JP2022525608A - ワクチンアジュバントとしてのtlr4およびtlr7リガンド製剤 - Google Patents

ワクチンアジュバントとしてのtlr4およびtlr7リガンド製剤 Download PDF

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Abstract

哺乳動物における免疫応答を増強するための方法、ならびにリポソーム、TLR4アゴニスト、およびTLR7アゴニストを含む組成物を提供する。

Description

発明の詳細な説明
〔関連出願の相互参照〕
本出願は2019年3月14日に出願された米国特許出願第62/818,517号の出願日の利益を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
〔政府の権利に関する声明〕
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与された助成金番号HHSN272200900034Cの下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明においてある種の権利を有する。
〔背景〕
多くの感染症の潜行性の脅威から個体を守る最も効果的な方法は、ワクチン接種によるものである。ワクチンが特異的である特定の感染症病原体に対する後の防御を提供することができる宿主において、免疫応答を誘発する抗原を使用することが、効果的なワクチン接種には必要とされる。したがって、ワクチン抗原は、宿主において、防御的であるレベルの免疫応答-体液性および/または細胞媒介性-を誘発するのに十分な免疫原生でなければならない。世界的に懸念される感染性病原体は、インフルエンザウイルスである。季節性インフルエンザウイルスは毎年流行し、世界中で250-500,000人が死亡する(WHO)。昨冬では、米国だけで80,000人以上が死亡した。加えて、新たなパンデミックが時々発生し、数百万人の死亡を引き起こし、深刻な世界的脅威となっている。これらの脅威に特に脆弱なのは、高齢者、新生児、および免疫力の低下した個体などの高リスク集団である。季節性インフルエンザに対するワクチン接種は、その季節の循環ウイルス株と適合させれば、中程度の効果があり得る。しかし、インフルエンザウイルスは常に変化(抗原連続変異)していることから、次のインフルエンザの季節や次のパンデミックにおいて、どのような亜型および株のウイルスが広まるのかを予測し、従来のワクチンの製造および流通に十分な時間(約6ヶ月)を確保することは困難である。
これらの従来のワクチンは、典型的にはインフルエンザ血球凝集素(HA)タンパク質、特にタンパク質の球状頭部ドメインに関連する抗原に基づいている。この免疫原性の高い頭部ドメインは、インフルエンザウイルスの株および亜型によって多様である。したがって、1つの球状頭部ドメイン亜型に対する免疫応答は、その特定の頭部ドメインに限定され、異なる頭部ドメインを有するウイルス株に対して適切な免疫応答を提供できない可能性がある。ウイルス株間でより高度に保存されているタンパク質の幹ドメインまたは茎ドメインに由来するインフルエンザHA抗原は、一般に、従来のワクチンにおいて典型的に優勢である頭部ドメイン抗原よりも免疫原性がはるかに低い。したがって、宿主において十分な免疫応答を生じさせ、その結果、複数のインフルエンザ株に対する免疫応答を生じさせるレベルまで、これらのHA茎抗原の免疫原性を改善する必要がある。
〔発明の概要〕
インフルエンザウイルスのような世界的に重要な感染性病原体に対するワクチンにおける、適切なアジュバント組み合わせ製剤の使用の成功は、医学において大きな進歩を潜在的に表し、これらのウイルス性病原体が常に変化する脅威からの個体の防御を広げ、かつ強化する。
本開示は、TLR4アゴニストとTLR7アゴニストとの組み合わせを製剤化する工程を提供し、同じリポソームナノ粒子中のアジュバントは、別々の製剤化アゴニストと製剤化されていないアゴニストとの混合した組み合わせを超えるいくつかの利点を提供する。製剤化された組み合わせは、所望の免疫活性のためにナノ粒子中にTLR4対TLR7の特定の比を有し得る。化合物の様々な組み合わせ比率によって生成されたデータに基づいて、各化合物を、単独で、および組み合わせて製剤化した。製剤化された組み合わせと製剤化されていない組み合わせとを、同じ粒子中で混合し、かつ組み合わせて、並べて比較した。免疫付与研究の結果は、リポソーム中の特定の比率で組み合わせられた化合物がいずれかの化合物単独よりも大きくかつ広範な免疫活性を提供し、そして製剤化された組み合わせが、製剤化されていない組み合わせよりも良好であることを示した。使用した抗原は、OVAおよび不活化インフルエンザウイルスであった。
本明細書中に開示されるように、2B182C(例示的なTLR4アゴニスト)および1V270(例示的なTLR7アゴニスト)は1つの製剤において一緒に製剤化され、免疫付与研究がマウスにおいて行われた。化合物の様々な組み合わせ比率によって生成されたデータに基づいて、各化合物を、単独で、および組み合わせて製剤化した。製剤化された組み合わせと製剤化されていない組み合わせ、ならびに同じ粒子中における混合および組み合わせを並べて比較した。免疫付与研究の結果は、リポソーム中の特定の比率で組み合わせられた化合物がいずれかの化合物単独よりも大きくかつ広範な免疫活性を提供し、そして製剤化された組み合わせが、製剤化されていない組み合わせよりも良好であることを示した。使用した抗原は、OVAおよび不活化インフルエンザウイルスであった。
一実施形態において、本開示は、有効な量のTLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストを、それらを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における免疫応答を増強する方法を提供する。一実施形態において、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストは、同時投与される。一実施形態において、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストは、リポソーム製剤中で投与される。一実施形態において、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストは、別々のリポソーム製剤中に存在する。一実施形態において、TLR4アゴニストは、式(II)を有する。一実施形態において、TLR7アゴニストは、式(I)を有する。一実施形態において、1つまたは複数の免疫原(抗原)を、例えば、アジュバントと同時に、および任意にアジュバントと同じ製剤中で投与する。一実施形態において、免疫原は、微生物免疫原である。一実施形態において、微生物は、インフルエンザまたは水痘などのウイルス、または細菌である。一実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、TLR7アゴニストの量は、約0.01~100nmol、約0.1~10nmol、または約100nmol~約1000nmolである。一実施形態において、TLR4アゴニストの量は、約2~20umol、約20nmol~2umol、または約2umol~約100umolである。一実施形態において、TLR7アゴニスト対TLR4アゴニストの比率は、約1:10、1:100、1:200、5:20、5:100、または5:200である。一実施形態において、製剤を注射する。一実施形態において、リポソーム製剤は、DOPC、コレステロール、またはそれらの組み合わせを含む。
リポソーム、TLR4アゴニスト、およびTLR7アゴニストを含む、医薬製剤も提供され、例えば、リポソームはDOPC、コレステロール、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、TLR7アゴニストの量は約0.01~100nmol、約0.1~10nmol、もしくは約100nmol~約1000nmolであり、TLR4アゴニストの量は約2nmol~20umol、約20nmol~2umol、もしくは約2umol~約100umolであり、またはTLR7アゴニスト対TLR4アゴニストの比率は、約1:10、1:100、1:200、5:20、5:100、もしくは5:200である。
〔図面の簡単な説明〕
〔図1〕例示的なリポソーム製剤。
〔図2〕DMSOまたはリポソーム製剤中の1V270(1μM)、2B182C(200μM)、または1V270(1μM)と2B182C(200mM)との組み合わせのインビトロ免疫刺激活性。DMSOまたはリポソーム製剤において、野生型C57BL/6マウス由来のマウス骨髄由来樹状細胞を1V270(1μM)、2B182C(200μM)、または1V270(1μM)と2B182C(200mM)との組み合わせと共に18時間インキュベートした。培養上清におけるIL-6の放出をELISAによって測定した。
〔図3〕リポソーム製剤は、TLR4非依存性細胞毒性を軽減する。DMSOまたはリポソーム製剤において、野生型C57BL/6マウスまたはTLR4欠損マウス(C57BL/6バックグラウンド)由来のマウス骨髄由来樹状細胞を、1V270(1μM)、2B182C(200μM)、または1V270(1μM)と2B182C(200mM)との組み合わせとともに18時間インキュベートした。細胞生存率をMTTアッセイによって評価した。
〔図4〕例示的な実験プロトコル。
〔図5〕製剤に対する抗HA IgG1およびIgG2aレベル。
〔図6〕製剤に対するIgG2a/IgG1比率。
〔図7〕GC細胞および形質芽球のゲーティング戦略。
〔図8〕1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxの投与によって誘導される細胞型。製剤化1V270と2B182cとの組み合わせは、GC B細胞および形質芽球の数を有意に増加させた。
〔図9〕1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxの投与により誘導される、ELISAによって測定された抗-HA IgGレベル、またはBCR-seqとしての抗-HA IgGレベル。IgG2a生産は組み合わせ処置により強く増加し、Th1応答は製剤化2B182cにより誘導された。
〔図10〕BCR多様性は、組み合わせ処置により増加した。
〔図11〕抗原と、1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxとの投与後のTCRクローナリティ。TCRクローナリティは、2B182c処置およびAddavaxの後に増加した。
〔図12〕1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxの投与後のBCR多様性およびTCRクローナリティ。BCR多様性は組み合わせ処置によって増加し、TCRクローナリティは2B182c処置およびAddavaxの後に増加した。
〔図13〕クローン類似性。
〔図14〕共有クローン。
〔図15〕クラスター解析。
〔図16〕インフルエンザに対する既知の抗体として、類似する配列を有するクラスターの数。
〔図17〕細胞毒性およびIL-12分泌の分析。リポソームアジュバントは、BMDCにおいて、より低い細胞毒性を伴うIL-12分泌を誘導した。
〔図18〕1V270および/または2B182c(未製剤化および製剤化)あるいはAddaVax投与後の、抗-NA IgG1およびIgG2a分析。
〔図19A-19B〕2B182cおよび1V270のリポソーム製剤は、免疫応答をTh1応答へと偏らせる。(A)0日目および28日目に、DMSO(D)またはリポソーム(L)製剤中でTLR4リガンドおよび/またはTLR7リガンドと混合した、不活化Cal 2009 H1N1インフルエンザウイルス(10μg/注射)を用いて、BALB/cマウスを免疫付与した。28日目に血清を採取した。HAまたはNAに特異的なIgG1およびIgG2aを、ELISAによって判断した。(B)Th1/TH2バランスを、IgG2a/IgG1比率によって評価した。Mann-Whitney検定によりP<0.05、**P<0.001である。
〔図20A-20C〕リポソーム2B182cおよびリポソーム1V270との組み合わせアジュバント処置により、流入領域リンパ節における胚中心B細胞および形質芽球の数は増加した。(A)実験プロトコル。(B)フローサイトメトリーデータについてのゲーティング戦略。(C)B細胞、胚中心B細胞(CD3 CD19 CD95 GL7)、および形質芽球(CD3 CD19 CD138)の総数を計算した。BL;ブランクリポソーム。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、抗原+BLと比較して、;p<0.05、**;p<0.01、***;p<0.001である。
〔図21A-21B〕2B182Cは、より低い濃度でヒト(A)およびマウス(B)の両方のTLR4に対して有効である。HEK TLRレポーター細胞(HEK-BlueTMhTLR4およびHEK-BlueTMmTLR4)を、化合物1Z105および2B182C(10μMから2倍連続希釈)を用いて20時間処理した。培養上清中のNF-kB誘導性NF-kB SEAPレベルを、製造業者のプロトコルに従って評価した。
〔図22A-22C〕200nmol/注射の2B182cは、抗原特異的IgG1および抗-NA IgG2aのより高いレベルを誘導した。(A)2つのTLRアゴニスト1Z105と2B182Cとを比較するための実験プロトコル。0日目および21日目に、IIAV(10μg/注射)に加えてTLR4アゴニストの1Z105または2B182C(40および200nmol/注射)を両後脚に筋肉内注射し、BALB/cマウス(n=5/群)を免疫付与した。28日目に採血し、血清はELISAにより、血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)に対する抗体について評価した。10%DMSOをビヒクルとして使用した。(B)抗-HA IgG1抗体および抗-NA IgG1抗体。(C)抗-HA IgG2a抗体および抗-NA IgG2a抗体。各ボックスプロットにおいて、ボックス内の線は中央値を表し、境界は上下の四分位値であり、バーは最小値および最大値を示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、抗原+ビヒクルと比較して、P<0.05、**P<0.001である。
〔図23A-23C〕2B182CとTLR7アゴニストの1V270との組み合わせは、抗原特異的IgG1およびIgG2aの両方を増加させた。(A-C)図2Aに示すように、BALB/Cマウス(n=5~6)をIIAVおよびアジュバントを用いて免疫付与した。MF59と類似の製剤であるAddaVaxTMを、ポジティブコントロールとして使用した。抗-HA IgG1生産および抗-NA IgG1生産(A)、抗-HA IgG2a生産および抗-NA IgG2a生産(B)を、ELISAによって判断した。各ボックスプロットにおいて、ボックス内の線は中央値を表し、境界は上下の四分位値であり、バーは最小値および最大値を示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001である。抗原なしとAddaVax以外の4群を比較した(全てのペア)。(C)全ての組み合わせ処置によって誘導された抗-HA IgG1およびIgG2aレベル(ビヒクルに正規化)を、5~11匹のマウス/群の平均によって示す。各ドットは個々の動物を示す。黒の実線は、IgG2a/IgG1=1を示す。1V270と2B182Cとの組み合わせによって免疫付与された全ての動物は、IgG2a/IgG1=1より上に分布した。これは、これらのマウスにおける免疫バランスが、Th1免疫応答に偏向していたことを示唆している。
〔図24A-24B〕28日目の抗原特異的IgM生産。(AおよびB)BALB/cマウス(n=5~6)をIIAV(10μg/注射)で免疫付与し、図2Aに示すアジュバントを示した。抗原特異的IgMレベルを、ELISAによって測定した。(A)TLR4アゴニストの1Z105または2B182C(40および200nmol/注射)によって誘導される、抗-HA IgM生産および抗-NA IgM生産。(B)TLR7アゴニスト1V270(1nmol/注射)と、TLR4アゴニストの1Z105または2B182C(200nmol/注射)との組み合わせは、抗原特異的IgM誘導に対してわずかな影響を与えた。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05である。
〔図25A-25B〕リポソーム1V270およびリポソーム2B182Cは、より低い毒性を伴う同等のレベルのIL-12放出を誘導した。(A)IL-12分泌レベル。(B)%生存率。マウス初代BMDCを1V270(0.0625uM)および2B182C(12.5uM)を用いて処置した。1V270/2B182c比率を1:200に保ち、図3における最良の比率として判断した。一晩インキュベートした後、培養上清中のIL-12レベルをELISAによって調べ、細胞生存率をMTTアッセイによって評価した。Welch補正を伴う片側不対t検定により、それぞれの化合物におけるDMSO製剤(D)対リポソーム製剤(L)で、P<0.05、**P<0.01。
〔図25C〕組み合わせアジュバントの注射後の局所免疫細胞浸潤の組織学的分析。1V270(1nmol/注射)、2B182C(200nmol/注射)、または1V270(1nmol/注射)と2B182C(200nmol/注射)との組み合わせのリポソーム製剤を、BALB/cマウスに筋肉内注射した。組織を採取して固定し、パラフィンブロックに包埋した。10μm切片をH&Eで染色した。低倍率および高倍率は、それぞれ20×および40×の対物レンズを用いて得た。低倍率画像と高倍率画像におけるスケールバーは、それぞれ50μmと20μmを示す。
〔図25D〕ビヒクル、1V270、2B182C、1V270+2B182CをDMSO製剤またはリポソーム製剤と共に(50μLの容量中、1nmol/注射の1V270および200nmol/注射の2B182C)、BALB/cマウス(n=5/群)に筋肉内注射した。AddaVaxTM(25μL/注射)をポジティブコントロールとして使用した。2時間後および24時間後に血清を採取し、Luminex multiplexサイトカインアッセイによりIL-12p40、TNF、およびKCの分泌を調べた(A)。データは、平均±SEMで示される。Mann-Whitneyの両側U検定により、P<0.05、**P<0.01である。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、4群(同じ製剤中のビヒクル、1V270、2B182C、1V270+2B182C)を比較し、P<0.05、++P<0.01である。
〔図26A-26D〕リポソーム1V270およびリポソーム2B182Cは、抗-HA IgG1およびIgG2a生産、ならびに抗-NA IgG1およびIgG2a生産を相乗的に増強した。(A-C)図22Aに示すように、0日目および21日目に、IIAV(10μg/注射)および製剤化アジュバントを用いて、BALB/cマウス(n=5/群)を、筋肉内注射することにより免疫付与した。リポソームTLR7アゴニスト1V270(リポ-1V270、1nmol/注射)、リポソームTLR4アゴニスト2B182C(リポ-2B182C、200nmol/注射)、ならびに1V270および2B182Cのリポソーム複合アジュバント(リポ-1V270+2B182C、1nmo/注射+200nmo/注射)を注射した。ビヒクルは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびコレステロール(DOPC/Chol、対照リポソーム)である。AddaVaxTMをポジティブコントロールとして使用した。28日目に血清を採取し、HAまたはNAに特異的なIgG1、IgG2a、および総IgGを、ELISAによって判断した。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05および**P<0.01である。抗原なしとAddaVax以外の4群を比較した(全てのペア)。データは、類似の結果を伴う2つの独立した実験の代表である。
〔図27〕製剤化アジュバントによって誘導される、抗原特異的IgMレベル。0日目および21日目に、図2Aに示すように、製剤化アジュバントを伴うIIAV(10μg/注射)を用いて、BALB/cマウス(n=5/群)を、筋肉内注射することにより免疫付与した。リポソームTLR7アゴニスト1V270(リポ-1V270、1nmol/注射)、リポソームTLR4アゴニスト2B182C(リポ-2B182C、200nmol/注射)、ならびに1V270と2B182Cとの複合リポソームアジュバント(リポ-1V270+2B182C、1nmo/注射+200nmo/注射)を注射した。ビヒクルは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびコレステロール(DOPC/Chol、対照リポソーム)である。AddaVaxTMをポジティブコントロールとして使用した。28日目に血清を採取し、HAまたはNAに特異的なIgMを調べた。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05である。抗原なしとAddaVax以外の4つの処置を比較した(全てのペア)。データは、類似の結果を伴う2つの独立した実験の代表である。
〔図28A-28C〕製剤化複合アジュバントは、Tfhおよび抗体分泌細胞を増加させた。(A)0日目および21日目に、50μLの全容量中、1V270(1nmol/注射)および/または2B182C(200nmol/注射)を用いてIIAV(10μg/注射)で、BALB/cマウス(n=4~5/群)にワクチン接種した。28日目に、鼠径リンパ節中のリンパ球を採取してFACS分析を行った。Tfh細胞(CD3+ CD4+ PD-1+ CXCR5+)、GC B細胞(CD3- CD19+ CD95+ GL7+)、形質芽球(CD3- CD19+ CD138+)、および形質細胞(CD3- CD19- CD138+)についてのゲーティング戦略を示す。(B)生細胞中の%Tfh細胞、GC B細胞、形質芽球、および形質細胞。バーは、平均±SEMを示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05および**P<0.01である。AddaVax以外の4つの条件を比較した(全てのペア)。
〔図29A-29B〕製剤化複合アジュバントは、Tfhおよび抗体分泌細胞を増加させた。0日目および21日目に、50μLの全容量中、1V270(1nmol/注射)および/または2B182C(200nmol/注射)を用いてIIAV(10μg/注射)で、BALB/cマウス(n=4~5/群)にワクチン接種した。28日目に、鼠径リンパ節中のリンパ球を採取してFACS分析を行った(図5A)。Tfh細胞(CD3+ CD4+ PD-1+ CXCR5+)、GC B細胞(CD3- CD19+ CD95+ GL7+)、形質芽球(CD3- CD19+ CD138+)、および形質細胞(CD3- CD19- CD138+)についてのゲーティング戦略を図5Bに示す。(A)Tfh細胞、GC B細胞、形質芽球、形質細胞の数。(B)細胞の総数。バーは、平均±SEMを示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05および**P<0.01である(全てのペア)。
〔図30A-30C〕1V270と2B182Cとの製剤化された組み合わせ。(AおよびB)0日目および21日目に、製剤化アジュバンドを用いてIIAVでBALB/cマウスにワクチン接種し、28日目に鼠径リンパ節を採取してBCRレパトア分析を行った。(A)総IGH、IGHG1、およびIGHG2AのBCR多様性。(B)類似性解析。Jaccard指数を示す。(C)TCRαおよびTCRβの「1-pielou指数」によって示された、TCRクローナリティ。バーは、平均±SEMを示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、(リポソームと比較して)P<0.05および**P<0.01である。
〔図31A-31I〕リポ-2B182Cおよびリポ-1V270+2B182Cは、同種のインフルエンザウイルスからマウスを防御する。(A)同種のインフルエンザウイルス攻撃の実験スケジュール。(B)平均体重変化は、%初期体重によって示される。Dunnettの事後検定を伴う一元配置ANOVAにより、P<0.05、**P<0.01である。(C)同種のウイルス(H1N1pdm)による攻撃後のマウスの生存率。ログランク検定を用いたKaplan-Meier曲線を示す。肺ウイルス力価(D)および肺液中のサイトカインレベル(E)を評価した。3日目および6日目に、肺洗浄を行った。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、(リポソームと比較して)**P<0.01である。(F)肺ウイルス力価と、炎症誘発性サイトカインであるMCP-1(左)およびIL-6(右)との関係。Spearman順位相関検定(MCP‐1;**P<0.0001、Spearman r=0.83、IL‐6;***P<0.0001、Spearman r=0.79)。HI力価(G)および同種のウイルスに対するVN価(H)。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.01および***P<0.001である(全てのペア)。(I)VN力価と肺ウイルス力価との関係。各ドットは、同一動物におけるVN力価と肺ウイルス力価を示す。**P<0.01、Spearman順位相関検定、Spearman r=-0.59。
〔図32A-32C〕H3N2ウイルスによる異種攻撃。図31Aに記載されるように、BALB/cマウスを、IIAV(H1N1)に加えて製剤化アジュバントを用いて免疫付与し、そして異種のウイルスA/Victoria3/75(H3N2)を用いて鼻腔内攻撃した。(A)体重減少をモニターした。一元配置ANOVAにより、有意性は検出されなかった。(B)異種のウイルスによる攻撃後のマウスの生存率。ログランク検定(n.s.)を用いたKaplan-Meier曲線を示す。(C)3日目および6日目における、肺ウイルス力価。Kruskal-Wallis検定により、有意性は検出されなかった。
〔図33A-33G〕AおよびE)プロトコル。B-CおよびF-G)1V270および/または2B182CあるいはAddaVaxを投与したマウスにおける、A/PuertoRico/8/1934またはB/Florida/04/に感染後の経時的な体重および生存。D)1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxを投与したマウスにおける、IgG2a/IgG1比率。
〔図34A-34B〕A)1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、抗-HA IgG1、抗-HA IgG2a、および抗-HA IgM。B)1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、抗-NA IgG1、抗-NA IgG2a、および抗-NA IgM。
〔図35A-35F〕1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、AおよびB)抗-HAおよび抗-NA IgG1、C-D)抗-HAおよび抗-NA IgG2a、ならびにE-F)抗-HAおよび抗-NA IgM。B)1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、抗-NA IgG1、抗-NA IgG2a、および抗-NA IgM。
〔図36A-36B〕異なる投与量の1V270、1Z105、2B182c、またはそれらの組み合わせを投与したマウスにおける抗-HA IgG2aおよびIgG1。
〔図37〕様々なリポソームの概略図および例示的なプロトコル。
〔図38A-38B〕A/California/04/2009(H1N1)pdmのHAのペプチドアレイを使用するELISA。0日目および21日目に、IIAVに加えてLipo-Veh(ブランクリポソーム)、Lipo-1V270、Lipo-2B182C、Lipo-(1V270+2B182C)(共カプセル化組み合わせ)、または(Lipo-1V270)+(Lipo-2B182C)(混合組み合わせ)を用いて、BALB/cマウス(n=5~10)を免疫付与し、28日目に採血した。A/California/04/2009(H1N1)pdm(NR-15433)のHAのペプチドアレイはBEIリソースから入手した。5群のペプチドをプールし、28個のペプチドプールを作製した。(A)ELISAの結果によるOD405-570nmのヒートマップ。各行および各列は、それぞれペプチドプールおよびマウスを示している。(B)統計分析を、個々のマウスにおける28個のペプチドプールの平均について行った。**P<0.01、***P<0.0001、Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定。+P<0.05、Mann-Whitney検定。
〔図39A-39D〕抗体の交差反応性についてのELISA。BALB/cマウス(n=5/群)を、0日目および21日目に、IIAVに加えてLipo-Veh、Lipo-1V270、Lipo-2B182C、Lipo-(1V270+2B182C)、または(Lipo-1V270)+(Lipo-2B182C)を用いて免疫付与し、28日目に採血した。血清を連続希釈(1:100~1:409600)し、ELISAにより、Puerto RicoH1N1、H11N9、H12N5、H7N7、およびH3N2のHA、ならびにH5N1、H10N8、H3N2、およびH7N7のNAに対する、総IgGレベルを評価した。(A)本研究において使用したA型インフルエンザウイルスのHAの系統発生的関係。ELISAにおいて使用したタンパク質のアミノ酸配列を、インフルエンザリサーチデータベース(https://www.fludb.org/brc/home.spg?decorator=influenza)を用いたMUSCLEアルゴリズムにより整列させた。系統樹は、MEGAXソフトウェア(https://www.megasoftware.net/)を用いた近隣結合法により構築した。(B)H1N1、H11N9、H12N5、H3N2、およびH7N7のHAに対する総IgG力価曲線。(C)NAの系統発生的関係。(D)H5N1、H10N8、H3N2、およびH7N7のNAに対する総IgG力価曲線。血清を、100倍から始めて409600倍まで1:4に希釈し、総IgGレベルをELISAによって評価した。示されるデータは、平均±SEMである。
〔図40A-40B〕Lipo-(1V270+2B182C)は、交差反応性抗体を誘導した。(AおよびB)BALB/c(n=5/群)マウスを、0日目および21日目に、IIAV[A/California/2009(H1N1)pdm09]に加えてLipo-Veh、Lipo-1V270、Lipo-2B182C、Lipo-(1V270+2B182C)、または(Lipo-1V270)+(Lipo-2B182C)を用いて免疫付与し、28日目に採血した。血清を連続希釈(1:100~1:409600)し、ELISAにより、Puerto RicoH1N1、H11N9、H12N5、H7N7、およびH3N2のHA、ならびにH5N1、H10N8、H3N2、およびH7N7のNAに対する、総IgGレベルを評価した。prism 5を用いて計算した個々のマウスの総IgG力価曲線の幾何学的平均を示す。本研究で使用したHAタンパク質の総IgG力価曲線および系統発生的関係を上記した内容に示した。P<0.05、**P<0.01、Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定。+P<0.05、++P<0.01、Mann-Whitney検定。
〔図41〕例示的なTLR4およびTLR7アゴニスト。
〔詳細な説明〕
ワクチンにおけるアジュバントの使用は、弱い免疫原性抗原に対してより強い免疫応答を促進させるための十分に確立された方法である。さらに、アジュバントはまた、弱い免疫原性抗原の免疫原性を促進することによって免疫応答を増強し、そして潜在的に広げることができる。現在、ワクチンにおける使用が認可されているアジュバントは、ごくわずかである(O'Hagan, et al. doi: 10.1016/j.vaccine.2015.01.088)。さらに、既存のワクチンの大半は単一のアジュバントを含んでおり、最近の証拠から、多くの新興感染症に対して防御免疫を導入するには十分ではないことが示唆されている(Underhill, doi: 10.1111/j.1600-065X.2007.00548.x)。
アジュバントとしてのTLRアゴニストの組み合わせの使用によって、しばしば免疫応答は全体的に増強されてきた。しかし、インフルエンザのような感染症ワクチンの場合、Th1(細胞媒介性)の増強またはTh1型への応答の偏りは、Th2(体液性または抗体)型を犠牲にする。実際、Th1応答が増加しているにもかかわらず、防御Th2抗体の生産が不十分になることがあり、インフルエンザ感染症に対しては、ある種の防御抗体力価が免疫付与を介して有効な防御を提供するための主要な因子であると考えられている。
本開示において、単一のナノ粒子製剤中のTLR4/TLR7アゴニストの組み合わせの比率は、抗原に対する全体的な免疫応答を増強するだけでなく、マウスにおける致死性ウイルス攻撃に対する有効な防御のための十分な防御抗体生成を提供することも見出された。ヒトの免疫学的状態は、マウスのそれとはまったく異なるであろう。マウスは一般にインフルエンザのような抗原に曝露されないが、ヒトは通常、自然曝露とワクチン曝露の両方により、長年にわたってインフルエンザ抗原に曝露されてきた。ヒトにおいて帯状疱疹として後に現れ得る水痘(水痘帯状疱疹)など、他の感染性病原体についても同様のことがいえる。
1つの抗原による免疫付与は、第2の類似した抗原に対する強固な免疫応答を阻止することが知られている。これは、1)エピトープ排除(既存の抗体、特に粘膜IgAがワクチンをすべての抗原提示細胞から遮蔽する);2)減少した樹状細胞(DC)アクセス(メモリーB細胞が新たなワクチンを内部に取り込み、DCアクセスおよび活性化、並びにT細胞免疫付与が低下する);3)T細胞競合(メモリーB細胞が活性化され、サイトカイン、補助因子を消費し、抗原をロードしたDCと反応し得るT細胞を捕捉する)による可能性がある。
本開示は、1)ワクチンをDCに優先的に送達するリポソームナノ粒子中にワクチンをカプセル化すること、および2)ワクチン抗原に対する活性化T細胞の数の多様性を増大させる特定の比率において、組み合わせTLRアゴニストを使用してDCを活性化することによって、これらの負担を克服する。本発明は、同じリポソームナノ粒子中のTLR4アゴニストとTLR7アゴニストとの組み合わせをアジュバントとして製剤化することが、別々の製剤化アゴニストと非製剤化アゴニストとの混合組み合わせよりも、いくつかの利点を提供するという本発明者らの発見を開示する。製剤化された組み合わせは、免疫活性のためにナノ粒子中にTLR7に対するTLR4の特定の比率を有し得る。
この比率でのこれらの組み合わせの利点は、以下を含む:1)より優れたTh1およびTh2免疫応答を提供する、DMSO製剤に対する増強された活性化;2)DMSO製剤に対するより低い毒性;3)特に粘膜のインフルエンザ免疫付与のため、過免疫個体のB細胞およびIgAに由来する(ワクチン使用に対する)抗原の遮蔽、および有効な防御応答のための重要なエピトープを樹状細胞が提示することを可能にすること;および/または4)免疫応答を広げることにより、インフルエンザにおけるHA茎抗原の場合のような、より少ない免疫原性抗原に対する応答を含むこと、によって、より普遍的なワクチンが得られる。
アジュバントとしてのTLRアゴニストの組み合わせの使用は、しばしば免疫応答の全体的な増強をもたらしている。しかし、インフルエンザのような感染症のワクチンの場合、Th1(細胞媒介性)の増強またはTh1型への応答の偏りは、Th2(体液性または抗体)型を犠牲にする。実際、Th1応答が増加しているにもかかわらず、防御Th2抗体の生産が不十分になることがあり、インフルエンザ感染症に対しては、ある種の防御抗体力価が免疫付与を介して有効な防御を提供するための主要な因子であると考えられている。
本発明において単一のナノ粒子製剤中のTLR4/TLR7アゴニストの組み合わせの比率は、抗原に対する全体的な免疫応答を増強するだけでなく、マウスにおける致死性ウイルス攻撃に対する有効な防御のための十分な防御抗体生成を提供することも見出された。ヒトの免疫学的状態は、マウスのそれとはまったく異なるであろう。マウスは一般にインフルエンザのような抗原に曝露されないが、ヒトは通常、自然曝露とワクチン曝露の両方により、長年にわたってインフルエンザ抗原に曝露されてきた。ヒトにおいて帯状疱疹として後に現れ得る水痘(水痘帯状疱疹)など、他の感染性病原体についても同様のことがいえる。
1つの抗原による免疫付与は、第2の、類似した抗原に対する強固な免疫応答を阻止することが知られている。これは、1)エピトープ排除(既存の抗体、特に粘膜IgAがワクチンをすべての抗原提示細胞から遮蔽する);2)減少した樹状細胞(DC)アクセス(メモリーB細胞が新たなワクチンを内部に取り込み、DCアクセスおよび活性化、並びにT細胞免疫付与が低下する);3)T細胞競合(メモリーB細胞が活性化され、サイトカイン、補助因子を消費し、抗原をロードしたDCと反応し得るT細胞を捕捉する)による可能性がある。
本開示は、1)ワクチンをDCに優先的に送達するリポソームナノ粒子中にワクチンをカプセル化すること、および2)ワクチン抗原に対する活性化T細胞の数の多様性を増加させる特定の比率において、組み合わせTLRアゴニストを使用してDCを活性化することによって、これらの負担を克服する。
〔定義〕
組成物は、特定の化合物の「実質的に全て」、または組成物が質量基準で特定の組成物の少なくとも約90%、ならびに少なくとも約95%、99%、および99.9%を含む場合、特定の形態の化合物(例えば、異性体)から構成される。各化合物(例えば、異性体)が重量基準で組成物の少なくとも約10%を表す場合、組成物は、化合物の「混合物」または同じ化合物の形態を含む。本発明のTLR7アゴニストまたはそのコンジュゲートは、遊離酸または遊離塩基形態においてと同様に、酸塩または塩基塩として調製され得る。溶液中では、本発明の化合物の特定のものは、双性イオンとして存在することができ、ここで、対イオンは溶媒分子自体によって、または溶媒中に溶解または懸濁された他のイオンから提供される。
用語「Toll様受容体アゴニスト」(TLRアゴニスト)は、TLRに結合する分子を意味する。合成TLRアゴニストは、TLRに結合して受容体を活性化するように設計された化学的化合物である。
本発明の範囲内で、式(I)もしくは式(II)の化合物、またはそれらの塩は、互変異性の現象を示し得、それによって、2つの原子の間で水素原子を交換することによって容易に相互変換することができる2つの化合物が共有結合を形成することを理解されたい。互変異性化合物は互いに移動平衡状態で存在するので、それらは同じ化合物の異なる異性体形態とみなすことができる。本明細書内の式図面は、可能性のある互変異性体形態のうちの1つのみを表し得ることを理解されたい。しかし、本発明は、任意の互変異性体形態を包含し、式図面内で利用される任意の1つの互変異性体形態に単に限定されるものではないことも理解されたい。本明細書内の式図面は、可能性のある互変異性体形態のうちの1つのみを表すことができ、当該明細書は、明細書中で図示することが好都合であった形態だけでなく、描かれた化合物のすべての可能性のある互変異性体形態を包含することを理解されたい。例えば、互変異性は、波線によって示されるように結合したピラゾリル基によって表してもよい。置換基の両方が4-ピラゾリル基と呼ばれるが、異なる窒素原子が各構造において水素原子を有することは明らかである。
Figure 2022525608000001
このような互変異性は、3-メチル、5-メチル、または3,5-ジメチルピラゾールなどの置換ピラゾールでも起こり得る。互変異性の別の例としては、環窒素原子に隣接する環酸素原子を有する複素環式化合物において見られるような、アミド-イミド(環状の場合、ラクタム-ラクチム)互変異性がある。例えば、平衡:
Figure 2022525608000002
は、互変異性の例である。したがって、1つの互変異性体として本明細書に示される構造は、他の互変異性体も含むことが意図される。
[光学異性]
本発明の化合物が1つ以上のキラル中心を含有する場合、化合物は、純粋なエナンチオマー形態もしくはジアステレオマー形態として、またはラセミ混合物として存在してもよく、単離されてもよいことが理解されるであろう。したがって、本発明には、当該発明の化合物の任意の可能性のあるエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、またはそれらの混合物が含まれる。
キラル中心の存在から生じる異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれる一対の非重畳異性体を含む。純粋な化合物の単一エナンチオマーは光学的に活性であり、すなわち、それらは、平面偏光面を回転させることができる。単一エナンチオマーは、Cahn-Ingold-Prelogシステムに従って指定される。置換基の優先順位は、原子量に基づいてランク付けされ、系統的手順によって判断されるように、より高い原子量は、より高い優先順位を有する。一度、4つの基の優先順位が判断されると、分子は、最も低い順位の基が観察者から離れて指し示されるように配置される。そして、他の基の降順が時計回りに進む場合には分子は(R)に指定され、他の基の降順が反時計回りに進む場合には分子は(S)に指定される。スキーム14において、例えば、Cahn-Ingold-Prelog順位則はA>B>C>Dであり、最低のランキング原子Dは観察者から離れている。
Figure 2022525608000003
本発明は、ジアステレオマー、ならびにそれらのラセミ体および分離体、ジアステレオマー的およびエナンチオマー的に純粋な形態およびそれらの塩を包含することを意味する。ジアステレオマー対は、順相クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィー、ならびに結晶化を含む公知の分離技術によって分離され得る。
「単離された光学異性体」は、同じ式の対応する光学異性体から実質的に精製された化合物を意味する。一実施形態において、単離された異性体は、少なくとも約80重量%、例えば、少なくとも90重量%、98重量%、または99重量%純粋である。
単離された光学異性体は、周知のキラル分離技術によってラセミ混合物から精製することができる。そのような一方法によれば、本発明の化合物のラセミ混合物またはそのキラル中間体は、DAICEL(登録商標)CHIRALPAK(登録商標)ファミリーカラム(ダイセル化学工業株式会社、東京、日本)のシリーズの1つのような、適当なキラルカラムを使用するHPLCによって、99重量%の純度の光学異性体に分離される。カラムは、製造者の指示に従って操作される。
「薬学的に許容される」という語句は、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または合理的な利益/リスク比に相応する他の問題もしくは合併症なしに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、成分、組成物、および/または剤形を指すために本明細書では使用される。
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸塩または塩基塩を作製することによって修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、塩基性残基(例えば、アミン)の無機酸塩または有機酸塩;酸性残基(例えば、カルボン酸)のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の、従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の非毒性塩には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)から誘導されるもの;および有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、ベヘン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸など)から調製される塩が含まれる。
