JP2022526782A - クッション効果及び柔らかな感覚効果のためのエマルション中のカルボキシアルキル化デンプンの非治療的な化粧品用途 - Google Patents

Abstract

【解決手段】 本発明は化粧品の分野、特に「クッション」効果及び柔らかさ効果を有する感覚剤を含む水中油型又は油中水型エマルションに関する。本発明は、「クッション」効果及び柔らかさ効果を有する感覚剤としての水中油型又は油中水型エマルション中のカルボキシアルキル化粒状デンプンの非治療的な化粧品用途に関する。当該用途に基づいて調製されたクリームは、泡立てたクリームのテクスチャを有する。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧品の分野、特に「クッション」効果及び「柔らかさ」効果を有する感覚剤を含む水中油型又は油中水型エマルションに関する。

技術的課題
化粧品フォーミュレーターの間で現在必要とされているのは、天然又は天然由来の機能性成分、特に感覚機能性を有する機能性成分を有することである。

化粧品の使用者は現在、「クッション効果」と呼ばれる感覚体験を求めている。

驚くべきかつ予想外の方法で、本発明は、「クッション効果」を有する天然由来の感覚剤を有する化粧品を提案することを可能にする。

本発明は、クッション効果及び柔らかさ効果を有する感覚剤としての、水中油型又は油中水型エマルション、好ましくは水中油型エマルション中のカルボキシアルキル化粒状デンプンの非治療的な化粧品用途に関する。

言い換えれば、本発明は、水中油型又は油中水型エマルション、好ましくは水中油型エマルション中のカルボキシアルキル化粒状デンプンの非治療的な化粧品用途に関し、その結果、エマルションはクッション効果及び柔らかさを特徴とする感覚プロファイルを有する。

本発明によれば、クッション効果は、７以上、好ましくは７．５以上のスコアを有し、このスコアは「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットを用いた感覚パネルによる評価によって測定される。

本発明によれば、柔らかさ効果は、７以上、好ましくは７．５以上のスコアを有し、このスコアは「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットを用いて感覚パネルによって測定される。

カルボキシアルキル化粒状デンプン

第１の実施形態によれば、本発明に有用なデンプンは、カルボキシアルキル化粒状デンプンである。

デンプンは、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦、米、エンドウ豆、オート麦、レンズ豆、ファバビーン、ソラマメ、インゲンマメ、ひよこ豆、キャッサバ、又はそれらの組み合わせからのデンプンであり得る。好ましくは、デンプンは、ジャガイモデンプンである。

「粒状」とは、本出願人は、デンプンが、結晶、半結晶及び非晶質層の交互変化として組織化された構造を有する顆粒の形態であることを意味する。この組織は一般に、偏光に曝されたときに複屈折パターンを観察できることを特徴としており、このパターンは「マルタ十字」としても知られている。それはまた、Ｘ線回折の測定によって特徴付けられてもよい。

「カルボキシアルキル化」とは、本出願人は、少なくとも一回のカルボキシアルキル化によって化学的に修飾されたデンプンを意味する。

本発明の意味の範囲内の「カルボキシアルキル化」は、このリストが網羅的ではないが、特にデンプンのＯ－Ｈヒドロキシル基の全て又は一部をＯ－（ＣＨ２）ｎ－ＣＯＯＨ型、Ｏ－（ＣＨ２）ｎ－ＣＯＯＸ型、Ｏ－ＣＨ－ＣＯＯＨ（ＣＨ２）ｍ－ＣＯＯＨ型、又はＯ－ＣＨ－ＣＯＯＨ（ＣＨ２）ｍ－ＣＯＯＸ型の基で置き換えることができる任意の化学修飾を意味すると理解され、ここで、
－ ｎは、ゼロ（シアン化反応）以上であり、好ましくは１（カルボキシメチル化反応）～４（カルボキシブチル化反応）に含まれ、最も好ましくは１（カルボキシメチル化）又は２（カルボキシルエチル化反応又はシアノエチル化反応）に等しい。
－ ｍは、ゼロより大きく、特に１（例えば、クロロマロン酸を用いたカルボキシアルキル化）に等しい。
－ Ｘは、ナトリウム、カリウム及びリチウム、特にナトリウム及びカリウムを含む群から特に選択されるカチオンであり、好ましくは一価であり、ナトリウムが一般的に好ましい。

