JP2022500347A - 認知能又は認知機能を改善するためのウロリチンa及びbの相乗的組み合わせ - Google Patents

認知能又は認知機能を改善するためのウロリチンa及びbの相乗的組み合わせ Download PDF

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Abstract

特定の有効比で、任意選択により栄養補助又は医薬組成物中で、ウロリチンA(3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−アルファ−ピロン)及びウロリチンB(3−ヒドロキシ−ジベンゾ−アルファ−ピロン)の相乗的組み合わせが提供される。本組成物は、認知機能又は認知能(向知性活性)を向上させることを含め、認知欠損を処置する際の使用のためである。本組成物は、不安症又はアルツハイマー病などのヒト対象における認知症関連障害を処置又は予防する際の使用のため及びアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の阻害のためである。【選択図】なし

Description

本願は、本明細書中で参照により本明細書によって組み込まれる2018年2月19日提出のインド特許仮出願第201841006173号明細書に対する優先権を主張する。
特定の有効比のウロリチンA(3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−アルファ−ピロン)及びウロリチンB(3−ヒドロキシ−ジベンゾ−アルファ−ピロン)の相乗的組み合わせが提供される。本発明は、ウロリチンA及びウロリチンBを組み合わせて使用したアルツハイマー病の症状の改善に関する。本発明は、この組み合わせを使用して認知能又は認知機能を改善する方法にも関する。
アルツハイマー病(AD)は、記憶及び認知機能低下に関連する認知症の最も一般的な形態であると考えられる。ADは、認知症の症状が数年にわたり徐々に悪化する進行性の神経変性障害である。
ADの生化学的特徴としては、アミロイド−ベータ(Aβ)ペプチドオリゴマー及び可溶性高リン酸化型タウタンパク質の蓄積が挙げられる。ADには、最終ステージのAD患者における、不安定ニューロンにおけるコリン作動性マーカーの喪失及び前脳基底部皮質コリン作動性ニューロンの変性も付随する。記憶消失及び認識機能障害は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性の変化と強く関連する。さらに、AChEは、強力なアミロイド促進因子としてアミロイド−β−結合タンパク質を結合させることにより細線維化速度を向上させ得る。従って、コリン作動仮説はADに対する臨床的に有効な治療薬の開発につながった。ミトコンドリアの機能不全も認知機能低下の要因である。
この疾患を処置するための承認薬は数種類あるが、有効な医薬品に対する直接的なニーズが今もなお存在する。
3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(ウロリチンAとしても知られる)及び3−ヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(ウロリチンBとしても知られる)は、堆積岩からの腐植質浸出液由来であるシラジット中に存在する生理活性化合物である。新しい研究から、これらの分子は、動物のGI管中のマイクロバイオームにより産生されるエラジタンニンの代謝産物でもあることが示されている。認知機能を改善するか又は認知能を向上させるか又はさらに認知欠損を処置するために1つ以上のウロリチンを有利に使用するための方法が発見され得るならば、栄養学又は薬学分野に対する価値ある貢献となろう。
本明細書中でこれらの化合物の認知促進効果に対して行われたいくつかの実験が記載され、驚くべきことに、特定の比での3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン及び3−ヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロンの組み合わせが抗アセチルコリンエステラーゼ活性に対して相乗効果を有することが発見されたが、これは次に認知能(向知性活性)及び/又は認知機能の改善につながる。
一実施形態では、本発明は、ウロリチンA及びウロリチンBを含み、ウロリチンBとウロリチンAとのwt./wt.比が約0.2:1〜約0.6:1である組成物を記載する。医薬又は栄養補助組成物は、許容可能な担体又は賦形剤を含むことにより調製され得る。
一実施形態では、本医薬組成物は、ヒト対象における、認知症関連障害、例えばストレス誘発性認知症などを処置又は予防するための方法での使用のためである。
認知症関連障害としては、不安症又はうつ病性障害、アルツハイマー病又は加齢ゆえの他の認知障害が挙げられ得るが限定されない。本組成物は、アセチルコリンエステラーゼ活性の阻害に対して約0.05μg/ml〜約0.06μg/mlの阻害濃度(IC50)を有する。
図1は、シラジット50mg/kg、ウロリチンB50mg/kg及びウロリチンA50mg/kgでの21日間の処置後の呼吸調節率(皮質の脳ミトコンドリアにおけるRCR)を示す。バーは群平均±SEM(各群n=5)を表す。 図2は、若齢及び高齢マウスにおけるシラジット50mg/kg、ウロリチンB50mg/kg及びウロリチンA50mg/kgでの21日間の処置後の脳ミトコンドリアの皮質部分におけるミトコンドリア呼吸の異なるstateを表す典型的な棒グラフを示す。バーは群平均±SEM(各群n=5)を表す。 図3は、試行1での好奇心行動におけるスコポラミン(Sc)誘導性変化の効果を表す棒グラフを示す。値は全て平均±SEMである。 図4は、試行2での好奇心行動におけるスコポラミン誘導性変化の効果を表す棒グラフを示す。値は全て平均±SEMである。 図5は、新規環境に対する対処行動を表す棒グラフを示す。値は全て平均±SEMである。ラットにおける対処行動は、試行2中の装置の新規アーム滞在時間のパーセンテージに関して示される。 図6は、アーム弁別の変化を判定するためのY迷路における既知アーム進入数(%)対新規アーム進入数(%)を表す棒グラフを示す(空間認識記憶)。値は全て平均±SEMである。 図7は、標準的方法(Ellman,G.L.,et al.,“A new and rapid colorimetric determination of acetylcholinesterase activity,”Biochemical Pharmacology(1961)7:88−95)に従い行ったアセチルコリンエステラーゼ(「AChE」)酵素阻害アッセイを表す棒グラフを示し、対照に対してシラジット(S)、ウロリチンB(B)及びウロリチンA(A)を試験し、ドネペジル(D)と比較した。値は平均±SEMである。 図8は、図7のように行ったアセチルコリンエステラーゼ(「AChE」)酵素阻害アッセイを表す棒グラフを示す。 図9Aは、ThT蛍光強度により定量される、固定濃度アミロイドベータ(10μM)との、それぞれ化合物B、A及びSとして示される試験化合物3(OH)−DBP(ウロリチンB:B)、3,8(OH)−DBP(ウロリチンA:A)及びシラジットの異なる化学量論的組み合わせによる、Aβ40凝集体の阻害を例示する棒グラフを示し、ある時点(48h)に対する485nmでの相対蛍光単位として表す。ドネペジル(D)を参照標準物として使用した。値は全て平均±SEMである。 図9Bは、ThT蛍光強度により定量される、固定濃度アミロイドベータ(30μM)との、それぞれ化合物B、A及びSとして示される試験化合物3(OH)−DBP(ウロリチンB:B)、3,8(OH)−DBP(ウロリチンA:A)及びシラジットの異なる化学量論的組み合わせによる、Aβ40凝集体の阻害を例示する棒グラフを示し、ある時点(48h)に対する485nmでの相対蛍光単位として表す。ドネペジル(D)を参照標準物として使用した。値は全て平均±SEMである。 図10は、図7のように行ったヒト組み換えアセチルコリンエステラーゼ(「AChE」)酵素阻害アッセイを表す棒グラフを示す。 図11は、Amplex Redキット法を使用して行ったヒト組み換えアセチルコリンエステラーゼ(「AChE」)酵素阻害アッセイを表す棒グラフを示す。 図12Aは、ThT蛍光強度により定量される、固定濃度アミロイドベータ(10μM)との、それぞれ化合物B、A及びSとして示される試験化合物3(OH)−DBP(ウロリチンB:B)、3,8(OH)−DBP(ウロリチンA:A)及びシラジットの異なる化学量論的組み合わせによる、ヒト組み換えAchEを使用したAβ40凝集体の阻害を例示する棒グラフを示し、ある時点(48h)に対する485nmでの相対蛍光単位として表す。ドネペジル(D)を参照標準物として使用した。値は全て平均±SEMである。 図12Bは、ThT蛍光強度により定量される、固定濃度アミロイドベータ(30μM)との、それぞれ化合物B、A及びSとして示される試験化合物3(OH)−DBP(ウロリチンB:B)、3,8(OH)−DBP(ウロリチンA:A)及びシラジットの異なる化学量論的組み合わせによる、ヒト組み換えAChEを使用したAβ40凝集体の阻害を例示する棒グラフを示し、ある時点(48h)に対する485nmでの相対蛍光単位として表す。ドネペジル(D)を参照標準物として使用した。値は全て平均±SEMである。 図13は、8日間にわたりDBPs、即ち3(OH)−DBP(ウロリチンB :B)、3,8(OH)−DBP(ウロリチンA:A)及びそれらの組み合わせの相乗効果を試験する、スコポラミン誘導性健忘ラットモデルの実験設計を示す。 図14Aは、スコポラミン誘導性健忘ラットモデル試験の試行1中の総アーム進入のスコポラミン(Sc)誘導性変化に対する、DBP’s、即ち3(OH)−DBP(ウロリチンB:B)、3,8(OH)−DBP(ウロリチンA:A)及びそれらの組み合わせの効果を示す。値は全て平均±SEMである。 図14Bは、図14Aのように行った試験の試行2を示す。 図14Cは、スコポラミン誘導性健忘ラットモデル試験の試行2における、新規環境に対する対処行動のスコポラミン誘導性変化に対する、DBP’s、即ち3(OH)−DBP(ウロリチンB:B)、3,8(OH)−DBP(ウロリチンA:A)及びそれらの組み合わせの効果を示す。値は全て平均±SEMである。 図14Dは、アーム弁別(空間認識記憶)の変化を判定するための、スコポラミン誘導性健忘ラットモデル試験のY迷路タスクにおける既知アーム進入(%)対新規アーム進入(%)のスコポラミン誘導性変化の効果を示す。値は全て平均±SEMである。 図15は、受動的回避試験におけるスコポラミン誘導性記憶障害の効果を示す。値は全て平均±SEMである。 図16は、Amplex Redアッセイキット法を使用した、海馬(HIP)組織におけるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性のスコポラミン誘導性変化の効果を示す。値は全て平均±SEMである。 図17は、Amplex Redアッセイキット法を使用した、HIP組織におけるアセチルコリン(ACh)レベルのスコポラミン誘導性変化の効果を示す。値は全て平均±SEMである。
一態様では、本発明は、認知症関連状態、うつ及び/又は不安障害などの認知障害を処置するか、軽減するか又は予防することにおけるシラジット及びその化学構成物の有用性を明らかにする。
シラジットは、海洋有機物及び微生物代謝産物と混合される岩石層により圧縮された岩石腐植質、岩石鉱物及び有機物質から構成される。これは、黒色の塊として1000〜5000メートルの範囲のより高い高度のヒマラヤの岩石から漏出し、3500B.Cに遡る伝統的なインドの医学体系であるアーユルベーダでマハラサ(maharasa)(超活力剤)とみなさている。シラジットは、ジベンゾ−α−ピロン(「DBPs」)及びジベンゾ−α−ピロン色素タンパク質とともに主要構成成分としてフルボ酸を含有する。
シラジットの2つの主要なDBP構成成分は、3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−アルファ−ピロン(a.k.a.「ウロリチンA」又は或いは「3,8−(OH)−DBP」)及び3−ヒドロキシ−ジベンゾ−アルファ−ピロン(別名「ウロリチンB」又は或いは「3−(OH)−DBP」)である。ウロリチンA及びウロリチンBは両方ともNatreon,Inc.(New Brunswick,New Jersey,USA)から入手可能である。
シラジット由来のフルボ酸複合体は、フルボ酸(「FA」)とともに、コア核としての、還元形態並びに酸化形態の両方の、含酸素ジベンゾ−アルファ−ピロン(DBPs)と、部分的な構造単位としてのアシル化DBPs及び脂質と、を含む天然の低及び中分子量化合物の集合体である。堆積起源由来のフルボ酸複合物質はDBPsを欠き;代わりに堆積フルボ酸のコア核は安息香酸から構成される。
従って、シラジットの活性構成成分は、ジベンゾ−アルファ−ピロン及び関連代謝産物、小ペプチド(非タンパク質アミノ酸を構成)、いくつかの脂質及び担体分子(フルボ酸)を含有する。全て本明細書中で参照により本明細書によって組み込まれる、Ghosal,S.,et al.,“Shilajit Part 1−Chemical constituents,”J.Pharm.Sci.(1976)65:772−3;Ghosal,S.,et al.,“Shilajit Part 7−Chemistry of Shilajit,an immunomodulatory ayurvedic rasayana,”Pure Appl.Chem.(IUPAC)(1990)62:1285−8;Ghosal,S.,et al.,“The core structure of Shilajit humus,”Soil Biol.Biochem.(1992)23:673−80;及び米国特許第6,440,436号明細書及び同第6,869,612号明細書(及びそこで引用される参考文献)を参照。
