本明細書に開示される例示の実施形態は、簡単に低コストで製造することができ、高品質の画像を提供する能力を維持することのできる、ミクロンサイズの光ファイバベースイメージングプローブを提供する目的に基づく。本明細書で用いられる場合、ミクロンサイズのイメージングプローブ及びその光学素子は、直径が1.5ミリメートル(mm)以下の物理的寸法を有するコンポーネントを指すことができる。
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。更に、同封の図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲及び主旨から逸脱することなく、説明される例示の実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。図面はいくつかの可能な構成及びアプローチを表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の特定の態様をより分かりやすく図示及び説明するために、特定の特徴が誇張、削除又は部分的に切断される場合がある。本明細書に記載の説明は、網羅的であること、そうでなければ、図面に示され以下の詳細な説明に開示される正確な形態及び構成に特許請求の範囲を限定又は制限することを意図するものではない。
本明細書において、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上」にあるとして言及されるとき、それは、当該他の特徴又は要素の直上に存在してよく、又は、介在する特徴及び/又は要素も存在してよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直上」にあるとして言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。また、当然のことながら、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続される」、「取り付けられる」、「結合される」等として言及されるとき、それは、当該他の特徴に直接的に接続されてよく、取り付けられてよく、又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」又は「直接的に結合される」として言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は図示したが、一実施形態においてそのように説明又は図示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。また、当業者であれば理解できるように、別の特徴に「隣接」して配置されている構造又は特徴への言及は、当該隣接する特徴にオーバーラップするかその下にある部分をもつ場合がある。
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの指定の用語によって限定されない。これらの指定の用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分は、単に区別を目的として、しかし限定をすることなく、また、構造的又は機能的な意味から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分と呼ぶことができる。
本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」、「備える」、「成る」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、本開示では、「〜から成る」という移行句は、クレームで指定されていないいかなる要素、ステップ又はコンポーネントも除外する。更に、留意すべきこととして、一部のクレーム又はクレームの一部の特徴は、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「〜のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、例えば10%以内、5%以内又はそれ未満を意味する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することがある。これに関して、説明され又はクレームされる際に、用語が明示的に表示されていなくても、全ての数値は「約」又は「およそ」という語が前置されているかのように読まれてよい。「約」又は「およそ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するとき、記載の値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用されることがある。例えば、数値は、記述された値(又は値の範囲)の±0.1%、記述された値(又は値の範囲)の±1%、記述された値(又は値の範囲)の±2%、記述された値(又は値の範囲)の±5%、記述された値(又は値の範囲)の±10%等である値を含み得る。いかなる数値範囲も、本明細書に記載される場合、そこに包含される全ての部分範囲を含むことが意図される。本明細書で用いられる場合、「実質的に」という用語は、意図された目的に悪影響を及ぼさない、記述子からの逸脱を許容することを意味する。例えば、測定値の限定に由来する逸脱、製造公差内の差異、又は5%未満の変動は、実質的に同じ範囲内にあると見なすことができる。指定された記述子は、絶対値(例えば、実質的に球形、実質的に垂直、実質的に同心等)又は相対語(例えば、実質的に類似、実質的に同じ等)であり得る。
