JP2022515953A - キノンレダクターゼ2阻害剤化合物およびその使用 - Google Patents

キノンレダクターゼ2阻害剤化合物およびその使用 Download PDF

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Abstract

いくつかの実施形態に従って、式(I)の化合物[式]またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが本明細書にて提供される。該化合物を含む組成物、ならびにキノンレダクターゼ2の活性を阻害するための、および治療方法におけるその使用も提供される。

Description

プロトタイプとしてクロロキン(CQ)およびヒドロキシクロロキン(HQ)を含むアミノキノリンは、キノンレダクターゼ2(QR2)阻害剤であり、これは、最初はマラリアの治療のために開発されていたが、その後、特に自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)およびリウマチ性関節炎(RA)を含む他の適応症に治療効果があることが判明している。Singer et al., ”Update on immunosuppressive therapy,” Curr. Opin. Rheumatol. 1998, 10:169-173; Wallace, ”The use of chloroquine and hydroxychloroquine for non-infectious conditions other than rheumatoid arthritis or lupus: a crucial review,” Lupus 1996, 5 Suppl 1:S59-64。SLEおよびRAにおいて、アミノキノリンは第一選択療法の柱であり、他の薬物と組み合わせて用いられる場合が多い。アミノキノリンは、SLEおよびRAの徴候および症状を改善するだけではなく、脂質代謝に対しても有益な効果を有しており、血栓症の発生を低減する。炎症性またはびらん性変形性関節症の患者においても、同様の利益が観察されている。移植片対宿主病、癌およびHIVにおける補助療法として使用された場合にも有効性が示されている。Savarino et al., ”Effects of chloroquine on viral infections: an old drug against today’s diseases?” Lancet Infect. Dis. 2003, 3(11):722-7; Savarino et al., ”Risks and benefits of chloroquine use in anticancer strategies,” Lancet Oncol. 2006, 7(10):792-3; Sotelo et al., ”Adding chloroquine to conventional treatment for glioblastoma multiforme: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial,” Ann. Intern. Med. 2006, 144(5):337-43。
神経保護におけるクロロキン(CQ)の可能性は、これまでに、脳卒中、興奮毒性および外傷の前臨床モデルにおいて試験されてきたものの、治療機構については理解しにくいままであった。CQは、永久MCA閉塞モデルにおいて、脳の損傷部位へのミクログリアおよびPMNの遊走を劇的に制限し、反応性アストログリオーシスおよび血管新生を低減して、一回拍出量を60%減少させる。Giulian et al., ”The role of mononuclear phagocytes in wound healing after traumatic injury to adult mammalian brain,” J. Neurosci. 1989, 9:4416-4429; Ivanova et al., ”Cerebral ischemia enhances polyamine oxidation: identification of enzymatically formed 3-aminopropanal as an endogenous mediator of neuronal and glial cell death,” J. Exp. Med. 1998, 188:327-340。CQは、様々な刺激物に応答したミクログリア細胞によるin vitroでのサイトカイン産生も減少させる。Giulian, ”Microglia and the immune pathology of Alzheimer disease,” Am. J. Hum. Genet. 1999, 65:13-18。
一部のマラリアはCQに耐性があるため、誘導体化合物も調査されている。例えば、Wareらに対する米国特許出願公開第2006/0074105号は、マラリアおよび自己免疫疾患の治療において有用であると言われている特定のキノリンおよびキナゾリン誘導体を記載している。
CQおよびHQは、自己免疫障害の第一選択療法として臨床的に用いられる場合が多いが、その有効性は深刻な副作用によって制限される。最も重要かつ特徴付けられている毒性は網膜毒性であり、投薬が制限されていない限り、長期的な使用は「標的黄斑症」や失明を引き起こし得る。心臓毒性も、稀ではあるが発生する可能性があり、伝導障害(例えば、脚ブロック)および/またはうっ血性心不全に関連する心筋症のいずれかとして現れている。長期のCQまたはHQ療法後の心臓および網膜生検の電子顕微鏡検査からは、リソソーム(ならびに網膜および皮膚におけるメラノソーム)での高い薬物蓄積の直接の結果であると考えられる特徴的な細胞質内封入体が明らかになった。注目すべきことには、CQは、治療的投薬中、皮膚、網膜、腎および肝細胞内にてmMの濃度で蓄積され得るが、血漿濃度は<1μmのままである。
特に、同様にリソソーム蓄積を減少させて毒性を低減する、さらなるアミノキノリンキノンレダクターゼ2(QR2)阻害剤の開発が依然として要求されている。
いくつかの実施形態によれば、式(I)の化合物、
Figure 2022515953000002
(式中、Rは、窒素含有ヘテロシクロまたは窒素含有ヘテロアリールである。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物がフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、
前記化合物が本明細書にて提供される。
いくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000003
(式中、D、D、DおよびDは、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
およびD、DおよびDまたはDおよびDは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物(Rを含む)は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換され得る。
いくつかの実施形態にて、D、D、DおよびDは各々水素である。
いくつかの実施形態にて、化合物は、式(I)(a)(1)の化合物もしくは式(I)(a)(2)の化合物
Figure 2022515953000004
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、化合物は、式(I)(a)(2)の化合物、
Figure 2022515953000005
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、化合物は、式(I)(a)(2)の化合物
Figure 2022515953000006
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
いくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000007
(式中、X、XおよびXは、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、
、D、DおよびDは、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
、D、DおよびDのうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、化合物は式(I)(b)(1)の化合物
Figure 2022515953000008
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000009
(式中、X、X、X、XおよびXは、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、前記X、X、X、XおよびXのうちの少なくとも2つまたは少なくとも3つは炭素であり、
、D10、D11、D12、D13およびD14は、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
、D10、D11、D12、D13およびD14のうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000010

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000011
(式中、X、X10、X11およびX12は、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、前記X、X10、X11およびX12のうちの少なくとも2つは炭素であり、
15、D16、D17、D18およびD19は、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
15、D16、D17、D18およびD19のうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000012
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
前記化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている。
いくつかの実施形態にて、化合物は、約pH4~pH5で正のLogD値を有する。
また、本明細書に記載の化合物および担体(例えば、薬学的に許容される担体)を含む組成物も提供される。
