JP2022528970A - 電解研磨方法 - Google Patents

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Abstract

製造された金属製物品を電解研磨するための方法であって、金属製物品を電解研磨電解質と接触させる工程、及び少なくとも1つの電解研磨レジームであり、各電解研磨レジームが少なくとも2A/cm2の電流密度、並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む、少なくとも1つの電解研磨レジームを含む印加電流レジームの印加により、金属製物品を電解研磨電解質中で電解研磨する工程を含む、方法。

Description

優先権の相互参照
本発明は、その内容がこの参照により本明細書に組み込まれると理解されるべきである、2019年4月9日にオーストラリア特許庁に出願されたオーストラリア仮特許出願第2019901205号の条約上の優先権を主張する。
本発明は概して、製造された金属製物品の表面を平滑化するための電解研磨方法に関する。本発明は、付加製造された(3D印刷された)金属合金、特にクロム含有合金、チタン及びチタン合金、ニチノール等のニッケル合金並びにアルミニウム及びアルミニウム合金等の保護酸化層を有する金属及び金属合金の表面仕上げに特に適用可能であり、以下でその例示的用途に関して本発明を開示することが好都合である。しかし、本発明は、付加製造された(3D印刷された)金属及び金属合金製品に特に限定されず、金属製物品の表面を平滑化するために電解研磨を必要とする種々の製造方法から生産される広範な種類の金属製(金属及び金属合金)物品に適用可能であることが理解されるべきである。
以下の本発明の背景の考察は、本発明の理解を容易にすることが意図される。しかし、考察は、言及される資料のいずれかが出願の優先日の時点で公開されていた、公知であった又は一般常識の一部であったことを了承又は承認するものではないことが理解されるべきである。
付加製造は通常、典型的に平均表面粗さRa値が2μmを超える、典型的に5μmを超える(マクロ仕上げ)、通常は8~20μmのRa値である、広範な表面粗さ又は表面仕上げを有する物品を提供する。そのような付加製造された部品は、それらの初期表面粗さを特定の用途に必要とされる許容可能な値に低減させるために、研磨又は別様に機械加工される必要がある。
ラッピング、粉砕及び研磨等の機械的方法は、物品の初期平均表面粗さをマイクロ仕上げレベル(典型的に0.01<Ra<2.00μm)に至るまで低減させることができる。これらの方法は、時間がかかり一般的に手動であるため、誤差が生じやすく極めて高価である。現行の研磨時間は典型的に、手作業を使用して1時間を超える。更にこれらの方法は、複雑な形の構成要素に使用された場合に均一性の限界を有する可能性がある。加えて、初期表面粗さが高い場合、所望の最終表面粗さを達成するために複数の粉砕/研磨工程が必要とされる場合がある。
電解研磨は、従来の方法によって研磨することが困難でありうる金属製構成要素を仕上げる、及び研磨するために好適な代替的な仕上げ技術である。電解研磨は、直流及び導電性電解質を使用して金属の表面から粒子を除去する。既存の最新技術は、主に安定した電圧のDC電流、又はDC電圧の20%未満であるACの比較的小さい成分の付加を使用する。除去速度(電流)は、金属製構成要素の表面積に基づき通常0.25~0.50A/cmの間である。表面粗さの低減は、30~60分のプロセス時間にわたって典型的に1.5μm~0.7μmRaである。材料除去のスピードは緩徐である場合があり、電解研磨のアンペア数は、典型的に10~200mA/cmの範囲である。このプロセスは、緩徐な低減スピード及び低い粒子除去速度に起因して、電解研磨が実行可能になるまで部品の表面を許容可能にするために、少なくとも1種の他の手動研磨又は代替的な仕上げプロセスを必要とする。化学的仕上げ時間を低減させるために使用される前処理プロセスの例として、CNC機械加工、バレル研磨、振動システム、熱処理、ショットピーニング、サンディング、ビーズブラスト処理又はレーザー再溶融が挙げられる。後処理も手動の機械的仕上げを必要とする場合がある。
従来の電解研磨は、典型的にフッ化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸の組合せを含む高濃度の酸溶液の組合せも使用する。そのような電解質は環境に優しいものではなく、処分の問題を有する可能性がある。
しかしながら、付加製造された表面を研磨するための電解研磨システムが開発されている。1つの例は米国特許公開第US20190345628A1号であり、これは鋼、ニッケルベースの合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金又はチタン合金から作製された製品の3D印刷表面を、時間曲線においてその電流強度が特定可能な値まで継続的に上昇する、少なくとも1つのアノードパルスが与えられる繰り返しパルスシーケンスによって電気化学研磨するための方法を教示している。第1のアノードパルスに続く更なるより高周波数のマイクロパルスが使用されてもよく、これはパルス休止及び/又は少なくとも1つのカソードパルスによって中断される。電解研磨レジームの平均電流密度は、好ましくは0.005A/cm~0.3A/cmであり、パルスは0.0005秒~5秒のパルス長を有し、周波数は0.2Hz~2kHzである。
US20190345628A1のシステムは妥当な電解研磨の結果を提供するが、不動態層又は研磨膜層の完全な崩壊及び潜在的なストリーク、ガス生成の問題、熱の問題等を引き起こす可能性があるその特性を回避するために、電圧電流曲線の過不動態範囲外では動作しない。
したがって、金属製物品、好ましくは粗い金属製物品、特にクロム含有金属製合金等の保護酸化層を有する金属製物品(金属又は金属合金)を仕上げる及び/又は研磨する、代替的又は改善された方法を提供することが望ましい。
米国特許公開第US20190345628A1号 特許公開第WO2009/105802号 AU2013242795A1号 AU2017204328A1号
本発明は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ニチノール等のニッケル合金、並びにステンレス鋼及びインコネル等のクロム含有金属合金等の保護酸化層を有する金属製物品(金属又は金属合金)に適用可能な電解研磨技術を提供する。電解研磨技術は、粗い表面を有する金属製物品に適用可能であり、且つ優れた表面粗さの低減を従来の電解研磨方法より急速に達成する。
本発明の第1の態様は、製造された金属製物品を電解研磨するための方法であって、
金属製物品を電解研磨電解質と接触させる工程、及び
少なくとも2A/cmの電流密度、並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を有する電圧を含む、少なくとも1つの電解研磨レジームを含む印加電流レジームの印加により、金属製物品を電解研磨電解質中で電解研磨する工程
を含む、方法を提供する。
本発明は、不均質な質感を有さない及び/又は電解研磨後に顕著により低い平均表面粗さ値を示す表面仕上げを生じる急速な研磨が可能な電解研磨方法を提供する。本発明の電解研磨方法は、2A/cm以上の高い電流密度を使用して材料を急速に除去する。本発明の電解研磨方法はまた、処理される物体に送達される電圧(及び電流)をおよそ若しくはほぼゼロボルト又はレジーム時に物体に供給される最低電圧からレジーム時に物体に供給される0.5V~500Vの範囲の全電圧に変化させる整形波形電圧を使用する。波形は、2Hz~300kHzの範囲の周波数で送達される。この電流密度及び電圧波形は、金属製物品の処理される1又は複数の表面から大量の材料が急速に除去されることを可能にする。
先行技術の方法とは異なり、本発明は、電圧電流曲線の過不動態範囲外で動作することを回避しない。本発明では、電流密度及び電圧は、方法の最初に不動態層(過不動態範囲で形成される)をブラスト処理して除去するように選択される。本発明は、制御された周波数、電圧、電流、温度及び化学反応を使用することにより、標準的な許容可能な電圧電流限界の外側で動作することによって引き起こされるすべての問題に対処することができる。
単一の印加電流レジームが使用されてもよいが、電解研磨時に少なくとも2つの電流レジームが使用されるとより良好な結果が使用される。これらの実施形態では、本発明の方法は少なくとも2つの電解研磨レジーム、より好ましくは少なくとも3つの電解研磨レジームを含み、各電解研磨レジームは少なくとも2A/cmの電流密度、並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を有する電圧を含み、各電解研磨レジームの周波数、電流密度(電流)又は最大電圧のうちの少なくとも1つは、先の電解研磨レジームと比較して変化する。
本発明者は、高い電解研磨電流の長時間の印加により、表面にへこみ及びストリークが残る可能性があることを認識した。したがって、微細な仕上げを達成することを支援するために、2つ以上の電解研磨レジームを有する印加電流レジームが使用される。印加電流レジームの効果は、2つ以上の電解研磨レジームを使用し、周波数、電流密度(電流)又は最大電圧のうちの1つ以上を先の電解研磨レジームと比較して変化させる、例えば段階的に変化させる(上げる又は下げる)ことによって増強される。いずれか1つの理論に限定されることを望むものではないが、本発明者は、レジームの開始時は材料の除去速度が高いと考えている。1分未満以内に、処理される材料の表面に拡散層が形成される。拡散層は、絶縁体又は抵抗負荷と同様に作用するように思われる。この拡散層は材料除去のスピードを顕著に低減させ、除去されない場合、プロセスのスピードは顕著に低下する。最大電圧、電流密度(電流)及び周波数が変化すると、電解研磨されている部品の周囲の拡散層が撹乱され、材料除去の速いスピードが再確立される。改善されたスピードは、好ましくは10分未満、好ましくは5分未満、典型的に2分未満、一部の場合では1分未満に、粗面(>2μmRa、典型的に>5μmRa)を2μmRa未満の表面粗さにすることができる結果を依然として維持する。
本発明は、周波数、電圧及び/又は電流密度の変化、典型的に段階的な変化を使用し、任意の所与のパラメータのセット(周波数、電圧、電流密度)で、短時間で部品に近接して形成される、急速に形成される拡散層を乱す。しかし、本発明は、周波数、電圧、電流/電流密度、温度及び化学反応を使用してすべての可変要素に対処することができ、金属製物品の表面からの粒子の均一なストリッピング(電解研磨)を可能にすることが理解されるべきである。
拡散層は、電解質の残りの部分と比較して非常に緻密である。拡散層は、金属製物品周囲の層中の「電解質と金属粒子の緻密なスープ」と説明されてもよいものを通して電子及び素粒子の移動を緩徐化する。パラメータ(周波数、電圧、電流密度)を変化させることにより、金属製物品周囲の緻密層が新鮮な電解質で常に置き換えられ、また各工程の開始時の高電流パルスによって追加の強力なガス発生が生じることにより、拡散層の金属製物品に近接したその位置からの除去が更に支援される。
最大電圧、電流密度(電流)又は周波数のうちの少なくとも1つが各電解研磨レジームの間に変化する。ほとんどの場合、これは最大電圧、電流密度(電流)又は周波数の1つ以上を、先の電解研磨レジームと比較して段階的に上げる又は下げることを含む。
電解研磨レジームはまた、好ましくは減少する強度で漸進的に金属製物品を電解研磨し、微細な仕上げを可能にするように設計される。したがって、各連続電解研磨レジームは、好ましくは先の電解研磨レジームより全体的に低い最大電圧又は全体的に低い電流密度のうちの少なくとも1つを有する(すなわち、下向きの傾斜パターンで全体的に低下するが、個々のレジームはそのパターンとは異なり、より高い成分を有してもよい)。
