JP2022514997A - 腫瘍の増殖及び転移を阻害するためのコルヒチンの使用 - Google Patents

腫瘍の増殖及び転移を阻害するためのコルヒチンの使用 Download PDF

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Abstract

組成物及び製剤の投与を含む、哺乳類対象において腫瘍の成長及び転移を阻害するためのコルヒチンの使用が提供される。記載のコルヒチン組成物及び製剤は、単独で、又は腫瘍の成長及び転移を治療するのに有用な追加の医薬活性剤との組み合わせで適切な徐放性及び多様な放出の組成物並びに製剤を含む。【選択図】図1

Description

コルヒチン、化学名(-)-N-[(7S,12aS)-1,2,3,10-テトラメトキシ-9-オキソ-5,6,7,9-テトラヒドロベンゾ[a]ヘプタレン-7-イル]-アセトアミドは、イヌサフラン(Colchicum autumnale)、グロリオサ(Gloriosa superba)、及び他の植物の抽出物に見出されるアルカロイドである。コルヒチンは、抗炎症治療で治療、軽減又は予防され得る病態の治療に使用される微小管破壊剤である。
コルヒチンは、痛風関節炎の急性フレア、家族性地中海熱(FMF)、及びベーチェット病における有効な治療法として十分に認識されている。コルヒチンは、線維症を起こしやすい多くの炎症性障害を治療するためにも使用されている。最近では、コルヒチンは、心臓血管疾患における治療に有効であると考えられている。
特に、コルヒチンは、心膜疾患の管理に関する2004年の欧州ガイドラインにおいて、再発性心膜炎(クラスI兆候)の第1の治療選択肢及び急性心膜炎(クラスIIa兆候)の選択肢として提案された(Maischら、心膜疾患の診断及び管理のためのガイドライン(Guidelines on the Diagnosis and Management of Pericardial Diseases)、Eur.Heart.J.,2004,25:916-928)。
Imazioら(Circulation,2005,112(13):2012-2016)は、急性心膜炎(特発性、ウイルス性、心膜切開後症候群、及び結合組織疾患)の第1の症状が出現し、アスピリンでの従来の治療又は従来の治療+コルヒチン(1日目に1.0~2.0mg、次いで、3ヶ月間0.5~1.0mg/日)に無作為に割り当てられた120人の対象の前向き無作為化オープンラベル計画研究において、コルヒチンが再発性心膜炎の治療及び予防に有効であることを示した。主要エンドポイントは再発率であり、それはコルヒチン群において18ヶ月で32.3%から10.7%へと有意に低下した(p=0.004)。
さらに、同じグループは、急性心膜炎を管理するための従来の治療に失敗した後に、コルヒチンが効率的であり得ることを示した(Imazioら,Arch.Intern.Med.,2005,165(17):1987-91)。前向き無作為化オープンラベル計画において、再発性心膜炎の第1の症状が出現した84人の継続対象を、アスピリン単独での従来の治療又は従来の治療+コルヒチン(1日目に1.0~2.0mg、次いで、6ヶ月間0.5~1mg/日)を受けるように無作為に割り当てた。主要エンドポイントは再発率であり、それはコルヒチングループにおいて有意に減少した(18ヶ月での実際の割合は24.0%であり、それに対して従来の治療では50.6%であった)。
コルヒチンは再発性心膜炎の二次予防に有効であることも示されている(Imazioら.,Ann.Intern.Med.,2011,155(7):409-14)。コルヒチンはまた、心内膜炎として表される心膜切開後の応答を低減するとも考えられている(Imazioら.,Am.Heart J.,2011,162(3):527-532;並びにMeurin及びTabet,Arch.Cardiovasc.Dis.,2011,104(8-9):425-427)。
心膜切開後症候群(PPS)の治療用のコルヒチンは、心臓手術を受けた163人の対象において術後3日目から始まるプラセボと比較した予備的な前向きオープンラベル無作為化コルヒチン治験(1.5mg/日)で、初めて試験された(Finkelsteinら.,Herz,2002,27:791-194)。
PPSを予防するためのコルヒチンの有効性は、マルチセンターの二重盲検無作為化治験においても示されており、その治験では各治療群につき180人である360人の対象(平均年齢65.7+12.3歳、66%が男性)を無作為化して、術後3日目にプラセボ又はコルヒチン(1日目に1日2回、1.0mg、続いて、70kg以上の対象には1ヶ月間、1日2回、0.5mgの維持用量、及び70kg又は最高用量に不耐性の対象には半分の用量)を投与した(Imazioら,Eur.Heart J.,2010,31:2749-2754)。
別の研究において、コルヒチンの有効性が心臓血管疾患について示された。前向き無作為化観察者盲検エンドポイント計画でのこの臨床治験において、アスピリン及び/又はクロピドグレル(93%)及びスタチン(95%)を投与される、安定な冠状動脈疾患を有する532人の対象を、コルヒチン0.5mg/日又はコルヒチン投与なしに無作為に割り当て、3年の中央値を追跡した(Nidorfら,JACC,2013,61(4):404-410)。この研究は、スタチンに加えて投与されるコルヒチン0.5mg/日及び他の標準的な二次予防療法は、安定した冠状動脈疾患を有する対象において心臓血管の症状の発症予防に有効でありそうだということを示した。
痛風の治療の場合、コルヒチン(COLCRYS(登録商標))の推奨用量は、1時間に1回又は複数回の用量で1.8mg/日である。痛風の成人の場合、治療は、症状の最初の兆候で1.2mgの用量で開始され、続いて、1時間後に0.6mgが投与される(医師用卓上参考書、第68版、2014)。
加えて、コルヒチンは、免疫介在性疾患を改善するために広く用いられており、乾癬性関節炎(Seidemannら,J.Rheumatol.,14:777-779,1987)及び白血球破砕性血管炎(J.P.Callen,J.Am.Acad.Dermatol.,13:193-200,1987)の治療において有益な効果が報告されている。さらに、他の研究は、コルヒチンが、細胞内チューブリン単量体に結合して、それらの重合を防止することにより、白血球内皮細胞接着(Rosenmanら,F.A.S.E.B.J.,5:1603-1609,1991)及びT細胞活性化(Mekoryら、Cell.Immunol.,120:330-340,1989)を阻害することを示した(Borisyら,J.Cell.Biol.,34:533-548,1967)。そのため、コルヒチンは、抗原認識の過程を減じる能力を有し、癌細胞成長を阻害し得る。しかしながら、抗有糸分裂コルヒチンは、その公知の毒性により、研究でのみ使用される。
事実、コルヒチンは、多くの副作用に関連付けられている。COLCRYS(登録商標)は、例えば、コルヒチンの即時放出製剤である。COLCRYS(登録商標)の投与に関連付けられて報告された副作用は、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、脱毛、弱点、神経刺激、重度貧血、低白血球数、及び低血小板を含むが、これらに限定されない(医師用卓上参考書、第68版、2014)。
コルヒチンの毒性及び投与量を取り巻くこれらの問題並びに他の問題に対する解決策は、活性成分、すなわちコルヒチンの持続放出を特徴とする改良されたコルヒチン製剤を提供することによって本明細書で説明される。さらに、コルヒチン又はその塩の有効な1日1回剤形が提供され、これは対象のコンプライアンスを改善し、また、即時放出コルヒチン製剤の現在の又はより高い1日用量と比較してコルヒチンの既知の毒性副作用のいくつかを低下させる。
さらに、より安全で、より効果的な癌治療の必要性が本明細書で提供され、その癌治療は、腫瘍細胞を阻害、低下、抑制、防止、減速するか、若しくは腫瘍細胞の進行を遅延させるか、又は腫瘍細胞を収縮若しくは直接攻撃する単一薬剤として、又は他の免疫調節療法と組み合わせてそれらの治療活性を高めるように作用できる単一薬剤としてのいずれかの役割を果たす。特に、コルヒチンは、腫瘍の成長を促進するか又は阻害する免疫細胞及びマクロファージの浸潤、成熟並びに構成において役割を果たすことが示され、これは癌を有する対象における腫瘍の成長及び転移を低下させるための効果的な方法の開発に貢献できる。
一実施形態では、癌に罹患していると診断されるか、又は罹患していると考えられる対象において腫瘍成長、又は腫瘍転移、又は腫瘍成長と腫瘍転移を阻害、遅延、又は低減するための方法であって、対象に最高で0.60mgのコルヒチンを含む有効量の徐放性製剤を対象に投与することを含む、方法が提供され、上記対象は任意にヒト対象である。
また、本開示で、癌に罹患していると診断されるか、又は癌に罹患していると考えられる対象において、腫瘍成長、又は腫瘍転移、又は腫瘍成長と腫瘍転移を阻害、遅延、又は低減するための方法であって、ヒト対象に最高で0.60mgのコルヒチンを含む有効量の徐放性製剤、及び薬学的又は生物学的に有効な量の少なくとも1種の他の免疫調節療法剤を投与することを含む、方法が提供される。
いくつかの実施形態では、免疫調節療法は、癌ワクチン、免疫刺激剤、養子T細胞又は抗体療法、及び免疫チェックポイント遮断の1以上である。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、インターロイキン、サイトカイン、ケモカイン、及び免疫チェックポイント遮断のアンタゴニストの1以上である。いくつかの実施形態では、免疫調節療法は癌療法である。いくつかの実施形態では、癌療法は、外科手術又は外科的処置、放射線療法、及び化学療法の1以上である。いくつかの実施形態では、コルヒチン及び免疫調節剤又は免疫調節療法剤は、別々に投与される。いくつかの実施形態では、コルヒチンと免疫調節剤又は免疫調節療法剤は、同時に投与される。
図1は、例示的な遅延剤をそれぞれ10%、15%及び20%を含有するコルヒチン徐放性製剤の溶解プロファイルを示す。 図2は、例示的な遅延剤を30%含有し、それぞれの錠剤硬度が50N及び130Nであるコルヒチン徐放性製剤の溶解プロファイルを示す。 図3は、図1及び図2によるコルヒチン徐放性製剤の溶解プロファイルを示す。 図4は、例示的な遅延剤を0%含有するコルヒチン徐放性製剤の溶解プロファイルを示す。 図5は、例示的な遅延剤を25%含有するコルヒチン徐放性製剤の溶解プロファイルを示す。 図6は、例示的な遅延剤を0%、23.3%、26.6%及び30%含有するコルヒチン製剤の溶解プロファイルを示す。 図7A、7B、7C、及び7Dは、図6によるコルヒチン製剤の時間の関数(時)としての血漿コルヒチンレベル(ng/mL)を示す。 図8は、図6によるコルヒチン製剤の時間の関数(時)としての血漿コルヒチンレベル(ng/mL)を示す。
I.定義
本開示の目的のために、用語「コルヒチン」は、コルヒチン及びその医薬として許容される塩を含む。
本明細書で使用される語句「医薬として許容される」は、一般に安全で、非毒性であるものを意味し、生物学的に又は別の意味で望ましくないものではなく、獣医学的用途及びヒトの医薬用途に許容されるものを含む。
本明細書で使用される語句「医薬として許容される塩」は、コルヒチンの誘導体を含み、ここでコルヒチンはその酸付加塩又はその塩基付加塩を作製することにより修飾され、さらに水和物を含む医薬として許容される溶媒和物、並びにそのような化合物及びそのような塩の共結晶を指す。医薬として許容される塩の例は、アミンなどの塩基性残基の鉱酸付加塩又は有機酸付加塩、酸性残基のアルカリ付加塩又は有機付加塩など、及び前述の塩の1種以上を含む組み合わせを含むが、これらに限定されない。医薬として許容される塩は、コルヒチンの非毒性塩及び四級アンモニウム塩を含む。例えば、非毒性酸性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸などの無機酸から誘導されたものを含み、他の許容される無機塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びセシウム塩などの金属塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、並びに前述の塩の1種以上を含む組み合わせを含む。医薬として許容される有機塩は、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸塩、シュウ酸、イセチオン酸、及びHOOC-(CH-COOH(式中、nは0~4である)などの有機酸、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、及びグルタミン酸塩などのアミノ酸塩、前述の塩の1種以上を含む組み合わせ、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;並びにアルギン酸塩、アスパラギン酸塩、及びグルタミン酸塩などのアミノ酸塩;並びに前述の塩の1種以上を含む組み合わせを含む。全ての結晶質、非晶質、及び多形体形態を含むコルヒチンのそのような誘導体の全ての形態が本明細書では企図される。本明細書で企図される特定のコルヒチン塩は、コルヒチン塩酸塩、コルヒチン二塩酸塩、及びその共結晶、水和物又は溶媒和物を含む。
本明細書で使用される語句「薬物動態学的パラメータ」は、血漿濃度(C)、Cmax、C、C24、Tmax、及びAUCなどの、経時的な活性剤(又は活性剤についての代謝産物又は代替マーカー)のインビボ特性を説明する。本明細書で使用される用語「Cmax」は、最大濃度又はピークの濃度の点で測定される活性剤の血漿濃度である。本明細書で使用される用語「Cmin」は、最小濃度の点で測定される活性剤の血漿濃度である。本明細書で使用される用語「C」は、投与後の約n時間で測定される活性剤の血漿濃度である。本明細書で使用される用語「C24」は、投与後約24時間で測定される活性剤の血漿濃度である。本明細書で使用される用語「Tmax」は、測定される活性剤の血漿濃度が活性剤の投与後に最大である時間を指す。「AUC」は、1つの時点から別の時点に測定された時間に対する、測定される活性剤の血漿濃度のグラフの曲線下面積である。例えば、本明細書で使用される用語「AUC0-t」は、時間0~時間tの時間に対する血漿濃度の曲線下面積であり、ここで、tは、個々の製剤についての測定可能な血漿濃度を有する最後の時点であり得る。本明細書で使用される用語「AUC0-∞」、又は「AUC0-INF」は、時間0~時間無限大の時間に対する血漿濃度の計算された曲線下面積である。定常状態の研究において、本明細書で使用される用語「AUC0-τ」は、投与間隔(すなわち、時間0~時間τ(タウ)、式中、タウは投与間隔の長さである)にわたる血漿濃度の曲線下面積である。他の薬物動態パラメータは、血漿濃度対時間曲線の片対数プロットから計算される終末相消失速度定数であるパラメータKe又はKel;0.693/Kelとして計算される終末相消失半減期のt1/2;総投与量/総AUCとして計算される投与後の見かけの全身クリアランスを表すCL/F;及び総投与量/(総AUC×Kel)として計算される投与後の見かけの総分布量を表すVarea/Fである。
本明細書で使用される用語「有効性」は、対象に投与された活性剤の、対象において治療効果をもたらす能力を意味する。
本明細書で使用される用語「生物学的利用能」は、活性剤が生体系に吸収されるか、又は生理活性部位で利用可能にされる程度又は速度を意味する。血流中に吸収されることが意図される活性剤については、所与の製剤の生物学的利用能のデータは、全身循環に吸収される投与用量の相対的画分の推定値を提供し得る。本明細書で使用される用語「生物学的利用能」は、1以上の薬物動態パラメータによって特徴付けることができる。
本明細書で使用される語句「剤形」は、活性剤の投与の単位を意味する。剤形の例は、錠剤、カプセル剤、注射、懸濁液、液体、乳濁液、クリーム、軟膏、坐剤、吸入可能形態、及び経皮形態などを含む。
本明細書で使用される語句「即時放出製剤」は、約30分以下で薬剤の約80%以上を放出する製剤を指す。
本開示の目的のために、増強剤(「エンハンサー」)は、製剤の治療可能性を改善するいずれかの非医薬活性成分として定義される。
本明細書で使用される語句「徐放」は、本明細書では、長期間にわたる連続的な薬剤の放出として定義される。