また、キノンレダクターゼ2(QR2)と本明細書にて教示される化合物または組成物とを接触させることを含む、QR2の活性を阻害する方法であって、前記接触がin vitroで行われる、または前記接触がin vivoで行われる、前記方法がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象におけるマラリアの治療方法も提供される。マラリアの治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。マラリアの治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における免疫障害の治療方法も提供される。免疫障害の治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。免疫障害の治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における急性神経損傷の治療方法も提供される。急性神経損傷の治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。急性神経損傷の治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における慢性神経学的障害(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病)の治療方法も提供される。慢性神経学的障害の治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。慢性神経学的障害の治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象におけるループスの治療方法も提供される。ループスの治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。ループスの治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における感染症の治療方法も提供される。感染症の治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。感染症の治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における癌の治療方法も提供される。癌の治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。癌の治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象におけるCNSループスの治療方法も提供される。CNSループスの治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。CNSループスの治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
また、本明細書にて教示される化合物または組成物を治療有効量で脳血管疾患のリスクが高い対象に投与することを含む、前記対象の治療方法も提供される。脳血管疾患のリスクが高い対象の治療における使用のための本明細書にて教示される化合物または組成物がさらに提供される。脳血管疾患のリスクが高い対象の治療のための薬剤の調製のための本明細書にて教示される化合物の使用がさらに提供される。
上記した方法または使用のいくつかの実施形態にて、投与は、慢性投与(例えば、数カ月または数年にわたる)を含む。
上記の方法または使用のいくつかの実施形態にて、投与は1日1回行われる。
図1Aは、クロロキンのLogD対pHを示すグラフである。 図1Bは、QR2I-44のLogD対pHを示すグラフである。約pH4超のQR2I-44のLogDは正であり、膜透過性がリソソームのpHの範囲で維持されることを示している。CQとは異なり、QR2I-44はリソソームに捕捉されない。 図2Aは、QR2I-44対ビヒクルの5日間のロータロッドの結果を示すグラフである。 図2Bは、QR2I-44対クロロキン(CQ)の5日間のロータロッドの結果を示すグラフである。結果は、QR2I-44が、TBI後に神経保護的であり、CQよりも治療上優れていることを示している。 7日間のロータロッド試験におけるクロロキン(CQ)、化合物1、化合物2およびQR2I-44の比較試験の結果を示すグラフであり、QR2I-44の神経保護の初期の持続性(durability)が確認される。 28日間のロータロッド試験におけるクロロキン(CQ)、化合物1、化合物2およびQR2I-44のロータロッド潜時対外傷性脳損傷(TBI)後の時間を示すグラフであり、TBIのほぼ1カ月後のQR2I-44の治療効果の持続性を示している。 図5Aは、モリス水迷路(MWM)試験におけるQR2I-44の投与による速度対外傷性脳損傷(TBI)後の日数を示すグラフである。 結果は、図5Bにみられる効果(すなわち、QR2I-44の投与によるより速い学習)が、運動能力の差によって損なわれないことを示している。P値=0.0165、有意レベル=5%。 図6Aは、容積測定分析のための海馬ROIオーバーレイ(hippocampal ROI overlay)を用いたマウス脳の代表的な高解像度冠状MRIを示す画像である。 図6Bは、正常群、処置群および未処置群の海馬体積を示すグラフであり、QR2I-44対ビヒクル対照で処置したマウスにおいて体積の統計的に有意な改善を示している。 図7Aは、脳梁/外包(CC/EC)を含む、重要な皮質下脳構造のテンプレートオーバーレイROIを用いた代表的なMRIである。 図7Bは、TBI後の正常群、処置群および未処置群におけるCC/ECの拡散異方性(FA)を示すグラフであり、QR2I-44療法後のこれらの大きな白質路のFAの改善を示している。FAは、拡散強調画像(DTI)と呼ばれる高解像度MRI技術を用いる路の完全性の一般的な尺度である。 図8Aは、TOLL様受容体リガンドでの刺激およびQR2I-44での処置後のRAW264.7細胞からの炎症性微粒子(MP)の放出の結果を示すグラフである。TOLL様受容体リガンド:PIC=ポリイノシン:ポリシチジル酸(TLR3);CpG=CpGオリゴデオキシヌクレオチドDNA(TLR9)。 図8Bは、TOLL様受容体リガンドでの刺激およびQR2I-44での処置後のRAW264.7細胞からのTNFアルファ放出の結果を示すグラフである。TOLL様受容体リガンド:PIC=ポリイノシン:ポリシチジル酸(TLR3);CpG=CpGオリゴデオキシヌクレオチドDNA(TLR9)。 図8Cは、TOLL様受容体リガンドでの刺激およびQR2I-44での処置後のRAW264.7細胞からのTNFアルファ放出の結果を示すグラフである。TOLL様受容体リガンド:PIC=ポリイノシン:ポリシチジル酸(TLR3);CpG=CpGオリゴデオキシヌクレオチドDNA(TLR9)。 療法開始後1週間および3週間でのヒト全身性エリテマトーデス(LPR/mrl)のマウスモデルにおける抗cDNA抗体産生に対するQR2I-44処置の結果を示すグラフである。 QR2阻害剤によるメナジオン誘発性の膜電位の喪失の防止を示すデータを提供するグラフである。全てのQR2阻害剤は、テトラメチルローダミンエチルエステル(TMRE、生および活性ミトコンドリアにより隔離された蛍光色素)により検出されるメナジオン誘発性の膜電位の喪失を防止できた。野生型HEK293細胞をQR2阻害剤(CDL-1、CDL-2およびQR2i-44)で1時間前処理し、次いでメナジオンに4時間曝露し、膜電位についてアッセイした。QR2i-44は、メナジオン誘発性の膜電位の喪失を有意に防止した。
本明細書にて、キノンレダクターゼ2の阻害剤として有用な化合物、ならびにその製剤および使用方法が提供される。いくつかの実施形態にて、化合物は、感染症、癌、免疫障害、急性神経損傷および慢性神経学的障害、および脳血管疾患のリスクが高い対象の治療において有用である。
本明細書にて引用する全ての特許参考文献の開示は、本明細書に示す開示と一致する限り、引用することによりその全てが本明細書の一部をなすものとする。本発明の説明および添付の特許請求の範囲において本明細書にて使用する単数形「1つ(aおよびan)」および「その(the)」は、文脈で別段明確に指示されない限り、複数形を同様に含むことが意図される。本発明の説明および添付の特許請求の範囲において本明細書にて使用する単数形「1つ(aおよびan)」および「その(the)」は、文脈で別段明確に指示されない限り、複数形を同様に含むことが意図される。さらに、本明細書にて使用する用語「約(about)」および「およそ(approximately)」は、測定可能な値、例えば、化合物の量、用量、時間、温度等を指す場合、指定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%またはさらには0.1%の変動を包含することが意図される。また、本明細書にて使用する「および/または」および「/」は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意選択的なおよび全ての可能な組み合わせ、ならびに代替物(「または」)で解釈される場合組み合わせの欠如を指し、これを包含する。
[I.定義]
本明細書では以下の定義が用いられる。
当技術分野で公知のように、「H」は水素原子を指す。「C」は炭素原子を指す。「N」は窒素原子を指す。「O」は酸素原子を指す。
「ハロ」は、F、Cl、BrまたはIを指す。「Cl」はクロロであり、「I」はヨードであり、「F」はフルオロであり、「Br」はブロモである。
「アシル」は、-C(O)R基(式中、Rは好適な置換基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、ベンゾイル基またはアルキルベンゾイル基)である。)である。
本明細書にて「アルキル」は、1または2~10または20個またはそれ以上の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素(例えば、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15等)を指す。アルキルの代表例は、これらに限定されないものの、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等を含む。いくつかの実施形態にて、アルキルは、1~3、4または5個の炭素原子を有する「低級アルキル」である。
本明細書にて「アルケニル」は、1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基である。
本明細書にて「アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を有する直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基である。
本明細書にて「アミノ」は、-NH基である。本明細書にて「アミド」は、窒素原子(N)に結合したカルボニル基(C=O)を有する有機官能基を指す。
