JP2022523275A - 板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法 - Google Patents

板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法に関し、この方法は、a)ワークピース(9)から製造すべきワークピース部材(11)の輪郭に少なくとも部分的に沿って延在する切断線(14)に沿って切断ギャップ(15)を生成するための少なくとも1回の分離手順を含んでおり、この分離手順は、加工ビーム(16)をガイドするために働くビームヘッド(3)の、ワークピース(9)上方での移動を含み、この場合、加工ビーム(16)を、切断線(14)に沿って第1の切断位置から第2の切断位置へとガイドし、加工ビーム(16)は、ワークピースを分離するように算定された第1の出力密度を有しており、b)切断ギャップ(15)の少なくとも一部に沿ってワークピース(9)を後加工するための少なくとも1回の後加工手順を含み、この場合、ワークピース部材(11)は完全には切り取られておらず、この後加工手順は、ビームヘッド(3)の、ワークピース(9)上方での移動を含み、この場合、加工ビーム(16)を、後加工線(18)に沿って第1の後加工位置から第2の後加工位置へとガイドし、加工ビーム(16)は、ワークピース(9)を分離しないように算定された第2の出力密度を有しており、この場合、ワークピース(9)を、切断ギャップ(15)の少なくとも一部に沿って、切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)を含む領域および/または切断ギャップ(15)の残留格子側の切断縁(19’)を含む領域において、加工ビーム(16)によって照射する。

Description

本発明の技術分野は、金属性のワークピースの製造であり、本発明は、板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法に関し、加工ビームによって、切断ギャップを生成するためのワークピースの分離加工ならびに切断ギャップの少なくとも一部に沿ったワークピースの後加工が行われる方法に関する。
レーザービームをガイドするための可動式ビームヘッドを備えた市販のレーザー切断装置では、大量かつ高精度のワークピース部材の自動生産が可能である。この場合、ワークピース部材は、レーザービームによって、板状または管状の金属性のワークピースから、それぞれの切断線に沿って切り取られる。
使用されるレーザー切断方法の形式に応じて、切り取られたワークピース部材の切断縁は、通常、手間のかかる機械的な後加工を要する。すなわち、鋭い切断縁は丸み付けされて、例えば面取部が設けられ、切断縁のバリは除去されなければならない。さらに、切断縁は、しばしば、その後の加工プロセスのために、例えば、平滑化または粗面化により、準備されなければならない。プロセスガスとして酸素を用いるレーザー切断の際に切断縁に生じる酸化も問題である。酸化物層の多くは塗装が困難であるので、これを研磨により除去しなければならない。さらなる問題は、亜鉛メッキされたワークピースでは、切断ギャップの領域で亜鉛コーティングが失われるので、亜鉛メッキされたワークピースから製作されたワークピース部材は、後から亜鉛メッキされなければならない、または亜鉛メッキは通常、ワークピース部材が切り取られてから初めて行われる。
基本的に、ワークピース部材を完全に切り取った後で切断縁の領域で行われる加工、特に機械加工は、しばしば手動でも行われるため、時間がかかり、通常、極めて人的労力もかかる。さらに後加工にはコストがかかるので、ワークピース部材の製造は、望ましくないことに、長期化され、高価になる。
国際公開第2014/016138号には、シンクロナイザーリングを製造するための方法が開示されている。この場合、1つのブランク素材から2つのシンクロナイザーリングがレーザーによって切り取られる。次いで、切り取られたシンクロナイザーリングの負荷面のレーザー硬化が、デフォーカスされたレーザービームによって行われる。
国際公開第2019/077395号には、アルミニウムコーティングされた鋼部品を製造するための方法が開示されている。この場合、まずは、コーティングされた帯材から成る構成部分をレーザーによって切り取り、次いで、切り取られた構成部分の切断縁におけるコーティングの部分的除去をレーザーアブレーションによって行う。
独国特許出願公開第102014113878号明細書には、構成部品のレーザー切断およびレーザー焼鈍のために適した装置が開示されている。それぞれ最終的に切り取られた構成部品にレーザー焼鈍が施される。この明細書に開示されている新規性は、散乱放射に対する遮蔽に関する。
これに対して、本発明の課題は、板状または管状のワークピースから切断ビームによってワークピース部材を切り取る、従来のワークピース部材を製造するための方法を改良して、その製造を自動化してより迅速かつ安価に行うことができるようにすることである。
この課題およびさらなる課題は、本発明の提案によれば、独立請求項の特徴を備えた、板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法により解決される。本発明の好適な構成は、従属請求項の特徴に記載されている。
本発明によれば、板状または管状のワークピースをビーム加工するための方法が示される。本発明による方法は、切断ビーム(熱切断)によってワークピースにおける切断ギャップの生成が行われるすべてのプロセス、例えばレーザー切断またはガス切断で、使用することができる。好適には、本発明による方法は、ワークピースのレーザー切断で使用され、この場合、加工ビームはレーザービームであり、ビーム加工はレーザービーム加工であるが、これに限定されるものではない。
本発明による方法では、切断ギャップを生成するためのワークピースの分離加工の他に、切断ギャップの領域における非分離および非接合のワークピースの後加工も行われるので、切断ビームの代わりに「加工ビーム」の用語を使用する。出力密度を調節することにより加工ビームを選択的に、ワークピースの分離加工のために、または非分離かつ非接合の加工のために使用できることを理解されたい。
本発明による方法のビーム加工は、切断線に沿って切断ギャップを生成するための少なくとも1回の分離手順と、切断ギャップの少なくとも一部分に沿ってワークピースを後加工するための少なくとも1回の後加工手順とを含み、この場合、「部分」の用語は、切断線に沿った切断ギャップの延在を意味する。
本発明の概念では、ワークピースから切り取られるワークピース部材の輪郭に沿って専ら延在する切断線もしくは切断ギャップが考慮され、この切断線もしくは切断ギャップは必ずしも完全な輪郭に沿って延在する必要はない。むしろ、切断線もしくは切断ギャップは、輪郭の一部にのみ沿って延在していてもよい。切断線に沿って、切断ギャップが生成され、切断ギャップは、完全な切断線にわたって延在する。切断線に沿った切断ギャップの生成は、1つ以上のステップで行うことができる。切断ギャップの生成により、ワークピース部材は、その輪郭に沿って部分的にまたは完全に切り取られる。すなわち、切断ギャップは常に輪郭を形成する。したがって、本発明の概念では切断線もしくは切断ギャップの用語には、輪郭を形成せず、ワークピース部材の輪郭に沿って延在しない、切断線もしくは切断ギャップの区分は含まれない。例えば、ワークピース部材を切り取る際にはしばしば、輪郭から離れたところでワークピースに突き刺しが行われ、切断ビームは最初に、短い距離だけ、ワークピース部材の輪郭に向かって移動する。この場合に生成された切断ギャップは、輪郭を形成するものではなく、したがって、本発明の概念で意味するような切断ギャップの用語には含まれない。
板状または管状のワークピースをビーム加工するための本発明による方法は、単一のワークピース部材について説明されているが、通常、ワークピースから複数のワークピース部材が切り取られ、この場合、本発明による方法は各ワークピース部材のために個別に適用されることを理解されたい。
本発明による方法の少なくとも1回の分離手順は、ビームヘッドによってガイドされる加工ビームによる板状または管状のワークピースの分離加工を含み、この場合、(輪郭を形成する)切断ギャップが切断線に沿って生成される。加工ビームによって(切断ギャップに向けられたプロセスガスと組み合わせて)ワークピースを照射することにより、例えば、ワークピース部材の完全な輪郭に沿って延在する切断ギャップが生成されるので、ワークピース部材は、ワークピースから完全に切り取られ、残されたワークピース(残留格子)にはそれ以上、接続されておらず、したがって残留格子から直接、切り離すことができる。ワークピースからのワークピース部材の切断もしくは切り離しは、閉じた切断ギャップの生成により行われる。しかしながら、切断ギャップは、ワークピース部材の輪郭の1つの部分(区分)または複数の部分(区分)にのみに沿って延在することもでき、これによりワークピース部材は部分的にのみ切り取られ、ワークピース部材は残留格子に依然として接続されている。例えば、ワークピース部材は、ワークピースの分離加工後、引き続き、1つ以上のウェブ(例えば、マイクロ接合部)によって残留格子に接続されている。これらのウェブは、切断ギャップの製作後、および切断ギャップの領域におけるワークピースの本発明による後加工後に手動でまたは自動化されて分離することができ、これによりワークピース部材を次いで、残留格子から取り外すことができる。
