JP2022502491A - 骨髄増殖性疾患の治療法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、骨髄増殖性疾患の治療法を提供する。態様によっては、本開示は、1種または複数の骨髄増殖性疾患の重篤度または進行を治療、安定化、または低減する方法を提供し、本方法は、以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、式Iの化合物、別名フェドラチニブ、あるいはその薬学上許容される塩または水和物を含む薬学上許容される組成物を投与することを含む。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月25日出願の米国仮出願番号第62/736,349号の優先権を主張し、その全体が本明細書により参照として援用される。
本発明は、骨髄増殖性疾患の重篤度または進行を治療、安定化、または低減する方法を提供する。
新規治療薬の探求は、疾患に関連する酵素及び他の生体分子の構造についての理解が深まることにより、近年大幅に促進された。大々的な研究対象であった酵素の重要なクラスの1つは、タンパク質キナーゼである。
タンパク質キナーゼは、細胞内の様々なシグナル伝達プロセスの制御を担う、構造的に関連した酵素の巨大ファミリーを構成する。タンパク質キナーゼは、それらの構造及び触媒機能が保存されているため、共通の祖先遺伝子から発展してきたと考えられている。ほぼ全てのキナーゼが、類似した250〜300アミノ酸触媒ドメインを有する。キナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質チロシン、タンパク質セリン/トレオニン、脂質など)により、いくつかのファミリーへと分類することができる。
一般に、タンパク質キナーゼは、ヌクレオシド三リン酸からシグナル伝達経路に関与するタンパク質アクセプターへのホスホリル転移をもたらすことにより、細胞内シグナル伝達に介在する。これらのリン酸化事象は、標的タンパク質生体機能を調節または制御することが可能な分子オン/オフスイッチとして作用する。これらのリン酸化事象は、様々な細胞外刺激及び他の刺激に反応して、最終的に引き起こされる。そのような刺激の例として、環境及び化学物質ストレスシグナル(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、細菌エンドトキシン、及びH)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)及び腫瘍壊死因子α(TNF−α))、ならびに成長因子(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、及び線維芽細胞増殖因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞増殖、遊走、分化、ホルモン分泌、転写因子活性化、筋収縮、糖代謝、タンパク質合成の制御、及び細胞周期の調節に関連した1種または複数の細胞反応に影響する可能性がある。
多くの疾患が、上記のとおりのタンパク質キナーゼ介在性事象により引き起こされる異常細胞反応と関連している。そうした疾患として、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝疾患、神経疾患及び神経変性疾患、がん、循環器疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病、ならびにホルモン関連疾患が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、治療薬として有用なタンパク質キナーゼ阻害剤を見つけることが、依然として必要とされている。
本開示は、1種または複数の骨髄増殖性疾患の重篤度または進行を治療、安定化、または低減する方法を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、以前にルキソリチニブ(JAKAFI(登録商標);(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル)で治療を受けたことがある患者を治療する方法を提供する。
態様によっては、本開示は、1種または複数の骨髄増殖性疾患の重篤度または進行を治療、安定化、または低減する方法を提供し、本方法は、以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、式Iの化合物:
Figure 2022502491

あるいはその薬学上許容される塩または水和物を含む薬学上許容される組成物を投与することを含む。式Iの化合物は、本明細書中、「化合物I」とも称する。実施形態によっては、化合物Iは、二塩酸塩形をしている。化合物Iまたはその薬学上許容される塩は、水和物形でも存在可能である。実施形態によっては、化合物Iは、二塩酸塩一水和物形をしている。したがって、実施形態によっては、提供される方法は、化合物IIを必要としている患者に、化合物IIを投与することを含む:
Figure 2022502491
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患の治療法を提供し、本方法は、以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)を投与することを含む。
実施形態によっては、患者は、以前に少なくとも3ヵ月間ルキソリチニブ治療を受けたことがある。実施形態によっては、患者は、以前に少なくとも3ヵ月間ルキソリチニブ治療を受けたことがあり、その奏功が、MRIによる脾体積の減少が<10%、触診による脾臓サイズの減少がベースラインから<30%、または初期奏功後の再増殖によりこれらのパラメーターになるとして定義される有効性不十分であった。有効性不十分であった患者は、難治性であると言われる。再増殖によりこれらのパラメーターになった患者は、再発したと言われる。
実施形態によっては、患者は、以前に少なくとも28日間ルキソリチニブ治療を受けたことがあり、以下を併発している:
i)赤血球細胞輸血の必要性の発生、または
ii)ルキソリチニブ治療中に、血小板減少症、貧血、血腫、及び/または出血のグレード3以上の有害事象。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者において脾体積を少なくとも25%減少させる方法を提供する。実施形態によっては、患者の脾体積は、少なくとも35%減少する。実施形態によっては、脾体積は、核磁気共鳴画像法(MRI)またはコンピュータ断層撮影法(CT)により測定される。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者において全生存期間を改善する方法を提供する。実施形態によっては、全生存期間は、利用可能な最善の治療に比べて改善されている。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者であって、ルキソリチニブ耐性または難治性である患者の治療法を提供する。実施形態によっては、患者は、ルキソリチニブ治療中に、以下のうちの1つまたは複数を呈しているまたは経験している:不応性、病勢進行、または反応/治療効果の減少。実施形態によっては、病勢進行は、ルキソリチニブ治療中の脾臓サイズの増大により裏付けられる。
実施形態によっては、本開示は、ルキソリチニブに不耐容である患者における骨髄増殖性疾患の治療法を提供する。実施形態によっては、ルキソリチニブ不耐容は、血液毒性(例えば、貧血、血小板減少症など)または非血液毒性により裏付けられる。
実施形態によっては、本開示は、以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者で再発した場合のその患者における骨髄増殖性疾患の治療法を提供する。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者において症候反応率を改善する方法を提供する。そのような実施形態の一部において、症候反応率は、以下で定義されるとおり、総症状スコア(TSS)の少なくとも50%減少により裏付けられる。実施形態によっては、症候反応率は、利用可能な最善の治療に比べて改善されている。
実施形態によっては、本開示は、再発した患者またはルキソリチニブに対して難治性である患者の生存期間中央値を上昇させる方法を提供する。実施形態によっては、生存期間中央値は、利用可能な最善の治療に比べて上昇している。
JAK2の偽キナーゼドメインにおける活性化変異は、フィラデルフィア染色体陰性骨髄増殖性疾患において高頻度で発生する。JAK2 V617Fアレルバーデンの増加は、疾患の重篤度(骨髄機能不全、臓器肥大、及び全身症状)と相関することが示されてきており、このことは、過剰なJAK2シグナル伝達が骨髄増殖性疾患において中心的役割を果たしていることと一致する。したがって、実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に関連するもしくは骨髄増殖性疾患を示す体細胞変異またはクローンマーカーを有する患者においてアレルバーデンを減少させる方法を提供する。実施形態によっては、体細胞変異は、JAK2変異、カルレチキュリン(CALR)変異、または骨髄増殖性白血病ウイルス(MPL)変異から選択される。実施形態によっては、JAK2変異は、V617Fである。実施形態によっては、CALR変異は、エクソン9の変異である。実施形態によっては、MPL変異は、W515K及びW515Lから選択される。実施形態によっては、アレルバーデンは、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物での治療前の患者のアレルバーデンに比べて減少している。
実施形態によっては、骨髄増殖性疾患は、中リスクMPN関連骨髄線維症及び高リスクMPN関連骨髄線維症から選択される。
実施形態によっては、中リスクMPN関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後(PV後)骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)骨髄線維症から選択される。
実施形態によっては、高リスクMPN関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後(PV後)骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)骨髄線維症から選択される。
実施形態によっては、提供される方法は、以下で定義されるとおり、完全奏功(CR)を誘導する。実施形態によっては、提供される方法は、以下で定義されるとおり、部分奏功を誘導する。実施形態によっては、提供される方法は、以下で定義されるとおり、臨床的改善を誘導する。実施形態によっては、提供される方法は、以下で定義されるとおり、脾臓反応を誘導する。
実施形態によっては、本開示は、以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者において骨髄増殖性疾患を治療する方法を提供し、本方法において、患者は、化合物Iを約400mg投与される。実施形態によっては、化合物Iの用量は、約400mgから約300mgへと減らされる。実施形態によっては、化合物Iの用量は、約300mgから約200mgへと減らされる。実施形態によっては、化合物Iは、1回または複数回の28日サイクル中、1日1回投与される。実施形態によっては、化合物Iは、少なくとも6回の28日サイクル中、1日1回投与される。
実施形態によっては、本開示は、化合物Iでの治療に関連するまたはその治療から生じる1つまたは複数の有害事象を最小限にする方法を提供する。実施形態によっては、患者は、ウェルニッケ脳症を発症するリスクがある。そのような実施形態の一部において、患者は、ウェルニッケ脳症についてモニタリングされる。
定義
「約」という用語は、本明細書中使用される場合、パラメーター、量、時間の長さなどの可測値を示す場合、指定された値を基準にしてその値からの+/−10%以下、好ましくは+/−5%以下、より好ましくは+/−1%以下、さらにより好ましくは+/−0.1%以下の変動を包含することを意味するが、ただし、本開示の発明においてそのような変動の発生が妥当である限りにおいてである。例として、「約」という用語がある特定の日数と合わせて使用される場合、それには、その特定の日数プラスマイナス1日が含まれ、例えば、「約6日間」は、5〜7の任意の日数を含む。当然のことながら、修飾語「約」が示す値は、それ自身も具体的であり、好ましくは開示されている。
「治療する(treat)」または「治療する(treating)」という用語は、本明細書中使用される場合、障害または症状を、あるいは障害または症状の1つまたは複数の症候を、部分的または完全に、軽減する、阻害する、発症を遅らせる、予防する、寛解させる、及び/または緩和することを示す。本明細書中使用される場合、「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、及び「治療する(treating)」という用語は、本明細書中記載されるとおり、障害または症状を、あるいは障害または症状の1つまたは複数の症候を、部分的または完全に、軽減する、阻害する、発症を遅らせる、予防する、寛解させる、及び/または緩和することを示す。実施形態によっては、治療は、1つまたは複数の症候が発生した後に投与される場合がある。実施形態によっては、「治療する(treating)」という用語は、疾患または障害の進行を阻止または停止させることを含む。他の実施形態において、治療は、症候がない中で投与される場合がある。例えば、治療は、症候の発生前に疑いのある個体に投与される場合がある(例えば、症候歴に照らして、及び/または遺伝的もしくは他の因子に照らして)。治療は、症候が解消された後に、例えば、その再発を防ぐまたは遅らせるために、継続される場合もある。したがって、実施形態によっては、「治療する(treating)」という用語は、疾患または障害の再燃または再発を防ぐことを含む。
「単位剤形」という用語は、本明細書中使用される場合、治療される対象にとって適切な、本発明配合物の物理的に離散した単位を示す。しかし、当然のことながら、本発明の組成物の合計1日使用量は、担当医師により合理的な医学的判断の範囲内で決定されることになる。対象または生物がなんであれ特定の対象または生物についての具体的な有効用量レベルは、様々な要因に依存することになり、そのような要因として、治療されている障害及び障害の重篤度;使用される具体的な活性作用剤の活性;使用される具体的な組成物;対象の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、及び食事;使用される具体的な活性作用剤の投与タイミング及び排出速度;治療期間;使用される具体的な化合物(複数可)と併用されるまたは同時使用になる薬物及び/または追加療法、及び医薬分野で周知の同様な要因が挙げられる。
特定の実施形態についての詳細な説明
骨髄線維症
骨髄増殖性腫瘍(MPN)関連骨髄線維症(MF)は、重篤かつ生命を脅かす疾患であり、これはde novoもしくは原発性骨髄線維症(PMF)として存在するまたは以前の真性赤血球増加症または本態性血小板血症から発達する可能性がある(Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, Jafie ES, Pileri SA, Stein H, et al. World Health Organization classification of tumors of haematopoietic and lymphoid tissues. Lyon: IARC Press 2008)。この疾患は、クローン骨髄増殖、無効な赤血球生成、骨髄間質変化、肝脾髄外造血、及び異所サイトカイン発現を特徴とする(Tefferi A, Pardanani A. JAK inhibitors in myeloproliferative neoplasms: rationale, current data and perspective. Blood Rev. 2011 Sep;25(5):229−37)。患者は、典型的には、脾腫、全身症状、中〜重度の貧血、血小板減少症、及び白血球増多症を呈する。
