JP2022523104A - グルコセレブロシダーゼポリペプチド - Google Patents

グルコセレブロシダーゼポリペプチド Download PDF

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Abstract

本発明は、グルコセレブロシダーゼ調製物、その使用、および特にグルコセレブロシダーゼ欠損を伴う状態、たとえば、ゴーシェ病およびグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーの治療においてそれを利用する方法を提供する。本発明は、グルコセレブロシダーゼ調製物、その使用、およびそれを利用する方法を提供する。本発明者らは、本グルコセレブロシダーゼ調製物が、グルコセレブロシダーゼ欠損が関与する状態、たとえば、ゴーシェ病およびグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーにおける治療介入の手段を示すことを実験により確認した。

Description

本発明は、広義には、酵素補充療法(ERT)の分野に関し、より正確には、リソソーム蓄積症(LSD)の処置における使用のためのポリペプチド産物の分野に関する。詳細には、本発明は、グルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチド、ならびに関連する産物、使用、および方法に関する。
リソソーム蓄積症(LSD)は、リソソームにおける貯蔵産物の分解に関与する分解酵素の活性障害に起因する、その貯蔵産物の蓄積を特徴とする、多様な遺伝性代謝障害群である。貯蔵産物の蓄積は、細胞の機能障害および進行性の臨床的症状発現をもたらす。リソソーム酵素活性、特に、リソソームヒドロラーゼ活性の欠損は、酵素補充療法(ERT)によって正すことができるが、ただし、投与される酵素を、罹患細胞のリソソームへと効果的に標的することができることを条件とする。現在では、ERTは、LSD、特に、全身性LSDを処置するための好ましい介入方針である。
グルコセレブロシダーゼ(β-グルコセレブロシダーゼ、GCアーゼ、GC、リソソーム酸性グルコシルセラミダーゼ)は、グルコシルセラミド(GlcCer)およびグルコシルスフィンゴシン(GlcSph)などの糖脂質の加水分解に必要とされる可溶性リソソーム酵素である。ゴーシェ病は、グルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子における変異によって引き起こされるリソソーム蓄積症であり、ある特定の細胞型、主としてマクロファージのリソソームにおいて酵素の基質の毒性蓄積をもたらすが、他の細胞型にも同様に罹患し得る。この代謝障害は、複数の臨床症状、たとえば、貧血、血小板減少症、肝脾腫大、骨病理、および一部の場合には神経学的症状によって特徴付けられる、多系統疾患を呈する。
ゴーシェ病の3つの異なる形態は、臨床的に十分に説明されている。もっとも多く生じる形態は、いわゆる非神経障害性形態(1型GD、GD1)であり、これは、本質的に、原発性CNSの関与が欠如したマクロファージ障害である。1型GDを有する患者は、ほとんど無症状のものから、小児期発症疾患を呈するものまでの範囲にわたる、多様な身体症状を示し得る(Charrow et al. The Gaucher registry: demographics and disease characteristics of 1698 patients with Gaucher disease. Arch Intern Med. 2000, vol. 160, 2835-43)。少数の患者は、間質性肺疾患および肺性高血圧を含め、肺の関与によって特徴付けられる(Mistry et al. Pulmonary hypertension in type 1 Gaucher’s disease: genetic and epigenetic determinants of phenotype and response to therapy. Mol Genet Metab. 2002, vol. 77, 91-8)。2型GDは、2歳よりも前に症状が発症し、疾患症状発現が急速に進行する、急性神経障害性形態である。これは、眼球運動異常に始まり、続いて精神運動発達が制限される、重度の神経障害によって特徴付けられる。通常、障害の発症から最初の2年以内に死亡する。3型GDは、亜急性または慢性神経障害性バリアントであり、様々な程度の全身および神経の両方の関与を特徴とする。後者は、通常、2型と比較して晩年に出現し、異常な眼球運動、けいれん、および認知症が含まれる。患者は、20歳代または30歳代まで生存し得る(Kraoua et al. A French experience of type 3 Gaucher disease: Phenotypic diversity and neurological outcome of 10 patients. Brain Dev. 2011, vol. 33, 131-9)。神経障害性ゴーシェ病(nGD)における病理の症状発現は、部分的に、基質の蓄積、およびそれに続くニューロン細胞の機能不全に起因することが、一般に受け入れられている(Korkotian et al. Elevation of intracellular glucosylceramide levels results in an increase in endoplasmic reticulum density and in functional calcium stores in cultured neurons. J Biol Chem. 1999, vol. 274, 21673-8)(Pelled et al. The increased sensitivity of neurons with elevated glucocerebroside to neurotoxic agents can be reversed by imiglucerase. J Inherit Metab Dis. 2000, vol. 23, 175-84)。nGD患者は、脳における病理症状によって特徴付けられるが、患者らは、疾患の末梢症状発現も有する。
近年、GCアーゼ欠損とアルファ-シヌクレイン凝集との間の関連性も現れており、とりわけ、パーキンソニズムおよびパーキンソン病を含むグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーが、重要な神経学的障害群として特定され、グルコセレブロシダーゼに基づく治療が、可能性として有望な処置戦略として特定されている(Murphy et al. Glucocerebrosidase deficits in sporadic Parkinson disease. Autophagy 2014, vol. 10, 1350-1、O’Regan et al. Glucocerebrosidase Mutations in Parkinson Disease. J Parkinsons Dis. 2017, vol. 7, 411-422、Rockenstein et al. Glucocerebrosidase modulates cognitive and motor activities in murine models of Parkinson’s disease. Hum Mol Genet. 2016, vol. 25, 2645-60、Sardi et al. Augmenting CNS glucocerebrosidase activity as a therapeutic strategy for parkinsonism and other Gaucher-related synucleinopathies. Proc Natl Acad Sci USA. 2013, vol. 110, 3537-42)。
現在のところ、ゴーシェ病の治癒は存在しない。しかしながら、組換えGCアーゼの静脈内(IV)投与により、欠損した酵素を部分的に補充する酵素補充療法(ERT)は、1型GDの症状の緩和のための承認された処置である。特に、マクロファージにおけるマンノース受容体に媒介される取込みを改善するために末端マンノース残基を有するN-グリカンを保持するヒトGCアーゼの組換え発現に基づいて、3つの異なる酵素調製物、イミグルセラーゼ(Cerezyme(登録商標))、ベラグルセラーゼアルファ(VPRIV(登録商標))、およびタリグルセラーゼアルファ(Elelyso(登録商標))が、1型GDを管理するためのERTとして承認されている。
これらの酵素調製物は、血液脳関門(BBB)を通過できないため、神経障害性形態のゴーシェ病の処置には使用されない。さらに、罹患マウスの脳内へのそのような酵素の直接的な送達に関する前臨床研究は、限られた成果しか示さなかった(Cabrera-Salazar et al. Intracerebroventricular delivery of glucocerebrosidase reduces substrates and increases lifespan in a mouse model of neuronopathic Gaucher disease. Exp Neurol. 2010, vol. 225, 436-44)。したがって、2型および3型の神経障害性ゴーシェ病に現在利用可能な処置選択肢は存在しない。
さらに、米国特許第8,962,564号は、ヒトGCアーゼの安定性を改善し、それによって中性pHおよび体温条件下において、酵素活性の保持時間を増加させることを目的として、アミノ酸F316位、L317位、K321位、またはH145位における変動を有するバリアントヒトGCアーゼタンパク質を開示している。この著者らは、F316位またはL317位における変動が、活性部位の近傍においてより秩序だった構成を形成し、生理学的条件下において望ましくない不安定化を受ける傾向が低くなるであろうこと、変動K321Nが、活性部位の近傍でα-ヘリックスを安定化させ、それによって触媒部位のより開いたかつ活性な構成がもたらされるであろうこと、ならびに触媒部位の近傍ではないランダムコイル領域における変動H145Lが、隣接する二次構造のアミノ酸残基間でのより良好な相互作用を促進するであろうことを提唱した。
WO03/056897は、リン酸化GCアーゼを調製するための方法を教示しており、ここでは、GCアーゼを、UDP-GlcNAcからグリカンの1,2-連結型マンノースの6位へのGlcNAc-1-リン酸の移動を触媒する、単離されたN-アセチルグリコサミン(GlcNAc)ホスホトランスフェラーゼで酵素的に処置し、続いて、N-アセチルグルコサミンの、GlcNAc-リン酸改変グリカンからの除去を触媒するN-アセチルグルコサミン-1-ホスホジエステルα-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ホスホジエステルα-GlcNAcアーゼ)で処置して、グリカンに末端マンノース-6-リン酸を生成する。WO03/056897は、Sepharose(登録商標)カラムに連結されたマンノース-6-リン酸受容体に結合するGCアーゼが、リン酸化処置によって増加することを実験的に示している。WO03/056897は、いずれの生物系においてもリン酸化GCアーゼについて調べていない。
米国特許第8,926,967号およびDodge et al. (Intracerebroventricular infusion of acid sphingomyelinase corrects CNS manifestations in a mouse model of Niemann-Pick A disease. Experimental Neurology 2009, vol. 215, 349-357)は、酸性スフィンゴミエリナーゼノックアウト(ASMKO)マウスにおけるリソソーム酵素酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)の脳室内投与について考察している。ASM酵素の調製および構造は、開示されていない。
米国特許第8,962,564号明細書 国際公開第2003/056897号 米国特許第8,926,967号明細書
本発明は、グルコセレブロシダーゼ調製物、その使用、およびそれを利用する方法を提供する。本発明者らは、本グルコセレブロシダーゼ調製物が、グルコセレブロシダーゼ欠損が関与する状態、たとえば、ゴーシェ病およびグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーにおける治療介入の手段を示すことを実験により確認した。
したがって、ある態様では、本発明は、グルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%が、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物を提供する。
さらなる態様は、治療において使用するための、グルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%が、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物を提供する。
関連する態様は、それを必要とする被験体を処置するための方法であって、被験体に、予防または治療有効量のグルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物を投与するステップを含み、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%が、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、方法を提供する。
別の態様は、グルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物を提供する。
さらなる態様は、治療において使用するための、グルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物を提供する。
関連する態様は、それを必要とする被験体を処置するための方法であって、被験体に、予防または治療有効量のグルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物を投与するステップを含み、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、方法を提供する。
本発明のこれらのおよびさらなる態様ならびに好ましい実施形態は、以下の節および添付の特許請求の範囲に記載されている。添付の特許請求の範囲の主題は、これにより本明細書に具体的に組み込まれる。
図1は、前臨床研究において使用されるヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)バリアントを概略的に示す。「L2pre」は、Yarrowia lipolytica(YL)リパーゼ2(Lip2)タンパク質に由来するシグナルペプチドを指し、「GCアーゼ」は、ポリペプチドのヒトGCアーゼ部分を指し、「His8」または「H8」は、ポリヒスチジンタグ8×Hisを指し、「H145L」および「K321N」は、ヒト野生型(WT)GCアーゼ配列と比較したアミノ酸置換を指す。
図2は、本発明を具現化する脱キャッピングおよび脱マンノシル化されたGCアーゼポリペプチドのうちの1つの単離されたN-グリカンの代表的なDSA-FACE電気泳動図を、ピーク注釈を含めて示す図である(M=マンノース残基、P=リン酸残基)。
図3は、図2において注釈されたPManGlcNAc(Man 3-P)、PManGlcNAc(Man 4-P)、PManGlcNAc(Man 5-P)、PManGlcNAc(Man5-(P))、およびPManGlcNAc(Man6-(P))N-グリカン構造のモジュール図である。円形=マンノース残基、正方形=N-アセチルグリコサミン(GlcNAc)残基、波線=タンパク質骨格への結合点。
図4は、本発明を具現化する脱キャッピングおよび脱マンノシル化されたGCアーゼポリペプチドのうちの1つ(上部パネル)、Cerezyme(登録商標)(中央パネル)、およびVPRIV(登録商標)(下部パネル)の単離されたN-グリカンの代表的なDSA-FACE電気泳動図を、二リン酸化(2P)、一リン酸化(1P)、および非リン酸化(中性)N-グリカンに対応するピークの注釈を含めて示す。
図5は、ヒト神経芽細胞腫細胞による、マンノース-6-リン酸(M6P)に媒介されるOxyGCアーゼ、Cerezyme(登録商標)、またはVPRIV(登録商標)の正味の取込みの比較を示す。円形=OxyGCアーゼ、菱形=Cerezyme(登録商標)、三角形=VPRIV(登録商標)。
図6は、M6PまたはM6Pとマンナンとの組合せの添加ありまたはなしのいずれかでの、マウスミクログリアによるOxyGCアーゼおよびCerezyme(登録商標)の取込みの比較を示す。
図7は、4MUβGlc活性アッセイによって決定される、(ボーラス注射または緩徐注入のいずれかにより)Gba1 D409V KIマウスに脳室内(ICV)注入したOxyGCアーゼの血漿薬物動態(PK)曲線を示す。
図8は、4MUβGlc活性アッセイによって決定される、1回目と4回目のICVボーラス(左パネル)、または1回目と4回目の緩徐注入(右パネル)を比較した、Gba1 D409V KIマウスに脳室内(ICV)注入したOxyGCアーゼの血漿薬物動態(PK)曲線を示す。
図9は、シクロフェリトール-エポキシド型の活性に基づくプローブ(ABP)、赤色MDW941(左パネル)、およびβ-エポキシド開環(A=求核試薬、B=一般的な酸性/塩基性触媒)によるGCアーゼの不可逆的阻害の機序(右パネル)を示す。
図10は、それぞれ、1μL/分、0.1μL/分の流量で2分間(2m)または20分間(20m)のいずれかで注入した、野生型マウスの脳における片側ICV注入したABP標識化GCアーゼMut1-H8の分布を示す。
図11は、ABP標識化GCアーゼMut1-H8を、それぞれ、1μL/分、0.1μL/分の流量で、2分間(2分)または20分間(20分)片側ICV注入した、野生型マウスの脳の注入部位レベル(切片の乾燥後にFLA-5000スキャナーでスキャニング)での冠状脳スライス(約100μm)を示す。
図12は、CSF、脳、および肝臓への2分間のICV注入後1または3時間の時点における、ABP標識化GCアーゼMut1-H8の相対分布を示す。
図13は、4MUβGlcアッセイによって決定される、1日おきの(EOD)GCアーゼMut1-H8での反復的な片側ICV処置の最後の回から3時間後のGCアーゼ活性を、脳実質と脳室画分との対比で示す。WT=野生型マウス、KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス、n=1群当たりの研究した動物の数。
図14は、4MUβGlcアッセイによって決定される、GCアーゼMut1-H8またはCerezyme(登録商標)での反復的な片側ICV処置の最後の回から48時間後のGCアーゼ活性を、脳線条体と皮質との対比で示す。WT=野生型マウス、KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス、n=1群当たりの研究した動物の数、EW=週1回、BW=週2回(すなわち、1週間につき2回の注入)。
図15は、示されるOxyGCアーゼバリアントおよびCerezyme(登録商標)での反復的な片側ICV処置の最後の回から48時間後の、脳半球(A)または肝臓(B)におけるGCアーゼ活性を示す。結果は、異なるin vivo実験によって得られた。すべての処置は、10~20分間のボーラス注射によって行われたが、OxyGCアーゼは、3時間の期間にわたって緩徐に注入した「in」で示される群は除く。WT=野生型マウス、KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス、EW=週1回、BW=週2回(すなわち、1週間につき2回の注入)。 同上。
図16は、alphaLISAによって決定される、一日おきの(EOD)GCアーゼMut1-H8での反復的な片側ICV処置の最後の回から3時間後のヒトGCアーゼタンパク質レベルを、脳実質と脳室画分との対比で示す。WT=野生型マウス、KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス。
図17は、脳におけるHexSphレベルによって決定される、OxyGCアーゼバリアントおよびCerezyme(登録商標)の片側ICV注射時のin vivoでの有効性の概要を示す。結果は、Gba1 D409V KI対照レベルに対するHexSphパーセントとして表す。WTおよびKI対照に対するp値は、それぞれ、底部および上部の線に示される:***p<0.001、**p<0.01、p<0.05、ns p>0.05(一方向ANOVAおよび多重比較補正を伴う事後ボンフェローニ)。n=研究群当たりの分析した試料の総数であり、異なるin vivo実験からプールされていた。WT=野生型マウス、KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス、EW=週1回、BW=週2回(すなわち、1週間につき2回の注入)、EOD=1日おき、ABX=アンブロキソール。
図18は、個々のマウスの脳におけるHexSphとGCアーゼ活性レベルとの間の相関を示す。
図19は、異なる脳領域における反復的なGCアーゼMut1-H8およびCerezyme(登録商標)処置時の、組織1mg当たりのpgでのGlcSphレベルを示すグラフである(ビヒクル処理したWT HexSphレベルをKIレベルから差し引くことによって計算した)。対照KIレベルに対する%としてのGlcSphを、それぞれのデータ点の上に記す。KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス、EW=週1回、BW=週2回(すなわち、1週間につき2回の注入)。
図20は、脳半球の細胞選別後の試料においてRP-LC-Q-TOF-MS分析によって決定される、HexSphレベルを示すグラフである(細胞1mg当たりのpg、10個の細胞当たり1mgの重さであると仮定(Sender et al. Revised Estimates for the Number of Human and Bacteria Cells in the Body. PLoS Biol. 2016, vol. 14, e1002533))。WT=野生型マウス、KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス、EW=週1回。
図21は、肝臓におけるHexSphレベルによって決定される、OxyGCアーゼバリアントおよびCerezyme(登録商標)の片側ICV注射時のin vivoでの有効性の概要を示す。結果は、Gba1 D409V KI対照レベルに対するHexSphパーセントとして表す。WTおよびKI対照に対するp値は、それぞれ、下段および上段に示される:***p<0.001、**p<0.01、p<0.05、ns p>0.05(一方向ANOVAおよび多重比較補正を伴う事後ボンフェローニ)。n=研究群当たりの分析した試料の総数であり、異なるin vivo実験からプールされていた。WT=野生型マウス、KI=Gba1 D409Vノックイン(KI)マウス、EW=週1回、EOD=1日おき、ABX=アンブロキソール。
図22は、ICVによりOxyGCアーゼで処置したGba1 D409V KIマウスに由来する血漿における抗GCアーゼ抗体力価を示す。力価は、プレートの分断点(cut point)の内挿であった(使用したもっとも低い希釈において異なるマウスから得られたナイーブ血漿の平均の3倍)。血漿試料は、2回の独立した実験から得られたものであり、これは、異なる時点で収集された:すべての群について投薬前および24時間、さらに、6時間(8回目のボーラス)後または48時間(12回目のボーラス)後。n=1群当たりのマウスの数。
図23は、Yarrowia特異的発現構築物の概略図である。ORF:オープンリーディングフレーム、ORI:複製起点、Yl:Yarrowia lipolytica、ゼータ1/2:Yarrowiaゲノムへのランダムな組込みの割合を増加させるYarrowia特異的配列。Yarrowiaへの形質転換の前に、プラスミドを、NotIで消化させて、細菌配列を除去する。
図24は、週1回で4回のOxyGCアーゼバリアントおよびCerezyme(登録商標)でのIV処置の最後の回から24時間後の、マウスの肝臓におけるGCアーゼ活性を示す。示される結果は、異なるin vivo実験の組合せである。
図25は、WTまたはGba1 D409V KIマウスにおける週1回で4回のビヒクル、または30U/kgのhuGCアーゼ(K321N)、huGCアーゼ、またはCerezyme(登録商標)のIV注射の最後の回から24時間後の、肝臓(左上部)、脾臓(右上部)、心臓(左下部)、および肺(右下部)におけるHexSphレベル(pg/mg組織)を示す。WTおよびKI対照に対するp値は、それぞれ、上段および下段に示される:***p<0.001、**p<0.01、p<0.05、ns p>0.05(一方向ANOVAおよび多重比較補正を伴う事後ボンフェローニ)。データは、2回の独立したin vivo実験から得られる。
図26は、非ヒト霊長類(NHP)における10mgまたは50mgのOxy5595(実施例に記載されるhuGCアーゼ(K321N))での1回、4回、8回、12回、および19回のICV注入後72時間にわたるCSF(左パネル)および血漿(右パネル)における、雄性と雌性を組み合わせた活性GCアーゼの濃度-時間曲線を示す。点線は、アッセイ(合成基質4MUβGlcでのGCアーゼ活性測定)の定量限界を示す。
図27は、脳パンチの概要を提供する図である。1=前頭皮質、2=線条体-尾状核、3=頭頂皮質、4=視床、5=海馬、6=脳橋、7=延髄、8=後頭皮質、9および10=小脳。
図28は、4MUβGlcアッセイによって決定される、ビヒクル、10mg、または50mgのOxy5595での23回目のICV処置から48時間後の、NHPの異なる脳領域における活性GCアーゼレベル(脳組織1g当たりのng)を示す。
図29は、4MUβGlcアッセイによって決定される、ビヒクル、10mg、または50mgのOxy5595での23回目のICV処置から48時間後の、NHPの異なる脳領域における活性GCアーゼの濃度を示す。
図30は、10mgまたは50mgのOxy5595での23回目のICV処置から48時間後の、NHPの異なる脳領域における活性GCアーゼのビヒクルに対する増加パーセントを示す。
図31は、50mgのOxy5595での23回のICV処置時のカニクイザルの脳におけるOxy5595分布の概略図である。矢状正中線切片(左パネル)および冠状切片(右パネル)。
図32は、マウスにおける異なる脳領域に達する活性Oxy5595の量を、NHPと比較して示す。
本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈により別途明確に示されない限り、単数形および複数形の両方の参照物を含む。
「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、および「から構成される(comprised of)」という用語は、本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含む(includes)」、または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」、と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の言及されていないメンバー、要素、または方法ステップを除外するものではない。この用語はまた、特許用語において十分に確立した意味をなす「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」も包含する。
端点による数値範囲の記述は、それぞれの範囲内のすべての数字および分数、ならびに記載された端点を含む。これは、「...から...」という表現で表されるか、「...と...との間」という表現で表されるか、別の表現で表されるかに関係なく、数値範囲に適用される。
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、測定可能な値、たとえば、パラメーター、量、時間範囲、およびその他に言及して本明細書で使用される場合、指定される値の、およびそれからの変動、たとえば、その指定される値の±10%またはそれを下回る、好ましくは±5%またはそれを下回る、より好ましくは±1%またはそれを下回る、なおもさらに好ましくは±0.1%またはそれを下回る変動を包含することを、そのような変動が本開示の発明を実行するのに適している範囲で意味する。修飾語「約」または「およそ」が指す値は、それ自体も、具体的かつ好ましく開示されることを理解されたい。
「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」という用語、たとえば、メンバーの群のうちの1つもしくは複数のメンバーまたは少なくとも1つのメンバーは、さらなる例示によってそれ自体明確であり、この用語は、とりわけ、前記メンバーのうちのいずれか1つ、または前記メンバーのうちのいずれか2つもしくはそれよりも多く、たとえば、前記メンバーのうちのいずれか3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、または7つ以上など、および最大で前記メンバーすべてへの言及を包含する。別の例では、「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれよりも多くを指し得る。
本明細書における本発明の背景技術の考察は、本発明の文脈を説明するために含まれている。これは、参照された材料のいずれかが、特許請求の範囲のうちのいずれかの優先日の時点において、いずれかの国において公開されていたか、公知であったか、一般的な知識の一部であったという認識として解釈されるものではない。
本開示全体を通じて、様々な刊行物、特許、および公開特許明細書が、特定する引用によって参照される。本明細書において引用されているすべての文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。具体的には、本明細書において具体的に参照されるそのような文書の教示または節が、参照により本明細書に組み込まれる。
別途定義されない限り、本発明を開示する際に使用されるすべての用語は、技術用語および科学用語を含め、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味を有する。さらなる案内を用いて、本発明の教示をより良好に理解するために、用語の定義が含まれる。具体的な用語が、本発明の特定の態様または本発明の特定の実施形態と関連して定義される場合、そのような含意または意味は、別途定義されない限り、本明細書全体を通じて、すなわち、本発明の他の態様または実施形態の文脈においても適用されることが意図される。
以下の節において、本発明の異なる態様または実施形態が、より詳細に定義されている。そのようにして定義されるそれぞれの態様または実施形態は、そうでないことが明確に示されない限り、任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。具体的には、好ましいかまたは有利であると示された任意の特性を、好ましいかまたは有利であると示された任意の他の1つまたは複数の特性と組み合わせることができる。
本明細書全体を通じて、「一実施形態」、「ある実施形態」への参照は、実施形態と関連して記載される特定の特性、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて様々な箇所における「一実施形態では」または「ある実施形態では」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているとは限らないが、言及している場合もある。さらに、特定の特性、構造、または特徴は、本開示から当業者には明らかなように、1つまたは複数の実施形態において、任意の好適な様式で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載される一部の実施形態は、他の実施形態に含まれる一部の特性を含むが他の特性は含まず、異なる実施形態の特性の組合せは、当業者には理解されるように、本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することが意図される。たとえば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、任意の組合せで使用することができる。
本明細書に含まれる実験データは、本発明の原理を具現化したいくつかの例示的なグルコセレブロシダーゼ調製物が、神経障害性グルコセレブロシダーゼ欠損、より具体的には、3型ゴーシェ病およびパーキンソン病の関連動物(マウス)モデルの片側脳室内(ICV)処置の際に、より深層の脳構造を含め、脳の両半球へのGCアーゼ酵素の迅速かつ均等な分布をもたらし、そこで、GCアーゼ酵素が、ニューロンを含むすべての細胞型においてGCアーゼ基質を効率的に低減させたことを示す。このことは、ニューロン集団によって取り込まれず、したがって、ゴーシェ病の現在市販利用可能なすべての他の酵素補充療法と同様に、神経障害性グルコセレブロシダーゼ欠損のCNS関連症状を処置するための治療的に実行可能な手段を表すものではない、イミグルセラーゼ(Cerezyme(登録商標))とは極めて対照的であった。
