JP2022519246A - 抗体電荷不均一性についてのネイティブマイクロ流体ce-ms解析法 - Google Patents

抗体電荷不均一性についてのネイティブマイクロ流体ce-ms解析法 Download PDF

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Abstract

サンプルにおける対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントを検出及び/または区別するための方法を開示する。方法は、1つ以上の対象とする抗体を含むサンプルをプロテアーゼと接触させて、サンプルを抗体断片へと消化することと、キャピラリー電気泳動を使用して、1つ以上のキャピラリーにおいて分子量及び/または電荷によって抗体断片を分離することと、分離された抗体断片を、1つ以上のキャピラリーから溶出させることと、溶出した抗体断片の質量を、質量分析解析によって決定し、それにより、対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントを検出及び/または区別することとを含む。【選択図】なし

Description

配列表の参照
本出願は、2019年5月22日に作成され、487バイトを含むファイル10553P2-US_Sequence.txtとしてコンピュータ可読形式で提出された配列表を参照により組み込む。
発明の分野
本発明は、バイオ医薬品に関し、治療用抗体のインビトロ及び/またはインビボ翻訳後修飾を検出するためのキャピラリー電気泳動及び質量スペクトル解析の使用に関する。
背景
モノクローナル抗体(mAb)は、生物学的治療用製品の重要な種類であり、それらは、多くの生命を脅かす疾患及び慢性疾患の治療において顕著な成功を達成している。しかしながら、所定の状況では、治療用モノクローナル抗体(mAb)は、翻訳後修飾(PTM)に起因するバリアントを含む多くの生成物バリアントを伴って哺乳動物細胞において生成される不均一な分子である。PTMを介して生成されるバリアントは、生成、精製、保存、及び投与後の間にmAbの寿命全体を通して生じ得る。これらバリアントまたは製品関連修飾は、製品品質特性(PQA)とも称される。事前に定義された許容基準内でPQAを制御することは、一貫した製品品質を保証し、薬物の安全性及び有効性への潜在的な影響を低減することから、バイオ医薬品業界にとって不可欠である。
したがって、各個々のモノクローナル抗体は、独自のプロファイルを提示し得、そのプロファイルは、最終製品の開発中及び製造中の両方でこれらの製品の評価中に考慮に入れる必要がある特性である。食品医薬品局の業界向けガイダンスでは、インビボ環境内での修飾に対する治療用タンパク質の感受性をスポンサーが評価することを推奨している(Guidance for Industry,Immunogenicity Assessment for Therapeutic Protein Products.2014参照)。結果として、脱アミド化(例えば、Huang et al.,Analytical chemistry 2005;77:1432-9;Ouellette et al.,mAbs 2013;5:432-44;Yin et al.,Pharmaceutical research 2013;30:167-78;Li et al.,mAbs 2016:0;Li et al.,mAbs 2016:0参照)、酸化(例えば、Yin et al.,Pharmaceutical research 2013;30:167-78;Li et al.,mAbs 2016:0;Li et al.,mAbs 2016:0参照)、糖化(例えば、Goetze et al.,Glycobiology 2012;22:221-34参照)、グリコシル化(例えば、Li et al.,mAbs 2016:0;Li et al.,mAbs 2016:0;Goetze et al.,Glycobiology 2011;21:949-59;Alessandri et al.,mAbs 2012;4:509-20.参照)、ジスルフィド(例えば、Li Yet al.,mAbs 2016:0;Liu et al.,The Journal of biological chemistry 2008;283:29266-72参照)、N末端ピログルタミン酸形成(例えば、Yin et al.,Pharmaceutical research 2013;30:167-78;Li et al.,mAbs 2016:0;Li et al.,mAbs 2016:0;Liu et al.,The Journal of biological chemistry 2011;286:11211-7参照)、及びC末端リジン除去(例えば、Li et al.,mAbs 2016:0;Cai et al.,Biotechnology and bioengineering 2011;108:404-12参照)を含む多くのPQAのインビトロ及び/またはインビボ挙動が動物またはヒトサンプルにおいて調査されている。したがって、mAb調製をモニタリングするさらなる方法が必要とされている。
一態様では、本発明は、サンプルにおける対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントを検出及び/または区別するための方法であって、方法は、1つ以上の対象とする抗体を含むサンプルをプロテアーゼと接触させて、サンプルを抗体断片へと消化することと、キャピラリー電気泳動を使用して、1つ以上のキャピラリーにおいて分子量及び/または電荷によって抗体断片を分離することと、分離された抗体断片を、1つ以上のキャピラリーから溶出させることと、溶出した抗体断片の質量を、質量分析解析によって決定し、それにより、対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントを検出及び/または区別することとを含む、方法を提供する。
方法の様々な実施形態では、翻訳後修飾は、脱アミド化、酸化、糖化、ジスルフィド形成、N末端ピログルタミン酸形成、C末端リジン除去、及び高マンノースグリコシル化のうちの1つ以上を含む。
方法の様々な実施形態では、プロテアーゼは、IdeSを含む。
方法の様々な実施形態では、抗体断片は、F(ab’)またはFc抗体サブユニットのうちの1つ以上を含む。
方法の様々な実施形態では、対象とする抗体は、mAbである。
方法の様々な実施形態では、抗体断片は、電荷によって分離され、方法は、対象とする抗体の電荷バリアントを検出及び/または区別する方法である。
方法の様々な実施形態では、抗体断片は、分子量によって分離され、方法は、対象とする抗体のサイズバリアントを検出及び/または区別する方法である。
いくつかの実施形態では、方法は、サンプルにおける対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントの相対量または絶対量を決定することをさらに含む。
方法の様々な実施形態では、対象とする抗体は、二重特異性抗体を含む。
方法の様々な実施形態では、サンプルは、内部標準を含む。
方法の様々な実施形態では、1つ以上のキャピラリーは、分離マトリックスを含む。
方法の様々な実施形態では、分離マトリックスは、分子量によってタンパク質を分離するように構成された篩マトリックスを含む。
方法の様々な実施形態では、分離された抗体断片を1つ以上のキャピラリーから溶出させることは、抗体断片を1つ以上の画分へと分離することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、抗体断片を特定することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、抗体断片上に存在する翻訳後修飾を特定することをさらに含む。
方法の様々な実施形態では、対象とするモノクローナル抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、または混合型アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、方法は、対象とする抗体の翻訳後修飾プロファイリングをさらに含む。
