JP2022518062A - 抗cd79b抗体、その抗原結合フラグメントおよびそれらの医薬用途 - Google Patents

抗cd79b抗体、その抗原結合フラグメントおよびそれらの医薬用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗CD79B抗体、その抗原結合フラグメント、およびその医薬用途に関する。さらに、本発明は、抗CD79B抗体のCDR領域を含むキメラ抗体およびヒト化抗体、抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物、ならびに抗がん剤としてのそれらの使用に関する。特に、本発明は、ヒト化抗CD79B抗体、およびリンパ腫(DLBCLなど)を処置するための薬物の製造におけるそれらの使用に関する。

Description

本出願は、2019年1月28日出願の中国特許出願“Anti-CD79B antibody, antigen-binding fragment, and pharmaceutical use thereof”(出願番号201910083330.4)に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は引用により本明細書中に包含される。
発明の分野
本発明は、抗ヒトCD79B抗体およびその抗原結合フラグメント、抗CD79B抗体のCDR領域(複数可)を含むキメラ抗体およびヒト化抗体、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物、ならびに抗がん剤、特にリンパ腫(DLBCL)を処置するための薬物または医薬組成物としてのそれらの使用に関する。
発明の背景
悪性腫瘍(癌)は、心疾患に次いで世界第2位の死亡原因となっている。リンパ腫は、リンパ系造血器から生じる悪性腫瘍で、世界で最も多い血液の腫瘍である。中国におけるリンパ腫の発生率は近年増加傾向にあり、現在の発症率は人口10万人あたり約6.68件である。
リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫(NHL)とホジキンリンパ腫(HL)の2つのタイプに分けられる。非ホジキンリンパ腫は、強い異質性(heterogeneity)を有するリンパ球増殖異常疾患群の総称である。その発症率はホジキンリンパ腫よりもはるかに高く、リンパ腫の80%以上を占めている。中でも、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、成人に最も多いタイプのリンパ腫で、非ホジキンリンパ腫全体の約32.5%を占めているが、アジア人ではこの割合がさらに高く、40%近くに達する。これは、高齢者に多く見られ、発症年齢の中央値は60~64歳である。男性の方が女性よりもわずかに多い。
現在、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の第一選択標準治療は、リツキシマブと化学療法剤の併用療法(R-CHOP)である。リツキシマブの上市前は、アントラサイクリン系のCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)レジメンが、DLBCLの第一選択標準治療法であった。R-CHOP処置レジメンは、DLBCL患者の長期生存率を大幅に改善した。臨床治験の結果は、従来のCHOP療法と比較して、R-CHOP療法は、DLBCL患者の全生存期間の中央値を4.9年、無病生存期間の中央値を6.6年以上と大幅に延長し、かつ5年無病生存率を30%から54%に増加することができた。しかしながら、未だ、奏効しない難治性の患者が10~15%、再発する患者が20~30%存在する。また、すべてのDLBCL患者がR-CHOPレジメンに適しているわけではない。例えば、80歳以上の高齢患者は体力的に標準的なR-CHOP療法ができない。別の例は、より侵攻性の高いタイプのリンパ腫および再発リンパ腫では、R-CHOPレジメンが無効である可能性がある。そのため、DLBCLの処置には、副作用の少ない新世代の免疫療法を開発することが極めて重要である。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、リンパ球の起源による分類によると、B細胞リンパ腫に属する。B細胞受容体(BCR)複合体が、B細胞の表面上に最も主要な分子として存在する。BCR複合体は、抗原を認識して結合する膜免疫グロブリン(mIg)と、抗原刺激シグナルを伝達するIgα(CD79a)およびIgβ(CD79B)のヘテロ二量体から構成されている。IgαおよびIgβは、それぞれ47kDaおよび37kDaの糖タンパク質であり、免疫グロブリンスーパーファミリーに属している。IgαおよびIgβをコードする遺伝子は、それぞれmb-1およびB29と称される。Igα、Igβともに、細胞外領域のアミノ末端にIg様ドメインを有する。Igα、Igβともに、タンパク質チロシンキナーゼの基質として使用でき、BCRシグナル伝達に関与している。BCRは、B細胞リンパ腫および正常B細胞に広く発現している。CD20を標的としたリツキシマブの臨床的成功と信頼できる安全性を考慮すると、BCRを標的とする治療法の開発もまた、良好な治療効果および安全性を有する必要がある。
CD79Bに関係するいまだ満たされていない医療ニーズ(unmet medical needs)に応えるため、Roche Pharmaceuticalsを含む多くの国際的製薬企業が、CD79Bに対する抗体および関連製品の開発を積極的に進めている。関連特許としては、例えばUS9085630、WO2009012256、WO2009012268、WO2009099728、WO2014011519、WO2014011521、WO2016090210、WO2016205176、WO2016040856、WO2016021621、WO2017009474、WO2014177615などがある。
CD79Bの発現に基づいて、CD79B抗原に対する治療抗体を作製することは有益である。血液の腫瘍を処置する、またはその進行を遅らせるための効果的な抗ヒトCD79B抗体の開発について、当技術分野ではまだ満たされていないニーズがある。
発明の概要
本発明は、抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメント、それらをコードする核酸、ベクター、宿主細胞、抗体-薬物複合体およびその医薬組成物、ならびに癌、とりわけ血液の腫瘍の処置または遅延のためのそれらの使用法を提供する。
第一面において、本発明は、抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域を含む抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ここで、該抗体重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号23、配列番号24および配列番号25から選択される配列に示される少なくとも1つの相補性決定領域(HCDR)を含み;および/または抗体軽鎖の可変領域が、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号16および配列番号26から選択される配列に示される少なくとも1つの相補性決定領域(LCDR)を含む、
抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
ある態様において、本発明は、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
その重鎖可変領域が、
(I) 配列番号7、配列番号8および配列番号9にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(II) 配列番号13、配列番号14および配列番号15にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3;または
(III) 配列番号23、配列番号24および配列番号25にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3
を含み、および/あるいはその軽鎖可変領域が、
(I) 配列番号10、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3;
(II) 配列番号16、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3;または
(III) 配列番号26、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3
を含む、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
ある特定の態様にいて、本発明は、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、以下の(I)から(III):
(I) 配列番号7、配列番号8および配列番号9にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、重鎖可変領域;および
配列番号10、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、軽鎖可変領域;
(II) 配列番号13、配列番号14および配列番号15にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、重鎖可変領域;および
配列番号16、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、軽鎖可変領域;ならびに
(III) 配列番号23、配列番号24および配列番号25にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、重鎖可変領域;および
配列番号26、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、軽鎖可変領域
より選択される何れか1つを含む、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
ある特定の態様において、本発明は、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
その重鎖可変領域が、
(I) 配列番号3に示す配列または配列番号3と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列;
(II) 配列番号5に示す配列または配列番号5と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
(III) 配列番号17に示す配列または配列番号17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列
