JP2022527616A - 固体4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド及び溶媒を含む組成物の加工方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、組成物中の溶媒の量が、洗浄後の組成物の総量に基づいて1.5質量%未満になるまでカルボン酸を用いて組成物を洗浄することにより、固体DCDPSO及び溶媒を含む組成物を加工する方法に関し、ここで、組成物中の溶媒の量が、組成物の総質量に基づいて5~25質量%の範囲である。
Description
4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド(以下、DCDPSOとも称する)は、例えば、ポリスルホン又はポリエーテルスルホンのようなポリマーを調製するためのモノマーとして、又は医薬品、染料及び農薬の中間体として使用される4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造するための前駆体として使用される。
DCDPSOの製造にはいくつかの方法が知られている。一般的な方法の1つは、触媒、例えば塩化アルミニウムの存在下でチオニルクロリド及びクロロベンゼンを出発材料として使用するフリーデル・クラフツ反応である。一般的には、チオニルクロリドとクロロベンゼンとの反応は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの製造における第1の部分として開示されている。この目的のために、チオニルクロリド及びクロロベンゼンを触媒の存在下で反応させる。次の工程では、チオニルクロリドとクロロベンゼンとの反応で得られた中間反応生成物を高温で加水分解する。
硫黄含有ジアリール化合物の一般的な製造方法は、例えば、Sun,X.ら,「ルイス酸で触媒するチオニルクロリドとセレンクロリドの求電子性芳香族置換反応、置換基効果、及び反応機構に関する研究」,Journal of Chemical Research,2013年,736~744頁、Sun,X.ら,「ベンゼンとチオニルクロリドの塩化アルミニウム促進の求電子性芳香族置換、及び硫黄(IV)から硫黄(II)への新規還元反応による、ジフェニルスルホキシド及びジフェニルスルフィドの生成」,Phosphorus,Sulfur,and Silicon,2010年,第185巻,2535~2542頁、及びSun,X.ら,「塩化鉄(II)(FeCl3)で触媒するクロロベンゼンとチオニルクロリド(SOCl2)の求電子性芳香族置換、及び硫黄でのオートレドックスを同時に行ってジアリールスルフィド(Ar2S)を得る:塩化アルミニウム(AlCl3)による触媒作用との比較」に開示されている。これらの論文では、異なる反応条件及び触媒が比較されている。
例えば、CN-A 108047101には、チオニルクロリド及びクロロベンゼンをルイス酸触媒の存在下でフリーデル・クラフツ・アシル化反応させた後、加水分解することが記載されている。得られた反応生成物が水相及び有機相に分離される。過酸化水素、酢酸又は硫酸を用いて有機相を酸化して、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを得る。
4,4’-ジクロロジフェニルスルホンのさらなる製造方法は、CN-A 102351756、CN-A 102351757及びCN-A 102351758に開示されている。これらの特許出願において、DCDPSOの製造方法の第1の部分は同様である。第1の工程では、チオニルクロリド及びクロロベンゼンを原料として、塩化アルミニウムを触媒として使用して、フリーデル・クラフツ反応を行う。フリーデル・クラフツ反応終了後、母液を加水分解した後、還流する。次の工程では、得られた混合物を冷却して、水相及び有機相に分離させる。有機相を真空蒸留、遠心分離及び洗浄に供して、生成物としてDCDPSOを得る。
CN-A 104557626の実施例によれば、塩化アルミニウム存在下でのチオニルクロリドとクロロベンゼンとのフリーデル・クラフツ反応は、20℃、25℃及び30℃で行われる。しかしながら、この文献では、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを得るためのさらなる酸化反応に使用されるDCDPSOを得るために、さらなる工程が必要かどうかについては言及されていない。
第1の段階でDCDPSOを製造する2段階方法で、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンのさらなる製造方法は、CN-B 104402780に開示されている。DCDPSOの製造において、チオニルクロリド及びクロロベンゼンを原料として、無水塩化アルミニウムを触媒として使用して、フリーデル・クラフツ反応が行われる。フリーデル・クラフツ反応の後に、冷却、加水分解、加熱、及び還流を行う。還流終了後、反応混合物を冷却し、DCDPSOを白色の結晶の形態で沈殿させ、これを濾過する。その後、DCDPSOを酸化して4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを得る。
SU-A 765262も、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの2段階製造法を開示しており、ここで、第1の段階では、塩化アルミニウムの存在下でチオニルクロリド及びクロロベンゼンを使用するフリーデル・クラフツ反応によってDCDPSOが得られる。実施例によれば、フリーデル・クラフツ反応で得られた混合物を3%の塩酸水溶液に注ぎ、加熱してDCDPSOを過剰に添加されたクロロベンゼンに完全に溶解させる。2つの相に分離した後、有機相を洗浄し、次に冷却してDCDPSOを沈殿させる。
Sun,X.ら,「ルイス酸で触媒するチオニルクロリドとセレンクロリドの求電子性芳香族置換反応、置換基効果、及び反応機構に関する研究」,Journal of Chemical Research,2013年,736~744頁
Sun,X.ら,「ベンゼンとチオニルクロリドの塩化アルミニウム促進の求電子性芳香族置換、及び硫黄(IV)から硫黄(II)への新規還元反応による、ジフェニルスルホキシド及びジフェニルスルフィドの生成」,Phosphorus,Sulfur,and Silicon,2010年,第185巻,2535~2542頁
Sun,X.ら,「塩化鉄(II)(FeCl3)で触媒するクロロベンゼンとチオニルクロリド(SOCl2)の求電子性芳香族置換、及び硫黄でのオートレドックスを同時に行ってジアリールスルフィド(Ar2S)を得る:塩化アルミニウム(AlCl3)による触媒作用との比較」
本発明の目的は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの製造に使用することができる高品質のDCDPSOを与える、固体DCDPSO及び溶媒を含む組成物の加工(working up)方法を提供することである。特に、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの製造において、有害な副産物を生じないか、又は少なくとも本質的に避けることができるDCDPSOが得られる方法を目的とした。さらに、特別な防爆装置を必要としない4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの製造方法で使用することができるDCDPSOを得る方法を目的とした。さらに、DCDPSOの製造に使用した溶媒をリサイクルに利用する加工方法が求められた。
