JP2022506042A - 水性医薬製剤 - Google Patents

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Abstract

インターロイキン(IL)-6の受容体に特異的な抗体(例えば、トシリズマブ)及びその抗体を安定化するための有効量のヒスチジンを含む水性医薬製剤が提供される。上記ヒスチジンは、安定化効果を達成するために、50mM~200mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。

Description

本開示は、概して医薬製剤の分野に関する。より具体的には、本開示は、インターロイキン(IL)-6の受容体に特異的なトシリズマブなどの抗体、及びその抗体を安定化するための有効量のヒスチジンを含む水性医薬組成物に関する。
過去10年間を通じて、タンパク質ベースの治療薬は製薬業界の成長の主要な推進力として浮上してきた。中でも、モノクローナル抗体が世界で最も急速に成長しているタンパク質医薬品の分野となっている。バイオテクノロジーの成功にもかかわらず、抗体治療薬の開発には依然として手に負えない課題がある。経口、経皮、及び/又は肺経路を介して投与され得る小分子(化合物など)とは異なり、抗体治療薬は通常、注射によって投与される。サイズ、生理学的複雑性、及び生物学的利用能の制限を考慮して、注射される抗体は高濃度で調製する必要がある。しかし、高濃度のタンパク質は不安定であり、分解(脱アミノ化など)、凝集、及び/又は沈殿を起こしやすく、その結果、製造可能性が低下し、抗体の送達が複雑になる。
高濃度の抗体治療薬の純度と安定性を維持する目的で、様々な安定剤(例えば、グリセロール、グルコース、ガラクトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロース、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、イオン性又は非イオン性界面活性剤、多価アルコール、ポリエチレングリコール、及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO))をバッファー溶液に添加する必要がある。しかし、医薬品の複雑な組成により、製造プロセスと品質管理が困難になる可能性があり、また、薬物の副作用のリスクが高まる可能性がある。
上記を考慮すると、関連分野において、高濃度の抗体を含む、よりシンプルでより安定した水性製剤の必要性が存在する。
以下は、読者に基本的な理解を提供するために、開示の簡略化された概要を示している。この概要は、開示の広範な概説ではなく、本発明の重要な要素を特定したり、本発明の範囲を画定したりするものではない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、本明細書に開示するいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
本明細書で具体化され、広く説明されているように、本開示の一態様は、抗体、及びその抗体を安定化するためのヒスチジンを含む水性医薬製剤に関する。本開示のいくつかの実施形態によれば、抗体はインターロイキン(IL)-6の受容体に結合し、ヒスチジンは50mM~200mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。
本開示の好ましい実施形態によれば、ヒスチジンは50mM~150mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。好ましくは、ヒスチジンは60mM~130mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。より好ましくは、ヒスチジンは、60mM~125mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。
本開示の特定の実施形態によれば、抗体は、0.1~300mg/mlの濃度で水性医薬製剤中に存在するトシリズマブである。一実施例では、トシリズマブは、180mg/mlの濃度で水性医薬製剤に含まれている。
任意選択で、本開示の水性医薬製剤は、重量/体積(w/v)ベースで0.01~0.05%の濃度で水性医薬製剤中に存在する界面活性剤をさらに含み得る。ある特定の例によれば、界面活性剤はポリソルベートであり、0.03%(w/v)の濃度で水性医薬製剤中に存在する。