本発明において有用な化合物の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、化学量論的な量の適切な塩基または酸と、水中または有機溶媒中またはこれら2つの混合物中で反応させることによって調製され得る。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体を使用することができる。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, p. 1418 (1985)に見出され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される式の化合物は溶媒和物であり得、いくつかの実施形態において水和物であり得る。用語「溶媒和物」とは、固体構造に1つまたは複数の溶媒分子が結合した固体化合物を指す。化合物を溶媒から結晶化させたときに、溶媒和物は形成され得る。固化により1つまたは複数の溶媒分子が固体結晶マトリックスの不可欠な部分になるときに、溶媒和物は形成される。本明細書に記載の式の化合物は、溶媒和物、例えば、エタノール溶媒和物であり得る。別の種類の溶媒和物は、水和物である。「水和物」とは、同様に、固体または結晶構造と分子レベルで密接に結合した1つまたは複数の水分子を有する、固体化合物を指す。化合物を水中で固化または結晶化させた時に、水和物は形成され得、ここで、1つまたは複数の水分子は、固体結晶マトリックスの不可欠な部分となる。
別段の記載がない限り、以下の定義が使用される;ハロまたはハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルなどは、直鎖基および分岐基の両方を意味するが、「プロピル」などの個々のラジカルへの言及は直鎖ラジカルのみを包含し、「イソプロピル」などの分岐鎖異性体は明確に言及される。アリールとは、少なくとも1つの環が芳香族である、約9~10個の環原子を有するフェニルラジカルまたはオルト縮合二環式炭素環ラジカルを意味する。Hetは、ヘテロアリール(炭素からなる5個または6個の環原子と、非過酸化物酸素、硫黄、およびN(X)(Xは、欠如しているか、H、O、(C~C)アルキル、フェニル、またはベンジル、ならびにそれらから誘導される約8~10個の環原子のオルト縮合二環式複素環式ラジカル、特にベンズ誘導体、またはプロピレン、トリメチレン、もしくはテトラメチレンジラジカルをそれに融合させることによって誘導されるものである)からなる群からそれぞれ選択される1~4個のヘテロ原子とを含む、単環式芳香族環の環炭素を介して結合したラジカルを包含する)であり得る。
キラル中心を有する本発明の化合物が、光学活性およびラセミ形態において存在し得、そして単離され得ることは、当業者によって理解されるであろう。いくつかの化合物は、多型を示し得る。本発明は、本明細書に記載の有益な特性を有する本発明の化合物の任意のラセミ、光学活性、多形、または立体異性形態、またはそれらの混合物を包含し、光学活性形態を調製する方法(例えば、再結晶技術によるラセミ形態の分割によって、光学活性出発物質からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離によって)、および本明細書に記載の標準試験を使用して、または当技術分野で周知の他の類似の試験を使用して、アゴニスト活性を判断する方法が、当技術分野で周知であることを理解されたい。また、本明細書に記載の化合物は、互いに様々な平衡状態で存在することができるそれらの様々な互変異性体を含むことが当業者には理解される。
本明細書中で使用される用語「処置する(treat)」および「処置すること(treating)」は、(i)病的状態が起こることを防ぐこと(例えば、予防);(ii)病的状態を阻害すること、またはその進行を停止(arresting)させること;(iii)病的状態を緩和(relieving)すること;および/または(iv)状態の症状を改善(ameliorating)、緩和(alleviating)、軽減(lessening)、および除去(removing)することを指す。本明細書に記載される候補分子または化合物は、製剤または薬剤中の量(生物学的効果をもたらし得るか、または例えば病気の症状を改善(ameliorating)、緩和(alleviating)、軽減(lessening)、緩和(relieving)、軽減(diminishing)、または除去(removing)することをもたらし得る量)で存在し得る。当該用語はまた、細胞増殖速度を減少(reducing)もしくは停止(stopping)させること(例えば、腫瘍増殖を減速(slowing)もしくは停止(halting)させること)、または増殖している癌細胞の数を減少させること(例えば、腫瘍の一部または全部を除去すること)を指し得る。これらの用語はまた、微生物に感染した系(例えば、細胞、組織、または被験体)における、微生物(microorganism)(微生物(microbe))の力価を減少させること、微生物繁殖速度を減少させること、微生物感染に関連する症状の数または症状の影響を減少させること、および/または系から検出可能な量の微生物を除去することにも適用可能である。微生物の例としては、ウイルス、細菌、および真菌が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、被験体における疾患もしくは障害を処置もしくは予防するための、または疾患もしくは障害の症状を処置するための化合物の量、または化合物の組み合わせの量を指す。本明細書で使用される用語「被験体」および「患者」は、一般に、本明細書に記載される一方法に従って処置(例えば、化合物の投与)を受けるか、または受けた個体を指す。
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な程度の純度まで単離され、有効な治療薬へと製剤化されるまで残存するのに十分に頑健である化合物を意味する。安定な化合物のみが、本発明によって意図される。
用語「被験体」、「患者」、または「それを必要とする被験体」は、本明細書中に提供されるような化合物、医薬組成物、混合物、またはワクチンの投与によって処置され得る疾患または状態に罹患しているか、あるいは罹患しやすい生体を指す。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ属の動物、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、および他の非哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態おいて、患者はヒトである。いくつかの実施形態では患者は家畜化された動物である。いくつかの実施形態では患者はイヌである。いくつかの実施形態では患者はオウムである。いくつかの実施形態では患者は家畜である。いくつかの実施形態では患者は哺乳動物である。いくつかの実施形態では患者はネコである。いくつかの実施形態では患者はウマである。いくつかの実施形態では患者はウシ属の動物である。いくつかの実施形態では患者はイヌ科の動物である。いくつかの実施形態では患者はネコ科の動物である。いくつかの実施形態では患者は類人猿である。いくつかの実施形態では患者はサルである。いくつかの実施形態では患者はマウスである。いくつかの実施形態では患者は実験動物である。いくつかの実施形態では患者はラットである。いくつかの実施形態では患者はハムスターである。いくつかの実施形態では患者は試験動物である。いくつかの実施形態では患者は新生動物である。いくつかの実施形態では患者は新生のヒトである。いくつかの実施形態では患者は新生哺乳動物である。いくつかの実施形態では患者は高齢動物である。いくつかの実施形態では患者は高齢のヒトである。いくつかの実施形態では患者は高齢哺乳動物である。いくつかの実施形態では患者は老人患者である。
本明細書中で使用される用語「有効量」は、意図される目的を達成するために有効な量を指す。したがって、用語「治療有効量」などは、疾患もしくは障害の処置もしくは予防、または疾患もしくは障害の症状の処置を、それらを必要とする被験体において行うための、化合物、混合物もしくはワクチンの量、またはそれらの組み合わせの量を指す。
用語「TLR」は、NFB活性化を調節する自然免疫系の構成要素であるToll様受容体を指す。
本明細書で使用される用語「TLRモジュレーター」、「TLR免疫モジュレーター」などは、通常のおよび慣習的な意味において、Toll様受容体を作動させるか、または阻害する化合物を指す。例えば、PCT/US2010/000369, Hennessy, E.J., et al., Nature Reviews 2010, 9:283- 307; PCT/US2008/001631; PCT/US2006/032371; PCT/US2011/000757を参照されたい。したがって、「TLRアゴニスト」はTLRを作動させるTLRモジュレーターであり、「TLRアンタゴニスト」はTLRを阻害するTLRモジュレーターである。
本明細書中で使用される用語「TLR4」は、TLR4遺伝子産物、およびホモログ、アイソフォーム、ならびにそれらの機能的断片を指す:アイソフォーム1(NCBIアクセッションNP_612564.1);アイソフォーム2(NCBIアクセッションNP_003257.1);アイソフォーム3(NCBIアクセッションNP_612567.1)。開示された製剤に含まれ得るTLR4のアゴニストとしては、式(II)の化合物、例えば、ピリミドインドール、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート、具体的には、CRX-601およびCRX-547)、RC-29、モノホスホリルリン脂質A(MPL)、グルコピラノシル脂質アジュバント(GLAおよびSLA)、OM-174、PET脂質A、ONO-4007、INI-2004(ジアミンアロースホスフェート)、ならびにE6020が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される用語「TLR7」は、TLR7遺伝子産物(NCBIアクセッションAAZ99026)、およびホモログ、ならびにそれらの機能的断片を指す。開示された製剤に含まれ得るTLR7アゴニストとしては、式(I)の化合物、イミダゾキノリン、例えば、イミキモド、CL097もしくはガルジキミド、CL264、CL087などのアデニン類似体、3M002(CL075)などのチアゾロキノリン、アスロキソリビンなどのグアノシン類似体、またはチオキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。
〔TLR4およびTLR7〕
Toll様受容体(TLR)は、病原体関連分子パターン(PAMP)として知られる、保存された微生物産物を認識するパターン認識受容体である。TLR4はLPSを認識する。TLR4シグナリングは、MyD88およびTRIFの依存性経路を活性化させる。MyD88経路は、NF-κBおよびJNKを活性化して炎症反応を誘導する。TRIF経路は、IRF3を活性化してIFN-αの生産を誘導する。
TLR4は、主に単球、成熟マクロファージ、ならびに樹状細胞、肥満細胞、および腸上皮において発現する。TLR4についてのTLRモジュレーター(アゴニスト)としては、NI-0101(Hennessy 2010, Id.)、1A6(Ungaro, R., et al., Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol. 2009, 296:G1167-G1179)、AV411(Ledeboer, A., et al., Neuron Glia Biol. 2006, 2:279-291; Ledeboer, A., et al., Expert Opin. Investig. Drugs 2007, 16:935-950)、Eritoran(Mullarkey, M., et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2003, 305:1093-1102)、およびTAK-242(Li, M., et al., Mol. Pharmacol. 2006, 69:1288-1295)が挙げられる。TLR4についてのTLRモジュレーター(アゴニスト)としては、Pollinex(登録商標)Quattro(Baldrick, P., et al., J. Appl. Toxicol. 2007, 27:399-409; DuBuske, L., et al., J. Allergy Clin. Immunol. 2009, 123:S216)が挙げられる。TLR7シグナリングは、MyD88依存性経路およびIRF7依存性シグナリングを活性化させる。IRF7経路は、IFN-α生産を誘導する。
TLR7は、ss-RNAまたは合成化学物質(イミキモド、R848)を感知する。TLR7およびTLR8は、単球およびマクロファージのエンドソームに見られ、TLR7は形質細胞様樹状細胞にも発現し、TLR8は肥満細胞にも発現する。これらの受容体はどちらも、ウイルス由来の一本鎖RNAを認識する。合成リガンド(例えば、R-848およびイミキモド)は、TLR7およびTLR8のシグナリング経路を活性化するために使用され得る。例えば、Caron, G., et al., J. Immunol. 2005, 175:1551-1557を参照されたい。TLR9は、単球、マクロファージ、および形質細胞様樹状細胞のエンドソームに発現し、細菌およびウイルスDNAに見られる非メチル化CpGアイランドの受容体として作用する。非メチル化CpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチドが、TLR9を活性化するために用いられる。例えば、クラスAオリゴヌクレオチドは、形質細胞様樹状細胞を標的とし、IFNa生産および抗原提示細胞成熟を強く誘導しながら、ナチュラルキラー細胞を間接的に活性化する。クラスBオリゴヌクレオチドは、B細胞およびナチュラルキラー細胞を標的とし、インターフェロン-a(IFNa)をほとんど誘導しない。クラスCオリゴヌクレオチドは、形質細胞様樹状細胞を標的とし、IFNaの強力な誘導因子である。このクラスのオリゴヌクレオチドは、抗原提示細胞の活性化および成熟に関与し、間接的にナチュラルキラー細胞を活性化し、B細胞を直接刺激する。例えば、Vollmer, J., et al., Eur. J. Immunol. 2004, 34:251-262; Strandskog, G., et al., Dev. Comp. Immunol. 2007, 31:39-51を参照されたい。
TLR7について報告されているTLRモジュレーター(アゴニスト)としては、ANA772(Kronenberg, B. & Zeuzem, S., Ann. Hepatol. 2009, 8:103-112)、イミキモド(Somani, N. & Rivers, J.K., Skin Therapy Lett. 2005, 10:1-6)、およびAZD8848(Hennessey 2010, Id.)が挙げられる。TLR8についてのTLRモジュレーター(アゴニスト)としては、VTX-1463(Hennessey 2010, Id.)が挙げられる。TLR7およびTLR8についてのTLRモジュレーター(アゴニスト)としては、Resiquimod(Mark, K.E., et al., J. Infect. Dis. 2007, 195:1324-1331; Pockros, P.J., et al., J. Hepatol. 2007, 47:174-182)が挙げられる。TLR7およびTLR9についてのTLRモジュレーター(アンタゴニスト)としては、IRS-954(Barrat, F.J., et al., Eur. J. Immunol. 2007, 37:3582-3586)およびIMO-3100(Jiang, W., et al., J. Immunol. 2009, 182:48.25)が挙げられる。TLR9アゴニストとしては、SD-101(Barry, M. & Cooper, C., Expert Opin. Biol. Ther. 2007, 7:1731-1737)、IMO-2125(Agrawal, S. & Kandimalla, E.R., Biochem. Soc. Trans. 2007, 35:1461-1467)、Bio Thrax plus CpG-7909(Gu, M., et al., Vaccine 2007, 25:526-534)、AVE0675(Parkinson, T., Curr. Opin. Mol. Ther. 2008, 10:21-31)、QAX-935(Panter, G., et al., Curr. Opin. Mol Ther. 2009, 11:133-145)、SAR-21609(Parkinson 2008, Id.)、およびDIMS0150(Pastorelli, L., et al., Expert Opin. Emerg. Drugs 2009, 14:505-521)が挙げられる。
〔TLR7リガンドおよびそのコンジュゲート〕
TLR7リガンドおよびそのコンジュゲートに関して、本明細書中で使用される用語「アルキル」、「アルケニル」、および「アルキニル」は、直鎖、分岐鎖、および環状の一価ヒドロカルビルラジカル、ならびにこれらの組み合わせを含み得、これらは非置換である場合、CおよびHのみを含有する。例えば、メチル、エチル、イソブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、2プロペニル、3ブチニルなどが挙げられる。このような各基における炭素原子の総数は、本明細書に記載されることがある。例えば、基が最大10個の炭素原子を含み得るとき、1~10C、またはC~C10もしくはC1~10と表され得る。ヘテロ原子(典型的には、N、O、およびS)がヘテロアルキル基のように炭素原子を置換することを許される場合、例えば、基を記載する数は、依然として(例えばC~Cと)記述されているが、基における炭素原子の数と、記述されている環または鎖の主鎖中の炭素原子の置換として含まれるそのようなヘテロ原子の数との合計を表す。
典型的には本発明のアルキル、アルケニル、およびアルキニルの置換基は、1個の10C(アルキル)または2個の10C(アルケニルもしくはアルキニル)を含有する。例えば、それらは、1個の8C(アルキル)または2個の8C(アルケニルもしくはアルキニル)を含有する。時には、それらは1個の4C(アルキル)または2個の4C(アルケニルもしくはアルキニル)を含有する。単一基は、2つ以上の種類の多重結合、または2つ以上の多重結合を含み得る。そのような基が、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む場合には用語「アルケニル」の定義内に含まれ、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む場合には用語「アルキニル」内に含まれる。
アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、しばしば、そのような置換が化学的に意味をなす程度に置換されている。代表的な置換基としては、ハロ、=O、=N-CN、=N-OR、=NR、OR、NR、SR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、およびNOが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、各Rは、独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロアルキル、C~Cアシル、C~Cヘテロアシル、C~Cアルケニル、C~Cヘテロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cヘテロアルキニル、C~C10アリール、またはC~C10ヘテロアリールである。また、各Rは、ハロ、=O、=N-CN、=N-OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOで任意に置換され、ここで、各R’は、独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロアルキル、C~Cアシル、C~Cヘテロアシル、C~C10アリール、またはC~C10ヘテロアリールである。アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基はまた、C~Cアシル、C~Cヘテロアシル、C~C10アリール、またはC~C10ヘテロアリールによって置換され得、それらの各々は、特定の基に適切な置換基によって置換され得る。
「アセチレン」置換基は、任意に置換される2~10Cアルキニル基を含んでもよく、式-C≡C-Riで表される。式中、Riは、H、またはC~Cアルキル、C~Cヘテロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cヘテロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cヘテロアルキニル、C~Cアシル、C~Cヘテロアシル、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリール、C~C12アリールアルキル、もしくはC~C12ヘテロアリールアルキルである。各Ri基は、ハロ、=O、=N-CN、=N-OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOから選択される、1つまたは複数の置換基で任意に置換される。ここで、各R’は、独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロアルキル、C~Cアシル、C~Cヘテロアシル、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリール、C7~12アリールアルキル、またはC6~12ヘテロアリールアルキルであり、それぞれ、ハロ、C~Cアルキル、C~Cヘテロアルキル、C~Cアシル、C~Cヘテロアシル、ヒドロキシ、アミノ、および=Oから選択される1つまたは複数の基で任意に置換される。また、2つのR’は、N、O、およびSから選択される最大3個までのヘテロ原子を任意に含む、3~7員環を形成するように結合され得る。いくつかの実施形態では、-C≡C-RiのRiは、HまたはMeである。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」などは、対応するヒドロカルビル(アルキル、アルケニル、およびアルキニル)基と同様に定義される。しかし、用語「ヘテロ」は、骨格残基内に1~3個のO、S、もしくはNのヘテロ原子またはそれらの組み合わせを含む基を指す。したがって、対応するアルキル、アルケニル、またはアルキニル基の少なくとも1個の炭素原子は、特定のヘテロ原子の1個によって置換され、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニル基を形成する。アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基のヘテロ型についての典型的なサイズは一般に、対応するヒドロカルビル基のサイズと同じである。ヘテロ型上に存在し得る置換基は、ヒドロカルビル基について上記したものと同じである。特に明記しない限り、化学的安定性の理由から、オキソ基がニトロまたはスルホニル基などにおけるNまたはS上に存在する場合を除いて、このような基は3つ以上の連続するヘテロ原子を含まないことも理解されたい。
本明細書で使用される「アルキル」は、シクロアルキル基およびシクロアルキルアルキル基を含み、用語「シクロアルキル」は、環炭素原子を介して連結される炭素環非芳香族基を記載するために本明細書で使用されてもよく、「シクロアルキルアルキル」はアルキルリンカーを介して分子に連結される炭素環非芳香族基を記載するために使用されてもよい。同様に、「ヘテロシクリル」は、少なくとも1つのヘテロ原子を環員として含有し、CまたはNであってもよい環原子を介して分子に連結される非芳香族環基を記載するために使用されてもよい。「ヘテロシクリルアルキル」は、リンカーを介して別の分子に連結されるそのような基を記載するために使用されてもよい。シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、およびヘテロシクリルアルキル基に適したサイズおよび置換基は、アルキル基について上記したものと同じである。本明細書中で使用される場合、これらの用語はまた、環が芳香族でない限り、二重結合または2つを含有する環を含む。
本明細書中で使用される場合、「アシル」は、カルボニル炭素原子の2つの利用可能な原子価位置の1つに結合したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはアリールアルキルラジカルを含む基を包含する。ヘテロアシルとは、カルボニル炭素以外の少なくとも1個の炭素がN、O、およびSから選ばれるヘテロ原子で置換されている、対応する基を指す。ヘテロアシルは、例えば、-C(=O)ORおよび-C(=O)NRを、-C(=O)-ヘテロアリールと同様に含む。
アシル基およびヘテロアシル基は、カルボニル炭素原子の開放原子価を介してそれらが結合している任意の基または分子に結合している。典型的には、それらは、ホルミル、アセチル、ピバロイル、およびベンゾイルを含むC~Cアシル基、ならびにメトキシアセチル、エトキシカルボニル、および4-ピリジノイルを含むC~Cヘテロアシル基である。アシルまたはヘテロアシル基を含む、ヒドロカルビル基、アリール基、およびそのような基のヘテロ形態は、本明細書に記載される置換基(アシルまたはヘテロアシル基と対応する構成要素の各々に対して、一般的に適切な置換基とされる)で置換され得る。
「芳香族」部分または「アリール」部分とは、芳香族性のよく知られた特性を有する単環式または縮合二環式部分を指し、例えば、フェニルおよびナフチルが挙げられる。同様に、「ヘテロ芳香族」および「ヘテロアリール」とは、O、S、およびNから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を環員として含む、単環式または縮合二環式系を指す。ヘテロ原子を含めることにより、5員環ならびに6員環における芳香族性が可能になる。典型的なヘテロ芳香族系は、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、およびイミダゾリルなどの単環式C~C芳香族基、ならびにこれらの単環式基の1つをフェニル環またはヘテロ芳香族単環式基のいずれかと融合させることにより形成した縮合二環式部分を含み、インドリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ピラゾロピリジル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリルなどのC~C10二環式基を形成する。環系全体にわたる電子分布に関して芳香族性の特性を有する、任意の単環式または縮合二環式系が、この定義に含まれる。それはまた、少なくとも、分子の残りの部分に直接結合された環が芳香族性の特性を有する、二環式基を含む。典型的には、環系は5~12個の環員原子を含有する。例えば、単環式ヘテロアリールは5~6個の環員を含有してもよく、二環式ヘテロアリールは8~10個の環員を含有する。
アリールおよびヘテロアリール部分は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C12アリール、C~Cアシル、およびこれらのヘテロ形態を含む様々な置換基で置換されてもよく、これらの各々はそれ自体さらに置換されてもよい。アリールおよびヘテロアリール部分に対する別の置換基は、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、およびNOを含む。ここで、各々のRは、独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cヘテロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cヘテロアルキニル、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリール、C~C12アリールアルキル、またはC~C12ヘテロアリールアルキルであり、各々のRは、アルキル基について上記のように任意に置換される。アリールまたはヘテロアリール基における置換基はもちろん、そのような置換基の各型に、または置換基の各構成要素に適するように、本明細書に記載の基でさらに置換されてもよい。したがって、例えば、アリールアルキル置換基は、アリール基に典型的なものとして、本明細書に記載の置換基でアリール部分において置換されてもよく、アルキル基に典型的なものとしてまたは適するものとして、本明細書に記載の置換基でアルキル部分においてさらに置換されてもよい。
同様に、「アリールアルキル」および「ヘテロアリールアルキル」は、芳香族およびヘテロ芳香族環系を指し、当該芳香族およびヘテロ芳香族環系は、置換または非置換、飽和または不飽和、環式または非環式リンカーを含む、アルキレンなどの連結基を介して、それらの結合点に結合している。典型的には、リンカーは、C~Cアルキルまたはそのヘテロ形態である。これらのリンカーはまた、カルボニル基を含んでもよく、したがって、それらは、アシルまたはヘテロアシル部分として置換基を提供することができる。アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基における、アリールまたはヘテロアリール環は、アリール基について上記したのと同じ置換基で置換されていてもよい。例えば、アリールアルキル基は、フェニル環(アリール基について上記で定義された基で任意に置換されている)およびC~Cアルキレン(非置換であるか、あるいは1つまたは2つのC~Cアルキル基もしくはヘテロアルキル基で置換されており、ここでアルキル基またはヘテロアルキル基は任意に環化され、シクロプロパン、ジオキソラン、またはオキサシクロペンタンのような環を形成し得る)を含んでいる。同様に、ヘテロアリールアルキル基は、C~C単環式ヘテロアリール基(アリール基に典型的な置換基として上記されている基で任意に置換されている)およびC~Cアルキレン(非置換であるか、あるいは1つまたは2つのC~Cアルキル基もしくはヘテロアルキル基で置換されている)を含んでいる。または、ヘテロアリールアルキル基は、任意に置換されているフェニル環、もしくはC~C単環ヘテロアリール、およびC~Cヘテロアルキレン(非置換であるか、あるいは1つまたは2つのC~Cアルキル基またはヘテロアルキル基で置換されており、ここでアルキル基またはヘテロアルキル基は任意に環化され、シクロプロパン、ジオキソラン、またはオキサシクロペンタンのような環を形成し得る)を含んでいる。
アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基が任意に置換されていると記載されている場合、置換基は、基のアルキルもしくはヘテロアルキル部分、または基のアリールまたはヘテロアリール部分のいずれかにあってもよい。アルキルまたはヘテロアルキル部分に任意に存在する置換基は、一般にアルキル基について上記したものと同じであり、アリールまたはヘテロアリール部分に任意に存在する置換基は、一般にアリール基について上記したものと同じである。
本明細書で使用される「アリールアルキル」基は、それらが非置換の場合にはヒドロカルビル基であり、環およびアルキレン、または類似のリンカーにおける、炭素原子の総数によって記載される。したがって、ベンジル基はC-アリールアルキル基であり、また、フェニルエチルはC-アリールアルキルである。
上記の「ヘテロアリールアルキル」は、連結基を介して結合するアリール基を含む部分を指し、アリール部分の少なくとも一つの環原子または連結基の一つの原子がN、O、およびSから選択されるヘテロ原子である点で「アリールアルキル」と異なる。ヘテロアリールアルキル基は、環および結合するリンカーの総原子数に応じて本明細書に記載され、ヘテロアルキルリンカーを介して結合するアリール基;アルキレンのようなヒドロカルビルリンカーを介して結合するヘテロアリール基;およびヘテロアルキルリンカーを介して結合するヘテロアリール基を含む。したがって、例えば、C-ヘテロアリールアルキルは、ピリジルメチル、フェノキシ、およびN-ピロリルメトキシを含む。
本明細書で使用される「アルキレン」は、二価のヒドロカルビル基を指し、二価であるため、2つの別の基を一緒に連結し得る。典型的には、-(CH-(式中、nは1~8であり、例えばnは1~4であるが、特定される場合、アルキレンは別の基で置換され得、他の長さであり得、開放原子価は鎖の両端にある必要はない)を指す。したがって、-CH(Me)-および-C(Me)-は、シクロプロパン-1,1-ジイルなどの環状基と同様に、アルキレンとも呼ばれる。アルキレン基が置換される場合、置換基は、本明細書に記載されるようなアルキル基において典型的に存在する置換基を含む。
一般に、置換基に含まれる任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、もしくはアリールもしくはアリールアルキル基、またはこれらの基のうちの1つの任意のヘテロ形態は、それ自体、任意に追加の置換基によって置換されてもよい。これらの置換基の性質は、置換基が他に記載されていない場合、本来の置換基自体に関して列挙されたものと同様である。したがって、例えば、Rの実施形態がアルキルである場合、このアルキルは、化学的に意味があるRの実施形態として列挙された残りの置換基によって、任意に置換されてもよく、これはアルキル自体に提供される大きさの制限を損なわない;例えば、アルキルまたはアルケニルによって置換されたアルキルは、これらの実施形態の炭素原子の上限値を単に拡張するだけであり、当該アルキルは含まれない。しかしながら、アリール、アミノ、アルコキシ、=Oなどによって置換されたアルキルは本発明の範囲内に含まれ、これらの置換基の原子は、記載されているアルキル、アルケニルなどの基を記載するために使用する数には数えられない。置換基の数が特定されない場合、そのようなアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、またはアリール基の各々は、その利用可能な原子価に従って、いくつかの置換基で置換されてもよく;特に、例えば、これらの基のいずれかは、その利用可能な原子価のいずれかまたはすべてにおいて、フッ素原子で置換されてもよい。
様々な実施形態において、本発明は、哺乳動物における炎症に関連するような肝臓疾患を予防、阻害、または処置するための方法を提供する。この方法は、それを必要とする哺乳動物に、有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む:
Figure 2022525608000004
ここで、Xは、-O-、-S-、または-NR-であり;
は、水素、(C~C10)アルキル、置換(C~C10)アルキル、C6~10アリール、または置換C6~10アリール、C5~9複素環式、置換C5~9複素環式であり;
は、水素、C1~10アルキル、もしくは置換C1~10アルキルであり;またはRおよびRは、結合する窒素と共に複素環式環もしくは置換複素環式環を形成し;
各Rは、独立して、-OH、(C~C)アルキル、置換(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、置換(C~C)アルコキシ、-C(O)-(C~C)アルキル(アルカノイル)、置換-C(O)-(C~C)アルキル、-C(O)-(C~C10)アリール(アロイル)、置換-C(O)-(C~C10)アリール、-C(O)OH(カルボキシル)、-C(O)O(C~C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換-C(O)O(C~C)アルキル、-NR、-C(O)NR(カルバモイル)、ハロ、ニトロ、もしくはシアノであるか、またはRは欠如しており;
各RおよびRは、独立して、水素、(C~C)アルキル、置換(C~C)アルキル、(C~C)シクロアルキル、置換(C~C)シクロアルキル、(C~C)アルコキシ、置換(C~C)アルコキシ、(C~C)アルカノイル、置換(C~C)アルカノイル、アリール、アリール(C~C)アルキル、Het、Het(C~C)アルキル、または(C~C)アルコキシカルボニルであり;
ここで、任意のアルキル基、アリール基、または複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキレン、C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、C1~6アルコキシC1~6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロ、またはアリールであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
は、結合または連結基であり;および
一実施形態において、Rは1つまたは2つのカルボン酸エステルを含むリン脂質であるか、もしくは-(R-(Rを含み、Rは独立してポリエチレングリコール(PEG)部分であり、Rは独立してH、-C~Cアルキル、-C~Cアルコキシ、-NR、-N、-OH、-CN、-COOH、-COOR、-C~Cアルキル-NR、C~Cアルキル-OH、C~Cアルキル-CN、C~Cアルキル-COOH、C~Cアルキル-COOR、5~6員環、置換5~6員環、-C~Cアルキル-5~6員環、-C~Cアルキル-置換5~6員環、C~C複素環式、もしくは置換C~C複素環式であり、ここで、rは1~1000であり、sは1~100であり、pは1~100であり;
もしくはその互変異性体であり;
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
一実施形態において、Rは、PEG部分である。
いくつかの実施形態において、PEG反応物は、構造CHO(CHCHO)n-X-NHSを有し、ここで、Xは-COCHCHCOO-、-COCHCHCHCOO-、-CHCOO-,および-(CHCOO-であり得る。特定の実施形態において、PEG反応物は以下の構造、
Figure 2022525608000005
を有する。
いくつかの実施形態において、特定のPEG反応物は、二官能性である。いくつかの実施形態において、二官能性PEG反応物の例としては、構造X-(OCHCH)n-Xを有し、ここで、Xは(N-スクシンイミジルオキシカルボニル)メチル(-CHCOO-NHS)、スクシンイミジルグルタレート(-COCHCHCHCOO-NHS)、(N-スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル(-(CHCOO-NHS)、3-(n-マレイミジル)プロパンアミド、(-NHCOCHCH-MAL)、アミノプロピル(-CHCHCHNH)、または2-スルファニルエチル(-CHCHSH)である。
特定の実施形態において、いくつかのPEG反応物は、ヘテロ官能性である。ヘテロ官能性PEG反応物の例としては、以下の構造、
Figure 2022525608000006
を有する。ここで、いくつかの実施形態において、Xは、N-スクシンイミジルオキシカルボニル)メチル(-CHCOO-NHS)、スクシンイミジルグルタレート(-COCHCHCHCOO-NHS)、(N-スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル(-(CHCOO-NHS)、3-(n-マレイミジル)プロパンアミド、(-NHCOCHCH-MAL)、3-アミノプロピル(-CHCHCHNH)、2-スルファニルエチル(-CHCHSH)、5-(N-スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル(-(CHCOO-NHS)、またはp-ニトロフェニルオキシカルボニル、(-CO-p-CNO)であり得る。
特定の分岐PEG反応物(例えば、以下の構造を有するもの)もまた、利用され得る:
Figure 2022525608000007
ここで、Xはスペーサーであり、Yは官能基であり、いくつかの実施形態においてマレイミド、アミン、グルタリル-NHS、炭酸-NHS、または炭酸-p-ニトロフェノールを含むが、これらに限定されない。分岐鎖PEG反応物の利点は、それらが持続放出特性を有するコンジュゲート産物を生じ得ることである。
特定の実施形態において、PEG反応物はまた、以下のようなヘテロ官能性反応物、
Figure 2022525608000008
であってもよい。いくつかの実施形態において、Boc-保護-アミノ-PEG-カルボキシル-NHSまたはマレイミド-PEG-カルボキシル-NHS反応物を利用し得る。
特定の実施形態において、櫛形ポリマーをPEG反応物として利用して、いくつかのPEG単位をコンジュゲートに組み込むことができる。櫛形ポリマーの例を以下に示す。
Figure 2022525608000009
いくつかの実施形態において、PEG反応物および/またはPEGコンジュゲート産物は、1モルあたり約5グラム~1モルあたり約100,000グラムの範囲の分子量を有し得る。いくつかの実施形態において、PEG反応物および/またはPEGコンジュゲート産物は、1モルあたり約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、または90000グラムの平均(average)分子量、平均(mean)分子量、または公称分子量を有する。いくつかの実施形態において、本明細書の化合物におけるPEG部分は均一であり、PEG部分の分子量は化合物の特定の群の各分子について同じである(例えば、Rは1つのPEG単位であり、rは2~10である)。
様々な実施形態において、式(I)中のXは、結合、または鎖中に1~約10個の原子を有する鎖であり得、ここで、鎖の原子は、炭素、窒素、硫黄、および酸素からなる群より選択され、ここで、任意の炭素原子はオキソで置換され得、そして任意の硫黄原子は1つまたは2つのオキソ基で置換され得る。鎖には、1つまたは複数のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール環を散在させ得る。
式(I)におけるXの特定の例としては、-(Y)-、-(Y)-C(O)N-(Z)-、-(CH-C(O)N-(CH-、-(Y)-NC(O)-(Z)-、-(CH-NC(O)-(CH-が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、各々のy(添え字)およびz(添え字)は、それぞれ独立して、0~20であり、かつ、各々のYおよびZは、独立して、C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、C~C10アルコキシ、置換C~C10アルコキシ、C~Cシクロアルキル、置換C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、置換C~C10アリール、C~C複素環式、置換C~C複素環式、C~Cアルカノイル、Het、HetC~Cアルキル、またはC~Cアルコキシカルボニルである。ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、Het基、アリール基、または複素環式基における置換基は、ヒドロキシル、C~C10アルキル、ヒドロキシルC~C10アルキレン、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~C複素環式、C1~6アルコキシC1~6アルケニル、アミノ、シアノ、ハロゲン、またはアリールである。特定の実施形態において、リンカーは、-C(Y’)(Z’)-C(Y’’)(Z’’)-リンカーの場合があり、ここで、各々のY’、Y’’、Z’、およびZ’’は、独立して、水素C~C10アルキル、置換C~C10アルキル、C~C10アルコキシ、置換C~C10アルコキシ、C~Cシクロアルキル、置換C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、置換C~C10アリール、C~C複素環式、置換C~C複素環式、C~Cアルカノイル、Het、HetC~Cアルキル、またはC~Cアルコキシカルボニルである。ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、Het基、アリール基、または複素環式基における置換基は、ヒドロキシル、C~C10アルキル、ヒドロキシルC~C10アルキレン、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~C複素環式、C16アルコキシC1~6アルケニル、アミノ、シアノ、ハロゲン、またはアリールである。
式(I)のXの別の具体的な価は、
Figure 2022525608000010
である。
の別の具体的な価は、
Figure 2022525608000011
である。
様々な実施形態において、Xは、C(O)または以下のいずれか
Figure 2022525608000012
であり得る。
様々な実施形態において、式(I)におけるXは、酸素であり得る。
様々な実施形態において、式(I)におけるXは、硫黄または-NR-であり得る。ここで、Rは水素、C1~6アルキル、または置換C1~6アルキルであり、アルキルの置換基はヒドロキシ、C3~6シクロアルキル、C1~6アルコキシ、アミノ、シアノ、またはアリールである。より具体的には、Xは-NH-であり得る。
様々な実施形態において、式(I)におけるRおよびRは一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成し得る。より具体的には、RおよびRは一緒になって、置換または非置換モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、またはピペラジノ環を形成し得る。
