JP2022500044A - PaCas9ヌクレアーゼ - Google Patents

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Abstract

本発明は、バイオテクノロジー、分子生物学および医学の分野に、特にヌクレアーゼ酵素およびその使用に関する。より具体的には、本発明は、PaCas9ヌクレアーゼ酵素に関する。本発明はまた、前記ヌクレアーゼをコードする核酸、前記核酸を含む遺伝子構築物、発現ベクター、送達ベクター、前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸を含むリポソーム、ヌクレアーゼを産生するための方法、送達のための方法、および前記ヌクレアーゼをコードする核酸を含む宿主細胞にも関する。【選択図】なし

Description

本発明は、バイオテクノロジー、分子生物学および医学の分野に、特にヌクレアーゼ酵素およびその使用に関する。より具体的には、本発明は、PaCas9ヌクレアーゼ酵素に関する。本発明はまた、前記ヌクレアーゼをコードする核酸、前記核酸を含む遺伝子構築物、発現ベクター、送達ベクター、前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする核酸を含むリポソーム、ヌクレアーゼを産生するための方法、送達のための方法、ならびに前記ヌクレアーゼをコードする核酸を含む宿主細胞にも関する。
CRISPR−Casは多くの細菌および古細菌の大部分における適応免疫系であることが、2007年に最初に示された(Barrangouら, 2007, Science 315: 17091712、Brounsら, 2008, Science 321: 960−964)。機能的および構造的基準に基づき、3つのタイプのCRISPR−Cas系がこれまでに特徴づけられてきており、その大部分は、相補DNA配列をターゲティングするガイドとして、小分子RNA分子を使用する(Makarovaら, 2011, Nat Rev Microbiol 9: 467−477、Van der Oostら, 2014, Nat Rev Microbiol 12: 479−492)。
Daudna/Charpentier研究室による最近の研究において、II型CRISPR−Cas系(Cas9)のエフェクター酵素の完全な特徴づけが行われ、これには、設計されたCRISPR RNAガイド(特異的スペーサー配列を含む)を導入すると、プラスミド上の相補配列(プロトスペーサー)がターゲティングされ、このプラスミドの二本鎖ブレークが引き起こされることの立証が含まれた(Jinekら, 2012, Science 337: 816−821)。後に、Jinekら、2012は、Cas9をゲノム編集のためのツールとして用いた。
Cas9は、ある範囲の真核細胞(例えば魚類、植物、ヒト)のゲノムを操作するために用いられてきている(CharpentierおよびDoudna, 2013, Nature 495: 50−51)。
さらに、Cas9は、特化した組換え事象に関して選択することによって、細菌における相同組換えの収率を改善するために用いられてきている(Jiangら, 2013, Nature Biotechnol 31: 233−239)。これを達成するため、毒性断片(ターゲティング構築物)を、所望の改変を所持するレスキュー断片(点突然変異または欠失を所持する編集構築物)と同時トランスフェクションする。ターゲティング構築物は、設計CRISPRおよび抗生物質耐性マーカーと組み合わせたCas9からなり、宿主染色体上の望ましい組換え部位を定義し;対応する抗生物質の存在下で、宿主染色体におけるターゲティング構築物の組込みが選択される。宿主染色体上の他の場所で、CRISPRターゲット部位を含む編集構築物のさらなる組換えが起こった場合のみ、宿主は自己免疫の問題を逃れうる。したがって、抗生物質の存在下で、望ましい(マーカー不含)突然変異体のみが生存し、そして増殖することが可能である。染色体からの組込みターゲティング構築物の続く除去に関して選択する、関連する戦略もまた提示され、これは真のマーカー不含突然変異体を生成する。
近年、CRISPR−Cas仲介性ゲノム編集が遺伝子操作のための有用なツールを構成することが確立されてきている。原核生物CRISPR系が、適応免疫系としてその宿主のために働き(Jinekら, 2012, Science 337: 816−821)、そしてこの系を迅速でそして有効な遺伝子操作のために用いてもよく(例えば、Maliら, 2013, Nat Methods 10: 957−963)、関心対象の配列をターゲティングするためには、ガイド配列の修飾のみが必要であることが確立されてきている。
