JP2022512692A - 泌尿生殖器の酵母感染症および細菌感染症の治療に適したプロバイオティクスなラクトバチルス・クリスパタス株 - Google Patents

泌尿生殖器の酵母感染症および細菌感染症の治療に適したプロバイオティクスなラクトバチルス・クリスパタス株 Download PDF

Info

Publication number
JP2022512692A
JP2022512692A JP2021520314A JP2021520314A JP2022512692A JP 2022512692 A JP2022512692 A JP 2022512692A JP 2021520314 A JP2021520314 A JP 2021520314A JP 2021520314 A JP2021520314 A JP 2021520314A JP 2022512692 A JP2022512692 A JP 2022512692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dsm
lactobacillus
strains
strain
variant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021520314A
Other languages
English (en)
Inventor
マンダー、レート
ハット、ピリヤ
シュミット、インビ
シュトシェペトヴァ、エレーナ
ラップ、エレリ
ロストック、マリヘリーン
ソエルヌーク、ゲルトゥ
ロープ、ティウ
ホイドメッツ、ダグマー
タム、ハルディ
コルク、マリット
ピースコップ、サンダー
タミステ、トリーン
コート、カイリ
サルメッツ、アンドレス
Original Assignee
テルヴィセテーノローギアーテ アレンドゥスケスクス エーエス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by テルヴィセテーノローギアーテ アレンドゥスケスクス エーエス filed Critical テルヴィセテーノローギアーテ アレンドゥスケスクス エーエス
Publication of JP2022512692A publication Critical patent/JP2022512692A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/66Microorganisms or materials therefrom
    • A61K35/74Bacteria
    • A61K35/741Probiotics
    • A61K35/744Lactic acid bacteria, e.g. enterococci, pediococci, lactococci, streptococci or leuconostocs
    • A61K35/747Lactobacilli, e.g. L. acidophilus or L. brevis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L15/00Chemical aspects of, or use of materials for, bandages, dressings or absorbent pads
    • A61L15/16Bandages, dressings or absorbent pads for physiological fluids such as urine or blood, e.g. sanitary towels, tampons
    • A61L15/36Bandages, dressings or absorbent pads for physiological fluids such as urine or blood, e.g. sanitary towels, tampons containing microorganisms
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives
    • A61P15/02Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives for disorders of the vagina
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/20Bacteria; Culture media therefor
    • C12N1/205Bacterial isolates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12RINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES C12C - C12Q, RELATING TO MICROORGANISMS
    • C12R2001/00Microorganisms ; Processes using microorganisms
    • C12R2001/01Bacteria or Actinomycetales ; using bacteria or Actinomycetales
    • C12R2001/225Lactobacillus
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Abstract

本発明は、アクセッション番号DSM 32717、DSM 32715、DSM 32716、DSM 32718、DSM 32719、もしくはDSM 32720で寄託されているラクトバチルス・クリスパタス株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらのいずれかの変異体もしくはバリアント、前記寄託菌株から選択された少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、もしくは6種の異なるラクトバチルス・クリスパタス株を含むか、本質的にこれらからなるか、またはちょうどこれらからなる組成物、前記菌株を含む衛生製品、ならびに、このような菌株および組成物の療法における使用を提供する。