この目的は、固体4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド及び溶媒を含む組成物を加工する方法であって、前記組成物中の溶媒の量が、前記組成物の総質量に基づいて5~25質量%の範囲であり、洗浄後の前記組成物中の溶媒の量が、前記組成物の総量に基づいて1.5質量%未満になるまでカルボン酸を用いて前記組成物を洗浄する方法によって達成される。
カルボン酸で固体DCDPSO及び溶媒を含む組成物(以下、「組成物」とも称する)を洗浄することにより、組成物中の溶媒は少なくとも部分的に除去される。洗浄に使用されるカルボン酸は、好ましくは、DCDPSOを酸化し、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを形成するための後続工程で使用されるカルボン酸に対応する。
組成物中の溶媒は一般に、DCDPSOの製造方法で使用される溶媒である。DCDPSOの製造方法に応じて、溶媒は特にクロロベンゼンである。本発明の文脈において、当業者は、「クロロベンゼン」という用語が、微量の不純物を含有し得るモノクロロベンゼンを意味することを理解する。
1.5質量%未満、より好ましくは1質量%未満の溶媒、特にクロロベンゼンの量は、DCDPSO及びカルボン酸を含む得られた組成物(以下、「洗浄した組成物」とも称する)をそのまま、又はそこから分離されたDCDPSOを用いて、爆発性の気相又は液相を生成することなく、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造することができる。さらに、このような低量の溶媒は、本発明に従って加工されたDCDPSOの酸化によって製造された4,4’-ジクロロジフェニルスルホンのさらなる使用に有害な影響を与えない程度に、有毒な副産物の形成を低減する。
組成物は、それぞれ組成物の総質量に基づいて、5~25質量%の溶媒、好ましくは7~15質量%の溶媒、特に8~12質量%の溶媒を含む。本発明の方法によって加工される組成物は、DCDPSOを溶媒と混合することによって作ることができる。通常、この組成物はDCDPSOの製造方法から直接生じるものであり、例えば固体DCDPSO及び溶媒を含む懸濁液の固液分離プロセス、例えば濾過又は遠心分離で得られる残留水分含有固相である。これにより、組成物中に残る溶媒の量は、濾過又は遠心分離プロセスに依存する。固液分離プロセスが濾過である場合、残留水分含有固相は「濾過ケーキ」とも呼ばれる。
組成物の洗浄は、残留水分含有化合物の洗浄を可能にする任意の装置で行うことができる。例えば、洗浄に使用することができる装置は、撹拌タンク又は濾過装置である。好ましい実施態様において、洗浄に使用される装置は濾過装置である。濾過装置を使用することは、洗浄後の組成物中の溶媒の必要な量を達成するために、洗浄のためにはるかに少量のカルボン酸が必要とされるという利点を有する。濾過装置を洗浄に使用する場合、組成物の洗浄に使用するカルボン酸の量は、好ましくは組成物の総質量の少なくとも0.15倍、より好ましくは組成物の総質量の少なくとも0.2倍、特に組成物の総質量の少なくとも0.5倍である。組成物の洗浄に濾過装置を使用する場合、組成物の洗浄に使用されるカルボン酸の最大量は、好ましくは組成物の総質量の3倍、より好ましくは組成物の総質量の2倍、特に組成物の総質量の1.5倍である。撹拌タンクを洗浄に使用する場合、洗浄用のカルボン酸の量は、好ましくは組成物の総質量の0.5~3倍、より好ましくは組成物の総質量の1~2倍、特に組成物の総質量の1~1.5倍の範囲である。
撹拌タンクで洗浄を行う場合、組成物の洗浄後に固液分離を行うことができる。固液分離には、当業者に知られている任意の操作を用いることができる。好適な固液分離操作としては、例えば、濾過又は遠心分離が挙げられる。固液分離が濾過である場合、任意の濾過装置を使用することができる。
組成物が濾過プロセスで得られ、濾過及びそれに続く組成物の洗浄が同じ濾過装置で行われることが特に好ましい。好適な濾過装置としては、例えば、撹拌式圧力ストレーナー(圧力ヌッチェ)、回転式圧力フィルター、ドラムフィルター又はベルトフィルターが挙げられる。濾過装置に使用されるフィルターの細孔径は、好ましくは1~1000μmの範囲、より好ましくは10~500μmの範囲、特に20~200μmの範囲である。
洗浄により、DCDPSOを含む組成物において溶媒がカルボン酸に置き換えられる。洗浄した組成物は、DCDPSO、カルボン酸、及び組成物の総量に基づいて1.5質量%未満の量、より好ましくは組成物の総量に基づいて1.2質量%未満の量、特に組成物の総量に基づいて1質量%未満の量の溶媒の残りを含んでいる。洗浄した組成物中のカルボン酸の量は、好ましくは組成物の総質量に基づいて6~30質量%の範囲、より好ましくは組成物の総質量に基づいて9~25質量%の範囲、特に組成物の総質量に基づいて9~15質量%の範囲である。上記の質量%の範囲は、濾過装置で濾過が行われた後の洗浄した組成物、又は洗浄が撹拌タンクで行われた場合に洗浄後の固液分離の後の洗浄した組成物に関するものである。
撹拌タンクで洗浄を行う場合は、溶媒を除去するために、洗浄終了後に液全体を撹拌タンクから取り出す必要がある。DCDPSOとカルボン酸との所望の質量比を達成するためには、新鮮なカルボン酸を加えることが必要になることがある。
DCDPSOを用いて4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造する方法では、一般に1:2~1:6の範囲、より好ましくは1:2~1:4の範囲、特に1:2.5~1:3.5の範囲のDCDPSOとカルボン酸との質量比でDCDPSO及びカルボン酸を含む混合物を使用する。この比を達成するために、洗浄後、洗浄した組成物にさらなるカルボン酸を添加することができる。DCDPSOとカルボン酸とのこのような比により、DCDPSOの酸化によって製造された4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの溶解度が、酸化反応、及びその後の結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを得るための結晶化プロセスの温度で最適である。このような比は、特に、反応における十分な放熱、及び結晶化によって得られる母液中の4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの量を可能な限り少なくすることができる。