シラジット(例えばPrimaVie(登録商標))は、多様な臨床条件に対して、アーユルベーダにおいて広範囲にわたり用途がある。数世紀にわたり、ヒマラヤ及び隣接地域の孤立した村に住む人々は、糖尿病を伴う問題を予防し、それに対抗するために、シラジットを単独で、又は他の植物療法と組み合わせて使用してきた(Tiwari,V.P.,et al.,“An interpretation of Ayurvedica findings on Shilajit,”J.Res.Indigenous Med.(1973)8:57)。これは、抗酸化剤であることに加えて、細胞毒性酸素ラジカルにより誘発される膵島細胞に対する損傷を防ぐ(Bhattacharya S.K.,“Shilajit attenuates streptozotocin induced diabetes mellitus and decrease in pancreatic islet superoxide dismutase activity in rats,”Phytother.Res.(1995)9:41−4;Bhattacharya S.K.,“Effects of Shilajit on biogenic free radicals,”Phytother.Res.(1995)9:56−9;及びGhosal,S.,et al.,“Interaction of Shilajit with biogenic free radicals,”Indian J.Chem.(1995)34B:596−602)。糖尿病中のグルコース、脂肪及びタンパク質代謝の撹乱の結果、高脂血症が起こることが提示されている。ある試験において、シラジットは、ラットにおける脂質プロファイルでの顕著な有益効果を生み出した(Trivedi N.A.,et al.,“Effect of Shilajit on blood glucose and lipid profile in alloxan−induced diabetic rats,”Indian J.Pharmacol.(2004)36(6):373−376)。
論じられるように、シラジットは、様々な病気を処置するために使用されてきた。これは、機能促進剤としても推奨される。フルボ酸(FA)は、植物の生体系において、動物並びにヒトにおいて、多くの重要な役割を引き出すことが報告されており、これには、(a)鉱物及び栄養素のバイオアベイラビリティの改善、(b)電解質として作用すること、(c)重金属を含む毒性物質の解毒、(d)抗酸化剤として機能すること、及び(e)免疫機能の改善が含まれる。さらに、ジベンゾ−α−ピロンは、ミトコンドリア内部の電子伝達に関与すると仮定されており、従ってより多くのATPの産生を促進し、エネルギー増加につながる。
一態様では、本発明は、様々な認知欠損又は認知能若しくは機能の低下が起こっているヒト個体を処置することにおける、3−ヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(3−OH−DBP)、3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(3,8−(OH)−DBP)又はそれらの組み合わせの有用性を明らかにする。
3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(ウロリチンA)、3−ヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(ウロリチンB)及びシラジットのアンチエイジング効果を評価するために、次の試験を行った:
試験1:若齢及び高齢マウスにおけるミトコンドリアの生体エネルギー特性及び機能に対する実験薬の効果;
試験2:ラットにおけるスコポラミン誘発性認知症に対する実験薬の効果;
試験3:インビトロでのアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性に対する、3,8−ジヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(ウロリチンA)及び3−ヒドロキシ−ジベンゾ−α−ピロン(ウロリチンB)及び異なる比でのそれらの組み合わせの効果。
実施例1(試験1)
1.試験1の目的:若齢及び高齢マウスにおいてミトコンドリアの生体エネルギー特性及び機能に対して実験薬を試験すること。
1.1.この試験の実験設計を表1で示す。
Figure 2022500347
2.材料及び方法
2.1.化学物質
シラジット、ウロリチンB及びウロリチンAはNatreon,Inc.(New Brunswick,New Jersey,USA)により提供された。マンニトール、スクロース、ウシ血清アルブミン(BSA)は、HiMedia Pvt Ltd.(Mumbai,India)から入手可能である。EGTA、HEPESカリウム塩、リン酸カリウム一塩基性無水物(KHPO4)、MgCl、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、ADP、コハク酸塩、オリゴマイシン、カルボニルシアン化物4−(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)及びロテノンはSigma−Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)から調達した。
3.ミトコンドリアの生体エネルギー特性の評価
3.1.ミトコンドリアの単離
以前に記載の方法(Berman,S.B.,Hastings,T.G.,“Dopamine oxidation alters mitochondrial respiration and induces permeability transition in brain mitochondria.”J.Neurochem.(1999)73:1127−1137)に従い、一部僅かに改変して(Samaiya,P.K.,Krishnamurthy,S.,“Characterization of mitochondrial bioenergetics in neonatal anoxic model of rats.”J.Bioenerg.Biomembr.(2015)47:217−222)、標準的な分画遠心法によりマウス脳の皮質からのミトコンドリアの単離を行った。簡潔に述べると、脳を切開し、単離緩衝液(100ml蒸留水中、215mMマンニトール、75mMスクロース、0.1%w/vウシ血清アルブミン、20mM HEPES緩衝液及び1mM EGTAからなり、KOHでpHを7.2に調整)中でホモジナイズし、最初に1300gで3分間遠心分離した。上清をS1として保管し、S2を回収するためにペレットを再び上記のように遠心分離した。次にS1及びS2を混合し、次いで各上清の上にEGTA入りの単離緩衝液を置き、4℃にて14,000xgで10分間遠心分離して、より堅いミトコンドリアのペレットを得た。次に、EGTAなしの単離緩衝液中でペレットを懸濁することによって洗浄段階を行い、14,000xgで10分間再び遠心分離して、ペレットからEGTAを除去した。マイクロプレートリーダー(Biotek,USA)を用いて、ミトコンドリアタンパク質を熱量測定により推定した(Lowry,O.H.,et al.,“Protein measurement with the Folin phenol reagent.”J.Biol.Chem.(1951)193:265−275)。
3.2.ミトコンドリアの機能の測定
37℃で密封サーモスタット制御チャンバーにおいて小型のClark型電極を用いて以前に記載のように(Samaiya and Krishnamurthy,2015)ミトコンドリアの呼吸を評価した(Hansatech,Norfolk,U.K.)。簡潔に述べると、ミトコンドリアをチャンバーに添加し、適切な基質及び阻害剤によって呼吸状態を評価した。250μLの最終体積で、呼吸緩衝液中で精製ミトコンドリアタンパク質を懸濁した。基底呼吸数でのピルビン酸塩/リンゴ酸塩(P/M)の添加によって、State II呼吸が開始された。ADPの添加によって、State III呼吸が開始され;酸素利用が高レベルであることは、ADPがATPに変換されていることを示す。オリゴマイシンの添加によってState IVを測定した。ATPシンターゼが遮断され、マトリクスに戻ることが可能な電子がないので、呼吸は基底速度に戻る。電子伝達系(ETC)は、マトリクスへ戻る陽子の喪失により、ミトコンドリア膜電位を維持することのみ継続する。FCCPの添加によってState Vを測定した。これは呼吸の最大速度を表し、それによりATP合成に対するETCの脱共役が起こり、陽子がマトリクスに駆け戻ることが可能になる。次に、複合体I−推進呼吸を遮断するためにロテノンを添加した。コハク酸塩の添加によりState V(コハク酸塩)を決定した。FCCPが系に存在するので、これは複合体IIを介した呼吸の最大速度である。State III呼吸(ADPの存在)に対する単離ミトコンドリアの応答の勾配をState rIV呼吸(1lMオリゴマイシンあり、ADPなし)に対する応答の勾配で除することによって、呼吸調節率(RCR)を計算した(Samaiya and Krishnamurthy,2015)。
4.結果及び考察
A.若齢及び高齢マウスにおけるミトコンドリアの生体エネルギー特性(RCR)に対するシラジット、ウロリチンB及びウロリチンAの効果を図1で示す。二元配置ANOVAによる統計学的分析から、群内(行因子)[F(3,32)=13.16,P<0.05]及び群間(列因子)[F(1,32)=212.20,P<0.05]のRCRにおいて有意差があったことが明らかになった。ボンフェローニ事後検定から、年齢によるRCRの有意な低下があったことが示された。高齢ラットのRCRは、より若齢のラットと比較してより低かった。このことから、高齢ラットではミトコンドリアの生体エネルギー特性において顕著な支障があることが示される。シラジット、ウロリチンB及びウロリチンA(50mg/kg)によって、高齢マウスにおいてRCRが有意に上昇し、これにより、これらの化合物が高齢ラットにおいてミトコンドリア生体エネルギー特性の混乱を改善し得ることが示された。さらに、処置した若齢ラットの間でもRCRの有意な上昇があり、このことから、加齢に関連する障害において、それぞれ、栄養補助食品として、及びまた薬物としても、これらの化合物を使用し得ることが示されたが;21日の処置中に若齢及び高齢マウスの両方においてミトコンドリアの機能が改善された。
B.若齢及び高齢マウスにおけるミトコンドリア呼吸の異なるstateに対するシラジット、ウロリチンB及びウロリチンA(50mg/kg)の効果を図2で示す。二元配置ANOVAから、群内(行因子)[F(4,80)=7.5,P<0.05]及び群間(列因子)[F(4,28)=335,P<0.05]の異なるstateで有意差があったことが明らかになった。ボンフェローニ事後分析から、シラジット、ウロリチンB及びウロリチンA(50mg/kg)が、21日間の処置中、それらの個々の群で正常対照マウスと比較して、全てのstateにおいてミトコンドリア呼吸を有意に上昇させたことが明らかになった。
加齢は体細胞構成成分への未修復損傷の蓄積によるものである可能性がより高い。酸化的リン酸化の正常な過程中に産生されるフリーラジカルは、細胞損傷の主要な起源であることが提起されており、加齢のフリーラジカル理論が最初に提案されたのは50年以上前であった(Harman,D.,“Ageing:a theory based on free radical and radiation chemistry,”J.Gerontol.(1956)11:298−300)。加齢のミトコンドリア理論(Harman,D.,“The biologic clock:the mitochondria?”J.Am.Geriatr.Soc.(1972)20:145−147)は、細胞におけるROS産生の殆どがミトコンドリア由来であったことを報告した試験に従い提起された(Chance,B.,et al.,“Hydroperoxide metabolism in mammalian organs,”Physiol.Rev.(1979)59:527−605)。本明細書中に記載の例では、10〜15gm体重の若齢(6〜8週)マウス及び20〜25gm体重の高齢(18〜20か月)マウスにおける50mg/kgの用量での21日間の治療スケジュール中、次の薬物のミトコンドリア機能に関して抗老化効果を評価した。続いて、state IV呼吸数でstate IIIを除することによって呼吸調節率(RCR)を計算した。(Gilmer,L.K.,et al.,“Age−related changes in mitochondrial respiration and oxidative damage in the cerebral cortex of the Fischer 344 rat,”Mech.Ageing Dev.(2010)131:133−143)。21日間の実験スケジュールにおいて、50mg/kgの用量のシラジット、ウロリチンB及びウロリチンAが、ミトコンドリアの複合酵素活性、ミトコンドリア呼吸数を改善し、若齢マウスで老化を遅らせ、高齢マウスで老化速度を低下させたことが分かった。
state II呼吸は、ミトコンドリアの電子伝達系(ETC)を刺激するための基質ピルビン酸塩/リンゴ酸塩の消費を示し、若齢対照マウスと比較した場合、50mg/kgの用量でシラジット、ウロリチンB及びウロリチンAで処置した若齢マウスで呼吸数の有意な増加が観察された。呼吸数は、高齢対照マウスと比較した場合、50mg/kgの用量でシラジット、ウロリチンB及びウロリチンAで処置した高齢マウスにおいて増加したことも分かる。一方で、呼吸数の増加は、この3種類全ての化合物で処置した高齢マウスにおいて、同じもので処置した若齢マウスよりも顕著である。単離ミトコンドリアにおけるState IIIは、高い外部(ミトコンドリア外)ADP、低い外部ATP/ADP比及び高い(Ca2+なしで単離ミトコンドリアで最大)酸素消費及びATP合成を伴う状態である(Chance B.,Williams G.R.,“Respiratory enzymes in oxidative phosphorylation I.Kinetics of oxygen utilization,”Journal of Biological Chemistry.(1955)Nov 1;217(1):383−94;及びChance B.,Williams G.R.,“The respiratory chain and oxidative phosphorylation,”Adv.Enzymol.(1956)17:65−134)。State III呼吸はADPの添加により開始された。この試験において、state III呼吸はstate IIと同じであることも分かった。一方で、state IVは、非常に高いATP/ADP比、非常に低いADP、ATP合成なし及びプロトン漏出に排他的に対応する酸素消費を伴う状態として定義される(Groen,A.R.,et al.,“Quantification of the contribution of various steps to the Control of mitochondrial respiration,”J.Biol.Chem.(1982)257:2754−2757;Hafner,R.P.,et al.,“Analysis of the Control of respiration rate,phosphorylation rate,proton leak rate and proton motive force in isolated mitochondria using the ‘top−down’ approach of metabolic control theory,”Eur.J.Biochem.