JP2022529935A - 溶媒の回収方法、腐植質の単離方法、および溶媒または腐植質からなる組成物 - Google Patents

溶媒の回収方法、腐植質の単離方法、および溶媒または腐植質からなる組成物 Download PDF

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Abstract

5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)経路プロセスおよび2,5-フランジカルボン酸(FDCA)経路プロセスから溶媒を回収し、腐植質または腐植酸塩を単離する新規の方法を記載する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、例えば、横型薄膜蒸発装置(HTFE)などの薄膜蒸発装置を使用する。

Description

優先権の主張
本出願は、2019年4月15日に出願された米国仮特許出願第62/834,143号の優先的利益を主張するものであり、この出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に援用される。
分野
本開示は、2,5-フランジカルボン酸経路生成物から溶媒を回収し、腐植質または腐植酸塩を単離する方法に関する。
関連技術の説明
再生可能資源から低コストで製造される2,5-フランジカルボン酸(FDCA)およびその誘導体は、様々な商業用途に使用できるという大きな可能性を秘めている。FDCAは、特定の用途において、テレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に取って代わることができると考えられている。様々な供給原料からFDCAを製造する方法が報告されているが、既報の方法では、効率的に溶媒を回収したり、供給原料に由来する腐植質化合物や腐植酸塩化合物などの不純物および/または副生成物を除去することは困難である。そのため、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)経路プロセスやFDCA経路プロセスにおける溶媒の回収や不純物の除去のためのシステムや手法の改善が求められている。
一態様において、供給原料から腐植質を単離する方法が開示される。この方法は、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含む。前記供給原料は、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒を約65~90wt%または65~90wt%、および溶解した乾燥残渣を約10~35wt%または10~35wt%含む。溶解した前記乾燥残渣は、前記供給原料全体に対するwt%値またはppm値として、約30,000~120,000ppmまたは30,000~120,000ppmの糖、約2~5wt%または2~5wt%のフラン含有化合物、約24,000~100,000ppmまたは24,000~100,000ppmの腐植質化合物、約0.2~0.7wt%または0.2~0.7wt%の有機酸、均一系酸、塩、および金属を含む。前記供給原料のpHは、約1~4の間または1~4の間であり、前記方法は、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して単離した固形物を提供することをさらに含む。単離した前記固形物は、約0.3~2wt%または0.3~2wt%の水分、約0.9~5wt%または0.9~5wt%のフラン含有化合物、約0.1~2wt%または0.1~2wt%の糖、約0.02~1wt%または0.02~1wt%のジオキサン、および約0.1~6wt%または0.1~6wt%の灰分を含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、単離した前記固形物を洗浄し、乾燥させて、洗浄乾燥固形物を得ることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記洗浄乾燥固形物を高温炭化プロセスに付して、炭化固形物を得ることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、横型薄膜蒸発装置である。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、0°~90°の間または約0°~約90°の間の角度、例えば、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°もしくは85°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°もしくは約85°、またはこれらの間の任意の角度に配向されている。ここで、0°は、加熱した前記薄膜蒸発装置が地球の重心に向かってまっすぐ下向きに配向されていることを意味し、180°は、加熱した前記薄膜蒸発装置が地球の重心から遠ざかる方向に向かってまっすぐ上向きに配向されていることを意味する。
いくつかの実施形態において、前記有機酸は、レブリン酸、ギ酸、酢酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記均一系酸は、HCl、HBr、HI、H2SO4、H3PO4、シュウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三ハロゲン化ホウ素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記塩は、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
別の一態様において、供給原料から溶媒を回収する方法が開示される。この方法は、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含む。前記供給原料は、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒を約65~90wt%または65~90wt%、および溶解した乾燥残渣を約10~35wt%または10~35wt%含む。溶解した前記乾燥残渣は、前記供給原料全体に対するwt%値またはppm値として、約30,000~120,000ppmまたは30,000~120,000ppmの糖、約2~5wt%または2~5wt%のフラン含有化合物、約24,000~100,000ppmまたは24,000~100,000ppmの腐植質化合物、約0.2~0.7wt%または0.2~0.7wt%の有機酸、均一系酸、塩、および金属を含む。前記供給原料のpHは、約1~4の間または1~4の間であり、前記方法は、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して回収した溶媒物を提供することをさらに含む。単離した前記固形物は、最大で約500ppmまたは最大で500ppmの糖、最大で約1.6wt%または最大で1.6wt%のフラン、約300~700ppmまたは300~700ppmの腐植質化合物、および最大で約2wt%または最大で2wt%の有機酸を含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、回収した前記溶媒物を凝縮器に供給することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、回収した前記溶媒物を連続蒸留塔に供給することをさらに含む。いくつかの実施形態において、回収した前記溶媒は、分別蒸留によってさらに精製または単離される。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、横型薄膜蒸発装置である。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、0°~90°の間または約0°~約90°の間の角度、例えば、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°もしくは85°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°もしくは約85°、またはこれらの間の任意の角度に配向されている。ここで、0°は、加熱した前記薄膜蒸発装置が地球の重心に向かってまっすぐ下向きに配向されていることを意味し、180°は、加熱した前記薄膜蒸発装置が地球の重心から遠ざかる方向に向かってまっすぐ上向きに配向されていることを意味する。
別の一態様において、供給原料から単離した固形物からなる組成物が開示される。この組成物は、2wt%未満の水分、少なくとも0.9wt%のフラン、少なくとも0.1wt%の糖、最大で2wt%の水分、最大で1wt%のジオキサン、および最大で6wt%の灰分を含む。
いくつかの実施形態において、前記灰分量は、最大で1wt%である。いくつかの実施形態において、前記灰分量は、最大で0.5wt%である。いくつかの実施形態において、前記灰分量は、最大で0.1wt%である。
別の一態様において、供給原料から腐植質を単離する方法が提供される。この方法は、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、前記供給原料は、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒、および溶解した乾燥残渣を含み、該乾燥残渣は腐植質化合物を含み、前記供給原料のpHは、約1~4の間または1~4の間であり、前記方法は、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して単離した固形物を提供し、単離した前記固形物は、約0.3~2wt%または0.3~2wt%の水分、約0.9~5wt%または0.9~5wt%のフラン含有化合物、約0.1~2wt%または0.1~2wt%の糖、約0.02~1wt%または0.02~1wt%のジオキサン、および約0.1~6wt%または0.1~6wt%の灰分を含む。
別の一態様において、供給原料から溶媒を回収する方法が提供される。この方法は、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、前記供給原料は、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒、および溶解した乾燥残渣を含み、該乾燥残渣は腐植質化合物を含み、前記供給原料のpHは、約1~4の間または1~4の間であり、前記方法は、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して回収した溶媒物を提供し、回収した前記溶媒物は、最大で約500ppmまたは最大で500ppmの糖、最大で約1.6wt%または最大で1.6wt%のフラン、約300~700ppmまたは300~700ppmの腐植質化合物、および最大で約2wt%または最大で2wt%の有機酸を含む。
好ましい実施形態としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
1.供給原料から腐植質を単離する方法であって、
該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
該供給原料が、
水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒を約65~90wt%または65~90wt%、および
溶解した乾燥残渣を約10~35wt%または10~35wt%
含み、
溶解した該乾燥残渣が、前記供給原料全体に対するwt%値またはppm値として、
約30,000~120,000ppmまたは30,000~120,000ppmの糖、
約2~5wt%または2~5wt%のフラン含有化合物、
約24,000~100,000ppmまたは24,000~100,000ppmの腐植質化合物、
約0.2~0.7wt%または0.2~0.7wt%の有機酸、
均一系酸、
塩、および
金属
を含み、
前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して単離した固形物を提供することをさらに含み、
単離した該固形物が、
約0.3~2wt%または0.3~2wt%の水分、
約0.9~5wt%または0.9~5wt%のフラン含有化合物、
約0.1~2wt%または0.1~2wt%の糖、
約0.02~1wt%または0.02~1wt%のジオキサン、および
約0.1~6wt%または0.1~6wt%の灰分
を含む、方法。
2.単離した前記固形物を洗浄し、乾燥させて、洗浄乾燥固形物を得ることをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
3.前記洗浄乾燥固形物を高温炭化プロセスに付して、炭化固形物を得ることをさらに含む、実施形態2に記載の方法。
4.前記薄膜蒸発装置が、横型薄膜蒸発装置である、実施形態1~3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記薄膜蒸発装置が、0°~90°の間または約0°~約90°の間の角度、例えば、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°もしくは85°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°もしくは約85°、またはこれらの間の任意の角度に配向されており、0°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心に向かってまっすぐ下向きに配向されていることを意味し、180°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心から遠ざかる方向に向かってまっすぐ上向きに配向されていることを意味する、実施形態1~4のいずれか1項に記載の方法。
6.前記有機酸が、レブリン酸、ギ酸、酢酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
7.前記均一系酸が、HCl、HBr、HI、H2SO4、H3PO4、シュウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三ハロゲン化ホウ素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~6のいずれか1項に記載の方法。
8.前記塩が、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~7のいずれか1項に記載の方法。
9.供給原料から溶媒を回収する方法であって、
該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
該供給原料が、
水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒を約65~90wt%または65~90wt%、および
溶解した乾燥残渣を約10~35wt%または10~35wt%
含み、
溶解した該乾燥残渣が、前記供給原料全体に対するwt%値またはppm値として、
約30,000~120,000ppmまたは30,000~120,000ppmの糖、
約2~5wt%または2~5wt%のフラン含有化合物、
約24,000~100,000ppmまたは24,000~100,000ppmの腐植質化合物、
約0.2~0.7wt%または0.2~0.7wt%の有機酸、
均一系酸、
塩、および
金属
を含み、
前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して回収した溶媒物を提供することをさらに含み、
回収した該溶媒物が、
最大で約500ppmまたは最大で500ppmの糖、
最大で約1.6wt%または最大で1.6wt%のフラン、
約300~700ppmまたは300~700ppmの腐植質化合物、および
最大で約2wt%または最大で2wt%の有機酸
を含む、方法。