「長期間」とは、約1時間超、約4時間超、約8時間超、約12時間超、約16時間超、又は最大約24時間超の連続期間を意味する。
本明細書で使用される場合、特に記載されない限り、薬物の「放出の速度」又は「放出速度」又は「溶解速度」という語句は、単位時間当たりに剤形から放出される薬物の量、例えば、1時間当たりに放出される薬物のミリグラム(mg/時)、又は1時間当たりに放出される総薬物用量の割合を指す。剤形の薬物放出速度は典型的には、インビトロでの薬物放出速度、すなわち、適切な条件下でかつ適切な流体中で測定される単位時間当たりの剤形から放出される薬物の量として測定される。本明細書で言及される放出速度は、適切な溶解浴中の媒体に試験されるべき剤形を配置することによって決定される。予め設定された間隔で収集された培地のアリコートを次いで、適切な検出器を取り付けたクロマトグラフシステムに注入して、試験期間中に放出された薬物の量を定量する。
本明細書で使用される語句「副作用」は、薬物の二次的で、通常の副作用を指す。
本明細書で使用される用語「癌」及び「癌性」は、細胞の集団が無調節の細胞成長によって特徴付けられる、哺乳類における生理的状態を指すか、又は説明する。癌の例は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病を含むが、これらに限定されない。そのような癌のより具体的な例は、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、胃癌、膵臓癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、脳癌、肝癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、食道癌、唾液腺癌、肉腫、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、及び様々な種類の頭頸部癌を含む。
本明細書で使用される用語「腫瘍」及び「新生物」は、前癌病変を含む良性(非癌性)又は悪性(癌性)のいずれかの、過剰な細胞の成長又は増殖に起因する組織の集合を指す。
本明細書で使用される用語「転移(metastasis)」、「転移(metastases)」、「転移性」及び他の文法的等価物は、起源の部位、例えば、原発性腫瘍から、新しい位置で同様の癌性病変の発生を伴う身体の他の領域へと広がるか又は移動する癌細胞を指す。本明細書で言及される「転移性」又は「転移している」細胞は、隣接細胞との接着性接触を失い、疾患の原発性部位から血流又はリンパを介して移動して、隣接する身体構造に侵入するものである。これらの用語は転移の過程も指し、それは、原発腫瘍からの癌細胞の分離、腫瘍細胞の循環への血管内侵入、それらの生存及び離れた部位への遊走、循環から新たな部位への付着及び溢出、並びに離れた部位での微小コロニー形成、並びに離れた部位における腫瘍の成長及び発生を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に提供される方法により治療できる転移性癌は、転移性の肉腫、乳癌、卵巣癌、頭頸部癌、及び膵臓癌を含むが、これらに限定されない。
用語「治療有効量」は、対象若しくは哺乳類における疾患又は障害を治療するのに有効な抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、有機小分子、又は他の薬物の量を指す。癌の場合、治療有効量の薬物は、癌細胞の数を減少させるか、癌細胞分裂を遅延又は停止させ、腫瘍サイズの増加を低下又は遅延させるか、例えば、癌の軟組織及び骨への広がりを含む末梢器官への癌細胞浸潤を阻害、例えば、抑制、妨害、防止、停止、遅延、又は逆転させるか、腫瘍転移を阻害、例えば、抑制、妨害、防止、収縮、停止、遅延、又は逆転させるか、腫瘍成長を阻害、例えば、抑制、妨害、防止、停止、遅延、又は逆転させるか、癌に関連付けられる症状の1以上をある程度まで緩和し、罹患率及び死亡率を低下させるか、生活の質を改善するか、又はそのような効果の組み合わせをもたらす。薬物又は活性剤が既存の癌細胞の成長を防止し、かつ/又は死滅させる限り、それを細胞増殖抑制性及び/又は細胞毒性と呼ぶことができる。
「治療する」又は「治療」又は「治療すること」又は「緩和する」又は「緩和すること」などの用語は、(1)診断された病理学的状態又は障害の症状を治癒し、減速させ、軽減し、その症状の進行を逆転させ、かつ/又は停止する治療的手段、並びに(2)標的化された病理学的状態又は障害の発症を予防及び/若しくは遅くする予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)手段、の両方を指す。そのため、治療を必要とするものは、既に障害を有するもの、障害を有する傾向のあるもの、及び障害が予防されるべきであるものを含む。対象が以下のもの:癌細胞の数の低下又は完全な非存在;腫瘍サイズの低下;又は腫瘍成長の遅延若しくは逆転;癌の軟組織及び骨への広がりを含む末梢器官への転移、例えば、癌細胞浸潤の阻害、例えば、抑制、防止、妨害、収縮、遅延、又は逆転;腫瘍転移の阻害、例えば、抑制、妨害、防止、収縮、逆転、遅延、又は欠如;腫瘍成長の阻害、例えば、抑制、妨害、防止、収縮、逆転、遅延、又は非存在;特定の癌に関連付けられる1以上の症状の軽減;罹患率及び死亡率の低下;生活の質の改善;又はいくつかの効果の組み合わせ、の1以上を示す場合に、対象は本明細書に開示される方法に従ってうまく「治療」される。有益な又は所望の臨床結果は、検出可能であるか又は検出不能であるかにかかわらず、症状の緩和、疾患の程度の縮小、疾患の安定化された(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的又は全体的にかかわらず)を含むが、これらに限定されない。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存と比較される長期生存を意味してもよい。治療を必要とするものは、病態若しくは障害をすでに有するもの、及び病態若しくは障害を有する傾向があるもの、又は病態若しくは障害が予防されるべきであるものを含む。
用語「対象」又は「個体」又は「動物」又は「患者」又は「哺乳類」は、診断、予後診断、又は治療法が望まれる任意の対象、特に、哺乳類の対象を意味する。哺乳類対象は、例えば、ヒト、飼育動物、家畜、動物園用の動物、スポーツ用の動物、又はイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、乳牛、及びクマなどのペット用の動物を含む。用語「真核生物」、「動物」、「哺乳類」、及び同様の文法的均等物の意味は、当技術分野において周知であり、例えば、Wehner及びGehring(1995;Thieme Verlag)から推定できる。治療すべき動物の種類は、経済的、農業的、又は科学的な重要性を有するものであることも企図される。科学的に重要な生物は、マウス、霊長類、イヌ、ネコ、魚、線虫、ラット、及びウサギを含むが、これらに限定されない。農業的に重要な動物の非限定的な例は、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、エミュー、アルパカ、ニワトリ、アヒル、及びブタであるが、例えば、ネコ及びイヌは、経済的に重要な動物として考えられ得る。一実施形態では、対象は哺乳類であり、別の実施形態では、対象は、ヒト又は、例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、類人猿、マーモセット、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル、ヒツジ、ウシ、又はブタなどの非ヒト哺乳類である。別の実施形態では、対象はヒトである。
II.コルヒチン
以下で、本明細書に記載の実施形態に従って使用されるコルヒチンは、以下の化学構造(ChemID(2012)を有する。
Figure 2022514997000002
コルヒチンの認識及び容認されたIUPAC化学名は、N[5,6,7,9-テトラヒドロ-1,2,3,10-テトラメトキシ9-オキソベンゾ[a]ヘプタレン-7-イル],(S)-アセトアミド;分子式:C2225NO;CAS番号:64-86-8である。
コルヒチンは、炎症性疾患、最も顕著な痛風の症候性治療に使用される、ヒト医学で長い歴史を有する抗炎症薬である。コルヒチンは、ユリ科のイヌサフラン(Colchicum autumnale)及びグロリオサ(Gloriosa superba)の2種類の植物から抽出できる天然産物である。コルヒチンは、ヘテロ三環アルカロイドであり、399.437g/モルの分子量を有する。活性成分のコルヒチン及びその錠剤製剤は、米国薬局方(USP)などの様々な国内及び国際薬局方に記載されている。
リウマチ及び膨潤の治療におけるその植物源の正の効果は最初に、エジプトで紀元前約1500年に既に記載されている。痛風でのその使用は最初に、約1500年前に記載されている(Graham及びRoberts,1953,Ann.Rheum.Dis.12(1):16-9)。今日、コルヒチンの治療的価値は、いくつかの炎症性疾患において十分に確立されており、急性痛風発作及びFMFの予防並びに治療について米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。他の重要かつ確立されたコルヒチンの使用は、オフラベルであるが、ベーチェット病及び再発性心膜炎である。全ての公知の適応症において、コルヒチンは一般に、固形錠剤として、例えば、欧州及び米国それぞれで0.5~0.6mg/錠剤の強さで経口投与される。様々な障害におけるコルヒチンの薬物療法作用機序は完全には理解されていないが、この薬物は優先的に白血球、特に好中球に蓄積することが知られており、これはコルヒチンの治療効果に重要であると考えられている。コルヒチンと特異的タンパク質:チューブリン、シトクロムP450 3A4(CYP3A4)、及びP糖タンパク質、の3つの主要な相互作用は、その薬物動態を調節するためと考えられている。コルヒチンの最も高い治療効果は、β-チューブリンに結合するその能力に関連し、そのため、微小管の自己組織化及び重合を阻害すると想定される。チューブリンの利用可能性は、有糸分裂などのいくつかの細胞機能に不可欠である。したがって、コルヒチンは、「有糸分裂阻害剤」又は紡錘体阻害剤として有効に機能する。微小管自己組織化を阻害することにより、コルヒチンは、ケモカイン及びプロスタノイドの生成の調節並びに好中球及び内皮細胞接着分子の阻害などの免疫応答に関与する多くの細胞機能に干渉する。最終的にコルヒチンは、好中球の脱顆粒、走化性、及び食作用を減少させ、そのため、炎症の開始及び増幅を低下させる。コルヒチンはまた、尿酸結晶付着(痛風の発生に重要な過程)を阻害し、これは組織中の低いpHによって、おそらく、白血球におけるグルコースの酸化及びその後の乳酸還元を阻害することによって増強される(Imazioら,Eur.Heart J.,30(5):532-9,2009;Chuら,Eur.J.Intern.Med.,21(6):503-8,2010;Stantonら,Med.Res.Rev.,31(3):443-81,2011)。心膜炎の管理において、コルヒチンは、急性心膜炎症を抑制することによりその治療効果を発揮すると考えられている。しかしながら、コルヒチンが急性心膜炎における疼痛及び炎症を軽減し、再発を防止する方法の正確な細胞機構及び分子機構は、完全には理解されていない。
コルヒチンは、本開示の文脈において、癌と診断され、かつ/又は癌に罹患している対象において、腫瘍成長、又は腫瘍転移、若しくは腫瘍成長と腫瘍転移を阻害、遅延、又は低減するために使用できる。
III.徐放性製剤
それを必要としている対象、例えば、癌と診断され、かつ/又は癌に罹患している対象において腫瘍の成長若しくは転移を阻害、遅延、又は低減する徐放性コルヒチン製剤を提供する実施形態であって、コルヒチンが、予め決定された又は所望の放出プロファイルに従って持続速度で製剤から放出される、実施形態が開示される。このような放出速度は、製剤中に持続放出成分及び任意の即時放出成分を配合することによって達成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコルヒチン製剤は、錠剤、丸剤、カプセル、カプレット、トローチ、サシェ、カシェ、パウチ、スプリンクル、又は経口投与に適する任意の他の形態から選択される剤形で製剤化される。
一実施形態では、本明細書に記載のコルヒチン、すなわち、とりわけ(医薬)組成物の形態のコルヒチンは、徐放性調製物の形態で投与される。「持続放出」、「制御放出」、「改変放出」、「遅延放出」、「調製物」又は「製剤」のような他の表現は、本明細書では、「徐放性調製物」と同じ意味を有することを理解されたい。そのような調製物は、原則として、当業者が考えられる任意の形態であってよく、徐放が保証される限り、経口(固体、半固体、液体)、皮膚(皮膚パッチ)、舌下、非経口(注射)、眼科(点眼剤、ゲル又は軟膏)又は直腸(座薬)投与の医薬形態を含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載の実施形態によれば、徐放性調製物は、対象への適用後に長期間にわたって薬物物質を利用可能にする一定の薬物放出プロファイルを作る、全ての医薬形態を包含する。いくつかの実施形態では、そのような長期間は、10、20、30、40、50、又は60分と約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24時間の間である。本明細書に記載の他の実施形態では、持続放出は、約10、20、30、40、50、又は60分及び約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24時間後の、コルヒチンの50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は99パーセント(%)超の放出として機能的に定義される。本明細書で使用される語句「持続放出」はまた、幾分かのコルヒチンは対象に決して吸収されない場合があるので、摂取に関係なく、対象にコルヒチンを利用可能にさせるものとして定義される。様々な持続放出剤形は、本明細書に開示されるように、肝臓及び/又は小腸と大腸の両方への、小腸のみへの、又は大腸のみへのコルヒチンの送達及び徐放を達成するように当業者によって容易に設計される。
いくつかの実施形態では、徐放性調製物はpH非依存的である。これは、そのような調製物をほぼあらゆる環境で効率的に溶解させる。他の実施形態では、徐放性調製物はpH依存的である。これは、遅延放出変化がなかった場合に達成されたであろう位置に対しより遠位の下部胃腸管において、いくつかの一般的に予測可能な又は標的化された位置で放出が達成されることを可能にする。活性剤のインビボでの遅延放出を達成するための1つの方法は、活性剤が丸剤、ゲルカプセル、カプセル、又は錠剤などの形態である場合、例えば、活性剤の表面への1以上のコーティング剤の適用である。一実施形態では、剤形に塗布されるコーティングは、コーティング全体が約5未満のpHでは胃腸液中に溶解しないが、pHが約5以上では溶解するような十分な厚さに塗布される。pH依存性溶解性プロファイルを示す任意の公知のアニオン性ポリマーが使用されてよく、活性剤(複数可)の下部胃腸管への送達を達成するための本明細書に記載の腸溶コーティングとしての使用が企図される。ポリマー及びそれらの相溶性の混合物は、活性成分の遅延放出又は持続放出のためのコーティングを提供するために使用され、それらの性質のいくつかは、昆虫の樹脂分泌物から得られる精製された生成物である、精製lacとも呼ばれるセラックを含むが、これに限定されない。このコーティングは、pH7超の媒体に溶解する。
いくつかの実施形態では、徐放性調製物は、体内のアルコールの存在によって影響を受ける。対象の体内におけるアルコールの存在は、例えば、組成物の溶解を増加させることにより、組成物の溶解プロファイルを変え得るか、又は組成物の溶解プロファイルを変え、場合によっては、全用量の即時放出をもたらす。この効果は、「用量ダンピング」として知られ、活性剤と共に組成物に配合される物質のアルコール溶解度に依存する。例えば、24時間にわたる徐放用のより高い用量を含有する徐放性調製物の場合は、この効果は、安全上の懸念を有し、さらに生命を脅かす可能性がある。