本発明者らは、後者が、罹患したニューロン細胞によるCerezyme(登録商標)の不十分な取込みに起因すると仮定する。Cerezyme(登録商標)および他のゴーシェ病に現在利用可能なERT療法は、比較的低いレベルの一リン酸化グリカンを有し、実質的に、検出可能な二リン酸化グリカンを有さず、主として中性グリカンを有する。これは、マンノース受容体(MR)を介したマクロファージ(1型ゴーシェ病)による細胞取込みには適切であり得るが、本明細書に示されるように、形質膜上に少ししかMRを発現し得ないニューロン細胞については明らかに不十分であるかまたは有効ではない。本発明者らは、本明細書に開示されるGCアーゼにおける比較的高い程度のグリカンリン酸化により、マンノース-6-リン酸(M6P)受容体を介してニューロンを含むCNS細胞による効率的な取込みが可能になると仮定する。
さらに、例示的なGCアーゼ酵素はまた、基質を低減するのに十分な量で、末梢器官にも到達し、本明細書において教示されるGCアーゼ組成物を使用したICV処置が、疾患の末梢症状も同様に改善し得、有益なことにICVと全身(介入)処置を組み合わせたアプローチの必要性を回避することを実証した。
したがって、グルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)調製物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%が、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、グルコセレブロシダーゼ調製物が、本明細書において提供される。また、グルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%が、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、組成物も、本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、前記グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくともいくつかは、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む。したがって、ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%は、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、前記グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%は、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、グリコシル化されている。したがって、ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%は、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含み、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%は、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%は、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、前記グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%は、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、前記グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、グリコシル化されている。
グルコセレブロシダーゼ調製物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、グルコセレブロシダーゼ調製物が、本明細書においてさらに提供される。また、グルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、組成物も、本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの10%を上回るものが、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、それぞれ、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの15%を上回るか、または20%を上回るか、または25%を上回るか、または30%を上回るか、または35%を上回るか、または40%を上回るか、または45%を上回るものは、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む。したがって、ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%は、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、グリコシル化されている。したがって、ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%は、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%は、グリコシル化されている。ある特定の実施形態では、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%は、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、優先度の低いものから順に、グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべては、グリコシル化されている。
GCアーゼによって含まれるある特定の一般的または特異的なグリカン構造のパーセンテージ、たとえば、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのパーセンテージまたは2つのマンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのパーセンテージに言及されている場合、数字(またはモル量)によるパーセンテージが、具体的に意味され得る。例として、複数のグリカン100個中、50個またはそれよりも多くのグリカンが、マンノース-6-リン酸部分を含む場合、この複数物は、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含むグリカンを少なくとも50%含むと称することができる。したがって、パーセンテージは、調製物または組成物によって含まれる複数のグルコセレブロシダーゼ分子によって含まれるグリカンの群またはプールに基づく。そのようなパーセンテージは、N-グリコシダーゼF(PNGアーゼF)処置によってGCアーゼからグリカンを放出させ、グリカンをAPTS(8-アミノ-1,3,6-ピレントリスルホン酸三ナトリウム塩)で標識し、DSA-FACE(DNAシーケンサー補助フルオロフォア補助炭水化物電気泳動)を使用してグリカン構造を決定することなどによって、実施例に例示されている方法を使用して、グルコセレブロシダーゼ調製物または組成物の代表的な試料から容易に決定することができる。DSA-FACEは、電荷および質量によってグリカンを分離させ、ピークプロファイル読み取りを提供し、ここで、それぞれのピークは、所与のグリカン構造を表す。ピーク面積により、それぞれのN-グリカン構造の量の相対表示が得られる。典型的には、数またはモル量による所与のグリカン構造のパーセンテージは、その重量パーセンテージに近似し得、いずれの場合にも、当業者であれば、それぞれのグリカン構造の分子量に基づいて、両方の種類のパーセンテージを計算し、それらの間で変換を行うことができる。
グリコシル化GCアーゼ分子のパーセンテージについて言及されている場合、数(またはモル量)によるパーセンテージが、具体的に意味される。例として、複数のGCアーゼ分子100個中、50個またはそれよりも多くのGCアーゼ分子がグリコシル化されている場合、この複数物は、少なくとも50%のグリコシル化GCアーゼ分子を含むと称することができる。グリコシル化GCアーゼ分子と非グリコシル化GCアーゼ分子とは、好適には、たとえば、それらの異なる電気泳動移動度に基づいて、分離し、定量することができる。典型的には、グリコシル化GCアーゼのパーセンテージは、その重量パーセンテージに近似し得、いずれの場合にも、当業者であれば、それぞれのGCアーゼ分子の分子量に基づいて、両方の種類のパーセンテージを計算し、それらの間で変換を行うことができる。
本発明は、したがって、本明細書に開示されるグルコセレブロシダーゼタンパク質またはポリペプチドによって具現化される。「ペプチド」、「ポリペプチド」、または「タンパク質」という用語は、互換可能に使用することができ、隣接するアミノ酸残基間でのペプチド結合によって一緒に結合されたアミノ酸を含む、任意の天然、合成、または組換え分子を指す。「ペプチド結合」、「ペプチド連結」、または「アミド結合」は、1つのアミノ酸のカルボキシル基が、他のアミノ酸のアミノ基と反応したときに2つのアミノ酸の間で形成される共有結合であり、それによって、水分子が放出される。ポリペプチドは、任意の供給源に由来し得、たとえば、天然に存在するポリペプチド、化学的に合成されたポリペプチド、組換え分子遺伝学技術によって産生されたポリペプチド、または細胞もしくは翻訳系に由来するポリペプチドであり得る。好ましくは、ポリペプチドは、組換え分子遺伝学技術によって産生されたポリペプチドである。ポリペプチドは、直鎖であってもよく、または球形状にフォールディングされていてもよい。「アミノ酸」および「アミノ酸残基」という用語は、本明細書において互換可能に使用され得る。さらに、文脈から明らかでない限り、本明細書における任意のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質への言及にはまた、前記ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の変更された形態、たとえば、発現後改変、たとえば、リン酸化、グリコシル化、脂質付加、メチル化、システイン化、スルホン化(sulphonation)、グルタチオン化、アセチル化、メチオニンからメチオニンスルホキシドまたはメチオニンスルホンへの酸化、およびその他のものも一般に包含され得る。
「グリカン」という用語は、広義には、遊離形態にあるか、または複合糖質、たとえば、糖タンパク質、プロテオグリカン、もしくは糖脂質の炭水化物部分を形成する、任意の単糖、オリゴ糖、または多糖を包含する。典型的にグリカン、たとえば、糖タンパク質グリカンに含まれる、単糖単位としては、マンノース(Man)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース(Gal)、シアル酸(SA)、キシロース(Xyl)、および/またはフコースを挙げることができる。酵母細胞グリカンを含む真菌において典型的に見出される単糖単位としては、ManおよびGlcNAcを挙げることができる。グリカン内の単糖間での連結は、α-および/またはβ-形態であり得、鎖は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、必要に応じたグリカン改変としては、典型的に、アセチル化、リン酸化、および/またはスルホン化(sulphation)を挙げることができる。糖タンパク質は、NまたはO結合を介してポリペプチドに共有結合で結合した1つまたは複数のグリカンを有する。ある特定の好ましい実施形態では、本明細書において意図されるグリカンは、N-グリカンであり得る。少なくとも1つのグリカンを含むタンパク質またはポリペプチド、より具体的には、少なくとも1つのグリカンがそこに共有結合で連結されているもの、さらにより具体的には、少なくとも1つのN結合型またはO結合型グリカンを含むものは、一般に、「グリコシル化されている」と称される。例として、少なくとも1つのO結合型またはN結合型グリカンを含む、好ましくは少なくとも1つのN結合型グリカンを含み、たとえば、ある特定の実施形態では、少なくとも1つのN結合型グリカンを含みO結合型グリカンを含まない、GCアーゼ分子は、「グリコシル化」GCアーゼ分子と称され得る。O-グリカンは、セリンまたはスレオニン残基のヒドロキシル基に連結されている。N-グリカンは、側鎖窒素を介して、アスパラギン残基に連結されている。天然に存在するN-グリカンは、2つのマンノース残基の共通の五糖領域を共有しており、α-1,3およびα-1,6連結によって中心のマンノースに別個に連結されており、これが、β-1,4連結によって、2つのβ-1,4連結したGlcNAc残基からなるキトビオースコアに連結されている。五糖のさらなるプロセシングに基づいて、N-グリカンは、3つの主要なクラス:(i)高マンノース型、(ii)複合型、および(iii)ハイブリッド型に分類される。
ある特定の実施形態では、グリコシル化GCアーゼ分子は、少なくとも1つ、たとえば、厳密に1つのグリカン、より具体的にはN-グリカンを有してもよく、または好ましくは、少なくとも2つ、たとえば、厳密に2つのグリカン、より具体的にはN-グリカンを有してもよく、またはより好ましくは、少なくとも3つ、たとえば、厳密に3つのグリカン、より具体的にはN-グリカンを有してもよく、またはさらにより好ましくは、少なくとも4つ、たとえば、厳密に4つのグリカン、より具体的にはN-グリカンを有してもよい。たとえば、野生型ヒトGCアーゼは、4つのN-グリコシル化部位を含有するが、たとえば、WO01/49830において教示されるように、追加のN-グリコシル化部位を含むように操作されてもよい。ある特定の実施形態では、グリコシル化GCアーゼ分子は、4つを上回る、たとえば、厳密に5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10個のグリカン、より具体的にはN-グリカンを有してもよい。複数のグリコシル化GCアーゼ分子は、それぞれ独立して1つまたは複数のグリカン、より具体的にはN-グリカンを有する、GCアーゼ分子を含み得る。たとえば、複数のグリコシル化GCアーゼ分子は、1つのGCアーゼ分子当たり、平均で、1.0~1.9個、または2.0~2.9個、または3.0~3.9個、または約4.0個のグリカン、より具体的にはN-グリカンを有し得る。
「少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む」という語句は、グリカン、より具体的にはN-グリカンが、1つまたは1つを上回るマンノース-6-リン酸(M6P)部分、たとえば、厳密に1つまたは厳密に2つのM6P部分を含むことを指す。「2つのマンノース-6-リン酸部分を含む」という語句は、グリカン、より具体的にはN-グリカンが、2つ、たとえば、厳密に2つのM6P部分を含むことを指す。そのようなM6P部分は、共有結合、たとえば、グリコシド結合、より典型的にはα-1,2またはα-1,6グリコシド結合によって、グリカンの基礎単糖単位、たとえば、グリカンの基礎マンノース単位に連結されている。M6P部分では、リン酸基は、マンノース基のC6に連結されている。リン酸基は、露出している(たとえば、別の単糖単位、たとえば、別のマンノース単位によって、「キャッピング」されていない)。例示のために、マンノース-6-リン酸の代表的な構造を、以下に示す。
Figure 2022523104000001
リン酸基は、遊離酸形態(-OPO(OH)、または-OPO(OH)およびH+、もしくは-OPO 2-および2Hに解離されている)であってもよく、または塩の形態、特に、薬学的に許容される塩の形態であってもよく、たとえば、適切な有機または無機塩基での処置によって金属またはアミン付加塩の形態に変換されてもよい。
ある特定の実施形態では、少なくとも1つ、たとえば、厳密に1つのマンノース-6-リン酸部分を含むグリカン、より具体的にはN-グリカンは、少なくとも、以下から選択されるコア構造を含むかまたはそれからなり:
P-6Manα1-6Manα1-6Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc (式I)、または
P-6Manα1-2Manα1-3Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc (式II)
式中、α1-2、α1-3、α1-6、およびβ1-4は、隣接する単糖単位間のグリコシド結合を指す。これらの構造はまた、図3、パネル「Man 3-P」においてモジュール方式で例示されており、ここで、式Iは、右手側の構造に対応し、IIは、左手側の構造に対応する。
ある特定の実施形態では、2つ、たとえば、厳密に2つのマンノース-6-リン酸部分を含むグリカン、より具体的にはN-グリカンは、少なくとも、以下のコア構造を含むかまたはそれからなり:
Figure 2022523104000002
式中、α1-2、α1-3、α1-6、およびβ1-4は、隣接する単糖単位間のグリコシド結合を指す。この構造はまた、図3、パネル「Man 5-(P)」においてモジュール方式で例示されている。
ある特定の好ましい実施形態では、マンノース-6-リン酸部分のマンノースは、末端マンノースである。マンノースは、したがって、グリカンにおける基礎単糖単位とグリコシド結合を形成するが、基礎単糖単位と結果として生じる別の単糖単位との間には挟まれない。典型的には、グリコシド結合は、α-グリコシド結合、より具体的には、マンノースのC1原子を介したα-グリコシド結合であり得る。典型的には、基礎単糖単位は、マンノースであり得る。典型的には、グリコシド結合は、基礎マンノースへのα-1,2またはα-1,6グリコシド結合であり得る。
ある特定の好ましい実施形態では、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンは、それぞれ独立して、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれらからなる群より選択される。たとえば、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または実質的にすべてが、それぞれ独立して、これらの構造から選択され得る。そのようなN-グリカンの構造は、以下に示される構造PManGlcNAcまたはPManGlcNAcから、Man-6-P残基以外の1つまたは(該当する場合は、逐次的に)複数の末端マンノース残基を、概念的に加水分解することによって、得ることができる。
式IV-PManGlcNAc
Figure 2022523104000003
式V-PManGlcNAc
Figure 2022523104000004
式VI-PManGlcNAc
Figure 2022523104000005
ある特定の好ましい実施形態では、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンは、それぞれ独立して、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれらからなる群より選択され、これは、図3にもモジュール式で示されている。たとえば、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または実質的にすべてが、それぞれ独立して、これらの構造から選択され得る。
ある特定の好ましい実施形態では、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンは、それぞれ独立して、PManGlcNAcおよびPManGlcNAcを含むかまたはそれらからなる群より選択され、これは、図3にモジュール式で示されており、それぞれ、式IおよびII、ならびにIIIにも示されている。たとえば、マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または実質的にすべてが、それぞれ独立して、これらの構造から選択され得る。
「グルコセレブロシダーゼ」、「β-グルコセレブロシダーゼ」、「GCアーゼ」、「GC」、または「グルコシルセラミダーゼ」という用語は、広義には、グルコース含有糖脂質、たとえば、グルコシルセラミドおよびグルコシルスフィンゴシンにおけるグルコシド連結の加水分解を触媒する酵素(EC3.2.1.45)を包含する。
ある特定の好ましい実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼである。「ヒト」という限定詞は、GCアーゼポリペプチドと関連して本明細書で使用される場合、その起源または供給源ではなく、GCアーゼポリペプチドの一次アミノ酸配列を指す。たとえば、ヒトGCアーゼポリペプチドは、技術手段によって、たとえば、組換え発現、無細胞翻訳、または非生物学的ペプチド合成によって、得ることができる。本明細書で使用される場合、核酸またはポリペプチドに適用される「野生型」という用語は、自然界に存在する生物において生じるかまたはその生物によって産生される、核酸またはポリペプチドを指す。「野生型」という用語は、「天然の」と同義であり得、後者は、天然の配列、すなわち、一次配列が、自然界において見出されるかまたはそれに由来する核酸またはポリペプチドのものと同じであるものを有する、核酸またはポリペプチドを包含する。当業者であれば、天然の配列が、所与の種内での通常の遺伝的多様性(変動)に起因して、同じ種の異なる個体間または個体内で異なり得ることを理解する。また、天然の配列は、転写後改変または翻訳後改変に起因して、同じ種の異なる個体間または個体内で異なり得る。核酸またはポリペプチドの任意のそのようなバリアントまたはアイソフォームは、本明細書において、「天然」であるとして包含される。したがって、自然界において見出されるかまたはそれに由来する核酸またはポリペプチドのすべての配列は、「天然」と考えられる。「天然」という用語は、生きている生物、器官、組織、または細胞の一部を形成する場合、生物学的試料の一部を形成する場合、およびそのような供給源から少なくとも部分的に単離されている場合の、核酸またはポリペプチドを包含する。この用語はまた、組換えまたは合成手段によって産生された場合の核酸またはポリペプチドも包含する。しかしながら、ほとんどの天然のヒトGCアーゼ核酸またはポリペプチドは「野生型」と考えることができるとはいえ、疾患表現型、たとえば、ゴーシェ病またはα-シヌクレイノパチー、たとえば、パーキンソン病と関連するかまたはそれを引き起こす天然に存在する変異を有するもの(そのような変異は、GCアーゼの発現および/または活性を減弱または排除させる場合がある)は、一般に、「野生型」という用語の範囲から除外される。したがって、ある特定の実施形態では、ヒトGCアーゼは、疾患表現型と関連するものでも、それを引き起こすものでもない。
ヒトグルコセレブロシダーゼは、文献、たとえば、Lieberman(Enzyme Res. 2011, article ID 973231)において記載されている、可溶性リソソーム酵素である。ヒトGCアーゼの遺伝子名称としては、「GBA」、「GC」、および「GLUC」が含まれる。例示的なヒトGCアーゼタンパク質配列は、米国政府のNational Center for Biotechnology Information(NCBI)Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)受託番号NP_000148.2(配列バージョン2)、またはSwissprot/Uniprot(http://www.uniprot.org/)受託番号P04062-1において注釈されている通りであり得る。例示的なヒトGCアーゼmRNA(cDNA)配列は、NCBI Genbank受託番号NM_000157.4(配列バージョン4)で注釈されている通りであり得る。
NP_000148.2で注釈されているヒトGCアーゼアミノ酸配列を、以下に再生する。
Figure 2022523104000006
上記の代表的なヒトGCアーゼポリペプチド配列は、N末端シグナルペプチドを含むGCアーゼ前駆体のものである。ヒトGCアーゼのプロセシングの際、配列番号1のアミノ酸1~39に対応するシグナルペプチドは、プロセシングで除去されて配列番号1のアミノ酸40~536に対応する成熟ヒトGCアーゼタンパク質が形成され、これは、したがって、497アミノ酸長である。したがって、例示的な成熟ヒトGCアーゼのアミノ酸配列を、以下に再生する。
Figure 2022523104000007
本明細書で使用されるヒトGCアーゼポリペプチドへの参照は、文脈から明らかなように、ヒトGCアーゼ前駆体ポリペプチドおよび成熟ヒトGCアーゼポリペプチドの両方を包含する。さらに、天然のシグナルペプチドが好適な宿主細胞において活性なシグナルペプチド(たとえば、真菌細胞において活性なシグナルペプチド)によって置き換えられたヒトGCアーゼポリペプチドもまた、文脈から明らかなように、包含される。ある特定の実施形態では、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントまたは断片である。ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの「生物学的に活性なバリアントもしくは断片」または「機能的に活性なバリアントもしくは断片」という表現は、ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの機能的に活性なバリアント、ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの機能的に活性な断片、およびヒト野生型GCアーゼポリペプチドの断片の機能的に活性なバリアントを含む。
タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの「断片」という用語は、一般に、前記タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのN末端および/またはC末端が欠失または短縮された形態を指す。この用語は、任意の機序、たとえば、限定することなく、選択的翻訳、前記ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の、たとえば、in vivoもしくはin vitroでのexoおよび/もしくはendoタンパク質分解ならびに/または分解、たとえば、物理的、化学的、および/もしくは酵素的タンパク質分解などによって生じる断片を包含する。限定することなく、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの断片は、前記タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド、たとえば、対応するヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、対応する成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも約5%(アミノ酸数で)、または少なくとも約10%、たとえば、20%もしくはそれよりも多く、30%もしくはそれよりも多く、または40%もしくはそれよりも多く、たとえば、好ましくは50%もしくはそれよりも多く、たとえば、60%もしくはそれよりも多く、70%もしくはそれよりも多く、80%もしくはそれよりも多く、90%もしくはそれよりも多く、または95%もしくはそれよりも多くを表し得る。
たとえば、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの断片は、対応する全長タンパク質またはポリペプチド、たとえば、対応するヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、対応する成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドの5個もしくはそれよりも多くの連続したアミノ酸、10個もしくはそれよりも多くの連続したアミノ酸、20個もしくはそれよりも多くの連続したアミノ酸、30個もしくはそれよりも多くの連続したアミノ酸、たとえば、40個もしくはそれよりも多くの連続したアミノ酸、たとえば、例として、50個もしくはそれよりも多くの連続したアミノ酸、60個もしくはそれよりも多く、70個もしくはそれよりも多く、80個もしくはそれよりも多く、90個もしくはそれよりも多く、100個もしくはそれよりも多く、200個もしくはそれよりも多く、300個もしくはそれよりも多く、310個もしくはそれよりも多く、320個もしくはそれよりも多く、330個もしくはそれよりも多く、340個もしくはそれよりも多く、350個もしくはそれよりも多く、360個もしくはそれよりも多く、370個もしくはそれよりも多く、380個もしくはそれよりも多く、390個もしくはそれよりも多く、400個もしくはそれよりも多く、410個もしくはそれよりも多く、420個もしくはそれよりも多く、430個もしくはそれよりも多く、440個もしくはそれよりも多く、450個もしくはそれよりも多く、460個もしくはそれよりも多く、470個もしくはそれよりも多く、480個もしくはそれよりも多く、または490個もしくはそれよりも多くの連続したアミノ酸の配列を含み得る。
ある実施形態では、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの断片は、対応する全長タンパク質またはポリペプチド、たとえば、対応するヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、対応する成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドと比較して、1~約20個のアミノ酸、たとえば、1~約15個のアミノ酸、または1~約10個のアミノ酸、または1~約5個のアミノ酸がN末端および/またはC末端で短縮されていてもよい。
タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの「バリアント」という用語は、一般に、それらのアミノ酸配列がそのタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの配列と実質的に同一である(すなわち、大部分が同一であるが全体として同一ではない)、たとえば、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの配列に対して、たとえば、対応するヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、対応する成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドの配列に対して、少なくとも約80%同一であるかまたは少なくとも約85%同一である、たとえば、好ましくは少なくとも約90%同一である、たとえば、少なくとも91%同一である、92%同一である、より好ましくは、少なくとも約93%同一である、たとえば、少なくとも94%同一である、さらにより好ましくは少なくとも約95%同一である、たとえば、少なくとも96%同一である、なおもさらに好ましくは、少なくとも約97%同一である、たとえば、少なくとも98%同一であり、もっとも好ましくは、少なくとも99%同一である、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを指す。好ましくは、バリアントは、引用されたタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの配列全体が、配列アライメントにおいて問い合わせた場合に、引用されたタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに対してそのような程度の同一性(すなわち、全体的な配列同一性)を示し得る。配列同一性は、それ自体公知のように、配列アライメントおよび配列同一性の決定を行うのに好適なアルゴリズムを使用して決定することができる。例示的であるが非限定的なアルゴリズムとしては、もともとはAltschul et al. 1990 (J Mol Biol 215: 403-10)によって説明されているBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)に基づくもの、たとえば、Tatusova and Madden 1999 (FEMS Microbiol Lett 174: 247-250)によって説明されている「Blast 2配列」アルゴリズム、たとえば、公開されているデフォルト設定または他の好適な設定(たとえば、例として、BLASTNアルゴリズムについては、ギャップ開始コスト=5、ギャップ伸長コスト=2、ミスマッチペナルティ=-2、マッチ報酬=1、ギャップx_dropoff=50、期待値=10.0、文字列サイズ=28、またはBLASTPアルゴリズムについては、マトリックス=Blosum62(Henikoff et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci., 89:10915-10919)、ギャップ開始コスト=11、ギャップ伸長コスト=1、期待値=10.0、文字列サイズ=3)を使用するものが挙げられる。