さらに任意選択で、本開示の水性医薬製剤は、1mM~150mMの濃度で水性医薬製剤中に存在するアミノ酸をさらに含んでもよく、ここで、アミノ酸は、リジン、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、アラニン、スレオニン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、トリプトファン、アルギニン、メチオニン、及びバリンからなる群から選択される。本開示のいくつかの実施形態によれば、水性医薬製剤は、70mMのリジン、スレオニン、セリン、プロリン、バリン、又はアラニンを含む。
特定の実施形態によれば、水性医薬製剤は5.0~6.5のpHを有する。
本開示の付随する特徴及び利点の多くは、以下の詳細な説明を参照し、付随する図面と共に考慮することで、より良く理解されるであろう。
本開示の例2.1により指定された濃度のヒスチジンを含む製剤の純度(SEC純度)のパーセンテージを示す。製剤は、0回の凍結融解サイクル(F/T0)、5回の凍結融解サイクル(F/T5)、又は10回の凍結融解サイクル(F/T10)に供した。 本開示の例2.1により指定された濃度のヒスチジンを含む製剤の高分子量種(SEC HMW)のパーセンテージを示す。製剤は、0回の凍結融解サイクル(F/T0)、5回の凍結融解サイクル(F/T5)、又は10回の凍結融解サイクル(F/T10)に供した。 本開示の例2.1により指定された濃度のヒスチジンを含む製剤の低分子量種(SEC、LMW)のパーセンテージを示す。製剤は、0回の凍結融解サイクル(F/T0)、5回の凍結融解サイクル(F/T5)、又は10回の凍結融解サイクル(F/T10)に供した。 本開示の例2.2により指定された濃度のヒスチジンを含む製剤の高分子量種(SEC HMW)のパーセンテージを示す。製剤は、2~8℃、25℃、又は40℃で0週間(0W)、2週間(2W)、又は4週間(4W)おいた。 本開示の例2.2により指定された濃度のヒスチジンを含む製剤の純度(SEC純度)のパーセンテージを示す。製剤は、2~8℃、25℃、又は40℃で0週間(0W)、2週間(2W)、又は4週間(4W)おいた。 本開示の例2.2により指定された濃度のヒスチジンを含む製剤の低分子量種(SEC LMW)のパーセンテージを示す。製剤は、2~8℃、25℃、又は40℃で0週間(0W)、2週間(2W)、又は4週間(4W)おいた。
発明の詳細な説明
添付の図面に関連して以下に提供される詳細な説明は、本発明の例の説明として意図されており、本発明の例のみが、構築され又は利用され得る形式を表すということは意図されていない。説明は、例の機能、及び例を構築し実施するための工程の順序を示している。ただし、同じ又は同等の機能及び順序が、異なる例によって実現される場合がある。
I.定義
便宜のため、本明細書、例、及び添付の特許請求の範囲で使用されている特定の用語をここに集めて記載する。本明細書において異なる定義がされない限り、本開示で使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般的に理解され、使用される意味を有するものとする。また、文脈上必要とされない限り、単数形には同じものの複数形が含まれ、複数形には単数形が含まれるものと理解される。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、文脈上明確に示されない限り、単数形の「1つ」には複数形の参照が含まれる。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用される「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という用語は同じ意味を持ち、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上を含む。
発明の広い範囲を規定している数値の範囲及びパラメータは概算であるが、特定の例で記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。ただし、すべての数値には、それぞれのテスト測定で見られる標準偏差に必然的に起因するある種の誤差が本質的に含まれている。また、本明細書で使用される「約」という用語は、通常、所与の値又は範囲の10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内を意味する。あるいは、「約」という用語は、当業者にとって考えられる、平均の許容可能な標準誤差内を意味する。動作例/実用例を除き、又は特に明記されていない限り、本明細書に開示されている材料の量、時間の長さ、時間、温度、動作条件、量の比率などについての数値範囲、量、値、及びパーセンテージのすべては、如何なる場合も「約」という用語によって修飾されていると理解すべきである。したがって、そうでないことが示されていない限り、本開示及び添付の特許請求の範囲で設定されている数値パラメータは、必要に応じて変更できる近似値である。少なくとも、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈する必要がある。