好ましくは、カルボキシアルキル化粒状デンプンは、カルボキシメチル化デンプン、カルボキシルエチル化デンプン、カルボキシプロピル化デンプン、又はそれらの混合物から選択される。本発明に有用なカルボキシアルキル化粒状デンプンはまた、好ましくは、カルボキシメチル化、カルボキシエチル化、カルボキシプロピル化から選択される、少なくとも２つの化学的カルボキシアルキル化修飾によって修飾されていてもよい。

特に有利な方法では、カルボキシアルキル化は、モノクロロ酢酸又はその塩の１つ、特にモノクロロ酢酸ナトリウムを使用するカルボキシメチル化反応からなる。

本発明に有用なカルボキシメチル化デンプンの例は、Ｒｏｑｕｅｔｔｅ Ｆｒｅｒｅｓから市販されているＧｌｙｃｏｌｙｓ（登録商標）又はＥｘｐｌｏｓｏｌ（登録商標）、ＪＲＳ Ｐｈａｒｍａから市販されているＶｉｖａｓｔａｒ（登録商標）又はＥｘｐｌｏｔａｂ（登録商標）である。

カルボキシアルキル化及び架橋された粒状デンプン

第２の実施形態によれば、本発明に有用なデンプンは、カルボキシアルキル化及び架橋された粒状デンプンである。カルボキシアルキル化粒状デンプンは、多官能性酸、ポリ酸無水物又は多官能性塩基性有機分子、及びそれらの金属塩から選択される架橋剤によって架橋されてもよい。

カルボキシアルキル化デンプンを架橋した多官能性酸は、クエン酸などのポリカルボン酸、又は三リン酸などのポリリン酸であってもよく、カルボキシアルキル化デンプンを架橋したポリ酸無水物は、混合アジピン酸／無水酢酸などの混合ポリ酸無水物であってもよい。カルボキシアルキル化デンプンを架橋した多官能性塩基性有機分子は、ポリリン酸塩であってもよい。それらの金属塩は、ナトリウム、マンガン、カルシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛の塩であってもよい。好ましい代替の架橋剤は、トリメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどのポリ酸のナトリウム塩である。カルボキシアルキル化デンプンを架橋した他の架橋剤は、グリオキサールなどの多官能性アルデヒド、エピクロロヒドリンなどのハロゲン化エポキシド、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの炭素原子数が８未満のアルキル鎖を有する脂肪族又は芳香族ジイソシアネート、オキシ塩化リンなどのオキソハライドであってもよい。

カルボキシアルキル化粒状及び／又は架橋デンプンは、エマルションの総重量に対して１重量％～２０重量％、好ましくは３重量％～１８重量％で、最も好ましくは５重量％～１５重量％の割合でエマルションの中に存在する。

エマルション

本発明によるエマルションは、界面活性剤の存在下で水相中の脂肪相を乳化することによって得られた水中油型エマルション、又は界面活性剤の存在下で脂肪相中の水相を乳化することによって得られた油中水型エマルションであってもよい。好ましくは、エマルションは、水中油型エマルションである。

脂肪相

脂肪相は、少なくとも一種の油を含み得る。本発明の目的のために、「油」とは、室温（２５℃）で液体であり、２５℃で水中に少なくとも１重量％の量で導入された場合、水に全く溶けないか、又は水中に導入された油の重量に対して１０重量％未満の程度まで可溶である化合物を意味すると理解される。脂肪相は、エマルションの総重量に対して１０重量％～７０重量％の重量百分率を表すことができる。

液体脂肪相は有利には、皮膚に皮膚軟化効果を与える一種以上の不揮発性油を含む。脂肪酸エステルとしては、セテアリルイソノノエート、イソトリデシルイソノノエート、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノニルイソノネート、パルミチン酸２－エチルヘキシル、ラウリン酸２－ヘキシルデシル、パルミチン酸２－オクチルデシル、ミリスチン酸２－オクチルドデシル又は乳酸２－オクチルドデシル、コハク酸２－ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリアセチン、トリカプリン、カプリル酸／カプリン酸トリグリセリド、トリヘプタノイン、カプリル／カプリン酸ヤシアルキルの混合物、Ｃ１２～Ｃ１５アルコールの安息香酸塩、ヤシ油脂肪酸ＢＧなどのグリコールエステル、グリセリルトリイソステアレート、トコフェロールアセテート、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はイソステアリン酸などの高級脂肪酸、オレイン酸アルコールなどの高級脂肪族アルコール、又はコハク酸ジヘプチル／カプリロイルグリセリン／セバシン酸共重合体などのポリマー、又はアボカド油、ツバキ油、ヘーゼルナッツ油、椿油、カシューナッツ油、アルガン油、大豆油、ブドウ種子油、ゴマ油、トウモロコシ油、小麦胚芽油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、ホホバ油、落花生油、オリーブ油及びそれらの混合物などの植物油、シアバター、ツバキバターなどの植物性バターを挙げることができる。

