本明細書に記載される本発明の主題は、方向性凝固を使用して形成される単一結晶粒金属または金属合金部品のカラムを形成および配向させるために使用することができるマルチ結晶粒セレクタ装置に関する。さらに、本発明の主題は、そのようなマルチ結晶粒セレクタ装置を使用する方向性凝固鋳造プロセス、ならびに本明細書に記載のマルチ結晶粒セレクタ装置および/または鋳造プロセスを使用して形成された柱状結晶粒物品または物体に関する。
マルチ結晶粒セレクタ装置を使用して、金属(または、金属合金)の結晶粒が隣接する(例えば、隣り合う)結晶粒に対して小さい角度で配向したマルチ結晶粒柱状構造物または物品を形成することができる。例えば、構造物の隣り合う結晶粒または隣接する結晶粒は、互いにほぼ平行である異なる方向に沿って細長くてよい。さまざまな実施形態において、これらの結晶粒の配向の差は、15度未満、10度未満、または5度未満であってよい。また、柱状物品は、物品を形成する結晶粒の間に位置する粒界間の角度が小さくてよい。粒界間の小さい角度は、より大きい角度と比べ、小さい角度(例えば、15度未満、10度未満、または5度未満)の粒界におけるより小さいエネルギが、物品の方向性凝固の際に結晶粒がどの程度大きく成長するかを低減することができるという点で、物品における結晶粒の粗大化の低減に役立つことができる。
本明細書に記載のマルチ結晶粒セレクタ装置を、付加製造を使用して形成することができる。あるいは、セレクタ装置を、鋳造などの別のやり方で形成することができる。マルチ結晶粒セレクタ装置は、マルチ結晶粒セレクタのアレイを有する構造物であってよい。各々のセレクタは、1つ以上の単結晶シードが核生成し、単結晶の結晶粒のみがセレクタの成長開口部から成長する制限されたチャネルまたは体積であってよい。セレクタ装置内のセレクタは、結晶粒を隣接する結晶粒に対して小さい角度で配向させたマルチ結晶粒方向性凝固物品を生成するように配向される。これは、マルチ結晶粒または多結晶物品に単結晶物品の機械的特性と同様の機械的特性を持たせることができるが、方向性凝固構造のより高速かつロバストな処理の利点も有する。結晶粒は配向がわずかに異なるだけであるため、おそらくは(結晶粒の配向間の角度がより大きい場合と比べて)粒界がより低いエネルギの境界となる可能性が高く、したがって(結晶粒の配向間の角度がより大きい場合と比べて)物品の長さ全体にわたって結晶粒の粗大化により抵抗することができる。
本明細書に記載のマルチ結晶粒セレクタ装置を使用して形成することができる物品または構造物の一例は、タービンブレードまたは翼形である。あるいは、1つ以上の他の部品を形成することができる。
一実施形態において、マルチ結晶粒セレクタ装置は、表面に対する結晶粒の配向に曲率を生成するように成形される。例えば、翼形などの湾曲した部品の場合、セレクタ装置によって生成される柱状結晶粒の数および配向のずれを、物品の剛性方向が(例えば、翼形における流路からの)荷重の方向の外面に対して垂直になるように配向させることができる。別の実施形態においては、シードの配向を使用して、固有振動数などの空気力学を改善するためにブレードを減衰させ、もしくは他の方法で調整し、あるいは空気力学的減衰を促進することができる。
図1が、方向性凝固鋳造システム101の一例を概略的に示している。システム101を、翼形などのマルチ結晶粒柱状物品を生成するために使用することができる。システム101は、液体の(例えば、溶融させた)金属または金属合金が充てんされる内部容積を定める金型102を含む。結晶粒セレクタ装置104(図1の「結晶粒セレクタ」)が、金型102の内部に流体連通し、この結果、液体の金属または金属合金の少なくとも一部がセレクタ装置104内の結晶粒セレクタへと流入する。セレクタ装置104を、冷却プレート106に接触するように配置することができ、冷却プレート106は、冷却プレート106の付近の金属または金属合金の温度を低下させる。別の実施形態においては、セレクタ装置104を、結晶粒セレクタ104と冷却プレートとの間にチャンバを有するように配置することができる。このチャンバは、溶融金属によって満たされ、その後に金属はセレクタ装置104へと進入する。チャンバは、結晶粒セレクタ104と冷却プレートとの間に熱伝導経路をもたらし、結晶粒がセレクタ装置104に進入する前に金属結晶粒が所望の配向または指定の配向(例えば、<100>の垂直方向)を発現することを可能にする。本明細書において使用されるとき、括弧[および]あるいは<および>は、これらの括弧によって囲まれた3桁の数字と併せて、結晶の結晶粒の配向の方向を表す。これらの括弧に囲まれていない他の参照番号は、結晶の結晶粒の配向を表すものではない。例えば、図1の参照番号101が鋳造システムを表す一方で、番号[101]または<101>は結晶方向を表す。
セレクタ装置104は、ジグザグ形状のセレクタ114(後述)の平面内で<010>方向に配向された金属または金属合金内の結晶の結晶粒の優先的成長を引き起こす小さなチャネルまたは開口部から形成されたいくつかの結晶粒セレクタ114を含む。単結晶の結晶粒108、109は、形成を開始し、各々の結晶粒セレクタ114から主に成長方向<100>に沿って成長することができる。以下で説明されるように、図1においては、結晶粒108、109の配向のわずかな違いをより明瞭に示すために、2つの結晶粒108、109のみが概略的に示されている。単結晶の結晶粒108、109は、二次方向に回転または他の方法で成長することができるが、主に成長方向<100>に沿って成長する。すなわち、結晶粒108、109は、成長方向<100>に近い方向(例えば、成長方向<100>の15度以内)に成長することができる。単結晶の結晶粒108、109は、すべてが完全に成長方向<100>に沿って配向している必要はなく、成長方向<100>に対してわずかにずれていてもよい。例えば、結晶粒108、109は、わずかに異なる方向に沿って成長してもよい。
隣接する結晶粒108、109は、互いに対してずれ角度112に向けられた方向に沿って成長することができる。このずれ角度112は、隣接する結晶粒108、109の成長の方向から15度未満、10度未満、または5度未満など、小さくてよい。ずれ角度112は、第1の結晶粒108が成長する第1の方向と、隣接する第2の結晶粒109が成長する第2の方向との間の角度として、図1に示されている。図1における破線は、結晶粒109が成長する第2の方向に平行である。結晶粒108、109が互いにきわめて近い方向に沿って成長するため、結晶粒108、109間の境界のエネルギを低減し、結晶粒108、109の粗大化を軽減することができる。結晶粒108、109は、主に成長方向<100>に沿って成長し続け、金型102の内側の形状の柱状結晶粒物品を形成する。
図2が、結晶粒セレクタ装置204の一実施形態の斜視図を示している。図3が、図2に示した線3-3に沿った結晶粒セレクタ装置204の断面図を示している。セレクタ装置204は、図1に示したセレクタ装置104を代表することができる。セレクタ装置204は、セレクタ装置204の外面206、208、210、212、214、216を定める外側本体200を含む。外面206を、セレクタ装置204の動作時に図1に示した冷却プレート106に面し、あるいは係合する冷却側と呼ぶことができる。反対側の面208を、この面208が金型102の内部に面する側であり、こちら側から単一結晶粒108、109が成長するがゆえに、金型側または成長側と呼ぶことができる。反対向きの面210、212および反対向きの面214、216は、セレクタ装置204の側壁を形成し、冷却側206から金型側208まで延びている。図示の実施形態において、面206、208は互いに平行であり、面210、212は互いに平行であり、面214、216は互いに平行である。
本体200は、結晶粒セレクタカラム218のアレイ202を含む。カラム218は、金型側208から本体200内へと延びる通路またはチャネルである。例えば、カラム218は、表面208に開口端または成長開口部224を有するチャネルであってよい。セレクタ装置204によって形成される結晶粒108、109は、成長開口部224から成長する。例えば、流動性の金属または金属合金は、カラム218の底部へと冷却プレート106またはその付近まで延びる。冷却プレート106が、金属または金属合金を冷却し、結晶粒がカラム218を通って上方へと成長し始める。カラム218は、結晶粒がカラム218を通って上方に単結晶の結晶粒として成長することを強いられるように狭い。例えば、図示の実施形態において、各カラム218は、カラム218によって定められるチャネルがカラム218の幅よりも長いという点で、細長いカラムである。カラム218は、カラム218が金型側208に平行な二次元平面内のどの方向に延びるよりも、金型側208から本体200内へとさらに遠く延びてよい。あるいは、カラム218は、より広くても、さらには/あるいはより短くてもよい。
カラム218の各々は、斜めに配向された細長いチャネル300、302(図3に示す)から形成される。カラム218を形成するチャネル300、302は、端部同士の配置にて互いに流体連通する。例えば、各々のチャネル300または302は、一方の端部が別のチャネル302または300の端部へと延びている(または、金型側208まで延びるチャネル300、302に関しては、本体200から延出する)細長い直線導管であってよい。チャネル300、302は、互いに対して角度をなす異なる方向に沿って細長い。例えば、チャネル300、302は、互いに対して90度の角度304(図3に示す)に配向させることができる。あるいは、チャネル300、302を、互いに対してより小さい角度に配向させることができる。チャネル300、302を、45度以下、30度以下、15度以下、10度以下、または5度以下の角度に配向させることができる。
チャネル300、302によって形成されたカラム218は、成長方向<100>に平行な方向に細長い。例えば、各々のカラム218は、冷却側206の付近または冷却側206で始まり、成長方向<100>に沿った方向または成長方向<100>に平行な方向に金型側208まで延びる。
図示のように、チャネル300、302は、カラム218の各々においてジグザグ形状を形成する。ジグザグ形状は、各々のカラム218内の隣接するチャネル300、302が異なる角度に配向されることによって形成される。例えば、カラム218内で互いに直接接触しており、その他の介在のチャネルによって互いに隔てられていないチャネル300、302は、異なる方向に細長くてよい。1つのチャネル300または302を、成長方向<100>から離れる(または、成長方向<100>に向かう)第1の角度に配向させることができる一方で、隣接するチャネル302または300を、成長方向<100>に向かう(または、成長方向<100>から離れる)第2の角度に配向させることができ、第2の角度は、第1の角度と同じ大きさであるが、反対の符号を有する。例えば、チャネル300の成長方向<100>に対する配向の角度である第1の角度が30度である場合、隣接するチャネル302の成長方向<100>に対する配向の角度である第2の角度は、負の30度である。図3に示されるように、同じカラム218内の隣接するチャネル300、302の交互の行ったり来たりの配向は、ジグザグ形状を形成する。カラム218のジグザグ形状は、互いに平行であってよい。例えば、図示の実施形態において、カラム218の各チャネル300は他方のカラム218のチャネル300と平行であり、カラム218の各チャネル302は他方のカラム218のチャネル302と平行である。あるいは、チャネル300または302ならびに/あるいはカラム218のうちの1つ以上が、他方のカラム218の対応するチャネル300または302と平行でなくてもよく、カラム218のうちの2つ以上は互いに平行ではない。
各々のカラム218は、成長方向<100>に沿って成長する単結晶の金属または金属合金の結晶粒のカラムを形成するように形作られる。カラム218のアレイ202は、これらの単一結晶粒カラムのアレイを形成する。アレイ内の単一結晶粒カラムは、上述したように、互いに小さい角度である方向に沿って互いに並んで成長する。単一結晶粒カラムの組み合わせは、金型102の形状の柱状結晶粒物品を形成する。