これに関して、「切り取る」という用語は、本発明の概念では、ワークピースからのワークピース部材の完全な切り取りおよび部分的な切り取りの両方の意味を含む。ワークピース部材を完全に切り取るべき場合には、切断線、ひいては切断ギャップも、ワークピース部材の完全な輪郭に沿って延在している。ワークピース部材を完全にではなく、すなわち部分的にのみ切り取るべき場合には、切断線、ひいては切断ギャップは、ワークピース部材の輪郭の1つの部分(区分)または複数の部分(区分)のみに沿って延在している。切断ギャップは、場合によっては複数のステップで、常に完全な切断線に沿って生成され、これにより切断ギャップは、少なくとも1回の分離手順後には、完全な切断線に沿って延在している。
本発明の概念では、「ワークピース」の用語は、板状または管状の、典型的には金属性の構成部材であって、そこから少なくとも1つのワークピース部材が、通常は複数のワークピース部材が製造されるべきものを意味する。板状のワークピースは典型的には平坦もしくは扁平である。曲げられている管状のワークピースに関しては、表面の任意の個所で、仮想の接平面を形成することができる。少なくとも1つのワークピース部材は、少なくとも部分的に、特に完全にワークピースから切り取られる。少なくとも1つのワークピース部材が少なくとも部分的に、特に完全にワークピースから既に切り取られているならば、(部分的にまたは完全に切り取られたワークピース部材を含まない)ワークピースの残っている部分は、残留格子と呼ばれる。したがって、ワークピースは、部分的に切り取られた(すなわち、まだ残留格子に接続されている)1つまたは複数のワークピース部材を有していてよく、すなわちワークピースは、残留格子と、存在する場合には、1つまたは複数の部分的に切り取られたワークピース部材とから成っている。
本発明による方法では、ワークピース部材側の切断縁の領域におけるワークピースの後加工は、完全には切り取られていない、すなわち残されたワークピース(すなわち、残留格子)にまだ接続されているワークピース部材に対してのみ行われる。残留格子は、常に、少なくとも1つの廃棄部分を含む、または残留格子自体が廃棄部分である。完全に切り取られ、残留格子から取り外されたワークピース部材は、本発明による方法の範囲では後加工は行われない。後加工が行われる、まだ残留格子に接続されているワークピース部材は、通常、主要部分である。本発明による方法の範囲では後加工が行われない、残留格子から完全に切り取られたワークピース部材は、通常、廃棄部分である。完全に切り取られた廃棄部分は、主要部分において、例えば貫通部を生成し得る。この場合、重要であるのは、少なくとも1回の後加工手順が、すなわち複数回の後加工手順が実施される場合には、実施されるすべての後加工手順が、常に、完全には切り取られていない、したがって残留格子に接続されているワークピース部材で実施されることである。
加工ビームのエネルギ密度は、加工ビームによって照射される面積に関する加工ビームのエネルギを、例えば、J/mmの単位で測定して表している。切断ギャップの生成および切断ギャップに沿ったワークピースの後加工に関連するのは、ワークピースの照射面が照射される時間間隔に関して、例えば、J/(mm×秒)の単位で測定されるエネルギ密度であり、以下では「出力密度」と呼ばれる。実質的に、ワークピースによって吸収される出力密度が重要である場合には、出力密度は、ワークピースによって吸収される出力密度であると理解されてよい。
少なくとも1回の分離手順では、切断ヘッドがワークピースの上方で移動させられ、この場合、ここでは切断ビームである加工ビームは、切断線に沿って、第1の切断位置から第2の切断位置へとガイドされる。切断線は、予め規定されたもしくは予め規定可能な(仮想の)軌道であり、この軌道に沿って加工ビームはガイドされる。ワークピースの分離加工の際には、加工ビームは、ワークピースが(完全に)切断されるように算定された第1の出力密度を有している。加工ビームは、切断ギャップに向けられたプロセスガスビームと協働する。この場合、第1の切断位置から第2の切断位置へと延在する(輪郭を形成する)、ワークピースを貫通する切断ギャップが、ワークピースに生成される。本発明による方法は、同じワークピース部材について1つの切断ギャップを生成するために1回以上の分離手順を含むことができる。既に説明したように、輪郭を形成しない切断ギャップは本発明では考慮されない。
本発明による方法が、1つの同じワークピース部材のための1つの切断ギャップを生成するために1回だけの分離手順しか含んでいない場合には、第1の切断位置と第2の切断位置とは、(仮想の)切断ギャップが、ワークピース部材の輪郭の一部にのみ沿って延在するように、選択されてよい。この場合、部分的に切り取られたワークピース部材は、切断ギャップを生成するためのワークピースの分離加工後になお、残留格子に接続されている。代替的に、第1の切断位置と第2の切断位置とを、(仮想の)切断線と切断ギャップとが、ワークピース部材の完全な輪郭に沿って延在するように選択されてもよく、これによりワークピース部材は完全に切り取られ、加工ビームによる切断直後に残留格子から取り外され得る。
本発明による方法が、1つの同じワークピース部材のために1つの切断ギャップを生成するために複数回の分離手順を有している場合には、各分離手順で、切断線に沿って切断ギャップの一部が生成され、この場合、切断ギャップのその都度生成された部分が切断ギャップを補完する。典型的には、切断ギャップは、後続の分離手順によって、切断線に沿って継続的に続けられる。したがって、ビームヘッドの移動運動は、継続的なものではなく、少なくとも一回は中断される。切断線に沿って切断ギャップを継続的に続けるために、1回の分離手順の第1の切断位置は、典型的には、直前の分離手順の第2の切断位置に相当する。各分離手順では、その分離手順の第1の切断位置から第2の切断位置へと延在する、切断ギャップの部分が生成される。
少なくとも1回の後加工手順は、切断ギャップの少なくとも一部分に沿ってワークピースを後加工するために行われ、この場合、「部分」の用語は、切断線に沿った切断ギャップの延在を意味する。ワークピースは、後加工手順によって、完全な切断ギャップに沿って後加工することができる。代替的に、ワークピースは、後加工手順によって、(切断線に沿った切断ギャップの延在に関して)切断ギャップの一部分(一区分)のみに沿って、後加工することができる。後加工が行われたワークピースは、部分的にのみ切り取られた1つ以上のワークピース部材を有することができる。しかしながら、ワークピースが、部分的に切り取られたワークピース部材を有しておらず、少なくとも1つのワークピース部材がワークピースから完全に切り取られ、取り外されることも考えられ、これによりワークピースは、残っている残留格子側の切断縁を備えた残留格子である。残留格子は、切断ギャップの残留格子側の切断縁の領域でのみ加工されてもよい。上述したように、完全に切り取られて、残留格子から取り外されたワークピース部材は、本発明による方法では後加工されない。
少なくとも1回の後加工手順は、ワークピース上方でのビームヘッドの移動を含み、この場合、切断ビームではなく、その出力密度により後加工ビームである加工ビームが、後加工線に沿って、第1の後加工位置から第2の後加工位置へとガイドされる。後加工では、加工ビームが、第1の出力密度とは異なる第2の出力密度を有していて、この第2の出力密度は、ワークピースが分離されないように、すなわちワークピースに切断ギャップが生成されないように算定されている。むしろ、第2の出力密度は、ワークピースが分離加工されず、かつ接合加工されないように算定されている。
後加工線は、切断ギャップに沿ってワークピースの後加工された領域(後加工区域)が生成されるように後加工ビームがガイドされるべき、予め規定されたもしくは予め規定可能な(仮想の)軌道である。後加工線は常に切断ギャップに配属されており、後加工線は専ら切断ギャップに沿って延在している。例えば、後加工線は、切断線と同一である。代替的に、後加工線は、切断線と同一ではない。例えば、後加工線は、切断線に対して側方にずらされていて、この場合、後加工線は好適には、切断線に対して、垂直方向の(最短の)一定の間隔を有していて、すなわち後加工線と切断線とは等距離の線である。後加工区域は常に、完全な後加工線に沿って生成される。後加工線もしくは後加工区域は、切断ギャップの一部分のみにわたって延在していてもよく、この場合、「部分」の用語は、切断線に沿った切断ギャップの延在を意味する。
本発明による方法は、少なくとも1回の後加工手順を含み、この後加工手順において後加工線は、ワークピースが、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む領域において、加工ビームによって照射されるような延在を有している。本発明の概念において、「切断縁」の表現は、共に切断ギャップを形成する、残留格子およびワークピース部材の互いに向かい合う両面を意味する。典型的には、切断縁は、板状の(平坦な)ワークピースの平面に対して垂直、もしくは管状のワークピースの切断ギャップの領域における接平面に対して垂直である。