本明細書にて「アルコキシ」は、本明細書にて定義されるように、酸素原子(-O-)を介して親分子に付着したアルキル基を指す。アルコキシの代表例は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等を含む。
本明細書にて「アリール」は、1つまたは複数の芳香環を有する環系を指す。アリールの代表例は、アズレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチル等を含む。
本明細書にて「ハロアルキル」は、水素原子のうちの少なくとも1つがハロ(F、Cl、BrまたはI)で置き換えられている、1または2~10または20個またはそれ以上の炭素原子(例えば、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15等)を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素を指す。「ハロアルキル」の代表例は、これらに限定されないものの、フルオロアルキル(例えば、フルオロメチル(-CHF)、ジフルオロメチル(-CHF)またはトリフルオロメチル(-CF))を含む。
本明細書にて「ヘテロシクロ」は、O、NおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式、二環式または三環式の環系を指す。単環式複素環系は、O、NおよびSからなる群から独立に選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する任意選択的な5員または6員環により例示される。5員環は0~2個の二重結合を有し、6員環は0~3個の二重結合を有する。単環式環系の代表例は、これらに限定されないが、アゼチジン、アゼピン、アジリジン、ジアゼピン、1,3-ジオキソラン、ジオキサン、ジチアン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、モルホリン、オキサジアゾール、オキサジアゾリン、オキサジアゾリジン、オキサゾール、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラジン、テトラゾール、チアジアゾール、チアジアゾリン、チアジアゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、チオフェン、チオモルホリン、チオモロホリンスルホン、スルホキシド、チオピラン、トリアジン、トリアゾール、トリチアン等を含む。二環式環系は、本明細書にて定義されるアリール基、本明細書にて定義されるシクロアルキル基、または本明細書にて定義される別の単環式環系に縮合された上記の単環式環系のいずれかによって例示される。二環式環系の代表例は、これらに限定されないものの、例えば、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾピラン、ベンゾチオピラン、ベンゾジオキシン、1,3-ベンゾジオキソール、シンノリン、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、ナフチリジン、イソベンゾフラン、イソベンゾチオフェン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、フタラジン、ピラノピリジン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラヒドロイソイキノリン、テトラヒドロキノリン、チオピラノピリジン等を含む。窒素含有ヘテロシクロの例は、これらに限定されないものの、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル等を含む。
「ヘテロアリール」は、1個または複数の炭素原子が、O、NおよびSからなる群から独立に選択される原子で置き換えられている環式芳香族炭化水素を意味する。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、チエニル、フリル、ピラジニル、ピロリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、トリアゾリル、ピリダジニル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、イソチアゾリルおよびベンゾ[b]チエニルを含む。好ましいヘテロアリール基は、5員環および6員環であり、O、NおよびSからなる群から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を含有する。各ヘテロ原子を含むヘテロアリール基は、非置換であってもよく、または化学的に実現可能である場合、1~4個の好適な置換基で置換されていてもよい。例えば、ヘテロ原子Sは、=Oと示され得る1または2個のオキソ基で置換されていてもよい。窒素含有ヘテロアリールの例は、これらに限定されないものの、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、アクリジニル、カルバゾール、アゼピニル、1,4-ジアゼピニル、プリニル、プテリジニル、フタラジニル等を含む。
本発明に係るアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロ基は、化学的に実現可能である場合、アルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アジド、アリールアルコキシ、アリールアルキル、アリールオキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロ、スルファミル、スルホ、スルホネート、NR’R’’(式中、R’およびR’’は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキルおよびホルミルから独立に選択される。)および-C(O)NR’R’’(式中、R’およびR’’は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキルおよびホルミルから独立に選択される。)から独立に選択される置換基で、1、2、3、4または5回置換されていてもよい。
「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」は-OH基を指す。
「ニトリル」は-CN基を指す。
「ニトロ」は-NO基を指す。
「スルホン」は、スルホニル官能基-SOR(式中、Rは任意選択的に共有結合した原子(複数可)である。)を指す。
「スルホキシド」は-S(O)R基(式中、Rは任意選択的に共有結合した原子(複数可)である。)を指す。
「チオール」または「メルカプト」は-SH基またはその互変異性体=Sを指す。
本明細書にて「縮合環(fused ring)」は、本明細書で提供される式の2つの置換基により形成され得る環系(例えば、「ヘテロシクロ」、「アリール」または「ヘテロアリール」)を指す。2つの置換基は各々、C、O、NまたはSから独立に選択され得る置換基RおよびRなどの縮合環Iまたは縮合環IIとして以下に例示する環系の一部を一緒に形成し得る。縮合環IIに含まれる炭素は、O、NおよびSからなる群から独立に選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。各ヘテロ原子を含む縮合環系は、存在する場合、非置換であってもよく、または化学的に実現可能である場合、1~4個の好適な置換基で置換されていてもよい。
Figure 2022515953000013
「薬学的に許容される塩」は、指定された化合物の遊離酸および塩基の生物学的効果を維持し、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではない塩である。薬学的に許容される塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオン酸塩、ヘキシン-1,6-ジオン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、およびマンデル酸塩を含む。
「プロドラッグ」は、当技術分野で公知のものであり、薬学的に活性な指定された化合物に、生理的条件下で、または加溶解分解により、または代謝的に変換できる化合物である。十分な議論が、T. Higuchi and V. Stella, Prodrugs as Novel delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Seriesに、およびEdward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供されており、いずれも引用することによってその全てが本明細書の一部をなすものとする。米国特許第6680299号も参照されたい。例は、対象によって本明細書に記載の活性化合物にin vivoで代謝されるプロドラッグを含み、プロドラッグは、アルコールもしくはカルボン酸基が化合物中に存在する場合、このような基のエステルであるか、アルコール基が化合物中に存在する場合、このような基のアセタールもしくはケタールであるか、アミン基が化合物中に存在する場合、このような基のN-マンニッヒ塩基もしくはイミンであるか、またはカルボニル基が化合物中に存在する場合、このような基のシッフ塩基、オキシム、アセタール、エノールエステル、オキサゾリジンもしくはチアゾリジンであり、例えば、米国特許第6680324号および米国特許第6680322号に記載されている。
当技術分野で理解されるように、用語「任意選択的に置換されている」は、指定された基が非置換であるか、または1つまたは複数の好適な置換基で置換されているかのいずれかであることを示す。また「置換」されている「置換基」は、親有機分子上の水素原子に代わる基である。
[II.活性化合物]
式(I)の化合物
Figure 2022515953000014
(式中、Rは窒素含有ヘテロシクロまたは窒素含有ヘテロアリールである。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが、活性化合物として本明細書にて提供される。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。
いくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000015
(式中、D、D、DおよびDは、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
およびD、DおよびDまたはDおよびDは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、式(I)の化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。いくつかの実施形態にて、D、D、DおよびDは各々水素である。
