JP2022191863A - セラミックス生体材料、生体部品及び生体部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体部品に適した新たなセラミックス生体材料を提供する。【解決手段】ある態様のセラミックス生体材料は、窒化珪素及び焼結助剤を含有し、曲げ強度が1196MPa以上の焼結体で構成されている。このセラミックス生体材料は、窒化珪素を88.0~98.0質量%含有してもよい。また、焼結助剤を2.0~12.0質量%含有してもよい。【選択図】図7

Description

本願発明は、セラミックス生体材料に関する。
従来、人間や動物といった生体内への埋設を目的とした生体材料が様々に考案されている。例えば、人工股関節骨頭や人工臼蓋といった摺動により摩耗が起きやすい人工骨や、化学的安定性を必要とする人工歯根などの生体材料が知られている。例えば、特許文献1には、生体材料としてアルミナ-ジルコニア系複合セラミックス材料が開示されている。
米国特許第9353010号明細書
しかしながら、アルミナ-ジルコニア系複合セラミックス材料は、セラミックス材料に共通してみられる、脆性を原因とする突発的な欠けやスクイーキングノイズの発生といった問題がある。また、前述のセラミックス材料を摺動により摩耗が起きやすい人工骨に用いた場合、耐摩耗性について更なる改善の余地がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところの一つは、生体部品に適した新たなセラミックス生体材料を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のセラミックス生体材料は、窒化珪素及び焼結助剤を含有し、曲げ強度が1196MPa以上の焼結体で構成されている。
この態様によると、生体部品に適した強度と耐摩耗性を実現できる。
窒化珪素を88.0~98.0質量%含有してもよい。焼結助剤を2.0~12.0質量%含有してもよい。
窒化珪素は、β形の柱状結晶を含んでもよい。これにより、クラックといった微視的な欠けや破壊が抑制される。
焼結助剤は、希土類酸化物及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種以上の酸化物を含んでもよい。これにより、単独で焼結が難しい窒化珪素を主成分とした生体材料を実現できる。
破壊靱性が7.0以上の焼結体で構成されていてもよい。これにより、高硬度かつ耐摩耗性に優れた生体部品に利用できる。
不可避不純物である鉄及びカルシウムの含有量が全体で500ppm以下であってもよい。これにより、強度が高く耐摩耗性に優れたセラミックス生体材料を実現できる。
関節に適した形状に加工されていてもよい。これにより、高強度で耐摩耗性が求められる関節として利用できる。
焼結体を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したSEM像の観察視野において、長手方向の長径が1μm以下の粒子の個数が4.5[個/μm]以上である組織を有しているとよい。これにより、微細な粒子による組織によって耐摩耗性が向上する。
焼結体のX線回折法による窒化珪素の(101)面のピーク強度I(101)と(210)面のピーク強度I(210)との比I(101)/I(210)が1.3以上である組織を有しているとよい。六方晶系の(101)面は、六角柱の底面に対して約20度傾く面であり、(210)面は、六角柱の側面に平行な面である。そのため、各ピーク強度の比I(101)/I(210)が大きければ(101)面を有する球状粒子が多く、小さければ(210)面を有する柱状粒子が多いことを示唆する。したがって、I(101)/I(210)が1.0より大きく、好ましくは1.3以上、更に好ましくは1.5以上であれば、柱状粒子より小さい球状粒子が存在する割合が多くなり、耐摩耗性が向上する。
本発明の別の態様は生体部品である。この生体部品は、前述のセラミックス生体材料からなる、生体内に埋設される生体部品であって、該生体部品と他の部品との摺動部分の面粗さ(算術平均粗さSa)が0.025μm以下である。これにより、耐摩耗性に優れた生体部品が実現できる。
本発明の更に別の態様は、生体部品の製造方法である。この方法は、不可避不純物である鉄及びカルシウムの含有量が全体で300ppm以下の窒化珪素の粉末と、焼結助剤の粉末とを混合し、温度1600~1900℃、圧力20~35MPaの環境下で焼結する。