特定のアミノ酸配列と問合せポリペプチドのアミノ酸配列(たとえば、ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチド)との間の同一性パーセントを決定するための手段の例は、NCBIウェブサイト(www.ncbi.nlm.nih.gov)においてウェブアプリケーションとしてまたはスタンドアロン型実行可能プログラム(BLASTバージョン2.2.31+)として入手可能なBlast2配列(Bl2seq)アルゴリズムを使用し、好適なアルゴリズムパラメーターを使用して2つのアミノ酸配列をアライメントすることを伴う。好適なアルゴリズムパラメーターの例としては、マトリックス=Blosum62、ギャップ開始コスト=11、ギャップ伸長コスト=1、期待値=10.0、文字列サイズ=3)が挙げられる。2つの比較している配列が相同性を共有している場合、出力は、それらの相同性の領域を、アライメントされた配列として提示する。2つの比較している配列が相同性を共有していない場合、出力は、アライメントされた配列を提示しない。アライメントされた後、同一のアミノ酸残基が両方の配列において提示されている位置の数を計数することによって、マッチ数が決定される。同一性パーセントは、マッチ数を、問合せポリペプチドの長さで除した後、得られた値に100を乗じることによって、決定される。同一性パーセント値は、小数点1位に丸めてもよいが、必ずしもそうしなくてもよい。たとえば、78.11、78.12、78.13、および78.14は、78.1に切り下げてもよく、一方で78.15、78.16、78.17、78.18、および78.19は、78.2に切り上げてもよい。Bl2seqによって出力されるアライメントのそれぞれのセグメントの詳細表示には、同一性のパーセンテージがすでに便宜的に含まれていることに、さらに留意されたい。
タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのバリアントは、前記タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのホモログ(たとえば、オルソログまたはパラログ)であってもよい。本明細書で使用される場合、「相同性」という用語は、一般に、同じかまたは異なる分類群に由来する2つの巨大分子間、特に、2つのタンパク質またはポリペプチド間での構造的類似性を指し、ここで、前記類似性は、共有の祖先に起因する。
タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのバリアントは、対応するタンパク質またはポリペプチド、たとえば、対応するヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、対応する成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドと比べて(すなわち、それと比較して)、1つまたは複数のアミノ酸付加、欠失、または置換を含み得る。
たとえば、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのバリアント(置換バリアント)は、対応するタンパク質またはポリペプチド、たとえば、対応するヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、対応する成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドと比べて(すなわち、それと比較して)、最大で70個(たとえば、1つを上回らない、2つを上回らない、3つを上回らない、4つを上回らない、5つを上回らない、6つを上回らない、7つを上回らない、8つを上回らない、9つを上回らない、10個を上回らない、12個を上回らない、15個を上回らない、20個を上回らない、25個を上回らない、30個を上回らない、35個を上回らない、40個を上回らない、50個を上回らない、60個を上回らない、または70個を上回らない)保存的アミノ酸置換を含み得る。
保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸の、類似の特徴を有する別のものとの置換である。保存的アミノ酸置換は、以下の群内の置換を含む:バリン、アラニン、およびグリシン;ロイシン、バリン、およびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、システイン、およびスレオニン;リシンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。非極性疎水性アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが挙げられる。極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられる。正に荷電した(すなわち、塩基性の)アミノ酸としては、アルギニン、リシン、およびヒスチジンが挙げられる。負に荷電した(すなわち、酸性の)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。上述の極性、塩基性、または酸性の群の1つのメンバーの、同じ群の別のメンバーでの任意の置換は、保存的置換とみなすことができる。対照的に、非保存的置換は、1つのアミノ酸の、類似しない特徴を有する別のものとの置換である。
代替的にまたは追加として、たとえば、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのバリアント(欠失バリアント)は、対応するタンパク質またはポリペプチド、たとえば、対応するヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、対応する成熟ヒト野生型GCアーゼポリペプチド、たとえば、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドと比べて(すなわち、それと比較して)、最大で20個のアミノ酸セグメント(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のセグメント)が欠如していてもよい。欠失セグメントは、それぞれ独立して、1つのアミノ酸、2つの連続するアミノ酸、または3つの連続するアミノ酸からなり得る。欠失セグメントは、非連続であってもよく、または欠失セグメントのうちの2つもしくはそれよりも多くもしくはすべてが、連続していてもよい。
タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのバリアントは、融合タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドであってもよく、ここで、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、1つまたは複数の他のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに化学的にコンジュゲートされているか、非共有結合で結合しているか、または翻訳により融合されている。他のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドとしては、シグナル生成化合物(たとえば、酵素またはフルオロフォア)、診断もしくは検出マーカー(たとえば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT))、組換えタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの精製に使用されるアミノ酸配列(たとえば、FLAG、ポリヒスチジン(たとえば、ヘキサヒスチジン)、ヘマグルチニン(hemagluttanin)(HA)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、またはマルトース結合タンパク質(MBP))、標的細胞へのタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの輸送を指示もしくは増強するために使用されるシグナル配列およびアミノ酸配列(たとえば、血液脳関門シャトルペプチド)を挙げることができるが、これらに限定されない。アミノ酸配列は、必要に応じてスペーサー(たとえば、アミノヘキサン酸(Ahx)またはポリ(エチレン)グリコール(PEG))の使用によって、本明細書において意図されるように、アゴニストのN末端および/またはC末端に融合することができる。
本明細書がタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのバリアントおよび/または断片について言及するかまたはそれを包含する場合、これは、機能的に活性であるか、または機能性である、すなわち、それぞれのまたは対応するタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの生物学的活性または意図される機能性を少なくとも部分的に保持する、バリアントまたは断片を指す。例としてであり限定するものではなく、本明細書に開示されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドの機能的に活性なバリアントまたは断片は、ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの生物学的活性を少なくとも部分的に保持するものとする。たとえば、それは、ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの生物学的活性、たとえば、ヒドロラーゼ活性の1つまたは複数の態様を保持し得る。好ましくは、機能的に活性なバリアントまたは断片は、対応するタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドと比較して、意図される生物学的活性または機能性の少なくとも約20%、たとえば、少なくとも約25%、または少なくとも30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、たとえば、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも約70%、たとえば、少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、なおもさらに好ましくは少なくとも約90%、およびもっとも好ましくは少なくとも約95%、またはさらには約100%またはそれよりも多くを保持し得る。タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド、たとえば、ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの「活性」への言及は、一般に、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの生物学的活性の任意の1つまたは複数の態様、たとえば、限定することなく、たとえば、細胞、組織、器官、または生物内のその生化学的活性、酵素活性、シグナル伝達活性、相互作用活性、リガンド活性、および/または構造活性の任意の1つまたは複数の態様を包含し得る。例としてであり限定するものではなく、ヒト野生型GCアーゼポリペプチドまたはその機能的に活性なバリアントもしくは断片についての言及は、ヒドロラーゼとしてのその活性を指す。所与のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド、たとえば、ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの活性を、確立されたアッセイ、たとえば、酵素アッセイにおいて(たとえば、例として、蛍光アッセイによって)容易に測定することができる場合、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの機能的に活性なバリアントまたは断片は、そのようなアッセイにおいて、それぞれのまたは対応するタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの活性の少なくとも約20%、たとえば、少なくとも約25%、または少なくとも30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、たとえば、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも約70%、たとえば、少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、なおもさらに好ましくは少なくとも約90%、およびもっとも好ましくは少なくとも約95%、またはさらには約100%、またはそれよりも多くを示し得る。
たとえば、ヒト野生型GCアーゼまたはその機能的に活性なバリアントもしくは断片のヒドロラーゼ活性は、酵素アッセイ、たとえば、特に、合成基質4MUβGlc(4-メチルウンベリフェリル(methyllumbelliferyl)-β-D-グルコピラノシド(Urban et al., 2008, Comb Chem High Throughput Screen, vol. 11(10), 817-824))を使用してGCアーゼの酵素活性を測定する蛍光アッセイである4MUβGlcアッセイにおいて、測定することができる。一単位を、111mM NaHPO、44mMクエン酸、0.5%(w/v)BSA、10mMタウロコール酸ナトリウム、0.25%(v/v)Triton X-100、pH5.5中5mMの最終基質濃度で、37℃において、1分当たり1μmolの4MUβGlcの加水分解を触媒する酵素の量として定義する。
ある特定の例では、ヒト野生型GCアーゼの機能的に活性なバリアントまたは断片は、配列番号2に記載されるヒト野生型GCアーゼポリペプチドのGCアーゼ酵素活性の少なくとも25%(たとえば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、またはさらには100%よりも多く)を有し得る。機能的バリアントまたは断片は、一般に、連続的なタンパク質の領域から構成され得るが、必ずしもそうでない場合があり、ここで、この領域は、機能的活性を有する。
ヒトGCアーゼポリペプチドの活性部位のアミノ酸配列は、文献に記載されている(Lieberman 2011)。活性部位を形成する残基、より具体的には、基質の認識および結合に関与する残基(グルコース結合に関わる残基)は、ドメイン2に位置しており、これには、Arg120、Asp127、Phe128、Trp179、Asn234、Tyr244、Phe246、Tyr313、Cys342、Ser345、Trp381、Asn396、Phe397、およびVal398が挙げられる(成熟タンパク質におけるアミノ酸番号付けによる)。ヒト野生型GCアーゼポリペプチドの機能的バリアントまたは断片の候補は、したがって、当業者により、十分に確立された方法、たとえば、相同性モデリングおよびコンピュータ操作を使用して得ることができ、所望される酵素活性について試験することができる。
したがって、ある特定の実施形態では、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントは、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼに対して少なくとも90%の配列同一性、たとえば、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼ、たとえば、配列番号2のものに対して、少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性、特に、全体的な配列同一性を示す。
ある特定の実施形態では、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントは、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼと比べて増加した安定性および/または特異性を有する。ある特定の実施形態では、GCアーゼバリアントの安定性は、ヒト野生型GCアーゼの安定性と比較して、少なくとも1%増加していてもよい。たとえば、安定性は、ヒト野生型GCアーゼの安定性と比較して、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、またはそれを上回って(たとえば、少なくとも100%、少なくとも200%、または少なくとも300%)増加していてもよい。
GCアーゼバリアントの安定性は、ある特定の期間(たとえば、1時間、2時間、4時間、8時間、または16時間)、ある特定の温度(たとえば、37℃)で、ある特定の条件下(たとえば、およそ中性のpH、たとえば、pH7.5で、または血清もしくは血漿中で)、GCアーゼバリアントをインキュベートすること、ならびにGCアーゼ活性を測定することを含む方法によって、決定することができる。対照として、ヒト野生型GCアーゼを使用することができる。ゼロ時点における酵素活性を、それぞれの条件下において100%に設定することができる。それぞれの酵素の安定性は、特定のインキュベーション時間点における酵素活性の、ゼロ時点における値に対する比(たとえば、パーセント)として計算し、表すことができる。
代替的に、または追加として、GCアーゼバリアントの安定性は、示差走査蛍光測定法(DSF)とも称されるサーマルシフトアッセイによって、予測することができる。
代替的に、または追加として、GCアーゼバリアントの安定性は、タンパク質またはポリペプチドのその融解温度(Tm)を測定することによって、予測することができる。タンパク質またはポリペプチドの「融解温度(Tm)」は、タンパク質またはポリペプチドの50%が、可逆的熱変性中に不活性化される温度を指す。例として、タンパク質またはポリペプチドの融解温度は、蛍光に基づくサーマルシフトアッセイ(TSA)を使用して決定することができる。そのようなアッセイは、疎水性表面に非特異的に結合する色素であり、その蛍光が水性環境においてクエンチされる、SYPRO Orangeの使用に基づき得る。熱に誘導されるアンフォールディングの際、フルオロフォアは、アンフォールディングするタンパク質の露出した疎水性内部に優先的に結合し、クエンチの急激な減少をもたらす。熱に誘導されるアンフォールディングは、フォールディング状態と非フォールディング状態との間の急激な遷移を有する二状態モデルによる不可逆的プロセスであり、ここで、Tmは、タンパク質のアンフォールディング遷移の温度の中点として定義される。別の例として、タンパク質またはポリペプチドの融解温度は、円偏光二色性(CD)分光法を使用して決定することができる。「円偏光二色性分光法」という用語は、一般に、タンパク質の二次構造またはタンパク質のフォールディングを研究するためのツールを指す。円偏光二色性分光法は、円形偏光の吸光を測定する。タンパク質の場合、二次構造、たとえば、アルファヘリックスおよびベータシートは、キラルであり、したがって、そのような光を吸収する。この光の吸収が、タンパク質のフォールディングの程度のマーカーとしての機能を果たす。CDは、コンフォメーションの変化を示すための有用なツールである。この技法を使用して、吸光の変化を温度の関数として測定することによって、タンパク質の二次構造がどのように変化するかを研究することができる。このようにして、CDにより、それ以外の方法では容易に得ることができないタンパク質に関する重要な熱力学的情報(たとえば、エンタルピーおよび変性のギブズ自由エネルギー)が判明し得る。
ある特定の実施形態では、GCアーゼバリアントの融解温度は、ヒト野生型GCアーゼの融解温度と比較して、少なくとも2.0℃増加していてもよい。たとえば、融解温度は、ヒト野生型GCアーゼの融解温度と比較して、少なくとも2.0℃、少なくとも3.0℃、少なくとも4.0℃、少なくとも5.0℃、少なくとも10.0℃、少なくとも15.0℃、少なくとも20.0℃、少なくとも25.0℃、または少なくとも30.0℃増加していてもよい。
ある特定の実施形態では、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントは、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321、H145、F316、およびL317からなる群より選択される1つまたは複数の位置における単一アミノ酸置換によって異なる。タンパク質またはポリペプチドの所与の位置における単一アミノ酸置換は、その位置における単一のアミノ酸の、厳密に1つの他のアミノ酸との置換えを指す。バリアントは、1つの単一アミノ酸置換を含有してもよく、またはそれぞれ2つもしくはそれよりも多くの位置における2つもしくはそれよりも多くの単一アミノ酸置換を含有してもよい。K321、H145、F316、および/またはL317における単一アミノ酸置換は、GCアーゼの安定性に有利であることがこれまでに説明されている(米国特許第8,962,564号を参照されたい)。
ある特定の好ましい実施形態では、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントは、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321、またはH145、またはK321およびH145における単一アミノ酸置換によって異なる。
ある特定のより好ましい実施形態では、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントは、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321N置換、またはH145L置換、またはK321NおよびH145L置換によって異なる。
ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼH145L/K321Nバリアントは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
Figure 2022523104000008
ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼH145Lバリアントは、配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
Figure 2022523104000009
ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼK321Nバリアントは、配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
Figure 2022523104000010
本明細書において意図されるグルコセレブロシダーゼは、好ましくは、組換えにより産生され得る。「組換え」という用語は、一般に、材料(たとえば、核酸、遺伝子構築物、またはタンパク質)が、ヒトの介入を通じた技術手段により(すなわち、非天然に)変更されていることを示すために使用される。「組換え核酸」という用語は、一般に、組換えDNA技術を使用して、一緒に結合されたセグメントから構成される核酸を指す。「組換えタンパク質またはポリペプチド」という用語は、一般に、組換え核酸、たとえば、組換えDNAの発現により生じるタンパク質またはポリペプチドを指す。
GCアーゼの組換え発現のために、GCアーゼをコードする核酸分子および核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む発現カセットまたは発現ベクターを構築することができる。好ましくは、発現カセットまたは発現ベクターは、好適な宿主細胞においてGCアーゼの発現がもたらされるように構成され得る。
「発現ベクター」または「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、核酸分子、典型的には、DNAを指し、そこに、核酸断片、好ましくは、本明細書に定義される組換え核酸分子が、挿入されクローニングされ得る、すなわち、増殖され得る。したがって、ベクターは、典型的に、1つまたは複数の固有の制限部位を含有し、クローニングされた配列が再生されるように、既定の宿主細胞またはビヒクル生物において自律複製が可能であり得る。ベクターはまた、好ましくは、ベクターを含有するレシピエント細胞の選択を可能にするために、選択マーカー、たとえば、抗生物質耐性遺伝子などを含有し得る。ベクターとしては、限定することなく、適宜、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージ、バクテリオファージ由来ベクター、PAC、BAC、線形核酸、たとえば、線形DNA、ウイルスベクターなどを挙げることができる(たとえば、Sambrook et al., 1989、Ausubel 1992を参照されたい)。発現ベクターは、一般に、所望される発現系において、たとえば、in vitro、宿主細胞、宿主器官、および/または宿主生物において、そこに導入された核酸またはORFの発現を可能にする、かつ/またはそれがもたらされるように構成される。たとえば、発現ベクターは、有益なことに、好適な調節配列を含み得る。
特定のベクターを選択する際に重要となる因子としては、とりわけ、レシピエント宿主細胞の選択、ベクターを含有するレシピエント細胞を、ベクターを含有しないレシピエント細胞から認識および選択することの容易さ、特定のレシピエント細胞において所望されるベクターのコピー数、ベクターがレシピエント細胞において染色体に組み込まれることが所望されるか、または染色体外に留まることが所望されるか、ならびにベクターを異なる種のレシピエント細胞間で「往復輸送」することができることが望ましいかどうかが挙げられる。
発現ベクターは、自律的であっても組込みであってもよい。組換え核酸は、発現ベクター、たとえば、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、またはウイルス粒子の形態で、宿主細胞に導入され得る。組換え核酸は、染色体外で維持されてもよく、または細胞染色体DNAに組み込まれてもよい。発現ベクターは、所望される核酸が形質転換された細胞の検出および/または選択を可能にするために、選択された条件下において細胞生存に必要とされるタンパク質をコードする選択マーカー遺伝子を含有し得る(たとえば、ウラシル生合成に必要な酵素をコードするURA3、またはトリプトファン生合成に必要とされる酵素をコードするTRP1)。発現ベクターはまた、自律複製配列(ARS)も含み得る。
組込みベクターは、一般に、少なくとも第1の挿入可能なDNA断片、選択可能なマーカー遺伝子、および第2の挿入可能なDNA断片の順に配置された配列を含む。第1および第2の挿入可能なDNA断片は、それぞれ、長さが約200個(たとえば、約250個、約300個、約350個、約400個、約450個、約500個、または約1000個、またはそれよりも多くの)ヌクレオチドであり、形質転換しようとする宿主細胞種のゲノムDNAの部分に相同であるヌクレオチド配列を有する。発現のための目的の遺伝子を含有するヌクレオチド配列は、マーカー遺伝子の前または後に関係なく、第1および第2の挿入可能なDNA断片間でこのベクターに挿入される。組込みベクターは、目的のヌクレオチド配列の宿主細胞ゲノムへの組込みを促進するために、形質転換の前に線形化され得る。
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、遺伝子を転写するのを可能にするDNA配列を指す。プロモーターは、RNAポリメラーゼによって認識され、次いで、転写が開始される。したがって、プロモーターは、RNAポリメラーゼによって直接的に結合されるかまたはその動員に関与するかのいずれかである、DNA配列を含有する。プロモーター配列はまた、「エンハンサー領域」も含み得、これは、遺伝子クラスターにおいて遺伝子の転写レベルを増強させるためにタンパク質に結合することができる、DNAの1つまたは複数の領域である(すなわち、トランス作用因子)。エンハンサーは、典型的には、コード領域の5’末端にあるが、プロモーター配列とは別個であってもよく、たとえば、遺伝子のイントロン領域内または遺伝子のコード領域に対して3’であってもよい。
「作動可能な連結」とは、調節配列および発現させようとする配列が、前記発現を可能にするような様式で接続されている連結である。たとえば、配列、たとえば、プロモーターおよびORFなどは、前記配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト変異の導入をもたらさず、(2)ORFの転写を誘導するプロモーターの能力を妨害せず、(3)プロモーター配列から転写されるORFの能力を妨害しない場合に、作動可能に連結すると称され得る。したがって、「作動可能に連結した」とは、発現制御配列、たとえば、プロモーターが、目的のコード配列、たとえば、本明細書に定義される核酸分子の発現を効果的に制御するように、遺伝子構築物に組み込まれることを意味し得る。
プロモーターは、構成的または誘導性(条件的)プロモーターであり得る。構成的プロモーターは、発現が、標準的な培養条件下において一定であるプロモーターであると理解される。誘導性プロモーターは、1つまたは複数の誘導キューに応答するプロモーターである。たとえば、誘導性プロモーターは、化学的に調節することができるか(たとえば、転写活性が、化学的誘導剤、たとえば、アルコール、テトラサイクリン、ステロイド、金属、または他の小分子の存在または不在によって調節されるプロモーター)、または物理的に調節することができる(たとえば、転写活性が、物理的誘導剤、たとえば、光または高温もしくは低温の存在または不在によって調製されるプロモーター)。誘導性プロモーターはまた、化学的または物理的キューによってそれ自体が直接調節される1つまたは複数の転写因子によって、間接的に調節されてもよい。
たとえば、プロモーターは、真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolytica細胞における発現のためのプロモーター、たとえば、好適な真菌種、たとえば、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivorans、P. pastoris、または他の好適な真菌種に由来するプロモーターであり得る。好適な真菌または酵母プロモーターとしては、たとえば、ADC1、TPI1、ADH2、hp4d、TEF1、POX2、またはGal10プロモーターが挙げられる。好ましくは、プロモーターは、hp4dまたはPOX2である。より好ましくは、プロモーターは、hp4dである。たとえば、Guarente et al., 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79(23):7410、Zhu and Zhang, 1999, Bioinformatics 15(7-8):608-611、または米国特許第6,265,185号を参照されたい。
グルコセレブロシダーゼは、任意の宿主細胞系において産生され得る。一般的な宿主細胞系としては、真菌細胞、たとえば、酵母細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、たとえば、ヒト細胞、および非ヒト哺乳動物細胞を挙げることができる。そのような宿主細胞系は、本明細書において必要とされる程度のグリカンリン酸化を有する糖タンパク質の産生を可能にすることができるか、またはそれを可能にするように操作もしくは構成されていてもよい。
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、酵母細胞を含め、真菌細胞であり得る。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、酵母細胞であり得る。真菌および酵母宿主細胞としては、とりわけ、Yarrowia lipolytica、Arxula adeninivorans、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Ogataea minuta、Kluyveromyces lactis、Schizosaccharomyces pombe、Hansenula polymorpha、またはAspergillus spが挙げられる。
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、Yarrowia lipolyticaまたはArxula adeninivoransであり得る。好ましくは、宿主細胞は、Yarrowia lipolyticaである。
