィールド)から購入した。ドロネダロン塩酸塩及びデキサメタゾンをSigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から入手した。ポイエンダロン塩酸塩を社内で合成した。プールヒト肝臓ミクロソーム(HLM)、組換えヒトCYP450 Supersomes、並びにNADPH A(NADP及びグルコース-6-リン酸)及びNADPH B(グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)からなる還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)再生系を、BD Gentest(マサチューセッツ州ウ-バン)から得た。Milli-Q浄水システム(Millipore、マサチューセッツ州ビレリカ)を用いて水を得た。他の全ての試薬は分析用のものであった。
(B)代謝安定性研究。代謝安定性実験を行って、基質枯渇法によって固有クリアランス(CLint)値を導出した。1μMのドロネダロン又はポイエンダロンを、リン酸カリウム緩衝液(100mM、pH7.4)中のCYP3A4(10pmol/mL)、CYP3A5(10pmol/mL)、又はHLM(0.5mg/mL)、及びNADPH Bと共に、37℃で5分間プレインキュベートした。その後、NADPH Aを添加して反応を開始した。最終的なインキュベーション混合物の体積は100μLであり、含有される有機溶媒は<1%v/vであった。反応混合物を穏やかに撹拌しながら37℃でインキュベートした。それぞれの時点(0~60分)で、80μLの反応混合物を、内部標準(IS)として1μMタモキシフェンを含んだ等容量の氷冷ACNを用いて急冷した。次いで、試料を4℃で30分間、3220gで遠心した後、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)解析のために、上清を96ウェルプレートに移した。
結果を図27に示す。
(C)CLint値の計算。各化合物の3組のピーク面積比の平均を、0分の時点での同じ化合物のピーク面積比に対して正規化して、各時点で残存している基質の百分率を得た。これを各化合物のインキュベーション時間に対してプロットし、次いで、GraphPad Prismソフトウェア(バージョン8.02、GraphPad Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて、データを一相減衰モデルにフィットさせて、排出速度定数(k)の推定値を得た。次いで、CLintを式3に基づいて計算した。
Figure 2022541739000009
式3において、k=排出速度定数(min-1)、V=インキュベーション混合物の体積(mL)、P=混合物中のタンパク質の量(mg)。
結果を表6に示す。
(D)CYP3A4及びCYP3A5の時間依存的及び濃度依存的な不活性化。ドロネダロン、ポイエンダロンによるヒト組換えCYP3A4及びCYP3A5の不活性化を、プローブ基質としてリバーロキサバンを用いて調べた。96ウェルプレートにおいて、3組でインキュベーションを行った。様々な濃度の阻害剤(0~20μM)を含む一次インキュベーション混合物を、リン酸カリウム緩衝液(100mM、pH7.4)中で、CYP3A4又はCYP3A5(20pmol/mL)及びNADPH Bと共に37℃で3分間プレインキュベートした。酵素反応を開始するために、5μLのNADPH Aを一次インキュベーションに添加した。最終的な一次インキュベーション混合物の体積は100μLであり、含有される有機溶媒は<1%v/vであった。NADPH Aの添加後の異なるプレインキュベーション時点(3分、8分、15分、22分、30分、及び45分)で、一次インキュベーションの5μLアリコートを、50μMのリバーロキサバン、NADPH A及びNADPH B、並びにリン酸カリウム緩衝液(100mM、pH7.4)を含有する95μLの二次インキュベーションに移して、20倍希釈液を得た。二次インキュベーション混合物をCYP3A4又はCYP3A5と共に37℃で2分間インキュベートした後、80μLアリコートを取り出し、ISとして4μMのデキサメタゾンを含有する等しい体積の氷冷ACNで急冷した。次いで、試料を4℃で30分間、3220gで遠心した後、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)解析のために、上清を96ウェルプレートに移した。主なリバーロキサバン代謝産物、モルホリノンヒドロキシル化代謝産物をLC-MS/MS解析を用いて定量した。
(E)不活性化の速度論的パラメータ(K及びkinact)の計算。各阻害剤濃度及びプレインキュベーション時間についての3組のピーク面積比の平均を、同じプレインキュベーション時間で阻害剤0μMのピーク面積比に対して正規化した。二次インキュベーション中に形成されたリバーロキサバン代謝産物の量(残存しているプローブ基質活性の尺度)をコンピュータ計算し、この尺度の自然対数を、各不活性化剤濃度についての不活性化プレインキュベーション時間に対してプロットした。次いで、各濃度について、データを線形回帰モデルにフィットさせることにより、kobs(見かけの不活性化速度定数)を線形回帰の負の勾配として得た。不活性化剤濃度([I])に対するkobsのプロットにより、GraphPad Prism 8を用いて、式4に基づく非線形最小二乗回帰に不活性化速度論的パラメータ(以下に説明するK及びkinact)をフィットさせた。
Figure 2022541739000010
式4において、kinact=無限不活性化剤濃度での最大電位不活性化速度定数(min-1)、K=不活性化の最大半値の速度定数(μM)、[I]=インビトロ不活性化剤濃度(μM)。
結果を表6に示す。
(F)生理学的薬物動態(physiologically-based pharmacokinetics:PBPK)モデルの開発。Simcypシミュレータ(バージョン19.0.96.0、英国、シェフィールド)を用いて、ドロネダロン及びポイエンダロンのPBPKモデルを構築した。文献からの情報として、Simcypに実装された重要な薬物依存性パラメータを下の表7に列挙する。ドロネダロンのPBPKモデルの構築は、インビトロ実験及び観察された臨床パラメータからのデータを組み合わせたミドルアウト手法を用いて行った。
結果を図28に示す。