原発性骨髄線維症は、フィラデルフィア染色体(Ph1)陰性MPNのグループの一員であり、このグループには、真性赤血球増加症(PV)及び本態性血小板血症(ET)も含まれる(Tefferi A. The recent advances in classic BCR−ABL−negative myeloproliferative disorders. Clin. Adv. Hematol. Oncol. 2007a;5:113−5)。PV患者のほぼ全てならびにET及びPMF患者の約半分が、JAK2変異、典型的には、JAK2V617Fを有する。PMF患者の他の変異として、CALR及びMPLが挙げられる。PMF患者の約20%は、JAK2、CALR、及びMPLに検出可能な変異を有さず、三種陰性と呼ばれる(Levine RL, Wadleigh M, Cools J, Ebert BL, Wernig G, Huntly BJ, et al. Activating mutation in the tyrosine kinase JAK2 in polycythemia vera, essential thrombocythemia, and myeloid metaplasia with myelofibrosis. Cancer Cell. 2005;7:387−97;Werning G, Mercher T, Okabe R, Levine L, Lee BH, Gilliland GL. Expression of JAK2V617F causes a polycythemia vera−like disease with associated myelofibrosis in a murine bone marrow transplant model. Blood. 2006;107:4274−81)。JAK2、CALR、及びMPLにおける変異は、JAK/STATシグナル伝達経路の活性をもたらし、その結果、細胞増殖をもたらし細胞死を阻害する。この結果生じるのは、クローン増殖である(Ilhe JN, Gilliland DG. JAK2: normal function and role in hematopoietic disorders. Curr. Opin. Genet. Dev. 2007;17:8−14)。すなわち、JAK/STAT経路を下方制御することができるJAK2阻害剤は、細胞増殖の減少に役立つことが予想される。
真性赤血球増加症(PV)及び本態性血小板血症(ET)は、赤血球細胞(RBC)及び血小板のレベル上昇を特徴とする。しかしながら、罹患した患者の約10%は、PMFとは形態学的に識別可能である骨髄線維症を発症する。これらの症状は、真性赤血球増加症後骨髄線維症(PV後MF)及び本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)と呼ばれ(Campbell PJ, Green AR. Management of polycythemia vera and essential thrombocythemia. Hematology Am. Soc. Hematol. Educ. Program. 2005;201−8)、臨床上の名称はMPN関連骨髄線維症である。MPN関連骨髄線維症の患者は、PMFの場合と同様な生存予後を有し、急性骨髄性白血病(AML)へとがん化する累積リスクが約10%ある。
PMFの患者の生存期間を予測する予後予測スコアリングシステムがいくつか存在する。国際予後予測スコアリングシステム(IPSS)は、診断時での生存期間を予測するのに使用され、ダイナミック国際予後予測スコアリングシステム(Dynamic International Prognositic Scoring System、DIPSS)は、疾患過程の任意の時点で使用される(Cervantes F, Dupriez B, Pereira A, et al. New prognostic scoring system for primary myelofibrosis based on a study of the International Working Group for Myelofibrosis Research and Treatment. Blood. 2009;Mar 26;113(13):2895−901;Passamonti F, Cervantes F, Vannucchi AM, Morra E, Rumi E, Pereira A, et al. A dynamic prognostic model to predict survival in primary myelofibrosis: a study by the IWG−MRT (International Working Group for Myeloproliferative Neoplasms Research and Treatment). Blood. 2010 Mar 4;115(9):1703−8)。IPSSに含まれる可変要素は、年齢65歳超、全身症状、ヘモグロビンレベル10g/dL未満、及び白血球細胞(WBC)数である。さらに最近の予後予測スコアリングシステムとして、ダイナミック国際予後予測スコアリングシステムプラス(Dynamic International Prognositic Scoring System Plus、DIPSS Plus)及び変異分析によるデータを組み込んだスコアリングシステムが挙げられる。MF患者の全生存期間とDIPSSリスク分類との間には強力な関連性が存在し、低リスク、中リスク1、中リスク2、または高リスクの患者について、生存期間中央値は、それぞれ15.4、6.5、2.9、及び1.3年である(Tefferi A. Primary myelofibrosis: 2017 update on diagnosis, risk−stratification, and management. Am. J. Hematol. 2016 Dec;91(12):1262−1271)。
MFである個体の約70%は、中リスク2または高リスク分類にあり(Gangat N, Caramazza D, Vaidya R, George G, Begna K, Schwager S, et al. DIPSS plus: a refined Dynamic International Prognostic Scoring System for primary myelofibrosis that incorporates prognostic information from karyotype, platelet count, and transfusion status. J. Clin. Oncol. 2011 Feb 1;29(4):392−7)、最大の未対応の医療需要となっている。脾臓及び肝臓の症候性拡大、RBC輸血の必要性、悪液質、及びその他のMF関連症候は、それらの患者の生活の質を大幅に損なう((Mesa RA, Camoriano JK, Geyer SM, Wu W, Kaufmann SH, Rivera CE, et al. A phase II trial of tipifarnib in myelofibrosis: primary, post−polycythemia vera and post−essential thrombocythemia. Leukemia. 2007 Sep;21(9):1964−70)。
同種異系幹細胞移植(SCT)は、現在、MF患者で長期緩解を誘導することができる唯一の治療である。MF診断時の年齢の平均は65歳であり、したがって、患者の大部分は、SCTに適格ではない。したがって、治療選択肢は、主に対症療法的であり、貧血、脾腫、全身症状の臨床所見、及びそれらほど一般的ではないが血小板及びWBCのレベルの上昇を軽減することを補助することを目的とする。これまでのところ、脾臓サイズ及び脾臓不快感、症候、及び貧血の緩和は示されたことがあるものの、これらの対症療法的治療のどれも、抗クローン作用を示したことがない(Vannucchi AM, Harrison CN. Emerging treatments for classical myeloproliferative neoplasms. Blood. 2017 Feb 9;129(6):693−703)。
幸運なことに、MPN及び疾患の分子機構についての理解は、進んできている。2005年には、JAK2V617F変異が発見され、この変異は、PMFまたはETの患者の約50%〜60%及びPVの患者の90%〜95%で観察された。発見された変異は、MPNの患者における他の変異の観察と合わせて、JAK/シグナルトランスデューサー及び転写(STAT)経路活性化因子(JAK2エクソン12、骨髄増殖性白血病、及びアダプタータンパク質LNK)を活性化することがわかり(Oh ST, Simonds EF, Jones C, Hale MB, Goltsev Y, Gibbs KD, Jr., et al. Novel mutations in the inhibitory adaptor protein LNK drive JAK−STAT signaling in patients with myeloproliferative neoplasms. Blood. 2010 Aug 12;116(6):988−92;Pikman Y, Lee BH, Mercher T, McDowell E, Ebert BL, Gozo M, et al. MPLW515L is a novel somatic activating mutation in myelofibrosis with myeloid metaplasia. PLoS Med. 2006 Jul;3(7):e270;Scott LM, Tong W, Levine RL, Scott MA, Beer PA, Stratton MR, et al. JAK2 exon 12 mutations in polycythemia vera and idiopathic erythrocytosis. N. Engl. J. Med. 2007 Feb 1;356(5):459−68)、MPNの病態発生に対する主要な寄与体としてJAKシグナル伝達経路の調節不全を確立させた。これは、小分子JAK阻害剤の開発にも応用されてきた。
JAK1/2阻害剤ルキソリチニブは、現在、MFの唯一の承認治療薬である。ルキソリチニブは、原発性MF、真性赤血球増加症後MF、及び本態性血小板血症後MFを含む中または高リスクMPN関連骨髄線維症(MF)の患者の治療に適応される。ルキソリチニブの登録は、ルキソリチニブと、偽薬及び利用可能な最善の治療(BAT)それぞれとを比較する2つの無作為化比較対照臨床試験(COMFORT−I及びCOMFORT−II)に基づくものであった(Harrison C, Vannucchi AD. Ruxolitinib: a potent and selective Janus kinase 1 and 2 inhibitor in patients with myelofibrosis. An update for clinicians. Ther. Adv. Hematol. 2012 Dec;3(6):341−54;Verstovsek S, Mesa RA, Gotlib J, Levy RS, Gupta V, DiPersio JF, et al. A double−blind, placebo−controlled trial of ruxolitinib for myelofibrosis. N. Engl. J. Med. 2012 Mar 1;366(9):799−807)。これらの臨床試験は、有益性を実証し、核磁気共鳴画像法(MRI)で測定した場合に、COMFORT−Iでは24週間で(ルキソリチニブ41.9%対偽薬0.7%)及びCOMFORT−IIでは48週間で(ルキソリチニブ28.5%対BAT0%)、ルキソリチニブ群の対象の方が高い割合で脾体積の≧35%減少を示した。COMFORT−Iでは、骨髄線維症症状評価フォーム(MFSAF)総症状スコア(TSS)の>50%改善が、24週間後、偽薬の対象では5.3%であったのに比べて、ルキソリチニブの対象では45.9%であった。BATと比較した場合のルキソリチニブ群の生存率の改善も、COMFORT−II試験から最近3年間の経過観察データに基づき実証された。144週間後のカプラン・マイヤー推定予測生存率は、ルキソリチニブ群で81%であり、BAT群で61%であった(Cervantes F, Kiladjian JJ, Niederwieser D, Sirulnik A, Stalbovskaya V, McQuity M, et al. Long−Term Safety, Efficacy, and Survival Findings From Comfort−II, a Phase 3 Study Comparing Ruxolitinib with Best Available Therapy (BAT) for the Treatment of Myelofibrosis (MF). Blood. 2012;120(21):801)。骨髄線維症における改善は、24ヶ月後、BATを投与された対象では5%であったのに比べて、ルキソリチニブを投与された対象の15%で観察された。しかしながら、この改善は、経過観察が可能であった対象の少数において、48ヶ月で低下した。この臨床試験に参加した対象で、脾臓及び症候の臨床上の解決を達成した者がいるかどうかは不明である(Kvasnicka HD. WHO classification of myeloproliferative neoplasms (MPN): A critical update. Curr. Hematol. Malig. Rep. 2013 Dec;8(4):333−41)。
ルキソリチニブは、米国(US)及び欧州連合(EU)において、MPN関連骨髄線維症の治療用に承認されている。
米国では、ルキソリチニブ(Jakafi(登録商標))は、食品医薬品局(FDA)により、2011年11月に、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症、及び本態性血小板血症後骨髄線維症を含む中または高リスク骨髄線維症の患者の治療用に承認された。ルキソリチニブは、ヒドロキシウレアで効果不十分であったまたはヒドロキシウレアに対して不耐容である患者において真性赤血球増加症を治療するためにも承認された。
欧州連合では、ルキソリチニブ(Jakavi(登録商標))は、欧州医薬品庁(EMA)により、2012年8月に、原発性骨髄線維症(慢性突発性骨髄線維症としても知られる)、真性赤血球増加症後骨髄線維症、または本態性血小板血症後骨髄線維症の成人患者において疾患関連脾腫または症候の治療用に承認された。
MPN関連骨髄線維症、特に中または高リスクの疾患は、深刻かつ致死的病状である。ルキソリチニブ治療の有益性は、脾臓反応及び全身症状の改善という点で、顕著であるものの、ルキソリチニブには、治療関連の貧血(BATの12.3%に対して40.4%)及び血小板減少症(BATの9.65%に対して44.5%)のリスクも伴う(Harrison C, Vannucchi AD. Ruxolitinib: a potent and selective Janus kinase 1 and 2 inhibitor in patients with myelofibrosis. An update for clinicians. Ther. Adv. Hematol. 2012 Dec;3(6):341−54)。1年、2年、及び3年中止率は、それぞれ、49%、71%、及び86%である。中止の主な理由は、治療効果の減少、不応性、及び薬誘導型血球減少である(Tefferi A, Pardanani A. JAK inhibitors in myeloproliferative neoplasms: rationale, current data and perspective. Blood Rev. 2011 Sep;25(5):229−37)。さらに、ルキソリチニブに対する反応は、治療開始後、最初の3〜6ヶ月間内で観察されるのが典型的であり(Verstovsek S, Mesa RA, Gotlib J, Levy RS, Gupta V, DiPersio JF, et al. A double−blind, placebo−controlled trial of ruxolitinib for myelofibrosis. N. Engl. J. Med. 2012 Mar 1;366(9):799−807;Harrison C, Vannucchi AM. Ruxolitinib: a potent and selective Janus kinase 1 and 2 inhibitor in patients with myelofibrosis. An update for clinicians. Ther. Adv. Hematol. 2012 Dec;3(6):341−54)、その期間後、脾臓サイズの減少または症候の改善がなかった患者については、代替治療を検討すべきであることが、示唆されている(Keohane C, Radia DH, Harrison CN. Treatment and management of myelofibrosis in the era of JAK inhibitors. Biologics. 2013;7:189−98;Harrison CN, Mesa RA, Jamieson C, Hood J, Bykowski J, Zuccoli G, et al. Case Series of Potential Wernicke’s Encephalopathy in Patients Treated with Fedratinib. Blood. 2017b;130(Suppl 1), 4197. 2018年3月23日アクセス。http://www.bloodjournal.org/content/130/Suppl_1/4197から引用)。全生存期間(OS)に対するルキソリチニブの効果については、議論が続いているが、骨髄線維症に対する不明な限定的効果及びドライバー変異アレルバーデンは、薬物の疾患修飾活性が軽微である可能性が高いことを示唆する。したがって、ルキソリチニブが利用可能になったにも関わらず、最前線の骨髄線維症患者、特に、ベースラインの血小板数が低く、骨髄抑制/血小板減少症の影響を受けやすい患者について未対応の医療需要は依然として高い。