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された真菌細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも30%が少なくとも1つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、真菌細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも10%が2つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、真菌細胞である。そのようなグリカンとしては、特に、ManP-ManGlcNAcおよび(ManP)-ManGlcNAcを挙げることができる。
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作されたYarrowia lipolytica細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも30%が少なくとも1つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、Yarrowia lipolytica細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも10%が2つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、Yarrowia lipolytica細胞である。そのようなグリカンとしては、特に、ManP-ManGlcNAcおよび(ManP)-ManGlcNAcを挙げることができる。
好ましくは、宿主細胞、たとえば、真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolytica細胞は、N-グリカンの外側鎖伸長活性の欠損、たとえば、OCH1活性の欠損を含み得る。これにより、分泌される糖タンパク質への高グリコシル構造の合成の可能性が抑止される。全細胞外タンパク質上の主要なN-グリカンは、中性ManGlcNAcである。好ましくは、宿主細胞、たとえば、真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolytica細胞は、N-グリカンのマンノシルリン酸化を達成することができるポリペプチド、たとえば、MNN4またはPNO1の過剰発現を含み得る。これにより、N-グリカンにマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含めることが促進される。特に好ましくは、宿主細胞、たとえば、真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolytica細胞は、N-グリカンの外側鎖伸長活性の欠損を含み、N-グリカンのマンノシルリン酸化を達成することができるポリペプチドの過剰発現を含む。特に好ましくは、宿主細胞、たとえば、真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolytica細胞は、OCH1欠損およびMNN4またはPNO1の過剰発現を含む。これは、ほぼすべての中性N-グリカンの、1つまたは2つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含有する構造への変換をもたらす。全細胞外タンパク質上の主要なN-グリカンは、ManP-ManGlcNAcおよび(ManP)-ManGlcNAcである。たとえば、Yarrowia lipolytica、S.cerevisiae、Ogataea minuta、Pichia pastoris、もしくはC. albicansに由来するMNN4ポリペプチド、またはP.pastorisに由来するPNO1は、真菌細胞、好ましくは、Yarrowia lipolytica細胞において、過剰発現され得る。好ましくは、Yarrowia lipolyticaに由来するMNN4ポリペプチドは、真菌細胞、好ましくは、Yarrowia lipolytica細胞において過剰発現され得る。Y.lipolyticaに由来する例示的なMNN4ポリペプチドは、Genbank受託番号:XM_503217.1を有する。高度にリン酸化されたN-グリカンを有する糖タンパク質、特に、ManP-ManGlcNAcおよび(ManP)-ManGlcNAc N-グリカンの比率が高いものを産生させるためのYarrowia lipolyticaの前述の遺伝子改変は、WO2008/120107およびTiels et al. (Nat Biotechnol. 2012, vol. 30, 1225-31)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
前述のように、真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolyticaによって産生されるリン酸化N-グリカンにおいて、リン酸基は、マンノース基でキャッピングされており、したがって、N-グリカンは、マンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含む。哺乳動物細胞、たとえば、ヒト細胞上のマンノース-6-リン酸受容体への結合、ならびにそれに続く細胞内部および最終的にはリソソームへの輸送を促進するために、リン酸化N-グリカンを含有する、真菌細胞により産生される糖タンパク質を、脱キャッピングする必要があり得る。これに関連して、「脱キャッピングされる」とは、具体的には、ホスホ-6-マンノース部分におけるリン酸基が、別の部分、たとえば、マンノース-1-イル部分に共有結合で連結されていないことを意味し、「脱キャッピング」は、具体的には、マンノース-1-イル残基を除去し、それによって、リン酸部分を露出させることを指す。N-グリカンが1つを上回るリン酸基を含有する場合、N-グリカンは、前記リン酸基のうちの少なくとも1つが脱キャッピングされていると、「脱キャッピングされている」と称され得る。好ましくは、前記リン酸基の両方が、脱キャッピングされ得る。
さらに、真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolyticaによって産生されるリン酸化N-グリカンは、高マンノース型のものであり、典型的には、リン酸基が結合するマンノースの基礎となる(すなわち、マンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分の基礎となる)マンノースに結合した1つまたは複数のマンノース残基を含有する。例として、OCH1が欠損しておりMNN4またはPNO1を過剰発現する前述のYarrowia lipolytica細胞の事例では、そのようなN-グリカンは、ManP-ManGlcNAcおよび(ManP)-ManGlcNAc N-グリカンであり得る。そのような構造は、脱マンノシル化する必要があり得る。これに関連して、「脱マンノシル化された」とは、少なくとも、基礎となるマンノースがリン酸化されている場合に、末端アルファ-1,2-マンノースを含む、リン酸含有N-グリカンの末端アルファ-1,2マンノース部分の加水分解を指し得る。したがって、これにより、6位にリン酸を含有し、末端マンノースとなるマンノースが生じる。ある特定の実施形態では、「脱マンノシル化された」とは、リン酸含有N-グリカンの末端アルファ-1,2マンノース、アルファ-1,3マンノース、および/または(好ましくは「および」)アルファ-1,6マンノース連結または部分の加水分解を指し得る。より具体的には、リン酸化(一リン酸化または二リン酸化)N-グリカンの場合、脱マンノシル化には、N-グリカンの非リン酸化アームの加水分解、および基礎となるマンノースがリン酸化されている場合には、末端アルファ-1,2-マンノースの加水分解が含まれ得る。そのような事例において、脱マンノシル化の最終加水分解産物は、PManGlcNAcおよびPManGlcNAc(脱キャッピングも行われた場合)を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる群より選択され得る。脱キャッピングされたリン酸基を含有する脱マンノシル化N-グリカンは、哺乳動物細胞上のマンノース-6-リン酸受容体に、脱キャッピングされたリン酸基を含有する脱マンノシル化されていないN-グリカンよりも実質的に良好に結合し、それによって、GCアーゼが哺乳動物細胞の内部および最終的にはリソソームに輸送される効率が増加する。
したがって、ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも30%が少なくとも1つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、真菌細胞によって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる。
さらなる実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも30%が少なくとも1つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、Yarrowia lipolytica細胞によって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる。
さらなる実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも10%が2つのマンノース-6-リン酸部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、真菌細胞によって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる。
さらなる実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも10%が2つのマンノース-6-リン酸部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、Yarrowia lipolyticaによって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる。
リン酸化N-グリカンを含有する糖タンパク質は、脱マンノシル化することができ、マンノース-1-ホスホ-6-マンノース連結または部分を含有するリン酸化N-グリカンを含有する糖タンパク質は、糖タンパク質を、(i)マンノース-1-ホスホ-6-マンノース連結または部分を加水分解して、マンノース-6-リン酸にすることができる、ならびに(ii)末端アルファ-1,2マンノース、アルファ-1,3マンノース、および/またはアルファ-1,6マンノース連結もしくは部分を加水分解することができる、マンノシダーゼと接触させることによって、脱キャッピングおよび脱マンノシル化することができる。そのようなマンノシダーゼの非限定的な例としては、Canavalia ensiformis(タチナタマメ)マンノシダーゼおよびYarrowia lipolyticaマンノシダーゼ(たとえば、AMS1)が挙げられる。タチナタマメおよびAMS1マンノシダーゼのいずれも、ファミリー38のグリコシドヒドロラーゼである。
タチナタマメマンノシダーゼは、たとえば、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO)から硫酸アンモニウム懸濁物(カタログ番号M7257)およびプロテオミクスグレードの調製物(カタログ番号M5573)として商業的に入手可能である。そのような市販調製物は、たとえば、混入物質、たとえば、ホスファターゼを除去するために、ゲルろ過クロマトグラフィーによってさらに精製することができる。
Yarrowia lipolytica AMS1マンノシダーゼは、組換え産生させることができる。AMS1ポリペプチドのアミノ酸配列は、WO2013/136189に配列番号5として記載されている。
一部の実施形態では、脱キャッピングおよび脱マンノシル化のステップは、2つの異なる酵素によって触媒される。たとえば、マンノース-1-ホスホ-6マンノース連結または部分の脱キャッピングは、Cellulosimicrobium cellulansに由来するマンノシダーゼ(たとえば、CcMan5)を使用して実行され得る。CcMan5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、WO2013/136189に配列番号2として記載されている。シグナル配列を含有するCcMan5ポリペプチドのアミノ酸配列は、WO2013/136189に配列番号3として記載されている。シグナル配列を有さないCcMan5ポリペプチドのアミノ酸配列は、WO2013/136189に配列番号4として記載されている。一部の実施形態では、CcMan5ポリペプチドの生物学的に活性な断片が、使用される。たとえば、生物学的に活性な断片は、WO2013/136189に配列番号4として記載されているアミノ酸配列の残基1~774を含み得る。WO2011/039634も参照されたい。CcMan5マンノシダーゼは、ファミリー92のグリコシドヒドロラーゼである。
脱キャッピングされた糖タンパク質の脱マンノシル化は、Aspergillus satoi(As)(Aspergillus phoenicisとしても公知)に由来するマンノシダーゼまたはCellulosimicrobium cellulansに由来するマンノシダーゼ(たとえば、CcMan4)を使用して触媒することができる。Aspergillus satoiマンノシダーゼは、ファミリー47のグリコシドヒドロラーゼであり、CcMan4マンノシダーゼは、ファミリー92のグリコシドヒドロラーゼである。Aspergillus satoiマンノシダーゼのアミノ酸配列は、WO2013/136189に配列番号6として記載されており、Genbank受託番号BAA08634.1である。CcMan4ポリペプチドのアミノ酸配列は、WO2013/136189の図8に記載されている。
脱キャッピングされた糖タンパク質の脱マンノシル化は、ファミリー38のグリコシドヒドロラーゼに由来するマンノシダーゼ、たとえば、Canavalia ensiformis(タチナタマメ)マンノシダーゼまたはYarrowia lipolyticaマンノシダーゼ(たとえば、AMS1)を使用して触媒することができる。たとえば、CcMan5は、糖タンパク質(または糖タンパク質の分子複合体)のマンノース-1-ホスホ-6マンノース部分を脱キャッピングするために使用され得、タチナタマメマンノシダーゼは、脱キャッピングされた糖タンパク質(または糖タンパク質の分子複合体)を脱マンノシル化するために使用され得る。
脱マンノシル化された糖タンパク質、または脱キャッピングおよび脱マンノシル化された糖タンパク質を産生するために、マンノース-1-ホスホ-6マンノース連結または部分を含有する糖タンパク質を、好適な条件下において、好適なマンノシダーゼおよび/または好適な天然もしくは組換え産生されたマンノシダーゼを含有する細胞ライセートと接触させる。好適なマンノシダーゼは、上記に説明されている。細胞ライセートは、真菌細胞、植物細胞、または動物細胞を含む、任意の遺伝子操作された細胞であり得る。動物細胞の非限定的な例としては、線虫、昆虫、植物、鳥類、爬虫類、および哺乳動物、たとえば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、クジラ、サル、またはヒトが挙げられる。
糖タンパク質を精製したマンノシダーゼおよび/または細胞ライセートと接触させると、マンノース-1-ホスホ-6-マンノース連結または部分は、加水分解されて、ホスホ-6-マンノースとなり得、そのようなリン酸含有グリカンの末端アルファ-1,2マンノース、アルファ-1,3マンノース、および/または(好ましくは「および」)アルファ-1,6マンノース連結または部分は、加水分解されて、脱キャッピングおよび脱マンノシル化された糖タンパク質が産生され得る。一部の実施形態では、脱キャッピングステップおよび脱マンノシル化ステップの両方を触媒する1つのマンノシダーゼが使用される。一部の実施形態では、脱キャッピングステップを触媒するために1つのマンノシダーゼが使用され、脱マンノシル化ステップを触媒するために異なるマンノシダーゼが使用される。マンノシダーゼによる処理を行った後、糖タンパク質を単離することができる。
本明細書において意図されるグルコセレブロシダーゼは、任意の好適な形態もしくは形式または作動可能な形態もしくは形式で提供され得る。グルコセレブロシダーゼは、単離することができ、したがって、その天然の環境の1つまたは複数の他の成分から分離して存在または提供され得る。グルコセレブロシダーゼは、組換え産生され得る。例として、グルコセレブロシダーゼ調製物は、精製されたグルコセレブロシダーゼを含み得るか、それから本質的になり得るか、またはそれからなり得る。この文脈における「精製された」という用語は、絶対的な純度を必要とするものではない。そうではなく、精製されているものが、他の成分に対するその存在量がもともとの材料よりも多い別個の環境にあることを指す。別個の環境とは、単一媒体、たとえば、例として、単一の溶液、ゲル、沈殿物、凍結乾燥物などを指す。精製した後、グルコセレブロシダーゼは、好ましくは、別個の環境のタンパク質含量のうちの10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、たとえば、60重量%以上、さらにより好ましくは70重量%以上、たとえば、80重量%以上、およびなおもさらに好ましくは90重量%以上、たとえば、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、またはさらには100重量%を構成し得る。タンパク質含量は、たとえば、ローリー法(Lowry et al. 1951 J Biol Chem 193:265)によって決定することができ、必要に応じてHartree 1972 Anal Biochem 48:422-427によって説明されている。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の純度は、Coomassieブルー、または好ましくは銀染色を使用して、還元または非還元条件下において、SDS-PAGEによって決定することができる。ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、凍結乾燥形態で提供されてもよい。ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼは、水溶液で提供されてもよい。
「組成物」という用語は、一般に、2つまたはそれよりも多くの成分から構成されるものを指し、より具体的には、特に、2つまたはそれよりも多くの材料、たとえば、元素、分子、物質、生物学的分子、または微生物学材料の混合物またはブレンド、ならびに組成物の材料から形成される反応産物および分解産物を指す。例として、グルコセレブロシダーゼ組成物は、1つまたは複数の物質と組み合わせて、グルコセレブロシダーゼを含み得る。たとえば、グルコセレブロシダーゼ組成物は、グルコセレブロシダーゼを、前記1つまたは複数の他の物質と組み合わせること、たとえば、混合することによって、得ることができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、医薬組成物として構成され得る。医薬組成物は、典型的に、1つまたは複数の薬理学的に活性な成分(1つもしくは複数の薬理学的作用を有する化学的および/もしくは生物学的に活性な材料)ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む。本明細書において典型的に使用される組成物は、液体、半固体、または固体であり得、溶液または分散物が含まれ得る。
さらなる態様は、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物または組成物を含む医薬組成物を提供する。
「医薬組成物」および「薬学的製剤」という用語は、互換可能に使用することができる。本明細書において教示される医薬組成物は、本明細書において具体的に示される成分に加えて、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。好適な薬学的賦形剤は、活性成分の剤形および正体に依存し、当業者によって選択され得る(たとえば、Handbook of Pharmaceutical Excipients 7th Edition 2012, eds. Rowe et al.を参照して)。本明細書で使用される場合、「担体」または「賦形剤」は、ありとあらゆる溶媒、希釈剤、緩衝液(たとえば、中性緩衝食塩水もしくはリン酸緩衝食塩水)、可溶化剤、コロイド、分散媒、ビヒクル、充填剤、キレート剤(たとえば、EDTAもしくはグルタチオン)、アミノ酸(たとえば、グリシン)、タンパク質、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、矯味矯臭味剤、芳香剤、増粘剤、デポー効果を達成するための薬剤、コーティング剤、抗真菌剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、張度制御剤、吸収遅延剤、およびその他のものを含む。許容可能な希釈剤、担体、および賦形剤は、典型的に、レシピエントの恒常性(たとえば、電解質バランス)に悪影響を及ぼさない。薬学的に活性な物質にそのような媒体および薬剤を使用することは、当該技術分野において周知である。そのような材料は、非毒性であり、GCアーゼの活性を妨害しないものとする。許容可能な担体としては、生体適合性の不活性または生体吸収性塩、緩衝化剤、オリゴ糖または多糖、ポリマー、粘性改善剤、保存剤、およびその他を挙げることができる。1つの例示的な担体は、生理食塩水である(0.15M NaCl、pH7.0~7.4)。別の例示的な担体は、50mMリン酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウムである。
担体または他の材料の正確な性質は、投与の経路に依存するであろう。たとえば、医薬組成物は、発熱物質を含まず、好適なpH、等張性、および安定性を有する、非経口で許容可能な水溶液の形態であってもよい。
薬学的製剤は、生理学的条件に近似するために必要に応じて薬学的に許容される補助物質、たとえば、pH調節剤および緩衝化剤、保存剤、錯化剤、張度調節剤、湿潤剤など、たとえば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩化水素、ベンジルアルコール、パラベン、EDTA、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含み得る。好ましくは、医薬製剤のpH値は、生理学的pH範囲内であり、たとえば、具体的には、製剤のpHは、約5~約9.5、より好ましくは、約6~約8.5、さらにより好ましくは、約7~約7.5である。好ましくは、GCアーゼの安定性および保管時間を増加させるために、pHは、わずかに酸性であり得る。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約5.0~約6.9、たとえば、約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、または6.9のpHを有する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約6.4~6.9、好ましくは、約6.6のpHを有する。そのような医薬製剤の調製は、当業者の技能の範囲内である。
医薬組成物の投与は、全身的または局所的(局部的)であり得る。医薬組成物は、それらが、非経口および/または腸内投与に好適となるように製剤化され得る。具体的な投与モダリティとしては、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、脳室内(ICV)、髄腔内、経口、直腸、頬内、局部、鼻、眼、関節内、動脈内、くも膜下、気管支、リンパ、膣、および子宮内投与が挙げられる。
ある特定の好ましい実施形態では、投与は、静脈内(IV)、たとえば、IV注入または注射であり得る。IV投与のためには、組成物は、比較的低いpH、たとえば、約5.0~6.0、たとえば、約5.5のpH(たとえば、クエン酸緩衝液を使用する)を有し得る。ある特定の好ましい実施形態では、投与は、脳室内(ICV)、たとえば、ICV注入または注射であり得る。ICV投与のためには、組成物は、生理学的なpHに比較的近いpH、たとえば、6.1~7.4、好ましくは、6.4~6.9、たとえば、約6.6のpHを有し得る。
ある特定の実施形態では、特に、ICVまたは髄腔内投与については、グルコセレブロシダーゼは、人工脳脊髄液(aCFS)を用いて製剤化され得る。
人工脳脊髄液(aCSF)と示される組成物には、生理学的脳脊髄液を模倣するように設計された任意の多価生理学的イオン溶液が包含される。aCSFは、例示的に、127mM NaCl、1.0mM KCl、1.2mM KHPO、26mM NaHCO、10mM D-グルコース、2.4mM CaCl、および1.3mM MgClを含有し得る。aCSFは、例示的に、119mM NaCl、26.2mM NaHCO、2.5mM KCl、1mM NaHPO、1.3mM MgCl、10mMグルコース、および2.5mM CaClを含有し得る。aCSF中の電解質濃度は、例示的には、150mM Na、3.0mM K、1.4mM Ca2+、0.8mM Mg2+、1.0mM ホスフェート、および155mM Clであり得る。ある特定の好ましい実施形態では、aCSFは、148mM NaCl、3 mM KCl、1.4mM CaCl.2HO、0.8mM MgCl.6HO、0.465mM NaHPO.7HO、および0.535mM NaHPO.HOを含有し得る。aCSFのpHは、必要に応じて、3~10またはその範囲内である。ある特定の実施形態では、pHは、6.1~7.4、好ましくは、6.4~6.9、たとえば、約6.6であり得る。
いくつかの研究により、ヒトGCアーゼは、薬理学的シャペロン、たとえば、イソファゴミンまたはアンブロキソール(Kornhaber et al., 2008, Chembiochem., vol. 9, 2643-2649、Maegawa et al., 2009, Journal of Biological Chemistry, vol. 284, 23502-23516)が結合すると、中性pHで安定化され得ることが報告されており、そのような薬理学的シャペロンは、本組成物に含まれ得る。
さらなる態様は、治療において使用するための、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物を提供する。関連する態様は、それを必要とする被験体を処置するための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
ある特定の実施形態は、グルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患を処置する方法において使用するための、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物を提供する。関連する態様は、グルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
グルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患は、広義には、健常または生理学的状態と比較して、細胞におけるグルコセレブロシダーゼ活性の低減もしくは減少または消失が、疾患、障害、または病態を引き起こすか、それに寄与するか、またはそれと関連する、任意の疾患、障害、または病態を包含する。例として、そのようなグルコセレブロシダーゼ活性の低減もしくは減少または消失は、天然のグルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子(たとえば、ヒトにおけるGBA1)における1つまたは複数の変異、特に、1つまたは複数の機能喪失変異の結果であり得る。限定することなく、そのような変異は、GBA1遺伝子の転写の低減を引き起こし得るか、GBA1転写物のプロセシング、安定性、輸送、もしくは翻訳を妨害し得るか、または天然のグルコセレブロシダーゼタンパク質の発現、プロセシング、輸送、構造、および/もしくは活性を変更し得る。限定することなく、グルコセレブロシダーゼタンパク質における変異としては、挿入、欠失、または置換を挙げることができ、これには、タンパク質の短縮形態をもたらすフレームシフト変異、およびタンパク質の1つまたは複数のアミノ酸の置換をもたらす点変異が含まれる。あるいは、そのようなグルコセレブロシダーゼ活性の低減もしくは減少または消失は、天然のグルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子における変異に起因しない場合があるが、グルコセレブロシダーゼに影響を及ぼす他の原因を有し得る。
ある特定の実施形態では、疾患は、ゴーシェ病である。この用語は、医療上の実施において十分に確立されており、とりわけ、ゴーシェ病のありとあらゆる臨床的に認識されているサブタイプ、たとえば、具体的には、I型(非神経障害性)、II型(急性幼児期神経障害性)、およびIII型(慢性神経障害性)が含まれる。
ある特定の実施形態では、疾患は、非神経障害性ゴーシェ病である。ある特定の実施形態では、全身的、たとえば、IV投与が、非神経障害性ゴーシェ病形態に好ましくあり得る。
ある特定の実施形態では、疾患は、神経障害性ゴーシェ病である。ある特定の実施形態では、ICV投与が、神経障害性ゴーシェ病形態には好ましくあり得る。ある特定の実施形態では、疾患は、2型(GD2)、3型(GD3)、または周生期致死型(GDPL)の神経障害性ゴーシェ病である。
ある特定の実施形態では、疾患は、グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーである。この文脈において、グルコセレブロシダーゼ関連とは、上記で説明されているように、グルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる(たとえば、それによって引き起こされるか、それに寄与するか、またはそれと関連する)疾患を指す。シヌクレイノパチーまたはα-シヌクレイノパチーは、広義には、神経系に罹患する疾患群、より具体的には、ニューロン、神経線維、またはグリア細胞におけるα-シヌクレインタンパク質の凝集物の異常な蓄積によって特徴付けられる、神経変性疾患を包含する。ある特定の実施形態では、ICV投与が、グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーには好ましくあり得る。
ある特定の実施形態では、グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーは、パーキンソニズム、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、またはレビー小体型認知症(Lewis Body Dementia)(LBD)である。
「治療法」または「処置」への参照は、広義には、治癒的または防止的の両方の処置を包含し、これらの用語は、特に、病態、たとえば、疾患または障害の1つまたは複数の症状または測定可能なマーカーの軽減または測定可能な減少を指し得る。これらの用語は、一次処置、ならびにネオアジュバント処置、アジュバント処置、および補助療法を包含する。測定可能な減少には、測定可能なマーカーまたは症状の任意の統計学的に有意な低下が含まれる。一般に、これらの用語は、治癒的処置、ならびに疾患の症状を低減するおよび/または進行を緩徐にすることを対象とした処置の両方を包含する。これらの用語は、すでに発症している病態の治療的処置、ならびに病態の発生の可能性を防止または減少させることを目的とした予防または防止措置の両方が包含される。ある特定の実施形態では、これらの用語は、治療処置に関し得る。ある特定の他の実施形態では、これらの用語は、防止処置に関し得る。寛解期間中の慢性病態の処置もまた、治療処置を構成すると考えることができる。この用語は、本発明の文脈において、適宜、ex vivoまたはin vivoでの処置を包含し得る。
「被験体」、「個体」、または「患者」という用語は、本明細書全体を通じて互換可能に使用され、典型的にかつ好ましくは、ヒトを指すが、非ヒト動物、好ましくは、温血動物、さらにより好ましくは、哺乳動物、たとえば、例として、非ヒト霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどへの参照も包含され得る。「非ヒト動物」という用語には、すべての脊椎動物、たとえば、哺乳動物、たとえば、非ヒト霊長類(特に、高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(たとえば、マウスもしくはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシ、バッファロー、シカ、ウマ、ラバ、およびロバ、ならびに非哺乳動物、たとえば、鳥類、たとえば、ヒヨコを含むニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、ヤマウズラ、キジ、アヒル、ガチョウ、またはハクチョウ、両生類、爬虫類などが含まれる。「哺乳動物」という用語には、ヒト、家畜および畜産動物、動物園の動物、競技用動物、愛玩用動物、コンパニオン動物、および実験動物、たとえば、例として、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、アレチネズミ、畜牛、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、および霊長類、たとえば、サルおよび類人猿(たとえば、チンパンジー、ヒヒ、またはサル)を含むがこれらに限定されない、そのような分類の任意の動物が含まれる。ある特定の実施形態では、被験体は、非ヒト哺乳動物である。両方の性別およびそれらのすべての年齢カテゴリーを含むヒト被験体が、特に好ましい。好ましくは、ヒト被験体に投与するためのGCアーゼは、ヒト野生型GCアーゼまたは本明細書に記載されるそのバリアントもしくは断片であり得る。他の実施形態では、被験体は、実験動物または疾患モデルとしての動物代替物である。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成体および新生の被験体、ならびに胎児が、雄性または雌性に関係なく、網羅されることが意図される。被験体という用語は、トランスジェニック非ヒト種を含むことがさらに意図される。