いくつかの実施形態では、均一又は連続的な放出速度を達成するために、徐放性調製物は、時間放出親水性マトリックスを使用して調製される。これらの時間放出性親水性マトリックスは、薬物製剤化の分野で知られている。例えば、1種のそのような親水性マトリックスは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、又は一般にヒメロースと呼ばれる)である。親水性マトリックスは、初期段階に主にマトリックス錠剤の表面の急速な膨潤によって誘発される薬物生成物の初期放出を提供し、侵食過程と組み合わされ錠剤の表面に近接して分布する薬物物質の即時放出をもたらす。一実施形態では、薬物物質の約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、又は約10%が、所望の放出プロファイルに応じて直ちに放出される。別の実施形態では、薬物物質の少なくとも約20%が直ちに放出される。別の実施形態では、薬物物質の少なくとも約20%が最初の約30分以内に放出される。本明細書で使用される用語「約」又は「およそ」は、指示された値、例えば、50%、45%、40%などからの10%の変動を指すか、又は値の範囲の場合には、そのような範囲の下限と上限の両方からの10%変動を意味する。例えば、「約50%」は、45%と55%の間の範囲を指す。錠剤表面の初期膨潤中に、親水性マトリックスのゲル形成が始まる。このゲル化は、錠剤コアがすぐに溶解及び崩壊するのを防止し、それによって薬物物質の主要部分がこのゲル構造内で経時的にゆっくりと溶解し、フィックの法則の規則に従って溶液に拡散することを可能にする。拡散自体は、この製剤アプローチでは、例えば、HPMCの分子量に対して規定されるHPMCの濃度、及び形成ゲルの粘度によって誘導され得る。したがって、薬物放出プロファイルは、HPMC又はそれらの混合物の異なる粘度等級を変更することによって改変できる。全ての対応する製剤及び予測される放出プロファイルを達成する処理パラメータは、一般的に知られており、実際の開発技術、例えば、製剤スクリーニング、統計的試験設計を使用して調節できる。
一実施形態では、制御放出製剤の徐放に関与する物質は、結合剤とさらに混合される。結合剤は、成形又は打錠中に顆粒及び錠剤の機械的強度を高めるために添加される。結合剤は、異なる方法で:(1)湿式凝集の前に他の成分と混合される、乾燥粉末として、(2)湿式凝集中に凝集液として使用され、溶液結合剤と呼ばれる、溶液として、かつ(3)圧縮前の他の成分と混合される、乾燥粉末として、製剤に添加できる。この形態では、結合剤は乾燥結合剤と呼ばれる。溶液結合剤は、結合剤を顆粒に配合する一般的な方法である。特定の実施形態では、製剤に使用される結合剤は、乾燥粉末結合剤の形態である。コアに有用な結合剤の非限定的な例は、水素化植物油、ヒマシ油、パラフィン、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、水素化脂肪、炭化水素、ノーマルワックスなどのワックス様物質、ステアリン酸、ステアリルアルコール、炭化水素骨格を有する疎水性及び親水性のポリマー、及びそれらの混合物を含む。水溶性ポリマー結合剤の具体例は、変性デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体(例えば、HPMC及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)など)、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、結合剤はHPMCである。別の実施形態では、結合剤はHPMC6mPa・sである。別の実施形態では、結合剤は、製剤の約1重量%~約30重量%の量で存在する。
別の実施形態では、徐放性製剤は崩壊剤を含む。崩壊剤は、錠剤の医薬調製物に使用される薬剤であって、水分との接触で錠剤を崩壊させ、それらの医薬物質を放出する薬剤を指す。一実施形態では、崩壊剤は水溶性であり、胃での錠剤の崩壊を支持する。製剤に使用するための崩壊剤の非限定的な例は、スクロース、ラクトース、特にラクトース一水和物、トレハロース、マルトース、マンニトール及びソルビトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、メタクリル酸ジビニルベンゼン(DVB)、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)、微結晶セルロース、ポリアクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物を含む。少なくとも1つの実施形態では、崩壊剤は、微結晶セルロース、例えば、アビセルPH101、架橋ポリビニルピロリドン、例えば、KOLLIDON(登録商標)CL、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えば、AC-DI-SOL(商標)、デンプン又はデンプングリコール酸ナトリウムなどのデンプン誘導体、例えば、EXPLOTAB(登録商標)、又はデンプンとの組み合わせ、例えば、PRIMOJEL(商標)、AMBERLITE(商標)IRP88などの膨潤性イオン交換樹脂、ホルムアルデヒドカゼイン、例えば、ESMA SPRENG(商標)、及びそれらの混合物の一つまたは複数である。
一実施形態では、ラクトース一水和物は、錠剤の約10重量%~約80重量%、又は約59重量%の量で充填剤として含まれる。一実施形態では、アルファ化デンプンは、錠剤の約5重量%~約50重量%、又は約7.5重量%の量で充填剤として含まれる。
別の実施形態では、徐放性製剤は、薬物の均一な放出速度を維持するための放出遅延剤を含む。遅延剤の例は、セルロースエーテル、セルロースエステル、アクリル酸コポリマー、ワックス、ガム、グリセリル脂肪酸エステル及びスクロース脂肪酸エステルを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、遅延剤は、RETALAC(登録商標)(Meggle)、50部のラクトース一水和物と50部のHPMCとの噴霧凝集混合物である。本明細書で使用されるHPMCの粘度は、6mPa・s~100,000mPa・sの範囲であってよい。一実施形態では、使用されるHPMCの粘度は、4000mPa・sである。組成物中の遅延剤の量の調整は、特定の状況下で薬物の放出速度を変更することができる。一実施形態では、本明細書に記載の製剤又は組成物の遅延剤は、コルヒチンを連続的かつ均一な様式で放出し、活性成分の約80%が所定の期間内にインビトロで放出されるように調節される。例として、記載の組成物又は製剤の範囲を限定するものではないが、期間は、最終生成物の所望の属性に依存して24時間以下、16時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、3.5時間以下、又は1.5時間以下である。放出速度は、実験がインビトロ又はインビボで行われるか否かに基づいて変えることができることが理解される。したがって、所望の放出速度が、インビトロで約1.5~約3.5時間、又はインビトロで約1.5~約6時間である場合、インビボ条件下での放出速度は、実験条件に依存して、実際には異なり得る。一実施形態では、本明細書に記載の徐放性製剤は、活性成分の約80%が約1.5~約3.5時間の間にインビトロで放出されるように連続的かつ均一な様式でコルヒチンを放出する。
別の実施形態では、徐放性製剤は流動促進剤を含む。流動促進剤は、打錠前及び打錠中の粉末流動特性を改善し、固化を低減するために使用できる。適切な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、タルク、及び三塩基性リン酸カルシウムなどを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、タルクが、錠剤の約0.05重量%~約5重量%、又は約1重量%の量で流動促進剤として含まれる。
別の実施形態では、徐放性製剤は滑剤を含む。滑剤を製剤に添加して、錠剤製造中に固体とダイ壁との間に生じる摩擦を減少させることができる。打錠中の高摩擦は、錠剤の不適切な質(排出中の錠剤のキャッピング又は均一な断片化、及び錠剤縁部の垂直の傷)を含む一連の問題を引き起こす可能性があり、さらに生成を停止させ得る。したがって、滑剤が本明細書に記載の特定の錠剤製剤に添加される。コアに有用な滑剤の非限定的な例は、グリセリルベヘネート、ステアリン酸、水素化綿実油(STEROTEX(登録商標))、水素化大豆油(STEROTEX(登録商標)HM)及び水素化大豆油&ヒマシワックス(STEROTEX(登録商標)K)などの水素化植物油、ステアリルアルコール、ロイシン、ポリエチレングリコール(MW1450、好適には4000以上)、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド重合体(例えば、Union Carbide、Inc.,Danbury,Conn., US)からのCARBOWAX(登録商標)の登録商標下で利用可能)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、DL-ロイシン、コロイド状シリカ、それらの混合物及び当技術分野で知られている他のものを含む。一実施形態では、ステアリン酸が、錠剤の約0.05重量%~約5重量%、又は約1重量%の量で滑剤として含まれる。
別の実施形態では、甘味剤が、マトリックス剤形の特定の実施形態の矯味コーティングにおいて使用され、例えば、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、及びそれらの混合物(担体として使用されない場合)、サッカリン及びそのナトリウム塩などの様々な塩;アスパルテームなどのジペプチド甘味剤;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;ステビア(Stevia Rebaudiana)(ステビオサイド);クロロ誘導体又はスクラロースなどのスクロース;ソルビトール、マンニトール、及びキシリトールなどの糖アルコール類を含む。また、企図される甘味剤は、水素化澱粉加水分解物、及び3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1-1,2,3-オキサチアジン-4-1-2,2-ジオキシド、特にそのカリウム塩(アセスルファムK)及びナトリウム塩及びカルシウム塩などの合成甘味剤を含む。甘味剤は、単独で又はそれらの任意の組み合わせで使用されてよい。
本明細書に記載される制御放出製剤は、特定の実施形態では、造粒助剤又は薬剤、着色剤、風味剤、pH調節剤、抗接着剤、流動促進剤などの1以上の医薬として許容される賦形剤、及び医薬組成物に従来使用される同様の賦形剤をさらに含有する。一実施形態では、着色賦形剤は、投与における誤用又はミスを防止するための視覚的変化を生じさせるように有利に添加される。このような着色剤は、液体若しくは粒子、又は互いに独立したいずれかのものを同時に着色できる。適切な着色賦形剤の中で、以下のもの:インディゴチン、コチニールカルミン酸、イエローオレンジS、アルラレッドAC、酸化鉄、ククルミン(cucurmin)、リボフラビン、タートラジン、キノリンイエロー、アゾルビン、アマランス、カルミン、エリトシン(erythosine)、レッド2G、パテントブルーV、光輝性ブルー(glittering blue)FCF、クロロフィル類、クロロフィル類の銅錯体、グリーンS、カラメル、光輝性ブラックBN、カーボメディシナルベジタビリス(carbo medicinalis vegetabilis)、ブラウンFK及びHT、カロテノイド、アナトー抽出物、パプリカ抽出物、リコピン、ルテイン、カンタキサンチン、ビートルートレッド、アントシアン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミニウム、銀、金又はリソールルビンBK又は経口投与に適する任意の他の着色賦形剤、が例示である。
一実施形態では、徐放性製剤はコーティングされる。コーティングは、様々な機能を提供する。いくつかの実施形態では、コーティングは、例えば、遅延放出、酸に対する耐性、下部胃腸(GI)管における標的化放出、口腔における悪い味の回避を達成するために使用される。いくつかの実施形態では、コーティングを使用して、活性医薬成分(API)/錠剤を光から保護し、より良好な機械的耐性を提供し得る。当然のことながら、当業者なら、コーティングが状況に応じて他の機能を果たすことを理解し、当業者は、錠剤コーティングの目的を知っている。
一実施形態では、医薬組成物及び/又は固体担体粒子は、1以上の腸溶コーティング、シールコーティング、フィルムコーティング、バリアコーティング、圧縮コーティング、高速崩壊コーティング、又は酵素分解性コーティングでコーティングされる。一実施形態では、所望の性能のために複数のコーティングが適用される。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に配合される活性剤の1種以上は、即時放出、拍動放出、制御放出、持続放出、遅延放出、標的化放出、同期化放出(synchronized release)、又は標的化遅延放出のために提供される。実際には、一実施形態では、製剤は、典型的な医薬活性物質、例えば、プソイドエフェドリン(pseudephedrin)、及びビタミン類、例えば、ビタミンC、例えば、Ca、Mg、Zn、及びKなどの鉱物類、又は他の補助剤、例えば、セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort)、エキナセア、及びアミノ酸などの組み合わせを含む。放出/吸収制御のため、固体担体は、いくつかの実施形態では、活性成分を含むか又は含まない、様々な成分の種類及びレベル又はコーティングの厚さで作製される。そのような多様な固体担体は、いくつかの実施形態では、所望の性能を達成するための剤形でブレンドされる。いくつかの実施形態では、液体製剤は、経口送達が最も一般的であるが、口腔、鼻、頬、眼、尿道、経粘膜、膣、局所、又は直腸に送達され、それらへの送達に適合される。
マイクロ粒子又はナノ粒子で製剤化される場合、薬物放出プロファイルは、コーティング、例えば、硬質又は軟質ゼラチンコーティング、デンプンコーティング、樹脂又はポリマーコーティング及び/又はセルロースコーティングを加えることによって容易に適合させることができる。マイクロ粒子又はナノ粒子(例えば、マイクロカプセル又はナノカプセル中のような)に限定されるものではないが、そのような剤形は、いくつかの実施形態では、例えば、シールコーティング、腸溶コーティング、持続放出コーティング、又は標的化遅延放出コーティングでさらにコーティングされる。本明細書で使用される用語「腸溶コーティング」は、担体又は組成物に適用されるか、組み合わされるか、混合されるか、又はそうでなければ添加される医薬として許容される賦形剤の混合物に関する。一実施形態では、コーティングは、圧縮、成形、又は押出され、かつ必要に応じて、担体及び/若しくは組成物のゼラチン、ペレット、ビーズ、顆粒、又は粒子の1以上を含む、活性薬剤に適用される。コーティングは、いくつかの実施形態では、水性分散液を介して、又は適切な溶媒に溶解した後に適用される。担体は、完全に又は部分的に生分解性であってよく、またはそうでなくてもよい。
一実施形態では、ポリメタクリレートアクリルポリマーは、コーティングポリマーとして用いられる。少なくとも1つの実施形態では、コーティングは、EUDRAGIT(登録商標)の商品名でRohm Pharma社から、又はKOLLICOAT(登録商標)の商品名でBASF社から市販されている製品などの、水性分散体の形態で使用されるアクリル樹脂ラッカーである。他の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)E100がコーティングポリマーとして使用され、それはおよそ150,000g/モルの平均分子量を有するジメチルアミノエチルメタクリレートと中性メタクリル酸エステルに基づくカチオン性コポリマーである。本明細書に記載の実施形態の異なるコーティングポリマーは、場合によって、所望の比率で混合されて、望ましい薬物溶解プロファイルを有するコーティングを最終的に得る。コーティング方法は、例えば、パンコーター又は流動床コーティング装置でのいずれかで、錠剤上にポリマーの溶液を噴霧することを含む。溶媒は、使用されるポリマーの性質に応じて、有機又は水性である。一実施形態では、溶媒はアルコールである。コーティング方法は当技術分野において周知である。
