JP2022533151A - キナゾリノン化合物、結晶形及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、PI3Kα阻害剤としての式(I)で表される化合物の結晶形及びその製造方法に関し、固形腫瘍を治療する医薬の製造における使用に関する。【化1】JPEG2022533151000031.jpg45169
Description
本出願は出願日が2019年5月13日である中国特許出願CN201910394653.5、出願日が2019年5月21である中国特許出願CN201910423711.2の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
本発明は、PI3Kα阻害剤としての化合物、結晶形及びその製造方法に関し、さらに、固形腫瘍を治療するための医薬の製造における使用に関する。
ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ(phosphatidylinositol-3-kinase、PI3K)は、調節サブユニットp85あるいはp101及び触媒サブユニットp110(又は4つのサブタイプp110α、p110β、p110δ、p110γに分けられる)から構成される脂質キナーゼで、ホスファチジルイノシトール4,5-ビスホスフェート(phosphatidylinositol4,5-bisphosphate、PIP2)のイノシトール環の3’-OHのホスファチジルイノシトール3,4,5-トリホスフェート(phosphatidylinositol3,4,5-trisphosphate、PIP3)へのリン酸化を触媒し、下流のAktなどを活性化し、細胞増殖、生存及び代謝などに重要な役割を果たしている。腫瘍細胞の中では、PI3Kが過剰発現し、腫瘍細胞の急速な増殖と成長を引き起こす。
腫瘍抑制遺伝子PTEN(Phosphatase and TENsin homolog deleted on chromosome 10)がPIP3を脱リン酸化してPIP2を生成することで、PI3Kシグナル伝達経路が負のフィードバックの調節され、細胞増殖を阻害し、アポトーシスを促進する。PI3K遺伝子の突然変異や増幅が癌では頻繁に起こることであり、また癌におけるPTEN遺伝子の欠失などもPI3Kの過剰発現が腫瘍形成と密接に関連していることを示している。
Zhang hao(Bioorganic Medicinal Chemistry、2015(23):7765~7776.)らは、化合物A2及びA10(比較例R011及びR012)などが、PI3Kに対して良好な阻害効果を有することを発見した。ノバルティス社が開発したPI3Kαの選択的阻害剤であるBYL-719(WO2010/029082)は現在予備登録中の段階であり、世界で同様な種類の標的阻害剤で最も高い研究状態を有する化合物である。
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.8±0.20°、12.6±0.20°、17.3±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物の結晶形Aを提供する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.8±0.2°、5.7±0.2°、6.3±0.2°、11.5±0.2°、12.6±0.2°、13.5±0.2°、17.3±0.2°、21.5±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.8±0.2°、5.7±0.2°、6.3±0.2°、10.1±0.2°、11.5±0.2°、12.6±0.2°、13.5±0.2°、15.8±0.2°、17.3±0.2°、19.2±0.2°、21.5±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形AのXRPDスペクトルが図1に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形AのXRPDスペクトル解析データは表1に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aの示差走査熱量曲線は195.5±3.0℃において吸熱ピークの開始点を有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形AのDSCスペクトルは図2に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Aの熱重量分析曲線は151.6±3.0℃の際に重量が0.16%減少する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形のTGAスペクトルは図3に示された通りである。
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.0±0.2°、9.9±0.2°、12.3±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物の結晶形Bを提供する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Bは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.0±0.2°、9.9±0.2°、12.3±0.2°、14.9±0.2°、20.2±0.2°、24.4±0.2°、27.1±0.2°、30.1±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形BのXRPDスペクトルが図5に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形BのXRPDスペクトル解析データは表2に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Bの示差走査熱量曲線は178.7±3.0℃において吸熱ピークの開始点を有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形BのDSCスペクトルは図6に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Bの熱重量分析曲線は63.4±3.0℃の際に重量が1.03%減少する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形BのTGAスペクトルは図7に示された通りである。
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.9±0.2°、5.8±0.2°、6.8±0.2°、8.4±0.2°、12.4±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物の結晶形Cを提供する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Cは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.9±0.2°、5.8±0.2°、6.8±0.2°、8.4±0.2°、10.8±0.2°、11.7±0.2°、12.4±0.2°、14.3±0.2°、17.0±0.2°、17.7±0.2°、18.7±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形CのXRPDスペクトルは図8に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形CのXRPDスペクトル解析データは表3に示された通りである。
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.1±0.2°、7.8±0.2°、11.8±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物の結晶形Dを提供する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形Dは、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.1±0.2°、6.5±0.2°、7.8±0.2°、11.8±0.2°、15.4±0.2°、16.5±0.2°、17.4±0.2°、23.8±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形DのXRPDスペクトルが図9に示された通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記結晶形DのXRPDスペクトル解析データは表4に示された通りである。
本発明は、式(I)で表される化合物の結晶形Aの製造方法を提供し、それは以下の方法を含み:
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加し、懸濁液又は溶液とする;
(2)前記懸濁液又は溶液を恒温ミキサーに入れ、振とうした後、遠心分離し、乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得る。