カラム218によって形成されたジグザグ形状を、各カラム218が同じ配向の結晶粒を成長させるように、同じ方向に配向させ、あるいは同じ方向に沿って配向させることができる。例えば、Rene 108などのニッケル基超合金の方向性凝固鋳造において、各カラム218から成長する単結晶の結晶粒の一次配向は、成長または引き出し方向<100>(例えば、温度勾配の方向)において(100)であり得る。単結晶の結晶粒の二次配向は、各々のジグザグカラム218を含む平面内で(010)であり得る。各々のジグザグカラム218が同じ方向に配向されていると、得られる柱状結晶粒物品の微細構造は、同様の一次および二次配向にて配向された結晶粒を含み、あるいはそのような結晶粒から形成される。
図示のように、アレイ202内のカラム218の成長開口部224は、本体200の金型側208に規則的な反復パターンにて配置されている。例えば、成長開口部224を、成長開口部224の配置が六角形201(六角形パターンと呼ばれる)を形成するように、互いに対して間隔を空けつつ配置することができる。例えば、開口部224の中心を結ぶ線が、図2に示されるように、六角形201を形成することができる。別の例として、成長開口部224を、成長開口部224の配置が正方形(正方形パターンと呼ばれる)を形成するように、互いに対して間隔を空けつつ配置することができる。別の例として、成長開口部224を、成長開口部224の配置が長方形(正方形パターンと呼ばれる)を形成するように、互いに対して間隔を空けつつ配置することができる。随意により、成長開口部224を、別の配置に位置させることも可能である。
図示の実施形態において、本体200は、3組の平行な面または反対向きの面206、208;210、212;および214、216を有するボックスまたはエンクロージャを形成する直交する表面または面206、208、210、212、214、216から形成される。表面または面206、208、210、212、214、216の各々は、主に平面または平坦であってよい。例えば、表面206は、表面206と表面210、212、214、216の各々との間の界面によって境界付けられる場所において平面であってよく、表面210は、表面210と表面206、208、214、216の各々との間の界面によって境界付けられる場所において平面であってよく、以下同様である。あるいは、これらの表面206、208、210、212、214、および/または216のうちの1つ以上が、他方の表面206、208、210、212、214、216と直交しなくてもよい。例えば、表面206、208、210、212、214、216のうちの1つ以上が、別の表面206、208、210、212、214、216に平行でなくてもよく、さらには/あるいは他方の表面206、208、210、212、214、216に垂直でなくてもよい。随意により、表面206、208、210、212、214、216のうちの1つ以上が、曲面または他の非平面の表面であってもよい。
図4~図10、図12~図25、および図33~図43が、図1に示したマルチ結晶粒セレクタ装置104のさらなる実施形態を示している。セレクタ装置104のこれらのさらなる実施形態は、セレクタ装置104の本体内のインターロック機構を含むことができる。インターロック機構は、他のセレクタ装置104上の対応し、相補的であり、さらには/あるいは対をなすインターロック機構と係合する。2つ以上のセレクタ装置104間の係合は、2つ以上のセレクタ装置104から形成されるマルチ結晶粒セレクタアセンブリを形成する。セレクタアセンブリは、単一結晶粒セレクタが提供するよりも大きい結晶粒セレクタ114のアレイを提供することができる。
図4は、マルチ結晶粒セレクタ装置404の斜視図を示している。図5は、支持柱434が取り除かれた後の図4に示した複数のセレクタ装置404から形成されたマルチ結晶粒セレクタアセンブリ500の斜視図を示している。例えば、セレクタ装置404の形成が完了した後に、支持柱434をセレクタ装置404から切断し、あるいは他の方法で取り除くことができる。セレクタ装置404は、図1に示したセレクタ装置104を代表することができる。単一のセレクタ装置404を金型102と共に使用して、マルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができ、あるいはセレクタアセンブリ500を金型102と共に使用して、より大きなマルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができる。例えば、図1に示したセレクタ装置104の代わりに、複数のセレクタ装置404から形成されたより大きなセレクタアセンブリ500を使用することができる。
セレクタ装置404は、セレクタ装置404の外面406、408、410、412、414、416、418、420、422、424、426、428を定める外側本体400を含む。外面406は、上述の冷却側であってよく、反対側の面408は、上述の金型側または成長側であってよい。表面426、428は、本体400の反対向きの端面であってよく、互いに平行に配向されてよい。残りの表面410、412、414、416、418、420、422、424は、表面406、408の間に位置して表面406、408を互いに相互接続し、表面426、428の間に位置して表面426、428を互いに相互接続する。図示の実施形態において、表面410、412、414、416、418、420、422、424の各々は、端面426から反対側の端面428まで平坦な平面または表面として連続的に延びる。随意により、表面406、408の間および/または表面426、428の間に位置する表面408、410、412、414、416、418、420、422、424の数は、より多くても、より少なくてもよい。
図示の実施形態において、表面406、408は互いに平行であり、表面426、428は互いに平行である。表面416、424は、互いに平行であってよく、表面412、420は、互いに平行であってよく、表面414、422は、互いに平行であってよく、さらには/あるいは表面410、418は、互いに平行であってよい。随意により、これらの表面のうちの1つ以上は、上述の他方の表面と平行でなくてもよい。
表面410、412、414、416、418、420、422、424は、表面406、408、表面426、428、および/または互いに対してさまざまな角度で斜めに配向される。例えば、表面410、412は、表面406に対して鋭角または鈍角で配向されてよく、さらには/あるいは表面422、424は、表面408に対して同じまたは異なる鋭角または鈍角で配向されてよい。表面414は、表面410に対して90度の角度(または、他の角度)に配向されてよく、表面416は、表面412に対して90度の角度(または、他の角度)に配向されてよい。表面418、420を、図4に示されるように、対応する表面414、416に対して90度の角度(または、他の角度)に配向させることができる。表面422、424を、図4に示されるように、対応する表面418、420に対して90度の角度(または、他の角度)に配向させることができ、表面408に対して鋭角または鈍角に配向させることができる。表面410、412、414、416、418、420、422、424の配置は、本体400の両側にジグザグ形状を形成する。
本体400は、上述した結晶粒セレクタカラム218(図2に示す)のアレイ202を含む。セレクタ装置404によって形成される結晶粒108、109(図1に示す)は、セレクタカラム218の成長開口部224から成長する。カラム218のチャネル300、302は、やはり上述したように、ジグザグ形状を形成することができる。あるいは、カラム218は、より少数のチャネル300、302を有することができ、さらには/あるいは異なる形状を有することができる(例えば、直線状であってよく、あるいは一方向に傾斜していてもよい)。
表面410、412、414、416、418、420、422、424は、第1の方向(例えば、成長方向<100>)に沿って表面406、408の間に配置され、垂直な第2の方向(例えば、成長方向<100>に対して横方向)に沿って表面426、428の間に配置される。図示の実施形態において、セレクタ装置404は、表面416、420の間に延在して表面416、420に結合した支持柱434を含む。支持柱434は、表面416、420が互いに接近し、あるいは他の方法で変形することを防止するための機械的支持を提供する。例えば、支持柱434は、表面406および/または408によって定められる平面に対して垂直な方向に細長い、細長い物体、部材、または表面416、420の延長部であってよい。あるいは、セレクタ装置404は、支持柱434を含まなくてもよい。
これらの表面410、412、414、416、418、420、422、424がセレクタ装置404と対をなし、セレクタ装置404を他のセレクタ装置404にロックするがゆえに、これらの表面410、412、414、416、418、420、422、424を係合面またはインターロック表面と呼ぶことができる。図5に示されるように、表面410、412、414、416、418、420、422、424を、別のセレクタ装置404の対応する表面410、412、414、416、418、420、422、424と噛み合ってセレクタアセンブリ500を形成するような形状および/またはサイズとすることができる。
表面412、416の交線および表面414、418の交線は、セレクタ装置404の突出エルボ430(例えば、エルボ430A~C)を形成する。反対に、表面410、414の交線および表面416、420の交線は、セレクタ装置404の凹状谷部432(例えば、谷部432A~C)を形成する。図示の実施形態において、図4の斜視図におけるセレクタ装置404の最も左側は、ただ1つのエルボ430Aおよび2つの谷部432B、432Cを含み、セレクタ装置404の最も右側は、2つのエルボ430B、430Cおよびただ1つの谷部432Aを含む。あるいは、セレクタ装置404のこれらの側面のうちの1つ以上は、より少数またはより多数のエルボ430および/または谷部432を含むことができる。
セレクタ装置404のエルボ430および谷部432は、互いに対をなしてセレクタ装置404を互いに固定する。1つのセレクタ装置404のエルボ430が、図5に示されるように、このセレクタ装置404の両側の他のセレクタ装置404の谷部432に嵌まり込んで受け入れられるように形作られる。例えば、第1のセレクタ装置404Aのエルボ430Aが、第2のセレクタ装置404Bの谷部432Aに嵌まり込んで対をなすような形状および配置を有し、第1のセレクタ装置404Aのエルボ430Bが、第3のセレクタ装置404Cの谷部432Bに嵌まり込んで対をなすような形状および配置を有し、第1のセレクタ装置404Aのエルボ430Cが、第3のセレクタ装置404Cの谷部432Cに嵌まり込んで対をなすような形状および配置を有する。同様に、第1のセレクタ装置404Aの谷部432Aが、第3のセレクタ装置404Cのエルボ430Aを受け入れて対をなすような形状および配置を有し、第1のセレクタ装置404Aの谷部432Bが、第2のセレクタ装置404Bのエルボ430Bを受け入れて対をなすような形状および配置を有し、第1のセレクタ装置404Aの谷部432Cは、第2のセレクタ装置404Bのエルボ430Cを受け入れて対をなすような形状および配置を有する。あるいは、セレクタ装置404は、ピンおよび穴、タブおよびスロット、などの他のインターロック機構を有してもよい。
エルボ430の谷部432との結合は、セレクタ装置404をより大きなセレクタアセンブリ500へと噛み合わせ、セレクタ装置404が互いに分離することを防止する役に立つことができる。これは、異なるセレクタ装置404内の成長開口部のアレイを互いに整列した状態に保つ役に立つこともできる。例えば、アセンブリ500内の或るセレクタ装置404内の或るアレイ202内の成長開口部224のライン、行、または列が、同じアセンブリ500内の別のセレクタ装置404の別のアレイ202内の成長開口部224のライン、行、または列に直線的に整列させられる。