以前にJAK阻害剤で治療されたことがある患者にとって、承認療法は存在せず、予後は不良である(Newberry KJ, Patel K, Masarova L, Luthra R, Manshouri T, Jabbour E, et al. Clonal evolution and outcomes in myelofibrosis after ruxolitinib discontinuation. Blood. 2017 Aug 31;130(9):1125−31)。ルキソリチニブ耐性の機構は、不明のままである。骨髄線維症は、JAK2阻害に対して、真性赤血球増加症または本態性血小板血症よりも本質的に耐性が高いことが前臨床研究で示されており、ルキソリチニブ治療失敗後に有効であるJAK2阻害剤は、引き続き、未対応の大きな需要である。さらに、ルキソリチニブを中止した再発及び難治性患者の生存期間中央値は、6ヶ月であることが報告されている(Jabbour E, Hagop M, Kantarjian HM, Garcia−Manero G, Quintas−Cardama A, Cardena−Turanzas M, et al. Outcome of Patients (pts) With Myelofibrosis (MF) After Ruxolutinib (Rux) Therapy. Blood. 2013;122(21):1584. 2018年3月25日アクセス。http://www.bloodjournal.org/content/122/21/1584から引用)。注目すべきは、ルキソリチニブ中止から10ヶ月の経過観察中央値の後、27人(34%)の患者しか生存していなかったことである(Kantarjian HM, Silver RT, Komrokji RS, Mesa RA, Tacke R, Harrison CN. Ruxolitinib for myelofibrosis−−an update of its clinical effects. Clin. Lymphoma Myeloma Leuk. 2013 Dec;13(6):638−45)。COMFORT−I臨床試験では5年後、患者の27%しか治療に残っていなかった。この状況で、ルキソリチニブを中断する患者の治療成績は不良であり、そのような患者は、不良の治療成績を有する。
2つの無作為化臨床試験は、ルキソリチニブ治療を以前に受けたことがある対象でのJAK阻害剤の使用を、ルキソリチニブの連続使用または再使用を含むBATとの比較で評価したものである。
PERSIST−2臨床試験では、血小板数が100×10/L以下の対象を無作為に分け、パクリチニブ400mgを1日1回、200mgを1日2回、またはルキソリチニブを含むBATのいずれかを投与した。以前にルキソリチニブ使用ありの対象(n=95)のサブグループにおいて、24週目での35%以上の脾体積反応は、それぞれ、24週目において、2人の対象(6%)及び4人の対象(13%)及びBATでは1人の対象(3%)が達成した(Mascarenhas J, Hoffman R, Talpaz M, Gerds AT, Stein B, Gupta V, et al. Pacritinib vs Best Available Therapy, Including Ruxolitinib, in Patients With Myelofibrosis: A Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2018 May 1;4(5):652−9)。
SIMPLFY−2臨床試験では、以前に少なくとも28日間のルキソリチニブ治療を受けたことがあり、ルキソリチニブ治療中に赤血球細胞輸血が必要になった、またはルキソリチニブ用量を20mg未満で1日2回に減少させることが必要になったのいずれかであり、グレード3の血小板減少症、貧血、またはグレード3以上の出血のうち少なくとも1つが生じたMF対象(n=156)を、無作為に2:1に分け、モメロチニブ、またはルキソリチニブを含むBATのいずれかを投与した。
24週目での35%以上の脾体積反応は、24週目において、7人の対象(7%)及びBATでは3人の対象(6%)が達成した(Harrison CN, Vannucchi AM, Platzbecker U, Cervantes F, Gupta V, Lavie D, et al. Momelotinib versus best available therapy in patients with myelofibrosis previously treated with ruxolitinib (SIMPLIFY 2): a randomised, open−label, phase 3 trial. Lancet Haematol. 2018 Feb;5(2):e73−e81)。
現在、以前にルキソリチニブで治療を受けたことがあるMF患者を治療するのに利用可能な最善の治療(BAT)は、限られている。BATとして、ルキソリチニブでの再治療、化学療法(例えば、ヒドロキシウレア)、アナグレリド、コルチコステロイド、造血成長因子、免疫調節剤、アンドロゲン、インターフェロンを挙げることができ、「治療なし」及び対症療法も挙げることができる。
したがって、平均余命の短さ、ルキソリチニブの中止率の顕著な高さ、及び骨髄抑制故に、以前にJAK阻害剤で治療を受けたことがある患者について未対応の需要が依然として存在する。
化合物I
化合物Iの合成は、2009年5月5日交付の米国特許第7,528,143号の実施例90に開示され、これはそのまま全体が本明細書により参照として援用される。化合物I、別名フェドラチニブは、JAK2キナーゼ活性の強力かつ選択的阻害剤であり、これは、細胞アッセイにおいて、JAK2シグナル伝達、変異JAK2または変異MPLに駆動される細胞増殖を阻害し、恒常活性型JAK2を発現する細胞でアポトーシスを誘導する。化合物Iは、骨髄増殖性腫瘍(MPN)患者から単離された造血前駆細胞の赤芽球コロニー形成も阻害する。
18の臨床試験が、フェドラチニブで行われた。フェドラチニブは、MPN関連骨髄線維症の患者の治療で大規模に研究されてきた。
フェドラチニブは、無作為化偽薬対照第III相臨床試験(JAKARTA[EFC12153])において、過去に治療を受けていない中リスク2または高リスクのMF患者で臨床効果を実証した。主要評価項目は、脾体積がベースラインから6サイクル目の終了までに≧35%減少し、そのことが4週間後にMRIにより確認された対象の割合として定義される奏功率であった。脾臓反応の分析も、IWG−MRT基準により推奨されるとおり、6サイクル目の終了時に行った(例えば、確認に関わらず)。患者報告アウトカム(PRO)ツールに基づく症候反応率(SRR)、すなわち6つの重要なMF関連症候(寝汗、掻痒、腹部不快感、早期満腹感、左側肋骨下の疼痛、及び骨または筋肉痛)を評価する改変骨髄線維症症状評価フォーム(MFSAF)は、重要な副次評価項目であった。SRRは、改変MFSAFダイアリーの総症状スコア(TSS)がベースラインから6サイクル目の終了までに≧50%減少した対象の割合として定義した。どちらの評価項目も、提唱された集団における臨床効果を実証する尺度である。主要評価項目による奏功率は、偽薬群での1%に対して、400mg(この臨床試験で提唱される用量)及び500mgの一日量それぞれで36.5%及び40.2%であった。IWG−MRTにより推奨されるとおりの6サイクル目での奏功率は、400mg及び500mgの一日量それぞれで治療された患者の46.9%及び49.5%であった。400mg及び500mg用量それぞれで、対象の合計36.3%及び34.1%が、TSSの≧50%減少を達成したのに比べて、偽薬を投与された対象では7.1%であった。奏功期間(脾体積の≧35%減少)の中央値は、両作用剤群(400mg群及び500mg群)の反応者で10.4ヶ月であった。フェドラチニブ400mg一日量群で報告された全てのグレードの有害事象のうち最も一般的な治療下で発現した有害事象(TEAE)は、下痢65.6%、悪心63.5%、貧血(G3及びG4)42.7%、嘔吐41.7%、疲労15.6%、及び末梢性浮腫15.6%であった。400mg用量は、500mg用量よりも忍容性が良好であることが確認され、特に、グレード3または4のTEAE(それぞれ70.8%及び78.4%、)、治療下で発現した重篤な有害事象(SAE)(それぞれ38.5%及び44.3%)、及び治療の永久中止につながるTEAE(それぞれ27.1%及び36.1%)を報告した対象が少なかった(Pardanani A, Tefferi A, Jamieson C, Gabrail NY, Lebedinsky C, Gao G, et al. A phase 2 randomized dose−ranging study of the JAK2−selective inhibitor fedratinib (SAR302503) in patients with myelofibrosis. Blood Cancer J. 2015 Aug 7;5:e335)。
単一群第II相JAKARTA2臨床試験(ARD12181)では、症候ありの中リスク1、中リスク2、または高リスクのMPN関連骨髄線維症であり、以前にルキソリチニブでの治療を受けたことがある患者が登録された。主要評価項目は、治験実施計画書に適合した対象集団中の、脾体積がベースラインから6サイクル目の終了までに≧35%減少した対象の割合として定義される、奏功率であった。
第III相JAKARTA臨床試験のとおり、重要な副次評価項目の1つは、改変MFSAFダイアリーを用いてTSSがベースラインから6サイクル目の終了までに≧50%減少した対象の割合として定義される症候反応率(SRR)であった。
ルキソリチニブに対する耐性は、以下のうちのいずれか1つとして定義した:a)不応性(反応なし);b)病勢進行(ルキソリチニブ治療中の脾臓サイズ増大);またはc)ルキソリチニブ治療中の任意の時点での反応の減少。ルキソリチニブに対する不耐容は、以下のうちのいずれか1つとして定義した:a)血液毒性(貧血、血小板減少症、その他);b)非血液毒性。
全脾臓反応率(脾体積がベースラインから6サイクル目の終了までに≧35%減少した患者の割合)は、55.4%であった。合計で25.6%の対象が、TSSの≧50%減少を達成した。
97人の患者全員が、少なくとも1つのTEAE(全てのグレード)を有し、グレード3または4のTEAEは、患者の62.9%で報告された。最も一般的な非血液TEAE(患者の≧10%が報告)(全てのグレード)は、下痢(61.9%)、悪心(55.7%)、及び嘔吐(41.2%)を含む胃腸障害であった。最も一般的な血液TEAE(患者の>10が報告)(全てのグレード)は、貧血(48.5%)及び血小板減少症(26.8%)であった。38.1パーセントに、グレード3または4の貧血が生じ、21.6%にグレード3または4の血小板減少症が生じた。グレード5の血液TEAEは報告されなかった。全身用の抗感染症剤は、この臨床試験で患者の55.7%に投与された(Harrison CN, McLornan DP. Current treatment algorithm for the management of patients with myelofibrosis, JAK inhibitors, and beyond. Hematology Am. Soc. Hematol. Educ. Program. 2017 Dec 8;2017(1):489−97)。
骨髄線維症は、造血幹細胞における、異常な増殖及び骨髄分化を促進する変異に起因するクローン疾患である(Mead AJ, Mullally A. Myeloproliferative neoplasm stem cells. Blood. 2017 Mar 23;129(12):1607−16)。JAK2V617Fに加えて、JAK2及び他の遺伝子における複数の他の変異が、MF患者で見られるが、これらは、予後、AML進行、及びJAK阻害剤ルキソリチニブに対する反応に関連するとされてきた(Vainchenker W, Kralovics R. Genetic basis and molecular pathophysiology of classical myeloproliferative neoplasms. Blood. 2017 Feb 9;129(6):667−679, Tefferi A, Guglielmelli P, Nicolosi M, Mannelli F, et al. GIPSS: genetically inspired prognostic scoring system for primary myelofibrosis. Leukemia. 2018 Mar 23;Spiegel JY, McNamara C, Kennedy JA, Panzarella T, et al. Impact of genomic alterations on outcomes in myelofibrosis patients undergoing JAK1/2 inhibitor therapy. Blood. 2017 Sep 8;1(20):1729−1738;Newberry KJ, Patel K, Masarova L, Luthra R, et al. Clonal evolution and outcomes in myelofibrosis after ruxolitinib discontinuation. Blood. 2017 Aug 31;130(9):1125−1131;Patel KP, Newberry KJ, Luthra R, Jabbour E, et al. Correlation of mutation profile and response in patients with myelofibrosis treated with ruxolitinib. Blood. 2015 Aug 6;126(6):790−7;Levine RL, Wadleigh M, Cools J, Ebert BL, Wernig G, Huntly BJ, et al. Activating mutation in the tyrosine kinase JAK2 in polycythemia vera, essential thrombocythemia, and myeloid metaplasia with myelofibrosis. Cancer Cell. 2005;7:387−97;Werning G, Mercher T, Okabe R, Levine L, Lee BH, Gilliland GL. Expression of JAK2V617F causes a polycythemia vera−like disease with associated myelofibrosis in a murine bone marrow transplant model. Blood. 2006;107:4274−81;Mercher T, Wernig G, Moore SA, Levine RL, Gu TL, Frohling S, Cullen D, Polakiewicz RD, Bernard OA, Boggon TJ, Lee BH, Gilliland DG. JAK2T875N is a novel activating mutation that results in myeloproliferative disease with features of megakaryoblastic leukemia in a murine bone marrow transplantation model. Blood. 2006 Oct 15;108(8):2770−9;Scott LM, Tong W, Levine RL, Scott MA, Beer PA, Stratton MR, et al. JAK2 exon 12 mutations in polycythemia vera and idiopathic erythrocytosis. N. Engl. J. Med. 2007 Feb 1;356(5):459−68;Pardanani A, Tefferi A, Jamieson C, Gabrail NY, et al. A phase 2 randomized dose−ranging study of the JAK2−selective inhibitor fedratinib (SAR302503) in patients with myelofibrosis. Blood Cancer J. 2015 Aug 7;5:e335)。フェドラチニブは、MFの非臨床モデル(Wernig G, Kharas MG, Okabe R, Moore SA, Leeman DS, Cullen DE, et al. Efficacy of TG101348, a selective JAK2 inhibitor, in treatment of a murine model of JAK2V617F−induced polycythemia vera. Cancer Cell. 2008 Apr;13(4):311−20)及びMF患者(Pardanani A, Gotlib JR, Jamieson C, Cortes JE, Talpaz M, Stone RM, et al. Safety and efficacy of TG101348, a selective JAK2 inhibitor, in myelofibrosis. J. Clin. Oncol. 2011 Mar 1;29(7):789−96)においてJAK2V617F頻度を低下させることが報告された。