これらの油はまた、炭化水素型油、例えばＣ１５～Ｃ１９アルカン、又はパラフィン油、スクワラン、ワセリン、ジメチルシロキサン及びそれらの混合物などのシリコーン型油であってもよい。

好ましくは、不揮発性油は、カプリル／カプリン酸ヤシアルキル、トリヘプタン、コハク酸ジヘプチル／カプリロイルグリセリン／セバシン酸共重合体、Ｃ１５～Ｃ１９アルカン、又はそれらの混合物から選択される。

少なくとも一種の不揮発性油は、エマルションの総重量に対して、１０重量％～７０重量％の割合でエマルション中に存在してもよい。

液体脂肪相はまた、揮発性油を含んでもよい。揮発性油とは、室温及び大気圧で、１時間以内に皮膚から蒸発することができる油を意味する。揮発性油は、例えば、脂っぽい感触を低減するために、シリコーン油又はＣ２～Ｃ６短鎖脂肪酸トリグリセリドから選択することができる。揮発性油は、エマルションの総重量に対して１０重量％～７０重量％の割合でエマルション中に存在してもよい。

本発明によるエマルションの脂肪相は、有利には、親油性ゲル化剤、ワックス及び／又はペースト状化合物などの少なくとも一種の脂肪相構造化剤を更に含んでもよい。少なくとも一種の脂肪相構造化剤は、エマルションの総重量に対して１重量％～２０重量％の割合でエマルション中に存在してもよい。

「ワックス」とは、可逆的な液体－固体状態変化を有し、融点が３０℃より高く、一般に９０℃未満であり、エマルションの調製条件下で液体であり、固体状態で異方性結晶組織を有する脂肪性物質を意味することを意図している。本発明に従って使用されるワックスは、極性又は無極性ワックス、又はこれらの２つの混合物からなり得る。「無極性」とは、炭素、水素及び／又はリン原子、特に炭化水素のみを含有するワックスを意味することを意図している。

極性ワックスは、動物ワックス、植物ワックス、及びエステルなどの極性基を含有する合成又はシリコーンワックスから選択することができる。したがって、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ（セラアルバ）、中国昆虫ワックス（イボタロウムシ）、ジャパンワックス、木ろう、モンタンろう、Ｃ８～Ｃ２０酸及びグリセリンのトリエステル、例えば特にＶＥＶＹから商品名ＣＥＴＡＣＥＮＥとして販売されているグリセリルトリベヘネート、アセチル化グリコールステアレート、並びにそれらの混合物を挙げることができる。これらのワックスは、キャンデリラワックスとホホバ種子油の混合物の場合のように、特に油中に事前に分散された形で使用することができる。これらのワックスは、エマルションの総重量に対して１重量％～２０重量％の割合でエマルション中に存在してもよい。

「ペースト状化合物」とは、ワックスと同様に可逆的な液体－固体状態変化を起こすことができ、固体状態では異方性の結晶組織を有するが、温度２３℃で液体画分及び固体画分を含有するという点でワックスとは異なる親油性脂肪物質を意味すると理解される。これらのペースト状化合物は、エマルションの総重量に対して１重量％～２０重量％の割合でエマルション中に存在してもよい。

水相

本発明によるエマルションは、水と、任意選択で一種以上の水混和性有機溶媒及び／又は一種以上のレオロジー剤とを含む水相を含んでもよい。水相は、エマルションの総重量に対して３０重量％～９０重量％の重量百分率を表すことができる。水中油型エマルションである場合、エマルションの総重量に対して水相の重量百分率は好ましくは３０重量％～８５重量％、より好ましくは５０重量％～８５重量％の範囲である。油中水型エマルションである場合、エマルションの総重量に対して水相の重量百分率は好ましくは３０重量％～７０重量％の範囲である。水は、エマルションの総重量に対して３０重量％～９０重量％を表すことができる。好ましくは、水は、脱塩水である。