アセンブリ500は、単一のセレクタ装置404と比べ、さらには/あるいはアセンブリ500内に存在するよりも少数のセレクタ装置404のグループと比べて、全体としてより大きな成長開口部224のアレイを提供する。アセンブリ500のサイズを、より多くのセレクタ装置404を追加することによって大きくすることができ、あるいは1つ以上のセレクタ装置404を取り除くことによって小さくすることができる。セレクタ装置404を、三次元印刷によって付加的に製造することができる。しかしながら、セレクタ装置404の付加製造に要する時間、および/または付加製造によって製造できるセレクタ装置404のサイズには、限界が存在し得る。例えば、より大きなセレクタ装置404の付加製造は、時間がかかりすぎる可能性があり、さらには/あるいはセレクタ装置404の付加製造に使用される印刷システムは、印刷できるセレクタ装置404の大きさについて制約がある可能性がある。したがって、成長開口部224のアレイ202のサイズが、柱状結晶粒構造物(例えば、タービンブレードまたは翼形)の生成に必要なサイズよりも小さいサイズに制限される可能性がある。セレクタ装置404のインターロック機構は、セレクタ装置404を組み合わせて、成長開口部224のより大きなアレイ502をもたらすことができるより大きなアセンブリ500とすることを可能にする。より大きなアレイ502を使用して、単一のセレクタ装置404の個々のより小さなアレイ202と比べて、より大きな柱状結晶粒構造物を生成することができる。
図4および図5に示されるように、セレクタ装置404は、一方の表面426から反対側の表面428まで延びる一直線または直線状のエッジ436を含む。これらのエッジ436は、エルボ430の最も外側の交線および谷部432の最も内側の交線に位置する。2つ以上のセレクタ装置404の間のエルボ430と谷部432との結合が、1つのセレクタ装置404が別のセレクタ装置404に対して成長方向<100>または成長方向<100>の反対方向に移動することを防止できる一方で、エルボ430と谷部432との結合は、必ずしもセレクタ装置404が互いに対して垂直方向に移動することを防止しなくてもよい。例えば、一つのセレクタ装置404が、別のセレクタ装置404に対して、一方の表面426から反対側の表面428へと向かう横方向438に移動可能であってよい。随意により、セレクタ装置404は、セレクタ装置404間のこの種の移動の防止に役立つように、直線状のエッジ436を含まなくてもよい。
図6は、マルチ結晶粒セレクタ装置604の別の実施形態の斜視図を示している。図7は、図6に示した複数のセレクタ装置604から形成されたマルチ結晶粒セレクタアセンブリ700の斜視図を示している。図6および図7に示したセレクタ装置604は、図5に示したアセンブリ500内のセレクタ装置404と比べ、異なるセレクタ装置604間の成長開口部224のアレイ202間の空間ギャップが少なくなっているがゆえに、デッドスペースなしセレクタ装置と呼ぶことができる。
セレクタ装置604は、図1に示したセレクタ装置104を代表することができる。単一のセレクタ装置604を金型102と共に使用して、マルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができ、あるいはセレクタアセンブリ700を金型102と共に使用して、より大きなマルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができる。例えば、図1に示したセレクタ装置104の代わりに、複数のセレクタ装置604から形成されたより大きなセレクタアセンブリ700を使用することができる。
セレクタ装置604は、セレクタ装置604が面または表面406、408と同様の冷却面606および反対側の金型面608を有する外側本体600を含むという点で、セレクタ装置404と同様である。さらに、外側本体600は、表面426、428と同様の端面626および反対側の端面628を含む。さらに、セレクタ装置604は、セレクタ装置404の表面410、412、414、416、418、420、422、424に対応し、これらの表面と同様である面610、612、614、616、618、620、622、624を含む。さらに、セレクタ装置604は、エルボ430と同様のエルボ630と、谷部432と同様の対をなす谷部632とを含む。
セレクタ装置404とセレクタ装置604との間の1つの違いは、一方の表面626から反対側の表面628まで延び、かつ表面626から表面628まで平坦または平面状である表面が、存在しないことである。図6に示されるように、面610、612、614、616、618、620、622、624は、いくつかの表面から形成され、したがって、それぞれの面610、612、614、616、618、620、622、624は、表面626から表面628までの単一の連続的に平坦な表面ではない。代わりに、各々の面610、612、614、616、618、620、622、624は、ギャップ642によって互いに離された表面640から形成される。表面640は、外側へと向かう表面646によって凹部表面644に接続されている。表面640、644は、互いに平行であってよい一方で、表面640、644は、表面646に対して垂直であってよい。あるいは、表面640、644、646のうちの2つ以上が、互いに他の角度に配向されてもよい。
表面640、644、646は、別のセレクタ装置604のギザギザの面または段部のある面610、612、614、616、618、620、622、624と係合でき、あるいは噛み合うことができるギザギザの面または段部のある面610、612、614、616、618、620、622、624を形成する。これらの表面640、644、646は、細長い突出した矩形のバーおよび細長い矩形の凹部を形成している。図7に示されるように、一方のセレクタ装置604の突出したバーを、別のセレクタ装置604の対応する細長い凹部に受け入れることができる。例えば、表面640、644、646によって形成された突出したバーおよび凹部は、一方のセレクタ装置604のバーが別のセレクタ装置604の凹部に、セレクタ装置604間に空間的なギャップをほとんど、または全く存在させずに受け入れられるように、相補的な形状を有することができる。ギザギザの面または段部のある面610、612、614、616、618、620、622、624は、途切れたエッジまたは不連続なエッジ636を形成する。例えば、エッジ636の一部分(例えば、1つの段部の表面646の間を延びている部分)は直線状であってよいが、一方の表面626から反対側の表面628までのエッジ636の全体は、一方の表面626から反対側の表面628まで連続してはおらず、ギャップ642によって中断され、あるいは途切れている。
これにより、異なるセレクタ装置604の成長開口部218の間のデッドスペースを大幅に減らすことができる。例えば、図5に示したように、セレクタ装置404は、セレクタ装置404の界面または対をなす面に、平坦または平面状の表面410、412、414、416、418、420、422、424を有する。平面状の表面410、412、414、416、418、420、422、424は、成長開口部224間の規則的または反復的な横方向の間隔を中断させる可能性がある。単一のセレクタ装置404のアレイ202内の成長開口部224は、横方向の間隔が、横方向504に沿って互いに同じ距離であり得る。しかしながら、或るセレクタ装置404内のアレイ202の一方側に沿った成長開口部224から、対をなすセレクタ装置404内のアレイ202の一方側に沿った最も近い成長開口部224までの横方向504に沿った距離は、或るセレクタ装置604内のアレイ202の一方側に沿った成長開口部224から、対をなすセレクタ装置604内のアレイ202の一方側に沿った最も近い成長開口部224までの横方向504に沿った距離よりも、長くなる。これにより、対をなすセレクタ装置604間に成長開口部224が位置しないデッドスペースを、排除または低減することができる。これにより、対をなすセレクタ装置604において成長開口部224間の横方向504に沿った間隔を一定のままにすることも可能になるが、図5と図7との比較において示されるように、対をなすセレクタ装置404においては、成長開口部224間の横方向504に沿った間隔が一定でない。
さらに、図7に示されるように、セレクタ装置604のエルボ630および谷部632を互いに噛み合わせて、セレクタ装置404およびアセンブリ500に関連して上述したのと同様に、より大きなアセンブリ700を形成することができる。セレクタ装置604は、随意により、図4に示した柱434と同様の支持柱を含むことができる。
図8は、マルチ結晶粒セレクタ装置804の別の実施形態の斜視図を示している。図9は、図8に示したセレクタ装置804の上面図を示している。セレクタ装置804を、図4および図6に示したセレクタ装置404、604に対するセレクタ装置804の湾曲した形状ゆえに、湾曲セレクタ装置804と呼ぶことができる。
セレクタ装置804は、セレクタ装置804が面または表面406、408と同様の冷却面806および反対側の金型面808を有する外側本体800を含むという点で、セレクタ装置404と同様である。外側本体800は、上述した端面426、428をさらに含む。セレクタ装置804は、セレクタ装置404の表面410、412、414、416、418、420、422、424に対応し、これらの表面と同様である曲面810、812、814、816、818、820、822、824を含む。さらに、セレクタ装置804は、エルボ430と同様のエルボ830と、谷部432と同様の対をなす谷部832とを含む。セレクタ装置804は、随意により、柱434と同様の支持柱834を含むことができる。
セレクタ装置404とセレクタ装置804との間の1つの相違点は、表面806、808、810、812、814、816、818、820、822、824の湾曲した形状である。セレクタ装置404の表面406、408、410、412、414、416、418、420、422、424は、平面状(または、平坦)であり、湾曲していないが、表面806、808、810、812、814、816、818、820、822、824は、1つ以上の曲率半径を有する。図8に示されるように、互いに交わる表面806、808、810、812、814、816、818、820、822、824が、本体800内の成長開口部224のアレイ202の両側に非直線の(例えば、湾曲した)エッジ836を形成する。
複数のセレクタ装置804のエルボ830および谷部832を互いに噛み合わせて、セレクタ装置404、604およびアセンブリ500、700に関連して上述したのと同様に、より大きな湾曲したマルチ結晶粒セレクタアセンブリを形成することができる。湾曲セレクタ装置804および/または湾曲アセンブリを使用して、湾曲した形状を有するマルチ結晶粒柱状物品を形成することができる。例えば、セレクタ装置804は、セレクタ装置804のチャネル218内で成長した結晶粒を、湾曲した翼形の形状の少なくとも一部分へと配向させることができる。これは、形成された結晶粒の剛性をタービンブレードの形状に整列させるという利点を提供することができる。
図10は、マルチ結晶粒セレクタ装置1004の別の実施形態の斜視図を示している。図11は、図10に示したマルチ結晶粒セレクタ装置1004の結晶粒セレクタカラム1124のアレイ1002の斜視図を示している。図12は、図10に示した複数のセレクタ装置1004から形成されたマルチ結晶粒セレクタアセンブリ1200の斜視図を示している。図10および図12に示したセレクタ装置1004を、セレクタ装置1004内の成長カラム1124のらせん形状ゆえに、らせんセレクタ装置と呼ぶことができる。
セレクタ装置1004は、図1に示したセレクタ装置104を代表することができる。単一のセレクタ装置1004を金型102と共に使用して、マルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができ、あるいはセレクタアセンブリ1200を金型102と共に使用して、より大きなマルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができる。例えば、図1に示したセレクタ装置104の代わりに、複数のセレクタ装置1004から形成されたより大きなセレクタアセンブリ1200を使用することができる。