10.回収した前記溶媒物を凝縮器に供給することをさらに含む、実施形態9に記載の方法。
11.回収した前記溶媒物を連続蒸留塔に供給することをさらに含む、実施形態9に記載の方法。
12.回収した前記溶媒が、分別蒸留によってさらに精製または単離される、実施形態9に記載の方法。
13.前記薄膜蒸発装置が、横型薄膜蒸発装置である、実施形態9~12のいずれか1項に記載の方法。
14.前記薄膜蒸発装置が、0°~90°の間または約0°~約90°の間の角度、例えば、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°もしくは85°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°もしくは約85°、またはこれらの間の任意の角度に配向されており、0°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心に向かってまっすぐ下向きに配向されていることを意味し、180°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心から遠ざかる方向に向かってまっすぐ上向きに配向されていることを意味する、実施形態9~13のいずれか1項に記載の方法。
15.供給原料から単離した固形物からなる組成物であって、
2wt%未満の水分、
少なくとも0.9wt%のフラン、
少なくとも0.1wt%の糖、
最大で2wt%の水分、
最大で1wt%のジオキサン、および
最大で6wt%の灰分
を含む、組成物。
16.前記灰分量が、最大で1wt%である、実施形態15に記載の組成物。
17.前記灰分量が、最大で0.5wt%である、実施形態15に記載の組成物。
18.前記灰分量が、最大で0.1wt%である、実施形態15に記載の組成物。
19.供給原料から腐植質を単離する方法であって、
該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
該供給原料が、
水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒、および
溶解した乾燥残渣
を含み、
該乾燥残渣が腐植質化合物を含み、
前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して単離した固形物を提供することをさらに含み、
単離した該固形物が、
約0.3~2wt%または0.3~2wt%の水分、
約0.9~5wt%または0.9~5wt%のフラン含有化合物、
約0.1~2wt%または0.1~2wt%の糖、
約0.02~1wt%または0.02~1wt%のジオキサン、および
約0.1~6wt%または0.1~6wt%の灰分
を含む、方法。
20.供給原料から溶媒を回収する方法であって、
該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
該供給原料が、
水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒、および
溶解した乾燥残渣
を含み、
該乾燥残渣が腐植質化合物を含み、
前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して回収した溶媒物を提供することをさらに含み、
回収した該溶媒物が、
最大で約500ppmまたは最大で500ppmの糖、
最大で約1.6wt%または最大で1.6wt%のフラン、
約300~700ppmまたは300~700ppmの腐植質化合物、および
最大で約2wt%または最大で2wt%の有機酸
を含む、方法。
横型薄膜蒸発装置(HTFE)とその使用方法を示した図である。HTFEを使用して、残留供給物を処理して乾燥した腐植質固形物を得るとともに、溶媒凝縮器を用いて溶媒を回収する。
横型薄膜蒸発装置(HTFE)とその使用方法を示した図である。HTFEを使用して、残留供給物を処理して乾燥した腐植質固形物を得るとともに、連続溶媒蒸留を用いて、精製された溶媒を回収する。
本開示は、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)経路プロセスおよび/またはフランジカルボン酸(FDCA)生成物経路プロセスにおいて、溶媒を回収し、腐植質または腐植酸塩を単離するいくつかの手法に関する。HMF経路生成物およびFDCA経路生成物の製造方法は、例えば、米国特許公開公報第2017/0197930号や米国特許公開公報第2017/0158656号に開示されている。なお、これらの文献はいずれも、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に援用される。いくつかのFDCAの製造法、例えば糖供給原料の脱水により5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を製造する方法では、腐植質や腐植酸塩が副生成物として生成する。腐植質と腐植酸塩という用語に区別がないことは理解されるであろう。腐植質は、糖の脱水プロセスまたはHMF経路プロセスで生成する、重合糖、重合脱水糖、重合フラン化合物および/またはその他類似の縮合反応副生成物である。腐植質は縮合生成物であるので、縮合反応により分子量が大きくなる。縮合反応は複数の反応種で起こりうるため、分子量分布の広い、構造の異なる複数の種が生成される可能性がある。生成する腐植質の具体的な構造や分布は、フルクトース濃度、酸、酸濃度、溶媒、反応温度および反応時間などの脱水条件によって異なる。腐植質構造物の分子量が大きくなると、溶解限界を超えて反応溶液中で腐植質が析出し、操作、特に溶媒回収システムの残留溶液中での操作が困難になる。さらに、腐植質は、従来法では濃厚で粘性の高い液体の形で単離され、冷えると固体になるため、溶媒回収システムから腐植質を単離したり移動させたりするのには通常問題を伴う。冷えると固体になるような粘性液体は、工業加工用途では障害となる。例えば、米国特許公開公報第2018/0093894号などのいくつかの既報で固形フラン樹脂の単離が教示されているが、これらの従来法で単離したフラン樹脂は、工業的に実施可能な方法でさらに処理される可能性は低い。
本開示において、薄膜蒸発装置を用いて膜残留溶液から腐植質種を単離するための方法をいくつか記載する。薄膜蒸発装置を使用すると、扱いやすく流動性の良い粉末として腐植質を単離することができる。この流動性の良い腐植質をさらに処理して、下流の商業用途に有用な形にしてもよい。流動性の良い粉末が得られれば、ハイスループットな工業加工に利用できる。さらに、本発明の蒸発法を用いれば、溶媒組成物の回収率>99%が可能であるため、この方法は再利用に有用な方法である。したがって本開示は、流動性の良い粉末として腐植質を分離除去し、反応溶媒組成物を回収してHMF経路プロセスおよび/またはFDCA経路プロセスに戻して再利用するという費用効果の高い手法を提供する。
HMF経路プロセス
いくつかの実施形態において、HMF経路プロセスの残留流から腐植質を単離してもよい。いくつかの実施形態において、前記HMF経路プロセスは、糖の脱水プロセスを含む。例えば、様々な糖質供給原料またはフルクトース含有供給原料を前記脱水プロセスで使用してもよい。糖質供給原料とフルクトース含有供給原料という用語は区別なく用いられることは理解されるであろう。
いくつかの実施形態において、前記フルクトース含有供給原料からHMFへの脱水または転化は、糖の脱水によりフラン系酸化基質を得るための(脱水)反応混合物が形成されるのに十分な条件下で、糖と脱水溶媒を含む糖質供給原料を触媒と接触させることにより行われる(以下「脱水プロセス」という)。いくつかの実施形態において、前記糖は、グルコース、ガラクトース、マンノース、イドース、ケトヘキソース、フルクトース、レブロース、ソルボース、タガトース、アロースなどのヘキソース;またはデンプンやセルロース化合物、もしくはデンプンやセルロース化合物から得られる、グルコースを異性化させる処理条件に付すことができる糖質である。いくつかの実施形態において、前記糖は、グルコースまたはフルクトースである。いくつかの実施形態において、前記糖はフルクトースである。
本明細書において「脱水溶媒」とは、上記の脱水反応が行われる温度において、前記糖および前記フラン系酸化基質がそれぞれ単独で最低でも少なくとも2重量%は溶解する有機溶媒を指す。通常、前記脱水溶媒は、前記脱水反応が行われる温度で測定した場合に、フラン系酸化基質の溶解度が、少なくとも3wt%、少なくとも4wt%、少なくとも5wt%、少なくとも6wt%、少なくとも7wt%、少なくとも8wt%、少なくとも9wt%、少なくとも10wt%、少なくとも11wt%、少なくとも12wt%、少なくとも13wt%、少なくとも14wt%、少なくとも15wt%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも21%、少なくとも23%、または少なくとも25%である溶媒である。いくつかの実施形態において、前記脱水溶媒中のフラン系酸化基質の濃度は、2~4wt%、3~5wt%、4~6wt%、5~7wt%、6~8wt%、7~9wt%、8~10wt%、9~11wt%、10~12wt%、11~13wt%、12~14wt%、13~15wt%、14~16wt%、15~17wt%、16~18wt%、17~19wt%、18~20wt%、19~21wt%、20~22wt%、21~23wt%、22~24wt%もしくは23~25wt%であるか、これらの範囲内の任意の値であるか、またはこれらの重量%のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。前記脱水溶媒は、通常、水および/または水混和性有機溶媒を含む。より典型的には、前記脱水溶媒は、多成分溶媒である。通常、前記脱水プロセスで使用される多成分溶媒は、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む。前記脱水プロセスでの使用に適した水混和性非プロトン性有機溶媒および多成分溶媒の組成は、前述したFDCA経路生成物の製造方法での使用に適したものと同一である。いくつかの実施形態において、前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。いくつかの実施形態において、前記糖質供給原料はフルクトースを含み、前記フラン系酸化基質はHMFを含む。
前記脱水溶媒としての使用に適した水混和性非プロトン性溶媒には、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)、γ-バレロラクトン、またはこれらの混合物が含まれる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、例えば、グライム類、ジオキサン(1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどのエーテル、またはこれらの混合物であることが好ましい。本開示の実施における使用に適したグライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)、またはこれらの混合物などが挙げられる。多くの場合、前記脱水溶媒は、グライム類、ジグライムまたはジオキサンである水混和性非プロトン性有機溶媒と、水とを含む多成分溶媒である。
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水混和性有機溶媒種の濃度は、少なくとも5容量%(vol%)、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%または少なくとも95vol%であり、これに対応して、前記多成分溶媒系中の水の濃度は、通常、95vol%未満、90vol%未満、85vol%未満、80vol%未満、75vol%未満、70vol%未満、65vol%未満、60vol%未満、55vol%未満、50vol%未満、45vol%未満、40vol%未満、35vol%未満、30vol%未満、25vol%未満、20vol%未満、15vol%未満、10vol%未満または5vol%未満である。
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、1~5wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、99~95wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、5~10wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、95~90wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、10~15wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、90~85wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、15~20wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、85~80wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、20~25wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、80~75wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、25~30wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、75~70wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、30~35wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、70~65wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、35~40wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、65~60wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、40~45wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、60~55wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、45~50wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、65~50wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、50~55wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、50~45wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、55~60wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、45~40wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、60~65wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、40~35wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、65~70wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、35~30wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、70~75wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、30~25wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、75~80wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、25~20wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、80~85wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、20~15wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、85~90wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、15~10wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、90~95wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、10~5wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、95~99wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、5~1wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。
いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:6~6:1またはこの範囲内の任意の値である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~4:1またはこの範囲内の任意の値である。別の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~3:1またはこの範囲内の任意の値である。別の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:3~3:1またはこの範囲内の任意の値である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:1である。
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含む。通常、前記2種の異なる水混和性有機溶媒はいずれも水混和性非プロトン性有機溶媒である。前記2種の異なる水混和性非プロトン性溶媒はそれぞれ、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から独立して選択することができる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒の一方または両方が、例えば、グライム類、ジオキサン(例えば、1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどのエーテル類であってもよい。グライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:1:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:2(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約2:1:1(v:v:v)である。
前記糖質供給原料中の糖の濃度は、通常、2wt%~80wt%もしくはこの範囲内の任意の値、または5wt%~80wt%もしくはこの範囲内の任意の値である。様々な実施形態において、前記糖の濃度は、20wt%~80wt%またはこの範囲内の任意の値である。いくつかの実施形態において、前記糖質供給原料中の糖の濃度は、5wt%~20wt%またはこの範囲内の任意の値である。別の実施形態において、前記糖質供給原料中の糖の濃度は、5wt%~40wt%またはこの範囲内の任意の値である。いくつかの実施形態において、前記糖質供給原料中の糖の濃度は、5~15wt%、10~20wt%、15~25wt%、20~30wt%、25~35wt%、30~40wt%、35~45wt%、40~50wt%、45~55wt%、50~60wt%、55~65wt%、60~70wt%、65~75wt%もしくは70~80wt%であるか、これらの範囲内の任意の値であるか、またはこれらの重量%のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
いくつかの実施形態において、反応ゾーンへの供給原料として、フルクトース水溶液が用いられる。いくつかの実施形態において、市販の高フルクトースシロップ(HFS)を水に溶解させてフルクトース水溶液とする。例えば、HFS-97またはHFS-90を使用してもよい。
前記脱水プロセスでの使用に適した触媒としては、例えば、均一系酸触媒などの均一系触媒、および不均一系触媒が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記酸触媒は、HBr、H2SO4、HNO3、HCl、HI、H3PO4、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される酸である。いくつかの実施形態において、前記酸触媒はHClである。いくつかの実施形態において、前記酸触媒はHClであり、臭化物塩をさらに含まない。いくつかの実施形態において、前記酸触媒はHClであり、前記脱水溶媒はN-メチル-ピロリドン(NMP)を含まない。
いくつかの実施形態において、前記酸触媒はHBrである。いくつかの実施形態において、前記酸触媒がHBrでない場合、前記脱水反応混合物は臭化物塩をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記酸触媒がHBrでない場合、前記脱水反応混合物は臭化物塩をさらに含み、前記脱水溶媒はN-メチル-ピロリドン(NMP)を含む。いくつかの実施形態において、前記酸触媒は、H2SO4、HNO3、HCl、HI、H3PO4、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸からなる群から選択され、前記脱水反応混合物は臭化物塩を含む。いくつかの実施形態において、前記臭化物塩は、LiBr、NaBr、KBr、MgBr2、CaBr2、ZnBr2、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドおよびこれらの2種以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。前記酸触媒は、ルイス酸をさらに含んでいてもよい。前記ルイス酸は、三ハロゲン化ホウ素、有機ボラン、三ハロゲン化アルミニウム、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、希土類金属トリフルオロメタンスルホン酸塩、金属ハロゲン化物、金属トリフルオロ酢酸塩および金属カチオンエーテル錯体からなる群から選択される。前記ルイス酸は、金属ハロゲン化物であってもよい。前記金属ハロゲン化物は、ZnCl2であってもよく、ZnBr2であってもよい。
前記酸触媒の使用量は、通常、0.1~25mol%またはこの範囲内の任意の値であり、より典型的には、0.5~5mol%またはこの範囲内の任意の値である(このモル濃度(mol%)は、糖(例えば、ヘキソース)のモル数に対して算出した濃度である)。いくつかの実施形態において、前記糖を脱水するための反応混合物中の酸触媒の量は、該反応混合物のpHが酸性となる量である。いくつかの実施形態において、前記糖を脱水するための反応混合物中の酸触媒の量は、該反応混合物のpHが6未満となる量である。いくつかの実施形態において、前記糖を脱水するための反応混合物中の酸触媒の量は、該反応混合物のpHが5未満となる量である。いくつかの実施形態において、前記糖を脱水するための反応混合物中の酸触媒の量は、該反応混合物のpHが4未満となる量である。いくつかの実施形態において、前記糖を脱水するための反応混合物中の酸触媒の量は、該反応混合物のpHが3未満となる量である。いくつかの実施形態において、前記糖を脱水するための反応混合物中の酸触媒の量は、該反応混合物のpHが2未満となる量である。いくつかの実施形態において、前記糖を脱水するための反応混合物中の酸触媒の量は、該反応混合物のpHが1未満となる量である。
前記脱水生成物溶液は、FDCA経路生成物またはその誘導体を製造するための供給原料として使用してもよく、前記フラン系酸化基質を利用する別の後のプロセスにおいて使用してもよい。前記フラン系酸化基質は、通常、HMFである。
望ましくない生成物の生成を最小限に抑え、かつ前記フラン系酸化基質の収率を最大限に高めるためには、米国特許公開公報第2017/0158656号(この文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により明示的に本明細書に援用される)に記載されているように、転化が部分的に完了した時点まで脱水反応を行うことが望ましい場合があり、これは、脱水反応を停止させ、例えばろ過などにより未転化の糖を分離し再利用に供することによって行われる。前記脱水反応によって生成されるフラン系酸化基質は、前記脱水生成物溶液中に含まれる。
本明細書において「脱水生成物溶液」と「粗酸化供給原料」という用語は区別なく用いられ、前記フラン酸化基質と前記脱水溶媒を含む溶液を指す。前記脱水生成物溶液は、溶解しているフラン系酸化基質と、溶解していない1種以上の成分とを含む混合物であってもよく、該溶解していない1種以上の成分は、腐植質および未反応の糖から選択される。前記フラン系酸化基質は、腐植質および未反応の糖からなる群から選択される1種以上の成分と分離してもよく、かつ/または前記脱水生成物溶液から単離してもよく、さらに精製してもよい。このような一実施形態では、前記脱水生成物溶液を膜分離することによって、腐植質および未反応の糖からなる群から選択される1種以上の成分と前記フラン系酸化基質を分離する。このような分離での使用に適した膜としては、ナノろ過膜、限外ろ過膜、およびこれらの組み合わせが挙げられる。「精製酸化供給原料」、例えば透過溶液は、分離した酸化供給原料を指す場合があり、「残留溶液」は、腐植質濃度が高くなった分離溶液を指す場合がある。
いくつかの実施形態において、選択的膜分離技術(例えば、限外ろ過および/またはナノろ過)を利用して、反応ゾーンから回収した混合物を、未転化のフルクトース、中間体およびHMFと他の成分に分離する。本明細書に開示されているように、反応ゾーンから回収した含水混合物を処理するために選択的膜分離技術を使用することにより、未転化のフルクトースと中間体を効率的に回収して再利用することができるため、プロセス総収率の向上と生成物の高い回収率を実現することができる。
いくつかの実施形態において、前記含水反応混合物を1つ以上の限外ろ過膜と接触させて、該反応混合物から、少なくとも一部(好ましくは、実質的にすべて)の腐植質を含む濃縮溶液、残留溶液、濃縮流または残留流と、未転化のフルクトース、中間体、触媒およびHMFを含み、該含水反応混合物と比べて腐植質が減損した透過溶液または透過流とを得る。次いで、この残留流を溶媒回収ユニットおよび/または腐植質回収ユニットに供給して、腐植質を含む残留流から溶媒を回収してもよい。本明細書にさらに詳細に記載されているように、腐植質を単離し、回収した溶媒を再利用してもよい。
溶媒と腐植質の回収
糖の脱水プロセス後に、前記脱水生成物溶液を、精製酸化供給原料と残留溶液に分離し、この残留溶液を溶媒回収プロセスに付してもよい。いくつかの実施形態において、前記残留溶液は、残留溶媒と溶解固形物を含む。いくつかの実施形態において、前記残留溶媒は、本明細書に記載されているような脱水溶媒を含む。いくつかの実施形態において、前記残留溶媒は、多成分溶媒である。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記水混和性有機溶媒は、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリジノン、メチルエチルケトン、γ-バレロラクトンまたはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記残留溶媒は、1,4-ジオキサン、水、またはこれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、前記溶解固形物は、糖質供給原料、糖質供給原料中間体、糖質供給原料副生成物、酸化供給原料、酸化基質、またはこれらの組み合わせを含む。糖質供給原料、糖質供給原料中間体、糖質供給原料副生成物、酸化供給原料および酸化基質の組成は、本明細書に記載されている。例えば、いくつかの実施形態において、前記溶解固形物は、C6単糖類(例えば、グルコース、フルクトース、もしくはマンノース)やC5単糖類(例えば、キシロースもしくはアラビノース)などの糖、フラン含有有機化合物(例えば、5-ヒドロキシメチルフルフラール、5-ヒドロキシメチル-2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、フルフラール、2-フランカルボン酸、フルフリルアルコール、もしくはフリルヒドロキシメチルケトン)、腐植質(例えば、重合糖、脱水糖、もしくは重合フラン化合物)、有機酸(例えば、レブリン酸、ギ酸、酢酸、もしくはこれらの組み合わせ)、均一系酸(例えば、HCl、HBr、HI、H2SO4、H3PO4、シュウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三ハロゲン化ホウ素、もしくはこれらの組み合わせ)、上記の酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩もしくはマグネシウム塩、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記残留溶液は、腐植質、糖、有機酸、フラン含有有機化合物、および塩のうちの少なくとも1種、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記塩は、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記塩は、臭化ナトリウムおよび/もしくは臭化カルシウムまたはこれらの混合物である。いくつかの実施形態において、前記塩は、塩化ナトリウムおよび/もしくは塩化カルシウムまたはこれらの混合物である。
いくつかの実施形態において、前記残留溶液をさらに処理して、該残留溶液より糖質基質および/または少なくとも1種の脱水経路生成物の濃度が低下した減損残留流を得る。いくつかの実施形態において、前記減損残留溶液は、前記残留溶液をさらに膜で処理することにより得られる。いくつかの実施形態において、前記残留溶液からHMFを除去して、前記減損残留溶液を得る。いくつかの実施形態において、前記減損残留溶液は、腐植質、有機酸、糖、またはこれらの組み合わせが濃縮された溶液である。