(1990)188:313−319;Schild,L.,Gellerich F.N.,”Effect of the extramitochondrial adenine nucleotide pool size on oxidative phosphorylation in isolated rat liver mitochondria,”Eur.J.Biochem.(1988)252:508−512;及びWanders,R.J.A.,et al.,“Factors determining the relative contribution of the adenine−nucleotide translocator and the ADP−regenerating system to the control of oxidative phosphorylation in isolated rat−liver mitochondria,”Eur.J.Biochem.(1984)142:417−424)。若齢及び高齢群マウスの両方でオリゴマイシン(ATP−シンターゼ阻害剤)を使用することによって、state IV呼吸の増加が見られたが;この呼吸数増加効果は、若齢マウスよりも高齢マウスで顕著である。さらに、50mg/kgの用量のシラジットはstate IV呼吸でも顕著な効果を示す。state IV呼吸の増加は、より多くのプロトンをマトリクスに漏出させるミトコンドリア内膜の損傷によるものであり得る。この結果、ATP産生と共役させるために必要とされる最大プロトン勾配の喪失が起こる。基礎代謝量を維持することに対して、State IV呼吸がATP産生を伴うプロトン輸送力の共役度を示すので、酸素利用の増加はATP産生に対するETCの脱共役を示す。(Samaiya and Krishnamurthy,2015を参照)。穏やかな脱共役剤FCCPの続く添加により(state V)、酸化的リン酸化からETCが脱離する。これは、プロトン勾配消失を回復させるためのその試みにおけるETCの最大呼吸能を決定する(Benz,R.,McLaughlin,S.,“The molecular mechanism of action of the proton ionophore FCCP(carbonylcyanideptrifluoromethoxyphenylhydrazone),”Biophys.J.(1983)41:381−398)。ミトコンドリアは、複合体Iの機能喪失により、この影響を克服し、呼吸を維持することができなかったので、state V(複合体I)での呼吸数が、シラジット、ウロリチンB及びウロリチンAで処置した若齢マウスにおいて増加したことが顕著に見られた。しかし、ウロリチンBは、おそらくstate V(複合体I)に対する脱共役剤としてのその作用により、この状態で効果が小さかった。高齢マウスにおいて、3つの薬物全てが呼吸数の増加を示す。複合体I推進呼吸を阻止するための競合的阻害剤として作用するロテノンの添加後、複合体II推進呼吸が加齢により影響を受けるか否かを判定するために、コハク酸塩を添加した。高齢群マウスで複合体II state V呼吸の顕著な喪失が観察されたが、若齢マウスでは観察されなかった。この結果から、加齢マウスに対する複合体IIの感受性が示される。RCRはstate IIIとstate IV呼吸との比であり、ミトコンドリアの完全性の目安である(Gilmer L.K.,et al.,2010)。若齢及び高齢実験マウスの両方において、50gm/kgの用量で3種類全ての薬物でRCRの有意な上昇が見られた。上記の結果から、実験薬が若齢及び高齢マウスの両方において生体エネルギー特性の改善を示したと結論付け得る。
5.結論
本試験に基づき、マウスにおける50mg/kg体重の用量のシラジット、ウロリチンB及びウロリチンAは、若齢及び高齢マウスの両方でミトコンドリアの生体エネルギー特性及び機能を改善した。
実施例2(試験2)
1.試験2の目的:ラットにおけるスコポラミン誘導性認知症に対する実験薬の効果を評価すること。
2.方法
2.1.薬物。実験薬:3−OH−DBP(ウロリチンB)、3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA)及びシラジットはNatreon,Inc.(New Brunswick,New Jersey,USA)から調達した。
2.2.動物対象。Central Animal House,Institute of Medical Sciences(IMS),Banaras Hindu University(BHU),Varanasi,Uttar Pradesh,Indiaから、近交系Charles Foster雄アルビノラット(130〜180g)を入手した。これらは病原体不含であることが証明されており、異なる実験群に無作為に分けた。ラットは、25±1℃の周囲温度及び45〜55%RH、12時間の明暗周期(7:00〜19:00時に点灯)で動物収容部門において維持した。動物に対して標準的なペレット状の固形飼料及び水道水を自由摂取させた。実験は9:00〜14:00時に行った。明期中に行動試験を行った。動物を群ごとに収容し、それらを実験に使用する前に少なくとも1週間にわたり馴化させた。動物を暗幕で覆ったケージ中で実験室に運んだ。実験手順は、National Institutes of Health Guide for Care and Use of Laboratory Animalsに従った。
2.3.薬物治療
経口胃チューブを通じて0.3%カルボキシメチルセルロース(CMC)中で懸濁した実験薬(1日1回10、25及び50mg/kg)を7日間にわたり経口投与することによりラットを前処置した。実験手順終了まで処置を継続した(Singh,G.K.,Garabadu,D.,Muruganadam,A.V.,Joshi,V.K.,Krishnamurthy,S.,“Antidepressant activity of Asparagus racemosus in animal models of depression,”Pharmacol.Biochem.Behav.(2009)91(3):283−90)。注射用に水中でスコポラミンを溶解させ、第7日に、薬物処置を施してから1時間後に投与した。標準薬としてドネペジル(5mg/kg;i.p.)を使用した。第8日に行動試験を行った。動物を屠殺し、ラット脳アトラスの座標を使用して海馬を顕微解剖した。実験薬の体積に等しいビヒクル(0.3%CMC懸濁液)0.3mlで全対照群動物を処置した(Ohja,R.,et al.,“Asparagus recemosus enhances memory and protects against amnesia in rodent models,”Brain Cogn.(2010)Oct;74(1):1−9)。
2.4.実験方法
Y迷路試験により空間認識記憶、一般探索行動及び不安様行動を評価した。Y迷路は、寸法50cm長、16cm幅及び32cm高さの3本の同様のアームからなる。1回目の試行で、新規アームを遮断し、動物が他の2本のアームで15分間動けるようにした。第1回の試行から4時間後、2回目の試行で、新規アームを開き、動物が3本全てのアームで5分間動けるようにした。全アームでの総進入数(試行−1及び試行−2の5分間)は一般探索姿勢(好奇心)を示す。試行2の5分間での既知及び新規アームにおける%進入を空間認識記憶の目安とみなした。試行2の間に全アーム及び装置中央部での滞在時間に対する、新規アーム滞在時間の比のパーセンテージにより、新規環境への対処ストラテジーを推定した。新規環境に対する対処行動の減少は、不安様行動の増加とみなした(Krishnamurthy,S.,et al.,“Risperidone ameliorates post−traumatic stress disorder−like symptoms in modified stress re−stress model,”Neuropharmacology(2013)75:62−77)。
3.結果及び考察
A.Y迷路試験における好奇心行動に対する3−OH−DBP(ウロリチンB)及び3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA)の効果
図3及び4は、試行1及び試行2における総進入数、即ちY迷路試験に供したラットにおける好奇心行動を示す。統計学的分析から、それぞれ試行1及び試行2において群間で有意差があったことが示された[F(9,59)=10.63p<0.05]、[F(9,59)=7.984,p<0.05]。一元配置ANOVAとそれに続くStudent−Newman−Keuls検定。Student Newman−Keuls検定から、対照群ラットと比較した場合、スコポラミン投与により、好奇心行動が有意に減少したことが示唆される。しかし、50mg用量の3−OH−DBP及び50mg用量の3,8−(OH)−DBPにより、試行1及び試行2において好奇心行動のスコポラミン誘導性減少が弱まった。
B.Y迷路試験での新規環境への対処行動に対する3−OH−DBP(ウロリチンB)及び3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA)の効果
図5は、試行2中の、装置の新規アーム滞在時間のパーセンテージの観点での、ラットにおける対処行動を示す。統計学的分析から、群間で有意差があったことが明らかになった[F(9,59)=11.53,p<0.05]。一元配置ANOVAとそれに続くStudent−Newman−Keuls検定。Student Newman−Keuls検定から、対照群ラットと比較して、スコポラミン処置群動物において対処行動の有意な減少があったことが示唆される。50mg用量の3−OH−DBP及び50mg用量の3,8−(OH)−DBPによって、新規環境への対処ストラテジーのスコポラミン誘導性の減少が弱まった。
C.Y迷路試験でのアーム弁別行動の変化に対する3−OH−DBP(ウロリチンB)及び3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA)の効果
Y迷路試験でのスコポラミン誘導7日後の空間記憶障害に対する効果を図6で示す。二元配置ANOVAによる統計学的分析から、群間で%既知及び新規アーム進入について有意差があったことが明らかになった[F(9,100)=0.072,p<0.05]。二元配置ANOVAとそれに続くボンフェローニ事後検定。事後分析から、スコポラミン処置ラットにおいて、それぞれ%既知及び新規アーム進入の有意な上昇及び低下があったことが明らかになった。50mg用量の3−OH−DBP及び50mg処置用量の3,8−(OH)−DBPはそれぞれ、スコポラミン処置ラットと比較した場合、Y迷路試験パラダイムでの%既知及び新規アーム進入を用量依存的に逆転させた。
4.要約及び結論
スコパラミン(Scopalamine)対照は、Y迷路で総アーム進入が減少するが、これは動物の探索行動における異常な変化を示すものであり、従って認知欠損の哺乳動物モデルをもたらす。探索行動は新規環境におけるげっ歯類の生存本能であると思われる。この動物は、潜在的な脅威及び物質的利益についてそれらの周囲に関する情報を収集しようとする。脅威と利益との間の均衡は探索行動に影響を与える。この動機付け行動は、体内の生理的変化により、又はストレスなどの外的な要因により変化し得る。この試験において、スコパラミン(Scopalamine)は、コリン作動性系を下方制御することによりこの行動を変化させた。ドネペジル、抗コリンエステラーゼ薬は、アセチルコリンのシナプス利用可能性をおそらく向上させることによりこの活性を逆転させた。本開示で理論により束縛されるものではないが、同様の機序によって、DBP’s(即ちウロリチンA及びB)及びシラジットの両方がスコポラミン誘導性探索行動の変化を弱めると考えられる。DBP’sでの処置は、Y迷路試験で既知アーム及び新規アーム進入を用量依存的に逆転させ、このことから、スコポラミン誘導性空間記憶障害の減弱が示される。さらに、スコポラミン処置により、新規環境滞在時間の観点での対処行動の有意な損失が起こり、このことから、不安様行動が示される。DBP’sは、新規環境への対処ストラテジーにおいてスコポラミン誘導性減少を弱めた。従って、DBP’sは、Y迷路パラダイムにおいて抗不安活性を明らかに示した(Krishnamurthy,S.,Garabadu,D.,Joy,K.P.“Risperidone ameliorates post−traumatic stress disorder−like symptoms in modified stress re−stress model,”Neuropharmacology(2013)75:62−77;及びTripathi,A.,Paliwal,P.,Krishnamurthy,S.“Piracetam Attenuates LPS−Induced Neuroinflammation and Cognitive Impairment in Rats,”Cellular and Molecular Neurobiology,(2017)1−14)。従って、DBP’sは、スコポラミン誘導性認知症モデルにおいて、認知欠損を改善し、抗不安活性を示す。DBP’sの効果は50mg/kg用量であり、シラジットは100mg/kg用量であったことに注目することは興味深い。従って、DBP’sは、上記で観察される薬理学的効果におけるシラジットの2倍の強さであると思われる。
実施例3(試験3)
1.試験3の目的:インビトロでのアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性に対する、ウロリチンB(B)及びウロリチンA(A)及び異なる比のそれらの組み合わせの効果を評価すること。(Ellman,G.L.,et al.,“A new and rapid colorimetric determination of acetyl cholinesterase activity,”Biochemical Pharmacology(1961)7:88−95。AChE活性に対するDBP’sの相乗効果を決定すること。
シラジット、ウロリチンB(B)及びウロリチンA(A)はNatreon,Inc.(New Brunswick,New Jersey,USA)により提供された。Electrophorus electricus(デンキウナギ)CAS:9000−81−1からのAchEはSigma Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)から調達した。5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB−エルマン試薬)及びアセチルコリンヨージド(AChI)は地元の供給業者(HiMedia,Pvt.Ltd.,New Delhi,India)から調達した。全ての他の化学物質及び試薬は、地元の供給業者(Merck Pvt.Ltd.,New Delhi及びHiMedia Laboratories Pvt Ltd.,New Delhi,India)から市販されており、これらは分析グレードであった。