洗浄中に、溶媒及びカルボン酸を含む液体混合物が得られ、洗浄装置から取り出される。廃棄されるカルボン酸及び溶媒の量を減らすために、溶媒及びカルボン酸を含む液体混合物を、実質的に溶媒を含む第1の流れと、実質的にカルボン酸を含む第2の流れに分離することが好ましい。これにより、第1及び第2の流れをリサイクルし、又はカルボン酸又は溶媒のいずれかを使用する別のプロセスで使用することができる。本明細書における「実質的に溶媒を含む」とは、第1の流れが、それぞれ第1の流れの総量に基づいて、好ましくは少なくとも95質量%の溶媒、より好ましくは少なくとも98質量%の溶媒、特に少なくとも99質量%の溶媒を含むことを意味する。第2の流れは、それぞれ第2の流れの総量に基づいて、好ましくは少なくとも80質量%のカルボン酸、より好ましくは少なくとも85質量%のカルボン酸、特に少なくとも88質量%のカルボン酸を含む。第1の流れ中の溶媒の量と比較して、第2の流れ中のカルボン酸の含有量が低い理由は、液体混合物がまだかなりの量のDCDPSOを含有しているからである。これは、例えば、第1の流れの総量に基づいて約10質量%の量であり得る。DCDPSOは溶媒と比較して高沸点であるため、DCDPSOも第2の流れに集まる。
実質的にカルボン酸を含む第2の流れを、組成物の洗浄にリサイクルすることが特に好ましい。実質的に溶媒を含む第1の流れは、好ましくはDCDPSOの製造プロセスにリサイクルされる。
液体混合物の第1及び第2の流れへの分離は、例えば、蒸留又は蒸発によって得ることができる。蒸留によって分離を行う場合、通常は蒸留塔を使用する。蒸留塔は、内部構造、例えばトレイ、構造化された充填、ランダムな充填、又はそれらの少なくとも2つの組み合わせを有していてもよい。蒸発として分離を行う場合、当業者に知られている任意の蒸発器を使用することができる。好適な蒸発器は、例えば、落下膜蒸発器、薄膜蒸発器、又は自然若しくは強制循環蒸発器である。落下膜蒸発器での蒸発、又は蒸留塔での蒸留が特に好ましい。蒸発又は蒸留は、好ましくは20~700ミリバール(abs)の範囲、より好ましくは50~500ミリバール(abs)の範囲、特に70~200ミリバール(abs)の範囲の圧力、及び130~200℃の範囲、より好ましくは140~180℃の範囲、特に150~170℃の範囲の温度で、蒸留塔の底部で行われる。
組成物の洗浄に使用されるカルボン酸は、1種のカルボン酸のみ、又は少なくとも2種の異なるカルボン酸の混合物であり得る。好ましくは、カルボン酸は少なくとも1種の脂肪族カルボン酸である。少なくとも1種の脂肪族カルボン酸は、少なくとも1種の直鎖脂肪族カルボン酸又は少なくとも1種の分岐状脂肪族カルボン酸であってもよく、又は1種以上の直鎖脂肪族カルボン酸及び1種以上の分岐状脂肪族カルボン酸の混合物であってもよい。好ましくは、脂肪族カルボン酸は、脂肪族C6~C10カルボン酸、特にC6~C9カルボン酸であり、それにより、少なくとも1種のカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸であることが特に好ましい。したがって、少なくとも1種のカルボン酸は、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸又はデカン酸、又は前記酸の1種以上の混合物であってもよい。例えば、少なくとも1種のカルボン酸は、n-ヘキサン酸、2-メチル-ペンタン酸、3-メチル-ペンタン酸、4-メチル-ペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチル-ヘキサン酸、3-メチル-ヘキサン酸、4-メチル-ヘキサン酸、5-メチル-ヘキサン酸、2-エチル-ペンタン酸、3-エチル-ペンタン酸、n-オクタン酸、2-メチル-ヘプタン酸、3-メチル-ヘプタン酸、4-メチル-ヘプタン酸、5-メチル-ヘプタン酸、6-メチル-ヘプタン酸、2-エチル-ヘキサン酸、4-エチル-ヘキサン酸、2-プロピルペンタン酸、2,5-ジメチルヘキサン酸、5,5-ジメチル-ヘキサン酸、n-ノナン酸、2-エチル-ヘプタン酸、n-デカン酸、2-エチル-オクタン酸、3-エチル-オクタン酸、4-エチル-オクタン酸であり得る。また、カルボン酸は、前記酸の1種の異なる構造の異性体の混合物であってもよい。例えば、少なくとも1種のカルボン酸は、3,3,5-トリメチル-ヘキサン酸、2,5,5-トリメチル-ヘキサン酸及び7-メチル-オクタン酸の混合物を含むイソノナン酸、又は7,7-ジメチルオクタン酸、2,2,3,5-テトラメチル-ヘキサン酸、2,4-ジメチル-2-イソプロピルペンタン酸及び2,5-ジメチル-2-エチルヘキサン酸の混合物を含むネオデカン酸であり得る。しかしながら、特に好ましくは、カルボン酸はヘキサン酸又はヘプタン酸である。
固体DCDPSO及び溶媒を含む組成物は、好ましくは、以下の工程:
(I)チオニルクロリド、クロロベンゼン及び塩化アルミニウムを、1:(6~9):(1~1.5)のチオニルクロリド:クロロベンゼン:塩化アルミニウムのモル比で、0~20℃未満の範囲の温度で反応させ、中間反応生成物及び塩化水素を生成する工程と
(II)塩酸水溶液及び中間反応生成物を70~110℃の範囲の温度で混合して、DCDPSOを含む有機相及び水相を得る工程と、
(III)DCDPSOを含む有機相をDCDPSOの飽和点未満の温度まで冷却して、結晶化したDCDPSOを含む懸濁液を得る工程と、
(IV)懸濁液を固液分離して、残留水分含有の固体DCDPSOを得る工程であって、残留水分含有の固体DCDPSOが結晶化したDCDPSO及び母液を含む、工程と
を含むDCDPSOの製造方法により得られる。
(I)チオニルクロリド、クロロベンゼン及び塩化アルミニウムを、1:(6~9):(1~1.5)のチオニルクロリド:クロロベンゼン:塩化アルミニウムのモル比で、0~20℃未満の範囲の温度で反応させ、中間反応生成物及び塩化水素を生成する工程と
(II)塩酸水溶液及び中間反応生成物を70~110℃の範囲の温度で混合して、DCDPSOを含む有機相及び水相を得る工程と、
(III)DCDPSOを含む有機相をDCDPSOの飽和点未満の温度まで冷却して、結晶化したDCDPSOを含む懸濁液を得る工程と、
(IV)懸濁液を固液分離して、残留水分含有の固体DCDPSOを得る工程であって、残留水分含有の固体DCDPSOが結晶化したDCDPSO及び母液を含む、工程と
を含むDCDPSOの製造方法により得られる。
その後、DCDPSOを収集し、本明細書に記載されている方法に従って加工される組成物として使用することができる。あるいは、溶媒でDCDPSOを洗浄し(溶媒洗浄)、こうしてさらに精製することができる。このようにしてさらに精製されたDCDPSOを収集し、カルボン酸で洗浄することによって加工される組成物として使用することができる。
DCDPSOを得るために、反応(I)において、チオニルクロリド、クロロベンゼン及び塩化アルミニウムは、1:(6~9):(1~1.5)のチオニルクロリド:クロロベンゼン:塩化アルミニウムのモル比で、好ましくは1:(7~9):(1~1.2)のチオニルクロリド:クロロベンゼン:塩化アルミニウムのモル比で、特に1:(7~8):(1~1.1)のチオニルクロリド:クロロベンゼン:塩化アルミニウムのモル比で、反応器に供給される。
反応器は、反応器に供給された成分の混合及び反応を可能にする任意の反応器であり得る。好適な反応器は、例えば、撹拌タンク反応器又はジェットループ型反応器である。反応は、連続的に又はバッチ式で行うことができる。好ましくは、反応はバッチ式で行われる。