ワークピース(残留格子および/または残留格子に接続しているワークピース部材)の後加工は、切断線に沿った切断ギャップの延在に関して、切断ギャップの少なくとも一部に沿って行われる。「領域」の表現は、少なくとも切断ギャップの一部分に沿って延在し、切断ギャップの少なくとも1つの切断縁を含む、ワークピースの区分を意味する。したがって、切断縁の側方で、領域は、切断縁に対して横方向に延在するワークピース(すなわち、残留格子またはワークピース部材)の区分も含むことができる。切断縁の部分ではなく、切断縁に対して横方向に延在するワークピース部材および/または残留格子の別の区分を含まずに、専ら切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁のみを後加工することもできる。「後加工区域」の概念は、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む領域を含み、この場合、各領域は、所属の切断縁のみから成っていてもよい。
本発明による方法の1つの構成によれば、完全な切断ギャップに沿って、1回以上の後加工手順を実施する。本発明による方法のさらなる構成によれば、切断ギャップの1つの部分または複数の部分に沿って、1回以上の後加工手順を実施する。ワークピースが、部分的にのみ切り取られた少なくとも1つのワークピース部材を有している場合、加工ビームの照射によるワークピースの後加工は、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む、ワークピース部材の領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む、残留格子の領域で行われる。ワークピースから少なくとも1つのワークピース部材が既に完全に切り取られ、残留格子から取り外されている場合には、ワークピースの後加工は、切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む、ワークピースの領域でのみ行われる。
本発明による方法により、好適には、切断ギャップの生成およびワークピース(残留格子および/またはワークピース部材)の後加工を、切断ギャップの少なくとも一部に沿って加工ビームによって行うことができる。残留格子から取り外されたワークピース部材の時間とコストのかかる後加工を省くことができるので、ワークピース部材の製造の際の時間とコストを削減することができる。これは、本発明による方法を実施するために、既存のビーム加工装置、特にレーザー切断装置を簡単に後から装備することができるので、本発明による方法の大きな利点である。
本発明による方法の1つの構成によれば、1つの同じワークピースの完全なビーム加工のために、唯1回の分離手順と少なくとも1回の後加工手順とのみを含む。分離手順で生成された切断ギャップは、ワークピース部材の輪郭に完全に沿って、または部分的にのみ沿って延在している。ワークピース部材が、この分離手順によって部分的にのみ切り取られる場合、少なくとも1回の後加工手順によって、ワークピースの後加工は、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む、ワークピース部材の領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む、残留格子の領域で行われる。複数回の後加工手順が実施されてもよい。
本発明による方法のさらなる構成によれば、1つの同じワークピース部材の完全なビーム加工のために、複数回の分離手順と少なくとも1回の後加工手順とを含む。複数回の分離手順で生成された切断ギャップは、ワークピース部材の輪郭に完全に沿って、または部分的にのみ沿って延在している。ワークピース部材が、複数回の分離手順によって部分的にのみ切り取られる場合、少なくとも1回の後加工手順によって、ワークピースの後加工は、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む、ワークピース部材の領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む、残留格子の領域で行われる。切断ギャップの1つの同じ部分または異なる部分に対して複数回の後加工手順が実施されてもよい。本発明のこのような構成では、互いに直接連続する少なくとも2回の分離手順(互いに直接連続する分離手順の対)が、1回以上の後加工手順によって中断される。好適には例えば、ワークピース部材がまだ残留格子に接続されている場合にのみ、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む、ワークピース部材の領域では後加工を行うことができるので、最後の対以外の全ての直接連続する分離手順が、それぞれ1回以上の後加工手順によって中断されるが、これは必須ではない。しかしながら、ワークピース部材の切断ギャップを生成するための最後の2回の分離手順でも、残留格子側の切断縁を含む領域では後加工が可能である。
本発明の構成によれば、切断ギャップの少なくとも1つの同じ部分に沿って、特に完全な切断ギャップに沿って、複数回の後加工手順が実施される。この場合、切断ギャップの同じ部分のための異なる後加工手順が、同じ後加工線および/または加工ビームの同じ出力密度を有していてよいが、または異なる後加工線および/または異なる出力密度を有していてもよい。本発明による方法の好適な構成では、切断ギャップの1つの同じ部分のために実施される少なくとも2回の後加工手順は、異なる後加工線および/または加工ビームの異なる出力密度を有している。
板状または管状のワークピースをビーム加工するための本発明による方法の1つの構成では、切断ギャップの少なくとも1つの同じ部分に沿って、ワークピースを後加工するための少なくとも2回の後加工手順を実施し、少なくとも1回の第1の後加工手順では、ワークピースを、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む領域において、加工ビームによって照射する。さらに、少なくとも1回の第2の後加工手順では、ワークピースを切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含まない領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含まない領域において、加工ビームによって照射する。この場合、少なくとも1回の第1の後加工手順を、少なくとも1回の第2の後加工手順よりも時間的に前に実施することができ、これは好適であり得るが、または少なくとも1回の第2の後加工手順が、少なくとも1回の第1の後加工手順よりも時間的に前に実施される。本発明のこのような構成は、切断ギャップに面取部を生成する場合に特に好適である。特に、面取部は、加工された切断縁を起点として生成され得る。少なくとも1回の第2の後加工手順では、切断縁をもはや共に照射する必要はなく、加工ビームは、切断縁から離れる方向で、ワークピース部材もしくは残留格子内へとさらにずらされてよい。
切断ギャップを複数の段階で生成する場合、本発明の1つの構成によれば、後加工手順によって、ワークピースは、直前に実施された分離手順によって生成された切断ギャップの部分に沿ってのみ後加工される。これは、直前の分離手順で生成された切断ギャップの完全な部分、または一区分のみであってよく、この場合、「区分」の用語は、切断線に沿った切断ギャップの延在を意味する。しかしながら、後加工手順によって、ワークピースが、直前に実施されたものではない分離手順によって生成された切断ギャップの部分に沿ってのみ後加工されることも考えられる。これは、直前に実施されたものではない分離手順で生成された切断ギャップの完全な部分、または一区分のみであってよく、この場合、「区分」の用語は、切断ギャップの延在を意味する。後加工手順によって、ワークピースが、先行する複数回の分離手順によって生成された切断ギャップの複数の部分に沿って後加工されてもよい。これはそれぞれ、先行する複数回の分離手順で生成された切断ギャップの完全な部分、またはそれぞれ一区分のみであってよく、この場合、「区分」の用語は、切断ギャップの延在を意味する。
本発明による方法の1つの構成では、1つの同じワークピース部材のための切断ギャップを生成するために複数回の分離手順が行われ、各分離手順において、切断ギャップの一部分が生成される。好適には、最後の分離手順では、先行する1回以上の分離手順で生成された切断ギャップの部分の、切断線に沿って測定された個々の寸法(長さ)のいずれよりも短い寸法(長さ)を切断線に沿って有している、切断ギャップの部分が生成される。例えば、切断ギャップの、連続した分離手順で生成される両部分の長さは、ワークピース部材の切断点を起点として見て、切断ギャップを生成する方向に反して、例えば連続的に、減少しない。切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む、ワークピース部材の領域におけるワークピースの後加工は、ワークピース部材がまだ残留格子に接続されている場合にのみ可能であるので、このような措置により、特に好適には、ワークピースを、切断ギャップの可能な限り大きな部分に沿って後加工することができる。したがって、切断ギャップの後加工されない部分は、切断ギャップの全長と比較して僅かである。