本明細書に記載の組成物又は製剤は、いくつかの実施形態では、腸溶コーティング遅延放出経口剤形として、すなわち、下部胃腸管で放出をもたらすために腸溶コーティングを使用する、本明細書に記載の医薬組成物の経口剤形として製剤化される。腸溶コーティング剤形は一般に、活性成分及び/又は他の組成物成分のマイクロ粒子、マイクロ顆粒、マイクロペレット又はマイクロビーズを含み、それらはそれ自体がコーティングされているか又はコーティングされていない。腸溶コーティング経口剤形はまた、固体担体若しくは組成物のペレット、ビーズ又は顆粒を含有するカプセル(コーティングされているか又はコーティングされていない)であってもよく、それらはそれ自体がコーティングされているか、又はコーティングされていない。
記載の組成物及び製剤と共に使用するための担体は、製剤の放出特性を制御する透過性及び半透過性のマトリックス又はポリマーを含む。そのようなポリマーは、例えば、セルロースアシレート、アセテート、及び米国特許第4,285,987号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものなどの他の半透過性ポリマー、並びに米国特許第3,173,876号、同第3,276,586号、同第3,541,005号、同第3,541,006号及び同第3,546,142号に開示されているようなポリカチオンとポリアニオンとの共沈により形成される選択的透過性ポリマー(関連部分は参照により本明細書に組み込まれる)を含む。
記載の組成物及び製剤と共に使用するための他の担体は、例えば、キサンタンガム、アルギン酸、他のアルギネート、ベントナイト、ビーガム(veegum)、寒天、グアー、ローカストビーンガム、アラビアゴム、クインスプシリウム(quince psyllium)、亜麻種子、オクラガム、アラビノグラクチン、ペクチン、トラガカント、スクレログルカン、デキストラン、アミロース、アミロペクチン、デキストリンなど、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸カリウムなどのイオン交換樹脂、カラギーナン(及び誘導体)、カラヤガム、生合成ガムを含むが、これらに限定されないデンプン、改質デンプン、及びデンプン誘導体を含む。他の有用なポリマーは、ポリカーボネート(炭酸の直鎖ポリエステル);微孔性材料(ビスフェノール、微孔性ポリ(塩化ビニル)、微孔性ポリアミド、微孔性モダクリルコポリマー、微孔性スチレンアクリル及びそのコポリマー);多孔質ポリスルホン、ハロゲン化ポリ(ビニリデン)、ポリクロロエーテル、アセタールポリマー、ジカルボン酸又は無水物のアルキレンポリオールでのエステル化によって調製されるポリエステル、ポリ(アルキレンスルフィド)、フェノール類、ポリエステル、非対称多孔質ポリマー、架橋オレフィンポリマー、親水性微孔性ホモポリマー、嵩密度が低下したコポリマー又はインターポリマー、並びに他の同様の材料、ポリ(ウレタン)、架橋鎖延長ポリ(ウレタン)、ポリ(イミド)、ポリ(ベンゾイミダゾール)、コロジオン、再生タンパク質、半固体架橋ポリ(ビニルピロリドン)を含む。
追加の添加剤及びそれらのレベル、並びに主要なコーティング材料又は複数のコーティング材料の選択は、以下の性質:標的部位におけるpHレベル、錠剤をpH依存性又はpH非依存性にする望ましさ、アルコール中の溶解性、胃での溶解及び崩壊に対する耐性、胃にある間の胃液及び薬物/担体/酵素に対する不透過性;標的腸部位で迅速に溶解又は崩壊する能力;保存中の物理的及び化学的安定性;非毒性;コーティング剤としての容易な適用(基剤に優しい);及び経済的な実用性、に依存する。
上記に加えて、本発明の範囲を限定しない、記載の組成物及び製剤を例示する様々な製剤が、以下に記載される。制御放出錠剤又はカプセルなどは、即時放出層でコーティングされたコアとしてコルヒチンを含む。制御放出二重層錠剤又はカプセルなどは、徐放性層及び即時放出層を含む。3つ以上の層を有する制御放出錠剤は、(i)徐放を制御する物質の1つ又は2つの追加の層、及び(ii)即時放出の1つ又は2つの追加の層、を含む。
一実施形態によれば、コルヒチンを含む組成物は、コルヒチンの放出を制御するために、わずかに可溶な中間層の少なくとも1層の放出遅延中間層でさらにコーティングされる。
伝統的に、コルヒチン即時放出剤形(ほとんどは錠剤、注射又は経口溶液も)は、痛風又はFMFの治療で使用されてきた。世界中で、コルヒチンを含有する全ての承認された医薬品は、痛風及び/又はFMFのためにのみ認可され、即時放出錠剤である。コルヒチンは、心膜炎、PPSなどのある種の他の炎症性疾患の予防に、及び最近では、安定な冠状動脈心疾患を有する対象に使用できる。コルヒチンに関する治療と予防の差は、治療では、過剰な疾患及び/又は進行中の炎症が治療されなければならないことである。そのため、高レベルのコルヒチンが必要とされ、これは、通常、望ましくない副作用、最も顕著には胃腸傷害、並びにコルヒチン関連毒性のリスクの増加を伴う。予防では、進行中の炎症を抑制する必要はないが、むしろ炎症の発生を抑制する。そのため、おそらくより低く、より安定なコルヒチンのレベルが必要とされ、有益である。本明細書に記載されるように、これは、上記のように、徐放調製物として製剤化されたコルヒチンを投与することによって達成される。
それを必要とする対象、例えば、癌患者における腫瘍の成長又は転移を阻害、遅延、又は低減する場合には、インターロイキン(IL)-1β活性を阻害するために、コルヒチンのより低いレベル又はより高いレベルが必要な場合がある。徐放システムは、コルヒチンのより安定なレベルを促し、有害事象の発生を低下させる。
徐放として投与されるコルヒチンの利点は、例えば、血清レベル曲線(より低いがより広いピークレベル)の平坦化であり、これは、潜在的な薬物相互作用の場合にもコルヒチン毒性に関連する深刻な有害事象の発生を低下させ、それによってコンプライアンスを高める。コルヒチン関連毒性の多くは、排泄経路(肝臓及び腎臓)の一方又は両方が、他の薬物との相互作用によって、又は疾患、例えば、腎臓不全によってのいずれかでその活性が低下されるという事実から生じる。より遅い、長期の薬物吸収(持続放出)の場合、身体はまた、コルヒチンを系から排出するのにより多くの時間を有する。この場合、コルヒチンレベルが、排出に欠陥がある場合に(薬物相互作用又は疾患により)毒性レベルに達する可能性は低い。徐放性製剤として投与されるコルヒチンの別の潜在的な利点は、血漿レベルがより均一に分布されたままであり(すなわち、対象間でのCmax、Tmax、AUC、又は他の薬物動態パラメータの差異などの、血漿レベルの変動が低下される)、その結果、治療に対する「非応答者」がより少なくなる。加えて、徐放としてのコルヒチンの投与は、用量ダンピングに対して耐性であるので、組成物の溶解はアルコールによって著しく影響されない。
さらに、放出を持続することは、コルヒチンが治療レベルで血液中に存在する時間を延長する。これは、疾患進行のより効率的な阻害をもたらし、そのため、臨床結果を改善する。
さらに、本明細書に記載の予防的使用のために、コルヒチンは、組織に深く入る(痛風の場合のように)必要はなく、血液系で直接(血管で)活性であってよく、プラーク上で、及び特に炎症性血液細胞(好中球)上で作用する。これは、より少ない総コルヒチン及びより低い血清レベルが治療的であり得ることを意味する。例えば、急性痛風炎症の治療に関して、速くて高いコルヒチンレベルを回避することができる。そのため、より低いレベルのコルヒチン、例えば、約0.1~約0.75mgの上記の徐放性製剤(又はより少ない頻度の投与)は、所望の臨床結果を達成するのに十分であり得る。
通常の状況では、ほとんどのコルヒチンは小腸から吸収され、ほとんどが肝臓を通過する(ある程度は腎臓を介して尿中にも排泄される)。そこでコルヒチンは代謝されるが、非常に大きな割合のコルヒチンが肝臓を未代謝のまま通過する。これは、コルヒチンが肝臓を通って胆汁中に入り、そこから大腸(結腸)内に排出されることを意味する。そこで、再びコルヒチンを体内に再吸収でき、これは特徴的な第2のピークをもたらす(完全に吸収されたコルヒチンの約50%を占め、下痢などの胃腸の問題の原因であると考えられる)。コルヒチンが上記の徐放性調製物として製剤化される場合、コルヒチンのより遅い放出は、より遅い再吸収をもたらす。これは、肝臓中のコルヒチンのより完全な代謝をもたらし(一度にコルヒチンでそれほど混み合わないので)、そのため、未代謝のコルヒチンの再循環が少なくなる。これは、結果的に胃腸の問題の発生を低下させ、コンプライアンスを高める。本明細書に記載の組成物に従って徐放として投与されるコルヒチンはまた、コルヒチン治療/投与に関連付けられる他の公知の副作用/悪影響に有益であり得る(当業者は、コルヒチン投与又はコルヒチン治療で起こり得る悪影響を十分に知っている)。そのため、上記のように、徐放としてのコルヒチンの投与は、安全性の増大及び安全な利益をもたらす。
IV.徐放性製剤の調製方法
さらに、本明細書で企図されるのは、徐放成分、及び任意選択の即時放出成分を含むコルヒチンの製剤を調製する方法であり、コルヒチンは、予め決定された又は所望の放出プロファイルに沿った持続速度で製剤から放出される。
一実施形態では、本明細書に記載のコルヒチン組成物は錠剤の形態である。本明細書で使用される用語「錠剤」は、任意の形状又はサイズの圧縮された医薬剤形を意味する。本明細書に記載の錠剤は、コルヒチン及び医薬として許容される賦形剤を含む組成物から得られる。本明細書に記載のコルヒチン組成物のいずれも製剤化することができ、当技術分野で公知の任意の他の剤形、具体的には任意の経口剤形、例えばカプセルの形態で製剤化されることが企図される。
本明細書に記載されるのは、経口剤形で使用するための制御放出製剤である。製剤は、親水性マトリックスとしてHPMCを含有する混合物を含み、これは、医薬活性成分の制御放出を提供するのに有効である。
マトリックスシステムは当技術分野で周知である。典型的なマトリックスシステムでは、薬物は、従来の賦形剤と関連してポリマー中に均一に分散される。この混合物は、典型的には加圧下で圧縮されて、錠剤を生成する。APIは、拡散及び侵食によって錠剤から放出される。マトリックス系は、(i)医薬制御放出技術のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology),D.L.Wise(編),Marcel Dekker,Inc.New York,N.Y.(2000)、及び(ii)制御薬物送達の専門書(Treatise on Controlled Drug Delivery),Fundamentals,Optimization,Applications,A.Kydonieus(編),Marcel Dekker,Inc.New York,N.Y.(1992)、によって詳細に記載されており、その両方の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
錠剤、カプセル、又は丸剤が胃腸管の中などの水性媒体に暴露されると、錠剤表面は湿潤し、ポリマーは部分的に水和し始めて、外側ゲル層を形成する。この外側ゲル層は、完全に水和され、水性流体中に浸食され始める。水は、錠剤のコアに向かって透過し続け、溶解する外側ゲル層の下に別のゲル層が形成するのを可能にする。これらの連続する同心ゲル層は、ゲル層からの拡散及び錠剤の侵食による暴露によりAPIの均一な放出を維持する。本発明の混合物の場合、圧縮錠剤マトリックス中に含まれると、HPMCは、ゲル層として機能できる親水性膨潤性構造を提供する。このようにして、薬物放出が制御される。
一実施形態によれば、コルヒチン製剤は、コルヒチン組成物の湿式造粒又は乾式造粒のいずれかによって製造され、得られた顆粒を賦形剤と混ぜ、次いで組成物を錠剤に圧縮することによって製造される。
一実施形態では、湿式造粒を用いて、コルヒチンを含む湿潤顆粒を調製する。造粒液を、湿式造粒工程に用いる。水性液体と非水性液体の両方を、造粒液として用いてよい。一実施形態では、造粒液は水性液体、又はより具体的には、精製水又は脱イオン水である。使用される造粒液の量は、多くの要因、例えば、造粒液の種類、使用される造粒液の量、使用される賦形剤の種類、活性剤の性質、及び活性剤の装填、に依存してよい。
一実施形態では、コルヒチン粒子及び適切な賦形剤は、十分に長い期間、造粒液と混合されて、全ての出発物質の良好な分布及び良好な内容物の均一性を促進する。湿式造粒は一般に、約20℃~約35℃の温度で、又はより具体的には室温(約25℃)で行われる。湿式造粒後に、顆粒を、上昇させた温度で乾燥させて、乾燥顆粒を得る。一実施形態では、乾燥工程は、所望の残留水分含量に達するまで、十分に長い期間行われる。一実施形態では、これは約45℃で、約12~48時間であってよい。造粒工程を実行するための全体的な時間は、使用される溶媒、バッチサイズ、使用される器具などを含むがこれらに限定されない、様々な要因に依存することを理解されたい。
造粒液をコルヒチン及び賦形剤と接触させるために使用される装置は、造粒液の均一な分布が達成される限り、どれも可能である。例えば、一実施形態では、小規模生成は、モルタル又はステンレス鋼ボール中でコルヒチン及び賦形剤を混合し濡らすことによって達成されるが、より多くの量では、増圧バー、遊星ミキサー、回転造粒機、高剪断造粒機、及び流動床造粒装置を備えたVブレンダーが用いられる。一実施形態では、造粒機は高剪断造粒機である。
一実施形態では、コルヒチン組成物を製造する方法は、医薬として許容される賦形剤及び造粒液を用いてコルヒチンを湿式造粒して、湿潤顆粒を得ること、及び次の工程で顆粒を第2の賦形剤と混合して、コルヒチン組成物を得ることを含む。一実施形態では、医薬として許容される賦形剤は、結合剤及び充填剤を含む。一実施形態では、結合剤はHPMCである。一実施形態では、充填剤は、ラクトース一水和物及びアルファ化デンプンである。別の実施形態では、精製水が造粒液として使用される。一実施形態では、顆粒と混合される第2の賦形剤は充填剤である。一実施形態では、充填剤はラクトース一水和物である。コルヒチン組成物は、いくつかの実施形態では、コルヒチン組成物の全重量に基づき、約0.1重量%~約10重量%、又はより具体的には約0.25重量%~約0.75重量%のコルヒチンを含有する。
一実施形態では、組成物を製造する方法は、コルヒチンを医薬として許容される賦形剤と湿式造粒して、湿潤顆粒を得ること、及び顆粒を充填剤と混合して、コルヒチン組成物を得ることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、混合物を乾燥させることをさらに含む。別の実施形態では、湿潤顆粒を乾燥させて、乾燥顆粒を得、次いで、乾燥顆粒を結合剤、充填剤、又はその両方と混合して、組成物を得る。別の実施形態では、乾燥顆粒を粉砕して、粉砕顆粒を得、その後、粉砕した乾燥顆粒を結合剤、充填剤、又はその両方と混合する。本方法は、コルヒチン組成物を、流動促進剤、滑剤、又はその両方と混合して、ブレンドを得るか、又は特定の実施形態では、ブレンドを圧縮して、錠剤を得ることをさらに含む。一実施形態では、流動促進剤はタルクである。別の実施形態では、滑剤はステアリン酸である。本方法は、特定の実施形態では、錠剤をコーティングすることをさらに含む。
別の実施形態では、コルヒチン錠剤を作製する方法は、コルヒチンを医薬として許容される賦形剤と湿式造粒して湿潤顆粒を得ること、湿潤顆粒を乾燥させて乾燥顆粒を得ること、乾燥顆粒を粉砕して粉砕顆粒を得ること、粉砕顆粒を充填剤と混合して組成物を得ること、組成物を流動促進剤、滑剤又はその両方と混合してブレンドを得ること、及びブレンドを圧縮して、本明細書に記載のコルヒチン錠剤を得ること、を含む。
いくつかの実施形態では、湿潤顆粒を乾燥させて乾燥顆粒を得、その後、第2の賦形剤、例えば充填剤と混合する。湿潤顆粒は、任意の公知の適切な工程によって乾燥されて、造粒液を除去し、コルヒチン及び医薬として許容される賦形剤を含有する乾燥顆粒を形成する。乾燥の条件及び持続時間は、使用される液体及び造粒粒子の重量などの要因に依存する。好適な乾燥方法の例は、トレイ乾燥、強制空気乾燥、マイクロ波乾燥、真空乾燥及び流動床乾燥を含むが、これらに限定されない。