を含み、および/あるいは
その軽鎖可変領域が、
(I) 配列番号4に示す配列または配列番号4と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列;
(II) 配列番号6に示す配列または配列番号6と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
(III) 配列番号18に示す配列または配列番号18と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列
を含む、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
ある特定の態様において、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号3に示される配列であり、かつ軽鎖可変領域は配列番号4に示される配列である。
他の特定の態様において、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号5に示される配列であり、かつ軽鎖可変領域は配列番号6に示さる配列である。
他の特定の態様において、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号17に示される配列であり、かつ軽鎖可変領域は配列番号18に示される配列である。
ある特定の態様において、本発明は、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
その重鎖が、
(I) 配列番号19に示す配列または配列番号19と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
(II) 配列番号21に示す配列または配列番号21と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列
を含み、および/あるいはその軽鎖が、
(I) 配列番号20に示す配列または配列番号20と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
(II) 配列番号22に示す配列または配列番号22と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する配列
を含む、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
ある特定の態様において、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖は、配列番号19に示される配列であり、かつ軽鎖は配列番号20に示される配列である。
他の特定の態様において、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖は、配列番号21に示される配列であり、かつ軽鎖は配列番号22に示される配列である。
ある態様において、本発明は、マウス抗体またはそのフラグメントである、上記の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
ある特定の態様において、マウス抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖可変領域は、マウスκ鎖、λ鎖またはその変異体の軽鎖FR領域および/または軽鎖定常領域を含む。
ある特定の態様において、マウス抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはその変異体の重鎖FR領域および/または重鎖定常領域を含む。
ある態様において、本発明は、キメラ抗体またはそのフラグメントである、上記の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。ある特定の態様において、キメラ抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトκ鎖、λ鎖またはその変異体の軽鎖FR領域および/または軽鎖定常領域を含み、ならびに/あるいはヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはその変異体の重鎖FR領域および/または重鎖定常領域を含む。
ある態様において、本発明は、ヒト化抗体、ヒト抗体またはそのフラグメントである、上記の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
ある態様において、本発明は、上記の抗ヒトCD79Bヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ここで、該軽鎖配列は、配列番号20に示される配列であるか、またはその変異体配列であり、該変異体配列は、軽鎖中に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個のアミノ酸変異を含むか、または配列番号20と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する、抗ヒトCD79Bヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。その重鎖配列は、配列番号19に示される配列であるか、またはその変異体配列であり、該変異体配列は、重鎖中に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個のアミノ酸変異を含むか、または配列番号19と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する。
ある態様において、本発明は、上記の抗ヒトCD79Bヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ここで、該軽鎖配列は、配列番号22に示される配列であるか、またはその変異体配列であり、あるいは配列番号22と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有し、該変異体配列は、軽鎖中に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個のアミノ酸変異を含む、抗ヒトCD79Bヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。その重鎖配列は、配列番号21に示される配列であるか、またはその変異体配列であり、該変異体配列は、重鎖中に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個のアミノ酸変異を含むか、または配列番号21と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一性を有する。
ある態様において、本発明は、上記の抗CD79Bヒト抗体またはそのフラグメントであって、ヒトIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4またはそれらの変異体の定常領域をさらに含む、抗CD79Bヒト抗体またはそのフラグメントを提供する。ある特定の態様において、抗CD79Bヒト抗体またはそのフラグメントは、ヒトIgG1またはIgG2の定常領域を含む。
ある態様において、本発明は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4またはその変異体の重鎖定常領域をさらに含み、好ましくはヒトIgG1、IgG2もしくはIgG4重鎖FR領域を含み、より好ましくは、ヒトIgG1もしくはIgG2重鎖FR領域を含む、上記の抗ヒトCD79Bヒト化抗体またはそのフラグメントを提供する。
ある態様において、本発明は、上記の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、ここで、抗原結合フラグメントが、Fab、Fv、sFv、(Fab’)、線状抗体(linear antibody)、一本鎖抗体、scFv、sdAb、sdFv、ナノボディー、ペプチボディ、ドメイン抗体および多重特異性抗体(二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディおよびテトラボディ、タンデム型di-scFvおよびタンデム型tri-scFv)からなる群より選択される。
ある態様において、本発明は、ヒトCD79Bまたはそのエピトープに結合する上記のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと競合することができる、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
本発明の抗ヒトCD79B抗体のVH/VL CDRのアミノ酸残基は、Chothiaの番号付けシステムにより決定され、番号が付されている。
第二の面において、本発明は、DNAまたはRNAであり得る、上記の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドを提供する。
第三の面において、本発明は、真核生物発現ベクター、原核生物発現ベクターまたはウイルスベクターであり得る、上記のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
第四の面において、本発明は、真核細胞または原核細胞であり得る、上記の発現ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
ある態様において、宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞または哺乳動物細胞である。ある特定の態様において、宿主細胞は、大腸菌細胞(Escherichia coli)、ピキア酵母細胞(Pichia pastoris)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはヒト胎児腎臓(HEK)293細胞である。
第五の面において、本発明は、抗体-薬物複合体を提供する。
本発明の抗体-薬物複合体は、抗体、リンカーおよび薬物を含むか、またはそれからなる。
特定の態様において、本発明の抗体-薬物複合体は、リンカーを介して薬物に共有結合している抗体である。
ある態様において、抗体-薬物複合体は細胞毒性物質を含む。ある特定の態様において、細胞毒性物質は、毒素、化学療法剤、抗生物質、放射性同位元素および核酸分解酵素からなる群より選択される。
第六の面において、本発明は、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの製造方法であって、該抗体またはその抗原結合フラグメントを上記の宿主細胞中で発現させ、該宿主細胞から該抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを単離することを含む、製造方法を提供する。
