JP2022538143A - 新規な薬物動態学的特性を有するポリオキサゾリン-薬物コンジュゲート - Google Patents

新規な薬物動態学的特性を有するポリオキサゾリン-薬物コンジュゲート Download PDF

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Abstract

本開示は、ポリオキサゾリン(POZ)コンジュゲートを提供し、POZコンジュゲートの高次構造及びPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、POZポリマーの1つ以上の特徴を選択することにより制御することができる。POZコンジュゲートの高次構造及び事前の薬剤の放出率を制御する方法並びにかかるPOZコンジュゲート及び方法を用いた処置の方法を提供する。POZコンジュゲートを含む医薬組成物もまた、提供される。

Description

薬物修飾及び薬物送達のためのポリマーコンジュゲート(例えば、ポリオキサゾリン(POZ)コンジュゲート)の使用は、近年では、ますます研究活動を引き付けいている。この研究の一態様は、ポリマー主鎖に沿ったペンダント基としての薬物の付着を伴い、これらの薬物は、対象への投与後、ポリマー主鎖から放出することができる。かかる薬物が、ポリマー主鎖から放出される速度は、不定である。本出願人は、(トリアゾール-エステル連結によって結合された)POZコンジュゲートからペンダントロチゴチンを緩徐放出させ、その結果、ヒトにおいてPOZ-ロチゴチンコンジュゲートの週1回皮下注射に適したほぼ線形の薬物動態学的(PK)プロファイルをもたらすことを前に述べた。しかしながら、POZポリマーからの様々な薬物の放出の速度は、不定であることが報告されている。
ポリマーコンジュゲートからの薬剤の放出率を制御する能力は、治療的に有用である。例えば、ポリマーコンジュゲートからの薬剤の緩徐放出/徐放は、局所有害作用を低下し、ピーク血液レベルに伴う有害作用を低下し、又は薬剤の半減期を延長することができる。そのような徐放はまた、投薬の利便性といった利点の付加、コンプライアンスの改善、及び投与中の血液レベルの変動の低下と関連する。同様に、ポリマーコンジュゲートからの薬剤の高速/即時放出は、短期間にわたって体内における薬剤の高濃度を実現することにおいて有用である。
従来技術は、POZコンジュゲートからの薬剤(例えば、薬物)の放出率を制御するための解決法を必要としている。さらに、従来技術は、POZコンジュゲートからの薬剤の所望の放出プロファイル(例えば、徐放プロファイルなど)を提供するための解決法を必要としている。本開示は、これらの課題への解決法を提供する。
実施例の選択された化合物の高次構造を示している。 POZに結合したロチゴチンを有するPOZコンジュゲート高次構造に対して割り当てられた化学シフトを示している。赤のイタリック体の数はHに対応し、青の標準フォントの数は割り当てられた13C化学シフトである。 純粋なPOZ(□)、POZ-ロチゴチン(○)及びPOZ-コレステロール(△)の自己拡散係数を示している。破線は閉塞によるPOZ拡散の直線性を示している。挿入部は同一のデータを直線的スケールで提供している。 37℃でのヒト女性血漿におけるPOZ-CBDコンジュゲートの加水分解速度を示している。 雄のサルへの、用量1.5mg/kgでのPOZ-ROTコンジュゲートの単回SC注射後のロチゴチンの薬物動態プロファイルを示している。薬物ローディングは7.5%(□)、9.7%(△)及び11.8(○)である。n=3±SD。 雄のサルへの、用量4.5mg/kgでのPOZ-CBDコンジュゲートの単回SC注射後のカンナビジオールの薬物動態プロファイルを示している。薬物ローディングは2.8%(○)及び7.1%(□)である。n=3±SD。 ラットへの、用量10mg/kgでの異なる分子量のPOZシアニン5コンジュゲートの静脈内注射後の血漿濃度を示している。試験した分子量は10K(●)、20K(■)、30K(▲)、40K(▼)及び60K(◇)である。n=3±SD。 ラットへの、用量10mg/kgでの異なる分子量のPOZシアニン5コンジュゲートの皮下注射後の血漿濃度を示している。試験した分子量は10K(●)、20K(■)、30K(▲)、40K(▼)及び60K(◇)である。n=3±SD。 雄ラットへのロチゴチン及びPOZ-ROTコンジュゲートの単回SC注射後のロチゴチンの薬物動態学的プロファイルを示している。ロチゴチン、用量0.5mg/kg(□)、酢酸エステルリンカー、ローディング10.9%、用量1.6mg/kg(△)及び3-プロピオネートリンカー、ローディング13.3%、用量1.6mg/kg(▽)である。n=3±SD。 雄のサルへのPOZ-BUPコンジュゲートの単回SC注射後のブプレノルフィンの薬物動態プロファイルを示している。2-プロピオネートリンカー、薬物ローディング11.2%、用量1.5mg/kg(△)及び3-プロピオネートリンカー、薬物ローディング13.3%、用量1.5mg/kg(▽)である。n=3±SD。
(発明の要旨)
本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を調節するPOZコンジュゲートを提供する。したがって、本開示は、POZコンジュゲート及びPOZコンジュゲートの高次構造を制御するための方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲート及びPOZコンジュゲートからの薬剤の放出を調節する方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲート及びPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択を可能にする方法を提供する。さらに、本開示は、かかるPOZポリマーコンジュゲートを含む医薬組成物を含めた、組成物を提供する。記載されたPOZコンジュゲート、方法、及び医薬組成物を用いた処置の方法がやはり提供される。
一般的な形態では、本開示のPOZコンジュゲートは、POZポリマー部分及び薬剤を含む。薬剤は、生理的に分解可能な連結(すなわち、薬剤とPOZポリマーとの間の連結)によってPOZポリマーに結合される。生理的に分解可能なリンカーの切断は、POZコンジュゲートの高次構造を変更して、生理的に分解可能なリンカーに対する切断機能(例えば、酵素)の接近を増減させることにより制御することができる。
POZコンジュゲートの高次構造は、本明細書中に記載された通り、いくつかの手法において制御することができる。例えば、POZコンジュゲートの高次構造は、POZポリマーの特徴の選択を通じて、薬剤の特徴の選択を通じて、ローディングの特徴の選択を通じて、又は前述のものの組合せを通じて制御することができる。
序論
本開示のPOZコンジュゲートは、POZポリマー部分及び薬剤を含む。薬剤は生理的に分解可能な連結を介してPOZポリマーに結合されている。生理的に分解可能なリンカーの切断は、POZコンジュゲートの高次構造を改変して、生理的に分解可能なリンカーに対する切断機能の接近を増減させることにより制御することができる。
POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を制御する因子は完全に理解されているわけではない。過去の研究では、薬剤がPOZコンジュゲートのPOZポリマー部分に結合される方式が、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響を与え得ることを出願人は示している。具体的には、ロチゴチン(すなわち、薬剤)が、分解可能なトリアジン-アルキルエステル連結(すなわち、生理的に分解可能な連結)を介して20K POZポリマーのポリマー骨格に沿ってペンダント位置で結合された場合、加水分解速度は連結の構造に応じて変化する(以下の構造1を参照されたい。RはHであり、R**は-CHCHであり、aはランダムであり、nは通常190であり、oは通常10であり、pは変動して、加水分解速度を変動させることができる)。
Figure 2022538143000002
薬剤の放出率において観察された差異のさらなる調査において、出願人は、POZコンジュゲートの高次構造がPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響することを予想外に発見した。
いかなる特定の理論にも縛られることなく、POZコンジュゲートの水溶性POZポリマー部分は、薬剤の周りでゆるく折りたたまれて、薬剤の周りにシェルを形成すると考えられている。取り囲んでいるPOZポリマーシェルは、柔軟性及び可動性があり、生理的に分解可能なリンカーへの必要とされる切断機能(例えば、酵素、例えば、エステラーゼ)の接近を妨害する能力はあるが、阻止する能力はない。切断機能への接近のこのような妨害は、生理的に分解可能なリンカーの切断を遅延させ、したがってPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を遅延させる。POZポリマーシェルが薬剤を取り囲んでいる場合、POZコンジュゲートは緻密な高次構造にある。
POZポリマーシェルの柔軟性及び可動性は、POZコンジュゲートの1種以上の特性に少なくとも部分的に依存する。よって、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、POZコンジュゲートの1種以上の特徴を選択することにより制御することができる。このような特徴には、これらに限定されないが、POZポリマーの特徴、薬剤の特徴、ローディングの特徴、又は前述のものの組合せが含まれる。
一実施形態では、薬剤の特徴(すなわち、薬剤の性質)が、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響を与える。上記構造1の2種のPOZコンジュゲートを考えてみる。第1のPOZコンジュゲートでは、RはHであり、R**は-CHCHであり、aはランダムであり、nは190であり、oは10であり、pは3であり、薬剤はLogP7.0を有する。第2のPOZコンジュゲートでは、薬剤がLogP2.5を有する(疎水性はより低い)ことを除いて値は同じである。第1のPOZコンジュゲートでは、親水性POZポリマー部分がより多くの疎水性薬剤と相互作用するので、POZポリマーシェルは、第2のPOZコンジュゲートと比較して柔軟性及び可動性が低い(すなわち、薬剤及び/又はコアの周りをより堅く包んでいる)。この状況で、第1のPOZコンジュゲートのPOZポリマーシェルは、生理的に分解可能なリンカーに対する切断機能の接近を、第2のPOZコンジュゲートより大きな度合で制限し、第1のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率は第2のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率よりも遅い。
別の実施形態では、POZポリマーの特徴(すなわち、POZポリマー部分の大きさ)が、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響を与える。構造1の2種のPOZコンジュゲートを考えてみる。第1のPOZコンジュゲートでは、RはHであり、R**は-CHCHであり、aはランダムであり、nは390であり、oは10であり、pは3であり、薬剤はLogP6.1を有する。第2のPOZコンジュゲートでは、nを除いて値は同じであり、第2のPOZコンジュゲートのnは190である。第1のPOZコンジュゲートでは、第1のPOZコンジュゲートの方がより大きい分子量を有するため、POZポリマーシェルは、第2のPOZコンジュゲートと比較して柔軟性及び可動性が低く、並びに/又は薬剤及び/若しくはコアをより完全に取り囲んでいる。この状況で、第1のPOZコンジュゲートのPOZポリマーシェルは、生理的に分解可能なリンカーに対する切断機能の接近を、第2のPOZコンジュゲートより大きな度合で制限し、第1のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率は第2のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率よりも遅い。
別の実施形態では、ローディングの特徴(すなわち、ローディングのパーセンテージ)が、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響を与える。構造1の2種のPOZコンジュゲートを考えてみる。第1のPOZコンジュゲートでは、RはHであり、R**は-CHCHであり、aはランダムであり、nは190であり、oは15であり、pは3であり、薬剤はLogP4.9を有する。第2のPOZコンジュゲートではoを値は除いて同じであり、第2のPOZコンジュゲートのoは5である。第1のPOZコンジュゲートでは、より多くの数の薬剤がPOZポリマーと相互作用してシェルを形成するのに利用可能であるため、POZポリマーシェルは、第2のPOZコンジュゲートと比較して柔軟性及び可動性が低い(すなわち、薬剤及び/又はコアの周りをより堅く包んでいる)。この状況で、第1のPOZコンジュゲートのPOZポリマーシェルは、生理的に分解可能なリンカーに対する切断機能の接近を、第2のPOZコンジュゲートより大きな度合で制限し、第1のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率は第2のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率よりも遅い。ある特定の実施形態では、疎水性の性質をより多く有する薬剤ほど、緻密な高次構造の形成を刺激するローディングのパーセンテージによる影響が大きい。
別の実施形態では、異なるPOZポリマーの特徴(すなわち、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分のペンダント基の性質)が、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響を与える。構造1の2種のPOZコンジュゲートを考えてみる。第1のPOZコンジュゲートでは、RはHであり、R**は-CHCHであり、aはランダムであり、nは190であり、oは6であり、pは3であり、薬剤はLogP6.1を有する。第2のPOZコンジュゲートでは、RはHであり、R**は70%-CHCH及び30%-CHであり、aはランダムであり、nは190であり、oは6であり、pは3であり、薬剤はLogP6.1を有する。第2のPOZコンジュゲートは30%-CH基を含有し、第1のPOZコンジュゲート上の-CHCH基よりも疎水性が低い。第1のPOZコンジュゲートでは、POZポリマー部分の疎水性の性質がより高いため、POZポリマーシェルは、第2のPOZコンジュゲートと比較して柔軟性及び可動性が低い(すなわち、薬剤及び/又はコアの周りをより堅く包んでいる)。この状況で、第1のPOZコンジュゲートのPOZポリマーシェルは、生理的に分解可能なリンカーに対する切断機能の接近を、第2のPOZコンジュゲートより大きな度合で制限し、第1のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率は第2のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率よりも遅い。
別の実施形態では、異なるPOZポリマーの特徴(すなわち、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の親水性又は疎水性ペンダント部分の存在)は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響を与える。2種のPOZコンジュゲート、すなわち構造1を有する第1のPOZコンジュゲート及び以下の構造2を有する第2のPOZコンジュゲートを考えてみる。第1のPOZコンジュゲートでは、RはHであり、R**は-CHCHであり、aはランダムであり、nは190であり、oは6であり、pは3であり、薬剤はLogP6.1を有する。第2のPOZコンジュゲート(構造2)では、RはHであり、R**は-CHCHであり、R***は結合されたプロピオン酸であり、aはランダムであり、nは190であり、oは6であり、mは4であり、薬剤はLogP6.1を有する。第2のPOZコンジュゲートは、第1のPOZコンジュゲート上に存在する190個の-CHCHペンダント基に加えて、4個のプロピオン酸ペンダント部分(親水性であるのは、少なくとも部分的にはC-O結合による)を含有する。いかなる特定の理論に縛られることなく、4個のペンダントの親水性部分はPOZポリマー部分の骨格(コア)付近の領域に水を引き付け、親水性ペンダント部分が存在しない場合と同程度に、POZポリマーシェルが薬剤及び/又はコアの周りを取り囲むのを阻止する(よって、POZポリマーシェルは第2のPOZコンジュゲート内でより柔軟性及び可動性となる)。この状況で、第1のPOZコンジュゲートのPOZポリマーシェルは、生理的に分解可能なリンカーに対する切断機能の接近を、第2のPOZコンジュゲートより大きな度合で制限し、第1のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率は第2のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率よりも遅い。
Figure 2022538143000003
したがって、POZコンジュゲートの高次構造は、高次構造及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率に影響を与える因子である。POZコンジュゲートの高次構造の修飾を介して、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節することができる。例えば、POZコンジュゲートの緻密な高次構造が阻害された場合、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は増加する(緻密な高次構造が阻害されてないPOZコンジュゲートと比べて)。逆に、POZコンジュゲートの緻密な高次構造が刺激された場合、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は低減する(緻密な高次構造が刺激されていないPOZコンジュゲートと比べて)。
本開示は、POZコンジュゲートの特徴を調節することにより、POZコンジュゲートの高次構造を制御するための、POZコンジュゲート及び方法を提供する。本開示は、POZコンジュゲートの特徴を調節することにより、POZコンジュゲートからの薬剤の放出を調節するための、POZコンジュゲート及び方法をさらに提供する。本開示はまた、POZコンジュゲートの特徴を調節することにより、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率(すなわち、放出プロファイル)を調節する(すなわち、選択又は微調整する)ための、POZコンジュゲート及び方法をさらに提供する。本方法のある特定の実施形態では、薬剤の放出率/放出プロファイルは選択することができる。本開示は、POZコンジュゲートの特徴を調節することにより、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択するための、POZコンジュゲート及び方法をさらに提供する。またさらに、本開示は、このようなPOZポリマーコンジュゲートを含む、医薬組成物を含めた組成物を提供する。記載されているPOZコンジュゲート、方法及び医薬組成物を使用した処置の方法もまた提供される。
定義
本明細書に引用されているすべての特許出願、特許及び印刷された刊行物は、任意の定義、主題権利の放棄又は否認、及び組み込まれた資料が本明細書での明白な開示と矛盾する場合を除いて、その全体において参照により本明細書に組み込まれ、矛盾がある場合には本開示での言語が優先されるものとする。
冠詞「a」及び「an」は本明細書で使用される場合、冠詞の文法上の目的語の1つ又は1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素(an element)」は1つの要素又は1つより多くの要素を意味する。
本明細書で使用される場合、「活性のある」又は「活性化した」という用語は、特定の官能基と併せて使用されている場合、別の分子の求電子剤又は求核剤と容易に反応する官能基を指す。これは、反応するために触媒又は非現実的な反応条件を必要とするような基(すなわち、「非反応性」又は「不活性な」基)と対照的である。
本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は治療用又は診断用の用途を有する任意の分子を指し、この薬剤はPOZポリマー上の基又はPOZポリマーに結合している連結基に結合することが可能である。薬剤には、これらに限定されないが、治療剤(例えば、これらに限定されないが、薬物)、診断用薬及び有機小分子が含まれる。ある特定の実施形態では、薬剤は疎水性であり、又は薬剤は水に溶解しない(例えば、疎水性薬物)。ある特定の実施形態では、薬剤はlogP値≧0.5又は≧2.0を有する。
本明細書で使用される場合、「生理的に分解可能」又は「生理的に放出可能」という用語は、切断可能な部分を含有する連結を指す。分解可能及び放出可能という用語は、リンカーを切断させる任意の特定の機序を意味するわけではない。
本明細書で使用される場合、「切断可能な部分」という用語は、対象における生理的条件下で(例えば、本開示のPOZコンジュゲートが対象に投与された後)、対象内で、インビボで切断可能な基を指す。一実施形態では、切断可能な部分は化学反応により切断される。本実施形態の態様では、切断は切断可能な部分の中の簡単に還元される基、例えば、これらに限定されないが、ジスルフィドの還元による。本実施形態の別の態様では、切断可能な部分は加水分解を介して切断される(すなわち、水との反応)。一実施形態では、切断可能な部分は、自然に存在する、又は誘導された結果対象内に存在する物質により切断される。本実施形態の一態様では、このような物質は酵素又はポリペプチドである。したがって、一実施形態では、切断可能な部分は酵素反応により切断される。一実施形態では、切断可能な部分は前述のものの組合せにより切断される。
本明細書で使用される場合、「求電子剤」及び「求電子性基」という用語は、イオン性であってもよい、求電子性中心を有する、すなわち、求核剤を求め、求核剤と反応可能な電子である中心を有するイオン、原子又は原子の集まりを指す。
本明細書で使用される場合、「緻密な高次構造の形成を阻害する」という句は、POZコンジュゲートについて言及している場合、POZコンジュゲートの水溶性POZポリマー部分が、薬剤及び/又はコアの周りで折りたたまれることを完全に阻止されることを意味するわけではなく、POZコンジュゲートの水溶性POZポリマー部分が、例えば、基準のPOZコンジュゲート又は異なる修飾(例えば、疎水性のより低いペンダント部分)を含有するPOZコンジュゲートと比較して、薬剤及び/又はコアの周りでより低い度合で折りたたまれる(すなわち、より緩いシェルを形成する)ことを意味する。
本明細書で使用される場合、「結合する」、「結合されている」、「連結」又は「リンカー」という用語は、本明細書に記載のPOZポリマー、POZコンジュゲート、薬剤、若しくは化合物、又はその構成成分に関して使用される場合、普通は化学反応の結果として形成され、通常共有結合である結合を指す。
本明細書で使用される場合、「親水性」という用語は、例えば、親水性部分を参照して、水との相互作用が、油又は他の疎水性溶媒との相互作用よりも熱力学的に好ましい化合物若しくは分子、又はこれらの一部分を指す。親水性化合物は水中に溶解又は分散することができる。通常、親水性化合物は1個以上の酸素、窒素、硫黄及び/若しくはリン原子並びに/又は1個以上の極性の共有結合(例えば、これらに限定されないが、C=O、C-N、C=N、O-H、及び/又はC-ハロゲン結合)を含有する。このような極性の共有結合は非対称的に配置されていてもよい。
本明細書で使用される場合、「疎水性」という用語は、例えば、疎水性部分を参照して、水との相互作用が、油又は他の疎水性溶媒との相互作用より熱力学的に好ましくない化合物若しくは分子、又はこれらの一部分を指す。疎水性化合物は油又は他の疎水性の溶媒中に溶解又は分散することができる。
本明細書で使用される場合、「不活性」又は「非反応性」という用語は、特定の官能基と併せて使用される場合、別の分子上の求電子剤又は求核剤と容易に反応せず、反応するために触媒又は非現実的な反応条件を必要とする官能基を指す。
本明細書で使用される場合、「求核剤」及び「求核性基」という用語は、イオン性であってもよい、求核性の中心、すなわち電子を供与し、求電子剤と反応することが可能な中心を有するイオン、原子又は原子の集まりを指す。
本明細書で使用される場合、「ペンダント基」という用語は、POZポリマー部分の重合中に形成されるPOZポリマー部分の一部を指す。ペンダント基は、本明細書に記載されている式IのXにより例示される。
本明細書で使用される場合、「ペンダント部分」という用語は、連結基を介してPOZポリマー部分に結合されている置換基を指す。ペンダント部分は、本明細書に記載されている式IのRにより例示される。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、組成物の他の成分と相容性があり、化合物又は組成物を受け取る対象に有害ではない化合物を指す。一部の実施形態では、「薬学的に許容される」という用語は、動物、より具体的にはヒトにおける使用に対して、連邦の監督官庁若しくは州政府により承認されている、又は米国薬局方若しくは他の一般的に認識された薬局方により列挙されていることを意味する。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される形態」という用語は、対象に投与され得る化合物又はPOZコンジュゲートの公知の形態を含むことが意図され、これらに限定されないが、化合物の溶媒和物、水和物、プロドラッグ、同形体、多形、仮像、中性形態及び塩形態が含まれる。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される形態は、プロドラッグ、同形体及び/又は仮像を除く。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される形態は、薬学的に許容される塩、中性形態、溶媒和物及び水和物に限定される。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される形態は薬学的に許容される塩及び中性形態に限定される。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される形態は薬学的に許容される塩に限定される。
本明細書で使用される場合、「極性の共有結合」という用語は、原子の1個が、他の原子よりも電子に対して高い親和性を有する(すなわち、より電気的陰性)共有結合である。
本明細書で使用される場合、「基準のPOZコンジュゲート」という用語は、(すなわち、POZポリマーの特徴、薬剤の特徴、及び/又はローディングの特徴を改変することにより)緻密な高次構造の形成を阻害又は刺激するように修飾されておらず、他のすべての観点において比較される本開示のPOZポリマー(「比較のPOZコンジュゲート」)と同一又は類似のPOZコンジュゲートを意味する。一実施形態では、基準のPOZコンジュゲートは、RがHであり、R**が-CHCHであり、aがランダムであり、nが190であり、oが3~5であり、pが基準のPOZコンジュゲート及び比較のPOZコンジュゲートとの間で同じである上記構造1のコンジュゲートである。別の実施形態では、基準のPOZコンジュゲートは、R、a、n、p、o、及び薬剤が、基準のPOZコンジュゲート及び比較のPOZコンジュゲート上で同じになるようにそれぞれ選択されている上記構造1のコンジュゲートである。別の実施形態では、基準のPOZコンジュゲートは、R、a、p、o、及び薬剤が基準のPOZコンジュゲート及び比較のPOZコンジュゲート上で同じになるようにそれぞれ選択されている上記構造1のコンジュゲートである。別の実施形態では、基準のPOZコンジュゲートは、R、a、n、p、及び薬剤が基準のPOZコンジュゲート及び比較のPOZコンジュゲート上で同じになるようにそれぞれ選択されている上記構造1のコンジュゲートである。別の実施形態では、基準のPOZコンジュゲートは、R、a、n、o、及びpが基準のPOZコンジュゲート及び比較のPOZコンジュゲート上で同じになるようにそれぞれ選択されている上記構造1のコンジュゲートである。別の実施形態では、基準のPOZコンジュゲートは、R、a、n、p、及び薬剤が基準のPOZコンジュゲート及び比較のPOZコンジュゲート上で同じになるようにそれぞれ選択されている上記構造2のコンジュゲートである。
本明細書で使用される場合、「実質的にすべて」という用語は、本明細書で期間を参照して、その期間の80%以上、例えば、その期間の90%又は95%を意味する。
本明細書で使用される場合、「緻密な高次構造の形成を刺激する」という句は、POZコンジュゲートについて言及している場合、POZコンジュゲートの水溶性POZポリマー部分が、薬剤及び/又はコアの周りで完全に折りたたまれていることを意味するわけではなく、POZコンジュゲートの水溶性POZポリマー部分が、例えば、基準のPOZコンジュゲート又は異なる修飾(例えば、より親水性のペンダント部分)を含有するPOZコンジュゲートと比較して、薬剤及び/又はコアの周りでより大きな度合で折りたたまれている(すなわち、より堅いシェルを形成する)ことを意味する。
本明細書で使用される場合、「持続放出プロファイル」という用語は、本開示のPOZコンジュゲートに関連して使用されている場合、体内での薬剤濃度(例えば、血漿濃度)が12時間~4週間の期間にわたりより高いレベルで維持されるように、POZコンジュゲートから放出されることを意味する。
本明細書で使用される場合、「水溶性」という用語は、水溶性ポリマーを参照して、室温で水に溶解性のあるポリマーを指す。通常、水溶性ポリマーは、濾過後に同じ溶液により伝達される光の少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約95%を伝達する。重量ベースで、水溶性ポリマーは好ましくは少なくとも約35%(重量で)が水溶解性であり、より好ましくは少なくとも約50%(重量で)が水溶解性であり、さらにより好ましくは約70%(重量で)が水溶解性であり、さらにより好ましくは約85%(重量で)が水溶解性である。しかし、水溶性ポリマーは約95%(重量ベースで)が水溶解性又は完全に水溶解性であることが最も好ましい。
本明細書で使用される場合、「水溶性」という用語は、水溶性薬剤を参照して、0.5と等しい又は>0.5のlogP値を有する薬剤を指す。
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、任意選択的に置換されていてもよい1個以上のヘテロ原子(例えば、O、S又はN)を任意選択的に含有する飽和脂肪族基を指し、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基及びシクロアルキル置換アルキル基を含む。ある特定の実施形態では、直鎖又は分枝鎖アルキルは約30個以下の炭素原子をその骨格内に有し(例えば、直鎖に対してC~C30、分枝鎖に対してC~C30)、代わりに、約20個以下、又は10個以下を有する。ある特定の実施形態では、「アルキル」という用語は、C~C10直鎖アルキル基又はC~C直鎖アルキル基を指す。ある特定の実施形態では、「アルキル」という用語はC~C12分枝鎖アルキル基を指す。ある特定の実施形態では、「アルキル」という用語は、C~C分枝鎖アルキル基を指す。アルキルの代表的な例として、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びn-ヘキシルが挙げられる。ある特定の実施形態では、「アルキル」という用語は、炭素原子の代わりに1個以上のヘテロ原子(例えば、O、S又はN)を含有するC~C10直鎖アルキル基を指し、このヘテロ原子は任意選択的に置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、「アルキル」という用語は、OH、NH及び=Oからなる群から選択される5個までの基で置換されているC~C10直鎖アルキル基を指す。
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、任意選択的に置換されていてもよい1個以上のヘテロ原子(例えば、O、S又はN)を任意選択的に含有する不飽和脂肪族基を指し、これには、2~30個炭素を含有し、2個の水素の除去により形成される少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素基が含まれる。アルケニルの代表的な例として、これらに限定されないが、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル及び3-デセニルが挙げられる。アルケニル基の不飽和結合(複数可)は、部分のどこにでも位置することができ、二重結合(複数可)の周囲に(Z)又は(E)立体配置のいずれかを有することができる。
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、任意選択的に置換されていてもよい1個以上のヘテロ原子(例えば、O、S又はN)を任意選択的に含有する不飽和脂肪族基を指し、これには2~30個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素基が含まれる。アルキニルの代表的な例として、これらに限定されないが、アセチレニル、1-プロピニル、2-プロピニル、3-ブチニル、2-ペンチニル、4-ペンチニル及び1-ブチニルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「置換アルキル」、「置換アルケニル」及び「置換アルキニル」という用語は、炭素(複数可)又は水素(複数可)への1つ以上の結合が非水素又は非炭素原子への結合により置き換えられている上で定義されたようなアルキル、アルケニル及びアルキニル基、例えば、これらに限定されないが、F、Cl、Br及びIなどのハロゲン化物の中のハロゲン原子;カルボニル、カルボキシル、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基及びエステル基などの基の中の酸素原子;チオール基、アルキル及びアリールスルフィド基、スルホン基、スルホニル基及びスルホキシド基などの基の中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド、エナミンイミン、オキシム、ヒドラゾン、ヘテロシクリルアミン、(アルキル)(ヘテロシクリル)-アミン、(アリール)(ヘテロシクリル)アミン、ジヘテロシクリルアミン及びニトリルなどの基の中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基及びトリアリールシリル基などの基の中のケイ素原子;及び様々な他の基の中の他のヘテロ原子を指す。特定の実施形態では、「極性アルキル」、「極性アルケニル」及び「極性アルキニル」とは、極性共有結合を結果として生じる原子で置換されているアルキル、アルケニル及びアルキニル基を指す。別の特定の実施形態では、「極性アルキル」、「極性アルケニル」及び「極性アルキニル」は、極性共有結合を結果として生じる原子で置換されているC1~C5アルキル、アルケニル及びアルキニルの基を指す。特定の実施形態では、「極性アルキル」、「極性アルケニル」及び「極性アルキニル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル基、例えば、-OH基及び/又は-C(O)-OH基で置換されているC1~C5アルキル、アルケニル及びアルキニル基を指す。
