JP2022539801A - 生物学的材料を貯蔵するための方法および装置 - Google Patents

生物学的材料を貯蔵するための方法および装置 Download PDF

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Abstract

方法および装置は、低温および高圧を使用して、水および水溶液の凍結温度および融解温度を降下させ、生物学的材料、可溶性分子、有機化合物、および無機化合物を含むがこれらに限定されない材料において、仮死状態を誘発する。そのような材料を圧力容器に入れ、圧力を約210MPaに上昇させることにより、水、生命物体、および水溶液内の材料の凍結温度および融解温度が、約-22℃に降下する。高圧下における低温での貯蔵により、代謝活性が停止し、クライオスタシスが誘発される。方法および装置は、凍結またはガラス化することができないか、または他のやり方で保存することができない細胞、組織、移植用のヒト臓器、および有機体全体を含むがこれらに限定されない生物学的材料を、クライオバンキングするために使用されてよい。

Description

関連出願
本出願は、2019年7月5日出願の米国特許出願第16/501,918号の出願日の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の分野は、凍結によって損傷する繊細な材料の長期的な保存および貯蔵である。より詳細には、本発明は、高い圧力を加えて-22℃までの低温における凍結を防ぐことにより、水溶液および生物学的材料などの繊細な材料を、その凍結温度未満で長期的に保存および貯蔵することに関する。
組織または臓器の保存において、現況技術は、体温での、または4℃以上の低体温法の範囲内での灌流および貯蔵を必要とする。これらの方法は、数日間にわたる臓器の保存および搬送には有効であるが、長期的な(すなわち複数週間、複数ヶ月間、複数年間の)バイオバンキングには適さない。移植可能な臓器の必要性は高まっており、数え切れない人々が、臓器移植を待ちながら毎年亡くなっている。この状況は、搬送中の臓器の保存状態をよくすることにより、部分的に改善できるが、このような進歩は徐々にしか得られない。異種移植用臓器の3D印刷、生育、および遺伝子組み換え/免疫修飾のための再生技術が実現されると、移植可能な臓器の必要性は、新たな困難を呈することになる。これらの供給源から得た臓器を、移植に必要になるまで貯蔵することが必要になる。なぜなら、臓器の製造に使用される工程には時間がかかり、急を要する患者にはその時間がないからである。さらに、個人が、将来必要になったときのために自らの臓器/組織一式を生成および保存してもらいたいと望む場合がある。
分子、細胞、および有機体に対する、周囲温度における圧力の影響が研究されており、超高圧でも生存が可能であるという結果が示されている。一部の細胞および有機体は、ほぼ絶対零度の温度でまたは大気圏外において生存可能であり続けることができる。半世紀以上にわたって、研究者らは、長期保存の手段として臓器を凍結またはガラス化する方法の開発を試みている。すべての試みが失敗に終わっている。生物学的物体ならびに他の有機および無機の水性材料を長期保存することが依然として必要とされている。
本発明の一態様は、水、有機および無機の水性材料/物質/媒体、水性懸濁液内の材料、水溶液、水性混合物、水性コロイド、水性材料、生物学的材料、生物製剤、および生物由来材料を含むがこれらに限定されないものを、圧力を上昇させることにより、周囲圧におけるそれらの凍結温度未満、すなわち融解温度未満の温度で貯蔵/保存するための方法に関する。圧力容器内で、上記材料のいずれかまたはすべてに加えられる圧力を上昇させることにより、それらの凍結すなわち溶解の温度(点)が降下する。上記材料が凍結またはガラス化し得ない貯蔵温度範囲は、-0.001℃~-21.985℃にわたる。上記材料の融解点、すなわち凝固点(freezing point)は、周囲圧~209.9MPaすなわち約210MPaの圧力範囲にわたる圧力によって、降下する。そのような生物学的材料は、有機分子、分子錯体、核酸、糖類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素、オルガネラ、オルガノイド、細胞、組織、臓器、および有機体を含んでもよいが、これらに限定されない。
様々な実施形態では、方法は、水性材料を圧力下で貯蔵して、固体への相転移を防止し、それを安定した液体状態に、または準安定な過冷却の液体状態に維持することを含み、貯蔵される材料は、水または水溶液中に無機溶質を含む水、または貯蔵される材料は、水溶液中に有機溶質を含む水、または貯蔵される材料は、水溶液中に有機および無機の溶質を含む水、または貯蔵される材料は、水および有機材料の混合物、または貯蔵される材料は、コロイドを含む水、または貯蔵される材料は、有機および/または無機の材料のいずれかまたは両方との混合物中の水、または貯蔵される材料は、生物学的材料との混合物中の水、または貯蔵される材料は、生物学的材料が存在しているかつ/または懸濁している水、または貯蔵される材料は、有機および/または無機の溶質を含み、生物学的材料が存在しているかつ/または懸濁している水、または貯蔵される材料は、有機および/または無機の溶質およびコロイドを含み、生物学的材料が存在しているかつ/または懸濁している水、または貯蔵される材料は、有機および/または無機の化合物との混合物中にあり、有機および/または無機の両方の溶質、コロイドを含み、生物学的材料が存在しているかつ/または懸濁している水である。
一実施形態において、本発明は、有機および無機の水性材料/物質/媒体、水性懸濁液内の材料、水溶液、水性混合物、水性コロイド、水性材料、生物学的材料、および生物由来材料であるがこれらに限定されないものの過冷却温度(点)を、材料/物質に加えられる圧力を上昇させることにより、周囲圧におけるそれらの凍結温度、すなわち融解温度未満の温度に降下させ、所与の圧力におけるそれらの凝固点/融解点未満の温度に冷却するための方法を提供する。したがって、材料/物質を過冷却し、-0.001℃~-92℃の範囲にわたって準安定な液体状態に維持することができる。過冷却は、周囲圧から209.9MPaの圧力範囲にわたって生じる。貯蔵温度が、圧力により降下する(圧力により決まる)材料の凝固点/融解点未満の場合には、貯蔵される材料は過冷却される。生物学的材料は、有機分子および分子錯体、核酸、糖類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素、生物製剤、オルガネラ、オルガノイド、細胞、組織、臓器、および有機体であってよいが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明は、保存媒体および保存される材料に溶質を添加することにより、材料の凍結温度をさらに低下させることによって材料の凝固点を下げるための方法を提供し、その結果、添加される溶質1モル当たり1.86℃、またはその分率もしくは倍率のさらなる凝固点降下を生じさせ、ここで凝固点は、添加される溶質の1モル当たり1.86℃低下するか、またはモル分率当たり1.86℃の分率だけ低下する。
一実施形態において、本発明は、水溶液、混合物、コロイド、またはそれらの組合せに、1つまたは複数の溶質1モルまたはそのモル分率を添加することにより束一的特性を調整して、水性媒体の凍結温度をさらに低下させることにより、本明細書に記載の条件下で水性媒体の凝固点を降下させるための方法を提供する。氷阻害または氷結合により付加的な凝固点降下をもたらし、それにより氷晶成長を防止、阻害、制御、および/または分離する不凍タンパク質、不凍糖類、氷結合ペプチド、および他の非束一的作用剤を含むがこれらに限定されない非束一的物質を添加することにより、さらなる凝固点降下が達成されてよい。媒体は、有機分子および分子錯体、核酸、糖類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素、生物製剤、オルガネラ、オルガノイド、細胞、組織、有機体を含むがこれらに限定されない生物学的材料を含んでいても含んでいなくてもよい。様々な実施形態において、不凍タンパク質は、たとえばミールワームビートル(テネブリオモリトール(Tenebrio molitor))、南極魚(タイプI、タイプIII)、またはホソムギ(ペレニアルライグラス(Lolium perenne))由来のものであってよい。
本発明の別の態様は、生物学的材料を貯蔵するための方法であって、圧力容器に生物学的材料を入れることと、圧力容器を駆動液で満たすことと、圧力容器から空気を抜き、圧力容器を封止することと、圧力発生器を使用して駆動液にかかる圧力を上昇させ、圧力容器の内側の温度を0℃未満に低下させることとを含み、圧力発生器を使用して、選択された温度において、選択された圧力が駆動液に加えられ、それにより圧力容器内の駆動液が、安定した液体状態で維持され、選択された圧力を駆動液に加えることにより、0℃未満の貯蔵温度における生物学的材料の凍結が防止される、方法に関する。
一実施形態では、生物学的材料を、保存液とともに試料袋に入れることと、試料袋から空気を抜くことと、試料袋を封止することとをさらに含み、保存液および駆動液が、安定した液体状態に維持される。
一実施形態において、温度を低下させ、圧力を上昇させることは、圧力を周囲条件から、200psig(1.4MPa)ずつ1000psig/分(6.9MPa)で、約30000psig(210MPa)まで上昇させ、温度を周囲条件から約-22℃に低下させることを含む。