電圧及び電流は、様々な最大電圧/電流レベル及び異なる周波数の電解研磨レジームで印加される。使用される電圧が電流の流れを決定し、1つの可変要素とみなされてもよいことが理解されるべきである。電圧/電流によって除去される材料の量が決定される。複数の電解研磨レジームが使用される場合、初期の電解研磨レジームは高い最大電圧(したがって高い電流/電流密度)を有し、大量の材料を素早く除去する。これにより、非常に粗い材料の表面粗さが適度に平滑な粗さまで非常に素早く低減される。最大電圧/電流密度は、より一層微細な結果を得るために後続の電解研磨レジームで低減されてもよい。したがって、最適な表面仕上げプロセスは、より一層平滑で微細な仕上げのために、最初は高くその後低下する最大電圧/電流を有する一連の電解研磨レジームである。実施形態では、高電圧/電流は典型的に5A/cmより高い、好ましくは7A/cmより高い、より好ましくは10A/cmより高い電流密度を有する。対応する電圧は、電解質の導電性に依存することが理解されるべきである。
非常に高い電流密度(>10A/cm)では、金属製物品の表面からの粒子/材料の除去は非常に高速、強烈且つ不安定であるため、多くの場合金属製物品の金属表面はわずかに窪む又は不均一になる(又は低周波数でストリークが生じる)。本発明は、バルク材料を除去するための以前の電解研磨方法と比較して高い電流密度を使用する。電解研磨方法は、以下により詳細に記載されるように、好ましくは電流を緩徐に段階的に下げ、製品に平滑で均一な表面を残すことによって増強されてもよい。
任意の数の電解研磨レジームが電解研磨工程で使用されてもよい。一部の実施形態では、電解研磨工程は、少なくとも3つの電解研磨レジーム、好ましくは少なくとも4つの電解研磨レジーム、より好ましくは少なくとも10の電解研磨レジーム、更により好ましくは少なくとも20の電解研磨レジームを含む。一部の実施形態では、電解研磨工程は40を超える電解研磨レジームを含む。他の実施形態では、電解研磨工程は3~10の電解研磨レジームを含む。実施形態では、電解研磨工程は3~6の電解研磨レジームを含む。各連続電解研磨レジームは、好ましくは先の電解研磨レジームと異なる周波数を伴って印加される。しかし、一部の場合では、1つ以上の連続電解研磨レジームが先の電解研磨レジームと同じ周波数を伴って印加されてもよいことが理解されるべきである。
本発明の電解研磨方法は急速であり(従来の電解研磨方法より少なくとも5~10倍速い)、好ましくは10分未満、好ましくは5分未満、より好ましくは2分未満、一部の場合では1分以下で平均表面粗さを2μmRa未満まで低減させる。本発明の電解研磨方法は均一な研磨をもたらし、正確でスケーラブルである。そのような電解研磨処理は、得られる物品が非常に粗く不均一な表面質感を有する(3D印刷された構成要素、粗野にブラスト処理された表面、非常に粗い焼結部品等)工学製造プロセスにとって非常に興味深いものである可能性がある。
すべての電解研磨レジームの合計継続時間は、好ましくは10分未満、より好ましくは5分未満である。一部の実施形態では、すべての電解研磨レジームの合計継続時間は、好ましくは3分未満、より好ましくは2分未満、更により好ましくは60秒以下である。これを達成するために、各電解研磨レジームは1~30秒、好ましくは1~20秒、より好ましくは1~15秒の継続時間にわたって印加されてもよい。一部の実施形態では、各電解研磨レジームは2~30秒、好ましくは2~20秒、より好ましくは2~15秒の継続時間にわたって印加されてもよい。
印加電流レジームは、金属製物品の粗さを低減させるのに有効な期間にわたって印加される。印加電流レジームは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲に及ぶ。
両方の電極(すなわち、カソード及びアノード/金属製物品)を分極させるために、好適なDC又はパルス電源(電圧又は電流が制御された)が使用される。印加電流レジームの電流及び関連する電流密度は、材料の除去速度、及びしたがって金属製物品の電解研磨スピードに影響を及ぼす。電流は少なくとも0.1Aである。関連する電流密度は少なくとも2A/cm、好ましくは少なくとも1.0A/cm、より好ましくは少なくとも5A/cmである。一部の実施形態では、電流密度は2A/cm~200A/cm、好ましくは20~50A/cmである。一部の実施形態では、電流密度は22A/cmより大きい、好ましくは25A/cmより大きい。一部の実施形態では、電流密度は25A/cm~200A/cm、好ましくは25~100A/cmである。一部の実施形態では、電流密度は30A/cm~200A/cm、好ましくは30~100A/cmである。
電流はDCのみ、ACのみ、方形波パルスDC、正弦波のパルス化DC又はこれらの混合物であってもよい。パルス化DC波形が使用される場合、印加電流波形は古典的なACではなく、且つ正確にはDCではないことが理解されるべきである。波形は、交流電流又はパルス状DC方形波のいずれかである方形波形電流として特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、パルス状DC方形波形は、ピーク又は印加電流位相と比較して長いゼロ電流位相を有する。多くの実施形態では、電流はDC電流を含む。
電圧の整形波形は、方形波、正弦波、パルス化のうちの1つ又はこれらの組合せであってもよい。一部の実施形態では、整形波形電流は、好ましくは可変デッドタイムを有するパルス幅変調(PWM)波形、好ましくは方形波パルスを含む。一部の実施形態では、方形波パルスは可変デッドタイムを有する。一部の実施形態では、パルス状方形波形は、ピーク又は印加電流位相と比較して長いゼロ電流位相を有する。
チタン及びアルミニウム等の保護酸化層を有する材料は、より高い周波数を使用することにより、より速いスピード及び低い最大電圧で崩壊する。電流の周波数は、電解研磨される金属製物品の表面での拡散バリアの崩壊を支援するために、好ましくは各レジームで変化する。周波数は2Hz~300kHz(一部の場合ではそれ以上)で変化してもよい。一部の実施形態では、周波数は200Hz~300kHz、好ましくは2kHz~300kHzで変化してもよい。一部の実施形態では、周波数は2Hz~200kHz、好ましくは2Hz~150kHzで変化してもよい。他の実施形態では、周波数は2kHz~200kHz、好ましくは2kHz~150kHzで変化してもよい。一部の実施形態では、周波数は10kHz~300kHz、好ましくは10kHz~200kHz、より好ましくは10kHz~150kHzである。一部の実施形態では、周波数は10kHz~100kHzである。他の実施形態では、周波数は20~300kHz、好ましくは20~100kHz、より好ましくは20~90kHz、更により好ましくは40~80kHzである。正確な周波数は、金属製物品の特定の組成及び所望の表面粗さに適合するように選択される。
実施形態では、波形は最大電圧の80%より大きい、又は1Vより大きい、好ましくは2Vより大きい、より好ましくは3Vより大きいのうちの少なくとも1つの最大電圧と最小電圧の間の変化を含む。一部の実施形態では、波形は
・最大電圧の80%より大きい、又は
・2Vより大きい
のうちの少なくとも1つの最大電圧と最小電圧の間の変化を含む。
一部の実施形態では、波形は最大電圧の80%より大きい、又は1Vより大きい、好ましくは5Vより大きい、より好ましくは10Vより大きい、更により好ましくは20Vより大きい、更により好ましくは30Vより大きいのうちの少なくとも1つの最大電圧と最小電圧の間の変化を含む。一部の実施形態では、波形は
・最大電圧の80%より大きい、又は
・40Vより大きい
のうちの少なくとも1つの最大電圧と最小電圧の間の変化を含む。
各電解研磨レジームで使用される最大電圧は、0.5~500Vの間である。ほとんどの実施形態では、最大電圧は1V~200V、好ましくは5V~150V、より好ましくは10V~100Vの間である。特定の実施形態では、電圧は10~75Vの間である。最小電圧は最大電圧より低く、且つ少なくとも0Vである。一部の実施形態では、最小電圧は0~150Vの間、好ましくは0~100Vの間、より好ましくは0~50Vの間である。一部の実施形態では、最小電圧は0~20Vの間、好ましくは0~10Vの間である。実施形態では、最小電圧は0Vに近い(特定の電源にとって可能な限り近い)、すなわち実質的に0V又はおよそ0Vの電圧である。
電流密度が連続電解研磨レジームの間で変化する場合、電流密度は先の電解研磨レジームと比較して変化する、好ましくは段階的に上がる又は下がってもよい。実施形態では、電流密度のその変化は典型的に少なくとも1A/cm、好ましくは少なくとも2A/cm、より好ましくは2~200A/cmである。一部の実施形態では、その電流密度は1~100A/cm、より好ましくは1~50A/cmの間で変化する。
電解研磨工程は、1つ又は多数の電解研磨レジームに続き1つ以上の冷却レジームを含んでもよい。実施形態では、電解研磨工程は、少なくとも1つの電解研磨レジームに続き電流密度を低下させることを含む少なくとも1つの冷却レジームを含む。冷却レジームは、1つのみの電解研磨レジーム、多数の電解研磨レジーム、又は一部の場合では各電解研磨レジームに続いてもよい。電流密度を低下させる場合、好ましくは最大で先の電解研磨レジームの電流密度の半分、より好ましくは最大で先の電解研磨レジームの電流密度の4分の1まで低下させる。低下させた電流密度は、先の電解研磨レジームの電流密度の0.5倍以下、0.4倍以下、0.3倍以下、0.2倍以下又は更には0.1倍以下であってもよい。一部の実施形態では、電流密度は、ゼロ電流密度に近くなる又は等しくなるまで低下させる。冷却レジームは、任意の好適な時間枠にわたって印加されてもよい。一部の実施形態では、各冷却レジームは少なくとも0.5秒、より好ましくは少なくとも1秒の継続時間にわたって印加される。実施形態では、冷却レジームは1~10秒間、好ましくは1~5秒間印加される。冷却レジームは、先の電解研磨レジームと比較して低減された電流密度、及びしたがって低減された印加電流を有し、金属製物品及びカソードを冷却させる。これは特定の実施形態、例えば金属製物品が電源の正極端子に接続されることによってアノードになり、好適な導通電極、例えば導電性ブラシからなるカソードが電源の負極端子に接続される非水没方法(以下を参照されたい)で有利でありうる。これらの実施形態では、冷却時間は金属製加工品の冷却を目的とするが、ブラシ電極を冷却することによる利益も存在する。
本発明の例示的な実施形態は、電解研磨レジームに先行する初期パルスを含む。これらの実施形態では、電解研磨工程は
(A)少なくとも1秒の継続時間にわたって印加される、少なくとも2A/cmの電流密度並びに20~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び50~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む初期パルス、続いて
(B)少なくとも2A/cmの電流密度並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む、少なくとも1つの電解研磨レジーム
を含む印加電流レジームの印加を含む。
本発明は、最初に部品を高電流密度でブラスト処理することにより、金属製物品を攻撃から保護する不動態/研磨膜層を即座に除去する。この状態で、金属製物品は化学的又は大気の攻撃に非常に感受性である。本発明は、周波数、電圧、電流、温度及び化学反応を使用してすべての可変要素に対処し、金属製物品の表面からの粒子の均一なストリッピングを可能にする。
好ましい実施形態では、電解研磨工程は
(A)少なくとも1秒の継続時間にわたって印加される、少なくとも2A/cmの電流密度、並びに20~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び50~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む初期パルス、続いて