第七の面において、本発明は、治療的有効量の上記の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む、組成物、例えば医薬組成物を提供する。
ある特定の態様において、医薬組成物の単位用量は、0.01重量%~99重量%の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを含むか、または医薬組成物の単位用量中の抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの量は、0.1mg~2000mgであり、ある特定の態様においては、1mg~1000mgである。
第八の面において、本発明は、医薬品の製造における以下から選択される何れか1つまたはそれらの組合せの使用をさらに提供する:本発明の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント、本発明の医薬組成物、本発明の抗体-薬物複合体(ここで、医薬品または医薬組成物は、増殖性疾患を治療するために、または増殖性疾患の進行を遅延させるために用いられ、該増殖性疾患は、癌または腫瘍であり得る)。ある態様において、癌または腫瘍は、リンパ腫または白血病である。特定の態様において、リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される。特定の態様において、非ホジキンリンパ腫は、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性無痛性NHL、難治性NHLおよび難治性無痛性NHLからなる群より選択される。特定の態様において、白血病は、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病および急性リンパ性白血病からなる群より選択される。
第九の面において、本発明は、増殖性疾患を治療もしくは予防するため、または増殖性疾患の進行を遅延させるための方法をさらに提供し、この方法は、治療的有効量または疾患遅延有効量の本発明の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント、本発明の医薬組成物あるいは本発明の抗体-薬物複合体を対象に投与することを含み、ここで、該増殖性疾患は、癌または腫瘍であり得る。ある態様において、癌または腫瘍は、リンパ腫または白血病である。特定の態様において、リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される。特定の態様において、非ホジキンリンパ腫は、侵攻性NHL、再発性侵攻性NHL、再発性無痛性NHL、難治性NHLおよび難治性無痛性NHLからなる群より選択される。特定の態様において、白血病は、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病および急性リンパ性白血病からなる群より選択される。
図1:ヒトCD79B ECD-hFc タンパク質で免疫したBalb/cマウスの血清力価のELISA検出結果。 図2:ヒトCD79B ECD-hFc タンパク質で免疫したBalb/cマウスの血清力価のFACS検出結果。 図3:ヒトCD79B ECD-hFc タンパク質で免疫したSJLマウスの血清力価のELISA検出結果。 図4:ヒトCD79B ECD-hFc タンパク質で免疫したSJLマウスの血清力価のFACS検出結果。 図5:ヒトCD79B ECD-his タンパク質で免疫したSJLマウスの血清力価のELISA検出結果。 図6:ヒトCD79B ECD-his タンパク質で免疫したSJLマウスの血清力価のFACS検出結果。 図7:抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体のELISA検出結果であって、ここで、hIgG1は陰性対照抗体であり、SN8は陽性対照抗体である。 図8:抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体のFACS検出結果であって、ここで、hIgG1は陰性対照抗体であり、SN8は陽性対照抗体である。 図9:抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体の交差反応性に関するFACS検出結果であって、ここで、mIgGは陰性対照抗体であり、抗カニクイザルHR008、抗カニクイザルCD79Bマウスモノクローナル抗体、特許出願WO2009012268A1に記載の抗カニクイザルCD79Bマウスモノクローナル抗体に由来する抗体配列(クローン番号 10D10)は、陽性対照抗体である。
発明の詳細な説明
用語
本明細書の理解を容易にするために、特定の技術用語および科学用語を以下に具体的に定義する。本明細書中にこれと異なる定義が明確に記載されていない限り、本明細書で用いるすべての他の技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
本明細書で用いるアミノ酸の3文字コードおよび1文字コードは、J. Biol. Chem, 243, p3558 (1968)に記載されている。
“CD79B”は、霊長動物(例えば、ヒトおよびカニクイザル(Macacamonkey)(cyno))およびげっ歯動物(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む何れかの脊椎動物由来のCD79Bを意味する。用語“CD79B”は、“全長”、未処理CD79Bおよび細胞から処理されたCD79Bの何れかの形態を含む。また、天然CD79Bの変異体、例えば、スプライス変異体、対立遺伝子変異体およびアイソフォームなども含まれる。本明細書に記載のCD79Bポリペプチドは、ヒト組織型などの様々な供給源から単離されるか、または組換え法もしくは合成法によって産生され得る。
本明細書に記載の用語“抗体”は、鎖間ジスルフィド結合により連結された2つの同一重鎖および2つの同一軽鎖から構成されるテトラペプチド鎖構造である、免疫グロブリンを意味する。免疫グロブリン重鎖定常領域のアミノ酸組成および配列が異なるため、それらの抗原性も異なる。これにより、免疫グロブリンは、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEの5つのタイプまたは免疫グロブリンのアイソタイプに分けられ、それらに対応する重鎖はそれぞれ、μ鎖、δ鎖、γ鎖、α鎖およびε鎖である。同じタイプのIgでも、ヒンジ領域のアミノ酸組成の違いや、重鎖のジスルフィド結合の数や位置の違いによって、異なるサブクラスに分けられる。例えば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に分けられる。軽鎖は、定常領域の違いにより、κ鎖またはλ鎖に分けられる。5つのタイプのIgは、それぞれκ鎖またはλ鎖を有し得る。抗体の重鎖および軽鎖のN末端付近の約110アミノ酸の配列は大きく変化し、可変領域(V領域)と称される。C末端付近の残りのアミノ酸配列は比較的安定しており、定常領域(C領域)と称される。可変領域には、3つの超可変領域(HVR)と、比較的保存された配列を有する4つのフレームワーク領域(FR)が含まれる。3つの超可変領域は、抗体の特異性を決定する領域であり、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれている。各軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)は、3つのCDR領域と4つのFR領域で構成される。アミノ末端からカルボキシ末端までの配列は、以下の通りである:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。軽鎖の3つのCDR領域は、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を意味し、重鎖の3つのCDR領域は、HCDR1、HCDR2、HCDR3を意味する。抗体またはその抗原結合フラグメントのVL領域およびVH領域のCDRアミノ酸残基の数および位置は、既知のChothia(ABM)の番号付け規則に準拠している。
“ヒト抗体”または“組換えヒト抗体”という用語は、組換え法によって産生、発現、作製または単離されたヒト抗体が含まれ、関連する技術および方法は当技術分野でよく知られており、例えば次のようなものがある:
(1)ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニック動物およびトランスクロモゾーム動物(例えばマウス)、またはそこから産生されたハイブリドーマから単離された抗体;
(2)抗体を発現するように形質転換した宿主細胞(トランスフェノーマなど)から単離された抗体;
(3)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体;および
(4)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングするために用いられる他の技術によって産生、発現、製造または単離された抗体。
かかる組換えヒト抗体は、可変領域および定常領域を含み、これらは生殖細胞系遺伝子によってコードされた特定のヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列を利用するが、抗体成熟中に生じるような後続の再配列および突然変異も含む。
本明細書中で用いる用語“マウス抗体”は、当技術分野の知識および技術に従って産生されたヒトCD79Bまたはそのエピトープに対するモノクローナル抗体である。産生過程において、対象生物にCD79B抗原またはそのエピトープを注入し、次いで所望の配列または機能特性を有する抗体を発現するハイブリドーマを単離する。本発明の特定の態様において、マウス抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウスκ鎖、λ鎖またはその変異体の軽鎖定常領域をさらに含み得るか、あるいはマウスIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4もしくはそれらの変異体の重鎖定常領域をさらに含み得る。
用語“ヒト抗体”は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列の可変領域および定常領域を有する抗体を含む。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム突然変異または部位特異的突然変異誘発によって、またはインビボでの体細胞突然変異によって導入される変異など)を含み得る。しかしながら、用語“ヒト抗体”は、別の哺乳動物種(マウスなど)の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体(すなわち、“ヒト化抗体”)を含まない。