本明細書で使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、-F、-Cl、-Br又は-Iを指す。
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、酸素原子を介して親分子部分に付随している、本明細書で定義されたようなアルキル基を指す。アルコキシの代表的な例として、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、アリール基で置換されているアルキル基を指し、このアリール基の部分はアルキル基を介して親分子に付随している。アリールアルキル基は任意選択的に置換されていてもよい。「置換アラルキル」は、置換アリール基が非置換アリール基に関して有する意味と同じ意味を非置換のアラルキル基に関して有する。しかし、置換アラルキル基はまた、基のアルキル部分の炭素又は水素結合が非炭素又は非水素原子への結合で置き換えられている基も含む。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアリールアルキル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基を指し、このヘテロアリール基の部分はアルキル基を介して親分子部分に付随している。ヘテロアリールアルキルは任意選択的に置換されていてもよい。「置換ヘテロアリールアルキル」という用語は、置換アリール基が非置換アリール基に関して有する意味と同じ意味を非置換ヘテロアリールアルキル基に関して有する。
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、非置換又は置換アルキル、アルケニル若しくはアルキニル基を指し、この非置換又は置換アルキル、アルケニル若しくはアルキニル基の水素又は炭素結合は、ヘテロシクリル基への結合で置き換えられている。ヘテロシクリルアルキルは任意選択的に置換されていてもよい。「置換ヘテロシクリルアルキル」という用語は、置換アリール基が非置換アリール基に関して有する意味と同じ意味を非置換ヘテロシクリルアルキル基に関して有する。しかし、置換ヘテロシクリルアルキル基はまた、非水素原子が、ヘテロシクリルアルキル基のヘテロシクリル基の中のヘテロ原子、例えば、これらに限定されないが、ピペリジニルアルキル基のピペリジン環の中の窒素原子に結合されている基も含む。
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、単環式、二環式及び多環式の芳香族炭化水素基、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン及びピレンを含むことを指す。芳香族環は、1つ以上の環の位置において、1つ以上の置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、フルオロアルキル(例えば、トリフロメチル)、シアノなどで置換されていてもよい。「アリール」という用語はまた、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通している(環は「縮合環」である)2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、環のうちの少なくとも1つは例えば芳香族炭化水素であり、他方の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリルであってよい。ある特定の実施形態では、「アリール」という用語はフェニル基を指す。アリール基は任意選択的に置換されていてもよい。
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、3~6個の環炭素原子を含有する飽和炭素環式基を指し、このような環は置換若しくは非置換のアルキル基又は置換アルキル基に対して記載されている置換基で任意選択的に置換されていてもよい。例示的シクロアルキル基として、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロブチル及び4-エチルシクロヘキシルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、環構造内に1個以上のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含む、全原子3~30個を有する単環式、二環式及び多環式芳香族基を指す。例示的なヘテロアリール基として、アザインドリル、ベンゾ(b)チエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、フラニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、インドリル、インドリニル、インダゾリル、イソインドリニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イソキノリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピロロ[2,3-d]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、キノリニル、キナゾリニル、トリアゾリル、チアゾリル、チオフェニル、テトラヒドロインドリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、トリアゾリル又はトロパニルなどが挙げられる。「ヘテロアリール」は、1つ以上の環の位置で、1つ以上の置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、フルオロアルキル(例えば、トリフロメチル)、シアノなどで置換されていてもよい。「ヘテロアリール」という用語はまた、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通している(環は「縮合環」である。)2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、環のうちの少なくとも1つは、環構造内に1個以上のヘテロ原子を有する芳香族基であり、例えば、他方の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリルであってよい。
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用されているかに関わらず、専門用語であり、これらに限定されないが、単環式、二環式及び三環式環を含む非芳香族環系の基を指し、これらは完全に飽和していることもできるし、又は1つ以上の不飽和単位を含有することもでき、念のため書き添えると、不飽和の程度は芳香族環系をもたらさない程度とし、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含む3~15個の原子を有する。例証目的のため、以下が複素環式環の例であるが、これらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない:アジリジニル、アジリニル、オキシラニル、チイラニル、チイレニル、ジオキシラニル、ジアジリニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、アゼチル、オキセタニル、オキセチル、チエタニル、チエチル、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ジオキセテニル、ジチエタニル、ジチエチル、ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、アゼピン、アゼチジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、キヌクリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル及びトリチアニル。ヘテロシクリル基は、1つ以上の環の位置において、1つ以上の置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、フルオロアルキル(例えば、トリフロメチル)、シアノなどで置換されていてもよい。
本明細書で使用される場合、「処置」、「処置する」及び「処置すること」という用語は、疾患又は状態の症状、態様又は特徴を予防する、排除する、又は減少させるための、一連の行動(例えば、本明細書に記載されているコンジュゲート又は本明細書に記載されているコンジュゲートを含む医薬組成物を投与する。)を指す。このような処置を行うことは、絶対的に有用である必要はない。一実施形態では、処置は、疾患又は状態の症状、態様又は特徴の開始と並行的に又はその後開始される一連の行動を含む。別の実施形態では、処置は、疾患又は状態の症状、態様又は特徴の開始前に開始される一連の行動を含む。
本明細書で使用される場合、「処置を必要とする」という用語は、患者は処置を必要とする又は処置から恩恵を受けると介護者によりなされた判断を指す。この判断は、介護者の専門的知識の領域内にある様々な因子、ただし、本開示の方法又は化合物で処置可能な疾患又は状態の結果として、患者が病気を患っているか、又は病気を患うことになるという知識を含む因子に基づきなされる。
本明細書で使用される場合、「個体」、「対象」又は「患者」という用語は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ又は霊長類及びヒトを含む任意の動物を指す。この用語は雄若しくは雌若しくは両方を特定してもよいし、又は雄若しくは雌を排除してもよい。好ましい実施形態では、「個体」、「対象」又は「患者」という用語はヒトを指す。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、疾患又は状態の任意の症状、態様又は特徴に対して任意の検出可能な、プラス効果を有することが可能な医薬組成物の単独又は一部としてのコンジュゲートの量を指す。このような作用は、絶対的に有益である必要はない。
本開示のPOZコンジュゲートに含有されている、ある化合物は、特定の幾何学的又は立体異性形態で存在し得る。加えて、本開示のPOZコンジュゲートに含有されている化合物はまた光学活性があってもよい。本開示は、cis-及びtrans-異性体、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、そのラセミ混合物、並びにこれらの他の混合物を含むすべてのこのような化合物が本発明の範囲内に含まれると想定している。追加の不斉炭素原子は置換基、例えば、アルキル基の中に存在してもよい。すべてのこのような異性体、並びにこれらの混合物は本発明に含まれることを意図する。
例えば、化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、これは不斉合成により、又はキラル補助基による誘導により調製することができ、生成したジアステレオマーの混合物は分離され、補助基は切断されて、純粋な所望のエナンチオマーが得られる。代わりに、分子がアミノなどの塩基性官能基又はカルボキシルなどの酸性の官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩が適当な光学活性のある酸又は塩基を用いて形成され、これに続いて、当技術分野で周知の分別結晶化又はクロマトグラフィーの手段により形成されたジアステレオマーが分離され、その後純粋なエナンチオマーが回収される。
「置換」又は「~で置換されている」は、このような置換は置換された原子及び置換基の許容された原子価に合致するものであり、置換が、例えば、転位、断片化、分解、環化、脱離又は他の反応などにより、自発的に変換されない安定した化合物を結果として生じるという暗黙の条件を含むことを理解されたい。
基が化合物の一部として特定されている場合、基の置換は、特定の結合を受け入れるように調整できることを理解されたい。例えば、アルキル基が他の2つの基と連結している場合、アルキル基はアルキレン基と考えられる。
「置換されている」という用語はまた、有機化合物のすべての許容できる置換基を含むことを想定している。広範な態様では、許容できる置換基は、有機化合物の非環式及び環式の、分枝及び非分枝の置換基、炭素環式及びヘテロシクリル、芳香族及び非芳香族置換基を含む。例示的置換基には、例えば、本明細書で上に記載されているものが含まれる。本開示の目的のため、ヘテロ原子、例えば、酸素又は窒素は、水素置換基及び/又はヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載されている有機化合物の任意の許容できる置換基を有してもよい。例示的な置換として、これらに限定されないが、ヒドロキシ、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、フルオロアルキル(例えば、トリフロメチル)、シアノなどが挙げられる。本発明は、どのような形でも、有機化合物の許容できる置換基に限定されることを意図していない。
本明細書の他の化学用語は、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(Parker、S.編、1985年)、McGraw-Hill、San Francisco、参照により本明細書に組み込まれる。)において例示されているような、当技術分野での従来の使用法に従い使用されている。他に定義されない限り、本明細書で使用されているすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通して理解されているものと同じ意味を有する。
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ナフタレン-2-スルホン酸及び他の酸を含む無機酸又は有機酸から誘導される塩を含む。薬学的に許容される塩形態は、塩を含む分子の比が1:1でない形態を含むことができる。例えば、塩は、塩基分子1個当たり1個より多くの無機酸又は有機酸分子、例えば、コンジュゲート分子1個当たり2個の塩酸分子を含んでもよい。別の例として、塩は、塩基分子1個当たり1個未満の無機酸又は有機酸分子、例えば、無機酸又は有機酸分子1個当たり、2個のコンジュゲート分子を含んでもよい。
「担体」及び「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書で使用される場合、化合物と一緒に投与される又は投与用に製剤化される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを指す。このような薬学的に許容される担体の非限定的例として、液体、例えば、水、生理食塩水及び油;及び固体、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、ウレアなどが挙げられる。加えて、助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、香味剤及び着色剤を使用することができる。適切な薬学的担体の他の例は、それぞれがこれらの全体において参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Science及びPractice of Pharmacy(第23版、ISBN9780128200070)及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(第8版、978-0-85-711271-2)に記載されている。
POZコンジュゲートの高次構造を制御し、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節するための組成物及び方法
本開示は、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択、又は前述のものの組合せを制御する方法を提供する。一般的な実施形態では、このような方法は、水溶性POZポリマー及び生理的に分解可能な連結により水溶性POZポリマーに結合された薬剤を含むPOZコンジュゲート、又はその薬学的に許容される形態を提供することを含み、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択が、POZポリマーの特徴、薬剤の特徴、ローディングの特徴、又は前述のものの組合せを選択することにより制御される。
一実施形態では、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激するか(すなわち、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる。)、又はPOZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する(すなわち、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる。)のいずれかのためにPOZコンジュゲートの特徴を選択することを含む。よって、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、POZコンジュゲートの1つ以上の特徴を選択することにより制御することができる。このような特徴として、これらに限定されないが、POZポリマーの特徴、薬剤の特徴及びローディングの特徴が挙げられる。
一実施形態では、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する又はPOZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激するようにPOZポリマーの特徴を選択することを含む。適切なPOZポリマーの特徴には、これらに限定されないが、POZポリマー部分上の親水性又は疎水性ペンダント部分の存在、POZポリマー部分上のペンダント基の疎水性の性質(特に、POZポリマー部分に親水性又は疎水性ペンダント部分が欠如している場合)、及びPOZポリマーの分子量が含まれる。
本実施形態の一態様では、本方法は、POZポリマー部分上に1つ以上の親水性ペンダント部分を含めることを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に親水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。上で論じられているように、POZポリマー部分が親水性ペンダント基を含有する場合、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成は阻害される(親水性ペンダント部分が欠如している基準のPOZコンジュゲートと比較して)。任意の特定の理論に縛られることなく、1つ以上の親水性ペンダント基の包含は、POZポリマー部分が、結合した薬剤及び/又はコアと相互作用することを阻害し、これによって、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する。さらに、親水性ペンダント基の数を改変することにより、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成が阻害される度合を制御することを可能にする。
親水性ペンダント基を含有するPOZコンジュゲートは、このような修飾を含有しない基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、増加した(より短いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に親水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に親水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より短いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に親水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。
本実施形態の別の態様では、本方法は、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に疎水性ペンダント基を含めることを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に疎水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。任意の特定の理論に縛られることなく、1つ以上の疎水性ペンダント基の包含は、POZポリマー部分が、結合した薬剤及び/又はコアと相互作用するように刺激し、これによってPOZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する(疎水性ペンダントを含有しない基準のPOZコンジュゲートと比較して)。さらに、疎水性ペンダント基の数を改変することにより、緻密な高次構造の形成が刺激される度合を制御することを可能にする。
疎水性ペンダント基を含有するPOZコンジュゲートは、このような修飾を含有しない基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、低減した(より長いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に疎水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に疎水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に疎水性ペンダント基を含めることを含む方法を提供する。
本実施形態の別の態様では、本方法は、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の疎水性ペンダント基を排除することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の疎水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。POZポリマー部分が疎水性ペンダント基を含有しない場合、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成は刺激されない(疎水性ペンダント部分を含有する基準のPOZコンジュゲートと比較して)。
よって、疎水性ペンダント基が欠如しているPOZコンジュゲートは、疎水性ペンダントを含有する基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して増加した(より短いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の疎水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の疎水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より短いt1/2を有する放出プロファイルの方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の疎水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。
本実施形態の別の態様では、本方法は、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の親水性ペンダント基を排除することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の親水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。POZポリマー部分が親水性ペンダント基を含有しない場合、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成は阻害されない(親水性ペンダント部分を含有する基準のポリペプチドと比較して)。
よって、親水性ペンダント基が欠如しているPOZコンジュゲートは、親水性ペンダントを含有する基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、低減した(より長いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の親水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の親水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルの方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の親水性ペンダント基を排除することを含む方法を提供する。
前述の考察では、親水性及び疎水性ペンダント部分のPOZポリマー部分に対する影響は、ペンダント部分の存在/非存在を除いて実質的に同じ特性のPOZコンジュゲートとの関連で決定される(例えば、親水性ペンダント部分のPOZ-CBDコンジュゲートに対する作用が決定される場合、親水性ペンダント部分の作用は、親水性ペンダント部分が欠如していることを除いて、同じ構造及び実質的に同じ特性、例えばローディングのパーセンテージ及び分子量を有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して決定される。)。一実施形態では、親水性又は疎水性ペンダント部分を添加する又は取り除く影響は、特定のPOZコンジュゲートに対して特異的であり、親水性又は疎水性ペンダント部分を添加する又は取り除く影響は、別のPOZコンジュゲートに対して定性的又は定量的に異なり得る。さらに、別の実施形態では、親水性又は疎水性ペンダント部分を添加する又は取り除く影響はまた、本明細書で論じられたような他のPOZコンジュゲートの特徴、例えば、これらに限定されないが、薬剤の性質により影響を受け得る。例えば、一般的に低い水溶性を示す薬剤(例えば、LogP値6.1の薬剤)は、より低いLogP(例えば、LogP4.8)を有する同じPOZコンジュゲート内の薬剤と比較して、親水性ペンダント部分の存在にもかかわらず、POZポリマー部分とのより大きな相互作用を示し、緻密な高次構造の形成を刺激し、及び/又は低減した放出率を示す。
本実施形態の別の態様では、本方法は、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分の分子量を制御することを含む。一般的に、POZポリマー部分の分子量が増加するにつれて、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成は刺激され、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は低減する(より長いt1/2)(前述のもののそれぞれをより低い分子量のPOZポリマー部分を有する基準のPOZコンジュゲートと比較して)。一実施形態では、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する又は阻害するPOZポリマー部分に対して分子量を選択することを含む。本実施形態の一態様では、分子量≧20kDa(例えば、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、75kDa、100kDa又は150kDaであり、ただし1000kDa未満)は緻密な高次構造の形成を刺激し、分子量<20kDa(例えば、17.5kDa、15、kDa、12.5kDa、10.0kDa、8kDa、6kDa、4kDa又は2kDaであり、ただし1kDa超)は緻密な高次構造の形成を阻害する。本実施形態の別の態様では、分子量≧30kDaは緻密な高次構造の形成を刺激し、分子量<15kDaは緻密な高次構造の形成を阻害する。
本実施形態の一態様では、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、≧20kDaのPOZポリマー部分を含むPOZコンジュゲートを提供することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、≧20kDaのPOZポリマー部分を含むPOZコンジュゲートを提供することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、≧20kDaのPOZポリマー部分を含むPOZコンジュゲートを提供することを含む方法を提供する。本態様のある特定の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、75kDa、100kDa又は150kDaであり、1000kDa未満である。本態様のある特定の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は≧20kDa及び≦100kDaである。本態様のある特定の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は≧50kDa及び≦150kDaである。
さらに、一般的に、POZポリマー部分の分子量が低減するにつれて、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成は阻害され、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は増加する(より短いt1/2)(前述のもののそれぞれをより高い分子量のPOZポリマー部分と比較して)。
本実施形態の一態様では、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する方法であって、<20kDaのPOZポリマー部分を含むPOZコンジュゲートを提供することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に<20kDa以下のPOZポリマー部分を含むPOZコンジュゲートを提供することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、<20kDaのPOZポリマー部分を含むPOZコンジュゲートを提供することを含む方法を提供する。本態様のある特定の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は17.5kDa、15kDa、12.5kDa、10.0kDa、8kDa、6kDa、4kDa又は2kDaであり、1kDaより大きい。本態様のある特定の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は≧2kDa及び<20kDaである。本態様のある特定の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は≧10kDa及び<20kDaである。
前述の考察では、POZポリマー部分の分子量の影響は、POZポリマー部分の分子量における差異を除いて実質的に同じ特性のPOZコンジュゲートとの関連で決定される(例えば、60kDaのPOZポリマー部分のPOZ-CBDコンジュゲートに対する作用が決定される場合、POZポリマー部分の作用は、分子量が異なることを除いて、同じ構造及び実質的に同じ特性、例えばローディングのパーセンテージを有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して決定される。)。一実施形態では、POZポリマー部分の分子量を増加又は低減させる影響は、特定のPOZコンジュゲートに対して特異的であり、POZポリマー部分の分子量の増加又は低減の影響は、別のPOZコンジュゲートに対して定性的又は定量的に異なり得る。さらに、別の実施形態では、POZポリマー部分の分子量を増加又は低減させる影響はまた、本明細書で論じられたような他のPOZコンジュゲートの特徴、例えば、これらに限定されないが、薬剤の性質により影響を受け得る。例えば、一般的に、低い水溶性を示す薬剤(例えば、LogP値6.1の薬剤)は、より低いLogP(例えば、LogP4.8)を有する同じPOZコンジュゲート内の薬剤と比較して、60kDaPOZポリマー部分を有するPOZポリマー部分とのより大きな相互作用を示し、緻密な高次構造の形成を刺激し、及び/又は低減した放出率を示す。
本実施形態の一態様では、本方法は、特にPOZコンジュゲートが上記構造1であり、親水性又は疎水性ペンダント部分が欠如している場合、POZポリマー部分上のペンダント基の疎水性の性質を変化させることを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分のペンダント基の疎水性の性質を改変することを含む方法を提供する。上で論じられているように、POZポリマー部分がより疎水性の性質を提供するペンダント基を含有する場合、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成は刺激される(低い疎水性の性質の基準のPOZコンジュゲートペンダント基と比較して)。例えば、POZポリマー部分上にプロピルペンダント基を有するPOZコンジュゲートは、POZポリマー部分上にメチルペンダント基を有するPOZコンジュゲートより疎水性の高い性質を有する。別の例として、POZポリマー部分上にプロピルペンダント基を有するPOZコンジュゲートは、POZポリマー部分上に50%エチル及び50%メチルペンダント基を有するPOZコンジュゲートより疎水性の高い性質を有する。任意の特定の理論に縛られることなく、ペンダント基の疎水性の性質はPOZポリマー部分の結合されている薬剤及び/又はコアとの相互作用を刺激し、これによって、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する。さらに、疎水性ペンダント基の数を改変することにより、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成が刺激される度合を制御することを可能にする。
より高い疎水性の性質を有するペンダント基を含有するPOZコンジュゲートは、疎水性の低い性質を有するペンダント基を含有する基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、低減した(より長いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に疎水性の性質を有するペンダント基を含めることを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分に疎水性の性質を有するペンダント基を含めることを含む方法を提供する。本明細書に記載されている方法のある特定の実施形態では、メチルペンダント基を有することを除いて、実質的に同じ特性のPOZポリマーとの比較が行われる。
前述の考察では、疎水性の性質を有するペンダント基のPOZポリマー部分に対する影響は、ペンダント基の疎水性の性質を除いて実質的に同じ特性のPOZコンジュゲートとの関連で決定される(例えば、プロピルペンダント基のPOZ-CBDコンジュゲートに対する作用が決定される場合、プロピルペンダント基の作用は、疎水性の低いペンダント基、例えば、メチルペンダント基を含有することを除いて、同じ構造及び実質的に同じ特性、例えば、ローディングのパーセンテージ及び分子量を有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して決定される。)。一実施形態では、疎水性の性質を有するペンダント基のPOZポリマー部分に対する影響は特定のPOZコンジュゲートに対して特異的であり、疎水性の性質を有するペンダント基のPOZポリマー部分に対する影響は、別のPOZコンジュゲートに対して定性的又は定量的に異なり得る。さらに、別の実施形態では、疎水性の性質を有するペンダント基のPOZポリマー部分に対する影響はまた、本明細書で論じられたような他のPOZコンジュゲートの特徴、例えば、これらに限定されないが、薬剤の性質により影響を受け得る。例えば、一般的に低い水溶性を示す薬剤(例えば、LogP値6.1の薬剤)は、より低いLogP(例えば、LogP4.8)を有する同じPOZコンジュゲート内の薬剤と比較して、疎水性の性質を有するペンダント基を含有するPOZポリマー部分とより高い相互作用を示し、緻密な高次構造の形成を刺激し、及び/又は低減した放出率を示す。