(B)少なくとも2A/cmの電流密度並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む少なくとも2つの電解研磨レジームであって、各電解研磨レジームの周波数及び/又は最大電圧が先の電解研磨レジームと比較して変化する、少なくとも2つの電解研磨レジーム
を含む印加電流レジームの印加を含む。
一部の実施形態では、初期パルスは5A/cmより大きい、好ましくは7A/cmより大きい、より好ましくは10A/cmより大きい電流密度を有する。
いずれか1つの理論に限定されることを望むものではないが、本発明者は、初期パルスが金属製物品上の部分的に結合された材料を除去し、後続の電解研磨レジーム(又は複数のレジーム)のシーケンスが金属製物品を電解研磨し、それにより好ましくは均一、平滑及び光沢がある電解研磨された表面を生じると考えている。一部の場合では、初期の高電流/電圧パルスは、その部分的に結合された材料と基材材料の間の接着点を溶融する、又は別様に切断する。電解研磨は、好ましくは表面が清潔であり、全体的に夾雑物を含まないことを必要とする。したがって、初期パルスは、有利には金属製物品の表面からデブリを除去する。3D印刷物品では、そのようなデブリは3D印刷プロセスからの人工産物として存在しうる。これは、有利には電解研磨時に「微小谷部」の材料よりはるかに速く溶解される、加工物表面上の生じうる突起(山部)を低減する。
初期パルスは、金属製物品に接着されたデブリ又は別様に部分的に結合された材料を除去することができる大きな最大電圧及び電流を与えることが意図される。パルスは、短い時間枠(すなわち、秒)にわたって印加されることが意図される。これに関して、初期パルスは1~20秒、好ましくは2~15秒、より好ましくは2~10秒、更により好ましくは2~5秒の間の短い時間枠/継続時間にわたって印加される。更に、初期パルスの最大電圧は、好ましくは連続電解研磨レジームのそれぞれの最大電圧より大きい。同様に、初期パルスの電流密度は、好ましくは連続電解研磨レジームのそれぞれの電流密度より大きい。実施形態では、初期パルスは少なくとも1.0A/cm、より好ましくは少なくとも5A/cmの電流密度を有する。一部の実施形態では、初期パルスは2A/cm~200A/cm、好ましくは20~50A/cmの電流密度を有する。一部の実施形態では、初期パルスは22A/cmより大きい、好ましくは25A/cmより大きい電流密度を有する。更に、初期パルスの交流電圧の印加周波数が、連続電解研磨レジームのそれぞれの印加周波数と異なることが好ましい。一部の実施形態では、初期パルスの交流電圧の印加周波数は、連続電解研磨レジームのそれぞれの印加周波数未満である。一部の実施形態では、初期パルスの交流電圧の印加周波数は、連続電解研磨レジームのそれぞれの印加周波数より大きい。
初期パルスの周波数は、20Hz~300kHz(一部の場合ではそれ以上)で変化してもよい。一部の実施形態では、周波数は200Hz~300kHz、好ましくは2kHz~300kHzで変化してもよい。一部の実施形態では、周波数は20kHz~150kHzである。一部の実施形態では、周波数は20kHz~100kHzである。他の実施形態では、周波数は30~100kHz、好ましくは30~90kHz、より好ましくは40~80kHzである。
各初期パルスで使用される最大電圧は、50~500Vの間である。ほとんどの実施形態では、最大電圧は50V~200V、好ましくは50V~150V、より好ましくは50V~100Vの間である。
したがって、本発明の実施形態は、製造された金属製物品を電解研磨するための方法であって、
金属製物品を電解研磨電解質と接触させる工程、及び
金属製物品を電解研磨電解質中で電解研磨する工程
を含み、電解研磨工程が
(A)少なくとも1秒の継続時間にわたって印加される、少なくとも2A/cmの電流密度並びに20~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び50~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む初期パルス、続いて
(B)少なくとも1秒の継続時間にわたって印加される、少なくとも2A/cmの電流密度並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む少なくとも2つの電解研磨レジームであって、各電解研磨レジームの周波数及び/又は最大電圧が先の電解研磨レジームと比較して変化する、少なくとも2つの電解研磨レジーム
を含む印加電流レジームの印加を含む、方法を提供することができる。
特定の実施形態では、電解研磨工程は3~7秒、好ましくは5秒の継続時間にわたって印加される、30~50kHzの周波数を有し、60~700Vの間、好ましくは65Vの最大電圧を有する整形波形を有する電圧を含む初期パルス、続いて5~30秒の継続時間にわたって印加される、50~70kHz、好ましくは63kHzの周波数、10~60Vの間の最大電圧を有する整形波形を有する電圧を含み、連続電解研磨レジームが先の電解研磨レジームより低い最大電圧を有する少なくとも2つの電解研磨レジームによって特徴付けられる印加電流レジームの印加を含む。
本発明の電解研磨方法は、保護酸化皮膜を有する金属又は金属合金を含む金属製物品の電解研磨に特に適用可能である。これらの金属又は金属合金の例として、クロム含有金属合金、チタン、チタン合金、ニチノール等のニッケル合金、アルミニウム又はアルミニウム合金のうちの1つが挙げられる。一部の実施形態では、金属製物品は、クロム含有金属合金から形成される。そのような材料は、クロム酸化保護外層を有する。クロム含有金属合金は、合金組成中の主要な又は主な合金元素としてクロムを含む金属合金であることが理解されるべきである。クロムを含む種々の金属合金がこの群に入る。例示的な例として、鉄-クロム合金、ニッケル-クロム(nickel-chromium)(ニッケル-クロム(nickel-chrome))、ニッケル-クロム合金、コバルト-クロム合金又はコバルト-クロム-モリブデン合金から選択される金属合金が挙げられる。一部の実施形態では、クロム含有合金は鉄-クロム合金、例えばステンレス鋼を含む。一部の実施形態では、クロム含有合金はニッケル-クロム合金、例えばインコネルを含む。特定の実施形態では、クロム含有金属合金はコバルト-クロム合金を含む。一部の実施形態では、Co-Cr合金はモリブデン及びニッケル合金元素を更に含む。Co-Cr合金は、Mn、Ni、Fe、C、Ti、S、P、N及びW等の更なる副合金元素(1wt%未満)を含んでもよい。しかし、本発明は、アルミニウム又はアルミニウムベースの合金、チタン及びチタンベースの合金から形成される他の金属製物品で使用されてもよいことが理解されるべきである。
電解研磨電解質は、任意の好適な導電性液体であってもよい。好ましい形態では、電解研磨電解質はHPOを含む。電解研磨電解質は、好ましくは水又はC~Cアルコールベースの溶液中にリン酸を含む溶液を含む。電解研磨電解質は、リン酸(HPO)の溶液を唯一の成分酸として、又は他の化学物質、例えば他の酸との組合せで含んでもよい。例えば、電解研磨電解質の実施形態は、リン酸を硫酸(HSO)、塩酸(HCl)のうちの1種以上との組合せ、及び水又はC~Cアルコールのうちの1種以上との組合せで含んでもよい。一形態では、電解質溶液は、リン酸の85%水溶液を含む。しかし、組成はイオン含有量並びに電圧、電流及び電解研磨電解質の温度を含む他の可変要素に依存する。
例示的な実施形態では、電解研磨電解質は、食品グレードの(安全な)電解質浴である。任意の好適な導電性液体が使用されてもよい。実施形態では、電解研磨電解質は、リン酸を水又はC~Cアルコールのうちの1種との組合せで含む。実施形態では、電解研磨電解質はリン酸水溶液を含む。
電解質中の酸、特にリン酸の溶液濃度は1%~90%(すなわち、水100ml中1g~90gの化合物)、好ましくは10%~90%で変化してもよい。溶液濃度は、処理される金属製物品の種類(例えばステンレス鋼、コバルト-クロム合金、Ni-Cr合金等)及び電解処理時間に依存する。一実施形態では、85%リン酸溶液が使用される。
電解研磨電解質のpHは、その組成に応じて1~14の間であってもよい。一部の実施形態では、本発明の電解研磨方法の間の電解研磨電解質のpHは、好ましくは1.0~7.0の間、より好ましくは1.0~3.0の間である。一実施形態では、電解研磨電解質のpHはおよそ1.5である。
電解研磨電解質の温度は、-25~200℃、好ましくは0~150℃、より好ましくは50~100℃、更により好ましくは60~90℃に維持されるべきである。ここでも、電解研磨電解質の温度は電解研磨電解質の組成に依存する。例えば、85%リン酸溶液に到達すると、電解研磨電解質は粘性である。したがって、電解研磨電解質の温度が高いほど電解質はより良好に作用する。導電はより低濃度でより良好であるが、得られる金属製物品の得られる光沢はそれほど良好ではない。電流密度は温度依存性であり、電解研磨電解質の濃度及び組成、並びにしたがって温度に基づいて変化することが理解されるべきである。
処理温度の範囲を維持するために、冷却方法が通常必要とされる。金属製物品は、これらに限定されないがヒートシンク、ガス流又は液体流冷却を含む種々の方法によって冷却されてもよい。電解研磨電解質は、典型的に熱交換器への又はそれを通した電解質の流れにより、好ましくは50~100℃、より好ましくは60~90℃の間の温度に維持される。一部の実施形態では、電解研磨電解質に向けられるファン等の対流冷却手段が使用されてもよい。しかし、好ましい実施形態では、熱交換器は電解研磨電解質に浸漬されてもよい。例えば、小規模(研究室又は開発規模)では、これは電極及び電解研磨電解質を含有するビーカーが浸漬される水/氷水浴を含んでもよい。大規模(すなわち商業的/産業的プロセス)では、これは好適な冷却//熱交換ユニットを用いた電解研磨電解質の再循環及びその冷却を含んでもよい。更に、電解研磨電解質から金属/金属酸化物デブリを収集するために、1つ以上のフィルターが使用されてもよい。
合金表面上に位置する遊離した材料化合物を除去し、自然な不動態層を金属合金の周囲に再形成させるために、電解研磨後化学洗浄が必要とされる場合がある。
方法は、任意の数のプロセス自動化工程を含んでもよい。例えば一部の実施形態では、自動化(ロボット)アームを使用し、電解研磨方法時の浴中の加工品の位置及び移動を制御してもよい。一部の実施形態では、1つ以上のロボットアームを使用し、電解研磨方法時に構成要素及び/又は電極(例えば、非水没電解研磨のためのブラシ又はパッド)の両方を保持してもよい。
本発明の電解研磨方法は、任意の特定の表面粗さ、例えば2μmRa未満、又は更には1μmRa未満を有する金属製物品に適用可能であり、金属製物品は例えばRaが2μmより大きい、又は更には5μmである粗い表面を有する金属製物品と同様に本発明の電解研磨方法を使用して電解研磨されてもよい。特定の実施形態では、本発明の電解研磨方法を使用し、2μmを超える初期平均表面粗さ(Ra)から2μmRa未満の表面粗さを有する領域によって特徴付けられる、粗い金属製物品の平均表面粗さを低減することができる。金属製物品又はその関連する部分は2μmより大きい、好ましくは5μmより大きい初期粗さ(Ra)(Raは粗さの算術平均である)、一部の場合では10μmより大きいRaを有する。ほとんどの実施形態では、金属製物品の実質的にすべてが2μmより大きい初期平均表面粗さ(Ra)を有する。しかし、一部の実施形態では、処理を必要とする金属製物品の一部のみがこの粗さ値を有することが理解されるべきである。本発明の方法は、電解質に浸漬された1つ以上の製造された金属製物品に同時に適用するのに好適であることも理解されるべきである。製造された金属製物品の初期粗さ(Ra)はまた、一般的に400μm未満、より好ましくは300μm未満、最も好ましくは200μm未満である。