Description

本発明は、新規な菌株および細菌コンソーシア、ならびに、栄養用途および/または治療用途のためのプロバイオティクスとしてのこれらの使用に関する。
膣炎は、痒み、不快感、帯下を含む様々な症状を引き起こし得る膣の炎症である。さらに、膣炎は、性感染症を助長する可能性があり、また、生殖障害に関与する場合もある。帯下は、婦人科を受診する最も一般的な理由の一つである。帯下の主な原因は、細菌性膣症(BV)および外陰膣カンジダ症(VVC)であり、より一般的には膣炎である。細菌性膣症(BV)は、膣内微生物叢のバランスの乱れである。臨床的には、BVは、無症状の場合もあるが、多くの場合、pHの上昇、帯下の希薄化、魚臭、細菌に覆われた膣上皮細胞の存在を伴う。BVの検査室診断におけるゴールドスタンダードは、Nugentスコアリング法であり、スコアが高いほど、BVである可能性が高い。
VVCは、通常、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)またはその他のカンジダ属の酵母によって引き起こされる。BVおよびVVCは、一般の人々に広く蔓延しており、慢性および/または再発性であり、種々の合併症や生活の質の低下を伴う。抗菌薬による治療が主流であるが、必ずしも有効ではなく、また、細菌および酵母の耐性や副作用のため、依然として問題が残っている。そのため、これに代わる治療は、患者およびその医療提供者にとって有益である。
さらに、反復性の尿路感染症(UTI)は、女性が生涯にわたって悩まされる共通の臨床問題であり、その大多数が大腸菌によって引き起こされる。膣内微生物叢の状態は、UTIの病態形成において重要な役割を果たしている。膣内微生物叢の変化はUTIのリスクに関連しており、UTIの治療に関連する膣内微生物叢への作用が、治療の成果に影響を与え得る。
このような症状を治療する目的でのプロバイオティクスの利用可能性が関心を集めている。しかしながら、プロバイオティクスがその効果を発揮するためには、製造工程、包装、および保存条件下で生存しなければならない。さらに、経口投与が望まれる場合、健康に良い影響を与えるには、プロバイオティクスは生きて消化管を通過しなければならない。
BVやVVC等の病態に対する新たな治療法が求められている。
本発明者らは、膣内微生物叢に有益な効果をもたらすラクトバチルス・クリスパタスの新規菌株を同定すると共に、これらの特徴を明らかにした。前記菌株は、出願人により、2017年12月14日にライプニッツ研究所DSMZ・ドイツ微生物細胞培養コレクション(Inhoffenstrasse 7 B, D-38124 Braunschweig, Germany)に寄託されたものであり、下記のアクセッション番号が付与されている:DSM 32715(内部指定番号EST6)、DSM 32716(内部指定番号EST1)、DSM 32717(内部指定番号EST2)、DSM 32718(内部指定番号EST3)、DSM 32719(内部指定番号EST4)、DSM 32720(内部指定番号EST5)。
これらの菌株は、健康な女性の膣管から単離したものであり、このことは、これらの菌株がGRAS(generally recognized as safe:一般に安全と認められる)ステータスを有するとみなし得る、すなわち、経口および/または膣内での摂取/投与に適していることを示している。
これらの菌株の特徴を実施例に示し、以下に要約する。前記菌株は、以下から選択される特徴を有していてもよく、例えば、これらの特徴のほとんどまたは全てを有していてもよい:
(a)乳酸を産生する能力;
(b)H22を産生する能力;
(c)D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノース、D-マルトース、D-ラクトース、およびD-サッカロースを代謝する能力
(d)グリセロール、エリスリトール、D-アラビノース、L-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-アドニトール、メチル-βD-キシロピラノシド、L-ソルボース、L-ラムノース、ズルシトール、イノシトール、D-ソルビトール、メチル-αD-マンノピラノシド、アミグダリン、アルブチン、エスクリンクエン酸第二鉄(esculin ferric citrate)、D-セロビオース、D-メリビオース、D-トレハロース、イヌリン、D-メレジトース、D-ラフィノース、キシリトール、ゲンチオビオース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、D-フコース、L-フコース、D-アラビトール、L-アラビトール、グルコン酸カリウム、2-ケトグルコン酸カリウム(potassium 2-ketogluconate)、および5-ケトグルコン酸カリウム(potassium 5-ketogluconate)を代謝できない;
(e)アンピシリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、ニトロフラントイン、テトラサイクリン、およびバンコマイシンに対する感受性;
(f)伝達性の抗生物質耐性を持たない;
(g)有意な溶血活性を持たない;
(h)有意な自己凝集をほとんど、または全く示さない;
(i)細胞付着特性を有し、特にHeLa細胞に付着する能力を有する;
(j)尿路病原性細菌、特に、大腸菌(E. coli)ATCC 700414、大腸菌ATCC 700336、および/または細菌性膣症の女性から単離された大腸菌株(大腸菌RTN 038、大腸菌RTN 047、および/または大腸菌RTN 100等)に対してアンタゴニスト活性を有する;
(k)カンジダ属菌種、特に、カンジダ・アルビカンスATCC 32032、カンジダ・アルビカンスRTN 071、および/またはカンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)RTN 009に対してアンタゴニスト活性を有する;
(l)ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、特に、ガードネレラ・バギナリスATCC 14018(DSM 4944)に対してアンタゴニスト活性を有する;および/または
(m)プロバイオティクス活性に関連するタンパク質、例えば、表8に示される1つ以上のタンパク質、特に、バクテリオシンおよび/またはバクテリオシントランスポーターを発現する能力を有する。
これらの能力を決定する方法は、当技術分野において公知であり、実施例に記載されている。
よって、一態様では、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株が提供される。前記識別特徴は、上記(a)~(m)の特徴である。前記菌株は、これらの特徴の少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または全てを有していることが好ましい。
本ラクトバチルス・クリスパタス株は、少なくとも(f)および(g)の特徴を有していることが好ましい。本ラクトバチルス・クリスパタス株は、少なくとも(f)、(g)の特徴と、(j)、(k)および(l)の特徴の1以上とを有していることが好ましい。本ラクトバチルス・クリスパタス株は、さらに特徴(i)を有することが好ましい。よって、本ラクトバチルス・クリスパタス株は、少なくとも(f)、(g)および(i)の特徴と、(j)、(k)および(l)の特徴の1以上とを有していることが好ましい。
このような菌株の変異体(mutant)またはバリアント(variant)も提供される。変異体またはバリアントは、先に列挙した野生型株の特徴(a)から(m)の一部、ほとんど、または全てを少なくとも実質的に保持すべきであり、例えば、これらの特徴の少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または全てを少なくとも実質的に有するべきである。よって、変異体またはバリアントは、例えば、当該変異体またはバリアントを特徴付けるために具体的に記載された特質のみにおいて、野生型株と相違してもよい。
例えば、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株の変異体またはバリアントであって、組換え遺伝子またはベクターを含むことを特徴とする変異体またはバリアントが提供される。
組換え遺伝子またはベクターは、例えば、細菌のプロバイオティクス効果を高め得るタンパク質をコードしてもよい。例えば、バクテリオシン、バクテリオシントランスポーター、付着および/もしくは凝集に関与するタンパク質である溶解素、またはこれらの任意の組合せをコードしてもよい。
本明細書中で「本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株」または単に「本明細書で提供される菌株」と記載されている場合には、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、もしくはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、または上記で定義したその変異体もしくはバリアントが包含されるものと解釈されるべきであり、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株が包含されるものと解釈されることが好ましい。
本発明のラクトバチルス・クリスパタス株は、アクセッション番号DSM 32715で寄託されている菌株の識別特徴を有することが好ましい。本発明のラクトバチルス・クリスパタス株は、アクセッション番号DSM 32716で寄託されている菌株の識別特徴を有することが好ましい。本発明のラクトバチルス・クリスパタス株は、アクセッション番号DSM 32717で寄託されている菌株の識別特徴を有することが好ましい。本発明のラクトバチルス・クリスパタス株は、アクセッション番号DSM 32718で寄託されている菌株の識別特徴を有することが好ましい。本発明のラクトバチルス・クリスパタス株は、アクセッション番号DSM 32719で寄託されている菌株の識別特徴を有することが好ましい。本発明のラクトバチルス・クリスパタス株は、アクセッション番号DSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有することが最も好ましい。
明細書全体を通して、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株について言及している。アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されている菌株のこのような特徴を有する好ましい菌株は、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されている菌株そのものである。
したがって、本発明の菌株としては、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されている菌株が好ましい。最も好ましい菌株は、アクセッション番号DSM 32720で寄託されている菌株である。
本明細書で提供される各ラクトバチルス・クリスパタス株は、「生物学的に純粋」な菌株であってもよい。また、本明細書で提供される菌株のうちのちょうど、または少なくとも1種以上の生物学的に純粋な培養物も提供される。「生物学的に純粋」とは、指定された菌株以外の他の微生物菌株が全く存在しないか、または実質的に存在しないことを意味する。
本明細書で提供される菌株は、「単離された」もの、すなわち、これらが存在する自然環境から取り出されたものと考えることができる。
本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株は、液状、凍結状、乾燥状(例えば、噴霧乾燥させたもの)、またはフリーズドライ(凍結乾燥)状の培養物であってもよい。実施例は、フリーズドライ状のものが貯蔵寿命に優れ、-20℃で1年間保存しても、生存率が実質的に変化しないことを示している。よって、フリーズドライ状、例えば、凍結乾燥粉末が、特に有益である。
さらに、プロバイオティクス細菌の混合物または組合せを含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物も提供される。特に、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、および/またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を備えるラクトバチルス・クリスパタス株から選択された少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、もしくは6種の異なるラクトバチルス・クリスパタス株を含むか、本質的にこれらからなるか、またはちょうどこれらからなる組成物が提供される。
前記組成物は、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、および/またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を備えるラクトバチルス・クリスパタス株から選択された、少なくとも、もしくはちょうど2種、または少なくとも、もしくはちょうど3種の異なるラクトバチルス・クリスパタス株を含むことが好ましい。
DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、およびDSM 32720の各菌株は、実施例において、膣内微生物叢との関係において有利な特性を有すること、および/または膣内微生物叢に影響を与えることが実証されている。これらの菌株の任意の組合せが、本発明に包含される。
本発明の組成物は、以下の菌株の組合せの1つを含むことが好ましい。
Figure 2022512692000001
本発明の組成物は、以下の菌株の組合せの1つを含むことが好ましい。
Figure 2022512692000002
本発明の組成物は、以下の菌株の組合せの1つを含むことが好ましい。
Figure 2022512692000003
本発明の組成物は、以下の菌株の組合せの1つを含むことが好ましい。
Figure 2022512692000004
本組成物は、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、およびDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらの変異体もしくはバリアント(組合せ#57)を含むことが好ましい。
特に、本組成物は、少なくともアクセッション番号DSM 32717、DSM 32718、もしくはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらのうちのいずれか2種もしくは全3種の組合せを含むか、これらからなる組成物であってもよい。
あるいは、本組成物は、組合せ#10、#12、および#14からなる群から選択された、菌株の組合せを含むことが好ましい。本組成物は、好ましくは、組合せ#20、#22、#24、#26、#28、#30、#32、#33、#34、および#35からなる群から選択された、菌株の組合せを含んでもよい。組合せ#33が特に好ましい。本組成物は、好ましくは、組合せ#36、#38、#40、#42、#43、#44、#45、#46、#47、#48、#49、および#50からなる群から選択された、菌株の組合せを含んでもよい。組合せ#43、#47および#50からなる群から選択された組合せが好ましい。本組成物は、好ましくは、組合せ#51、#52、#53、#54、#55、および#56からなる群から選択された、菌株の組合せを含んでもよい。組合せ#52、#55、および#56からなる群から選択された組合せが好ましい。
本組成物は、アクセッション番号DSM 32717およびDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらの変異体もしくはバリアント(組合せ#12)を含むことが特に好ましい。本組成物は、組合せ#22、#28、#33、および#34からなる群から選択された、菌株の組合せを含むことが好ましい。組合せ#33が特に好ましい。本組成物は、組合せ#38、#43、#44、#47、#48、および#50からなる群、より好ましくは#43、#47および#50からなる群から選択された、菌株の組合せを含むことが好ましい。本組成物は、組合せ#52、#53、#55、および#56からなる群、より好ましくは#52、#55、および#56からなる群から選択された、菌株の組合せを含むことが好ましい。これらの組成物(すなわち、アクセッション番号DSM 32717およびDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらの変異体もしくはバリアントを含む組成物)は、本発明の治療方法、特に、細菌性膣症の治療に好ましく使用される。