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加し、懸濁液又は溶液とする;
(2)前記懸濁液又は溶液を恒温ミキサーに入れ、振とうした後、遠心分離し、乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得る。
本発明の幾つかの実施の態様において、上記製造方法で、前記溶媒はアルコール溶媒及びエステル溶媒から選択される。
本発明の幾つかの実施の態様において、上記の製造方法で、前記溶媒は、エタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、イソプロパノール、ギ酸エチル及び酢酸エチルから選択される。
本発明は、式(I)で表される化合物の結晶形Bの製造方法を提供し、それは以下の方法を含み:
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加し、懸濁液又は溶液とする;
(2)前記懸濁液又は溶液を恒温ミキサーに入れ、振とうした後、遠心分離し、乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Bを得る。
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加し、懸濁液又は溶液とする;
(2)前記懸濁液又は溶液を恒温ミキサーに入れ、振とうした後、遠心分離し、乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Bを得る。
本発明は、式(I)で表される化合物の結晶形Aの製造方法を提供し、それは以下の方法を含み:
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加し、加熱して溶解させ;
(2)前記溶液を固体が析出するまで冷却させ、撹拌し、濾過して、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得る。
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加し、加熱して溶解させ;
(2)前記溶液を固体が析出するまで冷却させ、撹拌し、濾過して、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得る。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記製造方法で、前記溶媒は、メタノール-水、エタノール-水及びアセトン-水から選択される。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記製造方法で、前記溶媒は、メタノール-水(2:1)、エタノール-水(2:1)、アセトン-水(2:1)、エタノール-水(1:3)から選択される。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記製造方法で、攪拌温度は25℃~60℃である。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記製造方法で、攪拌時間は12時間~24時間である。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記製造方法で、化合物と溶媒の重量-体積比率は1g:7~10mlである。
本発明は、さらにPI3Kα阻害剤関連疾患を治療するための医薬の製造における前記結晶形の使用を提供する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記使用は、PI3Kα阻害剤関連医薬は腫瘍に用いられる医薬であることを特徴とする。
本発明は、さらに前記の結晶形及び薬学的に許容される助剤を含む医薬組成物を提供する。前記結晶形は、治療上有効な量であり得る。
本発明は、さらにPI3K阻害剤の製造における前記結晶形又は医薬組成物の使用を提供する。前記PI3K阻害剤は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγのうちの1つ又は複数、好ましくはPI3Kα阻害剤であり得る。
本発明は、さらに医薬の製造における前記結晶形又は医薬組成物の使用を提供する。前記医薬は、腫瘍又はPI3K関連疾患を治療するために使用される。前記PI3K関連疾患は腫瘍であり得る。前記PI3Kは、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγのうちの1つ又は複数であり、好ましくはPI3Kαであり得る。
本発明は、さらに治療有効量の前記結晶形又は前記医薬組成物を患者に投与することを含む、腫瘍又はPI3K関連疾患の治療方法を提供する。前記PI3K関連疾患は腫瘍であり得る。前記PI3Kは、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγのうちの1つ又は複数であり、好ましくはPI3Kαであり得る。
本発明において、前記腫瘍は、乳癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、肺癌、子宮頸部癌、神経内分泌前立腺癌、子宮内膜癌、膀胱癌及び結腸直腸癌のうちの1つ又は複数であり、好ましくは、乳癌及び/又は卵巣癌であり得る。
〔定義と説明〕
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の連語又は用語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の連語又は用語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
本発明の中間体化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
本発明の具体的な実施形態の化学反応は適切な溶媒で完了され、前記の溶媒は本発明の化学変化及びそれに必要な試薬と材料に適するべきである。本発明の化合物を得るため、当業者が既存の実施形態に基づいて合成工程又は反応スキームを変更又は選択することが必要であることもある。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の何らの制限にもならない。
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品で、さらに精製せずにそのままで使用してもよい。
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品から得ることができる。発明は下記略語を使用する:DCMはジクロロメタンを表し;DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し;DMSOはジメチルスルホキシドを表し;EtOHはエタノールを表し;MeOHはメタノールを表し;TFAはトリエチルアミンを表し;ATPはアデノシン三リン酸を表し;HEPESは4-ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸を表し;MgCl2は塩化マグネシウムを表す。
本発明の化合物の結晶形は、良好な安定性を有し、薬になりやすい;本発明の化合物は、PI3Kキナーゼの活性を十分に阻害することができ、同時に、PI3Kβ/γ/δに対して比較的に高いサブタイプ選択性を有する;細胞内でも十分にPI3Kの下流のAktのリン酸化レベルを阻害することができ、細胞レベルで高いサブタイプ選択性を示した。本発明の化合物は、体内での腫瘍増殖に対して顕著に阻害する効果を有し、また、PI3Kの下流のAktのリン酸化レベルに対して有意な時間依存性及び用量依存性の阻害効果を示した。本発明の化合物は、hERG及びCYP酵素に対して明らかな阻害効果がなく、またヒト、ラット、マウス、イヌ及びサルの肝細胞において代謝が安定的である。
〔1.1粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、 XRPD)〕
計器モデル:Bruker D8 advance X-線回折計
測定方法:約10~20mgの試料をXRPDの検出に用いる。
計器モデル:Bruker D8 advance X-線回折計
測定方法:約10~20mgの試料をXRPDの検出に用いる。
詳細なXRPDパラメータは以下通りである:
X線発生機:Cu、kα、(λ=1.54056Å)。
X線発生機:Cu、kα、(λ=1.54056Å)。
管電圧:40kV、管電流:40mA。
発散スリット:0.60mm
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲(2θ角):4~40deg.
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.1秒
サンプルパン回転数:15rpm
〔1.2差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)〕
計器モデル:DSC Q2000示差走査熱量計