本開示は、概して医療機器に関し、分光装置(例えば内視鏡)、光干渉断層法(OCT)装置、又はそのような装置の組合せ(例えばマルチモダリティ光プローブ)に適用可能である光プローブの実施形態を例示する。光プローブ及びその部分の実施形態を、三次元空間におけるそれらの状態に関して説明する。本明細書で用いられる場合、「位置」という用語は、3次元空間における物体又は物体の一部の位置(例えばデカルトX、Y、Z座標に沿った3自由度の並進自由度)を指し、「向き」という用語は、物体又は物体の一部の回転配置(回転の3自由度―例えばロール、ピッチ、ヨー)を指し、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度にある物体又は物体の一部の位置と、少なくとも1つの回転自由度にある物体又は一部の物体の向きとを指し(合計で最大6つの自由度)、「形状」という用語は、物体の長尺体に沿って測定された一連の姿勢、位置及び/又は方向を指す。医療機器の分野において既知であるように、「近位」及び「遠位」という用語は、ユーザから手術部位又は診断部位まで延びる器具の端部の操作に関して用いられる。これに関して、「近位」という用語は、器具のユーザに近い部分を指し、「遠位」という用語は、ユーザから離れており外科部位又は診断部位に近い器具の部分を指す。
本明細書で用いられる場合、「カテーテル」との用語は、概して、広範囲の医療機能を実行するために、狭い開口を通して体腔(例えば血管)の中に挿入されるように設計された、医療グレードの材料から作られる軟性の薄い管状器具を指す。より具体的な「光学カテーテル」との用語は、医療グレード材料から作られた保護シース内に配置され光学イメージング機能をもつ1つ以上の軟性の光伝導ファイバの細長い束を含む医用器具を指す。光学カテーテルの特定の例は、シース、コイル、プロテクタ及び光学プローブを備える光ファイバカテーテルである。一部の用途では、カテーテルは、シースと同様に機能する「ガイドカテーテル」を含み得る。
本明細書で用いられる場合、「内視鏡」との用語は、光学プローブによって導かれる光を用いて体腔又は臓器の内部を観察する、硬性又は軟性の医用器具を指す。内視鏡が自然開口を通して挿入される医療処置は、内視鏡検査と呼ばれる。専用の内視鏡は、気管支鏡(口)、S状結腸鏡(直腸)、膀胱鏡(膀胱)、腎臓鏡(腎臓)、気管支鏡(気管支)、咽頭鏡(咽頭)、耳鏡(耳)、関節鏡(関節)、腹腔鏡(腹部)及び消化管内視鏡等、一般に、内視鏡の使用方法や使用場所にちなんで名付けられる。
本開示では、「光ファイバ」又は単に「ファイバ」等の用語は、全反射として知られる効果によって一端から他端に光を伝導することができる、細長い軟性の光伝導管を指す。「導光コンポーネント」又は「導波管」との用語も、光ファイバを指す場合があり、又は光ファイバの機能をもつ場合がある。「ファイバ」との用語は、1つ以上の光伝導ファイバを指す場合がある。光ファイバは、一般に透明で均質なコアをもち、それを通して光が誘導され、また、コアは均質なクラッディングによって囲まれている。コアの屈折率は、クラッディングの屈折率よりも大きい。設計上の選択に応じて、一部のファイバは、コアを囲む複数のクラッディングをもつことができる。
ここで、図面に示される具体的な実施形態を見ると、図1A及び図1Bは、光学イメージングプローブの第1の実施形態を示す。図1Aは、例示のSEEプローブ100の遠位部分に配置された照明光学系を特に示す。SEEプローブ100は、近位端と遠位端を有し、少なくとも導光コンポーネント102(例えばシングルモードファイバ、マルチモードファイバ;ファイバはシングルクラッド又はダブルクラッドのファイバである)と、集束コンポーネント104(例えばGRINレンズ、ボールレンズ、反射曲面等)と、分散又は回折コンポーネント110(例えば回折格子、プリズム等)を含む遠位光学系コンポーネント(例えばスペーサ106)とから成る。この実施形態では、導光コンポーネント102、集束コンポーネント104及び遠位光学系コンポーネント(スペーサ106)は、全てドライブケーブル120及びメカニカルハウジング130の内側に収められる。ドライブケーブル120は、プローブの近位端から遠位端まで延びる円形の開口を備えた、中空又は管状のシャフトの形状をもつ。メカニカルハウジング130は、メカニカルハウジング130とドライブケーブル120の両方が同じ(共通の)長手方向軸(Ax)を共有するように、ドライブケーブル120の遠位端に固定して取り付けられた円筒管(例えば金属缶)である。第1の導光コンポーネント102は、ストリップ部分102aを有する光ファイバであってよい。メカニカルハウジング130は、ドライブケーブル120の遠位端に取り付けられる(例えば、溶接又は接着、或いは他の方法で結合される)。一部の実施形態では、メカニカルハウジング又は缶が不要である場合がある。
第1の導光コンポーネント102は集束コンポーネント104にスプライス又は接着され、集束コンポーネント104は、スペーサ106(例えばコアレスファイバ、透明な光学グレードのガラス又は樹脂)に結合又は接着される。スペーサ106は実質的に円筒形であり、その円筒表面の少なくとも一部は、メカニカルハウジング130の内表面に固定して取り付けられる。集束コンポーネント104は、スペーサ106の光軸(Ox)に関して偏心して位置合せされる。スペーサ106は、その遠位端に2つの表面(第1の表面107及び第2の表面109)を有する。第1の表面107及び第2の表面109は、集束コンポーネント104からの光を所定の方向に向けるために、特定の角度に研磨されてよい。しかしながら、後でより詳細に説明されるように、スペーサ106は、その第1及び第2の表面106,107とともに、メカニカルハウジング130の内側に単一の要素部品として直接モールドされてよい。第1の表面107は、集束コンポーネント104からの光を第2の表面109に向けて反射する反射表面(例えばミラーコーティング又は全反射表面)であり、又は当該反射表面を含む。第2の表面109には、回折コンポーネント110として、回折格子構造又は同種のものが設けられる。一部の実施形態では、回折コンポーネント110は、適切な材料をマイクロスタンピングして回折格子を形成することによって作製され、回折格子は、所定の視野に光を分散させる。メカニカルハウジング130は、遠位光学系の保護及び位置決めのために、金属缶の形態で、ドライブケーブル120の遠位端に設けられる。メカニカルハウジング130の近位端は、ドライブケーブル120の可撓性コイルにしっかりと取り付けられる。ドライブケーブル120は、図示されていないモータからの回転トルクを、第1の導光コンポーネント102(光ファイバ)及び/又は遠位光学系(集束コンポーネント104及びスペーサ106)に伝達するために用いられる。金属缶又はメカニカルハウジング130は、ドライブケーブル120の遠位端に溶接又ははんだ付け、或いは他の方法で取り付けられることが好ましい。
