JP2022504917A - 繋ぎ止められた超音波デバイスおよびその使用 - Google Patents

繋ぎ止められた超音波デバイスおよびその使用 Download PDF

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Abstract

Figure 2022504917000001
本発明は、作用物質を被験体の内部組織に送達するために内視鏡とともに使用するためのデバイスおよび方法を提供する。これらのデバイスおよび方法は、一時的な音響キャビテーションを使用して、流体から組織へ直接、作用物質を運ぶ。これらのデバイスは、治療薬を迅速に上部消化管に送達するために内視鏡とともに使用できる小型の超音波トランスデューサーを備える。これらのデバイスは、胃腸組織と接触している流体の一時的な音響キャビテーションを促進して、作用物質が流体から組織に移行するのを促進する。

Description

関連出願への相互参照
本願は、2018年10月11日出願の米国仮出願第62/744,224号;2018年10月11日出願の米国仮出願第62/744,232号;2018年9月11月2日出願の米国仮出願第62/755,065号;および2018年11月9日出願の米国仮出願第62/757,842号の利益およびこれらの仮出願に対する優先権を主張する。これらの各仮出願の内容は、参照により本明細書中に援用される。
発明の分野
本発明は、概して、作用物質を内部組織に超音波送達するためのデバイスおよび方法に関する。
背景
数百万人が、有効な治療法がない疾患に罹患している。多くのそのような場合、当該疾患の分子基盤は既知であるが、その症状を引き起こす1つまたはそれを超える分子標的の活性を変更する時に、現行の試薬および送達機構が有効でない。いわゆる「創薬が困難な(undruggable)」標的が、癌、炎症性疾患および胃腸障害をはじめとした多様な重病に関連している。
胃腸(GI)管を通じた薬物送達は、患者の身体に対する侵襲が最小限に抑えられた状態で迅速に行うことができるので、望ましい。しかしながら、医薬品有効成分(API)を含む固形製剤または液体製剤を患者が嚥下する従来の経口送達は、消化管の酸性条件および強烈な消化酵素が原因で、多くの薬物でうまく機能しない。生物学的治療薬(「生物製剤」)などの一部の治療薬は、大きな高分子からなることが通常であり、吸収が悪い。患者が下痢している場合も、吸収が限定的になることがあり、消化管を通じて薬物が移行する持続時間が最小限に抑えられてしまう。
多くの生物製剤が、静脈内に投与されるが、この投与様式には、それ独自の障壁がある。例えば、生物製剤が循環することで、身体の免疫応答が惹起され、その結果、薬物が破壊されたり、身体から排出されたりして、その治療効果が無効になる。ゆえに、生物製剤は通常、それらが免疫系による検出を免れられるようにする被包構造または巨大分子複合体として製剤化される。
その結果として、多くの場合において、疾患の生物学的機序の理解が進展しても有効な治療法につながらず、適切に処置できない症状に人々が苦しむ状況が続いている。
要旨
本発明は、作用物質を患者の胃腸組織に超音波送達するためのデバイスおよび方法を提供する。これらのデバイスは、治療薬を迅速に上部消化管に送達するために内視鏡とともに使用できる小型の超音波トランスデューサーを備える。これらのデバイスは、胃腸組織と接触している流体の一時的な音響キャビテーションを促進して、作用物質が流体から組織に移行するのを促進する。移行は、1分以内またはそれ未満に生じるので、作用物質が音波エネルギーおよび消化器官の過酷な環境に曝露されるのが最小限に抑えられる。これらのデバイスは、有機小分子および生体高分子をはじめとした広範囲の作用物質の移行を可能にする。これらのデバイスを使用することにより、薬物、例えば、生物学的薬物を被包構造または巨大分子複合体などの保護性製剤として提供する必要がなくなる。その結果として、これらのデバイスにより、生物製剤(例えば、siRNA、mRNAなどの核酸)および有機小分子などの薬理学的物質を、それらの活性を維持する無修飾の(すなわち、天然の)形態で直接投与することが可能になる。
上記デバイスおよび方法は、上部消化管などの内部組織への治療薬の送達を改善することによって、種々の作用物質の治療可能性を広げる。これまでの方法では治療効果を達成するために高用量で提供しなければならないある特定の作用物質の場合でも、本発明の方法は、大幅に少ない投与量および/またはより低頻度の投与を用いて同等の治療効果を達成する。他の場合では、上記デバイスおよび方法は、これまで臨床的に有用な製剤または送達機序がなかった作用物質の治療的に有効な送達を可能にする。結果として、本発明は、これまで「創薬が困難」であると考えられていた多くの分子標的の薬学的介入を可能にし、多数の疾患および障害に対して有効な処置を提供する。
本発明の方法およびデバイスは、ワクチン接種にも有用である。毎年、ほぼ1000万人が感染症で死亡している。多くのこのような死亡は、ワクチン接種によって予防することができたが、種々の要因のせいで、予防接種率が最適以下となっている。多くのワクチンが、数ヶ月間または数年間にわたる反復投与を必要とする。その結果として、特に、診療所へのアクセスが困難な人が多い開発途上国では、多くの患者がワクチン接種の過程を完了できない。さらに、ほとんどのワクチンが、消化管を通じて確実に吸収されず、皮下針を用いた注射によって投与しなければならない。筋肉内注射または皮下注射は、有痛性であり、ワクチンの恩恵を受ける患者集団を構成することが多い小児を怖がらせることがある。皮内注射は、結核ワクチンで用いられているが、その実施が技術的に困難である。注射による投与では、針の慎重な廃棄も必要であり、一部の開発途上国では、有害な器具を安全に処分するためのインフラが整っていない。
本発明は、超音波を用いて、抗原および他のワクチン構成要素などの作用物質を粘膜組織に直接送達する方法を提供する。これらの方法は、免疫細胞が豊富な粘膜組織と接触している抗原含有流体に超音波を印加する工程を含む。超音波は、流体の一時的なキャビテーションを引き起こし、流体中の気泡の内破によって、抗原が粘膜組織に入り込む。さらに、超音波の適用によって、免疫細胞の活性化が誘発される。その結果として、これらの方法によって、免疫細胞への抗原の効率的な送達およびそれらの細胞の刺激が可能になり、抗原に対する有効な応答が開始する。これらの方法は、抗体、サイトカインおよびケモカインなどの免疫治療薬の送達にも有用である。
本明細書中に提供される超音波ベースの免疫化方法には、これまでの方法にまさるいくつかの利点がある。第1に、口の内部などの粘膜組織に抗原を送達することにより、針を用いた注射が必要なくなる。したがって、超音波ベースの方法は、患者にとってより好都合であり、廃棄しなければならない有害廃棄物の量も減少させる。抗原送達の効率および超音波の共刺激効果によっても、改善された免疫応答がもたらされる。ゆえに、より低用量のワクチンが使用され得、単回投与で免疫化が達成され得、より頑健な応答が誘発され得る。さらに、抗原が、エフェクターT細胞などの免疫細胞に直接送達されるので、抗原を被包形式または巨大分子複合体などの安定化製剤または保護性製剤として供給する必要がない。最後に、超音波ベースの送達は、弱毒生ワクチンの代わりにトキソイドワクチンを用いた免疫化を可能にする。その結果として、本発明の方法は、より安全かつより貯蔵しやすいワクチンの開発を容易にする。
本発明の方法およびデバイスは、創傷の処置にも有用である。潰瘍、熱傷および裂傷などの創傷は、重大な医学的問題である。例えば、米国では毎年、熱傷の創傷によって約40,000人が入院し、糖尿病性足部潰瘍が約60,000例の肢切断の原因となっている。開放創は、処置が困難である。成長因子が創傷治癒を促進する可能性があることはエビデンスによって示唆されているが、臨床応用の際に、成長因子を創傷部位に治療レベルで供給することには問題がある。成長因子の全身送達には、重篤な副作用のリスクがあるので、身体の40%超を占める熱傷を有する熱傷被害者の処置にしか推奨されない。さらに、全身送達は、血液によって運ばれる作用物質の創傷部位への送達を制限する末梢動脈疾患を通常伴う糖尿病性足部潰瘍の処置には有効でない。成長因子を含む組成物の局所塗布では、成長因子が損傷組織に浸透できるように創傷を治療的製剤に長期間曝露する必要がある。別の難点は、潰瘍の治癒を促進するある特定の凝固因子が、送達系に存在する他の化学物質または光の存在下において化学的に分解する点である。その結果として、そのような作用物質は、送達中の分解からそれらを保護するが作用部位では活性な化合物から放出されるコーティングを伴って提供されなければならない。
本発明は、超音波エネルギーを用いて成長因子などの治療薬を創傷に直接送達する方法を提供する。超音波を用いて、作用物質を含む流体の一時的なキャビテーションを起こし、流体中の気泡の内破によって、作用物質を創傷に進ませる。流体から創傷組織に直接、作用物質が移行するので、この移行は、迅速かつ効率的である。さらに、送達時間が短いおかげで、本方法は、作用物質を被包するまたは保護性の分子複合体内に含める複雑な製剤化が必要なくなる。
本発明の方法は、糖尿病性潰瘍および熱傷などの創傷を処置するこれまでの方法に関連する種々の障害を克服する。本方法は、成長因子を治癒中の組織に直接送達することによって、全身送達が原因の重篤な副作用を回避する。したがって、本方法を用いることにより、実質的にどの患者またはどの創傷タイプも処置することができ、本方法は、最も悲惨な症例に対してのみ確保される必要はない。さらに、超音波が成長因子を創傷組織内に追い込むので、本方法は、受動拡散に頼る方法よりも優れた創傷透過を達成する。さらに、本発明の方法とともに用いることができるより単純な製剤は、作製しやすく、作製コストがより安価で、使用前の貯蔵中、より安定している。
ある態様において、本発明は、作用物質を被験体の内部組織に送達するためのデバイスを提供する。これらのデバイスは、超音波トランスデューサー、およびその超音波トランスデューサーを電源と動作可能に連結する導電体を備える。超音波トランスデューサーと導電体の両方が、内視鏡の内腔内に部分的にまたは完全に適合するように構成されている。
上記超音波トランスデューサーは、そのトランスデューサーを内視鏡に通すことができるほど十分小さい最大の直径を有する。例えば、超音波トランスデューサーは、約40mm未満、約20mm未満、約10mm未満、約8mm未満、約6mm未満、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満または約1mm未満の最大直径を有し得る。
上記デバイスは、超音波トランスデューサーの一部分を覆うカバーを備え得る。そのカバーは、消化器官の環境から超音波トランスデューサーを保護し得る。例えば、そのカバーは、酸分解および酵素分解の1つ以上に対して抵抗性である材料を含み得る。
上記デバイスは、電源を備え得るか、または電源に接続するように構成され得る。電源は、被験体の身体の外に位置し得る。導電体は、超音波トランスデューサーを電源に接続し得るか、または超音波トランスデューサーを電源に接続するように構成され得る。
上記導電体は、トランスデューサーが被験体の消化管の領域に存在している間、被験体の外に位置する電源にトランスデューサーを接続するのに十分な長さを有し得る。例えば、導電体は、少なくとも約100mm、少なくとも約200mm、少なくとも約300mm、少なくとも約400mm、少なくとも約500mm、少なくとも約600mm、少なくとも約800mm、少なくとも約1m、少なくとも約1.5m、少なくとも約2m、少なくとも約2.5m、少なくとも約3mまたは少なくとも約4mの長さを有し得る。
上記デバイスは、流体を流体源から超音波トランスデューサーに送達するための管を備え得る。流体源は、被験体の身体の外に位置し得る。管は、流体源から超音波トランスデューサーまで通じていることがある。管は、内視鏡の内腔内に完全にもしくは部分的に位置し得るか、または内視鏡の内腔内に完全にもしくは部分的に適合するように構成され得る。管の近位端は、流体源と接続され得るか、または流体源と接続されるように構成され得る。管の遠位端は、超音波トランスデューサーと接触し得る。管の遠位端は、超音波トランスデューサーに近接して配置され得る。
別の態様において、本発明は、作用物質を被験体の内部組織に送達するためのデバイスを提供する。これらのデバイスは、ヒトの食道に適合するように構成された超音波トランスデューサー、およびその超音波トランスデューサーを電源と動作可能に連結する導電体を備える。
上記導電体は、内視鏡の内腔に部分的にまたは完全に適合するように構成され得る。
上記デバイスは、超音波トランスデューサーの一部分を覆うカバーを備え得る。そのカバーは、消化器官の環境から超音波トランスデューサーを保護し得る。例えば、そのカバーは、酸分解および酵素分解の1つ以上に対して抵抗性である材料を含み得る。
上記デバイスは、電源を備え得るか、または電源に接続するように構成され得る。電源は、被験体の身体の外に位置し得る。上記導電体は、超音波トランスデューサーを電源に接続し得るか、または超音波トランスデューサーを電源に接続するように構成され得る。
上記導電体は、トランスデューサーが被験体の消化管の領域に存在している間、被験体の外に位置する電源にトランスデューサーを接続するのに十分な長さを有し得る。例えば、導電体は、少なくとも約100mm、少なくとも約200mm、少なくとも約300mm、少なくとも約400mm、少なくとも約500mm、少なくとも約600mm、少なくとも約800mm、少なくとも約1m、少なくとも約1.5m、少なくとも約2m、少なくとも約2.5m、少なくとも約3mまたは少なくとも約4mの長さを有し得る。
上記デバイスは、流体を流体源から超音波トランスデューサーに送達するための管を備え得る。流体源は、被験体の身体の外に位置し得る。管は、流体源から超音波トランスデューサーまで通じていることがある。管は、内視鏡の内腔内に完全にもしくは部分的に位置し得るか、または内視鏡の内腔内に完全にもしくは部分的に適合するように構成され得る。管の近位端は、流体源と接続され得るか、または流体源と接続されるように構成され得る。管の遠位端は、超音波トランスデューサーと接触し得る。管の遠位端は、超音波トランスデューサーに近接して配置され得る。
別の態様において、本発明は、作用物質を被験体の内部組織に送達する方法を提供する。それらの方法は、作用物質を含む流体が内部組織および超音波トランスデューサーに近接するように、被験体の食道を介して超音波トランスデューサーおよびその流体を導入する工程、ならびにその流体の一時的なキャビテーションを起こす周波数で超音波トランスデューサーから流体に超音波エネルギーを送達し、それにより、作用物質を被験体の内部組織に進ませる工程を含む。
上記方法は、上に記載されたデバイスなどの本発明のデバイスとともに用いることができる。
上記方法は、内視鏡を被験体に挿入する工程を含み得る。上記流体は、内視鏡を介して導入され得る。上記流体は、内視鏡の内腔に注射によって導入され得る。上記流体は、内視鏡内に完全にまたは部分的に収納された管を介して導入され得る。上記流体は、内視鏡の外側にある管を介して導入され得る。
別の態様において、本発明は、抗原を含む流体を被験体の粘膜組織に近接して導入し、抗原を粘膜組織に侵入させる周波数で超音波エネルギーを流体に送達し、それによって、免疫応答を惹起し、被験体の免疫化をもたらすことによって被験体を免疫化するための方法を提供する。
別の態様において、本発明は、抗原を含む流体を被験体の粘膜組織に近接して導入し、免疫化をもたらす周波数であって抗原を粘膜組織に侵入させる周波数(この侵入もまた免疫応答をもたらす)で超音波エネルギーを流体に送達することによって被験体を免疫化するための方法を提供し、ここで、これらの組み合わせによって、被験体の免疫化がもたらされる。
ある特定の実施形態では、導入工程および送達工程を繰り返さない。ある特定の実施形態では、導入工程、送達工程またはその両方を繰り返す。