「処置を必要とする被験体」という用語または類似物は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される疾患と診断されたかもしくはそれを有する被験体、および/または前記疾患が防止しようとされる被験体を指す。
「治療有効量」という用語は、一般に、単回用量または複数回用量のいずれかで、医療従事者、たとえば、医師、臨床医、外科医、獣医、または研究者が求めている、とりわけ、処置している疾患の症状の緩和を含み得る、薬理学的作用または医学応答を被験体において誘起するのに十分な量を指す。「予防有効量」という用語は、一般に、単回用量または複数回用量のいずれかで、医療従事者が求めている防止的作用、たとえば、疾患の発症の阻害または遅延を被験体において誘起するのに十分な量を指す。キットオブパーツ(kits-of-parts)中の本組成物または成分の適切な予防または治療有効量は、疾患の性質および重症度、ならびに患者の年齢および状態を考慮して、責任者である有資格医師によって決定され得る。投与しようとする本明細書に記載されるキットオブパーツの組成物または成分の有効量は、多数の異なる因子に依存し得、日常的な実験を通じて当業者により決定することができる。考慮され得るいくつかの非限定的な因子としては、活性成分の生物学的活性、活性成分の性質、処置しようとする被験体の特徴などが挙げられる。「投与する」という用語は、一般に、分注または適用することを意味し、典型的には、組織へのin vivo投与およびex vivo投与の両方、好ましくは、in vivo投与が含まれる。一般に、組成物は、全身的または局所的に投与され得る。
必要に応じて、投与しようとする1つまたは複数の他の活性化合物と組み合わせた、本明細書において教示されるGCアーゼポリペプチドの投薬量または量は、個々の事例に依存し、慣例として、最適な作用を達成するために個別の状況に適合される。したがって、単位用量およびレジメンは、処置しようとする障害の性質および重症度に依存し、また、被験体の種、性別、年齢、体重、全般的な健康状態、食事、投与の様式および時間、免疫の状態、ならびに処置しようとするヒトまたは動物の個々の応答性、使用される化合物の有効性、代謝安定性および作用持続期間などの因子、治療が急性であるか慢性であるかもしくは予防的であるか、または本発明の薬剤に加えて他の活性化合物が投与されるかどうかにも依存する。治療有効性を最適化するために、本明細書に記載されるGCアーゼを、異なる投薬レジメンで最初に投与してもよい。典型的には、組織におけるGCアーゼのレベルは、たとえば、所与の処置レジメンの有効性を決定するために、臨床試験手順の一部として、適切なスクリーニングアッセイを使用してモニタリングすることができる。投薬の頻度は、医療従事者(たとえば、医師または看護師)の技能および臨床判断の範囲内である。典型的には、投与レジメンは、臨床試験によって確立され、それによって最適な投与パラメーターが確立され得る。しかしながら、従事者は、前述の因子、たとえば、被験体の年齢、健康状態、体重、性別、および医療ステータスのうちの1つまたは複数に応じて、そのような投与レジメンを変動させることができる。投薬の頻度は、処置が予防的であるか治療的であるかに応じて変動し得る。
本明細書に記載されるGCアーゼポリペプチドの毒性および治療有効性は、たとえば、細胞培養物または実験動物において、公知の薬学的手順によって決定することができる。これらの手順は、たとえば、LD50(集団の50%に致死である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために使用することができる。毒性作用と治療作用との用量比が、治療指数であり、LD50/ED50の比で表すことができる。高い治療指数を示す医薬組成物が、好ましい。毒性副作用を呈する医薬組成物を使用することはできるが、正常な細胞(たとえば、非標的細胞)への損傷の可能性を最小限に抑え、それによって副作用を低減させるために、そのような化合物の標的を、罹患した組織の部位に定める送達系を設計するように注意を払う必要がある。
細胞培養アッセイおよび動物研究により得られたデータを、適切な被験体(たとえば、ヒト患者)において使用するための様々な投薬量を処方するのに使用することができる。そのような医薬組成物の投薬量は、一般に、毒性がほとんどないかまたはまったくないED50を含む循環濃度範囲内となる。投薬量は、この範囲内で、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて変動し得る。本明細書に記載されるように使用される医薬組成物については、治療有効用量は、まず、細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、動物モデルにおいて、細胞培養物において決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量阻害を達成する医薬組成物の濃度)を含む、循環血漿濃度を達成するように処方され得る。そのような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、たとえば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
限定することなく、疾患の種類および重症度に応じて、本明細書において教示されるGCアーゼポリペプチドの典型的な投薬量(たとえば、典型的な1日投薬量または典型的な間欠的投薬量、たとえば、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、1週間ごと、1.5週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、1ヶ月ごと、またはその他の典型的な投薬量)は、上述の因子に応じて、1用量当たり、被験体の体重1kgにつき約10μg~約100mgの範囲に及び得、たとえば、1用量当たり、被験体の体重1kgにつき約100μg~約10mg、または1用量当たり、被験体の体重1kgにつき約200μg~約2mgの範囲に及び得、たとえば、毎日または間欠的に、好ましくは間欠的に、より好ましくは1週間ごとに、さらにより好ましくは1週間おきに、なおもさらに好ましくは1ヶ月ごとに、またはさらに低い頻度で、1用量当たり、被験体の体重1kgにつき、約100μg、約200μg、約300μg、約400μg、約500μg、約600μg、約700μg、約800μg、約900μg、約1.0mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、または約2.0mgであり得る。例としてであり限定するものではなく、GCアーゼは、約0.5mg/kg、または約0.6mg/kg、または約0.7mg/kg、または約0.8mg/kg、または約0.9mg/kg、または約1.0mg/kg、または約1.5mg/kg、または約2.0mg/kg、または約2.5mg/kg、または約3.0mg/kg、または約3.5mg/kg、または約4.0mg/kg、たとえば、約0.6~0.8mg/kg、または約3~4mg/kgで、好ましくは、1週間に2回で投与され得る。
ICV投与される場合、本明細書において教示されるGCアーゼは、脳重量100g当たり5~30mg、たとえば、脳重量100g当たり10~20mg、たとえば、脳重量100g当たり約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mgで投与され得る。例として、2~3歳の小児の脳のおよその重量は、1.2kgであり、本明細書において教示されるGCアーゼは、そのような被験体に、1用量当たり60mg~360mg、たとえば、1用量当たり120mg~280mg、たとえば、1用量当たり、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、または約280mg、たとえば、好ましくは、1用量当たり180mg~240mg、またはより好ましくは、1用量当たり200mg~220mg、たとえば、特に好ましくは、1用量当たり約210mgで投与され得る。そのような投与は、1週間に1回、1週間に2回、または1ヶ月に1回、好ましくは1週間に1回であり得る。
ある特定の実施形態では、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物は、全身投与される。ある特定の実施形態では、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物は、静脈内(IV)、たとえば、IV注射または注入で投与される。そのような全身、特に、IV投与は、非神経障害性形態のゴーシェ病に特に好適であり得るが、これに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物は、中枢神経系(CNS)に投与される。CNS投与は、神経障害性ゴーシェ病形態およびGCアーゼ関連α-シヌクレイノパチーに特に好ましくあり得る。
ある特定の実施形態では、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物は、脳室内(ICV)、髄腔内、または実質内(CNSに)、好ましくは、ICVまたは髄腔内に、より好ましくはICVに、たとえば、ICV注射または注入で投与される。ICV投与、たとえば、ICV注入または注射は、好ましくは、片側であり得、好ましくは、右または左のいずれかの側脳室に方向付けられ得る。反復的または慢性的なICV、髄腔内、または実質内投与は、たとえば、カニューレまたはカテーテルを標的脳室に埋め込むことによって促進され得る。そのような系は、たとえば、US2005/0208090から、当該技術分野において公知である。
ある特定の実施形態では、疾患は、神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーであり、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物は、脳室内(ICV)または髄腔内に投与される。
ある特定の実施形態では、疾患は、神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連α-シヌクレイノパチーであり、本明細書において教示されるグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物は、脳室内(ICV)に投与される。
本出願はまた、以下の番号付けしたステートメントに記載されている態様および実施形態を提供する。
ステートメント1.グルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、前記グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%が、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物。
ステートメント2.前記グルコセレブロシダーゼによって含まれる前記グリカンのうちの少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべてが、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、ステートメント1に記載の調製物または組成物。
ステートメント3.前記マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくともいくつかが、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、ステートメント1または2に記載の調製物または組成物。
ステートメント4.前記マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、ステートメント1から3のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント5.前記グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%が、グリコシル化されている、ステートメント1から4のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント6.前記グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべてが、グリコシル化されている、ステートメント1から5のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント7.グルコセレブロシダーゼが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼ、またはヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントもしくは断片である、ステートメント1から6のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント8.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼに対して少なくとも90%の配列同一性、たとえば、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼに対して少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を示す、ステートメント7に記載の調製物または組成物。
ステートメント9.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼと比べて増加した安定性および/または特異性を有する、ステートメント7または8に記載の調製物または組成物。
ステートメント10.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321、H145、F316、およびL317からなる群より選択される1つまたは複数の位置における単一アミノ酸置換によって異なる、ステートメント7から9のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント11.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321における、またはH145における、またはK321およびH145における単一アミノ酸置換によって異なる、ステートメント7から10のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント12.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321N置換によって、またはH145L置換によって、またはK321NおよびH145L置換によって異なる、ステートメント7から11のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント13.マンノース-6-リン酸部分のマンノースが、末端マンノースである、ステートメント1から12のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント14.マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれからなる群より選択される、ステートメント1から13のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
ステートメント15.マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれからなる群より選択される、ステートメント1から14のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
ステートメント16.マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれからなる群より選択される、ステートメント1から15のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
ステートメント17.グルコセレブロシダーゼが、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも30%が少なくとも1つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、真菌細胞によって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる、ステートメント1から16のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント18.グルコセレブロシダーゼが、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも30%が少なくとも1つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、Yarrowia lipolytica細胞によって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる、ステートメント1から17のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント19.ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物または組成物を含む、医薬組成物。
ステートメント20.グルコセレブロシダーゼが、人工脳脊髄液(aCFS)を用いて製剤化される、ステートメント19に記載の医薬組成物。
ステートメント21.医薬組成物が、約6.4~6.9、好ましくは約6.6のpHを有する、ステートメント19または20のいずれか1つに記載の医薬組成物。
ステートメント22.治療において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはそれを必要とする被験体を処置するための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント23.グルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患を処置する方法において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはグルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント24.ゴーシェ病を処置する方法において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはゴーシェ病の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント25.非神経障害性ゴーシェ病を処置する方法において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは非神経障害性ゴーシェ病の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント26.神経障害性ゴーシェ病を処置する方法において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは神経障害性ゴーシェ病の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント27.神経障害性ゴーシェ病が、2型(GD2)、3型(GD3)、または周生期致死型(GDPL)である、ステートメント26に記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント26に記載の方法。
ステートメント28.グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーを処置する方法において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーの処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント29.グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーが、パーキンソニズム、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、またはレビー小体型認知症(LBD)である、ステートメント28に記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント28に記載の方法。
ステートメント30.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、全身投与される、ステートメント22から29のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント22から29のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント31.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、静脈内(IV)投与される、ステートメント22から30のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント22から30のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント32.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、中枢神経系に投与される、ステートメント22から30のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント22から30のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント33.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、脳室内(ICV)または髄腔内に投与される、ステートメント22から30のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント22から30のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント34.神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーを脳室内(ICV)または髄腔内投与によって処置する方法において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーの処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を脳室内(ICV)または髄腔内投与するステップを含む、方法。
ステートメント35.神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーを脳室内(ICV)投与によって処置する方法において使用するための、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーの処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から18のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物を脳室内(ICV)投与するステップを含む、方法。
ステートメント1.グルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物。
ステートメント2.グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、ステートメント1に記載の調製物または組成物。
ステートメント3.グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの10%を上回るものが、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、ステートメント1に記載の調製物または組成物。
ステートメント4.グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、それぞれ、グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの15%を上回るか、または20%を上回るか、または25%を上回るか、または30%を上回るか、または35%を上回るか、または40%を上回るか、または45%を上回るものが、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、ステートメント3に記載の調製物または組成物。
ステートメント5.前記グルコセレブロシダーゼによって含まれる前記グリカンのうちの少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべてが、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、ステートメント3に記載の調製物または組成物。
ステートメント6.前記グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%が、グリコシル化されている、ステートメント1から5のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント7.前記グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべてが、グリコシル化されている、ステートメント1から6のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント8.グルコセレブロシダーゼが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼ、またはヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントもしくは断片である、ステートメント1から7のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント9.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼに対して少なくとも90%の配列同一性、たとえば、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼに対して少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を示す、ステートメント8に記載の調製物または組成物。
ステートメント10.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼと比べて増加した安定性および/または特異性を有する、ステートメント8または9に記載の調製物または組成物。
ステートメント11.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321、H145、F316、およびL317からなる群より選択される1つまたは複数の位置における単一アミノ酸置換によって異なる、ステートメント8から10のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント12.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321における、またはH145における、またはK321およびH145における単一アミノ酸置換によって異なる、ステートメント8から11のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント13.ヒト野生型グルコセレブロシダーゼの生物学的に活性なバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321N置換によって、またはH145L置換によって、またはK321NおよびH145L置換によって異なる、ステートメント8から12のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント14.マンノース-6-リン酸部分のマンノースが、末端マンノースである、ステートメント1から13のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント15.2つのマンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcからなる群より選択される、ステートメント1から14のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント16.マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれからなる群より選択される、ステートメント1から14のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
ステートメント17.マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれからなる群より選択される、ステートメント1から14のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
ステートメント18.マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれからなる群より選択される、ステートメント1から14のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
ステートメント19.グルコセレブロシダーゼが、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも10%が2つのマンノース-1-マンノース-6-ホスフェート部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、真菌細胞によって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる、ステートメント1から18のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント20.グルコセレブロシダーゼが、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、特に、グリカンを含み、グリカンのうちの少なくとも10%が2つのマンノース-1-ホスホ-6-マンノース部分を含むグルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された、Yarrowia lipolyticaによって組換え発現される、グルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるか、または得られる、ステートメント1から19のいずれか1つに記載の調製物または組成物。
ステートメント21.ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物または組成物を含む、医薬組成物。
ステートメント22.グルコセレブロシダーゼが、人工脳脊髄液(aCFS)を用いて製剤化される、ステートメント21に記載の医薬組成物。
ステートメント23.医薬組成物が、約6.4~6.9、好ましくは約6.6のpHを有する、ステートメント21または22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