図1Bに示されるように、集束コンポーネント104は、スペーサ106と、スプライス及び/又は接着技術により接合部140で2つのコンポーネントを機械的に接合することによって、偏心して接合される。スプライスは、融着スプライス又はメカニカルスプライスのいずれかによって2本の光ファイバケーブルを接合する、周知の技術である。メカニカルスプライスは、精密に位置合せされた位置に2つのファイバコンポーネントの端を保持するように設計された位置合せデバイスを用い、これにより、光が一方のファイバ端からもう一方のコンポーネントに、通常約0.3dBの損失で通過できるようになる。メカニカルスプライスは永久的な結合を作成しないので、集束コンポーネント104をスペーサ106に接合することには適用できない。融着スプライスでは、機械を用いて2つのファイバコンポーネントを精密に位置合せし、ある種の熱又は電気アークを用いてガラス端を「融着」又は「溶接」する。これにより、ファイバコンポーネントの2つの端の間に連続的な(永続的な)接続が形成され、光伝送の損失が非常に低くなる(例えば、2つのファイバ端の融着スプライスにおける伝送の典型的な損失は約0.1dBである)。OCTプローブの分野では、従来の光ファイバに用いられるのと同じタイプの融着スプライスが、光学部品の取付けと位置合せに適用されてきた。例えば、米国特許第6445939号及び米国付与前公開第2006/0067620号を参照。しかしながら、ファイバコンポーネントの融着スプライス及び/又は結合は、時として機械的故障及び/又は最大0.5dBの光伝送損失を示す場合がある。
スプライス及び位置合せのこのような欠点取り除くために、図1A及び図1Bに示されるスペーサ106は、集束コンポーネント104の遠位端に直接当接して、メカニカルハウジング130の内側に直接モールドすることができる。スペーサ106は、透明な熱可塑性材料から射出成形することがき、又はガラスから圧縮成形することができる。このように、第1の表面107及び第2の表面109を有するスペーサ106(遠位光学系コンポーネント)は、スペーサ106の少なくとも1つの表面が集束コンポーネントの端面上に直接形成されるように、集束コンポーネント104の遠位端上に直接一体形成される。このプロセスにより、少なくとも、より堅牢な接合部140が設けられ、遠位光学系コンポーネントとファイバ及びレンズのアセンブリとの間の位置合せが改善される。
図2A、図2B及び図2Cは、光学プローブ100の別の実施形態の様々な図を示し、ここでは、スプライス及び位置合せの技術の欠点を取り除くために、スペーサ206が集束コンポーネント104の周りに一体形成され、導光コンポーネント102に結合される。具体的には、図2A、図2B及び図2Cに示される実施形態によれば、より効率的にファイバ‐遠位光学系アセンブリを形成するために、スペーサ206は、集束コンポーネント104(例えばGRINレンズ)の上にモールドされる。この実施形態では、2つの傾斜面(第1の傾斜面207及び第2の傾斜面209)を有するスペーサ206がGRINレンズの上に直接モールドされ、より堅牢な構造のファイバ‐遠位光学系アセンブリが得られる。一部の実施形態では、スペーサ206の一部は、透明な熱可塑性材料から射出成形されてもよいし、又はガラスから圧縮成形されてもよい。このプロセスにより、集束コンポーネント104に対する第1の導光コンポーネント102の接合が確保されるだけでなく、スペーサ206に対する集束コンポーネント104の接合が改善され、また、第1及び第2の傾斜面を形成するための製造ステップが削減される。より具体的には、既に接合されたファイバとGRINレンズの上にスペーサ206がモールドされるので、2つの傾斜面を研磨するプロセスを省略することができる。すなわち、スペーサ206は、集束コンポーネント104と第1の導光コンポーネント102の少なくとも一部の上にモールドされるので、スペーサ206は、ファイバ端とGRINレンズの間及びGRINレンズとスペーサの間の接続接合部を強化する。また、このプロセスにより、GRINレンズアセンブリをエポキシでスペーサに取り付けるステップが省略される。更に、ファイバ及びGRINレンズの上にスペーサ206をオーバーモールドすることにより、接合表面の位置合せ及び研磨のプロセスが改善される。
回折コンポーネント110の回折格子構造は、スペーサ206とともに(例えば微細構造インサートとともに)モールドすることができ、或いは、モールド部が形成された後に第2の傾斜面109上にスタンプすることもできる。例えば、ナノインプリントリソグラフィを用いて回折コンポーネント110を形成するために、米国特許第10261223号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるような回折構成を形成する方法を用いることができる。
図3A及び図3Bは、集束コンポーネント304とスペーサ306の両方が第1の導光コンポーネント102の上にモールドされる、更なる実施形態を示す。この実施形態では、光学スペーサ306は、集束光学系のための第1の表面307と、分散光学系のための第2の表面309とを有し、これらの全ては、ストリップ部分102bを有する光ファイバから成る導光コンポーネント102の上にモールドされた単一部品として形成される。集束効果を提供するために、集束光学系は、第1の導光コンポーネント102(例えばシングルモードファイバ)から発せられた発散光をコリメートしわずかに集束させるために、正の光パワーを提供する曲率でモールドされる。第1の導光コンポーネント102の遠位端を通して発せられた光は、全反射(TIR)によって、又は第1の表面307の湾曲上の反射コーティングによって、反射され得る。第2の表面309では、回折コンポーネント(例えば回折格子)は、スペーサ306とともにモールドすることができ、又は、スペーサ306がファイバの上にモールドされた後に製造することができる(例えばマイクロスタンピングを用いて)。この実施形態では、したがって、集束コンポーネントは、第1の導光コンポーネント102の遠位端に直接接して設けられない。