上記粘膜組織は、胃腸組織であり得る。胃腸組織は、頬側組織、歯肉組織、口唇組織、食道組織、胃組織、腸組織、直腸結腸組織または肛門組織であり得る。粘膜組織は、鼻の組織または膣の組織であり得る。
上記流体は、粘膜組織への抗原の放出を延長する製剤を含み得る。その持続放出製剤は、微小粒子、ナノ粒子、ゲル、リポソーム、脂質小胞、デンドリマーまたはウイルス様粒子を含み得る。その持続放出製剤は、キトサン、ガンマポリグルタミン酸(γ-PGA)、ゼラチン、ヘマチン無水物、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、ラテックス、ポリ-(1,4-フェニレンアセトンジメチレンチオケタール)、ポリ(アルキルシアノアクリレート)(PACA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ-アルキル-シアノ-アクリレート(PAC)、ポリ無水物、ポリ乳酸(PLA)またはポリ-ε-カプロラクトン(PCL)を含み得る。
上記抗原は、免疫応答を引き起こす任意の作用物質であり得る。例えば、抗原は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、有機分子、トキソイドまたはそれらの任意の組み合わせであり得る。
上記抗原は、最小サイズを有し得る。例えば、抗原は、>100Da、>200Da、>500Da、>1000Da、>2000Da、>5000Da、>10,000Da、>20,000Da、>50,000Daまたは>100,000Daの分子量を有し得る。
上記免疫応答は、エフェクターT細胞の活性化を含み得る。エフェクターT細胞は、CD25であり得る。免疫応答は、抗原が粘膜組織に侵入した部位への免疫細胞、樹状細胞またはその両方の動員を含み得る。
上記超音波エネルギーは、流体の一時的なキャビテーションを起こし得る。流体中の気泡の内破によって、抗原が粘膜組織に進められ得る。
上記超音波エネルギーは、約10kHz~約10MHzの周波数で送達され得る。好ましくは、超音波エネルギーは、100kHz未満の周波数で送達される。例えば、超音波エネルギーは、約20kHz~約60kHzの周波数で送達され得る。超音波エネルギーは、約40kHzの周波数で送達され得る。
上記超音波エネルギーは、パルスで送達され得る。パルスは、20分未満、10分未満、5分未満または2分未満であり得る。パルスは、約0.1秒~約3分であり得る。パルスは、約10分、約5分、約3分、約2分、約1分、約30秒、約20秒または約10秒であり得る。パルスには、超音波エネルギーが断続的にまたはパルス内に中断を伴って適用されるデューティサイクルが含まれ得る。例えば、パルスには、「オフ」期によって分断された2つまたはそれを超える「オン」期を含み得る。「オン」期および「オフ」期は、任意の持続時間であってよい。例えば、限定されないが、「オン」および/または「オフ」期は、約10ミリ秒、約20ミリ秒、約50ミリ秒、約0.1秒、約0.2秒、約0.5秒、約1秒、約2秒、約5秒、約10秒、約20秒、約30秒、約1分、約2分または約5分であり得る。
上記超音波エネルギーは、ある割合またはパーセンテージの抗原の分解をもたらさないように選択され得る。例えば、超音波エネルギーは、抗原の約95%未満、抗原の約90%未満、抗原の約80%未満、抗原の約70%未満、抗原の約60%未満、抗原の約50%未満、抗原の約40%未満、抗原の約25%未満または抗原の約10%未満の分解をもたらし得る。
上記超音波エネルギーは、ホーンを備える超音波デバイスから送達され得る。ホーンは、流体と接触している場合がある。そのデバイスは、抗原を含む流体を保持するチャンバーを備え得る。
別の態様において、本発明は、被験体の標的組織に向けられた免疫応答を惹起する周波数で超音波エネルギーを被験体に送達し、流体中の免疫治療薬を被験体の標的組織に侵入させる周波数で超音波エネルギーを流体に送達することによって、被験体の標的組織を処置する方法を提供し、ここで、その免疫応答と免疫治療薬との組み合わせによって、被験体の標的組織に処置が提供される。
標的組織は、上に記載された組織のいずれかなどの粘膜組織であり得る。
免疫治療薬は、抗体、抗菌物質、ケモカイン、サイトカイン、イミド薬またはインターロイキンであり得るか、またはそれらを含み得る。
上記超音波エネルギーは、流体の一時的なキャビテーションを起こし得る。流体中の気泡の内破によって、免疫治療薬が標的組織に進められ得る。流体中の気泡の内破によって、標的組織に存在し得る免疫細胞に免疫治療薬が進められ得る。
上記超音波エネルギーは、上に記載されたもののいずれかなどの特定の周波数または特定の周波数範囲で送達され得る。
上記超音波エネルギーは、上に記載されたように、1つまたはそれを超えるパルスとして提供され得る。
上記超音波エネルギーは、ある割合またはパーセンテージの免疫治療薬の分解をもたらさないように選択され得る。例えば、超音波エネルギーは、免疫治療薬の約95%未満、免疫治療薬の約90%未満、免疫治療薬の約80%未満、免疫治療薬の約70%未満、免疫治療薬の約60%未満、免疫治療薬の約50%未満、免疫治療薬の約40%未満、免疫治療薬の約25%未満または免疫治療薬の約10%未満の分解をもたらし得る。
上記超音波エネルギーは、ホーンを備える超音波デバイスから送達され得る。ホーンは、流体と接触している場合がある。そのデバイスは、免疫治療薬を含む流体を保持するチャンバーを備え得る。
別の態様において、本発明は、被験体における創傷を処置する方法を提供する。それらの方法は、創傷治癒を促進する作用物質を含む流体を提供する工程、およびその流体の一時的なキャビテーションを起こす周波数で超音波エネルギーを流体に送達して作用物質を被験体の創傷に進ませることにより、被験体における創傷を処置する工程を含む。
上記作用物質は、創傷の治癒を促進する任意の作用物質であり得る。その作用物質は、鎮痛薬、抗生物質、抗凝固薬、抗菌物質、抗酸化物質、防腐薬、カルシウムチャネル遮断薬、コルチコステロイド、成長因子、ハチ蜜、メチルキサンチン、一酸化窒素供与体、フェニトイン、プロスタサイクリンアナログ、レチノイド、または上述の作用物質のいずれかをコードする核酸であり得る。抗凝固薬は、ヘパリンであり得る。抗菌物質は、銀、ヨウ素、クロルヘキシジンまたは過酸化水素であり得る。抗酸化物質は、亜鉛であり得る。カルシウムチャネル遮断薬は、ジルチアゼムまたはニフェジピンであり得る。コルチコステロイドは、プレドニゾロンであり得る。成長因子は、CTGF/CCN2、EGFファミリーメンバー、FGFファミリーメンバー、G-CSF、GM-CSF、HGF、HGH、HIF、IGF、IL-1、IL-4、IL-8、KGF、ラクトフェリン、PDGF、TGF-βまたはVEGFであり得る。EFGファミリーメンバーは、アンフィレグリン(AR)、ベータセルリン(BTC)、エピジェン、エピレグリン(EPR)、ヘパリン結合EGF様成長因子(HB-EGF)、ニューレグリン-1(NRG1)、ニューレグリン-2(NRG2)、ニューレグリン-3(NRG3)、ニューレグリン-4(NRG4)またはトランスフォーミング成長因子-α(TGF-α)であり得る。FGFファミリーメンバーは、FGF1、FGF2(塩基性FGFまたはbFGFとも呼ばれる)、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22またはFGF23であり得る。PDGFは、PDGF AA、PDGF ABまたはPDGF BBであり得る。TGF-βは、TGF-β1、TGF-β2またはTGF-β3であり得る。メチルキサンチンは、カフェイン、アミノフィリン、3-イソブチル-1-メチルキサンチン、パラキサンチン、ペントキシフィリン、テオブロミンまたはテオフィリンであり得る。一酸化窒素供与体は、トリニトログリセリンであり得る。プロスタサイクリンアナログは、イロプロストまたはシカプロスト(cisaprost)であり得る。レチノイドは、アシトレチン、アダパレン、アリトレチノイン、ベキサロテン、エトレチナート、イソトレチノイン、レチナール、レチノール、タザロテンまたはトレチノイン(レチノイン酸)であり得る。上記作用物質は、CRISPRシステムなどの遺伝子編集システムの構成要素であり得る。
上記作用物質は、最小サイズを有し得る。例えば、上記作用物質は、>100Da、>200Da、>500Da、>1000Da、>2000Da、>5000Da、>10,000Da、>20,000Da、>50,000Daまたは>100,000Daの分子量を有し得る。
上記創傷は、任意のタイプの創傷であり得る。例えば、創傷は、擦過傷、褥瘡、熱傷、美容上のきず、褥瘡性潰瘍、裂傷、圧迫壊疽、外科的切開または潰瘍であり得る。創傷は、糖尿病に伴う潰瘍であり得る。
上記超音波エネルギーは、約10kHz~約10MHzの周波数で送達され得る。好ましくは、超音波エネルギーは、100kHz未満の周波数で送達される。例えば、超音波エネルギーは、約20kHz~約60kHzの周波数で送達され得る。超音波エネルギーは、約40kHzの周波数で送達され得る。
上記超音波エネルギーは、パルスで送達され得る。パルスは、20分未満、10分未満、5分未満または2分未満であり得る。パルスは、約0.1秒~約3分であり得る。パルスは、約10分、約5分、約3分、約2分、約1分、約30秒、約20秒または約10秒であり得る。パルスには、超音波エネルギーが断続的にまたはパルス内に中断を伴って適用されるデューティサイクルが含まれ得る。例えば、パルスには、「オフ」期によって分断された2つまたはそれを超える「オン」期を含み得る。「オン」期および「オフ」期は、任意の持続時間であってよい。例えば、限定されないが、「オン」および/または「オフ」期は、約10ミリ秒、約20ミリ秒、約50ミリ秒、約0.1秒、約0.2秒、約0.5秒、約1秒、約2秒、約5秒、約10秒、約20秒、約30秒、約1分、約2分または約5分であり得る。
上記超音波エネルギーは、ある割合またはパーセンテージの作用物質の分解をもたらさないように選択され得る。例えば、超音波エネルギーは、作用物質の約95%未満、作用物質の約90%未満、作用物質の約80%未満、作用物質の約70%未満、作用物質の約60%未満、作用物質の約50%未満、作用物質の約40%未満、作用物質の約25%未満または作用物質の約10%未満の分解をもたらし得る。
上記超音波エネルギーは、ホーンを備える超音波デバイスから送達され得る。ホーンは、流体と接触している場合がある。そのデバイスは、作用物質を含む流体を保持するチャンバーを備え得る。
ある態様において、本発明は、被験体における糖尿病性潰瘍を処置する方法を提供する。それらの方法は、糖尿病性潰瘍の治癒を促進する作用物質を含む流体を提供する工程、および流体の一時的なキャビテーションを起こす周波数で超音波エネルギーを流体に送達して作用物質を被験体の糖尿病性潰瘍に進ませることにより、被験体における糖尿病性潰瘍を処置する工程を含む。
上記作用物質は、潰瘍の治癒を促進する任意の作用物質、例えば、創傷治癒に関して上に記載された任意の作用物質であり得る。
上記被験体は、糖尿病性潰瘍に関連する症状を有し得る。例えば、その症状は、紙巻きタバコ喫煙、糖尿病性ニューロパシー、浮腫、高齢の状態、足の変形、感染症、虚血、肢切断、末梢血管疾患、血糖コントロール不良または腎不全であり得る。
上記超音波エネルギーは、上に記載された任意の周波数で送達され得る。
上記超音波エネルギーは、上に記載されたように、パルスで送達され得る。
上記超音波エネルギーは、上に記載されたように、ある割合またはパーセンテージの作用物質の分解をもたらさないように選択され得る。
上記超音波エネルギーは、上に記載された特徴のうちの1つまたはそれを超える特徴を有する超音波デバイスから送達され得る。
図1は、本発明の実施形態に係るデバイスの図である。
図2は、本発明の実施形態に係るデバイスの図である。
図3は、本発明の実施形態に係るデバイスの図である。
図4は、本発明の実施形態に係るデバイスの図である。
図5は、本発明の方法とともに用いることができる超音波デバイスを示している。
図6は、本発明の方法とともに用いることができる超音波デバイスを示している。
図7は、本発明の方法とともに用いることができる超音波デバイスを示している。
図8Aは、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの斜視図である。
図8Bは、図8Aに示されたデバイスの上面図である。
図8Cは、図8Aに示されたデバイスの底面図である。
図8Dは、図8Aに示されたデバイスの左側面図である。
図8Eは、図8Aに示されたデバイスの右側面図である。
図8Fは、図8Aに示されたデバイスの正面図である。
図8Gは、図8Aに示されたデバイスの背面図である。
図8Hは、図8Aに示されたデバイスの断面図である。
図9は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の陰影付き斜視図である。
図10は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の線描斜視図である。
図11は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の斜視断面図である。
図12は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の陰影付き底面図である。
図13は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の線描底面図である。
図14は、本発明の方法とともに用いることができる超音波デバイスの側面図である。
図15は、本発明の方法とともに用いることができるカートリッジおよびデバイスの図である。
図16は、材料を粘膜表面に超高速送達するために結腸において超音波を使用したときの肉眼像(A)および顕微鏡像(B)を示している。
図17は、様々な直径の蛍光標識ラテックス粒子のエキソビボでのブタ結腸組織への送達を示しているグラフである。
図18は、超音波を用いて送達した直後の、結腸組織全体に均等に分配されたラテックスビーズの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図19は、蛍光標識された様々な浸透体の送達の24時間後の、結腸組織に送達された材料の初期量に対する割合を示しているグラフである。
図20は、デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎の誘導および注腸投与スケジュールを示している概略図である。
図21は、様々な浣腸を投与された急性大腸炎を有する動物の総糞便スコアを示しているグラフである。
図22は、8日目の結腸組織切片の組織学スコアを示しているグラフである。
図23は、8日目における総タンパク質含有量で正規化された、結腸組織生検材料由来のTNFタンパク質レベルを示しているグラフである。
図24は、ovaのみの投与または超音波と併用した投与の7週間後のova IgG力価レベルを示しているグラフである。
図25は、1日目に致死量のClostridium difficile芽胞を負荷された後の動物の体重を負荷前の動物の体重で正規化した値を示しているグラフである。
詳細な説明
現代の生物医学では、疾患に対する薬理学的処置の特定は、通常、以下の一連の工程で行われる:疾患の分子基盤の理解、異常な分子現象に反作用する作用物質の特定、およびその疾患と戦うために身体内の適切な組織または箇所に作用物質を送達させる薬学的組成物または方法の開発。各段階において、時間、人的労力および財源の相当な投資が必要になる。しかしながら、3つ目の段階の遅れは、解決法がほぼ手中にありながらも人々が疾患に苦しみ続けているという感覚から、特に苛立たしい。