いくつかの実施形態では、方法は、還元ペプチドマッピングLC-MS/MS解析による、翻訳後修飾ホットスポットの翻訳後修飾マッピングをさらに含む。
方法の様々な実施形態では、サンプルは、対象とする抗体の混合物を含む。
方法の様々な実施形態では、対象とする抗モノクローナル体は、抗体薬物コンジュゲートである。
様々な実施形態では、上記または本明細書で論述される実施形態の特徴または構成要素のいずれかが組み合わされ得、そのような組み合わせは、本開示の範囲に包含される。上記または本明細書で論述される任意の特定の値は、上記または本明細書で論述される別の関連する値と組み合わされて、範囲の上限及び下限を表す値を有する範囲が記述され得、そのような範囲は、本開示の範囲に包含される。
キャピラリー電気泳動及び質量スペクトル解析による、翻訳後修飾された抗体断片の分離及び検出のための例示的なワークフローの図である。 図2Aおよび2Bは、CE-MS(図2A)とSCX-UV(図2B)とでの抗体電荷バリアントの同等な分離を示すトレースのセットである。 図2Aの説明を参照のこと。 図3A~3Cは、ネイティブZipChip CE-MSの感度及びキャリーオーバー試験を示すグラフのセットである。(図3A)ネイティブZipChip CEのIgG1の感度。 図3A~3Cは、ネイティブZipChip CE-MSの感度及びキャリーオーバー試験を示すグラフのセットである。(図3B)ネイティブZipChip CEのIgG4の感度。 図3A~3Cは、ネイティブZipChip CE-MSの感度及びキャリーオーバー試験を示すグラフのセットである。(図3C)ネイティブZipChip CEのゼロキャリーオーバー。 インタクトNIST mAb及び配列番号1の電荷バリアント分離を示すグラフである。 図5A~5Cは、抗体F(ab’)2及びFcサブユニットの電荷バリアント解析を示すトレースのセットである。(図5A)IdeSで処理した対照及びストレスを受けたNIST mAbの電荷バリアント分離。 図5A~5Cは、抗体F(ab’)2及びFcサブユニットの電荷バリアント解析を示すトレースのセットである。(図5B)F(ab’)2領域の拡大エレクトロフェログラム。 図5A~5Cは、抗体F(ab’)2及びFcサブユニットの電荷バリアント解析を示すトレースのセットである。(図5C)Fc領域の拡大エレクトロフェログラム。 図6A~6Eは、ネイティブZipChip CE-MSによる、3種のIgG1 mAbの分離(図6A)、5種の二重特異性IgG4 mAbの分離(図6B)、10種のmAbの分離(図6C)、および共移行したmAbの特定(図6Dおよび6E)を示すグラフのセットである。 図6-1の説明を参照のこと。 図6-1の説明を参照のこと。
発明の詳細な説明
本発明を説明する前に、本発明は、記載されている特定の方法及び実験条件に限定されず、そのようなものとして方法及び条件は変わり得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定することは意図されないことを理解されたい。任意の実施形態または実施形態の特徴は互いに組み合わされ得、そのような組み合わせは本発明の範囲内に明示的に包含される。
別段記載されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料は、実施または試験において使用され得るが、これより特定の方法及び材料が記載される。言及されるすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
用語「1つの(a)」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきであり、用語「約」及び「およそ」は、当業者によって理解されるであろう標準的な変動を許容すると理解されるべきであり、範囲が提供される場合、終点が含まれる。
本明細書で使用される略語
mAb:モノクローナル抗体
biAb:二重特異性抗体
CQA:重要品質特性
CE:キャピラリー電気泳動
PTM:翻訳後修飾バリアント
IEC:イオン交換クロマトグラフィー
UV:紫外線
QC:品質管理
MS:質量分析
ADC:抗体薬物コンジュゲート
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、4つのポリペプチド鎖、すなわち、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖(すなわち、「完全抗体分子」)、ならびにその多量体(例えば、IgM)またはその抗原結合断片を含む免疫グロブリンを指すことが意図される。各重鎖は、重鎖可変領域(「HCVR」または「V」)及び重鎖定常領域(ドメインC1、C2及びC3を含む)を含む。様々な実施形態では、重鎖は、IgGアイソタイプであり得る。いくつかの場合では、重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4から選択される。いくつかの実施形態では、重鎖は、アイソタイプIgG1/IgG2またはIgG4/IgG2のキメラヒンジ領域を任意に含むアイソタイプIgG1またはIgG4のものである。各軽鎖は、軽鎖可変領域(「LCVRまたは「V」)及び軽鎖定常領域(C)を含む。V及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域と散在した相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに再分類され得る。各V及びVは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列された3つのCDR及び4つのFRから構成される。用語「抗体」は、任意のアイソタイプまたはサブクラスのグリコシル化及び非グリコシル化両方の免疫グロブリンへの言及を含む。用語「抗体」は、組換え手段によって調製、発現、作製または単離された抗体分子、例えば、抗体を発現するようにトランスフェクトされた宿主細胞から単離された抗体を含む。抗体構造に関するレビューについては、Lefranc et al.,IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,27(1)Dev.Comp.Immunol.55-77(2003);及びM.Potter,Structural correlates of immunoglobulin diversity,2(1)Surv.Immunol.Res.27-42(1983)を参照されたい。
抗体という用語はまた、複数の異なるエピトープに結合し得るヘテロ四量体免疫グロブリンを含む「二重特異性抗体」を包含する。単一の重鎖及び単一の軽鎖ならびに6つのCDRを含む二重特異性抗体の一方の半分は、1つの抗原またはエピトープに結合し、抗体の他方の半分は、異なる抗原またはエピトープに結合する。いくつかの場合では、二重特異性抗体は、同じ抗原であるが、異なるエピトープまたは非重複エピトープに結合し得る。いくつかの場合では、二重特異性抗体の両方の半分は、二重の特異性を保持しつつ、同じ軽鎖を有する。二重特異性抗体は、米国特許出願公開番号2010/0331527(2010年12月30日)に一般的に記載されている。
抗体(または「抗体断片」)の「抗原結合部分」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例は、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.(1989)Nature 241:544-546)、(vi)単離されたCDR、ならびに(vii)VL及びVH領域が対になって一価分子を形成する単一タンパク質鎖を形成するために合成リンカーによって接続されたFv断片の2つのドメイン、すなわち、VL及びVHからなるscFvを含む。他の形態の一本鎖抗体、例えば、ダイアボディも用語「抗体」に包含される(例えば、Holliger et at.(1993)90 PNAS U.S.A.6444-6448;及びPoljak et at.(1994)2 Structure 1121-1123参照)。
その上、抗体及びその抗原結合断片は、当該技術分野で一般的に知られている標準的な組換えDNA技術を使用して得られ得る(Sambrook et al.,1989参照)。