製造された金属製物品の初期粗さは、以下の方法: 砂型鋳造、インベストメント鋳造、付加製造、金属切削(鋸引き、成形、穿孔、フライス加工、旋削加工)、熱間圧延、鍛造、溶断のうちのいずれか1つによって製造される結果物であってもよい。しかし、このリストは限定的でなく、本発明の方法は種々の製造方法に適用可能であることが理解されるべきである。好適な製造技術及びこれらの技術が典型的にもたらすRa粗さレベルのリストは、以下の通りである:
・付加製造、Ra=10~50μm。
・砂型鋳造、Ra=100~900μm。
・インベストメント鋳造、Ra=2~10μm。
・金属切削(鋸引き、成形、穿孔、フライス加工、旋削加工)、Ra=2~25μm。
・熱間圧延、Ra=12~25μm。
・鍛造、Ra=3~12μm。
・溶断、Ra=12~25μm。
電解研磨は、不均質な質感を有さない及び/又はその初期表面粗さ値と比較して顕著に低い表面粗さ値を示す表面仕上げを生じることを目的とする。
表面粗さを定量化するための好適な計測方法として、表面触針プロフィロメトリー(形状(ライン)からRa及びRzパラメータが導出される)及び3D光学表面プロフィロメトリー(表面積からSa及びSzパラメータが導出される)が挙げられる。
本発明で処理される好適な製造された金属製物品は、クロム含有金属合金を含んでもよい。以前示された通り、これらの合金として、ステンレス鋼等の鉄-クロム合金、ニッケル-クロム(nickel-chromium)(ニッケル-クロム(nickel-chrome))及びその合金、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金が挙げられる。好ましい実施形態では、製造された金属製物品は、コバルト-クロム合金を含む。
金属製物品は、電解研磨回路のアノードになる。電気回路を完成するためにはカソードも必要とされる。カソードに好適な金属材料として、ステンレス鋼、鉛、銅又は良好な導電性及び耐食性を示す任意の他の金属若しくは導電性材料が挙げられる。一部の実施形態では、カソードは炭素ベースの材料、例えば炭素繊維ベースの材料を含む。一部の実施形態では、カソードは、その中で少なくとも1つのアノード金属製物品(すなわち、処理される粗い部品)が電解研磨電解質溶液(電解溶液)に浸漬される電解槽/容器である。他の実施形態では、カソードは、電解研磨電解質に浸漬された別個の伝導性材料物品からなる。カソードの表面は、好ましくはアノードの表面積(すなわち、金属製物品の表面積)のものより2~20倍大きく、より好ましくは5~10倍大きい。
本発明の方法によって処理される金属製物品のサイズ(部品サイズ)及び装置はスケーラブルであることが理解されるべきであり、これは印加電流レジームが、所望の出力電流/電流密度を達成するために複数のインバータパワーバンクを並行して運転することができる制御システムを使用して印加されるためである。したがって、本発明の方法は、ゴルフボールのサイズの部品を10Raの開始表面粗さから2Ra未満まで(一部の場合では0.5Ra未満、一部の実施形態では0.05Ra未満、更には0.02Ra未満)、且つ電解研磨電解質を含有する電解セル、電解リザーバ又は浴、及び印加電流レジームを印加するためのインバータのサイズを大型化することにより、車のサイズの部品を仕上げるために同様に適用可能である。
本発明の電解研磨方法は、金属製物品が電解研磨電解質に浸漬される従来の電解研磨セル、又は非浸漬技術、例えばブラシ印加電解研磨技術で実行可能である。
一部の実施形態では、電解研磨電解質は電解研磨セルに含有される。そのような実施形態では、金属製物品は電解質に浸漬され、電解研磨は、電解質及び電解研磨電解質を保持する受容体/容器の範囲内で行われる。この種類の従来の電解研磨では、金属製物品は、電源の正極端子に接続されることによって電解質浴中でアノードになる。好適な金属(典型的にプレートの形態)からなるカソードは電解質浴に浸漬され、電源の負極端子に接続されることによってイオン伝導のためのカソードになる。水没電解研磨又は表面仕上げでは、本発明の方法で使用される電流密度は2A/cmより大きい、好ましくは1A/cmより大きい、より好ましくは5A/cmより大きい。
他の実施形態では、電解研磨は金属製物品の表面への流体流として適用される。そのような電解研磨技術は非水没電解研磨技術として公知であり、一般的に電解研磨電解質で浸漬される金属製物品の表面及び導通電極に適用され、且つ表面を横切って移動して導通電極の周りの表面を電解研磨する電解研磨電解質の流れを含む。そのような電解研磨技術は、導電ブラシ、スポンジ、パッド又は電解流体若しくは流体様材料を金属製物品に塗布する任意のデバイス若しくは材料を使用してもよい。
この非水没方法では、金属製物品は電源の正極端子に接続されることによってアノードになる。好適な導通電極からなるカソードは、電源の負極端子に接続される。導通電極は、金属製物品の表面の選択された部分と係合するように構成される。したがって本発明の方法は、
金属製物品の表面を導通電極と接触させる工程
も含む。
一部の実施形態では、導通電極は炭素繊維ブラシからなる。しかし、任意の好適な導体(例えば、銅等)が使用されてもよい。使用中、電解質が金属製物品の表面の選択された部分にフィードされ(典型的にリザーバから送り込まれる)、カソードの部分及び金属製物品の表面を浸漬し、したがって金属製物品の表面に電解研磨セルを形成する。電解研磨エリアを冷却するために冷却材が供給されてもよい。この電解研磨技術の例は、その内容がこの参照により本明細書に組み込まれるとみなされるべきである特許公開第WO2009/105802号、AU2013242795A1号及びAU2017204328A1号で教示される。
非水没電解研磨又は表面仕上げでは、本発明の方法で使用される電流密度は5A/cmより大きい、好ましくは10A/cmより大きい、より好ましくは20A/cmより大きい、更により好ましくは22A/cmより大きい、更により好ましくは25A/cmより大きい。一部の実施形態では、電流密度は50A/cmより大きく、好ましくは100A/cmより大きくてもよい。一部の実施形態では、電流密度は120A/cmより大きく、好ましくは150A/cmより大きくてもよい。
本発明の方法は、金属製物品を加工して以下のことができる。
1.表面硬度を改善させる。
2.粒子体積の除去を制御し事前に決定する。
3.耐食性を改善させる。
4.表面粗さを低減させる。
5.表面に光沢を出す。
6.部分的に結合された材料を除去する。
7.夾雑物を除去する。
8.強い不動態層の結合をもたらす。
9.金属物品のエリアを選択的に研磨し、他のエリアを無視する。
10.金属製品にラベル等を付ける又はエッチングする。
本発明の電解研磨方法の実施形態は、電流レジームに依存して金属製物品の電解研磨された表面にいくつかのクレーターを残す可能性があり、これはそのような表面が医療グレードでない可能性が高いことを示すことが理解されるべきである。しかし、そのような電解研磨された製品は、依然として多くの用途、例えばジェットエンジンの部品に使用することができる。他の実施形態は、0.02Raより平滑な結果を達成することができ、これらの製品は医療グレード用途に好適なものになる。
ここで、本発明の特定の好ましい実施形態を例示する添付の図面の図を参照して本発明を説明する。
本発明の第1の実施形態による電解研磨方法を実行するために使用される電解研磨装置の概略図を示す。 本発明の第2の実施形態による電解研磨方法を実行するために使用される電解研磨装置の概略図を示す。 (A)3D印刷プロセスから形成された、及び(B)本発明の一実施形態によって実行された電解研磨の適用後のコバルト-クロム合金試験片の表面の顕微鏡画像(10x拡大)を示す。 (A)3D印刷プロセスから形成された(電解研磨前)、及び(B)本発明の一実施形態によって実行された電解研磨の適用後のステンレス鋼合金試験片の表面の顕微鏡画像(15x拡大)を示す。 (A)形成された(電解研磨前)、及び(B)本発明の一実施形態によって実行された電解研磨の適用後のレーザー切削されたアルミニウム試験片の表面の顕微鏡画像(10x拡大)を示す。 (A)3D印刷プロセスから形成された(電解研磨前)、及び(B)本発明の一実施形態によって実行された電解研磨の適用後のインコネル試験片の表面の顕微鏡画像(10x拡大)、並びに(C)電解研磨前(下)及び後(上)のインコネル試験片を比較する写真を示す。 本発明の第3の実施形態による電解研磨方法を実行するために使用される、炭素繊維電極ブラシを有する非水没電解研磨装置を示す。 (A)3D印刷プロセスから形成された(電解研磨前)、及び(B)本発明の一実施形態によって実行された電解研磨の適用後のステンレス鋼試験片の表面の顕微鏡画像(20x拡大)を示す。 (A)3D印刷プロセスから形成された(電解研磨前)、及び(B)本発明の一実施形態によって実行された電解研磨の適用後のチタン試験片の表面の顕微鏡画像(20x拡大)を示す。
本発明は、製造された金属製物品、特に保護酸化皮膜を有する金属及び金属合金から形成されたものに使用するための急速な、高品質の、安全な定量的仕上げ方法を提供する電解研磨方法を提供する。電解研磨方法が使用されてもよい金属及び金属合金の例として、ステンレス鋼、ニッケル-クロム(nickel-chromium)(ニッケルクロム(nickel-chrome))、ニッケル-クロム合金、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金等のクロムベースの金属製合金、更にチタン、チタン合金、ニチノール等のニッケル合金、アルミニウム又はアルミニウム合金が挙げられる。
保護酸化皮膜を有する金属及び金属合金の電解研磨は、酸化皮膜が通常の電解研磨プロセスを阻害する可能性があるため困難な場合がある。例えば、クロムベースの金属製合金は保護クロム酸化層を有し、アルミニウム及びアルミニウムベースの合金は保護アルミニウム酸化外層を有し、チタン及びチタンベースの合金は保護チタン酸化外層を有する。本発明の方法は、これらの材料を電解研磨する場合に、その層の有害な影響を克服することを支援する。
本発明はまた、3D印刷(付加製造)、溶断、はつり、粗粒ブラスト処理等の工学的生産方法によって生産された、製造された金属製物品の表面仕上げを改善することに関する。本発明は、付加製造が粗い仕上げをもたらすためこの手順に特に好適であり、また本発明は、この製造方法によって生成されうる広範な幾何形状に対処することができる。
金属を3D印刷する場合、表面は常に粗く、通常8~20の平均粗さ(Ra)である。ジェットエンジンを含むほとんどの産業用途及びインプラント等の医療用途では、印刷品は使用可能になるまで研磨されなければならない。従来の研磨の仕上げ方法は時間がかかり手動であるため、誤差が生じやすく極めて高価である。現行の研磨時間は、手作業を使用して典型的に1時間を超える。
本発明の電解研磨方法を使用して、10分未満、一部の場合では3分未満に、8~20μmRaの典型的粗さから2μmRaの粗さまでの平滑な仕上げをもたらすことができる。本発明の電解研磨方法は、これらの種類及び他の種類の金属製物品を急速に研磨し、平均表面粗さを低減させ、好ましくは不均質な質感を有さない及び/又はより低い平均表面粗さ値を示す表面仕上げをもたらすことができる。
本発明の電解研磨方法を実施するのに好適な、典型的な電解研磨装置100の概略図が図1に示される。示される電解研磨装置100は、電解研磨電解質140を保持するように構成された電解質リザーバ120を有する電解セル110を含む。電解研磨装置100は、所望の電流波形(DC、DCパルス又は可変周波数AC)を短パルスで送達することができるインバータ電源130を更に含む。インバータ電源130は、コンピュータ制御器135によって制御される。
金属製物品180は、インバータ電源130の正極端子に電気接続され、一方でインバータ電源130の負極端子は、電解質140を含有する容器を更に備えるカソード190に接続される。他の実施形態では、カソード190は別個の導電性物品であってもよいことが理解されるべきである。好適な導電性材料として、グラファイト、グラフェン、炭素繊維等の炭素ベースの材料が挙げられ、カソード190のための金属製/金属材料として、ステンレス鋼、鉛、銅又は良好な導電性及び耐食性を示す任意の他の材料が挙げられる。金属製物品180は、リザーバ120内で電解質140中に吊下され、電解研磨電解質140と完全な電気回路を形成する。
