JP2022537096A - Dna及び遺伝子編集のための脂質封入二重切断エンドヌクレアーゼ - Google Patents

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Abstract

ウイルスベクターを使用せずにキメラヌクレアーゼを細胞又は生物に投与することにより遺伝子を編集するための方法。【選択図】図1

Description

配列リスト
本願は、EFS-Webを介してASCII方式で提出されている配列リストを含有し、その全体において参照により本明細書によって組み込まれる。2018年9月17日作成の上記ASCIIのコピーは、Sequence_Listing_ST25.txtであり、サイズは77KBである。
単一遺伝子上での変異から生じる遺伝的状態として定義される、推定5,000~10,000種類の一遺伝子性疾患がある。これらの疾患は、小児期の間に顕在化することが多く、様々な状態に至り、若年で死亡することもある。合わせてこれらは、その生涯のある時点で約6%の人々に影響すると推定されている。これらの疾患のための診断及び処置は依然として不十分であることが多く、そのケアは、主に対症療法的であり、疾患の管理に焦点が当てられ、基礎となる遺伝学的欠失に対処するものではない。遺伝子に対する変異が疾患の病態形成に寄与する、多くのさらなる疾患もある。
遺伝子編集は、ゲノム中に標的とする修飾を導入するための、特異的なDNA配列を認識して切断し、続いて天然の細胞性DNA修復経路、即ち非相同末端連結(NHEJ)及び相同性組み換え修復(HDR)を利用する、デザイナーヌクレアーゼに依存する遺伝子治療アプローチである。4つのヌクレアーゼファミリー:メガヌクレアーゼ、ジンク-フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)及びクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピートに関連するRNAガイドCas9(CRISPR-Cas9)ヌクレアーゼが、これに関して使用されてきた。これらは、関心のある標的遺伝子座で2本鎖破壊を正確に導入するように設計され得る。遺伝子編集は、エクスビボ及びインビボ設定の両方で標的化された破壊、挿入、切断及び修正を可能にすることにより、関心のあるゲノム配列を永久的に修飾する可能性を広げる。これらの長所が全体としてこの分野を改革すると予想される一方で、現在の遺伝子編集アプローチは、修飾の効率、ヌクレアーゼの特異性に関連する安全性の懸念及び標的細胞型への遺伝子編集ツールの送達により限定的される。
細菌の自然免疫系を構成するII型CRISPR系の構成成分であるCas9(CRISPR関連)タンパク質は、使用し易いため、ゲノム編集の分野においてパラダイムシフトを引き起こした。所望の配列を切断するためのCas9のプログラム化は、単にCas9関連ガイドRNAの配列を標的部位に相補的になるように変化させるだけのことである。Cas9標的化のプログラムの容易さは、他の試薬(ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN))に必要とされる、より集中的なタンパク質改変とは対照的である。III型CRISPR系由来のタンパク質とともに、Cas9は、幅広い範囲の生物において無数のゲノム編集適用のために使用されており、現在、ヒトでの治療適用の領域に入りつつある。
嚢胞性線維症(CF)は、上皮陰イオンチャネルをコードするCFTR遺伝子での変異から起こる常染色体劣性遺伝疾患である。嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子であるCFTRタンパク質は、膵臓、腎臓、肝臓、肺、消化管及び生殖器官を含む幅広い臓器にわたって見られ、それによりCFを多臓器疾患にする。CFTRにおける変異は、最適でないイオン輸送及び水分貯留をもたらし、肺での粘液の異常な増粘及び膵臓の機能不全という顕著な臨床症状を引き起こす。肺において、機能不全CFTRは、粘液線毛クリアランスを邪魔し、臓器が細菌感染及び炎症を起こし易くし、最終的には気道閉塞、呼吸不全及び若年死亡をもたらす。CFは、依然として白人集団で最も多く致死的な遺伝性疾患であり、世界中で罹患者は70,000~100,000人と推定され、このことかは、より良好な処置の開発に対する現実的な要求を強調する。
CFに対する治療ストラテジーの開発に対する1つの大きな難問は、多岐にわたる変異のタイプである。デルタF508(コドン508でのフェニルアラニンの欠失)変異は、CF患者において保有率が>80%であり、群を抜いて多いが、1,990種類を超える有害CFTR変異が記載されている。これらの変異は、中途での停止コドン、異常スプライシング、不正確なタンパク質折り畳み又は細胞表面への輸送、及びチャネル開口能が制限された機能障害性CFTRを引き起こす。薬理学的な介入は、これらの過程のいくつかを標的としており、薬物投与が一部のゲーティング変異タイプにおいて治療的である一方で、よく生じるデルタF508は依然としてより有効な処置を必要とする。しかしCFのケアにおける薬学的進歩は、異常なスプライシング又は中途での停止コドンの結果起こる変異に対処せず;これらの例において、遺伝子編集は最も有利であることを示し得る。
同様に、欧米の集団において、非小細胞肺癌(NSCLC)患者のおよそ15%が、EGF受容体(EGFR)遺伝子においてそれらの腫瘍中に活性化変異を持つ。
CRISPR-Cas9(及びCas9融合)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガータンパク質、II型S制限エンドヌクレアーゼ(FokI及びFokI融合)及びTALENSなどの、既存の遺伝子編集技術は、多くの遺伝性疾患に対する治療剤として意味があるために十分な細胞数における特異的な長さの遺伝子欠失を導入する又は標的遺伝子を正確に修復する能力において限定的である。さらに、単量体Cas9などの高度にプログラム可能なRNAガイデッドヌクレアーゼについて、実験は、その標的部位でのみ予想どおりに結合、切断及び修復するための特異性が限定的であることを示唆し、患者において二次疾患を不注意に引き起こし得る細胞のゲノムDNAに対する潜在的な有害変化についての懸念を生じる。最後に、殆どのヌクレアーゼは、ウイルスベクター中で送達される。ウイルスベクターは、多くの集団での既存の免疫;処置後の免疫原性;及び遺伝毒性、の可能性がある。標的細胞にヌクレアーゼを安全に送達する、及びインビボでのヌクレアーゼの制御投与を可能にするための非ウイルス性の送達方法は、現在のところ存在しない。
遺伝子編集技術をより効率的で有効なものにするための、上記の懸念に対処するための上記の既存の遺伝子編集技術に対する改善についての要求は満たされていない。
本発明は、好ましくはMetを欠きLys26(I-TevIの非短縮バージョンではLys27)及び/又はCys39(I-TevIの非短縮バージョンではCys40)修飾を有する修飾I-TevIヌクレアーゼドメインと、リンカー、特に配列番号7~12又はその断片であり、及び/又は次の変異Thr95(全長I-TevIを指す場合)、Val117、Lys135、Gln158又はAsn140の1つ以上を含有するものと、野生型又は修飾バージョンであり得、好ましくはそのGlu10又はAla557変異を含有する修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9(前記I-TevIポリペプチドは配列番号6のアミノ酸配列全体又はそれらの断片を含む)と、Cas9ドメインを標的とするガイドRNA、特に配列番号15、16、21又はその断片、を含むキメラヌクレアーゼ並びに、キメラヌクレアーゼと、陽イオン性及び/又は中性脂質ナノ粒子と、任意選択的にDNA結合化合物、特にGL67(N-コレステリル-スペルミン)と、薬学的に許容可能なその担体、を含む薬学的に許容可能な処方物を対象とする。
本発明のさらなる実施形態では、処方物において脂質ナノ粒子は、外因性ドナーDNAを含有し得る。
本発明の別の実施形態は、インビボで制御投与を使用することによりウイルスベクターを使用せずに、キメラヌクレアーゼを細胞又は生物に投与することにより遺伝子を編集するための方法を対象とする。
本発明の別の実施形態は、DNA分子の定められた長さを欠失させるための又はインビボで生物全体に若しくはエクスビボで培養中の単離細胞にキメラヌクレアーゼを送達することによりDNA分子から選択配列を置き換えるための方法を対象とし、この細胞は、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞又は植物細胞である。
また別の実施形態では、新規キメラヌクレアーゼは、選択DNA分子上の2つの独立した標的部位を標的とし、1つの標的部位又は両方の標的部位の何れかで切断し、30~36ヌクレオチド長である断片を生じる。
さらなる例では、新規の精製キメラヌクレアーゼは、ガイドRNAをさらに含む。
本発明の別の態様は、賦形剤を含む直径およそ100nMの粒子を生成する押し出し工程の使用であり、この賦形剤は、新規キメラヌクレアーゼが上記処方物を含有する噴霧器を使用して患者に投与され得るように、ポリソルベート、ポリホスフェート、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム及びデンプン又はこれらの物質の混合物からなる群から選択される。
好ましい実施形態では、本発明は、肺上皮細胞のDNAを修飾する新規キメラヌクレアーゼを投与することによって、肺関連疾患の処置を必要とする患者において肺関連疾患を処置する方法を対象とし、本キメラヌクレアーゼは、嚢胞性線維症を処置するためにCFTR遺伝子からCFTRデルタF508変異を置き換えるか、又は非小細胞肺癌を処置するためにEGFRエクソン19欠失を切断する。
また別の実施形態では、本発明は、修飾I-TevIヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9とを含むキメラヌクレアーゼを対象とし、上記RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9は、Ala10、Ala557又はAla580変異を含有し、EGFR遺伝子のEGFRエクソン19欠失を標的とする。
さらなる実施形態では、上記ガイドRNAは、特異的CTFR遺伝子配列を標的にして、CFTRデルタF508変異又はEGFRエクソン19欠失変異を含有する特異的EGFR遺伝子配列を切り出す。
本発明はまた、配列番号7~12又はその断片を含むリンカー、キメラヌクレアーゼにより標的にされる及び/又は切断される部位に隣接する相同領域を含むDNAの直鎖状1本鎖、キメラヌクレアーゼにより標的にされる及び/又は切断される部位に隣接する相同領域を含む直鎖状2本鎖DNA、キメラヌクレアーゼにより切断されたものに対する相補的DNA末端を含む同じ長さの2本鎖DNA、キメラヌクレアーゼにより標的にされる及び/又は切断される部位に隣接する相同領域を含む環状2本鎖DNA、並びにI-TevI標的部位及びCas9標的部位を含む環状2本鎖DNAからなる群から選択される修飾ドナーDNA分子も包含し、ここで2本鎖DNAから切断される生成物は、キメラヌクレアーゼにより切断される末端に対する相補的末端を含有する。
さらなる例では、修飾GIY-YIGヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9又はストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9又はGlu10変異(配列番号19)及び/又はAla840変異及び/又は標的DNAの一方の鎖上の標的DNAの糖リン酸骨格を切断する変異を含有するEQRストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9変異体、を含むキメラヌクレアーゼからなり、上記GIY-YIGヌクレアーゼドメインは、I-Bmol及びEco29kIからなる遺伝子ファミリーから選択される。
またさらなる実施形態では、本発明は、修飾I-TevIヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾ヌクレアーゼ又はDNA標的化ドメイン、を含むキメラヌクレアーゼを含み、上記修飾ヌクレアーゼ又はDNA標的化ドメインは、LAGLIDADG、His-Cys Box、H-N-H、PD-(D/E)xK及びVsr様メガヌクレアーゼ、ジンク-フィンガーヌクレアーゼ、scCas9(ストレプトコッカス・カニス(Streptococcus canis)、fnCas9(フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida))、cjCas9(カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni))、Cpf1(ラクノスピラセアエ・バクテリウム(Lachnospiraceae bacterium))、Cas12a(アシダミノコッカスSp(Acidaminococcus Sp))、Cas13a(レプトリキア・シャヒイ(Leptorichia shahii))及びCas3(ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus))からなる群から選択されるCRISPRタンパク質及び、ジンク-フィンガーモチーフ及びTALE活性化因子ドメインからなる群から選択されるDNA結合ドメインからなる群から選択される。
またさらなる例では、本発明は、修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9及びガイドRNAを包含し、ここで上記ガイドRNAは、遺伝子多型を標的とする配列、CFTR又はEGFR遺伝子における異なる配列、ヌクレアーゼを再標的化する配列、架橋核酸及び/又はガイドRNAの混合物を含有する。