本明細書で使用される「医薬製剤」という用語は、有効成分(例えば、抗体)の生物学的活性を有効にするような形態であり、かつ、製剤が投与される対象に毒性のある追加の成分を含まない製剤を指す。「医薬製剤」という用語は、対象(例えば、ヒト)への投与のための、及び/又は研究目的のための、薬学的に許容される組成物を含む。対象への投与には、限定するものではないが、局所、舌下、直腸、膣内、経皮、皮下、経口、吸入、鼻腔内、肺、静脈内、経腸、又は非経口が含まれ得る。本開示の特定の実施形態によれば、本医薬製剤は、対象に皮下投与される。
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメントを包含するが、抗体フラグメントは、所望の生物学的活性を示す、すなわち、タンパク質及び/又は他の分子の複雑な混合物中でその標的抗原を優先的に認識する場合、その抗原(例えば、IL-6の受容体)に特異的に結合するものに限る。本願の特定の実施形態によれば、本発明の抗体は、IL-6の受容体を特異的に認識するモノクローナル抗体である。抗体は通常、免疫グロブリン分子の四量体である。しかしながら、本発明の抗体は、例えば、可変フラグメント(Fv)、一本鎖可変フラグメント(scFv)、抗体結合フラグメント(Fab)及びF(ab)、ならびに一本鎖抗体やヒト化抗体を含む様々な形態で代替的に存在し得る。抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト及び/又は親和性成熟抗体とすることができる。
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、天然及び/又は非天然又は合成アミノ酸のいずれかを指す。アミノ酸がD-又はL-アミノ酸として指定されていない場合、そのアミノ酸はL-アミノ酸であるか、又は文脈上特定の異性体が必要とされる場合を除き、D-又はL-アミノ酸のいずれでもあり得る。さらに、本願でアミノ酸に使用されている表記法は、当技術分野で一般的に使用されている略語である。
本明細書で使用される場合、「安定化する」という用語は、抗体(例えば、本開示の抗IL6R抗体)の安定状態に近づき又は安定状態を達成するために必要とされる安定性の向上を指す。より具体的には、「安定化する」という用語は、抗体を安定、堅固、又は不動の状態にし、又は保持すること、及び/又は抗体を、所与の又は実質的に変動しないレベルで、所与の又は実質的に変動しない質で、及び/又は所与の又は実質的に変動しない量で維持することを指す。「安定化する」という用語は、例えば、抗体が所定の期間、溶液中に保存されている場合に、抗体の活性及び/又は機能の低下を抑制することを含む。
II.発明の説明
本開示は、IL-6の受容体に特異的な抗体、すなわち抗IL6R抗体及びその抗体を安定化するための有効量のヒスチジンを含む水性医薬製剤に関する。
概して、本医薬製剤の抗体は、当業者に知られている任意の方法によって製造することができる。例えば、免疫化又はワクチン接種プロトコル(すなわち、目的のポリペプチド(例えば、IL-6の受容体)を動物に投与することによって動物で免疫応答を開始し、その後、産生された抗体を単離及び精製する)、ハイブリドーマ細胞(すなわち、ハイブリドーマ細胞を培養して抗体を産生させ培養培地に分泌させる)、及び組換えDNA技術(すなわち、抗体又は抗体のフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを細胞に導入し、細胞内でその抗体又はそのフラグメントを発現させる)によって製造することができる。
本開示の特定の実施形態によれば、本医薬製剤の抗体は、組換えDNA技術によって産生されるトシリズマブである。これらの実施形態では、このように産生されたトシリズマブの重鎖及び軽鎖は、それぞれ、配列番号1及び2のアミノ酸配列を含んでいた。