図示されないが、電解研磨装置110は、電解研磨電解質140を撹拌/混合し、金属製物品180及びカソード190の周囲での電解質140の均一な分布を保証するための混合デバイス、例えば混合ロータも含んでもよい。
コンピュータ制御インバータ電源130は、電流及び金属製物品180とカソード190の間の電圧差を印加するために使用される。コンピュータ135は、特定の金属製物品180及び構成材料が研磨されるのに最適になるように事前に決定された電圧/電流及び周波数の範囲を含む印加電流レジームにより、インバータ130(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。
本発明の電解研磨方法を実施するのに好適な電解研磨装置200の代替的な概略図が図2に示される。示される電解研磨装置200は、電解研磨電解質240を保持するように構成されたガラス容器(又は他の好適な材料)を含む電解質リザーバ220を有する電解セル210、及び所望の電流波形(DC、DCパルス又は可変周波数AC)を短パルスで送達することができるインバータ電源230を更に含む。インバータ電源230は、コンピュータ制御器235によって制御される。
金属製物品280は、インバータ電源230の正極端子に電気接続され、一方でインバータ電源230の負極端子は、この場合電解質240中に同様に浸漬された、選択された金属製物品からなるカソード290に接続される。ここでも、カソード290のための好適な金属材料としてステンレス鋼、鉛、銅又は良好な導電性及び耐食性を示す任意の他の金属若しくは導電性材料が挙げられる。金属製物品280は、リザーバ220内で電解質240中に吊下され、電解研磨電解質240と完全な電気回路を形成する。この形態の電解研磨装置200は、電解研磨電解質240を撹拌/混合し、金属製物品280及びカソード290の周囲での電解質240の均一な分布を保証するための任意選択の混合ロータ295を含む。
電解研磨は、電解研磨装置100又は200の電解研磨電解質140、240によって-25℃~200℃、好ましくは0~150℃の範囲の温度で実行される。実施形態では、電解研磨電解質140、240は、約50℃~100℃、好ましくは60℃~90℃の温度に保持される。電解研磨装置100、200は、組み合わされた温度プローブ/加熱及び冷却ユニット(図示せず)も含んでもよく、これは電解研磨電解質140、240の温度をモニタリング及び制御するためのコンピュータ制御器135、235又は別個の制御器(図示せず)に取り付けられてもよい。
各実施形態では、電流及び金属製物品180、280とカソード190、290の間の電圧差を印加するためにコンピュータ制御電力インバータ130、230が使用される。コンピュータ135、235は、特定の金属製物品180、280及び構成材料(金属又は金属合金)が研磨されるのに最適になるように事前に決定された電圧/電流及び周波数の範囲を含む印加電流レジームによってインバータ電源130、230(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。
印加電流レジームは、概して以下の工程:
(A)少なくとも1秒の継続時間にわたって印加される、少なくとも2A/cmの電流密度並びに20~300kHzの周波数、少なくとも0V(好ましくは0Vに近い)の最小電圧及び50~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を有する電圧を含む任意選択の初期パルス、続いて
(B)少なくとも2A/cmの電流密度並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0V(好ましくは0Vに近い)の最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を有する電圧を含む、少なくとも1つの電解研磨レジーム
を含む。各電解研磨レジームは、典型的に少なくとも1秒、好ましくは少なくとも2秒の継続時間にわたって印加される。2つ以上の電解研磨レジームが使用される場合、各電解研磨レジームの周波数及び/又は最大電圧は、先の電解研磨レジームと比較して変化する。
いずれか1つの理論に限定されることを望むものではないが、本発明者は、レジームの開始時は材料の除去速度が高いと考えている。1分未満で、処理される材料の表面に拡散層が素早く形成される。拡散層は、絶縁体又は抵抗負荷と同様に作用するように思われる。この拡散層は材料除去のスピードを顕著に低減させ、除去されない場合、プロセスのスピードは顕著に低下する。周波数、電流密度(電流)又は電圧のうちの少なくとも1つの変化によって拡散層が破壊され、材料除去の速いスピードが再確立される。高速の電流密度(電流)の変化、電圧の変化又は周波数の変化によって高速の拡散層の破壊が持続し、したがってプロセスが非常に高速の材料除去を持続することが可能になる。
電流(電流密度)の変化は、上述の理由から必然的ではないが通常は電流の低減である。周波数の変化は増加又は減少のいずれかでありうる。波形の周波数の変化は、拡散層の破壊がレジーム間の周波数の変化のみを必要とするという点で、拡散層の破壊に重要である。これは増加又は減少してもよい。
したがって、高速の電流(電流密度)の変化、及び周波数の増加又は減少のいずれかの周波数の変化は、はるかに速い表面仕上げプロセスを可能にする。高速の電流又は波形周波数の変化が生じる場合、全体的な表面仕上げスピードの増加は10倍程度速い。
金属製物品180に緩く接着された及び/又は部分的に結合された材料を除去できる大きい最大電圧及び電流密度をもたらすために、任意選択の初期パルスが使用されてもよい。パルスは、短い時間枠にわたって印加されることが意図される。したがって、初期パルスの最大電圧及び電流密度は、好ましくは少なくとも1つの電解研磨レジームのそれぞれの最大電圧及び電流密度より大きい。
単一の電解研磨レジームを使用することができるが、複数の電解研磨レジームにより改善された表面仕上げが達成されることに留意されたい。電解研磨レジームは、好ましくは強度を減少させながら漸進的に金属製物品180、280を電解研磨するように設計される。単一の印加電流レジームが使用されてもよいが、少なくとも2つの電解研磨レジームを有することが典型的であり、各連続電解研磨レジームは、好ましくは先の電解研磨レジームより全体的に低い最大電圧又は電流密度を有する。これに関して、最大電圧及び電流密度は、下向きの傾斜パターンでの全体的な低下に関連して全般的に低下する。個々の電解研磨レジームはそのパターンとは異なり、より高い成分を有してもよいことが理解されるべきである。複数の電解研磨レジームが使用される場合、初期の電解研磨レジームは、好ましくは高い最大電圧/電流を有し、大量の材料を素早く除去する。これにより、非常に粗い材料の表面粗さが適度に平滑な粗さまで非常に素早く低減される。最大電圧/電流は、より一層微細な結果を得るために後続のレジームで低減されてもよい。したがって、最適な表面仕上げプロセスは、より一層平滑な微細な仕上げのために、最初は高くその後減少する電圧/電流を有する一連のレジームである。
各連続電解研磨レジームは、好ましくは先の電解研磨レジームと異なる周波数を伴って印加される。しかし、一部の場合では、1つ以上の連続電解研磨レジームが先の電解研磨レジームと同じ周波数を伴って印加されてもよいことが理解されるべきである。
各電解研磨レジームには、任意選択で、電流密度が先の電解研磨レジームの電流密度と比較して低下する冷却レジームが続いてもよい。低下された電流密度は、先の電解研磨レジームの電流密度の0.5倍以下、0.4倍以下、0.3倍以下、0.2倍以下又は更には0.1倍以下であってもよい。一部の実施形態では、電流密度は、ゼロ(又はゼロに近い)電流密度/印加電流まで低下される。冷却レジームは、1つのみの電解研磨レジーム、多数の電解研磨レジーム、又は一部の場合では各電解研磨レジームに続いてもよい。冷却レジームは、任意の好適な時間枠、例えば0.5~5秒間印加されてもよい。冷却レジームは、先の電解研磨レジームと比較して低減された電流密度、及びしたがって低減された印加電流を有し、金属製物品及びカソードを冷却させる。
電圧の整形波形は、方形波、正弦波、パルス化のうちの1つ又はこれらの組合せであってもよい。一部の実施形態では、整形波形電流は、好ましくは可変デッドタイムを有するパルス幅変調(PWM)波形、好ましくは方形波パルスを含む。先の例では方形波形が使用されるが、他の波形も同様に使用できることが理解されるべきである。
すべての電解研磨レジームの合計継続時間は、好ましくは10分未満、より好ましくは5分未満、可能な場合2分未満である。しかし、合計時間は全般的に、材料の種類及び他の条件に依存する。これを達成するために、各電解研磨レジームは10~60秒、好ましくは10~30秒、より好ましくは10~20秒、更により好ましくは10~15秒の継続時間にわたって印加されてもよい。
正確な印加電流レジームは、各特定の金属又は合金組成及び構成に合わせて調整される。
上述のように、本発明者は、使用される場合初期の高パルス電流/電流密度により、部分的に結合された材料が除去されると考えている。加工物表面上の突起(山部)が「微小谷部」の材料よりはるかに速く溶解されるため、これは電解研磨にとって有利である。そのような選択的な溶解は、山部と谷部の電位の異なる値によって生じる。アノード接続された金属製物品の正電荷は、電流密度が平均より高い山部で濃縮され、これが山部の選択的溶解を引き起こし、表面を平滑化する。したがって、任意の部分的に結合された材料の除去は、平滑な表面の生成の一助になる。
1つ又は複数の電解研磨レジームの周波数、電流(電流密度)及び電圧の変化(段階的変化)のシーケンスは、部品を電解研磨して均一な、平滑な且つ光沢がある研磨された表面を生じるように選択される。本発明の電解研磨方法は、初期の表面の性質に起因していくつかのクレーターを残す可能性があることが理解されるべきである。しかし、電解研磨レジームは、加工スピードを改善し、60秒以下で粗面(約10Ra)を2Ra未満の表面粗さにするように選択される。予想される除去速度(電流)はフィードバックデータによって変動するが、除去速度は最大1.0μm/分~50μm/分、好ましくは2~30μm/分であると予想される。
所与の電解研磨電解質に関して、金属製物品から除去される金属の分量は、印加される電流の量及び時間に比例する。金属製物品の幾何形状等の他の要因が電流の分布に影響を及ぼし、結果として局所的エリアで除去される金属の量に重大な影響を及ぼす。
電解研磨電解質140、240は、好ましくは典型的に水又はC1~C4アルコールで希釈された85%濃度のリン酸(HPO)ベースの溶液を含む。しかし、電解研磨電解質140、240は、他の成分を含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、電解研磨電解質140、240は、リン酸(HPO)を硫酸(HSO)、塩酸(HCl)又はそれらの組合せ及び水又はC~Cアルコールのうちの1種との組合せで含む。他の電解研磨電解質組成物も可能である。
複数の金属製物品180、280(部品)が同じ電解セル110、210に配置されてもよく、それにより本発明の方法がスケーラブルで費用対効果の高いものになる。制御システムが所望の出力電流を達成するために複数のインバータパワーバンクを並行して運転することができるため、部品サイズ(金属製物品180のサイズ)もまたスケーラブルである。本発明の方法及びシステムは、ゴルフボールのサイズの部品を10Raの開始表面粗さから2Ra未満まで、且つ電解リザーバ120、220(浴)及びインバータ電源130、230を大型化することにより、車のサイズの部品を電解研磨するように同様に構成されてもよい。