セレクタ装置1004は、セレクタ装置1004が面または表面406、408と同様の冷却面1006および反対側の金型面1008を有する外側本体1000を含むという点で、セレクタ装置404と同様である。セレクタ装置404とは対照的に、セレクタ装置1004の本体1000は、湾曲した端面1026および反対側の湾曲した表面1028を含む。湾曲した端面1026は、リッジ1052において交わり、リッジ1052によって分離される2つの凹状湾曲部分1048、1050を有することができる。各々の湾曲した端面1028は、谷部1058において交わり、谷部1058によって分離される2つの凸状湾曲部分1054、1056を有することができる。凹状湾曲部分1048、1050と凸状湾曲部分1054、1056とが、相補的な形状を有することができる。例えば、凸状湾曲部分1054、1056は、凸状湾曲部分1054、1056が(例えば、別のセレクタ装置1004の)凹状湾曲部分1048、1050に嵌まり込んで対をなすように、凹状湾曲部分1048、1050と同一または類似(例えば、5%以内)の曲率半径を有することができる。
さらに、セレクタ装置1004の本体1000は、本体1000の両側に湾曲した側面1010、1012を有する。図示の実施形態において、側面1010、1012の各々は、端面1026から反対側の端面1028まで延び、端面1026、1028の各々は、側面1010から反対側の側面1012まで延びる。湾曲した側面1012は、リッジ1052において交わり、リッジ1052によって分離される2つの凹状湾曲部分1060、1062を有することができる。各々の湾曲した側面1010は、谷部1058において交わり、谷部1058によって分離される2つの凸状湾曲部分1066、1068を有することができる。凹状湾曲部分1060、1062と凸状湾曲部分1066、1068とが、相補的な形状を有することができる。例えば、凸状湾曲部分1066、1068は、凸状湾曲部分1066、1068が(例えば、別のセレクタ装置1004の)凹状湾曲部分1060、1062に嵌まり込んで対をなすように、凹状湾曲部分1060、1062と同一または類似(例えば、5%以内)の曲率半径を有することができる。随意により、側面1010、1012および/または端面1026、1028のうちの1つ以上が、上述の支持柱434と同様の支持柱1034を含むことができる。
さらに、セレクタ装置1004は、成長チャネル1018および対応する成長開口部1024のアレイ1002を含む。図2に示した成長チャネル218と同様に、金属または金属合金の単結晶の結晶粒を、各々の成長チャネル1018内で成長させ、対応する成長開口部1024を通ってセレクタ装置1004の外へと成長させることができる。セレクタ装置1004と本明細書に記載の他方のセレクタ装置との間の1つの違いは、成長チャネル218、1018の形状である。成長チャネル218は、上述のように、ジグザグまたは直線状の形状を有することができる。成長チャネル1018は、図11に示されるように、らせん形状を有する。成長チャネル1018の各々が、上述したように、結晶粒が成長する成長方向<100>に平行な異なる軸または方向の周りにらせん状に巻き付くことができる。
セレクタ装置1004の側面1010、1012は、図12に示されるように、他のセレクタ装置1004の対応する側面1012、1010と噛み合って、より大きなアセンブリ1200を形成することができる。随意により、セレクタ装置1004の端面1026、1028は、他のセレクタ装置1004の対応する端面1028、1026と噛み合わせて、より大きなマルチ結晶粒セレクタアセンブリを形成することができる。セレクタ装置1004の側面1010、1012を互いに噛み合わせることにより、一方向に沿ったマルチ結晶粒セレクタアセンブリ1200のサイズが大きくなる一方で、セレクタ装置1004の端面1026、1026を互いに噛み合わせることにより、横(例えば、垂直)方向に沿ったマルチ結晶粒セレクタアセンブリのサイズが大きくなる。
本明細書に示され、さらには/あるいは説明されるセレクタ装置およびアセンブリの幾何学的形状は、本発明の主題のいくつかの例として提示されているにすぎない。装置およびアセンブリの寸法(例えば、成長カラムの配列、サイズ、間隔、角度、および数)を、マルチ結晶粒柱状物品を形成するための処理条件に基づいて調整することができる。例えば、セレクタ装置および/またはアセンブリの有効性を、成長開口部の間隔を一次デンドライトアーム間隔(冷却条件に依存し得る)よりも小さくなるように縮小することによって改善することができる。各々のカラムの成長開口部を、隣接する結晶粒の間の滑らかな移行を可能にするために金型表面に対して傾けることができる。
本明細書に記載のセレクタ装置を、アルミナ、シリカ、ムライト、または他の材料などの高温セラミックで構成することができる。セレクタ装置を、直接セラミック付加スラリープロセスまたは他の付加製造プロセスを使用して製造することができる。これらのセラミックスラリープロセスは、設計の微細スケールバージョン(例えば、幅が0.5ミリメートル程度の成長開口部および/または成長カラムの幅を有するための)に必要な空間分解能および表面仕上げを有することができる。セレクタ装置を、生のセラミックを焼成してセレクタアセンブリを形成する前に、互いに噛み合わせることができる。より大きな寸法の場合、バインダジェットなどの他の直接セラミックプロセスを使用することができる。あるいは、ポリマー付加プロセスを使用して、セレクタ装置および/またはアセンブリを製造することができる。例えば、ポリマー付加プロセスを使用して、セラミックスラリーの充てんおよび焼成後にセレクタ装置またはアセンブリの形状を形成するポリマーダイを生成することができる。随意により、セレクタ装置および/またはアセンブリを、セラミック触媒コンバータ基材の製造に使用されるスラリーダイ押出プロセスなどのセラミックプロセスを変更することによって生成することができる。例えば、真っ直ぐな貫通孔構造を押し出す代わりに、押し出されたセラミックを規則的な間隔でオフセットさせて、成長カラムの傾斜した貫通孔構造を生成することができる。
図13は、マルチ結晶粒セレクタ装置1304の斜視図を示している。図14は、図13に示したセレクタ装置1304の上面図を示している。図15は、図14に示した線15-15に沿ったセレクタ装置1304の断面図を示している。セレクタ装置1304は、図1に示したセレクタ装置104を代表することができる。単一のセレクタ装置1304を金型102と共に使用して、マルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができ、あるいは、互いに隣接して配置されたいくつかのセレクタ装置1304から形成されたより大型のセレクタアセンブリを金型102と共に使用して、より大きなマルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができる。例えば、図1に示したセレクタ装置104の代わりに、複数のセレクタ装置1304から形成されたそのようなより大型のセレクタアセンブリを使用することができる。
セレクタ装置1304は、セレクタ装置1314の外面1306、1308、1310、1312、1304、1316、1318、1320、1322、1324、1326、1328、1330、1332を定める外側本体1300を含む。外面1306は、上述の冷却面であってよく、反対側の面1308は、上述の金型面または成長面であってよい。表面1326、1328は、本体1300の互いに反対向きの側面であってよく、互いに平行に配向されてよい。残りの表面1310、1312、1314、1316、1318、1320、1322、1324、1330、1332は、側面1326、1328の間に位置して側面1326、1328を互いに相互接続し、表面1306、1308の間に位置して表面1306、1308を互いに相互接続する。表面1310、1312、1314、1316、1318は、側面1326、1328の間に位置して側面1326、1328の間を延び、表面1310、1312、1314、1316、1318は、冷却表面1306と成長表面1308との間に位置する。表面1320、1322、1324、1330、1332は、側面1326、1328の間に位置して側面1326、1328の間を延び、表面1310、1312、1314、1316、1318は、冷却表面1306と成長表面1308との間に位置する。随意により、表面1306、1308の間および/または表面1326、1328の間に位置する表面1310、1312、1314、1316、1318、1320、1324、1328、1330、1332の数は、より多くても、より少なくてもよい。
図示の実施形態において、表面1306、1308は互いに平行であり、表面1326、1328は互いに平行である。表面1310、1320は、互いに平行であってよく、表面1312、1316、1322、1330は、互いに平行であってよく、表面1314、1324は、互いに平行であってよく、さらには/あるいは表面1318、1332は、互いに平行であってよい。随意により、これらの表面のうちの1つ以上は、上述の他方の表面と平行でなくてもよい。
本体1300は、上述した結晶粒セレクタカラム1518(図15に示す)のアレイ202を含む。図15に示されるように、各々のカラム1518は、カラム1518が本体1300を通る非直線の導管を形成するように、成長面1308の開口部224および冷却面1306の開口部225を有する。セレクタ装置1304によって形成される結晶粒108、109(図1に示す)は、セレクタカラム1518の成長開口部224から成長する。上述したように、開口部224は、いくつかの重なり合う六角形1400を形成する開口部224の中心によって定められる規則的な反復六角形パターンに配置される。上述の図3に示したセレクタカラム218とは対照的に、セレクタカラム1518の各々は、3つの異なる方向に沿って細長いチャネル1500、1502、1504(図15に示す)を含む。上述のカラム218のチャネル300、302は、チャネル300、302が2つの方向に沿って配向されているがゆえに、ジグザグ形状を形成しているが、カラム1518は、チャネル1500、1502、1504が3つの異なる方向に細長いがゆえに、S字形を形成している。例えば、チャネル1500は、チャネル1504に対して鋭角1506に配向され、チャネル1502は、チャネル1504に対して鈍角1508(チャネル1504の伸長方向から反時計回りの方向において)に配向される。あるいは、カラム1518は、より少数のチャネル1500、1502、1504を有することができ、さらには/あるいは異なる形状を有することができる(例えば、直線状であってよく、あるいは一方向に傾斜していてもよい)。セレクタ装置404に関連して上述したように、表面1310、1312、1314、1316、1318、1320、1322、1324、1330、1332は、別のセレクタ装置1304の対応する表面と噛み合わせて、より大型のセレクタアセンブリを形成することができる。
そのようなアセンブリは、単一のセレクタ装置1304と比べ、さらには/あるいはアセンブリ内に存在するよりも少数のセレクタ装置1304のグループと比べて、全体として成長開口部224のより大きなアレイを提供する。アセンブリのサイズを、より多くのセレクタ装置1304を追加することによって大きくすることができ、あるいは1つ以上のセレクタ装置1304を取り除くことによって小さくすることができる。セレクタ装置1304を、三次元印刷によって付加的に製造することができる。しかしながら、セレクタ装置1304の付加製造に必要な時間、および/または付加製造によって製造できるセレクタ装置1304のサイズには、限界が存在し得る。例えば、より大型のセレクタ装置404の付加製造は、時間がかかりすぎる可能性があり、さらには/あるいはセレクタ装置1304の付加製造に使用される印刷システムは、印刷できるセレクタ装置1304の大きさについて制約がある可能性がある。したがって、成長開口部224のアレイ202のサイズが、柱状結晶粒構造物(例えば、タービンブレードまたは翼形)の生成に必要なサイズよりも小さいサイズに制限される可能性がある。セレクタ装置1304の対をなす表面は、セレクタ装置1304を組み合わせて、成長開口部224のより大きなアレイをもたらすことが可能なより大型のアセンブリとすることを可能にする。より大型のアレイを使用して、単一のセレクタ装置1304の個々のより小さなアレイと比べて、より大きな柱状結晶粒構造物を生成することができる。