一実施形態において、生物学的材料は、有機分子、分子錯体、核酸、糖類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素、オルガネラ、オルガノイド、細胞、組織、臓器、有機体、および水溶液のうちの1つまたは複数を含む。
一実施形態において、保存溶液は、水と、生物学的材料、可溶性分子、有機および/または無機の化合物、水性懸濁液内の材料、水溶液、水性混合物、水性コロイド、水性材料、ならびに生体由来材料のうちの1つまたは複数とを含む。
一実施形態において、生物学的材料は、細胞、組織、臓器、または有機体全体を含む。
一実施形態において、貯蔵温度は、約-22℃である。
一実施形態において、貯蔵温度において加えられる圧力は、約30000psi(210MPa)である。
一実施形態において、貯蔵温度および加えられる圧力により、細胞を準安定な過冷却の液体状態に維持することによって、凍結および細胞損傷が防止される。
一実施形態において、保存溶液は溶質を含む。溶質は、不凍タンパク質、氷結合タンパク質、不凍糖類、氷結合糖類、氷結合ペプチド、および他の非束一的作用剤のうちの1つまたは複数を含む。溶質は、氷晶成長を防止、阻害、制御、または分離し、かつ/または氷の核形成を防止する。
一実施形態において、駆動液は、プロピレングリコール、またはエチレングリコール、油、石油、魚油、鉱油、植物油、水、海水、およびこれらの任意の組合せを含む。
一実施形態において、選択された貯蔵温度は、約-5℃~約-22℃である。
本発明の別の態様は、生物学的材料を貯蔵するための装置であって、駆動液を収容するためのリザーバと、生物学的材料を受けるように構成された内部ウェルを有する圧力容器であって、リザーバから駆動液を受け取るためにリザーバに動作可能に接続された圧力容器と、圧力容器およびリザーバに動作可能に接続された圧力発生器であって、駆動液に圧力を加える圧力発生器と、圧力容器内の駆動液の圧力を示す圧力トランスデューサと、圧力容器の温度を検知する温度センサと、約0℃未満の、制御された圧力容器内部温度をもたらすように構成された冷却機器とを備え、約0℃未満の選択された圧力容器温度において、圧力発生器が、選択された圧力を駆動液に加えて、圧力容器内の駆動液を安定した液体状態で維持する、装置に関する。
一実施形態において、装置は、圧力トランスデューサ、温度センサ、圧力発生器、および冷却機器のうちの1つまたは複数からデータを取得するデータ取得システム(DAQ)をさらに備える。
一実施形態において、装置は、圧力トランスデューサ、温度センサ、圧力発生器、および冷却機器のうちの1つまたは複数に動作可能に接続されたコントローラをさらに備え、コントローラは、選択された圧力容器内部温度、および圧力容器内の駆動液に加えられる選択された圧力のうちの少なくとも1つを、監視および維持する。
一実施形態において、圧力発生器は自動化されており、コントローラによって機械的、電気的、空気圧的、または液圧的に駆動される。
一実施形態において、冷却機器はヒータをさらに備える。ヒータは、温度センサおよび温度コントローラを備える。
一実施形態において、冷却機器は、比例・積分・微分(PID)制御を含む。
一実施形態において、装置は蒸発器をさらに備える。
一実施形態において、装置は、閉じられたときに装置からの圧力容器の隔離および取外しを可能にする少なくとも1つの弁をさらに備え、圧力容器は、装置から取り外されたときに、駆動液の加えられた圧力を維持する。
本発明の別の態様は、生物学的材料を貯蔵するための圧力容器であって、第1の部分を含む空洞と生物学的材料および駆動液を受ける試料ウェルとを有しているハウジングであって、ハウジングの第1の部分が、ハウジングの外部まで開口しているオーバフローチャネルを含む、ハウジングと、ハウジングの第1の部分に係合するように構成された第1の部分を含む蓋であって、ハウジング内での蓋の位置が、第1の位置から閉位置までの範囲にわたって調整可能であり、蓋が、ハウジングの試料ウェルに部分的に嵌まるように構成された第2の部分を含み、蓋の第1の部分が、外部機器と相互連結するように構成されたポートを含み、蓋が、ポートと試料ウェルとの間で、蓋を通して駆動液を導くように構成された駆動液チャネルを含む、蓋とを備え、蓋を調整して閉位置にすることにより、過剰な駆動液が、ポートおよびオーバフローチャネルを介して試料ウェルから排出され、蓋の第2の部分が試料ウェルを封止し、圧力容器が、試料ウェル内の駆動液の、少なくとも約30000psi(210MPa)の内圧を維持するように構成された、圧力容器に関する。
一実施形態において、圧力は、外部機器によりポートを介して、試料ウェル内の駆動液に加えられる。
一実施形態において、圧力容器は、ポートと外部機器との間に配置された少なくとも1つの弁をさらに備え、少なくとも1つの弁は、閉じられたときに、圧力容器を外部機器から隔離し、試料ウェルの内圧を維持する。
一実施形態において、オーバフローチャネルは、温度センサを受けるように構成されている。
本発明の別の態様は、生物学的材料を凍結させることなく0℃未満の温度で貯蔵するための装置に関する。様々な実施形態において、装置は、圧力容器を収容したチャンバ内の流体、または圧力容器の壁にあるか圧力容器の外側に取り付けられた一連の回路を通って流れる流体を、加圧中または加圧後に冷却および/または加熱するための冷却/加熱システムを含み、減圧中または減圧後に圧力容器を加温している間に、流体を加温し、以下のうちの1つまたは複数に該当する。つまり、ここで冷却器およびヒータは、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される別々の構成要素である、ここで冷却器およびヒータは、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される1つの構成要素に一体化されている、ここで冷却器は、加熱のために逆サイクルを使用し、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで冷却器および/またはヒータは、ピストン式の圧縮器、蒸発器、および凝縮器を使用する、ここで冷却器および/またはヒータは、往復ピストン式の圧縮器、蒸発器、および凝縮器を使用し、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで冷却器/ヒータは、熱電式であり、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで冷却器/ヒータは、スターリング冷却器、スターリングパルスチューブクーラ、および/またはヒータであり、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで冷却器/ヒータは、音波または超音波式の機器であり、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで冷却器は、気化冷却(たとえば、液体窒素、ドライアイス)によって動作し、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで加熱および冷却は、放射作用によるものであり、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで加熱および冷却は、対流によるものであり、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで加熱および冷却は、誘導によるものであり、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで加熱のために抵抗が使用され、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される、ここで加熱および/または冷却のためにレーザまたはメーザが使用され、手動、電気、電子、またはコンピュータのいずれかによって制御される。
様々な実施形態において、装置は、その動作を開始および/または維持、または停止するための、かつシステム内の環境を全体としておよびその構成要素として、設定および/または調整するための制御部、制御部のセット、1つもしくは複数の制御システム、またはコントローラを含む。様々な実施形態において、圧力容器内の温度は、温度コントローラを有する冷却システムによって冷却または維持することができ、圧力容器内の温度は、別個のコントローラを使用して加熱システムによって加温または維持することができる。様々な実施形態において、冷却用のコントローラおよび加温用のコントローラは、同時に動作してよく、または冷却中および加温中に温度を制御するために、単一の温度コントローラが使用されてよく、ここで冷却中に使用される温度コントローラは、温度変化の速度を制御することができ、ここで加温中に使用される温度コントローラは、温度変化の速度を制御することができる。一実施形態では、冷却および加温と、冷却および加温の速度とを制御するために、単一のコントローラが使用されてよい。一実施形態では、加圧速度を制御するため、または急加圧する(pressurize ballistically)ための加圧中に、別個のコントローラが使用されてよい。一実施形態では、減圧速度を制御するため、または急減圧するための加圧中に、コントローラが使用されてよい。一実施形態では、加圧および減圧と、加圧および減圧の速度とを制御するために、単一のコントローラが使用されてよい。一実施形態では、加温中および冷却中の温度と、その速度とを制御するために、単一のコントローラが使用されてよく、この単一のコントローラは、加圧および減圧と、その速度とを制御することもできる。圧力用と温度用の両方または個々の前述の制御機器のいずれかまたはすべては、機械式、電気式、電子式、またはコンピュータであってよい。そのような制御機器のいずれかまたはすべては、温度と圧力のいずれかまたは両方について、設定値、変更速度、および/または設定値における期間による制御を実施することができる。コントローラは、冷却器および/または圧力容器の内側の現在温度をコントローラに提供する温度センサを有していてよい。コントローラは、圧力容器、配管システムもしくはその一部分の内側の現在圧力をコントローラに提供する圧力センサ、トランスデューサ、および/またはゲージを有していてよい。