上記の電解研磨方法は、金属製物品が電解研磨電解質に浸漬される従来の電解研磨セル、又は非浸漬技術、例えばブラシ印加電解研磨技術で実行されるように教示される。
他の実施形態(図示せず)では、電解研磨は金属製物品の表面への流体流として適用される。そのような電解研磨技術は非水没電解研磨技術として公知であり、一般的に電解研磨電解質で浸漬される金属製物品の表面及び導通電極に適用され、且つ表面を横切って移動して導通電極の周りの表面を電解研磨する電解研磨電解質の流れを含む。
この非水没方法では、金属製物品は電源の正極端子に接続されることによってアノードになる。好適な導通電極からなるカソードは、電源の負極端子に接続される。導通電極は、金属製物品の表面の選択された部分と係合するように構成される。一部の実施形態では、導通電極は炭素繊維ブラシからなる。しかし、任意の好適な導体(例えば、銅等の金属)が使用されてもよい。使用中、電解質がリザーバから金属製物品の表面の選択された部分に送り込まれ、カソードの部分及び金属製物品の表面を浸漬し、したがって金属製物品の表面に電解研磨セルを形成する。電解研磨エリアを冷却するために冷却材が供給されてもよい。ここでも、この電解研磨技術の例は、その内容がこの参照により本明細書に組み込まれるとみなされるべきである特許公開第WO2009/105802号、AU2013242795A1号及びAU2017204328A1号で教示される。
本発明の電解研磨方法は、金属製物品、特に保護酸化皮膜を有する金属又は金属合金を研磨するために開発された。電解研磨方法が使用されてもよい金属又は金属合金の例として、ステンレス鋼、ニッケル-クロム(nickel-chromium)(ニッケルクロム(nickel-chrome))、ニッケル-クロム合金、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金等のクロムベースの金属製合金、更にチタン、チタン合金、ニチノール等のニッケル合金、アルミニウム又はアルミニウム合金が挙げられる。
本発明の方法を使用して電解研磨されてもよいクロム含有金属合金の1つの例は、コバルト-クロム合金である。ステンレス鋼同様、表面の外側の十分なクロム含有量の存在により、表面が不動態化する。Co-Cr合金は、強度及び靭性、鋳造性、耐食性及び耐摩耗性等の優れた機械的特性を示す。特に、Co-Cr合金は優れた耐摩耗性を有し、したがって人工関節の摺動部分に使用される。
Co-Cr合金は、クロムとコバルトの含有量が名目上同等であり、それによりCo-Cr状態図の中央にある合金が生じる。Co-Cr及びCo-Crの合金は、典型的にクロムとコバルトの両方が他の結晶の置換欠陥として位置を取る六方最密充填(HCP)結晶構造を有する。一部の実施形態では、Co-Cr合金は、モリブデン及びニッケル合金元素を更に含む。Co-Cr-Mo合金はまた、その高い耐食性のために永久インプラントに対する良好な選択肢である。これらの更なる合金元素は、合金を強化し、鋳造合金形態の機械加工能力を低減させる他の置換欠陥を生じる。Co-Cr合金は、Mn、Ni、Fe、C、Ti、S、P、N及びW等の更なる副合金元素(1wt%未満)を含んでもよい。Table 1(表1)は、本発明の方法を使用して電解研磨されてもよい生体適合性のCo-Cr複合体の非限定的な例を示す。
Figure 2022528970000002
他の実施形態では、本発明の電解研磨方法は、ニッケル-クロム合金、例えばインコネルから形成される金属製物品を電解研磨するために使用されてもよい。インコネルは、オーステナイト系ニッケル-クロムベースの超合金のファミリーである。インコネル合金は、圧力及び熱に供される過酷な環境で作用するのに良く適した耐酸化耐食材料である。加熱された場合、インコネルは、更なる攻撃から表面を保護する厚く安定した不動態化酸化物層を形成する。
インコネル合金は組成が大幅に変動するが、すべて主にニッケルであり、第2元素としてクロムを含む。
Figure 2022528970000003
本発明の電解研磨方法を使用して研磨される3D印刷部品は、産業において重要な役割を果たす。ステンレス鋼及びアルミニウムは、汎用製造に関与する。インコネルはジェットエンジンに使用される。コバルト-クロムは歯科医術に使用され、チタンは生物医学的用途に使用される。
上記の利点に加え、本発明による電解研磨は、これらに限定されないが
・つや出し
・ばりの除去
・酸化物及び汚れの除去
・表面形状の低減
・表面の閉塞物の除去
・耐食性の増加
・後続のめっきでの密着性の改善
・方向(描)線の除去
・鋭利な縁部、鋭利な屈曲部及び角部の面取り
・表面摩擦の低減
・表面の負荷緩和
のうちの1つ以上を含む、多くの好都合な変化を金属製物品にもたらすことが理解されるべきである。
(実施例1)
コバルト-クロム合金
粗い表面(8~13μmRa)の3D印刷コバルトクロム合金試験片(表面積3.2cm、平均Ra9.973μmのコバルトクロム「MP1」)を、電解リザーバを形成し、カソードになるステンレス鋼ボウル内に配置した。ボウルは、85%HPO水溶液を含む電解質浴を含有した。電解研磨装置の全体は、図1に示される全体概略図に従う。コバルトクロム試験片を、ボウルの側面と底部から等距離を置いて浴の中心に配置した。次に、ピーク電圧、ピーク電流、電圧周波数、電流周波数、電圧波形、電流波形を変化させる目的で構築されたコンピュータ制御電力インバータの正極端子を電解質浴に浸漬されたコバルトクロム試験片及びステンレス鋼ボウルカソードに接続した。冷却ファンを電解質浴に向けて電解質の冷却を行い、その中で60~90℃の温度に維持した。
次に、電力レジーム(Table 3(表3)で以下に特定される)をコンピュータ制御電力インバータを使用して浴に印加した。コンピュータは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲を通してインバータ(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。電圧波形は、最小電圧がゼロに近く、最大電圧が表に要約される通りである方形波形である。
Figure 2022528970000004
Table 3(表3)に示されるように、電流は取扱い可能な最大限界から開始し、試験片の表面から部分的に結合された材料を除去する。次に、周波数及び電圧及び電流をコンピュータプログラムによって段階的に変化させ、これにより試験片周囲の拡散層を破壊する。最良の微細な仕上げを達成するために、電流をコンピュータプログラムによってプロセスの終了に向けて段階的に下げる。標的表面粗さの平均は2ミクロン以下であり、したがってこの標的が満たされる時間の長さでプログラムを開発した。
各プログラム時間について、周波数、電圧及び電流を記録する。
各材料について、水没前後に表面粗さ平均(Ra)をミクロン単位で測定して計算した。平均Raは、処理される表面の10回の個々のラインスキャンによって取得する。次に、ミクロン単位で測定されるプロセス前の平均表面粗さ(Ra)をプロセス後の平均と比較する。
改善されたスピードは、60秒で粗面(約10μmRa)が2μmRa未満の表面粗さになる結果を依然として維持する。予想される除去速度(電流)は、フィードバックデータによって変動する。
電解研磨実行の結果を、前(図3A)及び後(図3B)の顕微鏡画像を示す図3に示す。表面仕上げの相対的変化は、試料の前方及び後方の無作為の箇所からStarrett sr100表面粗さ計を使用して取得した10回のラインスキャン及びそのデータから導出された平均を使用して決定した。これらの測定の結果をTable 4(表4)に示す。
Figure 2022528970000005
これらにより、以下の結果が示された:
・仕上げ前:Ra=9.97μm。
・仕上げ後:Ra=1.50μm - 10回のラインスキャンに基づく。最良の結果は0.656μmであり、最悪の結果は2.793μm(クレーター)であった。
これらは、平均表面粗さが60秒で初期の粗面(約10μmRa)から2μmRa未満の表面粗さに減少することを示す。見ることができるように、図3Aに図示される鋭利な領域が腐食除去され、図3Bに示される試料に実質的に平坦で欠陥のない表面が残される。更に図3Bは、電解研磨プロセスによって材料の表面にいくつかのクレーターが残されたことを示す。したがって、生成される表面仕上げは医療グレードでないが、依然として多くの他の用途、例えばジェットエンジン部品、航空機用途又は類似のものに使用可能である。
(実施例2)
ステンレス鋼
粗い表面(12~18μmRa)のステンレス鋼試験片(表面積3.2cm、平均Ra15.62μmのステンレス鋼「SS17」)を、電解リザーバを形成するガラスボウル内に配置した。ボウルは、85%HPO水溶液を含む電解質浴を含有した。電解研磨装置の全体は、ステンレス鋼ベースのカソードを使用する図2に示される全体概略図に従う。ステンレス鋼試験片をカソードから間隔を空けて浴の中心に配置した。次に、ピーク電圧、ピーク電流、電圧周波数、電流周波数、電圧波形、電流波形を変化させる目的で構築されたコンピュータ制御電力インバータの正極端子を、電解質浴に浸漬されたステンレス鋼試験片に接続した。冷却ファンを電解質浴に向けて電解質の冷却を行い、その中で60~90℃の温度に維持した。
次に、電力レジーム(Table 5(表5)で以下に特定される)をコンピュータ制御電力インバータを使用して浴に印加した。コンピュータは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲を通してインバータ(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。周波数は100~100000ヘルツ(Hz)、電圧は0~100ボルト(v)及び電流は0~50アンペアの範囲であった。プログラムは合計296秒実行され、53の異なるレジームを含んだ。電圧波形は、最小電圧がゼロに近く、最大電圧がTable 5(表5)に要約される通りである方形波形である。
Figure 2022528970000006
周波数、電圧及び電流の変化は、仕上げのスピード及び品質に重要である。改善されたスピードは、300秒未満で粗面(約10μmRa)が2μmRa未満の表面粗さになる結果を依然として維持する。
電解研磨実行の結果を、前(図4A)及び後(図4B)の顕微鏡画像を示す図4に示す。表面仕上げの相対的変化は、試料の前方及び後方の無作為の箇所からTime RTD-300表面粗さ計を使用して取得した10回のラインスキャン及びそのデータから導出された平均を使用して決定した。これらの測定の結果をTable 6(表6)に示す。
Figure 2022528970000007
これらにより、以下の結果が示された:
・仕上げ前:Ra=15.62μm。
・仕上げ後:Ra=1.96μm - 10回のラインスキャンに基づく。最良の結果は1.67μmであり、最悪の結果は2.17μmであった。
これらは、平均表面粗さが300秒未満で初期の粗面(約10μmRa)から2μmRa未満の表面粗さに減少することを示す。SS17の電解研磨により、試料に極めて平滑で微細な仕上げがもたらされた。高く粗い部分は取り除かれ、穴は取り除かれなかった。
(実施例3)
レーザー切削されたアルミニウム
粗い表面(5~8μmRa)のレーザー切削されたアルミニウム試験片(表面積3.2cm、平均Ra6.40μmの5005グレードのアルミニウム「Al5」)を、電解リザーバを形成するガラスボウル内に配置した。ボウルは、85%HPO水溶液を含む電解質浴を含有した。電解研磨装置の全体は、ステンレス鋼カソードを使用する図2に示される全体概略図に従う。アルミニウム試験片をカソードから間隔を空けて浴の中心に配置した。次に、ピーク電圧、ピーク電流、電圧周波数、電流周波数、電圧波形、電流波形を変化させる目的で構築されたコンピュータ制御電力インバータの正極端子を電解質浴に浸漬されたアルミニウム試験片に接続した。電解質は40℃から開始した。冷却ファンを電解質浴に向けて電解質の冷却を行い、その中で60~90℃の間の温度に維持した。