図1は、調製された後の脂質封入二重切断ヌクレアーゼ(TevCas9)の略図である[構成成分は縮尺調整していない]。I-TevIドメイン10は、リンカードメイン11を介してRNAガイドデッドヌクレアーゼ(Cas9)ドメイン12に連結される。好ましい実施形態では、形成される粒子は、ガイドRNA13及びドナーDNA14も含有する。上述のヌクレアーゼは、押し出し工程を用いて球形に形成された脂質粒子15中に含有される。 図2は、それにより脂質封入TevCas9が細胞及び核に内部移行されてその標的DNAに到達する、機序の図表である。図2Aで例示されるように、細胞20(単数又は複数)を、インビボ又はエクスビボ投与の何れかにより、TevCas9 25を含有する新規脂質封入ヌクレアーゼ粒子21に曝露する。図2Bで示されるように、脂質封入ヌクレアーゼ粒子21は、細胞20中にエンドサイトーシスされる。エンドソーム22は、成熟過程を経て細胞質に行き、分解のために標的化される(図2C)。ある場合において、TevCas9 25は、エンドソーム22を回避し、細胞質に侵入し得る(図2D)。真核生物において、ヌクレアーゼ(TevCas9)25は、1つ以上の核局在化配列(「NLS」)を通じて細胞20の核23に標的化される。図2Eで示されるように、その核局在化配列を通じて、TevCas9 25は、核23に侵入し得、核23中にあるとき、TevCas9ヌクレアーゼ25は、標的ゲノムDNA24配列に結合し、それを切断する26。 図3は、それにより脂質封入TevCas9が標的DNAを修飾する、機序の図表である。I-TevIドメイン27は、I-TevI標的配列29を標的とする。リンカードメイン30は、Cas9標的配列31を標的とするCas9ドメイン28とI-TevIドメイン27を連結する。遺伝子変異32は、I-TevI標的配列29及びCas9標的配列31により取り囲まれるか又はそれとごく接近している。図3Bで示されるように、TevCas9 25は、標的配列を切断し、非相補的DNA末端35、36を有する予想可能なサイズの欠失産物34を残す。図3Cは、相同性アームを有する1本鎖ドナーDNA37の存在下で、細胞20が、相同性組み換え修復(HDR)経路38を通じて切断部位付近にドナーDNA37配列を挿入し得ることを例示する。図3Dは、TevCas9 25により切断されるものに対する適合DNA末端を有するドナーDNA39の存在下で、細胞20が、非相同末端連結(NHEJ)経路40を用いたダイレクテッド・ライゲーション(directed-ligation)を通じて切断部間にドナーDNA配列39を挿入し得ることを例示する。ドナーDNAの非存在下で、細胞20は、NHEJ経路40を通じてDNA末端を連結し得る(図3E)。 図4Aは、配列番号15におけるガイドを使用してCFTR遺伝子に標的化されるTevCas9が、インビトロでCFTR DNA基質を切断することを証明する。図4Bは、処理48時間後にCytation5(Biotek Instruments Inc,VT,USA)上で位相差及びGFPイメージングを用いて画像化した、切断可能なGFPタグに融合されたTevCas9のプラスミドDNAバージョンを遺伝子移入された細胞である。ゲノムDNAを、回収した細胞から抽出し、CFTR遺伝子での編集を、PCR増幅及びT7エンドヌクレアーゼI切断アッセイにより検出する。 図5は、配列番号21におけるガイドを使用してCFTRデルタF508変異に標的化されるTevCas9が、インビトロでCFTRデルタF508変異を含有するDNA基質を切断するが、野生型CFTR配列を含有する基質を切断しないことを示す。 図6Aは、saCas9 D10E変異が、ニックが入ったスーパーコイルドDNAから直鎖状DNAへの変換を遅くすることを例示する。図6Bは、直鎖状EMX1 DNA基質上で、saCas9D10E(D10E)リボ核タンパク質複合体(RNP)が、saCas9野生型(WT)と同等レベルに標的基質を切断することを示す。コンピュータで予測されるオフターゲットでのSaCas9D10Eによる編集のレベルは、同じオフターゲットでの野生型saCas9による編集のレベルより低い。 図7Aは、EGFRエクソン19欠失及び野生型(WT)EGFRにおけるI-TevI部位のスペーシングの略図である。図7B及び7Cは、配列番号16中のガイドRNAを使用してEGFRに標的化されるCas9(H557A)においてニッキング変異を含有するTevCas9が、野生型EGFRよりも4倍速い速度でEGFRエクソン19欠失DNA基質を切断することを証明する。図7Dは、野生型EGFR(WT)を有するNuLi-1細胞と比較して、EGFRに対して標的化されたTevCas9で処理されたEGFRエクソン19欠失変異を有するHCC827細胞が、選択的に死滅させられる画像である。
定義及びアクロニム
便宜上、本願、実施例及び添付の特許請求の範囲で使用されるある種の用語をここでまとめる。これらの定義は、本開示に照らして読むべきであり、当業者によるように理解される。別段の定めがない限り、本明細書中で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書中で、冠詞の文法的な目的語の1つ又は複数(即ち少なくとも1つ)を指すために使用される。「及び/又は」という用語は、本明細書中で使用される場合、一方又は他方又は両方を有する可能性として定められる。例えば、「A及び/又はB」は、Aだけ又はBだけ又はA及びBの組み合わせを有する筋書きを提供する。請求項がA及び/又はB及び/又はCを示す場合、本組成物は、構成要素としてA単独、B単独、C単独、A及びBであるがCではない、B及びCであるがAではない、A及びCであるがBではない、又は全ての3つのA、B及びCを含み得る。
「生体利用可能」という用語は、当技術分野で認められており、それ又は投与される量の一部が、それが投与される対象又は患者により吸収される、対象に組み込まれる、又はさもなければ対象にとって生理学的に利用可能であるようにされる、本開示の形態を指す。
「外因性ドナーDNA」という用語は、本明細書中で使用される場合、全部又は一部が元の標的DNA配列と同じでないDNAの何らかの配列を指す。
「フレキシブルリンカー」という用語は、本明細書中で使用される場合、RNAガイデッドヌクレアーゼドメイン(Cas9)が標的DNA配列に結合するときに、細胞生理学的条件下でその標的配列の認識、結合及び切断を可能にするために、アミノ酸リンカードメインがI-TevIドメインの移動性を確保する状況を指す(一般的には:pH~7.2、温度~37℃、[K+]~140mM、[Na+]~5-15mM、[Cl-]~4mM、[Ca++]~0.0001mM)。アミノ酸リンカーの長さは、Cas9標的部位とI-TevI標的部位との間でいくつのヌクレオチドが好ましいかに影響し得る。リンカー中のある種のアミノ酸はまた、TevCas9により標的とされるDNA配列との特異的な接触もなし得る。これらのリンカー-DNA接触は、I-TevIドメインの柔軟性に影響し得る。リンカードメインでのアミノ酸の置換は、リンカードメインがDNAと接触する能力に影響し得る。
「含む(including)」という用語は、本明細書中で使用される場合、「含むが限定されない(including but not limited to)」を意味するために使用される。「含む(Including)」及び「含むが限定されない(including but not limited to)」は交換可能に使用される。
交換可能に及び本明細書中で使用されるように使用され得る、「吸入投与」、「吸入する」、「吸入される」、「吸入」又は「吸入療法」という用語は、鼻、中枢気道、肺の末梢側及び/又は肺の肺胞領域の気道上皮への、又は気管内注入による、適切なサイズにされた粒子の実質的に均一な分布の投与を含む。このような粒子は、適切な機器、好ましくは噴霧器を使用して、患者に導入され得、及び/又は生成され得る。
本方法により処置される「患者」、「対象」又は「宿主」という用語は、ヒト又は非ヒト動物の何れかを意味し得る。非ヒト動物としては、伴侶動物(例えばネコ、イヌ)及び食物摂取用に飼育された動物(即ち食用動物)、例えばウシ、ブタ及びニワトリなどが挙げられる。
「薬学的に許容可能な担体」という用語は、当技術分野で認められ、身体のある臓器又は部分から身体の別の臓器又は部分に何れかの対象組成物又はその構成成分を運ぶか又は輸送することに関与する、薬学的に許容可能な材料、組成物又はビヒクル、例えば液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料を指す。各担体は、対象組成物及びその構成要素と適合しており、かつ患者にとって有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として作用し得る材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えばデキストロース、ラクトース、グルコース及びスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えば微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及び酢酸セルロース;(4)グリコール、例えばプロピレングリコール;(5)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(6)エステル、例えばオレイン酸エチル、ベヘン酸グリセリル及びラウリン酸エチル;(7)緩衝剤、例えばリン酸一塩基及び二塩基、Tris/ホウ酸/EDTA及びTris/酢酸/EDTA(8)パイロジェン不含水;(9)等張食塩水;(10)リンゲル液;(11)エチルアルコール;(12)リン酸緩衝液;(13)ポリソルベート;(14)ポリホスフェート;及び(15)医薬処方物中で使用される他の無毒性の適合物質が挙げられる。開示される賦形剤は、複数の機能を果たし得る。例えば可溶化剤は、懸濁補助剤、乳化剤、保存剤などでもあり得る。
特定の好ましい実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、結晶性の増量賦形剤である。「結晶性増量賦形剤」又は「結晶性増量剤」という用語は、本明細書中で使用される場合、凍結乾燥ケーキに増量及び構造をもたらす賦形剤を意味する。これらの結晶性増量剤は、不活性であり、タンパク質又は核酸と反応しない。さらに、結晶性増量剤は、凍結乾燥状態下で結晶化できる。適切な結晶性増量剤の例としては、親水性賦形剤、例えば水溶性ポリマー;糖、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルシトール、ダチトール(ducitol)、イノシトール、アラビニトール、アラビトール、ガラクチトール、イジトール(iditol)、アリトール、マルチトール、フルクトース、ソルボース、グルコース、キシロース、トレハロース、アロース、デキストロース、アルトロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース(lyxose)、スクロース、マルトース、ラクトース、ラクツロース、フコース、ラムノース、メレジトース、マルトトリオース、ラフィノース、アルトリトール、それらの光学活性形態(D-又はL型)並びに対応するラセミ体;無機塩、鉱物及び鉱物有機物の両方、例えばカルシウム塩、例えば乳酸塩、グルコン酸塩、グリセリルリン酸塩、クエン酸塩、リン酸一塩基及び二塩基、コハク酸塩、硫酸塩及び酒石酸塩、並びにアルミニウム及びマグネシウムの同じ塩;炭水化物、例えば従来の単糖類及び二糖類並びに対応する多価アルコール;タンパク質、例えばアルブミン;アミノ酸、例えばグリシン;乳化可能な脂肪及びポリビニルピロリドンが挙げられる。好ましい結晶性増量剤は、グリシン、マンニトール、デキストラン、デキストロース、ラクトース、スクロース、ポリビニルピロリドン、トレハロース、グルコース及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特に有用な増量剤としては、デキストランが挙げられる。
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本明細書中で使用される場合、当技術分野で認められており、例えば本発明の組成物に含有されるものを含む、化合物の比較的無毒性の無機及び有機酸付加塩又は無機若しくは有機塩基付加塩を指す。薬学的に許容可能な塩のいくつかの例としては、(1)塩化カルシウム;(2)塩化ナトリウム;(3)クエン酸ナトリウム;(4)水酸化ナトリウム;(5)リン酸ナトリウム;(6)エチレンジアミン四酢酸ナトリウム;(7)塩化カリウム;(8)リン酸カリウム;及び(9)医薬処方物中で使用される他の無毒性適合材料が挙げられる。
「置換」という用語は、本明細書中で使用される場合、異なるアミノ酸による配列中のアミノ酸の置き換えを指す。本明細書中で使用される場合、略称X10Yは、配列の10番目の位置で見られるアミノ酸Xがアミノ酸Yで置換されていることを示す。例として、W26Cは、アミノ酸トリプトファン-26(Trp、W)がシステイン(Cys)に変えられることを示す。同様に、表示法AAは、AAが、位置Xで見られるアミノ酸を置き換えるアミノ酸であることを示す。例として、Lys26は、配列の26番目の位置のアミノ酸のリジンでの置換を示す。何れかの略称の使用は、交換可能である。さらにアミノ酸に対する1文字又は3文字略称の使用も、交換可能である。
「治療剤」という用語は、本明細書中で使用される場合、当技術分野で認められており、対象において局所的又は全身的に作用する、生物学的に、生理学的に又は薬理学的に活性のある物質である何らかの化学的又は生化学的部分を指す。「薬物」とも呼ばれる治療剤の例は、Merck Index,the Physician’s Desk Reference及びThe Pharmacological Basis of Therapeuticsなどの周知の文献に記載されており、それらは、限定なく薬剤;ビタミン;ミネラル補給剤;疾患又は疾病の処置、予防、診断、治療又は軽減のために使用される物質;身体の構造又は機能に影響する物質;又は生理学的環境に置かれた後に生物学的に活性になるか又はより活性が高くなるプロドラッグを含む。
「治療効果」という用語は、本明細書中で使用される場合、当技術分野で認められており、薬理学的活性物質により引き起こされる、動物、特に哺乳動物での、及びとりわけヒトでの、局所的又は全身的効果を指す。従って、この用語は、疾患の診断、治療、軽減、処置又は予防における、又は動物若しくはヒトでの所望の身体的又は精神的発現及び/又は状態の促進における使用が意図される何らかの物質を意味する。「治療的有効量」という句は、何らかの処置に適用可能な理論的なベネフィット/リスク比で幾分かの所望の局所的又は全身的効果を生じる、このような物質の量を意味する。このような物質の治療的有効量は、処置される対象及び疾患状態、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与方式などに依存して変動し、これは、当業者により容易に決定され得る。例えば本発明のある組成物は、このような処置に適用可能な理論的なベネフィット/リスク比を生じるために十分な量で投与され得る。
「処置する(treating)」という用語は、本明細書中で使用される場合、何らかの効果、例えば、状態、疾患、障害などの改善をもたらる、緩和、軽減、調整又は排除を含む。本明細書中で使用される場合、「処置する(treating)」は、予防的及び治療的処置の両方を含み得る。例えば治療的処置は、嚢胞性線維症又は非小細胞肺癌の進行の遅延、阻害若しくは予防、嚢胞性線維症又は非小細胞肺癌と関連する症状の軽減若しくは排除を含み得る。予防的処置は、嚢胞性線維症又は非小細胞肺癌の発症を防ぐ、抑制する、又は遅延させることを含み得る。
本明細書中で使用される場合、「有効量」は、所望の応答を誘導するのに十分な量を指す。本発明において、所望の生物学的応答は、嚢胞性線維症及び/又は非小細胞肺癌(NSCLC)の処置である。
「緩衝液」は、本明細書中で使用される場合、薬学的に許容可能であり、かつ本発明の組成物を所望のpH範囲内に維持できる、何らかの酸又は塩の組み合わせである。開示される組成物中の緩衝液は、pHを約2~約8.5、約5.0~約8.0、約6.0~約7.5、約6.5~約7.5又は約6.5の範囲に維持する。適切な緩衝液としては、例えば酢酸、酒石酸、リン酸又はクエン酸緩衝液などの、上記pH範囲を維持できる何れかの薬学的に許容可能な緩衝液が挙げられる。一実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液である。別の実施形態では、緩衝液は、酢酸緩衝液である。一実施形態では、緩衝液は、リン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びリン酸カリウム一塩基である。
