JP2022528607A - 人工ポリペプチド、及びチロシン又はチロシン誘導体の合成におけるその応用 - Google Patents

人工ポリペプチド、及びチロシン又はチロシン誘導体の合成におけるその応用 Download PDF

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Abstract

L-チロシン及びその誘導体の最新の製造方法における問題を解決するために、改変ポリペプチドの効率的な触媒、及び経済的な酵素反応溶液が提供される。本発明の方法は、高い生成物濃度、温和な反応条件、単純な精製方法、単純な操作、環境への配慮、簡単な工業的スケールアップの長所を有する。従って、良好な工業的応用の可能性を有する。

Description

本発明は、バイオエンジニアリング技術の分野、特に改変ポリペプチド及びその応用に関する。
L-チロシンは動物の重要な栄養アミノ酸である。それは、栄養サプリメント、並びにペプチドホルモン、抗生物質、及びその他の医薬品や化学製品を調製するための原料として使用できる。それは、食品、飼料、及び医薬と化学の産業で広く使用されている。L-チロシン誘導体は、パーキンソン症候群を治療するためにドーパミンに変換され得る重要な生物学的に活性な基質であるL-ドーパ(L-3-ヒドロキシチロシン)などの重要な工業用途も有している。3-フルオロ-L-チロシンは、生化学的研究で広く使用されており、修飾タンパク質の調製、酵素の基質特異性の研究、及び代謝方法をシミュレートするためのフッ素含有マーカーの合成に使用できる。3-メトキシ-L-チロシンは、フェルラ酸及びその他の物質の合成に使用でき、また、重要な医薬品中間体である。アザチロシンには、潜在的な医薬品の価値がある。
現在、L-チロシン又はL-ドーパを調製するための3つの主な方法がある。(1)抽出法:L-チロシンを調製するための原料として、カゼインや豚血液などの天然タンパク質資源を使用できる。原料を加水分解した後、粗L-チロシンを抽出して濃縮し、結晶化と脱色を行って最終産物を得る。この方法の欠点は、高純度のL-チロシンの分離が困難であり、天然タンパク質資源中のL-チロシンの含有量が少ないため、収率が低く、大スケール生産には適していないことである。キノア豆やネコ豆などの植物からL-ドーパを抽出する方法は、原料の入手可能性によって制限され、工程が複雑で収率が低いため、この方法は市場の需要を満たすことができない。(2)化学合成法:L-チロシンはL-フェニルアラニンのヒドロキシル化により得られる。L-チロシンは、パラヒドロキシベンズアルデヒドとヒダントインの縮合と、それに続くアルカリ加水分解、アミノ基転移の工程によっても得られる。このような化学的方法の欠点は、方法が複雑であり、多くの反応工程があり、生成されたチロシンラセミ体は、生理学的に活性なL-チロシンを得るために光学分割を必要とすることである。L-ドーパの不斉合成の場合、この方法は8工程を必要とする。過酷な反応条件、高コスト、低変換速度、低立体選択性のために、それは、工業生産の制限に悩まされており、医薬品としての使用の要求を満たしていない。(3)酵素法:主にチロシンフェノールリアーゼ(TPL、エンザイムコミッション分類番号EC 4.1.99.2)を使用して、ピルビン酸塩、アンモニア、及びフェノール又はカテコールからL-チロシン又はL-ドーパへの変換を触媒する。この反応は可逆的であり、補酵素としてピリドキサールリン酸(PLP)を必要とする。
加えて、フェノールがo-フルオロフェノール、グアイアコール、又はヒドロキシピリジンに置き換えられた場合、TPLは3-フルオロ-L-チロシン、3-メトキシ-L-チロシン、及びアザチロシンの形成を触媒することもできる。酵素変換には、高い特異性、穏やかな反応条件、高い選択性、及び環境への配慮という利点がある。それは、L-チロシン及びその誘導体の工業生産において重要な開発展望を有する。しかし、野生型TPLには安定性が不十分であるなどの問題があり、特に、高い基質濃度は野生型TPLを不活性化する傾向があるため、実際の応用では、低い基質濃度しか維持できない。また、基質による急速な不活化を回避するために、細胞内のTPLが細胞外の基質から分離されるように、TPLを発現する微生物の全細胞の形で、TPLを反応にロードする必要もある。この反応方法には幾つかの欠点がある(Appl Microbiol Biotechnol(2007)77:751-762)。第1は、空時収率が高くないこと(即ち、単位時間あたりの累積生成物濃度が低く、その結果、低生産効率と高生産コストをもたらす);また、全細胞が、反応原料の1つであるアラニンを他の副産物に代謝し、原料を無駄にすることである。同時に、反応後の全細胞からの生成物(生成物の形態は固体)の分離もさらなるコストを追加する。従って、全細胞を使用せずに、高い空時収率で、簡単で便利な反応方法を実現し、L-チロシン及びその誘導体の工業生産を達成する、より優れた安定性及び/又は高活性を有する改変TPLポリペプチドを開発することが重要である。
チロシンフェノールリアーゼ(TPL)がL-チロシンの合成を触媒することを示す図である。
発明の内容
1 概観
本発明は、フェノール性基質に対する良好な安定性、及び高い触媒効率を有する改変ポリペプチドを提供し、これは、L-チロシン及びレボドパを含むその誘導体を生産するために使用することができる。本発明はまた、改変ポリペプチドの遺伝子配列、その遺伝子を含む組換え発現ベクター、改変株、及びそれらの効率的な生産方法、並びにL-チロシン及びその誘導体を調製するための改変ポリペプチドを用いた反応方法を提供する。本発明により提供される改変ポリペプチド及び関連する反応方法を用いて、24時間以内に生成され得るL-チロシンの最終濃度は200g/Lと高く、これは空時収率を大きく改善する。本発明により提供される改変ポリペプチドは、浄化された酵素溶液の形で反応に関与し、生成物は、固体の形で容易に分離することができ、これは、精製方法を単純化し、製造コストを低減する。
第1の局面において、本発明は、新規な改変ポリペプチドを提供する。これらの改変ペプチドは、野生型チロシンフェノールリアーゼ(TPL、エンザイムコミッション番号:EC 4.1.99.2)から、創造的な指向性進化方法による多数のアミノ酸残基の置換、挿入、又は削除によって得られた。指向性進化技術の入門書については、「指向性進化法:生命体への新しい化学の導入」フランシスH.アーノルド、アンゲヴァンテケミー、2017年11月28日を参照のこと。フランシスH.アーノルドは、酵素指向性進化技術への彼女の先駆的な貢献により、2018年ノーベル化学賞を受賞した。野生型TPLは、シトロバクター フロインディーに由来し、そのアミノ酸配列は配列番号2に示される。本発明者らによって試験されたように、配列番号2に相当する野生型TPLはL-チロシンを合成する活性を有する。それは、フェノール、ピルビン酸塩、及びアンモニアからのL-チロシンの合成を触媒することができ、フェノールとセリン(D-セリン又はL-セリン)をL-チロシンに変換することもできる(図1)。しかし、配列番号2に相当するこの野生型TPLの安定性は非常に低く、それは、フェノールやカテコールなどのフェノール性基質が存在する溶液環境では容易に変性及び不活化される。フェノールが強力なタンパク質変性剤であることは、分子生物学の分野でよく知られている。核酸抽出の過程で、フェノールはタンパク質を変性させて核酸からタンパク質を分離するためによく使用される。
本発明者らが試験したように、図1に示す反応系では、フェノールの濃度が20g/L以上の場合、配列番号2に相当する野生型TPLは迅速かつ完全に変性し、活性を失い、L-チロシンはほとんど形成されない。フェノール濃度が約3g/Lに低下すると、配列番号2に相当する酵素は直ぐには不活性化されず、図1に示す反応を触媒できるが、それでも、それは、3g/Lフェノールを含む溶液中で、完全に変性し、20時間以内の反応で不活性化される。フェノールを投入する最適化された反応方法が使用されたとしても(実施例8又は実施例9に示されるように)、配列番号2に相当する酵素は基質のごく一部しか変換できないため、低濃度になり、工業生産の見込みはない。フェノールなどのフェノール性基質に対するこの酵素の安定性を改善するために、本発明者は、一連の改変TPLポリペプチドを開発した。これらの改変ペプチドは、L-チロシン及びその誘導体の酵素的合成において配列番号2よりも優れた安定性及び/又は活性を示し、改変ペプチドは、フェノールを使用するL-チロシンの合成、並びにカテコールを用いたL-ドーパの合成をより効率よく触媒することができる。幾つかの実施形態において、本開示における改変ポリペプチドは、配列番号2と少なくとも同等又はそれ以上の安定性及び/又は活性で、L-チロシン及びその誘導体の合成を触媒することができる。
配列番号2に相当する野生型TPLと比較して、本発明により提供される改変ポリペプチドは、より良好な安定性及び/又は活性を有し、非常に低コストで非常に単純な方法で、L-チロシン及びその誘導体を不斉合成することができる。これらの改変ポリペプチドは、X3, X10, X17, X27, X29, X33, X39, X41, X43, X59, X66, X72, X75, X78, X118, X128, X132, X136, X137, X140, X146, X174, X179, X186, X206, X212, X233, X253, X255, X276, X280, X284, X288, X327, X343, X354, X379, X384, X390, X391, X396, X414, X418, X429, X445, X446, X448, X449, X454から選択される1以上の残基位置において配列番号2の配列とは異なるアミノ酸配列を含み得る。幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを含むアミノ酸配列を含む(これらの特徴は、配列番号2の参照配列へのアミノ酸残基の置換である):Y3C, Y3F, I10T, S17R, S17K, K27A, K27E, K27R, K27N, K27T, K27Q, K27H, K27S, Q29K, Y33W, N39K, N39Y, N39R, N39H, K41R, K41S, K41T, K41Q, K41N, K41A, K41H, K41D, K41E, I43T, I43C, K59H, M66L, A72C, E75Q, E75R, E75K, Y78T, A118L, Y128L, Y128I, Y128V, Y128W, Y128H, Y128R, K132R, K132L, K132N, V136T, V136I, V136M, F137A, I140V, I140L, H146L, H146E, N174K, C179S, L186N, L186I, A206K, F212Y, E233K, E233H, E233Q, M253H, G255P, S276E, E280N, V284A, M288G, M288L, M288A, M288F, M288H, M288S, D327A, D327E, H343A, H343R, E354P, M379G, I384V, N390K, V391K, H396P, Y414R, D418N, Q429D, Q445G, Q445T, Q445Y, L446N, F448H, F448K, F448M, F449M, F449V, F449Y, D454E;又は、上記の違いに加えて、改変ポリペプチドは、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 20, 21, 22, 23, 24, 25又はそれ以上のアミノ酸残基の挿入又は欠失を含む。
より具体的には、幾つかの実施形態において、配列番号2に基づいて開発された改変ポリペプチドは、配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308に相当する配列を含む。
幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308の参照配列と少なくとも80%, 81%, 82%, 83%, 84%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%、又はそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む。
2つのアミノ酸配列又は2つのヌクレオチド配列間の同一性は、当技術分野で一般的に使用されるアルゴリズムによって取得でき、NCBI Blastp及びBlastnソフトウェアを使用するか、Clustal Wアルゴリズム(Nucleic Acid Research 22(Nucleic Acid Research 22(22):4673-4680, 1994)を使用してデフォルトパラメーターに従って計算できる。例えば、Clustal Wアルゴリズムを使用すると、配列番号2と配列番号286のアミノ酸配列の同一性は96.9%である。