チオニルクロリド、クロロベンゼン及び塩化アルミニウムは、同時に又は連続的に添加することができる。反応を行いやすくするために、特にバッチ式反応の場合、好ましくは、最初に塩化アルミニウム及びクロロベンゼンを反応器に供給し、次にチオニルクロリドを塩化アルミニウム及びクロロベンゼンに添加する。この場合、塩化アルミニウム及びクロロベンゼンは、同時に又は次々に添加することができる。しかしながら、いずれの場合も、塩化アルミニウム及びクロロベンゼンを混合した後にチオニルクロリドを添加することが好ましい。反応中に、典型的にガス状の塩化水素(HCl)が生成され、これは少なくとも部分的に反応器から取り出される。チオニルクロリドを添加するための体積流量は、典型的に、熱放散及び反応器から取り出されるガスの流量に依存する。
反応器に過剰に添加され、したがって化学反応中で部分的にしか変換されないクロロベンゼンは、反応生成物の溶媒としても機能する。溶媒が使用されるプロセスの任意の工程において、好ましくは、溶媒はクロロベンゼンである。
チオニルクロリド及びクロロベンゼンは、塩化アルミニウムの存在下で反応し、それによって中間反応生成物及び塩化水素を生成する。中間反応生成物は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド-AlCl3付加物を含む。一般的には、塩化アルミニウムは触媒として機能することができる。化学反応は、以下の化学反応式(1)によって模式的に表すことができる。
反応は一定の温度又はほぼ一定の温度で行うことができる。また、例えば、反応時間又は反応器にわたる温度プロファイルを用いて、上記の範囲内で変化する温度で反応を行うことも可能である。
反応が連続的に行われるか、又はバッチ式で行われるかにかかわらず、チオニルクロリドの流量は、反応によって生成する熱を好適な冷却装置によって反応器から放散し、反応器の温度を所定の範囲内に維持することができるように選択される。
反応で製造される塩化水素(HCl)は、典型的に、ガス状であり、少なくとも部分的に反応器から取り出される。それはガス状で他の用途に使用することもできるが、好ましくは、反応から取り出された塩化水素を水と混合して塩酸水溶液を製造する。
反応後、中間反応生成物は塩酸水溶液と混合される。エネルギー効率、生産効率及び持続可能性の観点から、特に好ましくは、反応(I)から取り出された塩化水素から塩酸水溶液を製造する。中間反応生成物と塩酸水溶液を混合することにより、中間反応生成物の加水分解を行うことができる。DCDPSOを含む粗反応生成物が得られる。また、粗反応生成物は、典型的に、一般にAlCl3・6H2Oとしての水和形態である塩化アルミニウムを含むこともできる。加水分解は、反応式(2)によって模式的に表すことができる。
加水分解を促進し、できるだけ早く完了させるために、混合物をかき混ぜることができ、好ましくは混合物を撹拌する。加水分解の終了後、混合物は、AlCl3を含む水相、及び過剰なクロロベンゼンに溶解したDCDPSOを含む有機相に分離する。混合物を撹拌する場合、撹拌を止めて混合物を分離することが可能である。
塩酸水溶液は、任意の濃度を有してもよい。ただし、3質量%超の塩酸の濃度は、塩化アルミニウムの溶解性を向上する。好ましくは、加水分解に使用される塩酸水溶液は、3~12質量%の範囲の濃度を有する。上記及び以下のすべての塩酸濃度(質量%)は、塩酸水溶液中の塩化水素及び水の総量に基づくものである。高い濃度、特に10~12質量%の範囲の濃度の利点は、水相の密度が増大し、したがって水相が下層相を形成するのに対し、上層相はDCDPSOを含む有機相(以下「有機相」とも称する)であることである。これにより、水相を容易に排出して有機相を得ることができる。
(II)で使用される塩酸水溶液の量は、好ましくは、塩化アルミニウムが沈殿せず、さらに2つの液相が形成され、下層相が水相であり、有機相が上層相となるような量である。これを達成するために、反応混合物に添加される塩酸水溶液の量は、好ましくは、加水分解後に水相の有機相に対する質量比が0.6~1.5kg/kgの範囲であるような量である。塩酸水溶液の量が少ないと、塩化アルミニウムが沈殿することがある。特に、塩酸水溶液の濃度が高い場合には、沈殿を避けるために多量の塩酸水溶液が必要となる。したがって、好ましくは、塩酸水溶液の濃度は12質量%未満に維持される。
チオニルクロリド、クロロベンゼン及び塩化アルミニウムの反応、塩酸水溶液との混合、及びしたがって加水分解は、同じ反応器で、又は異なる反応器で行うことができる。好ましくは、第1の反応器で反応を行い、第2の反応器で加水分解を行う。第1の反応器及び第2の反応器を使用する場合、第1の反応器は上述した反応器に対応する。また、第2の反応器も、バッチ式の反応を行い、反応器中の成分の攪拌ができる任意の反応器であり得る。したがって、好ましくは、第2の反応器も撹拌タンク反応器である。
反応及び加水分解を同じ反応器で行う場合は、1つの反応器を使用するか、又は好ましくは使用される第1及び第2の反応器を、反応器内の温度を調整するために温度を設定できるようにそれぞれ設計する。この目的のために、例えば、加熱媒体又は冷却媒体が流れるパイプを反応器の内部に設けることが可能である。
反応及び加水分解を異なる反応器で行う場合、反応が完了した後、中間反応生成物を第1の反応器から第2の反応器に輸送する前に、中間反応生成物を溶媒中の中間反応生成物の溶解点(solubility point)を超える温度に加熱することが特に好ましい。溶解点は、中間反応生成物が溶媒に完全に溶解する反応混合物の温度を表す。
反応及び加水分解を同じ反応器で行う場合、反応が完了した後、中間反応生成物を加水分解の温度に加熱した後、塩酸水溶液を反応器に供給する。塩酸水溶液の流量は、好ましくは、反応器を調節することにより、加水分解の温度を加水分解のための特定の範囲に保持することができるように設定される。反応及び加水分解を異なる反応器で行う場合は、まず第2の反応器に塩酸水溶液を供給し、塩酸水溶液に中間反応生成物を添加することが好ましい。この場合、中間反応生成物を第2の反応器に添加する流量は、第2の反応器を調節することにより、第2の反応器の温度が加水分解のための特定の温度範囲内に保持されるように設定される。
塩酸水溶液及び残りの塩化アルミニウムを有機相から除去するために、好ましくは、(II)で得られた有機相を分離し、(III)における冷却の前に抽出液で洗浄する。
加水分解後の相分離は、加水分解を行った反応器で、又は別の相分離のための容器で行うことができる。複雑さが少ないという観点から、好ましくは、相分離は加水分解が行われた反応器で行われる。相分離が完了した後、水相及び有機相は、相分離が行われた容器、好ましくは加水分解が行われた反応器から別々に取り出される。
分離された後、有機相を抽出液で洗浄して、残留の塩化アルミニウム及び塩化水素を除去する。有機相の洗浄に使用される抽出液は、好ましくは水である。特に好ましくは、有機相の洗浄に使用される水は、洗浄後に分離され、(I)で得られる塩化水素と混合されて塩酸水溶液を得る。
抽出液での洗浄は、好ましくは個別の洗浄容器で行われる。しかしながら、加水分解が行われた反応器から水相のみを除去し、加水分解が行われた反応器で洗浄工程を行うことも可能である。洗浄を個別の洗浄容器で行う場合、有機相を洗浄することができる任意の容器を使用することができる。洗浄容器は、通常、有機相と抽出液を密接に混合する手段を備えている。好ましくは、洗浄容器は、有機相及び抽出液が供給され、次に混合される攪拌タンクである。