様々な実施形態において、式(I)におけるRは、C1~6アルコキシで置換されたC~C10アルキルであり得る。
様々な実施形態において、式(I)におけるRは、水素、C1~4アルキル、または置換C1-4アルキルであり得る。より具体的には、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシC1~4アルキレン、またはC1~4アルコキシC1~4アルキレンであり得る。さらにより具体的には、Rは、水素、メチル、エチル、メトキシエチル、またはエトキシエチルであり得る。
様々な実施形態において、式(I)におけるRは欠如し得、またはRはハロゲンもしくはC1~4アルキルであり得る。より具体的には、Rは、クロロ、ブロモ、メチル、またはエチルであり得る。
一実施形態において、式(I)におけるRは、((R-(R、またはRである。一実施形態において、Rは、PEG部分またはPEG部分の誘導体である。特定の実施形態において、Rは、-O-CH-CH-または-CH-CH-O-である。一実施形態において、PEG部分は、1つまたは複数のPEG単位を含み得る。PEG部分は、約1~約1,000個のPEG単位を含み得、いくつかの実施形態において、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、または900個の単位であるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、PEG部分は、約1から5~最大約25個のPEG単位、約1から5~最大約10個のPEG単位、約10~最大約50個のPEG単位、約18~最大約50個のPEG単位、約47~最大約150個のPEG単位、約114~最大約350個のPEG単位、約271~最大約550個のPEG単位、約472~最大約950個のPEG単位、約50~最大約150個のPEG単位、約120~最大約350個のPEG単位、約250~最大約550個のPEG単位、または約650~最大約950個のPEG単位を含み得る。特定の実施形態において、PEG単位は、-O-CH-CH-または-CH-CH-O-である。いくつかの実施形態において、Rは、H、-C~Cアルキル、-C~Cアルコキシ、-NR、-N、-OH、-CN、-COOH、-COOR、-C~Cアルキル-NR、C~Cアルキル-OH、C~Cアルキル-CN、C~Cアルキル-COOH、C~Cアルキル-COOR、5~6員環、置換5~6員環、-C~Cアルキル-5~6員環、-C~Cアルキル-置換5~6員環C~C複素環式、または置換C~C複素環式である。
いくつかの実施形態において、rは約5~約100であり、時にはrは約5~約50または約5~約25である。特定の実施形態において、rは約5~約15であり、時にはrは約10である。いくつかの実施形態において、RはPEG単位(PEG)であり、rは約2~約10(例えば、rは約2~約4)または約18~約500である。
いくつかの実施形態においてsは約5~約100であり、時にはsは約5~約50または約5~約25である。特定の実施形態において、sは約5~約15であり、時にはsは約10である。いくつかの実施形態において、sは約5またはそれ未満である(例えば、sは1である)。いくつかの実施形態において、(R置換基は直線状であり、特定の実施形態において、(R置換基は分岐している。直線状部分の場合、sはrより小さい場合(例えば、Rが-O-CH-CH-または-CH-CH-O-の場合)があり、時にはsは1である。いくつかの実施形態において、Rは直線状PEG部分(例えば、約1~約1000個のPEG単位を有する)であり、sは1であり、rは1である。分岐部分の場合、sはrより小さいか、rより大きいか、またはrと等しい場合(例えば、Rが-O-CH-CH-または-CH-CH-O-の場合)があり、時にはrは1であり、sは1であり、pは約1から約1000である(例えば、pが約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000である)。
いくつかの実施形態において、Rは-O-CH-CH-または-CH-CH-O-であり、rは約1~約1000(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000)である。
特定の実施形態において、Xは、アミド連結基(例えば、-C(O)NH-または-NH(O)C-);アルキルアミド連結基(例えば、-C~Cアルキル-C(O)NH-、-C~Cアルキル-NH(O)C-、-C(O)NH-C~Cアルキル-、-NH(O)C-C~Cアルキル-、-C~Cアルキル--NH(O)C-C~Cアルキル-、-C~Cアルキル-C(O)NH-C~Cアルキル-、または-C(O)NH-(CH-であり、ここでtは1、2、3、または4である);置換5~6員環(例えば、アリール環、ヘテロアリール環(例えば、テトラゾール、ピリジル、2,5-ピロリジンジオン(例えば、置換フェニル部分で置換された2,5-ピロリジンジオン))、炭素環式環、または複素環式環)、または酸素含有部分(例えば、-O-、-C~Cアルコキシ)である。
本明細書で使用される用語「リン脂質」は、下記一般式で表され、グリセロールヒドロキシル基に結合したリン酸基を有するグリセロールモノ-またはジエステルを指し、リン酸基にエステルとして結合しているアルカノールアミン基を有し、
Figure 2022525608000013
ここで、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素またはアシル基であり、R13は、pHに依存して、負電荷または水素である。R13が負電荷である場合、ナトリウムイオンのような適切な対イオンが存在し得る。例えば、アルカノールアミン部分は、m=1であるようなエタノールアミン部分であり得る。NH基は、pHに依存して、プロトン化され、正に荷電されるか、またはプロトン化されず、中性であり得ることも理解されたい。例えば、リン脂質は、負に荷電したリン酸オキシアニオンおよび正に荷電したプロトン化窒素原子を有する双性イオンとして存在し得る。OR12を有する炭素原子はキラル炭素原子であるので、分子はR異性体、S異性体、またはそれらの任意の混合物として存在し得る。式(II)の化合物のサンプルにおいて等量のRおよびS異性体がある場合、サンプルを「ラセミ体」と呼ぶ。例えば、市販品1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンにおいて、R基はキラル構造
Figure 2022525608000014
であり、これはR絶対配置のものである。
リン脂質は、遊離分子であるか、例えば以下に示されるように別の基に共有結合され得、
Figure 2022525608000015
ここで、波線は結合点を示す。
したがって、本明細書における式(I)の化合物のRのような置換基が、リン脂質であると述べられている場合、これは、リン脂質基が本明細書中に開示されるようなN-ベンジル複素環式系のような別の基に、その構造によって特定されるように結合されることを意味する。リン脂質基の結合点は特に指定しない限り、構造的描写などによって、任意の化学的に実現可能な位置にあり得る。例えば、上記のリン脂質構造において、別の化学部分への結合点は、エタノールアミン窒素原子(例えば、他の化学部分のカルボニル基に結合することによるアミド基(例えば、
Figure 2022525608000016
ここで、Rは、リン脂質が結合される他の化学部分を表す))を介し得る。この結合したアミド誘導体において、R13基は、陽子であり得るか、またはナトリウムイオンのような対イオンに関連した負電荷であり得る。アルカノールアミン基のアシル化窒素原子はもはや塩基性アミンではなく、電気的に中性アミドであり、それ自体、生理学的pHでプロトン化されない。
「アシル」基は、当該用語が本明細書中で使用される場合、カルボニル基を有する有機構造を指し、これを介して、構造は、例えば、リン脂質のグリセロールヒドロキシル基に結合し、「カルボン酸エステル」基を形成する。アシル基の例としては、オレオイル基のような脂肪酸基が挙げられ、かくして、グリセロールヒドロキシル基と脂肪(例えば、オレオイル)エステルを形成する。したがって、R11またはR12の一方(両方ではない)がアシル基である場合、上述したリン脂質はモノ-カルボン酸エステルであり、R11およびR12の両方がアシル基である場合、上述したリン脂質はジ-カルボン酸エステルである。
一実施形態において、Rのリン脂質は2つのカルボン酸エステルを含み、それぞれのカルボン酸エステルは、不飽和、エポキシ化、ヒドロキシル化、またはそれらの組み合わせの1つ、2つ、3つ、または4つの部位を含む。
一実施形態において、Rのリン脂質は2つのカルボン酸エステルを含み、カルボン酸エステルは、同じであるかまたは異なっている。
一実施形態において、リン脂質の各カルボン酸エステルは、C8~C9に不飽和部位を有するC17カルボン酸エステルである。
一実施形態において、リン脂質の各カルボン酸エステルは、C9~C10に不飽和部位を有するC18カルボン酸エステルである。
一実施形態において、Xは結合、または鎖中に1~約10個の原子を有する鎖であり、鎖の原子は炭素、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択される(任意の炭素原子はオキソで置換され得、任意の硫黄原子は1つまたは2つのオキソ基で置換され得る)。
一実施形態において、Xは、C(O)、
Figure 2022525608000017
である。
一実施形態において、Rはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む。
一実施形態において、Rは1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンであり、XはC(O)である。
一実施形態において、Xは、酸素または-NH-である。
一実施形態において、RおよびRは一緒になって、複素環式または置換複素環式を形成し、例えば、置換または非置換モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、またはピペラジノ環を形成する。
一実施形態において、RはC1~6アルコキシで置換されたC1~C10アルキルであり、Rは水素、C1~4アルキル、または置換C1~4アルキルであるか、Rは水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシC1~4アルキレン、またはC1~4アルコキシC1~4アルキレンであるか、あるいはRは水素、メチル、エチル、メトキシエチル、またはエトキシエチルである。
一実施形態において、組成物は、ある量の抗原をさらに含む。
様々な実施形態において、哺乳動物は、ヒトであり得る。
様々な実施形態において、組成物は、鼻腔内投与され得るか、または経皮投与され得るか、あるいは全身投与され得る。
〔TLR4リガンド〕
TLR4リガンドに関して本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、単体で、または別の置換基の一部として、別段の記載がない限り、直鎖(すなわち、分岐していない)もしくは分岐鎖、またはそれらの組み合わせ(完全に飽和、一価不飽和、または多価不飽和であってもよく、指定された炭素原子数を有する(すなわち、C~C10は1~10個の炭素を意味する)二価および多価ラジカルを含むことができる)を意味する。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、(シクロヘキシル)メチル基などの基、例えばn-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などの相同体および異性体が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより高い相同体および異性体が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシは、酸素リンカー(-O-)を介して分子の残りに結合したアルキルである。
用語「アルキレン」は単体で、または別の置換基の一部として、別段の記載がない限り、アルキルから誘導される二価ラジカルを意味し、-CHCHCHCH-が挙げられるが、これに限定されない。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有する。一実施形態において、これらの基は、10個またはそれより少ない炭素原子を有する。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個またはそれより少ない炭素原子を有する、より短い鎖のアルキルまたはアルキレン基である。
用語「ヘテロアルキル」は単体で、または別の用語と組み合わせることにより、特に断りがない限り、安定した直鎖もしくは分岐鎖、またはその組み合わせ(少なくとも1つの炭素原子、ならびにO、N、P、Si、およびSから成る群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(ここで、窒素原子および硫黄原子は任意に酸素化され、窒素ヘテロ原子は任意に四価となる)から成る)を意味する。ヘテロ原子0、N、P、S、およびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残りに結合される位置に配置することができる。例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、-CH=CH-N(CH)-CH、-O-CH、-O-CH-CH、および-CN。最大2個までのヘテロ原子が連続していてもよく、例えば、-CH-NH-OCHである。
用語「ヘテロアルキレン」は単体で、または別の置換基の一部として、別段の記載がない限り、ヘテロアルキルから誘導される二価ラジカル(例えば、-CH-CH-S-CH-CH-および-CH-S-CH-CH-NH-CH-が挙げられるが、これらに限定されない)を意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子はまた、鎖末端の一方または両方を占め得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なお、さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基については、連結基の式が書かれている方向は、連結基の配向を含意しない。例えば、式-C(O)R’-は、-C(O)R’-および-R’C(O)-の両方を表す。上記のように、本明細書で使用されるヘテロアルキル基は、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’、および/または-SOR’などのヘテロ原子を介して、分子の残りに結合する基を含む。「ヘテロアルキル」を列挙し、続いて-NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基を列挙する場合、用語ヘテロアルキルおよび-NR’R’’は、重複または相互排他的ではないことが理解されるであろう。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明確さを増すために列挙されている。したがって、本明細書において用語「ヘテロアルキル」は、-NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基を除外するものと解釈すべきではない。
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は単体で、または他の用語と組み合わせることにより、別段の記載がない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式バージョンを意味する。さらに、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、複素環式が分子の残りに結合する位置を占め得る。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は単体、または別の置換基の一部として、別段の記載がない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「ハロ(C~C)アルキル」は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むが、これらに限定されない。
用語「アシル」は、別段の記載がない限り、-C(O)Rを意味し、ここで、Rは置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールを意味する。
用語「アリール」は、別段の記載がない限り、単一環または複数環(例えば、1~3環であり、共に縮合しているか(すなわち、縮合環アリール)または共有連結している)であり得る、多不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味する。縮合環アリールは、共に縮合した15個の複数環を指し、ここで、縮合環のうちの少なくとも1つは、アリール環である。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子(ここで、窒素原子および硫黄原子は任意に酸素化され、窒素原子は任意に四価となる)を含有する、アリール基(または環)を指す。したがって、用語「ヘテロアリール」は、縮合環ヘテロアリール基を含む(すなわち、複数環は共に縮合し、縮合環の少なくとも1つがヘテロ芳香族環である)。5,6-縮合環ヘテロアリーレンは、共に縮合した2つの環を指す(ここで、一方の環は5員を有し、他方の環は6員を有し、そして、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である)。同様に、6,6-縮合環ヘテロアリーレンは、共に縮合した2つの環を指す(ここで、一方の環は6員を有し、他方の環は6員を有し、そして少なくとも1つの環がヘテロアリール環である)。また、6,5-縮合環ヘテロアリーレンは、共に縮合した2つの環を指す(ここで、一方の環は6員を有し、他方の環は5員を有し、そして、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である)。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合し得る。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが挙げられる。上記のアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記載される許容される置換基の群から選択される。「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」単独で、または別の置換基の一部として、それぞれアリールおよびヘテロアリールから誘導される二価ラジカルを意味する。
簡潔にするために、用語「アリール」は、他の用語と組み合わせて使用する場合(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上記で定義されたアリール環およびヘテロアリール環の両方を含む。したがって、用語「アリールアルキル」は、アルキル基にアリール基が結合したそれらのラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含み、および炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば酸素原子によって置換されているそれらのアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むことを意味する。
用語「オキソ」は、本明細書で使用される場合、炭素原子に二重結合している酸素を意味する。
用語「アルキルスルホニル」は、本明細書で使用される場合、式-S(O)-R’を有する部分を意味し、ここで、R’は上記で定義されたアルキル基である。R’は、特定の個数の炭素を有し得る(例えば、「C-Cアルキルスルホニル」)。
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、および「ヘテロアリール」)の各々は、示されたラジカルの置換形態および非置換形態の両方を含む。
アルキルラジカルまたはヘテロアルキルラジカル(アルキレン基、アルケニル基、ヘテロアルキレン基、ヘテロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびヘテロシクロアルケニル基を含む)の置換基は、0から(2m’+1)の範囲の数(ここで、m’はラジカル中の炭素原子の総数である)において、-OR’、=0、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN、および-NOから選択される様々な基の1つまたは複数であり得るが、これらに限定されない。一実施形態において、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、それぞれ独立して、水素基、置換もしくは非置換ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換シクロアルキル基、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換アリール基(例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール基)、置換もしくは非置換アルキル基、アルコキシ基、もしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、2つ以上の基が存在する場合、各R基は、独立して、それぞれR’、R’’、R’’’、およびR’’’’基として選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合する場合、それらは窒素原子と組み合わさって4-、5-、6-、または7-員環を形成し得る。例えば、-NR’R’’としては、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。置換基についての上記の議論から、用語「アルキル」はハロアルキル(例えば、-CFおよび-CHCF)ならびにアシル(例えば、-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCHなど)などの水素基以外の基に結合した炭素原子を有する基を含むことを意味することを、当業者は理解するであろう。
アルキルラジカルについて記載した置換基と同様に、アリール基およびヘテロアリール基の置換基は、様々であり、0から芳香族環系における開放原子価の総数の範囲の数において、例えば、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN、-NO、-R’、-N、-CH(Ph)z、フルオロ(C~C)アルコキシ、およびフルオロ(C~C)アルキルから選択される。一実施形態において、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、2つ以上の基が存在する場合、各R基は、独立して、それぞれR’、R’’、R’’’、およびR’’’’基として選択される。
2個またはそれより多い置換基は任意に、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成してもよい。このようないわゆる環形成置換基は、必須ではないが、典型的には環式塩基構造に結合して見出される。一実施形態において、環形成置換基は、塩基構造の隣接する員に結合される。例えば、環式塩基構造の隣接する員に結合した2つの環形成置換基は、縮合環構造を作り出す。別の実施形態において、環形成置換基は、塩基構造の単一員に結合される。例えば、環式塩基構造の単一員に結合した2つの環形成置換基は、スピロ環式構造を作り出す。さらに別の実施形態において、環形成置換基は、塩基構造の隣接しない員に結合される。
アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子における2つの置換基は、任意に、式-T-C(O)-(CRR’)-U-(ここで、TおよびUは独立して、-NR-、-O-、-CRR’-、または単結合であり、qは0~3の整数である)の環を形成してもよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子における2つの置換基は、任意に、式-A-(CH-B-(ここで、AおよびBは独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NR’-または単結合であり、rは1~4の整数である)の置換基で置換されていてもよい。そのように形成された新しい環の単結合の1つは、任意に二重結合によって置換されていてもよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子における2つの置換基は、任意に、式-(CRR’)-X’(C’’R’’’)-(ここで、sおよびdは独立して、0~3の整数であり、X’は-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-S(O)NR’-である)の置換基で置換されていてもよい。一実施形態において、置換基R、R’、R’’、およびR’’’は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択される。
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、およびケイ素(Si)を含むことを意味する。
「置換基」は、本明細書で使用される場合、以下の部分から選択される基を意味する:
(A)-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-CCl、-NO、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに
(B)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであり、これらは以下から選択される少なくとも1つの基で置換されている:(i)オキソ、-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-CCl、-NO、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに(ii)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであり、これらは以下から選択される少なくとも1つの基で置換されている:(a)オキソ、-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-CCl、-NO、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに(b)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、これらは以下から選択される少なくとも1つの基で置換されている:オキソ、-OH、-NH、-SH、-CN、-CF、-CCl、-NO、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、および非置換ヘテロアリール。
「サイズ制限置換基(size-limited substituent)」または「サイズ制限置換基(size-limited substituent group)」は、本明細書中で使用される場合、「置換基」について上記される置換基のすべてから選択される基を意味する(ここで、置換または非置換アルキルの各々は、置換または非置換C~C20アルキルであり、置換または非置換ヘテロアルキルの各々は、置換または非置換2~20員ヘテロアルキルであり、置換または非置換シクロアルキルの各々は、置換または非置換C~Cシクロアルキルであり、置換または非置換ヘテロシクロアルキルの各々は、置換または非置換4~8員ヘテロシクロアルキルである)。
「低級置換基(lower substituent)」または「低級置換基(lower substituent group)」は、本明細書中で使用される場合、「置換基」について上記される置換基のすべてから選択される基を意味する(ここで、例えば、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C~Cアルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、置換または非置換2~8員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C~Cシクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、置換または非置換5~7員ヘテロシクロアルキルである。)
いくつかの実施形態において、本明細書の化合物において記載される各置換基は、少なくとも1つの置換基で置換される。より具体的には、いくつかの実施形態において、本明細書の化合物において記載される、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、および/または置換ヘテロアリーレンの各々は、少なくとも1つの置換基で置換される。他の実施形態において、これらの基の少なくとも1つまたはすべては、少なくとも1つのサイズ制限置換基で置換される。他の実施形態において、これらの基の少なくとも1つまたはすべては、少なくとも1つの低級置換基で置換される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、多数の置換基の例(例えば、R、R5A、R5B、R5C、R6A、R6B、R6C、R、R7A、R7B、R7C、R、R8A、R8B、および/またはR8C)を含んでもよい。そのような実施形態において、各置換基は、任意に、各存在で異なっていてもよく、適宜標識することによって各基を区別し、より明確にしてもよい。例えば、各R5Aが異なっている場合、それらは例えば、R5A.1、R5A.2、R5A.3、R5A.4、R5A.5として参照することができる。同様に、R5A、R5B、R5C、R6A、R6B、R6C、R、R7A、R7B、R7C、R、R8A、R8B、および/またはR8Cのいずれかが複合的に存在する場合、R5A、R5B、R5C、R6A、R6B、R6C、R、R7A、R7B、R7C、R、R8A、R8B、および/またはR8Cの各々の存在の定義は、それぞれ、R5A、R5B、R5C、R6A、R6B、R6C、R、R7A、R7B、R7C、R、R8A、R8B、および/またはR8Cの定義を想定する。
一態様において、式(II)を有する化合物:
Figure 2022525608000018
またはその薬学的に許容される塩が提供される。式(II)において、z1は0~4の整数であり、z2は0~5の整数であり、Rは置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、Rは置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、Rは水素、または置換もしくは非置換アルキルであり、Rは独立してハロゲン、-CN、-SH、-OH、-COOH、-NH、-CONH、ニトロ、-CF、-CCl、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
一実施形態において、RはR5A-置換もしくは非置換シクロアルキル、R5A置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R5A置換もしくは非置換アリール、またはR5A置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R5Aは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、R5B-置換もしくは非置換アルキル、R5B-置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R5B-置換もしくは非置換シクロアルキル、R5B-置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R5B-置換もしくは非置換アリール、またはR5B-置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R5Bは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、R5C-置換もしくは非置換アルキル、R5C-置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R5C-置換もしくは非置換シクロアルキル、R5C-置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R5C-置換もしくは非置換アリール、またはR5C-置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R5Cは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールである。
さらに、本実施形態によれば、Rは、R6A-置換もしくは非置換アルキル、R6A置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R6A置換もしくは非置換シクロアルキル、R6A置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R6A置換もしくは非置換アリール、またはR6A置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R6Aは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、R6B-置換もしくは非置換アルキル、R6B-置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R6B-置換もしくは非置換シクロアルキル、R6B-置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R6B-置換もしくは非置換アリール、または10R6B-置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R6Bは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、R6C-置換もしくは非置換アルキル、R6C-置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R6C-置換もしくは非置換シクロアルキル、R6C-置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R6C-置換もしくは非置換アリール、またはR6C-置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R6Cは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールである。
さらに、本実施形態によれば、Rは、水素、またはR7A-置換もしくは非置換アルキルである。R7Aは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールである。
本実施形態に加えて、Rは、独立して、ハロゲン、-CN、-SH、-OH、-COOH、-NH、-CONH、ニトロ、-CF、-CCl、R8A-置換もしくは非置換アルキル、R8A-置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R8A置換もしくは非置換シクロアルキル、R8A-置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R8A置換もしくは非置換アリール、またはR8A-置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R8Aは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、R8B-置換もしくは非置換アルキル、R8B-置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R8B-置換もしくは非置換シクロアルキル、R8B-置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R8B-置換もしくは非置換アリール、またはR8B-置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R8Bは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、R8C-置換もしくは非置換アルキル、84C-置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R8C-置換もしくは非置換シクロアルキル、R8C-置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R8C-置換もしくは非置換アリール、またはR8C-置換もしくは非置換ヘテロアリールである。R8Cは、独立して、ハロゲン、-CN、-CF、-CCl、-OH、-NH、-SO、-COOH、オキソ、ニトロ、-SH、-CONH、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールである。
別の態様において、上記に開示される式(II)の化合物が提供されるが、ただし:(i)式(II)の化合物は、
Figure 2022525608000019
ではなく、ここで、Rは、p-フルオロフェニルもしくはp-メチルフェニルであるか;(ii)該化合物は、
Figure 2022525608000020
ではなく、ここで、Rは、非置換アリール、非置換シクロヘキシル、非置換チアゾール、もしくは-CH-フラニルであるか;または(iii)Rは、水素ではない。
上記に開示される任意の態様に加えて、一実施形態では、Rは、置換フェニルではない。一実施形態において、Rは、p-フルオロフェニルおよびp-メチルフェニルではない。
一実施形態において、化合物は、Rが置換フェニルである式(IIa)の構造を有さない。一実施形態において、化合物は、Rがp-フルオロフェニルまたはp-メチルフェニルである式(IIa)の構造を有さない。
上記に開示される任意の態様に加えて、一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換アリール、非置換シクロヘキシル、非置換チアゾール、および-CH-フラニルではない。一実施形態において、化合物は、Rが置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換シクロヘキシル、置換もしくは非置換チアゾール、または置換もしくは非置換フラニルで置換されたアルキルである、式(IIb)の構造を有さない。一実施形態において、Rは、非置換アリール、非置換シクロヘキシル、非置換チアゾール、および-CH-フラニルではない。
上記に開示される任意の態様に加えて、一実施形態では、Rは、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換アリールである。一実施形態において、Rは、非置換シクロアルキルまたは非置換アリールである。
一実施形態において、Rは、置換もしくは非置換C~Cシクロアルキルまたは置換もしくは非置換フェニルである。一実施形態において、Rは、置換または非置換C、シクロアルキル、または置換もしくは非置換フェニルである。
一実施形態において、RはR5A-置換もしくは非置換C6シクロアルキルまたはR5A置換もしくは非置換フェニルであり、ここで、R5Aはハロゲンである。一実施形態において、RはR5A-置換または非置換フェニルであり、ここで、R5Aはハロゲンである。一実施形態において、RはR5A-置換または非置換フェニルであり、ここで、R5Aはフルオロである。一実施形態において、Rは非置換フェニルである。
上記に開示される任意の態様に加えて、一実施形態では、化合物は、Rが置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換シクロヘキシル、置換もしくは非置換チアゾール、または置換もしくは非置換フラニルで置換されたアルキルである、式(Ib)の構成を有さない。
一実施形態において、Rは、置換もしくは非置換C~C12シクロアルキル、置換もしくは非置換C~C12アルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。一実施形態において、Rは、置換もしくは非置換C~C12シクロアルキル、置換もしくは非置換C~C12アルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。一実施形態において、Rは、置換もしくは非置換C~C12シクロアルキル、置換もしくは非置換C~C12分岐アルキル、または置換もしくは非置換フェニルである。一実施形態において、Rは、R6A-置換もしくは非置換C~C12シクロアルキル、R6A-置換もしくは非置換C~C12分岐アルキル、またはR6A置換もしくは非置換フェニルであり、ここで、R6Aはハロゲンである。一実施形態において、Rは、R6A-置換もしくは非置換C~C12シクロアルキル、R6A-置換もしくは非置換C~C12分岐アルキル、またはR6A-置換もしくは非置換フェニルであり、ここで、R6Aはフルオロである。一実施形態において、Rは、非置換C~C12シクロアルキル、非置換C~C12分岐アルキル、またはR6A-置換もしくは非置換フェニルであり、ここで、R6Aはフルオロである。一実施形態において、Rは、非置換C~C12シクロアルキル、非置換C~C12分岐アルキル、または非置換フェニルである。一実施形態において、Rは、非置換C~C10シクロアルキルである。一実施形態において、Rは、非置換C~Cシクロアルキルである。一実施形態において、Rは、非置換シクロヘキシルである。
一実施形態において、Rは水素または置換もしくは非置換アルキルである。1つの30実施形態において、Rは水素または非置換アルキルである。一実施形態において、Rは水素または非置換C1~C3アルキルである。一実施形態において、Rは水素、メチル、またはエチルである。一実施形態において、Rはメチルである。一実施形態において、Rはエチルである。一実施形態では、Rは水素である。
一実施形態において、zlは0、1、2、3、または4である。一実施形態において、zlは0または1である。一実施形態では、zlは0である。一実施形態において、zlは1である。一実施形態において、z2は0、1、2、3、4、または5である。一実施形態において、z2は1である。
一実施形態において、Rは、独立して、置換または非置換アルキルである。一実施形態において、Rは、独立して、置換アルキルである。一実施形態において、Rは、独立して、非置換アルキルである。一実施形態において、Rは、独立して、置換または非置換ヘテロアルキルである。一実施形態において、Rは、独立して、置換ヘテロアルキルである。一実施形態において、Rは、独立して、非置換ヘテロアルキルである。一実施形態において、Rは、独立して、置換または非置換アリールである。一実施形態において、Rは、独立して、置換または非置換ヘテロアリールである。
Figure 2022525608000021
式(IIc)(上記)について、Rは、置換もしくは非置換アルキル、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり;Rは、置換もしくは非置換アルキルである。一実施形態において、Rは非置換シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル)である。一実施形態において、Rは非置換アルキル(例えば、3,3-ジメチルブチル)である。一実施形態において、Rは非置換アルキルである。一実施形態において、R10はアルキルエステルである。
別の態様において、式(IId)
Figure 2022525608000022
を有する化合物が提供される。
式(IId)について、Lはリンカーであり、Bはプリン塩基またはその類似体である。
一実施形態において、Lは置換もしくは非置換アルキレン、または置換もしくは非置換ヘテロアルキレンである。一実施形態において、Lは水溶性ポリマーを含む。「水溶性ポリマー」は、当技術分野で知られているように、生理学的条件下(例えば、温度、イオン濃度など)において、水に十分に溶解するポリマーを意味し、本明細書に記載の方法に有用である。例示的な水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコールである。
一実施形態において、水溶性ポリマーは、-(0CCH)m-であり、ここで、mは1~100である。一実施形態において、Lは開裂要素を含む。「開裂要素」は、化合物を放出するために開裂(例えば、加水分解)を受け得る化学官能基であり、リンカーLの残留物およびBを任意に含み、リンカーLの残留物20を任意に含む。
Figure 2022525608000023
Figure 2022525608000024