POZコンジュゲートの高次構造はまた、薬剤の特徴を選択することにより制御することもできる。本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートの薬剤の特徴を選択することを含む方法を提供する。適切な薬剤の特徴には、これらに限定されないが、薬剤の溶解度、薬剤の分子容、薬剤の全極性表面積(TPSA)、又は前述のものの組合せが含まれる。
本実施形態の一態様では、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択するための方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の低い薬剤を選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の低い薬剤を選択することを含む方法を提供する。水への溶解度の低い薬剤は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する(水への溶解度がより高い薬剤を有する基準のPOZコンジュゲートと比較して)。水への溶解度が低い薬剤を含有するPOZコンジュゲートは、水への溶解度がより高い薬剤を含有する基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、低減した(より長いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の低い薬剤を選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の低い薬剤を選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の低い薬剤を選択することを含む方法を提供する。
本態様のある特定の実施形態では、薬剤の水溶性は、薬剤のLogP値により決定される。他に特定されていない限り、本開示において、LogP値とは、Deardenら(Molecular Informatics、7巻(3号)、133~134頁、1988年)に記載されている通り、n-オクタノール及び水の二相の系の中で薬剤を分配することにより値が決定されることを意味する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧0.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧1.0を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧1.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧2.0を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧2.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧3.0を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧3.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧4.0を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧4.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧5.0を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧5.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧6.0を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧6.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧7.0を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧7.5を有する。ある特定の実施形態では、水溶性の低い薬剤はLogP値≧8.0を有する。前述のある特定の実施形態では、薬剤はLogP値≦10を有する。前述のある特定の実施形態では、薬剤はLogP値≦0.5及び≦10を有する。
本実施形態の一態様では、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択するための方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の高い薬剤を選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の高い薬剤を選択することを含む方法を提供する。水への溶解度の高い薬剤は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する(水への溶解度がより低い薬剤を有する基準のPOZコンジュゲートと比較して)。水への溶解度が高い薬剤を含有するPOZコンジュゲートは、水への溶解度がより低い薬剤を含有する基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、増加した(より短いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の高い薬剤を選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の高い薬剤を選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より短いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して水への溶解度の高い薬剤を選択することを含む方法を提供する。
ある特定の実施形態では、高い水溶性を有する薬剤はLogP値<0.5を有する。
本実施形態の別の態様では、本方法は、POZコンジュゲートへの包含に対して大きな分子容を有する薬剤を選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して大きな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。大きな分子容を有する薬剤は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する(例えば、立体障害を介して)。大きな分子容を有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートは、より小さな分子容を有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、増加した(より短いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して大きな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して大きな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より短いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して大きな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。
本態様のある特定の実施形態では、分子容は、トレーニングセット(例えば、約12,000)の薬物様分子を生成するために、本当の3D体積への断片寄与の合計をフィッティングすることにより得た基の寄与率に基づき決定される。トレーニングセットに対する3D分子の形状は半経験的AM1方法(Molinspiration chemoinformatics)により完全に最適化された。ある特定の実施形態では、大きな分子容を有する薬剤は分子容≧300を有する。ある特定の実施形態では、大きな分子容を有する薬剤は分子容≧350を有する。ある特定の実施形態では、大きな分子容を有する薬剤は分子容≧400を有する。ある特定の実施形態では、大きな分子容を有する薬剤は分子容≧450を有する。ある特定の実施形態では、大きな分子容を有する薬剤は分子容≧500を有する。ある特定の実施形態では、大きな分子容を有する薬剤は分子容≧300及び≦500を有する。ある特定の実施形態では、大きな分子容を有する薬剤は分子容≧300及び≦400を有する。
本実施形態の別の態様では、本方法はPOZコンジュゲートへの包含に対して小さな分子容を有する薬剤を選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して小さな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。小さな分子容を有する薬剤は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する、又は阻害しない。よって、小さな分子容を有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートは、より大きな分子容を有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、増加した(より長いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して小さな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して小さな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して小さな分子容を有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。
本態様のある特定の実施形態では、分子容は上に記載されているように決定される。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≦300を有する。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≦275を有する。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≦250を有する。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≦200を有する。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≦100を有する。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≦50を有する。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≦50<300を有する。ある特定の実施形態では、小さな分子容を有する薬剤は分子容≧100<300を有する。
本実施形態の別の態様では、本方法は、POZコンジュゲートへの包含に対して高いTPSAを有する薬剤を選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して高いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。高いTPSAを有する薬剤はPOZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する。高いTPSAを有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートは、より小さなTPSAを有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、増加した(より短いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して高いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して低いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より短いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して高いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。
本態様のある特定の実施形態では、TPSAは、Ertlら(J.Med.Chem.、43巻、3714~3717頁、2000年)により公開された方法論に基づき、断片寄与のO中心及びN中心の極性断片の合計として決定される。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧35を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧40を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧45を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧50を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧55を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧60を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧65を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧35及び≦75を有する。ある特定の実施形態では、高いTPSAを有する薬剤はTPSA≧40及び≦60を有する。
本実施形態の別の態様では、本方法は、POZコンジュゲートへの包含に対して低いTPSAを有する薬剤を選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して低いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。低いTPSAを有する薬剤はPOZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する、又は阻害しない。低いTPSAを有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートは、より大きなTPSAを有する薬剤を含有するPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、低減した(より長いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して低いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して低いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートへの包含に対して低いTPSAを有する薬剤を選択することを含む方法を提供する。
本態様のある特定の実施形態では、TPSAは上に記載されているように決定される。ある特定の実施形態では、低いTPSAを有する薬剤はTPSA<35を有する。ある特定の実施形態では、低いTPSAを有する薬剤はTPSA≦30を有する。ある特定の実施形態では、低いTPSAを有する薬剤はTPSA≦25を有する。ある特定の実施形態では、低いTPSAを有する薬剤はTPSA≦20を有する。ある特定の実施形態では、低いTPSAを有する薬剤はTPSA≦15を有する。ある特定の実施形態では、低いTPSAを有する薬剤はTPSA<35及び≧15を有する。
前述の考察では、薬剤の特徴の影響は、試験されている薬剤の特徴(複数可)の差異を除いて、実質的に同じ特性のPOZコンジュゲートとの関連で決定される(例えば、高いTPSAを有する薬剤の作用が20kDaのPOZ-CBDコンジュゲートに対して決定される場合、高いTPSAの作用は、薬剤がより低いTPSAを有することを除いて、同じ構造及び実質的に同じ特性、例えばローディングのパーセンテージ及び分子量を有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して決定される。)。一実施形態では、薬剤の特徴の影響は、特定のPOZコンジュゲートに対して特異的であり、薬剤の特徴の影響は、別のPOZコンジュゲートに対して定性的又は定量的に異なり得る。さらに、別の実施形態では、薬剤の特徴の影響はまた、本明細書で論じられたような他のPOZコンジュゲートの特徴、例えば、これらに限定されないが、ローディングのパーセンテージにより影響を受け得る。例えば、一般的に、ローディングのパーセンテージ10%で高いTPSAを有する薬剤(例えば、TPSA62.2)を含むPOZコンジュゲートは、より低いローディングのパーセンテージ(例えば4%)を有する同じPOZコンジュゲートと比較して、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成をより高い程度で阻害し、及び/又は増加した放出率を示す。
POZコンジュゲートの高次構造はまた、ローディングの特徴を選択することにより制御することができる。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲートのローディングの特徴を選択することを含む方法を提供する。
本実施形態の一態様では、本方法は、POZコンジュゲート中の薬剤に対して高いローディングのパーセンテージを選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して高いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。より高いローディングのパーセンテージを有するPOZコンジュゲートは、POZコンジュゲート中の薬剤に対してより低いローディングのパーセンテージを含有する基準のPOZコンジュゲートと比較して、緻密な高次構造の形成をより高い程度に刺激する。POZコンジュゲート中の薬剤に対して高いローディングのパーセンテージを含有するPOZコンジュゲートは、POZコンジュゲート中の薬剤に対してより低いローディングのパーセンテージを含有する基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、低減した(より長いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して高いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して高いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より長いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して高いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。
高いローディングのパーセンテージを利用する前述の方法のいずれかにおいて、薬剤は、logP値<0.5、分子容<300、TPSA<35を有し得る。高いローディングのパーセンテージを利用する前述の方法のいずれかにおいて、薬剤はlogP値≧0.5、分子容>300、TPSA>35を有し得る。
ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧4.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧5.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧6.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧7.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧8.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧9.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧10.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧11.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧12.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧13.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧14.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧15.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧16.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧4.0%及び≦20.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する高いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≧6.0%及び≦10.0%である。
本実施形態の一態様では、本方法は、POZコンジュゲート中の薬剤に対して低いローディングのパーセンテージを選択することを含む。したがって、本開示は、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して低いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。より低いローディングのパーセンテージを有するPOZコンジュゲートは、POZコンジュゲート中の薬剤に対してより高いローディングのパーセンテージを含有する基準のPOZコンジュゲートと比較して緻密な高次構造の形成をより低い程度刺激する。POZコンジュゲート中の薬剤に対して低いローディングのパーセンテージを含有するPOZコンジュゲートは、POZコンジュゲート中の薬剤に対してより高いローディングのパーセンテージを含有する基準のPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率と比較して、増加した(より短いt1/2)POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を示す。
よって、本開示は、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して低いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。さらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して低いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。またさらに、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイル、例えば、より短いt1/2を有する放出プロファイルを選択する方法であって、POZコンジュゲート中の薬剤に対して低いローディングのパーセンテージを選択することを含む方法を提供する。
低いローディングのパーセンテージを利用する前述の方法のいずれかにおいて、薬剤は、logP値<0.5、分子容<300、TPSA<35を有し得る。低いローディングのパーセンテージを利用する前述の方法のいずれかにおいて、薬剤は、logP値≧0.5、分子容>300、TPSA>35を有し得る。
ある特定の実施形態では、薬剤に対する低いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ<4.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する低いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≦3.5%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する低いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≦3.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する低いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≦2.5%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する低いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≦2.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する低いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ≦1.0%である。ある特定の実施形態では、薬剤に対する低いローディングのパーセンテージはローディングのパーセンテージ<4.0%及び≧1.0%である。
前述の考察において、POZポリマー部分のローディングのパーセンテージの影響は、ローディングのパーセンテージを除いて、同じ特性を有するPOZコンジュゲートとの関連で決定される(例えば、高いローディングのパーセンテージのPOZ-CBDコンジュゲートに対する作用が決定される場合、高いローディングのパーセンテージの作用は、より低いローディングのパーセンテージを有することを除いて、同じ構造及び実質的に同じ特性、例えば分子量を有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して決定される。)。一実施形態では、ローディングのパーセンテージを改変する影響は、特定のPOZコンジュゲートに対して特異的であり、ローディングのパーセンテージを改変する影響は、別のPOZコンジュゲートに対して定性的又は定量的に異なり得る。さらに、別の実施形態では、ローディングのパーセンテージを増加又は低減させる影響はまた、本明細書で論じられたような他のPOZコンジュゲートの特徴、例えば、これらに限定されないが、薬剤の性質により影響を受け得る。例えば、一般的に、低い水溶性を示す薬剤(例えば、LogP値6.1を有する薬剤)は、より低いLogP(例えば、LogP4.8)を有する同じPOZコンジュゲート中の薬剤と比較して、高いローディングのパーセンテージ(例えば8.5%)においてPOZポリマー部分とより高い相互作用を示し、緻密な高次構造の形成をより高い程度に刺激し、及び/又は低減した放出率を示す。
本開示はまた、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節する(すなわち、選択又は微調整する。)方法を提供する。薬剤の放出率を調節することにより、POZコンジュゲートからの薬剤の放出に対する特定の放出プロファイルが選択され得る。POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は本明細書に記載されているようないくつかの方式で制御することができる。例えば、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、POZポリマーの特徴の選択を介して、薬剤の特徴の選択を介して、ローディングの特徴の選択を介して、又は前述のものの組合せを介して制御することができる。放出率は、本明細書の方法セクションに記載されている方法を使用して、対象への投与後、インビトロ又はインビボでの薬剤の半減期の判定を介して監視することができ、より速い放出率は薬剤の半減期の低下と相関している。
POZポリマーからの薬剤の放出プロファイルは、上記方法のうちの1つを使用して、又は上記方法のうちの1つ以上の組合せを介して選択することができる。例えば、POZコンジュゲートからの薬剤の持続放出プロファイルが所望される場合又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減することが所望される場合、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を刺激する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させる上記方法のうちの1つ以上が選択され得る。さらに、POZコンジュゲートからの薬剤の持続放出プロファイルが所望されない場合、又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させることが所望される場合、POZコンジュゲートの緻密な高次構造の形成を阻害する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を増加させる上記方法のうちの1つ以上が選択され得る。
本開示はまた、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択する、又は前述のものの組合せのためのPOZコンジュゲート組成物を提供する。一般的な実施形態では、このようなPOZコンジュゲート組成物は、水溶性POZポリマー及び生理的に分解可能な連結により水溶性POZポリマーに結合された薬剤、又はその薬学的に許容される形態を含み、このPOZコンジュゲートは以下の特徴のうちの1種以上を含む:親水性又は疎水性ペンダント部分、疎水性の性質を有するPOZポリマー部分上のペンダント基であって、この疎水性の性質がメチルペンダント基を含有するPOZコンジュゲートに関連して決定される(特に、POZポリマー部分に親水性又は疎水性ペンダント部分が欠如している場合)ペンダント基、POZポリマー部分に対して選択された分子量(すなわち、高いか低いか)、選択された水への溶解度(すなわち、高いか低いか)を有する薬剤、選択された分子容(すなわち、大きか小さいか)を有する薬剤、選択されたTPSA(すなわち、高いか低いか)を有する薬剤、薬剤の選択されたローディングのパーセンテージ(すなわち、高いか低いか)、又は前述のものの組合せ。このようなPOZコンジュゲートは、本明細書に記載されている方法のいずれにおいても使用することができる。
一実施形態では、本開示は、親水性又は疎水性ペンダント部分を含むPOZコンジュゲートを提供する。一実施形態では、本開示は、増加した疎水性の性質(例えば、メチルペンダント基と比較して増加した。)を有するペンダント基を含むPOZコンジュゲートを提供する。一実施形態では、本開示は、薬剤に対して高い又は低いローディングのパーセンテージを含むPOZコンジュゲートを提供する。一実施形態では、本開示は、水への低い又は高い溶解度を有する薬剤を含むPOZコンジュゲートを提供する。一実施形態では、本開示は、logP値≧0.5を有する薬剤又はlogP値<0.5を有する薬剤を含むPOZコンジュゲートを提供する。一実施形態では、本開示は、大きな又は小さな分子容を有する薬剤を含むPOZコンジュゲートを提供する。一実施形態では、本開示は、高い又は低いTPSAを有する薬剤を含むPOZコンジュゲートを提供する。
本開示はまた、本開示のPOZコンジュゲートを含む医薬組成物を含めた、組成物を提供する。このような組成物は、前述の方法に記載されている任意のPOZコンジュゲートを含有することができる。
本開示はまた、本明細書に記載されている方法、POZコンジュゲート、及び医薬組成物のいずれかを利用した処置方法を提供する。
POZコンジュゲート組成物
本開示のPOZコンジュゲートは、POZポリマー部分及び薬剤を含む。薬剤は、生理的に分解可能な連結によってPOZポリマーに結合される。上記で論じた通り、本開示は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率及びPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルが、POZコンジュゲートの高次構造を変更することにより制御することができるということを実証している。
一実施形態では、本開示のPOZコンジュゲートは、以下に記載される通り一般式Iを有する。式IのPOZコンジュゲートの高次構造は、POZポリマーの特徴、薬剤の特徴、及びローディングの特徴のうちの1つ以上の選択により、少なくとも一部では、制御される。
一実施形態では、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択は、POZポリマーの特徴の選択により、少なくとも一部では、制御される。
本実施形態の一態様では、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択は、POZポリマー部分(例えば、Rの選択)及び/又はペンダント部分の数(例えば、mの選択)における1つ以上のペンダント部分の選択により、少なくとも一部では、制御される。本開示は、1つ以上の親水性又は疎水性ペンダント基を含めることによって、POZコンジュゲートの高次構造及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節し、薬剤についての放出プロファイルの選択を可能にすることが実証される。
本実施形態の別の態様では、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択は、分子量の選択(例えば、n又はn、任意選択的に、m及びoの選択)により、少なくとも一部では、制御される。本開示は、POZコンジュゲートの様々な分子量(一実施形態では、POZポリマー部分の様々な分子量)が、POZコンジュゲートの高次構造及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節し、薬剤についての放出プロファイルの選択を可能にすることが実証される。
一実施形態では、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択は、薬剤の特徴の選択により、少なくとも一部では、制御される。本実施形態の一態様では、POZコンジュゲートの高次構造は、水に対する溶解性が低い(例えば、logP値≧0.5)薬剤又は水に溶けやすい(例えば、logP<0.5)薬剤の選択により、少なくとも一部では、制御される。本開示は、薬剤の水溶性を変えることにより、POZコンジュゲートの高次構造及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節し、薬剤についての放出プロファイルの選択が可能になることを実証している。