CDR移植抗体としても知られる、用語“ヒト化抗体”は、非ヒト種のCDR配列をヒト抗体可変領域のフレームワークに移植することにより産生される抗体を意味する。非ヒト種のタンパク質成分を大量に運ぶため、キメラ抗体によって誘発される強力な免疫応答反応を克服することができる。免疫原性の低下による活性の低下を回避するために、ヒト抗体可変領域は、活性を維持するために最小限の復帰突然変異(reverse mutation)を受け得る。
用語“キメラ抗体”は、第一の抗体可変領域と第二の抗体定常領域とを融合して形成された抗体であり、第一の抗体によって誘発される免疫反応を軽減することができる。キメラ抗体を作製するには、第一の特異的モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを樹立した後、第一(マウスなど)のハイブリドーマ細胞から可変領域遺伝子をクローニングし、次いで第二(ヒトなど)の抗体定常領域遺伝子をクローニングし、第一の可変領域遺伝子と第二の定常領域遺伝子とを連結してキメラ遺伝子を形成し、これを発現ベクターに挿入し、最終的に真核生物系生産機序(eukaryotic industrial system)または原核生物系生産機序でキメラ抗体分子を発現させる必要がある。第二(例えば、ヒト)の抗体定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の重鎖定常領域またはその変異体、好ましくはヒトIgG2またはIgG4の重鎖定常領域からなるもの、あるいはアミノ酸変異後のADCC(抗体依存性細胞介在性細胞傷害)を有さないIgG1を使用するもの、からなる群より選択することができる。
“抗原結合フラグメント”は、無傷の抗体の抗原結合活性を保持するフラグメントを意味する。具体的には、ヒトCD79Bに結合するFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメントおよびFvフラグメントまたはsFvフラグメントなどが挙げられる。Fvフラグメントは、抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、定常領域を有さず、すべての抗原結合部位を有する最小の抗体フラグメントである。一般に、Fv抗体はVHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーも含んでおり、抗原結合に必要な構造を形成することができる。また、異なるリンカーを用いて、2つの抗体可変領域をポリペプチド鎖に連結することもでき、これを一本鎖抗体または一本鎖Fv(sFv)と称する。
本明細書で用いる用語“CD79Bへの結合”は、CD79Bまたはそのエピトープと相互作用する能力を意味する。CD79Bまたはそのエピトープは、ヒト由来のものであり得る。本明細書で用いる用語“抗原結合部位”は、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントによって認識される抗原上の線形部位(linear site)または不連続な三次元部位を意味する。
用語“エピトープ”とは、免疫グロブリンまたは抗体に特異的に結合する抗原上の部位を意味する。エピトープは、タンパク質の三次元折り畳みによって隣接するアミノ酸または隣接しないアミノ酸が互いに接近して形成され得る。隣接アミノ酸で形成されたエピトープは、通常、変性溶媒にさらされても維持されるが、三次元折り畳みによって形成されたエピトープは、通常、変性溶媒で処理されると消失する。エピトープは通常、少なくとも3~15個のアミノ酸がユニークな空間的立体構造をとっている。所定の抗体にどのようなエピトープが結合しているかを決定する方法は、免疫ブロッティング、免疫沈降検出分析などを含み、当技術分野でよく知られている。エピトープの空間的立体構造を決定する方法には、当技術分野の技術および本明細書に記載の技術、例えばX線結晶分析、二次元核磁気共鳴などが含まれる。
“特異的結合”および“選択的結合”は、所定の抗原上のエピトープへの抗体の結合を意味する。一般的に、組換えヒトCD79Bまたはそのエピトープを分析物として用い、かつ抗体をリガンドとして用いるとき、装置内で表面プラズモン共鳴(SPR)技術を用いて測定すると、該抗体は所定の抗原またはそのエピトープに解離定数(KD)が約10-7M以下またはそれ以下(even smaller)で結合し、所定の抗原またはそのエピトープに対する結合親和性は、所定の抗原(またはそのエピトープ)または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSAなど)に対する結合親和性の少なくとも2倍となる。
“交差反応”とは、本発明の抗体が異なる種のCD79Bに結合する能力を意味する。例えば、ヒトCD79Bに結合する本発明の抗体は、別の種のCD79Bにも結合することができる。交差反応性は、結合アッセイ(例えば、SPRおよびELISA)における精製抗原との特異的反応性を検出すること、またはCD79Bを生理的に発現する細胞との結合または機能的相互作用を検出することによって測定される。交差反応性を決定する方法には、例えば表面プラズモン共鳴分析またはフローサイトメトリーなど、本明細書に記載の標準的な結合アッセイが含まれる。
“阻害”または“阻止(遮断)(block)”は互換的に用いられ、部分的および完全な阻害/遮断の両方を包含する。好ましくは、CD79Bの阻害/遮断は、CD79B結合が阻害または遮断なしで起こるときに生じる通常レベルまたはタイプの活性を低減または変更するものである。阻害および遮断は、抗CD79B抗体と接触したときのCD79Bへの結合親和性が、抗CD79B抗体と接触していないCD79Bと比較して、測定可能に減少していることを含むことも意図する。
“増殖阻害”(例えば、細胞に言及する)は、細胞増殖における測定可能な減少を含むことを意図する。
抗体またはその抗原結合フラグメントを作製および精製する方法は、周知であり、先行技術文献、例えば、Antibody: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor (chapters 5-8 and 15)に見出され得る。例えば、ヒトCD79Bまたはそのフラグメントを用いて、マウスを免疫化することができ、得られた抗体を再変性(renatured)、精製し、そしてアミノ酸配列を常套法により決定することができる。また、抗原結合フラグメントも常套法により製造することができる。本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、非ヒトCDR領域上に1つまたは複数のヒトFR領域を導入するように遺伝子操作されている。ヒトFR生殖細胞配列は、ImmunoGeneTics(IMGT)のウェブサイトhttp://imgt.cines.fr、またはThe Immunoglobulin FactsBook, 2001ISBN012441351から入手することができる。
本発明の抗体(engineered antibody)またはその抗原結合フラグメントは、常套法で製造および精製することができる。例えば、重鎖(配列番号20)および軽鎖(配列番号21)をコードするcDNA配列をクローニングし、GS発現ベクターに組み換えることができる。組換え免疫グロブリン発現ベクターは、CHO細胞に安定してトランスフェクションすることができる。より推奨される先行技術として、哺乳動物発現系は、特にFc領域の高度に保存されたN末端において、抗体のグリコシル化をもたらし得る。ヒト抗原に特異的に結合する抗体を発現させることにより、安定したクローンが得られる。陽性クローンを、バイオリアクターの無血清培地で培養して抗体を産生させる。抗体が分泌された培養液を、常套法で精製および回収することができる。抗体を、常套法でろ過し、濃縮することができる。可溶性の混合物およびポリマーも、例えばモレキュラー・シーブおよびイオン交換などの常套法で除去することができる。得られた生成物を、-70℃などで直ちに凍結するか、または凍結乾燥する必要がある。
本発明の抗体は、モノクローナル抗体を意味する。本明細書に記載のモノクローナル抗体(mAb)は、単一クローン細胞株から得られた抗体を意味し、該細胞株は、真核生物、原核生物またはファージクローン細胞株に限定されない。モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、ハイブリドーマ技術、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術(CDR移植法など)または他の既存技術を用いた組換えによって得ることができる。
当業者に知られている従来の技術を用いて、同じエピトープへの競合的結合について抗体をスクリーニングすることができる。例えば、競合および交差競合試験を実施して、抗原への結合について互いに競合または交差競合する抗体を得ることができる。同じエピトープに結合する抗体を、その交差競合に基づいて得るためのハイスループット方法は、国際特許公開WO03/48731に記載されている。したがって、当業者に知られている従来の技術を用いて、CD79B上の同じエピトープに結合するために本発明の抗体分子と競合する抗体およびその抗原結合フラグメントを得ることができる。
動物、ヒト、試験対象、細胞、組織、臓器または生物学的液体に適用されるとき、“与える(giving)”、“投与する”および“処置する”とは、外因性の薬物、治療剤、診断剤または組成物が該動物、ヒト、試験対象、細胞、組織、臓器または生物学的液体と接触することを意味する。“与える”、“投与する”および“処置する”とは、例えば、処置法、薬物動態法、診断法、試験法および実験方法を意味し得る。細胞の処置には、試薬と細胞との接触、および試薬と細胞に接触する液体/流体(fluid)との接触が含まれる。また、“与える”、“投与する”および“処置する”とは、例えば、細胞を試薬、診断、結合組成物により、または別の細胞により、インビトロおよびエクスビボで処置することを意味する。ヒト対象、動物対象または試験対象に適用される“処置”とは、治療的処置、予防的処置または予防的措置、試験および診断適用を意味する。
“処置(treatment)”とは、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれか1つを含む組成物などの内部または外部の治療剤を、1以上の疾患またはその症状を既に有しているか、有することが疑われるか、または有している可能性がある対象に与えることを意味し、該治療剤は該症状に対して治療効果を有することが知られている。一般的に、治療剤は、処置される対象または集団における1以上の疾患症状を軽減する、そのような症状の緩解を誘導するか、またはそのような症状の発生を臨床的に測定される程度まで阻害する何れか、に有効な量で投与される。特定の疾患症状を軽減するのに有効な治療剤の量("治療的有効量”とも称される)は、様々な要因、例えば、対象の疾患状態、年齢、体重および対象に所望の治療効果をもたらす薬物の能力などに応じて変化し得る。疾患症状が緩和されたかどうかは、症状の重症度または進行度を評価するために医師または他の医療専門家によって一般的に用いられる何れかの臨床試験方法によって評価することができる。本発明の態様(例えば、処置方法または製品)は、特定の対象における対象疾患症状の緩和に効果がないこともあるが、スチューデントt検定、カイ二乗検定、マン・アンド・ホイットニーのU検定、クラスカル・ウォリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タプストラ検定、ウィルコクソン検定などの当技術分野で知られている何れかの統計的検定方法に従って判断すると、統計的に有意な数の対象において対象疾患症状を軽減するはずである。