Figure 2022525608000025
Figure 2022525608000026
Figure 2022525608000027
Figure 2022525608000028
〔経路および製剤〕
1つまたは複数の抗原および1つまたは複数のアジュバントを有する組成物、ならびに任意の別の活性剤を有する組成物の投与、または1つまたは複数の抗原を有する組成物および1つまたは複数のアジュバントを有する組成物の投与は、適切な投与経路(特に、非経口、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、または皮下)のいずれかを介し得る。このような投与は、単回ボーラス注射、複数回注射、または短期間もしくは長期間の注入であり得る。埋め込み可能なデバイス(例えば、埋め込み可能な注入ポンプ)はまた、特定の製剤を同等のまたは様々な投与量で、経時的に非経口送達するために使用され得る。このような非経口投与のために、化合物(コンジュゲートまたは他の活性剤)は、水または別の適切な溶媒または溶媒の混合物中の滅菌溶液として製剤化することができる。溶液は、溶液を血液と等張にするための塩、糖(特にグルコースまたはマンニトール)、酢酸、クエン酸、および/またはリン酸などの緩衝剤、ならびにそれらのナトリウム塩、ならびに保存料などの他の物質を含有する可能性がある。
本発明の組成物は単独で、または他の活性剤と組み合せて、医薬組成物として製剤化され得、そしてヒト患者などの哺乳動物宿主に、選択された投与経路(例えば、経口または非経口(静脈内、筋肉内、局所、または皮下経路))に適合した様々な形態で、投与され得る。
したがって、組成物は単独で、または他の活性剤(例えば、抗原)と組み合わせて、(例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体などの薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて経口によって)全身投与することができる。これらは、硬質ゼラチンカプセルもしくは軟質ゼラチンカプセルに内包されても、錠剤として圧縮されても、または患者の食事用の食物に直接加えられてもよい。経口治療投与のために、活性化合物と任意に組み合わせた組成物は、1つまたは複数の賦形剤と組み合わせることができ、摂取可能な錠剤、口腔錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハースなどの形態で使用することができる。かかる組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。組成物および調製物のパーセンテージは、もちろん変えることができ、所与の単位投薬形態の重量の約2~約60%の間で好都合に変化させることができる。このような有用な組成物中のコンジュゲートおよび任意の他の活性化合物の量は、有効投与量レベルが得られるような量である。
錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤などは、以下のものを含有することもできる:トラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプン、またはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトース、もしくはアスパルテームなどの甘味剤、またはペパーミント、ウィンターグリーン油、もしくはチェリー香味剤などの香味剤。単位投薬形態がカプセル剤の場合、上記物質以外に、植物油またはポリエチレングリコールなどの液体担体を含有する可能性がある。様々な他の成分が、コーティングとして存在してもよく、または存在することにより、固体単位投薬形態の物理的な形態を改変してもよい。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、シェラック、または糖などによりコートされてもよい。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、保存料としてのメチルおよびプロピルパラベン、着色料、ならびにチェリーまたはオレンジフレーバーなどの香味剤を含有してよい。もちろん、任意の単位投薬形態の調製に使用される任意の成分は、その使用量で薬学的に許容されかつ実質的に非毒性であるべきである。さらに、リン脂質コンジュゲートは、任意に別の活性化合物と組み合わせて、徐放性調製物およびデバイスに組み込まれてもよい。
組成物は、任意に別の活性化合物と組み合わせて、注入または注射によって静脈内または腹腔内に投与することもできる。抗原(単数または複数)およびアジュバント(単数または複数)の溶液は、任意に別の活性化合物またはその塩と組み合わせて、水中で調製され得、任意に非毒性界面活性剤と混合され得る。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびそれらの混合物、ならびに油において調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は保存料を含むことにより、微生物の増殖を防ぐ。
注射または注入に適した薬学的投薬形態としては、滅菌水性溶液もしくは滅菌水性分散液、または滅菌注射もしくは滅菌注入が可能な溶液もしくは分散液の即時調製に適合する活性成分(任意にリポソーム中にカプセル化される)を含む滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、最終投薬形態は、製造および貯蔵の条件下で、滅菌、流動的、および安定であるべきである。液体担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、およびそれらの適当な混合物を含む、溶媒または液体分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、リポソームの生成、分散液の場合には必要な粒径の維持、または界面活性剤の使用により維持され得る。貯蔵中の微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝液、または塩化ナトリウムを含むことが有益であり得る。注射用組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の組成物中での使用によってもたらされ得る。
滅菌注射可能な溶液は、必要な量の化合物を、必要に応じて、上記に列挙した様々な他の成分と共に、適切な溶媒中に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。滅菌注射可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製の1つの方法として、真空乾燥および凍結乾燥技術が挙げられ、これは、活性成分の粉末+以前に滅菌濾過された溶液中に存在する任意のさらなる所望の成分を生じる。
局所投与のために、抗原(単数または複数)およびアジュバント(単数または複数)は、任意に別の活性化合物と組み合わされて、純粋な形態(例えば、それらが液体である)で適用され得る。しかしながら、一般に、それらを、固体または液体であり得る皮膚科学的に許容される担体と組み合わせて、組成物または製剤として皮膚に投与することが望ましい。
有用な固体担体としては、微細固体(例えばタルク)、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナなどが挙げられる。有用な液体担体としては、水、アルコールもしくはグリコール、または水-アルコール/グリコールのブレンドが挙げられ、その中で、本発明の化合物は、任意に非毒性界面活性剤を助剤として、有効なレベルで溶解または分散され得る。芳香剤および抗菌剤のようなアジュバントを添加して、所与の使用のための特性を増強し得る。得られる液体組成物は、含浸帯具およびその他の包帯に使用される吸収パッドによって適用され得るか、またはポンプ型噴霧器もしくはエアゾール噴霧器を用いて疾患領域に噴霧され得る。
合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩および脂肪酸エステル、脂肪アルコール、修飾セルロース、または修飾無機物などの増粘剤もまた、液体担体と共に用いることにより、使用者の皮膚に直接適用するための展延性のペースト、ゲル、軟膏、石鹸などを形成し得る。
さらに、一実施形態において、本発明は、吸入送達のために、任意に別の活性化合物と組み合わせた抗原(単数または複数)およびアジュバント(単数または複数)の様々な投薬製剤を提供する。例えば、製剤は、噴霧式吸入器、乾燥粉末吸入器、およびネブライザーなどの装置におけるエアゾール使用のために設計されてもよい。
化合物を皮膚に送達するために使用し得る、有用な皮膚科学的組成物の例は、当技術分野で公知であり、例えば、Jacquet et al. (U.S. Pat. No. 4,608,392), Geria (U.S. Pat. No. 4,992,478), Smith et al. (U.S. Pat. No. 4,559,157)およびWortzman (U.S. Pat. No. 4,820,508)を参照されたい。
有用な投与量は、動物モデルにおけるそれらのインビトロ活性およびインビボ活性を比較することによって判断され得る。マウスおよび他の動物において有効な投与量のヒトに対する外挿の方法は、当該分野で公知である;例えば、米国特許第4,938,949を参照されたい。TLRアゴニストとして作用するアジュバントの能力は、Lee et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100: 6646 (2003)によって開示される手順を含む、当該分野で周知の薬理学的モデルを使用して判断することができる。
一般に、ローションなどの液状組成物中の別の活性化合物と任意に組み合せたリン脂質の濃度は、約0.1~25重量%、例えば、約0.5~10重量%である。ゲルまたは粉末などの半固体または固体組成物中の濃度は、約0.1~5重量%、例えば、約0.5~2.5重量%である。
活性成分を投与することにより、約0.5~約75μM、例えば、約1~50μM(約2~約30μMなど)の活性化合物の最高血漿濃度に達成することができる。これは、例えば、活性成分の0.05~5%溶液を、任意に生理食塩水中に静脈内注射することによって、または約1~100mgの活性成分を含むボーラスとして経口投与することによって達成することができる。望ましい血中レベルは、約0.01~5.0mg/kg/hrを提供するための連続注入によって、または約0.4~15mg/kgの活性成分を含有する間欠的な注入によって維持され得る。
別の活性化合物、または活性塩もしくはその誘導体と任意に組み合わせられた、処置に使用するのに必要な抗原およびアジュバントの量は、選択される特定の塩だけでなく、投与経路、処置される状態の性質、ならびに患者の年齢および状態によっても変化し、最終的には担当医または臨床医の自由裁量である。しかしながら、概して、適切な投与量は、約0.5~約100mg/kg、例えば、約10~約75mg/kg体重/日(3~約50mg/kgレシピエントの体重/日など)、例として、6~90mg/kg/日の範囲、例えば、15~60mg/kg/日の範囲である。
別の活性化合物と任意に組み合わせた抗原(単数または複数)およびアジュバント(単数または複数)は、単位投薬形態で好都合に投与することができ;例えば、単位投薬形態当たり5~1000mg、好都合には10~750mg、最も好都合には50~500mgの活性成分を含む。
所望の投与量は、好都合には単回用量であるか、または適切な間隔で(例えば、1日あたり2、3、4、またはそれ以上の回数で副投与量として投与される分割投与量として提示され得る。副投与量それ自体は、多数の別個の緩く間隔があいた投与(例えば、吸入器からの多数回の吸入、または眼への複数回の点滴薬の適用など)にさらに分割されてもよい。投与量、およびおそらく投与頻度もまた、個々の患者の年齢、体重、状態、および反応に応じて変化するであろう。一般に、本明細書に記載される状態に対する、活性剤の総1日投与量の範囲は、単回または分割投与量で、約50mg~約5000mgであり得る。一実施形態において、一日投与量は、約100mg~約4000mgの範囲(例えば、単回または分割投与量で約1000~3000mg、例えば、経口投与される化合物を6時間毎に750mg)であるべきである。これは、約500~750uMの血漿レベルを達成し得、これは癌細胞を死滅させるために有効であり得る。患者の管理において、治療は、低投与量から開始し、患者の全体的な応答に応じて増加させるべきである。
特異的な抗原としては、アミノ酸、炭水化物、ペプチド、タンパク質、核酸、脂質、体内物質、または微生物などの細胞が挙げられる。
特異的なペプチドは、2~約20個のアミノ酸残基を有する。
別の特異的なペプチドは、10~約20個のアミノ酸残基を有する。
特異的な抗原には、炭水化物が含まれる。
特異的な抗原は、微生物である。特定の微生物は、ウイルス、細菌、または真菌である。
特異的な細菌は、Bacillus anthracis、Listeria monocytogenes、Francisella tularensis、Salmonella、またはStaphylococcusである。特異的なSalmonellaは、S.typhimuriumまたはS.enteritidisである。特異的なStaphylococcusとしては、S.aureusが挙げられる。
特異的なウイルスは、RSVおよびインフルエンザウイルスを含むRNAウイルス、RNAウイルスの産物、またはヘルペスウイルスを含むDNAウイルスである。特異的なDNAウイルスは、B型肝炎ウイルスである。
本発明は、抗原であってもなくてもよい他の活性剤(例えば、リバビリン、ミゾリビン、およびミコフェノール酸モフェチル)と任意に組み合わせた、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストのリン脂質コンジュゲートを含む組成物を含む。
〔例示的な実施形態〕
一実施形態において、哺乳動物における免疫応答を増強するための方法が提供される。
一実施形態において、上記方法は、有効な量のTLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストを含む組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。
一実施形態において、組成物は、リポソーム組成物である。
一実施形態において、組成物は、TLR4アゴニストを含むリポソームと、TLR7アゴニストを含むリポソームとを含む。
一実施形態において、組成物は、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストを含むリポソームを含む。
一実施形態において、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストは、同時投与される。
一実施形態において、TLR4アゴニストは、式(II)を有する。
一実施形態において、TLR4アゴニストは、1Z105、2B182c、INI-2004、またはCRX601を含む。
一実施形態において、TRL4アゴニストは、1Z105ではない。一実施形態において、TLR7アゴニストは、式(I)を有する。
一実施形態において、リポソームは、PC、DOPC、またはDSPCを含む。
一実施形態において、リポソームは、コレステロールを含む。
一実施形態において、方法は、1つまたは複数の免疫原を投与する工程をさらに含む。
一実施形態において、免疫原は、微生物免疫原であり、例えば、1つまたは複数の微生物タンパク質、糖タンパク質、糖類および/またはリポ多糖類である。
一実施形態において、微生物は、インフルエンザまたは水痘などのウイルス、または細菌である。
一実施形態において、微生物は、寄生虫または真菌である。
一実施形態において、リポソームは、1つまたは複数の免疫原を含む。
一実施形態において、組成物は、1つまたは複数の免疫原を含む。
一実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
一実施形態において、哺乳動物は、げっ歯類、ウマ科の動物、ウシ属の動物、ヤギ類、イヌ科の動物、ネコ科の動物、ブタ類またはヒツジ類である。
一実施形態において、TLR7アゴニストの量は、約0.01~100nmol、約0.1~10nmol、または約100nmol~約1000nmolである。
一実施形態において、TLR4アゴニストの量は、約2~20umol、約20nmol~2umol、または約2umol~約100umolである。
一実施形態において、TLR7対TLR4アゴニストの比率は、約1:10、1:100、1:200、5:20、5:100、または5:200である。
一実施形態において、組成物は、注射される。
一実施形態において、リポソームは、DOPCおよびコレステロールを含む。
一実施形態において、免疫原は、細胞、タンパク質、または胞子である。一実施形態において、免疫原は、組成物の前または後に投与される。一実施形態において、投与は、微生物感染を予防するのに有効である。一実施形態において、組成物は、鼻腔内投与される。一実施形態において、組成物は皮内投与される。
一実施形態において、リポソーム、TLR4アゴニスト、およびTLR7アゴニストを含む医薬製剤が提供される。一実施形態において、リポソームは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DOPS)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(18:1DOTAP)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(DOPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-PE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](16:0PEG-2000PE)、1-オレオイル-2-[12-[(7-ニトロ-2-1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル)アミノ]ラウロイル]-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1~12:0NBD PC)、1-パルミトイル-2-{12-[(7-ニトロ-2-1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル)アミノ]ラウロイル}-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0~12:0NBD PC)、およびそれらの混合物;1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、コレステロール、またはそれらの混合物を含む。一実施形態において、リポソームは、DOPC、コレステロール、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、TLR7アゴニストの量は、約0.01~100nmol、約0.1~10nmol、または約100nmol~約1000nmolである。一実施形態において、TLR4アゴニストの量は、約2nmol~20umol、約20nmol~2umol、または約2umol~約100umolである。一実施形態において、TLR7対TLR4アゴニストの比率は、約1:10、1:100、1:200、5:20、5:100、または5:200である。一実施形態において、TLR7アゴニストは、式(I)の化合物を含む。一実施形態において、式(I)は、
Figure 2022525608000029
を含み、ここで、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素またはアシル基であり、R13は負電荷または水素であり、mは1~8であり、波線は結合の位置を示し、OR12を有する炭素原子における絶対配置は、R、S、またはそれらの任意の混合である。一実施形態において、mは1である。一実施形態において、R11およびR12は、それぞれオレオイル基である。
一実施形態において、Rのリン脂質は、2つのカルボン酸エステルを含み、各カルボン酸エステルは不飽和、エポキシ化、ヒドロキシル化、またはそれらの組合せの1つ、2つ、3つ、または4つの部位を含む。一実施形態において、Rのリン脂質は、2つのカルボン酸エステルを含み、カルボン酸エステルは類似または異なっている。一実施形態において、リン脂質の各カルボン酸エステルは、C8~C9に不飽和部位を有するC17カルボン酸エステルである。一実施形態において、リン脂質の各カルボン酸エステルは、C9~C10に不飽和部位を有するC18カルボン酸エステルである。一実施形態において、Xは、結合、または鎖中に1~約10個の原子を有する鎖であり、ここで、鎖の原子は炭素、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択され、任意の炭素原子はオキソで置換され得、任意の硫黄原子は1つまたは2つのオキソ基で置換され得る。一実施形態において、Xは、C(O)、
Figure 2022525608000030
である。
一実施形態において、Rは、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む。一実施形態において、Rは1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンであり、XはC(O)である。一実施形態において、Xは酸素である。一実施形態において、Xは硫黄、または-NRであり、ここで、Rは水素、C1~6アルキル、または置換C1~6アルキルであり、ここで、アルキル置換基はヒドロキシ、C3~6シクロアルキル、C1~6アルコキシ、アミノ、シアノ、またはアリールである。一実施形態において、Xは、-NH-である。一実施形態において、RおよびRは共に、複素環式環または置換複素環を形成する。一実施形態において、RおよびRは共に、置換または非置換モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、またはピペラジノ環を形成する。一実施形態において、Rは、C1~6アルコキシで置換されたC1~C10アルキルである。一実施形態において、Rは、水素、C1~4アルキル、または置換C1~4アルキルである。一実施形態において、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシC1~4アルキレン、またはC1~4アルコキシC1~4アルキレンである。一実施形態において、Rは、水素、メチル、エチル、メトキシエチル、またはエトキシエチルである。一実施形態において、Rは、ハロゲンもしくはC1~4アルキルであるか、またはRは欠如している。一実施形態において、Rは、クロロ、ブロモ、メチル、またはエチルであるか、またはRは欠如している。一実施形態において、XはOであり、RはC1~4アルコキシ-エチルであり、nは0であり、Xはカルボニルであり、Rは1,2-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である。一実施形態において、式(I)の化合物は:
Figure 2022525608000031
である。
一実施形態において、式(I)の化合物は、
Figure 2022525608000032
である。
一実施形態において、式(II)中、z2は、1、2、または3である。一実施形態において、式(II)中、z1は1または2である。
一実施形態において、式(II)中、z1は、0である。
一実施形態において、式(II)中、Rは、置換もしくは非置換アリール、またはヘテロアリール、例えば、非置換C5またはC6アリールである。
一実施形態において、式(II)中、Rは、置換もしくは非置換シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル、例えば、5、6、または7個のシクロアルキルである。
一実施形態において、式(II)中、Rは、置換または非置換アルキル、例えば、C1~C5アルキルである。
一実施形態において、式(II)中、Rは、置換もしくは非置換アリール、またはヘテロアリール、例えば、5、6、または7個のヘテロアリール(フラニル、ピロリル、またはイミダゾリルなど)である。
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
〔実施例1〕
<リポソーム製剤化2B182c、TLR4アゴニスト、および1V270、TLR7アゴニストのアジュバントポテンシー(potency)>
2B182c(200nmol/注射)および1V270(1nmol/注射)のリポソーム製剤単独、または200nmol 2B182cおよび1nmol 1V270の組み合わせを調製した(Inimmune Corp, Missoula, MT)。リポソーム製剤化アジュバントのアジュバントポテンシーをDMSO製剤(10%DMSO)と比較した。製剤化アジュバントを、同じプロトコルを使用して試験した。簡単に述べると、雌BALB/cマウスに、0日目および21日目に、リポソーム製剤化2B182c(200nmol/注射)および/または1V270(1nmol/注射)を用いて不活化インフルエンザウイルスで免疫付与した。ELISAにより、抗HAおよび抗NA抗体(IgM、IgG1およびIgG2a)について血清を評価した。製剤化アゴニストが胚中心B細胞および形質芽球(抗原分泌細胞)集団に影響を及ぼすかどうかを調べるために、鼠径リンパ節を採取し、FACSによりB細胞集団について分析した。
TLR4は細胞表面およびエンドソーム区画の両方に存在する。エンドソーム受容体を介するシグナル伝達は、LPSによるNF-κBの活性化を阻害する。エンドソームのTLR4活性化はTRIF経路活性化を誘導し、IRF3活性化を介してI型IFNの放出を導く。したがって、2B182cのアジュバント活性は、リポソーム製剤によって弱められる可能性がある。リポソーム製剤化2B182cはDMSO製剤化アジュバントと比較して、2B182c単独または2B182cに加えて1V270を用いて免疫付与したマウスにおいて、有意に高い抗HA IgG2aを誘導し、一方、リポソーム2B182cは、HAおよびNA特異的IgG1を減少させた(図19A)。リポソーム製剤は、2B182cおよび2B182cと1V270との複合アジュバントにおいてIgG2aレベルに影響を及ぼさなかった(図19A)。リポソーム製剤によるIgG1レベルの減少は、リポソーム製剤化2B182cおよび2B182/1V270複合アジュバントによるTh1に偏った免疫応答に起因する(図19B)。これらのデータは、TLR4リガンドの細胞内送達がI型IFN依存的に有効なTh1免疫応答を誘導するという報告と一致する。
抗原暴露後、活性化されたナイーブおよびメモリーB細胞は増殖し、胚中心(GC)で成熟する。長期的なワクチンのエフィカシー(efficacy)に必要な高い抗原特異的Ab力価の維持は、GC形成と相関する。活性化されたB細胞はさらに抗原特異的なAb分泌細胞(ASC;形質芽球および形質細胞)、メモリーB細胞および他のサブセットを形成する。形質芽球は季節性インフルエンザウイルスワクチン接種後に誘導され、ワクチン接種後7日目に急激にピークに達した。不活化ウイルスによるワクチン接種後の末梢血における形質芽球の頻度は、ヒトにおける防御的血球凝集素抑制タイトルの程度と相関する。そこで、流入領域リンパ節のGC B細胞および形質芽球を調べた。胚中心B細胞および形質芽球の数は、リポソーム2B182cおよび1V270との組み合わせによって増加した(図20)。
要約すると、リポソーム製剤化TLR4およびTLR7のリガンドアジュバンドは、Th1に偏った免疫応答を誘導し、GC中心B細胞および形質芽球を増加させた。リポソーム製剤中の複合アジュバントによって誘導されるB細胞応答の質を評価するために、現在、リンパ節細胞のBCRおよびTCRレパトア分析を行っている。さらに、ワクチンアジュバントの機能評価は、生ウイルス(同種および異種攻撃)によって評価される。
〔実施例2〕
合成小分子であるTLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストの組み合わせは、組換えインフルエンザウイルス血球凝集素の強力なアジュバントであり、同種、異種、および異種サブタイプのマウス攻撃モデルにおいてインフルエンザウイルスに対して防御的である迅速かつ持続的な免疫を誘導する。しかしながら、これらの研究で用いられたTLR4アゴニストは、ピリミドインドールクラスの第一世代の主要な合成TLR4アゴニスト、1Z105であり、自然免疫受容体アゴニストとして作用するアジュバントを発見するためのハイスループットスクリーニングキャンペーンで特定されたヒットから最適化されたものであった。1Z105はマウス細胞において良好な免疫活性を有することが分かったが、ヒト細胞において有意な活性はなかった。より最近の研究ではC8-アリール置換基を含む第2世代のシリーズの化合物がマウス細胞において1Z105よりも強力であったが、ヒト細胞においても非常に活性であった。C8-アリール誘導体のこの活性なグループ内で、C8-フラン-2-イル誘導体(2B182C)を、ポテンシーおよび好ましい予備製剤データに基づいて、さらなる研究のために選択した(図34および36)。比較のために、ピリミドインドール2B182Cを1V270と組み合わせて評価した。強力なTLR4アゴニストであるMPLAアナログ(MPLA-1)は、インビボでの同種および異種インフルエンザ攻撃に対して良好な防御を示した。
TLR7アゴニスト、1V270は、既知のTLR7アゴニストのリン脂質コンジュゲートである。アゴニストコンジュゲートのリン脂質部分によって付与される、対応する非コンジュゲートアゴニストに対する主な利点としては、より大きなポテンシー、およびサイトカイン症候群としてしばしば観察される局所または全身毒性がないことが挙げられる。エフィカシーおよび安全性を実証するこれらの好ましい特性は、この技術的提案に記載される組み合わせアジュバント研究のための主要なTLR7アゴニストとしての1V270の選択を支持する。
前述のように、TLR4アゴニスト1Z105およびTLR7アゴニスト1V270を含む複合アジュバントは、インフルエンザウイルスワクチンで広範な防御応答を誘導した。SARの研究では、THP-1細胞およびインビトロでのヒトおよびマウスの初代細胞において、1Z105よりも高いアゴニストポテンシーを示す2B182Cが得られた。不活化インフルエンザウイルス[A/California/04/09(Cal/09)]を用いたワクチンモデルにおいて、2B182Cのアジュバントポテンシーを検討し、1Z105と比較した。これらの研究は、TLRアゴニストの単純なDMSO-水製剤を用いて行われた。
<TLR4-アゴニストおよびTLR7-アゴニストを用いた複合アジュバントは、インフルエンザウイルス感染に対して迅速かつ広範な防御免疫応答を誘導する>
TLR4/TLR7アゴニスト複合アジュバントによって誘導される、インフルエンザウイルス感染に対する防御免疫応答のプロファイルを評価するために、マウスに低用量(0.2μg/注射)の組換え血球凝集素(rHA)、体液性応答および致死性ウイルス攻撃に対する防御で免疫付与した(図34A-2D)。複合アジュバントを用いてrHAで免疫付与されたマウスは、最小の体重減少およびより高い生存率を示した(図34Bおよび2C)。複合アジュバントおよび、1V270、TLR7アゴニスト単独で、Th1偏向免疫応答を引き起こした。
TLR4/TLR7複合アジュバントが異型インフルエンザウイルス攻撃に対して交差防御を提供するかどうかをさらに調べるために、B/Brisbane/60/2008(Victoria系統)を含む2009-2010 Fluzoneでマウスに免疫付与し、異種マウス適応ウイルスB/Florida/04/2006(Yamagata系統)の25mLのD50でそれらを攻撃した。90%を超えるマウスは1V270単独または1Z105との組み合わせを用いたFluzoneアジュバントの接種後、生存した(図34E-2G)。これらのデータは、1V270が単独で、または1Z105と組み合わせると、異種インフルエンザウイルスに対して迅速かつ交差防御的な免疫を誘導することを示した。
<TLR4-アゴニストおよびTLR7-アゴニストに対する用量の判断>
前述したように、SAR研究では、ヒトおよびマウスの免疫細胞において、1Z105に比べて、インビトロでより高いポテンシーを示す2B182Cが得られた。インビトロの研究で観察されたより高いポテンシーがインビボでも再現性があるかどうかを調べるために、雌Balb/cマウスを、TLR4アゴニスト(1Z105または2B182C、40または200nmol/注射)および1V270(リン脂質TLR7アゴニストコンジュゲート、0.2または1nmol/注射)を用いて0日および21日に、不活化インフルエンザウイルス(A/California/04/2009(H1N1)pdm09、Cat# NR-49450、BEIリソース)で筋内(IM)免疫付与した(図34A)。28日目に血清を採取し、ELISAにより抗血球凝集素(HA)および抗ノイラミニダーゼ(NA)抗体(IgM、IgG1およびIgG2a)を測定した。1V270、1Z105および2B182CをDMSOに溶解し、希釈し、DMSOの最終濃度をビヒクル対照として10%使用した。同様の結果を示す4つの独立した実験からデータをプールした。
<TLRアゴニスト単剤による抗体分泌への効果>
単一のアジュバントとして、0.2nmolおよび1nmolの1V270、並びに40nmolおよび200nmolの2B182Cまたは1Z105を比較した(図34B)。TLR4アゴニスト、1Z105および2B182Cは共に、HAおよびNAに対して有意に高いレベルのIgG1を誘導した。IgG2a誘導については、0.2および1nmol/注射の1V270の両方が抗HAを有意に増加させた(p<0.05)。一方、200nmol/注射では、1Z105ではなく、2B182Cのみが抗NA Absを増強した(p<0.01)(図34B)。2B182Cおよび1Z105は類似のレベルのHA特異的IgG2aを誘導した。いずれのアジュバント処置によっても、IgM応答に差は認められなかった。これらのデータはTLR4アゴニストがIgG1の生産量を増加させ、TLR7アゴニストがIgG2aの分泌に効果を発揮し、2B182Cがインビボの1Z105と同等またはやや高いポテンシーを発揮したとの報告を支持する。
<2B182Cおよび1V270との組み合わせ処置による抗体分泌への効果>
次に、DMSO-水製剤を用いて、複合アジュバントのポテンシーを評価した。1V270と1Z105および2B182Cとの複合アジュバントはいずれも、HAおよびNAの両方に対するIgG1の誘導を改善した。2B182Cは40および200nmolの両方で1Z105より有意に高いIgG1を増強した(p<0.05、図35Aおよび35B)。IgG2aの誘導では、2B182Cは抗HAおよび抗NAのAbsのレベルを上昇させたが、1Z105はほとんどのケースで失敗した(図35Cおよび35D)。これらのアジュバントは、IgM放出に対して最小の効果を示した(図35Eおよび35F)。
試験した全ての組み合わせの抗体力価を比較するために、IgG1およびIgG2aの力価の平均を図36Aにプロットする。200nmolの2B182C+0.2または1nmolの1V270は、IgG1およびIgG2aの両方の最も高い誘導を示した(図36A)。さらに、Th1/Th2免疫バランスを評価するために、IgG2a:IgG1比率を個々の動物で計算した(図36B)。1nmolの1V270は、1Z105または2B182CによるTh2偏向免疫応答を有意にシフトさせ、1V270が免疫応答をTh1偏向へシフトさせたことを示した(図36B)。要約すると、以上の結果から、200nmol/注射の2B182Cと1nmol/注射の1V270との組み合わせは、最も高い量のIgG1およびIgG2aを誘導し、インフルエンザウイルス感染における異種の防御にはTh1に偏った免疫応答が望ましいことが示された。したがって、本発明者らは、さらなる前臨床製剤のためにこの組み合わせを選択した。
<TLR4アゴニストによる予備データ>
ナノ粒子製剤中のMPLA-2、MPLAの硫酸アナログ、組み合わせ、およびすべての主要なTLRアゴニストについてのインビボ評価を行う。NIAIDアジュバントの発見・開発契約の中で、強力なTLR4アゴニストが発見された。そこでは、インビトロ(hPBMC)におけるインフルエンザ関連サイトカイン生産の相乗的な増強、マウス及びブタでの1V270を用いたインビボのIgG2A抗体およびHI力価の増強がないにしても、添加剤が実証された。アジュバントとしてのMPLA-1の主な弱点は、水性媒体中で加水分解しやすいので、化学的安定性がないことである。非特異的抵抗の予備的マウス研究において、MPLA-2は等量のMPLA-1よりも致死的なインフルエンザ攻撃からマウスを防御した。したがって、MPLA-2は次世代TLR4アゴニストを代表する。
上記に概説した目的を裏付けるために、以下に詳述する実験を実施する。
<研究領域1:主要なTLRアゴニストの組み合わせの製剤化および分析アッセイ開発>
<TLR4/TLR7の組み合わせの製剤の開発>
<タスク1A:主要な化合物単独および組み合わせのコロイド安定性ナノ粒子製剤の開発>
粒子送達システムは、我々の免疫系がパターン認識受容体(PRR)を介して認識し、闘うために進化したウイルス性および細菌性の病原体のサイズおよび形状を模倣することを介してアジュバントとして作用する。過去30年間にわたる研究により、生分解性であり、ワクチン抗原送達に適した多数のナノ粒子およびマイクロ粒子ベースのシステムがもたらされた。ワクチン送達システムとしてのそれらの有用性はリポソーム、ビロソーム、Iscom、エマルジョン、ウイルス様粒子(VLP)、固体脂質ナノ粒子(SLN)およびポリ乳酸コグリコール酸(PLGA)ポリマーを用いて文献で実証されており、それぞれのタイプの例はヒトの臨床試験に進んでいる。粒子状送達ビヒクルの主要なアジュバント機構は、APCによって取り込まれた粒子または関連する抗原の取り込みの増強であると考えられる。抗原へのPAMPの添加は、自然免疫細胞の活性化につながるTLRおよび他のPRRのライゲーションを介して、強固な自然免疫応答および適応免疫応答を促進することが現在十分に確立されている。多くのPAMP(細菌性リポタンパク質、糖脂質、DNAおよびウイルスRNAなど)が同定され、ウイルス性および細菌性の病原体から分離されている。これらのアゴニストの多くは強力なアジュバントであるが、許容できないレベルの炎症をもたらすか、または臨床開発のために好ましくない物理的/化学的特性を有する。これに応答して、研究者らは改善された安全性および化学的プロファイルを有する合成アナログを首尾よく生産し、そしてこれらの多くは、PRRライゲーションを介してそれらの病原体模倣を増強するために、粒子送達システムに添加されている。粒子送達システムはまた、インビボでのアジュバントの生体内分布動態を改善し、アジュバントの免疫原性を犠牲にすることなくアジュバントの副作用を低減するために使用され得る。