無数の障壁によって、疾患を引き起こす標的の活性を有用な治療薬にインビトロで変化させる作用物質の開発が阻止され得るかまたは遅延し得る。例えば、有機小分子は、経口摂取されると、循環に入る前の初回通過代謝において消化器官および肝臓の酵素によって改変され得る。これが起きると、化合物の投与量のほんの少しの割合しか、生物学的標的に影響できなくなる。多くの親水性小分子が、細胞膜を通過できないので、細胞の取り込みを容易にするように製剤化されなければならない。逆に、疎水性小分子は、溶解度が低いことが多く、そのような化合物を、循環器系を介して全身に分配させるためには、この特徴を克服する必要がある。
生物学的起源の分子は、異なるが重複する一連の問題に直面している。例えば、siRNAおよびmiRNAなどの阻害性RNAは、種々の標的に影響するように適応しやすいために大きな治療上の見込みがあるが、それらから有効な薬理学的物質を生成するためには、いくつかの技術的障壁を克服しなければならない。問題の1つは、これらの小さいRNA分子が血清中および組織中の酵素による分解に感受性であることである。別の課題は、siRNAが細胞内で効果を発揮するが、簡単には細胞に入らない点である。その結果として、細胞の取り込みを促進するために、siRNAベースの治療薬は、通常、被包されたまたは他の高分子と複合体化されたsiRNA分子を含む。干渉性RNAだけでなく、遺伝子治療用のタンパク質、抗体および核酸などのあらゆる生物学的治療薬にも立ちはだかるより広範な問題は、免疫原性である。外来高分子が循環に入ると、それらは、免疫系によって異物として認識され、破壊および/または排除される。したがって、有効性を保持するために、生物製剤は、それらの生物学的機能を干渉せずに免疫原性エレメントをマスクするように修飾されなければならない。
本発明は、活性な薬理学的物質を被験体の上部消化管などの内部組織に直接送達するためのデバイスおよび方法を提供することによって上述の課題を克服する。これらのデバイスは、内視鏡とともに使用するための超音波トランスデューサーを備える。作用物質を含む流体が、内部組織および超音波トランスデューサーに近接して配置されると、超音波ホーンからの信号によって、流体の一時的な音響キャビテーションが引き起こされ、作用物質が組織に移行する。その移行は、流体から組織に直接生じるので、作用物質を、被包形式としてまたは薬理学的に活性でない他の分子との巨大分子複合体などの特別な製剤として提供する必要はない。さらに、一時的なキャビテーションを用いることにより、移行を迅速に、通常、数分以内に起こすことが可能になる。この迅速な移行の利点の1つは、アンフォールディングまたは分解を引き起こし得る超音波振動への作用物質の曝露が最小限に抑えられ、作用物質の活性が保存される点である。また、この迅速な移行は、手技をより簡単にし、患者および医師の負担を軽くする。
ワクチン接種は、20世紀の最も大きな医学の進歩の1つであるが、21世紀に入っても、感染症によって毎年、世界中で数百万人が死亡し続けている。多くの病原体に対する有効なワクチンが既に存在するにもかかわらず、先進国ですら予防接種率が、広範囲の防御のために必要なレベルに到達していない。多くのワクチンが、そのプロセスが恐ろしいものであり痛みがあることに気付く低年齢の小児に筋肉内注射によって投与しなければならない。さらに、多くの疾患に対する有効なワクチン接種では、数ヶ月間または数年間にわたる反復投与が必要であり、多くの患者が、必要とされる一連の投与を完了できない。開発途上国では、事業遂行上の問題によって、免疫化がさらに妨害される。例えば、ワクチンを冷蔵貯蔵する必要があり、使用済み針を安全に廃棄する必要があることから、ワクチンは、臨床現場で接種する必要があるが、農村部の多くの住民は、病院またはクリニックへの移動に数時間または数日かかる。
本発明は、急速かつ効果的な免疫化の方法を提供することによって、ワクチン接種プロトコルの順守を妨げる障壁の多くを克服する。それらの方法は、超音波を用いて、抗原を含む流体中で一時的なキャビテーションを起こし、その流体中の気泡の内破によって、抗原を粘膜組織に進ませる。それらの方法は、免疫細胞が豊富な粘膜組織を標的化することによって、重要な細胞集団に抗原を直接運搬する。さらに、その超音波エネルギー自体が、免疫細胞の活性を刺激し、それにより、送達される抗原に対する応答が強まる。その結果として、一部の病原体に対する免疫化が、単回投与で達成できる。さらに、これらの方法は、単純な超音波デバイスを使用することによって、大量の有害廃棄物を生じさせない。したがって、これらの方法は、これまでの方法を用いた広範な免疫化を妨害する問題の多くを解決する。
本発明は、抗体、ケモカインおよびサイトカインなどの免疫療法の超音波送達の方法も提供する。それらの方法も、超音波を有効に利用して、作用物質を含む流体の一時的なキャビテーションによって作用物質を粘膜組織に送達する。
本発明は、糖尿病性足部潰瘍などの創傷を処置するための有効な方法を提供する。潰瘍は、真性糖尿病の主要な合併症であり、多くの症例において患肢の切断に至る。糖尿病は、末梢動脈の狭小化を伴うことが多く、これが潰瘍の発生に関与する。さらに、血液供給の低下によって、治療薬が血流に乗って創傷部位に効果的に届かなくなり、全身性治療を用いて潰瘍を処置することが困難になる。他方で、治療薬の局所的送達は、その処置方法が創傷に対してさらに構造的損傷を引き起こすことを回避する必要性によって制限される。そのような穏やかな方法は、送達が緩徐になり、治療薬を潰瘍に長期間曝露することが必要になる。
本発明は、超音波エネルギーを用いて、成長因子などの治療薬を流体から創傷に迅速かつ効率的に送達することによって、これらの問題を克服する。超音波を印加することによって、流体中に気泡を一時的に形成させ、それらの気泡の崩壊によって、作用物質を流体から創傷組織に押し込むのに十分な力が発生する。一方、その力は、組織を損傷させるほどまたは治癒プロセスを妨害するほど大きくはない。
超音波デバイス
本発明の方法は、一時的なキャビテーションを誘導できる任意の超音波デバイスを用いて行われ得る。一時的なキャビテーションは、軸方向および半径方向の放出をはじめとした種々の超音波プローブ構成を用いて達成できる。好適な超音波デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2018/0055991号および同時係属中で出願人が同一の米国特許出願第62/701,408号にも記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
図1は、本発明の実施形態に係るデバイス1101の図である。デバイス1101は、導電体1105に連結された超音波トランスデューサー1103を備える。このデバイスは、内視鏡1107に適合するように構成されている。導電体1105は、電源1109に接続される。デバイス1101の使用中、超音波トランスデューサー1103、導電体1105および内視鏡1107は、被験体の身体に挿入されるが、電源1109は、被験体の身体の外側のままであり得る。導電体1105は、超音波トランスデューサー1103を保持するつなぎ綱であって使用後にデバイス1101を引き込めるようにするつなぎ綱としても役立ち得る。デバイス1101は、使用中に超音波トランスデューサー1103への流体の送達を可能にする流体源1113に接続された管1111を備え得る。その管の遠位端は、超音波トランスデューサー1103と接触していてもよいし、近接していてもよい。ここに示されているように、管1111は、内視鏡1107の内部に適合するように構成されている。あるいは、流体は、内視鏡1107の内腔に直接注入されてもよい。
図2は、本発明の実施形態に係るデバイス1201の図である。デバイス1201は、導電体1205に連結された超音波トランスデューサー1203を備える。このデバイスは、内視鏡1207に適合するように構成されている。導電体1205は、電源1209に接続される。デバイス1201の使用中、超音波トランスデューサー1203、導電体1205および内視鏡1207は、被験体の身体に挿入されるが、電源1209は、被験体の身体の外側のままであり得る。導電体1205は、超音波トランスデューサー1103を保持するつなぎ綱であって使用後にデバイス1201を引き込めるようにするつなぎ綱としても役立ち得る。デバイス1201は、使用中に超音波トランスデューサー1103への流体の送達を可能にする流体源1213に接続された管1211を備え得る。その管の遠位端は、超音波トランスデューサー1103と接触していてもよいし、近接していてもよい。ここに示されているように、管1211は、内視鏡1107の外側に存在する。あるいは、流体は、内視鏡1107の内腔に直接注入されてもよい。
図3は、本発明の実施形態に係るデバイス1301の図である。デバイス1301は、導電体1305に連結された超音波トランスデューサー1303を備える。超音波トランスデューサー1303は、被験体の食道を下って配置されるように構成されている。導電体は、内視鏡1307の内部に部分的にまたは完全に適合するように構成され得る。導電体1305は、電源1309に接続される。デバイス1301の使用中、超音波トランスデューサー1303、導電体1305および内視鏡1307は、被験体の食道に挿入されるが、電源1309は、被験体の身体の外側のままであり得る。導電体1305は、超音波トランスデューサー1103を保持するつなぎ綱であって使用後にデバイス1301を引き込めるようにするつなぎ綱としても役立ち得る。デバイス1301は、使用中に超音波トランスデューサー1303への流体の送達を可能にする流体源1313に接続された管1311を備え得る。その管の遠位端は、超音波トランスデューサー1103と接触していてもよいし、近接していてもよい。ここに示されているように、管1311は、内視鏡1307の内部に適合するように構成されている。あるいは、流体は、内視鏡1307の内腔に直接注入されてもよい。
図4は、本発明の実施形態に係るデバイス1401の図である。デバイス1401は、導電体1405に連結された超音波トランスデューサー1403を備える。超音波トランスデューサー1403は、被験体の食道を下って配置されるように構成されている。導電体は、内視鏡1407の内部に部分的にまたは完全に適合するように構成され得る。導電体1405は、電源1409に接続される。デバイス1401の使用中、超音波トランスデューサー1403、導電体1405および内視鏡1407は、被験体の食道に挿入されるが、電源1409は、被験体の身体の外側のままであり得る。導電体1405は、超音波トランスデューサー1103を保持するつなぎ綱であって使用後にデバイス1401を引き込めるようにするつなぎ綱としても役立ち得る。デバイス1401は、使用中に超音波トランスデューサー1103への流体の送達を可能にする流体源1413に接続された管1411を備え得る。その管の遠位端は、超音波トランスデューサー1403と接触していてもよいし、近接していてもよい。ここに示されているように、管1411は、内視鏡1407の内部に適合するように構成されている。あるいは、流体は、内視鏡1407の内腔に直接注入されてもよい。
上記デバイスのいずれかに適した超音波トランスデューサーとしては、商品名VCX500およびVCX130(Sonics & Materials,Inc.;Newtown,CT)として販売されているものが挙げられる。好適な超音波トランスデューサー103は、例えば、Schoellhammer,C.M.,Schroeder,A.,Maa,R.,Lauwers,G.Y.,Swiston,A.,Zervas,M.ら(2015)Ultrasound-mediated gastrointestinal drug delivery,Science Translational Medicine,7(310),310ra168-310ra168,doi:10.1126/scitranslmed.aaa5937;Schoellhammer,C.M&Traverso,G.,Low-frequency ultrasound for drug delivery in the gastrointestinal tract.Expert Opinion on Drug Delivery,2016,doi:10.1517/17425247.2016.1171841;Schoellhammer C.M.ら、Ultrasound-mediated delivery of RNA to colonic mucosa of live mice.Gastroenterology,2017,doi:10.1053/j.gastro.2017.01.002;ならびに米国特許出願公開第2014/0228715号および同第2018/0055991号に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
上に記載されたデバイスのいずれもが、消化管の厳しい条件から超音波トランスデューサーを保護するために超音波トランスデューサーの一部または全部を囲むカバーを備え得る。好ましくは、そのカバーは、胃および腸に見られるような酸性条件および消化酵素による分解に対して抵抗性である材料から作られている。そのカバーはまた、超音波トランスデューサーから流体への超音波エネルギーの伝達を可能にする音響的に透明な材料で作られるべきである。
任意の好適なエネルギー源を、上に記載されたデバイスとともに用いてよい。例えば、限定されないが、エネルギー源は、電力供給源、バッテリー、発電機などであり得る。
上に記載されたデバイスのいずれもが、被験体にとって有害であり得る事象(例えば、流体の過剰加熱または電気信号の伝達)を防ぐ1つまたはそれを超える安全性の特徴を含み得る。例えば、デバイスは、内視鏡の流体遠位端を超音波トランスデューサーにつなぐ熱電対を備え得る。流体および/または組織の温度が閾値を超えて高温になったとき、その熱電対は、負のフィードバックを提供して、超音波トランスデューサーを停止することができる。超音波トランスデューサーに連結された回路遮断器であって、刺激に応答して超音波トランスデューサーへの信号を切断する回路遮断器を、上記デバイスは備え得る。例えば、限定されないが、流体および/または組織の温度が、閾値を超える高温になったとき、または超音波トランスデューサーを含む電気回路が抵抗率もしくは電圧の閾値に達したとき、ある特定の時間が経過した後、回路遮断器は、超音波トランスデューサーへの信号を切断し得る。
上記デバイスは、制御装置を備え得るか、または制御装置に動作可能に接続され得る。この制御装置は、入力機構、出力機構、ロジックボードおよび超音波ドライバーボードの1つ以上を備え得る。例えば、限定されないが、入力機構は、ボタン、スイッチ、キーボードなどを備え得る。例えば、限定されないが、出力機構は、視覚信号、音響信号、触覚信号または振動信号を提供し得る。
上記デバイスは、開口部を照らす照明光源を内視鏡の遠位端に備え得る。その照明光源は、白熱電灯、発光ダイオードまたはレーザーなどの発光体であり得る。
図5は、本発明の方法とともに用いることができる超音波デバイス101を示している。デバイス101は、超音波ホーン105に連結された超音波トランスデューサー103を備える。超音波ホーン105は、超音波トランスデューサー103から流体的に隔てられた流体チャンバー109に伸びている。流体チャンバー109は、粘膜組織に接して位置することができる少なくとも1つの開口部111を備える。好適な超音波トランスデューサー103としては、商品名VCX500およびVCX130(Sonics & Materials,Inc.;Newtown,CT)として販売されているものが挙げられる。好適な超音波トランスデューサー103および超音波ホーン105は、例えば、Schoellhammer,C.M.,Schroeder,A.,Maa,R.,Lauwers,G.Y.,Swiston,A.,Zervas,M.ら(2015)Ultrasound-mediated gastrointestinal drug delivery,Science Translational Medicine,7(310),310ra168-310ra168,doi:10.1126/scitranslmed.aaa5937;Schoellhammer,C.M&Traverso,G.,Low-frequency ultrasound for drug delivery in the gastrointestinal tract.Expert Opinion on Drug Delivery,2016,doi:10.1517/17425247.2016.1171841;Schoellhammer C.M.ら、Ultrasound-mediated delivery of RNA to colonic mucosa of live mice.Gastroenterology,2017,doi:10.1053/j.gastro.2017.01.002;ならびに米国特許出願公開第2014/0228715号および同第2018/0055991号に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