Barrangouら, 2007, Science 315: 17091712 Brounsら, 2008, Science 321: 960−964 Makarovaら, 2011, Nat Rev Microbiol 9: 467−477 Van der Oostら, 2014, Nat Rev Microbiol 12: 479−492 Jinekら, 2012, Science 337: 816−821 CharpentierおよびDoudna, 2013, Nature 495: 50−51 Jiangら, 2013, Nature Biotechnol 31: 233−239 Maliら, 2013, Nat Methods 10: 957−963
しかし、遺伝子研究およびゲノム編集の分野における適用のため、多様な実験条件下で、改善された配列特異的核酸検出、切断および操作を伴う剤の開発に関して、連続する必要性がある。
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列を有する、PaCas9ヌクレアーゼに関する。
1つの側面において、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列を有するPaCas9ヌクレアーゼをコードする、単離核酸分子に関する。
1つの側面において、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸を含む、発現ベクターに関する。
いくつかの態様において、発現ベクターは、図1に示すような遺伝子構築物、PpCas9−T2A−GFP−sgRNA1−MCS−sgRNA2−MCSである。
1つの側面において、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸を含む、療法剤を送達するベクターに関する。
本発明の1つの態様において、ベクターは、療法剤をターゲット細胞またはターゲット組織に送達する。
1つの側面において、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列を有する配列番号2のアミノ酸配列を有するPaCas9ヌクレアーゼを含む療法剤を送達するリポソームに関する。
本発明の1つの態様において、リポソームは、療法剤をターゲット細胞またはターゲット組織に送達する。
1つの側面において、本発明は、上記ベクターまたは上記リポソームを用いて、療法剤をターゲット細胞またはターゲット組織に送達するための方法に関する。
方法の1つの態様において、上記ベクターまたは上記リポソームを哺乳動物体内に投与することによって、療法剤をターゲット細胞またはターゲット組織に送達する。
1つの側面において、本発明は、上記ベクターのいずれかを用いた細胞の形質転換を含む、配列番号2のアミノ酸配列を有するPaCas9ヌクレアーゼを産生する宿主細胞を産生するための方法に関する。
1つの側面において、本発明は、PaCas9ヌクレアーゼを産生するための方法であって、上記宿主細胞を、増殖培地中、前記PaCas9ヌクレアーゼを産生するために十分な条件下で培養し、必要であれば、その後、得られたPaCas9ヌクレアーゼを単離し、そして精製する工程を含む、前記方法に関する。
哺乳動物細胞において、PpCas9ヌクレアーゼの産生のために意図されるプラスミドPpCas9−T2A−GFP−sgRNA1−MCS−sgRNA2−MCSの環状図。
AmpRは、アンピシリンに対する耐性を提供するベータ−ラクタマーゼ遺伝子であり、
CMVプロモーターは、サイトメガロウイルス初期遺伝子のプロモーターであり、
コザック配列は、タンパク質の翻訳効率を増進させるよう意図され、
開始コドンは開始コドンであり、
NLSは、核局在化シグナル(NLS)を指し、
PaCas9は、配列番号2のアミノ酸配列を有するPaCas9ヌクレアーゼをコードする配列番号1のヌクレオチド配列であり、
FLAGは、タンパク質検出に用いられるFLAGエピトープ配列であり、
GFPは、修飾緑色蛍光タンパク質であり、
TK pAは、mRNA安定性を増加させるために用いられるチミジンキナーゼポリAシグナル配列を指し、
F1 оriは、ヘルパーファージと同時形質転換された際、ファージミドのファージ粒子へのパッケージングを可能にする複製起点であり、
pоlIII term+U6プロモーターは、小分子RNA分子の発現のためのカセットを指し、各カセットは、U6プロモーターおよびRNAポリメラーゼIII転写ターミネーターを含有する。
pUC起点は、細菌におけるpUC複製起点である。
ドメイン分布を含むPaCas9ヌクレアーゼのアミノ酸配列。
定義および一般的方法