ステートメント24.治療において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはそれを必要とする被験体を処置するための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント25.グルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患を処置する方法において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはグルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント26.ゴーシェ病を処置する方法において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはゴーシェ病の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント27.非神経障害性ゴーシェ病を処置する方法において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは非神経障害性ゴーシェ病の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント28.神経障害性ゴーシェ病を処置する方法において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは神経障害性ゴーシェ病の処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント29.神経障害性ゴーシェ病が、2型(GD2)、3型(GD3)、または周生期致死型(GDPL)である、ステートメント28に記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント28に記載の方法。
ステートメント30.グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーを処置する方法において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーの処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
ステートメント31.グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーが、パーキンソニズム、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、またはレビー小体型認知症(LBD)である、ステートメント30に記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント30に記載の方法。
ステートメント32.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、全身投与される、ステートメント24から31のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント24から31のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント33.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、静脈内(IV)投与される、ステートメント24から32のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント24から32のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント34.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、中枢神経系に投与される、ステートメント24から32のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント24から32のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント35.調製物もしくは組成物または医薬組成物が、脳室内(ICV)または髄腔内に投与される、ステートメント24から32のいずれか1つに記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物、あるいはステートメント24から32のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント36.神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーを脳室内(ICV)または髄腔内投与によって処置する方法において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーの処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を脳室内(ICV)または髄腔内投与するステップを含む、方法。
ステートメント37.神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーを脳室内(ICV)投与によって処置する方法において使用するための、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物、あるいは神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーの処置を、それを必要とする被験体において行うための方法であって、被験体に、予防または治療有効量の、ステートメント1から20のいずれか1つに記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、またはステートメント21から23のいずれか1つに記載の医薬組成物を脳室内(ICV)投与するステップを含む、方法。
3文字コードおよび1文字コードのアミノ酸を、表1に列挙する。
Figure 2022523104000011
本発明は、その具体的な実施形態と関連して記載されているが、多数の代替形態、改変形態、および変形形態が、前の記述を踏まえれば当業者に理解されるであろうことは明らかである。したがって、以下のすべてのそのような代替形態、改変形態、および変形態が添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲に包含されることが意図される。
本明細書において開示される本発明の態様および実施形態を、以下の非限定的な実施例によってさらに裏付ける。
(実施例1)
組換えグルコセレブロシダーゼポリペプチドの構造
本明細書に報告される前臨床研究において使用したヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの図による概要を、図1に示す。「L2pre」は、アミノ酸配列MKLSTILFTACATLAAA(配列番号6)を有するYarrowia lipolytica(YL)リパーゼ2(Lip2)に由来するシグナルペプチドを指す。配列番号6のC末端に含まれる2つの余剰なアラニン残基(AA)により、小胞体におけるL2preの適切なプロセシングが確保される。AAモチーフは、アミノペプチダーゼによって除去される。2つのアラニン残基は、本質的に、Lip2preの直後のLip2プロ領域の最初の2つのアミノ酸である。L2preシグナルペプチドは、天然のシグナルペプチドが欠如したそれぞれのGCアーゼ配列のN末端に融合し、YL細胞によって組換え産生されるGCアーゼポリペプチドの分泌を促進するが、小胞体内でのポリペプチドのプロセシング中に酵素的に除去され、その結果、L2preシグナルペプチドは、さらなる実験に使用される分泌タンパク質には存在しなくなる。「His8」または「H8」は、GCアーゼ配列のC末端に融合された8つの連続的なヒスチジン(8×His)のポリヒスチジンタグを指す。単一アミノ酸置換H145Lおよび/またはK321Nの位置は、成熟ヒト野生型GCアーゼのアミノ酸配列と比べて示されており、すなわち、天然のシグナルペプチドは除去されている。成熟ヒト野生型GCアーゼの例は、本明細書の他の箇所において、配列番号2に示されている)。
「GCアーゼ(H145L/K321N)-His8」ポリペプチド構築物のアミノ酸配列は、YL細胞によって分泌される成熟ポリペプチドに不在のL2preシグナルペプチド(下線)を含め、以下の配列番号7に示されており、8×Hisタグは太字で示されている。
Figure 2022523104000012
「GCアーゼ(H145L/K321N)」ポリペプチド構築物のアミノ酸配列は、YL細胞によって分泌される成熟ポリペプチドに不在のL2preシグナルペプチド(下線)を含め、以下の配列番号8に示されている。
Figure 2022523104000013
Figure 2022523104000014
「GCアーゼ(K321N)」ポリペプチド構築物のアミノ酸配列は、YL細胞によって分泌される成熟ポリペプチドに不在のL2preシグナルペプチド(下線)を含め、以下の配列番号8に示されている。
Figure 2022523104000015
比較実験のために、商品名Cerezyme(登録商標)でGenzyme Europe B.V.、Naarden、the Netherlandsから商業的に入手可能な注射用イミグルセラーゼ(INN)(CAS番号154248-97-2)を使用した。イミグルセラーゼは、哺乳動物チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養物において産生された組換えヒトグルコセレブロシダーゼである。イミグルセラーゼは、4つのN-結合型グリコシル化部位を含有する497個のアミノ酸のモノマー糖タンパク質であり、胎盤性グルコセレブロシダーゼとは、495位における1つのアミノ酸が異なり、そこではアルギニンがヒスチジンに置換されている。グリコシル化部位におけるオリゴ糖鎖は、マクロファージ上のエンドサイトーシス性炭水化物受容体によって認識されるマンノース糖で終わるように改変されている。
ある特定の比較実験のために、商品名VPRIV(登録商標)でShire Pharmaceuticals Ireland Limitedから商業的に入手可能な注射用ベラグルセラーゼアルファ(INN)も使用した。ベラグルセラーゼアルファは、野生型ヒトグルコセレブロシダーゼと同じアミノ酸配列を有し、HT-1080ヒト線維芽細胞系において組換え産生される。
(実施例2)
組換えグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドを発現する真菌細胞の産生
実施例1に記載されるグルコセレブロシダーゼK321NまたはH145L/K321N GCアーゼバリアントをコードする核酸を、Yarrowia lipolyticaによる発現のためにコドン最適化し、示される箇所に8×Hisタグを付加して、合成した。得られたコード配列を、L2preシグナルペプチドの後にインフレームでクローニングした。GCアーゼ(H145L/K321N)-His8ポリペプチドをコードするコドン最適化したオープンリーディングフレーム(ORF)のヌクレオチド配列を、以下の配列番号9に示し、L2preシグナルペプチドおよび8×Hisタグをコードする配列を、それぞれ、下線および太字で示す。開始コドンおよび終止コドンを、斜体で示す。L145およびN321のコドンを、枠で示す。
Figure 2022523104000016
GCアーゼ(H145L/K321N)ORFは、配列番号9と実質的に同一であるが、8×Hisタグをコードする太字のヌクレオチドが欠如している。GCアーゼ(K321N)ORFは、配列番号9と実質的に同一であるが、8×Hisタグをコードする太字のヌクレオチドが欠如しており、L145コドンCTCの代わりにヒスチジンをコードするコドンであるCACを有する。
それぞれのGCアーゼORFを、Hp4dプロモーターの制御下において、YL発現ベクター(図23に概略的に示される)に導入した。E.coliからのベクターの増殖および単離の後、ベクターを、Not I制限ヌクレアーゼによって消化させて、細菌配列を除去し、GCアーゼ発現カセットおよびYL選択マーカーを含有する組込み断片を得た。組込み断片は、アガロースゲル電気泳動によって、続いてQiagenカラム精製によって分離した。YL細胞へのそれぞれの組込み断片の形質転換および形質転換体の選択を、十分に確立されているプロトコールに従って行った。
それぞれのGCアーゼORFを、YL細胞に形質転換し、分泌される糖タンパク質に多量のリン酸化N-グリカンを合成するように遺伝子操作した。この糖操作株は、野生型株W29(ATCC(登録商標)20460(商標)、American Type Culture Collection、10801 University Blvd. Manassas、Virginia 20110-2209、USAから入手可能、www.atcc.org)の誘導体である研究室株po1d(CLIB139、Collection de Levures d’Interet Biotechnologique、CIRM-Levures、Research Center INRA、Domaine de Vilvert、Bat.442、78352 Jouy-en-Josas、Franceから入手可能、https://www6.inra.fr/cirm_eng/Yeasts/Strain-catalogue)に由来し、以下の遺伝子型:Mat A、ura3-302、leu2-270、ade2-844、xpr2-322を有する。株は、特に、以下を含むさらなる遺伝子改変を含む。
- OCH1遺伝子の欠失:これにより、分泌される糖タンパク質への高グリコシル構造の合成の可能性が抑止される。全細胞外タンパク質上の主要なN-グリカンは、中性ManGlcNAcである。
- Yarrowia lipolytica MNN4遺伝子の2つのHp4dプロモーター駆動型発現カセットの標的化された組込み:これは、ほぼすべての中性N-グリカンの、1つまたは2つのホスホマンノース部分を含有する構造への変換をもたらす。全細胞外タンパク質上の主要なN-グリカンは、ManP-ManGlcNAcおよび(ManP)-ManGlcNAcである。
形質転換したYL細胞を、制御されたバイオリアクター培養中で成長させて、それぞれのGCアーゼORFを過剰発現させ、発酵ブロス内への分泌をもたらした。標準的な発酵プロセスは、3つの主要培養フェーズからなっていた:単一コロニーからの予備培養、主要発酵の出発材料としてのバイオマスを産生するための培養前培養、ならびにバッチフェーズおよび1つまたは複数の供給フェーズを含む主要発酵。標準的なYSG(1w/v%の酵母抽出物、2w/v%のsoyton、2v/v%のグリセロール)培地を、予備培養および培養前培養に使用し、一方でグリセロールを炭素供給源として使用した既定培地(5g/L)を、主要発酵において使用した。1つまたは複数の供給フェーズにおいて、600g/Lグリセロール、4.6%soyton、および微量元素を添加した。
(実施例3)
組換えグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの単離、脱キャッピング、および脱マンノシル化
Hisタグを付けたGCアーゼバリアントの精製プロセスは、Ni-IMACクロマトグラフィーステップに基づいていた。清澄化した発酵ブロスを、第1のNi-IMACカラム(Chelating Sepharose FF)にローディングした。50mMイミダゾールで洗浄した後、Hisタグを付けたGCアーゼを、400mMイミダゾールで溶出させた。50mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH4.5への緩衝液交換を、溶出画分に行った。ZnCl濃度を、0.2mMに調整し、タチナタマメアルファ-マンノシダーゼを、重量対重量の比で15/100のマンノシダーゼ/GCアーゼで添加した。マンノシダーゼがリン酸キャッピングマンノース残基を除去し、さらにタンパク質が連結したN-グリカンを脱マンノシル化するのを可能にするために、混合物を、30℃で16時間インキュベートし、90rpmで振盪させた。インキュベーションの後、産物を、10分間(4℃、4000gで)遠心分離して、沈殿した材料を除去した。上清を、50mMリン酸ナトリウム緩衝液、100mM NaCl pH6.2中に緩衝液交換し、Ni-IMACカラム(Chelating Sepharose FF)に2回目のローディングを行い、タチナタマメマンノシダーゼおよび残留宿主細胞タンパク質を除去した。この目的で、カラムを、100mMで洗浄し、Hisタグを付けたGCアーゼを、400mMイミダゾールで溶出させた。溶出画分を、50mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH6.0に緩衝液交換し、硫酸アンモニウムを、0.9Mの最終濃度まで添加した。混合物を、疎水性相互作用カラム(Ether 650-M)に最終精錬ステップとしてローディングした。Hisタグを付けたGCアーゼは、50mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH6.0に、98%を上回る純度で溶出された。
タグしていないGCアーゼバリアントの精製に使用した1つのプロトコールを、以下に記載する。回収し清澄化した発酵ブロスに硫酸アンモニウム(0.9M最終濃度)を添加した後、PPG-600M樹脂上の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、分泌されたGCアーゼバリアントの捕捉ステップとして使用した。目的のタンパク質を、10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.2を適用することによって、PPGカラムから溶出させた。HIC溶出画分は、20mMクエン酸ナトリウムpH6.0に交換し、250mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH4.0のスパイクすることによって、さらにpH4.5に調整した。中間体精製ステップとして、材料を、次に、Fractogel EMD SE樹脂でのカチオン交換クロマトグラフィー(CEC)によって処理した。GCアーゼを、0から1000mMのNaCl勾配を適用することによって、カラムから溶出した。GCアーゼを含有する画分を、プールした。プールのZnCl濃度を、0.2mMに調整し、タチナタマメアルファ-マンノシダーゼを、重量対重量の比で15/100のマンノシダーゼ/GCアーゼで添加した。マンノシダーゼがリン酸キャッピングマンノース残基を除去し、さらにタンパク質が連結したN-グリカンを脱マンノシル化するのを可能にするために、混合物を、30℃で16時間インキュベートし、90rpmで振盪させた。インキュベーションの後、産物を、10分間(4℃、4000gで)遠心分離して、沈殿した材料を除去した。上清を20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH4.5に交換した後、2回目のカチオン交換クロマトグラフィーステップ(Fractogel EMD SE樹脂)により、添加したタチナタマメアルファ-マンノシダーゼを除去し、宿主細胞タンパク質含量をさらに低減させた。タンパク質を、0から1000mMのNaCl勾配を適用することによって、カラムから溶出させた。GCアーゼを含有する画分をプールし、続いて、50mMクエン酸ナトリウム、pH6.0に緩衝液交換し、硫酸アンモニウムを0.9Mの最終濃度まで添加した、次いで、産物を、2回目の疎水性相互作用カラム(Ether-650 M)にローディングし、これが、最終精錬クロマトグラフィーステップとしての機能を果たした。0.9Mから0Mの勾配の硫酸アンモニウムを適用して、結合したタンパク質を溶出させ、完全サイズのGCアーゼ産物のみを含有する画分をすべてプールした。この2回目のHICステップの導入により、98%を上回る最終GCアーゼ純度が得られた。
本実施例では、GCアーゼ(H145L/K321N)-His8、GCアーゼ(H145L/K321N)、またはGCアーゼ(K321N)グルコセレブロシダーゼバリアント、特に、それらの脱キャッピングおよび脱マンノシル化形態は、それぞれ、標識「OxyGCアーゼ」で参照され得る。実施例および/または文脈により、そのバリアントがどの状況にあるべきかを定義する。
(実施例4)
組換えグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドのN-グリカン構造
N-グリカンを、N-グリコシダーゼF(PNGアーゼF)を用いて、最大10μgの変性した脱キャッピングおよび脱マンノシル化GCアーゼポリペプチドから、溶液中に放出させた(37℃で3時間)。インキュベーションした後、4体積の氷冷アセトンを添加し、混合物を、-20℃で少なくとも20分間インキュベートした。13,000rpmで5分間遠心分離した後、上清を除去した。沈殿したタンパク質および放出されたN-グリカンの混合物を含有するペレットに、60%氷冷メタノールを添加して、N-グリカンを可溶化させた。遠心分離ステップ(13,000rpmで5分間)の後、N-グリカンを含有する上清を採取し、真空遠心分離機において60℃で乾燥させた。乾燥したN-グリカン試料を、APTS(8-アミノ-1,3,6-ピレントリスルホン酸三ナトリウム塩)で標識し、過剰な未反応標識を除去した後、DSA-FACE(DNAシーケンサー補助フルオロフォア補助炭水化物電気泳動)で分析した。グリカンの標識、後処理、および電気泳動の方法は、本質的に、Laroy et al. Nature Protocols 2006, vol. 1, 397-405に記載されるプロトコールに従う。
本明細書において調製した脱キャッピングおよび脱マンノシル化GCアーゼポリペプチドのうちの1つの単離したN-グリカンの代表的なDSA-FACE電気泳動図を、ピーク注釈を含め、図2に示す。類似のプロファイルが、本明細書において調製したすべてのGCアーゼポリペプチドについて得られた(示されていない)。実質的にすべての検出可能なN-グリカンが、リン酸化されており、非常に高い比率が二リン酸化されていた(M5P2、M6P2)。図2における注釈に対応するN-グリカン構造は、図3に示される。
N-グリカン構造を、Cerezyme(登録商標)およびVPRIV(登録商標)調製物について、同様に決定した。図4は、脱キャッピングおよび脱マンノシル化したOxyGCアーゼポリペプチドのうちの1つ(上部パネル)、Cerezyme(登録商標)(中央パネル)、およびVPRIV(登録商標)(下部パネル)の単離されたN-グリカンの代表的なDSA-FACE電気泳動図を、二リン酸化(2P)、一リン酸化(1P)、および非リン酸化(中性)N-グリカンに対応するピークの注釈を含めて示す。上部パネルには、本明細書に記載されているGCアーゼの実施形態を表し、実質的にすべての検出可能なN-グリカンが、リン酸化されており、46%(数で)が二リン酸化N-グリカンであり、54%(数で)が一リン酸化N-グリカンであった。中央のパネルには、Cerezyme(登録商標)を表し、16%(数で)のN-グリカンのみがリン酸化されており、より具体的に一リン酸化されており、残りは中性であった。二リン酸化N-グリカンは、実質的に検出可能ではなかった。下部のパネルには、VPRIV(登録商標)を表し、N-グリカンのうちの25%(数で)のみがリン酸化されており、より具体的には一リン酸化されており、残りは中性であった。二リン酸化N-グリカンは、実質的に検出可能ではなかった。
(実施例5)
ニューロン細胞およびミクログリアによる組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの取込み
培養したヒト神経芽細胞腫細胞(SH-SY5Y - ATCC(登録商標)受託番号CRL-2266)を、脱キャッピングおよび脱マンノシル化したOxyGCアーゼポリペプチドと接触させ、GCアーゼの取込みを測定した。Cerezyme(登録商標)およびVPRIV(登録商標)は、対照として使用した。本質的には、細胞を、24ウェルプレートの個々のウェルにつき0.8×10個の細胞で、増殖培地に播種した。SH-SY5Y細胞は、内因性グルコセレブロシダーゼ活性を有するため、それらを、異なる濃度(二連に行う)の外来的に添加されるグルコセレブロシダーゼバリアントでの刺激の前に、まず、不可逆的阻害剤コンズリトールBエポキシド(CBE)で一晩処置した。2時間後に、刺激した細胞を、溶解させ、酵素取込み(総タンパク質1mg当たりの単位として表す)を、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MUβGlc)アッセイを使用して、ライセートにおいて決定した。このアッセイは、GCアーゼが、酸性条件下(pH4.5)および適合性の温度(37℃)において、蛍光性4MUβGlcをグルコースおよび4-メチルウンベリフェロン(4-MU)に変換することができるという事実に基づく。所定量の時間の後に、アルカリ性停止溶液を添加することによって、反応を停止させ、これにより、放出される4-MUの蛍光強度も最大化される。蛍光放出を、460/40nmにおいて、360/40nmでの励起で測定した。現在使用されているアッセイ条件下において、蛍光シグナルの強度は、活性酵素の量に比例し、4-MU標準曲線の蛍光値に基づいて、放出される4-MUの量(μmolで表す)に変換することができる。活性の1単位は、以下のアッセイ緩衝液:111mM NaHPO、44mMクエン酸、0.5%BSA、10mMタウロコール酸ナトリウム、0.25%Triton-X-100、pH5.5中、5mMの基質開始濃度で、37℃において、1分当たり1μmolの4MUβGlcの加水分解(または1μmolの4-MUの放出)を触媒する酵素の量と考える。酵素調製物の比活性(単位/mg)は、測定した単位/mLを、確立されたタンパク質濃度(mg/mLで表され、たとえば、OD280測定によって決定される)で除すことによって決定した。
未刺激のCBE処置細胞を使用して、ライセート内のバックグラウンド活性レベルを決定した。ライセートタンパク質1mg当たりの正規化したグルコセレブロシダーゼ活性を、Graphpad Prismにおいて刺激濃度(nM単位)に対してプロットした。生成されたデータ点を、双曲線を使用して適合させ、刺激中の取込み速度と適用した酵素濃度との間の関係性を示し、試験した酵素バリアントのKupdate値の決定を可能にした。取込みの機序をさらに示すために、細胞を、M6P、マンナン、または両方の存在下でも刺激して、それぞれ、M6P受容体(M6PR)、マンノース受容体、または両方による取込みを特異的に遮断した。細胞取込みの程度における相違は、3つすべての酵素について、同じグラフに、正味のM6PRに媒介される取込み(すなわち、M6PRに媒介されない細胞取込みの値を、全体的な細胞取込みの値から差し引いた後)の曲線をプロットした場合に、もっとも良好に例証され(図5)、OxyGCアーゼが、ニューロン細胞によって、Cerezyme(登録商標)(KUPTAKE=104±33nM)またはVPRIV(登録商標)(KUPTAKE=170±45nM)よりもかなり高い程度まで取り込まれたことを示す(KUPTAKE=1.9±0.8nM)。
培養したマウスミクログリア(ATCC(登録商標)受託番号CRL-2467)を、上述のようにOxyGCアーゼと接触させ、GCアーゼ取込みを測定した。Cerezyme(登録商標)を、対照として使用した。ある特定の実験では、マンノース-6-リン酸(M6P)を添加して、細胞上のM6P受容体と競合させた。ある特定の実験では、M6Pおよびマンナンの両方を添加して、細胞上のM6Pおよびマンノース受容体の両方と競合させた。図6は、OxyGCアーゼが、Cerezyme(登録商標)よりも効率的にマウスミクログリアによって取り込まれたことを示す。M6Pの添加により、Cerezyme(登録商標)単独の取込みと同様に、OxyGCアーゼ取込みが低減され、これは、M6P受容体に媒介される取込みの画分との競合と一致していた。M6P+マンナンの添加により、OxyGCアーゼ取込みが、なおもさらに低減された。M6Pは、Cerezyme(登録商標)が、リン酸化マンノースを含有するN-グリカンを実質的に欠如しているという事実と一致して、Cerezyme(登録商標)の取込みを観察できるほど低減させることはなかった。M6P+マンナンは、OxyGCアーゼ+M6P+マンナンの取込みと実質的に同じように、Cerezyme(登録商標)の取込みを低減させた。
(実施例6)
神経障害性ゴーシェ病のマウスモデル
本実施例では、ゴーシェ病モデルGba1 D409Vノックイン(KI)マウスを用いる。Gba1 D409V KIマウスは、3型ゴーシェ病およびパーキンソン病のモデルとして生成され(Dave et al. https://www.michaeljfox.org/files/foundation/MJFFGBA_SFN_OCT2015.pdf)、The Jackson Laboratory Stock番号019106で入手可能である。これらのマウスは、変異体D427VマウスGba1タンパク質を発現し、これは、ゴーシェ病患者におけるもっとも一般的なヒトGBA1変異のうちの1つ(D409V)に対応する(Hruska. Gaucher disease: mutation and polymorphism spectrum in the glucocerebrosidase gene (GBA). Hum Mutat. 2008, vol. 29, 567-83)。Gba1 D409V KIマウスは、有利なことに、2~3週間の寿命しかない重症2型ゴーシェ病マウスモデル(K14-Cre gbalnl/lnlおよびNestin-Cre gbaflox/flox)と比較して、より長い寿命を示す。ホモ接合型Gba1 D409V KIマウスは、GCアーゼ基質のうちの1つであるグリコシルスフィンゴシン(GlcSph)を、脳および肝臓の両方において蓄積することがこれまでに示されている(Dave et al.(上記))。
(実施例7)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの脳室内(ICV)送達
続く実施例7~12に記載される研究については、18~27週齢のマウスに、片側カニューレを埋め込んだ。カニューレ埋込みの適切な部位を確認するために、初回注入の開始時点で、脳脊髄液(CSF)を、側脳室から引き出し、殺処分の直前に、マウスにメチレンブルーを注入した。マウスを、1週間に1回(EW)、1週間に2回(BW)、または1日おき(EOD)に、1~12週間連続で、試験物品のボーラス(10~20分)または緩徐注入(3時間)により処置した。研究の一部において、ICV処置後の異なる時点で、血漿を採取した。最後の注入から3時間後、48時間後、または1~2週間後に、マウスに麻酔を行い、血液およびCSF(最終研究の場合)を採取した後、食塩水灌流ならびに脳および肝臓の切開を行った。組織試料を、以下に記載されるように、さらなる分析のためにホモジナイズした。
ヘキソシルスフィンゴシン(HexSph)レベル(2つのエピマー、GlcSphおよびGalSphを含む)を、RP-LC Q-TOF-MS(逆相液体クロマトグラフィーと高分解能四重極飛行時間型質量分析法を組み合わせたもの)分析によって分析した。動物のサブグループにおいて、GlcSphとGalSphとの間の区別は、SPE-HILIC-MS(固相抽出-親水性相互作用液体クロマトグラフィー-質量分析法)分析によって行った。HexSph分析のホモジナイゼーション緩衝液は、内部標準物GlcSph-d5(番号860636P、Avanti Polar Lipids、ストック1ppmまたは1ng/mL)およびC18 GlcCer-d5(番号860638P、Avanti Polar Lipids、ストック20ppmまたは20ng/mL)でスパイクしたメタノールからなり、300μLのメタノール当たり5ngのGlcSph-d5および100ngのC18 GlcCer(d18:1-d5/18:0)の最終濃度であった。GalSphおよびGlcSph分析のホモジナイゼーション緩衝液は、内部標準物GlcSph-d5(番号860636P、Avanti Polar Lipids、ストック1ppmまたは1ng/mL)およびC18 GlcCer-d5(番号860638P、Avanti Polar Lipids、ストック200ppmまたは200ng/mL)でスパイクしたアセトンからなり、アセトン1mL当たり40ngのGlcSph-d5および400ngのC18 GlcCer(d18:1-d5/18:0)の最終濃度であった。いずれの分析についても、組織を、Precellys(登録商標)チューブ(番号KT03961-1203.0.5)および1.4mm酸化ジルコニウムビーズ(番号KT03961-1-103.BK)を使用して、200mg/mLの濃度でPrecellys(登録商標)Miniビーズホモジナイザー(Bertin)により、5000rpmで30秒間を2回、15秒間隔でホモジナイズした。14000rpmで15分間の遠心分離の後、上清を、新しいチューブに移し、300μLをHexSph(およびHexCer)分析に使用し、250μLをGlcSphおよびGalSph分析に使用した。