一実施形態では、装置は、冷却器/ヒータの内側、圧力容器の内側、圧力容器の壁の内側、または圧力容器の表面からの温度を、リアルタイムで読取りおよび/または記録することにより、温度を監視する機器を提供する。アナログまたはデジタルの温度読取り値は、ある間隔で自動的に、またはある間隔で手動により取得されてよく、読取り値は、手動、機械、電気、電子、またはコンピュータによって記録されてよい。温度読取り値は、温度計、サーミスタ、抵抗温度装置(RTD:Resistance Thermal Device)、熱電対、赤外センサ、赤外カメラ、高温計、スプリング温度計、カラム温度計内の液体などのセンサ、または任意の他の機械センサ、化学センサ、液晶センサ、電気センサ、または電子センサによって提供される。上に列挙したいずれかおよび/またはすべての温度センサからのデータは、上記の実施形態のコントローラおよび制御部のための入力温度情報として使用されてよい。
一実施形態では、装置は、圧力容器の内側の圧力、および/または圧力発生器内もしくは圧力発生器からの圧力、および/または一部もしくはすべての配管システムの内側の圧力を読取りおよび/または記録することにより、圧力を監視する機器を提供する。圧力読取り値は、圧力トランスデューサ、アナログ圧力ゲージから生成され、アナログおよび/またはデジタルのゲージにリアルタイムで表示される。圧力ゲージまたは圧力トランスデューサからのデータは、機械により、電気により、電子により、またはコンピュータを使用して、記録されてよい。上に列挙したいずれかおよび/またはすべての圧力センサからのデータは、上記の実施形態のコントローラおよび制御部のための圧力情報として使用されてよい。
本発明の理解を深め、本発明をどのように実施できるかをより明確に示すために、ここで例として添付図面を参照する。
図1は、水が安定した液体状態にある最低温度およびそれに対応した圧力(「A」で示す)を含む、水が安定した液体状態を維持する圧力/温度の値を示す状態図である。 図2は、生物学的材料を保存するための装置の一実施形態を示す。 図3は、長期保存中に生物学的材料を収容しておくための圧力容器の一実施形態の拡大図を示す。 図4A~図4Eは、一実施形態による、圧力容器の組み立てを示す概略図である。 図5Aおよび図5Bは、一実施形態による、生物学的材料を貯蔵した場合と、生物学的材料を貯蔵から回復させた場合との圧力および温度の曲線をそれぞれ示すプロットである。
定義
本明細書において使用する「スタシス(stasis)」または「クライオスタシス(cryostasis)」は、代謝活性および分子活性が停止した状態を表すために使用される。クライオスタシスは、より詳細には、本明細書に記載の零下℃の温度および圧力の範囲に関する。
「仮死状態」は、上述したのと同様の不活性状態に関する。
「材料」、「物質」、「物体」は、本明細書において交換可能に使用される用語である。これらの用語は、長期間にわたる保存が困難な生物学的成分または無機成分のいずれかを指す。
「生物学的材料」とは、炭素含有の生命物体もしくは以前に生存可能であった物体またはそれらの構成要素のことを指し、分子、タンパク質、細胞、オルガネラ、オルガノイド、組織、臓器、有機体を含むがこれらに限定されない。
「水性材料」は、水に溶ける、または水に懸濁する、または水を含む任意の有機物体または無機物体を表す汎用的な用語である。
「零下」温度は、0℃未満の任意の温度における貯蔵に関して使用される。
「バンキング」または「バイオバンキング」は、生物学的材料または無機材料のいずれかの長期的な保存および貯蔵に該当する。
「貯蔵」および「保存」は、本明細書全体を通して交換可能に使用される用語であり、材料をクライオスタシスで保存および維持することを指す。
本明細書において使用される「およそ」という用語は、これに続く数字がおおよその数字であり、記載された厳密な数字に限定されないことを指す。
単数形「a」、「an」、および「the」は、別段に明記されない限り、複数の参照物を含む。
「流体」とは、明示的な記載のない限り、気体、液体、またはこれらの組合せのことを指す。
「過冷却」または「過冷」とは、水の融解温度0℃および大気圧を下回った、水の準安定状態のことを指す。
水の融解(凍結)温度の「束一的」降下は、溶液中の分子数によって定義される。水1リットルに溶解された1モルの溶質により、1.86℃の融点降下が得られる。
水の融解(凍結)温度の「非束一的」降下は、氷晶成長を防止、阻害、制御、および/または分離する氷阻害剤または氷結合剤によって実現される。
本発明に関する「長期」とは、明示的な記載のない限り、複数日、複数週、複数月、および複数年のうちの任意の期間のことを指す。
「凝固点降下」(FPD)とは、水の融解(凍結)温度を0℃未満に低下させることを指す。これは、本明細書において説明するように、圧力上昇、過冷却、および/または束一的もしくは非束一的な作用物質の添加によって実現可能である。
本明細書において使用する、ウィスコンシン大学溶液としても知られている用語「UW(登録商標)液」とは、保存溶液のことを指す(Southard, J.H. et al.,, Transplantation Reviews 7(4): 176-190, 1993)。
実施形態
低温損傷(cryoinjury)および/または凍結に弱い水性の物質および生物学的材料の保存は、ジレンマに陥ってきた。一部の分子(たとえば、DNA)、細胞(たとえば、ウシ精子)、および有機体(たとえば、クマムシ、ブラインシュリンプ)は、何年にもわたって順調に凍結保存が可能である。しかし、ほとんどの生物学的物質(たとえば、哺乳類の臓器)は、凍結または長期貯蔵を生き延びることができない。この理由は様々であり、比較的よく判っている。たとえば、液体から固体(氷Ih相)への水の相変化中に、およそ9%の体積増大により、膜、細胞、および分子機構への物理的損傷が生じる。この損傷は、浸透圧が不均衡になった結果引き起こされる細胞の脱水、および解凍工程中の氷の再結晶化によって悪化する。ヒトの臓器など、その表面積よりも数値的に(無次元の)大きい体積を有する生物学的物質にとって、急速で均一な凍結速度を達成することは、不可能ではないにしても困難である。このような場合には、凍結は外側から急速に始まり、その後内部が凍結するときに、内部が膨張して外側の層を破断し、したがって物理的損傷が生じる。本明細書に記載の実施形態は、液体と固体との間での相変化に伴う内在的な問題を、相変化を防ぐことにより回避することを目的とする。本明細書に記載の装置および方法は、相変化を防ぐために考案されており、ここで水および水性物質は、圧力上昇により、大気圧におけるそれらの融解点未満の温度において、安定な液体状態で長期間にわたって維持されることが可能である。
本明細書に記載の実施形態は、臓器および他の生物学的材料の長期の貯蔵および保存の必要性に対処する。また、本明細書に記載の実施形態は、以下に限定されないが、有機分子、タンパク質、オルガネラ、オルガノイド、細胞、組織、臓器、生物製剤、医薬品の長期保存に好適であり、初期研究では、本明細書に記載の実施形態を使用して有機体全体を仮死状態で貯蔵することができ、場合によっては恒星間旅行を容易にし得ることが示されている。一部の分子、細胞、および有機体までもが、極限環境条件に耐えられることが記録されている。
本明細書に記載の実施形態は、圧力上昇を用いて水および/または水性物質の凍結/融解の温度を降下させて、水性物質を低温で保存するための方法を提供する。実施形態によれば、保存/貯蔵に用いられる低温範囲にわたって圧力発生器を使用して、水性物質、生物学的材料などに圧力を加える。初期の用途は、ヒトの移植用臓器の長期貯蔵、バイオバンキングである。実施形態は、本明細書に記載の方法により生物学的材料を貯蔵するための装置を提供する。
本明細書に記載の実施形態の目的は、ヒトの臓器などの生物学的材料の長期保存という問題への解決策を提供することである。この解決策は、凍結(相変化)を避け、繊細な(すなわち、凍結不可能な)材料を、到達可能な最低温度において安定した液体状態に維持することである。これは、保存/貯蔵に使用される低温範囲にわたって圧力発生器を使用して、水性物質、生物学的材料などに圧力を加えることによって実現される。本明細書に記載の実施形態は、水、生物学的物体、ならびに他の水性の有機材料および無機材料の凍結温度(すなわち、融解温度)を降下させるための高圧を加えることにより、分子的/生理学的な「スタシス」状態を誘発する。本発明に関する「スタシス」は、この状態を誘発するには低温が必要であることから、より正確な用語である「クライオスタシス」として定義される。本明細書に記載の実施形態は、圧力と温度を組み合わせて用い、クライオスタシスでの長期保存(たとえば、複数月、複数年)を容易にし、バイオバンキングの手段を提供する。関連する圧力は、水性材料の長期保存に使用されてもよい準安定の過冷却状態を誘発することもできる。本明細書に記載の実施形態は、水の物理化学的特性、ならびに圧力および温度と水との相互作用を利用して、水性材料を安定した液体状態に維持する。一実施形態は、水が安定した液体状態にある最低温度およびそれに対応した圧力における、凍結の可能性のない保存をもたらす(図1を参照)。凍結/融解の温度降下をもたらすための圧力において、分子運動および代謝は抑制され、クライオスタシスがもたらされる。