(G)PBPKモデルの検証。Simcypシミュレータを用い、2つのスケーリング因子(肝臓1グラムあたりのタンパク質のミリグラム数(milligrams of protein per gram of liver:MPPGL)並びに平均肝臓重量)により、CLint値及びfu,mic値をスケーリングして、非結合型肝固有クリアランスCLu,int,Hを得た。肝クリアランスのwell-stirredモデルを適用して、肝血液クリアランス、CLb,Hを計算し、続いて、これを血液対血漿の濃度比(blood-to-plasma:B/P)並びに代謝された割合(f)によって血漿クリアランスに変換した。
採用した仮想集団は、シミュレーションを検証するために用いた選択的臨床治験の年齢に一致するように、最大年齢を67に変更したことを除いて、Sim-Healthy Volunteerであった。各投与レジメン(例えば、静脈内、単回経口投与、複数回経口投与)についてのシミュレートされた血漿濃度-時間プロファイルを生成し、WebPlotDigitizer(バージョン4.2)を用いて、公表された平均血漿濃度・時間データのデジタル化によって得られた臨床データと比較した。予測した薬物動態(pharmacokinetics:PK)パラメータの妥当性を、可能であれば、Abduljalilらによって概説された方法を用いて、生成された妥当性の範囲と比較した。成功基準をコンピュータ計算できなかった場合、標準的な0.5倍対2倍の比を用いた。
結果を図29に示す。
ドロネダロン及びポイエンダロンのcLogP、水溶解度、有効透過率、及びインビトロ代謝半減期の測定
(A)アッセイ。ドロネダロン及びポイエンダロンの計算Log P(cLogP)は、ChemSketchを用いてコンピュータ処理で計算した。MultiscreenHTS PCFフィルタープレートを用いて、汎用の緩衝液(pH7.4)中で各化合物の水溶解度を測定した。並行人工膜透過率アッセイ(parallel artificial membrane permeability assay:PAMPA)を用いて、各化合物の有効透過率を測定した。最後に、1μMのドロネダロン及び1μMのポイエンダロンのインビトロ代謝半減期(T1/2)を、組換えヒトCYP2J2を用いて測定した。
結果を表8に示す。
心房(AERP)及び心室(VERP)の不応期に対する抗不整脈薬の作用の比較、並びに早期(J-Tpeakc)及び後期(Tpeak-Tend)の再分極期に対する抗不整脈薬の作用の比較
(A)材料及び方法。各薬物(ドロネダロン、アミオダロン、及びポイエンダロン)について、体重およそ10kgの雌イヌで実験を行った(n=4)。北山ラベス株式会社(日本、長野県)を通じて動物を得た。全ての実験は、東邦大学動物実験委員会(第18-51-395号)によって承認され、東邦大学の動物実験取扱規程に従って実施された。
(B)全身麻酔及び手術準備。イヌを最初にチオペンタールナトリウム(30mg/kg、i.v.)で麻酔した。カフ付き気管内チューブで挿管した後、酸素中で気化したハロタン(1%v/v)を、体積制限人工呼吸器(SN-480-3、株式会社シナノ製作所(日本、東京都))で吸入することにより麻酔を維持した。一回呼吸量及び呼吸数は、それぞれ20mL/kg及び15呼吸/分に設定した。6つの臨床的に利用可能なカテーテル-シースセット(FAST-CATH(商標)406119、St.Jude Medical Daig Division,Inc.、米国、ミネソタ州)を用い、2本を腹部大動脈に向かって左右の大腿動脈にそれぞれ挿入し、2本を右大腿静脈に挿入し、残りの2本を下大静脈に向かって左大腿静脈に挿入した。血液凝固を防ぐため、ヘパリンカルシウム(100IU/kg)を、右大腿静脈に据えたカテーテルシースのフラッシュラインを通して静脈内投与した。
(C)心臓血行動態変数。右大腿動脈を通してピッグテールカテーテルを左心室に据えて左室圧を測定したのに対し、カテーテルシースの内側とピッグテールカテーテルの外側との間の空間で、フラッシュラインを通して大動脈圧を測定した。ECG上のR波のピークの一時点での左室圧を左室拡張末期圧と定義した。左室圧の最大上昇速度(LVdP/dtmax)及び左室拡張末期圧を洞調律中に得て、収縮力及び左心室に対する前負荷をそれぞれ推定した。熱希釈カテーテル(TC-504 NH、日本光電工業株式会社、日本、東京都)を、右大腿静脈を通して心臓の右側に配置した。心拍出量コンピュータ(MFC-1100、日本光電工業株式会社)を用いて、標準的な熱希釈法を用いて心拍出量を測定した。基本式:全末梢血管抵抗=平均血圧/心拍出量を用いて、全末梢血管抵抗を計算した。
(D)電気生理学的変数。四肢電極からII誘導心電図を得た。P波持続時間、PR間隔、QRS幅、及びQT間隔を測定し、QT間隔をVan de Waterの式:QTc=QT-0.087×(RR-1,000)(RRはms単位で得られる)で補正した。J-Tpeak及びTpeak-Tendを以下のようにして測定した。T波の終了が不明瞭であった場合は、本発明者らは、ガイドとして単相性活動電位(monophasic action potential:MAP)シグナルを用いて終了を推定した。既述の係数(J-Tpeakc=J-Tpeak/RR0.58(RRは秒単位で得られる)で、心拍数についてJ-Tpeakを補正した。以前のQT/QTc研究では、Tpeak-Tendが安静時心拍数で最小心拍数依存性を示したことが示されているので、Tpeak-Tendに対しては補正を行わなかった。
標準的な6フレンチの4極電極カテーテル(Cordis-Webster Inc.、米国、カリフォルニア州ボールドウィンパーク)を、左大腿動脈を通し大動脈弁の非冠状動脈尖に配置して、His束電位図を得た。別の6フレンチの4極電極カテーテル(Cordis-Webster Inc.)を、右大腿静脈を通して右心房の洞結節領域に配置して、電気的にペーシングし、局所電位図を記録した。双方向操縦可能なMAP記録/ペーシングの組合せカテーテル(1675P、EP Technologies,Inc.、米国、カリフォルニア州)を、左大腿静脈を通して右心室の心室中隔の心内膜に配置して、MAPシグナルを得た。シグナルをDC前置増幅器(モデル300、EP Technologies,Inc.)で増幅した。MAPシグナルの持続時間を、拡張期ベースラインに相当する水平線に沿って、MAP上昇行程から所望の再分極レベルまでの間隔として測定した。90%再分極での間隔(ms)をMAP90と定義した。