図4は、例示の前方視SEEプローブの照明部分の光路を示す。図4に示されるように、光ビーム450は、導光コンポーネント102の遠位端を通して発せられ、スペーサ306内で広がり、湾曲した反射表面408により、上方の傾斜面に向かって反射及び集束される。光は、第2の表面上に形成された回折コンポーネント410(回折格子要素)に入射する。回折コンポーネント410は、光ビーム450を照明線420へと分散させ、ここで、異なる波長の光が異なる空間位置に集束される。カラーイメージング用途では、異なる回折次数をもつ3つの光スペクトルのバンド(λR,λG,λB)が重なり合い、照明線420上で集束される。このプロセスの例は、例えば、Mitsuhiro Ikuta他による“Single-beam spectrally encoded color imaging”(Opt. Lett. 43, 2229-2232(2018))に記載されている。
図5A及び図5Bは、ドライブケーブル120の遠位端に直接形成されるが導光コンポーネント102とは接していないモールドSEE遠位光学系の更なる実施形態を示す。この実施形態では、光学スペーサ506は、第1の表面507及び第2の表面509を含む。図5Aに示される実施形態は、光学スペーサがメカニカルハウジング130(金属缶)の内側に直接モールドされるという点で、図1Aに示される実施形態と同様であるが、光学スペーサ506は、ファイバ及びGRINレンズのアセンブリから離れて所定の距離540をとって形成される。この場合も、回折格子は、微細構造インサートによってモールドすることができ、又は、後でスペーサ506の第2の表面(上方の傾斜面)上にスタンプすることができる。
図5Aに示される実施形態では、光学スペーサ506は、金属缶(メカニカルハウジング130)の内側にモールドされ、ドライブケーブル120の遠位端に取り付けられる。光学スペーサ506は、ドライブケーブル120から伝達されたトルクによって回転する一方、導光コンポーネント102及び集束コンポーネント104(ファイバ及びGRINレンズのアセンブリ)は静止したままである。固定されたファイバと回転する遠位光学系を有するこのタイプの内視鏡プローブの例は、Ikuta他に対する米国特許第10321810号(あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。図5Aは、光ファイバ‐GRINレンズアセンブリの光軸がプローブの回転軸から偏心している構成を示すが、GRINレンズアセンブリの光軸がプローブの機械軸と位置合せされるように、モールド光学スペーサ506は異なるサイズで作ることができる。或いは、GRINレンズが偏心位置で光学スペーサを照明する場合、メカニカルハウジング130及び/又はドライブケーブル120は、GRINレンズからの光が缶の偏心位置を照明するように、偏心穴を有するメカニカルスペーサを含むことができる。スペーサが大きく、GRINレンズが中心にある場合、GRINレンズ、又は缶の内側、或いはドライブケーブルの内側のいずれかには、GRINレンズがプローブの中空シャフトの中心に留まるように集束コンポーネント104を位置合せするためのメカニカルカラー(ファイバセンタリング機能)があってもよい。
図5Bは、光学スペーサ506がドライブケーブル120の遠位端の内側に直接モールドされる実施形態の別の例を示す。具体的には、図5Bに示されるように、光学スペーサ506は、ドライブケーブル120の遠位端で、ドライブケーブル120の内径の内側に少なくとも部分的にモールドされる。このように、光学スペーサ506はドライブケーブル120とともに回転することができ、一方、導光コンポーネント102及び集束コンポーネント(GRINレンズ)104は静止したままとすることができる。繰り返しになるが、非回転要素(導光コンポーネント102及び集束コンポーネント104)の位置合せを維持するために、ドライブケーブル120の内径の内側にメカニカルカラーを設けることができる。図5A又は図5Bに示される例のいずれかは、図4の実施形態に類似させることができ、その場合、オーバーモールド光学スペーサ506の反射表面は正の光パワーを有することができ、上方の傾斜表面は回折コンポーネントを有することができる。光学スペーサ506がプローブの遠位端内(缶又はドライブケーブルの内側)に直接モールドされるとともに、導光コンポーネントが静止したままであるこの構成の利点は、ファイバが遠位端で連続的に回転しないので、光ファイバ回転接合部が不要となることである。
図6A、図6B、図6C及び図6Dは、別個に作製されるオーバーモールドコンポーネントである回折コンポーネント(例えば回折格子)の様々な例を示す。図6Aと図6Bは、それぞれ、導光コンポーネント102の上にオーバーモールドされたスペーサ606の斜視図と断面図を示す。オーバーモールド光学スペーサ606は、その遠位端に第1の表面607及び第2の表面609を有する。ここで、回折コンポーネント610を形成するために、第2の表面609上に矩形の回折格子チップが設けられる。同様に、図6Cと図6Dは、それぞれ、導光コンポーネント102の上にオーバーモールドされたスペーサ606の斜視図と断面図を示す。オーバーモールド光学スペーサ606は、その遠位端に第1の表面607及び第2の表面609を有する。ここで、回折コンポーネント610を形成するために、第2の表面609上にひし形の回折格子チップが設けられる。