一種以上の水混和性有機溶媒は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～２０重量％の範囲の百分率でエマルション中に存在し得る。

レオロジー剤は、特に、水相を増粘させるための剤、ゲル化剤又は懸濁化剤、例えば、アラビアガム、こんにゃくガム、グアーガム又はそれらの誘導体などの植物由来のガム、アルギン酸塩などの藻類から抽出されたガム、キサンタン、マンナン、スクレログルカン又はその誘導体、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース及びその誘導体などの微生物発酵から得られるガム、特にアセチル化、カルボキシメチル化、オクテニルサクシネート又はヒドロキシプロピル化された加工デンプンなどのデンプン及びその誘導体、ポリアクリル酸又はカルボマーなどの合成ポリマーであり得る。好ましくは、レオロジー剤は、水相を増粘させるための剤である。より好ましくは、レオロジー剤はＲｏｑｕｅｔｔｅ Ｆｒｅｒｅｓから市販されているＢｅａｕｔｅ ｂｙ Ｒｏｑｕｅｔｔｅ（登録商標）ＤＳ１１２製品である。少なくとも一種のレオロジー剤は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～２０重量％の割合で存在してもよい。

界面活性剤

本発明によるエマルションはまた、好ましくは油中水型（Ｗ／Ｏ）又は水中油型（Ｏ／Ｗ）エマルションから選択される一種以上の界面活性剤を含んでもよい。少なくとも一種の界面活性剤は、エマルションの総重量に対して１重量％～１５重量％、好ましくは１重量％～１０重量％の割合で存在してもよい。

水中油型（Ｏ／Ｗ）乳化剤は、特に、ポリエトキシル化され得るソルビタンエステル、グリセロール脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル又はポリエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエーテル修飾ポリシロキサン、ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテル、アルキルポリグリコシド及び水素添加レシチンから選択することができるが、このリストは非限定的である。好ましくは、水中油型（Ｏ／Ｗ）乳化剤は、アルキルポリグリコシドから選択される。より好ましくは、水中油型（Ｏ／Ｗ）乳化剤は、ＳｅｐｐｉｃからＭｏｎｔａｎｏｖ６８（登録商標）の名称で市販されているセテアリルアルコール／セテアリルグルコシドである。水中油型乳化剤は、エマルションの総重量に対して１重量％～１５重量％、好ましくは１重量％～１０重量％の割合で存在してもよい。

油中水型（Ｗ／Ｏ）乳化剤は、非エトキシル化ポリオール脂肪酸エステル、特に、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、ソルビタン、特にイソソルビド、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、スクロース、グルコース、ポリデキストロース、水素化グルコースシロップ、デキストリン及び加水分解デンプンなどのアンヒドロヘキシトールの非エトキシル化脂肪酸エステルから選択することができる。油中水型乳化剤は、エマルションの総重量に対して１重量％～１５重量％、好ましくは１重量％～１０重量％の割合で存在してもよい。

Ｗ／Ｏ乳化剤は、脂肪酸から、又は油若しくは油混合物からのエステル交換によって得られる非エトキシル化ポリオール脂肪酸エステルから選択することができる。使用される脂肪酸は、８～２２個の炭素原子、好ましくは１０～１８個の炭素原子、特に１２～１８個の炭素原子を有する。これらの酸は、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和であってよく、１つ以上の側方ヒドロキシル官能基を有し得る。油は室温で液体から固体まで飽和又は不飽和であってよく、任意選択でヒドロキシル官能基、好ましくは１～１４５、特に５～１０５のヨウ素価を有する。

Ｗ／Ｏ乳化剤は、有利には、シクロデキストリン及び天然由来の油中水型乳化剤からなる乳化系、例えば、Ｒｏｑｕｅｔｔｅ ＦｒｅｒｅｓからＢｅａｕｔｅ ｂｙ Ｒｏｑｕｅｔｔｅ（登録商標）ＤＳ１４６の名称で市販されている乳化系から選択することができる。