この態様によると、クラックといった微視的な欠けや破壊の低減が可能な生体部品を製造できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。また、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、生体部品に適した新たなセラミックス生体材料を実現できる。
本実施の形態に係る生体部品の一例である人工股関節の模式図である。 試験における動荷重の変動を示す図である。 ディスクを固定する治具の分解斜視図である。 ピンを固定する治具の分解斜視図である。 ディスクにピンを押しつけながら行う摺動試験の概念図である。 比較例1及び参考例1に係るディスクの摩耗量と摺動距離との関係を示す図である。 参考例1及び実施例1に係るピンの摩耗量と摺動距離との関係を示す図である。 図8(a)は、参考例1に係るセラミックス生体材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したSEM像を示す図、図8(b)は、実施例1に係るセラミックス生体材料のSEM像を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
本実施の形態に係るセラミックス生体材料は、骨の支持や代替として生体内に埋植される様々な生体部品に使用され得る。特に、股関節や膝関節といった骨同士が摺動する部分の代替として生体部品を使用する場合、生体部品自体の強度に加えて耐摩耗性が求められるため、このような関節部位に本実施の形態に係るセラミックス生体材料は好適である。以下では、本実施の形態に係る生体部品を股関節に適用した例について説明する。
(人工股関節)
図1は、本実施の形態に係る生体部品の一例である人工股関節の模式図である。図1に示す人工股関節10は、大腿骨12にインサートされたステム14の一端に固定されている骨頭16と、骨盤18の寛骨臼22に固定されたカップ24及びカップインサート26と、を有する。カップ24はソケットと称することもある。また、カップインサート26はライナーと称することもある。本実施の形態に係る人工股関節10は、球形の骨頭16及び半球碗状のカップインサート26をセラミックス生体材料で構成した場合を想定している。
カップインサート26の材料強度が低いと、カップインサート26自体を厚肉化する必要がある。その結果、カップインサート26の内径が小さくなり、カップインサート26に装着される骨頭16の外径も小さくなる。その結果、骨頭16がカップインサート26から外れる、いわゆる脱臼が生じやすくなる。そこで、本実施の形態に係るセラミックス生体材料のように比較的強度が高い材料で生体部品を製造することで、カップインサート26を薄肉化し、それに伴う骨頭16の大径化により脱臼しにくい人工股関節10を実現できる。
(焼結体の製造方法)
本発明者らは、人工関節のような生体材料に適したセラミックスを見出すために鋭意検討した結果、主成分である窒化珪素(Si)に焼結助剤を加えた焼結体が生体材料に適していることを見出した。はじめに、セラミックス生体材料に適した焼結体の製造方法について説明する。
まず、窒化珪素88.0~98.0質量%の主原料粉末を、焼結助剤成分2.0~12.0質量%と混合して原料粉末を調製する。この混合は、例えば、湿式ボールミル等により行うことができる。
窒化珪素の原料は、主要成分以外に金属や酸素、炭素等の不可避不純物(Fe,Al,Ca,Cl,O,C,Si,Na,Mg等)を含んでおり、本願発明者らは、この量を抑えることで、強度が高く耐摩耗性に優れたセラミックス生体材料を実現できる可能性に想到した。例えば、窒化珪素の純度が95.0%以上、好ましくは99.0%以上、更に好ましくは99.5%以上の原料粉末を用いるとよい。また、窒化珪素の原料粉末に含まれる不可避不純物の量は、5000ppm以下、好ましくは500ppm以下、更に好ましくは50ppm以下であるとよい。窒化珪素の原料粉末の比表面積は、6[m/g]以上、好ましくは9~13[m/g]であるとよい。また、窒化珪素のα分率(全体に占めるα相の割合)が90%以上、好ましくは94%以上であるとよい。
焼結助剤は、窒化珪素の焼結に使用されているものから選択することができる。焼結助剤は酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化イットリウム(イットリア)、その他のランタノイド金属の酸化物(希土類酸化物)から得られた1種若しくは2種以上である。例えば、アルミナとイットリアの混合物、若しくはこれに更にマグネシアを添加した混合物、若しくはイットリアとマグネシアの混合物等である。焼結助剤成分の配合量は、全原料粉末の2.0~12.0質量%、好ましくは4.0~10.0質量%、更に好ましくは4.0~8.0質量%の範囲であるとよい。また、焼結助剤の原料粉末に含まれる不可避不純物の量は、100ppm以下、好ましくは50ppm以下であるとよい。