異常なサイトカイン発現及び骨髄線維症は、MFの紛れもない特徴である(Vainchenker W, Kralovics R. Genetic basis and molecular pathophysiology of classical myeloproliferative neoplasms. Blood. 2017 Feb 9;129(6):667−679;Mondet J, Hussein K, Mossuz P. Circulating Cytokine Levels as Markers of Inflammation in Philadelphia Negative Myeloproliferative Neoplasms: Diagnostic and Prognostic Interest. Mediators Inflamm. 2015:670580)。高レベルの炎症促進性サイトカイン及び繊維形成性サイトカインは、MFにおいて骨髄(BM)間質変化、無効な赤血球生成/髄外造血、及び全身症状の一因となることが報告されている(Mondet J, Hussein K, Mossuz P. Circulating Cytokine Levels as Markers of Inflammation in Philadelphia Negative Myeloproliferative Neoplasms: Diagnostic and Prognostic Interest. Mediators Inflamm. 2015:670580;Tefferi A, Pardanani A. JAK inhibitors in myeloproliferative neoplasms: rationale, current data and perspective. Blood Rev. 2011 Sep;25(5):229−37)。フェドラチニブは、JAK阻害剤での治療を以前に受けたことがないMF患者において循環サイトカインを調節することが見出された(Pardanani A, Tefferi A, Jamieson C, Gabrail NY, et al. A phase 2 randomized dose−ranging study of the JAK2−selective inhibitor fedratinib (SAR302503) in patients with myelofibrosis. Blood Cancer J. 2015 Aug 7;5:e335)。サイトカイン調節は、そうした患者における持続性ウイルス反応及び全身症状の改善と相関していた(Pardanani A, Tefferi A, Jamieson C, Gabrail NY, et al. A phase 2 randomized dose−ranging study of the JAK2−selective inhibitor fedratinib (SAR302503) in patients with myelofibrosis. Blood Cancer J. 2015 Aug 7;5:e335)。しかしながら、以前にルキソリチニブに曝露したことのある患者における循環サイトカインに対するフェドラチニブの効果は、特性決定されていない。
最近の研究から、JAK2V617Fについて、ならびにルキソリチニブ及びフェドラチニブなどのJAK阻害剤についても免疫調節的役割が明らかになり始めている。例えば、JAK2V617Fは、プログラム細胞死リガンド1(PD−L1)の上方制御によるMPN骨髄細胞の免疫回避の一因であることが報告された(Prestipino A, Emhardt AJ, Aumann K, O’Sullivan D, et. al. Oncogenic JAK2V617F causes PD−L1 expression, mediating immune escape in myeloproliferative neoplasms. Sci. Transl. Med. 2018 Feb 21;10(429))。ルキソリチニブは、これらの細胞でPD−L1発現を調節することが報告されている(Prestipino A, Emhardt AJ, Aumann K, O’Sullivan D, et. al. Oncogenic JAK2V617F causes PD−L1 expression, mediating immune escape in myeloproliferative neoplasms. Sci. Transl. Med. 2018 Feb 21;10(429))。フェドラチニブは、リンパ腫腫瘍細胞でPD−L1発現を調節することが報告された((Hao Y, Chapuy B, Monti S, Sun HH, Rodig SJ, Shipp MA. Selective JAK2 inhibition specifically decreases Hodgkin lymphoma and mediastinal large B−cell lymphoma growth in vitro and in vivo. Clin Cancer Res. 2014;20(10):2674−83)。前臨床データ及び臨床データは、ルキソリチニブが、強力な免疫抑制薬として作用し、MF患者において移植片対宿主病(GVHD)を抑制し、T細胞及びNK細胞の出現頻度を低下させ、ならびにそれらの活性化を妨げることが可能であることを示す(Betts BC, Bastian D, Iamsawat S, Nguyen H, et al. Targeting JAK2 reduces GVHD and xenograft rejection through regulation of T cell differentiation. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Feb 13;115(7):1582−1587. Epub 2018;Schonberg K, Rudolph J, Vonnahme M, Parampalli et al. JAK Inhibition Impairs NK Cell Function in Myeloproliferative Neoplasms. Cancer Res. 2015 Jun 1;75(11):2187−99;Parampalli Yajnanarayana S, Stubig T, Cornez I, Alchalby H, et al. JAK1/2 inhibition impairs T cell function in vitro and in patients with myeloproliferative neoplasms. Br. J. Haematol. 2015 Jun;169(6):824−33)。前臨床データは、フェドラチニブが、リンパ腫の腫瘍細胞においてPD−L1発現を調節することができることを示唆する(Hao Y, Chapuy B, Monti S, Sun HH, Rodig SJ, Shipp MA. Selective JAK2 inhibition specifically decreases Hodgkin lymphoma and mediastinal large B−cell lymphoma growth in vitro and in vivo. Clin. Cancer Res. 2014 May 15;20(10):2674−83)。しかしながら、非臨床データは、フェドラチニブが、GVHDに対して(Betts BC, Veerapathran A, Pidala J, Yang H, et al. Targeting Aurora kinase A and JAK2 prevents GVHD while maintaining Treg and antitumor CTL function. Sci. Transl. Med. 2017 Jan 11;9(372))、及びT細胞発達に対して((Wernig G, Kharas MG, Okabe R, Moore SA, Leeman DS, Cullen DE, et al. Efficacy of TG101348, a selective JAK2 inhibitor, in treatment of a murine model of JAK2V617F−induced polycythemia vera. Cancer Cell. 2008 Apr;13(4):311−20)は、弱い効果しか発揮しないことを示す。
骨髄増殖性疾患の治療法
実施形態によっては、本開示は、1種または複数の骨髄増殖性疾患の重篤度または進行を治療、安定化、または低減する方法。ある特定の実施形態において、本開示は、以前にルキソリチニブ(JAKAFI(登録商標);(3R)−3−シクロペンチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)ピラゾール1−イル]プロパンニトリル)治療を受けたことがある患者の治療法を提供する。
実施形態によっては、提供される方法は、以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物I:
Figure 2022502491

あるいはその薬学上許容される塩または水和物を投与することを含む。実施形態によっては、化合物Iは、二塩酸塩形をしている。化合物Iまたはその薬学上許容される塩は、水和物形で存在する場合もある。そのような実施形態の一部において、化合物Iは、二塩酸塩一水和物形をしている。したがって、実施形態によっては、提供される方法は、治療を必要としている患者に、化合物IIを投与することを含む:
Figure 2022502491
実施形態によっては、患者は、以前に少なくとも3ヶ月間ルキソリチニブで治療を受けたことがある。実施形態によっては、患者は、以前に少なくとも3ヵ月間ルキソリチニブ治療を受けたことがあるが、その奏功は、MRIによる脾体積の減少が<10%と定義されるとおり有効性不十分であった。実施形態によっては、患者は、以前に少なくとも3ヵ月間ルキソリチニブ治療を受けたことがあるが、その奏功は、触診による脾臓サイズの減少がベースラインから<30%と定義されるとおり有効性不十分であった。実施形態によっては、患者は、初期奏功後、再増殖により、MRIによる脾体積の減少が<10%になることを経験している。実施形態によっては、患者は、初期奏功後、再増殖により、触診による脾臓サイズの減少がベースラインから<30%になることを経験している。有効性不十分であった患者は、難治性であると言われる。再増殖によりこれらのパラメーターになった患者は、再発したと言われる。
実施形態によっては、患者は、以前に少なくとも28日間ルキソリチニブ治療を受けたことがあり、以下を併発している:
i)赤血球細胞輸血の必要性の発生、または
ii)ルキソリチニブでの治療中に、血小板減少症、貧血、血腫、及び/または出血のグレード3以上の有害事象。
実施形態によっては、患者は、ルキソリチニブ不応性の骨髄増殖性疾患に罹患しているまたはその疾患であると診断されている。
実施形態によっては、患者は、ルキソリチニブに対して難治性または耐性の骨髄増殖性疾患に罹患しているまたはその疾患であると診断されている。
実施形態によっては、患者は、ルキソリチニブ治療中または治療後に再発している。
実施形態によっては、患者は、ルキソリチニブ不耐容である。実施形態によっては、患者がルキソリチニブ不耐容であることは、血液毒性(例えば、貧血、血小板減少症、など)または非血液毒性により裏付けられる。
実施形態によっては、患者は、ヒドロキシウレアで有効性不十分であった、またはヒドロキシウレア不耐容である。
実施形態によっては、患者は、ルキソリチニブでの治療中に以下のうち1つまたは複数を呈しているまたは経験している、あるいは呈したことがあるまたは経験したことがある:ルキソリチニブ治療中任意の時点での、不応性、病勢進行、または反応の減少。実施形態によっては、病勢進行は、ルキソリチニブ治療中の脾臓サイズの増大により裏付けられる。
実施形態によっては、以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者は、骨髄増殖性疾患に関連するまたは骨髄増殖性疾患を示す体細胞変異あるいはクローンマーカーを有する。実施形態によっては、体細胞変異は、JAK2変異、CALR変異、またはMPL変異から選択される。実施形態によっては、JAK2変異は、V617Fである。実施形態によっては、CALR変異は、エクソン9における変異である。実施形態によっては、MPL変異は、W515K及びW515Lから選択される。
実施形態によっては、本開示は、再発または難治性骨髄増殖性疾患の治療法を提供し、この骨髄増殖性疾患は、再発したものである、またはルキソリチニブに対して難治性である。
実施形態によっては、骨髄増殖性疾患は、中リスクMPN関連骨髄線維症及び高リスクMPN関連骨髄線維症から選択される。
実施形態によっては、中リスクMPN関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後(PV後)骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)骨髄線維症から選択される。実施形態によっては、MPN関連骨髄線維症は、中リスク1である(中1リスクとも称する)。実施形態によっては、MPN関連骨髄線維症は、中リスク2である(中2リスクとも称する)。
実施形態によっては、高リスクMPN関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後(PV後)骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)骨髄線維症から選択される。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者において、脾体積を少なくとも25%減少させる方法を提供する。実施形態によっては、患者の脾体積は、少なくとも35%減少する。実施形態によっては、脾体積は、核磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、及び/または触診により測定される。実施形態によっては、脾体積の少なくとも35%減少は、サイクル6回目の終了までに生じる。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者において、全生存期間を改善する方法を提供する。実施形態によっては、全生存期間は、利用可能な最善の治療に比べて改善されている。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者において、症候反応率を改善する方法を提供する。そのような実施形態の一部において、症候反応率は、総症状スコア(TSS)の少なくとも50%低下により裏付けられる。実施形態によっては、症候反応率は、48週間での総症状スコア(TSS)の少なくとも50%低下により裏付けられる。実施形態によっては、症候反応率は、24週間での総症状スコア(TSS)の少なくとも50%低下により裏付けられる。実施形態によっては、症候反応率は、利用可能な最善の治療に比べて改善されている。
実施形態によっては、本開示は、再発またはルキソリチニブに対して難治性である患者集団において、生存期間中央値を上昇させる方法を提供する。実施形態によっては、再発またはルキソリチニブに対して難治性である患者集団における生存期間中央値は、6ヶ月超である。実施形態によっては、再発またはルキソリチニブに対して難治性である患者集団における生存期間中央値は、1年超である。実施形態によっては、再発またはルキソリチニブに対して難治性である患者集団における生存期間中央値は、1.5年超である。実施形態によっては、再発またはルキソリチニブに対して難治性である患者集団における生存期間中央値は、3年超である。実施形態によっては、再発またはルキソリチニブに対して難治性である患者集団における生存期間中央値は、5年超である。実施形態によっては、生存期間中央値は、利用可能な最善の治療に比べて上昇している。