別に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、一般の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
さらに、背景によって別に必要とされない限り、単数形の用語には複数形が含まれるものとし、そして複数形の用語には単数形が含まれるものとする。典型的には、細胞培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、有機合成化学、医学および薬学的化学の分類および方法、ならびに本明細書に記載するタンパク質および核酸のハイブリダイゼーションおよび化学は、当業者によって周知であり、そして広く用いられている。酵素反応および精製法は、当該技術分野において一般的であるように、または本明細書に記載するように、製造者の指示にしたがって実行される。
「哺乳動物」は、霊長類、ヒト、齧歯類、イヌ、ネコ、ウシ、小型のウシ(small cattle)、ウマ、ブタ等を含む哺乳動物と分類される、任意の動物を指す。
ヌクレアーゼ
ヌクレアーゼは、核酸サブユニット間のホスホジエステル結合を加水分解する酵素の広い群である。
その特異性および活性に応じて、ヌクレアーゼは、以下のタイプであってもよい:エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼおよびデオキシリボヌクレアーゼ、制限酵素(restrictase)およびいくつかの他のもの。制限酵素は応用分子生物学において重要な要素である。
PaCas9ヌクレアーゼは、デオキシリボヌクレアーゼのタイプに関する。
PaCas9ヌクレアーゼは、ターゲット配列を認識する少なくとも1つのRNA分子に結合した際、ターゲット核酸配列を含むDNAを切断可能である。
PaCas9ヌクレアーゼは、2つのエンドヌクレアーゼドメインを含み、該ドメインは1つずつ、一本鎖ブレークを作製し、そしてともに活性化された際、二本鎖ブレークを作製する。
PaCas9ヌクレアーゼは、II型CRISPR−Cas系のエフェクター酵素(2型ヌクレアーゼ)である。
PaCas9ヌクレアーゼは、非常に特異的な認識部位(16〜20文字)で二本鎖DNAブレークを作製可能である。
PaCas9ヌクレアーゼのDNAを配列番号1に提示する。
PaCas9ヌクレアーゼのアミノ酸配列を配列番号2に提示する。
図2は、ドメイン分布を含むPaCas9ヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
PaCas9ヌクレアーゼは、クラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列リピート(CRISPR)、ならびにCRISPR−Cas系の他の隣接構成要素:crRNAおよびtracrRNA配列と会合する。
tracrRNAをコードするヌクレオチド配列を配列番号3に提示する。
ダイレクトリピートDRをコードするヌクレオチド配列を配列番号4に提示する。
crRNAは、ターゲット依存性可変部分および配列番号4に提示するダイレクトリピートDRからなる。
用語「療法剤」は、本明細書において、配列番号2のアミノ酸配列を有するPaCas9ヌクレアーゼ、またはPaCas9ヌクレアーゼをコードし、そして配列番号1のヌクレオチド配列を有する、単離核酸分子を指す。
tracrRNA(トランス活性化crRNA)は、小分子トランスコード化RNAである。
CRISPR(クラスター化されて規則的に間隔があいた回文配列リピート)は、ユニークな配列(スペーサー)が散在するダイレクトリピートからなる特別な細菌および古細菌遺伝子座である。
核酸分子
用語「核酸」、「核配列(nucleic sequence)」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」、および「ヌクレオチド配列」は、本明細書において交換可能に用いられ、修飾されたまたは修飾されないヌクレオチドの正確な配列を意味し、非天然ヌクレオチドを含有するかまたは含有しない核酸断片または領域を決定し、そして二本鎖DNAまたはRNA、一本鎖DNAまたはRNAいずれかであるか、あるいは前記DNAの転写産物である。
本発明が、その天然染色体環境、すなわち天然状態にある、ヌクレオチド配列に関連しないこともまた、本明細書に含まれなければならない。本発明の配列は、単離されそして/または精製されており、すなわちこれらは、直接または例えばコピーによって間接的にサンプリングされており、その環境は少なくとも部分的に修飾されている。したがって、組換え遺伝学によって得られた、例えば宿主細胞の、または化学合成によって得られた単離核酸もまた、本明細書で言及されなければならない。