いくつかの実施形態にて、化合物は、式(I)(a)(1)の化合物もしくは式(I)(a)(2)の化合物
Figure 2022515953000016
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。
いくつかの実施形態にて、化合物は、式(I)(a)(1)の化合物
Figure 2022515953000017
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。
いくつかの実施形態にて、化合物は、式(I)(a)(2)の化合物
Figure 2022515953000018
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。
式(I)のいくつかの実施形態にて、R
Figure 2022515953000019
(式中、X、XおよびXは、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、
、D、DおよびDは、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
、D、DおよびDのうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。いくつかの実施形態にて、隣接原子上にあるD、D、DおよびDのうちの2つは縮合環を一緒に形成する。
いくつかの実施形態にて、化合物は式(I)(b)(1)の化合物
Figure 2022515953000020
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。
式(I)のいくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000021
(式中、X、X、X、XおよびXは、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、前記X、X、X、XおよびXのうちの少なくとも2つまたは少なくとも3つは炭素であり、
、D10、D11、D12、D13およびD14は、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
、D10、D11、D12、D13およびD14のうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。いくつかの実施形態にて、隣接原子上にあるD、D10、D11、D12、D13およびD14のうちの2つは縮合環を一緒に形成する。
式(I)のいくつかの実施形態にて、R
Figure 2022515953000022
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。
式(I)のいくつかの実施形態にて、Rは、
Figure 2022515953000023
(式中、X、X10、X11およびX12は、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、前記X、X10、X11およびX12のうちの少なくとも2つは炭素であり、
15、D16、D17、D18およびD19は、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
15、D16、D17、D18およびD19のうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。)
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物はフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。いくつかの実施形態にて、隣接原子上にあるD15、D16、D17、D18およびD19のうちの2つは縮合環を一緒に形成する。
式(I)のいくつかの実施形態にて、R
Figure 2022515953000024
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。いくつかの実施形態にて、化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの独立に選択される好適な基で1、2または3回置換されていてもよい。
いくつかの実施形態にて、化合物は、約pH4~pH5の正のLogD値を有する。
別段の記載がない限り、本明細書に示される構造は、その構造の全てのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座)形態、例えば、各不斉中心のRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体構造異性体を含むことも意図される。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座)混合物も、本発明の範囲内である。また、別段の記載がない限り、本発明に係る化合物の全ての互変異性体形態は、本発明の範囲内である。互変異性体形態は、化合物のケト-エノール互変異性体を含む。さらに、別段の記載がない限り、本発明に係る化合物の全ての回転異性体形態は、本発明の範囲内である。別段の記載がない限り、本明細書に示される構造は、1つまたは複数の同位体濃縮した原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことも意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14C濃縮炭素による炭素の置き換えを除き、本発明に係る構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイの分析ツールまたはプローブとして有用である。
[III.使用方法]
上記のように、本明細書にて教示される活性化合物は、QR2阻害剤として有用であり得る。このような活性化合物は、感染症、癌、免疫障害、急性神経損傷および慢性神経学的障害、ならびに脳血管疾患のリスクが高い対象の治療にも有用であり得る。活性化合物は、ミトコンドリア機能不全に関連する障害の治療にも有用であり得る。
感染症は、これらに限定されないものの、寄生虫感染症、例えば、マラリアおよびアメーバ症、細菌感染症、例えば、ライム病、ならびにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エボラウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、ジカウイルス等の感染症を含む。
癌治療は、これらに限定されないものの、癌の放射線増感、癌の化学増感またはこれらの組み合わせを含む。治療される癌は、これに限定されないが神経膠芽腫を含み得る。
免疫障害は、これに限定されないものの、自己免疫疾患を含む。このような自己免疫疾患は、これらに限定されないものの、ループス(全身性エリテマトーデス(SLE)およびループス腎炎);自己免疫ミオパチー;乾癬;強皮症:CREST症候群;炎症性筋炎;シェーグレン症候群;混合性結合組織病;リウマチ性関節炎;乾癬性関節炎;回帰性リウマチ;好酸球性筋膜炎;皮膚筋炎;若年性慢性関節炎、びらん性骨関節炎;ピロリン酸カルシウム結晶沈着症;多発性硬化症;炎症性腸疾患;大腸炎;クローン病;急性呼吸促迫症候群;肺炎症;突発性肺線維症;骨粗鬆症;遅延型過敏症;自己免疫性甲状腺炎;橋本病;グレーヴス病;喘息;原発性胆汁性肝硬変症;突発性血小板減少性紫斑病;糖尿病;白血球減少症;日和見感染症;血栓形成;動脈硬化症;療法誘発性疾患、例えば、抗生物質アレルギー、遺伝子ベクター過敏症(gene vector hypersensitivity)および化学療法誘発性ヒト抗マウス抗体の誘発を含む。ループス関連の自己免疫ミオパチーは、典型的には、近位筋の筋力低下および筋肉痛として現れる。主に末梢神経障害として現れるループスにおける末梢神経系(PNS)の関与も挙げられる。
急性神経損傷は、これらに限定されないものの、外傷性脳損傷および非外傷性急性脳損傷を含む。当技術分野で公知の外傷性脳損傷は、急激な加速または減速による鈍的な力または鋭力(sheer force)などの単回または繰り返しの外部の機械的力に起因する脳の損傷および/または機能不全である。外傷性脳損傷は、これらに限定されないものの、振盪、挫傷、ならびに実質、硬膜下、硬膜外およびくも膜下出血を含む、出血を含む。他の急性神経損傷は、低酸素または虚血性脳損傷による、例えば、動脈性脳卒中(限局的、網羅的)、静脈梗塞形成、感染症等による発作を含む。
慢性神経学的障害は、これらに限定されないものの、原発性認知症、例えば、アルツハイマー、血管性、レビー小体型認知症、前頭側頭型、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、ならびに慢性炎症状態に関連する二次性認知症、例えば、ベーチェット病、多発性硬化症、SLE(CNSループス)、セリアック病および非セリアックグルテン過敏症;運動障害、例えば、ジストニア、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病およびハンチントン病;ならびにてんかんを含む。CNSループスは特に、急性錯乱、疲労、頭痛、微妙な認知障害、せん妄、昏睡、認知症、感覚/運動/自律神経の欠損および/または発作(後者は、一般集団よりもループス患者でより頻繁に発生する)として臨床的に現れ得る。CNSループスは、精神疾患、例えば、鬱、躁病および/または精神病としても現れ得る。より限局性の神経学的欠損も起こり得、二次性からループス関連の塞栓性、血栓性または血管炎性の脳および脊椎梗塞ならびに脳神経障害を引き起こし得る。CNSループスの病態生理学的機構は、脳炎、横断性脊髄炎、神経炎および脳または脊髄の脳卒中(塞栓性、血栓性または血管炎性)を含み得る。
脳血管疾患のリスクが高い対象は、例えば、前虚血性脳卒中または微小出血;文書化された頸動脈疾患または小血管病;修飾可能な血管リスク因子、例えば、糖尿病、凝固亢進状態、高血圧;修飾不可能なリスク因子、例えば、年齢、人種、家族歴等を有する対象を含む。
抗マラリアヒドロキシクロロキンは、脳卒中のリスクが高い患者における脳血管疾患の発生率を低減できるという証拠がある。例えば、Sharma et al., ”Hydroxychloroquine use is associated with decreased incident cardiovascular events in rheumatoid arthritis patients,” J. Amer. Heart Assoc. 2016;5:e002867; Jung et al., ”The protective effect of antimalarial drugs on thrombovascular events in systemic lupus erythrematosus,” Arthritis Rheum. 2010, 62(3):863-8; Wallace et al., ”The relevance of antimalarial therapy with regard to thrombosis, hypercholesterolemia and cytokines in SLE,” Lupus 1993, Suppl 1:S13-5を参照されたい。