本発明による方法の1つの構成では、1回の分離手順後にビームヘッドを、その分離手順の第2の切断位置から離すように移動させ、この移動運動の間、加工ビームをオフにすることもできる。ビームヘッドは、この場合、ワークピース上方を、特に、切り取るべきワークピース部材の輪郭の内側を移動することができる。ビームヘッドはこれにより、加工ビームが、後加工線の第1の後加工位置に到る位置へと移動させられる。したがって、第1の後加工位置は、先行する分離手順の第2の切断位置とは異なる。例えば、後加工線の第1の後加工位置は、先行する分離手順の第1の切断位置と同じであり、また、第1の後加工位置は、第1の切断位置と異なっていることもあり得る。少なくとも切断線もしくは切断ギャップを垂直に見て、後加工線の第1の後加工位置は、先行する分離手順の第1の切断位置と第2の切断位置との間に位置していてもよい。例えば、第2の後加工位置は、先行する分離手順の第2の切断位置と同じであり、また、第2の後加工位置は、第2の切断位置と異なっていることもあり得る。少なくとも切断線もしくは切断ギャップを垂直に見て、第2の後加工位置は、先行する分離手順の第1の切断位置と第2の切断位置との間に位置していてもよい。
本発明による方法のさらなる構成では、少なくとも1回の後加工手順を実施するために、ビームヘッドを、先行する分離手順の第2の切断位置から離すように移動させず、これにより後加工線の第1の後加工位置は、先行する分離手順の切断線の第2の切断位置と同一となる。
切断ギャップに沿ったワークピースの後加工のための方向は、切断ギャップを生成する方向と同じであってよい、または逆であってもよい。
加工ビームのビーム軸線は、少なくとも1回の分離手順では、好適には常に、板状または管状のワークピースに対して垂直にもしくはワークピース表面に対して垂直に向けられているが、ビーム軸線が垂直ではないことも考えられる。加工ビームのビーム軸線は、少なくとも1回の後加工手順では、好適には常に、板状または管状のワークピースに対して垂直にもしくはワークピース表面に対して垂直に向けられているが、ビーム軸線が垂直ではないことも考えられる。
加工ビームの「向き」とは、加工ビームの、ワークピースに衝突するビーム円錐の中心ビーム(すなわち、ビーム軸線)と、ワークピースの平坦なワークピース表面との間の角度であると理解されたい。管状のワークピースの場合、ビーム軸線の衝突点におけるワークピース表面に対する接平面が考慮される。加工ビームが垂直である場合、ビーム軸線とワークピース表面との間の角度は90°である。
本発明による方法の好適な構成によれば、後加工のためにワークピースを照射する際の加工ビームの向きは、少なくとも1回の後加工手順の間は常に不変であり、少なくとも1回の分離手順の際に切断ギャップを生成するためにワークピースを照射する際の加工ビームの常に不変の向きと同じである。好適には、加工ビームは、少なくとも1回の分離手順および少なくとも1回の後加工手順の際に、ワークピース表面に対して常に垂直に向けられている。したがって、加工ビームのビーム軸線は、切断ギャップの生成の際および後加工の際に不変に維持される。このような措置により、ワークピースの後加工は、制御技術的観点で著しく簡単にすることができる。さらに、ワークピースに対して相対的なビームヘッドおよび/または加工ビームの相応の旋回機能の技術的実装のためのコストを削減することができる。
本発明による方法の代替的な構成によれば、少なくとも1回の後加工手順の間に、後加工のためにワークピースを照射する際の加工ビームの向きは、少なくとも1回の分離手順の際の加工ビームの向きと少なくとも所定の時間、異なっている。特に、後加工の際のビーム軸線は、少なくとも所定の時間、ワークピース表面に対して90°とは異なる角度をとっていてよい。加工ビームの方向付けは、ビームヘッドの旋回機能により(機械的に)かつ/または加工ビームの旋回性により(光学的に)行うことができる。
少なくとも1回の分離手順の際には、加工ビームもしくはそのビーム軸線は、切断線に沿ってガイドされる。したがって、切断線は、切り取るべきワークピース部材のための切断ギャップを生成する際のワークピース表面上の加工ビームの経路を示す。少なくとも1回の後加工手順の際には、加工ビームもしくはそのビーム軸線は、後加工線に沿ってガイドされる。したがって、後加工線は、切断ギャップに沿ってワークピースの後加工の際のワークピース表面上の加工ビームの経路を示す。ワークピース表面上に加工ビームが垂直に衝突する場合、分離手順においてビームヘッドは、垂直方向で見て、板状または管状の(平坦な)ワークピースを通る切断線の投影図に相当する移動曲線に沿って動かされる。ビームヘッドを、この移動曲線に対して平行な移動曲線に沿って動かすこともできる。相応に、後加工手順においてビームヘッドは、垂直方向で見て、板状または管状の(平坦な)ワークピースを通る後加工線の投影図に相当する移動曲線に沿って動かされる。ビームヘッドを、この移動曲線に対して平行な移動曲線に沿って動かすこともできる。
少なくとも1回の後加工手順の後加工線は、切断線もしくは切断ギャップに対応配置されており、ワークピースが加工ビームの照射によって、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む、ワークピース部材の領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む、残留格子の領域で、後加工され得ることが保証されている限りは、基本的に任意に形成されてよい。少なくとも1回の後加工手順の1つの構成によれば、後加工線は、切断線もしくは切断ギャップに一致している。この場合、後加工線は、切断線と同じ延在を有している。少なくとも1回の後加工手順の別の構成によれば、後加工線は、切断線もしくは切断ギャップに一致していない。例えば、後加工線は、切断線に対して相対的に側方にずらされており、後加工線は特に、切断線に対して等距離に延在することができる。1つの構成によれば、後加工線と切断線とは、同じ形状、および平行な延在を有している。
本発明の1つの構成では、複数回の後加工手順が、切断ギャップの1つの同じ部分に沿って、特に完全な切断ギャップに沿って実施され、この場合、後続の後加工手順における後加工線は、先行する後加工手順における後加工線よりもさらに、切断線から遠くにずらされている。特に、後加工線は、切断線と同じ延在を有していてよい。例えば、後加工線はそれぞれ、切断線に対して等距離であってよい。本発明のこのような構成は、1つの面取部を多段階で生成する場合に好適であり得る。
加工ビームの制御は、ビームヘッドの移動により、かつ/またはワークピース表面に対して相対的なビームヘッドの向きの変更(ビームヘッドの旋回)により、かつ/またはビームヘッドに対して相対的なビーム方向の変更(向きが不変のビームヘッドに対して相対的な加工ビームの光学的旋回)により、行うことができる。好適には、加工ビームの制御は、ビームヘッドの相応の移動によってのみ行われ、この場合、ワークピースのビーム加工(分離加工および後加工)の際には、ワークピース表面に対するビームヘッドの向き、およびビームヘッドに対して相対的な加工ビームの向きは、本発明による方法によれば不変に維持される。これにより、加工装置の手間およびコストのかかる技術的な構成は回避される。
本発明による方法の1つの構成によれば、後加工線と切断線との間の間隔は(後加工線は好適には切断線に対して等距離にずらされている)、最大で、ワークピース表面における加工ビームのビーム円錐の半径に、切断ギャップのギャップ幅の半分を加算したものである。しかしながら、例えば、面取部を多段階的に製作する場合に、後続の後加工手順における後加工線が、先行する後加工手順の後加工線よりも、切断ギャップから遠くに配置されている場合には、後加工線と切断線との間の間隔は、より大きくてもよい。
例えば、少なくとも1回の後加工手順の間のビームヘッドの移動曲線は、少なくとも1回の分離手順の間のビームヘッドの移動曲線に対して、側方に(特に等距離に)ずらされている。少なくとも1回の後加工手順の間のビームヘッドの移動曲線と、少なくとも1回の分離手順の間のビームヘッドの移動曲線とは、平行な延在を有していてよい。
少なくとも1回の後加工手順では、加工ビームが、第1の出力密度とは異なる第2の出力密度を有していて、この第2の出力密度は、ワークピースの非接合かつ非分離の後加工(しかしながら、場合によっては再溶融が生じる後加工)が行われるように算定されている。すなわち、後加工では、部分的に切り取られたワークピース部材と残留格子との間の結合が切断ギャップを介して形成されることはなく、ワークピースの分離も行われない。この場合、プロセスガスの影響が考慮され、本発明によれば、加工ビームの出力密度とは、ワークピースによって吸収される出力密度であると理解されてもよい。出力密度もしくは吸収される出力密度の変更は、様々な措置によって行うことができ、特に、加工ビームのエネルギの変更、ビーム焦点の変更、ビームヘッドからワークピース表面までの間隔の変更、プロセスガスの種類および/またはパラメータの変更等によって行うことができる。当業者には出力密度の変更のための措置がよく知られているので、ここではそれについて詳しく説明する必要はない。
例えば、第2の出力密度は、第1の出力密度の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または1%未満である。
板状または管状のワークピースをビーム加工するための本発明による方法では、切断ギャップに沿ったワークピースの後加工を様々な形式で行うことができ、後加工の形式に応じて、後加工線および加工ビームの第2の出力密度が適切に選択される。様々な後加工は、切断ギャップに沿って、もしくは切断ギャップの1つの同じ部分に沿って、または完全な切断ギャップに沿って、ワークピースの同じ領域で行われてもよい。本発明による方法は、多数の後加工のために好適に利用することができ、そのうちの7つの使用例をさらに例として記載する。