右心室に据えた組合せカテーテルのペーシング電極又は右心房に据えたカテーテルの電極を介して、心臓刺激装置(SEC-3102、日本光電工業株式会社)で、心臓を電気的に駆動した。刺激パルスは、形状が矩形、1~2V(閾値電圧の約2倍)、及び持続時間1msであった。洞調律中(MAP90(sinus))に、400ms(MAP90(CL400))及び300ms(MAP90(CL300))のペーシング周期長で心室のMAP90を測定した。心房有効不応期(AERP)及び心室有効不応期(VERP)を、プログラム電気刺激で評価した。ペーシングプロトコルは、400msの周期長での5拍の基礎刺激と、それに続く様々な連結期の期外刺激からなった。拡張末期から開始して、追加刺激がもはや応答を誘発できなくなるまで、連結期を5msの減衰で短縮した。AERP及びVERPは、応答を生成することができる最短の連結期として定義した。活動電位の3相再分極時間を反映する心室の終末再分極期の持続時間を、同じ部位でのMAP90(CL400)とVERP(終末再分極期=MAP90(CL400)-VERP)との差によって計算して、心室筋の電気的脆弱性の程度を推定した。
(E)実験プロトコル。大動脈圧、左室圧、心電図、右心房電位図、His束電位図、及びMAPシグナルを、ポリグラフシステム(RM-6000、日本光電工業株式会社)でモニターし、リアルタイム全自動データ解析システム(Win VAS 3 for Windows ver.1.1R24v、フィジオテック、日本、東京都)を用いて解析した。連続複合体の3つの記録を用いて、心電図表示のための平均、MAP持続時間、並びに心房-His(AH)及びHis-心室(HV)の各間隔を計算した。心血管変数を以下の順序で評価した。心電図、心房、及びHis束電位図、大動脈圧、左室圧、及びMAPシグナルを、洞調律下で記録した。次いで、心拍出量を3回測定した。次に、400ms及び300msの周期長での心室ペーシング中にMAPシグナルを記録した。最後に、VERP及びAERPを測定した。上記の全てのパラメータは、通常、各時点で2分以内に得た。
基本評価後、左大腿静脈に据えたカテーテルシースを通して、0.3mg/kgの低用量のポイエンダロン塩酸塩を30秒かけて静脈内注入し、投与開始から5分、10分、15分、20分、30分後に各変数を評価した(n=4)。次いで、3mg/kgの高用量のポイエンダロン塩酸塩を同じやり方で注入し、投与開始から5分、10分、15分、20分、30分、45分、及び60分後に各変数を観察した。本発明者らは、ポイエンダロン塩酸塩の現段階での用量を選択して、その電気薬理学的作用をドロネダロン塩酸塩の作用と直接比較した。
結果を表9及び表10に示す。
発作性AFイヌモデルにおける抗心房細動薬としてのポイエンダロンの心房電気薬理特性
(A)動物。実験は、体重およそ10kgの雌ビーグル犬(n=4)を用いて行った。北山ラベス株式会社(日本、長野県)を通じて動物を得た。全ての実験は、東邦大学動物実験委員会(第19-52-395号)によって承認され、東邦大学の動物実験取扱規程に従って実施された。
(B)慢性房室ブロックのイヌの作製。房室結節のカテーテルアブレーション技術を既述11、14のように用いた。ペントバルビタールナトリウム(30mg/kg、i.v.)でイヌに麻酔をかけた。カフ付き気管内チューブで挿管した後、体積制限人工呼吸器(SN-480-3、株式会社シナノ製作所(日本、東京都)を用いて室内空気で呼吸を制御した。一回呼吸量及び呼吸数は、それぞれ20mL/kg及び15呼吸/分に設定した。血液凝固を防ぐために、ヘパリンカルシウム(100IU/kg、i.v.)を投与した。表面II誘導心電図を連続的にモニターした。大きなチップを備えた4極電極カテーテル4mm(D7-DL-252、Cordis-Webster Inc.、米国、カリフォルニア州)を、右大腿静脈に据えたカテーテルシース(FAST-CATH(商標)406119、St.Jude Medical Daig Division,Inc.、米国、ミネソタ州ミネトンカ)を通して挿入し、遠位電極対からの双極電位図のガイドの下で三尖弁をまたいで据えた。房室結節アブレーションに最適な部位、すなわち緻密な房室結節を、非常に小さいHis振幅が記録され、心房/心室電圧比が>2であった心臓内電位図に基づいて決定した。房室結節アブレーションのための電源は、500kHzの周波数で連続無変調高周波エネルギーを送達する電気外科用発電機(MS-1500、泉工医科工業株式会社、日本、東京都)から得た。適切な位置を決定した後、20Wの高周波エネルギーを、チップ電極から動物の背中に配置した不関パッチ電極に10秒間送達し、次いでこれを、接合部異所性複合体が誘発された場合には30秒間続けた。この処置のエンドポイントは、安定した心室固有補充調律の発生を伴う完全房室ブロックの発症とした。上記の全ての外科的処置は、滅菌条件下で行った。ポイエンダロンの電気薬理学的作用及び抗心房細動作用が調べられる11、14まで、動物に適切な注意を払った。
(C)発作性心房細動モデルの外科的準備。発作性心房細動モデルを、以前に報告12、13されたように準備した。房室ブロックの誘発から3ヶ月を超えた後に、ペントバルビタールナトリウム(30mg/kg、i.v.)でイヌ(n=4)に麻酔をかけた。カフ付き気管内チューブで挿管した後、体積制限人工呼吸器(SN-480-3、株式会社シナノ製作所(日本、東京都)を用いて、酸素中0.5~1.5%のイソフルランでイヌに人工呼吸した。一回呼吸量及び呼吸数は、それぞれ20mL/kg及び15呼吸/分に設定した。四肢電極から表面II誘導心電図を得た。4つの臨床的に利用可能なカテーテル-シース(FAST-CATH(商標)、St.Jude Medical Daig Division,Inc.)を用い、2本を右大腿静脈に挿入し、残りの2本を下大静脈に向かって左大腿静脈に挿入した。右大腿動脈に留置針(Surflo(登録商標)18G、テルモ株式会社、日本、東京都)を据え、それによって動脈圧を測定した。
3セットの標準的な6フレンチの4極電極カテーテル(Cordis-Webster Inc.)を用いた。1つ目を、右大腿静脈を通して高位右房に配置して、洞結節領域を電気的にペーシングし、同時に右心房電位図を得た。2つ目を、osを介し食道に配置して、左心房電位図を記録した。3つ目を、左大腿静脈を通して右心房の心房中隔に配置して、下記のように発作性心房細動を電気的に誘発した。各カテーテルの最適部位を、遠位電極対からの双極心房電位図と心電図のP波との間の時間的関係によって決定した。標準的な4フレンチの4極電極カテーテル(401993、St.Jude Medical Daig Division,Inc.)を、右大腿静脈を通して右心室の心内膜に配置して、右心室を電気的に駆動した。