本開示のいくつかの実施形態によれば、ヒスチジンは、安定化効果を達成するために、50mM~200mM、例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、又は200mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。好ましくは、ヒスチジンは50mM~150mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。好ましくは、ヒスチジンは、60mM~130mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。より好ましくは、ヒスチジンは、60mM~125mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する。
抗体は、0.1~300mg/mlの濃度、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、又は300mg/mlで水性医薬製剤中に存在する。好ましくは、抗体は、1~240mg/mlの濃度で水性医薬製剤中に存在する。より好ましくは、抗体は、100~220mg/mlの濃度で水性医薬製剤中に存在する。いくつかの実用例によれば、抗体は、180mg/mlの濃度で水性医薬製剤中に存在する。
本開示の水性医薬製剤は、5.0~6.5のpHを有する。すなわち、本医薬製剤のpH値は、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.1、6.2、6.3、6.4、又は6.5であり得る。一実施形態では、本医薬製剤は5.0のpHを有する。別の実施形態では、本医薬製剤は5.4のpHを有する。さらに別の実施形態では、本医薬製剤は5.7のpHを有する。さらに別の実施形態では、本医薬製剤は6.0のpHを有する。
基本的に、本開示の水性医薬製剤は、静脈内、皮膚、又は皮下感染(infection)のための液体形態に、例えば、パイロジェンフリーの、非経口的に許容される水溶液の形態で製剤化される。非経口調製物は、アンプル、シリンジ、又はガラスやプラスチック製の複数回投与バイアルに入れることができる。所望の目的に応じて、本水性医薬製剤の抗体は、界面活性剤、安定剤、バッファー、又は当業者に知られている他の添加剤(例えば、防腐剤又は抗酸化剤)と共に製剤化することができる。
任意選択の実施形態では、本開示の水性医薬製剤は、さらに界面活性剤を含む。本医薬製剤中の界面活性剤の濃度は、好ましくは、0.01~0.05%(w/v)の範囲であり、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%である。本医薬製剤に使用するのに適した非限定的な界面活性剤には、限定するものではないが、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、及びポリソルベート80)、ポリオキシエチレン、水添ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアラート、ポリオキシエチレンジステアラート、ポリオキシエチレンオレアート、ポリオキシエチレンジオレアート、ポリオキシエチレンオレイルアルコール、ポリオキシエチレンステアリルアルコール、ポリオキシエチレンセテアリルアルコール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれる。一実用例によれば、界面活性剤は、本医薬製剤中に0.03%(w/v)の濃度で存在するポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)である。
本開示の1つの代替実施形態によれば、ヒスチジンに加えて、本開示の水性医薬製剤は、リジン(Lys、L)、アスパラギン酸(Asp、D)、プロリン(Pro、P)、フェニルアラニン(Phe、F)、アラニン(Ala、A)、スレオニン(Thr、T)、ロイシン(Leu、L)、アスパラギン(Asn、N)、グルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、セリン(Ser、S)、トリプトファン(Trp、W)、アルギニン(Arg、R)、メチオニン(Met、M)、ヒスチジン(His、H)、及びバリン(Val、V)からなる群から選択されるアミノ酸をさらに含む。本開示の好ましい実施形態によれば、前記アミノ酸は、水性医薬製剤中に1mM~150mMの濃度、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150mMで存在する。ある特定の例では、水性医薬製剤は、70mMのリジン、スレオニン、セリン、プロリン、バリン、又はアラニンを含む。