乾燥後、乾燥顆粒を、さらなる処理工程のために、賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、又は滑剤と直接混合してもよい。あるいは、乾燥顆粒は必要に応じて、賦形剤と混合する前に追加の処理工程にかけられてもよい。例えば、乾燥顆粒は、賦形剤と混合する前に、粒子サイズを低下させるようなサイズにしてよい。例示的なサイジング操作は、粉砕又はふるいがけを含む。粒子サイズを低下させるための任意の適切な装置を使用できる。
適切な賦形剤は、いくつかの実施形態では、粒外で添加され、顆粒と混合されて、コルヒチン組成物を形成する。本明細書で使用される用語「粒外の」又は用語「粒外で」は、参照物質、例えば、適切な賦形剤が、湿式造粒後に乾燥成分として添加されるか、又は添加されていたことを意味する。一実施形態では、充填剤、結合剤、流動促進剤、及び/又は滑剤を、顆粒に粒外添加し、混合して、ブレンドを形成する。このブレンドは、いくつかの実施形態では、カプセルシェル、例えば、硬質ゼラチンシェルに直接カプセル化されて、カプセル製剤を形成する。あるいは、ブレンドは、いくつかの実施形態では、錠剤に圧縮される。いくつかの実施形態では、顆粒は、乾燥顆粒又は粉砕された乾燥顆粒である。
混合は、均一な混合物又はブレンドを生成するのに十分な時間行われる。混合は、ブレンド、効力の強化、振動、回転、横揺らし、又は均一なブレンドを達成するための他の任意の方法によって達成される。いくつかの実施形態では、混合される成分は、低剪断条件下で、Vブレンダー、トートブレンダー、ダブルコーンブレンダーなどの適切な装置、又は低剪断条件下で機能できる任意の他の同様の装置中で組み合わされる。
均質な混合物又はブレンドは次いで、業界で適する任意の方法を用いて圧縮される。圧縮の機械的な力は、錠剤の物理的性質、特に得られる錠剤の粉砕強度を定義する。機械的強度は、錠剤の初期膨潤及び錠剤コアの希釈速度と相互作用する。この効果は、当技術分野で周知であり、生成物のライフサイクル中に調整及び制御できる。本明細書に記載のコルヒチン徐放性製剤については、使用される圧縮強度は、約30N~約130Nの範囲であってよい。一実施形態では、圧縮強度は約100Nであってよい。別の実施形態では、圧縮強度は、約100N+/-15Nである。
上記の方法から調製されたコルヒチン錠剤は、良好な粉砕性及び硬度を含む許容される物理的特性を示す。欧州薬局方(EP)及びUSPガイドラインによれば、本明細書に開示されるコルヒチン錠剤は、約0%~約1%未満の範囲の粉砕性を有する。
既に上述したように、コルヒチン錠剤は、いくつかの実施形態ではコーティングされる。錠剤をコーティングすることは、任意の公知の方法によって行われる。本明細書に開示されるコルヒチン錠剤用のコーティングは、例えば、機能性又は非機能性コーティング、又は複数の機能性又は非機能性コーティングなどの任意の適切なコーティングである。本明細書で使用される語句「機能性コーティング」は、全製剤の放出特性、例えば徐放性コーティングを変更するコーティングを含む。本明細書で使用される語句「非機能性コーティング」は、機能性コーティングではないコーティング、例えば、化粧品コーティングを含む。非機能性コーティングは、初期の溶解、水和、コーティングの穿孔などによる活性剤の放出にいくらかの影響を及ぼし得るが、非コーティング組成物からの顕著な逸脱であるとはみなされない。
一実施形態では、コルヒチン組成物は、コルヒチン、結合剤、充填剤、遅延剤、流動促進剤、及び滑剤を含む。一実施形態では、コルヒチン組成物は、約0.25~約0.75mgのコルヒチン;約10~約80mgのラクトース一水和物;約5~約50mgのアルファ化デンプン;約1~約30mgのHPMC 6mPa・s;約5~約40mgのRETALAC(登録商標)(ラクトース一水和物及びHPMC4000mPa・s 50/50w/w%の化合物);約0.5~約5mgのタルク;及び約0.5~約5mgのステアリン酸を含む。一実施形態では、コルヒチン組成物は、約0.5mgのコルヒチン、約59mgのラクトース一水和物、約7.5mgのアルファ化デンプン、約1mgのHPMC 6mPa・s、約30mgのRETALAC(登録商標)(ラクトース一水和物及びHPMC 4000mPa・s50/50w/w%の化合物)、約1mgのタルク、及び約1mgのステアリン酸を含む。コルヒチン剤形は、総重量が約100mgである。コルヒチン組成物は、錠剤の形態であり得る。
V.徐放コルヒチンを単一薬剤として、又は少なくとも1つの免疫調節療法と組み合わせて使用する治療方法
また本明細書に記載されるのは、その必要性のある対象、例えば、癌対象における腫瘍成長、又は腫瘍転移を阻害、遅延、又は減少させる方法であって、治療有効量の本明細書に記載のコルヒチン製剤を対象に投与することを含み、コルヒチンが、予め決定された又は所望の放出プロファイルに沿った持続速度で製剤から放出される、方法である。本明細書に記載の方法は、持続放出成分及び任意の即時放出成分を含む本明細書に記載のコルヒチン製剤の特別に調整された計画に起因する対象の状態の性質及び必要性に応じて、投与される製剤の薬物動態を選択的に調節する柔軟性を有し、両方の成分の放出プロファイルは、上記のように調製工程中に選択的に変更されて、所定の放出プロファイルに適合させることができる。
一実施形態では、治療は、本明細書に記載のコルヒチン製剤の対象への適用又は投与を含み、ここで対象は、癌を発症しているか、又は癌を発症する危険性を有する。別の実施形態では、治療はまた、対象にコルヒチン製剤を含む医薬組成物の適用又は投与を含むことも意図され、対象は癌を発症しているか、又は癌を発症する危険性を有する。
コルヒチンは、痛風の管理のための選択肢の薬物として知られる抗炎症剤である。コルヒチンの抗炎症作用は、炎症性サイトカインIL-1及びIL-1βの放出の阻害によって媒介されることが示されている。さらに、NF-κB経路の抑制及び細胞有糸分裂の阻止によって、コルヒチンは腫瘍形成に対して抑制効果を発揮する場合がある。ヒトリポ多糖(LPS)刺激末梢血単核細胞(PBMC)へのコルヒチンの添加は、細胞微小管に対し破壊的作用を及ぼし、結果的にIL-1β放出が増加し、TNF-α放出が減少した。最近の研究では、HT-29又はRKOヒト結腸癌細胞のいずれかとPBMCの同時培養物に添加されたコルヒチンが、癌細胞刺激PBMCを促進して、IL-1βを生成し、かつ腫瘍壊死因子(TNF)-α及びIL-10の放出を阻害することが示されている。コルヒチンは、免疫細胞と癌細胞の間の免疫バランスの調節によって腫瘍の発現に作用し得、その後、癌細胞活性化PBMCによる炎症性サイトカインの生成に干渉すると考えられる。同様の腫瘍細胞-マクロファージのクロストークが他の研究で観察された。結腸癌細胞から放出されたTNF-αは、マウスマクロファージによるTNF-α及びコロニー刺激因子(CSF)-1生成を刺激し、これらの細胞型間の免疫細胞間伝達の存在を示唆する。さらに、癌細胞と相互作用する単球は、血管新生及び転移に関連し得る腫瘍関連マクロファージに分化することが示されている。
兆候及び対象により、全ての腫瘍が免疫細胞を含有するわけではない。平均的により高い濃度の浸潤白血球を保有する腫瘍の種類は、黒色腫、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、及び頭頸扁平上皮癌を含む。これらの腫瘍において、リンパ球性浸潤は、腫瘍が免疫系にとってどの程度外来性であるか又は「見えるか」を反映し、ひいては、腫瘍内の調節不全(disregulation)又は「異常」の程度に結び付けられると考えられる。さらに、腫瘍への免疫細胞の効果的な動員にもかかわらず、それらは一般的に、免疫媒介回帰に陥っていない。これは、腫瘍が採用する抑制機構又は抵抗機構の効果であると考えられる。これらの機構は一般に、欠陥のある抗原提示上での骨髄由来抑制細胞(MDSC)、M2マクロファージ、調節性T細胞、及び樹状細胞の活性、抑制性サイトカインの生成、エフェクターT細胞の同時刺激の阻害及び抗原損失を含む。
多数の浸潤白血球を有する腫瘍において、チェックポイント阻害剤と呼ばれる新しいクラスの治療薬は、調節性T細胞を含む抑制性免疫要素を放出又は除去することが示されている。これらの分子の主要クラスは、タンパク質PD1、PDL1又はCTLA4を標的とするが、承認された他のもの及び抑制性機構の範囲にわたる臨床承認の様々な段階でさらに多くの他のものが存在する。
リンパ球性含量が高い腫瘍における調節不全は、腫瘍が保有する遺伝子変異の総数と高度に相関し、その遺伝子変異が今度は翻訳されて、免疫応答をプライミングする抗原として作用する欠損タンパク質及び新規(外来)のタンパク質を生成する。非常に単純には、腫瘍の高負荷→腫瘍形成→抗原性の増加→リンパ球浸潤の増加→IL-10などの抑制性サイトカインの生成によって特徴づけられる抵抗の誘導。
コルヒチンの抗炎症作用を考慮すると、コルヒチンは、公開されているように、IL-10の低下を含む上記のシナリオにおいて最も効果的である可能性が高い。
高いリンパ球性負荷を有する腫瘍を特定することは、生検の無い場合に困難であり得る。しかしながら、リンチ症候群(遺伝性非多発性結腸直腸癌としても知られている)を有する対象は、高い変異負荷を有する腫瘍に対象をかかりやすくさせる、重要なミスマッチ修復遺伝子中の生殖系列変異を保有することが知られている。具体的には、リンチ症候群は、400人中1人に影響し、生涯で以下の癌:結腸直腸癌-生涯疾患確率70%、発症平均年齢44~61歳;胃癌-生涯疾患確率10%、発症平均年齢56歳;子宮内膜癌-生涯疾患確率40%、発症平均年齢48~62歳;卵巣癌-生涯疾患確率10%、発症平均年齢42歳、を発症する危険性を上昇させることが知られている。
実際に、対象におけるリンチ症候群についての1つの診断は、広範囲の過剰な変異負荷を示すゲノム内の小さなタンデムリピートエレメントのずれを特徴とするマイクロサテライト不安定性(又はMSI+)と呼ばれる現象についての遺伝子検査を含む。リンチ症候群腫瘍の約95%がMSI+である。2017年5月に、FDAは、症状ではなくバイオマーカーに基づく最初のそのような承認を代表する、MSI+対象の腫瘍のためのペムブロリズマブの使用を承認した。言い換えると、ペムブロリズマブは、任意のMSI+腫瘍のための使用について承認されている。
リンチ症候群対象は、治療時に又は家族性遺伝的スクリーニングの一部として診断される場合がある。したがって、イピリムマブ、ペムブロリズマブ及びニボルマブなどの増大するチェックポイント阻害剤に対するコルヒチンの能力を評価するために急性に対象を治療する機会、又はそれが炎症を抑制する既知の非毒性用量で単一の薬剤として使用される、予防的に対象を処置する機会が存在する。
あるいは、生物学的機構上の特定の目的論又は理論に拘束されることなく、コルヒチンは、IL-1b媒介活性に対するその阻害効果によって抗腫瘍活性を発揮し得る。最近の研究は、選択的IL-1b阻害モノクローナル抗体で治療された対象における腫瘍の発生率及び死亡率の有意な低下を示した。この効果は、肺癌の発生において特に顕著であった。この研究は、IL-1bシグナル伝達(腫瘍細胞、免疫細胞又は非免疫細胞における)の阻害が、少なくともある種の腫瘍で及びある種の腫瘍段階で保護的であり得ることを示す。
あるいは、かつ再び、いずれかの特定の理論に拘束されることなく、コルヒチンの抗腫瘍活性のいくつかは、腫瘍細胞に接触するコルヒチンの直接的な作用から生じ得る。コルヒチンは、特に急速に増殖する細胞によって内部化されることが知られている。コルヒチンは、微小管機能の阻害により腫瘍細胞の細胞分裂を阻害し得る。
したがって、コルヒチンは、本明細書では、そのような阻害、遅延、又は低下を必要とする対象、例えば、癌対象における腫瘍の成長若しくは転移を阻害、遅延、又は低下させるために使用されることが企図される。癌は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、胃癌、膵臓癌、神経内分泌癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、脳癌、肝癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、食道癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、頭頸部癌、及びそれらの組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。特に、本開示の文脈において、コルヒチンは、肺癌を有する対象における腫瘍の成長若しくは転移を阻害、遅延、又は低下させるために使用される。
本開示によれば、本明細書に記載のコルヒチン製剤は、腫瘍の成長及び/又は転移に関して正の治療応答を促進するために使用される。本明細書で使用される語句「正の治療応答」は、癌治療に関して、これらの結合分子、例えば、抗体又はその断片の抗腫瘍活性に関連付けられる疾患の改善、及び/又は疾患に関連付けられる症状の改善を意図する。特に、本明細書で提供される方法は、対象における腫瘍の成長及び/又は原発性腫瘍の転移の進行を阻害、防止、低減、軽減、遅延、又は軽減することを目的とする。すなわち、遠位腫瘍の増殖の予防を観察することができる。そのため、例えば、疾患の改善は、完全奏功として特徴付けられ得る。本明細書で使用される語句「完全奏功」は、例えば、原発腫瘍の部位での以前の異常な放射線写真研究の正規化を伴う臨床的に検出可能な転移の非存在又は骨髄における腫瘍転移の存在を意図する。あるいは、疾患の改善は、部分奏功として分類され得る。本明細書で使用される語句「部分奏功」は、全ての測定可能な転移(すなわち、原発腫瘍から離れた部位で対象に存在する腫瘍細胞の数)における少なくとも約50%の減少を意図する。あるいは、疾患の改善は、再発のない生存又は「進行のない生存」として分類され得る。本明細書で使用される語句「再発のない生存」は、任意の部位での腫瘍の再発までの時間を意図する。本明細書で使用される語句「進行のない生存」は、監視されている部位での腫瘍のさらなる成長が検出できる前の時間を意味する。
転移の阻害、遅延、又は低下は通常、イメージング、例えば、蛍光抗体イメージング、骨走査イメージング、及び骨髄吸引(BMA)含む腫瘍生検サンプリング、又は免疫組織化学などのスクリーニング技術を用いて評価される。これらの正の治療応答に加えて、本発明のコルヒチン分子を用いて治療を受ける対象は、疾患に関連付けられる症状の改善の有益な効果を経験し得る。
臨床応答は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及びクロマトグラフィーなどによって検出可能な変化を含むが、これらに限定されない磁気共鳴イメージング(MRI)スキャン、x線グラフィックイメージング、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、フローサイトメトリー又は蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、組織学、肉眼所見、及び血液化学などのスクリーニング技術を用いて評価できる。
別の実施形態では、本明細書に記載のコルヒチン製剤は、腫瘍の成長及び/又は転移の予防に有用である。本明細書で使用される用語「予防」は、当技術分野において周知である。例えば、本明細書で定義される障害又は疾患に罹患しやすいことが疑われる対象は、特に、障害又は疾患の予防から恩恵を受けるであろう。対象は、遺伝性素因を含むがこれに限定されない、障害又は疾患に対する感受性又は素因を有する場合がある。このような素因は、例えば、遺伝子マーカー又は表現型指標を用いて、標準的なアッセイによって決定できる。本発明によれば、予防すべき障害又は疾患は、対象において診断されていないか、又は診断できないことが理解されるべきであり、例えば、対象は、臨床的又は病理学的症状を全く示さない。そのため、本明細書で使用される用語「予防」は、主治医によって何らかの臨床及び/又は病理学的症状が診断又は決定される又は診断又は決定され得る前の、本発明の化合物の使用を含む。予防は、限定されないが、疾患にかかりやすい可能性はあるが、まだ疾患の症状を経験していないか又は示さない対象において疾患又は病態が生じるのを回避することを含む(予防的処置)。
コルヒチンはまた必要に応じて、腫瘍の成長若しくは転移を阻害、遅延、又は低減するために、そのような阻害、遅延、又は低減を必要とする対象、例えば、癌対象において、本明細書に記載の少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせて使用される。