(D)電気生理学的変数の測定。洞結節領域又は右心室に据えたカテーテルのペーシング電極を通して、心臓刺激装置(SEC-3102、日本光電工業株式会社)で心臓を電気的に駆動した。刺激パルスは、矩形形状に設定し、振幅2~2.5V(閾値電圧の約2倍)及び持続時間1msからなった。心房間伝導時間(IACT)を、400ms(IACT(CL400))、300ms(IACT(CL300))、及び200ms(IACT(CL200))のペーシング周期長で測定した左右心房電位図の間の時間的位置の差として定義した。心房有効不応期(AERP)及び心室有効不応期(VERP)を、それぞれ洞結節領域及び右心室へのプログラム電気刺激で評価した。ペーシングプロトコルは、AERPについて400ms(AERP(CL400))、300ms(AERP(CL300))、及び200ms(AERP(CL200))、並びにVERPについて400ms(VERP(CL400))の周期長での5拍の基礎刺激、それに続く様々な連結期の期外刺激からなった。追加刺激がもはや応答を誘発できなくなるまで、連結期を5msの減衰で短縮した。AERP及びVERPを、刺激応答を誘起することができる最短の連結期として定義した。
(E)発作性心房細動の誘発。単離ユニット(SS-201J、日本光電工業株式会社)[2、3]を備えた刺激装置(SEN-7203、日本光電工業株式会社)を用い、カテーテルの遠位電極対を通して60ms(1,000bpm)の周期長で10秒間、心房中隔を電気的にペーシングした(=バーストペーシング)。心房細動を誘発するための刺激パルスは、矩形形状に設定し、振幅60V及び持続時間10msからなった。心房細動は、心電図上に不規則なベースラインをもたらす急速で不規則な心房調律の期間として定義した。心房細動の持続時間は、右心房電位図においてその誘発から終了まで測定したのに対し、心房細動の周期長は、左心房電位図を用いて決定した。
(F)実験プロトコル。左右の心房電位図、心電図、及び動脈圧を、ポリグラフシステム(RM-6000、日本光電工業株式会社)でモニターし、リアルタイム全自動データ解析システム(WinVAS3バージョン1.1R24、株式会社フィジオテック、日本、東京都)で解析した。IACT変数の各測定には、連続複合体の3回の記録の平均を採用した。電気薬理学的変数を以下の順序で評価した。1番目に、自発的な洞調律下で、左右の心房電位図、心電図、及び動脈圧を記録した。2番目に、洞結節領域を400ms、300ms、及び200msの周期長で電気的にペーシングして、IACTを測定した。3番目に、AERPを、400ms、300ms、及び200msの基本的なペーシング周期長で評価し、VERPを400msの基本的なペーシング周期長で測定した。4番目に、発作性心房細動をバーストペーシングのプロトコルによって誘発し、これを各時点で10回繰り返した。心房細動が心房粗動に変換されるか、又は>30秒に維持された場合、急速心房ペーシングによって終了し、その持続時間を30秒とみなした。
基本評価後、左大腿静脈に据えたカテーテルシースを通して、0.3mg/kgの低用量のポイエンダロン塩酸塩を30秒かけて静脈内注入し、投与開始から10分、20分、及び30分後に各変数を評価した(n=4)。次いで、3mg/kgの高用量のポイエンダロン塩酸塩を同じやり方で注入し、投与開始から10分、20分、30分、45分、及び60分後に各変数を観察した。
(G)ポイエンダロン塩酸塩及び薬物。ポイエンダロン塩酸塩を100%エタノールで20mg/mLの濃度に溶解して、0.3mg/15μL/kg及び3mg/150μL/kgの注射液を調製した。用いた他の薬物は、ペントバルビタールナトリウム(東京化成工業株式会社、日本、東京)、イソフルラン(イソフルラン吸入液、ファイザー株式会社、日本、東京都)、及びヘパリンカルシウム(カプロシン(登録商標)、沢井製薬株式会社、日本、大阪府)であった。
(H)統計分析。データを平均値±S.E.M.として提示する。パラメータ内の差は、一元配置反復測定分散分析(ANOVA)、続いて平均値比較のための事後検定としての対比により見積もった。p値<0.05を有意とみなした。
結果を図30、図31、図32、及び図33に示す。
結果
アミオダロン(図1A)は、重度の肺傷害性及び甲状腺傷害性に関係している。これは主に、分子中のヨウ素原子の存在、脂溶性、及び広範な組織蓄積に起因する。ドロネダロン(図1B)は、メタンスルホンアミド基の付加により組織蓄積がより低いために、前述の全身毒性がない、アミオダロンの非ヨウ素化類似体である。しかし、それは心不全を悪化させ、持続性のAF並びにNYHAクラスIII及びクラスIVの心不全の患者の死亡率を増加させる。これらの致命的な副作用により、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration:USFDA)は、その心臓有害作用について黒枠警告を発している。
残念ながら、別のアミオダロン類似体、セリバロンの臨床開発は、有効性が低いため中止されている。
アラキドン酸(AA)は、内因性ω-6多価不飽和脂肪酸であり、プロスタグランジン及びトロンボキサンなどの複数の生物学的に重要な脂質の前駆体として働く。AAは、主にシクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、及びCYP450の酵素類によって代謝される。肝外CYP2J2は、ヒト心臓で主に発現されるエポキシゲナーゼであり、AAを、4つの位置異性体の心保護性エポキシエイコサトリエン酸(EET)に代謝する(図2)。EET類は、それらの血管拡張活性、抗炎症活性、抗アポトーシス活性、及びイオンチャネル調節活性により、心臓の恒常性を維持するのに役立つ。EET類は、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)によってさらに代謝を受けて、それほど強力ではないジヒドロキシエイコサトリエン酸類(DHET)に変化する(図2)。心臓CYP2J2の変化及びそれに続くAA代謝の摂動は、心肥大の開始、持続、及び悪化の原因である。心不全には通常、肥大応答が先行するので、EETの摂動は、心肥大から心不全への悪化を加速する可能性がある。逆に、CYP2J2の心臓特異的大量発現は、心肥大における不整脈感受性、心不全における小胞体ストレス、及びEETの産生増加によるドキソルビシン誘発性心毒性などの複数の病理学的状態を緩和する。興味深いことに、CYP2J2の大量発現は、汎エポキシゲナーゼ阻害剤、MS-PPOHによって引き起こされるQT延長を軽減する。これによって、イオンチャネル調節因子としてのEETの役割がさらに重要視される。したがって、心臓AA代謝経路における摂動は、調節不全になった心臓の恒常性に現れる。