本組成物は、アクセッション番号DSM 32718およびDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらの変異体もしくはバリアント(組合せ#14)を含むことが特に好ましい。本組成物は、組合せ#24、#30、#33、および#35からなる群から選択された、菌株の組合せを含むことが好ましい。組合せ#30が特に好ましい。本組成物は、組合せ#40、#43、#45、#47、#49、および#50からなる群、より好ましくは#40、#47、および#49からなる群から選択された、菌株の組合せを含むことが好ましい。本組成物は、組合せ#52、#54、#55、および#56からなる群、より好ましくは#52、#54、および#56からなる群から選択された、菌株の組合せを含むことが好ましい。これらの組成物、すなわち、アクセッション番号DSM 32718およびDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらの変異体もしくはバリアントを含む組成物、特に、アクセッション番号DSM 32716、DSM 32718、およびDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらの変異体もしくはバリアントを含む組成物は、本発明の治療方法、特に、外陰膣カンジダ症の治療に好ましく使用される。
あるいは、本組成物は、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32717、および/またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株から選択された少なくとも2種もしくは3種の異なるラクトバチルス・クリスパタス株を含むか、またはちょうどこれらからなる組成物であってもよい。
あるいは、本組成物は、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、および/またはDSM 32719で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株から選択された、ちょうど、または少なくとも2種もしくは3種の異なるラクトバチルス・クリスパタス株を含むか、またはこれらからなる組成物であってもよい。
本発明の組成物は、上記の菌株の組合せのいずれか1つを含むことが好ましい。本組成物中に含まれるラクトバチルス・クリスパタス株は、上記の組合せの1つを構成するラクトバチルス・クリスパタス株からなること、すなわち、別のラクトバチルス・クリスパタス株をさらに含まないことが好ましい。
本組成物は、1種以上のさらに別の(異なる)プロバイオティクス細菌の菌株をさらに含んでいてもよく、これらの菌株は、例えば、以下から選択されてもよい:
(i)上記で定義したラクトバチルス・クリスパタスの変異体および/またはバリアント;
(ii)異なるラクトバチルス・クリスパタス株;および/または
(iii)その他のプロバイオティクス細菌。
本明細書中で使用される「プロバイオティクス細菌」という用語は、適切な量を対象に投与すると、対象の微生物叢に影響を与え、これにより、好ましくは対象に健康上の利益をもたらす生きた微生物を指す。
このような「その他のプロバイオティクス細菌」は、例えば、乳酸菌であってもよい。その他のプロバイオティクス細菌としては、例えば、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、および/またはエンテロコッカス属由来のものが挙げられる。これらの例として、以下の種のものが挙げられる:ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、L.ブレビス(L. brevis)、L.ブルガリカス(L. bulqaricus)、L.カゼイ(L. casei)、L.デルブリッキー(L. delbrueckii)、L.ダイバージェンス(L. divergens)、L.ガッセリー(L. gasseri)、L.ヘルベティカス(L. helveticus)、L.ジョンソニ(L. johnsonii)、L.クンキー(L. kunkeei)、L.ラクティス(L. Lactis)、L.パラカゼイ(L. paracasei)、L.プランタルム(L. plantarum)、L.ロイテリ(L. reuteri)、L.ラムノサス(L. rhamnosus)、L.サケイ(L. sakei)、L.サリバリウス(L. Salivarius)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・サーモフィルス(Lactococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、および/またはストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophiles)。
多くのプロバイオティクス菌株が、American Type Culture Collection(ATCC)等の公的な微生物株保存機関から入手可能であり、このような菌株としては、例えば、L.デルブリッキー(ATCC 10705)、L.アシドフィルス(ATCC4356)、L.クリスパタス(ATCC 33820)、L.ガッセリー(ATCC 9857)、L.イエンセニイ(L. jensenii)(ATCC 25258)、L.パラカゼイ(ATCC 27092)、L.ラムノサス(ATCC 53103)、L.フェルメンタム(L. fermentum)(ATCC 14932)、L.プランタルム(ATCC 14917)、L.ロイテリ(ATCC 5 53608)、L.サリバリウス(ATCC 29602)が挙げられる。
したがって、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、および/またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するものから選択された少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、もしくは6種の異なるラクトバチルス・クリスパタス株を含むか、本質的にこれらからなるか、またはちょうどこれらからなる、プロバイオティクス細菌の混合物または組合せが提供され、これらはさらに、例えば上記で定義されたような、さらに別のプロバイオティクス細菌の菌株を含んでもよい。あるいは、前記混合物または組合せは、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、および/またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するものから選択されたラクトバチルス・クリスパタス株以外の細菌を含まないものとしてもよく、すなわち、前記混合物または組合せ中に存在してもよい細菌を、アクセッション番号DSM 32715、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、および/またはDSM 32720で寄託されている菌株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株から選択しなければならないものとしてもよい。好ましい組合せは、上述のものであり、特に、組合せ#1から#57である。これらはまた、菌株の好ましい混合物でもある。
プロバイオティクス細菌のこのような混合物または組合せは、単一の組成物として一緒に投与してもよいし、別々に投与してもよい。例えば、これらは、有益な微生物叢、例えば、膣内微生物叢を維持または回復するために、別々に、同時に、または逐次的に使用するための複合製剤に含まれてもよい。また、これらは、療法、例えば、ディスバイオシス(腸内毒素症、dysbiosis)、膣症、外陰部および/もしくは膣の酵母感染症、絨毛組織炎(villitis)、ならびに/または尿路感染の治療または予防において、別々に、同時に、または逐次的に使用するための複合製剤に含まれてもよい。
プロバイオティクス細菌の混合物または組合せは、菌株が相利共生関係を有し、および/または、宿主である対象に対して相乗効果をもたらせるよう、細菌コンソーシアとしてもよい。
本組成物、混合物、または組合せは、例えば、1つ以上のさらに別の成分をさらに含んでもよく、1つ以上のさらに別の成分は、例えば、(a)1つ以上の栄養源;(b)1つ以上のミネラル塩;(c)1つ以上の凍結保護剤;(d)1つ以上の安定化剤;および/または(e)抗菌特性を有する1つ以上の薬剤から選択される。
安定化剤は、例えば、pH安定化剤であってもよく、pH安定化剤は、例えば、クエン酸、ビタミンC、および/または炭酸水素ナトリウムから選択されてもよい。
ミネラル塩は、例えば、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、ナトリウム、カルシウム、および/またはカリウムから選択されてもよい。
栄養素は、例えば、単糖類、二糖類、および/もしくはオリゴ糖類等の炭水化物;脂肪;アンモニウム、硝酸塩、アミノ酸、ペプチド、および/もしくはタンパク質等の窒素源;ならびに/またはビタミンから選択されてもよい。
脂肪は、例えば、脂肪酸であってもよく、脂肪酸は、例えば、オメガ3脂肪酸および/またはオメガ6脂肪酸から選択されてもよい。
ビタミンは、例えば、ビタミンA、ビタミンB(葉酸、ビタミンB6、および/もしくはビタミンB12等)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK2、ならびに/またはビタミンEから選択されてもよい。
単糖は、例えば、アラビノース、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、リボース、タガトース、デオキシリボース、グリセロース、ジヒドロキシアセトン、D-フルクトース、D-キシロース、キシリトール、および/またはセドロヘプツロース(seduloheptulose)から選択されてもよい。
二糖は、例えば、キシロビオース、スクロース、マルトース、ラクトース、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、およびこれらの組合せから選択されてもよい。
多糖は、例えば、イヌリン、フラクトオリゴ糖類、ガラクトオリゴ糖類、イソマルトオリゴ糖類、キシロオリゴ糖類、および/またはペクチンオリゴ糖類から選択されてもよい。
例えば、前記栄養素は、D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノース、D-マルトース、D-ラクトース、および/またはD-サッカロースから選択される1つ以上を含んでもよい。
本組成物においては、グリセロール、エリスリトール、D-アラビノース、L-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-アドニトール、メチル-βD-キシロピラノシド、L-ソルボース、L-ラムノース、ズルシトール、イノシトール、D-ソルビトール、メチル-αD-マンノピラノシド、アミグダリン、アルブチン、エスクリンクエン酸第二鉄、D-セロビオース、D-メリビオース、D-トレハロース、イヌリン、D-メレジトース、D-ラフィノース、キシリトール、ゲンチオビオース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、D-フコース、L-フコース、D-アラビトール、L-アラビトール、グルコン酸カリウム、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または5-ケトグルコン酸カリウムを、任意に除外してもよい。
前記栄養素は、特に、プレバイオティクスであってもよい。「プレバイオティクス」とは、宿主、例えば、ヒトまたは動物の対象では消化が困難または不可能であるが、標的微生物によって栄養素として利用可能な作用物質を意味する。標的微生物は、宿主に内在するプロバイオティクス細菌および/または宿主に投与されるプロバイオティクス細菌から選択し得る。ヒトの対象では消化が困難または不可能であるが、プロバイオティック細菌、特に、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株の1種以上によって栄養素として利用可能なプレバイオティクスが、特に有益である。
したがって、本明細書で提供される組成物は、(i)本明細書で提供されるプロバイオティックなラクトバチルス・クリスパタス株を1種以上;および(ii)1種以上のプレバイオティクス、特に前記株が栄養素として利用可能なプレバイオティクスを含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物であってもよい。このような組成物は、相乗効果を発揮し得る。
抗菌特性を有する薬剤は、例えば、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および/または、ニンニクやアリシン等の、抗菌特性を有する天然物質もしくはその活性抽出物から選択してもよい。よって、例えば、メトロニダゾール、クロトリマゾール、テルコナゾール、クリンダマイシン、ブトコナゾール、ヒドロキシキノリン、ミコナゾール、ポビドンヨード、フルコナゾール、ナイスタチン、ニンニク、オレガノの油、エキナセア、および/またはマヌカハニーもしくはその活性抽出物から選択してもよい。
本組成物は、医薬組成物であってもよい。よって、本組成物は、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含んでもよい。
本医薬組成物は、当技術分野において公知であり文献に広く記載されている従来の方法のいずれかによって製剤化することができる。したがって、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株1種以上を、任意に他の活性物質(例を以下に挙げる)と共に、組成物の特定の用途に適した1つ以上の従来の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および/または賦形剤と合体させ、投与に適しているか、または適した状態とすることが可能な従来の製剤を製造してもよい。
前記組成物は、液状、半固体、または固体として製剤化されてもよく、例えば、液剤、分散液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、丸薬、坐剤、粉末剤、小袋入り(sachets)、オブラート薬包入り(cachets)、エリキシル剤、乳剤、シロップ剤、クリーム、ゲル等の形態で製剤化されてもよい。本組成物は、例えば、耐胃液性製剤として、および/または作用持続性の形態で提供されてもよい。また、経口投与、局所投与、直腸内投与、膣内投与、生殖器投与、および/または鼻腔内投与に適した形態であってもよい。好ましい形態は、意図する投与方法や治療用途によって異なる。
好ましい投与方法は、経口投与または膣内投与であり、特に経口投与である。本発明の組成物には、生理的に適合する任意の担体、賦形剤、希釈剤、緩衝剤、または安定剤を使用することができる。好適な担体、賦形剤、希釈剤、緩衝剤、および安定剤の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、微細セルロース等のうちの1つ以上、ならびにそれらの組合せが挙げられる。場合によっては、等張剤、例えば、糖類、多価アルコール類(例えば、マンニトール、ソルビトール)、または塩化ナトリウムが含まれてもよい。本組成物は、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、保存料、甘味料、香味料等をさらに含んでもよい。本組成物は、当技術分野において周知の手順を用いて対象に投与された後、その活性成分が迅速に、持続的に、または遅延して放出されるように製剤化してもよい。また、腸溶性コーティングを任意に用いてもよい。
本組成物は、栄養補助食品組成物であってもよい。本明細書中で使用する「栄養補助食品」という用語は、栄養学上の利点に加え、健康上の利点も提供し得る製品を指す。よって、本組成物は、宿主、すなわち、意図した組成物の消費者が利用可能な栄養素を含んでもよい。
栄養補助食品組成物は、サプリメントとして製剤化されてもよく、例えば、カプセル剤、錠剤、または粉末剤等の固形製剤や、溶液または懸濁液等の液体製剤としてもよい。また、1つ以上のさらに別の食用材料と組合せもしくは組み込むことにより、ヒト用の食品、またはヒト以外の動物用の飼料として製剤化してもよい。食用材料は、液体であっても、固体であってもよい。
本明細書で提供される栄養補助食品組成物を含むように処方され得る食品には、インスタント粉末製品、キャンディーバーやプロテインバー等のバー食品、肉製品および代替肉製品、魚製品および代替魚製品、朝食用シリアル、植物性ファットスプレッド、マヨネーズ、乳製品、豆乳製品、パスタ、麺類、パン、ペストリー、ケーキ、ビスケット等の焼いた食品、調理済み食品、乳児用調製粉乳、およびベビーフードが含まれるが、これらに限定されない。