「単離」核酸分子は、同定され、そして該分子がヌクレアーゼ核酸の天然供給源において結合している、少なくとも1つの核酸分子不純物から分離されているものである。単離核酸分子は、天然条件下で見られる型またはセットとは異なる。したがって、単離核酸分子は、天然条件下で細胞に存在する核酸分子とは異なる。しかし、単離核酸分子には、例えば核酸分子が天然条件下での細胞におけるその局在とは異なる染色体局在を有するならば、抗体が通常発現される細胞に位置する核酸分子が含まれる。
用語「ヌクレオチド配列」は、別に明記しない限り、その相補体を含む。したがって、特定の配列を有する核酸は、その相補配列を含むその相補鎖を含むものと理解されなければならない。
用語「調節配列」は、特定の宿主生物において、機能可能であるように連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適した調節配列には、例えば、プロモーター、随意にオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られる。
核酸は、別の核酸配列と機能的関係にあるように配置された際、「機能可能であるように連結されて」いる。例えば、プレ配列または分泌リーダー配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるならば、ポリペプチドのDNAに機能可能であるように連結されており;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に機能可能であるように連結されており;リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されているならば、コード配列に機能可能であるように連結されている。一般的に、「機能可能であるように連結された」は、連結されているDNA配列が連続しており、そして分泌リーダーの場合、連続しており、そして読み枠にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、連続している必要はない。
ベクター
用語「ベクター」は、本明細書において、連結している別の核酸を輸送可能な核酸分子を意味する。いくつかの態様において、ベクターは、その内部にさらなるDNAセグメントが連結されてもよい、プラスミド、すなわちDNAの環状二本鎖片である。いくつかの態様において、ベクターはウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノム内に連結してもよい。いくつかの態様において、ベクターは、これらが導入されている宿主細胞において、自律複製が可能である(例えば細菌複製起点部位を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。さらなる態様において、ベクター(例えば非エピソーム哺乳動物ベクター)が、宿主細胞内への導入に際して、宿主細胞ゲノム内に組み込まれてもよく、そしてそれによって、宿主遺伝子とともに複製される。さらに、特定のベクターは、これらが機能可能であるように連結されている遺伝子の発現を指示可能である。こうしたベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」(または単純に「発現ベクター」)と称される。
1つの側面において、本発明は、本明細書記載の任意のヌクレオチド配列の発現に適したベクターに関する。
本発明は、PaCas9ヌクレアーゼをコードする核酸分子を含むベクターに関する。
いくつかの態様において、本発明のPaCas9ヌクレアーゼは、遺伝子が。必要な発現調節配列、例えば転写および翻訳調節配列に機能的に連結されるように、発現ベクター内にDNAを挿入することによって、発現される。発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス、例えばカリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソーム等が含まれる。ベクター内の転写および翻訳調節配列が、DNAの転写および翻訳を制御する、その意図される機能を果たすように、DNA分子をベクター内に連結してもよい。用いる宿主細胞における発現と適合するように、発現ベクターおよび発現調節配列を選択してもよい。標準法(例えばPaCas9ヌクレアーゼ遺伝子断片およびベクター上の相補的制限部位の連結、あるいは制限部位が存在しない場合、平滑端連結)によって、DNA分子を発現ベクター内に導入してもよい。