本発明は、少なくとも部分的に、以下の仮説に基づいている。生物学的材料および他の水性材料は、凍結および解凍されることなく(すなわち、相転移することなく)貯蔵が低温であればあるほど、より長く使用可能な(機能的な)状態で維持される(すなわち、貯蔵温度が低いほど、生存可能な貯蔵持続時間が長くなる)。それ故に、以下の疑問が生じる。生命物体の温度は、クライオスタシスを誘発するのに十分なほど、凍結せずに低くすることができるのか。たとえば、哺乳類の細胞、組織、臓器、および有機体は、おおよそ300ミリモルの溶解溶質を有する水性である。束一的特性に基づき、これらの300ミリモルの溶質は、哺乳類組織内の溶液の0.55℃の凝固点降下をもたらす。-0.55℃の貯蔵温度は、移植用臓器の使用可能な寿命を十分に延長するのに十分な低温とは言えない(すなわち、わずか数時間、ましてや数日ではない)。細胞、組織、臓器、および有機体を複数月または複数年にわたって保存するのに十分な低温での貯蔵をもたらすためには、代替的な方法が必要である。この方法の鍵は、温度と圧力との関係にある。
実施形態は、高圧(すなわち、周囲の大気圧より高い)を使用して、水および水溶液の凝固点/融解点を降下させる。純水、ひいてはすべての水性および生物学的な材料の凝固点を、およそ9.5MPa当たりおよそ1℃降下させることができる(Daucik,K.etal., The International Association for the Properties of Water and Steam, IAPWSR14-08, 2011)。たとえば、およそ210MPaの圧力は、水および水溶液の凝固点をおよそ-22℃まで降下させる。これらの環境条件下では、代謝機能が抑制される点まで分子運動が低減され、その結果、本明細書において「クライオスタシス」と呼ぶ仮死状態がもたらされる。本明細書に記載するように、複数日、複数週、複数月にわたって高圧/低温の条件下に貯蔵された細胞、組織、臓器、および有機体は、劣化、アポトーシス、または壊死の兆候を示さず、それらの機能を維持している(表1を参照)。記載したこれらの環境条件下での生物学的物質および他の水性材料の最大貯蔵期間の限度は、まだ特定されておらず、明確な時間的限界がないこともあり得る。
おおまかに言って、本明細書に記載の実施形態は、周囲圧より高い圧力を加えることにより、生物学的および水性の材料を、0℃未満において未凍結で貯蔵することをもたらす。圧力が上昇するにつれて、水の融解点/凝固点は低下することから、およそ210MPaの圧力およびおよそ-22℃以上の温度の下で貯蔵される生物学的および水性の物質は、安定して液体状態のまま維持される。図1は、圧力と温度の関係、および水が安定した液体状態に維持される圧力/温度の値を描く融解曲線(固体と液体の境界線)を示す水の状態図である。いくつかの実施形態は、水が安定した液体の形態である最低温度およびそれに対応した圧力に重点を置く。この最低温度およびそれに対応した圧力を下回る温度では、水は過冷却(過冷)されるか、または氷IIIもしくは氷Ihを形成する(図1の「A」を参照)。同様に、安定した液体水の最低温度に対応した圧力を上回る圧力では、水は準安定になり、氷IIIまたは氷Ihを形成し得る。圧力および温度に関するこれらの臨界点パラメータは、水、生物学的材料、および水性物質を、凍結(相変化)の可能性なしに液体状態に維持することができる最も低温の条件を定義している。実施形態によれば、生物学的材料および水性材料に加えられる圧力は、液体水の相変化および氷の形成を防ぐために、温度の低下に伴い相応に上げられる。本明細書に記載するように、高圧(大気圧より高い)、および大気圧(地上)における水の凍結温度(すなわち融解温度)未満の温度という環境条件下で、細胞、組織、オルガネラ、オルガノイド、分子、臓器、および/または有機体などの生物学的材料を保存することにより、酵素活性および全体的な代謝活性が抑制される。温度が低下し圧力が上昇するにつれ、この抑制はクライオスタシスに、すなわち事実上代謝活性のない仮死状態に推移する。
したがって、本発明の一態様は、生物学的材料および他の水性材料を、仮死状態、すなわちクライオスタシスで貯蔵することに関する。クライオスタシス中の代謝(好気的および嫌気的)、アポトーシス、および/または壊死を停止することにより、有機および無機の水性材料の長期保存(すなわちバンキング)が実現される。貯蔵温度が低いほど、また圧力が高いほど、スタシス状態の深さが大きくなる。
したがって、実施形態は先行技術の手法とは異なっており、先行技術では、最初に減圧が加えられ温度を低下させ、温度がさらに低下するときにさらなる減圧は加えられない方法を使用して、生物学的材料の保存または貯蔵をもたらすとされている。そのような先行技術の手法は、観察された圧力の上昇に依存しており、この圧力の上昇は温度をさらに下げるときに生じるものである。そのような先行技術における観察された圧力上昇は、氷の形成(相変化)を防止し、それにより生物学的材料の損傷のない貯蔵がもたらされると言われている。しかし、観察された圧力上昇は、氷が形成される相変化によってしか顕在化することができず、生物学的材料への悪影響を伴うことを、本明細書において示唆する。対照的に、上述したように本明細書に記載の実施形態は、温度が低下するにつれて加えられる圧力を上昇させ続けることにより、相変化および氷の形成を防ぐ。
さらに、実施形態は、液体から氷への水の相変化に部分的にまたは完全に依存して、貯蔵区画における高圧を発生させる先行技術の手法とも異なっている。そのような先行の手法は、貯蔵区画の内側の圧力を制御できず、損傷を及ぼす氷が貯蔵区画の内側で生成される。対照的に、本明細書に記載の実施形態は、圧力容器を加圧するための圧力発生器および駆動液を使用して、圧力容器の内側の圧力を厳密に制御することができ、駆動液に十分な圧力を加えることにより駆動液(水であってもよい)の凍結を防ぐ。駆動液として水を使用する実施形態は、水生有機体など(たとえば真水、食塩水など)の生物学的材料をその自然の媒体において貯蔵するために使用するのに好都合であり得る。
非凍結状態での水性材料の保存は、凍結(融解)点をおよそ-22℃に降下させるための上述した圧力使用にとどまらなくてもよい。さらなる凝固点降下(FPD)をもたらす手段が3つ存在する。
1)過冷却:水性材料は、圧力下で過冷却されることが可能であり、過冷却において準安定の液体状態は、少なくとも-92℃に維持されることが可能である。
2)束一的な凝固点降下:水溶性物質を水に添加することにより、溶液の凝固点が、およそ210PMa下でおよそ-22℃未満にさらに降下する。付加的なFDPは、束一的に作用する溶質の1モル当たり1.86℃に等しい。
3)非束一的な凝固点降下:非束一的な作用剤は、氷阻害剤または氷結合剤によって付加的な凝固点降下をもたらし、これにより氷晶成長を防止、阻害、制御、および/または分離する。
上述した3つの方法は、未凍結材料の貯蔵温度をおよそ210MPaの下でおよそ-22℃未満に低下させるために、個々に使用されてもよいし、組み合わされて使用されてもよい。様々な実施形態において、貯蔵温度は、約0℃~約-22℃、約-5℃~約-22℃、約-10℃~約-22℃、または約-15℃~約-22℃であってよい。これらの技法を使用することにより、クライオスタシスを必要とする材料の保存時間が延長される。
およそ210MPaの圧力またはその前後の圧力、およびおよそ-22℃の温度またはその前後の温度における貯蔵の環境条件は、圧力容器と、圧力容器を加圧および減圧するために圧力を発生させることができる機器とを必要とする。これらの圧力を確実に収容できる容器は、スチール、ステンレススチール、チタン、または何らかの他の適切な材料から作られてよい。容器は、貯蔵される材料を出し入れする手段と、圧力発生器を容器に接続する手段とを有する必要がある。圧力発生器(液圧式、空気圧式であるが、いずれかに限定されない)は、手動で操作することができ、適宜タイマーまたはコントローラを使用して、加圧および減圧の速度を制御してもよい。代替的に、圧力発生器は、自動式であってよく、機械により、空気圧により、または液圧により、または他の手段により作動させることができ、電気により、電子により、コンピュータにより、またはアナログ機械により、または他のコントローラにより制御することができる。一実施形態は、液圧式の圧力発生器を含む。
液圧圧力発生器は、駆動液を導くパイプ、弁、接合部、取付け具、圧力ゲージなどのシステムを介して圧力容器に接続されてよい。そのような実施形態では、駆動液リザーバを使用して駆動液を保持してもよい。駆動液の例としては、プロピレングリコール(PEG)、エチレングリコール(EG)、油、石油、魚油、鉱油、植物油、水、海水、およびこれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。