染料

本発明によるエマルションは、水溶性又は脂溶性染料、エマルションを着色及び／又は不透明にする及び／又は唇を着色する効果を有する充填剤、例えば顔料、真珠光沢顔料、ラッカー（不活性ミネラル担体上に吸着された水溶性染料）及びそれらの混合物から選択される少なくとも１つの染料を更に含んでもよい。これらの染料は、任意選択で、シラン、シリコーン、脂肪酸石鹸、Ｃ９～Ｃ１５フルオロアルコールホスフェート、アクリレート／ジメチコンコポリマー、Ｃ９～Ｃ１５フルオロアルコールホスフェート／シリコーン混合共重合体、レシチン、カルナウバワックス、ポリエチレン、キトサン、及び任意選択でラウロイルリジン、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム及びアルミニウムアシルグルタミン酸などのアシル化され得るアミノ酸などの疎水性剤によって表面処理することができる。顔料は、無機又は有機、天然又は合成であってよい。顔料の例として、特に、鉄、チタン又は亜鉛の酸化物、また複合顔料及びゴニオクロマティック、真珠光沢、干渉、フォトクロミック又はサーモクロミック顔料があるが、このリストは非限定的である。

好ましくは、少なくとも一種の染料は、水溶性又は脂溶性染料、顔料、真珠光沢顔料、ラッカー及びそれらの混合物から選択される。少なくとも一種の染料は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～３０重量％の割合でエマルション中に存在してもよい。顔料及び真珠光沢顔料は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～３０重量％の割合で存在してもよい。水溶性染料は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～５重量％の割合で存在してもよい。

充填剤

本発明によるエマルションは、少なくとも一種の充填剤を更に含んでもよい。この用語は、エマルションに不溶性である任意の形態（特に球状又は層状）の無機又は有機粒子を意味することを意図している。充填剤の例としては、タルク、雲母、シリカ、カオリン、窒化ホウ素、デンプン、オクテニルコハク酸無水物で変性したデンプン、ポリアミド、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー粉末、及びアクリルポリマー粉末、特にポリ（メチルメタクリレート）の粉末、又はスチレンアクリレート共重合体の粉末（Ｄｏｗ製のＳｕｎｓｐｈｅｒｅ Ｐｏｗｄｅｒｓ）が挙げられる。少なくとも一種の充填剤は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～３０重量％の割合で存在してもよい。

保湿剤

本発明によるエマルションは、好ましくはイソソルビド、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、プロパンジオールから選択される少なくとも一種の保湿剤を追加的に含んでもよい。好ましくは、保湿剤は、イソソルビドである。次に、少なくとも一種の保湿剤は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～２０重量％の割合でエマルション中に存在してもよい。

他の添加剤

本発明によるエマルションは、化粧品の分野に一般的に使用される添加剤を含んでもよい。添加剤の例としては、例えば防腐剤、香料又は芳香剤又は精油が挙げられる。好ましくは、エマルションは、少なくとも一種の防腐剤及び少なくとも一種の香料又は芳香剤又は精油を含んでもよい。これらの異なる添加剤の百分率は、当該分野において従来使用されている百分率である。好ましくは、防腐剤は、ＴｈｏｒからＭｉｃｒｏｃａｒｅ ＰＨＣ（登録商標）の名称で市販されているフェノキシエタノール／クロルフェネシン／グリセリンである。少なくとも一種の防腐剤は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～５重量％の割合でエマルション中に存在する。少なくとも一種の香料又は芳香剤又は精油は、エマルションの総重量に対して０．１重量％～２０重量％の割合でエマルション中に存在する。

「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットを用いた感覚プロファイルの評価

感覚プロファイルは、Ｅｃｏｌｅ ｄｅ Ｂｉｏｌｏｇｉｅ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｌｌｅ（４９ ａｖｅｎｕｅ ｄｅｓ Ｇｅｎｏｔｔｅｓ，ＣＳ９０００９，９５８９５Ｃｅｒｇｙ－Ｐｏｎｔｏｉｓｅ，Ｆｒａｎｃｅ）から販売されているＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットを用いて、訓練を受けた人のパネルによって評価される。このパネルは、２０～２３歳の１８人からなる。

「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットは、「記述子」と呼ばれる各感覚評価基準に対して「マーク」と呼ばれる基準製品を含む。これらの記述子のそれぞれに対して、キットは、記述子の最小感覚に対応するマーク「０」と、記述子の最大感覚に対応するマーク「１０」とを含む。