実施形態によっては、本開示は、骨髄増殖性疾患に関連するまたは骨髄増殖性疾患を示す体細胞変異あるいはクローンマーカーを有する患者において、アレルバーデンを減少させる方法を提供する。実施形態によっては、アレルバーデンは、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物での治療前のその患者のアレルバーデンに比べて減少している。実施形態によっては、体細胞変異は、JAK2変異、CALR変異、またはMPL変異から選択される。実施形態によっては、JAK2変異は、V617Fである。実施形態によっては、CALR変異は、エクソン9における変異である。実施形態によっては、MPL変異は、W515K及びW515Lから選択される。
実施形態によっては、提供される方法は、完全奏功(CR)を誘導する。実施形態によっては、完全奏功は、以下のうち1つまたは複数を含む:
・骨髄:年齢調整して細胞数正常(normocellularity)である;<5%の芽球;グレード1以下の骨髄線維症、及び
・末梢血:ヘモグロビンが≧100g/Lかつ<正常上限(UNL);好中球数が≧1×10/Lかつ<UNL;
・血小板数が≧100×10/Lかつ<UNL;<2%の未成熟骨髄細胞、及び
・臨床像:疾患症候の解消;脾臓及び肝臓は、触知不可能;髄外造血(EMH)のエビデンスなし
実施形態によっては、提供される方法は、部分奏功(PR)を誘導する。実施形態によっては、部分奏功は、以下のうち1つまたは複数を含む:
・末梢血:ヘモグロビンが≧100g/Lかつ<UNL;好中球数が≧1×10/Lかつ<UNL;血小板数が≧100×10/Lかつ<UNL;<2%の未成熟骨髄細胞、及び
・臨床像:疾患症候の解消;脾臓及び肝臓は、触知不可能;EMHのエビデンスなし、あるいは
・骨髄:年齢調整して細胞数正常である;<5%の芽球;グレード1以下の骨髄線維症、及び末梢血:ヘモグロビンが≧85であるが<100g/Lかつ<UNL;好中球数が≧1×10/Lかつ<UNL;血小板数が≧50であるが<100×10/Lかつ<UNL;<2%の未成熟骨髄細胞、及び
・臨床像:疾患症候の解消;脾臓及び肝臓は、触知不可能;EMHのエビデンスなし
実施形態によっては、提供される方法は、臨床的改善(CI)を誘導する。実施形態によっては、臨床的改善には、進行性疾患または貧血、血小板減少症、もしくは好中球減少症の重篤度の上昇を伴わずに、貧血、脾臓、または症候の反応を得ることが含まれる。
実施形態によっては、提供される方法は、脾臓反応を誘導する。実施形態によっては、脾臓反応は、以下のうち1つまたは複数を含む:
・左肋骨縁(LCM)の下5〜10cmで触知可能なベースライン脾腫が、触知不可能になる、または
・LCMの下10cmを超えて触知可能なベースライン脾腫が、≧50%減少する
・LCMの下5cmを超えず触知可能なベースライン脾腫が、脾臓反応に不適格である
・脾臓反応は、MRIまたはコンピュータ断層撮影法により確認して≧35%の脾体積減少を示すことが求められる
実施形態によっては、提供される方法は、利用可能な最善の治療と比較した場合に、脾臓及び病勢進行を有さない生存(SDPFS)を誘導する。
実施形態によっては、本開示は、化合物I及び/または化合物IIを用いた治療に関連する、またはその治療に起因する1つまたは複数の有害事象を最小限にする方法を提供する。実施形態によっては、患者は、ウェルニッケ脳症を発症するリスクがある。そのような実施形態の一部において、患者は、ウェルニッケ脳症についてモニタリングされる。
実施形態によっては、骨髄増殖性疾患は、骨髄線維症である。実施形態によっては、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。実施形態によっては、骨髄線維症は、続発性骨髄線維症である。実施形態によっては、骨髄線維症は、本態性血小板血症後骨髄線維症である。実施形態によっては、骨髄線維症は、真性赤血球増加症後骨髄線維症である。
実施形態によっては、骨髄増殖性疾患は、真性赤血球増加症である。実施形態によっては、骨髄増殖性疾患は、本態性血小板血症である。実施形態によっては、骨髄増殖性疾患は、急性骨髄性白血病である。
実施形態によっては、化合物Iは、塩酸塩形で投与される。そのような実施形態の一部において、化合物Iは、二塩酸塩形で投与される。実施形態によっては、化合物Iは、二塩酸塩一水和物(例えば、化合物II)形で投与される。当然のことながら、本明細書中、化合物Iについての言及は、塩酸塩、二塩酸塩、及び二塩酸塩一水和物形を含む全ての塩及び形状を包含することを意図する。
実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、単位剤形で患者に投与される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの単位剤形は、化合物の遊離塩基に基づくモル当量である。例えば、遊離塩基形の化合物Iで100mgの用量は、化合物Iがその二塩酸塩一水和物形(すなわち、化合物II)である場合の約117.30mgに等しい。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの単位剤形は、約50mg、約100mg、約150mg、または約200mgであり、ただし、化合物Iまたは化合物IIの量は、化合物の遊離塩基に基づくモル当量である。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの単位剤形は、100mgであり、ただし、化合物IIの量は、化合物の遊離塩基に基づくモル当量である。
実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、経口剤形で投与される。そのような実施形態の一部において、経口剤形は、カプセル剤である。実施形態によっては、経口剤形は、錠剤である。
実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、1日1回(QD)投与される。実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、約200mg、約300mg、または約400mgの1日量合計で投与される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIは、約400mgの1日量合計で患者に投与される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIは、約300mgの1日量合計で患者に投与される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIは、約200mgの1日量合計で患者に投与される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの1日量合計は、有害事象を理由に調節される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの1日量合計は、減らされる。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの1日量合計は、約400mgから約300mgへと減らされる。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの1日量合計は、約200mgへと減らされる。化合物Iまたは化合物IIの量(例えば、1日量合計)は、例えば、約400mg、約300mg、または約200mgの遊離塩基重量に基づくモル当量であることが、理解されるだろう。
実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、1回の28日サイクル中、1日1回投与される。実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、2回の28日サイクル中、1日1回投与される。実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、3回、4回、5回、またはそれより多い回数の28日サイクル中、1日1回投与される。実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、またはそれより多い回数の28日サイクル中、1日1回投与される。実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、少なくとも6回の28日サイクル中、1日1回投与される。実施形態によっては、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物(例えば、化合物II)は、疾患の症候がもはや測定不能になるまで、1日1回投与される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIは、患者の生涯にわたり投与される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIは、1回または複数回の28日サイクル中、1日1回投与され、その後休薬日が入る。「休薬日」は、本明細書中使用される場合、化合物Iまたは化合物IIが患者に投与されない、ある長さの時間を示す。実施形態によっては、休薬日は、1日、1週間、または1回の28日サイクルである。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIは、1回または複数回の28日サイクル中、1日1回投与され、その後休薬日が入り、次いで、休薬日前と同じ用量レベルで化合物Iまたは化合物IIの1日1回投与が再開される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIは、1回または複数回の28日サイクル中、1日1回投与され、その後休薬日が入り、次いで、休薬日前の化合物Iまたは化合物IIの用量レベルより100mg少ない用量レベルで化合物Iまたは化合物IIの1日1回投与が再開される。実施形態によっては、化合物Iまたは化合物IIの1日量合計は、先の用量減少後に、100mg増加して用量設定される。化合物Iまたは化合物IIの量(例えば、1日量合計)は、例えば、約400mg、約300mg、または約200mgの遊離塩基重量に基づくモル当量であることが、理解されるだろう。
実施形態によっては、患者は、骨髄増殖性疾患または症状を有している。実施形態によっては、骨髄増殖性疾患または症状は、原発性骨髄線維症、続発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、及び本態性血小板血症から選択される。実施形態によっては、続発性骨髄線維症は、真性赤血球増加症後骨髄線維症及び本態性血小板血症後骨髄線維症から選択される。実施形態によっては、骨髄増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)である。実施形態によっては、原発性骨髄線維症は、ダイナミック国際予後予測スコアリングシステム(DIPSS)で中リスクまたは高リスク原発性骨髄線維症である。実施形態によっては、当該方法は、治療を必要としている患者に、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物を含む組成物を投与することを含む。実施形態によっては、提供される方法は、治療を必要としている患者に、化合物IIを含む組成物を投与することを含む。
実施形態によっては、以前の療法は、化合物Iあるいはその薬学上許容される塩または水和物を用いた治療である。実施形態によっては、以前の療法は、アミラーゼ、リパーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、及び/またはクレアチニンのレベル上昇が示された際に中断されている。実施形態によっては、以前の療法は、貧血、血小板減少症、及び好中球減少症からなる群より選択される血液症状が示された際に中断されている。
本明細書中列挙される参照は、それぞれ、そのまま全体が、本明細書により参照として援用される。
実施例1.
試験実施計画書概要。本試験は、以前にルキソリチニブで治療を受けたことがありDIPSS(ダイナミック国際予後予測スコアリングシステム)により中リスクまたは高リスクの原発性骨髄線維症(PMF)、真性赤血球増加症後骨髄線維症(PV後MF)、または本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)である対象を、約192人登録し、それら対象を、多施設、非盲検、無作為化、多国籍試験において、2群のうちの一方に無作為に2:1の比で振り分ける予定である。
目的。本試験の主要目的は、フェドラチニブ群及び利用可能な最善の治療(BAT)群において脾体積減少が少なくとも35%である対象のパーセンテージを評価することである。副次目的は、以下のとおりである:
・骨髄線維症症状評価フォーム(MFSAF)により測定した場合の骨髄線維症(MF)関連症候を評価すること
・脾体積減少(SVR)が少なくとも25%である対象のパーセンテージを評価すること
・フェドラチニブの安全性を評価すること
・触診により脾臓サイズ減少を評価すること
・MRI/CTにより、及び触診により脾臓反応の持続性を評価すること
・症候反応の持続性を評価すること
・脾臓及び病勢進行のない生存期間を評価すること
・胃腸事象及びウェルニッケ脳症(WE)についてのリスク軽減戦略の有効性を評価すること
・欧州がん研究治療機構による生活の質評価C30(EORTC QLQ−C30)により測定した場合の健康関連生活の質(HRQoL)を評価すること
・EQ−5D−5L質問票により測定した場合の患者報告アウトカム(PRO)を評価すること
・全生存期間(OS)を評価すること
探索的検討は、以下のとおりである:
・触診により脾臓反応までの時間を評価すること
・MRI−CTにより、最初の6回のサイクル中で最良の脾臓反応を評価すること
・有効性パラメーターとの関連でフェドラチニブ活性の薬力学的効果を探索すること(例えば、循環サイトカイン、造血細胞プロファイリング)
・有効性パラメーターとの関連で予後マーカー(例えば、遺伝子変異)を探索すること
・フェドラチニブ治療を受けた対象についてフェドラチニブの集団薬物動態学及び暴露応答関連性を評価すること
・選択された治療関連症候(下痢、悪心、嘔吐、めまい、頭痛)に対する試験治療の効果を対象の視点から評価すること、評価は、患者報告アウトカムバージョンの有害事象共通用語基準(PRO−CTCAE)による。
試験集団。約192人の対象が、フェドラチニブ群または利用可能な最善の治療(BAT)群に、2:1で無作為に振り分けられる予定である。
無作為振り分けの階層化は、以下に従う:
・リスク分類(DIPSS)が、中リスク1及び中リスク2対高リスク
・触診による脾臓サイズ:LCMの下15cmを超えない対LCMの下15cmまたは15cmを超える
・血小板が≧100,000/μL対血小板が<100,000/μL
選択基準。対象は、本試験に登録されるために以下の基準を満たさなければならない:
1.対象は、説明同意書(ICF)に署名する時点で年齢が少なくとも18歳である
2.対象は、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンススコア(PS)が、0、1、または2である
3.対象は、2016年版世界保健機構(WHO)基準に従って原発性骨髄線維症(PMF)と診断、またはIWG−MRT2007基準に従ってET後もしくはPV後骨髄線維症と診断されており、最新の地域病理報告書により確認済みである
4.対象は、DIPSSリスクスコアが中または高である
5.対象は、MRIもしくはCTスキャン評価により≧450cmの脾体積である、または触知可能な脾臓が左肋骨縁の下5cmまたは5cmを超えて測定されることにより実証されるとおり、スクリーニング期間中に測定可能な脾腫を有する
6.対象は、以前にルキソリチニブに曝露したことがあり、かつ以下の基準(aまたはb)の少なくとも1つを満たさなければならない
a.ルキソリチニブでの治療が≧3ヶ月であり、MRIにより脾体積減少が<10%であるまたは触診により脾臓サイズの減少がベースラインから<30%である、あるいは初期奏功後にこれらのパラメーターまで再成長しているとして定義される有効性不十分の反応を示す
b.ルキソリチニブでの治療が≧28日間であり、以下のいずれかが併発している:
−赤血球細胞輸血の必要性の発生(2ヶ月間で少なくとも2単位/月)または
−ルキソリチニブ治療中にグレード3以上の、血小板減少症、貧血、血腫、及び/または出血というAE
7.対象は、無作為振り分けの前に、以前の治療による治療関連毒性が、グレード1または最後の治療の開始前の治療前ベースラインまで解消されていなければならない