本発明者らは、アミオダロン及びドロネダロンが、ヒト心臓CYP2J2を、機序的不活性化(MBI)及び可逆的阻害によって阻害することを以前に報告した。本発明者らは、CYP2J2のMBIが、キノン-オキシム代謝産物によって仲立ちされることを解明した(図3)。CYP2J2のMBIを緩和するために、ドロネダロンの部位指定重水素化を試みた。重水素化は、分子中の少なくとも1つの水素原子が重水素で置換される化学的プロセスである。重水素は原子質量が大きいので、炭素-重水素(C-D)結合の開裂エネルギーは、炭素-水素(C-H)結合の開裂エネルギー(338.4 kJ/mol)よりも相対的に大きい(341.4 kJ/mol)。
本発明者らは重水素化実験を試みて、ある生成物を生成した。それは、
1.CYP2J2のMBI能力を低減させ、AA代謝摂動を低減させる。
2.ドロネダロンの薬物動態特性及び薬力学特性を保ち、その心室性不整脈誘発特性及び関係する心不全増悪を寛解させる。
本発明者らの研究の結果として、ベンゾフラン環の4位、6位、及び7位にドロネダロンの部位指定重水素化を含む生成物を、本発明者らは開発した(すなわちポイエンダロン、図4)。
ポイエンダロンは、その非重水素化類似体、ドロネダロンと同様の物理化学的特性、有効透過率、及び代謝半減期をもたらす。
ベンゾフラン環の4位、6位、及び7位の水素を重水素原子で置き換えることを除いて、ポイエンダロン(図4)及びドロネダロン(図1B)は構造的に同一である。予想されるように、重水素化は、ドロネダロンと比較して、ポイエンダロンの脂溶性(cLogP)、水溶解度、及び有効透過率を変化させない(表8)。これは、両方の薬物が、USFDAによって定義された生物薬剤学分類システム(Biopharmaceutical Classification System:BCS)の同じクラスに入る可能性があることを意味する。さらに、ポイエンダロンの代謝半減期(T1/2)はドロネダロンと同等である。これは、ポイエンダロンがドロネダロンの代謝安定性を保っていることを意味する。まとめると、本発明者らの知見は、ポイエンダロンによって、ドロネダロンの好ましい薬物動態特性が潜在的に保たれていることを示している。
CYP2J2のダウンレギュレーションが、心臓の拍動間隔を増加させており、CYP2J2阻害がドロネダロンの不整脈誘発作用を支持していることを確認する
4つの異なるsiRNA(表1)を用いて、ヒト心筋細胞(H7 CM)においてヒトCYP2J2をノックダウンした。全てのsiRNAはCYP2J2を有意にノックダウンし、siRNA1が最も有効であった(図6)。
4つのsiRNAを用いた心臓CYP2J2のノックダウンは、心筋細胞の個々のクラスタにおける拍動間隔を増加させた(図7)。拍動発生グラフに基づいて、対照心筋細胞の拍動は規則的であることが観察された(図8)。しかし、CYP2J2のノックダウン時には、心筋細胞の拍動は明らかに不規則であった。siRNAに関係するデータ点を組み合わせた場合、拍動間隔の増加は統計学的に有意であった(図9)。要約すると、これらの結果によって、心調律制御の維持におけるCYP2J2の中心的役割が強調され、ドロネダロンの不整脈誘発作用をCYP2J2阻害が支持することが確認される。
組換えヒトCYP2J2の機序的不活性化(MBI):ポイエンダロン<<ドロネダロン
本発明者らは以前に、ドロネダロン及びアミオダロンを、CYP2J2の強力な機序的不活性化剤として報告した。当業者に容易に明らかなように、酵素に対する薬物のMBI能力は基質依存性である。アステミゾールをプローブ基質として用いた本発明者らの予備研究では、ポイエンダロンは、CYP2J2のMBIの能力がドロネダロンと比較して62分の1であることが確認され(図10)、kinact/KI比として測定されたMBI能力が、それぞれ0.008min-1μM-1及び0.5min-1μM-1である。この知見は、重水素化キノン-オキシムは反応性が低いという本発明者らの仮定を裏付けている。さらに、ポイエンダロンは、効力がアミオダロンの9分の1である(データは示さず)。
ポイエンダロン、ドロネダロン、及びドロネダロンの他の2つの重水素化類似体のMBI能力をさらに検証するために、臨床的に関連するリバーロキサバンをプローブ基質として採用した。上記の事前のアステミゾール特異的MBIデータ(ポイエンダロンのかなり低いMBI能力を証明する)と一致して、ポイエンダロンについてリバーロキサバン特異的MBIを測定することはできなかった。具体的に、ポイエンダロン、ドロネダロン、化合物1、及び化合物2のMBI能力を表3にまとめる。注目すべきことに、ドロネダロンのみがCYP2J2の不活性化を示し(図11A、図11B)、一方、ポイエンダロンはCYP2J2のMBIを引き起こさなかった(図11C、図11D)。化合物2は、時間依存的及び濃度依存的にCYP2J2を不活性化したが(図12A、図12B)、化合物3は不活性化しなかった(図12C、図12D)。差別的に重水素化されたドロネダロンの類似体を用いて得られたこれらのMBIデータは、ベンゾフラン環の重水素化が、CYP2J2のMBIを緩和するために重要であることを証明している。
hiPSC-CMにおけるCYP2J2の阻害:ポイエンダロン<<ドロネダロン
hiPSC-心筋細胞(hiPSC-CM)は、電気生理学的に成体ヒト心筋細胞と同様である。hiPSC-CMは、その自発的拍動能により、確立された新規化合物の抗不整脈活性を調べるための望ましいモデルとなる。さらに、hiPSC-CMは、薬物のトルサード・ド・ポアンツ発症(torsadogenic)リスクを調査するための適切なモデルである。ここで、本発明者らは、CYP2J2がhiPSC-CMにおいて発現されるかどうか、及び本発明者らの試験薬物がhiPSC-CMにおいてCYP2J2を阻害するかどうかを調べた。