用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。本発明のヒトmAbは、例えば、CDR及び特にCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異導入によってまたはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、別の哺乳動物種(例えば、マウス)の生殖系列に由来するCDR配列がヒトFR配列にグラフトされたmAbを含むことは意図されない。その用語は、非ヒト哺乳動物において、または非ヒト哺乳動物の細胞において組換え的に生成された抗体を含む。その用語は、ヒト対象から単離された、またはヒト対象で生成された抗体を含むことは意図されない。
用語「ADC」または「抗体-薬物コンジュゲート」は、治療用部位、例えば、細胞毒性剤、化学療法薬、免疫抑制剤または放射性同位体にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を指す。細胞毒性剤は、細胞の成長、生存性または増殖に有害な任意の薬剤である。ADCを形成するための好適な細胞毒性剤及び化学療法剤の例は、当該技術分野で知られている。
用語「サンプル」は、本明細書で使用される場合、本発明の方法による操作、例えば、分離、解析、抽出、濃縮またはプロファイリングに供される少なくとも1つの対象とするポリペプチド、例えば、モノクローナル抗体もしくは二重特異性抗体またはその断片を含む分子の混合物を指す。
用語「解析」または「解析すること」は、本明細書で使用される場合、互換的に使用され、抗体調製物における対象とする分子(例えば、抗体などのポリペプチド)及び混入物質を分離、検出、単離、精製、可溶化、検出する及び/または特徴付ける様々な方法のいずれかを指す。例は、電気泳動、質量分析、例えば、タンデム質量分析、紫外線検出、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
「クロマトグラフィー」は、本明細書で使用される場合、混合物、例えば、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド及び/または抗体、例えば、モノクローナル抗体を含有する混合物を分離するプロセスを指す。それは、対象とする分子を混合物中の他の分子から分離し、対象とする1つ以上の分子を単離することを可能にする固定相に混合物を通すことを含む。本明細書に開示される方法では、クロマトグラフィーは、サイズベースのキャピラリー電気泳動及び等電点または電荷ベースのキャピラリー電気泳動を含むキャピラリー電気泳動を指す。
用語「単離された」は、本明細書で使用される場合、成分が天然に存在する、または遺伝子組換えで発現した生物の細胞における他の生物学的成分、すなわち、他の染色体及び染色体外のDNA及びRNA、タンパク質、脂質、ならびに代謝物と実質的に分離された、それとは別に生成された、またはそれと分かれて精製された生物学的成分(抗体、例えば、モノクローナル抗体など)を指す。よって、「単離」された核酸、ペプチド、タンパク質、脂質及び代謝物は、標準的または非標準的精製方法によって精製された核酸、ペプチド、タンパク質、脂質、及び代謝物を含む。その用語はまた、宿主細胞で組換え発現によって調製された核酸、ペプチド、タンパク質、脂質、及び代謝物ならびに化学的に合成されたペプチド、脂質、代謝物、及び核酸を包含する。
用語「ペプチド」、「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、ペプチド結合またはペプチド結合模倣体によって接続されたアミノ酸及び/またはアミノ酸アナログのポリマーを互換的に指す。20種の天然に存在するアミノ酸ならびにそれらの1文字及び3文字の表記は次のとおりである:アラニン A Ala;システイン C Cys;アスパラギン酸 D Asp;グルタミン酸 E Glu;フェニルアラニン F Phe;グリシン G Gly;ヒスチジン H His;イソロイシン I He;リジン K Lys;ロイシン L Leu;メチオニン M Met;アスパラギン N Asn;プロリン P Pro;グルタミン Q Gln;アルギニン R Arg;セリン S Ser;トレオニン T Thr;バリンV Val;トリプトファン w Trp;及びチロシン Y Tyr。1つの実施形態では、ペプチドは、抗体またはその断片もしくは部分は、例えば、上記で列挙された断片または抗体鎖のいずれかである。いくつかの実施形態では、ペプチドは、翻訳後修飾され得る。本明細書で使用される場合、用語「対象とするタンパク質」及び/または「対象とする標的タンパク質」は、本明細書で提供される方法で分離及び/または検出される任意のタンパク質を指す。対象とする好適なタンパク質は、抗体、例えば、モノクローナル抗体、及びその断片を含む。
「検出する」及び「検出」は、それらの標準的な意味を有し、対象とするタンパク質、例えば、mAbまたはその断片の有無、測定、及び/または特徴付けを含む検出を包含することが意図される。
本明細書で使用される場合、用語「標準」及び/または「内部標準」は、電気泳動による分子量または等電点に基づいて、サンプルならびに標準及びサンプルにおける分子の両方に添加され得る既知の量及び/または同一性(例えば、既知の分子量、電気泳動移動性プロファイル)の十分に特徴付けられた物質を指す。次いで標準の比較は、サンプルに存在するmAbまたはその断片などの解析物の量の定量的または半定量的な測定を提供する。
「接触させる」は、本明細書で使用される場合、溶液または固相における少なくとも2つの物質をまとめること、例えば、サンプルを酵素、例えば、プロテアーゼと接触させることを指す。
用語「対応する」は、位置、目的または構造における類似性を示す相対的用語であり、翻訳後修飾の有無を別として同一の構造のペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、翻訳後修飾の有無を別として同一の構造の対応するペプチドに起因する質量スペクトルにおける質量スペクトルシグナルは、「対応する」質量スペクトルシグナルである。特定のペプチドに起因する質量スペクトルシグナルはまた、そのペプチドに対応するシグナルと称される。所定の実施形態では、特定のペプチド配列またはアミノ酸のセットは、対応するペプチド質量に割り当てられ得る。
用語「断片ペプチド」または「ペプチド断片」は、本明細書で使用される場合、断片化、酵素的タンパク質分解、または化学的加水分解を含むプロセスを介して全長ポリペプチド、例えば、タンパク質及び/またはモノクローナル抗体から誘導されたペプチドを指す。そのようなタンパク質分解ペプチドは、1つ以上のプロテアーゼ、例えば、IdeSプロテアーゼでのタンパク質の処理によって生成されたペプチドを含む。断片ペプチド、またはペプチド断片は、消化されたペプチドであり得る。
「質量分析」は、サンプルから気相イオンを生成し、これが次いでそれらの質量対電荷比(m/z)に従って分離され、検出されることによってサンプルが解析される方法を指す。サンプルから気相イオンを生成する方法は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)、化学イオン化、及び電子衝撃イオン化(EI)を含む。イオンをそれらのm/z比に従って分離することは、四重極型質量解析計(Q)、飛行時間型(TOF)質量解析計、磁気セクター型質量解析計、3D及びリニアイオントラップ(IT)、オービトラップ型質量解析計、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)解析計、及びそれらの組み合わせ(例えば、四重極型飛行時間型解析計、またはQ-TOF解析計)を含む任意のタイプの質量解析計で達成され得る。分離の前に、サンプルは、クロマトグラフィー分離の1つ以上の寸法、例えば、液体またはサイズ排除クロマトグラフィーの1つ以上の寸法に供され得る。