相分離を相分離のための容器で行う場合、抽出液での洗浄は、洗浄容器、又は代わりに相分離のための容器で行うことができる。相分離及び洗浄を同じ容器で行う場合、有機相から分離された水相を排出した後に、有機相と抽出液を混合する手段を提供する必要がある。
好ましくは、抽出液での洗浄は、加水分解と同じ温度で行われる。
一般的には、好ましくは水である抽出液の量は、有機相から塩化アルミニウムのすべて又は本質的にすべてを除去するのに十分である。廃棄物管理の観点からは、通常、可能な限り少ない抽出液を使用することが好ましい。抽出液として水を使用する場合は、洗浄工程からの水相全体を使用して、加水分解に必要な濃度の塩酸水溶液を生成することができるような量の水を使用することが特に好ましい。この目的のため、洗浄に使用した水を分離し、反応で得られた塩化水素と混合して塩酸水溶液を得る。
抽出液で所定時間で洗浄した後、混合を停止し、混合物を水相及び有機相に分離させる。水相及び有機相は別々に洗浄容器から取り出される。
有機相からDCDPSOを分離するために、有機相を(III)のDCDPSOの飽和点未満の温度まで冷却して、結晶化したDCDPSOを含む懸濁液(以下、「懸濁液」とも称する)を得る。
飽和点とは、DCDPSOが結晶化し始める有機相の温度を表す。この温度は、有機相中のDCDPSOの濃度に依存する。有機相中のDCDPSOの濃度が低いほど、結晶化が始まる温度は低くなる。
DCDPSOを結晶化するための冷却(III)は、任意の結晶化装置、又は有機相の冷却を可能にする任意の他の装置、例えば、冷却することができる表面を備える装置、例えば冷却ジャケット、冷却コイル又はいわゆる「パワーバッフル」のような冷却バッフルを備えた容器又はタンクで行うことができる。
DCDPSOの結晶化のための有機相の冷却は、連続的に又はバッチ式で行うことができる。沈殿及び冷却された表面での汚れを避けるために、
(i)気密性密閉容器の圧力を低下させること、
(ii)溶媒を蒸発させること、
(iii)冷却によって蒸発した溶媒を凝縮させること、
(iv)凝縮した溶媒を気密性密閉容器中に戻すこと
によって、気密性密閉容器中で冷却を行うことが好ましい。
(i)気密性密閉容器の圧力を低下させること、
(ii)溶媒を蒸発させること、
(iii)冷却によって蒸発した溶媒を凝縮させること、
(iv)凝縮した溶媒を気密性密閉容器中に戻すこと
によって、気密性密閉容器中で冷却を行うことが好ましい。
このプロセスは、結晶化したDCDPSOが蓄積して固体層を形成する冷却された表面なしで有機相を冷却することを可能にする。これは、冷却プロセスの効率を向上する。また、この固体層を除去するための追加の努力を回避することができる。したがって、冷却された表面のない気密性密閉容器を使用することが特に好ましい。
結晶化したDCDPSOの沈殿を避けるために、結晶化装置中で有機相をかき混ぜることがさらに好ましい。したがって、好適な装置は、例えば、撹拌タンク又はドラフトチューブ式結晶器である。
DCDPSOを結晶化させるためには、結晶核を提供する必要がある。結晶核を提供するためには、有機相に添加される乾燥結晶を使用するか、又は粒子状DCDPSOを含む懸濁液を結晶核として添加することが可能である。乾燥結晶を使用するが、結晶が大きすぎる場合は、結晶を、結晶核として使用することができるより小さな粒子に粉砕することが可能である。さらに、有機相に超音波を適用することにより、必要な結晶核を提供することも可能である。好ましくは、結晶核は、初期化ステップでその場で生成される。初期化ステップは、好ましくは、ステップ(i)で減圧を設定する前に、以下のステップを含む:
- 有機相の沸点が80~95℃の範囲であるように、気密性密閉容器中の圧力を低下させるステップと;
- 固体の初期形成が起こるまで溶媒を蒸発させるステップと;
- 気密性密閉容器中の圧力を上げ、前記容器中の有機相を85~100℃の範囲の温度に加熱するステップ。
- 有機相の沸点が80~95℃の範囲であるように、気密性密閉容器中の圧力を低下させるステップと;
- 固体の初期形成が起こるまで溶媒を蒸発させるステップと;
- 気密性密閉容器中の圧力を上げ、前記容器中の有機相を85~100℃の範囲の温度に加熱するステップ。
有機相の沸点が80~95℃の範囲であるように気密性密閉容器中の圧力を低下させることにより、次の溶媒の蒸発は、飽和溶液及びDCDPSOの沈殿をもたらす。次の圧力の上昇、及び気密性密閉容器中の有機相を85~100℃の範囲の温度に加熱することにより、固形化したDCDPSOが再び部分的に溶解し始める。これは、結晶核の数が減少し、より大きなサイズの結晶を少量製造することを可能にするという効果がある。製造された結晶核の完全な溶解を避けるために、事前に設定した上記の範囲の温度に達した直後に、特に減圧による冷却を開始することができる。しかしながら、事前に設定した温度で例えば0.5~1.5時間の滞留時間の後に冷却を開始させることも可能である。
初期化ステップで結晶核を生成するために、固体の初期形成が起こるまで溶媒を蒸発させることだけが可能である。また、蒸発した溶媒を冷却してすべて凝縮させ、凝縮した溶媒を密閉容器に戻すことも可能である。後者は、気密性密閉容器中の液体が冷却され、固体が形成されるという効果がある。蒸発して凝縮した溶媒の一部だけを気密性密閉容器に戻すという、両方のアプローチの混合も適用可能である。
冷却、及びしたがってDCDPSOの結晶化をバッチ式で行う場合、ステップ(i)の減圧中にステップ(ii)~(iv)を行うことが好ましい。したがって、気密性密閉容器中の温度が0~45℃の範囲の所定の値に達するまで、ステップ(i)において圧力を継続的に低下させることが特に好ましい。所定の温度値に達した後、減圧を停止し、その後、常圧に達するまで、気密性密閉容器を通気する。気密性密閉容器における温度プロファイルは、好ましくは、有機相が一定の過飽和状態になるように選択される。
DCDPSOの溶解度を下げ、したがって固形化したDCDPSOの収率を上げるためには、飽和点を変える必要がある。一定の温度で溶媒の量を連続的に減少させることにより、例えば溶媒を蒸発させることにより、又は一定の濃度で有機相を冷却することにより、これは可能となる。溶媒の量を減少させると、一定の臨界濃度に達したときに非常に粘稠な懸濁液が得られるので、蒸発によって溶媒の量を減少した後に温度を下げることにより、固形化したDCDPSOの収率を部分的に高めることが好ましい。有機相中のDCDPSOの溶解度を低下させ、結晶化を改善するために、少なくとも1つのドラウニングアウト剤(drowning-out agent)、例えば水、アルコール、及び/又は酸、特にカルボン酸のような少なくとも1つのプロトン性溶媒、又は直鎖及び/又は環状アルカンのような少なくとも1つの高非極性溶媒をさらに添加することが可能である。加工の容易さに関して、水、メタノール、エタノール、酢酸及び/又はギ酸、特に水及び/又はメタノールが好ましいドラウニングアウト剤である。
常圧に達した後、冷却により気密性密閉容器中に形成された懸濁液を取り出し、固液分離(IV)に供給する。