本発明者らの知る限りでは、本発明者らは、hiPSC-CMにおけるCYP2J2及びsEHの発現を実証する(図13A)初のグループである。この知見により、CYP2J2が、初代ヒト心筋細胞並びに心臓組織において高度に発現されるという確立された知識が裏付けられている。したがって、hiPSC-CMは、インビトロでCYP2J2の生物学的事象を調べるための、代謝関連の手段である。その手段を用いて、本発明者らは、CYP2J2が実際に活性であり、ドロネダロンによって強力に阻害される(98%阻害)が、アミオダロンによっては阻害されないことを実証した(図13B)。アミオダロンによるCYP2J2の阻害がないことは、初代ヒト心筋細胞を用いた以前の報告と一致している。重要なことは、ポイエンダロンにより、CYP2J2の阻害が有意に低いことである(50%阻害)(図13B)。
ポイエンダロンは、ドロネダロンよりも心筋細胞に対して有意に細胞傷害性が低い。
EETを用いた前処理がない場合、プロテアーゼ活性がおよそ150~200%増加し、H9c2細胞をドロネダロンで処理した場合に有意な細胞死を示した(図14A)。14,15-EETでのH9c2細胞の前処理がある場合、ビス-AAF-R110蛍光シグナルは濃度依存的に減少し、EETによる細胞傷害性の緩和が確認された。同様に、14,15-EETは、濃度依存的に、細胞内ATPレベルの減少を緩和した。
TMRM蛍光色素を用いてΔψの散逸を測定した。ドロネダロンは、Δψの強力な散逸を示した(IC50=0.5μM)。ここで、H9c2細胞を14,15-EETで前処理し、続いて5μMのドロネダロンで処理した。14,15-EETでの前処理について、Δψ散逸の濃度依存的緩和が観察された(図14A)。
H9c2細胞をドロネダロンに6時間曝露した後、蛍光シグナルが濃度依存的に増加し、H9c2細胞に対するドロネダロンの細胞傷害性(EC50=1.21μM)が確認された(図14B)。同時に、細胞内ATPレベルが、ドロネダロンによって誘発され、濃度依存的に減少した(IC50=3.10μM)(図14B)。ポイエンダロンは、H9c2細胞に対して有意に細胞傷害性が低い(EC50=27.63μM)。その結果、ポイエンダロンは、ドロネダロン(IC50=41.52μM)ほど強力にH9c2細胞のATPレベルを低減させない。したがって、ポイエンダロンは、治療用血漿濃度(サブμM)において、またその実験能力に基づき、心筋細胞の細胞傷害性を引き起こさないと予想される。
ポイエンダロンは、hiPSC-CMにおいて、ドロネダロン及びアミオダロンと同様のイオンチャネル遮断活性を示す。
HiPSC-CMは、無限に増殖し、かつ全ての主要な心臓イオンチャネル、ギャップ結合タンパク質、及びイオン交換体の発現により、培養中に自発的に拍動するという独特の利点を有する。したがって、多数の薬物を、それらのイオンチャネル阻害特性について試験することができる。従来のパッチクランプ法(図15A)とは異なり、本研究では、我々はMEAシステム(図15B)を用いて、心臓活動電位を反映する細胞外のフィールド電位持続時間(FPD)に対する薬物の「網羅的」作用を測定した。MEAの利点は単一の細胞ではなく細胞群のプロファイリングにあり、これによりバイアスを回避する。注目すべきことに、ポイエンダロンは、電気生理学的に関連したhiPSC-CM(図15B、図15C)の多電極アレイ(MEA)アッセイを用いた細胞外のフィールド電位持続時間(FPD)に対して、同様の濃度依存的作用を示す。
さらに、ポイエンダロン、ドロネダロン、及びアミオダロンは、パッチクランプ実験に基づいて、ヒト心臓Na1.5(図16、図17、及び図18)、Ca1.2(図19、図20、及び図21)、及びK11.1(図22、図23、及び図24)について同様の阻害能力を有することが示されている。これらの証拠により、ポイエンダロンの抗AF薬理が確認される。
ポイエンダロンは、hiPSC-CMにおいて、ドロネダロンと比較して不整脈誘発リスクが低い。
クラスIII抗不整脈薬は、心房性不整脈の治療に有効であるが、逆に、生命を脅かす心室性不整脈のリスクを増加させる可能性のあることが知られている。したがって、カリウムチャネル遮断薬の不整脈誘発作用と抗不整脈作用とを区別することが重要である。慣例上、hERG阻害及びQT延長は、薬物誘発性の不整脈誘発の指標として用いられる。具体的には、不安定性を伴うQT延長によって薬物誘発性の不整脈誘発を予測でき、一方、不安定性がない場合のQT延長は抗不整脈性である。不安定性は、拍動間変動(BBV)を測定することによって、hiPSC-CMにおいて評価することができる。BBVは、ポアンカレプロットを用いてグラフで視覚化することができる。ポアンカレプロットは、各R-R間隔又は拍動間の間隔(IBI)が、その先行する間隔に対してプロットされ、連続する間隔の間の相関を図解形式で表示するチャートである(図25)。対照及びポイエンダロンにおけるIBIは、楕円の重心の周りに集まり、長手方向軸に整列し、葉巻形状のプロットとして定義される(図25)。これは、拍動間の変動が最も少ないことを示している。しかし、ドロネダロンの場合には、IBIは楕円の重心に集まらず、プロットのいたる所に拡散する(図25)。
ポイエンダロンは、ドロネダロンと同様のインビボ血漿薬物動態を有する。
3.0mg/kgで投与したポイエンダロンとドロネダロンとの間で、同様の消失プロファイル(disposition profile)及び一次薬物動態パラメータ(クリアランス及び分布容積)が観察された。急性傷害性も致死もインビボで観察されなかった(図26)。
ポイエンダロンは、ドロネダロンと同様のシミュレートインビボ血漿薬物動態を有する。
ポイエンダロンのPKをより理解するために、PBPKモデルを構築した。各PBPKモデルへの入力のための正確なCLint値及びkinact/K値を導出することによって、各薬物の排出と予測される血漿濃度-時間プロファイルの時間依存性とが機構的に説明される。さらに、これらのインビトロのヒトのデータを生成することにより、予測されたプロファイルを、異なる対象集団に向けて可能な限り一般化することがさらに確実になる。