本実施形態の別の態様では、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択は、分子容が大きい(例えば、分子容≧300)薬剤又は分子容が小さい(例えば、分子容<300)薬剤の選択により、少なくとも一部では、制御される。本開示は、薬剤の分子容を変えることによって、POZコンジュゲートの高次構造及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節し、薬剤についての放出プロファイルの選択が可能になることを実証している。
本実施形態の別の態様では、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択は、TPSAが高い(例えば、TPSA≧35)薬剤又はTPSAが低い(例えば、TPSA<35)薬剤の選択により、少なくとも一部では、制御される。本開示は、薬剤のTPSAを変えることによって、POZコンジュゲートの高次構造及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節し、薬剤についての放出プロファイルの選択が可能になることを実証している。
一実施形態では、POZコンジュゲートの高次構造、POZコンジュゲートからの薬剤の切断、POZからの薬剤の放出、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルの選択は、ローディングの特徴(すなわち、ローディングのパーセンテージ)の選択により、少なくとも一部では、制御される。ローディングのパーセンテージは、POZコンジュゲートの総分子量に対して「o」パラメータを変えることにより、決定することができる。本実施形態の一態様では、POZコンジュゲートの高次構造が、薬剤の高ローディングのパーセンテージ(例えば、ローディングのパーセンテージ≧4%及び≦20%)の選択又は低ローディングのパーセンテージ(例えば、ローディングのパーセンテージ<4%)の選択により、少なくとも一部では、制御される。本開示は、薬剤のローディングのパーセンテージを変えることによって、POZコンジュゲートの高次構造及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節し、薬剤についての放出プロファイルの選択が可能になることを実証している。
前述のセクションに記載されたパラメータのうちのいずれかは、上記で使用することができる。
一実施形態では、本開示のPOZコンジュゲートは、一般式I、又は薬学的に許容されるその形態:
R-{[N(CO-L-R)CHCH-[N(COR-A)CHCH-[N(COX)CHCH-T
[式中、
Rは、開始基であり;
は、親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分の親水性又は疎水性ペンダント部分であり;
は、RをPOZポリマーに結合する連結基であり、又は非存在であり;
は、POZポリマー及びAを結合する連結基の直接結合であり;
Xは、ペンダント基であり;
Aは、薬剤であり;
aは、ランダムコポリマーを示すran又はブロックコポリマーを示すブロックであり;
mは、0~100の整数であり;
nは、0~1000の整数であり、ただし、mが0である場合、nは、1~1000の整数であり;
oは、1~50の整数であり;
Tは、終端基である]を有する。
一実施形態では、mは、0である。一実施形態では、mは、1~50又は1~10の整数である。
一実施形態では、oは、1~20又は1~10の整数である。
一実施形態では、nは、0~500、0~250、50~500、50~250、又は100~200の整数である。
一実施形態では、mは、1~50の整数であり、oは、1~20又は1~10の整数である。そのような実施形態の一態様では、nは、0~500、0~250、50~500、50~250、又は100~200の整数である。一実施形態では、mは、1~10の整数であり、oは、1~20又は1~10の整数である。そのような実施形態の一態様では、nは、0~500、0~250、50~500、50~250、又は100~200の整数である。
Rは、開始基であり、POZポリマーリビングカチオン重合を開始するために使用されるカチオン開始剤に由来する。したがって、R基の同一性は、カチオン開始剤の選択に依存する。例示的なR基は、それだけに限らないが、水素、非置換アルキル及び置換アルキルが含まれる。一実施形態では、開始基は、アルキル基、例えば、C1~C4アルキル基である。前述のものの特定の実施形態では、開始基は、メチル基である。別の実施形態では、開始基は、Hである。さらに別の実施形態では、開始基は、官能基を欠くように選択される。追加的な例示的な開始基は、米国特許第7,943,141号、第8,088,884号、第8,110,651号及び第8,101,706号において開示され、そのそれぞれは、かかる教示のために、参照により本明細書に組み込まれる。
は、存在する場合は、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節するために選択される。上記で論じた通り、Rは、親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分である。ある特定の実施形態では、Rは、単一の親水性若しくは疎水性部分又は2つ以上の親水性若しくは疎水性部分を含有し得る。Rが、2つ以上の親水性又は疎水性部分を含有する場合、その数は、2~8個であり得る。
特定の実施形態では、Rは、L-Rであり、Lは、POZコンジュゲート及びRを結合する連結基である。ある特定の実施形態では、Lは、1つ以上の親水性又は疎水性部分、例えば、2~7個の親水性部分を含有し得る。ある特定の実施形態では、Lは、少なくとも1つ若しくは少なくとも2つの親水性又は疎水性部分を含有する。ある特定の実施形態では、Lは、親水性又は疎水性部分を含有しない。ある特定の実施形態では、Lは、生理的に分解可能な連結を含む。ある特定の実施形態では、Lは、生理的に分解可能な連結を含有しない。
様々な親水基又は化合物を、使用することができる。かかる親水基は、POZポリマーを合成した後に導入することができる。一実施形態では、Rは、各反復単位につき、水溶性ポリマー、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アラルキル又は置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。別の実施形態では、Rは、各反復単位につき、C1~C5置換アルキル、置換アルケニル、又は置換アルキニルから独立に選択される。別の実施形態では、Rは、各反復単位につき、極性アルキル、極性アルケニル、又は極性アルキニル、特に、C1~C5極性アルキル、極性アルケニル、又は極性アルキニルから独立に選択される。別の実施形態では、Rは、各反復単位につき、水溶性ポリマー、置換アルキル及び極性アルキル、特に、C1~C5置換アルキル又は極性アルキルから独立に選択される。式IのPOZコンジュゲートの別の実施形態では、Rは、各POZ反復単位につき、C1~C5アルコールから独立に選択される。式IのPOZコンジュゲートの別の実施形態では、Rは、各POZ反復単位につき、C2~C4アルコールから独立に選択される。式IのPOZコンジュゲートの別の実施形態では、Rは、各POZ反復単位につき、C1~C5カルボン酸から独立に選択される。式IのPOZコンジュゲートの別の実施形態では、Rは、各POZ反復単位につき、C2~C4カルボン酸から独立に選択される。一実施形態では、Rが、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アラルキル及び/又は置換ヘテロシクリルアルキルである場合、Rは、1個以上の酸素、窒素、硫黄及び/又は亜リン酸原子を含有する。一実施形態では、Rは、1つ以上の極性共有結合(例えば、それだけに限らないが、C=O、C-N、CN、O-H、及び/又はC-ハロゲン結合)を含有する。
様々な疎水基又は化合物を、使用することができる。かかる疎水基は、(すなわち、2-オキサゾリンモノマーにおける置換基として)POZポリマー重合方法によって導入することができる、又はPOZポリマーを合成した後に導入することができる、又は前述のものの組合せにより導入することができる。一実施形態では、Rは、各反復単位につき、C5~C20置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アラルキル又は置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。別の実施形態では、Rは、各反復単位につき、C5~C20置換アルキル、置換アラルキル又は置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。別の実施形態では、Rは、各反復単位につき、C5~C20非置換アルキル、非置換アルケニル、非置換アルキニル、非置換アラルキル又は非置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。別の実施形態では、Rは、各反復単位につき、C5~C20非置換アルキル、非置換アラルキル又は非置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。好ましくは、疎水基又は化合物は、極性アルキル、極性アルケニル、又は極性アルキニルでない。
が水溶性ポリマーである場合、任意の水溶性ポリマーを、使用することができる。適当な水溶性ポリマーには、それだけに限らないが、POZ、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(アルキレングリコール)のコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(a-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、又は前述のもののいずれかの組合せが含まれる。特定の実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリ(プロピレングリコール)、エチレングリコール及びプロピレングリコールのコポリマー、並びにPOZからなる群から選択される。前述のもののいずれかの一実施形態では、水溶性ポリマーは、1~30個の反復単位、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、又は1~2個まで含有する。
ある特定の実施形態では、Rの少なくとも1つの親水性又は疎水性部分は、Rが結合されるN基から50オングストローム以内に位置する。ある特定の実施形態では、Rが、2つ以上の親水性又は疎水性部分を含有する場合、Rの少なくとも2つの親水性又は疎水性部分は、Rが結合されるN基から50オングストローム以内に位置する。ある特定の実施形態では、Rの親水性又は疎水性部分のすべては、Rが結合されるN基から50オングストローム以内に位置する。
ある特定の実施形態では、Rの少なくとも1つの親水性又は疎水性部分は、Rが結合されるN基から30オングストローム以内に位置する。ある特定の実施形態では、Rが、2つ以上の親水性又は疎水性部分を含有する場合、Rの少なくとも2つの親水性部分は、Rが結合されるN基から30オングストローム以内に位置する。ある特定の実施形態では、Rの親水性又は疎水性部分のすべては、Rが結合されるN基から30オングストローム以内に位置する。
ある特定の実施形態では、Rの少なくとも1つの親水性又は疎水性部分は、Rが結合されるN基から20オングストローム以内に位置する。ある特定の実施形態では、Rが、2つ以上の親水性又は疎水性部分を含有する場合、Rの少なくとも2つの親水性部分は、Rが結合されるN基から20オングストローム以内に位置する。ある特定の実施形態では、Rの親水性又は疎水性部分のすべては、Rが結合されるN基から20オングストローム以内に位置する。
ある特定の実施形態では、Rは、不活性基である。
Xは、ペンダント基である。一実施形態では、Xは、非反応性(すなわち、不活性)であるように選択される。別の実施形態では、Xは、反応性であるように選択される(すなわち、反応性官能基を含有する)。一実施形態では、Xは、各反復単位につき、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アルケニル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。一実施形態では、Xは、各反復単位につき、非置換アルキル、非置換アルケニル、非置換アラルキル又は非置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。別の実施形態では、Xは、非置換アルキルである。別の実施形態では、Xは、C1~C20非置換アルキルである。別の実施形態では、Xは、C1~C10非置換アルキルである。別の実施形態では、Xは、C1~C5非置換アルキルである。別の実施形態では、Xは、C1~C2非置換アルキルである。特定の実施形態では、Xは、メチル、エチル、プロピル若しくはブチルであり、又はXは、メチル若しくはエチルである。
別の実施形態では、mが0である場合、Xは、各反復単位につき、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アルケニル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基、好ましくは、非置換から独立に選択される。別の実施形態では、mが0である場合、Xは、各反復単位につき、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基、好ましくは、非置換から独立に選択される。
別の実施形態では、mが0である場合、Xは、各反復単位につき、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基、好ましくは、非置換から独立に選択され、X基の90%まで(すなわち、nの90%)は、C5~C20非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基(好ましくは、非置換)であり、X基の残り(すなわち、nの50%)は、C1~C4非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基(好ましくは、非置換)である。
別の実施形態では、mが0である場合、Xは、各反復単位につき、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基、好ましくは、非置換から独立に選択され、X基の50%まで(例えば、5%、10%、15%、20%、又は25%)は、C5~C20非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基(好ましくは、非置換)であり、X基の残り(すなわち、nの50%)は、C1~C4非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基(好ましくは、非置換)である。
終端基は、POZポリマーリビングカチオン重合を終了することが可能である任意の求核基であり得る。一実施形態では、Tは、チオアルキルカルボン酸、チオカルボン酸エステル、又はヒドロキシルである。
一実施形態では、Tは、Z-B-Qであり、Zは、S、O、又はNであり;Bは、任意選択の連結基であり;Qは、終端求核試薬又は求核試薬の終端部分である。ある特定の実施形態では、Qは、不活性であり(すなわち、官能基を含有しない);他の実施形態では、Qは、官能基を含有する。
例示的なB基には、それだけに限らないが、アルキレン基が含まれる。特定の実施形態では、Bは、-(CH-であり、yは、1~16から選択される整数である。ある特定の実施形態では、yは、1~10、1~8、1~6、又は1~4から選択される整数である。ある特定の実施形態では、yは、2である。特定の実施形態では、Zは、Sである。本明細書中に記載された通り硫黄基を含有するPOZコンジュゲートは、メルカプチド試薬、例えば、それだけに限らないが、メルカプト-エステル(例えば、-S-CHCH-COCH又は-S-CHCH-COH)、アミン(例えば、-S-CHCH-NH)又はメルカプトにより保護されたアミン(例えば、-S-CHCH-NH-tBoc)によりポリオキサゾリンポリマーの終端でカチオンを終了することにより調製することができる。かかるPOZコンジュゲートは、(第二級アミンを除去するために)イオン交換クロマトグラフィーによる有効な、大規模な精製を提供する、並びに多分散値(polydispersity value)(多分散値は、1.10又はそれ以下)の制御及びPOZポリマーがより高い分子量を有するPOZコンジュゲートの創出を可能にする。別の実施形態では、Zは、Nである。さらなる実施形態では、Zは、Oである。
上記の通り、Qは、不活性でもよく、官能基を含有してもよい。Qが、官能基を含有する場合、例示的な官能基は、それだけに限らないが、アルキン、アルケン、アミン、オキシアミン、アルデヒド、ケトン、アセタール、チオール、ケタール、マレイミド、エステル、カルボン酸、活性カルボン酸(例えば、それだけに限らないが、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)及び1-ベンゾトリアジン活性エステル)、活性カーボネート、クロロホルメート、アルコール、アジド、ビニルスルホン、又はオルトピリジルジスルフィド(OPSS)が含まれる。Qが、官能基を含有する場合、官能基は、コンジュゲートに存在する1つ以上又はすべての他の官能基に化学的に直交であり得る。Qが、非反応性基である場合、任意の非反応性基は、それだけに限らないが、非置換アルキル及び-Cを含めて、使用することができる。
薬剤の性質は、本明細書中でさらに詳細に記載される。一実施形態では、Aは、フェノール基を含む化合物である。薬剤は、疾患若しくは状態の処置又は疾患若しくは状態の診断において有用な任意の化合物であり得る。ある特定の実施形態では、薬剤は、診断薬又は治療薬である。ある特定の実施形態では、治療薬は、有機小分子又はポリペプチドである。
一実施形態では、薬剤は、末梢神経系又は中枢神経系におけるPD又はドーパミンの不足に関連する他の疾患若しくは状態の処置に有用な化合物である。
一実施形態では、薬剤は、CB1受容体、CB2受容体、5Hl-a受容体、5H2-a受容体、TRP-V1受容体、TRP-V2受容体、TRP-V3受容体、アデノシンA2A受容体、GPR55受容体、GPR18受容体、PPAR-α、PPAR-γ受容体又は前述のものの組合せのアゴニズム又はアンタゴニズムから利益を得る障害の処置に有用な化合物である。
一実施形態では、薬剤は、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、がん性疼痛、神経変性疾患、心的外傷後ストレス障害、認知症に伴う焦燥、不眠症、REM睡眠行動障害、日中の過剰な眠気、心的外傷後ストレス障害に伴う悪夢、閉塞性睡眠時無呼吸、本態性振戦、トゥレット症候群、うつ、線維筋痛症、虚血性疾患、脳卒中、心虚血、冠動脈疾患、血栓塞栓症、心筋梗塞、脳損傷、外傷性脳損傷、びまん性軸索損傷、脳振盪、挫傷、無酸素性脳傷害、低酸素性脳損傷、加齢性炎症性疾患、加齢性自己免疫疾患、悪液質、AIDS消耗性疾患、がんに伴う体重減少、慢性閉塞性肺疾患に伴う体重減少、感染症に伴う体重減少、悪心、嘔吐、緑内障、運動障害、関節リウマチ、喘息、アレルギー、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス、糖尿病、がん、骨粗鬆症、腎虚血、及び腎炎からなる群から選択される、疾患又は状態の処置に有用な化合物である。
一実施形態では、薬剤は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、多発性硬化症、多発性硬化症運動失調/痙攣症候群(multiple sclerosis ataxia/spasticity syndrome)、パーキンソン病に伴うジストニア、ハンチントン病に伴うジストニア、前頭側頭葉型認知症、プリオン病、レビー小体認知症、運動ニューロン疾患、脊髄筋萎縮症、脊髄小脳失調症、進行性核上性麻痺、脆弱X随伴振戦/失調症候群、脆弱X随伴行動異常、自閉症スペクトラム障害、血管性認知症、正常圧水頭症、外傷性脊髄損傷、HIV認知症、アルコール誘発性神経毒性、ダウン症候群、てんかん、部分発作、全般発作、強直間代発作、欠神発作、脱力発作、処置抵抗性てんかん、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、ドーセ症候群、CDKL5脳症、ランドウ・クレフナー症候群、低酸素性虚血性脳症、早期ミオクローヌスてんかん、レット症候群、及び熱性感染症関連てんかん症候群からなる群から選択される神経変性疾患の処置に有用な化合物である。
ある特定の実施形態では、Rは、生理的に分解可能な連結が生成されるような、POZポリマー部分における薬剤及び官能基(例えば、本明細書中に記載の官能基)の間の直接結合である。ある特定の実施形態では、Rは、POZポリマー部分に薬剤を結合する連結基Lであり、Lは、(Lへの薬剤の連結による生理的に分解可能な連結の形成を含む)生理的に分解可能な連結を含有する。いくつかの好ましい実施形態では、薬剤は、LによりPOZポリマー部分に結合される。
一実施形態では、Rは、R-Lであり、Lは、任意選択的に生理的に分解可能な連結を含み、Rは、Lであり、Lは、生理的に分解可能な連結を含む。
一実施形態では、Rは、R-Lであり、Lは、任意選択的に生理的に分解可能な連結を含み、Rは、Lであり、Lは、生理的に分解可能な連結を含み:
Zは、Sであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-COOHであり;Zは、Oであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-COOHであり;又はZは、Nであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-COOHであり;
Zは、Sであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-COOCHであり;Zは、Oであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-COOCHであり;又はZは、Nであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-COOCHであり;又はZは、Sであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-NHであり;Zは、Oであり、Bは、-(CH-であり、Qは、-NHであり;又はZは、Nであり、Bは、-(CH)y-であり、Qは、-NHである。
前述の実施形態のいずれかでは、生理的に分解可能な連結の切断可能部分は、エステル基であり得る。前述のもののうちいずれかでは、yは、1~3である。
前述の実施形態のいずれかでは、L及びLは、存在する場合は、それぞれ、POZポリマー及び/又はR又は薬剤において本来存在した基の構成成分を含むことができる。L及びLについての適当なパラメータは、本明細書中に記載されている。前述の実施形態のいずれかでは、Lは、生理的に分解可能な連結を含む。前述の実施形態のいずれかでは、Lは、生理的に分解可能な連結を含まない。前述の実施形態のいずれかでは、Lは、生理的に分解可能な連結を含む。
前述の実施形態のいずれかでは、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率の制御は、薬剤についての放出プロファイルを選択する能力を提供する。上記で論じた通り、ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、Rの選択、ペンダント基の疎水性の特徴(特に、mが0である場合)、薬剤の選択、mの選択(すなわち、ローディングのパーセンテージ)、n、任意選択的にm及び/又はoの選択(すなわち、POZポリマー部分の分子量)又は前述のものの組合せにより制御される。
前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、12時間~24時間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、12時間~48時間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、12時間~72時間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、12時間~96時間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、12時間~120時間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、12時間~144時間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、12時間~168時間にわたって持続される。
前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、1週間又はそれ以上にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、1~2週間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、1~3週間にわたって持続される。前述の実施形態のいずれかでは、放出プロファイルは、1~4週間にわたって持続される。
前述のもののうちいずれかでは、前述の期間にわたる放出プロファイルは、ゼロ次放出速度論を示す。
L基
前述したある特定の実施形態では、薬剤及び/又はRは、それぞれ、連結L及びLにより、POZポリマー部分に結合され、Lは、生理的に分解可能な連結を含み、Lは、任意選択的に生理的に分解可能な連結を含む。ある特定の実施形態では、Lは、POZポリマー部分の各反復単位で同じであり、かつ/又はLは、POZポリマー部分の各反復単位で同じである。ある特定の実施形態では、L及びLは、POZポリマー部分の各反復単位で同じである。生理的に分解可能な連結に含有し得る例示的な切断可能な部分には、それだけに限らないが、エステル、カルボン酸エステル(-C(O)-O-)、炭酸エステル(-O-C(O)-O-)、カルバメート(-O-C(O)-NH-)、アミド(-C(O)-NH-)、ジスルフィド(S-S)、及びペプチド(例えば、2~10個のアミノ酸のペプチド)を含み;他の切断可能な部分は、本明細書中で論じられている。特定の実施形態では、切断可能部分は、エステル基である。別の特定の実施形態では、切断可能部分は、カルボン酸エステルである。
一実施形態では、Lは、R又はR基の1つにおいて、好ましくは、R基において、第1の切断可能部分を含む二置換トリアゾールである。
具体的な実施形態では、二置換トリアゾールは、構造:
Figure 2022538143000004
[式中、
は、トリアゾール部分をPOZポリマー鎖に結合するリンカーである]を有する。Rは、ポリマー鎖において官能基により部分的に定義することができる;言い換えれば、Rは、ポリマー鎖において官能基の一部を含むことができる。一実施形態では、Rは、-C(O)-R-であり、(i)Rは、非存在であり;(ii)Rは、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アルケニル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基であり;(iii)Rは、非置換アルキル、非置換アルケニル、非置換アラルキル又は非置換ヘテロシクリルアルキル基であり;(iv)Rは、非置換アルキルであり;(v)又はRは、直鎖の非置換アルキルである。前述の(i)~(v)のうちいずれかでは、非置換若しくは置換アルキル又は非置換若しくは置換アルケニルは、長さ1~10個の炭素又は長さ1~5個の炭素であり得る。
は、トリアゾール部分を薬剤に結合するリンカーである。Rは、薬剤において官能基により部分的に定義することができる;言い換えれば、Rは、薬剤における基/官能基の一部、例えば、フェノールヒドロキシル基のO原子などを含むことができる。一実施形態では、Rは、-R-R-R-であり、Rは、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アラルキル又はオリゴ(エチレンオキシド)(例えば、-(CHCHO)-(式中、eは、1~10又は1~4の整数である))であり、Rは、切断可能部分又は切断可能部分の一部を含む基であり、Rは、非存在又はOである。ある特定の実施形態では、R及びRは、組み合わせて切断可能部分を形成することができる。一実施形態では、Rは、-R-C(O)-R-、-R-O-C(O)-R-、-R-C(O)-O-R、-R-C(O)-NH-環式-O-C(O)-R-(式中、環式は、置換若しくは非置換アリール、ヘテロシルアルキル(heterocylalkyl)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキルを表す)、-R-C(O)-NH-(C)-O-C(O)-R-、-R-O-C(O)-NR10-R-(式中、R10は、H又は置換若しくは非置換C1~C5アルキルである)、-R-CH(OH)-O-R-、-R-S-S-R-、-R-O-P(O)(OR)-O-R-(式中、Rは、H又は置換若しくは非置換C1~C5アルキルである)、又は-R-C(O)-NR10-R-(式中、R10は、H又は置換若しくは非置換C1~C5アルキルである)であり、R及びRは、それぞれ独立に、非存在であり、又は置換若しくは非置換アルキルである。別の実施形態では、R及びRは、それぞれ独立に、非存在であり、又はC1~C16又はC1~C6置換若しくは非置換アルキルである。
前述のものの一実施形態では、Rは、直鎖の置換若しくは非置換C1~C10アルキル又は分枝状の置換若しくは非置換C1~C10アルキルであり、Rは、-R-C(O)-R-であり、Rは、-O-である。前述のものの一実施形態では、Rは、直鎖の置換若しくは非置換C1~C10アルキル又は分枝状の置換若しくは非置換C1~C10アルキルであり、Rは、-R-C(O)-O-R-であり、Rは、非存在である。前述のもののうちいずれかでは、R及びRは、非存在である。
前述のものの一実施形態では、Rは、直鎖の置換若しくは非置換C1~C4アルキル又は分枝状の置換若しくは非置換C1~C4アルキルであり、Rは、-R-C(O)-R-であり、Rは、-O-である。前述のものの一実施形態では、Rは、直鎖の置換若しくは非置換C1~C4アルキル又は分枝状の置換若しくは非置換C1~C4アルキルであり、Rは、-R-C(O)-O-R-であり、R8は、非存在である。前述のもののうちいずれかでは、R及びRは、非存在である。
特定の実施形態では、Rは、-C(O)-(CHであり、Rは、-(CH-C(O)-O-、-CH-C(O)-O-、-CH-CH-C(O)-O-、-CH-CH-CH-C(O)-O-、-CH(CH)-C(O)-O-[式中、dは、1~10の整数である]、又は前述のものの組合せである。
特定の実施形態では、Rは、-C(O)-(CHであり、Rは、-(CH-C(O)-、-CH-C(O)-、-CH-CH-C(O)-、-CH-CH-CH-C(O)-、-CH(CH)-C(O)-[式中、dは、1~10の整数である]、又は前述のものの組合せである。
一実施形態では、Lは、切断可能部分が存在する場合、R又はR基の1つにおいて、好ましくは、R基において、第1の切断可能部分を任意選択的に含む二置換トリアゾールである。
具体的な実施形態では、二置換トリアゾールは、構造:
Figure 2022538143000005
[式中、R は、トリアゾール部分をPOZポリマー鎖に結合するリンカーである]を有する。R は、ポリマー鎖において官能基により部分的に定義することができ;言い換えれば、R は、ポリマー鎖において官能基の一部を含むことができる。一実施形態では、R は、-C(O)-R -であり、R は、(i)非存在であり;(ii)非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アルケニル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基であり;(iii)非置換アルキル、非置換アルケニル、非置換アラルキル又は非置換ヘテロシクリルアルキル基であり;(iv)非置換アルキルであり;又は(v)直鎖の非置換アルキルである。前述の(i)~(v)のうちいずれかでは、非置換若しくは置換アルキル又は非置換若しくは置換アルケニルは、長さ1~10個の炭素又は長さ1~5個の炭素であり得る。
は、R又はトリアゾール部分をRに結合するリンカーである。R が、トリアゾール部分をRに結合するリンカーである場合、R は、上記のL中のRについて記載される通りであり得る。
特定の実施形態では、R は、-C(O)-(CHであり、Rは、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸、C1~C5置換若しくは非置換アルキル、アルケニル、又はアルキニル、C1~C5置換若しくは非置換極性アルキル、極性アルケニル、又は極性アルキニル又は前述のものの組合せである。
特定の実施形態では、R は、-C(O)-(CHであり、Rは、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸又は前述のものの組合せである。
POZコンジュゲート特性