図16は、マルチ結晶粒セレクタ装置1604の斜視図を示している。図17は、図16に示したセレクタ装置1604の上面図を示している。図18は、図17に示した線18-18に沿ったセレクタ装置1604の第1の断面図を示している。図19は、図17に示した線19-19に沿ったセレクタ装置1604の第2の断面図を示している。セレクタ装置1604は、図1に示したセレクタ装置104を代表することができる。単一のセレクタ装置1604を金型102と共に使用して、マルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができ、あるいは、互いに隣接して配置されたいくつかのセレクタ装置1604から形成されたより大型のセレクタアセンブリを金型102と共に使用して、より大きなマルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができる。例えば、図1に示したセレクタ装置104の代わりに、複数のセレクタ装置1604から形成されたそのようなより大型のセレクタアセンブリを使用することができる。
セレクタ装置1604は、セレクタ装置1604の外面1606、1608、1610、1612、1614、1616、1618、1620、1622、1624、1626、1628、1630、1632を定める外側本体1600を含む。外面1606は、上述の冷却面であってよく、反対側の表面1608は、上述の金型面または成長面であってよい。表面1626、1628は、本体1600の互いに反対向きの側面であってよく、互いに平行に配向されてよい。残りの表面1610、1612、1614、1616、1618、1620、1622、1624、1630、1632は、側面1626、1628の間に位置して側面1626、1628を互いに相互接続し、表面1606、1608の間に位置して表面1606、1608を互いに相互接続する。表面1610、1612、1614、1616、1618は、側面1626、1628の間に位置して側面1626、1628の間を延び、表面1610、1612、1614、1616、1618は、冷却表面1606と成長表面1608との間に位置する。表面1620、1622、1624、1630、1632は、側面1626、1628の間に位置して側面1626、1628の間を延び、表面1610、1612、1614、1616、1618は、冷却表面1606と成長表面1608との間に位置する。随意により、表面1606、1608の間および/または表面1626、1628の間に位置する表面1610、1612、1614、1616、1618、1620、1624、1628、1630、1632の数は、より多くても、より少なくてもよい。
図示の実施形態において、表面1606、1608は互いに平行であり、表面1626、1628は互いに平行である。表面1601、1614、1618、1620、1624、1632は、互いに平行であってよく、表面1612、1622は、互いに平行であってよく、さらには/あるいは表面1616、1630は、互いに平行であってよい。随意により、これらの表面のうちの1つ以上は、上述の他方の表面と平行でなくてもよい。
他のセレクタ装置とは対照的に、セレクタ装置1604の本体1600は、結晶粒セレクタカラム1818、1918(図18および図19に示す)の複数のアレイ1607、1609を含む。カラム1818、1918の各々は、カラム1818、1918の各々が本体1600の高さを貫く非直線の導管を形成するように、本体1600の成長面1608上の成長開口部と、本体1600の冷却面1606上の反対側の開口部とを有する。図18および図19に示されるように、カラム1818は、カラム1918よりも小さい。カラム1818の各々の断面積は、カラム1918の各々の断面積よりも小さい。カラム1818、1918のこれらの断面積を、面1606、1608に平行な断面の平面において測定することができる。さらに、各々の面1606、1608における各々のカラム1818の各々の成長開口部1603のサイズは、各々の面1606、1608における各々のカラム1918の各々の成長開口部1605のサイズよりも小さい。異なるサイズのカラム1818、1918は、成長面1608においてカラム1818、1918の成長開口部1603、1605の異なるアレイ1607、1609を生成する。アレイ1607は、図17に示した実施形態において、アレイ1609の成長開口部1605よりも小さい成長開口部1603を有する。カラム1818のより小さい成長開口部1603の2つのアレイ1607と、カラム1918のより大きい成長開口部1605の単一のアレイ1609とが存在しているが、代案においては、より大きい成長開口部1605のより多くのアレイ1609、より小さい成長開口部1603のより多くのアレイ1607、より小さい成長開口部1702の単一のアレイ1607、またはアレイ1607、1609の別の組み合わせが存在してもよい。
同じセレクタ装置1604内に異なるサイズのカラム1818、1918および成長開口部1603、1605を有することで、金型102において鋳造される物体内に結晶粒の異なるサイズのカラムを形成することができる。より大きい結晶粒またはより小さい結晶粒の位置を、セレクタ装置1604内のアレイ1607、1609の位置および/または配置によって制御することができる。異なるサイズの結晶粒の位置を、鋳造される物体の異なる領域または体積に異なる構造剛性をもたらすように制御または設定することができる。
カラム1818、1918は、チャネル1500、1502、1504の組み合わせから形成される。チャネル1504は、冷却面1606から成長面1608へと延びる直線状の方向に細長い。チャネル1500、1502は、上述したように、チャネル1504に対して斜めに配向されている。図18に示されるように、チャネル1500、1502、1502の組み合わせが、平たいU字形を形成し、この平たいU字形が、各々のカラム1818内の別の直線状のチャネル1504に接続されている。チャネル1504を、これらのチャネル1504が面1606、1608に垂直な方向に細長いがゆえに、垂直チャネルと呼ぶことができる。チャネル1502を、これらのチャネル1502が面1606、1608に対して傾斜した(すなわち、垂直でなく、平行でもない)方向に細長いがゆえに、傾斜チャネルと呼ぶことができる。カラム1818、1918を形成するチャネル1500、1502、1504のサイズは、図15に示したチャネル1500、1502、1504のサイズと違ってよいが、カラム1818、1918のチャネル1500、1502、1504は、図15に示したように互いに対して傾斜することができる。
一実施形態において、表面1601まで延びる本体1600の突出部分1920を、本体1600の付加製造の最中に、1つ以上の支持柱1634によって表面1612に接続することができる。表面1622を、随意により、本体1600の付加製造の最中に、1つ以上の支持柱1634によって表面1630に接続することができる。突出部分1920および/または支持柱1634を、セレクタ装置1604の使用に先立って取り除くことができる。これにより、上述したように、複数のセレクタ装置1604を互いに噛み合わせてより大きなセレクタアセンブリを形成することを可能にできる。例えば、表面1612、1614、1616、1618を、対応する表面1622、1624、1630、1632とに噛み合わせ、あるいは他の方法で係合させて、より大きなアセンブリを形成することができる。そのようなアセンブリは、単一のセレクタ装置1604と比べ、さらには/あるいはアセンブリ内に存在するよりも少数のセレクタ装置1604のグループと比べて、全体として成長開口部1603、1605のより大きなアレイを提供する。
図20は、マルチ結晶粒セレクタ装置2004の斜視図を示している。図21は、図20に示したセレクタ装置2004の上面図を示している。図22は、図21に示した線22-22に沿ったセレクタ装置2004の第1の断面図を示している。図23は、図21に示した線23-23に沿ったセレクタ装置2004の第2の断面図を示している。セレクタ装置2004は、図1に示したセレクタ装置104を代表することができる。上述のように、単一のセレクタ装置2004を金型102と共に使用して、マルチ結晶粒柱状物品または構造を形成することができ、あるいは、互いに隣接して配置されたいくつかのセレクタ装置2004から形成されたより大型のセレクタアセンブリを、金型102と共に使用することができる。
セレクタ装置2004は、冷却面または表面2006と、成長面または表面2008と、平らな側面または表面2026と、反対側の平らな側面または表面2028とを含む外面を定める外側本体2000を含む。さらに、本体2000は、側面2026から側面2028まで延び、かつ成長面2008と冷却面2006との間に位置する第1組の表面2001、2012、2014、2016、2018を定める。さらに、本体2000は、側面2026から側面2028まで延び、かつ成長面2008と冷却面2006との間に位置する反対側の第2組の表面2020、2022、2024、2030、2032を定める。
支持柱1634が、表面2012から表面2016まで延び、表面2020から表面2022まで延び、表面2030、2032から延びてよい。これらの柱2034を、本体2000の付加製造の完了後に取り除くことができる。本明細書において説明されるように、柱2034が取り除かれた状態で、表面2001、2012は、表面2020、2022によって形成された谷部に受け入れることができるエルボを形成し、表面2016、2018は、表面2030、2032によって形成された別の谷部に受け入れることができる別のエルボを形成し、したがって複数のセレクタ装置2004からより大きなアセンブリを形成することができる。
カラム2118、2218は、上述したように、S字形を形成するように異なる方向に細長いチャネル1500、1502、1504の組み合わせから形成される。カラム2118、2218を形成するチャネル1500、1502、1504のサイズは、他の図に示したチャネル1500、1502、1504のサイズとは違ってよいが、カラム2118、2218のチャネル1500、1502、1504は、図15に示したように互いに対して傾斜することができる。
セレクタ装置2004の本体2000は、結晶粒セレクタカラム2118、2218(図21および図22に示す)の複数のアレイ2007、2009を含む。カラム2118、2218の各々は、カラム2118、2218の各々が本体2000の高さを貫く非直線の導管を形成するように、本体2000の成長面2008上の成長開口部2003および2005と、本体2000の冷却面2006上の反対側の開口部とを有する。図21および図22に示されるように、カラム2118は、カラム1818、1918に関連して上述したのと同様に、カラム2218よりも小さい。異なるサイズのカラム2118、2218は、成長面2008においてカラム2118、2218の成長開口部2003、2005の異なるアレイ2007、2009を生成する。アレイ2007は、アレイ1607、1609に関連して上述したのと同様に、アレイ2009の成長開口部2005よりも小さい成長開口部2003を有する。アレイ2007、2009の数および/または配置は、図20~図22に示したものとは違ってもよい。
例えば、図24は、別の結晶粒セレクタ装置2304の斜視図を示している。セレクタ装置2304は、より大きいチャネル2218の2つのアレイ2009およびより小さいチャネル2118の単一のアレイ2007を含むことを除いて、図20~図23に示したセレクタ装置2004と同一または同様であってよい。セレクタ装置2004は、より大きいチャネル2118のアレイ2007の両側に、より小さいチャネル2218のアレイ2009を含む。反対に、セレクタ装置2304は、より小さいチャネル2118のアレイ2007の両側に、より大きいチャネル2218のアレイ2009を含む。