開示される組成物において、緩衝液の濃度は一般的には、約0.1mM~約1000mM、約0.2mM~約200mM、約0.5mM~約50mM、約1mM~約10mM又は約6.0mMの範囲である。
本明細書中で使用される場合、「抗微生物剤」は、本発明の組成物中で、例えば細菌、ウイルス及び真菌を含む増殖又は微生物を阻害する、防ぐ、又は遅延させる、対象への投与に適切な薬学的に許容可能な保存剤である。本発明の組成物及び方法での使用のための適切な抗微生物剤としては、クレゾール、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム塩化物、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チオメルサール並びに、硝酸及び酢酸フェニル水銀が挙げられるが限定されない。一実施形態では、抗微生物剤は、m-クレゾール、クロロクレゾール又はフェノールである。別の実施形態では、抗微生物剤は、クロロクレゾール又はフェノールである。別の実施形態では、抗微生物剤は、フェノールである。
本明細書中で使用される場合、抗微生物剤の有効量は、本発明の組成物中で、例えば細菌、ウイルス及び真菌を含む増殖又は微生物を阻害する、防ぐ、又は遅延させるために有効な量である。本発明の組成物において、抗微生物剤の量は一般的には、約0.1~約20mg/ml、約0.2~約30mg/ml、約0.2~約10mg/ml、約0.25~約5mg/ml、約0.5~約50mg/ml、約1~約10mg/ml、約3mg/ml又は約5mg/mlの範囲である。
本発明の組成物はまた、当技術分野で公知の凍結乾燥技術を使用して、凍結乾燥され、投与前に再構成され得る粉末として保管され得る。「凍結乾燥」という用語は、本明細書中で使用される場合、溶媒、好ましくは水混和性溶媒、より好ましくは水を、一般的には組成物が凍結状態にあるときに高真空下で昇華させることによって組成物又は本発明から除去することを含む、凍結乾燥又は脱水技術である。一般的には、凍結乾燥は、凍結乾燥装置(凍結乾燥機)中で行われ、これは、可変温度コントロール付きの乾燥チャンバー、水を回収するためのコンデンサー及び乾燥チャンバー中で圧力を低下させるための真空系を含む。
「凍結乾燥組成物」という用語は、本明細書中で使用される場合、上記のような凍結乾燥手順後に生成されるか又は残留する、固形残渣又は粉末を意味する。本発明の凍結乾燥組成物は一般的には、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語は、本明細書中で使用される場合、凍結乾燥ケーキの、色、質感、強度及びボリュームなどの特徴を強化するために凍結乾燥前に溶液に添加される物質を指す。薬学的に許容可能な賦形剤は、例えば緩衝液及びpH調整剤、結晶性増量賦形剤、安定化剤及び浸透圧向上剤(tonicity raising agent)であり得る。
本明細書中で使用される場合、安定化剤は、キメラヌクレアーゼの化学的、生物学的又は安定性を維持する組成物である。安定化剤の例としては、ポリオールが挙げられ、これは、糖類、好ましくは単糖類又は二糖類、例えば、グルコース、トレハロース、ラフィノース又はスクロース;糖アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール又はイノシトールなど、多価アルコール、例えばグリセリン又はプロピレングリコール又はそれらの混合物及びアルブミンを含む。
薬学的に許容可能な塩は、対象、例えばヒトなどへの投与に適切な塩である。本発明のキメラヌクレアーゼは、適切な有機又は無機塩基と反応して塩基付加塩を形成させ得る1つ以上の十分に酸性のプロトンを有し得る。塩基付加塩としては、アンモニウム又はアルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など及び有機塩基、例えばアルコキシド、アルキルアミド、アルキル及びアリールアミンなどの無機塩基由来のものが挙げられる。従って、本発明の塩を調製する際に有用なこのような塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムなどが挙げられ得る。アミンなどの、十分に塩基性の基を有する本発明のキメラヌクレアーゼは、有機又は無機酸と反応して、酸付加塩を形成し得る。塩基性基がある化合物から酸付加塩を形成させるために一般的に使用される酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸及びp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニル-スルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。このような塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオアート、ヘキシン-1,6-ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩などが挙げられる。
本発明の具体的な実施形態を論じてきたが、上記明細書は、例示的なものであり、限定するものではない。この明細書を見直せば、本発明の多くのバリエーションが当業者に明らかになろう。本発明の完全な範囲は、このようなバリエーションとともに、同等物及び明細書のそれらの範囲全体と一緒に、特許請求の範囲を参照することにより決定され得るはずである。
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で示される、成分量、反応条件などを表す全ての数は、「約」という用語により全ての例において修飾されるものと理解される。従って、それと反対の指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメーターは、本発明により得られることが求められる所望の特性に依存して変動し得る近似である。
上の考察は、本発明の原理及び様々な実施形態の例示であるものとする。上の開示が完全に理解されれば、数値の変動及び修飾が当業者にとって明らかとなろう。次の特許請求の範囲は、全てのこのようなバリエーション及び修飾物を包含するものと解釈されることが意図される。
略称
本明細書中で使用される略称は次のように定められる:
AA アミノ酸
Cas9 CRISPR関連タンパク質9
CF 嚢胞性線維症
CFTR 嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子遺伝子
cjCas9 カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)Cas9
Cpf1 プレボテラ(Prevotella)及びフランキセラ(Francisella)1からのCRISPR
CRISPR クラスター化した規則的な配置の短い回文配列リピート
DLS 動的光散乱
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地
DMPE 1,2-ジテトラデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン
DNA デオキシリボ核酸
DOAB ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド
DOPE 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン
DPPC ジパルミトイルホスファチジルコリン
E.coli 大腸菌 エスケリキア・コリ(Escherichia coli)
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EGFR 上皮増殖因子受容体
ELISA 酵素結合免疫吸着アッセイ
fnCas9 フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)Cas9
HDR 相同組み換え修復
IMAC 固定化金属アフィニティークロマトグラフィー
IPTG イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド
MPEG-5000-DMPE N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール5000)-1,2ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン
NSCLC 非小細胞肺癌
NHEJ 非相同末端連結
NLS 核局在化シグナル
PC ホスファチジルコリン
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PE ホスホエタノールアミン
RNA リボ核酸
saCas9 スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)Cas9
scCas9 ストレプトコッカス・カニス(Streptococcus canis)Cas9
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
spCas9 ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9
TALEN 転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ
TEV タバコエッチウイルス
TevCas9 修飾I-TevIドメイン、リンカーペプチド及び修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)Cas9
ZFN ジンク-フィンガーヌクレアーゼ
発明者らは、I-TevIドメインの修飾バージョンと、リンカーペプチドと、RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)Cas9(「saCas9」)の修飾バージョン(本明細書中で以後「TevCas9」と呼ぶ)とを含むキメラヌクレアーゼを発見したが、これは、外因性ドナーDNAあり又はなしで、脂質ナノ粒子と混合される場合、細胞に送達されると、外因性ドナーDNAの存在下でDNA配列を置き換えるか又は外因性ドナーDNAの非存在下で定められた長さのDNAを欠失させる。新規キメラヌクレアーゼは、生物全体(インビボ)又は単離細胞培養(エクスビボ)の何れかで、ヒト細胞だけでなく、細菌、酵母、昆虫、植物又は他の哺乳動物など他の生物の細胞でも、遺伝子を編集することが示された。
発明者らにより発見された新規キメラヌクレアーゼは、既存の遺伝子編集技術及び方法を凌ぐ、特に、次の長所を示す。
a.TevCas9ヌクレアーゼの修飾バージョンであるヌクレアーゼは、単一タンパク質として2つの独立した標的部位を標的にでき、これらの部位の一方又は両方でDNAを切断できる。これは、I-TevIドメイン、リンカードメイン、Cas9ドメイン又はガイドRNA(Cas9ドメインをその標的配列へと標的化する)の1つ以上を修飾することを通じて、多くの異なる標的DNA配列へ再プログラム化され得る。
b.ヌクレアーゼが2つの部位で切断する場合、これは、正確な長さのDNAを切り出す(I-TevI及びCas9により標的とされる部位に依存して~30-36塩基);
c.Cas9ドメインは、Cas9ヌクレアーゼ活性を改変し及び/又はその標的結合部位に対するCas9ドメインの特異性を向上させるように合理的に設計される変異(D10E)を含有する。
d.外因性ドナーDNAの存在下で、本発明は、既存の技術又は実施よりも高い細胞%で標的DNA配列を置き換えるように設計される。
e.ヌクレアーゼは、ガイドRNAと組み合わせられる単一の近接タンパク質として精製され得、これは製造を単純化する;
f.脂質ナノ粒子は、高効率及び低毒性で標的細胞への非ウイルス送達を可能にし、ヌクレアーゼの制御投与を可能にする。他の脂質ベースのヌクレアーゼ送達技術が存在するが、インビボでの使用に適切な組成物はない;
g.脂質ナノ粒子はまた、噴霧(吸入)を通じたヌクレアーゼの送達用にも設計される;
h.ヌクレアーゼの一バージョンは、CFTR遺伝子を標的とし切断して、嚢胞性線維症の処置のためにCFTRデルタF508変異(配列番号1)を修正する;
i.ヌクレアーゼの別のバージョンは、非小細胞肺癌(NSCLC)を含む様々な癌に存在する、臨床的に関連するEGFRエクソン19欠失変異(配列番号2~4)を標的とし切断するように設計される。
DNA結合ドメインへのフレキシブルリンカーを通じた、例えばI-TevIなどの、GIY-YIGヌクレアーゼの融合は、公知である(国際公開第2014/121222号パンフレット)。二重切断TevCas9の前バージョンが記載されてており、それは、野生型I-TevIヌクレアーゼドメインのアミノ酸1~92、I-TevIリンカー領域のアミノ酸93~169を含むリンカー領域及びストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9(「spCas9」)を含む(Wolfs JM et al.,(2016),‘Biasing Genome-Editing Events Toward Precise Length Deletions with an RNA-Guided TevCas9 Dual Nuclease,’Proc Natl Acad Sci USA,113(52):14988-93)。本発明のキメラヌクレアーゼは、次のものを含む:
i.CFTR遺伝子などの、臨床的に関連する遺伝子配列を標的とすることを可能にする新しい標的配列を結合するI-TevIヌクレアーゼドメイン;
ii.異なるDNA結合又はヌクレアーゼ活性をTevCas9に与えることが意図される様々なフレキシブルリンカー領域;
iii.saCas9ヌクレアーゼドメイン(米国特許出願第1988/065406B2号明細書)。spCas9よりsaCas9の使用は、より小さなDNAコード配列(Tev-saCas9では~3.7キロベース、それに対しTev-spCas9では~4.6キロベース)及びより低分子量のTevCas9タンパク質(Tev-saCas9では~144キロダルトン、それに対しTev-spCas9では~179キロダルトン)をもたらし、それは複数の送達技術により適切であり;3番目のヌクレオチドと4番目のヌクレオチドの間のsaCas9ドメインによる切断は、主張される技術の発明者らにより発見されたように、spCas9と比較して予測可能であり、それは、定められた長さの欠失により適切である。
iv.ガイドRNAがCFTRデルタF508変異の付近の特異的なCFTR遺伝子配列に標的化される、1つのバージョン;及び