測定方法:試料(0.5~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に取って測定を行い、50mL/min N2の条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から300℃まで加熱する。
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲(2θ角):4~40deg.
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.1秒
サンプルパン回転数:15rpm
〔1.2差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)〕
計器モデル:DSC Q2000示差走査熱量計
測定方法:試料(0.5~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に取って測定を行い、50mL/min N2の条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から300℃まで加熱する。
〔1.3熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)〕
計器モデル:TA Q5000 IR熱重量分析計
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に取って測定を行い、25mL/min N2の条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から350℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
計器モデル:TA Q5000 IR熱重量分析計
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に取って測定を行い、25mL/min N2の条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から350℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
〔1.4本発明に係る動的蒸気吸着分析(Dynamic Vapor Sorption、DVS)法〕
計器モデル:SMS DVS Advantage動的蒸気収着装置
測定条件:試料(10~20mg)をDVS試料パンで測定を行う。
計器モデル:SMS DVS Advantage動的蒸気収着装置
測定条件:試料(10~20mg)をDVS試料パンで測定を行う。
詳細なDVSパラメータは以下通りである:
温度:25℃
バランス:dm/dt=0.01%/分(最短:10分、最長:180分)
乾燥:0%RHで120分間乾燥する
RH(%)テストステップ:10%
RH(%)テストステップ範囲:0%~90%~0%
吸湿性評価の分類は以下の通りである:
温度:25℃
バランス:dm/dt=0.01%/分(最短:10分、最長:180分)
乾燥:0%RHで120分間乾燥する
RH(%)テストステップ:10%
RH(%)テストステップ範囲:0%~90%~0%
吸湿性評価の分類は以下の通りである:
〔1.5高速液体クロマトグラフィー分析法〕
サンプル濃度:0.5mg/mL
固体安定性試験のHPLC法のクロマトグラフィー条件は以下の表5を参照:
サンプル濃度:0.5mg/mL
固体安定性試験のHPLC法のクロマトグラフィー条件は以下の表5を参照:
本発明の内容がよりよく分かるように、以下に具体的な実施の形態を参照しながらさらに説明するが、具体的な実施の態様は本発明の内容を制限するものではない。
〔実施例1:式(I)で表される化合物の製造〕
工程1:化合物1-2の合成。
DMF(100mL)に化合物1-1(20.00g、176.82mmol、18.87mL)、ヨウ化メチル(37.65g、265.23mmol、16.51mL)、炭酸カリウム(48.88g、353.64mmol)を添加し、反応系を25℃で48時間撹拌した。反応完了後、溶媒を減圧除去し、水(200mL)を添加して希釈し、ジクロロメタン(200mL)で抽出し、有機層を減圧濃縮し、残留物をクロマトグラフィーカラムで分離して(酢酸エチル:石油エーテル=0%~15%)、化合物1-2を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.23-4.34(m,2H),3.56(q,J=7.4Hz,1H),1.61(dd,J=7.5,1.5Hz,3H),1.31-1.37(m,3H)。
工程2:化合物1-3の合成。
化合物1-2(2.30g、18.09mmol)をエタノール(20.00mL)に溶解し、窒素気流でラネーニッケル(1.55g、18.09mmol)を添加し、反応系を50Paの水素ガス圧力下で25℃で24時間撹拌した。反応完了後、反応系を濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をクロマトグラフィーカラムで分離して(メタノール:ジクロロメタン=0~6%)、化合物1-3を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:4.01-4.09(m,2H),2.72(dd,J=12.5,7.0Hz,1H),2.55-2.62(m,1H),2.35-2.45(m,1H),1.18(t,J=7.3Hz,3H),1.04 (d,J=7.0Hz,3H)。
工程3:化合物1-5の合成。
ジクロロメタン(120mL)に化合物1-4(1.20g、5.55mmol)、化合物1-3(800mg、6.11mmol)、EDCI(1.09g、5.66mmol)、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(722mg、6.49mmol)、トリエチルアミン(2.25g、22.20mmol、3.08mL)を添加し、反応系を50℃で16時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を水(200mL)で希釈し、ジクロロメタン(200mL)で抽出し、有機層を減圧濃縮し、残留物をクロマトグラフィーカラムで分離して(メタノール:ジクロロメタン=0%~2%)、化合物1-5を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:8.46(t,J=5.6Hz,1H),7.61(d,J=2.3Hz,1H),7.26(dd,J=8.8,2.3Hz,1H),6.67(d,J=8.8Hz,1H),6.52(brs,2H),4.06(q,J=7.1Hz,2H),3.37-3.45(m,1H),3.21-3.29(m,1H),2.67-2.80(m,1H),1.17(t,J=7.2Hz,3H),1.08(d,J=7.0Hz,3H)。
工程4:化合物1-6の合成
ギ酸(24.40g、530.09mmol、20.00mL)に化合物1-5(1.00g、2.86mmol、)を添加し、反応系を100℃で16時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧濃縮し、残留物をクロマトグラフィーカラムで分離して(酢酸エチル:石油エーテル=0%~40%)、化合物1-6を得た。MS-ESIm/z:340.8[M+H]+。
ギ酸(24.40g、530.09mmol、20.00mL)に化合物1-5(1.00g、2.86mmol、)を添加し、反応系を100℃で16時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を減圧濃縮し、残留物をクロマトグラフィーカラムで分離して(酢酸エチル:石油エーテル=0%~40%)、化合物1-6を得た。MS-ESIm/z:340.8[M+H]+。
工程5:化合物1-8の合成
化合物1-6(2g、5.90mmol)をジオキサン(20mL)と水(4mL)に溶解し、それに化合物1-7(1.77g、7.08mmol)、Pd(dppf)Cl2(963.06mg、1.18mmol)及び酢酸カリウム(2.31g、23.59mmol)を添加し、反応溶液を窒素ガスの保護条件下で、100℃で3時間撹拌した。反応完了後、反応溶液をスピン乾燥させた。得られた残留物をクロマトグラフィーカラムで分離し(溶離液:メタノール/ジクロロメタン=5~10%)、目的化合物1-8を得た。MS-ESIm/z:383.1[M+H]+。
化合物1-6(2g、5.90mmol)をジオキサン(20mL)と水(4mL)に溶解し、それに化合物1-7(1.77g、7.08mmol)、Pd(dppf)Cl2(963.06mg、1.18mmol)及び酢酸カリウム(2.31g、23.59mmol)を添加し、反応溶液を窒素ガスの保護条件下で、100℃で3時間撹拌した。反応完了後、反応溶液をスピン乾燥させた。得られた残留物をクロマトグラフィーカラムで分離し(溶離液:メタノール/ジクロロメタン=5~10%)、目的化合物1-8を得た。MS-ESIm/z:383.1[M+H]+。
工程6:化合物1-9の合成
化合物1-8(2.3g、6.01mmol)をメチルアミンエタノール溶液(2M、50mL)に溶解し、反応液を80℃で10時間撹拌した。反応完了後、反応溶液をスピン乾燥させ、目的化合物1-9を得た。MS-ESIm/z:368.1[M+H]+。