前記残留溶液および/または前記減損残留溶液を含む供給溶液を、本明細書に記載する溶媒回収プロセスに供給し、処理してもよい。いくつかの実施形態において、前記供給溶液の溶解固形物含有量は、1wt%、3wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、31wt%、32wt%、35wt%、40wt%、50wt%もしくは60wt%であるか、約1wt%、約3wt%、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約31wt%、約32wt%、約35wt%、約40wt%、約50wt%もしくは約60wt%であるか、またはこれらの量のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。例えば、いくつかの実施形態において、前記供給溶液は、5~40wt%の溶解固形物を含む。いくつかの実施形態において、前記供給溶液のpHは、0.5、0.75、1、2、3、4、5もしくは6であるか、約0.5、約0.75、約1、約2、約3、約4、約5もしくは約6であるか、またはこれらのpHのいずれか2つを上下限値とする範囲内である。例えば、いくつかの実施形態において、前記供給溶液のpHは、1~4または約1~4である。いくつかの実施形態において、前記供給溶液の糖含有濃度は、15000ppm、20000ppm、22500ppm、25000ppm、28000ppm、30000ppm、31000ppm、35000ppm、40000ppm、50000ppm、60000ppm、70000ppm、80000ppm、90000ppm、100000ppm、110000ppm、120000ppm、150000ppm、200000ppm、250000ppm、300000ppmもしくは400000ppmであるか、約15000ppm、約20000ppm、約22500ppm、約25000ppm、約28000ppm、約30000ppm、約31000ppm、約35000ppm、約40000ppm、約50000ppm、約60000ppm、約70000ppm、約80000ppm、約90000ppm、約100000ppm、約110000ppm、約120000ppm、約150000ppm、約200000ppm、約250000ppm、約300000ppmもしくは約400000ppmであるか、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記供給溶液のフラン化合物含有濃度は、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.3wt%、2.5wt%、2.7wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%、5wt%、5.5wt%、6wt%、7wt%もしくは10wt%であるか、約1wt%、1.5wt%、約2wt%、約2.3wt%、約2.5wt%、約2.7wt%、約3wt%、約3.5wt%、約4wt%、約4.5wt%、約5wt%、約5.5wt%、約6wt%、約7wt%もしくは約10wt%であるか、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記供給溶液の腐植質含有濃度は、10000ppm、15000ppm、20000ppm、21000ppm、22000ppm、23000ppm、24000ppm、25000ppm、25300ppm、2600ppm、27000ppm、28000ppm、29000ppm、30000ppm、35000ppm、40000ppm、50000ppm、70000ppm、80000ppm、90000ppm、100000ppm、120000ppm、150000ppmもしくは200000ppmであるか、約10000ppm、約15000ppm、約20000ppm、約21000ppm、約22000ppm、約23000ppm、約24000ppm、約25000ppm、約25300ppm、約2600ppm、約27000ppm、約28000ppm、約29000ppm、約30000ppm、約35000ppm、約40000ppm、約50000ppm、約70000ppm、約80000ppm、約90000ppm、約100000ppm、約120000ppm、約150000ppmもしくは約200000ppmであるか、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記供給溶液の有機酸含有濃度は、0.1wt%、0.15wt%、0.2wt%、0.24wt%、0.25wt%、0.3wt%、0.35wt%、0.4wt%、0.45wt%、0.5wt%、0.55wt%、0.6wt%、0.65wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%もしくは2wt%であるか、約0.1wt%、約0.15wt%、約0.2wt%、約0.24wt%、約0.25wt%、約0.3wt%、約0.35wt%、約0.4wt%、約0.45wt%、約0.5wt%、約0.55wt%、約0.6wt%、約0.65wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%もしくは約2wt%であるか、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記供給溶液の溶媒含有濃度は、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、68wt%、70wt%、75wt%、80wt%、82wt%、85wt%、88.9wt%、90wt%、92wt%、95wt%、98wt%もしくは99wt%であるか、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約68wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約82wt%、約85wt%、約88.9wt%、約90wt%、約92wt%、約95wt%、約98wt%もしくは約99wt%であるか、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記供給溶液の乾燥残渣含有濃度は、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、10wt%、11.6wt%、12wt%、15wt%、17wt%、19wt%、20wt%、25wt%もしくは30wt%であるか、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約10wt%、約11.6wt%、約12wt%、約15wt%、約17wt%、約19wt%、約20wt%、約25wt%もしくは約30wt%であるか、またはこれらの濃度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
次いで、前記残留溶液および/または前記減損残留溶液を含む前記供給溶液を処理して、前記残留溶媒を回収し、これとは別に、前記溶解固形物を流動性の良い乾燥粉末として単離する。いくつかの実施形態において、前記供給溶液は、薄膜蒸発装置または加熱した薄膜蒸発装置で処理される。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置または加熱した前記薄膜蒸発装置は、縦、横もしくは斜めに、または床や地球の重心方向に対して一定の角度に配向されている。いくつかの実施形態において、縦配向は垂線に対して0°または約0°であり、横配向は垂線に対して90°または約90°である。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置または加熱した前記薄膜蒸発装置は、垂線または床に対して0°~90°の間または約0°~約90°の間の角度、例えば、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°もしくは85°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°もしくは約85°、またはこれらの間の任意の角度に配向されている。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置または加熱した前記薄膜蒸発装置は、0°~180°の間または約0°~約180°の間の角度、例えば、0°、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°、85°、90°、95°、120°、135°、160°もしくは180°、約0°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°、約85°、約90°、約95°、約120°、約135°、約160°もしくは約180°、またはこれらの間の任意の角度に配向されている。ここで、0°は、前記薄膜蒸発装置または加熱した前記薄膜蒸発装置が地球の重心に向かってまっすぐ下向きに配向されていることを意味し、180°は、前記薄膜蒸発装置または加熱した前記薄膜蒸発装置が地球の重心から遠ざかる方向に向かってまっすぐ上向きに配向されていることを意味する。いくつかの実施形態において、前記供給溶液は、横型薄膜蒸発装置(HTFE)または加熱したHTFE、例えばArtisan社製Rototherm(登録商標) E薄膜蒸発装置で処理される。いくつかの実施形態において、本発明で使用する薄膜蒸発装置システムは、前記供給溶液を前記薄膜蒸発装置に誘導する供給ポンプを備える。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置システムは、ホットオイルジャケット付き向流式横型薄膜蒸発装置を備える。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置システムは、溶媒捕集用凝縮器を備える。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置システムは、真空ポンプを備える。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置システムは、不活性ガス注入用質量流量計を備える。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置システムは、底部固形物送出弁を備える。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置システムは、制御システムを備える。いくつかの実施形態において、前記制御システムは、前記薄膜蒸発装置システムの薄膜温度、圧力、不活性ガス注入、供給量、またはこれらの組み合わせを維持するように構成されている。
図1および図2は、膜残留供給物を処理して、乾燥した腐植質固形物を得るとともに、溶媒を捕集する、HTFEの使用例を記載したものである。図1に装置100を示す。この図では、膜残留供給物102はHTFE 104に誘導される。いくつかの実施形態において、HTFE 104は向流式HTFEである。HTFE 104は、回転スクリューまたは回転ワイパー106、熱入口108、および熱出口110を備える。HTFE 104が、膜残留供給物102の添加とともに作動すると、膜残留供給物102が処理されて、流動性の良い乾燥粉末112が回収される。いくつかの実施形態において、この流動性の良い乾燥粉末112は、乾燥腐植質を含む。さらに、膜残留供給物102のHTFE 104での処理により生じた溶媒蒸気114が溶媒凝縮器116に誘導され、溶媒凝縮器116により留出液118が得られる。
図2に装置200を示す。この図では、膜残留供給物202はHTFE 204に誘導される。いくつかの実施形態において、HTFE 204は向流式HTFEである。HTFE 204は、回転スクリューまたは回転ワイパー206、熱入口208、および熱出口210を備える。HTFE 204が膜残留供給物202の添加とともに作動すると、膜残留供給物202が処理されて、流動性の良い乾燥粉末212が回収される。いくつかの実施形態において、この流動性の良い乾燥粉末212は、乾燥腐植質を含む。さらに、膜残留供給物202のHTFE 204での処理により生じた溶媒蒸気214が連続蒸留塔216に誘導され、溶媒凝縮器216により底部捕集物218と精製溶媒留分220が別々に得られる。
前記供給溶液は前記薄膜蒸発装置に誘導され、該薄膜蒸発装置の回転翼の遠心力によって、該供給溶液は加熱された壁上に薄膜として保持され、溶媒は気化する。前記供給溶液は前記薄膜蒸発装置に連続的に誘導されるので、薄膜は常に新しくなり、溶解固形物が次第に濃縮されてゆく。そして、該溶液中の固形物が析出して固形生成物となり、新たな供給物の導入により底部送出弁へと移動する。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置への前記供給溶液の供給量は、該供給溶液の滞留時間が、10分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、1分未満もしくは0.5分未満、約10分未満、約5分未満、約4分未満、約3分未満、約2分未満、約1分未満もしくは約0.5分未満、またはこれらの間の任意の時間になるように設定される。いくつかの実施形態において、前記供給量は、前記供給溶液の滞留時間が2分未満になるように設定される。
いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、内部を不活性雰囲気に維持した状態で作動させる。不活性雰囲気に維持することで、該蒸発装置内部を不燃性雰囲気にすることができる。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、窒素気流下で作動させる。前記供給物の濃縮と溶媒の蒸発は、大気圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。前記供給物は、膜分離ユニットから直接供給することもできる。また、前記供給物は、標準的な蒸発技術によりあらかじめ濃縮することで溶解固形物含量を高めて多成分系溶媒混合物の一部を回収してから、供給することもできる。
いくつかの実施形態において、前記供給溶液は、薄膜温度が、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃、225℃、230℃、235℃、240℃もしくは250℃、約170℃、約175℃、約180℃、約185℃、約190℃、約195℃、約200℃、約205℃、約210℃、約215℃、約220℃、約225℃、約230℃、約235℃、約240℃もしくは約250℃、またはこれらの間の任意の温度に加熱した前記薄膜蒸発装置に導入される。例えば、いくつかの実施形態において、前記薄膜温度は、180℃~230℃の間である。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、470torr、480torr、490torr、500torr、525torr、550torr、575torr、600torr、625torr、650torr、675torr、700torr、725torr、750torr、775torr、800torr、810torr、820torrもしくは850torr、約470torr、約480torr、約490torr、約500torr、約525torr、約550torr、約575torr、約600torr、約625torr、約650torr、約675torr、約700torr、約725torr、約750torr、約775torr、約800torr、約810torr、約820torrもしくは約850torr、またはこれらの間の任意の圧力で作動させる。例えば、いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置は、490torr~800torrの間で作動させる。
いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置から流出して捕集された溶媒蒸気または溶媒留分を、例えば図1に示すように、該薄膜蒸発装置に接続された凝縮器に供給して捕集してもよい。いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置から流出して捕集された溶媒蒸気または溶媒留分を、例えば図2に示すように、蒸気として連続蒸留塔に供給し、連続分画して溶媒と軽い有機化合物を捕集してもよい。いくつかの実施形態において、捕集した溶媒蒸気留分を、さらに周囲圧力で分別蒸留して精製し、精製溶媒混合物または単離溶媒混合物を得てもよい。