タンデム質量分析またはMS/MSは、選択されたイオン(前駆体イオン)を断片(生成物イオン)へと分解するための技術である。次いで断片は、前駆体イオンの化学的構造の態様を明らかにする。タンデム質量分析では、サンプルが(例えば、ESI、MALDI、EIなどによって)イオン化されてイオンの混合物が生成されると、前駆体イオン、例えば、特定の質量対電荷比(m/z)の消化からのペプチドが選択され(MS1)、次いで断片化されて(MS2)、検出のための生成物イオンが生成される。典型的なタンデムMS機器は、QqQ、QTOF、及びハイブリッドイオントラップ/FTMSなどを含む。タンデム質量分析の適用の1つの例は、タンパク質特定である。第1の質量解析計は、イオン源に導入され、次いでイオン源から出現する多数のペプチドの中から単一の種を表す特定のm/z値のイオンを分離する。次いでそれらのイオンは、不活性ガス、例えば、アルゴンを含有する衝突セルへと加速されて、イオン断片化が誘導される。このプロセスは、衝突誘起解離(CID)または衝突活性化解離(CAD)と指定される。次いで断片イオンのm/z値は、第2の質量解析計で測定されて、アミノ酸配列情報が得られる。
アミノ酸の質量に対する言及は、所与の同位体存在量、例えば、天然存在量でのアミノ酸のモノアイソトピック質量または平均質量を意味する。いくつかの例では、アミノ酸の質量は、例えば、アミノ酸を同位体で標識することによって歪められ得る。アミノ酸の平均質量付近でのある程度の変動性は、アミノ酸の正確な同位体組成に基づいて個々の単一アミノ酸について予期される。アミノ酸についてのモノアイソトピック質量及び平均質量を含む質量は、当業者によって容易に得られ得る。
同様に、ペプチドの質量に対する言及は、所与の同位体存在量、例えば、天然存在量でのペプチドのモノアイソトピック質量または平均質量を意味する。いくつかの例では、ペプチドの質量は、例えば、ペプチドにおける1つ以上のアミノ酸を同位体で標識することによって歪められ得る。ペプチドの平均質量付近でのある程度の変動性は、ペプチドの正確な同位体組成に基づいて個々の単一ペプチドについて予期される。特定のペプチドの質量は、当業者によって決定され得る。
一般的記載
モノクローナル抗体(mAb)バリアントの特徴付けは、潜在的治療用抗体の安全性、効力、及び安定性に対するそれらの潜在的影響を特定するために重要である。例えば、規制当局による承認のために検討するためには、分子の広範な特徴付けが実施されなければならない。抗体の混合物を含む薬物製品では、各抗体の絶対または相対量の特徴付けが決定されなければならない。凝集体及び断片は、免疫原性及び効力に影響を及ぼし得るので、それらのレベルは典型的には、ロットリリース、安定性、及び特徴付けの間にモニタリングされる。さらに、分子の主要な分解経路ならびに生成物関連不純物及びバリアントが決定される。UV検出と連結されたイオン交換クロマトグラフィー(IEC)は、慣用的な品質管理(QC)においてmAbバリアントを分離し、定量化するために頻繁に使用される。しかしながら、IEC分離に起因するクロマトグラフィーピークの特徴付けは、極端に時間を消費するプロセスである。よって、潜在的な治療用mAb及びmAb調製物を特徴付けるためにさらなる方法が必要とされる。本明細書に開示される方法はそれらの必要性に応える。
本明細書では、物理的パラメータ、例えば、質量及び/または電荷によってサンプルにおける対象とする抗体、例えば、モノクローナル抗体(mAb)のバリアントを検出及び/または区別する方法が開示される。本発明者は、強制分解及び長期安定性研究のために抗体電荷バリアントの迅速な特定のためのハイスループットかつ高感度のネイティブマイクロ流体キャピラリー電気泳動(CE)-MS法を開発した。
IEC法と比較して、ネイティブマイクロ流体CE-MSによって高分解能及び同等な電荷プロファイルが得られる。開示される方法は、抗体調製物のQC評価において使用され得る。方法の実施形態では、対象とする抗体を含むサンプルは、例えば、CE-システムの1つ以上のキャピラリーで、キャピラリー電気泳動を使用することによって分解または分離される。所定の実施形態では、サンプルは、分子量及び電荷によって分解または分離される。例えば、質量及び電荷またはm/z比による分離を使用して、同じ質量であるが異なる電荷を有する断片が分解され得る。同様に、質量及び電荷またはm/z比による分離を使用して、同じ変化であるが異なる質量を有する断片が分解され得る。実施形態では、方法は、例えば、1つ以上の対象とする抗体を含むサンプルをプロテアーゼと接触させてサンプルを消化することによって、対象とする抗体、例えば、モノクローナル抗体(mAb)の断片を遊離させることを含む。実施形態では、プロテアーゼは、IdeSプロテアーゼである。部分的または完全のいずれかの消化が行われると、抗体断片は、キャピラリー電気泳動を使用して1つ以上のキャピラリーにおいて分子量及び/または電荷によって分離され得る。分離された抗体断片は、1つ以上のキャピラリーから溶出され得、溶出した抗体断片の質量は、対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントを検出及び/または区別するための質量分析解析、例えば、対象とする抗体の断片のPTMプロファイルの検出及び/または決定によって決定され得る。所定の実施形態では、抗体断片は、例えば、プロテアーゼ、例えば、IdeSプロテアーゼを使用してインタクト抗体から消化される、F(ab’)またはFc抗体サブユニットの1つ以上を含む。所定の実施形態では、対象とする抗体は、モノクローナル抗体、例えば、現在使用されている治療用抗体または新規モノクローナル抗体を含む評価を受けているものである。所定の実施形態では、対象とするモノクローナル抗体は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)の一部である。所定の実施形態では、抗体断片は、電荷によって分離され、方法は、対象とする抗体の電荷バリアントを検出及び/または区別する方法である。所定の実施形態では、抗体断片は、分子量によって分離され、方法は、対象とする抗体のサイズバリアントを検出及び/または区別する方法である。所定の実施形態では、抗体断片は、電荷及び分子量によって分離され、方法は、対象とする抗体の電荷及び分子量バリアントを検出及び/または区別する方法である。所定の実施形態では、方法は、サンプルにおける対象とする抗体、例えば、抗体断片の翻訳後修飾バリアントの相対量または絶対量を決定することを含む。
上述したように、質量及び電荷による抗体の分離は、抗体断片の均質性、例えば、単に分子量による分離においては容易に判明しない可能性がある抗体の表面電荷の変化を決定することが可能であるという利点を有する。この分離により、サンプルにおける断片上の翻訳後修飾のタイプ及びレベルの決定が可能になる。モノクローナル抗体(mAb)上の翻訳後修飾(PTM)の存在は、電荷不均一性を誘導し(表1参照)、薬物安定性及び生物学的活性に潜在的に影響を及ぼす。よって、薬物開発中にmAbのPTM及び関連する電荷バリアントプロファイルをモニタリングすることが重要である。ここで、我々は、mAb電荷バリアントの迅速な特定のためのハイスループットかつ高感度なネイティブマイクロ流体CE-MS法の開発、ならびにその強制分解及び長期安定性研究への適用を提供する。イオン交換クロマトグラフィー(IEX)に基づくアプローチと比較して、同等な電荷バリアントプロファイルを有する高分解能が、本明細書に開示されるネイティブマイクロ流体CE-MS法を使用して得られ得る。
(表1)抗体電荷不均一性の原因
Figure 2022519246000001
所定の実施形態では、翻訳後修飾は、脱アミド化、酸化、糖化、ジスルフィド形成、N末端ピログルタミン酸形成、C末端リジン除去、及び高マンノースグリコシル化のうちの1つ以上である。
所定の実施形態では、サンプルは、単一キャピラリー内で分解または分離される。所定の実施形態では、サンプルは、例えば並行の、複数のキャピラリー内で分解または分離される例えば、分子量による分離に関して、抗体のフラグメントが小さいほど、所与の期間にわたってキャピラリー内でより遠くに移動するであろう。また、電荷に応じて異なる移動時間に供される抗体断片の電荷の相違が予期されるであろう。