冷却、及びしたがってDCDPSOの結晶化を連続的に行う場合、冷却及び結晶化を少なくとも2つのステップ、特に2つ~3つのステップで段階的に行うことが好ましい。冷却及び結晶化を2つのステップで行う場合、第1のステップでは、好ましくは、有機相を40~90℃の範囲の温度に冷却し、第2のステップでは、好ましくは、-10~50℃の範囲の温度に冷却する。冷却を2つを超えるステップで行う場合、好ましくは、第1のステップを40~90℃の範囲の温度で行い、最後のステップを-10~30℃の範囲の温度で行う。さらなるステップは、ステップごとに温度を下げながら、これらの範囲の間の温度で行われる。
バッチ式プロセスでは、連続運転プロセスの温度は、冷却される表面、例えば冷却ジャケット、冷却コイル、又はいわゆる「パワーバッフル」のような冷却バッフルを有する冷却及び結晶化のための装置を使用して設定することができる。冷却及び結晶化のための少なくとも2つのステップを確立するために、各ステップには冷却及び結晶化のための少なくとも1つの装置を使用する。DCDPSOの沈殿を避けるために、連続プロセスにおいても、冷却及び結晶化のための装置中の圧力を下げることによって温度を下げることが好ましく、ここで、冷却及び結晶化のための装置は好ましくは気密性密閉容器である。冷却及び結晶化のための好適な装置は、例えば、撹拌タンク式結晶器、ドラフトチューブ式結晶器、水平式結晶器、強制循環式結晶器又はオスロ式結晶器である。必要な温度を達成するために設定される圧力は、有機相の蒸気圧に対応する。減圧により、低沸点のボイラー、特に溶媒が蒸発する。蒸発した低沸点のボイラーは冷却されて凝縮し、凝縮した低沸点のボイラーは、温度が設定された冷却及び結晶化のためのそれぞれの装置に戻される。
冷却及び結晶化を連続的に行う場合、懸濁液の流れは、冷却及び結晶化のための装置から連続的に取り出される。その後、懸濁液は、固液分離(IV)に供給される。冷却及び結晶化のための装置中の液体レベルを所定の範囲内に維持するために、新鮮な有機相を、装置から取り出された懸濁液の量に対応する又は本質的に対応する量で装置に供給することができる。新鮮な有機相は、冷却及び結晶化のための装置中の最小液体レベルに到達するたびに、連続的又はバッチ式で添加することができる。一般的には、このプロセスは、加水分解(II)がバッチ式で又は連続的に行われ、冷却がバッチ式で又は連続的に行われることを含む。したがって、加水分解(II)がバッチ式で行われ、冷却が連続的に行われるか、又はその逆であることを含むことができる。(II)の加水分解がバッチ式で行われ、有機相が冷却及び結晶化のための装置に連続的に添加されなければならない又は加水分解がまだ終了していない時に添加されなければならない場合、又は加水分解が連続的に行われ、冷却がバッチ式で行われる場合、好ましくは、加水分解から取り出された後に有機相が供給される少なくとも1つのバッファ容器が使用される。その後、このバッファー容器から、有機相は冷却及び結晶化のための装置に供給される。
バッチ式で又は連続的に行われるかどうかにかかわらず、結晶化は、好ましくは、結晶化の最後のステップにおける懸濁液中の固形分が、懸濁液の質量に基づいて、5~50質量%の範囲、より好ましくは5~40質量%の範囲、特に20~40質量%の範囲になるまで継続される。
冷却及び結晶化を連続的に行うか、バッチ式で行うかにかかわらず、固液分離(IV)は、連続的に又はバッチ式で、好ましくは連続的に行うことができる。
冷却及び結晶化(III)をバッチ式で行い、固液分離(IV)を連続的に行う場合は、冷却及び結晶化に使用される装置から取り出された懸濁液が充填された少なくとも1つのバッファ容器を使用する。懸濁液を提供するために、連続流が少なくとも1つのバッファ容器から取り出され、固液分離装置に供給される。少なくとも1つのバッファ容器の容量は、好ましくは、冷却及び結晶化のための装置の内容物がバッファ容器に供給される2つの充填サイクルの間に、各バッファ容器が完全に空にならないようにする。複数のバッファ容器を使用する場合、別のバッファ容器の内容物を取り出して固液分離装置に供給している間に、1つのバッファ容器を充填することが可能である。この場合、少なくとも2つのバッファ容器は並列に接続される。バッファ容器の並列接続は、1つのバッファ容器が満たされた後に、さらに別のバッファ容器に懸濁液を充填することを可能にする。少なくとも2つのバッファ容器を使用することの利点は、バッファ容器の容量が1つのバッファ容器のみの場合よりも小さい場合があることである。このより小さな容量は、懸濁液をより効率的に混合して、結晶化したDCDPSOの沈降を避けることを可能にする。懸濁液を安定に維持し、バッファ容器中の固体DCDPSOの沈殿を避けるために、バッファ容器に懸濁液をかき混ぜるための装置、例えば撹拌機を提供し、バッファ容器中の懸濁液をかき混ぜることが可能である。
冷却及び結晶化(III)と固液分離(IV)をバッチ式で行う場合、固液分離装置が冷却及び結晶化のための容器の全内容物を取り込むのに十分な大きさであれば、冷却及び結晶化のための容器の内容物を固液分離装置に直接供給することができる。この場合、バッファ容器を省略することが可能である。また、冷却及び結晶化と固液分離を連続的に行う場合は、バッファ容器を省略することも可能である。この場合も、懸濁液を固液分離装置に直接供給する。固液分離装置が小さすぎて、冷却及び結晶化のための容器の全内容物を取り込むことができない場合は、バッチ式実行の場合でも、結晶化装置を空にして新しいバッチを開始できるように、少なくとも1つのさらなるバッファ容器が必要である。
冷却及び結晶化(III)を連続的に行い、固液分離(IV)をバッチ式で行う場合は、冷却及び結晶化装置から取り出した懸濁液をバッファ容器に供給し、固液分離のための各バッチをバッファ容器から取り出して固液分離装置に供給する。
固液分離(IV)は、例えば、濾過、遠心分離又は沈降を含む。好ましくは、固液分離は濾過である。固液分離では、固体DCDPSOから液体母液を除去し、残留水分含有DCDPSO(以下、「湿潤DCDPSO」とも称する)が得られる。固液分離(IV)が濾過である場合、湿潤DCDPSOは「濾過ケーキ」と呼ばれる。
固液分離(IV)を行うために、当業者に知られている任意の固液分離装置を使用することができる。好適な固液分離装置としては、例えば、撹拌式圧力ヌッチェ、回転式圧力フィルター、ドラムフィルター、ベルトフィルター又は遠心分離機が挙げられる。固液分離装置に使用されるフィルターの細孔径は、好ましくは1~1000μmの範囲、より好ましくは10~500μmの範囲、特に20~200μmの範囲である。
特に好ましくは、冷却及び結晶化(III)をバッチ式で行い、固液分離(IV)を連続的に行う。
冷却によりDCDPSOの大部分が結晶化するが、それでもかなりの量のDCDPSOが溶媒に溶解したままであるため、好ましくは固液分離装置から取り出された母液を濃縮し、濃縮された母液の少なくとも一部を冷却工程(III)にリサイクルする。母液の濃縮は、好ましくは蒸留又は蒸発により、好ましくは蒸発により行われる。母液を濃縮し、その母液を冷却工程(III)にリサイクルすることにより、生成物の損失を最小限に抑えることができる。
蒸発又は蒸留は、好ましくは、母液中のDCDPSOの濃度が、濃縮された母液の総量に基づいて、6~60質量%の範囲、より好ましくは10~50質量%の範囲、特に15~40質量%の範囲になるまで続ける。