化合物1-8(2.3g、6.01mmol)をメチルアミンエタノール溶液(2M、50mL)に溶解し、反応液を80℃で10時間撹拌した。反応完了後、反応溶液をスピン乾燥させ、目的化合物1-9を得た。MS-ESIm/z:368.1[M+H]+。
工程7:化合物1-11の合成
化合物1-9(0.3g、816.55μmol)をピリジン(5mL)に溶解し、それに化合物1-10(157.82mg、742.32μmol、99.88μL)を添加し、反応溶液を25℃の条件で10時間撹拌した。反応完了後、反応溶液をスピン乾燥させた。HPLC分離を製造することにより分離(TFA)を行い、目的化合物1-11を得た。MS-ESIm/z:544.1[M+H]+。
化合物1-9(0.3g、816.55μmol)をピリジン(5mL)に溶解し、それに化合物1-10(157.82mg、742.32μmol、99.88μL)を添加し、反応溶液を25℃の条件で10時間撹拌した。反応完了後、反応溶液をスピン乾燥させた。HPLC分離を製造することにより分離(TFA)を行い、目的化合物1-11を得た。MS-ESIm/z:544.1[M+H]+。
工程8:式(I)で表される化合物の合成
化合物1-11は、超臨界流体クロマトグラフィー(分離条件:カラム:AD(250mm*30mm、10μm);移動相:[0.1%のNH3H2O EtOH];B(アセトニトリル)%:55%~55%)で分離し、式(I)で表される化合物を得た(維持時間0.711分)、1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.22-8.36(m,2H),8.18(s,1H),8.06(dd,J=8.4,2.1Hz,1H),7.82-7.93(m,2H),7.72-7.81(m,2H),7.50(br t,J=9.2Hz,1H),7.16-7.22(m,1H),4.03-4.17(m,1H),3.87-4.02(m,1H),3.70(s,3H),2.87(dq,J=14.5,7.1Hz,1H),2.48(brs,3H),1.08(d,J=7.0Hz,3H)。MS-ESIm/z:544.1[M+H]+。
化合物1-11は、超臨界流体クロマトグラフィー(分離条件:カラム:AD(250mm*30mm、10μm);移動相:[0.1%のNH3H2O EtOH];B(アセトニトリル)%:55%~55%)で分離し、式(I)で表される化合物を得た(維持時間0.711分)、1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.22-8.36(m,2H),8.18(s,1H),8.06(dd,J=8.4,2.1Hz,1H),7.82-7.93(m,2H),7.72-7.81(m,2H),7.50(br t,J=9.2Hz,1H),7.16-7.22(m,1H),4.03-4.17(m,1H),3.87-4.02(m,1H),3.70(s,3H),2.87(dq,J=14.5,7.1Hz,1H),2.48(brs,3H),1.08(d,J=7.0Hz,3H)。MS-ESIm/z:544.1[M+H]+。
〔実施例2:〕
〔式(I)で表される化合物の結晶形A、B、CとDの製造〕
約50mgの式(I)で表される化合物をサンプルバイアルに量り取り、下記表における所定量の溶媒を添加し、異なる単一溶媒及び混合溶媒の懸濁液又は溶液を製造した。
〔式(I)で表される化合物の結晶形A、B、CとDの製造〕
約50mgの式(I)で表される化合物をサンプルバイアルに量り取り、下記表における所定量の溶媒を添加し、異なる単一溶媒及び混合溶媒の懸濁液又は溶液を製造した。
懸濁液を40℃で3日間連続的に振とうした後、遠心分離し、残留した固体を真空乾燥オーブンでに入れ、40℃の条件で一晩真空乾燥させ残留溶媒を除去し、式(I)で表される化合物のそれぞれの結晶形を得た。
溶液を室温に置いて揮発させ、また30℃の条件で1日真空乾燥させて残留溶媒を除去し、式(I)で表される化合物のそれぞれの結晶形を得た。
実験結果は表6に示した通りである。
〔式(I)で表される化合物の結晶形Aの製造〕
酢酸エチル(7000mL)を含む式(I)で表される化合物の粗生成物1kgを反応ケトルに移し、60℃に加熱し、完全に溶解するまで撹拌し、さらに多量の固体が析出するまで溶液を40℃に冷却させた後、持続的に40℃の温度で一晩撹拌し、濾過して、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得た。
酢酸エチル(7000mL)を含む式(I)で表される化合物の粗生成物1kgを反応ケトルに移し、60℃に加熱し、完全に溶解するまで撹拌し、さらに多量の固体が析出するまで溶液を40℃に冷却させた後、持続的に40℃の温度で一晩撹拌し、濾過して、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得た。
〔実施例3:式(I)で表される化合物の結晶形Aの固体安定性試験〕
『原薬と製剤の安定性試験の指導原則』(中国薬典2015版四部通則9001)に基づき、式(I)で表される化合物の結晶形Aの安定性を調査した。
『原薬と製剤の安定性試験の指導原則』(中国薬典2015版四部通則9001)に基づき、式(I)で表される化合物の結晶形Aの安定性を調査した。
乾燥した清潔なガラス瓶に、5mgの式(I)で表される化合物の結晶形Aを秤量し、一式二部にし、薄く広げ、正式のサンプルとし、影響因子試験条件(60℃、92.5%相対湿度)及び加速条件(30℃/65%相対湿度、40℃/75%相対湿度及び60℃/75%相対湿度)で、サンプルを完全に露出させ、アルミニウムホイルで覆い、小さな穴を開けた。5日、10日、1ヶ月にサンプリングして分析した。光照射(総照度1200000Lux・hr、近紫外線200w・hr/m2)の条件に置いたサンプルは室温で完全に暴露されるようにした。実験結果は表7に示した通りである:
結論:式(I)で表される化合物の結晶形Aは良好な安定性を有する。
〔実施例4:式(I)で表される化合物の結晶形Aの吸湿性研究〕
実験材料:
SMS DVS Advantage動的蒸気吸着装置
実験方法:
式(I)で表される化合物の結晶形AをDVS試料パンに20mgを取り、測定した。
実験材料:
SMS DVS Advantage動的蒸気吸着装置
実験方法:
式(I)で表される化合物の結晶形AをDVS試料パンに20mgを取り、測定した。
実験結果:
式(I)で表される化合物の結晶形AのDVSスペクトルは図4に示された通り、△W=0.885%であった。
式(I)で表される化合物の結晶形AのDVSスペクトルは図4に示された通り、△W=0.885%であった。
実験結論:
式(I)で表される化合物の結晶形Aが25℃及び80%RHでの吸湿重量増加は0.885%であり、やや吸湿性があった。
式(I)で表される化合物の結晶形Aが25℃及び80%RHでの吸湿重量増加は0.885%であり、やや吸湿性があった。
〔実施例5:式(I)で表される化合物の結晶形Bの吸湿性研究〕
実験材料:
SMS DVS Advantage動的蒸気吸着装置
実験方法:
式(I)で表される化合物の結晶形BをDVS試料パンに20mgを取り、測定した。
実験材料:
SMS DVS Advantage動的蒸気吸着装置
実験方法:
式(I)で表される化合物の結晶形BをDVS試料パンに20mgを取り、測定した。
実験結果:
式(I)で表される化合物の結晶形BのDVSスペクトルは図11に示された通り、△W=2.332%であった。
式(I)で表される化合物の結晶形BのDVSスペクトルは図11に示された通り、△W=2.332%であった。
実験結論:
式(I)で表される化合物の結晶形Bが25℃及び80%RHでの吸湿重量増加は2.332%であり、吸湿性があった。
式(I)で表される化合物の結晶形Bが25℃及び80%RHでの吸湿重量増加は2.332%であり、吸湿性があった。
〔実験例1.式(I)で表される化合物の結晶形AのPI3Kα/β/γ/δキナーゼ及び細胞体外活性及び選択性に対する研究〕
式(I)で表される化合物の結晶形Aは、野生型及び突然変異型PI3Kαキナーゼ両方に対して比較的に強い阻害効果を有した。式(I)で表される化合物の結晶形Aは野生型PI3Kα及び突然変異型PI3Kα(E545K)、PI3Kα(H1047R)に対する阻害作用のIC50はそれぞれ1.80、1.13及び0.69nMであった。式(I)で表される化合物の結晶形Aは、PI3Kの他の3つのサブタイプに対して優れた選択性を有し、PI3Kαに対する阻害活性は、それぞれPI3Kβ/δ/γの149/7.44/6.61倍であった。具体的な実験方法は、実験例8と同様である。同様な測定条件下で、式(I)で表される化合物の結晶形Aは、それぞれPI3Kβ/δ/γの高発現特異的細胞株MDA-MB-468/Jeko-1/RAW264.7のAktリン酸化阻害活性に対して優れた選択性を示し、PI3Kαに対する阻害活性はそれぞれPI3Kβ/δ/γの195/23.0/>694倍であり、具体的には表8、表9に示した通りである。具体的な実験方法は、実験例9と同様である。