二重層に組み込まれたTLR4アゴニストMPLA-1を有するPEG化リポソームの有効な舌下ワクチン使用は、インフルエンザのマウスモデルにおいて示されている。この製剤は、インビボでアジュバントのポテンシーを全く失うことなく、MPLA-1の発熱性を200倍減少させる。これは、水性分散液に対してリポソームに組み込まれた場合に観察されたLPSの発熱性の減少に類似している。TLR4アゴニストについても同様の発熱性の低下が期待される。
ナノ粒子/マイクロ粒子形成、API取り込み、API安定性およびコロイド安定性のための多数の異なる脂質および成分を評価した。一連の市販のカチオン性(DDA、DOTAP、DCコレステロール)、アニオン性(DPG、PS、POPG)および中性脂質(PC、DOPC、DSPC)を、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストを用いて試験する。他の製剤は、PLGA、ポリカプロラクトン、ポリ(プロパルギルメタクリレート)またはPLMAを使用し得る。粒子サイズおよび電荷は、DCによるナノ粒子の取り込みおよび処理に著しく影響することが示されているため、上記の品質特性に対する送達ビヒクル設計を促進するためのこれらの変数の影響が探求される。小規模リポソーム製剤は、滅菌血清バイアルに適合させた薄膜法を用いて調製して、規模および廃棄物をさらに低減することができる。
簡単に言えば、これは、以下によって行われる:
1.脂質にAPIを添加し、それらをクロロホルムに溶解する(蛍光マーカーは所望であれば、例えばNBD、BODIPY、FITCなどのために、この工程で添加されてもよい)
2.設定速度での回転蒸発および真空化により乾燥薄膜を得る
3.水性緩衝液(0.1Mリン酸塩、トリスまたはHEPES)による再水和
4.動的光散乱(DLS)による粒子サイズ、多分散性および表面電荷(ゼータ電位)のプロセスモニタリングを伴う、脂質転移温度(Tm)を超える浴超音波処理による粒子サイズ減少
5.3~10mLスケールの主要な製剤のロットを、超音波処理法よりも粒度均一性(多分散指数、PDI)を改善するLipex押出機を用いて調製する。
<タスク1B:製剤のコロイド及び物理的安定性を評価するための安定性試験>
製剤の安定性は製品の貯蔵、出荷、および貯蔵寿命に影響を及ぼし、すべてが製品コストに直接寄与するので、成功する市販製品の開発に必要である。製剤は特に、さらに追求する主要な候補を選択する場合に、潜在的な製品として、並びに安定性として適切であることが実証される。
主要な製剤を、短期加速(25および40℃)および長期リアルタイム安定性(2~8℃および25℃)について評価して、選択された製剤が、潜在的な製品開発のために十分な安定性を提供することを確実にする(好ましい貯蔵条件で最低12ヶ月)。
ナノ粒子送達システムへのアジュバントの組み込みの正確な定量は、適切な投薬、ワクチンのエフィカシーおよび安全性のために必須である。リポソームを含むナノ粒子に組み込まれたTLR4アゴニストおよびTLR7/8アゴニストの定量のためのSEC-HPLCおよびRP-HPLC法を開発した。RP-HPLCは、試料が十分に低いバックグラウンドUV吸光度を有する水混和性有機溶媒(メタノール、テトラヒドロフランなど)で溶解される場合、ナノ粒子中に存在する総アゴニスト含量の分析に有効である。有機溶媒による溶解はナノ粒子を破壊し、5点標準曲線に対するRP-HPLCによる正確な定量のために、組み込まれたまたは表面に結合したアゴニストを放出する。
リポソームに組み込まれた(二重層または水性コア)アゴニストの定量化には、無傷の脂質リポソームおよびリポソーム外の水相を解析できる方法が必要である。296、225、および310nm(それぞれ2B182C、MPLA-2、および1V270について)でのUV検出で「遊離」TLRアゴニストを定量することができるSEC-HPLC法を使用した。TSKゲルSWx1シリーズカラムは、30~200nm範囲のナノ粒子製剤に対して優れたサイズベースの解像度を提供する。使用される移動相は、リポソーム外の流体とリポソームコア中の水相との間の一定の浸透ポテンシャルを維持するためにリポソーム再水和に利用される緩衝液と同じである。この方法は、水性の組み込まれていないTLR4アゴニストのみを検出する、インビトロポテンシーアッセイに対する相補的な方法として適格であった。
これらの分析方法を用いて予備的研究を行い、それぞれ単独および組み合わせて調製した(共カプセル化した)2B182Cおよび1V270のリポソーム製剤を評価した。ワークフローは、以下のように実行された:
1)IM注射用に50uL中に含まれる2B182Cについて200nmol、および1nmolの1V270の標的濃度を有する2mLスケールでの主要なアジュバント製剤スクリーニング(薬学的に許容される共溶媒、賦形剤、リポソーム)。
2)主要な製剤について、基本的な分析法開発と分析を行い、製剤が品質基準を満たしていることを確認する。
3)好ましい製剤の安定性をリアルタイムおよび加速法により評価し、必要に応じて適切な賦形剤を安定剤として添加する。
4)最終製剤のエンドトキシン汚染がないことを確認するためのrFC試験。
すべてのリポソーム製剤を、化合物2B182Cおよび1V270について2mLスケールで調製した。
簡潔には、以下の手順を使用してリポソームを調製し、そして以下の組成物を評価した:1V270ありおよびなしの2B182(DOPC/それぞれ、コレステロールありおよびなし、2:1)。試験したDOPCの濃度を40mg/mLで一定に保ち、10mg/mLのコレステロール濃度をもたらした。リポソームは、9:1クロロホルム:メタノールを溶媒として用いた脂質膜再水和法に従って製造した。最初に使用した再水和緩衝液は、50mM NaPB、100mM NaCl、pH=6.1であった。試験したアゴニスト濃度は標的濃度であった。高温での超音波処理を用いて、リポソーム粒子サイズを減少させた。分析結果の要約を表4に示す。
Figure 2022525608000033
Figure 2022525608000034
TLRアゴニスト、他の脂質成分、およびナノ粒子形成のための様々な量のコレステロールの他の比率を評価する。少なくとも10種の異なる製剤を調製し、タスク2Aの下のプロセスにおける適合性についてスクリーニングし、上記の単純なDMSO-水製剤を用いて得られた結果と比較する。
ナノ粒子:TLR7およびTLR4アゴニストは、ナノ粒子製剤(リポソーム、SLN、PLGA、エマルジョンなど)として調製される。最終的な主要製剤は、免疫学、安定性および製造データに基づいて選択される。DOPC/コレステロールリポソーム製剤は、予備免疫学および安定性データに基づいて非常に有望であると思われる。TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストで予想される課題の1つは、制御された一貫した様式での同じナノ粒子中への両方のアゴニストの共組み込みである。互いに対するアゴニストの比率は一旦共カプセル化されると固定され、その点での任意の用量調節は両方のアゴニストを一緒に変化させる。
分析方法:タスク1Cに記載された分析方法のすべてが、本発明者らの脂質化TLR-7/8アゴニストおよびTLR4アゴニストと共に使用され、本発明者らはさらなる最適化により、それらの特異性、線形性および範囲をさらに改善することを期待する。TLR4およびTLR7アゴニスト製剤中のアジュバントの定量のためのRP-HPLC法は、ピーク形状、LODおよびLOQについて最適化される。これらの同じ方法は生成物の安定性の正確なモニタリングを可能にするために、安定性研究から検出された任意の分解物について、ベースライン分解能および最適なLOD/LOQを達成するために、勾配およびカラム最適化される。TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストの組み合わせの各アゴニストについてのナノ粒子組み込みパーセンテージの正確な定量は、SECHPLCが流体力学的体積のみに基づいて分離するので、困難であることが証明され得る。リポソームおよび組み込まれていないアゴニストは類似の粒子サイズを有し得、これは組み込み判断のためのSEC-HPLCの有用性を制限する。これは、代替のアプローチにおいて以下に議論される。
代替アプローチ:共カプセル化したTLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストの開発がナノ粒子中のアゴニストのレベルが一貫していないためにあまりに困難であることが判明した場合、本発明者らの免疫学的データは、リポソーム中のTLR7アゴニストとリポソーム中のTLR4アゴニストとを単に混合することによって、アジュバント相乗効果が依然として達成され得ることを示した。このアプローチは、アゴニストのシグナルが互いに干渉する可能性を低減することによって、その分析的特徴付けがより容易になる、より単純で信頼性のある生成物を生成する可能性を有する。
別の選択肢は、水相および油相がナノ液滴に混合されるので、デフォルトでアゴニストの100%が組み込まれるナノエマルジョンなどの共カプセル化のための他の製剤を探索することである。エマルジョンはまた、投与部位にデポを形成するという利点を有し、これは、免疫応答をさらに増強し得る。研究領域2で論じるように、共カプセル化されたTLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストと混合アゴニストとをインビトロおよびインビボで比較して、これらのアプローチの長所および短所を評価する。ナノ粒子へのアゴニストの組み込みを判断するためにSEC-HPLCを使用する別のアプローチは、ナノ粒子をペレット化し、確立されたRP-HPLC方法を使用して組み込まれていないアゴニストについて上清を分析するための高速密度勾配遠心分離であろう。
進歩のための許容可能な特性を有する標的比率範囲の製剤は、免疫付与およびウイルス攻撃研究を含むインビボ研究に供される。
<研究領域2:主要なアジュバント製剤による致死性インフルエンザウイルス攻撃からの防御の免疫学的バイオマーカーを確立する>
信頼性の高いバイオマーカーを明らかにすることは、安全で有効なワクチンの開発を成功させるために必要である。ワクチン開発プログラムには、安全性に問題がなく、効果的に感染を予防するプロファイルを有するワクチン候補を選択することが不可欠である。ワクチンの臨床試験では、反応原性を最小限に抑えて抗原特異的な適応免疫応答を予測するバイオマーカーの同定が必要である。このプロジェクトでは、バイオマーカーが1)抗原の有無にかかわらず、製剤化主要なアジュバントによって誘導される自然免疫バイオマーカー、および2)適応免疫応答に相関するバイオマーカーの2つのステップで同定される。したがって、TLR4およびTLR7/8リガンドの両方の生物学的活性に相関し、かつ反応原性にも関連するバイオマーカー候補を同定するために、インビトロおよびインビボの研究が実施される。
<タスク2A:免疫活性及び反応原性のインビボ抗体生産研究に基づく組み合わせ製剤>
ワクチン接種を介した感染症からの防御の特徴は、有効な抗体生産の誘導である。TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストを併用すると、抗原特異的抗体価が有意に増加した。免疫応答のTh1偏向へ向かう傾向が観察された。製剤化アジュバントおよびそれらの組み合わせの有効性を、単純なDMSO-水調製物と比較する。
<タスク2A.1:主要なコンボ製剤のマウスにおける免疫付与研究>
主要なアジュバントの製剤は、DMSO-水製剤について以前に完了したのと同様の様式で、単独で、および様々な比率のTLRアゴニストと組み合わせて、免疫付与試験で評価される。HAおよびNAの両方に特異的なIgM、総IgG、並びにIgG1およびIgG2aのレベルを評価する。抗原特異的抗体の最大力価を提供する組み合わせにおけるTLRアゴニストの1つ以上の比率を同定する。この製剤は、研究領域3の下での研究に挑戦するために進められるだろう。
<タスク2A.2:マウスにおける主要なコンボ製剤の反応原性および毒性の評価>
感染症ワクチンは、健常者の集団において予防効果があるように設計されているため、ワクチンの安全性は開発目標の中で最も優先度が高いものでなければならない。したがって、候補製剤の毒性および反応原性を評価するための適切な実験が行われる。これらの実験および一般に、明白な毒性は、初期毒性評価として厳密に評価される。マウスにおける何らかの苦痛の徴候(すなわち、毛づくろいの欠如、可動性の問題、結膜、異常行動、反応性など)に注意する。全体的な観察に加えて、毒性測定は、完全血球数、血清化学評価(AST、ALT、ALP、アミラーゼ、血中尿素窒素、クレアチニン、総タンパク質、グルコース、カリウム、カルシウム、ナトリウム、総ビリルビン)および剖検評価(ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した脾臓、肝臓および腎臓の切片)を含む。さらに、注射部位について、炎症の目に見える徴候および他の異常所見がないか評価する。剖検評価の一環として、注射部位の組織も組織学的に評価する。これらの研究を以下の表6に要約する。
<タスク2B:防御的適応免疫応答を予測できる免疫マーカーの同定>
前述したように、抗原特異的な適応免疫応答を最小限の反応原性で予測するバイオマーカーの同定は、臨床試験の設計および方法を容易にする。
<タスク2B.1:自然免疫応答シグネチャー(サイトカイン、ケモカイン)>
ケモカインによる局所的ワクチン投与部位への免疫細胞動員は抗原提示細胞(APC)を動員し、その後の適応免疫応答の誘導に影響を与えるために必須である。しかし、注射部位、すなわち筋肉組織は比較的少数の免疫細胞を含んでいるので、効果的なアジュバントは局所への免疫細胞の動員を誘導しなければならない。TLR4はTLR7/8とは異なり、非免疫細胞上に豊富に発現し、炎症細胞を動員するのに十分なケモカインを発現することができる。TLR刺激の後、APCの動員は通常、炎症細胞に付随するため、炎症反応をアジュバント効果と区別することは困難である。これらの免疫活性化の複雑なカスケードは、インビトロアッセイだけでは研究できない。従って、マーカーのパネルは、マウスにおけるインビボ研究から得られたサンプルにおける上記のインビトロ実験から選択される。
主要なアジュバント製剤をマウスに筋肉内(IM)投与し、注射後1日目、3日目および7日目に血清を採取し、全身性サイトカイン/ケモカインのレベルを調べる。局所筋組織については上記のタスク2A.2で述べたように、サイトカイン/ケモカインおよび共刺激分子遺伝子の発現は、qPCRまたはNanoStringアッセイによって調べる。免疫細胞浸潤を、ヘマトキシリン-エオシン染色および免疫組織化学染色を用いた、選択されたサンプルの組織学的試験によって評価する。脾臓細胞またはPBMCを用いて、フローサイトメトリーによって評価される共刺激分子の発現を評価する。流入領域リンパ節を指示された時点で採取し、各実験群でプールし、免疫細胞集団およびケモカイン受容体、共刺激分子の発現について分析する。研究デザインの概要を表6に示す。「グループ5:抗原ありの複合アジュバント」グループは、サイトカイン/ケモカイン誘導の所望のプロファイルを提供するために必要に応じて、異なる比率のTLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストの組み合わせを含み得ることに留意されたい。TLR4リガンドおよびTLR7リガンドの両方の生物学的活性を示し、また反応原性にも関連する自然免疫シグネチャーが選択される。
Figure 2022525608000035
<タスク2B.2:適応免疫応答シグネチャー>
適応免疫応答を評価するための実験は、上記のタスク2A.1と併せて実施される。次の基準を満たすバイオマーカー候補が同定される:1)末梢血で検出される、2)各TLRリガンドの作用機序により駆動され、それらの生物学的効果を相関させる、3)長期的な抗原特異的抗体誘導および広範な防御を予測する、4)反応原性を予測する。
<結果および代替アプローチ>
組み合わせたTLRアゴニストの1つ以上の比率は、抗原特異的抗体の最大力価を提供する。さらに、2つのクラスのTLRリガンドの組み合わせの使用は、TLR4アゴニスト単独の使用と比較して、適応免疫応答のTh1偏向応答へのシフトをもたらす。したがって、Th1/Th2応答比は増加する可能性が高い。このTh1偏向は、異種ウイルス防御を含むように応答を広げるのに有利であり得る。毒性に関しては、イミダゾキノリンクラスのTLR7/8リガンドの全身および経口投与が高レベルの血清TNFαおよびIL-1βを伴うインフルエンザ様症状、悪心およびリンパ球減少症を含む重篤な副作用を示している。これは、1V270がメンバーであるオキソアデニンクラスにも当てはまる。しかしながら、これらの望ましくない副作用の大部分は、ワクチン接種のための通常の局所投与経路、IMを使用することによって回避することができる。さらに、TLR7/8リガンドは、脂質部分へのコンジュゲーションによって、並びに製剤をカスタマイズすることによって調製され、アジュバント活性を維持しながら全身性サイトカイン放出を首尾よく減少させた。したがって、炎症性サイトカインへの全身暴露が低いため、主要な製剤化の組み合わせに関連する反応原性はほとんどまたは全くないであろう。
<研究領域3:製剤の選択および免疫付与-マウスを用いたウイルス攻撃研究(Inimmune)>
マウスを用いた前臨床免疫付与/ウイルス攻撃研究では、安定性(タスク1B)、免疫活性(タスク2A.1)および反応原性プロファイル(タスク2A.2)を含む製剤研究の結果に基づき、バックアップの組み合わせとともに主要な製剤の組み合わせが選択される。研究に使用されるウイルス抗原は、A/Victoria/3/75(H3N2)、A/Michigan/45/2015(H1N1)pdm09様ウイルスおよびA/Hong Kong/4801/2014(H3N2)様ウイルスなどのライセンスされた市販ワクチンに使用されている組換えワクチン抗原または不活化された全ウイルスのいずれかから選択され得る。
<タスク3A:主要なコンボ製剤の選択>
主要な選択基準は、1)製剤化組み合わせの安定性、2)所望の抗原特異的抗体レベルを提供するTLRアゴニストの比率、および3)局所および全身の両方での低い反応原性プロファイルに基づく。これらの基準に関連する特定の研究を表7に要約する。
主要な製剤化組み合わせおよびバックアップの主要な組み合わせの選択に続いて、マウスにおける免疫付与/ウイルス攻撃モデルにおける選択の評価を実施する(タスク3B)。
Figure 2022525608000036
<タスク3B:主要な製剤による免疫付与/ウイルス攻撃研究>
<タスク3B.1:ウイルス攻撃研究のための最小防御用量の判断>
不活化インフルエンザウイルスは自然免疫受容体リガンド(PAMPS)を含むため、十分な抗原のみでマウスに免疫付与した後、一定の低レベルの防御が期待できると思われる。したがって、(もしあれば)不活化ウイルスを用いて、最小防御用量を判断するための研究を実施する。抗原の最小防御用量は、活性ウイルスの適合株によるその後の攻撃時に部分的防御(生存率30%未満)しかもたらさない用量である。この戦略は、選択された主要な製剤化アジュバントの組み合わせで観察されるべき範囲の活性を可能にする。さらに、攻撃ウイルスの量はまた、免疫付与されていないマウスについて完全な死亡率(代表的には、約5LD50の用量)をもたらすことが確認され得る。
<タスク3B.2:同種ウイルス防御研究>
抗原用量の範囲を見出す研究に続いて、マウスモデルを用いて、同種インフルエンザワクチン抗原とともに主要なアジュバントの組み合わせの免疫原性を評価する。成功の主な判断因子は、1)血清中の持続性インフルエンザ特異的IgG2aおよびIgG1、2)致死性インフルエンザウイルス攻撃からの防御、3)低い反応原性、4)細胞内IFNγ/TNFα染色で評価した多機能性CD4対CD8T細胞の誘導である。副次的評価項目は、ワクチン接種またはインフルエンザウイルス攻撃後の体重増加/減少および観察可能な臨床症状(波状被毛、円背姿勢および努力性呼吸)のモニタリングによる疾患重症度のスコア化である。
<一般的なインビボの方法>
免疫学的評価:マウス(雌雄)にワクチン接種(アジュバント+A/Victoria/3/75(H3N2)等のインフルエンザ抗原)を1回又は2回、1回目接種と2回目接種との間に21日間をおいてIM投与する(図12)。細胞性免疫(CMI)は脾臓細胞培養物におけるTh1/Th2サイトカイン誘導(ELISAにより分析)および多機能性CD4およびCD8T細胞応答(FACSにより分析、10色細胞内サイトカイン染色)を測定することにより、1群4匹のマウスのサブセットで評価される。さらに、四量体染色および細胞表面表現型検査を行い、インフルエンザ特異的メモリーCD4およびCD8T細胞の頻度を測定する。インフルエンザ特異的体液性応答は血清中(IgG1およびIgG2a)で測定され、HI力価は機能的抗体価を測定するために用いられる。ワクチン接種したマウスおよび対照のマウスの各群は5LD50のA/HK/68(H3N2)で攻撃され、生存率、体重増減、及び疾病重症度を21日間評価した。これらのマウス研究における反応原性は、体重減少および症状スコアと注射部位浸潤の評価とによって測定される。p値の差が<0.05であれば、有意であるとみなす。すべてのデータについて分散分析(ANOVA)およびTukey ANOVAを実施し、頑健な統計的有意性を実証する。
<タスク3B.3:異種ウイルス防御研究>
同種防御研究に続いて、異種または異種サブタイプ防御のマウスモデルにおける主要なアジュバントの組み合わせを評価するために同じ研究デザインが用いられる。マウスに上記のように免疫付与するが(タスク3B.2)、異なったHA/NAタイプのインフルエンザウイルス株(例えばA/Puerto Rico/8/1934(H1N1))で攻撃する。このような攻撃モデルにおいて観察される防御は、HAタンパク質の茎領域のような、両方の株に共通の抗原を含む抗原特異的応答の広がりを示唆する。このような広がりを確認するために、B細胞受容体(BCR)およびT細胞受容体(TCR)の配列の研究が行われる。
<結果および代替アプローチ>
前述したように、増えつつある文献報告では、ワクチンを介した免疫の大きさを相乗的に増大させ、それによって生じた下流の適応免疫応答のタイプを変更させ、それによってこれらのワクチンのエフィカシーを高めることができる様々なTLRアゴニストの組み合わせが引用されている。インフルエンザウイルス攻撃防御のためのアジュバントの組み合わせは、本明細書中に記載される。
〔実施例3〕
<ワクチン抗原としてのインフルエンザ血球凝集素(HA)>
広範に中和茎抗体を増強する戦略には、1)頭部ドメイン全体を除去して茎ドメインをより「利用可能」にし、従って茎ドメインに対する抗体応答を誘導するヘッドレスHAに焦点を当てること、または2)H1、H3またはB型インフルエンザウイルス由来の茎ドメインからなるキメラHAを組み合わせて使用すること、が含まれる。
1つの抗原での免疫付与は、第2の類似の抗原に対する強力な免疫応答をブロックすることが知られている(「抗原原罪」)。これは、感染を繰り返す感染症(インフルエンザ)、あるいは抗原進化がある感染症(HIV、マラリア)にとって重要である。インフルエンザについて、主要な中和抗体はウイルスの血球凝集素(HA)の頭部領域に対して作られる。異なるウイルス株は異なるHA頭部領域を有し、抗体と弱く交差反応するが、新しいエピトープに対する応答を阻害する。HIVについては、ウイルス上の変異エピトープはエピトープ抑制のために抗体またはT細胞を刺激しない。
ワクチンにおける抗原原罪の機序はエピトープ排除(既存の抗体、特に粘膜IgAがワクチンをすべての抗原提示細胞(APC)から遮蔽する);樹状細胞アクセス(メモリーB細胞が新たなワクチンを内部に取り込み、DC活性化およびT細胞免疫付与が低下する);および/またはT細胞競合(メモリーB細胞が活性化され、サイトカイン、補助因子を消費し、抗原をロードしたDCと反応し得るT細胞を捕捉する)による可能性がある。
ワクチン中の抗原原罪を克服するために、投与量を増やすことがある(例えば、大量のワクチン用量(60歳を超える患者には3倍量のインフルエンザワクチンを投与する));カプセル化(ワクチンを樹状細胞に優先的に送達するエマルジョンまたはリポソームの中にワクチンを入れる(Shingrix、帯状疱疹に対する水痘ワクチン));および/または樹状細胞活性化因子(TLRアゴニストはワクチン抗原に対する活性化T細胞の数の多様性を増大させる可能性がある)。
マウスモデルにおいて抗原原罪を研究するために、以下が使用され得る:ハプテン-タンパク質コンジュゲート(ハプテンはオボアルブミンおよびKLSのようなタンパク質抗原に結合され得る、フルオレセインまたはDNPのような小分子である);または非コンジュゲートタンパク質抗原での予備免疫付与はハプテン-タンパク質コンジュゲートによる免疫付与に対する抗体応答を阻害する。これらのモデルにおけるインフルエンザについては、1つのウイルス株について、インフルエンザHAなどの1つのタンパク質で過剰免疫付与し、別の株由来の部分的交差反応性HAで追加免疫し、次に、認識されたエピトープ、nexgenRNAシーケンシングによるクローンの多様性、および中和能を含む、2つ目のHAに対するB細胞およびT細胞の免疫応答を分析し、その後インビボ防御との相互関係を明らかにする。
Shingrixは、使用時に再構成される、緩衝食塩水中のジオレオイルホスファチジルコリンおよびコレステロールから作製されたリポソーム製剤中の組換えVSV糖タンパクE、サルモネラ由来のノノホスホリル脂質A、およびQS-21サポニン分子である。Shingrixに類似したインフルエンザワクチンを作製するために、このワクチンは、タンパク質抗原、リポソーム製剤中の2つのアジュバントを有する。
〔実施例4〕
毎年のインフルエンザワクチンの有効性は、インフルエンザウイルスの抗原浮動のため、依然として10~60%と評価されている。合成TLR4およびTLR7アゴニスト(1Z105および1V270)は、それぞれTh2およびTh1を介した抗血球凝集素抗体生産を増強した。1Z105と1V270との組み合わせは、インフルエンザウイルス感染を防御するために、バランスのとれたTh1/Th2免疫を促進した。アジュバントのエフィカシーを高めるために、1Z105および2B182Cについて構造活性相関研究を実施した。これは、インビトロでよりポテンシーの高い誘導体であった。モデル抗原であるオボアルブミンを用いたインビボワクチン研究では、2B182Cは、より高い血清IgG1レベルを誘導し、1V270によって誘導される抗原特異的IgG2aの放出を追加的に増強した。さらに、2B182Cおよび1V270のリポソーム製剤は、細胞毒性および反応原性を低下させ、Th1を介した抗体生産およびTh2を介した抗体生産の両方を増強する活性を維持した。不活化A/California/04/2009(H1N1)(pdm09)を抗原としたインビボワクチン接種研究において、リポソーム組み合わせアジュバントはT濾胞ヘルパー細胞、胚中心B細胞及び抗体分泌形質細胞の集団を増加させた。流入鼠径リンパ節におけるBおよびTリンパ球の次世代配列分析は、複合アジュバントが免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子のB細胞クローン型を増加させ、B細胞クローンおよびTCRクローナリティを共有することを示した。これらの知見は、組み合わせが抗原特異的Th1免疫応答を増強することに寄与することを示唆した。最後に、組み合わせアジュバントを有するワクチンは、肺のダメージがより少ない致死的な同種ウイルス攻撃に対して防御した。
<方法>
<マウス>
雌の6~8週齢のBALB/cマウスを、Jackson labolatory(Bar Harbor, MA)から購入した。カリフォルニア大学サンディエゴ校動物施設において、オボアルブミンまたは不活化インフルエンザウイルスを抗原とし、生ウイルス攻撃を必要としない動物実験を実施した。インフルエンザ攻撃研究はユタ州立大学のAnimal Research Centerにより、6週齢の雌BALB/cマウス(Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を用いて行った。すべての動物実験は、UC San Diegoまたはユタ州立大学のInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)による事前承認を受けた。
<細胞および試薬>
TLR4/NF-kBレポーター細胞株HEK-BlueTMヒトTLR4およびHEK-BlueTMマウスTLR4細胞はInvivoGen(カタログ番号、San Diego, CA)から購入した。マウス初代BMDCを、C57BL/6マウスの大腿骨から採取した骨髄細胞から調製した。BMDCを、10%FBS(Omega, Tarzana, CA)およびペニシリン/ストレプトマイシン(100ユニット/mL/100μg/mL、Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を補充したRPMI中の示された化合物で処理した。モノリン脂質A(MPLA)、AddaVaxは、InvivoGen(カタログ番号San Diego, CA)から購入した。不活化インフルエンザA型ウイルス[A/California/04/2009(H1N1)pdm09](IIAV)は、BEIリソース(#NR-49450, Manassas, VA)から入手した。TLR7アゴニスト1V270、TLR4アゴニスト1Z105および2B182Cを含むその誘導体を合成した。1V270(20μM)、2B182C(4mM)および1V270+2B182C(20μM+4mM)のリポソーム製剤をInnimune corp.(Missoula, MT)で行った。
<TLR4/NF-κBレポーター細胞アッセイ>
TLR4/NF-κB活性化を、HEK-BlueTM hTLR4およびHEK-BlueTM mTLR4(InvivoGen)を用いて評価した。細胞を1Z105および2B182C(10μMから始まる2倍連続希釈)で20時間処理した。培養上清中のNF-κB誘導性分泌胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)タンパク質を、製造業者のプロトコルに従って測定した。
<インビボにおける抗体生産の評価>
BALB/cマウスを、0日目および21日目に、IAV(10μg/注射)に加えて指示されたアジュバントを後肢の腓腹筋に、筋肉内(i.m.)で免疫付与した。各処置におけるアジュバントの詳細な濃度および動物の数を、各図の凡例に記載する。28日目に血清を採取し、抗原特異的抗体(抗HA IgG1、抗NA IgG1、抗HA IgG2a、抗NA IgG2a、抗HA IgMおよび抗NA IgM)について評価した。これらの抗体についてのELISAを、以前に記載されたように行った(参考文献)。DMSO製剤を用いた研究のために、10%DMSOをビヒクルとして使用した。リポソーム製剤化アジュバントを使用する実験において、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびコレステロール(DOPC/Chol、対照リポソーム)をビヒクルとして使用した。
<BCRおよびTCRレパトアのNGSアッセイ>
免疫付与プロトコルを図28Aに示した。簡潔には、マウスを28日目に屠殺し、鼠径リンパ節を採取した。RNeasy Mini Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を用いてリンパ球(バルク)から全RNAを抽出し、Agilent 4200 TapeStation(Agilent, Santa Clara, CA)によりRNAの品質を確認した。次世代シーケンシングを、偏りのないTCRレパトア分析技術(Repertoire Genesis Inc., 大阪、日本)を用いて行った。
<致死性インフルエンザウイルス攻撃からの防御の評価>
BALB/cマウスに、製剤化1V270および2B182Cを用いてIIAV(3ug/注射)で0日目にi.m.ワクチン接種し、21日目に同種または異種インフルエンザA型ウイルス、A/California/04/2009(pdmH1N1)およびA/Victoria/3/75(H3N2)それぞれを鼻腔内に感染させた。同種ウイルスの攻撃から30~50%の動物を防御するIIAV;3μg/注射の免疫付与用量を予備実験で判断した。インフルエンザウイルス攻撃のために、マウスの群を、ケタミン/キシラジン(50mg/kg/5mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔した後、マウス1匹あたり1×10(3×LD50)の細胞培養感染用量(CCID50)のインフルエンザA/California/04/2009(H1N1pdm)ウイルス;マウス1匹あたり5×10(3×LD50)CCID50のインフルエンザA/Victoria/3/75(H3N2)ウイルスを90μL懸濁液中で鼻腔内攻撃した。研究21日目に全てのマウスにウイルス攻撃を行った。株指定175190のインフルエンザウイルス(H1N1pdm)は、Dr.Elena Govorkova(Department of Infectious Diseases, St. Jude Children’s jemResearch Hospital, Memphis TN)から受領した。このウイルスはマウスの9継代によりBALB/cマウスの肺での複製に適応した。ウイルスはMadin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞においてプラーク精製され、そしてウイルスストックは胚化ニワトリ卵、次いでMDCK細胞における増殖によって調製された。インフルエンザA/Victoria/3/75(H3N2)ウイルスは、American Type Culture Collection(Manassas, VA)から入手した。このウイルスは当初マウスには致死的ではなかったが、感染動物の肺で7回連続継代すると致死となった。マウス適応後、ウイルスストックを、MDCK細胞中での増殖によって調製した。
<肺ウイルス力価および肺炎症の測定>
ウイルス攻撃6日後、採血直後に気管支肺胞洗浄(BAL)処置を行い、各動物の死亡から5~10分以内に終了した。0.75mLの体積のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、気管チューブを通して肺にゆっくりと送達した。送達直後に、穏やかな吸引によって流体をゆっくりと引き出し、サンプルを-80℃で保存した。この手順を合計3回繰り返し、各マウスからの洗浄液をプールした。肺ウイルス力価を測定するために、BALサンプルを2000gで5分間遠心分離した。様々な10倍希釈のBAL上清を、MDCK細胞中の感染性ウイルスについて3連でアッセイし、ウイルス力価を計算した。肺サイトカインレベルの測定のために、各々の肺洗浄からのサンプル(200μL)を、製造業者の指示書に従って、化学発光多重ELISAベースのアッセイを使用して、MCP-1およびIL-6について試験した(Quansys Biosciences Q-PlexTM Array, Logan, UT)。
<血球凝集抑制力価>
血球凝集抑制(HI)力価については、血清を受容体破壊酵素II(RDE;Vibrio cholerae neuraminidase;YCC-340;Accurate Chemical and Scientific, Westbury, NY)で前処理して、1部の血清を3部の酵素で希釈し、37℃で18時間インキュベートすることによって非特異的阻害剤を除去した。続いて、RDEを56℃で45分間加熱することによって不活性化した。血清サンプルを、96ウェル丸底マイクロタイタープレート(Fisher Scientific, Pittsburg, PA)中のPBS中で希釈した。血清の希釈後、8HAユニット/ウェルのインフルエンザA/CA/04/2009(H1N1pdm)またはインフルエンザA/Victoria/3/75(H3N2)ウイルスに加えて七面鳥赤血球(Lampire Biological Laboratories, Pipersville, PA)を添加し(ウェル当たり50μL)、短時間混合し、室温で60分間インキュベートした。血清サンプルのHI力価は、血球凝集が完全に阻害された最高血清希釈の逆数として示される。
<ウイルス中和力価>
抗インフルエンザウイルス中和抗体アッセイのために、MDCK細胞を、使用の24時間前に、5%FBS(Hyclone, Logan, UT)を含むMEM中、1ウェルあたり1×10細胞で96ウェルプレートに播種した。血清サンプルの連続2倍希釈物を、1:32希釈で開始し、1:4096で終了する、10ユニット/mLトリプシンおよび1μg/mL EDTAを含有する無血清培地中で調製した。各血清希釈物を、約100CCID50/ウェルH1N1pdmまたはインフルエンザA/Victoria/3/75(H3N2)ウイルスを含有する無血清培地(トリプシンおよびEDTAを含む)と1:1(0.1mL)で混合した。室温で1時間インキュベートした後、血清-インフルエンザウイルス混合物(0.2mL)を、MDCK細胞を含むウェルに移し、3日間インキュベートした。抗インフルエンザウイルス中和抗体を細胞変性効果(CPE)阻害として測定した。感染後3日目に光学顕微鏡下でMDCK細胞単層を調べることによって、CPEを二重サンプルからスコア付けした。
<統計解析>
インビボ研究で得られたデータは平均標準誤差(SEM)とともに平均値として提示され、インビトロデータは標準偏差(SD)とともに平均値として示される。インビトロデータについては、Welchの両側t検定を用いて2群を比較した。抗原特異的抗体については免疫細胞集団に対するフローサイトメトリー解析、BCR-seq、TCR-seq、肺ウイルス力価、HIエンドポイント力価及びVNエンドポイント力価についてはDunnの事後検定とともにKruskal-Wallis検定を適用した。肺ウイルス力価とサイトカイン/ケモカインレベルとの相関を、Spearman順位相関検定を用いて解析した。体重については、曲線下面積を各マウスについて計算し、一元配置ANOVAを統計解析に使用した。Kaplan-Meier生存曲線間の有意差の検定にはログランク(Mantel-Cox)検定を用いた。Prism 5ソフトウェア(GraphPad Software, San Diego, CA)を使用した。P値が0.05未満の場合、統計的に有意であるとみなした。
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<結果>
<1Z105の構造活性相関の研究から2B182Cが得られた>
小分子ピリミドインドールTLR4リガンド、1Z105に対するポテンシーを改善するために、構造活性相関分析を行った(化学者が補うであろう)。合計56の化合物を合成し、ヒトおよびマウスのHEK TLR4レポーター細胞(それぞれ、HEK-Blue mTLR4およびhTLR4)によってスクリーニングした。これらのSAR化合物の中で、2B182Cは、マウスおよびヒトの両方のレポーター細胞において、より高いTLR4刺激ポテンシーを有する誘導体として発見された。2B182CのEC50を、HEK TLR4レポーター細胞を用いて調べ、1Z105のEC50と比較した(図21B)。マウスおよびヒトのTLR4レポーター細胞における2B182CのEC50は、1Z105のEC50と比較して、それぞれ5.8倍および870倍増加した。これらのデータは、SAR研究がより高いTLR4刺激ポテンシー、特にヒトTLR4ポテンシーを示す誘導体を首尾よく生じたことを示す。