別の局面において、本発明は、改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を提供する。幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、改変ポリペプチドの発現のための1つ以上の制御配列を有する発現ベクターの一部であり得る。幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号3, 5, 7, 9, 11, 13, 15, 17, 19, 21, 23, 25, 27, 29, 31, 33, 35, 37, 39, 41, 43, 45, 47, 49, 51, 53, 55, 57, 59, 61, 63, 65, 67, 69, 71, 73, 75, 77, 79, 81, 83, 85, 87, 89, 91, 93, 95, 97, 99, 101, 103, 105, 107, 109, 111, 113, 115, 117, 119, 121, 123, 125, 127, 129, 131, 133, 135, 137, 139, 141, 143, 145, 147, 149, 151, 153, 155, 157, 159, 161, 163, 165, 167, 169, 171, 173, 175, 177, 179, 181, 183, 185, 187, 189, 191, 193, 195, 197, 199, 201, 203, 205, 207, 209, 211, 213, 215, 217, 219, 221, 223, 225, 227, 229, 231, 233, 235, 237, 239, 241, 243, 245, 247, 249, 251, 253, 255, 257, 259, 261, 263, 265, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 281, 283, 285, 287, 289, 291, 293, 295, 297, 299, 301, 303, 305, 307に相当する配列を含み得る。
当業者に知られているように、ヌクレオチドコドンの縮重のために、アミノ酸配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号3, 5, 7, 9, 11, 13, 15, 17, 19, 21, 23, 25, 27, 29, 31, 33, 35, 37, 39, 41, 43, 45, 47, 49, 51, 53, 55, 57, 59, 61, 63, 65, 67, 69, 71, 73, 75, 77, 79, 81, 83, 85, 87, 89, 91, 93, 95, 97, 99, 101, 103, 105, 107, 109, 111, 113, 115, 117, 119, 121, 123, 125, 127, 129, 131, 133, 135, 137, 139, 141, 143, 145, 147, 149, 151, 153, 155, 157, 159, 161, 163, 165, 167, 169, 171, 173, 175, 177, 179, 181, 183, 185, 187, 189, 191, 193, 195, 197, 199, 201, 203, 205, 207, 209, 211, 213, 215, 217, 219, 221, 223, 225, 227, 229, 231, 233, 235, 237, 239, 241, 243, 245, 247, 249, 251, 253, 255, 257, 259, 261, 263, 265, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 281, 283, 285, 287, 289, 291, 293, 295, 297, 299, 301, 303, 305, 307に限定されない。本発明の改変ポリペプチドのポリヌクレオチド配列は、アミノ酸配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308をコードするどのような他のポリヌクレオチド配列にもなり得る。
別の局面において、本開示は、改変ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、発現ベクター、及び改変ポリペプチドを発現することができる宿主細胞を提供する。幾つかの実施形態において、宿主細胞は、E.coliなどの細菌宿主細胞であり得る。宿主細胞は、ここに記載の改変ポリペプチドを発現及び分離するために使用することができ、あるいは、基質を生成物に変換するための反応に直接使用することができる。
幾つかの実施形態において、全細胞、粗抽出物、分離されたポリペプチド、又は精製されたポリペプチドの形態の改変ポリペプチドは、単独で、又は樹脂上に固定化されるような固定化された形態で使用され得る。
本開示はまた、ここに開示された改変ポリペプチドを使用して、構造式(I)
Figure 2022528607000001
で表されるキラルアミノ酸化合物の合成を触媒するための方法を提供する:
式(I)のアミノ酸産物は、*で示したキラル中心に、表示された立体化学的配置を有し、式(I)のアミノ酸産物は他の異性体に比べて鏡像体過剰であり、R、R2、R3、R4、又はR5は、任意に置換又は非置換のC1- C6 ヒドロカルビル、-H、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Br、及び-I)、-OH、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、-NO2、-NO、-SO2R'又は-SOR'、-SR'、-NR'R'、-OR'、-CO2R'又は-COR'、-C(O)NR'、-SO2NH2又は-SONH2、-CN、CF3であり、各R'は独立して-H、(C1-C4)ヒドロカルビル、ハロゲン、C1-C8ヒドロカルビル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、シクロアルキル、アリール、又は複素環である。この方法は、適切な反応条件下で、ピルビン酸塩とアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で(以下の反応式1又は2に示されるように)、式(II)
Figure 2022528607000002
の基質がここで説明される改変ポリペプチドと接触されることを含む。
Figure 2022528607000003
幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、配列番号2~308の偶数の配列識別子である参照配列と、少なくとも80%, 81%, 82%, 83%, 84%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%、又はそれ以上の配列同一性を有し、配列番号2に比べて、より優れた性能(より優れた安定性、より高い活性、又はより高い基質濃度に対する耐性を含む)で式(I)の産物の合成を触媒することができる。
幾つかの実施形態において、式(I)の産物は、少なくとも90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 若しくは99%、又はそれ以上の鏡像体過剰率で生産される。
幾つかの実施形態において、式(I)の産物は、
Figure 2022528607000004
R1 は上記定義した通りであり、式(II)の基質は、
Figure 2022528607000005
である。
幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のパラ位にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のメタ位にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のオルト位にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のパラ位とメタ位の両方にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のパラ位とオルト位の両方にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のメタ位とオルト位の両方にある。
幾つかの実施形態において、ここに開示される改変ポリペプチドは、チロシン
Figure 2022528607000006
を製造する方法において使用することができる。
これらの実施形態において、この方法は、適切な反応条件の下、ピルビン酸塩とアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で、式A1の化合物であるフェノール
Figure 2022528607000007
が、ここに開示される改変ポリペプチドと接触されたことを含む。
幾つかの実施形態において、ここに開示される改変ポリペプチドは、L-ドーパ
Figure 2022528607000008
を製造する方法で使用することができる。
これらの実施形態において、この方法は、適切な反応条件の下、ピルビン酸塩とアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で、式A2の化合物であるカテコール
Figure 2022528607000009
が、ここに開示される改変ポリペプチドと接触されたことを含む。
上記方法の幾つかの実施形態において、式(I)の化合物、L-チロシン、又はL-ドーパが、少なくとも90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%、若しくは99%、又はそれ以上の鏡像体過剰率で生産される。
この方法に使用するための改変ポリペプチドの特別な実施形態が、さらに、詳細な説明又は実施例において提供される。上記方法で使用できる改変ポリペプチドは、配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308に相当するアミノ酸配列から選択される1以上を含むことができる。
ここで開示されるように改変ポリペプチドを使用して、式(I)の化合物、L-チロシン又はL-ドーパを製造するための方法の何れも、それには限定されないが、pH、温度、バッファー、溶媒系、基質ローディング、ポリペプチドローディング、コファクターローディング、圧力、及び反応時間範囲を含む、適切な反応条件の範囲の下で行うことができる。例えば、幾つかの実施形態において、式(I)の化合物、L-チロシン、又はL-ドーパの調製を行うことができ、ここで、適切な反応条件は、(a)約1g/Lから約500g/Lの化合物(II)、フェノール、又はカテコール、(b)約0.1g/Lから約50g/Lの改変ポリペプチド、(c)約0.01g/Lから約1.0g/Lのコファクター、(d)0%(v/v)から約99%(v/v)のここで説明された有機溶媒、それは、それには限定されないが、4-ヒドロキシ-2-ブタノン、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、又はプロパノールを含む、(e)約4.0から約11.0のpH、及び(f)約10℃から約60℃の温度、である。
2 詳細
2.1 定義
他に明白に定義しない限り、本開示で使用される技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。
「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」は、長さ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリストイル化、ユビキチン化等)に関係なく、アミド結合によって共有結合された少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを示すために、ここで言い換え可能に使用される。この定義は、D-アミノ酸、L-アミノ酸、及びD-アミノ酸とL-アミノ酸の混合物を含む。
「改変チロシンフェノールリアーゼ」、「改変チロシンフェノール-リアーゼポリペプチド」、「改変TPLポリペプチド」、「改良されたチロシンフェノール-リアーゼ」、及び「改変ポリペプチド」は、ここで言い換え可能に使用される。
「細胞」又は「湿細胞」は、実施例3及び実施例7に示される調製手順で得られた湿細胞を含む、ポリペプチド又は改変ポリペプチドを発現する宿主細胞を指す。
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、ここで言い換え交換可能に使用される。
ここで使用される「コファクター」は、触媒反応において酵素と共に作動する非タンパク質化合物を指す。ここで使用される場合、「コファクター」は、ビタミンB6ファミリー化合物であるピリドキサール-5'-リン酸(PLP)、ピリドキシン(ピリドキソール、又はPN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)、ピリドキシンリン酸(PNP)、及びピリドキサミンリン酸(PMP)を含むことを意図され、これらは、ときには補酵素とも称される。