ミトコンドリア機能不全と関連することが公知の障害は、これらに限定されないものの、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症およびフリードライヒ運動失調症;心血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、ならびに他の心臓および血管状態;糖尿病およびメタボリックシンドローム;自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスおよび1型糖尿病;神経行動および精神疾患、例えば、自閉症、統合失調症、双極性障害および気分障害;胃腸障害;疲労障害、例えば、慢性疲労症候群および湾岸戦争病;筋骨格疾患、例えば、線維筋痛症および骨格筋肥大/委縮;癌;慢性感染症;などを含む。例えば、Nicolsonによる概説”Mitochondrial Dysfunction and Chronic Disease: Treatment With Natural Supplements,” Integrative Medicine, vol. 13, no. 4, 35-43 (2014)を参照のこと。
本明細書にて使用する用語「治療する」は、損傷、疾患または障害のリスクに苦しむ対象に利益(例えば、認知機能不全および/または運動機能不全などの1つまたは複数の症状を発症するリスクの改善または低減)、損傷または症状の進行の遅延などを付与する任意のタイプの治療を指す。
いくつかの実施形態にて、治療は、感染症、癌、免疫障害、急性神経損傷または慢性神経学的障害を予防するか、発症のリスクを低減するか、または重症度もしくは進行を低減するための治療、ならびに脳血管疾患のリスクが高い対象の予防的治療(すなわち、発症リスクの低減)である。いくつかの実施形態にて、治療、例えば、本明細書にて教示される化合物は、毎日またはそうでなければ慢性的に前記対象に投与され得る。
本発明は、主としてヒト対象の治療に関するものの、本発明は、動物対象、特に哺乳動物対象、例えば、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜およびウマに対して獣医学の目的で、および/または薬物スクリーニングのため、および/または薬物開発の目的で実施され得る。
[IV.製剤]
いくつかの実施形態にて、活性化合物(複数可)は、薬学的に許容される担体中で提供され得る。担体は、担体が製剤の任意の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害でないという点で許容されなければならない。いくつかの実施形態にて、薬学的に許容される担体は、滅菌(例えば、エンドトキシンフリー水、パイロジェンフリー水またはエンドトキシンフリー食塩水もしくはパイロジェンフリー食塩水)である。
本発明に係る製剤は、短期的、急速発症型(rapid-onset)、急速定常型(rapid-offset)、制御放出性、持続放出性、遅延放出性およびパルス放出性製剤を含み得、本明細書に記載の化合物の投与を達成する製剤を提供する。引用することによりその全てが本明細書の一部をなすものとするRemington’s Pharmaceutical Sciences (18th ed.; Mack Publishing Company, Eaton, Pa., 1990)を参照されたい。
本発明に係る医薬製剤は、経口、非経口(静脈内、筋肉内、皮下、皮内および経皮を含む)、局所(皮膚、頬側および舌下)および直腸投与を含む、送達の様々な様式に好適であり得る。
本発明は、以下の非限定的な例においてより詳細に説明される。
[実施例1]
(QR2の非リソソーム向性アミノキノリン阻害剤の開発)
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは、細胞のリソソームに優先的に蓄積するリソソーム向性(lysosomotropic)薬である。クロロキンについては、第三級アミン窒素のpKaが10.32であり、キノリン窒素のpKaが7.29である。酸性のリソソームのpH4~5.5で、ほぼ100%のクロロキンが二重にプロトン化されると、2+の電荷の分子になり、強親水性の膜不透過物となり、このようにして酸性オルガネラに捕捉される。
このような捕捉現象の定量的処理は、様々なpHでの全ての形態の化合物の相対的な分配特性を示す、薬物のオクタノール-水分配係数LogDを調べることにより得られ得る。所与のpHに対して正のLogDを有する化合物は、相対的に親油性であり、膜透過性が高いが、負のLogDを有する化合物は、親水性であり、膜透過性が低い。
図1A~1Bに、クロロキンおよびQR2I-44のLogDを示す。図の陰影が付けられた領域は、in vivoで遭遇するリソソームのpHの可能性のある範囲を表す。リソソームのpHで、クロロキンのLogDは負であり、これらのpHでのこれらの分子の蓄積された電荷および膜透過性の喪失を反映している。しかし、QR2i-44については、LogDはリソソームのpHの範囲にわたって正のままであり、したがってある程度の親油性およびしたがって膜透過性を維持している。
リソソーム蓄積は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキン(プラケニル)などの4-アミノキノリンの主な毒性(網膜、心臓)の原因となる主要な機構と考えられる。cLogPおよびLogD計算ならびにLiPE分析を用いて、QR2の阻害特性とリソソーム蓄積の低尤度を組み合わせる目的で、候補化合物を決定した。
これらの分析から、化合物7-メトキシ-4-(ピリジン-3-イル)メチルアミノキノリン(本明細書における「QR2I-44」、「QR2i-44」または「I-44」)(構造を以下の実施例3に示す)が見出された。この化合物のLogD値は正のままであり、化合物はリソソームのpH4~5で親油性(およびしたがって膜透過性)を維持することを示している。上記のように、図1A~1Bは、クロロキン(図1A)およびQR2I-44(図1B)のLogDを示している。
4-アミノキノリン足場は、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンの最初の発見以降、いくつかのグループにより調査されてきたが、この特定の化合物がこれまでに調査されたことはなかった。これまでの研究は、抗マラリア活性のための4-アミノキノリンの7位でのハロゲン置換の必要性を考察するすでに現存する広範な文献により、4-アミノキノリン足場を拡張して、7位にメトキシを有する化合物を含むことを意識的に回避していた可能性がある(Kaschula et al., ”Structure-activity relationships in 4-aminoquinoline antiplasmodials,” J. Med. Chem. 2002, 45:3531-3539; Shreekant and Bhimanna, ”4-aminoquinolines: An Overview of Antimalarial Chemotherapy,” Med. Chem. 2016, 6:001-011に概説されている。)。
7-ハロ置換誘導体は、当初、非置換類似体よりも活性が高いことが示された(Foley and Tilley, ”Quinoline antimalarials: mechanisms of action and resistance and prospects for new agents,” Pharmacol. Ther. 1998, 79: 55-87)。いくつかの他のグループは、7-クロロが、実際に、B-ヘマチン形成の阻害に必須であり(例えば、Vippagunta et al., ”Structural specificity of chloroquine-hematin binding related to inhibition of hematin polymerization and parasite growth,” J. Med. Chem. 1999, 42: 4630-4639を参照されたい。)、7-クロロ基とNHおよびOCH(メトキシ)などの他の電子供与体基との置き換えが、B-ヘマチン形成の阻害、したがって抗マラリア活性を実質的に弱めるかまたは排除することをより具体的に示した。
Egan TJ (2006) Interactions of quinoline antimalarials with hematin in solution. J Inorg Biochem 100: 916-926; Nsumiwa, S.; Kuter, D.; Wittlin, S.; Chibale, K.; Egan, T. J. Bioorg. Med. Chem. 2013, 21, 3738); Egan, T. J.; Hunter, R.; Kaschula, C. H.; Marques, H. M.; Misplon, A.; Walden, J. C., J. Med. Chem. 2000, 43, 283; Kaschula, C. H.; Egan, T. J.; Hunter, R.; Basilico, N.; Parapini, S.; Taramelli, D.; Pasini, E.; Monti, D. J. Med. Chem. 2002, 45, 3531も参照されたい。
[実施例2]
(QR2阻害剤の合成および特性評価)
Figure 2022515953000025
水性メチルアミン(40%、20mL 260mmol、26当量)中の4,7-ジクロロキノリン(2.0g、10.2mmol)の懸濁液をマイクロ波容器中にて90℃(150Wの初期パワー設定)で2時間加熱した。TLC(CHCl中での2%MeOH)による反応混合物の分析により、出発物質の完全な消費が示された。反応混合物をHO(100mL)で希釈し、不溶物を真空回収した。濾過ケーキをHOで洗浄し、真空乾燥して、純粋な生成物を白色微結晶固体(1.8g、92%)として得た。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ 8.40 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.77 (s, 1H), 6.38 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 2.86 (d, J = 5.4 Hz, 3H). ESIMS: m/z = 193 [(M+H)+].