HexSph分析については、1mLのメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)を300μLのホモジネート上清に添加することによって、脂質抽出を行った。振盪(1時間、室温)を行った後、260μLの水を添加し、続いて、さらなる振盪およびインキュベーションステップ(10分間、室温)を行った。遠心分離(10分間、1000g)の後に、上部の相を採取し、真空蒸発させ、2/1のメタノール/クロロホルム(v/v)において再構成させた。この脂質画分を、次いで、RP-LC Q-TOF-MSによってさらに分析した。LC-MS方法は、Sandraら(Journal of Chromatography A. 2010, vol. 1217, 4087-4099から適合させた。以下の分析条件を適用した:カラム:Acquity UPLC BEH Shield RP18カラム(2.1×100mm、1.7μm、Waters、Milford、MA、USA)-カラム温度80℃、注入体積10μL;移動相:A=20mMギ酸アンモニウム、pH5;B=メタノール;流量:0.5mL/分;勾配:0~5分は50~74%のB;5~6分は74~85%のB;6~16分は85~90%のB;16~17分は90~94%のB、17~26分は94~100%のB、および9分のポストタイムは50%のB。
高分解能の正確な質量スペクトルを、二重Jetstreamエレクトロスプレーイオン化(ESI)源を備えるAgilent 6545 Q-TOF質量分析計(MS)(Agilent Technologies)で得た。この機器は、エレクトロスプレー正イオン化モードで操作した。クロマトグラフィー分離は、Agilent 1290 Infinity II LCシステム(1290 High Speed Pump、G7120A;1290 Multisampler、G7167B;1290 MCT、G7116B;Agilent Technologies)で達成した。スタンドアロン型Sandra/Selerity Series 9000 Polarathermオーブン(Selerity Technologies、Salt Lake City、UT、USA)を、分析カラムの温度制御に使用した。生のデータを、付属のMassHunter Qualitative Analysisソフトウェアパッケージ(B.07 SP1、Agilent Technologies)を使用して処理した。
GlcSph+GalSph分析のために、上清に対する脂質抽出を、1.5mLのアセトンを250μLのホモジネートに添加し、続いて強力なボルテックスおよび遠心分離ステップ(10分間、15.000g)を行い、その後に、上清を、遠心分離真空蒸発によって乾燥させ、2/1のクロロホルム/メタノール(v/v)500μLにおいて再構成させた。これらの試料に対して、試料をSPEカートリッジ(Sep-Pak Vac 1 cc Accell Plus CM(Waters、番号WAT023625)にローディングし、2×1mLの2/1(v/v)のクロロホルム/メタノールでコンディショニングし、続いてフロースルー(=ブレークスルー画分)を採取することによって、固相抽出(SPE)を行う。溶出は、30/60/8(v/v/v)のクロロホルム/メタノール/水500μLで4回溶出することによって行った。第1の画分は、ブレークスルー画分と一緒に採取し、これは、Glc-およびGalCerからなる。Glc-およびGalSphは、第2~第4の溶出画分において採取される。画分を、遠心分離真空蒸発によって乾燥させた。両方の画分を、20μLのメタノール中に溶解させ、HILICカラム(Zorbax HILIC Plus RR HD(2.1×150mm、1.8μm))においてv/v/vで86/7/7のアセトニトリル/水/メタノール+0.1%ギ酸+315mg/L ギ酸アンモニウムからなる均一濃度溶出で分離した。適用した流量は、0.8mL/分であり、カラム温度は、25℃である。
組織内のGCアーゼレベルの分析を、4MUβGlc活性アッセイ(本質的には実施例5に記載される通り)またはalphaLISAによって行った。組織試料のホモジナイゼーション(1重量体積の脳組織に、5重量体積のホモジナイゼーション緩衝液を添加する(組織200mg/mLとなる))を、Precellys(登録商標)Miniビーズホモジナイザー(Bertin Technologies)および1.4mm酸化ジルコニウムビーズ(0.5mLチューブ、参照番号P000933-LYSK0-A、もしくは2mLチューブ、VWR参照番号432-3751)を事前充填したPrecellys(登録商標)チューブを使用して行った。活性アッセイおよびalphaLISAとの適合性のために使用したホモジナイゼーション緩衝液は、111mM NaHPO、44mMクエン酸、10mMタウロコール酸ナトリウム、0.25%Triton X-100、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(cOmplete(商標)-EDTA非含有、Roche、番号04693159001)からなっており、pH5.5に調整されていた。ビーズによる組織破壊は、5000rpmで2回、30秒間が、15秒間隔で発生する。10.000gで15分間の遠心分離の後、上清を、アリコートに分け、-80℃で保管したか、またはさらに分析した。AlphaLISAビーズに基づく技術は、PerkinElmerの排他的増幅発光近接ホモジニアスアッセイ(AlphaScreen(登録商標))に依存し、発光酸素チャネリング化学を使用する。開発されたGCアーゼAlphaLISAアッセイは、ストレプトアビジンをコーティングしたドナービーズに結合したビオチン化抗huGCアーゼ抗体(Perkin Elmer、番号6760002B)およびAlphaLISAアクセプタービーズにコンジュゲートした第2の抗huGCアーゼ抗体(Perkin Elmer、番号331383)によるhuGCアーゼの捕捉に基づいていた。抗体のビオチン化は、PBS pH 7.4中、0.6mg/mLの濃度まで行い、ビオチン化抗体を、1倍HiBlock緩衝液(10倍HiBlock緩衝液、Perkin Elmer、番号AL004Fから調製)において、0.00625μMの濃度で使用した。アクセプタービーズへの抗体のコンジュゲーションは、PBS+0.05%Proclin 300中、5mg/mLの濃度で行い、alphaLISAアッセイでの使用については、コンジュゲートした抗体を、1倍HiBlock緩衝液中、100μg/mLに希釈した。使用の直前に、AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズを、1倍HiBlock緩衝液中、150μg/mLに希釈した。2つの抗体のGCアーゼへの結合により、ドナービーズとアクセプタービーズが近傍に置かれる。680nmでのドナービーズのレーザー照射により、一重項酸素のフローが生成され、近傍のアクセプタービーズにおいて化学事象カスケードが誘発され、615nmでの化学発光放出が生じる。放出シグナルは、ウェルにおけるhuGCアーゼ濃度に比例する。huGCアーゼ標準曲線を使用して、組織試料中のGCアーゼ濃度を計算した。
(実施例8)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの血漿薬物動態
血液中の活性OxyGCアーゼの動態を、基質として4MUβGlcを使用して酵素活性アッセイによって決定した。Gba1 D409V KIマウスに、70μgのhuGCアーゼ(K321N)を、ボーラス注射(約15分間、n=11匹)または緩徐注入(約3時間、n=6匹)によって、脳室内(ICV)注入した。ICV注入の最中および後の異なる時点で採取した血液を、血漿調製前に、高pHでのGCアーゼ活性の消失を防止するために、130mMのクエン酸緩衝液pH5.8で即座に緩衝化した(1:1)。血漿を、4MUβGlc活性測定のために、本質的には実施例5に記載されるように調製した。得られた薬物動態(PK)曲線を、図7および図8に示す。
側脳室におけるhuGCアーゼ(K321N)の注射後の循環中の最大濃度は、緩徐注入では、ボーラス注入と比較して低かった。しかしながら、総薬物曝露は、類似のAUCによって示されるように、両方の注入速度(特に、初回注入後)について、類似であった。いずれの事例でも、GCアーゼは、循環から急速にクリアランスされた。実施例9および10に示されるように、多量の循環GCアーゼが、肝臓に到達した。
PKパラメーターは、図8(右パネル)において観察することができるように、有意な動物の変動にもかかわらず、初回または4回目の緩徐注入後に有意に変化しなかった。対照的に、AUCは、複数回のボーラスICV注射では、循環からのクリアランスがより緩徐であることに起因して、倍となった(図8、左パネル)。
(実施例9)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの生体分布
OxyGCアーゼの生体分布(BD)を、様々な研究にまたがる複数の直交アッセイによって評価した。これらのアッセイは、脳全体(カニューレ埋込みの反対側、深層脳領域、CSFなど)および末梢器官、たとえば、肝臓にわたるOxyGCアーゼ拡散の程度を決定する目的を果たした。
ABP標識化GCアーゼによって評価したBD
Witteら(Ultrasensitive in situ visualization of active glucocerebrosidase molecules. Nat Chem Biol. 2010, vol. 6, 907-913)は、活性に基づくプローブ(ABP)を用いてGCアーゼ分子を可視化する技術を開発した。
蛍光ホウ素-ジピロメテン含有シクロフェリトールβ-エポキシドは、GCアーゼの触媒二重変位機序を奪って、不可逆的阻害剤-求核試薬付加物を形成する(図9、右パネル)。この共有結合標識化は、高度に特異的であり、蛍光標識した酵素の検出は、超高感度である(検出限界がアトモル範囲である)。赤色MDW941 β-エポキシドABP(図9、左パネル)を使用して、本質的に、Kallemijnら(A sensitive gel-based method combining distinct cyclophellitol-based probes for the identification of acid/base residues in human retaining β-glucosidases. J Biol Chem. 2014, vol. 289, 35351-62)に記載されるように、OxyGCアーゼを標識する。
野生型(WT)マウスに、10μgのABP標識化GCアーゼMut1-H8(図1を参照されたい)を、0.1μL/分で20分間または1μL/分で2分間のいずれかの注入速度で、片側ICV注入した。血液、CSF、脳、および、肝臓組織を、注入の1時間後または3時間後に採取した。生体分布を、ABP標識の量を定量することによって、決定した。これのために、凍結した脳組織を、0.1%(v/v)Triton X-100および組織:体積比1:10(500μlの緩衝液中50mgの組織)のプロテアーゼ阻害剤を補充した25mMリン酸カリウム緩衝液、pH6.5において、ガラス乳棒およびチューブを備えるKimble Kontes駆動装置を2000~3000rpmで使用して、ホモジナイズした。ホモジネートを、次いで、10.000g(4℃)で遠心分離し、アリコートに分け、暗所で保管した。アリコートを使用して、Bradfordアッセイによって、総タンパク質濃度を決定した。別のアリコートに、Laemmli緩衝液を添加し、試料を、96℃で4分間煮沸した後、4~15%(w/v)SDS-PAGEゲルにローディングした。ゲル電気泳動中、装置は、光への曝露を回避するために、被覆した。以下の量を、分析のためにローディングした:脳ホモジネート:24μl、血清:5μl、およびCSF:0.5μl。100%全脳ホモジネート(1匹の対照動物の6つの領域からプール)、血清(3匹の対照動物のプール)、またはCSF(1匹の対照動物から)においてスパイクした標識化GCアーゼの5つのキャリブレーション試料(0、ならびに8、40、200から、1000フェムトモルまでの範囲を含む)をローディングして、キャリブレーション曲線を生成した。キャリブレーション試料は、実験試料と同じ量の組織を含有していた(それぞれの組織について、24、5、および0.5μl)。湿式スラブゲルを、励起532nmおよび放出波長610nmで、FLA-5000イメージングシステム(Fujifilm life science)を使用して蛍光についてスキャンした。ゲル画像は、ImageJで視覚化し、すべてのレーンについて、GCアーゼに対応するバンド、ならびにこのバンドの上下の空間を手作業で選択した。「Plot lanes」機能を使用して、相対密度をプロットした後、バックグラウンドレベルを上回るピークを選択し、定量した。線形近似曲線(linear trend line)の傾きおよび切片ならびに検出限界を、それぞれのゲルの40、200、および1000fmolのバンドの密度を使用して計算した。傾きおよび切片を使用して、実験試料のバンド密度を、1レーン当たりのローディングされるfmolに変換した。脳試料については、レーン当たりの量を、タンパク質濃度について補正した。次に、脳領域当たりの標識化GCアーゼの総量を、ホモジナイゼーション体積を使用して計算した。組織1mg当たりのGCアーゼの量を、組織重量を使用して計算した。血清およびCSF試料については、1μl当たりの標識化GCアーゼの総量を、ゲルにローディングされた組織体積(それぞれ、5および0.5μl)を使用して計算した。動物当たりの検出された総GCアーゼ(脳、血清、およびCSF)は、35μlのCSF体積および1500μlの血清体積を想定して計算した。
図10に示されるように、ABP標識は、注射側とは反対側を含め、脳全体で検出することができ、後頭部領域でもっとも濃度が高かった(5および6)。0.1μL/分(20分間)および1μl/分(2分間)の注入の間で、分布に明らかな差はなかった。標識化GCアーゼMut1-H8は、注入の1時間後および3時間後に、脳ホモジネートにおいて類似の量で検出された:総注入用量(167pmol)のおよそ12~14pmolまたは7~8%のGCアーゼMut1-H8。脳におけるGCアーゼMut1-H8の大部分は、側脳室周囲に位置していた(図11)。しかしながら、ICV注入後3時間で採取した、脳室なしの脳領域を分析した後、ABP標識化GCアーゼMut1-H8が、程度は低いものの、深層脳領域にも分布していたことは明らかであった(示されていない)。おおまかな推測に基づくと、注射した用量(460pmol)のうちの3.7pmolまたは0.8%が、注入の3時間後に、深層脳領域に存在していた。
注入の1時間後に、注射した用量のうちのおよそ20%が、脳脊髄液(CSF)中で検出された。しかしながら、ABP標識化GCアーゼMut1-H8は、CSFにおける注入の3時間後には、もはや検出することができなかった。およそ2時間ごとに、全体積のCSFが補充され(Stroobants et al. Intracerebroventricular enzyme infusion corrects central nervous system pathology and dysfunction in a mouse model of metachromatic leukodystrophy. Hum Mol Genet. 2011, vol. 20, 2760-9)、注入の1時間後には、脳室系全体におけるGCアーゼMut1-H8の有意な分布があり、注入の3時間後には、GCアーゼMut1-H8がCSFから吸収された(脳室壁またはCSF排液経路を通って)ことが示唆された。
血液試料の分析により、上述のように循環中および循環からの急速なクリアランスを確認した。血清中のABP標識の定量は、このマトリックスにおける高いバックグラウンドによって阻止された。ABP標識を、さらに、肝臓組織において定量し(ホモジネートの調製および試料の分析は、脳組織と本質的に同じであった)、結果は、CSFに注射したABP標識化GCアーゼMut1-H8の有意な量(約25%)が、注入後1時間程度の速さで、肝臓に到達したことを示す。同様のレベルのABP標識化GCアーゼMut1-H8が、注入の3時間後に肝臓において確認されたため、これは、最大値であるとみられた。2分間の片側ICV注射時のABP標識化GCアーゼMut1-H8の相対分布は、図12に示されている。
酵素活性(4MUβGlc基質)により評価したBD
ABP標識化GCアーゼを使用して得られた結果を非標識化GCアーゼによる技法を用いて再生するために、4MUβGlc酵素アッセイを使用した(本質的に実施例5に記載される通り)。4MUβGlcは、GCアーゼに特異的ではない基質であり、組織中に存在する他のβ-グルコシダーゼもまた、それを変換できる可能性がある。GCアーゼ活性を特異的に定量するために、ホモジネートを、GCアーゼ特異的阻害剤であるコンズリトールBエポキシド(CBE)ありまたはなしでインキュベートした。GCアーゼ活性を、次いで、CBEで阻害可能な4MUβGlc活性として表した。
第1の実験では、GCアーゼ活性を、ホモジナイズした脳領域、より具体的には脳室周囲の領域と対比して脳室を除く実質において、1日おき(EOD)で4回の70μgのGCアーゼMut1-H8での片側ICV注入の最後の回から3時間後に、決定した(図13)。これにより、ABPの結果を確認した:注入の3時間後に、もっとも高い量のGCアーゼ活性を、脳室周囲で見出すことができ、WTレベルの3~45倍の範囲であった。免疫染色により、この活性が、細胞内および細胞外GCアーゼの両方を起源としていたことが示唆される。70μgまたは1400mUのGCアーゼMut1-H8(平均比活性20mU/μg)での4回目のEOD処置から3時間後に、脳室を除く脳組織において存在しているGCアーゼ活性の総量は、3~10mU(400mgの脳体積で計算)の範囲であった。これは、注射した用量の0.3~0.7%に相当し、これは、ABP標識化によって決定したものと同じ範囲であった。
時間とともに、分布は、脳全体でより均一となった。4回または8回の70μgのGCアーゼMut1-H8の注入の最後の回から48時間後に、類似のGCアーゼ活性レベルが、皮質(脳室なし)および線条体(脳室領域を含有する)において存在していた(図14)。内因性GCアーゼ活性は、Gba1 D409V KIおよびWTマウスの両方において、皮質では線条体よりもわずかに高かった。まとめると、これは、わずかに少ないGCアーゼが、線条体と比較して、より遠位な皮質に分布し、脳室にすぐ隣接して局在化されたことを示唆した。
いくつかの研究では、GCアーゼ活性を、最後の注入の48時間後に、ホモジナイズした左または右の脳半球および肝臓組織において決定した(それぞれ、図15AおよびB)。
OxyGCアーゼバリアントまたはCerezyme(登録商標)のいずれの処置でも、左半球対右半球において、GCアーゼ活性に同様の増加があり、注射した側から反対側への同等の分布が存在したことが確認された(図10)。
WTマウスでは、GCアーゼ活性は、肝臓において、脳と比較して高かった。しかしながら、Gba1 D409V KIマウスは、有意に低いGCアーゼ活性レベルを示し、これは、両方の器官で同程度であった。結果として、KIの脳における残留活性%(WTの脳に対して15%)は、KIの肝臓(WTの肝臓に対して3%)よりも高かった。OxyGCアーゼバリアントの反復ICV注射後に、脳と比較して肝臓において相対的に多くの活性GCアーゼを、検出することができた。週1回で4回の70μgのGCアーゼMut1-H8での注入の最後の回から48時間後に、たとえば、未処置のKIマウスと比較して、脳における3.5倍の増加と比較して、肝臓において25倍の増加があった。しかしながら、WTレベルとKIレベルとの間の治療域が、脳では肝臓よりも小さかったため、WTと比較した%活性は、肝臓(約75%)よりも脳(約50%)においてわずかに低いだけであった。
これらのデータを使用して、注射用量%を計算した:70μgまたは1400mUのGCアーゼMut1-H8(平均比活性20mU/μg)の最後の注射から48時間後に、脳においておよそ4mU(0.4gで計算)および肝臓においておよそ90mU(1.75gで計算)のGCアーゼ活性が存在していた。これらの値は、それぞれ、注射用量の0.3%および6%に相当する。脳と比較して肝臓において高い注射用量%は、ABP標識化GCアーゼMut1-H8の注入から3時間後にも観察された(上記を参照されたい)。より重要なことには、注射したGCアーゼMut1-H8用量%は、4回目の処置から3時間後および48時間後で類似であったため(0.3~0.7%から0.3%の範囲)、GCアーゼは、脳組織に取り込まれた後、比較的安定であるとみられた。
OxyGCアーゼと比較して、ICV送達したCerezyme(登録商標)は、GCアーゼ活性の増加という点に関しては有意に性能が低く、脳(GCアーゼMut1-H8についてはKIレベルの3.5倍、対してCerezyme(登録商標)ではKIレベルの1.5倍、いずれも週1回で4回の70μgのICV注射の最後の回から48時間後に決定、図15A)および肝臓(GCアーゼMut1-H8についてはKIレベルの25倍、対してCerezyme(登録商標)についてはKIレベルの5倍、いずれも週1回で4回の70μgのICV注射の最後の回から48時間後に決定、図15B)においてわずかな改善しか示さなかった。OxyGCアーゼの細胞内取込みは、Cerezyme(登録商標)と比較して有意に高かったことに留意されたい(図5を参照されたい)。肝臓における実質的な違いは、さらに、OxyGCアーゼと比較して、循環中のCerezyme(登録商標)のより低い安定性に起因する可能性があり得る。
薬物曝露は、70μgのGCアーゼMut1-H8でのICV処置を1ヶ月間から3ヶ月間に延長させた場合に、肝臓ならびに脳において低下し、これは、抗薬物抗体(ADA)応答に起因する可能性が高かった(実施例11を参照されたい)。脳における薬物曝露の減少は、血液中の抗体はわずかなパーセンテージしか血液脳関門を通過しないことを考慮すると、いくらか予想外であった。しかしながら、抗原によって活性化されると、TおよびB-リンパ球はいずれも、脳に進入し得ることが公知である。
脳において達成される活性レベルは、注射を緩徐注入(3時間)またはボーラス注射(10~15分間)で行った場合に、それほど違いはなかった。対照的に、ボーラス注射ではなく緩徐注入の場合に肝臓に到達するGCアーゼはより少なく、これは、循環中での異なる速度のGCアーゼ放出に関連し得る(図7および図8を参照されたい)。
ヒトGCアーゼalphaLISAによって評価したBD
活性測定によって決定した生体分布(図13を参照されたい)を、alphaLISAによっても検証して、ヒト特異的GCアーゼタンパク質レベルを決定した(図16)。両方の方法から、類似の結果を得ることができた。
(実施例10)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの有効性および薬力学
前述のように、GCアーゼ基質であるグルコシルスフィンゴシン(GlcSph)およびグルコシルセラミド(GlcCer)の蓄積は、ゴーシェ病患者における病理症状の重要な原因である。Gba D409V KIマウスは、脳および末梢器官、たとえば、肝臓において、GlcSphを蓄積するがGlcCerは蓄積しない。脳および肝臓におけるGlcSphレベルの低減を評価することによって、ゴーシェ病の処置に関して、ICV注射されるOxyGCアーゼバリアントの、Cerezyme(登録商標)と比較して優れた治療能力を示した。
全脳半球におけるGlcSphの低減
脳における基質低減の結果の概要を、図17に提示する。
HexSphレベルは、GlcSphおよびガラクトシルスフィンゴシン(GalSph)という2つのエピマーからなり、そのうち、GlcSphのみが、GCアーゼの基質である。本発明者らは、WTマウスにおけるHexSphレベルが、GalSphのみを示し、このGalSphレベルが、WTと、処置および未処置Gba1 D409V KIマウスとで同一であったことを実証した(示されていない)。
すべてのOxyGCアーゼバリアントは、同一の用量およびレジメンで投与した場合に、Cerezyme(登録商標)よりも高性能であった。週1回で4回の70μgのGCアーゼMut1-H8、GCアーゼMut1、またはhuGCアーゼ(K321N)でのボーラスICV処置により、ビヒクル処置KIマウスと比較して、統計学的に有意なHexSphレベルの低減がもたらされたが、これは、Cerezyme(登録商標)には当てはまらなかった。したがって、週1回で4回の70μgのCerezyme(登録商標)でのICV処置後の脳におけるGCアーゼ活性の検出にもかかわらず(図15A)、基質レベルは、有意に減少しなかった。低いレベルのOxyGCアーゼ(脳全体でおよそ200ng、70μgの0.3%)により、脳内の基質を効果的に低減させることができることを考慮すると、観察されたCerezyme(登録商標)活性と基質低減能力との間の不一致の可能性のある説明は、タンパク質(およびしたがってその活性)が、GlcSphを蓄積しない細胞型にしか実質的に存在しないことである。
週1回の15μg、40μg、70μg、および140μgのGCアーゼMut1-H8での処置を比較すると、最大70μgまでは良好な用量応答が観察された。これらの結果に基づいて、週1回のOxyGCアーゼ処置の最適な用量を、70μgに設定した。脳の重量に基づいて非ヒト霊長類(NHP)および小児患者に変換すると、70μgの用量は、週1回で、NHP(脳重量60g)については10.5mg、および2~3歳の小児(脳重量およそ1.2kg)については210mgの用量に相当し得る。
レジメンを、週1回から、週2回、1日おきの処置へと増加させると、基質低減効率はさらに改善された(示されていない)。
異なるOxyGCアーゼバリアント(GCアーゼ(H145L/K321N)-His8、GCアーゼ(H145L/K321N)、または実施例1に記載されるGCアーゼ(K321N))の有効性および安定性に関して、観察可能な違いはなかった。
本発明者らは、ICV処置を1ヶ月間から3ヶ月間に延長した場合に、脳において薬物曝露が減少したことを、活性測定によってすでに上記に示している。これを、GlcSph結果によってさらに実証した。図18は、異なる動物におけるGCアーゼ活性と基質レベルとの間の相関の存在を示す。薬物曝露の減少は、GCアーゼ酵素に対する免疫応答に起因する可能性が高い。
異なる脳領域におけるGlcSphの低減
皮質、小脳、線条体/海馬、および中脳を、分離し、HexSphレベルを決定した。それぞれの領域から得られた、GlcSphレベルとして表される(WT HexSph(=GalSph)レベルを差し引くことによって)結果を、図19に示す。
基質レベルは、すべての脳領域において効率的に低減され、GlcSph蓄積は、わずかに領域依存性であり、もっとも低い蓄積は皮質に存在していた。これは、その領域における高いGCアーゼ活性に対応する(図14を参照されたい)。週2回で8回のGCアーゼMut1-H8での処置の後、基質の低減が、すべての領域において生じ、線条体、海馬、および小脳では、中脳および皮質と比較して程度が高かった。これもまた、活性を通じて測定した酵素のレベルと一致する。重要なことに、週1回で4回の70μgのCerezyme(登録商標)でのICV注入では、分析した領域において、GlcSphが低減されなかったか、わずかにしか低減されなかった。基質低減の領域依存性は、OxyGCアーゼおよびCerezyme(登録商標)の間で異なるとみられた。これは、分析した領域の細胞組成における違いによって説明できる可能性がある。
選別された異なる脳細胞におけるGlcSphの低減
P7よりも高齢のげっ歯類の神経組織の解離、およびそれに続くニューロン、星状細胞、または乏突起膠細胞の単離のために、ヒーターを備えるGentleMACS Octo Dissociator(Miltenyi Biotec、番号130-096-427)およびAdult Brain Dissociationキット(Miltenyi Biotec、番号130-107-677)の組合せを使用して、単一細胞を脳半球から調製した。細胞解離ステップ、残屑除去ステップを含め、星状細胞集団の単離、星状細胞特異的抗ACSA-2マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、番号130-097-678)を使用した磁気標識化、および磁気分離は、本質的に、製造業者によって説明されているように行った(https://www.miltenyibiotec.com/upload/assets/IM0016290.PDF)。得られた星状細胞画分の純度を、陽性細胞画分に対して2回目の磁気分離を行うことによって、さらに増加させた。上記の手順の間に得られた未標識細胞(ミクログリア、ニューロン、乏突起膠細胞、および内皮細胞)を、さらに処理して、本質的に製造業者によって説明されているように(https://www.miltenyibiotec.com/upload/assets/IM0016891.PDF)抗CD11bマイクロビーズ(Miltenyi Biotec、番号130-093-634)を使用したミクログリアの磁気除去を可能にした。星状細胞およびミクログリアの両方の単離の後に得られた未標識細胞画分には、主として、ニューロン細胞が含有されていた。いずれの磁気分離ステップについても、LSカラム(Miltenyi Biotec、番号130-042-401)および対応する好適なQuadroMACS Separator(Miltenyi Biotec、番号130-090-976)を使用した。
まとめると、星状細胞およびミクログリアは、特異的抗体(それぞれ、抗ACSA-2、抗CD11b)によって陽性選択し、一方でニューロン細胞は、前述の細胞型を枯渇させ、ニューロンが濃縮された集団を得ることによって得た。本質的には実施例7に記載されるように決定した、ニューロン画分におけるHexSphレベルは、星状細胞およびミクログリアよりも高かった(図20)。Gba1 D409V KIマウスは、すべての細胞画分においてHexSphの上方調節を示した。週1回で4回の70μgのGCアーゼMut1-H8のICV注射でのマウスの処置により、3つすべての細胞型において蓄積されたHexSphの低減がもたらされたが、Cerezyme(登録商標)を用いた同様の処置レジメンでは、ミクログリアにおける基質が低減されただけであった。これらの結果により、Cerezyme(登録商標)と比較して、ICV OxyGCアーゼの優越性がさらに強調される。
肝臓におけるGlcSphの低減
肝臓における基質レベルに対する、Cerezyme(登録商標)と比較したOxyGCアーゼバリアントでの反復的なICV処置の影響を、評価した(図21)。
基質の蓄積は、肝臓においては、脳よりも高くかつより変動性であり(図21および図17を参照されたい)、これもまた、測定したGCアーゼ活性レベルと関連し得る(図15Aおよび15B)。週1回で4回の70μgの異なるOxyGcアーゼバリアントでのICV処置は、基質を非常に効率的に低減させ、ほぼWTレベルに達した(OxyGCアーゼ処置群とWT対照との間に統計学的に有意な差はなかった、図21)。これにより、レジメンを増加させること(たとえば、EWで4回の70μgのGCアーゼmut1-H8と比べて、EODで8回の70μgのGCアーゼmut1-H8/ABX、図21)が、肝臓において効率をさらに改善しないのはなぜかを説明することができる。脳で観察されたものとは対照的に、緩徐注入は、肝臓において、ボーラス注射と比較して効率の低い基質低減をもたらす。まとめると、これらの結果は、ICV注射したOxyGCアーゼは、ゴーシェ病患者、特に、神経障害性ゴーシェ病患者において、身体症状を処置するための治療能力を有することを示す。
週1回で4回の70μgのCerezyme(登録商標)でのICV処置は、肝臓において活性をわずかにしか増加させなかったとはいえ、たしかに基質を低減させたが、OxyGCアーゼよりも効率が低かった。これは、Cerezyme(登録商標)が、単に、マンノース受容体に媒介される様式でクッパー細胞によって取り込まれるためであり得る。結果として、Cerezyme(登録商標)によるGlcSph低減は、肝臓組織における限定的な細胞集団に制限される。
(実施例11)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドによって誘導される免疫応答
抗薬物抗体(ADA)の発生は、リソソーム蓄積症(LSD)のための全身的酵素補充療法(ERT)の一般的な特徴である(Harmatz. Enzyme Replacement Therapies and Immunogenicity in Lysosomal Storage Diseases: Is There a Pattern? Clin Ther. 2015, vol. 37, 2130-4)。相当量のICVにより送達されるOxyGCアーゼが循環に進入するため、本発明者らは、これが、マウスにおいて免疫応答を誘導するかどうかを評価した。