図25は、別の結晶粒セレクタ装置2404を示している。図26は、図25に示した線26-26に沿ったセレクタ装置2404の断面図を示している。図27は、図24および図25に示したセレクタ装置2404の上面図を示している。セレクタ装置2404は、成長面2408および冷却面2406と、両側の側面2426、2428と、一方の側面2426から他方の側面2428まで延び、かつ冷却面2406と成長面2408との間に位置している両側の一式の表面2430、2432とを有する本体2400を含む。
さらに、本体2400は、カラム2518に流体連通した成長チャネル2403のアレイを含む。カラム2518は、垂直チャネル1504および傾斜チャネル1500、1502から形成される。図26に示されるように、カラム2518の各々は、冷却面2408から傾斜チャネル1502まで上方へと延びる垂直チャネル1504によって形成され、傾斜チャネル1502は、傾斜チャネル1500へと延び、傾斜チャネル1500は、もう1つの傾斜チャネル1502へと延び、この傾斜チャネル1502は、成長面2406に位置するポート2520まで延びている。
ポート2520は、図27に示されるように、傾斜した内部側壁2600を有するチャネルである。チャネル1500、1502、1504は、互いに対向し、かつ互いに平行である内部側壁2500を有する(同じチャネルについて)。チャネル1500、1502、1504のこれらの側壁2500は、それぞれのチャネル1500、1502、1504が細くなる方向にも平行である。しかしながら、各ポート2520の内部側壁2600は、同じポート2520内で互いに平行ではない。代わりに、内部側壁2600は、各ポート2520の成長開口部2403の面積が、ポート2520とチャネル1502との間の交差部の面積よりも大きくなるように、外側へと傾斜している。例えば、成長面2408におけるポート2520の開口部2403は、ポート2520がチャネル1520と交差または合流する位置におけるポート2520のサイズよりも大きい。これにより、ポート2520にフレア形状がもたらされる。図示の実施形態において、ポート2520の成長開口部2403は、上述の成長開口部の正方形の形状とは対照的に、六角形の形状を有する。
ポート2520のこのフレア形状は、各々のカラム2518から成長する結晶粒を成長開口部2403から拡大させ、鋳造される物体内の隣接する結晶粒に融合させることができる。さらに、図示の実施形態において、隣接するカラム2518を互いに近づけることができる。これは、カラム2518の各ペア2600のポート2520から成長する結晶粒が、セレクタ装置2404を出て互いに融合することを助けることができる。
図28および図30~図33は、本明細書において図示および/または説明されるセレクタ装置において使用することができるさまざまな形状のポートおよび成長開口部のさらなる例を示している。図29は、図27に示したポートおよび成長開口部を示している。図28は、二重三交差の成長開口部2700および対応するポート2702を示している。二重三交差の成長開口部2700は、三角形2704に3つの半六角形2706を三角形2704の各々の直線レグ2708から突出するように組み合わせた形状を形成する。各々の半六角形2706は、三角形2704の角部2710の間に位置し、かつこれらの角部2710をレグ2708により接続している三角形2704の異なるレグ2708から、外側へと突出している。各々の半六角形2706は、半六角形2706の2つの角部2714を結ぶ3つのレグ2712を含む。各々の半六角形2706のレグ2712のうちの2つは、三角形2704の同じレグ2708から半六角形2706の異なる角部2714まで外側へと延びている。半六角形2706のこれらの角部2714は、半六角形2706のもう1つのレグ2712によって接続されている。
ポート2702は、上述したように、成長開口部2700を含むセレクタ装置内のカラムの内部チャネル2716から延びている。図示のように、ポート2702は、内部チャネル2716から成長開口部2700の境界(例えば、レグ2708、2712)へと外側に傾斜した内部側壁2718によるフレア形状を有することができる。成長開口部2700および/またはポート2702の形状は、物体が金型内で鋳造されるときに、セレクタ装置の成長面のアレイ内の成長開口部2700から成長する金属結晶粒の融合を増加させることができる。
図29は、六角形の成長開口部2800および対応するポート2802を示している。六角形の成長開口部2800は、六角形の角部2714を接続するいくつかの六角形のレグ2712で形成された六角形2804の形状を形成する。ポート2802は、上述したように、成長開口部2800を含むセレクタ装置内のカラムの内部チャネル2716から延びている。ポート2802は、内部チャネル2716から成長開口部2800の境界(例えば、レグ2712)へと外側に傾斜した内部側壁2818によるフレア形状を有することができる。成長開口部2800および/またはポート2802の形状は、物体が金型内で鋳造されるときに、セレクタ装置の成長面のアレイ内の成長開口部2800から成長する金属結晶粒の融合を増加させることができる。
図30は、矩形交差の成長開口部2900および対応するポート2902を示している。矩形交差の成長開口部2900は、互いに交差し、あるいは重なり合う2つの細長い矩形2904の形状を形成する。各々の矩形2904は、対向する短辺2924によって接続された対向する長辺2922を有する。矩形2904は、各々の矩形2904の一部分2920が他方の矩形2904の長辺2922を超えて突出するように、互いに重なり合っている。これは、図30に示されるように、十字形またはプラス記号の形状を形成する。
ポート2902は、上述したように、成長開口部2900を含むセレクタ装置内のカラムの内部チャネル2716から延びている。ポート2902は、内部チャネル2716から成長開口部2900の境界(例えば、辺2922、2924)へと外側に傾斜した内部側壁2918によるフレア形状を有することができる。成長開口部2900および/またはポート2902の形状は、物体が金型内で鋳造されるときに、セレクタ装置の成長面のアレイ内の成長開口部2900から成長する金属結晶粒の融合を増加させることができる。例えば、図30に示されるように、1つの成長開口部2900の内部側壁2918が少なくとも1つの他の成長開口部2900(または、図示の実施形態においては2つの他の成長開口部2900)の内部側壁2918と交差するように、成長開口部2900を互いに当接するようにセレクタ装置のアレイに配置することができる。
図31は、雪片状の成長開口部3000および対応するポート3002を示している。雪片状の成長開口部3000を、成長開口部3000がいくつか(例えば、図示の実施形態においては6つ)のより小さい六角形3026と、より大きい六角形3028との組み合わせから形成されているがゆえに、随意により複合六角形成長開口部3000と呼ぶことができる。小さい方の六角形3026の各々が、大きい方の六角形3028の異なる角部2714から外側に突出している。図示の例において、小さい方の各々の六角形3026のレグ2712のうちの4つが、大きい方の六角形3028の外側に位置する一方で、この同じ小さい方の六角形3026のレグ2712のうちの2つは、大きい方の六角形3028の内側に位置している。小さい方の各々の六角形3026は、図31の大きい方の六角形3028の異なる角部2714に配置されている。
ポート3002は、上述したように、成長開口部3000を含むセレクタ装置内のカラムの内部チャネル2716から延びている。図示のように、ポート3002は、内部チャネル2716から成長開口部3000の境界(例えば、小さい方の六角形3026のレグ2712および大きい方の六角形3028のレグ2712)へと外側に傾斜した内部側壁3018によるフレア形状を有することができる。成長開口部3000および/またはポート3002の形状は、物体が金型内で鋳造されるときに、セレクタ装置の成長面のアレイ内の成長開口部3000から成長する金属結晶粒の融合を増加させることができる。図31に示されるように、例えば、小さい方の六角形3026を、セレクタ装置上のアレイ内の他の成長開口部3000の1つ以上の小さい方の六角形3026に隣接させることができる。
図32は、細長い六角形の成長開口部3100および対応するポート3102を示している。細長い六角形の成長開口部3100は、他の方向よりも2つの反対向きの方向に沿って長い細長い六角形3104の形状を形成する。例えば、六角形3104は、六角形の角部2714において4つの短い六角形のレグ3130に接続される2つの長い六角形のレグ3112で形成される。ポート3102は、成長開口部3100を含むセレクタ装置内のカラムの内部チャネル2716から延びている。ポート3102は、内部チャネル2716から成長開口部3100の境界(例えば、レグ3112、3130)へと外側に傾斜した内部側壁3118によるフレア形状を有することができる。成長開口部3100および/またはポート3102の形状は、物体が金型内で鋳造されるときに、セレクタ装置の成長面のアレイ内の成長開口部3100から成長する金属結晶粒の融合を増加させることができる。
図33は、別の複合六角形の成長開口部3200および対応するポート3202を示している。この複合六角形の成長開口部3200は、3つの六角形2804から形成される。六角形2804の各々は、2つのレグ2712を2つの他の六角形2804と共有し、これらのレグ2712の各々は、他のただ1つの六角形2804と共有される。さらに、各々の六角形2804は、2つの角部2714を2つの他の六角形2804と共有し、これらの角部2714の各々は、他のただ1つの六角形2804と共有される。さらに、各々の六角形2804は、図33に示されるように、1つの角部2714を他の両方の六角形2804と共有する。
ポート3202は、成長開口部3200を含むセレクタ装置内のカラムの内部チャネル2716から延びている。ポート3202は、内部チャネル2716から成長開口部3200の境界(例えば、レグ2712)へと外側に傾斜した内部側壁3218によるフレア形状を有することができる。成長開口部3200および/またはポート3202の形状は、物体が金型内で鋳造されるときに、セレクタ装置の成長面のアレイ内の成長開口部3200から成長する金属結晶粒の融合を増加させることができる。
図34は、別のセレクタ装置3304の斜視図を示している。図35は、図34に示したセレクタ装置3304の上面図を示している。図36は、図34に示したセレクタ装置3304の側面図を示している。図37は、図35に示した線37-37に沿ったセレクタ装置3304の断面図を示している。図38は、図36に示した線38-38に沿ったセレクタ装置3304の別の断面図を示している。セレクタ装置3304は、図1に示したセレクタ装置104のうちの1つ以上を代表することができる。
本体3300の一方側(例えば、図35、図36、および図37の視点における左側)に位置する第1組の表面3310の表面は、本体3300の反対側(例えば、図35、図36、および図37の視点における右側)に位置する第2組の表面3312の表面と噛み合うことができる。さらに、本体3300は、第1組の表面3310から第2組の表面3312まで延びる本体3300の別の側に位置する第3組の表面3314を含む。さらに、本体3300の第4組の表面3316が、第1組の表面3310から第2組の表面3312まで延びている。図35の視点において、第3組3314は図の上部に沿っており、第4組3316は図の下部に沿っている。
やはり他方のセレクタ装置と同様に、セレクタ装置3304は、本体3300の冷却面3308の開口部から本体3300の反対側の成長面3306の成長開口部3303まで延びるいくつかのカラム3318を含む。カラム3318は、結晶粒がセレクタ装置3304を通って金型102内に成長する導管を形成する。溶融金属が、上述したように、上方へと成長開口部3303から金型102内に成長するカラム3318内の結晶粒を形成する。