デバイス101は、流体チャンバー109の一部分を囲む筐体113を備え得る。筐体113は、示されるように、超音波トランスデューサー103の一部分も囲み得る。筐体113は、デバイス101が発生する音を抑え得る。例えば、筐体113は、流体チャンバー109の開口部111に向かう方向以外の方向への音波の伝達を阻害し得る。
デバイス101は、流体チャンバー109の開口部111を照らす照明光源115を備え得る。照明光源115は、粘膜組織に対するデバイス101の開口部111の位置決めを容易にする任意のタイプであってよい。照明光源115は、白熱電灯、発光ダイオードまたはレーザーなどの発光体であり得る。
デバイス101は、超音波トランスデューサー103を作動させるアクチュエータ117を備え得る。アクチュエータ117は、オン/オフのバイナリースイッチであり得るか、または超音波トランスデューサー103用の動力設定範囲を有し得る。
デバイス101は、超音波トランスデューサー103を収納するデバイス101の区画と流体チャンバー109を隔てるセパレータ119を備え得る。セパレータは、示されるように、ガスケットまたはOリングであり得る。超音波ホーン105が流体チャンバーに直線的に伸びる実施形態では、示されるように、セパレータ119は、超音波ホーン105の振動の中心点に位置するべきである。
流体チャンバー109は、デバイス101の先端部(例えば、使い捨てチップ)に含められ得る。例えば、先端部は、デバイス101の最前部にしっかりと固定されたカートリッジを備え得る。そのカートリッジは、カートリッジがデバイスの前面に配置される場合、超音波ホーン105によって穴を開けられるフィルムまたは保護物を備え得、それにより、超音波ホーン105が流体チャンバー109内の液体と接触することが可能になる。このような配置によって、単に先端部のカートリッジを交換することによってデバイス101を繰り返し使用することが可能になり、また、流体チャンバー内での液体および抗原または免疫治療薬の調製および貯蔵が容易になる。
図6は、本発明の実施形態に係る超音波デバイス201を示している。デバイス201は、流体チャンバー209に伸びる超音波ホーン205を備える。上に記載されたように、デバイス201は、流体チャンバー209の一部分、および/または流体チャンバー209を超音波トランスデューサーと隔てるセパレータ219を囲む筐体213を備え得る。
筐体213は、流体チャンバー209と外気との間での気体の交換を可能にする通気孔221を備え得る。通気孔221は、排出マイクロチャネルを備え得る。排出マイクロチャネルは、流体チャンバーから気体を放出させることによって、そのチャンバーを液体で満たすのを容易にする。排出マイクロチャネルを備える通気孔221は、デバイスが抗原または免疫治療薬を被験体に送達するように適応されているとき、気体を上向きに放出することができる筐体上の任意の点に位置し得るので、使用中に先端部を下向きにしてデバイスを保持する必要がなくなる。追加的または代替的に、通気孔221は、気体を通すことはできるが液体を通すことができない膜223を備え得る。多くの気体透過性かつ液体不透過性の材料が、当該分野で公知であり、それらは、例えば、米国特許第3,953,566号;同第4,152,482号;同第4,391,873号;同第4,500,328号;同第4,520,056号;同第4,772,508号;同第4,957,522号;同第5,522,769号;および同第6,676,871号;ならびに米国特許出願公開第2010/0107878号に記載されている。例えば、限定されないが、その膜は、エチルセルロース、酢酸エチル/酢酸ビニル、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル、およびエチレン/アクリル酸メチル、フルオロポリマー、フルオロビニルメチルシリコーン由来のフルオロシリコーン、ホモポリマーポリエチレン、メタロセンポリプロピレン、ニトレートブタジエンゴム(NBR)、ニトリルゴム、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリオクテナマー、ポリオレフィン、ポリフェニルビニルメチルシロキサン、ポリプロピレン材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリビニルメチルシロキサン、プロピレン/アルファ-オレフィン共重合体、プロピレン/エチレン共重合体、ラジカル低密度ポリエチレン、テトラフルオロエチレン-(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル共重合体(PFA)およびテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の1つ以上を含み得る。
筐体213は、流体チャンバーと流体源とを流体的に接続する出入口225を備え得る。この流体源は、デバイス201の構成要素であり得るか、またはデバイス201に機能的に連結され得る。
デバイス201は、被験体にとって有害であり得る事象(例えば、流体の過剰加熱または電気信号の伝達)を防ぐ1つまたはそれを超える安全性の特徴を含み得る。例えば、デバイス201は、流体チャンバーを超音波トランスデューサーにつなぐ熱電対227を備え得る。流体および/または組織の温度が閾値を超えて高温になったとき、熱電対227は、負のフィードバックを提供して、超音波トランスデューサーを停止することができる。超音波トランスデューサーに連結された回路遮断器であって、刺激に応答して超音波トランスデューサーへの信号を切断する回路遮断器を、デバイス201は備え得る。例えば、限定されないが、流体および/または組織の温度が、閾値を超える高温になったとき、または超音波トランスデューサーを含む電気回路が抵抗率もしくは電圧の閾値に達したとき、ある特定の時間が経過した後、回路遮断器は、超音波トランスデューサーへの信号を切断し得る。
デバイス201は、制御装置を備え得るか、または制御装置に動作可能に接続され得る。この制御装置は、入力機構、出力機構、ロジックボードおよび超音波ドライバーボードの1つ以上を備え得る。例えば、限定されないが、入力機構は、ボタン、スイッチ、キーボードなどを備え得る。例えば、限定されないが、出力機構は、視覚信号、音響信号、触覚信号または振動信号を提供し得る。
図7は、本発明の方法とともに用いることができる別の超音波デバイス301を示している。デバイス301は、通常、「棒つきキャンディー」形を有し得る。したがって、デバイス301は、被験体または抗原もしくは免疫治療薬を被験体に投与する人物が保持できる柄331、および被験体の口腔内に配置され得る先端部333を有し得る。超音波トランスデューサー303は、先端部333の中央部分の内部に含められ、流体チャンバー309は、先端部333の外側部分を構成する。流体と粘膜組織との接触が容易になるように、流体チャンバー309の外面上の任意の点に開口部を配置させてよい。
図8Aは、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの斜視図である。アクチュエータ417、筐体413および開口部411が、この図に示されている。
図8Bは、図8Aに示されたデバイスの上面図である。アクチュエータ417および筐体413が、この図に示されている。
図8Cは、図8Aに示されたデバイスの底面図である。筐体413が、この図に示されている。
図8Dは、図8Aに示されたデバイスの左側面図である。アクチュエータ417および筐体413が、この図に示されている。
図8Eは、図8Aに示されたデバイスの右側面図である。アクチュエータ417および筐体413が、この図に示されている。
図8Fは、図8Aに示されたデバイスの正面図である。超音波ホーン405が、この図に示されている。
図8Gは、図8Aに示されたデバイスの背面図である。
図8Hは、図8Aに示されたデバイスの断面図である。筐体413、流体チャンバー409、超音波ホーン405および超音波トランスデューサー403が、この図に示されている。
図8Iは、図8Aに示されたデバイスの分解組立図である。筐体413、アクチュエータ413、超音波ホーン405および超音波トランスデューサー403が、この図に示されている。
図9は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の陰影付き斜視図である。
図10は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の線描斜視図である。
図11は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の斜視断面図である。
図12は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の陰影付き底面図である。
図13は、本発明の方法とともに用いることができるデバイスの先端部の線描底面図である。
図14は、本発明の方法とともに用いることができる再使用可能な携帯型の超音波発生超音波デバイス2600の側面図である。デバイス2600は、デバイスの長手方向に沿って先細になった円筒形であり得るハウジング2602を備える。ハウジング2602は、デバイスをオンまたはオフにするための電源制御装置(例えば、ボタンまたはスイッチ)2604を備え得るかまたは定め得る。このハウジングは、ユーザーがデバイスを保持する、配置する、および/または握ることを支援する凹状領域2606を備え得る。電源制御装置2604および凹状領域2606は、デバイスの近位端に向かって配置され得る一方で、反対側の遠位端は、粘膜組織の近くに配置するための先端部2608を備える。先端部2608の近位基部は、先端部2608および直腸の周りに密閉を作り出すための凹状領域2610を備え得る。先端部2608は、デバイスの内部から物質を送達するための少なくとも1つの開口部2612を定め得る。少なくとも1つの開口部2612は、デバイス2600に対して半径方向または軸方向に向けられていることがある。デバイス2600は、デバイスから送達するための物質を含むカートリッジを受け取るための出入口2614も定め得る。
図15は、本発明の方法に従ってデバイス2600とともに使用するためのカートリッジ2700を示している。カートリッジ2700は、交換可能であり得る。カートリッジ2700は、そのカートリッジをいったんデバイスに挿入したらその場に留ませる頂上部2702を有し得る。デバイス2600は、代替的に、またはカートリッジに加えて、圧縮性であり得る外部容器2800から物質を受け取ることがあり、それによって、ユーザーが容器2800を圧搾することによってその物質を手動で排出できるようになる。容器2800は、例えば、可撓性管材料2802によって、デバイス2600に接続され得る。
先端部を除いた上記デバイスのハウジングは、ユーザーがデバイスをしっかりと保持できるようにするゴム引きのコーティングまたは材料を含み得る。先端部は、先端部を直腸に滑らかに挿入できるようにする無摩擦または低摩擦のコーティングまたは材料を含み得る。ハウジング、先端部またはその両方が、洗浄のために耐水性または防水性であり得る。デバイスの寸法は、約14cm~約40cmの長さ、デバイスの上部において約4cm~約6cmの直径、およびデバイスの先端部において約1cm~約3cmの直径を含む。
流体中で一時的なキャビテーションを起こすことができる他の超音波デバイスは、例えば、米国特許第7,377,905号および同第8,202,369号ならびに米国特許出願公開第2004/0092921号に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
上記超音波デバイスは、再使用可能であり得る。代替的または付加的に、超音波デバイスまたはその構成要素は、使い捨てであり得る。
超音波送達方法
本発明は、本発明のデバイスを用いて作用物質を被験体の組織に送達する方法を提供する。それらの方法は、1つまたはそれを超える作用物質を含む流体が組織と超音波トランスデューサーの両方に近接するかまたは接触するように、超音波トランスデューサーおよびその流体を導入、配置する工程を含む。それらの方法はさらに、トランスデューサーから超音波エネルギーを送達して、流体の一時的なキャビテーションを起こす工程を含み、そのキャビテーションによって、作用物質を組織に進める。
上記方法は、流体内で気泡を生成する周波数であって、それらの気泡の一時的なキャビテーションを引き起こす周波数で超音波エネルギーを流体に送達する工程を含む。気泡の穏やかな内破によって、細胞を透過性にする衝撃波であって作用物質を流体から組織に進ませる衝撃波が生じる。一時的なキャビテーションを引き起こして作用物質を組織に送達するために超音波を使用することは、例えば、Schoellhammer,C.M.,Schroeder,A.,Maa,R.,Lauwers,G.Y.,Swiston,A.,Zervas,M.ら(2015).Ultrasound-mediated gastrointestinal drug delivery.Science Translational Medicine,7(310),310ra168-310ra168,doi:10.1126/scitranslmed.aaa5937;Schoellhammer,C.M&Traverso,G.,Low-frequency ultrasound for drug delivery in the gastrointestinal tract.Expert Opinion on Drug Delivery,2016,doi:10.1517/17425247.2016.1171841;Schoellhammer C.M.ら、Ultrasound-mediated delivery of RNA to colonic mucosa of live mice,Gastroenterology,2017,doi:10.1053/j.gastro.2017.01.002;および米国特許出願公開第2014/0228715号および同第2018/0055991号に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
超音波エネルギーの周波数は、10kHz~10MHzであり得る。好ましくは、超音波エネルギーの周波数は、100kHz未満未満である。例えば、限定されないが、その周波数は、約20kHz~約100kHz、約20kHz~約80kHz、約20kHz~約60kHzまたは約30kHz~約50kHzであり得る。その周波数は、約20kHz、約30kHz、約40kHz、約50kHzまたは約60kHzであり得る。
いくつかの実施形態では、超音波エネルギーによって送達される作用物質の損傷を最小限に抑えるために、超音波エネルギーは、パルスとして送達され得、すなわち、超音波エネルギーは、短い有限の時間にわたって送達され得る。例えば、限定されないが、パルスは、20分未満、10分未満、5分未満または10分未満であり得る。例えば、限定されないが、パルスは、約10秒~約3分であり得る。パルスは、約10分、約5分、約3分、約3分、約1分、約30秒、約20秒または約10秒であり得る。