温度を低下または上昇させるために、圧力容器は、熱伝達媒体を含んだ制御冷却および制御加熱の機器、システムなどに、動作可能に接続されてよい。熱伝達媒体は、流体または固体とすることができる。たとえば、熱伝達媒体として流体を使用する冷却/加熱システムの場合、クーラ/ヒータとともに供給される、媒体を収容するための容器が必要である。ヒータは、クーラとは別個であり、独自の温度センサおよび温度コントローラを有していてもよいし、これらは一体型であってもよい。
温度コントローラは、熱伝達媒体に浸漬されかつ/または圧力容器に挿入された温度センサによって提供される温度データに基づき、クーラ/ヒータを制御するために使用されてよい。温度コントローラは、コンピュータソフトウェアであってもよいし、またはスタンドアロンのコントローラ、マイクロプロセッサ、または他の種類の制御部であってもよい。センサは、熱電対、サーミスタ、RTD(抵抗温度装置)、または任意の他の適切な機器とすることができる。
熱伝達媒体として流体を使用する冷却/加熱システムは、伝達媒体の継続的な混合を行うための混合ユニットまたは何らかの他の機器を必要とする。流体の筐体全体にわたる均一な温度を可能にし、温度躍層を防止する効率的でよりよく制御された熱伝達方法のために、混合は重要である。圧力を監視するために、圧力ゲージまたは他の測定/監視機器が使用される。圧力ゲージは、アナログもしくはデジタルのゲージ、またはディスプレイに接続された圧力トランスデューサ、または圧力を表示および記録するコンピュータに取り付けられたデータ取得システム(DAQ)、コントローラなどのいずれかとすることができるが、これらに限定されない。圧力容器の内部、および筐体内の流体(たとえば空気)の内部の温度またはその近傍の温度が、温度センサ(熱電対、温度計、サーミスタ、RTD、または他の適切な機器)により監視され、DAQおよびコンピュータシステム、または他のシステムを使用して、データ列が表示/または記録されてもよい。温度計または他の温度センサは、温度を監視するために、筐体内の流体に浸漬されるか部分的に浸漬されてよい。圧力容器は、冷却中および加温中、ならびに平衡期間中には流体内に留まる。
システムの冷却/加熱および圧力は統合され、温度および圧力のセンサを使用して単一のコントローラによって制御されてもよい。代替的に、温度システムは、1つまたは複数の温度センサを使用して単一のコントローラによって、冷却/加熱中に制御されてよく、その一方で圧力発生器は、それ自体のコントローラおよびセンサを使用して別々に動作する。クーラ/ヒータおよび圧力発生器は、それ自体のセンサおよびコントローラをそれぞれ使用してもよい。一実施形態では、3つの構成要素、すなわちヒータ、クーラ、圧力発生器のすべてが、制御、監視、および記録の単一の機器に一体化されている。高圧/低温のシステム制御部および監視機器の全体が、多様な機器および方法を使用する様々な制御技法を使用して、自動化されてよい。
一実施形態では(図2を参照)、流体(たとえば空気)が、熱伝達媒体として使用される。装置は、少なくとも276Mpaまでの圧力を確実に収容可能な圧力容器13(図3)を含み、この圧力容器13は、スチール、ステンレススチール、チタン、または何らかの他の適切な材料から作られており、取外し可能な上部21と、圧力発生器2を圧力容器13に接続するためのポート27とを有している。流体により駆動される圧力発生器2は、加圧および減圧の速度を制御するための別々のタイマーを適宜使用して、手動で動作させることができる。代替的に、圧力発生器は、機械により、空気圧により、または液圧などにより、作動させることができ、電気により、電子により、コンピュータにより、または機械的アナログコントローラにより制御することができる。たとえば、圧力発生器は、機械的に駆動され、コンピュータ制御されてもよい。
圧力発生器は、パイプ、弁、接合部、取付け具、圧力ゲージ、および液圧流体リザーバのシステムにより圧力容器に接続されてよい(図2および図3を参照)。圧力容器13の温度を低下または上昇させるために、制御冷却および制御加熱のシステムが使用されてよい。熱伝達の媒体として流体(たとえば空気)を使用する冷却/加熱システムの場合、コールド/ヒートシンクを収容するための断熱容器10が必要である。圧縮器および熱遮断ユニットは、冷却/加温機器の外側の同じ容器に収容されてもよいし、それらは別々の筐体に入れられ、断熱パイプによって冷却機器に接続されてもよい。
機械的冷却システムの一実施形態は、適宜始動中の電力サージのない、円筒形の往復圧縮器を使用し、PID(比例・積分・微分)制御を利用する。ヒータは、蒸発器とは別個であり、独自の温度センサおよび温度コントローラを有していてもよいし、または蒸発器と一体化されて、同じ制御部を共有してもよい。PID制御を利用する温度コントローラは、熱伝達媒体(流体)に浸漬された、または圧力容器に挿入された温度センサによって提供される温度データに基づき、冷却器/ヒータを制御する。一実施形態では、温度安定性のためにPID制御が使用され、確度および精度のためにRTD(抵抗温度装置)センサが使用される。
一実施形態において、熱伝達媒体として流体を使用する冷却システムは、圧力容器の貯蔵区域の線形体積と同じ高さの蒸発器と、貯蔵区画の内部全体に均一な温度をもたらすための混合器とを有している。一実施形態において、出し入れは上からであり、取外し可能な断熱上部8を用いて行われ、こうして低温ウェルが作られる。圧力容器は、冷却および加熱中、加圧および減圧中に、貯蔵区域の内側にある。
圧力を監視するために、圧力ゲージおよび圧力トランスデューサが使用されてよい。一実施形態において、圧力トランスデューサは、圧力を表示および記録するコンピュータに接続されたデータ取得システム(DAQ)に接続された。サーミスタ12は、低温ウェルに浸漬され、第2のサーミスタ14は、圧力容器13に挿入された。これらの温度センサからのデータは、データを表示および記録するコンピュータに(上記のようなDAQを介して)転送された。
組織の試料または臓器は、死後すぐに取得され、灌流され、袋詰めされ、封止されてよい(例2を参照)。灌流および貯蔵の溶液の例としては、UW(登録商標)液(Bridge to Life社)、CoStorSol(登録商標)、Celsior(登録商標)、Custodiol(登録商標)HTK、Perfadex(登録商標)、MACS(登録商標)Tissue Storage Solution (Miltenyi Biotec社)、FW(Froedin-Wolgast)、Sack’、WMo-II、およびLifeport Liver transporter溶液が含まれる。袋詰めされた試料を、予め零下温度に冷却された溶液に浸すことにより、体温が除去されてよい。次いで、組織および/または臓器は、駆動液で満たされた予冷済みの圧力容器に挿入されてよく、圧力容器が閉じられ、空気が除去され、圧力発生器を使用して内容物が加圧され、冷却されてよい(例3および図5を参照)。物品は、所定の期間にわたり、または必要になるまで、クライオスタシスに維持されてよい。回復は、圧力容器を加温し、その後減圧することにより実現されてよい(例4および図6を参照)。貯蔵される材料(たとえば、溶液、細胞、臓器、有機体など)の種類および大きさが違えば、初期貯蔵中と後の回復中の両方において、圧力および温度の変化速度を変える必要があり、貯蔵温度および貯蔵圧力も変える必要があることが理解される。表2および表3は、初期貯蔵中と後の回復中の両方における、圧力および温度の変化速度、ならびに異なる貯蔵温度および貯蔵圧力の非限定的な例を示している。たとえば、図5Aおよび図5Bは、生物学的材料(ブタ腎皮質および髄質)を貯蔵した場合と、生物学的材料を貯蔵から回復させた場合との圧力および温度の曲線をそれぞれ示すプロットである。図5Bにおいて、「温度P」は、冷却機器の内側の、圧力容器が配置された冷却された貯蔵区画の温度を指し、「温度V」は、圧力容器の温度を指す。
この方法の有効性を検証し、生物学的材料に悪影響のない冷却および加温、加圧および減圧の速度を特定するために、実験室試作品が使用された。ベンチトップ機器は、PID制御冷却システムを使用して、断熱筐体の垂直壁の制御された冷却を行う。筐体は上部が開口しており、動作中には上部が断熱材で覆われる。冷却システムおよびコントローラは、すべて同じ筐体内に収容される。表1には、使用された貯蔵期間および貯蔵後の状態を含め、貯蔵された材料の一部が列挙されている。
実験室のベンチトップ試作機器は、ヒトなどの有機体全体を惑星間または恒星間の宇宙旅行のために収容するように、容易にスケールアップ可能である。以下に限定されないが、腎臓、心臓、心肺もしくは肺、肝臓、膵臓、または他のヒトもしくは哺乳類の臓器を、個々にまたは様々な組合せで収容するのに十分な大きさの圧力容器は、重量があることから、有機体の貯蔵には何らかの付加的な機器が必要になることもある。温度をおよそ22℃程度の低温に保持することができる容器および大型で、安定性の高い、ウォークイン型またはドライブイン型の冷却器を移動させるために、頭上ウインチもしくはクレーンおよび/またはフォークリフトまたは他の重量吊り下げ手段が必要になることがある。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものであるが、いかなる点においても限定を意図するものではない。