8.対象は、試験関連評価/手順が何であるかを問わずそれが行われる前に、ICFを理解し自発的に署名しなければならない
9.対象は、試験来診スケジュール及び他の試験実施計画書必要事項を忠実に守る意思があり、忠実に守ることが可能である
10.妊娠可能な女性(FCBP)は、以下のとおりでなければならない:
a.試験治療の開始前のスクリーニング中、2回の妊娠検査で陰性であることの、治験責任医師による確認。妊娠可能な女性は、臨床試験の過程中及び試験治療の終了後に継続して妊娠検査を受けることに同意しなければならない。これは、対象が異性との接触を真に禁欲する場合であっても適用される。
b.治験薬の開始より14日前から、試験治療中(用量中断を含む)、及び試験治療の中止後28日間まで、中断することなく、異性との接触を真に禁欲することを誓う(これは月単位で再調査されなければならず情報源は文書化されなければならない)か、認められる有効な避妊法**を使用することに同意し遵守することが可能であるかのいずれかである。
注:妊娠可能な女性(FCBP)とは、以下の女性である:1)ある時点で初潮を経験している、2)子宮摘出または両側卵巣摘出を受けたことがない、あるいは3)少なくとも24ヶ月連続して自然な閉経後(がん治療後の無月経は、妊娠可能性を除外しない)になったことがない(すなわち、先行して連続する24ヶ月のいずれかの時点で月経になったことがある)。
11.男性対象は、以下のとおりでなければならない:
試験に参加している間、用量中断中、及び治験薬中止後少なくとも30日間、または各化合物について及び/または現地の規制により必要であればそれより長く、真に禁欲する(これは、月単位で再調査されなければならない)あるいは妊娠している女性または妊娠可能な女性と性的接触がある間コンドームを使用することに同意すること、これは男性対象が精管切除を受けて成功していたとしてもそうである。
真の禁欲は、それが対象の好ましくかつ普通の生活様式に沿っている場合に認められる。[周期的禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、症状体温法、排卵後法)及び膣外射精は、避妊法として認められない]。
**臨床試験の過程全体を通じて一貫して及び正しく使用した場合、有効性の高い避妊法を単独でまたは併用して使用することに同意した結果、パール指数の失敗率は、年間1%未満になる。そのような方法として、以下が挙げられる:ホルモン避妊薬合剤(エストロゲン及びプロゲストーゲン含有):経口避妊薬;膣内避妊薬;経皮避妊薬;排卵の阻害を伴うプロゲストーゲンのみのホルモン避妊薬:経口避妊薬;注射用ホルモン避妊薬;埋め込み型ホルモン避妊薬;子宮内避妊具(IUD)の設置;子宮内ホルモン放出システム(IUS)の設置;両側卵管閉塞術;パートナーの精管切除。
除外基準。以下のいずれかが存在する場合、対象は登録から除外されることになる:
1.以下の検査値異常のいずれか:
a.血小板が<50,000/μL
b.好中球絶対数(ANC)が<1.0×10/L
c.骨髄芽球が末梢血中≧5%
d.血清クレアチニンクリアランスが<30mL/分(腎臓病の食生活改善(Modification of Diet in Renal Disease)[MDRD]式に従って)
e.血清アミラーゼ及びリパーゼが>1.5×ULN
f.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が>3×正常の上限(ULN)
g.総ビリルビンが>1.5xULN、総ビリルビンが1.5〜3.0×ULNである対象は、直接ビリルビン画分が総ビリルビンの<25%ならば適格である
2.妊娠しているまたは授乳中の女性である対象
3.脾摘出を以前に受けたことがある対象
4.造血細胞移植を以前に受けたことがあるまたは予定している対象
5.ウェルニッケ脳症(WE)の既往歴がある対象
6.チアミンレベル及び脳MRIによるWEの排除が報告されておらず、WEの兆候または症候(例えば、重篤な運動失調、眼球麻痺、または小脳の兆候)がある対象
7.施設標準に従って全血中のチアミンレベルが正常範囲未満であるとして定義されるチアミン欠乏であり、無作為振り分けまでに修正されることが実証されていない対象
8.シトクロムP450 3A4(CYP3A4)、治療範囲の狭い感受性CYP3A4基質、治療範囲の狭い感受性シトクロムP450 2C19(CYP2C19)基質、もしくは治療範囲の狭い感受性シトクロムP450 2D6(CYP2D6)基質の強力な誘導物質であることが既知である医薬、薬草、または食物を用いた併用療法を受けているあるいはそれらを使用している対象
9.何らかの化学療法、免疫調節薬物療法(例えば、サリドマイド、インターフェロン−アルファ)、アナグレリド、免疫抑制療法、全身性コルチコステロイド、>10mg/日のプレドニゾンまたはその等価物で治療中の対象。過去にヒドロキシウレア(例えば、Hydrea)への曝露を経験したことがある対象は、ヒドロキシウレアが無作為振り分けの前14日以内に投与されたことがない場合にかぎり、臨床試験に登録可能である
10.無作為振り分けの前14日以内にルキソリチニブを投与されている対象
11.ルキソリチニブ治療以外に以前にヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(複数可)に曝露したことがある対象
12.1日あたり>150mgの用量でアスピリン治療を受けている対象
13.無作為振り分けの前28日以内に大手術を受けた対象
14.慢性肝疾患(例えば、慢性アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎、硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、血色素症、非アルコール性脂肪性肝炎)と診断された対象
15.試験対象の疾患以外の悪性腫瘍の前病歴がある対象、ただし無作為振り分けの前少なくとも3年間、その悪性腫瘍の治療が必要ではなかった対象を除く。しかしながら、以下に提示される病歴/併発症状の治療が成功している対象は、登録可能である:非侵襲性皮膚癌、上皮内子宮頸癌(in situ cervical cancer)、乳房上皮内癌、前立腺癌の偶発的組織学的所見(腫瘍、リンパ節転移、遠隔転移[TNM]病期分類システム(tumor, nodes, metastasis [TNM] clinical staging system)を用いてT1aまたはT1b)、または疾患が認められずホルモン治療のみを受けている
16.制御不能のうっ血性心不全(ニューヨーク心臓協会心機能分類3または4)である対象
17.既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、既知の活動性感染性肝炎B(HepB)、及び/または既知の活動性感染性C型肝炎(HepC)がある対象
18.重度の活動性感染がある対象
19経口投薬の吸収を阻害する可能性のある何らかの顕著な胃障害または他の障害が存在する対象
20.カプセル剤を嚥下することができない対象
21.対象が臨床試験に参加することを妨げる可能性のある何らかの顕著な病状、検査値異常、または精神病を有する対象
22.もし対象が臨床試験に参加したならば、その対象に許容できないリスクを課す検査値異常の存在を含む何らかの症状、または臨床試験のデータを解釈する能力を混乱させる任意の症状を有する対象
23.臨床試験のデータを解釈する能力を混乱させる任意の症状を有する対象
24.無作為振り分けの前30日以内に、何らかの治験薬(薬物、生物製剤、装置)の試験に参加している対象
試験計画。本試験は、以下を含む:
・28日間のスクリーニング期間
・フェドラチニブまたは利用可能な最善の治療(BAT)への2:1の無作為振り分け
・無作為振り分けの階層化は、以下に従う:
−リスク分類(DIPSS)が、中リスク1及び中リスク2対高リスク
−触診(palpitation)による脾臓サイズ:LCMの下15cmを超えない対LCMの下15cmまたは15cmを超える
−血小板が≧100,000/μL対血小板が<100,000/μL
・試験治療期間(治験薬での治療時間+最後の投薬後30日間)
・対象は、6サイクル目の奏功評価後にまたは6サイクル目の奏功評価前でもMRI/CTスキャンにより脾腫の進行が確認される事象において、BATからフェドラチニブ群へと乗り換えることが可能である
・進行及び生存率についての生存追跡調査期間
予想される試験期間は、約5年であり、これには、全登録までの約24ヶ月、ならびに治療及び追跡調査の30ヶ月が含まれる。臨床試験の実際の期間は、対象の治療期間中央値に依存することになる。
臨床試験終了は、試験実施計画書において予め指定されるとおり、最後の対象が最後に来診して生存追跡調査を完了した日付、あるいは主要、副次、及び/または探索的分析に必要な最後のデータ点を最後の対象から受領した日付いずれかで、新しい方の日付として定義される。臨床試験終了は、最後の対象が無作為振り分けされてから約2年後と予想される。臨床試験は、試験の全ての重要な評価項目及び目的が分析された時点で完了する。依然として積極的治療中であり、利益を得続けている対象は、継続プロトコル、または臨床試験閉鎖後に対象に治験薬を提供する代替手段いずれかを利用することが可能である。
スクリーニング期間。全ての登録対象は、スクリーニング期間中にスクリーニング手順を受けることになり、この手順は、試験治療の開始前28日以内に完了しなければならない。これは、試験実施計画書で定義される全ての選択基準及び除外基準に基づいて試験適格性を判断する働きをする。スクリーニング期間中にルキソリチニブが投与される対象またはスクリーニング中に検出された検査値異常(または患者を登録から除外する他の基準)が反転する可能性のある対象については、スクリーニング期間を35日間まで(追加で7日)延長することが可能である。必要であれば、無作為振り分けは、選択基準及び除外基準に従って、処方情報に従う先行治療の漸減期間及び先行治療の休薬期間に先行することになり、先行治療の漸減期間または先行治療の休薬期間は、臨床試験のためのスクリーニングMRI/CTスキャンの少なくとも14日前に開始されなければならない。
無作為振り分け。適格性の確認に際し、対象は、以下の群の一方に2:1で無作為に振り分けられる:
・群1(フェドラチニブ)は、フェドラチニブ400mgを投与される対象を最大128人まで含める予定である
・群2(BAT)は、利用可能な最善の治療を投与される対象を最大64人まで含める予定である
治療期間。サイクルは、割り当てられた治療群に関係なく、投与目的で4週間(28日)の期間として定義される。対象は、許容できない毒性、治療効果の欠如、病勢進行、または同意が撤回されるまで、試験治療で治療を続けることができる。
フェドラチニブ用量は、外来患者として継続的に、好ましくは夕食と一緒に、毎日同じ時間に1日1回経口で自己投与するために、400mg/日PO(4×100mgカプセル剤)である。1回分摂取し忘れた場合、次の用量は、翌日、摂取し忘れる前にそれまで摂取していたのと同じ時間に、摂取しなくてはならない。フェドラチニブは、二塩酸塩一水和物形(すなわち、化合物II)として投与される。
フェドラチニブに関連した最も一般的な有害事象は、血液学的及び胃腸の有害事象である。JAK阻害剤に関連した血液学的有害事象は、用量依存性で機構に基づくものであり、それらは、用量減少、投薬中断、及び輸血を通じて管理される。
用量レベルを開始用量より2段階下げた後も対象がフェドラチニブ治療に対して不耐容であるならば、その対象は、試験治療への参加を中止しなければならない。用量変更スケジュール表(表1)に指定されるとおりの期間で毒性が解消されないならば、対象は、試験治療への参加を中止しなければならない。用量の再増加は、用量変更スケジュール表(表1)に定義されるとおりの特定の場合において可能である。フェドラチニブの一日量は、400mg/日を超えることはできない。
利用可能な最善の治療レジメン(BAT)群で治療される対象は、地域の処方情報に従って治療される予定である。BATは、治験責任医師が選択した任意の治療を含むことができ、承認JAK阻害剤(処方情報に従って使用される)、化学療法(例えば、ヒドロキシウレア)、アナグレリド、コルチコステロイド、造血成長因子、免疫調節剤、アンドロゲン、インターフェロンに限定されず、「治療なし」及び対症療法も含む場合がある。BATは、治験薬、フェドラチニブ(試験の過程中に承認された場合)、及び造血幹細胞移植を含むことはできない。
対象は、6サイクル目の奏功評価前の任意の時点で、脾腫の進行が確認される事象(MRI/CTスキャンによる)において、または6サイクル目の奏功評価後に、BAT群からフェドラチニブ群へと乗り換えることが可能である。脾腫の進行の確認は、中央撮影検査所による評価のとおり、MRI/CTスキャンによる脾体積が、対象のベースラインに比べて≧25%拡大(乗り換え前の28日以内)として定義される。脾腫の進行の確認なく6サイクル目の奏功評価前に治療を中断するBAT群の対象は、試験に参加したままでいることが可能であり、最終的に6サイクル目の奏功評価時に乗り換える。
以下のいずれかが存在する場合、対象はフェドラチニブ治療への乗り換えから除外される予定である:
1.乗り換え前の28日以内の評価で以下の検査値異常のいずれか:
・血小板が<25,000/μLまたは大量出血を伴う場合は血小板が<50,000/μL
・好中球絶対数(ANC)が<0.5×10/L
・骨髄芽球が末梢血中≧5%
・血清クレアチニンクリアランスが<30mL/分(腎臓病の食生活改善[MDRD]式に従って)
・血清アミラーゼ及びリパーゼが>2.0×ULN
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が>3×ULN
・総ビリルビンが>1.5×ULN、総ビリルビンが1.5〜3.0×ULNである対象は、直接ビリルビン画分が総ビリルビンの<25%ならば適格である
2.骨髄線維症の急性転化期への転換/進行を示す兆候がある対象
3.乗り換え前の14日以内に、ルキソリチニブ、何らかの他のJAK阻害剤、またはヒドロキシウレアを投与された対象
4.施設標準に従って全血中のチアミンレベルが正常範囲未満であるとして定義されるチアミン欠乏であり、乗り換えまでに修正されることが実証されていない対象
5.チアミンレベル及び脳MRIによるWEの排除が報告されておらず、WEの兆候または症候(例えば、重篤な運動失調、眼球麻痺、または小脳の兆候)がある対象
6.シトクロムP450 3A4(CYP3A4)、治療範囲の狭い感受性CYP3A4基質、治療範囲の狭い感受性シトクロムP450 2C19(CYP2C19)基質、もしくは治療範囲の狭い感受性シトクロムP450 2D6(CYP2D6)基質の強力な誘導物質であることが既知である医薬、薬草、または食物を用いた併用療法を受けているあるいはそれらを使用している対象
7.重篤な活動性感染症である対象
全ての対象は、臨床試験中、有害事象についてモニタリングされる予定である。なんらかの理由により試験実施計画書所定の治療を中断する対象は全員、安全データを収集するため、治験薬の最後の投与後30日の期間にわたり追跡調査される予定である。
フェドラチニブ群の各対象の平均治療期間は、約12ヶ月であると予想される。BATを投与される対象は、脾腫の進行が確認される事象(MRI/CTスキャンによる)において6サイクル目の奏功評価前の任意の時点で、または6サイクル目の奏功評価後に、フェドラチニブ治療へと乗り換えることが可能である。個別の対象の実際の試験期間は、実際の治療期間及び生存追跡調査期間に依存することになり、5年を超えないと予想される。
個別の対象について薬物毒性を最小限に抑えるために柔軟な用量変更レジメンを用いることができ、可能な一日量は、200mg、300mg、または400mgである。腎機能の重篤な損傷がある対象及び強力なもしくは中度のCYP3A4阻害剤が同時投与される対象については、フェドラチニブ用量が調節され、それは以下に記載される。
フェドラチニブの用量変更スケジュール
フェドラチニブに関連する最も一般的な有害事象は、血液学的及び胃腸の有害事象である。JAK阻害剤に関連した血液学的有害事象は、用量依存性で機構に基づくものであり、それらは、用量減少、投薬中断、及び輸血を通じて管理される。
対象に、以下の表1に指定されるとおりの薬物毒性が出たならば、投薬は中断しなければならない。場合によっては(すなわち、肝機能検査(LFT)異常ではない場合)、用量は、治験責任医師の判断に基づき、試験中に100mg/日の減少幅で用量設定し、最小用量の200mg/日まで下げることが可能である。
用量レベルを開始用量より2段階下げた後も対象がフェドラチニブに対して不耐容であるならば、その対象は、試験治療への参加を中止しなければならない。以下の表1に指定されるとおりの期間で毒性が解消されないならば、対象は、試験治療への参加を中止しなければならない。用量の再増加は、特定の場合において可能である。フェドラチニブの一日量は、400mg/日を超えることはできない(遊離塩基重量に基づき)。