Figure 2022515953000026
(7-置換-4-(ピリジン-3-イル)-メチルアミノキノリンの一般的手順)
7-置換-4-クロロキノリン(5.1mmol)、3-アミノメチルピリジン(0.70g、6.2mmol、1.2当量)および1-ブタノール(5mL)の混合物を、密閉厚肉圧力容器(12mL)中にて130℃(浴温度)で24時間加熱した。容器を室温まで冷却し、内容物をEtO(150mL)で希釈した。不溶物を真空除去した。濾過ケーキを、最少量のMeOHに溶解し、得られた溶液をシリカゲル(約3g)に添加した。混合物を濃縮して、減圧下で乾燥させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(RediSepR SiO(40g)、100%CHCl→75%(90:10、CHCl:10%NH含有MeOH)により所望の生成物を得た。
X=OCH(淡黄色固体(pale off yellow)、0.60g、44%)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.59 (s, 1H), 8.42 (m, 1H), 8.21 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.79-7.72 (m, 2H), 7.32-7.29 (m, 1H), 7.14 (m, 1H), 7.06 (dd, 2.4 Hz, 8.8 Hz, 1H), 6.25 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 3.84 (s, 3H). ESIMS: m/z 266 [(M+H)+].
X=Cl(白色固体、0.92g、67%)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 8.61 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.27 (m, 2H), 8.00 (s, 1H), 7.75 (m, 2H), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.31 (m, 3H), 6.39 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 5.4 Hz, 2H). ESIMS: m/z = 270 [(M+H)+].
[実施例3]
(QR2阻害剤の比較試験)
Figure 2022515953000027
Figure 2022515953000028
閉鎖性頭部損傷(TBI)のマウスモデルにおけるQR2I-44の神経保護的可能性を調査した(Laskowitz et al., “Neuroprotective pentapeptide CN-105 is associated with reduced sterile inflammation and improved functional outcomes in a traumatic brain injury murine model”, Sci. Rep. 2017 Apr 21;7:46461; Laskowitz, et al. “Traumatic brain injury exacerbates neurodegenerative pathology: improvement with an apolipoprotein E-based therapeutic.” Journal of Neurotrauma 2010m 27:1983-1995)。閉鎖性頭部衝撃モデルは、皮質、大脳基底核および海馬の選択的脆弱性ニューロンに対する損傷を引き起こし、びまん性軸索損傷を誘発し、測定可能な前庭運動欠損および長期の神経認知欠損を引き起こす。TBIモデルは、頭蓋骨骨折を回避するように設計された単一の衝撃を伴う。損傷は、主に加速/減速力により引き起こされる。このモデルについては、治療化合物をTBI後4時間で、次いで、その後実験継続期間中週1回腹腔内送達し、これを空間学習および記憶の評価から28日後に終了した。
図2、図3および図4は、QR2I-44の治療効果と、同様の阻害特性を示す(7-クロロ-N-メチルキノリン-4-アミン)、ならびにいずれも弱いQR2阻害剤である化合物2(7-クロロ-N-(ピリジン-3-イル)キノリン-4-アミン)およびCQ(クロロキン)からなる、QR2を阻害する3つの他の4-アミノキノリン化合物の治療効果とを比較する(表1)、TBI後の前庭運動機能の評価の結果を概説している。マウスにはTBI後5日間連続、次いで7日目および28日目にロータロッド試験を行った。図2A~Bは、5日後、ビヒクルと比較してQR2i-44で処置したマウスにおいてロータロッド潜時(回転ロッドから落下する時間)のほぼ300%の改善、およびCQと比較してほぼ200%の改善を示している。図3~4は、QR2I-44が、TBIから1週間および4週間後、他のQR2阻害剤と比較して前庭運動機能の持続的な改善をもたらすことを示している。
図5A~Bに、沈めたプラットフォームを見つけるマウスの能力を試験するためのモリス水迷路を用いた、TBI後4週間での空間学習および記憶評価の結果を概説する。マウスは4回の試行/日を4日間連続で行った(試行間間隔=30分)。プラットフォームを見つける潜時を記録し、1日あたり4回の試行を平均した。マウスを損傷後28日~31日目に試験した(n=1群あたり11~12匹のマウス)。無傷の視覚を確認するための標準的な対照試験も行った。図5Bは、ビヒクルと比較してQR2I-44で処置した動物における学習および記憶の30~35%の改善を示し、図5Aは、機能のこの改善が、運動機能(すなわち、泳ぐ速度)の差により交絡しないことを示している。
図6~7は、高解像度ex vivo MRIを用いた脳小領域における体積および軸索路の完全性の定量測定による結果を概説している。合計15匹のマウス(生後10~11週のC57Cl/6J雄)。正常n=3;ビヒクルn=6;QR2I-44n=6。TBIおよび処置は、前庭運動および学習/記憶評価と同じプロトコルに従った。マウスを、TBIの6週間後屠殺および灌流した。固定後、脳を頭蓋骨から除去し、0.5%ProHanceを添加したホルマリンに貯蔵し、高解像度MRIを容易にした。
MRIプロトコルは、(1)3D T1加重FLASH(登録商標)シーケンス FOV=1.8cm×1.8cm×1.8cm;マトリックス=256×256×256;解像度=70×70×70μm/ピクセル;TE/TR=6/30ミリ秒;平均=16;フリップ角度=34;スキャン時間=6時間33分;(2)3D DTIベースの高解像度スピンエコー FOV=1.8cm×1.8cm×1.8cm;マトリックス=128×128×128;解像度=141×141×141μm/ピクセル;TE/TR=25/250ミリ秒;拡散方向=60;Ao画像=5;1方向あたりのB値=1500秒/mm2;スキャン時間=73時間30分を含む。後処理については、マウス脳を、Wake Forest Universityのマウスデータベースからの参照テンプレートに登録し、ITK-SNAPを用いてセグメント化した。DTIパラメータを、TrackVisソフトウェアを用いて計算した。
図6A~Bは、TBI後の海馬の体積減少が、ビヒクル対照と比較して、QR2I-44処置を受けた動物において実質的に緩和されることを示している。図7A~Bは、線維路の完全性の尺度である拡散異方性(FA)等のDTIパラメータが、対照と比較して、脳梁/外包(CC/EC)等の大きな白質路領域において、QR2I-44療法後有意に改善されることを示している。
図8A~Cは、ループスの治療に対するQR2I-44の可能性を調査した結果を概説している。図8Aは、TOLL様受容体リガンドCpGオリゴデオキシヌクレオチドDNA(CpG)での刺激後、RAW264.7マウスマクロファージ細胞からの微粒子(MP)の放出の減少でのQR2I-44の有効性を示している。MPは、小胞形成過程で活性化細胞および死細胞から生じる小さな膜結合小胞である。これらの粒子は、0.1~1.0ミクロンの大きさの範囲であり、核、細胞質および膜成分を含有する。in vitroおよびin vivo実験で示されるように、MPは、多様な生物学的機能を有し、活性でもとりわけ炎症、血栓症および細胞間の情報交換を媒介し得る。そのようなものとしてMPは、ループスエリテマトーデスを含む生理学的および病態生理学的設定において重要な役割を果たし得る(Spencer et al., “The Properties of Microparticles from RAW 264.7 Macrophage Cells Undergoing in vitro Activation or Apoptosis” 2014, 20(3): 239-248)。
図8B~Cは、TOLL様受容体リガンドCpGおよびPICでの刺激後のRAW264.7マウスマクロファージ細胞からの炎症性サイトカインTNFアルファの放出を阻害するQR2I-44の能力を示している。いずれの場合も、放出の阻害は用量依存的である。
図9 MRL/lprマウスは、ヒト全身性エリテマトーデスと同様の自己免疫疾患の十分に確立されたマウスモデルである。MRL/lprは、抗cDNAを含む、ヒトループスにおいても見られるいくつかのバイオマーカーを生成する。図9は、QR2I-44療法開始後1週間および3週間でのMRL/lprマウスにおける抗cDNA自己抗体産生の結果を示している。比較図からは、このモデルにおける自己抗体の漸進的な治療的阻害が明らかになり、これも用量依存的である。