これに加え、又はこれに代えて、本開示の水性医薬製剤は、例えば、グルコース、ガラクトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、スクロース、トレハロースなどの安定剤をさらに含むことができ、これは、水性医薬製剤中に1~10%(w/v)の濃度、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%で存在する。本開示の一例によれば、水性医薬製剤は3%のスクロースを含む。
本開示のいくつかの実施形態によれば、抗体はバッファー中で製剤化され、バッファーは、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、リン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液、又はそれらの組み合わせであり得る。本医薬製剤におけるバッファーの濃度は、好ましくは5~250mMの範囲である。つまり、バッファーの濃度は、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、又は250mMであり得る。本開示の一実施形態によれば、バッファーはヒスチジン緩衝液である。本開示の別の実施形態によれば、バッファーは酢酸緩衝液である。
本開示の特定の実施形態によれば、25℃で4週間又は8週間保存した後、本医薬製剤中の抗体の純度は98%よりも高く、すなわち、抗体の単量体の98%超が保持される。本開示の代替の実施形態によれば、40℃で4週間保存した後、本医薬製剤中の抗体の純度は95%よりも高く、すなわち、抗体の単量体の95%超が保持される。本開示のいくつかの実施形態によれば、40℃で8週間保存した後、本医薬製剤中の抗体の純度は92%よりも高く、すなわち、抗体の単量体の92%超が保持される。
本開示の特定の実施形態によれば、本発明の水性医薬製剤の抗体は、40℃で8週間保存した後、サイズ排除クロマトグラフィー-高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によって測定して5%未満の凝集体形成を有することを特徴とする。本開示の代替の実施形態によれば、本発明の水性医薬製剤の抗体は、40℃で8週間保存した後、SEC-HPLCによって測定して3%未満の凝集体形成を有することを特徴とする。本開示のいくつかの実施形態によれば、本発明の水性医薬製剤の抗体は、40℃で4週間保存した後、SEC-HPLCによって測定して2%未満の凝集体形成を有することを特徴とする。
以下の例は、本発明の特定の態様を明らかにし、この発明を実施する当業者を助けるために提供されている。これらの例は、いかなる形でも本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではない。これ以上詳しく説明しなくても、当業者は、本明細書の説明に基づいて、本発明を最大限に活用できると考えられる。ここで引用されているすべての出版物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施例
材料及び方法
トシリズマブIgGタンパク質
製剤に使用する抗IL6R抗体であるトシリズマブIgGタンパク質を、CHO細胞で発現させた。CHO細胞を2,000リットルのバイオリアクターで培養し、流加培養プロセスを実施した。上記のプロセスによって生成されたトシリズマブIgGタンパク質を、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィーなどを含む、当技術分野で知られている標準的な一連のクロマトグラフィーステップによって精製した。さらに、上記精製タンパク質を濃縮するために限外ろ過膜を使用したフローろ過を行った。選択したバッファーを交換するためにダイアフィルトレーションを行った。
このようにして生成されたトシリズマブIgGタンパク質の重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号1及び2のアミノ酸配列で構成されていた。
熱ストレス試験
熱加速試験として知られる熱ストレスを、試験用製剤に適用した。簡単に説明すると、180mg/mlの抗IL6R抗体(トシリズマブIgGタンパク質)及び特定の成分(ヒスチジンなど)を含む製剤を、2~8℃、25℃、又は40℃で0、2、4、又は8週間インキュベートした。各試験製剤の純度を、サイズ排除クロマトグラフィー-高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によって分析した。
凍結融解ストレス試験