AChE阻害アッセイのために、Ellman et al.により記載される手順を幾分改変した後に使用した。アセチルチオコリンヨージド(ATCI)、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB−エルマン試薬)はHimediaから購入した。陽性対照としてドネペジルを使用した。インビトロアッセイを行うためにTris−HCl緩衝液(pH8)を使用した。IC50アッセイに対する濃度範囲を選択するために、50mg/mlでパーセンテージ阻害を測定した。試験化合物B(3−OH−DBP):試験化合物A(3,8(OH)DBP)に対して5種類の異なる組み合わせ濃度範囲を使用し、比は次のとおりであった:試験化合物A50mgの濃度は試験化合物B(10、20、30、40、50mg)とともに変動し、IC50を決定するために使用した。室温で30分間、96ウェルプレートにおいて50μLのAChE(0.22UmL−1)及び10μLの試験化合物又は標準化合物を温置した(表3参照)。
さらに、基質、即ちATCI(15mM、30μL)を添加し、これをさらに30分間温置した。最後にDTNB160μL(1.5mM)を添加し、Epochマイクロプレートリーダー(BioTek)を使用して415nmで吸収を記録した。試験及び標準化合物から得られた吸収を使用して、IC50値を計算した。3つ組及び3回の独立した操作でアッセイを行った。
パーセンテージ阻害=(対照−試験)/対照x100 式(1)
1.1.この試験の実験設計を表2で示す。
Figure 2022500347
2.結果
表2で示され、図7で示されるように、併用投与10:50、20:50及び30:50は、3,8(OH)DBPよりも4倍効果が高いIC50値を示し、3−OH−DBPよりも3倍高い効果を示す。参照標準としてドネペジルを使用したが、このIC50値は10:50、20:50及び30:50とほぼ同等であった。シラジットの効果は、IC50値によると、10:50の20分の1であり、3−OH−DBPの8分の1であり、3,8(OH)DBPの5分の1である。シラジットの効果は、IC50値によると、ドネペジルの25分の1であった。これらのデータから、10:50、20:50及び30:50濃度で3−OH−DBP及び3,8(OH)DBPが相乗効果を示すことが明らかになった。
さらに、表2から、各構成成分単独を超えて、ウロリチンBとウロリチンAとの特定の比が予想外にAChE阻害活性を約3倍〜4倍増加させることが明らかになる。ウロリチンBとウロリチンAとのこの相乗的組み合わせの活性は、既知の処方せん医薬品であるドネペジルと比較して、ほぼ同等である。
表3は、本明細書中に記載のようにウロリチンAとウロリチンBとのある一定の有利で有効な組み合わせを示し、これは表2の組み合わせ及び比を反映する。さらなる有効な濃度範囲が企図される。
Figure 2022500347
一実施形態では、ウロリチンBとウロリチンAとの組み合わせが医薬又は栄養補助処方物として調製され得る。ウロリチンBとウロリチンAとの代表的なwt./wt.比の範囲は約0.2:1〜約1:1であり得る。好ましい実施形態では、ウロリチンBとウロリチンAとのwt./wt.比の範囲は約0.2:1〜約0.6:1であり得る。
本明細書中で記載のような例によれば、ウロリチンB及びウロリチンAの上述の相乗的組み合わせの1日用量の範囲は、ヒト対象において約1.5mg/kg〜約8.0mg/kgであり得る。別の実施形態では、1日用量の範囲は、ヒト対象において約1.5mg/kg〜約10.0mg/kgであり得る。
一実施形態では、ウロリチンB及びウロリチンAの上述の相乗的組み合わせの1日用量の範囲は、ヒト対象において約100mg〜約1000mgであり得る。好ましい実施形態では、ウロリチンB及びウロリチンAの上述の相乗的組み合わせの1日用量の範囲は、ヒト対象において約100mg〜約500であり得る。
試験3で観察される相乗効果が、哺乳動物対象において同等の用量範囲で行った場合、試験1及び2と同様に示されることがさらに予想される。ヒト対象で認知症関連障害を処置若しくは予防するための方法又はヒト対象で不安障害を処置若しくは予防するための方法において、ウロリチンB/ウロリチンA相乗効果が観察されることがさらに予想される。
実施例4
一実施形態では、この試験の目的は、Ellman(1961)法を使用することによって、アセチルコリンエステラーゼ活性に対して様々な組み合わせでのシラジットとDBP’sとのインビトロでの相乗効果を評価することである。AChE阻害アッセイの場合のように、実施例3のとおり化学試薬及び出発物質を使用した。
試験化合物ウロリチンA、ウロリチンB及びシラジットの5種類の異なる組み合わせを次のように作製した。表4で示されるように、IC50値を決定するために試験化合物A(50mg)及びシラジット(50mg)の濃度を様々な濃度の試験化合物Bと組み合わせた。室温で30分間、96ウェルプレート中で50μLのAChE(0.22U mL−1)及び10μLの試験化合物又は標準化合物を温置した。
Figure 2022500347
さらに、基質、即ちATCI(15mM、30μL)を添加し、これをさらに30分間温置した。最後に、160μL(1.5mM)のDTNBを添加し、Epochマイクロプレートリーダー(BioTek)を使用して415nmで吸収を記録した。試験及び標準化合物から得た吸収を使用してIC50値を計算した。三つ組みでアッセイを行った(式1参照)。以下の表5で結果を示す。
Figure 2022500347
結論として、シラジットとDBP’sとの50:10:50の併用投与は、シラジットよりもおよそ1.5倍効果が高いIC50値を示すが、3−OH−DBPの3.5分の1であり、3,8(OH)DBPの3分の1である。参照標準物質としてドネペジルを使用したが、ドネペジルは50:10:50よりもおよそ12倍効果が高いIC50値を有する。この結果から、シラジットがDBP’sの抗コリンエステラーゼ活性を妨害することが示される。
実施例5
別の実施形態では、この試験の目的は、ThT(チオフラビン−T)法を使用することによって、ラットアセチルコリンエステラーゼ−誘導性β−アミロイド凝集に対する、様々な組み合わせでのシラジットとDBP’s(ウロリチンA及びB)とのインビトロ相乗効果を評価することである。化学試薬及び出発物質を上記のように使用した。
AChE誘導性β−アミロイドペプチド凝集アッセイの阻害
異常ペプチドであるAβ1−40は折り畳まれて規則的βシート構造になり、さらに自己集合して毒性のある原線維凝集体を形成する。これらの原線維凝集体は、ADで観察される症状の開始において重要な役割を果たす。原線維凝集体形成(即ち線維化)の阻害は、ADに対する有効な治療剤を開発するための最も卓越したアプローチの1つと考えられる。
Aβ1−40の凝集傾向に対する3−OH−DBP(ウロリチンB:B)及び3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA:A)の効果及び(チオフラビン−T)ThTアッセイ測定を実施した。ThTは、完全に形成されたAβ1−40凝集体に結合した際に最大蛍光を示す分子色素である。従ってAβ1−40の線維化に対する3−(OH)−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)の効果を試験するために、ThTアッセイを行った。
試験化合物をDMSO(5%)中で溶解させ、0.215Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)でさらに希釈した。Aβ1−40(10μM及び30μM)をそれだけで、及びそれぞれ表6及び7で示される比での試験化合物の様々な濃度で独立に温置した。
表6は、次のようにAβ1−40(10μM)とDBP’sとの、及びシラジットとDBPとの組み合わせ比を示す。
Figure 2022500347
表7は、次のように、Aβ1−40(30μM)とDBP’sとの、及びシラジットとDBP’sとの組み合わせ比を示す。
Figure 2022500347
30又は10μM Aβ40、230μM AChE、10、20、50μM試験化合物及び2μLアッセイ緩衝液(体積22μL)の最終濃度を得るために、様々な比の試験化合物の存在下で16μLのAChEとともに2μLの様々な濃度のAβ40(10及び30μM)を温置した。暗所にて24時間又は48時間にわたり室温で混合物を温置した(実験により時間を変化させ得る)。
阻害剤の存在下で、阻害剤の非存在下で、及びブランク又は溶媒対照で、Aβ40凝集に対して蛍光強度を得た。温置後、178μLの20μM ThTを添加した。溶液の蛍光強度を442又は450nm励起及び490又は483nm発光波長で読み取った(総体積200μL)。
AChE誘導性Aβ1−40凝集のパーセンテージ阻害を次のように計算した。
Figure 2022500347
式中、IFi及びIFoは、それぞれ阻害剤の存在下及び非存在下でAβ+AChEに対して得られた蛍光強度である(Shidore,M.,et al.,“Benzylpiperidine−linked diarylthiazoles as potential anti Alzheimer agents:Synthesis and biological Evaluation,”J.Med.Chem.(2016)59:5823−5846)。
ThT溶液(100μM)の調製:粒子不含溶液が達成されるまで10mlの超純水HO中で0.32mgのThTを溶解させた。0.22μm PESシリンジフィルターを使用して、溶液をろ過した。
Aβ40保存液の調製:ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP、0.2mL)中でAβ40ペプチド(0.25mg)(Calbiochem,Merck)を溶解させ、室温で1時間温置した。次に、窒素流によりHFIPを除去し、さらに真空下で乾燥させた。276nmで1450cm−1−1のモル吸光係数を使用して、UV−vis分光法(Biotek USA;プレートリーダー)によってAβ40ペプチドの濃度を決定した。次に、pH7.4で200mMの濃度になるように、10mM PBS緩衝液中でHFIP処理Aβ40を溶解させた。アッセイは三つ組みで、及び3回の独立した操作で行った。
ドネペジル、シラジット、3−OH−DBP(ウロリチンB:B)及び3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA:A)は、それぞれおよそ79%、21%、50%及び35%、アミロイドベータ(10μM)凝集を阻害した。次に、Aβ40(10μM)の凝集に対する様々な濃度の3−OH−DBP(B)(10、30及び50μM)及び固定濃度の3,8−(OH)−DBP(A)(50μM)の効果を試験した。組み合わせ10:50(B:A)はAβ40凝集に対して強力な効果を有する。10:50(B:A)濃度は、ThT蛍光の低下を示し、これはAβ40凝集の72%阻害に対応し、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)よりもそれぞれ22%及び38%高いが;標準薬物ドネペジルよりも7%低かった。一方で、30:50(B:A)によりAβ40凝集の60%が阻害され、これは、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)よりもそれぞれおよそ10%及び20%高かったが;ドネペジルよりも20%低かった。さらに、DBP’sの組み合わせへのシラジットの添加を試験した。シラジットの添加により、DBP’sの組み合わせによるアミロイドベータ凝集のパーセンテージ阻害が減少した(図9A)。
さらに、上記濃度比の試験化合物を固定濃度のAβ40(30μM)とともに温置した。ドネペジル、シラジット、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)は、アミロイドベータ凝集をそれぞれおよそ65%、10%、41%及び32%阻害した。10:50(B:A)濃度は、ThT蛍光低下においてより高い効果を示し、これはAβ40凝集の58%阻害に対応し、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)よりもそれぞれ17%及び26%高かったが、標準ドネペジルよりも7%低かった。上記のように、シラジットの添加によりDBP’sによる阻害が減少した。(図9B)。
これらのデータから、固定比での試験化合物3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)DBP(A)の組み合わせがアミロイドベータ(10μM、30μM)凝集の阻害において相乗効果を示すことが明らかになった。
上記試験から、10:50μM(ウロリチンB:ウロリチンA)濃度が、ThT法によるアミロイドベータ凝集アッセイにおいてより高い相乗効果を示すことが示される。従って、ヒトコリンエステラーゼ酵素アッセイでのさらなる試験のためにこの組み合わせを使用した。
実施例6
別の実施形態では、この試験の目的は、Ellman(1961)法を使用することによる、組み換えヒトアセチルコリンエステラーゼに対する様々な組み合わせでのDBP’s(ウロリチンA及びB)及びシラジットとDBP’sとのインビトロ相乗効果を評価することである。
インビトロヒト組み換えAChE阻害アッセイ:AChE阻害アッセイのために幾分改変した後にEllman et al.により記載される手順を使用した。ヒト組み換えAChEは、Sigma Aldrich(St.Louis,Missouri)から購入した。アセチルチオコリンヨージド(ATCI)、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB−エルマン試薬)は、Himedia Pvt.Ltd.(New Delhi,India)から購入した。陽性対照群としてドネペジルを使用した。インビトロアッセイを行うためにTris−HCl緩衝液(pH8)を使用した。IC50アッセイに対する濃度範囲を決定するために、50mg/mlでパーセンテージ阻害を決定した。試験化合物B(3−OH−DBP):試験化合物A(3,8−(OH)−DBP)に対して異なる組み合わせを調製した。