v.ガイドRNAが特異的なEGFR遺伝子配列に標的化され、かつ割り当てられた(appropriated)離されたI-TevI部位及びCas9標的部位を有するDNAのみを切断することが意図される、第2のバージョン。このような適切に離された部位は、ある種のEGFRエクソン19欠失変異(配列番号2~4)にはあるが野生型EGFR(配列番号5)にはない;
a.本発明は、およそ100nMの平均直径に選択的にサイズ調整されるある種の組成物の脂質ナノ粒子を含む。これらの脂質ナノ粒子は、高効率及び低毒性でヌクレアーゼを細胞に送達できる;
b.脂質、ヌクレアーゼ及び外因性ドナーDNAの医薬処方物;
c.噴霧(吸入)に適切である脂質、ヌクレアーゼ及び外因性ドナーDNAの医薬処方物;及び
d.脂質ナノ粒子中のTevCas9ヌクレアーゼとともに送達される場合にヌクレアーゼにより標的とされる2つの部位の間又は周辺の領域に組み込み可能である、外因性ドナーDNAを含有する本発明のバージョン。
本願の新規キメラヌクレアーゼ組成物は、I-TevIドメイン、リンカードメイン、Cas9ドメイン及びガイドRNAの異なる組み合わせを含有する。
CFTR遺伝子を標的とするバージョンは、次のものから構成される:
i.配列番号6によるアミノ酸配列のI-TevIドメイン;
ii.配列番号7~12の何れか1つによるリンカードメイン;
iii.配列番号13によるアミノ酸配列のsaCas9ドメイン;及び
iv.配列番号15又は21によるRNA配列のガイドRNA。
EGFR遺伝子を標的とするバージョンは次のものから構成される:
i.配列番号6によるアミノ酸配列のI-TevIドメイン;
ii.配列番号7~12によるアミノ酸配列の何れか1つを有するリンカードメイン;
iii.配列番号13によるアミノ酸配列のsaCas9ドメイン;及び
iv.配列番号16におけるRNA配列のガイドRNA。
好ましい実施形態のI-TevIドメインは、次の配列による腸内細菌ファージT4の93-アミノ酸I-TevIドメインである:
MGKSGIYQIKNTLNNKVYVGSAKDFEKRWKRHFKDLEKGCHSSIKLQRSFNKHGNVFECSILEEIPYEKDLIIERENFWIKELNSKINGYNIA(配列番号6)
好ましい実施形態のsaCas9は、次の配列による1,053アミノ酸から構成されるポリペプチドである:
MKRNYILGLDIGITSVGYGIIDYETRDVIDAGVRLFKEANVENNEGRRSKRGARRLKRRRRHRIQRVKKLLFDYNLLTDHSELSGINPYEARVKGLSQKLSEEEFSAALLHLAKRRGVHNVNEVEEDTGNELSTKEQISRNSKALEEKYVAELQLERLKKDGEVRGSINRFKTSDYVKEAKQLLKVQKAYHQLDQSFIDTYIDLLETRRTYYEGPGEGSPFGWKDIKEWYEMLMGHCTYFPEELRSVKYAYNADLYNALNDLNNLVITRDENEKLEYYEKFQIIENVFKQKKKPTLKQIAKEILVNEEDIKGYRVTSTGKPEFTNLKVYHDIKDITARKEIIENAELLDQIAKILTIYQSSEDIQEELTNLNSELTQEEIEQISNLKGYTGTHNLSLKAINLILDELWHTNDNQIAIFNRLKLVPKKVDLSQQKEIPTTLVDDFILSPVVKRSFIQSIKVINAIIKKYGLPNDIIIELAREKNSKDAQKMINEMQKRNRQTNERIEEIIRTTGKENAKYLIEKIKLHDMQEGKCLYSLEAIPLEDLLNNPFNYEVDHIIPRSVSFDNSFNNKVLVKQEENSKKGNRTPFQYLSSSDSKISYETFKKHILNLAKGKGRISKTKKEYLLEERDINRFSVQKDFINRNLVDTRYATRGLMNLLRSYFRVNNLDVKVKSINGGFTSFLRRKWKFKKERNKGYKHHAEDALIIANADFIFKEWKLDKAKKVMENQMFEEKQAESMPEIETEQEYKEIFITPHQIKHIKDFKDYKYSHRVDKKPNRELINDTLYSTRKDDKGNTLIVNNLNGLYDKDNDKLKKLINKSPEKLLMYHHDPQTYQKLKLIMEQYGDEKNPLYKYYEETGNYLTKYSKKDNGPVIKKIKYYGNKLNAHLDITDDYPNSRNKVVKLSLKPYRFDVYLDNGVYKFVTVKNLDVIKKENYYEVNSKCYEEAKKLKKISNQAEFIASFYNNDLIKINGELYRVIGVNNDLLNRIEVNMIDITYREYLENMNDKRPPRIIKTIASKTQSIKKYSTDILGNLYEVKSKKHPQIIKKG(配列番号13)
好ましい実施形態のGlu10変異を有するsaCas9は、次の配列による1,053個のアミノ酸から構成されるポリペプチドである(変異に下線を付す):
MKRNYILGLIGITSVGYGIIDYETRDVIDAGVRLFKEANVENNEGRRSKRGARRLKRRRRHRIQRVKKLLFDYNLLTDHSELSGINPYEARVKGLSQKLSEEEFSAALLHLAKRRGVHNVNEVEEDTGNELSTKEQISRNSKALEEKYVAELQLERLKKDGEVRGSINRFKTSDYVKEAKQLLKVQKAYHQLDQSFIDTYIDLLETRRTYYEGPGEGSPFGWKDIKEWYEMLMGHCTYFPEELRSVKYAYNADLYNALNDLNNLVITRDENEKLEYYEKFQIIENVFKQKKKPTLKQIAKEILVNEEDIKGYRVTSTGKPEFTNLKVYHDIKDITARKEIIENAELLDQIAKILTIYQSSEDIQEELTNLNSELTQEEIEQISNLKGYTGTHNLSLKAINLILDELWHTNDNQIAIFNRLKLVPKKVDLSQQKEIPTTLVDDFILSPVVKRSFIQSIKVINAIIKKYGLPNDIIIELAREKNSKDAQKMINEMQKRNRQTNERIEEIIRTTGKENAKYLIEKIKLHDMQEGKCLYSLEAIPLEDLLNNPFNYEVDHIIPRSVSFDNSFNNKVLVKQEENSKKGNRTPFQYLSSSDSKISYETFKKHILNLAKGKGRISKTKKEYLLEERDINRFSVQKDFINRNLVDTRYATRGLMNLLRSYFRVNNLDVKVKSINGGFTSFLRRKWKFKKERNKGYKHHAEDALIIANADFIFKEWKLDKAKKVMENQMFEEKQAESMPEIETEQEYKEIFITPHQIKHIKDFKDYKYSHRVDKKPNRELINDTLYSTRKDDKGNTLIVNNLNGLYDKDNDKLKKLINKSPEKLLMYHHDPQTYQKLKLIMEQYGDEKNPLYKYYEETGNYLTKYSKKDNGPVIKKIKYYGNKLNAHLDITDDYPNSRNKVVKLSLKPYRFDVYLDNGVYKFVTVKNLDVIKKENYYEVNSKCYEEAKKLKKISNQAEFIASFYNNDLIKINGELYRVIGVNNDLLNRIEVNMIDITYREYLENMNDKRPPRIIKTIASKTQSIKKYSTDILGNLYEVKSKKHPQIIKKG(配列番号14)
CFTR遺伝子を標的とするバージョンのガイドRNAは、次の配列による101個のリボヌクレオチドから構成される:
GCGUCAUCAAAGCAUGCCAACGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(配列番号15)
AUAUCAUUGGUGUUUCCUAUGGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(配列番号21)
EGFR遺伝子を標的とするバージョンのガイドRNAは、次の配列による101リボヌクレオチド長である:
AAUUUUAACUUUCUCACCUUCGUUUUAGUACUCUGGAAACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(配列番号16)。
上記コンストラクトの何れかで使用されるリンカーは、次のものからなる群から選択され得る:
Figure 2022537096000002
合成
実施例1:TevCas9ヌクレアーゼを製造するための方法:
上述のI-TevIドメイン、リンカードメイン及びCas9ドメインのDNAコード配列を、当技術分野で公知の技術を使用して、1つの近接DNA配列として合成する。遺伝子合成を、Bio Basic Inc.(Markham,On,Canada)により行った。簡潔に述べると、I-TevIドメイン、リンカードメイン及びCas9ドメインの配列全体をカバーするための重複領域を含有する短いオリゴヌクレオチド(~50~60塩基対)を、合成する。オリゴヌクレオチドを、合成しようとする配列のおよそ1キロベースのブロックで一緒に混合し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、これらの~1キロベースのブロックを合成する。この~1キロベースのブロックを次に、混合し、PCRにかけて、I-TevIドメイン、リンカードメイン及びCas9ドメインを合成する。さらに、大腸菌(E.coli)でのTevCas9の発現を促進し、制限酵素消化を単純化するために、TevCas9のDNA配列を、合成前に最適化した。最初に、エスケリキア・コリ(Escherichia coli)(「E.コリ(E.coli)」)によりそれほど頻繁に使用されない3塩基対DNAコドンを、より頻繁に起こるもので置き換えた(例えば、アミノ酸アルギニンをコードする6コドンの、コドンAGGの相対的存在量はコドンCGTの0.42に対し0.03)。全部で、コドンの37%を、大腸菌により好ましいものに変化させた。第2に、ヌクレオチドシトシン及びグアニンの含量を、39.6%から48.6%に増加させた。第3に、2つの大腸菌リボソーム結合部位を、配列から除去した。第4に、NdeI制限エンドヌクレアーゼ部位を、内部配列から除去した。近接DNAを、標的部位がそのDNA配列中で1回しか出現しない、制限エンドヌクレアーゼNdeI及びBamHI(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)で消化し、次に、DNAリガーゼ(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)を使用して、大腸菌でのTevCas9の発現に適している、同様に消化したpET-11a発現ベクター(EMD Millipore,Burlington,MA,United States)に挿入する。TevCas9を含有するpET-11aベクターを、ヌクレアーゼを含む、タンパク質の発現に最適化されている大腸菌発現株T7 Express(New England Biolabs #C2566,Ipswich,MA,United States)中に形質転換する。或いは、大腸菌発現株BL-21(DE3)(New England Biolabs #C2527,Ipswich,MA,United States)を使用する。形質転換の成功を、アンピシリン又はテトラサイクリンに対する大腸菌の耐性により確認し、TevCas9のコード配列を、形質転換された大腸菌由来の発現ベクターのDNAシーケンシングにより検証する。形質転換された大腸菌を、600nMの波長で分光光度計により測定される0.4~0.6の光学密度に、37℃で増殖させ、形質転換された大腸菌発現株におけるpET-11aベクターからのTevCas9タンパク質の発現を、16℃で10~12時間にわたりIPTGを使用して誘導する。TevCas9の発現成功を、非誘導試料と比較して誘導物質の試料中にクーマシー染色SDS-ポリアクリルアミドゲル上でおよそ150kDaのバンドが存在することにより検証する。大腸菌細胞を、遠心分離により回収し、10mMイミダゾール(Sigma,St.Louis,MO,United States)、300~500mM塩化ナトリウム(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,United States)及び50mMリン酸ナトリウム(2塩基性)(Sigma,St.Louis,MO,United States)、pH8.0[緩衝液1]を含む溶解緩衝液中で再懸濁する。或いは、緩衝液1中のリン酸ナトリウム(2塩基性)を、10mM Tris塩酸(Sigma,St.Louis,MO,United States)、pH8へと置き換える。大腸菌を、600~1000barで操作される高圧液体、ホモジナイザー(Avestin Inc.,Ottawa,ON,Canada)又は超音波処理装置(Branson Ultrasonics Corp,Danbury,CT,United States)リゾチーム処理を使用した超音波処理、フレンチ圧力セル(Glen Mills Inc.,Clifton,NJ,United States)を使用したホモジナイズ処理又はDounceホモジナイザー(Corning Inc.,Corning,NY,United States)を使用するホモジナイズ処理などの、当技術分野で公知の何らかの他の適切な溶解方法を使用するホモジナイズ処理により、溶解させる。溶解された物質を、4℃にて12,000rpmで20~30分間、遠心分離し、可溶性TevCas9を含有する上清を、その後の精製段階に使用する。ペレットは、細胞残屑、不溶性の細胞内物質並びに何らかの不溶性のTevCas9を含有する。溶解の成功及び溶解度を、ペレットの再懸濁試料と比較した場合の、上清試料中のクーマシー染色SDS-ポリアクリルアミドゲル上でのおよそ150kDaのバンドの存在により、検証する。
TevCas9ヌクレアーゼを、次の段階で精製する:
1.ヌクレアーゼを含有する溶解液を、ヌクレアーゼを結合する固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラム(GE Healthcare Bio-Sciences AB,Uppsala,Sweden)に載せる。
2.IMACカラムを、緩衝液1で洗浄する。
3.カラムに結合したままのTevCas9を、250mMイミダゾール(Sigma,St.Louis,MO,United States)、300mM~500mM塩化ナトリウム(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,United States)及び50mMリン酸ナトリウム(二塩基性)(Sigma,St.Louis,MO,United States)、pH7.6~8.0[緩衝液2]を含む溶液で溶出する。或いは、緩衝液2中のリン酸ナトリウム(二塩基性)を、10mM Tris塩酸(Sigma,St.Louis MO,United States)、pH7.6~8と置き換える。
4.溶出物を、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)で処理し、適切なガイドRNAとともに温置する。ガイドRNAは、Integrated DNA Technology Inc.(Coralville,IA,United States)により合成される。
5.処理した溶出液を、IMACカラムに再び載せ、TevCas9ヌクレアーゼ及びガイドRNAを含有するフロースルーを収集する。