一実施形態では、免疫調節療法は、癌ワクチン、免疫刺激剤、養子T細胞又は抗体療法、及び免疫チェックポイント遮断の阻害剤の1以上を含む(Lizeeら,Annu.Rev.Med.,64:71-90,2013)。
癌ワクチン。癌ワクチンは、癌などの異常細胞に対する身体の免疫系及び自然抵抗を活性化し、疾患の根絶又は制御をもたらす。癌ワクチンは一般に、腫瘍抗原特異的ヘルパー細胞及び/又はCTL及びB細胞を活性化する免疫原性製剤中に腫瘍抗原を含む。ワクチンは、樹状細胞、特に腫瘍細胞又は腫瘍抗原でパルスされた自己樹状細胞、GM-CSFなどの免疫刺激因子でトランスフェクトされた異種腫瘍細胞、組換えウイルス、又は通常はCpGなどの強力な免疫アジュバントとともに投与されるタンパク質若しくはペプチドを含むが、これらに限定されない様々な製剤であってよい。
免疫刺激剤。免疫刺激剤は、様々な機構を介して多くの癌対象において抑制される、腫瘍に対する免疫応答を増強又は増加させる働きをする。免疫調節療法は、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、又は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)又はナチュラルキラーT(NKT)細胞などのこれらの細胞のサブセットを標的とし得る。相互作用する免疫カスケードのため、一組の免疫細胞に対する効果は多くの場合、他の細胞への拡散によって増幅され、例えば、増強された抗原提示細胞活性は、T及びBリンパ球の応答を促進する。免疫刺激剤の例は、HER2、G-CSF、GM-CSF、及びIL-2などのサイトカイン類、細菌由来の細胞膜画分、CD1dと会合してNKT細胞を活性化する糖脂質、CpGオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
免疫系のマクロファージ、骨髄貪食細胞は、生来の防御機構の基本的な部分であり、それらはT細胞の補充及び活性化の誘導により特異的な免疫を促進できる。これにもかかわらず、腫瘍微小環境内でのそれらの存在は、腫瘍進行の増強と関連付けられており、癌細胞の成長及び拡散、血管新生及び免疫抑制を促進することが示されている。それらの表現型の状況での重要なプレーヤは、マクロファージが曝される微小環境シグナルであり、これはM1極(腫瘍阻害マクロファージ)及びM2極(腫瘍促進マクロファージ)を包含する機能スペクトル内でそれらの機能を選択的に調節する(Sicaら,Seminars in Cancer Biol.,18:349-355,2008)。癌の間のマクロファージ数の増加は一般的に、予後不良と相関する(Qualls及びMurray,Curr.Topics in Develop.Biol.,94:309-328,2011)。固形腫瘍に共通の複数の独特の間質細胞型の中で、腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、腫瘍進行を促進するために重要である。TAM分極を調節する分子経路を標的化することは、抗癌療法にとって非常に有望である(Ruffellら,Trends in Immunol.,33:119-126,2012)。
養子細胞移入。養子細胞移入は、癌細胞を攻撃するためにT細胞ベースの細胞傷害性応答を用いる。対象の癌に対して自然な反応性又は遺伝子操作された反応性を有する自己T細胞を作製し、インビトロで増殖させた後、癌対象に戻し入れる。1つの研究は、インビトロで増殖させた自己腫瘍浸潤性リンパ球の養子移入が、転移性メラノーマを有する対象に対して有効な治療であることを実証した(Rosenbergら,Nat.Rev.Cancer,8(4):299-308,2008)。これは、切除された対象腫瘍内に見出されるT細胞を採取することによって達成できる。これらのT細胞は、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)と呼ばれ、腫瘍抗原に対するそれらの特異性のために腫瘍に輸送されていると推定される。そのようなT細胞を、高濃度のIL-2、抗CD3及びアロ反応性フィーダー細胞を用いて誘発してインビトロで増殖させることができる。次いで、これらのT細胞を、IL-2の外因性投与と共に対象に戻し入れて、それらの抗癌活性をさらに増強する。他の研究で、自己T細胞は、標的化された腫瘍抗原にそれらが反応するようにするキメラ抗原受容体で形質導入されている(Liddyら,Nature Med.,18:980-7,2012;及びGruppら,New England J.Med.,368:1509-18,2013)。
他の養子細胞移入療法は、対象に再注入される天然の又は改変された腫瘍抗原に生体外で暴露された、自己樹状細胞を用いる。PROVENGE(登録商標)は、そのようなFDA認可療法であり、そこで自己細胞が前立腺酸性ホスファターゼ及びGM-CSFの融合タンパク質とインキュベートされて前立腺腫瘍を有する対象を治療する。GM-CSFは、抗原提示樹状細胞の分化及び活性を促進すると考えられている(Smallら,J.Clin.Oncol.,18:3894-903,2000;及び米国特許第7,414,108号)。
免疫チェックポイント遮断。免疫チェックポイント遮断療法は、進行中の免疫応答を制限する負のフィードバック調節を取り除くことによってT細胞免疫を増強する。これらの種類の治療法は、側副組織損傷を最小化するために末梢組織での生理的免疫応答の持続時間及び増幅を調節するために重要である、免疫系における阻害経路を標的とする。腫瘍は、腫瘍抗原に特異的であるT細胞に対する免疫耐性の主要な機構として、ある免疫チェックポイント経路を利用するように進化し得る。多くの免疫チェックポイントは、リガンド-受容体相互作用によって開始されるので、これらのチェックポイントは、受容体又はリガンドのいずれかに対する抗体によって阻止され得るか、又はリガンド若しくは受容体の可溶性組換え形態によって調節され得る。免疫チェックポイントの中和は、腫瘍特異的T細胞が、特に免疫抑制腫瘍微小環境において機能し続けることを可能にする。免疫チェックポイント遮断療法の例は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、PD-1、そのリガンドのPD-L1、LAG3、及びB7-H3を標的とするものである。
シクロホスファミド。一般に使用される化学療法剤であるシクロホスファミドは、免疫応答を増強できる。シクロホスファミドは、エフェクターT細胞と比較して調節性T細胞(Treg)の機能を示差的に抑制する。Tregは、抗癌性免疫応答を調節する上で重要である。腫瘍浸潤Tregは以前に、予後不良に関連付けられた。Tregを特異的に標的化する薬剤は現在利用可能ではないが、シクロホスファミドは、他のT細胞と比較してTregを優先的に抑制でき、したがって、抗腫瘍免疫応答のより効果的な誘導を可能にする、臨床的に実現可能な薬剤として出現した。
別の実施形態では、コルヒチン分子を用いる治療法は、低線量の化学療法又は放射線療法のいずれかと組み合わせてもよい。標準的な化学療法は免疫抑制性である場合が多いが、シクロホスファミド、ドキソルビシン、及びパクリタキセルなどの低線量の化学療法剤が、癌用のワクチン療法に対する応答を増強することが示されている(Machielsら,Cancer Res.,61:3689-3697,2001)。場合によっては、化学療法は、腫瘍環境における免疫応答を負に制御するT調節性細胞(Treg)及びMDSCを示差的に不活性化し得る。放射線療法は、電離放射線の直接的な殺腫瘍効果を利用するために一般に用いられてきた。実際に、高線量放射は、化学療法のように、免疫抑制的であり得る。しかしながら、多くの観察は、線量分画及び配列決定の適切な条件下で、放射線療法が、腫瘍特異的免疫応答及び免疫調節剤の効果を増強できることを示唆する。この効果に寄与するいくつかの機構の1つは、放射線誘発性腫瘍細胞死によって放出される樹状細胞及び腫瘍抗原の他の抗原提示細胞による交差提示である(Higginsら.,Cancer Biol.Ther.,8:1440-1449,2009)。事実上、放射線療法は、腫瘍に対するインサイツワクチン接種を誘発し得(Maら.,Seminar Immunol.,22:113-124,2010)、これはコルヒチン療法と組み合わせることによって増強できる。
一実施形態では、免疫調節療法は、IL-2、IL-7、IL-12などのインターロイキン;顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)などのサイトカイン、インターフェロン;CXCL13、CCL26、CXCL7などの様々なケモカイン;抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-Ll、抗LAG3及び抗B7-H3などの免疫チェックポイント遮断のアンタゴニスト;合成シトシンホスフェートグアノシン(CpG)、オリゴデオキシヌクレオチド、グルカン、シクロホスファミドなどの調節性T細胞(Treg)のモジュレーター、又は他の免疫調節剤などを含まれるが、これらに限定されない免疫調節剤であってよい。一実施形態では、免疫調節剤は、4-1BB(CD137)に対するアゴニスト抗体である。最近報告されているように、4-1BBに対するそのようなアゴニスト抗体は、腫瘍に対して高度に細胞傷害性である新規なクラスのKLRG1+T細胞を生じさせることができる(Curranら,J.Exp.Med.,210:743-755,2013)。全ての場合において、追加の免疫調節療法は、コルヒチン分子の前、その間、又はその後に投与される。組み合わせ療法が、別の免疫調節剤の投与との組み合わせでコルヒチン分子の投与を含む場合、本発明の方法は、同時の又はいずれかの順序での連続的な投与により、別個の製剤又は単一医薬製剤を用いる、共投与を包含する。
一実施形態では、免疫調節療法は、手術又は外科的処置、例えば、脾臓摘出、肝切除、リンパ節切除、白血球除去療法、及び骨髄移植など;放射線療法;化学療法、必要に応じて、自己骨髄移植と組み合わせて、又は他の癌療法を含むが、これらに限定されない癌療法剤であり、追加の癌療法は、コルヒチン療法の前、その間又はその後に施される。併用療法は、別の治療薬の投与と組み合わせた本明細書に記載のコルヒチンの投与を含み、本明細書に記載の方法は、同時の又はいずれかの順序での連続的な投与により、別個の製剤又は単一医薬製剤を用いる、共投与を包含する。
一実施形態では、治療は、単一薬剤としての若しくは少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせた本明細書に記載のコルヒチンの対象への適用若しくは投与、又は対象から単離された組織若しくは細胞株への、単一薬剤としての若しくは少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせたコルヒチンの適用若しくは投与を含み、対象は、癌細胞が転移しているか、又は発症する危険性を有する。別の実施形態では、治療はまた、少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせたコルヒチンを含む医薬組成物の適用若しくは投与、又は対象から単離された組織若しくは細胞株へのコルヒチンを含む医薬組成物と少なくとも1つの他の免疫調節療法の適用若しくは投与を含むことが意図され、対象は、癌細胞が転移しているか、又は発症する危険性を有する。
単一薬剤としての又は少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせたコルヒチンは、様々な悪性腫瘍及び非悪性腫瘍の治療に有用である。本明細書で使用する語句「抗腫瘍活性」は、腫瘍と直接、又は腫瘍環境の間質細胞と間接的に関連付けられるIL-1βの生成又は蓄積の速度の低下、したがって、既存の腫瘍又は治療中に生じる腫瘍の成長速度の低下、及び/又は既存の新生物(腫瘍)細胞又は新規に形成された新生物細胞の破壊、したがって、治療中の腫瘍の全体的なサイズ及び/又は転移部位の数の減少を意味することが意図される。例えば、単一薬剤としての又は少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせたコルヒチンによる療法は、生理学的応答、例えば、転移の低下を引き起し、これは、対象におけるIL-1β発現細胞に関連付けられる疾患状態の治療に関して有益である。
一実施形態では、薬剤として、単一薬剤としての又は医薬としての少なくとも1つの他の免疫調節療法剤と組み合わせたコルヒチンの使用は、癌の治療又は予防において企図されるか、又は腫瘍細胞の成長若しくは転移を阻害、低減、防止、遅延、又は最小化するため、前癌性状態又は病変に使用するために企図される。
本明細書に記載の方法によれば、単一薬剤としての又は少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせたコルヒチンを使用して、悪性ヒト細胞に関して正の治療応答を促進する。本明細書で使用される語句「正の治療応答」は、癌治療に関して、これらの結合分子、例えば、抗体又はその断片の抗腫瘍活性、及び/又は疾患に関連付けられる症状の改善に関連付けられる疾患の改善を意味することが意図される。特に、本明細書に提供される方法は、対象における腫瘍の成長及び/又は原発性腫瘍の転移の進行を阻害、防止、低減、緩和、遅延、又は軽減することを目的とする。すなわち、遠位腫瘍の増殖の予防が観察できる。そのため、例えば、疾患の改善は、場合によって、完全奏功として特徴付けられる。本明細書で使用される語句「完全奏功」は、例えば、原発腫瘍の部位での以前の異常な放射線写真研究の正規化を伴う臨床的に検出可能な転移の非存在又は骨髄における腫瘍転移の存在を意味することが意図される。あるいは、疾患の改善は、部分奏功として分類され得る。本明細書で使用される語句「部分奏功」は、全ての測定可能な転移(すなわち、原発腫瘍から離れた部位で対象に存在する腫瘍細胞の数)における少なくとも約50%の減少を意味することが意図される。あるいは、疾患の改善は、再発のない生存期間又は「進行のない生存期間」として分類され得る。本明細書で使用される語句「再発のない生存期間」は、任意の部位における腫瘍の再発までの時間を意味することが意図される。「進行のない生存期間」は、監視されている部位において腫瘍のさらなる成長が検出できる前の時間である。
転移の阻害、遅延、又は低下は、イメージング、例えば、蛍光抗体イメージング、骨走査イメージング、及び骨髄吸引(BMA)を含む腫瘍生検サンプリング、又は免疫組織化学などのスクリーニング技術を用いて評価できる。これらの正の治療応答に加えて、本明細書に記載のコルヒチンを用いる療法を受ける対象は、疾患に関連付けられる症状の改善の有益な効果を経験し得る。
臨床応答は、ELISA、RIA、及びクロマトグラフィーなどによって検出可能な変化を含むが、これらに限定されない磁気共鳴イメージング(MRI)スキャン、x線グラフィックイメージング、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、フローサイトメトリー又は蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、組織学、肉眼所見、及び血液化学などのスクリーニング技術を用いて評価できる。
一実施形態では、コルヒチンは、固定された(同じ医薬調製物内で)又は固定されない(異なる医薬調製物)組み合わせで使用される。本明細書で使用される「固定された組み合わせ」は、活性成分を同じビヒクル中に固定用量で組み合わせ(単一処方)、それらを適用点に一緒に送達する組み合わせを意味するものとして理解されるべきである。固定された組み合わせは、例えば、単一の錠剤、溶液、クリーム、カプセル、ゲル、軟膏、軟膏、パッチ、座薬又は経皮送達システムの中にあることを意味する。本明細書で使用される「固定されない組み合わせ」は、活性成分/構成要素が、2種以上のビヒクル、例えば、錠剤、溶液、クリーム、カプセル、ゲル、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、パッチ、坐剤又は経皮送達システムにあることを意味するものと理解されるべきである。ビヒクルのそれぞれは、所望の医薬組成物又は活性成分を含有してよい。
VI.医薬組成物及び投与方法