<TLR4アゴニスト2B182cは抗原特異的IgG1の生産を増強した>
TLR4アゴニスト1Z105はTh2を介したIgG1生産を誘導し、TLR7アゴニスト1V270はインフルエンザウイルスに対するTh1細胞免疫を増強した(Goff et al., J. Virol., 89:3221 (2015); Goff et al., J. Virol., 91:e01050 (2017))。1V270と組み合わせることで、インフルエンザワクチンアジュバントとしてのTLR4アゴニスト2B182Cのエフィカシーを向上できると仮定した。したがって、1V270を伴う2B182Cが、1Z105と1V270とを用いたコンボアジュバントと比較して、インビボでのアジュバント性を改善するかどうかを調べた。
効果的な複合ワクチンアジュバントを開発するために、1Z105および2B182Cのポテンシーおよび単剤としての最適な用量を、不活化インフルエンザAウイルス[A/California/04/2009(H1N1)pdm09](IIAV)を抗原として用いて比較した。BALB/cマウスを、TLR4アゴニスト、1Z105または2B182Cと混合したIIAVで0日目および21日目に免疫付与し、28日目に採血した(図22A)。血清はELISAにより、ウイルス表面の2種類の糖タンパク質、血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)に対する抗体(IgM、IgG1およびIgG2a)について評価した。1Z105および2B182CはDMSO中で溶解され、DMSOの最終濃度は10%であった。結果は、200nmol/注射というより高い用量を有する2B182CがHAおよびNAの両方に対するIgG1抗体を有意に増加させたことを示した(図22B)。興味深いことに、2B182Cは抗NA特異的IgG2aを増強したが、1Z105は増強しなかった(図12C)。抗HA IgMレベルは、2B182Cによってほんのわずかに増加した(図24A)。
<2B182CとTLR7アゴニスト1V270との組み合わせは抗原特異的なIgG1およびIgG2aの両方を増加させた>
次に、抗体生産に対するこれらのTLR4アゴニストの共アジュバント効果を、1nmol/注射の用量でTLR7アゴニスト1V270と組み合わせた場合に分析した。1V270は、Th1免疫応答を増強するIgG2a生産を誘導することが報告された(Goff et al., 2017)。結果は1V270単独では抗HA IgG2a生産のみを誘導したが、2B182Cと組み合わせると、HAおよびNAの両方に対するIgG1およびIgG2a抗体が有意に誘導されたことを示した。これは、これらの化合物が付加的な様式で作用し得ることを示唆する(図23Aおよび23B)。一方、1Z105は、1V270によって誘導されたIgG2a生産を増強しなかった。1V270+2B182Cグループの動物はより多くの量のIgG1およびIgG2aの両方を生産し、免疫バランスはTh1を介したIgG2a生産に向かう傾向があり、この治療はTh1免疫応答を増強することに寄与することを示唆している(図23C)。1V270と2B182Cとの組み合わせは、抗HA IgM生産に対して中程度の効果を示した(図24B)。
まとめると、200nmol/注射の2B182Cと1nmol/注射の1V270との組み合わせは、最高量の抗原特異的IgG1およびIgG2a並びにTh1に偏った免疫応答を誘導し、インフルエンザウイルス感染における防御に望ましいものであった。従って、この組み合わせを次の製剤のために選択した。
<リポソーム製剤は、細胞毒性を低減させる2B182Cを改良した>
上記の結果を考慮して、1/200の1V270/2B182C比率(TLR4/TLR7)[1nmol/注射(20μmM)の1V270および200nmol/注射(4mM)の2B182C]を使用した。ワクチンに対する応答を維持しながら、望ましくない細胞毒性および反応原性を回避するために、化合物の製剤を調整することは、ワクチンアジュバントの開発において重要であり得る。従って、1V270および2B182cは、Inimmune Corp(Missoula, MT)によってリポソーム中に製剤化。製剤化化合物の活性を、マウス初代BMDCにおいて試験した。これらの製剤化化合物は、DMSO製剤化合物と同様のレベルのIL-12分泌を維持した(図25A)。DMSO-2B182CまたはDMSO-1V270+2B182Cにより誘導された細胞毒性はリポソーム製剤により有意に改善された(図25B)。注射部位における筋肉のH&E染色による組織学的分析を図25Cに示す。化合物の投与後の血清の多重サイトカイン/ケモカイン分析を図25Dに示す。
<リポソーム1V270および2B182Cは、抗HAおよび抗NA IgG1、並びにIgG2aの生産を相乗的に強化した>
インビボでの化合物のアジュバント性を、図22Aに記載のプライム-ブーストレジメンを用いて評価した。28日目に採取した血清を、ELISAによって抗原特異的抗体について評価した。結果はリポ-2B182Cがより高いレベルのIgG1を誘導することを示し、これはDMSO-2B182Cと一致した(図26A)。DMSO-1V270とは異なり、リポ-1V270単独ではIgG2a生産を促進しなかった(図26B)。各アゴニストによるIgG2aに対するこれらの最小の効果にもかかわらず、2つのアジュバントを組み合わせた場合、抗原特異的抗体の生産は相乗的に増強された(図26B)。一方、リポソームビヒクル、1V270、2B182Cおよび1V270+2B182Cによって誘導された総IgGレベルは同等であった(図26C)。抗原特異的IgMレベルはいずれの処置によっても影響を受けなかった(図27)。DMSO製剤で観察された傾向と一致して、リポソーム複合アジュバントは、Th1偏向免疫バランスを発現した(図26D)。
<製剤化1V270プラス2B182Cは抗体分泌応答を増強した>
製剤化アジュバントが抗原特異的抗体分泌を促進するB細胞の活性化を誘導するかを調査するために、鼠径リンパ節のリンパ球を、フローサイトメトリーを用いてTfh細胞、GC B細胞、形質芽球および形質細胞について調べた。上記の免疫付与プロトコルを使用し、鼠径リンパ節中のリンパ球を28日目に採取し、フローサイトメトリーによって分析した(図S28Aおよび28B)。その結果、CD3+ CD4+ PD-1+ CXCR5+細胞として確認されたTfh細胞の割合は、リポ-1V270+2B182Cによって大幅に増加した(図28Bおよび図29)。さらに、複合アジュバントは、GC B細胞(CD3- CD19+ CD95+ GL7+)のパーセンテージを増加させた。リポ-1V270+2B182Cを接種したマウスでは、形質芽球および形質細胞の増加が観察された。これらの結果は、複合アジュバントが単一の薬剤と比較してGC反応を増強することを示唆する。
<1V270と2B182Cとを用いたコンボアジュバントによるBCR多様性およびTCRクローナリティの増加>
複合アジュバントがBCRの多様性に影響するかどうかを調べるために、IGH遺伝子について次世代シークエンス分析を行った(Repertoire Genesis Inc, 大阪、日本による)。プライムブーストIIAVモデルを用い、28日目に鼠径リンパ節のリンパ球を採取した(図30A)。BCR配列分析から、Pielouの指数で示される総リード数に正規化されたBCR多様性は、リポ-1V270+2B182Cによって有意に増加したことが示された(図30A)。同様の分析によってIgG遺伝子のクローン型を分析し、グループ内の2つのマウス間でIGHクローンを比較し、共有クローンがあるかどうかを調べ、Jaccard指数を算出した;Jaccard指数;J(A、B)=(A∩B)/(A∪B)(図30B)。IGH、IGHG1およびIGHG2AのJaccard指数はリポ-1V270+2B182Cにより有意に増加し、このグループ内で2つのマウス間で共有されたクローンが増加したことを示した。さらに、リポ-1V270+2B182cグループでは、6クローン(0.03%)が3つのマウス間で共有された。これらの結果は、リポソーム複合アジュバントが総IGHおよびIGHG2AにおけるBCR多様性を増加させたことを示唆する。これは、複合アジュバントの免疫付与後のより高いIgG2aレベルと一致する。複合アジュバントで免疫付与されたグループで検出された共通のクローンは、抗原の優性エピトープを認識し得る。TCRシーケンシングを行い、製剤化アジュバントが抗原に対するf TCRクローナリティの増加に寄与するかどうかを調べた。予想された通り、複合アジュバントおよびリポ-2B182CはTCRαおよびTCRβのクローナリティを増加させた(図30C)。まとめると、リポ-1V270+2B182Cの動物は、より高いBCR多様性およびTCRクローナリティを示した。これは、Th1応答が複合アジュバントによって増強されるというデータを支持し得る。
<リポ-2B182Cおよびリポ-1V270+2B182Cは、同種インフルエンザウイルスに対して、マウスを防御する。>
複合アジュバントは、多様なBCRおよびTCRの高いクローナリティを伴うTh1偏向免疫応答を誘導した。この多様性がインフルエンザウイルスに対する免疫応答の兆候となり得るかどうかを試験するために、製剤化1V270および2B182cを、同種および異種のインフルエンザウイルス攻撃モデルで試験した。IIAVに加えてリポソーム1V270、2B182Cまたは1V270+2B182Cをワクチン接種したBalb/cマウスは、ワクチン接種(単回接種)後21日目に、同種(H1N1)インフルエンザウイルスで鼻腔内を攻撃した。マウスの体重および生存率をさらに21日間モニターした(図31A)。リポ-2B182Cおよびリポ-1V270+2B182Cは、ウイルス感染後の体重減少を有意に抑制した(図31B)。さらに、同種インフルエンザウイルスに対して、リポ-1V270は90%の防御を示し、リポ-2B182Cおよびリポ-1V270+2B182Cはマウスを完全に防御した(図31C)。マウスの生存率が肺におけるウイルス力価と相関するかどうかを評価するために、気管支肺胞洗浄を、洗浄液中のウイルス力価のために実施した。その結果、リポ-1V270+2B182Cは、6日目において、ウイルス力価を効果的に抑制することを示した(図31D)。ヒトでは、気道上皮細胞(例えばMCP-1、IL-6など)におけるサイトカインおよびケモカインのアップレギュレーションが致死的な肺損傷および肺炎と相関している(Gurczynski et al., Mucosal Immun., 12:518 (2019); Zhou et al., Nature, 499:500 (2013))。そこで、Quansys multiplex ELISAを用いて肺液中の炎症誘発性サイトカイン(IL-6)およびケモカイン(MCP-1)のレベルを評価した。結果は、複合リポソームアジュバントがMCP-1およびIL-6の両方の生産を有意に抑制したことを示した(図31E)。炎症誘発性サイトカインのレベルは、肺ウイルス力価と相関していた[MCP-1(P<0.0001、Spearman r=0.83)、IL-6(P<0.0001、Spearman r=0.79)](図31F)。この傾向は、リポ-1V270+2B182Cグループにおいてさらに増強された。これらの結果は、複合アジュバントが感染後のウイルスの侵入および増殖を阻害することにより肺のダメージを減少させることを示唆した。防御が血球凝集抑制力価(HI)およびウイルス中和力価(VN)に関連しているかどうかを評価するため、免疫付与後21日目に血清を採取し、HIおよびVNについて調べた(図31A)。非免疫付与グループと比較したHI力価の増加は、リポ-1V270、リポ-2B182C、およびリポ-1V270+2B182Cの20匹中19匹のマウスで観察された(図31G)。さらに、リポ-2B182cおよびリポ-1V270+2B182Cは、リポソーム対照と比較して有意に高いVNを誘導した(図31H)。VN力価は肺ウイルス力価と負の相関を示した(P<0.01、Spearman r=-0.59、図27I)。異種インフルエンザウイルスA/Victoria3/75(H3N2)に対する防御は、同種攻撃実験と同じプロトコルを用いて評価した(図31A)。リポソーム対照群と比較して、体重減少、生存率および肺ウイルス力価に有意差はなかった(図32A~C)。まとめると、製剤化複合アジュバントは異種防御には不十分であるが、有害な炎症作用なしに同種H1N1ウイルスに対して有意な防御を示した。
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〔実施例5〕
<1V270(TLR7リガンド)および2B182C(TLR4リガンド)のリポソーム共カプセル化は抗体エピトープを広げる>
インフルエンザウイルス感染の普遍的ワクチンは、主要抗原分子である血球凝集素(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)の広範なエピトープを認識する抗体の誘導を必要とする。従って、複合アジュバント(1V270および2B182C)によって誘導された抗体のエピトープの広がりおよび交差反応性を調べた。BALB/cマウス(n=5~10)を、1V270(Lipo-1V270)、2B182C(Lipo-2B182C)、共カプセル化リポソーム1V270+2B182C[Lipo-(1V270+2B182C)]のリポソーム製剤と混合した不活化ウイルスで免疫付与し、別々のリポソーム中のLipo-1V270とLipo-2B182Cとを添加混合した。ブランクリポソームを対照として使用し、0日目(プライム)および21日目(ブースト)に免疫付与を行い、28日目に血清を収集した。
エピトープの広がりは、HAペプチドELISAによって評価した。インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの重複HAペプチドアレイ(139ペプチド)を、BEIリソースから入手した。5つの連続したペプチドからなるプールしたペプチド(合計28プール)をELISAプレート上に配置した。1:200で希釈した血清を、OD405~570によって各ペプチドプールに対する反応性について試験した。各血清のODをヒートマップ上にプロットし(図38A)、個々の動物の平均ODを比較した。共カプセル化リポソーム1V270+2B182C[Lipo-(1V270+2B182C)]でワクチン接種されたマウスからの血清は、単一リガンドまたは混合物のリポソーム製剤と比較して有意に高いODを示した(図38B)。これらのデータは、Lipo-(1V270+2B182C)が広範囲のHAエピトープを認識する抗体応答を誘導したことを示す。
Lipo-(1V270+2B182C)によって誘導された広範なHAエピソープの認識が異なったインフルエンザウイルス感染のサブタイプの交差防御と関連しているかどうかを調べるために、ELISAによってHAおよびNAの様々なサブタイプに対する抗体の交差反応性を検証した(図39および40)。異なる系統発生的距離に属するHAおよびNAのサブタイプ。共カプセル化Lipo-(1V270+2B182C)で免疫付与したマウスからのIgGの幾何平均力価(GMT)は、リポソーム単一リガンドまたは追加混合した2つの別々のリポソームと比較して、グループ1(H1、H11、H12)からのHAだけでなく、グループ2(H3およびH7)のHAとも高い反応性を示した。広範な反応性は、NAの異なるサブタイプに対しても観察された。要約すると、IIAVとLipo-(1V270+2B182C)とをワクチン接種した動物で生産された抗体は、HAおよびNAの異なるサブタイプに対して高度に交差反応性を示した。
全ての刊行物、特許および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の明細書において、本発明はその特定の好ましい実施形態に関連して記載されており、多くの詳細が例示の目的で記載されているが、本発明は追加の実施形態が可能であり、本明細書に記載される特定の詳細は本発明の基本原理から逸脱することなく、かなり変更されてもよいことが、当業者には明らかであろう。
例示的なリポソーム製剤。 DMSOまたはリポソーム製剤中の1V270(1μM)、2B182C(200μM)、または1V270(1μM)と2B182C(200mM)との組み合わせのインビトロ免疫刺激活性。DMSOまたはリポソーム製剤において、野生型C57BL/6マウス由来のマウス骨髄由来樹状細胞を1V270(1μM)、2B182C(200μM)、または1V270(1μM)と2B182C(200mM)との組み合わせと共に18時間インキュベートした。培養上清におけるIL-6の放出をELISAによって測定した。 リポソーム製剤は、TLR4非依存性細胞毒性を軽減する。DMSOまたはリポソーム製剤において、野生型C57BL/6マウスまたはTLR4欠損マウス(C57BL/6バックグラウンド)由来のマウス骨髄由来樹状細胞を、1V270(1μM)、2B182C(200μM)、または1V270(1μM)と2B182C(200mM)との組み合わせとともに18時間インキュベートした。細胞生存率をMTTアッセイによって評価した。 例示的な実験プロトコル。 製剤に対する抗HA IgG1およびIgG2aレベル。 製剤に対するIgG2a/IgG1比率。 GC細胞および形質芽球のゲーティング戦略。 1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxの投与によって誘導される細胞型。製剤化1V270と2B182cとの組み合わせは、GC B細胞および形質芽球の数を有意に増加させた。 1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxの投与により誘導される、ELISAによって測定された抗-HA IgGレベル、またはBCR-seqとしての抗-HA IgGレベル。IgG2a生産は組み合わせ処置により強く増加し、Th1応答は製剤化2B182cにより誘導された。 BCR多様性は、組み合わせ処置により増加した。 抗原と、V270および/または2B182cあるいはAddaVaxとの投与後のTCRクローナリティ。TCRクローナリティは、2B182c処置およびAddavax後に増加した。 1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxの投与後のBCR多様性およびTCRクローナリティ。BCR多様性は組み合わせ処置によって増加し、TCRクローナリティは2B182c処置およびAddavax後に増加した。 クローン類似性。 共有クローン。 クラスター解析。 インフルエンザに対する既知の抗体として、類似する配列を有するクラスターの数。 細胞毒性およびIL-12分泌の分析。リポソームアジュバントは、BMDCにおいて、より低い細胞毒性を伴うIL-12分泌を誘導した。 1V270および/または2B182c(未製剤化および製剤化)あるいはAddaVax投与後の、抗-NA IgG1およびIgG2a分析。 2B182cおよび1V270のリポソーム製剤は、免疫応答をTh1応答へと偏らせる。(A)0日目および28日目に、DMSO(D)またはリポソーム(L)製剤中でTLR4リガンドおよび/またはTLR7リガンドと混合した、不活化Cal 2009 H1N1インフルエンザウイルス(10μg/注射)を用いて、BALB/cマウスを免疫付与した。28日目に血清を採取した。HAまたはNAに特異的なIgG1およびIgG2aを、ELISAによって判断した。(B)Th1/TH2バランスを、IgG2a/IgG1比率によって評価した。Mann-Whitney検定によりP<0.05、**P<0.001である。 リポソーム2B182cおよびリポソーム1V270との組み合わせアジュバント処置により、流入領域リンパ節における胚中心B細胞および形質芽球の数は増加した。(A)実験プロトコル。(B)フローサイトメトリーデータについてのゲーティング戦略。(図20C)B細胞、胚中心B細胞(CD3 CD19 CD95 GL7)、および形質芽球(CD3 CD19 CD138)の総数を計算した。BL;ブランクリポソーム。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、抗原+BLと比較して、;p<0.05、**;p<0.01、***;p<0.001である。 2B182Cは、より低い濃度でヒト(A)およびマウス(B)の両方のTLR4に対して有効である。HEK TLRレポーター細胞(HEK-BlueTMhTLR4およびHEK-BlueTMmTLR4)を、化合物1Z105および2B182C(10μMから2倍連続希釈)を用いて20時間処理した。培養上清中のNF-kB誘導性NF-kB SEAPレベルを、製造業者のプロトコルに従って評価した。 200nmol/注射の2B182cは、抗原特異的IgG1および抗-NA IgG2aのより高いレベルを誘導した。(A)2つのTLRアゴニスト1Z105と2B182Cとを比較するための実験プロトコル。0日目および21日目に、IIAV(10μg/注射)に加えてTLR4アゴニストの1Z105または2B182C(40および200nmol/注射)を両後脚に筋肉内注射し、BALB/cマウス(n=5/群)を免疫付与した。28日目に採血し、血清はELISAにより、血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)に対する抗体について評価した。10%DMSOをビヒクルとして使用した。(B)抗-HA IgG1抗体および抗-NA IgG1抗体。(C)抗-HA IgG2a抗体および抗-NA IgG2a抗体。各ボックスプロットにおいて、ボックス内の線は中央値を表し、境界は上下の四分位値であり、バーは最小値および最大値を示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、抗原+ビヒクルと比較して、P<0.05、**P<0.001である。 2B182CとTLR7アゴニストの1V270との組み合わせは、抗原特異的IgG1およびIgG2aの両方を増加させた。(A-C)図2Aに示すように、BALB/Cマウス(n=5~6)をIIAVおよびアジュバントを用いて免疫付与した。MF59と類似の製剤であるAddaVaxTMを、ポジティブコントロールとして使用した。抗-HA IgG1生産および抗-NA IgG1生産(A)、抗-HA IgG2a生産および抗-NA IgG2a生産(B)を、ELISAによって判断した。各ボックスプロットにおいて、ボックス内の線は中央値を表し、境界は上下の四分位値であり、バーは最小値および最大値を示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05、**P<0.01、***P<0.001である。抗原なしとAddaVax以外の4群を比較した(全てのペア)。(C)全ての組み合わせ処置によって誘導された抗-HA IgG1およびIgG2aレベル(ビヒクルに正規化)を、5~11匹のマウス/群の平均によって示す。各ドットは個々の動物を示す。黒の実線は、IgG2a/IgG1=1を示す。1V270と2B182Cとの組み合わせによって免疫付与された全ての動物は、IgG2a/IgG1=1より上に分布した。これは、これらのマウスにおける免疫バランスが、Th1免疫応答に偏向していたことを示唆している。 28日目の抗原特異的IgM生産。(AおよびB)BALB/cマウス(n=5~6)をIIAV(10μg/注射)で免疫付与し、図2Aに示すアジュバントを示した。抗原特異的IgMレベルを、ELISAによって測定した。(A)TLR4アゴニストの1Z105または2B182C(40および200nmol/注射)によって誘導される、抗-HA IgM生産および抗-NA IgM生産。(B)TLR7アゴニスト1V270(1nmol/注射)と、TLR4アゴニストの1Z105または2B182C(200nmol/注射)との組み合わせは、抗原特異的IgM誘導に対してわずかな影響を与えた。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05である。 リポソーム1V270およびリポソーム2B182Cは、より低い毒性を伴う同等のレベルのIL-12放出を誘導した。(A)IL-12分泌レベル。(B)%生存率。マウス初代BMDCを1V270(0.0625uM)および2B182C(12.5uM)を用いて処置した。1V270/2B182c比率を1:200に保ち、図3における最良の比率として判断した。一晩インキュベートした後、培養上清中のIL-12レベルをELISAによって調べ、細胞生存率をMTTアッセイによって評価した。Welch補正を伴う片側不対t検定により、それぞれの化合物におけるDMSO製剤(D)対リポソーム製剤(L)で、P<0.05、**P<0.01。 組み合わせアジュバントの注射後の局所免疫細胞浸潤の組織学的分析。1V270(1nmol/注射)、2B182C(200nmol/注射)、または1V270(1nmol/注射)と2B182C(200nmol/注射)との組み合わせのリポソーム製剤を、BALB/cマウスに筋肉内注射した。組織を採取して固定し、パラフィンブロックに包埋した。10μm切片をH&Eで染色した。低倍率および高倍率は、それぞれ20×および40×の対物レンズを用いて得た。低倍率画像と高倍率画像におけるスケールバーは、それぞれ50μmと20μmを示す。 ビヒクル、1V270、2B182C、1V270+2B182CをDMSO製剤またはリポソーム製剤と共に(50μLの容量中、1nmol/注射の1V270および200nmol/注射の2B182C)、BALB/cマウス(n=5/群)に筋肉内注射した。AddaVaxTM(25μL/注射)をポジティブコントロールとして使用した。2時間後および24時間後に血清を採取し、Luminex multiplexサイトカインアッセイによりIL-12p40、TNF、およびKC分泌を調べた(A)。データは、平均±SEMで示される。Mann-Whitneyの両側U検定により、P<0.05、**P<0.01である。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、4群(同じ製剤中のビヒクル、1V270、2B182C、1V270+2B182C)を比較し、P<0.05、++P<0.01である。 リポソーム1V270およびリポソーム2B182Cは、抗-HA IgG1およびIgG2a生産、ならびに抗-NA IgG1およびIgG2a生産を相乗的に増強した。(A-C)図22Aに示すように、0日目および21日目に、IIAV(10μg/注射)および製剤化アジュバントを用いて、BALB/cマウス(n=5/群)を、筋肉内注射することにより免疫付与した。リポソームTLR7アゴニスト1V270(リポ-1V270、1nmol/注射)、リポソームTLR4アゴニスト2B182C(リポ-2B182C、200nmol/注射)、ならびに1V270および2B182Cのリポソーム複合アジュバント(リポ-1V270+2B182C、1nmo/注射+200nmo/注射)を注射した。ビヒクルは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびコレステロール(DOPC/Chol、対照リポソーム)である。AddaVaxTMをポジティブコントロールとして使用した。28日目に血清を採取し、HAまたはNAに特異的なIgG1、IgG2a、および総IgGを、ELISAによって判断した。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05および**P<0.01である。抗原なしとAddaVax以外の4群を比較した(全てのペア)。データは、類似の結果を伴う2つの独立した実験の代表である。 製剤化アジュバントによって誘導される、抗原特異的IgMレベル。0日目および21日目に、図2Aに示すように、製剤化アジュバントを伴うIIAV(10μg/注射)を用いて、BALB/cマウス(n=5/群)を、筋肉内注射することにより免疫付与した。リポソームTLR7アゴニスト1V270(リポ-1V270、1nmol/注射)、リポソームTLR4アゴニスト2B182C(リポ-2B182C、200nmol/注射)、ならびに1V270と2B182Cとの複合リポソームアジュバント(リポ-1V270+2B182C、1nmo/注射+200nmo/注射)を注射した。ビヒクルは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンおよびコレステロール(DOPC/Chol、対照リポソーム)である。AddaVaxTMをポジティブコントロールとして使用した。28日目に血清を採取し、HAまたはNAに特異的なIgMを調べた。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05である。抗原なしとAddaVax以外の4つの処置を比較した(全てのペア)。データは、類似の結果を伴う2つの独立した実験の代表である。 製剤化複合アジュバントは、Tfhおよび抗体分泌細胞を増加させた。(A)0日目および21日目に、50μLの全容量中、1V270(1nmol/注射)および/または2B182C(200nmol/注射)を用いてIIAV(10μg/注射)で、BALB/cマウス(n=4~5/群)にワクチン接種した。28日目に、鼠径リンパ節中のリンパ球を採取してFACS分析を行った。Tfh細胞(CD3+ CD4+ PD-1+ CXCR5+)、GC B細胞(CD3- CD19+ CD95+ GL7+)、形質芽球(CD3- CD19+ CD138+)、および形質細胞(CD3- CD19- CD138+)についてのゲーティング戦略を示す。(B)生細胞中の%Tfh細胞、GC B細胞、形質芽球、および形質細胞。バーは、平均±SEMを示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05および**P<0.01である。AddaVax以外の4つの条件を比較した(全てのペア)。 製剤化複合アジュバントは、Tfhおよび抗体分泌細胞を増加させた。0日目および21日目に、50μLの全容量中、1V270(1nmol/注射)および/または2B182C(200nmol/注射)を用いてIIAV(10μg/注射)で、BALB/cマウス(n=4~5/群)にワクチン接種した。28日目に、鼠径リンパ節中のリンパ球を採取してFACS分析を行った(図5A)。Tfh細胞(CD3+ CD4+ PD-1+ CXCR5+)、GC B細胞(CD3- CD19+ CD95+ GL7+)、形質芽球(CD3- CD19+ CD138+)、および形質細胞(CD3- CD19- CD138+)についてのゲーティング戦略を図5Bに示す。(A)Tfh細胞、GC B細胞、形質芽球、形質細胞の数。(B)細胞の総数。バーは、平均±SEMを示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.05および**P<0.01である(全てのペア)。 1V270と2B182Cとの製剤化された組み合わせ。(AおよびB)0日目および21日目に、製剤化アジュバンドを用いてIIAVでBALB/cマウスにワクチン接種し、28日目に鼠径リンパ節を採取してBCRレパトア分析を行った。(A)総IGH、IGHG1、およびIGHG2AのBCR多様性。(B)類似性解析。Jaccard指数を示す。(C)TCRαおよびTCRβの「1-pielou指数」によって示された、TCRクローナリティ。バーは、平均±SEMを示す。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、(リポソームと比較して)P<0.05および**P<0.01である。 リポ-2B182Cおよびリポ-1V270+2B182Cは、同種のインフルエンザウイルスからマウスを防御する。(A)同種のインフルエンザウイルス攻撃の実験スケジュール。(B)平均体重変化は、%初期体重によって示される。Dunnettの事後検定を伴う一元配置ANOVAにより、P<0.05、**P<0.01である。(C)同種のウイルス(H1N1pdm)による攻撃後のマウスの生存率。ログランク検定を用いたKaplan-Meier曲線を示す。肺ウイルス力価(D)および肺液中のサイトカインレベル(E)を評価した。3日目および6日目に、肺洗浄を行った。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、(リポソームと比較して)**P<0.01である。(F)肺ウイルス力価と、炎症誘発性サイトカインであるMCP-1(左)およびIL-6(右)との関係。Spearman順位相関検定(MCP‐1;**P<0.0001、Spearman r=0.83、IL‐6;***P<0.0001、Spearman r=0.79)。HI力価(G)および同種のウイルスに対するVN価(H)。Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定により、P<0.01および***P<0.001である(全てのペア)。(I)VN力価と肺ウイルス力価との関係。各ドットは、同一動物におけるVN力価と肺ウイルス力価を示す。**P<0.01、Spearman順位相関検定、Spearman r=-0.59。 H3N2ウイルスによる異種攻撃。図31Aに記載されるように、BALB/cマウスを、IIAV(H1N1)に加えて製剤化アジュバントを用いて免疫付与し、そして異種のウイルスA/Victoria3/75(H3N2)を用いて鼻腔内攻撃した。(A)体重減少をモニターした。一元配置ANOVAにより、有意性は検出されなかった。(B)異種のウイルスによる攻撃後のマウスの生存率。ログランク検定(n.s.)を用いたKaplan-Meier曲線を示す。(C)3日目および6日目における、肺ウイルス力価。Kruskal-Wallis検定により、有意性は検出されなかった。 AおよびE)プロトコル。B-CおよびF-G)1V270および/または2B182CあるいはAddaVaxを投与したマウスにおける、A/PuertoRico/8/1934またはB/Florida/04/に感染後の経時的な体重および生存。D)1V270および/または2B182cあるいはAddaVaxを投与したマウスにおける、IgG2a/IgG1比率。 A)1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、抗-HA IgG1、抗-HA IgG2a、および抗-HA IgM。B)1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、抗-NA IgG1、抗-NA IgG2a、および抗-NA IgM。 1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、AおよびB)抗-HAおよび抗-NA IgG1、C-D)抗-HAおよび抗-NA IgG2a、ならびにE-F)抗-HAおよび抗-NA IgM。B)1V270、1Z105、2B182c、またはAddaVaxを投与したマウスにおける、抗-NA IgG1、抗-NA IgG2a、および抗-NA IgM。 異なる投与量の1V270、1Z105、2B182c、またはそれらの組み合わせを投与したマウスにおける抗-HA IgG2aおよびIgG1。 様々なリポソームの概略図および例示的なプロトコル。 A/California/04/2009(H1N1)pdmのHAのペプチドアレイを使用するELISA。0日目および21日目に、IIAVに加えてLipo-Veh(ブランクリポソーム)、Lipo-1V270、Lipo-2B182C、Lipo-(1V270+2B182C)(共カプセル化組み合わせ)、または(Lipo-1V270)+(Lipo-2B182C)(混合組み合わせ)を用いて、BALB/cマウス(n=5~10)を免疫付与し、28日目に採血した。A/California/04/2009(H1N1)pdm(NR-15433)のHAのペプチドアレイはBEIリソースから入手した。5群のペプチドをプールし、28個のペプチドプールを作製した。(A)ELISAの結果によるOD405-570nmのヒートマップ。各行および各列は、それぞれペプチドプールおよびマウスを示している。(B)統計分析を、個々のマウスにおける28個のペプチドプールの平均について行った。**P<0.01、***P<0.0001、Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定。+P<0.05、Mann-Whitney検定。 抗体の交差反応性についてのELISA。BALB/cマウス(n=5/群)を、0日目および21日目に、IIAVに加えてLipo-Veh、Lipo-1V270、Lipo-2B182C、Lipo-(1V270+2B182C)、または(Lipo-1V270)+(Lipo-2B182C)を用いて免疫付与し、28日目に採血した。血清を連続希釈(1:100~1:409600)し、ELISAにより、Puerto RicoH1N1、H11N9、H12N5、H7N7、およびH3N2のHA、ならびにH5N1、H10N8、H3N2、およびH7N7のNAに対する、総IgGレベルを評価した。(A)本研究において使用したA型インフルエンザウイルスのHAの系統発生的関係。ELISAにおいて使用したタンパク質のアミノ酸配列を、インフルエンザリサーチデータベース(https://www.fludb.org/brc/home.spg?decorator=influenza)を用いたMUSCLEアルゴリズムにより整列させた。系統樹は、MEGAXソフトウェア(https://www.megasoftware.net/)を用いた近隣結合法により構築した。(B)H1N1、H11N9、H12N5、H3N2、およびH7N7のHAに対する総IgG力価曲線。(C)NAの系統発生的関係。(D)H5N1、H10N8、H3N2、およびH7N7のNAに対する総IgG力価曲線。血清を、100倍から始めて409600倍まで1:4に希釈し、総IgGレベルをELISAによって評価した。示されるデータは、平均±SEMである。 Lipo-(1V270+2B182C)は、交差反応性抗体を誘導した。(AおよびB)BALB/c(n=5/群)マウスを、0日目および21日目に、IIAV[A/California/2009(H1N1)pdm09]に加えてLipo-Veh、Lipo-1V270、Lipo-2B182C、Lipo-(1V270+2B182C)、または(Lipo-1V270)+(Lipo-2B182C)を用いて免疫付与し、28日に採血した。血清を連続希釈(1:100~1:409600)し、ELISAにより、Puerto RicoH1N1、H11N9、H12N5、H7N7、およびH3N2のHA、ならびにH5N1、H10N8、H3N2、およびH7N7のNAに対する、総IgGレベルを評価した。prism 5を用いて計算した個々のマウスの総IgG力価曲線の幾何学的平均を示す。本研究で使用したHAタンパク質の総IgG力価曲線および系統発生的関係を上記した内容に示した。P<0.05、**P<0.01、Dunnの事後検定を伴うKruskal-Wallis検定。+P<0.05、++P<0.01、Mann-Whitney検定。 例示的なTLR4およびTLR7アゴニスト。