6.TevCas9ヌクレアーゼの精製の成功を、クーマシー染色SDS-ポリアクリルアミドゲル上での150キロダルトンタンパク質バンドの存在により確認する。ガイドRNAとのTevCas9の共精製の成功を、プロテイナーゼK(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)で溶出液の試料を処理することにより確認し、次に試料を2つに分割し、1つのサブ試料を、RNase A(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)でさらに処理し、他方は、RNase Aなしの対照緩衝液中とする。~100ヌクレオチドRNAバンドが、対照試料中では尿素-ポリアクリルアミドゲル上で見え、これは、RNaseA処理試料中にはない。
7.TevCas9ヌクレアーゼ及びガイドRNAを含有する溶液を、リン酸緩衝食塩水、pH7.4を含む溶液に透析する。
実施例2:脂質ナノ粒子を製造するための方法
好ましい実施形態の脂質ナノ粒子は、次の混合物の1つから構成される:
I.脂質ナノ粒子番号1は、それぞれ2:0.05のモル比でDOPE(Avanti Polar Lipids,Alabaster,AL,United States)及びMPEG-5000-DMPE(Avanti Polar Lipid,Alabaster,AL,United States)を含む;
II.脂質ナノ粒子番号2は、それぞれ7:2:1のモル比でDPPC(Avanti Polar Lipid,Alabaster,AL,United States)、コレステロール(SUPELCO,Bellefonte,PA,United States)及びDOBA(Sigma,St.Louis,MO,United States)を含む;及び
III.脂質ナノ粒子番号3は、それぞれ4:1:0.125のモル比でDPPC、コレステロール及びMPEG-5000-DMPE(Avanti Polar Lipid,Alabaster,AL,United States)を含む。
脂質ナノ粒子は、およそ100nMの平均直径に製造される。
脂質混合物番号1~3の1つを選択する。例えば、DOPE及びMPEG-5000-DMPEを、クロロホルムなどの有機溶媒中で適切なモル比で一緒に混合する。有機溶媒を次に、蒸発させ、乾燥させた脂質混合物を、リン酸緩衝食塩水、pH7.4を含む溶液中で激しくボルテックスすることにより再懸濁する。再懸濁した脂質混合物を次に、リン酸緩衝食塩水中で平衡化した100nMポリカーボネート膜(T&T Scientific Corporation,Knoxville,TN,United States)を通じて、押し出して、平均直径がおよそ100nMの脂質ナノ粒子を作製する。溶液を、0.2μM滅菌フィルター(VWR Scientific,Radnor,PA,United States)に通してろ過滅菌する。脂質ナノ粒子の平均直径及び粒径分布を、Zetasizer(Malvern Panalytical Ltd,Malvern,United Kingdom)を用いた動的光散乱(DLS)又は当技術分野で公知の別の適切な技術によって決定する。
実施例3:ドナーDNAの組成
ドナーDNAは、遺伝子異常を修復することが意図されるDNA配列を含む。これは、標的ゲノムDNAでは見られないDNA配列も含み;これらの配列は、正常な遺伝子機能を妨害しないが、I-TevI及び又はCas9部位をノックアウトし、及び/又は標的遺伝子修復の成功を追跡するために使用される1つ以上のDNA配列を導入すると意図される。ドナーDNAの例としては、次のものが挙げられるが限定されない:
I.TevCas9により標的とされ/切断される部位に隣接する相同領域を含む様々な長さの直鎖状1本鎖DNA
II.TevCas9により標的とされ/切断される部位に隣接する相同領域を含む様々な長さの直鎖状2本鎖DNA;
III.ヌクレアーゼにより切断され、かつTevCas9により切断されるものに対する相補的なDNA末端も含む、同じ長さの2本鎖DNA;
IV.TevCas9により標的とされ/切断される部位に隣接する相同領域を含む環状2本鎖DNA;及び
V.2本鎖DNAから切断される生成物がTevCas9により切断されるものに対し相補的な末端を含有する、I-TevI標的部位及びCas9標的部位を含む環状2本鎖DNA。
実施例4:脂質封入TevCas9を組み立て、細胞に遺伝子移入するための方法
エクスビボ細胞遺伝子移入の場合:脂質封入TevCas9を組み立てるために、脂質ナノ粒子を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Sigma,St.Louis,MO,United States)中で2000:1のモル比でTevCas9と混合し、室温で10分間温置する。細胞に、8.7x10E-17~3.1x10E-17モルの脂質封入TevCas9/細胞を使用して遺伝子移入する。
インビボでの細胞遺伝子移入の場合:脂質封入TevCas9を組み立てるために、脂質ナノ粒子を、リン酸緩衝食塩水中で2000:1のモル比でTevCas9と混合し、室温で10分間温置する。インビボ遺伝子移入のための脂質封入TevCas9/細胞のモル比を、決定する。
他の実施形態
ヌクレアーゼは、以下で強調されるようにI-TevIドメイン、リンカードメイン、Cas9ドメイン又はガイドRNAの異なる組み合わせを含有し得る。
I-TevIドメインの修飾:I-TevIヌクレアーゼドメインの他のバージョンは、K26及び/又はC39など、I-TevIにより認識される配列を変化させる変異を含む、I-TevIドメインにより標的とされる部位又はI-TevIドメインの活性を変化させる変異の異なる組み合わせを含有し得る。ヌクレアーゼの他のバージョンは、I-BmoI、Eco29kIなどの、他のGIY-YIGヌクレアーゼドメインでI-TevIドメインを置き換え得る。他のバージョンは、大腸菌で発現される場合の処理の結果としてMetを含有しない。
リンカードメインの修飾:リンカードメインは、次のものを含み、TevCas9の結合特異性又は活性を変化させる次のもう1つを含み得る:a)アミノ酸T95、V117、K135、Q158又はN140に対する1つ以上の変異を含むI-TevIリンカードメイン;b)リンカーは、配列番号9~12で示されるアミノ酸の様々な組み合わせ含有し得る。
Cas9ドメインの修飾:Cas9ドメインの他のバージョン、は次のものを含有し得る:a)D10E変異を含むsaCas9ドメインのバージョン(配列番号14);b)標的DNAの1つの鎖上で標的DNAに切れ目を入れるsaCas9ドメインのバージョン、例えばH557A変異(配列番号17);c)標的DNAに結合するが、それを切断しないsaCas9ドメインのバージョン、例えばD10A及びH557A変異の両方での変異(配列番号18);d)D10E変異と組み合わせられる変異D1135E、R1335Q及びT1337Rを含む以前記載したspCas9EQR変異体のバージョン(配列番号19);及びe)D10E変異と組み合わせられる変異D1135E、R1335Q及びT1337R及び標的DNAの一方の鎖上で標的DNAに切れ目を入れる変異、例えばH840A変異を含む以前記載したspCas9EQR変異体のバージョン(配列番号20)。saCas9ドメインの他のバージョンは、Metを含有しない。
他のバージョンは、Cas9ドメインを他のヌクレアーゼ又はDNA結合ドメインに置換し得る、例えば:a)メガヌクレアーゼ、例えばファミリーLAGLIDADG、His-Cys Box、H-N-H、PD-(D/E)xK、Vsr様など;b)ジンク-フィンガーヌクレアーゼ;c)他のCRISPRタンパク質、例えばscCas9、fnCas9、cjCas9、Cpf1、Cas12a、Cas13a、Cas3など;及びd)他のDNA結合ドメイン、例えばジンク-フィンガーモチーフ、TALE活性化因子ドメインなど。
ガイドRNAの修飾:a)ガイドRNAの他のバージョンは、CFTR遺伝子又はEGFR遺伝子中でDNAの同じ領域を標的とし得るが、集団における遺伝子多型を構成する異なる配列を含有する;b)ガイドRNAの他のバージョンは、CFTR遺伝子又はEGFR遺伝子中の異なる配列を標的とし得る;c)ガイドRNAの他のバージョンは、ゲノム中の他の配列を標的として、さらなる臨床的に関連する標的に対しヌクレアーゼを再標的化し得る;d)ガイドRNAの他のバージョンは、標的部位特異性を促進する架橋核酸(“BNA”)を含有し得る;及びe)他のバージョンは、同じ遺伝子内で複数の配列を標的とするガイドRNAの混合物を含有し得る。
脂質ナノ粒子の修飾:a)脂質ナノ粒子番号1、2又は3の他のバージョンは、各脂質成分の異なる比率を有し得る;b)脂質ナノ粒子の他のバージョンは、異なる平均直径を有し得る;c)脂質ナノ粒子の他のバージョンは、異なる陽イオン性又は中性脂質を含み得る;d)脂質ナノ粒子の他のバージョンは、特異的な細胞型を標的とするペプチドを含み得る;e)脂質ナノ粒子の他のバージョンは、GL67(N-コレステリル-スペルミン)などの、DNAを結合させる化合物を含み得る;f)脂質ナノ粒子は、安定性促進のために凍結乾燥され得る;及びg)脂質ナノ粒子は、滅菌等張食塩水、注射用の水などの、リン酸緩衝食塩水以外の溶液中で再懸濁され得る。
ドナーDNAの組成の修飾:a)直鎖状2本鎖ドナーDNAの他のバージョンは、標的配列と相補的である1本鎖DNAのより長い領域を含有し得る;及びb)環状2本鎖DNAの他のバージョンは、相同組み換え修飾の比率を上昇させると意図される他のDNA配列を含有し得る。
脂質封入ヌクレアーゼを組み立て、細胞に遺伝子移入する方法に対する変法:a)脂質封入ヌクレアーゼの他のバージョンは、脂質ナノ粒子とヌクレアーゼとの異なるモル比を含有し得る;b)DMEM以外の培地又はリン酸緩衝食塩水が、温置段階のために使用され得る;c)ヌクレアーゼ及び脂質ナノ粒子は、10分未満で又は10分を超えて温置され得る;及びd)ヌクレアーゼ/細胞の他のモル量が、遺伝子移入反応において使用され得る。
ヌクレアーゼを製造するための方法に対する変法:a)LS5218(エスケリキア・コリ(Escherichia coli)Genetic Stock Center-Yale University,New Haven,CT,United States)又はBL21-DE3(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)などの、他の大腸菌発現株を使用し得る;b)緩衝液1又は2は、イミダゾール、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム(二塩基性)又はtris塩酸の異なる濃度を含有し、異なるpHに緩衝化され得る;c)陽イオン又は陰イオン交換クロマトグラフィーなどの、他の処理段階が使用され得る;d)ヌクレアーゼは、滅菌等張食塩水、注射用の水などの、リン酸緩衝食塩水以外の溶液に透析され得る;e)ヌクレアーゼを、安定性促進のために凍結乾燥し得る;f)ガイドRNAを、pACYC-Duet1発現ベクター(EMD Millipore,Burlington,MA,United States)から共発現させ得る。ガイドRNAのDNAコード配列を、合成し(Integrated DNA Technology Inc.,Coralville,IA,United States)、制限エンドヌクレアーゼで消化し、pACYC-Duet1発現ベクターにおいて同様に消化した第2の発現部位に挿入する;g)ガイドRNAを、T7RNA Polymerase HiScribe Kit(New England Biolabs#E2040S,Ipswich,MA,United States)を使用してガイドを転写すること、およびRNA Cleanup Kit(New England Biolabs#T2030L,Ipswich,MA,United States)を使用してガイドを精製することにより、2本鎖DNAから合成し得る。
試験
実施例1:モデル細胞株においてCFTRデルタF508及びCFTRタンパク質の機能の修正を実証するための方法
CuFi-1細胞株(ATCC(登録商標)CRL-4013(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States)などの、CFTRデルタF508変異に対しホモ接合型の不死化上皮細胞の培養物を、CFTRデルタF508変異に標的化される医薬処方物中の様々な濃度の脂質封入TevCas9及びドナーDNA(Specific Biologics,Toronto,ON,Canada)で処理する。野生型CFTRに対してホモ接合型のNuLi-1(ATCC(登録商標)CRL-4011(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA、United States)不死化上皮細胞などの、適切な対照細胞株も使用する。
非修正細胞に対するCFTRデルタF508が修正された細胞の割合を、T7エンドヌクレアーゼIアッセイ(EnGen(登録商標)Mutation Detection Kit,New England Biolabs #E3321,Ipswich,MA,United States)、PCR-増幅標的部位の制限エンドヌクレアーゼ消化(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)、Illumina MiSeq system及び標的部位に隣接するバーコード化プライマー(Illumina,San Diego,CA,United States)を用いたディープ遺伝子シーケンシング又は他の適切な方法により測定する。対照細胞株(例えばNuLi-1(ATCC(登録商標)CRL-4011(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States)におけるTevCas9処理の効果を、評価する。CFTR機能性を、処理済みCuFi-1培養物(ATCC(登録商標)CRL-4013(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States)対偽処理CuFi-1培養物(ATCC(登録商標)CRL-4013(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States)において、塩素イオン勾配の存在下でUssing Camber(Warner Instruments,Hamden,CT,United States)において短絡電流測定を使用して測定する。対照細胞株(例えばNuLi-1)におけるTevCas9処理の効果も、測定する。
モデル細胞株においてEGFRエクソン19欠失変異及びEGFR発現及び活性の破壊を実証するために、HCC827細胞株(ATCC(登録商標)CRL-2868(商標)、American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States)などの、EGFRエクソン19欠失変異を発現する不死化上皮細胞の培養物を、EGFRエクソン19欠失に標的化される、リン酸緩衝食塩水、滅菌等張食塩水又は注射用の水の医薬処方物中の脂質封入TevCas9(Specific Biologics,Toronto,ON,Canada)の濃度範囲で処理する。適切な対照細胞株、例えばNuLi-1(ATCC(登録商標)CRL-4011(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA)又は野生型EGFRに対しホモ接合型である不死化上皮細胞株を、使用する。