次に、原料粉末を高温加圧下で焼結させ、焼結体とする。この焼結は、例えば、ホットプレスにより行うことができる。ホットプレスは、非酸化性雰囲気である例えばアルゴンや窒素雰囲気中で行うが、加圧窒素中で行ってもよい。ホットプレス温度は1600~1900℃の範囲内がよい。温度が低すぎると焼結が不十分となり、高すぎると主原料の熱分解が起こるようになる。加圧力は20~35MPaの範囲内が適当である。ホットプレスの持続時間は温度や寸法にもよるが、通常は1~4時間程度である。高温加圧焼結は、HIP(ホットアイソスタティクプレス)により行うこともできる。この場合の焼結条件も、当業者であれば適宜設定できる。
前述の方法で製造した焼結体で構成されたセラミックス生体材料について、JIS R1601に基づく曲げ強度[MPa]、JIS R1607に基づく破壊靱性KIC[MPa・m1/2]を測定した。また、耐摩耗性を比較するために以下の摩耗試験で摩耗量を測定した。
(摩耗試験)
ISO14242「Implants for surgery Wear of total hip joint prostheses」を参照して摩耗試験を行った。試験は、人工関節部品を想定して歩行時の環境を模した荷重変動条件下で行った。図2は、試験における動荷重の変動を示す図である。応力の変動範囲は0.27~2.73MPaである。摩耗試験においては、互いに接触して摺動する所定形状のピン及びディスクを準備する。本実施の形態に係るセラミックス生体材料で作製されたディスクは、直径40mm、厚みが3mmの円板部品である。また、同じく本実施の形態に係るセラミックス生体材料で作製されたピンは、長さが15mm、ディスクと接触する先端面が直径4mmの円である円柱部品である。
図3は、ディスクを固定する治具の分解斜視図である。図4は、ピンを固定する治具の分解斜視図である。図5は、ディスクにピンを押しつけながら行う摺動試験の概念図である。図3に示すように、ディスク30をディスク受け治具32の円形の凹部32aに緩衝材34を介して載置し、リング状のディスク押さえ治具36をボルト38を用いてディスク受け治具32に固定することで、ディスク受け治具32とディスク押さえ治具36との間にディスク30が挟持され、固定される。
また、図4に示すように、ピン40をコレット42に挿入した後、コレット42をコレット受け治具44のテーパ穴に挿入し、ねじ切りされたコレット押さえ治具46をコレット受け治具44に取り付けて固定する。コレット受け治具44は、ひずみゲージプレート48に固定される。ひずみゲージプレート48は、スペーサ50を介してL字ブロック52にボルト54で締結される。
そして、図5に示すように、ディスク受け治具32に固定されたディスク30に対して、コレット押さえ治具46から突き出したピン40を押しつけ、ディスク受け治具32を回転させるとともに、L字ブロック52を外部の駆動装置によりディスク30の回転軸と平行な方向(回転軸に沿った方向)に移動する。そして、ピン40が所定の荷重変動でディスク30に摺動しながら押圧されるようにL字ブロック52の移動を制御する。
なお、摺動環境は、生理食塩水200mLにヒアルロン酸ナトリウム(鶏冠由来)0.08gを加え、精製した擬似関節液を用いた湿式摩耗試験とした。試験条件は、摺動速度が20mm/s、荷重変動の1サイクルが40s、擬似関節液の温度が37.0±2.0℃である。
(比較例1)
生体材料として販売されている材料を用いて、ピンをジルコニア材料で構成し、ディスクをアルミナ-ジルコニア系複合セラミックスで構成し、前述の摩耗試験を行った。
(参考例1)
ピン及びディスクを窒化珪素系のセラミックスで構成した。窒化珪素の原料として市販の直接窒化法にて製造された原料(試料1)を90質量%、焼結助剤であるイットリアの原料を6質量%、同じく焼結助剤であるアルミナの原料を4質量%それぞれ秤量し、前述の製造方法に基づいて焼成温度1700℃で焼結体を作製した。市販の直接窒化法にて製造された窒化珪素は、α化率(全体に示すα相の割合)が91%、平均粒径(レーザ回折・散乱法(マイクロトラック)による測定値)が1.1μm、比表面積(BET法による測定値)が6m/gであり、不純物として鉄(Fe)を2000ppm、アルミニウム(Al)を1000ppm、カルシウム(Ca)を2000ppm、炭素(C)を0.1%、酸素(O)を1.5%、含有している。