凍結融解ストレスを、試験製剤に適用した。このプロセスは、180mg/mlの抗IL6R抗体(トシリズマブIgGタンパク質)及び特定の成分(ヒスチジンなど)を含む製剤を-80℃で少なくとも8時間凍結し、その後室温で融解させることで完了した。凍結と融解のサイクルを5回又は10回連続して繰り返した。次に、各試験製剤の純度をSEC-HPLCで分析した。
SEC-HPLC
タンパク質の凝集と断片化をモニタリングし、トシリズマブタンパク質の純度を決定するために、SEC-HPLCを使用した。各サンプルを、製剤バッファーで10mg/mlの最終濃度に希釈し、HPLC分析にかけた。実験に用いたHPLCパラメータを表1にまとめた。
Figure 2022506042000002
SECプロファイルに示されているメインピークは、単量体トシリズマブタンパク質を表し、プレピークは、人体内に導入された後に免疫応答を誘導するリスクのあるトシリズマブタンパク質の高分子量(HMW)の凝集体形成を表し、ポストピークは、トシリズマブタンパク質の分解された低分子量(LMW)フラグメントを表した。概ね、メインピークは製剤の純度及び安定性に比例していた。
例1 トシリズマブの安定性に対するアミノ酸の影響
IgGタンパク質の安定化に対するアミノ酸の影響を評価するために、抗IL6受容体抗体であるトシリズマブを、約180mg/mlの濃度及びpH値5で水に溶解させ、40mMのアスパラギン酸(Asp)、プロリン(Pro)、フェニルアラニン(Phe)、アラニン(Ala)、スレオニン(Thr)、ロイシン(Leu)、アスパラギン(Asn)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、トリプトファン(Trp)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、又はバリン(Val)を添加した。調製したサンプルを40℃又は25℃で4週間保存した後、SEC-HPLC分析を行った。結果を、それぞれ表2及び表3にまとめた。
Figure 2022506042000003
Figure 2022506042000004
表2のデータは、40℃で4週間保存した後、プロリン、アラニン、スレオニン、セリン、アルギニン、ヒスチジン、又はバリンを含む製剤は、他のアミノ酸を含む製剤と比較して、単量体(メインピーク%)の減少が少ないことを示した。ヒスチジン、アルギニン、プロリン、アラニン、又はバリンを含む製剤は、他のアミノ酸を含む製剤よりも、少ないHMW凝集体(HMW%;His:1.96%、Arg:2.21%、Pro:2.19%、Ala:2.30%、Val:2.32%)及び凝集体の増加が少ないこと(増加HMW%;His:0.78%、Arg:1.03%、Pro:0.95%、Ala:1.03%、Val:1.10%)を示した(表2)。トリプトファンを含む製剤は、最も高いHMW凝集体(TrpのHMW%:3.15%)及び凝集体の増加(Trpの増加HMW%:2.0%)を有し(表2)、トリプトファンは、熱ストレスを受けたときの製剤中の抗IL6R抗体の安定性を向上させないことが推測された。
しかし、表3のデータは、25℃で4週間保存した後の試験製剤の間で、凝集体及びフラグメントの増加(増加HMW%及び増加LMW%)に有意差がないことを示した。おそらく、室温で保存されたサンプルは、40℃の保存条件で観察された安定性の傾向を示すのに時間がかかると考えられる。
結論として、他のアミノ酸と比較して、40mMのヒスチジンを含む抗体製剤は、純度の低下(単量体の低下)、HMW凝集体及び凝集の増加が最も少ない。データは、製剤中の抗IL6R抗体を安定化するヒスチジンの性能が、様々なアミノ酸の中で最高であり、市販のトシリズマブ含有製剤で使用されている安定剤の1つであるアルギニンよりも優れていることを示唆している。
例2 トシリズマブの安定性に対するヒスチジン濃度の効果
IgGタンパク質の安定性に対するヒスチジン濃度の影響を評価するために、180mg/mlのトシリズマブを、pH値6.0の様々な濃度(10、20、40、60、80、100、125、150、及び200mMを含む)のヒスチジン緩衝液で製剤化し、0.03%(w/v)のポリソルベート80を添加した。このように調製した製剤に、それぞれ凍結融解ストレス(0、5、又は10サイクル)及び熱ストレス(2~8℃、25℃、又は40℃で0、2、又は4週間)を与え、続いてトシリズマブの純度を決定するため、SEC-HPLCの分析を行った。データをそれぞれ図1及び2に示す。
2.1 凍結融解ストレスの分析