式(I)で表される化合物の結晶形Aは、野生型及び突然変異型PI3Kαキナーゼ両方に対して比較的に強い阻害効果を有した。式(I)で表される化合物の結晶形Aは野生型PI3Kα及び突然変異型PI3Kα(E545K)、PI3Kα(H1047R)に対する阻害作用のIC50はそれぞれ1.80、1.13及び0.69nMであった。式(I)で表される化合物の結晶形Aは、PI3Kの他の3つのサブタイプに対して優れた選択性を有し、PI3Kαに対する阻害活性は、それぞれPI3Kβ/δ/γの149/7.44/6.61倍であった。具体的な実験方法は、実験例8と同様である。同様な測定条件下で、式(I)で表される化合物の結晶形Aは、それぞれPI3Kβ/δ/γの高発現特異的細胞株MDA-MB-468/Jeko-1/RAW264.7のAktリン酸化阻害活性に対して優れた選択性を示し、PI3Kαに対する阻害活性はそれぞれPI3Kβ/δ/γの195/23.0/>694倍であり、具体的には表8、表9に示した通りである。具体的な実験方法は、実験例9と同様である。
〔実験例2.HR+/HER2+のBT-474(PIK3CA増幅)ヌードマウスヒト乳癌皮下異種移植腫瘍モデルにおける式(I)で表される化合物の結晶形Aの生体内薬効研究〕
ヒトBT-474乳癌細胞の表現型はHR+/HER2+であり、また、独自にPIK3CA増幅を持っている。本実験では、ヒト乳癌異種移植腫モデルにおける式(I)で表される化合物の結晶形Aの薬効を評価し、BYL-719を参考にした。
ヒトBT-474乳癌細胞の表現型はHR+/HER2+であり、また、独自にPIK3CA増幅を持っている。本実験では、ヒト乳癌異種移植腫モデルにおける式(I)で表される化合物の結晶形Aの薬効を評価し、BYL-719を参考にした。
細胞培養:ヒト乳癌BT474細胞体外単層培養し、培養条件はHybri-Care培地に10%のウシ胎児血清を添加し、37℃5%CO2のインキュベーターで培養した。週に2回、トリプシン-EDTAを使用して通常のな消化処理をし、継代培養した。細胞の飽和度が80%~90%であり、細胞の数が要求に達する場合、細胞を収集してカウントし接種した。
動物:BALB/cヌードマウス、雌、6~8週齢、体重18~20g。計85匹が必要であり、Shanghai-Bk Lab Animal Co.,Ltd.から提供された。
腫瘍接種:各マウスの左背部にエストロゲン錠(0.36mg/錠)を皮下接種し、3日後、BT474細胞0.2mL(10×106細胞)(マトリゲルを添加、体積比1:1)を各マウスの右背部に皮下接種し、平均腫瘍体積が150mm3~200mm3に達した時点で群を分け投与した。
1日1回、20日間経口投与した後、BYL-719(40mg/kg)、式(I)で表される化合物の結晶形A(40mg/kg)群は溶媒対照群と比較して統計学的に有意な差があり(p値はそれぞれ0.003、0.001である)、そのT/Cは(相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群の相対腫瘍体積平均;CRTV:陰性対照群の相対腫瘍体積平均))それぞれ29.39%及び21.16%であり、TGI(腫瘍増殖阻害率、TGI(%)=[1-(特定の処理群の投与終了時の平均腫瘍体積-処理群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%)は、それぞれ95.31%と105.65%であった。式(I)で現れる化合物の結晶形A(10mg/kg)及び式(I)で表される化合物の結晶形A(20mg/kg)群は溶媒対照群と比べ、統計的に有意な差があり(p値はそれぞれ0.034、0.007である)、そのT/Cの合計はそれぞれ50.18%、37.92%であり、TGIはそれぞれ65.34%、80.21%であった。各投与群の担癌マウスは、試験化合物に対して良好な耐性を示した。BYL-719(40mg/kg)及び式(I)で表される化合物の結晶形A(40mg/kg)群は、両群とも有意な抗腫瘍効果があり、式(I)で表される化合物の結晶形A(10mg/kg)及び式(I)で表される化合物の結晶形A(20mg/kg)は強力な抗腫瘍効果があった。式(I)で表される化合物の結晶形Aの抗腫瘍効果は、本実験で設定された用量において一定の用量依存性を示し、有効用量は10mg/kgであった。具体的な結果は表10に示した通りである。
投与最終日に動物の血漿及び腫瘍組織をPK検査した結果、投与量が増加するにつれ、式(I)で表される化合物の結晶形Aの血漿曝露量が線形増加することを示した。投与後0.5~1時間で血中濃度がピークに達した。有効量における血漿曝露量は69300nM*hである。
〔実験例3.HR+/HER2-のT47D(PIK3CA H1047R突然変異)ヌードマウスヒト乳癌皮下異種移植腫瘍モデルにおける式(I)で表される化合物の結晶形Aの生体内薬効研究〕
ヒトT47D乳癌細胞の表現型はHR+/HER2-であり、また、独自にPIK3CA H1047R突然変異を持っている。本実験では、ヒト乳癌異種移植腫モデルにおける式(I)で表される化合物の結晶形Aの薬効を評価した。
ヒトT47D乳癌細胞の表現型はHR+/HER2-であり、また、独自にPIK3CA H1047R突然変異を持っている。本実験では、ヒト乳癌異種移植腫モデルにおける式(I)で表される化合物の結晶形Aの薬効を評価した。
細胞培養:ヒト乳癌T47D細胞体外単層培養し、培養条件はRPMI-1640培地に0.2U/mL牛インスリン及び10%のウシ胎児血清を添加し、37℃5%CO2のインキュベーターで培養した。週に2回、トリプシン-EDTAを使用して通常のな消化処理をし、継代培養した。細胞の飽和度が80%~90%であり、細胞の数が要求に達する場合、細胞を収集してカウントし接種した。
動物:BALB/cヌードマウス、雌、6~8週齢、体重18~20g。計75匹が必要であり、Shanghai-Bk Lab Animal Co.、Ltd.又は、その他の資格のあるサプライヤーから提供された。
腫瘍接種:各マウスの左背部にエストロゲン錠(0.18mg/錠)を皮下接種し、3日後、0.2mL(10×106細胞)のT47D細胞(マトリゲルを添加、体積比1:1)を各マウスの右背部に皮下接種し、平均腫瘍体積が150mm3~200mm3に達した時点で群を分け投与した。
1日1回、42日間経口投与した後、式(I)で表される化合物の結晶形A(40mg/kg)群は溶媒対照群と比較して統計学的に有意な差があり(p値は<0.001)、T/Cは37.91%、TGIは84.71%であった。式(I)で表される化合物の結晶形A(10mg/kg)及び式(I)で表される化合物の結晶形A(20mg/kg)群は溶媒対照群と比べ、統計的に有意な差があり(p値はそれぞれ0.005、0.002である)、そのT/Cはそれぞれ50.40%、44.70%、TGIはそれぞれ67.58%、72.56%であった。各投与群の担癌マウスは、試験化合物に対して良好な耐性を示した。式(I)で表される化合物の結晶形A(40mg/kg)組は有意な抗腫瘍効果があり、式(I)で表される化合物の結晶形A(10mg/kg)及び式(I)で表される化合物の結晶形A(20mg/kg)は強力な抗腫瘍効果があった。式(I)で表される化合物の結晶形Aの抗腫瘍効果は、本実験で設定された用量において一定の用量依存性を示し、有効用量は10mg/kgであった。具体的な結果は表11に示した通りである。
〔実験例4.SKOV-3(PIK3CA H1047R突然変異)ヌードマウスヒト卵巣癌皮下異種移植腫瘍モデルにおける式(I)で表される化合物の結晶形Aの生体内薬効研究〕
ヒトSKOV-3卵巣癌細胞は独自にPIK3CA H1047R突然変異を持っている。本実験では、式(I)で表される化合物の結晶形Aがヒト卵巣癌異種移植腫瘍モデルにおける薬効を評価した。
ヒトSKOV-3卵巣癌細胞は独自にPIK3CA H1047R突然変異を持っている。本実験では、式(I)で表される化合物の結晶形Aがヒト卵巣癌異種移植腫瘍モデルにおける薬効を評価した。
細胞培養:ヒト卵巣癌SKOV-3細胞体外単層培養し、培養条件はRPMI-1640培地に10%のウシ胎児血清を添加し、37℃5%CO2のインキュベーターで培養した。週に2回、トリプシン-EDTAを使用して通常のな消化処理をし、継代培養した。細胞の飽和度が80%~90%であり、細胞の数が要求に達する場合、細胞を収集してカウントし接種した。
動物:BALB/cヌードマウス、雌、6~8週齢、体重18~20g。計67匹が必要であり、Beijing Vital River Laboratory Animal TecH Nology Co.、Ltd.から提供された。
腫瘍接種:各マウスの右背部に0.2mL(10×106細胞)のSKOV-3細胞(マトリゲルを添加、体積比1:1)を皮下接種し、平均腫瘍体積が150mm3~200mm3に達した時点で群を分け投与した。
1日1回、28日間経口投与した後、式(I)で表される化合物の結晶形A(40mg/kg)群は溶媒対照群と比較して統計学的に有意な差があり(p値は<0.001)、T/Cは37.79%、TGIは69.16%であった。式(I)で表される化合物の結晶形A(10mg/kg)及び式(I)で表される化合物の結晶形A(20mg/kg)群は溶媒対照群と比べ、統計的に有意な差があり(p値はそれぞれ0.041、0.005である)、そのT/Cの合計はそれぞれ69.17%、60.61%であり、TGIはそれぞれ30.45%、41.42%であった。各投与群の担癌マウスは、試験化合物に対して良好な耐性を示した。式(I)で表される化合物の結晶形A(40mg/kg)組は有意な抗腫瘍効果があり、式(I)で表される化合物の結晶形A(10mg/kg)及び式(I)で表される化合物の結晶形A(20mg/kg)は強力な抗腫瘍効果があった。式(I)で表される化合物の結晶形Aの抗腫瘍効果は、本実験で設定された用量において一定の用量依存性を示した。具体的な結果は表12に示した通りである。