PaCas9ヌクレアーゼ遺伝子に加えて、本発明の組換えベクター発現は、宿主細胞においてPaCas9ヌクレアーゼ遺伝子の発現を調節する制御配列を所持してもよい。当業者には、制御配列の選択を含む、発現ベクターの設計は、形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の要因に応じうることが理解されるであろう。哺乳動物における発現宿主細胞の好ましい調節配列には、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を確実にするウイルス要素、例えばレトロウイルスLTR、サイトメガロウイルス(CMV)(例えばCMVプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(例えばSV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば主要後期プロモーターアデノウイルス(AdMLP))、ポリオーマウイルス由来のプロモーターおよび/エンハンサー、ならびに強力な哺乳動物プロモーター、例えば天然イムノグロブリンプロモーターまたはアクチンプロモーターが含まれる。ウイルス調節要素およびその配列のさらなる説明に関しては、例えば、米国特許第5,168,062号、第4,510,245号および第4,968,615号を参照されたい。細菌細胞または真菌細胞、例えば酵母細胞において、ポリペプチドを発現するための方法もまた、当該技術分野に周知である。
PaCas9ヌクレアーゼ遺伝子および制御配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば宿主細胞においてベクターの複製を制御する配列(例えば複製起点)および選択可能マーカー遺伝子を所持してもよい。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進する(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞に対して、医学的剤、例えばG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキセートに対する耐性を与える。例えば、選択可能マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキセート選択/増幅中にdhfr−宿主細胞において使用するため)、neо遺伝子(G418選択のため)、およびグルタミン酸シンテターゼ遺伝子が含まれる。
用語「発現調節配列」は、本明細書において、これらが連結されるコード配列の発現およびプロセシングを達成するために必要なポリヌクレオチド配列を指すよう意図される。発現調節配列には、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的RNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を増進させる配列(すなわちコザック・コンセンサス配列);タンパク質安定性を増進させる配列;ならびに望ましい場合、タンパク質分泌を増進させる配列が含まれる。こうした調節配列の性質は、宿主生物に応じて異なり;原核生物においては、こうした調節配列には、一般的に、リボソーム結合部位のプロモーター、および転写終結配列が含まれ;真核生物においては、こうした調節配列には、典型的には、プロモーターおよび転写終結配列が含まれる。用語「調節配列」には、少なくとも、その存在が、発現およびプロセシングに必須であるすべての構成要素が含まれると意図され、そしてまた、その存在が有益であるさらなる構成要素、例えばリーダー配列および融合パートナー配列も含まれてもよい。
宿主細胞
用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、本明細書において、組換え発現ベクターが導入されている細胞を指すよう意図される。本発明は、例えば上述の本発明記載のベクターが含まれてもよい、宿主細胞に関する。「組換え宿主細胞」および「宿主細胞」は、特定の対象細胞だけでなく、こうした細胞の子孫もまた指すよう意図されることを理解しなければならない。修飾は、突然変異または環境的影響のいずれかのため、続く世代でも起こりうるため、こうした子孫は、実際、親細胞と同一でない可能性もあるが、こうした細胞はなお、本明細書において、用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。