図6は、比較例1及び参考例1に係るディスクの摩耗量と摺動距離との関係を示す図である。摩耗試験は、所定の摺動距離毎にディスクやピンの質量を測定し、単位面積当たりの摩耗量を算出しグラフ化した。図6に示すように、比較例1のジルコニア系の焼結体と比較して、参考例1の窒化珪素系の焼結体の方が、摩耗量を半分程度に抑えられていることがわかる。
表1、表2は、参考例1、実施例1乃至11に係るセラミックス生体材料の焼成温度、原料組成、曲げ強度及び破壊靱性を示している。
Figure 2022191863000002
Figure 2022191863000003
参考例1に係るセラミックス生体材料は、耐摩耗性は改善しているものの曲げ強度及び破壊靱性に改善の余地がある。
(実施例1)
窒化珪素の原料として市販のイミド熱分解法にて製造された原料(試料2)を94質量%、焼結助剤であるイットリアの原料を4質量%、同じく焼結助剤であるアルミナの原料を2質量%それぞれ秤量し、前述の製造方法に基づいて焼成温度1750℃で焼結体を作製した。市販のイミド熱分解法にて製造された窒化珪素は、α化率95%以上、比表面積が9~13m/gであり、不純物として鉄を10ppm、アルミニウム1ppm、カルシウムを1ppm以下、炭素(C)を0.1%、酸素(O)を2.0%以下、含有している。
図7は、参考例1及び実施例1に係るピンの摩耗量と摺動距離との関係を示す図である。図7に示すように、参考例1の窒化珪素系の焼結体と比較して、実施例1の窒化珪素系の焼結体の方が、摩耗量を半分程度に抑えられていることがわかる。この理由は様々考えられるが、実施例1に係る焼結体の焼結助剤の量が参考例1に係る焼結体よりも低減されていることや、実施例1の窒化珪素の原料である試料2が、参考例1の窒化珪素の原料である試料1と比較して、不可避不純物の量が非常に低く、原料粉末が細かいため、焼結体の組織も細かくなるということが考えられる。
また、実施例1に係るセラミックス生体材料は、参考例1と比較して曲げ強度や破壊靱性が大きく向上しており、生体部品の小型化、薄型化に寄与する。
(実施例2)
実施例2に係るセラミックス生体材料は、実施例1と比較して、焼結助剤の量が10質量%である点と、焼成温度が1700℃である点が主な相違点である。実施例2に係るセラミックス生体材料は、実施例1と比較して曲げ強度と破壊靱性が低下するが、参考例1に係るセラミックス生体材料よりは値が高い。つまり、窒化珪素の原料として試料2を用いることが好ましいことがわかる。
(実施例3乃至6)
実施例3乃至6に係るセラミックス生体材料は、実施例1と比較して、焼結助剤の量が2~4、8~12質量%である点が主な相違点である。実施例3乃至6に係るセラミックス生体材料は、実施例1と同様に高い曲げ強度と破壊靱性を有する。また、焼結助剤の量は、実施例1に示すように6%が最も好ましいことがわかる。加えて、焼結助剤の添加量によって、粒界層の厚みが変化することも明らかとなった。物性や平滑な組織を考慮すると、焼結助剤の量は、実施例1の6%が好適であることがわかる。
(実施例7乃至10)
実施例7乃至10に係るセラミックス生体材料は、実施例1と比較して、焼結助剤の量が4~8、12質量%である点と、焼成温度が1700℃である点が主な相違点である。実施例7乃至10に係るセラミックス生体材料は、実施例1と同様に高い曲げ強度と破壊靱性を有する。
(実施例11)
実施例11に係るセラミックス生体材料は、実施例1と比較して、焼成温度が1800℃である点が主な相違点である。実施例11に係るセラミックス生体材料は、実施例1と比較して曲げ強度と破壊靱性が少し低下するが、参考例1に係るセラミックス生体材料よりは値が高い。
このように、本実施の形態に係るセラミックス生体材料は、窒化珪素及び焼結助剤を含有し、曲げ強度が1196MPa以上、破壊靱性が7.0以上の焼結体で構成されている。これにより、生体部品に適した強度と高硬度、耐摩耗性を実現できる。また、破壊靱性が向上することで、生体内での突発的な欠けの発生が抑制される。特に、実施例1乃至11に示すように、窒化珪素を88.0~98.0質量%含有し、焼結助剤を2.0~12.0質量%含有しているセラミックス生体材料が好ましい。
なお、本実施の形態に係るセラミックス生体材料は、焼成後において、β形の窒化珪素の柱状結晶を含んでいる。これにより、クラックといった微視的な欠けや破壊が抑制される。