いくつかの実施形態において、前記溶媒留分のpHは、0.5、0.75、1、2、3、4、5もしくは6であるか、約0.5、約0.75、約1、約2、約3、約4、約5もしくは約6であるか、またはこれらの間の任意の値である。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分の糖含有濃度は、1ppm、5ppm、10ppm、20ppm、30ppm、50ppm、100ppm、150ppm、200ppm、300ppm、400ppm、500ppm、600ppm、800ppmもしくは10000ppmであるか、約1ppm、約5ppm、約10ppm、約20ppm、約30ppm、約50ppm、約100ppm、約150ppm、約200ppm、約300ppm、約400ppm、約500ppm、約600ppm、約800ppmもしくは約10000ppmであるか、またはこれらの間の任意の濃度である。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分のフラン化合物含有濃度は、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、2wt%、2.3wt%、2.5wt%、2.7wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%もしくは5wt%であるか、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%、約1.1wt%、約1.2wt%、約1.3wt%、約1.4wt%、約1.5wt%、約2wt%、約2.3wt%、約2.5wt%、約2.7wt%、約3wt%、約3.5wt%、約4wt%、約4.5wt%もしくは約5wt%であるか、またはこれらの間の任意の濃度である。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分のフラン化合物含有濃度は、50ppm、100ppm、500ppm、1000ppm、2000ppm、3000ppm、4000ppm、5000ppm、6000ppm、8000ppmもしくは10,000ppmであるか、約50ppm、約100ppm、約500ppm、約1000ppm、約2000ppm、約3000ppm、約4000ppm、約5000ppm、約6000ppm、約8000ppmもしくは約10,000ppmであるか、またはこれらの間の任意の濃度である。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分の腐植質含有濃度は、200ppm、300ppm、400ppm、500ppm、600ppm、700ppm、800ppmもしくは900ppmであるか、約200ppm、約300ppm、約400ppm、約500ppm、約600ppm、約700ppm、約800ppmもしくは約900ppmであるか、またはこれらの間の任意の濃度である。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分の有機酸含有濃度は、<0.01wt%、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.5wt%、0.7wt%、1wt%、1.2wt%、1.4wt%、1.5wt%、1.6wt%、1.7wt%、1.8wt%、1.9wt%、2wt%、2.5wt%もしくは3wt%であるか、<約0.01wt%、約0.01wt%、約0.05wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.5wt%、約0.7wt%、約1wt%、約1.2wt%、約1.4wt%、約1.5wt%、約1.6wt%、約1.7wt%、約1.8wt%、約1.9wt%、約2wt%、約2.5wt%もしくは約3wt%であるか、またはこれらの間の任意の濃度である。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分の溶媒含有濃度は、2wt%、5wt%、10wt%、25wt%、50wt%、60wt%、70wt%、75wt%、80wt%、82wt%、85wt%、88.9wt%、90wt%、91wt%、92wt%、93wt%、94wt%、95wt%、96wt%、97wt%、98wt%、98.5wt%、99wt%、99.5wt%、99.8wt%もしくは99.9wt%であるか、約2wt%、約5wt%、約10wt%、約25wt%、約50wt%、約60wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約82wt%、約85wt%、約88.9wt%、約90wt%、約91wt%、約92wt%、約93wt%、約94wt%、約95wt%、約96wt%、約97wt%、約98wt%、約98.5wt%、約99wt%、約99.5wt%、約99.8wt%もしくは約99.9wt%であるか、またはこれらの間の任意の濃度である。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分の乾燥残渣含有濃度は、0.1wt%、0.3wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.2wt%、1.5wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%もしくは10wt%であるか、約0.1wt%、約0.3wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%、約1.2wt%、約1.5wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%もしくは約10wt%であるか、またはこれらの間の任意の濃度である。
いくつかの実施形態において、前記溶媒留分を分別蒸留プロセスに付して、分留液を得る。いくつかの実施形態において、前記分留液では、前記溶媒留分より、有機溶媒、水、フラン、有機酸、またはこれらの任意の組み合わせの濃度が高くなっている。いくつかの実施形態において、前記溶媒留分において、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、99.5%もしくは99.9%の有機溶媒、またはこれらのいずれか2つを上下限値とする範囲内とする溶媒量の有機溶媒が回収されている。いくつかの実施形態において、前記有機溶媒は、本明細書に記載されているような水混和性非プロトン性有機溶媒である。いくつかの実施形態において、前記有機溶媒は、1,4-ジオキサンである。
いくつかの実施形態において、前記薄膜蒸発装置から送出された底部固形生成物は乾燥した状態にある。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の含水量は、0.1wt%未満、0.33wt%未満、0.5wt%未満、0.62wt%未満、0.65wt%未満、1wt%未満、1.15wt%未満、1.88wt%未満、2wt%未満、3wt%未満、4wt%未満もしくは5wt%未満であるか、約0.1wt%未満、約0.33wt%未満、約0.5wt%未満、約0.62wt%未満、約0.65wt%未満、約1wt%未満、約1.15wt%未満、約1.88wt%未満、約2wt%未満、約3wt%未満、約4wt%未満もしくは約5wt%未満であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物のフラン含量は、0.80wt%、0.85wt%、0.90wt%、0.92wt%、0.95wt%、0.96wt%、0.97wt%、0.98wt%、0.99wt%、1wt%、1.2wt%もしくは1.5wt%であるか、約0.80wt%、約0.85wt%、約0.90wt%、約0.92wt%、約0.95wt%、約0.96wt%、約0.97wt%、約0.98wt%、約0.99wt%、約1wt%、約1.2wt%もしくは約1.5wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の糖含量は、0.05wt%、0.1wt%、0.15wt%、0.17wt%、0.20wt%、0.5wt%、1wt%、1.3wt%、1.5wt%、1.6wt%、2wt%、3wt%、4wt%、4.5wt%、5wt%、6wt%、8wt%もしくは10wt%であるか、約0.05wt%、約0.1wt%、約0.15wt%、約0.17wt%、約0.20wt%、約0.5wt%、約1wt%、約1.3wt%、約1.5wt%、約1.6wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約4.5wt%、約5wt%、約6wt%、約8wt%もしくは約10wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の有機酸含量は、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%もしくは2wt%であるか、約0.01wt%、約0.05wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%もしくは約2wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の有機溶媒含量は、0.005wt%、0.01wt%、0.02wt%、0.03wt%、0.04wt%、0.05wt%、0.07wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%もしくは2wt%であるか、約0.005wt%、約0.01wt%、約0.02wt%、約0.03wt%、約0.04wt%、約0.05wt%、約0.07wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%もしくは約2wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の炭素含量は、50wt%、55wt%、56wt%、57wt%、58wt%、59wt%、60wt%、61wt%、62wt%、63wt%、65wt%もしくは70wt%であるか、約50wt%、約55wt%、約56wt%、約57wt%、約58wt%、約59wt%、約60wt%、約61wt%、約62wt%、約63wt%、約65wt%もしくは約70wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の水素含量は、4wt%、4.2wt%、4.4wt%、4.5wt%、4.6wt%、4.7wt%、4.8wt%、4.9wt%、5wt%もしくは5.5wt%であるか、約4wt%、約4.2wt%、約4.4wt%、約4.5wt%、約4.6wt%、約4.7wt%、約4.8wt%、約4.9wt%、約5wt%もしくは約5.5wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の窒素含量は、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.5wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.5wt%もしくは2wt%であるか、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.5wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%、約1.5wt%もしくは約2wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の硫黄含量は低い。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の硫黄含量は、0wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%もしくは0.5wt%であるか、約0wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%もしくは約0.5wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の酸素含量は、20wt%、25wt%、28wt%、29wt%、30wt%、31wt%、32wt%、33wt%、34wt%、35wt%もしくは40wt%であるか、約20wt%、約25wt%、約28wt%、約29wt%、約30wt%、約31wt%、約32wt%、約33wt%、約34wt%、約35wt%もしくは約40wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の灰分量は低い。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の、700℃に加熱した場合の灰分量は、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、10wt%もしくは15wt%であるか、約0.1wt%、約0.5wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約10wt%もしくは約15wt%であるか、またはこれらの間の任意の量である。いくつかの実施形態において、前記底部固形生成物は微細な炭素質粉末である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の金属含量は低い。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の腐植質含量は高い。
いくつかの実施形態において、次いで、前記固形生成物を洗浄し、残った固形物をろ過し、捕集した液体を乾燥させて洗浄固形生成物を得てもよい。いくつかの実施形態において、前記洗浄固形生成物の灰分量は、洗浄していない固形生成物より低い。いくつかの実施形態において、前記洗浄固形生成物の塩含量は、洗浄していない固形生成物より低い。いくつかの実施形態において、前記固形生成物は、水、酸性溶液および/または有機溶媒のうちの少なくとも1種で洗浄される。いくつかの実施形態において、前記酸性溶液はクエン酸を含む。いくつかの実施形態において、前記有機溶媒はエタノールを含む。いくつかの実施形態において、前記洗浄固形生成物の、700℃に加熱した場合の灰分量は、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%もしくは2wt%であるか、約0.05wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1wt%もしくは約2wt%であるか、またはこれらのいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
いくつかの実施形態において、次いで、前記固形生成物および/または前記洗浄生成物を炭化し、炭化固形生成物を得てもよい。いくつかの実施形態において、この炭化プロセスは、前記生成物を高温に曝すことを含む。いくつかの実施形態において、前記高温は、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1200℃、1500℃もしくは2000℃、約300℃、約400℃、約500℃、約600℃、約700℃、約800℃、約900℃、約1000℃、約1200℃、約1500℃もしくは約2000℃、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内の温度から選択してもよい。いくつかの実施形態において、前記炭化プロセスは不活性雰囲気を含む。いくつかの実施形態において、前記不活性雰囲気は窒素雰囲気である。
捕集した生成物の追加の処理
いくつかの実施形態において、前記捕集した生成物は、さらに処理して下流の用途に使用してもよい。いくつかの実施形態において、前記捕集した生成物は、固形生成物、洗浄固形生成物、炭化生成物、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記捕集した生成物をさらに処理して所望の生成物とする。いくつかの実施形態において、前記所望の生成物は、土壌施用(例えば、土壌改良剤や肥料)、エネルギー貯蔵、または液体やガスの精製の用途に使用してもよい。いくつかの実施形態において、前記所望の生成物は、土壌調整剤、土壌賦活剤、土壌改良剤、土壌浄化剤、肥料、アノード材料、または活性炭材料であってもよい。