本発明のPaCas9ヌクレアーゼをコードする核酸分子およびこれらの核酸分子を含むベクターを、適切な哺乳動物またはその細胞、植物またはその細胞、細菌または酵母宿主細胞のトランスフェクションに用いてもよい。形質転換は、宿主細胞内へのポリヌクレオチドの導入のための任意の既知の技術によって行われてもよい。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入するための方法は、当該技術分野に周知であり、そしてこれには、デキストラン仲介性トランスフェクション、陽イオン性ポリマー−核酸複合体トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、リポソーム中のポリヌクレオチド(単数または複数)の被包、ならびに核内へのDNAの直接マイクロインジェクションが含まれる。さらに、ウイルスベクターによって、哺乳動物細胞内に核酸分子を導入してもよい。細胞をトランスフェクションするための方法は、当該技術分野に周知である。例えば、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号および第4,959,455号を参照されたい。植物細胞を形質転換するための方法が当該技術分野に周知であり、これには、例えばアグロバクテリウム仲介形質転換、微粒子銃形質転換、直接注入、エレクトロポレーションおよびウイルス形質転換が含まれる。細菌および酵母細胞を形質転換する方法もまた、当該技術分野に周知である。
形質転換のための宿主として用いる哺乳動物細胞株が当該技術分野に周知であり、そしてこれには、入手可能な多数の不死化細胞株が含まれる。これらには、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK−293T細胞、FreeStyle 293細胞(Invitrogen)、NIH−3T3細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHepG2)、A549細胞、および多くの他の細胞株が含まれる。どの細胞株が高発現レベルを有し、そして産生するタンパク質に必要な特性を提供するかを決定することによって、細胞株を選択する。使用可能な他の細胞株は、昆虫細胞株、例えばSf9またはSf21細胞である。PaCas9ヌクレアーゼをコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞内に導入する際、宿主細胞におけるPaCas9ヌクレアーゼの発現、またはより好ましくは、宿主細胞を増殖させる培地内へのPaCas9ヌクレアーゼの分泌を可能にするために十分な期間、宿主細胞を培養することによって、PaCas9ヌクレアーゼを産生する。標準的なタンパク質精製技術を用いて、培地から、PaCas9ヌクレアーゼを単離してもよい。植物宿主細胞には、例えばニコチアナ属(Nicotiana)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、ウキクサ(duckweed)、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ等が含まれる。細菌宿主細胞には、大腸菌(E. coli)およびストレプトミセス属(Streptomyces)種が含まれる。酵母宿主細胞には、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)が含まれる。
さらに、多くの既知の技術を用いて、産生細胞株からの本発明のPaCas9ヌクレアーゼの産生レベルを増進させてもよい。例えば、グルタミンシンテターゼ遺伝子発現系(GS系)は、特定の条件下で発現を増進させるための一般的なアプローチである。GS系は、EP第0216846号、第0256055号、第0323997号および第0338841号と関連して、全体にまたは部分的に論じられる。
異なる細胞株またはトランスジェニック動物から得られるPaCas9ヌクレアーゼは、互いに比較した際、異なるグリコシル化プロファイルを有する可能性が高い。しかし、本明細書記載の核酸分子によってコードされるPaCas9ヌクレアーゼは、グリコシル化状態に関わらず、そして一般的に翻訳後修飾の存在または非存在に関わらず、本発明の一部である。
リポソーム
1つの側面において、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列を有するPaCas9ヌクレアーゼを被包するリポソーム、またはPaCas9ヌクレアーゼをコードし、そして配列番号1のヌクレオチド配列を有する単離核酸分子に関する。
リポソームは、1つまたはそれより多い脂質二重層によって取り囲まれた内部相を有し、そして内部相中に水溶性物質を、そしてリン脂質二重層中に脂溶性物質を保持する能力を有する、顕微的閉鎖小胞である。リポソーム中に活性化合物を封入し、そしてターゲット組織に送達する際、リポソーム中に高効率で活性化合物を封入し、そしてリポソームによる活性化合物の安定な保持を確実にする方法は、重要な課題を構成する。