次に、電力レジーム(Table 7(表7)で以下に特定される)をコンピュータ制御電力インバータを使用して浴に印加した。コンピュータは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲を通してインバータ(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。合計時間が130秒の12のレジームが行われた。周波数は22000~100000Hz、電圧は26~49V及び電流は6~24Aの範囲であった。電圧波形は、最小電圧がゼロに近く、最大電圧が表に要約される通りである方形波形である。
Figure 2022528970000008
ここでも、周波数、電圧及び電流の変化は仕上げのスピード及び品質に重要である。
電解研磨実行の結果を、前(図5A)及び後(図5B)の顕微鏡画像を示す図5に示す。表面仕上げの相対的変化は、試料の前方及び後方の無作為の箇所からTime RTD-300表面粗さ計を使用して取得した10回のラインスキャン及びそのデータから導出された平均を使用して決定した。これらの測定の結果をTable 8(表8)に示す。
Figure 2022528970000009
これらにより、以下の結果が示された:
・仕上げ前:Ra=6.40μm。
・仕上げ後:Ra=1.70μm - 10回のラインスキャンに基づく。
ここでも、電解研磨により、試料に極めて平滑で微細な仕上げがもたらされた。
(実施例4)
インコネル
粗い表面(4~7μmRa)の3D印刷インコネル試験片(表面積3.2cm、平均Ra5.65μmのインコネル「インコネル2」)を、電解リザーバを形成するガラスボウル内に配置した。ボウルは、85%HPO水溶液を含む電解質浴を含有した。電解研磨装置の全体は、ステンレス鋼カソードを使用する図2に示される全体概略図に従う。インコネル試験片をカソードから間隔を空けて浴の中心に配置した。次に、ピーク電圧、ピーク電流、電圧周波数、電流周波数、電圧波形、電流波形を変化させる目的で構築されたコンピュータ制御電力インバータの正極端子を電解質浴に浸漬されたインコネル試験片に接続した。冷却ファンを電解質浴に向けて電解質の冷却を行い、その中で60~90℃の温度に維持した。
次に、電力レジーム(Table 9(表9)で以下に特定される)をコンピュータ制御電力インバータを使用して浴に印加した。コンピュータは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲を通してインバータ(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。合計時間が235秒の16のプログラムが行われた。周波数は22~100kHz、電圧は8~31V及び電流は6~35Aの範囲であった。電圧波形は、最小電圧がゼロに近く、最大電圧が表に要約される通りである方形波形である。
Figure 2022528970000010
ここでも、周波数、電圧及び電流の変化は仕上げのスピード及び品質に重要である。
電解研磨実行の結果を、前(図6A)及び後(図6B)の顕微鏡画像を示す図6に示す。表面仕上げの相対的変化は、試料の前方及び後方の無作為の箇所からTime RTD-300表面粗さ計を使用して取得した10回のラインスキャン及びそのデータから導出された平均を使用して決定した。これらの測定の結果をTable 10(表10)に示す。
Figure 2022528970000011
これらにより、以下の結果が示された:
・仕上げ前:Ra=5.65μm。
・仕上げ後:Ra=1.87μm - 10回のラインスキャンに基づく。
ここでも、電解研磨により、試料に極めて平滑で微細な仕上げがもたらされた。
(実施例5)
インコネル試験片-非水没電解研磨
粗い表面(4~7μmRa)の3D印刷インコネル試験片(表面積3.2cm、平均Ra5.65μmのインコネル「インコネル試験片3」)を電気接続されたクランプで保持した。1つの大きな側面のみがブラシによって研磨され、縁部は研磨されなかったため、実施例で研磨された実際の面積は1cmであったことに留意されたい(非水没実施例では、研磨される面積はブラシと接触されるその面積のみである)。次に、EASYKleen Pty Ltd社、43 Shelley Road、Moruya、NSW、2537、オーストラリアから入手可能な改変された非水没電解研磨装置、モデルEASYkleen Easy Feeder(図7中300)を使用し、電解研磨用炭素繊維ブラシカソードを使用してインコネル試験片3を電解研磨した。インコネル試験片をクランプによって電力源に接続し、電解研磨回路のアノードを形成した。
85%HPO水溶液の電解質をブラシによって供給し、電解研磨のためにインコネル試験片に塗布した。先の実施例にあるように、電力源はピーク電圧、ピーク電流、電圧周波数、電流周波数、電圧波形、電流波形を変化させる目的で構築されたコンピュータ制御電力インバータに接続されるように改変され(図示せず)、更にインコネル試験片に接続された。
次に、電力レジーム(Table 11(表11)で以下に特定される)をコンピュータ制御電力インバータを使用して炭素繊維ブラシカソードに印加した。コンピュータは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲を通してインバータ(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。合計時間が235秒の16のプログラムが行われた。周波数は22~100kHz、電圧は8~31V及び電流は6~35Aの範囲であった。電圧波形は、最小電圧がゼロに近く、最大電圧が表に要約される通りである方形波形である。
Figure 2022528970000012
ここでも、周波数、電圧及び電流の変化は仕上げのスピード及び品質に重要である。
電解研磨実行の結果をTable 12(表12)に示す。
Figure 2022528970000013
これらにより、以下の結果が示された:
・仕上げ前:Ra=5.65μm。
・仕上げ後:Ra=1.87μm - 10回のラインスキャンに基づく。
ここでも、電解研磨により、試料に極めて平滑で微細な仕上げがもたらされた。更に、結果は実施例4で詳述された浸漬方法と同様である。
(実施例6)
ステンレス鋼-非水没電解研磨
粗い表面(13.95μmRa)の3D印刷ステンレス鋼試験片(表面積3.2cm、平均Ra13.95μmの「SS5」)を電気接続されたクランプで保持した。1つの大きな側面のみがブラシによって研磨され、縁部は研磨されなかったため、実施例で研磨された実際の面積は1cmであったことに留意されたい(非水没実施例では、研磨される面積はブラシと接触されるその面積のみである)。次に、EASYKleen Pty Ltd社、43 Shelley Road、Moruya、NSW、2537、オーストラリアから入手可能な改変された非水没電解研磨装置、モデルEASYkleen Easy Feeder(図7中300)を使用し、電解研磨用炭素繊維ブラシカソードを使用してステンレス鋼試験片を電解研磨した。ステンレス鋼試験片をクランプによって電力源に接続し、電解研磨回路のアノードを形成した。
85%HPO水溶液の電解質をブラシによって供給し、電解研磨のためにステンレス鋼試験片に塗布した。先の実施例にあるように、電力源はピーク電圧、ピーク電流、電圧周波数、電流周波数、電圧波形、電流波形を変化させる目的で構築されたコンピュータ制御電力インバータに接続されるように改変され(図示せず)、更にステンレス鋼試験片に接続された。
次に、電力レジーム(Table 12(表13)で以下に特定される)をコンピュータ制御電力インバータを使用して炭素繊維ブラシカソードに印加した。コンピュータは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲を通してインバータ(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。合計時間が74秒(電気研磨時間60秒)の29のプログラムが行われた。周波数は20~200kHz、電圧は4~20V及び電流は30~80Aの範囲であった。電圧波形は、最小電圧がゼロに近く、最大電圧が表に要約される通りである方形波形である。
Figure 2022528970000014
周波数、電圧及び電流の変化は仕上げのスピード及び品質に重要である。この特定の炭素繊維ブラシカソードの実行では、金属製ピースを冷却させるために、各電解研磨レジームの間でゼロ電流が印加される冷却工程が使用される。冷却時間は金属製加工品を冷却することを目的とするが、ブラシ電極を冷却することによるわずかな利益も生じる。このオフ時間により、この形態の電解研磨装置の有効性が支援される。結果に示されるように、Table 12(表13)の電力レジームは、最終的な表面粗さを達成するために4回の連続実行で印加された。
表面仕上げの相対的変化は、試料の研磨された側面の無作為の箇所からTime RTD-300表面粗さ計を使用して取得した10回のラインスキャン及びそのデータから導出された平均を使用して決定した。これらの測定の結果をTable 13(表14)に示す。
Figure 2022528970000015
これらは、平均表面粗さが初期の粗面(13.95μmRa)から2μmRa未満の表面に減少することを示す。試験片SS5の電解研磨により、試料に極めて平滑で微細な仕上げがもたらされた。
(実施例7)
チタン-非水没電解研磨
粗い表面(約10.28μmRa)の3D印刷チタン試験片(表面積3.2cm、平均Ra10.28μmの「Ti AMS」)を電気接続されたクランプで保持した。1つの大きな側面のみがブラシによって研磨され、縁部は研磨されなかったため、実施例で研磨された実際の面積は1cmであったことに留意されたい(非水没実施例では、研磨される面積はブラシと接触されるその面積のみである)。次に、EASYKleen Pty Ltd社、43 Shelley Road、Moruya、NSW、2537、オーストラリアから入手可能な改変された非水没電解研磨装置、モデルEASYkleen Easy Feeder(図7中300)を使用し、電解研磨用炭素繊維ブラシカソードを使用してチタン試験片を電解研磨した。チタン試験片をクランプによって電力源に接続し、電解研磨回路のアノードを形成した。
85%HPO水溶液の電解質をブラシによって供給し、電解研磨のためにチタン試験片に塗布した。先の実施例にあるように、電力源はピーク電圧、ピーク電流、電圧周波数、電流周波数、電圧波形、電流波形を変化させる目的で構築されたコンピュータ制御電力インバータに接続されるように改変され(図示せず)、更にチタン試験片に接続された。
次に、電力レジーム(Table 14(表15)で以下に特定される)をコンピュータ制御電力インバータを使用して炭素繊維ブラシカソードに印加した。コンピュータは、研磨される部品及び材料に最適になるように事前に決定された電圧/電流(電流密度)及び周波数の範囲を通してインバータ(電力源)を段階的に変化させるプログラムを実行する。合計時間が93秒(そのうち60秒が電解研磨)の23のプログラム(レジーム2~24)が行われた。周波数は20~200kHz、電圧は8~11V及び電流は30~60Aの範囲であった。電圧波形は、最小電圧がゼロに近く、最大電圧が表に要約される通りである方形波形である。
Figure 2022528970000016
周波数、電圧及び電流の変化は仕上げのスピード及び品質に重要である。この特定の炭素繊維ブラシカソードの実行では、金属製加工品を冷却させるために、各電解研磨レジームの間でゼロ電流が印加される冷却工程が使用されるが、ブラシ電極を冷却することによるわずかな利益も生じる。このオフ時間により、この形態の電解研磨装置の有効性が支援される。結果に示されるように、Table 14(表15)の電力レジームは、最終的な表面粗さを達成するために4回の連続実行で印加された。