好適な乳製品の例としては、バター、チーズ、アイスクリーム、ヨーグルト、ホイップクリーム、サワークリーム、およびカッテージチーズが挙げられる。肉製品の例としては、パテ、ハム、スパム、ソーセージ、全筋肉製品等の加工肉が挙げられるが、これらに限定されない。代替肉は、クォーン(quorn)または豆腐等の、肉組織を模した植物性タンパク質、真菌タンパク質、または乳タンパク質であってもよい。
本明細書で提供される栄養補助食品組成物を含むように処方し得るタンパク質強化液体飲料の非限定的な例としては、炭酸入り強化清涼飲料、ビール、フルーツジュース、フルーツフレーバー飲料、野菜飲料、スポーツ飲料、豆乳飲料、ライスミルク飲料、乳児用調製粉乳、牛乳、フレーバードミルク飲料、ヤギ乳、液体ヨーグルト、バターミルク、またはこれらの組合せが挙げられる。
食品、飼料、または栄養補助食品組成物の代表的な成分として、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株に加え、タンパク質含有物質、脂肪含有物質、炭水化物、多糖類、デンプン含有物質、粗繊維、灰分、ミネラル、微量元素、ビタミン、脂肪酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ハーブ、脂質、酸化防止剤、カロテノイド、トコフェロール、トコトリエノール、フィトステロール、ポリフェノール、バイオフラボノイド、および/または食物繊維が含まれる。よって、これらは全て、栄養補助食品組成物、食品、または飼料の調製に使用してもよい好適な食用材料の例である。
好適なデンプン含有物質は、例えば、穀物に由来してもよく、前記穀物は、例えば、トウモロコシ、大豆、小麦、ソルガム、大麦、オート麦、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。好適なデンプン含有物質の例として、トウモロコシ粉、挽いたトウモロコシ、大豆粉、小麦粉、挽いたオート麦粉、小麦ミドリング、大豆粕、コーングリッツ、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
例えば、魚粉、乾燥ホエイ、大豆粕、およびこれらの混合物等の粗タンパク質含有物質を使用してもよい。他の好適なタンパク質含有物質としては、大豆タンパク質濃縮物、大豆粉、血粉、血漿タンパク質、乾燥スキムミルク、乳清タンパク質濃縮物、キャノーラミール、コーングルテンミール、小麦グルテンミール、乾燥酵母、ひまわり粕、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
好適な脂肪含有物質として、ラード、獣脂、大豆油、レシチン、ヤシ油、乳清-脂肪混合物、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
さらに別の態様では、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株を1種以上含む栄養補助食品組成物を調製する方法が提供される。本方法は、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株1種以上を食用材料と組合せることを含んでもよい。好適な食用材料については、上述の通りである。
別の態様では、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株1種以上で強化した食品、飲料、または飼料を調製する方法が提供される。本方法は、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株1種以上を食用材料と組合せること、または本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株を1種以上、食品、飲料、または飼料に組み込むことを含んでもよい。好適な食品、飲料、および飼料については、上述の通りである。
さらに衛生用品も提供される。本衛生用品は吸収性製品であってもよく、吸収性製品は、例えば、生理用ナプキン、おむつ、パンティライナー、タンポン、失禁ガード、および/または衛生ティッシュから選択され、本衛生用品は、1種以上の本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株および/または本明細書で提供される組成物を含む。ラクトバチルス・クリスパタス株および/または組成物は、凍結乾燥粉末の形態であることが好ましく、噴霧、浸漬、またはその他の方法により、本衛生製品またはその関連部分に適用すればよい。
例えば、生理用ナプキンの場合、ラクトバチルス・クリスパタス株および/または組成物は、通常使用時に対象の皮膚と接触するように設計された側の少なくとも一部に適用すべきである。通常使用時に下着と直接接触する側に適用してもよいが、適用する必要はない。
実施例に示すように、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株は、膣内微生物叢を調節することができる。本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株は、ヒトのマイクロバイオーム、特に膣内マイクロバイオームに好ましくない影響を与える特定の微小生物に対するアンタゴニスト活性等の有利な特徴を有する。
したがって、さらなる態様では、対象の微生物叢の調節に使用するための、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株および/または本明細書で提供される組成物が提供される。「微生物叢」とは、宿主の領域にコロニーを形成した微生物(すなわち、微小生物)の集団のことである。微生物叢は、例えば、膣、尿道、口腔(鼻腔を含む)、腸、および/または皮膚に存在し得る。膣内微生物叢を、特に対象としている。
微生物叢はそれぞれ異なっており、よって、健康な膣内微生物叢に存在する様々な細菌の種類や割合は、健康な腸管微生物叢に存在する細菌のものとは相違する。
微生物叢を「調節」するとは、(健康な)微生物叢を維持すること、および/または、健康/有益な微生物叢を回復することを含んでもよい。したがって、膣内微生物叢の調節は、膣内微生物叢の維持、特に、膣内微生物叢における乳酸、例えば、ラクトバチルス菌の割合を維持することを含んでもよい。膣内微生物叢を調節することは、健康/有益な膣内微生物叢を回復させること、例えば、膣内微生物叢における乳酸、例えば、ラクトバチルス菌の割合を増加させること、および/または膣内微生物叢における共生バランス失調細菌(悪玉細菌、dysbiotic bacteria)および/または病原性の細菌の割合を減少させることを含んでもよい。
膣内マイクロバイオームは、Nugentスコアによって評価してもよい(Nugent, et al. 1991 "Reliability of diagnosing bacterial vaginosis is improved by a standardized method of gram stain interpretation". Journal of Clinical Microbiology. 29 (2): 297‐301)。0~3の低スコアは健康な膣内マイクロバイオームであることを示し、4以上のスコアは中程度のディスバイオシスの可能性を示し、7~10のスコアはBVを示す。よって、「調節する」とは、Nugentスコアを0~3に維持するか、もしくはNugentスコアを低下させる(例えば、Nugentスコアを少なくとも1、2、3、または4だけ低下させる)こと、および/またはNugentスコアを3以下のスコアにまで低下させることを含んでもよい。
療法に使用するための、本明細書に記載のラクトバチルス・クリスパタス株および/または本明細書に記載の組成物が提供される。前記療法は、例えば、ディスバイオシスの治療であってもよく、前記ディスバイオシスは、例えば、腸、皮膚、口腔、尿道、外陰部、膣、子宮、および/または胎盤のディスバイオシスから選択されてもよい。外陰部、膣、子宮、および/または胎盤のディスバイオシスを特に対象としている。したがって、前記療法は、例えば、膣症(細菌性膣症等)、外陰部および/もしくは膣の酵母感染(カンジダ症等)、絨毛組織炎、膣炎、ならびに/または尿路感染から選択される状態の治療および/または予防であってもよい。前記療法は、細菌性膣症(BV)および外陰膣カンジダ症(VVC)から選択される状態の治療および/または予防であることが好ましい。ディスバイオシスとは、共生バランス失調細菌の割合の増加および/または有益な細菌の割合の減少によって特徴付けられる、微生物叢のバランスの不均衡を指す。
共生バランス失調細菌とは、マイクロバイオーム内における当該細菌の割合が増加した場合に、通常、ディスバイオシスに関与する細菌のことである。膣内の共生バランス失調細菌の例としては、ガードネレラ・バギナリス、アトポビウム・バギナエ(Atopobium vaginae)、プレボテラ属(Prevotella sp.)の細菌、モビルンカス・ムリエリス(Mobiluncus mulieris)、およびカンジダ属の細菌が挙げられる。
有益な細菌としては、プロバイオティクス細菌が挙げられる。
ディスバイオシスは、不妊症、自然流産、および早産のリスクの増加と関連があることがわかっている。したがって、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株および/または本明細書で提供される組成物は、対象、特に女性の対象における性と生殖に関する健康を改善するために使用し得る。
本明細書中で使用される「療法」または「治療」という用語は、結果的に疾患の予防になり得る予防的療法、ならびにすでに罹患している障害に対する治療的処置を含む。「療法」および「治療」という用語は、疾患と戦うもしくは疾患を治癒させることを含むだけでなく、疾患もしくはそれに関連する1以上の症状の制御、軽減、もしくは緩和、および/または疾患の再発の回避も含む。本発明の方法において、制御、低減、または緩和しようとすることが好ましい症状は、帯下、不快感、および/または痒みである。
さらに、ディスバイオシス、膣症、外陰部および/もしくは膣の酵母感染症、絨毛組織炎、膣炎、ならびに/または尿路感染から選択される状態を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株および/または本明細書で提供される組成物を有効量投与することを含む方法も提供される。前記状態は、細菌性膣症(BV)および外陰膣カンジダ症(VVC)から選択されることが好ましい。
さらに、マイクロバイオーム、例えば、対象の膣マイクロバイオームを調節する方法であって、本明細書で提供されるラクトバチルス・クリスパタス株および/または本明細書で提供される組成物を、それを必要とする対象に有効量投与することを含む方法も提供される。
本明細書中で使用される「有効量」は、治療の性質に応じて、治療上有効な量または予防目的で有効な量のいずれかを指すことができる。治療上有効な量とは、所望の治療結果を得るために必要な量(適切な投与量および投与計画で)と考えることができる。予防目的で有効な量とは、所望の予防結果を得るために必要な量(適切な投与量および投与計画で)と考えることができる。これらの量は、患者の体重、年齢、性別、ならびに疾患の重症度によって異なる可能性が高い。
適切な投与量は容易に決定し得るが、1回あたりの用量を、例えば、106~1015CFU(コロニー形成単位)としてもよく、例えば、1回あたりの用量を107~1010CFUまたは108~109CFUまたは109~1011CFU、例えば、約109CFUまたは約1010CFUとしてもよい。組成物の摂取または投与の頻度は、例えば、上記に記載のような用量の場合、例えば、1日2回、毎日、1日おき、週2回、週1回、月2回、または月1回としてもよい。摂取/投与は、短期間行ってもよいし、持続的に行ってもよい。例えば、前記用量の摂取/投与を、1日1回で約1~12週間、例えば、1~6週間、2~4週間、または1~2週間行ってもよい。その後、適切であれば、摂取/投与を、例えば、約1~12週間、2~4週間、または1~2週間中断してもよく、適切であれば、その後に摂取/投与を再開してもよい。例えば、定期的な摂取/投与を行ってもよく、一定の間隔を開けて適切な期間の摂取/投与、例えば、1ヶ月あたり1~3週間の摂取/投与を行うようにしてもよい。
標準的な1日あたりの投与量は、対象の体重によって異なり得る。当業者であれば、単一の投薬単位を1日1回投与して適切な投与量を達成してもよいし、あるいは、より低用量の投薬単位を1日2回以上投与して達成してもよいことを理解するであろう。
次に、本発明を、非限定的な表、図面、および実施例を参照してより詳細に説明する。
図1は、凍結乾燥させた菌株の-20℃における貯蔵寿命を示すグラフである。図中の菌株は、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、DSM 32720、およびDSM 32715である。 図2は、制限酵素ApaIを用いて測定した、本明細書で提供されるL.クリスパタス株のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)プロファイルである。レーン1~6は、DSM 32716、DSM 32717、DSM 32718、DSM 32719、DSM 32720、およびDSM 32715である。M-PFGEマーカー(CHEF DNA Size Standard 5kb、Bio-Rad)。 図3は、臨床試験スキームの概略図である。図中、G=グループ、v=訪問、w=週である。 図4は、1週間のカプセル摂取期間におけるNugentスコア値の分布を示す(中央値、IQR)。 図5A~5Eは、膣検体における細菌数とNugentスコアとの相関関係を示すグラフである。Aは、細菌の総数とNugentスコアとの相関関係を示す。 Bは、G.バギナリスの数とNugentスコアとの相関関係を示す。 Cは、ラクトバチルス菌の総数とNugentスコアとの相関関係を示す。 Dは、L.クリスパタスの菌数とNugentスコアの相関関係を示す。 Eは、A.バギナエの菌数とNugentスコアとの相関関係を示す。 図6は、L.クリスパタス株の分析に使用されたAPI 50CH同定システムの結果を示す表である。
[概要]
ラクトバチルス・クリスパタスの新規菌株6種を、健康な女性の膣分泌物から単離した。ラクトバチルス菌株の同定を、コロニーおよび細胞の特徴的な形質に基づき、さらに分子同定によって行った。
前記菌株について、乳酸および過酸化水素の産生、種々の泌尿生殖器系の病原体に対するアンタゴニスト活性、生化学的プロファイル、プロテオームパターン、自己凝集、および付着能を含む、いくつかの機能的特性を分析した。また、前記菌株の安全性についても、溶血活性および伝達性の抗生物質耐性の分析により評価した。
増殖プロファイルおよび凍結乾燥後の貯蔵寿命等、さらに別の特性についても試験を行った。
臨床試験も実施したところ、有利な効果が示された。
[実施例1A] 過酸化水素の検出
ラクトバチルス菌株のH22の産生を、テトラメチルベンジジン(TMB、Sigma社)寒天プレート上で試験した(Eschenbach et al. Prevalence of hydrogen peroxide-producing Lactobacillus species in normal women and women with bacterial vaginosis. J Clin Microbiol 1989; 27 (2):251-256に準じた方法)。ラクトバチルス菌株を、テトラメチルベンジジン、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ブルセラ寒天ベース、ヘミン、デンプン、およびビタミンKからなるTMB寒天上にプレーティングし、嫌気条件下、37℃で48時間培養した。外気にさらすと、過酸化水素を産生しているコロニーは青色に変色した。色の変化を、30分後に半定量的に評価した。発色強度を、以下のように表した:-(陰性)、+(弱陽性)、++(中陽性)、+++(強陽性)。結果を表1に示す。
[実施例1B] 乳酸の検出