代謝安定性の研究。CYP3A4、CYP3A5、又はHLM反応混合物中に残存している基質の百分率は、インキュベーション時間が経時的に進行するにつれて単一指数関数的に減少した。ドロネダロンのT1/2及びkは、CYP3A4では16.73min及び0.04144min-1、CYP3A5では17.37min及び0.03989min-1、HLMでは10.75min及び0.06446min-1であった(それぞれ、図27A、図27C、図27E)。ポイエンダロンのT1/2及びkは、CYP3A4では7.551min及び0.0918min-1、CYP3A5では25.14min及び0.02757min-1、HLMでは10.71min及び0.06472min-1であった(それぞれ、図27B、図27D、図27F)。全ての酵素系にわたって、ドロネダロンについて得られたCLint値は、ポイエンダロンの値と同様であった(表6)。ポイエンダロンの実験のCLint値(CYP3A4:9.18μL/min/pmol、CYP3A5:2.757μL/min/pmol)は、ドロネダロンの値(CYP3A4:8.288μL/min/pmol、CYP3A5:3.989μL/min/pmol)と予想通り同様であった。これは、重水素化の部位が、ドロネダロンにおける代謝の主要部位(N-ブチル鎖)から離れているためである。加えて、ドロネダロンの実験のCLint値は、同様の実験設定を用いてHongらによって報告された値(CYP3A4:6.442μL/min/pmol、CYP3A5:2.604μL/min/pmol)10と同様であり、PBPKモデリングに用いられるそれらの妥当性を裏付けている。
CYP3A4、CYP3A5、CYP2J2の時間依存的及び濃度依存的な不活性化。ドロネダロン及びポイエンダロンは、リバーロキサバンをプローブ基質として、時間依存的及び濃度依存的にCYP3A4及びCYP3A5を不活性化した(表6)。不活性化の濃度依存性は、不活性化剤の様々な濃度レベルから計算されたkobsの飽和反応速度に見ることができ、不活性化剤濃度が増加するにつれて、不活性化の最大速度に近づいた。ドロネダロン及びポイエンダロンは、CYP3A5については同様のkinact/K値を有していたが、CYP3A4については、ポイエンダロンのkinact/K値がドロネダロンのkinact/K値よりも高かった(2.4倍の差)(表6)。
PBPKモデルの開発及び検証。本発明者らのPBPKモデルによって、静脈内及び単回経口の投与だけでなく、複数回経口投与についてもドロネダロンの臨床データを特徴づけることに成功し(図28)、複数回経口投与では、絶食状態では約12%の誤差以内、摂食状態では約34%の誤差以内にAUCが再現されている。予測PKパラメータを、関連した成功基準に基づく臨床データと比較した。MBIの作用がシミュレートされない場合(図29C、図29D)、シミュレートされた複数回経口投与データの臨床データ(図29A、図29B)への満足のいくフィッティングは失われることに留意することも興味深い。これにより、ドロネダロンの時間依存的PKをうまく予測するためには、正確なMBIデータをPBPKモデリングに統合することが重要であることが強調されている。
ドロネダロン及びポイエンダロンは、CYP3A5に対して同様のMBI能力を生じるが(それぞれ0.00634μM-1min-1及び0.00793μM-1min-1、表6)、CYP3A4についてはそれほどではない(それぞれ0.00505μM-1min-1及び0.0123μM-1min-1、表6)。CYP3A4は、CYP3A5と比較して、ドロネダロンの主要な代謝酵素である。このことは、ポイエンダロンの代謝ホットスポットは重水素化されていないので、ポイエンダロンにも当てはまる可能性がある。まとめると、本発明者らは、ポイエンダロンはその重要な代謝酵素に対してより強力なMBI作用を有し、結果としてCYP3A4のより大きな自己阻害となり、したがって結果的により高い全身曝露をもたらすと推論する。しかし、リードアクロスPBPKモデリングに基づくと、シミュレートしたポイエンダロンの複数回経口投与は、ドロネダロンのものとわずかしか異ならなかった。実際、ドロネダロンの通常用量が食物と一緒の1日2回400mgであると仮定すれば、ポイエンダロンがドロネダロンと同じ能力を有するとすると、ポイエンダロンについては、用量調整は要求されないと思われる。
ここで、この知見により、検証されたドロネダロンのPBPKモデルに基づいたポイエンダロンの臨床PKプロファイルを予測するための、リードアクロスPBPKモデリングの実験的フレームワークが初めて実証された。ポイエンダロンの拡張全身曝露に基づき、かつドロネダロンと同等の曝露-有効性関係を仮定することにより、続いて、ポイエンダロンのファースト・イン・ヒューマン治験のために投薬レジメンを計画することができる。
ポイエンダロンは潜在的な抗心房細動作用を保っている
ドロネダロン及びアミオダロンと同様に、ポイエンダロンは、AERP及びVERPの両方を延長し、1.8~2.7倍高い心房選択性をもたらす(表9)。これにより、心房性不整脈に対するその潜在的な臨床的有効性が強調される。
ポイエンダロンは、ドロネダロンに関係する潜在的な不整脈誘発作用を回避する
ポイエンダロンは、終末再分極期(ΔTRP)に対するその作用が最も低いことに基づき、リエントリー性心室性不整脈のリスクが最も低いことを示している。早期再分極延長(ΔJ-Tpeakc)がないこと、及び後期再分極期(ΔTpeak-Tend)の延長が最小であることにより、ポイエンダロンに関係するトルサード・ド・ポアンツのリスクが潜在的に低いことが強調される(表10)。
ポイエンダロンは、発作性AFイヌモデルにおいて、抗心房細動薬として好ましい心房電気薬理学的特性を有する
実験期間中に、死亡につながる致死的な心室性不整脈又は血行動態の崩壊を示した動物はいなかった。
洞房拍動数及び平均血圧に対する作用。洞房拍動数及び平均血圧の変化の経時変化を図30にまとめる。それらの薬物投与前の基本対照値(C)は、それぞれ96±12bpm及び83±12mmHgであった。0.3mg/kgの低用量並びに3mg/kgの高用量は、これらの変数のいずれもほとんど変化させなかった。
IACTに対する作用。IACTの変化の経時変化を図31にまとめる。IACT(CL400)、IACT(CL300)、及びIACT(CL200)の薬物投与前の基本対照値(C)は、それぞれ44±2ms、47±1ms、及び55±2msであった。低用量では、ペーシング周期長のいずれにおいてもこれらのIACT値は変化しなかった。高用量では、10分及び30~60分のIACT(CL400)、10分のIACT(CL300)、及び10~60分のIACT(CL200)が延長した。