図1のパネル(a)及び(b)に示されているように、トシリズマブ単量体(純度%)はヒスチジン濃度の増加とともに増加し、高分子量種(HMW%)は、5サイクル又は10サイクルの凍結融解ストレスで処理する前後に関係なく、ヒスチジン濃度の増加とともに減少した。さらに、低分子量種については、5サイクル又は10サイクルの凍結融解ストレスで処理した後、ヒスチジンの濃度が異なるサンプル間で有意差はなかった(図1のパネル(c))。
各試験製剤において形成されたHMW及びLMWの量を分析することにより、ヒスチジン緩衝液の濃度と純度との間に正の相関関係が観察され、トシリズマブの純度に対するヒスチジンの保護効果が示された。さらに、ヒスチジン緩衝液は、5又は10サイクルの凍結融解ストレス下で、低分子量種よりも高分子量種の形成を阻害した(図1のパネル(b)及び(c))。これらの結果は、凍結融解ストレス下で形成されたタンパク質サイズ変動体に対するヒスチジン濃度の効果を明確に示している。
2.2 熱ストレスの分析
図2のパネル(a)に示されているように、ヒスチジン緩衝液の濃度の増加に従って高分子量種(すなわち凝集体)(HMW%)の形成が減少するとともに純度が徐々に上昇し、40℃での保存は2~8℃及び25℃での保存よりも多くの高分子量種の生成を誘発した。
また、サンプルを40℃で4週間保存した場合、125mMのヒスチジ緩衝液を含む製剤は、最少の高分子量種及び最高のタンパク質純度を有することが分かった。しかし、ヒスチジン濃度が最大150mM及び200mMになると、低分子量種(すなわちフラグメント)(LMW%)が増加し、タンパク質の純度が低下した(図2のパネル(b)及び(c))。
例2.1及び2.2の結果は、製剤に含まれるヒスチジンの濃度を上げると、凝集体の形成を阻害し、トシリズマブの安定性を向上できることを示した。しかし、製剤を高温で保存した場合、150mMを超えるヒスチジン濃度ではフラグメントの生成を引き起こす可能性がある。
例3 他のアミノ酸と組み合わせたヒスチジンの、トシリズマブの安定性に対する効果
アルギニン及びメチオニン以外のアミノ酸と組み合わせたヒスチジンの抗体安定性への効果を評価するために、180mg/mlのトシリズマブを、0.03%のポリソルベート80(w/v、界面活性剤として機能する)を添加したpH6.0の高濃度ヒスチジン緩衝液(80mM)で製剤化し、さらにヒスチジン、リジン、スレオニン、セリン、プロリン、バリン、及びアラニンのうちから選択された70mMの濃度のアミノ酸を製剤に追加した。試験製剤を熱加速試験(25℃又は40℃で8週間保存)に供し、SEC-HPLCで分析した。データをそれぞれ表4及び表5にまとめた。
Figure 2022506042000005
Figure 2022506042000006
表4及び5の結果は、試験製剤間でフラグメントの増加(増加LMW%)に有意差がなかったこと、ならびに、80mMヒスチジン緩衝液のみ、及び80mMヒスチジン緩衝液に70mMスレオニン、70mMセリン、70mMバリン、又は70mMアラニンを添加したものを含む製剤は、熱加速後に似たような純度損失(すなわち、増加メインピーク(%)のパーセンテージ)及び凝集体の生成(増加HMW(%))を示したことを表している。さらに、80mMヒスチジン緩衝液に70mMリジン又はプロリンを含む製剤は、低い純度損失及び増加HMW(%)を示し、150mMヒスチジン(80mMヒスチジン緩衝液に70mMヒスチジンを添加)を含む試験製剤は、25℃及び40℃で8週間保存した後、最も低い純度損失を及び最も低い増加HMW(%)を示した(25℃で増加メインピーク(%):-0.68%;増加HMW(%):0.48%、40℃で増加メインピーク(%):-6.23%;増加HMW(%):1.17%)。
例2.2で観察された傾向として、液体製剤に追加されたヒスチジンの濃度が高いほど、単量体損失及び抗IL6R Abの凝集体増加が少なくなる。他の安定剤や、アルギニン又はメチオニンなどのアミノ酸を添加しなくても、30mM以上の濃度のヒスチジンを含む製剤中で、抗IL6R抗体を安定して保存することができると結論づけられる。
例4 酢酸緩衝液中のトシリズマブの安定性に対するヒスチジン及びリジンの効果
低pH条件でのタンパク質安定性に対するヒスチジンの安定化効果をさらに明らかにするために、180mg/mlのトシリズマブを、賦形剤として0.03%(w/v)ポリソルベート80の存在下で、以下から選択されるアミノ酸を添加した又は添加していないpH5.4の酢酸緩衝液に溶解させた:1.5%ヒスチジンHCl(78mMヒスチジン、サンプルID:A1.5H3S)、2.5%ヒスチジンHCl(130mMヒスチジン、サンプルID:A2.5H)、1.5%リジンHCl(82.1mMリジン、サンプルID:A1.5L3S)、又は2.5%リジンHCl(136.9mMリジン、サンプルID:A2.5L)。1.5%のアミノ酸を含む製剤(つまり、A1.5L3S、及びA1.5H3S)にはさらに安定剤として3%のスクロースを追加した。アミノ酸を添加していない製剤(サンプルID:A、及びA3S)を実験の対照群とした。これらの調製された製剤を、25℃又は40℃で8週間保存し、SEC-HPLCによって分析した。結果を、それぞれ表6及び7にまとめた。