実施形態では、サンプルは、対象とする複数の抗体に由来する複数の、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたはそれ以上のセットの抗体断片を含有し得る。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、サンプルにおける抗体断片の量に対応するピーク高さまたは領域の測定によって、サンプルにおける抗体断片のバリアントの相対量または絶対量を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象とする抗体は、二重特異性モノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、1つ以上の内部標準、例えば、分子量標準のラダー(ladder)、等電点標準のラダー、またはさらにサンプルにおける対象とする抗体断片の量を決定するためのベースラインもしくはベンチマークとして使用される標準を含む。
複数のmAbのmAbカクテルにおいてmAbを区別する能力は、これらの複数成分の療法が疾患治療において増大した有効性を実証するにつれて、ますます重要になっている。よって、これらのシステムにおける個々のmAbがどのように挙動するかをモニタリングする改善された方法は、これらの複数のmAbの療法の適合性及び安定性を評価する上でますます重要になる。この高まる必要性に応えるために、本開示は、サンプルにおける2つ以上のモノクローナル抗体の混合物におけるモノクローナル抗体を検出及び/または区別するための方法を提供する。
実施形態では、方法は、キャピラリー電気泳動を使用して1つ以上のキャピラリーにおいて電荷によって、2種以上の対象とするmAb、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはさらに多い、対象とするmAbを有するサンプルのタンパク質成分を分離することを含む。
いくつかの実施形態では、対象とする抗体、例えば、混合物における抗体の電荷に基づくプロファイルまたはフィンガープリント、例えば、翻訳後修飾に対応する電荷に基づくプロファイルまたはフィンガープリントとの比較のために対象とする抗体単独の電荷に基づくプロファイルまたはフィンガープリントが作製され得る。この比較は次いで、対象とする抗体が混合物において変化するかどうかを決定するために使用され得る。このプロファイルまたはフィンガープリント比較は、混合物における対象とする抗体のいずれかまたはすべてについて行われ得る。
開示される方法において使用するためのサンプルは、様々な成分、すなわち、異なるタンパク質を含有し、不均一であり得る。代替的には、サンプルは、複数の電荷または分子量種の1つの成分または本質的に1つの成分を含有し、均質であり得る。事前解析処理は、対象とする抗体、例えば、1つのmAbまたは複数のmAbを検出する前にサンプルについて実施され得る。例えば、サンプルは、溶解工程、変性工程、加熱工程、精製工程、沈降工程、免疫沈降工程、カラムクロマトグラフィー工程、遠心分離などに供され得る。いくつかの実施形態では、サンプルの分離及び固定化は、ネイティブ基材について実施され得る。他の実施形態では、サンプルは、変性、例えば、加熱及び/または変性剤との接触に供され得る。変性剤は当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、サンプルは、非還元条件に供され得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、例えば、サンプルを1つ以上の還元剤と接触させることによって還元条件に供され得る。還元剤は、当該技術分野で知られている。
実施形態では、キャピラリーは、装置及び/またはシステムによって自動化様式で加えられ得る分離マトリックスを含み得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、分離の前にスタッカーマトリックスに充填される。分離マトリックスは、1つの実施形態では、サイズ分離マトリックスであり、従来の電気泳動技術で使用されるポリマーゲルと同様または実質的に同じ特性を有する。分離マトリックスにおけるキャピラリー電気泳動は、ポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルなどの高分子ゲルにおける分離と類似しており、その場合、分子が移動し得る多孔質通路を提供することによって、サンプルにおける分子のサイズに基づいて分子が分離される。分離マトリックスは、より大きな分子がより小さな分子よりもゆっくりとマトリックスを移動するため、分子サイズによる分子の分離を可能にする。いくつかの実施形態では、1つ以上のキャピラリーは、分離マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、対象とする抗体を含有するサンプルは、分子量に基づいて分離または分解される。いくつかの実施形態では、分離マトリックスは、分子量によってタンパク質を分離するように構成された篩マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、サンプルのタンパク質成分は、分子量によって分離され、方法は、対象とする抗体のサイズバリアントを検出及び/または区別する方法である。いくつかの実施形態では、サンプルの抗体断片は、分子量によって分離され、方法は、対象とする汚染タンパク質のサイズバリアントを検出及び/または区別する方法である。
多様な固相基材、例えば、ポリアクリルアミドゲルなどのゲルが当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、1つ以上の対象とするタンパク質を分解することは、ポリマーゲルにおけるサンプルの電気泳動を含む。ポリマーゲル、例えば、ポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルにおける電気泳動は、分子のサイズに基づいて分子を分離する。ポリマーゲルは、分子が移動し得る多孔質通路を提供する。ポリマーゲルにより、より大きな分子はより小さな分子よりもゆっくりとゲルを移動するため、分子サイズによる分子の分離が可能となる。
いくつかの実施形態では、対象とするタンパク質を含有するサンプルは、サンプルの成分の電荷に基づいて分離または分解される。いくつかの実施形態では、サンプルのタンパク質成分は、電荷によって分離され、方法は、対象とするモノクローナル抗体の電荷バリアントを検出及び/または区別する方法である。いくつかの実施形態では、サンプルの断片は、電荷によって分離され、方法は、対象とする抗体の電荷バリアントを検出及び/または区別する方法である。
いくつかの実施形態では、内部標準は、通常は何らかの方法で対象とする抗体から区別可能とされた対象とする抗体自体またはその断片の精製形態であり得る。対象とする抗体自体またはその断片の精製形態を得る方法は、自然からの精製、実験室で成長した生物からの精製(例えば、化学的合成を介する)、及び/または類似のものを含み得るがこれらに限定されない。内部標準の特性の区別は、任意の好適な変化であり得、それには、色素標識、放射線標識、または対象とする抗体から分離されるように電気泳動分離中に標準の移動性を改変することが含まれるがこれらに限定されない。例えば、標準は、対象とする抗体自体またはその断片に対して標準の電荷、質量、及び/または長さを変化させる(例えば、欠失、融合、及び/または化学的変性を介する)対象とする抗体自体またはその断片の修飾を含有し得る。よって、対象とする抗体自体またはその断片及び内部標準はそれぞれ、異なる発光波長でそれぞれ検出可能である蛍光色素で標識され得、それにより、対象とするタンパク質及び標準を独立して検出可能にすることが可能となる。いくつかの例では、内部標準は、対象とする抗体自体またはその断片とは異なるが、対象とする抗体自体またはその断片と類似するまたは同じように挙動し、関連のある比較測定を可能にする。
当業者によって理解されるように、キャピラリーにおいてサンプルを充填する実質的に任意の方法が実施され得る。例えば、サンプルは、キャピラリーの一端に充填され得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、流体力学的流動によってキャピラリーの一端に充填される。例えば、流体経路がキャピラリーである実施形態では、キャピラリーがマイクロピペットとして使用されるように、サンプルは、流体力学的流動によってキャピラリーの一端に充填され得る。いくつかの実施形態では、例えば、キャピラリーがゲルで満たされることで、流体力学的流動に対してより抵抗性である場合に、サンプルは、電気泳動によってキャピラリー内に充填され得る。