一般的に、リポソームは、数十ナノメートルから10分の数ミクロンまでの主なサイズを持つ粒子と見なされ、そのシェルが、別の物質(単数または複数)の分子を収容する。リポソームシェルは、水分子およびイオンに対して「半透性」である。
リポソームは、異なる性質の物質を含有しそして保持する能力によって特徴づけられる。リポソーム中に取り込まれる物質の範囲は非常に広く、無機イオンおよび低分子量有機化合物から巨大タンパク質および核酸に渡る。
リポソームは、キャリアー中に取り込まれた物質の長期放出を提供する。
リポソームは、リン脂質、特にホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴリン脂質、卵/大豆リン脂質またはその混合物で作製されてもよい。
以下の実施例は、本発明をよりよく理解するために提供される。これらの実施例は、例示目的のみのためであり、そしていかなる方式でも、本発明の範囲を限定するとは見なされないものとする。
本明細書に引用される、すべての刊行物、特許および特許出願は、本明細書に援用される。前述の発明は、理解を明確にする目的のため、例示および例によって、ある程度詳細に記載されてきているが、当業者には、本発明の解説を考慮して、付随する態様の精神および範囲から逸脱することなく、特定の変化および修飾を行ってもよいことがまったく明らかであろう。
材料および一般的な方法
組換えDNA技術
Sambrook, J.ら, Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載されるような、DNAを操作するための標準的な方法を用いた。製造者の指示にしたがって、分子生物学的試薬を用いた。
遺伝子合成
化学合成によって作製されるオリゴヌクレオチドから、所望の遺伝子セグメントを調製した。特異な制限部位が隣接する、長さ300〜4000kbの遺伝子セグメントを、PCR増幅を含むオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結によって組み立て、そして続いて、示す制限部位を通じてクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNA配列決定によって確認した。
DNA配列決定
サンガー配列決定によって、DNA配列を決定した。
DNAおよびタンパク質配列分析および配列データ管理
配列生成、マッピング、分析、アノテーションおよび図解のため、InfomaxのVector NTI Advance suite、バージョン8.0を用いた。
発現ベクター
PaCas9ヌクレアーゼの発現のため、原核細胞(大腸菌(E. coli))における発現、真核細胞における(例えばCHO細胞における)一過性発現のために意図される発現プラスミドの変異体を用いた。PaCas9ヌクレアーゼ発現カセットに加えて、ベクターは:大腸菌における前記プラスミドの複製を可能にする複製起点、多様な抗生物質に対して(例えばアンピシリンおよび/またはカナマイシンに対して)大腸菌に耐性を与える遺伝子を含有した。
実施例1
PaCas9ヌクレアーゼの調製法
メタゲノム配列を調製するため、ホモエオディクチャ・パルマタ(Homoeodictya palmata)海綿試料を白海領域から収集し、遠心分離によって材料を分画し、次いで、総DNAを単離し、そして続いて配列決定した。
バイオインフォマティクス法を用いて、PaCas9タンパク質のオープンリーディングフレームならびにCRISPR−Cas系の隣接構成要素(CRISPRカセット、ならびにcrRNAおよびtracrRNA配列)をメタゲノム配列中で検出した。
PaCas9ヌクレアーゼのDNAを配列番号1に提示する。
PaCas9ヌクレアーゼのアミノ酸配列を配列番号2に提示する。
tracrRNAをコードするヌクレオチド配列を配列番号3に提示する。
ダイレクトリピートDRをコードするヌクレオチド配列を配列番号4に提示する。
実施例2
クローニングの説明
バイオインフォマティクス検索によって、PaCas9ヌクレアーゼ遺伝子配列を得た。配列をコドン最適化して、哺乳動物細胞における最適な発現を確実にし、そして次いで、ギブソン法を用いて化学的に合成したオリゴヌクレオチドからデノボで組み立てた。合成PaCas9遺伝子を、CMVプロモーターの3’端から、遺伝子構築物中にクローニングした。コザック配列および核局在化シグナル(NLS)を、遺伝子の5’端から付加し、そしてタンパク質検出のためのFLAGエピトープ配列を3’端から付加した。PaCas9配列および上に列挙する関連要素、T2A要素ならびに発現マーカーとしての緑色蛍光タンパク質(EGFP)のオープンリーディングフレームを、同じ読み枠で構築物中に入れる。