この目的で使用される抗薬物抗体アッセイは、コーティング剤として精製されたOxyGCアーゼ(1×PBS中2μg/mLの濃度)を使用した、ELISAに基づくアッセイであった。100μLのコーティング溶液を、ウェルごとに添加し、4℃で一晩インキュベートした。翌日、コーティング剤を廃棄し、ELISAプレートのウェルを、1×PBS+0.05%tween(登録商標)20で3回洗浄した。アッセイ緩衝液(1×PBS+1%BSA)を、ウェルに添加し、続いて、37℃で1時間インキュベートした。アッセイ緩衝液を廃棄した後、100μLの希釈した(血漿)試料(1×PBS+1%BSA)を、ウェルごとに添加し、37℃で2時間インキュベートした。試料を廃棄した後、プレートのウェルを、1×PBS+0.05%tween(登録商標)20で3回洗浄した。洗浄ステップの後、検出抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼをコンジュゲートしたヤギ抗マウス抗体、Sigma、番号A4416)を、アッセイ緩衝液中に10.000倍で希釈し、100μLをそれぞれのウェルに添加した。プレートを、37℃で1時間、再度インキュベートし、続いて、検出抗体溶液を除去し、ウェルを1×PBS+0.05%tween(登録商標)20で3回洗浄した。次のステップでは、すぐに使用できるTMB(テトラメチルベンジジン)(Invitrogen、番号002023)を100μL添加し、プレートを、室温で20分間、暗所でインキュベートした。TMBを、ペルオキシダーゼによって加水分解させ、血漿中に存在する抗GCアーゼ抗体の量に比例する有色化合物を得た。反応を、ウェルごとに50μLの0.5M硫酸を添加することによって、停止させた。450nmでの吸光度を、硫酸の添加後15分以内に測定した。
図22において観察することができるように、抗GCアーゼ抗体は、週1回で4回の70μgのOxyGCアーゼでのICV処置の後にすでに存在しており、そのレベルは、処置を最大2ヶ月間または3ヶ月間に延長した場合に、さらに増加した。免疫応答は、個々のマウス間で有意に変動し、これは、上述のように、長期処置の際の脳および肝臓における変動性のGCアーゼ活性およびHexSphレベルと相関していた。
OxyGCアーゼは、マウスにとって外来である糖構造を含有し、したがって、免疫応答を引き起こし得る。抗薬物抗体が、GCアーゼ酵素に対するものであるか、そうではなくN-グリカンに対するものであるかを決定するために、OxyGCアーゼと同一の糖構造を有する別のリソソーム酵素を使用するADAアッセイを開発した。抗GCアーゼ抗体を含有した13匹のマウスのうちの1匹だけが、約100分の1の力価とはいえ、その酵素に対して反応性であった。したがって、N-グリカンではなくGCアーゼ酵素が、マウスにおいて抗原性であると結論付けることができる。
(実施例12)
組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドを投与したマウスにおける組織病理学
未処置、ビヒクル処置、およびOxyGCアーゼ処置のWTおよびGba1 D409V KIマウスから、組織病理学的分析のために、複数の器官(肝臓、脳、脾臓、腎臓、肺、および心臓)を採取した。カニューレ挿入および脳室内注射により、WTおよびGba1 D409V KIマウスの両方に、軽度の脳炎および/または髄膜炎が生じ、これは、注射した物質とは関係なかった。脳における炎症は、ビヒクル処置およびOxyGCアーゼ処置動物で、類似であった。組織病理学により、いかなるOxyGCアーゼ関連毒性も判明しなかった。
(実施例13)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの静脈内(IV)送達
ゴーシェ病患者における静脈内(IV)送達したOxyGCアーゼの治療能力を評価するために、いくつかの前臨床研究を、野生型(WT)およびGba1 D409Vノックイン(KI)マウス(実施例6を参照されたい)において行って、異なるOxyGCアーゼバリアントのIV注射時の生体分布(BD)、薬物動態(PK)、薬力学(PD)、および有効性を、その市販対応物であるCerezyme(登録商標)と比較して評価した。これらの研究を、実施例14~16に記載する。
簡単に述べると、WTまたはGba1 D409V KIマウスを、週1回(EW)の試験物品のボーラスIVで、1~4週間連続で処置した。研究の一部において、IV処置後の異なる時点で、血漿を採取した。最後の注射の1日後に、マウスに麻酔を行い、血液を採取した後、食塩水灌流および末梢器官、たとえば、肝臓、脾臓、心臓、および肺、ならびに脳の切開を行った。試料を、RP-LC Q-TOF-MS(実施例7を参照されたい)によってヘキソシルスフィンゴシン(HexSph)レベルについて、および4MUβGlc活性アッセイ(実施例5を参照されたい)によってGCアーゼレベルについて分析した。
(実施例14)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの血漿薬物動態(PK)
活性huGCアーゼ(K321N)の循環半減期(T1/2)を、WTマウスへの60U/kgの酵素のIV注射によって評価した。IV投与後の24時間の期間にわたって、異なる血液試料を尾静脈から採取し、そこから、緩衝化血漿(pH7.4)を、活性分析のために調製した。得られたGCアーゼの濃度-時間曲線により、GraphPad Prismを使用して、huGCアーゼ(K321N)の循環半減期を計算することが可能であった。全体として、試験したOxyGCアーゼは、約6分間(5.6±1.8分間)という非常に短い半減期を有した。
(実施例15)
酵素活性によって(4MUβGlc基質を使用して)評価した、マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの生体分布
OxyGCアーゼバリアントでの全身(IV)処置後の活性GCアーゼの生体分布を、肝臓において4MUβGlcアッセイで決定した(図24)。4MUβGlcは、しかしながら、GCアーゼのみに特異的なわけではない合成基質であるため、これは、組織に存在する他のβ-グルコシダーゼもまた、それを加水分解し得ることを意味する。GCアーゼ活性を特異的に定量するために、ホモジネートを、GCアーゼ特異的阻害剤であるコンズリトール-b-エポキシド(CBE)ありまたはなしでインキュベートした。GCアーゼ活性を、次いで、CBEで阻害可能な4MUβGlc活性として表した。
Gba1 D409V KIマウスの肝臓におけるGCアーゼ活性は、WTレベルの3%±1%であった。週1回で30U/kgのhuGCアーゼまたはhuGCアーゼ(K321N)でのIV投与により、活性が、最後の処置から24時間後に、それぞれ、WTレベルの28%±10%、33%±11%に増加した。重要なことに、市販対応物であるCerezyme(登録商標)を用いた同一のIV投薬レジメンでは、WT GCアーゼ活性レベルの16%±4%にしか増加しなかった。いかなる仮説にも理論にも限定されることを望むものではないが、肝臓の肝細胞による、本発明の原理を具現化するマンノース-6-リン酸に媒介されるGCアーゼバリアントの取込みは、マクロファージのよってのみ取り込まれるCerezyme(登録商標)と比較した場合の肝臓における高いGCアーゼ活性を説明し得る。この一連の結果から、さらには、測定したGCアーゼ活性がhuGCアーゼおよびhuGCアーゼ(K321N)の処置で類似であったため、huGCアーゼ(およびCerezyme(登録商標))に対するhuGCアーゼ(K321N)の循環(すなわち、生理学的条件)における高い安定性は、肝臓細胞に到達する活性GCアーゼの量に対して有意な影響を有さなかったと考えられた。huGCアーゼ(K321N)の用量を300U/kgに増加させた場合、WT GCアーゼ活性レベルが、肝臓においてほぼ達成された(WTレベルの93%±23%)。
(実施例16)
マウスにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの有効性および薬力学
GCアーゼ基質であるグルコシルスフィンゴシン(GlcSph)およびグルコシルセラミド(GlcCer)の蓄積は、ゴーシェ病患者における病理症状の重要な原因を表す。Gba1 D409V KIマウスは、脳、ならびに末梢器官、たとえば、肝臓、脾臓、および心臓において、GlcSphを蓄積するがGlcCerは蓄積しない。IV注射したOxyGCアーゼバリアントが、ゴーシェ病の処置に関して、市販対応物であるCerezyme(登録商標)よりも優れた治療能力を有するかどうかを評価するために、GlcSphレベルの低減を、肝臓、脾臓、心臓、および肺において決定した。
30U/kgのhuGCアーゼまたはhuGCアーゼ(K321N)でIV処置したKIマウスの肝臓において観察される、Cerezyme(登録商標)と比較して高いGCアーゼ活性レベルはまた、OxyGCアーゼバリアントの、その市販対応物と比較してより良好な基質低減有効性に変換される(図25)。肝臓と同様に、OxyGCアーゼバリアントのIV投与は、同じ投薬レジメンで提供した場合にCerezyme(登録商標)よりも効率的に、脾臓において基質レベルを低減させた。心臓では、OxyGCアーゼバリアントとCerezyme(登録商標)との間に基質低減において統計学的に有意な差はなかったが、実施した短期間研究内では、huGCアーゼ(K321N)バリアントがより高性能である傾向があると見られた。対照的に、3つのGCアーゼバリアントはいずれも、少なくとも、週1回で4回の30U/kgの用量のIV注射が終わるまでは、Gba1 D409V KIマウスの肺に蓄積するHexSph基質を低減することができなかった。
実施例13~16は、したがって、週1回で4回の30U/kgのhuGCアーゼ、huGCアーゼ(K321N)、およびCerezymeのIV注射時の異なる末梢器官内のHexSphレベルに基づいて、huGCアーゼが、K321N変異ありまたはなしのいずれでも、1型ゴーシェ病患者の現在の標準治療と少なくとも同程度またはそれよりも良好に機能したことを示す。この投薬レジメンは、患者におけるCerezymeの現在の治療用量(60U/kg、1週おきに)に対応する。
(実施例17)
カニクイザルにおける組換えヒトグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)ポリペプチドの毒性研究
研究設計
両性別の小児患者を表す30匹の初回投薬の時点で15ヶ月齢の若齢のカニクイザル(雄性15匹、雌性15匹)に、用量投与のために、左側脳室にICVカテーテルを外科手術により埋め込んだ。26匹の動物を、研究に配置した。動物に、2.1mLのOxy5595(前述の実施例に記載されるhuGCアーゼ(K321N))またはビヒクル(人工脳脊髄液、aCSF、pH6.6)を、1週間に1回、ICV注入によって、合計23用量を受容させた。研究設計を、表2に示す。低用量の10mgの投薬は、脳サイズの差(0.4gのマウスの脳重量に対して、55~60gの非ヒト霊長類(NHP)の脳重量)に基づいて、マウスにおける治療用量(70μg)から外挿した。Oxy5595の溶解度および注入体積の制限に起因して、治療用量の5倍(50mg)が、ICV投与することができる最大量である。
Figure 2022523104000017
生体における観察および測定には、体重、食物消費量、臨床観察、神経学的検査および身体検査、眼科検査、心電図、血圧、毒物動態および免疫原性サンプリング、ならびに臨床病理評価が含まれた。ITカテーテルを、CSFサンプリングのために腰椎に取り付け、CSF Oxy5595動態を研究した。最終用量からおよそ48時間後または14日後(回復群)に、動物を安楽死させ、回収した組織を生体分布および/または組織病理評価に選択した。
生体における結果
Oxy5595関連の臨床徴候はなかった。体重、食物消費量、身体検査および神経学的検査、心電図、眼科検査、または器官重量に変化はなかった。週1回のOxy5595の用量投与により、変動するが一貫性のある様式で、CSFおよび血液の両方において好酸球数の増加が生じた。しかしながら、用量投与の完了後、その数は、2週間以内にほぼ正常値まで戻った。観察した臨床病理パラメーターに、さらなるOxy5595関連の変化はなかった。
CSFおよび血漿における活性GCアーゼの濃度-時間曲線
研究を通しての5つの異なる場合で(用量1、4、8、12、および19)、血漿(投薬前、および投薬の2分後、15分後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、24時間後、72時間後)、ならびにCSF(投薬前、および投薬の1時間後、4時間後、24時間後、72時間後)を、検証したアッセイでGCアーゼ活性測定のために採取した。GCアーゼ活性を、GCアーゼ標準曲線に基づいて、1mL当たりの活性GCアーゼタンパク質のngに外挿して、濃度-時間プロファイルを確立した(図26)。PK分析を、Pheonix(登録商標)WinNonLin(登録商標)バージョン6.3ソフトウェアにおいて、非コンパートメント分析を使用して、GLPガイドラインに従って行った。
CSFの結果(図26、左パネル):定量可能なGCアーゼレベルを、CSFにおける注射から最大24時間後まで測定した。CSF採取のもっとも早い時点は、注入終了の1時間後であり、これは、測定したもっとも高い活性GCアーゼ濃度を表す。投薬の72時間後に、活性GCアーゼ濃度は、定量限界(LLOQ)を下回ったが、依然として検出可能であった。CSFにおけるGCアーゼレベルのプロファイルは、両方の用量群について、単回および複数回の投与後、同等であった。用量の5倍の増加により、6.3~10.5倍の範囲で、性別を合わせて、比例よりもわずかに高い曝露(CmaxおよびAUClast)の増加が生じた。CSFにおけるOxy5595曝露は、AUClastに関して、両方の用量群について、血漿と比較して、数千倍高かった。10mg用量の場合のCSFにおける活性GCアーゼの濃度は、処置の回数には関係なく、注射後およそ2日で、ニューロン細胞におけるOxy5595のKuptakeに達した(178±22ng/mL)。CSF PKパラメーターには、一貫した性別関連の相違は観察されなかった。
血漿の結果(図26、右パネル):もっとも高いGCアーゼレベルは、注入(2分)の直後に測定され、投薬後8時間でおよそLLOQのレベルまで低下した。血漿濃度プロファイルは、動物間で有意に変動するが、いずれの用量群のプロファイルも、単回および複数回の投与の後に劇的に変化するとはみられなかった。用量の5倍の増加により、3.5~18.8倍の範囲で、性別を合わせて、比例と同様かそれよりもわずかに高い曝露(CmaxおよびAUClast)の増加が生じた。血漿PKには、一貫した性別関連の相違はなかった。
GCアーゼの脳での分布
最後の(23回目の)ICV処置の2日後に、動物を、器官採取のために殺処分した。灌流後、脳を回収し、3mm幅のスラブ(動物1匹当たりおよそ17枚のスライス)に冠状にスライスした。第1のスライスおよびそれ以降のすべての他のスライスを、組織学的分析のために中性緩衝化ホルマリンに固定した(以下の「組織病理学」の節を参照されたい)。第2のスライスおよびそれ以降のすべての他のスライスから、試験物品の活性分析(合成GCアーゼ基質、4MUβGlcを使用したGLP対応の検証済みアッセイ)のために、様々な脳領域から標本を採取した。分析に選択した領域(図27)は、主として、神経障害性ゴーシェ病患者において影響を受けると記載されている領域であった:大脳皮質、小脳、脳幹(脳橋および延髄)、視床、ならびに線条体(Maloney and Cumings. J. Neurol. Neurosurg. Psychiat. 1960, vol. 23, 207、Nilsson and Svennerhorn. Journal of Neurochemistry 1982, vol. 39, 709-718、Orvisky et al. Molecular Genetics and Metabolism 2002, vol. 76, 262-270、Perruca et al. Neuroradiology 2018, vol. 60, 1353-1356、Bremova-Ertl et al. Front Neurol. 2018, vol. 15, 711、Kaye et al. Ann Neurol. 1986, vol. 20, 223-30)。海馬は、近年、NHPにおいて比較的高いGCアーゼ発現を有することが公表され、したがって、それも分析した(Dopeso-Reyes et al. Brain Struct Funct. 2018, vol. 223, 343-355)。
図28および29は、GCアーゼ活性が、ビヒクル処置のWT動物の様々な脳領域全体で比較的均質に存在していたことを示す。10mgまたは50mgのOxy5595での片側ICV処置により、左および右の小脳における類似の活性GCアーゼレベルによって明らかなように、両方の脳半球への同等なGCアーゼ活性の分布がもたらされた。この観察は、本発明者らが以前に得たマウスにおける結果を裏付け、そこでは、ICV投与したOxy5595もまた、両半球に均一に分布されていた。GCアーゼ活性は、脳の複数の領域で検出され、もっとも高いレベルは、前頭部および頭頂葉の新皮質の深層に存在していた。わずかに低いGCアーゼ活性が、海馬、脳橋、延髄、および後頭皮質において観察され、続いて、小脳でGCアーゼ活性の中等度の増加が示された。尾状核(線条体)および視床は、GCアーゼ活性の有意な増加を示さなかった。陽性の領域において、50mgのOxy5595は、10mgのOxy5595と比較して1.8±0.3倍高いGCアーゼ活性の増加をもたらした(図30)。Oxy5595処置時の脳全体の活性GCアーゼの分布の概略図は、図31において見出すことができる。
マウスにおいて、GCアーゼ活性は、未処置Gba1欠損(KI)動物におけるWTレベルの約10%から、Oxy5595処置KIマウスの左および右半球におけるWTレベルの約30%まで増加した(1週間に1回で4回の70μgの投与)。マウスにおけるこの20%の増加は、NHPにおける対応する10mgの用量のOxy5595でも観察された(用量外挿は脳体積に基づく)(図29)。図32において観察することができるように、Oxy5595 ICV処置から48時間後のマウスおよびNHPにおける組織1g当たりのOxy5595レベルは、皮質、海馬、および小脳において類似であったが、NHPの脳幹ではマウスと比較してわずかに高かった。マウス線条体および中脳は、Oxy5595を蓄積したが、これは、NHPの場合では生じないと見られたが、後者では、部分領域のみを分析していた(それぞれ、尾状核および視床)。重要なことに、GCアーゼ活性は、ICV注入の最大6日後まで、ほとんどのマウスの脳領域においてビヒクル処置レベルを上回ったままであった(図32)。
Gba1欠損マウスにおける70μgのOxy5595での反復ICV処置により、ビヒクル処置マウスと比較して、脳において、GCアーゼ基質、グルコシルスフィンゴシンの蓄積の3倍の低減が生じた(最終用量から48時間後に測定した)。この用量が、マウスおよびサルにおいて類似のGCアーゼレベルをもたらしたため、この用量はまた、特に、神経障害性ゴーシェ病患者のほとんどが、依然として多様な程度で残留GCアーゼ活性を有することを考慮すると、ヒトの脳においてGCアーゼ基質を低減するのに十分に有効であるはずである。
免疫原性
血清およびCSFを、用量1、2、5、9、13、および20の前、ならびに剖検時に採取して、検証済みのスクリーニングアッセイを使用して、Oxy5595に特異的な抗体の存在を決定した。陽性試料と陰性試料とを区別する分断点は、95%の信頼区間で設定し、これは、試料のうちの5%が、偽陽性とスクリーニングされるであろうことを意味する。ビヒクル処置動物はいずれも、抗GCアーゼ抗体を生じていなかったが、Oxy5595処置は、1匹を除くすべての動物において、血清では5回目の用量の前、およびCSFでは9回目の用量の前に、抗体応答を誘導したことが、結果により示される。一部の動物では、抗体応答は、一過性であると見られた。免疫原性応答の強度は、動物間で変動したが、用量関連性であるとは見られず、血清およびCSFで同じ傾向であった(表3および表4)。
Figure 2022523104000018
Figure 2022523104000019
他の組換えGCアーゼ酵素(Cerezyme(登録商標)、VPRIV(登録商標)、Taliglucerase(登録商標))もまた、反復全身注射後にカニクイザルにおいて、抗体応答を誘導する。一部のゴーシェ病患者は、免疫原性応答を生じるが、それは、一般に、確立された有効性パラメーターについての、処置に対する臨床応答の低減とは関連付けられていない(Rosenberg et al. Blood 1999, vol. 93, 2081-2088、Starzyk et al. Molecular Genetics and Metabolism 2007, vol. 90, 157-163、Pastores et al. Blood Cells, Molecules and Diseases 2016, vol. 59, 37-43、Zimran et al. Orphanet J Rare Dis. 2018, vol. 13, 36)。
動物モデルにおけるADA応答による患者における応答の予測は良好ではなく、したがって、CHMPガイドラインは、「ヒトにおける免疫原性を予測することを目的とした非臨床研究は通常必要とされないが、動物モデルは、免疫応答の結果を評価することにおいて有用であり得る」と述べている。本発明者らの研究では、抗Oxy5595抗体の存在は、いかなる臨床徴候も引き起こさず、CSFまたは血漿における曝露に対しても大きな影響を有さなかった。
組織病理学
脳、脊髄、脊髄神経根、感覚神経節(後根神経節/三叉神経節)、末梢神経、視神経を有する眼、および非神経系組織を、パラフィン包埋切片ならびにヘマトキシリンおよびエオシン染色を使用して試験した。加えて、脳切片を、星状細胞およびミクログリアの反応について染色した。
in vivoでの実験手順と関連するいくつかの併発症、たとえば、壊死、小膠細胞症、および星状細胞増加症が、脳におけるカテーテルの通り道の周囲に存在する。これは、脳への直接的な送達を利用する研究においては比較的一般的であるが、必ずしも臨床試験において安全性の問題を引き起こすわけではない。
主として好酸球から構成される細胞浸潤物の用量関連の全般的な増加が、Oxy5595の両方の用量レベルで、脳、脊髄、脊髄神経根、感覚神経節(後根神経節および三叉神経節)、ならびにその周囲の組織(髄膜/神経上膜)において観察された。2週間の回復期間の後、浸潤物の全体的な重症度は、もっとも高い用量群では低減された(中等度用量の動物では回復はなかった)。肉眼的所見および微視的所見は、浸潤物が、ニューロンに対してなんらかの損傷を引き起こすことも特定の膠細胞応答を誘起することもないと見られたことを考慮すると、50mgのOxy5595が、「観察される有害作用がないレベル」と考えられるという解釈と一致した。臨床徴候または他の有害性の徴候の不在により、これらの浸潤物は、試験したもっとも高い用量であっても、試験動物によって耐容されると見られた。
結論
結論として、週1回で23回の、10mgまたは50mgのOxy5595(aCSF、pH6.6において製剤化)のおよそ40分間にわたるICV注入が、若齢カニクイザルにおいて十分に耐容された。CSFおよび血液中の好酸球の増加は、用量投与の完了後2週間以内にほぼ正常な値に戻った。好酸球増加症は、ほとんどが臨床結果を伴わずに生じる薬物関連のアレルギー反応を示し得るが、これは、ICVデバイスによっても引き起こされ得る。実際に、CSF好酸球増加症は、脳室シャントを有する患者において比較的一般的な所見である。主として好酸球から構成される細胞浸潤物の用量関連の全般的な増加が、Oxy5595の両方の用量レベルで、CNSにおいて観察されたが、ニューロンに対してなんらかの損傷を引き起こすことも特定の膠細胞応答を誘起することもないと見られた。浸潤は、2週間の回復期間中に改善された。ICV投与したOxy5595は、カニクイザルにおいて免疫原性応答を誘導したが、CSFおよび循環における薬物曝露に対する影響を有するとは見られず、なんらかの臨床徴候を引き起こすこともなかった。ICV投与したOxy5595は、マウスにおいて基質を効率的に低減することが示された量で、神経障害性ゴーシェ病に関与することが説明されている領域を含め、脳組織全体に分布した。
(実施例18)
以下により、本発明の原理によるGCアーゼ組成物および処置レジメンのある特定の実施形態を例示する。
2型ゴーシェ病を有する2歳の被験体に、左脳室に埋め込んだカテーテルによって送達される人工CSF pH6.6中に製剤化した210mgのOxyGCアーゼK321N(1時間の注入用量当たり±10mL体積)で、1週間に1回処置を行う。
2型ゴーシェ病を有する3歳の被験体に、右脳室に埋め込んだカテーテルによって送達される人工CSF pH6.6中に製剤化した210mgのOxyGCアーゼH145L/K321N(1時間の注入用量当たり±10mL体積)で、1週間に1回処置を行う。
3型ゴーシェ病を有する3歳の被験体に、右脳室に埋め込んだカテーテルによって送達される人工CSF pH6.6中に製剤化した210mgのOxyGCアーゼH145L/K321N(1時間の注入用量当たり±10mL体積)で、1週間に1回処置を行う。
3型ゴーシェ病を有する2歳の被験体に、左脳室に埋め込んだカテーテルによって送達される人工CSF pH6.6中に製剤化した210mgのOxyGCアーゼK321N(1時間の注入用量当たり±10mL体積)で、1週間に1回処置を行う。
Gba1関連のパーキンソン病を有する成人被験体に、右脳室に埋め込んだカテーテルによって送達される人工CSF pH6.6中に製剤化した250mgのOxyGCアーゼK321N(1時間の注入用量当たり±10mL体積)で、1週間に1回処置を行う。
1型ゴーシェ病を有する2歳の被験体に、ボーラス注射によって静脈内送達される、50mMクエン酸ナトリウムpH5.5中40単位/mLで製剤化した30U/kgのOxyGCアーゼK321Nで、1週間に1回処置を行う。
1型ゴーシェ病を有する3歳の被験体に、注入によって静脈内送達される、50mMクエン酸ナトリウムpH5.5中40単位/mLで製剤化した30U/kgのOxyGCアーゼH145L/K321Nで、1週間に1回処置を行う。
1型ゴーシェ病を有する2歳の被験体に、ボーラス注射によって静脈内送達される、凍結乾燥させ、50mMクエン酸ナトリウムpH5.5中40単位/mLで再構成した60U/kgのOxyGCアーゼK321Nで、1週間に2回処置を行う。
1型ゴーシェ病を有する成人被験体に、注入によって静脈内送達される、凍結乾燥させ、50mMクエン酸ナトリウムpH5.5中40単位/mLで再構成した60U/kgのOxyGCアーゼH145L/K321Nで、1週間に2回処置を行う。

Claims (15)

  1. グルコセレブロシダーゼ調製物またはグルコセレブロシダーゼを含む組成物であって、前記グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも30%が、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物。
  2. 前記グルコセレブロシダーゼによって含まれる前記グリカンのうちの少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべてが、少なくとも1つのマンノース-6-リン酸部分を含む、請求項1に記載の調製物または組成物。
  3. 前記マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくともいくつかが、2つのマンノース-6-リン酸部分を含み、たとえば、前記マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンのうちの少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、請求項1または2に記載の調製物または組成物。
  4. グルコセレブロシダーゼを含む調製物または組成物であって、前記グルコセレブロシダーゼによって含まれるグリカンのうちの少なくとも10%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、調製物または組成物。
  5. 前記グルコセレブロシダーゼによって含まれる前記グリカンのうちの少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%が、2つのマンノース-6-リン酸部分を含む、請求項4に記載の調製物または組成物。
  6. 前記グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも40%が、グリコシル化されており、前記グルコセレブロシダーゼ分子のうちの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的にすべてが、グリコシル化されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
  7. 前記グルコセレブロシダーゼが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼ、またはヒト野生型グルコセレブロシダーゼと比べて増加した安定性および/もしくは特異性を有するヒト野生型グルコセレブロシダーゼのバリアントである、請求項1から6のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
  8. 前記グルコセレブロシダーゼバリアントが、ヒト野生型グルコセレブロシダーゼとは、K321、H145、F316、およびL317からなる群より選択される1つまたは複数の位置における単一アミノ酸置換、たとえば、好ましくは、K321、またはH145、またはK321およびH145における単一アミノ酸置換、たとえば、より好ましくは、K321N置換、またはH145L置換、またはK321NおよびH145L置換によって異なる、請求項7に記載の調製物または組成物。
  9. 前記マンノース-6-リン酸部分のマンノースが、末端マンノースである、請求項1から8のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
  10. 前記マンノース-6-リン酸部分を含むグリカンが、それぞれ独立して、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、PManGlcNAc、およびPManGlcNAcを含むかまたはそれからなる群より選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
  11. 前記グルコセレブロシダーゼが、グルコセレブロシダーゼを産生するように遺伝子操作された真菌細胞、たとえば、Yarrowia lipolytica細胞によって組換え発現されたグルコセレブロシダーゼの脱キャッピングおよび脱マンノシル化によって得ることができるかまたは得られる、請求項1から10のいずれか一項に記載の調製物または組成物。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載のグルコセレブロシダーゼ調製物または組成物を含む、医薬組成物であって、必要に応じて、
    - グルコセレブロシダーゼが、人工脳脊髄液(aCFS)を用いて製剤化されるか、
    - 前記医薬組成物が、約6.4~6.9、好ましくは、約6.6のpHを有するか、または
    - 前記グルコセレブロシダーゼが、aCFSを用いて製剤化され、前記医薬組成物が、約6.4~6.9、好ましくは、約6.6のpHを有する、
    医薬組成物。
  13. 治療において使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、または請求項12に記載の医薬組成物。
  14. グルコセレブロシダーゼ欠損によって特徴付けられる疾患を処置する方法において使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載のグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物、または請求項12に記載の医薬組成物。
  15. - 前記疾患が、ゴーシェ病であるか、
    - 前記疾患が、非神経障害性ゴーシェ病であるか、
    - 前記疾患が、神経障害性ゴーシェ病であるか、
    - 前記疾患が、2型(GD2)、3型(GD3)、または周生期致死型(GDPL)の神経障害性ゴーシェ病であるか、
    - 前記疾患が、グルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーであるか、
    - 前記疾患が、パーキンソニズム、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、またはレビー小体型認知症(LBD)から選択されるグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーであるか、
    - 前記調製物もしくは組成物または医薬組成物が、全身投与されるか、
    - 前記調製物もしくは組成物または医薬組成物が、静脈内(IV)投与されるか、
    - 前記調製物もしくは組成物または医薬組成物が、中枢神経系に投与されるか、
    - 前記調製物もしくは組成物または医薬組成物が、脳室内(ICV)または髄腔内に投与されるか、
    - 前記疾患が、神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーであり、前記調製物もしくは組成物または医薬組成物が、脳室内(ICV)または髄腔内投与されるか、あるいは
    - 前記疾患が、神経障害性ゴーシェ病またはグルコセレブロシダーゼ関連アルファ-シヌクレイノパチーであり、前記調製物もしくは組成物または医薬組成物が、脳室内(ICV)投与される、
    請求項14に記載の使用のためのグルコセレブロシダーゼ調製物もしくは組成物または医薬組成物。
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