キャピラリーは、液体または溶解した分子が流れることを可能にする任意の構造を含み得る。よって、キャピラリーは、それが方法と適合する限り、当該技術分野で知られている任意の構造を含み得る。いくつかの実施形態では、キャピラリーは、液体または溶解した分子が流れ得る穴またはチャネルである。いくつかの実施形態では、キャピラリーは、液体または溶解した分子が流れ得る透過性物質における通路である。
キャピラリーは、キャピラリー内で対象とするタンパク質の検出を可能にする任意の物質を含む。キャピラリーは、任意の好都合な物質、例えば、ガラス、プラスチック、ケイ素、溶融シリカ、ゲルなどを含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数のキャピラリーを採用する。複数のキャピラリーは、複数のサンプルを同時に解析することを可能にする。
キャピラリーは、寸法、幅、深さ及び断面、ならびに形状、例えば、丸型、台形、長方形などについて変化し得る。キャピラリーは、直線状、丸型、蛇行状などであり得る。後述するように、流体経路の長さは、サンプルサイズ及び対象とするタンパク質を分解するために必要とされるサンプル分離の程度などの要因に部分的に依存する。
いくつかの実施形態では、キャピラリーは、穴を有するチューブを含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数のキャピラリーを採用する。好適なサイズは、限定されないが、約10~約1000μmの内径を有するキャピラリーを含むが、より典型的には約25~約400μmの内径を有するキャピラリーが利用され得る。より小さな直径のキャピラリーは、比較的少ないサンプル充填を使用するが、比較的大きな穴のキャピラリーの使用は、比較的多いサンプル充填を可能にし、改善されたシグナル検出をもたらし得る。
キャピラリーは、様々な長さを有し得る。好適な長さは、限定されないが、長さが約1~20cmのキャピラリーを含むが、幾分より短い及びより長いキャピラリーが使用され得る。いくつかの実施形態では、キャピラリーは、長さが約1、2、3、4、5、または6cmである。より長いキャピラリーは典型的には、複雑な混合物のより良好な分離及び改善された分解をもたらす。より長いキャピラリーは、少ない存在量の対象とするタンパク質の分解において特に有用であり得る。
通常、キャピラリーは、溶融シリカから構成されるが、プラスチックキャピラリー及びPYREX(すなわち、非晶質ガラス)が利用され得る。上述したように、キャピラリーは、丸型または管状の形状を有する必要はない。他の形状も、それらが本明細書に記載の方法と適合する限り使用され得る。
いくつかの実施形態では、キャピラリーは、チャネルであり得る。いくつかの実施形態では、方法は、複数のチャネルを採用する。いくつかの実施形態では、キャピラリーは、マイクロ流体デバイスにおけるチャネルであり得る。マイクロ流体は、基材におけるチャネルを採用して多様なオペレーションを実施する。マイクロ流体デバイスは、基材の表面に形成された1つまたは複数のチャネルを含み得る。マイクロ流体デバイスは、固体不活性基材から、いくつかの実施形態ではチップの形態で得られ得る。マイクロ流体デバイスの寸法は重要ではなく、いくつかの実施形態では、寸法は、約100μm~約5mmの厚さ及び一辺がおよそ約1センチメートル~約20センチメートルのオーダーである。好適なサイズは、限定されないが、約5μm~約200μmの深さを有するチャネルを含むが、より典型的には、約20μm~約50μmの深さを有するものが利用され得る。より小さなチャネル、例えば、マイクロまたはナノチャネルも、それらが方法と適合する限り使用され得る。
抗体断片は、対象とする抗体、例えば、モノクローナル抗体から得られ得る。抗体断片は、還元、酵素消化、変性、断片化、化学的切断またはそれらの組み合わせによって調製され得る。本明細書に開示される方法は、任意の抗体アイソタイプ、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、または混合型アイソタイプに適用可能である。
還元は、3次元タンパク質、例えば、モノクローナル抗体においてジスルフィド結合を2つのチオールに還元することである。還元は、還元剤、例えば、TCEP-HClの存在下での、熱変性、界面活性剤の添加、または変性剤、例えば、グアニジンHCl(6M)の添加によって実施され得る。酵素分解は、プロテアーゼ、例えば、トリプシンまたはアクロモバクタープロテアーゼI(Lys-C)でのタンパク質の消化である。また、糖タンパク質は、熱もしくは化学物質、またはそれらの組み合わせによって変性され得る。断片化は、モノクローナル抗体などの単一または複数のサブユニットタンパク質のタンパク質部分を物理的、生物学的または化学的な方法で切断することを含む。例えば、S.ピオゲネス(S.pyogenes)に由来する免疫グロブリン分解酵素(IdeS)が抗体サブユニット断片化のために一般的に使用される。
様々な実施形態では、サンプルにおける抗体は、親水性濃縮基材と接触させる前に還元、酵素分解、変性または断片化によって処理及び調製され得る。方法は、断片を用いて抗体、例えば、モノクローナル抗体(mAb)治療剤の翻訳後修飾を特徴付けるための新規なクロマトグラフィー法を提供する。所定の実施形態では、任意の介在工程でのサンプルは、濃縮、脱塩などがなされ得る。
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、翻訳後修飾された抗体断片のペプチド部分からのUVシグナルを使用して、翻訳後修飾された抗体断片を検出することをさらに含む。これは、サンプルの画分について行われ得、さらなる解析、例えば、質量分析(MS)解析のための特定の画分の選択を可能にする。よって、さらなる実施形態では、検出工程は、質量分析または液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を含む。生体分子の解析のための質量分析の適用では、分子は、液相または固相から気相及び真空相に移行する。多くの生体分子は、大きくかつ脆い(タンパク質は主要例である)ため、それらを真空相に移行させるための最も有効な方法の2つは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)またはエレクトロスプレーイオン化(ESI)である。これらの方法の使用の態様、及びサンプル調製要件は当業者に知られている。一般に、ESIはより感度が高いのに対し、MALDIはより早い。重要なことに、いくつかのペプチドは、ESIよりもMALDIモードでよくイオン化し、その逆もある(Genome Technology,June 220,p52)。本発明の抽出チャネル法及びデバイスは、MS解析のためのサンプル、特に生体分子サンプル、例えば、翻訳後修飾された抗体断片を調製するのに特に適している。本発明の重要な利点は、介在プロセス工程、例えば、濃縮または脱塩を必要とすることなく、直接的に解析され得る濃縮サンプルの調製を可能にすることである。
ESIは、サンプルを揮発性酸及び有機溶媒と混合し、それを高電圧で帯電した導電性針を介して注入することによって実施される。針の端部から噴霧(または噴出される)帯電した液滴は、質量分析計に導かれ、それらが舞う時に熱及び真空によって乾燥される。液滴が乾燥した後、残存する帯電分子は、電磁レンズによって質量検出器に導かれ、質量解析される。一実施形態では、溶出したサンプルは、キャピラリーからエレクトロスプレーノズル内に直接的に堆積し、例えば、キャピラリーがサンプルローダーとして機能する。別の実施形態では、キャピラリー自体は、抽出デバイス及びエレクトロスプレーノズルの両方として機能する。
MALDIについては、解析物分子(例えば、タンパク質)は、金属標的上に堆積し、有機マトリックスと共結晶化される。サンプルは、乾燥され、質量分析計に挿入され、典型的には飛行時間型(TOF)検出を介して解析される。一実施形態では、溶出したサンプルは、キャピラリーから金属標的上に直接的に堆積し、例えば、キャピラリー自体がサンプルローダーとして機能する。一実施形態では、抽出された解析物は、MALDI標的上に堆積し、MALDIイオン化マトリックスが添加され、サンプルはイオン化され、例えば、TOF検出によって解析される。