非修正細胞に対するEGFRエクソン19欠失が破壊された細胞の割合を、T7エンドヌクレアーゼIアッセイ(EnGen(登録商標)Mutation Detection Kit,New England Biolabs #E3321,Ipswich,MA,United States)、PCR増幅標的部位の制限エンドヌクレアーゼ消化(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)、Illumina MiSeq system及び標的部位に隣接するバーコード化プライマー(Illumina,San Diego,CA,United States)を使用したディープ遺伝子シーケンシング又は他の適切な方法により測定する。EGFRタンパク質発現及び活性を、対照細胞株(例えばNuLi-1(ATCC(登録商標)CRL-4011(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States))におけるTevCas9処理の効果も、評価する。処理したHCC827培養物(ATCC(登録商標)CRL-2868(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States)対偽処理HCC827培養物中でリン酸化(即ち活性化)、非リン酸化及び総EGFRタンパク質を検出する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Sigma,St.Louis,MO,United States)を使用して測定する。対照細胞株(例えばNuLi-1(ATCC(登録商標)CRL-4011(商標),American Type Culture Collection,Manassas,VA,United States))におけるTevCas9処理の効果も、評価する。
実施例1:有効性を示し、かつ用量制限毒性を決定するために計画された動物モデル試験
動物モデル(例えばマウス、ラット、ミニブタ又はフェレット)における脂質封入TevCas9処置を用いたCFTRデルタF508及び/又は嚢胞性線維症の症状の修正を実証するための実施例の方法において、CFTRデルタF508に標的化された、リン酸緩衝食塩水、滅菌等張食塩水又は注射用の水の医薬処方物中の脂質封入TevCas9を、挿管又は鼻腔内送達の何れかによって肺に直接送達する。手順時間は、使用される動物モデルに依存しておよそ30~6000秒/処置である。
別の方法では、CFTRデルタF508に標的化された医薬処方物中の脂質封入TevCas9を、市販の噴霧器(Aeroneb(登録商標),AeroEclipse(登録商標)、(Trudell Medical,London,ON,Canada))又はPARI-LC Plus(登録商標)、(PARI USA,Midlothian,VA,United States))で噴霧する。およそ100nMの脂質ナノ粒子の平均粒径を、Zetasizer(Malvern Panalytical Ltd,Malvern,United Kingdom)を用いた動的光散乱(DLS)又は当技術分野で公知の別の適切な技術により、噴霧後に確認する。脂質封入TevCas9の組成及び濃度を、MicroGram Lipid Assay Kit(ProFoldin,Hudson,MA,United States)及びクーマシー染色SDS-ポリアクリルアミドゲル上でのおよそ150kDaバンドの存在を用いて、噴霧後に確認する。遺伝子修正の比率の測定のために、CFTRデルタF508変異に対しホモ接合型である代表的なヒツジ(ミニブタ)動物モデル(Exemplar Genetics,Sioux City,IA,United States)を、CFTRデルタF508に標的化された脂質封入TevCas9並びに適切な対照に、口腔、鼻を通じて曝露するか、又は肺に直接曝露する。これらの動物の全般的な維持は、繁殖及び分娩;齢に適切なバイオセキュア(bio-secure)収容;健全な栄養;基本的なワクチン接種及び獣医学的ケア;及び動物福祉の指針に合致する書類作成を含む。CFTRデルタF508に対して特異的なこれらの動物の維持は、次の1つ以上を含み得る:腸閉塞に対処するための外科手術;膵臓酵素補充療法;ビタミン及びH2ブロッカー;及び/又は胃酸調節を改善するためのプロトンポンプ阻害剤。ミニブタを、急性毒性試験のために2日~4週間、及び慢性毒性試験のために最長24か月にわたり、上記のモデル細胞株実験から効果があると予測される脂質封入TevCas9の濃度範囲で処置する。
動物の総体的健康状態を、挙動、体重又は食餌消費の変化;免疫応答;心血管系の健康状態に対する変化;死亡率などの、あらゆる処置関連の有害事象について評価するために、処置後監視する。処置後の他の有効性の目安としては次のものが挙げられ得る:
I.処置後の各動物における強制呼吸、例えば強制呼気体積(又は他の適切な方法);
II.対照と比較した各動物の全生存;
III.肺機能の他の目安(例えば一般的肺機能評価を行い得る機械的人工呼吸器の利用);及び
IV.ポリメラーゼ連鎖反応によるなどの、組織試料採取及び変異検出方法を通じたインビボでの変異の測定。
脂質封入TevCas9での処置後、動物を屠殺し、肺及び気管の組織を、回収する。
非修正細胞に対するCFTRデルタF508が修正された細胞の割合を、T7エンドヌクレアーゼIアッセイ(EnGen(登録商標)Mutation Detection Kit,New England Biolabs #E3321,Ipswich,MA,United States)、PCR増幅標的部位の制限エンドヌクレアーゼ消化(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)、Illumina MiSeq system及び標的部位に隣接するバーコード化プライマー(Illumina,San Diego,CA,United States)を使用したディープ遺伝子シーケンシング又は他の適切な方法により測定する。
動物モデルにおけるTevCas9処置でのEGFRエクソン19欠失変異及び/又は非小細胞肺癌(NSCLC)症状の破壊を実証するための方法において、リン酸緩衝食塩水、滅菌等張食塩水又は注射用の水の医薬処方物中のEGFRエクソン19欠失変異に標的化された脂質封入TevCas9を、口腔、鼻を通じて肺に直接、又は肺に直接送達する。手順時間は、使用される動物モデルに依存しておよそ30~6000秒/処置である。
別の方法では、医薬処方物中のEGFRエクソン19欠失変異に標的化された脂質封入TevCas9を、市販の噴霧器((Aeroneb(登録商標),AeroEclipse(登録商標),(Trudell Medical,London,ON,Canada)又はPARI-LC Plus(登録商標)、(PARI USA,Midlothian,VA,United States))を用いて噴霧する。およそ100nMの脂質ナノ粒子の平均粒径を、Zetasizer(Malvern Panalytical Ltd,Malvern,United Kingdom)を使用した動的光散乱(DLS)又は当技術分野で公知の他の適切な技術により噴霧後に確認する。脂質封入TevCas9ナノ粒子の組成及び濃度を、MicroGram Lipid Assay Kit(ProFoldin,Hudson,MA,United States)及びクーマシー染色SDS-ポリアクリルアミドゲル上でのおよそ150kDaバンドの存在を使用して噴霧後に確認する。遺伝子破壊の比率の測定のために、EGFRエクソン19欠失変異に対してホモ接合型である代表的なネズミ科(マウス)動物モデルを、EGFRエクソン19欠失に標的化された脂質封入TevCas9に、鼻、口腔を通じて曝露するか、又は肺直接曝露する。マウスを、急性毒性試験のために2日~4週間、及び慢性毒性試験のために最長24か月にわたり、モデル細胞株実験から効果があると予測される様々な濃度のTevCas9で処置する。
動物の総体的健康状態を、挙動、体重又は食餌消費の変化;免疫応答;心血管系の健康状態に対する変化;死亡率などの、あらゆる処置関連有害事象を評価するために、処置後監視する。処置後の他の有効性の目安としては、次のものが挙げられ得る:
I.EGFR変異体トレーサーでのポジトロン断層撮影(PET)を通じたEGFR活性化タンパク質の定量;
II.対照と比較した各動物の全生存;及び
III.経時的な各動物における腫瘍形成/軽減の測定。
Cobas(登録商標)EGFR変異試験バージョン2(Roche Diagnostics,Risch-Rotkreuz,Switzerland)などの、組織試料採取及び変異検出方法を通じたインビボでの変異の評価。噴霧脂質封入TevCas9での処置後、動物を屠殺し、肺及び気管の組織を、回収する。
破壊されていない細胞に対する、EGFRエクソン19欠失変異が破壊された細胞の割合を、T7エンドヌクレアーゼIアッセイ(EnGen(登録商標)Mutation Detection Kit,New England Biolabs#E3321,Ipswich,MA,United States)、PCR増幅標的部位の制限エンドヌクレアーゼ消化(New England Biolabs,Ipswich,MA,United States)、Illumina MiSeq system及び標的部位に隣接するバーコード化プライマー(Illumina,San Diego,CA,United States)を使用したディープ遺伝子シーケンシング又は他の適切な方法により測定する。回収組織の細胞におけるEGFRタンパク質発現及び活性を、リン酸化(即ち活性化)、非リン酸化及び総EGFRタンパク質を検出する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Sigma,St.Louis,MO,United States)を使用して測定する。ヒトで最初の臨床試験を可能にするための用量制限毒性の決定は、上で論じられる動物モデル実験からの予想有効用量に基づき、様々な濃度の脂質封入TevCas9(例えばミリグラム/キログラム体重)が、カニクイザル又は他の非ヒト霊長類などの、毒性試験のための適切な動物モデルに噴霧され、送達される。動物の総体的健康状態を、挙動、体重又は食餌消費の変化;免疫応答;心血管系の健康状態に対する変化;死亡率などの、あらゆる処置関連有害事象について監視する。この試験で有効性の他の目安を、上記のものを含み、測定し得る。
治療効果
本発明の新規キメラヌクレアーゼは、一遺伝子性疾患を処置するために肺上皮細胞のDNAを修飾するために意図的に設計されているが、これらは、インビボ又はエクスビボで、他の細胞型で又は細菌、酵母、昆虫、植物若しくは他の哺乳動物などの他の生物の細胞において、一遺伝子性又は多遺伝子性及び感染性の疾患を処置するために機能できる。
実施例1:ヒト細胞のゲノムにおけるDNA配列の全て又は一部の標的化された挿入又は置換の方法
図2は、本発明の新規キメラヌクレアーゼ細胞取り込みの作用機序を例示する。図2Aで例示されるように、細胞20(単数又は複数)を、インビボ又はエクスビボの何れかでの投与により、TevCas9 25を含有する新規脂質封入ヌクレアーゼ粒子21に曝露する。図2Bで示されるように、脂質封入ヌクレアーゼ粒子21は、細胞20中にエンドサイトーシスされる。エンドソーム22は、細胞質において成熟過程を通過し、分解のために標的化される(図2C)。ある状況で、TevCas9 25は、エンドソーム22を回避し、細胞質に侵入し得る(図2D)。真核生物において、ヌクレアーゼ(TevCas9)25は、1つ以上の核局在化配列(「NLS」)を通じて細胞20の核23に標的化される。図2Eで示されるように、その核局在化配列を通じて、TevCas9 25は、核23に侵入し得、核23にあるとき、TevCas9ヌクレアーゼ25は、標的ゲノムDNA24配列に結合し、それを切断する26。
図3は、DNA切断におけるTevCas9ヌクレアーゼの機序を例示す。図3Aは、切断反応前に示される、その標的ゲノムDNA配列24に結合されるTevCas9の重要な特性の代表である。I-TevIドメイン27は、I-TevI標的配列29を標的とする。リンカードメイン30は、Cas9標的配列31を標的とするCas9ドメイン28とI-TevIドメイン27を連結する。遺伝子変異32は、I-TevI標的配列29及びCas9標的配列31により取り囲まれるか又はそれに近接している。図3Bで示されるように、TevCas9 25は、標的配列を切断し、非相補的DNA末端35、36とともに予想可能なサイズの欠失生成物34を残す。図3Cは、相同性アームを有する1本鎖ドナーDNA37の存在下で、細胞20が、相同組み換え修復(HDR)経路38を通じて切断部位付近でドナーDNA37配列を挿入し得ることを例示する。図3Dは、TevCas9 25により切断されたものに対し適合性DNA末端を有するドナーDNA39の存在下で、細胞20が、非相同末端連結(NHEJ)経路40を使用してダイレクテッド・ライゲーション(directed-ligation)を通じて切断部位の間にドナーDNA配列39を挿入し得ることを例示する。ドナーDNAの非存在下で、細胞20は、NHEJ経路40を通じてDNA末端を連結し得る(図3E)。
実施例2:嚢胞性線維症の処置
嚢胞性線維症の処置の場合、外因性ドナーDNAは、鋳型として外因性ドナーDNAを使用する相同組み換え修復を刺激するために、ヒト体細胞における定められた長さのDNA配列の標的化された欠失の方法に関与するCFTRデルタF508変異を修復する、DNA配列を含有する(図3C)。
実施例3:非小細胞肺癌の処置
非小細胞肺癌を処置する適用の場合、DNAの1本の鎖のみを切断するCas9ドメインのバージョン(D10A又はH557A変異)又はヌクレアーゼ欠失バージョン(D10A+H557A変異)を使用し、標的とされる配列は、EGFRエクソン19欠失変異(配列番号2~4)である。しかし本願では、ヌクレアーゼは、外因性ドナーDNAを含有しない。外因性ドナーDNAの非存在下で、細胞は、非相同末端連結によってヌクレアーゼにより標的とされる2つの部位間のDNA配列を除去し得る(図3E)。
或いは、吸入経路は、肺への局所的な薬物の送達の、及びある種の薬剤の全身投与のための、高速で有効な方法である。吸入薬物療法が、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸状態を処置するために広範に使用される。嚢胞性線維症を処置するための吸入系を開発するために研究が続いている。
続く実施例は、本開示の範囲を何ら限定するものではないが、本明細書中で開示される化合物を調製及び使用する方法を例示するために提供される。この開示の多くの他の実施形態は、当業者にとって明らかであろう。