乳酸の産生量は、Holdemanらに記載の通り、ガスクロマトグラフィーにより推定した(Anaerobe Laboratory Manual. Blacksburg, VA: Virginia Polytechnic Institute and State Laboratory, 1977.)。ラクトバチルス菌を、改変MRSブロスを用い、CO2/H2/N2:5/5/90%の混合気体を用いた嫌気性グローブチャンバー(Concept 400, Biotrace, Bridgend, UK)内にて37℃で48時間培養した後、分析を行った。次に、前記サンプルを、6000gで10分間遠心分離した。調製した培養ブロス1mlに対し、塩化ナトリウム0.4g、50%硫酸0.2ml、およびメタノール2mlを添加し、乳酸メチラートサンプルを調製した。チューブを60℃で1.5時間加熱し、水1mlとクロロホルム0.5mlを添加した。得られた乳化物を、3000rpmで3分間遠心分離した。得られたクロロホルムサンプル1μlを、GCカラムに注入した。GCシステム用のHP Chemical Station(A.06改訂版)を使用した。ガスクロマトグラフ(Hewlett-Packard 6890, USA)は、水素炎イオン化検出器、オートサンプラー(型式7683)、および架橋ポリエチレングリコール(膜厚0.15mm)でコーティングされた、15m×0.25mm(内径)のキャピラリーGCカラムHP-INNOWax(Hewlett-Packard社, USA)を備えていた。検出器の温度は250℃、注入器の温度は200℃であった。オーブン温度プログラムはグラジエント方式であり、初期温度の60℃を1分間保持した後、10℃/分の速度で120℃まで上昇させ、この温度を10分間保持した。乳酸(Aldrich社, USA)を用い、標準液を調製した。メチル化した原液は、各酸の濃度が異なっており、具体的には、0.15、0.3、0.6、1.2、2.4、3.6、4.8mg/mlであった。各標準溶液を二回ずつ注入し、保持時間と曲線下面積を得た。クロマトグラフィーのピーク面積を、Hewlett-Packard社のネットワーキング・インテグレーターを用いて積分した。結果を表1に示す。
Figure 2022512692000005
[実施例2] 炭水化物利用の分析
API 50 CH同定システム(bioMerieux, Inc., Marcy l' Etoile, France)を、取扱説明書に従って使用した。結果を図6に示す。
[実施例3] 溶血活性の検出
ラクトバチルス菌培養物(MRSブロスで48時間培養)のラインを一本、ヒト、ヒツジ、ウマのいずれかの血液を含む血液寒天プレート上に画線した。嫌気性(90%N2、5%CO2、5%H2)環境下で24時間および48時間培養した後、菌株の溶血活性を目視で確認した。血液寒天プレートを調べ、β溶血(コロニーの周囲に透明なゾーンがある)、α溶血(コロニーの周囲に緑色環(green halo)がある)、またはγ溶血(コロニーの周囲にゾーンは存在しない)の兆候を確認した(Pfaller et al. Algorithm for Identification of Aerobic Gram-Positive Cocci, In Manual of Clinical Microbiology. American Society for Microbiology; 2007)。ポジティブコントロールとして、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)株(ATCC 25923)およびストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)株(ATCC 19615)を用いた。
6種のL.クリスパタス株のいずれにおいても、溶血は認められなかった。
[実施例4]
A)自己凝集の試験
自己凝集の試験は、Kos et al. Adhesion and aggregation ability of probiotic strain Lactobacillus acidophilus M92.J Appl Microbiol 2003; 94(6):98-98に既に記載されている改変法によって行った。菌株を、嫌気性条件下(CO2/H2/N2:5/5/90%)、MRSブロス(de Man Rogosa Sharp, Oxoid Ltd., Basingstoke, UK)を用いて37℃で18時間インキュベートした。その後、PBS緩衝液で菌株を2回洗浄し、108CFU/mlの濃度となるようにPBSに再懸濁した(マックファーランド3.0相当の濁度)。得られた懸濁液を、10秒間ボルテックスした。次に、上層0.2mlを、マイクロタイタープレートのウェルにピペットで分注し、600nmにおける光学濃度(OD)を測定した(A0)。前記懸濁液を室温で2時間保存した後、2回目のOD検出(At)を行った。下記の計算により、自己凝集を検出した。
自己凝集(%)=[1-(At/A0)]×100
また、目視によっても、自己凝集を判定した。凝集した細胞によってはっきりと視認できる砂のような粒が形成され、チューブの底に沈殿して澄んだ上清が残った場合を、自己凝集陽性と評価した。自己凝集の時間に応じて、結果を3点満点で採点した。自己凝集が15分以内に検出された場合、反応を3点と採点し、15~30分以内の場合は採点を2点とし、30~60分以内の場合は反応を1点と採点した(Bujnakova and Kmet, Aggregation of animal lactobacilli with O157 enterohemorrhagic Escherichia coli. J Vet Med B Infect Dis Vet Public Health 2002; 49(3):152-154)。いずれの測定も3回ずつ行い、別個の検出値の平均を算出した。
結果を表2に示す。
B)付着特性の試験
L.クリスパタス株について、HeLa細胞に付着する能力を試験した。ポジティブコントロールとして、ラクトバチルス・ラムノサスGG(Lactobacillus rhamnosus GG)(ATCC 53103)を使用した。付着性試験では、HeLa細胞懸濁液2mlを、2×105細胞/ml濃度となるように6ウェル組織培養プレートの各ウェルに加え、5%CO2雰囲気下、37℃で48時間、細胞が約60%コンフルエントに増殖するまで培養した(Kaewnopparat et al. In vitro probiotic properties of Lactobacillus fermentum SK5 isolated from vagina of a healthy woman. Anaerobe 2013; 22:6-13)。48時間増殖させた後、PBSで細胞を2回洗浄した。ラクトバチルス菌を、液状MRS(4mlのMRS中にシードバンク0.1ml)中、37℃で48時間培養し、3000rpmで4分間遠心分離した後、PBSで2回洗浄した。ラクトバチルス菌懸濁液は、PBSを用いてマックファーランド3.0相当の濁度となるように調製した。ラクトバチルス菌懸濁液0.1mlをDMEM/安定化グルタミン含有ハムF-12(GE Healthcare社)0.9mlに加え、1mlウェル内において、10%CO2下、37℃で1時間インキュベートした。次に、細胞を1mlのPBS中で5回洗浄し、1mlの0.05%TritonX100を10分間添加した。10倍希釈法を用い、ラクトバチルス菌をMRS寒天上に播種した。インキュベート後、コロニーをカウントし、付着性を%で表した。
付着性(%)=(N1/N0)×100%
式中、N1は、付着した細菌の量(log10CFU/ml)、N0は、適用した細菌の量(log10CFU/ml)である。
全てのラクトバチルス菌株について、2回の繰り返し試験を3回実施した。結果を表2に示す。
Figure 2022512692000006
[実施例5] 抗生物質感受性試験
アンピシリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、およびバンコマイシンに対する感受性を、プロバイオティクスの安全性に関する欧州連合委員会(European Union Commission)の推奨に準じて判定した。最小発育阻止濃度(MIC)を、Etest(登録商標)法(BioMerieux社, Marcy l' Etoile, France)により測定した。このアッセイは、個々のコロニー(嫌気性グローブチャンバー(Concept 400, Biotrace社, Bridgend, UK)内にて37℃で24時間インキュベートしたLSM寒天[90%のアイソセンシテスト(isosensitest)(Oxoid Ltd., Basingstoke, UK)および10%MRS(Oxoid社)]プレート上の新鮮な培養物からピックアップしたもの)を、滅菌した0.85%NaCl溶液中でマックファーランド標準濁度1となるよう懸濁して行った。得られた懸濁液を、スワブを用いてLSM寒天上に三方向に塗布し、乾燥させてからEtestストリップを配置した。プレートを嫌気条件下、37℃で48時間培養した後、最終的に得られた結果を記録した。取扱説明書に従い、前記試験用ストリップからMICを直接読み取った。EFSA(欧州食品安全機関)の定めるブレイクポイント値よりも低いMICを示した菌株を、感受性を有すると見なし、そうでない場合を、耐性を有すると見なした。結果を表3に示す。
Figure 2022512692000007
[実施例6] 抗菌剤耐性遺伝子の検出
ラクトバチルス菌株の全DNAを、QIAamp DNA Mini Kit(Qiagen GmbH, Hilden, Germany)を用い、メーカーのプロトコールに従って抽出した。PCRアッセイミックス(総容量:50μl)は、各プライマー20pmol、1×PCRバッファー(Fermentas社, Lithuania)、200μM濃度の各デオキシヌクレオシド三リン酸、および2UのTaq DNAポリメラーゼを含んでいた。精製した全DNAの50ng部分を鋳型として使用した。1回目のPCRアッセイでは、縮重プライマーDIおよびDIIを用いて、リボソーム保護タンパク質(RPP)をコードするtet遺伝子を検出した(Clermont et al. New tetracycline resistance determinants coding for ribosomal protection in streptococci and nucleotide sequence of tet(T) isolated from Streptococcus pyogenes A498. Antimicrob Agents Chemother 1997; 41(1):112-116)。
陽性結果が出た場合には、tetM遺伝子、tetO遺伝子、tetS遺伝子、tetW遺伝子、およびtetQ遺伝子に特異的なプライマーを使用して追加のPCRアッセイを行った。全てのラクトバチルス菌株について、テトラサイクリン排出遺伝子tetKおよびtetLの存在を確認する試験を行った。tet遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応アンプリコンは、Eppendorf PCR System(Eppendorf AG, Hamburg, Germany)を用いて、以下のプログラムで行った:94℃で5分間の初期変性;94℃で1分間、対応するアニーリング温度で1分間、および72℃で2分間を35サイクル;さらに、72℃で10分間の最終伸長反応工程。インテグラーゼInt1の増幅仕様は、以下の通りとした:94℃で5分間、続いて94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒を25サイクル、さらに72℃で7分間の最終伸長反応。増幅産物を1.5%アガロースゲルで電気泳動し、1kbまたは100bpのラダー(Fermentas社)を分子サイズマーカーとして使用した。結果を表4に示す。
Figure 2022512692000008
[実施例7] アンタゴニスト活性の検出
A)尿路病原性大腸菌に対するアンタゴニスト活性の試験
単離されたラクトバチルス株の尿路病原体に対する抗菌活性を検出するため、以下の細菌を使用した:大腸菌ATCC 700414、大腸菌ATCC 700336、および細菌性膣症の女性から予め単離した3種の大腸菌株。
大腸菌株に対する膣菌株の阻害効果を、改変寒天スポット法(Jacobsen et al. Screening of probiotic activities of 40-seven strains of Lactobacillus spp.by in vitro techniques and evaluation of the colonization ability of five selected strains in humans. Appl Environ Microbiol 1999; 65(11):4949-4956)により測定した。簡潔には、試験対象のラクトバチルス菌の培養物を、MRS寒天(20ml)の表面に点着(1μl)し、37℃で24時間、嫌気的にインキュベートした。大腸菌の一晩培養液(およそ8×108細胞)を軟寒天(0.7%)栄養寒天(20ml)(Oxoid Ltd., Basingstoke, UK)と混合し、ラクトバチルス菌を増殖させているプレート上に注いだ。37℃で24時間嫌気的にインキュベートした後、プレートを確認してラクトバチルス菌のスポット周辺の阻害ゾーンを調べ、その直径を記録した。抗菌活性の検出に関する試験は全て、3つの独立した実験において、3回繰り返した。結果を表5に示す。
Figure 2022512692000009
B)カンジダ属細菌(Candida spp.)に対するアンタゴニスト活性の試験
単離したラクトバチルス菌株の抗カンジダ活性を検出するため、以下の菌株を使用した:カンジダ・アルビカンスATCC 32032、カンジダ・アルビカンスRTN 071、およびカンジダ・グラブラタRTN 009。抗カンジダ活性は、改変寒天重層法(Strus et al. The in vitro activity of vaginal Lactobacillus with probiotic properties against Candida. Infect Dis Obstet Gynecol 2005; 13(2):69-75)により検出した。簡潔には、ラクトバチルスの単離菌を、MRSブロス中で、嫌気条件下、37℃で24時間培養した。その後、MRS寒天プレートの中央に、滅菌綿棒を用いてラクトバチルス菌を幅2cmのストライプ状に配置して培養した。前記プレートを、嫌気性条件下、37℃で48時間インキュベートした。次に、増殖したラクトバチルス属(Lactobacillus spp.)の上に、溶かしたMRS寒天を重層させた。重層寒天の固化後、C.アルビカンスまたはC.グラブラタ(サブロー寒天培地(Oxoid社)で一晩培養したもの)をマックファーランドスコアで0.5の濁度となるように滅菌生理食塩水に懸濁させた懸濁液を、寒天表面上に綿棒で画線した。プレートは、冷蔵庫内において4℃で4時間プレインキュベートした後、好気条件下、37℃に24時間保ち、さらに室温に24時間放置してから、結果を読み取った。十分に増殖させた後、カンジダ属菌(Candida spp.)の阻害ゾーンを、阻害ゾーンを呈したラクトバチルス菌(Lactobacillus spp.)の画線の測定値を2で割ったものを用いて評価した。結果を表6に示す。
Figure 2022512692000010
C)ガードネレラ・バギナリスに対するアンタゴニスト活性の試験
新規菌株の抗ガードネレラ・バギナリス活性の検出には、新規菌株および参照菌株であるガードネレラ・バギナリスATCC 14018(DSM 4944)の無細胞上清、ならびに標的細菌としてG.バギナリスの1つの臨床単離株を使用した。新規菌株の培養上清は、MRSブロス中にて37℃で48時間嫌気的に培養することにより調製した。その後、6000gで15分間遠心分離して細胞を除去した。各上清のpHを測定し(Hanna Instruments HI 9024C, Singapore)、0.20μmのミリポアフィルター(Sarstedt社, Numbrecht, Germany)を用いて上清を滅菌した。新規菌株の非処理の無細胞培養上清(natural cell-free culture supernatants)の抗菌活性を、96ウェルマイクロタイタープレート上で調べた。G.バギナリス菌株は、嫌気性環境下、5%ヒト血液を含むBDガードネレラ選択寒天培地で48時間培養した。G.バギナリスのコロニーを、マックファーランド約0.5相当の濁度となるように滅菌生理食塩水に懸濁した。
さらに、G.バギナリス懸濁液(20μl)、シェドラー(Schaedler)ブロス(Oxoid社)(150μl)中5%ヒト血清(Sigma-Aldrich Co, USA)、および非処理の無細胞上清(30μl)を、96ウェルマイクロプレート(試験用ウェルとして使用)に移した。マイクロプレートに移したG.バギナリス懸濁液(20μl)およびシェドラーブロス中5%ヒト血清(180μl)を、ポジティブコントロール(コントロールウェル)とした。G.バギナリスの増殖および増殖阻害は、インキュベーションの0時間後および48時間後に、吸光度マイクロプレートリーダー(Sunrise, Tecan社, Austria)で測定した600nmの光学濃度(OD)の変化をモニターすることによって決定した。インキュベーション時間0時間における読み取り値を使用して、培地および種菌由来の吸光度を求めた。