材料:UW(登録商標)溶液内の袋詰めおよび封止された腎皮質切片(例1を参照)、276MPaまで評価済みの蓋付き圧力容器(内径1インチ、内部ウェル深さ6インチ、外部15インチ)、液圧210MPaを発生させることが可能な圧力発生器手動ホイール(米国ペンシルベニア州エリー所在、High Pressure Equipment(「HIP」)社より入手可能)、高圧配管システム(HIPより入手可能)、弁(HIPより入手可能)、ゲージ(HIPより入手可能)、圧力トランスデューサ(カナダケベック州サントゥスタッシュ所在、Omega Engineering社より入手可能)、駆動液リザーバ、本明細書において駆動液と呼ぶプロピレングリコールと水(1:1)の溶液、温度ランプ式(ramping)の超高安定低温冷却POD110VAC(本明細書において「作業POD」と呼ぶ)(冷却器は、米国フロリダ州ジュピター所在、Engel Coolers社から入手可能、作業PODは、Auber比例・積分・微分(PID)制御部(カナダケベック州サントゥスタッシュ(Eustache)所在、Omega Engineering社より入手可能)および抵抗温度装置(RTD)センサを用いて改良済み)、データ取得および記録のモジュール(DAQ)を有するサーミスタ温度センサ(米国オレゴン州ビーバートン所在、Vernier Inc.,より入手可能)、作業PODを覆う大きさの2インチ独立気泡フォーム断熱シート、コンピュータ、アナログタイマー(米国オハイオ州センタービル所在、GraLab Corporationより入手可能)、30cmハルステッド鉗子、蓋閉鎖棒、5/8インチのオープンエンドレンチ、PID制御部を有し、-25℃まで動作可能で、圧力容器用のクレードルを有する、等温超高安定低温冷却POD 110VAC(本明細書において「貯蔵POD」と呼ぶ)。作業PODの温度ランプのプログラミングは、米国ジョージア州アルファベッタ所在、Auber Instruments社発行の取扱説明書、名称「SYL-2352P Ramp and Soak PID Temperature Controller, version 1.4 (Feb 2017)」を使用して行われた。ブタ腎臓、300mM生理食塩水(NaCl+HO)、壁厚さ0.002インチ(ミル)×容積1Lのプラスチック袋、HO6LにNaCl3M、各3.5Lの蓋付きプラスチック容器、-5℃に設定された超高安定冷却12VDC POD、-2℃に設定された超高安定冷却POD 110VAC POD、UW(登録商標)溶液、20ゲージの生検針を有する60mLシリンジ、ランセット、メス、トメブレード(Tome Blade)、はかり(0.1グラム)、デジタル温度計(分解能0.1℃)、6×6cm2ミルの低密度ポリエチレンプラスチック袋(米国サウスカロライナ州グリーンビル所在、International Plastics社より入手可能)、熱シーラ。
[実施例1]
生物学的材料の保存用装置
図2を参照すると、圧力パイプによって互いに動作可能に接続された複数の構成要素を含む圧力温度装置の一実施形態が示してある。図2では、左側から始まり、駆動液を貯蔵している駆動液リザーバ4が駆動液隔離弁3に接続されており、この駆動液隔離弁3は、駆動液を配管に流入させることが可能な開位置にあるか、または駆動液が流れることができない閉位置にあることが可能である。ラインのこの点において、T字接合部が存在しており、これにより圧力発生器2からつながるパイプが接合され、この圧力発生器2は、アクチュエータ、この場合には手動ホイール1を含む。圧力発生器2は動作可能に接続されており、手動ホイール1を適切な方向に回転させることにより、パイプに対して圧力を付加または除去することができる。他の実施形態において、アクチュエータは、制御信号を(たとえばマイクロプロセッサ、コンピュータなどのコントローラから)受信可能な、かつ圧力発生器により提供される圧力をこの制御信号に従って調整可能な、モータ、サーボ、または他の機器を含んでいてよく、それにより圧力の部分的または全面的な自動制御を可能にしてよい。このT字接合部の後にラインが続いており、圧力読取り値を表示する圧力ゲージ5(たとえば、デジタルでもよいしアナログでもよい)を有している。圧力を部分的または全面的に自動制御する実施形態では、圧力ゲージは、圧力信号をコントローラに提供する圧力トランスデューサを含む。次の構成要素は圧力発生器の隔離弁7であり、この隔離弁7は、圧力を生じさせるラインの上流部分を、この点で下流部分から遮断できるようにする。いくつかの実施形態は、圧力トランスデューサ6を含んでいてよく、この圧力トランスデューサ6は、ライン内の圧力を検知し、圧力を圧力信号に変換し、この圧力信号が、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータなどに送られてよい。次いでこのラインは、断熱カバー8を有する冷却区画10に入る。冷却区画10は、適宜コントローラに動作可能に接続されて、区画内の温度の全面的または部分的な自動制御をもたらすことができる。次いでラインは、圧力容器13をパイプラインから遮断できるようにする圧力容器隔離弁9につながっている。次いでラインは、保存される材料および駆動液を収容している圧力容器13に接続されている。冷却区画10の他の構成要素としては、クーラ/ヒータ11(たとえばデジタル-アナログコンバータ(DAC)を含むインターフェースを適宜有しており、それによりヒータ/クーラ11の動作が、コントローラを使用して部分的または全面的に自動化されてよい)、冷却制御用の温度センサ12、圧力容器内部監視用の温度センサ14、および循環ファンまたは攪拌器15が含まれてよい。冷却制御用の温度センサ12および圧力容器内部監視用の温度センサ14は、たとえばサーミスタで実装されてよく、対応する温度信号を発生させる。温度信号は、温度を監視および/または記録するために、かつ装置を部分的または全面的に自動化する際に適宜使用するために、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータなどに送られてよい。
したがって、一実施形態は、温度センサ、冷却区画、圧力トランスデューサ(または圧力ゲージ)、圧力発生器のアクチュエータ、およびヒータ/クーラのうちの1つまたは複数に動作可能に接続されたコントローラを含み、それにより装置の動作が部分的または全面的に自動化されてよい。たとえば、コントローラは、システム装置の冷却/加熱および圧力を制御してよい。代替的に、温度システムは、1つまたは複数の温度センサを使用して単一のコントローラによって、冷却/加熱中に制御されてよく、その一方で圧力発生器は、それ自体のコントローラおよびセンサを使用して別々に動作する。一実施形態では、加熱、冷却、および圧力発生器が単一のコントローラに一体化されており、この単一のコントローラが、圧力および温度を監視し、記録し、調節する。
図3を参照すると、圧力容器13の一実施形態の拡大図が示してあり、圧力容器上部21と、保持リング22と、Oリング封止部23と、圧力容器本体24と、オーバフローチャネルおよびサーミスタウェル25とを含む。
図4A~図4Eは、圧力容器13と圧力容器上部21との組み立てを順番に示しており、オーバフローチャネルおよびサーミスタウェル25における駆動液のオーバフローを含む。完全に組み立てられると(図4E)、オーバフローチャネルおよびサーミスタウェル25は、圧力容器13の内側の試料ウェル26から封止され、ハウジングの温度を測定するためのサーミスタ14を収容する。サーミスタ14は、生物学的材料および駆動液を収容している試料ウェルの近くに位置するオーバフローチャネルおよびサーミスタウェル25に配置される。試料ウェルにもっと近づけて配置するには、圧力容器の加圧空洞の近くかその中の穴が必要になる。そのような穴は、加圧時に圧力容器の故障を生じさせる恐れがある。ステンレススチールの熱伝導率は低いので、試料ウェルからサーミスタを隔てる距離があることによって、生物学的材料の実際の温度は、サーミスタによって測定された温度に遅れを取ることがあるが、この遅れは、冷却速度が遅いことから許容可能であることが証明されている。
図5Aおよび図5Bは、生物学的材料(この場合は、ブタ腎皮質および髄質)を貯蔵した場合と、生物学的材料を貯蔵から回復させた場合との例示的な圧力および温度の曲線をそれぞれ示すプロットである。図5Bにおいて、「温度P」は、圧力容器が配置された冷却区画の内側の温度を指し、「温度V」は、圧力容器のオーバフローチャネルおよびサーミスタウェルに配置されたサーミスタによって取得された圧力容器の温度を指す。当然ながら、貯蔵される材料(たとえば、溶液、細胞、臓器、有機体など)の種類および大きさが違えば、初期貯蔵中と後の回復中の両方において、圧力および温度の変化速度を変えることが必要になる場合があり、貯蔵温度および貯蔵圧力も変えることが必要になる場合がある。
[実施例2]
保存用ブタ腎皮質生検切片の用意
ブタ腎臓の取得および用意
ブタ腎臓は、カナダ食品検査機関(CFIA)認定の食肉処理業者から、死後可能な限り早急に取得した。検査済み腎臓は、CFIA検査官によって切開された。受け取るとすぐに、腎臓を切り離し、生理食塩水300mMですすぎ、UW(登録商標)溶液で灌流し、UW(登録商標)溶液ですすぎ、1Lのプラスチック袋に入れ、封止した。腎臓およびUW(登録商標)溶液の袋を、-5℃の生理食塩水3Mに浸した(プランジ溶液(plunge solution))。プランジ溶液は、12VDC POD内にある3.5Lプラスチックタブに収容された。各タブは、150グラムの腎臓を最大で3個、-1℃(冷却剤の体積および温度の熱質量限度)に冷却した。タブの蓋を、プラスチック袋の端部を覆うように嵌め、ロックした。腎臓を、-5℃のプランジ溶液内で45分~1時間留置した。6×6cm、2ミルのプラスチック袋1つに、検体(腎臓)番号を記載した。60ccのシリンジに、20ゲージの生検針を装着し、-1℃のUW(登録商標)溶液50mLで満たし、必要になるまで培養器内に保持した。
腎臓切片の取得