「Compositions and Methods for Controlling the Conformation of a POZ Conjugate and Modulating the Release Rate of an Agent From a POZ Conjugate(POZコンジュゲートの高次構造を制御する及びPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を調節するための組成物並びに方法)」という表題を付けた、本セクションに記載される、POZポリマーの特徴、薬剤の特徴、及びローディングの特徴は、本明細書中に記載されるPOZコンジュゲートに適用可能である。それぞれは、個別に適用することもでき、それらは、組み合わせて適用することもできる。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を抑制する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を増加させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、薬剤についてのローディングのパーセンテージが4%~20%である。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、薬剤についてのローディングのパーセンテージが、≧4.0%及び≦16.0%である又は薬剤についてのローディングのパーセンテージが、≧6.0%及び≦10.0%である。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、ローディングのパーセンテージが、≧4.0%、≧5.0%、≧6.0%、≧7.0%、≧8.0%、≧9.0%、≧10.0%、≧11.0%、≧12.0%、≧13.0%、≧14.0%、≧15.0%、又は≧16.0%(前述のそれぞれにおいて、ローディングのパーセンテージが、≦20.0%である)である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を抑制する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を増加させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、薬剤のローディングのパーセンテージが、≦4%である。一実施形態では、緻密な高次構造の形成を抑制する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を増加させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、薬剤についてのローディングのパーセンテージが、4%未満である。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、薬剤についてのローディングのパーセンテージが≦4.0%である又は薬剤についてのローディングのパーセンテージが、≧1.0%及び≦4.0%である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を刺激する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を低下させることが望ましい場合、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分は、分子量が≧20kDaである。一実施形態では、POZポリマー部分は、分子量が、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、75kDa、100kDa、又は150kDaである。別の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は、≧20kDa及び≦100kDaである。別の実施形態では、POZポリマー部分の分子量は、≧50kDa及び≦150kDaである。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を抑制する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を増加させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、親水性ペンダント部分(R)を含む。Rは、上記に記載される通りであり得る。ある特定の実施形態では、Rは、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸、C1~C5置換若しくは非置換アルキル、アルケニル、又はアルキニル、C1~C5置換若しくは非置換極性アルキル、極性アルケニル、又は極性アルキニル又は前述のものの組合せである。ある特定の実施形態では、Rは、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸又は前述のものの組合せである。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を刺激する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を低下させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、疎水性の特徴を有するペンダント基(例えば、メチル以外のペンダント基)を含む。別の実施形態では、特に、mが0である場合、Xは、各反復単位につき、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基、好ましくは、非置換から独立に選択され、X基の50%~90%までは、C5~C20非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基(好ましくは、非置換)であり、X基の残り(すなわち、nの50%)は、C1~C4非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アラルキル又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基(好ましくは、非置換)である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を促進する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を低下させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、疎水性ペンダント部分(R)を含む。Rは、上記に記載される通りであり得る。一実施形態では、Rは、各反復単位につき、C5~C20非置換アルキル、非置換アラルキル又は非置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される。
薬剤
一実施形態では、薬剤は、治療薬である。
一実施形態では、薬剤は、ドーパミンアゴニストである。ドーパミンアゴニストの非限定的な例には、それだけに限らないが、アポモルフィン、アルブタミン、カルビドパ、ドブタミン、ドーパミン、エンタカポン、エピネフリン、フェノルドパム、イソエタリン、イソプロテレノール、レボドパ、レボノルデフリン、マサプロコール、メチルドパ、メチルドペート、ノルエピネフリン、プロトキロール、トルカポン、又は(r)-(+)-フェノルドパム、ロチゴチン、プラミペキソール、キナゴリド、5-OH-DPAT、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、又はブロモクリプチンが含まれる。前述のものは、ドーパミン応答状態を処置するのに有用である。
一実施形態では、薬剤は、抗コリン薬(例えば、それだけに限らないが、トリヘキシフェニジル、ビペリデン及びヒヨスチアミン)、モノアミンオキシダーゼ-B阻害剤(例えば、それだけに限らないが、セリギリン及びラサギリン)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、それだけに限らないが、トルカポン及びエンタカポン)又はアデノシンA2A受容体アンタゴニスト(例えば、それだけに限らないが、プレラデナント、テオフィリン及びイストラデフィリン)である。前述のものは、ドーパミン応答状態を処置するのに有用である。
1つにおいては、薬剤は、GABA取り込み阻害剤である。GABA再取り込み阻害剤の非限定的な例は、チアガビン及びニペコチン酸である。前述のものは、過剰なGABA再取り込み又はGABA再取り込みにより特徴付けられる障害の処置に有用である。
一実施形態では、薬剤は、カンナビス(Cannabis)種の植物から単離された化合物である。別の実施形態では、薬剤は、植物性カンナビノイド(天然に由来する及びカンナビス種の植物において見出すことができる化合物)である。別の実施形態では、薬剤は、Brenneisen(Chapter 2、Forensic Science and Medicine: Marijuana and the Cannabinoids;M.A. ElSohly ed、Humana Press、Inc.、Townsend NJ)の表1に記載される化合物である。別の実施形態では、薬剤は、カンナビジオール、カンナビゲロール、カンナビゲロール酸、カンナビジオール酸、カンナビジオールモノメチルエーテル、カンナビジオール-C4、カンナビダリン酸(cannabidarinic acid)、カンナビジバリン、カンナビジオール又はカンナビゲロールプロピル変異体、カンナビクロメン、カンナビクロメン酸、カンナビクロメバリン酸、カンナビクロメバリン(cannabichromevarin)、カンナビノール、カンナビシクロール、テトラヒドロカンナビバリン、Δ-THC、アジュレミン酸及びデキサナビノールである。
一実施形態では、薬剤は、ブプレノルフィンである。別の実施形態では、薬剤は、ブプレノルフィンの類似体である。ブプレノルフィンの適当な類似体には、それだけに限らないが、BU08028(Li、PNAS 113巻(37号)、10225~10227、2016年において開示される通り)、WO/2014/087226、WO/2013/084060、又はWO/2012/084060、又はHS-559において開示される化合物が含まれる。
一実施形態では、薬剤は、それだけに限らないが、末梢神経系又は中枢神経系におけるドーパミンの不足に関連する疾患又は状態を含めて、ドーパミン応答状態を処置するのに有用である。別の実施形態では、薬剤は、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、統合失調症、注意欠陥多動障害、ドーパミン機能低下状態、SSRI-によって誘導される性機能障害、うつ、肥満、及び2型糖尿病の処置に有用である。処置することができる他の疾患及び状態は、Rubiら(Endocrinology、151巻(12号)、5570~5581、2010年)に記載されている。
一実施形態では、薬剤は、過剰なGABA再取り込み又はGABA再取り込みにより特徴付けられる障害の処置に有用な化合物である。特定の実施形態では、薬剤は、不安障害、社交不安障害、パニック障害、神経障害性疼痛(線維筋痛症のようなほとんど解明されていない障害における有用性を含む)、慢性疼痛、筋振戦、筋痙縮、てんかん発作、痙攣及び/又はてんかんの処置のために有用な化合物である。
一実施形態では、薬剤は、CB1受容体、CB2受容体、5Hl-a受容体、5H2-a受容体、TRP-V1受容体、TRP-V2受容体、TRP-V3受容体、アデノシンA2A受容体、GPR55受容体、GPR18受容体、PPAR-α、PPAR-γ受容体又は前述のものの組合せのアゴニズム又はアンタゴニズムから利益を得る障害の処置に有用な化合物である。
一実施形態では、薬剤は、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、がん性疼痛、神経変性疾患、心的外傷後ストレス障害、認知症に伴う焦燥、不眠症、REM睡眠行動障害、日中の過剰な眠気、心的外傷後ストレス障害に伴う悪夢、閉塞性睡眠時無呼吸、本態性振戦、トゥレット症候群、うつ、線維筋痛症、虚血性疾患、脳卒中、心虚血、冠動脈疾患、血栓塞栓症、心筋梗塞、脳損傷、外傷性脳損傷、びまん性軸索損傷、脳振盪、挫傷、無酸素性脳傷害、低酸素性脳損傷、加齢性炎症性疾患、加齢性自己免疫疾患、悪液質、AIDS消耗性疾患、がんに伴う体重減少、慢性閉塞性肺疾患に伴う体重減少、感染症に伴う体重減少、悪心、嘔吐、緑内障、運動障害、関節リウマチ、喘息、アレルギー、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス、糖尿病、がん、骨粗鬆症、腎虚血、及び腎炎からなる群から選択される、疾患又は状態の処置に有用な化合物である。
一実施形態では、薬剤は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、多発性硬化症、多発性硬化症運動失調/痙攣症候群、パーキンソン病に伴うジストニア、ハンチントン病に伴うジストニア、前頭側頭葉型認知症、プリオン病、レビー小体認知症、運動ニューロン疾患、脊髄筋萎縮症、脊髄小脳失調症、進行性核上性麻痺、脆弱X随伴振戦/失調症候群、脆弱X随伴行動異常、自閉症スペクトラム障害、血管性認知症、正常圧水頭症、外傷性脊髄損傷、HIV認知症、アルコール誘発性神経毒性、ダウン症候群、てんかん、部分発作、全般発作、強直間代発作、欠神発作、脱力発作、処置抵抗性てんかん、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、ドーセ症候群、CDKL5脳症、ランドウ・クレフナー症候群、低酸素性虚血性脳症、早期ミオクローヌスてんかん、レット症候群、及び熱性感染症関連てんかん症候群からなる群から選択される神経変性疾患の処置に有用な化合物である。
明確にするために、薬剤は、化合物の前述のクラス又は本開示のPOZポリマー又は連結基を有する生理的に分解可能な連結を形成するために適切な化学官能性を有する別のクラスの化合物のいずれかであり得る。前述の例は、例証として示され、限定することを意図していない。
さらに、薬剤は、様々な疾患又は状態を処置するために用いることができる。薬剤の選択は、例示される疾患又は状態の処置に限定すべきではない。本明細書中に記載される方法から利益を得るはずである任意の薬剤をまた、使用することもできる。前述の例は、例証として示され、限定することを意図していない。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を刺激する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を低下させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、水溶性が低い薬剤を含む。ある特定の実施形態では、水溶性が低い薬剤は、logP値が、≧0.5、≧1.0、≧1.5、≧2.0、≧2.5、≧3.0、≧3.5、≧4.0、≧4.5、≧5.0、≧5.5、≧6.0、≧6.5、≧7.0、≧7.5、又は≧8.0である。前述のもののある特定の実施形態では、薬剤は、logP値が≦10である。前述のもののある特定の実施形態では、薬剤は、logP値が、≧4.5及び≦10である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を抑制する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を増加させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、水溶性が高い薬剤を含む。ある特定の実施形態では、水溶性が高い薬剤は、logP値が<0.5である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を抑制する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を増加させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、分子容が大きい薬剤を含む。ある特定の実施形態では、分子容が大きい薬剤は、分子容が≧300、≧350、≧400、≧450、≧500である。ある特定の実施形態では、分子容が大きい薬剤は、分子容が≧300及び≦500である。ある特定の実施形態では、分子容が大きい薬剤は、分子容が≧300及び≦400である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を刺激する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を低下させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、分子容が小さい薬剤を含む。ある特定の実施形態では、分子容が小さい薬剤は、分子容が、<300、≦250、≦200、≦150、≦100、又は≦50である。ある特定の実施形態では、分子容が小さい薬剤は、分子容が≧50<300である。ある特定の実施形態では、分子容が小さい薬剤は、分子容が≧100<300である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を抑制する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を増加させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、TPSAが高い薬剤を含む。ある特定の実施形態では、TPSAが高い薬剤は、TPSAが、≧35、≧40、≧45、≧50、≧55、≧60、又は≧65である。ある特定の実施形態では、TPSAが高い薬剤は、TPSAが、≧35及び≦75である。ある特定の実施形態では、TPSAが高い薬剤は、TPSAが、≧40及び≦60である。
一実施形態では、緻密な高次構造の形成を刺激する及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出の速度を低下させることが望ましい場合、POZコンジュゲートは、TPSAが低い薬剤を含む。ある特定の実施形態では、TPSAが低い薬剤は、TPSAが、<30、≦25、≦20、又は≦15である。ある特定の実施形態では、TPSAが低い薬剤は、TPSAが<35及び≧15である。
処置の方法
本開示はまた、本明細書中に記載される、方法、POZコンジュゲート及び組成物を用いた処置の方法を提供する。下記の処置の方法の説明において、POZコンジュゲートは、単独で又は組成物、好ましくは、医薬組成物の一部として投与することができる。
一実施形態では、本開示は、対象において本明細書中に記載された通り障害を処置する方法を提供し、本方法は、処置期間にわたる投与間隔に従ってポリオキサゾリン(POZ)コンジュゲートを含む組成物、又は薬学的に許容されるその形態の1回投与量を対象に投与するステップを含み、植物性カンナビノイド-ポリマーコンジュゲートが、水溶性POZポリマー、生理的に分解可能な連結によりPOZポリマーに結合された植物性カンナビノイド、及び任意選択のPOZポリマーに結合された親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分を含み、投与量は、POZコンジュゲートの治療有効量を含有する。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%の薬剤(POZポリマーに対する薬剤のw/w)を含む。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートを含む組成物の投与量は、1回投与量として投与される。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートを含む組成物の投与量は、複数回の投与量で投与される。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約0.05mg/kg~約10mg/kg;ii)約0.05mg/kg~約8mg/kg;iii)約0.05mg/kg~約6mg/kg;iv)約0.05mg/kg~約4mg/kg;v)約0.05mg/kg~約2mg/kg;又はvi)約0.5mg/kg~約8mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約1mg/kg~約30mg/kg;ii)約1mg/kg~約25mg/kg;iii)約1mg/kg~約20mg/kg;iv)約1mg/kg~約15mg/kg;v)約1mg/kg~約10mg/kg;又はvi)約1mg/kg~約5mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約10mg/kg~約30mg/kg;ii)約10mg/kg~約25mg/kg;iii)約10mg/kg~約20mg/kg;iv)約10mg/kg~約18mg/kg;v)約10mg/kg~約16mg/kg;又はvi)約10mg/kg~約14mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態では、対象における薬剤の血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超える。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、1000ng/ml、又は1,500ng/mlである。
ある特定の実施形態では、対象における薬剤の血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの1回投与量は投与される。ある特定の実施形態では、対象における薬剤の血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、投与され、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。これらの実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、1000ng/ml、又は1,500ng/mlである。
ある特定の実施形態では、処置期間は、7日~60カ月であり、又は処置期間は、連続的である。ある特定の実施形態では、投与間隔は、毎日、一日おき、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である。
一実施形態では、本開示は、対象において、CB1受容体、CB2受容体、5Hl-a受容体、5H2-a受容体、TRP-V1受容体、TRP-V2受容体、TRP-V3受容体、アデノシンA2A受容体、GPR55受容体、PPAR-α、PPAR-γ受容体又は前述のものの組合せのアゴニズム又はアンタゴニズムから利益を得る障害を処置する方法を提供し、本方法は、処置期間にわたる投与間隔に従ってポリオキサゾリン(POZ)コンジュゲートを含む組成物、又は薬学的に許容されるその形態の1回投与量を対象に投与するステップを含み、植物性カンナビノイド-ポリマーコンジュゲートは、水溶性POZポリマー、生理的に分解可能な連結によりPOZポリマーに結合された植物性カンナビノイド、及び任意選択のPOZポリマーに結合された親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分を含み、投与量は、POZコンジュゲートの治療有効量を含有する。一実施形態では、治療有効量は、0.25mg eq/kg~5mg eq/kgの植物性カンナビノイドである。
ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、カンナビジオール、カンナビゲロール、カンナビゲロール酸、カンナビジオール酸、カンナビジオールモノメチルエーテル、カンナビジオール-C4、カンナビダリン酸、カンナビジバリン、カンナビジオール又はカンナビゲロールプロピル変異体、カンナビクロメン、カンナビクロメン酸、カンナビクロメバリン酸、カンナビクロメバリン、カンナビノール、カンナビシクロール、テトラヒドロカンナビバリン、Δ-THC、アジュレミン酸及びデキサナビノールからなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%の植物性カンナビノイド(POZポリマーに対する植物性カンナビノイドのw/w)を含有する。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)を含有する。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかのある特定の実施形態では、POZコンジュゲートを含む組成物の投与量は、1回投与量で投与される。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイド-ポリマーコンジュゲートを含む組成物の投与量は、複数回の投与量で投与される。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの用量は、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含有する。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。そのような投与量は、1回投与量として送達しても複数回の投与量で送達してもよい。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの投与量は、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含有し、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、投与され、投与間隔は、週2回又は週1回である。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの投与量は、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含有する。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。そのような投与量は、1回投与量として送達しても複数回の投与量で送達してもよい。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの投与量は、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含み、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、投与され、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、対象における植物性カンナビノイドの血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超える。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、又は1000ng/mlである。
ある特定の実施形態では、対象における植物性カンナビノイドの血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの投与量は、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含み、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、1000ng/ml、又は1,500ng/mlである。本実施形態の別の態様では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、対象における植物性カンナビノイドの血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの投与量は、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含み、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、又は1000ng/mlである。本実施形態の別の態様では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、処置期間は、7日~60カ月であり、又は処置期間は、連続的である。ある特定の実施形態では、投与間隔は、毎日、一日おき、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である。
前述の実施形態のいずれかでは、疾患又は状態は、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、がん性疼痛、神経変性疾患、心的外傷後ストレス障害、認知症に伴う焦燥、不眠症、REM睡眠行動障害、日中の過剰な眠気、心的外傷後ストレス障害に伴う悪夢、閉塞性睡眠時無呼吸、本態性振戦、トゥレット症候群、うつ、線維筋痛症、虚血性疾患、脳卒中、心虚血、冠動脈疾患、血栓塞栓症、心筋梗塞、脳損傷、外傷性脳損傷、びまん性軸索損傷、脳振盪、挫傷、無酸素性脳傷害、低酸素性脳損傷、加齢性炎症性疾患、加齢性自己免疫疾患、悪液質、AIDS消耗性疾患、がんに伴う体重減少、慢性閉塞性肺疾患に伴う体重減少、感染症に伴う体重減少、悪心、嘔吐、緑内障、運動障害、関節リウマチ、喘息、アレルギー、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス、糖尿病、がん、骨粗鬆症、腎虚血、及び腎炎からなる群から選択される。
前述の実施形態のいずれかでは、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、多発性硬化症、多発性硬化症運動失調/痙攣症候群、パーキンソン病に伴うジストニア、ハンチントン病に伴うジストニア、前頭側頭葉型認知症、プリオン病、レビー小体認知症、運動ニューロン疾患、脊髄筋萎縮症、脊髄小脳失調症、進行性核上性麻痺、脆弱X随伴振戦/失調症候群、脆弱X随伴行動異常、自閉症スペクトラム障害、血管性認知症、正常圧水頭症、外傷性脊髄損傷、HIV認知症、アルコール誘発性神経毒性、ダウン症候群、てんかん、部分発作、全般発作、強直間代発作、欠神発作、脱力発作、処置抵抗性てんかん、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、ドーセ症候群、CDKL5脳症、ランドウ・クレフナー症候群、低酸素性虚血性脳症、早期ミオクローヌスてんかん、レット症候群、及び熱性感染症関連てんかん症候群からなる群から選択される。
別の実施形態では、本開示は、対象において、過剰なGABA再取り込み又はGABA再取り込みにより特徴付けられる障害を処置する方法を提供し、本方法は、対象に治療有効量のポリオキサゾリン(POZ)コンジュゲートを含む組成物、又は薬学的に許容されるその形態の投与量を投与するステップを含み、POZコンジュゲートは、水溶性POZポリマー、生理的に分解可能な連結によりPOZポリマーに結合されたGABA再取り込み阻害剤、及びPOZポリマーに結合された親水性又は疎水性部分を含有する任意選択のペンダント部分を含む。
一実施形態では、投与量は、処置期間にわたる投与間隔に従って投与される。ある特定の実施形態では、処置期間は、7日~60カ月であり、又は処置期間は、連続的である。ある特定の実施形態では、投与間隔は、毎日、一日おき、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である。
一実施形態では、GABA再取り込み阻害剤は、チアガビン又はニペコチン酸である。
一実施形態では、過剰なGABA再取り込み又はGABA再取り込みにより特徴付けられる障害は、不安障害、社交不安障害、パニック障害、神経障害性疼痛(線維筋痛症を含む)、慢性疼痛、筋振戦、筋痙縮、てんかん発作、痙攣及びてんかんである。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約0.05mg/kg~約10mg/kg;ii)約0.05mg/kg~約8mg/kg;iii)約0.05mg/kg~約6mg/kg;iv)約0.05mg/kg~約4mg/kg;v)約0.05mg/kg~約2mg/kg;又はvi)約0.5mg/kg~約8mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約1mg/kg~約30mg/kg;ii)約1mg/kg~約25mg/kg;iii)約1mg/kg~約20mg/kg;iv)約1mg/kg~約15mg/kg;v)約1mg/kg~約10mg/kg;又はvi)約1mg/kg~約5mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約10mg/kg~約30mg/kg;ii)約10mg/kg~約25mg/kg;iii)約10mg/kg~約20mg/kg;iv)約10mg/kg~約18mg/kg;v)約10mg/kg~約16mg/kg;又はvi)約10mg/kg~約14mg/kgの範囲である。
別の実施形態では、本開示は、対象において、ドーパミン応答状態を処置する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のポリオキサゾリン(POZ)コンジュゲートを含む組成物、又は薬学的に許容されるその形態の投与量を投与するステップを含み、POZコンジュゲートは、水溶性POZポリマー、生理的に分解可能な連結によりPOZポリマーに結合された薬剤、及びPOZポリマーに結合された親水性又は疎水性部分を含有する任意選択のペンダント部分を含む。
一実施形態では、ドーパミン応答状態は、末梢神経系又は中枢神経系におけるドーパミンの不足に関連する疾患又は状態である。一実施形態では、ドーパミン応答状態は、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、統合失調症、注意欠陥多動障害、ドーパミン機能低下状態、SSRI-によって誘導される性機能障害、うつ、肥満、及び2型糖尿病である。
一実施形態では、投与量は、処置期間にわたる投与間隔に従って投与される。ある特定の実施形態では、処置期間は、7日~60カ月であり、又は処置期間は、連続的である。ある特定の実施形態では、投与間隔は、毎日、一日おき、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である。
一実施形態では、薬剤は、抗コリン薬(例えば、それだけに限らないが、トリヘキシフェニジル、ビペリデン及びヒヨスチアミン)、モノアミンオキシダーゼ-B阻害剤(例えば、それだけに限らないが、セレギリン(seligiline)及びラサギリン)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、それだけに限らないが、トルカポン及びエンタカポン)又はアデノシンA2A受容体アンタゴニスト(例えば、それだけに限らないが、プレラデナント、テオフィリン及びイストラデフィリン)である。一実施形態では、薬剤は、ドーパミンアゴニストである。ドーパミンアゴニストの非限定的な例には、それだけに限らないが、アポモルフィン、アルブタミン、カルビドパ、ドブタミン、ドーパミン、エンタカポン、エピネフリン、フェノルドパム、イソエタリン、イソプロテレノール、レボドパ、レボノルデフリン、マサプロコール、メチルドパ、メチルドペート、ノルエピネフリン、プロトキロール、トルカポン、又は(r)-(+)-フェノルドパム、ロチゴチン、プラミペキソール、キナゴリド、5-OH-DPAT、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、又はブロモクリプチンが含まれる。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約0.05mg/kg~約10mg/kg;ii)約0.05mg/kg~約8mg/kg;iii)約0.05mg/kg~約6mg/kg;iv)約0.05mg/kg~約4mg/kg;v)約0.05mg/kg~約2mg/kg;又はvi)約0.5mg/kg~約8mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約1mg/kg~約30mg/kg;ii)約1mg/kg~約25mg/kg;iii)約1mg/kg~約20mg/kg;iv)約1mg/kg~約15mg/kg;v)約1mg/kg~約10mg/kg;又はvi)約1mg/kg~約5mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートにおける薬剤の治療有効量は、i)約10mg/kg~約30mg/kg;ii)約10mg/kg~約25mg/kg;iii)約10mg/kg~約20mg/kg;iv)約10mg/kg~約18mg/kg;v)約10mg/kg~約16mg/kg;又はvi)約10mg/kg~約14mg/kgの範囲である。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、親水性又は疎水性部分を含む任意選択のペンダント部分を含む。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択するための方法のうちのいずれかを、使用することができる。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、本明細書中に記載されるPOZコンジュゲートのうちのいずれかは、使用することができる。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートの投与量は、治療有効量を含む。本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートの投与量は、1日当たりの治療有効量で投与される。適当な治療有効量は、本明細書中でさらに詳細に記載される。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートの1回投与量は、処置中に投与され、投与量は、好ましくは、POZコンジュゲートの治療有効量を含む。かかる投与量は、単回投与(q.d.)で投与することができる又はかかる投与量は、同じ日に多回投与で投与することができる(例えば、それだけに限らないが、b.i.d.又はt.i.d.)。投与量を、所与の日に多回投与に分ける場合、投与量は、均等に分けることもでき、投与量は、各投与で不均等に分けることもできる。任意の所与の用量は、単一剤形又は2種以上の剤形(例えば、錠剤)で送達することができる。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、処置中に投与され、少なくとも1回の投与量又はすべての投与量は、好ましくは、POZコンジュゲートの治療有効量を含有する。各投与量は、単回投与(q.d.)で投与することができる又はかかる投与量は、同じ日に多回投与で投与することができる(例えば、それだけに限らないが、b.i.d.又はt.i.d.)。投与量を、1日当たり多回投与に分ける場合、投与量は、均等に分けることもでき、投与量は、各投与で不均等に分けることもできる。任意の所与の用量は、単一剤形又は2種以上の剤形(例えば、錠剤)で送達することができる。各投与量に投与される治療有効量は、同じである必要はない。例えば、一部の実施形態では、処置コースは、少なくとも1回の負荷投与量及び少なくとも1回の維持量を投与するステップを含み、負荷投与量は、維持量と比較して、より多くのPOZコンジュゲートを含有する(例えば、それだけに限らないが、2~10倍高い)。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、処置中に投与され、処置コースは、毎日、一日おき、週2回、週1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回、投与量を送達している。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、薬学的に許容される形態で投与することができる。本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、医薬組成物の一部として投与することができる。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、非経口投与により投与される。本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、皮下投与により投与される。本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、筋肉内投与により投与される。本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、静脈内投与により投与される。