(焼結体の組織)
次に、セラミックス生体材料を構成する焼結体の組織について説明する。図8(a)は、参考例1に係るセラミックス生体材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したSEM像を示す図、図8(b)は、実施例1に係るセラミックス生体材料のSEM像を示す図である。
図8(a)、図8(b)に示す組織は、セラミックス生体材料の表面をダイヤモンドスラリーで鏡面研磨し、表面をプラズマエッチング(RFパワー:40W、エッチングガス:CF+O)により10分間処理し、加速電圧20kVの走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したSEM像である。図8(a)、図8(b)に示すSEM像は、倍率15000倍で観察視野が横8.5μm×縦6.5μm(面積55.25μm)である。
図8(a)に示す参考例1に係る材料のSEM像と、図8(b)に示す実施例1に係る材料のSEM像とを比較すると、柱状粒子以外の球状粒子の粒径に違いがあることがわかる。本発明者らは、耐摩耗性の相違に粒径の小さい球状粒子の個数が影響を与えている可能性に想到した。具体的には、参考例1及び実施例1のセラミックス生体材料を構成する焼結体を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したSEM像の観察視野において、長手方向の長径が1μm以下の粒子の個数に着目した。
図8(a)に示す参考例1のSEM像においては、長手方向の長径が1μm以下の粒子の個数が135個であり、単位面積当たりの個数は2.4[個/μm]である。一方、図8(b)に示す実施例1のSEM像においては、長手方向の長径が1μm以下の粒子の個数が350個であり、単位面積当たりの個数は6.3[個/μm]である。したがって、この個数が多いと組織が細かくなり、耐摩耗性が向上すると考えられる。また、スクイーキングノイズ(squeaking noise)の抑制や相転移も発生しにくくなる。具体的には、長手方向の長径が1μm以下の粒子の個数が2.5[個/μm]以上の組織であるとよく、好ましくは、4.5[個/μm]以上の組織を有しているとよい。これにより、微細な粒子による組織によって耐摩耗性が向上する。
(配向性)
次に、好ましい結晶の配向性について説明する。窒化珪素(β-Si)は、六方晶系の結晶構造を有し、(101)面は、六角柱の底面に対して約20度傾く面であり、(210)面は、六角柱の側面に平行な面である。そこで、参考例1及び実施例1に係る焼結体の多結晶のそれぞれに対して、X線回折法による特定の面方位の回折ピークの強度を測定した。詳述すると、参考例1及び実施例1の焼結体のそれぞれの(101)面のピーク強度I(101)と(210)面のピーク強度I(210)とを測定した。
その結果、参考例1の焼結体の(101)面に相当する33.7°のピーク強度(相対強度)I(101)は30081、(210)面に相当する36.1°のピーク強度(相対強度)I(210)は29300であり、比I(101)/I(210)は1.0であった。一方、実施例1の焼結体の(101)面に相当するピーク強度(相対強度)I(101)は50387、(210)面に相当するピーク強度(相対強度)I(210)は28797であり、比I(101)/I(210)は1.7であった。
各ピーク強度の比I(101)/I(210)が大きければ(101)面を有する球状粒子が多く、小さければ(210)面を有する柱状粒子が多いことを示唆する。したがって、I(101)/I(210)が1.0より大きく、好ましくは1.3以上、更に好ましくは1.5以上であれば、柱状粒子より小さい球状粒子が存在する割合が多くなり、耐摩耗性が向上する。
また、本実施の形態に係るセラミックス生体材料を用いて、生体内に埋設される生体部品を作製する場合、他の部品との摺動部分となる表面をダイヤモンドスラリー研磨するとよい。さらに、セラミックス同士をこすり合わせる摩耗試験のような処理を行うとよい。具体的には、摺動部分の面粗さ(算術平均粗さSa)が0.025μm以下であるとよい。また、摺動部分の二乗平均平方根高Sqが0.030μm以下であってもよい。また、最大高さSzが0.300μm以下であってもよい。これにより、耐摩耗性に優れ、抗菌効果を有する生体部品が実現できる。