したがって、少なくとも1つの実施形態によれば、回折格子コンポーネントは、薄いガラスウェーハ上でエッチング(又は他の大量生産方法によって製造)してから、個々のチップにダイシングすることができ、個々のチップをモールドに挿入して、スペーサとともに一部品としてオーバーモールドすることができる。このプロセスにより、より堅牢なアセンブリが得られると同時に、製造コストを削減することができる。或いは、回折格子コンポーネントは、光学スペーサ606を形成するモールドプロセスの最終ステップとして追加することができる。具体的には、モールドプロセスの最終ステップとして、しかしスペーサ材料が固化する前に、前述の個々にダイシングされた回折格子チップを光学スペーサ606の材料に加えることができる。図6A〜図6Dに示されるように、回折格子コンポーネント610を光学スペーサ606に追加すること(遠位光学系アセンブリがモールドされている間、又はモールドされた後に)は、前述の実施形態のいずれかとともに実施されてよい。
背景技術で述べたように、本開示は、非常に小さな光学素子が、壊れやすく、取扱いが難しく、製造中や動作中に損傷を受けやすいことを認めている。高品質の画像を提供する能力を維持しながら、簡単に低コストで製造することができる、光ファイバベースのイメージングプローブが依然として必要である。しかしながら、特定の小型光学系は、製造が難しく、損傷を受けやすく、使い捨てにするには非常に高価である。前述の実施形態は、ドライブケーブルコンポーネント又はメカニカルハウジングコンポーネントの遠位端に単一の遠位光学系コンポーネントをオーバーモールドすることにより、光ファイバアセンブリ(例えばシングルモードファイバ、ファイバに取り付けられたGRINレンズ、光ファイバアセンブリとしてスペーサそしてファイバに取り付けられたGRINレンズ等)の端部の上に直接形成される新規の遠位光学系アセンブリ(例えば、スペーサ及びプリズム若しくは回折格子、並びに/又は集束光学系、並びに/又は分散光学系)を開示することにより、そのようなニーズの少なくとも一部に対処する。
図7は、OCTイメージングプローブ700の遠位光学系の例示の実施形態を示す。OCTプローブ700は、ドライブケーブル720の内側に配置された導光コンポーネント102(光ファイバ)と、メカニカルハウジング(又は缶)730の内側に配置されたモールドコンポーネント710とを含む。導光コンポーネント102は、ドライブケーブル720内に収められファイバセンタリングスペーサ703に囲まれた光ファイバである。単一モールドコンポーネント710は、光学スペーサ706、反射表面708、集束レンズ712及び引込み機能又はキャップ714を含み、これらは全て、単一モールドコンポーネント710として一体形成され、メカニカルハウジング730(金属缶)の内側に配置される。この実施形態では。この実施形態では、光学スペーサ706の近位端は、導光コンポーネント102(光ファイバ)の遠位端と直接接して配置される。この単一モールドコンポーネント710は、透明な熱可塑性材料から射出成形することができ、又は、光学グレードのガラス材料から圧縮成形することができる。導光コンポーネント102の遠位端を通して発せられた光ビーム750は、スペーサ706内で広がり、反射表面708によって反射され、光軸Oxから作動距離だけ離れた集束レンズ712によって集束される。このように、導光コンポーネント102を通過する光は反射表面708(ビーム指向表面)に入射し、光は、光軸に対して角度のある方向に向けられる。
OCTプローブ700は、そのプローブ光軸Oxの周りを矢印Rの方向に回転又は振動し、プローブ光軸Oxに実質的に平行な方向Lに沿って直線的に並進するように構成される。そのため、ドライブケーブル720と光学集束コンポーネントは、互いに対して固定されている。ドライブケーブル720は、光学集束コンポーネントに取り付けられたプローブの遠位端を回転させてOCT3Dスキャンを作成するために、その近位端にある図示されていないトルク駆動ユニットからその遠位端に、回転トルクを送達する。
光学イメージングプローブ700の遠位端には、引込み機能又はキャップ714がある。この引込み機能又はキャップ714は、好ましくは、非外傷性であり、血管等の管腔を通る光学プローブの安全な前進のための誘導表面を提供するように構成される。よって、安全なプローブの前進を促すために、メカニカルハウジング730の遠位端に半球状の引込み端が配置されてよい。引込み機能又はキャップ714は、例えば、光学集束コンポーネントの他の部分と一体形成(モールド)された丸い先端であってよい。引込み機能又はキャップ714は、血管壁への外傷を最小限にするために、柔らかく丸みを帯びた輪郭を有する。
この特定の実施形態では、導光コンポーネント102とドライブケーブル720の間に同心円状に配置されたファイバセンタリングスペーサ703も設けられる。センタリングスペーサ703は、ファイバの回転の軸に対する光軸の精密な位置決め及び位置合せを保証するために用いることができる。
光学集束コンポーネントは、保護及び位置決めのためのメカニカルハウジング又は缶730の内側に位置する。缶730は、光学集束コンポーネントを囲んでいる円筒管である。缶の近位端は、図示されていないトルク源から光ファイバ及び遠位光学系に回転運動を伝達する可撓性の巻線ドライブケーブル720に、しっかりと取り付けられている。一部の実施形態では、缶730は、ドライブケーブル720に溶接又ははんだ付けされることが好ましい。一部の実施形態では、光学集束コンポーネントの少なくとも1つの表面は、缶730の少なくとも1つの表面上に直接形成される。メカニカルハウジング730は、開口又は窓732を含み、それを通して光ビーム750がシース(図示なし)の外側に集束される。