薬剤の血漿濃度を維持する方法
一実施形態では、本開示は、すべて若しくは実質的にすべての投与間隔又は処置期間の間、対象において最小治療レベルを超える薬剤の血漿濃度に達する方法を提供し、本方法は、投与間隔にわたって、水溶性ポリオキサゾリン(POZ)ポリマー、生理的に分解可能な連結によりPOZポリマーに結合された薬剤、及び親水性又は疎水性部分を含有するPOZポリマーに結合される任意選択のペンダント部分を含む、POZコンジュゲート、又は薬学的に許容されるその形態の投与量を、対象に投与するステップを含む。
一実施形態では、薬剤は、植物性カンナビノイドである。一実施形態では、薬剤は、カンナビジオール、カンナビゲロール、カンナビゲロール酸、カンナビジオール酸、カンナビジオールモノメチルエーテル、カンナビジオール-C4、カンナビダリン酸、カンナビジバリン、カンナビジオール又はカンナビゲロールプロピル変異体、カンナビクロメン、カンナビクロメン酸、カンナビクロメバリン酸、カンナビクロメバリン、カンナビノール、カンナビシクロール、テトラヒドロカンナビバリン、Δ-THC、アジュレミン酸及びデキサナビノールからなる群から選択される植物性カンナビノイドである。
一実施形態では、薬剤は、抗コリン薬(例えば、それだけに限らないが、トリヘキシフェニジル、ビペリデン及びヒヨスチアミン)、モノアミンオキシダーゼ-B阻害剤(例えば、それだけに限らないが、セレギリン及びラサギリン)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、それだけに限らないが、トルカポン及びエンタカポン)又はアデノシンA2A受容体アンタゴニスト(例えば、それだけに限らないが、プレラデナント、テオフィリン及びイストラデフィリン)である。一実施形態では、薬剤は、ドーパミンアゴニストである。ドーパミンアゴニストの非限定的な例には、それだけに限らないが、アポモルフィン、アルブタミン、カルビドパ、ドブタミン、ドーパミン、エンタカポン、エピネフリン、フェノルドパム、イソエタリン、イソプロテレノール、レボドパ、レボノルデフリン、マサプロコール、メチルドパ、メチルドペート、ノルエピネフリン、プロトキロール、トルカポン、又は(r)-(+)-フェノルドパム、ロチゴチン、プラミペキソール、キナゴリド、5-OH-DPAT、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、又はブロモクリプチンが含まれる。
一実施形態では、薬剤は、GABA再取り込み阻害剤である。GABA再取り込み阻害剤の非限定的な例には、それだけに限らないが、チアガビン又はニペコチン酸が含まれる。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%の植物性カンナビノイド(POZポリマーに対する薬剤のw/w)を含有する。
本方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、POZコンジュゲートを含む組成物の投与量は、1回投与量として投与される。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートを含む組成物の投与量は、複数回の投与量で投与される。
ある特定の実施形態では、対象における薬剤の血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超える。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、1000ng/ml、又は1,500ng/mlである。
ある特定の実施形態では、対象における薬剤の血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの1回投与量は投与される。ある特定の実施形態では、対象における薬剤の血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、投与され、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。これらの実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、1000ng/ml、又は1,500ng/mlである。
ある特定の実施形態では、処置期間は、7日~60カ月であり、又は処置期間は、連続的である。ある特定の実施形態では、投与間隔は、毎日、一日おき、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である。
ある特定の実施形態では、薬剤は、植物性カンナビノイドである。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%の植物性カンナビノイド(POZポリマーに対する植物性カンナビノイドのw/w)を含有する。ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートは、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)を含有する。
本明細書中に記載される処置の方法のうちいずれかのある特定の実施形態では、POZコンジュゲートを含む組成物の投与量は、1回投与量で投与される。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイド-ポリマーコンジュゲートを含む組成物の投与量は、複数回の投与量で投与される。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの投与量は、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含有する。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。そのような投与量は、1回投与量として送達しても複数回の投与量で送達してもよい。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの用量は、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含有し、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、投与され、投与間隔は、週2回又は週1回である。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの用量は、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含有する。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。そのような投与量は、1回投与量として送達しても複数回の投与量で送達してもよい。
ある特定の実施形態では、POZコンジュゲートの投与量は、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含有し、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、投与され、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。ある特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、対象における植物性カンナビノイドの血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超える。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、又は1000ng/mlである。
ある特定の実施形態では、対象における植物性カンナビノイドの血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの投与量は、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含み、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、1000ng/ml、又は1,500ng/mlである。本実施形態の別の態様では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、対象における植物性カンナビノイドの血漿濃度は、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルを超え、POZコンジュゲートの投与量は、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間の植物性カンナビノイドを含み、用量の投与間隔は、週2回又は週1回である。本実施形態の一態様では、最小治療レベルは、5ng/ml、50ng/ml、150ng/ml、500ng/ml、又は1000ng/mlである。本実施形態の別の態様では、植物性カンナビノイドは、CBDである。
ある特定の実施形態では、処置期間は、7日~60カ月であり、又は処置期間は、連続的である。ある特定の実施形態では、投与間隔は、毎日、一日おき、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、親水性又は疎水性部分を含む任意選択のペンダント部分を含む。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートの高次構造を制御する、POZコンジュゲートからの薬剤の切断を制御する、POZからの薬剤の放出を制御する、及び/又はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出プロファイルを選択するための方法のうちのいずれかは、使用することができる。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、本明細書中に記載されるPOZコンジュゲートのうちのいずれかは、使用することができる。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートの投与量は、治療有効量を含む。上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートの投与量は、1日当たりの治療有効量で投与される。適当な治療有効量は、本明細書中でさらに詳細に記載される。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートの1回投与量は、処置コース中に投与され、投与量は、好ましくは、POZコンジュゲートの治療有効量を含む。かかる投与量は、単回投与(q.d.)で投与することができる又はかかる投与量は、同じ日に多回投与で投与することができる(例えば、それだけに限らないが、b.i.d.又はt.i.d.)。投与量を、所与の日に多回投与に分ける場合、投与量は、均等に分けることもでき、投与量は、各投与で不均等に分けることもできる。任意の所与の用量は、単一剤形又は2種以上の剤形(例えば、錠剤)で送達することができる。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、処置コース中に投与され、少なくとも1回の投与量又はすべての投与量は、好ましくは、POZコンジュゲートの治療有効量を含む。各投与量は、単回投与(q.d.)で投与することができる又はかかる投与量は、同じ日に多回投与で投与することができる(例えば、それだけに限らないが、b.i.d.又はt.i.d.)。投与量を、1日当たり多回投与に分ける場合、投与量は、均等に分けることもでき、投与量は、各投与で不均等に分けることもできる。任意の所与の用量は、単一剤形又は2種以上の剤形(例えば、錠剤)で送達することができる。各投与量に投与される治療有効量は、同じである必要はない。例えば、一部の実施形態では、処置コースは、少なくとも1回の負荷投与量及び少なくとも1回の維持量を投与するステップを含み、負荷投与量は、維持量と比較して、より多くのPOZコンジュゲートを含有する(例えば、それだけに限らないが、2~10倍高い)。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートの複数回の投与量は、処置コース中に投与され、処置コースは、毎日、一日おき、週2回、週1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回、投与量を送達している。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、薬学的に許容される形態で投与することができる。上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、医薬組成物の一部として投与することができる。
上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、非経口投与により投与される。上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、皮下投与により投与される。上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、筋肉内投与により投与される。上記の方法のうちのいずれかにおいて、POZコンジュゲートは、静脈内投与により投与される。
医薬組成物及び投与経路
本開示のコンジュゲートのある量を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、このような医薬組成物は、治療有効量の本開示のコンジュゲートを含有する。特定の実施形態では、本開示のコンジュゲートは式Iのコンジュゲートである。加えて、他の活性剤がこのような医薬組成物に含まれてもよい。含まれる追加の活性剤は疾患又は処置される状態に基づき選択することができる。
開示された医薬組成物は、本開示の1種以上のコンジュゲートを、単独で又は追加の活性剤と組み合わせて、薬学的に許容される担体と組み合わせて含むことができる。製剤のこのような担体及び方法の例は、Remington’s Science及びPractice of Pharmacy(第23版、ISBN9780128200070)及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(第8版、978-0-85-711271-2)に見出すことができる。このようなコンジュゲート及び医薬組成物は、本明細書に記載されている処置方法に使用するための医薬の製造に使用することができる。本開示のコンジュゲートは、遊離形態と薬学的に許容される塩の形態の両方に有用である。
これらに限定されないが、ビヒクル、アジュバント、賦形剤又は希釈剤を含む本明細書に記載されている薬学的に許容される担体は当業者には周知である。薬学的に許容される賦形剤もまた当業者に周知である。賦形剤の選択は、特定のコンジュゲート(複数可)により、並びに製剤を投与するために使用される特定の方法により部分的に決定される。したがって、医薬組成物の多種多様な適切な製剤が存在する。以下の方法及び賦形剤は単に例示的であり、限定するものでは決してない。適切な担体及び賦形剤として、溶媒、例えば、水、アルコール、ポリエチレングリコール、グリコフロール(glycofurol)及びプロピレングリコール、固体吸収剤及び希釈剤、界面活性剤、懸濁化剤、錠剤化結合剤、滑沢剤、香味料及び着色剤が挙げられる。薬学的に許容される担体は、ポリマー及びポリマーマトリックスを含むことができる。許容される薬学的担体の例として、中でも、カルボキシメチルセルロース、結晶性セルロース、グリセリン、アラビアガム、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、粉末、生理食塩水、アルギン酸ナトリウム、スクロース、デンプン、タルク及び水が挙げられる。通常、薬学的に許容される担体は組成物中で活性剤に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用も毒性もない。一部の実施形態では、「薬学的に許容される」という用語は、動物、より具体的にはヒトにおける使用に対して、連邦の監督官庁若しくは州政府により承認されている、又は米国薬局方若しくは他の一般的に認識された薬局方により列挙されていることを意味する。
一実施形態では、このような医薬組成物は治療有効量の本開示のPOZコンジュゲートを含有する。特定の実施形態では、POZコンジュゲートは式Iのコンジュゲートである。加えて、他の活性剤がこのような医薬組成物に含まれていてもよい。含まれる追加の活性剤は、疾患又は処置される状態に基づき選択することができる。
開示された医薬組成物は、本開示の1種以上のPOZコンジュゲートを単独で又は追加の活性剤と組み合わせて、薬学的に許容される担体と組み合わせて含むことができる。
本開示のPOZコンジュゲート及びこのようなPOZコンジュゲートを含有する医薬組成物は、個々の治療剤として、又は追加の治療剤と組み合わせて、医薬品と共に使用可能な任意の従来の方法で投与することができる。本開示のコンジュゲートを単独で又は医薬製剤として患者に投与するのに適した方法が利用可能であり、1つより多くの経路が使用できるが、特定の経路は別の経路よりもより即時的及びより有効な反応を提供することができることを当業者であれば認識している。
一実施形態では、本開示のコンジュゲートは、単独で又は医薬組成物の一部として、治療有効量で投与される。投与される治療有効量及び用量は、当然のことながら、公知の因子、例えば、特定の薬剤の薬力学的特徴及びそのモード並びに投与経路、レシピエントの年齢、健康及び体重;病態又は状態の重症度及び段階;同時に行われる処置の種類;処置頻度;並びに所望の作用に応じて変動する。
投与されるPOZコンジュゲートの総量はまた、単独で又は医薬組成物の一部として、投与の経路、タイミング及び頻度並びにコンジュゲートの投与及び所望の生理的作用に付随し得る任意の有害な副作用の存在、性質及び度合により決定される。様々な状態又は病態、特に慢性の状態又は病態は複数の投与を含む長期の処置を必要とし得ることが当業者により認識されている。
医薬組成物の一実施形態では、本開示のPOZコンジュゲート(複数可)は普通、組成物の総重量に対して約0.5~95重量%の量で存在する。複数回剤形を単回処置の一部として投与してもよい。
本開示のPOZコンジュゲートは、単独で又は医薬組成物の一部として、固体剤形、例えば、カプセル剤、錠剤及び散剤で、又は液体剤形、例えば、ミルク、エリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤で経腸的に投与することができる。本開示のコンジュゲートはまた、単独で又は医薬組成物の一部として、滅菌液体剤形で非経口的に投与することができる。本開示のコンジュゲートはまた、単独で又は医薬組成物の一部として、鼻腔内に(点鼻薬)又は肺系統を介して吸入により、例えば、噴霧剤ベースの定量式吸入器又は乾燥粉末吸入デバイスにより投与することができる。他の剤形には、局所投与、例えば、パッチ機構又は軟膏剤を介した経皮投与が含まれる。
経腸又は経口投与に適した製剤は液体溶液、例えば、希釈液、例えば、ミルク、水、生理食塩水、緩衝液、乳児用調乳、他の適した担体、又はこれらの組合せに溶解した治療有効量のコンジュゲートであってよい。よって、コンジュゲートは投与直前に希釈液に混合することもできる。代替の実施形態では、経腸又は経口投与に適した製剤はカプセル剤、サシェ剤、錠剤、ロゼンジ剤及びトローチ剤であってよい。各実施形態では、製剤は既定量の本開示のコンジュゲートを、固形剤又は粒剤、散剤、懸濁液及び適切な乳剤として含有することができる。液体製剤は、希釈剤、例えば、水及びアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン及びポリエチレンアルコールを、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤を添加して、又は添加しないで含むことができる。カプセル剤の形態は、例えば、界面活性剤、滑沢剤及び不活性な充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム及びトウモロコシデンプンを含有する普通の硬質シェル又は軟質シェルゼラチン型であることができる。錠剤形態は以下のうちの1種以上を含むことができる:ラクトース、スクロース、マンニトール、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存剤、香味剤及び薬理学的に相容性のある担体。
ロゼンジ剤の形態はコンジュゲートを、香味料、普通スクロース及びアカシア又はトラガント中に含むことができ、さらに活性成分を不活性基剤、例えば、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアに含むパステル剤、活性成分に加えてそのような担体を含有する乳剤及びゲル剤が当技術分野で公知である。
非経口投与に対して、POZコンジュゲートは、対象の血液と等張の滅菌水溶液と組み合わせることができる。このような製剤は、生理的に相容性のある物質、例えば、塩化ナトリウム、グリシンなどを含有し、生理的条件と相容性のある緩衝されたpHを有する水の中にPOZコンジュゲートを溶解して、水溶液を生成し、次いで前記溶液に滅菌性を付与することで調製することができる。製剤は単位用量形態、例えば、密閉したアンプル又はバイアルで提示することができる。製剤は、制限なしで、筋膜上、嚢内、脳内、皮内、髄腔内、筋肉内、眼窩内、腹腔内、脊髄内、胸骨内、血管内、静脈内、柔組織、皮下又は舌下を含む任意の注射モード又は対象体内へのカテーテルとして送達することができる。好ましい注射モードは皮下である。
非経口投与は、水性及び非水性ベースの溶液を含む。この例として、例えば、水、生理食塩水、水性の糖又は糖アルコール溶液、アルコール性(例えば、エチルアルコール、イソプロパノール、グリコール)、エーテル、油、グリセリド、脂肪酸及び脂肪酸エステルが挙げられる。一部の実施形態では、水は非経口投与に対して使用される。一部の実施形態では、生理食塩水は非経口投与に対して使用される。非経口注射のための油として、動物、植物、合成、石油ベースの油、鉱物油、ワセリン、ダイズ、トウモロコシ、綿実、ピーナッツなどが挙げられる。溶液用の糖の例として、スクロース、ラクトース、ブドウ糖、マンノースなどが挙げられる。脂肪酸及びエステルの例として、オレイン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びこれらのエステルが挙げられる。非経口製剤はまた、WFI、正常な生理食塩水又は5%ブドウ糖溶液中で再構成する必要がある滅菌凍結乾燥された粉末であることができる。凍結乾燥された粉末は、薬物を賦形剤、例えば、単糖、二糖及び三糖と共に含有する。例として、ブドウ糖、スクロース、ラフィノース、トレハロース、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。非経口投与用のこのような製剤はまた、薬学的に許容される界面活性剤、例えば、石鹸又は洗剤、懸濁化剤、例えば、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボキシメチルセルロース又は乳化剤及び他の医薬品アジュバントを含むことができる。
非経口製剤は通常、約0.5重量%~約50重量%のコンジュゲートを溶液中に含有する。適切な保存剤及び緩衝剤をこのような製剤に使用することができる。注射部位での刺激を最小化又は排除するために、このような組成物は、約12~約17の親水性親油性バランス(HLB)を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を含有することができる。このような製剤中の界面活性剤の量は、約5重量%~約15重量%の範囲である。適切な界面活性剤として、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、モノオレイン酸ソルビタン及びプロピレンオキシドのプロピレングリコールとの縮合により形成される、疎水性ベースを有する酸化エチレンの高分子量付加体が挙げられる。
方法
材料
エチルオキサゾリンモノマーは、Polymer Chemistry Innovation、Tucson、Arizonaから購入した。機能的ペンチニルモノマーはSerina Therapeuticsで調製した。ポリマー及びポリマーコンジュゲートの合成及び抽出に使用した溶媒はACS無水等級以上のものであり、EMD Chemicalsから入手した。ポリマー及びポリマーコンジュゲートの合成に使用した開始剤、試薬及び触媒は、Sigma-Aldrich、St.Louis、MOから入手した。POZコンジュゲーションに使用されている活性分子の試料は、ロチゴチン(Sai Chemicals、Hyderabad、Indiaから入手)、カンナビジオール、Δ-THC、カンナビゲロール及びブプレノルフィン(PuriSys/Noramco、Wilmington、DEから入手)及びデキサナビノール(Cayman Chemical、Ann Arbor、MIから)であった。4アーム及び8アームの鎖を有するポリエチレングリコール(PEG)試薬は、Creative PEGWorks、Chapel Hill、NCから得たものであり、デキストラン6アームポリマーはSerina Therapeuticsで合成した。
ポリマーコンジュゲートからの薬物のインビトロ放出
およそ50mgのPOZ/PEG/デキストラン薬物コンジュゲートの試料を正確に秤量し、5mLメスフラスコに加え、5%w/wのブドウ糖溶液を加えて、試料を溶解し、希釈した。層流フード下で、300μLのこの溶液を3mLの冷やした血漿(ラット、サル又はヒト)に加え、数回逆さにすることで、穏やかに混合した。エッペンドルフピペッターを使用して、200μLの血漿溶液を、ねじ口付きの別個の微小遠心管にアリコートし、振盪する水槽内で、37℃でインキュベートし、POZコンジュゲートからの薬物をインビトロで加水分解させた。実験は三重反復試験で実施した。
各時間点において、一連の管を取り出し、1000μLのアセトニトリル(ACN)中0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)の添加により試料をクエンチした。懸濁液をボルテックスして、破壊された血漿タンパク質からPOZ薬物コンジュゲート及び放出された薬物を抽出した。溶液を14000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液(500μL)を500μLのHO中0.1%TFAに加え、HPLCバイアルに入れた。
Zorbax 300SB C-8カラム、5mm×4.6×150mm、及びUV検出器を使用して、HPLCで試料を分析し、HO中0.1%TFA(移動相A)及びアセトニトリル中0.1%TFA(移動相B)で勾配溶出を実施した。各時間点での加水分解した薬物の濃度を決定するために、ピーク領域と濃度曲線との対比を使用して、試験した各薬物に対して標準曲線を作成した。
POZ-シアニン-5(POZ-Cy5)コンジュゲートの化学合成
シアニン-5を薬剤として含有する異なる分子量のPOZポリマーコンジュゲートを以下に記載されている通り合成した。POZポリマー1個当たり平均10個のアルキンペンダントを有するポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOZ)ポリマーを実施例1に記載されている通り合成した。シアニン5-アジド-蛍光体(Cy5、Lumiprobe Corp、Hunt Valley、MD)を、定量的「クリックケミストリー」反応(実施例2に全般的に記載されている。)を使用して、POZポリマーのアルキンペンダントに結合させた。各POZポリマーに結合しているCy5蛍光体の平均数は、1.4~1.8の範囲であり、H-NMRで検証した。各化合物の純度をRP-HPLCで決定した。
異なる分子量のPOZポリマーの薬物動態
雄のSprague-Dawleyラットにおいて、POZ-Cy5コンジュゲート(本明細書に記載されているように合成)を使用して、異なる分子量のPOZポリマーコンジュゲート(10、20、30、40及び60kDa)の薬物動態を調査した。社内施設用動物ケア及び使用委員会(in-house institutional animal care and use committee(IACUC))が実験を開始する前に実験プロトコルを見直し、承認した。動物施設に到着後、ラットをラットケージ内に配置し、投薬開始前に少なくとも3日間の気候順化を行った。1つの群に3匹の動物を入れて、30匹の動物を10の群に分けた。ラットの5つの群を拘束デバイス内に配置し、25G BD精度のグライドニードルを使用して、各動物の尾静脈にPOZ-Cy5コンジュゲートを静脈内注射した。残りの5つの群のラットには、23G BD精度のグライドニードルを使用して、左側腹部に、POZ-Cy5コンジュゲートを、皮下注射を介して投与した(拘束デバイスを使用した。)。用量は10mg/kgであり、用量体積は1mL/kg(約0.25mL)であり、各注射の期間はおよそ10~15秒であった。連続的静脈血試料(100μL)を以下の時間点において各動物の尾静脈から採取した:投薬後0.25、1、3、8、12、24、48、72、96、120、144、168、240、336、408、504、576及び672時間。1.2%の0.2N EDTA溶液を有する、固定体積(150μL)の1×PBSを含有する1.5mLエッペンドルフ管に血液を移した。ピペットの上下操作の繰り返しにより試料を素早く混合した。試料は氷の中に直ちに入れ、カバーをして、光への曝露を最小化した。次いで、試料を、10,000rpmで、4℃で3分間遠心分離した。各管からの上澄み液(100μL)を取り出し、低温管の中に配置した。試料を直ちにドライアイス上で凍結し、次いでマイナス80℃の冷凍庫に移した。
蛍光分光光度法を使用して、各試料中のPOZ-Cy5コンジュゲートの量を測定した。Cy5蛍光体の励起及び発光波長はそれぞれ650nm及び670nmである。解凍した試料のアリコートを96ウェルプレート内に配置し、吸収データを1nm間隔で、660~750nmの間で記録した。
ストック溶液は、各分子量のPOZ-Cy5コンジュゲートを用いて、公知の重量のコンジュゲートをPBS EDTAストック溶液中に溶解することによって調製した。ストック溶液の希釈物をPBS EDTA中に作製して、最終濃度20、10、5、1、0.5、0.1及び0.05μg/mLを生成した。150μLの各標準液を1.5mL遠心管内に配置し、50μLの新たに採取した全血を各管に配置した。溶液を穏やかに混合し、3000rpmで3分間遠心分離した。各標準物質の75μLの上澄み液をピペットで取り、96-ウェルプレートの最上列に配置した。標準物質は毎日各測定前に新しく調製した。各分子量のPOZ-Cy5コンジュゲートに対して1つのプレートを準備した。プレートを一度に分光光度計ホルダーに配置し、シグナル増加値を80、100、120及び150にセットして、発光吸光度値を670nmで記録した(Au)。検量線方程式(ピーク領域対直線回帰を有する濃度曲線)を各POZ分子量標準物質に対して計算した。これらの測定を各時間点に対して二回反復で行った。各時間点におけるPOZ Cy5の血漿中濃度をこの方程式から計算した。
POZコンジュゲートから放出された薬物の薬物動態
異なるリンカー及び薬物ローディング(重量%)を有するこれらのそれぞれのPOZコンジュゲートの単回皮下注射後に、血流に放出された薬物の血漿レベルをげっ歯類(Sprague Dawleyラット)及び非ヒト霊長類(Macaca fascicularis、カニクイザル)において測定した。社内施設用動物ケア及び使用委員会(IACUC)は実験開始前に各実験プロトコルを見直し、承認した。
雄のSprague Dawley未処置のラット(週齢8~9週、体量200~250g)を入手し、ラットケージ内に配置し、投薬開始前、少なくとも3日間の気候順化を行った。各試験群は3匹のラットを含有した。POZコンジュゲートを5%ブドウ糖注射液に溶解し、溶液のpHを0.1N塩酸で約4.0に調整した。各動物には、23G BD精度のグライドニードルを使用して、用量1.5~1.6mg/kg(薬物当量ベース)と当量での、及び1mL/kgの体積の試験溶液の単回皮下(SC)注射を左側腹部に行った。各注射の期間はおよそ10~15秒であった。400~500μLの連続的な静脈血試料を各動物の尾静脈から、以下の時間点で採取した:投薬後3、6、12、24、48、72、96及び168時間。すべての血液試料は、NaF/二ナトリウムEDTAを含有する予め標識したBDマイクロティナ管に採取し、穏やかに混合し、氷浴に配置した。遠心分離により3000rpmで、4℃で15分間、血漿を収集した。血漿アリコートの100μLを、10μLの3N HCl酸の溶液を含有する別個の管に採取し、穏やかに混合し、直ちに凍結し、-70℃で貯蔵した。
