JP2022190729A - 空気清浄装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来において、屋内空気を清浄化する一般的方法としては換気がある。しかしこの方法では、窓の開け方や換気扇の取り付け方等にもよるが、屋内空気の一部しか換気ができず、屋内空気の全量を速やかに換気して入れ替えるには難がある。また冬場等においては窓等を大きく開けると、屋内空気が冷えてしまう問題もある。
一方、屋内空気を装置内に取り込み、フィルタで異物を取り除いたり殺菌したりするようにした空気清浄装置(エアコン等を含む)も多く提供されている。しかし、これらの空気清浄装置を用いて屋内空気の全体を清浄にするには、屋内空気の全てをまんべんなく自身の装置内に取り込む必要があるが、難しい事項である。
上記特許文献2はイオン発生ユニット及びイオン送風装置に関し、その段落0043には、イオンの放出に関して「この空気がイオン発生部10と風向板8(特に風向板8の前縁の膨らみ)との間を流通するときに、流通すべき断面積がスクロール部42における流通すべき断面積に比べて狭められているため、風速が増大する。このとき、空気の圧力はベルヌーイの定理に従い低下する。この結果、イオン発生部10で発生したイオンは、気圧の差によって浮遊空間11へ効率よく吸い出され、更に、増速し、且つ、風向板8によって風向きが規制された空気に伴って、吹出部43へ、更には装置外部へ、効率よく送出される。」と開示されている。しかし、この装置はあくまでベルヌーイの定理を利用したイオンの送出を効率よくするものであり、屋内空間に浮遊する異物を取り除いて空気浄化する装置とは大きく異なる。
上記特許文献3は送風装置及び空気調和機に関し、その段落0017には、「~このような気圧の差によって、ボス部101の延長領域93cから通風路93の周縁部に向かう気流Bが発生する。吹出す気流の流速が速いほど圧力差が大きくなり逆流する気流Bの流速も速くなる。」と開示され、また段落0048には、「この吹出し気流領域と吹出し気流がない領域との気圧の差によって、整風体7よりも外側の領域では仕切壁5の延長領域から吹出し気流Aに向かう気流Bが発生する。」と開示されている。しかし、この装置は、あくまで筒体内に軸流ファンを配してある送風装置の吹出効率を高めることができるようにした装置であり、屋内空間全体を対象にして、そこに浮遊する異物を取り除いて空気浄化するような装置ではない。
即ち、この特許文献4に開示の技術は、紫外線照射による殺菌を目的とし、且つ紫外線照射による人への危険性も確実に回避する要請から、室内殺菌装置1を部屋の上方部に設置することを大前提として、ファンによる上昇対流を起こし或いは室内上方部の気圧が低くなるようにし、これによって細菌等を気流と共に上方に移動させて殺菌に供するようにした技術が開示されていると言える。
しかしながら特許文献4に開示の室内殺菌装置および室内殺菌システムは、上方での殺菌を目的とするあまり、細菌等50を重力の法則(引力の法則)に反して、下方の床面に落下、沈降しつつある細菌等50を再度舞い上げて撹拌してしまうような結果をもたらす問題がある。
屋内へ空気を供給するための1乃至複数の給気口と、屋内から空気を排出するための1乃至複数の排気口と、屋内の一側から反対側に向かう層状気流を発生させるための1乃至複数のファンと、屋内空間の上層部の気圧を検出する1乃至複数の上層部気圧センサと、屋内空間の下層部の気圧を検出する1乃至複数の下層部気圧センサとを少なくとも備え、屋内空間の気圧が上層部において高く下層部において低くなる気圧勾配を恒常的に形成させるようファンを制御する構成としたことを第1の特徴としている。
また本発明の空気清浄装置は、上記第1の特徴に加えて、少なくとも前記屋内の一側の下層部と上層部とに給気口を設けると共に少なくとも前記屋内の反対側の下層部に排気口を設け、該下層部の排気口に排気ファンを設け、該下層部の排気口の排気ファンを駆動することで、屋内空間の下層部に流れる層状気流が上層部を流れる層状気流よりも速くなるように構成したことを第2の特徴としている。
また本発明の空気清浄装置は、上記第1又は第2の特徴に加えて、給気口及び排気口は水平方向に細長い形状としてあることを第3の特徴としている。
また本発明の空気清浄装置は、上記第1~第3の何れかの特徴に加えて、排気口に設けられる排気ファンは回転数を増減できるものとし、上層部気圧センサにより検出される気圧が下層部気圧センサで検出される気圧よりも高い一定範囲に維持されるように排気ファンのオン、オフ及び回転数を制御する制御部を備えたことを第4の特徴としている。
屋内の上層部の気圧が高く下層部の気圧が低くなる気圧勾配が恒常的に形成されることで、運転中において上方から下方への気圧傾度力が恒常的に発生し、その気圧傾度力により屋内空間に浮遊するウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物を、再度舞い上げたり撹拌したりすることを避けながら、重力に気圧傾度力を付加する形で、静かに、下方に落下沈降させて取り除くことができる。
これにより装置を運転することにより、その運転中においては排気ファンが制御され、屋内上層部の気圧が屋内下層部の気圧よりも恒常的に高くなるように維持することができる。よって屋内空間に浮遊のウイルスや細菌等を含むエアロゾル、埃、ごみ、その他の異物に対して、下向きの気圧傾度力を重力に加えて確実に付加することができ、速やかに下方へ落下沈降させて取り除くことができる。
前記排気口20は、本実施形態では、前記一側の側壁部Wとは反対側の側壁部Wの下層部に排気口20aを設けている。
前記ファン30は、本実施形態では、前記反対側の側壁部Wの下層部に設けた排気口20aに排気ファン30aを設けている。
前記上層部気圧センサ40は、本実施形態では、屋内空間Sの上層部の気圧を検出するものとして、屋内空間Sの上層部に設けている。