IC50を決定するために、50mg/mlの固定濃度の試験化合物A及びシラジットとともに様々な濃度の試験化合物B(10、30、50mg/ml)(それぞれ表8及び9で示す)を使用した。50μLのヒト組み換えAChE(0.22U mL−1)及び10μLの試験化合物又は標準化合物を96ウェルプレート中で室温にて30分間温置した。
表8は、次のようなDBP’s(ウロリチンB:ウロリチンA)の組み合わせ比を示す。
Figure 2022500347
表9は、次のようなシラジットとDBP’s(ウロリチンB:ウロリチンA)との組み合わせ比を示す。
Figure 2022500347
さらに、基質、即ちATCI(15mM、30μL)を添加し、これをさらに30分間温置した。最後に、160μL(1.5mM)のDTNBを添加し、Epochマイクロプレートリーダー(BioTek)を使用して415nmで吸収を記録した。試験及び標準化合物から得た吸収を使用して、IC50値を計算した。三つ組み及び3回の独立した操作でアッセイを行った(式1参照)。
エルマン法によるインビトロAChE活性に対する様々な濃度のウロリチンB(10、30及び50mg/ml)及び固定濃度のウロリチンA(50mg/ml)の効果を試験した(図10及び表10)。統計学的分析から、群間で有意差があったことが示された[F(9,29)=54.93 p<0.05]。それぞれ30:50(B:A)、50:50(B:A)、50:10:50(シラジット:ウロリチンB:ウロリチンA)、50:50:50(シラジット:ウロリチンB:ウロリチンA)と比較した場合、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A);10:50(B:A)の組み合わせのIC50値は統計学的に異なった。組み合わせ薬物10:50(B:A)のIC50値はより低かった。さらに、10:50(B:A)及び標準ドネペジルのIC50値間で有意差はなかった。
表10は、ウロリチンA、ウロリチンB及びそれらの組み合わせのアセチルコリンエステラーゼ阻害活性(IC50)を示す。
Figure 2022500347
結論として、組み合わせ用量10:50(B:A)は、3,8(OH)DBP(A)よりもおよそ10倍効果が高いIC50値を示し、3−OH−DBP(B)よりも7倍効果が高く、一方で30:50(B:A)は、3,8(OH)DBP(A)及び3−OH−DBP(B)よりもそれぞれおよそ2倍及び1.5倍効果が高いことを示す。50:50(B:A)及び30:50(B:A)のIC50値はほぼ同じであった。ドネペジルの効果は10:50(B:A)とほぼ同等であった。シラジットはDBPs及びそれらの組み合わせと比較して、効果が低いIC50値を示した。これらのデータから、3−OH−DBP(B)及び3,8(OH)DBP(A)の組み合わせが10:50(B:A)濃度でより高い相乗効果を示すことが明らかになった。従って、ヒト組み換えAChEを使用することによるAmplex Redキット法でのさらなる試験のために、この濃度を採用した。
実施例7
別の実施形態では、この試験の目的は、Amplex Red−蛍光キット法を使用することにより、組み換えヒトアセチルコリンエステラーゼに対する様々な組み合わせのDBP’s(ウロリチンA及びB)及びシラジットとDBP’sとのインビトロ相乗効果を評価することである。ヒト組み換えAChEはSigma Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)から調達した。Amplex redキットはThermo−Fisher Scientific India,Ref no:A12217から調達した。全ての他の化学物質及び試薬は地元の供給業者から市販され(Merck Pvt.Ltd.,New Delhi及びHiMedia Laboratories Pvt Ltd.,New Delhi,India)、分析グレードであった。
Amplex Redキット法によるインビトロヒト組み換えAChE阻害アッセイ:Amplex redアッセイキット(Molecular Probes,Inc.,USA)を使用することによって、実験薬物の抗コリンエステラーゼ活性を測定した。市販のキット(Amplex Red,Invitrogen,Thermo Fisher Scientific,Waltham,Massachusetts)からの各実験薬物の存在下でヒトAChE活性のスクリーンに対して蛍光アッセイを使用した。コリンオキシダーゼ(CO)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)及び蛍光発生基質Amplex Redを含め、一連のキット酵素の添加により、AChE触媒作用の産物であるアセチルコリンを、レゾルフィンと呼ばれる蛍光性物質に変換した。蛍光分子レゾルフィンはアセチルコリン産生に依存し、アセチルコリン産生はAChE触媒作用の産物であるので、蛍光の変化速度はAChE活性の目安である。AChEの強力な阻害剤は、阻害剤なしの対照と比較して蛍光を有意に減少させる。簡潔に述べると、全ての試薬は市販のキット(Amplex Red,Invitrogen)に従い調製した。蛍光マルチウェルプレートスキャナーとの使用のために次の手順を設計する。160μLの総液体体積/ウェルで96−ウェルプレートにおいてアッセイを行った。実験条件下で96ウェルを行い、40μLのAmplex Red溶液(200μLのAmplex Red試薬保管溶液、100μLのHRP保管溶液、100μLのコリンオキシダーゼ(CO)保管溶液を9.6mLの1X反応緩衝液に添加することによる、2U/mL HRP、0.2U/mLコリンオキシダーゼを含有する400μM Amplex Red溶液)、50mg/mlでの固定濃度のウロリチンAとともに、及び任意選択により50mg/mlのシラジットとともに、80μLのヒト組み換えAChE(0.22U/ml)及び1.6μLの様々な濃度のウロリチンB(10、30、50mg/ml)を使用して、IC50を決定した(それぞれ上記表8及び9で示されるとおり)。さらに、40μLの40μM基質アセチルコリン溶液を各ウェルにピペットで添加した。
100%ヒト組み換えAChE活性(0%ヒト−AChE阻害)に相当する陽性対照ウェルは、アセチルコリン及びAmplex Red溶液を含有した。陰性対照ウェルはアセチルコリン及びAmplex Red 溶液を含有した。さらに、さらなる陰性対照としてAmplex Red溶液単独の対照を使用した。対照ウェルにおいて、必要な場合、1X反応緩衝液を添加して、ウェルを標準体積にした。ベースラインで(各ウェルに基質が添加された直後)、及び37℃で60分の温置後、蛍光測定を行った。530〜560nmの範囲の励起及び590nmで検出される発光を使用して、蛍光マイクロプレートリーダーを測定した。AChE、CO及びHRPのパーセント阻害を計算するために、平均陰性対照蛍光を実験群蛍光から差し引き、平均陽性対照蛍光により除した。パーセント活性を100%から差し引き、ヒトAChEのパーセント阻害を得た。
表11は、ウロリチンA、ウロリチンB及びそれらの組み合わせのヒト組み換えアセチルコリンエステラーゼ阻害活性(IC50)を示す。
Figure 2022500347
上記表11で示されるように、組み合わせ用量10:50(B:A)は、3,8−(OH)−DBP(A)よりもおよそ7倍効果が高いIC50値を示し、3−OH−DBP(B)よりも6倍効果が高く;一方で30:50(B:A)は、3,8−(OH)−DBP(A)及び3−OH−DBP(B)よりもそれぞれおよそ2倍及び1.5倍効果が高い。30:50(B:A)及び50:50(B:A)のIC50値はほぼ同じであった。ドネペジルの効果は10:50(B:A)とほぼ同等であった。シラジットはDBP’s及びそれらの組み合わせと比較して、効果がより低いIC50値を示した。これらのデータから、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)の組み合わせが10:50(B:A)濃度でより高い相乗効果を示すことが明らかになった。従って、ヒトAChE誘導性アミロイドベータ凝集でのさらなる試験のためにこの組み合わせを使用した。
実施例8
別の実施形態では、本発明の目的は、ThT(チオフラビン−T)法を使用することにより、組み換えヒトアセチルコリンエステラーゼ誘導性β−アミロイド凝集に対する、様々な組み合わせでのシラジットとDBP’s(ウロリチンA及びB)とのインビトロ相乗効果を評価することである。化学試薬及び出発物質を上記のように使用した。
ヒト組み換えアセチルコリンエステラーゼ酵素誘導性β−アミロイドペプチド凝集アッセイの阻害
ヒト組み換えAChEを使用したことを除き、それぞれ表6及び7で示される比での試験化合物の濃度により、実施例5の手順を反復した。
ドネペジル、シラジット、3−OH−DBP(ウロリチンB:B)及び3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA:A)は、それぞれおよそ71%、16%、46%及び34%、アミロイドベータ(10μM)凝集を阻害した。次に、Aβ40(10μM)の凝集に対する様々な濃度の3−OH−DBP(B)(10、30及び50μM)及び固定濃度の3,8−(OH)−DBP(A)(50μM)の効果を試験した。10:50(B:A)濃度はThT蛍光の低下を示し、これは、Aβ40凝集の67%阻害に対応し、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)よりもそれぞれ21%及び33%高かったが;標準薬物ドネペジルよりも4%低かった。一方で、30:50(B:A)によってAβ40凝集の50%が阻害され、これは3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)よりもそれぞれおよそ4%及び16%高かったが;標準薬物ドネペジルよりも21%低かった。さらに、DBP’sの組み合わせに対するシラジットの添加を試験した。シラジットの添加によって、組み合わせDBP’sによるアミロイドベータ凝集のパーセンテージ阻害が低下した(図12A)。
さらに、上記濃度比の試験化合物を固定濃度のAβ40(30μM)とともに温置した。ドネペジル、シラジット、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)は、アミロイドベータ凝集をそれぞれおよそ64%、4.2%、43%及び30%阻害した。10:50(B:A)濃度は、ThT蛍光低下においてより高い効果を示し、これは、Aβ40凝集の60%阻害に対応し、これは3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)よりもそれぞれ17%及び30%高かったが;標準薬物ドネペジルよりも4%低かった。上記のように、シラジットの添加により、DBP’sの阻害が低下した(図12B)。
これらのデータから、アミロイドベータ(10μM、30μM)凝集の阻害において、固定比の試験化合物3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)の組み合わせのみが相乗効果を示すことが明らかになった。
上記試験から、ThT法により、10:50μM(ウロリチンB:ウロリチンA)濃度がアミロイドベータ凝集アッセイにおいてより高い相乗効果を示すことが示される。従って、インビボでのスコポラミン誘導性健忘モデルを用いたさらなる試験のために、この組み合わせを使用した。
実施例9
スコポラミン誘導性健忘ラットモデルに対するDBP’s及びそれらの組み合わせのインビボ相乗効果
スコポラミン臭化水素酸塩はSigma(St.Louis,Missouri,USA)から調達し、ドネペジル塩酸塩は、Hetero Drugs Ltd,Hyderabad、Indiaにより寄付された寄贈試料として得た。
実験動物管理の原則に従い実験を行った。Central Animal House,Institute of Medical Sciences,Banaras Hindu University(BHU),Varanasi,Indiaから、雄Wistarラット(200〜250g)を購入した。動物に対する実験はInstitutional Animal Ethics Committee of BHU,Varanasi,Indiaにより承認された。25±1℃の温度及び45〜55%相対湿度及び12:12h明/暗周期の制御環境条件下で動物をポリプロピレンケージに収容した。実験動物は、実験中、市販ラット飼料及び水を自由に摂取させた。それらを実験に使用する前に、少なくとも1週間にわたり動物を馴化させ、1回のみ実験に供した。
次のように、各群6匹を含有する(n=6)8個の実験群にラットを無作為に割り当てた:
群1:ビヒクル群:0.3%CMCを投与;
群2:スコポラミン群(1mg/kg i.p.);
群3:ドネペジル(3mg/kg)+スコポラミン(1mg/kg i.p)群;
群4:シラジット(50mg/kg)+スコポラミン(1mg/kg i.p.)群;
群5:3−OH−DBP(ウロリチンB:B)(50mg/kg)+スコポラミン(1mg/kg i.p.)群;
群6:3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA:A)(50mg/kg)群+スコポラミン(1mg/kg i.p.)群;
群7 3−OH−DBP(B)(10mg/kg):3,8−(OH)−DBP(A)(50mg/kg)+スコポラミン(1mg/kg i.p);
群8:3−OH−DBP(B)(50mg/kg):3,8−(OH)−DBP(A)(50mg/kg)+スコポラミン(1mg/kg i.p)。
薬物溶液を0.3%CMC中で新たに調製し、1日1回強制経口投与により7日間投与した。簡潔に述べると、実験全体を8日間にわたり行った。スコポラミン(1mg/kg)、ムスカリン受容体アンタゴニストを生理食塩水(0.9%NaCl)中で溶解させ、第7日に、薬物投与1時間後に腹腔内投与した。
行動試験は実施例9A及び9Bに従う。
実施例9A
Y迷路試験パラダイムによる短期記憶の評価。標準的プロトコールに従うことによって、基本的に空間認識記憶、一般的探索行動及び不安様行動を評価するために、Y迷路試験を行った(Dellu,F.,Mayo,W.,Cherkaoui,J.,Le Moal,M.,Simon,H.,“A two−trial memory task with automated recording:study in young and aged rats,”Brain Res.(1992)588:132−139)。Y迷路装置は、中央の点から放射状に伸びる、互いに120°の角度をなす3本の同一アーム(50cm長、16cm幅及び32cm高)からなる。色画用紙及び実験用ガラス製品から作製される視覚的刺激を迷路の周囲長の周囲及び黒色のプレキシガラス側部上端の上に置き、動物にとっての目新しさを維持するために、各試験に対してこれらの刺激を反復しなかった。Y迷路の新規アームを遮断し、15分間にわたり迷路の他の2本のアームをラットが訪れられるようにした。第1相から4時間後、3本全てのアームに5分間、動物を自由に接近させた。各アームでの進入数を5分間記録した。全アームでの総進入数(試行1及び2の5分間)、試行2の5分間の既知及び新規アームの%進入及び試行2中の全アーム及び装置中央での滞在時間に対する新規アーム滞在時間の比率のパーセンテージなどの従属変数を測定した。全アームにおける総進入数(試行1及び2の5分間)は一般的探索態度(好奇心)を示し、試行2の5分間の既知対新規アームの%進入は、アーム弁別の目安と考えられる(空間認識記憶)。試行2中の全アーム及び装置中央での滞在時間に対する新規アーム滞在時間のパーセンテージにより、新規環境への対処ストラテジー又は行動を推定した。新規環境への対処行動の低下は、不安様行動の増加とみなした。頭部及び2本の前肢がアームの内側に入った場合にアーム進入として数え、頭部及び2本の前肢が再びアームの外側に出たときにアーム滞在の持続時間を終了した。