“有効量”とは、病状の症状または状態を改善または予防するのに十分な量を含む。また、有効量とは、診断を可能にしたり、容易にしたりするのに十分な量を意味する。特定の対象または動物対象に対する有効量は、処置すべき状態、対象の一般的な健康状態、投与方法、投与経路および投与量、ならびに副作用の重篤度などの要因に応じて変化し得る。有効量は、重大な副作用または毒性作用を回避する最大用量または投与スケジュールとすることができる。
“同一性”とは、2つのポリヌクレオチド配列間または2つのポリペプチド間の配列の類似性を意味する。比較した2つの配列の位置が同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、例えば2つのDNA分子の各位置がアデニンによって占められている場合、分子はその位置で相同である。2つの配列間の同一性の割合は、2つの配列が共有する一致または相同の位置の数を、比較するすべての位置の数で割った値×100%の関数である。例えば、最適な配列アライメントの場合、2つの配列の10の位置に6つの一致または相同性がある場合、2つの配列は60%相同である。一般的には、最大の同一性パーセントが得られるように2つの配列をアラインメントした場合に比較される。
本明細書で用いる表現“細胞”、“細胞株”および“細胞培養”は、互換的に用いることができ、そのような名称はすべてその子孫を含む。したがって、用語“形質転換体”および“形質転換細胞”は、継代数にかかわらず、初代試験細胞およびそれに由来する培養細胞を含む。また、意図的または非意図的な変異により、すべての子孫が含有DNAの点でまったく同じであることはあり得ないことを理解すべきである。スクリーニングされた変異体の子孫で、元の形質転換細胞と同じ機能または生物学的活性を有するものは、この用語の範囲に含まれる。用語が異なる性質等を引用していても、それは文脈から明らかである。
“任意”または“要すれば”とは、用語“任意”の後に続く記載された事象または環境が起こり得る(必ずしも起こるわけではない)ことを意味し、該記載にはその事象または環境が起こる場合と起こらない場合が含まれる。例えば、“要すれば1~3個の抗体重鎖可変領域を含んでいてよい”とは、特定の配列の抗体重鎖可変領域が存在してもよい(ただし、必ずしもそうではない)ことを意味する。
“医薬組成物”とは、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または複合体、またはそれらの生理学的/薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの1以上と、他の化学成分ならびに生理学的/薬学的に許容される担体および賦形剤などの他の成分とを含む混合物を意味する。医薬組成物の目的は、生体への投与を促進することにより、有効成分の吸収を促進し、それにより生物学的活性を発揮させることである。
実施例
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために組み込まれているが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
本明細書の実施例または試験例において具体的な条件を特定していない試験方法は、通常、常套の条件、または原材料もしくは製品の製造業者が推奨する条件に従うものである。Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor; Current Protocols Molecular Biology、Ausubel et al., Greene Publishing Associates, Wiley Interscience、NY 参照。特定の供給者が明記されていない反応材/試薬(reagent)は、一般に市販されている通常の反応材/試薬である。
実施例1.タンパク質抗原のクローニングおよび発現
当技術分野で知られているオーバーラップ伸長PCR法により、抗体(軽鎖および重鎖を含む)および抗原を構築し、オーバーラップ伸長PCRで得られたDNAフラグメントを、2つの酵素切断部位HindIII/BstBIを用いて発現ベクターpEE6.4(Lonza Biologics)に挿入し、293F細胞(Invitrogen、カタログ番号 R790-07)で抗体および抗原を発現させた。得られた組換えタンパク質を、免疫またはスクリーニングに用いた。ヒトCD79B遺伝子配列はNCBI(NP_000617.1)に由来し、その細胞外領域(ECD)は159アミノ酸(Met1-Asp159)を含む。
> ヒトCD79Bの細胞外ドメイン(ECD)およびヒトFC領域の融合タンパク質(ヒトCD79B ECD-hFc)のアミノ酸配列:
ARSEDRYRNPKGSACSRIWQSPRFIARKRGFTVKMHCYMNSASGNVSWLWKQEMDENPQQLKLEKGRMEESQNESLATLTIQGIRFEDNGIYFCQQKCNNTSEVYQGCGTELRVMGFSTLAQLKQRNTLKDGIIMIQTLLIILFIIVPIFLLLDKDDSKAGMEEDHTYEGLDIDQTATYEDIVTLRTGEVKWSVGEHPGQEEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号1)。
> ヒトCD79B細胞外ドメイン (ECD)およびHisタグの融合タンパク質(ヒトCD79B ECD-His)のアミノ酸配列:
ARSEDRYRNPKGSACSRIWQSPRFIARKRGFTVKMHCYMNSASGNVSWLWKQEMDENPQQLKLEKGRMEESQNESLATLTIQGIRFEDNGIYFCQQKCNNTSEVYQGCGTELRVMGFSTLAQLKQRNTLKDGIIMIQTLLIILFIIVPIFLLLDKDDSKAGMEEDHTYEGLDIDQTATYEDIVTLRTGEVKWSVGEHPGQEHHHHHH (配列番号2)。
実施例2.マウスモノクローナル抗体の産生
1.マウスの免疫化および血清力価の検出
ヒトCD79B細胞外ドメイン(ECD)およびヒトFc領域の融合タンパク質(ヒトCD79B ECD-hFc)、ならびにヒトCD79B細胞外ドメイン(ECD)およびHisタグの融合タンパク質(ヒトCD79B ECD-His)を免疫原として用いて、それぞれBalb/cマウスおよびSJLマウスに腹腔内注射して免疫し、マウスがヒトCD79Bの細胞外ドメイン(ECD)に対する抗体をインビボで産生するように刺激した。
実験工程は以下の通りである。
1)腹腔内注射による免疫化。この免疫化に必要な抗原の量は、免疫化手順に従って計算した。タンパク質抗原をPBSで必要な抗原濃度に希釈した後、抗原を乳化させた。抗原およびアジュバントの乳化した混合物を、気泡を抜くことに注意しながら、2.0mLの滅菌注射器に移した。マウスの尾を右手で握り、マウスの頭と首の皮膚を左手の親指と人差し指で軽く握った。腹腔を上に向けて、マウスの右腹部の注射部位を75%アルコール綿で拭いた。抗原液をあらかじめ注射器に入れておき、針先の斜角を上に向け、マウスの頭部を下に向けた。針先を皮膚に水平に刺し、注射器をマウスの腹腔に対して45度の角度で刺し、抗原およびアジュバントの混合液をゆっくりと注射した。免疫化の完了後、少なくとも2時間観察した。
2)マウス血清の収集。各マウスに対応する血清チューブに番号を付し、マウスの耳番号を確認した。マウスを片手でつかみ、顎下静脈から約100μlの全血を採血した。採血した全血サンプルを室温で約2時間放置した後、遠心分離により遠心チューブの上部にある血清を回収した。血清は、1週間以内に4℃の冷蔵庫で貯蔵することができ、抗体価の測定および他の関連実験に用いた。長期貯蔵の場合は、凍結融解を繰り返さないように-80℃の冷蔵庫で保存し得る。
3)免疫化されたマウスのELISAによる血清力価の検出。実験開始前に、96ウェルプレートに適宜ラベルを付け、4℃の冷蔵庫で一晩、1μg/mLの濃度の抗原を1ウェルあたり50μlでコーティングした。翌日、前日にコーティングした抗原プレートを取り出し、プレートウォッシャーで洗浄した(洗浄液:1×PBST)。洗浄後、1×PBSTで調製した1%BSAブロッキング液で37℃にて1時間ブロッキングし、1×PBST洗浄液で3回洗浄した後、異なる希釈の試験すべき血清を添加し、37℃のインキュベーターで1時間インキュベートした。1×PBST洗浄液でプレートを3回洗浄した後、100μlの1:5000希釈ヤギ抗マウス二次抗体を添加し、37℃のインキュベーターで0.5時間インキュベートした。プレートを洗浄後、TMB発色液AおよびBを1:1で混合し、発色させた。現像反応は15分後に1N塩酸で停止させた。多機能プレートリーダーSpectra Max M5で450nmの蛍光値を検出した。
4)FACSによる免疫化マウスの血清力価検出。DoHH2細胞またはサル末梢血単核細胞懸濁液を遠心分離し、0.1%BSAを含むPBSに細胞を再懸濁して計数した。免疫化マウスの各群の試験すべき血清を添加した。室温にて60分間インキュベートした後、細胞を3回洗浄し、その後抗マウスIgG Fc-FITC二次抗体を添加した。室温にて暗所で30分間インキュベートした後、細胞を3回洗浄し、0.1%BSAを含むPBSに静かに再懸濁し、機器で検出した。
マウス各群のELISAおよびFACSによる血清力価検出の結果を図1から図7に示す。
5匹のBalb/cマウスをヒトCD79B ECD-hFcタンパク質で免疫し、5491、5492、5493、5494および5495と番号付けした。ELISAによる血清力価検出の結果を図1に示す。その結果、免疫したマウスの血清力価は、1:100K以上に達していた。FACSによるマウスの血清検出の結果を図2に示す。その結果、マウス血清中に産生された抗体は、DoHH2細胞の表面にあるCD79Bタンパク質を特異的に認識できたことがわかる。
5匹のSJLマウスをヒトCD79B ECD-hFcタンパク質で免疫し、5496、5497、5498、5499および5500と番号付けした。ELISAによる血清力価検出の結果を図3に示す。その結果、免疫したマウスの血清力価は、1:100K以上に達していた。FACSによるマウスの血清検出の結果を図4に示す。その結果、マウス血清中に産生された抗体は、DoHH2細胞の表面にあるCD79Bタンパク質を特異的に認識できたことがわかる。