超音波パルスのパラメータ(例えば、周波数および/または持続時間)は、作用物質の損傷が、その作用物質のある特定の割合またはパーセンテージに制限されるように、選択され得る。例えば、限定されないが、超音波エネルギーは、作用物質の約95%未満、作用物質の約90%未満、作用物質の約80%未満、作用物質の約70%未満、作用物質の約60%未満、作用物質の約50%未満、作用物質の約40%未満、作用物質の約25%未満または作用物質の約10%未満の分解をもたらし得る。
超音波パルスのパラメータ(例えば、周波数および/または持続時間)は、少なくとも最小量の作用物質が組織に移行されるように、選択され得る。例えば、限定されないが、超音波エネルギーは、作用物質の少なくとも1%、作用物質の少なくとも2%、作用物質の少なくとも5%、作用物質の少なくとも10%、作用物質の少なくとも20%、作用物質の少なくとも30%または作用物質の少なくとも40%の移行をもたらし得る。
上記流体は、作用物質が、溶解しているか、懸濁しているか、またはその他の方法で流体全体に均一に分散されている液体であり得る。好ましくは、流体は、水性の液体である。その水性の液体は、作用物質を安定化させる他の構成要素(例えば、塩、緩衝剤、浸透圧安定剤など)を含み得る。
上記流体は、一時的な音響キャビテーションの助けとなる液体であるべきである。一般に、液体の粘度が高くなるほど、気泡の核形成に対する閾値が高くなるので、一時的なキャビテーションがより困難になる。その結果として、流体は、粘度の低い液体であり得る。その液体は、ある特定の値を超えない粘度を有し得る。その液体は、ある特定の値を超えない動粘性率を有し得る。例えば、限定されないが、その液体は、約0.25mPa・sを超えない、約0.5mPa・sを超えない、約0.75mPa・sを超えない約1mPa・sを超えない、約1.25mPa・sを超えない、または約1.5mPa・sを超えない動粘性率を有し得る。その液体は、ある特定の値を超えない動粘度を有し得る。例えば、限定されないが、その液体は、約0.25cStを超えない、約0.5cStを超えない、約0.75cStを超えない、約1cStを超えない、約1.25cStを超えない、または約1.5cStを超えない動粘度を有し得る。
上記流体は、賦形剤を含み得る。その賦形剤は、作用物質の移行または作用物質の移行の解析もしくは定量を容易にし得る。例えば、限定されないが、賦形剤は、1,2,4,5ベンゼンテトラカルボン酸、3,3’チオジプロピオン酸、8アームポリ(エチレングリコール)、アジピン酸、アルファ-シクロデキストリン、システイン、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、EDTA、フルクトース、グリセリン、マンノース、ムチン、ポロキサマー407、ポリ(ラクチドグリコリド)酸、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエトキシ化ひまし油、サッカリン、グリコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウムまたはチオ硫酸ナトリウムであり得る。
上記方法は、食道を介して流体および/または作用物質を内部組織に近接して(例えば、接触して)導入する工程を含み得る。その流体、作用物質またはその両方が、超音波エネルギーを送達する前に、超音波エネルギーの送達と同時に、または超音波エネルギーの送達前と送達中の両方において、導入され得る
上記方法を用いることにより、あるタイプの粘膜組織に抗原または免疫治療薬が送達され得る。その粘膜組織は、胃腸組織、例えば、頬側組織、歯肉組織、口唇組織、食道組織、胃組織、腸組織、直腸結腸組織または肛門組織であり得る。粘膜組織は、鼻の組織または膣の組織であり得る。
上記方法は、処置されている創傷、皮膚または組織と流体を接触させる工程を含み得る。あるいは、上記方法は、非接触超音波処置を含み得る。非接触超音波処置では、流体または液体が、処置されている創傷、皮膚または組織と直接接触しないが、霧状化され、スプレーとして送達される。創傷の非接触超音波処置は、一般に、当該分野で公知であり、例えば、Bell,A.L.and Cavorsi,J.,Noncontact ultrasound therapy for adjunctive treatment of nonhealing wounds:retrospective analysis,Phys Ther.2008 Dec;88(12):1517-24.doi:10.2522/ptj.20080009;Keltie,K.ら、Characterization of the ultrasound beam produced by the MIST therapy,wound healing system,Ultrasound Med Biol.2013 Jul;39(7):1233-40.doi:10.1016/j.ultrasmedbio.2012.10.022;およびMaan,Z.N.ら、Noncontact,Low-Frequency Ultrasound Therapy Enhances Neovascularization and Wound Healing in Diabetic Mice,Plast Reconstr Surg.2014 September,134(3):402e-411e,doi:10.1097/PRS.0000000000000467に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
上に記載された工程のうちの1つまたはそれを超える工程が、繰り返され得る。例えば、上記方法は、導入工程および送達工程のうちの1つまたはそれを超える工程の繰り返しを含み得る。それらの工程は、2回、3回、4回、5回またはそれを超えて行われ得る。それらの工程は、規定の間隔で繰り返され得る。例えば、限定されないが、それらの工程は、5分間、10分間、15分間、30分間、1時間、2時間、4時間、4時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、1週間、2週間、3週間、4週間またはそれを超える間隔で繰り返され得る。
上記方法は、上に記載された方法をあるスケジュールに従って繰り返すことを含み得る。そのスケジュールは、規定の期間にわたる規定の間隔での組織への作用物質の反復投与を含み得る。例えば、スケジュールは、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間または約12週間という期間にわたる約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間または約7日間の間隔での反復投与を含み得る。
上記方法は、本発明のデバイス(例えば、本発明のデバイスに関して上に記載されたデバイスのうちの1つ)の使用を含み得る。
上記被験体は、任意のタイプの被験体(例えば、動物、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)であってよい。その被験体は、ある疾患、障害または症状に罹患している場合がある。
本発明のある特定の実施形態において、超音波ベースの抗原送達方法によって、患者において免疫応答が引き起こされる。流体の超音波刺激は、それ自体で、免疫細胞からの応答を引き起こす。さらに、一時的なキャビテーションによって、抗原が粘膜組織内に入り、その粘膜組織で免疫細胞がその抗原に対する応答を開始する。したがって、上記方法は、超音波ベースの送達の相乗効果を利用して、これまでの方法で可能だった免疫化よりも優れた免疫化をもたらす。
粘膜組織における免疫細胞の密度のおかげで、上記方法は、抗原を免疫細胞に直接送達することが可能である。その抗原は、特定のタイプの免疫細胞(例えば、B細胞、好塩基球、好酸球、リンパ球、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、単球、骨髄芽球、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、T細胞、制御性T(Treg)細胞、ナイーブT細胞、細胞傷害性T細胞、ガンマデルタT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、ヘルパーT細胞、CD25細胞、CD4細胞、CD3細胞またはFoxp3細胞)の集団に送達され得る。さらに、粘膜組織に存在する免疫細胞の密度によって、免疫応答がIgG抗体ではなくIgA抗体の産生に偏ることがある。
超音波送達のための作用物質
上記作用物質は、治療効果を提供する任意の作用物質であってよい。例えば、限定されないが、好適な作用物質としては、アルファ-ヒドロキシ製剤、ace阻害剤、鎮痛薬、麻酔剤、駆虫薬、抗不整脈剤、抗血栓剤、抗アレルギー剤、抗血管新生剤、抗菌剤、抗生剤、抗凝固剤、抗癌剤、抗糖尿病剤、制吐薬、抗真菌剤、抗原、血圧降下剤、抗低血圧剤、抗炎症剤、抗真菌剤(antimicotic agent)、抗片頭痛剤、抗肥満剤、抗パーキンソン病剤、抗リウマチ剤、アンチトロンビン、抗ウイルス剤、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗悪性腫瘍剤、抗甲状腺剤、抗不安薬、喘息治療、収斂剤、ベータ遮断剤、血液製剤および代用血液、鎮咳・気管支拡張剤(bronchospamolytic agent)、カルシウム拮抗薬、心血管系薬剤、強心配糖体剤(cardiac glycosidic agent)、カロテノイド、セファロスポリン、慢性気管支炎治療、慢性閉塞性肺疾患治療、避妊薬、コルチコステロイド、細胞分裂抑制剤、嚢胞性線維症治療、心変力剤(cardiac inotropic agent)、造影剤、鎮咳剤、診断薬、利尿剤、ドーパミン作動薬、エラスターゼ阻害薬、気腫治療、エンケファリン、線維素溶解剤、成長ホルモン、止血薬、免疫剤、免疫抑制薬(immunosupressants)、免疫治療薬、インスリン、インターフェロン、乳汁分泌阻害剤、脂質低下剤、リンフォカイン、筋弛緩剤、神経剤、NSAIDS、機能性食品、腫瘍治療、臓器移植片拒絶治療、副交感神経刺激薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート、プロスタサイクリン、プロスタグランジン、向精神薬、プロテアーゼ阻害薬、磁気共鳴画像診断造影剤、放射性医薬品、妊娠調節ホルモン、呼吸窮迫症候群治療、鎮静剤、性ホルモン、ソマトスタチン、ステロイドホルモン剤、刺激物および食欲抑制薬、交感神経模倣薬、甲状腺剤、血管拡張剤、ビタミン、ならびにキサンチンが挙げられる。本発明の実施形態において作用物質として使用され得る化学物質および薬物のより複雑なリストは、Merck Index:An Encyclopedia of Chemicals,Drugs,and Biologicals Fifteenth Edition,Maryadele J O’Neil,ed.,RSC Publishing,2015,ISBN-13:978-1849736701,ISBN-10 1849736707に提供されており、この内容は、参照により本明細書中に援用される。
作用物質は、任意の化学的形態であってよい。例えば、作用物質は、生物学的治療薬、例えば、核酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体または他の高分子であり得る。核酸には、RNA、DNA、RNA/DNAハイブリッド、および天然に存在しないヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、天然に存在しない化学結合などを含む核酸誘導体が含まれる。核酸誘導体および修飾ヌクレオチドの例は、例えば、国際公開WO2018/118587に記載されており、この内容は、参照により本明細書中に援用される。核酸は、ポリペプチドをコードする核酸(例えば、mRNAおよびcDNA)であり得る。核酸は、遺伝子発現を干渉し得る。干渉性RNA(RNAi)の例としては、siRNAおよびmiRNAが挙げられる。RNAiは、当該分野で公知であり、例えば、Kim and Rossi,Biotechniques.2008 Apr;44(5):613-616,doi:10.2144/000112792;およびWilson and Doudna,Molecular Mechanisms of RNA Interference,Annual Review of Biophysics 2013 42:1,217-239に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。作用物質は、非生物学的起源の有機分子であり得る。そのような薬物は、通常、2000ダルトン未満の分子量を有するので、小分子薬と呼ばれることが多いが、それより大きいこともある。作用物質は、1つもしくはそれを超える生体高分子および/または1つもしくはそれを超える小分子の組み合わせまたは複合体であり得る。例えば、限定されないが、作用物質は、核酸複合体、タンパク質複合体、タンパク質-核酸複合体などであり得る。したがって、作用物質は、ホモ複合体およびヘテロ複合体をはじめとした多量体または重合体の形態で存在し得る。
上記作用物質は、製剤化されていないことがあり、すなわち、上記作用物質は、その作用物質の送達を容易にするためだけにその作用物質と相互作用する他の分子を含まない生物学的に活性な形式で提供され得る。生物学的作用物質および小分子作用物質の送達のために通常使用される製剤としては、ウイルス粒子、ウイルスキャプシド、リポソーム、ベシクル、ミセル、およびその作用物質の生物学的または生化学的な機能に不可欠ではない他の高分子との複合体が挙げられる。したがって、その作用物質は、被包されていない形態で、またはその作用物質の機能と無関係な他の分子と複合体化されていない形態で、提供され得る。
上記作用物質は、遺伝子編集システム(例えば、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターベースのヌクレアーゼ(TALEN)またはクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)システム)の構成要素であり得る。
メガヌクレアーゼは、12~40塩基対の二本鎖DNA配列を認識するエンドデオキシリボヌクレアーゼである。メガヌクレアーゼは、種々の認識配列に結合するように操作されて、特定の配列を標的化するカスタマイズされたヌクレアーゼを作り出すことができる。メガヌクレアーゼは、古細菌、細菌、ファージ、真菌、藻類および植物に存在し、任意の起源由来のメガヌクレアーゼを使用してよい。特定の配列を認識するようにメガヌクレアーゼを操作することは、当該分野で公知であり、例えば、Stoddard,Barry L.(2006)“Homing endonuclease structure and function”Quarterly Reviews of Biophysics 38(1):49-95 doi:10.1017/S0033583505004063,PMID16336743;Grizot,S.;Epinat,J.C.;Thomas,S.;Duclert,A.;Rolland,S.;Paques,F.;Duchateau,P.(2009)“Generation of redesigned homing endonucleases comprising DNA-binding domains derived from two different scaffolds”Nucleic Acids Research 38(6):2006-18,doi:10.1093/nar/gkp1171.PMC2847234,PMID20026587;Epinat,Jean-Charles;Arnould,Sylvain;Chames,Patrick;Rochaix,Pascal;Desfontaines,Dominique;Puzin,Clemence;Patin,Amelie;Zanghellini,Alexandre;Paques,Frederic(2003-06-01)“A novel engineered meganuclease induces homologous recombination in yeast and mammalian cells”Nucleic Acids Research 31(11):2952-2962;およびSeligman,L.M.;Chisholm,KM;Chevalier,BS;Chadsey,MS;Edwards,ST;Savage,JH;Veillet,AL(2002)“Mutations altering the cleavage specificity of a homing endonuclease”Nucleic Acids Research 30(17):3870-9,doi:10.1093/nar/gkf495.PMC137417,PMID12202772に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