Y迷路試験における認知及び好奇心行動に対するDBP’s(ウロリチンA及びB)及びそれらの組み合わせの効果:試行1及び試行2における一般的探索行動(好奇心)のスコポラミン(Sc)誘導性変化に対するウロリチンB:3−OH−DBP(50mg/kg p.o)、ウロリチンA:3,8−(OH)−DBP(50mg/kg p.o)、ドネペジル(3mg/kg p.o)、シラジット(50mg/kg p.o)及び組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)の効果をそれぞれ図14A及び14Bで示す。Student Newman−Keuls検定から、スコポラミン投与は、ビヒクル群ラットと比較した場合、好奇心行動の有意な減少を引き起こしたことが示唆される。しかし、3−OH−DBP(B)50mg/kg p.o及び3,8−(OH)−DBP(A)50mg/kg p.o用量により、試行1及び試行2における好奇心行動のスコポラミン誘導性減少が弱められた。注目すべきことに、組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)により、標準ドネペジルと同様に、好奇心行動のスコポラミン誘導性減少が弱められた。さらに、組み合わせたDBP’では、試行1及び試行2において、DBP’単独と比較した場合、好奇心行動が有意に増加した。しかし、シラジット25mg/kg b.i.d用量は、試行1及び試行2における好奇心行動のスコポラミン誘導性減少を効果的に弱めなかった。
Y迷路での新規環境への対処行動に対するDBP’s及びそれらの組み合わせの効果:図14Cは、試行2中の装置の新規アーム滞在時間のパーセンテージの観点での、ラットにおける対処行動を示す。統計学的分析から、群間で有意差があったことが明らかになった[F(7,47)=21.73,p<0.05]。Student Newman−Keuls検定により、ビヒクル群ラットと比較して、スコポラミン処置群の動物において対処行動の有意な減少があったことが示唆される。しかし、50mg/kg p.o用量の3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)により、新規環境に対する対処ストラテジーのスコポラミン誘導性減少が弱まったが、ビヒクル群と同じではなかった。注目すべきことに、組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)により、対処ストラテジーにおいてスコポラミン誘導性減少が弱まり、ビヒクル及び標準ドネペジル群と同様であった。
Y迷路試験での空間認識記憶に対するDBP’s及びそれらの組み合わせの効果:空間認識記憶でのスコポラミン誘導性変化に対する実験薬物の相乗効果を図14Dで示す。二元配置ANOVAから、Y迷路試験パラダイムにおいて、群間で([F(7,80)=0.098;P<0.05])、既知及び新規アーム間で([F(1,80)=107;P<0.05]、試行2中のアーム弁別行動において有意差があり、群及びアーム間で有意な交互作用があった([F(7,80)=24;P<0.05]ことが示された。事後分析から、スコポラミン誘導群は、ビヒクル群と比較して、既知アームと新規アームとで%アーム進入を弁別できなかったことが明らかになり、このことから空間認識記憶の障害が示された。50mg/kg用量の3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)は、スコポラミン誘導性の弁別行動失敗を有意に逆転させたが、ビヒクル群と同様ではなかった。注目すべきことに、新規環境でのアーム進入のパーセンテージを増加させることにより、組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)は、空間認識記憶のスコポラミン誘導性機能障害を有意に軽減させた。興味深いことに、既知及び新規両方のアーム進入において、ビヒクル、ドネペジル及び組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)間で有意差はなかった。
実施例9B
受動的回避(PA)試験:PAタスクは、CNS障害のげっ歯類モデルにおいて学習及び記憶を評価するために使用される不安悪化試験である。この試験において、対象は、嫌悪刺激(フットショックなど)が以前に送達された環境を回避することを学習する。動物は、チャンバーの明暗区画を自由に探索し得、区画の片側で穏やかなフットショックが与えられる。最終的に動物は、暗チャンバーに進入しないことによってフットショックを回避することを学習する。簡潔に述べると、ステップスルー型受動的回避装置は、透明プラスチック製の明チャンバー(20cmx20cmx30cm)及び壁が暗色の不透明プラスチック製であった暗チャンバー(20cmx20cmx30cm)からなった。両チャンバーの床は、1cm離して置かれたステンレス鋼の棒(3mm直径)からなった。暗チャンバーの床は、ショック発生器を使用して通電させ得た。四角形の開口部(6cmx8cm)が2つのチャンバー間にあり、不透明のギロチンドアにより閉じ得た。第7日のスコポラミン又はビヒクル投与の30分後、明区画に置くことによってラットをPA試験に供した。30秒の馴化期間後、ギロチンドアを開き、ラットが暗区画に進入した後自動的に閉じた。暗区画で対象に低強度のフットショック(0.5mA;10s)を与えた。一方の区画から別の区画への動物の移動を記録し、移動待ち時間(transfer latency time)(TLT)を秒単位で計算した。試行の持続時間は270秒であった。1回目の試行は獲得のためであり、第1の試行の24時間後に与えられた第2の試行で保持を試験した。再獲得を回避するために、保持試行においてショックを送達しなかった。学習に対する基準は、獲得試行と比較した場合の、保持試行に対するTLTの増加とみなした。
受動的回避タスクのDBP’s及びそれらの組み合わせの効果
薬物治療計画の第7日の受動的回避タスクにおける保持及び想起でのスコポラミン誘導性変化に対する3−OH−DBP(B)(50mg/kg)及び3,8−(OH)−DBP(A)(50mg/kg)の効果を図15で示す。二元配置ANOVAによる統計学的分析から、時間[F(1,80)=443,p<0.05]及び群と時間との間の交互作用([F(7,80)=18.8;P<0.05]とともに、処置群間での移動待ち時間(transfer latency time)[F(7,80)=13,p<0.05]に有意差があったことが明らかになった。事後分析から、8個の群間で獲得試行(TLa)中、移動待ち時間(transfer latency time)に有意差はなかったことが明らかになった。しかし、保持試行において、ビヒクル群と比較して、スコポラミン処置群で移動待ち時間(transfer latency time)(TLr)の有意な短縮が観察され、これにより学習及び記憶の障害が示される。獲得試行の30分前のスコポラミン投与は、獲得試行と比較したときに保持試行でのTLTの有意な延長がないことにより示されるように、記憶障害を引き起こした。7日間の50mg/kg用量の3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)での処置は、獲得試行と比較して保持試行でのTLTを有意に延長させた(しかし、ビヒクル処置群と比較すると効果はより低い)ことから明らかになるように、ラットにおいてスコポラミン誘導性認知症を防いだ。注目すべきこととして、組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)は、獲得試行と比較した場合に、保持試行でのTLTが延長していた(ビヒクル群と同等)ことにより、学習及び記憶のスコポラミン誘導性障害を有意に軽減した。さらに、B:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)は、3−OH−DBP(B)、3,8−(OH)−DBP(A)及び標準ドネペジルと比較した場合、保持試行で移動待ち時間(transfer latency time)を有意に延長させ、従って相乗効果が示された。さらに、25mg/kg b.i.dの用量のシラジットは、獲得試行と比較した場合の保持試行のTLTの有意な延長がなかったことにより示されるように、記憶障害を引き起こしたが、スコポラミン処置群と比較した場合、保持試行のTLTが有意に延長した。
アセチルコリン作動系の評価は実施例9C及び9Dのとおり行う。
実施例9C
試料調製:断頭術により動物を屠殺し、氷冷条件で脳組織を切除し、使用するまで−80℃で保管した。Potter−Elvehjem型ホモジナイザーにより1.0mlの0.1M過塩素酸中で組織をホモジナイズ処理した。ホモジネートをポリプロピレンチューブ中で15分間維持し、その後、40μLの4M酢酸カリウムを添加してpHを4.0に調整し、その後、4000xgで15分間遠心分離した。アセチルコリン及びAChE活性を推定するために上清を使用した。
アセチルコリンエステラーゼ活性の分光蛍光分析アッセイ:Amplex redアッセイキット(Molecular Probes,Inc.,USA)を使用して、脳組織におけるアセチルコリンエステラーゼ活性を測定した。各実験でアセチルコリンエステラーゼ標準曲線を使用した。簡潔に述べると、0.1mlの対照(10μM H)を添加することによって反応を開始させ、2つの個別のポリプロピレンチューブに組織ホモジネートを取り、次に2U/mL HRP、0.2U/mLコリンオキシダーゼ及び100μMアセチルコリンを含有する400μM Amplex Red試薬の0.1ml作業溶液を各チューブに添加した。45分間の温置後、分光蛍光光度計を用いて530nm励起及び590nm発光波長で蛍光を記録した。タンパク質含量は、標準プロトコール(Lowry,O.H.,Rosebrough,N.J.,Farr,A.L.,Randall,R.J.,“Protein measurement with the Folin phenol reagent,”J.Biol.Chem.(1951)193:265−275)を使用して決定した。
統計学的分析:結果は平均±標準誤差平均(SEM)として表した。一元配置ANOVAとそれに続くStudent−Newman−Keuls検定によって群間変動を測定した。群及びアームを2つの独立変数とみなして、Y迷路試験において群間変動を探索するために二元配置とそれに続くボンフェローニ検定を使用した。Graph Pad prism version5(San Diego,California)を使用することによって統計学的分析を行った。p<0.05のレベルを統計学的有意性として認めた。
ウロリチンBの効果:HIPホモジネート中でのアセチルコリンエステラーゼ活性のスコポラミン誘導性変化に対する3−OH−DBP(50mg/kg p.o)、ウロリチンA:3,8−(OH)−DBP(50mg/kg p.o)、ドネペジル(3mg/kg p.o)、シラジット(25mg/kg b.i.d p.o)及びDBP’sの組み合わせの効果を試験した(図16参照)。一元配置ANOVAから、脳領域間でアセチルコリンエステラーゼ活性に有意差があったことが明らかになった([F(7,23)=25.76,p>0.05]。Student Newman−Keuls検定から、ビヒクル群と比較して、スコポラミン投与によってアセチルコリンエステラーゼ活性の有意な上昇が引き起こされたことが示唆される。しかし50mg/kg用量の3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)は、脳領域間でアセチルコリンエステラーゼ活性のスコポラミン誘導性上昇を弱めたが、ビヒクル群とは統計学的に有意であった。参照標準物質としてドネペジルを使用したが、これはアセチルコリンエステラーゼ活性のスコポラミン誘導性上昇を有意に逆転させ、3−OH−DBP(B)50mg/kg群と同様であった。3,8−(OH)−DBP(A)−50mg/kg群は3−OH−DBP(B)50mg/kgよりも効果が低かった。しかし、アセチルコリンエステラーゼ活性のスコポラミン誘導性上昇は組み合わせたDBP’sによって逆転され、ビヒクル群と同様であった。興味深いことに、B:A(10:50mg/kg p.o)はドネペジルよりも効果が高いことが分かった。B:A(50:50mg/kg p.o)もスコポラミン誘導性のアセチルコリンエステラーゼ活性上昇を逆転させたが、ドネペジルと比較した場合、統計学的に有意ではなかった。さらに、25mg/kg b.i.d用量のシラジットは、HIP組織においてスコポラミン誘導性アセチルコリンエステラーゼ活性上昇を効果的に弱めなかった。
実施例9D
実施例9Cのように試料を調製した。Amplex redアッセイキット(Molecular Probes,Inc.,USA)を使用して、脳組織におけるアセチルコリンの量を測定した。アセチルコリン標準曲線を各実験において使用した。簡潔に述べると、0.1mlの対照(10μM H)を添加することによって反応を開始させ、2本の個別のポリプロピレンチューブに組織ホモジネートを採取し、次いで、2U/mL HRP、0.2U/mLコリンオキシダーゼ及び1U/mLアセチルコリンエステラーゼを含有する400μM Amplex Red試薬の0.1ml作業溶液を各チューブに添加した。45分間の温置後、530nm励起及び590nm発光波長で分光蛍光光度計を使用して蛍光を記録した。標準プロトコール(Lowry,et al.,1951)を使用してタンパク質含量を決定した。
統計学的分析:結果は平均±標準誤差平均(SEM)として表した。一元配置ANOVAとそれに続くStudent−Newman−Keuls検定によって群間変動を測定した。群及びアームを2つの独立変数とみなして、Y迷路試験において群間変動を探索するために二元配置とそれに続くボンフェローニ検定を使用した。Graph Pad prism version5(San Diego,California)を使用することによって統計学的分析を行った。p<0.05のレベルを統計学的有意性として受け入れた。