いくつかの実施形態において、前記所望の生成物は活性炭材料である。いくつかの実施形態において、前記活性炭材料は、ガス精製、液体精製または電極材料の用途に使用してもよい。いくつかの実施形態において、前記活性炭材料の表面積は、少なくとも800m2/g、少なくとも900m2/g、少なくとも1000m2/g、少なくとも1200m2/g、少なくとも1400m2/g、少なくとも1600m2/g、少なくとも1800m2/gもしくは少なくとも2000m2/gであるか、少なくとも約800m2/g、少なくとも約900m2/g、少なくとも約1000m2/g、少なくとも約1200m2/g、少なくとも約1400m2/g、少なくとも約1600m2/g、少なくとも約1800m2/gもしくは少なくとも約2000m2/gであるか、またはこれらの表面積のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記活性炭材料は、粉末状活性炭、顆粒状活性炭またはペレット状活性炭である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物からの粉末状活性炭の製造は、前記固形生成物を前述したように洗浄すること、洗浄した固形生成物を前述したように高温で炭化すること、および炭化した固形生成物を活性化することを含む。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の活性化は、蒸気活性化および/またはガス活性化を含む。いくつかの実施形態において、前記蒸気活性化および/または前記ガス活性化は、蒸気雰囲気下または燃焼ガス雰囲気下で、前記固形生成物を高温に曝すことを含む。いくつかの実施形態において、前記燃焼ガス雰囲気は、CO2、CO、N2、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記蒸気活性化および前記ガス活性化の際の高温は、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃もしくは1200℃であるか、約600℃、約700℃、約800℃、約900℃、約1000℃、約1100℃もしくは約1200℃であるか、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、前記固形生成物の活性化は、化学的活性化を含む。いくつかの実施形態において、前記化学的活性化は、前記固形生成物を強塩基と混合し、次いで不活性雰囲気で高温に曝すことを含む。いくつかの実施形態において、前記強塩基は、KOH、NaOH、またはこれらの組み合わせでありうる。いくつかの実施形態において、前記化学的活性化の際の高温は、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃もしくは1000℃であるか、約400℃、約500℃、約600℃、約700℃、約800℃、約900℃もしくは約1000℃であるか、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。いくつかの実施形態において、活性化された粒子をさらに粉砕し、所望の粒子径とする。
いくつかの実施形態において、顆粒状活性炭またはペレット状活性炭は、洗浄プロセス後かつ高温炭化プロセス前に前記洗浄固形生成物を顆粒化プロセスまたは圧縮プロセスに付すこと以外は粉末状活性炭の製造と同様にして製造される。いくつかの実施形態において、顆粒状活性炭またはペレット状活性炭の製造は、前記固形生成物を前述したように洗浄すること、洗浄した固形生成物をバイオ系結合剤と混和すること、該結合剤と該固形生成物の混合物を押出し成形、ペレット成形または顆粒成形すること、次いで乾燥または酸化すること、次いで、任意で、前述したように高温炭化プロセスに付すこと、次いで炭化した固形生成物を前述したように活性化すること、さらに活性化生成物を洗浄および乾燥すること、を含む。いくつかの実施形態において、前記バイオ系結合剤は、トール油ピッチ、糖および/もしくはセルロース誘導体の含水混合物、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記セルロース誘導体はヒドロキシエチルセルロースである。いくつかの実施形態において、前記乾燥または酸化は、空気中、100℃、150℃、200℃、250℃もしくは300℃で行われるか、またはこれらの温度のいずれか2つを上下限値とする範囲内で行われる。
いくつかの実施形態において、前記所望の生成物は硬質炭素材料である。いくつかの実施形態において、前記硬質炭素材料は、リチウムイオン電池のアノード材料などのエネルギー貯蔵用途に使用してもよい。いくつかの実施形態において、前記硬質炭素材料は、出発原料である前記固形生成物よりも表面積が小さいことを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記固形生成物からの硬質炭素材料の製造は、前記固形生成物を前述したように洗浄すること、洗浄した固形生成物を前述したように高温で炭化すること、炭化した生成物を粉砕および分級すること、ならびに粉砕した生成物をコーティングおよび炭化後処理すること、を含む。
FDCA経路プロセス
本開示において、あらゆるFDCA経路プロセスを利用することができる。本明細書において、「フランジカルボン酸経路生成物」および「FDCA経路生成物」という用語は区別なく使用され、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)または2,5-フランジカルボン酸経路中間体化合物を指す。
いくつかの実施形態において、前記FDCA経路生成物はFDCAである。いくつかの実施形態において、前記酸化基質は、糖、HMFおよび/もしくはFDCA経路の中間体化合物(例えば、DFF、HMFCAもしくはFFCA)、またはこれらの任意の2種以上の混合物である。いくつかの実施形態において、前記酸化供給原料は、他の薬剤または残渣成分をさらに含んでいてもよく、これらは該酸化供給原料に溶解するものであっても、溶解しないものであってもよい。例えば、前記酸化供給原料は、HMFまたは他の酸化基質と酸化溶媒とからなる粗酸化供給原料であってもよい。本明細書において「粗酸化供給原料」とは、所望の酸化基質に加えて、該酸化基質の生成、単離および/または精製に関連する不純物および/または副生成物を含む供給原料を指す。例えば、前記酸化供給原料は、所望の酸化基質に加えて、特定のバイオマス関連成分、例えば、バイオマス由来成分や、(例えば、熱分解法、化学的分解法、機械的分解法および/または酵素分解法による)バイオマスから糖への転化(この糖は次いでHMFに転化される)に伴って生成される副生成物などを含んでいてもよい。したがって、前記粗酸化供給原料は、多糖類(例えば、セルロース(例えば、リグノセルロース、ヘミセルロースなど)、デンプンなど)、オリゴ糖(例えば、ラフィノース、マルトデキストリン、セロデキストリンなど)、単糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノースなど)、二糖類(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、セロビオースなど)、フルフラールなどのフラン系基質、副生成物としてのオリゴマーやポリマーの形態の腐植質(腐植質)、残留無機酸ならびに残留無機酸塩からなる群から選択される成分をさらに含んでいてもよい。同様に、前記酸化供給原料は、HMFおよび/またはFDCA経路中間体化合物を含むHMF酸化生成物からなる粗供給原料であってもよい。前記粗酸化供給原料を処理して、所望の酸化基質の濃度を高め、かつ/または不純物および/もしくは副生成物の濃度を下げてもよい。このように処理された粗酸化供給原料を、本明細書において「精製酸化供給原料」と呼ぶことがある。
本明細書において「酸化溶媒」とは、接触(酸化)工程が実施される温度において、前記酸化基質および所望のFDCA経路生成物がそれぞれ単独で最低でも少なくとも2重量%は溶解する有機溶媒または多成分溶媒を指す。通常、前記酸化溶媒は、前記接触工程が実施される温度で測定した場合に、前記FDCA経路生成物の溶解度が少なくとも3wt%または少なくとも4wt%である溶媒であり、より典型的には、前記FDCA経路生成物の溶解度が、少なくとも5wt%、少なくとも6wt%、少なくとも7wt%、少なくとも8wt%、少なくとも9wt%、少なくとも10wt%、少なくとも11wt%、少なくとも12wt%、少なくとも13wt%、少なくとも14wt%もしくは少なくとも15wt%であるか、またはこれらの量のいずれか2つを上下限値とする範囲内である溶媒である。いくつかの実施形態において、前記FDCA経路生成物の溶解度は、2~4wt%、3~5wt%、4~6wt%、5~7wt%、6~8wt%、7~9wt%、8~10wt%、9~11wt%、10~12wt%、11~13wt%、12~14wt%もしくは13~15%の範囲内であるか、またはこれらの重量%のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。候補となる有機溶媒または多成分溶媒における前記FDCA経路生成物の溶解度は、公知の方法により容易に測定することができる。
前記酸化基質およびFDCAに対して必要最小限の溶媒和力を示す有機溶媒を単独でまたは多成分溶媒の一成分として好適に使用できる。いくつかの実施形態において、前記酸化溶媒は、非プロトン性有機溶媒(例えば、エーテル類、エステル類、ケトン類など)を、単独で(すなわち、単一成分溶媒として)または多成分溶媒の一成分として含む。前記非プロトン性有機溶媒が多成分溶媒中の一成分として使用される場合、該非プロトン性有機溶媒は、通常、多成分溶媒中の他の成分に対して混和性を示す。本明細書において「多成分溶媒」とは、2種、3種またはそれ以上の種類の溶媒種の混合物を指す。本開示の実施において使用される多成分溶媒は、第1の有機溶媒種、第2の有機溶媒種および水からなる群から選択される2種以上の溶媒種を含んでいてもよい。前記多成分溶媒が水と有機溶媒とを含む場合、該有機溶媒は水混和性有機溶媒である。前記水混和性有機溶媒は、通常、水混和性非プロトン性有機溶媒である。
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒の成分の候補となる溶媒は、前記酸化基質および前記所望のFDCA経路生成物が高い溶解性を示す溶媒に限定されない。FDCAが多成分溶媒中のいずれの溶媒成分に対しても溶解性が低いという場合でも、多成分溶媒はFDCAに対して相乗的な溶媒和効果を示しうる。例えば、FDCAは水への溶解性は低いが、水と、FDCAに対する溶媒和力が低い水混和性有機溶媒とを組み合わせた場合、この併用により、FDCAに対する溶媒和力を向上させることが可能である。
このような効果を示す多成分溶媒としては、水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒が挙げられる。本開示の実施における使用に適した水混和性非プロトン性溶媒としては、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)、γ-バレロラクトンなどが挙げられる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒は、例えば、グライム類、ジオキサン(1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどのエーテル類であることが好ましい。本開示の実施における使用に適したグライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)などが挙げられる。多くの場合、前記酸化溶媒は、グライム類、ジグライムまたはジオキサンである水混和性非プロトン性有機溶媒と、水とを含む多成分溶媒である。
いくつかの実施形態において、前記酸化溶媒の組成は、さらに下流のプロセス(例えば、生成物の回収、精製などを行うプロセス)の必要条件、または上流プロセス(例えば、糖からフラン系酸化基質への転化)の必要条件を考慮に入れて決定してもよい。例えば、特定の実施形態において、軽質溶媒と重質溶媒とを含む多成分溶媒を酸化溶媒として使用することが望ましい場合がある。「軽質溶媒」とは、特定の圧力下における沸点(沸騰温度)が重質溶媒よりも低い溶媒を指す。これに対して、「重質溶媒」とは、特定の圧力下における沸点(沸騰温度)が軽質溶媒よりも高い溶媒を指す。前記多成分溶媒が水と水混和性有機溶媒とを含む場合、該水混和性有機溶媒は水混和性軽質有機溶媒(例えば、水より沸点が低い水混和性有機溶媒)であってもよく、水混和性重質有機溶媒(例えば、水より沸点が高い水混和性有機溶媒)であってもよい。通常、前記水混和性軽質有機溶媒は非プロトン性軽質有機溶媒であり、前記水混和性重質有機溶媒は非プロトン性重質有機溶媒である。前記多成分溶媒中で水と組み合わされる水混和性(かつ非プロトン性)の軽質有機溶媒としては、例えば、グライム類、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどが挙げられる。前記多成分溶媒中で水と組み合わされる水混和性(かつ非プロトン性)の重質有機溶媒としては、例えば、ジオキサン、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類などが挙げられる。いくつかの実施形態(例えば、連続反応器系)において、前記酸化溶媒の全量もしくは一部またはその成分を、(例えば、蒸留を経て)製造溶液から除去し、反応混合物に再利用してもよい。このような実施形態では、上記の酸化工程(すなわち、接触工程)を実施する際の温度または酸化工程よりも上流もしくは下流のプロセスを実施する際の温度において、共沸混合物に相当する組成または共沸混合物を形成することができる組成(すなわち、「共沸組成」)を有する多成分溶媒を使用することが望ましい場合がある。共沸組成を有するこのような多成分溶媒を使用することによって、(共沸組成の一部としての)酸化溶媒を酸化工程または酸化工程よりも上流および/もしくは下流のプロセスに再利用することが容易となる場合がある。
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒中の水混和性有機溶媒種の濃度は、少なくとも5容量%(vol%)、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%または少なくとも95vol%であり、これに対応して、前記多成分溶媒系中の水の濃度は、通常、95vol%未満、90vol%未満、85vol%未満、80vol%未満、75vol%未満、70vol%未満、65vol%未満、60vol%未満、55vol%未満、50vol%未満、45vol%未満、40vol%未満、35vol%未満、30vol%未満、25vol%未満、20vol%未満、15vol%未満、10vol%未満または5vol%未満である。