濃縮された母液の少なくとも一部は、冷却工程(III)にリサイクルされる。高沸点の副産物及び汚染物質の過剰な蓄積を避けるためには、濃縮された母液の一部を冷却工程(III)にリサイクルし、残りの濃縮された母液をプロセスから取り出すことが好ましい。冷却工程(III)にリサイクルされる濃縮された母液の量は、それぞれ濃縮された母液の総量に基づいて、好ましくは10~95質量%の範囲、より好ましくは40~90質量%の範囲、特に65~90質量%の範囲である。
リサイクルされる濃縮された母液は、好ましくは新鮮な有機相と混合され、冷却(III)に供給される。新鮮な有機相と濃縮された母液の比は、好ましくは60:1~6:1の範囲、より好ましくは15:1~7:1の範囲、特に10:1~7:1の範囲である。冷却(III)にリサイクルされる濃縮された母液の量は、好ましくは、冷却(III)に完全に供給されるDCDPSOの異性体の量、特に2,4-ジクロロジフェニルスルホキシドの量が、冷却(III)に供給される液体の総量に基づいて、0~40質量%の範囲、特に10~30質量%の範囲になるように設定される。冷却(III)に供給される液体の総量は、塩酸水溶液、中間生成物(II)及びリサイクルされる濃縮された母液を混合することにより得られるDCDPSO含有の有機相の合計である。濃縮された母液中の異性体の量が増加すると、冷却(III)にリサイクルされる部分が有利に減少し、一方、濃縮された母液中の異性体の量が少ないと、塩酸水溶液及び中間生成物(II)を混合することにより得られる有機相中の異性体の量が一定である限り、リサイクルされる部分が多くなる。
リサイクルされる濃縮された母液と新鮮な有機相との混合は、冷却及び結晶化が行われる装置に供給する前に、リサイクルされる濃縮された母液と新鮮な有機相との混合物がこの装置に供給されるように行うことができる。あるいは、リサイクルされる濃縮された母液及び新鮮な有機相を別々に、冷却及び結晶化を行う装置に供給し、この装置中で混合する。
母液の少なくとも一部を濃縮してリサイクルすることにより、DCDPSOの収率は、通常約10%以下、典型的に少なくとも約8又は9%の増加のように、大幅に増大することができる。これにより、1つのステップのみで結晶化を行うことができる。
固液分離(IV)で得られた湿潤DCDPSOは、依然として不純物を含有する可能性がある。これらの不純物を除去するために、洗浄液を用いたさらなる洗浄工程を行ってこれらの不純物を除去することができる。この洗浄液によるさらなる洗浄(以下、「溶媒洗浄」とも称する)により、結晶化したDCDPSOの表面に付着している可能性があり、カルボン酸による洗浄では除去できない、または十分に除去できない不純物が除去される。湿潤DCDPSOの洗浄に溶媒を使用することは、DCDPSOが表面で溶解し始め、したがって表面に付着している不純物が緩んで除去することができるので、結晶化したDCDPSOの表面に付着した不純物を除去することができるというさらなる利点もある。
この溶媒洗浄により、固体DCDPSO及び溶媒を含む組成物が得られ、その後に、この組成物をカルボン酸で洗浄して、溶媒をカルボン酸で置き換えることにより溶媒を除去する。
固液分離が濾過である場合、濾過が連続的に行われるか、バッチ式に行われるかにかかわらず、濾過装置での濾過ケーキの溶媒洗浄を行うことができる。溶媒洗浄後、濾過ケーキは、固体DCDPSO及び溶媒を含む組成物として取り出される。
連続的な固液分離プロセスでは、湿潤DCDPSOを固液分離装置から連続的に取り出し、その後、湿潤DCDPSOの溶媒洗浄を行うことができる。固液分離(IV)が濾過であり、連続ベルトフィルターを使用する場合、懸濁液を濾過し、こうして生じた濾過ケーキをフィルターベルト上で輸送し、同じ濾過装置の別の位置で洗浄液で濾過ケーキを洗浄することが好ましい。
固液分離(IV)が濾過プロセスである場合、濾過を半連続的に行うこともさらに可能である。この場合、懸濁液を連続的に濾過装置に供給し、濾過は所定のプロセス時間で行われる。その後、濾過中に製造された濾過ケーキは、同じ濾過装置で洗浄液で洗浄される。例えば、濾過を行うためのプロセス時間は、差圧に依存してもよい。濾過ケーキの増加に伴い、濾過装置における差圧が増大する。濾過のためのプロセス時間を決定するために、例えば、第1の濾過装置において濾過が行われるまでの目標差圧を定義することが可能である。その後、懸濁液は、濾過が継続される第2の又はさらなる濾過装置に供給される。これにより、濾過を連続的に行うことが可能になる。濾過が完了した装置では、濾過ケーキを洗浄液で洗浄し、溶媒洗浄が終了した後に取り出すことができる。必要に応じて、濾過ケーキを取り出した後に、濾過装置を洗浄することができる。濾過ケーキを取り出し、必要に応じて濾過装置を洗浄した後、その濾過装置を再び濾過に使用することができる。濾過ケーキの洗浄及び任意の濾過装置の洗浄が、1つの濾過装置での濾過の時間よりも多くの時間を必要とする場合、少なくとも2つの濾過装置を使用して、濾過装置で懸濁液を連続的に供給し、他の装置では濾過ケーキが洗浄され、又は濾過装置が洗浄されるようにする。
半連続プロセスの各濾過装置では、濾過がバッチ式で行われる。したがって、濾過及び溶媒洗浄をバッチ式で行う場合、このプロセスは、上述の半連続プロセスの1つの装置でのプロセスに対応する。
このプロセスで使用される溶媒の量を減らすために、好ましくは、溶媒の少なくとも一部は、湿潤DCDPSOの洗浄に使用された後に精製され、リサイクルされる。溶媒の精製は、当業者に知られている各プロセスによって行うことができる。特に好適なのは、溶媒から不純物を分離するための蒸留又は蒸発プロセスである。このプロセスにおいて、特に溶媒洗浄で湿潤DCDPSOから洗い出される不純物は、副生成物、DCDPSOの異性体、及びDCDPSOの製造に使用された触媒などの助剤の残りである。湿潤DCDPSOから洗い出されるこれらの不純物は、通常、溶媒よりも高い沸点を有するため、溶媒の精製は、蒸発によって行うことができ、ここで、溶媒が蒸発されて後続の凝縮器で凝縮される。蒸留プロセスでは、溶媒は頂部ストリームとして蒸留装置(好ましくは蒸留塔)から取り出され、蒸留塔から取り出された底部ストリームは不純物を含有する。底部ストリームが依然としてDCDPSOを含有する場合、底部ストリームの一部を冷却(III)にリサイクルして、収率を向上させ、プロセスから取り出されるDCDPSOの量を減らすことも可能である。
このようにして精製された溶媒は、例えば、湿潤DCDPSOの洗浄に再利用することができる。あるいは、また、精製された溶媒の少なくとも一部を工程(I)にリサイクルすることも可能である。
固液分離(IV)を遠心分離により行う場合、遠心分離機によっては、湿潤DCDPSOを洗浄するために別個の洗浄装置を使用する必要がある。しかしながら、通常、分離ゾーン及び溶媒洗浄ゾーンを含む遠心分離機を使用することができ、又は遠心分離機で遠心分離した後に洗浄を行うことができる。
溶媒洗浄中にDCDPSOを溶媒に溶解することを避けるために、洗浄温度を、DCDPSOの溶媒への溶解度が非常に低く、好ましくはDCDPSOと溶媒の合計に基づいて0~5質量%である温度に維持することが好ましい。
溶媒洗浄を濾過装置で行う場合、洗浄後に得られる濾過ケーキは、カルボン酸で洗浄されたDCDPSOを含む組成物である。溶媒洗浄を別の洗浄装置で行う場合、洗浄プロセスで得られた洗浄された4,4’-DCDPSOを含む組成物中の溶媒の量に応じて、さらなる固液分離が必要になることがある。