いくつかの実施形態では、他のイオン化モード、例えば、ESI-MS、ターボスプレーイオン化質量分析、ナノスプレーイオン化質量分析、サーモスプレーイオン化質量分析、ソニックスプレーイオン化質量分析、SELDI-MS及びMALDI-MSが使用される。一般に、これらの方法の利点は、サンプルの「ちょうどよい時間の」精製及びイオン化環境への直接的導入を可能にすることである。様々なイオン化及び検出モードは、使用される脱着溶液の性質に独自の制約をもたらすことに注目することは重要であり、脱着溶液が両方と適合することが重要である。例えば、多くの用途におけるサンプルマトリックスは、低いイオン強度を有すること、または特定のpH範囲内に属することなどが必要である。ESIでは、サンプルにおける塩は、イオン化を低下させることによってまたはノズルを詰まらせることによって検出を妨げ得る。この問題は、少ない塩に解析物を提供することによって及び/または揮発性塩の使用によって対処される。MALDIの場合、解析物は、標的上のスポッティング及び採用されるイオン化マトリックスと適合する溶媒に存在するべきである。実施形態では、方法は、抗体断片、例えば、抗体断片の配列を特定することをさらに含む。実施形態では、方法は、抗体断片上に存在する翻訳後修飾を特定することをさらに含む。実施形態では、方法は、対象とする抗体の翻訳後修飾プロファイリングをさらに含む。実施形態では、方法は、還元ペプチドマッピングLC-MS/MS解析による、翻訳後修飾ホットスポットの翻訳後修飾マッピングをさらに含む。
具体的な実施形態が上記で詳細に説明されているが、説明は、例示の目的のためのものにすぎない。したがって、上記で説明した多くの態様は、別段明示的に述べられない限り、必要とされるまたは本質的な要素として意図されないことが理解されるべきである。上述したものに加えて、例示の実施形態の開示された態様の改変、及びそれに対応する同等の構成要素または行為は、添付の特許請求の範囲で定義された実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の利益を有する当業者によって行われ得、その範囲は、そのような改変及び同等の構造を包含するように最も広い解釈が与えられるべきである。
以下の例は、所定の実施形態の特定の特徴を例示するために提供される。しかしながら、後述される特定の特徴は、本発明の範囲に対する限定としてではなく、均等物が当業者によって認識される例としてみなされるべきである。
以下の例は、本発明の方法の作製及び使用の仕方の完全な開示及び説明を当業者に提供するように提示され、本発明者が発明とみなす範囲を限定することは意図されない。使用される数(例えば、量、温度など)に関する正確性を確保するための努力がなされているが、いくらかの実験誤差及び逸脱が考慮されるべきである。別段示されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、室温は約25℃であり、圧力は大気圧またはその付近である。
ネイティブマイクロ流体キャピラリー電気泳動-質量分析による抗体電荷不均一性のハイスループット解析
抗体電荷不均一性解析のための高分解能、高感度及びハイスループットのネイティブキャピラリー電気泳動(CE)-質量分析(MS)法を開発する。
NISTからのモデルmAbは、強制分解研究のために使用される。異なるインキュベーション時間を有するサンプルは、IdeS消化によって切断されて、F(ab’)またはFc関連サブユニット種が生成される。インタクト対照及びストレスを受けた抗体は、電荷バリアントの特定のためにネイティブ状態付近でのZipchip CE-MSによって解析される。上昇した電荷バリアントは、サブユニット電荷バリアント解析によってF(ab’)またはFcに割り当てられる。PTMホットスポットは、還元ペプチドマッピングLC-MS/MS解析によってモニタリングされる。インタクト質量データは、PMi-インタクトソフトウェアによって処理される。還元ペプチドマッピングデータは、PTMの特定及び定量化のためにそれぞれBioPharma Finder 3.0及びSkyline-daily 4.2によって処理される。徹底的なネイティブZipchip CE-MSシステム評価のためにNIST抗体を使用した。結果は、ゼロキャリーオーバー及び良好な実行間再現性を示した。1ngの抗体充填量で高感度測定が達成された。酸性及び塩基性電荷バリアントは、ネイティブ条件でのZipchip CE実行によってNIST抗体標準について主要ピークから良好に分離された。MS解析は、重鎖上に1及び2の未処理C末端リジンを有する抗体に対応する2つの塩基性バリアントを特定したのに対し、酸性バリアントは主に脱アミド化によって引き起こされた。NIST抗体を使用してIEXとネイティブCE-MSとで同等かつ高分解能の電荷バリアント分離が達成された。
NIST mAb参照標準及びその熱でストレスを受けた形態を45℃で最大28日間のインキュベーション後に解析した。インキュベーションの後、サンプルをまずIdeS消化によって切断してF(ab’)2及びFc断片を生成した。対照抗体とストレスを受けた抗体の両方のインタクト質量解析を、普遍的なネイティブZipchip CE-MS法を使用して実行した。PTMホットスポットを還元ペプチドマッピングLC-MS/MS解析によって特定して、ストレス条件下で上昇した電荷バリアントを解明した。IgG1、IgG4及び二重特異性mAbを含む15種の抗体のパネルをネイティブZipchip CE-MS法を使用して解析した。
サンプル調製
強制分解研究:
NIST IgG1 mAb(5mg/mL、pH6.0)を45℃で0、1、4、8、15及び28日間インキュベーションした。
IdeS処理:
各NIST mAbサンプルをMilli-Q水で2mg/mLまで希釈した。次いで125単位のIdeS(Promega)を100μgのmAbに1.25/1の酵素/抗体比で添加した。混合物を37℃で600rpmで30分間振盪しながらインキュベーションして、F(ab’)2及びFc断片を生成した。各研究/処理の後の対照サンプル及びストレスを受けたサンプルを即座に-20℃で保存した。
ネイティブZipChip CE-MS
抗体及びその電荷バリアントのインタクト質量解析を、Exactive Plus EMR Obitrap質量分析計(Thermo Scientific)に連結されたZipchip CEインターフェース(908 Devices)を使用して実行した。ネイティブバックグラウンド電解質(BGE)、pH約5.5(908 Devices)を有するネイティブマイクロ流体HRNチップ(22cmの分離チャネル、908 Devices)で抗体電荷バリアントを分離した。
CEパラメータ:
電界強度:650V/cm、圧力アシスト:有、圧力アシスト開始時間:0.2分、反復遅延:30秒、注入体積:1nL
MSパラメータ:
(1)ESI調整:スプレー電圧:0、キャピラリー温度:300℃、S-レンズ:150、シースガス:2、補助ガス:0、捕捉ガス:1.0。
(2)取得方法:ポジティブモード検出での全スキャン解析、インソースCIS:100eV、分解能:17,500、AGC:3e6、最大IT:50ms、マイクロスキャン:3、スキャン範囲:1000~10000m/z。
強陽イオン交換クロマトグラフィー(SCX)
Agilent 1290 Infinity HPLCでCX-1 pH緩衝液(A:5.6、B:10.2)(Thermo Fisher Scientific)を使用してpH勾配を有するMabPac SCX-10カラム(4×250mM)で抗体電荷バリアントを分離した。吸光度を280nmのUV波長で測定した。
データ処理
PMI-Intactソフトウェア(Protein Metrics)を使用してインタクト質量データを逆畳み込みした。
結果
ネイティブZipChip CE-MSを使用した高感度かつ普遍的な12分方法を開発し、IgG1、IgG4及び二重特異性IgG4抗体の電荷バリアント解析に適用した。ネイティブZipChip CE-MSとSCX法とで同等な電荷バリアント分離が得られた。分解された電荷バリアントをネイティブMS解析によって特定した。近いpI値を有する抗体は、十分に分離され得る。共移行した抗体を簡略化されたネイティブ質量分析に基づいて個々に特定した。ストレス条件下でのインキュベーションに起因する酸性バリアント及びFab断片の増加したレベルは、サブユニット解析によってF(ab’)2及びFcドメイン内で局在化された。さらに、より高い分解能のサブユニット解析は、異性化から導入された追加の酸バリアント及びストレス条件下での増加した半グリコシル化種を明らかにした。