ZFNは、DNA切断ドメインに融合されたジンクフィンガーDNA結合ドメインを有する人工制限酵素である。ZFNも、特定のDNA配列を標的化するように操作することができる。ZFNのデザインおよび使用は、当該分野で公知であり、例えば、Carroll,D(2011)“Genome engineering with zinc-finger nucleases”Genetics Society of America 188(4):773-782,doi:10.1534/genetics.111.131433.PMC3176093,PMID21828278;Cathomen T,Joung JK(July 2008)“Zinc-finger nucleases:the next generation emerges”Mol.Ther.16(7):1200-7,doi:10.1038/mt.2008.114,PMID18545224;Miller,J.C.;Holmes,M.C.;Wang,J.;Guschin,D.Y.;Lee,Y.L.;Rupniewski,I.;Beausejour,C.M.;Waite,A.J.;Wang,N.S.;Kim,K.A.;Gregory,P.D.;Pabo,C.O.;Rebar,E.J.(2007)“An improved zinc-finger nuclease architecture for highly specific genome editing”Nature Biotechnology,25(7):778-785,doi:10.1038/nbt1319,PMID17603475に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
TALENは、DNA切断ドメインに融合されたTALエフェクターDNA結合ドメインを有する人工制限酵素である。TALENも、特定のDNA配列を標的化するように操作することができる。TALENのデザインおよび使用は、当該分野で公知であり、例えば、Boch J(February 2011)“TALEs of genome targeting”Nature Biotechnology 29(2):135-6,doi:10.1038/nbt.1767.PMID21301438;Juillerat A,Pessereau C,Duboisg,Guyot V,Marechal A,Valton J,Daboussi F,Poirot L,Duclert A,Duchateau P(January 2015)“Optimized tuning of TALEN specificity using non-conventional RVDs”Scientific Reports,5:8150,doi:10.1038/srep08150.PMC4311247,PMID25632877;およびMahfouz MM,Li L,Shamimuzzaman M,Wibowo A,Fang X,Zhu JK(February 2011)“De novo-engineered transcription activator-like effector(TALE)hybrid nuclease with novel DNA binding specificity creates double-strand breaks”Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,108(6):2623-8,Bibcode:2011PNAS,108.2623M,doi:10.1073/pnas.1019533108,PMC3038751,PMID21262818に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
CRISPRシステムは、プラスミドおよびファージなどの外来の遺伝因子に対する獲得免疫を提供する原核生物の免疫系である。CRISPRシステムは、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)配列においてDNAを切断する1つまたはそれを超えるCRISPR関連(Cas)タンパク質を含む。Casタンパク質は、ヘリカーゼ活性およびエキソヌクレアーゼ活性を含み、これらの活性は、同じポリペプチドまたは別個のポリペプチドに対する活性であり得る。Casタンパク質は、RNA分子によってCRISPR配列に向けられる。CRISPR RNA(crRNA)は、切断される標的DNAの中の相補的な配列に結合する。トランス活性化crRNA(tracrRNA)は、Casタンパク質とcrRNAの両方に結合して、Casタンパク質を標的DNA配列に引き寄せる。すべてのCRISPRシステムが、tracrRNAを必要とするわけではない。本来は、crRNAおよびtracrRNAは、別個のRNA分子上で発生するが、それらは、単一のガイドRNAまたはガイドRNA(gRNA)と呼ばれる単一のRNA分子を含むときも、機能する。それらの1つまたはそれを超えるRNAおよび1つまたはそれを超えるポリペプチドは、細胞内でアセンブルして、リボ核タンパク質(RNP)を形成する。CRISPRシステムは、例えば、van der Oostら、CRISPR-based adaptive and heritable immunity in prokaryotes,Trends in Biochemical Sciences,34(8):401-407(2014);Garrettら、Archaeal CRISPR-based immune systems:exchangeable functional modules,Trends in Microbiol.19(11):549-556(2011);Makarovaら、Evolution and classification of the CRISPR-Cas systems,Nat.Rev.Microbiol.9:467-477(2011);およびSorekら、CRISPR-Mediated Adaptive Immune Systems in Bacteria and Archaea,Ann.Rev.Biochem.82:237-266(2013)に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
CRISPR-Casシステムは、2つのクラスに分類される。クラス1システムは、核酸を分解するために複数のCasタンパク質を使用し、クラス2システムは、単一の大きなCasタンパク質を使用する。クラス1Casタンパク質には、Cas10、Cas10d、Cas3、Cas5、Cas8a、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csx11、Csy1、Csy2およびCsy3が含まれる。クラス2Casタンパク質には、C2c1、C2c2、C2c3、Cas4、Cas9、Cpf1およびCsn2が含まれる。
CRISPR-Casシステムは、一般的なタンパク質酵素を用いて特定の核酸配列の遺伝子編集を可能にするので、強力なツールである。標的配列に相補的なガイドRNAをデザインすることによって、その標的配列を切断するようにCasタンパク質を誘導することができる。さらに、天然に存在するCasタンパク質は、エンドヌクレアーゼ活性を有するが、Casタンパク質は、他の機能を果たすように操作されてきた。例えば、Cas9のエンドヌクレアーゼ不活性化変異体(dCas9)が作り出されており、このような変異体は、標的DNA配列を切断せずにそれらに結合するように誘導され得る。次いでdCas9タンパク質は、転写活性化因子または転写阻害因子に結合するようにさらに操作することができる。結果として、ガイド配列を用いることにより、そのようなCRISPR複合体を特定の遺伝子にリクルートして、転写をオンまたはオフにすることができる。それゆえ、これらのシステムは、CRISPRアクチベーター(CRISPRa)またはCRISPRインヒビター(CRISPRi)と呼ばれる。CRISPRシステムを用いることにより、アセチル化またはメチル化などのDNAの配列特異的エピジェネティック修飾を導入することもできる。標的DNAの切断以外の目的で、改変されたCRISPRシステムを使用することは、例えば、Dominguezら、Beyond editing:repurposing CRISPR-Cas9 for precision genome regulation and interrogation,Nat.Rev.Cell Biol.17(1):5-15(2016)に記載されており、これは参照により本明細書中に援用される。
上記作用物質は、上に記載されたものなど、CRISPRシステムの任意の構成要素であり得る。例えば、限定されないが、CRISPRの構成要素は、ヘリカーゼ、エンドヌクレアーゼ、転写活性化因子、転写阻害因子、DNA修飾因子、gRNA、crRNAまたはtracrRNAの1つ以上であり得る。CRISPRの構成要素は、RNAまたはDNAなどの核酸、ポリペプチド、またはRNPなどの組み合わせを含む。CRISPR核酸は、機能的なCRISPR構成要素をコードし得る。例えば、その核酸は、DNAまたはmRNAであり得る。CRISPR核酸は、それ自体が機能的な構成要素、例えば、gRNA、crRNAまたはtracrRNAであり得る。
上記作用物質は、CRISPRの構成要素の発現を誘導するエレメントを含み得る。例えば、CRISPRの構成要素の発現は、テトラサイクリンなどの抗生物質または他の化学物質によって誘導され得る。誘導性CRISPRシステムは、例えば、Roseら、Rapidly inducible Cas9 and DSB-ddPCR to probe editing kinetics,Nat.Methods,14,pages 891-896(2017);およびCaoら、An easy and efficient inducible CRISPR/Cas9 platform with improved specificity for multiple gene targeting,Nucleic Acids Res.14(19):e149(2016)に記載されており、これらの内容は、参照により本明細書中に援用される。この誘導性エレメントは、CRISPRの構成要素の一部であり得るか、または別個の構成要素であり得る。
上記作用物質は、最小サイズを有し得る。例えば、限定されないが、上記作用物質は、>100Da、>200Da、>500Da、>1000Da、>2000Da、>5000Da、>10,000Da、>20,000Da、>50,000Daまたは>100,000Daの分子量を有し得る。
本発明の超音波ベースの免疫化方法を用いることにより、抗原が送達され得る。その抗原は、宿主から免疫応答を誘発する任意の分子、分子の複合体、または病原体の一部分であり得る。例えば、限定されないが、抗原は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、有機分子、炭水化物、多糖、脂質、トキソイドまたはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。核酸は、RNA、DNAまたはRNA/DNAハイブリッドであり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。
トキソイドは、免疫原性を保持しつつ毒性を不活性化または抑制するように改変されたトキシンの誘導体である。トキシンの起源は、細菌または他の病原体である。トキソイドは、通常、トキシンを加熱することまたは化学的に修飾することによって作製される。トキシンの完全な解毒は、病原性の細菌またはウイルスの不活性化よりも簡単かつ確実に達成することができるので、トキソイドワクチンは、概して弱毒生ワクチンよりも安全である。さらに、トキソイドは、構造がより単純であるので、弱毒生ワクチンよりも分解しにくく、免疫原性を失いにくいため、貯蔵および輸送がより容易である。一般的なトキソイドワクチンは、テタノスパスミン、ボツリンおよび百日咳毒素に由来するトキソイドを含む。
上記抗原は、弱毒生病原体、不活性化もしくは死滅させた病原体、または病原体のサブユニットもしくは結合体であり得るか、またはそれを含み得る。弱毒生ワクチンは、病原体を死滅させずにまたは完全に不活性化せずに、その病原体のビルレンスを無くすまたは低減することによって作製される。弱毒生ワクチンは、インフルエンザ、麻疹、ムンプス、ポリオ、ロタウイルス、風疹、痘瘡、結核、腸チフス、チフス、水痘(水疱瘡)および黄熱に対して患者を免疫化するために広く用いられている。不活性化/死滅ワクチンは、死滅したまたは不活性化された病原体粒子を含む。不活性化/死滅ワクチンは、コレラ、インフルエンザ、百日咳(pertussis)(百日咳(whooping cough))、ペスト(エルシニア)、ポリオおよび腸チフスに対して患者を免疫化するために用いられる。サブユニットワクチンは、病原体由来の個別のタンパク質を、単離した状態でまたは異なる生物において外因的に発現された状態で、患者に提示する。サブユニットワクチンは、B型肝炎、インフルエンザ、ヘモフィルスインフルエンザb菌(Hib)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、百日咳(pertussis)(百日咳(whooping cough))肺炎球菌疾患、髄膜炎菌性疾患および帯状ヘルペスに対して患者を免疫化するために用いられる。
抗原および免疫治療薬をはじめとした作用物質を粘膜組織に超音波ベースで送達する利点は、大分子、例えば、1000Daを超える分子量を有する分子を送達できる点である。したがって、抗原は、最小サイズを有し得る。例えば、限定されないが、抗原は、>100Da、>200Da、>500Da、>1000Da、>2000Da、>5000Da、>10,000Da、>20,000Da、>50,000Daまたは>100,000Daの分子量を有し得る。
上記抗原は、特定の病原体に由来し得る。その病原体は、細菌、ウイルス、真菌または原虫であり得る。例えば、限定されないが、その病原体は、Bordetella pertussis、Brugia malayi、Brugia timori、Clostridium difficile、Cryptosporidium hominis、Cryptosporidium parvum、Haemophilus influenzae、肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)、Orientia tsutsugamushi、ポリオウイルス、Rickettsia prowazekii、Rickettsia typhi、ロタウイルス、風疹ウイルス、Salmonella enterica、Streptococcus pneumoniae、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、水痘帯状疱疹ウイルス、Variola major、Variola minor、Vibrio cholerae、Wuchereria bancrofti、黄熱病ウイルスまたはYersinia testisであり得る。