各パネリストは、評価対象の製品（少なくとも２つ）を前腕の前面に塗布し、約０．０２グラムの各製品を直径約５ｃｍの円形に広げる。全ての記述子は、製品外観、製品保持、製品適用、製品適用直後、適用１分後、適用２分後という６つのステップで同時に評価される。

パネリストの評価は統計的に処理され、各記述子に対して、記述子の「スコア」である平均、標準偏差、及びパラメータ「ｐ」の値が確立される。

驚くべきかつ予想外の方法で、本発明によるエマルションは、「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットを用いた感覚パネルによる評価によれば、以下を有する。
－ ７以上、好ましくは７．５以上のスコアを有するクッション効果、
－ 及び／又は７以上、好ましくは７．５以上のスコアを有する柔らかさ、
－ 及び／又は５．０以上、好ましくは５．５以上のスコアを有するきめ細かさ、
－ 及び／又は５．０以上で、好ましくは５．５以上のスコアを有する滑らかさ。

本発明による用途の長所とは、水中油型又は油中水型エマルションは、泡立てたクリームのテクスチャを有する点である。

「クッション」効果及び柔らかさを有する感覚剤

本発明による用途の前述の説明を考慮すると、「クッション効果及び柔らかさを有する感覚剤」は、「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットを用いた感覚パネルによる評価に従って、水中油型であれ油中水型であれ、「クッション効果」記述子及び「柔らかさ」記述子を有し、好ましくは７以上のスコアを有する感覚プロファイルをエマルションに付与することができる機能性成分であると理解される。

実施例１：「泡立てたクリーム」型の水中油型エマルションの調製

表１の組成による「泡立てたクリーム」型の水中油型エマルションを、下記の方案に従って調製する。クッション効果及び柔らかさを有する感覚剤は、Ｒｏｑｕｅｔｔｅ Ｆｒｅｒｅｓ製のＧｌｙｃｏｌｙｓ（登録商標）である。これは、カルボキシメチル化デンプンである。

相Ａ１の成分を混合し、解膠ブレードを用いて２５０～５００ｒｐｍで穏やかに撹拌しながら、８０℃に加熱する。相Ａ２を相Ａ１中に５００～１０００ｒｐｍで解膠ブレードで攪拌しながら分散させ、８０℃の温度を維持しながら４０分間攪拌する。これとは別に、相Ｂを、成分を混合して８０℃に加熱することによって調製する。

８０℃に保持することにより、解膠ブレードを用いて２０００～３０００ｒｐｍで１０分間攪拌しながら、相Ａ１＋Ａ２に相Ｂを乳化させる。混合物を５００～１０００ｒｐｍで撹拌しながら２０～２５℃まで自然冷却する。相Ｃを２０～２５℃で５００～１０００ｒｐｍで撹拌しながら加え、次いで５～１０分間維持する。任意選択で、相Ｄと相Ｅを、５００～１０００ｒｐｍで撹拌しながら最後に添加する。

同じ手順に従い、表１の組成による水中油型エマルションを、Ｒｏｑｕｅｔｔｅ製のＧｌｙｃｏｌｙｓ（登録商標）なしで調製した。これによりクリームが調製され、それと本発明によるクリームとが比較される。

実施例２：パネルによる感覚プロファイルの評価

実施例１のＧｌｙｃｏｌｙｓ（登録商標）なし及びＧｌｙｃｏｌｙｓ（登録商標）ありの水中油型エマルションの感覚プロファイルは、Ｅｃｏｌｅ ｄｅ Ｂｉｏｌｏｇｉｅ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｌｌｅ（４９ａｖｅｎｕｅ ｄｅｓ Ｇｅｎｏｔｔｅｓ、ＣＳ９０００９、９５８９５ Ｃｅｒｇｙ－Ｐｏｎｔｏｉｓｅ、Ｆｒａｎｃｅ）から販売されている「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」感覚評価キットを用いて、化粧品のテクスチャの分析の専門家である１８人のパネルによって評価される。