噴霧器は、エアロゾル化蒸気の形態で肺に薬物を送達する装置である。噴霧器は、例えばコルチコステロイドの噴霧など、喘息及びCOPDなどの呼吸器疾患を処置するために一般的に使用されるが、噴霧は、ARIKAYCE(登録商標)(Insmed Incorporated,Bridgewater,NJ,United States)など、肺感染の処置及び予防のためにも使用されてきた。
噴霧器は、噴霧用の液体を調製するためにいくつかの手順を必要とし得る。薬物は一般的には、噴霧器チャンバーの内側のカップ中で液体形態で保持される。投入されると、この装置のスイッチを入れ、圧縮空気を生成させて、噴霧チャンバー中で液体を蒸気に変換する。患者は、噴霧チャンバーのマウスピースを口に当て、鋭く深い吸入を行い、5~10秒間息を止めて薬物が肺の下方の部分に到達することを確実にする。様々なこのような装置がある。多くの現代的な噴霧器は、呼吸により発動され、患者の吸入力に依存して、装置からのエアロゾル化された液体を同期させ、従って薬物が患者にのみ送達され周辺環境には送達されないことを確実にする。これはまた、薬物の全用量の患者への送達の一貫性も確実にする。
噴霧器の使用は周知であり、噴霧器は、Aeroneb(登録商標)、AeroEclipse(登録商標)、(Trudell Medical,London,ON,Canada)又はPARI-LC Plus(登録商標)、(PARI USA,Midlothian,VA,United States)などのいくつかの供給源から市販されている。本発明の実施例では、噴霧器が、肺上皮組織への本願の、修飾I-TevIヌクレアーゼドメイン、リンカー及び修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)Cas9を含む脂質封入新規キメラヌクレアーゼの送達のために利用される。関心のある治療薬の滅菌液体バージョンを、噴霧チャンバーに投入し、続いてエアロゾル化し、深呼吸を介して患者によって肺へと吸入させる。
経口又は静脈内投与に対する、噴霧器を使用する長所のいくつかは:経口又は静脈内投与と比較して必要とされ得る薬物量が少ないこと、経口経路と比較して吸入を介すると作用開始がより迅速であり得ること、疾患がそれ自身顕在化する肺組織への薬物の局所的送達であるため有害な影響の重篤度がより低い可能性があること、吸入薬物療法が無痛でありかつ患者にとって比較的快適であり、これがコンプライアンスを促すこと、である。
吸入される薬物が提供し得る作用速度を提供する、非侵襲性の送達経路はない。吸入される薬物の長所の1つは、それらが皮下注射される分子よりも迅速に吸収され、より即時的な生理学的応答を提供することである。小さい又は大きい分子、特に疎水性分子は、吸入後数秒内に吸収され得、従って、急に起こるか又は長期投与を必要とする、多岐にわたる症状を処置するために使用され得る。疼痛、パニック、不安症、吐き気、心血管系急性発症、気管支収縮、睡眠誘導、攣縮、パーキンソン病のロックアップ(Parkinson’s lock-up)及びホットフラッシュは、吸入される薬物で対処可能な急性発症状態のいくつかである。
殆どのタンパク質に基づく薬物生成物は、幾分かの水溶性を有し、肺から急速且つ効果的に吸収される。疎水性がより高いものは、数秒から数分以内にさらに迅速に吸収される。親水性がより高いものは、数分~10分以内に吸収される。本発明の一例において、治療用量の肺への送達のために、1つのバイアルは、治療用量の疎水性脂質ナノ粒子を無菌的に充填され、別のバイアルは、水溶性及び親水性である、修飾I-TevIヌクレアーゼドメイン、リンカー及び修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9を含むキメラヌクレアーゼの治療用量が無菌的に充填される。用量は、脂質ナノ粒子及びキメラヌクレアーゼのそれぞれの1~1000ミリグラムの範囲であり得、約5~200ミリグラムが好ましい。修飾I-TevIヌクレアーゼドメイン、リンカー及び修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9を含む、主張される脂質封入キメラヌクレアーゼは、数時間内に肺の細胞で吸収され得、インビトロでのDNA基質上の完全切断が、2時間以内に観察された。他の噴霧治療剤は、毎日送達された。脂質封入キメラヌクレアーゼの噴霧投与は従って、患者に基づくその有効性に依存して、毎日又はより低頻度であり得る。キメラヌクレアーゼは、BioVectra Corporation(Charlottetown,PE,Canada)により製造され、Dalton Pharma Services(Mississauga,ON,Canada)により無菌的にバイアルに充填される。脂質ナノ粒子は、Transferra Nanosciences Inc.(Burnaby,BC,Canada)により製造され、バイアルに無菌的に充填される。
何れかの開示される組成物の投与量は、患者の症状、年齢及び体重、処置又は予防しようとする障害の性質及び重症度、投与経路並びに対象組成物の形態に依存して変動する。対象処方物の何れかを、単回投与で又は分割投与で投与し得る。本組成物に対する投与量は、当業者にとって公知の技術によって又は本明細書中で教示されるとおり、容易に決定され得る。
ある実施形態では、対象化合物の投与量は、患者の体重に依存して、一般的には約1~1000ミリグラムの範囲、具体的には約5~200ミリグラムの範囲であろう。
本処方物の、有効用量又は量及び投与のタイミングに対する何らかの可能性のある影響は、本開示のあらゆる特定の組成物について確認される必要があり得る。これは、1つ以上の動物群(好ましくは少なくとも群あたり動物5匹)を使用して、又は必要に応じてヒトの治験で、本明細書中に記載のような通常の実験により完遂され得る。処置又は予防の何らかの対象組成物及び方法の有効性は、本組成物を投与し、1つ以上の適用可能な指標を測定し、これらの指標の処置後の値を処置前の同じ指標の値と比較することにより、投与の効果を評価することによって、評価され得る。
ある患者において最も有効な処置を生じさせるであろう何らかの特定の対象組成物の投与の正確な投与時間及び量は、対象組成物の、活性、薬物動態及びバイオアベイラビリティ、患者の生理学的状態(年齢、性別、疾患タイプ及びステージ、全般的健康状態、ある投与量及び薬物のタイプに対する応答を含む)、投与経路などに依存する。本明細書中で示される指針は、例えば最適時間及び/又は投与量を決定して、処置を最適化するために使用され得、これは、対象を監視し、投与量及び/又はタイミングを調整することからなる通常の実験を超えない実験を必要とする。
対象が処置されている間に、患者の健康状態を、処置期間中の所定の時間に関連指標の1つ以上を測定することにより監視し得る。組成、量、投与時間及び処方を含む、処置は、このような監視の結果に従い最適化され得る。患者を定期的に再評価して、同じパラメーターを測定することによる改善の程度を決定し得る。投与される対象組成物の量に対する、及びおそらく投与時間に対する調整は、これらの再評価に基づいてなされ得る。
処置は、本化合物の最適用量より低い、より小さい投与量で開始され得る。その後、投与量を、最適治療効果が得られるまで小幅に増加させ得る。
対象組成物の使用は、異なる薬剤の効果の開始及び持続時間がコンプリメンタリー(complimentary)であり得るので、本組成物中に含有されるあらゆる個々の薬剤について必要とされる投与量を減少させ得る。
対象組成物の治療的有効性は、例えばLD50及びED50を決定するための、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順により決定され得る。
細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータを、ヒトでの使用のための投与量範囲を処方する際に使用し得る。何らかの対象組成物の投与量は好ましくは、毒性が殆どないか又は全くないED50を含む濃度の範囲内に入る。投与量は、使用される剤形及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本開示の組成物について、治療的有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定され得る。
処方物
本開示の医薬組成物は、当技術分野で周知のようなそれらの意図される用途に依存して様々な手段により投与され得る。例えば、本開示の組成物は、噴霧を通じて投与される。或いは、本明細書中で開示される処方物は、静脈内、皮下又は筋肉内投与され得る。これらの処方物は、従来の手段により調製され得、必要に応じて、本組成物は、何らかの従来の添加物、例えば賦形剤、可溶化剤、懸濁補助剤、乳化剤又は保存剤などと混合され得る。開示される賦形剤は、複数の機能を果たし得る。例えば、可溶化剤は、懸濁補助剤、乳化剤、保存剤などでもあり得る。
本処方物は、都合よく単位剤形で与えられ得、薬学の技術分野で周知の何れかの方法により調製され得る。単回投与を生成させるために担体材料と組み合わせられ得る組成物の量は、処置されている対象及び特定の投与方式に依存して変動する。
これらの処方物を調製する方法は、担体及び、任意選択的に1つ以上の付属成分と本開示の組成物を会合させる段階を含む。一般に、本処方物は、液体担体と薬剤を均一且つ密に会合させることにより調製される。
開示される組成物が本明細書中で開示される凍結乾燥の又は凍結乾燥させた化合物を含み得ることが、認識されよう。例えば、開示される化合物の結晶性及び/又は非晶質粉末形態である組成物が、本明細書中で開示される。このような形態は、例えば水性組成物としての使用のために再構成され得る。
注射用の液体剤形としては、薬学的に許容可能な溶液、エマルション、マイクロエマルション、溶液及び懸濁液が挙げられる。対象組成物に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、シクロデキストリン、アルブミン、ヒアルロン酸、キトサン及びそれらの混合物などを含有し得る。ポリエチレングリコール(PEG)は、溶解度、安定性、半減期の所望の特性及び他の薬学的に有益な特性を得るために使用され得る。安定化成分の代表例としては、ポリソルベート80、L-アルギニン、ポリビニルピロリドン、トレハロース及びそれらの組み合わせが挙げられる。溶液結合剤又は抗酸化剤などの、使用され得る他の賦形剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチノール、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE(アルファ-トコフェロール)、ビタミンC及びキシリトールが挙げられるが限定されない。
通常は、水性エアロゾルが、従来的な薬学的に許容可能な担体及び安定化剤と一緒に、対象組成物の水性溶液又は懸濁液を処方することにより作製される。担体及び安定化剤は、特定の対象組成物の要件で変動するが、一般的には非イオン性界面活性剤(Tweens、pluronics又はポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害なタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、アミノ酸、例えばグリシンなど、緩衝液、塩、糖又は糖アルコールを含む。エアロゾル剤は一般に、等張溶液から調製される。
注目すべきは、例として与えられる賦形剤が複数の機能を有し得るということである。例えば、可溶化剤は、懸濁補助剤、乳化剤、保存剤などでもあり得る。
本開示の医薬組成物で使用され得る適切な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及び適切なそれらの混合物、植物油、例えばオリーブ油など、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチル及びシクロデキストリンが挙げられる。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料の使用により、分散物の場合は求められる粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により、維持され得る。
本発明の組成物は一般的には、投与前に再構成する必要なく、滅菌状態であり、保管安定性があり、かつ薬学的に許容可能である、水性溶液を容易に投与できる。本発明の組成物は、対象への投与に適切であり、これは、それらが薬学的に許容可能であり、無毒性であり、キメラヌクレアーゼの生物学的効果に有害な影響を与える成分を全く含有せず、吸入及び/又は注射部位の反応を回避する生理学的状態のものに近いpHを有することを意味する。本発明の組成物は、例えば、細胞を含まない。
本組成物は一般的には、一般的に長期保存に適切な密封容器、バイアル又はカートリッジ中で保管される。「長期保存に適切」は、バイアル、容器又はカートリッジが、25℃で少なくとも3ヶ月間維持したときに、本発明の組成物の成分の漏出又は外部成分、例えば微生物の侵入を生じさせないことを意味する。
本発明の組成物は好ましくは、噴霧により、一般的に呼吸発動型噴霧により投与される。
本発明の組成物は、本明細書中に記載のように注射によっても投与され得る。
本発明の組成物は、単独で又は抗ウイルス剤、抗微生物剤、化学療法剤及び免疫療法などのさらなる治療剤と組み合わせて投与され得る。
バイアルは、本明細書中で使用される場合、2個の容器も含み得、そのうち1個は、以下に記載のような、凍結乾燥粉末の、本明細書中に記載のようなキメラヌクレアーゼ又は脂質粒子を含有し、第2の容器は、凍結乾燥粉末の再構成のための液体を含有する。2個の容器の内容物を、投与前に混合し得る。
上で論じられるように、本発明の組成物を、噴霧により投与し得る。噴霧のための本発明の組成物の適切な体積は、約0.5~約1ml、約1~約2ml、約2~約10ml又は約10~約20mlを含む。
本発明の組成物では、キメラヌクレアーゼの濃度は、約0.1mg/ml~約10.0mg/ml、約10.0mg/ml~約100.0mg/ml、約30.0mg/ml~約300.0mg/ml、約500mg/ml~約2000mg/ml及び約2.0mg/mlである。
本発明の組成物では、脂質ナノ粒子の濃度は、約0.1mg/ml~約10.0mg/ml、約10.0mg/ml~約100.0mg/ml、約30.0mg/ml~約300.0mg/ml、約500mg/ml~約2000mg/ml及び約2.0mg/mlである。

Claims (84)

  1. 配列番号14のアミノ酸配列全体又はそれらの断片を含み、ただし前記断片がGlu10変異を含有する、ポリペプチド。
  2. 修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9である、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 修飾I-Tevlヌクレアーゼドメインと、リンカーと、RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9と、ガイドRNAとを含むキメラヌクレアーゼ。
  4. 請求項3に記載のキメラヌクレアーゼと、脂質ナノ粒子と、薬学的に許容可能なその担体とを含む薬学的に許容可能な処方物。
  5. 前記脂質ナノ粒子が、外因性ドナーDNAをさらに含む、請求項4に記載の処方物。