5匹のSJLマウスをヒトCD79B ECD-hisタンパク質で免疫し、5726、5727、5728、5729および5730と番号付けした。ELISAによる血清力価検出の結果を図5に示す。その結果、免疫したマウスの血清力価は、1:10K以上に達していた。FACSによるマウスの血清検出の結果を図6に示す。その結果、マウス血清中に産生された抗体は、DoHH2細胞の表面にあるCD79Bタンパク質を特異的に認識できたことがわかる。
上記の結果から、免疫化したマウスはCD79Bに対する特異的抗体を産生し、上記のマウスを細胞融合に用いてCD79Bに対する特異的抗体を分泌できるハイブリドーマ細胞株を作製できたことがわかる。
2.ハイブリドーマ作製および抗体スクリーニング
細胞融合は、マウスリンパ球と骨髄腫細胞SP2/0(ATCC, CCL-121(商標))の融合を自発的または人工的に促進誘導し、抗体分泌機能を有し、かつ無限に増殖可能なハイブリドーマ細胞にすることである。免疫化したマウス群のリンパ球と骨髄腫細胞をエレクトロフュージョン法を用いて融合させ、その後ハイブリドーマ細胞を抗体スクリーニングに用いた。
1)エレクトロフュージョン試験。融合の1週間前に、SP2/0細胞を10%DMEM培地で増殖させた。致死させたマウスの脾臓およびリンパ節を生物学的安全キャビネット内で摘出し、洗浄してペトリ皿で磨砕し、リンパ球を回収した。SP2/0およびリンパ球を等量で混合し、エレクトロフュージョン装置で融合を行い、プログラムを設定した。融合後、細胞を96ウェルプレートに播種し、37℃にて5%COのインキュベーター内で培養した。細胞の状態を毎日観察し、融合5日後に細胞融合率を計数した。融合したハイブリドーマ細胞を融合の9-14日後にスクリーニングし、陽性ウェルの細胞を選択して24ウェルプレートで増殖させた。
2)限界希釈法によるサブクローニング。サブクローン化すべき細胞株を24ウェル培養ウェルから再懸濁し、計数した。各細胞株を5-10細胞/mLの細胞濃度に希釈した。希釈した細胞懸濁液を15cmの使い捨て培養皿に添加し、96ウェル培養プレートの各ウェルに0.2mLを加え、各ウェルに1~2個の細胞を入れた。細胞を接種した96ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベーターに入れて培養した。7-10日後、細胞の増殖状態に応じてサブクローニングプレートを検出してスクリーニングし、陽性クローンを選択して24ウェルに移し、さらに陽性確認を行った。
3)ELISAによるスクリーニング。実験開始前に、96ウェルプレートに適宜ラベルを付け、4℃の冷蔵庫で一晩、1μg/mLの濃度の抗原を1ウェルあたり50μlでコーティングした。翌日、前日にコーティングした抗原プレートを取り出し、プレートウォッシャーで洗浄した(洗浄液:1×PBST)。洗浄後、1×PBSTで調製した1%BSAブロッキング液で37℃にて1時間ブロッキングし、1×PBST洗浄液で3回洗浄した後、試験すべき細胞上清50μlを添加し、37℃のインキュベーターで1時間インキュベートした。1×PBST洗浄液でプレートを3回洗浄した後、100μlの1:5000希釈ヤギ抗マウス二次抗体を添加し、37℃のインキュベーターで0.5時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、TMB発色液AおよびBを1:1の割合で混合し、発色させた。現像反応を15分後に1N塩酸で停止させた。多機能プレートリーダーSpectra Max M5で450nmの蛍光値を検出した。
4)FACSによるスクリーニング。DoHH2細胞懸濁液を遠心分離し、0.1%BSAを含むPBSに細胞を再懸濁して計数した。試験すべき細胞上清を加えた。室温で60分間インキュベート後、細胞を3回洗浄し、その後、抗マウスIgG Fc-FITC二次抗体を添加した。室温にて暗所で30分間インキュベートした後、細胞を3回洗浄し、0.1%BSAを含むPBSに静かに懸濁し、機器で検出した。
5)陽性ハイブリドーマクローンの同定。マウス脾臓細胞の融合およびサブクローンのスクリーニングを行った結果、ヒトCD79B抗原に対する特異的抗体が多数得られた。それらの中で、ELISAおよびFACSの結合能が最も優れていた17個のハイブリドーマを抗体作製および精製に用いた。抗ヒトCD79Bハイブリドーマ陽性クローン細胞の培養上清のELISA検出結果を表1に示す。抗ヒトCD79Bハイブリドーマ陽性クローン細胞の培養上清のFACS検出結果を表2に示す。ELISAおよびFACSテストともに陰性対照としてmIgGを用いた。
Figure 2022518062000001
Figure 2022518062000002
3.マウスモノクローナル抗体の産生、精製および同定
1)マウスモノクローナル抗体の作製および精製。抗体作製に用いたハイブリドーマ細胞を顕微鏡で観察した。70%以上に増殖し、細胞の状態が良好な時に細胞を回収し、Countstar IC1000セルカウンターで計数した。産生した培地で細胞濃度を1×10~5×10個/mLに調整し、ローラーボトルに移した。細胞を移したローラーボトルをローラーボトルインキュベーターに置き、37℃にて10~15日間培養した。細胞の増殖状況を毎日観察した。培地がオレンジ色かつ透明になった後、培養液を取り出して精製した。細胞上清をプロテインAカラムに通して抗体を精製し、この精製は常套法に従った。
2)抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体のELISA検出。実験開始前に、96ウェルプレートに適宜ラベルを付け、4℃の冷蔵庫で一晩、1μg/mLの濃度の抗原を1ウェルあたり50μlでコーティングした。翌日、前日にコーティングした抗原プレートを取り出し、プレートウォッシャーで1回洗浄した(洗浄液:1×PBST)。洗浄後、1×PBSTで調製した1%BSAブロッキング液で37℃にて1時間ブロッキングし、1×PBST洗浄液で3回洗浄した後、100nM(1:10)に希釈した抗体50μlを添加し、37℃のインキュベーターで1時間インキュベートした。1×PBST洗浄液でプレートを3回洗浄した後、100μlの1:5000希釈ヤギ抗マウス二次抗体を添加し、37℃のインキュベーターで0.5時間インキュベートした。プレートを洗浄後、TMB発色液AおよびBを1:1で混合し、発色させた。現像反応は15分後に1N塩酸で停止させた。多機能プレートリーダーSpectra Max M5で450nmの蛍光値を検出した。それらの中でも、mAb015、mAb016、mAb017の3つの抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体が最も強いELISA結合能を有した(具体的なデータは図7参照)。それらの中で、hIgG1は陰性対照抗体、SN8は陽性対照抗体であった。SN8は、Roche Pharmaceuticalsが開発した抗体複合医薬品ポラツズマブ・ベドチンに用いられている抗体である(配列については、US20170362318Aに記載の配列供給源を参照のこと)。現在、ポラツズマブ・ベドチンはFDAで販売が承認されている。この結果から、ELISA試験において、本発明により好ましく選択された3つの抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体mAb015、mAb016およびmAb017の結合能は、SN8の結合能と同等であることがわかる。
3)抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体のFACS検出。DOHH2細胞懸濁液を遠心分離した後、細胞を0.1%BSAを含むPBSに再懸濁し、計数した。100nM(1:10まで)に希釈した抗体100μlを加え、室温にて1時間インキュベートした。細胞を3回の洗浄後、抗マウスIgG Fc-FITC二次抗体を添加した。室温にて暗所で30分間インキュベート後、細胞を3回洗浄し、0.1%BSAを含むPBSに静かに懸濁して、機器で検査した。その結果、mAb015、mAb016、mAb017の3つの抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体が最も強いFACS結合能を示した(具体的なデータは図8を参照)。それらの中で、hIgG1は陰性対照抗体であり、SN8は陽性対照抗体であった。この結果から、FACS試験において、本発明により好ましく選択された3つの抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体mAb015、mAb016およびmAb017の結合能は、SN8の結合能よりも優れていることがわかる。
4)抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体の交差反応性のFACS検出。一過性トランスフェクション法により293F-cynoCD79B細胞を得た。細胞懸濁液を遠心分離した後、細胞を0.1%BSAを含むPBSに再懸濁し、計数した。抗体を10μg/mLおよび1μg/mLの濃度でそれぞれ100μl添加した。細胞を室温にて1時間インキュベートした。細胞を3回洗浄した後、抗マウスIgG Fc-FITC二次抗体を添加した。室温にて暗所で30分間インキュベートした後、細胞を3回洗浄し、0.1%BSAを含むPBSに静かに再懸濁して、機器で検出した。抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体の交差反応性を示すFACS検出の結果を図9に示し、ここで、mIgG1は陰性対照抗体であり、抗cyno HR008は、抗cyno CD79Bマウスモノクローナル抗体であり、その抗体配列は、特許出願WO2009012268A1の抗cyno CD79Bマウスモノクローナル抗体(クローン番号10D10)に由来するものである。この結果から、本発明でスクリーニングされた全ての抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体は、cyno CD79Bを認識しなかったことがわかる。
5)抗ヒトCD79Bマウスモノクローナル抗体のSPR検出。抗ヒトCD79B抗体とその抗原であるヒトCD79B-Hisとの親和性を表面プラズモン共鳴(SPR)により検出した。抗原であるヒトCD79B-Hisタンパク質は、CM5チップに固定化した。カップリングレベルは100RUとした。泳動バッファーはHBS-EP+(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05% 界面活性剤P20)を用いた。希釈した抗体を、30μl/分の流速で試験チャネルおよび対照チャネルに3分間流し、5分間の解離を行った。その後、再生バッファー(10mMグリシンバッファー,pH1.5)を30μl/分の流速で30秒間流した。データをBiacore 8K評価ソフトウェアで解析した。