外観記述子

評価される最初の３つの記述子は、製品の視覚的特性である。製品を５５００Ｋの温度で電球を備えたランプの下で瓶の中で検査する。

製品の「不透明」記述子は、製品が光を通過させるか否かによって定義される。

「美白性」記述子は、「ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）」キットの基準カラーパレットによって定義される。製品は、評価者のパネルによってカラーパレットと比較される。

「光沢」記述子は、製品が光を反射するか否かによって定義される。

保持記述子

以下の記述子は、製品がピックアップされたときに評価される。５０～１００μＬの研究対象製品の検査は、ランプの下で親指と人差し指との間で行われる。

「流動性」記述子は、親指と人差し指の間で製品に圧力が加えられたときに評価される。抵抗がなく、指から流れて圧力ゾーンから離れる場合は流体であり、反対の場合は非流体である。

「クッション効果」記述子は、親指と人差し指の間で製品に２つの穏やかな圧力を加えることによって評価される。指の下で跳ね返り又は湿り気又はクッションが感じられる場合、これはクッション効果と呼ばれる。跳ね返り又は湿り気の大きさは、１０：０のスコアによって評価され、ＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）キットの「流体マーク」基準に対応し、１０は、「Ｍｉｘａ」による「アラントインを有する傷んだ手のための修復ハンドグリーム」に対応する。

「スレッド」記述子は、製品を親指と人差し指の間に入れ、２本の指をゆっくりと離して、２本の指の間に連続したスレッドを形成できるようにすることによって評価される。指が離れすぎるとスレッドが切れる。

「滑りやすさ」記述子は、製品を親指と人差し指との間に入れて、摩擦動作（「指をパチッと鳴らす」など）を実行するときに抵抗がないようにすることによって評価される。この製品は、２本の指の動きを容易にする。

適用記述子

製品が広げることによって適用されると、他の３つの記述子が評価される。５０～１００μＬの研究対象製品を手に沈着させた後、製品はランプの下で、１０回転で広げられている間に検査される。

「柔らかさ」記述子は、２回目から５回目の回転までの適用中に評価される。陥没又は厚みのある感覚がある場合、これは柔らかさと呼ばれる。柔らかさの大きさは、１０：０のスコアで評価され、これはＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）キットの「流体」マークに対応し、１０はＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）キットの「非不透明」マークに対応する。

「美白性」記述子は、２回目から５回目の回転までの適用中に評価され、この製品は皮膚を白くする。

「広がり」記述子は、５回目と１０回目の回転の間で評価され、移動に対する抵抗はない。

最終的な記述子は、１０回転を行った後に評価される。

適用直後の記述子

「きめ細かさ」記述子は、２回目と５回目の回転の間で評価される。指は皮膚の上をよく滑る。この製品は、皮膚上で粉末状の物質として知覚される。きめ細かさの大きさは、１０：０のスコアで評価され、これはＥＢＩｔｏｕｃｈ（登録商標）キットの「滑りやすさ」マークに対応し、１０は「Ｂｅｎｅｆｉｔ」による「ポアフェッショナル：パールプライマー」ファンデーションに対応する。

１分後の記述子

以下の４つの記述子について、検査は、５０～１００μＬ製品を広げてから１分後に、ランプの下、皮膚上で実行される。

「滑らかさ」記述子は、皮膚の上を滑ることによって評価され、乾燥した滑りやすい感覚が感じられる。

「粘度」記述子は、人差し指で皮膚を押す３回の動作によって評価され、粘着が感じられる。

「オイル感（ｇｒｅａｓｙ）」記述子は、親指と人差し指の間に皮膚をつまむことで評価され、指の間の製品の厚みが評価される。

本発明によるエマルションの感覚特性の改善された基準は、クッション効果、柔らかさ、きめ細かさ、滑らかさである。

表２は、実施例１で調製された、本発明によるデンプンを含まない水中油型エマルション、及び本発明によるデンプンを含む水中油型ション（Ｇｌｙｃｏｌｙｓ（登録商標））について評価された感覚プロファイルを示す。

感覚パネルは、Ｇｌｙｃｏｌｙｓ（登録商標）架橋カルボキシアルキル化デンプンが、クッション効果、柔らかさ、きめ細かさ、及び滑らかな感触を有する水中油型エマルションが得られることを実証することを可能にした。

Claims (15)