第1の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁から酸化物層が除去される。これにより、完全に切り取られたワークピース部材からの酸化物層の除去を省くことができる。場合によっては照射領域を、切断縁に限定することができる。
第2の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁からバリ(例えば、微細なバリ)が除去される。バリは、しばしば、ワークピース表面に隣接して(加工ビーム側に)、かつ/またはワークピース下面に隣接して(加工ビームとは反対側に)存在している。場合によっては照射領域を、切断縁に限定することができる。
第3の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁が(再溶融によって)丸み付けされる。この場合、後加工線を、切断線に対して相対的に、加工すべき切断縁の方向に側方へ、好適には最大で、ワークピース表面における加工ビームのビーム円錐の半径に切断ギャップ幅の半分を加算した分だけ、ずらすことができる。
第4の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁の形状が(再溶融によって)変更され、例えば、接合プロセスを改善するために、例えば平滑化または粗面化される。
第5の使用例では、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁および/または残留格子側の切断縁に面取部が生成される。これは、複数のステップで行われてもよく、好適な構成によれば、それぞれ後続の後加工における後加工線は、所属の切断縁からさらに遠くに配置される。
第6の使用例では、ワークピース部材側の切断縁、および/またはワークピース部材側の切断縁を含む、部分的に切り取られたワークピース部材の領域に、かつ/または切断ギャップの残留格子側の切断縁、および/または残留格子側の切断縁を含む、残留格子の領域に、後加工の際に、コーティング(例えば、亜鉛コーティング)が設けられる。これは、コーティングを生成する物質(例えば、亜鉛)を第2のプロセスガスビームに添加することにより簡単に行うことができる。第2のプロセスガスビームは、加工ビームに対して同軸にガイドされる(第1の)プロセスガスビームとは異なる。場合によっては、第2のプロセスガスビームによる照射領域を、切断縁に限定することができる。コーティングは、複数のステップで行われてもよく、好適な構成によれば、それぞれ後続の後加工における後加工線は、所属の切断縁からさらに遠くに配置される。このような措置により、特に好適には、コーティングされたワークピースも、切断ビームによって熱的に分離するように加工することができる。完全に切り取られたワークピース部材を後からコーティングする必要はない。
ワークピースをビーム加工するための本発明による方法は、上述した使用例に限定されるものではない。むしろ、本発明による方法を好適に利用することができる多数の別の使用例が考えられる。
ワークピースを後加工する際には、上述した使用例ならびに別の使用例を、個々に、または任意の組み合わせで、切断ギャップの1つの同じ部分に沿って、または異なる部分に沿って、特に完全な切断ギャップに沿って、実施することができる。
本発明によれば、ワークピースを後加工するための少なくとも1回の後加工手順は、レーザー硬化、レーザー焼鈍、特にレーザー軟化焼鈍のために行われない。
ワークピースをビーム加工するための本発明による方法では、加工ビームはビームヘッドからガイドされて、ビームノズル開口が設けられている端部側のビームノズルから出射する。必須ではないが、典型的には、ビームノズルは、ワークピースもしくはワークピース載置部に向かって円錐状に減径している。しかしながら、ビームノズル開口は、必須ではないが典型的には円形である。加工ビームは、必須ではないが典型的には、ワークピースに衝突するビーム円錐の形状で形成されている。典型的には、ビームヘッドは、(第1の)プロセスガスビームをガイドするためにも用いられ、プロセスガスビームは、必須ではないが典型的には、加工ビームと同じビームノズルから出射され、好適には、加工ビームと同軸にガイドされている。ビームヘッドのビームノズルから出る(第1の)プロセスガスビームは、必須ではないが典型的には、ワークピースに衝突するガス円錐の形状で形成されている。上述したように、ビームヘッドは、第1のプロセスガスビームとは異なる第2のプロセスガスビームをガイドするためにも使用することができ、第2のプロセスガスビームは、コーティング材料を搬送するために用いられ、加工ビームと同じ、ビームヘッドの穴からは出ない。
ビームヘッドは、ワークピースに対して相対的に動かすことができる。典型的には、平坦なワークピース載置部上に載置されるワークピースは、ビームヘッドに対向する、例えば平坦なワークピース表面を有しており、このワークピース表面に対して、ワークピースの分離加工ならびに後加工のために加工ビームおよびプロセスガスビームを向けることができる。
本発明はさらに、板状または管状のワークピースをビーム加工するための、ビームヘッドによってガイドされる加工ビームを含むビーム加工装置にまでおよび、このビーム加工装置は、上述した本発明による方法を実施するために(プログラム技術的に)調整されている、ワークピースのビーム加工を開ループ制御/閉ループ制御するための電子制御装置を有している。
さらに本発明は、このようなビーム加工装置のための、データ処理に適した電子制御装置用のプログラムコードであって、上述した本発明による方法を制御装置に実行させる制御コマンドを含んでいる、プログラムコードにまでおよぶ。
さらに本発明は、このようなビーム加工装置のための、データ処理に適した電子制御装置用のプログラムコードが記憶されたコンピュータプログラム製品(記憶媒体)であって、上述した本発明による方法を制御装置に実行させる制御コマンドを含んでいるプログラムコードが記憶された、コンピュータプログラム製品(記憶媒体)にまでおよぶ。
本発明の上述した構成は、単独でまたは任意の組み合わせで、本発明の範囲を逸脱することなく利用できることを理解されたい。
次に、本発明を実施例につき詳しく説明するが、この際、添付の図面を参照する。
ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースをビーム加工するための例示的なプロセスを示す図である。 ワークピースを後加工するための1つの使用例を示す図である。 ワークピースを後加工するための別の使用例を示す図である。 ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。 ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。 ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。 ワークピースを後加工するためのさらに別の使用例を示す図である。 ワークピースをビーム加工するための本発明による方法を実施するための例示的なビーム加工装置を概略的に示す図である。 本発明による方法のフローチャートを示す図である。
図面の詳細な説明
まず図22を参照すると、そこには、プレート状のワークピースをビーム切断するために公知のビーム加工装置が示されている。全体を符号1で示したビーム加工装置は、ビームヘッド3を備えたビーム切断装置2と、ワークピース9(図22には図示せず、図1~図15参照)、例えば平たい鋼板のためのワークピース載置部5を備えた作業テーブル4とを含む。ワークピース載置部5の上方にはクロスメンバ6が跨設されており、このクロスメンバは、第1の軸線方向(x方向)に沿って移動可能にガイドされている。
クロスメンバ6には、ビームヘッド3用のガイドキャリッジ7が取り付けられていて、このガイドキャリッジはクロスメンバ6に沿って、第1の軸線方向に対して垂直な第2の軸線方向(y方向)で移動可能にガイドされている。したがって、ビームヘッド3は、これら両軸線方向(x方向、y方向)によって規定される平面内で、例えば水平方向のワークピース載置部5に対して平行かつ相対的に移動することができる。さらに、ビームヘッド3は、第1の軸線方向および第2の軸線方向に対して垂直な第3の軸線方向(z方向)で高さ方向に移動可能に形成されており、これにより、ワークピース載置部5に対する垂直方向の間隔を変更することができる。ワークピース載置部5が水平方向の場合は、z方向は重力方向に相当する。ビームヘッド3は、ワークピース載置部5に面した側に、ワークピース載置部5に向かって円錐状に減径するビームノズル13を有している。ビームヘッド3は、加工ビーム、この場合、例えばレーザービームならびにプロセスガスビームをガイドするために用いられる。加工ビームは、加工ビーム源8により生成され、例えばビームガイド管と複数の変向ミラーもしくはライトガイドケーブルによって、ビームヘッド3へとガイドされる。集束レンズまたは補償光学を介して、加工ビームは、集束された形態でワークピースへと向けることができる。第1の軸線方向(x方向)および第2の軸線方向(y方向)に沿った、ビームヘッド3の可動性に基づき、加工ビームは、ワークピースのあらゆる任意の点に移動することができる。z方向でのビームヘッド3の高さ方向可動性により、ワークピース表面に対する間隔を変更することにより、ワークピースに対するビームノズル13の作業間隔を調節することができる。ワークピース表面からビームヘッド3までの距離、特に切断高さは、切断プロセス前、切断プロセス中、および切断プロセス後に調節することができる。ワークピースの分離加工は、特に切断高さの範囲内で変更可能な切断高さをもって実施することができる。加工ビームの焦点位置は、ビームヘッド3内の光学要素、例えば補償光学を介して調節することができる。