実施例3.マウスモノクローナル抗体可変領域のアミノ酸配列の決定
実施例2で得られた高親和性ハイブリドーマモノクローナル細胞株を、可変領域のアミノ酸配列決定に供した。そして、ヒトおよびマウスのキメラ抗体(cAb)を組換え発現させた後、さらに抗体の同定を行った。抗体遺伝子の重鎖および軽鎖の可変領域を逆転写PCRで増幅させ、ベクターに連結させて塩基配列を決定し、モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖の塩基配列を得た。まず、実施例2で良好な活性を示した単細胞株の全細胞RNAを、RNA精製キット(Qiagen社製、商品番号74134、手順は本明細書参照)を用いて抽出した。次に、cDNA合成キット(Invitrogen社、商品番号18080-051)を用いて、一本鎖cDNAを産生した、すなわち、オリゴdTプライマーcDNA逆転写を行った。これを鋳型として、PCR法により抗体軽鎖および重鎖可変領域配列を合成し、そのPCR産物をTAベクターpMD-18Tにクローニングした後、配列決定した。得られた抗体軽鎖および重鎖配列をそれぞれ発現ベクターにクローニングし(方法について実施例1参照)、組換えモノクローナル抗体を発現させ、活性を確認した後(方法について実施例2参照)、ヒト化を行った。
本発明の抗ヒトCD79B抗体のVH/VL CDRのアミノ酸残基は、Chothia番号付けシステムによって決定され、番号が付けられている。
>マウスハイブリドーマモノクローナル抗体mAb015の重鎖可変領域:
QVQLQQSGAELARPGASVKLSCKASGSSFTSYGINWVKQRTGQGLEWIGEIFPRSGNTYYNEKFEGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYFCAKGDLGDFDYWGQGTTLTVSS(配列番号3)。
>マウスハイブリドーマモノクローナル抗体mAb015の軽鎖可変領域:
DFLMTQTPLSLPVRLGDQASISCRSSQSIVHSDGNTYFEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPWTFGGGTKLEIK(配列番号4)。
>マウスハイブリドーマモノクローナル抗体mAb017の重鎖可変領域:
QVQLQQSGAELARPGASVKLSCKASGYTFTTYGINWVKQRTGQGLEWIGEIYPRSGNIYYNEKFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYFCARGSDYDGDFAYWGQGTLVTVSA(配列番号5)。
>マウスハイブリドーマモノクローナル抗体mAb017の軽鎖可変領域:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHHDGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPWTFGGGTQLEIK(配列番号6)。
>マウスハイブリドーマモノクローナル抗体mAb016の重鎖可変領域:
QVQLQQSGAELARPGASVKLSCKASGYIFTNYGIIWVKQRTGQGLEWIGDIFPGSGNTYYNENFKGKATLTADKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYFCSRGELGDFDYWGQGTTLTVSS(配列番号17)。
>マウスハイブリドーマモノクローナル抗体mAb016の軽鎖可変領域:
VVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQNIVHSDGTTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGIYYCFQGSHVPWTFGGGTKLEIK(配列番号18)。
Chothiaの番号付け規則に従ったマウスCDR配列を表3に示す:
Figure 2022518062000003
実施例4.抗ヒトCD79B抗体のヒト化
実施例3で得られたマウス抗CD79Bモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖の配列の相同性を抗体データベースに対してアライメントした後、ヒト化抗体モデルを構築した。このモデルに基づいて、復帰突然変異(back mutation)スクリーニングにより、最適なヒト化抗CD79Bモノクローナル抗体を好ましい分子として選択した。この方法は、まず、公開されているマウスFab結晶構造モデルデータベース(例えば、PDBデータベースなど)から、得られたマウス候補分子の結晶構造と類似または相同の結晶構造を検索し、高解像度(2.5Å以下など)のFab結晶構造を選択して、マウスFabモデルを構築した。マウス抗体の軽鎖および重鎖の配列をモデルの配列と比較した。モデルのマウス抗体の配列と一致する配列を残し、マウス抗体の構造モデルを得た。一致しないアミノ酸は、復帰突然変異の可能性のある部位であった。このマウス抗体の構造モデルをSwiss-pdb Viewerソフトウェアで実行し、エネルギーの最適化(最小化)を行った。モデル内の異なるアミノ酸位置(CDRを除く)を復帰突然変異させ、得られた(ヒト化)変異抗体をヒト化前の抗体と比較して活性を検出した。良好な活性を有するヒト化抗体を保持した。その後、CDR領域を、グリコシル化部位、脱アミド化部位、酸化部位の回避を含めて最適化した。上記の抗体は、遺伝子クローニング法および組換え発現法により、クローン化され、発現され、精製された。SPRなどによる検出を経て、最終的に最も優れた活性を保持するヒト化抗体hAb015およびhAb017を選択した。具体的なデータは表4を参照のこと。ヒト化抗体hAb015およびhAb017は、マウスモノクローナル抗体と同様の親和性および関連機能を維持していた。
Figure 2022518062000004
ヒト化抗体hAb015およびhAb017の配列を以下に示す。
>ヒト化抗体hAb015の重鎖配列:
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGSSFSSYGINWVKQAPGQGLEWIGEIFPRSGNTYYNEKFEGRATLTADKSTSTAYMELRSLRSEDTAVYYCAKGDLGDFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号19)。
>ヒト化抗体hAb015の軽鎖配列:
DFVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSIVHSDGNTYFEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPWTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号20)。
>ヒト化抗体hAb017の重鎖配列:
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTYGINWVKQAPGQGLEWIGEIYPRSGNIYYNEKFKGKATLTADKSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARGSDYDGDFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号21)。
>ヒト化抗体hAb017の軽鎖配列:
DVVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSIVHHDGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPWTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号22)。
実施例5.抗CD79B抗体のエンドサイトーシス
本発明のCD79B抗体が、ヒトCD79Bに結合した後、ヒトCD79Bとともに細胞内にエンドサイトーシスされるかどうかを調べるために、ヒトCD79Bタンパク質の発現レベルが高いDOHH-2細胞(DSMZ、ACC47)を用いて、エンドサイトーシス実験を行った。
DOHH-2細胞は、浮遊細胞に適した常套法に従って培養した。培地の組成は以下の通りである:RPMI1640培地(GIBCO,カタログ番号:11835-030)に、10%(v/v)牛胎仔血清(FBS)(GIBCO,カタログ番号:10099-141)およびペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO,カタログ番号:15070-063)を添加したもの。
実験では、4℃にて1000rpmで5分間の低温遠心分離を行い、細胞を回収した。この細胞を、氷上で予冷した10~15mlのFACS緩衝液に再懸濁した。FACSバッファーの組成は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4に、2%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したものであった。試験中、FACSバッファーは氷上で予冷した。遠心分離して計数後、96ウェルプレートに300,000個/ウェルの細胞を添加した。遠心分離して上清を捨てた後、12.5μg/ml Fcブロッキング溶液(BD, カタログ番号:564220)を100μl/ウェルで添加した。細胞を室温にて10分間ブロッキングした。その後、20μg/mlの試験すべきCD79B抗体を対応するウェルに添加し、4℃にて暗所で1時間インキュベートした。細胞を予冷したPBS緩衝液で2回洗浄し、結合していない抗体を除去した。細胞完全培養液(RPMI1640培地に10%ウシ胎仔血清を加えたもの)を添加し、37℃にて5%COで0時間、1時間、2時間または4時間培養した。遠心分離して上清を捨てた後、100μl/ウェルの2%PFA緩衝液を添加した。細胞を再懸濁し、10分間放置した。その後、FACSバッファーで3回洗浄し、二次抗体溶液(蛍光標識ヤギ-抗ヒト二次抗体:1:250希釈、濃度2μg/ml、Biolegend社、カタログ番号409304)を100μl添加し、4℃にて暗所で0.5時間インキュベートした。予冷したPBSバッファーを添加し、4℃で遠心分離して上清を捨てることを3回繰り返した。この細胞を200μl/ウェルのFACSバッファーに再懸濁し、フローサイトメトリー(BD FACS Calibur)で検出した。
その結果、4℃でインキュベートしたとき、SN8、hAb015およびhAb017の3つの抗体はいずれもDOHH-2細胞にエンドサイトされないことがわかった。一方、37℃でインキュベートしたとき、1時間後にはほとんどの抗体がDOHH-2細胞にエンドサイトーシスされ、4時間後には抗体のエンドサイトーシスが最大となった。3つの抗体はすべて、比較的よくエンドサイトーシスされた。

Claims (13)