無細胞上清による標的細菌の増殖低下率(パーセンテージ)を、下記式により算出した。
増殖低下率(%)=(コントロールウェルのOD値-テストウェルのOD値/コントロールウェルのOD値)×100
実験は、2回の反復を3回繰り返した。結果を表7に示す。G.バギナリスの増殖阻害率(%)は、高(>78.0%)、中(67.3%~77.0%)、または低(<67.2%)とランク付けした。
Figure 2022512692000011
[実施例8] 増殖動態の解析
新規菌株を、速度150rpmの振盪機上の40mlの液体MRS中で、好気性条件下、37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、10%のグリセロールを0.5mlの分注液(aliquot)に加え、-80℃で保存した。懸濁液の密度を、細菌播種希釈法(bacteriologic seeding dilution method)で検出した。次に、全菌株について、増殖曲線を測定した。MRS液中で105cfu/mlの密度となるような懸濁液の体積を算出し、96ウェルプレートの各ウェルに懸濁した。これらのウェルプレートを、好気条件および嫌気条件下、37℃でインキュベートした。好気的培養では、0時間、4時間、18時間、20時間、22時間、24時間、28時間、および48時間の時点で増殖曲線を測定し、嫌気条件下の場合は、0時間、4時間、24時間、28時間、および48時間の時点で測定した。細菌の増殖密度を細菌播種希釈法で検出し、600nmでの分光測定を行った。同時に、全菌株を、インキュベーターを備えたマイクロプレートリーダー(Infinite 200Pro, Tecan)を用いて、好気条件下、37℃で29時間インキュベートした。600nmの光学濃度(OD)を、振幅5mmでの10秒間の振盪を先に行った上で、30分間隔で測定した。全ラクトバチルス株について、4回の繰り返し試験を2回実施した。良好な増殖動態が観察された。
[実施例9] 貯蔵寿命の分析
L.クリスパタスの新規菌株の凍結乾燥粉末を作製し、これらの貯蔵寿命を-20℃で試験した。生存率を確認するため、粉末を0.1g採取してPBSに懸濁し(1:9)、希釈系列を調製した(10-1-10-10)。希釈液を、MRS寒天プレート上で培養し、嫌気条件下、48時間培養した。各プレートにおけるコロニーをカウントし、粉末の密度(gまたはmlあたりの細菌数)を、下記式により算出した(ISO7218)。
Figure 2022512692000012
式中、
ΣCは、全てのプレート上でカウントされたコロニーの合計であり、
Vは、各ディッシュに塗布された種菌の体積(ml)であり、
1は、第1の希釈率でカウントされたプレート数であり、
2は、第2の希釈率でカウントされたプレート数であり、
dは、第1のカウントを得た希釈率である。
結果を図1に示す。1年以内であれば、-20℃でも生存率は変化しなかった。
[実施例10] パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によるフィンガープリントプロファイルの分析
新規菌株を、MRSブロスでA620が0.530になるまで培養した。培養液1.5mlから細胞を採取し、75mMのNaCl、25mMのEDTA(pH7.4)で洗浄し、同緩衝液150μl中に懸濁した。懸濁液を50℃に加熱し、同温度の0.5×TBE緩衝液中2%アガロース150μlを添加した後、懸濁液を固化させた。得られたアガロースプラグを、溶解用緩衝液(1mlあたりリゾチーム(Sigma社)2mgおよび1mlあたりムタノリシン(Sigma社)10Uを含有する、50mMのEDTA(pH8.5)、0.5%Na-ラウリルサルコシン(laurylsarcosine)、0.2%Na-デオキシレート(deoxylate))中で、37℃で一晩インキュベートし、次いで、10mMのTris、0.5MのEDTA(pH8.5)、1%ドデシル硫酸ナトリウム、および1mlあたり2mgのプロテイナーゼKを含有する溶液中で、53℃で一晩インキュベートした。得られたアガロースブロックを、75mMのNaCl、25mMのEDTA(pH7.4)で3回洗浄した。ApaIによる制限酵素消化を、37℃で一晩行った。電気泳動を、0.5×TBE緩衝液を使用し、CHEF DR II(Bio-Rad, Hercules, Calif)を用いて行った。パルス時間を1~15秒、電流を6V/cm、温度を14℃、実行時間を18時間とした。アガロースゲルをエチジウムブロマイド(0.5μg/ml)で染色し、UV光下で可視化した(Simpson et al. 2003. Genomic diversity and relatedness of bifidobacteria isolated from a porcine cecum. J Bacteriol, 185, 2571-81)。結果を図2に示す。菌株は全て、互いに異なるものであった。
[実施例11] プロテオームの検出
DSM 32716株、DSM 32717株、DSM 32718株、DSM 32720株のプロテオームを、プロバイオティクスポテンシャルを有するタンパク質に焦点を当てて質量分析によって測定すると共に、生物情報学的手法により解析した。
「積み上げ方式(bottom-up)」のタンパク質測定法を使用した。この方法のため、測定対象のタンパク質を、マススペクトルの測定に先立ち、タンパク質分解によりペプチドに断片化した(トリプシン使用)。質量分析で生成されたタンパク質分解ペプチドの生データを、MaxQuantソフトウェアを用いて解した。このソフトウェアにより、装置によって同定したマススペクトルまたはタンデムマススペクトル(MS/MS)を、特定のアルゴリズムを用いて、対象の生物(ラクトバチルス・クリスパタスの参照株ST1)に発現した既知のタンパク質と照合した(Schaab et al. 2012, Analysis of High Accuracy, Quantitative Proteomics Data in the MaxQB Database. Mol Cell Proteomics, M111.014068; Koenig et al. 2008, Robust prediction of the MASCOT score for an improved quality assessment in mass spectrometric proteomics. J. Proteome Res. 7(9): 3708-17)。受け取ったプロテオミクスデータの生物情報学的解析には、中心的なタンパク質データベースである「Uniprot」を使用した。プロテオーム全体からプロバイオティクス的に重要なタンパク質を収集するため、遺伝子オントロジー(Gene Ontologies)に基づく機能アノテーションを使用した。得られたデータへの適切な命名を得るため、BlastPアプリケーションを使用し、関心対象であるタンパク質を、参照用のプロテオームST1に対してアライメントさせた。能動的プロバイオティクス(active probiotic)としての重要性を有する別のタンパク質をさらに収集するため、他のラクトバチルス種(L.ヘルベティカス、L.パラカゼイ、L.クンキー、L.サケイ、L.ダイバージェンス、L.ジョンソニ、L.ガッセリー、L.プランタルム、L.アシドフィルス、L.ラムノサス)に属するバクテリオシンのタンパク質配列を、データベースであるUniProtおよびBactiBaseから検索した。このようにして見出したバクテリオシン配列を、BlastPアプリケーションを使用し、参照用プロテオームであるL.クリスパタスST1に対してアライメントさせた。
個々の菌株は、1006~1043種類の異なるタンパク質およびペプチドを保有していた。3つの菌株が、菌株特異的な独自のタンパク質を発現していた(DSM 32716、n=1、DSM 32717、n=1、DSM 32720、n=38)。全ての菌株において、プロバイオティクス活性に関連するタンパク質が発現しており、これにより、泌尿生殖器系微生物叢のバランス調整へのこれらの利用を可能としていた(表8)。
プロバイオティクス的に重要なタンパク質の発現パターンが異なる菌株の存在は、異なる臨床症状、遺伝子型および表現型の個性、ならびに膣内微生物叢構成の可変性を有する患者に対して最大限の効果を発揮するため、特性が異なる菌株を集めた複合プロバイオティクス製剤の創薬の機会を本発明者らに与えるものである。
Figure 2022512692000013
Figure 2022512692000014
[実施例12] 臨床試験
(研究情報)
生殖可能年齢の女性40名(平均年齢28.9±8.8歳、範囲20~50歳)を当該試験に採用した。被験者選定のための訪問時に、慢性疾患の有無を質問票および血液検査によって確認した。無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験において、適格な参加者を4つの群のいずれかに無作為に割り当て、(i)異なる3種類のL.クリスパタス株(1株あたり109CFU)を含むカプセルである試験製品、または(ii)プラセボ(ショ糖)のいずれかを、1週間摂取してもらうことした。以下の2種類の異なるプロバイオティクス混合物について試験を行った:プロバイオティクス混合物I(PM I、DSM 32716株、DSM 32719株、およびDSM 32715株を含有)およびプロバイオティクス混合物II(PM II、DSM 32717株、DSM 32718株、DSM 32720株を含有)。
試験計画:処置期間終了後、2週間のウォッシュアウト期間を設け、次いで、2回目の処置および2回目ウォッシュアウト期間を設けた(図3参照)。最初に試験製品を与えた個人には、次いでプラセボを与え、逆の場合も同様とした。予定されている各訪問において、応答者は、次回の訪問前に口頭および書面による指示をフィールドコーディネーターから与えられた。膣検体および便検体を、訪問予定日の朝に自己採取してもらった(または、便検体については、前夜に採取した場合、冷凍庫内で-20℃で保管するよう指示)。検体は全て、直ちに検査機関へと送られ、その後、検査機関において-80℃で凍結された。
(膣、胃腸、および全般的な健康状態の管理)
自己申告式の質問票を用いた膣および胃腸の健康状態の評価を、1回目の処置期間から2回目のウォッシュアウト期間まで行った。胃痛、腹部膨満感、胃液の逆流、吐き気、嘔吐、鼓腸、および便性状を含む胃腸に関する一般的な質問を、症状の訴えがないものから重症度の高いものまで、段階に分けて評価した。帯下に関する質問は、帯下の量、粘度(consistency)、色、匂い、および痒みに関するマーカーに基づくものとした。
試験製品(プロバイオティクスカプセル)は、概ね良好な耐用性を示した。有害事象の発生率は、いずれの処置群(プロバイオティクス群またはプラセボ群)に割り当てられたかとは無関係であり、各群の有害事象数は同程度であった。プロバイオティクス群、プラセボ群のいずれにおいても、深刻な有害事象は認められなかった(表9)。
Figure 2022512692000015
帯下の特徴に関しては、有害事象はなかった。自己評価式の質問票において、参加者のほとんどが、7日間のカプセル摂取期間中、有意な変化はなかったと報告した。PM Iカプセルを摂取した3名の被験者は、帯下の粘度に自覚的な改善を認めた。
血液学的指標、炎症性指標、代謝マーカー、機能マーカー、およびホルモンマーカーは、地元の臨床検査機関(United Laboratories of Tartu University Hospital, Estonia)が認証するアッセイを用い、標準的な検査方法で測定した。プロバイオティクスまたはプラセボの1週間の摂取後、ボランティアの被験者全員における血液学的指標、炎症性指標、代謝マーカー、および機能性マーカーの値は、正常値の範囲内にあった。PM II摂取後にいくつかの軽度の変化が生じたが(表10)、いずれの血液マーカーの値も正常基準値を超えることはなかった。
Figure 2022512692000016
(プロバイオティクスの摂取が膣内および腸内の微生物群落に与える影響)
膣内および便中の微生物について、リアルタイムPCR(qPCR)法を用い、総細菌数ならびにラクトバチルス菌、L.クリスパタス、G.バギナリス、A.バギナエ、およびC.アルビカンスの菌数を含む、定量化を行った(表11)。ほとんどの変化が統計的に有意ではなかったが、PM II群ではG.バギナリスの菌数の減少(log10 3.57対2.38;p=0.027)、PM I群では総細菌数の減少(log10 7.99対7.72;p=0.048)が認められた。PM II群における総細菌数および総ラクトバチルス菌数の増加等、有意水準に達した変化もあった。総菌数に占めるL.クリスパタスの割合は、プロバイオティクス摂取後に増加した。
膣内微生物叢の状態を、Nugentスコアリングを用いてさらに評価した。糸玉状細胞、白血球、および酵母の存在についても同様に記録した。PM IIを摂取した結果、処置期間中の訪問時のNugentスコアは中央値3.0から2.0(平均値3.9~2.6、p=0.002)へと有意に減少したが、PM I摂取者およびプラセボ摂取者ではこのような変化は有意ではなかった(図4)。本発明者らは、Nugentスコアと、総ラクトバチルス菌数およびL.クリスパタス菌数との間には負の相関関係があり、Nugentスコアと、総細菌数ならびにG.バギナリスおよびA.バギナエの菌数との間には正の相関関係があることを明らかにした(図5)。便中の乳酸菌数とNugentスコアとの間には、相関関係は認められなかった。
Figure 2022512692000017
[実施例13] 膣炎患者を対象とした臨床試験
(研究情報)
生殖可能年齢(18~50歳)の、抗生物質使用経験のない(antibiotic-naive)膣炎患者182名を当該試験に採用した。被験者選定のための訪問時に、慢性疾患の有無を質問票および血液検査によって確認した。試験参加者は、1日1カプセルを3ヶ月間摂取(1ヶ月あたり20カプセル、月経と月経の間に摂取)した。参加者は全員、月に1回の試験訪問に参加した。
最初の訪問時に、患者はインフォームドコンセントに同意した上で、全般的および婦人科的な健康状態、ならびに生活習慣に関する質問票に回答した。初回および最終の訪問時に、婦人科医が婦人科検査を行い、血液検体を採取した。膣検体を毎月採取し、直ちに検査機関へと送った。検体はその後、検査機関において-80℃で凍結された。試験期間中、患者は毎週、全般的な体調、婦人科的な健康状態、および胃腸の健康状態に関する短い質問票への記入を行った。
患者のうち89人が、細菌性膣症(BV)を呈していた。当該患者のうち、25名の女性が、様々な理由(抗生物質による治療、妊娠、STD検査陽性、継続を希望しない、Nugentスコアが低すぎる)により脱落した。無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験において、適格な参加者を3つの群のいずれかに無作為に割り当て、(i)試験対象の経口製品、すなわち、プロバイオティクス混合物(DSM 32720株およびDSM 32717株、合計3×1010CFU)を含有する経口カプセル、または(ii)試験対象の膣用製品、すなわちプロバイオティクス混合物(同株、合計3×1010CFU)を含有する膣用カプセル、または(iii)経口プラセボカプセルのいずれかを摂取するものとした。
患者のうち93人が、外陰膣カンジダ症(VVC)を呈していた。当該患者のうち、30名の女性が、様々な理由(抗生物質による治療、妊娠、STD検査陽性、継続を希望しない)により脱落した。無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験において、適格な参加者を3つの群のいずれかに無作為に割り当て、(i)試験対象の経口製品、すなわち、プロバイオティクス混合物(DSM 32720株、DSM 32718株、およびDSM 32718株、合計3×1010CFU)を含有する経口カプセル、または(ii)試験対象の膣用製品、すなわちプロバイオティクス混合物(同株、合計3×1010CFU)を含有する膣用カプセル、または(iii)経口プラセボカプセルのいずれかを摂取するものとした。
(膣の健康状態のモニタリング)
膣の健康状態を、週1回の質問票および月1回の膣内細胞採取(vaginal swab)によって評価した。帯下に関する質問は、分泌物の量、粘度、色、匂い、および痒みに関するマーカーに基づくものとした。本発明者らは、本明細書中で、BV患者のNugentスコア、ならびにVVC患者の2つの重要な症状(帯下の量と痒み)についての複合スコアに基づき、試験開始1ヶ月目の結果を報告する。経口カプセルおよび膣用カプセルのいずれの場合もNugentスコアの低下が認められたが、プラセボカプセルではその変化は有意なものではなかった。経口カプセルおよび膣用カプセルのいずれの場合もVVC患者の複合スコアの低下が認められたが、プラセボカプセルではその変化は有意なものではなかった(表12)。
Figure 2022512692000018