「PLP」、「ピリドキサールリン酸」、「ピリドキサール5'-リン酸」、「PYP」、及び「P5P」は、ここでは言い換え可能に使用され、酵素に触媒される反応においてコファクターとして作用する化合物を指す。
「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)のその部分を指す。
「自然発生」又は「野生型」は、自然界に見られる形態を指す。例えば、天然に生じる、又は野生型のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、自然界の供給源から分離することができる生物に存在し、手作業で意図的に改変されていない配列である。
「組換え」又は「改変」又は「非天然発生」は、例えば、細胞、核酸、又はポリペプチドに関して使用される場合、そうでなければ自然界に存在しなかったであろう方法で修飾されたか、又はそれと同一であるが、合成材料から生産若しくは合成材料に由来するか、及び/又は組み換え技術を用いた操作により生産された材料、又は天然若しくはその材料の天然形態に相当する材料を指す。
「配列同一性」及び「相同性」は、ポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の比較を指すためにここで言い換え可能に使用され(「配列同一性」は一般にパーセンテージとして表される)、比較ウィンドウ上で2つの最適に整列された配列を比較することによって決定される。比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのための参照配列と比較して、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基の何れかが両方の配列に存在する位置の数、又は核酸塩基又はアミノ酸残基がギャップを持って整列して一致する位置の数を生成する位置の数を決定することによって計算できる。一致した位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを算出する。当業者は、2つの配列を整列させるために利用可能な多くの確立されたアルゴリズムがあることを理解するであろう。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math. 2: 482のローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444の類似性法の研究、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実装(GAP, BESTFIT, FASTA, 及びGCG Wisconsin PackageのTFASTA)、又は視覚の調査(おおまかにCurrent Protocols in Molecular Biology, FM Ausubel et al. eds., Current Protocols, a Joint Venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (1995 Supplement) (Ausubel)を参照のこと)により行うことができる。パーセント配列同一性及びパーセント配列相同性を決定する適したアルゴリズムの例は、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410及び Altschul et al., 1977, Nucleic Acids Res. 3389-3402にそれぞれ説明されたBLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センターのウェブサイトから公に入手可能である。アルゴリズムでは、最初に、クエリシーケンスで長さWの短いワードを特定することにより、高スコアのシーケンスペア(HSPs)を特定する。これは、データベースシーケンスで同じ長さのワードと整列すると、何らかの正の値の閾値スコアTと一致するかこれを満たす。Tは、近隣ワードスコア閾値と称される(Altschul et al.、上記を参照)。これらの初期近隣ワードヒットは、それらを含むより長いHSPsを見つけるための検索を開始するためのシードとして働く。ワードヒットは、次いで、累積アラインメントスコアが増加できる限り、各シーケンスに沿って両方向に拡張される。ヌクレオチド配列の場合、累積スコアは、パラメーターM(一致する残基のペアの報酬スコア;常に>0)及びN(不一致の残基のペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合、スコアリングマトリックスが累積スコアを計算するために使用される。各方向におけるワードヒットの拡張は、次の場合に停止される:累積アラインメントスコアがクオリティXによって最大達成値から低下する、1つ以上の負のスコアの残基アラインメントの蓄積により累積スコアが0以下になる、又は何れかのシーケンスの末端が到達される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、及びXは、アラインメントの感度と速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、及びデフォルト値として両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列では、BLASTPプログラムはデフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(Henikoff and Henikoff、1989、Proc Natl Acad Sci USA 89:10915を参照)。配列アラインメント及び%配列同一性の典型的な決定は、提供されるデフォルトのパラメーターを使用して、GCGウィスコンシンソフトウェアパッケージ(Accelrys、マディソン WI)のBESTFIT又はGAPプログラムを使用することができる。
「参照配列」は、配列比較の基礎として使用される定義された配列を指す。参照配列は、より大きな配列のサブセット、例えば、完全長遺伝子又はポリペプチド配列の断片であり得る。一般に、参照配列は、少なくとも20ヌクレオチド又はアミノ酸残基の長さ、少なくとも25残基の長さ、少なくとも50残基の長さ、又は核酸若しくはポリペプチドの全長である。2つのポリヌクレオチド又はポリペプチドはそれぞれ、(1)2つの配列間で類似する配列(すなわち、完全な配列の一部)を含み得、(2)2つの配列間で不一致の配列をさらに含み得るので、2(又はそれ以上の)ポリヌクレオチド又はポリペプチド間の配列比較は、典型的には、「比較ウィンドウ」上で2つのポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列を比較して、配列類似性の局所領域を同定及び比較することによって実施される。幾つかの実施形態において、「参照配列」は、野生型配列に限定されることを意図せず、改変された又は変化された配列を含み得る。例えば、「配列番号2に基づくX27に対応する残基にアラニンを有する参照配列」は、配列番号2の位置X27にある対応する残基リジンがアラニンに変更されている参照配列を指す。
「比較ウィンドウ」は、少なくとも約20個の隣接するヌクレオチド位置又はアミノ酸残基の概念的断片を指し、ここで、配列は、少なくとも20個の隣接するヌクレオチド又はアミノ酸の参照配列と比較することができ、比較ウィンドウにおける配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して20%以下の付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較ウィンドウは、20個の隣接する残基より長くすることができ、30、40、50、100又はそれ以上の残基を任意に含む。
与えられたアミノ酸又はポリヌクレオチド配列の番号付けの文脈において、「に相当する」、「を参照する」又は「に関する」は、与えられたアミノ酸又はポリヌクレオチド配列が参照配列と比較されるときの特定の参照の残基の番号付けを指す。換言すれば、与えられた配列の残基番号又は残基位置は、与えられたアミノ酸又はポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数字で表された位置によってではなく、参照配列に関して指定される。例えば、改変ポリペプチドなどの与えられたアミノ酸配列は、ギャップを導入して2つの配列間の残基のマッチを最適化することにより、参照配列に整列させることができる。これらの場合、ギャップはあるものの、与えられたアミノ酸又はポリヌクレオチド配列における残基の番号付けは、それらが整列されている参照配列に関して行われる。
「アミノ酸の違い」又は「残基の違い」は、参照配列の対応する位置のアミノ酸残基に対する、ポリペプチド配列の位置のアミノ酸残基の違いを指す。アミノ酸の違いの位置は、一般に、ここでは「Xn」と呼ばれ、ここで、nは、残基の違いが基づく参照配列中の対応する位置を指す。例えば、「配列番号2と比較した位置X27での残基の違い」は、配列番号2の位置27に対応するポリペプチド位置でのアミノ酸残基の違いを指す。従って、配列番号2の参照ポリペプチドが27位にリジンを有すれば、「配列番号2と比較したX27位の残基の違い」は、配列番号2の27位に対応するポリペプチドの位置におけるリジン以外の任意の残基のアミノ酸置換を指す。ここでのほとんどの実施例において、その位置での特定のアミノ酸残基の違いは、「XnY」として示され、ここで、「Xn」は、上記説明したように対応する位置に指定され、「Y」は、改変ポリペプチドに見られるアミノ酸の一文字識別子(すなわち、参照ポリペプチドとは異なる残基)である。幾つかの例(例えば、表1)において、本開示はまた、従来の表記「AnB」によって示される特定のアミノ酸の差異を提供し、ここで、Aは、参照配列中の残基の一文字識別子であり、「n」は、参照配列における残基位置の数であり、Bは、改変ポリペプチドの配列における残基置換のための一文字識別子である。幾つかの例において、本開示の改変ポリペプチドは、参照配列に対して1又はそれ以上のアミノ酸残基の違いを含み得、これは、参照配列に対して残基の違いが存在する特定の位置のリストによって示される。
「欠失」は、参照ポリペプチドから1又はそれ以上のアミノ酸を除去することによるポリペプチドの修飾を指す。欠失は、1以上のアミノ酸、2以上のアミノ酸、5以上のアミノ酸、10以上のアミノ酸、15以上のアミノ酸、又は20以上のアミノ酸の、酵素の全アミノ酸数の10%までの除去、又は全アミノ酸数の20%までの除去であって、改変ポリペプチドのTPL酵素活性を保持し、及び/又は改変ポリペプチドの改善された特性を保持しながら参照酵素を埋め合わせる除去を含むことができる。欠失は、ポリペプチドの内部の位置、及び/又は末端の位置にあり得る。様々な実施形態において、欠失は、隣接する断片を含み得るか、又は不連続であり得る。
「挿入」は、参照ポリペプチドに1以上のアミノ酸を付加することによるポリペプチドの修飾を指す。幾つかの実施形態において、ここに開示される改変ポリペプチドは、天然に生じるTPLポリペプチドへの1以上のアミノ酸の挿入、及び他の改変ポリペプチドへの1以上のアミノ酸の挿入を含む。それは、ポリペプチドの内部に挿入されることもでき、或いはカルボキシル末端又はアミノ末端に挿入されることもできる。挿入は、アミノ酸の隣接した断片であるか、又は天然に生じるポリペプチド若しくは改変ポリペプチドにおいて1以上のアミノ酸によって分離され得る。
ここで使用される「フラグメント」は、アミノ末端及び/又はカルボキシル末端の欠失を有するが、残りのアミノ酸配列が配列中の対応する位置と同一であるポリペプチドを指す。断片は、少なくとも10アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長、少なくとも50アミノ酸長又はそれ以上の長さで、改変ポリペプチドの全長の70%、80%、90%、95%、98%、及び99%までの長さであり得る。
「分離されたポリペプチド」は、タンパク質、脂質、及びポリヌクレオチドのようなそれが生来関連する他の物質から実質的に分離されているポリペプチドを指す。この用語は、それらの天然に発生する環境又は発現系(例えば、宿主細胞又はインビトロ合成)から除去又は精製されたポリペプチドを含む。改変ポリペプチドは、細胞内、細胞培養培地中に存在するか、又は溶解物若しくは分離された調製物のような様々な形態で調製され得る。従って、幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、分離されたポリペプチドであり得る。
「キラル中心」は、4つの異なる基をつなぐ炭素原子を指す。
「立体選択性」は、化学反応又は酵素反応において、一つの立体異性体が他方よりも優先的に形成されることを指す。立体選択性は部分的であり得て、一つの立体異性体の形成が他方より有利には働くか、又は一つの立体異性体のみ形成される完全なものであり得る。立体異性体がエナンチオマーである場合、立体選択性は、エナンチオ選択性と称される。2つのエナンチオマーの混合物中の1つのエナンチオマーの過剰画分は、通常、任意に「エナンチオマー過剰率」(短くはee)として報告される。画分、典型的にはパーセンテージは、一般に、以下の式に従ってそれから引き出される「エナンチオマー過剰率」(すなわちee)として当技術分野で報告されている:
[メジャーエナンチオマー-マイナーエナンチオマー]/[メジャーエナンチオマー+マイナーエナンチオマー]
「立体異性体」、「立体異性体形態」及び同様の表現は、ここでは言い換え可能に使用され、それらの空間のみにおける原子の配向の違いから生じる全ての異性体を指す。これは、エナンチオマー、及び1以上のキラル中心を持ち、互いの鏡像ではない化合物(すなわち、ジアステレオマー)を含む。
「改善された酵素特性」は、配列番号2の野生型チロシンフェノール-リアーゼのような参照と比較して、特定の目的でより良好又はより望ましい酵素特性を指す。改善されたものとして期待される酵素特性は、それには限定されないが、酵素活性(基質転換のパーセンテージとして表すことができる)、熱安定性、溶媒安定性(例えば、フェノール性化合物に対する安定性)、pH活性特性、コファクター要求、阻害剤に対する耐性(例えば、基質又は生成物による阻害)、立体特異性、及び立体選択性を含む。
「変換」は、基質の対応する生成物への酵素的変化を指す。「転換パーセント」又は「転換率」は、反応系において特定された条件下で一定時間内に生成物に転換される基質のパーセンテージを指す。従って、チロシンフェノール-リアーゼ又は改変ポリペプチドの「酵素活性」又は「活性」は、基質の生成物への「パーセント転換」として表すことができる。転換率は、一般に、サンプリングによって反応系の生成物濃度と主基質濃度を決定することによって計算される:
{生成物モル濃度} / {主基質モル濃度+生成物モル濃度}
ここでの主な基質は、化合物(II)、フェノール、又はカテコールを指す。
「熱安定性」は、野生型酵素と比較して、上昇した温度(例えば、72℃以上)に一定時間(例えば、2.5時間以上)曝露された後、同様の活性を保持する改変ポリペプチドを意味する。
「溶媒安定性」又は「溶媒耐性」は、異なる濃度(例えば、5~99%)の溶媒(フェノール、カテコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、メチルtert-ブチルエーテルなど)に、一定時間(例えば、0.5~24時間)曝露された後、同様の活性を維持する改変ポリペプチドを指す。
「適切な反応条件」は、生体触媒反応溶液におけるそれらの条件(例えば、酵素ローディング、基質ローディング、コファクターローディング、温度、pH、バッファー、共溶媒など)を指し、その下で、本開示の改変ポリペプチドは、基質を所望の生成物化合物に転換することができる。例示的な「適切な反応条件」は、本開示において提供され、実施例によって示される。
「ヒドロカルビル」は、直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素鎖を指す。記号「C」に続く下付き文字の数は、特定の鎖に含まれる可能性のある炭素原子の数を規定する。例えば、「C1~C8」は、1から8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のヒドロカルビル基を指す。ヒドロカルビル基は、任意に、1以上の置換基で置換され得る。「アリール」は、炭素数6~約20個の一価の芳香族炭化水素基を意味する。「ヘテロアリール」及び「ヘテロ芳香族」は、親芳香環系の1以上の炭素原子がヘテロ原子(O、N、又はS)で置換されているアリール基を指す。「置換」は、特定の基を修飾するために用いられるとき、特定の基の1以上の水素原子が、互いに独立して、同一又は異なる置換基により置き換えられることを意味する。「置換ヒドロカルビル、アリール、又はヘテロアリール」は、1以上の水素原子が他の置換基で置き換えられているヒドロカルビル、アリール、又はヘテロアリール基を指す。「任意の」又は「任意に」は、説明されている事柄又は状況が発生してもしなくてもよいことを意味する。例えば、「任意に置換されたアリール」は、置換されてもされなくてもよいアリール基を指す。この説明は、置換アリール基と非置換アリール基の両方を含む。
ここで使用される場合、「化合物」は、ここに開示される化合物と共に示される構造式及び/又は化学名に含まれる任意の化合物を指す。化合物は、それらの化学構造及び/又は化学名により特定され得る。化学構造と化学名が矛盾するとき、化学構造がその化合物の同一性を決定する。特に他に述べるか又は示さない限り、ここに説明される化学構造は説明された化合物の全ての可能な異性体の形を含み得る。
2.2 改変ペプチド
以下の表1(表1-1~表1-6)は、本発明により開発された改変TPLポリペプチドを説明する。各列は、特定の改変ポリペプチドのポリヌクレオチド配列番号及びアミノ酸配列番号と、配列番号2と比べた残基の違いを与える。例示した各改変ポリペプチドの触媒性能(反応における酵素の全体的な性能であって、それには限定されないが、安定性、反応系での活性、生成物への立体選択性)のレベルは、表2又は表3に示された特定の意味を有して“+”により示される。
Figure 2022528607000010
Figure 2022528607000011
Figure 2022528607000012
Figure 2022528607000013
Figure 2022528607000014
Figure 2022528607000015
Figure 2022528607000016
表2に説明された反応条件での酵素溶液の調製は、実施例3を参照する。酵素溶液は、どのような前処理も受けておらず、表1のアミノ酸配列に対応する等量のポリペプチドを含む。表2のスクリーニング反応の操作は実施例4を参照することができる。ここでの転換率は、L-チロシンに変換されたフェノールのモル比に基づいて計算される。
Figure 2022528607000017
表3の反応条件に説明されている前処理された酵素溶液は、酵素を異なる濃度のフェノールで処理することによって得られた酵素溶液である。このような前処理の操作は、実施例5を参照することができる。ここでの転換率は、L-チロシンに変換されたフェノールのモル比に基づいて計算される。
2.3 改変ポリペプチドの生産に使用することができるポリヌクレオチド、コントロール配列、発現ベクター、及び宿主
もう一つの局面で、本開示は、ここに説明したTPL活性(又はEC4.1.99.2を起点とする酵素活性)を有する改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、改変ポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを生成するために遺伝子発現を制御する1以上の異種調節配列に作動可能に連結している。改変ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む発現構築物は、対応する改変ポリペプチドを発現するために適した宿主細胞に導入され得る。
当業者には明らかなように、タンパク質配列の利用可能性及び様々なアミノ酸に対応するコドンの知見は、目的のタンパク質配列をコードする全ての可能なポリヌクレオチドの実例を提供する。同じアミノ酸が選択可能な又は同義のコドンによってコードされる遺伝暗号の縮重は、非常に多数のポリヌクレオチドの生産を可能にし、それらは全て、ここに開示される改変ポリペプチドをコードする。従って、特定のアミノ酸配列を決定すると、当業者は、タンパク質のアミノ酸配列を変更しない方法で1以上のコドンを単に修飾することにより、どのような数の異なるポリヌクレオチドをも生成することができる。これに関して、本開示は、表1に列挙された例示的な改変ポリペプチドのアミノ酸配列を含む、ここに開示されるどのようなポリペプチドについて、及び参照により取り込まれた配列リストの配列番号4~308の偶数の配列識別子として開示されたどのようなポリペプチドについて(これらは全て、具体的に開示されているか、公になっていると考えられる)、可能なコドン選択に基づいて組み合わせを選択することによって行うことができるポリヌクレオチドのあらゆる可能な変更を具体的に企図する。
様々な実施形態において、コドンは、好ましくは、組換えタンパク質が生産される宿主細胞に適応するように選択される。例えば、細菌に好まれるコドンは、細菌で遺伝子を発現するために使用され、酵母に好まれるコドンは、酵母で遺伝子を発現するために使用され、哺乳動物に好まれるコドンは、哺乳動物細胞で遺伝子を発現するために使用される。
幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上、配列番号4~308の偶数の配列識別子である参照配列と同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、ここで、ポリペプチドは、TPL活性、及びここに説明された改善された特性の1以上、例えば、配列番号2のポリペプチドと比較して増大した安定性及び/又は活性でL-チロシン又はL-ドーパの合成を触媒する能力を有する。
幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、上記説明された同一性のパーセンテージを有し、配列番号2と比較して1以上のアミノ酸残基の違いを有するアミノ酸配列を含む改変ポリペプチドをコードする。幾つかの実施形態において、本開示は、TPL活性を有する改変ポリペプチドを提供し、この改変ポリペプチドは、下記位置:X3, X10, X17, X27, X29, X33, X39, X41, X43, X59, X66, X72, X75, X78, X118, X128, X132, X136, X137, X140, X146, X174, X179, X186, X206, X212, X233, X253, X255, X276, X280, X284, X288, X327, X343, X354, X379, X384, X390, X391, X396, X414, X418, X429, X445, X446, X448, X449, X454から選択される残基の違いを有して、配列番号2の参照配列と少なくとも80%の配列同一性を有する組み合わせを含む。
幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号3~307の通常と異なる配列識別子を有する配列を含む改変ポリペプチドをコードする。
幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、ここで説明されたようにポリペプチドをコードし、しかし、ヌクレオチドレベルで、そのポリヌクレオチドは、改変ポリペプチドをコードする参照ポリヌクレオチドと約50%, 55%, 60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%、若しくは99%、又はそれ以上の配列同一性を有する。
改変ポリペプチドをコードする分離されたポリヌクレオチドは、様々な方法で改変ポリペプチドの発現を可能にするように操作することができ、これは、発現を改善するためのコドン最適化による配列のさらなる修飾、追加の制御配列を伴う又は伴わない適切な発現エレメントへの挿入、及び改変ポリペプチドの発現及び生産に適した宿主細胞への形質転換を含む。
発現ベクターに応じて、分離されたポリヌクレオチドをベクターに挿入する前の分離されたポリヌクレオチドの操作が望ましいか、又は必要であり得る。組換えDNA法を用いてポリヌクレオチド及び核酸配列を改変するための技術は、当技術分野で良く知られている。ガイダンスは以下に提供される:Sambrook et al., 2001, MolecuLar Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press、及び Current Protocols in MolecuLar Biology, Edited by Ausubel. F. et al., GreenePub. Associates, 1998, 2010
もう一つの局面において、本開示は、また、それらが導入される宿主のタイプに応じて、改変ポリペプチド又はその変異体をコードするポリヌクレオチド、並びにプロモーター、ターミネーター、複製起点などのような発現調節領域の1以上を含む組換え発現ベクターに関する。或いは、本開示の核酸配列は、核酸配列又はその配列を含む核酸構築物を適切な発現ベクターに挿入することによって発現させることができる。発現ベクターを生成する際に、コード配列は、そのコード配列が発現のための適切な制御配列に連結されるように、ベクター内に配置される。