1. クッション効果及び柔らかさ効果を有する感覚剤としての、水中油型又は油中水型エマルション、好ましくは水中油型エマルション中のカルボキシアルキル化粒状デンプンの非治療的な化粧品用途。
2. 前記化粧品の感覚プロファイルが、クッション効果及び／又は柔らかさを有することを特徴とする、請求項１に記載の非治療的な化粧品用途。
3. 前記カルボキシアルキル化粒状デンプンが、カルボキシメチル化デンプン、カルボキシルエチル化デンプン、カルボキシプロピル化デンプンから選択されることを特徴する、請求項１又は２に記載の非治療的な化粧品用途。
4. 前記カルボキシアルキル化粒状デンプンが、架橋剤によって架橋されることも特徴とする、請求項１～３のいずれか一項に記載の非治療的な化粧品用途。
5. 前記架橋剤が、多官能性酸、ポリ酸無水物又は多官能性塩基性有機分子、及びそれらの金属塩から選択されることを特徴する、請求項１～４のいずれか一項に記載の非治療的な化粧品用途。
6. 前記デンプンが、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦、米、エンドウ豆、オート麦、レンズ豆、ファバビーン、ソラマメ、インゲンマメ、ひよこ豆、キャッサバ、又はそれらの組み合わせ由来のデンプンであることを特徴とする、請求項１～５のいずれか一項に記載の非治療的な化粧品用途。
7. 前記水中油型又は油中水型エマルションが、泡立てたクリームのテクスチャを有することを特徴とする、請求項１～６のいずれか一項に記載の非治療的な化粧品用途。
8. 水中油型（Ｏ／Ｗ型）又は油中水型（Ｗ／Ｏ型）エマルションであって、
   － １０重量％～７０重量％の、脂肪酸エステル、グリコールエステル、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、植物性バター、炭化水素又はシリコーン油から選択される少なくとも一種の不揮発性油を含む脂肪相と、
   － ３０重量％～９０重量％の水、及び１重量％～２０重量％、好ましくは３重量％～１８重量％、最も好ましくは５重量％～１５重量％の、カルボキシメチル化デンプン、カルボキシルエチル化デンプン及びカルボキシプロピル化デンプンから選択されるカルボキシアルキル化粒状デンプンを含む水相と、
   １重量％～１５重量％、好ましくは１重量％～１０重量％の少なくとも一種の界面活性剤と、を含み、
   百分率は、前記エマルションの総重量に対する重量で表される、水中油型（Ｏ／Ｗ型）又は油中水型（Ｗ／Ｏ型）エマルション。
9. 前記脂肪相が、シリコーン油又は短鎖脂肪酸トリグリセリドから選択される揮発性油を更に含む、請求項８に記載のエマルション。
10. 前記脂肪相が、親油性ゲル化剤、ワックス及び／又はペースト状化合物などの少なくとも一種の脂肪相構造化剤を更に含む、請求項８又は９に記載のエマルション。
11. 前記水相が、一種以上の水混和性有機溶媒、及び／又は一種以上のレオロジー剤を更に含む、請求項８～１０のいずれか一項に記載のエマルション。
12. 前記少なくとも一種の界面活性剤が、任意選択的にポリエトキシル化されたソルビタンエステル、グリセロール及び脂肪酸エステル、スクロース及び脂肪酸エステル又はポリエステル、ポリエチレングリコール及び脂肪酸エステル、ポリエーテル修飾ポリシロキサン、ポリエチレングリコール及び脂肪族アルコールエーテル、アルキルポリグリコシド及び水素添加レシチンから選択される水中油型界面活性剤である、請求項８～１１のいずれか一項に記載のエマルション。
13. 水溶性又は脂溶性染料、顔料、真珠光沢顔料、ラッカー、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一種の染料を更に含む、請求項８～１２のいずれか一項に記載のエマルション。
14. カルボキシメチル化デンプン、カルボキシルエチル化デンプン、及びカルボキシプロピル化デンプンから選択される前記カルボキシアルキル化粒状デンプンはまた、架橋剤によって架橋される、請求項８～１３のいずれか一項に記載のエマルション。
15. 前記デンプンが、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦、米、エンドウ豆、オート麦、レンズ豆、ファバビーン、ソラマメ、インゲンマメ、ひよこ豆、キャッサバ、又はそれらの組み合わせ由来のデンプンであり、好ましくは、ジャガイモデンプンである、請求項８～１４のいずれか一項に記載のエマルション。