Claims (16)

  1. アクセッション番号DSM 32717、DSM 32715、DSM 32716、DSM 32718、DSM 32719、またはDSM 32720で寄託されているラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)株の識別特徴を有するラクトバチルス・クリスパタス株、またはこれらのいずれかの変異体もしくはバリアント。
  2. 以下に記載の野生型株の特徴を少なくとも実質的に保持し、:
    -乳酸を産生する能力;
    -H22を産生する能力;
    -大腸菌(E. coli)ATCC 700414、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)ATCC 32032、およびガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)ATCC 14018(DSM 4944)に対するアンタゴニスト活性、
    任意に組換え遺伝子またはベクターを含むことを特徴とする、請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス変異体またはバリアント。
  3. 請求項1に定義された菌株から選択された少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、もしくは6種の異なるラクトバチルス・クリスパタス株を含むか、本質的にこれらからなるか、またはちょうどこれらからなる組成物。
  4. 少なくともラクトバチルス・クリスパタス株DSM 32717、DSM 32718、もしくはDSM 32720、またはこれらのうちのいずれか2種もしくは全3種の組合せを含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる、請求項3に記載の組成物。
  5. 以下を含有することを特徴とする、請求項4に記載の組成物:
    i)ラクトバチルス・クリスパタス株DSM 32720;または
    ii)ラクトバチルス・クリスパタス株DSM 32717およびDSM 32720;または
    iii)ラクトバチルス・クリスパタス株DSM 32716、DSM 32718、およびDSM 32720。
  6. (i)1種以上の請求項2に記載の変異体またはバリアント、および/または
    (ii)1種以上のさらに別のプロバイオティクス細菌、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、L.ブレビス(L. brevis)、L.ブルガリカス(L. bulgaricus)、L.カゼイ(L. casei)、L.デルブリッキー(L. delbrueckii)、L.ダイバージェンス(L. divergens)、L.フェルメンタム(L. fermentum)、L.ガッセリー(L. gasseri)、L.ヘルベティカス(L. helveticus)、L.イエンセニイ(L. jensenii)、L.ジョンソニ(L. johnsonii)、L.クンキー(L. kunkeei)、L.ラクティス(L. lactis)、L.オータキエンシス(L. otakiensis)、L.パラカゼイ(L. paracasei)、L.プランタルム(L. plantarum)、L.ロイテリ(L. reuteri)、L.ラムノサス(L. rhamnosus)、L.ルミニス(L. ruminis)、L.サケイ(L. sakei)、L.サリバリウス(L. salivarius)、L.バギナリス(L. vaginalis)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・サーモフィルス(Lactococcus thermophilus)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、および/またはストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)から選択されるさらに別のプロバイオティクス細菌を
    さらに含有する、請求項3から5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 1つ以上のさらなる成分をさらに含み、前記さらなる成分は、例えば、(a)1つ以上の栄養源、例えば、プレバイオティクス;(b)1つ以上のミネラル塩;(c)1つ以上の凍結保護剤;(d)1つ以上のpH安定化剤;抗菌特性を有する1つ以上の薬剤から選択される、請求項3から6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記組成物が医薬組成物であり、さらに薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および/または賦形剤を含む、請求項3から7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記組成物が、1つ以上の栄養素をさらに含み、栄養補助食品組成物または食品である、請求項3から7のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 衛生製品であって、前記衛生製品は、例えば、生理用ナプキン、おむつ、パンティライナー、タンポン、失禁ガード、および/または衛生ティッシュから選択され、前記製品が、1種以上の請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス株、請求項1もしくは2に記載の変異体またはバリアント、および/または請求項3から8のいずれか一項に記載の組成物を含む、衛生製品。
  11. 療法、好ましくは、ディスバイオシス、膣症、外陰部および/もしくは膣の酵母感染症、絨毛組織炎(villitis)、膣炎、ならびに/または尿路感染症の治療または予防に使用するための、請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス株、請求項1もしくは2に記載の変異体もしくはバリアント、および/または請求項3から8のいずれか一項に記載の組成物。
  12. ディスバイオシス、膣症、外陰部および/もしくは膣の酵母感染症、絨毛組織炎、膣炎、ならびに/または尿路感染症から選択される状態を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス株、請求項1もしくは2に記載の変異体もしくはバリアント、および/または請求項3から8のいずれか一項に記載の組成物を有効量投与することを含む、方法。
  13. 療法、好ましくは、ディスバイオシス、膣症、外陰部および/もしくは膣の酵母感染症、絨毛組織炎、膣炎、ならびに/または尿路感染症の治療または予防において、同時に、別々に、または逐次的に使用するための複合製剤として、少なくとも1種の請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス株と少なくとも1種のさらに別のプロバイオティクス細菌とを含む製品。
  14. 対象における微生物叢の調節、例えば、有益な膣内微生物叢の回復に使用するための、請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス株、請求項1もしくは2に記載の変異体もしくはバリアント、および/または請求項3から8のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 対象におけるマイクロバイオーム、例えば、膣内マイクロバイオームを調節する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス株、請求項1もしくは2に記載の変異体もしくはバリアント、および/または請求項3から8のいずれか一項に記載の組成物を有効量投与することを含む、方法。
  16. 対象のマイクロバイオーム、例えば、膣内マイクロバイオームの調節において同時に、別々に、または逐次的に使用するための複合製剤として、少なくとも1種の請求項1に記載のラクトバチルス・クリスパタス株と少なくとも1種のさらに別のプロバイオティクス細菌とを含む製品。
JP2021520314A 2018-10-09 2019-10-09 泌尿生殖器の酵母感染症および細菌感染症の治療に適したプロバイオティクスなラクトバチルス・クリスパタス株 Pending JP2022512692A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB1816425.1A GB201816425D0 (en) 2018-10-09 2018-10-09 Probiotics
GB1816425.1 2018-10-09
PCT/EP2019/077279 WO2020074547A1 (en) 2018-10-09 2019-10-09 Lactobacillus crispatus probiotic strains suitable for treating urogenital yeast and bacterial infections