海馬アセチルコリン(ACh)レベルに対するDBP’s及びそれらの組み合わせの効果を測定した。
一元配置ANOVAから、脳領域間でAChレベルに有意差があったことが明らかになった([F(7,23)=25.76,p>0.05]。Student Newman−Keuls検定から、ビヒクル群ラットと比較した場合、スコポラミン投与がAChレベルの有意な低下を引き起こしたことが示唆される(図17参照)。しかし、3−OH−DBP(B)(50mg/kg)及び3,8−(OH)−DBP(A)(50mg/kg)用量は、脳領域間でAChレベルのスコポラミン誘導性低下を弱めたが、ビヒクル群と統計学的に有意であった。ドネペジルに基づくAChレベルは3−OH−DBP(B)(50mg/kg)群と同じであった。ドネペジル処置と3,8−(OH)−DBP(A)50mg/kg群との間で有意差が観察された。しかし、AChレベルのスコポラミン誘導性低下は組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)によって有意に逆転し、これはドネペジル及びビヒクル群と同様であった。さらに、シラジット50mg/kg用量は、HIP組織においてAChレベルのスコポラミン誘導性低下を効果的に弱めなかった。
以前の試験から、スコポラミン(1mg/kg i.p)が脳機能不全及び学習及び記憶障害を引き起こすことが示されている(Ohja,R.,et al.,2010)。本明細書中で、スコポラミンは、両者ともそれぞれ学習及び記憶の空間的及び保持及び想起態様を含むと考えられるY迷路タスク及び受動的回避タスクで記憶障害を引き起こしたことが観察された。
結果の顕著な知見から、課題を解決するための、一般的探索態度(好奇心)、新規環境に対する対処行動(不安様行動)及び試行2での既知対新規アームの%進入(空間認識記憶)のような、Y迷路パラダイムでの行動指標に対する数的変化の変更をスコポラミンが引き起こしたことが示された(Joshi,R.,et al.“Silibinin ameliorates LPS−induced memory deficits in experimental animals,”Neurobiology of learning and memory(2014)Dec;116:117−313;及びTripathi,A.,et al.,2017)。これらの結果から、スコポラミンが好奇心行動を減少させたことが示されるが、これは短期記憶の障害を示す。3−OH−DBP(B)(50mg/kg)及び3,8−(OH)−DBP(A)(50mg/kg)は、試行1及び試行2における好奇心行動のスコポラミン誘導性減少を弱めた。注目すべきこととして、DBP’sの組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)は、試行1及び試行2において好奇心行動のスコポラミン誘導性減少を軽減させ、ドネペジルと同様であった。さらに、シラジット50mg/kgは、好奇心行動を変化させたが、DBP’sの組み合わせほど顕著ではなかった。
さらに、スコポラミンは、Y迷路タスクにおいて新規環境への対処ストラテジーを低下させ、受動的回避試験において保持試行中の移動待ち時間(transfer latency time)を短縮させた。これらの結果から、スコポラミンが不安様行動(Y迷路タスク)の増加を引き起こし、受動的回避タスクにおいて学習するための保持及び想起能力又は性能が損なわれたことが明らかになった。
シラジットは、対処行動及び移動待ち時間(transfer latency time)を変化させたが、ドネペジルほど効果が高くなかった。3−OH−DBP(B)(50mg/kg)及び3,8−(OH)−DBP(A)(50mg/kg)は、スコポラミン誘導性の対処行動減少及び移動待ち時間(transfer latency time)短縮(保持試行)をシラジットよりも有意に良好に逆転させた。しかし、最も注目すべきこととして、組み合わせDBP’sは、シラジット及び個々のDBP’sと比較して、スコポラミン誘導性の対処行動減少及び移動待ち時間(transfer latency time)短縮を有意に軽減した。この試験中に気付いたもう1つのイントラスティングな(intrusting)事実は、疼痛閾値又は不安によって受動的回避反応が影響を受け得ることであった。さらに,中隔野の病変は、不安状態における障害を引き起こし、防御及び攻撃を増加させることも分かった。これらの知見は、受動的回避応答におけるスコポラミン誘導性障害が疼痛閾値又は不安の変化によるものであった可能性を指摘する。
さらに、スコポラミンがY迷路タスクにおいて空間認識記憶の低下を誘発したことが分かった。これらの知見から、スコポラミンが試行2でのアーム弁別力を低下させ、これにより短期記憶の障害が示されることが明らかになった。3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)は、50mg/kgの用量で、スコポラミン誘導性の空間認識記憶低下を逆転させた。そして、最も注目すべきこととして、組み合わせDBP’sは、新規環境でのアーム進入のパーセンテージを向上させることによって、空間認識記憶におけるスコポラミン誘導性障害を有意に軽減させた。
組み合わせB:A(10:50mg/kg p.o)及びB:A(50:50mg/kg p.o)が、3−OH−DBP(B)(50mg/kg p.o)及び3,8−(OH)−DBP(A)(50mg/kg p.o)と比較した場合に、空間認識記憶を有意に向上させることにより相乗効果を実証したことは注目に値する。
アセチルコリンは、認知機能の制御に関与する最も重要な神経伝達物質と広く考えられている。これは、認知障害に関連する疾患、例えばその早期ステージのアルツハイマー病、の対症療法のためにAChE阻害剤を使用する大きな理由である。中枢コリン作動系を記憶とつなげる数々の証拠がある。認知機能不全は、コリン作動性機能障害及び記憶改善を伴う中枢コリン作動活性の逆促進と関連していることが示されている。アセチルコリンエステラーゼ活性の向上の結果また一般に、学習及び新しい記憶を形成する能力も低下する(Meena,J.,et al.,“Asparagus racemosus competitively inhibits in vitro the acetylcholine and monoamine metabolizing enzymes,”Neurosci.Lett.(2011)503(1):6−9)。従って、処置を受けたラットの海馬においてこれらの酵素の活性を評価した。この試験で、スコポラミンは、ACh濃度と逆相関する、海馬でのAChE活性を向上させた。3−OH−DBP(ウロリチンB)及び3,8−(OH)−DBP(ウロリチンA)は、アセチルコリンエステラーゼ活性のスコポラミン誘導性上昇とその結果起こるAChレベル低下を弱めた。最も注目すべきこととして、組み合わせB:A(10:50wt/wt)及びB:A(50:50wt/wt)は、B又はAの何れか個別の場合よりもはるかに顕著にスコポラミン誘導性のアセチルコリンエステラーゼ活性上昇及びAChレベル低下を軽減させる。さらに、シラジット、個々のDBP’sはドネペジルと等効力のものとして評価された。
まとめ:3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)(10:50wt/wt)の組み合わせは、インビトロでの相乗的アセチルコリンエステラーゼ活性を示した。ヒトアセチルコリンエステラーゼ酵素を用いて同じ効果が観察され、従って観察される活性の臨床的可能性が強調される。
3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)(10:50wt/wt)の組み合わせは、β−アミロイド凝集の阻害においてインビトロで相乗活性を示した。
動物でのスコポラミンの投与によって短期学習及び記憶の障害が生じ、これはADにおけるコリン作動性機能不全の特徴であるとみなされる。従って、スコポラミン誘導性健忘モデルは、潜在的な認知促進剤のスクリーニングに有用な認識障害の薬理学的モデルとして広く容認されている。
3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)(10:50wt/wt)の組み合わせは、ラットでのスコポラミン誘導性健忘モデルにおいていくつかのパラメーターのインビボ減弱を示した。
全アームにおける総進入数(試行1及び2)は、一般的探索姿勢(好奇心)を示し、これはスコポラミンにより減少した。この効果は3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)(10:50wt/wt)の組み合わせにより弱まった。これにより、この組み合わせが、新規環境でのアーム進入のパーセンテージを上昇させることにより、空間認識記憶においてスコポラミン誘導性障害を有意に軽減させたことが示される。試行2の5分間の既知対新規アームの%進入はアーム弁別の目安とみなす(空間認識記憶)。スコポラミンによる空間記憶の低下があり、これは、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)(10:50wt/wt)の組み合わせにより逆転した。
試行2中の全アーム及びこの装置中央での滞在時間に対する新規アーム滞在時間のパーセンテージから、新規環境での対処ストラテジー又は行動を推定した。新規環境での対処行動の減少は不安様行動の増加とみなした。従って、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)(10:50wt/wt)の組み合わせは、対処行動増加により抗不安活性を示した。
従って、上記の実施例において、スコポラミン(Sc)注射を受けたラットにおいて、組み合わせB:A(10:50wt/wt)及びB:A(50:50wt/wt)は、短期記憶、空間記憶障害、学習及び想起能力障害を回復させるための相乗効果を示した。
B:Aのより低い組み合わせ用量(10:50wt/wt)での活性は、ドネペジルと比較した場合、ほぼ同程度の効果を示した。
機構的に、一般にアセチルコリンレベル低下の結果、学習し、新しい記憶を形成する能力が低下する。脳におけるアセチルコリン濃度は、AChE活性によりダイナミックに調節される。AChEは、アセチルコリンを酢酸及びコリンへと加水分解し、結果的にAChE阻害剤は、アセチルコリンシナプスの作用を延長させ、コリン作動性神経伝達を促進する。
従って、しかし何らかの理論により縛られるものではないが、これらの酵素のAChE活性を海馬において評価した。スコポラミンは、海馬においてAChE活性を上昇させ、ACh濃度を低下させた。
従って、上記実施例で示されるように、3−OH−DBP(B):3,8−(OH)−DBP(A)(10:50wt/wt)及び3−OH−DBP(B):3,8−(OH)−DBP(A)(50:50wt/wt)の組み合わせは、スコポラミン注射を受けたラットにおいて、AChE活性を低下させ、AChレベルを上昇させた。
B:Aの組み合わせ用量が低いほど(10:50wt/wt)、大きな相乗効果を示し、これはドネペジルと同程度に効果的であった。
これらの結果から、スコポラミン誘導性健忘ラットモデルにおける実験薬物の相乗効果は、専ら、アセチルコリン濃度の上昇と逆相関するAChEの直接的阻害からの結果であり得ることが示唆される。
B:A(10:50wt/wt)の組み合わせは、他の比よりも良好な相乗的活性を示した。薬理学的効果は、個別のシラジット、3−OH−DBP(B)及び3,8−(OH)−DBP(A)よりも強力であった。殆どの例において、組み合わせはドネペジルと等効力であった。
本発明の栄養補助組成物は、栄養補助的に許容可能な担体と組み合わせて投与され得る。このような処方物中の活性成分は、1重量%〜99重量%又は或いは0.1重量%〜99.9重量%を構成し得る。「栄養補助的に許容可能な担体」は、処方物の他の成分と適合性があり、使用者にとって有害ではない何らかの担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。一実施形態によれば、適切な栄養補助的に許容可能な担体としては、エタノール、水性エタノール混合液、水、果実及び/又は野菜汁及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて投与され得る。このような処方物中の活性成分は、1重量%〜99重量%又は或いは0.1重量%〜99.9重量%を構成し得る。「薬学的に許容可能な担体」は、処方物の他の成分と適合性があり、使用者にとって有害ではない何らかの担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。
送達系
適切な剤型としては、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粉末、ガム及び菓子が挙げられる。舌下送達系としては、舌下及び舌上で溶けるタブ、液体ドロップ及び飲料が挙げられるが限定されない。可食フィルム、親水性ポリマー、経口可溶性フィルム又は経口可溶性ストリップを使用し得る。他の有用な送達系は、経口又は鼻腔スプレー又は吸入剤などを含む。
経口投与の場合、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒剤又は他の適切な剤型の調製のための1つ以上の固形不活性成分と、シラジット、ウロリチンA、ウロリチンB又はそれらの組み合わせをさらに組み合わせ得る。例えば活性剤を充填剤、結合剤、保水剤、崩壊剤、溶解抑制剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤又は潤滑剤などの少なくとも1つの賦形剤と組み合わせ得る。他の有用な賦形剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、マンニトール、キシリトール、甘味料、デンプン、カルボキシメチルセルロース、結結晶セルロース、シリカ、ゼラチン、二酸化ケイ素などが挙げられる。
従って、本発明の構成成分は、従来のアジュバント、担体又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及びその単位投与量の形態に入れられ得る。このような形態としては、固形及び特に錠剤、充填カプセル、粉末及びペレット形態及び液体、特に水性又は非水性溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル及びそれらを充填したカプセル、経口使用のための全て、直腸投与のための坐薬及び非経口使用のための滅菌注射溶液が挙げられる。このような医薬組成物及びその単位剤型は、多くが、さらなる活性化合物若しくは原理あり又はなしで、従来の割合で従来の成分を含み得、このような単位剤型は、使用されるべき目的とする1日投与量範囲と釣り合った活性成分の何らかの適切な有効量を含有し得る。