セレクタ装置3304と本明細書に記載および/または図示される1つ以上の他のセレクタ装置との間の1つの違いは、カラム3318の形状である。本明細書に記載のいくつかのセレクタ装置は、二次元のジグザグ形状を形成するカラムを含む。すなわち、ジグザグのカラムが、同じ平面内の2つの異なる方向に沿って傾斜した導管を形成するチャネルを含む(例えば、図3に示したカラム218を参照)。対照的に、セレクタ装置3304内のカラム3318は、異なる平面内の4つの異なる方向に沿って傾斜した細長い直線状のチャネル3600、3602、3700、3702(図37および図38に示す)から形成される。例えば、チャネル3600、3602は、1つの平面(例えば、図35に示した線37-37によって表される垂直面によって定められ、さらには/あるいはこの垂直面に平行な平面)内で異なる方向に傾斜しており、チャネル3700、3702は、別の平面(例えば、図36に示した線38-38によって表される垂直面によって定められ、さらには/あるいはこの垂直面に平行な平面)内で異なる方向に傾斜している。これらの2つの平面は、図示の実施形態においては互いに垂直である。
例えば、各々のカラム3318は、図37に示されるように、チャネル3600によって冷却面3306の平面に対して第1の鈍角3604に沿って配向されてよい。チャネル3600は、チャネル3600内で成長する結晶粒が、本体3300の第1組の外面3310に向かって傾斜した方向に成長するように、角度3604に配向される。
チャネル3600は、第1のターン3606においてチャネル3700に連絡し、チャネル3700に融合する。チャネル3700は、図38に示されるように、冷却側3306の平面に対して第1の鋭角3704に沿って配向される。さらに、チャネル3700は、冷却面3306の平面に対して第1の鈍角3604に沿って配向されてよい。チャネル3700は、(チャネル3600からの)チャネル3700内で成長する結晶粒が、本体3300の第4組の外面3316に向かって傾斜した方向に成長するように、角度3704に配向される。
チャネル3700は、第2のターン3706においてチャネル3702に連絡し、チャネル3702に融合する。チャネル3702は、図38に示されるように、冷却側3306の平面に対して第2の鈍角3708に沿って配向される。さらに、チャネル3702は、冷却面3306の平面から第1の鈍角3604に配向されてよい。チャネル3702は、(チャネル3700からの)チャネル3702内で成長する結晶粒が、本体3300の第3組の外面3314に向かって傾斜した方向に成長するように、角度3708に配向される。
チャネル3702は、第3のターン3608においてチャネル3602に連絡し、チャネル3602に融合する。チャネル3602は、図37に示されるように、冷却側3306の平面から第2の鋭角3610に沿って配向される。さらに、チャネル3602は、冷却面3308の平面から第2の鈍角3708に配向されてよい。チャネル3602は、(チャネル3702からの)チャネル3602内で成長する結晶粒が、本体3300の第2組の外面3312に向かって傾斜した方向に成長するように、角度3610に配向される。結晶粒は、チャネル3602内で成長し、カラム3318の成長開口部3303を介してチャネル3602から出ることができる。この結晶粒は、金型102内に成長して、鋳造される物体の一部を形成する。
カラム3318の各々は、2つの異なる(例えば、垂直な平面)に沿って前後に傾斜するジグザグ経路を定める。この経路は、結晶粒内の金属イオンの結晶配列が配向する方向を導くのに役に立つことができる。各々のカラム3318によって形成される経路は、面3606、3608の間で回転方向を変える渦巻き形またはらせん状の経路をたどる。例えば、図35に示したセレクタ装置3304の視点において、カラム3318によって形成される経路は、冷却面3608から成長面3606へと延びる線の周りを時計回りの方向にらせん状に包む。カラム3318のこの時計回りの方向は、チャネル3600、第1のターン3606、およびチャネル3700を通って続く。同じカラム3318によって形成されるこの経路は、第2のターン3706において方向を変え、時計回りの方向に同じ線の周りをらせん状に包み始める。例えば、この経路は、時計回りの方向に冷却面3608から第2のターン3706まで線の周りで半回転を完了し、次いで時計回りの方向に第2ターン3706から成長面3606まで線の周りでもう1つの半回転を完了する。角度3604、3610、3704、3708を、結晶粒内の金属結晶について異なる結晶配置および/または成長方向を選択するために、この実施形態に示した角度から変更することが可能である。
図39は、別のセレクタ装置3804の斜視図を示している。図40は、図39に示したセレクタ装置3804の上面図を示している。図41は、図39に示したセレクタ装置3804の側面図を示している。図42は、図39に示したセレクタ装置3804の端面図を示している。図43は、図40に示した線43-43に沿ったセレクタ装置3804の断面図を示している。図44は、図41に示した線44-44に沿ったセレクタ装置3804の別の断面図を示している。セレクタ装置3804は、図1に示したセレクタ装置104のうちの1つ以上を代表することができる。
本明細書に記載の他方のセレクタ装置と同様に、セレクタ装置3804は、より大きなアセンブリを形成するために互いに噛み合わせることができる表面を有している本体3800から形成される。例えば、本体3800の一方側(例えば、図40、図41、および図43の視点における左側)に位置する第1組の表面3810の表面は、本体3800の反対側(例えば、図40、図41、および図43の視点における右側)に位置する第2組の表面3812の表面と噛み合うことができる。第1組の表面3810は、図42に示される表面である。さらに、本体3800は、第1組の表面3810から第2組の表面3812まで延びる本体3800の別の側に位置する第3組の表面3814を含む。さらに、本体3800の第4組の表面3816が、第1組の表面3810から第2組の表面3812まで延びている。図40の視点において、第3組3814は図の上部に沿っており、第4組3816は図の下部に沿っている。図42および図44の視点において、第3組3814は図の左側に沿っており、第4組3816は図の右側に沿っている。
セレクタ装置3804は、上述のように、本体3800の冷却面3806の開口部から本体3800の反対側の成長面3808の成長開口部3803まで延びるいくつかのカラム3818を含む。カラム3818は、結晶粒がセレクタ装置3804を通って金型102内に成長する導管を形成する。溶融金属が、上述したように、上方へと成長開口部3803から金型102内に成長するカラム3818内の結晶粒を形成する。
セレクタ装置3804のカラム3818は、冷却面3806から成長面3806へと一周する(例えば、渦巻きまたはらせんの1回転を完了する)らせん状または渦巻き形の経路を形成する。カラム3818は、各カラム3818のらせん状または渦巻き形の経路を形成するように異なる方向に沿って傾斜した細長い直線状のチャネル4200、4202、4300、4302(図43および図44に示す)から形成される。
例えば、各カラム3818は、チャネル4200を介して冷却面3806から成長面3806に向かって上方に延びる。チャネル4200は、図37に示したチャネル3600に関連して上述したのと同様に、成長面3806から鈍角に配向される。これは、チャネル4200内で成長する結晶粒を、本体3800の第1組の外面3810に向かって傾斜した方向に成長させることができる。
チャネル4200は、第1のターン4206においてチャネル4300に連絡し、チャネル4300に融合する。チャネル4300は、図44に示されるように、冷却側3806から別の鈍角に沿って配向される。チャネル4300は、(チャネル4200からの)チャネル4300内で成長する結晶粒が、本体3800の第3組の外面3814に向かって傾斜した方向に成長するように、鈍角に配向される。
チャネル4300は、第2のターン4306においてチャネル4202に連絡し、チャネル4202に融合する。チャネル4202は、図43に示されるように、冷却側3806から鋭角に沿って配向される。チャネル4202は、(チャネル4300からの)チャネル4202内で成長する結晶粒が、本体3800の第2組の外面3812に向かって傾斜した方向に成長するように、この鋭角に配向される。
チャネル4202は、第3のターン4208においてチャネル4302に連絡し、チャネル4302に融合する。チャネル4302は、図44に示されるように、冷却面3806から鈍角に沿って配向される。チャネル4302は、(チャネル4202からの)チャネル4302内で成長する結晶粒が、本体3800の第4組の外面3816に向かって傾斜した方向に成長するように、鋭角に配向される。結晶粒は、チャネル4302内で成長し、カラム3818の成長開口部3803を介してチャネル4302から出ることができる。この結晶粒は、金型102内に成長して、鋳造される物体の一部を形成する。
カラム3818の各々は、2つの異なる(例えば、垂直な平面)に沿って前後に傾斜するジグザグ経路を定める。この経路は、結晶粒内の金属イオンの結晶配列が配向する方向を導く役に立つことができる。各々のカラム3818によって形成される経路は、冷却面3808から成長面3806へと延びる線の周りで一回転または1つのらせんを完了する渦巻き形またはらせん状の経路をたどる。
本明細書に記載のさまざまなカラムを形成するチャネルの多くは、直線状であるように示されているが、代案においては、チャネルの1つ以上が、湾曲した形状などの非直線の形状を有することができる。セパレータ装置の本体を、付加製造によって形成することができる。本明細書に記載のカラムの形状の多くは、他の製造プロセスでは不可能であるかも知れず、さらには/あるいは付加製造以外の製造プロセスを使用してカラムの形状を形成すると、コストがかかりすぎ、商業的に妥当でなくなる可能性がある。
図45は、本明細書に記載の結晶粒セレクタ装置のうちの1つ以上において使用することができる成長開口部4500の別の実施形態を示している。図4~図7、図10、および図12~図44に示したセレクタ装置の成長開口部は、すべて互いに整列している。例えば、図4~図7、図10、および図12~図44に示したセレクタ装置の隣接する成長開口部の同じエッジは、互いに平行であり、あるいは同じ基準面に対して同じ角度に配向される。図45に示される成長開口部4500(例えば、開口部4500A、4500B)は、互いに対して回転オフセットされている。例えば、成長開口部4500は、図27に示した成長開口部2600と同じ形状を有することができる。しかしながら、隣接する成長開口部4500が、平行な軸4506(例えば、軸4506A、4506B)を中心にし、あるいは平行な軸4506の周りで、異なる方向4502、4504に回転していてよい。軸4506の各々は、成長開口部4500を含む対応するセレクタ装置の成長面および冷却面に対して垂直に配向された垂直線である。他の実施形態において、他のセレクタ装置の成長開口部(例えば、他の形状を有する成長開口部)も、回転オフセットされてよい。
一方の成長開口部4500Aが、軸4506Aを中心にして時計回りの方向4502に指定の角度4508だけオフセットされている(例えば、成長開口部2600の向きと比べて回転せられている)一方で、他方の成長開口部4500Bは、平行な軸4506Bを中心にして同じ指定の角度4508だけ、しかしながら反対の反時計回りの方向4504にオフセットされている(例えば、成長開口部2600の向きと比べて回転させられている)。指定の角度4508は、図45において、セレクタ装置2404の面2426、2428などの成長開口部4500を含むセレクタ装置の両面に垂直に向けられた平行な平面4510に対して示されている。図示の実施形態において、角度4508は4度である。あるいは、成長開口部4500のオフセットの角度4508は、より大きくても、より小さくてもよい。随意により、異なる成長開口部4500を、異なる角度だけオフセットさせることができる。成長開口部4500を互いに対して整列させないことで、成長開口部4500から成長するより小さな結晶粒が互いに融合することが防止される。これは、その後の粗大化に対して安定であるわずかに配向のずれた結晶粒のパターンを作り出すのに役立つことができる。