第1のプロセスガスビーム(詳しくは図示せず)は、溶融物を切断ギャップから排出するために用いられる。プロセスガスビームは、詳しくは図示されていないガスビーム発生装置によって生成される。不活性プロセスガスとして、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、または窒素(N)が使用される。反応性のプロセスガスとしては、通常酸素(O)が使用される。混合ガスの使用も公知である。プロセスガスビームは、加工ビーム16と同じビームノズル13から噴出し、加工ビーム16と同軸に加工個所へとガイドされ、そこで、ガスビーム発生装置によって予め規定された(初期の)ガス圧で、ワークピースのワークピース表面へと衝突する。
図22に示したように、ワークピース載置部5は例えば、例えば三角形状に形成された支持点先端を備えた複数の載置エレメントから成っており、これら複数の載置エレメントは共に、加工すべきワークピース9のための1つの載置平面を画定する。載置エレメントは、この場合、例えば細長い載置ウェブとして形成されていて、これらの載置ウェブはそれぞれ、y方向に延在していて、例えば一定の中間間隔を置いて、平行な配置で、x方向で互いに隣接して配置されている。ビーム切断中に生じる切断煙、スラグ粒子、および小さな廃棄部分を吸い込むことができる吸引装置は詳しくは図示されていない。
プログラム制御された制御装置12は、ビーム加工装置1におけるワークピース9のビーム加工のための本発明による方法を開ループ制御/閉ループ制御するために機能する。
次に、図1~図15を参照するが、これらの図には、図22のビーム装置1によるワークピースのビーム加工のための例示的な方法が示されている。
まずは図1を参照されたい。図1には、ワークピース部材11の完全な輪郭に相当する切断線14(破線)が示されている。この輪郭は、切り取るべきワークピース部材11の外側の形状もしくは形態に相当する。ワークピース部材11は、詳しくは図示されていない板状または管状のワークピース9から完全に切り取られるべきもので、この場合、残留格子10が残る。ワークピース部材11はこの場合、例えば、丸み付けられた角を備えた長方形状であるが、ワークピース部材11はいかなる任意の形状も有してよいことを理解されたい。
図2には、ビームヘッド3から出射する加工ビーム16、例えばレーザービームが、概略的に示されている。ビームヘッド3は、切断線14の上方で、加工ビーム16のビーム軸線が、切断線14の第1の切断位置Aに重なる位置へと移動させられている。図2に示されたように、ビームヘッド3は、切断線14に沿って移動させられ、この場合、加工ビーム16は第1の切断位置Aから第2の切断位置Bへと動かされる。これにより、ワークピース9を貫通する切断ギャップ15(実線)が、第1の切断位置Aと第2の切断位置Bとの間に形成される。もちろん、加工ビーム16は、切断線14から離れてワークピース9を貫通することもできるが、本発明によれば、ワークピース部材11の輪郭に沿って延在する切断線14、したがってワークピース部材11の輪郭を形成する切断ギャップ15のみが考慮される。
図3には、第1の切断位置Aと第2の切断位置Bとの間に切断ギャップ15が形成された状態が示されている。ワークピース9の分離加工はここで中断され、第1の分離手順が終了する。加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、切断線14の第1の切断位置Aの上方の位置へと移動させられる。図3に矢印で示したように、ビームヘッド3の移動運動は切断線14の内側で、すなわち切り取るべきワークピース部材11の上方で、切断線14の第2の切断位置Bと第1の切断位置Aとの間の直線に沿って行われる。第1の切断位置Aは、後加工線18(図4参照)の第1の後加工位置に相当する。
図4に示したように、加工ビーム16は、今や再びオンにされ、ビームヘッド3は、後加工線18(破線)に沿って移動させられ、この場合、加工ビーム16は、第1の切断位置Aに相当する第1の後加工位置から、第2の切断位置Bに相当する第2の後加工位置へと移動させられる。この場合、後加工区域22が生じる(概略的に実線によって示す)。
図5には、ワークピース9が、第1の分離手順の完全な切断ギャップ15に沿って後加工された状態が示されている。後加工領域もしくは後加工区域22は、実線で概略的に示されている。
図4およびさらなる図5~図15では、後加工線18もしくは後加工区域22は、図示する都合上、切断線14に対して等距離に平行にずらされて示されている。これは、所定の使用例に関しては、後加工線18の好適な位置決めに相当するものでもある。ここに例として説明した後加工に関しては、後加工線18は、切断線14と同じであるのが望ましく、これは所定の使用例に関しては、後加工線18の等しい好適な位置決めに相当するが、図面では良好に示すことができない。加工ビーム16が、第2の切断位置Bに相当する第2の後加工位置に到達すると、第1の後加工手順が終了する。
図5にさらに示したように、第1の後加工手順の終了後、今や続く第2の分離手順のための第1の切断位置を成す第2の切断位置Bを起点として、ワークピース9はさらに分離加工されて、この場合、切断ギャップ15の既に形成された部分は、第2の分離手順の第2の切断位置Cまで延長される。
図6には、第2の分離手順の第1の切断位置Bと第2の切断位置Cとの間に切断ギャップ15が形成された状態が示されている。ここで、第2の分離手順は終了し、ワークピース9の分離加工は中断する。加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、矢印で示したように、切断線14の第1の切断位置Bの上方の位置へと移動させられる。第2の分離手順の第1の切断位置Bは、第2の後加工手順のための後加工線18(図7参照)の第1の後加工位置に相当する。
図7に示したように、加工ビーム16は、再びオンにされ、ビームヘッド3は、後加工線18に沿って移動させられ、この場合、加工ビーム16は、第2の分離手順の第1の切断位置Bに相当する第1の後加工位置から、第2の切断位置Cに相当する第2の後加工位置へと移動させられる。
図8には、ワークピース9が、第2の分離手順の第1の切断位置Bに相当する第1の後加工位置と、第2の分離手順の第2の切断位置Cに相当する第2の後加工位置との間で、完全な切断ギャップ15に沿って後加工された状態が示されている。第2の後加工手順は、これをもって終了する。
図8に示したように、第2の後加工手順の終了後、今や続く第3の分離手順のための第1の切断位置を成す第2の切断位置Cを起点として、ワークピース9はさらに分離加工されて、この場合、切断ギャップ15の既に形成された部分は、第3の分離手順の第2の切断位置Dまで延長される。
図9には、第3の分離手順の第1の切断位置Cと第2の切断位置Dとの間に切断ギャップ15が形成された状態が示されている。第3の分離手順はここで終了し、ワークピース9の分離加工は中断する。加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、切断線14の第3の分離手順の第1の切断位置Cの上方の位置へと移動させられる。第3の分離手順の第1の切断位置Cは、第3の後加工手順のための後加工線18(図10参照)の第1の後加工位置に相当する。
図10に示したように、加工ビーム16は、再びオンにされ、ビームヘッド3は、後加工線18に沿って移動させられ、この場合、加工ビーム16は、第3の分離手順の第1の切断位置Cに相当する第1の後加工位置から、第3の分離手順の第2の切断位置Dに相当する第2の後加工位置へと移動させられる。
図11には、ワークピース9が、第3の分離手順の第1の切断位置Cに相当する第1の後加工位置と、第3の分離手順の第2の切断位置Dに相当する第2の後加工位置との間で、完全な切断ギャップ15に沿って後加工された状態が示されている。第3の後加工手順は、これをもって終了する。
図11に示したように、第3の後加工手順の終了後、今や続く第4の分離手順のための第1の切断位置を成す、第3の分離手順の第2の切断位置Dを起点として、ワークピース9はさらに分離加工されて、この場合、切断ギャップ15の既に形成された部分は、第4の分離手順の第2の切断位置Eまで延長される。
図12には、第4の分離手順の第1の切断位置Dと第2の切断位置Eとの間に切断ギャップ15が形成された状態が示されている。第4の分離手順はここで終了し、ワークピース9の分離加工は中断する。加工ビーム16はオフにされ、ビームヘッド3は、切断線14の第4の分離手順の第1の切断位置Dの上方の位置へと移動させられる。第4の分離手順の第1の切断位置Dは、第4の後加工手順のための後加工線18(図13参照)の第1の後加工位置に相当する。
図13に示したように、加工ビーム16は、再びオンにされ、ビームヘッド3は、後加工線18に沿って移動させられ、この場合、加工ビーム16は、第4の分離手順の第1の切断位置Dに相当する第1の後加工位置から、第4の分離手順の第2の切断位置Eに相当する第2の後加工位置へと移動させられる。