AERP及びVERPに対する作用。AERP及びVERPの変化の経時変化を図31にまとめる。AERP(CL400)、AERP(CL300)、AERP(CL200)、及びVERP(CL400)の薬物投与前の基本対照値(C)は、それぞれ150±11ms、145±12ms、139±14ms、及び233±6msであった。低用量では20分のAERP(CL400)が延長したが、他の変数では有意な変化は検出されなかった。高用量では、10~60分のAERP(CL400)及びAERP(CL300)が延長したのに対し、AERP(CL200)又はVERP(CL400)に有意な変化は検出されなかった。
心房細動の持続時間及び周期長に対する作用。バーストペーシングの間及び後の左右の心房電位図、心電図、及び動脈圧の典型的な追跡グラフを図32に表し、心房細動の持続時間及び周期長の変化の時間推移を図33にまとめる。それらの薬物投与前の基本対照値(C)は、それぞれ4.0±0.9s及び155±15msであった。低用量では、これらの変数は変化しなかった。高用量では、10~60分間の持続時間が短縮したのに対し、周期長は延長される傾向にあったが、これは統計学的有意性には至らなかった。
要約すると、ポイエンダロンは、イヌにおいて発作性心房細動に対する心房選択的な抗心房細動作用を有する。
要約
本発明者らの説得力のあるインビトロ及びインビボの証拠によって、部位指定重水素化が、ドロネダロンなどのベンゾフラン由来抗不整脈薬の安全性及び有効性を最適化するための実行可能な戦略であることが確認される。
部位特異的重水素化化合物、ポイエンダロンは、以下を示す。
・ドロネダロンと同様の物理化学的な透過率及び代謝安定性、
・ドロネダロンと同等の心臓イオンチャネル遮断活性、
・ドロネダロンと同様の好ましい薬物動態、及び
・ドロネダロンと同等のインビボ抗心房細動の選択性及び活性。
さらに、ドロネダロンとは異なり、部位特異的重水素化化合物、ポイエンダロンは、以下を引き起こさない。
・ヒト心臓CYP2J2の不活性化、
・心筋細胞におけるミトコンドリア機能不全(代わりに、より安全な細胞傷害性/ATP枯渇プロファイルをもたらし、これはドロネダロンと比較して心毒性リスクが低減することを意味する)、
・hiPSC-CM中のBBV、及び
・インビボでの潜在的な心不整脈誘発リスク。
したがって、部位特異的重水素化ベンゾフラン由来の抗不整脈薬、特にポイエンダロンは、AFの治療のための実行可能な価値ある化合物である。
Figure 2022541739000011
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Figure 2022541739000022
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Claims (17)

  1. 式(I)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩:
    Figure 2022541739000023
    式(I)
    式中、
    、R、及びRはそれぞれ重水素を表し、
    nは2又は3を表し、
    各Rは、独立して、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヒドロキシル基、ケトン基、又はアルデヒド基の1つ又は複数で置換されていてもよいC1-6ヒドロカルビル基を表し、
    は水素又は
    Figure 2022541739000024
    を表し、
    各Rは、独立して、水素又はハロゲンを表し、
    ただし、重水素として規定されていない各原子はその天然の同位体存在量で存在し、重水素として規定されている各位置は少なくとも45%の重水素の取込みを有する。
  2. 重水素として規定されている各位置が、少なくとも90%の重水素の取込みを有する、請求項1に記載の化合物。
  3. 重水素として規定されている各位置が、100%の重水素の取込みを有する、請求項2に記載の化合物。
  4. 各RがC1-6アルキル鎖を表す、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。

  5. Figure 2022541739000025
    を表す、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
  6. 各Rが水素を表す、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
  7. 前記化合物が、式(II)の化合物又は医薬的に許容されるその塩である、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
    Figure 2022541739000026
    式(II)
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の化合物と、医薬的に許容される賦形剤又は担体とを含む医薬組成物。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は医薬に使用するための組成物。
  10. 心疾患の治療に使用するための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
  11. 前記心疾患が心不整脈である、請求項10に記載の化合物。
  12. 前記心不整脈が心房細動である、請求項11に記載の化合物。
  13. 心疾患の治療方法であって、前記方法は、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩形態を投与することを含む、治療方法。
  14. 前記心疾患が心不整脈である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記心不整脈が心房細動である、請求項14に記載の方法。
  16. 心疾患を治療するための医薬品の製造に使用するための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
  17. 式(III)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩:
    Figure 2022541739000027
    式(III)
    式中、各Rは重水素を表す。
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