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順で便利に使用することができ、ポリヌクレオチド配列の発現をもたらすことができるどのようなベクター(例えば、プラスミド又はウイルス)でもあり得る。ベクターの選択は、一般に、ベクターと導入される宿主細胞との適合性に依存する。ベクターは、線状又は閉じた環状プラスミドであり得る。発現ベクターは、自律的に複製するベクター、すなわち、その複製がプラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体などの染色体複製とは独立している染色体外実体として存在するベクターであり得る。ベクターは、自己複製を保証するためのどのような要素も含むことができる。或いは、ベクターは、宿主細胞に導入されると、ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれている染色体と共に複製するベクターであり得る。さらに、宿主細胞のゲノムに導入される全DNAを共に含む単一のベクター若しくはプラスミド、又は2以上のベクター若しくはプラスミドを使用することができる。
本開示の実施形態に有用な多くの発現ベクターが市販されている。例示的な発現ベクターは、改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをプラスミドpACYC-Duet-1(Novagen)に挿入することによって調製することができる。
もう一つの局面において、本開示は、本開示の改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。ポリヌクレオチドは、宿主細胞におけるポリペプチドの発現のための1以上の制御配列に連結されている。本開示の発現ベクターによってコードされるポリペプチドを発現するための宿主細胞は、、当技術分野で良く知られており、それには限定されないが、エシェリヒア コリ、アルスロバクターKNK168、ストレプトマイセス、及びサルモネラ ティフィムリウム細胞などの細菌細胞;酵母細胞(例えば、サッカロマイセス セレビシアエ又はピキア パストリス)などの真菌細胞;ショウジョウバエS2やヨトウ(Spodoptera)Sf9細胞などの昆虫細胞;CHO、COS、BHK、293、Bowesメラノーマ細胞などの動物細胞;及び植物細胞を含む。例示的な宿主細胞は、E.coli BL21(DE3)である。上記の宿主細胞は、野生型であり得るか、又は宿主細胞のゲノムに運びこまれる野生型TPL遺伝子のノックアウトなどのゲノムエディションを介した改変細胞であり得る。上記の宿主細胞に適した培地及び増殖条件は、当技術分野で良く知られている。
改変ポリペプチドを発現するために使用されるポリヌクレオチドは、当技術分野で知られている様々な方法によって細胞に導入することができる。技術には、とりわけ、エレクトロポレーション、バイオパーティクルボンバードメント、リポソーム媒介トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクション、及びプロトプラスト融合が含まれる。ポリヌクレオチドを細胞に導入する様々な方法は、当業者には明らかである。
2.4 改変ポリペプチドの製造方法
改変ポリペプチドは、TPLをコードするポリヌクレオチドを変異及び/又は指向性進化法に供することにより得られる。例示的な指向性進化技術は、“Biocatalysis for the Pharmaceutical Industry: Discovery, Development, and Manufacturing”(2009 John Wiley & Sons Asia (Pte) Ltd. ISBN: 978-0-470-82314-9)に見出すことができる。
改変ポリペプチドの配列が知られているとき、コードするポリヌクレオチドは、既知の合成方法による標準的な固相法によって調製することができる。幾つかの実施形態では、約100塩基までの断片を別々に合成し、次いでライゲートして(例えば、酵素的若しくは化学的ライゲーション法又はポリメラーゼ媒介法によって)、どのような所望の隣接配列をも形成することができる。例えば、本開示のポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドは、例えば、自動合成法で典型的に行われているように、Beaucage et al., 1981, TetLett 22: 1859-69, or Matthes et al. Human, 1984, EMBOJ. 3: 801-05によって説明された古典的なホスホルアミダイト法を使用する化学合成によって調製することができる。ホスホルアミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動化されたDNAシンセサイザーにおいて、合成され、精製され、アニーリングされ、ライゲートされ、そして適したベクターにクローン化される。さらに、本質的には、どのような核酸でも、様々な商業的供給源の何れかから入手できる。
幾つかの実施形態において、本開示は、改変ポリペプチドを調製又は生産するための方法も提供し、この方法は、ポリペプチドの発現に適した培養条件下で、改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現することができる宿主細胞を培養することを含む。幾つかの実施形態において、ポリペプチドを調製する方法は、ポリペプチドを分離することをさらに含む。改変ポリペプチドは、適した細胞で発現され、タンパク質精製のための良く知られた技術の何れか1以上を使用して宿主細胞及び/又は培養培地から分離(又は回収)され得、タンパク質精製のための技術は、とりわけ、リゾチーム処理、超音波処理、ろ過、塩析、超遠心分離、及びクロマトグラフィーを含む。
2.5 改変ポリペプチドの使用方法、及びそれで調製された化合物
もう一つの局面では、ここに説明された改変ポリペプチドは、キラルアミノ酸化合物の合成を触媒することができる。本開示はまた、ここに開示される改変ポリペプチドを使用して、広範囲の化合物(I)又はその構造類似体を製造する方法を提供する。幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、式(I):
Figure 2022528607000018
の化合物を製造する方法で使用することができる。
式(I)のアミノ酸生成物は、*で示したキラル中心で、表示された立体化学的配置を有する。式(I)のアミノ酸生成物は、他の異性体よりも鏡像体過剰であり、ここで、R1、R2、R3、R4又はR5は、任意に置換又は非置換のC1-C6ヒドロカルビル、-H、ハロゲン(-F、-Cl、-Br及びIなど)、-OH、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、-NO2、-NO、-SO2R'又はSOR'、-SR'、-NR'R'、-OR'、-CO2R'又はCOR'、-C(O)NR'、-SO2NH2又はSONH2、-CN、-CF3;ここで、各R'は、独立して、-H、(C1-C4)ヒドロカルビル、ハロゲン、C1-C8ヒドロカルビル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、シクロアルキル、アリール又は複素環から選択される。この方法は、適切な反応条件下で、ピルビン酸塩及びアンモニアの存在下で、又はセリンの存在下で、式(II)の基質
Figure 2022528607000019
が、ここに説明されているように、改変ポリペプチドと接触することを含む。
幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、配列番号2~308の偶数の配列識別子に対する少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有し、配列番号2と比較して、より良い性能(より良い安定性、より高い活性、又はより高い基質濃度に対する耐性を含む)で、式(I)の生成物の合成を触媒することができる。
幾つかの実施形態において、式(I)の生成物は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%、又はそれ以上の鏡像体過剰率で生成される。
上述したように、本開示の方法において有用な改変ポリペプチドは、L-チロシンの合成を触媒するそれらの能力に従って特徴付けられ得る。従って、ここに開示される方法の実施形態の何れにおいても、方法は実行され得、ここで、改変ポリペプチドは、配列番号2よりも優れた性能でL-チロシンの合成を触媒することができ、配列番号2~308の偶数の配列識別子に対する少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有する。
幾つかの実施形態において、式(I)の生成物は
Figure 2022528607000020
ここで、R1は上記定義した通り、であり、式(II)の基質は
Figure 2022528607000021
である。
幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のパラ位にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のメタ位にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のオルト位にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のパラ位及びメタ位の両方にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のパラ位及びオルト位の両方にある。幾つかの実施形態において、R1はフェニル環のメタ位及びオルト位の両方にある。
上記方法で使用するための改変ポリペプチドの特定の実施形態が、さらに、詳細な説明で提供される。上記方法で使用され得る改変ポリペプチドは、配列番号2, 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308から選択されるアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態において、ここに開示される改変ポリペプチドは、L-チロシン
Figure 2022528607000022
を製造する方法で使用することができる。
これらの実施形態において、この方法は、適切な反応条件の下、ピルビン酸塩とアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で、式A1のフェノール化合物
Figure 2022528607000023
がここに開示される改変ポリペプチドと接触することを含む。
幾つかの実施形態において、ここに開示される改変ポリペプチドは、L-ドーパ
Figure 2022528607000024
を製造する方法で使用することができる。
これらの実施形態において、この方法は、適切な反応条件の下、ピルビン酸塩とアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で、式A2のカテコール化合物
Figure 2022528607000025
がここに開示される改変ポリペプチドと接触されることを含む。
上記方法の幾つかの実施形態において、L-チロシン又はL-ドーパが、少なくとも90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%、若しくは99%、又はそれ以上の鏡像体過剰率で生産される。
上記方法で使用するための改変ポリペプチドの特定の実施形態は、さらに、詳細な説明で提供される。上記方法で使用することができる改変ポリペプチドは、配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308から選択されるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、配列番号2~308の偶数の配列識別子と少なくとも80%, 81%, 82%, 83%, 84%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又はそれ以上の配列同一性を有し、そして、配列番号2と比較して、より良い性能(より良い安定性、より高い活性、又はより高い基質濃度に対する耐性を含む)で、L-チロシン又はL-ドーパの合成を触媒することができる。
ここに説明され、そして実施例に例示されるように、本開示は、それには限定されないが、コファクターローディング、温度、溶媒系、各反応成分のローディング、ポリペプチドローディング、バッファー、pH、及び反応時間を含む、ここでの方法に使用され得る、様々な適切な反応条件を企図する。ここに説明された改変ポリペプチドを使用して基質化合物の生成物化合物への変換を触媒する方法を実行するための追加の適切な反応条件は、ルーチンの実験によって容易に最適化することができ、それは、それには限定されないが、例えば、ここに提供される実施例で説明された方法を用いて、各反応成分のローディング、pH、温度、溶媒条件、コファクター濃度、及び検出される生成化合物を変化させる実験反応条件の下で、改変ポリペプチドを基質化合物と接触させることを含む。
上記説明したように、本開示の方法で使用するためのTPL活性を有する改変ポリペプチドは、一般に、配列番号2~308の偶数の番号が付けられた配列の何れかから選択された参照アミノ酸配列と、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