CE-MSとSCX-UVとでの抗体電荷バリアントの同等な分離
IgG1、IgG4及び二重特異性IgG4を含む3種の抗体標準を高分解能SCX-UV及びネイティブZipChip CE-MSによって解析した。2つのプラットフォーム間で同一の電荷バリアント分離プロファイルを得た(図2A~2B)。
ネイティブZipChip CE-MSの感度及びキャリーオーバー試験
ナノスプレーESIと組み合わされたZipChip CE-MSは、少ない存在量の種を検出する優れた感度を提供する。IgG1及びIgG4をそれぞれ0.01ng及び0.02ngで検出した。実行間の注入からキャリーオーバーは観察されなかった(図3A~3C)。
インタクト抗体の電荷バリアント解析
インタクト対照及び熱(45℃)のストレスを受けたNIST mAbをネイティブZipChip CE-MSによって解析した。逆畳み込みされた質量データは、対照と比較して有意に増加した酸性バリアント(A1)に加えて、28日の熱ストレス下でNIST mAbの上側ヒンジ領域での4つの主要なFab切断が生成されたことを示していた(図4及び表2)。
(表2)電荷バリアント特定のまとめ
Figure 2022519246000002
注:ND-未検出
抗体F(ab’)2及びFcサブユニットの電荷バリアント解析
F(ab’)2及びFcは、普遍的なCE-MS法によって十分に分離された。すべてのマイナーピークを特定し、図5A~5Cに示した。28日のインキュベーションに起因する新たな電荷バリアントが青色のハイライトの領域に示されている。1及び2の未処理C末端リジンを有する2つの塩基性バリアントがFc領域に位置していた(図5C)。図5Bにおいてストレスを受けたサンプル(45℃、28日目)におけるHis227/Thr228でのFab切断に起因する塩基性バリアント3をF(ab’)2塩基性バリアント(b*1)として特定した。
すべての他のFab切断部位がF(ab’)2の酸領域に見られ、それらと同じ順序でインタクト抗体解析中に特定された。Fc酸性領域については、Asp異性化に起因する新たな酸性バリアントA1aが28日目サンプルにおいて出現した。主要なFcと比較して、a1及びa1aの両方の+1Daの質量増加は、酸性バリアントが脱アミド化によって引き起こされ得ることを示していた。これは、表3に示されるペプチドマッピング結果によって確認された。
(表3)ストレス条件下で相違を示す主要PTMのまとめ
Figure 2022519246000003
ハイスループットインタクト質量解析のための抗体混合物の分離
混合物1(図6A)における3つのIgG1 mAb及び混合物2(図6B)における5つのIgG4二重特異性mAbが十分に分離され、これは共製剤化薬物のインタクト質量解析のために適用され得る。2つの抗体が一緒に共移行した場合(図6Cにおける青いハイライト)でも、それらはネイティブMSデータから個々に特定され得る(図6D及び6E)、畳み込みスペクトルについては図6Eを参照されたい。
単一の抗体の高分解能電荷バリアント解析に加えて、ネイティブZipChip CE-MS法も抗体混合物及びADCのインタクト質量解析のためのハイスループットかつ高感度アプローチとして使用した。
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになる。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。

Claims (20)

  1. サンプルにおける対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントを検出及び/または区別するための方法であって、
    1つ以上の対象とする抗体を含むサンプルをプロテアーゼと接触させて、前記サンプルを抗体断片へと消化することと、
    キャピラリー電気泳動を使用して、1つ以上のキャピラリーにおいて分子量及び/または電荷によって抗体断片を分離することと、
    分離された抗体断片を、前記1つ以上のキャピラリーから溶出させることと、
    前記溶出した抗体断片の質量を、質量分析解析によって決定し、それにより、前記対象とする抗体の翻訳後修飾バリアントを検出及び/または区別することと
    を含む、前記方法。
  2. 前記翻訳後修飾が、脱アミド化、酸化、糖化、ジスルフィド形成、N末端ピログルタミン酸形成、C末端リジン除去、及び高マンノースグリコシル化のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プロテアーゼが、IdeSを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記抗体断片が、F(ab’)またはFc抗体サブユニットのうちの1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記対象とする抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記抗体断片が、電荷によって分離され、かつ前記方法が、前記対象とする抗体の電荷バリアントを検出及び/または区別する方法である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記抗体断片が、分子量によって分離され、かつ前記方法が、前記対象とする抗体のサイズバリアントを検出及び/または区別する方法である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. サンプルにおける対象とする抗体の前記翻訳後修飾バリアントの相対量または絶対量を決定することをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記対象とする抗体が、二重特異性抗体を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記サンプルが、内部標準を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記1つ以上のキャピラリーが、分離マトリックスを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記分離マトリックスが、分子量によってタンパク質を分離するように構成された篩マトリックスを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 分離された抗体断片を前記1つ以上のキャピラリーから溶出させることが、前記抗体断片を1つ以上の画分へと分離することをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記抗体断片を特定することをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記抗体断片上に存在する前記翻訳後修飾を特定することをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記対象とする抗体が、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、または混合型アイソタイプのものである、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記対象とする抗体の翻訳後修飾プロファイリングをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 還元ペプチドマッピングLC-MS/MS解析による、翻訳後修飾ホットスポットの翻訳後修飾マッピングをさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記サンプルが、対象とする抗体の混合物を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記対象とする抗体が、抗体薬物コンジュゲートである、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
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