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、1~5wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、99~95wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、5~10wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、95~90wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、10~15wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、90~85wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、15~20wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、85~80wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、20~25wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、80~75wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、25~30wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、75~70wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、30~35wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、70~65wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、35~40wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、65~60wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、40~45wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、60~55wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、45~50wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、65~50wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、50~55wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、50~45wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、55~60wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、45~40wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、60~65wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、40~35wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、65~70wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、35~30wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、70~75wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、30~25wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、75~80wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、25~20wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、80~85wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、20~15wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、85~90wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、15~10wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、90~95wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、10~5wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、95~99wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水と、5~1wt%またはこの範囲内の任意の値で示される割合の水混和性有機溶媒とを含む。
いくつかの実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:6~6:1またはこの範囲内の任意の値である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~4:1またはこの範囲内の任意の値である。別の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:4~3:1またはこの範囲内の任意の値である。別の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:3~3:1またはこの範囲内の任意の値である。特定の実施形態において、水と水混和性有機溶媒の容量比は1:1である。
いくつかの実施形態において、前記多成分溶媒は、水と2種の異なる水混和性有機溶媒とを含む。通常、前記2種の異なる水混和性有機溶媒はいずれも水混和性非プロトン性有機溶媒である。前記2種の異なる水混和性非プロトン性溶媒はそれぞれ、テトラヒドロフラン、グライム類、ジオキサン、ジオキソラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」)、メチルエチルケトン(「MEK」)およびγ-バレロラクトンからなる群から独立して選択することができる。前記水混和性非プロトン性有機溶媒の一方または両方が、例えば、グライム類、ジオキサン(例えば、1,4-ジオキサン)、ジオキソラン類(例えば、1,3-ジオキソラン)、テトラヒドロフランなどのエーテル類であってもよい。グライム類としては、例えば、モノグライム(1,2-ジメトキシエタン(「DME」))、エチルグライム、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、エチルジグライム、トリグライム、ブチルジグライム、テトラグライム、ポリグライム類、高分子量アルコールの高エトキシ化ジエーテル(「ハイグライム」)などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:1:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:1(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約1:2:2(v:v:v)である。いくつかの実施形態において、水と第1の水混和性有機溶媒と第2の水混和性有機溶媒の容量比は約2:1:1(v:v:v)である。
いくつかの実施形態において、前記酸化基質から前記FDCA経路生成物への酸化に使用される酸化触媒は、通常、担体の内面および/または外面に分散された貴金属を含む。本明細書において「貴金属」とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金または金を指す。いくつかの実施形態において、前記貴金属は、白金、金、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記貴金属は白金である。いくつかの実施形態において、前記貴金属は金である。前記不均一系酸化触媒は、該触媒の性能を向上させるために、助触媒をさらに含んでいてもよい。前記貴金属が白金もしくは金、またはこれらの組み合わせである場合、好適な助触媒としては、例えば、Pd、Ir、Mo、Bi、Te、Sn、Wなどが挙げられる。
前記酸化触媒の固体担体成分は、本明細書に記載の比表面積に関する要件を満たす触媒担体としての使用に適していることが当業者に知られている任意の種類の材料を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、好適な材料としては、例えば、金属酸化物、炭素質材料、ポリマー、金属ケイ酸塩、金属炭化物、またはこれらから製造される任意の複合材料が挙げられる。金属酸化物としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)などが挙げられる。本明細書において「炭素質」とは、黒鉛およびカーボンブラックを指す。金属ケイ酸塩としては、例えば、オルトケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライト)などが挙げられる。金属炭化物としては、例えば、炭化ケイ素などが挙げられる。好適なポリマー性固体担体材料としては、ポリスチレン、ポリスチレン-co-ジビニルベンゼン、ポリアミド、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
前記FDCA経路プロセスを実施する際、純粋な酸素(すなわちO2のみからなり、他のガスを含まない)を供給してもよく、あるいは混合ガスの一成分(例えば、空気、酸素濃縮空気、酸素欠乏空気、窒素混合酸素など)として酸素を供給してもよい。前記接触工程における酸素と前記酸化基質のモル比は、通常2:1~10:1である。いくつかの実施形態において、酸素と前記酸化基質のモル比は2:1~10:1または3:1~5:1である。前記接触工程において、前記酸素の分圧は、通常、40psig~1000psigまたはこの範囲内の任意の値である。より典型的には、前記酸素の分圧は、40psig~200psigまたはこの範囲内の任意の値である。いくつかの実施形態において、前記酸素の分圧は、40~200psig、100~300psig、200~400psig、300~500psig、400~600psig、500~700psig、600~800psig、700~900psigもしくは800~1000psigであるか、これらの範囲内の任意の値であるか、またはこれらの分圧のいずれか2つを上下限値とする範囲内である。
いくつかの実施形態において、前記酸化基質から前記FDCA経路生成物への酸化は、50℃~200℃またはこの範囲内の任意の値の温度で実施される。いくつかの実施形態において、この酸化工程は、80℃~180℃またはこの範囲内の任意の値の温度で実施され、別の実施形態において、該酸化工程は、90℃~160℃もしくはこの範囲内の任意の値の温度、または100℃~160℃もしくはこの範囲内の任意の値の温度で実施される。いくつかの実施形態において、前記酸化工程は、90℃~180℃またはこの範囲内の任意の値の温度で実施され、場合によっては、前記酸化工程は、110℃~160℃またはこの範囲内の任意の値の温度で実施される。
本開示の方法は、当技術分野で公知の反応器、例えば、固定床反応器、トリクルベッド反応器、スラリー相反応器、移動床反応器などを使用して、バッチ式反応器法、セミバッチ式反応器法または連続式反応器法で実施してもよい。前記酸化溶媒に対する反応物および生成物(特に前記FDCA経路生成物)の溶解度は比較的高いため、前述の反応器法のいずれも容易に使用することができ、特に固定床反応器法を容易に使用することができる。
前記FDCA経路生成物は、該FDCA経路生成物と前記酸化溶媒を含む生成物溶液から、該FDCA経路生成物の生成に使用された触媒を分離することによって、反応混合物から回収してもよい。分離処理を経た生成物溶液には、前記酸化溶媒とこれに溶解した反応混合物の成分が含まれているが、前記酸化触媒は含まれていない。さらに、この生成物溶液から前記酸化溶媒の一部を除去することによって、溶解している成分を濃縮してもよい。前記酸化溶媒の除去は、(例えば、エバポレーターを使用した)蒸発、蒸留などによって行ってもよい。
別の方法として、あるいはさらなる単離工程として、前記FDCA経路生成物を精製してもよい。好ましくは、前記FDCA経路生成物の精製は結晶化により行われる。前記FDCA経路生成物の精製および結晶化は、公知の方法で行うことができる。FDCA経路生成物の結晶と結晶化溶媒との分離は、固体と液体を分離するための公知の方法、例えば、ろ過、遠心分離、またはその両方を用いて行うことができる。
以下、脱水プロセスにより得られた副生成物濃縮膜残留流からプロセス溶媒および固形有機不純物を薄膜蒸発装置を用いて分離、回収する方法の様々な例示的実施形態について記載する。
一般的な分析方法
すべての流液中の腐植質含量は、沈殿法により分離された腐植質を標準品として使用し、UV-可視分光光度法(360~460nm範囲の吸光度)により測定した。フラン含有化合物は、公知の市販化合物を標準品として使用し、HPLC-UV法により測定した。水分量は、カールフィッシャー滴定法により測定した。1,4-ジオキサン含量は、市販の1,4-ジオキサンを標準品として使用し、GC法により測定した。有機酸は、市販の化合物を標準品として使用し、HPLC-UV法により測定した。乾燥残渣については、試料を凍結乾燥し残留重量を測定した。捕集した底部画分の残留水分量は、重量が一定になるまで試料を105℃で加熱することにより、重量測定法で測定した。捕集した固形物画分中の残留有機化合物は、固形物試料(1g)を脱イオン水(20g)中で撹拌してろ過した後の水相を上記の方法で分析することにより測定した。捕集した固形物の灰分量は、周囲空気流中で試料を700℃まで加熱することにより、重量測定法で測定した。CHNSOは、Thermo Flash 2000有機元素分析計を用いて分析した。
実施例1
実施例1では、供給物を薄膜蒸発装置で処理して、溶媒と固形物を分離・回収した例について記載する。使用した供給物は、腐植質、糖、有機酸、フラン含有有機化合物、臭化ナトリウム、さらに1,4-ジオキサンと水の多成分溶媒を含む。この供給物を、供給量と薄膜温度を変化させた条件下で、薄膜蒸発装置に導入した。留出液と乾燥した底部画分を、あらかじめ重量を量っておいた乾燥したガラス容器に一定時間捕集した。
試験には、以下の主な装置を使用した:蠕動供給ポンプ;内部容量465cm2で、モーター駆動ローターと、5cmの底部出口と、5cmの蒸気出口とを備えた、ホットオイルジャケット付き向流式横型薄膜蒸発装置;蒸気はシェル側、冷却水は管側を流れる、内部容量0.37m2のU字管凝縮器;蒸気バイパスを液化するためのドライアイス冷却トラップ;真空ポンプ;窒素注入用質量流量計。これらの装置における、処理中に湿潤する金属部品はすべて316ステンレス製である。試験1-1~1-7で使用した装置の設定パラメーターを表1に示す。
Figure 2022529935000002
供給物(供給物-1)と、試験1-1~1-7の溶媒留分の分析データを表2に示す。
Figure 2022529935000003
試験1-2と1-3の固形底部画分の分析データを、それぞれ固形物1-2と1-3として、表3に示す。
Figure 2022529935000004
実施例2
実施例2では、供給物を薄膜蒸発装置で処理して、溶媒と固形物を分離・回収した例について記載する。使用した供給物は、腐植質、糖、有機酸、フラン含有有機化合物、臭化ナトリウム、さらに1,4-ジオキサンと水の多成分溶媒を含む。この供給物を、供給量、薄膜温度、窒素注入量、および反応器圧力を変化させた条件下で、薄膜蒸発装置に導入した。留出液と乾燥した底部画分を、あらかじめ重量を量っておいた乾燥したガラス容器に一定時間捕集した。
試験には、以下の主な装置を使用した:300L撹拌供給タンク;蠕動供給ポンプ;内部容量930cm2で、モーター駆動ローターと、10cmの底部出口と、10cmの蒸気出口とを備えた、ホットオイルジャケット付き向流式横型薄膜蒸発装置;蒸気はシェル側、冷却水は管側を流れる、内部容量0.7m2のU字管凝縮器;蒸気バイパスを液化するドライアイス冷却トラップ;真空ポンプ;窒素注入用質量流量計。これらの装置における、処理中に湿潤する金属部品はすべて316ステンレス製である。試験2-1~2-6に使用した装置の設定パラメーターを表4に示す。