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AE=有害事象;ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ;AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;GI=胃腸;LFT=肝機能検査。
強力なもしくは中度のCYP3A4阻害剤を同時投与するための用量調節
フェドラチニブと強力なもしくは中度のCYP3A4阻害剤の同時投与は、フェドラチニブ曝露を増加させる可能性がある。フェドラチニブ曝露の増加は、曝露関連AEのリスクを高める可能性があり、慎重に検討する必要がある。
強力なCYP3A4阻害剤を同時投与される対象の場合、フェドラチニブ用量を開始用量から減少させる、400mgから200mgにすることが推奨される。治療中に強力なCYP3A4阻害剤を導入することが要求される場合、用量レベルを2段階下げる(例えば、300mgから100mgへ)ことを検討する。強力なCYP3A4阻害剤として、ボセプレビル、コビシスタット、コニバプタン、ダノプレビル・リトナビル合剤、エルビテグラビル・リトナビル合剤、グレープフルーツ果汁、インジナビル・リトナビル合剤、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ロピナビル・リトナビル合剤、パリタプレビル・リトナビル・(オムビタスビル及び/またはダサブビル)合剤、ポサコナゾール、リトナビル、サキナビル・リトナビル合剤、テラプレビル、チプラナビル・リトナビル合剤、トロレアンドマイシン、及びボリコナゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
中度のCYP3A4阻害剤を同時投与される対象の場合、フェドラチニブ用量を開始用量から減少させる、400mgから300mgにすることが推奨される。治療中に中度のCYP3A4阻害剤を導入することが要求される場合、用量レベルを1段階下げる(例えば、300mgから200mgへ)ことを検討する。中度のCYP3A4阻害剤として、アプレピタント、シメチジン、シプロフロキサシン、クロトリマゾール、クリゾチニブ、シクロスポリン、ドロネダロン、エリスロマイシン、フルコナゾール、フルボキサミン、イマチニブ、トフィソパム、及びベラパミルが挙げられるが、これらに限定されない。
フェドラチニブの血漿中濃度の潜在的上昇による何らかのフェドラチニブ関連AEに基づきフェドラチニブ用量を1日あたり100mg未満に減少させることが必要である場合、例えば、フェドラチニブ100mgを1日おきに投与することにより、一日量平均をより下げることを検討する。フェドラチニブ100mgを1日おきに投与することは、50mgの一日量平均に等しい。フェドラチニブ用量の減少後AEが依然として解消されない場合、患者のための総合的な利益/リスクに基づきフェドラチニブまたは強力なCYP3A4阻害剤いずれかの投薬を中断することを検討する。CYP3A4阻害剤との同時投与が中止される場合、フェドラチニブ用量は、状況に応じて再増加させるべきである。
腎機能低下の場合の用量調節。軽から中度の腎機能低下の対象においては、用量調節は推奨されない。臨床試験中に重度の腎機能障害を発症した対象では、フェドラチニブ用量を、1段階用量レベルを下げることにより調節しなければならない(例えば、1日1回[QD]で400mgから300mgへ)。計画される用量が200mgQDの対象は、100mgへの減少が可能である。
末梢血及び血清は、変異、サイトカイン、及び循環血球細胞プロファイルを探索的に評価するためにベースラインで、ならびにフェドラチニブの薬力学的効果を評価するために治療中に、収集する予定である。薬力学的測定には、炎症性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子−a[TNF−a]、インターロイキン−12[IL−12])、免疫調節性サイトカイン(例えば、IL−2、IL−6、IL−8、及びIL−15)(Tefferi A, Pardanani A. JAK inhibitors in myeloproliferative neoplasms: rationale, current data and perspective. Blood Rev. 2011 Sep;25(5):229−37)、線維症マーカー(例えば、トランスフォーミング成長因子−β[TGF−β])、シグナル伝達経路、遺伝子発現、及び/または他の分子マーカーが含まれる可能性がある。臨床試験登録時の血液の変異プロファイルは、患者の予後リスクを分類するために評価される予定である。治療中の変異プロファイルは、フェドラチニブ治療に対する反応及び再発に関連した分子変化を評定するために評価される予定である。薬力学的効果もまた、フェドラチニブ治療に対する反応及び再発に関連して評価される予定である。
重要な有効性評価の概要。
脾臓サイズの評価。脾体積は、スクリーニング中、及びサイクル3回目、6回目、12回目、18回目、24回目、及び治療終了来診時に、試験施設で評定される予定である(MRI、またはMRIが禁忌である場合はCTスキャン)。MRI/CTスキャンは、中央機関で再検討される予定である。中央機関での再検討は、群の割り当て及び治療に関して盲検とする予定である。
脾臓サイズは、スクリーニング時、ならびに各治療サイクルの1日目、治療終了来診時、及びフェドラチニブの最後の投薬後30日目の追跡調査来診時に、触診によっても評価される予定である。
MF関連症候の評価。MF関連症候の評価は、MFSAFバージョン4.0を用いて、7日間の想起期間で行う予定である(Gwaltney C, Paty J, Kwitkowski VE, Mesa RA, Dueck AC, Papadopoulos EJ, et al. Development of a harmonized patient−reported outcome questionnaire to assess myelofibrosis symptoms in clinical trials. Leuk Res. 2017 Aug;59:26−31)。
重要な安全性評価の概要。フェドラチニブの安全性は、治療下で発現した有害事象(TEAE)の発生率、ならびに臨床検査値パラメーター、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンススコア(PS)、心電図(ECG)、及びバイタルサインの変化に基づいて評価される。
安全性評価は、以下を含む予定である:
・試験来診時ごとの有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の記録
・異常な眼球運動、小脳の異常、体重の評価を含む、身体検査
・バイタルサイン
・認知機能評価:ミニメンタルステート検査(MMSE)
・検査値評価:血液検査、血清化学組成、チアミンレベル、凝血、尿検査、血清/尿妊娠検査
・心電図(ECG)
他の患者報告アウトカムの概要。以下のツールを用いて、HRQoL/PRO評価を行う予定である:
・HRQoL及びその各種ドメインは、欧州がん研究治療機構による生活の質C30(EORTC QLQ−C30)質問票バージョン3を用いて評価する予定である(Aaronson et al, 1993)。
・健康効用値は、EQ−5D−5L分類器を用いて5段階レベルで評価する予定である。この分類器は、運動能力、自己管理、日常的活動、疼痛/不快感、及び不安うつ病を評価する5項目ならびに全身の健康に関する視覚的アナログ尺度(VAS)を含む。
・対象の視点からの5種の選択された治療関連症候(下痢、悪心、嘔吐、めまい、頭痛)は、PRO−CTCAEで評価する予定である。
全てのHRQoL/PRO評価は、各治療サイクルの1日目、治療終了時(EOT)、及び試験治療の最終用量後30日目の追跡調査来診時に、施設で行う予定である。これらQoL関連評価は全て、来診中に治験責任医師または被指名人により他のどの評価が行われるよりも前に、行われなければならない。
Figure 2022502491

Figure 2022502491

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AE=有害事象;C1D1=サイクル1回目の1日目;CT=コンピュータ断層撮影法;CTCAE=有害事象共通用語基準;EORTC QLQ−C30=欧州がん研究治療機構による生活の質の計器;HRQoL=健康関連の生活の質;ICF=説明同意書;LCM=左肋骨縁;MFSAF=骨髄線維症症状評価フォーム;MRI=核磁気共鳴画像法;NCI=国立がん研究所;PK=薬物動態学;PRO=患者報告アウトカム;PRO−CTCAE=有害事象共通用語基準の患者報告アウトカムバージョン;WE=ウェルニッケ脳症
有効性解析。
ITT集団:この集団は、無作為振り分けされた対象全員からなる予定である。これは、有効性評価項目のための主要解析集団である。この集団を使用する解析は全て、双方向自動応答技術(IRT)により割り当てられた治療に基づく予定である。
MRI/CTによる脾体積反応率(35%)。MRI/CTによる脾体積反応率の主たる解析は、ITT集団に基づく予定である。RRのデータカットオフは、最後に無作為振り分けされた対象が、フェドラチニブまたはBATのサイクル6回を完了した時点で行われる予定である。サイクル6回目の終了前に脾腫進行についての基準を満たした対象を含む、サイクル6回目終了時にMRI/CT脾体積データのない対象は、非応答者とみなす予定である。乗り換え対象については、乗り換え前のデータのみを含める予定である。フェドラチニブとBATを比較するため、一側2.5%アルファレベルでコクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)検定を行う予定である。各群についてのRR及び95%信頼区間(CI)、ならびにフェドラチニブ対BATでRRの差及び差の95%信頼区間を提供する予定である。また、脾体積測定値及びベースラインからの変化パーセンテージの記述要約統計を提供する予定である。
MRI/CTによる脾体積反応率(25%)。サイクル6回目の終了時に脾体積減少が≧25%(RR25)であった対象の割合は、重要副次評価項目であり、RRと同じ方法を用いて要約される予定である。サイクル6回目の終了前に脾腫進行についての基準を満たした対象を含む、サイクル6回目終了時にMRI/CT脾体積データのない対象は、非応答者とみなす予定である。乗り換え対象については、乗り換え前のデータのみを含める予定である。解析は、ITT及び有効性評価可能な集団(治療を受けており、ベースラインでのMRI/CTスキャン及び少なくとも1回のベースライン後のMRI/CTスキャンによる反応評価に基づき評価可能な脾体積測定データがあるITT集団対象のサブセット。この集団を使用する解析は全て、実際に行われた治療に基づく予定である。この集団は、主要な及び選択された副次有効性評価項目のための二次解析集団として使用される予定である)を用いて行う予定である。
触診による脾臓反応率(RRP)。触診による脾臓反応率は、ベースラインと比較した場合の、IWG−MRT2013に従ってサイクル6回目の終了時に脾臓反応がある対象の割合である。これは、ベースラインで脾腫大(LCMの下5cmまたは5cmを超える)を有する対象について計算する予定である。サイクル6回目の終了前に脾腫進行についての基準を満たした対象を含む、サイクル6回目終了時に脾臓サイズ評価のない対象は、応答者ではないとみなす予定である。各群についての触診によるRR及び95%CI、ならびにフェドラチニブ対BATで差及び差の95%CIを提供する予定である。解析は、ITT集団に基づいて行う予定である。
症候反応率(SRR)。SRRは、重要副次評価項目であり、MFSAFバージョン4.0により測定した総症状スコア(TSS)が、サイクル6回目の終了までにベースラインから≧50%減少した対象の割合として定義される。ベースラインTSS>0ではない対象は、SRR解析に関して評価不能(症候低減の余地がないため)とみなす予定である。サイクル6回目終了時にTSSのない対象またはサイクル6回目終了前に病勢進行してしまった対象は、非応答者とみなす予定である。サイクル6回目終了時の評価前に乗り換えた乗り換え対象については、乗り換え日前のデータのみを、フェドラチニブ群との比較に含める予定である。フェドラチニブとBATを比較するため、一側2.5%アルファレベルでCMH検定を行う予定である。各群についての割合及び95%CI、ならびにフェドラチニブ対BATで割合の差及び差の95%CIを提供する予定である。乗り換え対象については、上記と同じ方法を用いて、フェドラチニブ期間中のSRRを別途要約する予定である。BATと比較するのに形式的統計検定は行わない予定である。解析は、乗り換えの時点で評価可能なTSSを有する乗り換え有効性集団に基づく予定である。
触診による脾臓反応持続性。触診による脾臓反応期間(DRP)は、IWG−MRT2013に従って触知可能な反応が最初に報告された時点からIWG−MRT2013に従って反応の減少が最初に報告された時点までと定義される。IWG−MRT2013基準に従う触診による脾臓反応持続性は、ベースラインで脾腫大(LCMの下5cmまたは5cmを超える)を有する対象及び、触診により脾臓反応を有する対象について計算する予定である。解析を行う前に事象が存在しない(すなわち、触診による脾臓反応の減少がない)場合、DRPは、解析実施日前に行われた最後の有効な評価の日付で打ち切る予定である。事象のない乗り換え対象については、DRは、最後の有効な評価の前日の日付で打ち切る予定である。触診による脾臓反応期間は、カプラン・マイヤー法を用いて解析する予定である。25パーセンタイル、50パーセンタイル、及び75パーセンタイルのK−M推定値ならびに中央値の95%信頼区間を提供する予定である。K−M曲線をプロットする予定である。解析は、ITT集団に基づいて行う予定である。
MRI/CTによる脾体積反応持続性。MRI/CTによる脾体積反応期間(DR)は、脾臓反応(すなわち、脾体積の≧35%減少)が最初に報告された時点から脾体積の<35%減少が最初に報告された時点までとして定義される。解析を行う前に事象が存在しない(すなわち引き続き脾体積減少が<35%)場合、DRは、解析実施日前に行われた最後の有効な評価の日付で打ち切る予定である。事象のない乗り換え対象については、DRは、乗り換え日前の最後の有効な評価の日付で打ち切る予定である。MRI/CTスキャンによる脾体積反応期間は、カプラン・マイヤー法を用いて解析する予定である。25パーセンタイル、50パーセンタイル、及び75パーセンタイルのK−M推定値ならびに中央値の95%信頼区間を、フェドラチニブ群及びBAT群両方について、提供する予定である。K−M曲線をプロットする予定である。
症候反応持続性(DSR)。DSRは、MFSAFバージョン4.0により測定されるTSSの反応(すなわち、TSSの≧50%減少)が最初に報告された時点からTSSの<50%減少が最初に報告された時点までとして定義される。解析を行う前にTSSの<50%減少が存在しない場合、DSRは、解析実施日前に行われた最後の有効な評価の日付で打ち切る予定である。DRSは、カプラン・マイヤー法を用いて解析する予定である。25パーセンタイル、50パーセンタイル、及び75パーセンタイルのK−M推定値ならびに中央値の95%信頼区間を、提供する予定である。K−M曲線をプロットする予定である。
総症状スコア(TSS)。TSSは、7種の症候のスコアそれぞれを合計したものと定義される(Gwaltney C, Paty J, Kwitkowski VE, Mesa RA, Dueck AC, Papadopoulos EJ, et al. Development of a harmonized patient−reported outcome questionnaire to assess myelofibrosis symptoms in clinical trials. Leuk. Res. 2017 Aug;59:26−31)。以前のMF研究と間接的に比較できるようにするため、改変TSS(Mesa RA, Gotlib J, Gupta V, Catalano JV, Deininger MW, Shields AL, et al. Effect of ruxolitinib therapy on myelofibrosis−related symptoms and other patient−reported outcomes in COMFORT−I: a randomized, double−blind, placebo−controlled trial. J. Clin. Oncol. 2013 Apr 1;31(10):1285−92)も、検討される6種の症候(寝汗、掻痒、腹部不快感、早期満腹感、左側肋骨下の疼痛、骨または筋肉痛)から計算する予定であり、SRRの解析も行う予定である。疲労は、EORTC QLQ−C30の一部として評価する予定である。各時点で、TSS(7種の症候に基づく)及び改変TSSを計算する予定である。記述要約統計(寸法、平均、標準偏差、中央値、範囲)を、ベースラインスコア、ベースライン後スコア、ならびにTSS、改変TSS、及び症候スコアのベースラインからの変化について提供する予定である。