反応混合物中の基質化合物のローディングは、例えば、所望の生成化合物の量、酵素活性に対する基質濃度の影響、反応条件下での酵素の安定性、及び基質から生成物への変換率を考慮して変えることができ、このバリエーションは比例的又は非比例的なものとすることができる。
式(II)、A1、又はA2の基質を可能な限り完全に変換するために、反応混合物中のピルビン酸塩、アンモニア、又はセリンのローディングは、式(II)、A1、又はA2の基質のローディングに対して過剰であり得る。ここに提供される基質ローディングの値は、化合物(II)、A1、A2、ピルビン酸塩、アンモニア、又はセリンの分子量に基づいている。しかし、化合物(II)、A1、A2、ピルビン酸塩、アンモニア、又はセリンの様々な水和物及び/又は塩の等モル量がこの方法でも使用され得ることも企図される。ここで、セリンは、D-セリン又はL-セリンであり得る。
反応の幾つかの実施形態において、反応条件は適切なpHを含み得る。上記説明したように、所望のpH又は所望のpH範囲は、酸又は塩基、適切なバッファー、又はバッファーと添加された酸又は塩基との組み合わせを使用することによって維持することができる。反応混合物のpHは、反応前及び/又は反応中に制御することができる。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、約4から約11の溶液pHを含む。幾つかの実施形態において、反応条件は、約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11.0の溶液pHを含む。
ここでの方法の実施形態において、例えば、より高い温度での反応速度の増大、反応の十分な持続のための酵素活性を考慮して、適切な温度を反応条件に使用することができる。従って、幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、約10℃から約60℃、約25℃から約50℃、約25℃から約40℃、又は約25℃から約30℃の温度を含む。幾つかの実施形態において、適切な反応温度は、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、又は60°Cの温度を含む。幾つかの実施形態において、酵素反応中の温度は、反応を通して一定温度に維持することができる。幾つかの実施形態において、酵素反応中の温度は、反応の過程中の温度プロファイルにわたって調整され得る。
改変ポリペプチドを使用する方法は、一般に、水性環境又は溶媒の中で行われる。適切な溶媒は、水性バッファー溶液、有機溶媒、及び/又は共溶媒系を含み、これらは、一般に、水性溶媒及び有機溶媒を含む。水性溶液(水又は水性共溶媒系)は、pH緩衝又は非緩衝にすることができる。幾つかの実施形態において、改良ポリペプチドを使用する方法は、一般に、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、1-オクタノール、ヘプタン、オクタン、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、トルエンなど)、イオン性液体(例えば、1-エチル4-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートなど)を含む水性共溶媒系の中で行われる。水性共溶媒系の有機溶媒成分は、単一の液相を提供する水性成分と混和性であるか、又は2つの液相を提供する水性成分と部分的に混和性又は非混和性であり得る。例示的な水性共溶媒系は、水と1以上の有機溶媒を含む。一般に、水性共溶媒系の有機溶媒成分は、それが改変ポリペプチドを完全に不活性化しないように選択される。適切な共溶媒系は、ここで説明されたような酵素活性アッセイを利用して、候補溶媒系において、目的とする定義された基質を用いて、特別に改変されたポリペプチドの酵素活性を測定することによって容易に同定することができる。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、約1%から約95%(v/v)、1%から約60%(v/v)、約2%から約60%(v/v)、約5%から約60%(v/v)、約10%から約60%(v/v)、約10%から約50%(v/v)、又は約10%から約40%(v/v)の濃度で溶媒を含む水性共溶媒系を含む。この方法の幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%(v/v)の濃度で溶媒を含む水性共溶媒を含む。
適切な反応条件は、基質化合物の対応する生成化合物へのバイオ触媒変換を可能にする反応パラメータの組み合わせを含み得る。従って、この方法の幾つかの実施形態において、反応パラメータの組み合わせは、以下を含む:(a)約5g/Lから250g/Lの化合物(II)、A1、又はA2のローディング;(b)約1g/Lから50g/Lの改変ポリペプチド濃度;(C)約4.0から11.0のpH;及び(d)約10℃から60℃の温度。
幾つかの実施形態において、改変ポリペプチドは、配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308から選ばれるアミノ酸配列を含む上記反応を行うことができる。
例示的な反応条件は、表2、表3、実施例8~12に提供された条件を含む。
ここに説明された酵素触媒反応を実施する際に、改変ポリペプチドは、部分的に精製又は精製された形態、熱処理された酵素溶液、改変ポリペプチドをコードする遺伝子で形質転換された全細胞、並びに/又はそのような細胞の細胞抽出物及び/若しくは溶解物として反応混合物に添加され得る。改変ポリペプチドをコードする遺伝子で形質転換された全細胞、又はその細胞抽出物、その溶解物、及び分離された酵素は、固体(例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥など)又は半固体(例えば、湿細胞のような粗ペースト)を含む多種多様な異なる形態で使用することができる。細胞抽出物又は細胞溶解物は、凍結乾燥の前に、沈殿(例えば、硫酸アンモニウム、ポリエチレンイミン、熱処理など)、続いて脱塩手順(例えば、限外濾過、透析など)によって部分的に精製することができる。酵素調製物の何れも、グルタルアルデヒドなどの既知の架橋剤を使用した架橋、又は固相材料(樹脂など)への固定化によって安定化することができる。
ここに説明された酵素触媒反応の幾つかの実施形態において、反応は、ここに説明された適切な反応条件下で行われ、改変ポリペプチドは、固体支持体に固定化される。酵素触媒反応を実行するために改変ポリペプチドを固定化するのに有用な固体支持体は、それには限定されないが、エポキシ官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシ官能基を有するポリメタクリレート、オクタデシル官能基を有するスチレン/DVBコポリマー、又はオクタデシル官能基を有するポリメタクリレートを含む。例示的な固体支持体は、それには限定されないが、キトサンビーズ、Eupergit C、並びに次の異なるタイプのSEPABEAD:EC-PC、EC-HFA/S、EXA252、EXE119、及びEXE120を含むSEPABEAD(三菱)を含む。
改変ポリペプチドが分泌されたポリペプチドの形態で発現される幾つかの実施形態において、分泌されたポリペプチドを含む培養培地は、ここでの方法において使用することができる。
幾つかの実施形態において、固体反応物(例えば、酵素、塩など)は、粉末(例えば、凍結乾燥された、噴霧乾燥されたなど)、溶液、乳液、懸濁液などを含む多様な異なる形態で反応に供給することができる。反応物は、当業者に知られている方法及び器具類を用いて、容易に凍結乾燥又は噴霧乾燥することができる。例えば、タンパク質溶液を少量で-80℃で凍結し、次いで、事前に冷却した凍結乾燥チャンバーに加え、真空を適用することができる。
幾つかの実施形態において、反応物が反応容器に添加される順序又は方法の複数のオプションが存在する。反応物は、同時に溶媒に一緒に加えることができる(例えば、単相溶媒、二相水性共溶媒系など)。或いは、幾つかの反応物を最初に加えることができ、他の反応物を反応容器に連続的に投入するか、又は別々のバッチで加えることができる。
本開示の異なる特徴及び実施形態は、以下の代表的な実施例で例示され、それらは、実例であることが意図されるが、限定的ではない。
3 実施例
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下の実施例では、条件が特定されていない実験方法が、一般的に使用される条件で、又は供給者の提案に従って実施された。
実施例1:遺伝子クローニングと発現ベクターの構築
シトロバクター フロインディ由来の野生型チロシンフェノール-リアーゼのアミノ酸配列をNCBIから検索することができ、次いで、対応する核酸を当業界の慣用技術を用いて合成し、発現ベクターpACYC-Duet-1にクローニングした。組換え発現プラスミドは、42℃及び90秒間の熱ショックの条件下でE coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換された。形質転換溶液をクロラムフェニコールを含むLB寒天プレートにプレーティングし、次いで37℃で一晩インキュベートした。組換え形質転換体が得られた。
実施例2:改変ポリペプチド変異体ライブラリーの構築
ここで使用する全ての試薬は市販されており、Quickchangeキット(供給者:Agilent)を好ましく使用した。変異誘発プライマーの配列設計は、キットの説明書に従って行った。部位飽和変異ライブラリーの構築を実施例としてここに説明する。PCR反応は、10μlの5xバッファー、1μlの10 mM dNTP、1μlのプラスミドDNAテンプレート(50ng/μl)、上流及び下流のプライマーのそれぞれ0.75μl(10 μM)、0.5μlの高忠実度酵素、並びに36μlのddH2Oからなる。PCRプライマーは、変異位置にNNKコドンを有している。
PCR増幅ステップは次の通りである:(1)98℃の前変性3分;(2)98℃の変性10秒;(3)72℃で3分間のアニーリングと伸長。(2)~(3)のステップを25回繰り返した。;(4)72℃で10分間伸長した後、4℃に冷却。2μlのDpnIをPCR産物に加え、37℃で一晩消化することによりプラスミドテンプレートを除去した。消化されたPCR産物をE coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換し、クロラムフェニコールを含むLB寒天プレートに播種して、標的残基位置の部位飽和変異ライブラリーを得た。
実施例3:酵素変異体ライブラリーの発現及びスクリーニングのための酵素溶液の調製
酵素変異体ライブラリーのコロニーを寒天プレートから採取し、96ウェルの浅いプレート内のクロラムフェニコールを含むLB培地(ウェルあたり200μlのLB培地)に接種し、180rpm、湿度80%、30℃のシェーカーに一晩(18~20時間)入れた。培養物のOD600が2~3に達したら、20μlの培養物を、深い96ウェルプレート(各ウェルに400μLのTB培地と6g/Lのラクトースを含む)への接種に使用し、次いで、250rpm、30℃、湿度80%のシェーカーに入れて、一晩(18~20時間)培養した。その後、ディープウェルプレート培養物を4000rpmで10分間遠心分離し、培地を除去して湿細胞を得た。次に、湿細胞を200μL/ウェルの溶解バッファー(100mM TEOA、pH 8.5、1mg/mLリゾチーム、0.5g/Lヌクレアーゼ、0.2 mM PLPを含む)で懸濁し、次いで、プレートを700rpmで1時間振とうし、細胞を溶解した。細胞溶解物を4000rpmで10分間遠心分離し、上清の160μLを新しいプレートに移して、スクリーニング反応用の酵素溶液を得た。
実施例4:スクリーニングアッセイ
実施例3で調製された酵素溶液は、スクリーニング反応に直接使用することができる。96ウェルプレートの各ウェルについて、酵素溶液の40μLをストック溶液の160μLと混合し、反応系の各成分の最終濃度は[フェノール20g/L、ピルビン酸ナトリウム25g/L、酢酸アンモニウム18g/L、0.2mM PLP、0.1M TEOA、pH8.5]であった。反応プレートをシェーカー内で250rpm、40℃で24時間振とうした。反応を停止した後、2M NaOH溶液の40μLを各ウェルに加えて反応を停止し、プレートシェーカーで30分間(800rpm)振とうし、4000rpmで30分間遠心分離した。遠心分離後、HPLC分析のために上清を回収した。実施例6の方法に従ってHPLC分析を行い、フェノールのL-チロシンへの転換率を計算した。
実施例5:フェノールによる酵素溶液の前処理及びスクリーニングアッセイ
実施例3で調製した酵素溶液の40μL及びフェノールを含む前処理ストック溶液の160μLを96ウェルプレート内で混合した。プレートを250rpm、40℃のシェーカーに20時間入れて、前処理した酵素溶液を得た。前処理ストック溶液中のフェノール濃度は、アッセイ要件に従って調整できる。例えば、前処理中のフェノールの最終濃度が11g/Lの場合(表3の[11g/Lフェノール、20時間]の場合に対応)、前処理ストック溶液は次のように調製した:13.75g/Lフェノール、0.1M TEOA、0.2mM PLP、pH8.5。前処理が行われた後、前処理された酵素溶液の200μLは、96ウェルプレート内でフェノール、ピルビン酸ナトリウム、及び酢酸アンモニウムを含む反応ストック溶液の100μLと混合され(ストック溶液の調製は、表3の各反応条件を満たすために各反応成分の最終濃度を作成する)、250rpm、40℃のシェーカーに6時間入れられた。