図8は、OCTイメージングプローブ800の遠位光学系の更なる実施形態を示す。図8では、プローブ800は、可撓性のコイルベースのドライブケーブル820の内側に収められた導光コンポーネント102と、ドライブケーブル820の遠位端の内径内に少なくとも部分的に挿入されたモールド遠位光学系コンポーネント810とを含む。この実施形態では、ドライブケーブル820の遠位端にメカニカルハウジング(金属缶)は設けられない。更に、ファイバセンタリング機能803の少なくとも一部は、モールド集光コンポーネント810に組み込まれる。より具体的には、図8の実施形態では、モールド集光コンポーネント810は、センタリング機能803(センタリング部分)、光学スペーサ806、反射表面808、集束レンズ812及び引込み端又はキャップ814を含み、これらは全て、単一のコンポーネントとして一緒にモールドされ、ドライブケーブル820の遠位端に取り付けられる。モールド材料の一部をドライブケーブル820の内表面の少なくとも一部に直接押し込むことにより、ドライブケーブル820の遠位端と集光コンポーネント810との間に強力な結合が生成されて、プローブ全体の機械的全体性が保証される。光学スペーサ806、反射表面808、集束レンズ812及び引込み機能814の位置合せ精度を維持するために、追加のモールド機能(ガイド)を用いて、材料注入の前にモールドの中で光ファイバを中心に配置することができる。
モールド集光コンポーネントの形成は、図7及び図8に示される実施形態に限定されない。別の実施形態では、モールド材料がファイバ出口点を過熱するのを防ぐために、オーバーモールドの前に追加のガラススペーサを光ファイバの端にスプライスすることができる。更に別の実施形態では、モールド材料がファイバ出口点を過熱するのを防ぐとともに後方反射を最小限に抑えるために、遠位光学コンポーネントをオーバーモールドする前に、光ファイバの端にボールレンズを形成することができる。
図9は、本開示に係るオーバーモールド遠位光学系アセンブリを備えるOCTイメージングプローブ900の例示の実施形態を示す。OCTプローブ900は、可撓性の多層コイルドライブケーブル920と、ドライブケーブル920の内側に配置された導光コンポーネント102と、管状のメカニカルハウジング(又は缶)930の内側に少なくとも部分的に配置されたモールド遠位光学系コンポーネント910とを含む。導光コンポーネント102は、ドライブケーブル920内に収められ管状メカニカルハウジング(又は缶)930内まで延びる光ファイバである。導光コンポーネント102は、光ファイバと、光ファイバの遠位端に対して同軸上に直接貼り付けられた光学スペーサ902とから成る。遠位光学系コンポーネント910は、光学スペーサ902を固定して囲むように形成された接続部分916と、反射表面908(ビーム指向表面)と、集束レンズ912と、引込み機能(又は非外傷性キャップ)914とを含み、これらは全て、単一モールドコンポーネントとして一体形成される。この実施形態では、導光コンポーネント102の遠位端は、光学スペーサ902と直接接して(当接して)配置される。例えば、光学スペーサ902は、光ファイバの遠位端にメカニカルスプライス又は融着スプライスされたガラス円筒である。単一部品の遠位光学系コンポーネント910は、透明な熱可塑性材料から射出成形することができ、又は、光学グレードのガラス材料から圧縮成形することができる。本明細書に開示される実施形態に適用可能な熱可塑性材料の例としては、光学グレードのポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリカーボネート(PC)が挙げられ、ガラス材料の例としては、ホウケイ酸塩が挙げられる。
また、この特定の実施形態では、任意のロック又は位置合せ機能903が設けられ、これは、管状のメカニカルハウジング又は缶930の外表面の周りに形成される「V」字型のノッチである。プローブの外側にある「V」字型のノッチ又は溝のような機能により、モールド内で缶を精確に配置し、確実にロックすることが可能となる。管状のメカニカルハウジング(又は缶)930(又は少なくともその一部)は、プラチナやイリジウム等の放射線不透過性材料から作ることができる。したがって、管状のメカニカルハウジング930は、イメージング処置中に光学プローブの位置を識別及び/又は追跡するために用いられるマーカバンドとして機能することができる。
更に別の実施形態では、光ファイバの端は、後方反射を最小限に抑えるために、オーバーモールドする前に、光軸に垂直な角度以外の角度で切断及び/又は研磨されてもよい。更に別の実施形態では、光ファイバの端は、後方反射を最小限に抑えるために、オーバーモールドする前に、反射防止コーティングでコーティングされてもよい。遠位光学系コンポーネントは、ファイバ端の上に直接オーバーモールドされるので、その位置がより精確になり、プローブの製造が大量生産で安価になる。
前述の様々な実施形態では、単一コンポーネントとしてモールドされた遠位光学系コンポーネントは、使い捨てとすることができる。遠位光学系コンポーネントは、圧縮成形ガラス又は射出成形光学グレードプラスチックとすることができ、これは比較的安価に製造することができるので、遠位光学系コンポーネントを1回の使用後に廃棄することができ、従来の光学プローブ設計と比較して費用効果を高く維持することができる。特定の実施形態では、遠位光学系コンポーネントは滅菌可能であってよい。
背景技術で述べたように、本開示は、非常に小さな光学素子が、壊れやすく、製造と取扱いが難しく、製造中や動作中に損傷を受けやすいことを認めている。また、従来の光学イメージングプローブは、使い捨てにするには非常に高価である傾向がある。前述の実施形態は、ドライブケーブルコンポーネントの遠位端に単一の遠位光学系コンポーネントをオーバーモールドすることにより、ファイバ光学系アセンブリ(例えば、シングルモードファイバ、ファイバに取り付けられたGRINレンズ、光ファイバアセンブリとしてスペーサそしてファイバに取り付けられたGRINレンズ等)の端部の上に直接形成される新規の遠位光学系アセンブリ(例えば、スペーサ及びプリズム若しくは回折格子、並びに/又は集束光学系、並びに/又は分散光学系)を開示することにより、そのような問題の少なくとも一部に対処する。