Figure 2022529935000005
供給物(供給物-2)と、試験2-1~2-6の溶媒留分の分析データを表5に示す。
Figure 2022529935000006
試験2-1、2-2、2-5および2-6の固形底部画分の分析データを、固形物2-1、2-2、2-5および2-6として、表6に示す。
Figure 2022529935000007
実施例3
実施例3では、底部画分中の灰分量を減少させるための洗浄方法について記載する。
固形物3-1:実施例1に記載の固形物1-3を、脱イオン水(20×試料重量)中、周囲温度で16時間撹拌した。固形物をろ過し、105℃で一晩乾燥して固形物3-1を得た。
固形物3-2:実施例2に記載の固形物2-2(95.7g)を、脱イオン水(300g)中、周囲温度で19時間撹拌した。固形物をろ過して、105℃で一晩乾燥して固形物3-2を得た(82g、85.7wt%)。
固形物3-3:実施例2に記載の固形物2-5(96.2g)を、脱イオン水(300g)中、周囲温度で19時間撹拌した。固形物をろ過して105℃で一晩乾燥した後、残渣を無水エタノール(240g)中、周囲温度で26時間撹拌した。固形物をろ過し、105℃で一晩乾燥して固形物3-3を得た(81.3g、84.5wt%)。
固形物3-4:実施例2に記載の固形物2-5を、脱イオン水(4×試料重量)中、60℃で6時間撹拌した。固形物をろ過し、105℃で一晩乾燥して固形物3-4を得た。
固形物3-5:実施例2に記載の固形物2-5を、クエン酸溶液(5wt%水溶液、4×試料重量)中、60℃で6時間撹拌した。固形物をろ過して脱イオン水で洗浄し、105℃で一晩乾燥して固形物3-5を得た。
洗浄した固形物試料と洗浄していない固形物試料の灰分量の差分は、残留NaBrを除去した量に相当する。結果を表7に示す。
Figure 2022529935000008
実施例4
実施例4では、実施例3に記載の固形物3-1を高温で炭化して固形物4-1を得た例について記載する。固形物3-1(3.2g)の微粉末を、流速10K/分のN2気流下、最高温度1000℃まで加熱し、この最高温度で1時間保持した。その後、加熱を止め、N2気流下、室温まで放冷した。1.45g(1-3の45.3wt%)の残留固形物4-1を、黒色微粉末として捕集した。固形物3-1と固形物4-1の元素分析および灰分量分析を表8に示す。
Figure 2022529935000009
実施例5
実施例5では、固形物3-2を高温で炭化して固形物5-1と固形物5-2を得た例について記載する。実施例3に記載の固形物3-2(50.5g)の微粉末を、流速10K/分のN2気流下、最高温度500℃まで加熱し、この最高温度で1時間保持した。その後、加熱を止め、N2気流下、室温まで放冷した。28.2g(55.8wt%)の固形物5-1を、褐色/黒色微粉末として捕集した。
次に、固形物5-1(25.2g)を、流速10K/分のN2気流下、最高温度1000℃まで加熱し、この最高温度で1時間保持した。その後、加熱を止め、N2気流下、室温まで放冷した。20.2g(80.2wt%)の固形物5-2を、黒色微粉末として捕集した。全収率は44.8wt%であった。固形物3-2、固形物5-1および固形物5-2の、元素分析、灰分量分析、および粒径分布を表9に示す。
Figure 2022529935000010
実施例6
実施例6では、固形物3-3を高温で炭化して固形物6-1と固形物6-2を得た例について記載する。実施例3に記載の固形物3-3(50.3g)の微粉末を、流速10K/分のN2気流下、最高温度500℃まで加熱し、この最高温度で1時間保持した。その後、加熱を止め、N2気流下、室温まで放冷した。30.4g(60.4wt%)の固形物6-1を、褐色/黒色微粉末として捕集した。
次に、固形物6-1(27.6g)を、流速10K/分のN2気流下、最高温度1000℃まで加熱し、この最高温度で1時間保持した。その後、加熱を止め、N2気流下、室温まで放冷した。22.1g(80.1wt%)の固形物6-2を、黒色微粉末として捕集した。全収率は48.4wt%であった。固形物3-3、固形物6-1および固形物6-2の、元素分析、灰分量分析、および粒径分布を表10に示す。
Figure 2022529935000011
実施例7
実施例7では、捕集した溶媒留分の分別蒸留について記載する。実施例2に記載の溶媒2-6の363.8gを、ビグリューカラムと、凝縮器およびフラクションコレクターに接続された、温度計付き蒸留ヘッドとを備える1L丸底フラスコ中で、加熱還流した。溶媒留分を蒸留して、分別された2つの画分、溶媒7-1と溶媒7-2を捕集した。分析データを表11に示す。
Figure 2022529935000012
実施例1~7の要約
実施例1~7は、横型薄膜蒸発装置を効果的に使用して、溶媒(蒸気画分として)と有機不純物(固形底部画分として)を分離し、フルクトースからHMFへの脱水やキシロースからフルフラールへの脱水などの糖の脱水プロセスからの溶媒回収と不純物の除去が可能であることを示している。これらの方法は、供給物が、腐植質、残留糖、フラン含有有機化合物および有機酸を含む場合に、高い溶媒回収率(90~100%)を達成しうることを示しており、これは固形底部画分中の残留溶媒含量が低いことに基づいている。回収した溶媒中の残留有機不純物の含量は、<4wt%と低く、<2wt%の場合もあった。このように残留不純物含量が少ないため、回収した溶媒は、蒸気供給連続蒸留または凝縮した留出液の逐次分別蒸留などにより、さらに精製することができる(>99%)。
有機不純物を乾燥した固形底部画分として回収し送出することにより、残留水分が<2wt%で、水洗後には灰分量が少なく、硫黄を含まない固形物画分が得られた。この固形底部画分をさらに処理して、エネルギー貯蔵用のアノード材料や精製用の活性炭として使用してもよく、あるいは土壌賦活剤、土壌改良剤、肥料または土壌浄化剤に混合してもよい。
本開示の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることが可能であることは十分に理解されるであろう。したがって、本明細書に開示の形態は例示に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことは理解されるはずである。

Claims (20)

  1. 供給原料から腐植質を単離する方法であって、
    該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
    該供給原料が、
    水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒を約65~90wt%または65~90wt%、および
    溶解した乾燥残渣を約10~35wt%または10~35wt%
    含み、
    溶解した該乾燥残渣が、前記供給原料全体に対するwt%値またはppm値として、
    約30,000~120,000ppmまたは30,000~120,000ppmの糖、
    約2~5wt%または2~5wt%のフラン含有化合物、
    約24,000~100,000ppmまたは24,000~100,000ppmの腐植質化合物、
    約0.2~0.7wt%または0.2~0.7wt%の有機酸、
    均一系酸、
    塩、および
    金属
    を含み、
    前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
    前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して単離した固形物を提供することをさらに含み、
    単離した該固形物が、
    約0.3~2wt%または0.3~2wt%の水分、
    約0.9~5wt%または0.9~5wt%のフラン含有化合物、
    約0.1~2wt%または0.1~2wt%の糖、
    約0.02~1wt%または0.02~1wt%のジオキサン、および
    約0.1~6wt%または0.1~6wt%の灰分
    を含む、方法。
  2. 単離した前記固形物を洗浄し、乾燥させて、洗浄乾燥固形物を得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記洗浄乾燥固形物を高温炭化プロセスに付して、炭化固形物を得ることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記薄膜蒸発装置が、横型薄膜蒸発装置である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記薄膜蒸発装置が、0°~90°の間または約0°~約90°の間の角度、例えば、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°もしくは85°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°もしくは約85°、またはこれらの間の任意の角度に配向されており、0°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心に向かってまっすぐ下向きに配向されていることを意味し、180°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心から遠ざかる方向に向かってまっすぐ上向きに配向されていることを意味する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記有機酸が、レブリン酸、ギ酸、酢酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記均一系酸が、HCl、HBr、HI、H2SO4、H3PO4、シュウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三ハロゲン化ホウ素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記塩が、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 供給原料から溶媒を回収する方法であって、
    該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
    該供給原料が、
    水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒を約65~90wt%または65~90wt%、および
    溶解した乾燥残渣を約10~35wt%または10~35wt%
    含み、
    溶解した該乾燥残渣が、前記供給原料全体に対するwt%値またはppm値として、
    約30,000~120,000ppmまたは30,000~120,000ppmの糖、
    約2~5wt%または2~5wt%のフラン含有化合物、
    約24,000~100,000ppmまたは24,000~100,000ppmの腐植質化合物、
    約0.2~0.7wt%または0.2~0.7wt%の有機酸、
    均一系酸、
    塩、および
    金属
    を含み、
    前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
    前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して回収した溶媒物を提供することをさらに含み、
    回収した該溶媒物が、
    最大で約500ppmまたは最大で500ppmの糖、
    最大で約1.6wt%または最大で1.6wt%のフラン、
    約300~700ppmまたは300~700ppmの腐植質化合物、および
    最大で約2wt%または最大で2wt%の有機酸
    を含む、方法。
  10. 回収した前記溶媒物を凝縮器に供給することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  11. 回収した前記溶媒物を連続蒸留塔に供給することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  12. 回収した前記溶媒が、分別蒸留によってさらに精製または単離される、請求項9に記載の方法。
  13. 前記薄膜蒸発装置が、横型薄膜蒸発装置である、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記薄膜蒸発装置が、0°~90°の間または約0°~約90°の間の角度、例えば、5°、10°、15°、30°、45°、60°、75°、80°もしくは85°、約5°、約10°、約15°、約30°、約45°、約60°、約75°、約80°もしくは約85°、またはこれらの間の任意の角度に配向されており、0°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心に向かってまっすぐ下向きに配向されていることを意味し、180°は、加熱した該薄膜蒸発装置が地球の重心から遠ざかる方向に向かってまっすぐ上向きに配向されていることを意味する、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 供給原料から単離した固形物からなる組成物であって、
    2wt%未満の水分、
    少なくとも0.9wt%のフラン、
    少なくとも0.1wt%の糖、
    最大で2wt%の水分、
    最大で1wt%のジオキサン、および
    最大で6wt%の灰分
    を含む、組成物。
  16. 前記灰分量が、最大で1wt%である、請求項15に記載の組成物。
  17. 前記灰分量が、最大で0.5wt%である、請求項15に記載の組成物。
  18. 前記灰分量が、最大で0.1wt%である、請求項15に記載の組成物。
  19. 供給原料から腐植質を単離する方法であって、
    該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
    該供給原料が、
    水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒、および
    溶解した乾燥残渣
    を含み、
    該乾燥残渣が腐植質化合物を含み、
    前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
    前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して単離した固形物を提供することをさらに含み、
    単離した該固形物が、
    約0.3~2wt%または0.3~2wt%の水分、
    約0.9~5wt%または0.9~5wt%のフラン含有化合物、
    約0.1~2wt%または0.1~2wt%の糖、
    約0.02~1wt%または0.02~1wt%のジオキサン、および
    約0.1~6wt%または0.1~6wt%の灰分
    を含む、方法。
  20. 供給原料から溶媒を回収する方法であって、
    該方法が、供給原料を薄膜蒸発装置に供給することを含み、
    該供給原料が、
    水と水混和性非プロトン性有機溶媒とを含む多成分溶媒、および
    溶解した乾燥残渣
    を含み、
    該乾燥残渣が腐植質化合物を含み、
    前記供給原料のpHが、約1~4の間または1~4の間であり、
    前記方法が、前記薄膜蒸発装置内で前記供給原料を処理して回収した溶媒物を提供することをさらに含み、
    回収した該溶媒物が、
    最大で約500ppmまたは最大で500ppmの糖、
    最大で約1.6wt%または最大で1.6wt%のフラン、
    約300~700ppmまたは300~700ppmの腐植質化合物、および
    最大で約2wt%または最大で2wt%の有機酸
    を含む、方法。
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