図14には、ワークピース9が、第4の分離手順の第1の切断位置Dに相当する第1の後加工位置と、第4の分離手順の第2の切断位置Eに相当する第2の後加工位置との間で、完全な切断ギャップ15に沿って後加工された状態が示されている。第4の後加工手順は、これをもって終了する。
図15に示したように、第4の後加工手順の終了後、今や続く第5の分離手順のための第1の切断位置を成す、第4の分離手順の第2の切断位置Eを起点として、ワークピース9はさらに分離加工されて、この場合、切断ギャップ15の既に形成された部分は、第5の分離手順の第2の切断位置Aまで延長される。これにより、ワークピース部材は、残留格子10から切断され、取り外すことができる。第5の分離手順で生じた切断ギャップ15の部分に沿ったワークピース9の後加工は行われない。なぜならば、ワークピース部材11は既に切断されて、切断されたワークピース部材11では、本発明によっては後加工が行われないからである。
すべての分離手順において、加工ビーム16は、ワークピース9が切断されるように算定された第1の出力密度を有している。すべての後加工手順において、加工ビーム16は、ワークピース9が接合も分離も行われないように算定された第2の出力密度を有している。これにより、ワークピース9は、切断ギャップ15に沿って後加工され、この場合、使用例に応じて、ワークピース9は、切断ギャップ15のワークピース部材側の切断縁を含む領域および/または切断ギャップ15の残留格子側の切断縁を含む領域において、加工ビーム16によって照射される。
加工ビーム16のビーム軸線は、例えば、円錐状のビームノズル13に対して軸平行であって、ワークピース9に対して垂直に衝突する。すべての分離手順とすべての後加工手順とにおいて、加工ビーム16は、ワークピース表面17に対して相対的にそのビーム軸線の向きを変更することなく(例えば、90°で)ワークピース表面17に向けられる。
後加工手順は、複数の形式で変更することができる。例えば、後加工線18を、切断線14に対して側方にずらして(等距離で)配置することができる。例えば、第1の後加工位置と第2の後加工位置とを、ワークピース9が、切断ギャップ15の一部のみに沿って後加工されるように位置決めすることができる。例えば、後加工の方向は、切断ギャップ15を形成する方向の逆であってよい。さらに、切断ギャップ15の1つの同じ部分に対して複数回の後加工手順を施すことができる。
特に図14から明らかであるように、最後の分離手順では、先行するすべての分離手順で生成された切断ギャップ15の部分の各長さよりも短い長さである、切断ギャップ15の部分が生成される。このような措置により、後加工が施されない切断ギャップ15の部分を最小限にすることができる。分離手順で生成される切断ギャップ15の部分の長さは、ワークピース部材11の切断点を起点として、例えば、連続的に増大していてもよい。
次に図16~図21を参照するが、これらの図には、図1~図15に示した方法におけるワークピース9の後加工のための様々な使用例が示されている。
図16では、加工ビーム16による後加工において、切断ギャップ15のワークピース部材側の切断縁19と残留格子側の切断縁19’とから酸化物層が除去される。酸化物層は、ピーリングによって良好に除去することができる。加工ビーム16は、切断ギャップ15内に侵入し、両切断縁19,19’が照射されるように集束される。後加工線18は、切断線14と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
図16の構造では、次いで酸化物層を除去するために、または酸化物層を選択的に除去するために、コーティング(例えば、亜鉛コーティング)が、切断ギャップ15のワークピース部材側の切断縁19および残留格子側の切断縁19’に施される。これは、図21に示されており、図21では、加工ビーム16に対して同軸にガイドされた第2のプロセスガスビーム23が、このガス内部で搬送されるコーティング材料24(例えば、亜鉛)によって示されている。コーティング材料24は、両切断縁19,19’を好適には完全に照射する第2のプロセスガスビーム23に添加され、その結果、コーティング材料24がそこに堆積し、コーティングが形成される(例えば、亜鉛コーティング)。
図17では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース表面17に接している、ワークピース部材11のワークピース部材側の切断縁19が再溶融により丸み付けされる。後加工線18は好適には、切断線14に対して相対的に側方に(例えば、等距離に)ずらされて配置されており、この場合、後加工線18と切断線14との間の最大の間隔が、ワークピース表面17における加工ビーム16のビーム円錐の半径に、切断ギャップ15の切断ギャップ幅の半分を加算したものであると好適である。
図18では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース下面20に隣接するワークピース部材側の切断縁19の丸み付けと、ワークピース表面17に隣接する残留格子側の切断縁19’の平滑化とが同時に行われる。後加工線18は、切断線と同じであってよく、または切断線14に対して側方に(例えば、等距離で)ずらされていてもよい。
図19では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース表面17に隣接する、ワークピース部材側の切断縁19に面取部21が設けられる。後加工線18は、切断線14に対して側方に(例えば、等距離で)ずらされている。この場合、面取部21の形成は、切断ギャップ15の同じ部分で複数のステップもしくは後加工手順によって行われる。第1の後加工手順では、ワークピース部材11は、ワークピース部材側の切断縁19を含む領域で照射される。後加工線18は、切断線と同じであってよく、または切断線14に対して側方に(例えば、等距離で)、(ワークピース部材の方向へ)ずらされていてもよい。これは、場合によっては、1回または複数回、繰り返されてよい。1回以上の後続の後加工手順では、面取部21をさらに、ワークピース部材側の切断縁19から離して形成するために、後加工線18はさらにワークピース部材11の方向に、もしくはワークピース部材11を越えてずらされる。この場合、ワークピース部材側の切断縁19は、場合によってはそれ以上、一緒に照射されない。最初に、ワークピース部材側の切断縁19を含まない領域を照射し、次いで、後加工線18を切断ギャップ15の方向に徐々にずらし、最終的にはワークピース部材側の切断縁19が共に照射されることも考えられる。
図20では、加工ビーム16による後加工において、ワークピース下面20に隣接するワークピース部材側の切断縁19と、ワークピース下面20に隣接する残留格子側の切断縁19’とから同時にそれぞれ、バリが除去される。後加工線18は、切断線14と一致していてもよいし、異なっていてもよい。加工ビーム16の集束位置は、両切断縁19,19’が相応に照射されるように調節される。
様々な使用例は、個々に、または任意に組み合わせて行われてよく、この場合、このために、切断ギャップ15の1つの同じ部分に沿って、または全体的な切断ギャップ15に沿って2回以上の後加工手順が実施される。
図23には、本発明による方法のフローチャートが示されている。
この方法は、ワークピースから製作すべきワークピース部材の輪郭に少なくとも部分的に沿って延在する切断線に沿って切断ギャップを生成するための少なくとも1回の分離手順(手順I)を含み、この分離手順は、加工ビームをガイドするために働くビームヘッドの、ワークピース上方での移動を含み、この場合、加工ビームは、切断線に沿って第1の切断位置から第2の切断位置へとガイドされて、この加工ビームは、ワークピースを分離するように算定された第1の出力密度を有している。次いで、切断ギャップの少なくとも一部に沿ってワークピースを後加工するための少なくとも1回の後加工手順(手順II)が実施され、この後加工手順は、ビームヘッドの、ワークピース上方での移動を含み、この場合、加工ビームは、後加工線に沿って第1の後加工位置から第2の後加工位置へとガイドされて、この加工ビームは、ワークピースを分離しないように算定された第2の出力密度を有しており、さらにこの場合、後加工線は、ワークピースが、切断ギャップの少なくとも一部に沿って、切断ギャップのワークピース部材側の切断縁を含む領域および/または切断ギャップの残留格子側の切断縁を含む領域において、加工ビームによって照射されて、この場合、後加工区域が生成されるような延在を有している。
上述したように、本発明は、板状または管状のワークピースのための新規のビーム加工方法を提供し、これによりワークピース部材は部分的にまたは完全に切り離され、切断されないワークピース部材および/または残留格子には、切断ギャップに沿って、より低い出力密度の加工ビームによって後加工が施される。これにより、切り取られたワークピース部材の機械的な後加工を省くことができ、これにより、ワークピース部材の製造は、より簡単、迅速、かつ安価に行うことができる。既存のビーム加工装置における本発明による方法の実施は、このために手間のかかる技術的な措置を行う必要なく、簡単に可能である。むしろ、まだ残留格子に接続されているワークピース部材もしくは残留格子自体の所望の後加工を、機械制御装置に介入するだけで、本発明による方法によって実現することができる。
1 ビーム加工装置
2 ビーム切断装置
3 ビームヘッド
4 作業テーブル
5 ワークピース載置部
6 クロスメンバ
7 ガイドキャリッジ
8 加工ビーム源
9 ワークピース
10 残留格子
11 ワークピース部材