図46は、本明細書に記載の結晶粒セレクタ装置のうちの1つ以上において使用することができるチャネル4600の別の実施形態を示している。チャネル4600(例えば、チャネル4600A、4600B)は、チャネル300および/または302などの本明細書に記載の結晶粒セレクタ装置のチャネルまたはカラムのうちの1つ以上を代表することができる。本明細書に記載の他のチャネルまたはカラムは、互いに整列した内側面または表面を有することができる。例えば、本明細書に図示および/または記載される1つ以上の実施形態において、成長面および冷却面と平行であり、成長面と冷却面との間に位置する2次元平面内のすべてのチャネルの同じ内側表面は、互いに平行であってよい。あるいは、チャネル4600は、隣接するチャネル4600A、4600Bの同じ内側面または表面4610が互いに平行ではないように、互いに回転オフセットされる。
例えば、図3のチャネル300の同じ左側の内側面はすべて、表面206および/または208に平行な同じ二次元平面内で互いに平行であり、図3のチャネル300の同じ右側の内側面はすべて、表面206および/または208に平行な同じ二次元平面内で互いに平行であり、図3のチャネル302の同じ左側の内側面はすべて、表面206および/または208に平行な同じ二次元平面内で互いに平行であり、チャネル302の同じ右側の内側面はすべて、表面206および/または208に平行な同じ二次元平面内で互いに平行である。
図46に示されるチャネル4600(例えば、チャネル4600A、4600B)は、チャネル4600を含むセレクタ装置の成長面および/または冷却面に平行な同じ二次元平面内で互いに対して回転オフセットされている。例えば、成長開口部4600は、図3に示したチャネル300および/または302と同じ断面形状を有することができる。しかしながら、隣接する成長開口部4600は、平行な軸4506(例えば、軸4506A、4506B)を中心にし、あるいは平行な軸4506の周りで、異なる方向4502、4504に回転していてよい。他の実施形態において、他のセレクタ装置のチャネルも回転オフセットされてよい。
一方の成長開口部4600Aが、軸4506Aを中心にして時計回りの方向4502に指定の角度4508だけ回転オフセットされる一方で、他方のチャネル4600Bは、平行な軸4506Bを中心にして同じ指定の角度4508だけ、しかしながら反対の反時計回りの方向4504に、回転オフセットされる。図示の実施形態において、角度4508は4度である。あるいは、チャネル4600のオフセットの角度4508は、より大きくても、より小さくてもよい。随意により、異なるチャネル4600を、異なる角度だけオフセットさせることができる。隣接する成長開口部4500の回転オフセットは、成長開口部から出現する結晶粒が、開口部4500のアレイによって定められるパターンにて、0度よりも大きく15度よりも小さい角度だけ互いに対して回転することを保証するうえで助けとなることができる。
図47は、本明細書に記載のマルチ結晶粒セレクタ装置および/またはアセンブリのうちの1つ以上を使用してマルチ結晶粒柱状物品を成長させるための方法1300の一実施形態のフローチャートを示している。1302において、セレクタ装置またはアセンブリが、鋳造用の金型の底部に配置される。セレクタ装置またはアセンブリを、冷却プレート上に、セレクタ装置またはアセンブリの冷却面が冷却プレートに隣接するように配置することができる。
随意により、開放チャンバを、セレクタ装置またはアセンブリと冷却プレートとの間に配置してもよい。例えば、装置またはアセンブリにおいて成長中の結晶粒が所望の方向(例えば、方向<100>)に沿った一次配向を有することを確実にするために、チャンバをマルチ結晶粒セレクタ装置またはアセンブリの下方に生成することができる。このチャンバは、結晶粒スタータチャンバであってよく、高さ(例えば、冷却プレートとセレクタ装置またはアセンブリとの間)が1~2インチ、または2.5~5センチメートルであってよい。
1304において、セレクタ装置またはアセンブリは、成長カラムを溶融金属または金属合金で満たすなどにより、金属または金属合金で満たされる。随意により、セレクタ装置またはアセンブリの底部におけるマルチ結晶粒の発生を補助するために、装置またはアセンブリ内のカラムにコバルトなどの元素をシードすることができる。
1306において、ランダムな二次配向の金属結晶粒が、装置またはアセンブリ内の成長カラムの底部に核形成する。この核生成は、成長カラムの底部付近の冷却プレートによる冷却に起因して生じ得る。1308において、核生成した金属結晶粒は、成長カラムを通って上方に成長する。金属結晶粒は、カラム内で成長することができる。カラムのサイズが狭いことは、各々の成長カラムから単一結晶粒が出現することを確実にするのに役立ち得る。カラムの配向が、好ましい方向に沿った金属結晶粒の優先的成長を可能にする。例えば、ジグザグ形状のカラムに関して、ジグザグカラムの配向は、ジグザグカラムの平面内で<010>方向に配向した結晶粒の優先的成長を引き起こすことができる。装置またはアセンブリの成長表面から出現する結晶粒は、同様の配向を有することができ、各々の結晶粒が隣接する結晶粒との小さな角度の配向ずれを有するマルチ結晶粒構造を形成することができる。
一例においては、セレクタ装置またはアセンブリを使用して長い棒材を生成することができ、次いでこれをスライスし、他の鋳造物のシードに使用されるマルチ結晶粒シードとすることができる。設計された方向性凝固(DDS)シードを、冷却プレートに添えることができる。ワックス翼形パターン(セラミックコアを有しても、有さなくてもよい)を、指定された向きおよび位置にてDDSシードに取り付けることができる。ワックス湯口、ライザー、ランナー、および注ぎカップを組み立て、ワックスアセンブリをシェル化し、脱ろうし、焼成することができる。鋳造時に、溶融合金はDDSシードに衝突し、DDSシードを部分的に溶融させると考えられる。金型が炉の高温ゾーンから取り出されるとき、溶融物が熱勾配に応答して凝固するにつれて、柱状の樹枝状構造が成長する。しかしながら、柱状結晶粒はランダムに整列するのではなく、結晶粒は、DDSシードの構造に従って整列する。DDSシードにおける結晶粒の小さな配向のずれは、結晶粒構造の粗大化のための駆動力が小さいことを意味する。したがって、DDSシードを用いて、翼形における結晶粒の数および配向を鋳造物へと設計することができる。DDS結晶によってDDS粒界の位置も定めることができる。そのようなシードを使用して、別の同様の合金にDS構造を生成することができる。例えば、N500シードをN5部品のためのテンプレートとして使用することができる。
本明細書に記載の本発明の主題の1つ以上の実施形態は、現時点において知られている方法よりも速い引き出し速度でのDS部品の生成を可能にすることにより、より微細な結晶粒構造およびより小さい樹枝状アーム間隔をもたらし、したがって鋳物工場のスループットの向上およびコストの低下をもたらす。セレクタ装置およびアセンブリを、ブレード内の各々のDS結晶粒の面内配向の指定を設計技術者にとって可能にするDSタービンブレードを生成するために使用することができる。これにより、ブレードに追加の補強支柱を追加することなく、ブレードの剛性および高調波を規定または制御することが可能になる。ブレードを、ブレードのより多くの重量またはすべての重量を、ブレードにおける望ましくない振動周波数の防止よりもむしろ、動力の生成に割り当てるように設計することができる。これは、設計技術者が微細構造を変更することでブレードの振動周波数をタービンの動作周波数から遠ざけることができるため、ブレードの耐用年数を延ばすことができる。
これらの構造およびアセンブリは、形成される物品における粒界配向を10~12度未満に制限することができ、これは、より大きな角度の境界が存在する方向性凝固構造と比べて、物品の横方向クリープ特性も改善することができる。
上記の説明が、限定ではなく例示を意図していることを理解されたい。例えば、上述の実施形態(および/または、それらの態様)を、互いに組み合わせて用いることが可能である。加えて、特定の状況または材料を本発明の主題の教示に適合させるために、本発明の主題の技術的範囲から逸脱することなく、多くの修正を行うことが可能である。本明細書に記載の材料の寸法および種類は、本発明の主題のパラメータを規定することを意図しているが、それらは決して限定的ではなく、例示的な実施形態である。多数の他の実施形態が、上記の説明を検討することで、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の主題の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲に与えられる充分な均等物の範囲と併せて決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「・・・を含む(including)」および「それには(in which)」という用語は、「・・・を備える(comprising)」および「そこでは(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の同義語として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単に符号として使用され、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図していない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定事項は、そのような特許請求の範囲の限定事項が、「・・・のための手段(means for)」という語句を、さらなる構造への言及を欠く機能の記述と一緒に明示的に使用している場合を除き、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)形式での記載ではなく、米国特許法第112条(f)に基づく解釈を意図していない。
本明細書は、例を使用して、本発明の主題のいくつかの実施形態を、あらゆる装置またはシステムの製作および使用ならびにあらゆる関連の方法の実行を含む本発明の主題の実施形態の実施を当業者にとって可能にするように開示する。本発明の主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者であれば想到する他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合や、特許請求の範囲の文言との実質的な差がない均等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲の技術的範囲に包含されるように意図される。
本発明の主題の特定の実施形態についての前述の説明は、添付の図面と併せて検討することで、よりよく理解されるであろう。種々の実施形態は、図面に示される配置および手段に限定されない。
本明細書において使用されるとき、単数形で記載され、単語「1つの(a))」または「1つの(an)」の後に続く要素またはステップは、とくに明示的に述べられない限りは、それらの要素またはステップが複数である場合を除外しないと理解されるべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、そこで記載された特徴をやはり備えるさらなる実施形態の存在を除外するように解釈されることを意図していない。さらに、とくに明示されない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「備えており(comprising)」、「備え(comprises)」、「含んでおり(including)」、「含み(includes)」、「有しており(having)」、あるいは「有している(having)」実施形態は、その特性を有さない追加のそのような要素を含んでもよい。