結晶化したDCDPSO及び母液を含む残留水分含有固体DCDPSOの洗浄に使用される溶媒は、好ましくはクロロベンゼン、特にモノクロロベンゼンである。したがって、カルボン酸で洗浄される固体DCDPSO及び溶媒を含む組成物中の溶媒は、好ましくはクロロベンゼン、特にモノクロロベンゼンである。
上述した各方法工程は、装置の大きさ及び添加する化合物の量に応じて、1つの装置のみで、又は複数の装置で行うことができる。方法工程に複数の装置を使用する場合、装置は同時に、又は特にバッチ式で行うプロセスで異なる時間に運転することができる。これにより、例えば、1つの装置で方法工程を行うと同時に、同じ方法工程のための他の装置が整備され、例えば、洗浄されることが可能になる。さらに、すべての成分を添加した後、装置の内容物が一定時間残る方法工程、例えば反応又は加水分解では、1つの装置ですべての化合物を供給した後、第1の装置でのプロセスがまだ継続している間に、成分をさらなる装置に供給することが可能である。しかしながら、すべての装置に成分を同時に添加し、この装置で方法工程を同時に行うことも可能である。
本発明の方法で使用される成分の腐食性のために、成分と接触するすべての表面、特に反応及び加水分解が行われる少なくとも1つの反応器の表面、冷却容器の表面、及び各洗浄装置の表面にエナメル層を提供することが好ましい。装置を接続するパイプは、好ましくは、エナメル層を有するステンレス鋼で作られる。各固液分離のための装置、特に濾過装置は、好ましくは、耐腐食層を有するニッケルベース合金又はステンレス鋼で作られる。固液分離が濾過である場合、濾過装置は、好ましくは、良好な又は非常に良好な耐薬品性を有する材料で作られているフィルター要素を含む。そのような材料は、使用される装置について上述したように、ポリマー材料又は耐薬品性金属であり得る。フィルター要素は、例えば、フィルターカートリッジ、フィルターメンブレン、又はフィルタークロスであり得る。フィルター要素がフィルタークロスである場合、好ましい材料はさらに、可撓性があり、特に織物に製造することができるものなどの可撓性ポリマー材料である。これらは、例えば、繊維に引き伸ばされたり紡糸されたりすることができるポリマーであり得る。フィルター要素の材料として特に好ましいものとして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、又はフッ素化ポリアルキレン、例えばエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)が挙げられる。
カルボン酸の量の影響
84.7質量%のDCDPSO、15質量%のモノクロロベンゼン(MCB)、及び残りの不純物、例えば4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシドの異性体、及びDCDPSOの製造プロセスのさらなる副産物を含む懸濁液を、ヘプタン酸で洗浄した。MCBをヘプタン酸(HeptA)に置き換える条件に応じた濾過ケーキの組成に関する結果を表1にまとめた。質量%の量は、それぞれの湿潤濾過ケーキの総量に基づくものである。
84.7質量%のDCDPSO、15質量%のモノクロロベンゼン(MCB)、及び残りの不純物、例えば4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシドの異性体、及びDCDPSOの製造プロセスのさらなる副産物を含む懸濁液を、ヘプタン酸で洗浄した。MCBをヘプタン酸(HeptA)に置き換える条件に応じた濾過ケーキの組成に関する結果を表1にまとめた。質量%の量は、それぞれの湿潤濾過ケーキの総量に基づくものである。
実施例からわかるように、濾過ケーキにMCBが検出されなくなるような量で、MCBをヘプタン酸に置き換えることが可能である。
Claims (13)
- 固体4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド及び溶媒を含む組成物を加工する方法であって、前記組成物中の溶媒の量が、前記組成物の総質量に基づいて5~25質量%の範囲であり、
洗浄後の前記組成物中の溶媒の量が、前記組成物の総量に基づいて1.5質量%未満になるまでカルボン酸を用いて前記組成物を洗浄する、方法。 - 前記洗浄が濾過装置で行わる、請求項1に記載の方法。
- 前記組成物の洗浄に使用されるカルボン酸の量が、固体4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド及び溶媒を含む前記組成物の総質量の少なくとも0.15倍である、請求項2に記載の方法。
- 洗浄後の前記組成物中のカルボン酸の量が、前記組成物の総質量に基づいて6~30質量%の範囲である、請求項2又は3に記載の方法。
- 洗浄後の前記組成物をカルボン酸と混合して、4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド及びカルボン酸を少なくとも1:2の4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシドとカルボン酸との質量比で含む混合物を得る、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
- 洗浄後、前記組成物が、4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド及びカルボン酸を少なくとも1:2の4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシドとカルボン酸との質量比で含む、請求項1に記載の方法。
- 溶媒及びカルボン酸を含む液体混合物を前記洗浄から取り出し、前記混合物を、実質的に溶媒を含む第1の流れと、実質的にカルボン酸を含む第2の流れに分離する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第1の流れと第2の流れへの前記分離が、蒸留によって行われる、請求項7に記載の方法。
- 前記第2の流れを前記洗浄にリサイクルする、請求項7又は8に記載の方法。
- 前記第1の流れを4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシドの製造プロセスにリサイクルする、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
- 固体4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド及び溶媒を含む前記組成物が、前記溶媒中に4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシドを含有する懸濁液を濾過することによって得られる濾過ケーキである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記溶媒がクロロベンゼンである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記カルボン酸が、少なくとも1種の脂肪族C6~C10カルボン酸である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
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