12 制御装置
13 ビームノズル
14 切断線
15 切断ギャップ
16 加工ビーム
17 ワークピース表面
18 後加工線
19,19’ 切断縁
20 ワークピース下面
21 面取部
22 後加工区域
23 第2のプロセスガスビーム
24 コーティング材料

Claims (15)

  1. 板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法であって、
    a)前記ワークピース(9)から製造すべきワークピース部材(11)の輪郭に少なくとも部分的に沿って延在する切断線(14)に沿って切断ギャップ(15)を生成するための少なくとも1回の分離手順を含み、前記分離手順は、
    加工ビーム(16)をガイドするために働くビームヘッド(3)の、前記ワークピース(9)上方での移動を含み、この場合、前記加工ビーム(16)を、前記切断線(14)に沿って第1の切断位置から第2の切断位置へとガイドし、前記加工ビーム(16)は、前記ワークピースを分離するように算定された第1の出力密度を有しており、
    b)前記切断ギャップ(15)の少なくとも一部に沿って前記ワークピース(9)を後加工するための少なくとも1回の後加工手順を含み、この場合、前記ワークピース部材(11)は完全には切り取られておらず、前記後加工手順は、
    前記ビームヘッド(3)の、前記ワークピース(9)上方での移動を含み、この場合、前記加工ビーム(16)を、後加工線(18)に沿って第1の後加工位置から第2の後加工位置へとガイドし、前記加工ビーム(16)は、前記ワークピース(9)を分離しないように算定された第2の出力密度を有しており、この場合、前記ワークピース(9)を、前記切断ギャップ(15)の少なくとも一部に沿って、前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)を含む領域および/または前記切断ギャップ(15)の残留格子側の切断縁(19’)を含む領域において、前記加工ビーム(16)によって照射する、
    板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  2. 前記切断ギャップ(15)の少なくとも1つの同じ部分に沿って、複数回の後加工手順を実施する、請求項1記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  3. 前記切断ギャップ(15)の1つの同じ部分のために実施される少なくとも2回の後加工手順は、異なる後加工線(18)および/または異なる加工ビーム(16)出力密度を有している、請求項2記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  4. 前記切断ギャップ(15)の少なくとも1つの同じ部分に沿って、前記ワークピース(9)を後加工するための少なくとも2回の後加工手順を実施し、
    (i)少なくとも1回の第1の後加工手順では、前記ワークピース(9)を、前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)を含む領域および/または前記切断ギャップ(15)の残留格子側の切断縁(19’)を含む領域において、前記加工ビーム(16)によって照射し、かつ
    (ii)少なくとも1回の第2の後加工手順では、前記ワークピース(9)を、前記切断ギャップ(15)の前記ワークピース部材側の切断縁(19)を含まない領域および/または前記切断ギャップ(15)の前記残留格子側の切断縁(19’)を含まない領域において、前記加工ビーム(16)によって照射し、
    前記少なくとも1回の第1の後加工手順を、前記少なくとも1回の第2の後加工手順よりも時間的に前に実施する、または前記少なくとも1回の第2の後加工手順を、前記少なくとも1回の第1の後加工手順よりも時間的に前に実施する、
    請求項2または3記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  5. 1つの同じワークピース部材(11)の前記切断ギャップ(15)を、複数回の分離手順によって生成し、この場合、直接連続している少なくとも2回の分離手順が、少なくとも1回の後加工手順によって中断される、請求項1から4までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  6. 後加工手順によって前記ワークピース(9)を、直前に実施された分離手順によって生成された前記切断ギャップの部分に沿ってのみ後加工する、請求項5記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  7. 前記切断ギャップ(15)を生成するための最後の分離手順では、先行するすべての分離手順で生成された前記切断ギャップ(15)の部分の各長さよりも短い長さである、切断ギャップ(15)の部分を生成する、請求項5または6記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  8. 分離手順で生成される前記切断ギャップの部分の長さは、前記ワークピース部材(11)の切断点を起点として、前記切断ギャップ(15)を生成する方向に反して減少しない、請求項7記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  9. 前記少なくとも1回の後加工手順の間の前記ワークピース(9)に対して相対的な前記加工ビーム(16)の向きは、前記少なくとも1回の分離手順の間の前記ワークピース(9)に対して相対的な前記加工ビーム(16)の向きと常に同じである、請求項1から8までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  10. 前記少なくとも1回の後加工手順の間の前記ワークピース(9)に対して相対的な前記加工ビーム(16)の向きは、前記少なくとも1回の分離手順の間の前記ワークピース(9)に対して相対的な前記加工ビーム(16)の向きに対して少なくとも所定の時間で異なっている、請求項1から8までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  11. 前記少なくとも1回の後加工手順の前記後加工線(18)は、前記切断線(14)に対して相対的に側方にずらされている、請求項1から10までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  12. 前記少なくとも1回の後加工手順において、以下の後加工、すなわち
    i)前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)および/または残留格子側の切断縁(19’)からの酸化物層の除去、
    ii)前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)および/または残留格子側の切断縁(19’)からのバリの除去、
    iii)前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)および/または残留格子側の切断縁(19’)の丸み付け、
    iv)前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)および/または残留格子側の切断縁(19’)の形状変更、特に平滑化または粗面化、
    v)前記切断ギャップ(15)に沿った面取部(21)の生成、
    vi)前記切断ギャップ(15)のワークピース部材側の切断縁(19)および/または残留格子側の切断縁(19’)を含む領域における前記切断ギャップ(15)に沿った前記ワークピース(9)の、プロセスガスビームに含まれる物質によるコーティング、
    のうちの1つ以上を実施する、請求項1から11までのいずれか1項記載の板状または管状のワークピース(9)をビーム加工するための方法。
  13. ビームヘッド(3)によってガイドされる加工ビーム(16)を含むビーム加工装置(1)であって、板状または管状のワークピース(9)のビーム加工を制御するための電子制御装置(12)を有しており、前記制御装置は、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を実施するためにプログラム技術的に調整されている、ビーム加工装置(1)。
  14. データ処理に適した、請求項13記載のビーム加工装置(1)のための電子制御装置用のプログラムコードであって、前記プログラムコードは、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を、前記制御装置(12)に実行させる制御コマンドを含んでいる、プログラムコード。
  15. データ処理に適した、請求項13記載のビーム加工装置(1)のための電子制御装置用のプログラムコードが記憶されている、コンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコードは、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を、前記制御装置(12)に実行させる制御コマンドを含んでいる、プログラムコードが記憶されている、コンピュータプログラム製品。
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