脾臓及び病勢進行のない生存期間(SDPFS)。脾臓及び病勢進行のない生存期間は、無作為振り分けから何らかの理由または病勢進行により死亡するまでの時間と定義される(改変IWG−MRT2013は、MRI/CTによる脾体積の≧25%増加を含む)。解析を行う前に事象が存在しない場合、SDPFSは、最後の有効な評価の日付で打ち切る予定である。事象のない乗り換え対象については、SDPFSは、乗り換え日前の最後の有効な評価の日付で打ち切る予定である。SDPFSは、カプラン・マイヤー法を用いて解析する予定である。25パーセンタイル、50パーセンタイル、及び75パーセンタイルのK−M推定値ならびに中央値の95%信頼区間を、フェドラチニブ群及びBAT群両方について、提供する予定である。K−M曲線をプロットする予定である。解析は、ITT集団に基づいて行う予定である。
全生存期間。全生存期間(OS)は、無作為振り分けから何らかの理由により死亡するまでの時間と定義される。解析を行う前に死亡確認が存在しない場合、OSは、対象が生存していることが明らかである最後の日付または試験のカットオフ日(当てはまる場合)、いずれか早い方で打ち切る予定である。OSは、ITT集団に基づいて、カプラン・マイヤー(K−M)法を用いて解析する予定である。25パーセンタイル、50パーセンタイル、及び75パーセンタイルのK−M推定値ならびに中央値の95%信頼区間を、フェドラチニブ群及びBAT群両方について、提供する予定である。K−M曲線をプロットする予定である。
乗り換え有効性解析。乗り換え対象については、来診サイクルを、フェドラチニブ曝露期間についてサイクル1から数え直す予定である。フェドラチニブ期間中の解析は、上記と同じ方法を用いて、別途要約する予定である。BATと比較するのに形式的統計検定は行わない予定である。解析は、乗り換え有効性集団に基づく予定であり、乗り換え有効性集団は、BAT群からフェドラチニブ群へと乗り換えた全ての対象と定義される。
探索的分析。
触診による脾臓反応までの時間:触診による脾臓反応までの時間(TTR)は、無作為振り分けから触知可能な反応(すなわち、ベースラインで触知可能な脾臓であり、触診により脾臓サイズの減少が≧50%)が最初に報告されるまでの時間と定義される。IWG−MRT2013基準に従う触診による脾臓反応までの時間は、ベースラインで脾腫大を有する対象について計算する予定である。解析を行う前に触知可能な反応が存在しない場合、TTRは、解析実施日前に行われた最後の有効な評価の日付で打ち切る予定である。TTRは、カプラン・マイヤー法を用いて解析する予定である。25パーセンタイル、50パーセンタイル、及び75パーセンタイルのK−M推定値ならびに中央値の95%信頼区間を提供する予定である。K−M曲線をプロットする予定である。
MRI/CTによる最良の脾臓反応率:最初の6回のサイクル中で最良の脾臓反応率(BRR)は、最初の6回のサイクル中任意の時点で脾体積がベースラインから≧35%減少した対象の割合と定義される。各群のBRR及び95%CI、ならびにフェドラチニブ対BATのBRRの差及び差の95%信頼区間を提供する予定である。
生存追跡期間。何らかの理由により試験実施計画書に規定される治療を中止した対象は全員、生存期間、その後の治療、新規悪性腫瘍、及び骨髄線維症から急性骨髄性白血病(AML)への悪化について、死亡、追跡不能、さらなるデータ収集への同意の撤回、または臨床試験終了、これらのいずれかが最初に起こるまで、3ヶ月ごとに追跡調査を受ける予定である。
治療後の追跡調査期間は、最長12ヶ月続く予定であり、予想される合計試験期間は、生存追跡期間も含めて、約4年間になる予定である。
胃腸有害事象の管理。
潜在的ウェルニッケ脳症(WE)の管理
WEの潜在例は、医療的緊急事態である。フェドラチニブでの治療中のWEのスクリーニング及びWEの潜在例の管理は、以下の工程に従って行う予定である:
臨床評価及び認知機能評価。中間病歴:錯乱、記憶障害、視覚障害(例えば、複視)、ならびに栄養不良、吸収不良の兆候及び症候、及びアルコール飲用について患者の履歴を再検討することを含む
・身体検査:スクリーニング中、及び毎治療サイクルの1日目、治療終了(EOT)時、及び30日目の追跡調査来診時の、異常な眼球運動、小脳異常、及び体重(以前の検査または患者の履歴と比較して体重減少)の評価を含む
・ミニメンタルステート検査(MMSE):脳症の兆候/症候を客観的に評価するため、スクリーニング中、サイクル2及び3の1日目、その後は3回のサイクルごと、治療終了の来診時、及び臨床上必要であればさらに頻繁に行われる
WEを示す可能性がある兆候または症候がある場合:
・WEが除外されるまで、フェドラチニブを保留する
・チアミンレベル用の試料を得る
・チアミン補充を実験的に開始する
・事象をAESIとして試験依頼者に報告する
・神経学的助言を得る
・脳MRIを行う
・WEが確認された場合、フェドラチニブを永久的に中止する
チアミンのモニタリング及び補正。チアミンレベル(全血)をモニタリングする予定であり、チアミンレベルが正常範囲未満の対象全員に、チアミン補充を行う予定である。
・チアミンレベルは、スクリーニング時に評価され、フェドラチニブ治療を開始する前に補正及び再検査が必要である
・フェドラチニブでの治療中、チアミンレベルは、サイクル1、2、3、及びその後3回のサイクルごとにサイクルの開始時、治療終了来診時、及び臨床上必要である場合に、評価される:
ー対象がチアミン補充を受ける場合、チアミンレベルは、チアミン補充に関して飢餓状態において評価されなければならず、チアミンは、採血後に投与される
ーチアミンレベルの結果が正常より低い場合、実施医療機関は、可能な限り迅速に対象と連絡を取り、チアミン補充を開始する
ーチアミンレベルが正常より低いが≧30nM/Lであり、WEの兆候または症候がない場合:
・チアミン100mgの経口補充を開始しなければならない
・結果が、地域の検査室で得られた場合、その事象を、特に注目すべき有害事象(AESI)として試験依頼者に報告する
ーチアミンレベルが<30nM/Lである場合、WEの兆候または症候の有無を問わず:
・直ちに、チアミンを治療投薬量(例えば、1日3回30分間の500mgのIV点滴を2〜3日間、あるいは地域の標準治療に従って同等量のIM)で用いて(好ましくはIVで)治療する;
・続いて、3〜5日間、250mg〜500mgのIVチアミンを1日1回点滴して投与する、あるいは、地域の標準治療に従って同等量のIMを投与する;及び
・経口で一日量100mgのチアミンを少なくとも90日間投与し続ける
・事象を特に注目すべき有害事象(AESI)として試験依頼者に報告する
・チアミンレベルが正常範囲に回復するまで、フェドラチニブは保留しなければならない。
ーチアミン補充は、チアミン単独の配合物として投与されなければならない。
ーチアミンレベルが低い場合、マグネシウムレベルが正常であることを確認し、もし低ければ、補正する
特に注目すべき有害事象(AESI)とは、治験薬の理解に対して特有の科学的かつ医薬的関心の1つであり、綿密なモニタリング及び治験責任医師から試験依頼者への迅速な報告が必要とされる場合がある。AESIは、治験責任医師がその事象を把握してから24時間以内にEDCを通じて、またはEDCシステムが利用不可である場合指定される他の適切な方法を通じて報告されるべきであり、たとえ他の重大な基準のどれにも当てはまらないとしても、「重大な医療事象」とみなされなければならない。こうした事象はまた、EDCのSAE eCRFの適切なページ(複数可)に文書化されければならない。AESIの迅速な報告により、こうした事象の進行中のサーベイランスが、この治験薬の使用との関連においてそれらを特性決定し把握することが可能になる。特に注目すべき事象は、必要に応じて再検討するために外部専門家により参照される場合がある。
以下は、特に注目すべき有害事象(AESI)とみなされる:
・正常範囲未満のチアミンレベルを伴うウェルニッケ脳症(WE)またはWEが疑われる症例。
・WEの兆候または症候の有無を問わず、正常範囲未満のチアミンレベル
・試験治療開始後の新規悪性腫瘍
・骨髄線維症から急性骨髄性白血病(AML)への悪化
・CTCAE基準v5.0に従ってグレード3及び4の高リパーゼ血症
・CTCAE基準v5.0に従ってグレード3及び4の高アミラーゼ血症または膵炎事象
・グレード3または4のアラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、または総ビリルビンの上昇、または肝毒性事象
悪心及び嘔吐の管理。フェドラチニブを用いた治療中の悪心及び嘔吐の管理は、以下の工程に従って行う予定である:
・治療開始前、対象に、管理指示書(いつ試験実施医療機関と連絡を取るかを含む)を提供する予定である
・悪心及び嘔吐事象を軽減する目的で、夕食時、食物とともにフェドラチニブを摂取することが推奨される。フェドラチニブ投与の具体的な指示は、PK試料採取日(C1D1、C2D1の前日、及びC2D1)の間に提供される予定である
・治療の最初の8週間は、現地の慣行に従って予防的に抗悪心/嘔吐治療薬(例えば、オンダンセトロン)を使用することが強く推奨される。ジメンヒドリナートまたは他のムスカリン受容体アンタゴニストを悪心及び嘔吐に対して使用する場合、眠気及び他の神経学的AEの可能性を最小限に抑えるために、これらの作用剤は夜投与する
・表1に従って、フェドラチニブ用量を保留/減少させる
・グレード3以上の悪心または嘔吐あるいは持続する事象に対しては、入院が必要とされる場合がある
・悪心及び嘔吐に対する予防的使用のため投与される医薬について、フェドラチニブ治療の最初の8週間の間に臨床上顕著な悪心及び嘔吐が生じていなければ、対象がこれらの医薬を断薬することを検討する
下痢の管理。フェドラチニブを用いた治療中の下痢の管理は、以下の工程に従って行う予定である:
・対象は、自宅で利用可能なロペラミドを有するべきであり、治療開始前に、下痢管理の指示書(いつ試験実施医療機関と連絡を取るかを含む)が提供されなければならない
・ロペラミドは、対象に下痢が発生していない場合、予防として投与されるべきではない
・下痢の発生時に、現地の慣行どおりにロペラミドで治療する。4mg初回量でロペラミドを開始し、その後は下痢性便通があるたびに2mgを検討するが、ただし16mg/24時間は超えない
・適切な水分補給、ラクトース含有食物及びアルコールの回避、コメ、バナナ、パンなどを用いた少量の食事を含む、食事の工夫
・表1に従って、フェドラチニブ用量を保留/減少させる
・グレード3以上の持続性下痢に対しては、入院が必要とされる場合がある
・悪心、嘔吐、及び下痢の管理は、その後毎回の28日サイクルの1日目の対象の来診中、最初の3回のサイクルの15日目、及び最初のサイクルの8日目の必須電話連絡により、評価する予定である

Claims (25)

  1. 以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物I
    Figure 2022502491

    あるいはその薬学上許容される塩または水和物を投与することを含む、骨髄増殖性疾患の治療法。
  2. 前記骨髄増殖性疾患は、ルキソリチニブに対して耐性であるまたは難治性である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者は、ルキソリチニブに対して不耐容である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. ルキソリチニブに対する前記不耐容は、血液毒性または非血液毒性により裏付けられる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記患者は、再発によるものである、請求項1または請求項2に記載の方法。
  6. 前記患者は、ルキソリチニブを用いた治療中に、不応性、病勢進行、または反応の減少のうち1つまたは複数を呈したことがあるまたは経験している、請求項1または請求項2に記載の方法。
  7. 病勢進行は、脾臓サイズの増大により裏付けられる、請求項6に記載の方法。
  8. 以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物I
    Figure 2022502491

    あるいはその薬学上許容される塩または水和物を投与することを含む、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者における脾体積の少なくとも25%の減少法。
  9. 前記患者の脾体積は、少なくとも35%減少する、請求項8に記載の方法。
  10. 以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物I
    Figure 2022502491

    あるいはその薬学上許容される塩または水和物を投与することを含む、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者における全生存期間の改善法。
  11. 以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物I
    Figure 2022502491

    あるいはその薬学上許容される塩または水和物を投与することを含む、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断された患者における症候反応率の改善法。
  12. 症候反応率は、総症状スコア(TSS)の少なくとも50%低下により裏付けられる、請求項11に記載の方法。
  13. 以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物I
    Figure 2022502491

    あるいはその薬学上許容される塩または水和物を投与することを含む、骨髄増殖性疾患に罹患しているまたは骨髄増殖性疾患と診断され、再発している及び/またはルキソリチニブに対して難治性である患者集団における生存期間中央値の改善法。
  14. 以前にルキソリチニブ治療を受けたことがある患者に、化合物I
    Figure 2022502491

    あるいはその薬学上許容される塩または水和物を投与することを含む、骨髄増殖性疾患に関連したまたは骨髄増殖性疾患を示す体細胞変異あるいはクローンマーカーを有する患者におけるアレルバーデンの低減法。
  15. 前記体細胞変異は、JAK2変異、CALR変異、またはMPL変異から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記JAK2変異は、V617Fである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記CALR変異は、エクソン9における変異である、請求項15に記載の方法。
  18. 前記MPL変異は、W515K及びW515Lから選択される、請求項15に記載の方法。
  19. 前記骨髄増殖性疾患は、中リスクMPN関連骨髄線維症及び高リスクMPN関連骨髄線維症から選択される、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記中リスクMPN関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後(PV後)骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)骨髄線維症から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記高リスクMPN関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後(PV後)骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)骨髄線維症から選択される、請求項19に記載の方法。
  22. 化合物Iは、二塩酸塩一水和物形をしている、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記患者は、以前に少なくとも3ヶ月間ルキソリチニブで治療を受けたことがある、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記患者は、以前に少なくとも28日間ルキソリチニブで治療を受けたことがあり、以下
    i.赤血球細胞輸血の必要性の発生、または
    ii.ルキソリチニブでの治療中に血小板減少症、貧血、血腫、及び/または出血のグレード3以上の有害事象(複数可)
    を併発している、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
  25. 化合物Iまたはその薬学上許容される塩の用量は、化合物Iの遊離塩基重量に基づいて、約400mgである、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
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