〔実験例5.式(I)で表される化合物の結晶形AのSprague Dawley(SD)ラット吸収試験。〕
式(I)で表される化合物の結晶形AをSDラットに、それぞれ1回及び複数回胃内経口投与及び1回静脈内注射し、各群に6匹、オスとメスを各半分にした。有効性及び毒性試験の結果に基づき、1回胃内経口投与量はそれぞれ、3、10、30mg/kgとし;複数回投与量は10mg/kg、1日1回、連続7日間とし、1回静脈投与量は1mg/kgとした。薬物の血中濃度-時間曲線に基づいて薬物動態パラメータを計算し、雄ラットの結果は表13に、雌ラットの結果は表14に示された。本実験で使用したSDラットは、BeijingVitonLeval Experimental Animal TecH Nology Co、Ltd.から提供され、近接な体重により4つの群(3/性別/群)に分けた。静脈内投与群溶媒は、5%HP-betaCD/5%Solutol水溶液(pH=8)であり;経口投与群溶媒は、0.5%MC/0.2%Tw80水溶液であった。血漿サンプルは、ラットの頸静脈穿刺により採取した。
式(I)で表される化合物の結晶形AをSDラットに、それぞれ1回及び複数回胃内経口投与及び1回静脈内注射し、各群に6匹、オスとメスを各半分にした。有効性及び毒性試験の結果に基づき、1回胃内経口投与量はそれぞれ、3、10、30mg/kgとし;複数回投与量は10mg/kg、1日1回、連続7日間とし、1回静脈投与量は1mg/kgとした。薬物の血中濃度-時間曲線に基づいて薬物動態パラメータを計算し、雄ラットの結果は表13に、雌ラットの結果は表14に示された。本実験で使用したSDラットは、BeijingVitonLeval Experimental Animal TecH Nology Co、Ltd.から提供され、近接な体重により4つの群(3/性別/群)に分けた。静脈内投与群溶媒は、5%HP-betaCD/5%Solutol水溶液(pH=8)であり;経口投与群溶媒は、0.5%MC/0.2%Tw80水溶液であった。血漿サンプルは、ラットの頸静脈穿刺により採取した。
1mg/kgを1回静脈内注射投与後、式(I)で表される化合物の結晶形AのSD雄性ラット及び雌性ラットにおける血漿クリアランス(CL)は、それぞれ1.79±0.457及び3.12±0.431mL/min/kgであり、定常状態の見かけの分布容積(Vdss)はそれぞれ0.265±0.0500及び0.257±0.0227L/kgであり、消失半減期(t1/2)は3.26±1.13h及び1.63±0.809hであり、システム曝露量(AUC0-last)は17400±4790nM*h及び9890±1410nM*hであった。
雄性SDラットに3mg/kgの式(I)で表される化合物の結晶形Aを1回経口投与した後、バイオアベイラビリティは34.7%であった。雄性SDラットに式(I)で表される化合物の結晶形Aを3、10又は30mg/kgを1回経口投与した後のAUC0-lastは、それぞれ10300±4600、23700±721及び45300±10900nM*hであり、ピークに達する濃度(Cmax)はそれぞれ4770±1010、6800±583及び14500±4730nMであり、ピークに達する時間は、投与後それぞれ0.417±0.144h、0.500±0.000h及び0.667±0.289h後であった。雌性SDラットに3mg/kgの式(I)で表される化合物の結晶形Aを1回経口投与した後、バイオアベイラビリティは53.1%であった。雌性SDラットに式(I)で表される化合物の結晶形Aを3、10又は30mg/kgを1回経口投与した後のAUC0-lastは、それぞれ27700±8720、60900±10900及び177000±48000nM*hであり、ピークに達する濃度(Cmax)はそれぞれ6390±1710、12100±3690及び39100±7310nMであり、ピークに達する時間は、0.500±0.000h、0.667±0.289h及び0.500±0.000hであった。
SDラットに一日一回、毎回10mg/kg、連続7日胃内投与後、雄性ラットは1日目と7日目のCmaxがそれぞれ6800±583及び13900±1610nMであり、AUC0-lastが23700±721及び48500±4640nM*hであった。雌性ラットは1日目と7日目のCmaxがそれぞれ12100±3690及び20500±4600nMであり、AUC0-lastが60900±10900及び86000±19900nM*hであった。
〔実施例6.式(I)で表される化合物の結晶形Aのビーグル犬による吸収試験〕
式(I)で表される化合物の結晶形Aをビーグル犬に、それぞれ1回及び複数回経口投与及び1回静脈内注射し、各群に6匹、オスとメスを各半分にした。1回経口投与量はそれぞれ、0.3、1、3mg/kgとし;複数回投与量は1mg/kg、1日1回、連続7日間とし、1回静脈投与量は0.3mg/kgとした。血漿薬物濃度-時間曲線に基づき薬物動態パラメータを計算し、結果は表15に示された。第1群の医薬を製造する溶媒は、5%HP-beta-C、5%solutol、pH=8水溶液であり、第2、3及び4群の溶媒は、0.5%MC、0.2%Tween80水溶液であった。
式(I)で表される化合物の結晶形Aをビーグル犬に、それぞれ1回及び複数回経口投与及び1回静脈内注射し、各群に6匹、オスとメスを各半分にした。1回経口投与量はそれぞれ、0.3、1、3mg/kgとし;複数回投与量は1mg/kg、1日1回、連続7日間とし、1回静脈投与量は0.3mg/kgとした。血漿薬物濃度-時間曲線に基づき薬物動態パラメータを計算し、結果は表15に示された。第1群の医薬を製造する溶媒は、5%HP-beta-C、5%solutol、pH=8水溶液であり、第2、3及び4群の溶媒は、0.5%MC、0.2%Tween80水溶液であった。
メス及びオスビーグル犬に0.3mg/kgの式(I)で表される化合物の結晶形Aを1回静脈内注射投与後、式(I)で表される化合物の結晶形Aの血漿クリアランス(CL)は、6.18±1.49mL/min/kgであり、定常状態の見かけの分布容積(Vdss)は2.47±0.391L/kgであり、消失半減期(t1/2)及び0から最後の定量化可能な時点の時間-血漿濃度曲線下の面積(AUC0-last)はそれぞれ6.32±1.62h及び1470±353nM*hであった。
メスビーグル犬に0.3mg/kgの式(I)で表される化合物の結晶形Aを1回経口投与した後、バイオアベイラビリティは87.8%であった。メスビーグル犬に式(I)で表される化合物の結晶形Aを0.3、1及び3mg/kgを1回経口投与した後のAUC0-lastは、それぞれ1290±715、4980±946及び14800±2510nM*hであり、ピークに達する濃度(Cmax)はそれぞれ158±68.4、656±30.7及び1880±274nMであり、ピークに達する時間(Tmax)は、投与後それぞれ2.00±1.10h、1.67±0.516h、及び3.08±1.50h後であった。t1/2は、それぞれ6.92±3.16、5.00±1.44及び6.55±1.76hであった。
メスとオスのビーグル犬に、式(I)で表される化合物の結晶形Aを1mg/kg、7日間連続で経口投与したところ、投与1日後のAUC0-lastが4980±946nM*h、Cmaxが656±30.7nM、T1/2が5.00±1.44hであった。7日間投与した後、AUC0-lastが5880±697nM*h、Cmaxが850±106nM、T1/2が5.18±0.487hであった。
前記投与方法及び計算方法を参考し、メス及びオスのビーグル犬に0.3mg/kgの式(I)のアモルファス化合物を1回経口投与した後、バイオアベイラビリティは71.2%であった。
結論:式(I)で表される化合物のA結晶形は、いずれの動物種においても、良好な経口バイオアベイラビリティ、低いクリアランス率、高いシステム曝露量、優れた薬物動態特性を示した。
〔実施例7.BT474腫瘍組織サンプルにおけるp-AKTタンパク質発現レベルのウエスタンブロット分析〕
実験方法
7.1タンパク質の抽出と定量
1)-80℃の冷蔵庫で急速凍結した組織サンプルを取り出した。
実験方法
7.1タンパク質の抽出と定量
1)-80℃の冷蔵庫で急速凍結した組織サンプルを取り出した。
2)ドライアイスでの操作、組織の一部(約30mg)を切り取り、鋼球を入れた2mLの遠心チューブに入れ、500μLの細胞溶解物RIPAを添加した(1%プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤を新たに添加した)。
3)Tissuelyser LTは、最高周波数を使用して5分間組織を破壊した。
4)組織溶解液を氷の上に置き、30分間溶解した。
5)12000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清を取り、新しい1.5mL遠心チューブに入れた。
6)BCA定量キットを使用し、タンパク質を定量した。