オーバーモールド遠位光学系コンポーネントは、スペーサと、少なくとも1つの分散コンポーネントとを有する。オーバーモールド遠位光学系コンポーネントは、スペーサと、少なくとも1つのビーム指向表面とを有する。ビーム指向表面は、TIR表面であるか、又は反射コーティングでコーティングされた表面である。ビーム指向表面は、その表面上に微細構造回折格子等の分散コンポーネントを有する。
一部の実施形態では、遠位光学系コンポーネントは、ドライブケーブルに取り付けられたメカニカルハウジングの内側に(少なくとも部分的に)配置されるように、光ファイバアセンブリの端部の上に直接モールドされる。遠位光学系は、正の光パワーをもつ少なくとも1つのビーム指向表面を有する。
少なくとも1つの実施形態では、遠位光学系コンポーネントは、光ファイバアセンブリから分離して、ドライブケーブル上に形成される。遠位光学系は、少なくとも1つの分散コンポーネントを有する。分散コンポーネントは回折格子を含み、回折格子は、オーバーモールドコンポーネントとは別に作製され、モールドプロセスの後に遠位光学系コンポーネントアセンブリに追加される。
導光コンポーネント及び/又は集光コンポーネントの上に遠位光学系コンポーネントをオーバーモールドするプロセスは、(a)少なくとも1つのビーム指向表面を有する遠位光学系コンポーネントを形成するように適合されたモールドの中に、導光コンポーネントの遠位端を挿入及び位置決めするステップ、(b)溶融した光学的に透明な材料(熱可塑性又はガラス)をモールドに注入するステップ、(c)注入された材料が固化する時間を取るステップ、及び(d)モールドを開き、導光コンポーネントの遠位端に直接モールドされた遠位光学系コンポーネントとともに、導光コンポーネントの遠位端を除去するステップ、を含んでよい。前述のプロセスにより、図1B、図2B、図2C、図3A及び図3Bに示されるようなイメージングコアが形成されることになる。次に、イメージングコアは、保護用のメカニカル缶の有無に関わらず、ドライブケーブルの内側に組み立てることができる。しかしながら、他の実施形態では、遠位光学系コンポーネントは、図5A、図5B及び図7〜図9に示されるように、ガイドワイヤの管状シャフト及び/又はメカニカルハウジングの内側に直接モールドすることができる。
図10Aは、腔内イメージングのために光学プローブを用いるように構成された例示のイメージングシステムの実施形態を示す。図10Aに示されるイメージングシステム10は、光源11、参照アーム12、サンプルアーム13、ビームスプリッタ14及び1つ以上の検出器17を含む干渉OCTシステムである。光源11は光を発し、光源11は、例えば、コヒーレンス長の短い広帯域光源、スーパールミネッセント発光ダイオード(SLED)、波長可変光源、スーパーコンティニウム光源及び白色光源であってよい。ビームスプリッタ14は、光を分割し、光の一部を参照アーム12に向け、光の一部をサンプルアーム13に向ける。一部の実施形態では、OCTシステム10は、光を分割するための1つ以上のサーキュレータと、光を再結合するための1つ以上のビームカプラとを用いることができる。ビームスプリッタ14は、50:50(±設計者許容差)の分割比、又は必要に応じて他の任意の比を有する光ファイバビームスプリッタであってよい。
サンプルアーム13は、患者インタフェースユニット15及び光学イメージングデバイス19を含む。光学イメージングデバイス19は光学プローブ100を含み、これは、光ビームをサンプル16に向け、サンプル16によって反射又は散乱された光を検出する。次に、光学プローブ100は、反射又は散乱された光をビームスプリッタ14に送り返す。
参照アーム12は、従来の光学系及び光遅延線18を含むことができる。光遅延線18はミラーを含み、光遅延線18を通って進む光は、ミラーで反射され、ビームスプリッタ14に戻る。干渉計のサンプルアームと参照アームは、自由空間光通信、フォトニック集積回路、ファイバ光学系又はそれらの組合せから構成することができ、干渉計は、マイケルソン、マッハツェンダー、又は共通光路干渉計の設計等、様々なアーキテクチャをもつことができる。
サンプルアーム13からのサンプルビームと参照アーム12からの参照ビームは、ビームスプリッタ14によって再結合され、これにより、干渉縞をもつ再結合ビームが生成される(干渉縞は、参照アームとサンプルアームの光路長が同じときに生じる)。再結合ビームは、干渉縞の強度を電気信号に変換する1つ以上の検出器17(例えばフォトダイオード、光電子増倍管、リニアCCDアレイ、イメージセンサ、CCDアレイ、CMOSアレイ)によって検出される。コンピュータ20は、検出器17からの信号を受信して処理し、ディスプレイ30は、OCTシステム10によって取得された結果の画像及び/又はデータをユーザに提供する。
より具体的には、OCTシステム10は、タイミング及び制御のための信号コマンドを提供し、検出器17から受信された干渉データを画像又はボリュームデータに加工するために、1つ以上のプロセッサ(例えば1つ以上の中央処理装置又はCPU)及び関連回路を含むコンピュータ20によってコンピュータ制御される。具体的には、検出器17からの電気信号は、処理及び表示のためにコンピュータ20に伝達される。コンピュータ20は、CPUに加えて、例えば、OCTシステム10の画像処理及び信号伝達の一部又は全体を実行する、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックスプロセシングユニット(GPU)、システムオンチップ(SoC)、又はそれらの組合せのうち1つ以上を含んでよい。
図10Bは、OCTシステム10の様々な動作態様に適用可能なコンピュータ20の概略ブロック図を示す。そのために、コンピュータ20は、干渉縞及び/又は処理されたデータの画像を表示するためのディスプレイ30を含むか、又はディスプレイ30に動作可能に取り付けられている。コンピュータ20は、中央処理装置(CPU)21、記憶メモリ(RAM)22、ユーザ入出力(I/O)インタフェース23及びシステムインタフェース24を含み、これらは全てデータバス25を介して相互接続される。コンピュータ20は、ユーザインタフェース23を介してユーザ入力を受信すると、OCTシステム10の様々な部分に送信することのできるコマンドを発行するようにプログラムすることができる。ユーザインタフェース23の一部として、キーボード、マウス及び/又はディスプレイ30内のタッチパネルスクリーンを提供することができる。