上記抗原は、任意の感染症に対して免疫または抵抗性を提供し得る。例えば、限定されないが、その感染症は、シャーガス、コレラ、下痢、肝炎、HIV、HPV、ヒトアフリカトリパノソーマ症、インフルエンザ、リンパ系フィラリア症、麻疹、髄膜炎菌性疾患、耳下腺炎、百日咳(pertussis)(百日咳(whooping cough))、ペスト、肺炎球菌による疾患、ポリオ、風疹、帯状ヘルペス、痘瘡、腸チフス、チフスまたは黄熱であり得る。
上記抗原は、その抗原の送達または抗原性を改善する製剤として提供され得る。例えば、その抗原は、被包されていないかまたは巨大分子複合体に含められていない遊離抗原分子として提供され得る。超音波ベースの送達は、抗原を体循環に入れる必要なく、標的細胞への迅速な送達を可能にするので、このような形式は、抗原の安定化または保護の必要がない。代替的または付加的に、その抗原は、粘膜組織へのまたは粘膜組織から循環への抗原の徐放および持効性放出を可能にする形式で提供されてもよい。
上記抗原は、抗原の放出を延長する製剤(例えば、デポー系)として提供され得る。例えば、デポー系は、細胞もしくは循環器系への抗原の曝露を遅延させ得る、かつ/または身体からの抗原のクリアランスを遅延させ得る。種々の持続放出製剤が、当該分野で公知である。例えば、限定されないが、その製剤としては、アーケオソーム(archaeosome)、コロイド鉄ベースの調製物、デンドリマー、E2多量体スキャフォールド、エマルジョン、ゲル、ヘマチン無水物結晶、ヒドロゲルカプセル、免疫刺激複合体(ISCOM)、脂質小胞、リポソーム、LPD(リポソーム-プロタミン-DNA複合体)、マイクロ成形ポリマー、マイクロニードル、微小粒子、ナノ粒子、ニオソーム(niosomes)、PEG化リポソーム、標的化重合リポソーム、固体脂質ナノ粒子(SLN)、3次元印刷ポリマー、ビロソームまたはウイルス様粒子(VLP)が挙げられる。その製剤は、分解性、生体内分解性または非分解性であり得る。その製剤は、ポリマーまたは特定の化学成分を含み得る。例えば、限定されないが、その製剤は、キトサン、ガンマポリグルタミン酸(γ-PGA)、ゼラチン、ヘマチン無水物、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、ラテックス、ポリ-(1,4-フェニレンアセトンジメチレンチオケタール)、ポリ(アルキルシアノアクリレート)(PACA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ-アルキル-シアノ-アクリレート(PAC)、ポリ無水物、ポリ乳酸(PLA)またはポリ-ε-カプロラクトン(PCL)を含み得る。抗原の持続放出のための製剤は、例えば、Chen,M.C.ら、Enhancing immunogenicity of antigens through sustained intradermal delivery using chitosan microneedles with a patch-dissolvable design,Acta Biomater.2018 Jan;65:66-75.doi:10.1016/j.actbio.2017.11.004;D.S.Wilsonら、“Orally delivered thioketal nanoparticles loaded with TNF-α-siRNA target inflammation and inhibit gene expression in the intestines,”Nature Materials,vol.9,no.11,pp.923-928,Oct.2010;Ishii-Mizuon,Y.ら、Improved sustained release of antigen from immunostimulatory DNA hydrogel by electrostatic interaction with chitosan,Int J Pharm.2017 Jan 10;516(1-2):392-400.doi:10.1016/j.ijpharm.2016.11.048;Trovato,M.and De Berardinis,P.,Novel antigen delivery systems,World J Virol 2015 August 12;4(3):156-168,ISSN2220-3249,DOI:10.5501/wjv.v4.i3.156;国際出願番号WO2000/041682およびWO2001/039800;米国特許第8,173,104号および同第8,974,795号;ならびに米国特許出願公開第2015/0165020号に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
上記製剤は、抗原に対する免疫応答を刺激するアジュバントを含み得る。多くのアジュバントが、当該分野で公知である。例えば、限定されないが、アジュバントは、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、水酸化リン酸カルシウム、パラフィンオイル、落花生油、死滅細菌(例えば、Bordetella pertussisまたはMycobacterium bovis)、トキソイド、スクアレン、洗浄剤、Quillaia、ダイズまたはPolygala senega由来の植物サポニン、サイトカイン(例えば、IL-1、IL-2またはIL-12)、フロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバントであり得るか、またはそれらを含み得る。アジュバントは、当該分野で公知であり、例えば、Greenfield,E.,ed.,Antibodies:A Laboratory Manual,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(2014),ISBN978-1-936113-81-1;Lowrie D.B.and Whalen R.G.,DNA Vaccines:Methods and Protocols.Humana Press,ISBN978-0-89603-580-5;および米国特許出願公開第2017/0209568号に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
あるいは、上記製剤は、化学的または生物学的アジュバントを含まない場合がある。下記に記載されるように、超音波エネルギー自体が、免疫細胞の応答を刺激する。ゆえに、抗原の超音波ベースの送達によって、その抗原に対して十分な免疫反応がもたらされ得ることから、上記方法は、より複雑なアジュバントベースの製剤を不必要にし得る。
上記製剤は、粘膜組織への抗原の送達効率を評価するために使用され得るマーカーを含み得る。計測可能なシグナルを提供する任意のマーカーを使用することができる。そのシグナルは、視覚的シグナルであり得る。例えば、マーカーは、蛍光マーカー、発光マーカーまたはリン光マーカーであり得る。
本発明のある特定の実施形態において、方法は、粘膜組織への免疫治療薬の超音波ベースの送達を含む。このプロセスの原理は、抗原の送達に関して上に記載された原理と同じであるが、積荷には、治療効果をもたらす作用物質が含まれる。免疫治療薬には、抗体などの免疫グロブリン分子に由来するかまたはそれに基づく作用物質が含まれる。抗体は、完全長抗体、抗体のフラグメント、天然に存在する抗体、合成抗体、操作された抗体、完全長アフィボディ(affibody)、アフィボディのフラグメント、完全長アフィリン(affilin)、アフィリンのフラグメント、完全長アンチカリン(anticalin)、アンチカリンのフラグメント、完全長アビマー(avimer)、アビマーのフラグメント、完全長DARPin、DARPinのフラグメント、完全長フィノマー(fynomer)、フィノマーのフラグメント、完全長クニッツドメインペプチド、クニッツドメインペプチドのフラグメント、完全長モノボディ(monobody)、モノボディのフラグメント、ペプチド、ポリアミノ酸などであり得る。
免疫治療薬には、免疫調節物質も含まれる。免疫調節物質は、免疫系の活性を刺激または制御する。例えば、限定されないが、免疫調節物質としては、インターロイキン、サイトカイン、ケモカイン、免疫調節性イミド薬、シトシンリン酸-グアノシン、オリゴデオキシヌクレオチドおよびグルカンが挙げられる。インターロイキンは、IL-2、IL-7またはIL-12であり得る。サイトカインは、インターフェロンまたはG-CSFであり得る。ケモカインは、CCL3、CCL26またはCXCL7であり得る。免疫調節性イミド薬は、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイドまたはアプレミラスト(apremilast)であり得る。
他の免疫治療薬としては、抗菌物質、抗生物質、抗ウイルス薬および抗真菌薬が挙げられる。
本発明のある特定の実施形態において、方法は、創傷治癒を促進する作用物質の送達を可能にする。その作用物質は、任意の機構によって治癒を促進し得る。例えば、限定されないが、その作用物質は、上に記載されたような創傷治癒プロセスの1つまたはそれを超える段階を容易にし得るか;細菌感染もしくはウイルス感染をはじめとした感染を予防し得るか;または疼痛もしくは感受性を軽減し得る。好ましくは、その作用物質は、成長因子である。
種々の成長因子が、創傷治癒を促進する。例えば、限定されないが、創傷治癒を促進する成長因子としては、CTGF/CCN2、EGFファミリーメンバー、FGFファミリーメンバー、G-CSF、GM-CSF、HGF、HGH、HIF、ヒスタチン、ヒアルロナン、IGF、IL-1、IL-4、IL-8、KGF、ラクトフェリン、リゾホスファチジン酸、NGF、PDGF、TGF-βおよびVEGFが挙げられる。EFGファミリーは、10個のメンバー:アンフィレグリン(AR)、ベータセルリン(BTC)、エピジェン、エピレグリン(EPR)、ヘパリン結合EGF様成長因子(HB-EGF)、ニューレグリン-1(NRG1)、ニューレグリン-2(NRG2)、ニューレグリン-3(NRG3)、ニューレグリン-4(NRG4)またはトランスフォーミング成長因子-α(TGF-α)を含む。FGFファミリーは、22個のメンバー:FGF1、FGF2(塩基性FGFまたはbFGFとも呼ばれる)、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22またはFGF23を含む。PDGFには、3つの形態:PDGF AA、PDGF ABおよびPDGF BBがある。TGF-βファミリーは、3つの形態:TGF-β1、TGF-β2およびTGF-β3を含む。
感染を予防する種々の作用物質が、創傷を処置するために使用されている。例えば、限定されないが、その作用物質は、抗菌物質、抗ウイルス薬、抗生物質、抗真菌薬または防腐薬であり得る。例示的な作用物質としては、銀、ヨウ素、クロルヘキシジン、過酸化水素、リゾチーム、ペルオキシダーゼ、ディフェンシン、シスタチン、トロンボスポンジンおよび抗体が挙げられる。トリニトログリセリンおよび亜硝酸塩などの一酸化窒素供与体も、感染の予防および創傷治癒の促進に有用である。
糖尿病性潰瘍を含む創傷
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、創傷の処置に有用である。例えば、創傷は、熱傷または潰瘍(例えば、糖尿病によるもの)、外科的切開もしくは縫合、皮膚移植、毛髪移植、褥瘡、組織離開、または靭帯修復もしくは腱修復であり得る。創傷は、皮膚上の創傷であり得るか、または粘膜上の創傷であり得る。例えば、創傷は、口腔内潰瘍、口内炎、消化性潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍または角膜潰瘍であり得る。
創傷治癒は、一続きの段階で生じる。止血または血液凝固と呼ばれる第1段階では、血小板が、さらなる出血を防ぐ血餅を形成する。次に、炎症段階において、損傷した細胞、病原体および残屑が、創傷部位から除去される。創傷に放出された血小板由来成長因子(PDGF)が、次の段階である増殖を促進する。増殖には、血管新生、コラーゲン沈着、肉芽組織形成、上皮化および創傷収縮が含まれる。血管新生は、血管内皮成長因子に応答した血管内皮細胞による新しい血管の形成を伴う。線維芽細胞成長因子1および2(FGF1およびFGF2)、PDGFならびに腫瘍成長因子-β(TGF-β)に応答した線維芽細胞の成長および遊走により、コラーゲンが沈着し、肉芽組織が形成される。上皮化は、上皮成長因子(EGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、腫瘍成長因子-α(TGF-α)およびインスリン様成長因子(IGF)に応答してケラチノサイトが創傷床に沿って移動および増殖することによって生じる。創傷収縮は、様々な成長因子に応答した筋線維芽細胞の誘引作用によって媒介される。創傷治癒の最終段階である成熟では、コラーゲンが、割線に沿って再編成される。創傷治癒は、例えば、Clark,R.A.F.,“Overview and General Consideration of Wound Repair.The Molecular and Cellular Biology of Wound Repair.”Plenum Press.New York(1996)3-50;Annu.Rev.Med.46:467-481(1995);J.Pathol.178:5-10(1996);Nguyen,D.T.ら、“4 The Pathophysiologic Basis for Wound Healing and Cutaneous Regeneration”Biomaterials for Treating Skin Loss,Elsevier,pp.25-57,Orgill D.P.,Blanco C.(editors),ISBN978-1-84569-554-5;およびStadelmann,W.K.ら、“Physiology and healing dynamics of chronic cutaneous wounds”American journal of surgery,176(2A Suppl):26S-38S,doi:10.1016/S0002-9610(98)00183-4,PMID9777970に詳細に記載されており、これらの各内容は、参照により本明細書中に援用される。
糖尿病および他の障害は、創傷治癒プロセスを損ない得る。糖尿病では、糖分子がランダムにポリペプチドに非酵素的に付着したタンパク質である終末糖化産物(AGE)の形成が、細胞外マトリックスのタンパク質の機能を損ない、それにより、肉芽組織の形成が妨害される。AGEの蓄積は、アテローム性動脈硬化症、慢性腎疾患およびアルツハイマー病などの変性疾患の進行の要因でもあり、慢性腎疾患も創傷治癒不良に関連する。糖尿病患者は、血管新生を制御する一酸化窒素を産生する能力の低下も示すことがある。さらに、糖尿病患者由来の線維芽細胞は、形態学的かつ機能的に異常である。最後に、糖尿病患者は、細胞外マトリックスの構成要素を分解するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の高活性を示すことが多い。高レベルのMMPは、線維芽細胞およびケラチノサイトの遊走をガイドするのに必要な細胞外マトリックスの構築を干渉するので、創傷治癒の増殖段階を妨害する。
ある特定の因子が、糖尿病性潰瘍の発症リスクを高める。例えば、感染、高齢、糖尿病性ニューロパシー、末梢血管疾患、紙巻きタバコ喫煙、血糖コントロール不良、以前の足部潰瘍形成または肢切断、小血管および大血管の虚血、足部疾患の前病歴、異常に高い圧力を生じる足変形、腎不全、浮腫、パーソナルケア後の視力低下(例えば、視力障害)はすべて、糖尿病性潰瘍の発症の危険因子である。