  1. 抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、以下の(I)から(III):
    (I) 配列番号7、配列番号8および配列番号9にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、重鎖可変領域;および
    配列番号10、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、軽鎖可変領域;
    (II) 配列番号13、配列番号14および配列番号15にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、重鎖可変領域;および
    配列番号16、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、軽鎖可変領域;ならびに
    (III) 配列番号23、配列番号24および配列番号25にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、重鎖可変領域;および
    配列番号26、配列番号11および配列番号12にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、軽鎖可変領域
    より選択される何れか1つを含む、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント。
  2. 重鎖可変領域が、
    配列番号3に示す配列または配列番号3と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列;
    配列番号5に示す配列または配列番号5と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
    配列番号17に示す配列または配列番号17と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列
    を含み、および/あるいは
    軽鎖可変領域が、
    配列番号4に示す配列または配列番号4と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列;
    配列番号6に示す配列または配列番号6と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
    配列番号18に示す配列または配列番号18と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列
    を含む、請求項1に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    好ましくは、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域が、配列番号3に示される配列であり、かつ軽鎖可変領域が配列番号4に示される配列であるか;
    好ましくは、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域が、配列番号5に示される配列であり、かつ軽鎖可変領域が配列番号6に示さる配列であるか;または、
    好ましくは、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域が、配列番号17に示される配列であり、かつ軽鎖可変領域が配列番号18に示される配列である、
    請求項1に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント。
  3. マウス抗体、キメラ抗体、ヒト抗体またはヒト化抗体もしくはそれらのフラグメントである、請求項1または2に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント。
  4. ヒト化抗体であり、その重鎖が、配列番号19に示す配列または配列番号19と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
    配列番号21に示す配列または配列番号21と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列
    を含み、および/あるいは
    その軽鎖が、配列番号20に示す配列または配列番号20と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列;または
    配列番号22に示す配列または配列番号22と少なくとも90%、95%、98%もしくは99%同一性を有する配列
    を含む、請求項3に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    好ましくは、抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖が、配列番号19に示される配列であり、かつ軽鎖が配列番号20に示される配列であるか、または
    好ましくは、抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖が、配列番号21に示される配列であり、かつ軽鎖が配列番号22に示される配列である、
    請求項3に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント。
  5. ヒト抗体の重鎖可変領域が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の重鎖フレームワーク領域もしくはそれらの変異体を含み、
    抗原結合フラグメントが、Fab、Fab’-SH、Fv、scFvおよび/または(Fab’) フラグメントからなる群より選択される、
    請求項3または4に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    好ましくは、該ヒト化抗体の重鎖可変領域が、ヒトIgG1、IgG2もしくはIgG4の重鎖フレームワーク領域を含み、
    より好ましくは、該ヒト化抗体の重鎖可変領域が、ヒトIgG1もしくはIgG2の重鎖フレームワーク領域を含む、
    請求項3または4に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント。
  6. 抗体が、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、抗体-薬物複合体であって、
    好ましくは、抗体-薬物複合体が、細胞毒性物質を含み、
    より好ましくは、細胞毒性物質が、毒素、化学療法剤、抗生物質、放射性同位元素および核酸分解酵素からなる群より選択される、抗体-薬物複合体。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする、ポリヌクレオチド。
  8. 請求項7に記載のポリヌクレオチドを含むベクターであって、真核生物発現ベクター、原核生物発現ベクターまたはウイルスベクターである、ベクター。
  9. 請求項8に記載のベクターを含む宿主細胞であって、
    好ましくは、該宿主細胞が、細菌細胞、酵母細胞または哺乳動物細胞であり、
    より好ましくは、該宿主細胞が、大腸菌、ピキア酵母、チャイニーズハムスター卵巣細胞またはヒト胎児腎細胞293細胞である、宿主細胞。
  10. 抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントの産生方法であって、抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを請求項9に記載の宿主細胞中で発現させ、培地から該抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメントを単離することを含む、産生方法。
  11. 請求項1から5のいずれか一項に記載の抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメント、請求項6に記載の抗体-薬物複合体、請求項7に記載のポリヌクレオチド、請求項8に記載のベクターから選択されるいずれか1つあるいはそれらの何れかの組合せ、および要すれば、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む、薬物または医薬組成物。
  12. 薬物または医薬組成物の製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗CD79B抗体またはその抗原結合フラグメント、請求項6に記載の抗体-薬物複合体、請求項7に記載のポリヌクレオチド、請求項8に記載のベクターから選択されるいずれか1つの使用であって、ここで、該薬物または医薬組成物が、増殖性疾患の処置または増殖性疾患の進行の遅延のために用いられるものであって、
    好ましくは、該増殖性疾患が、癌または腫瘍であり、
    より好ましくは、該癌または腫瘍が、リンパ腫または白血病であり、
    該リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択され、
    該非ホジキンリンパ腫が、侵攻性非ホジキンリンパ腫、再発性侵攻性非ホジキンリンパ腫、再発性無痛性非ホジキンリンパ腫、難治性非ホジキンリンパ腫および難治性無痛性非ホジキンリンパ腫からなる群より選択され、
    該白血病が、慢性リンパ球性白血病、有毛細胞白血病および急性リンパ球性白血病からなる群より選択される、
    使用。
  13. 増殖性疾患の処置もしくは予防のため、または増殖性疾患の進行の遅延のための方法であって、
    対象に治療的有効量または疾患遅延有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の抗ヒトCD79B抗体またはその抗原結合フラグメント、請求項6に記載の抗体-薬物複合体、請求項7に記載のポリヌクレオチド、請求項8に記載のベクター、請求項11に記載の医薬組成物あるいはそれらの組合せを投与することを含み、
    好ましくは、該増殖性疾患が、癌または腫瘍であり、
    より好ましくは、該癌または腫瘍が、リンパ腫または白血病であり、
    該リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択され、
    該非ホジキンリンパ腫が、侵攻性非ホジキンリンパ腫、再発性侵攻性非ホジキンリンパ腫、再発性無痛性非ホジキンリンパ腫、難治性非ホジキンリンパ腫および難治性無痛性非ホジキンリンパ腫からなる群より選択され、
    該白血病が、慢性リンパ球性白血病、有毛細胞白血病および急性リンパ球性白血病からなる群より選択される、
    方法。
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