処置を受けたことのある雌のカニクイザル(年齢>2才、体重2.5~3.5kg)を入手し、実験のためにケージ内に配置した。動物(1群当たりn=3)は、過去の実験終了から少なくとも30日間のウォッシュアウト期間を有した。POZコンジュゲートを5%ブドウ糖注射に溶解し、0.1N塩酸で溶液のpHを約4.0に調整した。各動物には、23G BD精度のグライドニードルを使用して、用量1.5mg/kg(薬物当量ベース)と当量での、及び0.3mL/kgの体積の試験溶液の単回皮下(SC)注射を右肩に行った。各注射の期間はおよそ10~15秒であった。約1000μLの血液試料を各動物の末梢静脈から以下の時間点で採取した:投薬後3、6、12、24、48、72、96、120、144、168、240及び336時間。すべての血液試料は、NaF/二ナトリウムEDTAを含有する予め標識したBDマイクロティナ管に採取し、穏やかに混合し、氷浴に配置した。遠心分離により3000rpmで、4℃で15分間血漿を収集した。血漿アリコートの250μLを、10μLの3N HCl酸溶液を含有する別個の管に採取し、穏やかに混合し、直ちに凍結し、-70℃で貯蔵した。
血漿試料を、「タンパク質クラッシュ」法で、冷たいアセトニトリルを使用して処理した。試料を混合し、13,000rpmで15分間遠心分離し、有機相をサンプリングし、正規のLC-MS/MS法を使用して、ロチゴチン、ブプレノルフィン又はカンナビジオールのいずれかに対してアッセイした。ロチゴチン-d3、ブプレノルフィン-d4及びカンナビジオール-d3の内部標準をアッセイで使用した。
POZ及びPOZコンジュゲートの化学合成
POZポリマー及びPOZポリマーコンジュゲートの合成のための方法は当技術分野で記載されている。POZポリマーは一般的に、適当な化学量論的量の1種以上の2-アルキル-2-オキサゾリンモノマーを求電子性開始剤(例えば、これらに限定されないが、メチルトリフル酸塩;MeOTF)又は強酸(例えば、これらに限定されないが、トリフル酸;HOTf)と反応させ、これに続いて求核剤(例えば、これらに限定されないが、メルカプタン/メルカプチド、水酸化物、チオール又はアミン)で停止することにより調製される。例示的なメルカプタンとして、これらに限定されないが、メルカプト-エステル(例えば、これらに限定されないが、S-CHCH-COCHCH)及びメルカプト保護されたアミン(例えば、これらに限定されないが、-S-CHCH-NH-tBoc)が挙げられる。特定の実施形態では、メルカプト-エステルが停止剤として使用された場合、エステルの加水分解後、イオン交換クロマトグラフィーによる有効な、大規模な精製(不純物、例えば、第2級アミンを除去するため)を使用して、イオン交換クロマトグラフィーでの使用に適したカルボン酸又は他の基を生成することができる。その後のPOZポリマーは、低い多分散度及び低レベルの不純物を示す。POZポリマーを生成するために使用される2-アルキル-2-オキサゾリンモノマーの性質は同じでもよく、その結果ホモポリマー(例えば、これらに限定されないが、ポリ(メチルオキサゾリン)又はポリ(エチルオキサゾリン)が生じる。2種以上の2-アルキル-2-オキサゾリンモノマーを使用して、POZポリマーを生成することができ、その結果、コポリマー、例えば、これらに限定されないが、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーが生じる。
ポリマーの末端上に単一の官能基を有するPOZポリマーの合成の方法が米国特許第7,943,141号に記載されており、ペンダント官能基を有するPOZポリマー及びペンダント官能基に結合されている薬剤を有するPOZポリマーコンジュゲートの合成の方法が米国特許第8,393,093号に記載されている(この特許はこのような教示のために本明細書に具体的に組み込まれている。)。
POZランダムコポリマーの例示的な合成が以下に提供されている。所望の2-アルキル-2-オキサゾリンモノマー(例えば、2-(4-ペンチニル)-2-オキサゾリン;PtynOZ;エチルオキサゾリン;EOZ;及びT-プロピオン酸メチルオキサゾリン;TMPOZ)を適切な溶媒中(例えば、クロロベンゼン)、室温で調製する。各モノマーのパーセンテージは適当な化学量論的量の2-アルキル-2-オキサゾリンモノマーの反応により制御される。この溶液に、以下に記載されているような開始剤(例えば、MeOTF)を加える。溶液を室温である期間(例えば、5分間~120分間)撹拌し、次いで加熱する(例えば、70℃~130℃で10分間~12時間)。混合物を0℃に冷却し、次いで所望の求核剤(例えば、メルカプト-エステル)を使用して停止する。混合物を撹拌して、重合反応を停止させる。次いでPOZポリマーを回収する。
POZブロックポリマーの例示的合成が以下に提供されている。開始剤(例えば、MeOTf)を第1の2-アルキル-2-オキサゾリンモノマー(例えば、PtynOZ)の溶液に、適切な溶媒中(例えば、クロロベンゼン)、室温で加える。溶液を室温である期間撹拌し(例えば、5分間~120分間)、次いで加熱する(例えば、70℃~130℃で10分間~12時間)。第2の2-アルキル-2-オキサゾリンモノマー(例えば、EOZ)を反応物に加え、混合物を撹拌し、加熱する(例えば、70℃~130℃で10分間~12時間)。混合物を室温に冷却し、ピペリジン(0.4mL、0.004モル)の添加で停止する。混合物を撹拌して、重合反応を停止させる。次いでPOZポリマーを回収する。
ペンダント官能基及びPOZコンジュゲートを有するランダムPOZポリマーの例示的合成が本明細書の実施例1及び2で提供されている。
[実施例1] ランダムH-[(Ptyn)10(EOZ)190]-T-COH(POZ10p20k)の例示的合成
Figure 2022538143000006
本実施例は、H-[(Ptyn)10(EOZ)190]-T-COHの合成について記載する。しかし、異なる分子量、異なる開始基及び末端基並びにペンダント位置での異なる基を有する他のPOZポリマーを同法により生成することもできる。加えて、本実施例に記載されているランダムコポリマーに加えて、ブロックコポリマーを生成することもできる。
H-[(Ptyn)10(EOZ)190]-T-COHの合成のため、トリフル酸(HOTf、173.3μL、1.96mmol)を2-ペンチニル-2-オキサゾリン(PtynOZ、3.76g、27.4mmol、14当量)及び2-エチル-2-オキサゾリン(EOZ、46.61g、470.2mmol、240当量)のクロロベンゼン(124mL)中溶液に加えた。5分間室温で撹拌した後、混合物を80℃に10時間加熱し、これに続いて室温に冷却した。別個のフラスコ内で、メチル3-メルカプトプロピオン酸(1.23mL、0.0114モル)を水素化ナトリウム(鉱物油中60%、0.272g、0.0068モル)のクロロベンゼン(34mL)中懸濁液に滴下添加することにより、終結試薬を調製した。この混合物を7時間撹拌してから、H-(Ptyn)10(EOZ)200 のリビングポリマーの溶液を加えた。次いで、生成した混合物を18時間撹拌した。溶媒を回転蒸発により除去して、白色の残渣を生成した。この残渣を水に溶解し、pHを12.0に調整した。生成した水溶液を、DEAEセファロースFFを使用するイオン交換クロマトグラフィーで精製した。水溶液をNaCl(15%w/w)で飽和し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、回転式エバポレーターを使用して濃縮した。ジクロロメタン濃縮物をジエチルエーテルに加えることによって、残渣を沈殿させた。沈殿した物質を採取し、真空下で乾燥させて、22.8gの所望の生成物を白色の粉末として得た(収率50%)。
H NMR(Varian、500MHz、10mg/mLCDC1)は、1.13ppm(m、3H、CHCHCO-);2.32ppm(m)及び2.41(s)(全領域2H、CHCHCO-);並びに3.47ppm(m、4H、-NCHCHN-)において通常のバックボーンピークを示した。末端基のピークは2.63ppm(m、2H、-SCHCHCOH)、2.74ppm(m、2H、-CHSCHCHCOH)及び2.85ppm(m、2H、-SCHCHCOH)において出現している。ペンダントペンチニル基のピークは1.85ppm(m、2H、-CHCHC≡CH)及び2.03ppm(br s、1H、-CHCHC≡CH)において出現している。ペンダントの基の数、Ptynは、末端アセチレンプロトン及びポリマー骨格プロトンの積分を比較することにより、8.5と決定した。GPCにより、Mn=19,500Da及びMp=20,800Daを得て、PDIは1.07であった。
[実施例2] POZコンジュゲートの一般的な調製
以下の反応スキームに示されている経路を介した、ペンダント官能基及びペンダントの、放出可能な薬物(通常、フェノール系薬物へのエステルリンカー)を有するPOZの合成がいくつかの発明者らの刊行物及び特許に記載されている[4,7]。
Figure 2022538143000007
図1に示されているフェノール系薬物のPOZコンジュゲートをこの手順で調製した。アジドアルキルカルボン酸リンカーを最初に小分子薬物のフェノール系-OHにカップリングして、モノ-エステルを生成した。薬物、例えば、カンナビジオール及びカンナビゲロールは2個の潜在的なフェノール系-OH基を有し、形成されたジエステルを分取クロマトグラフィーで除去した。次いで、これらの薬物のアジドアルキルエステルを上記POZポリマーのペンチニルペンダントに「クリック」した。アルキルカルボン酸リンカーの例として、これらに限定されないが、酢酸、2-プロピオン酸及び3-プロピオン酸が挙げられる。充填される薬物分子の数は変動し得、クリック反応に使用された薬物-リンカー-アジドの当量数(当量)に依存する。10当量が使用された場合、コンジュゲートはPOZポリマー鎖のすべての10個のペンダントに完全にクリックしたことが判明している。より低い数の薬物ローディングを有するコンジュゲートもまた10当量未満、すなわち8及び6当量の薬物-リンカー-アジド化合物を使用して調製した。薬物ローディングのパーセンテージ(%w/w)はクロマトグラフィーによりアッセイし、次いで小分子薬物の分子量を使用して計算した。
POZポリマーで使用した条件と類似のクリックケミストリー条件を使用して、ロチゴチンのPEG及びデキストランコンジュゲートも調製した。これらのコンジュゲートを精製及びアッセイする手順は同じであった。
[実施例3] 親水性プロピオン酸ペンダント部分の存在が加水分解速度を増加させる
上で論じられているように、親水性ペンダント部分の存在は、POZポリマーコンジュゲートからの薬剤の加水分解速度を増加させ、POZポリマーコンジュゲートのより短い半減期をインビボでもたらすことが仮定されている。親水性ペンダント部分がPOZポリマーコンジュゲートからの薬剤のインビトロでの加水分解速度に影響を与えたかどうか判定するため、カンナビジオール(CBD)を薬剤として含有する、2-プロピオネートリンカーを有する2組の対のPOZポリマーコンジュゲートを親水性プロピオン酸ペンダント部分有り及び無しで調製した(POZ-CBDコンジュゲート)。
POZ-CBDコンジュゲートの第1の対は、4個のペンダントプロピオン酸基有り及び無しで、6ペンダントCBD分子を含有した。POZ-CBDコンジュゲートの第2の対は、2個のペンダントプロピオン酸基有り及び無しで、8ペンダントCBD分子を含有した。POZ-CBDコンジュゲートの構造を以下に示す:
Figure 2022538143000008
[式中、
oは、第1のPOZ-CBDコンジュゲート対に対して6であり、又は第2のPOZ-CBDコンジュゲート対に対して8であり;
pは190であり;
aはランダムであり;
RはHであり;
は-CHCHであり;
mは、第1のPOZ-CBDコンジュゲート対に対して4であり、又は第2のPOZ-CBDコンジュゲート対に対して2であり;
Zは、
Figure 2022538143000009
(POZ-CBDコンジュゲートに親水性プロピオン酸基が欠如している場合)又は
Figure 2022538143000010
(POZ-CBDコンジュゲートが親水性プロピオン酸基を含有する場合)
のいずれかである]。
各POZ-CBDコンジュゲートの半減期(t1/2)を、本明細書の方法セクションに記載されているように決定した。結果は図2及び以下の表に提示されている。図2は、親水性ペンダント部分を有するPOZ-CBDコンジュゲートにおいて、CBD分子は、親水性部分を有さないPOZ-CBDコンジュゲートと比較して、POZ-CBDコンジュゲートからより速く加水分解したことを示している。各コンジュゲートに対する半減期が以下の表に示されている:
Figure 2022538143000011
6個のペンダントCBD分子を有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して、親水性ペンダント部分の存在は、t1/2を64時間から54時間に低減させ、POZ-CDBコンジュゲートからのCBD分子のより急速な加水分解を示している。同じ増加した加水分解速度はまた8個のペンダントCBD分子を有するPOZ CDBコンジュゲートにも見られ、この場合、2個の親水性ペンダント部分の存在はt1/2を87時間から74時間へと低減させ、この場合も同様にPOZ-CDBコンジュゲートからのCBD分子のより急速な加水分解を示している。さらに、上で論じられているように、薬物ローディングの増加(6個から8個のCBD分子)は加水分解速度を低減させた。8個のペンダントCBD分子を有するPOZ-CBDコンジュゲートは、6個のペンダントCBD分子を有するPOZ-CBDコンジュゲートと比較して、増加したt1/2を示した(親水性ペンダントの存在有りと無しの両方で)。
[実施例4] 親水性PEGペンダント部分の存在は加水分解速度を増加させる
POZポリマーコンジュゲートからの薬剤のインビトロでの加水分解速度に対する親水性ペンダント部分の役割をさらに調べるため、親水性プロピオン酸ペンダント部分及びポリエチレングリコール(PEG-OH)を有する及び有さないPOZ-CBDコンジュゲートを調製した。異なるバッチのヒト女性血漿を、実施例3と比較して、この実施例4で使用した。両方の実施例に使用されたある特定のPOZ-CBDコンジュゲートに対して測定された半減期はわずかに異なったが、傾向は同じままであった。わずかな差異は血中の異なるレベルのブチリルコリンエステラーゼ(butyrylcholinesterase)活性に起因する[13]。
8個のペンダントCBD分子を有するPOZ-CBDコンジュゲートを、8個のペンダントCBD分子及びi)2個のペンダントプロピオン酸基;又はii)2個のPEG-OHペンダント部分のいずれかを有するPOZ-CBDコンジュゲートと共に調製した。10個のペンダントCBD分子を有し、親水性ペンダントを有さないPOZ-CBDコンジュゲートもまた調製した。POZ-CBDコンジュゲートの構造は実施例5に示されている通りであるが、ただし、POZ-CBDコンジュゲートが親水性基を含有する場合、Zは、
Figure 2022538143000012
又は
Figure 2022538143000013
のいずれかであることを除く。
各POZ-CBDコンジュゲートのt1/2を本明細書の方法セクションに記載されているように決定した。結果は以下の表に提示されており、親水性ペンダント部分を有するPOZ-CBDコンジュゲートにおいて、CBD分子は、親水性ペンダント部分を有さないPOZ-CBDコンジュゲートと比較して、POZ-CBDコンジュゲートからより速く加水分解することを示している。各コンジュゲートに対する半減期は以下の表に示されている:
Figure 2022538143000014
10個のペンダントCBD分子を有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して、t1/2は70時間で、8個のペンダントCBD分子を有するPOZ-CBDコンジュゲートのt1/2より増加した。
8個のペンダントCBD分子を有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して、親水性プロピオン酸ペンダント部分の存在は、t1/2を61時間から43時間に低減させ、親水性PEG-OHペンダント部分の存在は、t1/2を61時間から39時間に低減させた。これらの結果は、この場合も同様に、POZ-CDBコンジュゲートからのCBD分子のより急速な加水分解を示している。さらに、これらの結果は、ペンダントプロピオン酸及びペンダントPEG-OH基は同等に有効であるため、様々な親水性ペンダント部分が加水分解速度を増加させるのに有効であることを示している。
[実施例5] 比較的親水性の薬物を有するPOZコンジュゲートに対する親水性ペンダント部分の存在
POZポリマーコンジュゲートからの薬剤のインビトロでの加水分解速度に対する親水性ペンダント部分の役割をさらに調べるために、3-プロピオネートリンカーを有し、親水性プロピオン酸ペンダント部分及びポリエチレングリコール(PEG-OH)を有する及び有さない、ブプレノルフィン(POZ-BUP)のPOZポリマーコンジュゲートを調製した。
8個のペンダントBUP分子を有するPOZ-BUPコンジュゲートを、8個のペンダントBUP分子及びi)2個のペンダントプロピオン酸基;又はii)2個のPEG-OHペンダント部分のいずれかを有するPOZ-BUPコンジュゲートと共に調製した。10個のペンダントBUP分子を有し、親水性ペンダントを有さないPOZ-BUPコンジュゲートもまた調製した。POZ-BUPコンジュゲートの構造を以下に示す[式中、o=10又は8、p=190、a=ランダム、R=H、R=-CHCH、m=2又は=0(POZ-BUPコンジュゲートが親水性ペンダントを含有しない場合)、Zは、
Figure 2022538143000015
(POZ-BUPコンジュゲートに親水性基が欠如している場合)又は
Figure 2022538143000016
(POZ-BUPコンジュゲートが親水性基を含有する場合)
のいずれかである]。
Figure 2022538143000017
各POZ-BUPコンジュゲートのt1/2を、本明細書の方法セクションに記載されている通り決定した。結果は以下の表に提示されている。
Figure 2022538143000018
この場合、ヒト血漿加水分解速度は、以下のパターンを示した:10BUPペンダント、17時間;8BUPペンダント、11時間;8BUP及び2プロピオン酸ペンダント、14時間;及び8BUP及び2PEG-OHペンダント、12時間。よって、ペンダントプロピオン酸及びペンダントPEGを有するコンジュゲートは、ほぼ同じ加水分解速度を有するが、これらのペンダントなしでは、これらは対応するコンジュゲートより速く加水分解することはない。この結果は、カンナビジオールコンジュゲートに対する上記結果と対比し、折りたたみの仮説と矛盾しているように見える。
ブプレノルフィン及びカンナビジオールコンジュゲートは、物理的特性において確かに一部の興味深い差異を示す。ブプレノルフィンはカンナビジオールより親水性があり(25℃においてLogPoct/wat値はそれぞれ5.0及び6.1である。)、この研究において、ブプレノルフィンコンジュゲートは水媒体に容易に溶解するのに対して、カンナビジオールコンジュゲートは緩衝液中にゆっくりと溶解し、水にはやや溶けにくいことが観察された。加えて、薬物ローディングが極めて多いカンナビジオールコンジュゲートは、「曇点」挙動を起こす傾向がある[14~16]。これらの差異に基づき、カンナビジオールコンジュゲートより、ブプレノルフィンコンジュゲートで血漿加水分解がずっと急速に進んでも驚くことではなく、ブプレノルフィンコンジュゲートはしっかりと折りたたまれておらず、酵素による接近に対して比較的に開かれていることを示している。
前述を考慮すると、しっかりと折りたたまれているコンジュゲート、例えば、比較的疎水性のカンナビジオールと共に形成されたコンジュゲートは、不活性な親水性基の導入に応答し、これらの基の導入により実質的に膨張する。他方では、ゆるく折りたたまれているコンジュゲート、例えば、比較的親水性のブプレノルフィンと共に形成されたコンジュゲートは、親水性ペンダントの導入により実質的に膨張せず、よってこれらの基の導入により酵素的加水分解の促進を示さない。
[実施例6] 薬物ローディングがヒト及びラット血漿中の加水分解速度に影響を与える
上で論じられたように、POZポリマーコンジュゲートにローディングされた薬剤の量は、POZポリマーコンジュゲートからの薬剤の加水分解速度に影響を与えると仮定され、より高い薬物-ローディングはより長い半減期をもたらし、より低い薬物ローディングはより短い半減期をもたらす。エステル連結の作用は以前に記載されており[4,7]、記述されているように、血漿加水分解速度は、酢酸>2-プロピオネート>3-プロピオネートの順序で低減する。POZポリマーコンジュゲートからの薬剤のインビトロでの加水分解速度に対する薬物ローディングの作用を決定するため、POZポリマーコンジュゲート(PEOZ-20K-10P-COOH)を、カンナビジオール(POZ-CBD;薬物ローディング1.6%~10.3%)、ロチゴチン(POZ-ROT;薬物ローディング7.5%~11.8%)、d9-テトラヒドロカンナビノール(POZ-d9THC;薬物ローディング6.1%~10.3%)、ブプレノルフィン(POZ-BUP;薬物ローディング11.3%~15.5%)、カンナビゲロール(POZ-CBG;薬物ローディング4.3%~10.5%)及びデキサナビノール(POZ-DEX;薬物ローディング8.8%)を用いて調製した。
以下の表は、37℃でのヒト女性血漿中の、POZ-ポリマーコンジュゲートに対するt1/2値(方法セクションに記載されている通りに決定)を示している。見てわかる通り、加水分解半減期は、極めて多くローディングされたコンジュゲートに対してより長い。2-プロピオネートリンカーを有するPOZ-CBDコンジュゲートに対して、薬物ローディングの1.6%から8.9%への増加は、加水分解半減期を10時間から87時間へと増加させた。加水分解半減期における増加はまたPOZ-ROTコンジュゲート(3-プロピオネートリンカーを有する。)に対しても観察され、この場合、薬物ローディングの7.5%から11.8%への増加は、加水分解半減期を17時間から76時間へと増加させ、POZ-d9THCコンジュゲート(3プロピオネートリンカーを有する。)では、薬物ローディングの6.1%から10.3%への増加は、加水分解半減期を7日間にわたり49時間からに増加させた。
logP値と加水分解速度との間には相関関係があり、より高いlogPは、より遅い加水分解及びより長い半減期をもたらす。例えば、3-プロピオネートリンカー及び7.5%ローディングを有する、logP 4.9のロチゴチンは、予測された通り、logP 7.2のTHC(半減期90時間)より速く加水分解(半減期17時間)が進む。しかし、表には一部の例外がある。例えば、3-プロピオネートリンカー及び6.1%ローディングに対して、logP 6.1のカンナビジオールは168時間の半減期を有する一方で、logP 7.0のより疎水性のTHCは半減期49時間を有し、これは一般的な傾向とは逆である。発明者らの折りたたみの仮説は、増加するlogPはより堅いコア及びより遅い加水分解速度をもたらすはずであることを示唆する一方で、ペンダント薬物を変化させることは、logPよりも多くの因子を変化させることも予想されている。例えば、すべての場合において結合点は薬物上のフェノール系基であり、エステル連結は同じであるとしても、これらの分子の大きさ及び形状は有意に変動する。この変形形態は折りたたみ及びエステラーゼ結合に対して異なる立体効果をもたらすことが予想される。また、異なる薬物に対する電子的作用においておそらく小さくはあるが、有意な差異が存在し、これらはまたエステル連結に対する加水分解速度に影響を与える。よって、異なる薬物の間で立体的及び電子的作用を制御することが困難なため、薬物logPと加水分解半減期との間の相関関係は大まかであることは驚くことではない。
Figure 2022538143000019
[実施例7] 薬物ローディングはインビボでの加水分解速度に影響を与える
実施例6のデータは、薬物ローディングのパーセンテージの増加が、5種の例示的なPOZコンジュゲートのインビトロでの加水分解半減期を低減させることを示した。一般的に、POZ-薬剤コンジュゲートの血漿加水分解速度を遅延させることは、放出された薬剤に対してより長いインビボ血漿中での存在をもたらすことが予想され得る。POZコンジュゲートからの薬剤のインビボでの加水分解速度及び薬物動態に対する薬物ローディングの作用を決定するため、POZコンジュゲート(3-プロピオン酸エステル連結を使用して結合されている薬剤)をカンナビジオール(POZ-CBD;薬物ローディング2.8%又は7.1%)及びロチゴチン(POZ-ROT;薬物ローディング7.5%~11.8%)を用いて調製した。ポリマーコンジュゲートを動物に投与し、方法セクションに記載されているように、血漿試料を放出された薬剤について分析した。
図3は、7.5%、9.7%及び11.8%の薬物ローディングのパーセンテージでのPOZ-ROTの単回注射後、POZ-ROTコンジュゲートから放出された遊離ロチゴチンの血漿濃度を示している。図3を見てわかる通り、7.5%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートは、1日目~3日目の間、より高い初期濃度の遊離ロチゴチンを提供し(9.7%及び11.8%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートと比較して)、その後濃度は3日目~5日目で低減した。これは、ロチゴチンは、9.7%及び11.8%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートと比較して、7.5%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートからより速く放出された(すなわち、t1/2がより短い)ことを示唆している。9.7%及び11.8%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートは、1日目~3日目の間、より低い初期濃度の遊離ロチゴチンを提供したが(7.5%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートと比較して)、3日目~5日目にはより高い濃度を維持した。これは、ロチゴチンが、7.5%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートと比較して、9.7%及び11.8%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートからより遅く放出された(すなわち、t1/2がより長い)ことを示唆している。これらの結果は実施例7からのデータと一致し、7.5%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートが11.8%薬物ローディングでのPOZ-ROTコンジュゲートと比較して、より短いt1/2を有したことを示している。
図4は、2.8及び7.1%の薬物ローディングのパーセンテージでのPOZ-CBDの単回注射後、POZ-CBDコンジュゲートから放出された遊離カンナビジオールの血漿濃度を示している。図4を見てわかる通り、2.8%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートは、1日目~2日目の間、より高い初期ピーク濃度の遊離カンナビジオールを提供し(7.1%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートと比較して)、その後濃度は2日目~14日目で低減した。これは、カンナビジオールは、7.1%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートと比較して、2.8%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートからより速く放出された(すなわち、t1/2がより短い)ことを示唆している。7.1%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートは、1日目~2日目の間、より低い初期濃度の遊離カンナビジオールを提供したが(2.8%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートと比較して)、3日目~14日目にはより高い濃度を維持した。これは、カンナビジオールが、2.8%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートと比較して、7.1%薬物ローディングでのPOZ-CBDコンジュゲートからより遅く放出された(すなわち、t1/2がより長い)ことを示唆している。これらの結果は実施例7からのデータと一致し、より低い薬物ローディングのパーセンテージでのPOZ-CBDコンジュゲートが、より高い薬物ローディングのパーセンテージを有するPOZ-CBDコンジュゲートと比較して、より短いt1/2値を有したことを示している。
[実施例8] インビボでの循環寿命に対するPOZポリマー分子量の作用
上で論じられているように、POZコンジュゲートのPOZポリマー部分はPOZコンジュゲートからの薬剤の加水分解速度に影響を与えると仮定されており、より高い分子量のPOZポリマー部分はより長い半減期をもたらし、より低い分子量のPOZポリマー部分はより短い半減期をもたらす。インビボでの循環寿命に対するPOZ分子量の作用を決定することもまた目的である。10、20、30、40及び60kDのPOZコンジュゲートを、分解不可能な連結を介して結合している蛍光色素シアニン-5を用いて調製した。標識したPOZコンジュゲートを雄のラットに静脈内注射及び皮下注射し、方法セクションに記載されている通り、蛍光分光光度法を介して、シアニン-5の血中濃度を時間の経過と共に監視した。
結果は図7及び8に示されている。図7及び8からわかるように、予想された分子量依存性クリアランスパターンが観察されている[Yamaokaら、J.Pharm Sci.、83巻、601~606頁、1994年]。3日後、10kD POZ-シアニン濃度は検出レベル未満の範囲に入り、40及び60kD POZ-シアニン濃度は、28日後、実験が終結した時点で、有意なレベルで依然として存在していた。20及び30kDa POZポリマーは、それぞれ14及び21日間にわたり安定した血中レベルを付与した。POZの糸球体濾過に対するカットオフが40kD周りに報告された(Wyffelsら、J.Cont.Rel.、235巻、63~71頁(2016年))。
[実施例9] インビボでのPOZ-コンジュゲートの薬物動態の微調整
POZ-薬物インビトロ加水分解速度は、リンカーを変更する、薬物のローディング%を変更する、及び不活性な親水性ペンダント部分を添加することにより、特定の放出プロファイルを生成するよう変化させることができる(すなわち、微調整する)ことをこれまでの実施例が示した。これらのパラメータの作用をインビボで探究するため、いくつかのPOZコンジュゲートを検討した。インビボでの薬物動態は、これらに限定されないが、腎臓及び肝臓クリアランスを含む多くの因子により複雑なものになっている。多くの場合、平坦な定常状態のPKプロファイルでの週1回注射であれば、特に短い半減期をインビボで有する薬物に対しては、重大な有用性がある。
一般的に、POZコンジュゲートからの薬剤の遅いインビトロ血漿加水分解速度は放出された薬物に対してインビボのより長い血漿中での存在をもたらすことが予想でき、これは本実施例の実験で観察されている。図9は、ラットにおける、アセチル(薬物ローディング10.9%)及び3-プロピオニル(薬物ローディング13.3%)エステル連結を有するロチゴチン及びPOZ-ロチゴチン(構造1)の単回SC注射後のロチゴチンの薬物動態学的(PK)プロファイルを示している。POZ-ROTコンジュゲートは用量1.6mg/kgで投与し、遊離ロチゴチンは用量0.5mg/kgで投与した。実施例7に示されている通り、3-プロピオン酸エステルでは、酢酸エステルより実質的にゆっくりと血漿加水分解が進み、予想されたように、図9のインビボ定常状態のPKプロファイルは、3-プロピオン酸エステルが、酢酸エステルよりも、長い血液滞留時間及び低い初期のCmax「バースト作用」を有することを示している。ロチゴチンの注射単独では、24時間未満で体内から排除される。
図10は、雄のサルにおける、2-プロピオニル(薬物ローディング11.2%)及び3-プロピオニル(薬物ローディング13.3%)エステル連結を有するPOZ-BUPの単回SC注射後のブプレノルフィンの薬物動態学的(PK)プロファイルを示している。POZ-ROTコンジュゲートを用量1.5mg/kgで投与した。予想された通り、図10のインビボ定常状態のPKプロファイルは3-プロピオン酸エステルが、酢酸エステルよりも長い血液滞留時間及び低い初期Cmax「バースト作用」を有することを示している。ラットとサルの両方においてブプレノルフィンに対する血漿レベルは、用量1.5mg/kgにおいて(ブプレノルフィン当量に基づく)4~5日間実質的には平坦である。このようなプロファイルは、POZコンジュゲートが術後疼痛を処置するための週1回の皮下注射に適した化合物であることを示唆している。
[実施例10] 疎水性オクチルペンダント部分の存在は加水分解速度を低減させる
血漿加水分解速度に対する疎水性ペンダント部分の作用を検討するため、3種の異なるPOZコンジュゲートを調製した。すべては薬剤をPOZコンジュゲートに連結するための十分なペンダントペンチニル基を有していた:(1)10個のブプレノルフィン分子を有し、疎水性ペンダント部分を有さないPEOZ-20K;(2)8個のブプレノルフィン分子を有し、疎水性ペンダント部分を有さないPEOZ-20K;及び(3)8個のブプレノルフィン分子及び2個疎水性オクチルを有するPEOZ-20K(C8)ペンダント部分。37℃でのヒト女性血漿における加水分解速度を決定し、各POZコンジュゲートの半減期を決定した。
結果は以下の通りであった:10個のブプレノルフィン分子を有し、疎水性ペンダント部分を有さないPEOZ-20K(半減期16時間);8個のブプレノルフィン分子を有し、疎水性ペンダント部分を有さないPEOZ-20K(半減期12時間);及び8個のブプレノルフィン分子及び2個の疎水性ペンダント部分を有するPEOZ-20K(半減期15時間)。これらの結果は、薬剤のローディングのパーセンテージの増加はPOZコンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させることを示す以前の実施例の結果を確定している。加えて、これらの結果は、予想された通り、疎水性ペンダント部分の存在は、POZポリマー部分からの薬剤の加水分解速度を低減させることを示す。したがって、疎水性ペンダント部分を使用して、POZ-コンジュゲートからの薬剤の放出率を低減させ、POZコンジュゲートからの薬剤の所望の放出プロファイルを選択することができる。
[実施例11] POZポリマー部分の分子量の増加は、POZコンジュゲートからの薬剤の加水分解速度を低減させる
血漿加水分解速度に対するPOZポリマー部分の分子量の作用を検討するため、2種の異なるPOZコンジュゲートを調製した。すべては薬剤をPOZコンジュゲートに連結させるための十分なペンダントペンチニル基を有していた:(1)PEOZ-20K及び(2)PEOZ-8K。酢酸エステルリンカーを介して、CBDをPOZポリマー部分にコンジュゲートして、各POZコンジュゲートに対する8.7%薬物ローディングを得た。37℃でのヒト女性血漿における加水分解速度を決定し、各POZコンジュゲートの半減期を決定した。