表面仕上げの相対的変化は、試料の研磨された側面の無作為の箇所からTime RTD-300表面粗さ計を使用して取得した10回のラインスキャン及びそのデータから導出された平均を使用して決定した。これらの測定の結果をTable 15(表16)に示す。
Figure 2022528970000017
これらは、平均表面粗さが初期の粗面(10.28μmRa)から4.15μmRaの表面に減少することを示す。Ti AMSの電解研磨により、試料に平滑な仕上げがもたらされた。
結論
上記の実施例のそれぞれの結果は、高電流、高周波数及び段階的に変化する電力システムによって3D印刷物品の急速な電解研磨が全体的に増強されることを示す。これにより、平滑な仕上げを有する3D印刷物品が生じる。パラメータを改良するために更なる研究が必要である。
結果は全体として、適切な場合は超高電流を使用して、一部の場合では部分的に結合された材料と基材材料の間の接着点を溶融する又は別様に切断することにより、部分的に結合された材料を除去できることを実証する。高い電圧/電流を使用して材料を急速に除去することができるが、長時間の印加は表面にへこみ及びストリークを残す可能性がある。理想的なプログラムは、超高電流の後に高電流密度を実行する。その後、電流密度が減少して微細な仕上げが可能になる。部品周囲の拡散層は、周波数及び電圧を段階的に変化させる(上げる又は下げる)ことによって撹乱される。1つの電圧が秒単位(一般的に15秒未満)の短い時間枠で良好に作用し、その後プロセスは減速する。
チタン及びアルミニウム等の強い酸化物層を有する材料は、より高い周波数を使用することによってより速いスピード及びより低い電圧で崩壊する。
当業者は、本明細書に記載される本発明は、明確に記載されたもの以外の変形及び改変が可能であることを理解する。本発明は、本発明の精神及び範囲内に入るすべてのそのような変形及び改変を包含することが理解される。
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んだ(comprised)」又は「含む(comprising)」という用語が本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される場合、述べられた特徴、整数、工程又は成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、成分又はその群の存在を除外しないと解釈される。
100、200 電解研磨装置
110、210 電解セル
120、220 電解質リザーバ
130、230 インバータ電源
135、235 コンピュータ制御器
140、240 電解研磨電解質
180、280 金属製物品
190、290 カソード
295 混合ロータ

Claims (35)

  1. 製造された金属製物品を電解研磨するための方法であって、
    金属製物品を電解研磨電解質と接触させる工程、及び
    少なくとも1つの電解研磨レジームであり、各電解研磨レジームが少なくとも2A/cmの電流密度、並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む、少なくとも1つの電解研磨レジーム
    を含む印加電流レジームの印加により、金属製物品を電解研磨電解質中で電解研磨する工程
    を含む、方法。
  2. 各電解研磨レジームが2A/cm~200A/cm、好ましくは20~50A/cm、より好ましくは25A/cmより大きい電流密度で実行される、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの電解研磨レジームを含み、各電解研磨レジームの周波数、電流密度又は最大電圧のうちの少なくとも1つが先の電解研磨レジームと比較して変化する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 各連続電解研磨レジームが、先の電解研磨レジームより全体的に低い最大電圧又は全体的に低い電流密度のうちの少なくとも1つを有する、請求項3に記載の方法。
  5. 電解研磨工程が、少なくとも4つの電解研磨レジーム、好ましくは少なくとも10の電解研磨レジーム、より好ましくは少なくとも20の電解研磨レジームを含む、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 各電解研磨レジームが1~30秒、好ましくは2~20秒、より好ましくは2~15秒の継続時間にわたって印加される、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 電解研磨工程が、少なくとも1つの電解研磨レジームに続き電流密度を低下させることを含む少なくとも1つの冷却レジームを含む、請求項3から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 電流密度が、先の電解研磨レジームの電流密度の0.5倍以下になるように低下される、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項3から8のいずれか一項に記載の方法であって、電解研磨工程が、
    少なくとも1秒の継続時間にわたって印加される、少なくとも2A/cmの電流密度並びに20~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び50~500Vの間の最大電圧を有する整形波形を含む電圧を含む初期パルス、続いて
    少なくとも2A/cmの電流密度並びに2Hz~300kHzの周波数、少なくとも0Vの最小電圧及び0.5~500Vの間の最大電圧を有する整形波形電流を含む電圧を含む少なくとも2つの電解研磨レジームであり、各電解研磨レジームの周波数及び/又は最大電圧が先の電解研磨レジームと比較して変化する、少なくとも2つの電解研磨レジーム
    を含む印加電流レジームの印加を含む、方法。
  10. 初期パルスが2A/cm~200A/cm、好ましくは20~50A/cm、より好ましくは25A/cmより大きい電流密度を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 初期パルスの電圧が連続電解研磨レジームのそれぞれの電圧より大きい、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 初期パルスの電流密度が連続電解研磨レジームのそれぞれの電流密度より大きい、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 初期パルスの交流電圧の印加周波数が連続電解研磨レジームのそれぞれの印加周波数と異なる、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 初期パルスが2~10秒、好ましくは2~7秒、より好ましくは2~5秒の継続時間にわたって印加される、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
  15. 各連続電解研磨レジームが異なる周波数を有する、請求項3から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 整形波形が、方形波、正弦波、パルス化のうちの1つ又はこれらの組合せを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 整形波形電流が、好ましくは可変デッドタイムを有するパルス幅変調(PWM)波形、好ましくは方形波パルスを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 整形波形電流が10~300kHz、好ましくは10~200kHz、より好ましくは20~100kHzの周波数を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 波形が
    ・最大電圧の80%より大きい、又は
    ・1Vより大きい
    のうちの少なくとも1つの最大電圧と最小電圧の間の変化を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 波形が
    ・最大電圧の80%より大きい、又は
    ・5Vより大きい
    のうちの少なくとも1つの最大電圧と最小電圧の間の変化を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 金属製物品がクロム含有金属合金、チタン、チタン合金、ニッケル合金、アルミニウム又はアルミニウム合金のうちの1つを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. クロム含有金属合金が鉄-クロム合金、ニッケル-クロム(nickel-chromium)(ニッケルクロム(nickel-chrome))、ニッケル-クロム合金、コバルト-クロム合金又はコバルト-クロム-モリブデン合金から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. クロム含有金属合金が、コバルト-クロム合金又はニッケル-クロム合金を含む、請求項21又は22に記載の方法。
  24. クロム含有金属合金がステンレス鋼又はインコネルを含む、請求項21、22又は23に記載の方法。
  25. 電解研磨電解質がHPOを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 電解研磨電解質が、リン酸(HPO)を硫酸(HSO)、塩酸(HCl)又はこれらの組合せ、及び水又はC~Cアルコールのうちの1種との組合せで含む、請求項25に記載の方法。
  27. 電解研磨電解質が、リン酸(HPO)を水又はC~Cアルコールのうちの1種との組合せで含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 電解質のpHが1.0~7.0、好ましくは1.0~3.0である、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 電解研磨電解質が-25~200℃、好ましくは0~150℃、より好ましくは50℃~100℃、更により好ましくは60℃~90℃の温度で保持される、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 金属製物品の初期平均表面粗さ(Ra)が2μmより大きい、好ましくは5μm、より好ましくは10μmより大きい、より好ましくは10~20μmの間である、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 金属製物品の初期平均表面粗さ(Ra)が400μm未満、より好ましくは300μm未満、最も好ましくは200μm未満である、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 金属製物品の最終平均表面粗さ(Ra)が2μm未満、より好ましくは1.5μm未満である、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 材料除去の速度が1~50μm/分、より好ましくは2~30μm/分である、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 電解研磨電解質が電解研磨セルに含有される、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 電解研磨電解質が、流体流として金属製物品の表面に塗布される、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
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