反応が完了した後、2M NaOH溶液の60μLを各ウェルに加えて反応を停止し、シェーカーに30分間(800rpm)入れ、次いで、遠心分離(4000rpm、30分間)した。遠心分離後、HPLC分析のために上清を回収した。実施例6の方法に従ってHPLC分析を行い、フェノールのL-チロシンへの転換率を計算した。
実施例6:分析方法
フェノールとL-チロシンのHPLC分析法:分析カラムはLuna 5μm NH2 150* 4.5mm、移動相は0.1%酢酸水溶液:アセトニトリル=50:50、流速は2mL/分、検出波長は275nm、フェノールの保持時間は1.0分、及びL-チロシンの保持時間は1.4分とした。
D-チロシンとL-チロシンのHPLC分析法:分析カラムはChirex 3126 150*4.5mm、移動相は3mM硫酸銅、流速は1.2mL/分、検出波長は226nm、L-チロシンの保持時間は31分、D-チロシンの保持時間は55分とした。
実施例7:改変ポリペプチドの発現のための発酵方法
標的改変ポリペプチドの遺伝子を保有する発現プラスミドを含むE coli BL21(DE3)の単一コロニーを、30μg/mLクロラムフェニコールを含むLBブロス(5.0g/L酵母エキス、10g/Lトリプトン、10g/L塩化ナトリウム)の50 mLに接種した。30℃のシェーカーで250rpmで少なくとも16時間振とうした。培養液のOD600が1.4~2.0に達したとき、細胞をインキュベーターから取り出し、直ぐに使用するか、4℃で保存する。
増殖培地の2.0Lを含む5Lの発酵槽をオートクレーブ内で121℃で30分間滅菌した。発酵槽に上述したものを接種した(上記説明したように振とうフラスコ内で1.4~2.0の初期OD600まで増殖させたもの)。発酵槽の温度は、ジャケット付き循環水によって30℃に維持された。発酵槽内の増殖培地を200~800 rpmで攪拌し、空気を2~8L/分で供給して、溶存酸素レベルを飽和の40%又はそれ以上に維持した。 25~28%v/vの水酸化アンモニウムを添加することにより培地のpHをpH7.0に維持した。500g/Lデキストロースグルコース一水和物、12g/L塩化アンモニウム、及び5g/L硫酸マグネシウム七水和物を含む供給溶液を供給することにより、細胞増殖を維持した。培養物のOD600が25±5に達した後、発酵槽の温度を30℃に維持し、ラクトースを3.8g/Lの最終濃度まで添加することにより改変TPLポリペプチドの発現を誘導した。次いで、発酵方法をさらに18時間続けた。発酵が完了した後、Thermo MuLtifuge X3R遠心分離機を使用して、8000rpmで10分間、4℃で細胞を回収した。
湿細胞をpH7.0、4℃の10mMリン酸カリウム緩衝液で再懸濁した。 Thermo MuLtifuge X3R遠心分離機を使用して、8000rpmで10分間、4℃で細胞を再度回収し、洗浄した湿細胞を得た。このように洗浄した湿細胞の10gを、pH7.0の10mMリン酸カリウム緩衝液の50mLに再懸濁し、圧力ホモジナイザーで2回破砕して、均質化した溶解物を得た。溶解物を4000rpmで30分間遠心分離し、上清を回収して、改変TPLポリペプチドを含む酵素溶液を得た。
実施例8:基質投入を通して改変ポリペプチドにより触媒されるL-チロシンを生成する反応方法
以下は、300mLの反応容量での代表的な反応方法と単離・精製方法である。500mLの反応容器に、酢酸アンモニウム13.11gと水169mLを加え、水浴中で温度を40℃に制御し、撹拌速度は400rpmとした。次に、フェノール水溶液(濃度92%、m/m)1g、及びピルビン酸ナトリウム水溶液(234.4g/L)6.2mLを添加し、アンモニアでpHを8.5に調整した後、PLP水溶液(20mM)3mLを加えた。最後に、配列番号174に対応する酵素溶液7.5mLを加えて反応を開始した。反応中、フェノール水溶液(濃度92%、m/m)の合計16.42g及びピルビン酸ナトリウム溶液(234.4g/L)93.8mLを、15時間にわたって一定速度で反応容器に投入した。反応の24時間後、分析のために反応をサンプリングした。フェノールのL-チロシンへの転換率は95%以上であり、生成物中のL-チロシンのee値は99.5%以上だった。
反応を停止し、反応混合物を濾過し、フィルターケーキを純水50mLで3回すすいだ。次に、フィルターケーキを取り出し、分散させ、60℃のオーブンで12時間乾燥させた。乾燥した固体を秤量して、分離されたL-チロシン26.2gを得た。収率は約85%だった。
実施例9:基質のバッチ的添加を通して改変ポリペプチドにより触媒されるL-チロシンを生成する反応方法
250mLの反応容器に酢酸アンモニウム4.37gと水71mLを加え、水浴中で温度を40℃に制御し、撹拌速度は400rpmとした。次に、フェノール水溶液(濃度92%、m/m)0.55mL及びピルビン酸ナトリウム(固体)0.78gを添加し、アンモニアでpHを8.5に調整した後、PLP水溶液(20mM)2mLを添加した。最後に、配列番号304に対応する酵素溶液5mLを加えて反応を開始した。反応の開始から、フェノール水溶液(濃度92%、m/m)0.55mL及びピルビン酸ナトリウム(固体)0.78gを1時間に1回、合計19時間加えた。一方、配列番号304に対応する酵素溶液5mLを、それぞれ6時間目及び12時間目に加えた。酢酸アンモニウム水溶液(400g/L、2MNaOHでpH8.5に調整された)11mLを8時間目に加えた。反応の24時間後、分析のために反応をサンプリングした。反応系中のL-チロシンの濃度は約200g/Lであった。フェノールのL-チロシンへの転換率は95%以上であった。生成物中のL-チロシンのee値は99.5%以上であった。
反応を停止し、反応混合物を濾過し、フィルターケーキを純水50mLで3回すすいだ。次に、フィルターケーキを取り出し、分散させ、60℃のオーブンで12時間乾燥させた。乾燥した固体を秤量して、分離されたL-チロシン19.5gを得た。収率は約95%であった。
実施例10:改変ポリペプチドにより触媒されるL-ドーパの生成のための反応方法
以下は、300mLの容量での代表的な反応方法である。500mLの反応容器に、酢酸アンモニウム14.61gと水113mLを加え、水浴中で温度を15℃に制御し、撹拌速度は400rpmとした。次に、以下の物質を反応容器に加えた:カテコール溶液(400g/L)1.88mL、ピルビン酸ナトリウム溶液(234.4g/L)5.12mL、亜硫酸ナトリウム0.3g、EDTA・2Na 0.6g、pHをアンモニアで8.0に調整した後、PLP溶液(20mM)3mLを添加した。最後に、配列番号128に対応する酵素溶液30mLを加えて反応を開始し、反応容器内の空気を直ちに窒素に置き換えた。反応中、カテコール溶液(400g/L)50.62mL及びピルビン酸ナトリウム溶液(234.4g/L)94.88mLを24.5時間にわたって一定速度で反応容器に投入した。30時間の反応後、分析のためにサンプリングした。カテコールのL-ドーパへの転換率は95%以上であり、生成物中のL-ドーパのee値は99.5%以上であった。
反応を停止し、反応混合物を濾過し、フィルターケーキを純水50mLで3回すすいだ。次に、フィルターケーキを取り出し、分散させ、真空(40℃、0.1MPa)で12時間乾燥させた。乾燥した固体を秤量して、分離されたL-ドーパ28.5gを得た。収率は約85%であった。
実施例11:改変ポリペプチドにより触媒されるフェノール及びD-セリン又はL-セリンからL-チロシンを生成する反応方法
以下は代表的な5mL反応方法である。30mLの反応容器に、次の物質を添加した:フェノール26.7mg、D-セリン又はL-セリン60mg、TEOA-HCl(0.1M、pH8.5)4.4mL、アンモニアでpHを8.5に調整した後、PLP溶液(10mM)0.1mLを添加した。最後に、配列番号278に対応する酵素溶液0.5mLを加え、マグネチックスターラー反応器で400rpm、40℃で反応を開始した。24時間の反応後、分析のためにサンプリングした。フェノールのL-チロシンへの転換率は95%以上であり、生成物中のL-チロシンのee値は99.5%以上であった。
実施例12:改変ポリペプチドにより触媒されるカテコール及びD-セリン又はL-セリンからL-ドーパを生成する反応方法
以下は代表的な5mL反応方法である。30mLの反応容器に、次の物質を添加した:カテコール25 mg、D-セリン又はL-セリン60 mg、亜硫酸ナトリウム5mg、EDTA・2Na 10mg、TEOA-HCl(0.1M、pH8.0)4.4mL、アンモニア水でpHを8.0に調整した後、10mM PLP 0.1mLを添加した。最後に、配列番号280に対応する酵素溶液0.5mLを加えた。反応は、マグネチックスターラー反応器で400rpm及び15℃で開始した。24時間の反応後、分析のためにサンプリングした。カテコールのL-ドーパへの転換率は95%以上であり、生成物中のL-ドーパのee値は99.5%以上であった。
本発明の上記の内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な修正又は変更を加えてよいことが理解されるべきである。そして、これらの同等の形態もまた、本発明の添付の特許請求の範囲内にある。
加えて、フェノールがo-フルオロフェノール、グアイアコール、又はヒドロキシピリジンに置き換えられた場合、TPLは3-フルオロ-L-チロシン、3-メトキシ-L-チロシン、及びアザチロシンの形成を触媒することもできる。酵素変換には、高い特異性、穏やかな反応条件、高い選択性、及び環境への配慮という利点がある。それは、L-チロシン及びその誘導体の工業生産において重要な開発展望を有する。しかし、野生型TPLには安定性が不十分であるなどの問題があり、特に、高い基質濃度は野生型TPLを不活性化する傾向があるため、実際の応用では、低い基質濃度しか維持できない。また、基質による急速な不活化を回避するために、細胞内のTPLが細胞外の基質から分離されるように、TPLを発現する微生物の全細胞の形で、TPLを反応にロードする必要もある。この反応方法には幾つかの欠点がある(Appl Microbiol Biotechnol(2007)77:751-762)。第1は、空時収率が高くないこと(即ち、単位時間あたりの累積生成物濃度が低く、その結果、低生産効率と高生産コストをもたらす);また、全細胞が、反応原料の1つであるアラニンを他の副産物に代謝し、原料を無駄にすることである。同時に、反応後の全細胞からの生成物(生成物の形態は固体)の分離もさらなるコストを追加する。従って、全細胞を使用せずに、高い空時収率で、簡単で便利な反応方法を実現し、L-チロシン及びその誘導体の工業生産を達成する、より優れた安定性及び/又は高活性を有する改変TPLポリペプチドを開発することが重要である。
第1の局面において、本発明は、新規な改変ポリペプチドを提供する。これらの改変ペプチドは、野生型チロシンフェノールリアーゼ(TPL、エンザイムコミッション番号:EC 4.1.99.2)から、創造的な指向性進化方法による多数のアミノ酸残基の置換、挿入、又は削除によって得られた。指向性進化技術の入門書については、「指向性進化法:生命体への新しい化学の導入」フランシスH.アーノルド、アンゲヴァンテケミー、2017年11月28日を参照のこと。フランシスH.アーノルドは、酵素指向性進化技術への彼女の先駆的な貢献により、2018年ノーベル化学賞を受賞した。野生型TPLは、シトロバクター フロインディーに由来し、そのアミノ酸配列は配列番号2に示される。本発明者らによって試験されたように、配列番号2に相当する野生型TPLはL-チロシンを合成する活性を有する。それは、フェノール、ピルビン酸塩、及びアンモニアからのL-チロシンの合成を触媒することができ、フェノールとセリン(D-セリン又はL-セリン)をL-チロシンに変換することもできる(図1)。しかし、配列番号2に相当するこの野生型TPLの安定性は非常に低く、それは、フェノールやカテコールなどのフェノール性基質が存在する溶液環境では容易に変性及び不活化される。フェノールが強力なタンパク質変性剤であることは、分子生物学の分野でよく知られている。核酸抽出の過程で、フェノールはタンパク質を変性させて核酸からタンパク質を分離するためによく使用される。
Figure 2022528607000035

Claims (24)

  1. 配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む改変ポリペプチドであり、適切な反応条件の下で、配列番号2に比べて大きい安定性及び/又は活性でL-チロシンの合成を触媒することができ、ここで、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の鏡像体過剰率でL-チロシンが生産される、改変ポリペプチド。
  2. 適切な反応条件が、フェノールの約3g/L~100g/L、pH約4.0~11.0、温度約10~60℃を含む、請求項1のポリペプチド。