本発明の具体的な実施形態
ある特定の態様において、本発明は、被験体を免疫化するための方法を提供し、その方法は、抗原を含む流体を被験体の粘膜組織に近接して導入する工程、およびその抗原を被験体の粘膜組織に侵入させる周波数で超音波エネルギーをその流体に送達することにより、被験体の免疫化をもたらす免疫応答を惹起する工程を含む。
上記方法のいくつかの実施形態では、導入工程および送達工程を繰り返さない。上記方法のいくつかの実施形態では、導入工程および送達工程を繰り返す。
上記粘膜組織は、胃腸組織であり得る。その胃腸組織は、頬側組織であり得る。
上記流体は、粘膜組織への抗原の放出を延長する製剤を含み得る。
上記抗原は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、有機分子、トキソイドまたはそれらの任意の組み合わせであり得る。
上記抗原は、>1000Daの分子量を有し得る。
上記免疫応答は、CD25細胞であり得るエフェクターT細胞の活性化を含み得る。上記免疫応答は、抗原が粘膜組織に侵入した部位への免疫細胞、樹状細胞またはその両方の動員を含み得る。
超音波エネルギーの送達は、流体の一時的なキャビテーションを起こし得る。流体中の気泡の内破によって、抗原が粘膜組織に進められ得る。
ある特定の態様において、本発明は、被験体を免疫化するための方法を提供し、その方法は、抗原を含む流体を被験体の粘膜組織に近接して導入する工程、および免疫応答をもたらす周波数であってその抗原を被験体の粘膜組織に侵入させる周波数(この侵入もまた免疫応答をもたらす)で超音波エネルギーをその流体に送達する工程を含み、ここで、その組み合わせによって、被験体の免疫化が生じる。
上記方法のいくつかの実施形態では、導入工程および送達工程を繰り返さない。上記方法のいくつかの実施形態では、導入工程および送達工程を繰り返す。
上記粘膜組織は、胃腸組織であり得る。その胃腸組織は、頬側組織であり得る。
上記流体は、粘膜組織への抗原の放出を延長する製剤を含み得る。
上記抗原は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、有機分子、トキソイドまたはそれらの任意の組み合わせであり得る。
上記抗原は、>1000Daの分子量を有し得る。
上記免疫応答は、CD25細胞であり得るエフェクターT細胞の活性化を含み得る。上記免疫応答は、抗原が粘膜組織に侵入した部位への免疫細胞、樹状細胞またはその両方の動員を含み得る。
超音波エネルギーの送達は、流体の一時的なキャビテーションを起こし得る。流体中の気泡の内破によって、抗原が粘膜組織に進められ得る。
ある特定の態様において、本発明は、被験体の標的組織を処置するための方法を提供し、その方法は、被験体の標的組織に向けられた免疫応答を惹起する周波数で超音波エネルギーを被験体に送達する工程、および流体中の免疫治療薬を被験体の標的組織に侵入させる周波数で超音波エネルギーを流体に送達する工程を含み、ここで、その免疫応答と免疫治療薬との組み合わせが、被験体の標的組織に処置を提供する。
上記標的組織は、粘膜組織であり得る。
上記免疫治療薬は、抗体、抗菌物質、ケモカイン、サイトカイン、イミド薬またはインターロイキンであり得る。
上記流体中の免疫治療薬を標的組織に侵入させる超音波エネルギーは、約20kHz~約60kHzの周波数で送達され得る。その超音波エネルギーは、流体の一時的なキャビテーションを起こし得る。
上記流体中の気泡の内破によって、免疫治療薬が標的組織に進められ得る。
上記免疫治療薬は、免疫細胞に進められ得る。
ある特定の態様において、本発明は、被験体における創傷を処置する方法を提供し、その方法は、創傷治癒を促進する作用物質を含む流体を提供する工程、および流体の一時的なキャビテーションを起こす周波数で超音波エネルギーを流体に送達して作用物質を被験体の創傷に進ませることにより、被験体における創傷を処置する工程を含む。
上記作用物質は、鎮痛薬、抗生物質、抗凝固薬、抗菌物質、抗酸化物質、防腐薬、カルシウムチャネル遮断薬、コルチコステロイド、成長因子、ハチ蜜、メチルキサンチン、一酸化窒素供与体、フェニトイン、プロスタサイクリンアナログ、レチノイド、または上述の作用物質のいずれかをコードする核酸であり得る。成長因子は、EGF、FGF1、FGF2、HGF、KGF TGF-α、TGF-βまたはVEGFであり得る。
上記創傷は、擦過傷、褥瘡、熱傷、美容上のきず、褥瘡性潰瘍、裂傷、圧迫壊疽、外科的切開または潰瘍であり得る。
上記超音波エネルギーは、約20kHz~約60kHzの周波数で送達され得る。上記超音波エネルギーは、約10秒~約3分のパルスで送達され得る。上記超音波エネルギーは、作用物質の約50%未満の分解をもたらし得る。上記超音波エネルギーは、ホーンを備える超音波デバイスから上記流体と接触した状態で送達され得る。
ある特定の態様において、本発明は、被験体における糖尿病性潰瘍を処置する方法を提供し、その方法は、糖尿病性潰瘍の治癒を促進する作用物質を含む流体を提供する工程、および流体の一時的なキャビテーションを起こす周波数で超音波エネルギーを流体に送達して作用物質を被験体の糖尿病性潰瘍に進ませることにより、被験体における糖尿病性潰瘍を処置する工程を含む。
上記作用物質は、鎮痛薬、抗生物質、抗凝固薬、抗菌物質、抗酸化物質、防腐薬、カルシウムチャネル遮断薬、コルチコステロイド、成長因子、ハチ蜜、メチルキサンチン、一酸化窒素供与体、フェニトイン、プロスタサイクリンアナログ、レチノイド、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。成長因子は、EGF、FGF1、FGF2、HGF、KGF TGF-α、TGF-βまたはVEGFであり得る。
上記被験体は、紙巻きタバコ喫煙、糖尿病性ニューロパシー、浮腫、高齢の状態、足の変形、感染症、虚血、肢切断、末梢血管疾患、血糖コントロール不良または腎不全などの症状を有し得る。
上記超音波エネルギーは、約20kHz~約60kHzの周波数で送達され得る。上記超音波エネルギーは、約10秒~約3分のパルスで送達され得る。上記超音波エネルギーは、作用物質の約50%未満の分解をもたらし得る。上記超音波エネルギーは、ホーンを備える超音波デバイスから上記流体と接触した状態で送達され得る。
上記デバイスは、上記流体の少なくとも一部を保持するチャンバーを備え得る。
実施例1
図16は、材料を粘膜表面に超高速送達するために結腸において超音波を使用したときの肉眼像(A)および顕微鏡像(B)を示している。i)浣腸シリンジを結腸に挿入することによって、処置を開始する。ii)処置を開始したら、送達されるべき材料を結腸に注入し、低周波超音波によってキャビテーション気泡が形をなし始め、それが内破して、組織への薬物(淡青色)のマイクロジェットが駆動される。iii)処置後、デバイスを取り除くと、デポー系が優先的にその組織に局所的に残留して、抗原の持続放出が達成される。
図17は、様々な直径の蛍光標識ラテックス粒子のエキソビボでのブタ結腸組織への送達を示しているグラフである。データは、平均値+1標準偏差を表している。
図18は、超音波を用いて送達した直後の、結腸組織全体に均等に分配されたラテックスビーズの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図19は、蛍光標識された様々な浸透体の送達の24時間後の、結腸組織に送達された材料の初期量に対する割合を示しているグラフである。データは、平均値+1標準偏差を表している。**は、スチューデントの両側t検定による、処置直後の組織に送達された各浸透体の量に対するP<0.05を表している。
図20は、デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎の誘導および注腸投与スケジュールを示している概略図である。デキストラン硫酸ナトリウムを7日間続けて投与して、マウスに急性大腸炎を誘導した。同時に、1~6日目に動物に浣腸を投与した。実験群は、Tnf mRNAを標的化する200ngのsiRNAと超音波との併用またはTnf mRNAを標的化する200ngのsiRNA単独のいずれかからなった。
図21は、様々な浣腸を投与された急性大腸炎を有する動物の総糞便スコアを示しているグラフである(n=1群あたり5匹)。は、他のすべての群に対するsiRNA+超音波のP<0.021を表している(1元配置分散分析および多重比較によって求めた)。データは、平均値+1標準偏差を表している。
図22は、8日目の結腸組織切片の組織学スコアを示しているグラフである。P値は、1元配置分散分析および多重比較によって求めた。データは、平均値+1標準偏差を表している。
図23は、8日目における総タンパク質含有量で正規化された、結腸組織生検材料由来のTNFタンパク質レベルを示しているグラフである。**は、他の任意の群に対する両方のsiRNA+超音波群のP<0.014を表している(1元配置分散分析および多重比較によって求めた)。P値は、1元配置分散分析および多重比較によって求めた。データは、平均値+1標準偏差を表している。
図24は、ovaのみの投与または超音波と併用した投与の7週間後のova IgG力価レベルを示しているグラフである。力価レベルは、log-2ベースで報告している。P<0.05。
図25は、1日目に致死量のC.diff芽胞を負荷された後の動物の体重を負荷前の動物の体重で正規化した値を示しているグラフである。エラーバーは、平均値+/-1SDを表している。**は、1元配置分散分析および多重比較によって求めた、トキソイド+超音波群と他のすべての群との間のP<0.05を表している。
参照による援用
本開示全体を通して、特許、特許出願、特許公報、学術雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書の参照および引用を行ってきた。そのような文書のすべてが、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書中に援用される。
均等物
本明細書に引用された科学文献および特許文献の参照を含む本文書の全内容から、当業者には、本明細書中に示されたものおよび記載されたものに加えて、本発明およびその多くのさらなる実施形態の様々な修正が明らかになる。本明細書中の主題は、様々な実施形態およびその均等物における本発明の実施に適応できる重要な情報、例示および指示を含む。

Claims (30)

  1. 作用物質を被験体の内部組織に送達するためのデバイスであって、前記デバイスは、
    内視鏡の内腔内に適合するように構成された超音波トランスデューサー;および
    前記超音波トランスデューサーを電源と動作可能に連結する導電体であって、前記導電体は、前記内視鏡の内腔内に少なくとも部分的に適合するように構成されている、導電体
    を備える、デバイス。
  2. 前記超音波トランスデューサーが、大きくとも20mmの最大直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記超音波トランスデューサーの一部分を囲むカバーをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
  4. 前記カバーが、音響的に透明な材料を含む、請求項3に記載のデバイス。
  5. 前記カバーが、酸および胃の酵素の1つ以上による分解に対して抵抗性である材料を含む、請求項3に記載のデバイス。
  6. 前記導電体が、少なくとも400mmの長さを含む、請求項1に記載のデバイス。
  7. 前記導電体の遠位端が、前記トランスデューサーと接触し、前記導電体の近位端が、前記電源と接触するように構成されている、請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記超音波トランスデューサーに近接する遠位端および流体を含む流体源と接触するように構成されている近位端を含む管をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
  9. 前記管が、前記内視鏡の内腔内に少なくとも部分的に適合するように構成されている、請求項8に記載のデバイス。
  10. 前記管の遠位端が、前記トランスデューサーと接触する、請求項9に記載のデバイス。
  11. 作用物質を被験体の内部組織に送達するためのデバイスであって、前記デバイスは、
    ヒトの食道に適合するように構成されている超音波トランスデューサー;および
    前記トランスデューサーを電源と動作可能に連結する導電体
    を備える、デバイス。
  12. 前記導電体が、内視鏡の内腔内に少なくとも部分的に適合するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
  13. 前記超音波トランスデューサーの一部分を囲むカバーをさらに備える、請求項11に記載のデバイス。
  14. 前記カバーが、音響的に透明な材料を含む、請求項13に記載のデバイス。
  15. 前記カバーが、酸および胃の酵素の1つ以上による分解に対して抵抗性である材料を含む、請求項13に記載のデバイス。
  16. 前記導電体が、少なくとも400mmの長さを含む、請求項11に記載のデバイス。
  17. 前記導電体の遠位端が、前記トランスデューサーと接触し、前記導電体の近位端が、前記電源と接触するように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
  18. 前記超音波トランスデューサーに近接する遠位端および流体を含む流体源と接触するように構成されている近位端を含む管をさらに備える、請求項11に記載のデバイス。
  19. 前記管が、前記内視鏡の内腔内に少なくとも部分的に適合するように構成されている、請求項18に記載のデバイス。
  20. 前記管の遠位端が、前記トランスデューサーと接触する、請求項18に記載のデバイス。
  21. 作用物質を被験体の内部組織に送達する方法であって、前記方法は、
    超音波トランスデューサーおよび作用物質を含む流体を、被験体の食道を介して導入する工程であって、前記流体は、内部組織および前記超音波トランスデューサーに近接している、工程;および
    前記流体の一時的なキャビテーションを起こす周波数で前記超音波トランスデューサーから前記流体に超音波エネルギーを送達し、それにより、前記作用物質を前記被験体の内部組織に進ませる工程
    を含む、方法。
  22. 内視鏡を前記被験体に挿入する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記流体が、前記内視鏡を介して導入される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記流体が、前記内視鏡の内腔内に少なくとも部分的に収納された管を介して導入される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記流体が、前記内視鏡の内腔に注射によって導入される、請求項23に記載の方法。
  26. 前記流体が、前記内視鏡の外側にある管を介して導入される、請求項22に記載の方法。
  27. 前記超音波トランスデューサーが、導電体を介して電源に動作可能に連結される、請求項22に記載の方法。
  28. 前記導電体が、前記内視鏡の内腔内に少なくとも部分的に収納される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記超音波トランスデューサーが、前記内視鏡の内腔内に部分的に収納される、請求項22に記載の方法。
  30. 前記超音波トランスデューサーが、前記内視鏡の外側にある、請求項22に記載の方法。
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