CPU21は、記憶メモリ22に格納されたコンピュータ実行可能命令を読み取って実行するように構成されてよい。コンピュータ実行可能命令は、本明細書に記載の方法、測定及び/又は計算の実行のための命令を含んでよい。例えば、CPU21は、検出器17から信号を受信し、干渉光及び/又は干渉縞の強度を計算、測定又は決定することができる。
システムインタフェース24は、入出力デバイスに対する通信インタフェースを提供し、入出力デバイスは、キーボード、ディスプレイ、マウス、印刷デバイス、タッチスクリーン、ライトペン、光学記憶装置、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)を含んでよい。
例えばOCTプローブの遠位端に配置された光学イメージングデバイス19は、通常、プローブ光ファイバとの間で出入りする光を成形及び方向付けするとともに、プローブの機械的完全性を維持するように設計された、複数のコンポーネントから構成される。光学イメージングデバイス19に適用可能な光学プローブ100の例としては、図7に示されるプローブ700、図8に示されるプローブ800、又は図9に示されるプローブ900のうちのいずれかが挙げられる。
ただし、本開示に記載の光学イメージングデバイス19及び光学プローブ100は、OCTシステムに適用可能なものに限定されない。光学イメージングデバイス19は、例えば、カテーテル又は内視鏡であってよい。光学イメージングデバイス19が内視鏡である場合、イメージングシステムは干渉計を用いない。
図10Cは、図1A〜図6Dに示される実施形態のいずれかに開示されるようなSEEプローブを用いて体腔をイメージングするための例示のSEEシステム50を示す。この場合、SEMシステム50によって腔内画像を取得するために、マイクロプロセッサ94は、図示されていないサンプルを照明するための広帯域スペクトルの光を出力するように光源5を制御するように構成される。光は、光学システム92によって光ファイバ回転継手(FORJ93)に誘導され、又は別の方法で伝達される。その後、光は、光ファイバ(導光コンポーネント102)を介して、SEEプローブ100の遠位光学系コンポーネン906に送達される。導光コンポーネント102は、プローブ100の近位端から遠位端まで延びるドライブケーブル120の内側に配置される。遠位光学系コンポーネント906は、導光コンポーネント102の光軸と位置合せされたビーム指向表面を有し、遠位光学系コンポーネント906の少なくとも1つの表面は、導光コンポーネント102の遠位端及び/又はドライブケーブル120の遠位端に直接結合される。導光コンポーネント906を通して伝送される光ビームは、遠位光学系コンポーネント906のビーム指向表面によって方向付けられ、成形される。前述されたように、SEEプローブでは、光は分散されて、スペクトル符号化線56を形成する。
物体又はサンプル(図示なし)に形成された分散線56から散乱して戻された光は、検出ファイバ59によって収集し、分光計95に誘導することができる。検出器/分光計95はラインセンサであってよく、又はラインセンサを含んでよく、或いは、光検出器等の単純な光強度検出器を含むことができる。線を機械的にスキャンすることにより、物体の2次元画像を取得することが可能である。検出ファイバ59は、回転不能なインナーシース125とアウターシース58との間に配置することができる。プローブ100の遠位端は、透明な窓57を有してよい。FORJ93内に含まれる機械的走査ユニットを用いて、回転方向RでSEEプローブ100を機械的に走査することにより、物体の2次元画像を取得することが可能である。機械的スキャンは、例えば、ガルバノスキャナ、又は、ドライブケーブル120とともにそこに収められている導光コンポーネント102及び遠位光学系906を回転させるモータによって、実行することができる。
図10Cに関して記載及び図示されるSEEシステム50は、プローブ100の軸に沿って広帯域光を回折し、前方視を容易にすることができる。プローブの回転は、特に、血管等の管腔の2次元正面画像を取得するのに役立つ。一部の用途では、プローブ100は、例えば前後に±約360度、又は前後に±約180度、前後に90度又は270度、振動するように回転する必要がある場合がある。
ファイバ接合部(FORJ93)のひとつの機能は、照明ファイバ102及び遠位光学系906を含むSEEプローブ100を取外し可能にすることである。この例示の機能により、プローブ100は使い捨てにすることができ、よって、イメージング動作が実行されるたびに、ヒトの「インビボ」使用のための滅菌プローブを提供することができる。プローブ100が使い捨てプローブである実施形態では、ファイバ102及び/又は検出ファイバ59は取外し可能であってよい。この例示の機能により、プローブ100は、人体であり得る対象を治療する際に衛生プローブが使用されることを確実にするために、使い捨てにすることができる。図10Cに示されるマイクロプロセッサ94は、図10Bに示されるコンピュータ20と同じ構造をもち、実質的に類似する機能をもつ。
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、開示された例示の実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、構成要素及び回路は、詳細には説明されない。本明細書において別段の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の広さは、本明細書によって限定されるのではなく、むしろ、採用される特許請求の範囲の用語の平易な意味によってのみ限定される。