化合物QR2I-44の薬物様特性、心毒性、変異原性、肝細胞安定性およびチトクロムP450阻害および誘発の初期スクリーニングを行った。簡単に言えば、I-44は、hERGイオンチャネル(IC50>10μM)の強力な阻害剤ではなく、改良されたエームスアッセイにおいて変異原性ではなく、水溶液中で高い溶解度(水溶解度>60μg/ml)を示し、Caco2細胞において高い膜透過性(有効透過性>20×10-6cm/秒)を示し、P糖タンパク質基質または阻害剤でなく(排出比<0.5;10μMのelacridarに非感受性)、低から中程度のマウスおよびヒト血漿タンパク質結合(超遠心分離により約50~70%の結合)、適切なマウスおよびヒト肝細胞安定性を示し(1時間で>90%残存)、CYP3A4または2D6の誘発剤または阻害剤ではなく、経口生体利用可能およびCNS浸透性である可能性が高いことを見出した。
[実施例4]
(QR2i-44の吸収および脳浸透性)
マウスにおいて、QR2i-44が、静脈内(IV)、腹腔内(IP)および経口(PO)からなる投与方法全てで十分に吸収され、脳浸透性であることが判明した。下記表2に、マウス血漿および脳試料における25mg/kgのQR2i-44のPO送達の結果を示す。
Figure 2022515953000029
[実施例5]
(QR2i-44の結晶構造によるQR2への結合の確認)
分子置換を用いて1.60Åの解像度でのFADHおよびQR2i-44と複合体を形成する還元型QR2の結晶構造を決定した。酵素構造に対する酸化還元状態の影響を試験するために、1.40Åでの酸化複合体の構造も決定した。QR2の既存の結晶構造を探索モデルとして用いて、構造を、分子置換により容易に位相決定(phase)した。酵素の四次構造は同様に確立された構造機能的ホモ二量体(constitutive functional homodimer)であった。
結晶構造からは、平面環構造を有するQR2i-44および関連化合物が、天然基質キノンに似た様式でQR2およびFADHに結合することが確認された。さらに結晶構造は、QR2i-44が、基質結合部位を貫通し、平面状の芳香族官能基とFADイソアロキサジンとの最適な積み重ねを達成するその能力において、他のQR2阻害剤に勝る利点を有し得ることを示している。
[実施例6]
(ミトコンドリア機能不全の治療のためのQR2阻害)
パーキンソン病(PD)は、最も一般的な運動神経変性障害である。PDの進行を成功裏に予防または停止できる革新的な治療手段に対するいまだ満たされていない必須の医療上の必要性があり、これは現在のところ存在していない。PDは、進行性の神経変性を特徴とし、臨床症状は、運動障害と認知機能の低下などの非運動特徴(non-motor features)の両方を含む。PDの発病の根底にある正確な機構はいまだ理解されていない。しかし、ミトコンドリア機能不全は、孤発性PDと家族性PDの両方の発病に寄与する重要な因子のうちの1つであることが公知である。ミトコンドリア複合体Iの活性は、PDを有する対象の脳内および全身で低下する。複合体Iの阻害剤、例えば、ミトコンドリア毒素であるロテノンは、齧歯類および非ヒト霊長類に投与された場合、PDの行動的、病理学的および臨床的特徴の多くを模倣する。さらに、PDを発症する原因となるまたはそのリスクを高めることが報告された遺伝子の多くは、ミトコンドリア経路に関連していた。
キノンレダクターゼ2(QR2)酵素は、ミトコンドリアの酸化的損傷に寄与し得る。この酵素のin vivo阻害は、ミトコンドリア機能不全および酸化ストレスを示すPDモデルにおいて神経毒性作用を抑制することが示され、QR2活性の遮断は、PD等の神経変性疾患の文脈において、ミトコンドリア機能を保護および回復できる。
興味深いことに、QR2の多型とヒトPD発症のリスクとの間の関連性が観察され、これらの多型の一部では、QR2発現の増加、高い酵素活性およびドーパミンの存在下でのROS産生の増加が生じることが示された(Harada et al., ”An association between idiopathic Parkinson’s disease and polymorphisms of phase II detoxification enzymes: glutathione S-transferase M1 and quinone oxidoreductase 1 and 2,” Biochem Biophys Res Commun. 2001;288(4):887-92; Wang et al., ”Association of NRH:quinone oxidoreductase 2 gene promoter polymorphism with higher gene expression and increased susceptibility to Parkinson’s disease,” J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2008;63(2):127-34)。
病理学的なQR2活性と一致して、これまでの研究では、薬物(例えば、クロロキンおよびレスベラトロール)でのQR2の阻害が、PDを含む神経学的損傷の様々な動物モデルにおいて神経保護的であることが示された(Boutin et al., ”Quinone Reductase 2 Inhibitor: Main Biochemical and Cellular Characterization,” Mol Pharmacol. 2019;95(3):269-859-11; Janda et al., ”The antidote effect of quinone oxidoreductase 2 inhibitor against paraquat-induced toxicity in vitro and in vivo,” Br J Pharmacol. 2013;168(1):46-59; Janda et al., ”Parkinsonian toxin-induced oxidative stress inhibits basal autophagy in astrocytes via NQO2/quinone oxidoreductase 2: Implications for neuroprotection,” Autophagy. 2015;11(7):1063-80)。例えば、QR2阻害は、PDに関連するパラコート誘発毒性を抑止する(Janda et al.の上記論文)。さらにQR2阻害は、PDに関連する毒素MPP誘発神経毒性に対する保護をもたらす(Boutin et al.の上記論文)。まとめると、PDにおける酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、QR2病態生理学の役割、およびQR2阻害がROSレベルの低下による神経毒性に対する保護を媒介し得るという報告は、PDの治療戦略としてQR2阻害剤を開発する根拠を支持するものである(Cassagnes et al., ”Oxidative stress and neurodegeneration: The possible contribution of quinone reductase 2,” Free Radic Biol Med. 2018;120:56-61)。
複合体I機能不全、ミトコンドリア機能障害および酸化ストレスは、PDの発病における重要な役者である(Sanders et al., ”Oxidative damage to macromolecules in human Parkinson disease and the rotenone model,” Free Radic Biol Med. 2013;62:111-20)。実際に、いずれもミトコンドリア機能不全および酸化ストレスの原因となるロテノンおよびパラコートなどの環境毒物は、ヒトPDを発症するリスクの増加に関連している(Tanner et al., ”Rotenone, paraquat, and Parkinson’s disease,” Environ Health Perspect. 2011;119(6):866-72)。したがって、PDに関連する毒物への曝露は、ミトコンドリア機能不全および酸化ストレスを細胞およびin vivoでモデル化する一つの方法である。
野生型HEK293細胞を、QR2阻害剤(CDL-1、CDL-2またはQR2i-44)で1時間前処理し、メナジオンまたはビヒクルに4時間曝露し、ミトコンドリアの膜電位を測定した。
結果:図10に示すように、全てのQR2阻害剤は、テトラメチルローダミンエチルエステル(生および活性ミトコンドリアにより隔離された蛍光色素TMRE)により検出されるメナジオン誘発性の膜電位の喪失を防止できた。QR2i-44は、特に、メナジオン誘発性の膜電位の喪失を有意に防止し、メナジオン誘発性のミトコンドリア脱分極を防止できた。
上記した内容は本発明を例示しており、これを限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、本明細書に含まれる特許請求の範囲の等価物と共に特許請求の範囲により定義される。

Claims (30)