腎臓をプランジ溶液から取り出し、生検切片を個々に用意した。袋詰めされた腎臓をプランジ溶液から取り出し、腎臓をその袋から取り出した。腎臓の内部温度を、デジタル温度計のプローブを使用して特定し、その値を記録した。残余脂肪または膜を除去し、腎臓の重量を特定し記録した。メスまたはトメブレードを使用して長手方向の切開を行い、皮質切片を取り出した。皮質切片は、長さ2~3cm、幅1~1.5cmであった。皮質切片は、髄質を含んでおらず、切開面を1つしか含まないこと。
保存用皮質生検切片の取り出し
-1℃のUW(登録商標)溶液7~10mLを、6×6cmの2ミルプラスチック袋に注入した。UW(登録商標)溶液の境界層に当たっている袋の壁に切開面が接触するように、皮質切片を袋に入れた。皮質切片を覆うように、-1℃の追加のUW(登録商標)溶液を必要に応じて袋に注入した。袋を閉じ、空気をすべて抜きながら圧縮した。袋をヒートシーラで封止し、余分なプラスチック部分を切り取った。すべての保存用皮質切片が用意されるまで、バッグを-2℃の冷却PODに入れた。
[実施例3]
-18℃および193MPaで生物学的材料を貯蔵するための貯蔵工程
準備
生物学的試料を貯蔵する1日前に、図2に示してあり実施例1において説明したことに基づく装置を使用して、以下の工程を実施した。貯蔵PODを-18℃に設定し維持した。空の圧力容器13(図2を参照)を作業POD10に入れた。作業PODの温度コントローラを-2℃に設定し、圧力容器の内部温度を6時間かけて-2℃までランプさせた。-2℃になると、圧力容器13を8時間にわたって安定させた。Auber PIDをプログラミングした。圧力容器13を配管システムに接続した。2層の2インチ独立気泡フォーム(closed foam)断熱材を、作業PODの上に載せた。第1のサーミスタ14を、圧力容器13のオーバフローチャネル/サーミスタウェル25(図3を参照)に挿入した。第2のサーミスタ12を、作業PODの内部の圧力容器13の隣に位置付けた。コンピュータをオンにし、データ取得システム(DAQ)に接続し、Vernier社のLabViewソフトウェアを、5000分にわたって10秒ごとに読取り値を記録するように構成し、記録を開始した。
試料を作業PODに入れ、-18℃および193MPaまでランプさせ、安定化
以下の工程を、試料収集日に実施した。実施例2に記載したように、ブタ腎皮質生検試料を用意し-2℃に保持した。2つの独立気泡フォーム断熱シートを、作業PODの上から取り外した。第1のサーミスタ14を25から取り外し、圧力容器13を配管システムから分離した。圧力容器13を作業PODから取り外し、作業用PODからそのスタンドに置いた。圧力容器の蓋21を緩めて取り外した。ハルステッド鉗子(0cm)を使用して、第1のセットの袋詰めおよび封止済みの2つの試料を、隣り合わせに圧力容器の試料ウェル26に入れ、次いで第2のセットの袋詰めおよび封止済みの2つの試料を、第1のセットの上に置いた。蓋21を試料に接触させずに圧力容器13に嵌めるために、十分な空間を残すよう注意を要した。駆動液を圧力容器に入れ、圧力容器隔離弁9が開いた状態で圧力容器13に蓋21をねじ込むことにより蓋21を閉じ、その間に過剰な駆動液が、圧力容器13の側部のオーバフローチャネル/サーミスタウェル25を介して排出された(図4A~図4Eを参照)。駆動液が気泡のない状態で円滑に流れ出るまで、オーバフローチャネルおよびサーミスタウェル25を監視した。蓋21がオーバフローチャネルを遮断すると、気泡が観察されなくなるまで駆動液が圧力容器隔離弁9の上部から排出された。ストラップレンチおよび蓋閉鎖棒を使用して、蓋21を圧力容器13にぴったり合うまで締め付けた。圧力容器13を、作業PODに移動し、配管システムに接続した。圧力容器を配管システムに接続する取付け具を指で締め付けた。圧力発生器2の上流に位置する駆動液隔離弁3を開いた。圧力発生器2の下流に位置する圧力発生器隔離弁7も開いた。配管システムを圧力容器13に接続するパイプ取付け具の取付け具カラーを確認し、締め付けた。パイプ取付け具を圧力容器13に挿入し、ねじ山を1回転させることによって締め付けた。圧力容器隔離弁9を配管システム(40ft/lbs)に接続する取付け具を、ぴったり合うまで締め付けた。駆動液リザーバ隔離弁3を閉じ、確認を実施して圧力発生器隔離弁7および圧力容器隔離弁9が完全に1回転開いていることを確かめた。第1のサーミスタ14を、オーバフローチャネルおよびサーミスタウェル25に再び入れた。
圧力容器の内側で圧力を上昇させ、温度が徐々に低下するようにプログラミングした(たとえば、表2を参照)。一定の速度で-2℃から-18℃にランプさせるよう、作業PODのコントローラをプログラミングした。圧力容器材料(たとえば、ステンレススチール)を通る熱伝達係数に起因して、組織は作業PODよりはるかにゆっくり冷却される。カウントダウン式のGra-Labタイマーを20分にセットし、これを使用して加圧速度を制御した。圧力発生器1を使用して、12秒ごとに200psig(1.4MPa)上昇させながら1000psig/分(6.9MPa)の速度で、圧力容器13を30000psig(210MPa)まで加圧した。システムに12時間、ランプおよびソーク(soak)させた。冷却により2000psig(13.8MPa)の損失が生じたことを注記した。温度および圧力を12時間安定化させた。このとき、圧力を28000psig(193MPa)に調整し、システムをさらに6時間安定化させた。
作業PODから貯蔵PODへの移動、-18℃および193MPaで貯蔵
圧力容器が作業POD内で-18℃および193MPaで安定化すると、-18℃の等温である貯蔵PODで貯蔵するために圧力容器を移動する準備が整った。圧力容器隔離弁9を閉じた。駆動液リザーバ隔離弁3を開き、配管システムおよび圧力発生器の圧力を周囲圧に降下させた。5/8インチオープンエンドレンチを使用して、圧力容器隔離弁9からパイプ取付け具を取り外した。駆動液リザーバ隔離弁3を閉じた。温度および圧力の記録を停止し、データをコンピュータに保存した。温度センサ14を圧力容器13から取り外した。貯蔵PODの上部を開いた。圧力容器13を作業PODから持ち上げて出し、-18℃の等温である貯蔵PODの内側のクレードルに移動して入れた。貯蔵PODの上部を閉じた。圧力容器内の試料を、10日間-18℃でソークさせた(注:貯蔵期間は変更可能)。
[実施例4]
-18℃および193MPaの貯蔵PODから周囲温度および周囲圧への生物学的材料の回復
試料は-18℃および193MPaの貯蔵PODに配置されていた。貯蔵試料の回復が望まれるとき、以下の工程を踏んだ。
以下の工程を、回復の6時間前に実施した。作業PODを起動し、作業PODの温度を-18℃にするよう制御部を設定した。厚さ2インチの独立気泡フォーム断熱材の両方の層が作業PODの上部に配置されていることを確かめた。コンピュータを起動し、温度および圧力を記録するためのプログラム(たとえば、米国オレゴン州ビーバートン所在、Vernier社から入手可能なGraphical Analysis(商標)4)を立ち上げた(たとえばサンプリング1回/10秒)。
上記工程の6時間後、以下の回復プロトコルを実施した。作業PODが4時間超にわたり-18℃の等温になっていることを、温度データ記録から確認した。圧力発生器隔離弁7を開いた。駆動液リザーバ隔離弁3を閉じた。貯蔵PODのカバーを開き、圧力容器組立体を取り出し、作業PODに移動した。圧力容器の基部を、作業PODの底部にあるそのスタンドに入れた。配管システムを圧力容器隔離弁9に接続し、取付け具を1回転回した。駆動液リザーバ隔離弁3を開いた。気泡が15秒間現れなくなくまで、圧力容器隔離弁の排出穴を監視した。圧力容器隔離弁9を配管システムに接続する取付け具を、きつく締め付けた。駆動液リザーバ隔離弁3を閉じた。圧力発生器1を使用して、配管システムを193MPa(28000psig)に加圧した。圧縮の熱を10分間散逸させた。圧力を193MPa(28000psig)に調整した。圧力容器隔離弁9を開いた。171.1MPa(24908psig)を下回る圧力降下は、凍結を生じさせて検体の生存可能性が損なわれる恐れがあるので、システム圧力の降下を回避した。
作業PODを、0.05℃/分の速度で-18℃から-2℃までランプさせた(3.0℃/時間、16℃ΔTが合計5.5時間)。加温中、内圧が209MPa(約30000psig)に上昇したことが観察された。作業PODを(最小)1時間、ソークした。圧力発生器手動ホイール1を使用して、12秒ごとに200psig(1.4MPa)ずつ低下させながら1000psig/分(6.9MPa)で30分間、周囲圧に到達するまで圧力容器を減圧した。
圧力容器隔離弁9への取付け具を緩めることにより、圧力容器13を配管システムから接続解除した。-2℃の圧力容器13を、その上部21を緩めることにより開放し、上部を容器から取り外した。4つの試料それぞれを、30cmの止血鉗子を使用して容器内部から取り出した。
試料を、DAPI/PIを使用して染色し(正式名称は表1を参照)、生存可能性を分析した。結果を表1に示す。貯蔵した腎臓生検切片の未使用部分を、その後のカスパーゼ/アデノシン三リン酸塩(ATP)分析のために凍結させた。
Figure 2022539801000002

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Figure 2022539801000004

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Figure 2022539801000006