前記下層部気圧センサ50は、本実施形態では、屋内空間Sの下層部の気圧を検出するものとして、屋内空間Sの下層部に配置して設けている。
制御部60には、制御プログラムに従って前記上層部気圧センサ40及び下層部気圧センサ50からの検出データが入力され、また前記排気ファン30aからの回転数データが入力される。そしてそれらの入力データから必要な制御量が演算され、排気ファン30aに向けて出力される。
今、空気清浄装置の運転スイッチがONすると(ステップ1でYES)、排気ファン30aがオンされて、先ず基底回転数で回転を開始する(ステップ2)。
運転が開始されると、制御部60は一定のタイミングで気圧センサ(上層部気圧センサ40、下層部気圧センサ50)から気圧データを入力し、また排気ファン30aの回転数データを入力する(ステップ3)。
そして制御部60は一定のタイミングで前記入力した気圧データから、上層部気圧と下層部気圧との気圧差ΔPを演算する(ステップ4)。
そして制御部60は、前記演算した気圧差ΔPが次の式1で示す関係にあるかを判定する(ステップ5)。
ΔP2≧ΔP≧ΔP1>0 ・・・式1
ここで、ΔP1は上層部から下層部へ向けての良好な気圧勾配と気圧傾度力を生じるために必要な気圧差の下限値である。またΔP2は上層部から下層部へ向けての良好な気圧傾度力は生じるが、屋内通風量が上がり過ぎて環境を壊さないようにするための気圧差の上限値である。また気圧差ΔP>0としたのは、気圧差ΔP=0では上層部から下層部への気圧傾度力が生じないためである。
前記ΔP1とΔP2は、装置が設置される屋内の大きさや、形状、その他の状況乃至条件に応じて、予め好ましい値のΔP1、ΔP2を用意しておき、施工時にその屋内の状況に応じた値を設定するようにすることができる。勿論、運転を介して好ましいΔP1、ΔP2の値を学習させる機構とすることもできる。
ステップ5でΔP<ΔP1であれば、ステップ7に進み、排気ファン30aの回転数を増加させる。
ステップ5でΔP>ΔP2であれば、ステップ8に進み、排気ファン32aの回転数を減少させる。
ステップ7、8において、回転数の増加、減少は、段階的に増加、減少させるようにしてもよいし、連続的に増加、減少させるようにしてもよい。また回転数の増加、減少は、排気ファン30aの回転停止、回転開始を含むものとする。
一方、運転スイッチがOFFされていない場合(ステップ9でNO)は、ステップ3に戻って、運転が継続される。
以上の様に装置の運転が行われることで、運転中、屋内空間Sの上層部と下層部との気圧差ΔPが所定の範囲に維持され、その気圧勾配による気圧傾度力による異物の落下、沈降をスムーズに行うことができる。
また排気口20は、本実施形態では、前記一側の側壁部Wとは反対側の側壁部Wの下層部に排気口20aとして1つだけ設けている。しかしながら排気口20は1つに限ることなく、屋内空間Sを流れる気流がより層流の状態となるように、複数個の排気口20を側壁部W等にその適当な配置を考慮して設けることができる。
また前記給気口10a、10bは、これも水平方向に細長い形状とすることができる。細長い形状とすることで、それら給気口10a、10bから屋内空間Sに入ってくる空気の流れをより水平方向に幅広い層流とすることができる。
また給気口10は既述した給気口10a、10bの他、屋内空間Sを流れる気流がより層流の状態となるように、複数個の給気口10を側壁部W等にその適当な配置を考慮して設けることができる。
またファン30は排気口20に設ける排気ファン30だけではなく、給気口10にも給気ファンとして選択配置して設けることができる。給気ファンを給気口10に選択的に設けることで、給気ファンによる屋内空間Sの気圧調整も、排気ファンによる気圧調整に付加することが可能になり、屋内空間Sの気圧を上層部から下層部に向けてより好ましい気圧勾配に容易に調整することができる。
10a 給気口
10b 給気口
20 排気口
20a 排気口
30 ファン
30a 排気ファン
40 上層部気圧センサ
50 下層部気圧センサ
60 制御部
61 CPU
62 RAM
63 ROM
64 周辺回路
65 入出力ポート
S 屋内空間
C 天井部
F 床部
W 側壁部
Claims (4)
- 屋内空間に浮遊する異物を取り除いて空気を清浄にする空気清浄装置であって、
屋内へ空気を供給するための1乃至複数の給気口と、屋内から空気を排出するための1乃至複数の排気口と、屋内の一側から反対側に向かう層状気流を発生させるための1乃至複数のファンと、屋内空間の上層部の気圧を検出する1乃至複数の上層部気圧センサと、屋内空間の下層部の気圧を検出する1乃至複数の下層部気圧センサとを少なくとも備え、屋内空間の気圧が上層部において高く下層部において低くなる気圧勾配を恒常的に形成させるようファンを制御する構成としたことを特徴とする空気清浄装置。 - 少なくとも屋内の一側の下層部と上層部とに給気口を設けると共に少なくとも前記屋内の反対側の下層部に排気口を設け、該下層部の排気口に排気ファンを設け、該下層部の排気口の排気ファンを駆動することで、屋内空間の下層部に流れる層状気流が上層部を流れる層状気流よりも速くなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
- 給気口及び排気口は水平方向に細長い形状としてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄装置。
- 排気口に設けられる排気ファンは回転数を増減できるものとし、上層部気圧センサにより検出される気圧が下層部気圧センサで検出される気圧よりも高い一定範囲に維持されるように排気ファンのオン、オフ及び回転数を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の空気清浄装置。
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