結果は以下の通りであった:POZ-8K(半減期5時間)及びPOZ-20K(半減期11時間)。これらの結果は、予想された通り、POZポリマー部分の分子量の増加はPOZポリマー部分からの薬剤の加水分解速度を低減させることを確定している。したがって、POZポリマー部分の分子量を調節することを使用して、POZ-コンジュゲートからの薬剤の放出率を増加又は低減し、POZコンジュゲートからの薬剤の所望の放出プロファイルを選択することができる。
[実施例12] POZポリマー部分上のペンダント基の疎水性の性質の増加は、POZコンジュゲートからの薬剤の加水分解速度を低減させる
POZポリマー部分上のペンダント基の疎水性の性質の血漿加水分解速度に対する作用を検討するために、2種の異なるポリオキサゾリンを調製した。すべては薬剤をPOZコンジュゲートに連結するのに十分なペンダントペンチニル基を有していた:(1)PEOZ-20K、及び(2)15%メチルオキサゾリン及び85%エチルオキサゾリン(Co-POZ-20K)を有するポリオキサゾリンのコポリマー。酢酸エステルリンカーを介してCBDをPOZポリマー部分にコンジュゲートして、各POZコンジュゲートに対して8.7%薬物ローディングを得た。加水分解速度は、37℃で、ヒト女性血漿中で決定し、各POZコンジュゲートの半減期を決定した。すべてのペンダント基(およそ190)はより疎水性のあるエチル基であるため、POZコンジュゲート1はより高い疎水性の性質を有し、85%のペンダント基(およそ160)はエチル基であり、残りはメチルであった。
結果は以下の通りであった:CoPOZ-20K(半減期8時間)、及びPOZ-20K(半減期11時間)。これらの結果は、予想された通り、POZポリマー部分上のペンダント基の疎水性の性質の増加は、POZポリマー部分からの薬剤の加水分解速度を低減させることを確定している。したがって、POZポリマー部分上のペンダント基の疎水性の性質を調節することを使用して、POZ-コンジュゲートからの薬剤の放出率を増加又は低減する、及びPOZコンジュゲートからの薬剤の所望の放出プロファイルを選択することができる。

Claims (122)

  1. 水溶性POZポリマー及び生理的に分解可能な連結により水溶性POZポリマーに結合された薬剤を含むポリオキサゾリン(POZ)コンジュゲート、又はその薬学的に許容される形態であって、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率が、POZポリマーの特徴、薬剤の特徴、ローディングの特徴又は前述のものの組合せを選択することにより制御される、POZコンジュゲート。
  2. 薬剤が、植物性カンナビノイド、ドーパミンアゴニスト、抗コリン薬、モノアミンオキシダーゼB阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤又はアデノシンA2A受容体アンタゴニスト又はGABA取り込み阻害剤である、請求項1に記載のPOZコンジュゲート。
  3. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオール、カンナビゲロール、カンナビゲロール酸、カンナビジオール酸、カンナビジオールモノメチルエーテル、カンナビジオール-C4、カンナビダリン酸、カンナビジバリン、カンナビジオール又はカンナビゲロールプロピル変異体、カンナビクロメン、カンナビクロメン酸、カンナビクロメバリン酸、カンナビクロメバリン、カンナビノール、カンナビシクロール、テトラヒドロカンナビバリン、Δ-THC、アジュレミン酸及びデキサナビノールからなる群から選択される、請求項2に記載のPOZコンジュゲート。
  4. ドーパミンアゴニストが、アポモルフィン、アルブタミン、カルビドパ、ドブタミン、ドーパミン、エンタカポン、エピネフリン、フェノルドパム、イソエタリン、イソプロテレノール、レボドパ、レボノルデフリン、マサプロコール、メチルドパ、メチルドペート、ノルエピネフリン、プロトキロール、トルカポン又は(r)-(+)-フェノルドパム、ロチゴチン、プラミペキソール、キナゴリド、5-OH-DPAT、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン、及びブロモクリプチンからなる群から選択される、請求項2に記載のPOZコンジュゲート。
  5. 抗コリン薬が、トリヘキシフェニジル、ビペリデン及びヒヨスチアミンからなる群から選択される、請求項2に記載のPOZコンジュゲート。
  6. モノアミンオキシダーゼB阻害剤が、セリギリン及びラサギリンからなる群から選択される、請求項2に記載のPOZコンジュゲート。
  7. COMT阻害剤が、トルカポン及びエンタカポンからなる群から選択される、請求項2に記載のPOZコンジュゲート。
  8. アデノシンA2A受容体アンタゴニストが、プレラデナント、テオフィリン及びイストラデフィリンからなる群から選択される、請求項2に記載のPOZコンジュゲート。
  9. GABA取り込み阻害剤が、チアガビン及びニペコチン酸からなる群から選択される、請求項2に記載のPOZコンジュゲート。
  10. POZコンジュゲートからの薬剤の放出率が、POZポリマーの特徴を選択することにより制御され、POZポリマーの特徴が、親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分を選択すること、疎水性の特徴を有するPOZポリマー部分におけるペンダント基を選択すること、POZポリマー部分のための選択された分子量を選択すること、又は前述のものの組合せである、請求項2~9のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  11. POZコンジュゲートからの薬剤の放出率が、ローディングの特徴を選択することにより制御され、ローディングの特徴が、薬剤のローディングのパーセンテージを選択することである、請求項2~9のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  12. POZコンジュゲートからの薬剤の放出率が、薬剤の特徴を選択することにより制御され、薬剤の特徴が、水において選択される溶解性を有する薬剤を選択すること、選択される分子容を有する薬剤を選択すること、選択される総極性表面積を有する薬剤を選択すること、又は前述のものの組合せである、請求項2~9のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  13. 薬剤が、植物性カンナビノイドであり、POZコンジュゲートが、1.6%±1%~9.6%±1%(POZポリマーに対する植物性カンナビノイドのw/w)の植物性カンナビノイドのローディングのパーセンテージを含み、POZコンジュゲートからの植物性カンナビノイドの放出率が、ローディングのパーセンテージにより制御される、請求項1に記載のPOZコンジュゲート。
  14. POZポリマーに結合された親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分をさらに含み、POZコンジュゲートからの植物性カンナビノイドの放出率が、ローディングのパーセンテージ及び親水性又は疎水性部分により制御される、請求項13に記載のPOZコンジュゲート。
  15. 親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分が、分解不可能な連結によりPOZポリマーに結合されている、請求項13に記載のPOZコンジュゲート。
  16. 次の構造
    R-{[N(CO-L-R)CHCH-[N(COR-A)CHCH-[N(COX)CHCH-T
    [Aは、薬剤であり;
    Rは、開始基であり;
    は、親水性又は疎水性部分を含有するペンダント部分であり;
    は、RをPOZポリマーに結合する連結基であり、又は非存在であり;
    は、POZポリマー及びAを結合する生理的に分解可能な連結を含むペンダント部分であり;
    Xは、ペンダント基であり;
    Tは、終端基であり;
    aは、ランダムコポリマーを示すran又はブロックコポリマーを示すブロックであり;
    mは、0~100の整数であり;
    nは、0~1000の整数であり、ただし、mが0である場合、nは、1~1000の整数であり;
    oは、1~50の整数である]
    を有する、請求項1に記載のPOZコンジュゲート、又はその薬学的に許容される塩。
  17. Rが、水素、非置換アルキル又は置換アルキルである、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  18. Xが、各反復単位につき、非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アルケニル、非置換若しくは置換アラルキル、又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  19. Xが、各反復単位につき、非置換アルキルから独立に選択される、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  20. Tが、チオアルキルカルボン酸、チオカルボン酸エステル又はヒドロキシルである、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  21. Tが、Z-B-Qであり、Zは、S、O又はNであり、Bは、任意選択の連結基であり、Qは、終端求核試薬又は求核試薬の終端部分である、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  22. Bが、-(CH-であり、yが、1~16から選択される整数である、請求項21に記載のPOZコンジュゲート。
  23. Qが、アルキン、アルケン、アミン、オキシアミン、アルデヒド、ケトン、アセタール、チオール、ケタール、マレイミド、エステル、カルボン酸、活性カルボン酸、活性カーボネート、クロロホルメート、アルコール、アジド、ビニルスルホン、オルトピリジルジスルフィド又は不活性基である、請求項21に記載のPOZコンジュゲート。
  24. Tが、-S-CHCH-COCH、-S-CHCH-COH)、-S-CHCH-NH又は-S-CHCH-NH-tBocである、請求項21に記載のPOZコンジュゲート。
  25. mが、1~100であり、POZコンジュゲートからの薬剤の放出率がローディングのパーセンテージ及びRにより制御される、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  26. が、L-Rであり、Lが、分解不可能な連結である、請求項25に記載のPOZコンジュゲート。
  27. が、親水性部分を含有する、請求項26に記載のPOZコンジュゲート。
  28. が、1つ以上の極性共有結合を含む、請求項27に記載のPOZコンジュゲート。
  29. が、各反復単位につき、水溶性ポリマー、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アラルキル又は置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択される、請求項27に記載のPOZコンジュゲート。
  30. 置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アラルキル、置換ヘテロシクリルアルキル基又は前述のものの組合せが、1個以上の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又は前述のものの組合せを含む、請求項29に記載のPOZコンジュゲート。
  31. 水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(アルキレングリコール)のコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカライド)、ポリ(a-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)又は前述のもののいずれかの組合せである、請求項29に記載のPOZコンジュゲート。
  32. 水溶性ポリマーが、1~30個の反復単位を含む、請求項31に記載のPOZコンジュゲート。
  33. が、各反復単位につき、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸、又は2~10個の反復単位を含むポリ(アルキレングリコール)から独立に選択される、請求項27に記載のPOZコンジュゲート。
  34. の少なくとも1つの親水性部分が、Rが結合されたN基から50オングストローム以内に位置する、請求項27に記載のPOZコンジュゲート。
  35. が、疎水性部分を含有する、請求項26に記載のPOZコンジュゲート。
  36. の少なくとも1つの疎水性部分が、Rが結合されたN基から50オングストローム以内に位置する、請求項35に記載のPOZコンジュゲート。
  37. がLである、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  38. 生理的に分解可能な連結が、エステル、カルボン酸エステル、炭酸エステル、カルバメート、アミド、ジスルフィド、及びペプチドからなる群から選択される切断可能部分を含む、請求項37に記載のPOZコンジュゲート。
  39. が、分解不可能な連結であり、Lが、生理的に分解可能な連結を含有する連結基であり、Zが、Sであり、Bが、-(CH-であり、yが、1~3の整数であり、Qが、-COOCH、-COOH又は-NHである、請求項37に記載のPOZコンジュゲート。
  40. 及びLが、それぞれ独立に、二置換トリアゾールである、請求項37に記載のPOZコンジュゲート。
  41. の場合、二置換トリアゾールが、次の構造:
    Figure 2022538143000020
    [式中、
    は、トリアゾール部分をPOZポリマーに結合するリンカーであり;
    は、トリアゾール部分を薬剤に結合するリンカーである]
    を有する、請求項40に記載のPOZコンジュゲート。
  42. が、-C(O)-R-であり、Rが、非存在であり、又は非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アルケニル、非置換若しくは置換アラルキル、又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基である、請求項41に記載のPOZコンジュゲート。
  43. が、非存在であり、又は長さ1~10個の炭素の非置換アルキルである、請求項42に記載のPOZコンジュゲート。
  44. が、-R-R-R-であり、Rが、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アラルキル又は-(CHCHO)-であり、eが、1~10の整数であり、Rが、切断可能部分又は切断可能部分の一部を含む基であり、Rが、非存在又はOである、請求項41に記載のPOZコンジュゲート。
  45. が、直鎖の置換若しくは非置換C1~C10アルキル又は分枝状の置換若しくは非置換C1~C10アルキルであり、Rが、-C(O)-であり、Rが、-O-であり、又はRが、直鎖の置換若しくは非置換C1~C10アルキル又は分枝状の置換若しくは非置換C1~C10アルキルであり、Rが、-C(O)-O-であり、Rが、非存在である、請求項44に記載のPOZコンジュゲート。
  46. の場合は、-C(O)-(CHであり、Rが、各反復単位につき、-(CH-C(O)-、-CH-C(O)-、-CH-CH-C(O)-、-CH-CH-CH-C(O)-、-CH(CH)-C(O)-、-(CH-C(O)-O-、-CH-C(O)-O-、-CH-CH-C(O)-O-、-CH-CH-CH-C(O)-O-又は-CH(CH)-C(O)-O-[式中、dは、1~10の整数である]から独立に選択される、請求項41に記載のPOZコンジュゲート。
  47. の場合、二置換トリアゾールが次の構造:
    Figure 2022538143000021
    [式中、
    は、トリアゾール部分をPOZポリマーに結合するリンカーであり;
    は、トリアゾール部分をRに結合するリンカーであり、又はRは、Rである]
    を有する、請求項40に記載のPOZコンジュゲート。
  48. が、-C(O)-R-[式中、Rが、非存在であり、又は非置換若しくは置換アルキル、非置換若しくは置換アルケニル、非置換若しくは置換アラルキル、又は非置換若しくは置換ヘテロシクリルアルキル基である]である、請求項47に記載のPOZコンジュゲート。
  49. が、非存在であり、又は長さ1~10個の炭素の非置換アルキルである、請求項49に記載のPOZコンジュゲート。
  50. が、-C(O)-(CHであり、R が、各反復単位につき、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸、又は2~10個の反復単位を含むポリ(アルキレングリコール)から独立に選択される、請求項47に記載のPOZコンジュゲート。
  51. 次の構造:
    Figure 2022538143000022
    [式中、
    は、各反復単位につき、-(CH-C(O)-、-CH-C(O)-、-CH-CH-C(O)-、-CH-CH-CH-C(O)-、-CH(CH)-C(O)-、-(CH-C(O)-O-、-CH-C(O)-O-、-CH-CH-C(O)-O-、-CH-CH-CH-C(O)-O-又は-CH(CH)-C(O)-O-から独立に選択され;
    dは、1~10の整数であり;
    POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、ローディングのパーセンテージにより制御される]
    を有する、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  52. が、-CH-C(O)、-CH-CH-C(O)-又は-CH(CH)-C(O)であり、m及びnが、それぞれ、2~8から独立に選択される整数である、請求項51に記載のPOZ。
  53. 次の構造:
    Figure 2022538143000023
    [式中、
    は、各反復単位につき、水溶性ポリマー、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アラルキル又は置換ヘテロシクリルアルキル基から独立に選択され;
    は、各反復単位につき、-(CH-C(O)-、-CH-C(O)-、-CH-CH-C(O)-、-CH-CH-CH-C(O)-、-CH(CH)-C(O)-、-(CH-C(O)-O-、-CH-C(O)-O-、-CH-CH-C(O)-O-、-CH-CH-CH-C(O)-O-又は-CH(CH)-C(O)-O-から独立に選択され;
    dは、1~10の整数であり;
    POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、ローディングのパーセンテージ及びRにより制御される]
    を有する、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  54. が、-CH-C(O)、-CH-CH-C(O)-又は-CH(CH)-C(O)であり、m及びnが、それぞれ、2~8から独立に選択される整数である、請求項53に記載のPOZ。
  55. は、各反復単位につき、C1~C5アルコール、C1~C5カルボン酸、又は2~10個の反復単位を含むポリ(アルキレングリコール)から独立に選択される、請求項53に記載のPOZコンジュゲート。
  56. 次の構造:
    Figure 2022538143000024
    [式中、
    fは、1~10の整数であり;
    は、各反復単位につき、-(CH-C(O)-、-CH-C(O)-、-CH-CH-C(O)-、-CH-CH-CH-C(O)-、-CH(CH)-C(O)-、-(CH-C(O)-O-、-CH-C(O)-O-、-CH-CH-C(O)-O-、-CH-CH-CH-C(O)-O-又は-CH(CH)-C(O)-O-から独立に選択され;
    dは、1~10の整数であり;
    POZコンジュゲートからの薬剤の放出率は、ローディングのパーセンテージ及び親水性部分により制御される]
    を有する、請求項16に記載のPOZコンジュゲート。
  57. が、-CH-C(O)、-CH-CH-C(O)-又は-CH(CH)-C(O)であり、m及びnが、それぞれ、2~8から独立に選択される整数である、請求項56に記載のPOZ。
  58. 薬剤が、植物性カンナビノイド、ドーパミンアゴニスト、抗コリン薬、モノアミンオキシダーゼB阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤又はアデノシンA2A受容体アンタゴニスト又はGABA取り込み阻害剤である、請求項16~57のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  59. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオール、カンナビゲロール、カンナビゲロール酸、カンナビジオール酸、カンナビジオールモノメチルエーテル、カンナビジオール-C4、カンナビダリン酸、カンナビジバリン、カンナビジオール又はカンナビゲロールプロピル変異体、カンナビクロメン、カンナビクロメン酸、カンナビクロメバリン酸、カンナビクロメバリン、カンナビノール、カンナビシクロール、テトラヒドロカンナビバリン、Δ-THC、アジュレミン酸及びデキサナビノールからなる群から選択される、請求項58に記載のPOZコンジュゲート。
  60. ドーパミンアゴニストが、アポモルフィン、アルブタミン、カルビドパ、ドブタミン、ドーパミン、エンタカポン、エピネフリン、フェノルドパム、イソエタリン、イソプロテレノール、レボドパ、レボノルデフリン、マサプロコール、メチルドパ、メチルドペート、ノルエピネフリン、プロトキロール、トルカポン又は(r)-(+)-フェノルドパム、ロチゴチン、プラミペキソール、キナゴリド、5-OH-DPAT、ロピニロール、ペルゴリド、カベルゴリン又はブロモクリプチンからなる群から選択される、請求項58に記載のPOZコンジュゲート。
  61. 抗コリン薬が、トリヘキシフェニジル、ビペリデン及びヒヨスチアミンからなる群から選択される、請求項58に記載のPOZコンジュゲート。
  62. モノアミンオキシダーゼB阻害剤が、セリギリン及びラサギリンからなる群から選択される、請求項58に記載のPOZコンジュゲート。
  63. COMT阻害剤が、トルカポン及びエンタカポンからなる群から選択される、請求項58に記載のPOZコンジュゲート。
  64. アデノシンA2A受容体アンタゴニストが、プレラデナント、テオフィリン及びイストラデフィリンからなる群から選択される、請求項58に記載のPOZコンジュゲート。
  65. GABA取り込み阻害剤が、チアガビン及びニペコチン酸からなる群から選択される、請求項58に記載のPOZコンジュゲート。
  66. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)であり、POZコンジュゲートが、1.6%±1%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)を含有する、請求項16~57のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  67. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオールであり、POZコンジュゲートが、3.6%±1%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)を含有する、請求項16~57のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  68. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオールであり、POZコンジュゲートが、5.6%±1%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)を含有する、請求項16~57のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  69. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオールであり、POZコンジュゲートが、7.6%±1%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)を含有する、請求項16~57のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  70. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオールであり、POZコンジュゲートが、9.6%±1%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)を含有する、請求項16~57のいずれか一項に記載のPOZコンジュゲート。
  71. CB1受容体、CB2受容体、5H1-a受容体、5H2-a受容体、TRP-V1受容体、TRP-V2受容体、TRP-V3受容体、アデノシンA2A受容体、GPR55受容体、PPAR-α、PPAR-γ受容体又は前述のものの組合せのアゴニズム又はアンタゴニズムから利益を得る疾患を対象において治療する方法であって、処置期間にわたる投与間隔に従って、POZコンジュゲートを含む組成物の1回投与量を対象に投与するステップを含み、POZコンジュゲートが、水溶性ポリオキサゾリン(POZ)ポリマー、生理的に分解可能な連結によりPOZポリマーに結合された植物性カンナビノイド、及び親水性又は疎水性部分を含有する、POZポリマーに結合された任意選択のペンダント部分、又はその薬学的に許容される形態を含み、POZコンジュゲートが、0.25mg eq/kg~5mg eq/kgの植物性カンナビノイドを含有する、方法。
  72. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオール、カンナビゲロール、カンナビゲロール酸、カンナビジオール酸、カンナビジオールモノメチルエーテル、カンナビジオール-C4、カンナビダリン酸、カンナビジバリン、カンナビジオール又はカンナビゲロールプロピル変異体、カンナビクロメン、カンナビクロメン酸、カンナビクロメバリン酸、カンナビクロメバリン、カンナビノール、カンナビシクロール、テトラヒドロカンナビバリン、Δ-THC、アジュレミン酸及びデキサナビノールからなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
  73. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)である、請求項72に記載の方法。
  74. POZコンジュゲートが、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)含有する、請求項73に記載の方法。
  75. POZコンジュゲートの1回投与量が、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間のCBDで含有する、請求項73に記載の方法。
  76. 対象におけるCBDの血漿濃度が、投与間隔又は処置期間のすべて又は実質的にすべてにわたり、最小治療レベルよりも大きい、請求項75に記載の方法。
  77. 投与間隔が、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である、請求項76に記載の方法。
  78. 最小治療レベルが、5ng/mlである、請求項77に記載の方法。
  79. 最小治療レベルが、50ng/mlである、請求項77に記載の方法。
  80. 最小治療レベルが、150ng/mlである、請求項77に記載の方法。
  81. 最小治療レベルが、500ng/mlである、請求項77に記載の方法。
  82. 最小治療レベルが、1000ng/mlである、請求項77に記載の方法。
  83. 処置期間が、7日~60カ月である、請求項76に記載の方法。
  84. 処置期間が、連続的である、請求項76に記載の方法。
  85. POZコンジュゲートの1回投与量が、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間のCBDを含有する、請求項73に記載の方法。
  86. CBDの血漿濃度が、すべて又は実質的にすべての投与間隔の間、最小治療レベルより大きい、請求項85に記載の方法。
  87. 投与間隔が、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である、請求項86に記載の方法。
  88. 最小治療レベルが、5ng/mlである、請求項87に記載の方法。
  89. 最小治療レベルが、50ng/mlである、請求項87に記載の方法。
  90. 最小治療レベルが、150ng/mlである、請求項87に記載の方法。
  91. 最小治療レベルが、500ng/mlである、請求項87に記載の方法。
  92. 最小治療レベルが、1000ng/mlである、請求項87に記載の方法。
  93. 最小治療レベルが、1500ng/mlである、請求項87に記載の方法。
  94. 処置期間が、7日~60カ月である、請求項86に記載の方法。
  95. 処置期間が、連続的である、請求項86に記載の方法。
  96. 疾患又は状態が、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、がん性疼痛、神経変性疾患、心的外傷後ストレス障害、認知症に伴う焦燥、不眠症、REM睡眠行動障害、日中の過剰な眠気、心的外傷後ストレス障害に伴う悪夢、閉塞性睡眠時無呼吸、本態性振戦、トゥレット症候群、うつ、線維筋痛症、虚血性疾患、脳卒中、心虚血、冠動脈疾患、血栓塞栓症、心筋梗塞、脳損傷、外傷性脳損傷、びまん性軸索損傷、脳振盪、挫傷、無酸素性脳傷害、低酸素性脳損傷、加齢性炎症性疾患、加齢性自己免疫疾患、悪液質、AIDS消耗性疾患、がんに伴う体重減少、慢性閉塞性肺疾患に伴う体重減少、感染症に伴う体重減少、悪心、嘔吐、緑内障、運動障害、関節リウマチ、喘息、アレルギー、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス、糖尿病、がん、骨粗鬆症、腎虚血、及び腎炎からなる群から選択される、請求項71~95のいずれか一項に記載の方法。
  97. 神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、多発性硬化症、多発性硬化症運動失調/痙攣症候群、パーキンソン病に伴うジストニア、ハンチントン病に伴うジストニア、前頭側頭葉型認知症、プリオン病、レビー小体認知症、運動ニューロン疾患、脊髄筋萎縮症、脊髄小脳失調症、進行性核上性麻痺、脆弱X随伴振戦/失調症候群、脆弱X随伴行動異常、自閉症スペクトラム障害、血管性認知症、正常圧水頭症、外傷性脊髄損傷、HIV認知症、アルコール誘発性神経毒性、ダウン症候群、てんかん、部分発作、全般発作、強直間代発作、欠神発作、脱力発作、処置抵抗性てんかん、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、ドーセ症候群、CDKL5脳症、ランドウ・クレフナー症候群、低酸素性虚血性脳症、早期ミオクローヌスてんかん、レット症候群、及び熱性感染症関連てんかん症候群からなる群から選択される、請求項96に記載の方法。
  98. すべて若しくは実質的にすべての投与間隔又は処置期間の間、対象において最小治療レベルを超える植物性カンナビノイドの血漿濃度に達する方法であって、投与間隔にわたって、水溶性ポリオキサゾリン(POZ)ポリマー、生理的に分解可能な連結によりPOZポリマーに結合された植物性カンナビノイド、及び親水性又は疎水性部分を含有する、POZポリマーに結合された任意選択のペンダント部分を含むPOZコンジュゲート、又はその薬学的に許容される形態の1回投与量を対象に投与するステップを含み、POZコンジュゲートが、0.25mg eq/kg~5mg eq/kgの植物性カンナビノイドを含有する、方法。
  99. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオール、カンナビゲロール、カンナビゲロール酸、カンナビジオール酸、カンナビジオールモノメチルエーテル、カンナビジオール-C4、カンナビダリン酸、カンナビジバリン、カンナビジオール又はカンナビゲロールプロピル変異体、カンナビクロメン、カンナビクロメン酸、カンナビクロメバリン酸、カンナビクロメバリン、カンナビノール、カンナビシクロール、テトラヒドロカンナビバリン、Δ-THC、アジュレミン酸及びデキサナビノールからなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
  100. 植物性カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)である、請求項98に記載の方法。
  101. POZコンジュゲートが、1.6%±1.0%~9.6%±1.0%のCBD(POZポリマーに対するCBDのw/w)含有する、請求項100に記載の方法。
  102. POZコンジュゲートの1回投与量が、0.25mg eq/kg~2.5mg eq/kgの間のCBDを含有する、請求項100に記載の方法。
  103. 対象におけるCBDの血漿濃度が、すべて又は実質的にすべての投与間隔若しくは処置期間の間、最小治療レベルよりも大きい、請求項102に記載の方法。
  104. 投与間隔が、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である、請求項103に記載の方法。
  105. 最小治療レベルが、5ng/mlである、請求項104に記載の方法。
  106. 最小治療レベルが、50ng/mlである、請求項104に記載の方法。
  107. 最小治療レベルが、150ng/mlである、請求項104に記載の方法。
  108. 最小治療レベルが、500ng/mlである、請求項104に記載の方法。
  109. 最小治療レベルが、1000ng/mlである、請求項104に記載の方法。
  110. 処置期間が、7日~60カ月である、請求項103に記載の方法。
  111. 処置期間が、連続的である、請求項103に記載の方法。
  112. POZコンジュゲートの1回投与量が、2.5mg eq/kg~5.0mg eq/kgの間のCBDを含有する、請求項100に記載の方法。
  113. CBDの血漿濃度が、すべて又は実質的にすべての投与間隔の間、最小治療レベルより大きい、請求項112に記載の方法。
  114. 投与間隔が、週2回、週1回、2週間に1回又は4週間に1回である、請求項113に記載の方法。
  115. 最小治療レベルが、5ng/mlである、請求項114に記載の方法。
  116. 最小治療レベルが、50ng/mlである、請求項114に記載の方法。
  117. 最小治療レベルが、150ng/mlである、請求項114に記載の方法。
  118. 最小治療レベルが、500ng/mlである、請求項114に記載の方法。
  119. 最小治療レベルが、1000ng/mlである、請求項114に記載の方法。
  120. 最小治療レベルが、1500ng/mlである、請求項114に記載の方法。
  121. 処置期間が、7日~60カ月である、請求項113に記載の方法。
  122. 処置期間が、連続的である、請求項113に記載の方法。
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