Claims (44)

  1. 哺乳動物における免疫応答を増強するための方法であって、リポソームを含む組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含み、前記リポソームを含む組成物は、有効な量のTLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストを含む、方法。
  2. 前記TLR4アゴニストおよび前記TLR7アゴニストを同時に投与する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記TLR4アゴニストは式(II)を有する、請求項1または2に記載の方法:
    Figure 2022525608000042

    ここで、z1は0~4の整数であり、z2は0~5の整数であり、Rは置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、Rは置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、Rは水素、または置換もしくは非置換アルキルであり、およびRの各々は、独立して、ハロゲン、-CN、-SH、-OH、-COOH、-NH、-CONH,ニトロ、-CF、-CCl、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
  4. 前記TLR7アゴニストは式(I)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法:
    Figure 2022525608000043

    ここで、Xは、-O-、-S-、または-NR-であり;
    は、水素、(C~C10)アルキル、置換(C~C10)アルキル、C6~10アリール、または置換C6~10アリール、C5~9複素環式、置換C5~9複素環式であり;
    は、水素、C1-10アルキル、もしくは置換C1-10アルキルであり;またはRおよびRは、結合する窒素と共に複素環式環もしくは置換複素環式環を形成し;
    各Rは、独立して、-OH、(C~C)アルキル、置換(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、置換(C~C)アルコキシ、-C(O)-(C~C)アルキル(アルカノイル)、置換-C(O)-(C~C)アルキル、-C(O)-(C~C10)アリール(アロイル)、置換-C(O)-(C~C10)アリール、-C(O)OH(カルボキシル)、-C(O)O(C~C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換-C(O)O(C~C)アルキル、-NR、-C(O)NR(カルバモイル)、ハロ、ニトロ、もしくはシアノであるか、またはRは欠如しており;
    各RおよびRは、独立して、水素、(C~C)アルキル、置換(C~C)アルキル、(C~C)シクロアルキル、置換(C~C)シクロアルキル、(C~C)アルコキシ、置換(C~C)アルコキシ、(C~C)アルカノイル、置換(C~C)アルカノイル、アリール、アリール(C~C)アルキル、Het、Het(C~C)アルキル、または(C~C)アルコキシカルボニルであり;
    ここで、任意のアルキル基、アリール基、または複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキレン、C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、C1~6アルコキシC1~6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロ、またはアリールであり;
    nは、0、1、2、3、または4であり;
    は、結合または連結基であり;および
    一実施形態において、Rは1つまたは2つのカルボン酸エステルを含むリン脂質であり;
    もしくはその互変異性体であり;
    またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物である。
  5. 前記リポソームは、PC、DOPC、またはDSPCを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記リポソームは、コレステロールを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 1つまたは複数の免疫原を投与する工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記免疫原は、微生物免疫原である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記微生物は、ウイルスまたは細菌である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記リポソームは、1つまたは複数の免疫原を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記哺乳動物は、ヒトである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記TLR7アゴニストの量は、約0.01~100nmol、約0.1~10nmol、または約100nmol~約1000nmolである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記TLR4アゴニストの量は、約2~20umol、約20nmol~2umol、または約2umol~約100umolである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記TLR7アゴニスト対前記TLR4アゴニストの比率は、約1:10、1:100、1:200、5:20、5:100、または5:200である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記組成物を、注射、筋肉内投与、鼻腔内投与、または静脈内投与する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記リポソームは、DOPCおよびコレステロールを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. リポソーム、TLR4アゴニストおよびTLR7アゴニストを含む、医薬製剤。
  18. 前記リポソームは、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン](DOPS)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(18:1DOTAP)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(DOPG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-PE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](16:0PEG-2000PE)、1-オレオイル-2-[12-[(7-ニトロ-2-1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル)アミノ]ラウロイル]-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:1~12:0 NBD PC)、1-パルミトイル-2-{12-[(7-ニトロ-2-1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル)アミノ]ラウロイル}-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(16:0~12:0 NBD PC)、およびそれらの混合物;1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、コレステロール、またはそれらの混合物を含む、請求項17に記載の製剤。
  19. 前記リポソームは、DOPC、コレステロール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の製剤。
  20. 前記TLR7アゴニストの量は、約0.01~100nmol、約0.1~10nmol、または約100nmol~約1000nmolである、請求項17~19のいずれか1項に記載の製剤。
  21. 前記TLR4アゴニストの量は、約2nmol~20umol、約20nmol~2umol、または約2umol~約100umolである、請求項17~20のいずれか1項に記載の製剤。
  22. 前記TLR7アゴニスト対前記TLR4アゴニストの比率は、約1:10、1:100、1:200、5:20、5:100、または5:200である、請求項17~21のいずれか1項に記載の製剤。
  23. 前記TLR7アゴニストは、式(I)の化合物を含む、前記17~22のいずれか1項に記載の製剤:
    Figure 2022525608000044