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022512692A true JP2022512692A (ja) 2022-02-07

Family

ID=64397549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021520314A Pending JP2022512692A (ja) 2018-10-09 2019-10-09 泌尿生殖器の酵母感染症および細菌感染症の治療に適したプロバイオティクスなラクトバチルス・クリスパタス株

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP3636782A1 (ja)
JP (1) JP2022512692A (ja)
GB (1) GB201816425D0 (ja)
WO (1) WO2020074547A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102063757B1 (ko) 2019-05-03 2020-01-08 주식회사 메디오젠 가드네렐라 바기날리스 및 칸디다 알비칸스에 항균 효과를 갖는 질염 치료 또는 개선용 유산균
CN111893057B (zh) * 2020-06-29 2021-04-23 哈尔滨美华生物技术股份有限公司 一株用于防治妇女泌尿生殖道感染的卷曲乳杆菌及其应用
CN112342154B (zh) * 2020-09-03 2022-08-05 上海上药信谊药厂有限公司 用于预防和治疗女性生殖道炎症的益生菌
CN112458007A (zh) * 2020-11-10 2021-03-09 深圳华大生命科学研究院 用于预防和/或治疗生殖道菌群紊乱相关疾病的卷曲乳杆菌
CN114452307A (zh) * 2020-11-10 2022-05-10 西安正浩生物制药有限公司 对阴道炎具有治疗和预防作用的乳酸菌胶囊及其制备方法
CN114561330B (zh) * 2022-04-24 2022-08-26 微康益生菌(苏州)股份有限公司 一种防治生殖道感染的复合菌剂
CN115851504A (zh) * 2022-09-30 2023-03-28 广东君薇生物科技有限公司 益生菌、组合物及其应用
CN117535208B (zh) * 2024-01-04 2024-03-29 四川厌氧生物科技有限责任公司 一种卷曲乳杆菌及其在女性生殖道健康中的应用

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6093394A (en) * 1997-04-11 2000-07-25 Gynelogix, Inc. Vaginal lactobacillus medicant
US8329447B2 (en) * 2008-12-12 2012-12-11 Osel, Inc. Strain of Lactobacillus crispatus
FR2992973B1 (fr) * 2012-07-09 2015-12-18 S P M D Nouvelle souche de lactobacillus crispatus
RU2504580C1 (ru) * 2012-08-01 2014-01-20 Вячеслав Михайлович Абрамов ПРОБИОТИЧЕСКИЕ ШТАММЫ Lactobacillus И ИХ КОНСОРЦИУМ ДЛЯ ПРОФИЛАКТИКИ И ЛЕЧЕНИЯ УРОГЕНИТАЛЬНЫХ ИНФЕКЦИОННЫХ ЗАБОЛЕВАНИЙ У ЖЕНЩИН
CZ2014565A3 (cs) * 2014-08-22 2016-03-02 Vysoká škola chemicko - technologická v Praze Kmeny laktobacilů produkující látky účinné proti vaginálním patogenům, jejich použití a hygienické prostředky je obsahující
WO2018013583A2 (en) * 2016-07-11 2018-01-18 The Brigham And Women's Hospital, Inc. Medicinal vaginal lactobacillus cocktail

Also Published As

Publication number Publication date
EP3636782A1 (en) 2020-04-15
WO2020074547A8 (en) 2020-10-08
WO2020074547A1 (en) 2020-04-16
GB201816425D0 (en) 2018-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2022512692A (ja) 泌尿生殖器の酵母感染症および細菌感染症の治療に適したプロバイオティクスなラクトバチルス・クリスパタス株
JP5147402B2 (ja) 膣健康改善のためのプロバイオティックラクトバチルス株
JP6587614B2 (ja) プロバイオティクスとしてのラクトバチルス属の菌株
US8137952B2 (en) Thermostable lactobacillus strains
EP2220210B1 (en) Strains of lactobacillus plantarum as probiotics with immunomodulatory specific effect
JP7111699B2 (ja) 細菌
WO2022161928A1 (en) Probiotic composition comprising lactobacillus salivarius and bifidobacterium longum and its uses
WO2014064488A1 (en) Streptococcus thermophilus strains for treating helicobacter pylori infection
US20240066078A1 (en) Strains, compositions and methods of use
US9272007B2 (en) Strain of L. bulgaricus capable of inhibiting the adhesion of H. pylori strains to epithelial cells
WO2022013210A1 (en) Lactobacillus salivarus strain and its use in the prevention and treatment of urogenital tract dysbiosis

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210408

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220809

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230725

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240418