7)定量結果に基き、ローディング用タンパク質サンプルを製造し、サンプルのタンパク質濃度を2μg/μLに統一し、LDSサンプリング緩衝液(4X)とサンプル還元剤(10X)を添加し、100℃でサンプルを10分間恒温加熱した。
8)ウエスタンブロット、又は変性サンプルを-80℃の冷蔵庫に保存した。
7.2ウエスタンブロット
1)ローディングサンプルを解凍した。
1)ローディングサンプルを解凍した。
2)サンプルローディング:SDS-PAGEゲルにウェルあたり10μLをロードした((サンプルローディングの量は個々のニーズに応じる)。
3)電気泳動:80ボルト、30分、その後、120ボルト、90分。
4)転写:iBlot2転写セットと転写装置を使用し、P3プログラムを7分間実行した。
5)転写終了後、検出しようとするタンパク質の分子量の大きさに合わせてメンブレンをカットし、1xTBSTで3回、各回5分間、室温で、振とうしながら洗浄した。
6)シーリング:メンブレンをシール溶液(1xTBSTで製造した5%の脱脂乳)でシーリングし、室温で1時間振とうした。
7)1xTBSTでメンブレンを3回洗浄し、毎回5分であり、室温で、振とうした。
8)一次抗体をインキュベーション:適切に希釈した一次抗体(1xTBSTで5%の脱脂乳又はウシ血清アルブミンで希釈)を添加し、4℃で一晩、ゆっくりと振とうした。
9)1xTBSTでメンブレンを3回洗浄し、毎回10分であり、室温で、振とうした。
10)二次抗体のインキュベーション:適切に希釈した二次抗体を添加し、室温で、1時間ゆっくりと振とうした。
11)1xTBSTでメンブレンを3回洗浄し、毎回10分であり、室温で、振とうした。
12)化学発光:West Femto超高感度化学発光キットのHRP基質をメンブレンに添加した。
13)Tanon 5200 multi計器で化学発光を検出し、写真を撮った。
実験結果は図10に示された。PD(生体内薬力学的バイオマーカー検出)の結果は、式(I)で表される化合物の結晶形Aが、BT-474ヌードマウス異種移植腫瘍モデルにおいてPI3Kの下流のAktのリン酸化レベルを有意に阻害できることを示し、また所定の時間と用量の依存性を示した。
〔実施例8.式(I)で表される化合物の体外酵素活性試験〕
脂質キナーゼ反応は、適切な基質とATPの条件で行い、その後2つの工程によりADP-GloTMキットを用いてキナーゼ活性を測定した。工程1:キナーゼ反応を終了させ、残存するATPを完全に除去し、ADPのみを残し;工程2:キナーゼ検出試薬を添加して、ADPをATPに変換し、ルシフェリン/ルシフェラーゼ反応を伴った。最後に、蛍光値の出力によりキナーゼ活性に変換した。PI3K酵素活性を試験する条件は表16に示された通りである。
脂質キナーゼ反応は、適切な基質とATPの条件で行い、その後2つの工程によりADP-GloTMキットを用いてキナーゼ活性を測定した。工程1:キナーゼ反応を終了させ、残存するATPを完全に除去し、ADPのみを残し;工程2:キナーゼ検出試薬を添加して、ADPをATPに変換し、ルシフェリン/ルシフェラーゼ反応を伴った。最後に、蛍光値の出力によりキナーゼ活性に変換した。PI3K酵素活性を試験する条件は表16に示された通りである。
実験材料及び計器:
1)酵素:PI3Kα Millipore #14-602-K
PI3Kβ Promega #V1751
PI3Kδ Millipore #14-604-K
PI3Kγ Millipore #14-558-K
2)キット:ADP-GloTM脂質キナーゼ及びPIP2:3PSキット(Promega#V1792)
キットには:1mMのPIP2:3PS、10×脂質希釈緩衝液、1Mの塩化マグネシウム、10mMのATP、10mMのADP、ADP-Glo試薬、検出緩衝液、及び検出基質が含まれている。
1)酵素:PI3Kα Millipore #14-602-K
PI3Kβ Promega #V1751
PI3Kδ Millipore #14-604-K
PI3Kγ Millipore #14-558-K
2)キット:ADP-GloTM脂質キナーゼ及びPIP2:3PSキット(Promega#V1792)
キットには:1mMのPIP2:3PS、10×脂質希釈緩衝液、1Mの塩化マグネシウム、10mMのATP、10mMのADP、ADP-Glo試薬、検出緩衝液、及び検出基質が含まれている。
3)反応ウェルプレート:OptiPlate-384、透明な白(PerkinElmer#6007299)
試薬の準備:
1)10×反応緩衝液:500mMのHEPES、pH7.5、500mMのNaCl、9mMのMgCl2;BSA:10%ストック溶液、自分で製造
2)最終試験系の条件:1×反応系:50mMのHEPES、50mMのNaCl、3mMのMgCl2、0.01%BSA(実験当日で新たに製造)、1%のDMSO(v/v)+/-化合物
3)反応系:3μLの酵素と基質の混合物(1:1)+2μLのATP/MgCl2混合物+5μLのADP-Glo試薬+10μLの検出試薬。
試薬の準備:
1)10×反応緩衝液:500mMのHEPES、pH7.5、500mMのNaCl、9mMのMgCl2;BSA:10%ストック溶液、自分で製造
2)最終試験系の条件:1×反応系:50mMのHEPES、50mMのNaCl、3mMのMgCl2、0.01%BSA(実験当日で新たに製造)、1%のDMSO(v/v)+/-化合物
3)反応系:3μLの酵素と基質の混合物(1:1)+2μLのATP/MgCl2混合物+5μLのADP-Glo試薬+10μLの検出試薬。
具体的な実験操作は以下の通りである:
1)化合物の希釈:Echoを使用して50nLの100×化合物/DMSOを試験ウェルプレートに移した。
1)化合物の希釈:Echoを使用して50nLの100×化合物/DMSOを試験ウェルプレートに移した。
-PI3Kαの場合、化合物を最高濃度の0.111mMから3倍に希釈し、合計10の濃度にした。
-PI3Kβ/PI3Kδ/PI3Kβの場合、化合物を最高濃度の1.11mMから3倍に希釈し、合計10の濃度にした。
2)キナーゼ反応:
(1)試験化合物を準備し、50nLの100×化合物溶液又はDMSOを対応するウェルプレートに添加した。
(1)試験化合物を準備し、50nLの100×化合物溶液又はDMSOを対応するウェルプレートに添加した。
(2)3.33×反応緩衝液を準備した。
(3)3.33×PIP2:3PSを準備し、使用する前にPIP2:3PSをボルテックスで少なくとも1分間解凍した。
(4)5.25mMのMgCl2を含む2.5mMを準備した。
(5)3.33×PI3Kα/PI3Kβ/PI3Kδ/PI3Kγ溶液を準備した。
(6)脂質キナーゼ溶液とPIP2:3PS溶液を1:1の体積比で混合した。
(7)3.33×脂質キナーゼ緩衝液とPIP2:3PS溶液を1:1の体積比で混合した。
(8)ウェルプレートの1列目と2列目に3μLの緩衝液とPIP2:3PSを混合溶液を添加した。
(9)ウェルプレートの1列目と2列目以外のウェルに3μLの酵素とPIP2:3PSの混合液を添加し、10秒間遠心分離した(1000rpm)。23℃で20分間インキュベーションした。
(10)2μLの2.5n1000rpm2を添加し、均一に振とうした。
(11)ウェルプレートを覆い、約30秒間均一に振とうし、23℃で2時間インキュベーションした。
(12)5μLの10mMのMgCl2を含有するADP-Glo試薬を添加した。
(13)1000rpmで10秒間遠心分離し、ウェルプレートを覆い、約30秒間均一に振とうし、23℃で60分間インキュベーションした。
(14)10μLのキナーゼ検出試薬を添加した。
(15)1000rpmで10秒間遠心分離した後、23℃で60分間インキュベーションした。
(16)Envision機器で蛍光値を検出した、
〔実施例9.式(I)で表される化合物の体外酵素活性試験〕
ELISA法により、MCF7細胞株で試験化合物がシグナル伝達経路におけるPI3K下流タンパク質Aktのリン酸化を試験し、化合物の細胞活性を反映した。
〔実施例9.式(I)で表される化合物の体外酵素活性試験〕
ELISA法により、MCF7細胞株で試験化合物がシグナル伝達経路におけるPI3K下流タンパク質Aktのリン酸化を試験し、化合物の細胞活性を反映した。
細胞培養培地:細胞完全培地(RPMI1640+10%の血清+1%のL-グルタミン+1%の二重抗体)
無血清培地(無血清、RPMI1640+1%L-グルタミン+1%二重抗体)
具体的な操作手順は以下の通りである:
(1)MCF7細胞(ATCC(登録商標)HTB-22TM)を96ウェルプレートに接種し、ウェルあたり100μL(ウェルあたり2.5 104個細胞)の細胞完全培地、37℃、5%のCO2で24時間インキュベーションした。
無血清培地(無血清、RPMI1640+1%L-グルタミン+1%二重抗体)
具体的な操作手順は以下の通りである:
(1)MCF7細胞(ATCC(登録商標)HTB-22TM)を96ウェルプレートに接種し、ウェルあたり100μL(ウェルあたり2.5 104個細胞)の細胞完全培地、37℃、5%のCO2で24時間インキュベーションした。
(2)細胞完全培地を100μLの無血清培地で置き換え、一晩飢餓培養した。
(3)化合物を準備し(化合物の初期濃度は1mMであり、10濃度の3倍希釈後、各濃度の化合物を無血清培地で100倍に希釈した)、また希釈した化合物25μLを細胞を含むウェルプレートに添加した。