本明細書に記載のコルヒチン製剤を調製し、それを必要とする対象に投与する方法は、周知であるか、又は当業者によって容易に決定される。コルヒチン製剤の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入又は局所による。本明細書で使用される用語「非経口」は、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、又は膣投与を含む。投与のこれらの全ての形態は、本開示の範囲内にあると明確に企図されるが、投与のための形態の例は注射のための溶液、特に静脈内若しくは動脈内注射又は点滴のための溶液である。注射用の適切な医薬組成物は、緩衝剤、例えば、酢酸塩、リン酸塩又はクエン酸緩衝液、界面活性剤、例えば、ポリソルベート、必要に応じて、安定化剤、例えば、ヒトアルブミンなどを含み得る。しかしながら、本明細書の教示に適合する他の方法では、単一薬剤としての又は少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせたコルヒチンは、有害な細胞集団の部位に直接送達でき、それにより、疾患組織の治療薬への暴露を増加させることができる。
コルヒチンは、本開示の文脈において組成物として使用される時には、場合によって、1以上の医薬として許容される担体を含み、そのため、投与される組成物のために局所製剤の形態で調製される。医薬として許容される担体は、必要に応じて、生理食塩水、無菌水、リンガー液、緩衝生理食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びそれらの1種以上の混合物を含み、また必要に応じて、抗酸化剤、緩衝剤、又は静菌剤などの添加物を含む。さらに、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び滑剤が、組成物を調製する際に添加されるいくつかの実施形態において、例えば、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、皮膚乳濁液、皮膚懸濁液、パッチ、又はスプレーなどの局所製剤の形態で添加される。
本明細書に記載の化合物及び又は組成物の投与の非限定的な例は、コーティングされた錠剤及びコーティングされていない錠剤、軟質ゼラチンカプセル、硬質ゼラチンカプセル、ドロップ、トローチ、溶液、乳濁液、懸濁液、シロップ、エリキシル、再構成用の粉末及び顆粒、分散性の粉末及び顆粒、薬用ガム、咀嚼錠剤及び発泡性錠剤を含む。本発明による組成物は、経口用の任意の医薬形態で、例えば、固体、半固体、液体、皮膚用の任意の医薬形態、例えば、皮膚パッチ、舌下、非経口用の任意の医薬形態、例えば、注射、眼科用の任意の医薬形態、例えば、点眼剤、ゲル又は軟膏、又は直腸用の任意の医薬形態、例えば、坐剤投与で投与できる。一実施形態では、組成物は、錠剤、カプセル、座薬、皮膚パッチ、又は舌下製剤として製剤化される。
本明細書に記載の医薬組成物は、医薬として許容される担体、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又はプロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウムなどの電解質、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂を含む。
非経口投与用の調製物は、無菌の水性又は非水溶液、懸濁液及び乳濁液を含む。非水系溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体は、例えば、水、アルコール/生理食塩水及び緩衝媒体を含む水溶液、乳濁液又は懸濁液を含む。本発明において、医薬として許容される担体は、0.01M~0.1M、若しくは0.05Mのリン酸緩衝液、又は0.8%の生理食塩水を含むが、これらに限定されない。他の一般的な非経口ビヒクルは、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル液、又は固定油を含むが、これらに限定されない。静脈内ビヒクルは、流体及び栄養補充剤、並びにリンゲルデキストロースに基づくものなどの電解質補充剤などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び不活性ガスなどの防腐剤及び他の添加剤も存在する。
より詳細には、注射使用に適する医薬組成物は、無菌の水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌の注射溶液若しくは分散液の即時調製用の無菌粉末を含む。そのような場合、組成物は無菌でなければならず、容易な注射が可能になる程度に流動的でなければならない。本明細書に記載の組成物又は製剤は、製造及び保存の条件下で安定であるべきであり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から守られることが好ましい。担体は、いくつかの実施形態では、例えば、水、エタノール、ポリオール、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなどを含有する溶媒又は分散媒体、並びにそれらの適切な混合物である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。本明細書に開示される治療方法での使用に適する製剤は、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,第16版、1980年)に記載されている。
微生物による感染防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、及びチメロサールなどにより達成される。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムなどの多価アルコールを含めることが好ましい。吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含めることによって、注射可能な組成物の長期吸収がもたらされる。
いずれにしても、本明細書では、無菌の注射溶液が企図され、場合によって、本明細書中に列挙された成分の1種又は組み合わせを含む適切な溶媒に必要な量で活性化合物、例えば、コルヒチンを配合し、その後必要に応じて、濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、活性化合物を無菌ビヒクルに配合ことによって調製され、これは、塩基性分散媒体及び上に列挙されたものからの必要な他の成分を含有する。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、これは、活性成分の粉末と、前もって滅菌濾過されたその溶液からの任意の追加の所望の成分をもたらす。注射用調製物は、処理され、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジ又はバイアルなどの容器に充填され、当技術分野で公知の方法に従って無菌条件下で密封される。さらに、調製物は、キットの形態で包装及び販売されてもよい。このような製造物品は、関連組成物が、疾患又は障害を患っているか、又はかかりやすい対象を治療するのに有用であることを示すラベル又はパッケージ挿入物を有してよい。
非経口製剤は、いくつかの実施形態では、単一のボーラス用量、注入、又は負荷ボーラス用量であり、それに維持用量が続く。これらの組成物は、そのような実施形態では、特定の固定間隔又は可変間隔で、例えば、1日に1回、又は「必要に応じて」投与される。
本明細書で企図される特定の医薬組成物は、例えば、カプセル、錠剤、及び水性懸濁液又は溶液を含む、許容される剤形で経口投与される。特定の医薬組成物はまた、鼻エアロゾル又は吸入によって投与される。このような組成物は、ベンジルアルコール又は他の適切な保存剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、及び/又は他の従来の可溶化剤又は分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製される。
単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わされるべきコルヒチン製剤の量は、治療された宿主及び投与の特定の様式に応じて変化する。組成物は、単回用量で、複数回用量で、又は注入中の確立された時間にわたって投与される。投薬計画もまた、最適な所望の応答、例えば、治療的又は予防的応答をもたらすように調整される。
本明細書に記載の組成物は、いくつかの実施形態では、対象の体重、年齢、性別、健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、及び疾患の重篤度に応じて変化する用量範囲で投与される。薬学的組成物又は医薬組成物としてのそれらの使用における本質的な化合物として本明細書に記載の化合物は、適切な用量で対象に投与される。投薬計画は、様々な臨床要因に基づき主治医により決定される。医療分野でよく知られているように、任意の1人の対象に対する投与量は、対象の大きさ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、時間、及び投与経路、一般的な健康、及び他の同時投与された薬物を含む、多くの要因に依存する。一般に、本明細書に定義される組成物を含む医薬組成物の定期的投与としての投与計画は、例えば、以下に記載される範囲であるべきである。進行が次いで、定期的評価によって監視される。
本明細書に記載の組成物は、いくつかの実施形態では、所望であれば、単回用量で、又は2、3、4、5、6、7、8、9又は10用量で投与される。組成物は、1日当たり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回投与される。一実施形態では、本明細書に記載のコルヒチンは1日に1回投与される。別の実施形態では、コルヒチンは単回用量として1日1回投与される。
本明細書に記載の組成物は、いくつかの実施形態では、長期間にわたって定期的に投与される。一実施形態では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間、又はそれを超えて定期的に投与できる。別の実施形態では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間、又はそれを超えて定期的に投与できる。他の実施形態では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週間又はそれを超えて定期的に投与できる。本明細書で使用される用語「定期的」は、一定の時間にわたる、一定の時間又は間隔での組成物の投与を指す。例えば、組成物は、いくつかの実施形態では、3年間、1日1回対象に投与される。他の実施形態では、組成物は、5年間、1日おきに対象に1回投与される。投与頻度は、疾患の重篤度、対象の全体的な健康、対象者が摂取している任意の追加の薬剤、及び治療が予防的であるか否かが意図されるかどうかを含むが、これらに限定されないいくつかの要因に基づいて変化することを理解すべきである。開示される組成物の投与頻度は、治療計画中の任意の時点で調節され得ることも理解されるべきである。
本発明による組成物の量/濃度/用量は、0.1mg~5.0mg、0.1mg~2.0mg、0.1mg~1.5mg、0.1mg~1.0mg、0.1mg~0.75mg、0.1mg~0.5mg、0.25mg~5.0mg、0.25mg~2.0mg、0.25mg~1.5mg、0.25mg~1.0mg、0.25mg~0.75mg又は0.25mg~0.5mgであり得る。一実施形態では、組成物は、約0.1mg~約0.75mg又は約0.1mg~約0.5mgのコルヒチンの1日用量で投与される。別の実施形態では、組成物は、約0.25mg~約0.75mg又は約0.25mg~約0.5mgのコルヒチンの1日用量で投与される。一実施形態では、組成物は、約0.5mgコルヒチンの1日用量で投与される。
一実施形態では、本明細書で使用されるコルヒチンの量/濃度は、投与の続きの日(複数可)のコルヒチンの投与(維持投与/投与の維持用量)と比較してより高い用量(濃度/量)で投与の最初の日に投与される。他の実施形態では、そのような減少された用量(維持用量)は、より高い用量の初期投与の2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日後に開始される。治療の経過が上記のとおりである場合、例えば、投与の最初の日のより高い用量/量/濃度のコルヒチンは上記のいずれかであるが、但し、維持用量(より高い用量/量/濃度の後の日のコルヒチンの用量/量/濃度)は、例えば、投与の最初の日のコルヒチンの初期用量/量/濃度よりも低い。一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、最初の日に、例えば、単回用量として約1.0mg~約2.0mgのコルヒチンの用量で投与され、投与の後の日(複数可)のコルヒチンの維持用量は、約0.5mg~約1.0mgである。
本明細書に記載のコルヒチン製剤は、様々な実施形態では、治療効果をもたらすのに十分な量で上記の治療方法に従って対象に投与される。コルヒチン製剤は、本明細書に記載のコルヒチン製剤を、公知の技術に従って従来の医薬として許容される担体又は希釈剤と組み合わせることにより調製される従来の剤形で投与される。当業者は、医薬として許容される担体又は希釈剤の形態及び特性が、それが組み合わされるべき有効成分の量、投与経路及び他の周知の変数によって決定されることを認識する。
本明細書で使用される語句「治療有効用量又は治療有効量」又は「有効量」は、投与されると、治療される疾患を有する対象の治療に関して正の治療応答をもたらすコルヒチン製剤の量を意味すると意図され、例えば、疾患の改善は、例えば、疾患若しくは病態の臨床症状の遅延発症、疾患若しくは病態のいくつか又は全ての臨床症状の重症度の低下、疾患若しくは病態のより遅い進行、対象の全体的な健康若しくは幸福の改善、又は特定の疾患に特異的な、当技術分野で周知の他のパラメータによって証明できる。
転移の阻害、遅延、又は低下のための開示される組成物の治療有効用量は、投与手段、標的部位、対象の生理的状態、対象がヒトなのか又は動物なのか、投与される他の薬剤、及び治療が予防的か又は治療的であるかを含む、多くの異なる要因に依存して変化する。特定の実施形態では、対象はヒトであるが、トランスジェニック哺乳類を含む非ヒト哺乳類も治療できる。治療投薬量は、安全性及び有効性を最適化するために、当業者に公知の日常的な方法を用いて滴定され得る。
単一薬剤として又は少なくとも1種の他の免疫調節療法と組み合わせて投与されるコルヒチンの量は、本開示に対して過度の実験を行うことなく、当業者によって容易に決定される。投与の様式及び単一薬剤として投与されるか又は少なくとも1種の他の免疫調節療法と組み合わせて投与されるコルヒチンのそれぞれの量に影響を与える要因は、疾患の重症度、疾患の病歴、転移の可能性、及び治療を受ける個人の年齢、身長、体重、健康、及び身体状態を含むが、これらに限定されない。同様に、単一薬剤として又は少なくとも1種の他の免疫調節療法と組み合わせて投与されるコルヒチンの量は、投与の様式及び対象がこの薬剤を単回用量で投与されるか又は複数回用量で投与されるかに依存する。