  1. 式(I)の化合物
    Figure 2022515953000030
    (式中、Rは、窒素含有ヘテロシクロまたは窒素含有ヘテロアリールである。)
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
    前記化合物が、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、化合物。
  2. が、
    Figure 2022515953000031
    [式中、D、D、DおよびDは、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
    およびD、DおよびDまたはDおよびDは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。]
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項1に記載の化合物。
  3. 、D、DおよびDが各々水素である、請求項2に記載の化合物。
  4. 式(I)(a)(1)の化合物もしくは式(I)(a)(2)の化合物
    Figure 2022515953000032
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
    フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、請求項3に記載の化合物。
  5. 式(I)(a)(2)の化合物、
    Figure 2022515953000033
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
    フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、請求項3に記載の化合物。
  6. 式(I)(a)(2)の化合物
    Figure 2022515953000034
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項3に記載の化合物。
  7. が、
    Figure 2022515953000035
    [式中、X、XおよびXは、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、
    、D、DおよびDは、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
    、D、DおよびDのうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。]
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
    前記化合物が、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、請求項1に記載の化合物。
  8. 式(I)(b)(1)の化合物、
    Figure 2022515953000036
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
    フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、請求項7に記載の化合物。
  9. が、
    Figure 2022515953000037
    (式中、X、X、X、XおよびXは、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、前記X、X、X、XおよびXのうちの少なくとも2つまたは少なくとも3つは炭素であり、
    、D10、D11、D12、D13およびD14は、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
    、D10、D11、D12、D13およびD14のうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。)
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項1に記載の化合物。
  10. が、
    Figure 2022515953000038
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである、請求項9に記載の化合物。
  11. が、
    Figure 2022515953000039
    [式中、X、X10、X11およびX12は、炭素、窒素および酸素からなる群から各々独立に選択され、前記X、X10、X11およびX12のうちの少なくとも2つは炭素であり、
    15、D16、D17、D18およびD19は、存在する場合、水素、ハロ、アルキル、アシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、チオール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、ニトロおよびハロアルキルからなる群から各々独立に選択されるか、または
    15、D16、D17、D18およびD19のうちの2つは、任意選択的に置換されている縮合環(例えば、シクロヘキサンまたはシクロヘキセン縮合環)を一緒に形成する。]
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
    前記化合物がフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、請求項1に記載の化合物。
  12. が、
    Figure 2022515953000040
    またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、
    前記化合物が、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで1回、2回または3回任意選択的に置換されている、請求項11に記載の化合物。
  13. 約pH4~5の正のLogD値を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物および担体を含む組成物。
  15. 前記担体が薬学的に許容される担体である、請求項14に記載の組成物。
  16. キノンレダクターゼ2(QR2)と請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物とを接触させることを含む、QR2の活性を阻害する方法。
  17. 前記接触がin vitroで行われる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記接触がin vivoで行われる、請求項16に記載の方法。
  19. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象におけるマラリアを治療する方法。
  20. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における免疫障害の治療方法。
  21. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における急性神経損傷の治療方法。
  22. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における慢性神経学的障害の治療方法。
  23. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象におけるループスの治療方法。
  24. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における感染症の治療方法。
  25. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における癌の治療方法。
  26. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象におけるCNSループスの治療方法。
  27. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量で脳血管疾患のリスクが高い対象に投与することを含む、前記対象の治療方法。
  28. 請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物または請求項14もしくは15に記載の組成物を、治療有効量でそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象におけるミトコンドリア機能不全に関連する障害の治療方法。
  29. 前記投与が慢性投与(例えば、数カ月または数年にわたる)を含む、請求項16~28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記投与が1日1回行われる、請求項16~29のいずれか1項に記載の方法。
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