(4)37℃、5%のCO2で2時間インキュベーションした。
(5)ウェルプレート内の細胞を10μg/mLインスリン(Sigma#I9278-5mL)で刺激し、30分間インキュベーションした後、1000rpmで5分間室温で遠心分離した。
(6)各ウェルに250μLの1×バランス塩溶液(Invitrogen、#14065-056、4℃、1mM/LのNa3VO4を含む)を添加し、細胞を1回洗浄した。
(7)各ウェルに100μLの溶解緩衝液(トリメチルアミノメタン塩酸塩、Invitrogen社、#15567-1000ml)を添加し、4℃で60分間振とうした後、4℃の4000rpmで10分間遠心分離した。
(8)後続の工程は、ELISAキット(TGR BioSciences#EKT002)の明細書に従って実行した。
実験結果は表17に示された。
結論:式(I)で表される化合物は、PI3Kキナーゼの活性を十分に阻害することができ、同時に、PI3Kβ/γ/δに対して高いサブタイプの選択性を示した。さらに、細胞内のPI3Kの下流にあるAktのリン酸化レベルも十分に阻害することができた。
Claims (19)
- 式(I)で表される化合物の結晶形Aであって、
その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.8±0.2°、12.6±0.2°、17.3±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.8±0.2°、5.7±0.2°、6.3±0.2°、11.5±0.2°、12.6±0.2°、13.5±0.2°、17.3±0.2°、21.5±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.8±0.2°、5.7±0.2°、6.3±0.2°、10.1±0.2°、11.5±0.2°、12.6±0.2°、13.5±0.2°、15.8±0.2°、17.3±0.2°、19.2±0.2°、21.5±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ角は以下の表に示された通りである、式(I)で表される化合物の結晶形A。
- XRPDスペクトルは図1に示された通りであリ;
及び/又は、示差走査熱量曲線は195.5±3.0℃において吸熱ピークの開始点を有し;
及び/又は、DSCスペクトルは図2に示された通りであり;
及び/又は、熱重量分析曲線は151.6±3.0℃の際に重量が0.16%減少し;
及び/又は、TGAスペクトルは図3に示された通りである、請求項1に記載の結晶形A。 - XRPDスペクトルは図5に示された通りであリ;
及び/又は、示差走査熱量曲線は178.7±3.0℃において吸熱ピークの開始点を有し;
及び/又は、DSCスペクトルは図6に示された通りであり;
及び/又は、熱重量分析曲線は63.4±3.0℃の際に重量が1.03%減少し;
及び/又は、TGAスペクトルは図7に示された通りである、請求項3に記載の結晶形B。 - 式(I)で表される化合物の結晶形Cであって、
その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.9±0.2°、5.8±0.2°、6.8±0.2°、8.4±0.2°、12.4±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.9±0.2°、5.8±0.2°、6.8±0.2°、8.4±0.2°、10.8±0.2°、11.7±0.2°、12.4±0.2°、14.3±0.2°、17.0±0.2°、17.7±0.2°、18.7±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ角は以下の表に示された通りである、式(I)で表される化合物の結晶形C。
- XRPDスペクトルは図8に示された通りである、請求項5に記載の結晶形C。
- 式(I)で表される化合物の結晶形Dであって、
その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.1±0.2°、7.8±0.2°、11.8±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.1±0.2°、6.5±0.2°、7.8±0.2°、11.8±0.2°、15.4±0.2°、16.5±0.2°、17.4±0.2°、23.8±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.1±0.2°、6.5±0.2°、7.8±0.2°、11.8±0.2°、12.0±0.2°、15.4±0.2°、16.5±0.2°、17.4±0.2°、19.5±0.2°、23.8±0.2°において特徴的な回折ピークを有し;
或いは、その粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ角は以下の表に示された通りである、式(I)で表される化合物の結晶形D。
- XRPDスペクトルは図9に示された通りである、請求項7に記載の結晶形D。
- 式(I)で表される化合物の結晶形Aの製造方法であって、当該方法は方法1又は方法2であり、
方法1は:
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加して、懸濁液又は溶液とする工程;
(2)前記懸濁液又は溶液を恒温ミキサーに入れ、振とうした後、遠心分離し、乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得る工程;
を含み
方法2は:
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加して溶解させる工程;
(2)前記溶液を固体が析出するまで冷却させ、撹拌し、濾過して、式(I)で表される化合物の結晶形Aを得る;
を含む式(I)で表される化合物の結晶形Aの製造方法。 - 前記溶媒は、アルコール系溶媒及びエステル系溶媒から選択され;
及び/又は、前記溶媒は、エタノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、イソプロパノール、ギ酸エチル、及び酢酸エチルから選択される、請求項9に記載の製造方法。 - 式(I)で表される化合物の結晶形Bの製造方法であって、
(1)式(I)で表される化合物を溶媒に添加して、懸濁液又は溶液とする工程;
(2)前記懸濁液又は溶液を恒温ミキサーに入れ、振とうした後、遠心分離し、乾燥させ、式(I)で表される化合物の結晶形Bを得る工程を含む。 - 前記溶媒は、メタノール-水、エタノール-水、及びアセトン-水から選択され;
及び/又は、前記溶媒は、メタノール-水(2:1)、エタノール-水(2:1)、アセトン-水(2:1)、エタノール-水(1:3)から選択される、請求項11に記載の製造方法。 - 撹拌温度は25℃~60℃であり;
及び/又は、撹拌時間は12時間~24時間であり;
及び/又は、化合物と溶媒の重量-体積比は1g:7~10mlである、請求項9~12のいずれか1項に記載の製造方法。 - PI3Kα阻害剤に関連する疾患を治療する医薬の製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形の使用。
- 前記PI3Kα阻害剤に関連する医薬は腫瘍に用いられる医薬である、請求項14に記載の使用。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形と薬学的に許容される助剤を含む医薬組成物。
- PI3Kα阻害剤の製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形又は請求項16に記載の医薬組成物の使用であって;
前記PI3Kα阻害剤は、好ましくは、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγのうちの1つ又は複数の阻害剤であり、より好ましくは、PI3Kα阻害剤である使用。 - 医薬の製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形又は請求項16に記載の医薬組成物の使用であって;
前記医薬は好ましくは、腫瘍又はPI3K関連疾患を治療する医薬であり;
前記PI3K関連疾患は好ましくは腫瘍であり;
前記PI3Kは、好ましくは、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγのうちの1つ又は複数であり、より好ましくは、PI3Kαである使用。 - 患者に治療有効量の請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形又は請求項16に記載の医薬組成物を投与する段階を含む、腫瘍又はPI3K関連疾患の治療方法であって;
前記PI3K関連疾患は、好ましくは、腫瘍であり;
前記PI3Kは、好ましくは、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びI3Kγのうちの1つ又は複数であり、より好ましくは、PI3Kαである腫瘍又はPI3K関連疾患の治療方法。
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