  3. アミノ酸配列が、3、10、17、27、29、33、39、41、43、59、66、72、75、78、118、128、132、136、137、140、146、174、179、186、206、212、233、253、255、276、280、284、288、327、343、354、379、384、390、391、396、414、418、429、445、446、448、449、及び454から選ばれる1以上のアミノ酸残基(ここで番号は配列番号2を参照する)において、配列番号2の配列と異なるアミノ酸配列を含み、このポリペプチドはチロシンフェノール-リアーゼ活性を有する、請求項1又は2のポリペプチド。
  4. アミノ酸配列が下記のアミノ酸残基の1以上を含む、請求項3のポリペプチド。
    X3はC又はF;
    X10はT;
    X17はR又はK;
    X27はA、E、R、N、T、Q、H、又はS;
    X29はK;
    X33はW;
    X39はK、Y、R、又はH;
    X41はR、S、T、Q、N、A、H、D、又はE;
    X43はT又はC;
    X59はH;
    X66はL;
    X72はC;
    X75はQ、R又はK;
    X78はT;
    X118はL;
    X128はL、I、V、W、H又はR;
    X132はR、L、又はN;
    X136はT、I、又はM;
    X137はA;
    X140はV、又は L;
    X146はL、又はE;
    X174はK;
    X179はS;
    X186はN、又はI;
    X206はK;
    X212はY;
    X233はK、H、又はQ;
    X253はH;
    X255はP;
    X276はE;
    X280はN;
    X284はA;
    X288はG、L、A、F、H、又はS;
    X327はA、又はE;
    X343は A 又はR;
    X354はP;
    X379はG;
    X384はV;
    X390はK;
    X391はK;
    X396はP;
    X414はR;
    X418はN;
    X429はD;
    X445はG、T、又はY;
    X446はN;
    X448は、H、K、又はM;
    X449はM、V、又はY;又は
    X45はE;
    ここで、番号は配列番号2を参照する。
  5. 下記(a)又は(b)のポリペプチドである改変ポリペプチド
    (a) 配列番号4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28, 30, 32, 34, 36, 38, 40, 42, 44, 46, 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 62, 64, 66, 68, 70, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 84, 86, 88, 90, 92, 94, 96, 98, 100, 102, 104, 106, 108, 110, 112, 114, 116, 118, 120, 122, 124, 126, 128, 130, 132, 134, 136, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 166, 168, 170, 172, 174, 176, 178, 180, 182, 184, 186, 188, 190, 192, 194, 196, 198, 200, 202, 204, 206, 208, 210, 212, 214, 216, 218, 220, 222, 224, 226, 228, 230, 232, 234, 236, 238, 240, 242, 244, 246, 248, 250, 252, 254, 256, 258, 260, 262, 264, 266, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, 282, 284, 286, 288, 290, 292, 294, 296, 298, 300, 302, 304, 306, 308からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチド
    (b) (i)(a)に記載されるアミノ酸配列の一つと少なくとも80%の同一性、及び(ii)(a)に記載される上記一つのアミノ酸配列に対して1以上のアミノ酸残基の置換、欠失、付加、又は挿入を有するアミノ酸配列を含み、チロシンフェノール-リアーゼ活性を有するポリペプチド
  6. 適切な反応条件下で、配列番号2に比べてより大きい安定性及び/又は活性でL-チロシンの合成を触媒することができ、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の鏡像体過剰率でL-チロシンが生成される、改変ポリペプチド。
  7. ポリペプチドが請求項1~6の何れかのポリペプチドから選択される、化学的結合又は物理的吸着法により固体材料に固定化されたポリペプチド。
  8. 請求項1~6の何れかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  9. ポリヌクレオチド配列が、配列番号3, 5, 7, 9, 11, 13, 15, 17, 19, 21, 23, 25, 27, 29, 31, 33, 35, 37, 39, 41, 43, 45, 47, 49, 51, 53, 55, 57, 59, 61, 63, 65, 67, 69, 71, 73, 75, 77, 79, 81, 83, 85, 87, 89, 91, 93, 95, 97, 99, 101, 103, 105, 107, 109, 111, 113, 115, 117, 119, 121, 123, 125, 127, 129, 131, 133, 135, 137, 139, 141, 143, 145, 147, 149, 151, 153, 155, 157, 159, 161, 163, 165, 167, 169, 171, 173, 175, 177, 179, 181, 183, 185, 187, 189, 191, 193, 195, 197, 199, 201, 203, 205, 207, 209, 211, 213, 215, 217, 219, 221, 223, 225, 227, 229, 231, 233, 235, 237, 239, 241, 243, 245, 247, 249, 251, 253, 255, 257, 259, 261, 263, 265, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 281, 283, 285, 287, 289, 291, 293, 295, 297, 299, 301, 303, 305, 及び307である、請求項8のポリヌクレオチド。
  10. 請求項8又は9のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  11. プラスミド、コスミド、バクテリオファージ、又はウィルスベクターを含む、請求項10の発現ベクター。
  12. 宿主細胞が好ましくはE coliである、請求項10~11の何れかの発現ベクターを含む、宿主。
  13. 請求項12の宿主を培養して、培養物から改変ポリペプチドを得る工程を含む、改変ポリペプチドの製造方法。
  14. 請求項12の宿主細胞を培養することにより、又は請求項13の方法により得られる酵素触媒であり、前記酵素触媒は、細胞、又は改変ポリペプチド若しくはそれと共に処理された物を含む培養液を含み、この物は、形質転換細胞の培養物から得られる抽出物、この抽出物からポリペプチドを分離若しくは精製することにより得られる分離された産物、又は形質転換細胞を固定化することにより得られる固定化された産物、その抽出物、又はその抽出物の分離された産物を参照する、酵素触媒。
  15. 式(I)
    Figure 2022528607000026
    ここで、式(I)のアミノ酸生産物は、*でマークされたキラル中心に示される、表示された立体化学配置を有し;式(I)のアミノ酸生産物は、他のアイソマーより鏡像体過剰であり、R1、R2、R3、R4又はR5は、任意に置換又は非置換のC1-C6ヒドロカルビル、-H、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Br及び-I)、-OH、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、-NO2、-NO、-SO2R'若しくは-SOR'、-SR'、-NR'R'、-OR'、-CO2R'若しくは-COR'、-C(O)NR'、-SO2NH2若しくは-SONH2、-CN、CF3であり、各R'は、独立して、-H、(C1-C4)ヒドロカルビル、ハロゲン、C1-C8ヒドロカルビル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、シクロアルキル、アリール、又は複素環から選ばれる;
    の化合物の製造方法であり、この方法は、適切な反応条件下で、ピルビン酸塩及びアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で、式(II)
    Figure 2022528607000027
    の基質が請求項1~7の何れかの改変ポリペプチドと接触されることを含む、方法。
  16. 式(I)の化合物が
    Figure 2022528607000028
    ここで、R1は、任意に置換又は非置換のC1-C6ヒドロカルビル、-H、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Br及び-I)、-OH、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、-NO2、-NO、-SO2R'若しくは-SOR'、-SR'、-NR'R'、-OR'、-CO2R'若しくは-COR'、-C(O)NR'、-SO2NH2若しくは-SONH2、-CN、CF3であり、各R'は、独立して、-H、(C1-C4)ヒドロカルビル、ハロゲン、C1-C8ヒドロカルビル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、シクロアルキル、アリール、又は複素環から選ばれ、式(II)の基質は、
    Figure 2022528607000029
    である、請求項15の方法。
  17. R1はフェニル環のパラ位にあり、幾つかの実施形態においてR1はフェニル環のメタ位にあり、幾つかの実施形態においてR1はフェニル環のオルト位にあり、幾つかの実施形態においてR1はフェニル環のパラ位とメタ位の両方にあり、幾つかの実施形態においてR1はフェニル環のパラ位とオルト位の両方にあり、幾つかの実施形態においてR1はフェニル環のメタ位とオルト位の両方にある、請求項16の方法。
  18. L-チロシン
    Figure 2022528607000030
    の製造方法であり、この方法は、式A1
    Figure 2022528607000031
    の化合物をL-チロシンに変換する適切な反応条件下で、ピルビン酸塩及びアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で、式A1の化合物を請求項1~7の何れかの改変ポリペプチドと接触させることを含む、方法。
  19. L-ドーパ
    Figure 2022528607000032
    の製造方法であり、この方法は、式A2
    Figure 2022528607000033
    の化合物をL-チロシンに変換する適切な反応条件下で、ピルビン酸塩及びアンモニアの存在下、又はセリンの存在下で、式A2の化合物を請求項1~7の何れかの改変ポリペプチドと接触させることを含む、方法。
  20. キラルアミノ酸生産物が、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の鏡像体過剰率で生産される、請求項15~19の何れかの方法。
  21. 反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、又はジメチルホルムアミド(DMF)を含む、請求項15~20の何れかの方法。
  22. 反応条件が、10℃~60℃の温度を含む、請求項15~21の何れかの方法。
  23. 反応条件が、4.0~11.0のpHを含む、請求項15~22の何れかの方法。
  24. 基質が異なるバッチで異なる回数加えられ、又は連続投入により反応系に加えられ、最終生産物濃度が10g/L~400g/Lを含む、請求項15~23の何れかの方法。
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