本発明の構成成分は、多岐にわたる経口及び非経口剤型で投与され得る。次の剤型が、活性構成成分として本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩の何れかを含み得ることは当業者にとって明白である。
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容可能な担体は、固体又は液体の何れかであり得る。固体形態の調製物としては、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ剤、坐薬及び分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又は封入物質としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。
粉末において、担体は微粉化固体であり、微粉化活性構成成分との混合物中にある。錠剤において、適切な割合で必要な結合能を有する担体と活性構成成分を混合し、所望の形状及びサイズで圧縮する。
粉末及び錠剤は、好ましくは5又は10〜約70パーセントの活性化合物を含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、マグネシウムステート(magnesium state)、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「製剤」という用語は、担体あり又はなしで活性構成成分が担体により取り囲まれる、従ってそれと会合している、カプセルを提供する担体としての封入物質との活性化合物の処方物を含むものとする。同様にカシェ剤及び薬用キャンディーが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤及び薬用キャンディーが含まれる。経口投与に適切な固体形態として錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤及び薬用キャンディーが使用され得る。
液体調製物としては、溶液、懸濁液及びエマルジョン、例えば水又は水−プロピレングリコール溶液が挙げられる。例えば、非経口注射液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液として処方され得る。従って、本発明による化合物は、アンプル、プレフィルドシリンジ、小体積点滴において単位用量で、又は保存剤が添加された複数回投与容器において、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射又は連続点滴による)のために処方され得、与えられ得る。本組成物は、油性若しくは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンとしてこのような形態をとり得、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤を含有し得る。或いは、活性成分は、使用前の適切なビヒクル、例えば滅菌、発熱物質不含水を用いた構成のための、滅菌固体の無菌的単離によるか、又は溶液からの凍結乾燥により得られる粉末形態であり得る。
活性構成成分を水中で溶解させ、必要に応じて適切な着色剤、香味剤、安定化剤及び増粘剤を添加することにより、経口使用に適切な水性溶液が調製され得る。経口使用に適切な水性懸濁液は、天然若しくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の周知の懸濁剤などの粘性物質とともに水中で微粉化活性構成成分を分散することにより作製され得る。
口中での局所投与に適切な組成物としては、風味付き基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性剤を含む薬用キャンディー;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含むトローチ;及び適切な液体担体中に活性成分を含む洗口剤が挙げられる。
溶液又は懸濁液は、従来の手段により、例えばドロッパー、ピペット又はスプレーで、鼻腔に直接適用される。本組成物は、単回又は複数回投与形態で提供され得る。鼻腔内組成物を含む、気道への投与を目的とする組成物において、本化合物は一般に粒径が小さく、例えば5ミクロン以下の桁である。このような粒径は、当技術分野で公知の手段により、例えば微粒子化により得られ得る。
本医薬品は好ましくは単位剤型である。このような形態において、適切な量の活性構成成分を含有する単位用量に調製物が細分される。単位剤型は、パッケージ化調製物、調製物の分離量を含有するパッケージ、例えばパッケージ化錠剤、カプセル及びバイアル若しくはアンプル中の粉末であり得る。また、単位剤型は、カプセル、錠剤、カシェ剤又は薬用キャンディーそれ自身であり得るか又はパッケージ化形態での適切な数のこれらの何れかであり得る。
経口投与のための錠剤、カプセル及び薬用キャンディー及び経口使用のための液体は好ましい組成物である。鼻腔へ又は気道への適用のための溶液又は懸濁液は好ましい組成物である。表皮への局所投与用の経皮パッチは好ましい。
処方物及び投与に対する技術におけるさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版で見られ得る。
経口投与用の固体栄養組成物は、任意選択により、上で列挙される栄養組成物成分又は化合物に加えて、担体物質、例えばコーンスターチ、ゼラチン、アカシア、微結晶セルロース、カオリン、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、アルギン酸など;微結晶セルロース、アルギン酸などを含む崩壊剤;アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースなどを含む結合剤;及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン溶液、タルク、ワックス、油、コロイド状シリカなどの滑沢剤を含有し得る。このような賦形剤の有用性は当技術分野で周知である。
好ましい一実施形態では、栄養組成物は液体形態であり得る。この実施形態によれば、液体組成物を作製する方法が提供される。
経口投与のための液体栄養組成物は、炎症、風邪及び/又はインフルエンザを予防及び/又は処置するための方法に関連して、水又は他の水性ビヒクル中で調製され得る。上で列挙される成分又は化合物に加えて、液体栄養組成物は、懸濁剤、例えば、メチルセルロース、アルギナート、トラガカント、ペクチン、ケルギン、カラゲナン、アカシア、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどを含み得る。液体栄養組成物は、上で列挙される成分又は化合物と一緒に、湿潤剤、甘味料及び着色及び香味剤を含むか又は含有する、溶液、エマルジョン、シロップ、ゲル又はエリキシル剤の形態であり得る。従来法によって様々な液体及び粉末栄養組成物を調製し得る。様々なレディ・トゥ・ドリンク処方物(RTD’s)が企図される。
投与経路
本組成物は、経口、舌下、頬側、眼、肺、直腸及び非経口投与を含むが限定されない何らかの適切な経路により、又は経口若しくは点鼻薬(例えば噴霧蒸気、液滴又は固体粒子の吸入)として投与され得る。非経口投与としては、例えば静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、膀胱内(例えば膀胱へ)、皮内、経皮、局所又は皮下投与が挙げられる。本発明の範囲内で、制御処方物での患者の身体における医薬組成物の滴下も企図され、遅れて薬物の全身又は局所放出が起こる。例えば、循環への制御放出のために又は局所部位への放出のために薬物をデポーで局在させ得る。
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、鼻、肺、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、膣又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射又は点滴を含む)投与に適切であるもの、又は粉末及び液体エアロゾル投与を含む吸入若しくは吹送法による、又は持続放出系による投与に適切な形態であるものであり得る。持続放出系の適切な例としては、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性のマトリクスが挙げられ、このマトリクスは、成形製品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態であり得る。
ここで主張される発明を記載する文脈における「a」、「an」、「the」という語及び同様の参照物の使用(特に特許請求の範囲の文脈において)は、本明細書中で別段示されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の引用は、本明細書中で別段示されない限り、単に範囲内に入る各個別値を個別に言及する省略方法となるものとし、各個別値は、本明細書中で個別に引用されるかのように、本明細書に組み込まれる。「約」という用語の使用は、述べられる値のおよそ±10%の範囲で上回るか又は下回るかの何れかである値を記載するものとし;他の実施形態では、この値は、述べられる値のおよそ±5%の範囲で上回るか又は下回るかの何れかである値の範囲であり得;他の実施形態では、この値は、述べられる値のおよそ±2%の範囲で上回るか又は下回るかの何れかである値の範囲であり得;他の実施形態では、値は、述べられる値のおよそ±1%の範囲で上回るか又は下回るかの何れかである値の範囲であり得る。前述の範囲は、文脈により明らかにされるものであり、さらなる制限は暗示されない。本明細書中に記載の全ての方法は、本明細書中で別段示されない限り、又は文脈により別段明らかに矛盾しない限り、あらゆる適切な順序で行われ得る。本明細書中で提供されるありとあらゆる例又は代表的な言語(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより良好に明らかにするものであり、別段の主張がない限り、本発明の範囲に対する制限を提供しない。本明細書中の言語の中で、本発明の実施に必須のものとして何らかの非主張要素を示すものとして解釈されるべきものはない。
前述の明細書中である一定のその実施形態に関して本発明を記載し、多くの詳細を例示の目的で提案してきたが、本発明がさらなる実施形態を受け入れる余地があること、及び本明細書中に記載のある詳細のある種のものが、本発明の基本的原理から逸脱することなく大幅に改変され得ることは当業者にとって明らかとなろう。
本明細書中で引用される全ての参考文献はそれらの全体において参照により組み込まれる。本発明は、その精神又は基本的な特質から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得、従って、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

Claims (18)

  1. ウロリチンA及びウロリチンBを含む組成物において、ウロリチンBとウロリチンAとのwt./wt.比が約0.2:1〜約0.6:1であることを特徴とする組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物において、ウロリチンBとウロリチンAとのwt./wt.比が約0.2:1であることを特徴とする、組成物。
  3. 請求項1に記載の医薬又は栄養補助組成物において、薬学的又は栄養補助的に許容可能な担体をさらに含むことを特徴とする医薬又は栄養補助組成物。
  4. 請求項1に記載の組成物において、治療的有効投与量が約100mg〜約1000mgであることを特徴とする組成物。
  5. 請求項1に記載の組成物において、治療的有効投与量が約100mg〜約500mgであることを特徴とする組成物。
  6. ヒト対象における認知症関連障害を処置又は予防するための方法における使用のための、請求項3に記載の医薬組成物。
  7. 請求項6に記載の医薬組成物において、前記認知症関連障害がアルツハイマー病であることを特徴とする医薬組成物。
  8. 請求項6に記載の医薬組成物において、約1.5mg/kg〜約8.0mg/kgの1日用量で投与されることを特徴とする医薬組成物。
  9. 請求項6に記載の医薬組成物において、アセチルコリンエステラーゼ活性の阻害に対して約0.05μg/ml〜約0.06μg/mlの阻害濃度(IC50)を有することを特徴とする医薬組成物。
  10. ヒト対象において不安障害を処置又は予防するための方法での使用のための、請求項3に記載の医薬組成物。
  11. 請求項10に記載の医薬組成物において、約1.5mg/kg〜約8.0mg/kgの1日用量で投与されることを特徴とする医薬組成物。
  12. 請求項10に記載の医薬組成物において、アセチルコリンエステラーゼ活性の阻害に対して約0.05μg/ml〜約0.06μg/mlの阻害濃度(IC50)を有することを特徴とする医薬組成物。
  13. 個体において認知障害を処置又は予防するための方法において、このような処置を必要とする前記個体にウロリチンA及びウロリチンBを含む組成物の治療的有効量を投与することを含み、ウロリチンBとウロリチンAとのwt./wt.比が約0.2:1〜約0.6:1であることを特徴とする方法。
  14. 請求項13に記載の方法において、前記認知障害が、認知症関連障害、ストレス誘発性認知症、不安症、うつ及びアルツハイマー病からなる群から選択されることを特徴とする方法。
  15. 請求項13に記載の方法において、前記組成物が、約0.2:1〜の、ウロリチンBとウロリチンAとのwt./wt.比を有し、ヒトアセチルコリンエステラーゼ活性の阻害に対して約40μg/ml〜約80μg/mlの阻害濃度(IC50)を有することを特徴とする方法。
  16. 請求項15に記載の方法において、ヒトアセチルコリンエステラーゼの前記阻害が、個別にウロリチンA又はウロリチンBにより示される阻害よりも少なくとも5倍高いことを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の方法において、前記治療的有効量が、ヒトにおいて約100mg〜約1000mgの1日用量であることを特徴とする方法。
  18. 請求項16に記載の方法において、前記治療的有効量が、ヒトにおいて約1.5mg/kg〜約10.0mg/kgの1日用量であることを特徴とする方法。
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