Figure 2022539801000007

Figure 2022539801000008
Figure 2022539801000009
参照による援用
引用したすべての文献の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
均等物
本明細書では特定の実施形態を参照しているが、本発明の趣旨および範囲内に含まれる本発明の原理を利用して、他の実施形態を作製することが可能であることを、当業者は理解するであろう。

Claims (30)

  1. 生物学的材料を貯蔵するための方法であって、
    圧力容器に前記生物学的材料を入れることと、
    前記圧力容器を駆動液で満たすことと、
    前記圧力容器から空気を排除し、前記圧力容器を封止することと、
    圧力発生器を使用して前記駆動液にかかる圧力を上昇させ、前記圧力容器の内側を0℃未満の温度に低下させることと
    を含み、
    前記圧力発生器を使用して、選択された温度において、選択された圧力が前記駆動液に加えられ、それにより前記圧力容器内の前記駆動液が、安定した液体状態で維持され、
    選択された圧力を前記駆動液に加えることにより、0℃未満の貯蔵温度における前記生物学的材料の凍結が防止される、方法。
  2. 前記生物学的材料を、保存液とともに試料袋に入れることと、
    前記試料袋から空気を抜くことと、
    前記試料袋を封止することと
    をさらに含み、
    前記保存液および前記駆動液が、安定した液体状態に維持される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記温度を低下させ、前記圧力を上昇させることが、圧力を周囲条件から、200psig(1.4MPa)ずつ1000psig/分(6.9MPa)で、約30000psig(210MPa)まで上昇させ、温度を周囲条件から約-22℃まで低下させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記生物学的材料が、有機分子、分子錯体、核酸、糖類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素、オルガネラ、オルガノイド、細胞、組織、臓器、有機体、および水溶液のうちの1つまたは複数を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記保存溶液が、水と、生物学的材料、可溶性分子、有機化合物および/または無機化合物、水性懸濁液内の材料、水溶液、水性混合物、水性コロイド、水性材料、ならびに生体由来材料のうちの1つまたは複数とを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記生物学的材料が、細胞、組織、臓器、または有機体全体を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記貯蔵温度が、約-22℃である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記貯蔵温度において、前記加えられる圧力が約30000psi(210MPa)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記貯蔵温度および加えられる圧力により、細胞を準安定な過冷却の液体状態に維持することによって、凍結および細胞損傷が防止される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記保存溶液が、溶質を含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記溶質が、不凍タンパク質、氷結合タンパク質、不凍糖類、氷結合糖類、氷結合ペプチド、および他の非束一的作用剤のうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記溶質が、氷晶成長を防止、阻害、制御、または分離し、かつ/または氷の核形成を防止する、請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記駆動液が、プロピレングリコール、またはエチレングリコール、油、石油、魚油、鉱油、植物油、水、海水、およびこれらの任意の組合せを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記選択された貯蔵温度が、約-5℃~約-22℃である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 生物学的材料を貯蔵するための装置であって、
    駆動液を収容するためのリザーバと、
    前記生物学的材料を受けるように構成された内部ウェルを有する圧力容器であって、前記リザーバから駆動液を受け取るために前記リザーバに動作可能に接続された圧力容器と、
    前記圧力容器および前記リザーバに動作可能に接続された圧力発生器であって、前記駆動液に圧力を加える圧力発生器と、
    前記圧力容器内の前記駆動液の圧力を示す圧力トランスデューサと、
    前記圧力容器の温度を検知する温度センサと、
    約0℃未満の、制御された圧力容器内部温度をもたらすように構成された冷却機器と
    を備え、
    約0℃未満の選択された圧力容器温度において、前記圧力発生器が、選択された圧力を前記駆動液に加えて、前記圧力容器内の前記駆動液が安定した液体状態で維持される、装置。
  16. 前記圧力トランスデューサ、前記温度センサ、前記圧力発生器、および前記冷却機器のうちの1つまたは複数からデータを取得するデータ取得システム(DAQ)をさらに備える、請求項15に記載の装置。
  17. 前記圧力トランスデューサ、前記温度センサ、前記圧力発生器、および前記冷却機器のうちの1つまたは複数に動作可能に接続されたコントローラをさらに備え、
    前記コントローラが、選択された圧力容器内部温度、および前記圧力容器内の前記駆動液に加えられる選択された圧力のうちの少なくとも1つを監視および維持する、請求項15または16に記載の装置。
  18. 圧力ゲージをさらに備える、請求項15~17のいずれか一項に記載の装置。
  19. 前記圧力発生器が自動化されており、前記コントローラによって機械的、電気的、空気圧的、または液圧的に駆動される、請求項17に記載の装置。
  20. 前記冷却機器が、ヒータをさらに備える、請求項15~19のいずれか一項に記載の装置。
  21. 前記ヒータが、温度センサおよび温度コントローラを備える、請求項20に記載の装置。
  22. 前記冷却機器が、比例・積分・微分(PID)制御を含む、請求項15~21のいずれか一項に記載の装置。
  23. 蒸発器をさらに備える、請求項15~22のいずれか一項に記載の装置。
  24. 閉じられたときに前記装置からの前記圧力容器の隔離および取外しを可能にする少なくとも1つの弁をさらに備え、
    前記圧力容器が、前記装置から取り外されたときに、前記駆動液の前記加えられた圧力を維持する、請求項15~23のいずれか一項に記載の装置。
  25. 前記圧力容器が、スチール、ステンレススチール、およびチタンから選択された材料から作られている、請求項15~24のいずれか一項に記載の装置。
  26. 前記圧力容器が、少なくとも約30000psig(210MPa)の内圧に耐えるように構成されている、請求項15~25のいずれか一項に記載の装置。
  27. 生物学的材料を貯蔵するための圧力容器であって、
    第1の部分を含む空洞と前記生物学的材料および駆動液を受ける試料ウェルとを有しているハウジングであって、
    前記ハウジングの前記第1の部分が、前記ハウジングの外部まで開口しているオーバフローチャネルを含む、ハウジングと、
    前記ハウジングの前記第1の部分に係合するように構成された第1の部分を含む蓋と
    を備え、前記ハウジング内での前記蓋の位置が、第1の位置から閉位置までの範囲にわたって調整可能であり、
    前記蓋が、前記ハウジングの前記試料ウェルに部分的に嵌まるように構成された第2の部分を含み、
    前記蓋の前記第1の部分が、外部機器と相互連結するように構成されたポートを含み、
    前記蓋が、前記ポートと前記試料ウェルとの間で、前記蓋を通して前記駆動液を導くように構成された駆動液チャネルを含み、
    前記蓋を調整して前記閉位置にすることにより、過剰な駆動液が、前記ポートおよび前記オーバフローチャネルを介して前記試料ウェルから排出され、前記蓋の前記第2の部分が前記試料ウェルを封止し、
    前記圧力容器が、前記試料ウェル内の駆動液の、少なくとも約30000psi(210MPa)の内圧を維持するように構成された、圧力容器。
  28. 圧力が、前記外部機器により前記ポートを介して、前記試料ウェル内の駆動液に加えられる、請求項27に記載の圧力容器。
  29. 前記ポートと前記外部機器との間に配置された少なくとも1つの弁をさらに備え、
    前記少なくとも1つの弁が、閉じられたときに、前記圧力容器を前記外部機器から隔離し、前記試料ウェルの内圧を維持する、請求項28に記載の圧力容器。
  30. 前記オーバフローチャネルが、温度センサを受けるように構成されている、請求項27~29のいずれか一項に記載の圧力容器。
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