読み枠の後に、チミジンキナーゼポリAシグナル配列を、3’端から配置して、mRNAの安定性を増加させる。小分子RNA分子の発現のための遺伝子構築物の細菌皮質(cortex)の領域には、タンデムに2つのカセットがある。各カセットは、U6プロモーターおよびRNAポリメラーゼIII転写ターミネーターを含有する。これらのカセットは、ターゲットDNA分子(細胞ゲノム)とPaCas9タンパク質の特異的相互作用を提供するRNA分子の発現のために必要である。構築物マップを図1に示す。この構築物は、PaCas9タンパク質(NLSを通じて核に輸送される)およびタンパク質をガイドするRNA分子(ガイドRNA)の両方を発現するとともに、FLAGエピトープによりタンパク質を検出し、そしてEGFPの検出によって遺伝子構築物の送達効率を決定することを可能にする。
実施例3
PaCas9タンパク質の酵素活性
多様なCas9ファミリータンパク質のHNHおよびRuvCドメインとPaCas9ドメイン(ドメイン分布を図2に示す)の相同性を比較することによって、DNA/RNAの酵素的加水分解に関与するアミノ酸を同定した。Cas9タンパク質の酵素活性における関与が以前示された保存的アミノ酸を、PaCas9において単離した。したがって、分析法によって、このタンパク質のアミノ酸残基がPaCas9タンパク質の酵素活性に必要であることが見出された(アミノ酸位):D9;E527;H750;D753;H613;N636。
実施例4
PaCas9タンパク質の酵素活性の決定
PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)配列を決定するため、本発明者らは、組換えヌクレアーゼタンパク質(配列番号2)、crRNA(ターゲット依存性可変部分および配列番号4に提示するダイレクトリピートからなる)およびtracrRNA(配列番号3)を用いて、カットDNAライブラリーのin vitro反応を行った。DNAライブラリーは、7文字ランダム化配列、および認識可能配列、プロトスペーサーを含むPCR断片である。
PaCas9−RNA−タンパク質複合体をDNAライブラリーとインキュベーションした後、反応産物をゲル電気泳動に装填する。アンカット断片をゲルから抽出し、そしてIlluminaプラットホーム上で配列決定する。アンカットPaCas9反応産物および対照反応に含有されるPAM配列の比較は、問題のタンパク質のPAMを決定することを可能にするであろう。
PAM配列を同定した後、in vitroヌクレアーゼ活性を評価する。この目的に向けて、RNAガイドと複合体形成したタンパク質を、プロトスペーサー配列および同定されたPAMを所持するDNA断片とインキュベーションする。RNA−タンパク質複合体対カットDNAの最適な比を決定した。最適PAMを含有する長さ約400塩基対のターゲットDNA 200ngの50%切断に必要なPaCas9タンパク質の量に基づいて、ヌクレアーゼ活性を評価した。
したがって、PaCas9ヌクレアーゼは酵素活性を有し、そしてDNA中に二本鎖ブレークを作製することが確認された。
さらに、PaCas9ヌクレアーゼは、非常に特異的な認識部位(16〜20文字)を持つDNAに二本鎖ブレークを作製可能であることが確認された。

Claims (10)

  1. 配列番号2のアミノ酸配列を有する、PaCas9ヌクレアーゼ。
  2. 請求項1記載のPaCas9ヌクレアーゼをコードし、そして配列番号1のヌクレオチド配列を有する、単離核酸分子。
  3. 請求項2記載の核酸を含む、発現ベクター。
  4. 図1に示す遺伝子構築物である、請求項3記載の発現ベクター。
  5. 請求項2記載の核酸を含む療法剤を送達するためのベクター。
  6. 療法剤がターゲット細胞またはターゲット組織に送達される、請求項5記載のベクター。
  7. 請求項3〜6記載のベクターを用いてターゲット細胞またはターゲット組織に療法剤を送達するための方法。
  8. 請求項1記載のPaCas9ヌクレアーゼを産生するための宿主細胞を産生するための方法であって、細胞を、請求項3〜6のいずれか1つに記載のベクターで形質転換する工程を含む、前記方法。
  9. 請求項2記載の核酸を含む、請求項1記載のPaCas9ヌクレアーゼを産生するための宿主細胞。
  10. 請求項1記載のPaCas9ヌクレアーゼを産生するための方法であって、請求項9記載の宿主細胞を、増殖培地中、前記PaCas9ヌクレアーゼを産生するために十分な条件下で培養し、必要であれば、その後、得られたPaCas9ヌクレアーゼを単離し、そして精製する工程を含む、前記方法。
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