Figure 2022506042000007
Figure 2022506042000008
表6及び7のデータは、1.5%及び2.5%のヒスチジンHClを含む試験製剤(つまり、A1.5H3S、及びA2.5H)では、他のサンプルと比較して、25℃で8週間保存した後、高分子量凝集体の増加(増加HMW%)及び単量体損失(増加メインピーク%)が少なく、また、40℃で8週間保存した後、高分子量凝集体の増加(増加HMW%)が少ないことを示した。さらに、2.5%ヒスチジンHClを含む製剤(つまり、A2.5H;130mMヒスチジンに等しい)は、すべての試験製剤の中で高分子量凝集体の増加(増加HMW%)が最も少なかった。しかし、表7の結果は、2.5%ヒスチジンHClを含む試験製剤(つまり、A2.5H)では、40℃で8週間保存した後、リジンHClを含む他の製剤、又はアミノ酸を添加していない他の製剤よりも低分子量フラグメントの増加(増加LMW%)が高いことも示した。低pHレベルの酢酸緩衝液中の高濃度のヒスチジンは、抗IL6R抗体であるトシリズマブのフラグメントの生成を誘発する可能性があることが示唆された。
上記のことから、低pHレベルの酢酸緩衝液中の高ヒスチジン濃度は、熱ストレスによって引き起こされるタンパク質凝集から抗IL6R抗体を保護し得るが、一方でフラグメントの増加を誘発する可能性があることが明らかになった。
上記の実施形態の説明は、例としてのみ与えられており、当業者によって様々な変更が行われ得ることが理解されよう。上記の明細、例、及びデータは、本発明の構造及び例示的な実施形態の使用の完全な説明を提供する。発明の様々な実施形態を、ある程度詳細に、あるいは1つ又は複数の個別の実施形態を参照して上記で説明したが、当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。

Claims (11)

  1. 水性医薬製剤であって、
    インターロイキン(IL)-6の受容体に結合する抗体と、
    その抗体を安定化するヒスチジンとを含み、
    ヒスチジンは50mM~200mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する、
    水性医薬製剤。
  2. ヒスチジンは50mM~150mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する、請求項1に記載の水性医薬製剤。
  3. ヒスチジンは60mM~125mMの濃度で水性医薬製剤中に存在する、請求項2に記載の水性医薬製剤。
  4. 抗体はトシリズマブである、請求項1に記載の水性医薬製剤。
  5. トシリズマブは、0.1~300mg/mlの濃度で水性医薬製剤中に存在する、請求項4に記載の水性医薬製剤。
  6. トシリズマブは、180mg/mlの濃度で水性医薬製剤中に存在する、請求項5に記載の水性医薬製剤。
  7. 0.01~0.05%(w/v)の濃度で水性医薬製剤中に存在する界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の水性医薬製剤。
  8. 界面活性剤はポリソルベートであり、0.03%(w/v)の濃度で水性医薬製剤中に存在する、請求項7に記載の水性医薬製剤。
  9. 1mM~150mMの濃度で水性医薬製剤中に存在するアミノ酸をさらに含み、アミノ酸は、リジン、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、アラニン、スレオニン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、トリプトファン、アルギニン、メチオニン、及びバリンからなる群から選択される、請求項1に記載の水性医薬製剤。
  10. 70mMのリジン、スレオニン、セリン、プロリン、バリン、又はアラニンを含む、請求項9に記載の水性医薬製剤。
  11. 5.0~6.5のpHを有する、請求項1に記載の水性医薬製剤。
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