    式(I)中、Xは-O-、-S-、または-NR-であり;
    は、水素、(C~C10)アルキル、置換(C~C10)アルキル、C6~10アリール、または置換C6~10アリール、C5~9複素環式、置換C5~9複素環式であり;
    は、水素、C1-10アルキル、もしくは置換C1-10アルキルであり;またはRおよびRは、結合する窒素と共に複素環式環もしくは置換複素環式環を形成し;
    各Rは、独立して、-OH、(C~C)アルキル、置換(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、置換(C~C)アルコキシ、-C(O)-(C~C)アルキル(アルカノイル)、置換-C(O)-(C~C)アルキル、-C(O)-(C~C10)アリール(アロイル)、置換-C(O)-(C~C10)アリール、-C(O)OH(カルボキシル)、-C(O)O(C~C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換-C(O)O(C~C)アルキル、-NR、-C(O)NR(カルバモイル)、ハロ、ニトロ、もしくはシアノであるか、またはRは欠如しており;
    各RおよびRは、独立して、水素、(C~C)アルキル、置換(C~C)アルキル、(C~C)シクロアルキル、置換(C~C)シクロアルキル、(C~C)アルコキシ、置換(C~C)アルコキシ、(C~C)アルカノイル、置換(C~C)アルカノイル、アリール、アリール(C~C)アルキル、Het、Het(C~C)アルキル、または(C~C)アルコキシカルボニルであり;
    式(I)中、任意のアルキル基、アリール基、または複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキレン、C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、C1~6アルコキシC1~6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロ、またはアリールであり;
    nは、0、1、2、3、または4であり;
    は、結合または連結基であり;および
    は、1つまたは2つのカルボン酸エステルを含むリン脂質であり;
    もしくはその互変異性体であり;
    またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物である。
  24. 前記式(I)中の前記Rは、以下を含む、請求項23に記載の製剤;
    Figure 2022525608000045

    ここで、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、またはアシル基であり、R13は負電荷または水素であり、mは1~8であり、波線は結合の位置を示し、OR12を有する炭素原子における絶対配置は、R、S、またはそれらの任意の混合である。
  25. 前記mは1であるか、またはR11およびR12はそれぞれオレオイル基である、請求項23または24に記載の製剤。
  26. 前記Rのリン脂質は、2つのカルボン酸エステルを含み、前記カルボン酸エステルの各々は、不飽和、エポキシ化、ヒドロキシル化、またはそれらの組み合わせの1つ、2つ、3つ、または4つの部位を含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の製剤。
  27. 前記Rのリン脂質は、2つのカルボン酸エステルを含み、前記カルボン酸エステルは、同じであるかまたは異なっている、請求項23~26のいずれか1項に記載の製剤。
  28. 前記リン脂質のカルボン酸エステルの各々は、C~Cにおいて不飽和部位を有する、C17カルボン酸エステルである、請求項27に記載の製剤。
  29. 前記リン脂質のカルボン酸エステルの各々は、C~C10において不飽和部位を有する、C18カルボン酸エステルである、請求項27に記載の製剤。
  30. 前記Xは、結合、または鎖中に1~約10個の原子を有する鎖であり、ここで、前記鎖の原子は炭素、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択され、任意の炭素原子はオキソで置換され得、任意の硫黄原子は1個または2個のオキソ基で置換され得る、請求項23~29のいずれか1項に記載の製剤。
  31. 前記Rは、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む、請求項23~30のいずれか1項に記載の製剤。
  32. 前記Rは1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンであり、前記XはC(O)である、請求項23から31のいずれか1項に記載の製剤。
  33. 前記Xは、酸素である、請求項23~32のいずれか1項に記載の製剤。
  34. 前記XはOであり、前記RはC1-4アルコキシ-エチルであり、前記nは0であり、Xはカルボニルであり、Rは1,2-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である、請求項23~33のいずれか一項に記載の製剤。
  35. 前記式(I)の化合物は、以下である、請求項23~33のいずれか1項に記載の製剤;
    Figure 2022525608000046

  36. 前記式(I)の化合物は、以下である、請求項23~33のいずれか1項に記載の製剤;
    Figure 2022525608000047

  37. 前記TLR4アゴニストは、式(II)を含む、請求項17~36のいずれか1項に記載の製剤:
    Figure 2022525608000048

    式(II)中、z1は0~4の整数であり、z2は0~5の整数であり、Rは置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、Rは置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、Rは水素、または置換もしくは非置換アルキルであり、およびRの各々は、独立して、ハロゲン、-CN、-SH、-OH、-COOH、-NH、-CONH,ニトロ、-CF、-CCl、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
  38. 前記z2は、1、2、または3である、請求項37に記載の製剤。
  39. 前記z1は、1または2である、請求項37または38に記載の製剤。
  40. 前記z1は、0である、請求項37または38に記載の製剤。
  41. 前記Rは、置換または非置換アリールである、請求項37~40のいずれか1項に記載の製剤。
  42. 前記Rは、置換または非置換シクロアルキルである、請求項37~41のいずれか1項に記載の製剤。
  43. 前記Rは、置換または非置換アルキルである、請求項37~42のいずれか1項に記載の製剤。
  44. 前記z1=1であり、前記Rは置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールである、請求項37~39または40~43のいずれか1項に記載の製剤。
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