  6. ガイドRNAをさらに含み、前記ガイドRNAが、前記Cas9ドメインをゲノムDNAに標的化する、請求項5に記載の処方物。
  7. 細胞又は生物に請求項3に記載のキメラヌクレアーゼを投与する段階を含むゲノムDNAを編集するための方法。
  8. ウイルスベクターを使用しない、請求項7に記載の方法。
  9. 前記キメラヌクレアーゼの前記投与が、インビボでの制御投与を使用して施される、請求項8に記載の方法。
  10. 細胞又は生物に請求項4に記載の処方物を送達する段階を含む定められた長さのDNA分子を欠失させるための方法。
  11. 細胞又は生物に請求項5に記載の処方物を送達する段階を含むDNA分子から選択配列を置き換えるための方法。
  12. 前記処方物が、インビボで生物全体に又はエクスビボで培養中の単離細胞に投与される、請求項7及び8に記載の方法。
  13. 前記細胞又は生物が、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞及び植物細胞からなる群から選択される、請求項7及び8に記載の方法。
  14. 前記キメラヌクレアーゼが、選択DNA分子上の2つの独立した標的部位を標的とする、請求項7に記載の方法。
  15. 前記選択DNA分子が、1つの標的部位で切断される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記選択DNA分子が、両方の標的部位で切断される、請求項14に記載の方法。
  17. 前記選択DNA分子の断片が、前記選択DNA分子から切断される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記断片が、30~36ヌクレオチド長である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記脂質ナノ粒子が、押し出し工程を使用して調製される、請求項4に記載の処方物。
  20. 前記押し出し工程が、直径およそ50~500nMの粒子をもたらす、請求項19に記載の処方物。
  21. 前記処方物が、賦形剤をさらに含む、請求項20に記載の処方物。
  22. 前記賦形剤が、賦形剤ポリソルベート、ポリホスフェート、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム及びデンプン、又はこれらの物質の混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の処方物。
  23. ポリソルベート、ポリホスフェート、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム及びデンプン及びこれらの物質の混合物をさらに含む、請求項21に記載の処方物。
  24. 前記粒子が、超音波処理を使用して形成される、請求項21に記載の工程。
  25. 前記処方物を含有する噴霧器を使用する段階を含むそれを必要とする患者に請求項20に記載の処方物を投与する方法。
  26. 請求項3に記載のキメラヌクレアーゼを投与する段階を含み前記キメラヌクレアーゼが、肺上皮細胞のDNAを修飾する、それを必要とする患者において肺関連疾患を処置する方法。
  27. 前記疾患が、嚢胞性線維症である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記キメラヌクレアーゼが、CFTR遺伝子を標的とし切断する、請求項26に記載の方法。
  29. CFTRデルタF508変異が、前記CFTR遺伝子から切断される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記疾患が、癌である、請求項26に記載の方法。
  31. 前記キメラヌクレアーゼが、EGFR遺伝子を標的とし切断する、請求項26に記載の方法。
  32. 前記キメラヌクレアーゼが、EGFRエクソン19欠失の断片を欠失させる、請求項31に記載の方法。
  33. 前記癌が、非小細胞肺癌である、請求項32に記載の方法。
  34. それを必要とする患者に請求項4又は5に記載の処方物を投与する段階を含む一遺伝子性の及び感染性の疾患を処置する方法。
  35. 前記キメラヌクレアーゼが、非相同末端連結により標的DNA分子の選択配列を除去する、請求項10に記載の規定の長さのDNA分子を欠失させる方法。
  36. 前記RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9が、Ala10、Ala580及びAla557変異の1つ以上を含有する、請求項34に記載の方法。
  37. 前記変異RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9が、前記EGFR遺伝子のEGFRエクソン19欠失を標的とする、請求項36に記載の方法。
  38. 前記キメラヌクレアーゼが、およそ144キロダルトンの分子量を有するおよそ3.7キロベースから構成される、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  39. ガイドRNAをさらに含み前記ガイドRNAが、特異的なCFTR遺伝子配列を標的とする、請求項5に記載の処方物。
  40. ガイドRNAをさらに含み前記ガイドRNAが、特異的なEGFR遺伝子配列を標的とする、請求項5に記載の処方物。
  41. 前記特異的なEGFR遺伝子配列が、EGFRエクソン19欠失変異を含有する、請求項40に記載の処方物。
  42. 配列番号6又はその断片である修飾I-Tevlヌクレアーゼドメインから構成される、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  43. 前記リンカーが、配列番号7~12又はその断片からなる群から選択される、請求項42に記載のキメラヌクレアーゼ。
  44. 前記修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9が、請求項1に記載のポリペプチド又はその断片である、請求項43に記載のキメラヌクレアーゼ。
  45. 配列番号15に記載のRNA配列全体又はそれらの断片を含むガイドRNAをさらに含む、請求項44に記載のキメラヌクレアーゼを含有する処方物。
  46. 前記CFTRデルタF508変異を切り出すために配列番号21のRNA配列全体又はその断片を含むガイドRNAをさらに含む、請求項44に記載のキメラヌクレアーゼを含有する処方物。
  47. 配列番号16のRNA配列全体又はその断片を含むガイドRNAをさらに含む、請求項44に記載のキメラヌクレアーゼを含有する処方物。
  48. 前記EGFR遺伝子を標的とする、請求項47に記載の処方物。
  49. 配列番号7~12又はそれらの断片を含むリンカー
  50. 請求項3に記載のキメラヌクレアーゼにより標的とされ及び/又は切断される部位に隣接する相同領域を含む直鎖状1本鎖のDNAからなる群から選択される修飾ドナーDNA分子。
  51. Lys26及び/又はCys39で変異された修飾I-Tevlヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9とを含むキメラヌクレアーゼ。
  52. 修飾GIY-YIGヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9とを含むキメラヌクレアーゼ。
  53. 前記GIY-YIGヌクレアーゼドメインが、I-Bmol及びEco29kIからなる群から選択される、請求項52に記載のキメラヌクレアーゼ。
  54. 前記リンカーが、1つ以上の変異Thr95、Val117、Lys135、Gln158又はAsn140を含有する、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  55. 前記リンカーが、配列番号9~12からなる群の1つ以上を含む、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  56. 前記ヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9が、野生型である、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  57. 前記ヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9が、前記標的DNAの一方の鎖上で糖-リン酸骨格を切断する、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  58. 前記ヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9が、Ala580又はAla557変異を含有する、請求項57に記載のキメラヌクレアーゼ。
  59. 前記ヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9が、標的DNAに結合するが前記標的DNAを切断しない、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  60. 修飾I-Tevlヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾RNAガイデッドヌクレアーゼストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9とを含むキメラヌクレアーゼ。
  61. 前記ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9ヌクレアーゼが、変異D1135E、R1335Q及びT1337Rを含むEQRストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9変異体である、請求項60に記載のキメラヌクレアーゼ。
  62. 変異D1135E、R1335Q及びT1337Rを含む前記EQRストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9変異体が、Glu10変異も含有する(配列番号19)、請求項61に記載のキメラヌクレアーゼ。
  63. Glu10変異を含有する前記EQRストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9変異体が、標的DNAの一方の鎖上で糖-リン酸骨格を切断する変異をさらに含有する、請求項62に記載のキメラヌクレアーゼ。
  64. 前記EQRストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)Cas9変異体が、Ala840変異を含有する、請求項63に記載のキメラヌクレアーゼ。
  65. 修飾I-Tevlヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾ヌクレアーゼ又はDNA標的化ドメインとを含むキメラヌクレアーゼ。
  66. 前記修飾ヌクレアーゼ又はDNA標的化ドメインが、メガヌクレアーゼ、ジンク-フィンガーヌクレアーゼ、CRISPRタンパク質及びDNA結合ドメインからなる群から選択される、請求項65に記載のキメラヌクレアーゼ
  67. 前記メガヌクレアーゼが、LAGLIDADG、His-Cys Box、H-N-H、PD-(D/E)xK及びVsr様メガヌクレアーゼからなる群から選択される、請求項66に記載のキメラヌクレアーゼ。
  68. 前記CRISPRタンパク質が、scCas9、fnCas9、cjCas9、Cpf1、Cas12a、Cas13a及びCas3からなる群から選択される、請求項66に記載のキメラヌクレアーゼ。
  69. 前記DNA結合ドメインが、ジンク-フィンガーモチーフ及びTALE活性化因子ドメインからなる群から選択される、請求項66に記載のキメラヌクレアーゼ。
  70. 修飾I-Tevlヌクレアーゼドメインと、リンカーと、修飾RNAガイデッドヌクレアーゼスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylacoccus aureus)Cas9と、ガイドRNAとを含むキメラヌクレアーゼであって前記ガイドRNAが、遺伝子多型を標的とする配列、前記CFTR又はEGFR遺伝子における異なる配列、ヌクレアーゼを再標的化する配列、架橋核酸及び/又はガイドRNAの混合物を含有する、キメラヌクレアーゼ。
  71. 前記脂質ナノ粒子が、陽イオン性及び/又は中性脂質を含有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な処方物。
  72. DNA-結合化合物をさらに含む、請求項4に記載の薬学的に許容可能な処方物。
  73. 前記DNA-結合化合物が、GL67(N-コレステリル-スペルミン)である、請求項72に記載の薬学的に許容可能な処方物。
  74. ポリペプチド、核酸又は糖を標的化することをさらに含む、請求項4に記載の薬学的に許容可能な処方物。
  75. 前記選択DNA分子が、1つの標的部位で切断されかつ第2の標的部位で糖-リン酸骨格を切断する、請求項14に記載の方法。
  76. 前記哺乳動物細胞が、体細胞である、請求項13に記載の方法。
  77. 前記脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール5000)-1,2ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の薬学的に許容可能な処方物。
  78. Metのない修飾I-Tevlヌクレアーゼドメインから構成される、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼ。
  79. 前記キメラヌクレアーゼが、前記CFTRデルタF508変異の何れかの側の10~20ヌクレオチドを標的とし切断する、請求項29に記載の方法。
  80. 前記処方物が、前記CFTR遺伝子を標的として前記CFTRデルタF508変異の下流の10~20ヌクレオチドを切断する、請求項45に記載の処方物。
  81. 請求項3に記載のキメラヌクレアーゼにより標的化され及び/又は切断される部位に隣接する相同領域を含む直鎖状2本鎖DNAを含む直鎖状1本鎖のDNAを含む修飾ドナーDNA分子。
  82. 請求項3に記載のキメラヌクレアーゼにより切断されるものに対する相補的DNA末端を含む同じ長さの2本鎖DNAを含む修飾ドナーDNA分子。
  83. 請求項3に記載のキメラヌクレアーゼにより標的化され及び/又は切断される部位に隣接する相同領域を含む環状2本鎖DNAを含む修飾ドナーDNA分子。
  84. I-TevI標的部位及びCas9標的部位を含む環状2本鎖DNAを含む修飾ドナーDNA分子であって、前記2本鎖DNAから切断された生成物が、請求項3に記載のキメラヌクレアーゼにより切断される末端に対する相補的末端を含有する、修飾ドナーDNA分子。
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