また、生体部品の製造方法という観点では、不可避不純物である鉄及びカルシウムの含有量が全体で300ppm以下の窒化珪素の粉末と、焼結助剤の粉末とを混合し、温度1600~1900℃、圧力20~35MPaの環境下で焼結するとよい。これにより、クラックといった微視的な欠けや破壊が抑制された生体部品を製造できる。
(体内での安定性)
生体材料として販売されているアルミナ-ジルコニア系複合セラミックスは、アルミナが約8割、ジルコニアが約2割で構成されている。ジルコニアは水(体液)と反応し、相変態等が起こりやすいセラミックスと言われており、体内に埋植した際、長期的な安定性に不安がある。また、複合セラミックスの組織内におけるアルミナとジルコニアは、互いに物性(硬度や強度等)に違いがあり、加工時に微細な凹凸が生じることで、菌が付着しやすい。
一方、本実施の形態に係るセラミックス生体材料は、主成分が窒化珪素で構成されており、ジルコニアを実質的に含まず、水(体液)との反応で相変態等は起こりにくい。また、単一材であるため、加工時に微細な凹凸が生じにくく、菌が付着しにくい。加えて、焼結助剤の添加量によって、粒界層の厚みが変化する。そのため、物性や平滑な組織を考慮すると、焼結助剤の量は、実施例1の6%が好適であることが明らかとなった。
以上、本発明を上述の実施の形態や実施例を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
10 人工股関節、 12 大腿骨、 14 ステム、 16 骨頭、 18 骨盤、 22 寛骨臼、 24 カップ、 26 カップインサート、 30 ディスク、 40 ピン。

Claims (11)

  1. 窒化珪素及び焼結助剤を含有し、曲げ強度が1196MPa以上の焼結体で構成されたセラミックス生体材料。
  2. 前記窒化珪素を88.0~98.0質量%含有し、
    前記焼結助剤を2.0~12.0質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のセラミックス生体材料。
  3. 前記窒化珪素は、β形の柱状結晶を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス生体材料。
  4. 前記焼結助剤は、希土類酸化物及び酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種以上の酸化物を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセラミックス生体材料。
  5. 破壊靱性が7.0以上の焼結体で構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセラミックス生体材料。
  6. 不可避不純物である鉄及びカルシウムの含有量が全体で500ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のセラミックス生体材料。
  7. 関節に適した形状に加工されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のセラミックス生体材料。
  8. 前記焼結体を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したSEM像の観察視野において、長手方向の長径が1μm以下の粒子の個数が4.5[個/μm]以上である組織を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のセラミックス生体材料。
  9. 前記焼結体のX線回折法による窒化珪素の(101)面のピーク強度I(101)と(210)面のピーク強度I(210)との比I(101)/I(210)が1.3以上である組織を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のセラミックス生体材料。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のセラミックス生体材料からなる、生体内に埋設される生体部品であって、
    該生体部品と他の部品との摺動部分の面粗さ(算術平均粗さSa)が0.025μm以下であることを特徴とする生体部品。
  11. 不可避不純物である鉄及びカルシウムの含有量が全体で300ppm以下の窒化珪素の粉末と、焼結助剤の粉末とを混合し、温度1600~1900℃、圧力20~35MPaの環境下で焼結することを特徴とする生体部品の製造方法。
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