本明細書に開示及び企図されるのは、癌を有する対象を治療するための医薬の製造における本明細書に記載のコルヒチン製剤の使用であり、医薬は、必要に応じて事前治療されているか、又は少なくとも1つの他の療法で同時に治療されている対象において使用される。本明細書で使用される用語「事前治療される」又は「事前治療」は、対象がコルヒチン製剤を含む医薬を投与される前に、1以上の他の両方を受けたことを意味すると意図される。「事前治療される」又は「事前治療」は、コルヒチン製剤を含む医薬による治療開始前の2年以内、18ヶ月以内、1年以内、6ヶ月以内、2ヶ月以内、6週間以内、1ヶ月以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内に、6日以内に、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、又はさらに1日以内に、少なくとも1つの他の療法で治療された対象を含む。本明細書で使用される用語「同時」又は「付随する」は、対象が、コルヒチン製剤を含む医薬を投与されるのと同時に、対象が1以上の他の療法を受けていることを意味すると意図される。対象が、以前の療法若しくは複数の療法での事前治療に対する応答者であったか、又は同時の療法若しくは複数の療法に対する応答者であったことは、必ずしも必要ではない。そのため、コルヒチン製剤を含む医薬を投与される対象は、以前の療法による事前治療に、又は事前治療が複数の療法を含んだ以前の療法の1以上に応答したか、又は応答できなかった可能性がある。単一薬剤として又は少なくとも1つの他の免疫調節療法と組み合わせてコルヒチンを含む医薬を投与される前に対象が事前治療を受けていてよい他の癌療法の例は、手術、放射線療法、必要に応じて自己の骨髄移植と組み合わせた化学療法を含むが、これらに限定されず、ここで適切な化学療法剤は、本明細書上記のもの、他の抗癌性モノクローナル抗体療法;本明細書上記の小分子を含むが、これに限定されない小分子ベースの癌療法、ワクチン/免疫療法ベースの癌療法、ステロイド療法、他の癌療法、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
上記で引用された参考文献の全て、及び本明細書で引用された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で提供される組成物、製剤、方法、及び使用は、上で詳細に図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は、事例的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。以下の特許請求の範囲及び趣旨の範囲内で当業者によって変更及び修正がなされ得ることを理解されたい。特に、本開示は、上記及び下記の異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有するさらなる実施形態を包含することが意図及び企図される。
組成物、製剤、方法、及び使用は、これらの要素及びそれらの多くの利点のより良好な理解を提供する、以下の例示的な非限定的実施例によって本明細書でさらに説明される。以下の実施例で開示される技術は、本明細書に開示される概念の実施において十分に機能する技術を代表するものであり、そのため、それらの実施のための様々な様式を構成すると考えられることは当業者なら理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本明細書に記載の組成物、製剤、方法、及び使用の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態には多くの変更を行うことができ、なお、同様又は類似の結果が得られることを理解すべきである。
実施例
実施例1:コルヒチン徐放性錠剤
この実施例はコルヒチン徐放性錠剤を解説する。錠剤は、以下の表1に示す成分及び濃度を使用する。
Figure 2022514997000003
濃度は、製剤の特定の性質、例えば、溶解プロファイルを変えるために変更してよい。表2は、各成分の範囲を示す。
Figure 2022514997000004
実施例2:コルヒチン徐放性錠剤の作製方法
上記成分を利用して、以下の作業指示に合わせて錠剤を作製する。
造粒:造粒をKenwoodミキサーで行った。コルヒチン及びHPMC6mPa・sを最初に秤量し、別々に精製水に溶解した。このHPMC6mPa・sの溶液を、ラクトースを含有するミキサーに1.5分以内に満たし、続いて3分間混合した。その後、溶解したコルヒチンに、15分かけて連続的に混合しながら充填剤、例えば、ラクトース一水和物を噴霧した。これらの工程を室温で行った。次いで、湿潤顆粒を1.0mmハンド篩に通した。それを次いで、オーブン(Haeraeus Group,Hanau、Germany)中で、45℃で26時間、0.53%の残留水分含量に乾燥させ、0.8mm篩シェーカー(Erweka AR400)を通過させた。密度パラメータを試験した(Engelmann)。嵩密度0.53g/ml、圧縮嵩密度0.67g/ml、Hausner比:1.26、レオロジー:流量時間:4秒;傾斜角:23.8°。
ブレンド:造粒プロセスに続いて、錠剤圧縮プロセスを支持するために、顆粒を充填剤、例えば、ラクトース一水和物、遅延剤、例えば、RETALAC(登録商標)、及び他の賦形剤、例えば、流量増強剤、流動促進剤、及び/又は滑剤と配合する。この目的のために、これらの成分を、0.8mm篩を介して手動で配置し、キューブミキサー(Erweka GmbH、Heusenstamm、Germany)中で顆粒と10分間混合した。一実施形態では、使用される流動促進剤はタルクであってよい。別の実施形態では、使用される滑剤はステアリン酸であってよい。次に、適切なミキサーを用いて顆粒をブレンドする。
錠剤の圧縮:錠剤を成形するために、圧縮力が必要である。機械的な力は、錠剤の物理的性質、特に得られる錠剤の粉砕強度を定める。機械的強度は、錠剤の初期膨潤及び錠剤コアの希釈速度と相互作用する。この効果は、当技術分野で周知であり、生成物のライフサイクル中に調整及び制御できる。
打錠を、直径が6mmで、両凸の、丸型打錠具を備えるKorsch(EK0)錠剤プレスで行った。平均錠剤硬度は、およそ100N+/-15Nであった。錠剤の質量は約100mgと測定され、粉砕性は測定できなかった。破壊強度及び硬度を、Erweka Multickeckを用いて測定した。粉砕性を、Erweka Friabilator及びMettler分析バランスを用いて測定した。寸法を、Mitutoyoキャリパを用いて測定した。
実施例3:徐放性コルヒチン製剤の溶解プロファイルの測定
コルヒチンの徐放性製剤の溶解を、様々な時点で測定した。組成物を37℃で500mlの水に溶解し、6時間にわたって連続的に攪拌した。試料をいくつかの時点で採取して、親水性マトリックスシステム内の薬物物質の溶解プロセスの動力学を研究した。試料中のコルヒチン含有量を、HPLC分析を用いて分析した。
いくつかのバッチを試験して、徐放性製剤の最適な溶解プロファイルを決定した。放出は、HPMCの濃度の両方によって、又はHPMCの異なる粘度等級、例えば、1000mPa・s又は10000mPa・sを用いることによって変更できる。下の試験したバッチでは、粘度等級は一定のままであったが、錠剤中のHPMC4000mPa・sの濃度を変更した。
以下の表3は試験した様々な組成物をまとめる。
Figure 2022514997000005
Figure 2022514997000006
様々なバッチの溶解プロファイルを、表4~6及び図1~4に提供する。特に、バッチ1~3の溶解プロファイルを表4及び図1にまとめる。バッチ1のプロファイルは、約30分以内におよそ92%の放出を示し、続いて一定の放出を示す。完全な溶解は2時間後に起きた。バッチ2は、約30分以内におよそ83%の放出を示し、続いて一定の放出を示す。完全な溶解は2時間後に起きた。バッチ3は、約30分以内におよそ74%の放出を示し、続いて一定の放出を示す。完全な溶解は2時間後に起きた。
Figure 2022514997000007
バッチ4の溶解プロファイルを、表5及び図2にまとめる。バッチ4Aは、約30分以内におよそ30%の放出を示し、続いて一定の放出を示す。完全な溶解は6時間後に起きた。バッチ4Bは、約30分以内におよそ23%の放出を示し、続いて一定の放出を示す。完全な溶解は6時間以内に起きた。この例では、錠剤硬度の差は、放出速度の差をもたらす。図3は、バッチ1~4の溶解プロファイルを示す。
Figure 2022514997000008
バッチ5の溶解プロファイルを、表6及び図4にまとめる。バッチ5は、組成物の即時放出型を表す。バッチ5のプロファイルは、約5分以内に90%の放出を示す。完全な溶解は2時間以内に起きた。
Figure 2022514997000009
下の表7は、別のバッチ、試験したバッチ6をまとめたものである。
Figure 2022514997000010
バッチ6の溶解プロファイルを、表7及び図5Aにまとめる。バッチ6は、組成物の徐放型を表す。図5Aのバッチ6のプロファイルは、30分以内に約45%の放出、60分で約65%の放出、及び90分で約80%の放出を示す。完全な溶解は約2時間以内に起こる。
バッチ4を、組成物中の遅延剤(すなわち、RETALAC(登録商標))の濃度を変更することによってさらに改変した(RETALAC(登録商標)0%、23.3%、26.6%又は30%)。4種の組成物の溶解プロファイルを図6に示す。図6に示すように、23.3%のRETALAC(登録商標)を有する組成物は、30分以内に約65%の放出、60分で約80%の放出、及び90分で約90%の放出を示す。完全な溶解は約120分以内に起こる。図6にさらに示すように、26.6%のRETALAC(登録商標)を有する組成物は、30分以内に約55%の放出、60分で約75%の放出、及び90分で約85%の放出を示す。完全な溶解は約180分以内に起こる。図6にさらに示すように、30%のRETALAC(登録商標)を有する組成物は、30分以内に約40%の放出、60分で約55%の放出、及び90分で約70%の放出を示す。完全な溶解は約180分超で起こる。図6にさらに示すように、0%のRETALAC(登録商標)を有する組成物、すなわち、即時放出組成物は、約15分以内に完全溶解を示す。図7A、図7B、図7C、図D、及び図8は、図6によるコルヒチン製剤の時間の関数(時)として血漿コルヒチンレベル(ng/mL)を示す。
前述したように、徐放性組成物の放出プロファイルは、遅延剤の量、すなわち、RETALAC(登録商標)、及び錠剤硬度を調節することによって、特定の又は所望の目標放出に変えることができる。放出は、コルヒチンの外層の侵食、すなわち、即時放出部分、及びコルヒチンの内層の拡散、すなわち、徐放性部分を含む様々な要因に依存する。コルヒチンのパーセンテージは徐放性製剤において低くかつ錠剤が小さいので、侵食と拡散の間のこのバランスは非常に敏感であり、非常に特異的な溶解プロファイルに達するように微調整されなければならない。
実施例4:癌を有する対象におけるコルヒチンの治療効果
癌を有する対象又は癌の危険性が増加した対象における徐放性製剤の治療効果を評価するために、前向き無作為化観察者盲検エンドポイント治験を行って、標準的な抗癌療法への0.5mg/日のコルヒチンの添加が、癌対象における腫瘍成長又は転移を阻害、遅延、又は低減するか否かを決定した。
癌を有するか又は癌の危険性のある十分な量の対象を、長期間の低用量徐放性コルヒチン又は標準的な治療のみに無作為化する。癌の発症、罹患率及び死亡率を定期的な間隔で分析する。コルヒチン群の対象はコルヒチンで治療されない対象よりも著しく低い癌発症率及び死亡率を有する。
実施例5:動物におけるコルヒチンの抗腫瘍効果
適切な動物種の十分な量の検体を、一般的に使用される腫瘍モデルを利用するこの研究に含める。治療有効量のコルヒチンを、試験動物に投与する。プラセボを対照群に投与する。腫瘍成長を、全ての動物において誘導する。コルヒチンで処置された動物において、腫瘍成長は、対照群と比較して防止及び/又は低減される。
実施例6:インビトロでのコルヒチンの抗腫瘍効果
薬物の抗腫瘍効果を研究するのに適するインビトロモデルを、この試験のために利用する。このような試験は、培養したPBMCと組み合わせて又は組み合わせないで、共通に使用される腫瘍細胞株を含んでよい。コルヒチンは、治療有効量のコルヒチンとのインキュベーション及び/又は治療有効量のコルヒチンで事前処理したPBMCとの培養時に、腫瘍細胞株の成長を阻害又は低減する。
本明細書に記載の実施形態の多くの変更及び他の実施形態は、これらの実施形態が、前述の説明及び関連する図面に提示される教示の利益を有することに関することを当業者なら想起する。したがって、現在開示されている特徴は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲及び本明細書に開示される実施形態のリストの範囲内に含まれることが意図されることを理解すべきである。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは、一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定のためのものではない。

Claims (22)

  1. 癌と診断されたか若しくは癌に罹患している対象において腫瘍の成長若しくは転移又は腫瘍の成長と転移の両方を阻害する、遅延する、又は低減するための方法であって、最大0.60mgのコルヒチンを含む徐放性製剤の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
  2. コルヒチンが、抗腫瘍応答を誘導する、請求項1に記載の方法。
  3. コルヒチンが、IL-1β介在シグナル伝達を阻害する、請求項1に記載の方法。
  4. コルヒチンが、炎症活性化を阻害する、請求項1に記載の方法。
  5. コルヒチンが、TNF-α及びIL-10の放出を阻害する、請求項1に記載の方法。
  6. 転移の阻害、遅延、又は低下が、原発性腫瘍成長の阻害、遅延、又は低下とは独立して起こる、請求項1に記載の方法。
  7. コルヒチンが、約0.25mg~約1.0mgの量で含まれる、請求項1に記載の方法。
  8. コルヒチンが、0.55mgの量で含まれる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記癌が、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、胃癌、膵臓癌、神経内分泌癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、脳癌、肝癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、食道癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌の1種以上である、請求項1に記載の方法。
  10. 癌を有すると診断されたか若しくは癌に罹患している対象において腫瘍の成長若しくは転移又は腫瘍の成長と転移の両方を阻害する、遅延する、又は低減するための方法であって、最大0.60mgのコルヒチンを含む徐放性製剤の、有効量及び少なくとも1つの他の免疫調節療法剤の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
  11. コルヒチンが、抗腫瘍応答を誘導する、請求項10に記載の方法。
  12. コルヒチンが、IL-1β介在シグナル伝達を阻害する、請求項10に記載の方法。
  13. コルヒチンが、TNF-α及びIL-10の放出を阻害する、請求項10に記載の方法。
  14. コルヒチンが、炎症活性化を阻害する、請求項10に記載の方法。
  15. 前記転移の阻害、遅延、又は低下が、原発性腫瘍成長の阻害、遅延、又は低下とは独立して起こる、請求項10に記載の方法。
  16. コルヒチンが、約0.25mg~約1.0mgの量で含まれる、請求項10に記載の方法。
  17. コルヒチンが、0.55mgの量で含まれる、請求項10に記載の方法。
  18. 前記癌が、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、胃癌、膵臓癌、神経内分泌癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、脳癌、肝癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、食道癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌の1種以上である、請求項10に記載の方法。
  19. 前記免疫調節剤が、インターロイキン、サイトカイン、ケモカイン、及び免疫チェックポイント遮断のアンタゴニストの1以上である、請求項10に記載の方法。
  20. 前記免疫調節療法が、癌療法である、請求項10に記載の方法。
  21. 前記癌療法が、外科手術又は外科的処置、放射線療法、及び化学療法の1以上である、請求項20に記載の方法。
  22. コルヒチン及び免疫調節剤又は免疫調節療法剤が、別々に又は同時に投与される、請求項10~21のいずれか一項に記載の方法。
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